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2016年3月22日 第1回水道事業の維持・向上に関する専門委員会 議事録

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部水道課

○日時

平成28年3月22日(火) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室(中央合同庁舎第5号館6階)


○出席者

委員(50音順)

浅見委員 石井委員 浦上委員 岡部委員 尾崎委員
滝沢座長 築地原委員 永井委員 平井委員 望月委員
山口委員 渡部委員 渡辺委員

厚生労働省

太田政務官 福田部長 樽見審議官 赤澤課長 宮崎課長
高澤室長 久保補佐 安里補佐 堀内補佐

○議題

(1)水道事業の維持・向上に関する専門委員会の設置について
(2)水道事業の維持・向上のための方策について
(3)その他

○議事

○久保補佐 定刻に若干時間がありますが、全員おそろいのようですので、これより第 1 回の水道事業の維持・向上に関する専門委員会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、年度末の御多用中にもかかわらず、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。初めに開会に当たりまして、厚生労働大臣政務官の太田より御挨拶申し上げます。

○太田政務官 皆様おはようございます。大分暖かくなってきまして、桜も咲き始めたようでございますが、そのような週の火曜日朝、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 御紹介いただきましたように、昨年から、安倍内閣で厚生労働大臣政務官を拝命いたしております太田房江でございます。水道事業の維持・向上に関する専門委員会が立ち上がりましたので、一言私からお願いの御挨拶をさせていただこうと思います。

 この委員会は、先月開催されました厚生科学審議会生活環境水道部会の場で設置が了承されたものです。これから忌憚のない御意見を頂いて、是非、大いに参考にさせていただくようにいたしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 なお、私自身のことで恐縮ですが、私は参議院議員なりましたのが 3 年前、その少し前には大阪府で知事を 8 年間やらせていただきました。また、その前は 25 年間経済産業省で仕事をいたしまして、その中で住宅産業行政や消費者行政などに携わったものですから、水道に関わる仕事は幾つもございまして、大変長くお付き合いさせていただいているなという感じがいたしております。今日のこの会も、良い成果が出て、私に一生懸命仕事をさせていただけるようにお願いにまいったということでございますので、御理解賜りたいと存じます。

 それから、政務官になって、役得もございました。実は 1 週間ほど前、ミス日本コンテストというのを御存じだと思うのですけれども、あの中の「水の天使」を務めていらっしゃる須藤櫻子さんという方が来られまして、しっかりした方で、いろいろお話もしました。当然きれいな方なのですが。彼女が「蛇口から出る水が飲める」という我が国の水道の素晴らしさについて、心からそのような話をしてくださったのと、それから今、インフラ輸出ということが新幹線だけではなくて、上下水道についても語られるようになっておりますから、「櫻子さん、名前もいいし、日本の技術をしっかり PR してくださいね」と言ったら、「頑張ります」と。こういうことで大変いいお話合いができました。

 とは言え、日本の水道は老朽化、耐震性の不足、職員数の減少、人口減少による、給水収益の減少など、このまま放っておいたら気が付いたときには、もう既に遅いということになりかねない状況になっておりますから、これから御審議いただくことも待ったなしの状況で、これからの日本の水道の在り方を論じていただくということになろうかと存じます。

 厚生労働省では、昨年、水道事業基盤強化方策検討会及び指定給水装置工事事業者制度に係る検討会におきまして、それぞれ検討してまいりまして、その双方が取りまとめられましたので、この 2 つの取りまとめで示された方向性を踏まえながら、更に議論を深めていただこうということですので、よろしくお願い申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、本当に待ったなしでございますので、皆様方の御意見を頂きましたら、すぐそれが予算や制度に移していけるよう、私も微力を注いでまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。今日はありがとうございます。

○久保補佐 ありがとうございます。ここで政務官は他の公務のため、中座させていただきます。

 続きまして、委員の皆様を御紹介いたします。お手元の資料 2 の本委員会の名簿に沿って、私から本日、御出席の委員の皆様のお名前を五十音順にお読みいたします。国立保健医療科学院上席主任研究官の浅見真理委員です。東洋大学経営学部教授の石井晴夫委員です。近畿大学経営学部教授の浦上拓也委員です。日本水道工業団体連合会上級アドバイザーの岡部洋委員です。日本水道協会理事長の尾崎勝委員です。東京大学大学院工学系研究科教授の滝沢智委員です。北海道環境局長の築地原康志委員です。全日本水道労働組合中央執行委員長の永井雅師委員です。神奈川県政策部長の平井和友委員です。株式会社日本経済研究所社会インフラ本部部長の望月美穂委員です。相模女子大学人間社会学部教授の山口由紀子委員です。松江市上下水道局長の渡部厚志委員です。最後に全国管工事業協同組合連合会副会長の渡辺皓委員です。以上です。なお、本日は上智大学法科大学院教授の小幡純子委員、主婦連合会副会長の藤野珠枝委員が、御都合により御欠席となっております。

 専門委員会委員 15 名中、 13 名の御出席を頂いておりまして、過半数に達しておりますので、本委員会は成立しております。

 続きまして、事務局の紹介です。厚生労働省生活衛生・食品安全部部長の福田です。担当の大臣官房審議官の樽見です。生活衛生・食品安全部企画情報課長の赤澤です。同じく水道課長の宮崎です。水道課水道計画指導室長の高澤です。水道課課長補佐の安里、堀内です。私は久保です。よろしくお願いいたします。

 本日の配布資料の確認を行います。一番上に議事次第が載っています。議事次第からの順にめくって、資料 1 「水道事業の維持・向上に関する専門委員会の設置について」、資料 2 「専門委員会の委員名簿」、資料 3 「水道行政の最近の動向」、資料 4 「水道事業の維持・向上に関する論点 ( ) 」、資料 5 「水道事業の維持・向上に関する専門委員会検討スケジュール ( ) 」、資料 6 は、資料のタイトルはありませんが、本日御欠席の小幡純子委員からのメモです。

 参考資料 1 「厚生科学審議会生活環境水道部会運営細則」、参考資料 2-1 「水道事業の基盤強化方策に盛り込むべき事項 ( 概要 ) 」、参考資料 2-2 「水道事業の基盤強化方策に盛り込むべき事項」の本文、参考資料 2-3 「水道事業基盤強化方策検討会開催要綱」、参考資料 3-1 「指定給水装置工事事業者制度に係る課題解決の方向性と対策案 ( 概略 ) のイメージ図」、参考資料 3-2 「同じく取りまとめの報告書」、参考資料 3-3 「平成 27 年度指定給水装置工事事業者制度に係る検討会開催要綱」です。資料の過不足等ございましたら、御遠慮なく事務局までお申し付けください。

 ここで傍聴の皆様にお願いでございますが、カメラ撮りはここまでとさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事の 1 つ目、「水道事業の維持・向上に関する専門委員会の設置について」、私から御説明いたします。

 資料 1 と資料 2 を御覧ください。資料 1 に沿って簡単に御説明いたします。 1. の最後のパラグラフです。この専門委員会は、水道事業の基盤強化、水道施設の更新・強靱化の促進方策、それに指定給水装置工事事業者制度の課題解決に向けた対応策に関する専門的事項を検討するということで設置されたもので、肩の所に日付等が入っていますが、今年 2 17 日に厚生科学審議会の生活環境水道部会において設置が了承されたものです。今後の検討事項については、後ほど詳しく御説明いたしますが、 2. にあるとおりです。

3. は、本専門委員会の構成について、特に (2) で、委員長は、運営細則第 3 条に従い、委員会委員の中から部会長が指名することになっています。その関係で生活環境水道部会の大垣部会長に御相談したところ、本専門委員会の委員長には滝沢先生を御指名ということでしたので、今後、委員長は滝沢委員にお願いしたく存じます。どうそよろしくお願いいたします。ということで、今後の議事進行は滝沢先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○滝沢委員長 委員長に御指名を頂きました滝沢でございます。よろしくお願い申し上げます。非常に大任ではございますが、本専門委員会の目的に沿って、皆様の御意見を頂きながら進行していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、ここから議事の進行を引き継がせていただきたいと思います。資料 1 3. 構成の (3) におきまして「委員長に事故があるときには、委員の中から、あらかじめ委員長が指名した者がその職務を行う」と規定されております。本規定に基づきまして、私が出席できない場合に、職務を代行していただく委員として石井委員にお願いしたいと考えております。恐れ入りますが、石井先生、よろしいでしょうか。

○石井委員 分かりました。

○滝沢委員長 それでは、よろしくお願い申し上げます。さて、議事の 2 つ目に移りたいと思います。「水道事業の維持・向上のための方策について」です。まずは委員の皆様の中には水道分野について、これまで余り御関連のなかった委員も含まれているとお聞きしておりますので、水道行政全般について、事務局から御説明をお願いします。なお、御質問については、その後でまとめて時間を取りたいと思いますので、まずは資料 3 に沿った御説明をお願いいたします。

○久保補佐 資料 3 ということでよろしくお願いいたします。水道行政の最近の動向と申しましても、一口でお話するにはなかなか時間的に厳しいものがありますが、概略を御説明します。最初に、 1. 「新水道ビジョンの推進について」を御説明します。次ページで、「新水道ビジョン」という言葉自体にも馴染みのない方もいらっしゃるかと思いますが、 1 つ目のスライドを御覧ください。 3 ページです。右の真ん中の辺りに赤字で「枚挙にいとまがない課題」と書き、給水人口・給水量、料金収入の減少、施設の更新需要の増大等々のものが書かれております。この手の様々な問題を水道が抱えているというのは、冒頭の政務官の挨拶のとおりです。

 このような背景の下で、基本理念として「地域とともに、信頼を未来につなぐ日本の水道」というものを掲げ、内容については、何と言っても「安全」安全な水の供給、「強靭」強靱な地震等々に強い水道の構築、「持続」持続性の確保を三本柱として、将来のあるべき水道の姿を描いたものがこの「新水道ビジョン」です。「新」と付くからには、その前の「新」の付かない水道ビジョンがあったわけです。それが一番上にある平成 16 6 月ということでしたが、その後、東日本大震災による大規模な被災とか、人口減少社会がいよいよ本物になってきたことも踏まえて、平成 25 3 月にこの「新水道ビジョン」を策定しております。

 下のスライドですが、新水道ビジョンの推進ということで、安全・強靱・持続に向けて取り組んでいこうということで、様々な論点が「新水道ビジョン」に掲げられております。

 次ページは、このような水道ビジョンというものは、今も申し上げましたとおり、平成 16 年の頃からありました。ただ、ビジョンを掲げても、世の中の水道がそのとおりの方向に遅々として進まないということもあって、この新水道ビジョンにおいては、各種の施策を推進するために、例えば 5 ページにある新水道ビジョン推進協議会という各種方策の実施主体になるような関係団体の方に集まっていただいて、これからの進め方を議論する会議体を設けたり、下のスライドになりますが、地域懇談会と申しまして、我々が全国の地域ブロックを回って、各地域の水道事業者あるいは都道府県の方と一堂に会して、今後の進め方、特に地域の先進的な取組を御紹介いただいたり、今後どう進めるべきかについて、比較的少人数でフリーディスカッションを行ったりという形で進めてきたりしました。上の推進協議会については、今年度は明日行う予定です。下の地域懇談会については、今年度は北海道、中部・北陸、九州、東北の 4 か所で実施しました。

 次ページです。来年度の予算について、軽く御説明いたします。 1 つ目のスライドは表になっていて、その次のページにグラフで過去数年の推移を書いたものがあります。分かりやすいのでグラフで御説明します。厚生労働省水道課の予算は、金額ベースで言うと、大部分が水道施設整備のための財政支援のためのお金ということになります。金額としては、色の付いている部分と白い部分がありますが、平成 21 年度に大体 1,000 億円あったものが、だんだん下がりながら、最近は白の補正予算があって、少し増えたりということもありながらで、来年度としては 620 億円となっております。

 色の説明をしますと、色の付いている部分が当初予算で、特に薄い紫色は公共事業の予算ですが、残念ながら、ほぼ減り続けているという感じです。そこにちょっとオレンジ色っぽい色で平成 27 28 年非公共という枠が付いていますが、これは災害対策等で新たな予算が認められて、当初予算としては、最近は若干上向きになっているのかと見て取れるかと思います。そんな具合です。中身については、その下に予算事業の概要ということで、施設整備の補助、耐震化交付金が紹介されています。

 次ページは、水道管路緊急改善事業ということで、簡単に説明したいと思います。名前のとおり、緊急改善ということで、特に耐震性能が低くて、かつ埋設してから相当年数がたっているような水道管に対して、その更新を後押しする予算です。これまで我々水道課からの財政支援というのは、資本単価要件と申しますが、水道事業の置かれている条件が非常に悪くて、水を作るのにコストが掛かるといったところを対象に支援をしてきましたが、今回は水道料金については、頑張って比較的高い水準を維持しているといった別の指標をもって、これまでの財政支援の対象になかなかならなかったような所にも支援の網を掛けていこうという形で、新たに始めた事業です。

 続きまして、 3. の「地方分権改革について」、御説明いたします。これは本専門委員会でこれから議論いただこうと考えている水道事業の経営基盤強化に一部直接つながる話です。地方分権改革については、地方からの御要望に応えて国の制度改革をしていこうというものです。 13 ページの水道法における水道事業等の認可権限委譲が、特に基盤強化に関係の深い、今回の地方分権ですので、御紹介いたします。

1 つ目にありますが、広島県や中国知事会等 7 団体から、都道府県がイニシアティブを取って水道事業の広域化を推進したいという場合に、現行制度では給水人口が 5 万人以上と比較的規模の大きい水道事業については、厚生労働大臣が直接事業の認可をすることになっていますが、そういう所も含めて、県下で広域化を進めたいという場合に、大臣認可の事業体と県のパイプをできるだけ太くしたいということで、水道事業の国の認可権限を都道府県に下ろしてくれないかという御要望がありました。

 これについては、幾つかの条件付きですが、希望する県に権限を譲ります、その代わり県のほうでイニシアティブを取って、県内の水道事業体の広域化等々を進めて、県下の水道事業の基盤強化を進めてくださいという形で決定しております。

4 に今後のスケジュールがありますが、年度内に政令を交付して、 4 月から施行していきたいと考えています。ここには書いてありませんが、まず手初めには大阪府が手を挙げて、国の権限を持っていこうという方向で進んでいます。

その下の届出変更の簡素化については、今回は省略いたします。

 次ページの 4. 「水道施設の計画的更新・耐震化について」です。後ほどの資料でまた詳しく御説明がありますので、ここではさっと流します。まず、 1 つ目は水道管路の老朽化です。管路の経年化率と書いていますが、法定耐用年数 40 年を超えた管路が、日本全国の総管路延長の何パーセントを占めるかという数字です。これで見ますと、平成 18 年は 6 %だったのが、単純に右肩上がりで、平成 26 年度には 12 %、 1 割を超えるぐらいまできています。他方、管路の更新率は、 1 年間に総管路延長の何パーセントを新しい管に更新したかという数字で見ますと、かつて 1.5 %ぐらいだったものが、今では 0.7 %台で、 100 %をこの数字で単純に割りますと、日本国内の全ての管路を全部取り替えようとすると、 130 年も掛かってしまう、そんなに管路はもつのでしょうかという計算になってしまうという状況です。

 続きまして、耐震化の状況です。基幹管路、浄水施設、配水池、それぞれ耐震化のパーセンテージが少しずつ上がってきておりますが、一番高い配水池の数字で見ても、 50 %程度ということで、地震がいつ来るか、明日来るかもしれません。それに対して、これで十分な耐震化ができているのかというと、なかなかお寒い状況であるというのが、見て取れるかと思います。

 その下が耐震化の計画の策定状況です。給水人口別水道事業体の規模別で耐震化計画の策定状況を書いています。やはりというか、 5 万人未満の比較的小規模な事業体では、耐震化計画の策定率が、今なお低い状態にあるというのが見て取れるかと思います。

 次ページ、そんな中で、いわゆるアセットマネジメントを国では推進しています。水道は言うまでもなく、施設産業でして、その施設の維持・更新というのが非常に重要ですが、残念ながらお金と時間がとても掛かるものです。そのため、 1 つ目の矢羽根にありますが、平成 21 年に「水道事業におけるアセットマネジメントに関する手引き」を出しており、各水道事業体で、自分の所の水道敷設の更新需要が、この先、いつ頃、幾らぐらいのお金が必要になるのかを見積もって、グラフ化できるようなツールを提供しています。アセットマネジメントはもちろん更新需要を計算して、それで終わりというわけではなく、その後、しっかりと計画的に施設の更新や維持管理も含めて、そういったものを進めていただく必要がありますが、現時点でのアセットマネジメントの更新需要、財政収支の試算の実施状況については、平成 24 年度で 29.4 %だったものが、平成 26 年度で 59.9 %と計算自体は少しずつ進んできておりますが、残念ながら、これに基づいてどこまで本当に更新計画が立って、更新が進んでいるかというと、まだまだという現状です。

 そのような中で、政府全体の方針として、国土強靱化基本計画が平成 26 年にできておりますので、当然この中で水道についても取上げがあるということを御紹介いたします。

 最後ですが、「官民連携について」、簡単に触れたいと思います。水道事業の技術継承とか、経営の合理化等々、様々これから解決すべき課題がありますが、そういったものを解決し、水道事業の継続性を確保していく上で、民間の活力を活用させていただくのも 1 つの鍵になろうかと考えております。そんな中で、最初は政府全体の方針となりますが、 PPP/PFI の導入に向けて、幾つかの閣議決定がなされ、 PPP/PFI の導入が進められているところです。

 そのような流れの中で、厚生労働省で水道についてどのように官民連携を推進してきたかということで、幾つか御紹介いたします。まず 1 つ目が、地方公共団体、民間事業者への働き掛けということで、官民連携推進協議会をずっと開催しております。これは水道事業者甲と民間業者のお見合いの場を設定するような働き掛けです。それから、「水道事業における官民連携に関する手引き」も作成して使っていただいています。

2 つ目として、予算措置もしており、官民連携導入に向けた調査や計画策定をしようという地方自治体に対して、交付率 3 分の 1 で補助したり、官民連携の検討のためのコンサルタントの助言に対しても財政支援をしています。

 最後になりますが、ごく最近の動きとして、多様な PPP/PFI 手法の導入を優先的に検討するための指針ということで、昨年 12 月に内閣府と総務省から連名でこういった指針が出されております。これに対して、我々水道サイドからも、各都道府県の水道行政担当の部局、各水道事業者宛てに、こういった優先検討をしてくださいという依頼をしているところです。ざっと駆け足になりましたが、以上で御説明を終わります。

○滝沢委員長 ただいまの説明に関する御質問については、後ほどまとめてお受けしたいと思います。続きまして、本専門委員会で議論することになる論点や本専門委員会の進め方などについて、事務局から資料 4 、資料 5 、資料 6 につきまして、御説明をお願いします。

○安里補佐 併せて、参考資料 2-1 と参考資料 3-1 、この専門委員会に先行した検討会の取りまとめの概要も御紹介しながら説明したいと思いますので、お手元に御用意ください。資料 4 が中心になりますが、説明いたします。資料 4 には、先行して終わっております 2 つの検討会の概要をまとめて、今回の専門委員会向けにアレンジしたものになっております。資料の 2 3 ページ、緑色のタイトルが付いている所ですが、こちらでそれぞれ 2 つの検討会でどういったことが議論され、どういった体系で施策が考えられているかを御紹介いたします。

2 ページ目を御覧ください。水道事業の維持・向上に関する検討事項の整理。副題として、水道事業の基盤強化方策の体系です。最初に、そもそもの目的を確認いたします。目指すべき水道事業の姿。「安全」な水を、地震等に耐え得る「強靱」な施設により供給することを「持続」できる水道事業の実現。左下にポンチ絵が付いておりますが、先ほど久保から紹介がありました新水道ビジョンを打ち出したときに、この 3 つのキーワードを打ち立て、これが水道の理想像だという形で推進しております。これを推進しているのですが、現状がどうかを右にまとめております。

 安全については、水質基準適合率が 99.7 %あるのですが、強靱については先ほど久保からも紹介がありましたが、管路の耐震適合率を例に取ってみれば、 36 %にとどまっております。持続についてどうかといいますと、こちらも先ほど紹介がありましたが、管路の経年化率が 12.1 %、管路の更新率は一方で 0.76 %ということで、全管路の更新には約 130 年かかる計算になっている状況になっております。水道管がどれぐらい持つのかは議論があるところなのですが、 130 年持つかというと怪しいのではないかということで、危機感を持っているところです。それから、職員数の減少・高齢化も進んでおり、約 30 年前に比べて約 3 割も減っております。不適切な料金設定・人口減少に伴う料金収入減という状況もあります。

 参考資料 2-1 を御覧ください。今申し上げたデータのグラフも付いておりますので、紹介いたします。右側に漏水事故の絵が出ておりますが、こちらで紹介した管路の経年化率は 40 年超えの管路の率なのですが、これが今、 1 割になっております。これが、年々増えていくと、このような漏水事故が頻発するのではないかと、恐れている事態です。職員数の推移も、 30 %減少している状況にあります。一番下に示しているのが水道料金の関係ですが、給水原価、作るために必要だったお金と、供給単価、幾らで売っているかというものを、全国平均的に見た総計のデータですが、水色の線が赤色の線より上回っている傾向にあると。給水原価が供給単価を上回っている傾向にあり、赤字傾向なのではないかということを危惧しております。

 資料 4 に戻ります。こうした状況の中で、「安全」「強靱」「持続」をどう保っていくかですが、「安全」については水質確保策を引き続き実施していくと。「強靱」については、古い施設、老朽化施設を更新し、耐震化を進める。「持続」については、時代や環境の変化に対応した事業運営が重要。言うは簡単なのですが、それを実現するためにどうするかを考えているのが、全ての事項について職員数の減少・高齢化が進んでいることが 1 つネックになるかと思っております。水質確保をするにしても、施設の更新・耐震化、時代に対応した事業運営をするにしても、やはり人が必要だと。そうした人材を、量的にも質的にも確保していく。それが必須のことだろうと思っております。

 施設を更新しましょうという話をしておりますが、水道事業はかなり多くの施設を持っておりますので、それを長期的な視野に立って、計画的に更新していくことが必要だろうと。これは、先ほど久保の説明でアセットマネジメントと言っておりましたが、アセットマネジメントをきちんとやっていくことが必要だろうと。更新するについては、きちんと財源の確保も必要だということが議論されました。財源の確保に当たっては、人口減少社会が進んでおりますので、放っておくだけでも人が減って料金収入が減っていくことを想定した水道料金の設定が必要ではないか。それから、人が減っていますので、施設規模の見直しも含めて、事業運営の効率化や水道施設の規模の適正化が必要といった議論がなされました。

 その結果、特に、推進すべき施策として右下にまとめておりますが、広域連携の推進、官民連携の推進で、人の確保、事業の効率運営の確保をしたらいいのではないか。それから、アセットマネジメント、計画的な資産管理の推進によって、老朽化施設の更新、耐震化、それから将来の水需要予測にきちんと基づいた施設規模の適正化、ダウンサイジングと言ったりもしますが、そういったことを推進していくと。最後に、水道料金の適正化も、人口減少を見据えた上で、将来の施設更新の財源を確保することが重要であるということが、検討会で言われております。

 次に、指定給水装置工事事業者制度の確認をいたします。参考資料 3-1 を御覧ください。裏を見ますと、参考として「給水装置の概念図」とあります。給水装置はどこを指しているかといいますと、こちらの図で示していますように、水道事業者が持っている排水管から家まで管を引いているのですが、これが給水装置となっており、個人財産になっているものです。個人の財産ですから、何でもいいやというものではなく、当然水道は安全な水が住民の方に届いてこそ意義があるものですので、こちらの給水装置をしっかりしたものにしておく必要があるという状況です。

 資料 4 に戻ります。指定給水装置工事事業者制度の改善方策の体系を説明いたします。まず、あるべき姿の確認ですが、この給水装置工事ですが、給水装置の構造、材質がきちんとした一定の基準に適合している状況が、目指すべきところです。その実現のために、安全で信頼される給水装置工事を確保することが必要だということが、求めているゴールです。これに対して現状がどうかといいますと、従来は各水道事業者が独自の指定基準で、給水装置工事を施行するものを指定するという取組をしておりましたが、平成 8 年に規制を緩和しましょうという全国的な動きがありましたが、この動きを受けて水道法を改正し、法律に非常にシンプルな一律の指定基準を設けて、そこに合致している方であれば全部指定をしましょうという制度がスタートしました。この現行制度によって広く門戸が開かれ、工事事業者の指定数が増加しております。平成 9 年と 22 年で約 9 倍に増加という状況になっております。

 最後の点が若干課題なのですが、現行制度は新規の指定のみとなっており、廃止や休止などの状況が反映されづらい形になっております。また、水道事業者は、指定給水装置工事事業者の実態把握や指導等が困難な状況です。 9 倍にも膨れ上がったリストがありますので、その把握をするのが困難になっており、トラブルも発生しております。括弧書きで所在不明な指定工事事業者が約 3 千者、それから違反行為件数などが書いてありますが、詳細は給水装置工事事業者に関する検討会の報告書本体に書いてありますので、お時間のあるときに御参照いただければと思います。こういった状況を受けて、今この状況で既に給水装置の構造や材質が一定の基準に適合していないという状況までは把握はしていないのですが、放っておいていいのかという問題があり、対策を検討しております。

 実現のために必要な対応としては、悪質な業者がいる場合は排除をする。指導・監督をしっかりする。処分の環境をきちんと整備する。質を高めていくということで、各種講習会の受講促進や、配管を実際に担当する配管技能者の適正配置を促進する必要があるのではないか。それから、消費者を保護する観点から、水道の利用者へきちんとした情報提供をするべきではないかということが言われております。これを実際に実行するための留意事項ですが、所在不明な指定工事事業者が相当数存在すると考えられておりますので、今言いましたいずれの事務をするにしても、リストが膨大であるため、事務量が膨大になるのではないかという懸念があります。水道事業者の職員の数が減っている話を基盤強化方策のところでもいたしましたが、人がいない中でどうやっていくか、こちらに配慮する必要があるだろうと思っております。

 そして、出された方向性ですが、 1 つが指定給水装置工事事業者制度への更新制を導入するということです。更新制を導入したら、所在不明な指定工事事業者の場合は、更新を申請してこない形になりますので、自動的に排除がされるでしょう。また、定期的に実態の把握ができますし、情報の確認もできますので、対象事業者が絞られますし、各種事務もやりやすくなるだろうと考えております。また、その把握された情報を活用することもできるだろうと思っており、把握された情報を基にして、効果的効率的に指導等を行うこと。それから、水道利用者へより正確な情報を届けることでトラブルの防止にもなるのではないかということがまとまっております。

 以上が、 2 つの項目の体系です。以下、資料はもう少し細かく説明をしておりますので紹介いたします。資料 4 2 3 枚目の緑の広域連携の推進や官民連携の推進。特に推進すべき施策のほうで紹介した柱ごとに、後半の資料は構成されております。

4 ページ、広域連携の推進ですが、上半分に検討会で示された基本的な方向性をまとめており、左下に論点、右下に留意すべき事項を書いております。広域連携についての基本的な方向性ですが、何度も申し上げておりますが、結局人材を確保することが必要だと。どう確保していくかと考えたときに、水道事業者は職員数が少なくなっていることを踏まえると、地域単位で広域的に連携していくことが重要なのではないかと言われております。広域連携の推進は、今まで我々もずっとお願いをしてきましたが、進んでいない面があることを振り返ったときに、これは推進役が不在だったからではないかと言われております。都道府県が、地域連携の推進役を担うことが必要だと言われております。広域連携の 1 つには、事業の統合もあるのですが、水道用水供給事業者と、そこから水を受けている水道事業者の統合は非常に利点が多いのではないかということで、積極的に推進すべきではないかということが言われました。

 こうしたことを受けて、この専門委員会で議論していただく上で主な論点になると考えられることを、左下にまとめております。まず、都道府県を水道行政の中でどう位置付けるべきか。水道事業は市町村経営原則としておりますが、それをどう扱っていくべきか。それから、広域連携の推進を都道府県にお願いしたいという話になっておりますが、都道府県の機能をどのように拡張していくべきかということもあると思います。それから、水道用水供給事業と受水する水道事業の統合の推進をどう図っていくべきか。国は、県に任せるだけではなく、どのような形で支援をしていけばいいのかということが論点になるかと思います。

 検討に当たって留意すべき事項も紹介いたします。 1 点目としては、我々は既に都道府県には水道ビジョンを作ってくださいですとか、広域的水道整備計画などいろいろな計画がありますので、そうした既存のものとの整合性を忘れてはいけないと思っております。水道事業者と都道府県に過度な負担をかけないようにする必要があると思っております。水道事業の在り方は、地方公共団体の水道事業者が議会の議決を経て決めていくところにありますので、その点にも留意が必要だと思っております。地方分権や都道府県の補完性の原則の観点があり、都道府県と市町村の役割も踏まえた上で、都道府県の機能強化についても検討をしていく必要があると思っております。

 資料 6 を御覧ください。こちらは、本日御欠席の上智大学の小幡教授から頂いている御意見です。かいつまんで御紹介しますと、水道の確実な維持・更新に向けて取り組んでいくことは必要であり、広域化と官民連携の視点が重要だということをおっしゃっていただいた上で、ただし、都道府県と市町村の役割分担を考慮する必要があるという御意見を頂いております。そもそも、市町村と都道府県の役割として、市町村が住民に身近なところは極力市町村がやり、処理することが適当でないものは都道府県が処理するという関係にあったという御紹介を頂いております。地域の特性に十分配慮してやっていく必要があるという御意見を頂いておりますので、こちらも本日の議論の際に御参考にしていただければと思っております。

 続いて、 5 ページ目の官民連携の推進についても、同様にまとめております。官民連携のほうは、広域連携だけではなく、公と公の連携だけではなく、民も活用したらいいということが言われております。論点として考えられるのは、官民連携を阻害していることは何だろうかと。こちらを議論していただくことになるかと思っております。民間事業者が入ってきやすいように、事業規模の拡大が必要なのだろうかという点や、恐らく災害時の対応や経営破綻したらどうしようという不安が、水道利用者側、需要者側や事業体側にあるのではないかと思っておりますので、そういったことにどう対応するのかというようなことを議論いただくのかなと思っております。それから、国もいろいろ支援策を実施しておりますが、それが十分かどうか、そちらも論点になるかと思っております。

 検討に際して留意すべき事項は、先ほど紹介したものと一緒です。水道事業者は議会の議決を経て決めていくというところにありますので、その点に留意が必要だと思っております。

 続いて、 6 ページのアセットマネジメントの推進です。アセットマネジメントは、先ほどから何度も紹介しておりますが、長期的視野に立った計画的な資産管理が、これからの水道事業の運営に当たっては必須のことだろうという議論がされ、明示的に義務付けるべきではないかということが言われております。水道事業は、住民から水道料金を取ってやっておりますので、しっかりとアセットマネジメントの状況も公表していくことも義務付けるべきではないか。それから、実効性を高めるために、国や都道府県になりますが、認可権者の働きかけの強化もするべきではないかといったことが言われました。

 今後議論していただく上での論点としては、義務付けるといっても、具体的に何をどう義務付けるのかが大きな論点かと思います。特に管路については、地中に埋設されていますので、点検が困難という実態があり、そちらを踏まえた議論が必要かと思っております。それから、義務付けるに当たっては、違反しているかどうかが明確に分かるべきではないかと思いますが、そのような義務付けが可能かどうかという点も御議論かと思います。認可権者による働きかけと一言に言っても、どういうことがあるか。併せて、耐震化、ダウンサイジングの推進も、どのように行うべきであるかということが論点になるかと思います。

 留意すべき事項としては、インフラ関係も様々なことを既にお願いしておりますので、そちらとの留意が必要なことがあります。それから、議会の話と。議会の話と似ていますが、地方分権との観点から、義務付けや枠付けをすることは必要最小限にとどめようということがルール化されておりますので、そちらとの関係がどうなのか。それから、小規模な事業体も付いていけるようなものにしなければいけないのではないかといったことがあると思います。

 最後の 7 8 ページ目は、上が水道料金の適正化の推進です。水道料金は、こちらも基盤強化方策検討会で特に盛り上がった事項ですが、一番盛り上がって議論されたのが、 1 番目の○です。水道法が、目的規定の中に「低廉豊富な水の提供」とうたっており、低廉、安いというのが目的に入っておりますが、この「低廉」の下敷きには、きちんと「安全」な水を「強靱」な施設で「持続」可能な経営を行っている、その上での「低廉」であるということを確認すべきだということを強く議論されました。それから、水道事業を持続するために必要な経費、資産維持費などがありますが、これをしっかり水道料金によって確保すべきとされております。

 検討会で言われたのは、資産維持費ですが、資産維持費の水準、資産維持費と一言に言っても、どれぐらい用意しておけばいいのかということを公的に示したものがありませんので、そういうものを示すべきではないか。それから、水道料金を適正に維持するということは、施設をしっかりメンテナンスする費用を取っていくということですので、需要者にとって、住民の方にとって、本来的に利益に叶うはずのことであるということをしっかり伝えて、需要者とコミュニケーションの充実をしていくべきだということが言われました。

 今後の想定される論点ですが、先程来、留意事項で、地方議会で決めるものだという話をしておりましたが、水道料金もそういうことがあります。想定される主な論点の 1 点目ですが、水道料金の適正水準は地方議会で決めていくことですので、地方議会で定期的に議論されるようなことが必要ではないかということを書いております。それから、水道料金が適正水準にあるかないのかを確実に見分ける手法があるのかとか、認可権者にどのように働きかけていったらいいか。それから、地方公営企業会計基準にのっとった事業運営を促すのは、どういうやり方があるかということが議論になるかと思います。

 留意事項は、繰り返しになりますが、議会の議決を経ていること。それから、水道料金ですが、過去は認可制になっていた所が、今は届出制に変更されていると。つまり、水道事業者に任されている部分が大きくなっているところがありますので、その点にも留意が必要だと思っております。

 指定給水装置工事事業者の関係です。これは、基本的な方向性としては、更新制を導入しようと。それから、更新制に伴って、事業実態を定期的に把握し、その把握された情報を活用していこうというのが基本的な方向性として打ち出されております。

 想定される主な論点としては、更新時にどういうことを確認するか、そういう事項をどう設定するかということや、更新のサイクルをどのように設定するか。それから、水道利用者への情報提供の在り方です。この指定給水装置工事事業者制度が規制改革の関係で、規制緩和の流れで出てきていますので、競争を阻害しないようにしながら、正しい情報をどう伝えていったらいいのかということが論点になるかと思います。そのほか、研修・講習会、これらの受講しやすい環境の整備。それから、水道事業者が実際に悪質な所を把握したり、所在不明な事業者を把握したら、指定の取消しをすることもあると思うのですが、指定取消しなどの動きが取りやすいような環境の整備、処分の基準をどう設定するかなどの支援をどうしたらいいかということも論点としてあるかと思っております。

 検討に際して留意すべき事項としては、指定工事事業者側にも水道事業者側にも、過度な負担をかけてしまうものでは実効性が保てなくなりますので、その点に留意が必要である。それから、先ほども申し上げたのですが、新規参入を阻害しない制度設計にしなければ、そもそものこの制度が導入された趣旨を没却してしまいますので、その点に留意が必要だということ。それから、国、水道事業者、関係団体などいろいろありますので、役割分担と連携をどうするか。消費者行政の観点も必要ですので、消費者行政とどう連携を取っていくかが留意すべき事項かと思っております。以上が、本日議論していただくことの紹介です。

 資料 5 を御覧ください。今後の進め方ですが、こちらは事務局で仮に作ったものですが、今御紹介した個別の施策ごとに議論を進めていくのがいいのではないかと思っております。本日、第 1 回はフリーディスカッションをしていただく形になっておりますが、第 2 回、 5 23 日は広域連携、官民連携かと思っております。第 3 回、 6 月頃は、アセットと水道料金、それから指定給水装置工事事業者の関係を行い、その後の議論はそこまでの議論を踏まえて進めていく話になるかと思いますが、第 4 回に全体的、総合的な議論をして、 5 回目に取りまとめに向けて議論をし、 6 回目、 11 月頃に取りまとめができたらという案としております。こちらは、仮置きですので、検討の進捗状況によっては、さらに回数を増やすこともあり得ますので、御承知おきください。以上です。

○滝沢委員長 本日は、あと 1 時間ほど時間があります。ただいま御説明を頂きました資料 3 、資料 4 、資料 5 、それから資料 6 は御意見ですけれども、この辺りを踏まえてフリーディスカッションという形で、皆様の自由な御意見をお聞きします。本日お聞きした御意見については、次回の委員会までに事務局で取りまとめ、再度検討させていただきます。本日は御意見をお聞きするだけという形にいたします。水道の基本的な内容、最近の取組について説明のあった資料 3 でも結構ですし、また本委員会の論点について取りまとめた資料 4 、今後のスケジュールについて書いてある資料 5 のいずれでも結構ですので、お気付きの点から自由に御意見を頂ければと思います。

○石井委員 石井です。御説明をありがとうございました。公営企業、公益事業を研究している者として常々思っているのですけれども、水道事業は国民皆水道を達成しつつあるということで、すでに 97.7 %の普及率です。ほとんどの方々が水道を利用できる状況の中で、今回この専門委員会が立ち上がって、今までの問題点をきちんと明らかにして、なおかつその改善すべきところは改善していかなければいけないという強い思いを厚生労働省が持っていることを認識し、そして賛同しています。

 私が普段考えているところを 4 点ほど述べさせていただきます。 1 点目は、水道法と地方公営企業法の関係です。地方公営企業法は 7 事業プラス公立病院の会計の適用ということで、法律で明記されております。最近総務省では、簡易水道と下水道も全適を要請する通知文書を出しております。また、 2020 年頃を目指して、全ての特別会計で行っているものに対しては、経営戦略を策定し、なおかつ事業収支をしっかり把握して、経営の健全化を図ってほしいという思いが強く打ち出されていると理解しております。

 その中で、水道事業は資金的にも下水道と同様に、地方公共団体金融機構の役割に大きく依存しているところです。その中で、水道法は法律の趣旨からして、水道事業そのものの規制と同時に、水質基準も含めた、生活衛生上の規制がたくさん盛り込まれております。先ほどお話がありましたように、指定給水装置に関する事業に関しても明記されています。その中で、水道法で今までやってきた事業が、これほど厳しい状況になるということは、私も思っていませんでした。この 10 年間で急速に変わってきています。

 平成 8 年の法律改正、これは指定給水装置工事事業者の改正もそうなのですけれども、平成 8 年と 9 年というのは、他の関連しているライフラインに相当する事業の規制緩和が一挙に進んだ時期でもありました。そういう中で、水道法でやってきた中で、水道事業は地方公営企業法とうまくバランスが取れて、事業経営がなされてきました。しかし、急速な人口減少の中で、今は経営が非常に危ぶまれているというのは、説明の中ではっきりしているわけです。

 その中で 1 つの検討課題として、水道法を水道事業法にした場合にどういう状況になるのかを、私は個人的に考えておりました。ですが、なかなか一長一短があります。しかし、地方公営企業法で適用を受けている事業、例えば公営地下鉄だとか、公営の電気だとか、公営のガスといったものは、事業法で国が規制し、なおかつ地方公営企業法の中でもうまくリンケージされて、役割分担がなされています。そういう中で、経営の中で料金規制や料金制度を明確に打ち出して、水道法を水道事業法にしてみては如何でしょうかというのが第1点目です。これには、シミュレーションが必要ではないかと思っています。

2 点目は、そういう中で水道事業というのは、今まで用水供給から末端給水までタイプがいろいろあります。簡水や専用水道といろいろタイプがあります。これは他の公益事業の中でも参考事例があります。我々も国鉄改革で新たに誕生した鉄道事業法についていろいろ検討しました。その時に、電気通信事業も昭和 60 年に NTT の民営化を契機に制度化され、第一種及び第二種電気通信事業者という区分ができました。国鉄は、昭和 62 年に民営化されましたけれども、その時誕生した鉄道事業法には、第一種、第二種、第三種という事業者区分ができました。第一種というのは、全て垂直統合で行っている事業者です。第二種はそういうネットワークを、例えば水道管なら水道管路を取水から末端給水まで管路を持っている事業者からお借りしてサービスを提供する事業者です。鉄道の場合には JR 貨物です。第三種というのは、インフラだけを持っている事業者です。

 そういう中で、今まで水道の区分はいろいろなされているのですけれども、そのなされている区分が法律上は給水人口によって明記されています。許認可事業では、事業のスタンスや内容で区分されています。水道事業経営として、この辺を法律に基づいてタイプ別に分けたときにどうなるのか。これは、私も個人的にはいろいろ考えているのですけれども、なかなかうまい解が出てきません。これが第 2 点目です。

3 点目は、先ほど御説明を頂きました、資産維持費です。資料 4 7 ページの上の水道料金の適正化の推進の○の 2 つ目の「資産維持費」の導入は絶対必要であると思うのです。他の公益事業の中では、こういうものを導入するときには、料金制度の本俸にプラスアルファして付けているのが一般的です。例えば、電力や都市ガスなどでは、ヤードスティック(原価比較)競争や燃料費調整制度が導入されています。それから、電力の場合には再エネ負担金という、再生可能エネルギーを使う場合には負担してもらいますということで、この負担金が急増しています。それによって再生可能エネルギーを普及させるというもくろみです。一方で水道事業の場合、耐震化を幾ら言ってもなかなか普及できないわけですが、そういう新たな再エネ負担金みたいなものを、あるいはユニバーサル・サービス基金ですが、耐震化負担金のようなものを設けてみてはどうか。これが私の問題意識です。

4 点目は、指定給水装置工事事業者制度の更新制は素晴らしいと思います。これは絶対に必要だと思います。平成 9 年に液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律が規制緩和で改正され、 LP ガスは認定登録事業になりました。認定事業者として登録すれば商売ができることになったのです。ところが新規に認定事業者として登録されたものの内、給水事業者と同じように顧客とのトラブルを何回も発生させるケースが目立つようになり、国会でも数度問題になりました。我々は何をやったかというと、業界団体の憲法とも言うべき「 LP ガス販売指針」を作りました。これは、去年の改訂を含めて 3 回ほど改訂されています。 2 回は大きな改訂がされました。何が問題になるかというと、独禁法上の問題がここに発生します。この指針を作る際には、公正取引委員会との連携を持って、それから法律の専門家を入れた検討会をやって指針を作成しました。しかし、まだまだ収まっていないということで、現在まだ 2 万の事業者がいる中で、度々消費者庁あるいは国民生活センターの中で、 LP ガスの取引の適正化に関する問題がクローズアップされています。

 そういうところで、この指定給水装置工事事業者の場合にも、事業者指針をまず最初に作る必要があるだろうと、私は個人的に考えております。細かいところはたくさんありますが、大枠のところは本日のお話を聞いて、この辺が 1 つの議論の中心になるのかと個人的に思いました。

○滝沢委員長 できれば皆様に御意見、御発言を頂きたいと思います。

○渡辺委員 全管連の渡辺です。ただいまの御説明の中で、資料 4 2 ページで、水道事業の基盤強化策に関連して一言発言させていただきます。水道管路の更新・耐震化を促進することは重要であると思います。それと併せて管路の維持・管理・点検などを適切に実施する体制を整えることが必要かと思います。また、管路の維持・管理等については、公共工事品確法でも、地域社会資本の維持・管理に資するよう、地元をよく知っている中小事業者による安定受注が示されていることからも、地元の管工事業者の活用を進めてほしいものと思っております。

 その際には、維持・管理的な業務においても、受注者が適正利潤を確保できるようにすることの法律の精神を踏まえた発注が行われるべきで、そのことによって、地震等の緊急時に、地元の業者が真っ先に応急活動に従事できるよう、日頃から業者の体力を維持することも官民連携の推進の 1 つではないでしょうか。この件に関してはそのように考えております。

 資料 4 3 ページにありますが、石井先生からもお話がありましたけれども、指定工事事業者制度の見直しに関連してです。指定給水装置工事事業者制度の課題解決には、指定工事事業者の更新制度は是非とも法制化をお願いしたいと考えております。給水装置に係る様々な諸課題を解決するためには、どうしてもこれが必要です。また同時に、配管技能者の配置促進や、技能者の養成、併せて新任技術者の講習会受講については、実効性をどのように担保するのか、具体的な方策を詰める必要があると考えます。

 優秀な技術者・技能者の確保・育成は水道利用者に良質な給水工事を提供するためにも、極めて重要であると思いますので、この 2 点について発言させていただきました。よろしくお願いいたします。

○渡部委員 島根県松江市の渡部です。私がこういう場に出ているということは、全国の中小事業体の代弁者という形で出させていただいていると認識しております。厚生労働省からいろいろ総論的な話、そして一部各論の話も出ていました。現実的に中小事業体として考えていく場合に、全国の経営的な視点も含め、どういう規模で経営をやっているか。大都市で考えると、当然財源も非常に豊富だし、ある面では経営部分についても大きな視点でできる部分もあるわけです。そういう意味で、中小事業体の規模別の、ある一定程度の経営的な指標も含めて土俵を考えていかないと、一律的にものを考えていくと、なかなか経営ができないというのが私の率直な考え方です。

 今現在我々が行っているというのは、歳出管理と歳入管理を基本としてやっています。特に歳入管理で申しますと、厚生労働省の補助事業や、総務省の、例えば高料金対策や、償還に対する交付税措置、こういう国の支援が歳入管理の大きな財源という形で、今までずっと動いてきました。来年、簡易水道が統合されて上水道事業として一本化されるわけです。こういう部分において、今後水道事業をどういう形で、将来にわたって安心・安全な水を供給していくかをきちんと整備していかないといけないのではないかと考えております。

 これは要望みたいな話になるのですけれども、法改正は当然人口減少社会や社会現象は大変激変しています。法改正ももちろんで、制度設計的な、具体的にどういう支援をしていくのか、どういう規模の事業体に対しては、どういう支援をしていくのか、そういう部分を今後はこの検討委員会の中で少し論議させていただいて、そういう部分の具体的なスケジュールを御提示いただければと考えております。

 もう一つ大きな歳入部分として、料金問題については先ほどから申し上げているように、松江市においても平成 27 1 1 日に料金改定を行いました。従量部分が非常に小さくなって、基本料金部分を大きくしていったという料金改定をさせていただきました。現行で言うと、基本と従量で 2 8 4 6 にさせていただいて、なるべく投資経費に基本料金を財源として充てることができるようなシステムを作らせていただきました。こういう料金体系を自助努力としてやっていかないといけないと思っています。また、今後も簡水と合わせてなったときには、統一的な投資計画と財政計画のマッチングをしていかなければいけないと思っています。

 歳出部分についてはここに書いてあるように、今までははっきり申し上げて、単純な人員削減という形の経営プランで成り立っていました。現在は逆に言ったら、技術継承もできない、人材育成もなかなかできない中で、ここでも論議になるわけですが、共同化、広域化の問題。これについても、今現在うちでも県を含めてやらせていただいているわけですけれども、その中心になる拠点都市というのがあります。拠点都市を軸にしてやっていく。その中で都道府県が調整役を担っていただく。今は手上げ方式で都道府県のほうに、厚生労働省のほうからお願いしてやっているわけです。やはり、拠点都市というものを少し意識していただいて、そこへどういう支援ができるのかということも、少し論議していただければいいかと思います。

 それと併せて官民連携というのは、共同化と広域化と並行してやっていかないと効果が上がらないと思っています。今、本当にコアな部分の仕事と、準コアな部分を分析させていただいて、本当に外へ出せるものについては長期包括的な考え方に立ってやらせていただこうということで進めております。

そういう具体的な、我々が今地域で抱えている現状部分を少し酌み取っていただいて、それに対してどういう支援をしていくかということを、より明確に、早めに出していただければ、我々も後ろから押していただいて、地元の議会とか住民の皆さんにそれをお示しすることによって、より一層理解が得られると私は思っておりますので、是非そういう論議もこの中でさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○浦上委員 近畿大学の浦上です。基盤強化の検討会のほうからずっと参加させていただいています。今回の資料にお作りいただいていますように、今後の水道事業のあるべき方向性については、大方きっちりとした議論がまとめられたのではないかと思います。松江市のほうからも御提案いただきましたように、これから我々が議論すべきことは、やはり具体的に何をやっていくのかというところに尽きるのかと思います。今後は更に前に進めるような議論にしていかないといけないのかということは、私も非常に共感してお話を伺っていました。

 そのときに、先ほど政務官のほうからも、待ったなしの状況に来ているというスピーチを頂きました。その待ったなしの状況という認識が非常にバラバラで、何が待ったなしなのかということです。要するに、水道料金を上げないといけないのかという点で待ったなしなのか、もう事業がやっていけないという意味での待ったなしなのかというところです。私が思うには、もっと先を見た、 30 年後とか 50 年後の人口が 30 %減少とか 40 %減少になったときの事業の在り方。 30 年後、 40 年後、 50 年後に今の状況が維持できるのかという視点を是非持っていただきたい。恐らく無理です、ということになるかと思います。

 そのときに、今何をすべきかというところから考え始められるような視点を持っていただきたい。都道府県の水道ビジョンも、各水道事業者のビジョンも、大体 10 年ぐらいでビジョンを作って、財政計画を立てたところ、やはり水道料金を上げなければいけないということで、水道料金の見直し、体系の見直し。そのときに先ほどおっしゃったように、基本料金と従量料金のバランスをどうするかという議論にはなっているのですけれども、やはりその先の中長期の視点で、今後どうなっていくのかというところが、またそのビジョンの中に入ってこないのかなというところです。

 仮に都道府県がリーダーシップを取って、各市町村の事業者を集めた会議がそこで行われる場合には、やはりもう少し長期的に、その構成団体が将来的にやっていけるのか。やっていけないとするならば、どういう形での広域的な連携が必要なのかというところを是非議論していただくように、厚生労働省のほうでも議論の誘導をしていただければと考えております。

 先ほど石井先生からも御提案がありましたように事業法にするにしても、水道事業者が一体何をする事業者なのかというところで、例えば上下分離の話にも絡んでくるかと思います。先ほど経営統合と事業統合ということで御説明を頂いているのですけれども、前回の経営基盤強化検討会でも、経営統合と事業統合の認識すら共有できていないような検討会の場でした。やはり事業統合と経営統合というものは、ちゃんと共有されて、経営統合であれば、本当に料金を統一せずとも広域的な枠組みでの経営が可能だということを是非認識していただけるように、情報をどんどん出していっていただければと思います。

 今、経営状態の良い事業者と、脆弱で本当に待ったなしの状況にある事業者と、非常に様々な水道事業者があります。その経営状態の良い所は余り差し迫った危機感の認識がない。地方の脆弱な所が差し迫った状況にある。バラバラにやるのではなくて、やはり全員が同じテーブルで、将来の水道を議論できるような、要するに今経営状態の良い所だけが、私の所は良いですということのないように、同じテーブルに付いて、将来の水道を議論できるような方向で検討していただければと思います。

 その中で、脆弱な所ほど、本当に待ったなしの状況かと思いますので、一刻も早くそういう所が経営基盤の強化の具体策によって救われていくような方策を考えていかなければいけないのかと思います。

○望月委員 日本経済研究所の望月です。本日はフリーディスカッションということでいろいろな御意見を頂いておりますので、私のほうからも普段考えているようなことを少しお話させていただきます。委員の方からいろいろお話がありましたし、事務局からも説明がありましたが、水道事業の特徴を考えると、かなり中長期の視点を持っていないといけないのかと。普通の会社だと、中期計画で 3 年とか 5 年、かなり長くても 10 年を 1 サイクルとして見ています。

 水道事業は管路の更新投資、 40 年とか 50 年というような中で、 10 年の計画でいいのかというと、やはり 40 50 年ぐらいのスパンを見て検討していくべきかと思っております。その中で厚生労働省が推進しているアセットマネジメント調査を、既に 6 割ぐらいまでされているということで、これはかなり期待できるかと思っている一方で、実は別の資料で見させていただいたのですが、アセットマネジメント調査の内容的に、簡易版的なものでされている所がかなりあるのかなと。残念ながらアセットマネジメント調査の結果を、最終的な経営の部分に生かしきれていないところが多いのではないかというのを危惧しています。せっかく実施したアセットマネジメント調査を経営に生かさないでどうするのかというところもあります。そこがなかなかできないというのは、恐らく人材が不足しているとか、高齢化というところもあって、将来のことはもういいかなとか、人口が減るのでよく分からないとかいろいろなことがあるのかと思います。是非ともそこは中長期、特に 40 50 年というぐらいのスパンでの計画というところに目線を持っていただけるような形がいいのではないかと思います。

 そういうハード面というか、更新投資に加え、日々の事業の中で、課題にもありましたが職員の減少、高齢化というのがあります。これは短期間でどうにかなるような話ではないと思います。多くは公営企業となっている水道事業体のほうでは、自前で職員を採るというよりは、その自治体全体での職員計画などにも非常に影響を受けると思います。その辺はすぐには対応できないと思いますけれども、先ほど申し上げたように、中長期の経営計画を考えていく中で、必要な人員というのはおのずと見えてくるのかと思いますので、そういうところもセットで検討していくべきかと思っております。

 人材不足の他に、これは 2 回目以降でも議論になるかと思いますが、官民連携はスキームとして取り得るものかと思います。官民連携の手法というのはいろいろあります。先ほどの話の中でも、第三者委託をはじめ PFI とか、新しいコンセッションという形もあります。水道以外の PFI 事業と比較して見ると、水道事業というのはどうしても PPP/PFI の動きが若干遅いのかと思います。これは幾つか理由はあるかと思います。 PPP というのは基本的に民間に事業を任せていくものですけれども、任せる事業者がそんなにたくさんいないとか、事業者とうまく対話ができていないとか、あるいは任せる事業者が本当にいるのかみたいな話があったりします。

 これは、水道事業が基本的にずっと公共でされていたからという背景があるとは思いますが、人材不足の中で、どうしても民間の活力を使っていくというのは必然的な流れかと思います。ただ、その中で留意点というか非常に懸念しているのは、単なる委託、要するに人手の付け替えでは、もはやこの課題は解決できない。既に単年度の委託とか、夜間の運転管理を委託したりというような事業体が非常に多い中で、その業務範囲を若干広げるということでは、多少なりとも効率化はあるにしても、経営の根本的な課題というところに、本当に単純な委託が対策となり得るのかどうかというのは非常に疑問があります。

 その中で広域化があります。先ほど、事業法にしたらいいのではないかという石井先生のお話もありましたが、上下分離というか、今の PFI 法の中でコンセッションという手法ができますが、これはかなり上下分離に近いかと思います。いわゆる運営の部分だけ民間事業に全体的に任せるというような手法もあったりいたします。先ほど浦上委員もおっしゃいましたように、具体的にどういう手法を使っていくのか、どういうやり方があるのかというところを、今後この委員会も含めて、ここ 1 年の中で議論して、その内容を各水道事業体にも共有していくことが非常に重要なのかと思います。

○滝沢委員長 幾つか御指摘いただきましたが、中長期的な視点が必要だということ、アセットマネジメントを県に生かすことが必要だということ、職員数の減少に関して、これまで水道事業は給水原価の減少部分のかなりの部分が職員経費の削減で満たされてきたような経緯がありますが、必要な人員を確保すべきではないかというような御意見、また PPP に関しては単純な業務の委託ではないような在り方についても検討するべきではないかというような御意見だったと思います。ほかに御意見はいかがでしょうか。

○平井委員 神奈川県の平井です。本日は県という立場で、次回のテーマにもなっているようですが、広域連携ということについてお話をさせていただきたいと思います。

 他県の状況はよく承知していないのですが、私ども神奈川県は水道あるいは水資源に関しては、比較的恵まれている県ではないかと思っております。どのような県かと言いますと、水源は主に相模川と酒匂川という 2 つがあり、そこの水系にダムが 4 つあり、それで水源は全て確保できておりますし、県内に 4 つ目の宮ヶ瀬というダムがありまして、そこが完成してからは渇水とは無縁になっているという、水源も本県の中でほぼ完結していて、安定している状況です。

 その水源を基にして、どのような水道事業者がいるかと申しますと、実は私どもの所は非常に大きな県で、昨年の国勢調査で総人口は 912 万人ぐらいです。その中で、横浜市、川崎市、横須賀市、それから神奈川県自体が企業庁で水道事業をやっておりまして、これは歴史的経緯があるのですが、昭和の初期から地元の市町村の要望を頂き、現在は 12 6 町を給水域として、県営水道事業をやっております。この 4 つの水道事業者で、この 910 万人の人口の 9 割をカバーしております。そういう意味では、かなり大規模化、広域化はもともとできているというところなのですが、更に先々、 10 年先ではなく、先ほどから話が出ているように 50 年先といったところを見たときに、果たして安定だろうかという問題意識もありますので、これまでも度々四大事業者で何かしらの共同の取組はできないかという協議を進めてきたという経緯がございます。

 そのような中でも、事業者がそれぞれの規模を持っていますので、正直言いまして、これ以上のところはなかなか遅々として進まないと。このような中でも水質管理については、昨年から 4 者共同でやりましょうということで取組を進めている状況です。

 一方で残る水道事業者なのですが、県の西のほうを中心にしまして、それぞれの市町の単位で、小規模な水道を経営されている所がございます。そういった所もどのような状態にあるかと言いますと、職員の数については、問題視されているのですが、これも比較的水源に恵まれておりまして、特に水道料金という点ではかなり安価な水道料金の設定で、今のところうまくいっているという状態で、自発的には市町の単位ですと、 1 人では手を挙げにくいといった状況がありました。

 このような中で、私どもは神奈川県の中でも政策の部門なのですが、そこに水政室というセクションを設置しました。もともと政策の部門で水資源の開発をやっていたのですが、その延長ということになります。

 なぜこういうセクションが設置されたかと申しますと、特に私どもの知事の考えが大きいのですが、先ほど浦上先生がおっしゃっていました待ったなしの状況にあるのではないか、特に人口減少というのは、我々人口が多くいる神奈川県であっても非常に強く意識しているところであり、先々これから人口が減っていくことは明らかで、高齢化は他県よりもむしろ早いスピードで進んでいくという危機感がありまして、今は比較的体力に余裕のある状況のうちに、こういった広域連携の話を進めていかなければならないのではないかという問題意識がありまして、水政室を作って取組を進め始めたというところです。

 私ども神奈川県としても、特に規模の小さい県の西側につきましては、昨年私どもから声を掛けさせていただきまして、少し勉強会をやろうではないかと。これも乗ってこられる市町がどれだけあるかと思いましたら、県の西のほうを私どもは「 2 8 町」と呼んでいるのですが、 10 自治体ありまして、それが全て手を挙げてくれました。明日になりますが、そちらで第 1 回のしっかりとした検討会、勉強会を立ち上げていこうという流れになっております。

 小規模のほうは、私どもが声掛けをして、第 1 段階としてはまとまりが付いたところではあるのですが、広域化ということになりますと単なる勉強会ではありませんで、やはりいろいろな面で統合を進めていかなければならない。そうしたときに課題として考えておりますのが、調整役、旗振り役、推進役である都道府県、特に神奈川県につきましては、一体どういうことができるのだろうか。こういったことを権利調整も含めて話を進めていく上では、やはり権限の問題というのが、 1 つ大きな問題として備わってくるかと思います。

 これは特に大きな横浜、川崎等の事業者と私どもでお話をさせていただいていると、県だからということで単純には言うことは聞いていただけない。事業の規模的にも、横浜市のほうが大きいです。そういったところで、どのように円滑に話を進めていけるかということを考えますと、通り一遍で県に権限を与えて、その権限を基に市町村に話をしていただきたいということでは、なかなか進んでいかないのかなと。ですから、制度設計をこれから具体に検討していく段階になっていくのではないかと思いますが、そこのところではしっかりと動いていくような、現場の状況をよく見た制度にしていただきたいと思っております。

 他方、小さな市町を相手にして話を進めていくときには、権限的なものというのは多少あれば、やはり大きさが違いますので少しは言うことは聞いてくれるかもしれないです。ただ、やはり高圧的にはやっていけないと考えております。

 先ほど資料の中でも再三御紹介がありましたが、地方分権改革です。ここで、義務付け、枠付けの見直しということを大分やられてきていますし、私ども神奈川県でも相当いろいろな分野にわたってかなりのもの、県独自のものとしてもお出ししてきたという経緯もございますので、ここで時代に逆行するようなことはできないなと思っております。ですので、そういった点も十分に御考慮いただきたいと思います。

 それから、これは本県の特性なのですが、先ほど「水源は独自にある」と申し上げましたが、相模川水系と酒匂川水系というのは、両方とも上流がございまして、相模川は山梨県、酒匂川は一部静岡県にかかっております。そういったこともあり、河川が県境を跨いでおりますので、実は私ども神奈川県としては、現在進めている権限移譲を受けられず、許認可権を持てないという状況になっております。

 置かれている地理的条件によって、それぞれの都道府県で状況はバラバラだと思いますが、私どもはそういった状況の中でも、何かしら県がイニシアチブを取っていくためにはどういった形がより望ましいのかと。これも少し検討させていただきながら、また御意見をさせていただければと思います。以上です。

○滝沢委員長 続きまして、ほかに御意見はございますか。

○永井委員  2 点ほど意見を申し上げておきます。まず 1 つは、今日の検討事項の整理は 2 点ございます。 2 つ目の関係ですが、これは現場の実態からしますと、正にこのとおりではないかと思っております。そのような意味では、指定工事業者の制度の更新制の導入というのは、実態把握だけでなくて、様々な場面から非常によいことではなかろうか。指定工事業者におかれても、緊張感をもって水道事業の給水工事の責任者として、しっかりと認識を深めるためには大変重要なことであり、それぞれ事業者間の競争が激しい時代においても、将来的にも生き延びるのではなかろうか、あるいは優秀な技能を持った人材も集められるのではないかと思いますので、これは全くそのとおりだと思います。

 それから、今日の委員会での整理の 1 にも 2 にも入っていませんが、私もこの間、様々な場面でいろいろな議論の機会を与えていただいたのですが、今日的に水道事業の現状だとか課題については、それぞれのデータと実態を出されております。これから先の方策としても、官民連携だとか広域化、あるいはアセットの資産管理はこうあるべきだという方向を示されておりますが、残念ながら、なかなか 10 年前からの議論も一方ではありながら動かない。そろそろ、この場面での議論がなじむかなじまないかは別にしても、水道事業管理者の権限を改めてもう一回見直すべきではないか。

 これは一定の要件の下ではありますが、水道事業に必ずしも精通しているとは言い切れない、あるいは水道に愛情を持っているとは思えない、あるいは就任早々に部下に圧力を掛ける。私もいろいろな人を見聞していますから、そのような意味からしますと、これでは組織としてリーダーがそのような存在の人であったら、部下がこのような 10 年、 20 年、 30 年先の町や村や市の事業体を、こうしたい、ああしたいと思っていても、これはなかなかそうはいかないという事情も耳にしております。この辺はこの場面がいいかどうか、先ほど申し上げましたように、今日的に水道の状況がこのような状況に置かれている背景の 1 つにあるということも理解していただきまして、これから先、それぞれ対応策も必要ではなかろうかということを申し上げておきたいと思います。

○滝沢委員長 まだ御発言されていない委員からいかがでしょうか。

○築地原委員 北海道の築地原でございます。都道府県の代表というわけではないのですが、検討会のときから入っていたということもあってお呼びいただいたかと思っております。まず大きくは 2 点、細かく何点かお話をさせていただければと思います。

 大きく 2 点と申し上げますのは、先ほど石井先生なり浦上先生からもお話がありましたが、水道というものが早くからナショナルミニマムとして整備をされてきたという部分もあろうかと思います。それで、冒頭に政務官からのお話もありましたが、蛇口をひねればきれいな水が出てきて飲めるという状況になっています。これは住民サービスという点では非常に進んできたのだと思うのですが、一方で、まずは普及させるということを前提に、公衆衛生の向上ということで進めてきたことから、飲む側も送る側も、経営というところまで十分に考えられてこなかった部分もあったのかと思います。

 今や北海道などもそうですが、中小事業体のほうが数が多くて、人口減少を抱えているということで非常に苦しい状況になって、それが今になってやっと目の前に迫ってきている、いや既に追いかけられているような状況だと思います。そういった中で経営という感覚を水道事業者がきちんと持つというのが 1 つ大事なことだろうと思います。石井先生がおっしゃるように、水道事業法という形がいいのかどうかということも含めて検討する必要があると思いますが、まずはそういう法的な位置付けも含めて、事業者の意識ということをもう少し高めなければならないだろうということです。併せて、給水を受ける側の住民の意識、あるいは市町村議会を含めて、経営というところの感覚をしっかり持っていただくような、これは都道府県も国もそうですが、そういうことをしっかりと意識付けをしていかなければいけないのではないかということを強く感じております。

 もう 1 点は、都道府県と市町村の役割といったことについては、資料 6 で小幡先生からペーパーが出ておりますが、正にこのとおりだろうと思います。検討会の中では、都道府県を主要な事業者にするということも検討されておりますが、まずは基本的に地方分権といったことも踏まえて、市町村と都道府県の役割というものをもう少ししっかりと議論していく必要があるのかなと感じております。そういった点で、今日は参考資料 2-2 に検討会で検討された盛り込むべき事項も添付されておりますが、こういったベースで何点か細かいところをお話させていただきたいと思っています。

1 つは、お金の話から始まって恐縮ですが、今日の資料のスライドの 4 番にもありますように、水道事業者に対して独自に財政支援を行うことができる。これは都道府県の機能として独自に財政支援を行うということがあります。検討会の中では、「そうした枠組みが必要ではないか」という議論だったと思います。この枠組みというものをどのように考えるかというのは、もう少し深掘りをして検討しなければならないのかなと思います。都道府県だけで独自に財政支援をするというのは基本的に無理です。北海道のような苦しい事業体にとっては特に厳しい状況にありますので、ここをどうするかというのは真剣に考えなければいけません。

 一方で、施設の共同管理といったところに対するもの、耐震化とか、これは国の補助金、交付金なりを拡充なり、しっかりと予算付けをしていただくというのを同時平行でやらないといけない話ではないかということを強く感じております。

 それから、広域化をするということは、これは誰しも必要だろうと思っていると思うのですが、この検討会の中では少し強く言っている部分があるかなと思います。先ほど神奈川県からもありましたが、小規模自治体にとってみれば、余り上から押し付けられるような言い方というのは好まれませんので、そういった意味で例えば統合を勧告するだとか、基盤強化計画を要請なしに作れるといったような検討もなされていたようですが、こういったことについてはもう少し限定的に、どういうような状況のときにそうあるべきなのかというところを掘り下げて検討していかなければ、中小事業者のほうはなかなか付いて来られない。あるいは逆にそういうことであれば、都道府県が全部やってくれるのですねということにもなりかねない。そこのところは慎重に検討すべきではないかということを感じております。

 それから、アセットマネジメントも非常に重要で、やる必要があるとは思っていますが、これだけを単独に取り出して「やってください」と義務付けても無理だと思います。これも検討会の中にありますが、財源の裏付けということがかなりきつく書いてあると思います。財源の裏付けというのは多分料金の設定に関わってくる、それから先ほど申し上げた補助金とか支援の話になると思うのですが、こういったところとセットで考えていく必要があるのではないかと思いますので、そういったことを踏まえて議論を深めていっていただければなと思います。

 これに関連して都道府県の働き掛けということについては、今、アセットマネジメントあるいは料金の設定について、都道府県ベースは認可の時点である程度書類を見て判断する部分がありますが、それ以降は法律的に仕組みがないと思っています。ですから、今こういう問題が表に出てきて、「料金を上げた所は何箇所あるのですか」とか、報道からいろいろと問合せを受け、わかる範囲でお答えしますが、基本的に都道府県が事業体の経営状況を把握する枠組みがないので、いきなり都道府県が勧告するだとか、働き掛けをするといっても、どうすべきなのだろうかというところです。

 それで、これは私の個人的な見解ですが、先ほどの経営の意識といったところと合わせて、事業者ということであれば経営診断的な要素をしっかりと取り込んでいく必要があるのではないか。そういった診断の状況を都道府県が見させていただいて、必要な指導・助言ができるというような仕組みがあると、トータルとしてうまくいくのではないかということは感じております。

 廃棄物の話で申し訳ないですが、廃棄物のほうですと経営ではないですが、機能診断を定期的に受けることになっており、水道の場合は機能ももちろんありますが、経営がベースにあって機能につながってくる部分が強いと思われますので、そういったことについても考える必要があるのではないかと思っております。

○滝沢委員長 まだ御発言いただいていない方はいらっしゃいますか。山口委員どうぞ。

○山口委員 山口です。消費者行政、消費者法が専門です。今後、利用者、消費者の視点から考えてみたい点として 2 点ございます。

 今日、委員の先生方の話をお伺いして、設備の維持、更新に大きな課題があるというところが見えてきました。検討事項の中でも示されていますように、生活に必須のものなので低廉であるということと同時に適正であるということが、今後どう両立し得るのかというところが気になります。

 今後の料金体系の在り方、選択肢というところが、どのようになっていくのかということをこれから見ていきたいと思います。

 利用者側から見ますと、使っているものについて料金を払うという意識はあると思うのですが、それ以上に設備を使うことについてのコストというものがどういうものがあって、それをどのように負担していくのか、負担するものなのかというのは、普段は見えにくいところであると思いますので、その点も含めて今後負担する可能性があるとすれば、どのようなものかということは考えてみたいところであります。

 もう 1 点は、指定給水装置工事事業者制度への更新制の導入ということで、規制の枠組みの中で悪質事業者を排除するということと、技術水準を維持していくという方向が考えられるということでした。そういった規制の枠組みでの事業者の適格性の確保ということと併せて、利用者として契約を結んで工事を依頼するということがありますので、そのときに事業者はどこを見て選べばいいのかとか、契約に当たって確認しておきたいことについての情報というのは、なかなか十分に得られないのが現状ではないかと思います。

 先ほど石井委員からも事業者の取引の適正化の指針というお話があり、その辺りにもつながっていくところかと思いますが、契約の手順で見積りを取るということもありますが、その中でどういったところを確認していく必要があるかとか、ポイントは何かというところが具体化、明確化できると、トラブルの減少に資するのではないかということがあります。

 トラブルが起きたときにどういった対処が考えられるかというところも含めて、利用者への情報提供を充実させていくことを考えていくことができるのではないかと思っております。

○滝沢委員長 浅見委員、いかがですか。

○浅見委員 新水道ビジョンから運営基盤の検討会から参加させていただき、いろいろな課題が非常に大きいところ、今回の委員会でそれの実現というか、具体化に向けて議論にしていただけるということを幸いに思っております。

 今もいろいろなお話がございましたので、重なる部分は省略いたしますが、先生方の御見識を生かして、具現化していくといいと思っておりますが、いろいろな県の実情を伺いますと、県主導のほうが向いている県もあれば、民間との連携を非常に意識して進められている県もあれば、恐らく政令市とか大臣認可の所がもっと技術的に協力するような、少しソフトな感じでいきながらも安全性を確保するというところが相応しそうな県とか、いろいろな所の実情があると思いますので、そういったものをいろいろと踏まえながらもいい制度にしていけるといいのではないかと思っております。

 特に、制度改正は多少時間がかかる部分もあると思うのですが、水質の管理の関連に関しては、神奈川県からも御紹介いただきましたように、いろいろな人の目が届くというのが安全性の向上につながるのではないかという部分もありますので、そういった面でのソフトな部分も推進しながら進めていけるといいのではないかと思います。

 特に、日本水道協会の水道統計というのが、水道のいろいろなデータ収集の基本になっているのですが、是非そういうデータ収集をしっかりと位置付けて、経営的な面と水質的な面と施設管理の面というのが、しっかりとデータがそろっていきながら、見ていけるというような制度も組み入れていただけるといいと考えております。よろしくお願いいたします。

○滝沢委員長 残り時間は僅かですが、岡部委員からいかがですか。

○岡部委員 水団連の岡部です。水団連は水道産業界 230 社の団体ですが、水道事業体の発展に寄与するための産業界の集まりですので、今回の盛り込むべき事項についても、基本的には賛成の方向で議論を進めていますし、できることは積極的に対応させていただきたいと考えています。

 官民連携など、水団連には関係が深いものもありますが、多くは水道事業体が主体となるべき内容との認識を持っており、それらについては大きな方向性について意見を述べていければと考えています。

 経営基盤の話は最近よく出てきますが、水道事業の場合は「安全」と「強靱」の前提に「持続」が一番重要な問題だと考えています。「持続」についてはできれば何か法的なもの、法の目的に示すとか、「事業の持続」を法的な形でしっかり示していただければと考えています。

 また、先ほど水道事業管理者の話も出ましたが、技術管理者についてはいろいろ規定されていますが、「経営」ということに関して余り規定されていないということがありますので、それらについても整理していただければと考えています。

 あと「広域化」についてはこれから非常に重要で、持続については「必要条件」であり、かなり連動するものだと考えています。特に都道府県の方々に期待するところは大なのですが、先ほど御意見がありましたが、法的根拠が余り示されていないということもあって、なかなかそこが難しいという話もありますので、それらについても責任と権限を法的な処置若しくはこの中で制度的なものとか、そういったものが検討されればいいと思います。

 あと、一番関係の深い官民連携については、各地区でのマッチングなど厚生労働省の方も進めていただいていますし、日本水道協会のほうでもホームページ等の解説などをやっていただいているのですが、実態としては余り進んでいないのが実態であります。これらはなかなか答えがないと思うのですが、こういったいろいろな環境づくり、法制度などについてはかなり整備していただいてはいるのですが、マッチング的なものは引き続きよろしくお願いしたいと考えています。「水管協」の方でも人材育成や受託するための準備、体制は進めておりますので、是非ご活用ください。

 あと、先ほどから御説明のあった大きな課題である「更新・耐震化」についても、アセットマネジメントをすることにより進めていくという話もありますが、これもアセットで止まっているという場合も多々見受けられますまた財源との連動と言いましても、財源の裏打ちや期限のないものは実行が伴いませんし、財源を明示するとやはり予算の関係があって期間が限定されるとか、長期的視点に立てないという問題もありますので、その辺りをうまくアレンジしていただいた形、長期的な予算はビジョンで示し、数年間は予算で明確にするなど仕組みをお願いできればと思います。

 基本的に、維持、施設の更新・耐震化には水道料金の適正化という話が付いて回りますし、ここにも法的な形を検討する必要があると思います。先ほどから資産維持費ということについても話題として出ていますが、これらは基本的には将来の施設更新ということを考えれば必要だと思います。基本的には賛成したいと思っていますが、やはり水道料金という仕組みの中で、どういう形の位置付けにしていくかというのが難しいところがあるのではないかと考えていまして、その辺りをよく検討していただければと思います。

 最後に実際の事業体の方、水道事業管理者の方も、渡部さんを含めていろいろ努力されていますので、法律とか制度をうまく使って水道事業体の方、水道事業管理者の方が積極的に動ける環境作りを、この委員会の中で少しでも出していただければ有り難いと思います。

○尾崎委員 皆さんの話を聞いて、また、事務局の説明を聞いて思ったことがあります。 1 つは新水道ビジョンを検討したときに、キーワードを「安全」「強靱」「持続」にしたのですが、その検討の中で「環境」「国際」なども重要であるとの意見もありました。今日の話題との関係からみますと、水道事業を水源から蛇口までと考えたときに、やはり水源の部分は環境というか自然環境というか、また、水循環、水質の保全といった様々なファクターがあります。そういうのも視野に入れて、今回の委員会でも検討する必要があると思います。

 さらに、今日の話題では、都道府県の役割がより強化されるような印象を皆さん持っているのですが、国の役割、都道府県の役割、市町村の役割、企業の役割を、どのようにすればいいのかを事業形態別に多方面から検討して、その中であるべき方向性をしっかりと見つめてやっていかなければ、これから 50 年、 100 年先の水道というのは、非常に厳しい状況になってしまうことが懸念されます。

 もう一つは、水道には福祉的な要素の部分があります。この部分の水道事業というか、簡水も含めて、これをどう取り扱うのかという問題があると思いますが、今までは公というか、税金の中から補填したことも多いと思います。そういう状況の水道を今後どのように位置付けるのか。広域化とか民営化だけでは、なかなか解決できないのではないかと思います。要するに、不採算の部分を広域化で対応したとしても、やはり不採算の部分が残ってしまうので、その辺を国の指導というか、全体でどのように位置付けるのか。端的に言ってしまえば、国の補助金的なものになるのだろうと思うのですが、そこもしっかり押さえないと、先ほどから言うように具体的にどう動くのかが見えてこないのかなと思います。感想ですが、以上です。

○滝沢委員長 一通り御意見を頂いたところですが、最後に追加で御発言があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。

 それでは、本日は多くの御意見を頂きました。これにつきましては、事務局で一旦受けていただき、次回に整理する形で議論に回していただければと思います。

 今後の検討スケジュールについては、先ほど御説明いただいたとおりですが、資料 5 です。次回は 5 23 日です。このような検討スケジュールで進めていきたいと思いますが、これについては御了承いただくということでよろしいでしょうか。

 本日の議事は以上ですので、進行を事務局にお返しいたします。

○久保補佐 長時間にわたりまして活発な御議論を頂き、どうもありがとうございました。今後については、スケジュールは資料 5 のとおりで、次回は 5 23 日の午後、 14 時から 16 時ということで予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。スケジュールは、ここでは 6 回分で示しておりますが、今後の議論の進み方次第で、やり方を少しずつ変えながらということもあり得るかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 事務連絡になりますが、本日の議事録については委員の皆様に案をお送りして御確認いただいた後、ホームページで公開という運びにさせていただきます。

 それでは、第 1 回水道事業の維持・向上に関する専門委員会はこれで閉会させていただきます。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。


(了)

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