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2016年3月23日 第1回同一労働同一賃金の実現に向けた検討会 議事録

職業安定局

○日時

平成28年3月23日(水)17:30〜18:30


○場所

厚生労働省(中央合同庁舎5号館)9階 省議室


○出席者

川口 大司 (一橋大学経済学研究科教授)
神吉 知郁子 (立教大学法学部国際ビジネス法学科准教授)
中村 天江 (リクルートワークス研究所主任研究員)
松浦 民恵 (ニッセイ基礎研究所生活研究部主任研究員)
水町 勇一郎 (東京大学社会科学研究所教授)
柳川 範之 (東京大学大学院経済学研究科教授)

○議題

我が国の現状や現行制度等について

○議事

○河村人材サービス推進室長 お待たせいたしました。それでは、ただいまから第1回「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」を開催させていただきます。

 委員の皆様におかれましては大変お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

 本日、座長選任までの間、司会をさせていただきます、 派遣・有期労働対策部企画課の河村と申します。よろしくお願いいたします。

 まずお手元の資料の確認をさせていただきます。

 資料1 開催要綱

 資料2 参集者名簿

 資料3 第1回  同一労働同一賃金の実現に向けた検討会 厚生労働省提出資料

 以上3点、お手元におそろいでしょうか。

 それではまず、資料1の開催要綱をごらんください。こちらに開催の趣旨、検討事項、それから運営について整理をさせていただいております。お時間のあるときにごらんになっていただければ幸いです。

 続いて資料2の名簿をごらんいただけますでしょうか。

 本日は初回でございますので、皆様方の御紹介を簡単にさせていただきます。

 まず川口大司委員、一橋大学経済学研究科教授でいらっしゃいます。

○川口委員 よろしくお願いします。

○河村人材サービス推進室長 よろしくお願いします。

 それから神吉知郁子委員、立教大学法学部国際ビジネス法学科准教授でいらっしゃいます。

○神吉委員 よろしくお願いします。

○河村人材サービス推進室長 それから、本日18時ごろの御到着予定になっておりますが、中村天江委員、リクルートワークス研究所主任研究員に委員をお願いしております。

 それから松浦民恵委員、ニッセイ基礎研究所生活研究部主任研究員でいらっしゃいます。

○松浦委員 よろしくお願いします。

○河村人材サービス推進室長 ありがとうございます。

 水町勇一郎委員におかれましては現在、フランスに御出張中ですけれども、会場前方のスクリーンにて、インターネット中継にて御出席をいただいております。東京大学社会科学研究所の教授でいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。

○水町委員 よろしくお願いします。

○河村人材サービス推進室長 それから本日は御欠席でいらっしゃいますけれども皆川宏之委員、千葉大学法政経学部教授にも委員着任のお願いをさせていただいております。

 それから柳川範之委員、東京大学大学院経済学研究科教授でいらっしゃいます。

○柳川委員 よろしくお願いいたします。

○河村人材サービス推進室長 どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、本日は両大臣が出席いたしておりますので、まず塩崎厚生労働大臣より御挨拶をさせていただきます。よろしくお願いします。

○塩崎厚生労働大臣 本日は大変お忙しいところ、「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」第1回会合にお集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。

 厚生労働大臣として一言、御挨拶を申し上げたいと思います。

 安倍総理はことし1月の施政方針演説におきまして、一億総活躍への挑戦の中で働き方改革を重要な柱として位置づけたところでございます。そして働き方改革を内閣の次の3年間の最大のチャレンジとも定義づけているわけでございます。 AI IoTに代表される革新的な技術開発が行われて最近は囲碁まで機械が勝つという時代になっておりますが、生活や仕事の形が今後大きく変わっていく中での働き方改革に挑戦をしようということだと思っております。

 急激な少子高齢化や人口減少、そしてまた労働人口の減少という厳しい状況に置かれている我が国が、課題先進国として新たな経済社会モデルの実現に向けて働き方改革を達成することは、将来、早晩同じような状況に直面をする他の先進国、あるいは新興国、そしてまた途上国、そういった国々に対しても大変意味のある大きな試みであり、私どもは今、これに挑戦しようとしているのだと思っております。

 そして施政方針演説の中では、この春に加藤大臣のところで取りまとめてもらいます「ニッポン一億総活躍プラン」において、同一労働同一賃金の実現に踏み込む考えであるということも明らかにしたところでございます。

 私といたしましては子育て中の方々、あるいは若い世代の人たちに、将来への夢や希望をしっかりと持っていただいて、そして女性や高齢者、難病や障害のある方の、それぞれ納得できる働き方を通じて、経済社会の活力を最大限に発揮できるようにすることが何よりも重要であると思っております。

 全ての方々に働く意欲と、そして能力をそれぞれに発揮をしていただく。それによって我が国全体の活力や、あるいは生産性を高めて成長を実現し、経済社会の発展を促していく中で、アベノミクスの成果を国民の皆様方のものとしていただくということが、視点として重要なのではないかと思っております。安倍内閣として働き方改革の大きな柱の一つでございます、この同一労働同一賃金。この導入に本腰を入れて取り組んで、非正規雇用で働く方の待遇を改善してまいりたいと思っております。

 そのためには、一人一人の職務能力を公正に、客観的に評価するということが極めて大事な、重要な考え方であると思っております。このため、お手元の開催要綱にございますとおり、2月23日の一億総活躍国民会議における総理指示に基づいて、本日、この検討会をスタートさせていただくことになりました。

 加藤一億総活躍担当大臣としっかりと連携をしながら、労働行政を所管し責任を持つ厚生労働省の大臣として、私も全力を尽くしてまいりたいと思っております。

 一億総活躍社会に向けて、我が国で同一労働同一賃金を実現するに当たって、政府として真に実効性のある取り組みを打ち出していきたいと考えております。委員の皆様方に忌憚のない御議論をいただきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げて、私からの御挨拶にさせていただきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○河村人材サービス推進室長 ありがとうございました。

 続きまして、加藤一億総活躍担当大臣より御挨拶をお願いいたします。

○加藤一億総活躍担当大臣 本日は大変お忙しいところ、各委員の先生方、また水町先生はフランスのほうからこうして御参加をいただきまして、この第1回の「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」をこうして開催させていただきますこと、心から御礼を申し上げたいと思います。

 検討会の開催に当たり、一億総活躍担当大臣として一言申し上げさせていただきたいと思います。

 政府においては少子高齢化という構造的な課題に取り組むべく、まずは一億総活躍社会の実現に今、取り組んでいるところでございます。女性も男性も、高齢者の方も若い方も、そして障害がある方、難病を抱える方、また、一度失敗を経験した方々も、誰もが活躍できる社会、これが一億総活躍社会であります。

 そのような社会を実現していくためには、子育てや介護と仕事との両立が可能になるような働き方改革をしっかりと実行していくことが不可欠であると思います。また、多様で柔軟な働き方の選択を広げていくためにも、非正規労働で働く方々の待遇改善を図っていくことが大変重要でありますし、今般、御検討いただく同一労働同一賃金の実現というのはそのためにも大変大きな、重要な要素となるものでございます。

 総理からは先月の第5回の一億総活躍国民会議の場で、我が国の雇用慣行には十分に留意しつつ、同時に躊躇なく法改正の準備を進める旨、また、どのような賃金差が正当でないと認められるかについて、政府として早期にガイドラインを制定し、事例を示していく旨を表明されたところでございます。

 あわせて塩崎厚生労働大臣と私とで、そのための専門的検討の場を、まさにこの場でございますけれども立ち上げさせていただいて、欧州での法律の運用実態の把握などを進めていくべく旨も御指示がありました。この検討会はまさにそうした趣旨で設けさせていただいているところでございます。

 総理からも表明がありましたように、同一労働同一賃金を導入しておりますヨーロッパにおいて、法律が実際どのように運用されているのか。こういった点について、実態把握を行っていくことが非常に重要であると思います。

 しかしながら現時点で、その運用の実態を私どもが十分に把握しているわけでもございません。本検討会ではまず、こうした実態把握を十分に行っていただければと思います。また、同一労働同一賃金実現の具体的な方向性については、この春取りまとめることとしております 「ニッポン一億総活躍プラン」においてお示しをしていくこととしておりますが、その際にはこの検討会での御議論も踏まえ、取りまとめてまいりたいと考えております。

 非正規で働く方々の待遇改善に実効性のある政策を、塩崎厚労大臣とともに私どもも全力で取り組んでまいりますが、どうかこの検討会におかれまして、専門的な見地から精力的な御議論をいただければと思うところでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

○河村人材サービス推進室長 ありがとうございました。

 それでは、両大臣は本日所用がございますので、ここで退席とさせていただきます。

○塩崎厚生労働大臣 ではどうも、よろしくお願いいたします。

○加藤一億総活躍担当大臣 よろしくお願いします。

(塩崎厚生労働大臣、加藤一億総活躍担当大臣退室)

○河村人材サービス推進室長 大変恐縮ですが、報道陣の皆様方も公開はここまでとさせていただきますので退室をよろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○河村人材サービス推進室長 お待たせしました。続きまして本検討会における座長の選任に移りたいと思います。

 お手元の開催要綱の3にありますとおり、本検討会の座長は参集者の皆様の互選により選出をいただくことになっております。事前に事務局のほうで委員の皆様方にお伺いしたところ柳川先生が適任だというお声がありますけれども、委員の皆様、また柳川先生、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○河村人材サービス推進室長 ありがとうございます。

 それでは柳川先生、恐縮ですが前方の座長席のほうに御移動いただきまして、一言御挨拶をいただければと思います。

○柳川座長 それでは大変僭越ですけれども、皆さんから御推薦いただいたということで、この検討会の座長を務めさせていただきます柳川でございます。よろしくお願いいたします。

 大変カメラも多くあって注目度の高い検討会で、いろいろ皆さんにぜひ御協力を仰ぎながら、よい方向に進めていければと思います。

 今、両大臣からお話があったように、一億総活躍も実現できるような、明るい未来が実現できるような働き方改革をしていくというのが大きな政府の課題でございまして、それを全てここでできるわけは当然ないのですけれども、専門家集団とおっしゃっていただきましたけれども、皆さん、専門家の方々の知見をいただきながら、できるだけいい方向でまとめていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、ここからは私が司会ということで務めさせていたただきます。よろしくお願いいたします。

 まずは事務局のほうから、資料について説明をお願いいたします。

○河村人材サービス推進室長 ありがとうございます。

  それでは、お手元に資料3を出していただけますでしょうか。

 資料をおめくりいただきまして、まず2ページのところ、日本の現行制度、また運用、裁判例について、まず簡単に御説明をさせていただければと思います。

 資料の3ページ、まず同一労働同一賃金に関する現行制度について御説明を申し上げます。一番上の四角囲みですが、同一労働同一賃金というのは一般に同じ労働に対して同じ賃金を支払うべきという考え方を指しておりますけれども、同じ労働というところについてはさまざまな考えがあるというものでございます。

 日本における同一労働同一賃金に関する法制度の中心的な規定に関しては、この真ん中にあります2種類がございまして、まず右側に書かれている、いわゆる「均衡待遇」に関する規定と、あとは左の赤い枠の中のいわゆる「均等待遇」に関する規定がございます。この均衡と均等の関係ですけれども、3ページの一番下の、赤と青のグラデーションのところをごらんになっていただけますでしょうか。

 まずパートタイム労働者の方や有期契約の労働者の方の中には、左側の赤い矢印のところにあるとおり正社員の方と同じような方から、右側の青い矢印のところにあるような正社員の方と異なる方まで、いろいろなグラデーションの方がいらっしゃる。こういった「同じ」なのか「異なる」のかという観点については、この四角囲みの中の一番下の行ですけれども、職務内容、それから人材活用の仕組みと運用が同じなのか異なるのかという観点で見ている。

こういった、さまざまなグラデーションがある全ての方に対して、まず右側のいわゆる「均衡待遇」に関する規定が適用されているという整理でございます。この、さまざまな方のうち一番左側の際の、正社員の方とそっくり同じだという方に対して、この赤枠で囲わせていただいている「均等待遇」の規定が特にかかっているということになっております。まず右側の、いわゆる「均衡待遇」のところの御説明ですけれども、具体的に規定している根拠規定としてはパートタイム労働法の8条、それから労働契約法の20条がございます。

 次に対象労働者については、この「均衡」のほうは先ほど御説明したとおり全てのパートの方、有期の方にかかっている。さらにその下の禁止内容ですけれども、正社員の方との待遇の相違、待遇の違いについて、職務内容、職務内容には業務の内容に加えて責任の程度も含んでおりますが、これらの職務内容と人材活用の仕組み、運用等を考慮して、不合理であってはならないと。待遇の「違い」が、今申し上げた職務内容や人材活用の仕組みの「違い」に照らして一定の合理性がないといけないという考え方がこの「均衡待遇」でございます。

 さらにその下の運用の欄ですが、司法判断の根拠法規になり得るのですけれども、現行において行政指導の対象とはしておりません。

 続いてこの左側の「均等」のところの御説明です。「均等」に関して明示的に取り出して規定しているのは根拠規定としてパートタイム労働法の9条になります。対象労働者は、先ほど申し上げたとおり正社員の方と同じであるパートの方ということになります。禁止内容については、待遇について正社員の方と比べて差別的取り扱いをしてはならない。これは正社員の方よりも劣る取り扱いをしてはならないという意味になっております。さらに運用ですけれども、司法判断の根拠法規になり得るというところは先ほどと同じですが、行政指導に関してこちらの「均等」の規定のほうは行政指導対象にしているということになっております。

 以上が中心的な規定ですけれども、そのほかにも関連規定がございますので、ページをおめくりいただきまして4ページをお開きいただけますでしょうか。

 まず4ページのところ、パートタイム労働者関係のパート法の規定の整理をさせていただいております。今申し上げた均衡とか均等の規定の前に、一番上に労働条件の明示というところがございます。まず、労働条件の明示に関しては、特にパートの方なのか有期の方なのかにかかわらず、労働基準法の中で賃金に関しては文書による明示が義務づけられておりますけれども、労働基準法上の文書明示に加えて、この一番上の「・」のところですけれども、昇給の有無や退職手当の有無、それから賞与の有無等について、文書交付で雇い入れ時に明示をするというようになっております。

 それから「均衡」と「均等」は先ほど申し上げたとおりですけれども、中ほどに「【賃金】」という10条の規定を書かせていただいております。10条で、正社員の方との均衡を考慮しつつ、職務内容、能力、経験等を勘案して賃金決定をするという努力義務がかかっております。さらにその下、「【教育訓練】」と「【福利厚生】」のところですけれども、こちらに関しても一定の均等や均衡に関する配慮義務等がございます。さらに一番下の14条の、「【事業主が講ずる措置の内容等の説明】」の1つ目の「・」のところですけれども、雇い入れ後速やかに、今申し上げたような9条から12条までの規定について、短時間労働者の方に説明をする義務がかかっているということ。それから2つ目の「・」ですけれども、短時間労働者の方から求められた場合に今申し上げた10条の賃金決定の努力義務のところも含めて、考慮した事項について説明をするという義務がかかってございます。

 パートタイム労働者関係は以上でございます。

 続いて5ページのところですけれども、まず一番上のところに有期の方に関するルールとして、先ほど申し上げた均衡の規定、20条の規定を挙げさせていただいております。このほかに有期の方に関しては、このページの一番下のところですけれども、労働契約法の3条と4条のところで一定のルールを書いておりまして、まず4条のところについて、1つ目の「・」ですけれども、使用者は労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするという規定がございます。それから2つ目の「・」ですけれども、労働契約の内容について、できる限り書面で確認をするという規定がございます。

 パートタイム労働法とは規定の仕方、内容は違いますけれども、こういった一定の透明化・説明に関する法理念が入っております。

 それから中ほどに戻りまして緑のところ、派遣労働者に関する規定です。まず1点目に、派遣元に係る規定として、2つ目の「・」ですけれども、派遣先の労働者との均衡を考慮しつつ、さらに同じような業務の一般労働者の賃金水準、さらに派遣労働者の職務内容、成果、意欲、能力、経験等を勘案して賃金を決定するという配慮義務がかかってございます。

 さらにその1つ上ですけれども、こういった賃金決定の際に考慮した内容について、派遣労働者の方に説明をするという義務がかかってございます。

さらにその下ですけれども、派遣先に係る規定として、派遣労働者に関して教育訓練の実施や福利厚生施設の利用について、派遣先として配慮をするという義務がかかってございます。

 以上が同一労働同一賃金関係の規定の主な全体像になっております。

 続いて6ページをお開きいただければと思います。今御説明申し上げたような関係法令ですが、現在の状態になったのは実はかなり最近だということを、この6ページで整理させていただいております。一番左側のパート法のところですけれども、その一番上、平成19年に先ほど御説明申し上げた均等の規定が入っております。そのほかの説明義務についてこの平成19年の改正で入っております。その後、目を真ん中に移していただいて労働契約法のところですけれども、平成24年に契約法の中に均衡のほうの規定ができております。その均衡の規定をそのまま言ってみれば移植するような形で、もう一回左に戻っていただいてパート法の平成26年のところですけれども、8条の均衡の規定が入って、さらに雇い入れ時の事業主の説明義務等が規定され、これが施行されたのが昨年の4月でございます。

 さらに一番右側の派遣法のところです。派遣法は平成24年に派遣先との均衡を考慮しつつ一般の労働者の賃金水準や本人の意欲、能力、経験等を勘案して賃金決定するという、先ほど御説明申し上げた配慮義務について規定をしております。さらに昨年の平成27年の改正で、派遣元の説明義務等の規定がさらに加わっておりますので、現在の形になったのはごく最近だということでございます。

 続いて7ページ以降、お時間の都合もありますので少し省略させていただきますが、8ページのところの一番上、まずパート法の不合理性の判断のところです。不合理かどうかという判断については、これは個々の待遇ごと、例えば基本給だったら基本給、通勤手当だったら通勤手当で、個々の待遇ごとに判断するという解釈をとっております。このページの一番下の行政指導のところは先ほど御説明申し上げたとおりでございます。

 9ページは労働契約法です。9ページの真ん中のところに不合理性の判断の項目がございますが、ここも個々の労働条件ごとに判断をするということになっております。さらに契約法に関しては、とりわけ通勤手当、食堂の利用等について労働条件を相違させることは、その職務内容等を考慮して特段の理由がない限り合理的とは認められないという解釈を明示的に出しております。また、この9ページの中には明示的に書いてございませんけれども、労働契約法は民事法規であり、行政指導根拠についての規定がございませんので、契約法に関しては行政指導は行っておりません。

 続いて10ページのところの派遣法ですけれども、派遣法の下の点線の下のところをごらんになっていただければと思います。先ほど御説明申し上げたような配慮義務について、都道府県労働局で指導・助言等を行っております。

 資料説明の途中ですけれども、この後、川口先生が所用のため御退席されますので、一言いただければと思います。

○川口委員 済みません。7時から用事がありまして、そろそろ退席しなければいけないため、ここで一言発言させていただきます。

 同一労働同一賃金ということで、恐らく誰も反対する人がいない概念だと思うのですけれども、先ほど加藤大臣のほうからも、ヨーロッパの例を参考にという話があったと思います。こういう話、同一労働同一賃金の話をするときに、どうしても考えなければいけないと思うのは、ヨーロッパの労働市場と日本の労働市場の仕組みの違いだと思います。

 職務が日本に比べれば比較的明確に定義されていて、中央集権的に賃金が交渉されるような形で決まっている国々だと、同一労働をしているということが比較的明確に定義できるのではないかと思うのですけれども、日本型の労働市場というものを考えると、極めて分権的に賃金決定がされている。そういう労働市場において同一労働というものをどのように定義するのかというのは、かなり真剣に自分たちの問題として考えないと、実効性のある制度をつくることは難しいのかなと思っています。

 そのような同一労働をこちらの会議でいかに定義するのか。実際に操作可能な概念をつくり上げることができればいいのではないかと思っております。一方的に発言しておいて退席して申しわけありませんが、どうかよろしくお願いいたします。

○河村人材サービス推進室長 どうもありがとうございました。

(川口委員退室、中村委員入室)

○河村人材サービス推進室長 資料の御説明に戻らせていただきます。

 資料の11ページをお開きいただけますでしょうか。11ページはこれまでに日本の国内で雇用形態の違いの賃金格差について争われた裁判例についてまとめさせていただいております。結論的に申し上げますと、現行法の体系になってからの判決は一番最後のニヤクコーポレーション事件のみとなっておりまして、一番最初に挙げさせていただいている丸子警報器事件は、右側に書かせていただいておりますが、パートタイム労働法の8条、9条、それから契約法の20条の規定がいずれもない時代の判決でございます。これは同一労働のケースですので現在であればパート法の9条違反ということになりますけれども、それがなかった時代に、民法の公序良俗違反を使って、8割以下であれば許容される賃金格差の範囲を越えているという判示がなされたものでございます。

 さらにその下の日本郵便事件ですけれども、これは丸子警報器事件と逆の判決で、契約自由の範疇なので違法ではないという判示がなされたものですけれども、いずれも現行法がない時代でございます。

 さらに続いて12ページの上の京都市女性協会事件ですけれども、これはパート法の9条の均等の規定はあったのですが、このケースは同一価値労働が争われた事件でございますけれども、著しい賃金格差があれば公序良俗違反の可能性があるけれども、本件に関しては結論として救済が否定されたものでございます。

 そして一番下のニヤクコーポレーション事件に関してはパート法の9条を使って、正社員と同一のパート労働者のケースでしたので9条違反だという判示がなされた、現行法体系を使った唯一の判決でございます。

 確定しているのは以上でございまして、係争中のものが幾つかはありますけれども、日本の裁判例は非常に少ないという現状になっております。

 続いて13ページ、これは昨年の派遣法の成立と同時に成立した職務待遇確保法という、議員立法で出されたもので、通称「同一労働同一賃金法」と呼ばれておりますが、この中で本件に関して宿題事項がございます。真ん中の6条のところをごらんいただければと思います。赤字のところですけれども、正社員及び正社員以外の労働者の待遇に係る制度の共通化の推進が一つ、宿題事項としてございます。さらにその下ですけれども、派遣労働者の方について均等と均衡の待遇の実現を図るために、3年以内に法制上の措置を含む必要な措置を講ずるという宿題がございます。以上でございます。

 続いて14ページ以降は非正規の方の格差の現状の資料ですけれども、時間の都合がありますので少し省略させていただきます。冒頭のほうの資料は非正規雇用の方が全年齢層において経年的にふえてきたという資料でございます。

20ページをお開きいただければと思います。20ページは、諸外国の中でのフルタイムの方とパートタイムの方の賃金格差の現状です。イギリスやドイツ、フランスあたりが7〜9割ぐらいの水準なのに対して日本が56.8%という水準になっております。

 さらに22ページをお開きいただきまして、フルタイムの方とパートタイムの方の、先ほど見ていただいた賃金格差がここ30年でどのぐらい縮まっているかというものです。1985年で50.1%だったものが今は57.1%ですので緩やかに上昇していますけれども、ほぼ横ばいという状況にございます。

 さらに24ページをお開きいただければと思います。この賃金格差がどこで生じているかですけれども、この図は青い線が正社員、緑の線が契約社員、赤い線がパートです。まず、この左側の企業規模1,000人以上の場合を見ていただきますと、青線が年功とともにぐっと上がっていって、一方で契約社員の方やパートの方が年齢にかかわらずずっとフラットでございますので、ここの青と緑、赤の間の開きが賃金格差としてマクロであらわれている。これが右側の企業規模5〜9人になりますと、青い線自体が下に下がって非正規の方と近接している。このように、企業規模によってかなり賃金カーブの違いがあるのが現状でございます。これを25ページから28ページのところで、企業規模ごとに出させていただいております。

 続いて35ページをお開きいただければと思います。そもそも賃金テーブルがちゃんと明確に書面で定められているかという点ですけれども、企業規模が小さくなるにつれて賃金表がある企業の割合は低下しまして、100人を割るぐらいですと6割ちょっとという感じになっております。

 次の36ページは賃金表の適用状況として、真ん中がパートで右側が有期の方ですけれども、この緑のところが多くなっています。正社員とは違う賃金テーブルをパートや有期の方に設定しているというところが大勢になっております。

 続いて次の37ページが賃金を100としたときの構成比です。大体85%前後ぐらいが基本給で、その他の残りが諸手当という構成になっております。

 続いて41ページ以降、同一労働同一賃金の議論が今求められている社会背景を簡単に整理させていただいております。

42ページのところ、まず少子化対策の観点ですけれども、左側の紫のところが将来人口推計の日本の姿で非常に低い出生率であるわけですが、実際には下のピンクのところで国民の希望としては皆が結婚をある程度したいと思っているし子供も持ちたいと思っている。この間の乖離を生み出している要因として、この右側の赤字のところですけれども、まず結婚において、非正規の男性の経済的基盤が弱いためになかなか結婚ができないという問題が以前よりずっと指摘されているところでございます。

 その関係をデータで補強しているのが次の43ページでございます。

 さらに4446ページは貧困や格差の観点から、日本の貧困率、特にひとり親の方の貧困率が諸外国の中でも突出して高く、しかも働いているにもかかわらず非正規で賃金が低いという現状を示している資料でございます。

 さらに違う観点で47ページですけれども、労働生産性の観点からの資料を幾つかお出ししております。今後、日本経済の成長を労働力人口の減少の中で達成していくためには、労働生産性の向上が不可欠であるわけです。この47ページの下にありますように日本は生産性が諸外国に比べて低いわけですが、低いなりに伸びている。ただ、その生産性の伸びに対して雇用者報酬の伸びが諸外国に比べて追いついていないということでございます。

 さらにその次の48ページですけれども、労働分配率で見たときに、この右側の上ですが、資本金規模10億円以上の大企業になると経年で見て低下傾向にある。より規模の小さい企業が下側に2つございますけれども、こちらは下がる傾向にはないという資料でございます。

 さらに49ページのところ、生産性の観点から、教育訓練に熱心に取り組んでいる企業のほうが生産性の自認も高く、売上の推移としても増加している傾向にあるということです。

 そして最後に50ページ、格差が経済成長に与えている影響について、OECDのレポートでジニ係数の拡大とGDP成長率の相関を見たレポートがございますが、やはり格差の拡大は中長期的な経済成長を相当程度押し下げるという効果が示唆されております。

 以上、御参考でございます。ありがとうございます。

○柳川座長 それでは、ただいまの御説明を踏まえまして御意見を伺いたいと思いますけれども、本日はかなり時間が限られていまして、大変恐縮ですけれどもお一人3分程度で御意見を順番にお伺いできればと思います。

 名簿順ということで神吉委員、お願いいたします。

○神吉委員 神吉でございます。私からは今の御説明を踏まえて、海外の法制度との比較など今後の検討に関して思うところを2点、申し上げます。

 1点目は、同一労働同一賃金原則の位置づけについてです。同一労働同一賃金原則は事務局からの御説明にあったとおり、本来は男女平等などに用いられてきた原則です。これを正規・非正規間の格差是正に応用する際には、格差の持つ性質の違いに留意する必要があると思います。

 まず性別という変えることのできない属性、かつ仕事と無関係な基準で賃金を決めてはならないという原則は、人権保障のための差別禁止です。この場合、性別による不利な取り扱いはもちろん、有利な取り扱いも原則禁止されます。それは他の性別に対する逆差別となるからです。このように有利にも不利にも異なる取り扱いを禁じるからこそ、同一賃金という帰結になります。

 これに対して正規・非正規という違いは生来の属性でもなく、提供する労働自体に着目した区別になります。そのため、差別禁止原則は本来なじみません。実際に今、正規・非正規間に同一賃金原則を適用すべきとの主張の多くは、正規と非正規が全く同じ賃金となることまでを求めるものではありません。不安定な非正規の賃金に、例えば有期プレミアムといった有利な取り扱いがされることは許容されるわけです。またパート法8条は、先ほどの御説明にもあったとおり、違いがあることを前提として合理的な差異は認める趣旨です。つまりこの文脈で想定されているのは差別禁止ではなく、違いに応じて不合理な不利益取り扱いのみを禁止する政策的な配慮という位置づけになります。これは本来的な同一賃金原則とは異なる幅をもつ概念ですので、今後の検討で注意を要するポイントだと考えます。

 2点目は川口先生の御指摘とも関連しますが、諸外国との賃金決定方法の違いと、そこからくる合理性判断の幅についてです。正規・非正規間の格差是正には、合理的かどうかという、ある程度の幅を持った判断が必要になってきます。これから作成するガイドラインは、この幅における一定の目安を示すものと言えます。フランスやドイツでは産業横断的、いわゆる中央集権的に職種別賃金が決まっているので、この幅がもともと小さいと言えますが、日本では職種による賃金の相場が形成されていません。逆にむしろ戦後の日本では、職務給とは全く逆の発想で、家族を養える賃金というものを主に労働側が求めて、各企業の中で生活給の体系が確立されてきた経緯があります。賃金決定だけではなく、労働組合も多くは企業別組合です。そのため合理性の判断は、企業ごとに判断せざるを得ず、個別性の高いものとならざるを得ません。ガイドラインを示しても、必ずグレーゾーンが残ります。最終的には裁判所でしか決着がつかないというリスクを、もし個々の労働者が負うのであれば、結局、今の状態と大きく変わらないのではないでしょうか。

 ただ非正規労働者が4割を占める中で、従来の賃金体系の合理性を問い直す契機が必要とされています。そのような中で働く人が納得し、紛争が生じないようにするためには、企業が賃金のあり方について積極的に情報開示して透明性を高めること、これが不可欠なのではないかと思います。他方で労働組合にも、既得権の維持にこだわらず公平な賃金決定にくみしていくという覚悟が必要となるでしょう。

 諸外国の格差是正の取り組みを見ると、多大な労力をかけて関与する労使の存在が不可欠となっています。日本でもそのような取り組みを後押しする法制度が求められていると、私は思います。以上です。

○柳川座長 ありがとうございます。

 それでは続いて中村委員、お願いいたします。御到着されましたのでよろしくお願いいたします。

○中村委員 中村でございます。

 私からは3点ございます。1つは同一労働同一賃金における基準づくりの観点です。賃金を決定する大きなものに入職タイミングがありますが、入職時の市場価格の反映という論点が、現時点では見受けられません。資料では採用の緊急性や地域の相場といったものが取り上げられているものの、現実には、雇用環境が悪いときであれば賃金が抑制される方向で、雇用環境がいいときであれば賃金が上昇する方向で人材獲得がなされている、もしくは手当の調整がなされていますので、市場価格というものをこの議論の中でどのように捉えていくのかという論点はあるように思います。

 今のこととも重なるのですけれども、あわせて2点目として、基準づくりのところに議論が集中しているのですが、入職時、契約の更新時、そして昇給という3つの賃金決定タイミングにどのような対応がとり得るのかという観点です。とりわけ正社員の年功賃金と非正社員の待遇差においては、トータルの勤続期間に対して契約更新時など、都度での昇給がないことが待遇差を生み出していますので、そのあたりについてはもう一段踏み込んだ議論があるべきではないかと考えます。

 そして3点目として、同一労働同一賃金が社会から広く期待されている中で、そのことの現実性をどのように担保していくのかという観点です。紛争、裁判によって解決できるのは一部で、規則の決定、認知、規範づくり、その3つがそろって制度は普及していきます。同一労働同一賃金を社会に組み込んで行くには、法改正もしくはガイドラインの策定という規則そのものを決めるという話とあわせて、この問題に対して、個人の認知をどのように広げていくのか、使用者の規範をどのように広げていくのかという論点もあると考えています。

 私からは以上です。

○柳川座長 どうもありがとうございます。

 それでは松浦委員、お願いいたします。

○松浦委員 ニッセイ基礎研究所の松浦と申します。よろしくお願いいたします。

 最初ですので、私からは少し大きなお話をさせていただきたいと思うのですけれども、この同一労働同一賃金の実現に向けた検討会は、先ほど両大臣からもお話がありましたように、非正規雇用で働く方々の処遇の改善が第一義的な目的であるということを、まず確認をしておきたいところです。

 といいますのも、これまでのお話の中でも幾つか論点が出されましたように、日本における同一労働同一賃金の議論は難しい、ということをわかった上で、恐らくこの検討会で挑戦的な議論をしようということだと思うのですが、難しいがゆえに意思決定に迷う局面が必ず出てくるのではないかと思っています。そういう時に立ち戻れるように、最終的にこの検討会の目的をどこに置くのかということを、最初の段階である程度議論しておきたいというのが、まず私の1つ目の意見です。

 次に、この検討会によるガイドラインのようなものが、企業や働く人々にとってどういう位置づけのものになるのかということも、大切な論点だと思っています。

 先ほど厚生労働省からの御説明のとおり、現在いろいろな法律で、均衡待遇、不合理な労働条件の禁止といったことが定められているわけですが、例えば不合理な労働条件が禁止されている労働契約法は純粋な民事法で、最終的な判断は判例に委ねざるを得ないということです。

 この検討会でガイドラインを出したとしても、民事法である労働契約法のもとでは、結局、裁判にならないとわからないということでは十分ではないと思いますので、このような法律との関係においてガイドラインをどう位置づけるかということについても、これは最初に議論する必要はないのかもしれませんが、おいおい整理していく必要があるのではないかと思っております。

 3つ目としては議論の対象をどこに置くかということです。日本では、雇用形態の格差はもちろん非常に大きいのですが、企業規模間の格差も非常に大きくなっています。議論の対象を、同じ雇用主の中での同一労働同一賃金のあり方とするのかどうかについては、最初の段階である程度固めたいと思います。

 最後に、これはもう感想に近いのですけれども、正規雇用か非正規雇用かに限らず、賃金の差に対して納得できない思いを持つケースは多々あり、それぞれの人たちの納得性を高めるために試行錯誤しながらつくられてきたのが賃金制度だと思います。ただその賃金制度が、残念なことに現状においては、それぞれの納得性を十分高められていないということが非常に大きな問題なのだと、人事管理の研究者としての立場からは考えております。以上です。

○柳川座長 ありがとうございます。

 御質問に近いものも出ていたかと思いますけれども、まとめて御意見を伺ってから、また事務局のほうでお答えできるものはお答えいただこうと思います。

 それでは水町委員、ネット中継で恐縮ですけれどもお願いいたします。

○水町委員 はい、おはようございます。

 フランスは今、朝10時を過ぎたところで少し眠いのですけれども、少しお話しさせていただきます。

 一番大きく申し上げたいことは、これまでの議論の中でもありましたように、ステレオタイプな議論をしないでもう少し丁寧な議論をしたほうがいいのではないかと思います。2点だけお話しします。

 きょう、事務局からの説明の中で、特に資料の3ページ以降、パートタイム労働法9条やパートタイム労働法8条、労働契約法20条で、均等と均衡という話がありましたが、やや誤解を生むような説明があったように思います。パートタイム労働法9条は、いわゆる均等に関する規定というところは間違いないのですが、パートタイム労働法8条や労働契約法20条というのは単なる均衡待遇に関する規定ではなくて個別の労働条件や個別の待遇ごとに、もう少し丁寧に議論をして、ある待遇については均等待遇が当てはまるし、ある待遇については均衡待遇が当てはまる、より広い概念を採用したものだという理解が学説の多くで共通していますし、労働契約法20条の国会の議論を踏まえてみてもそのように理解されるのではないかと思います。

 ですから、均等ではなくて均衡の話なのかというステレオタイプではなくて、もう少し個別の給付ごとに丁寧に、現行法のあり方も分析したほうがいいと思いますし、これからもし法律改正をするということであれば、そういうところの議論も整理して進めていったほうがいいと思います。

 同一労働同一賃金とこの均等・均衡がどのようにかかわるかというところの説明が、必ずしもこれまで十分になされてきていませんが、ここで一つだけ申し上げると、同一労働同一賃金という問題については、ここで言う均等と均衡の両方にまたがる問題であって、こういう場合には同一労働同一賃金は均等の問題になるし、こういう場合には均衡の問題になるというような議論をこれからしていくべきだと思います。これが一点。

 もう一つ、諸外国と日本との関係ですが、先ほど神吉先生のほうから性差別の問題と雇用形態による待遇の違いでは、そもそも出どころが違うし議論もやや違うという話がありましたし、さらにその前には、ヨーロッパでは職務給が中心で、日本は必ずしも職務に依拠していない職能給が中心だということで、賃金制度、社会背景が大きく違うので、日本で同一労働同一賃金を議論するときには注意が必要だというような話がありましたが、これもちょっとステレオタイプで、例えば今のヨーロッパの最先端の議論でいけば、性差別の中で使われていた同一労働同一賃金の議論が雇用形態の待遇の違いにどのように及ぼされてどのような運用・解釈がなされるかという議論がなされていますし、ヨーロッパでも最近は単純な職務給ではなくなってきていて、ヨーロッパの賃金制度についても最近、キャリア形成をどう考慮するかとか勤続をどのように評価するかという、賃金制度の新しい動きの中で同一労働同一賃金をめぐる議論がいろいろな形で発展しております。そういうヨーロッパの最先端の動きや、特に1980年代以降の30年間にかけて蓄積してきたこの法的な議論を踏まえて、やや丁寧な議論をしていった上で、日本にどのような議論として、問題の分析のための素材を提供できるかということに留意しながら、これから検討を進めさせていただければと思います。

 私からは以上です。

○柳川座長 朝早くからどうもありがとうございました。

 引き続き参加していただければと思います。

 それでは私からも簡単に意見を申し上げさせていただきます。

 いわゆる働き方改革全般というのは非常に大きな課題で、先ほど大臣からのお話にもあったように、アベノミクスのこれから3年の大きな課題ということで、非常に考えていかなければいけないポイントはあるのですけれども、もちろんこの検討会の場でその全てをやるわけにはいかないので、何らかの形でフォーカスは絞っていかなければいけないだろうと思います。

 そのフォーカスのポイントが「同一労働同一賃金の実現に向けた」という検討会のタイトルでございまして、資料1にある開催趣旨に基づいて、ここでこの検討をするということであります。ですから、先ほど御意見、御質問がありましたけれども、私の理解は単純に非正規の賃金をどこまで上げられるかという議論ではないと理解しておりますけれども、ただしそこの部分が今、ある程度問題になっているので、そこにある程度フォーカスするということにはなるのだろうと思います。

 ですから、この検討事項のところにあるように、ガイドラインの策定、必要な法的見直し等に向けた考え方の整理というところで、皆さんの御知見を踏まえながら整理をしていくということで、幾つか今、論点が出ましたけれども、同一労働とはそもそも何を指すのか。ここにはある程度合理的な幅はあるはずだし、当然、グレーゾーンは残ってしまうだろうという話とか、いわゆる日本的な仕組みの中でどのようなものを入れていけるか。あるいは市場価格のようなものをどこまでこういうものに入れていくのかなど、幾つかの論点がもう既に出ていると思いますので、水町先生のお話のように、少し丁寧な議論をしながら、ガイドラインの策定に向けた議論をある程度しっかり、それぞれの専門家の方々に御意見を出していただければいいのではないかと思っています。

 ただ、そのときに、そういう議論は一方でしていくのですけれども、やはり大きな方向性、働き方改革の大きな方向性に対して逆流するような話になってはいけないのかなと思っていまして、その点で私がポイントだと思っているのは2点あります。

 1つは、やはりこの話は本質的にはもっと全体のパイを大きくしていく話に持っていくべきだと思っているということです。狭い小さなパイの中で、それを取り合うという話になると、なかなか政治的にも難しいですし、経済全体としても余りプラスではないだろうと思います。だからどっちの賃金が上がったとか下がったとか、そういう話も大事ですけれども、それだけに終わってしまうと、結局、小さなパイを奪い合うことになってしまうので、本質的にはパイを大きくする、直近の話としては労働生産を上げていって、みんなができるだけ稼げるようになって、その結果として両方、それぞれの賃金が上がってくるということが理想なので、できるだけ労働生産性を高める方向で考えていくということが1点、重要なところだと思っています。

 2点目は、やはり日本的な雇用の実態や雇用慣行をきちんと踏まえながら、ガイドラインなどさまざまなものを考えていかなければいけないのですけれども、やはりこの日本的雇用システム、日本的雇用慣行というものを固定的に考えてはいけないだろうということです。先ほど、冒頭の大臣のお話にありましたように、今はAIやロボットなど、いろいろなものが出てきて、世の中が随分変わりつつあるというのは明らかにわかっていることで、日本の企業の働き方、あるいは稼ぎ方といったことも大きく変わってこざるを得ないし、個々の労働者あるいは従業員に求められる能力や働き方も当然変わってくる可能性があると思います。当然それを全て織り込んで何か未来予測をしてやるということは難しいわけですけれども、ただ、やはり我々のスタンスとしては、現状の仕組みや慣行を固定化させるような、あるいはそれを全く前提にして初めて成り立つようなガイドラインのつくり方、あるいは川口先生の言葉で言うと操作性の選択のようなことはやはり避けないといけないだろうと思っています。

 具体的にどうしたらいいかというのは皆さんの御意見を伺いながら、もちろん議論が進んでいく中で考えていきたいと思いますけれども、今のところはそういうポイントを重視したいと思っております。

 もう既に6時半ですけれども、ほかに何か追加で御意見をぜひというようなことがありましたら。

 どうぞ。

○岡崎厚生労働審議官 幾つか、この検討会の射程というかそういう御意見もあったので、お願いした立場から少しお話をしておきたいと思います。

 これについては両大臣からもありましたように、一億総活躍という中で、これまでヨーロッパは職務給で日本は職能給だから無理ですねと言っていたのを、そうではないだろうと。難しいことはわかるけれども、やはり踏み込んでちゃんとやるのだという総理の意向を受けているということでありますので、そこのところはヨーロッパがこうだからということではなくて、水町先生からもありましたけれども、実態をちゃんと見て、何が適用できるか。もちろん日本の制度が違うことは違うのですが、違いますよねではなくて、どうやったらできるかということを前向きに検討していただきたいというのが一つ。

 それからもう一つは、確かに規模感の問題や賃金水準そのものの話、それから納得性など、賃金にかかわっていろいろな話がありますけれども、そこは余り拡散すると結果が出ていかないだろうと。もちろん規模感で違うとかいろいろな部分はあるのですが、私どもとしては当面は日本の賃金の決め方の中で、やはり企業の中で正規・非正規に差があるというところを、ある程度基本に置きながらやっていただくほうがいいかなと。何でもかんでも議論されてまとまらないと非常に困るということもありますので、そこはお願いしたい。

 それから現行の法制度の説明もしましたけれども、最初の段階ではむしろ現実的に正規・非正規を念頭に置きながら、どういう部分がよくてどういう部分が悪いか。まずは考え方をきちんと実態に応じて、専門的な立場から実態に応じた検討をしていただいて、それを踏まえながら、ではガイドラインをどうするかとか、それだったら法律はどうすべきかと。ここの検討事項にありますけれども、やはり(1)(2)にあるところをきちんと整理していただいた上で、ではどうするかというので(4)に入っていくというようなことで進めていただければ非常にありがたいと思っています。

 その辺、いろいろな御意見がありましたので、最初の段階で少しお願いしておきたいと思います。

○新原一億総活躍推進室次長 今の岡崎さんのお話を受けて。共同事務局であります一億総活躍室の次長をしています新原でございます。

 今、審議官が言われたとおりですが、細かいところで幾つか御質問があったので、ここで経緯だけ、お答えできるところをお答えしておこうと思います。

 まず、目的は格差の是正であるのかということがありました。これは柳川先生が言われたように、そこだけにフォーカスしているわけではないのですが、ただ、直接この議論が出てきた背景として、ヨーロッパの、例えばフルタイム労働者とパートタイム労働者の賃金水準を見てみたときに、ドイツでは8割ぐらい、フランスでは9割ぐらい。それに対して日本では5割5分ぐらいである。その差が余りにもあり過ぎるのではないかと。そういうところにちょっと問題があるのではないかというようなところも含めての議論なのですが、そこが、この議論が出てきたときの出発点であったのは事実でございます。

 それから2つ目。ガイドラインの位置づけについて、どういう議論があったのかという議論がありました。これは今、事務局から御説明したように、いわゆる均衡の条文というのは平成25年とか平成27年に施行されているのです。ということは、まだ1〜2年しかたっていないということもあります。これから新しい立法をしていくということを考えた場合でも、とにかくヨーロッパとは明らかに歴史が違うわけで、判例がない以上、当面は行政が実例を示していくということが有意義なのではないか、混乱させないためにもその必要があるのではないかというところから、このガイドラインというアイデアが国民会議のほうで出てきたということであります。

 もちろん微妙なところについては裁判で明らかにしていかざるを得ないのですが、明らかに不合理な取り扱いの場合、あるいは明らかに望ましい取り扱いの場合、そういうところからは整理ができるのではないかと。それを示してあげることによって、企業も混乱なく適応できるのではないかという議論があったということでございます。それがガイドラインの議論であります。

 それから議論の対象について議論がありました。これも今、岡崎厚労審議官が説明されたとおりですが、例えば言われたとおり大企業と中小企業の格差というのは確かにあります。これは別途、経済財政諮問会議を初め幾つか、党の研究会などでも中小企業に対する対応というところは別途議論がされておりまして、ここで議論しようと思っているのは、基本的には同じ雇用主のうちでの格差の議論ということになります。もちろん派遣の場合には派遣先になるわけですけれども、同じ雇用主の中での議論ということになるだろうと思っております。

 それから日本的雇用慣行を固定的に考えてはいけないというのはおっしゃるとおりで、これを議論していくと経済界の議論などいろいろ入ってくると思うのですが、終身雇用・年功序列なのでなかなかできないという議論がお耳に入ると思います。しかし、我々が国民会議の中で議論をしているときは、4割は非正規労働者ですよねと。一体どれくらいが本当に在来の終身雇用・年功序列なのでしょうかというところは真剣に向き合っていかなければいけないだろうと思っております。

 それから最後、欧州との比較で男女との関係という議論がございました。これはおっしゃるとおりで男女からきているのですが、ただ、我々がここで議論しようとしているのは、パートタイムであればEUパートタイム労働指令、有期契約であれば有期労働指令、あるいは派遣であればEU派遣労働指令。ヨーロッパ各国にもこういうパートタイム法や有期契約労働法などがありますけれども、そういうものとの関係で、日本にそれがどの程度適用できるのか。あるいは、それがどう運用されているのかというところにある程度絞っての議論ということになっていると思います。

 以上、経過だけ御説明させていただきました。

○柳川座長 どうぞ、松浦委員。

○松浦委員 一点だけ確認です。同じ雇用主の中での御議論ということでよろしいのであれば、派遣の場合は雇用主が派遣元で、請負の場合も雇用主は請負事業主になると思うのですけれども、そこを確認させてください。

○新原一億総活躍推進室次長 今、派遣についてはあるのですがと申し上げましたけれども、派遣についてはもちろん派遣先で、例えばトヨタに派遣されている場合、トヨタのそこで働いている従業員とリクルートから派遣されているリクルートの社員の間の関係ということになります。

○松浦委員 ということになると別の雇用主になりますが、それでよろしいのですか。

○新原一億総活躍推進室次長 それはそういう理解です。

○岡崎厚生労働審議官 要するに同じところで働いている。一般に直接雇用であれば「同じところ」というのは同じ会社の社員であって、パートであれ正社員であれ同じ。ただ、派遣の場合には違うところから派遣されていますが同じところで働いている、そこが違っていいのかどうかという議論がありますので、派遣の場合には同じ職場という意味で同じだと我々は思っていて、そこが派遣法の中でも、派遣先の社員と違うではないかというのが派遣法の議論の中でもあったと。だから、そういう意味で今、新原次長からもあったように、派遣の場合、雇い主は違いますけれども働いている場は同じだということで御議論いただくのかなと思っています。

○松浦委員 なるほど。ということは、恐らく派遣先の事業主と派遣元の事業主というのは規模間格差と同じ問題があって、例えば派遣元の事業主が小規模の企業であるという場合もあるわけですけれども、そこは踏み越えて、派遣先との格差についても御議論されるという、そういう理解でよろしいですね。

○岡崎厚生労働審議官 はい。

○松浦委員 わかりました。

○柳川座長 いろいろ御議論はあろうかと思います。これは難しくて、結局、どこだけ切り取ってという議論はなかなかできなくて、働き方というのは全てつながっているので、なかなかどこかだけ切り取ってというのは難しい。恐らくここの議論の場では、多少いろいろなことを考えながら、いろいろ周りのことを少し広めに議論しながらやってもいいのだろうとは思います。ただ、我々に委託されているのは、今、お二人からお話があったようなところで何か成果を出してほしいというのが我々に課されているミッションでございますので、そこに対して何らかのきちんとしたメッセージを委員会として出していくということだろうと思います。ですから、議論の対象と成果の対象とは多少ずれてくることはあるだろうと思います。おいおい、この辺まではどうするかというような話は最後の最後にいろいろ出てくると思いますけれども、そこはまた議論しながら検討したいと思います。

 まだ御議論があろうかとは思いますが、きょうは時間が限られておりますので、ここまでにさせていただきまして、事務局のほうから次回以降の進め方について御説明をお願いいたします。

○河村人材サービス推進室長 次回は4月の前半の間に1回、EU諸国における制度の現状と裁判例を含む運用状況、それから日本とEU諸国の雇用慣行の違い等を中心に御議論をいただこうと思っております。具体的な日程については追って御連絡をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○柳川座長 ありがとうございました。

 それでは、これをもちまして本日の検討会を終了いたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

 水町先生もフランスからありがとうございました。

○水町委員 ありがとうございました。

○柳川座長 またよろしくお願いします。


(了)

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