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2016年1月29日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課

○日時

平成28年1月29日(金) 15:00~18:00


○場所

中央合同庁舎第7号館 西館9階 共用2会議室
(東京都千代田区霞が関3丁目2番1号)


○出席者

委員

若林部会長 穐山委員 井手委員 井部委員
鎌田委員 杉本委員 戸塚委員 中島委員
二村委員 由田委員

事務局

山本基準審査課長 黒羽補佐 竹内補佐
池上技官 田中技官

○議題

(1) 過酢酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸及びオクタン酸の新規指定並びにこれらを含有する製剤に係る規格基準の設定等について
(2) 次亜臭素酸水の新規指定の可否等について
(3) 亜塩素酸ナトリウムの規格基準改正について
(4) その他

○議事

○事務局 それでは、先生方、皆様おそろいになりましたので「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会」を開催させていただきます。

 本日は、御多忙のところを御参集いただき、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、初めに、本日の委員の皆様の出席状況を御報告いたします。

 本日は、石見委員、小川委員、吉成委員より御欠席の旨、連絡を頂いております。

 現時点で添加物部会委員13名中10名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。

 それでは、議事の進行を若林部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○若林部会長 分かりました。それでは、始めたいと思います。

 まず、最初に配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、資料一覧、委員名簿、座席表に続きまして、過酢酸製剤の指定等に係る資料といたしまして、資料1-1から資料1-4。

 次亜臭素酸水の指定等に係る資料としまして、資料2-1から資料2-3。

 亜塩素酸ナトリウムの使用基準の改正に関する資料としまして、資料3-1から資料3-3。

 あと、机上配付資料といたしまして、過酢酸の前回御審議いただいた資料を参考資料1として、亜塩素酸ナトリウムの御審議いただいた資料を参考資料2として添付させていただいております。

 本日、お配りしております資料は、以上となります。

 不足や落丁等ございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、お願いいたします。

○若林部会長 資料の不足等はございませんか、大丈夫ですね。

 それでは、事務局から本日の部会の審議品目に関する利益相反の確認結果について報告をお願いいたします。

○事務局 本日の部会におきましては、審議対象の過酢酸等、次亜臭素酸水、亜塩素酸ナトリウムが利益相反確認対象品目となっております。当該品目におきまして、本日の部会において退室の必要な委員又は議決には参加できない委員がいないことを確認しております。

○若林部会長 よろしいですか。

 それでは、審議に入りたいと思います。

 議題の1です。過酢酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸及びオクタン酸の新規指定の可否等について審議を行いたいと思います。

 事務局から説明をお願いします。

○事務局 それでは、御説明させていただきます。

 まず、お手元の資料1-4を御用意いただきたいと思います。

 今回御審議いただく過酢酸製剤等につきましては、昨年の6月に御審議いただいたということでございまして、その経緯について、最初に御説明させていただきたいと思います。

 過酢酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、オクタン酸の食品添加物の指定及びこれらを含有する製剤に係る規格基準の設定等につきましては、過酢酸製剤の対象食品を食肉、果実及び野菜とし、その使用量を過酢酸として浸漬液又は噴霧液1kgにつき、80220ppmにする等として、事業者から指定等の要請がございました。

 当該要請につきましては、平成27年6月19日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会及び同年9月29日に開催されました薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会におきまして、御審議をいただきまして、当該指定等が了承されたというところでございます。

 御了承いただきましたことを受けまして、パブリックコメント等の所要の手続を進めておりましたところ、平成2712月1日付けで、当初の要請者とは異なる要請者から、食肉に対する使用量を過酢酸として浸漬液又は噴霧液1kgにつき、1,8002,000ppmにする等の指定等の要請がございました。

 新たな要請者からのものと、当初の要請者からの使用基準案につきましては、裏面にございます、別添を御参照いただければと思います。

 今般、新たな使用基準案に基づく食品健康影響評価が平成271222日付けで厚生労働省宛て、通知されましたことを受けまして、本部会において改めて御審議いただくということでございます。

○若林部会長 ちょっと待ってください。この経緯は、皆さん、御理解できますでしょうか。これを理解していただくと、その後が非常にスムーズにいきますので。

 では、次の説明をお願いします。

○事務局 それでは、御説明させていただきます。

 お手元に資料1-2を御用意ください。

 前回御審議いただいた際のものから、変更のございました箇所につきまして、下線をつけさせていただいておりますので、その下線の内容を中心に御説明させていただきたいと思います。

 まず、品目名、構造式並びに分子式及び分子量、また、用途というところにつきましては、前回御審議いただいた内容から変更はございません。

 用途といたしましては、殺菌料ということでございます。

 3ページの「4.概要及び諸外国での使用状況」というところでございます。

 まず、1点目「(1)概要」ということでございまして、過酢酸及び過酢酸製剤というところでございますけれども、先ほど、御説明させていただきましたとおり、当初の要請者においては、過酢酸製剤の使用基準について、食肉に対する過酢酸の使用量を浸漬液又は噴霧液1kgにつきまして、0.220g以下、HEDPの使用量を浸漬液又は噴霧液1kgにつきまして、0.013g以下として要請がなされておりましたが、当初の要請者とは異なる要請者から、後述する米国のFCN制度に基づきまして、食鳥肉に対する過酢酸の使用量を浸漬液又は噴霧液1kgにつき2.0g以下、HEDPの使用量を浸漬液又は噴霧液1kgにつき0.136g以下、食鳥肉を除く食肉に対する過酢酸の使用量を浸漬液又は噴霧液1kgにつきまして、1.8g以下、HEDPの使用量を浸漬液又は噴霧液1kgにつき、0.024g以下とする要請がなされたというものでございます。

 4ページ、「(2)諸外国での使用状況」というところに移らせていただきます。

 過酢酸及び過酢酸製剤につきましては、個別製品ごとに米国食品医薬品局、FDAの届出評価を経た上で、使用が認められる制度、先ほど申し上げましたFCN制度に基づきまして、その使用基準に適合しない製剤であっても、複数の製品の使用が認められているということでございまして、平成28年1月現在、食鳥肉及び食鳥肉を除く食肉でございますけれども、その過酢酸の最大適用濃度というものは、それぞれ2,000ppm1,800ppmということでございます。

 引き続きまして「5.食品添加物としての有効性」のところに移らせていただきます。

 「(1)過酢酸製剤」というところでございますけれども、過酢酸製剤の4種類の殺菌溶液に関する殺菌効果の概要については、表I-1、それぞれの溶液の組成を表I-2、殺菌効果の詳細を表I-3から表I-8に示させていただいております。

 また、そのほかに、上記以外の殺菌効果に関するデータが、表I-10から表I-14に示されております。

 なお、米国に市販されている果物と野菜の殺菌料の長所と短所をまとめたものを表I-15に示させていただいております。

 今回の指定等に当たりまして、新たに提出されましたデータである表I-10から表I-14に関しまして、御説明させていただきます。

11ページを御覧ください。

 6月に御審議いただいた使用基準の際には、過酢酸を使用した際には、10の1乗程度の減少量ということでございましたが、今般、2,000ppmまでの使用基準で使用させていただきますと、10の2乗程度の対数減少数になっております。

 引き続きまして、15ページにお移りいただきまして、「6.食品安全委員会における評価結果」というところでございます。

 この点につきましては、安全性の評価に関しましては、前回、御審議いただいた際からの変更というのはございませんので、割愛させていただきたく存じます。

 引き続きまして、20ページ「7.摂取量の推計」というところでございます。

 まず、1点目、「(1)過酢酸、過オクタン酸、過酸化水素」というところでございます。「2 我が国における摂取量」というところでございますけれども、牛肉及び鶏肉における残留試験におきましては、過酢酸及び過酸化水素の残留量が、それぞれ最大でも0.24ppm又は0.09ppmということでございまして、6月に御審議いただいた際に用いました残留量0.25mg/kgを下回っているということでございますので、当該残留試験結果を摂取量推計に用いる必要はないということでございます。

 そのため、推定一日摂取量といいますのが、0.105mg//日(0.0019mg/kg体重/日)と判断されております。

 引き続きまして、「(2)HEDP」につきまして、御説明させていただきます。

22ページの下を御覧ください。「2 我が国における摂取量」ということでございますけれども、JECFAによる過酢酸製剤由来のHEDPの一日摂取量の高めの推定におきまして、HEDP13ppm含む過酢酸製剤を用いた場合のHEDPの残留量というものは、野菜及び果実で202.4μg/kg、食肉で68μg/kg、家禽肉及び家禽肉内臓で198μg/kgとされております。

 また、一定濃度のHEDPを含む過酢酸製剤を用いて食肉を処理した後に、食肉中に残存するHEDP濃度を分析したところ、過酢酸製剤中のHEDP濃度と、食肉中のHEDP濃度には直線関係があるということが分かってございまして、その結果、使用基準案の上限であるHEDP濃度を含む過酢酸製剤を用いた場合のHEDPの残存量を食肉で125.5μg/kg、家禽肉及び家禽肉内臓で2,071.4μg/kgと推定されてございます。

 これらを踏まえまして、要請者は、推定一日摂取量を0.0024mg/kg体重/日程度と推定しております。

 よって食品安全委員会におきまして、添加物HEDPの推定一日摂取量は0.0024mg/kg 体重/日で上方修正されております。

 引き続きまして、「(3)オクタン酸」というところでございます。

24ページの一番下から御覧ください。

2015年6月に御審議いただいた際の摂取量ということでございまして、JECFAによる過酢酸製剤由来のオクタン酸の一日摂取量に基づきまして、既に添加物として摂取されている量の1.21mg//日を加算いたしまして、添加物製剤「過酢酸製剤」由来の添加物「オクタン酸」及び既に指定されているほかの添加物由来のオクタン酸の推定一日摂取量の合計を約3.11mg//日と算出されております。

 今回の使用基準改正案を踏まえました摂取量というところにございますけれども、食肉におきましては、オクタン酸は、HEDPと同様に残留すると考えられており、米国で使用されている過酢酸製剤中のオクタン酸濃度の最大値及びHEDPの残存量の推定というものを基にしまして、過酢酸製剤を用いた場合のオクタン酸の残存量を食肉で2.79mg/kg、家禽肉及び家禽肉内臓で8.12mg/kgと推定されてございます。

 これらを踏まえまして、要請者は、一日摂取量を0.35mg//日と推定いたしまして、先ほど御説明させていただいた3.11mg//日を加算いたしまして、添加物製剤「過酢酸製剤」由来の添加物「オクタン酸」及び既に指定されているほかの添加物由来のオクタン酸の推定一日摂取量の合計を3.46mg//日と算出されてございます。

 以上より、食品安全委員会といたしまして、添加物由来のオクタン酸の推定一日摂取量は3.46mg//日と上方修正されております。

 続きまして、「(4)酢酸」というところでございます。

26ページ、2015年6月に御審議いただいた際の使用基準を踏まえて摂取が増加する量というところでございまして、添加物「過酢酸製剤」由来の酢酸の一日摂取量を約10mg//日としております。

 今回の使用基準改正案を踏まえまして、摂取量が増加するということでございますけれども、食肉におきまして、酢酸は、HEDPと同様に残留すると考えられまして、米国で使用されている過酢酸製剤中の酢酸濃度の最大値及びHEDPの残存量の推計をもとに、過酢酸製剤を用いた場合の酢酸の残存量を食肉で35.39mg/kg、家禽肉及び家禽肉内臓で103.07mg/kgと推計されております。

 結果、一日摂取量4.49mg//日と推定してございます。

 今、御説明させていただいた2点で算出した摂取量を合算した値というのが14.49mg//日ということでございまして、現在、既に摂取されている量と比較しまして、添加物製剤「過酢酸製剤」の使用に由来する酢酸より相当多い量を食事経由で既に摂取しているとされてございます。

 「8.新規指定について」ということでございまして、過酢酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)及びオクタン酸については、食品安全委員会における食品健康影響評価を踏まえまして、安全性に懸念はないと考えられますことから、食品衛生法第10条の規定に基づき添加物として指定することは差し支えないとさせていただいております。

 「9.規格基準の設定について」というところでございます。食品衛生法第11条第1項の規定に基づく規格基準については、次のとおりとすることが適当であるとさせていただいておりまして、使用基準につきましては、過酢酸製剤に変更がございまして、過酢酸製剤の使用量は過酢酸として、食鳥肉にあっては、浸漬液又は噴霧液1kgにつき2.0g以下、食鳥肉を除く食肉にあっては浸漬液又は噴霧液1kgにつき1.80g以下、果実及び野菜にあっては浸漬液又は噴霧液1kgにつき 0.080g以下、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸として、食鳥肉にあっては浸漬液又は噴霧液1kgにつき0.136g以下、食鳥肉を除く食肉にあっては浸漬液又は噴霧液1kgにつき0.024g以下、果実及び野菜にあっては浸漬液又は噴霧液1kgにつき0.0048g以下でなければならないとさせていただいております。

 そのほかの成分規格等につきましては、前回御審議いただいたものから変更はございません。

 事務局からの説明は、以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○若林部会長 ありがとうございました。

 この件に関しまして、昨年6月に一度審議をしまして、非常に詳しく事務局から説明があって、その後、いろいろ審議がされたと思いますけれども、もう一度、高濃度での申請がありましたので、そちらのほうの遺伝毒性ですとか、また、 in vivo における毒性等について、簡単に、まずは、戸塚委員より説明いただけますでしょうか。

○戸塚委員 それでは、遺伝毒性について簡単に御説明させていただきたいと思います。

 お手元の資料の1-3を御覧ください。

 過酢酸製剤は、非常にたくさんの化合物が含まれたものですので、1項目ずつ簡単に説明すればよろしいでしょうか。

○若林部会長 はい。

○戸塚委員 そうしましたら、まず、お手元の資料の1-3の36ページを御覧ください。こちらに過酢酸に関する遺伝毒性の試験結果がまとめられております。様々な試験、 in vitro in vivo の遺伝毒性試験が行われておりまして、食品安全委員会では、そのまとめの文章といたしまして、38ページに記載がありますように、過酢酸の細菌等を用いたDNA損傷及び遺伝子突然変異を指標とした試験の結果、代謝活性化系非存在下でのみ陽性という所見が得られまして、存在下では陰性であったということから、生体内での遺伝毒性を懸念する根拠にはならないとしております。

 また、染色体異常を指標とした in vitro の試験で陽性の所見が認められましたが、その場合、細胞毒性が認められた非常に濃度の高いところでのみの陽性ですので、この場合は、細胞応答の二次的な影響を受けたものと考えられるので、生体内での遺伝毒性を懸念する根拠にはならないとしております。

 また、 in vivo の染色体異常試験においても、陽性と報告されているものがありましたけれども、こちらは、試験の詳細や分析法について明確でないので、信頼性に乏しいと考え、また、同様に試験されました、 in vivo の小核試験におきましては、陰性という所見が認められておりますので、これらを総合的に評価いたしまして、食品安全委員会では、過酢酸は生体にとって特段問題となるような遺伝毒性はないとまとめております。

 次の項目なのですけれども、46ページにHEDPの遺伝毒性に関してまとめてございます。

 こちらは、 in vitro の試験のみが行われておりまして、そのまとめといたしましては、47ページにありますように、 in vitro だけの試験ではありますけれども、いずれの試験結果も陰性という結果が得られておりますので、食品安全委員会では、HEDPは生体にとって特段問題となるような遺伝毒性はないとしております。

 次、66ページ、オクタン酸に関する遺伝毒性についてまとめてございます。

 このオクタン酸に関しましても、 in vitro の遺伝毒性試験しか得られておりませんが、まず、酵母を用いた遺伝毒性試験において陽性が出ておりますけれども、オクタン酸等の脂肪酸は細胞膜の成分に作用を示す可能性があり、おそらく、これは、その影響によるものであろうと判断いたしまして、直接的な遺伝毒性はないと考えられると記載があります。

 また、細菌を用いた復帰突然変異試験や、哺乳動物細胞を用いました試験等では陰性であったことも考慮して、オクタン酸は、生体にとって特段問題となるような遺伝毒性はないとまとめられております。

 次の項目、74ページ、過酸化水素の遺伝毒性に関しまして、ここからまとめられておりまして、過酸化水素では、 in vitro in vivo の様々な試験が行われております。

 そのまとめの文章が76ページから記載がありますけれども、過酸化水素は in vitro 試験で遺伝毒性を示すものの、 in vivo 試験では陽性が認められたものはマウスによる宿主経由試験が一報あるのみであり、マウス小核試験においては、全て陰性であったということと、また、全ての in vivo の小核試験で陰性が確認されておりまして、投与された過酸化水素が吸収され、骨髄に分布されるまでに代謝、分解を受けて、マウス本体に対する遺伝毒性は陰性を示したものと考えられたと記載があります。

 したがいまして、過酸化水素が代謝活性化系非存在下では、遺伝毒性を示すものの、適当に使用された添加物としてのヒトが摂取する場合におきましては、代謝、分解を受けるために、生体にとって特段の問題となるような遺伝毒性の懸念はないと考えたとまとめてられています。

 以上です。

○若林部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、遺伝毒性以外の発がん性ですけれども、毒性、 in vivo の試験のことについては、小川委員は、今日は御欠席ですので、何かコメントが届いているかと思いますので、それについて、事務局から説明していただけますか。お願いします。

○事務局 それでは、小川委員より頂きましたコメントを読み上げさせていただきます。まず、お手元に資料1-3を御用意ください。

 過酢酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸及びオクタン酸の毒性についてということでございまして、本製剤は、過酢酸、過オクタン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、オクタン酸、過酸化水素による混合製剤であるため、食品安全委員会では、これらについて、それぞれ評価されています。

 いずれも反復投与、生殖発生毒性等複数の試験がなされていますが、最終評価に関連する試験について挙げさせていただいております。

 まず、1つ目、過酢酸及び過オクタン酸、過酸としての評価につきましては、41ページの下から2行目より記載されているeの過酢酸混合物のラット13週間強制経口投与試験は、GLPに準拠しておらず、用量も途中から変更されているため、限定的な試験であるため、正式なNOAELは得られておりませんが、42ページの表13-2にまとめられているように、過酢酸として2.5mg/kg体重/日以上の用量では、呼吸器系の毒性影響が見られる点を考慮し、毒性影響の誘導がないことを担保できる用量を0.25mg/kg体重/日としています。

 他のGLP試験は、投与期間が不十分であり、また、ヒトの知見もADI設定には用いられるものはないと考えられています。

 また、44ページにありますように、発がん性試験のデータは得られていません。

 続きまして、2つ目、HEDPについてでございます。

 資料1-3の54ページのイヌ52週間混餌投与試験におきまして、表25-2に記載されていますように、8.0mg/kg体重/日では、便潜血及び軟骨の変化が見られていることから、1.3mg/kg体重/日をNOAELとしています。

55ページにありますように、発がん性につきましては、未公開資料ながらラット及びマウスで明らかな発がん性は見られていません。

63ページからHEDP2Na を有効成分とする医薬品としてのヒトにおける知見が記載されております。

65ページのgのまとめにございますように、200から1,000mg/kg体重/日の医薬品としての用量では、消化管症状や骨への影響等が見られるとされております。

 3つ目、オクタン酸についてでございます。資料1-3、66ページを御覧ください。

66ページからになりますが、オクタン酸そのものとしては、十分な毒性データはなく、体内でオクタン酸を産生するトリアシルグリセロールのデータを用いて検討されています。

68ページに記載されていますオクタン酸を23.2%含むトリアシルグリセロールを用いたラット91日間混餌投与試験におきまして、最高用量の15%、トリアシルグリセロールとして雄13,200mg/kg体重/日、雌14,600mg/kg体重/日の用量まで毒性所見が見られなかったことを根拠に、この値をNOAELとしてございます。

 また、70ページにありますように、オクタン酸の発がん性試験のデータが得られておりませんで、トリアシルグリセロールを用いた試験が検討されていますが、不純物の影響が排除できないため、評価に用いることはできないと考えられています。

73ページからのヒトにおける知見につきましては、大量摂取では、吐き気及び腹部膨満が見られていますが、食品添加物における使用の用量では十分なマージンがあり、懸念はないと考えられています。

 引き続きまして、4つ目、過酸化水素についてでございます。80ページを御覧ください。

80ページの(c)の項目でございますけれども、ラット最長100日間強制経口投与試験におきまして、81ページの表51-2にありますように、60mg/kg体重/日で体重増加抑制や、血液に対する影響があることから、NOAEL30mg/kg体重/日と判断してございます。

84ページからございますように、カタラーゼ活性の低い系統のマウスでは、十二指腸に腫瘍が見られておりますが、カタラーゼ活性の低くないヒトへの外挿は適切ではないと考えられまして、発がん性の懸念はないとされております。

92ページからございますように、ヒトにおける知見はないということでございます。

 以上から、食品添加物としての本邦における過酸化水素の推定一日摂取量、98ページの0.0019mg/kg体重/日、オクタン酸の推定一日摂取量、103ページにございます、0.062mg/kg体重/日及び過酢酸は、すぐに食品成分の酢酸に分解されることと、過オクタン酸量はさらに少ないことを考慮しますと、過酢酸、過オクタン酸、オクタン酸、過酸化水素についてはADIを特定する必要がなく、HEDPについては、本邦での推定一日摂取量が0.0024mg/kg体重/日と100ページに記載させていただいております。

NOAEL1.3mg/kg体重/日のため、ADIの特定が必要であり、安全係数を100といたしまして、ADI0.013mg/kg体重/日と設定するのが妥当と考えられました。

 以上より、いずれについても食品添加物として適切に使用される場合には、毒性学的には懸念がないと考えられます。

○若林部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、次は、体内動態について、吉成委員からコメントが届いているかと思いますので、説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、吉成委員より頂いたコメントを読み上げさせていただきます。

 過酢酸製剤についてということでございまして、これは、以前の部会でも体内動態に関して特に問題がない旨、コメントさせていただいたと思います。体内動態の評価の詳細については、資料1-3の24ページから記載がございます。

 お手元の資料の1-3の24ページを御覧ください。

24ページから過酢酸については分解されやすく血液循環には入りにくいこと。25ページの下部からHEDPに関してヒトでの吸収は10%程度と非常に低いこと、代謝物は認められないこと。

27ページの下部からオクタン酸について吸収された後、速やかに水溶性物質に代謝されること。

28ページの下部から過酸化水素について吸収率は不明だが、体内では、消去系により速やかに分解されることが記載されてございます。

 以上のことから、35ページにまとめがございますが、過酢酸製剤に関しては、特段、体内動態、代謝が問題となる成分は含まれておらず、製剤として問題ないと考えられます。

○若林部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、微生物に対する有効性に関して、鎌田先生のほうから解説をお願いできますでしょうか。

○鎌田委員 御説明いたします。資料1-2の10ページ、表I-8、9がございますが、ここまでが、前回既に了承を得られている成績であるというふうに理解してよろしいでしょうか。

 それで、今回、使用用量を上げるというところで、用量を上げるわけですから、より明解になっていればいいという判断をすれば、よろしいかと思います。

 表I-1011ページを御覧ください。

220ppmまでの成績が前回まででして、表I-12は、2,000ppmまでのデータが出ております。腸管出血性大腸菌O157とサルモネラに関してですが、この食品中に混在します病原菌に対する殺菌効果ですが、対数減少が1以上の減少数になりますと、非常に有効であるという判断をいたします。すなわち、10分の1以下になっておりますと、その効果は、非常に明瞭だということでございます。

O157、サルモネラにつきまして、2,000ppmの過酢酸で1.582.09という数字が出ておりまして、これを食品微生物学者が見ましても有効な成績だというふうにして判断いたします。

 今度は、食肉、牛のお肉でございますが、そこに人体に非常に強い影響があります、志賀毒素産生大腸菌、これを塗布しまして、1,000あるいは2,000ppmの過酢酸で処理いたしましたところ、10分の1あるいは100分の1以下にまで菌数を落とすという効果が、この表I-11から見てとることができます。

 同様に、鶏肉(胸肉)にサルモネラ属菌を塗布いたしまして、その後、過酢酸600あるいは2,000ppmを浸漬いたしまして、また、水を切ると。その後、菌数を測定しました結果ですが、これも未処理のところから比べまして、菌数が2桁落ちているという成績が出ておりまして、鶏肉(胸肉)に対する過酢酸の殺菌効果は非常に良好なものであると判断することができます。

12ページ、表I-13の1と2に鶏の胸肉に対するサルモネラとカンピロバクターに対する殺菌効果の成績が出ております。

 表I-13-1のほうですが、800ppmのところの数字を見ていきますと、過酢酸の濃度を上げるに従い、かつ、処理秒数を上げるに従い、特に1,400ppmくらいからですが、対数減少数が増えておりまして、2桁、100分の1に近いような殺菌効果が見てとれると判断できます。

 同様に、 Campylobacterjejuni に対する過酢酸の効果ですけれども、200ppmの状態から殺菌効果が出始めておりまして、13ページに移りまして、2,000ppmの過酢酸になりますと、100分の1以下にする殺菌効果があると出ております。

 その効果が劇的に出ておりますのが、表I-14、鶏肉(胸肉)に対する一般生菌に対する過酢酸の効果ですけれども、丁寧に過酢酸の濃度を順次上げておきますと、その菌数、これは減少菌数ではなくて、実際に一般生菌が肉にどれぐらいついているのかというのを調べたときに、未処理の状態では、10の4乗ぐらいの菌数があるのに対して、過酢酸の濃度を上げていきますと、暫時菌数が劇的に減少していきまして、1,800ppmになりますと、菌の検出ができないぐらいの状態にまで殺菌されていると、こういう成績から見てとれます。

 用量を増加させて、食肉に対する、牛肉及び鶏肉に対する効果のところだけを判断いたしますと、十分な殺菌効果が見てとれるという成績にはなっております。

 ただ、一部データの出し方に、もう少し詳しいデータを出してほしいところがありまして、それは、こういう食肉に付着しております病原細菌、一般菌ですが、この過酢酸を溶解してあります水だけで、洗浄の効果がありますので、過酢酸そのものの効果だけで、これが出ていると読み取るのは、実は若干の危険性がございます。ですので、用量依存的に菌数が減っている、あるいは菌数の減らす効果が出ているところをポイントとして判断いたしました。

 以上です。

○若林部会長 どうも詳しい説明をありがとうございました。

 それでは、さらに微生物に対する有効性の部分に関して、中島委員のほうから、何かさらに追加するようなことがありましたらお願いできますでしょうか。

○中島委員 今さら特につけ加えるほどのこともございませんが、昨年の審査がありましたレベルですと、表I-8のようなトマトのようなつるんとしたものですと、4乗から2乗に減っているということで、こういうものに関しては有効だったのですが、表I-3、4、5、この辺は減少量が1にいっていないものがありまして、一応効いているとは評価できるものの、いささか頼りないというレベルでございました。

 今回の2,000ppmというレベルでございますと、先ほど鎌田委員のほうから御説明のあったとおり、このレベルであれば、ほぼ2桁近く減っておりますので、このレベルであれば、十分頼りになると評価できますので、私も同じように、十分頼りになる、有効であると考えます。

 以上でございます。

○若林部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、委員の皆様から御意見を伺いたいと思います。何かありますか。

 穐山委員、どうぞ。

○穐山委員 今の有効性の表I-10111213-1、13-2、14なのですけれども、これは、一応統計的な処理をされているように思うのです。それで、表I-10に関しては、380ppmのサルモネラと2,000ppmの過酢酸の大腸菌とサルモネラのところには、※印みたいな、これは、アスタリスクではないのですけれども、印がついています。これが、有意差検定の有意水準5%以下という印なのでしょうか。これが、よく分からない。

 それで、表I-12には、※印は、未処理群と比較してPの0.05以下と書いてあるのですけれども、その※印が、一番上の表の上の対照群に対数減少数のところに書いてあるので、ここに書かれてしまうと、未処理群に対して水は有意差があると読めるのです。これは、恐らく600ppm2,000ppmのところに有意差があるべきだから、ここに※印をつけるべきだと思います。

 あと、同じように表I-13-1もそうなのですけれども、どこに有意差があるのか判断つかない。表I13-2もそうですけれども、表I-14もそうですけれども、統計的有意差検定をしているのは、非常にいいことだと思うのですが、それが表に反映されていないので、判断できないと思います。

○若林部会長 適切なコメントをありがとうございます。

 確かに、ポイントアウトされたように、表I-10からのものに関して、※印のところが適切に、どこの濃度から、又はどこの処理時間から有効であるかということが、ここの一番上に書いてしまうと、少し誤解を生じますので、どこの数字から有効であるのかというところに※印をつけていただくようにすればいいわけですね。

○穐山委員 そうです。

○若林部会長 それから、表I-10のところですけれども、380ppmの過酢酸の一番右側のところが何をあらわしているか分からないですね。多分、ここの0.841.582.09が統計学的に有意であるということでしたならば、※印をここにつけるべきだということですね。

 穐山委員、それでよろしいでしょうか。

○穐山委員 そうですね。一般的には、アスタリスクが1個だと0.05以下、2個だと0.01以下なので、そこもちょっと注意してほしいなとは思いますが、とりあえず、どこに有意差があるのかが判断できない。

○若林部会長 そうですね。まずは、0.05以下のものが、どこの数字なのかということを明記してほしいということですけれども、事務局のほうで、これは対応できますか。

○事務局 記載については、確認させていただいた後に御相談させていただきたいと思います。

○若林部会長 分かりました。

 どうぞ。

○井手委員 統計の有意差を出すときに、※印は使わないので、全部アスタリスクにしたほうがいいと思います。

○若林部会長 では、よろしくお願いいたします。そのようにしっかりと印をつけるようにしてください。

 できれば、0.050.01以下が2つ分かれば一番いいのですけれども、最低0.05以下の表示はしてほしいということですね。よろしいですか。お願いします。

 それ以外に何かございますか。

 どうぞ。

○井部委員 細菌のことは素人で教えてほしいのですけれども、例えば、菌が減ったというのは、食中毒防止に有効だということなのですが、1,000あって2桁ですから、10になって有効性はあると思うのですけれども、1万あったときには100残っていますね。それが、例えば、 E.Coli O157の場合など、その菌数では十分感染する場合もあります。それについては、どういう判断をすればよいかというのが1つ。

 もう一つ、今回、食鳥肉に使うとされていますが、食鳥肉の場合は、よく言われるのが、中に菌が浸透してしまうから、表面を消毒しても効果はないと思いますが、いかがでしょうか。

○若林部会長 最初のは、鎌田先生、お願いできますか。

○鎌田委員 御指摘は大変正確です。殺菌効果というところだけ取り上げますと、10の1、100の1という評価で十分なのです。

 それが、食品衛生学や食中毒という観点から言うと、発症菌数があるか、ないかという意味、先生がおっしゃっているところですね。ですので、この成績の出し方の一番の欠点が、一体どれぐらいの菌数を塗布したとかで、もとの実験デザインがないのですね。ただ、ここでは、あくまで食品中の菌を殺菌させる、減数させるという意味での食品添加物ですので、目的は達しているという、こういう理解になります。

 それから、カンピロバクターの食品内の食鳥肉の侵入なのですけれども、むしろ、やはり、まだ今のところ、浸透するよりは付着という状態で、一旦鶏が死んでしまいますと、浸透しないのではないかという理解のほうが強いと思います。ちょっと生きている、死んでいるところの説明は不十分なのですけれども、よく事例に上がりますのは、九州地方では鳥刺といって、鳥の刺身、そのまま生で食べるのですが、実際に汚染しているカンピロバクターから言いますと、もっと九州の地域では食中毒が起こっていいはずだと。

 ところが、九州の方の鳥刺といいますのは、表面を焼きまして、たたきの状態にして食べるのが一般的な食べ方なのだそうです。

 食中毒統計からいいますと、抑えられているのは、そこから考えますと、筋肉内内部深くに浸透するというほどの能力はないだろうと。特に、保存している状態のカンピロバクターといいますのは、そこで積極的に自分たちが広まっていこうという、それだけのパワーがございませんので、侵入するというところは、一部おっしゃっている研究者もいますけれども、それほどの効果がないというのが現実的ではないかと思います。

○若林部会長 ありがとうございました。

 そのほかに、何かございますか。よろしいですか。

 あと、まだ2つ審議事項がございますので、この件に関しては、よろしいですか。

 それでは、一とおり御審議を頂いたということで、先ほど、穐山委員から指摘がありました、表1から10の有意差のところに関しては、印をしっかりつけ直すということで、新規指定については認めるということでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○若林部会長 それでは、部会報告書を取りまとめ、分科会へ報告する手続をとりたいと思いますけれども、事務局から、そのほか、何かございますか。

○事務局 今後の手続の過程で、細かい文言の変更等の軽微な修正が必要となった場合、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題がなければ、手続を進めてもよろしいでしょうか。

○若林部会長 事務局からの提案ですけれども、よろしいですね。

 では、そのように進めさせていただきますけれども、それでは、今後のスケジュールは、どのようになりますか。

○事務局 今回の審議結果につき、食品衛生分科会での報告のほか、パブリックコメント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したいと思っております。

○若林部会長 それでは、そのように適切に手続を進めていただきたいと思います。

 それでは、議題1は、以上で終了いたします。

 引き続きまして、議題2のほうに移ります。

 議題2の次亜臭素酸水の新規指定の可否等について審議を行いたいと思います。

 まずは、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、議題2の「次亜臭素酸水の新規指定の可否等について」の説明をさせていただきます。

 資料に関しましては、資料2-1といたしまして、次亜臭素酸水に係る諮問書、資料2-2といたしまして、部会報告書(案)、資料2-3といたしまして、食品安全委員会の評価書ということで準備させていただいております。

 それでは、資料2-2のほうに従って御説明させていただきます。

 今回、次亜臭素酸水に関しましては、食品添加物としての新規指定の要請が事業者よりなされたため、食品安全委員会において食品健康影響評価をなされたことを踏まえ、当部会において審議をいただくものでございます。

 品目名に関しまして、次亜臭素酸水とさせていただいております。

CAS番号に関しましては、報告書(案)に記載のとおりとさせていただいております。

INS番号に関しましては、設定されておりません。

 分子式及び分子量に関しましては、記載のとおりとさせていただいております。

 用途に関しましては、殺菌料になっておりまして、今回の次亜臭素酸水に関しましては、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、DBDMHと略させていただきますが、こちらの物質を水に溶解して得られる、次亜臭素酸水を主成分とする水溶液でございます。

 図1にありますように、DBDMHを水に溶かすことによって、次亜臭素酸が発生し、副生物としてDMHというものが発生するものでございます。

 こちらについて、機械の中で用時調製して使用されるものとなっておりまして、米国、カナダなどにおきましては、牛ですとか、鶏のと殺処理工程におきまして、大腸菌の殺菌やカンピロバクターの殺菌といった目的で使用されているものでございます。

 コーデックス委員会では、次亜臭素酸水に関しましては、加工助剤が食品添加物に分類されないため、GSFAのほうに規格は設定されてございません。

 また、食品生産と食品加工に用いる塩素含有消毒剤の使用に関するFAO/WHO合同専門家会議のほうでは、2008年にDBDMHの食品加工過程における使用について評価されておりまして、DBDMHからの分解物であるDMHと臭化物、トリハロメタン、臭素酸などの副産物に関しまして、もともと食品に含まれているものについて設定されるTDI、また、ADIですとか、NOELNOAELに関しまして推定暴露量等比較が行われておりまして、それぞれについて十分な安全マージンがあることから、いずれの物質も有意な健康リスクはないと評価されております。

 また、米国のほうでは、次亜臭素酸水の原料である、DBDMHにつきまして、FCN制度といったものに基づきまして、加工助剤として、牛、豚、鶏肉などに対して使用が認められています。

 また、カナダにおきましても、DBDMHが食肉の加工助剤として使用が認められているものでございます。

 オーストラリア及びニュージーランドに関しましても、DBDMHについて加工助剤として全ての食品に対して使用が認められているものでございます。

 なお、欧州のほうでは、次亜臭素酸水及びDBDMHの食品への使用というものは認められておりません。

 続いて、3ページの有効性について御説明させていただきます。

 まず、牛肉に対する有効性ということで、3つの試験が行われております。

 まず、牛、と体の体側肉と牛の心臓に対して次亜臭素酸水を使用し、好気性菌、腸内細菌、 E.Coli O157、また、サルモネラに対する効果、菌数減少の効果というものを確認しております。

 その結果、表3及び表4として示させていただいておりますが、次亜臭素酸水の使用前に比べて、好気性菌、腸内細菌、O157、サルモネラに対する菌数の減少効果というものが確認されております。

 また、bとしまして、牛枝肉に関して次亜臭素酸水を使用した場合の好気性菌及び腸内細菌に対する菌数減少の効果というものを確認しております。

 次亜臭素酸水の使用前に比べ、使用することによって、好気性菌及び腸内細菌の菌数が減少しているということが図2により確認されております。

 また、cとしまして、牛肉に対して、O157O157以外のO抗原大腸菌、指標菌に対する次亜臭素酸水を使用したことによる殺菌効果というものを評価しております。

 図3として菌数の減少量をお示しさせていただいておりますが、次亜臭素酸水を使用する前に比べて、次亜臭素酸水を使用したことによって、これらの菌に対する菌数の減少というものが確認されております。

 続いて、鶏肉に関しましても有効性を確認する試験というものが行われております。

 鶏肉の処理というものが、通常、加工する上で冷却するという工程がございまして、その冷却をするために、チラータンクという中に、鶏肉と水を加え、その中で水に浸漬することによって冷却するという工程が行われます。その冷却水のことをチラー水と呼称させていただいておりますが、そのチラー水に E.coli 及びサルモネラを加え、その中にさらに次亜臭素酸水を加えることによって、チラー水中に鶏と体を浸漬した後のチラー水及びと体のすすぎ液に関する E.coli 及びサルモネラの菌数の測定というものを行っております。

 その結果、表5に記載させていただいておりますが、と体すすぎ液及びチラー水について、次亜臭素酸水を使用したことにより、菌数の減少というものが確認されております。

 また、汎用的に使用される殺菌剤である次亜塩素酸ナトリウムとの効果の比較というものが行われております。

 有効臭素濃度50100200ppmとなるように調製された次亜臭素酸水と、対照群として有効塩素濃度50100200ppmとなるように調製された次亜塩素酸ナトリウム水溶液をそれぞれ調製いたしまして、サルモネラ菌に対する殺菌効果というものの評価を行っております。

 その結果、50ppmの次亜臭素酸水に関しましては、100ppmの次亜塩素酸と同等の殺菌効果であり、100ppmの次亜臭素酸水は100ppmの次亜塩素酸以上の殺菌効果を有し、200ppmの次亜塩素酸以下の殺菌効果を有する結果が得られております。

 また、200ppmの次亜臭素酸水に関しましては、200ppmの次亜塩素酸以上の殺菌効果を有するとの結果が得られております。

 また、鶏肉の冷却に用いられるチラー水に対する殺菌効果というものも比較というものを行っており、次亜臭素酸水を使用した群、冷却を行っていない群、冷却を行っている群の4試験群のチラー水に鶏と体を浸漬し、チラー水と鶏と体のすすぎ液に含まれるサルモネラの菌数の測定というものを行っております。

 なお、この試験において、次亜臭素酸水34ppmと、次亜塩素酸15ppmという形で濃度が異なるように記載されておりますが、事業者によるところ、こちらが、mol濃度が等価になるように設定されたものということでございます。

 結果としましては、表6に菌数の減少量、表7に冷却時間における菌数というもので記載させていただいておりますが、表6に関しましては、冷却しない群からの菌数減少量としまして、冷却対照、次亜塩素酸群、次亜臭素酸水群をそれぞれ算出させていただいておりまして、冷却対照に比べ、次亜塩素酸、次亜臭素酸水を使用した群に関しましては、菌数の減少量が大きいということが示されております。

 また、表7に関しましても、冷却対照に比較して、次亜塩素酸及び次亜臭素酸水を使用した群では、菌数が減少しているということが確認されております。

 続いて、cとして糞便汚染が認められたと体に関する次亜臭素酸水及び次亜塩素酸ナトリウムの効果の比較というものを行っております。

 糞便汚染が認められたと体に関しましては、通常のラインで処理を行いますと、ラインが汚染されてしまう可能性がありますので、ラインから一度取り除き、殺菌を行うという工程が行われることがございます。

 今回、次亜臭素酸水と次亜塩素酸ナトリウム、それぞれ汚染されたと体に対して使用することにより、と体すすぎ液中に含まれる E.coli の菌数とサルモネラの陽性率というものの比較を行っております。

 その結果、次亜臭素酸水での処置群は、次亜塩素酸ナトリウムの処置群に比べて E.coli の菌数が低くなっており、またサルモネラの陽性率も低くなっているという結果が示されております。

 続いて8ページの食品中での安定性について御説明させていただきます。

 次亜臭素酸水を食肉の表面殺菌に用いた場合、次亜臭素酸は速やかに臭化物に分解され、最終食品である食肉中においては、非活性のDMHと臭化物として存在することが報告されております。

 また、食品中の栄養成分に及ぼす影響としましては、次亜臭素酸水の殺菌作用が酸化作用によるものであるため、食品表面に接触することで、表面の脂質を酸化するということが報告されておりますが、塩素処理と同程度の酸化作用であり、調理時の加熱により生じる酸化物量と比べて、大きな影響はないものと考えられております。

 続いて、食品安全委員会における評価結果について御説明させていただきます。

 食品添加物としての指定及び規格基準設定のため、平成27年6月5日付けで、厚生労働省より食品安全委員会に対して評価依頼を行いまして、平成271110日付けで評価結果が通知されております。

 次亜臭素酸水の評価に関しましては、残留する可能性がある臭化物及びDMHとまた、FAO/WHOにおいて検討されております、トリハロメタン及び臭素酸について検討というものが行われております。

 また、トリハロメタンと臭素酸に関しましては、食品安全委員会で評価が行われており、指定要請者によると、それ以降、安全性に懸念を生じさせるような新たな知見は認められていないということでございます。

 まず、9ページのDMHに関する評価について御説明させていただきます。

DMHに関しましては、生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないものと判断されております。

 また、発がん性は認められないものと判断されており、我が国における推定一日摂取量を踏まえると、DMHADIを特定することが必要と判断されており、ウサギ発生毒性試験のNOAELADI設定の根拠といたしまして、安全係数100で除した1mg/kg体重/日をDMHADIと設定されております。

 また、臭化物に関しましても、特段問題となる遺伝毒性はないものと判断されており、発がん性については、判断することは困難であるものと評価されております。

 また、推定一日摂取量を踏まえますと、臭化物のADIを特定することが必要と判断されており、ヒト介入試験をADI設定の根拠といたしまして、安全係数10で除した0.9mg/kg体重/日を臭化物のADIと設定されております。

 トリハロメタンのうちブロモ1つのBDCM、ブロモ2つのDBCMに関しましては、検出限界以下であったことから、トリハロメタンについては、ブロモホルムのみ検討が行われており、後ほど説明させていただきますが、ブロモホルムの推定一日摂取量が0.214μg//日と判断されていることから、2009年に評価されました食品安全委員会のTDI17.9μg/kg体重/日を下回ると確認されております。

 また、臭素酸に関しましても、推定一日摂取量が0.037μg//日と判断されており、こちらは、発がんリスクレベル10のマイナス6乗に相当する摂取量を下回ることが確認されております。

 以上を踏まえまして、食品安全委員会では、添加物次亜臭素酸水に関しましては、添加物として適切に使用される場合、安全性が懸念ないものと判断されております。

 続いて、摂取量の推計について御説明させていただきます。

 摂取量の推計に関しましては、FAO/WHOにおける推計や、FSANZにおける推計、米国における推計というものが行われておりますが、今回、我が国における摂取量の推計を中心に御説明させていただきます。

17ページ、我が国における摂取量の推計に関しましては、米国の評価で用いられている最大残留濃度を使用し、摂取量の推計というものを行っております。

 米国の推計における食肉及び食鳥肉中の最大残留濃度というものが16ページの表45として示されておりまして、こちらの表の右側2番目のカラム、水分吸収率と次亜臭素酸水中の残留濃度から、一番右のカラムになりますが、食肉及び食鳥肉中の残留濃度としてDBDMHなどの残留濃度というものを求めております。

 この値を用いまして、国民健康栄養調査の摂取量というものを踏まえ、食品安全委員会では、添加物次亜臭素酸水の使用にかかる一日摂取量について、DMHに関しましては0.759mg//日、臭化物0.974mg//日、ブロモホルム0.214μg//日。臭素酸0.037μg//日と判断されております。

 また、こちらの値に関しましては、食品由来の臭化物の一日摂取量と比較いたしまして、添加物次亜臭素酸水の使用に由来する臭化物より相当多い量を食事経由で既に摂取しているものと考えられております。

18ページ「8.新規指定について」ということで、次亜臭素酸水に関しましては、食品安全委員会における食品健康影響を踏まえ、食品衛生法第10条の規定に基づく添加物として指定することは差し支えないものとして記載させていただいております。

 また、規格基準の設定に関しましては、食品衛生法第11条第1項の規定に基づき、次のとおりとするという形で記載させていただいておりまして、使用基準に関しましては、食品安全委員会の評価結果、基準値に基づく摂取量の推計等を踏まえ、次亜臭素酸水は食肉の表面殺菌の目的以外に使用してはならないこと、また、次亜臭素酸水の使用量に関しましては、臭素として、食肉にあっては浸漬液又は噴霧液1kgにつき0.90g以下、食鳥肉あっては、浸漬液又は噴霧液1kgにつき0.45g以下でなければならないという形でお示しさせていただいております。

 また、成分規格に関しましては、19ページからのように記載させていただいております。

 また、成分規格の設定根拠に関しましては、21ページに記載させていただいております。

 説明に関しましては、以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○若林部会長 ありがとうございました。

 それでは、審議に入る前に、次亜臭素酸水の食品安全委員会での評価結果について、遺伝毒性部分について、戸塚委員より解説をお願いできますでしょうか。

○戸塚委員 それでは、御説明いたします。お手元の資料の2-3を御覧ください。

 2-3の遺伝毒性に関する部分は20ページになります。20ページには、DMHの遺伝毒性に関しまして記載がされております。

DMHに関します遺伝毒性は、 in vitro in vivo の遺伝毒性試験、復帰突然変異試験とか、染色体異常試験などが行われておりまして、この表に記載されております結果から、これら全ての遺伝毒性試験で陰性の結果が出ておりますことから、DMHに関しましては、生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないと判断したと記載がされております。

 もう一つの臭化物に関しましては、同じ資料の44ページを御覧ください。

44ページに、臭化物に関します遺伝毒性の結果が表に載っておりますけれども、こちらは、 in vitro の復帰突然変異試験のみの結果になりますが、ここに記載がありますように、両方の試験とも、様々な菌株を用いておりまして、陰性という結果が得られております。

 このことから食品安全委員会は、臭化物については生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないものと判断したと記載があります。

 以上です。

○若林部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、遺伝毒性以外の発がん性、毒性、 in vivo 試験等について、これは、小川委員よりコメントが届いているかと思いますけれども、事務局から説明していただけますか、よろしくお願いします。

○事務局 小川委員より、事前に次亜臭素酸水の毒性についてコメントを頂いておりますので、御紹介させていただきます。

 次亜臭素酸水は、DBDMHを水に溶解して得られる次亜臭素酸を主成分としており、さらにDMHに分解されるとのことで、DMHと臭化物が評価されています。

 評価に特に重要と思われる所見について挙げさせていただきます。

 1、DMHについては、資料2-3の21ページから43ページまでの記載のように多くの反復投与毒性試験、発がん性試験、生殖発生毒性試験が実施されています。

 反復投与では、あまり顕著な所見は見られておらず、最小のNOAELを示したのは42ページ、ウサギ発生毒性試験であり、表29-2にありますように、500mg/kg体重/日以上で胎児の骨格異常が見られているため、発生毒性にかかるNOAEL100mg/kg体重/日としています。

36ページから記載されている、マウス及びラットでの発がん性試験では、発がん性は見られず、43ページにありますように、ヒトにおける知見はないとのことです。

 臭化物については、資料2-3の44ページから52ページまでの記載のように、実験動物の試験も多くされており、45ページのラット90日間経口投与試験で見られた雌の1,200ppm以上混餌投与で見られた甲状腺の重量増加が、48ページのラット4及び12週間経口投与試験では、雄でも確認されており、実験動物の試験におけるNOAEL300ppm、すなわち臭化物イオンとして12mg/kg体重/日と判断されています。

50ページの発がん性については、十分なデータが得られていません。

 一方で、52ページから示されているように、複数の人での介入試験の結果が得られています。

 b、cの試験結果から、生理的な濃度を超える変化がなかったことから、試験の最高用量の9mg/kg体重/日を介入試験のNOAELとしています。

 以上から、DMHについては、本法での推定一日摂取量が67ページの0.014mg/kg体重/日であり、NOAEL100mg/kg体重/日のためADI設定が必要であり、安全係数を100としてADIを1mg/kg体重/日と設定するのが妥当と考えられました。

 臭化物については、本法での推定一日摂取量が0.018mg/kg体重/日と67ページに示されており、NOAELが9mg/kg体重/日のためADI設定が必要であり、ヒトのデータであるため、安全係数を個体差のみの10としてADI0.9mg/kg体重/日と設定するのが妥当と考えられます。

 原料となるDBDMHについては、資料2-3の54ページに、皮膚塗布による試験結果のみ実施されているとのことで、十分な試験結果が得られていません。

 化学的には変化しやすいようですが、この形のままのものはほとんどないと考えてよいでしょうか。その点が問題なければ、主な構成成分である、臭素酸及びDMHについては添加物として適切に使用される場合に、安全性への懸念はないと考えます。

 以上でございます。

○若林部会長 どうもありがとうございます。

 それでは、引き続き、体内動態について、やはり、吉成委員からコメントが届いていると思いますので、説明をお願いいたします。

○事務局 体内動態に関しまして、吉成委員より事前にコメントを頂いておりますので、御紹介させていただきます。

 本剤は、DBDMHを水に分解して得られるものであり、DBDMHの分解物であるDMHが含まれます。

 したがって、食品安全委員会では、資料2-3の17ページ以降に記載があるように、成分の次亜臭素酸とDMHについて評価を行っています。

DMHについては、17ページから18ページに記載されているように、動物実験の結果から非常に吸収率が高く、体内では代謝を受けず、未変化体として排泄されると考えられています。

 したがって、安全性を評価するに当たり、DMHそのものの評価結果を参照することで問題なく、特段気をつける体内動態、代謝はないと考えられます。

 次亜臭素酸に関しては、それ自身の情報がないことから、臭化物の評価を行っています。

18ページ以降に記載されているように、臭化物は比較的吸収が高く、低濃度ではあるが、全身に分布すると考えられます。

 しかし、その吸収は、塩化物の摂取量により大きな影響を受け、塩化物の摂取量が多い場合には、臭化物の吸収量は低下することが示されております。

 また、共有結合等により、代謝物等が多量に生じることはなく、安全性評価において、特段問題となる体内動態、代謝はないと考えられます。

 以上でございます。

○若林部会長 ありがとうございます。

 それでは、この化合物に関しまして、微生物に対する有効性の部分を鎌田委員から解説をお願いできますでしょうか。

○鎌田委員 1つ目の添加物と同様の殺菌効果があるかどうかということを判断することになりますが、典型的な成績が、資料2-2の4ページ、図2になります。好気性菌といいますのは、推定しますに、標準寒天培地の上で、好気培養してきた菌という意味になります。菌種を特定しているものではございません。ですが、広く一般に行われている微生物の付着度合い、混合度合を占める菌です。

 それを見ますと、処理におきまして、スリーオーダー以上、1,000分の1以下にするぐらいの能力があるというのが図2から読み取れます。

 食中毒細菌が含まれている危険性のあります腸内細菌につきましても、ほぼスリーオーダーです。殺菌する能力があるというのが、この次亜臭素酸水というデータになっております。

 戻っていただきまして、3ページ、表3ですが、これは、いわゆる一番流通しております牛の枝肉です。その枝肉に対する効果でして、腸管出血性大腸菌やサルモネラなどを付着した後、所定の臭素濃度で処理をいたしますと、大体1桁から2桁ぐらいの菌数の減少が10分の1以下になっておりますので、いずれの濃度におきましても、臭素の殺菌作用は認められるという成績になっております。

 同じことが、4ページの表4ですが、牛の内臓として、心臓を取り上げまして、枝肉に対する、内臓に対する殺菌効果があるかどうかを見たものでありますが、有効臭素濃度に応じまして、一般生菌数、腸内細菌、大腸菌、サルモネラ、こういうものが2桁から3桁ぐらい菌数が減少するという成績が4ページ、表の4でございます。

 図3の効果は、これは飛ばしまして、6ページ、表5を御覧ください。

 先ほど事務局から御紹介ありましたように、鶏の肉の処理といいますのは、連続的に行いまして、と体、内臓を取り除いた後、と体を洗浄しまして、それから、鶏の肉を冷やす、冷やした後、冷蔵で保管し、それを流通させるというシステムになっております。

 したがいまして、各家庭で臭素が有効かどうかというのを検討する必要があって、この表5の成績になっております。有効臭素濃度を上げるに従いまして、3桁から、場合によっては5桁に近いような大腸菌等サルモネラに対する減少効果が認められたという成績が表5になっております。

 7ページからは、次亜塩素酸との比較になっております。

 次亜塩素酸が、現在、食肉、食鳥肉への食品添加物としての殺菌剤の認可を受けているものでありますが、それとの比較対照になっておりまして、説明にありましたように、次亜塩素酸と次亜臭素酸水の濃度が違うという記載になっておりますが、mol濃度、有効な物質濃度としては、同一の比較になっておりまして、ここでは減少数を見ておりますので、数字が大きければ、大きいほど菌数を減少させる効果は高いと。そもそも次亜臭素酸水は、ここでは7桁ほどの低下をあらわしているのが表6、認可されております次亜塩素酸よりはさらに100倍以上の効果があるという成績が表6から7にかけて出ております。

 最後、表8ですが、これは、一部成績が読み取れない部分がありまして、8ページでございます。

 食鳥処理をする場合に、鶏の体内から内臓を取り出しまして、内臓と、その残りの肉と分けますが、その内臓を取り出す際に、腸管を傷つけるということが、アクシデンタリーに起こります。そうしますと、腸管内容物が、鶏の肉を汚染しまして、非常に連続的な処理をしているものですから、1つが汚染されますと、それ以降が全部汚染されていくという危険性を持っておりますので、糞便汚染に対する効果というのがあるかどうかというのは、実は重要なところになります。

 8ページの表8ですが、50%近く、サルモネラですと、次亜臭素酸水は2割ほどの陽性率ですね。ですから、10羽調べますと、2羽しかいないよと、これが次亜塩素酸になりますと、10羽調べますと、4羽ぐらいが陽性として出てきますと、こういう成績になっているのですが、できましたら、処理をしたい成績があれば、さらに効果が明確にあったかなと。既に認可されております次亜塩素酸と比べますと、陽性率が低くなっているわけですから、殺菌効果が高いというところは、この表から読み取れるのですが、できましたら、無処置のところのデータがほしかったかなというところです。

 総括しまして、次亜臭素酸水ですが、これの殺菌効果は非常に有効だと判断できます。

 以上です。

○若林部会長 どうもありがとうございました。

 同じく次亜臭素酸についての微生物に対する有効性について、中島委員から御発言をお願いいたします。

○中島委員 この件に関しましては、鎌田委員の御説明が十分だと思いますので、私のほうからは、特につけ加えることはございません。十分有効だと評価できると考えます。

○若林部会長 ありがとうございます。

 それでは、委員の方々から御意見をお伺いしたいと思います。御発言、コメント等がございましたら、お願いできますでしょうか。

 どうぞ。

○中島委員 非常に細かい点なのですが、資料2-2の3ページでは、好気性菌がAPCとなっているのですが、実は、先ほどの資料1-2ですと、13ページ、APCが一般生菌数になっておりまして、ここが違うというのは、いかに何でもと思います。

○若林部会長 ここのところは修正をしたほうがいいと。

○中島委員 せめて同じ略語なのですから、もとも同じでないと、これはそごを来すと考えますが。

○若林部会長 どちらのほうに合わせますか。

○中島委員 1のほうの一般生菌数の生という字、これは性別の性ではなくて生という字でなければいけないので、いずれにしろ、こちらは直さないとまずいですね。すみません、先ほど、御指摘すべきだったのですが。

○若林部会長 ちょっと戻りましょうか。

○中島委員 恐れ入ります。先ほどの資料1-2の13ページです。一番下にある、ポツの下「処理後の一般性菌数(APC)」とあります。この性という字は生という字でなければまずい。

 それで、鎌田先生、どちらに合わせるべきでしょうかね。好気性菌にすべきか、一般生菌数にすべきか、それで、一般生菌数にすべきだと思うのですが、なので、資料2-2のほう、好気性菌(APC)となっておりますが、これは、一般生菌数にすべきだと考えます。

○鎌田委員 そのとおりです。

○若林部会長 事務局、大丈夫ですか。

○事務局 承知しました。訂正させていただきます。

○若林部会長 どうもありがとうございました。

 それ以外に何かございますか。

 穐山委員、どうぞ。

○穐山委員 資料2-2の4の概要のところですけれども。

○若林部会長 何ページですか。

○穐山委員 資料2-2の1ページの4の概要のところで、本剤は、次亜臭素酸水は1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)を水に溶解して得られる、次亜臭素酸を主成分とする水溶液であるというふうに書かれています。

 それで、規格案、別紙1、19ページですけれども、本品は1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)を水に溶解して得られる、次亜臭素酸を主成分とする水溶液であると、基本的にDBDMHを加水分解して得られるものが次亜臭素酸で主成分だと、理解できるのですが、これは、基本的には、次亜塩素酸水とか、亜塩素酸水と同様に、基本的には、機械で、装置で分解したものを調製したものをそのまま使うという理解でいいのですか。

○事務局 こちらの次亜臭素酸水に関しましては、食肉処理場などに機械を設置いたしまして、その中でDBDMHと水を混合することにより、次亜臭素酸水というものを用時調製で製造して、そのまま使用するというものでございます。

○穐山委員 前の次亜臭素酸水と亜塩素酸水と、ちょっと誤解を受けると思うのですけれども、水に溶けたものが流通するのではないかと誤解をするかもしれないので、これは、用時調製するものだというところを、保存基準ではなくて、何か運用で分かりやすいようにするべきではないかなと思うのです。

○若林部会長 どうぞ。

○事務局 御指摘ありがとうございます。

 今、御指摘のございました、次亜臭素酸水については、施行通知のほうで注意をさせていただいていますので、今回の御指摘を踏まえて、同じように施行通知のほうで注意喚起をさせていただきたいと考えております。

 今、もう一つ御指摘のございました、亜塩素酸水のほうにつきましては、亜塩素酸水という形で流通していると、事業者のほうから聞いております。

○若林部会長 よろしいでしょうか。

 では、事務局、対応をお願いします。

 それ以外に何かございますか。

 私からちょっと質問ですけれども、小川委員からも少しコメントがありましたように、DBDMHを水に溶かしたとき、ほとんど全て次亜臭素酸水とDMHになるという仮定があるのですけれども、ここのところの純度ですとか、このもの自体が毒性があるようなことはないのでしょうか。小川委員から、たしか指摘されていたと思いますけれども、米国とかカナダでは、DBDMHが認められているわけですね。こちらのほうの現状というようなものに関しては、事務局のほうで把握されていらっしゃいますか。

○事務局 DBDMHに関しましては、次亜臭素酸水の原料として使った際に、ほぼ全量が分解して、次亜臭素酸とDMHに分解されるという形での報告がなされておりますので、DBDMHとして残るものではないという形で考えております。

○若林部会長 また、不純物が何か毒性を示すというような報告も特にないわけですね。

 どうぞ。

○穐山委員 これは、食品安全委員会のときに、アレルゲン性のところでちょっと審議になったのですが、DBDMHが皮膚刺激性の疑いがあるという論文報告はあります。ただ、ウサギでやった論文なのですが、基本的には、食品安全委員会では、DBDMHは全部分解するので、食品として摂取する上で評価する上で、DBDMHは評価する必要はないという判断でしなかったですけれども、報告として、DBDMHが若干ですが、皮膚刺激性がある疑いがあるという報告はありました。

 ただ、そこは、今回の食品安全委員会の食品添加物として摂取するリスク評価は必要ないと、判断しなくていいという判断になったと思います。

 ただ、これは、やはり、水に溶かして使うということで、装置で生成して使うということだと思うのですけれども、DBDMHが製造者に接触するかどうかが、製造者の安全性というところは考えなくてもいいのですけれども、その辺は何か業者のほうから伝えることはしたほうがよろしいかなと思っております。

○若林部会長 事務局から、どうぞ。

○事務局 まず、先ほど、最初に御質問を頂いた点についてなのですけれども、資料2-3の食品安全委員会の食品健康影響評価のほうの14ページのほうに、FAO/WHOでの評価というのが記載されております。

 そちらのほうでは、DBDMHについて言及がされておりまして、DBDMH、(2)番の国際機関における評価と、<1>FAO/WHOの2、3行目のあたりでございますが、DBDMHは水中や熱で分解し、残留しないことからDBDMHとしての評価はなされていないという形になっておりますので、FAO/WHOのほうでも、先ほど穐山先生のほうから御指摘のあったように、DBDMHそのものの評価は行われていないという形になっております。

 それで、今、穐山委員のほうから御指摘いただいた労働衛生という観点かと思いますが、基本的には、労安法とかという話にはなるかと思いますが、そういった指摘があったということについては、要請者のほうにお伝えしておきたいと考えております。

○若林部会長 分かりました。穐山委員、よろしいですか。

 そのほかに、何かございますか。

 どうぞ。

○鎌田委員 有効性のところを見させていただいて、もう一度、資料2-2、1ページの概要を読みますと、牛におけるカンピロバクターの殺菌等の目的で使用されているという。

 実際に、ここでカンピロバクターの実験はないのですけれども、アメリカの紹介ということだけで、カンピロバクターに有効と読み取れるのは、若干危険があるというような気がしておりますが、ふだん、取り扱いはどうだったでしょうか。アメリカの情報だけで、出しているからいいと、それを読み取ってカンピロバクターも有効だというふうに日本が読まないかなというのが気になるところです。

 私の誤解がありましたら言ってくださいね。

 もう一つ、文章が読み切れないところがありまして、同じく資料2-2の4ページ、一番下、2行目からなのですが、「牛肉に対して1) E. coli O157:H7、2)」、その後「並びに 3) 指標菌(E.coli O157:H7及び Salmonella Typhimurium の指標菌)」とありまして、この「3) 指標菌(E.coli O157:H7及び Salmonella Typhimurium の指標菌)」、ここの文章が読み取れなくて、一体、この3の指標菌は、何を使ったのかというのが、ここからは分からない。文章的に読み取れない。

○若林部会長 2つありましたけれども、カンピロの話と、今の4ページの一番下の段落の指標菌のところですけれども。

 どうぞ。

○事務局 御指摘ありがとうございます。

 まず、最初の御質問につきましては、確かにデータのほうではカンピロバクターのデータというのはございませんので、カンピロバクターの記述は修正させていただきたいと思います。

○若林部会長 もう一つは、どうですか。

○事務局 こちらの指標菌に関しましては、 E.coli O157とサルモネラの指標菌という形で、抗原性のないものが用いられているというものでございますけれども、文章として分かりにくいという御指摘をいただきましたので、修正させていただければと存じます。

○若林部会長 では、よろしくお願いします。

 細かいところですけれども、5ページのところの E.coli のEは大文字になって、サルモネラの最初のエスが、大文字と小文字が入り混じっています。5ページの一番上は、 Salmonella Typhimurium でSとTが大文字になっているのですけれども、括弧の下のところの(2)のところは、今度は小文字になっていますね。ここのところを統一をしておいてください。よろしいですか。

○事務局 記載については、修正させていただきます。

○若林部会長 そのほかに、何かございますか。よろしいでしょうか。

 杉本委員、何か、この次亜臭素酸水の成分規格については、特に問題ありませんか。

○杉本委員 特にないです。

○若林部会長 どうぞ。

○井手委員 質問なのですけれども、中島委員に教えていただきたいのですけれども、先ほどの一般生菌数というのがありましたね。これは、APCと略されているから、好気性菌の意味になっていますね、略語はずっと使われていますね。

 もう一つ、水質や何かのときに、一般細菌数というのがありますね、その辺の区別というのは、ちょっと私、あまり不得手なのですけれども。

○中島委員 まず、資料1-2と2-2にあったものは、CFUという単位ではかられていまして、CFUというのは、コロニー・フォーミング・ユニットで、1匹の菌が増殖できるものという意味ですので、これは生菌数と数えます。

 それから、嫌気性菌と好気性菌の話ですけれども、嫌気性菌といったら、酸素がなくても生えられる菌というのが一般的な定義で、酸素があっても、なくても生えられる菌というのも含みます。なので、好気性菌というと、一般的には、酸素がないと生えられない菌と解釈されますので、好気性菌というふうに限定してしまいますと、そうすると、大腸菌は好気性菌ではありませんので、なので、この場合は一般生菌数としておくのが一番適切と考えます。

○井手委員 APCのAは、エアロビックとか、何か、そういうあれですか。

○中島委員 これは、何の略なのでしょうね。アナエアロビックでも、エアロビックでも、どちらにしてもAなので。

○井手委員 慣用的な略語と考えて。

○中島委員 ええ、それで、これはもとが何なのかなと、私もさっきから考えているのですけれども、そこはあっちへ置いておいて、この場合、日本語としてきっちり誤解のない言葉を置いておけばいいのではないかと考えます。

○井手委員 あと、水質の一般細菌ですね。あれもCFUですね。あれとの区別は、どういうふうに考えたらいいのですか。同じ培地か何かでという条件で違うのですかね。

○中島委員 水質の場合は、また、どういう培地を使うかというので出てくる菌の数が変わりますので、水質の場合は、この大腸菌群が出てくる、そういう規定の培地がありますので、それで出てくる数で数えます。

 結局、菌一匹、一匹数えるわけにはいきませんので、出てくるコロニーを勘定するわけですから、現実的には、コロニー・フォーミング・ユニット、CFUで、それで、これを生菌数とするのが、一番誤解のない考え方だと思います。

○井手委員 つまり、私が聞きたいのは、あっちは一般細菌数でよくて、こっちは一般生菌数が正しいという。

○中島委員 本来は、生菌数のほうが現実に近いのですけれども、コロニーの数で数えて、これを細菌数と報告するのが、また、一般的にもなっておりますので、だからといって、間違いというわけではないということです。厳密には、生菌数とすべきだと考えます。

○井手委員 分かりました。ありがとうございました。

○若林部会長 よろしいですか。

 それでは、一とおり意見が出たと思いますけれども、よろしいですか。

 二村委員、何かよろしいですか。

○二村委員 大丈夫です。

○若林部会長 次亜臭素酸水につきましては、何点か修正箇所が、皆さんから指摘されましたので、事務局のほうで、それを修正するという条件のもとで、この次亜臭素酸水の新規指定等については、認めるということでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○若林部会長 では、そのようにさせていただきます。

 それでは、部会報告書を取りまとめまして、分科会へ報告する手続をとりたいと思いますので、事務局から、そのほか、何かございますか。

○事務局 次亜臭素酸水については、修正が必要な点があるという御意見がございましたけれども、この点については、御意見をいただいた委員と事務局で修正の後、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題なければ、手続を進めるということでよろしいでしょうか。

○若林部会長 よろしいですね。では、そのように進めてください。

 それでは、今後のスケジュールは、どのようになっていますでしょうか。

○事務局 今回の審議結果につき、食品衛生分科会での報告のほか、パブリックコメント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したいと思っております。

○若林部会長 それでは、適切に手続を進めてください。よろしくお願いします。

 それでは、議題の2は、以上で終了しまして、次に3のほうに移ります。

 3は「亜塩素酸ナトリウムの規格基準改正について」です。

 それでは、審議を行いたいと思います。

 まずは、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料3-2に基づきまして御説明をさせていただきます。

 まず、こちらにつきましても、過酢酸製剤と同様に経緯が複雑でございますので、まず、資料3-2の16ページのほうを御覧ください。

 冒頭に記載をさせていただいておりますが、当初、事業者のほうから対象食品を食肉、野菜、果実等に拡大するとともに、使用量の最大限度値を1.20mg/kgに変更する旨の改正要望が出されておりまして、その内容で、ここの下にございます、平成25年4月3日の添加物部会のほうで御審議をいただきまして御了承いただきました。

 それを踏まえまして、6月12日からパブリックコメントを実施しましたところ、添加物部会の報告書案に記載されている亜塩素酸水の有効性のデータの引用が適切でないという御指摘を受けまして、改めて、11月の添加物部会のほうで御審議をいただきまして、一旦了承というのを取り消した上で、事業者のほうで対象食品等の検討を行うということになっておりました。

 今回、対象食品、使用条件等の検討が行われた結果というのが出てまいりまして、その結果を踏まえまして、食品安全委員会のほうで食品健康影響評価を依頼しまして、その結果が1222日に返ってきたということで、今回、御審議をいただくものとなっております。

 こちらにつきましては、一旦了承が取り消された上で、改めて事業者のほうから、新しい使用基準案ということで出ているということで、資料3-2につきましては、新しい使用基準案等に基づいての資料ということで作成をさせていただいております。

 それでは、資料3-2の1ページから順に御説明をさせていただきます。

 品目名は、亜塩素酸ナトリウムでございまして、分子量、用途等については記載のとおりでございまして、漂白剤、殺菌料として使用されているものでございます。

 我が国での使用状況につきましては、昭和38年に添加物として指定されまして、その後、何度かの改正を経まして、かずのこの加工品ですとか、かんきつ類果皮、さくらんぼ、生食用野菜類、卵類等に使用が認められているというものでございます。

 また、漂白、殺菌力を高める目的で、使用の直前に塩酸やクエン酸等の酸を混合した酸性化亜塩素酸ナトリウムとして使用されているというものでございます。

 今回、使用基準の改正に伴って、食肉への使用という部分がございますけれども、そちらについては、今、御説明をしました、酸性化亜塩素酸ナトリウム、ASCと略させていただきますが、ASCとしての使用を前提の使用基準の拡大ということになっております。

 続きまして、諸外国での使用状況でございますが、コーデックス委員会では、加工助剤に分類されるということで、GSFAのほうでは、規格は設定されておりません。

 2ページのほうでございますが、JECFAのほうでは、2007年にASCの評価というのが行われておりまして、ASCADIを亜塩素酸イオンとして0.03mg/kg体重/日、塩素酸イオンとして0.01mg/kg体重/日と設定してございます。

 また、WHOのほうでは、2005年に亜塩素酸を飲料水質ガイドラインの対象物の1つとして評価されておりまして、TDIとして30μg/kg体重/日と設定されております。

 米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド等では、牛肉ですとか、家禽肉等への殺菌の目的での使用が認められているという状況になっております。

 なお、EUのほうでは、EFSAで家禽肉への使用への安全性の問題はないという評価がされておりますが、現時点では、使用が認められていないというところになっております。

 続きまして、食品添加物としての有効性でございますが、5.でございます。

 亜塩素酸ナトリウムの水溶液を酸に混合しますと、平衡反応により亜塩素酸が生じるというものでございまして、この亜塩素酸が有効成分として働いているというものでございます。

 亜塩素酸と亜塩素酸水の存在比の変化というものをお示ししたものが、3ページの図としてお示ししております。

 こちらの図で、左下から右上に上がっているものが、亜塩素酸塩となっておりまして、左上から右下に落ちているものが亜塩素酸という形になっております。

○若林部会長 これは、ちょっと見づらいのですけれども、お分かりになりますね。白黒にすると、全然分からないのですけれども。

○事務局 ちょっと、こちらは見やすいように工夫をさせていただきたいと思います。

 こちらの亜塩素酸が、アミノ酸のSH結合ですとか、SS結合を酸化することによって、抗菌活性を示すとされております。

 具体的なデータにつきましては、別紙1ということでございまして、資料3-2の10ページからの別紙1ということでお示しをさせていただいております。

10ページからの資料としまして、家禽肉及び牛肉に対する有効性ということで、家禽肉については、一般生菌ですとか、大腸菌群、サルモネラ、リステリア等に対しての有効性の検討が行われております。

 食肉、赤身肉に対しては一般生菌ですとか、リステリアに対する有効性の確認が行われておりまして、使用の濃度では、大体10の2乗程度、対数としまして2程度の減少が認められているという結果になってございます。

 続きまして、3ページにお戻りいただきまして、6番の食品安全委員会における食品健康影響評価の結果でございます。

 食品健康影響評価に関しましては、先ほど、御説明いたしましたように、今回の亜塩素酸ナトリウムの使用基準の改正というのは、ASCとして使用されるという前提で要請がされているということで、安全性の評価につきましては、4ページの一番上でございますけれども、亜塩素酸イオン及び塩素酸イオンの安全性を評価するという形になってございます。

 なお、続けての段落でございますが、臭素酸に関しましては、市販の亜塩素酸ナトリウム製剤を用いて調製した水溶液の実測データに基づいて評価をした限り、臭素酸が検出されていないということが、確認されております。

 では、それぞれのイオンについて、説明をさせていただきます。

 まず、亜塩素酸イオンでございますが、亜塩素酸イオンにつきましては、生体にとって特段に問題となる遺伝毒性はないとされ、発がん性は認められなかったとされてございます。

 食品安全委員会では、亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸水の使用にかかる推定一日摂取量を勘案すると、亜塩素酸イオンのADIを特定することが必要と判断されております。

 その結果、ラットの二世代繁殖毒性試験の結果から得られたNOAELに基づきまして、亜塩素酸イオンのADI0.029mg/kg体重/日と評価がなされております。

 5ページ、塩素酸イオンについて御説明をさせていただきます。

 塩素酸イオンにつきましても、生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないと判断がされております。あわせまして、発がん性があるとは判断できないという評価がなされております。

 塩素酸イオンに関しましては、ラットを2年間慢性毒性発がん性試験の結果から、塩素酸イオンのLOAELが4mg/kg体重/日と判断されておりまして、その値と、塩素酸イオンの我が国における推定一日摂取量の間に、十分なマージンが存在することから、添加物亜塩素酸ナトリウムが、添加物として適正に使用される場合、塩素酸イオンの安全性に懸念がないと考えられたと評価がなされております。

 続きまして、7番の一日摂取量の推計でございますが、JECFAでも評価が行われておりますが、我が国の摂取量推計について御説明をさせていただきます。

 6ページ、先ほど、安全性評価で評価が行われました亜塩素酸イオンと塩素酸イオンについて、摂取量の推計が行われております。

 こちらの2つのイオンにつきましては、既に指定がされております、亜塩素酸水と、今回、使用基準の改正が行われます、亜塩素酸ナトリウム由来の摂取量というのを両方見るという形で推計が行われております。

 まず、亜塩素酸イオンの摂取量推計でございますが、こちらにつきましては、亜塩素酸水の残留試験の結果ですとか、亜塩素酸ナトリウムの残留試験の結果を踏まえまして、いずれも検出がされていないということから、検出下限値の高いほうを推計に用いておりまして、そちらの値と国民健康調査の結果を踏まえまして、一日推定摂取量が算出されております。

 その結果というのが、7ページの3段落目でございますが、食品安全委員会としては、添加物亜塩素酸ナトリウム又は添加物亜塩素酸水の使用に係る亜塩素酸イオンの一日摂取量は0.025mg/kg体重/日と判断がなされております。

 続きまして、<2>番の塩素酸イオンの摂取量推計でございますが、こちらも同じように、亜塩素酸ナトリウム若しくは亜塩素酸水の残留試験の結果と、あと、JECFAで亜塩素酸ナトリウムが評価されたときの残留試験の結果を用いまして、検出されたものがある場合については、その検出された値を用いるということとともに、試験データがないものについては、検出されたデータを引用する形で摂取量の推計が行われております。

 この結果が、7ページの中ほどより下のところでございますが、食品安全委員会としては、添加物亜塩素酸ナトリウム又は添加物亜塩素酸水の使用に係る塩素酸イオンの一日摂取量は0.0008mg/kg体重/日と判断したとされております。

 以上を踏まえまして、8.の規格基準の改正について御説明をさせていただきます。

 食品衛生法11条1項の規定に基づく規格基準については、次のとおり改正することが適当であると考えております。

 まず、使用基準につきましては、食品安全委員会の評価結果、摂取量の推定等を踏まえまして、以下のとおり規格基準を変更することが適当であるとさせていただいております。

 具体的な改正案につきましては、8ページのほうを御覧ください。

 対象食品を食肉及び食肉製品というのを拡大させていただくとともに、使用方法等につきまして、浸漬液又は噴霧液1kgにつき、亜塩素酸ナトリウムとして0.50から1.20g、また、亜塩素酸ナトリウムにつきましては、食肉及び食肉製品に使用するとき、pH2.3から2.9の浸漬液又は噴霧液を30秒以内で使用しなければならないと改正をさせていただきたいと考えております。

 (2)でございますが、成分規格につきましては、別紙2でお示しさせていただいておりますように、亜塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸ナトリウム液というのが設定されておりますが、今回の改正に伴う規格の変更というのはございません。

 事務局からの説明は、以上でございます。

 以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○若林部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、審議に入る前に、亜塩素酸ナトリウムの食品安全委員会での評価結果について、遺伝毒性部分について、戸塚委員より、お願いいたします。

○戸塚委員 お手元の資料の3-3の26ページを御覧ください。

 こちらに、まず、亜塩素酸イオンであります、亜塩素酸ナトリウム及び微酸性次亜塩素酸水に関する遺伝毒性の試験結果が表にまとめられております。

 この表から、御説明いたしますと、まず、 in vitro in vivo の様々な突然変異試験とか、あとは染色体異常、小核試験などが行われております。

 このうち、まず、復帰突然変異で一番上のカラムになりますけれども、1つ陽性というのが出ておりますが、これは、最高用量でのみ弱い陽性と記載がありまして、この非常に弱いというのか、対照群の2倍程度ということですので、数値をとれば陽性になるけれども、非常に弱いということが考えられるものでございます。

 もう一点、 in vitro の染色体異常試験というもので、上から3カラム目になりますけれども、これも最高用量でのみ陽性という結果が出ておりまして、この試験は、同じ機関で、同じ論文中で評価されたものでございます。

 このように、 in vitro の染色体異常試験で陽性が出ておりますが、一方で、 in vivo の染色体異常試験とか、あとは、小核試験といったものでは、全て陰性の結果が得られております。

 また、参考資料といたしまして、その表の一番下のマウスの小核試験で陽性というものがありますが、これは、投与方法が腹腔内投与になっておりまして、食品安全委員会では、経口投与のみを評価の対象にすると考えられておりますので、これは、陽性が出ておりますが、参考資料として考慮するというものになっております。

 これらの結果を踏まえまして、まとめの文章が26ページの下から書かれておりますが、細菌を用いた復帰突然変異試験で認められた陽性反応は弱いものであり、 in vitro 試験での、染色体異常試験も、それ以外の in vivo の試験等では陰性であったことから、これらの点からも、食品安全委員会では、この亜塩素酸ナトリウム及び微酸性次亜塩素酸水は、生体にとって特段問題となるような遺伝毒性はないと考えたと記載があります。

 同様に、46ページ、こちらには、塩素酸イオンについての遺伝毒性のまとめが記載されております。

 表33には、 in vitro in vivo の様々な遺伝毒性試験について記載されております。

 このうち、まず、復帰突然変異試験で、45ページのカラムの一番下で、試験結果のところで陽性というのが1つ出ておりますが、これに関しまして、同じような復帰突然変異試験、それ以外の試験が2つされておりますけれども、そういったものでは、陰性と出ておりますことから、それ以外の試験では、陰性であるということから、1つだけ出ている陽性というものは、そんなにこの結果を重く考えなくてもよいのではないかというふうに結論いたしまして、遺伝子突然変異誘発の懸念はないと考えましたというような記載があります。

 また、もう一つ、陽性が出ております、コメット試験というものがあります。表33の一番上になりますけれども、こちらでも、最低用量のみで陽性というような結果が得られておりまして、このもとの論文を詳細に読んでみますと、この著者らは、DNA-DNAのクロスリンクの生成が、このコメットによります陽性を誘発しているのではないかと考察しておりましたが、食品安全委員会では、塩素酸イオン若しくは塩素酸ナトリウムによるDNA-DNAのクロスリンクの生成は考えにくいということや、また、用量依存性が認められなかったというようなことから、こちらの陽性の結果に関しましても、あまり重く考えることはないだろうと考えております。

 さらに、同じような系で実施された in vitro の小核試験で、陰性の結果が得られておりますし、それ以外でも、 in vivo のマウスを用いた染色体異常試験や小核試験でも全て陰性の結果というものが得られておりますので、こういったデータを全て総合的に評価いたしまして、食品安全委員会では、塩素酸イオンについては、生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないと考えたと記載があります。

 以上です。

○若林部会長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、遺伝毒性以外の発がん性毒性 in vivo 試験について、小川委員よりコメントが届いているかと思いますので、説明をお願いします。

○事務局 小川委員からのコメントを御紹介させていただきます。なお、資料3-3もお手元に御準備いただければと思います。

 それでは、御紹介をさせていただきます。

 亜塩素酸ナトリウムは、pHの状態によって、亜塩素酸イオンと塩素酸イオンに変わり得るとのことから、これら2物質の分解について評価されています。

 評価に特に重要と思われる所見について挙げさせていただきます。亜塩素酸イオンについてでございます。

27ページから42ページまでの記載のように、実験動物の試験も非常に多くされており、高い用量では、赤血球等に所見が見られていますが、36ページのd、ラット二世代生殖毒性試験の結果から、表21-2にありますように、F2b 70mg/L投与群以上で認められた聴覚驚愕反応の低下に基づいて、最小のNOAEL35mg/L、亜塩素酸イオンとして2.9mg/kg体重/日としております。

33ページからのラットの発がん性試験では、腫瘍発生は見られていません。

43ページからのヒトでの知見からは、明らかな毒性が確認されていません。

 続きまして、塩素酸イオンでございますが、47ページから64ページまでの記載のように、多くの実験動物による試験が実施されております。

57ページの(b)ラット2年間慢性毒性/発がん性試験の結果から、表46-2にありますように、125mg/L以上で甲状腺上皮細胞肥大が増加していることから、最初のLOAEL125mg/L、塩素酸イオンとして4mg/kg体重/日としております。

 また、58ページからのがん原性試験については、背景データとの差が明らかでないことから、発がん性があるとは判断できないとしています。

64ページからのヒトの知見では、5mg/Lの用量で、12週間投与しても顕著な変化がないことから、NOAELを最高用量の5mg/L、塩素酸イオンとして36μg/kg体重/日としています。

 よって、毒性学的データを考慮すべきと考えられ、LOAEL125mg/L、塩素酸イオンとして4mg/kg体重/日を評価値としております。

 以上より、亜塩素酸イオンについては、本法での推定一日摂取量が0.025mg/kg体重/日であり、NOAEL2.9mg/kg体重/日のため、ADI設定が必要であり、安全係数を100として、ADI0.029mg/kg体重/日と設定するのが妥当と考えられました。

 塩素酸イオンについては、本法での推定一日摂取量が0.0008mg/kg体重/日であり、LOAELが4mg/kg体重/日のため、十分なマージンがとれるため、ADI設定はされていません。

 亜塩素酸ナトリウムとしては、添加物として適正に使用される場合は、安全性に懸念はないと考えられますとのコメントを頂戴しております。

○若林部会長 ありがとうございました。

 引き続きまして、体内動態についても、吉成委員からのコメントを説明ください。

○事務局 続きまして、吉成委員からのコメントを御紹介させていただきます。

 資料3-3の19ページに記載されているように、食品安全委員会では、本剤の評価に当たり、関連物質である亜塩素酸イオン及び塩素酸イオンの評価を行っております。

20ページの1.(1)<1>に記載されているように、亜塩素酸ナトリウムは、経口摂取すると、胃液で亜塩素酸となり、その後、生体内で塩化物イオン、二酸化塩素、亜塩素酸イオン等も生成すると考えられております。

 亜塩素酸イオンの投与実験の結果から、亜塩素酸イオンの吸収率は高いが、塩化物イオンとして尿中に排泄されることが示されております。

21ページ以降には、塩素酸イオンについての結果が示されていますが、こちらについても、塩化物イオンとして速やかに尿中排泄されると考えられます。

 以上のことから、食品安全委員会では、体内動態に関して、問題を指摘しておらず、私も特に問題となる体内動態、代謝はないと考えますとのコメントを頂戴しております。

○若林部会長 どうもありがとうございました。

 引き続きまして、これは、殺菌剤ですので、鎌田委員から、微生物に対する有効性に関して解説をお願いいたします。

○鎌田委員 資料3-2を御覧ください。

 2ページ目に、5.とありまして、ここに結論が書いてあるのですが、今回の場合は、食肉への適用ができるかという観点で、一般細菌、大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、リステリアという肉につきやすい食中毒系のばい菌ですね。こういうものに対して有効性を調べてみたという成績です。

10ページ、別紙になります。ここに成績が固まって載っております。

 実際に、この添加物は酸性化していますので、酸性化の亜塩素酸ナトリウム、ASCというのが対象の添加物であります。

 ここからは、別紙での説明にはなるのですが、表1-2、11ページを御覧いただければ、まず、有効性がお分かりになるかと思います。

 これは、鶏の肉の大腸菌群に対する添加物の殺菌効果を見ているのですが、実験的なデザインから言いますと、真ん中の段にASC、2番目の段に高濃度のASCを入れています。

 したがいまして、ASCの効果を見るには、塩素水のみのデータから比較するというのが正しいやり方になります。この表の見方は、実は少し難しいのですけれども、実際に、ここの表を見ますと、冷却水浸漬後の菌数というところが、この塩素水プラスASCを漬けて、鶏の肉の大腸菌群を調べた成績になりまして、塩素水2.822.44という状態ですね、そこからどれくらい減ったのかと、数字が減れば、有効性が見られるということになりまして、850ppmASCが入りますと、大腸菌群については、log1.8100分の1近い効果が見られると、大腸菌と限定いたしますと、このぐらいの効果があるという成績になっております。

 分かりにくい成績が続きますから、10ページを御覧いただければと思います。

 表1-1ですが、一般生菌です。一般生菌の中には、非病原性のものもたくさん含まれているわけですが、一般的に、これが少なければ少ないほど、衛生的な状況になるという判断から、このASCを入れますと、ここは、logの値がそのまま出ていまして、今まで申し上げましたように、水だけで、細菌というのは、鶏の枝肉からとり除くことができるのですが、それにプラスアルファーして、どれぐらいの効果があったかという観点を見ますと、一番上の段ですと、2.79から2.03と、1桁弱ぐらいの緩やかな殺菌効果があるのかなと。

 噴霧いたしますと、接触頻度が減る状況になりますので、若干の殺菌の効果も薄まってくると。ここから見ますと、水での洗浄の効果が強くて、それにプラスアルファーするような酸性化、亜塩素酸ナトリウムASCの効果があるとして読み取れます。効果がないわけではありませんが、リマーカブルな変化であるかというと、なかなかそうではないという状況の表1-1の成績にはなっています。

 表1-3を御覧ください。

 鶏の肉は、サルモネラに汚染されやすいのですが、そのサルモネラ等に対するASCの殺菌効果です。

 対象菌種のところが、サルモネラ、カンピロバクター、リステリアという食中毒細菌です。

 この成績自身、表のつくり方なのですが、増減比のところは、今のこの評価だけですと、理解ができない状況になっております。

 それで、比べていきたいのは、3段に固まってあります塩素水、それから、ASCを入れています、濃度を2項目立てていますので、そこからどれくらい検出率が落ちたのかと、こういう観点で見ていただければと存じます。

 サルモネラは、実は、塩素水だけですと、検出率は10%、これにASC500ppm入れますと、検出されなくなる。濃度を上げますと、さらに検出されなくなるというのが、サルモネラとASCの関係です。

 固まりの中段にあります、カンピロバクターですが、塩素水だけに漬けただけですと、陽性率は70%です。

 その状態にASCを加えますと、70%の陽性率が15%に下がります。ASCの濃度をさらに足しますと、ここは、多分、限界濃度だったと思いますが、20%ぐらいで、その効果というのは頭打ちになっているという状況です。

 しかしながら、10%あるいは15%まで低下しておりますので、ASCのカンピロバクターに対する殺菌効果というのは、検出率という考え方からしますと、十分に効果があるものだと判断できます。

 リステリアですが、塩素水に漬けますと、100羽調べますと、30羽陽性率となると。ところが、ASC500ppm加えましたら、100羽中の10羽に、850ppm加えますと、100羽調べても陽性の個体は出てこないと、こういう読み取り方を、表1-3に対して適用いたしますと、ASCは、サルモネラ、カンピロバクター、リステリアという細菌に対して殺菌効果があるとして読み取れます。

 ここお分かりになりますでしょうか、大変ややこしくなっておりますが。

 次のページ、こちらは、牛のほうの肉ですね。赤身、枝肉のほうへの効果になります。

 表1-4は、一般生菌です。

 この文章によりますと、2ガロンと1ガロンの比較をして、その成績を挙げているのですけれども、菌数ですので、その菌数を素直に見ますと、ガロンの効果は、少し置いておいて、対照(無処理)に比べまして、ASC1000ppm入れますと、およそ10分の1、1桁生菌数が下がっていると。

 今度は、リステリアに対する有効性、ソーセージについて調べた成績が表1-5ですが、下から2段目のところで、無処理と出てきていますので、そこで、一度対象が違いますので、上半分の5つのカラムだけを御覧ください。

 この食肉製品(ソーセージ)中にリステリアといいますのは、何もしませんと、最終的にソーセージをつくったということですけれども、何もしませんと、10の6乗オーダーのリステリア菌があったということです。

 それを、赤身肉を水で洗浄しただけで、約2桁落ちると、それにASC10秒、15秒、30秒と入れていった成績が、処理後の菌数のところになりまして、水洗浄に比較しまして、1桁強ぐらいの殺菌効果があると、浸漬した場合ですが、というふうに読み取れます。

 その下、ページが切れてしまいますけれども、その処理から、水洗浄、噴霧の成績を見てみますと、水洗浄で5.08の菌数がございます。30秒間の噴霧をいたしますと、3.84と、1桁以上の菌数の低減があるというふうに読み取れまして、このASCの食肉に対する、特にリステリア・モノサイトゲネスという食中毒細菌に対する殺菌効果というものは担保されていると判断いたします。

 以上です。

○若林部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、同様に中島委員から、微生物に対する有効性の部分に、何か追加発言があれば、お願いします。

○中島委員 では、少々一般的な話をさせていただきます。

 微生物を顕微鏡で見たときに数えられる菌、これが一般菌数ですが、病原菌の場合は、それが腸内で増殖するのがまずいわけですから、コロニーをつくれる菌の数、一般生菌のほうが重要になりますので、ここではCFUで、生菌数で見ております。

 一般的には、大体生きのいい100万匹くらい、10の6乗程度一度に摂取すると、発症すると言われておりまして、中には、O157のように、数百匹で発症すると言われているようなものもありますので、一概には言えないのですが、摂食時に、確実にその数字を下回るというのが、この安全性のポイントになります。

 表の12ページ、表の1-5ですと、ソーセージ1本で6.08ということは、これを1本生のまま食べると、割とやばいという数字になります。

 これを水洗浄、ASC10秒、15秒、30秒の浸漬で確実に3桁程度下げているということで、これで安全性が確保されて、殺菌になっていると思われますので、こういうふうに見ていきますと、十分有効であると、評価してよろしいかと思います。

 表1-2、1-3については、また、後でコメントさせていただきますが、ここではここまでとします。

○若林部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、委員の方々から御意見、コメントがございましたら、お願いいたします。

 どうぞ。

○中島委員 先ほど、鎌田委員が、説明に苦慮されておられた、表1-2、1-3なのですが、まず、表1-2のほう、冷却水浸漬後の菌数とありまして、この書き方が、結構誤解を呼んでおりまして、これは、冷却水だけではなくて、塩素の冷却水若しくはASCの処理を意味していますので、せめて浸漬処理後のとか、書いていただかないと、何が有効なのだか分かりにくいということになります。

 これで、一番の上の段に比べて、ASCの処理することで、ただ、塩素水だけですと、1桁ぐらいしか下がらないので、3桁ぐらい下がるということで、有効であるということ。

 下の表1-3について、これは、IOBW、内部、外部の洗浄後の検出率、これに大きな差がついていますので、これに対して、冷却水、浸漬後の検出率、これでやります。そうすると、増減比をはかってしまいますと、たまたまプラスになるケースも出てくるので、これが、非常にこの解釈を難しくしています。

 単純に考えれば、塩素水のところ、上の3つがサルモネラ、カンピロバクター、いわゆる10%、70%、30%だったものが、例えば、850ppmですと0%、20%、0%と減っていると。そこだけ見ればよろしいわけなので、提案としては、この増減比の一番右のカラム、これは、やぼなので、削ったらいかがでしょうか。

○若林部会長 どうぞ。

○事務局 御指摘を踏まえて、修正させていただきたいと思います。

○若林部会長 御指摘ありがとうございます。

 そのほかに、何かございますか。

 穐山委員、どうぞ。

○穐山委員 今の中島委員の御説明で、大体理解できたのですけれども、やはり、カンピロバクターのところがふえているという理解に見えてしまうような気がするのですね。増減比を入れても、入れなくても、これは、基本的に処理後で増えるというように見えますね。だから、そこがちょっと誤解をされるのではないかと思います。

○中島委員 この増減比の右側をとったとしてもですか。

○穐山委員 とったとしても、例えば、説明が、先ほど言ったように、冷却水の浸漬後の検出ですね。結局、処理した後に、通常は検出率が下がらなければいけないのですね。つまり、左のカラムから右のカラムに数字が下がらなければいけない。サルモネラとリステリアは下がっているのですが、カンピロバクターの塩素水の部分と、塩素水プラスASC500ppm、カンピロバクターに関しては、左の数字から右の数字に増えています。これは、検出率と言ってしまうから、多分、あれなのですけれども、処理した後に増えると見えますよ。だから、そこは、何か説明が必要なのではないかと、私は思います。

○若林部会長 どうぞ。

○中島委員 恐らくは、一番考えられるのは、IOBW処理してから冷却水浸漬するまでの間の時間とか、それから、手際とかがものをいっていて、特に検出率ですから、同じ人がやらないと、同じ人が、同じ手際でやらないと、なかなか同じ数字というのが出づらいもので、恐らくは、そういったところに起因しているのだと思います。

IOBW後の検出率、冷却水浸漬後の検出率については、これは、恐らく同一人物が同じような手際でやっていると思われますので、増減比はカットしたほうがいいと思うのですけれども、分かりやすさ、勝手にこの資料を削るというのは、やってはならないことのような気もするのですが、重要なのは、冷却水浸漬後の検出率のところだけだと考えます。

 というのも、IOBW後の検出率の数字が、これほどまでに、70%から5%まで振れていますので、これがベースになって、次の実験の結果というふうになりますと、これは、当然、振れて当たり前なので、それは、一見して増えて見えるように出るものもあるでしょうし、また、そここそが、彼らがちゃんと正直に申告している証拠だと思うのですけれども、重要なのは、冷却水浸漬後の検出率の、そこのところのみ記載されたのでも、私は、それほどうそをついたことにはならないように思うのですが。

○若林部会長 鎌田委員、いかがですか。

○鎌田委員 中島先生がおっしゃったように、バクテリアは増殖しますので、IOBWと、冷却水浸漬後の検出率を比較するというのは、ステージが違いますので、そもそも無理なのです。それで、プラス200%になりますと、何か増えたように見えるのですけれども、比較しますのは、ASCの効果ですから、1つ前の段階、ASC処理の前の段階と比較しても、ステージが違うところの比較なので、化学的同一性がないのですね。

 先生おっしゃるように、本当に正直に彼らが書いてきて、また、増減の比率をつくって、200%増えるとなると、むしろ栄養分になってしまっている状態ですけれども、これは、この手の解釈を少し申請者のほうが、自分たちの添加物を明確な効果を見せるという観点ではなくて、全体の成績を見せるという観点で表にしてしまっているから、印象的に誤解を生んでいるという状況だと思います。

○若林部会長 そうしますと、表1-3に関しては、冷却水の浸漬後の検出率だけにして、その前のIOBWのところと、増減比のところについては、カットしてしまったほうが、実際の数値をよくあらわしていると。

○中島委員 分かりやすさで言うのならば、塩素水でやったもののほう、これを100にしておいて、これに対して、ASC処理をしたもので、何パーセント減っているか、これが最も重要なポイントだと思われますので、必要なデータは、検討すべきデータは、それだけだと考えます。

○若林部会長 中島委員と鎌田委員からの御提案ですけれども、ASCで処理をしますと、明らかに下がるということは分かりますけれども、この数字の出し方を修正したほうが、数値的には、ぱっと見て分かるのではないかという御指摘なのですけれども、いかがですかね。

○事務局 御指摘を踏まえて、修正をさせていただきたいと思います。

 すみません、事務局から、中島先生と鎌田先生に御確認をさせていただければと思うのですけれども、今、1-3についての御指摘をいただいたかと思うのですけれども、1-2もIOBWということで数字が並んでいるのですけれども、こちらは残しておいてもいいということでいいかというのを確認させていただければと思います。

○若林部会長 どうぞ。

○中島委員 1-2と1-3の大きい違いは、1-2のほうは、相対値ではなくて絶対値になっていて、菌の数字なので、これが増えているのであれば、それは無効という判定をせざるを得ないですから、これは、そのまま残しておいて、ただ、分かりやすさで言えば、塩素水だけで処理したものに対して、ASC処理した場合に、どれだけ対数減少率が上がっているか、この点を示してくれれば、そのほうが有効性という点には、一目で分かる表になると考えます。

 1-3のほうは相対値なので、重要な点は、何度も申し上げますとおり、冷却水浸漬後の検出率のところのみでよろしいかと思います。

○事務局 そうしましたら、要請者に確認の上、表1-2と表1-3の記載方法については、また、鎌田先生、中島先生のほうに御相談をさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。

○若林部会長 お願いできますでしょうか。

 それ以外に、表1-2、1-3以外に何かありますか。よろしいですか。

 私から、ちょっと質問ですけれども、議題の1と2に関しては、食肉と食鳥肉というのをわけていますけれども、この場合の食肉というのは、全ての肉を含む。よろしいですか。

○鎌田委員 法律上の家畜といいますのは、牛、豚、羊、山羊、馬なのです。この食鳥のほうは鳥ですね。家禽と申しますのは、いわゆる鶏とアヒルです。と畜場法の中で、食鳥処理法できれいに明確に分かれているのですよ。

 ですので、そこまで認識している人間は、食鳥肉に対して、食肉と言われると、もう鳥の肉は入らないという認識はあるのです。

 ところが、一般的なことになりますと、食肉といいますと、お肉なので全部含んでしまうという。そのサイエンスと法律が分かっている方と、そこまで認識のない方でこういう書き方をよくいたします。

 ですので、今のこれからしますと、丁寧に説明するという意味では、食鳥肉を除くとやったほうが、多分、明確になると思います。

○若林部会長 どうぞ。

○事務局 私ども、ASCについては、食肉は、今、お話があった鶏肉を含むと考えておりますので、過酢酸のほうでは除くと、牛、豚等と鳥で濃度が違うということで、書き分けをさせていただいていますが、こちらは、鳥も含めた形での使用基準というので、ASCとかを考えております。

○若林部会長 今の鎌田先生の説明ですと、食肉というと、食鳥肉は含まれないのではないかという御指摘なのですけれども、そこのところは大丈夫でしょうか。

○事務局 一応、もともと食肉の中に食鳥肉というのは含まれているという理解で使用基準の案を書かせていただいていますが、実際、鎌田先生の御指摘を踏まえて、使用基準としてどう書くかというのは、中でも検討させていただきたいと思います。

○若林部会長 よろしくお願いします。

 それ以外に何かございますか。

 どうぞ。

○井手委員 3-2の3ページの図なのですが、この図の意味があまりよく分からないのですけれども、その2本が亜塩素酸と亜塩素酸塩になっているのですけれども、これは、多分、亜塩素酸を水に溶かした段階で、イオン型と非イオン型の図ではないかなと思いますが、いかがなのでしょうか。水に溶かした場合に、亜塩素酸と亜塩素酸塩の比率というのは論じないと思うのですけれども、だから、100%から始まっているのがHClO2 で、0%から始まっているのが、ClO2 かなと思ったのですけれども、そうではないのですか。ここで、言いたいことは、使っているのは、ほとんどイオン型になっている状態ですというのが言いたいのか、あるいは正確に書けば、3ページの下のほうに、10行ぐらいで書いてあるのですけれども、非常にややこしい平衡関係をとると思いますけれども、これは、どういう意味なのでしょうか、この図について教えていただきたいと思います。

○若林部会長 どうぞ。

○事務局 こちらについては、イオン型のものと、酸の形になっているものを示すということで、今、御指摘になったような形での存在比率を示すということで、亜塩素酸塩という書き方が適切でないのかと思いますので、亜塩素酸イオンという書き方のほうが、より適切かと思いますので、そちらを修正させていただきたいと思います。

○若林部会長 お願いします。よろしいですか。

 そのほかに何かございますか。

 この亜塩素酸ナトリウムについては、幾つかの修正点が委員のほうから指摘されていますので、それらの修正点について、微生物の有効性等については鎌田先生ですとか、中島先生、又は、先ほどの図のことに関しては、例えば、井手先生ですとかにちょっとチェックをしていただいて、それを修正した上で、亜塩素酸ナトリウムの新規指定を認めるということでいかがでしょうか。

 御意見は、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○若林部会長 では、それで認めるということで進めたいと思います。

 それでは、事務局から、報告書を取りまとめて、分科会へ報告する手続をとりたいと思いますけれども、事務局から、何か報告がございますでしょうか。

○事務局 今、座長から御指摘いただきましたとおり、修正の必要があるという点を何点か御指摘いただいておりますので、その点につきましては、御指摘いただいた委員と事務局のほうで修正をさせていただいた上で、修正内容について、部会長に御確認をいただくという形をとらせていただきまして、特に問題がなければ、そのまま手続を進めていきたいと思います。

 また、本品目については、使用基準改正のため、その基原、製法、用途等から見て、慎重に審議する必要があると、部会の意見に基づき、分科会長が決定するものを除き、分科会では審議事項ではなく、報告事項とされておりますが、こちらについて、報告事項として進めさせていただいてもよろしいでしょうか。

○若林部会長 この項目については、審議事項ではなくて、報告事項として分科会に上げるということで、よろしいですか。

 それでは、今後のスケジュールについてお願いします。

○事務局 今回の審議結果につきまして、食品衛生分科会での報告のほか、パブリックコメント、WTO通報等の所定の事務手続を開始させていただきたいと思います。

○若林部会長 それでは、適切に手続を進めていただければと思います。

 以上で、本日の3つの議事は終了いたしましたけれども、続いて、事務局より、報告事項はありますでしょうか。

○事務局 本日の報告事項はございません。

○若林部会長 それでは、部会委員の皆様から、そのほかに、何か御意見ですとか、追加意見ですとか、何かございますでしょうか。よろしいですか。

 発言がないようでしたら、次回の予定について事務局より説明をお願いします。

○事務局 長時間にわたり御審議いただきまして、ありがとうございました。

 次回の添加物部会につきましては、日程を調整させていただいているところでございまして、日時、場所、議題等につきましては、改めて御案内させていただきたいと存じます。

○若林部会長 3月11日が候補になっていますかね。それで、よろしいですか、事務局。

○事務局 一応、そういう予定を考えております。

○若林部会長 分かりました。手帳を確認いただければと思います。3月11日、たしか10時からの予定に、予定の確保をお願いいたします。

 よろしいですか。

 それでは、長い時間御協力ありがとうございました。

 以上をもちまして、本日の添加物部会を終了いたします。

 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課

添加物係: 03-5253-1111(内線 2453,2459)

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