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2016年1月6日 平成27年度第8回血液事業部会運営委員会議事録

医薬・生活衛生局血液対策課

○日時

平成28年1月6日(水)
17:00~19:00


○場所

厚生労働省18階 専用第22会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)


○出席者

委員:(6名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 ◎田野崎 隆二 花井 十伍
室井 一男 山口 照英

日本赤十字社:

佐竹 正博 豊田 九朗 平 力造

化学及血清療法研究所:

宮本 誠二 千北 一興 羽室 強 原田 健司

事務局:

武井 貞冶(血液対策課長) 近藤 徹(血液対策課長補佐)
金子 健太郎(血液対策課需給専門官)

○議題

・議事要旨の確認
・感染症定期報告について
・血液製剤に関する報告事項について
・日本赤十字社からの報告事項について
・化学及血清療法研究所の血液製剤について
・その他

○議事

○近藤課長補佐 定刻となりましたので「平成27年度第8回薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会」を開催いたします。

 本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 本日の出欠状況ですが、運営委員会委員6名全員の御出席をいただいております。

 また、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博血液事業経営会議委員、豊田九朗製造販売総括管理監、平力造安全管理課課長、以上3名に参加いただいています。よろしくお願いいたします。

 以上、委員の出席の報告と参考人の紹介とさせていただきます。

 カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。

(報道関係者退室)

○近藤課長補佐 それでは、以降の進行を田野崎委員長にお願いいたします。

○田野崎委員長 事務局から、審議参加に関する遵守事項について報告をお願いいたします。

○近藤課長補佐 本日出席いただいた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金、契約金など受け取り状況を報告いたします。

 本日の検討事項に関して「薬事分科会審議参加規程」に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、議題2から議題4に関して、岡田委員より、関連企業より一定額の寄附金、契約金等の受け取りの申告がなされたため、議題2から議題4の検討に当たっては、意見を述べることができますが、議決には加わらないこととさせていただきます。

 また、議題2から議題5に関して、室井委員より、関連企業より一定額の寄附金、契約金等の受け取りの申告がなされたため、議題2から議題5の検討に当たっては、意見を述べることはできますが、議決には加わらないこととさせていただきます。

○田野崎委員長 ただいまの説明について、御意見、御質問はございますか。

 特になければ、競合品目、競合企業の妥当性を含めて御了解いただいたものとさせていただきます。

 それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○近藤課長補佐 事務局から資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第、座席表、委員名簿、運営委員会規程を御確認ください。

 その後に、議題1に関しての資料1のマル1、マル2が1枚ずつ、資料2-1が5枚ありまして、その後に資料2-2が138ページまでございます。

 その後「感染症報告に関する今後の対応について」という紙が1枚あります。

 次に、資料3-1が7ページまで、資料3-2が13ページまであり、資料3-3は6ページまであります。

 議題4「日本赤十字社からの報告事項について」ですが、資料4が1枚あります。

 議題5「化学及血清療法研究所の血液製剤について」ですが、資料5-1はA3の資料が2枚、資料5-2のマル1が1枚と、委員限りの資料、5-2のマル2が1枚、資料5-3になりますが、マル1が1枚で、同じく委員限りの資料ですが、マル2、マル3が各1枚。資料5-4はマル1が1枚、同じく委員限りの資料となりますが、マル2からマル4までは合計6枚があります。

 参考資料は6ページまであり、最後に資料6が1枚となっております。

 不足がございましたら、事務局までお知らせください。

 以上となります。

○田野崎委員長 それでは、議題1に入りたいと思います。

 議題1「議事要旨の確認」ですが、資料1のマル1、1のマル2について、御意見はございますでしょうか。

 よろしければ、これで議事要旨としたいと思います。

 議題2「感染症定期報告について」、事務局から説明をお願いいたします。

○近藤課長補佐 それでは、資料2-1をごらんください。

 平成27年8月から10月までに報告された感染症定期報告のうち、文献資料の概要です。全部で19件の文献が報告されており、その詳細は資料2-2にございますが、資料2-1の概要を用いて御説明いたします。

 文献1に関して、欧州医薬品庁からの資料ですが、E型肝炎ウイルスに対する各種血漿分画製剤の安定性の評価方法について書かれており、今後も製造工程中のE型肝炎ウイルス不活化/除去工程に関する研究が望まれるという内容です。

 文献2は、ヒトパルボウイルスB19の輸血感染について、ドイツからの報告ですが、10の4乗よりも低い濃度のパルボウイルス陽性血の輸血では、感染が成立しなかったという報告です。

 文献3は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)についての日本赤十字社からの論文ですが、血液製剤の保存前白血球除去が輸血伝播のリスクを低減するとの報告です。

 文献4は、ウエストナイルについて、米国赤十字社では、2003年から2012年まで2,700万件以上の献血血液検査が行われ、1,576件のウエストナイルウイルスRNA陽性だったという報告です。

 文献5は、デングウイルスに関して、ブラジルからの報告で、デングウイルスRNA陽性血液の輸血感染は起こっても、重症化はまれであったので、デングウイルスRNAのスクリーニングによって有意に輸血の安全性が上がる可能性は低いという考察がされていました。

 文献6に関しては、D型肝炎に関して、台湾でのコホート研究で、D型肝炎感染に関連する重要な因子は、注射薬物、B型肝炎、C型肝炎、HIV感染、薬物使用期間や加齢が因子となっておりました。

 文献7は、米国で薬物の回し打ちでHIVの集団感染が見られたとの報告です。

 文献8は、シャーガス病について、日本感染症学会での日本赤十字社からの発表ですが、シャーガス病疑いとされた患者の血液検査で、ラテンアメリカ出身者では10名中7名が抗体陽性で、そのうち6名はPCR陽性、3名はトリパノソーマ・クルージが分離されました。

 文献9と文献10は、MERSについての韓国からの報告ですが、文献10では、症状が出る前に感染性はなかったとの報告です。

 文献11は、中国からの報告で、家禽類を扱う労働者における鳥インフルエンザH6ウイルス抗体の陽性率を調べたものです。

 文献12は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、臨床ウイルス学会での岡山県環境保健センターからの報告ですが、日本国内のSFTSウイルスの遺伝子解析を行った結果、ほとんどが土着の株だったとの報告です。

 文献13は、同じくSFTSについて、韓国で患者の体液から医療従事者へ院内感染したとの報告です。

 文献14に関しては、オーストラリアで洪水が起こったとのことで、ロスリバーウイルス感染例が大幅に増加しているという速報が5月に出されました。

 文献15に関しては、米国ミネソタ州で、アルボウイルスに似ていて、発熱、頭痛の症状や髄膜炎脳炎を起こすジェームズタウンキャニオンウイルスによる感染が確認されているという報告です。

 文献16は、米国にて、飼い犬に目を踏まれたところ、Lophotrichus属の新種と推定される真菌によって角膜炎を起こした初めてのヒト症例についての報告です。

 文献17は、感染性プリオンがハマムギを介してハムスターに感染したことから、植物が感染性プリオンのキャリアになっている可能性を示唆する論文でした。

 文献18は、異常プリオンが取り込まれたシロイヌナズナをマウスの脳内に注入すると感染したことから、汚染植物が異常プリオンの暴露リスクになっているのではないかとの報告です。

 文献19は、リスザルを用いて血液製剤を介したプリオンたんぱくの感染性を5~6年追跡して調べた結果、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)の患者からの血液製剤のみ輸血感染が確認されたことから、当該患者からの供血はリスクが高く、一方、孤発性CJDからの輸血感染のリスクはほぼないことが報告されています。

 以上となります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 以上19件の研究報告について、委員の先生方から御意見がございましたら、お願いいたします。

 山口委員、お願いします。

○山口委員 1つ目の文献がHEVに関する報告で、この運営委員会でもHEVについては結構議論をしてきたところですけれども、ヨーロッパのEDQMでも特に血漿分画製剤でのHEVの検査ということで取り上げられているわけで、EMAがリフレクションペーパーを出しております。

HEVに関しては、無症候が結構多いのですけれども、このリフレクションペーパーの中で取り上げられているものが、献血者の中には最高で10^IU/mLHEVになることも ある。要するに、かなり高濃度のケースもあって、それが製造原料に入るとかなりのリスクになるのではないかということだと思います。

 もう一つは、このHEVのような非エンベロープウイルスに関しては、FDAでもクリアランスの期待値がミニマム10の6乗ぐらいですので、それを上回るケースが混入する可能性がある。実際には1つの検体が混入するだけなのですけれども、そういう意味では、HEVの検査が現時点ではされていないことに対する注意喚起を行っていると考えていいのだろうと思います。

 ついでに、これは日赤のデータなので、もし日赤からコメントをいただければありがたいのですけれども、HTLV-1に関する3番の報告で、HTLV-1が献血者によっては非常に幅広く、2,500倍くらいの差がある献血血液の中にウイルスゲノムが検出されるということですけれども、その上で、感染リスクが9×10^4コピー以上があると感染リスクはあるだろうという結論ですけれども、これは非常に興味深いのですが、NATをやっているわけではないので、これは抗体価との関連はどうなるのか、もしわかったら教えていただければと思います。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 これは、基本的に現在においては抗体スクリーニングをしております。

 抗体スクリーニングを全然しなかった場合に、そのときのウイルスの濃度の分布が30年前と全く同じとした場合に、2030年前は80%のところでちょうど感染になりますので、現在もそこで切れば、スレッショルドがこの値になるというデータでございます。

 ですので、これはヒトの抗体価とのプロウイルスの関係でいいますと、ここのペーパーの中に載っていますけれども、現在のCLEIAでやりますと、CLEIAで陽性になったものの中のバイラルロードは、最低レベルでも非常に低いレベルのところまでになっています。

 ですので、CLEIAで陰性のものは、あったとしてもそれよりもさらに低いレベルになるという安全域といった考え方です。

○山口委員 ありがとうございました。

○田野崎委員長 ほかはいかがでしょうか。

 岡田委員、どうぞ。

○岡田委員 2番のパルボで、この10の4乗以下では感染がなかったということですけれども、書かれている分を見る限りにおいて、供血者が抗体陽性かどうかまでは記載されていないのです。受血者のほうは確かに抗体陽性者にパルボ陽性の血液が輸血されたかどうかということが調べられているのですけれども、輸血された血液に関しては残念ながら調べられていないので、もしくは、パルボウイルスは抗体が陽性になった後も、場合によっては1年くらい末梢血に存在しますので、そう考えると、この10の4乗以下で本当に感染が成立しないのかということはちょっと疑わしい部分もあるので、解釈には注意が必要かなと考えました。

 あと、一番最後のプリオンのところのGSSの血液から、リスザルでは感染が起こったということですけれども、GSSそのものは遺伝性のプリオン病であって、ある特定の塩基配列を持っている人がかかりやすいということですので、この患者さんが発症した人の白血球を使ったのか、それとも、発症する前の血球を使ったのかどうかわかりませんけれども、少なくとも発症する前の白血球からは感染するリスクはかなり低いのではないかと思います。

 もちろんこれはポスターなので、これがフルペーパーになってパブリッシュされれば、その実験の詳しいいきさつがわかるのですけれども、このポスターを見る限りにおいては、これをそのままGSSの患者さんは危ないのかなと考えるのも、結論を出すのは早いと思います。

 以上です。

○田野崎委員長 ほかは何かございますか。

 室井委員、お願いします。

○室井委員 8番のシャーガスのことですけれども、疑い例が日本人10例と書いてあるのですが、これは症状等からシャーガス病が疑われたと考えてよろしいでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 そのようにクリニカルに疑ったということです。

○室井委員 しかし、結果は陰性だったということですね。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 はい。

○室井委員 わかりました。

○田野崎委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、後半は全部、今、御説明いただいたということで、事務局は今後とも引き続き感染症の定期報告の収集をお願いいたします。

 そうしましたら、議題3に移りたいと思います。「血液製剤に関する報告事項について」になります。

 遡及調査の進捗状況や、副作用感染症報告の状況、これまで報告された事例のその後の対応状況等について、事務局から説明をお願いいたします。

○近藤課長補佐 それでは、資料3-1「供血者からの訴求調査の進捗状況について」をごらんください。

 まず、3ページ目になりますけれども、右上に「別紙-1」と書かれてある供血者からの遡及調査実施状況をまとめた表がございます。

 右端の列をごらんください。

 平成27年4月1日から9月30日までの間に遡及調査対象となった件数は1,909件でしたが、そのうち個別NAT陽性となった件数はHBV、B型肝炎ウイルスの8件のみでしたが、受血者に関しては陽転例がなかったため、医薬品副作用感染症報告を行った件数は右の一番下にありますように、昨年、26年4月から、B型肝炎、C型肝炎、HIV、それぞれに関してゼロのままで来ております。

 次に、資料3-2「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について」をごらんください。

 1枚めくっていただきますと、27年8月から10月における感染症報告事例をまとめております。

 輸血用血液製剤による感染疑い事例については19件ありましたが、内訳は、B型肝炎ウイルス感染が3件、C型肝炎ウイルス感染疑いの事例が8件、HIV感染報告事例は0件、その他の感染症疑い報告としては8件あり、その内訳は、A型肝炎ウイルス疑いが1件、サイトメガロウイルス疑いが3件、細菌感染疑いが4件でした。

 ウイルス感染例においては、全ての症例において献血者の保管検体等の個別NAT検査結果は陰性でしたので、感染が確定した例はございませんでした。

 細菌感染例についても、血液バッグの培養試験や、同一採血番号の血漿製剤の培養試験でもいずれも陰性で、感染が確定した例はございませんでした。

 次に、1枚めくっていただきますと、B型肝炎の感染が疑われた症例が3つございます。3例ともドナー血液のNAT検査で陽性反応は出ませんでした。

 次に、めくっていただきますと、C型肝炎の感染疑い例が8例続いております。これもいずれもドナー血液のNATの検査で陽性反応が出た例はございませんでした。

 次のページには、C型肝炎疑いの例が3つあり、その下にA型肝炎疑いの例がありますけれども、こちらに関してもドナーのNAT検査は陰性でした。

 次のページをめくっていただきまと、サイトメガロウイルス感染の疑い例が3つございます。

 上の2例に関しては、新生児の症例ですけれども、母乳と患児のサイトメガロウイルスのDNA配列が一致しておりました。したがって、母乳から感染したサイトメガロウイルスではないかと推定されております。

 3つ目の症例に関しては、1歳の症例ですけれども、輸血したときには母乳は既に終了しておりまして、ドナー血液のサイトメガロウイルスNAT検査も陰性でしたので、この症例に関しては感染経路は不明ですが、輸血のドナーのサイトメガロウイルスDNAが陰性だということで、ほかの感染経路も考えられるということです。

 次のページを見ていただきますと、最後に細菌感染例が4例あり、1枚目は2例がございまして、次のページの2例の上のほうの症例が、30歳女性ということで、この方は転帰が死亡となっておりますので、改めて次のページで1枚紙として御報告をさせていただきます。

 輸血用血液製剤で感染が疑われた事例というところで、これはことしの8月28日ですけれども、30代女性でがん性腹膜炎が原疾患の方が、下痢があったのですけれども、貧血に対して赤血球輸血がされていました。夜中に腹痛が増強し、翌日、各種鎮痛薬などが投与されています。炎症反応が上昇したことで血液培養を採取したところ、Enterococcus faecalisを検出しております。輸血後、1週間して、がん性腹膜炎及び敗血症との診断で患者がお亡くなりになりました。剖検はされておりません。

 状況に関しましては、輸血された血液製剤について、当該患者には2名の供血者から採血8日目の照射赤血球製剤2本が輸血されております。

 同一採血番号の血漿2本での無菌試験結果は適合でした。

 担当医の見解は「副作用の程度は重篤であり、本剤との関連性は可能性がある。輸血後、CRPの上昇、血液培養にて陽性になり、それ以外の治療を行っておらず、輸血しか考えられない」とのコメントはございました。

 採血時の細菌の混入を低減するために、現在、日赤では全ての全血由来輸血用血液製剤の初流血除去を実施されております。今後も同様の症例のデータ収集があるかを当たるとともに、原因の究明に努めたいと思います。

 以上、簡単ですが、御報告とさせていただきます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 細菌感染での死亡事例が1例含まれていますが、全体を通して何かコメントなどはございますでしょうか。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 C型肝炎の疑い例、A-15000058ですけれども、今、一番気になるのは、個別NATになってしまっているので、正直言って、これ以上は追えない状況になっているかと思うのですけれども、例えば、この例は輸血が7月で、その1カ月後に検査をしたときに抗体がポジティブになっていることになるので、1カ月は、実質、7月1日から8月31なので、2カ月くらいにはなるのですけれども、抗体価が上がるくらいの月数だったのかどうか。一般的に、相当必要だとは理解するのですけれども、その辺がもしわかったら教えていただけますでしょうか。

○田野崎委員長 お願いします。

○日本赤十字社平安全管理課長 この       症例については、医療機関から報告されていますので、確かに期間から見ると抗体陽転までの期間が余りにも短いことと、輸血が原因とは限りなく違うのではないかと考えております。

 ただし、このような事例ですので、2名の方がおられますが、今後、この2名について追跡調査をやらせていただいて、きちんとした形で進めていきたいと考えております。

○山口委員 多分、個別NATになってしまっているので、そこを追究するのがなかなか難しいというか、やろうとすると、例えば、濃縮してやるとか、そういう話になろうかと思うのですけれども、もう一つは、受血者そのものの血液、これは日赤の仕事ではないとは思うのですけれども、そういうものをチェイスすることによる、実質、輸血にするのかどうかという、そういうものは医療機関に要望していく可能性はないのですか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 やや難しいことではありますけれども、学問的な意味も含めて、そういうことはこれからなるべく進めていっていいと思います。

○田野崎委員長 岡田委員、お願いします。

○岡田委員 4ページのA型肝炎の輸血による感染例の疑いということですけれども、3名のドナーさんのNAT検査は陰性ということですけれども、A型肝炎の場合は感染者が大人だとまず間違いなく発症するので、この3人の方が、その後の経過を見て、本当にこの血液が陰性を示すくらいのごく初期の感染であっても、おそらくドナーさん本人は輸血した後に発症している可能性があるので、輸血が原因なのか、場合によっては、それが陰性であれば、この患者さんそのものが輸血する前に感染していたかということで区別ができるのではないかと思います。

 それと、この患者さんは、何らかの症状があってこう報告されたのでしょうか。というのは、通常、A型肝炎の抗体は測定しないはずですので、例えば、肝機能異常か何かで、輸血を受けたということで、肝炎関係のウイルスを幾つか調べて陽性になったのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 この方は、輸血をされてから大体2週間もたたないうちにAST/ALT2,0003,000台に上がっています。経過から見まして余りにも早過ぎますので、この経過から見ると、その前の感染であることはほぼ間違いないだろうというものです。

○岡田委員 わかりました。

○田野崎委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 細菌感染事例ですけれども、皆、バッグの回収をしているわけではなさそうですが、もとのほうをたどると、エンドトキシン陰性とか、疑いがなさそうな結果ばかりですけれども、いずれももとが大丈夫だから問題ないであろうという考え方でよろしいでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 もちろんそうは言っておりません。あくまでもこれは片割れの血漿の方ですので、血漿になりますともちろんバクテリアの濃度も違ってくるでしょうし、あるいは、それを培養したときに、ほとんどは入るのですけれども、入ってこないこともあるかもしれませんので、それが陰性だからといって陰性だとは必ずしも言えません。一つの傍証にすぎないわけですけれども、そのほかの状況を見ますと、非常に末期の状態にいらっしゃったこと、またFaecalisですので、普通の敗血症の現れ方で、それでも十分に説明ができるところだろうという感じはいたします。

○田野崎委員長 多分、担当ではタイミング的にはこれであろうと。たまたま発熱反応が出てということかもしれないとは思います。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 タイミングから見ると、それをやった後に症状が出ていますので、輸血を疑われるのは当然かと思われますが、状況から見て、別のいずれかの経過でこうなってもおかしくないのではないかとは思われます。

○田野崎委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 そうしましたら、次をお願いいたします。

○近藤課長補佐 議題3でもう一つ資料がございますので、御説明させていただきます。

 資料3-2の11ページ目にありますが、「輸血用血液製剤で感染が疑われる事例について」という紙をごらんください。

 これは平成2711月時点ですけれども、過去、HBV、B型肝炎ウイルスの感染が疑われて、その後、重篤な症状という症例のみを追いかけている状況ですけれども、平成241015日の症例、下はC型肝炎の平成24年2月8日の症例ですけれども、いずれにおいても、上のほうは残り3人、下のほうは残り2人が、その後、献血にいらっしゃらないので、まだ追跡をしている状況です。

 次に、12ページ、別紙をごらんください。

 これは、北海道での試行的HEV-NAT実施状況についての御報告になります。

 平成27年1月から9月のところを、一番下から2番目、合計の上のところですけれども、ごらんください。約20万人の献血者のうち、HEV-RNA陽性者数は70名でした。2,853名に1人、すなわち、陽性率は0.035%でした。

 ジェノタイプですけれども、3型が53名、劇症化が懸念されるジェノタイプ4は8名でした。

NAT陽性者で抗体検査を行ったところ、IgMIgGともに陰性だった方が49名、ともに陽性が16名、IgGのみ陽性が5名でした。陽性率が去年と比べて高くなっておりますけれども、平成26年8月から導入されております個別NATにより、検出感度が上がったことも影響しているかと考えられます。

 なお、E型肝炎に関しては、昨年6月からは豚の食肉を生食用に販売することを禁止する通知が食品安全部より出されております。

 また、去年10月には、報道にもございましたように、肝臓移植患者で輸血による慢性E型肝炎の報道がございましたが、報道された2例とも昨年度の運営委員会で報告されております。この件に関しては、健康局の移植医療対策推進室より平成2711月に臓器移植時の輸血を原因とするE型肝炎ウイルス感染への対応について、臓器移植後、免疫抑制状態下で原因不明の肝機能低下が疑われた場合は、HEV感染の可能性を御考慮いただくよう、注意喚起の事務連絡が発出されております。

 資料3-2の説明は、以上です。

 続きまして、資料3-3をごらんください。

 「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」の表ですけれども、一番下の行ですが、ことしの1月から9月までの献血者におけるHIV陽性件数は、抗体陽性者が35名、NAT陽性者はおりませんでした。35名は全て男性でした。一番右下の数字が献血10万件当たりの陽性率ですが、0.954と昨年より下回っております。

 3ページでは、献血者別の総数、抗体陽性者の総数を示しておりますが、近畿圏に関しては昨年18件が見られておりましたけれども、ことしは5件と少なくなっております。

 資料3-3の説明は、以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 以上につきまして、何かコメントなどはございますでしょうか。

 まず、山口委員。

○山口委員 E型肝炎のほうだけ、3点ほどお聞きしたいのですけれども、先ほど事務局から説明もありましたように、個別NATをスタートした時点と、もう一つは、食肉、いわゆる豚の生肝臓を提供できなくなった時期との関係で、平成26年後半期に個別NATになっていると思うのですけれども、それから後の26年と27年で、陽性率は変わっていないのか。要するに、個別NATになって、多分2,500前後分の1くらいになっていたと思うのですけれども、27年になってもこの2,800だと、多分そんなに変わっていないのかなという判断をして、生食を禁止した効果がそれほど出ていないのかなと。それが1点目です。

 あと、検査していただいた中の49IgMIgGも陰性、これは多分ウインドー期として考えていいのだろうと思うのですが、それで正しいかどうか。

 もう一つ、前から何度も申し上げて恐縮ですが、日赤として、今は北海道だけですけれども、本州で、前からお願いしている調査というか、そういう計画はどうなっているのか、ちょっと教えていただければと思います。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 まず、個別NATという条件を同じにして、先ほどの法令の施行の前後の違いですけれども、26年8月から12月のときには0.022%、ことしの1月から9月の間ですと0.035%ということです。

○山口委員 ということは、むしろふえてしまっているということですね。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 27年も1月から9月、7月~9月といろいろと分け方があります。全体的に見ると、それほど大きな違いは見られていないことは確かです。

 疫学調査に関しましては、この法令の施行後ではありますけれども、北海道以外の地域について、安全調査会とも話をしてありますので、それはできる限り今年度中にスタートさせたいと思っております。

○山口委員 ありがとうございます。

 先ほどのウインドー期が49というのは、それで理解はよろしいですか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 それで結構だと思います。

○田野崎委員長 この1番目のところのコメントとしても、余り効果が見られていないのではないかというのは、そういうことでよろしいわけですね。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 それがどのくらい世の中で行き渡るのか、時間がかかるのかもしれませんし、もうちょっと様子を見たほうがいいかとは思います。

○田野崎委員長 大平委員、どうぞ。

○大平委員 10ページの血液製剤に関する報告事項についてのところですけれども、このまま、遡及としては来訪がなければずっと待つという形になっているのですけれども、今後、いろいろなデータ整理をしていく中で、きちんと追跡調査ができるようなシステム、協力していただくわけですけれども、そういうものが整備されないと、いつまでたっても疑い事例はそのまま残ってしまうということがこれまであったわけなので、これをそろそろ何かシステムとして考えられるのかどうか。またぜひ考えていただきたいというところがあるのですけれども、それが1つです。

 あと、今、E型肝炎は安全技術調査会でいろいろと評価が出てくるのだろうと思うのですけれども、10年たっているので、E型肝炎の調査について、そろそろ全国的にやっていくのか、それとも、局所的にずっとやっていくのかどうかとか、そういう方向性はどう考えておられるのか、お示ししていただきたいというところはあります。

 以上です。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 まず最初の点につきましては、それは全くおっしゃるとおりで、我々としましても、決着という言葉は変ですけれども、どちらなのかということを知りたいということは非常にありますので、どうしても再来していただけない献血者に関しましては、積極的に献血をお願いしたいと、我々も全く同じ気持ちです。これは確かにシステムといいますか、それをつくらないと、ボランタリーな参加だけを待つのでは無理かと思います。

 献血者の方にどのように説明するかがちょっと難しい問題かと思います。ですので、こういったことが疑われていますのでということですと、余りにもドナーの方に不安を与えてしまうことがあります。

 ただ、我々としましては、実際に呼びかけている方も相当います。でも、全然来ていただけない。そういう方も実は多いです。ですので、それ以上は何ともしようがないというところがございます。実際、そういった方をお呼びしております。それで来られないと、それ以上はどうしようもないというところはございます。

 もう一つの点は、HEVになりますけれども、それは確かに懸案事項ですので、何かのシステムを入れるのかどうかということについては、そろそろ決めなければならない時期であるとは我々も認識しております。

 3点です。

○田野崎委員長 そちらについても御検討をよろしくお願いいたします。

 岡田委員、お願いします。

○岡田委員 HIVの献血で見つかる陽性者の数が、大阪でことし1名ということですけれども、例年に比べて少ないのですが、これは大阪府で何らかの新しい試みか何かをやっていたのでしょうか。それとも、全くの偶然でしょうか。

○日本赤十字社平安全管理課長 私の方で調査したところ、何らかの新しい取り組みとかアクションは起こしていない、現行と何も変わっていないとの連絡現場からは聞いております。

○岡田委員 わかりました。

○田野崎委員長 室井委員。

○室井委員 HEVのキャリアですけれども、この結果に関しましては、ドナーさんにはお伝えしているのですか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 HEVのキャリアですか。

○室井委員 献血者で、NATで、キャリアと思われる抗体陰性でHEV-RNAがある方が結構ございますね。これに関するドナーへの情報提供はされているのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 これはドナーへは話をしております。

○室井委員 では、そういう形で、それ以降は献血には来られないと。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 いえ、実際には3カ月を置けば献血をまた受け付けるようにしてあります。

○室井委員 それで大丈夫ですか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 我々の評価ですと、大丈夫だろうということです。

○室井委員 キャリアの状態は、ずっと続くわけではないのですか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 HEVがキャリアになることは、今、問題になっております免疫抑制の強くかかった方でしか現在は確認されておりませんので、そうでない方は一過性の感染でほとんど全てが終わると思われます。

○室井委員 わかりました。

○田野崎委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 そうしましたら、議題4に移りたいと思います。

 日本赤十字社から、資料4の説明をお願いいたします。

○日本赤十字社平安全管理課長 私の方から、御説明させていただきます。

 資料4を御確認ください。「シャーガス病に対する疫学調査について」でございます。

 シャーガス病の安全対策については、リスクを最大限に考慮いたしまして、結果のところを見ていただきますと「1.中南米諸国で生まれた、又は育った。」「2.母親が、中南米諸国で生まれた、又は育った。」「3.(1.に該当しない方)で中南米諸国に通算4週間以上滞在した。」を申告、この条件に該当する献血者の献血血液につきましては、原料血液のみとする製造制限を平成241015日より開始しております。それと並行いたしまして、疫学調査として同意の得られた献血者の血液について、トリパノソーマ・クルージの抗体検査を実施してきております。

 実施状況でございますが、平成25年1月8日から27年の1031日現在の状況です。

 結果を見ていただきますと「1.中南米諸国で生まれた、又は育った。」と申告をされた方が、当該機関に7,051名おられました。このうち疫学調査に協力いただけた献血者の方が3,113名ということで、応諾率が44.1%となっております。

 こちらの括弧につきましては、この2年と10カ月のデータですので、複数回献血に御協力いただいている方もおられますので、これを実人数の数にしたものを括弧内に示しております。そういう観点から見ますと、実人数で見た場合は、検査の応諾率については、76.2%でございます。

 「2.母親が、中南米諸国で生まれた、又は育った。」ということで御申告された方が1,341名おられまして、調査を実施した数が397名、こちらについては、実人数ベースでいうと、御協力いただいた応諾率が53.8%でございます。

 「3.(1.に該当しない方)で中南米諸国に通算4週間以上滞在した。」ということで御申告いただいた方が2万4,403名おられまして、こちらのうち疫学調査を実施した数が7,682名、応諾率が31.5%、実人数で見ますと82.5%ということで、応諾率の状況になっております。

 この中で、合計疫学調査実施数は、1万1,192名の方の検査を実施させていただきまして、陰性が1万1,189名、陽性の方が3名確認をされております。

 下に行きまして、3番、トリパノソーマ・クルージ抗体の陽性献血者3名の内訳でございます。

 まず、1名の方は、上の条件について1と2に該当を申告されている方でございました。こちらの方は40歳代の男性の方で、過去複数回の献血歴がございまして、こちらにつきましては、抗体検査並びにPCRを行った後に、全ての血液、輸血用血液製剤を供給された医療機関に対して情報提供を行い、さらに感染状況の調査をさせていただきましたが、感染は確認されておりませんでした。

 2番目の方が1と2に該当される方で、こちらも40歳代の男性の方で、献血歴は初回ということでしたので、遡及調査はございませんでした。

 Cの方が、条件は1番に該当する方で、20歳代の女性の方でございました。こちらについては、初回献血者ということがわかっております。ということで、当面、2年と10カ月間、調査に協力していただいて、3名の陽性が現在は確認されているところでございます。

 めくっていただきまして、一番最初のAの方が発生したことをもとに、過去の献血検体に対するシャーガス病調査を行うということで、平成26年6月4日開催の第1回薬食審事業部会安全技術調査会で、過去の献血血液のうち感染のリスクが高いと言われる血小板製剤についてシャーガス病の調査を実施することとされて、実施させていただきました。

 今回、日赤が持っているデータから献血者を抽出して、セレクトをさせていただいて検体を抜かせていただいたことになります。この中で調査をさせていただくと、対象となる献血者の中で、血小板製造履歴のある献血者が6,279名おられました。このうち4週間未満の滞在であることが確認できなかった人ということで振り分けると、4,876名ということでございました。

 この4,876名のうち、下の*に書いておりますが、98名については、既に前のページで御説明させていただいた疫学調査で陰性を確認しておりますので、こちらについては対象外とさせていただいて、4,778検体について保管検体を抜き取って抗体検査を実施した結果、全て陰性という結果が得られたところでございます。

 その他といたしまして、今回の事象につきましては、保管検体を使用するということで、インフォームド・コンセントのとり方等、いろいろと御審議いただいたところでございますが、ホームページやポスター等により献血者に周知した結果、1名の献血者より陽性通知辞退の申し入れがございましたけれども、当該献血者については、我々の抽出したデータの対象外の方でございましたので、どういうことで御連絡されてきたのかはちょっと不明ですけれども、そういう方が1名おられたということでございます。

 これで私のほうからの報告を終わらせていただきます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 資料4について、何か御質問、コメントはございますでしょうか。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 多分、当初の予定はこのくらいの調査研究だったような気がするのですけれども、今後、これをどういう形で継続するのかどうか。あるいは、これをもう少しデータを積み重ねる必要があるのか、その辺について。

○日本赤十字社平安全管理課長 こちらについては、前回の安全技術調査会で一定の方向性を示させていただいておりますので、形としてはその方向で進めるように、今、準備、計画をしておりますが、なかなかシステム的なところとか、新たな構築をするところが非常に多いところもあって、日赤内ではどのようなやり方が安全を維持できるのかということで検討をさせていただいておりますので、基本的な流れは、現行の体制は堅持しながら、輸血用血液製剤は今の段階では製造しないということは継続しながら、安全対策を進めていきたいと考えております。

○山口委員 わかりました。

○田野崎委員長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 基本的なことですが、教えてほしいのですけれども、これは抗体陽性といわゆるウイルス量の関係と感染力の関係は、現時点ではどう評価されているのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 シャーガス病のことでしょうか。

○花井委員 そうです。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 これはウイルスが原虫ではあるのですけれども。

○花井委員 ウイルスは原虫ですね。感染力は。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 抗体があったということは、前に感染があったことしか示しませんので、必ずしも虫体が見つかるわけではありません。実際に我々の扱っている検体の中でも、PCRで虫体が見つかるのは極めてわずかであります。

 ただ、10年、20年と経過して、臨床症状を示している方の場合には、もちろん抗体は陽性ですし、そういう人の中には血中に虫体を見つけることができます。

 ただ、我々が日本でやっていますと、今のデータにありますように、PCR陽性になるのは非常にわずかです。あと、感染力といいますと、そういったことを調べたデータ、感染力を定量化したというデータは恐らくないのではないかと思いますが、我々の実験上では、ある程度の数がないと、感染といいますか、ふえていかないのは確かです。その程度のことしか今は申せません。

○花井委員 一般的知識の問題で申しわけありません。

 例えば、この対象国などだと、抗体陽性率は、一般ポピュレーションはどのくらいですか。そもそもかなり高いということですね。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 ちょっと手元には忘れましたが、年齢と地域によってかなり違います。

 ですので、国でいいますと、ブラジルなどは大分下がってきていますけれども、ボリビアとか、そういったところは今でも非常に高い。それから、年齢で言えば、高年齢のほうが高いですけれども、向こうでは撲滅運動が非常に行き渡りまして、若い年代ではほとんどないと思われています。

○花井委員 ありがとうございます。

○田野崎委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 山口委員。

○山口委員 1点だけ。

 せっかくここまでやられて、これを文献化する、要するに発表していただくことは多分考えていただいているのかなとちょっと思っていまして、もう一つは、なぜそのことを聞きたいかというと、疫学調査を応諾してくださらない方もいらっしゃるわけです。恐らく3人の方は、ある程度、献血者にもメリットがある。抗体がポジティブになることによって、場合によっては治療とかということにも結びつくので、そういうメリットがあることを知らせるのは非常に有意義なのかなと思った次第です。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 ありがとうございます。

 論文化に関しましては、現在、進めているところでございます。

○田野崎委員長 あとはよろしいでしょうか。

 そうしましたら、今回、今のシャーガス病のこととHEVについて、具体的な対策や何かについて、また引き続き安全性確保のことを重視し、委員の指摘事項を踏まえながら、適切に対応を行っていただくようお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

 そうしましたら、議題5に移りたいと思います。

 本議題については、参考人として化学及血清療法研究所より参加者が出席されますので、準備ができましてから、事務局から参考人の方の紹介と資料の説明をお願いしたいと思います。

(日本赤十字社 退席)

(化学及血清療法研究所 着席)

○近藤課長補佐 事務局より、参考人の紹介をさせていただきます。

 化学及血清療法研究所より、宮本誠二理事長・所長、千北一興常務理事・分画事業部門長、羽室強分画事業部門製品開発部次長、原田健司医薬営業部門分画営業部血友病学術課長、以上4名に参加いただいています。

○金子需給専門官 続きまして、化血研製剤全体の在庫状況等につきまして、資料5-1、化血研において製造販売される血液製剤により説明させていただきます。

 1枚目の表は、代替製品がない等の理由から、安全性を確認した上で一変承認等の前でも出荷を認めることとしております6製品についての在庫状況等の一覧になります。2枚目の表は、その他6製品の在庫状況等の一覧になります。

 今回は、昨年1225日時点の在庫状況等について御報告いたします。

 1枚目の表の各製剤の状況につきましては、バイクロット、注射用アナクトC、コンファクトF、ノバクトM、献血ベニロンにつきましては、これまでの運営委員会で一部ロットの出荷を認めていただきました。

 この結果、販社・卸の在庫消尽時期が延びておりますが、引き続き需給状況を見ながら必要な対策をとってまいります。

 この中で、ノバクトMにつきましては、前々回11月の運営委員会で出荷の状況について報告させていただきましたが、その後、1124日に1,000単位を1ロット6,734本、500単位を1ロットで1,399本、1213日に2,000単位を1ロット、2,600本出荷しております。出荷に当たっては、化血研から高濃度の規格への切りかえ案内をあわせてしていただいております。

 本日は、この中から在庫が逼迫しておりますコンファクトFの1,000単位、ノバクトMの2,000単位、献血グロブリン「化血研」の一部ロットの出荷について、この後、資料5-2から5-4で説明させていただきます。

 2枚目に移りまして、その他6製品の状況です。

 こちらは、原則、一変承認を取得してから出荷することとしております。

 このうち、ボルヒールについては、代替製品の一部の規格について在庫が逼迫する可能性があるため、供給面での対応について検討しております。

 また、ヒスタグロビンについては、代替製品がないことから、供給を再開する必要があるかどうかについて検討しております。

 なお、各医療機関に対しては、必要以上の買い占めや抱え込みをされないよう、引き続き化血研からお願いをしていただきます。

 以上が、資料5-1の説明でございます。

○近藤課長補佐 引き続きまして、事務局より資料5-2のマル1から御説明させていただきます。

 献血グロブリン、一般名は乾燥ペプシン処理人免疫グロブリンについてですが、この製剤は、資料5-1の1枚目の優先6製剤のうちの一つで、まだ出荷が認められていなかった製剤となります。

 効能・効果についてですけれども、無または低ガンマグロブリン血症、及び、重症感染症において抗生物質との併用で処方されております。

 次に、これまでの経緯ですけれども、この製剤は1991年に新規承認されており、97年に製造方法の変更、具体的には、下流工程へのウイルス除去膜工程の導入で一部変更承認をされております。2009年に現在の販売名に変わっておりますが、昨年6月、出荷の差しとめを指導いたしました。

 第三者委員会の最終報告書で指摘されている不整合箇所は、そこにあります5つがありますけれども、化血研から御説明いただけますでしょうか。よろしくお願いします。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 化血研の羽室でございます。

 不整合箇所につきまして、御説明させていただきたいと思います。

 報告書に書かれておりますのがこの5項目でございます。それを参考資料のフロー図に従いまして、説明させていただきます。参考資料は、お手元の資料の後ろから3枚目になります。

 「血漿分画製剤の製造フロー図【B】(概略)」のフローに従って説明させていただきます。

 献血グロブリンの製剤は、ちょうどこのフロー図の真ん中に入ります。

 この製法としましては、原血漿からクリオ上清を用いまして、まず、不整合箇所1点目、ヘパリンナトリウムを添加しております。

 その後、凝固因子を取るための陰イオン交換クロマトグラフィーを通しますが、ここで不整合箇所の2点目、番号では2番ですけれども、この緩衝液の組成が承認書と異なるということでございます。

 3番目は、その後の下流工程でヘパリンクロマトグラフィーを素通りさせますが、マル14で書いておりますヘパリンアフィニティークロマトグラフィーに用いる塩化ナトリウム溶液のpHの管理幅が承認書と異なるということでございます。

 その後、アルコール分画を経まして、免疫グロブリン画分を得ます。こちらを用いまして、各種免疫グロブリン製剤をつくるわけでございますが、献血グロブリンはこの免疫グロブリン画分をさらにペプシン処理をしまして、低分子化して静注できるような形にします。そのペプシン処理の条件、マル16になりますけれども、それが承認書と異なりまして、ペプシンの濃度を約2倍入れておること、また、処理時間を30時間から20時間に短縮しておりますこと、その後、ペプシン不活化後に粗ろ過を入れているところが不整合の4番目にございます。

 最後、不整合箇所の5番はマル17で書いております。最終の添加剤の差異としまして、抗補体活性試験の安定化を目的に、塩化ナトリウムを18%増量するとともに、グリシンを11%減量している点でございます。

 以上でございます。

○近藤課長補佐 続きまして、安全性の確認に関して御説明いたします。

 同じ免疫グロブリン製剤のベニロンについては、安定剤としてアルブミンが添加されておりましたが、この製剤にはアルブミンは添加されておりません。

 ウイルス不活化・除去の性能に関しては、ヘパリンありのものだけで有効成分がつくられた際のデータをとっており、国の基準を満たしていることが確認されております。

 添加されているヘパリンですが、国の基準を満たした安全なものです。

 また、製造工程において添加されるペプシン(ブタの胃粘膜由来成分)ですが、ウイルス安全性について確認されました。

 原料及び最終製剤に対して、B型肝炎、C型肝炎、HIV、A型肝炎、ヒトパルボウイルスB19の核酸増幅検査が行われており、化血研によって陰性が確認されております。

 次に、安定性、有効性の確認状況ですけれども、最終製品でのヘパリン残存量は定量限界未満です。

 製剤の有効性に関しては、化血研及び国の機関で確認されております。

 続きまして、そこの※に書いてありますように、安定性の試験データを化血研から提出していただきました。

 資料5-2のマル2を御参照いただきたいのですが、これは委員限りとなっておりますけれども、化血研から説明をお願いいたします。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 安定性試験につきまして、御説明させていただきます。

 献血グロブリンには、10℃以下、凍結を避けて保存、有効期間3年というものでございます。

 今回お示ししますデータは、化血研内で取得しておりますデータですけれども、3年の有効期限を上回る48カ月、4年のデータをお示ししております。

 図1、ペプシン処理した免疫グロブリンGの含量試験、図2、抗補体性否定試験、図3、麻疹抗体価試験、いずれの試験も保存期間48カ月を通じて規格に適合することを確認しております。

 なお、麻疹抗体価試験のSP5001836カ月と48カ月の間で測定法を変更しておりますため、48カ月の測定値が高めになっております。

 続きまして、下の図でございます。

 図4、含湿度試験、図5、pH試験も図示しておりますが、保存期間48カ月を通じ、規格に適合することを確認しております。

 また、図には示しておりませんが、無菌試験、異常毒性否定試験、性状試験、不溶性異物試験、発熱試験、不溶性微粒子試験、ともにこの48カ月間を通じまして、規格に適合することを確認しております。

 以上でございます。

○近藤課長補佐 続きまして、在庫状況について御説明いたします。

1225日現在の販社と卸の最新在庫は77本で、月平均消化本数は前年度実績で46本です。販社と卸の消尽時期についてですが、実は現在市場で流通している製剤の有効期間は今月の24日までとなっているため、1月24日と表記しております。

 なお、今回お諮りしたい出荷可能な製剤のロットナンバーは、SP0202,573本で、推定供給可能月数は55.9カ月となります。

 この製剤の使用状況に関して、胸腔内・髄腔内・脳室内に投与できる免疫グロブリン製剤としては、本剤のみとなっております。実際、大学病院等の脳外科領域で髄腔内投与されているという報告をうけております。

 なお、化血研に対しては、一番下にありますように、出荷した場合は、運営委員会に速やかに報告すること、また、一部承認変更手続の進捗状況を報告すること、特定生物由来製品としての記録の保存、及び出荷後の副作用等の情報収集の徹底を図ること、以上3つを指導してまいります。

○田野崎委員長 3製剤について、一つ一つしていきたいと思います。

 以上の献血グロブリンについて、委員の先生方から御意見や何かはございますか。

 花井委員。

○花井委員 確認ですけれども、この献血グロブリンが、今、代替品がないまたは代替品に切りかえると患者の生命に影響を及ぼす6製品ということになっているのですが、これは月平均46本で、これだけが胸腔内・髄腔内・脳室内で投与できる唯一の免疫グロブリン製剤ということで、代替性がないということですけれども、その割には消費本数はこんなもので、疾病自体はまれな疾病に使うという理解でしょうかということが1つ、質問です。原則の部分です。

 あと、安定性のデータが出ているのですが、これまでの説明の理解だと、安定性のデータがすぐさま集まらないから一変申請はすぐさまできないという説明だと思うのですが、このデータ自体では、一変の申請には不足だという理解で、もっと追加データが必要だという理解でいいのでしょうか。

 以上、2点です。

○田野崎委員長 1点目から、よろしいでしょうか。胸腔内や何かは、これは保険適用が通っていてということでよろしいわけですね。余りそのように理解していなかったもので、何か御回答を願えますか。

○化血研原田医薬営業部門分画営業部血友病学術課長 化血研の営業部の原田と申します。

 詳細なデータは持ち合わせていないのですけれども、髄膜炎等で脳神経外科の先生が髄腔内投与で御使用されているとお聞きしております。

 従いまして、そのような使われ方をされているのではないかと考えております。

 これは一点目の質問でございます。

○田野崎委員長 これは実際に広く使われているのかどうかというのは、それだけのニーズがあるのかどうかということが、どうかなと思ったのですが、実績的にはどの程度でしょうか。

○化血研原田医薬営業部門分画営業部血友病学術課長 実際、継続の供給に関しても問い合わせをいただいておりまして、必要だとお聞きしております。また、代替もできないとお聞きしております。製剤は髄腔内投与で御使用されているとお聞きしている状況でございます。

○田野崎委員長 そうしましたら、もう一つの質問ですけれども、実際、一変の申請のデータと、何がどのくらい違うのかということについて。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 その点は御指摘のとおりでございまして、このデータでは、今の一変のICHのガイドラインを満たすことができないということでございます。

 最後にノバクトMの安定性試験のデータをお示ししておりますが、これはまさにICHのガイドラインの準じてとったデータでございますので、その部分と比べていただいて、最も違うのは、12カ月までの間でのサンプリングポイントです。3、6、9、12カ月とノバクトMはとっておりますが、献血グロブリンではそういったところのサンプリングポイントが足りないということで、ガイドラインに準じていないことになります。

 よろしいでしょうか。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○岡田委員 この製剤の特徴であるペプシン処理の条件を変えているのですけれども、これは非常に重要な点だと思うのですが、これは従来の方法と今回の方法で差がないことは確認されているのでしょうか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 こちらのほうも第三者委員会の調査報告書の中にありまして、以前から、製造当初のときから、30時間ではなくて20時間でやっていたと、ヒアリングの結果、そういう形になっております。

 濃度を上げた経緯といいますのが、しっかりペプシン処理の切断がされていないという時期がありましたので、その時点でしっかりグロブリンを切断されて、これまでと同じような品質を維持するために、ペプシン濃度を上げたということが報告書の中に書いてある内容でございます。

○田野崎委員長 ほかはいかがですか。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 今のはICHQ5Cに基づいたことがされていないという話だろうと思うのですけれども、この辺に関してはPMDAと議論されているのだろうと思うのですが、それ以外にも、今の御説明ですと、普通、製法変更だと、旧製剤と新製剤の同等性評価をしないといけないのだろうと思うのですけれども、初めからそういう旧製剤というものが逆に言うと存在しないという理解でよろしいですか。

 要するに、途中でペプシン処理を2倍にしたりとか、処理時間を延ばしたりすると、旧処理と新処理の間の同等性評価をQ5Eに従ってやらないといけないのだろうと思うのですけれども、その旧製法が逆に言うと成立していないというか、全部初めからそういう方法でやってしまっているということですか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 処理時間という観点におきましては、山口委員の御指摘のとおりでございます。

 ペプシン処理、ペプシンの濃度を上げたという点につきましては、変更の前後といいますか、一応、切断を確認するための泳動試験ではございますので、それで同じ品質がとれているという形で上げてしまったということが実情でございまして、そのタイミングごとに再度安定性試験をやったということではございません。

○山口委員 そのときに、もう一つ、しつこいようで申しわけないのですけれども、そういう分解物の評価だけというか、その辺だろうと思うのですけれども、そういう旧製法との比較に関しては、PMDAとそういう話についてはどういう評価をすればいいかということについては、議論を進めているあるいは一応こうすればいいということが了解されていると理解してよろしいですか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 今後の一変につきましてどのようなデータをとればいいかというところは、まさに今、PMDAと詰めているところでございます。これまでのデータが存在するものにつきましては、それとの比較を行う。存在できないとか、比較できないものにつきましては、現在行われているものの観点から、安全性、有効性を評価していただくという形のベースで進めさせていただいております。

○山口委員 場合によっては、非臨床までやれという話にはなりかねないと、そこまではいっていないという理解でよろしいですか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 そちらもケース・バイ・ケースでございまして、もちろんデータが不十分ということであれば、非臨床はやり直しという可能性も想定しております。

○山口委員 わかりました。

○田野崎委員長 花井委員。

○花井委員 今、気になっている部分の話題が出たので、ついでにと言ったらあれですけれども、最初から一変で何とかということが前提になっていますけれども、先ほどの比較とか、今までの普通の一変の常識から考えると、ノバクトなどは普通は新規申請でないとおかしいとか、そういう議論があって、そのときはもちろん臨床試験とかいろいろな問題があるので、一変なのか、新規申請なのかとか、そういう話はテクニカルな問題でPMDAにお任せという理解でよろしいでしょうか。

 これはどなたが答えてくれるのでしょうか。

○田野崎委員長 武井課長。

○武井血液対策課長 一変申請については手続を進めているところで、基本的には厚労省の担当課において一定の検討をしております。

 あわせてPMDAに相談しておりますので、本省とPMDAが連携しながら、今後の一変承認を進めていく。必要なデータについては、追加で出してもらいつつ、中身も同時にチェックをしていくという作業を進めているところです。

○花井委員 今、一部変更で何とかなりそうだという目算でいるという認識は、それで正しいということですね。

○武井血液対策課長 はい。

○田野崎委員長 できれば、とりあえずはこの献血グロブリンについてまずはと思いますが、大平委員、どうぞ。

○大平委員 先ほどの使用状況というところでちょっと問題だと思うのは、これは特定の大学病院とか、そういうところのみですね。全国的にこれが使われるという話ではなくて、これは割と専門的というよりは、その大学の先生の技術的な治療要素としてこれが必要だという認識で使われているという形で、そういう受けとめ方でよろしいですか。

 全国的にはこういう使い方が行われているのかどうかとか、そういうことがちょっとよくわからなくて、特定の病院で使われるので、状況として必要だからということで、こういう緊急出荷の要請が出ているのかどうか、その辺を知りたいのです。

○近藤課長補佐 化血研のほうで、あとは国のほうでもデータを集めておりまして、全国いろいろな病院では使われておりますけれども、頻回に使われているわけではないですので、確かに年によって使ったり使っていなかったり、使いなれた先生が使うという状況です。もちろん髄腔内とか、かなり感染にシビアなところに投与できるというものであれば、使いなれた先生が使う方がいい薬ですが、今後も情報の収集に努めてまいりたいと思います。

○田野崎委員長 室井委員、どうぞ。

○室井委員 基本的なことですけれども、製剤に関して、今、配られているこの資料5-2とか、(案)と書いてありますね。今、説明されている、例えば、献血グロブリンに関しましても、表題がついて(案)と。この(案)は、事実ではなくて、何かここで討議をするためにまだあやふやな部分があって、(案)とつけているものですか。

 例えば、効能・効果やこれまでの経緯は事実なので、これは決定した事項ですね。だけれども、まだちょっと不明なところがあるので、(案)とつけている箇所があると理解してよろしいですか。

○田野崎委員長 武井課長。

○武井血液対策課長 先生、ありがとうございます。大事なポイントかと思います。

 一番下のところに、化血研への指示事項があるかと思うのですけれども、今回の議論を踏まえて、追加の指示事項が発生する場合もあるかと思いますので、そういった場合は追加で加えていくことを考えております。

 ただ、今の段階では(案)で、委員会が終わりまして、コンセンサスがとれた段階で(案)を取るというスタンスでございます。

○室井委員 了解いたしました。

○田野崎委員長 ほかにはよろしいですか。

 山口委員。

○山口委員 先ほど幾つか質問させていただいたのですけれども、例えば、この安定性データ、ICHQ5Cにのっとれば、とるべきデータが部分的に抜けているというのは明らかですけれども、いわば、36カ月、有効期間を超えて、48カ月までは安定のデータがあって、ここに出ていない不溶性異物とか、不溶性微粒子とか、その辺のデータも合格はしている。

 だから、全てがいいのだというわけにはいかないのだろうと思うのですけれども、先ほどちょっと花井委員が質問されたように、正直に言って、詳細なデータはこの運営委員会で見る話ではないだろうという気がしております。やはり見るべきは、その審査はPMDAがやるべきことではないかと。

 ただ、大きな問題点がないかとか、運営委員会で審議をするべき内容かなという気がします。

PMDAそのものはまだ一変としては認めてはいないのだろうとは思うのですけれども、例えば、安定性の観点からどうしても懸念があるかと言われると、そういう意味では、そこの部分は何とかクリアしているのかなと、それが私の印象です。

○田野崎委員長 あと、このロットを出してしまうと、今度は新規製造をしないと在庫がないということになるのかと思うのですが、今後、これがなくなってしまった将来的なこととしては、これからは一変承認なりで追いついてと考えられているものでよろしいでしょうか。

○化血研原田医薬営業部門分画営業部血友病学術課長 今回お願いしたい製剤の本数が2,573本でございます。また推定月数が55.9カ月でございますので、その間ということかと思います。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 推定月数は55.9カ月ですけれども、安定性が3年しかございませんので、先に有効期限が来てしまうということでございます。

 今回の追加でお願いしていますものも、今、出回っているものの有効期限が1月24日で切れてしまいますので、使われている病院から、切れる前までに何とかその特別出荷をという声もお聞きしましたので、そういった形で審議していただいているところでございます。

 ただ、今回もしお認めいただいて出した場合のその次の有効期限が切れるまでに、もちろん一変を終われるような形で全力を尽くしたいと思いますけれども、その先につきましては、状況次第でまた変わってくるということでございます。

○田野崎委員長 これについては、よろしいでしょうか。

 花井委員。

○花井委員 今、55.9カ月ですね。この製剤の特質は、いわゆる胸腔内・髄腔内・脳室内に投与できるというところがポイントで、一方で、これは効能・効果は重症感染症の抗生物質の併用だから、他の免疫グロブリンと同じところでも使われるわけですね。

 余りそっちで使われてしまうとこういうものが使われないとか、そういうやりくりの問題、今、期限が切れるとおっしゃったということは、通常、これを出荷していて期限が切れるのはおかしいわけだから、どこかで販売して、広く使われるということもあると思うので、同じ免疫グロブリン同士で、これしか適用のないものはこれを使ってということがうまく医療機関でできないわけですね。そういうときに、逆に、肝心なものに回らずに、ほかで使われてしまうことがないというのは、これは大丈夫という理解ですか。

○化血研原田医薬営業部門分画営業部血友病学術課長 済みません。詳細なデータをこちらも持ち合わせていないのですけれども、投与されているかなりのものが髄腔内、胸腔内、脳室内という情報がございますので、恐らくそのような御心配は可能性的には低いかと思います。

○花井委員 わかりました。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

 基本的には、安全性については一変承認のところまではいかないまでも、かなりそれに近いものが確認されていることになるかと思います。

 そうしましたら、次の製剤について御説明をお願いします。

○近藤課長補佐 続きまして、コンファクトFについて、資料5-3のマル1をごらんください。

 昨年9月9日の第3回運営委員会、1019日の第5回運営委員会にて出荷を認めていただいたものですが、1,000単位の製剤の在庫が逼迫してまいりましたので、このたび、お諮りしたいと考えております。

 経緯に関して、1985年に新規承認を受けた製剤ですが、その後、フォンビルブランド病の適応追加などを経た後、このときは治験がありましたけれども、2015年6月、出荷差しとめを指導いたしました。

 しかし、この製剤がないことで生命の危険にさらされる方々もいらっしゃることから、一定の品質や安全性、有効性の確認がとれた一部ロットについてのみ、9月から出荷差しとめを解除しております。その際は、国の審議を経て解除した次第です。

 第三者委員会最終報告書で指摘されている不整合箇所に関してですが、こちらに関しては今までも説明させていただいておりますけれども、再び化血研から改めて確認のために説明をお願いいたします。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 説明させていただきます。

 こちらのほうはこれまでも御説明させていただきましたので、本資料5-3のマル1の箇条書きの部分で説明させていただきます。

 承認書と異なる不整合所箇所が3点でございます。

 1つは、製造方法でございます。

 こちらは、PEG分画とグリシン分画が承認書に書いてありますが、そのかわりに実際はグリシン塩化ナトリウム分画を実施しておりまして、その後の下流工程でもグリシン分画を追加しているというところでございます。

 2点目は、最終のバルク組成、これはそのまま製品の組成になりますけれども、グリシンの50%増量をしております。また、承認書に記載のないヒスチジン、PEGP-80を添加しております。

 3点目が、添加剤の差異でございますが、こちらには献血アルブミン20%を安定剤として使用しますけれども、こちらはアルブミンの添加剤の承認書の濃度と異なるというところでございます。

 以上でございます。

○近藤課長補佐 続きまして、安全性の確認状況ですけれども、添加されているヘパリンは、国の基準を満たした安全なものでありまして、ウイルス不活化・除去の性能に関しても、国の基準を満たすことが確認されております。

 また、原料及び最終製剤に対して、B型肝炎、C型肝炎、HIV、A型肝炎、ヒトパルボのB19の核酸増幅検査を化血研は行っており、陰性、すなわち、ウイルスの混入が検出限界未満であることが確認されております。

 安定性・有効性の確認状況についてですけれども、最終製品でのヘパリン残存量は定量限界未満であり、製剤の有効性に関連する活性については、化血研及び国の機関で確認されております。

 安定性試験データに関しましては、委員限りの資料5-3のマル2を御参照ください。

 この資料に関しても、御説明をお願いいたします。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 コンファクトFの安定性データについて、説明させていただきます。

 コンファクトFは、10℃以下の保存であり、有効期限が2年になっております。以下、お示ししますデータは36カ月までの試験結果でございます。

 まず、第VIII因子の力価試験が、保存期間、36カ月を通じ、規格に適合することを確認しております。

 図2、リストセチンコファクター活性、これはフォンビルブランドファクターの力価を示す方法でございますけれども、こちらも36カ月を通じ、規格に適合することを確認しております。

 なお、0カ月と6カ月の間で、標準品の変更が行われております。そのため、0カ月の測定値が高目になっております。

 下の図でございます。

 図3、含湿度試験、及び、図4、pH試験、ともに36カ月を通じ、規格に適合することを確認しております。

 また、図には示しておりませんが、36カ月を通じ、性状試験、不溶性微粒子試験、不溶性異物試験、いずれも規格に適合することを確認しております。

 以上でございます。

○近藤課長補佐 続きまして、コンファクトF、1,000単位の在庫状況について、資料5-3のマル1に戻っていただきます。

 在庫状況ですけれども、販社と卸の最新在庫は1225日現在2,218本で、月平均958本が消化されていることから、推定される消尽時期は3月上旬です。

 今回お諮りしたいロット番号は、SF442SF443の2つ、合計2,800本ですが、推定供給可能月数が2.9カ月となります。

 この製剤に関しては、ヘパリンありのみでつくられたアルブミンが添加剤として使用されております。

 コンファクトFの使用状況に関して、免疫寛容療法(ITI)が約50%、フォンビルブランド病患者に対しては約40%、第VIII因子欠乏症患者が約10%、コンファクトF全体のうち、こういう割合で使われていることが化血研の調べでわかっております。

 なお、フォンビルブランド病患者で血液製剤を使用されている患者においては、99%以上の症例ではコンファクトFが使用されております。

 その下に、血液凝固第VIII因子を含むほかの製剤に関して掲載いたしました。

 各製剤の日本国内シェアに関しては、委員限りの資料5-3のマル3を御参照ください。こちらの説明に関しては、割愛させていただきます。

 資料5-3のマル1に戻りまして、一番下の化血研への指示事項ですけれども、出荷をした場合は、運営委員会に速やかに報告することと、一部承認変更手続きの進捗状況の報告、また、特定生物由来製品としての記録の保存、及び出荷後の副作用等の情報収集の徹底を図ることを指示してまいります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 コンファクトFについては、委員の先生方から御意見をと思いますが、いかがでしょうか。

 大平委員、どうぞ。

○大平委員 ここに報告されている案についてのところですが、先ほどのグロブリンもそうですけれども、安全性の確認はされていると記載されているのですけれども、これが一変の申請にどうして行けないのかというところが、技術的なところがあるのでわからないところがいっぱいあって、その辺は、どこがどう不足している、どういう試験を経ないといけないのか、それがどのくらいのスパンでやらなくてはいけないのか、それがわからないので、結局は持続的にこういう在庫を出荷していくという形になるのだと思うのですけれども、その可能性として、先ほどの委員からの質問で、可能性はあるけれども、それが確実性はないという御回答があったので、そこが不明なところで、ずっとこれを続けるのかどうか。

 そして、本当は整理していただきたいのは、どこがデータとして不足しているのかというところがちょっとわからないので、こちらとしてはもどかしいところはあるなというところがあります。

 そこは事務局の問題なのか、化血研で一変するデータについていろいろとPMDAとやっていると思うのですけれども、そこでどういうことが要求されているのかということがわからないまま議論をしていくというところが、こちらとしては難しいと思うのですが。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 どのデータが足りないかというところにつきましては、我々が足りないと思っているところ、また、PMDAから見て、もっと足りないと思っているところ、いろいろとあると思いますし、まさに今、PMDAとそういった一変に向けての足りないデータとか作業を詰めているところでございます。

 ですので、本日、これが足りないということはなかなか明確には述べられないのですけれども、長い時間はかからないと思っていますので、ある程度その辺の見積もりが出ましたら、また改めてそういった情報も御提示させていただきたいと思います。

 現時点では、このデータが足りないからあとどれくらいかかるかというところの明確なところは答えを持っておりません。申しわけございません。

○田野崎委員長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 コンファクトFの在庫は、これで最後ですか。まだあるということですか。出荷可能なものは2,800本が全てという意味ではなくて、今回出荷するのはこれだけという趣旨ですか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 はい。

○花井委員 というのは、コンファクトFはなくなると困るものなので、継続的に出してもらうしかない。結論から言ってしまうとそうなるのだと思うのですが、そうすると、在庫を全部結局吐き出すと、1年間、これは3カ月分ですけれども、いずれにせよ3カ月で一変申請ができるとは思えないので、短目に見積もって1年くらいかかるとして、1年間くらいの計画を今から思っておかないとまずいと思うのですが、在庫を全部出すとして、これを見るとITIに5割を使っているのです。これは結構もったいないので、ITIはほかで切りかえをお願いするとか。そうすると、フォンビルブランド病の患者に、少ないですけれども、ヘモフィリアAが10%いるので、この人たちに変えろというのは最後の手段かなと。この時期でコンファクトFなので、相当好んで使っていると思うのです。余りそれは無理をしないとしても、ITIの場合は、比較的若い患者さんが多いし、いわゆるインヒビター治療だから、それを変えてもらえば、事実上、倍に延びるわけです。

 つまり、3カ月分、この2,800本で3カ月しかもたないものが6カ月もつという計算になるので、最終在庫量と計算して、もしそれでやりくりを考えるのであれば、ITIはほかの代替品を使っていただくみたいな情報提供というか、適用はちょっと検討に値するのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

○化血研原田医薬営業部門分画営業部血友病学術課長 今、ITIでコンファクトFを御使用されている患者様の背景でございます。通常の第VIII因子のみを含有した製剤でITIをされまして、成功されなかったという患者様がスイッチして御使用されている患者様が多数いらっしゃいます。よって、またコンファクトFから戻す、ほかの製剤に移るとなりますと、それがリスクとなりましてインヒビター値が上がるということもございますので、ちょっと厳しいということでございます。

○花井委員 それはだめですね。

 要するに、再エントリーのITIの患者さんがほとんどという。

○化血研原田医薬営業部門分画営業部血友病学術課長 はい。

○花井委員 そうですか。

 ということは、今回の出荷で3カ月しかもたないことになりますね。3カ月しかもたないのであれば、次の3カ月のことをコンファクトFの場合は考えておいてもらわないと困るかなと思うのです。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 安定供給のためには、生産計画とか、そういったところを我々としても計画はさせていただいておりますが、現在造っては出すという状況でございますので、今回審査していただくロットがこれだけということになりまして、随時でき上がったロットごとに運営委員会で確認していただくという手段を今はとらざるを得ない状況でございます。

○田野崎委員長 例えば、ここの資料にない部分で一変に必要なものは、ポイント数以外ではどういうものがあるのでしょうか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 安定性試験のデータにつきましてはポイント数だけですけれども、それ以外のものにつきましては、具体的にコンファクトFのところの協議をまだPMDAと十分に詰められていません。優先順位のところから、まずグロブリンというところで、今、始めたところでございますので、それにつきましても、早々に明らかになってくるところでございます。

○田野崎委員長 現在の製法自体は、今は固定されて、今後とも変更する見込みはないということでよろしいですか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 その御理解で結構でございます。

○田野崎委員長 室井委員。

○室井委員 基本的なことですけれども、安全性の確認状況で、ウイルス不活化・除去といろいろなウイルスのPCRは陰性だと書かれているのですが、通常の医薬品はもっといろいろなことで安全性を確認されるのですか。例えば、この2つ以外にどのようなものの安全性が確認されるのでしょうか。ちょっと初歩的な質問で申しわけないのですけれども。

 いろいろな方法を用いて、この2項目以外の安全性試験というものをされるのですか。これが必須の安全性試験であって、これを満たしていればいいという考えでよろしいのですか。例えば、医薬品を新しく承認申請して、安全性試験のどういうものをするか、ちょっと私はわからないものですから、聞きたかったのです。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 一般的な新薬という話でいきますと、そういった非臨床試験も含めまして、単回毒性試験だったり、反復毒性試験だったり、遺伝毒性とか、そういったところのデータが必須になってきます。血液製剤ですので、通常の合成薬とは違って、ウイルス安全性もそれらの試験に上乗せされている状況でございます。

○室井委員 では、今のほかのところ、遺伝毒性とか、そういう試験とかはやっていないけれども、大丈夫だろうというスタンスの上で、この上乗せ部分だけを必須のところにしているという理解でよろしいですか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 そういう理解で結構でございます。

○田野崎委員長 岡田委員、どうぞ。

○岡田委員 現在、製品となっているコンファクトFは何ロットくらいあるのですか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 既に出荷できる準備が整っているロットという理解でよろしいでしょうか。

○岡田委員 そうです。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 今、確認しましたところ、すぐに出荷できるロットはこれ以外にはないということでございます。

 ただ、それはつくった上で、いろいろと検定に出したり、試験をやったりしておりますので、その途中のものはございますけれども、すぐに出荷できるロットは、これ以外はないということでございます。

○田野崎委員長 基本的に、新規製造して、またそれが切れたら、次、こうやって審議をして進めていくか、あるいは、一定のルールを決めて事後での承認とするかということでありまして、今は正式な承認が得られるまでこれを続けていく形になっていると思いますが、そういうことでよろしいですね。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 はい。

○田野崎委員長 安全性を含めて、このコンファクトFについて、よろしいでしょうか。

○岡田委員 国家検定前というか、要するに、検定は通っていないけれども、完成品というものは何ロットくらいあるのですか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 規格によって在庫量は違うのですけれども、今、御審議いただいている同じ規格でいけば、凍乾が終わって検査待ちというものが3ロットでございます。

 ほかの規格につきましては、検査待ちのロットがそれぞれ1ロット程度しかないということでございます。

○田野崎委員長 そのように逼迫した状況であるので、こういう審議が必要であるわけですけれども、コンファクトFについて、まだあれば。

 花井委員。

○花井委員 だから、正直に言うと、コンファクトFの場合は、ショートのリスクのほうがはるかに高いので、卸の在庫が2カ月分ぐらいあって今回は出荷するということで、今、聞いたとおりなので、そこは事務局のほうでも、卸在庫も含めて、患者さんが事故に遭ったりとか、そういうことが起こったときに、大量にざっと出るのです。それが偶然重なって、例えば、2人とかになったときに、たちまちショートするリスクが出てくると、本当に命にかかわってしまうので、それが起こらないように、供給をあらかじめ段取りをすることが、リスクの内容からすれば、ヘパリンのリスクよりもこの製剤がないというリスクが圧倒的に高いので、そこを十分に考慮していただきたいと思います。

○田野崎委員長 山口委員。

○山口委員 花井委員の言われるとおりだと思いますので、そこら辺が一番ポイントかなと。一変が通る前でも認めざるを得ないのだろうと思います。

 少し大平委員の言われたように、いつまでにできるのかというのは、これは確認の話ですけれども、例えば、安定性試験を今までのものからやれば、多分4年ぐらいかかるわけですね。結局、試験での確認ポイントがないのだという話になったときには、フルにもう一度走らせないといけないわけで、確認をとろうと思えば、そこまでやらざるを得ないという話、そこで完全にクリアになるのだろうと思うので、そこの上の前提で認めざるを得ないのだろうとは思ってはいるのですが、そういう理解でよろしいですか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 その辺もPMDAと相談しているところでございますし、この辺は我々の希望としましては、ある程度、確認しながら物を出していく。4年の安定性試験が終わらないと一変が完了ではなくて、ある程度並行して試験を 走らせながらやっていくということも、一つの案として協議していただくべきことではないかと考えております。

○田野崎委員長 そうしましたら、次のノバクトMに移りたいと思います。

 よろしくお願いします。

○近藤課長補佐 続きまして、資料5-4のマル1をごらんください。

 ノバクトMについてですけれども、昨年1019日の第5回運営委員会、1118日第6回運営委員会にて出荷をお認めいただいたのですけれども、このたび2,000単位製剤の在庫が逼迫してまいりましたので、きょう、お諮りしたいと考えております。

 経緯に関してですけれども、1991年に新規承認を受けた製剤です。昨年2015年2月に現在の高濃度規格の承認を受けております。その後、6月に出荷差しとめを指導いたしました。しかし、この製剤がないことで生命の危険にさらされる患者の方々もいることから、一定の品質、安全性、有効性の確認がとれた一部ロットについてのみ、11月から出荷さしとめを解除しています。

 次に、第三者委員会最終報告書で指摘されている不整合箇所に関して、化血研から以前も御説明いただいておりますけれども、改めてお願いできますでしょうか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 では、本資料を用いまして御説明させていただきます。

 不整合箇所としましては、ノバクトMは5点ございます。

 1つは、クリオ上清中のヘパリンナトリウム添加でございます。

 次に、陰イオン交換クロマトグラフィー、ウイルス除去膜、最終バルク調整に用いる緩衝液の組成の違いでございます。

 3点目としまして、ノバクトMはイムノアフィニティークロマトグラフィーで精製を行いますが、それに用いる緩衝液の組成の違いでございます。

 4点目としまして、添加剤の差異でございます。塩化ナトリウムを承認書より5%ほど増量しております。

 また、安定剤として使用しております献血アルブミン25%のうちのカプリル酸ナトリウムが承認書記載の濃度と違うということでございます。

 5番目は、今回審議していただくノバクトはではなく、その前の従来品のノバクトの話でございますが、小分け品にヘパリンを添加していたということでございます。

 以上でございます。

○近藤課長補佐 引き続きまして、安全性の確認状況に関して、添加されているヘパリンは、国の基準を満たした安全なものであり、ウイルス不活化・除去の性能は、国の基準を満たすことが確認されております。

 繰り返しになりますけれども、原料及び最終製剤に関して、B型肝炎、C型肝炎、HIV、A型肝炎、ヒトパルボウイルスB19の核酸増幅検査を化血研は行っており、陰性、すなわち、ウイルスの混入が検出限界未満であることが確認されております。

 安定性、有効性の確認状況に関して、最終製品でのヘパリン残存量は定量限界未満であり、製剤の有効性に関連する活性については、化血研で確認されております。

 安定性の試験データについては、委員限りの資料5-4のマル2を御参照ください。

 この資料に関しても、化血研から説明をお願いいたします。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 安定性につきまして、説明させていただきます。

 ノバクトMは、30℃以下で2年間の有効期限を持つ製品でございます。

 お示ししましたものは、先ほど申しましたように、これは2014年に承認をいただきました製品でございまして、安定性データはICHのガイドラインに基づいた形でとらせていただいております。今回お示ししますデータは、代表して2,000単位のデータを記載しております。

 ノバクトMのファクターIXの力価試験につきまして、また含湿度試験、pH試験につきましては、いずれの試験も保存期間24カ月を通じて規格に適合することを確認しております。

 下の図でございます。

 ノバクトMの中には、ファクターIXが活性化されて、ファクターIXaというものを形成してしまう場合がございます。こちらは不純物として捉えておりますので、こちらの定量試験を行い、規格値以下であることを確認しておりますが、この試験におきましても、保存期間24カ月を通じて適合することを確認しております。

 また、以下の無菌試験、異常毒性否定試験、活性化凝固因子否定試験、血液凝固第IIVII及びX因子否定試験、性状確認試験、不溶性異物試験、不溶性微粒子試験、いずれも24カ月を通じて規格に適合することを確認しております。

 以上でございます。

○近藤課長補佐 次に、ノバクトM2,000単位の在庫状況について、もとの資料5-4のマル1で説明いたします。

 販社と卸の最新在庫は、1225日現在で4,492本、月平均1,463本消化されていることから、推定される消尽時期は3月下旬となります。今回お諮りしたい出荷可能な製剤のロット番号は、SMH0092,600本で、推定供給可能月数は1,8カ月となります。

 これはヘパリンありのみでつくられた有効性成分と、同じくヘパリンありのみでつくられたアルブミン、アンチトロンビンを添加材として使用して製造されたものとなります。

 下に、血液凝固第IX因子を含むほかの製剤を掲載いたしました。

 各製剤の需給及び使用状況について、委員限りの資料5-4のマル3とマル4を御参照ください。

○金子需給専門官 それでは、5-4のマル3をごらんください。

 こちらは、委員限りでお配りしている資料になりますが、血液凝固第IX因子製剤の国内シェアの資料になります。下の注釈にありますとおり、平成26年度の供給実績に基づき、1,000単位1瓶で換算した数字になります。

 済みません。資料5-4のマル4が2つありますけれども「ノバクトMを追加出荷しない場合の想定」という表紙のほうをごらんください。

 こちらの5-4のマル4も委員限りでお配りしておりますが、ノバクトMを出荷しない場合を想定した資料になります。

 1枚目の下に、留意事項としまして、血液法では、国内自給の原則を法の基本理念としていること、個人差があるため、遺伝子組み換え製剤への切りかえは慎重な検討が必要なこと、1019日の第5回運営委員会での花房参考人からいただいた御意見について、参考として挙げております。

 2ページ目、こちらはノバクトMを出荷しない場合に、他の主要2社が代替する場合の供給予測の表になります。表の下のほうの在庫月数欄をご覧いただくとわかりますように、数字上は、年内は供給が可能ではないかという数字になっております。

 次のページは、ノバクトMの販社・卸在庫の消尽時期の表になります。3月下旬には在庫が消尽する見込みです。

 4ページ目は、ノバクトMを使用している施設の声を化血研に調べていただいたものです。他剤に切りかえた方がノバクトMに戻した、そういった患者さんやノバクトMを使い続けている患者さんについて記載しております。

 最後の資料が、昨年6月の化血研製剤の出荷差し止め以降、他剤に切りかえた後、ノバクトMに戻した患者の数、それと、ノバクトMから他剤に切りかえた患者の数について、化血研や代替製剤を供給するメーカーに聴取した資料になっております。

 資料5-4のマル3、マル4の説明は、以上になります。

○近藤課長補佐 最後に、ノバクトMの5-4のマル1の資料に戻っていただければと思います。

 一番下に、化血研への指示事項としまして、出荷をした場合は、運営委員会に速やかに報告すること、一部承認変更手続の進捗状況を報告すること、特定生物由来製品としての記録の保存や市販後調査の徹底を図ること、高濃度規格への切りかえについて、引き続き医療機関に周知を図ること、以上の4つの指示事項をもってこれからも指導をしていきたいと思います。

 以上となります。

○田野崎委員長 それでは、ノバクトMについて、委員の先生方からの御意見をよろしくお願いします。

 室井委員。

○室井委員 委員会資料で、各製剤の一番最後に、以下の試験についても保存期間を通じて規格に適合することを確認したという文章があるのですけれども、これは製剤でいろいろと内容が違うのですけれども、これはもともとそういう法的なものであって、指示する項目が違うから違うのですか。

 例えば、コンファクトFは無菌試験を行っていませんし、異常毒性試験もしていないようですが、これはそういう規定によってですか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 その辺の違いは、コンファクトFの場合ですと、安定性試験はこれ以外にもやっておりまして、その時点で無菌試験とか異常毒性試験とかは確認されておりましたので、今回のこの試験では削除したという背景がございます。

○室井委員 ということは、やっていないけれども、それは当然の結果であるということですね。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 そういう御理解で結構でございます。

○室井委員 わかりました。

○田野崎委員長 この高濃度規格は、先ほど2014年に承認されたと言われて、大変新しいものだと思うのですが、そういう理由で、この安定性試験とか、いろいろなものがある程度はICHの規格にのっとっているのかなとも思うのですけれども、本来であれば、これは申請の仕方で正規の申請ができた製剤と考えてもよろしいのでしょうか。

 なぜ新しいものが、今さらと言うとあれですが、いろいろな見直しをされながら、これはかなり正規のチェックをされながらできてきた製品であるように思うのですけれども、そういう意味で、安全性の確認や何かもかなりやられているという理解かなと思うのですけれども、先ほどのこの点が足りないから正規の申請になっていないというのは、このノバクトMの高濃度規格の場合にはどういう点になるのかということについて、御説明いただけますか。

○化血研羽室分画事業部門製品開発部次長 ノバクトMの点につきましては、まさに製造方法の記載にヘパリンの添加物が書いていないとか、あとはクロマトグラフィーのバッファー組成が異なった状態で書いてしまったというところが問題でございます。

 ですので、新しく新規申請するときに、なぜヘパリンの添加物を書かなかったのかという御質問につながると思うのですけれども、その辺は第三者委員会の報告書にございますように、ノバクトM1つだけに書いてしまうと、ほかの製剤への影響があったというところが事実でございます。

 クロマトグラフィーのバッファーの違いも、どうしてそこで修正しなかったのかというところにつきましては、こちらは、むしろ承認書を書く部署と実際に製造をやっている部署との情報の連携不足という問題点から生じたものでございます。その辺も今後の反省点という形で対応したいと考えております。

○田野崎委員長 安全性とか、このロットの出荷を認めるかどうかということについての議論になりますけれども、大平委員。

○大平委員 ここに患者さんのいろいろな事情、背景が書いてあるものが資料として添付されているのですけれども、そのようなものを見ますと、現在の段階では認めざるを得ないのかなというところはあるのですが、化血研で理解しておいていただきたい、反省しておいていただきたい点は、こういう製剤は、長期に血友病の関連の人、また、フォンビルブランドの方とかは一生使っていくわけなので、その中で簡単に製剤を変えるということで、血漿由来の製剤から遺伝子組み換えに切りかえて、そこでインヒビターが発生したりなどすることもあり得るわけです。

 ですから、そういうことが起きた場合に、そこはどういう責任があるのかということが問われるわけですけれども、患者の治療生活というところで、自分の判断ではなくて、逆に、製剤の欠点とか製造ができなくなっているというところで治療が制限される、また、変更されることがかなり患者にとっては負担になる。

 医療現場の先生たちの負担も大きな負担になってくるということを考えていただいて、新しい製剤とか、一変するということで進めていく中でも、いろいろと処分の問題とかは浮上してくると思うのですけれども、従業員の方たちが、そういう背景を見ながら考えて、きちんと正当に供給を続けられるような体制はきちんと守ってほしいということがあります。

 そうしないと、逐次このように製剤を変えていく、また、緊急的にほかの製剤に変えるということとか、そういうものがあった場合の不利益は患者にかなり負担になってくるわけなので、そこはきちんと考えていただきたいと思います。

○田野崎委員長 ほかはいかがでしょうか。

 花井委員。

○花井委員 今、大平委員が言ったとおりですけれども、もし今回の製造上の問題にもうちょっと高いリスクがあれば、恐らくこのくらいの患者の困りぐあいは我慢のレベル、出荷すべきではないという判断もあり得ると思います。

 ただ、今、確認されている製剤のスペックとかと医療現場の話を比較衡量すると、今回のこの現状からすると、結論から言うと、大平委員同様、出荷するべきという判断になろうかと思います。

 だから、代替品があるからすぐに変えるということはなかなか難しいというのは大平委員が言ったとおりだし、私が見て思ったのは、ノバクトMは患者様に支持されていますね。そういうところも思いがありますが、それでももし何かがあれば、その患者は十分我慢することもあり得るケースだと思いますが、これは出荷すべきと思います。

 以上です。

○田野崎委員長 そのほかはよろしいでしょうか。

 そうしましたら、事務局の案どおり、献血グロブリン「化血研」、コンファクトF、ノバクトMについて、出荷を認めることとするということでよろしいでしょうか。

 岡田委員、どうぞ。

○岡田委員 今回、これはオーケーとしても、1.8カ月しか延びないので、次も考えておかないと、また会議とかとなってしまうので、今後はある程度は余裕を持たせるようにできないものでしょうか。

○田野崎委員長 この点については、PMDAとか厚労省との関係になると思うのですが、事務局からお願いします。

○武井血液対策課長 委員の御指摘のとおりでございまして、この会議自体も効率的に運用するということもありますし、1.8カ月でまた不足が生じるリスクがあるというのは、使用している患者さんにとりましては不安の材料になると思いますので、なるべくまとめて議論できるように化血研にもお願いをしますし、関係部局にも我々のほうから働きかけていきたいと考えております。

○田野崎委員長 そのほかはよろしいでしょうか。

 そうしましたら、これに関しては、室井委員は議決権があれですけれども、私も含めて5人のうち5人が承認ということで、認めるということでお願いしたいと思います。

 事務局におかれましては、本委員会での御意見を踏まえて、化血研の製剤を出荷する場合に、患者の方々への適切でわかりやすい説明ができるよう、化血研と協力して進めるようにお願いいたしたいと思います。

 また、化血研製品の流通については、本日の在庫データなどを踏まえて、いわゆる買い占めが行われないように、化血研から関係者に対して引き続き協力をお願いしてください。

 それでは、化血研の関係者の方は、この後、打ち合わせがあるということで、退室をされますので、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

(化血研宮本理事長 退室)

○田野崎委員長 最後の議題になりますが、議題6「その他」について、事務局から説明をお願いいたします。

○近藤課長補佐 資料6について、事務局より御説明いたします。

 平成25年に行いましたフィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査についての御報告となります。

 平成2510月に実施した書面調査結果内容についてですが、平成271130日時点の内容は、平成261216日に公表した内容からの変更はございません。

 以上となります。

○田野崎委員長 ありがとうございました。

 これについて、よろしいでしょうか。

 それでは、本日の議題は全て終了いたしましたが、ほかに何か御意見はございますでしょうか。

 大平委員。

○大平委員 先ほどのコンファクトFとか、そういうものが、なかなか1社が独特でほかの代替性がないというところとか、そういうことが言われましたけれども、クリオ製剤自体が今はライセンスがないという話ですけれども、クリオプリシピテートという形で日赤でつくられるのかどうか、そういうことは可能なのかどうか、多分、昔でしたら各センターごとにそういうものをつくっていたところがあったのですけれども、今はそういう製造は認められないのかどうか、教えていただきたいと思いました。

○田野崎委員長 武井課長、どうぞ。

○武井血液対策課長 御指摘をありがとうございました。

 非常に貴重な御意見だと思いますので、事務局で日赤等の関係者に確認の上、改めて御連絡させていただきたいと思います。

○田野崎委員長 その他はよろしいでしょうか。

 1つ残っているのが、先ほどのコンファクトFとか、そういうものの製剤に対する説明書です。それについてまだ最終的には決まっていないところがあるかなと思いますので、それについては、なるべく間に合う形で事務局でもよろしくお願いしたいと思います。

 岡田委員。

○岡田委員 化血研の一連の製造が承認書どおりではなかったことが明らかになったのですけれども、今後の血液製剤の安全性確保のために、このままでいいのかどうかということで、それを検討している委員会とか何かは既に設置されているのでしょうか。

○田野崎委員長 課長、よろしくお願いします。

○武井血液対策課長 まさしく御指摘のとおりで、今後、血液製剤全般を広く見渡した上で、産業としてどういう形が望ましいのかということで、近日中にタスクフォースを立ち上げる予定です。

 これは有識者のみならず厚労省内も関係部局に全て声をかけて、省を上げてそうした観点について、しっかり議論をしていくということで、少し広い視点から血液製剤の安定供給を目指していくという議論を開始する予定でございます。

 ですので、そちらの議論につきましても、この委員会と情報共有をさせていただく方向で、両方の議論が将来的な血液の安定供給につながるシステムになっていくことを目指して、事務局として考えているところでございます。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

 大平委員。

○大平委員 今のタスクフォースができるというお話ですが、ヘモビジランス制度がきちんと機能していなかったのではないかという、今回の教訓であると思うのです。

 私たちは、昔の事件とか、そういうものから考えて、供給まで含めてヘモビジランスとしてきちんと血液製剤の安全性の確保から全て、どういう供給体制をとっていくのかとか、そういうものも含めて、大きな視野からきちんと監視していく、また、提言していく、そういうことをできるような形で、きちんとした体制として厚労省で動いていただきたいと思います。

 これだけの問題を起こしていて、献血血液を有効利用して使わせていただいて、それを患者さんに届けるという大きな責務があるわけなので、そこは国としてもきちんと管理していっていただきたいという、私たちもそこの一員として、提言したり、いろいろな審議として結論を出すことに参加させていただいていますけれども、そこは国が最終的な責任としてとっていただきたい。

 そういうことを明確にして、二度とこういうことが起こらないような形にしていただきたいと思います。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

 そうしましたら、以上の委員の先生方の御指摘を踏まえて、また事務局でもよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、事務局に議事を戻したいと思います。

○近藤課長補佐 田野崎委員長、どうもありがとうございました。

 次回の運営委員会の日程は、別途御連絡を差し上げたいと思います。

 本日は、長時間にわたり、委員の皆様、参考人の方々、本当にどうもありがとうございました。

 これにて、平成27年度第8回血液事業部会運営委員会を終了い


(了)

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