ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会)> 第63回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録(2016年3月14日)




2016年3月14日 第63回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

労働基準局勤労者生活課

○日時

平成28年3月14日(月)15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(19階)


○出席者

公益代表委員

勝部会長、内藤部会長代理、小野委員、鹿住委員

労働者代表委員

川野委員、曽原委員、花井委員、松岡委員、宮嵜委員

使用者代表委員

白土委員、須永委員、新田委員、長谷川委員、円山委員

(事務局)

土屋大臣官房審議官(労災、賃金担当)、富田勤労者生活課長、田中勤労者福祉事業室長、竹田勤労者生活課長補佐

○議題

(1) 独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)要綱等について(諮問)
(2) 一般の中小企業退職金共済制度における今後の付加退職金の取扱いについて
(3) 平成28年度の付加退職金支給率について(諮問)
(4) 一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業における退職金の確実な支給に向けた取組並びに今後の加入促進対策の取組状況について(報告)

○議事

 ○勝部会長 定刻より少し早いですが、皆様お集まりのようですので、ただいまから第63回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を開催いたします。本日は、関委員が御欠席ですが、労働政策審議会令第9条の規定、「全委員の3分の2以上(最低10名)、又は公労使委員の各3分の1以上(最低各2名)」により、定足数を満たしております。
 本日の議題ですが、お手元の議事次第にありますが、1番目が独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)の要綱等についての諮問です。2番目が、一般の中小企業退職金共済制度における今後の付加退職金の取扱いについて。3番目が、平成28年度の付加退職金支給率についての諮問です。それから、一般の中小企業退職金共済事業、及び特定業種退職金共済事業における退職金の確実な支給に向けた取組並びに今後の加入促進対策についての報告の4点です。
 それでは、まず議題1「独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)の要綱等について」です。この件について、本日厚生労働大臣から労働政策審議会宛に諮問がなされておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○田中勤労者福祉事業室長 お手元の資料の参考1、前回まで独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う中小企業退職金共済法施行令・中小企業退職金共済施行規則等の改正について、説明させていただき、あるいは御議論いただいたところです。本日は、その内容についていわゆる法令の様式ということで、要綱案という形でお諮りいたします。前回までの内容の説明と本日読み上げさせていただきます実際の諮問文の読み上げをもちまして、併せて説明とさせていただくことをもちまして御了解いただけたらと存じます。それでは、諮問文を読み上げます。
 厚生労働省発基0314第1号、平成28年3月14日、労働政策審議会会長樋口美雄殿、厚生労働大臣塩崎恭久。下記の事項について、貴会の意見を求める。1.独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案要綱(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)(別紙1)。2.独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱(中小企業退職金共済法施行規則の一部改正関係)(別紙2)。3.中小企業退職金共済法第四十三条第一項、第四十六条第二項、及び第五十五条第二項の規定に基づき、厚生労働大臣が指定する特定業種を定める告示案要綱(別紙3)。
 別紙1 独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案要綱(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)。
 第一 中小企業退職金共済法施行令の一部改正
一 共済契約者が中小企業者でない事業者となったときの取扱い 
中小企業退職金共済法(以下「法」という。)第17条第1項の政令で定める制度に、確定拠出年金法第2条第2項に規定する企業型年金を追加すること。
 二 退職金共済事業を廃止した団体からの受入金額の受入れ等
1 退職金共済事業を廃止した団体から独立行政法人勤労者退職金共済機構(以下「機構」という。)が受入金額を受け入れた場合において、当該受入れに係る被共済者が退職金共済に関する契約の被共済者であった期間の月数を上限とする各月数により定まる金額のうち、受入金額の範囲内において月数が最大となる金額については、当該金額の算定の基礎とされた月数を当該共済者の掛金納付月数へ通算すること。
2 1の受入金額のうち掛金納付月数への通算に係る額を控除した残余の額に対しては、年一パーセントの利率を付与すること。
 三 特定業種退職金共済制度のうち厚生労働大臣が指定する業種にあっては、掛金納付月数が十二月以上二十三月以下の被共済者に対しても、一般の中小企業退職金共済制度と同様に、当該被共済者に係る納付された掛金の総額を下回る額を退職金として支給すること。
 四 特定業種退職金共済制度間等の通算制度の拡充
1 被共済者が特定業種退職金共済制度間等を移動し通算の申出をした場合等は原則として当該被共済者の掛金納付月数へ通算すること。
2 1の通算する金額から掛金納付月数への通算に係る額を控除した残余の額を有する被共済者に対しては、一般の中小企業退職金共済制度へ移動した場合は年一パーセントの利率に厚生労働大臣が定める利率を加えた利率、別表第六に係る特定業種(建設業)へ移動した場合は年三パーセントの利率、別表第七に係る特定業種(清酒製造業)へ移動した場合は年二・三パーセントの利率、別表第八に係る特定業種(林業)へ移動した場合は年〇・五パーセントの利率による複利計算をして得た元利合計額を、それぞれの退職時に支給すること。
 五 別表第六に係る特定業種(建設業)に係る特定業種退職金共済契約による退職金額を、年三パーセントの予定運用利回りに基づき定める額に改定すること。
 第二 施行期日等
一 施行期日 この政令は、平成二十八年四月一日から施行すること。
二 退職金に関する経過措置 第一の五の別表第六に係る特定業種(建設業)に係る退職金額の改定は、平成十五年十月一日以降の特定業種掛金納付月数の期間について行うものとすること。
三 その他所要の経過措置を規定するほか、関係政令について所要の改正を行うこと。
 別紙2 独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱(中小企業退職金共済法施行規則の一部改正関係)
 第一 中小企業退職金共済法施行規則の一部改正
一 共済契約者が中小企業者でない事業主となったときの取扱い
1 中小企業退職金共済法(以下「法」という。)第十七条第一項の厚生労働省令で定める要件は、次のいずれにも該当するものとすること。
(一)中小企業者でない事業主となったとして退職金共済契約を解除された被共済者の全てが確定拠出年金法第二条第八項に規定する企業型年金加入者となること。
(二)独立行政法人勤労者退職金共済機構(以下「機構」という。)が引き渡す金額の全額が、当該被共済者に係る個人別管理資産(確定拠出年金法第二条第十二項に規定する個人別管理資産をいう。)として一括して払い込まれるものであること。
2 中小企業者でない事業主となったとして、退職金共済契約を解除された者が、当該解除の前から引き続き確定給付企業年金等を実施している場合も解約手当金に相当する額の引渡しを行うことができるよう所要の規定の整備を行うこと。
 二 被共済者の転職に伴う退職金の通算制度の拡充
被共済者が、特定退職金共済事業に加入している事業主と一般の中小企業退職金共済制度に加入している事業主との間を移動した場合に退職金に相当する金額を通算することができる申出に係る期間を、被共済者の退職後二年以内から三年以内へと延長すること。
 三 退職金共済事業を廃止した団体からの受入金額の受入れ等
1 廃止団体に関する事項
(一)法第三十一条の二第一項の退職金共済事業を廃止した団体であって厚生労働省で定めるものは、所得税法施行令第七十三条第一項に規定する特定退職金共済団体でなくなったもの(以下「廃止団体」という。)とすること。
(二)法第三十一条の二第一項の機構と廃止団体が締結する契約(以下「資産引渡契約」という。)において定める事項は、事業主が引渡金額の引渡しを申し出た場合において、廃止団体は、当該引渡金額の総額を一括して機構に引き渡すことを約することとすること。
(三)特定退職金共済事業を廃止しようとする団体が、資産引渡契約を締結しようとするときは、当該団体が実施する特定退職金共済事業が廃止されることを証する書類等を機構に提出しなければならないものとすること。
(四)資産引渡契約を締結した場合は、廃止団体は、機構が振込先の預金口座を指定した日から起算して六十日以内に資産移換を行わなければならないものとすること。
 2 事業主に関する事項
(一)法第三十一条の二第一項の事業主が機構に行う申出(以下「資産引渡申出」という。)は、資産引渡契約の効力が生じた日から起算して一年を経過する日の属する月の翌月の初日に、従業員ごとの引渡金額及び廃止団体の実施していた退職金共済事業に加入していた月数等を記入した引渡申出書に、当該従業員が引渡金額の引渡しを希望することを証する書類等を添付して行わなければならないものとすること。
(二)事業主が、特定退職金共済事業が廃止された後に退職金共済契約を申し込む場合、当該申込みは、機構に対し、資産引渡申出と同時に行うものとすること。
(三)資産引渡申出を行った事業主に対しては、加入促進のための掛金負担軽減措置を適用しないこととすること。
 3 被共済者の退職金額に関する事項
引渡金額の引渡しに伴い掛金納付月数が通算された場合の退職金額の算定は、退職金共済契約の効力が生じた日の属する月から当該通算する月数分遡った月に退職金共済契約の効力が生じたものとみなして行うこととすること。
 四 未請求退職金の発生防止対策の強化
1 事業主が、機構へ退職金共済契約申込書を提出する場合に、被共済者となる者の生年月日を記載するものとすること。
2 共済契約者が、被共済者が退職した旨の届出を機構へ提出する場合に、当該被共済者の個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第二条第五項に規定する個人番号をいう。)を記載するものとすること。
 第二 独立行政法人勤労者退職金共済機構の業務運営、財務及び会計並びに人事管理に関する省令の一部改正
一 業務上の余裕金の合同運用の実施
機構は、業務上の余裕金の合同運用を実施する場合は、各業務に係る勘定において合同して運用することとした業務上の余裕金を時価により合理的に評価した額を、当該合同して運用する業務上の余裕金の額のうち、当該各業務に係る勘定に属する業務上の余裕金の額として管理するものとすること。
二 余裕金の運用の基本方針への記載
機構が、業務上の余裕金の合同運用を実施する場合は、余裕金の運用の基本方針に当該合同運用を実施することを記載しなければならないものとすること。
 第三 施行期日等
一 施行期日 
この省令は、平成二十八年四月一日から施行すること。
二 掛金月額の増加の促進のための掛金負担軽減措置に関する特例
独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律附則第四条第二項本文の規定により掛金月額が五千円未満の額であった場合は、その掛金月額が五千円に増加されるまでの間は、掛金月額の増加の促進のための掛金負担軽減措置を適用しないこととすること。
三 加入促進のための掛金負担軽減措置に関する経過措置
施行日後に廃止団体から資産移換を行った事業主が施行日前に退職金共済契約の申込みを行っていた場合は、加入促進のための掛金負担軽減措置が適用されるものとすること。
四 その他
その他所要の経過措置を規定するほか、関係省令について所要の改正を行うこと。
 別紙3 中小企業退職金共済法第四十三条第一項、第四十六条第二項及び第五十五条第二項の規定に基づき、厚生労働大臣が指定する特定業種を定める告示案要綱
第一 特定業種退職金共済制度における退職金の支給要件である特定業種掛金納付月数の期間を、現行の二十四月から十二月へ短縮する業種として厚生労働大臣が指定する業種は、建設業とすること。
第二 この告示は、平成二十八年四月一日から適用すること。
以上です。何とぞ御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○勝部会長 前回まで審議したものを政令案等に落としたものですが、ただいまの御説明について何か御意見、御質問等はありますか。よろしいでしょうか。
 それでは、部会として厚生労働大臣からの諮問を妥当と認め、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛に報告をすることといたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○勝部会長 ありがとうございます。それでは、諮問どおりで妥当と認めるということで、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛、報告をすることにいたします。事務局で報告案を用意していただいたと思いますので、それを配布していただいて読み上げていただければと思います。
                                  (報告案配布)
○勝部会長 それでは、読み上げをお願いいたします。
○田中勤労者福祉事業室長 平成28年3月14日。勤労者生活分科会分科会長宮本みち子殿。中小企業退職金共済部会部会長勝悦子。独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案要綱(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)。独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱(中小企業退職金共済法施行規則の一部改正関係)及び中小企業退職金共済法第四十三条第一項、第四十六条第二項及び第五十五条第二項の規定に基づき、厚生労働大臣が指定する特定業種を定める告示案要綱について。平成28年3月14日付厚生労働省発基0314第1号をもって、労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は下記のとおり報告する。「記」、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案要綱(中小企業退職金共済法施行令の一部改正関係)。独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱(中小企業退職金共済法施行規則の一部改正関係)及び中小企業退職金共済法第四十三条第一項、第四十六条第二項及び第五十五条第二項の規定に基づき、厚生労働大臣が指定する特定業種を定める告示案要綱について、厚生労働省案は妥当と認める。以上です。
 今読み上げさせていただいたのが、分科会長宛の文書になるわけですが、労働政策審議会で第7条第9項の規定により、部会の議決をもち分科会の議決とすることができるという規定と、同じく労働政策審議会令第6条第9項の規定により、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができるという定めがされております。このことから、今回御承認を頂ければ、この報告が実質的に労働政策審議会会長へ報告となり、それをもって今度はこの内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛に答申をしていただくという流れになりますので、念のため申し添えさせていただきます。
○勝部会長 ただいま御説明がありましたように、この報告が実質的には労働政策審議会会長への報告となります。この内容で、労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛に答申されることとなりますが、ただいま朗読していただいた文案でよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○勝部会長 それでは、異議なしと認めます。ありがとうございます。それでは、この内容で厚生労働大臣宛に答申をすることにいたします。
 続いて、議題2に移ります。議題2は「一般の中小企業退職金共済制度における今後の付加退職金の取扱いについて」です。前回の部会で、いろいろ御意見を頂き、誠にありがとうございました。委員の皆様から様々な御意見を頂きましたので、その御意見を踏まえ、私と事務局で検討した結果を今回説明させていただくものです。事務局から説明をお願いいたします。
○富田勤労者生活課長 資料2について説明いたします。こちらには、前回の部会における主な意見をまとめております。2ページは、使用者代表委員の皆様から頂いた御意見をまとめております。基本的には、事務局提案の取扱いに賛成としつつ、付加退職金の取扱いについては、今後も安定的に制度が運営されることを前提として慎重に検討していく必要があるといった趣旨の御意見を頂いておりました。
 3ページに3つの御意見が並んでおりますが、上の2つは労働者代表委員から頂いた御意見です。事務局提案の考え方はおおむね理解としつつも、目標水準に到達した段階においては、被共済者への利益の還元という趣旨を踏まえた議論が必要であり、2分の1という水準が本当にふさわしいのか、額で見るのか、率で見るのかという視点も含めて議論すべきという御意見です。また。次回部会で固まった数字を見ながら、現行ルールを続けていくかどうかなどについて判断することになるのではないかといった趣旨の御意見がありました。3つ目は、公益代表の委員から頂いた意見です。年明け以降の不安定な金融情勢の中で、現時点で今後の取扱いを決めてしまうことは困難ではないか。一時点で目標水準に到達したことをもって、即ルールを見直すのではなく、現行のルールを継続することも1つの方法ではないかといった御意見を頂いたところです。
 4ページは、前回の部会では1月末までの市況を反映して、今年度の利益見込額を475億円の赤字と算出したところですが、今般2月末までの市況を反映して、利益見込額を算出したところ、2月中の株価の下落等が影響し、今年度の利益見込額は1,181億円の赤字となりました。この結果、昨年度末時点では3,801億円の累積剰余金、責任準備金費でいいますと、9.2%の剰余金が積み上がっておりましたが、今年度末の時点では2,621億円。責任準備金費でいいますと、約6%まで減少する見込みとなり、目標水準である責任準備金の9%にはおよそ1,100億円不足することが見込まれる状況となりました。ちなみにこれは3月の運用収益をゼロと仮定した場合の見込額で、実際の損益については3月末までの状況を反映して確定することになりますので、その点は御留意いただければと思います。
 5ページは、このように昨年度末の一時点で見ますと、目標水準を超える累積剰余金が積み上がっていたわけですが、今年度末の見込みでは再び目標水準に対して不足が発生するなど、現時点では安定的に目標水準の剰余金が確保される状況には至っておらず、引き続き目標額を積み立てていく必要があること。また、現下、特に年明け以降の金融情勢は不安定であり、今後の金融情勢を注視していく必要があるということです。こうした現状認識や、委員の皆様から前回頂いた御意見を踏まえ、部会長と相談させていただいた上、当面の取扱いとして事務局から提案させていただくのが、次の1から3です。
 1.制度の財政基盤を確保するため、引き続き責任準備金の9%を累積剰余金の目標水準として維持し、これを安定的に確保していくことが必要である。これについては、委員の皆様方はほぼ同じ方向性であったかと思います。また、これを前提に原則として平成29年度末まで、平成26年3月に取りまとめた現在の取扱いを継続することとしてはどうか。ただし、この取扱いについては今後の金融情勢や剰余金の積立状況、次回財政検証の状況等を踏まえ、必要に応じて見直しを検討することが適当ではないかということで、提案させていただくものです。1.はほぼコンセンサスはありましたが、今後の取扱いは議論がございましたので、当面平成29年度末まで現在の取扱いを継続したらどうかというような提案です。
 資料2の説明は以上ですが、前回の部会で中退部会と実際のポートフォリオを御議論いただく機構の資産運用委員会の間の審議内容の連携を図っていくことが必要といった御指摘を頂いておりました。この場をお借りして、連携をどう図っていくかについて、事務局から提案をさせていただきたいと思います。取扱いとしては、この部会において適宜資産運用委員会の審議の概要を事務局から報告させていただくこととし、一方資産運用委員会の場においては、当部会の事務局、私が代表してオブザーバーとして出席しておりますので、この部会における議論を適宜お伝えするということで、両者の連携を図っていきたいと考えております。機構の資産運用委員会は、10月の設置以来既に3回開催されておりますが、今回は第1回と第2回の審議の概要について簡単に御紹介させていただければと思います。参考資料の23ページを御覧ください。これは、第1回の資産運用委員会の議事要旨ですが、第1回の委員会においては、諸々の手続のほか、平成27年4月から9月までの運用状況について報告があり、その内容について質疑があったところです。
 次のページは、第2回の委員会の議事要旨になります。第2回の委員会においては、各制度における基本ポートフォリオの検証や、中退共と林退共の合同運用等について御議論があったところです。建退共については、基本ポートフォリオの見直し、2.7%から3.0%に予定運用利回りが引き上がっておりますので、それでどうするのかというような御議論があり、見直し案は現状どおりでいいのではないかということで確認がされました。具体的な審議の内容については、ここに記載しているとおりですので、参考にしていただければと思います。事務局としては、今後もこのような形で議事概要を参考資料としてお付けして、皆様の御議論の参考に供したいと考えたいと思っております。これも、御意見があれば承ります。私からの説明は以上です。
○勝部会長 それでは、ただいまの説明について何か御意見、あるいは御質問等はありますか。
○新田委員 まず、資料2の今後の付加退職金の取扱いについてですが、私は事務局の御提案で結構だと思います。今回は、単年度で1,200億円ほど損失が出ることからしても、やはり責任準備金の9%に該当する金額を、きちんと積み上げていき、なおかつそれが安定的に保たれるということをしっかりきちんと見る必要があると思います。平成29年度末まで、現在のこの取扱いを継続した上で、改めて今後の取扱いについては議論すべきだと私も思います。ただ、大幅に利益が出て積み上がるようであれば、またそのときに検討すればいいと思います。基本的には平成29年度末までは現状のこのスキームでいくべきだと思います。
 もう1点の資産運用委員会との情報の共有化の部分についても、事務局の御提案で結構だと思います。ただ、確認させていただきたいのは、資産運用委員会において、中退部会からこのような申出があって、そのように報告させていただくということについてこれから了解を取るのか、もう既に取られたのかについてお聞かせいただければと思います。
○富田勤労者生活課長 事務局としては、双方向の連携が重要だと考えておりますので、資産運用委員会の議事概要を紹介するだけではなく、逆に私どものほうから中退部会であった御議論については、資産運用委員会の先生方に御紹介するという形で、双方向の形を取らせていただきたいと考えております。
○新田委員 資産運用委員会でも、そのように了解を取られているという理解でよろしいですか。
○富田勤労者生活課長 資産運用委員会は、4月に開催される予定ですが、勤退機構とはそのような形で話をさせていただいております。
○勝部会長 ほかに何か御意見、御質問等はありますか。
○曽原委員 部会長と事務局で整理を頂いた案ですが、当面の付加退職金の支給の考え方の案については、私としては賛同させていただきたいと思います。改めて、今回2月の結果まで出て、累積剰余金が目標水準より約1,100億下回るという状況と日々株式等の相場が変動している状況を見た中で言えば、現時点で方向性を大きく変えるとか、新たなスキームを入れるといった立場には立てず、議論を行う時間も十分取れない状況でもありますので、しばらくは様子を見ていくことが妥当であると思っているところです。改めて労側としては、我々中小企業で働く者の後払いの賃金であり、退職後の生活を支える重要な資産である中小企業退職金機構に預けている退職金の運用は、安心・安定が基本だという原則を堅持すべきであることを改めて伝えさせていただきたいと思います。
 一方で、金利が下がる状況であれば、予定運用利回りの1%との関係で言えば、リスクを取った運用になってくるといった中では、その運用利回り自体の在り方や付加退職金の在り方も含めて、今後状況に応じて議論をしていく必要があると思っております。それに関しては、適宜部会を開催しつつ、先ほど事務局からも御提案がありましたが、ポートフォリオの見直しの話も含めて、部会との連携を図っていく必要があると思っておりますので、引き続きお願いをしたいと思います。
 資産運用委員会との連携に関しては、資産運用委員会は一定程度定期的に開かれると思っているのですが、部会は多分次は夏になると思いますので、その間の連携というか、我々として機構のホームページを見て情報を取れということになるのかもしれませんが、その辺りに関しては事務局としてどのように考えられているのでしょうか。何かあれば教えていただければと思います。
○富田勤労者生活課長 次回の中退部会の日程は未定ですが、曽原委員から御指摘がありましたので、情報が速やかに皆様のお手元に届くような形については、検討してみたいと思っております。
○川野委員 付加退職金の支給の取扱いについて、事務局で取りまとめいただいた案については、私も賛同いたします。資料に記載のありますとおり原則として平成29年まで状況を見極めながらということですので、賛同いたしました。前回お話させていただいたとおりですが、中退共自体について安心・安定を高めるこれまでの議論に基づいて、積立剰余金の扱いについて、方向を変えるつもりはございません。ただし、御案内のとおり、この間予定運用利回りを1%までずっと下げてきて、付加退職金についても資産運用委員会が運用して出た剰余金によって支給がされる仕組みのため、加入者の権利の観点からは、安心・安定を前提としながらも、そこに一定の付加退職金が支給されることを望んでいると思われます。そのことを踏まえた我々の議論が重要になってくるのだろうと思っております。
 そこでは、付加退職金は先ほど言いましたとおり、資産運用委員会がポートフォリオに基づいて運用するのですが、中退共は御存じのとおり、確定拠出年金と違って、加入者が運用できるものではありませんので、資産運用委員会にそれを委ねているがゆえに、そのリスクを高めてもらっても困るし、配当が欲しいという加入者の思いはそこにあるのだろうと思いますので、そのことを踏まえた今後運用の在り方について、いろいろな角度から議論を重ねていく必要があるという前提で、この事務局案は賛同させていただきたいと思います。
○勝部会長 ほかには何かありますか。
○小野委員 部会長と事務局でおまとめいただきまして、どうもありがとうございます。私も、この案について賛成をさせていただきたいと思います。資産運用の関係で、機構との連携、資産運用委員会との連携という意味では、これは非常に重要な話だと思っており、是非お願いしたいと思います。具体的には、5ページに責任準備金の9%という数字が載っておりますが、これは基本的に現行の資産運用方針に基づいて、確かリーマンショックや経済危機の時点で発生したといいますか、その規模がこのぐらいだということが大前提になっております。その意味では、ポートフォリオが変わればこの結果も変わってくるでしょう。また、リーマンショックや経済危機に当てはめて、この率を算出するということそのものについても、いろいろな方法論があるのではないかと思います。前回出たとおり、なぜ2分の1かというような話も含めて、資産運用委員会と連携しながら御検討いただくことになるのがいいのではないかと思います。
 特に、最近はマイナス金利になっております。私は運用の専門家ではございませんが、見ていますとマイナス金利になった後の運用の考え方に対するある種の定見のようなものが、まだ確立されていないような気がいたします。その辺りも十分状況を見ながら、またこちらでの検討が手遅れにならないように十分確認しながら進めていくことが重要なのではないかと思います。
○勝部会長 ほかには何か御意見はありますか。小野委員が言われたように、今は非常に金利が不安定で10年ものでも0%前後ということで、かなり長期にシフトしていることもあるので、それはそれでまたリスクもあるのかもしれません。この辺りは、先ほどのガバナンスの議論と密接に関わってくると思いますので、今後はそこの部分を考えていかなくてはならないのかと思います。
○松岡委員 先ほど御紹介いただいた資産運用委員会の意見の中で、25ページの建退共の話の中で「基本ポートフォリオの見直し等について」とあるのですが、この中で委員からの主な質問、意見等の所で、外貨建て資産に課している制約条件について見直しの余地があるという御指摘あるのですが、これは具体的にどういうことを意味しているのかということが不勉強で分かりかねるのですが、少し御説明いただけると理解が進むと思うのですが。
○勝部会長 25ページの主な質問、意見等の4つ目の委員の御意見ですか。
○富田勤労者生活課長 私も、正確にこれ以上のことを詳しく覚えているわけではないのですが、これはどういう意味かといいますと、それまでは資産間の相関が外債と内債でそれほど高いものではなかったと。ただ、最近はかなり相関関係が高くなってきて、外債が下がれば内債も下がってしまうということが起こりつつあるということで、相関関係が違えば当然見直しの余地があるということを委員の方がおっしゃられたと記憶しております。
○勝部会長 ほかには何か御意見、御質問はありますか。よろしいですか。ありがとうございます。本日は、様々な御意見を頂きましてありがとうございます。いずれにしても、今回の議論を踏まえますと、平成29年度末までは現在のルールに基づいて付加退職金の支給率を決めるということを原則としつつ、将来の金融情勢や剰余金の状況、それから財政検証の状況等を踏まえて、必要に応じて見直しを検討するということだと思いますが、このようなまとめでよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○勝部会長 ありがとうございます。それでは、事務局におかれましては、今回の部会の議論を踏まえて、今後の付加退職金の支給率の算定等を行っていただきたいと思います。
 それでは、3番目の議題に移ります。「平成28年度の付加退職金支給率について」です。この件について、本日厚生労働大臣から労働政策審議会宛に諮問がなされておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○富田勤労者生活課長 続きまして、私から説明いたします。資料3を御覧ください。次ページに諮問文が付いていますが、飛ばして、3ページからは前回の部会でお配りしたものです。3ページは付加退職金の概要、4ページはその詳細な数字を付けた例、5ページ、6ページについては平成26年3月に取りまとめていただいた付加退職金の取扱いについてです。平成29年度までの目標を書いているものです。
 御覧いただきたいのは7ページです。先ほど議題2の説明の中でも今年度の利益見込額について申しましたが、これを含めて収支状況の詳細について取りまとめたのが7ページの数字です。一番右の端の欄に平成27年度見込みがあり、その上から3番目の数字787億の赤字というのがありますが、これが今年度の運用収入の見込みで、これを基に今年度の当期損益金を算定しますと、下から2番目にありますとおり、1,181億円の赤字となります。累積剰余金の額はその下に括弧で書いていますが、2,621億円まで減少する見込みとなっています。
 8ページには、この見込みの方法について記載しています。特に損益への影響が大きいのは3の運用収入のうち、(2)委託運用の部分ですが、平成28年1月末の時価額を基に2月末までの市況を、2月のベンチマーク収益率を用いることにより織り込んでおります。また、3月の収益率はゼロと仮定しています。
 以上を踏まえて、2ページに戻りますと、今、申し上げたとおり、今年度はマイナスの利益となる見込みで、付加退職金の支給に充てるべき運用利益がありませんので、来年度の付加退職金の支給率はゼロとすることについて、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛に意見を求めることにしております。具体的には「記」の下にあるとおり、平成28年度に係る付加退職金の支給率をゼロとすることについて、今回諮問をさせていただくものです。
 資料3の説明は以上ですが、参考資料の27ページに「付加退職金の支給に関する告示の制定に伴う関連告示について」という資料を付けております。今回諮問させていただく付加退職金の支給率に関する告示と併せて制定する必要がある告示の内容をこちらに列挙しております。今回の諮問を妥当とお認めいただいた場合には、これらの告示に定められるべき率についても、このゼロという支給率に連動して定めることになりますので、皆様に資料を付けております。私からの説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○勝部会長 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、何か御意見、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、部会として厚生労働大臣からの諮問を妥当と認め、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛に報告をすることにいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○勝部会長 ありがとうございます。それでは、諮問どおりで妥当と認めるということで、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛、報告をすることにいたしたいと思います。事務局で報告案を用意していただきたいと思いますので、皆様に配布していただき、読み上げていただければと思います。
                                   (報告案配布)
○勝部会長 それでは、読み上げをお願いいたします。
○田中勤労者福祉事業室長 それでは、読み上げさせていただきます。案です。
 平成28年3月14日。勤労者生活分科会分科会長宮本みち子殿。中小企業退職金共済部会部会長勝悦子。中小企業退職金共済法第十条第二項第三号ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第二条第一項第三号ロ(1)の支給率について。平成28年3月14日付厚生労働省発基0314第2号をもって、労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は下記のとおり報告する。「記」、厚生労働省案は妥当と認める。
 内容は以上ですが、こちらにつきましても、先ほどの要綱と同様に御承認いただければ、実質的にこの内容で労働政策審議会の会長から厚生労働大臣宛に答申を頂くことになります。
○勝部会長 ただいまの事務局の説明のとおり、実質的にはこの内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛に答申されることとなります。ただいま朗読いただきました文案でよろしいでしょうか。
                                    (異議なし)
○勝部会長 それでは、異議なしと認めます。ありがとうございます。では、この内容で厚生労働大臣宛に答申することとしたいと思います。
 それでは、次の議題です。議題4「一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業における退職金の確実な支給に向けた取組並びに今後の加入促進対策の取組状況について」です。これにつきまして、事務局から説明をお願いします。
○富田勤労者生活課長 いわゆる未請求退職金問題と加入促進対策についての御報告事項です。資料4-1と資料4-2です。まずは「退職金の確実な支給に向けた取組について」ということで資料4-1を御覧ください。2ページには現在、勤労者退職金共済機構が行っている一般の中小企業退職金共済制度における退職金未請求者に対する取組が書かれています。表にも書いておりますとおり、3ページには、制度加入時における被共済者に対して、加入通知書の発行、加入後に毎年実施する共済契約者を通じての加入状況のお知らせの発行、共済契約者の退職後に一定のタイミングで3か月経過後、2年経過後、5年経過後で行われる勤退機構からの請求勧奨、共済契約者を通じて電話番号情報を把握できた未請求者に対する在宅時間中に合わせたテレフォンアプローチの実施といった加入状況の通知や退職金の請求勧奨に取り組んでおります。
 さらに、来月より住基ネットを活用した住所確認を行うことができることから、これまで連絡を取ることができなかった方に対しても、請求勧奨を行っていくことで、今後は確実に未請求退職者を減らしてまいりたいと考えております。このような取組の結果としての状況をまとめたのが2ページです。
 まず、左上の箱の(1)2年経過後の未請求退職金の状況ですが、平成22年度から5年間を見てみますと、直近の平成26年度においては、平成24年度に退職して退職金等の受給権を持っている人のうち、2年経過した後も請求していない人の数が初めて4,000人を切り、未請求退職金額も、約17億4,000万円と、平成25年度に比べて2億円程度少なくなっております。また、過年度の退職金等受給権者数のうち、2年経過後も請求のない人の割合が平成26年度で1.40%と、最も低い割合となり、これまでの未請求対策の効果が確実に現れているものと考えております。
 右上の箱の(2)の5年経過後の未請求退職金の状況の1を御覧いただきますと、平成22年度から5年間を見てみますと、1の未請求者数の数は、平成26年度においては5年後の時効が経過した後も、退職金等を請求していない人が4,348人と徐々に減っております。割合については1.54%と昨年度と同水準ですが、数としては着実に減少しているという状況です。
 最後に下の箱の(3)退職金未請求者に対する主な取組です。先ほどの説明の繰り返しの部分がありますが、今まで取り組んでいる退職後3か月経過後と、2年経過後、5年経過直前、5年経過後の4つのタイミングでの請求勧奨の実施件数や、実際のテレフォンアプローチの件数を記載しております。また、平成25年度の省令改正によって退職届に住所を記載してもらうことになり、最新の住所情報の入手が可能となったことから、特別な取組として平成25年度と平成26年度に未請求金額の高い人に対して請求勧奨を実施しています。このような取組の結果が未請求者比率の減少にもつながっていると考えているところです。
 4ページは、特定業種における長期未更新者に対するこれまでの取組を記載しています。初めての委員もおられますので、簡単に御説明しますと、特定業種退職金共済事業は、一般の中小企業退職金共済制度とは異なり、退職という概念がありません。業界の退職金制度と言われていますので、1つの企業を退職されても、それだけで退職金ということではないということです。したがって、長期間の退職金の未請求者を把握するためには、直近に共済手帳の更新申請を行った事業主を通じての郵送や、電話による現況調査を行うことで対応することになります。
 それを踏まえた上で、平成26年度の長期未更新者調査の結果を見ますと、建退共については、過去3年間共済手帳の更新がない被共済者は2万7,465人ですが、このうち手帳を更新した人が3,100人、請求手続まで行った方が1,467人、就労が確認できた方は7,319人となっております。残る方々については住所不明のケースや、住所は分かっているが、請求勧奨をしても何ら意思を明確にしていただけない方になります。
 また清退共と林退共については、過去3年間共済手帳の更新がなく、掛金納付月数が24月以上の被共済者を対象に長期未更新者調査を実施し、清退共は3名の方が調査対象でしたが、そのうち1名は請求の手続があり、就労が確認できた人はありませんでした。林退共については、189人の調査対象のうち、手帳を更新した人が35名、請求手続まで行った方が56名、就労が確認できた方が27名という状況でした。
 次ページには、特定業種退職金共済事業における長期未更新者に対する主な取組を記載しております。今後、業界を引退される方への確実な退職金支給に向けては、これまで取り組んでおります機構から直接行う新規加入の被共済者に対する加入通知の実施。過去3年間共済手帳の更新がない長期未更新者に対する現況調査の実施。上記取組後に住所把握ができた方に対する請求勧奨。共済手帳申請書・共済手帳への住所記載を徹底することで、新規加入時、加入手帳更新時、長期未更新者調査時に入手した被共済者住所情報のデータベース化。長期未更新者の年齢、未更新期間別、共済手帳の更新冊数別、退職金試算額別の状況等が集計できるシステムの抜本的改修に引き続き取り組むとともに、一般の中小企業退職金共済制度の未請求対策と同様の取組として来月より住基ネットを活用した住所確認を行うことができることから、これまで連絡を取ることができなかった方につきましても請求勧奨を行っていくことができ、今後はより確実に長期未更新者を減らしていきたいと考えているところです。
 最後に、次ページに前回の第62回の中小企業退職金共済部会に提出した未請求退職金の発生防止対策の強化についての資料を付けております。内容については前回の部会で説明いたしましたので、割愛させていただきます。
 続きまして、加入促進対策への取組状況について、御説明いたします。資料4-2を御覧ください。1ページは表紙、2ページは、一般の中小企業退職金共済制度の加入促進のための取組を記載しています。勤退機構が今年度実施している主な加入促進対策ですが、機構の職員や全国に配置している普及推進員、特別相談員が個別に事業主に対して加入勧奨等を行っております。また、当省と連携して、新たに選定した業界団体へ加入促進活動を行っております。またテレビCMやラジオ、新聞広告等のマスメディアを活用した周知・広報にも積極的に取り組んでいるところです。このような活動が実を結び、今年度加入目標数は、1月末時点ですが、おおむね達成できています。
 平成28年度の主な取組を(3)に書いていますが、今年度と同様のもののほかに、業務委託している社労士会や税理士会等の事業主団体や保険会社と連携した加入促進活動、当省や関係機関と連携しての特定退職金共済事業を廃止する団体からの移行等や、新たな業界団体への加入促進活動の対応、動物病院協会や学習塾協会などの新たな業界団体への加入促進活動を実施してまいりたいと考えています。
 3ページは特定業種の加入促進のための取組を記載しています。こちらについても未加入・既加入それぞれの事業場に対して、マスメディア等を活用した周知、広報活動等を行った結果、1月末時点の数字ですが、建退共、清退共、林退共ともに目標数を超えており、達成率も100%を超えております。特に林退共は林野庁の「緑の雇用」事業において、林退共の加入を義務付けた結果、ここ2年度で目標を達成できていませんでしたが、今年度は久々に目標達成をすることができました。
 そして、平成28年度の主な取組として、建退共では土木・建築学科を有する高等学校等に通う将来の業界入職に直結する若年者に対する加入促進活動を関係団体等と協力して実施し、清退共では清酒製造業免許の新規取得者のうちの未加入事業主に対する加入促進活動を実施してまいります。また、林退共では国有林野事業受託事業体の未加入リストを作成して、文書による加入勧奨を実施していくことや、国有林野事業受託事業体の未加入事業体名簿を林野庁に提供して、加入指導をお願いしてまいります。さらに、「緑の雇用」事業の一層の取組を林野庁に対してお願いをしてまいりたいと考えております。以上で加入促進対策の取組状況についての説明を終わります。どうぞよろしくお願いします。
○勝部会長 ただいま未請求者に対する取組、加入促進のための取組等について御説明いただきましたが、何か御意見、御質問等はありますか。
○川野委員 加入促進の取組において、業務委託事業主団体、業務委託保険会社との連携、加入促進を記載してあり、説明の中に社労士会との連携との説明があったかと思います。御存じのとおり、加入促進に向けて特定の保険業者が、その成績を上げることにおいて、不適正な処理があったというのは、昨年度御説明があったとおりです。
 一方で、社労士会に伴う様々な問題が露呈する中で、社労士会全てを否定するつもりはありませんが、特定の社労士が、加入促進の進め方において前回同様の似たような加入のすすめ方をする可能性も払拭できないところもありますし、社労士の中には、厚生労働省管轄の過労死促進的な指南が社会問題化されているわけですから、委託先にふさわしいかどうかというチェックも必要かと思います。あくまでも加入者の権利が守られ、事業主の委託先への影響がないように、そういう取組も必要ではないかと思いましたので、提言させていただきます。
○富田勤労者生活課長 川野委員が御指摘のとおり、過去に不正受給のようなことがあったというのは、非常に残念でして、それについては、行政としても適正化を図っていくようにしなければいけないと思っております。
 社労士会の関係については、委員御指摘のとおり、不適正なブログや、解雇に伴う指南について問題になり、そういうのがあって、厚生労働省としましても処分をするとか、全国社労士会連合会においても、今後引締めを図るという声明を出されたと聞いております。全員の社労士が悪いわけではありませんので、そこは委員の御指摘も踏まえながら、社労士会ともよく連携しながら適正な加入促進を図るようにしていきたいと考えております。
○勝部会長 ほかに何か御意見はいかがですか。
○長谷川委員 住基ネット、マイナンバー等が活用できるということで非常に有効策と思いますが、今日の新聞を見てもマイナンバーの個人カードは、初年度は200万枚ぐらいしか配布が進んでいないということ等を踏まえて、マイナンバーの信頼度、それから、今のお話にもありましたが、マイナンバーの運用についてはコンプライアンスを徹底していただければと思います。
○竹田勤労者生活課長補佐 マイナンバーの取扱いについては、個人情報ですので、十分規定を設けまして、委員会の中で、然るべき所に報告をするという規定もありますので、しっかりした管理の運用を図ってまいりたいと思います。
○松岡委員 特退共の加入促進の取組に関してお尋ねしたいと思います。1つは、加入目標の設定の問題ですが、長谷川委員や私たち全建総連では、とにかく今回の制度改善を機に現場技能労働者の処遇改善につながり分かりやすい制度ですので、大いに普及をしたいということで、業界団体を挙げた取組をしたいと考えております。長谷川委員も多分その通りだろうと思います。
 その中で、確かに中期計画の中での平成27年度の目標であるため、目標は逆に減ってしまっていたというのがあるのですが、どのぐらいの目標にしていくかということを、もう少し御検討いただけないかと思います。併せて、今、手帳を持っている人はいるわけです。しかし、実際に手帳が更新されている方というのは60万人、60万冊と言ったほうがよろしいのでしょうか。もちろん1年で更新されるとは限らないわけです。ですから、現実に本当に現場で就労している方はどのぐらいいるのか。例えば60万の倍の120万と見たとしても、実際の現場で就労している技能労働者の数を考えれば、まだまだ開きがあるわけです。そういう意味では加入目標の設定については、もっと力を入れた取組ができないかと期待をしているし、我々自身も目標を持って頑張りたいと思っているところです。
 併せて建退共については、加入対策として2点、今後の課題として御検討いただきたいと思います。1つは公共現場では証紙の購入については購入したかどうかについても確認はもちろんされているわけですが、貼付がされてこその建退共制度ですので、発注者、特に自治体の発注においても貼付の促進などに力を入れていただけたらと思います。実際に各都道府県の建退共支部の事務局長なども自治体の発注者のほうに足を運んで頑張っておられる地域もあるとお聞きしておりますし、そういった取組を支援いただきたいと思います。
 もう一点は、民間での普及という点です。この点については改めて関係業界団体への要請や広報を、民間工事でも技能労働者の処遇を改善させるという点での広報に力を入れていただけたらと考えているところです。
○勝部会長 こちらについてお願いします。
○竹田勤労者生活課長補佐 加入促進の目標設定ですが、従来5年間の過去の実績に、あと機構の努力分を見て、そういったものを加味しながら目標設定をしているところです。実績だけではなくて、ある程度機構の努力分も加味させていただきながら、設定をさせていただけるところで、景気の変動もある中で、何とか達成できている状況です。過去を見ると未達成という年度もあったようですので、今後とも過去の数字をにらみながら、努力分を加味しながら考えてまいりたいと思います。
 証紙の貼付ですが、適正に証紙が貼られるということはこの制度の根幹に関わることですので、引き続き証紙が適正に貼られるように、現場での指導を、機構を通じて、本省としましても必要な要請をさせていただきたいと思っております。そのためのいろいろな広報や要請等も含めて、今後も対応させていただきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○勝部会長 ほかに御意見、御質問等はありますか。それでは、本日の議題は幾つかありましたが、御意見は出尽くしたと思われますので、本日の部会はこれで終了とさせていただきます。
 本日の議事録の署名委員は、白土委員と川野委員にお願いいたしたいと思います。事務局から最後に何かありましたらお願いいたします。
○富田勤労者生活課長 本日は諮問案件が2つございましたが、委員の皆様から御意見を活発に頂きまして、まとめることができました。誠に感謝申し上げます。また、今後も引き続き中退部会の運営につきまして、何とぞよろしくお願いしたいと思います。今日はどうもありがとうございました。 
○勝部会長 それでは、本日はこれにて散会とさせていただきます。長い間、御議論をありがとうございました。


(了)

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