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2016年2月3日 第4回 周産期医療体制のあり方に関する検討会(議事録)

○日時

平成28年2月3日(水)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第12会議室(12階)


○議事

○伯野救急・周産期医療等対策室長 それでは、ただいまより第4回「周産期医療体制のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中を御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 まず初めに本日の構成員の出欠状況でございますが、本日は全員御参加いただいているという状況でございます。

 また、今回は参考人としまして、東北大学医学部産婦人科、菅原準一先生、よろしくお願いします。

 そして、国立病院機構災害医療センター、鶴和美穂先生、よろしくお願いします。

 大阪府立母子保健総合医療センター、光田信明先生にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 お手元に、まず、ホチキスどめの議事次第と構成員名簿、参考人名簿、座席表のほか、資料1から4をお配りしております。

 まず、資料1でございますが、菅原参考人からの資料でございます。

 続いて、資料2が、鶴和参考人からの資料でございます。

 資料3が、「周産期搬送について」という資料でございます。

 資料4が、光田参考人からの資料でございます。

 また、参考資料としまして、まず、福井構成員より「災害時の対応マニュアル作成ガイド」という冊子をお配りさせていただいております。

 また、光田参考人より「夜間・休日におけるOGCS搬送の手引き」、依頼施設用と受け入れ施設用という2つ、厚紙のものを御用意しております。

 また、搬送の件数や症例の内訳のデータの紙を2枚お手元にお配りさせていただいております。

 今、席上にはお配りしておりませんが、もう一つ、岡井構成員より、日本産婦人科学会の災害対策マニュアルを御提出いただきましたので、これは後ほど回覧をさせていただきたいと思います。

 また、前回の検討会の資料などをファイルとして御用意しております。適宜参考としていただければと思います。このファイルについては会議終了後、机に置いたままにしていただいて結構でございます。

 事務局からは以上でございます。以降の進行は座長にお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 まず、きょうは災害時の周産期医療体制について議論いただきたいと思いますので、資料1の説明を菅原先生から、資料2のほうは鶴和先生から、それぞれお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○菅原参考人 おはようございます。東北大学の菅原と申します。よろしくお願いいたします。

 それでは、資料1をごらんください。

 私、東日本大震災当時、周産期母子センターにおりました。現場でいろいろ経験したことを踏まえまして、この5年間にさまざまな調査を行ってまいりましたので、内容に関して御紹介いたしたいと思います。

 1枚おめくりいただきましてスライド2「大震災における周産期医療」ということで、幾つか左側に数字を羅列してございますけれども、一番上に、震災後2カ月において217件の分娩が搬送・非難によって、異なる医療機関でのお産となっております。要するに、十分な医療記録がないままにこういった妊婦さんがほかの異なる医療機関で分娩された。

 あとは、病院の前、もしくは病院の外でお産になった方が少なくとも、これは消防署で調べた件数なのですけれども、23件ありまして、前年に比べて非常に多くなっている。

 さらには、年間における母体救急搬送においても807件。

 ヘリ搬送におきましても3月15日の時点で1日に13件大学に送られてきたということもございました。

 また、発災直後、最大で石巻圏の避難所数が313件あったという事実がございます。

 こういった事実、背景の中で、右側になりますけれども、仙台、大都市から離れておりまして、さらに広域・甚大な災害でありまして、上にございますように、医療機関や保健、災害対策系統、支援団体、救護所間の情報共有が効果的に行われなかったということで、さまざまな調査を行っています。

 次のスライド3ですけれども、1から3までございまして、今回、周産期医療の災害時の状況と、情報伝達における実情と課題、これらの課題を解決するためにどのようにしたらいいかということを御提案したいと思います。

 次のスライド4ですけれども、これは震災前年の宮城県の分娩数で、年間約1万8,000件のお産がございます。仙台市ではその約半数を扱っています。沿岸部では、ここにお示ししましたように、約4,500件程度の分娩がございまして、こういった妊婦さんが非常に危険な状態にさらされたということになります。

 次のスライド5ですけれども、こちらは発災後から1週間における分娩取り扱い機関の被災状況をお示しいたしましたが、沿岸部の気仙沼市では、1つの診療所の1階部分が半壊となっています。石巻市におきましては2施設が全壊し、2施設半壊。下に行きますが多賀城市で1施設半壊ということですけれども、こういった沿岸部の機関のみならず、仙台市内におきましても、4つの基幹病院におきまして、ライフラインの途絶ですとか、非常電源がうまく動かないといった理由を持ちまして、分娩制限せざるを得ない状態に陥りました。

 半壊というのは、主に津波で1階部分の医療機器や医療情報、カルテ等が全て失われたというものになります。

 次のスライド6をごらんください。これは周産母子センターにおける対外業務の推移ということで、左側から右側に移りまして、時間軸でお示ししましたが、一番上、情報、イメージですけれども、暗闇から一瞬光が差し込んだのですけれども、錯綜状態に陥ったということを示しています。

 実際の業務内容といたしましては、通常の超急性期搬送、津波被災地からの救急、大量ヘリ搬送、少し時間をおいて周産期医療のコーディネートと同時に、東京を中心とした非被災地から電話、メールをいただきまして、それらへの対応、ロジスティクス、人的支援コーディネートということで、周産母子センターにおきまして、このようなことを同時に行わなければならなかったという現実がございます。

 次のスライド7をごらんください。こちらの表ですけれども、周産母子センターへの母体搬送を取り巻く状況ということで、一番上の棒グラフになりますが、これは青が母体搬送件数、赤が津波被災地からの直接搬送ということで、震災の直後は、私どもはかなり身構えてはおったものの、実際にアクセスが全く不能であったということで、非常に静かな時間が流れましたが、3月14日、15日以降、大量のヘリ搬送を受けたということになります。

 下はイメージですが、通信、ライフライン、物的人的支援ということで、左から右へこのような復旧状況になっております。

 次、スライド8をごらんください。こちらは周産母子センターにおける参加入院患者の推移ということで、私どもの東北大学病院の周産母子センター、一番下にございますが、産科は39床、MFICUは3床、NICU15床、GCU12床、分娩が年間約1,000件で、搬送が年間200件弱ということですけれども、そのような規模の施設です。

 左から右に行きまして、一番上の緑色のところは在院患者延べ数ということで、発災後大体3日を過ぎて、コーディネートが稼働し始めたところでオーバーベッドになっています。

 赤の線が産科の定床数なのですけれども、それを予測いたしまして、婦人科の患者さん皆さん退院していただきまして、ベッドを産科に転用することで対応させていただくことになります。

 さらに、回転を速めるということで、分娩は2日、帝王切開は3日で退院していただかざるを得なかったという事実がございます。

 次、スライド9をごらんください。これは平時の宮城県の周産期医療体制なのですけれども、一番上に総合周産期母子医療センター、仙台赤十字病院と私どもの病院がございまして、その下に県立こども病院がございます。こちらは三次施設です。

 その下に二次医療施設がございまして、左から右へとこのような沿岸部の基幹病院を含めて、地域周産期母子医療センターがございます。

 そして、一番下に一次医療施設ということで、このようなクリニック、地域の周産期医療施設がございまして、黄色のハイライトでお示ししたようなシステムが動いていまして、一番上が宮城県の周産期医療情報センターということで、これは空床情報等が共有されています。

 左側の周産期医療コーディネート事業というのは、周産期医療コーディネーターが仙台赤十字病院と東北大学病院におりまして、毎日毎日コーディネート事業を行っている。

 右側の下ですけれども、産科セミオープンシステムということで、これは主に妊婦健診はクリニックで、お産は分娩施設へというようなセミオープンシステムも稼働しています。

 1枚おめくりいただきまして、ちょっと見にくいスライドで申しわけありませんが、これは発災直後の宮城県の周産期医療体制のイメージになりますけれども、ネットワークは全く電話も通じない状態で寸断されましたので、クリニックから近くの基幹病院と、地域ごとに対応が必要になったということがあります。全く移動とか搬送はできなかったということです。地域ごとの対応が必要。

 次のスライド11ですけれども、イメージですけれども、これは4日目以降です。電話が通じるようになりまして、災害時の周産期医療コーディネートを始めた。ネットワークは復旧していますが、相変わらず移動と搬送が制限されていますし、基幹病院の機能が通常のパフォーマンスが発揮できずに低下しております。引き続き地域ごとの対応が必要という状況になっておりました。

 次のスライド12をごらんください。これは「東日本大震災における周産期システム運用の実際」ということで、1から3までございますが、通信情報網の途絶に対しては、若い医局員を直接被災地に派遣して、情報収集・支援を行いました。

 2番目といたしましては、広大な浸水領域で道路網が寸断されたため、ヘリによる大量搬送した。この搬送も本当に常搬送しないような症例も含めて、かなり軽症例もなるべく早目に全部大学に送ってくれということで、搬送を行いました。

 3番目として、周産期コーディネートシステムの機能不全ということで、各施設ごとに地域の分娩症例、救急受け入れを要請した。緊急有事オペレーションということですけれども、要は、人はいるのですけれども、例えばライフラインで診療所が稼働しないということであれば、その先生が病院に行ってお産をとるといったようなオープンシステムを緊急で取り入れたり、そのようなことで、地域ごとに対応していただかないと、全て総合周産期母子医療センターで受け入れるというようなことは不可能でしたので、そういった対応をとりました。

 スライド13です。「災害時情報伝達・共有の課題」ということで、私どもはやはり情報伝達、情報共有が最も重要であると捉えています。

 というのは、震災直後の通信機能は全て停止しましたし、完全に情報網は喪失しました。

 自治体、医療機関等の役割分担、情報伝達ルートが事前に準備されていなかったということで、宮城県、あれほど宮城沖で起きると言われていた地域でさえ、混乱いたしまして、連携不足が露呈した。

 また、政府、自治体等の通知文書が効果的に、本当に必要とされるところまで周知されたかどうか、今のところ不明です。

 あとは、地域の保健師さんですとか、医療機関、自治体、地方自治体、それぞれの情報が、それぞれはお持ちだったのですけれども、統合されず、時間的にもいろいろかなり情報というのは変わりますので、錯綜し、混乱しました。

 分娩施設の稼働状況です。我々は実際に稼働していても、妊婦さんにどのように伝達したかということで、かなり困難がありました。

 次、スライド14ですけれども、情報が非常に重要だということをお話しいたしましたが、「情報伝達・共有の困難性」ということで、左側に津波の被災地、右側に非被災地とさせていただきましたが、一番上から、被災地からは十分な情報発信はできません。できなかったと思います。また、一方、被災地に必要な情報が供給できないということで、私どもはさまざまなところから情報を求められるのですけれども、なかなかリアルタイムで必要な情報を必要なところに伝えるのは難しかったということがございます。なので、一番下にございますが、情報の需給のアンバランス、それは量的にもそうですし、時間的にもアンバランスが起きてしまったということを、私、真ん中におりまして強く感じました。

 次、スライド15、お願いいたします。そのようなことを受けまして、「周産期領域の災害対策として、何をすべきか」ということで、いろいろなうわさはあったわけですけれども、やはり事実を、しっかりデータを調べるということで、再検証する。

 私どもは毎日周産期医療ネットワークの中で働いていますので、これは強靭化したほうがいいだろうと。

 さらには、災害・救急・保健領域を含めた横断的な枠組みを創設ということで、こういったことを目的として、5つの提言をさせていただきました。

 スライド16、提言1としては「医療・保健・行政活動が連動する災害対策ネットワークの形成」ということで、これは、1ポツでございますが、各地方自治体における周産期医療協議会の、これが受け皿になるだろうということで、それぞれの自治体の活動実績や、どのような人たちが活動しているのかということで、これは周産期医療体制整備指針にある程度定められてございますけれども、運用はさまざまということで、課題を調査する。

 あとは、ネットワークの構成を検討するということを、提言1として挙げさせていただきました。

 スライド17、2番目といたしましては「周産期災害医療コーディネーター(仮)を中心とした、災害拠点病院と総合周産期母子医療センターが連動する体制構築」、集合図を下に示させていただきましたけれども、やはりこの3つがうまく連動しないと災害対策にはならないということで、下の右側にございますが、自治体間のコーディネーター同士のネットワークモデルを考案することですとか、平時から周産期、災害両方のステークホルダーがメンバーとして参加すべきではないかということでございます。

 スライド18、次が3番目になります。「被災後の妊産褥婦の動向調査」ということで、これはなかなか東日本大震災後何年たってもはっきりとして出てこなかったわけですけれども、こういった避難所に実際に妊産婦さんや、避難所における周産期対応は必要だったかということを含めて調べるということと、そういった避難所の情報と地域医療機関との情報共有方法を具体化すべきだということで、石巻圏合同救護チームで作成いたしましたファイルをいただきまして、時系列で解析しました。

 あらあらの数字ですけれども、避難所数、発災直後が313カ所、4万2,000人ぐらいの避難者の方がいらっしゃいましたということで、このデータを一つ一つ見ていきました。

 スライド19、次の4番目になりますが、これは妊婦さんとの情報共有ということで、「災害各フェーズにおける妊産婦との情報共有」、これは、妊産婦さんに必要な情報が伝わらなかった、もしくは妊産婦さんが御自身の情報を発信できなかったということもございまして、この各フェーズによってマニュアルをつくろうということを今、考えています。

 スライド20、次に、最後になりますが、5番目、省庁発出文書や通達をきちっと整理して、運用面での課題の抽出ということになりますが、見づらいグラフで申しわけありませんけれども、3月11日から11月までで、厚生労働省からは104件、そのうち母子保健関係は32件もの数多くの発出文書がございました。これらを整理いたしました。

 これらをまとめますと、スライド21の概要になります。私どもがこれまで行ってきた調査研究の概要ですが、国から妊婦さんまでということで、ダイダイ色のところを行っています。災害時に発出された公文書の検証、左側に行きますけれども、自治体における検討状況の調査、もしくは拠点病院周産期医療指定状況の調査、あとは、あるべきネットワーク構成図の検討をして、下に行きまして、災害時周産期医療統計、これは分娩統計です。実際に宮城県内の分娩取り扱い施設の助産録をもとにした予後解析を今、行って、論文にして投稿するところです。あとは避難所の状況調査、情報提供マニュアルを作成して、3月末にこちらも完成する予定です。

 最後、スライド22「まとめ」になりますけれども「周産期医療における災害対応の体制構築のために」ということで「課題と提案~災害に対応可能な周産期医療体制構築」ということで、一番最初に、妊産婦さん、新生児は災害時の要支援者という共通認識が必要である。ここら辺の共通認識がなかったために対応が遅れたということがございます。また、多職種を対象とした周産期救護のハンズオントレーニングも充実すべき。

 2番目として、妊産婦みずからの災害準備ということで、災害時に必要なミニマムな医療情報ですとか、避難所・近隣病院の情報の携帯。意外と近くの避難所の情報を持ち合わせていなかったりということがございますので、こういった準備。

 さらには、地域ごとの医療機能情報の共有ということで、ネットワークがうまく機能しなかった場合には、近くの各地域におけるセンター等と診療所との平時からの連携が必要であろう。宮城県も分娩の約半数が診療所で取り扱われております。ですので、やはり診療所を含めたこういった地域ごとの共有体制、連携体制を平時からつくっておくということが非常に大事だと考えています。

 避難所の位置情報と分娩取り扱い施設情報の相互共有。相互共有というのは、片方だけが知っていても余り機能しないということで、お互いに情報を知っておくべきだということです。

 最後に、隣県との連携、搬送体制ということで、これは平時から、隣の地方自治体とのネットワークの連絡方法、周産期体制の情報共有ということで、これは参考資料として消させていただきましたが、広域連携となりますと、日本全国調べますと、本当に数県でしかこういった具体的な検討がなされていないということがございましたので、必要です。最後に、各地方自治体における周産期担当災害医療コーディネーター等のリストを常にオープンにして見えるようにしておかないと、なかなか実際の災害のときには何も使えないということになりますので、閉じずにオープンにこういったものを開示していくことが必要だと思っています。

 以上です。ありがとうございました。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 参考資料は特によろしいですね。説明はないですね。

○菅原参考人 こちらはかなり記述的な内容も含めまして、膨大なものになってしまっておりますけれども、内容に関して何か御質問等ございましたら、その都度お答えいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、鶴和先生、続いてお願いいたします。

○鶴和参考人 おはようございます。災害医療センターDMAT事務局の鶴和と申します。

 お手元に資料2を御準備いただきまして、それをもとに説明を進めさせていただきたいと思います。

 私、もともと小児科医なのですけれども、今はDMAT事務局のほうで、DMATの教育研修であったり、実災害時のDMATの派遣調整、そういったことを行っております。

 今回、ここのお題に書かせていただいたように、東日本大震災におけるDMATの活動、また、DMATが日本全国で訓練を行っているのですけれども、その訓練から見えた、今後の周産期医療との連携について、お話をさせていただきたいと思います。

 中にはまだDMATのことを詳しく御存じではない方もいらっしゃるかと思いまして、ちょっと最初、DMATの御紹介を先にさせていただきたいと思います。

 めくっていただきまして、スライド2になるのですけれども、「DMATとは?」ということで、「Disaster Medical Assistance Team」の略になるのですけれども、皆さん、まずは災害といえば、地震を思い浮かべられるかと思うのですが、実はDMATの活動は自然災害だけではなくて、航空機とか列車の事故といった大規模な集団災害において、現場に迅速に駆けつけて救急医療を行うチームということになります。

 スライド3を見ていただきまして、「日本DMAT」ですけれども、厚生労働省が認めた災害派遣医療チームとなっておりまして、平成17年に創設されました。

 この日本DMATの活動要領も厚生労働省のほうで策定されておりまして、DMAT1隊の構成は、医師1名、看護師2名、業務調整員1名という構成になっております。

 つぎ、めくっていただきまして、4ページ目「DMATの意義」なのですけれども、従来の医療救護班、日赤、医師会のチーム、そういったところはどうしても発災後48時間を過ぎてからどんどん増えていくことになってくるかと思うのですけれども、それまでに避けられた死があるのではないか。そこを何とかできないかということで、DMATができ上がったというのが背景にあります。

 めくっていただきまして、5ページ目、これは、ちょっと古いデータで申しわけないのですけれども、2015年3月末までにDMAT隊員がどれぐらいいるかという数字をお示ししたものになります。この時点で9,328名でして、現時点で1万人を超えるほどのDMAT隊員が日本全国にいるということになります。

 次、めくっていただきまして、6ページ目「DMATの活動」なのですけれども、実は、現場活動や搬送だけではありません。ここにお示ししましたように、本部活動であったり、病院支援、現場活動、医療搬送、避難所救護所の活動、そういったところまで、多岐に及んでおります。

 特に私たちDMATが力を入れる活動としまして、1番目にお示しした本部活動になります。この本部活動は何かというのですけれども、次、スライド7を見ていただきまして、災害時の基本的な考え方ということで、必ず災害関係の研修に行くとお伝えするのですけれども「CSCATTT」という考え方があります。「TTT」はTriageTreatmentTransportということで、この3つのTを私たち医療者は何とかしなければならないと思うのですが、この3つのTをする前に、まずはマネジメント部分、「CSCA」がしっかりしないと、3つのTは円滑に行えない。そういった考えのもとに、1番目のCommand & Control、本部機能を充実させるということで、まず、本部活動というものを一番最初に優先事項としてDMATでは上げております。

 では、DMATはどこに本部を置くのかというのが、次の8ページ目になります。ちょっとわかりづらい図かもしれないのですけれども、必ず広域災害時には、都道府県庁内にDMATの都道府県調整本部というものが置かれます。その下に二次医療圏ごとにDMATの活動拠点本部というものが置かれることになりまして、このDMATの活動拠点本部を中心に、二次医療圏にある医療機関の支援であったり、情報収集を行っていく。そういったシステムになっています。

DMAT活動拠点本部はどこに置かれるかというと、二次医療圏ごとの災害拠点病院におかれることになっています。これは、災害の規模によって、また、災害の被害の大きい地域によって、どこに置くのかというのがそのときに決められていくのですけれども、東京都におきましては、あらかじめ12カ所に設置されることが決まっていたりしています。

 次、めくっていただきまして、9ページ、DMATが一番有名になったのは東日本大震災なのですけれども、実はそれまでにもこういったさまざまな活動をしておりました。

 次、めくっていただきまして、11ページ、DMATは先ほど申し上げました東日本大震災で一番有名になったのかなと思うのですけれども、このとき、活動期間は12日間となりまして、全国から1,856人のDMAT隊員が駆けつけて、支援を行ったということになります。

 活動内容としましては、ここにお示ししましたように、病院支援、また、さまざまな搬送、そういったことを行ったということになります。

 次、めくっていただきまして12ページ、搬送の中に、広域医療搬送という、国が計画をした被災地内から被災地外へという医療搬送があるのですけれども、これも実施されまして、このときは、花巻空港から千歳であったり、羽田空港に19名の患者さんが搬送されたということになります。

 次、めくっていただきまして、13ページ「DMATの行った医療搬送」というところです。この広域医療搬送の19名以外にも、岩手県、宮城県の被害の大きかった地域からの医療搬送であったりとか、あと、福島県は原発事故がありましたので、その原発事故に伴う避難搬送のお手伝いをしたり、また、茨城県では停電が広域で起こりましたので、やはり停電が起こると入院患者さんの継続診療が困難ということで、そういったところの医療搬送のお手伝いのほうもさせていただいております。

14ページがDMATの東日本大震災における活動のまとめになります。では、東日本大震災の時にこういった活動、さまざまな医療搬送を行ったのですが、実際、周産期医療とのかかわりはどうだったのかということです。

 次、16ページをお願いいたします。岩手県、もちろん県庁の中にDMATの調整本部が設置されました。こちらのほうでは、DMATとしては残念ながら妊産婦、新生児にかかわった記録はありません。その背景には、周産期医療とDMATとの情報共有の場がなくて、DMAT側が周産期医療ニーズを十分に把握できなかったことが、要因の一つではないかと考えています。

 岩手県の場合は、県立病院が岩手県内のあらゆるところにありまして、割と県立病院のネットワークがあったということもありまして、県立病院のネットワークを使って、医療救護班として県のほうに情報が挙がってきた妊産婦3件、新生児1件の搬送調整をDMAT調整本部のほうでお手伝いしたということがあります。この患者さんは、岩手医大と岩手県立中央病院に搬送されたのですけれども、このとき、やはり問題になったのが、搬送先とかと搬送手段確保というのは円滑に行えたのですが、保育器といった特殊な医療資器材の確保に相当時間を要した。実際、このときDMATの調整本部に入られた方は、全く新生児と関係のない先生、脳外科の先生です。なので、どこにお願いをしたら保育器が確保できるのか、そういったところも、なかなか情報がなくて、困ったというお話を聞いております。

 きょう、資料にはないのですけれども、宮城県のDMAT調整本部ではどうだったのか。実は、宮城県のDMAT調整本部でも、妊産婦、新生児の記録は全くございません。ただ、先ほどの菅原先生の御発表をお聞きしますと、かなり宮城県でも妊婦さんのヘリ搬送などが行われたということですので、そこからもうまく情報共有ができなかったということがわかるかなと思います。

 次、17ページ「東日本大震災での対応を踏まえた厚生労働省の施策」ということで「災害医療等のあり方に関する検討会」が開かれまして、既に皆様御存じのとおり、平成24年3月に「災害時における医療体制の充実強化について」という医政局長の通知が発出されたかと思います。

 そこに記載されている内容は18ページのとおりになるのですけれども、では、19ページを見ていただきまして、DMATはどういった課題が見られて、今後どういった対応策を考えているのかということですね。これはどちらかというと、DMATの一般的な課題なのですが、周産期にかかわるのではないかと考えられる部分を赤文字で示させていただきました。読んでいただければと思います。

 これが東日本大震災のDMATの活動と課題なのですけれども、あと、日本全国でさまざまな周産期とDMATの連携の訓練を行っていますので、それもちょっと簡単に御紹介したいと思います。

 写真つきのものになるのですが、20ページです。これは自衛隊機での保育器の搬送ということで、東京の立川の地元のところで小児病院とDMATが連携した訓練をさせていただきました。

 災害時、やはり自衛隊機を用いた医療搬送も行う可能性が高いかなということで、では、大きな自衛隊機、CH-47にどうやったら保育器を乗せられるのか。やはりそういったことも事前に検証しておく必要があるのではないかと思いまして、こういった訓練をさせていただきまして、写真が21ページ、22ページになるのですけれども、実際にCH-47も飛ばしていただいて、安全に運べるということを確認しました。

 ただ、保育器を設置して、固定できることの確認だけではうまく搬送はできないわけでして、やはり情報の流れとか、システムを考えていく必要があるのかなというのがあって、平成26年度の訓練では、鹿児島県で、海上保安庁とDMATと周産期医療センターの連携訓練を行っております。写真が23ページになります。

24ページを見ていただければと思うのですけれども、具体的にどういった訓練をしたのかということなのですが、スライドでアニメーションでお見せするとわかりやすかったのですけれども、わかりづらい資料で済みません。

 まず、種子島に災害拠点病院があるのですけれども、そこで災害時に新生児の搬送症例が発生したということが起こった場合、まず、DMATが災害拠点病院に情報収集に行って、新生児の搬送症例があるとわかったら、その情報を、この場合は鹿児島空港にSCUという搬送拠点をつくっておりましたので、鹿児島空港SCUのほうに情報提供、搬送要請が来る。でも、DMATで正直言って、新生児の搬送はできませんので、どうしようかということで、鹿児島空港SCUに、鹿児島市立病院の救命救急センターの先生が入っておられましたので、その救命救急センターの先生から、鹿児島市立病院の周産期医療センターのほうに支援要請が行われた。その結果、鹿児島市立病院の周産期医療センターの新生児科医師の派遣というのを、実際にドクターカーでやっていただきまして、鹿児島空港から海上保安庁の航空機に乗って、新生児科の医師が種子島に飛ぶ。そして、種子島で赤ちゃんと接触をして、鹿児島市立病院の新生児科の先生とDMATが一緒に海上保安庁の航空機で新生児を搬送する。そして、鹿児島空港SCUを経て、新生児科医が赤ちゃんを連れて、ドクターカーで周産期医療センターに帰っていく。

 この訓練がうまくできたのは、やはり平時から鹿児島県の周産期医療体制が救命救急センターと周産期医療センターが強く連携をして行われている。特に、鹿児島県は離島がたくさんありまして、そこのヘリ搬送というのは常に救命センターと周産期医療センターが一緒に行っているという背景もあったということもあって、比較的こういった流れは組みやすかったのかなと思います。災害時も、急に新たな医療体制を築くのではなくて、平時からの関係が災害時にも活用されるのではないかと思った訓練でした。

25ページも同じ写真になります。

 次、めくっていただきまして、26ページ、こういった東日本大震災の経験や訓練を通して考える、DMATと周産期医療の災害時連携における課題なのですけれども、幾つか挙げさせていただきました。

 1点目、まず、DMATの妊産婦や新生児に関する知識は正直言って不十分です。なぜならば、DMAT隊員の中に、産婦人科医、新生児科医が、これはちゃんとした調査をしたわけではないのですけれども、ほぼいません。

DMATには周産期医療情報を得る手段がありません。DMATが扱う災害時の情報システムはEMISです。でも、EMISでは分娩取り扱い施設全ての被災状況を把握できるわけではありませんし、周産期医療者の方も、多くの方がEMISを知らないのではないかと思っております。

 周産期医療ネットワーク、DMAT、保健行政が得た情報を共有できるような体制が必要ではないかと考えております。

 次、27ページを見ていただきまして、もう一点、平時の周産期医療体制と救急医療体制の連携強化ということを挙げさせていただきました。平時の周産期医療体制はやはり災害時にも有用ですし、災害時には救急医療体制と災害医療体制と周産期医療体制、こういった連携が不可欠となります。ですので、地域のMC会議などへの周産期医療者の参加ということも、今後、検討していただいてもいいのではないかと考えております。

 あと、人員、搬送手段、特殊な医療資器材、保育器といったような医療資器材を災害時にすぐに提供できるようなシステムが必要ではないかと考えております。各都道府県単位で、災害時に周産期医療にかかわる人と書いてありますけれども、医療者、あと、物を提供できるような体制整備を行っていただけると、より赤ちゃんの命、妊婦さんの命を救うことができるのではないかと思います。

 次、28ページ、これは、検討会で出された資料なのですけれども、今後、東日本大震災を踏まえて、急性期から中長期にわたる医療提供体制の考え方というものが出されました。ちょっとわかりづらい図かもしれませんけれども、超急性期から移行期というところ、都道府県庁内にDMATの調整本部といとう本部機能ができるのですけれども、その下に、二次医療圏ごとにDMATの活動拠点本部ができたり、あとはさまざまな医療、保健、福祉の調整を行う地域災害医療対策会議というものが保健所とかに設置されていくことが理想的ではないかというのが示された図になります。

 こういったところが連携をして、地域の医療機関であったり、被災現場、また、避難所、そういったところの情報収集をして、支援を行っていく体制が必要ではないか。

 やはり、こういったところに、今後、周産期医療も連携を強めていく必要があるのかなと思いまして、次、29ページ「災害時の周産期医療情報体制についての提案」をお示しさせていただきました。こういった、小児周産期リエゾンであったり、周産期災害医療コーディネーターといった、周産期医療領域の窓口を1つつくっていただきまして、そこがDMAT、あと、災害医療コーディネーター、災害医療コーディネーターは先ほど28ページでお示しした地域災害医療対策会議にいることになるのかなと思うのですけれども、こういった災害医療コーディネーターやDMAT、また、災害と言えば、やはり日赤さんもかなり活動されますので、日赤、そして行政、こういったところと情報提供したり、また、支援要請を行っていくようなシステムができ上がると、よりシステムとしてはうまく動いていくのではないかと考えております。

 最後、30ページがまとめの資料になるのですけれども、今後の連携に向けてということで、現状の問題点は、まずは情報共有する場がありません。ですので、ニーズの把握すらできないというのが現状です。

 また、周産期医療、周産期医療体制の知識にたけたDMAT隊員がおりません。ですので、新生児、妊婦患者に対応できない可能性、また、搬送先の選定に難渋する可能性が考えられます。

 また、保育器などの新生児特有の医療資器材の準備がなされていません。

 ですので、解決策としましては、情報共有をするためのシステム、一つはそういったコーディネーターの設置であったりとか、周産期医療の情報収集体制の構築。

 2点目としましては、急性期よりDMATとともに活動できるような周産期医療チームの検討。

 3点目としましては、保育器や搬送車両といった周産期医療ロジスティクスサポート、そういったところを検討いただけると、非常にいいのかなと考えております。

 私からは以上になります。ありがとうございました。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、災害時の周産期の情報の共有や、周産期の搬送の問題につきまして中心に御意見をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○田村構成員 菅原先生、詳細な御報告ありがとうございました。

 きょう、説明していただかなかったほうの参考資料ですけれども、参考資料のスライド40のところに、病院前の分娩が3倍に増加したということがあって、その後で救急隊の人がお産の取り扱い訓練などを受けていなかったということが書いてあります。鶴和参考人もおっしゃいましたように、平時からの関係性というのがいざというときにやはり役に立つということで、この病院前分娩というのは私たち新生児科医にとっては非常にリスキーな状況ですけれども、こういう赤ちゃんの中で、例えば亡くなったりとか、こちらにおられる岡井先生が提言して始めていただいた産科医療補償制度で脳性麻痺の保証申請をされたような大きな障害を残した患者さんがふえたというようなことはないのでしょうか。

○菅原参考人 ありがとうございます。

 この23件ですけれども、この対象者の予後は調べていないです。ただ、別の統計で、震災後、2カ月間に避難搬送になった症例が217件あったということでお話しましたが、それらの症例に関しては特に予後はそれほど悪くなかったということがございました。

 個票を調べればすぐたどることできますけれども、産科医療補償制度の絡みに関しては、そこまでは追えないかなと考えていますが、今後、そういったところも調べたいと思います。ありがとうございます。

○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。

○海野構成員 菅原先生のお話で、大規模災害が起きますと、インフラが途絶えたとき、特に一次分娩施設が機能停止するということが起こることが明確に示されていると思われます。これはもし、大都市圏ですと、もとから出生数が多い地域では、もっと大きな課題になって来る可能性がある。そうすると、二次施設、三次施設は機能が保たれるケースが多いのは確かだと思うのですけれども、その場合、一次分娩施設でお産をする予定だった方々をどこで受け入れていくかということが大きな課題になるだろうということが言えると思います。

 昨年度の私どもの特別研究班でも検討したのですけれども、先ほどDMATとの連携が、ほとんど情報共有ができなかったという現実というのが、どういうところから発生しているのだろうということを考えますと、都道府県ごとに地域医療計画がございますので、周産期医療体制の整備、あるいは、災害医療体制の整備は一応つくられているわけですけれども、その相互の連携というのが余り記載されていないというか、実際に行われていない。

 周産期医療協議会の都道府県ごとにつくる機能、あるいは役割の中にも、その部分に関する記載がほとんどないという現実が現状ではあります。そうしますと、これはお役所の仕事になりますので、やるべきと規定されていないところまで踏み込んで検討していくということがなかなか難しいということがあるかと思います。

 そういう意味で、大規模災害時にそれぞれの地域で、必ずお産はどこでもいつでも起こるということがありますので、災害時の地域の周産期医療体制、それは、通常、二次、三次のハイリスクの妊娠、分娩を私たちは想定してシステムをつくってきたところはあるわけですけれども、それだけではなくて、普通のお産をどうするかということも含めての、地域の周産期医療体制を持続する事業継続計画を、地域全体で考え、つくっておく必要があるのではないか。要するに、開業医さんが機能しないときにはここで何とか受け入れる体制をつくっていこうということを、それぞれの地域で具体的に検討しておく必要があるのではないかというのが、1点、提案としてされなければいけないのではないかと考えました。

 もう一点は、実際に災害が起きたときに、先ほど鶴和先生からお話がありましたように、周産期医療に必要な保育器ですとか、さまざまな医療機器等をどう現場に届けるかという問題がございます。

 実際には、通常、私たち周産期医療を担っている立場から申しますと、都道府県ごとにシステムができていて、総合周産期センター、地域周産期センターが整備されて、そこには資源はあるわけです。それに対応できるスタッフもいる。

 ですから、ある地域で災害が発生した場合に、それ以外の地域から、医療資源を持った、あるいは支援できる体制があれば、その資源をその被災地に投入することができるだろうということになると思いますが、これも周産期センターの多くが公的な施設ですので、あらかじめ周産期センターの機能として、自分のところの地域はもちろん対応するわけでしょうけれども、それ以外の地域で発生した災害に対しても、何らかの形で支援できるかどうか検討する必要はあるのではないか。

 そういう機能を周産期センターが持っているということができれば、実際、災害時に、必要が起きた場合に、災害医療の分野のさまざまなシステムが周産期医療の分野の資源を活用しやすくなるだろうということが言えるのではないかと思いまして、その辺、2点について、今回の周産期医療体制整備指針の改訂の中で、周産期医療協議会の役割、あるいは周産期センターの役割という中に、何らかの機能として入れること検討していただいてはどうかと考えているわけでございます。

 以上でございます。

○五十嵐座長 御提言いただきまして、ありがとうございました。

 先に今村先生、どうぞ。

○今村構成員 今、DMATの中に周産期を理解する人がいないということ、これはもともとそういうシステムだったのです。日本医師会の中の災害救急の担当役員がいろんな会議での報告でも、周産期にかかわる報告を受けたことがない。もともと国としては全くそういうことを考えていなかった。一方、周産期についていえば、常に救急なのですね。ある確率で必ず救急というのが起こってくる。そういうことが必要になってくるということで、周産期医療体制というのは常に救急というのを考えて、歴史的にもそれは別個にずっと発展してきて、周産期医療にかかわるものというのは別にそのほかの診療科におけるもの、特に地域におけるMC協議会であるとか、あるいは、大規模災害におけるDMATとか、こういうものが起ころうと、起こるまいと、そう考えてきたという経緯がある。

 その中で、DMATの中に周産期のことを入れ込もうというのはそもそも無理がある。非常に非効率的だと思います。だから、今までやってきた救急の周産期医療体制の中に災害時のことを入れ込むというほうが非常に現実的で、もともと周産期医療にかかわる医療資源というのは非常に限られてきている。その中で、DMATの中に、もう一つ周産期の方をずっと配置しようというのは、頭の中で考えても無理。今さら国のDMATの構想の中に私どものこれを入れようとか、あるいは地域のMC協議会の中に周産期を入れようというのは、地域医療にむしろ混乱を起こすということもあるので、そういう視点から、周産期の災害医療体制を考えたほうがいいのではないかと思って、今、聞いておりました。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○田村構成員 今村先生のおっしゃることももっともですし、海野先生のおっしゃることももっともだと思うのですけれども、基本的に、これはシステムの問題と、人員の問題と、両方あると思うのです。しかも、両方とも大事なことは、平時から活動していることが緊急のときに生かせる体制づくりと人づくりになるということです。平時のことで言いますと、まず、菅原先生のお話にありました、自宅分娩が発生したけれども、救急隊の方が赤ちゃんの蘇生法などの訓練を全然受けたことがなかったということに関しては、平時からちゃんと日本周産期・新生児医学会のNCPRのような蘇生法を救急隊の方が必ず受けるということにしていれば、それは緊急のときにも役に立つということになります。

 それから、海野先生がおっしゃいましたように、周産期は今、都道府県単位で周産期医療協議会があるわけですから、これを広域の協議会に広げるとか、もしくは遠隔地のところでお互いに県同士で協定を結んで、いざというときに助け合おうと、これは今回の震災でも大阪、兵庫と東北の被災地でそういう連携がうまくいったというお話は聞いています。

 そういう周産期医療協議会を広げるということですが、問題は、周産期協議会の通常のメンバーの中には災害ということをよく知っている方がおられないので、周産期医療協議会を広義に広げるとともに、ちゃんと周産期医療関係者で災害医療もわかる人を育て上げて、そういう方を周産期医療協議会のメンバーに必ず入れることが重要ではないかと思います。

 先ほど鶴和先生がおっしゃった終わりから2枚目のところの小児周産期リエゾンとか、周産期災害医療コーディネーターということだと思いますけれども、これについても我々は、本日、傍聴に来ておられる新生児医療連絡会事務局長の和田和子先生が、全国の都道府県の新生児医療連絡会の会員代表者に調査しましたところ、ぜひそういう協議会をつくるべきだという意見が広く寄せられました。更にそのためには、周産期医療関係者で災害医療をある程度緊急で対応できる人を育成して、そういう方を代表として置くべきだという意見が出ております。両方の面から、システムづくり、いわゆる海野先生のMCAT構想と、平時からの訓練と、これから恐らくこの後の周産期搬送のお話につながると思いますが、各都道府県、今は地域格差が拡大して大変ですけれども、広域で周産期医療協議会をつくり、広域で搬送するというシステムをつくっておけば、それは平時だけではなくて緊急のときもそれぞれの都道府県間で助け合うことができることになると思うので、ぜひ厚労省が率先して、そういうシステムづくりを、今回の周産期医療整備指針の中に明示していただきたいと思います。

○五十嵐座長 御指摘ありがとうございます。参考にしていただきたいと思います。

 ほかはいかがでしょうか。

 菅原先生、どうぞ。

○菅原参考人 先生方、御意見いただきまして、ありがとうございます。

 海野先生から何点か御指摘いただきましたけれども、一次施設、診療所で、宮城県においても半数のお産が扱われているということで、一次施設の災害対応がどうだったのかということを申し上げますと、ある施設は災害対策を完全にされていて、水もあるし、ライフラインも電気とプロパンもあるし、お産は全く問題なくできますという、すごく立派な診療所もございまして、そちらでは継続的にお産を取り扱うことができました。

 ただ、ある施設では、ライフラインが途絶いたしまして、ただ、人はいますというところで、人と箱を考えた場合に、人を例えば大学病院に出したいので、今から行きますというようなこともございましたので、やはりリソース配分という点で、ちょっとごっちゃになってしまうのですが、人とシステムと設備、それぞれ別々に有効利用するようなことが必要なのではないかとお聞きいたしました。

 あと、周産期医療協議会へのさまざまな災害医療ですとか、救急の方の参画に関しても、今回、調査をしているのですけれども、ちなみに、周産期医療協議会の中で、災害医療に関係する方々が参加していた割合というのは、大体25%ぐらいだったと思います。ですので、周産期医療体制整備指針の中に、構成メンバーについて記述がございますけれども、この中に、災害関連の方の参画が必要であると。

 体制整備指針の中の書きぶりに関しては、さまざまな協議会との連携ですとか、そういったような書きぶりが非常に多いわけなのですけれども、実際に何をするんだということになりますと、お互いの協議会なりMC協議会なり、担当者がそこに参加するとか、相乗りするとか、そういう具体的な記述をここに盛り込んでいただかないと、なかなか県、地方自治体から見ますと、いろんな文言のとり方が出てきてしまいますので、具体的にそういったことを入れていただきたいと思っています。

 あと、周産期医療協議会の協議事項の中に、幾つか羅列してあります。ずっと書いてあるのですけれども、少し重みづけをして、例えば幾つかの中で、災害対応に関して平時から必ず連携体制を構築することですとか、それを国のほうに報告するとか、構成メンバーに関してはこういった構成になっていますということをきっちり明示するとか、そういったことを盛り込まないと、なかなか実効性のある体制の整備にはつながっていかないのではないかと思いましたので、発言させていただきました。ありがとうございます。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 どうぞ。

○峯構成員 今の実効性のあるシステムをどうするかということですが、私は埼玉県さいたま市でございますが、当時、埼玉県はほとんど被災はしなかったわけですけれども、実は、福島県から大量の放射線の被害を想定した方たちが避難をされました。当初、500600人という話だったのですが、ふたをあけてみたら二千数百名に一気にふえまして、一つのところでは収容し切れないという状況になりましたが、その中で、埼玉県がとりあえず埼玉県医師会にすぐ依頼をして、恐らく想定を超える人数の方が来る可能性があるので、俊美をしてほしいと。そして、県医師会はさいたま市の医師会に対して、地域の医師会なので、まず、すぐ対応するようにということで、緊急で集まりまして、いろんな方、今回は周産期ですが、もちろん妊婦さんもいるでしょうし、妊婦さんの中でも基礎疾患を持っている方もおられるでしょう。もしかしたら、その場でお産にまで至るケースもあるかもしれない。それ以外にももちろん小児、成人、高齢者、いろんな方が一斉に集まったわけですが、全ての科の責任者を決めまして、そこに集まっていただきました。そして、そこに看護師さん、助産師さん、臨床心理士さん、場合によって、動けない方のためのリハビリの担当者とか、全部それぞれの責任者を決めて、一斉に集まっていただいて、いろんな、トリアージを含めたことをさせていただきました。

 やはり、現場ではあっというまにそういうことが二、三日の間にチームをつくりませんと、動かなくなるというのを身をもって経験いたしまして、今回も、被災されている現場と、地域の患者さんたち、あるいは対象者の方を輸送する場合には、輸送先の地域がどう動けるか。今、具体的なシステムづくりと、きちんとわかるように文章でそれを説明していかないと、恐らく伝わっていかないような気がしますので、先生の御意見にも賛同いたしますし、経験したものとしてもそれは痛切に感じました。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○山本構成員 日本助産師会の山本でございます。

 一次施設というよりも、もっと末端にある、地域に根差している助産所の役割というのもかなり大きくて、全国で被災者の受け入れを独自に行っているところもありますし、避難施設での助産活動、新生児のケアの取り扱いということが各地から上がってまいりました。これが、場所はあるけれども人がいないという状況の中で、助産師が人の役割、医療者としての活動ができる等明確な位置づけ、制度としての整備が必要なのではないかと思っておりますので、災害時の助産師の活動と活躍をもう少し制度化する御検討をいただけたらいいかなと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○阿真構成員 DMATについて、不勉強で足りないところがあるかもしれないのですけれども、歴史的なことですとか、きょう、先ほど初めて聞いたような状況ですので、素人意見だとは思うのですけれども、岩手県のことなどを見ても、情報共有の場がなくて、十分に把握できていなかったのでこれだけだったということであって、情報共有が十分にできていて、これだけ早く対応できるということがわかっていれば、助産師さんや周産期にかかわる産婦人科の先生が、こちらで活躍してくださるということは、非常に大きな、過去の背景はわからないのですけれども、今後の災害において、周産期の先生方がここに加わってくださるということは、とても意味があることではないかと私は感じました

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○鶴田構成員 

菅原先生に質問いたします。1点は、8ページに関してで、もう一点が19ページと21ページについてです。まず、1921ページについて質問したいと思います。

 初期はDMAT、次いで医療チームとありますけれども、都道府県は東北大震災の際に保健所を中心とした公衆衛生のチームを派遣しています。そういう観点からお聞きしますけれども、生活支援というのは具体的にどんなことを指しているのでしょうか。その生活支援は保健所からの生活支援なのか、助産師さんからなのか、保健婦さんからなのか、支援の内容はどうだったかということをお聞きしたい。21ページにある保健機関というのはどこを指していて、何を期待されているのかということをお聞きしたい。それがまず第1点目です。

 第2点目は、8ページに退院が経膣分娩2日、帝王切開3日となっていますけれども、私が中国に行ったとき聞いたら、経膣分娩は大体24時間ぐらいで、帝切も3日ぐらいで退院していました。今回は、緊急時だからこういう状況でしょうけれども、これが平時適用できるのかどうか?この人たちは退院後どこに行ったのか?診療所に行ったのか?自宅に帰ったのか?もし、平常時でもこのようにできるとすると、産婦人科の診療体制は大きく変わり得ると思います。帝王切開が10日ぐらいで、正常分娩が5日ぐらいで退院すると、50床でも大体3,000人ぐらいの分娩は可能です。経膣分娩2日、帝王切開3日で退院すると試算上は一つの医療機関で6,000人とか7,000人とかの分娩を取り扱うことは可能です。もちろん医師数は、先ほど言った分娩数が3,000人の場合、21名近く必要ですけれども、6000-7000人のぐらいになると、医者が50人とか60人とか必要だと思いますが、そういう観点で質問をさせていただきたい。

○菅原参考人 ありがとうございます。

 まず、スライド19ページの提言4に関する御指摘でございますが、発災フェーズ4、5にございます生活支援に関しましては、私どもはやはり、先生御指摘の公衆衛生的な、特に保健師さんを中心とした生活支援を想定して、このような記載をさせていただきました。

 こういったフェーズに合わせたマニュアル、もう少し具体的なところに落とし込んだマニュアルを今、作成しておりまして、3月中に完成する予定ですので、完成いたしましたら、また協議させていただきたいと考えております。

 あと、21ページの構成図の中の保健機関というところですけれども、私どもは、反省としてなのですが、仙台市内もしくは石巻における避難所で、多くの地域の保健師さんが活動されていたわけなのですけれども、そういった方とつながる医療機関の窓口を余りお知りにならなくて、我々の周産期医療ネットワークに避難所の情報が載ってこなかったという事実がございます。ですので、実際はその保健師さんは地域の医師会の先生方に御連絡をして、そこで対応していただいたということがございました。

 より、広域に対応するには、ネットワークに情報を載せることが必要ですので、想定としては保健センターの保健師さんを想定して、こういった記載をさせていただいております。

 最後に、スライド8でございます。こちら、周産母子センターにおける対応ですが、経膣分娩は2つで、帝王切開は3日でということで、もちろんこれは災害時の特別な対応でして、実際は2日目で、翌日に帰せたかもしれないのですけれども、こういった災害時ですので、おうちに帰ってもなかなかライフラインがきっちりなかったりということで、2日が限界だったかなと考えています。帝王切開3日というのも、本来、解釈はもちろんなかったのですけれども、ベッドをあけるためにこのように運用にせざるを得なかった。

 そういった方々の受けとして、病院の中のベッドを一病棟全部空にしまして、そこを母子救護所みたいな対応にして、ベッドをあけたのです。そこは何もないといいますか、ただベッドだけあって、食事も出るわけではございませんし、実際には余り利用者はいらっしゃらなかったです。皆さん、御自宅に戻られたということでございます。

 この後、やはり課題となりましたのは、通常、行っております助産師さんからの産褥の指導ですとか、そういった必要な検査が全部抜け落ちましたので、保健的な対応も含めて抜け落ちてしまっていったというところが非常に問題になったかな。そのお子さんたちが今、4歳になっていて、お聞きしているところによりますと、このときのことがどれだけ影響しているかわかりませんが、さまざまな何らか影響が出ているのではないかということをお聞きしています。

 平時からこれでどうなんだという御指摘でございますが、もしかしたら院内ではこういったことは対応可能かもしれませんが、やはり受け入れ先、公衆衛生的なもしくは保健的な受け入れをしっかり地域でしているのであれば、可能かもしれませんけれども、ただ、現実的には今すぐにはこういったことで回転していくというのは難しいのではないかと個人的には考えています。

○鶴田構成員 ありがとうございました。

最初の質問は、東北大震災の際には実際に各都道府県が公衆衛生チームを派遣していますし、現在、全国衛生部長会としても、公衆衛生分野の健康危機管理支援チームを派遣する方向で、厚生労働省とか総務省にお願いしようと動いています。大規模災害時には保健師さん、助産師さんとか、医療関係者が公衆衛生の活動で被災者の支援をすることが必要だと我々も思っていますので、ぜひ厚生労働省にも、必ずしも医政局だけではないですけれども、総務省に対しても、我々は地方自治体の職員なものですから、人の派遣に関しては、各都道府県では総務部サイドの問題となり、総務省の所管になるものですから、そちらにもお願いして制度化したいと思っていますので質問させて頂きました。

 先ほどの海野先生の周産期のシステムの話は、もともとDMATは災害拠点病院から派遣して行ったので、周産期も場合によっては総合周産期センターに、もし、余裕があれば、そこから派遣するシステムを考えるのも一つの案だと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 いろいろ貴重な御意見をいただきましたけれども、時間も押してまいりましたので、この議論はここで終了したいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。

 地域医療計画かから資料3を御説明いただきまして、その後、光田先生から資料4を説明していただくことにいたしたいと思います。

 それでは、よろしくお願いいたします。

○伯野救急・周産期医療等対策室長 地域医療計画課から、まず、資料3「周産期搬送について」という資料をごらんいただければと思います。

 1枚めくっていただきまして、2ページをごらんください。周産期の搬送において、医療機関の受け入れに至らなかった理由についてまとめたものでございます。

 下段のほうをごらんいただきまして、医療機関への照会回数が11回以上の事案でございますが、赤く囲んであるところが産科・周産期のところでございます。その理由として最も多いのが、処置困難というのが43.1%ということでございます。適切な医療機関に結びつけることができていない実態が、こういったケースにはあるということでございます。

 次のページ、3ページをごらんいただければと思います。医療機関の照会回数が4回以上の割合でございますが、これは3.8%。現場滞在時間が30分以上の割合というのが7.8%ということでございますが、前年より減少傾向にあるという状況でございます。また、都道府県別に見てみますと、下の図にございますとおり、首都圏で搬送受け入れ困難な場合が多いという傾向があることがわかると思います。これは、周産期に限らず、一般の救急に関しても同様な傾向がございます。

 次に、4ページをごらんいただければと思います。周産期母子医療センターの受け入れ可能状況でございます。母体搬送や24時間の帝王切開に対応できない施設もございまして、搬送には機能等を考慮した選択が求められるという実態がございます。

 次の5ページをごらんいただければと思います。重症妊産婦への対応状況についても、例えば一番下にございますとおり、24時間他施設からの重傷な妊産婦の受け入れが可能かということについては、78.6%が可能ということでございますが、逆に、約20%が、24時間ではなかなか困難という回答を行っているような状況でございます。

 次に、6ページでございます。こちらは、都道府県の周産期搬送体制の状況でございますが、周産期の情報システムを設けているところは47都道府県中37と、かなりの都道府県がシステムを整備しているという状況にございます。

 一方で、搬送のコーディネーターについては、妊婦、新生児ともに配置しているところは少ないという状況でございます。

 次に、7ページをごらんいただければと思います。こちらは、先ほど来少しお話がありましたが、周産期医療協議会についてでございます。一番上の棒グラフが、消防関係者が協議会に入っているかどうかということでございますが、47都道府県のうち34と、かなりの都道府県で消防関係者も入っております。

 一方で、真ん中の棒グラフを見ていただきますと、消防、災害との連携をしているかという問いに関しては、消防との連携は11ということですが、災害との連携はゼロということでございます。

 また、協議会の年間の開催数、一番下にございますが、一部の自治体ではゼロというところもありまして、周産期医療協会のアクティビティーにも若干都道府県によって差があるのかという状況がわかるかと思います。

 当課からは以上でございます。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 では、続いて、光田参考人、お願いいたします。

○光田参考人 大阪からやってまいりました、光田といいます。よろしくお願いいたします。

 まず、私の資料のページをめくっていただいて、きょうの内容を大きく6つに分けてあります。

 私から3ページの周産期医療体制の特徴ということを私が何も大上段に構えていうことではないのですが、結局、問題点として、考えて、大阪でどういうセーフティーネットを張ったかということの目安として書かせていただきました。

 まず、受け入れ施設の選択は、当然ながら、母体の合併症、あるいは新生児の状況によって、内科、外科疾患もありますので、周産期センターの整備ということになります。それに対する一般的な母体搬送、新生児搬送は、大阪府の場合にOGCSあるいはNMCSという組織が稼働しております。

 かかりつけ医がない方の産婦人科の応需体制ということで、これは産婦人科一次救急体制というものを整備しております。

 ですから、母体救命、これには、先ほど来議論にありますように、一般の救命救急と周産期医療は別個に体制整備がされてきたように思います。その中で、やはり最重症の妊産婦さん、命にかかわるような場合には、どうしても一般救急、高度救命センターにお願いしないと救えないということで、最重症妊産婦受け入れ体制というものを大阪府では用意してあります。

 近隣の府県との間のやりとり、一番有名になってしまったのは、奈良県の事案というのがありましたが、一応近畿の広域連携というものが枠組みとしては用意されております。

 これが全体像です。

 4ページは、そういう流れの中で産科の医療崩壊云々がありまして、すごく資金的には、全国的に見て、これが恵まれているのか、足りないのか、私はよくわかりませんが、私たちとしては非常に満足するレベル、10億円ほどになるのですかね。非常にありがたいと思っております。2012年以降はほぼプラトーだったように思います。

 次、5ページに行かせていただきます。歴史なのですが、いちいち細かいところは別にいいと思っているのですが、一般医療と周産期医療が大阪の中でどういうぐあいに掛け合いのようになって発展してきたかということになります。

 例えば1行目を見ると、1963年に消防による救急搬送の法制化ということで、大阪大学に特殊救急部が開設されております。それに伴って、5年後に大阪府の救急医療対策の審議会ができている。その後に、また、現在の私の勤務しております大阪府立母子保健総合医療センターの設置答申というようなことで、これは当然といえば当然と思うのですけれども、一般の救急とか、そういう整備がまずあって、その後追いという形で周産期部門が整備されていっているのかな。そのほかの部門も全部そうです。

 大阪の場合は、非常に特徴的なのは、1977年に既にNMCS、新生児の搬送システムができ上がったということで、これは約40年になってくるわけです。

 次の6ページの一番最初にOGCS、これは産科の母体搬送システムなのですが、NMCSにおくれること10年で発足しております。それでも今年満29年になりますので、30年目に入っていくというシステムです。

 あと、厚労省の研究とか、そういうのがあって、OGCSもだんだんと基幹病院、現在でいうところの総合周産期とか、そういうものに当たる病院を指定していったり、あるいは、ファクスによる空床サービス、そういうことが始まりました。さらに、OGCSNMCSの合同の委員会で連携をとるようになりました。新生児外科もそこに入ってまいりました。

 7ページに入っていきますが、そのころから、2001年に、大阪府の周産期医療対策協議会ができております。その指導のもとになると思うのですが、大阪府医師会の中に周産期医療委員会、これは新生児側と産科側が出ております。大阪府医師会の別の委員会に、救急災害の部会もあります。そこにはOGCSNMCSの委員も、私は現在、OGCSの代表ですので、その委員会にも出ておりますので、救命センターの先生方とも日ごろからお話しさせていただく機会は設けられております。

 あとは、いろいろなセーフティーネットが張られたということで、見ていただければと思います。

 8ページ、これが全体像を示しております。

 一番下から上がっていけば、一般の通報で、この場合は、右の一般通報・傷病者等、かかりつけ医なしというところは、一般救急はOLIONという、現在、タブレットの検索システムが大阪で稼働しております。これによって、母体救命とか、そういうことになりますと、すぐ最重症の受け入れ施設に入りますし、救急搬送体制確保事業、先ほど言いました一次救急になるのですが、かかりつけ医のない人はその体制の中で救急隊員の方は、当番病院に必ず吸収できるということで、役立っているように聞いております。

 あとは、ほかの地域と似たり寄ったりだとは思うのですが、一般の産婦人科病院のほうから順次、二次、三次と行く。

 あとは、きょうの主題の一つだろうとは思いますが、広域連携ということで、左側に近畿のブロック広域体制というものがあります。これは、各府県に代表病院が1つ置かれております。大阪府の場合には、私どもの府立母子センターということになっております。

 次、9ページがOGCS、これは、先ほどお話しましたように、ことしから30年目に入っていきますが、OGの「G」は当然ながら婦人科ですので、これは発足当初は婦人科も入っております。もちろん、現在も婦人科の救急も受け入れることになっております。でも、あくまでこれは二次搬送になります。これは、医療機関から二次、三次医療機関への搬送という、通常の母体搬送と言われるものが一番の中心になります。これは、大阪産婦人科医会の中にできております。

 現在、36施設で総合周産期が6カ所、地域が18カ所、大阪には24カ所の周産期センターがございます。今の大阪の分娩はおよそ7万分娩という現状です。

 原則、断られることは1回のみといいますのは、参考資料に用意させていただいているこれになるのですが、当然、以前は送りたい病院施設の先生方がひたすら探すということを繰り返しておったのですが、こういうことはいつまでも続けられないということで、そのときにコーディネーターの制度ができました。これは、時間外に稼働するシステムなのですが、私どもの母子センターの中に設置されておりまして、時間外になると、担当者に連絡が入って、そのコーディネーターが病院を探すということで、一般の病院の先生から見ますと、まず、近隣の周産期センターに電話を入れていただく。受け入れられればそれで終わり。もし、受け入れられない場合には、私どものほうに電話がかかってまいります。私どものほうで探してからお電話しますので、もとの病院は1回しか断られることはないというシステムで動かしております。

 手引にも、最重症のことを一番考えて、母体の心肺停止あるいは意識消失、こういう場合には、OGCSは飛ばしてくれ、救急隊でないと対応できないということを周知していますし、救急隊のほうも、救命センター側もこれでオーケーをいただいております。

 電話がかかったときに、我々がまず、電話口で、これは母体救命あるいは胎児救急という状況の搬送依頼ですかということを、まず最初に聞きます。そこで、救急だとうことが宣言されますと、もっと早いほうがいいかもしれないですが、一応15分以内に決着をつけるという原則のもとに動いております。もちろん、心肺停止は救急隊にいっていますので、すぐOLIONで直近の救命センターに入ることになります。

 年間およそ2,000件をOGCSで扱っております。それがこのブルーの図表になりますが、これが2014年と2015年の数字のまとめです。一番下を見ていただいたらいいと思うのですが、産科の受け入れ数は2014年で2,050件、2015年で2,073件、大阪全体の受け入れ数です。参加の場合、断られたのが536件ありますが、一番下から3つ目の施設が私どもの施設ですが、うちの施設だけは418件、例えば2014年に電話がかかってきて、197件受け入れたのですが、221件はお断りしているのではなく、コーディネートの業務をしているから、お断りと記録上はなっているのですが、断っているのではなくて、例えばうちは大阪の南部のほうですので、市内あるいは北部の病院を探してくださいと言われたら、そちらを探しているというのが多数です。

 2年前からは、婦人科と産科と分けて統計を取るようにしました。合わせると、大体年間2,4002,500件ぐらいが産婦人科の救急として大阪で動いております。

 細かい数字に御興味があれば、後で見ていただければと思います。

 次に進めさせていただきます。10ページですが、空床情報、これはコンピューターで随時見られます。なかなか随時というわけにはいかないときもあるのですが、NMCSOGCSも中身に応じて選択できるようにはなっております。

 次、11ページ、産婦人科の一次救急、これは、かかりつけ医のない人が救急隊要請がかかった場合のシステムでございます。大阪で北部、中部、南部に毎日時間外に3カ所の病院が指定されます。ここで、一応基本的には文句なしに一発で受け入れになります。ということで、年間このシステムで動く人が月に100件、年間1,200件ぐらいになります。そのうち妊婦さんは大体2割ぐらいですね。8割ぐらいは婦人科になります。もちろん、産科の場合には飛び込み出産というのもこの中には入ってきますけれども、本当にこのシステムで入ってくる飛び込みは、大阪で年間40件前後ぐらいになります。

 次の12ページ、これは先ほどもありましたが、4回以上の照会を占める割合になります。これが一次救急の効果がどのぐらいあったかということを示したものとして出しておきます。大阪の場合は、平成20年の段階で8.6%、4回以上の照会があったのですが、6.6%に下がったというのは、一次救急のシステムが半年間稼働した結果でした。半年間の結果が出たときに、2下がったのだから、通年でいけばもう2下がって、4ぐらいになるはずだと予想しておりましたが、その翌年には4.3%となりました。

 ということで、後も年々減っておるのですが、やはり一次救急に参画していただいている施設が、昼間の時間帯も割と受け入れがよくなっているということで、年々減っているのだと思います。一次救急は昼間の時間帯はカバーしておりませんので、救急隊が何カ所か電話するということはあります。でも、時間外はここで一発で受け入れできます。

 次、13ページは同じように、11回以上というのは、回数ですが、9回、4回、ゼロ回ということで、今はほとんど11回以上になるということはないと考えております。

 次、進めさせていただきます。14ページですが、これは、近畿の中で、いわゆる近畿というのは2府4県とかなっているのですけれども、この場合には、2府7県になるのですか、三重と福井と徳島県が加わっております。

 というのは、次の15ページにありますヘリコプターの到達範囲ということで、その様な点が入ってきております。

 当初、こういう計画で予定されて、16ページに各都道府県の担当課が示されております。

 その実績は17ページにありますが、かなり体制整備が各府県で進みました。これをつくったときはまだ随分必要なのかなと思っていたのですが、実際には体制整備が進むと、自県から外に出すということは非常に少なくなってきました。大阪が一応受け入れとしては一番多いのですが、3年間で大阪で150件受けて、年間50件ですから、大阪の場合、年間2,000件超えるような中での50件ということは、ほとんどシステムに影響を与えるようなインパクトにはなっていないというぐあいにお考えいただいたらと思います。

 次、18ページは具体的な搬送基準ということで、これを一応おおまかな約束事にしております。

19ページは、災害のことということで、少し出してきました。阪神・淡路のときは、21年前になりますので、OGCSNMCSが稼働しておりましたので、兵庫県からの依頼は全て受けるということで、もし、大阪が破綻するなら、和歌山、奈良、京都、そういうところにとっていただくということで、兵庫県は全部とるということで、対応したということです。

 左側、東日本のときには、大阪のほうにも確かに結構な数が来られたのです。そのときに、最初、うちの病院が見ますというような手挙げ方式みたいな案が少し出たのですが、これではやはりせっかく来られて、土地勘のないところでどこの病院が受け入れるかどうかわからないということを危惧しました。それで、全ての産婦人科医療機関でオーケーにしました。ただし、もちろん医療機関によっては受け入れ不可能になりますから、受け入れ不可能ならOGCSを使ってくれということで、OGCSに連絡ということで、読んでいただければいいのですが、母子センターのほうに全部言っていただいたら、婦人科も含めて、夜中も含めて、全部面倒を見るということを、3月16日付で発しているので、5日後にはなっているのですが、大阪で全部受け入れるという体制をとりました。

 最後、20ページは、そこに書いてあることをごらんいただければいいと思います。

 もう一枚ありました。救急搬送最重症といいますのは、胎盤の早期剥離であるとか、出血量が2,000以上であるとか、一定の基準があるのですが、それにのっとった方が、2015年に大阪で402例ありました。大阪が先ほど言いましたように、7万分娩ですから、7万分娩の中の400例ということで、およそ170妊娠に1回ぐらいそういう事例が発生しているということになります。

 一番多いのは出血とか、そういうことになるのですが、そのうち、下になるのですが、3番の搬送症例、これは自院で重症例に対応できないので、最重症妊産婦として搬送されたケースが155例しかないと私どもは思っているのです。40%しかなかった。60%はそれが対応できる施設で起きている。全国的にこの数字が高いのか、低いのかな、私は判断できないのですが、やはり事前に前置胎盤とか、いろんなことが起きそうなハイリスクの人を周産期センターに収容できているがゆえの40%しか搬送対象にならない。なおかつ、搬送対象になった場合、母体救命の受け入れ施設に70%、9カ所の救命センターとコラボしている施設なのですが、ここに70%が入る。あるいは、約30%が周産期センターに収容されるということで、何もないようなといいますか、普通の病院に搬送される妊産婦さんは2%しかいなかったということで、大阪の場合、最重症の方々の受け入れはうまくいっているのではないか。現実に、この年に亡くなられた人の母体死亡も全てこの最重症の中に入っていたと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、2つの御説明につきまして、御意見、御質問をどうぞ。

○田村構成員 関東圏の周産期医療関係者として、非常に恥ずかしいといいますか、うらやましい限りです。大阪でこれだけうまくいっていて、先ほど室長さんにお示しいただいた資料の3ページでは、関東圏は全部真っ赤であるにもかかわらず、大阪、神戸あたりは何ともなくて、近畿で問題になっているのは奈良県だけだというのは、NMCSとかOGCSとか、それに近いようなことを関東圏で我々はもっと早くから立ち上げていればこういうことにならずに済んだのかもしれないと思います。

 ただ、先ほどから申し上げていますけれども、災害対策として、先ほど提言させていただきました広域周産期医療協議会、それに近いものが、先生の近畿一帯での協議会では、広域周産期医療協議会として機能していると考えてよろしいですか。それとも、これは単に行政がただお互い取り決めを決めているだけの会議なのでしょうか。

○光田参考人 ありがとうございます。

 現実的には、各府県の搬送体制がありますから、おのおのの医療機関がばらばらにそこにアクセスしてしまうと混乱するということで、お願いするときも、受け取るときも、各府県の代表の病院同士でやりとりする。それぞれの送り出し病院と受け取り病院が決まった段階でお知らせして、それぞれの当該病院で連携をとっていただくという形にしておりますので、システムとしては現実的に動いております。

○田村構成員 私が聞きたかったのは、16ページの近畿ブロック周産期医療広域連携体制という一覧表ですけれども、これを見ますと、行政が深くかかわっているように見えるのですけれども、行政と周産期医療機関が一緒になって、例えば年に1回ぐらいみんなが集まって協議していれば、まさに広域周産期医療協議会だと思うのですが、そういう形で動いておられるのですか。

○光田参考人 そうです。1年に1回、これはことしの3月までは大阪府のほうが事務局として機能しておりましたが、4月からは関西広域連合に事務局が移管されるということで、実際には全部各府県単位で動きます。

 ですが、一般病院の先生方は知らないです。結局、我々が破綻したときに基幹病院としてやり取りするということですので、一般の周知という点ではそれほど広くはいっていないかと思いますけれども、実際には動いています。

○田村構成員 ありがとうございました。

○五十嵐座長 岡井先生、どうぞ。

○岡井構成員 資料3の3ページのデータですが、これでは東京都が随分産科・周産期傷病者の搬送の事情が悪いような印象を受けますが、東京都周産期医療協議会では、搬送のシステムは全部同じではないのです。それを考慮していますか。

 例えば母体の救急のときは、有名になったと思いますけれども、スーパー母体搬送システムというのがあって、必ず受ける病院が決まっていますから、絶対断らない。母体救急ですと言えば全部そこに行く。それも東京といっても相当な広さがあるので、遠い場合は途中で幾つか連携している施設があって、あいていれば途中下車するというシステムでやっているのです。

 今のは母体の救急です。もう一つは、胎児の救急もやっています。早剥か早産で胎児機能不全の場合は、ちょっとシステムが違うのですが、すごく早く搬送できる体制をとっていますので、一般の普通の早産になりかけているので、低出生体重児を見られるNICUのある施設に送りたいと、そうすると、余裕があるようなケースが多いわけですけれども、そういうのを統計をとるとこのぐらいの数字になるかもしれませんが、その辺のところは考慮して統計をとっていただきたいと思います。

 言ってくれれば、東京都周産期医療協議会は相当きちっとした統計をとっていますから、資料も提出することができます。

○五十嵐座長 どうぞ。

○今村構成員 今、光田先生から大阪あるいは近畿圏の周産期の救急体制の、非常にすぐれたといっていいシステムについて御紹介いただいたのですけれども、最初に言われたように、この問題は一般救急と別個にずっと、当事者の非常な努力の中で築かれてきたものなのです。こういうシステムというのはやはり災害医療においても大事にしなければいけない。先ほど申し上げましたけれども、DMATの中に周産期のものを入れ込むというよりは、むしろ、周産期救急医療体制の中に災害医療のことを持ち込んでくるというのが非常に現実的で効率的だと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 これは、光田先生、例えば災害のときも想定したような、例えば衛星電話を使うとか、病院が用意しているとか、そういう準備というのは既に広域連携体制の中に確立はしているのでしょうか。

○光田参考人 今までは実績としてはないです。ただ、今年度から、4月以降は関西広域に事務局が移転するということで、もう少し広がりそうなので、災害をにらんだシステムをきっちりとつくり上げるにはいいステージではないかということで、多分、4月以降の議題に上がってくると予定しております。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○海野構成員 この救急搬送のところでは、光田先生が区別してお話しされていましたように、施設間搬送のことと、119番から始まる患者さんや家族が救急車を呼ぶところから始まる搬送と、そこのところが周産期の場合はちょっと微妙なところはあります。

 施設間搬送の部分というのは、かなりシステムとしてはでき上がってきていると思うのですが、問題としては、周産期センターあるいは周産期救急を受け入れられる施設の分布が、県によって異なるということがございます。その結果として、施設間搬送であっても、かなり時間がかかる地域、要するに、周産期センターに搬送するのにかなり時間がかかる地域というのも現に存在しているのも確かだと思うのです。

 ですから、その辺のところ、これから周産期医療体制を整備していくという観点で申しますと、一次の分娩取り扱い施設から周産期センターにどれだけアクセスが確保されているかという観点が非常に重要になるかと。その辺も、県ごとに周産期医療協議会で分析していただいて、さらに、それによって搬送体制をどうするかということを検討していただく必要があるのではないかと思います。

 大阪の場合は、ドクターカーでの新生児迎え搬送みたいなことがいっぱい行われています。それは必ずしも全てのところで行われているわけではないので、そうすると、やはり重症児の出生に関して、どのようにクオリティーの高い周産期医療が提供できるかというところを各地域で検討していただく必要があると思います。

○五十嵐座長 どうぞ。

○福井構成員 光田先生に質問です。母児がヘリコプターで広域搬送されて、搬送先でお産になり、母親が先に退院することで母子分離となったときに、母親は搬送元の地域に帰っても、赤ちゃんは搬送先に入院していることになりますね。そのようなときに、その赤ちゃんの退院や戻り搬送のコーディネートは、搬送先病院に任されているということになるでしょうか。

○光田参考人 それはその病院がやっております。ただ、そこまでヘリを使っての広域ということになると、大抵は外科疾患とかが多いですね。通常の早産という意味での低出生体重児というよりは、外科疾患ということですので、外科治療が終わった段階で地元に帰るというパターンがどちらかというと多いように思います。

○福井構成員 ありがとうございます。

 光田先生のご説明でも、戻り搬送のことをこれから検討されるということでしたが、周産期医療体制整備指針では、母子分離になったときに、その子どもと母親がすべからく元に戻れるようなコーディネートのあり方ということは示されていないと思います。これから、周産期搬送が広域にならざるを得ないのであれば、そのようなコーディネート体制についても言及が必要だと思います。

 それから、もう一つ災害時の対応について教えていただきたいのですが、妊産婦の場合は、分娩を起点とする災害対応と、災害弱者と言われる女性や妊婦、乳幼児についての対応の両方を考えておく必要があると思います。女性や妊婦、乳幼児についての対応は、福祉対応になるのかもしれませんが、阪神・淡路大震災のときに、大阪ではどのような仕組みで対応したのか、対応は難しかったのか、今、どのようになっているのか、教えていただけないでしょうか。

○光田参考人 2番目の質問がわかりにくい。正常なお母さん、お子さんと考えていいのですね。その場合の母子保健としての支援ですね。それは体制全部は私は把握していないです。申しわけないです。

 あと、母子分離、例えばお子さんが入院されているときに、御家族に対しては今、割といろんな施設で病院内に宿泊施設が格安で提供されるような、うちの病院にもファミリーハウスということで、1日1,000円か1,500円ぐらいだったと思いますが、それでご利用いただけるという体制はあります。

○福井構成員 そうすると、そのような施設は災害発生時に正常な妊婦たちも利用することができるということでよいでしょうか。

○光田参考人 分離になりそうな人は、御家族がそこを利用できます。

○福井構成員 ありがとうございました。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 3と4の御説明に対しての御質問や御意見はこれ以上特にないでしょうか。よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございました。

 前回の検討会で、海野構成員よりNICUの病床数が出生1万人に対して25床という目標値に達していないところがあるということで、現状について厚生労働省がヒアリングを行っていると伺ったわけですけれども、その結果等報告はございますか。

○伯野救急・周産期医療等対策室長 今、事務局として各都道府県の担当者にヒアリングを行っている段階で、今、取りまとめている段階でございますので、次回には御提示させていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○福井構成員 追加発言させていただきます。出生1万人に対してNICUの病床数が25床満たされているか否かにあわせて、前回、田村先生からお話がありました、NICUに勤務している看護職の人数について現在、取りまとめています。活用いただけるようでしたら、資料としてお使いいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○五十嵐座長 では、次回の検討会の時までに資料を出していただくということですね。ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、きょうも大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 事務局におかれましては、ぜひそれらを反映した資料等を次回の検討会に用意していただけると、よろしいのではないかと思います。

 そろそろ時間が来ましたけれども、最後に事務局から何かございますでしょうか。

○伯野救急・周産期医療等対策室長 5回目以降の開催についてでございますが、本検討会は当初、平成27年度末をめどに、周産期医療体制整備指針の改訂の取りまとめを中心に議論していただくということでございましたが、平成30年度から始まります第7次の医療計画の5疾病5事業に係る指針の改正についても当検討会で御議論いただきたいと考えております。このため、平成28年度にも少し御議論いただきたいと考えておりまして、夏ごろまで検討を続けさせていただきたいと思っております。

 日程につきましては、決まり次第、また御相談させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 それでは、本日はこれで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 


(了)

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