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2015年12月25日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課

○日時

平成27年12月25日(金) 14:00〜17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館3階 共用第6会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

委員

若林部会長 穐山委員 石見委員 井手委員
井部委員 小川委員 鎌田委員 杉本委員
戸塚委員 中島委員 二村委員 吉成委員

事務局

山本基準審査課長 黒羽補佐 竹内補佐
津田主査 池上技官 田中技官

○議題

(1) 亜セレン酸ナトリウムの新規指定の可否等について
(2) アスパラギナーゼの規格基準改正について
(3) その他

○議事

○事務局 定刻より少し早いですが、委員の先生方皆様おそろいですので、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会を開催させていただきます。本日は、師走のお忙しいところを御参集いただき、誠にありがとうございます。委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、由田委員より欠席の御連絡を頂いております。現時点で、添加物部会委員13名中12名に御出席いただいておりますので部会は成立いたしますことを御報告いたします。以降の議事進行は若林部会長にお願いいたします。

○若林部会長 本年最後の部会になりますが、よろしくお願いいたします。最初に、配付資料の確認を事務局よりお願いします。

○事務局 議事次第、資料一覧、委員名簿、座席表。資料1-1「亜セレン酸ナトリウムの新規指定の可否等に関する薬事・食品衛生審議会への諮問について」、資料1-2「亜セレン酸ナトリウムの食品添加物の指定等に関する部会報告書()」、資料1-3「亜セレン酸ナトリウムの食品添加物の指定等に係る食品健康影響評価(第2版)について」、資料2-1「アスパラギナーゼの食品添加物としての規格基準の改正に関する薬事・食品衛生審議会への諮問について」、資料2-2「アスパラギナーゼの規格基準の改正に関する部会報告書()」、資料2-3「アスパラギナーゼの食品添加物としての規格基準の改正に係る食品健康影響評価について」、資料3-1「第9版食品添加物公定書案について」、資料3-2「第9版食品添加物公定書案(机上配付)」、資料が大部ということで、委員の先生方には机上のパソコンの中にデータとして入れてありますので、そちらのほうを御確認いただければと思います。パソコンのロックを外す場合は、お手元のパスワードを入れていただければ、ロックを解除できるようになっておりますので御入力ください。

 資料3-2に関しては大部にわたるため、机上配付のみとさせていただいております。傍聴の皆様におかれましては、部会の時間内に限り、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会のホームページ上に資料として掲載しておりますので、併せてそちらを御覧ください。なお、同資料については、部会終了後一旦資料を外させていただいた後、他の資料と併せて改めて掲載する予定としております。

 参考資料は、「第9版食品添加物公定書作成検討報告書の概要」です。資料については以上です。不足、落丁等がありましたら事務局までお申し付けください。

○若林部会長 パソコンに関しては、部会の一番最後に使用しますので、それまでは一旦閉じておいていただければと思います。事務局から部会の審議品目に関する利益相反の確認結果について御報告をお願いします。

○事務局 本日の部会においては、審議対象の亜セレン酸ナトリウム及びアスパラギナーゼが利益相反確認対象品目となっております。当該品目について、本日の部会において退室の必要な委員、又は議決には参加できない委員がいないことを確認しております。

○若林部会長 審議に入ります。議題1「亜セレン酸ナトリウムの新規指定の可否等について」の審議を行います。事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料1-1は審議会への諮問書、資料1-2は部会報告書()、資料1-3は食品安全委員会からの結果通知です。資料1-2に基づいて御説明いたします。品目名は亜セレン酸ナトリウムで、事業者から指定の要請があった品目です。今回、粉ミルクに栄養強化を目的として使用するという要望がありました。また、粉ミルクへのセレンの添加については別途、日本小児科学会からも同様の御要望を頂いております。

 1ページです。品目名は亜セレン酸ナトリウム・5水和物です。英名、CAS番号、INS番号、分子式及び分子量については記載のとおりです。用途についてはセレンの強化剤で、栄養強化です。

 4.概要及び諸外国での使用状況です。まず、(1)亜セレン酸ナトリウムの概要です。セレンは、グルタチオンペルオキシダーゼ等のセレン含有タンパク質等の構成成分として、種々の生理機能に重要な役割を果たしています。魚介類、肉類などに含まれていて、通常の食生活においては欠乏や過剰になることはないとされております。一方、我が国では、乳児用調製粉乳、フォローアップミルク及び特殊医療用調製粉乳(以下「乳児用調製粉乳等」とする)にセレンの添加は認められていないため、コーデックス基準と比較して著しく低いものであることから、潜在的なセレン欠乏の可能性があり、特にセレンの含有量が著しく低い特殊医療用調製粉乳を摂取する一部の乳幼児で、体重増加不良、爪の変化といったセレン欠乏症が報告されております。

()は諸外国での使用状況等です。コーデックス委員会において、栄養素は食品添加物には分類されておりませんが、栄養・特殊用途食品部会で、これらの粉ミルクについては規格を作っています。セレンの乳児用調製乳への推奨含有量の下限値というのがあり、100kcal当たり1μgとされております。上限値は特に設定されておりませんが、Guidance Upper Levelという上限目安が設定されていて、9μg/100kcalとされています。米国では、乳児用調整乳にセレンを2〜7μg/100kcalの範囲で含有することが義務付けられています。欧州連合(EU)では、乳児用調製乳、フォローアップミルクに対して、セレンを1〜9μgの範囲で含有することが義務付けられています。

 5.食品添加物としての有効性です。()栄養素としての機能です。セレンは抗酸化システムや、甲状腺ホルモン代謝において重要な栄養素であるとされております。セレンが不足すると、爪の白色変化、不整脈等の欠乏症が生じるとされております。セレンについては、日本人の食事摂取基準により、目安量が設定されております。目安量については一日当たり、0〜5か月児で15μg、6〜11か月児で15μgとされております。

()乳児用調製粉乳等への添加の必要性です。乳児用調製粉乳のセレンの含有量、1.01.5μg/100kcalで、日本人の母乳中のセレンの平均濃度のおよそ半分から3分の1程度であり、特殊医療用調製粉乳のセレン含有量はほとんど検出限界値以下であることから、コーデックス基準と比較して著しく低いものであるとされています。セレンをほとんど含まない特殊医療用調製粉乳・経腸栄養剤を使用とした乳幼児で体重増加不良、脱毛、心電図異常等のセレン欠乏症が認められており、セレンの補充により症状が改善したとされています。以上のことから、乳児用調製粉乳等にセレンを添加する必要があると考えられるとしております。

 (3)食品添加物の安定性です。亜セレン酸ナトリウムについては無色の結晶性粉末又は粉末です。無水物と5水和物がありますが、今回の対象品目である5水和物については、空気中で少し風解しますが、比較的安定であることが知られております。

()食品中の栄養成分に及ぼす影響です。亜セレン酸ナトリウム自体が栄養素ですが、食品の栄養成分に影響を及ぼすという報告はありません。

 6.食品安全委員会における評価結果です。亜セレン酸ナトリウムについては、平成261118日付けで、食品安全委員会宛に意見を求めております。評価結果が今年の9月に通知され、「提出された推定一日摂取量については、『0か月児〜2歳児までの摂取量の上限値』を超過する可能性があることから、リスク管理機関においては亜セレン酸ナトリウムの新規指定に当たり、使用基準()を含むリスク管理措置について改めて検討する必要がある」とされたことから、使用基準(案)を一部変更し、平成2711月5日付けで、改めて食品安全委員会に対して意見を求めたところ、以下の結果が今年の1117日付けで通知されております。

 こちらをもう少し補足させていただきます。当初、使用基準()の調製粉乳等へのセレンとしての上限値が、100kcal当たり7μgとしておりましたが、これらの上限値から算出される推定一日摂取量というものが、食品安全委員会の設定する0か月児〜2歳児までの摂取量の上限を超える可能性があるとされたことから、上限値を100kcal当たり5.5μgとして、改めて意見を求めたものです。その次は、食品安全委員会の食品健康影響評価の抜粋を記載しております。

 4ページの2段落目で、亜セレン酸ナトリウムについてはセレンとしての摂取を評価することが適当であると考え、セレンに関する0か月児〜2歳児までの健康障害が発現しないと考えられる摂取量の上限の要否について検討した。

 4段落目で、本委員会としては、亜セレン酸ナトリウムの遺伝毒性についての明確な判断はできないものの、閾値の設定が可能であり、少なくとも添加物としての適切な量を摂取する限りにおいては明らかな懸念はないものと判断した。

 6段落目の中段で、母乳中のセレン濃度の知見から、「0か月児〜2歳児までの摂取量の上限値」を判断することが可能と考えた。さらにBr ä tter の知見から、セレンに関する「健康障害が発現しないことが知られている習慣的な摂取量の最大値」というものを36μg//日と判断し、我が国における母乳中のセレン濃度に係る知見もこれを支持するものと考えた。添加物「亜セレン酸ナトリウム」を使用基準()の上限である5.5μg/100kcal、こちらはセレンとしてですが、添加した場合を想定して算出したセレンの推定検出試料を勘案すると、セレンに関する0か月児〜2歳児までの摂取量の上限値を設定することが必要と判断した。

 本委員会としては、Br ä tter の知見から得られたセレンに関する「健康障害が発現しないことが知られている習慣的な摂取量の最大値」は、乳児に関する知見から得られたものであり、0か月児〜2歳児までの摂取量の上限値を設定する根拠として用いることが適当であると判断し、不確実係数1で除した36μg//日から5.9μg/kg 体重/日、こちらもセレンとしてになりますが、算出し、セレンに関する「0か月児〜2歳児までの摂取量の上限値」として設定したということです。

 7.摂取量の推計です。6ページの表3に2歳児までのセレンの一日摂取量の推計結果が出ています。摂取量の推計については、表の左の欄にあるように0〜5か月児、6〜11か月児、1〜2歳児の3つのグループに分けて行っています。さらに、それぞれのグループを母乳のみ、母乳及び調製粉乳等、調製粉乳等のみの3つに分け、母乳、調製粉乳等、離乳食、水からのセレンの一日当たりの摂取量を算出しております。調製粉乳等については、要請者からの使用基準()である、100kcal当たり5.5μgを添加した場合を想定しています。表の下ですが、本委員会としては、セレンの推定一日摂取量を0〜5か月児では29.6μg//日、6〜11か月では49.2μg//日、1〜2歳児では61.3μg//日と判断しております。

 8.新規指定についてです。亜セレン酸ナトリウムについては、食品安全委員会における健康影響評価を踏まえ、食品衛生法第10条の規定に基づく添加物として指定することは差し支えないとしております。

 9.規格基準の設定についてです。使用基準の案ですが、食品安全委員会の評価結果、コーデックス基準及び他の栄養素における使用基準の前例を踏まえ、以下のとおり使用基準を定めることが適当であるとしております。実際の基準値は、7ページの中段に記載があります。前例ということで、7ページの下の注釈6で「ビオチン」の使用基準を記載しております。ビオチンは乳幼児用の調製粉乳や母乳代替食品に栄養強化として使用される添加物です。基本的な構成は一緒で、1段目が対象となる食品を限定しています。亜セレン酸ナトリウムは調製粉乳及び母乳代替食品、母乳代替食品は乳等省令の規定による厚生労働大臣の承認を受けたものは除かれますが、以外の食品に使用してはならない。母乳代替食品の100kcalにつき、セレンとして5.5μgを超える量を含有しないように使用しなければならないという基準にしております。

 ここで、調製粉乳及び母乳代替食品にはどのようなものが想定されるのか補足で説明させていただきます。8ページです。「コーデックス委員会における乳幼児用調製乳の分類等」という資料です。フォローアップミルク、特殊医療用調製乳という言葉は、食品衛生法及びその他の法令において明確な定義はありません。したがって、コーデックスのGSFAの食品分類を、この部会報告書の中では引用させていただきました。一番左の調製乳というものは、GSFA上の定義の項目の最初の辺りですが、乳児用の母乳代替品であって補完食、つまり離乳食を開始するまでの唯一の栄養源として特別に調製されたものということで、離乳食を食べるようになる前に飲む粉ミルクのことです。

 真ん中のフォローアップミルクは、離乳食を食べるようになった子供が、離乳食と併用して飲むミルクということで、成分的にも一番左にある、乳児用調製乳とは少し異なるものと聞いております。

 一番右側の特殊医療用調製粉乳は、説明はいろいろと書いてありますが、4行目に「通常の乳児用調製乳又はそれに含まれる特定の栄養素を摂取、消化、吸収、又は代謝する能力が限定又は損なわれ」ということが書いてあります。一言で言うと、アレルギーや特殊な代謝の異常を持っている子供用のミルクということです。具体的に言うと乳タンパク、乳糖といった特定の栄養素を制限しなくてはいけない場合に使用されるミルクです。コーデックスでは、この3つの分類に大きく分けられていて、本部会報告書の中でも、乳児用調製乳等については、この3つを指すものとさせていただきます。

 7ページの()成分規格です。成分規格は別紙2のとおり設定することが適当としております。設定根拠は別紙3、諸外国の規格との対比表は別紙4のとおりです。亜セレン酸ナトリウムの成分規格については、欧州、英国の薬局方を参考にしております。成分規格においては、純度試験の()鉛、()鉄、()ヒ素というものの分析法が、欧州、英国とは多少異なりますので説明させていただきます。12ページ中ほどの()鉛、()鉄、()ヒ素の項です。EPにおいては、鉄として50μg/g以下のみを設定しておりますが、食品添加物であること、それから他の品目の規格を考慮して、鉛とヒ素についても規格を設定しています。

 ヒ素については、通常のヒ素の試験法ではセレンも水素化合物を形成するため、ヒ化水素の発生効率が低下すること。また、装置Bを用いた試験法では、基準値相当のヒ素を添加したところ、前処理を検討しても回収率が得られなかったことから、誘導結合プラズマ発光強度測定法を採用しています。鉛について、通常はピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム-酢酸ブチル抽出-原子吸光光度法が用いられております。

 鉄については、EPで、スルホサリチル酸との反応により比色法が規定されておりますが、こちらの誘導結合プラズマ発光強度測定法では、同時分析が可能であることから、鉛及び鉄についても、こちらの方法を採用するとしております。

 部会報告書についての説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○若林部会長 審議に入る前に、亜セレン酸ナトリウムの食品安全委員会での評価結果について、まずは遺伝毒性の部分を戸塚委員に解説をお願いいたします。

○戸塚委員 食品安全委員会の評価結果を簡単に御説明いたします。資料1-3に添加物評価書があります。18ページからが遺伝毒性に該当する部分です。今回の亜セレン酸ナトリウムは、18ページからその結果が表になっています。表2-1は、亜セレン酸ナトリウム又は亜セレン酸に関する遺伝毒性の in vitro のものをまとめたものです。表2-2は、セレン又はセレン化合物の遺伝毒性の in vitro の結果をまとめたものです。23ページの表2-3は、亜セレン酸ナトリウム又は亜セレン酸に関する in vivo の遺伝毒性の試験結果をまとめたものです。このように、非常にたくさんの試験が行われています。

 一つ一つ説明するのは避けようかと思うのですけれども、中を見ると in vitro 及び in vivo の試験結果においても、陽性という結果が結構出ています。食品安全委員会では、亜セレン酸ナトリウムの遺伝毒性試験の陽性に関して、そのメカニズムについて審議いたしました。そちらをまとめたものが25ページからになります。これは、恐らくこの後の代謝の部分で吉成先生が御説明になると思うのです。亜セレン酸ナトリウムは、細胞内のチオールとの反応によって、過酸化水素やスーパーオキサイド アニオンといった活性酸素が産生されることが既によく知られた事実です。そういうものが、今回の in vitro 及び in vivo での遺伝毒性の陽性に効いているのだろうというように、最終的に食品安全委員会は判断いたしました。

 それに至る過程です。まずは、サルモネラ菌を用いたエームス試験で陽性と出ておりますけれども、それはTA104株という、ちょっと特殊な菌株を用いたときに陽性というものが得られております。このTA104株というのは、酸化剤に対して感受性が高い株であることから、おそらくこの in vitro の遺伝毒性が陽性なのは、酸化ストレスによるものだろうと判断いたしました。

 したがって、亜セレン酸ナトリウムの遺伝毒性は直接的なDNA傷害性によるものではないと判断いたしました。結果として、閾値が設定できるのではないかという結論に至りました。

 次は閾値の設定の問題なのですが、評価書の26ページから記載があります。 in vivo の試験系を、その閾値の設定には用いて考慮いたしました。腹腔内や、経口投与、筋注などといった様々な試験がありました。その中でも食品安全委員会としては、添加物は口から経口的に摂取するものですから、普通は経口摂取のものを評価の対象として考えるのですが、この場合の経口投与の試験はたった1つだけあります。24ページのテーブルの「小核試験」と書いたところの真ん中辺りにあるマウスの小核試験のところです。2mg/kg 体重、セレンとしては0.9mg/kg 体重で投与して、この1点のみの結果で陰性という結論が得られています。これは1点の用量だけでしたので、他にもう少し考慮しようということで、いずれも腹腔内投与ではありますが、チャイニーズハムスターに亜セレン酸ナトリウムを投与した染色体異常試験と、マウスに亜セレン酸を投与した小核試験を引用しました。このときに用いられた用量を考慮して、26ページからの閾値の設定の部分の説明になります。

 染色体異常の試験としては、3.0mg/kg以上の量で陽性であるものの、2.0mg/kg以下の量では陰性である。同じように腹腔内投与した小核試験でも、大体このときのdoseと同じぐらいの量で陽性なものは陽性で、陰性のものは陰性と出ています。先ほどの経口投与の0.9mg/kg 体重で陰性だったものと、そんなに数値としての乖離はないということで、これらの結果をその評価に用いればいいだろうと判断いたしました。

0.9mg/kgとか、3.0mg/kgといった用量というのは後々出てくると思いますけれども、亜セレン酸ナトリウムの摂取量の上限値の数百倍相当の高用量であることから、これらの結果を総合的に判断し、食品安全委員会としては、亜セレン酸ナトリウムには直接的な遺伝毒性の活性はないということ。そういうことから閾値が設定できると判断し、亜セレン酸ナトリウムは少なくとも添加物として適切な量を摂取する限りにおいては、明らかな毒性の懸念はないと判断いたしました。

○若林部会長 続いて、遺伝毒性以外の発がん性、毒性、 in vivo 試験等について小川委員より解説をお願いいたします。

○小川委員 同じ資料で説明させていただきます。概要のところでもお話がありましたように、セレンというのは必要な栄養素の1つであるということです。含有量が少ない特殊な医療用粉乳を摂取している乳幼児では、体重の増加不良、脱毛、心電図異常等の、セレンの欠乏症があるということで下限も決まっています。通常の毒性の試験を行う状況ではないと考えられます。

 資料1-3の27ページ辺りから載っていますが、評価に用いることのできるような、通常のげっ歯類の試験データはないということで、ヒトのデータから適切な量を検討しております。幾つかの調査が行われておりますが、29ページの()から、我が国における母乳中のセレンの濃度の調査が行われています。特に<1>についてはn数が303とかなり大きな数で、日本人の母親の母乳中に存在する、通常の状態でのセレンの濃度が調べられています。これは、分泌の時期でかなり量の増減があるということのようですけれども、大体1332辺りに分布するということで、この量であれば症状がないということなので、通常でもこれぐらいの用量は母乳中にあるものだということが認識されます。ただ、こちらは症状がない量なので最大値に用いることができないという値と認識されます。

30ページの()に、海外における母乳中のセレンの濃度ということで調査がされています。特に<2>のセレン濃度の調査(Br ä tter 1991 年のデータ)というのが、ベネズエラの、セレンの汚染地域での調査についての結果が報告されております。結果として、対照地域の平均値として、下から7行目にある、「その結果」という単元のところからですけれども、平均値として、対照地域では46μg/Lです。濃度が高いところでは、60μg/Lと90μg/Lの母乳の中にセレンが入っているような状況では、僅かな症例において、毛髪と爪の病理的な変化が認められました。60μg/L、90μg/Lといった値では異常が出るということになり、対照地域である46μg/Lであれば症状が出ないということ。こちらが上限ということで、先ほどの日本のデータよりも高い値なのですが、ここまでは症状の出ない値ということで、上限であるということでディスカッションがされています。

 そういうことから、最終的にヒトにおける知見のまとめということで、32ページにあるように、爪や毛髪の変化が出ない値として推定される46μg/Lを換算し、ヒトの「健康障害が発現しないことが知られている習慣的な摂取量の最大値」と判断したということが、毒性量としての基準になると考えています。そういうディスカッションがされていました。

○若林部会長 次に、体内動態について吉成委員より解説をお願いいたします。

○吉成委員 それでは体内動態について、同じく資料1-3を使って簡単に御説明させていただきます。14ページから、体内動態の考察が載っております。1.体内動態に書かれているように、幼児等に使われるものですが、乳児に関する知見は認められなかったということで、成人も含めた体内動態に関する知見を基に評価したということになっております。実際には()にありますように、2012年の清涼飲料水評価書「セレン」の評価を転記しているのが食品安全委員会の添加物評価書です。ここでは吸収、分布、代謝、排泄に分けられて書かれていますので、かいつまんで御説明いたします。

 セレンが吸収される形態としてはいろいろありますが、<1>の吸収の5行目辺りにありますように、今回の対象である亜セレン酸ナトリウム以外にも、セレノメチオニンのような有機化合物の形によっても吸収されます。これらはいずれも非常に良い吸収率を示しますが、若干無機である亜セレン酸のほうが吸収率が低いことがあると書かれています。ただ、いずれにしても比較的よく吸収されるということです。

<2>の分布は、14ページの下から3行目辺りから書かれています。体内に一様に分布しますが、特に高濃度で分布する組織としてはヒト・実験動物ともに肝臓と腎臓であることが、15ページの7〜9行目辺りに書かれています。実際にセレノメチオニンなどの有機化合物はタンパク質に取り込まれて存在するということで、そういうものは体内に長い間滞留することになります。取り込まれる形態としては、セレノシステインなりメチオニンなりの有機化合物のほうが高く、今回の亜セレン酸のような無機の形態は取り込まれにくいということが示唆されています。

<3>の代謝に関しては、15ページの中ほどからあります。体内に吸収されるための無機セレンは、セレン化水素という形態を経て取り込まれる場合は、セレノシステインの形でセレノプロテインに取り込まれます。ただ、一般にはその2行目にありますように、メチル化代謝産物としてほぼ尿中に排泄されることが分かっております。

<4>の排泄に関しては、15ページの下にあります。「摂取されたセレンは」という文章から始まるものが16ページにあります。そこに書かれていますように、実際には摂取されたセレンはメチル化代謝産物として、その多くが尿中に排泄されます。今回の対象である亜セレン酸ナトリウムのような無機のセレンの場合、多くはメチル化代謝産物として一般には速やかに尿中に排泄されます。ただし一部は先ほども言いましたように、セレノシステインのような形態でタンパク質に取り込まれますので、長く滞留する部分もあります。実際にヒトでの半減期が求められています。16ページの6行目辺りからですけれども、排泄の過程は3相に分かれています。第1相は半減期が1日でほぼ排泄されるのですが、第2相、第3相では半減期が8〜9日あるいは115116日ということで、タンパク質で取り込まれたものは比較的長く存在することもあります。

 取り込まれたセレンの代謝経路に関しては、16ページの()に説明がありますが、図として17ページのほうがまとまっていますので、17ページを御覧いただければと思います。17ページの図の「動物におけるセレン代謝」にありますように、吸収されるセレンには幾つかの形態があります。今回の亜セレン酸はその図で言うと、左下の辺りにあるセレン酸から亜セレン酸という矢印の形態のものです。一方で有機化合物としては、右のほうにあるセレノメチオニンとかセレノシステインという形態で存在するものがあります。亜セレン酸の場合は、そのまま右上のほうに上がっていってセレナイドという水素化されたものから、今度は左上のほうにずっと上がっていくと、最後は左の一番上の辺りのトリメチルセレノニウムという形で、メチル化された形態になって尿中に出ていきます。一部は右下にありますようにセレノリン酸ということで、タンパク質に入ることもありますが、多くの場合は尿中にメチル化体として出ます。

 これらを踏まえて体内動態のまとめということで、17ページの()に書かれています。今回の対象である亜セレン酸ナトリウム、あるいは有機化合物の形態であるセレノメチオニンは、どちらもよく吸収されます。まとめの4行目にありますように、体内に吸収された無機セレンはセレノシステインの形で、一部タンパク質として取り込まれるものがありますが、多くはメチル化代謝産物として尿中に排泄されます。ヒトでは、実際に経口摂取された亜セレン酸ナトリウムの大部分が、24時間以内に迅速に尿中排泄されるということも書かれていますし、半減期は有機体であるセレノメチオニンに比べて短く、蓄積性も低いということが書かれています。ですから亜セレン酸の吸収率も有機セレンよりも低いということで、母乳中ではタンパク質と結合した形で存在することがありますが、通常摂取した無機の亜セレン酸ナトリウムは主に排泄されますので、特段問題となるような体内動態は取らないと結論付けられているかと思います。以上です。

○若林部会長 どうもありがとうございました。一とおり御説明があったかと思いますけれども、規格のほうに関しては杉本委員、資料1-2の14ページに、亜セレン酸ナトリウムの規格対比表が出ております。このような表で先生のほうから、追加することは何かありますか。

○杉本委員 ありません。

○若林部会長 分かりました。一とおり説明が終わりましたので、御審議を頂きたいと思います。何か御意見、コメントがありましたらお願いできますか。

○中島委員 2つあります。1つは、資料1-2にある亜セレン酸の構造式と、資料1-3にある亜セレン酸の構造式が食い違っているのはまずいと思うのです。資料1-2はNa2 3 Seで、セレンが酸素の後ろになっていますね。食品安全委員会のほうと資料1-2のおしまいのほうにある別紙2の亜セレン酸ナトリウムは、Na2Se 3 になっています。亜セレン酸であれば当然セレンのほうが前になければいけないわけで、これはあまりにも格好が悪いと思うのです。食品安全委員会の資料も、やはり最初に出てくるところはセレンが後ろになっていて、それをそのまま踏襲しているので、こちらで間違ったのではないと思うのです。これはどこかで直さないと格好が付かないように思うのです。

○若林部会長 構造式、要するにNa2 3 Seと、9ページがNa2Se 3 になっていますが、Na2Se 3 が通常使われる格好ということですね。

○中島委員 Seのほうが後ろですとSeがマイナス電荷という意味になってしまうので、化学的には別の物質になってしまいますから、直さないとまずいです。

○穐山委員 食品安全委員会は多分、要請者資料からそのまま記載されたものを持ってきたと思うのです。1ページの2番目ですよね。部会の報告書の案は確かに中島先生の御指摘どおりに、そこはNa2Se 3 に変えたほうがよろしいかと思います。規格の案と同じ構造式にしたほうがよろしいかと思います。

○若林部会長 事務局はいかがですか。

○事務局 資料1-2の分子式及び分子量においては、文字どおり書かせていただいておりますが、通常、無機物に関しては、別紙2のNa2Se 3 というように示性式を成分規格上では表わしているのでこういった記載の違いになっております。

○若林部会長 そうすると、資料1-2の1ページの構造式、分子式を修正するということですか。

○事務局 御意見、ありがとうございます。御指摘の点については、修正する方向で対応したいと思います。

○中島委員 大抵の使用基準は、100g当たり何マイクログラムとか、そういう食品なり何なりの記録になっているのですけれども、今回は100kcal当たりの基準になっております。何らかの理由があるのかとは思うのですが、どういう理由があってその基準が重さではなくてキロカロリーになっているのか、できればお聞かせいただけると有り難いです。

○事務局 キロカロリー当たりの表現についてはコーデックス基準において、100kcal当たりの含有量を採用しております。また、表示基準についてもカロリーベースの表記という規定がありますので、こちらも参考にキロカロリー当たりということで使用基準を設定しているという状況です。

○若林部会長 そうしますと100kcal当たりの5.5μgから、例えば//日当たりに直すのは、ある計算式があって、それに準じてやりますと5.5μg/100kg//日で、また表すことが可能であるということですよね。

○事務局 摂取量については部会報告書の6、7ページを御覧いただければと思います。7ページの注釈の5において亜セレン酸ナトリウムの人/日の上限値を記載しております。食品安全委員会では0〜2歳児までの摂取量の上限値を5.9μg/kg 体重/日と設定しており、それぞれ0〜5か月、6〜11か月、1〜2歳児の体重を掛け合わせて上限値を算出しております。6ページの表3には一日当たりの摂取量の推計を記載しており、これが上限値を超えていないことを確認しております。また、計算式があるのかという御質問ですけれども、式というものがあるわけではなく、資料1-3の36ページの別紙2で詳細な一日摂取量の推計方法を記載しております。かなり細かい御説明になってしまうのですが、例えば、0〜5か月児に関しては母乳の哺乳量を一日当たり780mLということで、それぞれ母乳や調製粉乳に含有されるセレン濃度を掛け合わせ、算出しているという状況です。

○若林部会長 ありがとうございました。よく理解できました。セレンに関しては戸塚委員と小川委員から説明がありましたように、この化合物は特に小児にとっては、欠乏症になりますと健康障害を起こします。しかし、ある量以上を超えてしまうと、毒性や遺伝毒性が問題になるもので、この上限値はかなり重要なものになってくるという御説明があったと思います。

○井部委員 今のお話でそうだとは思うのですけれども、乳児用の調製粉乳も対象食品になっているわけですが、これを飲んでいて欠乏症になった例を私は聞いたことがないのです。あるのでしょうか。これについては最低限のセレンが入っていますよね。欠乏症もないのに、あえてここへ加えなければいけない必要があるのかなと思ったのです。いかがでしょうか。

○若林部会長 実際にそのような報告が国内であるのかどうかということですね。

○井部委員 欠乏症になる害があるというのは分かったのですが、これまで相当乳児が飲んできたのに、乳児用調製粉乳で欠乏症になっているのでしょうか。

○事務局 まず、御指摘の点に関してです。今回要望があったのは特殊医療用調製乳ですので、今回要請者資料の中に、御質問にあった普通の粉ミルクを飲んでいるようなお子さんに、そういう症状があったということは承知しておりません。その上で入れる必要があるかということですね。部会報告書の1-2の3ページの「乳児用調製乳等への添加の必要性」、()ですと、乳児用調製乳のセレンの含有量が1.01.5ということで、推奨量の下限値は超えているけれども母乳中よりは少ないので、一定程度添加する意味はあるのではないかと考えております。

○若林部会長 そのような観点からも、小児科学会からの要請もあったと考えてよろしいでしょうか。

○事務局 今回の場合、特に特殊医療用ミルクでそういう症状が認められている患児がいるということで、そういう粉ミルクに対して入れられるようにしてほしいという御要望があったと理解しております。

○若林部会長 井部先生、よろしいですか。

○井部委員 はい。ありがとうございました。

○若林部会長 その他に何かございますか。

○井部委員 先ほどの戸塚先生のお話は、菌株に対して酸化ストレスが原因であるからいいのだというように取ったのですが、酸化ストレスというのは、私たちの細胞にはないのですか。

○戸塚委員 いいえ、誤解があったのなら申し訳ないのですが、化学物質の評価をする場合には直接変異原性があるかないかが、まず第1に考えなければいけない点です。亜セレン酸ナトリウムの場合も、遺伝毒性が陽性のものに関しては、亜セレン酸ナトリウム自身がDNAに直接作用してということよりも、むしろ二次的な、いわば代謝される過程で生じてくる酸化ストレスが引き金となって、遺伝毒性を起こしているということです。亜セレン酸ナトリウム自身には遺伝毒性がないというか、直接的な遺伝毒性はないと判断したということです。よろしいでしょうか。

○井部委員 そういうものは結構あるような気もしているのですが、違うのでしょうか。直接働かなくても、副産物とか反応したものが毒性を示したり発がん性なりを示したりするものがあるような気もするのです。

○戸塚委員 もちろんたくさんあります。そういった場合はエームス試験のような、 in vitro の試験系ではネガティブでも、 in vivo とかそれ以外、例えば染色体異常など、他を標的としたようなものでポジティブと出る場合が結構あります。そういうものに関して、直接的な遺伝毒性がないといったものでは、閾値の設定が可能とされており、それ以降を考慮する場合は、ある程度以下であれば懸念がないだろうという考え方になっております。

○井部委員 分かりました。

○若林部会長 通常分けるときはジェノトキシックのカルシノージェントと、ノンジェノトキシックなカルシノージェントです。今、戸塚委員が言われたように、ノンジェノトキシックなカルシノージェントに関しては、多分セカンダリーなものがあるので閾値が存在するのだろうと。ジェノトキシックのほうは、そのもの自体が遺伝毒性を示すものですから、よりそちらのほうがリニアリティーが強いだろうということで一応理解されていると思います。それ以外に何かございますか。

○鎌田委員 1点教えてください。特殊医療用調製乳は、食物アレルギーを持ったお子さんや代謝異常のお子さんで、乳タンパクを除去するとか乳糖の処置によって、どうしてセレンがずっと減少してしまうのでしょうか。

○事務局 もともと特殊医療用ミルクには、セレンを添加物として添加できないという状況がありますので、含有量が低いということがあるかと思います。

○鎌田委員 フォローアップミルクのほうには、そこそこ入っているのですよね。

○事務局。乳児用調製乳やフォローアップミルクというのは、乳由来というところがあります。乳の中にも一定程度は含まれているのですが、特殊医療用調製乳というのは、乳アレルギーなどを持った患児が多いので、基本的に乳を使っていないことが多いのです。そういったこともあり、化学物質を混ぜて乳用のものを作る中でセレンが含まれていないと御理解いただければと思います。

○若林部会長 それ以外に何かございますか。

○穐山委員 確認します。資料1-2の7ページの脚注の6で、確かビオチンの使用基準を決めた際に、調製粉乳及び母乳代替食品というように、今回と同じようなケースだったと思うのです。この場合は、「並びに特定保健用食品及び栄養機能食品以外の食品に使用してはならない」というように、使用基準を決めたと思うのです。今回、特別用途食品には使わないという判断でいいのでしょうか。

○石見委員 乳児用調製粉乳に使うために申請が行われています。乳児用調製粉乳は特別用途食品の中に入っています。ですから特別用途食品の乳児用調製粉乳ということです。

○穐山委員 特別用途食品というのは、栄養機能食品の範ちゅうに入るのですか。

○事務局 事務局から補足させていただきます。今回の食品衛生法上では、乳児用調製粉乳と母乳代替食品ということで、母乳代替食品の中に特殊用の医療ミルクも想定しております。一方、特別用途食品の中には病者用食品も含まれておりますが、こういった表示をする場合においては、別途消費者庁の許可等が必要となっていますので、食品衛生法上では、そういったミルクに対してのセレンの追加は含まれるものと考えております。

○事務局 さらに補足させていただきます。今回対象としている食品については、御説明した資料1-2の8ページにあります乳児用調製乳、フォローアップミルク、特殊医療用ミルクです。それらを重複しないように、全てを網羅するように書いた書き方が今回の使用基準の書き方という形にしております。ビオチンのほうでは確かに穐山委員が御指摘のとおり、特定保健用食品及び栄養機能食品というのが記載されておりますが、こちらについてはもともとビオチンのほうに、こういう保健機能食品に対して使用できるという条件の下で、さらに粉ミルクに対しても使用できるようにしてほしいという要望があったことを踏まえ、このような基準になっております。今回御指摘いただいたような特殊医療用ミルクについても、今回の使用基準()で読み込めるものと、事務局としては考えているところです。

○若林部会長 穐山委員、よろしいですか。

○穐山委員 分かりました。どうもありがとうございました。

○若林部会長 それ以外に何かございますか。私から1つあります。小川委員が説明した資料1-3の30ページの()<2>Br ä tter 1991年の調査結果のセカンドパラグラフ、「その結果」以下のところです。対照地域が46μg/Lで、高濃度地域が60μg/L、さらに高濃度地域が90μg/Lであると。46μg/Lだとほとんど健康上の影響はなかったのですが、60μg/L、90μg/Lになると影響が出てくるということです。その差が少ないということは、逆に、添加することは非常に重要だと思うのですけれども、よく注意していかないとオーバードーズになって、そのオーバードーズによって、かえって健康を損なうという危険性は、今回の規定の中では考えなくてもいいのかということが気になったのです。その点についてはいかがですか。これは事務局に聞いたほうがいいのですか。食品安全委員会のほうでも、その点について何か問題になりませんでしたか。

○小川委員 そこのところは、特にディスカッションにはなっていなかったかと思うのですが、詳細にはちょっと。

○石見委員 食品安全委員会に栄養WGというのがあり、そこに出ていました。60μg/L、90μg/Lを摂取したデータが乳児であるかどうか、年齢が分からないのでなかなか断定できないことから、実際にuncertainty factor、不確定因子1としているのです。もし、これがかなり重要だという場合は、そこで2にしたり3にしたりするのですけれども、今回の場合は十分なデータがないという判断で1にしております。それから、食品摂取基準のほうでも、成人の場合はたくさんデータがあるのでUFを2と決めているのですけれども、乳児については母乳と調製粉乳ですから、ここで示された量を摂取することはないのではないかということで、このようになったと記憶しています。

○若林部会長 分かりました。あまり心配する必要はないのではないかという意見だったと思います。他に何かありますか。それでは、一とおり御審議いただいたようですので、亜セレン酸ナトリウムの使用基準改正については認めるということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○若林部会長 皆さん賛成ということですので、それでは部会報告書を取りまとめ、分科会へ報告する手続を取りたいと思います。その他に、事務局から何かありますか。

○事務局 御審議、ありがとうございました。分子式及び分子量については、御指摘いただいたとおり修正したいと思います。修正内容を部会長に確認していただき、特に問題がなければ手続を進めるということでよろしいでしょうか。

○若林部会長 事務局からの提案ですけれども、よろしいですよね。その他に事務局から報告することはありますか。

○事務局 本品目については新規添加物の指定ですので、分科会では審議事項とされておりますから、審議事項として進めたいと思います。

○若林部会長 こちらもよろしいですね。それでは、今後のスケジュールについてはいかがですか。

○事務局 今回の審議結果について、食品衛生分科会での審議の他、パブリックコメント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したいと思っております。

○若林部会長 それでは、適切に手続を進めていただければと思います。では次の議題2、「アスパラギナーゼの規格基準改正について」の審議を行いたいと思います。まずは事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、説明いたします。資料2のシリーズになります。資料2-1が審議会への諮問文書、資料2-2が部会報告書の案、資料2-3が食品安全委員会の評価書になります。資料2-2を中心に説明いたします。

 今回、アスパラギナーゼの規格基準改正に関して、事業者より2014年に新規指定された Aspergillus niger ASP-72株由来のアスパラギナーゼに加えて、 Aspergillus oryzae NZYM-SP株由来のアスパラギナーゼを使用したいということで要請が行われて、食品安全委員会における食品健康影響評価がなされたことを踏まえて、添加物部会において御審議いただくものです。

 1ページ目です。CAS番号、INS番号は記載のとおりです。今回は酵素ということですので、EC番号を追加しております。構造式及び質量に関しては、構造式に関して359のアミノ酸で構成されており、その構成内容に関しては報告書の記載のとおりとなっております。また、質量に関しては、アミノ酸配列から計算される質量は37kDaであるとさせていただいております。用途は製造用剤、食品加工の際のアクリルアミド生成抑制ということです。

 4.概要及び諸外国での使用状況ということで、まず概要です。 Aspergillus oryzae NZYM-SP株を用いて生産されたアスパラギナーゼは、コウジ菌が本来有しているアスパラギナーゼ遺伝子を増幅して、アスパラギナーゼの生産性を向上させた菌より得られるものです。

 2ページに移って、アスパラギナーゼは食品加工の際に生じるアクリルアミドの生成の起因となるアスパラギンをアスパラギン酸とアンモニアに加水分解する作用を有する酵素で、食品加工の際に生成するアクリルアミドを低減する目的で使用されております。JECFAでは2007年に適正製造規範(GMP)に沿って適切に製造され、アクリルアミド生成の低減目的で使用される場合のものに関しては、一日摂取許容量(ADI)は特定しないと評価されております。

 我が国においては、アスパラギナーゼは製造用剤、食品加工の際のアクリルアミド生成抑制の目的で、平成26年に Aspergillus niger ASP-72株を用いて生産されたアスパラギナーゼが指定されております。なお、本品目に関しては、平成27年9月に食品安全委員会より「遺伝子組換え微生物を利用して製造された添加物の安全性評価基準」に基づき評価した結果、ヒトの健康を損なうおそれはないと判断されております。

 参考です。図1と合わせて御覧いただきたいのですが、食品中のアクリルアミドの主要な生成経路ということで記載しております。食品中のアクリルアミドの主要な生成経路は、アミノ酸の一種である遊離アスパラギンと還元糖に分類されているグルコース等によるアミノ・カルボニル反応であるとされております。グルコースやアスパラギンは、穀類、いも類及び野菜類等に豊富に含まれており、これらを原料にして揚げる、焼く、焙る等の高温での加熱で加工した食品にアクリルアミドが含まれております。

 諸外国での使用状況等です。コーデックス委員会では、加工助剤が食品添加物に分類されないため、コーデックス委員会の食品添加物部会(CCFA)が作成する添加物の使用基準に規格は設定されておりません。また、米国においては、一般に安全と認められているGRAS物質として認定されております。

EUについては、デンマーク及びフランスでは個別に認可されております。その他の国において、現時点では加工助剤としての酵素の使用に規制はありません。また、オーストラリア及びニュージーランドにおいては、加工助剤としての使用が認められていることになっております。

 次ページの食品添加物としての有効性です。()アスパラギナーゼの有効性についてです。繰り返しになるのですが、アスパラギナーゼの機能としては、アクリルアミドの生成の起因となるアスパラギンをアスパラギン酸とアンモニアに加水分解する作用を持つということで、食品加工の際にアスパラギナーゼを添加することでアクリルアミドの生成が低減されるものとなっております。

 実際の食品に対する効果です。アスパラギナーゼをビスケット、ジンジャースナップ及びクラッカーの原材料たる小麦粉に添加し、各食品を製造した場合のアクリルアミド含有量を測定し、アスパラギナーゼのアクリルアミドの低減効果を調べた結果、ビスケット、ジンジャースナップ及びクラッカーの原材料たる小麦粉の重量当たり、それぞれ60180 ppm5701,430 ppm145715ppmのアスパラギナーゼを添加したところ、5090%のアクリルアミドの低減効果が認められたとなっております。実際のその試験のデータについては、図2-1から図2-3で紹介しております。

 5ページの下、コーデックス委員会におけるアクリルアミドの生成の低減対策として、コーデックス委員会では行政、食品事業者等の関係者向けの手引きとして、「食品中のアクリルアミド低減のための実施規範」を採択しており、この規範に3つの有効な対策が示されております。1つ目としては適切な原材料の選択、2つ目としては原材料の配合比率や組成の見直し、3つ目としては調理加工条件、特に加熱条件の見直しということです。このうち、2点目の原材料の配合比率や組成の見直しの中で、アクリルアミド生成原因物質であるアスパラギンを酵素によって特異的に分解することが方法の1つとして挙げられております。

 次ページの食品中での安定性です。アスパラギナーゼの至適温度はpH7において50℃で、80℃で失活するということです。実際の食品加工工程において、アスパラギナーゼで処理された食品はアクリルアミドが生成される120℃以上の温度で加熱されるが、アスパラギナーゼは120℃以上では失活するということです。また、()食品中の栄養素に及ぼす影響ということで、アスパラギナーゼは食品中のアスパラギンをアスパラギン酸とアンモニアに分解するということです。

 6.食品安全委員会における評価結果です。アスパラギナーゼについては、平成261017日に食品安全委員会に評価を依頼しており、その後、食品安全委員会において、添加物専門調査会で議論が行われて、平成2712月8日付けで評価結果が通知されております。以下、抜粋になります。アスパラギナーゼの添加物としての摂取において問題となるような病原性及び毒素産生性の懸念はないと判断されております。また、本品目が「添加物に関する食品健康影響評価指針」における「酵素が消化管内で分解して食品常在成分になることが科学的に明らかである場合」に該当すると判断したことから評価を行って、遺伝毒性、反復投与毒性の懸念はないと判断されております。また、アレルゲン性の懸念は極めて低いと判断されております。

 以上のことを踏まえて、食品安全委員会では、ラットを用いた13週間反復経口投与毒性試験における最高用量から得られたNOAEL10.0mL/kg 体重/日、TOS換算すると880mgTOS/kg 体重/日と、本品目の推定一日摂取量114μgTOS/kg 体重/日とを比較している安全マージンが十分であること及び本品目が食経験のある基原微生物である A.oryzae を用いて生産されることを勘案して、本品目について、添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ、ADIを特定する必要はないと判断されております。

 7.摂取量の推計です。1点目の国際機関等における推計ですが、JECFAにおける推計では、0.4mgTOS/kg 体重/日とされております。我が国における推計としては、平成24年国民健康・栄養調査から得られる食品の一日摂取量を用いて、表1のとおり算出されております。その結果、食品安全委員会として本品目の一日摂取量を6.26mgTOS//日と判断しております。

 8.規格基準の改正です。食品衛生法第11条第1項の規定に基づく規格基準については、次のとおり改正することが適当であるということです。()使用基準についてですが、アスパラギナーゼは使用基準が設定されておりません。 Aspergillus oryzae NZYM-SP株を用いて生産されたアスパラギナーゼについては、 Aspergillus niger ASP-72株を用いて生産されたアスパラギナーゼと同様に、消化管内で分解して食品常在成分になることが科学的に明らかであるため、ヒトが摂取する際の安全性の懸念は低いこと及び食品安全委員会の評価結果において、ADIを特定する必要はないこと等を踏まえて、本規格基準の改正においても使用基準を設定しないとすることが適当であると結論付けられております。また、成分規格については、別紙1のとおり改正することが適当であるということで、設定根拠は別紙2、JECFA規格との対比表は別紙3のとおり記載しております。これらの規格についてですが、JECFA規格を参考に設定しております。資料に関する説明は以上になります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○若林部会長 審議に入る前に、アスパラギナーゼの食品安全委員会での評価結果について、遺伝毒性の部分を戸塚委員に解説等お願いしたいと思います。これは niger のときにもありましたが、特に大きな問題点はないと思うのですが、先生お願いいたします。

○戸塚委員 資料2-3の評価書の18ページになります。こちらから遺伝毒性についての説明がされておりますが、19ページの表3にアスパラギナーゼの in vitro の遺伝毒性の試験成績が掲載されております。今回、この遺伝毒性の試験は、 in vitro の試験のみとなっておりますが、こちらは両方とも陰性という結果が出ておりました。また、アスパラギナーゼ自身は生体内で消化・分解されて、食品の常在成分になることが科学的に明らかであるといったことから、 in vitro の試験の陰性というもので判断しましょうということにして、この結果から本品目は生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないと判断しました。以上になります。

○若林部会長 引き続き、 in vivo 毒性、発がん性等について、小川委員からお願いします。

○小川委員 同じ資料の19ページからになりますが、この剤については先ほどお話がありましたように、酵素が消化管内で分解して、食品常在成分になることが明らかである場合ということが最初に審議されており、そういった剤については指針に基づいて、先ほどの遺伝毒性の試験と90日の試験とアレルゲン性の試験を行うと。その3つから判断することが指針で決まっているという状況です。19ページの<2>に反復投与毒性として、13週の試験と同じことですが、90日の試験の結果が記載されております。こちらはラットを用いて3用量で13週間の強制経口投与の実験を行っており、見られた所見としては、最高用量のところで肺胞のマクロファージの増加が見られたものと、10用量、5用量で血漿のカリウムだけが有意な上昇があったということなのですが、肺胞のマクロファージの増加についてもコントロールにもある所見で、一応有意差は付いているということなのですが、他に随伴するような所見などもほとんどないことから、有害反応とは取らないということでよかろうということがディスカッションされております。

 また、カリウムの有意な増加も見られておりますが、電解質のバランスが崩れるといった時に、1つのものだけが崩れるというのはあまりないと考えられますので、他の所見と総合的に判断して、生理的な変動の範ちゅうであろうと考えられたということで、確かに有意差は付いているのですが、毒性学的な意義はないことから、NOAELとしては最高用量である10.0mL/kg 体重/日ということで判断されるということだと思います。また、アレルゲン性についても試験を行っておりますが、添加物として適切に使用される範囲においてはアレルゲン性はないといった結果が得られており、いずれについてもこちらの剤については毒性学的には大きな問題はないことが判断されております。以上です。

○若林部会長 体内動態について、吉成委員から解説をお願いします。

○吉成委員 これに関しては既に何度かお話が出ていますようにタンパク質ですので、いわゆる低分子化学物質の体内動態という形。資料に関しては2-3の16ページ辺りからですが、16ページの()の段落の下から3行目、「酵素が消化管内で分解して食品常在成分になることが科学的に明らかである場合」に該当するかどうかを試験しています。結果としては該当するということになります。どういう試験を行ったかというのが16ページ以降に書いていますが、<1>では添加物の通常の使用条件で、当該物質が容易に食品内又は消化管内で分解して食品常在成分と同一になることを確かめるために、まず人工胃液というpHの低い胃液中で加熱してという過程を経て、17ページに結果が書いてありますが、2kDaよりも小さいペプチド、あるいはアミノ酸レベルに分解されることが分かっています。また、bにあるように、いろいろな消化酵素での分解性を判断して、分解されるだろうということが確認されています。

<2>ですが、食品内又は消化管内での分解に関わる主要な因子(pH、酵素等)が明らかであることということで、これに関しては上の実験でpHの酸性条件下ということと、ペプシンが非常によく分解することが<1>で示されていますので、明らかであるという結論になっています。

<3>ですが、添加物の通常の使用条件下で適正な量を使用した場合、当該添加物の体内への吸収が食品成分と同程度であり、他の栄養成分の吸収を阻害しないこととありますが、当然、消化管内で容易に分解されますので、他の食品由来のタンパク質と同様に糖質、ミネラル、ビタミン等その他の栄養成分の吸収を阻害する懸念はないと結論付けられています。

<4>は摂取された添加物の未加水分解物又は部分加水分解物が大量に糞便中に排泄されないこと、さらに、未加水分解物及び部分加水分解物が生体組織中に蓄積しないことということですが、これも既に示されているように、消化管内で速やかに分解されるということですから、糞便中に大量に未加水分解物あるいは部分加水分解物が排泄されることはないと結論付けられています。

<5>ですが、添加物を使用した食品を摂取したとき、当該食品の主成分の過剰摂取の問題が起きないことということです。これは日本人のタンパク質の平均一日摂取量と、本品目の主成分の摂取量を考えると、この添加物由来のタンパク質の摂取量は0.007%にすぎないということで、過剰摂取の問題もないだろうということで、最初にありましたように、本品目は添加物に関する食品健康影響評価指針における、酵素が消化管内で分解して食品常在成分になることが科学的に明らかである場合に該当すると判断されています。以上になります。

○若林部会長 アスパラギナーゼについての御意見等をお伺いできればと思いますが、各委員の方からの御意見、コメントがありましたらお願いいたします。

○小川委員 資料2-2の分子式・分子量のところで、「アミノ酸配列から計算される分子量は37kDaである」と記載があるのですが、食品安全委員会のディスカッションで、資料2-3の8ページの()成分のところで、「当該有効成分の質量は約37kDaである」と。その「質量」という言葉を使うのか、「分子量」という言葉を使うのかというのがちょっとディスカッションになって、質量という言葉がいいのではないかという記載が議事録等にもあったのですが、こちらの資料2-2のところはどちらがいいのかなと思ったので、教えていただきたいのです。

○若林部会長 タンパク質の場合、質量と分子量。

○事務局 御意見ありがとうございます。確かに御指摘のとおり、食品安全委員会では質量となっておりましたので、今回、事前にお送りした資料では分子量と記載していたのですが、本日お配りしている資料の部分については修正しておりますので、御確認いただければと思います。

○若林部会長 本日、配付したものでは直っているそうです。

○小川委員 ありがとうございます。

○穐山委員 補足なのですが、分子量というと、分子量は相対質量なので、単位がないのです。つまり、分子量37kDaというのはあり得ないです。ですから、質量でしたら単位がありますので、質量は37kDaとなります。

○若林部会長 大学の講義みたいになってきました。

○鎌田委員 穐山先生がおっしゃったとおりです。ただ、これがもし糖タンパク質みたいになっていると質量が変わりますので、アミノ酸配列から計算されたなんていう文言が要るのかなと思った次第です。

○吉成委員 資料2-2の1ページの下の4.の()の概要なのですが、読んでもどのように作ったのか、よく分からなかったので、2-3の食品安全委員会の添加物評価書を見ていたのですが、2行目に書いてある「遺伝子を増幅して、アスパラギナーゼの生産性を向上させた菌より得られたもの」というのは、ちょっと何か実際の作り方の表現とは違うような気がするのです。oryzaeoryzaeなのですが、ある改良したoryzaeに別のoryzae由来のアスパラギナーゼの遺伝子を入れているだけなので、この文章を読むと、ある特定のoryzae株を何か改良して、遺伝子の量を増やしたように見えるので、実際の作り方を反映していないのです。これは提出された資料に基づいているということでしょうか。

○若林部会長 資料2-2の4.の()の概要のところですね。

○吉成委員 そうです。追加すると、2-3の6ページに基原というのがあって、7ページに実際の作製方法の図が載っているのですが、その図をもうちょっと短い文章で書こうとすると、この2-2の3行にはならないような気がするのですけれども。

○事務局 事務局のほうからよろしいですか。御質問ありがとうございます。御指摘いただいた点に関してなのですが、資料2-2の部会報告書()15ページを御覧ください。こちらはJECFAのアスパラギナーゼの名前が別紙2の1段落目のASPARAGINASE FROMうんぬんと続いているところを直訳したら、こういう訳になるのかなということで、訳したものを書いているところです。

○吉成委員 そうすると、EXPRESSが増幅になっているのですかね。これは多分、あまり合っていないのだと思うのです。単に発現させているだけだと思います。後、生産性も向上をさせてはないと思うのですよね。生産性というか、それよりも何か他の産物を除くような作業をしているので、純度を上げるような操作を実際はされているのではないかと思います。英語を訳すのであれば、もっとシンプルになってしまうかと思いますので、御検討いただければと思います。

○中島委員 コウジ菌のこの遺伝子の場合は、自分の遺伝子を染色体の中でタンデムに多コピー化していて、それで生産性を上げているので、私としてはこの表現でおおむね間違いはないかなと思いますが。アンプリファイしています。コウジ菌ではよくそういうことが起こりますので、その中で生産性のいいものでアンプリファイしたものが、確か今回の宿主になっていたと記憶していますので、これでいいかと思います。

○鎌田委員 私は吉成先生の意見に賛成なのです。といいますのは、資料2-3の図1は毒素遺伝子を欠落させる遺伝子操作なのです。ここに書いてありますように、シクロピアゾン酸とかアフラトキシンというものは、 Aspergillus oryzae が産生してしまう危険性を持っている、その遺伝子がある。そのため、突然変異を起こしてそれを無くしてしまうという操作をしているという意味が図1になるのです。ですので、吉成先生がおっしゃるように、4.の()の概要のところは、この図1の操作に基づいてでしたら増幅しているわけではないのです。

○吉成委員 私も oryzae はよく分からないのですが、このベクターを使ったときに増幅されるのであれば増幅というのは正しいのかもしれませんが、増幅による生産性向上であるというのであればよろしいのですが、このpCaHj621という遺伝子導入用のベクターに、さらに他の遺伝子も乗っているのは気になるのですが、これが増幅用のベクターであれば問題ないかなと思います。

○事務局 事務局からよろしいですか。御指摘いただいた点については、事務局のほうでも確認させていただきたいと思っているのです。ただ、資料2-2の9ページの部会報告書()の別紙1の成分規格()で、定義のところで既に niger 由来のものについては、今、部会報告書()で記載しているような形で過去に御了解いただいたということがあり、成分規格()でこのような形にさせていただいていますので、 oryzae についてもできればこの形でさせていただければと考えております。

○穐山委員 これは確か資料の2-3の7ページの図1の野生株の oryzae IFO4177株には、既にアスパラギナーゼの遺伝子があるのですが、真ん中のところから遺伝子導入ベクターのところでさらにアスパラギナーゼの遺伝子を増やしたということですよね。ですから、増幅ということでよろしいのではないかと思うのですけれども。もともとある遺伝子をさらにまた増やしたということではないのでしょうか。

○中島委員 私は、食品安全委員会の遺伝子組換え食品の審査に当たっており、これも実はよく覚えております。この件は、IFO4177株が野生株で、ここの会社で幾つか変異を重ねて、TAKAアミラーゼとLプラークとかNPA。これは、もともと作っているアミラーゼとかプロテアーゼなどを列にして宿主の生産性を上げて、さらに突然変異で使いやすいベクターの親株としてBEC2h株を宿主に使っています。それに対して、もともと Aspergillus oryzae oryzaeに対して oryzae を入れているわけなのですが、もともとのアスパラギナーゼ、さらに導入用ベクターで導入しており、確かそういう案件だったと思います。これは、 oryzae の場合は、ただ単に形質転換するだけで数コピー、タンデムに入るということはよくあることで、安定性のいい株を選んでおります。一緒に入るマーカーとしてのウラスギ、amdSASD7、これはベクターに使っているパン酵母の遺伝子、コウジ菌の選択マーカー遺伝子ですが、これはいずれにしても以前に安全性の審査を全て終了しているもので、こういうマーカーの由来は問題ありませんでした。また、このときの製品の純度等についても、データをメーカーに出していただいて調べましたが、確か98%と言っており、実際はそれ以上で、そういう点にも問題がないということで、食品安全委員会の審査は終了したと記憶しております。

○若林部会長 解説ありがとうございました。鎌田委員、吉成委員、いかがでしょうか。それでは、それ以外の御質問はありますか。

○穐山委員 資料2-2の4ページのアスパラギナーゼの有効性の件なのですが、もし申請者の資料の中に原著の論文の記載があれば、できれば脚注に入れていただきたいと思っております。部会で審議するのは、安全性評価ではなくて、部会の有効性と規格の設定を審議しているのです。そこは、やはり科学的に審議するべきであり、もし原著があるならばそこは公開してもらったほうがよろしいかと私は考えています。過去に、報告書の中に原著が明らかなものは原著を記載するというようなものがありますので、そこはもし原著があれば脚注で記載していただければと思います。

○若林部会長 資料2-2の4、5ページのアスパラギナーゼの機能についての原著の引用についての質問ですね。

○穐山委員 はい。

○若林部会長 何か、それについては事務局で情報、又は対応については、どのように考えていらっしゃいますか。

○事務局 御意見ありがとうございます。前回そういうのがあったという御意見かと思いますので、そちらについては前回御指摘いただいたものがどういった形で書いてあったのかを確認させていただいた上で、対応させていただきたいと思います。ただ、書くということになりますと、多分有効性以外のところの構造式等についても書くということにもなるのかなと思いますので、そこの部分については前例等を確認させていただいた上で、穐山委員や若林部会長とも御相談をさせていただいた上で検討させていただきたいと思います。

○若林部会長 穐山委員、それでよろしいですか。事務局で前例も調べて、それから修正案について御相談をさせてください。

○穐山委員 前例というか、今調べてみたところでは、ある報告書の有効性の部分の脚注が、これとは違うのですが、アスパラギナーゼではないのですが、別の有効性。これは、国際汎用添加物ではないので、これは新規指定ですよね。やはり、有効性はきちんと科学的に評価すべきだと私は思いますので、そこは公開できる資料の原著論文を明らかにしていただければと思っています。

○若林部会長 事務局、これはよく調べて対応するということで、よろしいですか。今、ここでは議論は進まないでしょうから。それ以外に何かありますか。

○吉成委員 教えていただきたいのですが、このアスパラギナーゼは既に1種類指定されているのですよね。今回、これを指定する理由とか、その前のものとの違いは、どこかにあるのですか。今回のものがそれより有効というわけではないのですか。

○事務局 端的に申し上げますと、要請された方が違うということになるかと思います。

○若林部会長 前は niger で、今度は oryzae というものですよね。

○吉成委員 酵素は一緒ですね。

○事務局 株も違います。

○吉成委員 活性も違うのですか。比活性。

○事務局 成分規格案では、若干 niger 由来のものと oryzae 由来のものの酵素活性の1g又は1mLあたりの活性値は違うというのはあります。

○若林部会長 少し違うということです。吉成委員、よろしいですか。

○吉成委員 良いです。申請されれば全部認めると、もし有効であれば。

○事務局 先ほど穐山委員からもありましたが、有効性や食品安全委員会の安全性等の評価を踏まえて、問題がないという結論であれば認められるということになるかと思います。

○若林部会長 それ以外に何かありますか。よろしいでしょうか。それでは、一とおり御審議を頂いたということで、このアスパラギナーゼの使用基準については、先ほど穐山委員から出たポイントについては事務局で対応して、少しやり取りをするという条件がありますが、使用基準改正については認めるということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○若林部会長 それでは、部会報告書を取りまとめ、分科会報告書手続を取りたいと思います。

 その他、事務局から何かありますか。

○事務局 御審議ありがとうございました。今後の手続の過程で、細かい文言の変更等の軽微な修正が必要となった場合、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題がなければ手続を進めてもよろしいでしょうか。

○若林部会長 事務局からの提案ですが、よろしいでしょうか。では、そのように進めてください。その他に何かありますか。

○事務局 本品目については、規格基準の改正のため、「その基原、製法、用途等から見て、慎重に審議する必要があるとの部会の意見に基づき、分科会長が決定するもの」を除き、分科会では審議事項ではなく、報告事項とされております。報告事項として進めさせていただいてもよろしいでしょうか。

○若林部会長 報告事項になりますが、よろしいですね。それでは、今後のスケジュールについては、どのようになりますか。

○事務局 今回の審議結果につき、食品衛生分科会での報告の他、パブリックコメント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したいと思っております。

○若林部会長 それでは、適切に手続を進めていただければと思います。以上で、2つの審議事項は終了いたしました。その他、事務局からの報告等がありましたら、お願いいたします。

○事務局 1点報告事項があります。「第9版食品添加物公定書案」について報告いたします。お手元に資料3-1と、参考資料として、以前添加物部会で御確認、御報告させていただいた際の公定書検討会報告書の概要について準備しております。また、3-2の公定書案についてはお手元のパソコンで準備しておりますので、御確認いただければと思います。

○若林部会長 皆さん、大丈夫ですか。用意ができたようです。お願いします。

○事務局 それでは、改めて報告いたします。資料3-1を御確認ください。食品添加物公定書については、食品衛生法第21条の規定に基づいて、食品添加物の成分規格や使用基準を収載することとされております。昭和35年に第1版の食品添加物公定書が作成されて以来、平成19年の第8版の作成まで逐次改正が行われてきたところです。第9版食品添加物公定書については、第9版食品添加物公定書作成検討会で報告書が取りまとめられたことを受け、平成26年3月26日に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会で報告をしております。今回、検討会報告書の記載整備等の修正を行わせていただき、第9版食品添加物公定書案を作成しましたので、改めて御報告させていただくものになっております。

 公定書案の具体的な内容に関しては、資料3-2としてパソコン上で御確認いただけるものとしてお示しさせていただいております。また、第9版食品添加物公定書案の改正方針については、参考資料として準備しております検討会報告書の概要のとおりです。検討会報告書概要から変更はありません。今後の予定としては、今回報告いたします公定書案に基づき、食品安全委員会に「食品、添加物等の規格基準」の改正ということで、食品健康影響評価を依頼することとしております。また、食品安全委員会の食品健康影響評価の結果の通知を受けた後に関しては、添加物部会で改めて食品添加物公定書案の改正について御審議いただくこととしております。その後、パブリックコメントやWTO通報による意見募集を行った後、その結果を踏まえて「食品、添加物等の規格基準」の改正を行うこととしております。説明は以上です。

○事務局 一部補足をいたします。今、こちらのスライドとパソコンに写っている青字と赤字がありますが、青字については追記をしている部分で、赤字については見え消しをしている部分という違いだけですので、よろしくお願いいたします。

○若林部会長 すごい作業量なのですが、穐山先生がかなり御尽力されたと思うのですが、何かありますか。

○穐山委員 平成26年3月26日に、1回部会で報告させていただいたと思うのですが、それから国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部の人たちにより試薬等の誤字や脱字の修正が今までされてきたところです。杉本委員のほうが、多分かなり御苦労されたと思うのですが、一応厚生労働省と相談しまして、食品安全委員会への提出前の準備としては一とおりまとめました。

○若林部会長 どうもありがとうございます。この件について、何か御質問やコメントはありますか。395ページありますので、パッと今すぐ見ろというのは無理かもしれませんが、大変な作業であったということはよく分かります。事務局から説明がありましたように、今後、食品安全委員会でチェックをされるのですか。もう一度、そこを説明していただけますか。

○事務局 今後、食品安全委員会で通常の添加物と同様に食品健康影響評価ということで、食品安全委員会の審議を行うこととしております。食品安全委員会の審議終了後、食品健康影響評価の結果の通知ということで、厚生労働省に返ってまいりまして、改めて添加物部会で御審議いただくこととしております。

○若林部会長 分かりました。これは、ある期間の後に、もう一度このようなパソコン上で確認をされるというようなプロセスになるわけですね。

○事務局 その予定です。

○若林部会長 何か御意見やコメントはありますか。杉本委員、実際に携わって何かありますか。

○杉本委員 せっかくですので、少しだけ説明させていただきます。パソコンで御覧いただけますように、青のところと赤のところが主な修正点です。全体をザッと見ても分かりますように、今回の8から9の改正については、言葉では簡単なことで、改正の目的が参考資料1ページの()までの6項だけなのですが、大変な思いをさせられました。特に()の「一般試験法や成分規格等に反映させ」の部分です。現在の科学水準に合わせるという目的で一般試験法の改正を行い、その影響で、例えば新規の一般試験法を入れたのが核磁気共鳴法。それから、鉛試験法は大幅改正。これは、JECFAの試験に合わせて改正しています。それから、微生物限度試験についても、大幅な改正を行っています。

 もう1つは、穐山委員からも説明がありましたように、試薬名を原則JISに合わせる作業を行いました。結果として、一般試験法を改正したことと試薬名を改正したために、全部ハネをチェックしないといけなくなりました。その結果、試薬名を変えて各条の中の試験の試薬名を変える。それから、規格値を全部置き換えるというので、平成26年3月26日に報告はさせていただいたのですが、そのチェック作業に時間を取られてしまいました。

 中身については、3月26日に報告してから誤字、脱字、それからケアレスミスで間違えた部分について修正をしただけですので、変更しているところはありません。

○若林部会長 時々、この文中に黄色でマークをしてある箇所があるのですが、これは何か意味があるのですか。

○杉本委員 これは、消え残しもあるのですが、最後まで書き方を検討した部分なのかと。

○若林部会長 分かりました。何かありますか。

○二村委員 内容面で、正確なものを作っていただくということで、先生方と事務局の皆さんの大変な御尽力に本当に敬意を表したいと思います。この後も大変かと思いますが、正確な内容を作っていただきたいということを是非お願いいたします。

 それから、出来た後のことになるのですが、この前の第8版がどのように出ているかを厚生労働省のホームページで見てみました。PDFで同じように出ておりますので、そういう意味で誰でもアクセスができるようになっているのだということは確認させていただきました。ただ、本当にそのままPDFで載っているだけで、インデックス等も全然付いておりません。予算上のことなどあるのかもしれませんが、可能であればデータ的な加工もしていただいて、利便性を多少なりとも向上していただくとよいのではないかと思いました。

○杉本委員 これは、まだちょっと分からないことなのですが、8版は御指摘のとおりPDFで持っているだけなのですが、9版については厚労省のほうで考えてどうするかということになると思います。とはいえ、9版を作成するに当たって、これだけ精査しましたので、この中身については実はデータベース化していっています。それをどのように公開するかは、今後、厚労省と検討して決めることになるかと思います。例えばイメージしているのは、JECFAのような表示の仕方だと思うのですが、そのようにできるのかどうか、また厚労省のホームページでそういう公開ができるのかどうかについても、今後検討したいと思っています。

○若林部会長 何か事務局から追加することはありますか。

○穐山委員 これは、今後食品安全委員会で審議していただいて、返ってきて、もう1回部会で審議という話になるかと思います。1点、今日の審議でアスパラギナーゼがあったと思いますが、この酵素を今回酵素規格化したのですが、基本的には基原種の菌種だけしか書いていません。ただ、今回新規のアスパラギナーゼは、株まで指定しているのです。ここの整合性をどうするかは、いずれ審議しなければいけないかなと考えています。

○若林部会長 分かりました。今後、そういう部分について審議をする必要があるということですね。その他に何かありますか。この第9版の食品添加物の公定書案については、それ以外に御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、事務局から説明がありましたようなプロセスになるかと思いますので、その旨御了解を頂ければと思います。

 その他に、何か事務局から報告事項はありますか。

○事務局 特に報告事項はありません。

○若林部会長 何か追加発言や御意見はありますか。よろしいですか。ないようですので、次回の予定について事務局からお願いします。

○事務局 本日はお忙しいところ、御審議いただきましてありがとうございます。次回の添加物部会については、1月29日を予定しております。場所、議題等については、改めて御案内いたします。

○若林部会長 1月29日ですので、委員の先生方、よろしくお願いいたします。それでは、以上をもちまして、本日の添加物部会は終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課

添加物係: 03-5253-1111(内線 2459,2453)

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