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2015年10月22日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成27年10月22日(木)16:00~


○場所

厚生労働省共用第9会議室


○出席者

出席委員(10名)五十音順

石郷岡   純、 遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、◎鈴 木   勉、 
関 野 祐 子、 曽 良 一 郎、 成 瀬 暢 也、 花 尻 瑠 理、
宮 田 直 樹、○和 田   清
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(1名)五十音順

妹 尾 栄 一

行政機関出席者

中 垣 英 明 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
須 田 俊 孝 (監視指導・麻薬対策課長)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 ただ今から「薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」を開催させていただきます。本日は大変お忙しい中、委員の皆様方には御出席をいただきありがとうございます。

 本日は、妹尾委員から欠席の御連絡を頂いております。また、石郷岡委員、桐井委員からは、到着が少し遅れるとの御連絡を頂いております。現在のところ、当部会の委員11名のうち、8名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 事務局に人事異動がありましたので、御紹介いたします。10月1日付けで医薬・生活衛生局長に就任しました中垣でございます。大臣官房審議官の森でございます。監視指導室長の木下でございます。私は監視指導・麻薬対策課長を拝命しました須田でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 開会に当たり、医薬・生活衛生局長の中垣から、一言御挨拶を申し上げます。

○医薬・生活衛生局長 局名が変わって言いにくいところもあるのですが、ちょうど10月1日に局も変わり、その日付で医薬・生活衛生局長となりました中垣でございます。よろしくお願いいたします。本日は御多用のところ御出席賜り、誠にありがとうございます。

 振り返りますと、1年ちょっとぐらい前に、この危険ドラッグの問題が非常に大きな問題になり、総理をはじめ、官邸でも「何とかしろ」、「そもそも名称が」など、いろいろな話があり、私の前任の神田前局長は、来てから数箇月はずっと危険ドラッグのことをやっていたと言っておりました。

 そういった大きな社会問題となっていたものに対し、先生方の御尽力により、この指定薬物部会は非常に頻度を多くやっていただき、そのお陰を持って、平成27年9月末現在では、既に2,320物質を指定させていただき、取締りを徹底することができた訳です。

 また併せて、指定前の危険ドラッグにも幅広く検査命令を掛けるといった対策を併せて行った結果、平成26年3月に215店舗存在していた実店舗を、平成27年7月にはゼロにすることができたということです。いずれにいたしましても、こういった成果は委員の皆様方の御協力によるところであり、深く感謝いたします。

 本日は、危険ドラッグの流通が限定的な中で、その代用品として注目されている物質について御審議をお願いいたしております。正規用途以外の流通が認められる、乱用が危惧されるものと考えておりますので、指定薬物としての指定の可否について、御審議をお願いいたします。また、委員の皆様方には、今後ともよろしくお願いいたします。

○監視指導・麻薬対策課長 中垣局長は業務の都合により、審議途中で退席することになりますので、御了承いただければと思います。

 それでは、本部会の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶ恐れが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。

 それでは、以後の議事進行は鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 最初に事務局より資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をいたします。本日の資料は、資料が1と2、参考文献は1~11、参考資料が1~3、当日配布資料を一つ配らせていただいております。

○鈴木部会長 資料がお手元にない場合にはお知らせを願います。よろしいでしょうか。

 本日の議題は「指定薬物の指定について」です。審議物質について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今回御審議いただきたい物質については、国内外で流通実態が認められた物質になります。資料1は物質の名称、別名、分子式を記載しております。当該物質について指定薬物として指定し、規制対象とする必要があるか否かについて、御審議いただきたいと思っております。資料2は、国内外の基礎研究や動物実験の結果について、中枢神経系の影響を中心に取りまとめたものです。

 資料2を説明させていただきます。名称は一酸化二窒素、通称は亜酸化窒素です。運動活性への影響について、ガス吸入装置を使用してチャンバー内で平均濃度67.0vol%の亜酸化窒素をマウスに2分間吸入させた後、運動活性を30分間測定した結果をFig.1及びFig.2に示しております。Fig.1は5分間ごとの運動量を示しております。対照群と比較して、測定開始から5分後及び10分後の運動量において有意に減少することが確認されました。Fig.2は、測定開始後30分間の累積自発運動量を示しています。こちらについても対照群と比較して有意に減少することが確認されました。

 2ページです。亜酸化窒素吸入による血中酸素分圧等の影響について、マウスに亜酸化窒素平均濃度67.0vol%を2分間吸入させた直後に採血を行い、血中の酸素分圧、二酸化炭素分圧、ヘマトクリット値を測定した結果を、Fig.3に示しております。実験条件の亜酸化窒素の吸入により、血中の酸素分圧、二酸化炭素分圧、ヘマトクリット値に影響がないことを確認できております。

 3ページで、亜酸化窒素による脳内モノアミンに対する影響についてです。先ほどの()の1.の実験である、マウスに亜酸化窒素を2分間吸入させ、運動活性を30分間測定した後に続き、マウスの全脳を摘出し、中脳辺縁系ドパミン神経系の主要投射先である側坐核を含むlimbic forebrain及び細胞体を含有するmidbrainを分画し、ドパミン、ドパミンの代謝産物のDOPAC、HVA、3MT、セロトニン、セロトニンの代謝物の5HIAA、ノルアドレナリン、ノルアドレナリンの代謝産物のMHPGの測定を行った結果をFig.4に示しております。その結果、limbic forebrainにおいてドパミン含量は増加し、代謝産物であるDOPAC含量が低下し、ドパミンの代謝回転は低下しておりました。midbrainではドパミン含量は変化ありませんでしたが、DOPACの含量は低下しておりました。一方、セロトニン、ノルアドレナリンについては有意な影響は認められませんでした。

 4ページです。先ほどの実験と同様に、亜酸化窒素による脳内ドパミンに対する影響について知見がありましたので、御説明いたします。ラットに60%亜酸化窒素を60分間吸入させ、その後60分間の計120分間について、側坐核におけるドパミン放出量を微量透析法にて測定した結果をFig.5に示しております。白丸印が亜酸化窒素の結果で、対照群と比較して亜酸化窒素の吸引によりドパミン量が有意に増加することが確認されております。また、ドパミン受容体の関与を検討するため、D2/D3ドパミン受容体拮抗薬ラクロプライドを用い、ホルマリン皮下注射に対する亜酸化窒素の鎮痛作用への影響を評価した結果をFig.6に示しております。Aのグラフの縦軸は侵害反応のスコアで、スコアが高いほど侵害反応が強いことを示しております。黒丸が生食投与の75%窒素投与群の結果で、侵害反応は強い結果となっております。白丸がラクロプライド投与の75%窒素投与群の結果で、侵害反応は強い結果となっております。黒三角が生食投与の75%亜酸化窒素投与群の結果で、侵害反応は非常に低く、亜酸化窒素による鎮痛作用が確認できます。白三角がラクロプライド投与の75%亜酸化窒素投与群の結果で、侵害反応は中程度となっています。

 BのグラフではAのグラフの侵害反応スコアを合計したもので、ラクロプライドの注入により亜酸化窒素の鎮痛作用が有意に低下することが確認されました。

これらの結果から、中脳辺縁系ドパミン神経の活性化が、亜酸化窒素の鎮痛作用に関与していることが示唆されております。

 5ページです。医薬品としての亜酸化窒素の説明を()()にまとめております。亜酸化窒素は、日本薬局方に掲載されており、医薬品での使用実態があります。全身麻酔及び鎮痛の効能・効果があり、主に産科、小児科、歯科領域で鎮痛・麻酔薬として使用されております。複数の医薬品製造販売業者により製造販売が行われている製品です。

 亜酸化窒素の臨床使用及びその注意事項については、亜酸化窒素は有意な鎮痛作用を持った効力の弱い麻酔薬であり、NMDA受容体の非競合的拮抗作用が麻酔機序に関与しているとされております。しかしながら、高気圧下で投与しないと、手術可能な麻酔深度を得られない。一方で、鎮痛効果は20%という低い濃度で得られます。有意な鎮静状態は7080%の濃度で得られ、外来患者の歯科治療の際、鎮痛と弱い鎮静を得るために、約50%の濃度で使用されることが多く、十分な酸素供給量を維持するため、亜酸化窒素を80%以上の濃度で使用することができません。この制約があるため、亜酸化窒素は主に他の吸入麻酔薬や静脈麻酔薬の補助的役割として投与されております。

 亜酸化窒素やハロタンのような麻酔性ガスは、酔わせるもの、intoxicantsとして医療従事者によりときに用いられ、またホイップ用生クリーム缶として使い捨てのアルミ製のミニタンク内噴霧剤により使用されるため、食品サービス従業者による乱用が報告されております。

 亜酸化窒素は多幸感と鎮痛、続いて意識消失を起こすため、衝動的な使用及び慢性毒性が稀に報告されており、乱用に伴う過量及び慢性使用による明らかな危険性があるとされています。

 続いて、()に、亜酸化窒素の作用機序についてまとめました。作用機序に関する研究については、多方面から展開されており、取りまとめられた主な知見として以下のものを記載しております。

一つ目として、亜酸化窒素は中脳における内因性オピオイド(エンケファリン、エンドルフィン、ダイノルフィン)の放出を介して、下行性抑制系を活性化し、脊髄後角における痛覚情報伝達を抑制すると考えられております。

二つ目として、亜酸化窒素の鎮痛作用はミュー受容体欠損マウスではナロキソンにより抑制され、デルタ受容体に選択的に作用するナルトリンドールは影響を及ぼさず、カッパ受容体に選択的に作用するノルビナルトルフィミンは用量依存的に鎮痛作用を抑制するため、カッパ受容体が亜酸化窒素の鎮痛作用に関与することが示唆されております。

三つ目として、ノシセプチン受容体欠損マウスでは、揮発性麻酔薬の最小肺胞濃度は野性型マウスと有意差がなく、酢酸ライジングで評価した亜酸化窒素の抗侵害作用が野性型マウスに比べて有意に低下し、さらにノシセプチン受容体欠損マウスでは、下行性抑制系活性化の指標である脊髄後角第3~4層における亜酸化窒素吸入時のc-Fos発現誘導が低下したことから、ノセシセプチン系の活性化が亜酸化窒素の鎮痛作用、特に下行性抑制系の活性化に関与することが示唆されております。また、ノシセプチン受容体拮抗薬は有意に亜酸化窒素の鎮痛作用を抑制し、ノシセプチン受容体欠損マウスにおける結果と矛盾しない結果が得られております。

四つ目として、ブラジキニン注射による痛覚刺激で惹起される脊髄神経活動に対する亜酸化窒素の抑制作用は、除脳ネコでは有意に減弱することが示されております。また、ラットにおけるテイルフリック試験での亜酸化窒素の抗侵害作用はT3-4レベルで、脊髄を切断することにより消失することが示されております。これらの結果から、ノルアドレナリン作動性、オピオイド作動性、セロトニン作動性からなる下行性抑制系が亜酸化窒素により活性化することが示されております。

 五つ目として、ラット脊髄スライス標本を用いて、脊髄レベルにおける亜酸化窒素の作用を検討し、N-メチル--アスパラギン酸(NMDA)受容体あるいはAMPA受容体を介して、脊髄後角第2層神経細胞に誘発される興奮性シナプス後電流が亜酸化窒素投与により抑制されることが示されております。

六つ目として、揮発性麻酔薬と異なり、亜酸化窒素やキセノンは、GABAA受容体やグリシン受容体に対する作用は弱く、NMDA受容体やニコチン性アセチルコリン受容体を抑制する作用を有することが報告されております。これらの受容体に対する作用がどのような機序で亜酸化窒素の麻酔作用あるいは鎮痛作用を引き起こすかは解明されておりません。

 七つ目として、一酸化窒素合成酵素、NOS阻害薬を前投与すると、用量依存的に亜酸化窒素の鎮痛作用は減弱しますが、L-アルギニンを投与しておくと、NOS阻害薬の作用が認められないこと、またモルヒネの鎮痛作用はNOS阻害薬の影響を受けないことが示されており、亜酸化窒素の作用においてオピオイドペプチド放出に至る経路に一酸化窒素が関与する可能性が示唆されております。さらに、各種の拮抗薬を用いた実験により、NOSの中でも特にnNOSが亜酸化窒素の鎮痛に関与している可能性が示唆されております。以上、代表的な中枢神経系への作用を説明いたしましたが、これらの様々な知見が長年の研究により蓄積しておりますが、作用機序の解明には更に研究が必要ともされております。

 食品添加物としての亜酸化窒素の説明を()にまとめております。亜酸化窒素は食品添加物として、ホイップクリーム類(乳脂肪分を主成分とする食品又は乳脂肪代替食品を主要原料として泡立てたものという。)に使用されることが認められています。亜酸化窒素を食品添加物として定めることについて、食品安全委員会より食品健康影響評価がなされており、その結論として、以下のように述べられております。

 亜酸化窒素を乳脂肪又は植物性脂肪のエアゾール缶入り加工食品(ホイップクリーム缶)に添加物として適切に使用する限りにおいては、安全性の懸念がないと考えられ、ADIを設定する必要はない。なお、亜酸化窒素の薬理作用を考慮すると、通常の使用方法によらない本物質の直接摂取等、本物質の過剰摂取には注意が必要と考える。

 流通製品の分析結果については、国内の危険ドラッグ販売業者から入手した小型ボンベ1種類3本の製品について、□□□が分析を行ったところ、2本から亜酸化窒素が検出されております。なお、残り1本については、ボンベ内にガスの充填が認められず、ボンベ内が空の状態でした。

 海外での乱用実態についての報告を御紹介いたします。イギリスにおける亜酸化窒素のレクリエーション目的の乱用実態として、2013年から2014年の集計で、1624歳の7.6%が、過去1年間に亜酸化窒素の使用経験があると報告がなされております。また、イギリスでは、亜酸化窒素により2010年に5人、2011年に1人が窒息で死亡したとの報告もなされております。

 追加で当日配布資料とさせていただきました資料について説明いたします。こちらの資料についても流通製品の分析結果です。国内のインターネット販売業者から入手した小型ボンベ2種類、計4本の製品について□□□が分析を行ったところ、全ての製品から亜酸化窒素が検出されており、さらに内容物が亜酸化窒素以外の気体を認めない結果が得られております。これらの結果から、亜酸化窒素は中枢神経へ作用し、抑制の効果を示す物質であると考えております。

 以上の1物質について指定薬物として差し支えないと考えますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 正規用途への対応というか、そのような議論になると思いますので、事務局からその辺の考えを最初にお示しいただいた方がよろしいかと思いますので、お願いいたします。

○事務局 正規用途については参考資料2に案を付けております。2ページあり、最初の1ページの方が、全ての指定薬物で医療等の用途として認められる正規用途になるのですが、ここは国の機関や地方公共団体などの学術研究や試験検査、そのほかの法律に基づく試験である、犯罪鑑識の用途といったところを定めております。

 そのほか、指定薬物を指定する際は、個別にその物質ごとに、どういった正規用途があるかを確認させていただいており、それについても正規用途として除外するような形を取らせていただいております。そちらの個別に関する内容は2ページに書いております。

 まず一つ目です。先ほども説明したのですが、1番目は疾病治療の用途で、医薬品として使用されるような用途で、疾病治療の用途を除外規定として考えております。

 そのほか、酸化剤、助燃剤などでも用いられているという報告がありますので、2番目の元素又は化合物に化学反応を起こさせる用途を考えております。

 そのほか、ガスクロマトグラフィなどでも、こういった物質を用いると聞いておりますので、3番目の学術研究や試験検査の用途を考えております。そのほか、工場内のチャンバーなどの洗浄などにも用いると聞いておりますので、工業用の洗浄剤の用途を考えております。そのほか、先ほども説明したのですが、食品添加物としても使用実態がありますので、食品衛生法第4条第2項に規定する添加物の用途を考えております。そのほか、エアゾールとして使用する、噴射剤の用途もあると聞いておりますので、6番目の噴射剤の用途を考えております。7番目としては、冷蔵庫の代替フロンのような形で、冷媒として用いている報告も頂いておりますので、冷媒の用途を考えております。様々な用途があるのですが、用途をきちんと調べさせていただき、除外規定にすることで、流通に支障がないようにする所存です。

○鈴木部会長 事務局より説明のありました物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員 事務局からありましたように、個別の用途をきちんと精査して対応を考えるということであれば、問題はないのかと考えます。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

□□委員 私も指定薬物にするのには全く異存はございません。

 コメントと質問をさせていただきます。この薬物というか気体というか。合成化合物というよりは気体で、麻酔薬ですね。それで文献の8は□□□□□□□□□□先生がよくまとめられた総説なのですが、そこには作用機序としてオピオイドからスタートするというか、オピオイドが標的の可能性があるというような説明があり、□□□□先生と共同研究を行い、次のページの図2のミューのオピオイド状態、欠損マウスにおける亜酸化窒素の鎮痛効果というのは、□□先生との共同研究の論文なのです。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□に報告された論文です。

 結局これはミューのノックアウトマウスを使って、ミューは標的分子ではなかったということがはっきりして、そしたら何に効いているのだということで、元々はっきりしなかったところが、一番鎮痛効果あるいは報酬効果に関係すると思われるミューと関わっていないことがノックアウトマウスではっきりしたのです。

 一方、□□先生も引用されている文献の3のお仕事は、ドパミンの関与を報告された論文です。□□先生もまとめられているように、まだはっきりしないところがあり、最終的にはドパミンを増やして、依存性があるということは言えるのでしょうけれども、麻酔薬ですから、麻酔で鎮痛効果があるかどうかの報告が大半ですので、依存性に関するところまで突っ込んだような報告というのは、今回の資料の文献の1の□□先生が報告してくださった実験で、ドパミンが関与していることがはっきりしたのですが、その作用機序は、最終的にドパミンが増えるから指定に関する議論については全く問題はないと思うのですが、作用機序が十分に明らかでないというところは、せっかく詳しい文献を付けてくださったのでコメントさせていただきました。

 もう一つは質問です。文献の1も2もドパミンの作用を見るときに20分とか30分ぐらい吸引させて結果を出しているのですが、1の実験は僅か2分ぐらいの単位なのです。短くてドパミンが変わっているので問題がないとも考えられるのですが、あえて短くしたというのは何か理由があるのですか。

○事務局 こちらの試験実施者から2分にした理由は聞いてはいないのですが、資料2の1ページで、大体30分ぐらいで、コントロールであるAirとN2Oの値が大体一緒になってくる図であるとか、4ページの所ですが、こちらは曝露を約1時間やった後、30分から40分してくるとドパミンの量が落ちてくるというところを兼ね合わせると、もしかしたらN2Oの効果自体は、同じような形で抜けていると言えるかもしれませんが、そこは仮定の話なので確定的なことは言い辛いところです。短い曝露にした理由は確認できればよかったのですが、そこの理由は手持ちがありません。

□□委員 分かりました。ありがとうございました。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

□□委員 これまでの指定薬物に指定されたものと違うのは、実際の実用的な用途が広く見られるという点です。そこで、同じように指定薬物にした場合に実際に混乱が起きないか、あるいはどのようなことが想定されているのか。今までになく既に実用面での広がりがあるところに、指定することにより、どのような問題が考えられるかという認識をお聞かせいただければと思います。

○事務局 手続論について、除外するときの手続を含めて簡単に御説明いたします。現に実用化されているガスということで、通常は実用化されているものがなければすぐに指定して、告示してしまうところまでいくのですが、今回はパブリックコメントを取り、WTO通報も行い、実際にこれを規制したときに問題がないかをしっかりと詰めていきたいと考えています。また、実際にこれを使っている業界にも説明会をしていくなど、そこは実態として現場が困らないように、なおかつシバガスの先ほどお見せした写真のボンベのような謎めいたものが流通することのないようにというところに配慮しながら進めていきたいと思っています。

□□委員 これまでの迅速に進めるというのとは違って、慎重に進める予定だということですね。

○事務局 そこはできるだけ早くやりたいと思っていますが、現場のトラブルは回避する形で進めていきたいと思います。

□□委員 質問です。流通実態のあるシバガスと、資料の7ページにある海外でのレクレーション目的での乱用実態として、吸入時間、一般的にどのような形で乱用されているのかが分かれば、教えていただきたいと思います。

○事務局 当日配布資料の7ページを見ていただきますと、危険ドラッグとして販売される場合は風船が添付されており、風船にボンベから移したものを吸入するという使用のされ方のようです。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

□□委員 インターネットということですが、従来の店舗販売の場合は、取締り等は現場でできたと思いますが、このようなインターネット販売のような取締りは、具体的にはどのような方策を考えておられるのでしょうか。

○薬物取締調整官 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

□□委員 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

○薬物取締調整官 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

□□委員 先ほどの□□先生の質問と関係します。これはいろいろと用途があるので、例えば病院などでの職員の所持、保管などが指定されて変わってくることになるのでしょうか。

○事務局 指定薬物の保管については、施設要件は一切ごさいませんが、規制薬物であるということを鑑みて、施設ごとに取扱いには注意していただきたいと考えております。構造設備基準がある訳ではございません。

□□委員 指定されたという事実だけが伝わってくると現場が混乱すると思うのですが、そのような文書は出される予定なのですか。

○事務局 指定されるときに、何が指定されて規制されるのかの範囲を明確にしないと、医業用途だけではなくて他の業界も混乱しますので、そこははっきり分かる形で通知していく形でよろしいのかと思っております。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

□□委員 シバガスの実態が分かって取り締まれることになりますが、容器を見せていただきましたが、家庭用のビールのサーバに付いているような小さなボンベですから、形を変えてどんどん出てくることが予測される気がします。また名前を変えて出てくる危険性が十分に感じられました。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

□□委員 □□先生や□□先生が御懸念されているようなことに多少繋がるのですが、病院では麻酔薬として使われていることは非常に大事なことなので、その辺りのことを考えられているのだと思います。今まで、こういう医療目的以外で乱用するということで、流通実態の報告を頂いたのですが、本来は医療目的として、例えばオピオイド、麻薬などは医療従事者が乱用しているという実態が結構あります。そういったことが今まであったのか、あるいは今後も懸念されるのか、そこが少し気になるのですが、いかがでしょうか。

○事務局 資料には添付させていただいていないのですが、文献で報告があり、医療機関、食品業界で、乱用目的で一部使用されている報告もなされております。

○鈴木部会長 ほかによろしいですか。それでは、まとめさせていただきます。ただ今御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、パブリックコメントを実施し、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。いわゆる正規用途については、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応する所存です。

○鈴木部会長 本日の議題は以上です。事務局から、その他の連絡事項があればお願いいたします。

○事務局 次回の部会日程については、11月中を予定しております。正式に決まり次第御連絡させていただきます。

 また、本部会の資料は回収させていただきますので、机の上にそのまま置いていただければと思います。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議ありがとうございました。以上をもちまして、平成27年度第7回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。

 


(了)

備  考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 佐々木(2779)




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