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2015年12月11日 中央社会保険医療協議会 総会 第319回議事録

○日時

平成27年12月11日(金)9:00~11:38


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

田辺国昭会長 松原由美委員 野口晴子委員 印南一路委員 西村万里子委員 荒井耕委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 花井十伍委員 松浦満晴委員
松本純一委員 中川俊男委員 松原謙二委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員
安部好弘委員
丹沢秀樹専門委員 横地常広専門委員 菊池令子専門委員
<事務局>
唐澤保険局長 谷内審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 眞鍋医療課企画官
三浦保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○個別事項(その6:技術的事項等)について
○個別事項(その7:勤務医等の負担軽減)について
○平成28年度診療報酬改定への意見について(公益委員案の提示)

○議事

○田辺会長

 ただいまより第319回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。

 まず委員の出席状況について御報告申し上げます。本日は、石山委員、榊原委員、岩田専門委員が御欠席でございます。西村委員におかれましては、おくれて御到着とお伺いしております。

 次に次期診療報酬改定に向けた議論として「○個別事項(その6:技術的事項等)について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。医療課長、よろしくお願いいたします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 お手元に中医協総-1の資料を御準備いただければと思います。技術的事項等ということで、かなり多くのテーマを準備させていただいておりますので、簡潔に説明させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 2ページ目からが、検査の関係についてでございます。

 4枚目を見ていただければ、検体検査管理加算という点数がございますということです。

 5枚目で、その施設基準について、簡単にまとめさせていただいております。

 その中で、下から2つ目の○のところに、外部の精度管理事業に参加していることということで、精度管理を受けていることという基準がございます。

 6枚目ですけれども、外部精度管理につきましては、特にどういう形でという規定まで設けられているわけではございませんが、現在、臨床研究中核病院が求める要件などにおきまして、国際標準化機構に定められた、国際規格に基づく技術能力の認定を受けていることというような、さらに上乗せというか、厳しい基準が求められているところがございます。

 7枚目にその概要を示させていただいておりますが、医療法施行規則、あるいは医政局長通知などで、具体的に記載されておりまして、右下のところに、ISOの認定を受けている医療機関の割合を示させていただいているところでございます。

 このようなことから、論点として、8枚目の下でございますが、国際標準化機構に定められた国際規格に基づく技術能力の認定を受けている施設において行われる検体検査については、さらに評価を行うこととしてはどうかとさせていただいております。

 9枚目からは、指定難病の診断に用いる遺伝学的検査の関係でございます。

10枚目に、27年1月1日から施行されました、難病新法についての概要を記載させていただいております。

11枚目でございますけれども、新たな指定難病につきましては、客観的な診断基準でしっかり認めていくということで、今、306疾患が対象となってございます。

12枚目のスライドにも書かれてございますが、申請、最終的に認定の作業では、確立された対象疾患の診断基準をしっかりと用いていくことになっております。

13枚目に概要を書いておりますが、その中の1つで、遺伝子解析検査をしっかりやるという疾患もあるところでございます。

 おめくりいただきまして、飛びますが、17枚目につきましては、指定難病のうち、これらの35疾患については、それぞれ遺伝子解析検査をしっかり行って、診断していくことが求められているところでございまして、実際には、15ページ、16ページにありますような、しっかりした形でやっていくことが求められているところでございます。

 そういうことで、18枚目に論点をまとめさせていただいておりますが、難病法に基づく指定難病の診断に必要とされる遺伝学的検査については、関係学会が作成する指針に基づき、実施される場合に限り、評価を行うこととしてはどうかとさせていただいております。

19枚目からは、体外診断用医薬品の件についてでございます。

20枚目に簡単にまとめてございますが、2つ目の○のところでございますが、薬事承認を受けた医薬品が保険適用されるまでの使用については、評価療養の対象となっているところでございますが、3つ目の○にございますように、体外診断薬、特に医薬品と同時に使うことが想定されるコンパニオン診断薬などにつきましては、今、規定が設けられていないところでございます。

 簡単に図に示してございますのが、21枚目でございまして、一番上は医薬品のケースでございますが、薬事承認を受けてから保険適用されるまでの間、網かけをしている場所につきましては、評価療養によって使用できる形となっております。

 下の体外診断用医薬品については、特にそういうルールがないということで、特にコンパニオン診断薬のような場合には、評価療養が使用できないことによる不都合があるのではないかということが考えられます。

 このようなことから、下の医療機器は、保険適用希望書の提出後から評価療養の対象になるというルールがございますので、これと同じような形で、体外診断用医薬品についても、評価療養の対象としてはどうかということです。

22枚目の下に論点としてまとめさせていただいておりますが、保険適用希望書が提出された体外診断用医薬品については、医療機器と同様に、保険適用希望書提出後から保険適用されるまでの間、評価療養の対象とすることとしてはどうかとさせていただいております。

23枚目からは、体外診断用医薬品の保険適用に関する中医協における取り扱いでございます。

27枚目のスライドを見ていただければと思います。これは今の状況を簡単にまとめたものでございますが、医薬品の償還価格の検討については薬価算定組織、制度設計の関連については薬価専門部会で御議論いただいて、最終的に中医協総会にという形になってございます。

 医療材料につきましては、保険医療材料専門組織で償還価格等の検討をしていただいて、制度に係る検討は保険医療材料専門部会でしていただいた上で、中医協総会にという形になっています。

 体外診断用医薬品については、特に算定組織とか、専門部会に当たるような組織がなくて、何かあれば、必要に応じて総会で議論する形になってございます。

 これらに対しまして、25枚目にありますように、業界からの御意見とか、26枚目は医薬品とか、医療材料の例を記載させていただいておりますが、そういうものも参考にして、見直してはどうかということです。

28枚目の下に論点としてまとめさせていただいております。新規の体外診断用医薬品の算定価格案に関する議論及び制度設計に係る専門的事項について、議論を行う場を設けることとしてはどうか。

 その際、既存の組織を活用することとし、個別製品の算定価格案に関する議論は保険医療材料専門組織において、制度設計に係る専門的事項についての議論は保険医療材料専門部会において、それぞれ行うこととしてはどうかと、まとめさせていただいております。

 大きな2点目は、29枚目から、放射線診断についてでございます。

30枚目につきましては、今の診断料の見直しの経緯、概要を記載させていただいておりますが、高機能のものについては、評価していく一方、若干機能が劣るものについては、評価を下げていくという形で、これまで見直しが行われてきたところでございます。

31枚目は、CTMRI台数の国際比較でございますけれども、日本は人口100万人当たりで見ますと、CTMRIとも大分多くなっています。

32枚目では、増加傾向にあるというデータを示させていただいております。

33枚目にございますが、これまでの改定の経緯やいろいろな状況も踏まえまして、矢印の下でございますが、高機能のCTMRIを評価するに当たっては、64列以上のマルチスライス型CTや3テスラ以上のMRIを評価するとともに、その適正かつ効率的な利用を促進する観点が必要ではないかと、整理させていただいております。

34枚目からは、ポジトロン断層撮影についての関係でございますけれども、今、これにつきましては、施設共同利用率の要件が、平成14年度改定から導入されております。共同利用率が20%を下回る場合は、所定点数の8割というルールになっているところでございます。

35枚目は、実際の共同利用率の状況を示させていただいているところでございますが、大半のところが、共同利用率の要件を満たす形で、現時点では行われているということでございます。

 これらを踏まえまして、36枚目に論点としてまとめさせていただいておりますが、CTMRIの中で、64列以上のマルチスライス型CTや3テスラ以上のMRIといった高機能の診断装置による診断をより評価してはどうか。また、その際には、適正かつ効率的な利用を促進する観点から、例えば新たに施設共同利用での撮影を評価してはどうか。共同利用率のような要件を設けてはどうかということでございます。

 2つ目として、ポジトロン断層撮影の施設共同利用率の要件については、現在の共同利用の状況を鑑み、さらなる共同利用の推進を図る観点から、要件の見直しを行ってはどうかと、整理させていただいております。

37枚目からは、睡眠時無呼吸症候群等についてでございます。

38枚目は、疾患の概要を簡単にまとめさせていただいております。

39枚目は、治療法の概要ということで、整理させていただいておりまして、例えばCPAPといって、持続的に気道に陽圧をかけるものもございますし、最近では、一番下のところで、ASVということで、慢性心不全が合併しているようなケースでは、こういう形で、換気量が自動的に一定になるよう、一呼吸ごとに換気補助を行う装置が出てきているところでございます。

 在宅における呼吸療法の関係は、40枚目に簡単にまとめてございますが、それぞれ対象によって、指導管理料と材料の加算等が組み合わせて算定できる仕組みとなっているところでございます。

 先ほど39枚目のスライドで申し上げました、ASVの適応については、睡眠時無呼吸症候群の慢性心不全を合併している患者に有効であることが、ガイドラインでも示されておりますけれども、一方、慢性心不全単独の患者の適応については、言及されていないという現状もございます。

42枚目で、ASVについて、現行ではどういうふうに診療報酬上で評価されているのかというと、特別に評価する体系にはなっていなくて、在宅酸素療法の現行の要件を機械的に適用している。40枚目にあるようなスライドのどこに該当するかということで、考えてやっているところでございます。

 これらを整理いたしまして、43枚目に論点としてまとめさせていただいておりますが、睡眠時無呼吸症候群に慢性心不全を合併している患者に対するASV療法につきましては、その有効性を踏まえ、新たな診療報酬項目として評価することとしてはどうかと、整理させていただいております。

44枚目からは、在宅自己注射指導管理料についてでございます。

45枚目は、前回の改定での見直しの概要を整理させていただいております。特に2.の820点の点数は、注射回数に応じてということで、100点から810点の幅で、点数を見直している状況でございます。

46枚目は、在宅の指導管理料の算定状況ですが、在宅自己注射指導管理料というのは、かなり多くなってきているということで、最も定着してきている在宅療養の1つでございます。

47枚目でございますが、在宅自己注射につきましては、前回、点数の見直しをしましたので、検証調査が必要ということで、検証させていただいておりまして、これは、一度、報告させていただいている内容かと思いますけれども、衛生材料等がどのような形で、どのくらい、どのようなものが支給されているかということを調べたものでございます。アルコール綿とか、針などが、全員に出されているという状況が見てとれるかと思います。

48枚目のスライドでございますけれども、在宅の自己注射指導管理料の中には、大きく3つの要素があるのではないかということで、整理させていただいております。

 1つは、必要かつ十分な量の衛生材料または保険医療材料を支給することを評価しているところでございまして、これは右側の矢印の先を見ていただければと思いますが、自己注射の回数によって変わってくるだろう。

 2つ目としては、自己注射に関する指導。

 3つ目としては、そもそもの疾患に対する医学管理の評価というものが入ってきていますが、この2つについては、自己注射の回数によらないのではないかということで、48ページの右下にありますが、注射回数による点数の差が大き過ぎるという御指摘もあるところでございます。

 これらを踏まえまして、49枚目のスライドで、左側が現行でございますが、右側に例えばこういう形は考えられないのかということで、例1、例2を示させていただいております。

 例1は、注射回数による差を少なくしていく方向で、見直してはどうかということでございます。

 例2につきましては、疾病に関する医学管理というのは、別の指導管理料等もございますので、そちらで評価する一方で、自己注射そのものの指導の関係と、衛生材料の支給に関する管理料を別途切り分けて設定してはどうかという考え方をお示しさせていただいております。

50枚目以降は、自己注射についての別の観点のお話でございますが、自己注射の指導管理を行われている患者さんは、1疾病で1剤の場合もありますし、複数の疾病で2剤とか、3剤の方もあるという状況を調べさせていただいておりますのを、掲げさせていただいおります。

 その中で、一番下にございますが、2剤、3剤でも、1医療機関だと問題ないのですが、複数の医療機関で管理されているケースがあるということも、そんなに多くない数ですけれども、数字として挙がってきています。この場合でも、管理料は1つしかとれないというルールになっているところを、どう考えるかということでございます。

 これらをまとめまして、51枚目のスライドでございますけれども、論点のところで、在宅自己注射指導管理料の評価の考え方を整理し、注射回数に応じた評価の差を縮小するか、または疾患の医学管理に関する部分を切り離した管理料を設定することについて、どう考えるか。

 2つ目として、2つ以上の医療機関で、異なる疾患に係る在宅自己注射指導管理料を実施している場合、それぞれの指導管理を評価することについて、どのように考えるかと、整理させていただいております。

52枚目からは、人工透析の関係というか、慢性腎不全の患者さん、あるいは人工透析を受けている患者さんの重症化予防という観点で、資料を準備させていただいております。

54枚目、55枚目、56枚目は、透析の患者さんがふえているとか、あるいはその原因としては、糖尿病性腎症が多いとか、そういう統計データを準備させていただいております。

59枚目は、糖尿病性腎症の病期の分類です。

60枚目は、現在ございます、糖尿病透析予防指導管理料の点数の概要を示させていただいております。

 そんな中で、61枚目、62枚目にありますように、慢性腎不全の患者さんに運動で介入することによって、腎機能が改善しているとか、あるいは透析導入に至るまでの期間が延びるという、論文とか、データが出てきているところでございます。

 それらにつきまして、63枚目のスライドでございますが、施設基準として、患者の腎機能が一定期間改善または維持されること、一定期間内の透析導入がないこと等のアウトカム基準を設けることを前提といたしまして、進行した糖尿病性腎症患者さんに対して、透析導入の予防を目的とした運動指導を行うことについて、さらなる評価を設けてはどうかと、整理させていただいております。

 もう一点は、透析をされている患者さんの下肢末梢動脈疾患の関係でございます。

 四角の中に書いてございますけれども、透析を受けられている方には、透析の導入時より動脈硬化が高度、高頻度に認められるところですが、症状がなかなか出なくて、早期発見に努めることが重要であるということで、早期発見がおくれると、最終的には下肢を切断することも起こるということでございます。

66枚目のスライドでは、末梢動脈疾患を有する透析患者さんとか、特に下肢を切断された後の方の生存率を見ていただきますと、予後が大変悪いというデータがございます。

67枚目から69枚目は、早期にスクリーニングすることが大変重要だということとか、その仕組み、あるいはその結果、さらに専門的な治療を行う科と連携体制をつくって、治療を進めていくことが大切だというところを、簡単に整理させていただいております。

 これらを踏まえまして、70枚目でございますが、論点といたしまして、慢性維持透析患者さんの下肢末梢動脈疾病について、下肢の血流障害を適切に評価し、他の医療機関と連携して早期に治療を行うことを評価してはどうかと、まとめさせていただいております。

71枚目からは、大きな6つ目のテーマでございます、胃瘻の関係でございます。

72枚目は、前回の改定の概要を整理させていただいておりますが、その中で、造設時機能評価加算の関係で、下の四角の少し上のところを見ていただければと思いますが、50件未満の場合は100分の100で算定する。50件以上の場合は、要件を満たす場合は、100分の100で算定、要件を満たさない場合は100分の80で算定するという流れの絵がございます。

 要件というのが、下に四角で書いてございますが、ちょっと小さくて恐縮でございますが(1)(2)でございます。

 (1)は、術前に全例に嚥下機能検査を実施するということです。下の1~5は除くということですが、全例に嚥下機能検査を実施するということが1つです。

 (2)で、経口摂取回復率が35%以上というような、こういう要件をクリアすれば、50件以上の施設でも、100100を算定できるというルールになっているところでございます。

73ページは、加算の概要です。

74枚目については、経口摂取率等の計算の方法、届け出の方法などを簡単に整理させていただいております。

75枚目から78枚目ぐらいまでは、検証調査の結果を改めて御提示させていただいておりますが、その中で、特に77枚目を見ていただければと思うのですが、施設要件の関係で申しますと、経口摂取回復率の計算のために、必要な情報収集をするのが大変に困難であるという理由が一番多くいただいております。これは1年間追いかけていかなければいけないということが、大変だということです。

 次に、要件をクリアするためには、100分の100を算定するためには、術前に全例での嚥下検査が必要だが、検査を実施するまでもない患者さんがいるという御回答をいただいております。

79枚目のスライドを見ていただきますと、これは別の調査ですけれども、検査を行わなくても、胃瘻の適応が明らかな患者さんがいるという中身として、下のほうにございますが、例えばALSの場合とか、脳性麻痺の場合などは、そうではないかという御指摘でございます。

 これらも踏まえまして、80枚目にまとめさせていただいておりますが、胃瘻造設の際に求められる嚥下機能の回復を評価する指標につきましては、施設における嚥下機能とか、その回復の見込みを適切に評価できる体制、あるいは嚥下機能の維持・向上に対する取り組みに関する視点を取り入れることとしてはどうかということで、別の評価指標も考えてはどうかというところでございます。

 2つ目ですけれども、術前の嚥下機能検査実施につきましては、現在、除外対象とされている項目に、新たにALS、筋萎縮性側索硬化症や脳性麻痺などを追加することとしてはどうかと、整理させていただいております。

81枚目からは、遠隔ペースメーカー指導管理の関係についてでございます。

82枚目に心臓ペースメーカー指導管理料の概要を掲げさせていただいておりますが、遠隔モニタリングのときには、550点ということで、4カ月に1回限り算定する。それ以外の場合は、月に1回限り算定するという点数の設計となっております。

 左下のところにございますが、ペースメーカーの関係では、3~4カ月ごとに電池の消耗や合併症の発現の有無などを確認するということが、添付文書に書かれているということで、こういう仕組みになっているところでございます。

83枚目でございますけれども、この管理につきまして、添付文書が変更されまして、現在、遠隔モニタリングでも、実施することが可能となっているものもあるところでございます。

 その関係では、84枚目、85枚目に、対面診療の間隔を延長したときの研究成果がいろいろ書かれておりまして、こういうものを見ますと、もうちょっと期間を延ばせるのではないかということでございます。

86枚目のスライドの上の四角のところに、簡単に整理させていただいておりまして、下のポンチ絵を見ていただければと思いますけれども、添付文書の改正とか、臨床研究の結果を踏まえると、現行では4カ月に1回算定できるとなっている指導管理料につきまして、医師の判断により、患者の状態等に応じて、受診間隔を選択し、その間の月数に応じて、次回来院時に遠隔モニタリングによる指導管理に対する評価を上乗せすることとしてはどうか。その場合は、医師の判断によりまして、受診間隔は最大12カ月まで延長できることとしてはどうかという形とさせていただいております。

87枚目は在宅酸素療法、88枚目はCPAP療法の関係でございますけれども、基本的には1カ月に1回ということで、機器の加算については、根っこの管理料がとれないと、加算がとれない形になっているところで、2カ月に2回とか、これまでも柔軟に対応してきたところではございます。

89枚目にまとめてございますけれども、管理料につきましては、1カ月に1回の受診が必要でありということになっておりますが、2つ目の○のところにありますが、3カ月に1回の受診であっても、使用される機器の分の加算については、評価することとしてはどうかということで、受診月にまとめて算定できるような形が考えられないか。

 この関係につきましても、90ページにあるように、例えばICT等を用いた遠隔モニタリングの技術などが進んできているということも考えあわせて、どうかという御提案でございます。

91枚目に論点としてまとめさせていただいておりますが、1つ目は、遠隔モニタリングによる心臓ペースメーカー指導管理の評価につきましては、医師の判断により、患者さんの状態等に応じて、最大12カ月まで受診間隔を選択し、その間の月数に応じて、次回来院時に遠隔モニタリングによる指導管理に対する評価を上乗せすることとしてはどうか。

 2つ目として、在宅酸素療法及びCPAP療法の管理料につきましては、医師の判断に基づき、患者が受診しない月においても、使用される機器の分については、評価することとしてはどうかと、整理させていただいております。

 8番目のテーマは、データ提出の関係でございます。

93ページ、94ページに関連の資料をつけさせていただいておりますが、DPCフォーマットのデータの提出につきまして、7対1などが要件になってございますが、10対1は、今はそういう状況ではないということで、提出状況は、右側の表にあるような状況でございます。

 これらにつきまして、例えばということで、96枚目などにスライドを示させていただいておりますが、これらのデータを用いて、いろいろなエビデンスとか、データを集積して、改定を行っていくということでありますと、医療機関には一部御負担がかかりますけれども、こういうデータの収集というのは、進めていくのが重要ではないかということでございます。

97枚目には、入院分科会の御指摘もあります。

 そういうこともございまして、98枚目にまとめさせていただいておりますが、急性期を担う医療機関の機能や役割を適切に分析・評価するために、10対1入院基本料につきましても、データ提出加算の届け出を要件化してはどうかという御提案でございます。

99枚目からは、ICTの関係でございます。

100枚目のスライド、電子的に作成された文書の取り扱いにつきましては、7月に基本問題小委にもお示しさせていただいておりますけれども、2つ目の四角というか、上のほうですが、基本的に電子的に作成された場合であっても、紙媒体によるものとみなして、取り扱うこととして差し支えないということが、大原則になってございます。

 次のところにありますが、様式等において、記名・押印が求められる文書ということで、例えば訪問看護指示書とか、そういう形になっています。

 電子的に送受信の取り扱いが明確に定められていないケース、例えば診療情報提供料に関連して、画像などの添付文書の関係ですけれども、そういうことがあるということで、この辺をしっかり対応していったらどうかということでございます。

101枚目から104枚目につきましても、一度、お示しさせていただいているかと思いますが、医療情報をやりとりするための安全性の確保の取り組み、仕組みとか、あるいは医療情報ネットワークが進んできているとか、103枚目では、電子署名と認証システムの関係とか、そういうことを簡単に整理させていただいております。

105枚目のスライドは、医療情報連携ネットワークで取り組んでいるところでは、重複の画像検査が減ってきているというデータもありますということを、お示しさせていただいております。

 このようなことから、106枚目に論点としてまとめさせていただいておりますが、現在、署名・捺印が求められている診療情報提供書、訪問看護指示書・訪問看護計画書・訪問看護報告書、服薬情報等提供文書につきましては、電子的に署名を行い、安全性を確保した上で、電子的に送受信した場合にも、算定可能としてはどうかということが1つです。

 2つ目として、診療情報提供書への検査結果とか、画像情報等の添付につきましては、電子的に送受すること、あるいは共有できている場合についても、評価することとしてはどうかと、整理させていただいております。

10点目として、その他ということで、幾つかのテーマの資料を準備させていただいております。

109枚目は、コンタクトレンズの関係でございます。109枚目では、医政局の事務連絡で、医療機関において、コンタクトレンズ等の販売を行うことは、患者さんのために、療養の向上を目的として行われる場合は可能ですという通知が、昨年の8月に出されております。

110枚目でございますが、そういうケースでも、患者さんがコンタクトレンズ屋さんでコンタクトを買うのか、医療機関で交付を受けるのかということは、患者さんの自由な選択を阻害しないことが重要であろうということと、そういう状況については、厚生局に報告をしてくださいという通知を、保険局からは出させていただいております。

 実際の取り組み状況を111枚目にまとめてございますけれども、コンタクトレンズの交付を実際に行っている医療機関というのは、737施設あります。そのうち、医療機関でコンタクトレンズを交付している割合が100%である医療機関は、165施設あるという数値が出ています。

 右側の点線の枠囲いの中にもございますが、その中で、自由記載としては、当院以外の処方箋は発行しないというケースがあったり、下のほうですけれども、他院で交付を希望する患者に対しては、他の眼科を受診してもらうように説明しているということで、自院で交付を希望する人だけ、診察しているというお答えもあることについて、どう考えるかというところでございます。

112ページは、今のコンタクトレンズ検査料の概要について、まとめさせていただいております。

113枚目に論点ということで、患者さんの自由な選択を担保するための取り組みが不十分・不透明であることは、院内交付の割合が高くなる要因の1つと考えられるのではないか。

 このため、患者さんの自由な選択を担保するための取り組みを促すよう、院内交付の割合によっては、検査料の評価に差を設けてはどうかと、整理させていただいております。

114枚目からは、医薬品の保険給付に対して、何点か用意させていただいております。

115枚目は、いわゆる骨太の方針とか、規制改革実施計画で、市販類似薬について、こういう御指摘があるということを、改めてお示しさせていただいております。

116枚目は、医療保険部会でも御議論がありまして、委員からも市販類似薬についてということで、御指摘があることを紹介させていただいております。

117枚目、118枚目は、いわゆるスイッチOTCとはどういうものかとか、実際、どういうものが承認されているかということを整理させていただいております。

 実際にテーマになったお薬について、幾つかデータを準備させていただいておりますが、119枚目のスライドは、消炎鎮痛用の外用薬の関係でございます。

 第一世代としては、例えば刺激型のものということで、こういうものがあるとか、第二世代につきましては、非ステロイド性で、患部に直接的に作用するものということで、こういうものが出てきているということを、整理させていただいております。

120枚目は、1回の処方で、これらの外用薬、湿布薬が、どのぐらい処方されているかということです。横軸にその頻度をとりまして、分布を見たものでございますけれども、1袋が7枚でございますので、10袋だと70枚ということで、10袋のところにも山がありますが、さらに11袋以上もございまして、ここの内訳を見ますと、20袋とか、21袋以上というところも、それなりの頻度があるという状況が1つです。

121ページは、例えばですけれども、1回の処方で、10袋、70枚を超えて処方されているケースは、都道府県ごとに見ると、どのぐらいの割合であるのかということですけれども、大分ばらつきがあるところでございます。

122ページ目は、レセプトの記載要領の通知の抜粋でございますけれども、調剤レセプトで、外用薬の投薬全量というのは、もちろん記載しますが、用法が省略可能ということで、調剤された湿布薬が何日分に相当するのかということは、今の段階ではよくわからない状況になってございます。

123枚目からは、ビタミン剤の関係でございますが、平成24年の改定で、単なる栄養補給目的のための投与というのは、全てのビタミン製剤で算定不可ですというルールができまして、その後、どうなっているのかということです。

124枚目のスライドを見ていただきますと、24年改定後では、ビタミンAとか、D剤の薬剤料が増加傾向にあるということが、それぞれ医療機関とか、調剤薬局で見られるというデータでございます。

 どういうものがふえているのかということは、125ページに示させていただいておりますが、実際に多くを占めているのは、骨粗鬆症等の治療に用いる合成ビタミンD製剤とか、そういうものであるというデータをお示しさせていただいております。

126枚目からは、うがい薬の関係でございます。

26年の改定で、入院中の患者以外の患者さんに、うがい薬のみを投与した場合には、処方料等が算定できない、しないというルールができました。

 その結果、どうなっているのかということを127枚目に整理させていただいておりますが、少し減っているとか、あるいは変わっていないとか、いろいろ解釈はあると思いますが、そういう状況でございます。

 これらにつきまして、128枚目に整理させていただいておりますが、医薬品の適正給付のあり方について、どのように考えるかということで、具体的には、今、3つ挙げました。

 1つ目は、一度に多量の湿布薬が処方されている例が一定程度あり、その状況が地域によってさまざまであることについて、残薬確認の観点も踏まえ、どのように考えるか。レセプトにおいて処方された湿布薬が、何日分に相当するか、記載することについて、どのように考えるかということでございます。

 2つ目は、脂溶性ビタミン製剤の関係でございますけれども、改定後の状況を踏まえ、どのように考えるか。

 3つ目は、うがい薬の関係でございますが、データも限られているので、引き続き状況を注視していくこととしてはどうかと、整理させていただいております。

 その他の3点目として、129枚目からは、経腸栄養の関係について整理させていただいております。

130枚目のスライドに記載させていただいておりますが、1つ目の●でございますが、胃瘻患者等に対して用いられる経腸栄養用製品につきましては、医薬品として薬価収載されているものと食品がありますが、どちらを使用するかについては、臨床現場の選択に委ねられている状況でございます。

 2つ目にありますように、医薬品として処方される場合には、薬価基準に従って、薬剤給付がされる。入院時に食品(食事)として提供される場合には、入院時食事療養費等が支給されるということで、○1と○2、医薬品の場合と食品の場合では、給付額が大きく異なっているところでございまして、下に具体的な例をお示しさせていただいております。

 さらに○2の場合ということで、食品の場合、特別食加算の要件を満たしているときには、特別食加算を算定することができるという形になっているところでございます。

131枚目は、入院時食事療養費等の概要を整理させていただいております。

 そういう状況を踏まえまして、132枚目に簡単に整理させていただいておりますが、論点のところで、医薬品である経腸栄養用製品との給付額の均衡を図る観点から、例えば食品である経腸栄養用製品のみを使用して栄養管理を行っている場合の入院時食事療養費等の額について、一定の見直しをしてはどうか。あわせて、特別食加算を算定できる取り扱いについても、見直すこととしてはどうかということでございます。

 2つ目で、今後、食品である経腸栄養用製品の市場実勢価格を把握する仕組みを導入し、入院時食事療養費等の額について、市場実勢価格に応じた設定とする仕組みとしてはどうかということでございます。

 3点目としては、今後の中長期的な課題になろうかと思いますが、今後の課題として、入院時食事療養費について、実際のコスト等を把握した上で、適切な水準を設定することについて、どう考えるかということでございます。

 長くなりましたが、以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 松本委員、お願いします。

○松本委員

 長い説明で、お疲れのところ、申しわけないのですけれども、若干の質問と意見を述べさせていただきます。

36枚目のスライドの論点の上の○に、より評価をするとか、新たに評価するということがございますが、これは今までのものの評価を下げることにつながるのでしょうか。質問でございます。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 御質問ありがとうございます。

 どうするかは、最終的にはここの御議論かと思いますけれども、例えば30枚目にお示しさせていただきましたが、高機能のところは、評価していく一方で、これまでのところとか、機能が劣るところは、若干点数を下げていくというのが、これまでの考え方ですので、それも含めてどう考えるかということになろうかと思います。

○田辺会長

 松本委員、お願いします。

○松本委員

 そうしますと、より高度な機器の導入の促進につながらないでしょうか。

 より高度な機器の導入につながると思いますので、その辺は、慎重に考えていかないといけないという意見表明にさせていただきます。

 続いて、98のスライドでお願いをいたします。10対1のデータ提出でございますけれども、現在、7対1のいわゆる重症度、医療・看護必要度で議論を進めている状況の中で、拙速過ぎるのではないかと思われます。もう少し様子を見るべきと、要件化には反対をさせていただきます。

 続いては、113のスライド、コンタクトレンズでございますけれども、1点、質問させていただきます。論点の上の○にあります、不十分・不透明な具体的な事例を保険局ではつかんでいるのでしょうか。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

111枚目のスライドの右の四角の枠で囲んだものが、直ちに不透明か、不十分かというのは、いろいろ捉え方があるかと思いますけれども、例えば診察されたときに、自分のところでの交付のためにしか、処方箋と言うのかどうかあれですが、指示箋みたいなものを発行しないという形とか、そもそも他の医療機関で交付を希望するような患者さんは、ほかの眼科に行ってもらって、自分のところでしか交付をしない、受けない人しか診察しませんということがいいのかどうかも含めてですけれども、こういう例もあるので、御議論していただく必要があるということで、示させていただいております。

○田辺会長

 松本委員、お願いします。

○松本委員

 下の○にあります、院内交付の割合によって、すぐさま評価に差を設けるというのは、十分な説明をしても、院内での交付を希望する患者さんもおられると思いますので、即座に差を設けることには反対をいたします。

 続いては、128のスライドでございます。いわゆる医薬品の適正給付のことでございますが、その土地の気候とか、医療機関までの距離など、環境によって、処方などはかなり異なってくると思いますので、一律に規制することには反対をさせていただきます。

 最後の132ページでございますけれども、医薬品にするか、食品にするかというのはともかく、ある程度、患者さんの状態、病態によって、製品の選択は行っているつもりでございます。イメージとして、買いたたいて、安い製品のみを使うということがあるのかもしれませんが、そういうことはなく、納入価と保険給付額の差はほとんどない状況でございます。したがって、入院時食事療養費等の減額には反対をさせていただきます。

 以上、若干のコメントをさせていただきました。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。万代委員、お願いします。

○万代委員

 幾つか意見を申し上げます。

36ページの放射線診断に関するものでございます。松本委員が言われた懸念は、確かにそのとおりだと思っております。

 論点の1つ目の○で、特にMRIのほうでございます。3テスラ以上のMRIにつきましてですが、これはいろんな疾患に適用されている場合があると思います。その中で、例えば脳の精査をする、あるいは循環器の精査をする中で、3テスラが本当に適当かという場合がございます。したがいまして、一律に高機能の診断装置による診断を評価するということではなくて、例えばこの疾病においては、3テスラで高く評価する、これについては、3テスラでやっても、それ以下のテスラでやっても、同じ評価をする、そういった色分けをされたほうが、先ほどの松本委員の懸念も含めまして、より適切な運用になると考えております。

 それから、在宅自己注射指導管理料でございます。49ページの絵がわかりやすいと思いますので、論点に従って、例1、例2という形で提案いただいております。提案の方向としては、非常にすばらしいと評価してございますが、ただ、現在、インスリンの強化療法というものがございまして、1日にインスリンを3回も4回も打って、その患者さんのインスリンの分泌状態にあわせて、より的確なインスリンを打つことで、患者さんがインスリン治療法から離脱できるという、そういった時代になっているわけでございますので、そういう強化療法は、非常に回数が多く、材料を使いますので、そこの部分については、分けるという方向性が非常に重要だと思います。ですので、例1、例2とございますけれども、どちらかというと、私は例2のほうが、より実際に即した評価、あるいは衛生材料に対する負担の強弱というのも、十分に反映できると考えております。

 疾患の医学管理については、ここは一律に書いてございますけれども、その中でも、例えば認知症があるとか、精神疾患があるとか、視力の状態であるとか、そういったことも加味した、めり張りのついた医学管理についての評価の差も必要だと考えております。

98ページのデータ提出に関しましては、私も拙速に行わないでいただきたいと思っております。段階的導入であるとか、十分な経過措置を設けることが必要だと思います。データを集めるという方向性については、全く反対するものではございませんけれども、導入についての拙速はしないでいただきたいということでございます。

128ページの医薬品の適正給付に関するところの1つ目の○でございます。特に湿布薬ということで、いろんな状況がございますし、かなり多量に処方されていることも、現場では間違えないと思います。

 ただ、その際、対応策としまして、レセプトにおいて処方された湿布薬が何日分に相当するかを記載することにつきましては、今、全量処方も可能でございますので、そういった場合には、後からレセプトに追加するというのは、なかなか難しいのではないかと思います。細かなところは、医事課ではないので、わかりませんけれども、そのように想像します。

 したがいまして、基本的には、処方のときに、1日何枚必要で、何日分かという処方の記載を原則にして、まとめて、例えば10袋、あるいは20袋という全量処方をする場合についてのみ、何日分に相当するかという形の記載をするほうが、事務作業が少なくて済みますし、全部記載することになると、また大変な混乱が起きる、大変な負担がかかると思いますので、そこら辺のところは、今、申し上げたような形にする。処方する医師が、これは何日分に当たるということを処方のときに書いて、それをレセプトに反映するという形のほうが、より適切だと思います。

 以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。安部委員、お願いします。

○安部委員

 ただいまと同じ意見ですが、128ページの湿布薬の日数について、レセプトに記載することに関しましては、調剤のレセプトに記載する際には、薬剤師が推測で何日分と書くわけにもいきませんので、これにつきましては、処方のほうに、しっかりした指示を書いていくような対応も必要だと思いますので、そこのところは、丁寧によろしくお願いしたいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。花井委員、お願いします。

○花井委員

51ページの在宅自己注射指導管理料に関する課題と論点ということで、万代委員がおっしゃったとおり、これは非常にいい提案だと考えています。

49のスライドで、例1か、例2か、どちらかというと、例2というのは、全くそのとおりではないかと思います。

 申し上げたいのは、スライドで言うと、46ページになりますけれども、在宅療養指導の中で、在宅自己注射だけが突出して多くある理由は、ほかの在宅管理の指導を見てわかるように、自己注射指導管理料だけ、これまでの在宅という文脈とは違うものになっていると思います。これは80年代の初頭に、医師が医療行為をすることを換算するのはどうなのかということで、いろいろ議論した結果、80年の初頭に大分認められていて、要はセルフケア・セルフコントロールということが定着する以前の時代、20年間、今世紀に入るまで、これが一定の役割を果たして、これだけ定着してきたと承知していて、そういう意味においては、いわゆる使うツールも、当時はまさにお医者さんの道具を患者が使ったというイメージのものだったものが、今やメーカーさんのほうも、患者が使うことを前提にツールも開発されており、技術としては、患者がセルフコントロールするものというふうに、いわゆるメーカーのほうもそうですし、現場もそうなっていると考えています。

 そうしたことから、48ページのスライドで整理していただいていますが、前回の改定のときに、回数ということがクローズアップされたわけですが、今、万代先生がおっしゃったとおり、一番上の緑の枠は、まさに量と物で価格も決まっているから、幾らというのはわかる話ですし、回数に応じてというのは、分離すれば、より明確だと思います。

 真ん中については、初期加算は重要ですけれども、その後の技術的な訓練というのは、ほぼ要らないというか、そんなに重要ではなくなっていると考えていて、初期の練習が一番重要です。

 私どものように、幼児に対する母親の練習という、一番困難な訓練だと思いますけれども、それも5~6回の練習でマスターして、それ以降は、注射自体の練習というよりも、全体、すなわち、一番下の医学管理の評価が重要になっていて、まさにセルフコントロールを医療者がサポートしてくれるというのが、今の実態だと承知しているので、それが重要となります。

 1つ指摘しておきたいのは、先ほど万代先生から一定程度指摘がありましたけれども、例えば下の点線の括弧で、併算定できないものもあれば、一方で、前回のときに、宇都宮課長がおっしゃっていましたけれども、いわゆる透析の移行をしないようにという管理料は、一定程度自己注射指導管理料とかぶっていますという説明を、医療課長も説明したとおり、その分をほかで評価されている疾病と、されていない疾病が混ざっていることになりますので、ピンクの部分については、疾病前にちゃんと見て、実際上、医学管理をちゃんとしているところに、点数を評価するという形でやっていただいたら、いいのではないかということです。

 踏み込んだ話になりますけれども、在宅自己注射は、在宅という言葉を外して、自己注射指導管理料でもいいのではないかぐらいに思っていて、90年代の終わりぐらいには、一定の役割、この枠組みの役割を果たして、2000年ぐらいに来て、今、3段階組で整理して、それぞれの意味づけについて、ちゃんと見ていくという時代が来たのではないかと思って、大変評価していますので、特にピンクの部分をちゃんと調べる。つまりかぶっている部分と全くない疾病があるところを分けるということは、賛成ですので、ぜひやっていただきたいと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。中川委員、お願いします。

○中川委員

 まず質問ですが、117ページと118ページは、どういう意図で資料を提出したのか、お聞きしたいと思います。

○田辺会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中井薬剤管理官

 薬剤管理官でございます。

 この資料につきましては、ここに書いてありますように、1120日の社会保障審議会医療保険部会に出した資料をそのまま載せているわけでございます。これはもともと116枚目に医療保険部会での議論ということで、指摘のことを書いてございますので、その関連でということで、出した資料でございます。

○田辺会長

 中川委員、お願いします。

○中川委員

 そのまま出したということですが、どうしてそのまま出したのですかと聞いているのです。

○中井薬剤管理官

 どうしてそのまま出したかということでしょうか。

○中川委員

 はい。

○中井薬剤管理官

 社会保障審議会においては、どういうものがあるのかということで求められたので、出したということです。

 中医協においては、今回、社会保障審議会医療保険部会において、市販用類似薬について云々という御指摘がございましたので、その関連の資料ということで、スイッチOTCがあるということを示すために、示した資料でございます。

○田辺会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

スイッチOTCを拡大・推進して、公的保険給付範囲を縮小するという意味ではありませんね。

○中井薬剤管理官

 スイッチOTCを推進するという趣旨では一切ございません。

○中川委員

 給付範囲の縮小はどうですか。

○中井薬剤管理官

 給付の範囲、制度にかかわることについては、医療保険部会で御議論いただくことになってございますけれども、個別のもの、どういう給付をするのかということに関しては、中医協の御議論でございますので、そこは御議論いただきたいと考えています。

○田辺会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 こういう資料を出されると、公的医療保険給付範囲の縮小を目指しているように誤解されますので、気をつけていただきたいと思います。

 それと、話を繰り返しますが、121番の1回の処方で、湿布薬が10袋以上を超えて調剤するという状況は、このグラフを見ると、皆さんお気づきだと思いますが、いわゆる豪雪地帯に多いと見えませんか。こういう見方も大事だと思います。全国一律でどうこうということではなく、やはり優しい医療を考えなければいけないと思いますので、その辺のことも御考慮いただきたいと思います。

 次に、36番の放射線診断等に関する課題と論点についてなのですが、論点の最初の○のところで、高機能の診断装置による診断をより評価することとしてはどうかということには、賛成です。

 その後「また」以下なのですが、その際に、新たに施設共同利用での撮影を評価してはどうか。これは「また」以下を要件にするという意味ですか、それとも別に評価するという意味ですか、どちらですか。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 この論点につきましては、今の中川委員はもちろんですけれども、その前の松本委員、万代委員からも御指摘がありましたが、高機能のところを評価していくと、そういう機器がまたたくさんふえて、日本はそもそもCTが多いのにとか、そういうところの御懸念の御指摘もあったかと思いますので、評価しつつ、例えば効率的な利用ということであれば、共同利用などはPETでは入っていますので、そういう要件を考えるとか、あるいは万代委員からも御提案がありましたけれども、全てのケースに認めるのではなくて、こういう疾患で、こういうときには、高機能が必要だけれども、そうでないときもあるというお話もありましたので、そういう形で、評価しつつ、ある一定の要件は考えていかなければいけないのではないかという御提案をさせていただいております。

○田辺会長

 中川委員、お願いします。

○中川委員

 今の状況を考えると、64列以上のマルチスライスCTとか、3テスラ以上のMRIを必要もないのに買う医療機関はないのです。必要だから買うのですけれども、その評価が低いというのは、現場の痛切な感覚です。

 その上で、30番の下にありますが、24年度追加施設基準のところの※、放射線科を標榜している病院であることや、画像診断を専ら担当する常勤の医師が1名以上配置されているという、この辺は、算定することが難しい状況をたくさんつくっています。これはある程度緩和すべきだと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。松原謙二委員、お願いします。

○松原謙二委員

 今のスイッチOTCの話も含めて、医療保険部会で指摘があったという、2つの文章でありますが、これで全てですか。もしそれが全てで、合意事項であれば、当然基本方針の中に盛り込まれていると思いますが、基本方針の中に入っていますか。

○中井薬剤管理官

 薬剤管理官でございます。

 基本方針の中には、直接的には書いてございません。御指摘のとおりでございます。関連するところということで、医薬品の適正使用のところがありまして、残薬についての御記載、将来を見据えた課題の中に、セルフケア・セルフメディケーションということが書いてあるだけでございます。

○松原謙二委員

 将来を見据えた課題の中のセルフメディケーションが、これだとおっしゃるのですか。そうではないですね。社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で合意したものがないにもかかわらず、なぜこういう文章を中医協にお出しになるのですか。これは意味がないです。

○田辺会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中井薬剤管理官

 薬剤管理官でございます。

 確かに御指摘のとおり、社会保障審議会医療保険部会において、特に合意したということはございませんけれども、事務局といたしましては、115枚目にありますように、骨太の方針に書いてあること、規制改革実施計画において書かれていることも踏まえまして、また、医療保険部会の御議論も踏まえまして、今回これを提出させていただいたということでございます。

○松原謙二委員

 医療保険部会では、このことは承認されて、結論になっていないということですね。基本方針には入っていないのですね。それが確認できれば結構でございます。

 このときに、恐らくスイッチOTCの議論を何回かしております。例えば消炎剤については、急性の腎炎を起こすことがあるので、単純にこれを広く使うことは、国民の皆さんが知らずに飲んでいて、腎臓を悪くして、透析になることがありますので、大変なことだと思います。そういうことも踏まえて、スイッチOTCというのは、十分に議論した上で、行わなければならないと思っています。

 また、湿布薬でございますが、70枚というのが、多いか、少ないか。例えば1カ所について、朝1枚はり、夕方1枚はり、お風呂上りにはるということをすれば、30日で70枚ぐらいはすぐかかります。ただ、万代委員もおっしゃったように、全てにおいて日数を書くのは、難しいところがございます。70枚を超えて、71枚以上の場合には、記載するということは、考える余地もあるかもしれませんが、何日分というのは、はっている日、はらない日もあります。今、中川委員が申し上げましたように、豪雪地帯、寒い地方では、お年寄りは神経痛があって、痛い方もいらっしゃいます。楽な日は使わない、痛い日に使うという使い方をするからこそ、何日分という記載がなく、今までやってきておりますので、そのあたりを簡単に考えて、日数を書けというのは、おかしいのではないかと思います。

 うがい薬ですが、データを見ましたら、うがい薬だけをもらいに来る患者さんは、ほとんどいるはずがありません。医者が診て、喉がすごく赤くなっていたり、膿がついていたり、うがい薬が効果的だろうというところに対して、うがい薬を出しているわけであります。それが処方です。そこを十分に考えていただきたく思います。

 また、ビタミンDでございますが、骨粗鬆症の治療には、ほかのもっと高い薬がございます。そういった薬の中には、例えば何年間か使うと、歯を抜くときに、骨が溶けたり、いろんな副作用がございますから、それぞれその状況、歯の状況、その他の状況に合わせて、医師が処方しております。簡単にビタミンDがだめだという話になりますと、結局、そういった難しい薬が、投薬されるのがふえるだけだと思いますので、ビタミンDが治療目的で使われている場合には、これはこれとして、大事にしなければならないと思います。

 栄養補給については、その判断が難しいですが、簡単に言えば、昔と違います。食事が非常にいい状態になっています。だから、ほとんどが骨粗鬆症の治療だとすれば、将来において骨折がなくなるためには、こういった基本的な治療から始めるのが一番よいので、難しい薬を注射したり、内服したり、週に1回飲んだりするような、高い薬を使う必要はないということも踏まえていただきながら、単純に脂溶性ビタミンが悪いという話ではないということを、1号側の皆さんにも御理解いただきたいと思います。

 以上であります。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。猪口委員、お願いします。

○猪口委員

 最後の132ページの食事療養費の件なのですが、ここの論点がよくわからないのですけれども、要するに経管栄養を食事療養費として投与する場合には、栄養剤の実勢価をまず調べる。調べた上で、この価格の設定について、もう一回見直すという意味でよろしいでしょうか。最初を見ると、まず見直しをしてと書かれているのですが、実勢価がわからないことになっているので、これは調べてから考えましょうという意味なのかどうかを教えていただきたいと思います。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 今、猪口委員から御指摘があった点につきましては、132ページの論点で申し上げますと、

2点目のところでございまして、1点目につきましては、医薬品のケースと食品のケースで、130ページに示させていただいておりますが、こういう状況について、どう考えるかということで、論点を示させていただいております。

130枚目のスライドは、時間の関係で、細かくは説明しませんでしたが、補足させていただきますと、薬品の場合ということで、1,800キロカロリーに換算していますけれども、実際の先生方の御経験からいくと、これはかなり多いと思います。そういう場合でも、一番安い製品でも、薬価の保険償還価格、公定価格で1日当たり1,065円、一番高いもので1,602円という状況になっております。

 それに対しまして、食品の場合につきましては、食事療養費ということで、1食当たり640円、1日当たり1,920円になっていることについて、どういうふうに考えるかと、論点を示させていただいているのが1点目でございます。

○田辺会長

 猪口委員、どうぞ。

○猪口委員

 これから経腸栄養製品の実勢価格を把握していくということでよろしいのでしょうか。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 今、申し上げましたように、それは2点目の論点ですので、2点目、3点目につきましては、今回の改定にかかわらず、あるいは次回ということもあろうかと思いますけれども、そういうことではなくて、保険償還価格の設定価格を見比べて、どういうふうに考えるかということを、今回、議論していただければと思っております。

 その状況によっては、実勢価格の調査とは別に、点数評価を見直すことがあり得るのではないかということで、お示しさせていただいております。

○猪口委員

 実勢価格をちゃんと調べた上で、もし変更するならば、変更していくということで、やみくもに下げるということではない形で、お願いしたいと思います。

○田辺会長

 ほかにいかがでございましょうか。中川委員、お願いします。

○中川委員

 中医協総-1の5番、6番、7番で、8番の論点なのですが、国際標準機構に定められた国際規格に基づく技術能力の認定を受けている施設において行われている検体検査について、さらに評価を行うこととしてはどうかとあります。これはDPCのときと同じで、臨床研究中核病院の二重の評価だと思います。どうしても臨床研究中核病院を診療報酬で評価したいのでしょうか。DPCのときにも言いましたけれども、これは一般財源による政策医療としての手当をするべきだと、一貫して思います。臨床研究中核病院の承認要件で、施設要件として、技術能力について外部評価を受けた臨床検査室、さらに特定機能病院の要件を参考に設定となっていますが、これを診療報酬でさらに評価するというのは、反対です。いかがでしょうか。

○田辺会長

 お願いします。

○横地専門委員

 専門委員の横地です。発言させていただきます。

 今、中川先生が御指摘のとおり、臨床中核病院に対する評価という点では、私も先生の御意見はごもっともだと考えます。

 ただ、今、中医協総-1の5番目のところで、検査加算が4段階で評価されている中の施設基準のところです。赤字で書いてある、外部の精度管理事業に参加していることというのが、今、要件としてなっているわけですけれども、これは日本医師会とか、我々検査技師会が実施している、検査の値に対するサーベイランスの要件になるわけですが、論点で言われている国際規格というのは、検査室そのものをマネジメントするような、試薬の品質管理だったり、検査のプロセスだったり、そういったところを要件として規定しようということで、設けられている基準であるわけです。

 実際に、今、この規格を取ろうとしている病院が少しずつふえています。これは医政局長からの通知があったという点もあるのだろうと思うのですけれども、必ずしも臨床中核病院だけが、今、取っているものではないということの御理解も少しいただきたいと考えます。

○田辺会長

 中川委員、お願いします。

○中川委員

 どう見ても、今の時点では、臨床研究中核病院だから、評価するとしか読めないのです。だから、今回の改定では、拙速だと思います。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 補足させていただきますと、これは別に臨床研究中核病院で取っているという話ではなくて、7枚目のスライドの下の右側に示させていただいておりまして、これは割合で書いてあるから、わかりにくいかもしれませんけれども、117の施設を調査した結果ですが、15を除きますと、102の医療機関の23.4%が、こういうものに対応しているということでございます。

 今、専門委員からも御指摘ありましたが、普通、外部精度管理というと、検体を送って、検査のデータをサーベイしていくというか、チェックしていくのが基本ですけれども、ISOの関係でいきますと、もちろんそういうことも大事ですが、手順書の作成とか、検査手順の標準化とか、あるいは検査室の環境性を整えるとか、まさに相対的に検査の質の向上を図っている仕組みでございまして、そういうケースであれば、さらに質の高い検査とか、診療が期待されるのではないかということで、別に臨床研究中核病院に限ったわけではなくて、そういうものを整えている医療機関を評価することについて、どう考えるかと示させていただいておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○田辺会長

 中川委員、いかがでしょうか。

○中川委員

 丁寧に考えましょう。

○田辺会長

 ほかにいかがでございましょうか。平川委員、お願いします。

○平川委員

 ありがとうございます。

 今の検体検査管理加算の関係でありますけれども、外部の精度管理事業に参加して、どういう形で効果があるのかというところが、資料としてあまり出されていないような気がいたしますので、どういう効果があったのかということを、今日はいいですけれども、説明をいただければと思いますし、場合によっては、これは標準化できるのであれば、一定の病院については、要件に入れていくことも、検討されるべきものではないかと思いました。それは意見として申し上げます。

 あと、胃瘻の関係です。この間、胃瘻の造設に対して、見直しをしていくという方向性については、正しいのではないかと思います。ただ、具体的に前回の診療報酬改定によって、胃瘻の造設がどれぐらい減ったのかということや、地域差があるのかどうかということも含めて、地域差のデータも出せるのであれば、出していただければと考えているところであります。ここに書いてある論点の方向については、この方向でいいと思います。

 以上です。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 検体検査管理加算の外部精度管理の関係ですけれども、基本的には1の40点から4の500点まで、全ての施設にかかっておりまして、何かデータをというお話でしたが、基本的に検査を精度管理していただいて、正確なデータが出なければ、診療するのも大変なわけですし、どちらかというと、基本的なところとして入っていると、御理解いただければと思います。これで成果が出たとか、やっていないから、成果が出ていないというものではないという御理解をいただければと思います。

 胃瘻の関係につきましては、データをということで、口頭で申し上げさせていただきますと、改定前の25年5月分の社会医療のデータですと、算定回数が5,813件でございます。改定後の27年5月分は、NDBデータで拾っていますけれども、4,119回ということで、2年前に比べて、70.9%ぐらいになっているという状況がございます。地域別のデータは、なかなかとりにくいのですけれども、全体としては、そういう状況になって、減少しているのではないかというところでございます。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。平川委員、どうぞ。

○平川委員

 最初の検査のところですけれども、できれば、要件という方向で、検討していただければいいのではないかと思います。加算1、2、3、4、どの病院でも対応できる形になりましたら、そういう方向で検討していただければと思いました。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。松原謙二委員、お願いします。

○松原謙二委員

 胃瘻の件なのですが、本当に必要な人に行うべき手術だと思います。そのために嚥下が戻れるような方、あるいは元気になれる方にセレクションして使うという考え方、今、平川委員もそのようにおっしゃったと思います。大賛成であります。胃瘻を入れたまま、認知症が非常に重度で、ベッドに縛られて、栄養だけ入れられている。これは御本人にとっても大変不幸なことであります。そのような形にならないように、本当に必要な方に胃瘻を使えるような仕組みに、中医協で考えていくべきだと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょうか。幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 先ほどから出ておりますが、スライド36の論点のCTMRIの評価について、スライド30にありますように、前回改定でより高度なCTMRIでの撮影は評価されており、今回も同様に評価するという提案ですが、機器の機能の向上等の変化があったのでしょうか。それとも、ただ増点するという提案でしょうか。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 例えば機器の機能が上がったのかという御質問でございますが、特にそういうことではなくて、評価の方向をもうちょっと拡大していくというか、そういう考え方がとれないかという御提案でございます。

○田辺会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 機能の向上がないのであれば、前回改定で対応されておりますので、今回改定で改めて対応する必要はないと思います。

 ほかの論点についても、コメントさせていただきます。スライド63の糖尿病性腎症の重症化予防は、非常に大事な観点だと思いますが、既に現行の糖尿病透析予防指導管理料の算定要件として、運動指導を行うことが含まれておりますので、これは当然の要件ではないかと思います。

 これに関連して、今年度から全保険者が行っているデータヘルス計画では、糖尿病の重症化予防について、多くの保険者が取り組んでおります。

 成功事例としては、広島県呉市です。国保ですが、呉市の医師会と連携して重症化予防を行った結果、透析をかなり予防できたという成功事例が挙がっております。これを横展開するため、国も補正予算を計上しているという現状があります。

医師と保険者が連携して取り組むことにより、糖尿病の重症化予防がより一層推進され、またデータヘルス計画もより効果的になると思いますので、重症化予防を評価する際に、保険者との連携ということを要件とすることを検討していただきたいと思います。

 また、先ほどから議論になっております、医薬品の保険給付に係る論点ですが、スライド115にありますように、骨太の方針2015、また規制改革実施計画でも検討することについて指摘されておりますが、中医協の立場としては、どういう位置づけになるのでしょうか。○田辺会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中井薬剤管理官

 薬剤管理官でございます。

 見直しを検討すると書いてございまして、大きな制度については、医療保険部会で御議論いただくということであります。

 従来はそういう方式でありますけれども、細かいというか、個別のものについて、どういった保険給付をするかということに関しての議論は、中医協で御議論いただければと考えてございます。

○幸野委員

 ありがとうございます。

 中医協は、技術的な議論をする場でもございますので、医療保険部会等に、方向性を具申することはできるという理解でよろしいですね。

○中井薬剤管理官

 はい。

○幸野委員

 わかりました。

 その前提で、考え方を述べさせていただきますと、私どもの政策提言でも行っているとおり、ビタミン剤、湿布薬、うがい薬は、保険適用から除外すべきだと主張させていただきます。

 その上で、質問ですが、スライド123に、前々回の改定で、単なる栄養補給の目的でのビタミン剤の投与は、算定不可としたことが示されておりますが、単なる栄養補給目的での投与ということは、レセプトでは判断できるのでしょうか。

○中井薬剤管理官

 薬剤管理官でございます。

 本件につきましては、留意事項通知を出してございまして、そこに書いてあることを読み上げますと、ビタミン剤に係る薬剤料が算定できるのは、医師が当該ビタミン剤の投与が有効であると判断し、適正に投与された場合に限られるものでありと言ってございます。それから、算定する場合には、当該ビタミン剤の投与が必要かということを判断した趣旨を具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載しなければならないと書いてございます。ただし、病名によるビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断できる場合は、趣旨を診療報酬明細書に記載することは要しないということです。

 まとめますと、診療報酬明細書に何らかの理由を書くということ、その場合において、例外規定がございまして、病名により、必要かつ有効と判断できれば、必要ないということにまとめてございます。

○田辺会長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 食事から摂取できる場合でも、医師の判断により、処方できるということでしょうか。○中井薬剤管理官

 食事から摂取できる場合、絶対にだめということを言っているわけではございませんが、摂取が困難な場合ということで、幾つか例示を出しています。ただし、それ以外の場合にも、医師が必要と認める合理的な理由があれば、構わないということになってございます。

○幸野委員

 わかりました。

 今の回答を受けて見解を申し上げますが、食事から摂取できる場合は、ビタミン剤は、算定不可とすべきだと思います。

 疾病名を明確にすれば、理由を記載する必要はないとおっしゃいましたが、疾病名は、明確に限定できるのでしょうか。

○中井薬剤管理官

 それらについても、今後の御議論かと思いますけれども、何らかの例示を示すことは可能であると思ってございます。

 それから、先ほどは失礼いたしました。食事から摂取できない場合と、例示が幾つか書いてありますけれども、食事から摂取が困難な場合であるとか、できない場合ではなくて、不十分になってしまう場合についても、明確な理由を出していただければ、算定可能ということになってございます。

 繰り返しになりますけれども、例示においては、摂取できない場合という限定的なものではなくて、摂取が困難な場合、不十分な場合についても、可能ということになってございます。

 先ほどの答えに関しましては、どういったことをするかというのか、御議論でございますけれども、何らかの例示を示すことは可能だと思っております。

○田辺会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 ビタミン剤を投与できる疾病名は、明確にすべきだと思います。 次に湿布薬についてですが、湿布薬は保険適用から除外すべきということが、基本的な考え方です。

 その上で、まずは1回の処方上限を定めるべきだと思います。いろいろデータが示されておりますが、処方の状況からも、5袋が一番多い処方であることを考えると、1回の処方は、70枚あたりを上限とすることが妥当だと思います。また、70枚が何日分に該当するのかについても、レセプトへの明記を義務づけることが必要だと思います。

 また、70枚を超える処方を行う場合は、多部位にわたる治療が必要等の理由もあろうかと思いますので、このような場合は、明確な理由をレセプト、明細書に記載する要件をつけるべきだと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 中川委員、お願いします。

○中川委員

 幸野委員は、中医協が医療保険部会に意見を具申できるとおっしゃいましたけれども、事務局それでいいですか。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 法律とか、ルールで、そういう整理がされているものはございませんので、状況に応じてということになろうかと思います。

○田辺会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 仕組みとして、中医協が意見を取りまとめて、医療保険部会に何かを言うということは、議論の流れが逆向きだと思います。幸野委員、それで御了解いただけますか。

○幸野委員

 骨太の方針で検討されていることは、技術的な事項も含まれていると思いますので、中医協で議論した内容を提案することも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○田辺会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 戻すのではなくて、中医協で決めると御理解いただきたいのです。そういうふうに思います。

○幸野委員

 決めるのではなくて、中医協としての検討内容を提案するということです。

○中川委員

 医療課長、どうですか。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 基本的には、中医協で、中医協の所掌の範囲を議論していただいて、決めていただくとか、もちろん諮問答申の関係とか、あるいは大臣の意見具申ということもあるかもしれませんが、そういう中で、中医協でこういう議論があったということを、医療保険部会に出すことは、そういうこと自体を否定するものではないので、可能かと思います。

 補足して御説明させていただきますと、今のお話の始まりというのは、薬の関係で、保険の給付の外にするか、しないかとか、そういうところからの御議論で始まっていると思いますが、先ほど中井管理官からもお答えしていると思いますが、制度的な話は、基本的に医療保険部会でやっていただくということですけれども、個別具体的な事項、技術的な事項は、中医協で議論するということがあります。

 そのときに、中医協で議論するのは、保険の給付外にするか、しないかというのは、議論を全くしてはいけないというわけではないですけれども、中医協としては、こういうケースについて、算定が可能なのか、不可なのか、包括の点数に含まれるのかということを御議論いただいて、例えば保険給付外にするかどうかということになると、いわゆる混合診療の問題も出てきますので、そういう制度的に絡んでくる話は、医療保険部会でしっかりやっていただく、そういう整理になるかと思います。

 そういうことで、前回のビタミン剤とか、うがい薬も、給付外にするとか、しないとかではなくて、算定不可にするという整理になっているかと思いますので、ここの御議論は、そういうところが中心になると思います。

○田辺会長

 中川委員、お願いします。

○中川委員

 ビタミン剤のことですが、幸野委員が先ほどおっしゃったことは、食事ができる人は必要ないととれました。普通に食事をしていて、いろんなビタミンが結果として不足して、病気になった。このために治療で出すのです。経口摂取できれば要らないと、乱暴に聞こえましたけれども、そういう意味ではないですね。

○田辺会長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 不足の程度にもよると思いますが、ビタミン剤というのは、医師から投与されなければ摂取できないものではないと思います。また、食事指導をするという方法もありますので、経口摂取が可能な患者については、ビタミン剤投与は、算定不可としてはどうかという提案です。

○田辺会長

 中川委員、お願いします。

○中川委員

 医師が、このビタミンが不足していて、こういう疾患になった、こういう症状が出ているという診断のもとに処方するのです。こういうビタミンが不足しているから、市販薬で売っているから、薬局に行って、買って飲みなさいということは、医療ではないです。それは完全に保険給付範囲の縮小につながりますし、ひいては、国民皆保険の形骸化になりますから、我々は明確に反対したいと思います。

 湿布薬もそうです。ただの湿布だろうというのは違います。高齢者の日常診療の中で、湿布薬がどれほど症状の改善、運動機能、その他の改善に役立っているか。これもぜひ御理解いただきたいと思います。

○田辺会長

 松原謙二委員、お願いします。

○松原謙二委員

 内科の立場から申しますと、例えば手が痛い、神経痛がある、そういうときに、高濃度のビタミンを投与することによって、痛みは明瞭に改善します。これは食事の量では足りない場合もあります。そこのところを判断するのが、ビタミンの投与であり、例えば病名をつけて、神経痛がある、あるいは神経の炎症がある、そういったところを早く治すために、ビタミンB12やビタミンB1を投薬するわけですから、これは世の中の一般が思っておられる、足りないものを補給するのではなくて、医師が処方するときには、治療のために用いているわけであります。だからこそ、病名がきちっとあれば、これについて給付を認めようということで、今までやっておりますので、単純に食事で足りるであろうという話ではないということを、御理解いただきたいと思います。

 また、はり薬につきましても、痛いときには必要です。1カ所ではなくて、例えばお年をめしたら、腰にはり、肩にはり、それによって、その日1日動ける方もいらっしゃいます。そういった治療薬として、使っているということを考えていただきたいと思います。薬局に売っているから、自分で買えという話ではなく、私たちは、必要な人に、副作用が出ないように説明しながら、きっちり投薬しているわけでありますので、御理解いただきたいと思います。

 ただ、1回の処方で71枚、72枚、要するに70枚を超える量について、少し考えていただきたいという意見は、今、おっしゃっているとおりだと思います。そのようなときには、何かの記載をすることは賛成ですが、それ以下のときに一から十まで記載するとなると、先生方も大変ですので、御理解を賜りたいと思います。

 以上でございます。

○田辺会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 今のお二人のコメントについてですが、私は投与すべきではない、湿布薬を渡すべきではないと言っているわけではございません。

 ビタミン剤は、適用病名を限定すべきだという意見です。

 湿布薬についても、処方することを否定しているのではなく、本当に必要な量を適切に処方すべきという意見です。そのために、1回当たりの処方枚数を制限し、それが何日分に該当するのか、また上限以上に必要な場合は、理由を明記することが必要ではないかと申し上げております。

○田辺会長

 松原謙二委員、お願いします。

○松原謙二委員

 そのように理解していただければ、幸いであります。私たちは一生懸命患者さんのために治療しているわけであります。ただ、今、おっしゃったように、何らかの形でそれを担保することは、必要だと思っておりますので、そのような方向で、議論してまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

○田辺会長

 ほかにいかがでございましょうか。

 それでは、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑に関しては、このあたりとしたいと存じます。

 本日の議論を踏まえまして、引き続き、さらに議論を進めてまいりたいと思います。

 ここで、一旦休憩を入れたいと思います。

○宮嵜医療課長

 それでは、1050分ぐらいをめどに再開できればと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 

(休  憩)

 

○田辺会長

 それでは、再開したいと存じます。

 次に、診療報酬改定に向けた議論といたしまして「○個別事項(その7:勤務医等の負担軽減)について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。医療課長、お願いいたします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 お手元に中医協総-2の資料を御準備いただければと思います。

 勤務医等の負担軽減についてということで、6点ほどのテーマで、資料を準備させていただいております。

 1点目は、医師事務作業補助者についてということで、3枚目でございますけれども、前回の改定では、新たに加算1が設けられましたということを、整理させていただいております。

 下の施設基準の1のところにございますが、補助者の業務の行う場所については、80%以上を病棟または外来とするという要件が設けられているところでございます。

 4枚目のスライドが届け出の状況ですけれども、ふえてきている状況でございます。

26年のところを見ていただけますと、4割ぐらいが、新しく設けられた1の届け出をされている状況でございます。

 5枚目のスライドで、勤務医負担軽減策として、診療報酬項目の中で、どういうものが効果があったのかとお伺いしているのが、左側でございまして、検証調査の中では、医師事務作業補助体制加算というものが、効果があった、あるいはどちらかと言えば効果があったという割合が高くなっているところで、右側には、実際にお医者さんに聞いておりますけれども、補助者が配置された、あるいは増員されたことで、効果があった、どちらかと言えば効果があったというところが、高くなっているという状況でございます。

 6枚目に、基準について、改めて整理させていただいておりますが、最初の枠のところでは、補助者が行う業務というのは、こういうふうに整理されているとか、あるいは点数の構成がございます。

 右側の下に、改めてということでございますが、業務内容としては、医師の診療業務を直接的に支援する性格がより強いということで、業務内容ではなくて、業務の場所に着目して、要件が設定されているということで、繰り返しになりますが、勤務時間の8割以上が病棟または外来になっているところでございます。

 これらの状況を踏まえまして、論点ということで、7枚目に整理されていただいておりますが、1つ目の○で、医師事務作業補助体制については、加算1の実施をより推進することとしてはどうかということでございます。

 2点目として、その際、医師が患者の診療中に行う文書の作成の補助、診断書の作成補助とか、診療録の代行入力に限っては、実施の場所を病棟とか、外来などは問わず、加算1の対象に含めることとしてはどうかと、整理させていただいております。

 2点目は、夜間等における医師の負担軽減についてということで、9枚目でございますが、脳卒中ケアユニット入院医療管理料の要件、施設基準を示されていただいております。

 この中で、当該保険医療機関の中で、神経内科または脳神経外科の経験を5年以上有する専任の医師を常時1名置くこととなっているという基準がございます。

11枚目のスライドですけれども、脳卒中ケアユニットを有する施設は、徐々にふえてきていますが、まだ普及していない地域がございます。右側の絵を見ていただければ、依然として普及していない地域も多いという状況でございます。

12枚目には、画像の診断などの関係の点数を整理されていただいております。

13枚目でございますけれども、画像診断管理加算の要件、加算1、加算2について、改めて整理させていただいておりますが、この中で、算定要件のところを見ていただけますと、保険医療機関において、画像診断を専ら担当する常勤の医師が画像診断を行い、その結果を文書により報告した場合に、算定できることになっております。

 表の右側の一番下のポツのところにありますが、これらの断層撮影等の診断のうち、少なくとも8割以上のものの読影結果が、上記の医師により遅くとも撮影日の翌診察日までに、主治医に報告されていることという要件がありまして、緊急時とか、なかなか対応が難しいケースが出てきたことも含めて、どう考えるかということでございます。

 実際には、14枚目とか、15枚目にお示しさせていただいておりますが、ICT等を活用して、情報を共有する仕組みとか、15枚目ですと、病院外から院内の画像情報、その他の診療情報をアクセスして、いろいろ対応をできるという仕組みも、進んできているということです。

 もちろんセキュリティーとか、そういうものは大事ですけれども、こういうのも踏まえながら、例えばこういうことが考えられるのではないかということを、16枚目にお示しさせていただいておりますが、脳卒中ケアユニットにつきましては、現在、先ほど申し上げましたように、神経内科、脳神経外科の経験を5年以上有する医師が、院内にいなければいけない形になっておりますが、院外からでもサポートできるようなケースがあるのではないかということで、そういうときには、実際に院内にいる医師については、5年ということではなくて、一定以上の経験を有する医師という考え方ができるのではないかということでございます。

 また、下の画像診断管理加算について申し上げますと、院内に画像診断を担当する医師が常時いるというよりも、緊急時の場合などは、院外において、医療機関の常勤の医師が、夜間等の緊急時にICTを活用して、例えば自宅で読影を行うことも考えられるのではないかということで、論点に整理させていただいております。

17枚目でございますが、脳卒中ケアユニットにおきましては、夜間等にこうした医師が迅速に診療上の判断ができる場合には、院内に常時置くべき医師の経験年数を一定程度緩和してはどうか。

 2つ目として、画像診断管理加算につきましては、夜間等の緊急時に、迅速な読影を可能とするとともに、医師の負担を軽減する観点から、常勤の医師が、ICTを活用して、自宅で読影した場合も、院内での読影に準じて扱うこととしてはどうかと、整理させていただいております。

 3点目は、手術処置の時間外等加算1についてでございます。

19枚目に、前回の改定の概要をまとめさせていただいておりますが、加算の見直しがされまして、字が小さくて恐縮ですけれども、施設基準が設けられております。

 (1)(2)について、当該加算を算定する診療科が実施していることの1つとして、(1)では、予定手術前の当直の免除を実施していることというのが、要件になっております。例外としては、年に12回まではいいということです。

 (2)で、下記のいずれかを実施していることということで、交代勤務制とか、チーム制とか、あるいは時間外の手当の支給ということが書かれております。

20枚目、21枚目も、関連のことを整理させていただいております。

22枚目も前回の改定のときのスライドですけれども、特に2のところで、予定手術前には当直を組み込まないという配慮が必要で、例外として、年12日までというルールがあるところでございます。

 この状況について、どうなっているのかというのが、23枚目のスライドでございますが、左側の棒グラフで見ていただきますと、こういう加算を算定している施設のほうが、勤務状況が改善したとか、どちらかというと改善したという割合が高くなっているところですけれども、一方、施設基準の届け出をされているところというのは、約1割程度でございます。

24枚目は、加算1に含まれる項目の実施状況として、どういうことに、どのくらい取り組まれているのかということを見たもので、これも検証調査で報告させていただいておりますが、その中では、2つ目の欄の予定手術前の当直の免除というところは、比較的実施率が低いという状況になってございます。

25枚目のスライドですけれども、改めて時間外等加算1の要件について、整理させていただいておりますが、四角の中で、上のほうは、病院全体で実施する必要があるということで、その項目を記載させていただいております。

 下の2つの欄が、加算を算定する診療科のみで実施をするということで、予定手術前日における当直を免除するということは、算定する診療科のみで実施すればいいという形になっておりますので、右側の矢印の現状のところにもございますが、取り組みを実施しやすい一部の診療科のみでしか、実施されていない場合があるということで、病院全体の取り組みに至っていないケースがあるのではないかということで、この辺をどういうふうに考えるかということでございます。

 絵でわかりやすくということですと、26枚目になりますが、左側のような大きな病院では、例えば当直医師が多くて、10人いますけれども、そのうち、4つの診療科ではこの要件をクリアして、加算をとっているけれども、残りの3つの診療科ではとれないとか、残りの3つの診療科が幾つか入ってくる、あるいは病院全体に広げると、要件がクリアできなくなってしまうというケースが生じるということで、病院全体の取り組みが進まないという指摘がございます。

 それらも踏まえまして、27枚目の論点でございますけれども、予定手術前の当直の免除の要件について、勤務医負担軽減の取り組みを広げるため、病院全体で届け出をする場合に限って、予定手術の前日における当直等の日数の上限を、規模に応じて、緩和してはどうかという整理とさせていただいております。

29枚目からは、看護職員の負担軽減についてということで、看護補助者の評価を26年の改定でさせていただきました。こういう改定をしましたというのが、29枚目でございます。

 そうは言いつつ、30枚目ですけれども、これも検証調査からですが、看護補助者が配置されている病棟で、看護職員における業務負担感がどうかということを調べさせていただいておりますが、特に夜間の患者さんのADLや行動の見守り・付き添いというのが、負担感を感じているという御回答をいただいております。

31枚目のスライドは、一度御議論いただいているスライドですが、それぞれの項目について、真ん中から見ていただいて、左側は主に看護職員がやられている、右側は看護職員と補助者との共同とか、補助者が主に行っている業務ですけれども、下の事務的な業務とか、夜間の患者のADLや行動の見守り・付き添いというところは、看護師さんが主にやっているという状況でございます。

32枚目ですけれども、どういう形だと、看護職員の負担軽減に効果があったかということを検証調査で聞いておりますが、枠で囲ってあるところで、夜間での看護補助者の配置とか、病棟クラークの配置というのが、効果があったとか、どちらかと言えば効果があったという御回答の割合が多いということです。

32枚目の右側ですけれども、体制加算の届け出施設は、2,642ということで、医療機関、病院の4分の1ぐらいだと思います。

33枚目のスライドですが、上の点線で囲ってある枠は、医政局で出していただいている通知ですけれども、その他の下のところを見ていただきますと、診療報酬請求書の作成等々、いろいろ例示が書いてありますが、こういうものは、医師とか、看護師等の医療関係職種で行なっている場合があると指摘されているけれども、事務職員とか、あるいは看護補助者の積極的な活用を図って、医療関係職種の負担の軽減を図っていくことが望ましいという通知を出させていただいております。

 診療報酬のほうも、その下の枠の中で、上の通知を引用しながら書かせていただいているのですが、具体的にわかりにくいという御指摘もあるところでございますので、この辺も明確にしたほうがいいのではないかと考えております。

34枚目のスライドは、看護補助者の方を活用するのに、どういう取り組みが重要なのだろうか、必要なのだろうかというデータを記載させていただいておりますが、左側は、実際に看護補助者の活用を進める上で、こういうことで困っているとか、こういうところが困難であるということでございますが、ある一定の研修を受けた後ということで、右側では、こういうところが改善したということで、看護の管理者の方が、一定の研修を受けて取り組まれると、改善する部分がいろいろ認められるというデータでございます。

 これらを踏まえまして、35枚目のスライドでございます。論点としてまとめさせていただいておりますが、夜間の看護業務の負担軽減を促進するために、夜間急性期看護補助体制加算の評価を充実してはどうか。

 2つ目として、看護職員が専門性の高い業務により集中することができるよう、看護補助業務のうち、一定の部分までは、看護補助者が事務的業務を実施することができることを明確にしてはどうか。

 3つ目として、看護職員と看護補助者の業務分担を推進するため、例えば看護管理者が、看護補助者の活用のための研修を受けるなど、業務分担に資する取り組みが進むように促すこととしてはどうかと、整理させていただいております。

 5点目は、常勤配置についての取り扱いでございます。

37枚目のスライドで示しさせていただいておりますが、例えば常勤についてということであると、医師であれば、ほかもそうですけれども、週4日以上常態として勤務しており、かつ所定労働時間が週32時間以上である者というところが、診療報酬の中でいろいろ出てきます。

 一方、産前・産後休暇等とか、短時間勤務制度に関する規定というのは、今の時点では置かれていないという現状でございます。

38枚目は、そういうものがいろいろありますということで、拾っていますが、これもごく一部の例でございまして、常勤配置を求めているところがかなりあるということでございます。

39枚目は、育児・介護休業法の概要を示させていただいておりまして、育休とか、介護休暇の関係は一番上、次の枠で囲ってあるところは、短時間勤務等の措置ということで、3歳に達するまでの子を養育する労働者については、短時間勤務の措置、1日原則6時間を義務づけとか、そういうことも設けられているところでございます。

 そういう状況を踏まえて、どう考えるかということで、43枚目に論点として示させていただいておりますが、施設基準上求められる常勤の従事者が、育児・介護休業法に定める休業を取得した場合に、一定の期間、同等の資質を有する複数の非常勤従事者が、常勤換算方法によって施設基準を満たすことを、原則として認めてはどうかということでございます。

 2つ目は、育児休業後等の従事者が短時間勤務制度を利用して、正社員として勤務している場合、育児・介護休業法で定める期間は、週30時間以上の勤務で、常勤扱いとしてはどうかという整理をさせていただいております。

 2点目につきましては、介護保険では、前回の改定で、このような対応をさせていただいているという実態がございます。

 最後6点目は、その他ということで、認知療法・認知行動療法の関係でございます。

45枚目に概要を示させていただいておりますが、入院中以外の鬱病等の気分障害の患者さんにつきまして、一連の治療として、今は16回に限り算定できるというルールになってございます。

46枚目にありますが、対象となる患者さんは、10万人ぐらいいるのではないかと言われている中で、実際にそのニーズに対応できているのかというのが、左下のグラフですけれども、十分ではないところが8割近くある。実際、十分でない理由としては、実施する時間がとれないとか、診療報酬上の実施が、医師に限定されているということが、厚生労働科学研究のほうで出ております。

 一方、47枚目のスライドですけれども、認知行動療法の研修事業ということで、多職種向けの研修会がいろいろ実施されておりまして、表にもありますように、看護師さんとか、保健師さんが受けられているケースもかなりあると承知しております。

48枚目ですが、現在は、左側のように、1回目から最大で16回ですけれども、全て医師が行う仕組みになってございますが、例えば右側のように、知識・経験のある看護師等を活用する形式ということで、最初と最後はお医者さんと看護師さんが一緒で、途中は看護師さんが主体になってという形も、考えられるのではないかというところでございます。

49枚目に論点としてまとめてございますが、認知療法・認知行動療法に対応する医師の負担を軽減する観点から、例えば医師の指示のもと、この療法の知識と経験を有する看護師が、各面接の一部分を実施する形式のものについても、評価してはどうかと整備させていただいております。

 以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 万代委員、お願いします。

○万代委員

 おおむね提案の方向で賛成いたします。

 ただ、1つ、2つ、特にお願いしたいところがございます。

 7ページの医師事務作業補助者につきましては、○の2つ目の1行目の括弧内に、代行入力と書いてございますけれども、文書作成の補助の中に、ここに明示的にされているもの以外にも幾つかあると思いますので、代行入力等という理解で、させていただければと思っております。

18ページからの手術・処置の時間外等加算1についてでございますが、19ページに前回改定の資料が引用されてございますが、真ん中の施設基準のところに(1)及び(2)は、当該加算を算定する診療科が実施していればよいとございます。この文言につきまして、各地域において、解釈の仕方が異なって、非常に混乱を来したということでございます。これをどういうふうに解釈するかということにつきましては、昨年11月5日、診療科単位ではなく、届け出を行った診療科全体の合計で12日以内であるという、非常に厳しい条件が医療課から通知として出されてございます。それを見直すという意味で、今回の御提案があるということで、それは評価するものでございますが、もともとの19ページのものを読めば、この通知は少し筋が違うと考えております。

 そこで質問でございますが、26ページでございます。先ほど課長に説明いただいたように、左側の絵については、御説明はわかりましたが、論点といたしまして、病院全体で届け出をする場合に限ってという文言でございますけれども、私自身、幾つか解釈の仕方があると思いますが、課長のイメージとしては、病院全体で届け出をする場合というのは、いろんな場合があると思いますけれども、どういった場合を想定されているのか、教えていただければと思います。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 最終的には、御議論いただければと思っていますが、26ページの絵で申し上げますと、先ほど万代委員からも御指摘がありましたが、この絵ですと、4人の診療科で、年間12日以内というのが、現状でございます。それを5個とか、6個とか、7個とか、ふやすということではなくて、10人の当直医師全部というか、病院全体で取り組んでいくところについて、特に要件を見直した上で、取り組みが促進できるようにしてはどうかという御提案でございまして、個別に少しずつ拡大していくというよりは、病院全体の取り組みを評価してはどうかという考え方でございます。

○田辺会長

 万代委員、お願いします。

○万代委員

 混乱を来したと申し上げましたのは、例えば26ページの左側に当直医師という形がございますが、同じようなものになってございますが、これが例えば3つなり、4つの診療科で構成された当直体制という場合、全体で12日という通知になりましたが、今回、病院全体での取り組みということで、既に当直医師で、病院全体で取り組んでいる例が多うございまして、今、申し上げたように、病院全体で取り組んでいるにもかかわらず、全ての診療科の合計で、12日以内という形で通知をされたというところが、算定ができない原因並びに混乱のもとでございました。

 したがいまして、当直医師、点線の中の10人と言われましたが、その中で幾つかの診療科がある場合に、診療科ごとに12日以内であるという形の基準、それは先ほど来申し上げているように、前回の改定でもそう読めるわけでございますので、1つの例として、病院全体で取り組むという、病院全体の考え方については、今、申し上げたような方法が、1つあるべきと考えます。

 あと、右側の当直に従事する医師が少ない場合、それを広げるというおつもりではないというお話ではございましたけれども、地域によりましては、例えば診療科ごとに、少ない人数で、救急医療を支えている場合もございますので、そういったところに対する勤務負担の軽減につきましても、今後、十分に考えていくべきだと思っております。

 本日の話題とは少し異なりますけれども、今、申し上げた時間外とか、あるいは勤務の負担という観点から、救急医療の件で申し上げます。救急医療は、従来から申し上げているように、費用がかかるということだけではなくて、現場の負担もかなり大変でございます。特に高齢者の救急については、二次救急医療機関がそれを主に担っているということと、さらに地域包括ケア病棟のところでも、データが出されましたように、骨折の患者さんが多い。それに認知症云々が加わりますと、余計に手がかかるということでございますので、今後の議論でございますけれども、負担軽減という面からも、二次救急に対する高齢者あるいは認知症を持った方についても、十分に評価していくことが必要だと思っております。

 以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。猪口委員、お願いします。

○猪口委員

 何点か意見を申し上げたいのですが、最初の医師事務作業補助者がどんどん拡大しているということは、非常に喜ばしいことだと思っております。ただし、その前提が、救急医療管理加算をとっている。100件とか、200件とか、それが前提になっているのですが、医師事務作業補助に関しましては、例えば療養病床にしても、精神病床にしましても、必要な職種と考えられますので、そういう観点から、全病床に広げていただきたいと思っております。

44ページの常勤配置の考え方ですけれども、これは我々もずっと要望してきたことでもありますし、非常によい方向だと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。

 最後の認知療法・認知行動療法に関してですが、研修については、多職種向けの研修になっていて、今回、認められるのは、看護師のみということなのですが、これは質問ですけれども、臨床心理士が、今度、国家資格制度になりましたので、その資格を持っている人、もしくは精神保健福祉士も国家資格で、臨床の場に携わっておりますので、こういう人たちにも広げたほうがいいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 最後の点でございますけれども、基本的に医師の指示に基づく診療の補助の一環として、今回は看護師さんが参加することもどうかという提案をさせていただいておりますので、ほかの職種の御提案をいただきましたけれども、そこは慎重に検討させていただければと思います。

 心理士さんの関係で申し上げますと、実際に法律を通って出てくるというのは、30年以降になると思いますので、今回、仮にこれを見直したとしたら、施行状況も見ながら、次の改定のときに、さらにどうするかということを、御議論いたただけるといいと思っております。

○猪口委員

 ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。

○田辺会長

 ほかにいかがでございましょうか。松原謙二委員、お願いします。

○松原謙二委員

 1つ質問なのですが、医師事務作業補助者、病棟クラーク、看護の補助者は、何か資格の要件はありますでしょうか。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 今の御質問ですけれども、資格の要件ということで申し上げると、特に国家資格でこういうものが定められているとか、そういうことはございません。その上で、診療報酬の中で、こういう方たちを取り上げて、どう評価していくかということで、これまでもそうですけれども、例えば一定の研修要件を設けたり、そういうところは、これまでもありましたし、今後もいろいろ御議論いただくところだと思っております。

○松原謙二委員

 なぜ申し上げたかと言いますと、医師の事務作業者はもっとふやしていただきたい。急性期病棟において、勤務医の先生方は、医療以外の雑多なことがございます。もっとふやしていただいて、もっと手厚く評価していただきたいと思いますが、ただ、その裏側として、誰でもいいというわけではないと思います。患者さんの個人情報を扱うわけでありますので、そういったことをきちっと研修をしていただく、あるいは民間的にでも構いませんから、研修を終えたという何らかの担保が必要ではないか。それを終えた人を多く配置していただければ、勤務医の先生の負担は軽減すると思います。

 同じように、看護師さんが事務的処理を全てしなければならないというのは、資源の無駄であります。医療を行う看護師さんがそちらに集約できるように、病棟クラークも研修を受けて、きちんとしたことができるようになると思いますので、推進していただきたい。

 さらに病棟補助者の方も、看護師さんとともに動くのであれば、看護師さんの目がありますから、良いのですけれども、研修で何々しなければならないという要件をつくりながら、これももっとふやしていただきたい。特に夜間において、看護師さんに全てお願いするというのは大変であります。介護ヘルパーさんのように、看護ヘルパーさんのような考え方で、看護でヘルプできるような方を十分に養成して、給付することによって、病棟はもっと楽になるのではないかと思いますので、そういったことを踏まえながら、やっていただきたいと思います。

 また、少し余計なことを申しますと、介護保険のヘルパーさんになるときの資格の1つに、例えば病棟ヘルプ、病棟補助者をやっていたことを何年かにカウントするとか、そういったことをしながら、こういった業種が、社会においてもっと評価されるようにしていただけたらと思います。これは医療課の仕事ではございませんが、そこも視野に入れて対応して、なるべく多職種で病棟を守っていく。そのことによって、医師、看護師さんの仕事の負担を減らしていくことを考えていただきたいと思います。

 以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。平川委員、お願いします。

○平川委員

 ありがとうございます。

 医療従事者の負担を軽減する取り組みの評価の医師事務作業補助の関係でありますけれども、この加算はあくまでも医師が行う事務を助けるという意味合いでありますので、その範疇で運用されるようにということで、改めてお願いをしておきたいと思います。

43枚目のスライドで、常勤換算のところですが、常勤換算の見直しは、限定的な措置だということを確認するとともに、一定の期間、同等の資質とございまして、資質というのは、どういうことを想定しているのかよくわからないので、答えられれば、答えていただきたいと思います。この辺は大きなポイントだと考えております。資質というところだけ、質問させていただきます。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 御質問ありがとうございます。

 御案内のように、育児・介護休業法等で、休業を取得したときに、当然常勤の方がいらっしゃらなくなってしまうので、さらに常勤で雇用するというのは、ハードルが高いので、複数の非常勤の方でも対応できればいいのではないかという御提案で、そのときには、それぞれの施設要件とか、算定要件によって違うと思いますけれども、常勤の方にかかっていたある一定の研修を受けるという要件があれば、非常勤で、2人、3人で対応されるかもしれませんけれども、それらの方にも、同じ要件はかかるということで、同等の資質を有するという表現をさせていただいております。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。ほかにいかがでございましょうか。菊池専門委員、お願いします。

○菊池専門委員

 専門委員の菊池です。

 スライド35の看護職員の負担軽減に係る論点に関してですけれども、看護補助者の夜間配置を導入しました病院では、夜勤帯での認知症やせん妄の患者さんの見守り、日常生活援助の補助業務などを行うことで、看護師が行っている看護ケアの提供を助けておりまして、看護師が看護の本来業務に専念できる体制の整備に寄与しているということで、看護現場からの意見も寄せられております。

 看護補助者との業務分担の取り組みを促進するには、医療になじみのない看護補助者が急性期病院で実務に当たりますので、医療安全、感染対策、個人情報保護など、トレーニングに重点を置くことが必要です。院内での教育体制の整備や、業務内容の見直しを行うに当たって、看護管理者の意識が非常に重要ですので、事務局提案に示された方向で、取り組みを御検討いただきたいと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。

 それでは、ほかに質問等もないようでございますので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。

 本日の議論を踏まえまして、引き続き、さらに議論を進めたいと思います。

 それでは、次に「○平成28年度診療報酬改定への意見について(公益委員案の提示)」を議題といたします。

 これまでの1号側委員、2号側委員の意見書、中医協での議論等を踏まえまして、公益委員のほうで、厚生労働大臣に対する意見書の案を作成いたしましたので、これについて議論したいと存じます。

 公益委員案につきまして、便宜上、事務局より説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。保険医療企画調査室長、よろしくお願いいたします。

○三浦保険医療企画調査室長

 保険医療企画調査室長でございます。

 ただいま会長より御指示を賜りましたので、意見案につきまして、簡単に御説明を申し上げたいと思います。

 中医協総-3という資料でございますけれども、1枚目で、これまでの議論の概略を述べております。

 医療経済実態調査の報告をしたこと、あるいは薬価調査及び材料価格調査の結果が出たことを、1番、2番に書いてございます。

 3番目といたしまして、前回でしょうか、社会保障審議会医療保険部会及び医療部会において、取りまとめられました基本方針について触れた上で、3ポツの3つ目の○でありますが、本協議会は、基本方針に基づき、全ての国民が質の高い医療を受け続けるために必要な取り組みについての協議を真摯に進めていく。こうした基本認識については、支払い側委員と診療側委員の意見の一致を見たとまとめてございます。

 また、それに引き続きまして「しかし」とつないだ上で、このような基本認識のもとで、どのように28年度診療報酬改定に臨むべきかについては、次のような意見の相違が見られたとしております。

 「まず」ということで、支払い側の御意見といたしまして、政府の掲げる強い経済の実現はいまだ道半ばであり、医療保険者の財政は、深刻な状況に陥っている一方で、医療経済実態調査の結果では、医療機関等の経営は、全体としておおむね堅調に推移していること、足元で、賃金・物価に改善傾向が見られるとしても、長年にわたり、賃金・物価の伸びを上回る診療報酬改定が行われてきていることを考慮すれば、患者負担や保険者負担の増加につながる診療報酬の引き上げを行うことは、到底国民の理解と納得が得られないことから、28年度改定において、診療報酬はマイナス改定とすべきとの意見であった。また、26年改定と同様、薬価・特定保険医療材料価格の引き下げ分を診療報酬本体に充当せず、国民に還元すべきとの意見であった。

 「一方」ということで、診療側の御意見をまとめております。医療経済実態調査の結果などから、医療機関などは、総じて経営悪化となったこと、超高齢社会に対応し、地域包括ケアシステムの確立を含め、国民の安心・安全の基盤を整備するためには、過不足ない財源投入が必要であること、医療には、経済波及効果、雇用創出効果もあり、アベノミクスの成果による賃金上昇を医療従事者にももたらす必要があることから、必要な財源を確保し、診療報酬本体はプラス改定とすべきとの意見であった。

 また、薬剤と診察等とは不可分一体で、その財源を切り分けることは適当でなく、薬価等の引き下げ分は、本体改定財源に充当すべきとの意見であった。

 これを踏まえまして「本協議会は」とつないでおります。本協議会は、社会保険医療協議会法で、その組織構成や審議・答申事項等を法定されており、医療保険制度を構成する当事者である支払い側委員と診療側委員、そして、公益委員とで、医療の実態や医療保険財政等の状況を十分考慮しつつ、診療報酬改定の責任を果たしてきた。

 診療報酬改定は、基本方針に沿いまして、診療報酬本体、薬価及び特定保険医療材料価格の改定を一体的に実施することによりまして、国民・患者が望む安心・安全で質の高い医療を受けられるよう、医療費の適切な配分を行うものである。そのために、本協議会においては、これまでも医療制度全体を見渡す幅広い観点から、膨大な時間を費やし、データに基づいた真摯な議論を積み重ね、診療報酬改定に取り組んできており、これからもそのように取り組み続けていくとしております。

 最後の結びの部分でありますけれども「厚生労働大臣におかれては」ということで、平成28年度予算編成に当たりまして、診療報酬改定に係る改定率の設定に関し、適切な対応を求めるとしております。

 末尾の部分でありますけれども、診療報酬以外の施策について、幅広い医療政策を講じていく必要があるということを述べた文も足しておると、このようなつくりとなっております。

 以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 本日は、公益委員案に関しまして議論を行い、議論の結果、修正もあるとは存じますが、できれば、1号側委員、2号側委員、公益委員の間で合意を得まして、意見書を提出したいと考えているところでございます。

 それでは、公益委員案につきまして、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 松本委員、お願いします。

○松本委員

 おまとめいただきました公益委員の先生方、ありがとうございました。

 支払い側の見方をそのまま引用されていますので、我々は異なった見解を持っていますので、それを述べさせていただきたいと思います。

 裏に回りまして、上から5行目、中ほどでございますが「長年に亘り賃金・物価の伸びを上回る診療報酬改定が行われてきた」というところであります。恐らく財政審の資料より引用したものと思われますが、基準となる年をリーマン・ショック前の景気拡大期の2004年にしていること、また診療報酬本体で比較をしているために、賃金や物価よりも高い水準で推移しているように見えます。しかし、診療報酬全体、ネットで比較しますと、賃金や物価よりも低い水準で、診療報酬自体は推移をしております。

 リーマン・ショック後の2009年を基点といたしますと、1人の平均月間現金給与総額は、製造業では伸びているものの、医療では伸びておりません。医療機関では、全国で300万人以上が従事をしております。この人たちがアベノミクスの恩恵にあずかるためには、医療費ベースで、約4,700億円必要になります。

 以上、追加させていただきました。

○田辺会長

 ありがとうございます。

 ほかに御検討等はございますでしょうか。万代委員、お願いします。

○万代委員

 おまとめいただいて、ありがとうございます。

 1号側、2号側の意見の違うところを、すり合わせるのは難しいと思っておりますが、私も少しだけ意見を述べさせていただきたいと思います。

 2ページ、今、松本委員がおっしゃったところの段落でございます。その中で、松本委員も言われましたように「薬価・特定保険医療材料価格の引下げ分を診療報酬本体に充当せず、国民に還元すべきとの意見であった」とございますが、そもそも価格引き下げ分を診療報酬本体に充当した目的はどうであったかということも、お考えいただけばと思っております。

5,000億程度の財源があったわけでございますが、その半分以上を、医療の進歩であるとか、そういったことに充当してございますので、それが国民に還元されていないということに、直結するような文言につきましては、御考慮いただければと思っております。薬価財源は十分に国民の方に還元していると思いますし、中医協の議論の場で、その部分をどういうふうに使うかということを議論しないで、そのままマイナスにするということにつきまして、具体的に何に還元されるのかということも、本当はお示しいただいた上で、国民に還元すべきという文言を使うのであれば、使うべきであると思っておりますので、その点は御考慮いただければと思っております。

 以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかに御意見等はございますでしょうか。幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 1号側としては、異論ございません。

○田辺会長

 2号側から御意見をいただきましたけれども、ある意味で、ここは1号側のまとめに関するところでございますので、修文等の要請はございますでしょうか。

 中川委員、お願いします。

○中川委員

 結果として、両論併記になったことは、残念に思います。両論でなくて、どこかに一致点を見つけたかったです。ただ、日本の医療をよくしたいということでは一致していると、1枚目に書いてありますので、そこのところで、これからの中医協の議論を進めていっていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかに御意見等はございますでしょうか。

 それでは、ほかに御意見等もないようでございますので、この意見書案をもって、中医協から厚生労働大臣に対する意見書としたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田辺会長

 それでは、中医協から、厚生労働大臣に対する意見書として、提出したいと思います。

 本日は、大臣の代理ということで、保険局長にお渡ししたいと思います。

 マスコミ等の方は、カメラ撮りもできますので、撮影を希望される方は、前のほうにお越しください。

(田辺会長から唐澤保険局長へ意見書手交)

○田辺会長

 事務局におかれましては、中医協の総意としての意見でございますので、厚生労働大臣にお渡しいただきますよう、お願いを申し上げる次第でございます。

 本日の議題は以上です。

 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。

 それでは、本日の「総会」はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 


(了)
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代表: 03-5253-1111(内線)3288

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