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2016年1月18日 第4回介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会 議事録

老健局振興課

○日時

平成28年1月18日(月)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(12F)


○出席者

<委員>

田中滋座長、国政貴美子委員、小林司委員、小林光俊委員、小山秀夫委員、田中雅子委員、谷村誠委員(代理:山田雅人氏)、筒井恵子委員、筒井孝子委員、馬袋秀男委員(代理:林岳史氏)、平川博之委員(代理:本間達也氏)、藤井賢一郎委員、村上久美子委員、山田久委員

<厚生労働省>

三浦局長、濱谷審議官、日原総務課長、辺見振興課長、川島振興課課長補佐

○議題

(1)論点の整理(案)
(2)意見交換

○議事

○辺見振興課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会」第4回会議を開催いたします。

 本日は、御多用中のところ、またお足元が悪い中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 まず初めに、配付資料の確認をさせていただきます。

 「議事次第」をおめくりいただきまして、資料「議論の整理(案)」がございます。その他、参考資料1から6までありまして、参考資料6として「第2回検討会議事録」を添付しているところでございます。

 不備等ございましたら、事務局まで御連絡をいただきますようお願い申し上げます。

 あわせて、小山委員から御要請がありまして、介護プロフェッショナルキャリア段位制度のアセッサー講習テキストの冊子をお配りさせていただいているところでございます。

 さて、本日の出席状況でございますが、岩村委員、谷村委員、馬袋委員、平川委員が所用のため御欠席でございます。

 なお、谷村委員の代理といたしまして、全国社会福祉法人経営者協議会経営対策副委員長の山田様、馬袋委員の代理といたしまして、「民間事業者の質を高める」全国介護事業者協議会理事の林様に御出席いただいております。また、平川委員の代理といたしまして、全国老人保健施設協会副会長の本間様が御出席ということでございますが、現在、交通事情によりまして、遅れての御到着ということで御連絡を受けております。上智大学の藤井先生につきましても、遅れて御到着と連絡を受けているところでございます。

 それでは、これからの進行につきましては、田中座長にお願いしたいと思います。

 なお、報道関係の方々、冒頭のカメラ撮影はここまででございますので、何卒よろしくお願いいたします。

○田中(滋)座長 皆さん、こんにちは。雪の中、足元の悪い中、ありがとうございます。

 ここから、早速ですが、議事に入ります。事務局より、本日の議事の順に沿って説明をお願いします。

○川島振興課課長補佐 それでは、事務局より資料の説明をさせていただきます。

 まず、資料の説明に入ります前に、参考資料について簡単に触れさせていただきます。

 参考資料1でございます。これは、前回資料としておつけしていたものに、第3回でいただきました皆様方の御意見を、つけ加えさせていただいております。なお、第2回のヒアリング対象者からいただいた意見につきましては、除かせていただいております。全て委員の皆様方から出た意見という形でまとめさせていただいております。

 次に、前回の委員の方々からの御意見を踏まえまして、参考資料2、3、4、5について、つけさせていただいております。

 参考資料2につきましては、認知症ケアに携わる介護従事者の研修の実施状況について、まとめたものになります。

 次に、参考資料3です。こちらは、「障害福祉サービスにおけるサービス管理責任者について」の概要について、お示ししたものになります。

 続きまして、参考資料4につきましては、「東京都介護職員キャリアパス導入促進事業について」になります。こちら、東京都の事業になりますけれども、この事業につきましては、キャリアパスの導入に取り組む介護事業者に対する東京都独自の補助制度として創設されたものでありまして、この補助制度を受けるための一つの手段としてキャリア段位制度を活用するという形になっております。東京都のこの事業につきましては、段位制度そのものの促進を目的とした事業ではないというところに御留意いただければと思います。

 続きまして、参考資料5につきましては、第1回におきましても参考資料としてつけさせていただいているもので、キャリア段位制度に取り組むに当たっての支援策を取りまとめたものになっており、再度お示しさせていただいております。

 参考資料6が第2回の議事録になっております。

 参考資料につきましては、適宜、この後、議論の際の参考としていただければと思います。

 それでは、資料の説明に入らせていただきます。

 まず、この資料につきましては、第3回まで議論を進めていただいておりまして、その皆様方からいただきました意見をもとに、議論の整理という形で整理させていただいております。

 資料は3つに分けて整理しております。2ページ目、まず1つ目としまして「介護キャリア段位の取組み実績と評価」という形でまとめさせていただいております。4ページ目、こちらが2つ目のカテゴリーになりますけれども、「キャリア段位の取組みを踏まえた介護事業所・施設における人材育成の考え方」、3つ目としまして「介護キャリア段位の仕組みの見直しについて」という形で3つに整理させていただいております。

 まず、「1.介護キャリア段位の取組み実績と評価」について説明させていただきます。2ページをご覧いただければと思います。

 まず、このキャリア段位につきましては、平成24年度から取組みが始まっております。こちらにつきましては、事業所・施設におけるOJTを通じて介護職員の実践的な職業能力の向上を図りつつ、能力を評価・認定する仕組みとして実施されてきたところであります。

 この取組み状況につきましては、前回、進捗状況ということで御説明させていただいたところでありますけれども、平成2712月現在、アセッサーの養成数としましては約1万2,000名、レベル認定者につきましては約1,000名ということで、月ごとの認定者数も少しずつ増加しているという状況になります。

 また、このキャリア段位に取り組んでいる事業所・施設につきましては、介護老人福祉施設、また介護老人保健施設、訪問介護、通所介護というところが多くなっておりますけれども、他のサービス種別にも広がっているところであります。

 こうした状況の中、4つ目の○、メリットということにもなりますけれども、介護事業所・施設がキャリア段位に取り組むことによって、介護事業所・施設にとっては、OJTを通じた職員の能力向上、気づきを通じた評価する側の職員の自覚の向上、評価基準の設定がサービス水準の維持向上やリスク管理のツールとなることなどのメリットがあるほか、職員にとっても、職場で何ができるか証明できること、スキルの向上や処遇改善の材料につながること等のメリットがあることから、こうしたことで介護職員の定着や新規参入の促進につながることも期待されているところであります。

 また、3ページに移りまして、介護サービスにおいてケアのレベルや安全性の維持向上を図るためには、基本的な介護行為について標準となる基準を使って、個々の職員の行為が基準に沿っているか確認をするプロセスの導入が必要であるといった意見も、これまでの委員会の中で出されたところであります。

 このキャリア段位につきましては、標準的な介護技術の評価基準を体系化し、客観的な基準として明確化したこと、個々の介護職員の介護行為を確認するアセッサーを配置し、OJTを通じて職員の介護行為を目視することや記録確認によって評価するプロセスを標準化したこと、これらによりまして、介護現場で働く職員、介護事業所・施設、介護サービスの利用者等の様々な関係者に対して受け入れやすい仕組みとなっているところでもあります。

 今後、介護人材の育成に取り組むに際して、こうした成果を活用していくことが求められるといったところであります。

 ただ、一方で、介護キャリア段位の取組みにつきましては、指摘があります。主に3つに整理させていただいておりますけれども、内部評価やレベル認定にかかる事務負担が大きく、時間を要すること、外部評価の位置づけについて関係者の共通認識が確立されていないこと、介護福祉士や認定介護福祉士との関係についてわかりやすい整理が必要であることといった指摘がされております。

 また、3ページ目、一番最後の○になりますけれども、目標になります。内閣府における検討過程におきまして、各年度2万人程度の認定者を育成するということが目標として定められていたところでありますけれども、現行の仕組みを前提とすれば、目標としては過大なものとなっているということが言えます。むしろ、介護サービスの質の維持・向上という観点からは、より幅広い視点から、人材育成の在り方について、今後、検討を行うべきではないかという形で整理させていただいております。

 次に、4ページ、2つ目のカテゴリーになります。「介護キャリア段位の取組みを踏まえた介護事業所・施設における人材育成の考え方について」です。

 まず、介護サービスの質の維持・向上や介護人材の確保の観点から、介護人材の育成を幅広い視点から進めていくことは必要です。

 そして、人材育成は、事業所・施設ごとによって、その規模、サービスの内容、運営方針等によって相違があるところでありまして、事業者ごとにその特徴が出てくるものであるといった意見を踏まえております。

 従って、現行のキャリア段位の仕組みを単純に全国共通のものにすればよいというものではない。ただ、一方で、各事業者がまちまちの方法で人材育成に取り組むことは、必ずしも介護の質の向上につながらないのではないかということも意見として出ております。

 これまでの介護キャリア段位の取組みを踏まえれば、介護の手順・基準の明確化、個々の介護職員の介護行為の確認を担当する人員の配置、OJTにおいて介護行為の目視をすること、職場におけるキャリアパスの明確化等が人材育成に有効であるということが言え、少なくともこれらの要素を活かした形での人材育成の取り組みが広がっていくことが求められる。

 このことに関する具体的な方法としまして、こちらの意見として出ております。サービスの管理と人材育成は経営者の責任ではありますけれども、事業所・施設におけるサービス管理や人材育成の体制としましては、訪問介護におけるサービス提供責任者や障害福祉サービスのサービス管理責任者といったものがありまして、これらが参考になるのではないかという意見があったところです。

 最後、3つ目の「介護キャリア段位の仕組みの見直しについて」になります。今後、介護キャリア段位の実施に際しましては、先進的な人材育成として、更に効果的かつ効率的に普及を進めるための留意すべき点という形で、まとめさせていただいております。

 まず、内部評価・レベル認定の取組の効率化についてです。課題としましては、アセッサーが内部評価に取り組む際に、被評価者が行う介護プロセスに対する評価の根拠を全て記載することをアセッサーに対して求めております。これにかなりの時間を要していること。また、内部評価を行うに当たって、アセッサーと被評価者とのシフト調整が必要。1対1で評価するという関係から、シフト調整が必要ということになりますけれども、こういったことが介護事業所・施設にとって相当の負担となっているという課題があります。

 また、レベル認定に際しましては、アセッサーが記載した評価の根拠をまず実施機関において確認を行っておりますけれども、これにつきましても相当の時間を要しております。また、実施機関が確認を行ったものがレベル認定委員会に上げられる仕組みになっておりますけれども、認定委員会の事前準備に際しても内部評価結果の内容確認作業等が相当の負担になっている状況であります。このため、実施機関としては、今のプロセスのままでは、1カ月に現状以上の認定を行うことは厳しい状況にあります。

 また、今後、評価を受けることを希望する者がさらに増加すれば、進捗状況のところでもお示ししたとおり、アセッサーの数につきましては、またさらに増えているところでありますので、これを踏まえれば、評価を実施する者が増えるということになります。このことから、レベル認定のプロセスの効率化が求められるのではないかという課題があります。

 この課題に対して、対応の方向性でございます。介護事業所・施設の負担軽減とレベル認定事務の効率化を図る観点から、これまでの事業の実績を踏まえて、評価項目ごとに確認方法のメリハリをつけることや、評価項目自体の見直し等について効率化・簡便化を検討すべきではないかという形で整理しております。

 次に、おめくりいただきまして、6ページ、内部評価の対象者についてです。内部評価の対象として介護福祉士養成施設校に在学中の実習生が含まれておりますけれども、実習生は事業所等の職員でないことや、評価には相当の時間を要しておりますので、実習期間中に認定に必要な項目すべてを評価することは困難であるという課題があります。

 それに対しての対応の方向性ですけれども、キャリア段位は、OJTを通じて職業能力の評価を行うものであります。OJTは、事業所として自らが雇用する職員に対して職務を通じて行うものでありますけれども、実習生等、職員でない者につきましては、対象外とすべきではないかという形で整理させていただいております。

 次に、介護場面が限られる場合の取扱いです。事業所のサービス種別などによりまして、介護の場面が限られるということがあります。そういったことから、すべての評価項目に対応することが困難な場合があります。例えば、通所介護等におきましては、評価項目のうちターミナルケア等の事象が生じるケースが少ないために、一連の評価が終了するまでに時間がかかっている。このような課題がございます。

 これに対する対応の方向性としましては、現在、入浴介助や食事介助等の場面別に認定するユニット認定という仕組みがあります。介護場面が限られるような場合に柔軟な対応とすることが可能となっておりまして、これを活用することが考えられます。ただ、現行のユニット認定はレベル認定と直結しておりませんで、これらを関連づける見直しが必要ではないかという形で整理させていただいております。現在のユニット認定は項目ごとにユニット認定を積み重ねた結果、あるレベルに達したという状況がございましてもレベル認定はなされないという仕組みとなっております。

 次に、レベルについてです。内閣府における検討過程におきましては、当初7段階のレベルが想定されていましたが、介護キャリア段位につきましては、これまでレベル4までの認定を行うものとして運用されてきたところであります。これについてどう考えるかということが課題です。

 対応の方向性としましては、現在の仕組みは、介護事業所・施設に基本的に求められるサービス水準の下で職員に期待される実践的な介護技術の取得を支援して、評価するものになっております。介護事業所・施設として、職員に対するOJTを通じた評価を行うという性格に鑑みまして、今後も当面の間につきましては、従来通りレベル4までを念頭においた仕組みとして進めていくこととしてはどうかという形で整理しております。

 次に、外部評価になります。課題につきましては、外部評価の仕組みは、内部評価の適正性を確認するものではありますけれども、介護事業所・施設を評価するという面がありまして、外部評価結果を職員の介護技術を評価するレベル認定委員会で判断することは困難であります。また、レベル認定後の事後評価によって認定の取消しができる仕組みは、雇い主側である事業所の不備を職員の責任に問うといった面もあり、人材育成の観点から馴染まないのではないかという指摘があります。

 これに対して対応の方向性でありますけれども、外部評価として取り組むことは見直しまして、改めて、外部からの助言等によって介護事業所・施設内の人材育成の取り組みの向上を促す仕組みとしていくべきではないか、具体的には、介護事業所・施設の人材育成に対して外部から支援する仕組み、例えばアセッサーをスーパーバイズするような仕組みに組み替えていくべきではないかという形で整理しております。

 最後に、8ページ目、キャリア段位の活用についてです。

 このキャリア段位につきましては、先進的な人材育成の取組みとして、意欲的な事業所がその意向に応じて活用できるような仕組みとすべきではないか。このためにも、キャリア段位に取り組む介護事業所・施設に対する支援策が活用されるようにしていくことも求められるのではないか。

 また、介護サービスの利用者から、介護サービスを直接提供する介護職員の介護技術が客観的に認識できるような工夫も必要ではないか。

 最後に、先進的な取り組みの結果、得られた成果や課題については、今後も、介護人材の育成を含む介護の質の向上に幅広く活かしていくことも求められる。

 こういった形で、これまでの議論を踏まえまして議論の整理という形で整理いたしました。資料の説明は以上です。

○田中(滋)座長 説明、ありがとうございました。

 本日は、ただいま議論の整理について、項目ごとに委員の皆様から忌憚のない御意見を頂戴していくことになります。その際、参考資料の内容も踏まえてください。

 まずは、項目1、2ページ、3ページ、これまでの「介護キャリア段位の取組み実績と評価」について、ここに書かれていることの再補強でも結構ですし、それ以外の御意見でも結構です。どうぞ、御発言をお願いいたします。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 私は毎回出席できないのですが、今までに、内閣府のときの最後の11回目に1回と、それから、前々回のヒアリングのときに1回と、2回出席させていただいています。今日は3回目ですけれども、前回、前々回も含めて、この仕組み自体が現場に非常に負担を強いるものであって、このまま進めることは極めて非現実的な話だということをお話させていただきました。それが今回、全体として大幅に改善されていますので、どこで、どういう議論があったのか、前回も欠席しておりますのでわかりませんが、やっと現実的になって、全体として現場としても納得性のあるものになっていると思いますので、現場の声が伝わったのではないかということは、評価したいと思っています。

 1の実績と評価についても、納得できるものでありまして、最後のところに、全体として目標が過大であるので、在り方を抜本的に見直して、むしろより幅広い視点から人材育成の在り方について、検討を行うべきではないかとありますが、これはそのとおりだと評価したいと思います。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。現実的になったと言っていただきました。

 小林(光)委員、お願いします。

○小林(光)委員 私も、今日は介護福祉士養成施設協会の会長ということで出席させていただいているのですが、前回は代理出席をお願いしたわけであります。

 私は、前回はドイツやフィンランドへ文部科学省の委託研究として、日本で言えば介護、ドイツではAltenpflegerという老人介護の専門職ですが、これの育成現場と就労現場がどうなっているのか、これと日本との比較はどうかという研究課題で行ってきたのですが、ここで今、議論で示されているようなことは、ヨーロッパ等ではこういう過程を踏まえて、現在に至っているのかなと思いました。私は、ここに出されている課題そのものに関して異存はないわけです。筒井先生を初め、皆さんが努力されて、ここまで持ってこられたということで、大変大きく評価をさせていただいております。

 ただ、4点ばかりお話申し上げると、1つは、この中でアセッサーとして1万2,000人養成しました。そして、現在はアセッサーから研修によって認定を受けた人がたった1,000人であるということは、大変少ないということが問題点で、ですからもっと簡便化すべき、いろいろな意見が今まで出ているだろうと思います。

 もう一つ、私はアセッサーとしての取組みの場合は4点あったと思います。

 1つは、アセッサーとしての役割、すなわち評価できる指導者であるという役割がはっきりしていたということが1点ですね。役割の明確化があったということが1つ。

 2つ目は、専門職としてのプライドが持てるということが見えたのではないかということですね。

 そして、3つ目は、初めての取組みであっても、受ける人たちの受講料が国の方針でほぼ無料であったということがよかったと思います。

 そして、4番目に、施設の理解もある程度得られることができたので、時間がかかっても、その現場へ出ることができたのだろうと思うのですね。

 それから見ると、今回、アセッサーではなくて、実際に評価を受ける人たちがなかなか結びつかないということ、数が上がってきていないということについて、もっとはっきりしたメリットなりを明確にすべきだろうと思うのです。そういう意味で、例えばドイツなどでは、こういった研修を受ければ、研修を受けた人たちの役割とか決定権ということが明確にちゃんと規定されている。そういうものが明確に規定されていないというのが、1つ、大きなデメリットに今のところはなっているだろうと思うのです。

 一般社団法人シルバーサービス振興会さんは、少なくとも大変な努力をされているのですが、受ける人たちが現在は余り増えてきていないというのは、そこに一つの大きな問題点があるのかな。役割がまだ明確化されていない。これは、先ほど筒井委員にもお話申し上げたのですが、卵が先か鶏が先かということだろうと私も思うのですが、今はまだ取り組んだばかりです。

 しかし、いずれにしても、キャリア段位を受けた人たちがどういう役割があり、どういう決定権がありということがある程度明確になるような仕組みを一方では考えていただく。今のところは、東京都が給与的な手厚い支援をすることが明確になっておりますが、それだけではなくて、そういう役割というものを今後きちんと考えていただくというのが一つの課題かなと思っております。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。回答を求めるものではなくて、御意見でよろしゅうございますね。貴重な御意見、ありがとうございました。

 他に、2ページ、3ページについて、追加の御意見あるいは御質問等、ございませんでしょうか。山田代理、お願いいたします。

○山田代理 以前、説明があったかもしれませんが、不確かなので確認したいのですが、アセッサーの養成数が約1万2,000、レベル認定者が約1,000。当初の計画でいくと、年度ごと、2万人程度ということで、その格差について説明があったと思うのですが、アセッサーの養成についての最初の目標数というのがどうだったのか。アセッサーがこれだけ、それなりの数が確保できているわけですが、アセッサーの養成が必要だったから、先に力を入れたということもあるのかもしれませんが、この1万2,000人と1,000人の差がちょっと大きいので、これはどう理解したらいいのか。

 今、ちょっと話がありましたけれども、アセッサーの養成をする上では4つほどのメリットといいますか、プラスの面があるという説明があって、なるほどと思いましたけれども、それ以外に厚労省ではどのような分析をしているのか、もう一度説明していただければと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 振興課からお答えいただけますか。

○辺見振興課長 ただいま出ました2万人という数字につきましては、内閣府時代の議論の中で、そういった目標について御議論されたと認識しておりますが、アセッサーの数についての御議論というのは、私どもが承知している限り、特段、なかったと思っております。

 なお、レベル認定を受けた方については1,000名ということでございますけれども、現在、レベル認定を受けるべく、施設内で評価を受ける等の取組みをされている方については、数千名いらっしゃいますので、そうした中で徐々にレベル認定が進んでいくという流れになっていると思っております。

○田中(滋)座長 よろしいですか。

○山田代理 はい。

○田中(滋)座長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 今の点、私の記憶の範囲でアセッサーの養成数についてですけれども、もともとアセッサーに該当するのが、レベル3以下ではレベル4に該当するであろうということがありまして、本来であればレベル1、2、3、4と上がっていった結果として、レベル4の方ができ上がり、レベル4の方が認定するということですから、レベル4の方を何人認定するという考え方とか、そういうのはなかったのですが、とりあえずアセッサーがいない限り認定ができないわけですから、アセッサーというものを入り口段階では一番最初に養成しなきゃいけないという順番になっております。

 当初、例外的にといいますか、制度を始めるに当たってアセッサーを養成せねばならないという理屈から来たがゆえの順番ですけれども、実際はシルバーサービス振興会がおやりになっていかれる中で、恐らくアセッサーというものを養成することがかなりキーになるということが、筒井先生等との取組みで見えてきて、今回の議論もアセッサーというものをどう位置づけるかという話になってきたのですけれども、当初の議論から言うと、例外的にアセッサーを養成しないとスタートしないということで、スタートしていたような認識でございます。

○田中(滋)座長 小山委員、お願いします。

○小山委員 済みません、何度も申し上げますけれども、厚生労働省にキャリア段位の制度が移ったのは昨年4月1日からということを頭に入れていただかないと、どうにもならないのですね。なぜかといいますと、昨年4月1日に、各都道府県は介護保険事業支援計画を立てられたわけであります。また、各保険者であります市町におかれましては、介護保険事業計画を立てているわけであります。この事業計画にキャリア段位を書いていらっしゃるところはたくさんあるわけですけれども、つまり、キックオフしたのは4月1日以降、まだ1年も経っていない。

 ついでに申し上げますと、キャリア段位の研修が行われたのは昨年の秋ですから、言っていることが私はよくわからないのですが、1万2,0001,000を比べればおかしいということですが、1万2,000の半分程度は去年の秋、受けた人たちです。その人たちは、前回言いましたように、8カ月から1年後でないと申請してきませんから、私どもとしては、数が急激にふえるのは、今年の連休後、6月、7月、8月ぐらいがピークになるかなと。今年の後半戦が大変になるという認識ですので、キャリア段位が何かすごく前からずっと常態的に制度があるとは思っていただかないほうがいいと思います。

 内閣府さんがやっていたときは、内閣府さんが進めるからやっていこうかなという話で、それが前回も言いましたが、昨年4月1日、つまり平成27年4月1日というのは、介護保険事業計画とか介護保険事業支援計画というのが出てきて、その支援計画の一部を具現化する形で、例えば東京都さんはキャリア段位に補助金をつけたという整理の仕方をしていただかないと、時間軸を入れずに昔の話をされても、私としてはちょっとつらいなと思っております。

 よくわからないのですけれども、今年1月で審査しますが、一月に140とか150というペースですから、多分、今年の4月以降は200とかいうペースになりますから、12カ月やれば2,400人になりますので、数について、勘弁してほしいのは、27年4月1日以降、厚生労働省にキャリア段位の仕事が移ってからの話なのか、それ以前かというので、昔のことを言われてもちょっと困りますので、時間軸のことだけは御理解を賜りたいなと思っております。

 いずれにしても、レベル認定者の御希望は大変多いわけでして、いろいろ手間もかかりますし、出したらすぐに審査というのではなくて、今、事務局を担当されていますシルバーサービス振興会で受け取ってから、最長6カ月、やりとりをしている例もあるわけです。そうしますと、研修が終わってから9カ月目に申請されてきた人は、事務局とのやりとりが6カ月かかると、それがいいか悪いかというので、何をやっているのだと言われてしまえばそれまでかもしれませんけれども、そうすると、1年3カ月後じゃないとできないということですね。

 そう簡単にできないような事情があったので、制度の簡素化とか簡便化をなるべくして、もう片方、審査のやり方についても簡便化とか。今までいただいた全体の御意見の中では、そうしろという御報告ですから、そうしろと言われたから、そうするわけで、今、施設とか事業所にかかっている負担が重いということは、私どもは重々理解しておりますので、その負担を軽減してから、またどうなるか。つまり、ゲームのルールをここで1回変えてしまった後、またどうなるかというのはちょっと予想がつかないのですが、今のままで行っても2倍3倍となっていくという現状にあるということではないかと申し上げておきたいと思います。

○田中(滋)座長 時間軸を踏まえて評価すべきであると。大変的確な意見、ありがとうございます。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 小山先生はそうおっしゃいますけれども、なぜこれだけ数が違うかというと、わかりやすく言えば、アセッサーは簡単になれるのです。

 一方、キャリア段位のレベル認定が非常に時間がかかって困難なので、そのギャップがすごく大きいのです。私のところの職員もアセッサーとレベル認定者がおりますからわかるのですけれども、当初、特にアセッサーは無料で取らせたときにまとめて取ったところもあったりして、そのぐらいの研修だったら多分増えるのでしょうけれども、レベル認定者は、幾ら簡便化して、100人が200人になったとしても、当初の年間2万人というにはほど遠いわけですから、抜本的な見直しが必要であって、今回の見直しの方向性が示されたことは、現場の負担を軽減させる、妥当なものとして評価すべきだと思います。

○田中(滋)座長 小林(司)委員、どうぞ。

○小林(司)委員 ありがとうございます。

 人数のことですけれども、このように項目の1番目には、実績として、今、議論になりました2万人ということを基準に、実績なのか、評価なのか、そういったコメントがございます。そこで、あくまで今後に向けた話ですが、後段のページ以降、目標について、人数のことは記載されておりませんので、そこをもう一度丁寧に御説明いただきたいと思っております。

 心配しているのは、そういった目標値といいますか、目安といいますか、見通しといいますか、そういうものがないことで、逆に批判を受けかねないなと思うのです。これは私の感想として述べておきます。

○田中(滋)座長 人数について、お問い合わせですね。お答えいただけますか。

○辺見振興課長 本日の資料の意見の整理の考え方といたしましては、2万人という数値目標にかわるものとして、どういう目標の立て方があるのかということについては、記載のとおり、2万人という数字自体が、先ほどの月200人として2,0003,000だとして、過大であるということは従来からも御指摘があるところでありますので、その点を書いております。

 この仕組みの中でそれを設けていくのかどうかということについては、この紙の中では議論されておりませんが、どういった形で設定するのがいいのかどうかということについて、先進的な取組みであるということにすれば、そうした取組みを進めていくという中で、数値目標を設定すべきかどうかということを考えていくということかと思いますが、一方で、100万人を超える介護人材がいる中で、こういったキャリア段位の取組みの中でわかってきたこと、必要性が認められてきたようなことについて、むしろ幅広く展開していくことが必要ではないかということで、幅広い視点からの人材育成の在り方についてということで記載させていただいております。

○田中(滋)座長 筒井(孝)委員。

○筒井(孝)委員 先ほどの鈴木委員からのアセッサーは簡単になれるという御意見について本制度において研修や審査の任を担っている立場から、正確なことを申し上げたいと思います。現在、アセッサーになるべき人がアセッサー研修を受けに来ていたということであって、アセッサーに簡単になれるということではないということを申し上げます。アセッサーの研修は、決して簡単な内容ではありません。また、アセッサーになられた方々は、大変、努力されておられますし、また優秀な方が、現状では受講されているというのが正しい認識であろうと思います。

 現在に認定が少ないという問題は、アセッサーが認定を現場で実施する際の施設のOJT体制の整備状況であって、所属する施設のストラクチャーの部分、つまりサービスの質の評価の階層で言えば、「構造」部分の問題が整っていないということに起因しております。アセッサー1人だけの努力で、OJTの仕組みはできないのだということがはっきりしたということだと思います。

 このことは、現場全体の介護サービスの質の向上を求めるような仕掛けとして、このキャリア段位が機能するということを証明しているともいえます。今、レベル認定者が約1,000名で、今月は200名ぐらい候補者が出てきているということですが、先ほど小山先生がおっしゃられたように、認定をしてほしいという人たちが出始めたのは、まさに、この現場の整備がやっと整備されつつあるということを示していると思うのです。つまり、アセッサーの方々がこのキャリア段位の仕組みを理解して、彼らが努力して、施設の中でOJTをやっとつくり上げることができたのではないかと私は推量しています。

 ですから、まず先ほど小林委員からもお話がありましたけれども、鶏が先か卵が先かという話でいえば、仕掛けが現場に浸透するまでには、本来的な問題の解決も含むことになるので、非常に時間がかかると思います。

我々はアセッサー養成という仕掛けをして、これから始めたということだと思うのですが、その次の段階として、レベル認定者を増やすということをしていくということなのですけれども、これはアセッサーだけの努力ではできないということが明らかになったということでしょう。つまり、次の段階としては、施設全体として取り組んでいけるような環境整備というのを、国がどのようにやるかということは、別の議論が必要ではないか。この制度を国がどう支援するかという、また別の観点からの議論が要るのではないかと思います。

○田中(滋)座長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 議論を聞いていますと、私以外の方はみんな推進者なので、私が1人で意見を言う形になっているようですけれども、そもそもこれは介護従事者の底上げを図る仕組みなのか、それとも先進的な者を評価する仕組みなのかということです。底上げを図る仕組みに先進的な者を評価する仕組みを入れてしまっているから、困難なのであって、全ての介護従事者にこれだけのことをやらせようとすること自体が、現場からすれば無理なのです。

 これが、どちらなのかということですが、底上げだったらもっと簡単な研修にする必要があるし、先進的な者を評価する仕組みであれば、対象を限って、リーダークラスの人だけにやってもらうとか、そういうものにする必要があります。それを全員にやらせる、しかも全国共通にというのは、それこそ私たちにすれば、まさに机上のプランであると言わざるを得ないので、これをもし続けるのであれば現実にしていく必要があるという意見が出ることは、私は当然だと思います。

 鶏が先か卵が先かという話ですが、どっちが先でも、このままでは進みません。鶏も卵もこのまま死んでしまいます。このままでは続かないから、続けるようにするのであったら、鶏が先でも卵が先でもいいけれども、大幅な見直しが必要であるという方向性は、私は妥当だと思います。

○田中(滋)座長 1について、他によろしゅうございますか。鈴木委員も反対ではなくて、ここに書いてあることが妥当だと言っていただいています。それから、筒井委員から、人の話だけではなくて、施設の側の取組み、環境要因も大切だとの意見がありました。すり合わせて、うまく持っていかなくてはなりません。

 次に、キャリア段位の取組みを踏まえた介護現場における人材育成の考え方、2番目です。ページで言いますと、4ページです。これについて議論してまいりましょう。項目2について御意見をお願いします。幅広い事柄について取り扱っていますが、いかがでしょうか。

 国政委員、お願いします。

○国政委員 こちらの5つ目にあります訪問介護におけるサービス提供責任者の育成の体制を必須とすることについては、私はまだその時期ではないのではないかと考えました。それは、現在でも、各事業者さんより、収益性のダウンとか人材の確保の困難性で悲鳴が挙がっております。そこにプラスの条件をつけて必須にする、あるいはそれがなければ減点にしたりすれば、各事業者をさらに追い込むことになると考えます。私が申し上げるまでもなく、介護スタッフとか施設が圧倒的に不足しているということを前提に考えますと、退場する事業者を増やすのではなくて、人材育成に本当に積極的に取り組んだ者がプラスに評価されて、全員がそこに向かって努力するという仕組みにぜひしていただければと考えます。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。

 村上委員、お願いします。

○村上委員 この段位制度の位置づけについて、ちょっと質問させていただきたいと思います。

 先ほどの鈴木委員の意見とも絡んでくるかもしれないのですけれども、この段位制度というのは、当初、キャリアや能力で評価される社会、介護のプロフェッショナルとして誇りを持って仕事ができる社会を目指して、介護職員の社会的地位の向上につなげること。また、世界でも例のない介護技能の評価システムなので、円滑な労働移動ができるというメリット等もある。ということから、その普及については業界を横断する形で進めていくと理解しておりました。

 今回の整理を見てみますと、段位制度を先進的な人材育成の取組みとして位置づけてはいるのですが、既に自社でキャリアパス制度等の人材育成システムを導入している事業者への配慮もあると思うのですが、先進的な人材育成に取り組む事業者はキャリア段位制度に取り組んでくださいねという、当初の制度の狙いから後退しているような印象を受けます。

 以前にも発言したのですけれども、私どもは制度の当初の狙いとか目的に賛同しているという立場から、自社のキャリアパスと段位制度の融合性の在り方について、具体的に提案して議論して、当初の目的や狙いというのは維持すべきだと思っているのですが、どのようにお考えなのか、教えていただきたいと思います。

○田中(滋)座長 事務局への質問ですね。お願いいたします。

○辺見振興課長 村上委員が御指摘になられたような基本的理念に関しての御議論があったということかと思いますけれども、業界横断的にというところが、介護職員100万人を超えるところに全てを網羅するということであったかというと、ここは年間2万人という中での話ですので、新しい産業として拡大していく中で、先進的な人材育成をという位置づけはあったのかと思っておりますので、議論の出発点が介護業界の全てで同じようにということでは、必ずしもなかったのではないかと考えています。そこは、かつての議論でもありますし、現在、そこのところを検証することよりも、これから先どうしていくのかということを御議論いただけたらと考えているところでございます。

○田中(滋)座長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 人材育成は、いかに経営が困難でも必要なのです。だから、これはやらなければいけないのです。でも、人材育成をどこまでするかは、まさに事業者の、具体的に言えば経営者の考え方です。ですから、それが異なることはやむを得ないのであって、それを全国共通のものにする、しかも底上げではなくて、先進的なものを全ての人にという考え方に無理があるということで、見直しが必要だと思います。

 ヒアリングのときにも、先進的なところのきたおおじの山田さんの取り組みの紹介がありましたけれども、進んでいるところは、いい人を集めたいですから、これまでに多額の投資をして、自分のところ独自の人材育成の仕組みをつくっているのです。それとどう融合させるかという話をされていましたけれども、進んでいるところはすでにきちんとやっているので、それを全国共通にしますから、こちらにしてくださいということは、あのときも言いましたけれども、この仕組みを無理やり入れようとすれば、いいところを悪くし、悪いところはもっと悪くすると思います。

 ですから、これは全国共通のものにすればいいことでもないし、各々の事業者がそれぞれ取り組んだのでは、介護の質の向上につながらないのではないかとありますが、それぞれの事業者の介護の質は向上するのです。でも、それが全国には波及しないという点はあると思いますけれども、全国共通にやること自体が非現実的なので、アイデアとしてはいいのかもしれないけれども、現場にそれを落とし込むときの議論が足りなかったのではないかと思います。

 アイデアとしてはよくても、現場に落とし込むときに非常にハードルの高いものを求めようとしており、ヒアリングのときに現場の方も改善要望を書かれていたので、私はぜひそれを言ってくださいという話をしましたが、本日言われているような問題点を指摘されていました。他の事業者の方も、職員が1,500人いてもレベル認定者が3人しかいないとのことで、これから多少は増えるのでしょうが、そうした先進的なところですら、これまでにそのぐらいしか認定者が出ていないということ自体が問題だと思います。

 もっと早くそこに気づいて見直しをすべきだったのではないかと思いますけれども、厚労省はさすがに現場を預っていますから、非現実的なものを入れさせるわけにはいかないということで見直しを図ろうとされているのだと思いますけれども、私は非常に妥当だと改めて思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 小山委員。

○小山委員 済みません、ちょっと待ってください。キャリア段位は、全国共通で強制すると誰かが言っていますか。そんなことは誰も言っていないし、全ての事業所、全ての介護職がキャリア段位を取るとは私は夢にも思っていない。ただ、いいところ、悪いところと言いますけれども、キャリア段位制度を取り入れた、あるいは研修をやった人たちが、こんなもの、やめてしまえとは一言も言っていないのですよ。このことは何度も言っています。

 ですから、キャリア段位が好きな人は好きな人でやってきているから、今までそうなのかもしれませんけれども、全国共通にしてキャリア段位を強制するという話になると、結構きな臭くなりますけれども、そんなことは今まで議論していないのではないか。どういう目的でやっているのかと言ったら、一番大きいのは、介護分野の就労から離脱しないでほしいということなのですよ。だから、別に他の会社に移っていただいてもいいのですけれども、介護自身の分野から退場されてしまうと、せっかく介護分野に来てくれて一生懸命やってくれている人たちが、介護分野から離脱して、もう介護の仕事は嫌だと言われてしまったら、そっちのほうがすごく危ないわけです。

 もちろん、言い方はもっとありますよ。介護の地位向上とか離職防止とかと言いますけれども、ずっと詰めていくと、介護分野に今、就労している人たちを離脱させないために一つの尺度を提供しているだけではないかと思うのです。キャリア段位のハードルが高いかどうかわかりませんけれども、介護を受けている人たちが、この評価の基準を見て、こんなものは要らないと絶対言わないと思いますよ。

 認知症のお年寄りに、わからなくても、洋服を着がえるときには「洗濯させてください」。それは人間の人権みたいな話を聞いているわけで、別にとてもハードルが高くて、誰もが通らないものを基準にしているのではなくて、この国の介護の最低限必要なことはこの程度のことだということが書いてあるだけなのに、それがすごくハードルが高くて、全国共通で、それを全ての介護職に強制させると言うのだったら言ってもいいのでしょうけれども、私、そんなことは一回も聞いていないし、この場面でそんな議論は鈴木先生、一度もないよ。

○鈴木委員 内閣府の方がそのようなことを言っていたのですが、私が言っているのはその話ではなくて、全国共通のものがないからやるということであれば、私は介護福祉士こそがまさに全国共通の仕組みだと思います。だから、その質をもう少し担保することを考えたほうがよろしいのではないですか。その方がよほど現実的だと思います。そうした資格や初任者研修、実務者研修もあるのに、何であえてまた別なことをやるのかというところが、現場では非常に疑問なのです。それらとはどういう関係なのでしょうか。

 介護分野から離脱することは、多分新たにどんな資格をつくったり研修をしても、介護職は元々雇用流動性が激しいので、無理な場合は無理だと思いますけれども、それの歯止めになるのは介護福祉士という資格だと思います。私は、まずその評価を高めていくことがもっと現実的な方法だと思います。

○田中(滋)座長 小林(光)委員、どうぞ。

○小林(光)委員 今、鈴木委員、おっしゃっていただきましたが、介護福祉士の資質を上げるという努力ももちろん必要だと、それが全てではないかという言い方をされましたが、御存じのように、介護現場に介護福祉士が就労しているのは、去年のデータでは37%ぐらいということでありましたから、要するに資格を持っていない人たちがかなりな部分、5割以上いらっしゃるわけでありますから、そういう人たちに対する一つの評価システムとして、こういうものも導入するということは、私はこれは大きな意義があるのではないかと考えているわけです。

 そして、今までいろいろマスコミでも報道されているように、いろいろな基礎知識のないような人たちを入れて、そして老人を放り投げるような場面が介護現場で起きているということが、テレビで報道されたりしているわけでありますから、こういうことはちゃんと保障していかなきゃいけないということを含めて考えられたのが、1つは、厚生労働省の、座長が部会長をされていた社会保障審議会福祉部会でも、介護現場の人たちを含めて、人材の構造転換を図るということで、例のまんじゅう型から富士山型へという転換を示すということが結論として出されているわけであります。その一環だという認識を私は持っております。

 ですから、ぜひこれは進めていただく。介護サービスにおける知識とスキルと能力を総合的に評価できるシステムは今までなかなかなかったのです。ですから、介護福祉士は国家試験というハードルがありますが、それまでの人たちについては、いろいろなものが今まで混在している。資格のない人もいれば、初心者研修を受けた、あるいは過去においてはヘルパー2級とか3級を取っている人たちもいる。混在しているということでありますから、こういう人たちに対して、一つの評価システムとして仕事の能力をちゃんとある程度はかる。そのシステムとして、これが導入されたということから言えば、私は大変意義のあることだろうと思っております。

 こういうものを将来的にある程度きちんと見える化していかないと、先ほどの小山先生がおっしゃるように、介護現場から人が離れていってしまうことになってしまうのだろうと思います。

 介護でなぜ人が離れるか。大きく2つあるというのは、皆さん共通していますね。1つは、同年齢で他の専門職から比べて、月給で10万円ほど安いというデータが出ている。もう一つは、キャリアアップラインが見えないということですね。この2つが介護人材に対して、なかなか定着しない大きなファクターだと今まで言われてきて、このキャリア段位というのは、少なくともキャリアラインとして仕事の力量をちゃんと評価するシステムの一つとして導入されてきたという、大きな意義があると思っておりますので、これはぜひ進めていただきたいなと思っております。

 だから、先ほどの厚労省からの御説明のように、今、100万人以上いる介護職員の中で、とりあえず年間2万人ぐらいを目標としてやっていくということだから、先駆的な取組みの一つだということで、全部をそうするということではなくて、まず先駆的な取組みとして、そういう専門人材をちゃんと評価できるシステムを構築していこうというのが、この取組みですから、そこは御理解いただきたいなと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 山田委員、お願いします。

○山田委員 これまでの資格制度というのは、基本的には「わかる」の部分だけれども、キャリア段位の意義というのは、あえて「できる」というところを形としてつくったということはすごく大きいと思うのです。その中で、当初は業界横断的にやっていこうと、内閣府にはそういう意欲もあったわけですけれども、現実を見ていくと難しいところが出てきているということで、それを現実路線に直していくことは必要だと思うのです。けれども、そのときに明らかになってきたのは、キャリア段位という「できる」という仕組みを見える化したということが、人材育成のための一つのプロセスを明確化したということの意義というのが、かなり見えてきているのではないかと思うのですね。

 それがまさにアセッサーが増えたことによるもので、アセッサーがいる事業所自体はいろいろな改善ができていったということですから、いろいろ御意見があると思うのですけれども、その前の目標のところともかかわるのですけれども、第1段階として、アセッサーを場合によったらもう少し増やしていくような目標設定も、一つの考え方なのではないか。そのために、当初は検定料みたいなものを免除していましたけれども、もう一度そういう意味合いをつけていってやっていく。

 先ほど小林(司)委員がおっしゃったように、目標がなくなったときにその推進力がなくなるということもあるので、これはいろいろ委員の皆さんの考え方もあるでしょうが、被評価者を2万人というのは少し非現実的なので、それをなくすのであれば、アセッサーについて何らかの形の目標設定をしていってやっていく。現場では、これまでの議論だと、この制度自体をよくないと言っているところはない。

確かに、これを強制的に全部展開するというのは、それは多分無理である。

 ただ、現実にこの制度を知る事業所が増えてきて、実際に活用する人が育成されてくるということになると、本当にいいものであれば、当然そこから全体に広がっていくということですので、中間目標というか、とりあえずの目標を例えばアセッサーの育成みたいなところに置くのも一つの考え方かなと思いました。

○田中(滋)座長 はい。

○山田代理 前回もお話ししたのですけれども、このキャリア段位制度というのは、介護職員の介護レベルをアップしていく、OJTによる人材育成のツールとしては、なかなかいいものだろう、すぐれたものではないかと思っています。ですから、経営者がこれをどういうふうに活用していくかというのは、それぞれの経営者の判断でもってうまく活用する。また、それを活用しながら処遇にリンクするところも、事業所によっては出てくるかもしれません。

 ただ、現実的に課題になっているのが、認定者の数が増えないということもありますが、人材育成のツールとしてはいいのですけれども、負担が大きいというのがありましたね。ただ、評価をしていくということは、負担が大きくなるのは、余り簡略化してしまうと、せっかくの段位制度そのものが簡便さにどんどん走っていくと、中身がなくなってしまうのかなというジレンマがあるのです。話が少し飛躍してしまうかと思うのですが、認定者が増えないとか、現場では手がなくてなかなか厳しいのだ、アセッサーの負担も大きいのだということは、結局は介護報酬とか人員配置基準の問題にかかわってくるのではないか。

 本当は、こういうツールを十分使って人材育成していくことが介護レベルを上げていく、それがまたステータスになっていく。スキルアップがやりがいにつながっていくということになるのだと思うのですけれども、現場に手がない、そこまでやり切れない、時間がかかるとかオーバーワークになってしまうというのは、それだけ職員配置が十分にできていない。配置基準が低いですから、話が飛躍するかもしれませんが、そういうことにもつながっていくことではないのかなと、少し感じています。

 以上です。

○田中(滋)座長 小林(司)委員、お願いします。

○小林(司)委員 簡潔に申し上げます。

 4ページのところには、単純に全国共通のものにすればよいというものではないが、人材育成に取り組むことは、必ずしも介護の質の向上にはつながらないから、キャリア段位の取組みを踏まえればということで、4つほど有効な仕組みが書かれてあって、以降、次の議題でしょうけれども、先進的な人材育成としての案が書かれている、そういう組み立ての文章かと思います。

 働く人の思いは、村上委員が代弁してくれたと思っております。全国に強制するものではない、各事業者に強制するものでない、ということはあるにしても、キャリア段位制度を普及していくということが大事だというのは、皆さん共通認識を持てるのではないかと思います。先進的な取り組みと全体の底上げと、一緒にダブルで目標にしていくというのが、野心的に過ぎるのかというご指摘もありましたが、私はそうは思いません。

 前回も申し上げましたとおり、自社で取り組めない事業所があるでしょうし、そこが取り組みやすくするためにどうするかというのが今後の課題だと思いますので、そのことで結果的に広く普及していけばいいなと思いますので、その点につきましては、基本的な考え方として引き続き据え置いていただけないかなと思っております。

 以上です。

○田中(滋)座長 鈴木委員。

○鈴木委員 皆さん推進者なので、何とかこれを生き残らせよう、できるだけこのままの形でと思っていらっしゃるのはある意味当然かもしれませんが、事業者の立場で言いますと、我々のところはアセッサーも認定者も若干なりともいますけれども、基本的な方針として、介護福祉士をできるだけ取っていただきましょう。それを取るまでの間、何も資格を持たないで入られた方は、私のほうで初任者研修を通信教育で行っており、これを受けてくださいということで底上げを図っています。それぞれの施設がそれぞれのやり方で人材育成をしており、定着していただこうと思えば、それなりのことをしなければとどまってくれません。

 これが介護報酬を上げてくれという話になると、全部の職種で上げる必要がありますが診療報酬だって厳しいのです。どこの事業者だって人が足りない。余っているところなど、どこにもありません。でも、その中でやるのですから、やれる範囲のものでないとやれません。それでもみんないろいろな研修をやっているのです。でも、この取組みは負担が限界を超えてしまっているのです。ですから見直していただかないといけないということでありますし、先進的な取組みの一つのモデルとしてやるというのはいいのかもしれませんけれども、それを処遇に反映させることはやるべきではないと思います。

 全国でいろいろな取組みがあるわけですから、あくまでもそれを評価するツールの一つであって、これを広めていって評価のツールにすることは、行き過ぎなので、やるべきではないと思います。

 話を聞いていると、介護福祉士を取っていない方の底上げのためのものだとおっしゃった方がいらっしゃいましたけれども、その底上げに非常にハードルが高いものを要求しているところが根本的な問題なのです。底上げだったら底上げにふさわしいより簡便なものが必要でしょうし、先進的なものということであれば、そういう位置づけにして、一つの参考にしていただけばよいと思います。先進的な施設は皆、それぞれの評価の仕組みを持っていますから、それとどう関連づけるかということが重要であり、そのやり方もいいけれども、自分のところで確立したやり方も尊重されるということにしないと進まないと思います。全部何か一つのやり方でというのは、私はたとえこのやり方が残るとしても問題があると思います。

○田中(滋)座長 強制することにはならないと思いますけれどもね。

 田中(雅)委員、どうぞ。

○田中(雅)委員 そこが大事だと思っています。今、現場の職員に聞いておりますと、利用者の方々のニーズが非常に高くなっています。特に、一つ一つの介護行為に対して、なぜそのような行為をするかを実際の現場の当事者にお尋ねになるというのが現実の問題なのです。そんな状況を聞いていると、責任者、出てこい、上司を出せという議論ではないのです。その場できちんとケアに関しても根拠をもって説明する能力が必要になってきます。

 それから、アセッサーのチェック項目が、先生方のところにもテキストがありますけれども、そもそもこのチェック項目は、介護における欠いてはならない要素を3つ入れておりまして、まず何よりも尊厳ということです。利用者本位という言い方をされるのですが、尊厳というものを大切にし、そして、なおかつ安全であり、自立支援ということが介護保険の制度そのものですが、理念を踏まえた形でのチェック項目になっています。

 これがある意味では最低限度、あるべき基準ではないかと思っていますし、現場でこれを活用している事業所や実際にアセッサーとして評価を行う、あるいは被評価者の介護職員の声を聞きますと、気づかなかった。何となく、これまで先輩にこうやるのだよと言われてきたけれども、なぜそうしなければいけないかについて説明することを求められなかった。

 だけれども、現場へ出てみると、利用者から、あるいは家族から厳しい叱責という声も届いている中において、既に各事業所においては研修を行っているかもしれませんけれども、考えることを十分できるようになったと、また考えることが大切だということもわかってきたという生の声も届いております。そういう意味において、決してハードルが高いものではありません。最低限度、守るべき基準だと私どもは認識しております。

 以上です。

○田中(滋)座長 本間代理、お願いします。

○本間代理 全老健の本間でございます。

 これは意見なのですけれども、うちの老健で数名のアセッサーがいます。介護福祉士として10年ぐらいのキャリアがあります。彼らがなぜアセッサーをとったのかというと、ケアマネジャーに行きたくないからです。つまり、今まで介護の世界というのは、現場でのキャリアアップというと、ケアマネジャー資格を取る人がどうしても多かった。そこへ自分は介護の道を行きたいけれどキャリアアップが見えづらいと言った将来への不安に対してアセッサーという一定の評価が誕生した。そういう点で、このアセッサーがいい形で残っていってほしいなと思っていますし、アセッサーを取っている人たちもそう感じていると思います。

 ただ、先ほど議論にもありましたけれど、認定介護福祉士資格とこのキャリア段位制度の関係が、現場の職員を非常に混乱させている実態があります。そこをきちんと整理し、方向づけをして安心させてあげないといけない。介護の歴史というのはまだ浅いので、その辺りを厚労省の皆さんもぜひ理解していただきたい。僕も、認定介護福祉士とキャリア段位制度とはどのように違うのですか、とよく質問を受けます。現場の介護職員は、その辺り整理がついていないので、混乱しないように持っていかないと、せっかくここまで来た制度が頓挫してしまうのではないかという懸念を持っております。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 林代理、お願いします。

○林代理 全国介護事業者協議会の林と申します。

 先ほどから議論になっている部分ではあるのですけれども、全国に広げてほしいというお話の中で、中小規模の事業者を代表してコメントさせていただきますと、あるべき介護のプロセスに対して、現状のどの部分にギャップがあるかを見える化するという今回の取組みについては、プロセスの標準化という視点では、介護の質を高めるために非常に有意義だと考えております。ただ、こういったところは中小事業者こそ必要としている部分ではないかなと、今、お話をお聞きしていて感じております。中小事業者というのは、人手も資金も十分にない事業者が多い中で、サービスのばらつきというものが大きな課題となっているように感じます。

 こういった事業者が全国に多くいらっしゃるということを鑑みると、先進的な施設や事業者だけではなく、人手も資金も潤沢でないような中小事業者にも導入できる仕組みとして、金銭的なインセンティブだけではなくて、導入にちゅうちょされている事業者に対して、導入の事例によってこういう効果が出ましたとか、こういった評価がされておりますという好事例みたいなものもきちんとお示しいただくような取組みを通して、今回の取組みについての促しをしていただければと考えております。

○田中(滋)座長 仕組みの使い方についても御指摘いただきました。

 では、時間の都合もありますので、次に移ります。前にさかのぼって御発言いただくことは、何の問題もありません。最後は、5ページからの「介護キャリア段位の仕組みの見直しについて」です。現状の取組みを踏まえて、どのような見直しを行うべきか、また見直しを行う場合、どのような視点が必要かについて議論を行います。項目3について、御意見をお願いいたします。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 6ページに介護福祉士養成校の実習生が含まれていたことは私も知りませんでしたけれども、これを除外するのは当然だと思います。以前の検討会のとき、事業者の代表の方が、「わかる」を教えるのが学校の役割で、「できる」は卒業してから、このキャリア段位制度でやってほしいというお話をされたのですが、それがそもそも理解できないのです。そういう「わかる」だけの知識で卒業させてしまうということ自体に、学校の在り方として大いに問題があると思います。

 ですから、もしこれを今後、引き続き残すとしたら、学校を卒業するまでには介護福祉士のレベル4まで到達させることを学校の必達目標にして、到達しない人は卒業させないとするぐらいのことをやっていただきたいし、それこそが介護福祉士の質の向上につながると思います。それを現場に丸投げして、卒業してから、職場で賃金をもらって働いているところでやらせようとすること自体、学校の考え方が安易過ぎます。だから、いい人が集まってこないという悪循環に陥っているのです。介護従事者はこれからたくさん必要ですから、学校がきちんとしてくれないと困るのです。

 学校が悪循環に陥っているのは、学校の経営者の団体の代表の方がそのような認識のレベルでいらっしゃることと大いに関係があると思います。私は、ぜひそこを見直していただきたいと思います。

○田中(滋)座長 はい。

○小林(光)委員 私、学校でございますので、今、鈴木委員に反論するわけではありませんが、「わかる」と「できる」が違うという発言をした覚えは私、ないのですけれどもね。

○鈴木委員 いや、言っていますよ。

○小林(光)委員 いや、そういう発言をした覚えはないのです。おっしゃるように、介護福祉士の資格を取っていれば、これで言えばレベル4の実力を備えるように教育をきちんとしていくというのが、一つの方向性として私は考えられることだと実は認識しております。そこは、鈴木委員と同じなのではないかと思います。ただ、実習生に評価するということは無理ですよという話がここに書いてあるだけであって、教育の中にこういったことの要素もある意味では取り込んで、そして教育のレベルを上げるということは、1つは考えてもいいのではないかと思っているところであります。

 まだ、この制度そのものがいろいろ動いているところでありますから、今後の一つの検討課題にもなるのではないかと思っているということであります。そこは、そういう認識ということですね。あくまでここで書いてあるのは、実習に行っている者は、実習期間というのは限られた中なのです。それにこれをやるというのは、本当の意味の実習ができなくなるおそれがあるので、これは無理ですという話であって、このことそのものを否定しているわけではないということをきちんと御認識いただきたい。

○田中(滋)座長 学校教育の到達点については、両者、同じことを言っていらっしゃいますから、安心いたしました。

 他にいかがでしょうか。筒井(孝)委員、お願いします。

○筒井(孝)委員 同じところについて「対応の方向性」のところですが、確かに、介護福祉士養成校がこれを実施していくのは困難だという現状はあると思います。しかし、これを完全に対象外とすべきではないかと介護福祉士養成校が言ってしまうのも言い過ぎにならないかと思います。

 どういうことかというと、介護福祉士養成校が出しておられる平成26年度の報告書を見ますと、介護福祉士の職業能力評価で一番足りないところというのは、実は「介護に関する社会保障制度の施策についての理解」というのが一番不足しているという回答で、その次が「介護の技術の根拠を理解するということ」と示されております。これは、どうしてこの人にこのような介護技術を提供するかという根拠を理解することは現状では、養成校の教育だけでは難しいということを示しているわけです。しかし、このキャリア段位制度においては、この根拠を明らかにしないと認定がとれないので、段位制度を活用することが自然と根拠を身につけることにもなるし、これを継続的にやっていくことがOJTになるという中身になっているのです。

 ですから、現状では国家資格を取っての再教育も介護福祉士養成校は担っておられるので、自ら対象外にしてくださいと言うほどのことでもないのではないかというか、やれる人には、やれるように、やれる事業所には、やれるようにというような道も残しておかれたほうがいいのではないかと思います。それは、もともと内閣府のときの議論で、養成校でもできるようなことがあったほうがいいという御意見をいただいて、この話は入っていたと記憶しております。昔のことを言ってしまって申しわけないのですが、そもそもそういうことをおっしゃっていて、今回、対象外とすべきでないかと書かれるのは何となく違和感があるなと思いました。

 介護福祉士養成校は、ピーク時から比べると定員も70%も減っておられて、しかも入学希望者も減っておられるという状況なので、こういうことをやっていくということを一つの売りにする養成校も出てきていいのではないかなと思います。

○田中(滋)座長 小山委員。

○小山委員 鈴木先生とけんか別れをしないで済みそうになって、よかった。

 私、思うのですけれども、介護福祉士養成校を出てきたら、キャリア段位の4程度になっているという議論があるわけですから、むしろ養成校で到達すべき尺度が不明確と言うと失礼ですけれども、余りかちっとしていないので、キャリア段位を利用して、介護福祉士、これから出てくる人たちは、喀たん吸引の問題もありますから、きちんとできるのを育ててほしいというのは、これは多分、全員同じ意見だと思うので、そう書ければ、そう書いてもらうとすごくうれしい。すごく大きな成果だと思います。

 もう一つ、介護福祉士の養成は、例えば高校を出て、現場でずっと勤め先の事業所が一生懸命トレーニングして介護福祉士を取れるような仕組みだったのですけれども、ヘルパーの3級がなくなって、だんだんそれもなくなって、養成校を通ってこないと介護福祉士には認めないよみたいな方向になってきているので、これについて、そんなことをここでしゃべってはいけないと言われればしゃべりませんけれども、人材育成のところで介護福祉士さんの養成とか資格制度というものどういうふうにやっていくかというのは、私は全然門外漢ですけれども、すごく気になる。

 さっきの話もありましたけれども、3ページに、介護福祉士や認定介護士との関係について、わかりやすい整理が必要だと書いてあるのですけれども、それは済みません、このビルの中でわかりやすくしてほしいと切にお願いしますが、キャリア段位というのは一つの物差しになっているわけで、ここまで来たらこうだというのがわかりやすくなっているという意味では、わかりにくい今までの評価のものよりすぐれているということは、これも間違いない事実だと思うのです。

 それが面倒くさいとか、事業者側に一方的に負担を強いているということに関しては、簡素化とか簡便化しますと言っているわけですから、これも別にみんなが言っていることと鈴木先生が言っていることは全然違わないわけですし。それに、三十何万人が介護福祉士で、残りの人は介護福祉士ではないけれども、介護分野で働いているわけですから、その人たちに今いる介護分野から離脱してもらうのを、どうしても止めないと、だって、これから100万人養成しなければだめだとか、片方で言っているのですけれども、どうするのですかと、すごく心配になるわけです。

 地位向上とか、いろいろなことがあるかもしれませんけれども、手に持った技術ですから、その技術が自分たちの行為を通じて正確に評価されることを嫌う人は誰もいないわけですね。ただ、面倒くさいとか、すごくハードルが高いと思われてしまったのは、やり方が悪かっただろうし、わかりにくかったのかもしれないから、それは最低限、ちゃんとしていくという方向で、ここの部分は別に大きな問題ではないのではないかと私は思うのですけれども、間違っているかもしれませんけれども、私としてはそういうふうに思っています。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。まさに小山委員の言われた、キャリア段位は物差し足り得るわけですね。3ページに書いてあるように、標準的な介護技術の基準を体系化し、客観的な基準としてつくった。ここは大切な点ですね。

 小林(光)委員、お願いします。

○小林(光)委員 ちょっと間違って捉えているのかもしれませんが、私はこのキャリア段位制度というものが、介護の技術や知識を含めて、能力がちゃんとわかる化になっているという意味では非常に評価して、そしてこれはぜひ進めるべきだと。養成教育の中でも、取り入れられるものは取り入れていったほうがいいと考えてはいるということを、私が出ていた回では私は今まで申し上げてきております。

 ただし、養成教育というのは限られたカリキュラムというのがありまして、それをきちんと消化しなければ卒業認定もできないしという問題がありますので、この間に6カ月間、この評価を現場でするというのは不可能だという意味で、ここで対象外とすべきと言われているだろうと思います。現場実習はあるのですが、現場実習はキャリア段位のことだけではなくて、あらゆることを体験してくる期間として450時間を認定されているわけですが、介護福祉教育そのものは、御存じのように、一番最初に始まったときは1,500時間でした。今は、介護福祉教育は1,850時間以上になっているわけですね。

 さらに、たんの吸引なども入れてということになりますと、2,000時間以上に増えていくという現場研修も含めて、そういう過程で今、介護福祉教育というのは進化して変わってきているということです。その中で、こういった専門職としての評価目標・評価基準というものをちゃんとわかる化してできてきたということは、大いに評価し、そしてこれを養成校卒業時には受けるようにという指導はきちんとしていきたいと思っているのです。ただし、養成教育の中でこれを受けるから、では学校を休みますというわけにはいきません。教えるべき中身は、もっとたくさん幅広くありますので、それを終えて、次にこれを受けなさいということで指導することは、私は大いにやるべきだろうと思っております。

 そしてまた、こういうことで介護の仕事のキャリアラインが見えていき、そして、その実績・能力がわかる化されていくということは、私は非常に合理的で意味のあることだと、こういうふうに初めから申し上げているところで、これは御理解いただきたいと思います。

○田中(滋)座長 どうぞ。

○鈴木委員 もし小林(光)委員がおっしゃるような教育カリキュラムが組まれているのだとしたら、私は介護福祉士養成校のカリキュラムを大幅に見直すべきだと思います。私も看護師養成校を自分で経営していますけれども、2年目以降はほとんどが実習です。実習の中にこそ学びがあるのであって、介護福祉士もそのような教育体系に変えていかないと、座学中心では、多分いい介護福祉士ができてこないのではないか、それが悪循環につながっているのではないかと思います。ここで議論すべきことではないと思いますけれども、学校の代表の方のようですので、ぜひ然るべきところでカリキュラムの見直しについて議論していただきたいと思います。

 医学部ですら、もっと実習を増やす方向になっていますし、歯科医師は、義歯を除けば、学校を卒業したらすぐに開業できるぐらいの実力が身につくようになっています。私はもっと実習を重視して、現場から学ぶようにしていけば、おのずとキャリア段位の想定するレベルには到達できると思います。それを学校を出てからやらせようということ自体に、問題があります。

 私のところでは初任者研修を行っていますが、実務者研修がなかなか本格的に始まっていかず、延ばし延ばしにされているような問題も見直していく必要があると思うし、本当に介護業界の方々が人材を育成しようと思うのなら、もっと身を切ると言ったらおこがましいかもしれませんけれども、そういう安易に流れない見直しが必要であると思います。現場は本当にみんな苦労しながら人材を必死に育てようとしています。それでも離れてしまう方がいるというのが現実です。

 ただ、介護職はたくさんいりますから、全ての人を全部同じレベルにというのは無理なのです。リーダークラスになるような人と、パートのような形でもやれるような高齢者など、それは雇用の受け皿にもなりますから、そういう方と少なくとも2つのタイプに分けないといけないので、全員にこの制度をというのは無理だと思うし、対象者についても考えていく必要があると思います。

○田中(滋)座長 小山委員と同じように、このビルの中の別のフロアに対する注文がありました。ありがとうございます。

 筒井委員、どうぞ。

○筒井(孝)委員 介護福祉士養成校のお話も、養成校だけが考えて解決できるような問題ではなくて、カリキュラムの考え方も含めて検討すべきであると基本的には思うわけです。また、それはここで話す話ではないという前提があるのですけれども、OJTと学校での教育ということの連動性が低いというのは、日本の大きな特徴であり、問題でもあります。多くの欧州のいわゆる福祉先進国では、2000年以降、非常に大きな改革をやってきています。

 特に、今回、私がキャリア段位の仕組みを考えるときに参考にしたデンマークでは、こういった介護に関わる技術や資格については部分資格というのを養成校で取れるようになっていまして、基本的に110ぐらいの段階があるのですけれども、それを養成校の中で70ぐらいを取っていくのを必須にして、あとの40は現場と連動させて教育をやっていく仕掛けをつくるというようなことをしてきています。こういった取組は、先ほど小山委員がおっしゃったような介護の現場というところから離職者を減らすことにつながるでしょうし、キャリア段位の認定者が記述しているアセッサーの記述データを分析して、思うことは、日本の介護現場は非常によく訓練された、よい人が多数、おられると思うのです。しかし、アセッサーが現場で孤立することなく、彼らが引っ張っていけるようにするためには、介護福祉士養成校とその実習現場をもっと密接にくっつけて、職場教育というのを養成校の時代から経験させる仕組みを創ることが求められているのではないかと思います。その一つのツールとして、このキャリア段位というのを使っていくというモデルは考えられるのではないでしょうか。ですから、内閣府のときにユニット認定というものもあっていいのではないかということを議論して、このユニット認定を認めてきたという経緯があります。

 つまり、ユニット認定を重ねることによってレベル認定が取れるという仕掛けにしておけば、養成校から、介護福祉士100万人と言いますけれども、国家資格養成校出身は3割ぐらいしかおりませんので、他の7割の人も養成校とのつながりを持つという逆の循環もありえます。こういう循環は重要であると私は思うので、そういう意味で使っていただくという方法論もあるのではないかと思います。

 こういった学校と職場との連携を深めていただくことが、先ほどキャリアアップラインが見えないという、このキャリアアップのラインとか、こういうことをしたら技術が上がって、こういうふうになっていくというのを現場の中につくることになると思います。つまり、このような仕組みがないとどうやっても底上げにはならないのではないかと思います。そのようなことができる仕掛けに国も支援していくことを考えていただけるとありがたいかなと思います。

○小林(光)委員 今、大変貴重なことをおっしゃっていただきましたが、私も基本的には今、筒井(孝)委員のお話のとおりだと認識しております。

 ドイツやヨーロッパ、昨年はいろいろ見てきたわけでありますが、現場と密着して、そしていろいろな評価システムとか認定システムというのができているのです。ですから、我々養成校も、そういう現場と密着して、現場で何が求められ、どういう評価がいいのかということを現場と一体になって、そういった教育カリキュラムや何かをきちんと構築していくということを、今後はさらに考えていくべきだろうと思っています。

 幸い、この後、また社会援護局と老健局を含めて、厚労省として介護福祉教育のカリキュラムの見直しが上がってくるとも聞いているわけでありますから、その中で今、皆さん方の御意見も踏まえて、さらに新しい教育体系をつくっていきたいと思っております。

 よろしくお願いいたします。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。

 田中委員。

○田中(雅)委員 7ページになりますが、レベルに関する考え方の問題でございます。

 その対応の方向性の中において、「今後も当面の間、従来通りレベル4程度までを念頭においた仕組みとして進めていくこととしてはどうか」となっております。これについては、現段階においては妥当だろうと考えておりますが、認定介護福祉士というのは、昨年12月に認証機構が立ち上がったと聞いております。

 そういう意味において、そういった認定介護福祉士に対する養成であったり、認証ということがこれから制度的にも進んでいくのであるならば、あくまでも当分の間にして、もともと内閣府時代においてレベル7を考えたときの、例えば皆さんにお配りしましたテキストの3ページにありますように、そもそもレベル5とか6というのはプロレベルのスキルであり、なおかつ高度な専門性を持った方々と考えておりますので、そういったことも将来的には考えていくべきで、認定介護福祉士を全くこの場では考えないのではなくて、将来の課題として位置づけていただきたいと、私からお願いしたいと思います。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 今のレベルの件に関しましては、また古い話なのですが、7は、はっきり言って介護キャリア段位制の議論の積み上げで出てきた話ではなく、3つの職種の横並びということで、1、2、3、4、5、6、7というのは最初から定めがありまして、分野共通の考え方ということでこういうことがあったということです。

 全般に冒頭からの議論に重なるところがありますけれども、イギリスで1980年代にできた制度というものが頭にあって、日本型NVQという言い方を当初されていたと思いますけれども、そのときにイギリスの一部の制度では、この上のほうの段位がプロフェッショナルで、ここでは戦略性とか資金のマネジメントをやるといったものがイメージされていたかのように認識しているのです。そういう意味では、1から4までと4以上というのは、今、日本の介護に求められているものから考えますと、連続性には欠けているということでございますので、とりあえず1から4までという話と。

 それから、先ほど田中(雅)委員がおっしゃった4以上のものというものが、介護福祉士を取った介護職員のプロフェッショナルとしてどういうものができ上がるのかというのが、現状で少し議論しにくいといいますか、共通意見を持ちにくいところじゃないかと思います。介護福祉士ができて30年経っていないですから、これも医師や看護師といったものと歴史が違います。

 ですので、こういった中で上がどういうものかというのは、先ほど小山先生が、今回、ルールを変えたらどうなるかということをおっしゃいましたけれども、まさにルールを変えてやってみようということの次には、5、6、7を拙速に何かをつくるというよりは、ルール変えにおいては4段階までをきちんと運用することとして、次回、検討するときには、5、6、7を改めて議論するという考え方のほうが妥当かなと思います。

 ユニット認定の話ですけれども、今の認定で言いますと、頻度が少ないものであるとか、あるいはそもそもやっていないものであるとか、立場によってやっていないものということがあるのだろうと思うのですけれども、特に頻度が少ない、ここに代表的に書かれているターミナルケアに関しては、やっていないところが通所介護の例で書かれておりますけれども、特別養護老人ホームでもやっていないし、今後もやる気がないとお答えになっておられるところが決して少数ではないという現状ですと、まず、このユニット認定をされても、ここに勤めている限り、段位を取れないことがあり得るということをどう考えるかということがあるのではないかと思います。

 割り切った考え方で言えば、例えばここで書かれている段位でカバーするものというのは、これができて介護職員としての認定につながっているのであるから、これをやっていないようなところに勤務されていると認定されないというのはやむを得ないという発想があるように思いますし、私はどちらかといえばそちらの立場なのですけれども、それは不公平ではないかという意見もないことはない。ですから、ここは基本的な方向性としては正しいと思うのですけれども、この方向性を認めたとしても、取れない方がいらっしゃる、生じてしまうという認識を持った上で議論する必要があるかなと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 レベルを4までにすることについては、皆さん、特に異論はないようですね。共通の見解でした。

 はい。

○小山委員 この検討会が「介護プロフェッショナルキャリア段位の制度の在り方に関する検討会」と、「介護」と「キャリア」の間に「プロフェッショナル」が入っている。プロフェッショナルの流儀というのは何なのか、よくわからないですけれども、要するに科学的なエビデンスがある手順を正確に履行することによって目標達成できる人たちをプロフェッショナルと言うのですよ。ですから、正確な手順を省いてしまうと、いろいろな事故が起こったり、人権侵害があったりするので、「プロフェッショナル」はどなたがつけたのか知らないけれども、炯眼だったのかな。

 もう一つ、私としては、介護キャリア段位と言うと、みんなにしょっちゅういじめられて、すごく嫌な思いをして、厚労省で名前を変えてもらえませんか。介護キャリアグレードとか。そうしないと、5年前の議論から、ところでみたいな話をされても。だから、介護プロフェッショナルキャリアグレードというのがいいかなと思ったけれども、プロフェッショナルがまずければ、介護キャリアグレードとか言ってもらわないと、キャリ段は厚労省で生まれたのではなくて、内閣府で生まれたので、いつまでたってもあいつはまま子だみたいな雰囲気を受けるわけです。

 だから、厚労省の聡明な老健局を中心とする皆さんに考えてもらって、1回名前を変えてもらったらどうかなと思うのです。せっかく「介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方」と、「プロフェッショナル」と入れたのは、キャリ段だけではないよという意味なのだと思うのですよ。プロフェッショナルというのは、みんなが目指すべきは介護のプロフェッショナル。つまり、科学的な手順をきちんと履行することによって、ちゃんと目標が達成できるということだと思えば、いろいろなことがあると思うのです。

 今はキャリア段位制度しかないのですけれども、他にすごく頭のいい人が出てきて、違う評価軸をつくるかもしれないし、こういう取組みはもっと複数出てきても本当はいいと思うので、キャリ段と言われただけで、過去の恩讐まで引きずって、まま子はまま子のままで、まま子という言葉がよくないのかもしれませんけれども、直系卑属じゃないみたいな関係が続いているのはすごくよくない。

 レベル4までがどうかというのも、もうレベル1はないのだし、2の1と2の2と3と4の4段階しかないので、4以上はないのかというよりも、いや、介護キャリアグレードというのは4つに分かれていますと言ってもらったほうが、4しかないのかというと、4以上、7まである。3個はどうしたのだみたいに言われて、すごく嫌な感じをしているという話をする人がいるので、済みません、4まででいいのですが、名前の変更も含めろと報告書に書いてもらうとうれしいなと思います。

○田中(滋)座長 小山節らしくなってきました。ありがとうございます。

 他に、5ページから8ページに関する各論で何か御意見、おありでしょうか。小林(司)委員、お願いします。

○小林(司)委員 済みません、8ページもよいでしょうか。

○田中(滋)座長 はい。

○小林(司)委員 キャリア段位の活用の1つ目の○についてです。キャリア段位に取り組む介護事業所・施設に対する支援策が活用されるように、ということで、アイデアベースではございますが、参考資料5に書かれたもの以外に、介護労働雇用管理改善計画の認定を受けるのに、この制度を導入していれば認定を受けられるというのが、1つ、アイデアとしてどうかなと思っていますので、御検討いただけないかと思っております。

 あと、改めまして、ちょっと戻ってしまうかもしれませんが、このキャリア段位制度でレベル認定されたり、アセッサーになったり、そういった評価された人の処遇がきちんと上がっていくことも重要だと本当に思っておりますので、少し人材育成のところに書かれてはありますけれども、そのメッセージをより強く出してもらえないかと思います。反論もあるようですけれども、私どもとしてはそのように主張しておきたいと思います。

○田中(滋)座長 村上委員、どうぞ。

○村上委員 今、小林(司)委員もおっしゃいましたけれども、処遇の改善について、働く者の立場から意見をさせていただきます。

 この議論の整理に、「処遇の改善に向け、その評価とか材料につながる」等の文章がないのは甚だ残念でございます。働く人は、技術の向上への意欲はすごく高いのですね。と同時に、技術の向上と賃金の向上はセットであるというメッセージがないと、段位制度に挑戦しようという意欲も後退します。それは、私どものデータでもそうですし、第2回の検討会の事業者からのヒアリング、若竹大寿会さんですか、こちらのデータでもそうでしたけれども、キャリア段位制度に期待することとして、賃金アップとか処遇改善ということが一番に挙がっています。処遇改善の材料につながるような何らかの形を事務局で検討していただければと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 処遇の改善はもちろん大事なのですけれども、これだけ介護報酬が抑制されている中で、キャリア段位だけが唯一の処遇改善のツールにはならないと思います。これも一つのツールでしょうが、他にもそれぞれの事業者が取り組んでいる職務・職能等級資格制度など、いろいろあります。我々のところも、独自の取り組みにより人事考課をして、処遇を決めています。それらももちろん評価していく必要があり、これだけがツールになることはあり得ないと思います。これと処遇改善を直結させることについては、そうしたいろいろなキャリアアップしていく仕組みを通じた、処遇改善は必要だと思いますが、これだけが根拠にはならないと考えます。

 それと、ぜひ介護報酬全体を確保していただく必要があります。若い方がたくさんいるので、我々も何とか処遇改善していきたいと思うのですけれども、全体が大幅に引き下げられていく中では、幾ら処遇改善加算がつけられても限界がありますので、ここは介護報酬全体の中で考えていかなければならないと思います。

 さらに、私は、介護職員はぜひ共働きモデルの主役になっていただきたいと考えています。それは話すと長くなるので、本日はこれ以上、言いませんけれども、そういうことも考えていく必要があります。北欧、デンマークとおっしゃいましたけれども、北欧はほとんどみんな共働きで、それが前提になっています。我が国でも仕事と子育てを両立しながら働けるような仕組みをつくる上で、私は介護職員はそれにふさわしいモデルになるのではないかと考えていますので、そうした視点からも御検討いただければと思います。

○田中(滋)座長 山田委員、お願いします。

○山田委員 レベルを何段階にするかということに関連してですけれども、先ほどの議論の中であったように、名前を変えたり、あるいは4段階にするというのは、それはそれでもいいと思うのですけれども、これももともとという話をすると横展開みたいなことも少し考えられていたという経緯があったと思います。

 それと、ケアの問題というのは、隣接分野、保育とか幼児教育というところとも関連してくるので、もちろん介護のところでうまく成功しなければ、それはできないわけですけれども、将来的にそういう横展開をしていく可能性を仕組みとして残しておいたほうがいいのではないか。だから、名称を変えたりしてもいいのですけれども、構造として段階をしっかり残しておくということは残しておいたほうがいいのではないかと思います。

○田中(滋)座長 それぞれの論点について、貴重な御意見、ありがとうございました。

 一わたりよろしゅうございますか。どうぞ。

○鈴木委員 8ページの介護職員の2つ目の○、「介護技術が客観的に認識できるような工夫」、これもキャリア段位もそうでしょうけれども、我々のところも独自の職務・職能等級資格制度によって、名札に色をつけるような仕組みにしています。星をつけたり、事業所によっていろいろな工夫があります。それのあくまでも1つであるということで、これだけが認められるとか、そういう形にはすべきではないと思いますので、それぞれの法人の中で、事業者の中でキャリアアップしていく姿を評価するというのが私は必要だと思いますけれども、それはこれだけには限らないようにすべきだと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 他にないようでしたら、議論はここまでといたしまして、次回の日程について、事務局から説明をお願いします。

○辺見振興課長 ありがとうございました。

 次回の日程につきましては、現在、調整をさせていただいております。後日、改めまして御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○田中(滋)座長 本日は活発な御議論、ありがとうございました。共通の理解が進んできたことを強く感じます。

 以上で「第4回介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会」を終了いたします。どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(了)

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