ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2015年11月10日)




2015年11月10日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成27年11月10日(火)10:00~


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室


○出席者

出席委員(19名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、○一 色 高 明、 今 井 聡 美、
  梅 津 光 生、 生 出 泉太郎、 齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、
  正 田 良 介、 鈴 木 邦 彦、 田 島 優 子、 千 葉 敏 雄、 
  寺 崎 浩 子、 中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、 新 見 伸 吾、
  濱 口    功、 菱 田 和 己、 桃 井 保 子
 (注)◎部会長 ○部会長代理
  他参考人2名

欠席委員(4名)五十音順

  石 井 明 子、 川 上 正 舒、 武 谷 雄 二、 村 上 輝 夫、 

行政機関出席者

  中 垣 英 明 (医薬・生活衛生局長)
  山 田 雅 信 (審査管理課長)
  宇 津    忍 (安全対策課長)
  磯 部 総一郎 (大臣官房参事官)
  矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
  梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
  俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当) 「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」の開催をお願いいたします。委員の先生方におかれましては、大変御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

 現時点で、本日は医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、18名の御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。

 また、事務局に人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。山田審査管理課長です。

○事務局 本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1、議題2については会議を公開で行い、議題3以降については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容が含まれるため、非公開といたします。

 これより議事に入りますので、傍聴の方によるカメラ撮りはここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは、以後の進行について、荒井部会長、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 おはようございます。これから12時ぐらいまでということで、今日は結構タイトですのでよろしく御協力ください。初めに、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 公開案件について資料の確認をさせていただきます。議事次第の下に配布資料一覧がありますので、これに従って御確認をお願いいたします。議題1については6種類あり、資料1-1「非吸収性縫合糸認証基準()」、資料1-2「持続的気道陽圧ユニット等認証基準()」、資料1-3「ポケット型補聴器等認証基準(改正案)」、資料1-4「骨導式補聴器認証基準(改正案)」、資料1-5「耳鳴マスカ認証基準(改正案)」、資料1-6「男性向け避妊用コンドーム認証基準(改正案)」。

 議題2については、資料2「黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドライン()」。また、当日配布資料として、1「黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドライン案に専門協議委員のリスト」、2「事前にいただいた意見を受けて修正した評価結果報告書」、3「一般用検査薬について」、4「体外診断用医薬品の一般用検査薬への転用について」、5「武谷委員から提出された御意見」。参考資料1「薬事分科会審議参加規程」。公開案件の資料は以上です。

○荒井部会長 資料はおそろいでしょうか。

 それでは、ただいまから議題1「高度管理医療機器及び管理医療機器の認証基準制定・改正について」を始めます。事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 資料1-1から資料1-6を御覧ください。本日、先生方に御報告する認証基準案は、まず1件目、資料1-1の非吸収性縫合糸です。対象となる医療機器の名称は「未滅菌絹製縫合糸」ほか計14個となっております。本基準の使用目的又は効果は、「組織の縫合、結紮及び医療機器と組織の固定に用いること」です。主要評価項目としては、1.の寸法から8.の縫合糸の材料特性までの8項目を規定しているという基準です。

 2件目、資料1-2を御覧ください。こちらは「持続的気道陽圧ユニット」及び「持続的自動気道陽圧ユニット」です。使用目的又は効果としては、「医師の指導の下、睡眠時無呼吸症候群の患者の呼吸を補助すること」です。主要評価項目としては、1の最大供給圧力から5.の構成医療機器の性能までの5項目を規定しています。

 続いて、資料1-3から資料1-4の基準を御覧ください。こちらは補聴器等の基準ですが、伝音原理別起動方式、骨導式といった原理別に対象を整理しているもので、資料1-5の耳鳴マスカについては、JISの制定に伴う改正となっております。最後に資料1-6です。こちらの男性向け避妊用コンドームについても、JISの改正に伴う改正となっております。説明は以上です。

○荒井部会長 今、説明いただいた項目につきまして、御質問や御意見はございますか。よろしいですか。特に御意見がございませんでしたら、これで議題1を終了いたします。

 次に、議題2「黄体形成ホルモンに係る一般用検査薬ガイドライン()について」に進ませて頂きます。本件については、参考人として埼玉医科大学産科・婦人科学教授の石原理先生においでいただいております。よろしくお願いいたします。まずは事務局から、ガイドラインについて説明をお願いいたします。

○事務局 議題2については、資料2及び当日配布資料の1から5が対象の資料です。経緯と簡単な概要について説明いたします。

 まず経緯ですが、当日配布資料の3です。一般用検査薬のOTC化については、平成25年の日本再興戦略及び平成26年の規制改革会議等の指摘を受け、議論を進めてきたところです。

 2ページの上に、当該ガイドライン検討の流れ図があります。本部会での過去の議論を踏まえ、昨年末に発出した通知において、このような検討の流れと、一般用検査薬のガイドラインに必要な一般原則を規定いたしました。個別品目ではなく、業界において、まずガイドラインを作成し、これを厚生労働省とPMDAで評価し、それを本部会で議論いただくという流れになっております。今回は上の図の真ん中辺り、「厚生労働省」の下の「医療機器・体外診断薬部会」という所で議論を頂き、パブリックコメントの可否を議論していただくことになっております。

 続いて、当日配布資料4です。これが、先ほど御説明した昨年末の通知です。4ページに、「一般用検査薬の導入に係る一般原則について」ということで原則を定めております。1「検査項目について」、2「製品の表示等について」、3「販売時の情報提供について」等の原則が規定されており、本部会の検討のガイドラインは、これら原則の該当性等について評価をしていただいたものになります。

 最後に、当日配布資料5です。本日は武谷委員はお休みですが、武谷委員から本件に関して御意見を頂いております。一つ目のポツにあるように、当該検査薬については、妊娠を希望する方に一定程度有益であろうという御意見がありながら、下から三つ目のポツで課題としては、正しい使い方を使用者に理解していただくことが大事といった御意見を頂いています。

 具体的評価の内容について、機構の担当より、御説明をお願いいたします。

○機構 「黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドライン()」の評価結果について、機構より御説明いたします。部会資料、申請資料の1枚目でお示しした提出されたガイドライン案について、一般用検査薬導入に関する一般原則への該当性、使用方法や性能等の妥当性、使用上の注意等の記載内容について評価を行いました。

 最終的なガイドライン案については、当日配布資料2の14ページ、別添を御覧ください。今回、ガイドライン案として設定した各項目について御説明いたします。なお、以降、黄体形成ホルモンはLHと略させていただきます。

 3「使用目的」です。排卵前にはLHサージと呼ばれる一過性の大量分泌が起こり、このサージ開始後、おおよそ1日から2日以内に排卵が起こるとされております。内分泌の調節機構におけるLHサージの位置付け、尿中のLHを検出することでLHサージを捉えることが可能である旨の報告を踏まえ、排卵時期を予測することの臨床的意義が確立されていると考えました。ただし、この検査のみで排卵日を予測するものではなく、月経周期の把握等を前提とした補助的位置付けの検査と考えました。以上より、本検査項目に係る使用目的は別添の3にお示ししましたとおり、「尿中の黄体形成ホルモン(LH)の検出(排卵日予測の補助)」とすることが妥当と判断いたしました。

 続いて、下の4「測定方法」の御説明をさせていただきます。()測定原理に関してです。今回設定された原理は、免疫測定法のうちサンドイッチ法によるものとされ、本測定原理の特徴より、目視でLHの有無が確認できることから、一般用検査薬の測定原理として妥当と判断いたしました。

 続いて、()操作方法です。検査の手順として、採尿部に尿をかけるか、採尿部を浸した後、数分後に判定することから、一般の使用者で採取が容易な尿を検体とし、特別な器具及び処理を必要とせずに簡便に判定結果が得られることから、妥当と判断いたしました。

 続いて、()判定方法です。陽性と陰性の判定方法については、当日配布資料2の15ページの別紙1にお示ししたとおりです。判定は定性的であり、判定ラインと基準ラインの濃さの目視による比較等により判定可能であると考えたことから、設定内容は妥当であると判断いたしました。

 続いて、14ページの別添5「仕様の設定」です。検出感度については、排卵期のLH濃度が20mIU/mLを超えた場合は、LHサージ期の開始と推測されていること、50mIU/mL程度であれば、LHサージ期の上昇を捉えることが可能と想定されること、また、LHサージ開始後、ほぼ1214時間程度と短時間でピークに達することを考慮し、検出感度2050mIU/mLの設定については、許容可能と判断いたしました。

 続いて、6「安定性」についてです。室温での安定性を確認することとされており、家庭での保管方法である室内又は冷蔵庫での保管を考慮し、妥当であると判断いたしました。

 続いて、7及び8の使用上の注意等の記載内容について御説明いたします。まず、7「添付文書」です。添付文書案の記載内容については、一般の使用者により分かりやすく正確な記載内容とすること、及びより適切に受診に導くための配慮及び工夫を行うとの観点から、提出者により実施された理解度調査の結果及び総合機構で実施した専門協議での専門委員の意見も踏まえ、記載整備を行いました。最終的に変更された記載内容について、特段問題はないと判断いたしました。8「説明事項等」に関連しますが、添付文書案以外のその他の資料につきましても、添付文書案と同様に記載整備が行われたため、特段問題はないと判断いたしました。

 以上の各項目につきまして、一般原則への該当性について評価を行いました。一般原則については当日配布資料4の4ページから6ページにお示ししていますので、御覧ください。こちらの一般原則への該当性について評価を行い、前述の評価結果を踏まえ、該当すると判断いたしました。

 なお、その他の事項として、一般原則の1.のエ)性能、当日配布資料4の4ページの一番下を御覧ください。そこの適正な正確性及び精密性に係る性能を有するもの、また当日配布資料4の6ページの4「その他」で示したア)の包装及びイ)の適切な品質管理への最終的な該当性については、品目ごとの判断となることから、個別の審査の中で確認することが適切と判断いたしました。

 以上の評価を踏まえ、総合機構は評価結果報告書の別添、当日配布資料2の14ページで示したガイドライン案について、医療機器・体外診断薬部会で議論されることが妥当と判断いたしました。総合機構からは以上でございます。御議論のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 基本的には、今お説明して頂いた、当日配布資料2の14ページ以降の所について、この部会で議論させていただければよろしいという理解でよろしいですか。

○事務局 はい。

○荒井部会長 どうぞ。

○参事官 今の部会長のお話のとおりですが、基本的には当日配布資料2を基に御議論いただきたいと思います。事前に、机上にある資料2をお送りしましたが、その間いろいろな委員の先生方からコメントを頂き、それの修正案をこの中に入れ込んでありますので、修正案のほうでいいかどうか、またこの修正案のここを修正したほうがいいのではないかとか、その辺を御議論いただければと思っております。

 先ほど総合機構から御説明いただいた、最終的には当日配布資料2の14ページからのガイドラインを作るというのが、この部会の目的ですが、どうしてこういうことでいいのかということについてが、その少し前のページから、3ページから「評価報告」があり、4ページからの「検査項目」、とあり、下の所に「総合機構における評価の概要」とあります。この辺に専門協議で議論があったことや考え方を整理し、5ページの検査項目測定方法、6ページの操作方法、判定方法など、総合機構としての考え方をまとめさせていただいておりますので、適宜御参照の上、御議論いただきたいと思います。

○荒井部会長 それでは、当日配布資料の2を主に中心に審議を進めさせていただきます。まず、参考人の石原先生から御意見を頂けますでしょうか。

○石原参考人 埼玉医大の産婦人科の石原でございます。本日はお招きいただき、ありがとうございます。

 今回出ている、一般用の検査薬として尿中の黄体形成ホルモン(LH)を測定するキットを導入することに関しましては、従来から産婦人科のクリニック、病院などで、患者にはしょっちゅう病院においでになることができない方もいらっしゃいますので、そのような場合には次善の策として、家庭で御自身の尿中のLHの上昇を見つけていただき、妊娠の可能性を増やしていただくというために、長い間用いられていた試薬です。

 理想的には、血中のホルモンを測定する、あるいは外来で超音波により卵巣における卵胞の発育を確認するということが、最も排卵のタイミングを予測するためにはよろしいわけですが、毎日おいでいただくわけにはいきませんし、遠方の方あるいはお仕事をお持ちの女性などで、病院においでになるのが難しい方につきましては、この尿中LHの試薬というのは有用な方法だと思います。

 したがいまして、今回これが一般用の試薬として売られるということになって考えられますことは、これまで病院に行くきっかけを持っていなかった女性が、この試薬を御自宅でお使いいただいて、自分の不妊あるいは赤ちゃんがほしいのになかなかできないという状況を改善するために、医療機関にかかるきっかけとなる、非常に有意義なものではないかと思います。

 一方で、このLH試薬を用いることによるデメリットというのが余りない、危険性も全くない、尿中のものを調べるだけです。デメリットについてはほとんど考える必要はないということが、本申請の重要なポイントではないかと思います。お分かりにならないことがありましたら、分かる範囲でお答えさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 石原先生、ありがとうございます。委員の皆様から、御意見、御質問はいかがでしょうか。

○鈴木委員 今、石原参考人からの御意見も頂きましたし、いつもいらしている武谷先生の意見書も読ませていただきましたが、妥当ではないかというお話だったと思います。ただ、別の産婦人科の先生の御意見を聞きますと、幾つか質問、確認したい点がありますので、少しお話をさせていただきます。

 一つとしては、排卵予測の検査は、現状の体制でうまくいっている状況があるのに、なぜOTC化しようということになったのか、事務局の考えを再度確認させていただきたいと思います。

 二つ目は、不適正な使用により、その結果として発生する望まない妊娠の問題などが懸念されるわけですが、そういう中絶などの本人のリスクや倫理的な問題、医療費の負担などについて、どのように考えているのかということもお聞かせいただきたいと思います。

 三つ目は、使用者の理解度調査の内容です。この業界の調査で十分だと考えているのか、どのような理解をどのように確認したのかということを、再度教えていただきたいと思います。

 四つ目は、排卵のメカニズムなどについては、医師ですら専門でない者にとっては、十分に説明できないことがございますが、ましてや多少の研修を受けたり、解説書を付けただけで、薬剤師の方がきちんと説明できるとするのは難しいのではないかと思います。最初はきちんと販売していたとしても、だんだんそうしたものが緩くなっていくのではないかという懸念もありますので、研修と継続性の担保についてどのように考えているのかも教えていただきたいと思います。

 五つ目は、考え方としてはメリットは今のお話で理解はできるのですが、不適正使用に対する懸念も十分に払拭できるという意味では、もう少し丁寧な説明が必要ではないかと思いますので、それもよろしくお願いいたします。

 六つ目としては、昨年12月の医療機器・体外診断薬部会で、「医薬品等安全対策部会でリスク区分を検討する」ということで合意されており、これを変更することは認められないと思いますが、これについての事務局の見解もお聞かせいただきたいと思います。以上です。

○参事官 私から先にお答えしますか。

○荒井部会長 鈴木委員のご意見に関係する部分で、もし他の委員のご意見があれば、先に伺いましょうか。

○生出委員 薬剤師会の生出でございます。今、鈴木委員からお話のあった4番、6番について、私なりの考えを述べさせていただきます。

 4番の排卵のメカニズム、専門家等ということがありますが、これは薬科大学や薬学部のカリキュラムの中でも、主に薬理学等の中で勉強しておりますし、我々の学生時代でさえもカリキュラムの中にありました。ですから、全くの素人ではないということでもありますし、更に14ページのガイドラインにあるように、8の製造販売業者から販売者に対しての研修を行うこととあり、一番後ろのページの別添の3-4に書いてあるようなこと、恒常的にこういう研修を行うことで、なお一層の理解が深まるものとなっていますし、ましてや医療人である薬剤師は緩くなることはあり得ません。

 それと、6のリスクの関係です。私どもとしても、薬剤師の手から、きちんと対応し、説明し、販売するということから考えると、安全対策部会においては、私どもは第1類医薬品が妥当ではないかと考えています。

○荒井部会長 鈴木委員から出ました排卵メカニズムについての説明について、薬剤師の教育、リスク区分の問題についてお答えいただきましたが、機構から追加はありますか。

○参事官 私から最初に鈴木先生の御質問というか、御意見にお答えすることでよろしいですか。

○荒井部会長 今の4、6ではなくてですか。どうしましょう。もしよろしければ、先に4、6の点についてご発言頂けますか。

○参事官 4、6ですね、はい。4番と6番の排卵のメカニズムの関係で、多少の研修ではなかなか難しいのではないか、薬剤師はきちんと説明できるとは思えないということですが。私どもは薬学部を出ております。私も御意見がありましたので、自分の教科書をいろいろまたもう1回見てみましたら、結構、女性ホルモンはたくさん、実は薬になっているものですから、ホルモンの分泌系の関係はかなり昔からやっておりまして、翻ってみると、やはり女性ホルモンから生殖のメカニズムということは、私の時代でも確かにやっていることは分かりました。どれだけ勉強をしたかということは議論はあると思いますが、最近の若い薬剤師に聞きましたら、もう十分やっていますと言われて、びっくりするぐらいの話もありますが、ホルモンのメカニズムという視点でいろいろやっていると思います。

 今回のものですが、特にこの製品を正しく使うための基本知識はどういうものが必要なのかと、使われる方に対してだと思いますが、確かに産婦人科の専門医のレベルは非常に難しいことだと思います。複雑な生体メカニズムは非常に難しいことはあると思います。基本的には、今回のものが先ほど石原先生のお話がございましたが、排卵そのものを見ているわけではないと。それは排卵そのものは超音波で見るということでしたが、それの代替の指標として尿中の黄体形成ホルモンを見るということですので、黄体形成ホルモンがどうして上がっていって、それがどうして実際の排卵と相関をしていくのかと、そういったそのメカニズムがどういうことであるのかとか、それから黄体形成ホルモンそのものがどのように卵巣で働いているかとか、その役割といったものをよく説明をする際にも、また、実際使用される方にもよく御理解いただいた上で扱っていただくことが一番大事なことなのではないかと思っております。

 また、逆に、不適正使用の話でいくと、裏返しなのですが、人によっては黄体形成ホルモンの尿中のピークと排卵が相関しない方が、一定程度おられることもありますので、逆に不適正使用というか避妊に使われることかと思いますが、そういうものには一定のリスクがあることは、きちんとお伝えすることが裏返しの意味で大事ではないかと思っております。

 最初は真面目に販売をしていても、きちんと継続できるのかということですが、その辺については、製造販売事業者にもきちんとお伝え申し上げて、継続的に販売者に対するいろいろな研修の機会の提供とか、種々の啓発とか、そういったことは継続的にお願いするようにしっかりやっていきたいと思っております。

○荒井部会長 まずは、ここまでのところについて、特に御意見はよろしいでしょうか。教育のこと、継続のこと。

○今井委員 先ほど鈴木先生から、医療機関での検査が機能しているのに、あえてこれを、なぜ認可する必要があるのかという御指摘がありましたが、その点に関しては、武谷先生が本日お出しになっている1番目のポツのとおりだと思います。私の職場も9割方女性です。30代の女性は非常に多いのですが、子供をつくらないという確信がある人はほとんどいません。単に生活が忙しく、自然な成り行きで妊娠しないという方がかなりいらっしゃいます。そうすると、そのまま何となく放置して、結局40になって大変という中で、言い方がすごく言いにくいのですが、日を限定して、限って夫婦で時間を作るというようなことができたらば、状況が変わるのではないかなというようには思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。今のお話は、さっきの議題が徐々にテーマが変わってきますけれども、鈴木委員から最初に御指摘いただいた、現状である程度いいのではないかというところで、あえてOTC化することの意義ということの御意見だと思います。この1番目に関しては、鈴木委員の質問の1番目ですね。今、あえてOTC化に持ち込むことの必要性に関しては、今、今井委員から、事実上そういうのはやはり必要なのではないかという御意見を頂きました。これについて、特にPMDAとか。

○生出委員 現状、医療用の検査薬ということで、薬局の調剤室の中にあって販売するわけですが、非常にやはりハードルが高いというか、敷居が高いというか、いろいろな薬局で排卵日検査薬を扱っていますとか店頭に書いてありますが、妊娠を望む女性のお客様が言い出しにくく、買いにくい状況は今でもあると思います。そういう意味で言うと、大分ハードルが下がって買いやすくなるから、検査をしやすくなるのではないかと思っております。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかにご意見はありますでしょうか。

○参事官 今の今井委員の御意見に関してです。実際、私ども、なるべく統計的なものはないかということで、先ほど鈴木先生のお話もありましたので、いろいろ当たってみました。多分、実感として、今井先生がおっしゃる部分は非常に強いのだと思います。実は調査としては、平成22年の国立社会保障・人口問題研究所のほうで、定期的にやっているようですが、「出生動向基本調査」というのがありまして、その中で、我が国、夫婦の結婚過程と出生力の調査レポートが出ています。

 これは、社会保障・人口問題研究所が大体、客体数として8,000人近くの御夫婦に調査票を送り、アンケートを取っております。そのうちで、いわゆる不妊について心配と治療経験がどうかというような調査項目もありまして、その御夫婦の方に答えを頂いたのが6,700ぐらいのお答えを頂いた方で、その中で、不妊に関して、「心配したことがある」とお答えになった方が31.1%。平成22年の31.1%内数ですが、「医療機関に検査や治療を受けたことがある」とお答えになった方が16.4%です。全体の6,700人の16.4%が受けたことがあると。逆に「医療機関にかかったことはない」という方が14.5%です。そういう意味では、心配はしているのですが、「医療機関にかかったことがない」というのが全体では14.5%です。

 また、子供がおられない御夫婦に限った調査で申し上げると、900件ぐらいの御回答を頂いております。その方の総数で、「心配したことがある」とお答えになった方が過半数を超えており52.2%おられました。「検査や治療を受けたことがある」とお答えになった方が28.6%、また、「医療機関にかかったことはない」とお答えになった方は23.3%ということで、相当数、「心配はあるのですが、医療機関にかかったことはない」とお答えをされている方が多いという調査結果が出ております。以上、御紹介です。

○荒井部会長 ありがとうございます。今のOTC化の点については、鈴木委員、よろしいでしょうか。

○鈴木委員 はい。

○荒井部会長 あと、御質問頂きました「理解度調査」について、あれで十分であろうかというところの、いわゆるエバリュエーションについてですが、そこのところについては、いかがでしょう。

○参事官 では、私から。それでは、「理解度調査」の内容に関しては、部厚い資料2で、具体的に調査の中身を御覧いただきたいと思います。別添資料のタグは、別添ガイドライン案、一般的名称、申請資料とあって、添付資料の次のタグで、別添資料が右に小さいタグが付いています。真ん中辺りです。黄色い所の別添資料1とあって、頭が「添付文書の理解度に関する調査」、黄体形成ホルモン検査薬、()マーケティングセンターとなって、添付文書の「理解度に関する調査」があります。

 これは、もともと一般原則の議論のときに、やはり添付文書とかが十分分かるのかということでしたので、今回、業界がガイドライン案を作る上で、このような添付文書理解度調査をやっています。

 次ページです。この調査会社は第三者として調査していただきましたが、調査対象者が2049歳の女性で、黄体形成ホルモン検査薬の使用経験がない30名の方を選んで、当然、ちょっと知識があるようなテレビ、ラジオとか、医療関係者とかは、こういう方は除いてやっています。その方々に今回、添付文書案を見ていただき、それを読んでいただいた上で、質問票を配布し、調査票への回答を記入して、それを回収した上で、正誤を確認するという形で、本年4月25日、26日に調査を行ったものです。

 調査票に関しては、同じタグの一番最後のページになります。「引用文献」と書いてある所の前に調査票が付いています。「附3」と書いてあります。「排卵日検査薬添付文書案の理解度に関する調査」の表裏の1枚です。問1から問7まで、ここに書いてある項目にお答えいただいた結果をまとめている形です。

 結果に関しては、先ほどの頭のほうに戻っていただき、理解度はかなり高かったということです。見ていただければお分かりになるのであれですが、会場の写真と誤答者とか、最後、考察の所を御覧いただいて、30名中2名が間違えた設問が1問で、1名が間違えた設問が2問であったということで、多くの方は、先ほどPMDAのほうの評価報告書に書いてありますが、ほとんどの方がよく理解できたということですが、間違えられた部分でいくと、そういう部分があったということで、これが実際のその調査の報告書です。以上です。

○荒井部会長 鈴木委員からの御指摘いただいた点については、ここまでである程度の説明を頂けたと思います。もうちょっと詳しいこと、あるいはそのほかの点、何か御指摘、御質問はいかがでしょうか。

 先ほどの薬剤師の方にどの程度やっていただけるかという部分は、結構重い部分だと思います。今、参事官から説明いただいたものも、「きちんと読んで質問すれば」ということが前提ですが、いつの間にかだらだらになってしまい、「よく読まない」といったことが起きてしまうと、先ほど鈴木委員に御指摘いただいたような、いわゆる不適正使用になってしまうという懸念があります。内容的には一定程度の人がきちんと読んで下されば分かるものでしょうが、例え理解できる表記であったとしても、それが、現場できちんと遵守される状況を維持することが、とても重要だと思います。この辺は今後も継続して、また御検討いただけたらいいかなと思います。そのほか御意見はいかがでしょう。

○千葉委員 2点お伺いします。1点は、判定結果が陽性か陰性か、いわば白か黒かだけですけれども、私は実際に、これ、自分でやったことは全くありません。必要もないですね。偽陽性とか偽陰性というものはあり得ないのでしょうか。その辺のところをお伺いしたいと思います。

 2点目は、海外で既にこれはかなり浸透しているものでしょうか。そうであった場合に、何か問題、例えば鈴木委員の心配されているようなことも含めた問題の事例は何かありましたでしょうか。その2点をお伺いできればと思います。

○機構 総合機構から御回答させていただきます。偽陽性・偽陰性が起こらないかどうかという御質問ですが、当日配布資料2の20ページを御覧ください。「判定に関する注意」の項が幾つか記載があります。このうち1ポツ目については、「陽性」にならないことがあることがいろいろ書かれております。これの3ポツ目になりますが、妊娠、分娩後、流産後等により陽性を示すことがある。これは偽陽性になる可能性があるということです。その旨をこちらに記載しています。

○機構 恐らく、絶対偽陽性・偽陰性が起こらないわけではないと思いますが、視認上の観点から、基準ラインを基準にして比較していただいて、薄いラインが出たりとか、それ以上濃いラインが出るという形で視認していただく。ただし、目視でやっていただきますから、その場合に、どちらか分かりづらいという場合もあり得ると思っております。特に一般の方の場合には。その部分は判定法の所ですが、そういう所で注意喚起を行っていくと思います。絶対出ないとは思ってはおりません。そこは注意喚起等を含めてきちんと判定できるように、それぞれの品目ごとになるとは思いますが、確認ができるようにしていきたいと思っております。

○荒井部会長 2点目の海外については。

○機構 少なくとも米国、欧州においては、LHキットは一般用として発売しております。

○荒井部会長 それではなくて、その上での不適正使用についての問題はなかったのですかというのが千葉委員からの御質問かと思いますが。

○参事官 実は、これ、一般原則を議論させていただくときに、いろいろ御議論いただいた望月先生が研究班を作って、海外の状況とかの調査もいたしました。一応、そのときには、先ほど見た情報もありました。いろいろ調べましたが、特にそういった情報は得られなかったということです。多分、通常であれば、いろいろ問題があれば、調査すればキャッチできると思いますが、確かにないことは調査しにくいので、完全にないかと言われるとちょっとあれなのですが、少なくとも海外の調査をしたときには、引っ掛からなかったということは言えるかと思っております。また、あえて、今も実際、医療用検査薬で売られているメーカーの方とか、関係の規制機関にも聞けることは聞けますので、継続して調べてみたいと思います。一応、私ども今のところはそういう認識です。よろしいでしょうか。

○寺崎委員 購入の際、薬剤師が説明後、あるいは自身で購入した場合に説明書を読んだ後に行う理解度テストなどがついていると、重要な事項が何かということが、確認できるかと思いますが、そのようなものは検討されていませんでしょうか。

○参事官 おっしゃることは、よく分かります。いわゆる研修効果はどのぐらい出るのかと。つまり、実際のリアルな場面で、例えば、生出先生が御説明をされて、前後で比較をするということだと思いますが、なかなか試験の設計は難しいかと思います。多分、設問もかなり難しくして入れるとかやらなければいけないと思いますが、今回は難しいと思います。今後、どういうことができるかを、また検討してみたいと思います。おっしゃることはよく分かります。若干、難しいかという気がしますが、検討してみたいと思います。ただ、今回はそこまではできないかと思っておりますので、御容赦いただければ有り難いと思います。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。鈴木委員から、かなり明確にポイントを分けていただきましたので、むしろきちんとした質疑ができたと思います。そのほかはよろしいですか。

○今井委員 添付文書のことも申し上げていいのですか。

○荒井部会長 はい。

○今井委員 一つは、本日頂いた資料21ページの「保管及び取扱い上の注意」の部分で、「また、冷蔵庫内保管は避けること」が2番の後ろに追加のように付いているのですが、恐らく冷蔵庫に入れるのですね、皆さん。これがもし不適切であるならば、この後ろにくっ付いた項目ではなく、独立した項目にしたほうがよろしいのではないかと思うことが1点です。

○参事官 もっと前に付けてということ。分かりました。

○今井委員 2点目。これは、私は専門家ではないので区別つかないのですが、16ページの下のほうに、最も妊娠しやすい時期という絵のすぐ上に、「数周期検査し、適切な時期に性交しても妊娠しない場合は、医師の診察を受けてください」とここでは書いてあります。今度、20ページですが、何回か検査をして陰性が続いた場合は、早期に医師・薬剤師(又は登録販売者)に御相談くださいという内容になっています。これが次元の違うリスクと言ったらいいか、よくない状況なのかが、私ちょっと分からなくて、どうしてここが違うのかが、2点目の質問です。

 3点目、個人の意見になっていますが、同じ20ページの「判定に関する注意」の2つ目のポツです。ちょっとマイクを持って言うのが恥ずかしいような「妊娠を望む場合は、できるだけ早く性交してください」と書いてありますが、これはちょっと押しつけがましいというか、この検査薬を使って自分の排卵日を調べたいから使うのですけれども、その後、排卵かもしれないと分かった段階で、会社を休むのかといった個人の判断になるのでは。だから、ここに書くとしたら、「なるべく早く速やかに性交を行うほうが妊娠の可能性が高まります」ぐらいのほうが、いいような気がしました。

○荒井部会長 ありがとうございます。

○参事官 すみません、なかなか説明しづらいことばかりで、大変申し訳ございません。おっしゃるとおりかと思います。今の最後のところについては、表現ぶりを適切に修正したいと思います。

 それから、最初のほうの御質問で、医師に相談するとか、診察する部分と、それから販売者である薬剤師、登録販売者まで入るのかはこれからの議論ですが、そちらまでやるのかという整理については、一応、こういう整理は考えております。今の当日配布資料2の17ページを御覧いただくと、「使用上の注意」と一番上に書いてあり、「してはいけないこと」「相談すること」と書いてあります。ここは少し書き分けをしています。1.は見え消しで書いていますが、「次の人は使用前に医師に相談すること」と書いて、不妊治療うんぬんと。2.検査期間中、陰性が続きLHサージが確認できない場合は、早期に医師、薬剤師(又は登録販売者)に相談することという記載をしております。

 つまり、1.の場合は、かなり体の異常というか、不妊治療、異常が一応、思われる方、この方については薬剤師、登録販売者というよりは、すぐに医師の相談、診察が大事だと認識をして、そういう形で書いております。ただ、陰性が続くようなケースについては、体の問題もあり得ますが、例えば使い方が悪くて十分使えていなかったとか、使えますが、ちょっと使い方が悪かったというケースも一応あり得ますので、最初のところとしては、医師以外で販売者である薬剤師や登録販売者ということもあり得るのではないかということで、一応、そこを書き分けて入れております。その内容を受けて、20ページの判定に関する部分についても、ここに記載をさせていただいていることを御理解いただければと思います。この辺もまた御意見があれば、また考えたいと思います。

○今井委員 しつこくて、すみません。それは考えたのですが、ただ、ここの相談することの時点というのは、使用前に相談することですよね。使用して自分の排卵日を予測し、適切と思われる時期に夫婦生活があったにもかかわらず、不妊であるという人ではないですよね、ここは。そこが私はちょっと分かりにくくて。ここは、適切な時期に性交を持っても1年以上妊娠しない人というのは、使った後なら分かるのですけれども、使う前は、むしろ適切な時期が分からないからこの人たちはこの検査薬を使う、消費者の方は。だから、私にとっては、1.の1番目と3番目はすぐに分かりますが、2番目だけが次元が違うような印象は受けました。

○参事官 分かりやすく、もう少し考えたいと思います。

○一色部会長代理 一つだけよろしいですか。先ほどの理解度のことをどうするかですが、簡単なチェックリストを製品のボックスの中に入れておくことは一つのアイディアかなと思います。

○参事官 ありがとうございます。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。活発な御議論をいただきました。ほかに御意見がなければ、これで「黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドライン」については、今後、この後、パブリックコメントを募集していただき、再度、本部会に御報告いただくという手続になりますが、よろしいでしょうか。先ほど申しました冷蔵庫の件はかなり大事なので、見える所に出していただければと思います。

○参事官 そうさせていただきます。

○荒井部会長 よろしければ、これで議題2を終了いたします。

○参事官 今の話はパブリックコメントで入るということで、ありがとうございました。以後の議論は非公開とさせていただきます。大変恐縮ですが、傍聴の皆様には御退席いただきたいと思います。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を再開いたします。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 石原先生、どうもありがとうございました。

○参事官 それでは、準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開します。よろしくお願いいたします。

○事務局 まず、非公開案件の資料の確認をさせていただきます。配布資料一覧に従って御確認をお願いいたします。議題3、資料3「医療機器『HAL医療用下肢タイプ』の製造販売承認の可否について、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について」。資料4「医療機器『Revive SE 血栓除去デバイス』の使用成績評価の指定について」。資料5「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」、資料6「医療機器・体外診断薬部会報告品目」です。資料7「競合品目・競合企業リスト」です。また、当日配布資料として、公開案件の当日配付資料からの続きの付番となりますが、6番、審議品目の専門協議委員のリスト。7番、HAL医療用下肢タイプ適正使用ガイド()。8番、HAL医療用下肢タイプ正誤表があります。非公開案件の資料は以上です。

○荒井部会長 資料はよろしいでしょうか。それでは、これより非公開で行う議題を始めさせていただきます。まず、審議事項に関与された委員と利益相反に関する申出状況について報告をお願いします。

○事務局 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程に基づき、審議に参加いただけない委員はございません。

 また、議題5については、委員より寄附金・契約金等の受取の申告がありましたが、これは、薬事分科会審議参加規程第18条の個別の医薬品等の承認審査や、安全対策に係る審議以外の審議、「以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で公開することをもって、審議及び議決に加わることができることとなっております。以上、御報告いたします。

○荒井部会長 今の説明でよろしいですか。特段、御意見がないようであれば、議題に入らせて頂きます。議題3「医療機器『HAL医療用下肢タイプ』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定について」の審議を始めます。

 本議題の審議に当たり、参考人として、独立行政法人労働者健康福祉機構九州労災病院門司メディカルセンターの院長の蜂須賀研二先生にお越しいただいております。先生、よろしくお願いいたします。

○蜂須賀参考人 よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 それでは、審議品目について、事務局から説明をお願いします。

○事務局 事務局です。議題3につき、資料3を御覧ください。こちらの分厚い資料になります。1枚目が諮問書になります。おめくりいただき、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対して、新たに一般的名称を新設する際には、当該一般的名称のリスク分類に応じて、高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて、薬事・食品衛生審議会にて指定することとなっております。

 今回議題の「HAL医療用下肢タイプ」は、既存の一般的名称のいずれにも該当せず、新たな一般的名称の新設が必要となります。新設を予定しています一般的名称は、「生体信号反応式運動機能改善装置」で、生体信号に基づき関節を運動させることで機能改善を図る能動型装置です。御覧いただいていますページの1のとおり、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものであると考えられるため、管理医療機器に指定し、2のとおり保守点検、修理その他の管理を必要とするものであると考えられますので、特定保守管理医療機器として指定することが適切と考えております。

 承認の可否等につきましては、審議品目及び審査の概要は機構より御説明させていただきます。総合機構の担当の方、よろしくお願いします。

○機構 議題3、資料3「医療機器『HAL医療用下肢タイプ』の製造販売承認の可否等について」、機構より説明いたします。初めに、審査報告書と添付資料に誤記があり、正誤表を当日配付資料8として配付させていただいております。審査報告書は副次評価の評価スコアの転記ミスです。添付資料は臨床部分の表番号のずれです。併せまして、表番号の引用箇所に不要な改行が挿入されており、分かりにくく申し訳ございませんでした。お詫びして、訂正いたします。本審査に当たりまして、当日配付資料6の専門協議委員リストに記載しています8名の先生方に御意見を頂きました。本品の概要について説明いたします。

 審査報告書、厚い資料の黄色いタグと思いますが、審査報告書の5ページ図1を御覧ください。本品は左右の股関節と膝関節にパワーユニットを備えており、体表面で測定した生体電位信号と関節の角度、足底の荷重、体幹の角度に応じて、下肢の動作をアシストします。パワーユニットの動作には図の上の3つのモードがあります。CVCは、生体電位信号を利用します。CACは、生体電位信号を使わず決められたパターンでトルクを発生します。CICは、積極的なアシストではなく、装置の動きにくさを補うトルクを発生させるモードです。

 6ページの図2を御覧ください。生体電位信号は運動ニューロンと筋線維からなる、いわゆる運動単位の電位を利用しています。電極の貼付位置は、関節の屈曲と伸展を検出できるように股関節と膝関節の屈筋・伸筋に貼り付けます。事前に筋収縮の高い場所に貼り付けて関節を曲げ伸ばししてもらい、信号を見ながら位置を調整します。

 次の8ページが、「HAL福祉用」という製品を左側に、本品を右側に示しています。HAL福祉用は本邦で2009年から約400台使用されていますが、医療機器ではなく運動の支援そのものを目的としており、治療効果を意図していません。9ページの表1に機能の違いをまとめています。本品は生体電位信号の増幅率が福祉用の約倍であり、調整機構なども違いがあります。

 その下は外国の状況です。本品は2013年にCEマークを取得し、ドイツで脊髄損傷と脳卒中を対象に70台使用されています。米国では同じ内容で2014年にde novoを申請し、2015年に「510()」に変更をして申請中です。

 次に3ページまで戻りください。「使用目的」です。本邦での対象疾患は、緩徐進行性の神経・筋疾患です。具体的には、2「適用患者」に記載した、脊髄性筋萎縮症以下の8疾患です。これらの共通点として、歩行機能が徐々に低下し根治的な治療がないという点があります。本品はこの歩行機能の改善を目的としますが、これは本品を使っている間だけ歩行できるという意味ではなく、時々使用して歩行運動を繰り返すことで、外したときの歩行機能が改善するという意味です。なお、本品は2014年に希少疾病用医療機器に指定されております。

 それでは、審査の概要を説明いたします。非臨床試験については1015ページに記載していますが、適切な回答や修正がなされ、問題ないと判断いたしました。

 臨床試験について、18ページより説明いたします。臨床試験は、医師主導治験として国内9施設で行われたクロスオーバーの比較試験です。18ページ下の図5を御覧ください。症例はA群とB群に分けられ、それぞれ2期の治療を受けました。A群は初めに本品を使用しないで、ホイストという器具を使用しました。これは上の図4の、体を吊り上げて転倒を防止しながら歩行できる器具です。次に、1~3週間の移行期を経て本品を使用して治療を行いました。このときには、本品と同時にホイストも使用しました。もう一方のB群では、この順序を逆にして治療を行いました。治療における歩行のプログラムは18ページの一番下から19ページにかけてですが、1日1回40分以内の歩行を各治療期に9回実施しました。歩行機能の評価は各治療期の最初と最後に行いました。このとき本品を装着しませんが、ホイストは使用しました。

 次の段落の有効性使用評価項目は、2分間歩行テスト。これは2分間の歩行距離です。治療効果の算出は、A群とB群のホイスト治療期と本品治療期の治療前後の変化率の差として定義され、式としては19ページの中ほどの「(d1-2/2」という式です。計算上この数値が負で絶対値が大きいほど、本品の効果が高いと考えられます。この数値を有意水準5%で検定しました。

 副次評価項目は、1.10m歩行テスト、これは歩行速度等の評価です。2.患者自身による主観的な歩行評価。3.医療従事者による歩行評価。4.徒手筋力テスト、これは検査者の力に対抗してどれだけ動かせるかという筋力の検査です。5.ADL、日常生活活動の評価です。それぞれ主要評価と同じ解析が行われました。

 次に、22ページを御覧ください。中ほどの症例数では、有効性解析集団は24例でした。23ページの表8が内訳です。先天性ミオパチーは0例。一番多い筋ジストロフィーは計7例でした。

 次に、24ページの下の文章を御覧ください。有効性主要評価の結果です。治療効果は-10.07%、P=0.037であり、主要評価項目が達成されました。効果量のイメージを口頭で補足しますと、治療前にホイストで2分間に、例えば70m歩行できる症例が、ホイストではm、本品ではmほど伸びるイメージです。

 次に、25ページの下半分から次のページにかけて、副次評価の結果ですが、徒手筋力テストの一部を除いて有意差はありませんでした。

 「安全性評価」は、29ページの死亡例1例、重篤な有害事象4例が報告されましたが、因果関係は否定されました。因果関係を否定できない有害事傷は全て軽度と判定されました。その内訳を次の30ページの表1516にお示しいたします。主なものは筋肉痛、接触性皮膚炎、擦過傷などでした。

 以上を踏まえて審査における主な論点を説明いたします。33ページの()対象患者を一括して評価する妥当性についてです。疾患ごとの症例数が限られましたので、一括で評価できるのか、1)~3)の観点で検討しました。

 1)共通の奏効機序については2段落目ですが、8疾患の共通点として、下位運動ニューロン又は筋の障害による筋力低下に伴う歩行機能低下であるという点が挙げられました。

 このような歩行機能低下に対して、文中に挙げた診療マニュアルあるいはガイドライン等において、既存の療法が示されております。34ページの3行目ですが、その奏効機序は廃用に対する筋力の回復や歩行動作の学習というメカニズムにおいて共通すると考えられました。更にそこから3行下の右側ですが、本品は8疾患の異なる病因そのものに奏効するものではありませんが、歩行機能低下に対して、生体電位信号を利用して動作をアシストしつつ、通常の方法より効果的に改善を得るものと考えられ、このことから一括評価は可能と考えました。

 なお、筋萎縮性側索硬化症で上位運動ニューロン障害が優位な場合は、痙縮があるなど病態が異なり、臨床試験でも除外されましたので、この点は添付文書にて情報提供することが適切と判断いたしました。

 次に、2)歩行機能低下の進行度について。8疾患では様々な病気が想定されますが、3行目のように、臨床試験には10mを自立歩行できないが介助や歩行器があれば10m以上歩行可能という選択基準がありました。これは有効性を期待できる基準であるとともに、これを外れる症例のデータはありませんので、対象患者の設定に反映することが適切と判断しました。

 具体的には一番下の段落にありますように、使用目的において、歩行の介助又は歩行補助具を要する患者が対象であることを明示して、添付文書においてより定量的にデータの得られている歩行機能低下の範囲を示しました。このように適切な進行度の患者を選択することで、8疾患に共通して奏効が期待されると判断しました。

 加えて35ページの3)です。神経原性疾患と筋原性疾患ではそれぞれ特徴的な運動単位の電位が想定されますが、3段落目のように、2)の歩行機能低下の範囲であれば、機能の残存する筋が存在し、電位の測定は基本的に可能と考えられ、実際臨床試験では31例、全例でCVCモードが動作は可能でした。

 以上の点から総合機構は、8疾患を一括して評価可能と判断しました。ただし、疾患ごとの実際のデータは限られますので、使用成績評価での追加の確認が必要と考えております。

 続いて、37ページの下側、「有効性主要評価の成績」について。今回クロスオーバーということですが、次の38ページの、前期の介入の影響が後期に残った可能性も考慮して、8行目から9行目にありますように、前期同士の比較も確認したところ、2群に分けたうち、A群のホイスト治療期よりB群の本品の効果が高い結果でした。またその次の段落ですが、改善した症例の率も確認したところ、本品が上回っている傾向が見られました。

 続いて42ページの図8を御覧ください。横軸が治療の間隔、縦軸が改善率です。黒塗りが本品、白抜きはホイストです。丸が2群に分けたうちのA群、三角がB群の症例です。一番改善率の高かった黒塗りの▲の症例は改善率が約%、治療間隔が約日という状況です。このように治療間隔が短い場合に、本品の効果が高い傾向がありました。グラフでは縦軸をパーセントで表していますが、歩行距離にしますと本品では最大約m、次点で約mの伸びが見られました。ホイストでは最大約mの伸びでした。

 次に、44ページの表()です。治療期2と表中にあるのが本品で、治療期1はホイストです。入院で治療した症例において、本品の改善率が高い傾向がありました。入院症例では治療間隔の短い場合が多く、その影響で効果が高かった可能性があり、また、入院でのきめ細やかなスケジュールや機器の調整がよい結果につながった可能性も考えられますが、いずれにしても高い効果を得るには使用方法を適切に設定することが重要であると考えられます。これらを踏まえ、推奨する治療間隔、「週2回以上」と、添付文書に情報提供をした上で、適切な使用方法の下であれば本品の効果は期待できると判断いたしました。

 次に、46ページの一番下の段落ですが、以上より本品はホイストを上回る効果があると考えられました。なお、8行目の、本品の上乗せ効果は全期間の平均で約10%と見込まれ、また得られた改善はホイストの使用が前提であるという制約がありますので、添付文書において、臨床試験の成績を開示して、リスクとベネフィットを考慮した適切な使用を促すことが必要と判断いたしました。

 次に、47ページの後半から49ページの副次評価項目について。現時点では明確な結論は得られませんでしたが、これは症例数も限られており、やむを得ないと考えております。ただ、今後は日常生活上のベネフィットを中心として、使用成績評価において確認していくことが適切と判断いたしました。

 次に、安全性の主な論点です。50ページの下の1.筋障害の可能性について。今回の対象疾患では、筋への過負荷等に注意する必要がありますが、臨床試験では筋肉痛等が比較的多く見られました。51ページの下から次のページにかけて、因果関係を否定できない筋肉痛4件を記載しています。普段使わない筋肉を使ったとか、本品が重かった等が原因として報告されました。未回復の筋肉痛はありませんでしたが、疾患の特殊性も考慮すると、慎重な使用が求められるとともに、筋損傷や過用性筋力低下のリスクについて、使用成績評価において追加の確認が必要と判断いたしました。

 次に、58ページの「治療プログラム、使用方法について」。高い効果が得られ、かつ過負荷等のリスクを避けられる治療プログラムの設定が重要と考えられました。またこの58ページの下から次のページにかけて、臨床試験でのポイントとして、適切な装着、疲労感や筋肉痛等への配慮が実使用においても重要と考えられました。

59ページの2段落目ですが、長期の反復使用については、臨床試験では9回に限定されていたことから、これを超える場合には過負荷等に十分注意しつつ、効果の積重ねと合わせまして、使用成績評価にて長期のデータを収集し、追加確認することが適切と判断いたしました。

59ページの一番下です。これらの使用方法等に関するマニュアルと適正使用の基準について、現在、関連学会と連携して作成中です。本日その案を当日配付資料7として配付させていただいております。総合機構はこうした方針は適切であると考えており、また現時点でのデータが限られていますので、今後随時アップデートしていくことが必要と考えております。

61ページの、使用成績評価についてです。これまで述べてきました()から()の点について、現状データが限られており、使用成績評価での確認が必要と考えます。次の62ページの8行目、目標症例数は例として、8疾患とも一定数を確保する計画です。年間約例を見込んでおり、登録期間はか月の予定です。中ほどの下の段落ですが、追跡期間は対象疾患の経過から最低1年として、準備期間を含め調査期間は年と判断いたしました。

 最後に64ページの下の、以上を踏まえ、総合機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会において御審議いただくことが適切と判断いたしました。生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えております。また使用成績評価の対象として指定し、期間は年と判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの報告は以上です。御審議、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 少し難解な部分もあって、この臨床のところへ何例がエントリーして全例クロスオーバーですか。

○機構 臨床試験については、審査報告書の24ページです。同意取得33例、1次登録31例で、実際に振り分けられたところまでで30例に減って、A群15例でB群15例になって、そこがクロスオーバーです。あと、不採用があるので実際に評価されたのは24例です。

○荒井部会長 分かりました。ありがとうございます。それでは、参考人の蜂須賀先生から御意見を頂けますでしょうか。

○蜂須賀参考人 門司メディカルセンターの蜂須賀と申します。今回の臨床試験は比較的に希な神経・筋難病を対象として、治療法がないと言われる疾患を対象としております。疾患名は異なりますが、下位運動ニューロンと筋肉に障害があることが共通で、これらの疾患をまとめたものと思われます。ロボットを使うことによって筋の廃用を防いだり、歩行学習を行います。ロボットを用いますので、安全に十分量の歩行動作を繰り返すことができる。それから、このHALは生体電位信号、すなわち□□をフィードバックとして用いますので、患者さんの意思を用いて反復動作を行うのが特徴で効果が期待されます。

 有効性に関しては、本来的に進行性の疾患ですので、その他の疾患のようにドラマチックな改善はないですが、進行を遅らせて少しでも機能を改善することができれば、患者さんや御家族にとって、また医療現場にとっては福音ではないかと思います。その他の副次的な評価で十分な有効性が出ていませんが、評価項目の尺度が比較的粗いものや評価しにくい内容が含まれていますので、ある程度はやむを得ないと思います。

 今回の臨床試験では、安全性等には問題はありませんでしたが、特に筋障害の患者さんにとって訓練や治療を集中的に行いますと過用性の筋障害、オーバーユースによる影響が出てきます。したがって、これらも長期的にデータを収集して経過を見ていく必要があります。また、疾患名が多彩であり症例数の少ない疾患が含まれていましたので、使用成績評価で見ていく必要があります。対象が非常にまれな疾患ですが、1施設当たり2、3例程度ですので180例を集めるのは、現実的に可能と思います。

 最後にまとめますと、今まで治療法がないと言われていた神経・筋難病に対して、HALを用いて歩行障害の治療ができる、若しくは進行を防止することができるというデータが出ており、これらの結果は、患者さんや御家族に希望と勇気を与えるものと考えます。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、HALについて委員の方々から御質問はございますか。

○齋藤委員 確認いたします。福祉用と本品があるということなのですが、神経・筋難病を対象とした機器ですので、安全性を高めているとか機器としての違いがあるのかということ、もう一つは海外で例の症例の実績があるということなのですが、これは福祉用のHALなのかについて確認いたします。

○機構 審査報告書の8ページです。図の左側が福祉用で右側が本品です。表1を少し詳しめに説明いたします。例えば生体電位信号の測定は、HAL福祉用よりもかなり細かいところまで測定できるようになっているということ、使い勝手の向上として、その波形がより詳細に本品では表示される、足にフィッティングさせる調整機構も改良されているという辺りがあるので、機械としては別の製品です。海外での台は本品で、医療用の使用の経験です。

○齋藤委員 結果で意外と転倒が少ないという印象があるのですが、その辺の制御は結構しっかりしているものなのでしょうか。

○機構 臨床試験のときはホイストを使用して、使用中の転倒はそちらで完全に防ぎましたので、有害事象で挙げている転倒は臨床試験の外といいますか、治療期以外のときの転倒を記載しております。

○鈴木委員 一つは、海外では脳卒中や脊髄損傷に用いているということですが、本邦ではなぜそちらに用いないで神経難病に用いたのでしょうか。それから、試験ですが、専用のホイストを用いてということで、ホイストを用いて歩行して10%の効果があったということですが、例えば10mを歩く方が11m歩けるようになったということだと思うのですが、それがQOLの上でどういう意味があるのでしょうか。

 実際に副次的な試験で10m歩行テストをされていますが、これはホイストなしでされているのですか、ホイストをされているのでしょうか。それでは有意差がなかったということですが、その状況について教えていただきたいと思います。要するにホイストを着けていなければ効果がないということでは、実用的に余り意味がないのではないかということなのですが、それについてお考えを教えて頂きたいと思います。

 それから、例えばホイストを着けて普通に歩行訓練をした場合との効果の違いがあるのかどうかということも教えていただきたいと思いますし、この効果は筋力の回復と学習効果によるということですが、要するに普通の筋トレと、ホイストを着けた上での歩行訓練、転倒予防との違いを教えていただきたいと思います。

○機構 一つ目は、対象疾患が脳卒中等ではなくて今回のこの疾患になったのはなぜかということだと思います。我々の知っている情報ですと、脳卒中はまた別途進めているところで、病態が違いますので今回のデータで評価できるものではないということで別に行っています。一方で、今回これらについては参考人の先生からもありましたように、ほかになかなかいい治療法もないということで、本品が生かせるのではないかということで、当初から対象には含めて申請者様も検討されていて、まずデータが集ったので申請されてきたものというところではないかと思います。

 二つ目は、ホイストでの10%の効果にどのような意味があるのかという点については、当方でも当初よりかなり議論をしてきたところです。10%の解釈については、おっしゃるとおり10mに対しては1mということではあるのですが、計算上ベースラインの歩行能力が分母になりますので、例えば70m歩ける人にとっては上乗せが7mです。

 なので、伸びとしては一見、組入基準に10mの歩行能力がありますので誤解してしまうかもしれませんが、これはホイストを着ければ10m以上歩ける方々ですので、70m歩ける方が本品を着けると12mくらい伸びる、その上乗せが10%ということで、なかなかほかに適切な歩行機能の改善方法がない中で、少しでも上乗せがあるものは意義があるのではないかということが専門協議をとおしての我々の結論です。

10m歩行テストについても、ホイストを着けて実施しております。確かに御指摘のとおり有意差はありませんでした。ただ、その結果ですが、審査報告書の48ページです。傾向としては2分間歩行テストと同じような傾向があり、有意差がギリギリ0.05にはいかなかったため有意差はなしという結論になっておりますが、改善の傾向としては同じような傾向が見られたと理解しております。

 ホイストを着けての改善が本当に意味があるのかというのは、正に我々も議論を随分してきたところではありますが、先ほど申し上げたように、ホイストを着けた上であっても上乗せの効果が期待できるというところに意味を見い出すことはできるのではないかと思っております。

 ホイストを着けて通常の訓練をした場合との違いはあるかという御指摘だったと思いますが、今回の対象群がホイストを着けて同じメニューでの歩行運動療法を行ったものを対照群にした上で、それとの上乗せがこのパーセントであるという結果ですので、そのように解釈しております。

 恐らく機序について、廃用防止と学習ということの違いという御質問かと思いますが、それについては基本、これまで従来言われている機序について共通するところはあると思っています。ただ、今回、装置として新しいのが外骨格型で脚に装着して、生体電位信号を取りつつ適切なタイミングで動かすという構造の機器はないので、その構造自体は新しく、それによって従来のものよりも効果的にできている部分があるのではないかということは、もしかしたら改善の効果として表れているところとしてあるのではないかと思っております。

○蜂須賀参考人 ホイストの使用に関して、臨床的立場から追加いたします。ホイストそのものは治療効果はなく、患者さんの転倒を防止することが重要です。麻痺の患者さんが十分量の歩行訓練を行う場合は、今回の研究以外にも脳卒中ですと、懸垂装置を付けて5%ぐらい上につり上げます。そうしますと絶対に転倒はありません。転倒しそうになればホイストが支えてくれるので、十分量の訓練を行っても絶対転倒しません。

 それでHALそのものはホイストがなくても歩けます。ただし、今回は重度の神経・筋難病の重度の障害ですので、安全のためにもホイストは必ず使用していたほうが安全であり、医療の現場では、例えば100例のうち1例でも転倒骨折があれば我々は使いづらいものとなってしまいます。ホイストを使うというのは医療上の安全問題であり、むしろ使うほうが適切と考えております。

○荒井部会長 蜂須賀先生、先ほどの10%増しということにどれほどの大きな意義があるのかが、委員の方々にも私にも実感の湧かないところなのですが、この点についてはいかがでしょうか。

○蜂須賀参考人 この場合は、神経・筋難病でもともと重度歩行障害の方ですので、10%歩けるということは、医療スタッフにとっても、患者さんにとっても、御家族にとっても大変インパクトがあると思います。これは放っておくと必ず歩行距離は減少し、良くなる患者はいません。必ず悪くなりますので、それを10%高めるということは非常に重要ではないかと考えます。恐らく脳卒中で100mぐらい歩ける方はたくさんいますので、その方で10%といいますとかなりの量になります。

○荒井部会長 鈴木委員からの御質問にもありました、脳卒中についてですが、先ほど先生は脳卒中は別枠でやっていらっしゃるとのことで、これは医師主導かと思われますが。今回は適応疾患を、このような非常に希な疾患に限定されておられます。脳卒中を別に扱って試験を動かしておられる点などについて、先生方のストラテジーをご説明頂けますか。

○蜂須賀参考人 ドイツで使われているのは、脊髄損傷です。今回、日本で神経・筋難病に使ったのは、恐らく他の有効な手段がなく自然回復もないことを前提にして、この疾患を対象にしたと推定しています。脳卒中が一番ニーズが高いのですが、研究者にとって一番大変なのは、自然回復があることです。日常生活における活動によって歩行障害はある程度改善します。それから、時間の経過と共に自然回復がありますので、その辺りを上手にコントロールするのが大変です。それで、まず、神経・筋難病から始めたのではないかと考えております。

○荒井部会長 ありがとうございます。委員の方々から何かございますか。

○鈴木委員 今、歩けない方が歩けるようになるので意味があるとおっしゃいましたが、歩けない方が対象ですか。そこまで落ちていない方が対象ではないかと思うのですが、そこを確認させてください。

○機構 蜂須賀先生が歩けない方と言ったのは、全く歩行不能な方という意味ではなくて、歩行機能が極めて低い方という意味で解釈しております。全く歩けない方は今回対象になりません。

○鈴木委員 実際に歩けるようになったと実感されるのは、ホイストを着けないで歩行されて今までよりも歩けるようになった場合だと思うのですが、そういう調査や試験はされているのですか。

○機構 今回は行っておりません。我々もサポートがなくなるという効果がもし出るのであれば一番いいと思ったのですが、そこまでの効果は恐らく通常の治療においてもなかなか難しいということもあり、今回見えた効果としてはホイストを着けた状態での距離の伸びです。

○鈴木委員 そうすると、何となくまだ途中経過という感じもするのですが、治療の持続効果がどれぐらい続くのかということと、やはり日常生活でホイストを着けながらというのでは実用的ではなく、ホイストなしで今までよりも歩けることを実感できる期間が長く続くということが、実際の効果と言えるのではないかと思いますので、そういう使用成績評価も入れて評価していかないと、これは多分非常に高額になると思うのですが、費用対効果の面からも十分とは言えないということで、先々クレームが付くのではないかと思います。

○機構 まず、効果については、確かにおっしゃるとおり現時点では4週間後まではある程度維持されるというところは臨床試験で見ているのですが、その先はデータがありませんので、使用成績評価でしっかり見ていく必要があると思っております。それから、日常生活上のベネフィットといいますか、そこは正に先生がおっしゃるとおりだと我々も思っており、臨床試験の中で今回十分に調査できなかった患者さんにとっての日常生活上のメリットというところも情報収集していくべきだと考えており、計画に入れております。

○千葉委員 今後のことになると思いますが、今までの適応としては脳卒中も含めて、いわば後天性の疾患です。歩いたことのある方が歩けなくなった、筋の難病もそうでしょうけれども。ただ、子供のときから、生まれたときから歩けないお子さんもいて、その方がかなり長生きされることは今は常識になっております。歩いたことのない方に、二分脊椎とかですね、その方に対するHALの使い方、あるいはホイストとの組合せの仕方は今後の課題として、是非、御検討願いたい。その在り方は相当違うものになると想定しておられますか。

○機構 その点も当方で検討したことがあり、先方の医師主導治験の調整医師の方とも相談したことがあります。現時点では、やはり全く歩行したことのない方が歩行するというものを今回の結果からだけでは評価できないので、そこは現状添付文書にも、そういう患者さんを対象にはやっておりませんのでということを出した上で。ただ、今後は恐らくそういう方々でやるとしたら、小児の頃から使う場合もあると思うのですが、今サイズも下限が決まっておりますので、例えば、より小型のものを今後作って、しかも対象を先生のおっしゃるような歩行の新規獲得という辺りも目指してやっていくという道も検討はされているそうですので、ただ、今回のデータからはそこまでは言えないという状況です。もし補足があればお願いいたします。

○蜂須賀参考人 追加のコメントです。御指摘の点で一つは装置のサイズの問題があります。もう一つは今まで全く歩行という動作をやったことがない幼児では、HALの一番の売りは自分の意思で動かそうとする意志を生体電位信号として拾って、それを□□□□として手足を動かすので、その手足を動かすプロセスの学習という非常に難しい問題があります。テーマとしては非常に面白く興味がある内容であり、先生の御指摘の点は今後、非常に重要であり我々は大事にしていかなくてはいけないと考えています。

○荒井部会長 ここまでのご議論にもありましたように、本品についてのデータは皆さんがすっきりと納得できる科学的なデータとは言えないように思います。ただ、先ほど御意見頂きましたように、「本来だったら全く良くならない疾患が対象」である点を考慮せざるを得ないというのが、共通の認識であるように思われます。逆に言いますと、先ほど御指摘がありましたように、機械の値段、あるいは今後、対象が脳卒中のような膨大な患者を抱える領域に広がる可能性についてはかなり慎重に考えなければいけないと思われます。今後の検討課題は残りますが、今回の対象になっている疾患につきましては、このデータをもって承認することでよろしいという理解でよろしいでしょうか。

○鈴木委員 先に福祉用があって、今回医療用ができるとして、腰痛対策で介護用というものもあります。例えば今回医療用にするのに感度を上げたようですが、今後さらにそれをもっと上げたらまた別な医療機器にするのか、その辺のことも検討しておかないと機能区分のところで、どんどん価格が上がるということも避けなければならないと思うのですが、その辺についてはいかがですか。

○参事官 なかなか難しい、私も保険局におりましたので、よく御懸念はよく分かります。私どもの立場としては、疾患、疾患で一番適切な使用が一番必要だと思っております。ですから、今回の神経・筋難病は非常に弱っている方で生体の電位も非常に低いので、その増幅率を上げて強めるということで使用を組んで臨床試験を組んでおります。

 また、脳卒中や脊髄損傷で、どのような機械で今やっているのか私も存じ上げておりませんが、例えばそういう方々の生体の状況から見て、今のところの電位の部分をどのようにキャッチしたら一番いいのかとか、設定をどのようにしたら一番適切かということは、患者さんが一番大事ですので、そういう病態の方に一番適切な形で設定するということになろうかと思います。その場合に保険の機能別分類をどこまで一緒にするのかというのは、その辺のデータも見ながら、また保険局で御議論いただければと思っております。以上ぐらいしか申し上げられないと思っております。すみません。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。よろしければ、議決に入らせて頂きます。医療機器HAL医療用下肢タイプについて、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、管理医療機器及び特定保守管理医療機器に指定し、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。さらに使用成績評価については5年として、使用成績評価の対象に指定することとしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この結果については、次回の薬事分科会において報告させていただきます。それでは、これで議題3を終了いたします。

 続いて、議題4に移ります。「医療機器『Revive SE 血栓除去デバイス』の使用成績評価の指定について」、事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料4です。まず、表紙のページが諮問書です。2ページは、今回、使用成績評価の要否について御審議いただく「Revive SE 血栓除去デバイス」の概要です。申請者は、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社です。

 「品目の概要欄」を御覧ください。本品は、急性期虚血性脳梗塞において組織プラスミノーゲンアクチベーターの経静脈投与が適応外又は組織プラスミノーゲンアクチベーターの経静脈投与により血流再開が得られなかった患者を対象に、血栓を除去し血流を再開させることを目的に用いられるものです。3ページの外観図のようにニッケルチタン合金製の網状のバスケット構造を有しており、このバスケット部が病変部位で自己拡張し血栓を捕捉した後、バスケット部を回収することで血栓を除去します。

 「使用成績評価の指定に係る根拠」という欄を御覧ください。本品と同様に急性期虚血性脳硬塞の適応をもつステント型の血栓除去デバイスとして「Solitaire FR 血栓除去デバイス」という既承認品がありますが、この既承認品は本品と実質的に同様な構造を有し、治療方法についても同等となっております。そのため、本品は既承認品と同様の考えに基づき使用成績評価を行うことが妥当と考えております。なお、調査期間については既承認品と同様の考えに基づき、症例数を220例、観察期間を3か月とし、計3年の使用成績評価を課すことが妥当と考えております。以上の内容について御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ただいまの「Revive SE 血栓除去デバイス」について、御意見いかがでしょうか。よろしいですか。特に御意見がありませんでしたら、議決に入ります。医療機器「Revive SE 血栓除去デバイス」について、本部会として使用成績評価の対象に指定するということでよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この結果については、次回の薬事分科会において報告いたします。これで議題4を終了いたします。

 議題5に入ります。「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」、事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題5について、資料5に基づき説明します。議題3の際にも説明しましたが、既存の一般的名称のいずれにも該当せず、一般的名称を新設する際のクラス分類について御審議いただくものです。

 3ページの「新設する一般的名称()について」です。新設予定の一般的名称は「単回使用電動剥離器」で、一般外科手術で組織の剥離に用いる電動式の器具です。中ほどに記載しておりますが、既存の一般的名称、剥離子が電動式のものを除いているため、今回、新設が必要であり、一時的に使用する外科的侵襲型の電動式の機器として、クラスII管理医療機器に指定されるものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は単回使用であることから不要と考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 委員の方々から御意見、御質問等はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。御意見がなければ議決に入ります。単回使用電動剥離器について、本部会として管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器には指定しないこととしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この結果につきましても、次回の薬事分科会において報告いたします。議題5を終了いたします。

 続いて、議題6ですが、これは部会の報告品目です。事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題6、部会報告品目について資料6に沿って説明いたします。平成27年7月1日から平成27年9月30日までの3か月間に承認された品目のうち、本部会へ報告対象となっている品目についてまとめております。1~19ページがそれぞれ医療機器となっており、合計すると79品目です。また、2021ページが体外診断用医薬品となっており、8品目あります。これらの資料については、事前に委員の先生方に送付しておりますので、この場では詳細な説明は割愛いたします。以上です。

○荒井部会長 委員の皆様から特に御質問、御意見等はございますか。よろしいですか。特に意見がございませんでしたら、これで議題6を終了いたします。これで、本日予定されている議題は全て終了いたしました。事務局から何かありますか。

○参事官 今日は大変重い品目、案件を処理していただき誠にありがとうございます。今日の御意見をしっかり受け止めて事務局としてさせていただきたいと思います。次回の部会に関しては、来年の1月15()です。今の予定では、1315時ということで御案内しております。実は今、いろいろこのときに掛ける品目の調整をしております。品目数が通常よりも多めになりそうな形です。

 また、今日、最初に御議論いただいたOTC検査薬の排卵検査薬に関して、今日頂いた御意見を修正してパブリックコメントを今日のガイドライン、それから添付文書もガイドラインの一部ですので、パブリックコメントを取り、多分いろいろな御意見を頂くと思います。それについては、また、今日も御意見がいろいろありましたので、この部会にまた報告して、ガイドラインとして正案にするかどうかをできれば1月15日に行いたいと思います。それも含めますと、2時間では非常に厳しいと今思っており、別途として前後、先生方に御都合をお聞きしてできればプラス1時間ぐらい、全部で3時間ぐらいお時間を頂ければ何とか、大変長い会議になってしまいますが、そこら辺を後ほどファックスを入れますので、よろしくお願いできれば幸いだと思っております。連絡事項は以上です。

○荒井部会長 ということで、調整をしてからですが、1月、年明けからまた一生懸命やらせていただきたいと思います。是非よろしく御協力ください。

 それでは、特に御意見はよろしいですか。ありませんでしたら、これをもちまして、本日の薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。どうも長時間ありがとうございました。終わります。

 


(了)

備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局審査管理課 医療機器・再生医療製品等審査管理室 室長補佐 柳沼(内線4226)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2015年11月10日)

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