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2015年12月3日 第37回 先進医療会議・先進医療合同会議(第37回先進医療会議、第36回先進医療技術審査部会 議事録

○日時

平成27年12月3日(木)15:02~17:28


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第15・16会議室(21階)


○出席者

【構成員等】
猿田座長 五十嵐座長代理 石川構成員 坂本構成員 柴田構成員 
福井構成員 福田構成員 藤原構成員 宮坂構成員 山口構成員 山本構成員
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐
先進・再生医療特別評価専門官 先進・再生医療迅速評価専門官 薬剤管理官 歯科医療管理官
医政局研究開発振興課長 医政局先進医療専門官 先進医療機器審査調整官 他

○議題

○【先進医療合同会議】
1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
  (先-1)
  (別紙1)




○【先進医療会議】
1 新規技術(11月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分け(案)について
  (先-1)
  (別紙1)(別紙2)(別紙3)

2 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
  (先-2)
  (別紙4)(別紙5)(別紙6)(別紙7)(別紙8)

3 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
  (先-3)

4 粒子線治療について
  (先-4)
  (先-4(参考1))(先-4(参考2))(先-4(参考3))

○議事

議事録(合同会議)

15:02開会







○猿田座長

 それでは、時間が参りましたので、今日は第36回先進医療技術審査部会と37回の先進医療会議ということで、最初は「先進医療合同会議」として始めさせていただきます。

 委員の先生方、大変お忙しいところ、また雨の中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

 本日の委員の出欠状況でございますけれども、石川構成員は少しおくれて出席ということでございます。それから、坂本委員がまだお見えになっていないということでございます。

 それから、委員のほうとして、先進医療技術審査部会のほうから、直江構成員に出席していただいております。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、同じ先進医療技術審査部会の佐藤構成員は、今日は御欠席ということでコメントをいただいております。委任状もいただいておりますので、私のほうに全ては任せるということでございます。

 それでは、事務局のほうから資料の確認をよろしくお願いいたします。

○事務局(先進・再生医療特別評価専門官)

 事務局でございます。

 それでは、頭撮りのほうはこちらまでにさせていただきます。

 それでは、まず資料の確認をさせていただきます。

 まずは、先進医療合同会議の資料でございます。

 座席表がありまして、その次に議事次第、議事は1つとなっております。「先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について」という議事でございます。

 めくっていただきまして、先-1という横置きの資料でございます。1つの表がございまして、86番の整理番号の表が書いてございます。

 続きまして、別紙1と続きます。こちらに実施計画等評価表がついております。

 以上でございます。

○猿田座長

 先生方、資料、よろしいでしょうか。問題ございませんでしょうか。

○事務局(先進・再生医療特別評価専門官)

 申しわけございません。申しおくれました。

 今回、タブレットを使用していただきたいと思っておりますので、届け出書類等につきましてはタブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言をしていただく方におかれましては、会議資料のページ、またはタブレットのページとあらかじめ御発言いただけますようお願いいたします。

 よろしくお願いいたします。以上でございます。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 いつものとおりタブレットを使うということで、ページ数の問題がございますので、その点も御配慮いただいて、よろしくお願いいたします。

 それでは、今回の検討対象となる技術の利益相反につきまして、これもまず事務局のほうから前もっていただいておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局(先進・再生医療特別評価専門官)

 それでは、御報告させていただきます。

 今回、検討対象となります技術等に関しての利益相反について御報告いたします。

 直江構成員、藤原構成員、山口構成員より、先進医療Bとして評価を行います整理番号86番の技術につきまして報告がございました。

 評価対象技術に含まれます医薬品又は医療機器等の製造販売業者等からの受領額は50万円以下でございましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価は可能でございます。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 そのほか、出席している構成員の先生方で、今、報告しておくことは特にございませんでしょうか。

 ありがとうございました。それでは、早速議事に入りたいと思います。

 まず最初に、「先進医療Bに係る新規技術の科学的評価」に入りたいと思います。事務局のほうから、新規届出技術に対する事前評価等について御説明をよろしくお願いいたします。

○事務局(先進医療専門官)

 事務局より御説明させていただきます。

 では、資料先-1の横紙をごらんください。

 今回御申請いただきました技術は、整理番号086。東京大学医学部附属病院から「mFOLFOX6+パクリタキセル腹腔内投与併用療法」となっております。

 先進医療技術審査部会からの審査構成担当員は、主担当が直江構成員、副担当は佐藤構成員、柴田構成員となっております。

 資料先-1の別紙1、別添7、34ページをごらんください。

 審議に先立ちまして、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。

 まず、実施責任医師要件ですが、診療科は外科または内科。

 資格は、外科専門医または内科認定医が必要。

 当該診療科の経験年数は、10年以上が必要。

 当該技術の経験年数は、不要。

 当該技術の経験症例数も不要。

 その他の取り決めとして、レジメンを問わない抗癌剤腹腔内投与の経験1例以上が定められております。

 医療機関の要件としましては、診療科は外科または内科。

 実施診療科の医師数、経験年数10年以上の医師3名以上が必要。

 他診療科の医師数は、麻酔科の常勤医師が1名以上必要。

 その他医療従事者の配置は、薬剤師が必要。

 病床数は、200床以上が必要。

 看護配置は、10対1看護以上の配置が必要。

 当直体制は、外科または内科の当直が必要。

 緊急手術の実施体制が必要。

24時間実施体制の院内検査が必要。

 他の医療機関との連携体制は不要。

 医療機器の保守管理体制は必要。

 倫理審査委員会による審査体制は、2カ月に1回以上の開催が必要。

 医療安全管理委員会の設置は必要。

 医療機関としての当該技術の実施症例数は不要。

 その他の取り決めはございません。

 以上となっております。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 まず、この施設基準に関しまして、どなたか御意見ございますでしょうか。大体妥当だと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 それでは、この施設基準をお認めいただいたということにさせていただきます。

 それでは、整理番号86番ですが、先ほど事務局からお話ありましたように、主担当が直江先生、それから副担当佐藤先生、それから柴田先生でございますけれども、直江先生のほうからまず全体的なお話をお願いいたします。

○直江部会構成員

 直江です。よろしくお願いします。

 今回の技術は、まず概略図を見ていただきたいと存じます。別紙ですと13ページ、タブレットですと2,169ページにございます。

 経口摂取困難な腹膜播種陽性胃癌症例を対象としたmFOLFOX6+パクリタキセル腹腔内投与併用療法を施行し、安全性と有効性を評価するというものでございまして、主要評価項目は1年の全生存割合です。

 その下に図がございますように、腹腔内のパクリタキセルをd1、8、15と1週間ずつで腹腔内投与をすると同時に、5-FU、ロイコボリン、オキサリプラチンを静注するということになっている併用療法でございます。

 対象は、腹腔内の腹膜播種を伴う初発または再発の胃癌症例で、十分な経口摂取ができず、経口抗癌剤が難しい症例になっております。

 試験デザインは探索的でありまして、まず3例登録し、1コースを施行して観察する。その結果、DLTが0であれば、そのまま効果安全性評価委員会の検討を経て、34例まで追加登録していくということですが、DLTが1例から2例の場合は、3例追加して評価して、その後、続行かどうかを決める。もしもDLTが3例以上出てしまうと、試験計画そのものが変更あるいは中止ということで、最終的には34例を目指すということで、登録期間が2年間で、フォローアップを含めると3年間というスタディーになっております。

 1ページめくっていただいて、14ページを見ていただきたいと思います。

 これまで先行するものとしましては、静脈内投与では、例えばS-1とシスプラチンの併用化学療法とか、5-FUロイコボリンとパクリタキセルの併用とかを検討されてきたのですが、いまだに十分な効果が得られないということで、先行研究、そこに愛知県がんセンターの後方視的検討とあります。今回は、当該にかかわるmFOLFOX6の治療法がすぐれているということで、静脈内投与はこの治療を選ぶ。

 もう一つは、既に申請機関等で先進医療で先行しているものがありますけれども、パクリタキセルを腹腔内投与するという治療法がございます。パクリは、そこに書いてありますように、腹腔内での半減期が延びるとか、今まで有効性が出ているということで、この2つを併用してはどうかというのが今回の試験でございまして、赤でありますような先進医療が現在審査にかかっている治療法でございます。

 ということで、背景をるる説明しましたけれども、最終的には腹腔内化学療法研究会の15施設が参加する予定ということで、先ほど述べましたように3年間、34例というのが最終的な目標症例数でございます。

 以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 あと、御質問を受けることにして、続きまして、副担当の佐藤構成員、今日御欠席ですけれども、事務局のほうからコメントをいただけますか。

○直江部会構成員

 申しわけない。私のほうで実施体制を言うのを忘れていました。いいですか。

○猿田座長

 お願いします。

○直江部会構成員

 先ほどは概要でございまして、私のほうから実施体制の評価を申し上げたいと存じます。

 別紙1の1ページにございますように、今回は標準療法がない経口摂取困難な腹膜播種陽性胃癌症例を対象にしておりまして、既に終了した先行研究結果をもとに、静脈内の投与の抗癌剤と腹腔内投与の抗癌剤を併用するという試験を立案したものでございます。アンメットニーズが高いということや、実施医師、医療機関のこれまでの実績から見て、体制には問題はないと考えているところでございます。

 以上です。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。実施体制に対しては問題ないだろうということでございます。

 それでは、佐藤先生のコメントを事務局からお願いします。

○事務局(先進医療専門官)

 事務局でございます。

 佐藤構成員からは、資料先-1の別紙1、1ページ末尾から2ページにかけてのごとく、倫理的観点からの評価項目は、同意に係る手続、同意文書及び補償内容、いずれも適との御判断をいただきました。

 コメント欄には、説明文書については、細かな点についての当方の指摘に対し、適切に対応された。補償は、医療関係者に過失がある場合にのみ賠償責任保険で対応され、無過失の場合には金銭補償はないが、やむを得ないものと考える。患者相談等の対応も整備されているとのコメントをいただいております。

 以上です。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 続きまして、副担当の柴田構成員のほうから、特に実施体制、そのほかに関して、よろしくお願いします。

○柴田構成員

 お手元の資料の2ページに試験実施計画書等の評価ということで結果を示しております。こちらに関しましては、試験実施計画書に幾つか不明点はございましたものの、事前の照会に対して適切に御回答いただいておりますので、いずれも「適」といたしました。

 照会事項としましては、お手元の資料の4ページから7ページのところに書いておりますが、少し大き目なものとして、4ページから5ページの頭に書いてある事項があると考えております。これは、既存の同じ医療機関から幾つか抗癌剤の腹腔内投与に関する先進医療の申請が出ていますが、そういうものとのすみ分けがどのようになっているのかというのをお伺いしました。

 5ページの上にありますとおり、今回の対象については、既存のものでは対象にならないような方に対する治療開発であるということが明確にされておりますので、こちらに関しては問題ないのではないかと判断いたしました。

 それ以降のものについては、実施計画書の細かな勘違いといいますか、そのようなレベルのものですので、指摘を適切に回答していただいておりますので、問題なかろうと判断いたしております。いずれも試験実施計画書もわかりやすく書いてありますし、回答もすぐにわかるように補足を記載いただいておりますので、審査は非常にやりやすかったという印象を持ちました。

 以上です。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 施設基準に関しても大きな問題はないだろうということでございますが、それでは委員の先生方から、どなたか御質問ございますでしょうか。特に御質問ないようでしたら、恐れ入りますけれども、直江先生のほうからもう一回全体的にまとめていただけますでしょうか。

○直江部会構成員

 既に御議論いただきましたように、体制、計画の内容、倫理的な側面、検討していただきましたけれども、いずれも「適」ということで、最終総合評価も「適」とさせていただきました。

 ただ、私も、今、柴田構成員がおっしゃったとおりでございまして、別紙の5ページに、石神先生が書かれた、これまでの先進医療、告示番号5、4259と本試験の位置づけというものが書いてございます。特に、腹腔貯留の程度、それから経口摂取困難という2点が、現在施行中の先進医療とのすみ分けで大きなポイントでございます。また、この2点というのは、治療成績にも大きな影響を与えるということを考慮して、対象症例の選択については特に留意いただきたいというコメントでございます。

 以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 今のようなコメントをいただきましたけれども、どなたか御質問ございますでしょうか。

 もし、特に御意見がなければ、先進医療技術審査部会としては、全体として「適」という形で、柴田先生、よろしいですね。

 そうしたら、「適」という形で、こちらの審査部会のほうは決めさせていただきます。どうもありがとうございました。

 続きまして、先進医療会議における事前評価ということで、これは山口構成員のほうにお願いしてあると伺ったのですけれどもよろしくお願いいたします。

○山口構成員

 今、御説明ありましたように、基本的には「適」です。特に、胃癌の癌性腹膜炎は意外に経口摂取ができない人が多くて、こういうものが早く進められればいいと思います。

 それから、中でもコメントありましたけれども、病態が多様で、食べられないというのも、腹水がたまって食べられない方と、メカニカルに癌が横行結腸にくっついて食べられない、いろいろな病態がありますので、そのあたりの認識をちゃんとしてやらないと誤解を招くことがあると思いますので、今の適切な評価のもとで「適」と考えました。

○猿田座長

 あと、腹腔ポートを使われるけれども、それは大きな問題は特にないですね。

○山口構成員

 それは大きな問題ではないと思います。

○猿田座長

 ありがとうございました。山口先生のほうもそういう御意見でございますけれども、先進医療会議のどなたかから御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 もしなければ、それでは先進医療会議のほうもこれを認めさせていただくということで、直江先生、それから山口先生、ありがとうございました。そういう形で決めさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

 それでは、先生方、特に御意見なければ、直江先生、どうもありがとうございました。

(直江部会構成員退室)

○猿田座長

 そうしますと、こちらのほうの合同会議として行うところはここまでということで、次に先進医療会議のほうに移りますので、ちょっとお時間をいただきたい。

○事務局(先進・再生医療特別評価専門官)

 そうしましたら、準備が整い次第、先進医療会議のほうを開催させていただきます。

議事録

15:23開会






○猿田座長

第37回先進医療会議を開始いたします。実は議題のほうの順序では、坂本先生の案件ですけれども、まだ坂本先生がお見えになっていないということなので、ちょっと順序を変えさせていただきまして、坂本先生を最後に持っていくという形にして、整理番号82番の事前評価、福田構成員にお願いしていますので。

○事務局

 それでは先進医療会議の資料の確認からさせていただいてもよろしいでしょうか。

○猿田座長

 どうぞ。

○事務局

 そうしましたら、先進医療会議の資料の御確認のほうを先にさせていただきます。

 先進医療会議の資料でございますが、初めに座席表とありまして、その次に議事次第がございます。その後、委員名簿がございます。

 その後、先-1という資料が議題1の案件でございます。横置きの資料と、それに付随する別紙が別紙1-1から順番に別紙3-2までございます。

 その後、議題が先-2に移りまして、2つ目の議題に関しまして、別紙4から別紙8まででございます。

 その後、議題3につきまして、こちらに関係する書類は先-3という書類がついてございます。

 その後、4つ目の議題につきましては、先-4の資料がついてございます。

 過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

今日は、新しいやり方でやっているものですから、混乱していて申しわけございません。まだ、坂本委員は来ていないので、資料に関してはよろしいでしょうか。

 もし、なければ、まず本日の利益相反に関しまして、事前に確認をとっておりますので、事務局のほうからそちらのほうの説明をまずよろしくお願いいたします。

事務局

 事務局でございます。

 それでは、今回検討対象となります技術等に関しまして、利益相反について御報告をいたします。

 藤原構成員、山口構成員より、新規技術(11月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分け(案)の受理番号60について御報告がございました。

 藤原構成員、山口構成員におきましては、評価対象技術に含まれる医薬品又は医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でございましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能でございます。

 次に、山口構成員より、先進医療Bとして評価を行う予定でございます整理番号81の技術につきまして報告がございました。

 評価対象技術に含まれます医薬品又は医療機器等の製造販売業者等からの受領額は50万円以下でございましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能でございます。

 続きまして、福井構成員、山口構成員より、先進医療Bとして評価を行います整理番号83番の技術につきまして報告がございました。

 評価対象技術に含まれます医薬品又は医療機器等の製造販売業者等からの受領額は50万円以下でございましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能でございます。

 また、柴田構成員、藤原構成員より、同技術について御報告がありまして、利益相反についてはございませんでしたが、所属組織・部署が関与している臨床試験であるということから、先進医療会議運営細則第4条「構成員等は、自らが所属する保険医療機関からの届出に係る医療技術の場合は、当該医療技術に関する検討(議事の取りまとめを含む。)及び事前評価には加わらない。」という規定に基づきまして、当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないことになります。

 以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 出席している構成員の先生方、ほかに特に抜けているところ、あるいは報告することはございませんでしょうか。特になければ、それでは議事のほうを進めさせていただきたいと思います。

 まだ坂本構成員がお見えになっておりませんから、「新規技術(11月分受理分)の先進医療A又はBへの振り分け(案)」に入らせていただきます。

 それでは、事務局のほうから御説明をよろしくお願いいたします。

事務局

 事務局でございます。

 それでは、説明させていただきます。先-1の資料をごらんください。横置きの資料でございます。今回、全部で3つの技術でございますが、順番に御説明させていただきます。

 まず、受理番号58番でございます。「HTLV-1プロウイルス量定量real-time PCR法」という技術でございます。

 適応症は妊婦検査でのHTLV-1感染症疑い(確認検査判定保留妊婦)となってございます。

 係る費用等は記載のとおりでございます。こちらにつきましては、別紙1-2をごらんいただきますと、使用いたします医療機器につきまして、承認外という記載がございますが、医療機器として承認を得る必要がない医療機器でございますので、こちらは先進医療Aと振り分けさせていただきました。

 続きまして、2つ目の技術でございますが、59番の技術でございます。「核磁気共鳴画像-経直腸的超音波画像融合画像に基づいた前立腺生検」という技術でございます。

 適応症は、前立腺癌の疑い(MRIにおいて、前立腺内部に臨床的に意義のある癌、いわゆるSignificant cancerと呼ばれる腫瘍体積0.5mm3以上の癌が疑われ、超音波において当該病変の確認が困難な患者ということが適応症になってございます。

 係る費用等につきましては、表に記載のとおりでございます。

 こちらにつきましては、別紙2-2に飛んでいただきますと、使用する医療機器と医薬品が記載してございますが、いずれも表の一番右をごらんいただきますと、全て適応内ということでございますので、先進医療Aと振り分けさせていただきました。

 また、3個目の60番の技術でございますが、こちらは「切除不能または術後再発胆道癌に対するFOLFIRINOX療法」という技術でございます。

 こちら、適応症は切除不能または術後再発胆道癌となってございます。

 係る費用等につきましては、表に記載のとおりでございます。

 こちら、別紙3-2をごらんいただきますと、使用する医薬品というものの記載がございますが、こちらは全て適応外となってございますので、先進医療Bとして振り分けさせていただきました。

 事務局案は以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 今、お話ございましたように、058のほうはPCR法の診断ということ、059のほうは超音波画像融合に基づいた後、前立腺の生検をするという形で、これも診断という形で、ともに先進医療Aでいいのではないか。

 それから、3番目の切除不能の術後再発の胆道癌に対するFOLFIRINOX、これは治療法ということで、先進医療Bにするのがいいのではないかということでございますけれども、それではどなたか御意見ございますでしょうか。

 どうぞ、柴田構成員。

○柴田構成員

58番と59番の技術を先進医療Aに分類されること自体には異議はないのですが、今回議論することではないと思うのですけれども、評価の方法です。漫然と患者さんに使ってみたということを繰り返していたとしても、2年後あるいは4年後、区切りのいいところで評価する際に、これらの技術が有効であるのか、有用であるのかということの判断がつかなくなるようであっては、本当に有用な技術だったが、それは臨床現場に導入できないという不具合が生じてしまうと思います。ですので、Aとして分類されることはいいと思いますけれども、一定の評価方法とかデータの集め方というのは、ある程度方針を決めておくほうがいいのではないかなと思う次第です。

 最近認められている先進医療Aの技術に関しては、事前にデータを登録するようにしましょうとか、そういうことを要件に入れてあることもあると思いますので、今回の58番、59番のようなものについても何らかの形で共通したデータを集めるような形のものを上乗せで求めておいたほうが、後々よいのではないかという印象を持ちました。今日議論することではないと思いますので、分類自体については異議はございません。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 今、柴田構成員からのコメントがございましたけれども、どなたか御意見ございますでしょうか。あるいは、事務局で何かございますか。

 どうぞ。

事務局

 事務局でございます。

 先進医療Aの技術の審議をいただく際に、先ほどの柴田構成員のような御意見はいつもいただいておって、まさにそれを審議の内容の中で詰めていただいているところと思っております。今回の2つの技術につきましても、それらを整える、もしくは審議の中できちんと明らかにしていただくというプロセスの中で進めてまいりたいと思っております。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 ほかにどなたか御意見ございますでしょうか。もしなければ、今のようなコメントも参考にさせていただいて、一応上の2つはA、もう一つはBという形で、ここではそういうふうに決めさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○猿田座長

 ありがとうございました。それでは、そういう形で、もう一回言いますと、058059は先進医療Aに、それから060のほうは先進医療Bに振り分けるということで決めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、整理番号82番でございますけれども、事前評価を担当した福田構成員より、技術の内容及び評価に関しまして、よろしくお願いいたします。

○福田構成員

 それでは、別紙5の資料に沿って御説明させていただきたいと思います。評価させていただいて、最終的には「適」としているのですけれども、内容を御説明いたします。

 まずは、技術に関してですけれども、別紙5をおめくりいただいて、12ページに絵が出てまいります。11ページの次の横判の絵でございますが、本日は骨再生に関する技術ということで、12ページの真ん中の左下あたりにございますが、腫瘍や外傷などによって大きな顎骨の欠損がある方に対して骨再生をすることよって、インプラントとか義歯の装着ができることによってQOLが上がるという再生医療に関するものでございます。

 その次の13ページに薬事承認申請のためのロードマップがございます。今回申請されている先進医療Bは、真ん中のものになります。中身的には「骨髄由来間葉系細胞を用いた顎骨欠損に対する骨再生医療研究」ということで、ランダム化した比較試験になっていて、6年6カ月。これについては、先進医療技術会議のほうでも少し時間がかかるという御指摘があったようですけれども、ある程度例数をそろえるためだと思います。

 再生の予定部位が83部位で、これをランダムに分けて見るということだそうです。

 主要評価項目は、十分な骨再生が得られた部位の割合となっています。

 この先進医療Bの検証が終わった後は、その右側で企業参加も検討した上で、治験またはさらに先進医療Bを行って薬事承認申請につなげるというスケジュールであります。

 実際の比較試験の中身ですが、前のほうに戻っていただいて、3ページ目で、3番目に試験製剤がございます。今回、比較試験ですので、対象群がPRP、多血小板血漿と、+ヒトトロンビン+塩化カルシウム+β-TCP。これに、今回の技術というのは、この対象群に対して骨髄由来間葉系細胞を加えるというもので、これによって骨再生が促進されるということです。

 その下の主要評価項目は、十分な骨再生が得られた部位の割合。

 副次評価項目としては、その下にあるものが並んでいるということです。

 これに関して見たのですけれども、1ページに戻っていただきまして、まず社会的な妥当性としては、倫理的問題等は特にないと思います。

 現時点での普及性に関しましては、まだこれはほとんど行われていないということのようで、今後、こういうもので承認されれば広まっていく技術ということで、現時点では普及していないと考えています。

 効率性については、ちょっと悩ましかったのですが、低目のCをつけています。これは、プロトコルを拝見した上で、ちょっと先のページに行きますが、別紙5の20ページに予定症例数の設定に関しての記述があります。比較試験なので、この例数をどう設定したかということがあるのですけれども、この症例の算定根拠の真ん中あたりに、間葉系細胞系の期待値、インプラントができるようになる状態まで至る者を95%としている。対象群についても、十分な骨再生が得られる部位の割合は同様と考えられるため、同じ95%としている。

 本試験自体は、非劣性試験だと思いますので、別にそういう設定でやっていただくのは構わないのですが、むしろここで想定しているのは、もともと同じぐらいの効果ということであれば、今回の技術は対象群に比べて90万円ほど余計にお金がかかることになりますので、効率性の観点については、再度保険収載の前には検討したほうがいいのではないかということで、効率性については劣るということではなくて、検証が必要という意味で、ちょっと低目に設定しています。繰り返しますが、臨床試験自体は非劣性でもいいと思いますが、実際には少しすぐれている部分が出てくるのかなと期待しているところでございます。

 ということで、その下の保険収載の必要性についても、こういうものが保険収載されるべきだと思うのですけれども、その前に先ほど申し上げたような効率性については、再度検討する必要があるのではないかと思います。ですけれども、最終的には「適」ということにしました。

 コメントとして、咀嚼・嚥下・審美障害の改善によりQOLの向上に寄与するとあるが、これらを評価する指標を含めなくても良いかというのを載せています。これも、3ページを再度ごらんいただきますと、効果のところで、最終的に骨再生をして、インプラントとか義歯の装着ができることによって、咀嚼とか嚥下とか審美障害の改善をしてQOLの向上に寄与する。これは大きな貢献だと思うのですが、上の評価項目の中で直接患者のQOLを測定するということはされておりませんので、今後そういうことも検討していただける場面があるといいのではないかと思います。

 今後の臨床試験に関しては、恐らくインプラントの装着できる割合ということで、おおむね代用するということだと思うのですけれども、最終的には、先ほど申し上げたような費用対効果なり効率性についても議論するのであれば、ある程度の領域でのQOL評価というものがされていくのが望ましいのではないかということです。ただ、現時点のものは推進していただいていいのではないかと思いまして、「適」といたしました。

 以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 今お話がありましたように、倫理的な問題とか、そういう点ではいいのですけれども、特に効率性の問題ということでは、少し考えなければいけない点があるということと、全体的にはこの形で「適」でいいのではないだろうかという御意見でございますけれども、それでは委員の先生方、どなたか御意見ございますでしょうか。

 先ほどの効率の面は、進めていくときでいいですね。先生。

○福田構成員

 はい。

○猿田座長

 どうぞ、山本先生。

○山本構成員

 専門外なので、ちょっとよくわからないところがあるのですけれども、効率性ですけれども、恐らく安全性の面では上がるということをおっしゃりたいと思いますので、対象として自家骨移植が必要になる。その自家骨移植をしなくて済んで、骨髄穿刺もある程度侵襲はありますけれども、自家骨をとって移植するよりは、骨髄穿刺するほうがまだ負担が少ないだろうということで、安全性の面でのメリットを強調された形で、有効性については同等性、非劣性を出すというデザインになっていたと思いますので、そこまで含めると、効率性という意味がどこにあるのかがちょっと難しいですね。

 私、別にCのままでもいいと思いますし、また議事録の中にこういうことは残しておいたほうがいいのかなと思って発言させていただきました。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 ほかにどなたか御意見ございますでしょうか。そういう形での意見をいただいたということで、全体としてはこれでお認めするということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○猿田座長

 ありがとうございました。それでは、この案件をここでは認めるという形にさせていただきます。「適」とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 続きまして、整理番号83番でございますけれども、担当は福井構成員ということでよろしくお願いしたいのですけれども、先ほど利益相反のところで説明がございましたけれども、柴田構成員と藤原構成員はこの技術に関して、検討及び事前の評価には加わらないということになりますので、よろしくお願いいたします。

(柴田構成員・藤原構成員退席)

○猿田座長

 それでは、よろしくお願いします。

○福井構成員

 それでは、別紙6をごらんいただきたいと思います。

 内容につきましては、14ページの医療技術の概要図をごらんください。これは「初発時の初期治療後の再発または増悪膠芽腫に関する用量強化テモゾロミド療法」で、初発時の治療は可能な限り手術を行って、術後の放射線治療+テモゾロミドで、テモダールを投与します。そのテモダールの投与の仕方について、標準ではこの図の上のほうにありますように、1日当たり1m2当たり150から200mgを投与して、それを5日間行って、23日間休薬するというのが標準的なテモダールの投与方法でございます。

 そのような初期治療の後、再発あるいは増悪した場合の治療法については、余りいい治療法がございません。今のところアバスチン、ベバシズマブ療法を行っているということですけれども、満足するような効果ではない。そこで、今回の用量強化テモゾロミド療法といいますのは、体表面積当たり120から150mgを7日間投与して、7日間休薬する。その2週間のコースを最大48コース行って、さらに再発・増悪した場合にアバスチンを通常の用量を投与するというものと、アバスチンを用いる標準治療との比較をランダム化比較試験で行うというものでございます。

 双方とも105例ずつ登録して、生存期間についての比較であります。この用量強化療法につきましては、現在まで科学的な評価、臨床試験での評価はされておりません。用量強化療法がよりよい結果をもたらすであろうという予測は、中間的なアウトカムと思いますがテモダールの耐性の主因となるDNA修復酵素のMGMTを枯渇化させることによって、DNA修復酵素を枯渇化する効果があることに基づいています。それに加えて、膠芽腫に特徴的な異常な腫瘍、血管新生の阻害化効果もあるという背景があって、B群、試験治療のほうが有効な可能性が高いであろうという想定で行われるランダム化比較試験であります。

 アバスチンもテモダールも保険収載はされております。ただ用量強化テモゾロミドにつきましては適応外になるということで、今回の先進医療という扱いになります。

 最初のページに戻っていただきまして、以上のような背景を踏まえて、社会的妥当性、倫理的問題等はないと考えます。

 罹患率、有病率から勘案して、普及はしておりません。

 今までの周辺的なデータから言いますと、やや効率的である可能性が高いと考えます。

 将来の保険収載につきましては、少なくともこの先進医療によって有効性が示されることが必要と思います。

 総合的には「適」と判断いたしました。

 以上です。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 総合的に「適」でよろしいのではないかという御意見でございますけれども、どなたか御意見ございますでしょうか。今までのよりは、かなり有効ということですね。

 特に御意見なければ、この形でお認めいただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○猿田座長

 どうもありがとうございました。福井先生、どうもありがとうございました。それでは、これも「適」で進めさせていただきます。

 

 先生方にお帰りいただいて。

(柴田構成員、藤原構成員着席)

○猿田座長

 藤原先生、柴田先生、どうもありがとうございました。すみませんでした。

続きまして、整理番号84に入ります。この事前評価は、山口構成員のほうにお願いしまして、山口先生のほうからよろしくお願いいたします。

○山口構成員

 別紙7をごらんください。先進技術は「難治性眼表面疾患(翼状片)に対するハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建」ということであります。

 これは、現在は凍結羊膜を用いておりますが、乾燥のハイパードライを用いることによって、感染の可能性が低くなるのではないかというメリットがあるということから出てきている技術です。

 社会的な妥当性に関しましては、倫理的には特に問題はないと思います。

 現時点の普及性では、余り普及しているとは言えない。

 それから、効率性に関してですが、先ほど福田先生の82番のところでちょっと話題になりましたけれども、効率的と言っていいのかどうかわかりませんけれども、現在の感染のリスクをかなり避けることができるのであれば、そういう意味では効率的であると思います。

 それから、将来の保険収載の必要性については、将来的には保険収載を行うべきかと思いますけれども、このままの形では少し難しいのではないかということです。検討された先生の御意見の中で、5ページを見ていただけますか。主担当の上村先生のほうから、真ん中のあたりに「有効性についての『検証』は、本試験とは別に考える必要がある」という御指摘がございます。

 それから、木下先生、7ページでございますけれども、下から7行目に「凍結羊膜と乾燥羊膜にはさまざまな相違点があり、少なくともdouble armによる評価が必要と思われる」という指摘がございました。

 それから、柴田先生のほうからも、9ページの真ん中のあたりですけれども、「『一定以上劣らない』と考える閾値の設定根拠が曖昧である。仮に事前に設定した基準を満たしたとしても、その結果は、HD羊膜の凍結保存羊膜に対する非劣性が示されたというよりも、HD羊膜が凍結保存羊膜に著しく劣ることはなさそうであるという解釈になるものと考える」ということです。

 実は、43ページに薬事承認申請までの道筋が書いてございますが、本先進医療の後に検証治験とあります。まだ具体的にどのようにデザインになるかわかりませんけれども、このままなることはないと。何らかの治験が必要だということは申請者たちも理解しておりますので、その点は問題ないのではないかと思いまして、そういうことを理解した上で「適」といたしました。

 以上です。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 柴田先生、何かコメントございますでしょうか。

○柴田構成員

 もう山口先生から御指摘いただいたところに要約されているのですが、問題点は、この試験が終わった段階で、この技術の有効性が証明できたと解釈することは困難であるというところです。ただし、開発の早い段階で、これがだめなものであるか否かの選別をする。ある程度の見込みがありそうであれば、次にしっかりとした検証試験を踏む。そういうスクリーニング段階での試験ということであれば、こういうやり方も否定はできないかなと感じるところです。

○猿田座長

 この場合、終わってから治験にもう一回入るのですか。どうですか。

○山口構成員

 まだ具体化はしていないのですけれども、試験は必要だと思います。

○猿田座長

 でしょうね。

 ほかにどなたか御意見ございますでしょうか。今、柴田先生がコメントくださいましたけれども、この試験はこの形で認めるということでよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○猿田座長

 それでは、そういう形で、この案件もここでは認めさせていただくということにさせていただきます。どうもありがとうございます。

 それでは、85番になりますけれども、こちらのほうは座長代理の五十嵐先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○五十嵐座長代理

 それでは、別紙8をごらんいただきたいと思います。「多血小板血漿(Platelet Rich Plasma:PRP)を用いた難治性の皮膚潰瘍治療法」ということで、新しいデバイスを用いた点が従来とは異なるエッセンスであると思います。

 一般的なことを申し上げますと、普通の定型的な治療を28日間行っても治癒しない潰瘍のことを難治性の皮膚潰瘍と定義しております。難治性の皮膚潰瘍というのは、糖尿病などの基礎疾患によって免疫が落ちていたり、組織の治癒力が落ちているという患者さん、あるいは全身状態を自分で十分に管理できない患者さんに生じやすいと言われています。この潰瘍を放置いたしますと、壊死組織に感染が生じて損傷面が拡大していきまして、さらにそこに感染が加わるということでどんどん悪化しまして、最終的には敗血症になったりして生命に重大な影響があるということで、非常に重大な疾患であると考えられます。

 特に潰瘍部が四肢にありますと、例えばいろいろな抗菌薬を使ったり、創傷のケアなどをやっても、残念ながらそれだけでは治癒しないために、四肢を切断するということも必要になってまいります。そういうわけで、褥瘡を含む難治性の皮膚潰瘍の治療というのは、いい治療が求められている状況に現在なっていると思います。

 末梢血をとりまして、それを遠心分離してつくりました多血小板血漿、PRPの中には、いろいろな成長因子とか治癒因子が含まれています。創傷の治癒に有効とされるような因子ですので、これを使って難治性の皮膚潰瘍を治癒しようという試みがこれまでに既に行われています。週に1回、難治性の皮膚潰瘍の場所にPRPを注入しまして、1クール4回、4週間行って、それを2クールまで、合計8回、PRPを投与するという治療法が今、行われています。

 これまでに既に平成23年9月29日付けで、多血小板血漿による難治性皮膚潰瘍治療というのは第2項の先進医療として承認されているわけですけれども、問題は、このPRPを清潔な操作で作製して、それで保存しておくということが非常に重要でして、そのためにはクリーンベンチが必要であることと、それからクリーンベンチ内での操作する技術者といいますか、ある程度の技術が必要であったわけであります。

 そういうわけで、今回開発されました方法は、ジェイ・エム・エス社のPRP分離容器というものがありまして、これは別紙の27ページをごらんいただきたいのですが、閉鎖系の環境下でダブルスピンをすることによりましてPRPを調製するということで、従来のクリーンベンチを使って技術が必要なものに比べますと、衛生的ですし、特殊技術が不要で簡便である。それから、クリーンベンチも要らない。分離操作も要らないという利点があると思います。

 残念ながら、この方法を使って、例えば整形外科で治療も行われましたけれども、必ずしも有効でないというデータもありますが、一方で口腔外科領域でインプラントを固定するための顎骨の再生を目指した治療にこの方法が用いられておりまして、既にいい成績も出ておりますし、それから安全性も担保されている。そういうわけで、従来認められている先進医療に、もう一つ技術を加えることによって、さらに改善を図ったという治療法ではないかと考えられます。

 最終的には、倫理的な問題はありませんし、それから普及という点では、従来のクリーンベンチ、あるいは特殊技術を持った人がそれを精製するという点におきましては、ある程度普及はされていますけれども、全ての病院・病棟でできる治療法では必ずしもないということで、普及性はBと判断いたしました。

 効率性は、ややあるのではないかと思いますので、これは簡便に行えるという点で効率的ではないかと判断いたしました。

 それから、将来の保険収載の必要性についても、これはできましたら将来的には保険収載を行ってもいいのではないかと考えます。

 それから、総評といたしましては、9ページに既に先進医療技術審査部会で条件付きということで認められているわけですけれども、そのときに指摘されましたいろいろな事項に対して、丁寧に改変いたしておりますので、今回、総合判定としては「適」でよろしいのではないかと判断させていただきました。

 以上です。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 今、かなり細かく御説明いただきましたけれども、従来のものよりはかなり改善したところがある。それから、クリーンベンチの問題もございますけれども、そういった形でかなり進んだものになっているということで、五十嵐先生としては「適」でよろしいのではないかということでございますが、それではどなたか御質問ございますでしょうか。

 山本先生、何かございますか。

○山本構成員

 実は、我々のところでも同じような、ちょっと対象は違いますけれども、クリーンベンチといいますか、CPC室で本来操作しなければならないものを、こういう簡便な密封系の中で、そのかわりCPCを使わないでできるという技術を開発している研究者がおりまして、CPCとか、再生医療に伴っていろいろ導入されておりますけれども、実際に普及性という意味では非常に低いので、また技術者の問題、それからそこに係るコストの問題を考えますと、培養系はともあれ、こういう分離するだけという技術であれば、閉鎖系の簡便な医療機器といいますか、医療材料が開発されることは望ましいことだと思います。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 ほかにどなたか御意見。どうぞ、藤原先生。

○藤原構成員

 山本先生にちょっと聞きたいのですけれども、ロードマップで見ると、先進医療Bをやるのと同時に、並行して医療機器の薬事申請を行う。この機器はクラス2で認証基準ありと書いてあるのですけれども、性能試験とかやらずに、治験以外の臨床試験が1本、どこかで走っておれば薬事承認申請までそのまま行くクラスのものという理解でいいのですか。

 というのは、ジェイ・エム・エスがお金をたくさん出しているのです。モニターとかデータマネジャーとか、統計解析に係る費用はジェイ・エム・エスが全部負担するというデザインなので、企業さんは楽をして承認に行けるのか、その辺がよくわからなかったのです。

○山本構成員

 これを見たらあれですけれども、私も、対象は違いますけれども、割と似たようなコンセプトの医療機器の開発をうちの研究者がしたことがあって、それで市販、実用化のための検討をいろいろ行いました。簡単に言いますと、この写真に写っている閉鎖系の材料は、大した値段は絶対つかないのです。この分離装置を、私もPMDAとか医療機器センターとか、いろいろなところに意見を求めに行ったりしたのですけれども、単に細胞が分離できるだけでは医療機器としては認められない。単に分離するだけ。

 それだったら、研究機器というか、雑品になってしまうということで、そこを医療機器として申請するのであれば、これを用いて行った結果の治療に何らかの治療効果があるということを示していただく必要があるということで、そこはどうしても我々が我々のものを持っていって話をしたときには、PMDAはなかなか譲れない部分であるというお話がありました。

 ですから、クラス2ではあるのですけれども、医療機器としての該当性を確認するためには、恐らく臨床効果というか、医療機器としての有用性を示す何らかの臨床評価が必要であるということを、この方々も言われたのではないかと想像いたします。

 ただ、楽してとおっしゃいましたけれども、こういう機器は本当に安いのです。これで治験をやったら、この企業は多分倒産していると思いますので、これだけで生きているわけじゃないと思いますけれども、真面目にこれを治験でやって開発して、その後、この売れ行きで利潤がとれるかというと、そこは経済的に考えると成立しないと思います。ですので、PMDAのほうもクラス2の機器に対して、必ずしも治験の結果をつけてこいということはおっしゃらないと思います。

 ですので、そこはここの結果をまた持っていかれて、御相談なされるところだと思いますけれども、医療機器については、そういう開発に係る費用というのが医薬品と比べて格段にかけられないという現状があるということだと私は理解しております。

○猿田座長

 先進医療で今、一番問題になっているのは、出口をどういうふうに考えるかということで、こういう形の場合に、確かに治験をやって入れば一番いいのですけれども、今おっしゃったような理由もあると、なかなか入れないですね。一つの例として、これは見ていく。

 ちょっと待ってください。事務局。

○大臣官房参事官

 機器・再生室の磯部ですが、山本先生、ありがとうございます。

 このPRP療法については、いろいろ難しいところもあって、機器そのものは言ってみれば分離装置なのです。ただ、こういった技術が治療法としてどうなのかということがあって、それを全部薬事承認にかけてしまうのは、今、山本先生がおっしゃったようになかなか無理があるのではないかということで、技術の部分と分離するという部分でやるほうがシンプルじゃないかということだと思います。

 我々もPRPについてはいろいろ御相談も受けておりますので、今回の件も、先ほどお話ございましたけれども、企業の方にも、こちらのほうでもお話を聞いて、どういう整理が一番いいのか、また我々としてもちゃんと対応していきたいと思います。

○猿田座長

 とにかくいい方法であれば、できるだけ早く実用化されて、それが国民のためには一番重要なのです。

 どうぞ、山本先生。

○山本構成員

 本来、これはクラス2で、血液の分離装置としては基準がありますので、そこだけで言うと、恐らく承認ではなくて認証機器に入るのですね。となりますと、認証機器であれば本来治験は不要という整理になります。ただし、クラス2で認証機器であっても、先ほどおっしゃっていたようにPRP自体の治療効果というものは見たいということがあるのだと感じております。

○猿田座長

 ありがとうございます。

 ほかにどなたか御意見ございますか。そういう議論が今日あったということをちゃんと残させていただいて。

 山口先生、どうぞ。

○山口構成員

 これは大してお金のかかる治療じゃないですね。ただ問題なのは、いろいろなものを対象にしていて、有効性が本当にあるかということで。安いから効かなくてもいいというわけじゃなくて、承認されたときにある程度、例えば1,000例あったら1,000例、どれぐらいの効果があったかとか、報告させないとまずいのではないかという気がちょっとします。というのは、病態が非常に多様ですから。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 ほかに御意見なければ。でも、今日の形はこれでお認めいただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○猿田座長

 それでは、お認めいただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。

 それでは、坂本先生、よろしいでしょうか。81番の技術とそのほかの結果について、よろしくお願いいたします。先生には、先進医療技術審査部会のほうに来ていただいたり、ありがとうございます。よろしくお願いします。

○坂本構成員

 今回の名称は、別紙資料4「自己心膜製ステントレス僧帽弁置換術」であります。

 本来の人工弁自体は普及しておりますし、生体材料による医療材料も普及しておりますが、倫理的には特に問題はない。

 それから、現時点での普及性でありますが、機械弁もあれば、ウシ心膜あるいはブタ心膜による生体材料による僧帽弁あるいは大動脈弁に対する置換術も行われており、ある程度は普及しております。

 既に保険導入されている医療技術に比較していかなるものかということで、効率性は既に弁置換というものが存在しておりますので、自己心膜であろうが、生体材料であろうが、効率性は同程度であり、特に劣るということには当てはまらないということで、Cにしております。

 将来の保険収載はいかなるものか。コメントが書いてあり、後ほど資料の中のいろいろな文面を引用しながら説明しますが、患者のとる同意書においても、耐久性はまだ不明であるという言葉がしばしば出てくる。その点は、研究者も十分理解した上で、この計画を練っており、研究計画段階では基本的に1年という定義でやっておりますが、私はそれでは少し無理があると考えました。従来の自己弁等の意見はこれから述べさせていただきます。

 総評といたしまして、現在、未解決な耐久性を含めた上で、「条件付き適」という言葉にしております。

 続きまして、資料の中の説明に入りたいと思います。

 最初に資料の36ページをごらんください。

 ここでは、上のほうに前尖、後尖という、ステテコを左右の境界中央線で前後の形で割ったような絵を描いています。この形は本来の解剖学的な形とは違いまして、逆に言うと、縦の長さ(股上)が長いために弁と弁が接触するところを大きく広目にとってあり、それが特徴であります。しかしながら、特徴であると同時に、逆にそこに限界がある可能性もあるということだろうと思います。

 下の図がデュランリングという、本来、弁輪が大きくなって僧帽弁が漏れたときにそれを収縮する人工弁輪のリングに心膜弁をつけた絵であります。後ほどまた説明いたしますが、本来の人間の弁は、左右の中心部分につながるのではなくて、楕円形全体の3分の1のところに前尖が解剖学的にはつくのですが、この弁におきましては、左右中心部につながっております。

 続きまして、資料の40ページをごらんください。

 実際に弁を植え込むときにいろいろな工夫がされておりまして、デュランリングにつけた弁をあらかじめ乳頭筋の根っこに固定する。したがって、固定する部分は、先ほどの図でありましたように、ある意味でステテコのズボンの一番先端を乳頭筋に縫着いたしまして、裂けないようにしながら乳頭筋断裂を起こさないように縫着した上で、僧帽弁輪にこういうふうに縫いつけるという術式であります。

 続きまして、資料の59ページをごらんください。

 ここでは、先ほどの研究者が提案しました前尖、後尖というものを、楕円形の僧帽弁輪に対して、左右の両方の中心に弁がついている。コンピュータで透視してみますと、この様に完全に左右の中心につながっておりますが、デュランリングには透視した絵の3分の1のところにマーカーがついていますけれども、本来の僧帽弁はそこについていて、開くときは中心上で制限を受けない。59ページの下の図を見ますと、左右の中心で固定されているがために、この弁はどうしても赤い破線のところで翻転する限界が生まれるわけです。本来、3分の1のところについていれば、これはもっと開く前尖になるわけです。

 その点で狭窄症を起こしやすいのかという気はするのですが、61ページをごらんください。この様に前尖用という大きな古墳のような持ち上がり方があります。弁の狭窄を防止するために、大きく振幅する弁の機能を持たせる工夫がここにあります。

 続きまして、67ページをごらんください。

 中心に前尖の支点がありながら、なおかつ古墳のように大きな盛り上がり運動を持たせた弁が、実際にNormo弁の動きとして見た場合がこの図で、下のほうが左心室で上が左心房であります。そうしますと、中央に逆三角形の赤い三角があります。その三角形の右側のほうに大きくぽこっと左房側に盛り上がった、先ほどの古墳的な盛り上がりと説明したものがここにあります。したがって、本来は前尖と後尖が閉鎖した時には水平線になるのですが、この様に盛り上がるような大きな運動をすることによって、下がるときには左心室側に大きく開く結果、狭窄はここで解除されるわけです。

 同時に、収縮期においては、ぽこっと左房側に持ち上がって、逆に膨らみ過ぎるという側面もありますが、膨らみ過ぎても、接合部が長いために、後尖と前尖はお互いに接合して逆流は生じないという、ある意味で逆流発生防止策をとっている工夫が見られます。

 一方、早稲田大学の実験データが68ページにございます。

 ブタの正常弁が下段のピンク色の台座につけた弁であります。先ほどから説明しましたように、正常ブタ弁は閉まるときはもちろん完全ですが、あいたときにはほぼ円形になります。それは、前尖が3分の1についているがゆえに大きく開く証拠でもあります。

 一方、Normo弁は、開くときに左右の中心に弁が固定されていますから、若干たわみを持たせて大きく膨らむのですが、どうしても弁口面積が狭いという限界もあります。

 続きまして、資料順に行きますが、81ページをごらんください。

 これは、実際の臨床のデータであります。左の図が拡張期で弁が開いているときで、右の図が弁が閉まっている。2つの山がきれいにできています。

 続きまして、資料の92ページをごらんください。

 下のほうにMVP、弁形成術はということで、負担が少ないため術後のイベントも少ない。それから、長期耐久性にも優れていると書いてございます。しかし、僧帽弁形成術という言葉は、本来、その患者さんの弁を使ってやっているがために、この手術は長期耐久性が優れているという表現であって、Normo弁に当てはまる言葉ではないのですが、たびたび引用されております。

 続きまして、93ページ、中段をごらんください。

 下段のほうに、大阪大学を初め、協力機関の名前があるところの上の文節であります。その後半部分に、「耐久性について不明であることを含めて十分に説明した上で」という、研究者も限界がある意味でわかっております。にもかかわらず、研究期間は1年という言葉で、研究の継続には経済的負担がかかることも含めて、その点は彼らの提案であります。

 トータルといたしまして、耐久性の問題、本来、金属の弁に関しましては、欧米では約20億回の模擬心拍加速器試験をやって、金属疲労あるいは摩擦でもってどこがすり減って、弁の逆流がふえるかどうか実験している。パイロライトカーボンというアポロ計画から来た素材を用いて、耐久=試験をやった上で臨床応用されております。

 それから、生体材料、ウシあるいはブタを使った材料もございますけれども、これはFDAでも基準が出ておりませんけれども、開発企業メドトロニック社あるいはエドワード社では、しかるべき負荷テストをやっております。

 今回、早稲田大学理工学部で、ウシ心膜を用いてNormo弁をつくり負荷試験をやっておりますが、100例ほど実験したという報告が10年間の蓄積であると書いていますが、これは形状テストをやって、左室圧が変化した場合、弁がどの様に動くか検討してますが、20億回に及ぶような負荷試験は見られません。と同時に、4月30日付けで臨床例の集計が出ておりますが、当時は11歳の小児例では弁がだんだん石灰化して、狭窄症を起こして手術予定であるという言葉でしたが、この半年間に再手術を受けております。

 もう一例、成人例で全く問題ないとの報告ですが、既に今年7月に術後1年9カ月でNormo弁の先ほど話しました乳頭筋への逢着部分で心膜が破れ左房側に翻転して逆流が起き再手術になった例がございます。

 その後、今年4月以降、研究治験ということで2例ほどやって、それはまだ短期間ですので特に問題ありませんが、そうすると、研究計画書では1年で云々ということだったのですが、1年9カ月で破損例が起きている。もちろん高血圧があったから負荷が大きかったという根拠も述べておられますが、やはりマラソンをすれば血圧も上がりますし、本来の人間の機能を考えれば、高血圧を全て防ぐことは不可能ですから、それも考えて、私は5年以上のデータを持った上で客観的な評価をしたいという方向で、条件付きという言葉を使いました。

 これは、心臓外科をやっていると、いろいろな人工弁の歴史の中でいろいろな経験があります。金属弁がかなり普及したときに、あるロット番号の患者が突然弁外れて。それが大腿動脈に飛んで、救急車で来院し、CTを撮って場所がわかった場合には助けられるのですが、私の患者でも数名、食事中に突然亡くなっています。

FDAの基準でも、ペースメーカー、人工弁というのはクラス3になっておりトップ段階です。そうすると、既に耐久性に問題があるというところで研究計画を進めるとすれば、これは技術的にも先進医療会議としての倫理観から見ても、私は「条件付き適」をどうしても揺るがせないまま、今日に至っております。

 以上であります。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 今、先生がおっしゃった1年9カ月のデータが今までの中で一番長いのですか。

○坂本構成員

 再手術までの期間としては長いのですが、もっと長い術後期間で弁が漏れていない方もいらっしゃいます。最新の再手術例として挙がっているのは1年9カ月です。ただ、これから術後5年、7年で出てくる可能性もありますけれども、1年9カ月で出ているということは、高血圧という条件が負荷されていますけれども、ある程度長期だろうと思います。

○猿田座長

 ありがとうございます。

 細かく御説明いただきましたけれども、それでは委員の先生方、どなたか御意見ございませんでしょうか。坂本先生には、随分いろいろな形で検討していただきまして、一番重要なことは、耐久性の問題がこういった場合、どうしても起こるということで、それをどう考えるか。「条件付き適」として、観察期間の問題を検討していただくことが一番重要だろうということでございます。

 どうぞ。

○福井構成員

 坂本先生、2点教えていただきたいのですが、もし最初に入れたNormo弁がだめになって、もう一回入れようという場合、心膜をもう一回異なる場所からとるということが技術的に可能なのでしょうか。アドヒージョンが起こった後だと思いますので、それは不可能で、同じ手技はできないものなのでしょうか。

 もう一点。同じ評価のスケールには乗らないと思いますが、ワーファリンが不必要になるということのメリットをどうやって評価するのか、先生の御意見を伺えれば。

○坂本構成員

 まず、1点目の心膜ですが、実を言いますと1年9カ月で裂けた症例は、再手術例で癒着していた心膜をはがして使った症例です。したがって、そこがぬかったなという反省も研究者は述べておられまして、二度目の心膜を使うのは、これからは基本的には倫理性とか過去のデータを踏まえても、僕は個人的にもすべきではないと思います。と同時に、多分しないと思います。なかなかとりにくい。癒着剥離だけで心筋も傷めますので。

 再手術はそれほど問題じゃないと。ワルファリンを飲まないで、クオリティ・オブ・ライフがよければ心配ないと書いていますが、ヨーロッパ、アメリカの蓄積したデータを見ても必ず5から7%リスクは上がります。その理由は心筋保護から、視野の展開から、いろいろな不自由があり、必ずリスクは高まっていますので、再手術のときの再心膜利用はまずない。だったら、iPS細胞でヒューマン用の心膜をつくってもらえば、みんなが使えるのです。

 もう一点、ワルファリンが云々ということですが、基本的には既に生体弁、ウシ心膜弁あるいはブタ心膜弁、ブタ弁等では、デュランリングに対して自己細胞が乗るまでの間、2カ月から3カ月は必ずワルファリンを飲んでもらいます。その後はフリーになります。その条件では、これまで使ってきた生体材料、生体弁でも全く同じ価値です。同程度という意味は、そこにもあります。

 以上です。

○猿田座長

 ありがとうございます。

 ほかにどなたか御意見ございますでしょうか。

 山本先生、何かございませんか。

○山本構成員

 基本的に外科の大変難しい技術の領域ですので、あれですけれども、5年というフォローアップ期間というのは、これは医療機器と言うべきかどうか、微妙なところではありますが、植え込みの医療機器については、5年間のフォローアップというのは治験では課されております。ただ、それをどういう状況でとるかというところがありまして、全ての治験を5年間待っていると医療機器が何も出てこないことになるので、今、割とやられているのは、半年とか1年というクリティカルな評価をまずして、その上で審査をし、それで承認できるものは承認する。

 承認した後も、一度植え込まれた患者さんたちは、その後ずっとフォローアップして、企業治験の場合は、大体そのまま観察期も治験として見ていって、市販された後は市販後調査という形に切りかえて、5年間は追いかけるということをされています。

 ただ、私、医師主導治験をやった経験から言うと、医師主導治験の場合は治験期間中、非常にお金がかかりますので、そこはいろいろ協議して、治験の部分はクリティカルな半年なり1年なりのフォローアップの主要効果項目を見るところで、一旦治験として終わって、その後、自主臨床研究として、さらに5年間は必ずフォローアップをして、そのフォローアップ結果をまた提出するということにした覚えはございます。

 ですので、先進医療Bの場合は、後観察期になったら、それほど資金的に問題はないような気はしますが、一方で総括報告書をどのタイミングで出していただくかという問題がありますので、ここでおっしゃっている当初の計画の1年で一旦総括報告書をおまとめいただくのか、あるいは最初から5年間のフォローアップを課した上で、5年間のフォローアップ、全部終わったところで総括報告書をいただくのかというのが、一番の結論を出しておかないといけないことかなと思います。

○猿田座長

 坂本先生が「条件付き適」として、そのあたりは検討していただく。坂本先生、そういう形でよろしいですね。

○坂本構成員

 実は、ほかの材料と違うことは、心臓弁は1日12万回ほど動く点なのです。弁なので、1日10万回から12万回動くわけです。今回、テストとして、確かに心膜弁をつくっている。ウシ心膜というある程度生物組織を固定され製品化された材料を使って工学的にテストし、形もいい、弁も漏れない、左室圧波形も似ているという評価はいいのですが、顔つきはいいのですが、耐久性機能はどうかと追求していない。12万回動かすとか、何日も使ってみるとか、このロードテストがないのです。そこの危険性をどこに落とすのか。これほど可動する研究材料は先進医療会議でも物差しがないのではないかと思います。

 したがって、従来の金属弁であれば、20億回の加速試験とか、いろいろな計算をしながら臨床応用しています。たしか循環器病センターにしか、この機械はないはずです。1分間に約6,000回転するテストをしているのです。

○山本構成員

 ただ、既に何例か患者さんに入っていて、何年間かたっている患者さんも数例いらっしゃるということなので、結果的にですけれども、数例で耐久性の結果はある程度は出ているということではないかと思います。

 それと、工業製品ではないので、恐らく自己心膜の性能にも若干由来するところがあると思いますので、非臨床下で例えば牛の心膜を使ってロードテストをやった結果を、そのままここに外挿できるかというと、そこはどうなのかなという気はいたします。

○猿田座長

 一応、私としては、先生がおっしゃるとおり、条件付きで戻して、そのあたりのことをよく検討していただくことが一番いいかなと思うのですけれども、よろしいですか、先生。

○坂本構成員

 山本先生、決めるのはこの委員会なので、あくまでも私の意見であってということと。

 あと、ウシ心膜で固定したものはどんなに引っ張っても延びないのです。グルタールアルデハイドで固定していますから。生体心膜というのは、心不全になると心胸郭係数が大きくなるじゃないですか。我々はレントゲンで長径しか計っていませんが、実際は円周としてもっと大きくなって、3.14倍伸びているわけです。利尿剤を使って心臓が小さくなると、長径は小さくなり、円周も縮んでいるのです。

 それだけ柔軟なものでもってテストするのは、やっているうちに伸びることは予測できるので、そこをどう生体の中で伸びないのか、伸びるのかというのは、ある意味オンゴーイングで見るしかないことも、僕は事実だと思います。

○山本構成員

 生体の人間の心膜で非臨床試験ができないので、そこはどうしようもないなと思うのですね。今の1年のフォローアップで総括報告書をまとめていただくのか、それで、その後のフォローは自主的に論文を出していただくのを待つと考えるのか、あるいは5年間の総括報告書を出していただくのかということを、こちらでは決めておけばいいのではないかと思いますが。

○猿田座長

 ありがとうございます。

 柴田先生、どうぞ。

○柴田構成員

 今の山本先生の御提案の話をもう一度確認させていただくと、過去の先進医療の例でも、試験期間としては長期間であるけれども、先進医療としては短期的なところで、まず主たる解析を行って、長期の成績はもともと計画書にも書いておいて、UMINなどにもちゃんと登録しておいて、その結果、その時点でもう一度論文として出すというのを事前に定めてやるということはあり得る。

 ですので、例えば1年がいいのか、3年がいいのかというのは、坂本先生の御意見を伺いたいのですけれども、短期的ものは短期的なもので、まず主たる解析として出して、事前に計画に定めたとおり、5年以上のフォローをした上で、そこをきちんと報告するというのを、曖昧な形ではなくて、この研究の計画として事前にはっきり書いておいて、後で出していただくというやり方は可能ですね。なおかつ、少なくともそのようなデータをとることは。

○猿田座長

 今、柴田先生がおっしゃった形が一番妥当かと思います。

 ほかに御意見なければ、坂本先生、ありがとうございます。そういう形で進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 では、次の総括報告書のほうに入りたいと思いますので、よろしいでしょうか。「先進医療Bの総括報告書」ということ。これは、事務局のほうからお願いします。「慢性心不全に対する和温療法」。よろしくお願いいたします。

○事務局

 事務局になります。

 資料先-3をごらんください。こちらは、先進医療技術Bの「慢性心不全に対する和温療法」の総括報告書に関する評価となっております。

 本技術は201211月から先進医療Bとして開始され、平成27年に治験終了のため、先進医療から取り下げとなった事案となっております。

 一色先生に主担当として、大門先生に副担当として、当該総括報告書について評価をいただいており、本年11月の先進医療技術審査部会において提出され、審議された事案となっております。

 指摘事項のやりとり、及び回答並びに参考文献等につきましては、別紙に記載されております。

 概要を申し上げますと、主要評価項目であるBNPにつきましては、和温療法の施行後に有為な減少が認められたものの、対象群である非和温療法群、薬物投与のみの群との間に有為な差は認められなかったという結果となっております。

 副次評価項目につきましては、3項目のみ、NYHA、6分間歩行、心胸郭比に、非和温療法群に対して有意な改善を示したとのことです。

 残りの副次評価項目では、有意な差は両群間に認められなかったとのことです。

 結語として記載されておりますが、「重症の慢性心不全に対する和温療法の安全性を証明し、同時に重症心不全に対する有効性を示唆した」となっております。

 なお、技術審査部会からは、当該報告に関して附帯意見があわせて提示されております。ページは12ページとなっております。

 概要を申し上げますと、本和温療法は、医療技術評価分科会から保険適用の要望があった技術であり、その提案書にありますが、日本循環器学会慢性心不全治療ガイドラインにおいて、薬物療法の補助療法として推奨度Class1、エビデンスレベルはBとの言及があります。本総括報告書の結果と当該ガイドラインのもととなったエビデンスとの整合性が明らかでないことなどが附帯意見として記載されております。こちらは報告事項となっております。

 また、前回の先進医療会議でもお示ししましたとおり、こちらは総括報告書が提出され、薬事未承認等の医療機器・医薬品等の使用を伴わないことですから、本年度の先進医療技術の保険導入等の検討対象となりますことをあわせて申し上げます。

 事務局からは以上になります。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 今、御報告いただきましたけれども、どなたか御質問ございませんか。あるいは、先進医療技術審査部会のときにも随分議論させていただきましたけれども、審査部会のほうの委員の先生方。お願いします。

○山本構成員

 循環器領域なので、必ずしも専門ではでないのですが、一応コメントさせていただきますけれども、一色先生も述べていらっしゃるように、もともとサロゲート・エンド・ポイントのBNPを指標に置いてされて、なおかつ有意差は得られなかったということで、BNPがサロゲート・エンド・ポイントでよかったかどうかというのは、またありますけれども、当初定めた主要評価項目で2群の差が出せなかったということですので、今回の条件でのこの和温療法の有効性については、一定の効果はあると思いますけれども、やらないのに比べて、やったほうが明らかによかったかというと、試験としてはこれは成功したとは言えないと感じます。

 ただ、BNPもやる前よりは下がっているということと、副次評価項目でNYHAとか、幾つかの指標は改善が見られているということなので、安全に行える一定の療法だと思います。今回、先進医療では保険償還を出口と考えていると思うのですけれども、私、個人的には、これでどういうふうに保険を立てるのかがちょっと想像がつきにくいなと思います。

 一色先生が中で非常にすばらしいコメントを出しておられて、リハビリテーション療法と割と近いような位置づけではないかということを述べていらっしゃいまして、医薬品は使っておられませんけれども、医療機器なのか、あるいは一定の療法として単独で保険をとられると考えられるのか、例えば心リハとか一定の補助療法の一種として、その中のグループとして1ジャンルとして確立を目指されるのかという、出口をもう少し幅広に、学会ないし関係の先生方で考えていただいたらいいのではないかと思いました。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 先生、まとめていただきましたけれども、特に心不全の2度から4度の患者さんに使って安全だったということが1つと。

 それから、エンドポイントをBNPにしたのが本当によかったのかどうか。6分間歩行とか、そのほかに関しては効果が出ていますから、確かに一部はよかった。しかしながら、先生がおっしゃったように、治験のやり方で言ったとしたら、それは不十分ということかと思うのですけれども、どなたか御意見ございませんでしょうか。なかなか難しいところですけれども、長い間、この施設ではやってこられて、安全性と、確かに効果が認められて、山本先生がおっしゃったように、リハビリ的なことでは本当にいいのかもしれないけれどもという。

 どうぞ。

○福井構成員

 もともとこの治療自体が盲検化できないため、バイアスが入りやすい。特に患者さん自身のバイアスが入るものですから、歩行距離とか歩行時間の短縮につきましても、気分がよくなった、自分がいい治療を受けていると思っただけで、かなり伸びる、改善する性格のものです。ただ、本当に効果がないかどうかということは、BNPが全てをあらわしているとも言えないものですから、非常に難しいですね。

 ただ、何かしら客観的な指標で評価すべきだと僕は思います。患者さんが非盲検であるために、どうしても主観的な事柄によって改善し得るため、いろいろな指標が用いられていますので、そこのところは非常に難しい判断だと思います。

○猿田座長

 ただ、非常に貴重な成績を確かに出してもらえたということで、これは非常に。

 坂本先生、何かございますか。

○坂本構成員

 外科医はこんなことは疎いので。自分が和温療法を受けたいほうです。

○猿田座長

 ほか、どなたか御意見、ございませんでしょうか。

 どうぞ、宮坂先生

○宮坂構成員

 臨床、治験としては、あるいはサイエンスとしては、それなりの意味はあることだと思うのですけれども、これは治験としてやって、プライマリー・エンド・ポイントを決めてやって、それが変わらなかったのも事実です。ですから、客観的な有効性というのは全く証明されていないわけです。

 さっき福井先生がおっしゃったように、セカンダリー・エンド・ポイントとか、ほかのものは必ずしも客観的な指標ではないですから、そうすると、この論文の中でサイエンティフィックに客観的な有効性を示すデータはないと読める。そうすると、それを保険償還するというのはどうしても納得が行かないですね。

○猿田座長

 ほかに。どうぞ、山口先生。

○山口構成員

 私も宮坂先生に賛成です。逆さまに言えば、これは、もしいいデータが出たときには、堂々と科学的にも有効性が証明されたと書くわけですね。結論のところの「有効性を示唆した」というのは、ディスカッションのところでは書いてもいいけれども、臨床試験を評価するときには「無効であった」と書くべきだと思います。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 そうすると、報告書としてはこういう形で承った。それから、先生方からの御意見もこういただいたということで、まとめさせていただく。結論が出せない問題だと思いますから、事務局のほうもよく検討していただく。では、そういう形で処理させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。今日は、粒子線の学会からわざわざおいでいただいて、大分時間をとってしまいましたけれども、ここまでのところはひとつ終了したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 石川先生もお見えになりましたので、メンバーも全部そろいました。

 それでは、ここから、この前も1回学会から来ていただいたのですが、今日は「粒子線の治療について」ということでございます。

 それで、学会のほうからおいでいただいておりますけれども、学会の関係者の方々に参加していただくということで、14条の(1)に基づいて日本放射線腫瘍学会の関係者の御参加及び御発言について、先生方、御了解いただけますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○猿田座長

 ありがとうございます。

 それでは、御了解いただいたということで、恐れ入りますけれども、先生方、前のほうへおいでいただけますでしょうか。お待たせして申しわけございませんでした。

(日本放射線腫瘍学会関係者着席)

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 それでは、早速、まず事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。

○事務局

 事務局になります。

 資料の説明ですが、先-4をごらんください。こちらの厚めの資料につきましては、本日出席の日本放射線腫瘍学会の方より御説明がなされるものになります。こちらの資料の位置づけですが、先進医療会議からの指摘事項に答える形で提出された資料になります。

 これまでの経緯を簡単に説明いたしますので、先-4(参考1)という1枚紙の資料を御確認ください。

 平成22年度からの毎回の診療報酬の改定以降、粒子線治療については、既存治療等との比較に関して指摘がなされていたところですが、評価するためのデータがないなどの問題点があったところでございます。平成27年度の8月の先進医療会議におきましては、当該学会より、これまでのデータ等の実績を取りまとめ、発表していただいたところであります。その発表資料が資料先-4(参考2)となります。

 こちらの発表に対して、会議の先生方からさまざまな御指摘があり、当該指摘に関しましては学会に対応を求めることとされました。これらの対応を求める指摘事項をまとめたものが資料先-4(参考3)、1枚紙となっております。

 こちらに掲載されている指摘事項に答える形で、本日、日本放射線腫瘍学会の方にお越しいただいております。

 事務局からの説明は以上になります。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 先生方、よろしいでしょうか。もしよろしければ、それでは早速ですけれども、日本放射線腫瘍学会の方から御説明をお願いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○日本放射線腫瘍学会

 日本放射線腫瘍学会の理事長を務めております西村です。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 早速、8月の先進医療会議で御指摘のあった照会事項に関しまして、回答をさせていただきたいと思います。白土委員長、お願いします。

○日本放射線腫瘍学会

 粒子線治療委員長の白土でございます。

 今回、疾患別に、各学会や各診療ガイドライン委員会の先生方に第三者委員として多数加わっていただきまして、御指摘に答えることが可能となりました。また、本学会のデータベース委員会が全例登録を可能といたしました。

 それでは、今回の作業のまとめ役である櫻井委員から御報告させていただきます。

○日本放射線腫瘍学会

 粒子線委員の櫻井でございます

 資料は既にごらんいただいているということですので、量もございますので、ポイントのみ説明させていただきます。

 まず初めにいただいた課題は、8月に提示した粒子線治療成績と比較するための既存治療の成績を、客観性・透明性が確保された手法を用いて出すということでございます。

 前回、研究データをお示しした疾患の中から、現時点で粒子線の優位性を主張した疾患として、小児腫瘍、骨・軟部腫瘍、頭頸部非扁平上皮癌の3つの希少疾患と、ほかの治療の適用にならない肝癌、肺癌を対象にデータ収集を再検討いたしました。

 文献収集は、診療ガイドライン等で用いられているシステマティックレビューの手法を各疾患で用いました。また、関連学会、日本を代表する臨床研究グループ及び各診療ガイドラインの委員会に第三者として加わっていただき、評価をいただくことで、さらに客観性・透明性のある対象設定をいたしました。第三者委員会からは、高い評価をいただいたと自負いたしております。

 内容でございます。3ページをごらんください。

 小児腫瘍につきましては、代表的疾患を取り上げて比較いたしました。その結果、陽子線治療は、有効性についてはやや高く、その一方で長期の有害事象は極めて低率であるということがシステマティックレビューから明らかになりました。

 続きまして、30ページをごらんください。

 頭蓋底腫瘍を含む骨軟部腫瘍についてでございます。これも代表的疾患を取り上げて比較いたしました。その結果、切除非適応の場合、化学療法やX線治療を含めて、既存治療の中には根治的治療はなく、粒子線治療は重要な役割を担っているということが明らかにてなりました。

 続いて、71ページをごらんください。

 頭頸部非扁平上皮癌に対する粒子線治療の成績でございます。これは、手術を主体とした成績と遜色はないこと。整容性の点からは、手術よりすぐれていること。また、従来のX線による治療成績を上回っているということが明らかになりました。

 これら3つの希少疾患については、大規模なランダム化試験はできないために、エビデンスの高い報告は少なく、その面で一定の限界がございますが、現時点での情報を網羅することはできたと考えております。

 次に、92ページをごらんください。

 コモンキャンサーである肝癌、肺癌でございます。今回は、ほかの治療ができない状態での粒子線治療の成績を提示いたしました。つまり、いただいた課題は、標準治療ができなかった場合の成績を系統的に調査するということでございまして、特に肝癌の場合は、比較にたえる文献収集は困難でございました。そのため、切除不能かつTACE、これは動注療法でございますが、不能の肝癌の成績を文献的にまとめ、これよりも悪い条件、すなわち切除不能かつTACE不能かつ5cm以上と大きなものでの粒子線治療の成績が相対的に良好であるということを提示いたしました。

 また、参考のために肝癌診療ガイドライン上で、粒子線治療は他の局所療法の適応困難な肝細胞癌に行うことを検討してよいと記載されていること。また、我が国の科学論文を根拠に、米国放射線腫瘍学会が肝細胞癌を粒子線治療の適応疾患としている現状を記載させていただきました。

 次に、107ページをごらんください。

 これは、肺癌についてでございます。手術根治的X線治療等も困難な症例、これは化学療法のみ、もしくは経過観察のみを行った症例でございますが、これらの予後を示す文献の収集は十分に可能でございました。今回の粒子線治療の研究では、これらを大きく上回る成績を提示いたしましたが、我々の粒子線の集積データがやや少ない点が評価上での問題点であろうと考えております。

 続きまして、121ページをごらんください。

 課題としていただきました、我々の行いました医療経済評価が妥当であったかどうかというものでございます。小児癌を題材にいたしましたが、副作用の懸念から、X線での放射線治療が行えなかった小児患者は、緩和医療を受けた患児と同様の背景を持つと考えられましたため、両者の医療経済評価を比較することに一定の妥当性があるものと思われました。しかし、データ的に限界がございまして、今後、前向きのデータ収集により、信頼性の高い医療経済的評価を行うべきと考えております。

 次のページ、122ページをごらんください。

 3番目の課題でございます。適応判定の客観性の担保と今後の対応についてでございます。全施設のキャンサーボード等の状況を調査いたしましたところ、いわゆる総合病院におきましては、頻繁に複数の診療科によるキャンサーボードが行われておりました。粒子線治療のみを行う4施設においても、回答書に示しましたようにさまざまな取り組みを行って、適正な適応判断に努めているということがわかりました。

 しかし、我々学会といたしましては、今回御指摘いただいた粒子線治療の客観性及び質等を担保することは極めて重要なポイントと考えておりまして、128ページの資料4に示しました施設基準、ここにはキャンサーボードの設置、全例の登録管理、同意説明文書の共通化、疾患ごとの統一治療方針、学会への定期報告等を規定いたしましたが、この施設基準を定めて、学会が粒子線治療の適応の客観性及び質の向上について、しっかりとグリップして指導していくことにいたします。

 続いて、132ページをごらんください。

 4番目の課題でございます。先進医療Bの状況については、陽子線治療で8つ、重粒子線治療で5つの試験を計画しておりまして、既に施設のIRBを終えまして、厚労省への申請をまさに行う段階のものもございます。これらの先進医療Bでは、適正な試験の推進のため、臨床試験の専門家を交えて進めているところでございます。

 また、全粒子線治療施設が先進医療Bに参加するとの申し出を受けておりますので、これらの試験は全国多施設共同試験の形態となるものでございます。これらは、来年3月末までに申請を行うこととしております。

 続きまして、133ページをごらんください。

 5番目の課題でございます。今回、結果を提示しなかった臓器・組織型についての先進医療制度における対応でございますが、ここでは学会として2つの方法を考えております。1つは、先ほど申し上げた先進医療Bとしての対応でございます。先進医療Bで実施する以外の疾患への対応といたしましては、学会が粒子線治療の適用となる病態を明確にし、統一した治療方針での粒子線治療を実施すること。また、学会の運用するデータベースに全例登録することにいたします。すなわち、学会が主導する形で、今後、他の治療法との成績の比較が可能な体制で先進医療を実施していきたいと考えております。今後の先進医療の実施に当たりましては、この2つの方法のみで実施していく所存でございます。

 続いて、134ページをごらんください。

 6番目の課題でございます。研究に当たり、他の専門家を入れることの御指摘については、今回のレビューにおいて、特に留意して進めてまいりましたが、今後ともそのような体制で前向きの研究を実施していきたいと考えております。

135ページ、7番目の課題でございます。

 先進医療以外の実施状況については、これは調査結果をまとめさせていただきました。自由診療は約1%でございまして、ほぼ外国人の患者であるということがわかりました。また、施設間の差というものも認められませんでした。

 続いて、136ページは手島データベース委員長からお答えいたします。

○日本放射線腫瘍学会

 データベース委員長の手島でございます。

 最後に、全例登録への学会としての見解でありますが、136ページをごらんください。

 この点、御指摘ありがとうございます。まさに学会としても全例登録は必須と考えておりまして、当学会が国全体の放射線治療の診療の実態把握をしつつ、評価・改善のために症例登録事業を昨年度より開始しておりまして、全放射線治療例の登録を目指しております。

 粒子線治療における準備状況でありますが、現在、粒子線スペシフィックな部分のデータ入力項目を追加、組み込む段階でございます。来年度からは、これを運用することで粒子線治療の実況状況の透明性確保、診療の質や治療法ごとの生存や合併症の評価をし、一般のX線治療との比較も解析可能といたします。

○日本放射線腫瘍学会

 以上、とても駆け足でございましたけれども、この先進医療会議で出されました照会事項について、学会として回答させていただきました。今回、このような課題をいただきまして、学会としても粒子線治療のあり方について、きちんと整理することができましたので、感謝いたしております。

 御審議のほどよろしくお願いいたします。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 先ほどお話いただきましたけれども、8月に来ていただきまして、それからいろいろなこちらからお願いしたことに対して、非常にきっちりとまとめていただいた。特に、今度はこの資料を読ませていただいて、いろいろなことがクリアになりまして、私どもとしても非常に勉強になりました。

 せっかくの機会でございますので、質問させていただいてよろしいでしょうか。それでは、委員の先生方、どうぞ。

○山口構成員

 非常に大変な作業だったと思うのですけれども、御努力に本当に敬意を表したいと思います。

 まず、2ページ目にまとめとありますけれども、疾患、それから外部評価組織、1次文献抽出、2次文献抽出ということですけれども、例えばシステマティックレビューとか、こういうものはエビデンスを拾ってきて、それが直ちにガイドラインになるわけじゃなくて、そういうデータをもとに一つ一つエビデンスレベルを見たりして、その後に初めてガイドライン委員会の俎上に乗って、その中で検討されるべきだと思うのです。

 それぞれについて、これはガイドラインが実際に存在するのかどうかということと。こういう文献が抽出されて、それがどのようなグループで、どのような場所で議論されたか。つまり、どういう議論があったのかという資料はあるのでしょうか。

○日本放射線腫瘍学会

 お答えいたします。

 ガイドラインが既に存在する領域と存在しない領域がございます。その意味で、多少複雑になってわかりづらいところがあるだろうと思います。

 この資料の中で、外部委員からの評価という資料4があるものに関しましては、作業は我々放射線腫瘍学会の中で複数の専門家によってなされたものです。それについて、外部委員の先生方に評価いただいて、総評をいただいたというものでございます。第三者委員会自身がレビューをつくっていただいたという領域もございまして、それは我々が行うよりも、むしろ客観性が担保されている状態でのコメントだと御理解いただければと思います。

○猿田座長

 どうぞ。

○山口構成員

 ですから、結局、どこが責任を持って、最終的にどのようなディスカッションをして決まったかということが明確でないとだめであって、資料のつくり方が科学的であることはもうわかりましたけれども、それがどのように検討されたかというプロセスが極めて大事であると思います。エビデンスというのは、必ずしも文献だけからのものではなくて、多方面からの見解とか、そういう一つのデータに関して、皆が集まって検討した上で決めるというのがガイドラインだと思います。

 ですから、今のお話を聞いていると、最終的には放射線学会のほうがまとめて出すというお話と理解してよろしいですか。つまり、ほかの学会で責任を持って出したものではないと。

○日本放射線腫瘍学会

 疾患によって少し違いがあります。例えば小児癌の場合は、我々がシステマティックレビューを複数の専門家でやりまして、これを日本横紋筋肉腫研究グループ、それから日本神経芽腫研究グループの主任研究者の方に入っていただいて評価いただきました。その評価結果をいただいたものを研究グループの理事会にかけていただきまして、その承認を得た上で出させていただいております。ですので、そういう意味では審議を受けているものと考えております。

○山口構成員

 だとしたら、例えば有効であるとか、そういう話じゃなくて、推奨されるとか。推奨されるとしたら、どのぐらいのレベルで推奨されるかとか、そういうことがきちんとわかるように。

 それから、それぞれ事情が多分違うと思うのです。ですから、これについてはこの学会がつくったとか、実際にそういうガイドラインもありますとか、そういうぐあいに示していただけると大変わかりやすいのですけれども、そのあたりがちょっとわからない。プロセス、データを拾うところまでは科学的にできたということはわかるのですけれども、今の御説明だけでは、それがいろいろな部門からの検証を受けた上での客観的な評価であるかどうかということは、ちょっとわかりにくいということがあると思います。

○日本放射線腫瘍学会

 御指摘ありがとうございました。ちょっとわかりづらい資料になった部分があったと思います。

○猿田座長

 よろしいですか。

 ほかにどなたか御意見ございませんでしょうか。どうぞ。

○福井構成員

 確認ですが、これはガイドラインをつくるためのシスマティックレビューではないはずですね。

○日本放射線腫瘍学会

 おっしゃるとおりです。

○福井構成員

 これまで行われてきた先生方の施設での治療成績が、過去の文献の治療成績と比べてどうなのかということを比べるために、過去のデータをシステマティックに調べた、と理解していたのですけれども。

○日本放射線腫瘍学会

 そのとおりでございます。

○猿田座長

 どうぞ。

○宮坂構成員

 だけど、クリニカルクエスチョンをつくってシステマティックレビューをされていて、今、山口構成員からお話が出ましたけれども、エビデンスレベルがわからないのです。普通は、論文をグレーディングして、クリニカルクエスチョンに対する答えのエビデンスレベルがどのくらいか。高いのか、普通5段階ぐらいに分けて出しますね。それはおやりになっていないのですか。

○日本放射線腫瘍学会

 エビデンスレベルまでは出しておりません。あくまで、今回提示させていただいた疾患に対する成績の比較をシステマティックに行ったということでございます。

○猿田座長

 そこはこれからじゃないでしょうか。8月にお願いして、4カ月ですね。それが一番ポイントのところですけれどもね。

○宮坂構成員

 そうですね。後で質問しようかと思ったのですけれども、もし日本医療機能評価機構がやっているMindsに出すと評価されますけれども、エビデンスレベルがないとガイドラインとしては全くグレードが低いことになってしまって、効いたか、効かないか。それもエビデンスレベルがないと、サイエンティフィックなステートメントに余りならないように思うのですけれどもね。

○日本放射線腫瘍学会

 よろしいですか。いわゆるコモンキャンサーでメーンのストリートを行っているものについては、おっしゃるとおり、たくさんのエビデンスがあって、エビデンスレベルの構築が可能だろうと思います。我々、今回提出させていただいた疾患というのは、まず、3つの希少疾患が出ております。それから、標準療法のできなかったものということで対比を設定しておりますので、先生がおっしゃるようなレベルのことは非常に困難であったということでございます。

○猿田座長

 どうぞ。

○福井構成員

 私はMindsのガイドライン選定委員会委員長をしています。これは、あくまでもヒストリカルコンパリゾンを行うために、見逃しなく過去の論文のデータを集めてくださいという意味で、このような依頼をしましたので、ここでエビデンスレベルの評価をしてというのは、余り適切なことではないと思います。同じようなやり方でやった過去の論文のデータと比べていただくというのが一番の目的ですので、全く違ったスタディーデザインで行われた研究のデータと、先生方が今、持っているデータを比べても余り意味がありません。

 そういう意味で先生方のデータと似たようなやり方をしたものを見逃しなく集めてくださいというのが、ここに書いた主旨だと思います。

○猿田座長

 ですから、ガイドラインとしては、今、宮坂先生がおっしゃったことがこれから必要なのですけれども、今までのところでは、福井先生がおっしゃった形だと思うのです。

 ほかにどなたか御意見ございませんでしょうか。

 どうぞ、福田先生。

○福田構成員

 ちょっと御質問させていただきたいのですが、128ページの医療経済評価のところで、前回、非常に興味深い資料を出していただいて、その中で緩和治療を比較対照としていることについて、今回御説明させていただいています。X線治療が行えない患者に限るというのはわかるのですけれども、ここで書かれている趣旨は、この疾患に対しては、そもそも先進医療としてやるのをここだけに限るとおっしゃっているのですか。X線治療ができない患者だけにやるということ。先進医療そのものをそうするとおっしゃっているのか、経済評価というか、経済性を示すのはここだけとおっしゃっているのか、教えてください。

○日本放射線腫瘍学会

 どの領域で医療経済評価を今後、行っていくかという。

○福田構成員

 じゃないです。小児の治療の領域に関して言うと、先進医療もX線治療も行えない方だけにする。そもそもそうなっているのでしょうか。

○日本放射線腫瘍学会

 これは、もともとのデータ収集が小児治療に対して、医療経済評価に値するようなものがございませんでしたので、調査したものの中からできる範囲で、通常治療ができなかった子供さんたちがいましたので、その比較を行ったということでございます。

○福田構成員

 経済評価を行うのがこの対象だけという。

○日本放射線腫瘍学会

 今回できたものがこれだけということで、決してこれで満足しているというものではございません。

○福田構成員

 承知しました。もう一点よろしいですか。

○猿田座長

 どうぞ。

○福田構成員

 ちょっと似たようなことですけれども、132ページで、今後申請する先進医療についても、費用とか医療経済的な評価についても検討できるような試験デザインを考えますということなので、こちらのほうでも前にあるような費用とかQOLのデータをとっていって、こういう分析ができるようになると期待していいと。

○日本放射線腫瘍学会

 今後、行う先進医療Bのプロトコルの中では、医療経済評価の記載をあわせて、同じ内容で評価を行っていくということにしております。現在、専門家に参加していただいておりまして、検討に入っているというところでございます。

○福田構成員

 ぜひやっていただければと思います。

○猿田座長

 ですから、これからのこととしては、136ページにお示ししていただいた。これに何か加えることがもっとあれば、そこを言っていただくと、学会のほうも助かりますね。

 どうぞ。

○福井構成員

 済みません、これからちょっと離れたら恐縮ですけれども、最近、粒子線治療について説明した本が何冊も出ておりまして、その中で気になりますのが、陽子線治療と重粒子線治療で副作用が随分違うのではないかという懸念を持たれている方がいることです。重粒子線のほうが、皮膚潰瘍を含めて、副作用がかなり強く出ているのではないかという懸念があるように聞いていますが、そのことについての評価がされているのか、有効性と副作用の両方をうまく天秤にかけた評価になっているのでしょうか。

○日本放射線腫瘍学会

 今回、後ろ向きにかなりのものを調べさせていただきましたけれども、重粒子線治療のほうが副作用が強いというデータは出てきておりません。ですので、どういう本にどう書いてあるかはちょっと存じ上げませんけれども、そのようなことはないと思います。

○猿田座長

 ほかにどなたか。

 どうぞ、藤原先生。

○藤原構成員

 大変な作業をされたと思いまして、敬意を表したいと思いますけれども、133ページで、今回、結果を提示しなかった臓器・組織型については、先進医療制度における粒子線治療の対応を検討することということで、132ページのリストが多分できているのだと思いますけれども、先日、鹿児島で乳癌を対象に重粒子線をやるという報道が出ていまして、5大癌の乳癌でやるのか。あれは先進医療でやると書いてあったのですけれども、この中に含まれていないので、そこの把握はどういうふうにされていらっしゃいますか。

○猿田座長

 どうぞ。

○日本放射線腫瘍学会

 この間、記事の後、こちらの委員会から当該施設に質問いたしました。まず、あれは既に4年前から始まっていた公的資金を使った研究が、ことし最終年度を迎えるので、それでJASTROの学会に発表したというのがまず1つの事実で、それに対して、報道機関がそこに行って質問した。まず、それが実態でありました。

 ちょうどJASTROの学会中に我々の委員会を開いておりまして、そのことについて質問して、今までの臨床試験の内容。これは、患者さんからお金を取らずに臨床試験としてやっていた。そのデータに基づいて、これからもし先進医療を申請するのであれば、先進医療Bでお願いしますということをお伝えいたしまして、そのように納得していただきましたので、これからどうするか、本当に先進医療Bに進むかどうかを検討していくという段階だそうであります。

○猿田座長

 ほかにどなたか御意見ございませんでしょうか。

 学会としては、先ほど申し上げましたように、136ページの方針を決めていただいてやっていくということで、これから先、もっとどんどん前向きのデータが出てくるということだと思うのですけれどもね。

 ほかに先生方、よろしいでしょうか。

 どうぞ、山口先生。

○山口構成員

 ちょっとくどいようですけれども、例えば30ページ、国からのクリニカルクエスチョン1では、頭蓋底腫瘍について、外部委員、日本頭頸部癌学会云々にCQの回答を作成していただきましたと書いてあるのだけれども、このときにはたまたま学会員の人が委員で、こうなっているのか、それともこの学会が責任を持って、そういうことを回答したのかというあたりをできるだけ明確にしていただかないと、学会のいろいろな人を外部委員とした、個人的な見解のレベルなのか、ただ学会員であるということなのか、学会でちゃんと正式なデータを受けて検証されたものかということを、わかりやすいように書いていただければありがたい。

○猿田座長

 どうぞ。

○日本放射線腫瘍学会

 具体的に申し上げますと、日本頭頸部癌学会には、学会に正式に依頼いたしまして、そこのガイドライン委員会の先生方が評価していただいて、理事会でもこれでよろしいという決定をなされております。私が個人的に知っているのは、日本頭頸部癌学会だけです。

○山口構成員

 これは多分そうかもしれません。先ほど、それぞれ事情が違うようなお話をされたので、これは今みたいな形できちんとして、向こうの会長からこういう形で返事が来ているとか、わかっていればいいのですけれども、何となく学会の役員に聞いてみて、これでいいのではないかというのは困るということです。

○日本放射線腫瘍学会

 これは、全てJASTROから依頼をさしあげまして、それで正式な回答をいただいたという形でございます。

○山口構成員

 全て学会長から回答を得たということですか。

○日本放射線腫瘍学会

 学会長といいますか、例えばガイドラインですとガイドラインの委員長。

○山口構成員

 そのあたり、明確にしていただければと思います。

○猿田座長

 どうぞ、柴田先生。

○柴田構成員

136ページの登録に関して質問させてください。

 こちらに関しては、どのような体制で行われる治療であっても、学会としては、学会員の先生方には登録を求めるということなのでしょうか。言いかえますと、例えば先進医療Bで臨床試験をやるということになった場合に、臨床試験のデータを臨床試験として集めるのとは別に、この学会の登録にも入れるのか。あるいは、先進医療以外の自由診療のものもこれに入れるのかというのは、どういうことになるのでしょうか。

○日本放射線腫瘍学会

 学会としては、全ての実態をグリップするようにということを目指しておりまして、例外なくグリップいたします。

○柴田構成員

 あと2つぐらい質問させてください。

 2つ目の質問はテクニカルな質問ですけれども、ある程度何年後ぐらいというめどを決めて、こういう成績をまとめて評価したいということを事前に定めておいて、その評価ができるように登録項目を用意されているのでしょうか。例えば有効性もそうですし、前回ですとLARの話があったと思うのですけれども、そういう計算ができるようなデータが登録されるのか否か。あるいは、それは非常に難しいので、今回の登録にはそういうものは入れないのか、その辺はどうなのでしょうか。

○日本放射線腫瘍学会

 私ども、80項目のデータ項目を設定しておりまして、その中にアウトカムもきっちり生存率が出せるように、あと有害事象の発生も出せますが、局所再発がいつ起きたとか、そういう細かい情報は今回の80項目ではグリップできない。そういう疾患スペシフィックのより高度な研究となると、また新たなスペシャルスタディーとして、その症例を抜き出して、また再調査が必要になるだろう。そこまでは今、学会レベルではできないと思っております。

○柴田構成員

 今の件に関して、コメントみたいなものですけれども、レジストリで患者さんが特定されていれば、例えばコーホート内ケースコントロール研究を立てるみたいな話と同じようなことが将来やりやすくなるので、そういう意味で前進する余地があると考えておられるということですね。

○日本放射線腫瘍学会

 そのとおりです。

○柴田構成員

 最後の質問ですけれども、今後、例えば132ページには、先進医療Bとして申請する準備を進めている臓器等についての御回答がありますけれども、それ以外のものについては、先進医療Aとして、この136ページのデータベースに登録しつつ、継続するという方針であるという解釈でよろしいのですか。

○日本放射線腫瘍学会

 これは、先進医療Aとしてやるものも、Bとしてやるものも、自由診療としてやるものも、各施設が適応外のものを臨床試験としてやるものも、全て登録するという方針でおります。

○猿田座長

 どうぞ。

○福井構成員

 この登録事業はすばらしいと思います。厚生労働省の補正予算で、これはテンポラリーの補助なのか、それともある程度継続的に行えるのでしょうか。

○日本放射線腫瘍学会

 昨年度、7,000万円いただいて、でも、それで終わりました。継続はなくて、後は自分たちでやりなさいと理解しております。自分たちでやるつもりです。

○日本放射線腫瘍学会

 ですが、おかげさまで、そのことによって放射線医学総合研究所にしっかりしたデータセンターを構築できまして、我々は非常に感謝しております。

○福井構成員

 結局、人が必要ですね。優秀な人がこの事業にかかわるかどうかがクリティカルですので、うまくやり繰りされるといいと思います。

○猿田座長

 ほかにどなたかございますでしょうか。よろしいでしょうか。短期間に本当にいろいろとまとめていただいたことを厚く感謝申し上げます。

 私どもとしては、今日の議論を踏まえまして、これから保険導入等について議論していきたいと思っております。少しでも皆様方の努力を生かしてやっていきたいと思っています。

 本日はどうもありがとうございました。

(日本放射線腫瘍学会退席)

○猿田座長

 学会としては、短期間にかなり努力されて、ここまでやっていただいたということで、御参加いただいた学会の方々は、今日退席いただきましたが、あと、先生方のほうからこれからのこと。どうぞ。

○福井構成員

 せっかくですので、ぜひこれはピュアレビュージャーナル、外国の雑誌に発信していただきたいと思います。

○猿田座長

 これでうまくまとまるようになりますか。日本のデータとして。難しい。

○福井構成員

 過去にもランダマイゼーションが難しいテーマがたくさん扱われていますので、研究の性格上過去のデータ、ヒストリカルコンパリゾンとせざるをえないものがたくさんあると思いますので、論文になるのではないかと思います。

○猿田座長

 それで、先へ行ってから、宮坂先生がおっしゃったように、今度は大分レベルが上がってくるし、データも出てくると思います。

○宮坂構成員

 私も論文にして出すのは必要だと思うのですけれども、実際に投稿すれば、これはエビデンスレベルをちゃんと決めておかないと、論文としてはなかなかアクセプトされないです。要するに、ステートメントの信頼度がわからないですね。

○福井構成員

 テーマによってはランダマイゼーションもできないシチュエーションがありますので、それについては無茶な要求はされないと思います。画一的に言うとエビデンスレベルは低くても、それ以上は無理だというテーマは幾らでもあると思います。

○宮坂構成員

 もちろん、私はエビデンスレベルが低いことが悪いことだと言っているのではなくて、それはもうそれしかないわけですから。そこを科学的に検証して、だけれども、エビデンスレベルは低いけれども、現時点ではこういうステートメントを出すというふうに言うのがサイエンティフィックな言い方だと思うので、それを言わないでおいて、論文をただ出して、効いていると言えば、そこは必ずクリティカルに質問されますね。そのことを私は申し上げている。

○山口構成員

 クリニカルクリエチスョンを見ると、有効かとか、ちょっと普通のクリニカルクエチスョンとは違うのです。例えばステージ4で、こういう状況のときにリダクションサージェリーは妥当かとか、そういう具体的なものでないと、これは何となく有効であるとか、有効でないという話におさまっていて、このままでは評価は難しいと思います。

 ただ、余りもたもたしていると、例えば子供などは、効果にそんなに差がなくても、副作用が少ないという1点だけでもかなりエビデンスがあるようですから、そういうものからだけでも早くやらせてあげたほうがいいのではないかと思います。

○猿田座長

 どうぞ、藤原構成員。

○藤原構成員

 論文は、ことしの初めランセットオンコロジーに放射線医学研究所からレビューみたいな形で出ているのです。あれは、放射線医学研究所が内部でもう一遍見直して外部評価をしてもらいました、という成績を出していて、中身はエビデンスとかじゃなくて、ざあっと並んでいるだけですけれども、それよりは、今回、JASTROがしっかり再評価したとすると、ランセットオンコロジーだったら通ると思います。

○猿田座長

 あと、ほかに御意見いただけませんでしょうか。これだと保険のことを議論していかなければいけないので、そのあたりもどう考えていったらいいか、意見がいただければと思うのですけれども、難しいですね。今までやってきてしまったから、これからは学会も先ほど言った形でやってくれれば、随分データがしっかりしてくると思うのですけれども、ほかにどなたか御意見ございませんか。

○五十嵐座長代理

 エビデンスを出すことのできない領域の一つである小児医療あるいは小児癌のレベルというのは、初めはこういう地道なレジストリをちゃんとやって、データをみんなで共有して、それなりのデータを出していきながら、次のステージでさらに高いエビデンスレベルをつくっていくという作業に、今回、ようやく入れたと私は理解しますので、ぜひそういう目で見る姿勢も、最初からハイエビデンスレベルを要求するのではなく、疾患によってはこういうこともあり得るのではないかと理解しましたので、期待したいと考えています。

○猿田座長

 どうぞ。

○山本構成員

 全く専門領域外なので、あれですけれども、五十嵐先生おっしゃったように、今回、粒子線治療ができてしまったという、科学が先に進んでしまって、その期待だけが膨らんで、割と言い方は悪いですけれども、手当たり次第に何に効くかわからない、これも効くかもしれないという、いろいろな期待があって、皆さんやられたと思うのですけれども、ようやく出口に向かって整合性のある方法をとる冷静さを、学会の先生方も一通り使ってみておありだと思うのです。

 先生方は何もおっしゃいませんけれども、経験とかの中から、こういうところには使えるけれども、こういうところに使っても余り意味がないなということは、多分経験値としておありなのかと思いますので、今からそれを、それこそ希少癌とか、比較ができない領域をきちんとレジストリをつくって検証していくという。

 私、循環器ですけれども、神経内科でもあるので、神経難病とかでもどうやったって比較試験ができないところは絶対ありますので、比較試験ができない領域でどういうふうに進めていくかということの、いい見本になっていただけると、私は前向きに今回の学会の先生方の対処にはそういうふうに考えたいと思います。

○猿田座長

 私は、学会としてはよく対応してくれたなと思うのですね。これからですから、この形でいろいろな議論もしていかなければいけないと思います。私たち、かなり勉強になった。特に8月の時点から比べると、随分いろいろな形でまとめていただいた。その努力は非常に感謝したいと思います。

 もし特に御意見がなければ、今日は議論していただくということで、こういう状況で進んできて、前よりはずっとよくなりましたから。2年前のときに保険導入など、何も議論できなかった状況ですから、そういった点では非常に進んだと思います。

 ほかに、最後にどなたか御意見ございませんでしょうか。どうぞ、石川先生。

○石川構成員

 私は、緩和治療と比べたということで、大変びっくりしたというのが前回でしたけれども、今回、これだけ一生懸命ずっと議論している内容で、一番問題になるのは保険のほうとの関係だと思うのです。今の状況の中で、中医協の方たちに今の先生方の御意見を説明して、これが保険の方向で前に進めるかどうかというと、全く疑問なのです。これは、費用対効果ということで、緩和治療との比較をしたと言われているのですけれども、全然説明になっていないと思います。五十嵐先生がおっしゃったように、これからの治療で、手術不能の方たちに対しても、進行していく腫瘍ということでは非常に倫理的にも大事なことだと思うのです。

 それで、今の保険医療の世界の中で認められるような説得になっているかどうかということについては、大変疑問に思います。あとは、私も中医協の下の会議を幾つもやっています。入院医療とかDPCとか。解決不能になると、あとは中医協の先生方の判断といって、すぐ投げてしまうのです。中医協の先生方も本当に判断できない時は、それで流れたり、変な方向で決まったりという、今までもそういう現実があった。これも、ここでの結論というのは、私も一番新参者ですけれども、聞いて、果たしてそういうことで役立ったかどうかというと、ちょっと難しいのではないか。

 今回この会議の報告をしますが、日本医師会には中医協の委員が3人もいて、どうやって考えるのか、恐らく私に聞いてくると思うのです。大変説明も難しいなというのが感想でございます。

○猿田座長

 貴重な御意見ありがとうございました。

 これから保険に関しては年明けで議論していくことになると思うのですけれども、事務局のほうから何か御意見ございますでしょうか。もしなければ。どうぞ。

事務局

 貴重な御議論ありがとうございます。

 座長からも今、ございましたとおり、保険導入については、先生方の事前評価を踏まえまして、事前評価の中からきちんと議論したいと思っておりますので、またそちらについては、年明け、何とぞよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○猿田座長

 それでは、先進医療会議の先の予定について、事務局のほうからお願いいたします。

事務局

 事務局でございます。

 次回の開催につきましては、平成28年1月14日木曜日を予定しております。

 以上でございます。

○猿田座長

 今日もちょっと時間を早めたのですけれども、実は少し議論するものが多くなるということで、皆さん方とうまく相談しながら、できるだけ無駄のない時間できっちりやっていきたいと思いますので、必ず事務局のほうから連絡をとっていただいて、皆様方と相談させていただきたい。

 どうぞ。

○山口構成員

 何となく登録さえすれば、どんどんやっていいのだというメッセージが伝わらないようにしたほうがいいと思います。登録するのだったら、登録してこうだと言い張りますから、そのときは少ないサンプルサイズでも、きちんと評価できるような形にしておかないとまずいと思います。合併症についてもそうです。

 私も、別に有意差があればいいとか、エビデンスレベルも、だからだめだと言っているわけではなくて、低いものなりに、今の段階ではこれしか集まらないということを明確に示してほしいだけで、そのあたり、ちょっと勘違いされないようにメッセージは伝えたほうがいいと思います。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 ほかに先生方、どなたか御意見ございますでしょうか。

 もしなければ、今日のところはこれで終わりたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 それでは、どうも御協力ありがとうございました。


(了)

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