ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 医政局が実施する検討会等 > 医師需給分科会 > 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第1回)議事録(2015年12月10日)




2015年12月10日 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第1回)議事録

医政局医事課

○日時

平成27年12月10日(木)10:30〜12:30


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

荒川 哲男 (全国医学部長病院長会議会長)
一戸 和成 (青森県健康福祉部長)
今村 聡 (日本医師会副会長)
片峰 茂 (長崎大学学長)
神野 正博 (全日本病院協会副会長)
北村 聖 (東京大学大学院医学系研究科附属医学教育国際研究センター教授 )
権丈 善一 (慶應義塾大学商学部教授)
小森 貴 (日本医師会常任理事)
平川 淳一 (日本精神科病院協会常務理事)
平川 博之 (全国老人保健施設協会副会長)
福井 次矢 (聖路加国際病院院長)
松田 晋哉 (産業医科大学医学部教授)
森田 朗 (国立社会保障・人口問題研究所所長)

○議題

1.医師需給分科会について
2.医師の需給を取り巻く状況について
3.医師供給数の推計について
4.その他

○議事

○海老名医事課長補佐 ただいまから「第 1 回医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」を開催いたします。事務局の医政局医事課課長補佐をしております海老名です。どうぞよろしくお願いいたします。

 構成員の先生方におかれましては、本日は大変お忙しい中、また先ほどの会から引き続き御参加いただいている先生方におかれましては誠にありがとうございます。お手元の資料、「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会構成員名簿」に御出席くださる構成員の皆様の名簿をお付けしております。本来でしたらお一人お一人御紹介すべきところですが、こちらでもできるだけ審議時間を確保したいと考えておりますので、恐縮ではございますが、この名簿をもって御紹介に代えさせていただきたいと存じます。

 なお、本日欠席の御連絡ですが、小川構成員、本田構成員、山口構成員から所用により欠席との御連絡を頂戴しております。また、本日の会議には構成員の先生方に加え、参考人として千葉大学医学部附属病院地域医療連携部の藤田先生に御参加いただいております。

 会議を進めてまいりたいと思います、まず初めに座長の選出を行わせていただきます。どなたか御推薦を頂戴できればと存じます。よろしくお願いいたします。荒川構成員、お願いいたします。


○荒川構成員 全国医学部長病院長会議の荒川です。この分科会に関しては、長崎大学学長の片峰先生を御推薦したいと思います。先生は大学の医学教育の御経験が非常に長く、しかも文部科学省で開催された「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」にも参画されておられます。非常に御造詣が深いと思いますので御推薦させていただきます。


○海老名医事課長補佐 ただいま、片峰構成員を推薦するとの御発言を頂戴いたしました。片峰構成員に座長をお願いすることとしてよろしいでしょうか。


           
                      (
異議なし )


○海老名医事課長補佐 ありがとうございました。それでは、以降の議事運営につきましては片峰構成員に座長としてお願いしたいと存じます。片峰座長、よろしくお願いいたします。


○片峰座長 御指名いただきました片峰と申します。恐らく全ての皆様が初めてお目にかかる方ばかりかと思います。よろしくお願いいたします。

 先ほどの親会でもありましたが、この分科会の主要なミッションというのは、平成 29 年度に暫定的な医学部定員増の計画が終わりますので、そこを目指して、今後の医学部定員も含め、医師需給の適正な在り方に対して 1 つの方針を出すということでありましょう。やはり、医師の数の問題だけではどうにも解決できない。先ほどの議論にもありましたが、いわゆる偏在問題、地域の偏在あるいは診療科の偏在問題との整合性をいかに取りつつ適正な医師需給を議論するかがポイントだと思います。その点に関しては、先ほども議論がありました地域医療構想の推移、あるいは医療費の問題、更には臨床研修の在り方や専門医制度の制度設計、医学教育等々、様々な問題が密接に関わってくる。ここでの議論は非常に多岐にわたり、結構困難が予想されるかなと思っています。できるだけ期限内に、見識が高くて実効性のある 1 つの結論を出せればと思っております、御協力をよろしくお願いしたいと思います。

 議事に入らせていただきます。最初は「医師需給分科会について」ということです。事務局からよろしくお願いいたします。


○海老名医事課長補佐 資料説明の前に、まず配布資料の確認をさせていただきます。まず議事次第がございます。その次に構成員の名簿です。右肩上に資料番号を付けております。資料
1 「医療従事者の需給に関する検討会の今後の進め方について」、資料 2 「医師需給分科会のスケジュールについて」、資料 3 「医師の需給に関するこれまでの経緯」です。次から横の資料になります。資料 4 「医師の需給に関する基礎資料」、資料 5 「医師供給数の推計」です。参考資料として参考資料 1 、縦になって参考資料 2 、参考資料 3 という資料があります。過不足等ありましたら事務局にお申し付けください。よろしいでしょうか。それでは、進行中にもしお気付きの点がありましたらお知らせください。

 初めに資料 1 、資料 2 に基づき医師需給分科会について御説明させていただきます。先ほどから御出席いただいている構成員の方もいらっしゃいますけれども、この時間から御出席いただいている構成員もいらっしゃいますので、改めて御説明させていただきます。資料 1 です。医療従事者の需給に関する検討会、これはこの分科会の上部に位置する組織です。こちらはまず検討会全体の進め方でございます。先ほど、こちらについては進め方を確認いただいているところですが、 1 つ目の○で、医療従事者の職種ごとに全国・地域の需給の状況や確保のための対策が異なることから医師、看護職員、理学・作業療法士それぞれに分科会を設置するということで、今回、医師需給分科会の第 1 回を開催させていただくことになっております。

2 つ目の○、先ほど座長から御発言がありましたが、医師需給分科会につきましては、平成 29 年度で終了する暫定的な医学部定員増措置の取扱いをはじめとした、今後数年間の医学部定員の在り方について早急に検討する必要があるということで、先ほどの会に続き、この分科会を開催させていただいたというものです。

3 つ目の○、都道府県が平成 29 年度中に第 7 次の医療計画、これは平成 30 年度から始まりますが、こちらを策定するに当たり、医療従事者確保対策について具体的に盛り込むことができるよう、平成 28 年内の取りまとめを目指すことを考えております。

 資料 2 を御覧ください。この分科会のスケジュールということで細かくお示ししております。医師需給分科会につきましては本日、 12 10 日に第 1 回、このあと医師の需給を取り巻く状況、それから需給推計について御説明させていただく予定にしております。その後第 2 回、第 3 回は年明けに開催予定ですが、需給推計、また地域偏在対策について、先ほど座長からも御発言がありましたが、御議論を頂く予定にしております。そこまでの議論を踏まえ、第 4 回で中間報告骨子、また第 5 回に中間報告を取りまとめという予定にしております。第 6 回目以降につきましては第 5 回目までの議論に引き続き、具体的な医師の偏在対策についての御検討をお願いできればと存じます。秋口以降に都道府県の地域医療構想が概ね出そろうことから、医師の地域偏在と診療科偏在対策についての議論を深め、平成 32 年以降の医学部定員増についても検討を行っていただき、来年 12 月を目途に報告書を取りまとめるというスケジュールで考えているところです。議題 1 については以上です。よろしくお願いいたします。


○片峰座長 ありがとうございました、何か御質問がありましたら、どうぞお願いします。確認ですが、平成
29 年度で暫定的な定員増が終わりますよね。平成 30 年度からの話と、一番最後に書いてある平成 32 年度からの話というのはどう区別すればいいのですか。


○海老名医事課長補佐 後ほど資料でも出てくるのですが、平成
20 年度、 21 年度に医学部の臨時定員増を行っているものについては平成 29 年度までの措置、平成 22 年度から始まったものについては平成 31 年度までの措置と時期がずれております。なので、早急に検討いただくのは平成 29 年度までの措置ですけれども、最終的な医学部定員の在り方を考えていただく上では、平成 31 年度で終了するものも含め、最終的には御協議を頂きたいと考えているところです。


○今村構成員 この検討会の一番重要なミッションというのは今御説明いただいた定員ということだと思います。座長から冒頭にお話がありましたように偏在の問題、いわゆる地域と診療科というものと、これからの定員をどうするかが密接に連携しているとすれば、そういったことについてもこの検討会の中で何か具体的な提案というか、議論は出ると思うのですが、そういう提案もしていくということになるのでしょうか。それとも、単に定数をこれだけにするということを最終的にここで決めるということなのでしょうか。それによって議論の進め方が相当変わるのではないでしょうか。


○片峰座長 これは後から事務局にお答えいただきたいのですが、私の理解では今、今村構成員が言われたようなことを議論しないと、恐らく適正な医学部定員、医師数というのは出てこないと思います。親会でも様々な議論がありましたが、やはり非常に大変な議論になると思います。そういう理解でよろしいですか。事務局、どうですか。


○海老名医事課長補佐 はい、おっしゃるとおりです。スケジュールとしては、本日は現状等の御説明ですが、次回、第
2 回以降は数の議論だけでなく、地域偏在対策についても御協議を頂きたいと考えております。


○今村構成員 もう
1 点、これは確認なのですが、ここに第 7 次医療計画とあります。地域で実際に診療を行う医師が大きな前提になっていると思います。恐らく、医師というのは臨床医以外の様々な、社会の中で必要とされている医師、例えば法医学や病理学、刑務所で働く医師、みんなそれぞれの現場で不足している。それは偏在があるから不足するという部分と待遇面での様々な問題で不足しているということがあると思います。そういった臨床医以外のことも合わせて検討しないと定員というのは多分決められないと思うのですが、そういうことも議論するということでよろしいのでしょうか。


○海老名医事課長補佐 必要に応じて、そのような情報もこちらのほうから提供させていただいて御協議いただければと考えております。


○今村構成員 ありがとうございます。


○小森構成員 もう
1 点、これも確認なのですが、こういう中期的といいますか、国家の方針を決める重要なことはもちろん極めて重大ですが、極めて緊急の課題として国家戦略特別区域における医学部新設ということについて、文部科学大臣告示も関連している状況の中、先生方も御承知のように、 7 31 日に内閣府・文部科学省・厚生労働省から「国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針」が出されています。その中において新設される医学部、ここで養成された医師が、当初の目的に反して一般の臨床医として勤務するようであれば、長期間にわたり社会保障制度に影響を及ぼす可能性もあり、その場合には医師需給を踏まえた全体の医学部定員の中で調整を行う。こうしたことを踏まえ、医学部を新設するとしても 1 校とし、十分な検証を行う。こういう喫緊の課題もあるわけです。そのことについても、 1 校でも養成があるということは中期的にも様々な影響を及ぼす。この観点から、この検討会で何か意見をまとめるというか、皆さんの合意として具申するということも、この検討会の 1 つの使命ではないかと理解をしております。そういう理解でよろしいでしょうか。


○片峰座長 難しい問題だと思います。事務局、何かお答えはございますか。


○海老名医事課長補佐 今おっしゃっていただいた国家戦略特区以外にも、東北地方でも医学部が新設されるというような状況があります。この検討会の中ではそういった動きも含め、将来の医師の在り方等について御協議を頂ければというように事務局としては考えております。


○片峰座長 ただ、文部科学省としてはもう設置審議会が粛々と進んでいるわけで、これを覆すような議論をここでするというのはなかなか大変かなという気もします。先生の意図はどこまで、どういう形でということは。


○小森構成員 少なくとも、先ほどちょっと朗読をさせていただきましたけれども、三府省の合意文書においては、新しい大学で養成される医師が万が一、一般の臨床医としてこの国において勤務するようであればということですので、当然、入学定員の在り方は、特区ですので。暴論かもしれませんが、全ての入学者は外国籍であって、なおかつ外国において勤務する医師を養成する。正に、特区としては画期的な試みかもしれません。

 いずれにせよ、そこで養成される医師が我が国において医師として活動を行うということであれば、様々な形で影響を及ぼすわけです。三府省の合意文書というのは大変重いわけですから、それはそれなりに皆さんの議論によって様々なレベルの提言がなし得るだろうと思っています。それは皆さんの御意見を座長がまた調整していただければと思っています。


○神田医政局長 御指摘の点、成田に設置される大学につきましては、既に正規の手続として、戦略特区の区域会議において国際医療福祉大学による医学部新設が区域計画に記載されることが決定され、政府全体の国家戦略特区の諮問会議でももう認められているということです。ですから、その中では御指摘のような定員について、留学生がどれぐらいかという具体的な計画も出た上で、政府としてはそのような手続で認定をされているということであります。それについて、今からこの場で云々というのは手続的にはないのだろうと思っております。ただ、その過程では私ども厚生労働大臣そのものも区域会議に代理として副大臣に出席していただいて、地域医療への影響については所属長により影響がないことを確認していただきたいという趣旨と、地域医療に与える影響については検証評価をしてもらいたい旨もきちんと意見を述べた上で設置が認められたということです。

 ただ、今、小森構成員から御指摘がありました点、養成された医師がどこで働くのかによっては、医学部全体の定員を調整すべきだということが基本方針として確認されております。そこはしっかり私どもも見ていく必要がある。そういう意味では、需給の検討に当たっても東北で設置される医学部と、今度設置されることになる医学部、平成 29 年開学予定ですが、それも含めて需給は検討していく必要があると思っています。


○荒川構成員 先ほどの小森構成員の御発言の続きです。日本医師会も全国医学部長病院長会議も、新設、特に成田での戦略特区での医学部新設に関しては反対をしてきたわけです。なぜ反対するかというと、これから医師過剰になってくるということとか、大学に
1 つ医学部を作るとなると非常に税金がかかるわけです。あと、医師の学力低下の問題などもあります。

 ただ、できてしまった以上、もともと既存の医学部を超えた次元の異なる医学部を作ることを前提にしているわけです。ところが、国際医療福祉大学が出してきた提案というのは、もともと出してきた提案というのは、 140 名の中の 20 名は国際的に活躍できる人を育てる。ならば、あとの 120 名は一般医を作るのではないのかというような疑問もあるわけです。ですから、建前をきちんと守ってもらえるかどうかというのは厳重に見ていかないといけないわけですし、その 120 名が日本で働く一般の医師になるのであれば、それは医師需給にとっても大変大きな問題になってくるわけです。ですから、そこに関してやはり意見を言わないといけないと思います。


○片峰座長 
1 つの医学部の在り方について、この検討会で議論の中心にすることはないと思います。先生が言われたような見識で、必要であればもの申すということですね。それでよろしゅうございますか。

 ちょっと確認ですが、 4 月末の中間報告のイメージ、それとその後の検討のイメージとでちょっと分かりにくいところがあるのです。どういうものが骨子になって中間報告になるというイメージになりますか。


○海老名医事課長補佐 資料
2 のスケジュールについての御質問ですが、私どもとしては、先ほど全体の会議でもお話がありましたが、数の議論だけでなく、偏在対策も重要であるということで、推計と合わせて地域偏在対策についても御議論いただくことにしております。

 一方、平成 29 年度の医学部定員の在り方についても、ある程度早い段階で考え方を示していかなくてはいけないだろうという問題意識を持っております。できれば第 5 回ぐらいでその考え方をお示しできればということで、このようなスケジュールをお示ししているところです。


○片峰座長 どうですか、よろしいですか。先ほどから偏在問題と密接不可分に数の問題という話が出ています。とりあえずはそれを議論しながら、中間報告では平成
29 年度以降で何らかの方向性を出したいという理解でよろしいですか。その後に偏在問題に関しては本格的な議論をして、その件に関しては平成 30 年度以降で対応するというイメージでよろしいですか。


○渡辺医事課長 資料
2 の補足説明的になりますが、 3 月末や 4 月末では、地域偏在対策についてはメニュー的なものを議論いただき、このようなメニューが考え得るのではないかというところで一旦区切れるのかなというイメージを持っております。資料 2 の※の 2 つ目以降、地域偏在対策についての議論が更に秋口以降深まってきたら、もうちょっと進化させた地域偏在対策が取りまとめられればと思っております。


○平川
( ) 構成員 日精協の平川淳一です。偏在対策もそうなのですが、結局、幾ら医師を育ててもなかなか病院に医者が来ないという状況があります。今度、地域医療構想で高度急性期、急性期、回復期等になりますが、全体構想が決まらない中で偏在だけ話をしても、意味がないような気がします。少ない回数しかありませんが、その中で、先ほど親会でもありましたが、一歩踏み込んだ形で検討して、 4 月に間に合わせるような形の議論をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。


○今村構成員 先ほど親会の傍聴をさせていただいたのですが、親会の構成員がこの検討会にも構成員として半分ぐらい入っておられます。この分科会で決まったことを最終的な親会として決定するのではない、できるだけ親会でもいろいろな意見をさせていただきたいという御意見がありました。親会と分科会の関係というか、親会も頻回に開かれて、例えば分科会でこういう議論がされているということがフィードバックされるのか、それとも、こちらにこれだけ構成員が参加されているわけですから、親会の意向についてはその先生たちから伺って、この会である程度方向性を決めるという理解でよろしいのか、そこの確認をさせていただきたいと思います。


○海老名医事課長補佐 先ほど、親会の開催時期について御意見を頂戴したところです。私どもとしては分科会での議論をしっかりしていだたいて、節目で親会のほうに御報告・御協議いただくスケジュールで考えているところです。


○片峰座長 よろしいですか、また最後に御議論いただく時間が少しあると思いますので次に移ります。議題
2 「医師の需給を取り巻く状況について」、事務局より御説明をお願いいたします。


○海老名医事課長補佐 医師の需給を取り巻く状況について御説明いたします。資料
3 「医師の需給に関するこれまでの経緯」です。医師の需給に関しては、昭和 45 年に最小限必要な医師数を人口 10 万人対 150 人とする、という見解が示されました。これに基づき、昭和 48 年に「一県一医大構想」が示されました。これを受け、昭和 56 年に琉球大学医学部が開設され、一県一医大構想が達成されたことをもって、昭和 58 年には、昭和 45 年に示された人口 10 万人対 150 人の目標医師数が達成されました。

 しかしながら、医学部を一県一医大にしたことで、将来的な医師の動向を検証する必要があるということで、昭和 61 年に「将来の医師需給に関する検討会」で御検討いただき、その意見の中で、これは「昭和 70 年」となっていますけれども、現在で言うと平成 7 年を目途に医師の新規参入を最小限 10 %程度削減する必要がある、という見解が示されました。その後平成 5 年になってこの見解に基づき、大学の御協力の下、医学部定員が 7,725 人ということで、昭和 61 年から見ると 7.7 %の削減になりました。

 平成 6 年に、「医師需給の見直し等に関する検討会」で検討していただき、引き続き医学部定員の 10 %削減が達成できるように、関係者の努力を要望する、という見解が示され、また平成 9 年に「財政構造改革の推進について」という閣議決定の文書の中でも、引き続き医学部定員の削減に取り組むという見解が示されました。平成 10 年になり、昭和 61 年からの削減率が 7.8 %ということで、医学部定員が 7,705 人となりました。このときにも、「医師の需給に関する検討会」が開催されていて、その中でも新規参入医師の削減を進めることを提言するという見解が示されました。このような状況で、この表の所は、ずうっと減らすというような方向で議論が進められてきました。

 平成 18 年に入り、この時期に医師不足が社会的に取り上げられるようになり、平成 18 年に開催した「医師の需給に関する検討会」で、総じて医師は足りてくるという推計結果を示されるのと同時に、こちらに書かせていただいているとおり、地域において医師の地域定着策について施策を講じているにもかかわらず、人口に比して医学部定員が少ないために医師が不足している県の大学医学部に対して、さらに実効性のある地域定着策の実施を前提とした定員の暫定的な調整を検討する必要がある、という見解が示されました。

 その後、「地域医療に関する関係省庁連絡会議」において、「新医師確保総合対策」を取りまとめ、この中で医師不足県における、医師養成数の暫定的な調整等を容認するという見解が示されました。平成 19 年には、政府与党の「緊急医師確保対策」において、医師不足地域や、診療科で勤務する医師の養成を推進するという見解が示されました。平成 20 年に入り、「経済財政改革の基本方針 2008 」において、ここで過去最大程度まで増員するという見解が示されました。ちょうどこの時期から、先ほどの親会でも、後ほどの資料でも御紹介いたしますけれども、医学部の定員増が始まっている状況です。

 平成 21 年の「経済財政改革の基本方針 2009 」でも同様に、地域間、診療科間、病院・診療所間の医師の偏在を是正するために、効果的な方策及び医師等人材確保対策を講ずる、との見解が示されました。平成 22 年に、都道府県の地域医療再生計画に基づき、地域医療に従事する明確な意思を持った学生に対する奨学金を給付する地域枠の制度が開始されました。平成 22 年の「新成長戦略」の中でも、引き続き医師の養成数の増加という見解が示されています。このような経過があり、平成 27 年の「経済財政運営と改革の基本方針 2015 」の中で、今回の検討会にもつながってくる視点ですけれども、人口構造の変化や地域の実情に応じた医療提供体制の構築に資するよう、地域医療構想との整合性の確保や地域間偏在等の是正などの観点を踏まえた医師・看護職員等の需給について検討する、という見解が示された、というこれまでの経緯があります。医師需給に関するこれまでの経緯については以上です。

 資料 4 「医師需給に関する基礎資料」ということで、現状の数値などをお示ししながら御説明いたします。最初に、人口 10 万対医師数の年次推移です。上の○で書いてありますけれども、年間約 4,000 人程度ずつ医師が増加しています。平成 24 年度では、就業する医師は約 30.3 万人、人口 10 万人対では 237.8 人ということで増加してきています。

2 ページは、諸外国との比較です。一般的に OECD のデータを使って比較することが多いですので、 OECD Health Statistics 2015 を使って、 OECD との比較です。 OECD の加重平均は中ほどの赤いバーですけれども、 1,000 人当たり 2.8 ということです。日本においては下から 4 番目の赤いバーで 2.3 という位置にあります。

3 ページは、都道府県別に見た人口 10 万人対医師数です。都道府県ごとの人口 10 万対医師数を示しています。全国平均が 226.5 人です。総じて、先ほど申しましたとおり医師数は増えておりますので、全体が増えております。都道府県別には京都府が最も多く、埼玉県が一番少ないということで、都道府県間で人口 10 万対医師数については差がある状況です。

4 ページは、人口 10 万対医師数について、平成 14 年と平成 24 年の状況を比較したものです。平成 14 年が赤い棒グラフで、平成 24 年が青い棒グラフです。医師が増加しておりますので、全体的にどの都道府県でも、赤いバーよりも青いバーが増えている状況にあります。赤いグラフの形と青いグラフの形は、おおむねそれほど大きな差はないように解釈できます。この赤いバーと青いバーの増加の変化率を見たものが、上のほうにある増加率という緑のものです。数字が入っていなくて大変恐縮ですけれども、平均値が 1.16 、一番低い数字を取っているのが福島県で 1.05 、最も高い所が沖縄の 1.30 です。

5 ページです。先ほど都道府県間のデータをお示しいたしましたが、都道府県内でも実際には 10 万人対医師数の差があります。都道府県ごとに、二次医療圏で最も医師数が多い所と少ない所を示しています。それなので都道府県ごとの医師数の差だけではなくて、都道府県の中でも医師数には差があるということです。

6 ページは、施設ごとの医師数の推移です。昭和 30 年から平成 24 年にかけての、施設ごとのデータです。総じて医師数が増えていることにより、施設に従事する医師もそれぞれ増えている状況です。

7 ページです。これは元の統計データの色を変えることができませんでしたので、大変見にくい資料で恐縮です。横軸が年齢、縦軸が人数で、左側が平成 14 年、右側が平成 24 年時点のものです。それぞれどの施設に、どの年代の方がどれぐらい就業されているかを示したものです。これによると、平成 14 年の時に一番下に位置している紫色の所が医育機関附属ということで、いわゆる大学病院ということで 4 3,000 人であったものが、平成 24 年には紫色で下から 2 番目が 5 万人になりました。平成 14 年に黄色だった医育機関附属の病院、いわゆる大学病院でない病院従事者の 11 6,000 人が、右側に行くと一番下の青の約 13 8,000 人です。診療所における数については、先ほどの平成 14 年でいくと下から 3 番目の、診療所の従業者の 9 万人が、平成 24 年では 10 万人になっています。医療施設以外の方については、一番上の 1 3,104 人が 1 4,416 人になっています。そういう変化を示した表です。

8 ページは、診療科別の医師数の推移です。それぞれの診療科は平成 18 年の所で 1 度下がっていますけれども、平成 18 年を起点にすると、それぞれの診療科は上がっています。しかしながら産科・産婦人科、外科については、上の麻酔科、精神科に比べると伸び率が小さい状況にあります。

9 ページです。先ほど構成員からも御指摘がありましたけれども、いわゆる臨床以外の所に従事している方の状況です。研究をされている方、行政機関に勤めているような方の医師数です。大体 3 %前後で推移してきています。

10 ページは、女性医師数の状況です。左側のグラフは、女性医師数の占める割合です。直近のデータでは 19.7 %が女性医師です。右側で、医学部入学、あるいは国家試験の合格者に占める女性の割合は約 3 分の 1 になってきています。

11 ページは、女性の医師の割合を国際的に見たものです。全体で見ると、右側で各国の女性医師の割合で見ると、この統計は先ほどのものと時点が異なりますので日本は 18 %ですけれども、諸外国では 50 %を超えるような国もあります。

12 ページは、医学部入学定員の推移です。先ほどから御説明申し上げておりますが、医学部の定員については、平成 19 年度が 7,625 人であったものが、増員が図られています。平成 28 年度の予定は 9,262 人ということです。こちらには、東北医科薬科大学の数を含んでいます。

 その細かい内容については 13 ページです。 7,625 人から、平成 27 年度で比較していますが 9,134 人ということで、 1,509 人が増員です。このうち一番左側の青色の所ですが、平成 20 年度と平成 21 年度の 504 人、それから 40 人については時限の定めのない定員増ということで、いわゆる恒久定員増と呼ばれているものです。こちらについては 544 人です。白い箱の平成 20 年以降平成 27 年までは期限の定めのあるもので、臨時定員増と一般的に呼ばれているもので 965 人です。先ほど座長からも御指摘がありました年度の関係で申しますと、平成 20 年、平成 21 年に増員が図られたものについては、平成 29 年度までということで 317 人です。平成 22 年度以降の臨時定員増を図られたものについては平成 31 年度までということで 648 人になっています。

 下のほうの 15 13 5 という数字については、平成 29 年度の 317 人の定員増を図っている所で、北海道、青森、岩手、秋田に続くこの県については、このときに 15 人の定員増の措置をとっています。 13 人は自治医大ということで、これを足し上げていくと 317 人になります。北海道の 37 人については、上に書いてある平成 29 年度までの臨時定員増、それから平成 31 年度までの臨時定員増の両方を合わせた数です。

14 ページは、大学別の定員増の状況です。大学ごとの数字ですが、細かいので説明は省略させていただきます。

15 ページは、医師国家試験の合格率の推移です。おおむね 9 割前後で推移してきています。

16 ページは、施設の種別に見た入院患者の推移です。診療所、病院ともに減少傾向にあります。総数は一番上の青い所ですけれども、減少傾向にあります。

17 ページは外来です。外来の患者数については、一番下の病院については緩やかに減少しておりますが、真ん中の診療所については増加傾向にあります。

18 ページは、医療施設・病床数の推移です。医療施設については、左側の下の有床診療所は減少、病院についても緩やかに下がっています。赤い所の無床診療所では増えてきています。右側の病床数の総数は下がってきています。

19 ページは、病床数を都道府県別に見たデータです。左側の上ですけれども、人口 10 万対病床数が 704.9 床です。全国で見たときの人口 10 万人当たりのものが、この折線グラフになっています。こちらも都道府県ごとに差がある状況です。

 最後は勤務医関係のデータです。 20 ページは、週当たりの労働時間です。医師の労働時間は平均で 53.2 時間です。下の表で、平均は 53.2 時間ですが、若年になるに従って労働時間が長い傾向です。

21 ページは、病院常勤医師の 1 人当たりの月の平均の勤務時間です。上が平成 23 年、下が平成 25 年です。平成 23 年の時点は、病院全体では月に 181 時間だったものが、平成 25 年には 172.9 時間になっています。診療科によって、まだまだその状況については差があるデータです。資料 3 と資料 4 の説明は以上です。よろしくお願いいたします。


○片峰座長 ただいまの説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。


○神野構成員 
3 点お願いします。私は地方からまいりましたけれども、地方は公・民ともに医師は全然足りません、いません。都会の先生に聞いても足らないということで、我々病院の認識としては医師はいないという基本認識です。確かに、これから地域医療構想等で人口動態とか、病床の形態は変わると思います。高齢者が増えていくことになれば、医療需要そのものは増える。それは在宅と入院を含めて増えることになると思います。若者からすれば小児科、あるいは産婦人科等がない地域からは若者は去っていく。これは、正にいたちごっこと言いますか、医師が減れば若者がいなくなるということがありますので、地域を守る意味でも医師は足らないというのが基本認識です。

2 点目は、今お示しいただいた資料で、例えば医師を何歳まで働かせるのか。 OECD の資料等がありますけれども、日本では、私も尊敬する 104 歳の先生も知っていますけれども、恐らく 90 歳の方、 100 歳の方も医師数として入っていると思います。諸外国においては、ある年齢で切っているはずです。その辺との違いをきちんと出すべきなのかと思います。確かに医師免許を持っていて、何らかのお仕事をしている方もいるかもしれませんけれども、高齢の方の場合は当直とか、救急医療に積極的に参加いただける方は非常に少ないわけです。そういう意味では、何歳までをこの統計上の医師数にするかははっきりさせるべきなのかと思います。

3 点目は、最後のほうに出てきた労働時間です。 20 ページで、「平均労働時間が 53.2 時間」と書いてあります。これをよく見ると、 80 時間以上と、 60 80 時間ということで、その両方を合わせて 40 %が 60 時間以上であると。週 60 時間ということになると、月 80 時間になりますので、この間の裁判のどこかのブラック企業と同じになります。日本の医療機関の 40 %がブラック企業であるということを、そのまま厚生労働省として見過ごしていいのかを考えれば、医師数の問題はもう一度考えるべきなのかと思います。

 バケツに水を入れていて、都会であふれた方々が地方に来る。地方に来る人がほとんどいないとするならば、まだ都会のバケツはお腹一杯になっていないのではないかと思います。


○小森構成員 私も数点申し上げます。
1 点目は、平川構成員と神野構成員が言われたことは、私も全く共感しております。現時点でミクロ的に医師が極端に足りない。しかしながら、平成 21 年度から医学部の入学定員が増加をしたわけです。その方々が、初期臨床研修を終える、そして医療の現場に、もちろん臨床研修医も医師免許を持っていますので医療の現場に出ていますが、少なくとも初期臨床研修を経て、臨床の現場に出てくるというのは平成 29 年度からなのです。そこは共有はいたしますが、推計というのは少し冷静に考えてもいいのではないでしょうか。

2 点目は細かいことですけれども、三師調査は 2014 年が最後でした。いつも最終集計をしてから発表されますけれども、こういう検討の場ですので推計値、概算値は当然出せると思いますので、それを速やかに出していただきたい。

3 点目は、神野構成員御指摘のように、 OECD の平均が一律に比較できるものであるかどうかは極めて問題です。政策的には OECD との比較ということが、この 10 年間我が国において大きな課題でありました。それを目指すという意味では、日本医師会の推計では、 2025 年にはそこに達するというデータを持っています。そうなると、そのまま放置すると今度は増えていくわけです。そういうバランスも考える必要があるだろうと思っています。

4 点目は、ミクロ的に様々な課題を抱えているのは医師に限らず、どんな職場、どんな職業においても常にあるわけです。一方で、これから我が国の人口は少なくとも減少時代に入ることは確実です。そういう中で、国民の中の何人が医師になるのか、という視点も別個で必要であろう。ここにもいろいろな世代の方がいますが、少なくとも 400 人に 1 人が医師になった時代が過去にあり、 300 人あるいは 180 人という時代がありました。近い将来、 100 人に 1 人が医師になるという時代が確実にやってくる可能性があります。それは、我が国の在り方としていかがなものか。一次産業、二次産業、三次産業それぞれに重要であります。経済や歴史においてそれぞれの国家が、それぞれの議論の中で、自分の国の在り方を議論してきた結果だろうと思いますし、一律に論ずるわけではないけれども、私は 100 人に 1 人が医師という国家はいかがなものかという感じを持っています。

 そういう意味の数字は、当然事務局としても把握できると思いますので、そういう資料も出していただきたい。また、そういう中で議論することも重要な視点であると思いますし、できなければ日本医師会のほうでも推計をしてありますので、いつでもお出しいたしますので、御議論に供していただきたい。


○神野構成員 医師数推計で、先ほど私は年齢の話をしました。厚生労働省の資料は何歳までではなくて、
90 歳の方も 100 歳の方も医師数として推計されている。今、日本医師会のほうで小森構成員は推計しているとおっしゃいましたけれども、医師の年齢は 90 歳でも 100 歳でも医師数として推計されるのか、それとも何歳かで切られているのですか。


○小森構成員 それは、そのまま医師数は医師です。神野構成員も同じ町に生まれたと言いますか、隣町というかそこに生まれていますので、少年時代は共有しているわけです。ただ、我が国において医師数を把握するときに、その医師が実際にどの程度働いているかという実態調査はできないです。可能であればすればいいと思っています。ただ、それぞれの患者さんに寄り添うという立場では、それぞれの医師が精一杯健康を保てる限り、医師としての活動はしておられます。
104 歳という特別な方の、素晴らしい方の例を引かれましたけれども、その方に限らずそういうことはあります。可能な範囲で、純粋に何歳という切り方をするのではなくて、そうであると各国の人間としての在り方、生き方も論じないといけなくなってしまいます。一律に何歳という切り方が適当であるとは思っておりますが、可能な範囲で、事務局でも調査していただければと思います。


○今村構成員 小森構成員がおっしゃった、
400 人に 1 人、 100 人に 1 人という日本医師会の調査は、高校 3 年生の 1 学年の人数に対して、医学部の定員が何人になっているかということで、 100 人に 1 人の高校生が医学部に進学するというデータを日本医師会でお示しできるということです。

 私の質問は、資料 3 にある、この検討会の最後にお願いしようと思っていました。経緯をお示しいただいたので忘れないうちにと思って今申し上げておきます。医師の需給に関する検討会というのは、定期的に開催されているわけではなくて、随時何かのきっかけがあって開催しているように見えます。医師の需給というのは、国家的な大きな話なので、様々な要件によって、社会の在り方によって変わってくる。当然見直しというのが、定期的に本来行われなければならない。今は PDCA サイクルということも言われているわけです。推計をして、これだけの人数を養成すると決めた後に、これを見ると経済財政からの話で、医師の需給を決めるようになっています。本来的には厚生労働省で定期的に見直し、我々はこれに責任があります。将来の医師を何人にするかをここで決めて、そのことによる、きちんとした検証と、そしてフィードバックというか、そういうものに基づいて定期的に見ていかない限り、どこかで大きく方向を間違うと、とんでもないことになるという思いを持っています。

 是非ともこれは一定の定期的な検証を今後も続けていただくことを、この会の最終的なところで明記していただければというお願いです。経緯を伺ったので、あえて申し上げておきます。本来的には、そういう検討がされた上で、大学の新設というのは議論されるべきであったと思っています。


○荒川構成員 グラフについての質問と、後で意見を述べさせていただきます。
7 ページの、施設の種別に見た医師数というのがありますが、これは研修医は含まれているのですか。


○海老名医事課長補佐 含まれております。


○荒川構成員 
24 歳の所が、ほとんどゼロに近いです。通常、現役で卒業した人は、その 1 年目に 24 歳になると思うのです。


○海老名医事課長補佐 医師の届出が
2 年に 1 度となっておりますので、免許を取った時期によって、働いているけれども、届出はその 1 2 年後といいますか、そのタイミングがずれて届出をされる方もいますので、必ずしも年齢と一致しない状況です。


○荒川構成員 研修医の数は、平成
14 年と平成 24 年の比較では、卒業生の 75 %ぐらいが大学で、平成 14 年は研修をしていたと思うのです。平成 24 年では 50 %前後になっていると思うのです。ですから、研修医の医師数がここに含まれていないと、間違った数字になっていると思いますので、その辺は確認をしていただきたいと思います。

 先ほど来出ているお話で、私は大阪なので、大阪の現実を言います。資料 4 3 ページで大阪の数字を見ると、全国平均を上回っています。京都が 1 番ですけれども、大阪も平均を上回っています。大阪ではこの 10 年以内に、 2 つの自治体病院が閉鎖に追い込まれています。これは、医師の供給がなくなったことに基づくものです。この数字の上で、医師数は増えているように見えますけれども、実際は崩壊に追い込まれた病院がありました。それまでにはなかったことなのです。

 なぜそういうことが起こったかというと、医師臨床研修制度ができて、マッチングで自由な所に行けるようになったのが 1 つです。もう 1 つは先ほどの本会議でもありましたけれども、フリーター医師が増えて、その供給を業者がやっているということで、どこにも属さない医師が増えてきている。この数を私は認識していないのですけれども、そういう所から、医師の足りない所は供給を受けています。その業者には膨大な資金を払わなければいけないし、来た医師もすぐに辞めてしまうという実態があります。

 もう 1 つは地域枠が本当に機能しているのかどうか、今はまだ検証できる段階ではないのです。聞くところによると、その県で育てた地域枠の人が他県に行くということは結構あるようなのです。奨学金をもらっている人が多いと思うのですけれども、そういう約束に関しても、それを卒業時に返せばいいではないかというような、倫理的に欠陥のあるような学生も出ている。それをサポートするような業者もあると聞いています。そのサポートする業者の実態はつかんでいませんけれども、例を挙げると、東北の地域枠の学生の奨学金を肩代わりして払ってあげるからうちに属しなさいということで、その人を関東に連れてくるとか、そういうことも噂としては聞いています。地域枠の卒業生が増えれば増えるほど、そういう業者の格好のビジネスチャンスになってくることがあると思うのです。

 行政として、そういうことを止める手段がないのであれば、何らかの方策で地域枠が機能するような策を先に打っていかないと。全国医学部長病院長会議では、定着率などをこれから調べることになっていますが、それでは追い付かないと思うのです。それは、後で生きるデータになってくるかもしれませんけれども、今すぐ手を打たない限り、地域枠が本当に思惑どおり機能するかというと、私は非常に悲観的に見ています。


○片峰座長 すみません、時間が押していますので次に移りたいと思います。最後にまたお願いいたします。今いろいろ出たのですけれども、特に
OECD のデータも含め、今お示しされているデータと、現場における医師の不足感とのギャップがある。これは 1 つ重要な問題だと思います。もし、そこに関して厚生労働省としてどう考えているのか、もしあればお聞かせください。その上で次に移りたいと思います。


○海老名医事課長補佐 データの関係については、先生方からいろいろ御意見を頂いたものを、次回以降、御用意できるものは順次お示ししていきたいと考えています。データと実際の感覚の違いについては、本日は
1 回目ということですので、偏在対策等と併せて、各構成員から詳細に現状等をお聞きして、私どもも把握に努めてまいりたいと考えています。


○片峰座長 次の議題
3 「医師供給数の推計について」までいきましてから、自由に御発言ということにしたいと思います。これは藤田参考人から御説明をお願いいたします。


○藤田参考人 千葉大学の藤田でございます。お手元の資料順に説明させていただきます。まず、私たちが検討したデータは
2 つのデータがあります。三師調査と呼ばれるもの、医師票です。それから医籍登録の情報の 2 つを使っております。まず、三師調査の医師票について、先ほど御質問もありましたが、 2 年に 1 度、 12 31 日の勤務地で計算をするという都合帳です。 24 歳の方で登録される可能性があるのは 1 月〜 3 月生まれの現役生だけという形になりますので、グラフの中では非常に少なくなるという特性があります。

 その医師票から出てくるデータから就業状況と年齢が分かります。毎年ではなく 2 年に 1 度登録するという状況のために、多少おかしな個票が混じってきます。ずっと男と報告してきたのに、ある年だけ女と出たり、これは事務作業上の問題というようなこともありますので、そういうものについてのデータクリーニングという作業もやっております。私たちが推定したので、もしかしたら男女を取り間違えている可能性はありますが、傾向から見て、それから医籍登録との照合をやりまして、正しいと思われる性別を選んでデータを作っております。

 続いて、そのデータの整理で、今申しましたようなおかしなところというのが、経年的にどのような変化をしてきたかをお見せしているのが、次のスライド 3 ページ目です。多分、かつてはほとんどが手作業でやられていて、今はコンピュータを使うようになってきたこともあって、エラー率が随分減ったことが分かるかと思います。ただ、幾らやっても多少の誤差は出てしまうのが現状ですが、少なくとも 2000 年以降については無視できるような誤差になっているかと思います。ここの上の「重複」というのは、主として 2 施設に主たる勤務地があると報告されたドクターがいるということで、これは病院側が出すときに自分の所の常勤と扱ったりしたというようなことで、バイトの方を取り違えたようなことがあったのが、今はほとんど起こらなくなってきたと御理解ください。

 続きまして、推計方法とこれまでの傾向です。推計のフローについてですが、入学定員の問題ですので、定員数を使ってデータを組み立てるべきだということで、一番最初に定員数をもってきています。次のグレーになっています入学者数は、実のところ公表データではちょっと分かりません。私は、千葉大に来る前は兵庫医科大学で 10 年間教員をやりましたけれども、その場合は最終的に足切りをしたところに並んでいる方々が定員を 5 6 名上回ってしまうことは日常的に発生することで、それが全国的に積み上げていくと入学者数が合わないことがある所もあります。また、卒業までに 6 年で出る方が大半を占めているのですが、そうでない方も無視できない数がいます。ただ、ここについては統計上、見付けることができませんので、定員数を基に 6 年後の受験者数を受験率という形で計算しております。受験した方が合格する割合、不合格の人が再受験に回る割合ということで、それぞれの率を計算して、合格した方が医籍登録されるかどうかを登録率として表しています。これは、全部が登録するのかと思いきや、登録されない方もいます。どのような方がやられないのかというと、今、私の部屋に学生 1 人が来ていますが、彼は研究者になりたくて医学部に来ています。医師国家試験は受けるけれども、研修を受けるつもりはない、医籍登録もする気はないというようにずっと言っておりまして、一応、国家試験の勉強はするけれども、できればその間もずっと研究をしたいと言っている学生もいるということで、 100 %にはならないという状況です。

 続いて、登録された方の中で、三師調査の医師票を出しておられる方の割合を各年の就業率というように表しています。就業率として出てくるものの中を詳しく調べていき、臨床で働いておられる方、あるいは行政職の方ということが分かるわけですけれども、今回の御報告では、「無職」「不詳」という部分だけを除いております。不詳というのは何かというと、記載がない、職業欄をすっ飛ばして答えられていたというようなものです。

 実際に受験率を見ますと、次の 6 ページです。受験率は 100.4 %で多少、入学定員以上に合格されている方がいるという影響、あるいは恒常的にずっと国試浪人を続けておられる方がおられるようです。何年ぐらい続けておられるのかは私たちの調査ではちょっと分かっておりません。再受験率、不合格になった方が翌年もう一度受ける確率は 99.3 %で、ほとんど受け続けるということになっています。合格率は、新卒が 93.9 %、既卒が 58.3 %という確率になっております。

7 ページの登録率は、先ほども言いましたが 100.2 %ということで、これは留学していて、後から帰国して登録される方とかもおられる関係上だと思うのですが、 100.2 %という形になっております。中には外国の大学を卒業されて、日本の国家試験を受けられた方もいるということが影響しているかと思います。各年の生残率を今回提示しています。届出票を出されて、存在を確認した人の割合としています。医籍登録をした後、ずっと追い掛けていっておりますので、どれぐらいの方が届出を続けているのかということで、「生残率」と表現させていただきました。就業率につきましては、届出票では「無職」「不詳」というのがありますので、この方々を除いた方の割合を出したということで、医業以外にも就いておられる方も含んだ数字とお考えください。

 次に 8 ページの男女比について、女性の医師の割合がお気に掛かるかと思いまして計算しております。受験者数の男女比や合格率の男女比、医籍登録の男女比、生残率及び就業率についても男女比を出しております。

 続いて 9 ページは、受験率・合格率の推移ということで、過去のトレンドを見ました。この後使っていく数字をどういう数字にするといいのかということを検討するためのもので、もし一定に増加や減少の傾向がありますと、線形の推計が必要になりますし、波動しているようでしたらその波動を見込んだ推計が必要になるということで、この受験率では波は打っているのですが、波の周期等は全く分かりません。一定の傾向がないということで、こういう分布になりますと、中央値を使うしかないと。正規分布ですと平均値を使いますが、ここでは中央値を使うしかないというような検証をしましたのが、このグラフの意味です。

 続きまして医籍登録者数の推移です。ものすごい波が幾つかあります。戦前、急速に医師の数を増やした、あるいは引き上げで急速に登録が増えたというもの。それから学生運動で前年分が一気にきたということで、山が幾つかありますが、傾向として見ていただければと思います。

11 ページは、医師届出票の状況です。医師票の届出は 1985 年までは徹底されていなかったようだという感じを受けます。かなりギザギザがきつく出ておりますが、その後ほぼ横ばいの緩やかな上昇傾向があり、初回の届出率が徐々に徹底されてきているようなことで、事務手続上の周知徹底がなされたと思っております。女性と男性のデータをそこにお示ししています。

12 ページは、年齢は今回はちょっと調査しなかったのですが、こちらは医籍登録後の年数を見ています。医籍登録後、どのような動態を示すのかをグラフにしましたが、男性の場合は約 10 年の間、緩やかに減少した後、そのまま横に動くのが約 30 年ぐらいまでで、その後徐々に減っていくということで、 30 年というと 50 代後半〜 60 歳にかかるところとなりますので、その辺りから徐々に亡くなられる方、あるいは体調を崩される方が出ているというのが、このグラフの特徴かと思います。これと女性のオレンジを比べると、まず目に付くのは、約 10 年目を底とする 1 つ目の低下があります。それはどういう理由なのかはこの届出票からは分かりませんが、推測すると恐らく出産等に伴うものではないかと思うのですが、本当のところは分かりません。こういう現象があって、その後復帰される方が 30 年に向かって緩やかに上昇し、その後、男性と同じような経過を辿るわけですが、男性よりも寿命が長いことを反映しているのか、 70 歳を超える頃からは女性が上回るという結論になっております。ちなみに、この男性と女性とを卒後 70 年までで切ってみますと、ほぼ同じ面積になるということで、女性の方は高齢でもよく働かれるというような形になっております。

13 ページは、登録後、無職と不詳を除いていくと、このようなグラフになるということで、かなりきちんと登録していただいた後、年齢に従って落ちてくるのは、先ほど言いましたような健康上の問題が大きいかと思います。

14 ページですが、先ほどのグラフとほとんど同じ形になっています。これは就業率で、先ほどの無職と不詳を除いております。不詳は毎年 1 桁以内ですので、不詳は無視していただくと、無職を除いたと思っていただければ同じですので、説明は省略させていただきます。

 続きまして 15 ページです。女性の就業率ですが、 10 年の所までを 1 つの区切りとしてグラフが左右に分かれていることがお分かりになるかと思います。左側の青、オレンジ、緑で、年数が近くなるに従ってグラフが上のほうに出てきていることが見て取れます。これは一定の傾向がありそうだということになるのですが、 12 年を超える所からはもう複雑に錯綜していて、傾向は読み取れないということになってきます。女性のグラフが非常に高齢ででこぼこしているのは、この年齢の方々は実数が非常に少ないために、比率でやるとものすごくバラついてしまうようなことがありますので、でこぼこはある程度無視して考えてください。

 以上のデータを基に、全ての推計値は中央値以外では扱ってはいけないというのが統計的な結論かと考え、推計結果を行いました。 17 ページが、先ほど厚労省から説明されております定員についての考え方で、 A パターンと B パターンの 2 つを用意させていただきました。臨時定員の部分を全部廃止するのが B パターン、臨時定員も含めて今後ずっとやっていくというのが A パターンということで、最大値、最小値という意味ではなくて、臨時定員だけを取り出して 2 つのグラフを作ったとお考えください。 18 ページにその結論を出しております。 A パターンでやっていった場合は、青い線でずっと上がっていって、 2050 年には 40 万人に到達するような形になります。 B パターンの場合は 37 万人強の形になりますが、これが適正かどうかは、また改めて考えていただきたいと思っております。

19 ページは医師の供給数の推計結果で、男性と女性を見ていったものですが、男性は B パターンを取ると 2034 年頃にピークになり、その後緩やかに低下していく。もしも A パターンの場合は、その後も増加し続けるということになっていきます。男性が減ってしまうというのは、かつて女性の医師数の割合が非常に少なかったことが影響するもので、男性の医師数自体はそんなに低下するわけではないとお考えください。

 最後に 20 ページの、先ほど OECD の比較の話が出ましたが、人口 10 万人対の医師数で見たらどうなっていくのかということで、グラフ A B で示しております。 2050 年の所が A パターンで 400 を超える、 B パターンで 386 で、いずれにしても OECD の加重平均である 280 からは大きく上回ることになります。こういう国がないのかということにつきましては、先ほどの資料 4 を見ていただくと幾つかの国がありますので、そういう国との比較をしていただけると、どんな国か想像がつくかと思います。私からの説明は以上です。


○片峰座長 ありがとうございました。今の御説明に対して、御質問あるいはコメント等がありましたらどうぞ。


○福井構成員 膨大な資料を見せていただきました。どこかの時点でマクロ的に数値を決めざるを得ないというのは了解いたしますけれども、もう少し中に踏み込んで、例えば臨床現場でどういう医療を提供したいから何人の医師が必要とか、決める目安がはっきりしないように思います。こういう医療を目指すから何人にするというような議論ができればいいなと思っています。その関連で先ほど神野先生、ほかの構成員の先生もおっしゃいましたけれども、高齢の医師や研修医はアクティブに働いている中年までの医師とは仕事の量や内容が違うわけですので、そのような医師を、一人前の医師の何%とカウントするのかと、そういうことも考えざるを得ないと思います。同じことが女性医師にも言えるわけで、先ほどの生残率ですか、生き残っているかどうかだけではなくて、仕事の質も、男性の非常にアクティブな医師と比べますと違いますので、どれくらいまでカウントするのかも非常に重要なことだと思いますので、そういうことも考慮していただければと思います。女性医師の動向が、こんなに必要だと言いながら、実はこの構成員の中に誰も女性医師が入っていないというのもちょっと問題かなと思います。事務局で考えていただければ。


○片峰座長 どうですか、今の女性の構成員がいないこと。


○海老名医事課長補佐 女性医師の構成員が入っていないこと、すみません、大変失礼いたしました。女性医師の状況等を聞くような場面を今後、考えていきたいと思います。御意見、ありがとうございました。


○片峰座長 追加も有り得ると。


○海老名医事課長補佐 構成員の追加というよりは、女性医師の立場の方に来ていただいてお話を聞くというようなことでどうかと考えております。


○権丈構成員 この資料5の医療供給数の試算と関連することです。かつて医療費の将来試算というのは、年齢階級別の医療費に将来の人口構成比を掛け合わせてやっていたんですね。あるときから、それだと医療の中身も何も反映できないと同時に、将来時点での名目
1 人当たり医療費というのがかなり不安定な値になってしまうので、 2006 年から 2007 年にかけて、医療費の将来見通し検討会というのを作って、そこでやっていったのは、医療の量と価格を分けていって、そして量は、こういう医療をやりたい、ああいう医療が望ましいという理念型を先に作って、そこに単価を掛けていく、この単価そのものは GDP の伸び率に見合った形で伸ばしていく。あるべき医療の姿を描いて量を定め、そこに価格を掛けて、幾らになるという話をしはじめました。それ以降、医療費の将来見通しというのは今、ずっとそれでやってきています。

 先ほどの福井先生の「こういう医療を目指すから何人にする」という話で私もこういうことを言ってみようかと思ったわけですけれども、あるべき医療を先行した形で決め、そこでこの地域にはどのくらいの人が必要であるというようなところから換算していくのも重要になってくるかと思います。

人口当たり医師数というのは、一番最初の説明にありましたように、常にずっと増えているのですね。このずっと増えているのに、ある時期、医師不足だと大騒ぎされる時期が生まれたり、それが沈静化したりします。私はなぜこういうことが起こるのだろうかと昔調べたのですが、医療事故というのが新聞でドーンと報道されると、それから 3 年ぐらいたつと医師不足という新聞記事が増えてきます。医療事故報道をきっかけとした医療バッシングの中で、診療行為が変わったり、あるいは我々でいうところの事務仕事が増えたりと言いますか、いろいろなことが非常にきつい状況で医師の仕事の中身が変わってきているということが考えられます。そして産科が非常に厳しくなったりとかは、訴訟リスクあたりを考えていくと理解できるというようなことがあります。医師の過不足というのはそうした社会的要因も影響を与えますので、あるべき医療の姿を先に描いていってという方法も 1 つの考え方かもしれないと思います。

 それと同時に、神野先生がおっしゃっていたこととも関係するのですが、バケツに水を入れてというお話を私も同じような表現をしていて、市場に任せておいて、都会の医師がとうの昔に飽和して最後の最後に地方の医師がようやく満たされるときの必要医師数と、地域全体に同じ充足率で満たされるときの必要医師数は当然違ってきて、診療科の、あるいは今度は偏在の問題もやるということだったので、そういう試算方法のバリエーションもあるということを話しております。 1990 年にバブルが崩壊した後に、医学部の偏差値がガーンと高くなります。この国のエリート層が猛烈に批判されて没落していく中で、親は優秀な子どもを医学部に行かせるというような教育傾向が出てきて、医学部の偏差値が高くなっていきました。そうした医学部の入り口を自由な市場に任せておいたために、都心の進学校の人たちが地方の医学部に行くようになり、 1973 年来の一県一医大構想の意味が崩れていきました。そのような状況があったから私は、地域枠が必要だということを 2005 2006 年に言っていたのですが、そうした背景から必要になってくる地域枠というのは、先ほど話に出た、卒業後に地方で数年働いたら元の都心に帰っていいよという地域枠などで良いはずがなく、それは制度の設計上のミスですよね。そういうところも含めて、いま何が起こっていて、これから先何をやらざるを得ないのかを考えてもらえればと思います。

本当に、医師の偏在というのは、資料3の「これまでの経緯」を見ると随分前から議論されているのに何も変わっていないことを少し考えていきながら、ちょっと医療費の将来試算と同じぐらい大きな、何か考え方の変化が必要なのかもしれないと思いました。


○片峰座長 丁度、権丈先生、いいきっかけなので、ここから自由討論とします。あと
30 分ありますので、これから何回かこの会がありますが、今後どういうところを主要な論点にしてやっていくかという観点から、自由に御意見を頂きたいと思います。 1 つは先ほどから申しましたけれども、現場の医師不足感と、データのギャップのところをどう今回の議論に反映させていくのかということ。もう 1 つは今、正に言われたのですが、現状においては不足しているという議論なのですね。しかし、医療費もこのようにどんどん伸ばすわけにはいかないし、老齢化はどんどん進むし、その中で日本の医療をどういう形にもっていくのかという議論の上で、正に言われた医師の適正数というのはどうかと。そういう議論もあって然るべきだと思いますけれども、その辺り是非、御自由にお願いしたいと思います。


○藤田参考人 先ほどから理想を考えるべきだという御意見を
2 人の構成員の方から聞かせていただいて、すごく心強く思ったのですが、実際に今そういう議論をまとめたものが昨年、 OECD からポルトガルの例が出ております。ポルトガルは 90 年過ぎからそういう話を真剣にやっていて、 95 年過ぎぐらいから改革に着手して、 2010 年にほぼ骨格としては出来上がって、医療改革に成功しましたというレポートですので、是非、御覧になっていただきたいと思います。

 あとは、地域偏在の問題についてはドイツの例があります。 GP と呼ばれる方々を地域で何人配置するのかと、かなり医療制度自体も変えて、それまでのフリーアクセスを完全にやめてしまったというような、制度改革と併せてやられているという事例を参考にされたら、すごくいい将来像ができるのではないかなと思いました。


○小森構成員 事務局にもお願いしたいことがあります。
1 つは、地域枠の精査というのはなかなか難しいとは思います。医道審議会の医師分科会で、私もずっと 3 年前から言い続けているのですが、なかなかデータが出てこないのです。地域枠は、平成 9 年に 11 人からスタートをして、平成 20 年に 400 人、平成 21 年に 700 人、平成 22 年に 1,000 人を超えて更に増えている。少なくとも、将来推計のために、これまでの現状がどうであるのか、その人たちはどういうふうに今、就労しているのかを、分かる範囲でやはりデータを出していただきたいと思います。それこそ、勘定的な意味を含めて、今、これだけ増えたからどうだこうだということは、将来推計には、かえって極めて危険な問題になりますので、できる範囲でやっていただきたい。

 それから、先ほど権丈先生も言われたように、医療の質は今後変わってくるわけです。いろいろな推計がありますが、 2040 年ぐらいには恐らく死亡者数はピークを迎える。それから、超急性の、つまり、治す医療から支える医療にという、大きな転換がいろいろな意味で図られてくることは間違いがない。つまり、超急性期の医療現場に医師が投入される必要数というのと、広い意味で、様々な形で在宅において必要とされる医師数と、これも随分大きく違ってきます。ですから、余り制度論でもって縛ることはできないけれども、少なくとも、精緻である資料をできるだけ精緻な上で精緻な議論をしていきたいということは考えていますので、その点は共有をしたいと思います。


○片峰座長 ほかに。どうぞ。


○森田構成員 親会の座長を務めていますが、ここは離れて個人的な見解を申し上げたいと思います。
1 つは、今、私は社会保障・人口問題研究所にいまして、今の地方消滅を含めて人口問題が大変話題になっています。先ほどの藤田先生のデータですと、最後のページだけ人口で割ってありますが、我が国の人口減少は、普通の方が思っているよりもかなり急速に進んでいます。今、毎年 30 万人、減っています。 2 年間で鳥取県 1 つがなくなるという話になりますし、 12 3 年で四国全部か、あるいは横浜市の人口が減ることになります。 10 万人当たり 200 人だとすると、それだけ考えても、 300 万人減ると掛ける、 6,000 人、結局、医師の数というのは、そのままでも現状に比べると多くなってくるわけです。この人口減少は全国傾向ですが、これをどう考えるかというときに、先ほどから、供給サイドですと分子の議論が随分されていますが、やはり分母との見合いで考えていく必要があるだろうと思います。これは長期的に、例えば先ほども、 2050 年になると我が国の人口は、私どもの推計ではもう 1 億人切っていますので、そうした中でどのように医師を生産していくかということです。先ほども人口何人当たりという議論がありましたが、昨年生まれた、 2014 年に生まれた赤ちゃんが 100 3,500 人ですので、仮に、その時点で 1 万人近くの医師を養成することになりますと、本当に人口 100 人に 1 人となります。そういう長期的なトレンドの中でも、かなり人口の減り方が急速なものですから、それを見ながら将来の医療需要を考えていかなければいけないと思います。もちろんこれは、高齢者数、病気の形態、その他によって変わることですが、ベースとなる人口の動きというのが、普通思われているよりも大きいのではないかということが申し上げたいことです。

2 番目に、海外との比較というので、私も中医協の公益委員をやっていましたので、幾つか調べました。私自身はそちらのほうは必ずしも専門ではありませんので、詳しい制度については申し上げかねますが、例えば OECD の基準で、スウェーデンの人口当たりの医師数が非常に多い。実は、先々月、向こうへ行きまして、ちょっと別な形ですが調査をしました。向こうの病院で働いている日本人の医師のヒアリングをしたわけです。スウェーデンでは、まだ医師があれでも足りないと言われていると。なぜかと聞いたら、そこのある病院の診療科の代表の方ですが、 1 年間に 70 日ぐらい休暇を取られる。そうしますと、 10 人診療科に先生がいたとしても、いつも 2 人か 3 人は長期休暇という形と言っていました。それは、それぞれの医師の相当な負担になってくると。我が国と、先ほど勤務時間についてのデータが出ていましたが、その意味で言いますと、直接比較するのは非常にリスキーな話ではないかと思っています。また、当然のことながら、医師と看護師、その他コメディカルの方の職能と言いますか、役割の区分もかなり違っています。そういうことも含めて見ていかないと、国際比較というのが非常に難しいという気がしました。多分、これから需給調整の話、地域の人口変動についてはもう言いませんが、これは偏在の問題にも関わりますが、非常に推測が難しいところだと思います。ただ、全体としては、そうした分子、分母の関係を見ていく必要があるだろうと思います。

 地域偏在に関しますと、先ほどもお話に出ていますが、海外の場合には、いわゆる枠をはめるという形での制度がかなりあるという気がします。我が国の場合には、基本的に、枠といいましても経済的なインセンティブをそれに結び付けるというやり方と思っていますので、そこは大きな制度改革に踏み込むのかどうかも 1 つの論点と思います。

 最後に、せっかく機会を頂いたので言わせていただきます。議論の進め方ですが、私自身の中医協での経験から言いますと、きちんとしたエビデンスに基づいて議論をすることは非常に重要だと思いますし、それについて、事務局もそうですが、できるだけデータを出していただきたいと思いますが、これは無限に要求が出てきます。限られた時間の中でどのようにしてまとめていくかというときに、私の本業は行政研究とか政策研究をやっていますが、いわゆる不確実性の下で、限られた時間の中でどうやって結論を出すかというときに、アバウトになるかもしれませんが、ある時点で、物事を決めていく方向で議論を進めないと、無限の資料要求と、そのために事務局も大変ですし、議論の混乱に入っていくのではないか。最後の点はちょっと余計なことですが、今までの、中医協の経験から気になっていますので、発言しました。以上です。 


○北村構成員 東京大学の北村と申します。大学で教育をやっている立場から一言申し上げます。現在、
1,600 人くらい定員が増えたわけですが、学校が来年以降 1 2 つ増えるように思いますが、今のところ、 1,600 人の定員を学校を増やさずに増やしています。言ってみれば、学校 16 校分を何ら学習環境を変えないで増やしています。明らかに、過去に比べて粗製濫造であることは間違いない。まして、先ほどから 100 人に 1 人、 18 歳人口の 100 人に 1 人が医者になろうと、今でも 130 人に 1 人なのですが、明らかに留年者は増えています。基礎学力がないとかいろいろなことが言われています。それから、教育の現場も、使える医者を育てようということで、参加型臨床実習とかオスキーなど、単なる座学ではなくて患者の下で学ぶという姿勢を持っています。そうすると、学ぶ場所が少ないのです。大学病院は高度医療の現場ですので、学生にはちょっと重すぎると。本当の現場を見るとすると、県立病院とかそういう所で学ばせたいのですが、 1 学年が、多い大学で 130 人にもなっています。教育現場の疲弊もありますが、やはり、過去に比べて粗製濫造であるという感覚をとても持っています。ですから、もし数を維持するなら、そのような教育環境の改善も必要だと思いますし、元に戻すという選択肢もあり得ると思っています。


○平川
( ) 構成員 グローバルな話になってしまって発言しにくいのですが、先ほどの話に戻るわけですが。私は老人保健施設の立場で出席しています。老人保健施設は、御存じのとおり医療機関であるわけですが、特殊性があります。前段の資料 4 6 ページに、「施設ごとの医師数の年次推移」と書いてあって、老健施設は昭和 63 年頃から始まりましたから、昭和 63 年の 22 人の医師から、今現在は、 3,000 人ちょっとの医師が所属しているわけです。こうやって見ますと、数的には満たされているのですが、実際の現場ではどうかといいますと、高齢の医師が多い、あるいは、臨床経験が余りない基礎系の先生であったり、言ってみれば医師免許は持っているけれど、現場のニーズに合っているかどうかというと、かなりの問題があります。

 先ほど小森先生からお話があったように、疾病構造や医療ニーズが変わってきて、これまでであれば、老健施設ならこれぐらいの医療でもいいのではないのという形から、病状不安定な方も入所されてきますし、在宅医療や認知症対応や看取りなど老健医師もかなりのスキルが必要となっているのです。ですから、数的な充足率なのか、あるいは、その現場で必要かが随分変わってきている。そのようなことを言うと、いや病院も様々なレベルの医者がいるという話になるかもしれませんが、複数の医師を配置している病院と異なり、老健施設にはたった 1 人の医師かいません。ですから、複数の医師の間で補完することができない。そうなると、この問題は看過できない問題ではないかと思っています。つまり、各科ごとの医師数の問題とか、あるいは地域偏在の問題など医師を取り巻く環境には幾つかの要素がありますが、医療機関のタイプ別による格差というようなことも検討の中に入れるべきだと思います。以上です。


○今村構成員 この検討会のミッションとして、臨床で働く医師の話というのは一番大きな課題だというのもそのとおりだと思います。そこに重点を置いていただいていいのですが、冒頭に申し上げたように、臨床以外の医師の役割をどう考えるかというのも若干検討を頂きたいとは思っています。森田先生が、余りいろいろなものを求めると議論が錯綜するということで、そこはほどほどにしたいのですが。資料
4 9 ページを見ていただくと、いわゆる、医育機関の臨床系以外の勤務者等は右肩下がりでずっと下がってきていて、ピークに比べると 2 割近く多分減って、 4,370 人から 3,500 人ということで年々減っていると。

 やはり、医師会ですのでいろいろな国の会議に出ていると、一方で、こういう臨床の話以外に、死因究明のところで法医学の先生がものすごく少ないとか、解剖の医師が少ないとか、今、事故調査制度でいろいろなそういう医師が必要とされているのに少ないという声もありますし、あるいは、先ほど申し上げたように、刑務所で囚人がどんどん増えているのに、そういう所の医官がいないと。その数は、全医師に占める割合は 3 %なのだから、もうこれは誤差範囲だから、全体の臨床の医師の養成の中で考えればいいのかどうかということもあるかと思いますが、積み上げていくと、やはりこういう所にこれだけ不足している、こういう所はこれだけ本来必要なのにいないのではないかということの中で、やはり臨床と合わせて考えていかないと、基礎研究の部分でもいろいろな問題が出てくると思うので、その辺をどう考えるかもちょっと頭の中に置いていただければと思っています。


○北村構成員 大学からもう少し強く言わせていただきます。日本の特性として、医師免許を持っている者が基礎研究をやる傾向があります。さらに、当然、臨床研究や薬学の開発なども
MD の資格を持っている人がやっています。さらに、ちょっと話がずれますが、私の部署は国際協力をやっていて、医師が東南アジアをはじめとした所に出て行って国際協力をすることが、昔はボランティアでしたが、今はもう国家戦略です。この国の安全のために国際協力があるようなもので、そこに働く医者も足りないというか、皆無に近い状態で、医師職が行ういろいろな職種ですね、そういうもののあるべき姿も少しは考えていただければ、日本の地域だけでなくて世界の地域なども考えて、あるいは基礎研究、ノーベル賞を取ろうとする人がもっと増えるためにも、大学の定員を考えるべきだと思っています。


○片峰座長 重要な論点だと私は思っていて、まだ全然出ていない問題が、将来の医師不足、あるいは偏在問題解決に向けて、今、この地域医療構想をどう位置付けるのか、それから、臨床研修とか専門医制度の制度設計に関してどうするのかとか、ものすごく大事な論点になると思っているのですが、ここら辺に関してどなたか、この検討会の主要論点にするという。


○北村構成員 よろしいでしょうか。専門医に関して、海外、フランスにしても、卒業生の半分が
GP になる制度ができていたり、先ほどあったように、ドイツでも GP の定員を決め、あるいはイギリスも GP の定員を決める。要するにジェネラルに、総合医のある程度の数が見込める場合と、専門医という、循環器、消化器、そういう専門医が全体を支える場合とでは、全然必要医師数が違ってきます。今般、専門医機構で専門医制度を決めていますが、オートノミーということで、学会の意向で動いているので、どうも定員の削減とか、定員コントロールにはいかないのではないかと見ているのです。同時並行なのですが、もし医師数を考えるのであれば、 GP の定員、あるいは専門医の定員、それに対して提言などができれば、もっと具体的な必要医師数のイメージができるのではないかと思います。


○荒川構成員 診療科及び地域の偏在解消に関しては、日本医師会と全国医学部長病院長会議で
7 回ほど会議を持って、 8 月に緊急提言というのを出しました。それで、厚生労働省と文科省にもその提言を提出していますので、次回以降、偏在解消の話が中心になるとここにありますので、そのときにまた詳しくお伝えしたいと思います。


○福井構成員 卒後
1 年目、 2 年目の研修医については、高齢の医師や女性医師、それから研究者と同じように、いわんやアクティブな男性医師と 100 %同じような仕事ができる立場ではありません。そういう意味では、ほかの医師と同じように研修医を扱うというのは、適切ではないと思います。

 もう 1 点、やはり大学で働く先生方についても、国の大方針として、医学研究の推進ということで大号令が掛かっているわけですので、その先生方を同じように臨床医としてカウントすることもおかしな話だと思います。パーセンテージは低いかも分かりませんが、やはり除くべき医師は除いた上で、臨床医としてどれくらいの数の医師が必要なのかという議論を是非お願いしたいと思っています。


○小森構成員 専門医を含めての議論を、ただ、これを非常に深掘りをしますと、取り留めもない議論になると、逆に言うと拡散してしまうと私は思っています。専門医の在り方に関する検討会に、福井先生も私も出席をしましたが、ここの大きな肝は、プロフェッショナルオートノミーを基盤としてこれを行う、つまり国家管理はしない。ここは合意の肝なのです。もちろん、様々な形で様々な分野から検討するときも、この問題は非常に重要だと思っていて、正にそういうことを十分議論していただくことは必要だと思います。

GP についても、 GP の在り方と言いますか、 GP の在り方というより、プライマリ・ケアをどういう医師が担っているかというのは、我が国は、非常に特殊であって、私としてはすばらしい点があると。つまり、スペシャリストが学び直してプライマリ・ケアの大部分を担っているという特色があるのです。 OECD の提言なども全く定義が違うので、そういう意味では、 GP に特化した、プライマリ・ケアに特化した、逆に言うと、プライマリ・ケアしかできないというか、プライマリ・ケアを本当にとことんするという人だけを GP と言っていますので、我が国には GP はいないということから提言が行われますが、全く違った形態ですので、そのものに余り踏み込んでしまうと、この会が、検討会の在り方に関する検討会を 17 回行って、そして提言になった根幹に触ってしまうので、そこは余り軽々にやっていただきたくないと、「専門医の在り方に関する検討会」の構成員の 1 人としてはそう思います。しかしながら、先生の言われた点は、もちろん私自身も大事だということは、医療構造も変わっていく、医療提供体制の在り方も当然様々に考える必要があると思っていますので。ただ、余りに軽々にそこに対する提言をこの場で行うことについては、私は問題が深過ぎるだろうと思います。

 それで、提案ですが、先ほど副会長の今村聡が申し上げたように、様々な別の事情によって、実は医師の需給に関する検討会は開かれるのです。そして、森田先生が言われたような、やはり緊急に結論を出さなければいけないということで出されて、それでポッと終わってしまうのです。中期的に考えることは、中間報告とか一定の報告を出しつつも、今後継続して検討するという場を是非事務局には考えていただきたい。この検討会で議論をして一定の結論を出すということは、ある程度皆様の合意の上で、ある程度絞って一定の結論を出すと。ここは明確にちょっと分けて議論されたほうが私はいいと思うのです。


○片峰座長 もう時間がなくなってしまったので、神野先生、最後に、先ほどの地域医療構想に関して、関係あると思うので、ちょっとコメントを頂けますか。


○神野構成員 今、迫井課長もいらっしゃいますが、地域医療構想は、筋としては、
2025 年のあるべき姿を、これから地域で検討して、それを実行するために、ここで急性期がどれだけいる、高度急性期がどれだけいるという流れだと思うのです。とするならば、一応、策定は来年以降になりますが、それとこの臨床医の数と関連付けるには、まだちょっと時間としては私は早過ぎるのではないかと思ってしまいます。これは地域医療構想のほうでどう言われるか分かりませんが。

 その中で、ちょっと一言だけです。先ほど福井先生が言われたように、高齢者の方、あるいは女性医師とか、それから、先ほど森田先生が言われたお休みをシェアするという意味では、何かを 100 としたら、いろいろ係数を掛けるという、それで臨床医の数を割り出すというやり方は有りだと思っています。


○片峰座長 分かりました。今日は様々な御意見を頂きました。重要なポイントばかりだったと思います。次からの検討会に是非引き継いでいきたいと思います。では、ここで事務局にお渡しします。どうぞ。


○海老名医事課長補佐 資料の関係については御用意できるものから順にお示ししていきたいと思いますので、お時間を頂戴できればと存じます。大変長い時間の御協議ありがとうございました。本日頂きました御意見も参考にしながら、今後も進めていきたいと考えています。最後に御連絡です。先日、先生方から頂戴しました日程を調整しまして、次回の日程については、来年
2 4 日木曜日の 10 時からを予定しています。場所等については、また追って御連絡をしますので、どうぞよろしくお願いします。事務局からは以上です。


○片峰座長 それでは、これで終了します。次回からもよろしくお願いします。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局医事課
(代表) 03(5253)1111(内線4127)
(直通) 03(3595)2196

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