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2015年11月16日 第14回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成27年11月16日(月) 10:00~12:00


○場所

イイノホール&カンファレンスセンター 4階 RoomB



○出席者

井口、田中、千葉、藤井、堀田、山本(敬称略)

○議題

1.介護事業経営実態調査等の見直しについて
2.介護サービスに関する消費税の取扱い等について
3.その他

○議事

○西嶋介護保険データ分析室長 それでは、定刻となりましたので、第14回「社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会」を開催させていただきます。

 まず初めに、本日の委員の出欠状況でございますけれども、全ての委員に御出席いただいてございます。ありがとうございます。

 続きまして、9月開催の第13回の委員会より事務局に異動がございました。御紹介させていただきたいと思います。

 本日、欠席あるいは遅れての出席になろうかと思いますけれども、日原総務課長、竹林介護保険計画課長、辺見振興課長でございます。

 本日、佐原老人保健課長が出席してございます。

 

○佐原老人保健課長 佐原です。よろしくお願いいたします。

 

○西嶋介護保険データ分析室長 また、私、介護保険データ分析室長の西嶋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入ります前に、お手元の資料について確認させていただければと思います。

 議事次第の後、名簿がございます。

 資料1 介護事業経営実態調査等の見直しについて

 資料2 調査に関する主な意見

 資料3 介護サービスに関する消費税の取扱い等について

 参考資料1 診療報酬における仕入れ税相当額分の考え方について

 以上でございます。資料の過不足等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

 それでは、以降の進行につきまして、田中委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○田中委員長 皆さん、おはようございます。お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

 議事次第に沿って進めてまいります。

 初めに、議題1「介護事業経営実態調査等の見直しについて」、資料がありますので、説明をお願いします。

 

○説明者 それでは、説明をさせていただきます。

 1ページ目でございます。こちらは、従来つけさせていただいている資料でございますが、介護給付費分科会等で指摘された事項として、審議報告とか、大臣折衝事項といったところで指摘されているものをまとめさせていただいた1枚紙でございます。

 次に2ページでございます。「調査対象期間等について」ということでございます。

 論点といたしまして、従来どおり、前回の委員会でも御説明させていただきましたが、経営実態調査については、これまで改定後2年目の3月(1カ月分)、今年の27年改定であれば、27年3月の1カ月分の収支等の状況を調査してきたが、1年分の収支等の状況を把握することについて、どのように考えるか。

 2つ目の丸でございます。概況調査については、これまで改定後1年目の1年分、今回、27年改定で言えば、26年度の1年分の収支等の状況を調査してまいりましたが、経営実態調査の方を、仮に1年分の収支等を把握するとした場合、概況調査の方の調査対象期間について、どのように考えるかというところでございます。

 下段、対応案というところでございます。

 1つ目の丸でございます。いわゆる経営実態調査については、これまで御指摘いただいているとおり、単月の調査では、季節変動とか特殊要因の影響を受ける可能性があるということ。また、前回の経営調査委員会の方でも御指摘いただきましたが、調査対象期間を1年分とすれば、決算値等を利用できるため、数字の正確性が高まるのではないか。そうしたことから、1年分の収支等の状況を調査することとしてはどうかということ。

 また、経営概況調査については、改定前後の年における収支等の状況を比較することによって、改定の影響を把握するという観点から、2年分、複数年の把握をすることとしてはどうかというところでございます。

 丸の3つ目、「なお、上記の場合にも」と書かれておりますが、こちらは資料2の1ページをご覧いただきたいのですが、「介護事業実態調査等に関する主な意見」の右側の欄でございます。

 9月18日に開催した介護給付費分科会においては、概況調査と実態調査というものが比較できないので、まだ少し改善が必要ではないかとか、概況調査と実態調査を定点の調査として、同じ事業所を対象にすればいいのではないかという御意見をいただいております。

 そうしたことから、資料1に戻っていただいて、丸の3つ目でございますが、そうした場合でも、基本的に調査の役割分担として、概況調査というのは改定前後の概況を把握する。実態調査は、直近の収支差率を把握する。そもそも調査の役割分担がありますということ。

 また、ポツの2つ目でございますが、概況調査や実態調査の有効回答率というのが、今でも40から50%程度である中、同一の事業所に2回の記入者負担を求めることには慎重である必要があるということから、同一の事業所に2回書いていただくとか、定点調査とする、いわゆる一致させるというところまでは行わないということとしてはどうかということでございます。

 おめくりいただいて、3ページ、4ページ、こちらはこれまでの経営調査委員会でつけさせていただいている見直し後のイメージとかスケジュールでございます。

 また、資料をおめくりいただいて、5ページ、6ページでございますが、こちらも従来からつけさせていただいている資料で、経営実態調査の概要、それと経営実態調査、概況調査、あと医療経営実態調査、そうしたものを比較できるように横に並べたものでございます。

 6ページをご覧いただきますとわかるとおり、真ん中のあたりに調査対象施設数というのがございます。概況調査については1万6,000弱、経営実態調査については、ほぼその倍という箇所を調査しているということで、こうしたことから調査対象の施設数も非常に多いことから、定点とか同じ事業所ということもなかなか難しいのではないかと考えております。

 おめくりいただいて、7ページでございます。こちらについては「キャッシュフローの把握について」というタイトルを書かせていただいておりますが、これまで経営調査委員会や分科会では「法人単位での収支の把握について」というタイトルで書かせていただいておりましたが、法人単位の収支の把握についてはあまり意味がないのではないかということから、論点を明確にするために、「キャッシュフローの把握について」ということで書かせていただいております。

 まず、丸の1つ目です。経営実態調査については、基本的には各サービスごとの収支等を調査対象としています。キャッシュフローについて把握することについて、どのように考えるか。

 丸の2つ目でございます。サービスの費用等についての実態を明らかにする。そして、報酬設定のための基礎資料を得るという介護事業経営実態調査の目的に鑑みれば、キャッシュフローについては、そもそも調査事項に含めないということも考えられますが、一方で、法人さんは借り入れ等を利用して経営しているケースが多い。そういった実態を把握するためには、キャッシュフローの把握が必要であるという意見がありますということでございます。

 また資料2の2ページ目でございますが、前回、介護給付費分科会の方でいただいた御意見としては、法人税を払っていない社福と営利企業では不平等があるだとか、医療においても公立病院や社会医療法人、それと医療法人の不平等がある。そういったことから、医療経営実態調査でもキャッシュフローを調査することにしたので、同様に介護事業経営実態調査でもキャッシュフローを把握すべきではないか。また、過大な借入金で運営している。減価償却費で借金を何とか返済している。少なくともキャッシュフローについて把握していただきたい。

 そういった御意見をいただいていることから、資料1の方に戻っていただいて、対応案というところでございます。

 まず、キャッシュフローについては、介護事業経営実態調査について、基本的には各サービスごとの収支を調査対象としていることから、まず各サービスごとにキャッシュフローを把握することとしてはどうか。

 丸の2つ目でございます。把握する対象として、調査対象サービスについては、建物等の取得にあたって相当程度の投資が見込まれるサービスとしてはどうかということ。

 丸の3つ目でございます。介護サービスについては、様々な主体が担い手となっている。そうした状況で、各法人が用いている会計基準についても様々で、必ずしもキャッシュフロー計算書というものは作成していないことが見込まれるということ。

 また、ポツの2つ目でございますが、概況調査、既に御説明させていただいたとおり、2年間の収支の状況を把握する場合には、これまでより記入者負担の増加も見込まれる。

 そういったことから、基本的には従来の介護事業経営実態調査で把握可能な調査項目に加えて、必要最低限の調査項目を追加することによって、簡易なキャッシュフロー、長期借入金の返済の支出のみを把握することとしてはどうかということでございます。

 8ページについては、それをイメージとして簡単に書いたものです。

 丸の1つ目でございますが、税引後の収支差額、いわゆる利益の部分とキャッシュで残る減価償却費。そこで借入金の返済が可能であるかどうかを把握する。税引き後の収支差額と減価償却費につきましては、従来の経営実態調査で把握しているもの。それに加えて、1つ新たな調査項目、長期借入金の返済の支出というものを把握してはどうかということでございます。

 続きまして、9ページでございますが、「収支等における介護報酬以外のものの取扱い」ということで、いわゆる介護保険外のサービスもあわせて提供されている。これは、一般的に特定施設入居者生活介護を想定していますが、現状、費用の按分が困難ということから、事業全体の収支を調査しているということで、報酬以外の部分の取り扱いについて、切り分け方も含めてどのように考えるかということでございます。

 対応案に書かせていただいておりますとおり、現行、来年行われる概況調査で、介護報酬とそれ以外を適切に切り分けるという方法は、すぐにはなかなかないだろう、困難だろうという御意見もいただいていますので、丸の2つ目でございますが、現行の取扱いをとりあえず継続しつつ、介護事業と他の事業とか、介護サービスの利用者とそれ以外の利用者といった費用の適切な按分方法について、調査研究等を行うことを検討してはどうかということを書かせていただいております。

10ページ目でございますが、「その他」ということでございます。

 こちらについて、まず1つ目として、いわゆる国庫補助金等特別積立金取崩額というものの取扱いについて記載させていただいております。経営実態調査においては、事業者が得た補助金に相当する部分を除外した事業活動に関する収支を把握するということから、取崩額を収入からも支出からもともに除外している。そういったものについて、これらの取扱いについて、どのように考えるかということでございます。

 前回の経営調査委員会でも御意見いただいたとおり、取崩額について、収入としては入ってこないキャッシュである。一方、支出の方も減価償却費から相当の支出があるわけではないので、現行の考え方でいいのではないか、公平ではないかという御意見をいただいているところでございます。

 対応案というところで、実際、大きく取扱い、考え方を変えるわけではないのですが、丸の1つ目でございます。取崩額については、相当する額の現金を得るわけではない。一方、減価償却についても、いわゆるキャッシュアウトがあるわけではないことから、現行の取扱いのとおりとしつつも、一方、今年度から全ての社会福祉法人が新会計基準に移行されているということから、同様に実態調査においても取崩額の項目を、今まで収益に計上していた部分から費用に移行。費用の控除項目としてはどうかということでございます。

11ページ、12ページ、ご覧いただくと、イメージとしておわかりいただけると思うのですが、従来、見直し前の経営実態調査の集計項目では、介護事業収益の中に(4)と書いてありますが、収益部分に特別積立金取崩額というものを計上して、一番下、収入のローマ数字1の(4)で収入からマイナスしていると同時に、支出の方からもマイナスする形で差引の収支差率を出していた。見直し後という方をご覧いただきたいと思います。赤く書いてありますローマ数字2の(3)で、費用の中にマイナスで計上し、費用の中から控除するという取り扱いに変えてはどうかというところでございます。

 最後になりましたが、「その他」ということで、税等の費用を控除する前の収支差率を用いているというところで、前回の経営調査委員会の方でも、そもそも課税・非課税のあり方は、この経営調査委員会の方で議論すべきではない。議論する項目ではないのではないかという御意見をいただいております。それを前提にでございますが、課税・非課税と介護報酬との関係について、どういうふうに考えるか。

 その他、回収率や有効回答率を上げる取組について、どのように考えるかということでございます。

 それで、対応案の丸の1つ目でございますが、経営実態調査については、基本的には介護報酬を中心として収入がサービスに要する費用をカバーできているかを把握するための調査ということで、現行、税引前の収支を用いて、収支差率を表示してきている。

 一方、課税後の額についても、基本的には経営実態調査で法人税等の額も把握し、税引後の収支差率もきちんと調査しています。そうしたことから、基本的に今までは原則、税引前の収支差率を用いて収支差率をあらわしていましたが、現行の税引前の収支差率にあわせて、税引後の収支差率というのもある程度表に出るような形で、今でも公表資料の中には書いてあるのですが、目に見えるようなところで収支差率もきちんと記載することとしてはどうかということでございます。

 その他、最後の丸でございますが、回収率や有効回答率を上げる取組については、有効回答数が少なかったサービスとか記入不備が多く見られた調査項目、そういったものを中心に、来年実施する概況調査に向けて、さらに改善を図ることとしてはどうかということでございます。

 長くなりましたが、済みません、資料1の説明は以上でございます。

 

○田中委員長 ありがとうございました。

 では、ただいま説明のありました資料について、議論が混乱しないように、前回同様、論点ごとに議論してまいります。

 初めに、「1.調査対象期間等について」、1ページから6ページまでについて御意見、御質問がありましたら、お願いします。

 藤井委員、お願いします。

 

○藤井委員 論点1に関しては、お考えいただいているものは基本的に十分納得できるものだと思うのですけれども、まず概況調査がかなり大きく変わることになると思うのですが、2ページにも書いてありますように、介護報酬改定の前後の年における収支状況を比較するという観点になってくる。性格がそういう性格になり、目的もこういう目的になるという前提で、この調査を捉えてよいのかどうか、そういうおつもりでおやりになるのかどうかという質問でございます。

 それとともに、経営概況調査、経営実態調査という名称でございますが、調査というのは名称が非常に重要でございまして、回収率を上げるという話がございましたけれども、客体にとって何の目的でやるかといったときに、まず見るのはタイトルでございますので、露骨に言うと、概況調査が、「介護報酬改定影響調査」という名前になるのではないかと思うのですけれども、少なくとも概況と実態というのがそぐわなくなっているように思うのです。

 このあたり、今までの概況と実態というのは、概況がこういう目的を持ち、実態がこういう目的を持ちというのは必ずしも明確にしていなかったと思うのですけれども、母集団が少ない中で、ある程度の大まかなことを把握しておいて、報酬の改定の作業をお進めになる材料にされるのが概況で、最終的に様々な判断をされるときに、より精緻なデータを把握されるのが実態であるという側面と。

 それから、ちょっとまた別の論点のお話ですけれども、報酬改定された1年目というものは、医療の診療報酬ですとかなり早く対応するケースが多いと思うのですが、介護ですと、まだ対応が遅い。報酬が変わったのであれば、この加算をこういうふうにとって、こういうふうに動くべきであるとか、行政からのメッセージがこういうものだからこそ、こうやって対応しようというものが遅いように思うのです。にもかかわらず、診療報酬は、これまで4月実施ではなくて、8月実施とか、後ろにずれるものが多いわけでございますが、介護報酬は、前回の改定は一部違いましたけれども、基本的に4月実施が非常に多かったということもありまして、初年度の値がが多少ぶれる可能性はあるのだろうと思います。

 それをデータを見る上で注意しなくてはならないという指摘をさせていただきたいとともに、本当に介護報酬の改定の影響をやる調査として、概況調査を位置づけるのか否かという点について、どのようにお考えかについてお聞かせください。

 

○田中委員長 名称を含めて、とても大切な質問です。お答えください。

 

○説明者 まず、名称につきましては、中身を変える、やり方を変えるというところを先に検討していて、藤井委員、御指摘のとおり、名称を実際変えるかどうかというのは、議論していなかったところでございます。

 それで、今回、実態調査と概況調査ということで、性格もここに記載させていただいているとおり、実態調査につきましては、直前のタイムリーな収支の状況、概況調査につきましては、改定の影響を調べるということで、改定後1年目、2年目を比較するということでやっていきたいということでございます。

 あと、前回、経営調査委員会のときにも御指摘いただきましたが、例えば主体が変わったり、規模が変わったりということで、なかなかうまく比較できないところもあるかと思うのですが、そういったところは規模感とかを変えないで、比較できるようなデータをとって把握していきたいと考えております。

 以上でございます。

 

○田中委員長 改定前後のデータを比較する作業は、確かに今までと意味が違いますね。

 今、藤井委員が問題提起した点に対する賛成、反対というのも変ですが、追加の意見を含めて、他に。千葉委員、どうぞ。

 

○千葉委員 私も藤井先生のおっしゃるとおり、まずは目的が何なのかというのをしっかりしないといけないと思います。ただ、今までの事情というのを振り返ってみると、今まで概況調査、実態調査としていた一つの背景は、実態調査というのは報酬改定の一番大きな影響というか、参考にされるデータということで、できるだけ速報性があるというか、早いものが欲しいということで、当時ですと、やむなく3月の単月調査ということになっていった。

 ただ、単月だと、確かに今回も問題にしていますけれども、いろいろな意味で季節変動とか、単月ゆえに出てくる特殊要因みたいなものが入ってしまうだろうということで、それを補う措置として概況調査というものを年間決算で、やってきたという経緯があったかと思っています。ただ、ICTとか処理の技術とか、または法人側の調査に対する習熟、いろいろな状況がそろって、実態調査についても決算でできるようになる。ただし、これは直前ということで、集計の技術的・物理的な限界から、一発で2年やるというのは無理ということもあって、今回のような提案になっているのだろうと認識しています。

 そういう意味では、事情が変わってきたというか、環境が変わってきたことに適切に対応して、今回の見直しになったのだろうと考えるのですが、名称は確かにおっしゃるとおり、問題はあるかもしれません。ただ、あえて屁理屈を言うとすれば、サンプル数の違い。概況というのは、変化を見るのが一つの主眼だけれども、そのものを見て、何か意思決定にというほど大きなものではないということで、中間年次の補足という形でやる。ですから、今までもサンプル数として6,000という数字がある。

 一方、実態調査というのは、サンプルの誤差というものをできるだけ減らすためにも、多くのサンプルを確保しながら調査する。今までですと1万6千あまりということですから、あえて名称にこだわるつもりはないですけれども、概況たる由縁というのはサンプル数的にアバウトだという考え方を持ってもいいのかなというのが1つ。

 もう一つは、調査の受け手としての側面。これは前例主義である必要はないと思いますが、ある程度名称が定着している感もあるので、概況調査、実態調査という形で現場でも受け入れられているところもあるので、今さらその名前を変えることがあるのかなという気がちょっとしています。いずれにしても、そこは決めの問題だろうと思うので、何が絶対正しいということはないかと思いますが、私としてはそういう感じも受けました。

 以上です。

 

○田中委員長 他の委員のお考えも伺っておかないと、後で介護給付費分科会に報告できませんので、1カ月分調査から2年分になったことの意味、名前を変えるほど大きい変化なのか、そうでもないのか、いかがですか。

 山本委員、どうぞ。

 

○山本委員 確かに目的が一番重要かと思いますので、目的をしっかり定めた上で、そこに焦点を置くということであれば、名称を変えるということも重要かと思うのですけれども、今、そこまでの議論というのでしょうか、他の目的も含んで、過去の経緯もございますので、私個人としては、名称を変えるというところまで必要なのかどうかというのは、未定のところではございます。そういう意味で、どちらでも目的に沿って対応していただければと思っておるところでございます。

 

○田中委員長 堀田委員、お願いします。

 

○堀田委員 調査の名称については、目的に照らして変えた方がいいのかどうなのかということを御検討いただければと思うのですけれども、改めて、名称をそのままにするかどうかは別としても、それぞれの調査の位置づけと目的は明確に御説明いただいた方がいいかなと思います。このプロセスにかかわらせていただいていると、こういう調査をもとに、こうやって決まっていくのだなということが何となく普通のことになっているわけですけれども、何をもとに、どういう議論をして、何のためにやるのかということが改めてしっかり伝わるようになるということは、とても重要かなと思います。

 それから、名称のこととは離れますけれども、論点1は、全体的にこの方向性で現実的には賛成ですが、1点だけ念のため確認として、前回の介護給付費分科会の資料2の意見でも出されていましたけれども、現実的には概況調査で2年分で、実態調査で2年目の単年分のデータと認識しておりまして、客体は変わってしまうことになるだろうと思いつつも、一応確認で、実態調査の方で3年分振り返ってデータを把握するというのは、客体は変えるとして、改定後2年目のデータだけではなくて、26年度、27年度、28年度の3年分のデータを実態調査の調査対象に対して聞いてみるということは難しいという御判断だと理解してよろしいのでしょうか。

 

○田中委員長 お答えください。

 

○説明者 4ページをご覧下さい。従来、経営実態調査、中段のところでございますが、単月の場合は3月末に資料を配付して、4月中に書いていただくということで3万3,000箇所調査していたわけですが、今回、決算の数値を利用するというところから、早く始められても4月の末に調査票配付。5月中に書いてくださいというのが、最大限早くお願いして、このタイミングかと。そういうふうに考えると、集計期間としては4カ月、経営調査委員会なり分科会の取りまとめが前回と同様の時期だと想定すれば、督促・集計に係る時間も短くなってしまう。そうした中、3年分振り返って決算の数値を書いてくださいというのは、なかなか時間がかかるのかと考えております。

 また、決算書は、2年分というのは、基本的には27年度決算と26年度決算は並べて表記されると思うのですが、3年分というと違うものを引っ張り出して3年前のものを書かなければいけない。記入者さんの御負担もなかなか大変かなというところもございまして、今回、3年分ではなかなか難しいので、実態調査については直近の1年分、概況の方で2年分を把握するという形で御提案させていただいております。

 

○田中委員長 井口委員、この名称の件、いかがですか。お願いします。

 

○井口委員 名称と目的について、各委員の皆さんから御指摘あるいは御提案がありました。私もその点については、改めて踏まえて見る必要があるのかな。かといって、これ以上のネーミングが果たしてあるのかなと思うところはあります。

 調査して、状況をよりよく把握するという点では、1年もしくは2年でということについては非常にいいのですけれども、一方では有効回答率が半分以下だということについても、本当は調査としてどうなのかなと思います。ですから、記入者の負担ということはもちろん考えていかなければならないので、そのあたりについて十分踏まえて、次の調査についてはしっかり対応していく必要があるのかなと思っています。

 

○田中委員長 他によろしゅうございますか。概況調査の方で2年分、実態調査の方で1年分という大きな変化については、特段に異論がなかったように感じます。

 老人保健課長、お願いします。

 

○佐原老人保健課長 老人保健課長でございます。重要な御指摘、ありがとうございました。目的については、非常に重要なことだと思います。

 ちょっと確認させていただきたいというか、御意見いただきたいと思います。従前、概況調査については、改定後のざっとした影響を見るということでやってきたわけですが、今回、例えば26年度と27年度、改定の前後の比較をするということになりますので、こちらに書いてありますとおり、改定前後の影響を把握するということを目的としてつけ加えるべきだと事務局としては思っています。先生方の懸念は、そういうことを入れるべきだということなのか、それともこの調査のデザインでは、前後の比較というのはできないのではないかということなのか、そこはいかがなのかなと思い質問させていただきます。

 

○田中委員長 藤井委員、お願いします。

 

○藤井委員 私の意図は、前後で比較し得ると思うのですが、今の介護事業者の状況を見ますと、医療系はそうでもないのですけれども、専ら福祉系というのが報酬への対応が必ずしも早くない状況がございまして、26年度4月当初は様子を見ながらみたいなところがございまして、7年、8年に行くに従って、この制度に適用するといった面もございます。

 安易にそう理解いたしますと、26年度が適用できていて、27年度ができていないということでもあったりいたしますので、影響調査ではあるのですけれども、これを果たしてそのまま素直に、これだけ下げたこと、あるいは上げたことがこう反映されているから、今後どうすべきだという議論につながるかどうかという点は、慎重であるべきかなという気がしておりまして、私自身とすれば、2年分を正確に把握できるものではないというただし書きがあった方がいいのではないかという意見で申し上げました。

 

○田中委員長 課長からの問いかけに対して、他にいかがですか。

 

○千葉委員 懸念という意味では、確かにちゃんと知り得るかどうかというのは、藤井委員がおっしゃられたような要素も少なくはないかとは思うのでありますが、そうは言っても、他の手だてもないわけですし、むしろ何もやらないよりは、このぐらいやっておいた方がましという言い方はおかしいですけれども、より適切な方向性を誤らない予備調査にはなるのではないかという気はします。

 仮に適用が医療法人のようになっているか、なっていないか、これは確認してみないとわからない事実ですし、我々も貸付先のデータをとっている中で見ると、そうなのかなと思えるようなところもあれば、結構いいリアクションをしているなと思うときもあるというのが1点あるのと。

 もう一つは、それ以外の要素も、経済情勢とか、いろいろな環境要因もありますから、この報酬改定だけの要因に特化した調査というのは、よほどデプスインタビューとかをやらない限りは、こういうマスの調査では難しいところが当然あると思うのです。ですから、そこはどこまでをある意味割り切るというか、前提として、そういう誤差があるということを踏まえて考えておくぐらいでいいのではないかと思います。だから、完璧なものはいつのタイミングになっても多分無理なのではないかと思うので、そこは分析に際して前提を少し置いておけば、それで足りるのではなかろうかと思います。

 

○田中委員長 他にいかがですか。

 2年間とることは、改定の影響もあるけれども、それだけではなく、様々な事情があるので、読み方も気をつけた方がいいという感じでした。調査することには意味があるけれども。

 どうぞ、藤井委員。

 

○藤井委員 千葉委員のおっしゃったことは、私もそのとおりだと思います。このやり方以外はちょっと考えにくいので、まずやっていただくということですけれども、私、実を言うと、堀田委員のおっしゃったように、3年とってしまうとその辺がわかるのではないか。でも、難しいだろうなと思っていたものですから。

 そういう意味で、2627を比べる際に留意しておくべきことは、2年間で、施設系だといいのですけれども、在宅系ですと、例えば単価が上がった、下がった等で利用者が増えた、減った、稼働率が上がった、下がったという問題が、まずサービス量の変化がかなり大きくなるケースがございます。施設でもあるかもしれません。

 それから、コストの面で必ず対応いたしますので、この後の議論につながる話ですけれども、有料老人ホーム等では、今回の改定で食事の質が非常に落ちたという話を聞くものですから、これは本来いいことではないのですけれども、そうすれば、今度は逆に、報酬は下がったけれども、損益はそうでもないみたいなことも見られますので、そういった点をかなり細かく見ないといけませんし、そうしますと、どういうデータをとっておかないと比較できないかということもございますので、比較する際に、単にこの2年を今までのようにとればいいということではない。そういった要素を一つ一つ外せるような調査票にしなければいけないということになると思います。

 以上です。

 

○田中委員長 堀田委員、お願いします。

 

○堀田委員 直接的な御質問に対しては、恐らくお二人がおっしゃったことと同じになると思うのですけれども、報酬改定の影響を調査することを目的とするというと、他の要因もいろいろと入るし、対応もまだ遅れている場合もあるので、わからないのですけれども、報酬改定を挟む前後の経営状況の変化について調査するということは正しいことではないかと思います。その要因としてはいろいろあり得るのだけれども、報酬改定前後の経営状況の変化について把握するということは、言い過ぎではないかなと思います。

 実際には、この概況調査と実態調査の回答事業所の、もし重複があれば、それをひもづけすれば、少し精緻に分析できるわけですけれども、それらも多分時間的に難しいとすると、先ほど申し上げたような目的にしておくのが妥当ではないかなと思います。

 

○田中委員長 ありがとうございます。データの読み方に注意すれば、他に方法があるわけではないから、これは一応きちんととって、それを読むときに注意深く分析すると言っていただきました。

 1については、よろしゅうございますか。

 それでは、7ページ、8ページ、「2.キャッシュフロー」について御意見、御質問があればお願いします。これは、前回のこの委員会での事務局提案と違って、特養、老健、介護療養型についてはキャッシュフローも調べてはどうかという提案になっています。

 いかがでしょうか。千葉委員。

 

○千葉委員 キャッシュフローについては、そういう指摘というか、資料2にあるような指摘も踏まえると、調査しないよとばっさり切るのもどうかと思うのですが、ある意味、資金、ファイナンシングの状態を見ておくというのは、確かにあるのかもしれない。ただし、余り積極的にファイナンシングのところをとる意味があるのかなという気が私はします。

 というのは、キャッシュフローがうまく回るかどうかというのは、結局、それを支える金融、いわゆる銀行なり、福祉医療機構も経営資金とかありますが、そういうものでちゃんと資金が融通されるかどうかというところに肝があるわけで、例えば返済のための借りかえとかをして、その返済で利息もついている。その利息も含めて借りかえると、それは財務バランスを崩していく、悪化させる要因になりますが、少なくとも元本分だけを乗りかえていくだけであれば、通常、企業がやっているファイナンシングとは何ら変わらないわけでありますので、要はキャッシュフローがうまく回るかどうかというのは、銀行の貸し出し態度がどうなのかというのを見ているような気がしてならないのですね。

 そういう意味では、この介護実調として、それを把握するというのは、経営の状況をつかむということで、その資金繰りがちょっとタイトになってきて、経営リスクを抱え出しているというところをつかむところまではいいのですが、では、どうするのか、介護報酬で何かするのですかというと、私はそこのところについてはちょっと違うのかなという気がしております。

 一応、そういう意味ではキャッシュフロー的にいろいろな考え方があるのでしょうけれども、経営の中でボリュームがあって、経営リスクとしてなりやすいものというと、資本的支出に関するキャッシュフローだろうと思うので、そういう意味ではとらないというよりは、経営の状況をつかむというのが概況調査等々の実情だとすれば、これは積極的に絶対入れるべきではないというところまでは言う必要もないかと思うので、とるならとってもいいでしょう。

 ただ、キャッシュフロー計算書を全部とらせようとすると、まさに資料にもあるように、記入者負担は多くなりますし、その割に余りメリットがある調査項目でもないのではないかと考えますので、資本的支出の中で、最低限でリスクとして要因になりやすいものというと借金返済ですから、ここにあるような長期借入金の返済支出ぐらいをとっておけば、私は十分かなという気がいたします。

 以上です。

 

○田中委員長 山本委員。

 

○山本委員 今、御指摘いただいたこととほぼ同じ内容になるのですけれども、そもそも損益計算とキャッシュフローというのは別の概念でございますので、損益計算というのは年々の損益の状況、企業収益の対応状況ですけれども、キャッシュフローはまたそれとは別の概念でございます。ですので、別の概念のものを同じ調査の中で混乱するような形で調査として情報収集してしまうと、見た方が誤解してしまうのもいけませんので、調査されるのであれば、それをわかるような形で調査項目として説明して、得たデータについても、それがわかるような形で分析して情報開示するという形が望ましいかと思います。

 8ページに、長期借入金返済支出をとってはどうかということではあるのですけれども、キャッシュフローを把握するという意味でいきますと、この返済の支出だけをとるというのは非常に片手落ちというのでしょうか、収入・支出、双方を伴ってキャッシュフローでございますので、この支出だけ、かつ長期の支出だけということになりますと非常に部分的な議論になりますので、それを把握することに意味がないということまでは申し上げませんけれども、とることによって何を説明したいのか。それが損益計算とどういうふうに関係しているのかというところを含めて、記述するような形で調査していかれる必要があるのではないかと思います。

 ここに書いてありますとおり、減価償却費と借入金の支出の関係でいきますと、例えば固定資産を買いまして、減価償却、耐用年数が10年です。借入金を同額借りて、それで返済します。返済期間が10年です。両方が一致していれば、減価償却と返済の期間がイコールになりまして、非常にわかりやすいのですけれども、通常は借入金の返済期間の方が短く設定されますので、返済の方がどうしても先に出てしまって、資金繰り的に言うと負担が大きいように見えるのですけれども、返済が終わった後は減価償却費だけが発生して、その減価償却費の内部留保効果によって、その分のキャッシュフローがまた蓄積されるという形で、キャッシュフローと損益計算、期間のずれが発生します。

 ですので、そのあたりも考慮しながら、この数字をどのように把握して分析していくかというところを説明されてはどうかと思います。

 

○田中委員長 藤井委員、お願いします。

 

○藤井委員 今、千葉委員、山本委員がおっしゃったとおりだと私も思います。

 今、千葉委員がおっしゃったように、これをとってどれぐらい意味があるかという問題はあるのですけれども、定点的にといいますか、しばらくとってみると、これの変化はそれなりに意味が読み取れるかもしれないなという気がしつつ、聞いておったのですけれども、山本委員、おっしゃるように、何年で借入しているか。社会福祉法人であれば、ほとんどが福祉医療機構さんから借りられている。

 福祉医療機構さんの方では30年というのもあるのですけれども、20年で返しておられるケースが多いように思いますけれども、20年で返すか、30年で返すかで全然違うわけですけれども、とにかく借りられた側が何年で返すというファイナンスという経営主体の意思云々にかかわらず、返せているか、返せていないか。経営主体とすれば、早く返したいに決まっていますので、それを可能とする報酬を設定するというのはあり得ない話だと思います。

 でも、ここで何年で借りましたかということを聞き始めると、もっと聞きたいことが増えてまいりまして、これを聞いて何か変なものの蓋を開けることしかないのではないかという気は大変してしまうわけでございます。というのが1点。

 ただ、もう一点は、現に借入金の返済が危なくなっている法人というのは、そう多くはないだろうと思います。ただ、一部にはあるという御懸念を給付費分科会でされているのではないかと思います。しかし、むしろ、借金を返し終わって借金はないですよという法人も多いですから、平均をとって示せば、借入金返済はうまくいっているねとしか言えないものになると思うのですけれども、逆にうまくいっていないところがどういうところなのかという研究が、きちんとベースでないところに数字だけをとるというのは、何か誤解が生ずる以外の何物でもないのかなという気が非常にいたします。

 一旦、これ程度はとってみようかなでは、御負担にもならないと思いますし、反対するものではないのですけれども、各主体によって、特に社会福祉法人であれば福祉医療機構さんにほぼ完璧なデータがあると思うのですけれども、医療系の法人の方々がどういった形で借りて、返されているかというのは、福祉医療機構さんのところでお借りになっているところ以外も結構あるように思いますので、それなしに、これだけとるというのが、ちょっと怖いという気がいたします。

 これは、医療経済実態調査の方でもやられるということではないかと思うのですけれども、医療経済実調の病院・診療所の話と、こちらですと主は老健になると思うのですけれども、老健の話もある。これは随分違いますので、借り入れる側の意思も違いますので、同時に基礎的な調査なり何なりをされないで、データだけとって、このデータをもとに語られるというのは、少し危険な気はいたします。

 以上です。

 

○田中委員長 堀田委員、どうぞ。

 

○堀田委員 この経営実態調査で最終的におとりになるかどうかは御判断をお任せなのですけれども、論点1で申し上げたことと重なるのですけれども、世の中の方々は、少なくとも現段階では、この経営実態調査というのはかなり直接的に介護報酬改定に影響すると認識しておられて、そこで新たな項目をとるということは、これを何らか報酬改定に反映するということではないかということを普通は期待することになるのだと思うのですね。報酬改定に向けての基礎資料として、少なくとも数字の面で、どこで何をとって、それをもとに議論するのか。もちろん、そうではない要素もいろいろあると思いますけれどもね。

 とはいえ、この調査というところでどういった経営状況を見て、それを参考にするのかということを明確にした上で、そこは特に参照しないのだけれども、経営のリスクなり何なりを調べておく必要も、もちろん給付費分科会の委員の皆様の御指摘のようにあるので、だから、これは報酬改定に直接的にどうこうするものではないけれども、把握するのだということであればそうなのですけれども、そこはある程度きっちり議論しておかないと、経営実態調査に入れたのだったら、それも報酬改定に使うということが何となく暗黙の理解になっていくと、それはまたこの先、不幸なことになるかなと思います。

 いろいろな意味で先ほどと重なりますが、どういった調査で何をとって、そのうちの何を報酬改定の議論では使い、使わないものも一部あるけれども、経営リスクの把握とかのことも含めるのだということであれば、今の資料1の5ページにある調査の目的のところでも、そういった目的をこれも追加される必要があるのではないかと思います。

 以上です。

 

○田中委員長 藤井委員、どうぞ。

 

○藤井委員 堀田委員の話を聞いていて、事務局の御理解はあると思うのですけれども、念のため1点追加しておきますと、医療と介護は資金繰り、特にハード、長期の借り入れに関しての考え方は大きく変わるべきだと思うのですね。医療というのは、非常に技術進歩も激しいですし、ある程度リスクをとっていきながら、借り入れをしながら、高い医療機器等を購入しながら、資金をまわすという行為を伴いますので、一定の経営リスクというのはとらざるを得ない状況にあると思いますし、医療の場合はそういったところで競争が行われていると思います。

 ところが、介護の3施設に関して言いますと、もちろん地域包括ケアに向けてイノベーションというのはあるのだと思いますけれども、ここに伴って大規模な投資が必要とされるとかではなく、むしろ施設をつくるのをやめて在宅に出ようということになりますと、投資が要らなくなってくるかもしれないということで、そういった資金のリスクを本来とるべきではないはずですね。

 それは様々な状況があるので、リスクをとっておられるケースがあるのかもしれないですけれども、介護の世界で長期借り入れが返せなくなるようなファイナンスをやっておられるというのは、何か問題があるケースの方が私は多いのではないかと思うのですね。それを想定された上で、とる、とらないという頭をお持ちになった方がいいのではないかと思います。

 以上です。

 

○田中委員長 ありがとうございます。政策的インプリケーションを間違えられないようにしないといけないと、お二人に言っていただきました。

 これをキャッシュフローと呼んでいいかどうか、私は疑問なのです。経済学や会計学の世界でキャッシュフローとは、先ほど千葉委員が言われたように、キャッシュインフローも普通考えます。キャッシュフロー会計には入りませんが、藤井委員の言い方をすれば、先ほどの山本委員も、借金返済が終わってから後の減価償却分がキャッシュでたまっていたものを取り崩す方策もあり得ます。それから株式会社も含まれる以上、キャッシュフロー計算でキャッシュアウトフローには配当も入るわけですね。ここは長期借入金返済支出だけをとる。

 インフローはとらないし、配当は入れないし、借金返済だけだの統計を何と呼ぶか。擬似キャッシュフロー、簡易なキャッシュフローなど、別の名前にしないと、経済や会計の世界の人からすると、これはキャッシュフローではないと言われるおそれは強いですね。

 あと、テクニカルな私からの疑問。もし、この項目だけができなかった人の調査票はどうしますか。全部落としますか。それとも、キャッシュフローに関しては別建てだから、ここはうまく書けていなくても損益計算部分を生かすか、事前に意思決定しておいた方がいいと思いますけれども、どうですか。

 

○説明者 各委員の方、御指摘のとおり、この経営実態調査の目的が、基本的には各サービスごとの損益の状況を把握する。それが主目的であることは間違いございませんので、キャッシュフローの状況が書けていないからといって、きちんと記載されている損益の状況もアウトにするということは考えておりません。今、申し上げたとおり、経営実態調査については、各サービスごとの費用の実態を明らかにするということなので、いわゆる損益計算の部分をきちんと書いていただく。これは大前提でございます。

 ただ、分科会の方で御指摘いただいていることも事実でございますので、委員長がおっしゃられたとおり、これをキャッシュフローと呼ぶかどうかということはございますが、調査事項も増えるものですから、最低限、御指摘されている事項をこちらの方で把握して、それで同等のものというか、参考値的な形でキャッシュフローの方も少し数値を把握していきたいと考えております。

 

○田中委員長 藤井委員、どうぞ。

 

○藤井委員 今の点ですけれども、大変技術的な点ですけれども、長期借入金返済云々の項目を設けられると、借りていないところ、返したところは自分に関係ないと何も書かないというのが一般的に見られまして、「なければゼロと書いてください」とどんなに書いても無回答で返される。そして、それがエクスクルードされますと、平均するとやたら借りているということになりますので、何かやり方を考えないと、今度はデータが歪んでしまうということがありますので、その点、どうぞお気をつけていただければと思います。

 

○田中委員長 ゼロを外すと平均値が上がってしまうわけですね。

 千葉委員、どうぞ。

 

○千葉委員 いろいろな委員のお話をお伺いしたりして感じたのですが、結局、キャッシュフローとしての体をなしていない調査をとりあえずつくってみた。とりあえずとやるのだったら、なぜ今回の調査で入れなければいけないのだろうとだんだん感じてきました。むしろ、例えば資料1の9ページにも、ちょっと先の話になってしまいますが、介護報酬以外の取扱いというのは、対応案として調査研究を行いつつという形で取扱おうとされているではないですか。むしろ、そんなふうにして、こちらの委員会の結論としてもいいのではないかと思ってきたのですが、どうでしょうか。

 というのは、1つは、分科会での意見として、そのキャッシュフローが医療経済でやっているからという意見もある中で、先ほど藤井委員がおっしゃられたような医療とキャッシュフローの意味も違うし、また経営パフォーマンスにおけるキャッシュの意味も全然違ってくるという1点をまず置いた上で、しかもそれをとって調査対象者負担をかけたりして調査の有効性を落とす必要もない。

 もともとの目的からしても、キャッシュフローというのはちょっと木に竹をついだようなものになるとするのであれば、むしろこれはこれで老健事業の補助金調査研究で、まずは掘り下げて、本当にそれでこれはまずいということだったら、むしろこの調査に入れるべきということになるのだったら、こっちに戻すとしてもいいのではないかと思うのですが、いかがでしょう。

 

○田中委員長 ありがとうございます。

 どうぞ、井口委員。

 

○井口委員 委員の先生方のお話を伺っていて、実は事務局は恐らく分科会でやれという意見があったから、仕方なくこういうものを出してきたのかなと思いますが、本来の調査項目に加えるにふさわしいのかなというと、なかなかそうとも言えない。どうしてもこれを把握する必要があるのだという方向になるとすれば、補足調査とか参考調査項目ぐらいにした方がいいのかなと思います。

 

○田中委員長 医療機関、医療法人という意味では、その中では介護老人保健施設が調べてほしいと言っておられるのですね。それは、医療と変わらないと言えば変わらないかもしれません。一方で、ユニットのうち1フロアだけが介護療養型で、その1フロアの借入金がどの部分かわからない、あるいは1フロアならまだしも、病室が3つ、介護療養型と届けている場合に、それに相当する借入金返済などわかりません。そして、福祉の特殊性はちょっと別とすると、老健は追加項目として調査してもいいかなという気もするのです。そうした考えがこの委員会側の意見ですが、どういうふうにまとめますか、難しいですね。

 

○説明者 

 本日いただいている御意見も、また、次回の給付費分科会の方に御意見として御提示させていただいて、給付費分科会の方で少し御議論をいただいてはいかがかと考えておりますので、御意見としてまとめさせていただいて、資料として提示させていただくという形でできればと考えております。

○田中委員長 全部冷たくシャットアウトするのも何だから、うまく入れつつ、しかし、本体調査に影響が出ないような形を探っていくしかないでしょうね。

 ありがとうございます。

 次、「3.収支等における介護報酬以外のものの取扱いについて」、これは1ページしかありませんが、何か御意見はおありでしょうか。これは前回と変わらず、この分については調査研究でまずは対応すべきだと書いてあります。

 どうぞ。

 

○藤井委員 済みません、前回、欠席いたしましたので、既に出ていた論点だと申しわけないのですが、特定施設等ということで、先ほどちらっと申し上げましたけれども、特定施設は何となく露骨に食事を下げているみたいな話が聞こえてくるのでございますが、グループホームや特養、老健でもないことはないのだろうと思います。その場合、補足給付を出しているところと、そうでないところ、これは話が全く違ってくるのだろうと思います。今の補足給付というのは、できてから枠組みは変更していないと思うのですね。

 本来、この額で正しいのか正しくないのかという補足給付というよりは、微妙な話ですが、あの値段でやっているはずだという前提の数字そのものがどうなのかという話になってくると思います。もともとの食事についていた報酬が高く、食事で儲けるという「食事差益」というものがあって、いかがなものかといって議論があったかのように思うのですけれども、現にその部分、食費、住居費といったものがどうなっているかというのは、実は結構大きな問題であろうと認識しております。

 ただ、ここに書いてあるとおり、実態調査であわせてとるというのはかなり難しい話であると思いますので、そもそも補足給付を決めたときの値というのが、当時はこういう委員会もありませんので、給付費分科会の議論等ではかなりあっさりと進んでいたかのように思います。何をどういった根拠で、どうしたかというのもさらっとしか書いていないものですから、どのようなことが行われたかわからないのですけれども、改めて、これは次期改定かどうかわかりませんけれども、見るべき値であるという認識につながる話ではないかと思いますので、特定施設というより、私は介護保険施設において、この問題は大きいのではないかと思います。

 以上です。

 

○田中委員長 今回の調査については、これでいいとのご意見ですね。

 

○藤井委員 はい。

 

○田中委員長 もう少し大きい話は別として、今回の調査にはこれは入れず、調査研究等を別途立てるようにという提案にいたします。

 最後、「4.その他」についてはいかがでしょう。特に、この国庫補助金等特別積立金取崩額の項目の変更、これは専門家である山本委員や千葉委員にこれでいいのかどうかを見ていただかないとならないですが、これでよろしいでしょうか。

 

○山本委員 こちらに書いてございます対応案の方で問題がないかと思います。先ほども御説明いただきましたけれども、次の11ページで会計基準の変更等もありまして、減価償却費から直接控除するという形の表記に変わっておりますので、従来ですと費用と収入に両建てされるような表示で、ある種収入側が入っているかのように誤解というのではないですけれども、しっかり見ればわかるのですけれども、そのように見えてしまうところを今回改善されるということですので、これについては会計理論上も問題ないものかと思います。

 

○田中委員長 千葉委員、どうぞ。

 

○千葉委員 今、山本委員のお話のとおりで、会計基準も変わって、全ての社会福祉法人については新会計適用、この27年度からなっていますから、それにあわせて、この調査票にするということを単に言っているだけにすぎないのではないかと思います。

 問題は、国庫補助金特別積立金取崩が出てくるのは、社会福祉法人の会計基準だけだと理解していますので、要は社会福祉法人会計基準が変わったから調査も変わりますというメッセージと理解して、これで問題ないだろうと思います。

 以上です。

 

○田中委員長 ありがとうございます。問題ないですね。

 どうぞ、藤井委員。

 

○藤井委員 1点、これも本当に細かい話ですが、今回の概況調査、26年度をやることに

なっておりますので、どれぐらい26年度に移行したか、よくわからないのですが、ここを混乱しないように気をつけていただければと思います。

 

○田中委員長 もう一つありまして、税引前、税引後の記載の話が最後のページに載っていますが、いかがでしょうか。

 

○千葉委員 この話は、確認ですが、資料2の2ページの一番右側の欄にある「法人税を払わない社会福祉法人と営利企業では、不平等がある」という、ここに対応したような考え方でいいのでしょうか。

 

○説明者 そうです。

 

○千葉委員 とすると、これは前回の繰り返しになりますが、法人税がかかる、かからないという判断はこの委員会でやるべきことでもないし、それは税制度の側の話だと思います。むしろ私としては、税金というのは、あくまででき上がった課税所得を税金として持っていくので、最後、留保がどれぐらい残るかという話のところですが、こちらの調査というのは、結局、原価調査というか、価格を最終的に準市場という形で決めなければいけないというメッセージからしたときに、要は費用を補えているか、全然足らずで単価が不適切なのかどうかというのをチェックするわけですから、そこまでの範囲なのであれば、むしろ税前のところの収支差として考えるべきものではないかと思います。

 ということで、前回も言いましたけれども、税引き前、今までやっている調査でいいのではないかと思います。

 以上です。

 

○田中委員長 どうですか。事業者側としては、逆にここが一番不満が強くて、税引前で利益が過大に見えて点数を下げられてしまったという気持ちがあるので、税引前とあわせて、税引き前を消せとの意味ではないけれども、税引後も載せてほしいとの御要望が強かったと理解します。追加でこれを入れることの是非ですね。変更ではないですね。追加するとの意味です。

 どうぞ、藤井委員。

 

○藤井委員 これは、老健単独の医療法人はそう多くないですし、介護事業だけやっている事業者も多くないですけれども、どういった形で税金を按分するという前提ですか。利益に応じて按分するという前提でございますか。

 

○田中委員長 事業所単位で払っているわけではないですからね。法人全体の税金を事業所にどう按分するかに関する御質問です。

 

○藤井委員 なぜかといいますか、病院が赤字だと、老健が黒字だといった場合に、払った税金の按分をどうするのだとか、いろいろあるのではないかと思うのですけれどもね。

 

○説明者 収支差で按分しております。

 

○藤井委員 そうしますと、実効税率的な発想でやられるのならわかる気はするのですけれども、今、申し上げたような、赤字事業があります、黒字事業は1つだけ老健ですといった場合に、相殺すると赤字なので税金を払っていないということが今、生じているわけですけれども、そういった場合には、ここは税金を払っていないということで処理されるということですね。逆で言いますと、赤字であって、他が儲けている。儲けている税金を赤字の方に乗せる。赤字だから乗せないことになるのか。乗せ方の議論が本当にそれでいいのかというのは、検討が必要かなという気がいたします。

 

○田中委員長 山本委員、お願いします。

 

○山本委員 乗せるか、乗せないか、つけ加えるか、つけ加えないかという意味でいいますと、参考情報としてつけ加えるのであれば、それはそれで意味があるのかなと思うのですけれども、本来の目的からしますと、この13ページにも書いてございますとおり、介護報酬をどのように実際のかかっている費用で賄っているのか。

 実際、かかっているコストとのバランス、介護報酬をどのように決めていくのかという議論の場ですので、そういう意味合いで議論するということでいきますと、課税・非課税というのは、まさにその議論とは別の議論というのでしょうか、政策的な議論でございますので、実際の介護サービスを提供する、しないとは直接関連するものではございませんので、それだから介護報酬を上げる、下げるという議論とは直接関連しないと思います。

 ただ、この議論の発端として、その費用を株式会社の方は社会的責任として負担しているということを参考データとして見たいということであれば、それを参考値として、そのような形で表示すること自体は、それはそれでよろしいのかなと思います。ですので、要はこの調査の目的からは直接的なものではないということを私としては感じております。

 

○田中委員長 これを入れろと主張をなさっているのは、むしろ医療側だと思います。これも先ほどのキャッシュフローと同じで、税金を按分することはすごい作業です。特に、企業系にとってみると、介護事業以外もしていて、それでトータルで法人税を払っていて、その分を介護事業だけに割り振る作業は、これは人工的な計算なのです。そうすると、そこができないから落ちる可能性があるので、税引後の利益についても、これは書ける人はにしないと、ここが書けないから損益計算全体が標本から落ちてしまうようなことがないようにしないといけない。付加的な調査項目であると、はっきりしておいた方がいいですね。

 

○説明者 今、御指摘いただいている法人税の額とか税引後の収支差の額は、これは従来、前回の実態調査とかでも調査していて、資料の中で数値として公表させていただいております。その上で、今、御指摘いただいたような税額の按分の方法とかは技術的な問題もございますので、次回、調査の際において、少し工夫して調査を引き続き実施させていただければと考えております。

 

○田中委員長 この大きい議題1について、いろいろと御議論ありがとうございました。よろしゅうございますか。

 次に移ります。議題2「介護サービスに関する消費税の取扱い等」を取り上げます。

 事務局から説明をお願いします。

 

○説明者 それでは、御説明させていただきます。資料3でございます。

 1ページでございますが、こちらは前回の経営調査委員会の方でも提出させていただいた、検討の進め方ということで、4月23日の給付費分科会、5月20日の給付費分科会の方の状況を記載させていただいております。

 2ページ目でございますが、税率10%引上げ時における対応に関する論点ということで、8%引上げ時における対応を踏まえて、どのような対応が考えられるか。こちらの方についても、前回御提示させていただいた資料と同様でございます。

 3ページでございますが、前回、9月14日の経営調査委員会と9月18日の介護給付費分科会でいただいた主な意見ということでございます。

 経営調査委員会については、基本的には8%引上げのときの対応を前提に検討するというのが妥当ではないかということが、前回の経営調査委員会の意見だったと認識しております。

 それに対して、介護給付費分科会の方では、丸の1つ目、消費税分の補てん分とサービス評価分を分けて、3%上がった分の対応を「見える化」しておくべきであるといった御意見。

 また、消費税の補てん状況の把握ということについても、医療と同様に把握することを考えるべきであるということ。

 その他、補足給付については消費税の補てんがないということ等々、幾つか御指摘をいただいております。

 続きまして、4ページの方でございますが、今後の検討に当たり把握すべき事項についてということで、幾つか論点を挙げさせていただいております。

 まず、いわゆる介護サービスの課税割合についてということでございます。

 1つ目でございますが、10%への引上げに伴い、施設・事業所の仕入れ等にかかる消費税負担が増大する。これを把握する方法として、いわゆる課税割合のデータの算出方法について、どのように考えるかということでございますが、御提案としては、具体的に前回と同様、来年行います経営概況調査の結果を用いて、いわゆる人件費割合とか非課税品目を除いた課税割合を把握してはどうかということでございます。

 5ページにつきましては、前回の経営調査委員会の方でも出させていただいた各サービスごとの人件費の割合、給与費の割合、課税費用の割合の表でございます。

 6ページ、丸の2、介護サービス施設・事業所における設備投資の状況ということで、高額投資の調査の関係でございます。

 論点の丸の1でございますが、8%の引上げに伴い、関係団体へのヒアリングを実施した。それとともに、施設・事業所の設備投資に関する調査というのを実施したが、今回も同様にそういった設備投資の状況を把握する必要性というものについて、どのように考えるか。

 丸の2つ目でございますが、前回の調査によっても、施設・事業所の高額な投資というのは、基本的には介護の分野では建物がほとんどであるということ。医療と比べても、総額・件数とも小さいということ。

 ポツの2つ目でございますが、年度による変動が大きいということ。そうしたことが前回調査で明らかになりました。そういった調査結果を基本としつつ、次回の対応では、直近の状況については、前回と同様に経営調査委員会等において関係団体のヒアリング等を実施することにより把握してはどうかということでございます。

 7ページ、前回の高額投資の調査の結果の概要でございます。

 例えば2の丸の3つ目、1件当たり1億円以上の資産に対する投資については、ほぼ全てが建物という状況。

 あと、1の丸でございますが、調査回答をいただいた施設・事業所の投資総額、例えば21年度は59億円、22年度は163億円、23年度は100億円と、年度によるばらつきが非常に大きいという結果が出ているということでございます。

 8ページでございますが、今後の検討に当たり把握すべき事項についてということで、3番、税率の8%への引上げに伴う介護報酬による補てん状況ということでございます。

 8%への引上げに伴う影響分を補てんするため、報酬へ上乗せ対応を実施した。この補てん状況を把握することについて、どのように考えるか。

 2つ目の丸でございますが、こちらは前回も御説明させていただいたとおり、基本的には前回の消費税改定に伴う介護報酬の改定においては、基本単位数への上乗せを基本としつつ、消費税負担が相当程度見込まれる加算についても上乗せして対応しているということ。

 また、先ほどと重複いたしますが、設備投資に関する調査結果について、基本的には事業所の高額な投資というのは建物が大宗。医療と比べても、総額、件数とも小さい傾向にあるということを踏まえて、今回、その補てん状況を把握する必要性とか実現の可能性について、どのように考えるかということでございます。

 9ページ、10ページにつきましては、前回の上乗せによる対応です。申し訳ありません、10ページ、参考4に「(訪問看護の場合)」と書いてありますが、これは「訪問介護」の誤りですので、ここ訂正させていただきます。

 それで、11ページ、先ほど8ページの方でも御説明させていただきました実現可能性というところでございます。

 前回、26年度の消費税改定を行う際には、平成25年度の経営概況調査結果をもとに改定を行ったわけでございます。前回のスケジュールでございますが、調査票配布が6月末、回収が7月末。督促・集計等々の作業をして、12月に給付費分科会に報告しています。今回、調査の項目も複数年を聞くということで、記入者負担も増える、回収も遅くなることが想定される中で、こういったスケジュール感で、並行して補てん状況の把握をしていくのもなかなか難しいのではないかということでございます。

 参考6につきましては、医療における対応についてということで、前回も御説明させていただきましたが、医療の方については、8%への引上げに伴う補てん状況を把握するということで、今年実施している医療経済実態調査を用いて費用の部分を把握するとともに、ナショナルデータベースの方から収入の部分を把握して、これらを比較することとしているという状況でございます。

 最後になりますが、12ページ、食費・居住費の平均的な費用額についてということで、丸の1つ目、基準費用額を定めるに当たっては、食費・居住費の平均的な費用額を踏まえて定めることにされていますが、消費税率10%への引上げに伴う基準費用額の水準の検討に当たって、食費・居住費の平均的な費用額の把握について、どのように考えるかということで、こちらも前回の消費税改定の対応と同様に、食費等については、調理員等に関する費用とか材料費。居住費については、減価償却費や光熱費をきちんと概況調査で把握しておくこととしてはどうかということでございます。

13ページにつきましては、食費・居住費の平均費用額についてということで、2512月の給付費分科会の資料より抜粋したものを添付させていただいております。

 説明については以上でございます。

 

○田中委員長 ありがとうございました。

 ただいま説明いただいた事項について御質問、御意見がありましたらお願いします。

 

○千葉委員 消費税のところですが、幾つかの点があって、最後の食費・居住費は後にして、とりあえず調査の受けとめ方の半分確認ですが、今回、診療報酬の方では、補てん状況というものを見ましょうという動きが一方にある。それに対して介護報酬をどう考えるかというのは、1つ考え方かと思うのですね。

 そのときにちょっと気になるのは、報酬構造の違いというのを、自分の理解が間違っているのかどうかわからないですけれども、診療報酬の場合、まるめ包括報酬の場合は別として、基本的には初診料とか入院基本料とか再診料があって、それから医療行為ごとに出来高でずっと積んでいく形になっていると思うのです。参考資料でいただいている方の9ページにも、8%への引上げに対する対応ということで、初診料なり再診料という、それぞれここに書いてあるものを、例えば医科診療報酬については手当てしています。

 逆に言うと、個別の出来高のところについて、これは対応がなかったと理解していいのかわからないですけれども、そうだとするのであれば、そこの部分でも当然材料費も使うだろうし、いろいろなものを使うだろうということで、そこのところのカバレッジがないのではないかという意見だったのかなと。仮にそうだとするのであれば、介護報酬の場合、これ自身が包括まるめ報酬そのものですから。しかも、基本報酬のところにそれぞれの経費構造を踏まえて一律乗せていますから、ある意味、網羅的に乗っている。補てんされていない部分はないのではないかと思うのですが、そこの認識が間違えているかどうか、ちょっと確認したいのですが。

 

○説明者 参考資料でつけさせていただいている、前回の2710月の中医協の資料、診療報酬における仕入れ税額相当分の考え方についての9ページの方をご覧いただければと思います。前回の医療の方の消費税引上げに伴う対応というものについては、こちらに書かれているとおり、医科の診療報酬につきましては個別の項目に消費税対応分ということで点数を上乗せしているということ。

 比較しまして、御指摘いただいたとおり、介護につきましては、従来、この場で御説明させていただいているとおり、基本報酬について、基本的には全ての項目について、かかる費用については対応させていただいている。個別の加算の項目についても、基本的には加算にかかる課税費用の割合というものを算出して、点数単位、1単位上げる必要があるものについては、全てその費用も含めて見ているということで、一定機械的な対応をさせていただいているというのが、医療と異なるところでございます。

 

○千葉委員 そういう意味では、補てん状況という意味での問題はなしとは言わないまでも、医療ほど本当に大丈夫かと、心配になるほどのことではないのかなという気がしていて、前回の取り扱いと同じように調査していき、またその中で、今後ヒアリングなり調査でもいいのですけれども、やる中で、前回と同じようにやっていけばいいのかと考えます。いかがでしょうか。

 

○田中委員長 藤井委員、どうぞ。

 

○藤井委員 私も千葉委員と基本、同じでございまして、千葉委員のおっしゃっていただいたことは、多分論点にもお書きいただいた方がいい部分があるのではないか。

 1つは、今、医療と違い、建物がほとんどだということでございますが、医療では益税・損税がどうしても発生しやすい。もともとの診療報酬構造が初診料・再診料ということで、診療科関係なくついておりまして、そもそも診療科目ごとのプラスマイナスがわからない状況で、ずっとやってきている。介護の方では、いろいろ問題がありつつも、各サービスごとに分けて見てきておりまして、各サービスごとに千葉委員がおっしゃったように手当てをやっておりますから、そもそも益税・損税が極めて起きにくいという状況があると。

 さらに加えますと、病院ですと、建物にしろ、食事にしろ、診療報酬の中に入ってくる部分が多いわけでございますけれども、介護の部分は3施設以外、全部外へ出してしまう。3施設もちゃんと見ているということですから、どう書くかは別として、介護報酬そのものを加算には乗せていないのですけれども、基本部分に乗せたということで、益税・損益が起こりにくいという基本認識があってもいいのではないかと、明確に書いていただいてもいいのではないかと思うぐらいです。

 以上です。

 

○田中委員長 ありがとうございます。

 山本委員、どうぞ。

 

○山本委員 4ページで課税割合についてと議論がございます。まさに補てん状況を見ていくというのがこの会の趣旨でございますので、課税売上割合がどういうふうに変化しているのかというのを、こちらにも書いてございますとおり、経営概況調査で年々状況を見ながら確認していく必要があるかと思います。

 今後のところで、どこまで課税売上割合が変化していくか、将来の予想については、前回の議論のときもなかなか難しいので、そこまで含めるべきではないということではございましたけれども、今後を考えますと、どのような形で課税売上割合に影響が出てくるかもわかりませんけれども、医療法については既に改正されておりますけれども、ガバナンスを強化していくという観点で、管理の部分、どのようにコストをかけていくのか。監査であったり、情報開示について、どのような形でコストをかけていくのか。

 その運営者の方々の運営の手法にもよるかと思うのですけれども、このあたりで課税売上割合がどのように変化していくのかというところも、今後の議論の中でしっかりと見ていく必要があるのではないかと、この4ページでは感じております。

 

○田中委員長 ありがとうございます。

 堀田委員、どうぞ。

 

○堀田委員 少し戻るのですけれども、基本的な考え方としては、千葉委員、藤井委員がおっしゃったことと私も同じで、先ほどの1つ目の方の議論とも共通ですが、医療の方を参照して介護もやってはというお話のことが結構あると思ったのですが、介護報酬と診療報酬のたてつけの違い、それからこの消費税に対する対応の違いというのをきちんと整理して、共通認識にするということがまず第1に必要ではないかなと思います。

 ただ、その上でも、前回の介護給付費分科会の中でも、この補てん状況の実態調査をもう一度すべきではないかという御意見を頂戴したことも、よく認識しておりまして、共通認識をもう一度つくった上でも、その補てん状況の調査というものが、そもそもシュール化という観点で、1つこれは事務局に質問ですけれども、8ページで、「補てん状況を把握する必要性や実現可能性についてどのように考えるか」と書いてくださっていますが、先ほどの御説明だと難しいということだと思ったのです。

 これを改めて、特に給付費分科会の御意見などを踏まえると、診療報酬等の性格、消費税の対応の状況の違いを前提としても行った方がいいとなった場合に、補てん状況を改めて調査するとなったら、これは概況調査とかに既に予定されているものに吸収して調査するということを想定しておられるのか。それとも別個に調査するということしか想定ができないのか。別個に調査するという場合には、11ページの参考5でも御紹介くださったところですけれども、他の調査との兼ね合いからスケジュールがどのように見込まれるのかということを、ちょっと教えていただけますでしょうか。

 

○説明者 お答えいたします。

 まず、補てん状況の把握について医療と同じような形で対応する場合、消費税率を8%に上げた平成26年度以降のデータを使わないと、把握が困難であり、そのデータというのは、次に実施する28年度の経営概況調査の結果を用いる。これは、27年度、26年度把握することから、28年度の経営概況調査の結果を使わなければなりません。

 ただ、先ほども御説明させていただいたとおり、概況調査の集計・分析作業と並行して、同じように概況調査の回答を得られた個々の事業所で、収入と費用における介護報酬の補てん状況を把握して、分析を並行してしなければならないというところが、問題であると考えております。

 それで、概況調査は、資料1の6ページに戻っていただきたいのですが、医療と同じように対応するにしても、前回の調査で医療が9,000弱の施設でございますが、経営概況調査については、その倍まではいきませんが、1万6,000ぐらい。そうしたところの状況を把握しなければいけない。それにあわせて、先ほども資料1の議題になっていますとおり、調査対象期間の見直し。複数年とるということ。そうしたことの影響も踏まえると、2812月までに行う対応方針の策定に間に合わない可能性があると考えております。

 

○堀田委員 そうすると、新たに別の調査をやるわけではなくて、既に議論をした、この介護事業経営概況調査のデータを用いて分析するならするということになるわけだけれども、それをやろうとすると、多分戦力を追加するか何かしないと、スケジュールがなかなか難しいということですね。

 ありがとうございます。

 

○田中委員長 千葉委員。

 

○千葉委員 1つは、過去を振り返って、8%のとき、どこまでちゃんとカバーできているかというのを確認することと。

 もう一つは、10%に上がるときに課税の範囲というか、その影響範囲がどこまであるのかというのを調査する。2つの要素があると思うのですが、過去の方については、先ほども申し上げたように、そこはそれでいいのではないか。むしろ、乗せるべきところにどれぐらいやるべきかというところを調査しなければいけないだろうと思います。

 もう一つは、過去を振り返るにしても、前回の調査を思い出せばそうなのですけれども、消費税非課税の事業者の場合、仕入れ税額控除とか、そういうものをちゃんと消費税に関する記帳もしていない中で、あくまでつかみで何ぼという、これは課税しそうな費目だというのをあてこでとらざるを得ないし、我々がそこの費目にターゲットを当ててやらざるを得ないので、ある意味かなりアバウトな指示にならざるを得ないのかなと思います。ということがあるので、調査対象が非課税事業者であるゆえに、そこのところの調査というのは引き続き難しいのではないか。だから、ある程度アバウトのところで見直していかざるを得ないのかなというのが1つあると思います。

 あと、細かい話ですけれども、新会計基準の社会福祉法人のところで1つだけ御留意いただきたいのは、人件費のところですけれども、今回の新会計基準は委託職員とか派遣職員というのは人件費の費目構成に入ると整理されているのですね。

 何が問題かというと、例えば給食委託のような形で調理員を含めて委託派遣されると、人件費部分と材料費部分を分けて、人件費部分については、人件費の方に計上しているケースがあるというか、通常、法則どおりやるとすれば計上されているはずなので、人件費だからといってアプリオリに消費税の対象ではないとして全部すぽっと抜くというよりは、人件費の中の委託職員給与費の部分は課税対象だと整理しておかないと、おかしくなってしまうということはちょっと御留意いただきたいと思います。

 以上です。

 

○田中委員長 山本委員。

 

○山本委員 ちょっと先ほどの発言の訂正なのですけれども、私、課税売上割合という表現をしていたかと思うのですけれども、今おっしゃっていただいたとおり、仕入れの中における課税の割合でございます。費用側の課税、どれが課税項目の勘定科目なのか、そうでないのかということでございます。私、先ほど用語が不適切であったかと思いましたので、今、聞きまして、訂正させていただきます。

○田中委員長 ありがとうございます。5ページの表の右端の列が課税割合ですね。

 藤井委員、どうぞ。

 

○藤井委員 先ほどの千葉委員の御質問に対しての事務局の御回答ですが、私も千葉委員と同様に、ヒアリングをしていただくにせよ、補てんが十分でないという話は聞いたこともございませんし、先ほど申し上げた理由で、そんなに重要性があるようにも思えないのですが、さはさりながら、2017年4月、今度予定されている10%になるときには難しいという御回答だったように思うのですが、逆に言うと、今度の平成29年改定のときに補てんされていない部分があるとすれば、あわせてという考え方はあり得るということでございますか。

 

○説明者 実際、先ほどのスケジュール的な問題をクリアしても、26年度の消費税改定分は消費税分として何点上がったか把握できますが、27年度改定で本体単価とか加算単価を改定しており、改定後の単価における消費税分というのを適切に把握するのは、なかなか難しいと考えております。

 それと、26年度の結果を用いて入りと出を仮に比較したとして、26年度の結果を用いて、29年度改定に何をするか。その辺は、また取り扱いが難しいと考えております。

 

○藤井委員 私、益税・損税によって、医療とかサービスに歪みをもたらすか、もたらさないかという話は結構重要な話だと思うのですね。今、おっしゃったように、介護報酬というのは各事業所の損益が適正であることを保障しなくてはならない。法律にありますように、費用に応じたものであるべきだと思うのです。そうしますと、極論しますと介護報酬改定でクリアされているので、今だけ見ればいいではないか、過去を見なくていいではないかという考え方はあり得ると思うのですね。

 ただし、過去の改定が何らかのディストーションを起こして、歪みを起こしていれば、それはもう一回戻してみる必要がありますねということはあると思うのです。ですから、改定前にやられた消費税改定に関して、そういうディストーションが起こっていないよということだけは確認していただいて、忘れていただくというのが一番理論上正しいように思うのですけれども、いかがでしょうか。

 

○田中委員長 起きていなければ、機械的にそれこそ課税費を割合に応じた淡々と計算するだけになります。そういう仕組みです。ここに提示されていることは、基本的に差し当たり特別調査ではなく、概況調査を活用する、それからヒアリングは行う、主な論点は。それについてです。どうぞお願いします。

 

○藤井委員 今、わかりにくかったのではないかと思います。問題は、ある事業においては益税、あるサービスにおいては損税、こういう状況がよくないというふうに申し上げまして、どこも損税だった、あるいはどこも益税だったというのであれば、がらがらぽんで大丈夫ではないかというのが私の申し上げた意味です。がらがらぽんというのは、過去の改定のことまで振り返る必要がなくなるのではないか。そこまで細かなことをやらなければいけないほどの影響は出ていないという意味です。

 

○田中委員長 消費税について、他に御意見はおありですか。

 事務局からよろしいですか。

 

○説明者 申し訳ありません。消費税の関係ではないのですが、1点、訂正をお願いしたいのですが、先ほど法人税額を調べるときに収支差の割合で按分していますと申し上げましたが、それは誤りで、収入の割合で按分しております。

 

○藤井委員 そうすると、赤字であった事業にも法人税が生じたという処理をされたということですかね。

 

○説明者 そういうことでございます。

 

○藤井委員 そういう、ある種一律にやるという手法はありだと思うのですけれども、今の日本の法人税は赤字だと、大体払わなくていいケースが普通だと思います。そうすると、そこで見る参考値というのはかなり歪んでいるということになると思います。法人税は、今、だんだん複雑になっていますので、複雑というか、わかりにくくなっている部分がありますので、ぜひ御検討していただく必要があるというふうにお願いいたします。

 

○説明者 次回調査に向けて、検討してまいりたいと思います。

 

○田中委員長 本体調査できちんと行うことと、参考資料としてとることの区別も議論されましたし、消費税については、医療と介護の報酬体系の違いから出発すべきだと皆さん、言っていただきました。

 ありがとうございます。

 では、特に他に追加がないようでしたら、本日御議論いただいた内容については、後日開催される介護給付費分科会に報告いたします。

 議題1については、次回の介護事業経営調査委員会において取りまとめを行います。

 議題2については、医療側の進展も踏まえつつ、引き続き検討を進めていくこととなります。

 以上でよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

 

○田中委員長 はい。

 なお、報告する資料については、私に一任していただくことで、これもよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

 

○田中委員長 はい。

 ありがとうございました。これにて閉会いたします。御議論に感謝いたします。


(了)

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