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2015年11月30日 第1回 喫煙の健康影響に関する検討会(議事録)

健康局

○日時

平成27年11月30日(月)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省 6階 専用第23会議室


○議題

1.座長の選出
2.「喫煙の健康影響に関する検討会報告書」作成について
(1)作成方針
(2)章立て
(3)執筆要領
3.その他

○議事

○古賀健康課長補佐 ただいまから、第1回喫煙の健康影響に関する検討会を開催いたします。構成員の皆様には、御多忙の折お集まりいただき御礼申し上げます。健康課の古賀と申します。よろしくお願いいたします。開会に当たりまして、健康課長の正林より御挨拶申し上げます。

○正林健康課長 皆様、おはようございます。健康課長の正林です。先生方におかれましては、大変お忙しい中、今日この会議に御参加いただきまして、誠にありがとうございます。たばこと健康についてまとめた報告書ですが、今から1314年前になると思います。かつては、たばこ白書という形で、何回かまとめて世に出していました。正にたばこと健康について、特に健康影響について、科学的知見を取りまとめて世に出して、世論に訴える、あるいは様々なたばこ対策に生かしていく。そんな形で過去、何回か出してまいりました。非常に個人的ですが、私は前回出したときに生活習慣病対策室の室長補佐として、たばこと健康の報告書の作成に携わらせていただきました。

 あれから1314年たって、この間、たばこを取り巻く状況は大分変わったと思います。一番大きかったのは、健康増進法が制定されて、第25条の受動喫煙防止措置が規定されたこと。もう1つ大きいことは、たばこの国際的な条約が成立し、日本もそれを批准したということだったと思います。そのほかにもたばこの健康影響に対する科学的な知見は多数、集積してきたのではないかと考えています。前回から大分時間もたちましたので、今回、先生方にお集まりいただいて、改めてたばこと健康に対する影響について最新の科学的知見をまとめて、報告書にしていただければと思っています。

 出来上がった暁には、これをベースにして、これからのたばこ対策、特に2020年に東京オリンピックが開催されます。昨年、今年と歴代のオリンピック開催国、あるいは開催都市について、オリンピック前にどういう対応を取ったのか調べたところ、かなり受動喫煙防止対策を強化しているという実態がよく分かりましたので、これから日本においても2020年に向けて受動喫煙防止対策を強化していく必要があります。そういったことに対して先生方におまとめいただく今回の報告書を生かしていく。それから、最新の科学的知見ですので、国民の多くの皆様方にそれをお知らせして、たばこについてより理解を深めていただく。そんなことを考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○古賀健康課長補佐 続きまして、構成員として御就任いただきました先生方を御紹介いたします。資料2の構成員名簿です。初めに、磯構成員です。片野田構成員です。興梠構成員です。笹月構成員です。祖父江構成員です。中村構成員です。福田構成員です。もう一方、本日は欠席されておりますが、山梨大学の山縣構成員に就任していただいております。

 続きまして、事務局を紹介します。寺原たばこ対策専門官です。高橋健康課課長補佐です。

 配布資料を確認いたします。座席図のほか、議事次第、資料1は検討会開催要綱。資料2がただいまの名簿です。資料3は検討会報告書の作成方針()、資料4は報告書作成のスケジュール()です。資料5は検討会報告書目次()です。資料6は片野田構成員提出資料で、「執筆要領()」です。資料7も片野田構成員提出資料で、「A Report of the Surgeon General, 2014」で、18ページまであります。資料8は笹月構成員提出資料で、「たばことがん 国内評価のまとめ」です。資料9は中村構成員の提出資料で、「FCTCで求められているたばこ対策及び履行状況」です。資料の確認は以上です。もしお手元に配られていないものがありましたら、事務局までお申し付けください。

 続きまして、検討会の位置付けについて、寺原たばこ対策専門官より説明いたします。

○寺原たばこ対策専門官 たばこ対策専門官の寺原です。資料1に基づいて、今回の喫煙の健康影響に関する検討会の開催要綱について説明いたします。先ほど課長からも申し上げましたように、これまで昭和61年に喫煙と健康問題に関する専門委員会が設置されて、「喫煙と健康問題に関する報告書」が取りまとめられております。これは生産・流通等のたばこの現状、たばこの健康影響、たばこに対する対策といったものを取りまとめたもので、いわゆるたばこの総括的な報告書でした。こちらは厚生省編として出されておりますが、平成5年にはこの厚生省編の第2版が出されております。その後、平成13年に「喫煙と健康問題に関する検討会報告書」が取りまとめられて、こちらも同様にたばこの現状、健康影響、対策についてまとめた総括的な報告書でした。この報告書を基に、これまで様々なたばこ対策について施策を講じてきたところです。

 しかしながら、前回の「喫煙と健康問題に関する検討会報告書」から10年以上が経過しております。その間に、受動喫煙問題など、喫煙に関する様々な科学的知見がより集積されてきております。また、平成17年にはFCTCの発効、平成24年には第2期のがん対策推進基本計画、また平成25年からは健康日本21(第二次)が開始しており、その中でも具体的なたばこ対策について、数値目標等を含めて記載して取り組んできております。さらに2020年には東京オリンピックが開催されますが、その中で受動喫煙防止対策に関して強化する必要が指摘されております。

 このような様々な喫煙の健康影響とか、たばこ対策、社会的環境の変化があることから、今回新たに総括的な報告書を取りまとめる必要があるだろうということで、健康局長課の下に有識者の参集を求めて、この「喫煙の健康影響に関する検討会」を開催させていただきます。

 主な検討事項としては、喫煙の健康影響に関する検討会報告書作成、また後ほど作成方針()のところで説明しますが、たばこ情報収集・分析事業の委託事業についてです。以上です。

○古賀課長補佐 続きまして、開催要綱4(1)にあります、「構成員の互選により座長を置き」とありますことから、座長の選出をさせていただきます。御推薦があれば、どなたかよろしくお願いいたします。

○中村構成員 今回の検討会のミッションを考えますと、大阪大学の祖父江先生が適任ではないかと考えておりまして、座長として推薦したいと思います。

○古賀健康課長補佐 ありがとうございます。そのほか、何か御意見はありますでしょうか。

(異議なし)

○古賀健康課長補佐 ありがとうございます。御異論がないようですので、祖父江構成員に座長をお願いいたします。座長席へお願いいたします。以降の進行を祖父江座長にお願いします。

○祖父江座長 御推薦いただきまして、座長を担当させていただきます。先ほど事務局からの御説明でもありましたように、今回の取組は第4回ということで、これまでの検討報告書を更に発展させて、政策展開に資する報告書を作っていきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 議事次第に従って進めたいと思います。

○古賀健康課長補佐 撮影はここまでとさせていただきます。

○祖父江座長 本日の議題ですが、第2の「喫煙の健康影響に関する検討会報告書作成について」、作成方針と章立てについての説明を事務局からお願いいたします。

○寺原たばこ対策専門官 たばこ対策専門官の寺原です。資料3に基づいて、検討会報告書の作成方針()について説明いたします。背景ですが、開催要綱にもありますように、様々な社会環境が変化してきたこと、日本人に関する新たな科学的知見がより集積されて、体系的な評価が可能になってきたことから、今回、「喫煙の健康影響に関する検討会報告書」の作成が必要であると考えております。

 作成の進め方ですが、たばこ情報収集・分析事業を行う国立がん研究センター委託事業の中で、この報告書の原案の策定の依頼を考えております。これはたばこ情報収集・分析事業の委託事業として、国立がん研究センターに委託しているものです。こちらで執筆編集方針()及び執筆者・編集者・査読者等を考えて、こちらの検討会に上げていただくことはどうかと考えております。このがん研究センター委託事業の代表者がこの検討会の構成員でもあられる先生ですので、後ほどこの委託事業の中で御議論いただいた執筆編集方針()に関して、構成員から御説明いただきたいと思っております。

 資料4の「検討会報告書作成のスケジュール()」です。第1回検討会では、執筆要領等を決定して、このたばこ情報収集・分析事業に助言いただくということで考えております。また、第2回検討会を2月に予定したいと考えております。この中で、このたばこ情報収集・分析事業から原案のたたき台を健康課に提出していただいた後に、第2回検討会に提出して、その検討会の中で委託事業からの原案たたき台を受けて御議論いただいた後に、委託事業に対して助言を行っていただくと。この委託事業の中で、編集や査読等をしていただく形で考えております。

 この委託事業は、今年度末までに委託事業の報告書を提出していただき、3月末までにはこの原案なるものを健康課に提出していただいて、その後、事務局の中でその原案をしっかりと編集等した後に、5月辺りに第3回の検討会を開催して、その検討会の中で検討会報告書として取りまとめていただけないかと考えております。

 次に章立て、資料5、検討会報告書の目次になります。こちらは前回、平成13年の「喫煙と健康影響に関する検討会報告書」を踏襲したものになります。第1章がたばこ製品の現状、第2章がたばこの健康影響、第3章がたばこ対策になります。第1章のたばこ製品の現状に関しては5節からなっており、たばこの生産、たばこの流通、たばこの経済分析、たばこと世論、新しい製品になっております。この第3節のたばこの経済分析は、前回、社会的損失と正への利益という形だったのですが、社会的損失と対比する形で社会的利益と目次を変えております。また、第5節、新しい製品に関しては、前回の「たばこと健康問題に関する検討会報告書」ではなかったもので、現在SNUS等の無煙たばことか、電子たばこ等が流通しているので、新しい製品に関しても項立てを付けました。

 第2章のたばこの健康影響ですが、8節からなっております。健康影響と疾病負荷の評価、たばこ煙の成分、たばこ煙への曝露の指標、喫煙者本人への影響、無煙たばこ等の健康影響、受動喫煙による健康影響、未成年者への影響、妊婦・胎児への影響です。第5節の無煙たばこ等の健康影響は、今回新たに入った項目になります。また、第6節の受動喫煙による健康影響は、前回も同じ項目はあったのですが、今回、受動喫煙に関する健康影響がより明らかになってきており、より充実したものにしていただきたいと考えております。この中で、受動喫煙に関しては、2006年のSurgeon Generalにもありますように、がん、循環器疾患、呼吸器疾患に関して、国際的には科学的根拠が出されておりますが、そのほかということで、流煙とか鼻閉とか、ほかの健康影響のことも多くの報告がありますので、より充実したものにしていただけないかと考えております。また未成年者への影響と妊婦・胎児への影響も、前回はページ数が非常に少ないものだったのですが、こちらも多くの項目、科学的根拠を出していただけないかと考えております。

 第3章のたばこ対策ですが、9節からなっております。こちらはFCTCに基づいた項立てにしております。FCTCの中でMPOWERが言われておりますので、このMPOWERに準じた項立てにしております。また、第1節のFCTCの概要の中では、FCTC5.3条にある公衆衛生政策のたばこ産業からの保護、この項目も概要の中に記載してはどうかと考えております。第2節が国内の現状(モニタリング)、第3節が受動喫煙防止対策、第4節が禁煙支援と禁煙治療、第5節が健康影響の警告表示、第6節がマスメディア・キャンペーン、第7節が広告及び後援の禁止、第8節が課税及び値上げで、MPOWERに準じた項立てにしております。また、第9節として教育と啓発も盛り込んでおります。

 この中で、第3節の受動喫煙防止対策に関しては、前回は対策の中には入っていなかったのですが、先ほど申し上げたように東京オリンピックに向けても様々な対策が必要と言われておりますし、また平成15年には健康増進法の25条の中で受動喫煙に対する項目も入っております。その中から、受動喫煙の対策に関してもより充実したものにしていただけないかと思っております。その中で、受動喫煙防止法制化の現状、飲食店への経済影響という項を入れております。これは諸外国を見ても、受動喫煙防止対策の法規制をする中で、飲食店や宿泊業界等からの経済影響に関する議論がなされていると承知しておりますので、このような経済影響に関する対策も、いろいろなデータに基づいて盛り込んでいただけないかと考えております。以上になります。

○祖父江座長 ただいまの御説明に関して、質問、御意見等はありますでしょうか。この検討会のほかに国立がんセンターに事業を委託して、そちらで原稿を作っていただいて、こちらで吟味して承認するというか、オーソライズするという作業になります。これが資料3と資料4です。資料4がスケジュールで、今日が第1回で1130日ですが、あと2回、2月、5月という予定で、その間に委託事業で作業を進めていただく形になるかと思います。その点はよろしいですか。

 資料5が目次の案で、おおむね第3回の目次、骨子に準じるものということで、たばこ製品の現状としては世論、新しい製品を付け加えるということもありますし、たばこの健康影響は無煙たばこ、受動喫煙の影響を強化すべきであるということですし、たばこ対策はFCTCMPOWERに準じたというところですが、今後特にオリンピックに向けて受動喫煙対策を進めていくというところに資する検討会報告書になるようにということです。以上の内容ですが、何か御意見はありますか。後で編集方針の所で詳しい説明もあるので、またそこで気が付いたことがあったら、後でもよろしいので御意見を述べてください。とりあえずこれで事務局案として内容として承認していただけるということで、よろしいでしょうか。

(承認)

○祖父江座長 承認ということで、以後進めさせていただきます。次に執筆要領ですが、片野田構成員から説明していただくことと、関連する項目が笹月構成員、中村構成員からありますので、提出資料に基づいて説明していただくという順番でお願いします。片野田先生、お願いします。

○片野田構成員 国立がん研究センターの片野田です。資料6と資料7を御覧ください。資料6の説明に入る前に、執筆要領を作るに当たってお手本としたのが資料7になりますので、資料7を先に説明します。これはアメリカのSurgeon Generalという、日本語に訳すと公衆衛生総監、あるいは軍医総監という訳し方をされますが、米国の政府機関が喫煙の健康影響について、1960年代から取りまとめを行ってきた、その50周年記念の書籍というか、報告書になります。これを出されたのが2014年で、開始されたのが1964年になるのですか。50周年の記念号のような形になっています。

 目次ですが、これまでの歴史について述べている部分があり、Chapter52ページ目ですが、たばこの依存性の物質であるニコチンについての章があり、Chapter6からが具体的な疾患の健康影響の説明になっています。がんがあり、呼吸器疾患があり、循環器疾患がありというように続いています。

 内容について簡単に説明しますと、一番下のページ数で6ページ、人体の図があるページです。これが2014年の時点で喫煙と因果関係がありとされている疾患のリストになります。因果関係がありという言葉が、このSurgeon Generalのレポートでは重要な言葉になっているのですが、それについてまとめてあるのが5ページのTable1.1です。Surgeon General Reportの一番大きな特徴としては、喫煙との因果関係があるか、ないかということを4段階で定式的に評価をしているという点です。レベル1が「因果関係を推定するのに科学的証拠が十分である」という一番強い判定です。因果関係があるという判定です。レベル2が「因果関係を示唆しているけれども、十分ではない」という判定です。レベル3が「科学的証拠は因果関係を推定するには不十分である」という判定です。レベル4が「因果関係がないことを示唆する科学的証拠がある」と、この4段階で評価しています。Surgeon General50年の歴史は、レベル1「因果関係を推定するのに十分な科学的証拠がある」という、非常に重い判定をされた疾患が肺がんに始まり、がん以外にもどんどん広がっていったという歴史が正に人体の図に表れていると思います。

 その人体図の左側が、がんの部位を表していて、少し太字になっているLiver(肝臓)などは最近、最新の号で因果関係ありと追加されたものです。右側でChronic Diceases(慢性疾患)とありますが、右側で言うと糖尿病、あるいは関節リウマチなどが最近の号で因果関係ありと、一番高いレベルの判定になったものです。ここまではあくまで能動喫煙の健康影響です。

 もう1つ人体の図があるのですが、7ページは受動喫煙の健康影響の因果関係ありとされている疾患のまとめです。左側が子供、右側が成人になっています。子供の肺機能の発達、あるいは新生児の突然死症候群、あるいは耳の疾患は因果関係ありとされています。受動喫煙と成人の疾患、慢性疾患では、古くから肺がんと虚血性心疾患の2つが因果関係ありとされています。最近新たに加わったものとしては、一番上にStrokeとありますが、脳卒中が受動喫煙と因果関係ありという判定になっています。脳卒中の因果関係については、アジアからの科学的証拠もかなり含まれているものです。

 このような科学的証拠に基づいて因果関係の判定をするのをお手本にして、資料6の執筆要領()を作成しました。資料6に移って、(1)の全体方針として、たばこの健康影響については、喫煙と疾患との因果関係について、体系的な評価を行います。体系的な評価の方法は、米国Surgeon General報告に準拠して、これは因果関係がという意味ですが、「科学的証拠は十分である」、「示唆的だが十分でない」、「不十分」、「因果関係がないことを示唆する」の4段階で評価するということです。(2)の経済損失については、たばこの健康影響と比べると、国によって経済状況が違うということもありますし、保険医療制度なども違いますので、国際的な評価はなかなかないのですが、経済損失とたばこ対策が健康影響と3つの柱になっていますが、それ以外の経済損失とたばこ対策についても、可能な限り定式的な共通の体系的な結論を記述するという方針になっています。

 体系的な評価をするに当たって、何か参照する科学的証拠が必要なので、それを今までの「喫煙と健康に関する報告書」では、比較的、執筆者が散発的に見つけた文献に依拠して、1つの論文について詳しく述べるようなパターンが見られたのですが、今回はSurgeon Generalのレポートに準拠して、日本又は海外の総括的な報告の内容を引用して、文献が依拠する場合にもシステマティックレビューを中心にして、固い証拠を基に判定をするという方針にしています。ただ、健康影響についても科学的証拠がまだ蓄積していない疾患もたくさんありますので、そういう場合にはシングルレポートの研究結果を記述するという2段階の構成にしています。

(4)ですが、たばこ製品の現状については、これまでの報告書と同様に政府の統計や国際機関の統計などを参照して記述すると。ここは前回のものを踏襲したような形になっています。

 資料6(2)で詳述などが残っているのですが、実際は執筆要領にはもう少しボリュームの大きい案を用意しており、執筆者向けの資料には具体的にどういう文献を引用したらいいかということなどを入れる予定です。以上が説明になります。

○祖父江座長 引き続き、笹月委員から資料8について説明いただきます。

○笹月構成員 資料8に基づいて、私からは「たばことがん国内評価のまとめ」について説明いたします。国立がん研究センターでは、ここにある「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」班という形で、研究班の活動の一環として、国内研究のエビデンスを整理して評価するという活動を10年以上やってきております。トピックとしてはたばこに限らず、飲酒、BMIなど、生活習慣全般を取り扱っておりますが、その概略と、裏面ではその結果などについて簡単に説明させていただきたいと思います。

 概略は、先ほども片野田先生から御紹介もありましたように、海外では既にがんのリスク要因、あるいは予防要因について総括したものがあります。IARCMonographであったり、Handbook、それからWHO/FAOによる報告書であったり、WCRF、この辺りは食物要因ですけれども、このような総括が既に存在いたします。その中に日本人の研究もエビデンスとして含まれてはいるのですが、全体の中の割合としてはごく一部になってしまいますので、どうしても判定結果などは欧米の結果に引きずられるといった問題点もあります。そういう現状がありますので、あえて日本人に適した評価を行うことを目的に、日本人を対象とした疫学研究を収集して、その結果を評価するといった取組みになっております。

 方法について、ここでは詳細は触れませんが、簡単に御紹介したいと思います。3段階に分けて評価を行っております。第1点目がエビデンスの収集。2点目が結果のサマリー。第3段階目として判定を行っています。まず、エビデンスの収集は、PubMedあるいは医中誌などの検索エンジンに基づいて、日本人のエビデンスを整理するのが目的ですので、日本に住んでいる日本人を対象とした研究、その中のトピックに該当する研究を抽出するというのが第1段階目です。

2点目の結果のサマリーは、ここに示しています表1は関連の強さに関する評価基準をまとめたものです。一定の基準を予め設けて関連の強さを捉えるということを行っています。

3点目の判定は、先ほどSurgeon Generalのレベル1〜レベル44段階のランキングが紹介されましたが、こちらでも別の基準を準用して、基本的に研究間の結果がどのくらい一致しているか。ここをポイントとして、ほとんど一致している、逆の結果がほとんどないというエビデンスの場合は、Convincing(確実)ということで、最も確度の高い判定を行っています。第2段目ですが、かなり一致しているが反対の結果も複数あるといったような場合に、Probable(ほぼ確実)という2段階目の評価を行っています。3段階目として、結果がほとんど症例対照研究からしか出てきていないといったような場合に可能性有り。そして一番低い評価としては研究の数がそもそも少ない、あるいは全くバラバラであるという場合にInsufficient(データ不十分)といった段階を付けて評価を行っています。

 裏面のほうに、こうした方法に基づいて、たばことがんとの関係性について、国内評価を行った結果を一覧としてまとめています。左側には海外評価の結果についても並べて記述しています。例えば肺がんにおいては、海外のIARCあるいはSurgeon Generalいずれでも確実性が最も高い評価を行っており、国内の研究に基づいても確実という、最も高い段階の評価を行っています。

 次の肝がんは、IARCでは既にSufficientという評価を行っていますが、Surgeon Generalのほうは、先ほども図の中で太字で示されていると紹介がありましたように、最近アップグレードがなされてレベル1となっています。国内研究も10年前まではほぼ確実という第2段目の評価だったのですが、今年の夏に見直しをしたときに確実ということでアップグレードをしています。このように評価を行ってきております。

 例えば大腸がんの*を付けている所は、アップグレードがなされたところで、海外の評価においても最近は確実性が増してきたということですが、国内研究ではまだ確実性がそれほど高くない、こういった評価になっています。これは大腸がんについて、発がんのかなり初期の段階でたばこが効いていることがあるようで、追跡期間が短い研究などでははっきりした研究は出ないという背景があるようです。

 このように評価を行ってきていますが、基本的に海外の研究と更に国内研究でも評価が進んでいる部分に関しては、報告書としてまとめていくことが可能ではないかと考えております。以上です。

○祖父江座長 引き続いて中村構成員から資料9の説明をお願いします。

○中村構成員 我が国におけるたばこ喫煙の現状と今後の課題ということで、私どもの研究班で作業している結果も含めて御紹介したいと思います。資料9の一番最初は、先ほど寺原専門官からも説明がありました、枠組条約における主要なたばこ規制の政策をパッケージとしてまとめたMPOWERの説明です。6政策あります。モニタリングのほか、具体的な施策として、受動喫煙からの保護、禁煙支援・治療、たばこの危険性の警告、この中にはたばこパッケージへの警告表示のほか、メディアのキャンペーンが含まれます。それからたばこの広告・販促・後援の禁止、たばこ税の値上げがあり、合計6政策です。今回、先ほど資料5で説明のありました第3章の9節に教育と啓発が入っていますけれど、それは枠組条約で言えば、12条です。教育・啓発も今回報告書の中に節を起こして入れる方針で考えられています。このように、主要な政策が報告書ではカバーされていることになります。

 次に、たばこ規制・対策の最近の動きについて説明します。冒頭に正林課長さんから説明がありましたけれども、20035月の健康増進法の施行。これは努力義務ではありましたが、公共性の高い場所においてはかなりインパクトのあった規制になり、評価できると思います。その後2005年に条約が発効しました。日本は2004年に批准をしております。その後、主要な政策として文字がブルーのものが禁煙支援・治療の関係ですけれど、2006年に保険適用がされました。文字がグリーンが受動喫煙の防止です。2010年に3つの出来事があり、受動喫煙ということでは厚労省のほうから健康増進法を踏まえて、公共性の高い官公庁、医療施設は全面禁煙にすべきという健康局長通知が出されました。更に同年に神奈川県の受動喫煙防止条例の施行が罰則付きでなされました。更に201010月にたばこ税価格の引上げということで、税としては13.5円で、売れ筋のたばこで言うと大体110円と、4割近い値上げがありました。300円代から400円代に値上げがされたということです。更に2012年に第2次健康日本21、がん対策基本計画の変更案の中で、成人の喫煙率の目標設定、また受動喫煙の防止についての目標設定もはじめてなされたということです。その後、兵庫県での条例化が続き、2013年には第二期の特定健診、特定保健指導において、喫煙の保健指導の強化がなされました。更に労働安全衛生法の一部が改正され、今年6月に施行がされております。これも努力義務にはとどまっていますけれども、受動喫煙に向けての施策が進んできたということです。

 このように日本で一定の取組みが2000年代から十数年にわたってなされてきて、今日はスライドを出していませんけれども、喫煙率も低下をしています。ただ、WHOは枠組条約又はガイドラインで求めている内容と照らして各国の取り組み状況を採点をするのですが、日本はまだ法規制の面で弱いために、残念ながら受動喫煙防止、メディア・キャンペーン、それからたばこの広告について、最低ランク(不可)の評価にとどまっています。MPOWERを中心に研究班で履行状況の検証としています。ここでは、MPOWERに限って説明させていただきます。

 まず、たばこ価格政策について、2010年に値上げがありました。研究班等でも作業をして、総括をしました。絶対価格が300円から400円に上がったということで、まだまだ国際的に絶対価格は安いこともあって、値上げの効果は短期に留まりました。価格弾力性もこれまでの10円とか20円の値上げとそう変わらない数値となり、たばこ消費に大きな影響を必ずしも与えることができませんでした。値上げがなされたことについて一定の評価はできるけれども、その幅であれば国民の健康を守るという視点からは、今後、継続的な引上げ又は大幅な引上げが必要であるということです。あと旧3級品について税率の優遇措置があったのですが、これについては見直しがなされ、2015年度の税制改正大綱に段階的に廃止することが盛り込まれたのは健康格差是正の面からも前進と考えます。

 次に受動喫煙の防止については、先ほど説明したとおりで、日本で2つの法律の中で努力義務化がされて、管理者又は職場の事業者の努力義務が課せられたわけですけれども、まだ空間分煙も認められています。国際的には屋内全面禁煙というのがガイドラインで求められています。これについても特にサービス産業を含む中小零細の事業所で働く労働者の健康を守り、健康格差を是正する意味でも、やはり法規制の強化が必要だということです。東京オリパラが1つの目標になるのではないかと思います。今後2020年の開催に向けて政策化に役立つエビデンスの創出であるとか、アドボカシーをやっていく必要があります。

 広告・宣伝については、これも受動喫煙の防止と合わせて不可の採点結果となっています。その理由は、この現状と課題に書きましたように、たばこ事業法に基づいて広告に関する指針があるのですが、罰則規定がなくて、業界の自主規制によるというところが一番大きな問題点になっています。また企業広告とか喫煙マナー広告、未成年者の喫煙防止広告といったものが、日本ではたばこを販売する側から積極的にされていますけれども、広告指針では、業界の自主規制の対象にもなっていません。公衆衛生政策の保護とも関連するのですが、このようなCSR活動が比較的自由にされてしまうという日本の現状があり、今後は未成年者の喫煙防止という観点から、広告の自主規制の問題に加えて、こういった企業広告等のたばこ産業側の活動に対してどのような規制ができるのかを検討、研究をする必要があります。。

 警告表示については、一応、可になっているのですが、その理由は最低の30%を満たしているということです。ただ、ガイドラインで求められている内容からいえば、明瞭で効果的な警告表示とは言えない現状にあり、諸外国で導入されている写真や絵などの画像も入っておらず、一定のインパクトが期待できる内容にはなっていないことが問題です。たばこ事業法でいうと、注意文言という表現ですが、改正されてから時間がたっています。研究班で喫煙者にインターネット調査を行って国際比較をしたところ、日本の喫煙者が警告表示から受けているインパクトは十数箇国と比べて特に低いという実態が明らかになっており、喫緊の課題であると考えます。

 メディア・キャンペーンについては研究班のほうでは履行上の検証の対象にはしておりません。対象にしなかったのは公的なメディア・キャンペーンがこれまで実施されていないので、評価の対象から外しました。なお、現在厚労省が行っているスマート・ライフ・プロジェクトでは、たばこだけではないですけれども、生活習慣病として食事、身体活動、喫煙の3つを取り上げ、メディアへの働きかけも含めて一定の活動をやっています。今後その活動も含めて現状把握と課題の検討を行いたいと考えております。

 最後に禁煙支援・治療についてですが、これは良の評価です。たばこ価格政策も良ですが、こちらは保険適用がされているということで良の判定をいただいています。クイットラインがまだ十分普及するような形になっていないことが課題でありますし、あと医療の場での医療従事者、特に医師からの禁煙のアドバイスの実施率は国際的に低いということで、それらの点を改善して、アドバイスから治療まで、禁煙を推進する保健医療システムの整備をしていくことが必要です。その1つとして、喫煙関連の疾患を取り扱う学会の診療ガイドラインにおける喫煙アドバイスや治療の記載をより充実させることが重要と考えています。研究班で喫煙関連の疾患を取り扱う学会の診療ガイドラインの、レビューをしましたけれども、循環器と呼吸器の関連学会のガイドラインの記載は進んでいるのですが、がんとか糖尿病においては一定のエビデンスがあるにもかかわらず、禁煙推進についての推奨がされていませんでした。今後その辺りの改善も学会等に働きかけを行っていく必要があります。以上です。

○祖父江座長 資料6〜資料9について各構成員から説明をしていただきました。まず、片野田構成員から全体の執筆の要領ということで、笹月構成員から特に健康影響についての因果関係判断について、既に笹月班で取り組まれている内容について説明していただき、更に中村構成員からたばこ対策の現状等々について詳細に説明していただきました。

 まず、資料6を振り返っていただいて、ここで全体の方針として、今回は第3版以前の検討会報告書を更に進めて、因果関係についてSurgeon Generalレポートに準拠したような段階を加えた上での因果関係判断をしたいということです。それに準じて、経済損失と言いますか、たばこ製品うんぬんのところの記述であるとか、あるいはたばこ対策のところの記述もできるだけ体系的に、これで結論できるというような形の記述をしたいと。原則として、内容を記述する基になる資料としては総括報告に基づいた記述をしたいと。シングルレポート等々はやむを得ない場合は引用することはありますけれども、できる限り総括報告を用いるという方針でいきたいと。更にたばこ製品の現状については、統計等を参照して記述をすると、こういうものを全体方針として掲げています。これについて何か質問、コメントはありますでしょうか。

○磯構成員 資料6と資料5ですが、先ほどのSurgeon Generalでのお話があったように、新たに追加されたエビデンスが例えばStroke Rheumatoid arthritisなどについては多分日本でのエビデンスはまだ少ないと思いますが、海外のエビデンスを紹介する形を取られるのかということが1点。

 もう1点、前回までのたばこと健康の報告書の中に、多分少し触れていると思うのですが、歯周病とか、子供、胎児の影響について、資料5の第2章の「喫煙本人への影響」と「受動喫煙による健康影響」の中の「その他」の中にどの程度まで入れていくのか。方針がありましたら教えていただきたいと思います。

○祖父江座長 まずは日本でエビデンスが少ないものについての方針をどうするかということですか。それから目次と言いますか、構成内容の中で、胎児の影響等をどこに含めるかということですね。

○磯構成員 あと歯周病、特に健康日本21でターゲットになっている病気とたばことをどのように議論していくかということです。

○祖父江座長 片野田構成員、どうですか。

○片野田構成員 1点目の、国内エビデンスがなかった場合にどうするかという点については、因果関係の判定の補足のような形で国外及び国内の研究で判定したりとか、あるいは国内の研究が不十分なので海外の研究を外挿して判定し両方不十分なので判定できなかったとか、その値の補足のような形で付けていただいて、判定の中身というか、その温度差が分かるような形にすればいいのではないかと思っています。

 もう1点目の「その他」の疾患について、事務局から提案いただいた第2章のその他の内訳はまだ提示されていないのですが、関連して厚労省の委託事業として、国立がん研究センターが受けているたばこ情報収集・分析事業という並行で走っているものがあるのですが、そこで今考えているその他の疾患としては、磯委員から出ました歯周病、歯科疾患と骨粗鬆症、関節リウマチ、周術期管理、手術の前に禁煙すると予後がよくなるかどうかというその部分。最近のトピックでは認知症についてもたばことの関連が日本からもエビデンスとして出ていますので、認知症。QOLに関連するもので日常生活動作についても日本からエビデンスが出ていますので、その辺りをターゲットに情報収集を進める方向で行っています。

○祖父江座長 その他の所は別途検討をして、今のような内容で構成させるということになると思います。

 受動喫煙に関しても「その他」という項目がありますね。

○片野田構成員 受動喫煙のその他の所は、呼吸器疾患を1つ大きなテーマとしては入れています。ここのその他というのはちょっと想定していなかったですね。

○祖父江座長 あまり入れないですね。

○片野田構成員 何か国際的に、あるいは国内で科学的証拠が蓄積していて、ここで漏れがあるようなものがあれば御提案していただければ、委託事業の情報収集でも対応させていただきたいと思っています。

○磯構成員 7ページのその他の中のSudden infant death syndromeに関しては、どの程度エビデンスが蓄積されているのでしょうか。

○祖父江座長 受動喫煙の健康影響もSurgeon Generalにリストアップされているものですね。

○磯構成員 はい。これについては、もしエビデンスが強ければ、かなり社会的な影響が大きいと思います。

○祖父江座長 資料5の章立ての中の妊婦・胎児への影響というのは、受動喫煙の第6節とは別立てで設けていまして、そこにSIDSも入れていただいているという形になっていると思います。

○磯構成員 了解しました。

○祖父江座長 委託事業についても同じ構成にしていたと思います。第2章の第7節、第8節が受動喫煙も有り、本人喫煙も有りという感じですね。そこを独立させて詳しく解説するという形になるのだと思います。

 目次に関してはいろいろあるかと思いますが、この全体方針について、特に大きな所ですから、ここに関してのコメントはどうでしょうか。

○中村構成員 資料6の全体方針の(2)「経済損失(第1章の一部)およびたばこ対策(3)についても、可能な限り各章の共通の体系的な結論を記述する」と記載されていますが、この内容は「たばこ対策各論」の段落構成とも関連するのかと思ったので質問しますが、第3章における「共通の体系的結論」のイメージをもう少し説明いただければ有り難いと思います。

○片野田構成員 資料6(4)のたばこ対策各論の所で、この案で想定している形としては、先ほど中村構成員から御説明あったMPOWERの各テーマについてそれぞれの中で我が国の状況をまず概観して、国際機関による先ほど御紹介いただいたような評価があり、この(1)(2)で我が国の現在の位置付けを明らかにして、(3)でほかに進んでいる国、アジアの国でも日本よりも進んでいる国がたくさんあると思いますので、その各国の状況を説明して、最後に科学的証拠というのですか、日本ではこれが足りないからここをやるべきだというような、そういう国際的に推奨される対策を記述する。これは各章で行うようなイメージで考えています。

○中村構成員 その場合の体系的結論というのは、最後の推奨される対策の項で記載することになるかと思いますが、項目立てを見て思ったのは、対策の各論の有効性、更に経済効率性、少なくとも有効性についてはレビューもされているので、喫煙の健康影響でいうレビューと横並びでより客観的な評価ができるのではないかと思いました。ですから項目として、対策の有効性や効果も項目立てに追加したほうがいいかと思い、発言しました。

○祖父江座長 そうですね。今のたばこ対策各論の段落構成が、わりと現状に関しての記述となっていますけれども、確かにたばこ対策が、まずは喫煙率を減らすのにどのような効果があるかという、そのエビデンス。更には疾病の罹患とかを予防する意味での有効性というのも一部あります。

○片野田構成員 あと医療費もあります。

○祖父江座長 医療費という点もありますね。そうした対策の効果に関する証拠をきちんとまとめる点も非常に重要です。そういう観点での章立ても少し修正して考えることが必要かもしれません。どうもありがとうございました。ほかにどうですか。

○片野田構成員 資料6のたばこ対策については、今の中村委員の御指摘のとおりだと思うのですが、経済損失の所で、福田委員にお聞きしたいのです。経済損失だけではなくて経済影響の部分です。経済影響の部分で、どのくらい堅い証拠が並べられるのかという点。特に経済損失については、今まで医療経済研究機構などが定期的に行ってきた、いわゆる喫煙で何兆円の経済損失があるという数字がありますが、それが若干、やはり年によってというか、報告によってその額が違うのが指摘されていると思うのです。それを、それぞれ説明可能な状態で総括的に評価することができるのかというのが、まずそれが1点御質問です。

○福田構成員 御指摘の点は大変重要なところだと思います。まず、資料6にも書いていただいていますが、経済損失とか経済影響に関しては、なかなか総括、包括的な、諸外国で出たものをまとめてとか、そういうのがなくて。ないのは、ある意味で健康影響へのエビデンスに比べて、先ほど片野田先生からありましたが、各国での医療費の掛かり方とか、もともと統合しにくいところはありますから、そういう統合はされないと。それは、対策についての費用対効果の研究なども同じで、1つの国で費用対効果がいいからそのままこちらでもいいかという結論にはいかないので、やはりそこは、医療費の単価が違うとか、そういうものを反映するということで総合的なものはないと。そうすると、どうしてもシングルレポートに頼らざるを得なくなるということで、それを認めていただいてというのはいいかなと思うのです。ただ、どのくらい堅いかというのはちょっと悩ましいところがあります。まず、諸外国でされているものを紹介することは可能だと思いますが、今、申し上げたような理由で、では、どこかの国で経済損失はこのくらいですとか、経済影響はこのくらいでしたから、例えば、それを日本円に換算すると幾らとかというのは、余り適当ではない。紹介という意味ではいいのですが、そうではなくて、やはり日本の状況での推計をベースにすべきだと思います。

 日本での推計になると、1つは、日本でのものを見るときに、どうしてもやはり推計をしている場合が多いというのと、その推計のやり方が幾つか御指摘のとおりですので、レポートのタイミングもそうですが、主にやはりその推計の方法によって違いがあるということだと思います。もし、まとめ的に書くのであれば、それらをレビューした上で、かなり共通的にほぼ確実に捉えられるところと、やはり推計方法に課題があるところは、ちょっとここは課題があるという形での残し方のまとめぐらいかなという印象はあります。そういう意味では、医療費への影響とか、それはそれなりにできていますが、もう少し広い意味での影響ですね、医療費以外の。例えば、環境を規制によって汚されるような所、清掃したりとか、そういうところまで一部の研究は推計していますが、やはりやり方に幾つか課題があったりしますので、かなり堅く推計できているところと、ちょっと課題があるというのを分けてまとめるような形かな、と今のところ思っています。いかがなものでしょうか。

○磯構成員 それに関しては、経済損失の中に火災は入るのでしょうか。

○福田構成員 一部やっている医療経済研究機構の所では、火災による損失も入れています。推計をしています。

○磯構成員 そうですか。

○福田構成員 なので、それだと、どうしてもこういう仮定を置いた上で、年間に発する件数のうちこれくらいがたばこに因るものだというのは、それは統計で分かるので、それによる損失金額を見積もるということはやっています。ですから、そういう前提を置いてやっていますというのはありますので、それは記述することはできると思います。

○片野田構成員 介護費用については、何か含める推計と含めない推計があったと思うのですが、それは何か、医療費ほど堅い推計ではないという、そういう背景があるのでしょうか。

○福田構成員 そうですね。医療経済研究機構などでやっている推計で、介護費用を一部入れて試みている所があるのですが、やはり、介護費の場合には、原疾患が特定できない部分が大きいので、そうすると、医療費の場合には、この疾患は図にもあったようなもので、この医療費分がという推計ができますが、介護費用のうち、この喫煙関連疾患を起因するものがという推計が正確にできないということで、医療経済研究機構のレポートの中でも、補助的な、通常のトータルには含めないような形での推計になっています。ですので、これもそういう書き方でもし許されるのであれば、こういうところについての検討はされていると、ただ、こういうところに課題がある、というところが堅いところかなと思います。

○片野田構成員 1つ提案なのです。経済損失について、恐らく、アメリカとかイギリスとかでもそういうレポートが出ていると思うのです。それを日本でそのまま外挿することはできないというのはそのとおりだと思うのですが、それを基に、どういう政策が実現されてきているのかという、そういう観点では、日本でも同じようなエビデンスを出すことでその分野での対策が進むという根拠にできるかと思うのです。そういう観点で紹介するのは可能なのでしょうか。

○福田構成員 そうですね、海外でもそういう推計はされていますので、それ自体の紹介は可能ですし、それがどう政策に影響を与えたかまでが分かるかどうかは、ちょっと確かではないところがありますが。

○片野田構成員 もう少し個別の例で言うと、禁煙治療薬の経済評価をして、それを根拠に、例えばイギリスですとナイスの評価をして、それがナショナル・ヘルス・サービスで採用されたみたいな、そういう流れがもし分かれば。

○福田構成員 なるほど、それは確かに可能ですね。

○片野田構成員 日本でも同じようなエビデンスを出せば同じような対策は進むというような、そういう観点で捉えられるかなという。

○福田構成員 なるほど、それは可能だと思います。確かに。

○祖父江座長 では、日本に限らず、諸外国の解析結果等も含めて、日本でやったらこういう政策展開ができますということの例として示すと。

○福田構成員 それは、特にどこの国ということではなく、そういうのが議論された国の事例というとあれですが、そういうものを取り上げていくような話ですね。

○片野田構成員 分かりました。

○興梠構成員 ここは専門家の方ばかりですが、内科医からの視点で述べさせていただきますと、この報告書を誰が読むかということを考えたときに、マスコミ、個々の患者さん、あるいはその家族からも読んでいただいた方が良いと思うのです。今、ディスカッションされていることは非専門家にとってはものすごく難しいと思います。たばこの害を1人当たり平均すればその被害額がでますが、誰にも分かりやすくするために、たばこを吸った場合、そして病気になった場合、喫煙者本人や家族が負担すべき身体的、精神的、社会的、金銭的損失などについて具体的な例をあげて示せたら、専門家ではない人にも分かりやすいのではないかと思いました。もしよかったら、誰にもにも理解できるものも考えていただきたいと思います。

○祖父江座長 ここでやはり確認しておくべきことは、これは、読者を誰にターゲットを置くのかというのは、どうですか、事務局としては。

○寺原たばこ対策専門官 興梠構成員の御指摘はごもっともであると思うのですが、かなり専門的な総括報告書になりますので、読者としては、保険医療従事者を主に想定はしています。ただ、この健康影響の所の結論ですとか、たばこ対策というのを推奨されるもの、あるいは効果等に関しては、一般の方が見てもある程度分かるものであったほうが望ましいと思いますが、主な読者層は医療保険従事者を想定しています。

○祖父江座長 今回モデルにしているSurgeon General Reportにしても、このような分厚いものを普通の人が読むとは到底思えない、そういう内容で、ただ、そういうものを更に解説するような二次資料というのは恐らく必要なのだと思うのです。ですから、今回の検討会報告書は、ある程度専門的な知識を持ち、更に、それをもって政策展開をする立場の人たちに資するような、ということを一応想定したほうが。一般の人に分かりやすいということになると、またそこの配慮がなかなか難しいこともあるので、恐らく、今の趣旨でいくと、ちょっと分かりやすいというよりは、きちんと証拠を記述するところに焦点を当てたほうが良いのではないかと思います。その具体例とかいうことに関しては、やはり次の段階でまた行うということでどうでしょうか。

○興梠構成員 こういう重要な企画をしたときに、その報告書をマスコミや国民、患者、家族に利用していただき、重要な仕事を国民にお返しするようなことができたらいいかなと思って発言しました。

○祖父江座長 そういう、二次的な活用をできるだけ促進していけるようなしっかりした基礎資料を作りたいということだと思います。

○福田構成員 私もとても重要な気がしていて、Surgeon Generalを拝見しても、このやはり絵というのはとてもインパクトがありますね。目次を拝見しても、最初にやはりサマリーがあるので、本体と別でもいいのかもしれませんが、何かサマリー的なあれで、こういうちょっと視覚に訴えるようなものも含めてまとめるというのは、本当に先生の言われるとおり、一般に伝えるものにはいいような気がします。

○祖父江座長 やはり、エグゼクティブサマリーみたいなものが必要ですね、これ。いくら専門の人でも全部読むわけにはいかないわけで、やはりインパクトのある所をきちんとまとめる、そこだけ読めば大体エッセンスが分かるというようなものは、一応作っておくべきだと思います。

○中村構成員 興梠先生の発言に関連してです。今回、検討会として取りまとめるのは、今後の施策を検討する上での基礎になる資料ということで、それはそれでいいと思うのですが、普及のことについては、第2回、第3回のところで検討するテーマかも分かりませんが、今、御発言があったので、私が少し思っていることを言います。このエグゼクティブサマリーを是非含めることと、そのエグゼクティブサマリーを、例えば厚労白書に含めていただくと、より広い関係者に見ていただくことにもなるし、それが、一般の方にも分かりやすく記載されたものであれば、国民向けの資料にもなるかも分かりません。国民向けの資料を作成するステップとして、そういう工夫も普及ということで考えてはどうかと思いましたので、忘れないうちに提案をいたします。

○笹月構成員 そもそもがんの部位は、たばこ関連がんがたくさんありますので、がんとしてもサマリーという章を設けたいと思っていました。今の話にもありましたように、もともとのこの報告書に関しても、がんに関してのサマリーをできれば準備をして、それがその後、一般に向けられていくという可能性はあるかなと考えています。

○祖父江座長 今のは、がんについてのサマリーを。

○笹月構成員 はい。がんについては、関連する部位が非常にたくさんありますので、それぞれ各論という形で御担当の執筆の方を考えていますが。

○祖父江座長 ああ。

○笹月構成員 その最初の所に、がんとしてのサマリーを付けてもいいのかなともちょっと思っています。

○祖父江座長 この第4節の中でですか。

○笹月構成員 はい。

○祖父江座長 今の厚生労働白書とか、あるいは国民衛生の動向というところですか。そういうところの記述に反映させるというのは可能なのですか。

○寺原たばこ対策専門官 事務局から、健康局健康課からそういう意見出しをして、厚生労働白書等に入れてほしいという要望をすることはできますが、実際、いろいろな局が様々な項目を入れてほしいと要望しますので、それが通るかどうかは分からない状況です。白書に関しては、実は、第1版、第2版の厚生省編の場合には、そのほかの白書類という形になっていました。白書のほうは、事務次官等会議申合せの「政府刊行物(白書類)の取扱いについて」というものが出ていまして、その中で、法定白書と非法定白書とそのほかの白書と3つに分かれています。第1版、第2版はそのほかの白書扱いでしたが、第3版に関しては白書扱いではありませんでした。現在の白書の状況をいろいろ調べると、白書というものは、一般的に政府の年次報告のことを指すものと解されていて、今回の検討会報告書ですと、年次報告書というものでもないので、そのほかの白書も含めて白書にすることは難しいと思います。ただ、中村構成員が言われたように、厚生労働白書等の中にエグゼクティブサマリー等を入れるというのは、十分に事務局としても考えたいと思っていますので、前向きに検討させていただきたいと思います。

○祖父江座長 ということでよろしいでしょうか。では、全体の方針に関して、特に御意見、ほかによろしいでしょうか。

○寺原たばこ対策専門官 よろしいでしょうか。経済影響に関してなのですが、こちらの経済影響も、医療保険者に関してもそうですし、また今後、施策に結び付けるためにも非常に大切なものだろうと思っています。先ほど御意見がありましたように、日本の施策に結び付けるために海外の状況を紹介していただくのは非常に有意義だと思いますが、医療経済に関しては、やはり国内のものが中心でないとなかなか施策に結び付かないことがあるかと思います。総括報告ですとか、システマティック・レビュー的なものは国内の経済影響についてはかなり制限されるということで、シングルレポートを使わざるを得ないのではないかと思います。

 その中で、喫煙の健康影響に関しては、主に2つの方法があるのかと把握しています。1つは、モデルを使う方法で、データを使うけれどもシミュレーションを使う方法、もう1つが、例えば健診データ等を使って、喫煙習慣別等に実際の医療費を積算する方法があるかと思います。そのようなシングルレポートは少なからずあると思います。そのようにモデルを使う方法と、あるいは、実際の医療費を積算する方法と分けてシングルレポートになるかと思いますが、羅列すると言いますか、記載していただくという形はいかがなものでしょうか。御意見を頂けますと有り難いです。

○祖父江座長 どうでしょう、福田構成員は。

○福田構成員 そうですね、やり方としては、今、御指摘ありましたが、実際に、それこそレセプトデータ等を分析をして、喫煙者と非喫煙者でどうだというのはありますが、なかなか難しいのは、いろいろな要因が入ってきて、例えば禁煙した方などですと、むしろ医療費が高めに出たりします。もともと健康上の問題があって止めていたりする方が多かったりしますので、その辺をきちんと伝えられるようにしないとと思います。そういうのから、あと、期間的に限定される場合も多いので、やはりレセプトの分析などですと、数年とかの単位で分析していかなければならない場合が多いので、そうすると、もう少し長期的に設計したモデルということにはなると思います。いずれにしても、その2つの方法を分けて整理をしてというのは、そのほうがいいのではないかと思います。

○片野田構成員 興梠先生の御指摘にもありましたが、個人の医療費喫煙者と非喫煙者で、生涯医療費なのか期間を限定してなのかは分かりませんが、個人で吸っている人、吸っていない人、あるいはやめるこどでどれくらい下がるかというのを、中村先生の研究班とかでも出されていたと思うのですが、あの辺は、こういう検討会報告書に入れ込むことはできるのでしょうか。

○福田構成員 それは報告書で報告をしていますし、可能だとは思います。

○片野田構成員 それは大丈夫ですね。

○福田構成員 はい。我々としても問題はありません。大丈夫です、先生。それでよろしければ。

○中村構成員 研究班の成果に関連して思い出したのですが、片野田委員と福田委員に関連したことです。対がん総合戦略研究事業の研究班において、都道府県別に喫煙による超過死亡数や超過医療費を計算していただきましたが、その成果が広く公表できていません。この機会に、資料という形で掲載してはどうかなと思いました。それから喫煙による超過死亡についてですが、日本で複数の試算がされ論文発表がされていますが、それは2章の1節に記載することでよいですか。

○祖父江座長 第2章の第1節ぐらいですか。日本の現状におけるたばこの影響みたいなものですね。そういう。

○片野田構成員 超過死亡というのは、喫煙が原因で年間13万人日本で亡くなっているという、その数値という意味ですね。それは、恐らく、第2章の第1節に、人口給付権割合に年間死亡数を掛けて出すものですので、人口給付権割合の所に入れ込むような想定だと思います。

○祖父江座長 ここに、都道府県別のその影響というのも入れるということですか。

○中村構成員 それは、引用しておいて資料として入れるほうが適当かなと思いますが。

○片野田構成員 都道府県別のものは、ちょっと私も記憶が定かではないのですが、報告書には入れたのでしたか、引用可能なものとして。

○中村構成員 ちょっと確認します。

○片野田構成員 もしそうであれば、報告書、その引用をした上で、……論文化はされていないので少し制限はありますが、資料として載せることは可能は可能だと思います。使った手法自体は論文化されたものなので、この論文の手法を使って試みで都道府県別に出すとこうなりますというのは。

○祖父江座長 確かに、都道府県の担当者にとってはそういう情報というのは大切ですね。だけれど、ここで直接記載するかは、引用するという形で記載するかは、ちょっとボリュームとの関係で判断するという形でどうですか。ほかはよろしいですか。全体の方針としては、それぞれ、経済損失、たばこ対策の所が、健康影響に一応準じるということではあるけれども、特殊な状況があるので、今、言ったような形でのまとめ方になるということでお願いします。

○中村構成員 先ほどの片野田委員から福田委員に対しての質問の後のディスカッションの中で気になった所があるのですが、福田委員の担当は1章の3節ですね。ディスカッションの前半は、喫煙による社会的な損失、医療費も含めて試算についてでしたが、後半は施策の経済効率性の話になっていました。後半はむしろ3章で記載したほうがよいと思います。実際に、例えば3章の4節の中に禁煙治療の経済性が日本のデータで試算されたものが記載される予定です。禁煙治療薬の経済効率性も評価されています。そういう施策関連の経済効率性がここに書かれることになります。諸外国における政策の効果だけではなく、経済効率性についても、評価されているものがあれば、この3章で取り扱うのがよいと思います。

○福田構成員 そうですね、おっしゃるとおりです。

○中村構成員 実際の作業を福田先生が施策を横断して担当いただくのか、3章の節ごとの担当者がそれぞれやるのか、その辺りも整合性が保たれるようにしておかないといけないと思います。

○祖父江座長 どうですか。

○片野田構成員 ちょっと前半部分と後半部分が混ざったコメントになってしまったのは御指摘のとおりです。中村先生にもお聞きしたかったのは、対策の所に経済評価的なものを入れ込んだほうがいいというような御発言がありましたが、禁煙治療以外でもそういう経済評価を基に施策が根拠付けされているような対策というのがあるものなのでしょうか。一通り揃っているのであれば、それぞれの対策についてそれを並べるというのは、非常に美しい形だと思うのですが。

○中村構成員 必ずしも系統的にすべて検討されているのではないように思います。それぞれ各国で複数の対策を組み合わせてやっていることが多いですが、政策ミックスでやった場合に医療費がどの程度下がるかというような、そういう報告はあるかと思うのですが。施策別に経済効率性をきちんと見るというのは実際の取り組んだデータで分析しようとするとなかなかむつかしいと思います。私も必ずしも十分そこはレビューしていません。福田先生、いかがですか。

○福田構成員 事例的にでよろしければ、例えばイギリスなどでも飲食店での禁煙の施策について、一応、経済的な見積りをして、税……費用は効果分析ではないのですが、それのインパクトはどのくらいあるかを見積って、規制影響分析という。レギュラトリー・インパクト・アセスメントの枠組みの中でされて、それを基に意思決定されたような例はありますので、そのものでもよろしければ参照で入れることはできると思います。

○祖父江座長 では第1章の第3節は、ある程度現状の記載ということに中心を置き、各対策に関しての経済評価が記述できるようであれば、たばこ対策、第3章で記述をするようにという、一応方針ではあります。最終的に出来上がったものを見るときに、割り振りをするなど、そういうところにはもちろん福田構成員が関わっていただけることになっていますので、そこで割り振りをすることも必要かと思います。

○福田構成員 はい、承知しました。基本的にはその割り振りでいいのではないかと思います。対策は後ろがいいと思います。現状のほうに関して、先ほども聞いていて、おっしゃったのは、たばこによる超過死亡は2章の最初に来るわけですね。2章の第1節でたばこによる超過死亡がどのくらいあるかみたいなところはそちらにくるということですね。1章の第3節の経済損失の所も基本は同じような発想をするので、たばこによる超過死亡がどのくらいあるから、現行はこのくらいの負担になっていますという話になるので。

○祖父江座長 そこも少し重なりますね。

○福田構成員 そうなのです。関連するのはどこにも出てくるから止むを得ないのかもしれませんが。

○祖父江座長 確かに経済損失の基礎になるデータに超過死亡を使うということはあるので、関連はあるわけですね。

○福田構成員 そうですね。医療費も必ず超過医療費という形で推計しますので、たばこを吸っている人と吸っていない人とでという考え方でいきますから。それが分かりやすいですよね。

○祖父江座長 どちらにも期待するというか、相互の矛盾がないようにチェックするということでどうでしょうか。

○福田構成員 そうですね。チェックをしたほうが確かにいいかもしれません。

○祖父江座長 そのために全体を眺めて、少数の人数でレビューすると予定しているので、その点、書く内容に矛盾がないように、恐らく同じようなコンポーネントが違う章に出てくることが、ほかの事項に関してもあると思いますので、そういう観点では総合的に最終的にチェックをするということを忘れないようにするということでお願いします。ほかにはよろしいでしょうか。

○寺原たばこ対策専門官 経済影響に関してですが、第3章たばこ対策の中の受動喫煙防止対策の中で、飲食店の経済影響を入れています。これは正に受動喫煙の法規制等の対策につながるものであろう、そのために必要なものであろうと考えています。受動喫煙の条例に関しては、神奈川県と兵庫県がありますが、そちらの検討会の中での議論を見ると、飲食業界や宿泊業界のヒヤリングの中で受動喫煙対策を強化すると、経済損失が心配だと、お客さんが来なくなるのではないかという御意見が非常に多いのです。海外の報告書を見ると、福田構成員が言われたように、経済影響はないのだという結論になっているものが多いと思うのですが、日本国内のものは論文と報告は非常に限られているかと思います。こちらに関しては是非、医療経済学者の方も入っていただいて、充実した執筆をお願いできればと思っております。

○祖父江座長 その点はこれから受動喫煙対策をする上で、非常にキーになるデータなので、特に国内でのデータが重要であるということです。なかなか難しいところです。

○片野田構成員 厚生労働科学研究費の研究班で、神奈川県の条例前後でどうなったか、飲食店のチェーンと協力して研究を進めているものがあるので、それがある程度形になれば入れ込む形にしたいと思っています。

○寺原たばこ対策専門官 はい。

○祖父江座長 そういうところはまだデータとして未成熟なものも、できるだけ積極的に引用するというのはどうですか。

○福田構成員 そうですね、その辺りをどうするかで。

○祖父江座長 全体の方針としては、完成されたものをまとめていくような感じもありますが、施策展開に対して非常に重要な項目だと思うので、そこは新しいデータも引用するというようなことを積極的にする方針でお願いしたいと思います。ほかはよろしいですか。

○中村構成員 基本的なことですが、今回の検討会の報告書の目玉は何なのかと聞かれたときに、何と答えるかということです。今までの議論を聞いていて、1つは第2章において因果関係について体系的評価を初めて行うということかなと思います。それが1つ目玉になる。長らく改定できなかったものが改定できたというのも目玉かもしれませんが、それを別にしたら、前回の報告書から年月が経過し、枠組条約が発効する中で、報告書を通じて、枠組条約の周知も含めて、その履行状況や対策の有効性を明示して、今後の課題や方向性を提言することも1つ、目玉ではないかと思います。

 先ほどから経済影響の話が出ていますが、日本が今後超高齢化社会に向かう中で、社会保障費の問題が出ていて、その中で医療費ということで、たばこ対策が医療費の効果的な削減につながること、また健康格差の是正や健康寿命の延伸にもつながることを報告書に書かれたエビデンスをもとに、さきほど議論された冒頭のエグゼクティブサマリーの中でアクセントを置いてまとめて述べて、今回の目玉として出せたらいいのかなと思います。今後のプレスリリースも意識して、検討しておくとよいかと思います。読み手にもそういう切り口で書かれていると、読んでもらいやすいかなと思います。エグゼクティブサマリーについて、アメリカの公衆衛生総監のレポートのように全ての節を網羅して数行で淡々と書いてあるのはかなり無機質のように思います。エビデンスには忠実ではある原則は大切ですが、エグゼクティブサマリーの内容については、目玉も意識しながら、今後検討していくことが必要かなと思いました。

○祖父江座長 政策を推進していこうという立場からすると、かなり今後の方向性も示すような、エグゼクティブサマリーが望ましいというか、そうしたいという気持は山々ではありますが、さりとてはそこに関してはいろいろな意見もあります。Surgeon General Reportのことを考えると、相当無味乾燥な、事実に基づいた記述ということに中心を置く形です。そういうことだと余り文句は出ないです。今回の立ち位置としては、私自身はどちらかというと、Surgeon Generalのほうに立ち位置という重きを置いて、とにかくここを基礎にして、ここまでは分かっているのだというようなことの立ち位置にとどめておいたほうが、良いように思いますが、どうですか。

○中村構成員 あくまでエビデンスに基づいて、エグゼクティブサマリーを書くという原則のもとで、政策のところをすごく強調するというよりは、あくまで健康影響や対策の効果についてのエビデンスについて分かりやすく示し、今後の政策推進の必要性をアピールするというイメージでです。

○祖父江座長 こういう対策はこういう効果があるということが分かっている。

○中村構成員 私が言いたかったのは、たとえば、喫煙の健康影響として、こんなに超過死亡があり、因果関係が確実と考えられる十分な証拠が揃った病気はこれだけあり、更に医療費への影響はこんなにあり、また健康寿命を縮める要因としてもこういうエビデンスがあるといったように、2章を中心に示し方のイメージを発言しだけです。エビデンスをどうわかりやすく示すかという、示し方のところに今回何か工夫があってもいいかなということです。

○祖父江座長 分かりました。あくまでそれは証拠に基づいた記述をするということですね。

○中村構成員 そうです。

○祖父江座長 分かりました。

○興梠構成員 証拠に基づいてわかりやすく、というご意見は素晴らしいと思います。僕は内科医として、たばこを吸ってしまったら自分も損をするし家族も国民も損をするということを誰にも分かっていただかなくてはならない時代になったと思っています。また、国がそれを動かす時代が来ていると思っています。ですからこの企画が何らかの形で、市民公開講座、新聞、マスコミにて使えるデータ、そして、10枚ぐらいのスライド原稿をこの報告書のセットとして作成し、誰もが利用したい時にポッと持っていき,すぐに使えるようなシステムを作れば、その10枚のスライドで、この企画がとても高い評価を受けるのではないかと思いました。だけどその考えがこの企画に合うかどうかが分かりませんから、それは提案として--

○祖父江座長 やはりまとめ方を分かりやすく、インパクトのあるものにするというところでしょうか。

○興梠構成員 そうですね。一番大事なところを国民に分かりやすくということは最高だと思います。専門的な報告書を読まれる一般の人は少ないと思います。この報告書の作成意義が分かってもらえるためには、将来の健康を含めて誰もが簡単にたばこの害を理解できることが重要と思います。先ほどのエグゼクティブサマリーの企画提案も素晴らしいと思いますし、スライド原稿は、誰でも手軽に使いやすいし、無断で使用できるならば禁煙に貢献すると思います。今、診療ガイドラインの一部では使用を許可されているスライドもあり、僕らはそれを使わせていただいて講演や講義をします。この公的な企画から重要で理解しやすい情報が手軽に提供されれば、みんなが喜ぶのではないかと思いながら、意見を聞かせていただいています。

○笹月構成員 最近加工肉とIARCのの発表でも少し話題になったと思いますが、IARCは本来発がん性の有無だけを規定するということ、そこまでが役割で、その後各国でどうするかは各国のマターに任されています。そういうはっきりした役割分担がありますので、今回の報告書に関しても、政策提言まで言うのかなど、その辺りの線引き、どこまでが役割かは明確にしておいたほうが良いかなと思います。

○祖父江座長 それでどうなのですか、笹月先生は。

○笹月構成員 いや、それは全体の方針に関わることなので。

○祖父江座長 いや、だから今のスタンスだと、具体的な政策提言の所ではなく、それに資する基礎資料、証拠をきちんと記述することが、この検討会報告書の役割です。

○笹月構成員 エビデンスを出すということかと。

○祖父江座長 それでよろしいですか。

○笹月構成員 かと思います。

○中村構成員 しかも分かりやすく、エグゼクティブサマリーとしてまとめる。

○祖父江座長 そうですね。

○中村構成員 そこに例えば、10枚のスライドなるものがエグゼクティブサマリーに入っていて、その図表だけを取り出すと、10枚のスライドになるという、そういう構造で考えればいいのかなと思います。

○祖父江座長 そういうところを見越したような構成にするということですね。

○興梠構成員 許していただければですね。

○祖父江座長 では、まとめの作り方に関してはかなり重点を置いて行うということでお願いします。少し細かいことですが、笹月構成員の資料での科学的根拠としての信頼の強さというのが、笹月班のレベルがありますね。それから今回のSurgeon Generalに基づくものというので、レベル14というのがありますね。実際に健康影響のところ、評価の段階を付けるというところで、何段階、この4段階を採用するということでよろしいですか。

○片野田構成員 笹月先生のがんの分野での4段階と、今回のSurgeon General版の4段階が、11対応にはなっていないのですが、そのSurgeon Generalの一番の特徴は因果関係があるかの判定を生物学的な基準も併せて検討しているというところなので、そちらのほうがIARCの発がん性の評価にも通ずるものがあって、今回もそのSurgeon Generalにしてはどうかと。笹月先生のがんの包括的評価から、Surgeon Generalバージョンには少しそのメカニズム、現状では検討がされてはいるのだけれども、もう少し追加で情報収集して、がんの4段階をSurgeon General4段階に。

○祖父江座長 では、4段階、レベル1234というのを採用するということですね。分かりました。ではほかはよろしいでしょうか。実際の作業に関しては、委託先の国立がん研究センターで片野田先生が中心になってなさっていただくということで、一部この構成員も執筆作業、一部というよりは十分に関わるわけですけれども、その立場もあり、更に検討会としての最終的なオーソライズをするという立場もある。この2段階の構成で作業を進めていくことでお願いします。

 では、その他、全体を通して御意見、何かありますでしょうか。よろしいですか。では本日の議論はここまでといたしたいと思います。最後に今後のスケジュール等について事務局から説明をお願いします。

○古賀健康課長補佐 今後の日程について御案内いたします。本日の資料4にございましたとおり、2月に第2回の検討会を予定しております。詳しい日程については後日、調整させていただき御連絡を差し上げます。

○祖父江座長 では、これで閉会といたします。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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