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2015年10月30日 第2回子どもの医療制度の在り方等に関する検討会議事録

○日時

平成27年10月30日(金)10:00〜12:03


○場所

グランドアーク半蔵門 富士西の間(4階)


○議題

子どもの医療に関する現状について(関係者からのヒアリング)

○議事

○遠藤座長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」を開催したいと思います。本日は、お忙しい中御参集いただきましてまことにありがとうございます。

 本日の委員の出欠状況について申し上げます。

 本日は、中板構成員、前田構成員から御欠席の御連絡をいただいております。

 次に、前回の検討会以降、事務局に人事異動がありました。個別の御紹介は割愛させていただきますので、配付資料の中に事務局の名簿がありますので、これを御参照いただければと思います。下線がついている方が、異動された方ということでございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移らせていただきます。本日は、特に小児医療の現場にお詳しいお3方から、子どもの医療に関する現状についてそれぞれ20分程度お話をいただきまして、その後、構成員の皆様との意見交換をさせていただきたいと考えております。

 なお、資料はお話をいただくお3方から御提出していただいているもののほかに、前回、島崎座長代理から御指摘のありました小児科医の数等に関するデータについて提出をいただいております。事務局からの説明は特に予定はしておりませんけれども、何か御質問等ございましたら後ほどの意見交換の際にあわせてお願いしたいと思います。

 また、本日は広島国際大学医療経営学部教授の江原朗先生にお越しいただいております。

 それでは、まず江原先生から御報告をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○江原教授
 よろしくお願いいたします。広島国際大学の江原と申します。きょうは、このような機会を頂戴いたしましてありがとうございます。

 私は、まずちょっと自己紹介をさせていただきますが、小児科医でございまして、それから今、医療経営学部というところで教諭をしている関係上、診療情報管理士の資格を有しております。ですので、厚労省が公表されている資料などを比較検討させていただきまして論文を書かせていただいている。このような流れの中で、今までの小児医療の流れを説明させていただきたいと思っております。

 まず1枚目はこれまでの小児医療、この約10年間の小児医療の流れというものをおさらいさせていただきたいと思います。こういう会議で言うのも失礼かもしれませんが、厚労省の方々にはいろいろデータを出していただいていることに非常に感謝しております。さまざまなデータを引き算、掛け算、足し算、割り算、こういう中で幾つかの治験を発見させていただいて、それを論文にまとめているというのが私の研究成果でもあります。

 まず「これまでの小児医療」ということですが、1つは各市町村規模でおらが町にも小児科が欲しい。そういうふうなことで、これまでは病院の小児科、主に病院に限りますが、病院の小児科というのが各市町村、ないしは郡部ですと郡に1個とか、そういう形であるんでしょうけれども、かなりいろいろなところにあまねく存在しておりました。ですから、一施設当たりの小児科医の数というのが少なかったわけです。

 やはり近くでおらが町の病院には小児科医がいてほしい。これは親の切なる願いでもありますが、それに応えて行政、地方ですとそれこそ国保病院とか、そういうところがそういう医療を担っていることが多いと思うのですが、そういうところで出てきた当然の流れだと思います。

 2枚目の紙、3枚目にいっていただきたいんですけれども、ではどのぐらい子どもが受診しているかというのを見てまいりますと、これは公表されています社会医療診療行為別調査、これの加算回数で計算させていただきました。6歳〜14歳までの小児の受診というのはどういうふうになっているか。これは、わかりません。しかし、6歳未満ですと乳幼児加算とか、乳幼児の時間外とか、休日とか深夜、こういう加算を計算することによりまして子どもがどういう時間帯に受診しているかというのを見ますと、時間外、それから休日、深夜、こういうところを比べますと約1割の子どもたちが時間外等に受診しているということになります。

 ですから、おらが町の病院に1人のドクターがいて、1割の患者さんが時間外・休日・深夜に受診する。こういうことになりますと、非常に先生方のお疲れも増すということが生じてしまいます。

 これは全国調査とか、私が行いました推定でも同じような結果が出ておりまして、4枚目のグラフを見ていただきたいんですが、これは日本小児科学会雑誌に、土浦協同病院の渡部先生方のグループがお出しになったデータをいただいて再解析させていただいたデータですけれども、平日、土曜日、日曜日、それぞれにおきまして救急とありますが、これは時間外の受診と見ていただいて間違いなさそうだと思うのですが、実際には1時間あたりの受診数というのは1人とか、2人とか、0.5人とか、こんなに少ないです。ですから、平均で見ると実際にトータルとしては多くはございません。

 しかし、合計として見たときにそんなに多くなくても各時間帯に少ない患者さんがばらばらと受診されてしまいますと、診療に対応している先生方が診療する数は少ないにもかかわらず眠れないということがどうしても出てしまいます。ですから、こういった状況をどうするかということがこの10年間の解決問題の一つであったわけです。

 このデータというのは、次の紙を見ていただきたいんですけれども、これは10年以上前のデータで申しわけないのですが、社会医療診療行為別調査の受診回数だけですと何時に受診したというのはわかりません。ですから、これを東京消防庁の救急搬送で何時の時間帯に何件出ているかという搬送の回数の比率で掛け合わせて、それを救急応需する。小児科の救急を応需するという、医療施設調査の医療機関の値で割るとどういうことが起きるかと申しますと、それが次の紙になります。

 こういう診療行為は1カ月のデータですから、これを12倍するということにならざるを得ません。実際には、たしか6月だったと思うんですが、6月のデータというのは年の受診数のほぼ平均値ぐらいになっていますので、12倍するとどのぐらいの受診がなされているかと申しますと、6歳未満の子どもたちの年間1,000万人ぐらいが時間外受診しているということになります。時間外、休日、深夜ですね。ですから、1年間の出生数が100万人強とすれば、子どもたちが1年間に一・数回は夜間救急外来のようなところを受診している。こんなようなことが見えてまいります。

 一方、平均の受診外受診数というのは救急応需している施設当たり8人ぐらいということになります。ですから、平均で見ますと1時間〜3時間に1人と、大した数ではないじゃないかと思えるかもしれません。

 ところが、どうでしょうか。時間帯別の受診数を次の妙な積み木を重ねたような絵をちょっとごらんいただきたいのですけれども、これを見ますと、まず0時前は大体1時間に1人ぐらいでちょこちょこと受診しておりますが、その後も2時、4時とか、そういうときに1人とか2人とか受診しております。そうすると、受診の間隔にしか当直の先生は睡眠できないということになりますと、小規模の病院でこういう受診がありますと疲弊してしまってやめるとか、ほかの病院に移るとか、ないしは開業するというような流れが出てきてしまいます。これが、受診間隔と睡眠といったようなところの関係であります。

 では、今、集約化とかの流れが出てきておりますが、どのぐらいの病院当たりの小児科医がいるか。これも厚労省の公表していただいたデータで見ておりますが、病院における小児科医師数というのでごらんいただきたいんですが、平成20年には3.0人、24年には3.6人、このような数できております。

 こういう中で、小児科医の勤務医がどういうふうな働き方をしているかというのをまた絵のほうで見ていただきたいと思います。「小児科医の勤務時間―通常VS当直時―」、このような絵でごらんいただきたいのですけれども、こう見ますとやはり当直に入るときは9時というか、大体多くの先生は8時半とか8時とかに病院入りして、実際の回診の前の7時半とか8時ぐらいにいわゆる看護師さんの申し送りがある前に、気になる子たちはちょこちょこと顔を見てきたりなどということをしていますから、これ以上に実際には長いんですが、こういう形で17時ぐらいから当直に入りますと、次の日の17時プラスアルファの時間帯まで働いているということもありますので、こういうところが非常に疲れてしまうということがあります。

 これは、当直という形で病院の中で寝泊まりするところにちゃんといれればいいんですけれども、宅直オンコールということを小さな病院でしているところがあります。これは何かと申しますと、病院の近くに官舎とか社宅みたいなものがありましてそこで普通に生活する。ただ、患者さんがきた場合にはいつでもきてくださいということで、実際にはそういう宅直というのが行われていたりします。

 これは、私は北海道の病院で働いた経験がございまして、吹雪の日に2時に寒い中行って1人の子を診察して、診ている時間は10分か15分かそんなものですね。それで、帰ってきて、その日の2時に呼ばれて、4時に今度はぜんそくの子がきましたと言われて処置をして帰ってくる。そうすると、次の日、確かに2人しか診ていなかったじゃないかということがありましてもやはり疲れてしまうということがあります。ですから、こういったやりくりをどういうふうにしていくかということがすごく重要になってまいります。

 日本と諸外国の勤務医というのはどのぐらい働いているかというのが、次のグラフにあります。世界のほうはOECDのデータの2008年、ちょっと古くて申しわけないですが、それと日本のほうは日本医大の長谷川先生が国立保健医療科学院にいらしたときにまとめられたデータ、これは厚労省のほうの医師の需給に関する検討会の12回目にお出しになったデータを引用させていただいたんですけれども、こうやってみますとやはり日本のドクターというのは非常に勤勉であるということは間違いないかと思います。国民の方々にとっては物足りないという面は確かにあろうかと思いますが、国際比較を行いますと非常に勤勉で、私たちは胸を張って生きていっていいんじゃないかと思っております。

 こういう中で、ではなぜ国民の方々も時間外診療に対してなかなか御納得いただけないか。そして、経営者の方々がやはり救急外来について御納得いただけないか。そして、ドクターも何となく満足がいかないか。これをまとめたのが次の図であります。

 つまり、まばらに医療資源がばらけているということで、患者としては診療体制が不十分じゃないか。それから、医師としてはやはり疲弊する。管理者としては、合計数が少ないので非常に収益が上がらない。皆さんがどこかに不満を抱えて回ってきたというような状況があります。

 では、実際にどのような医療を構築するためにとられた施策があるか。これは本当に学会、医師会、または厚労省の方々がこの数年御尽力いただいた賜物だと思うのですが、まとめさせていただきました。

 1つは、重点化ということと集約化ということが、私たち小児科医にとりまして非常にありがたい流れであります。また、確かに1つは不必要な時間外受診対策、要するに不要不急と言われているものです。

 これは、1つは開業医の先生方を初めといたしまして保護者の方々に、例えば市民教室とか、そういうところで、熱が出ても次の日でいいですよとか、そういったことを啓発していただく。もちろん急いでかからなければならない発熱の方々もいらっしゃいますけれども、様子を見られる方々については次の日でいいですよと、こういったようなことを啓発していただいているということですとか、これも厚労省でなさってくださった事業ですが、#8000番です。これは広島県の小児科医がお始めになったとお聞きしておりますが、電話の中で親御さんが非常に困った、疾患に対してどう対処したらいいかということについて電話で答えてくれるというシステムが今、全国にあります。

 こういった中で、病院に行くまでは心配していないんだけれども、でもどうしていいかなということに対して非常に対処してくださっている。それから予防接種、これもありますね。熱が出る疾患が非常に減ってきたということがあるかと思います。特に熱で怖いのは髄膜炎とか、要するに脳がやられる疾患です。こういったものが予防接種によって減ってきている。これは、非常にありがたいことだと思います。

 それから、こちらは保険局の方々の会合でいらっしゃるので経済的な誘導というのが非常にありがたいと思います。

 1つは選定療養というのを今、例えば時間外とか、紹介状のない受診とかでとるケースがふえておりますが、これがまだ導入しかけのころですけれども、公立病院で200床以上の病院を調べましたら12病院ありました。そこで時間外とかで選定療養で何がしかの料金を取るということがありましたら、これは全診療科なので小児科に限定しないんですが、外来診療が20%減ったにもかかわらず入院は2%ぐらいしか変わらなかったということなんですね。

 ですから、こういったところ(2次医療の公立病院)を見ますと、選定療養ということで外来は減っても入院は減らないということで、このたった12病院のデータですから全部を網羅すること、全国の全てを結論することはできませんが、こういうように軽症と重症の住み分けということがどうもできているらしいということがわかりました。

 それから、小児入院医療管理料というのを導入していただきました。管理料の区分はこちらの診療報酬のほうにございますので割愛させていただきますが、では実際に小児医療入院管理料1とか4とか5で、1というのは一つの病院に常勤換算で20人以上、非常に大きな病院ですね。子ども病院とか、そういうところです。それから4は3人以上、小さな近くの市立病院クラスだと思います。それから1人、管理料5というのは1人です。ですから町立国保病院とか、こんなようなところがあるかと思います。

 それで、実際これがどういうふうにあるかというのを私はことしの医師会雑誌に載せていただいたんですけれども、全国の地方厚生局に開示請求を出しまして各都道府県で管理料1〜5の病院はどこにあるかを調べました。そうすると、管理料1、つまり小児科の常勤医が20人以上いる病院というのは、宮城を除きますと関東より西にしかないんですね。

 一方、では管理料4、つまり3人以上とか1人以上というのは全国ですと58%がそういう病院になるんですけれども、その比率が高いのはどこかと見ますと、東北、北海道、北陸、それから中国、四国、こういったところで集約化というところでは管理料という経済的な誘導というのは非常にありがたく作用しているんですが、地域差がいかんともしがたくて、特に北海道、東北ではまだ小規模な病院が非常に多いというところが今後の課題になるかと思います。

 ここでひとつお願いもあるんですが、DPCデータが、がんとか、糖尿病とか、脳梗塞とか、そういったようなものについてはDPCデータでかなりどこに集中しているかというのはわかるのですが、子どもの場合は小児疾患というのがたしか主要診断群というのがあるんですが、例えば胃腸炎などというのは半分以上がお年寄りなんですね。ですから、できれば15歳未満のデータを縦断面にしてお出しいただけると解析が進むので、その点はお願いしたいと思います。

 実際、非常に集約化が進んでいない地方で、特に東北、北海道ではどういう働き方を小児科医がしているか。これは小児科勤務医の時間外労働時間と拘束時間、要するに宅直オンコール、家で待つ時間と実際に時間外で働いている時間というのを日本小児科学会のほうで2004年と2010年のデータを比較させていただきました。こう見ますと、やはり月当たりの働いている時間というのが東北、北海道で長いというようなデータもございますので、この点はやはり働いている現場がもう疲れた、嫌だということで潰れないように、皆さんお力添えをいただきたいと思います。

 では、この数年どうなのかということを見ていきますと、疾病構造が変わってきております。先ほど申し上げたように、予防接種等によりまして熱性疾患とか急性期の疾患が減ってきております。ですから、時間外の受診数というのは幸か不幸かわかりませんが、減ってきております。もしも金銭的なものでかかれないということであれば不幸でありますし、病気が減ってきたということであれば幸であります。

 この小児の深夜の受診回数というのを社会医療診療行為別調査で見てみますと、平成18年〜22年と、23年〜25年の間で比較してみました。これは調査対象が23年以降増えておりますのでちょっと違うんですが、いずれにしても時間外、休日、深夜が減っていることは事実かと存じます。次のグラフでお示ししたとおり、減っているということはどうも確かなようであります。

 最後に、集約化・重点化して子どもたちのアクセスが悪くなっているのではないだろうか。これは特に自治体の長の方、首長の方々、市町村長、こういった方々にとっては非常に関心あるかと思います。ですから、私はこれを調べました。これは何かと申しますと、全国に800弱ある消防本部なんですが、平成20年〜25年の救急搬送人員データベースというのを消防庁のほうから頂戴しまして、消防本部の管轄地域外に子どもが搬送されている比率がどう変わったかというのを調べてみました。そうしますと、新生児、乳幼児、少年とも管内、管轄地域外への搬送比率と余り大きな変化がないんですね。ですから、幸いなことに集約化・重点化ということがあるにもかかわらず、救急搬送という物差しを使いますと遠くに行くことでアクセスが低下しているということは幸なことにございませんでした。

 ちょうど、これは小児科学会雑誌の10月号、今月号に出させていただきましたので、よろしかったらごらんいただければ幸いかと存じます。

 まとめさせていただきますが、医師数が少ない病院小児科というのが非常に多くあるということが、時間外の診療で小児科が疲弊するということでありました。この改善は、皆さんのお力添えの結果です。不要不急の受診を減らすということで啓発が行われたり、予防接種が強化されたり、または#8000でいわゆる0.5次救急というのが非常に全国的に整備された。これは、本当に皆さんに感謝しなければならないことかと存じます。

 最後に、あとは集約化・重点化ということで選定療養ということもありますが、やはり小児入院医療管理料ということで保険診療の上で、1次・2次・3次医療の棲み分けに関し経済的な誘導を図っていただいた。これについては、保険局の方々には本当にありがとうございますと言わせていただきたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

○遠藤座長
 江原先生、どうもありがとうございました。いろいろと御意見もあるかと思いますけれども、一通り御説明をいただいてから御意見をいただければと思います。

 それでは、引き続きまして五十嵐構成員お願いいたします。

○五十嵐構成員
 おはようございます。私のほうは小児医療の課題、あるいは将来につきまして少しお話をさせていただきます。

 「わが国の小児医療・保険環境」という題で、2ページにまず「新生児・乳児の死亡」を書きました。3ページにそのグラフがありまして、これはもう皆さん御存じだと思います。我が国は世界でも乳児死亡率、新生児死亡率が最低の国と言えるのではないかと思います。非常にいい数字が続いておりまして、これは関係者の御努力や、それから何にもまして国民皆保険制度というのが非常に大きなウエートを占めているのではないかと思います。

1,000人生まれたお子さんが1カ月以内で亡くなる数を新生児死亡率といいますけれども、1,000人生まれて1人しか死なない。あるいは、1歳までいかない乳児死亡率は2.1ということで、しかもそのほとんどが先天的な要因が原因になっているということがこれでわかると思います。

 一方、5ページをごらん下さい。健康、教育、栄養という大きな要素のほかに5歳未満の死亡率、就学率、低体重児童、これは栄養が悪いということですけれども、そういういろいろなファクターでその国の子どもの育ちを評価いたしますと、日本は西ヨーロッパの諸国をしのいで世界一、子どもの発達がいい、育ちやすい国と評価されています。これも、大変ありがたい状況ではないかと思います。

 しかし、細かく見てまいりますと、7ページにありますように、わが国ではいろいろな病気で亡くなるお子さんの中に子どもがわが国では事故、外国ではインジャリー、傷害という言葉が使われておりまして、これは予防可能なものであるがゆえに傷害という言葉を使っているわけですけれども、1歳以上の子どもの疾病別死因の上位をこの傷害が占めております。

 いろいろなところで実態調査が行われていますけれども、事故予防を目指す介入が行われませんので、この数字は数十年間にわたって内訳は変わっておりません。小児学会では学会員から収集した傷害事例から詳細な報告を収集しまして、海外事例と比較してインジャリーアラートとして学会雑誌に公表しておりまして、その一部は事故予防を目指す製品の改善という実績を生み出しております。

 次の問題は子どもの貧困問題と虐待です。9ページをごらん下さい。OECD2012年の段階で35か国ありましたけれども、我が国の貧困率は16.3%、6人に1人でした。この相対的貧困率というのは親御さんの収入が平均の半分以下の方たちをいいますが、我が国は35か国の中で9番目に貧困率が高い状況です。

 次のページにありますように、わが国では母子家庭のお母さんの就労率が世界的にも高いにも関わらず、貧困率が高く、10ページにあるように父子家庭に比べると母子家庭の収入が低いということも指摘されています。

 9ページに戻りますが、「子どもの貧困対策推進法」を国が25年の6月に制定しました。平成33年における子どもの貧困率を10%未満、つまり今の3分の2以下にしようということを目標に掲げております。これからいろいろな施策が出てくるのではないかと期待されます。

 外国を見ますと11ページにありますように、このブルーの線がアメリカの子どもの貧困率で、余り変化がありません。ところが、英国は非常に高いときは30%と高かったのですが、特にブレア首相のときにWar on povertyというスローガンのもとにさまざまな施策をとった結果、貧困率が今では11%と、日本よりも低くなっています。

 一方、児童虐待に関しては、12ページにあるように児童相談所への相談対応件数がこのように大変ふえております。昨年度は8万件を超しており、貧困がダイレクトに虐待の原因になるとは言いませんが、何らかの関係があると考えられております。

13ページに示しましたように優れた小児医療体制、救急医療あるいは高度先進医療を含めた診療体制をつくるということが非常に重要です。それと同時に救急外来においでになって24時間以内に亡くなるお子さんがいらっしゃるわけですが、その子たちがどうして亡くなったかということの検証は実は全くと言っていいぐらい、日本全体を見ますと体制が整備されておりません。

 子どもの死亡をしっかりと検証する体制をchild death review体制と申します。その様な体制がないと、虐待で殺されたにもかかわらず、原因不明として処理されていることもあるのではないかと推測されます。その様な状況が放置されているというのも日本の現状ではないかと思います。医師だけでは解決できないいろいろな問題があります。もしchild death review体制が構築されますと、救急外来での子どもの死に対して検証する体制があるということで、虐待への防波堤になるということが期待されるところであります。

 次の問題は、予防接種のことです。15ページをごらんになりましたらわかりますように、この赤いラインが我が国の予防接種、定期接種がどのようなものが行われているかということの1975年からの経緯を示しております。1980年代は我が国は世界でも最も予防接種を先進的にやってきた国であります。しかしながら、このブルーのところが示すように米国では、あるいは西ヨーロッパでは、1990年代から日本を超えて積極的にさまざまな予防接種が導入されてきました。日本はようやく昨年、水痘が定期接種されて、来年B型肝炎ということになっておりますけれども、米国の3分の2程度の定期予防接種を受けられる状況である。

 ロタウイルスとか、インフルエンザとかは任意接種ですので、国が定期接種として認めておりません。わが国ではかつて、インフルエンザは定期接種になったわけですが、これもやめてしまっております。そういうわけで、まだまだわが国は先進諸国における世界標準からおくれている状況です。

 しかし、そうは言ってもこの予防接種体制が少しずつこの5年ぐらいの間に充実してまいりましたので、いわゆる重症感染症の患者さん、申し上げますと細菌性髄膜炎、敗血症、肺炎、細菌性股関節炎は着実に減少しております。

 重症感染症で入院する患者さんが減るということは、先ほども御指摘がありましたように救急外来で発熱を呈する乳幼児がきた場合に私どもが一番心配するのはこの細菌性髄膜炎と敗血症なわけですけれども、そういう患者さんが減ってきているということは大変ありがたいことだと思います。特に、インフルエンザ菌Bの髄膜炎は激減しておりますし、それから肺炎球菌の髄膜炎も大分減っております。難治性の中耳炎等も、それに合わせて減っています。

 このように予防とか治療が非常に進んでまいりまして、先進諸国では17ページ、18ページに示すように慢性疾患、あるいは慢性の障害を持って、病気を持って大人になっていくお子さんたちがふえているということが共通の問題になっています。その様な人たちをChildren and youth with special health care needsという言葉であらわしております。 例えば小児の急性リンパ性白血病は50年前には有効な治療があまりありませんでした。ステロイドの大量療法が始まり、化学療法が始まりまして、現在では小児の急性リンパ性白血病の5年生存率は日本でも9割近くになっています。それから、成人を迎える事のできる急性白血病の患者さんは8割を超えるようになってまいりました。

 しかし、病気は治ったわけですけれども、治療を受けたための障害等が後になって出てくるということも問題になっています。

 それから、左心低形成症候群という、これも30年前には全例が亡くなっていた病気ですけれども、2度あるいは3度の手術を経ることによって60%のお子さんが成人に移行することができるようになっています。しかし、慢性的な低酸素血症等、あるいは心臓に対する負担で不整脈だとか、心不全だとか、あるいは腎臓の障害とか、いろいろな臓器の障害が出てくるというようなことも問題になっております。

 つまり、障害を持って大人になっていくお子さんたちをいかに支援して成人に移行させるかということが大きな課題です。彼らがセルフエスティームを持って社会の一員として生きてゆける様に支援するような体制が必要になってくるのではないかと思います。

 特に19ページにございますように、昨今はいろいろな複雑な疾病を持って、あるいは医療的ケアを持って対応せざるを得ないお子さんたちがふえております。Children and youth with complex health needsという概念が使われておりますけれども、例えば未熟児だったお子さんが500グラムで生まれて生存していくわけですが、その中には人工呼吸器を離すことができない。人工呼吸器を依存したまま大人になっていくような方もいらっしゃるわけです。そういう方たちが今、非常にふえてきています。

 さらに、低出生体重児がふえておりまして、昭和50年のころは2,500グラム未満で生まれるお子さんは5.1%でしたけれども、平成24年には9.6%になっています。それから、生まれてくるお子さんの平均体重も昭和50年は3,200グラム、平成24年は2,950グラムということで、要するに小さく生まれる傾向が強まっているということであります。これはいろいろな理由がありますが、やはりお母様の出産年齢が30歳を越えてきているということが一番大きな原因ではないかと思います。

 小さく生まれても大きく育てることで問題はないとこれまで言われてきました。しかしBerker説、Developmental origins of health and diseaseの説が示すように、小さく生まれたお子さんというのは実は高血圧、糖尿病、慢性腎不全などのいろいろな合併症のほかに、神経学的な合併症も出現しやすいことがわかってまいりました。

 障害を持って成長し、成人に移行する患者さんたちをどのように支援していくかということが今、小児科学の非常に大きな課題になっているとお考えいただきたいと思います。そして、その人たちができれば病院という環境でずっと過ごすのではなくて、自宅で、家庭で過ごすことができるような支援が非常に求められています。在宅医療等に対しては高齢者にはいろいろな支援があるわけですけれども、子どもや若年成人の方への支援体制が非常に限られています。これも今後の大きな課題ではないかと思います。

 それから、英国では子どもホスピスというものがあり、ターミナルのお子さん、あるいは人工呼吸器をつけているお子さんたちを預かって、その間、親御さんが御家庭のこと、あるいは御自分のことに時間を費やせることができます。米国にも別の形の中間施設がありますが、日本ではその様な支援施設が整備されていません。

 これから子ども、青年の在宅医療支援をするためには、在宅医療の準備や支援をするような施設、そうした医療が必要なお子さんたちへの支援センター、子どもホスピス、小児訪問看護ステーション、そういう人たちが大きくなってひとり暮らしをしたり、あるいはグループホームで生活する場合の支援、あるいは学業・就労支援、そして就学、就労した後にそれを継続できるための支援も必要です。

 成育医療研究センターではそういう状況を考慮して、重い病気を持つ子どもと家族が在宅でケアして育てる社会をつくるということを目的に英国の子どもホスピスに似たような施設を今つくっております。来年から運用することを考えております。単にお子さんをお預かりするだけではなくて、そこでお子さんたちが楽しく生活し、それから寝たきりになって筋力が低下するようなことがないような、リハビリなども含めた対応もしたいと、考えているところです。

 次の問題は小児医療体制上の課題です。日本小児科学会の会員数は着実にふえておりまして、平成27年には2万1,432人になっております。そのうち、1万6,000人ほどが小児科専門医です。

 小児の疾病構造が変わって新しいいろいろなニーズがふえてきています。これから小児医療に関しては小児人口が減るということはありますけれども、まだまだニーズが高いのではないかと思っています。

 しかし、全ての地域で等しく適切な小児医療を提供することができていないということはやはり大きな課題であります。

 それから、小児科のサブスペシャリティの中で小児科医の参画がふえがたい領域があります。特に強調したいのは、新生児科医になる方が余りふえていないということです。新生児科医が忙しく、QOL等に問題があるためかもしれません。

 感染症で入院が必要な患者さん等が減少しているために、小児救急を行ったり、小児患者が入院できる医療施設が医療経済上の問題で小児の入院をやめてしまう傾向が少し筒見られています。即ち、小児の入院医療施設が集約されていく傾向が強まっているのではないかと思います。そこで出てくる問題は、小児医療機関へのアクセスが悪くなることです。

 それから、夜間とか休日の診療を行わない実地医科がふえていることも問題になっています。

 大学病院小児科の入局者が減少している傾向が地方では顕著で、小児病院がない県で最高の医療を提供してきた大学病院小児科の医療に非常に大きな制限が出ています。

 では、将来の我が国の小児医療、小児保健に何が求められるでしょうか。強調したいことは、これまでの小児科医は病気への対応が中心であったことです。しかしながら、いわゆる健康なお子さんであってもそれが育っていく過程におきましてさまざまな問題が生じています。ですから、健康な子どもへの対応がこれまで十分ではなかったと思われます。

 簡単に申しますとdisease orientedな小児科からwell-child and disease orientedの小児科にこれからは変わっていくべきではないかと考えています。そういう意味で、子どもの健康を最大限に維持するために子どもを見守り、必要な介入を行うことが必要と考えます。わが国では子どもの健診は身体の健康状態と子どもの発達を評価する事に主眼が置かれていました。しかし、子どもは年長児になってまいりますと家庭、学校、社会の中で何らかの問題を持つことが出てきます。子どもの身体の健康だけでなく、心理社会的な面での健康についても評価し、適切なアドバイスをすることなくしては、健康維持ならないと思います。

 つまり、家庭生活や学校生活など、子どもを取り巻く環境を詳細に聴取し、心身の健康に影響するいろいろなリスクがないかどうかをスクリーニングして、それに対応してゆくことがこれからの小児科医に求められているのではないかと思います。

 そして、米国では様々な想定されるリスクに子どもが対応できるように、小児科医が健診の際に子どもとロールプレイをしています。そういうようなことまで含めた対応がこれから必要なのではないかと思います。

 当然、予防接種などの予防医学を推進することも大事です。さらに、わが国では小児科医は15歳の子どもまでが守備範囲ですが、米国では21歳までです。米国では、3歳以降の子どもたちはかかりつけ医のところに年に1回受診し、30分以上かけて健診を受けています。そういうような関係ができますと長期にわたってフォローすることによって信頼関係ができます。思春期のいろいろな難しい問題もかかりつけ医の先生と相談することができるので、大きな問題になる前に対応できると言われています。

 一方、我が国では子どもの集団検診が非常にうまく行われています。集団検診ではいろいろな利点があります。しかし、プライバシーがないとか、発達障害に悩んでいる親御さんにとってはそういうお子さんを集団検診に連れて行きたくないとか、流れ作業的な側面があって医療従事者との接触時間が非常に短いとか、その結果として大まかな診療だけで終わってしまうなどの問題も指摘されています。特に、思春期の子どもには、こころの問題に時間をかけて対応することが必要ではないかと考えます。

 それから、在宅医療や移行医療に小児科医がこれまで以上に参画したり、発達障害や心の問題を持つ子どもに適切に対応することも必要です。もちろん救急医療から高度先進医療までのの現在の医療水準を維持して向上させることも大事です。

 最後に、国から世代間への支出について指摘させて戴きます。社会保障費、年金、医療費、その他の支出を見てみると、65歳以上の高齢者3,277万人への支出と、20歳未満の小児2,741万人への支出の比率は、18対1と言われています。この比率が妥当かについて考えなくてはいけないと思います。

 子どもたちが成人になっていく過程で必要な健康や病気に関する知識を持ち、健康問題に対する意識を高めると同時に、彼らの健康を支援し増進させるための法律が必要ではないかと考え、日本医師会を中心に、周産期、小児期、思春期を経て次世代を育成する成人期までの成育過程というライフサイクルの中で生じる心と体の問題に対する医療を推進させるための「成育基本法」を制定させる活動が行われています。

 我が国の小児医療や小児保健はこれまで非常にうまく行われてきましたが、疾病構造や社会の変化によって新たなニーズが出ております。このニーズに対していかに対応していくかどのような医療体制をつくっていくかということが大きな課題になっていることを御指摘させていただきます。以上です。

○遠藤座長
 五十嵐先生、どうもありがとうございました。

 では、渡辺課長どうぞ。

○渡辺課長
 大変申しわけございません。事務局の不手際でございまして、五十嵐先生の貴重な資料の後半部分の印刷が落丁しておりまして大変申しわけございません。今、刷っておりますので、ディスカッションの時間までにはお手元に届くようにさせていただきたいと思います。大変申しわけございませんでした。

○遠藤座長
 よろしくお願いします。

 それでは、引き続きまして松田構成員からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○松田構成員
 私は看護大学卒業後、こども病院で看護師として働き、そしてその後、学校保健の分野で仕事をしました。保健の教員と養護教諭として3年間務め、その後、行政での保健師として働きました。さらにその後、現在まで公衆衛生看護学分野いわゆる保健師課程の教育に携わりました。今回、地域保健および小児看護の立場から、意見を言っていきたいと考えています。
 いろいろなデータとかも示そうと思いながら、準備できず、今日いろいろなデータをいただいていてよかったなと思っています。
 最初にまず子育てをしている親の育児力の向上というのがとても大事じゃないかと思います。これは私が市町村保健センター、あるいは保健所の保健師さんたちからよく聞くことですけれども、近隣の小児科医の先生は非常に疲労困憊している状況です。多忙過ぎてとバーンアウト状態でということでよく嘆かれているということを話されていました。

 その理由は、簡単なたいしたことのないことでも受診してくる、いわゆるコンビニ受診が多くあると言われています。もう少し様子を見ても大丈夫だというところで受診してくる方が増えているということです。そういったことから病状が軽症で今受診の必要性のないケースが多く見られ、とても急ぐ大変な子どもたちが後回しになっている現状があるということを聞いておりますと話されていました。

 子どもの状態をある程度適切に判断することは、かなり難しいことではあると思いますけれども、やはり親が正しい知識を持ち、育児力をアップできることが必要であると考えます。

 では、どのようにして育児力を育てるかということについては、学校での教育はもちろんですが、病気を理解し、実際に判断できる知識をもつことは中高生の教育ではなかなか身につかないと思いますし、子育てをしている時期に出会う保健所や市町村保健センターの保健師の関わりの中で指導することが非常に重要になります。育児に対する知識や育児方法、あるいは病気に対する知識、予防接種の必要性などについて学び、育児力をつけていく。また育児に困った時や悩んだ時に担当保健師さんに相談できる体制が大切じゃないかと思います。

 次に、病院の小児科医は、先ほどの五十嵐先生のお話にもありましたけれども、すごく忙しいため、診療とか病気のことについてはきちんと御説明されるのですが、予防や生活上の注意事項などになかなか時間を取ることは難しいということがあります。小児科外来の看護師が単に受付とか事務的なことをするのではなく、子どもの病気・治療や生活上の注意事項の説明や育児や予防についてしっかりと親に指導できる能力を備えた小児看護師の配置が重要ではないかと思います。

 特に子どもの場合は入院期間が非常に短くて、ある程度治療が必要でも外来通院で治療を継続することが多くなってきていると思いますので、そこでは単にただ病気の治療に来るだけではなく、やはり病気を持って地域で生活している。病院の中ではなく、地域でさまざまな問題を抱えていると思いますので、そのような状況に対応できる専門小児看護師が必要と考えます。現在看護界では小児専門看護師を育てていますので、病院、外来や地域に配置するということが必要と思います。

 先ほど健診の話がありましたけれども、日本はすごく母子保健体制というのは整っていると思います。乳幼児健診は法令化され、1歳半、3歳児健診は個別通知もされ、きちんと受けられる体制が整っていますが、先ほど言いました個別の問題への対応ということになってくると、その場で10分くらいの間での問診や指導は行われていますが、本当に深刻な問題にじっくり取り組む時間がないということも現状では起きていると思います。

 イギリスのスコットランドに行きました時に、日本の母子保健システムや保健師が各行政で配置され、地域で活動している母子保健体制について非常に褒められましたし、すごく良い重要なシステムと言われました。そこはとても評価できる部分ではありますし、実際に良いシステムだと思いますが、しかし、個別ケースへの問題への対応、特に退院後のフォローが十分に整っている状況ではありません。例えば、極小出生体重児の子どもたちはさまざまなハンディを抱えていますし、がんの子どもたちも、身体の成長が十分でないなど問題を抱えている。病気を持って生活している子どもたちは、社会の中で生活するのにさまざまな問題や苦悩を抱えているため退院後フォローがしっかりできるようなことが大事だと思います。

 それから、地域での子育てですが、お母さんだけに育児力をつけなさいということではなく、地域全体の中で支えていくことが必要で、今、非常に育児グループとか、地域にはさまざまな子育ての資源があります。その育児グループもいろいろなレベルといいますか、身近で気楽なものから行政がしっかり取り組んでいるものとか様々なものがありますので、そこはそれぞれのニーズに対応でき、すごくよいことだと思います。

 しかし、非常に熱心に取り組んでいるところからあまり活発でないところまで、格差がありますので、地域での子育てをしっかりとできるように行政が主導の保健体制で仕組みづくりや仕掛けが重要だと考えています。

 2番目に子どもを治療する病院や診療所などの医療機関の地域格差の是正ということがあるかと思います。先ほど関東以西の方から病院が多く設置されているというご発言がございましたが、関西にある兵庫県は整っているほうかもしれません。兵庫県の神戸市・西宮市で少しお話を聞かせていただきましたが、やはり子どもの医療機関というのは地域格差が大きく、都心部いわゆる阪神間といったところは非常に充実していますが、兵庫県の北部のほうは本当に少ないため非常に不安があるということです。

 ただ、柏原病院の例は、親たちが立ち上がり、すばらしいシステムを作り、モデル的です。兵庫県では、その例を見習い、しっかり取り組んでいきたいということは行政の方もおっしゃっていました。現在、中規模の公立病院でも小児病棟を設置していないところもあり、子どもの入院がなかなかできないということもお聞きしています。そのため、ある程度の地域格差は仕方がないかもしれませんけれども、ある程度の平等化ということも大事かと思います。

 次に、病気や障害を持っている子どもの在宅医療の充実について話します。このことについては、五十嵐先生からご発言がございましたが、非常に不備じゃないかと思います。高齢者の場合は介護保険ができた後、いろいろなものが整備されています。

 病気、障害を持っている子どもが在宅で地域生活をしているときの課題について資料に書かせていただきました。

まず訪問医療をしていただく医師、あるいは訪問看護師が不足している点です。訪問看護ステーションは非常にたくさん増えました。看護師が開業し、自立でき、診療報酬をいただきながら、経営という形で独立した体制で開業しており、非常に増えています。

 訪問看護ステーションが増えることは地域で安心して生活できることにつながります。しかし、退院して在宅に戻った時に、専門の大きな病院で手術や治療をした場合、例えば、難病の子どもたちが在宅に戻るときに、近くでちょっとしたことを訪問診療していただくという時に、近くで罹れる病院・診療所を見つけてくださいと言われてもその医師のほうが、これは難しい専門的な病気ですと言われ、診てもらえず、診てもらえる小児科医が見つからなくて困っているということを訪問看護婦さんから聞いたことがあります。   

ここは専門病院からきちんと地域の病院につなぐということがとても大事ですし、そのときに情報や治療内容が連携によって確実に伝達されることも大事だと思います。

 身近なところには、いくつかの訪問看護ステーションがあり、兵庫県の場合も地域には訪問ステーションがありますが、子どものケアということになってきますとなかなか受け入れてもらえないと言われていました。小児をみてくださる訪問看護ステーションとなると市をまたいだり、遠くからのステーションが対応しているという現実があります。訪問看護師は、高齢者の場合はそんなに心配じゃないようですが、小児の場合なかなか訪問看護師がケアするのが難しいと言われていました。理由の1つは特殊性ですね。小児独特の病気や治療があります。また、子どもの場合は、家族との対応、特に母親との関わりの難しさなどあり、高齢者や成人を対象に訪問看護している看護師には荷が重いという部分があります。そこで、訪問看護ステーションにおいても小児を専門とする看護師が必要であり、今後は増やす必要があると看護界の課題としてあります。病院から退院して在宅に移行する際、医療的ケアの必要な子どもたちが、スムーズに地域で医療につながり、訪問看護ステーションの看護婦さんがケアして在宅生活が維持できるということが必要であると思っています。

 また、医療機関と地域での診療医、地域保健の連携の問題です。特に極小出生体重児たちは、長期入院をしていて、そして退院をしていき、その子どもたちの在宅生活が始まって行きますが、身体的、精神的および社会的課題を抱えています。家族自身も問題を抱えているにもかかわらず、連携がとれていない現実があります。

 自治体によっては、これをきちんと問題視し、地域で関係者が集まり、連絡会を持っており、情報を共有し、支援について検討しています。問題があった時に会議を持つのではなく、定期的に病院と地域の保健師や福祉職などの市町村、リハビリテーション施設などの関連施設が集まって、ケース検討や支援計画を立てて方針を決めたり、役割分担をするなどを話し合っています。地域においてはそれぞれが役割を明確にしながら子どもたちを見守っていくというシステムが必要で、よくできている自治体もあります。しかし、余りできていないところもあって、非常に格差があると思います。このようなシステムをきちんと整えることで、虐待のハイリスクに対応することができ虐待予防につながっていくと思われます。

 それで、私はこの子どもの虐待に関して保健師の役割は大きいと考えており、ずっと研究を続けています。ある県に行きました時にとてもすばらしいシステムがありました。  

極小低出生体重児が生まれたら、NICUとか、生まれることが決まっている医療機関で地域保健としっかりと継続的にフォローしているというシステムがあることを知りました。その調査研究に伺った際に、かなりトップのポジションに保健師さんが配置されていました。仕組みをきちんとつくられていて、病院の中に子どもたちが退院のときに保健師に地域保健の連絡がきて、在宅に移行する際にまず出会いをして、帰ってからもきちんとその地域へつなげていくというシステムになっており、いろいろな問題、特に精神的な問題とか、そういったことに関しても病院の中で退院までに臨床心理士がきちんとその親に対する対応を行っていました。

 小さな子どもを産んでしまったという母親の自責の念に対してフォローするというシステムになっており、さらに大きな病院と保健センターや保健所では地域保健は子どもが小さく生まれますと当然連絡はいきます。書面での連絡はいくようになっています。また、家庭訪問も行っておりますが、もう少し有機的に行う必要があります。例えば地域保健の方で「こういう子どもがこんな状態ですよ。今はこういう課題を抱えていますけれども、このような状況にあります。」という情報を病院のほうにお返しするという相互の連携がきちんととられていて、小さな子どもたちが1歳半くらいになるまで病院のほうで健診とかフォローアップをきちんとしていって、その情報がまた地域保健のほうに戻っていくという非常に密な連携ができていました。

 そして、その後、地域保健(保健所)の方では、母親に対してのフォロー教室を開催しています。育てにくいとか、いらいらするとか、いろいろなことを抱えているお母さんへ精神的な面でのフォローするための教室がなされており、そういった充実しているシステムを見させていただいてすばらしいなと思った県がございます。

それを今ちょっとまとめておりますが、やはり地域に戻ってきたときの子ども、病気というハンディを持ち、小さく生まれた子どもたちをきちんとフォローしていくのは行政で働く保健師ではないかと思います。

 しかし、市町村の保健師さんに聞きますと、現行では、いろいろな施策がどんどん出てきて業務量がふえてしまって個別のことが余りできなくなったという現状をお聞きしています。予算の問題もあり、保健師数は減少という形をとっていると思いますが、子どもの虐待やその他の問題に関しましても保健師の役割はすごく重要だと思いますので、予防という観点から配置やマンパワーを充実させていく必要があるのではないかと思います。

 そういった点では、病院と地域が密接につながりながら、特にいろいろな問題を抱えた子どもたちを継続的に連携していくことが必要です。総合病院、あるいは子ども病院といったところでは小児看護の専門看護師が配置されていますが、確かに数は少なく、今後は外来や病棟にも専門看護師が継続的にフォローできるような体制が重要であると考えています。

 次に、医療的ケアに必要な子どもの親への支援というものが重要であると思います。医療的ケアが必要な子どもたちは、特に病院から在宅に移行したときに、母親は切れ目のない状態で疲労困憊している現状があります。昨年度、私の研究室で修士課程を修了した院生は、非常に重症の心臓病で在宅酸素療法が必要な子どもさんを抱えながら、研究に取り組み、在宅で医療的ケアを行いながら生活する家族が抱える課題について研究を行いました。その調査の際にやはり皆さんのニーズはどこかで短時間だけでも預かってもらえる場所がないのかというレスパイトが浮き彫りになっていました。

 それで、ある県庁でいろいろ聞きましたところ、現在、特別養護老人ホームや福祉のほうでは子どもを預かってもいいですよという体制はできているということでした。しかし、現実的には医療的なケアを受けている子を受け入れることには非常に不安があるということと、親側でも、高齢者を対象にしている施設で子どもを預かってもらうことには不安があるので預ける気がしないという理由で、なかなか実際には活用できない現実があるようです。

難しいかとは思いますが、やはり医療的なケアができるような特別養護老人ホームや介護施設ではなく、医療的な子どものケアができる専門職、看護職、医療職、そういった方々を配備すること、そういった方を増やしていくことが必要だと思います。

それから、先ほど出ていましたキャリアオーバーの患者への医療体制に対して支援の整備という観点で五十嵐先生のほうからご発言がございました。やはり治療も進み、さまざまなハンディを抱えた子どもたちは、病気はある程度よくなり、何とか学生生活などを送っていますけれども、精神的にも社会的にもさまざまな問題を抱えていることや、治療による問題から体の不調とか、いろいろなこともあります。そういう子どもたちの医療が成人のほうへスムーズに移行することが課題かと思います。

 ですが、その人たちに聞くと、やはり昔からかかっていた先生にずっとかかっていきたいと言っていますし、実際問題、こども病院などでは20歳とかでも受診を継続しているということが実際にはあります。そこで小児の、子どもという年齢を15歳、16歳とか20歳、21歳というところぐらいまで延ばすことと、あるいは成人の医療への引き継ぎの支援体制というか、移行の整備というのは急がれるかと思っています。

 あとは、小児のホスピスの設置とか、亡くなった子どもへのグリーフケアの実現ということですが、小児ホスピスに関しましては非常に諸外国に比べて少ない。私も数をきちんと出さないといけないなと思いながらこういうことを申し上げているんですけれども、今後設置が必要なのではないかと思います。

 また、亡くなった子どもたちに対する家族へのグリーフケアですね。そのあたりの体制も日本はほとんどないということがあります。子どもを失うということ、その悲嘆は大変なことですので、そういった体制が病院の中、あるいは在宅でもいいと思いますが、必要と考えます。

 7番目に入院に伴う家族への負担の軽減です。随分減ってはきているんですけれども、入院中の子どもへの付き添いを非常に強いられたり、求められている。入院の際、子どもにとってやはり親というのはすごく安心感がありますので、特に状態が悪くなったり、そういった時にそばにいたいということは非常に大きいと思います。そのとき非常に体が疲れていて、病院の狭いベッドの横で寝るとか、椅子の横で寝るということではなくて、一定の近くの寝泊りがきちんとできるような場所でありますとか、そういう設備の確保ということですね。付き添いに関しましても、もちろん重症とか、そういった必要なときには求めてもいいと思いますけれども、これを完全にしなくてはいけないということになりますと、その子どもの同胞、兄弟たちが、親がいない状態で不登校の問題などのさまざまな問題を引き起こすなどの親への負担というところがあると思います。特に長期の入院の子どもたちには今はドナルド・マクドナルド・ハウスという棟ができていますけれども、まだ少ないということがあり、今後こういったことについても考えていく必要があるかと思います。

 あと、子どもの貧困問題につきましては、地域保健のところでの取り組みだけではどうかと思いますけれども、子どもの虐待のいろいろな問題を調べている中に、若年性の出産とかの経済的に問題を抱えているお母さんが虐待のリスクが非常に高いということがあます。貧困ということは、なかなか適正な医療を受けなかったり、必要なときの治療を放ったらかしていたりということになっていきます。今、国のほうも全面的に取り上げていっておられますけれども、こういう貧困問題は今後も是非きちんとした対策をお願いしたいと思います。出産後の育児の難しい子ども、特にさまざまな問題を持つ子どもたちはやはりフォローアップというところがあります。今後気をつけながら見ていきますが、こういった貧困問題も医療と直結していると思います。

 それから、現行の、切れ目のない妊産婦、乳幼児の母子保健の継続についてです。これは今、国が打ち出して子育て会議などでもずっと話されていますが、私も、妊娠のときからきちんとフォローして、突然の飛び込み出産ではなく妊娠のときから健康な状態で子どもが育てていくことがとても大事だと思います。これは継続的な母子保健では非常に大事で今後必須と考えています。

 あと、ここは私もデータがきちんとそろっていないけれども、やはり妊娠人工中絶の減少と性感染症の問題があるかと思います。これをどんなふうに今後解決していくかということにつきましては、思春期といいますか、そのあたりの教育ということが大事だと思います。学校で、学校保健で命の大切さとか、そういうことも行われていますけれども、その辺で解決方法を具体的に打ち出していく必要があるかと思います。ちょっとデータが不十分で申しわけないと思いますけれども、そのように考えています。以上です。

○遠藤座長
 ありがとうございました。3先生の御報告は全て密度の大変高い内容、それを20分に制限してお話いただいたということでございますので、これから意見交換をしながら理解をさらに深めていければと思っておりますので、どなたからでも結構でございます。

 それから、江原先生も御質問に答えるだけではなくて御意見をおっしゃっていただいても結構でございますので、ぜひ残された時間を有効に使いたいと思います。御質問、御意見等はございますでしょうか。

 では、小黒構成員お願いします。

○小黒構成員
 ありがとうございました。お三方のお話をお伺いしていまして共通するところは、小児医療だけでは解決できない部分があって、例えば最初のご報告であれば集約化とか空間の部分をきちんと見ていかなければいけないし、それが重要であるという話だったと思います。また、2番目の五十嵐先生のご報告では、貧困問題などに焦点を当てながら、ただ、その子どものホスピスとか、いろいろな体制が必要だということでした。

 それから、3番目のご報告も同じような話があったわけですけれども、結局そう考えますと財源の問題は当然あるのですが、ある意味で今、厚生労働省が主導で進めている地域包括ケアのいわゆる子どもバージョンみたいなものが実は本質的に必要になってきているというような感じで受けとめたんですけれども、間違いないでしょうか。

そうなりますと、子ども・子育て保険という新たな政策として、例えば現状の介護保険を少し対象を広めて法改正して子どもも入れていくとか、ただ、子どもだけの特有の問題としては地域包括ケアにはない、例えば教育とか、貧困問題とか、親の経済状況ですね。こういったところも入ってくると思います。

 私はもともと財務省の役人でしたから、財源は当然気になりますのであれなのですけれども、その辺の方向感というか、感触について、ただ、諸外国ではそういったような施策というのはまだされていないと思うんですが、どういうふうに考えていらっしゃるのか。それぞれの先生方から、ご意見を伺いたく存じます。具体的には、空間の部分というのは当然地域包括ケアでも問題になってきていて、医療のいろいろな部分とかでも集約化をするというのは出てきていると思いますけれども、教育や小児医療・貧困問題を含め、要するに全てをコーディネートするような司令塔をつくりながらやっていかないとだんだん難しくなってきているのかなというふうに方向感としては受け取ったんですが、もう少し踏み込んでお話をそれぞれの先生からお伺いできないでしょうか。

○遠藤座長
 いかがでしょうか。現状の地域包括ケアでも誰がコーディネートするかということはなかなか決まっておらずに難しい課題ではあるわけですけれども、それの小児医療バージョンというようなことを考えたときにどう考えるかというようなお話だったのかなと思うわけです。

 これは特段、今すぐということでもなく、何かあればお聞きしたいと思いますけれども、少しほかの議論もしながら、重なってくる部分はあるかと思いますので。

○小黒構成員
 あえて言うならば、先ほど切れ目がないという3番目の松田先生のお話があったんですけれども、その場合、特段この小児のところだけ切り出してケアしていく体制をつくった場合に、成人した場合に速やかにつながっていかないとすると、非効率になると思います。

ですから、在宅医の部分とかにもこういう小児科部分をちゃんと入れて強化するとか、全体としてコーディネートしていく必要性があるんじゃないかという印象を持ったんですけれども、その全体設計をちゃんとしようと思うと、自治体の行政も関与する必要がありますから、厚生労働省だけではなくて総務省とかいろいろなところもかかわってくるという形になると思いますし、もしかするとこの検討会の枠を超えてしまっているのかもしれないですが、今の話だと、よりクリアにいった場合にどういう形で我々が受けとめればいいのか、そのイメージをもう少しクリアに教えていただけないでしょうか。

私が言ったイメージというのは地域包括ケアの子どもバージョンに相当すると思われますが、ただ、そこだけ切り出すと非効率なので、もう少し全体を統合していく必要があるんじゃないかとも思います。それは財源論も含めて、そういう印象を持ったということです。
○遠藤座長
 ありがとうございます。

 では、五十嵐構成員お願いいたします。

○五十嵐構成員
 的確にお答えできる資料をきょうは持っておりません。私の資料の25ページを御覧下さい。在宅医療ケア、この在宅医療というのは一体何なのか、子どもの在宅医療というものはどういうものなのかという定義にもよりますが、いわゆる重症の子どもが1万人はいるという数字が出ています。

 ただし、定義によりますが、2.5万人以上いるとする報告もあります。残念ながら県単位で子どもの在宅医療患者数を把握している県もありますが、県によってまだ把握し切れていないところがあります。

 在宅医療に限って見ても小児や青年に対する支援が高齢者ほどは十分ではないというのが現在の大きな問題です。今後、患者さんの数を把握し、費用がどれくらいかかるのかの計算が必要です。

 最近では、子どもの在宅医療に参画する小児科医が少しずつですが、ふえてまいりました。さらに、子どもの在宅医療を支援する訪問ステーションもふえてきています。

○遠藤座長
 ありがとうございます。関連してございますか。

 では、江原先生、それから釜萢先生どうぞ。

○江原教授
 では、空間的なことなどでお答えさせていただきたいと思うんですけれども、時間ですね。1つは、夜間外来を受診される方々の中に、共働きの方で夜でなければ連れてこられないんだという方々が数多くいらっしゃるので、そういう方に対してやはり社会が子どもが病気になったときに休めるという体制をつくらないと医療だけでは解決しない問題があるかと存じます。

 それから、地域包括ケアの子ども版といったときに、医療と例えば保育とか、要するに大人版の医療と介護、こういうところのすり合わせというのは割とお考えになる方もいらっしゃるかと思うんですけれども、特に虐待の場面ですと、例えば児童相談所とかの福祉のほうとか、それからもう一つはやはり養護教諭とか、要するに教育とタイアップしないとできない面がございます。

 特に学校とかの場合ですと、私は保健所で乳児健診や就学時健診とかもしていた経験があって思うんですが、何かあったときに学校に問い合わせると、やはり個人情報とか、いろいろな点で、学校自体が情報を外に出すということに対して非常に神経質になっているということもございますので、やはりそこは学校と児童養護施設、要するに児童相談所とか、そういうところと医療機関というところで、うまく部局を超えた連携体制というのができてまいりませんと、大人のときの医療と介護というだけの範疇よりも広くしないとなかなかできないような気がしております。

○遠藤座長
 そのとおりだと思います。

 それでは、釜萢先生お願いします。

○釜萢構成員 

小児の在宅医療の問題ですが、各都道府県には小児医療の中核を担う大学や小児医療センターがあり、そこで治療を受けていた方が在宅に移っていくというニーズがかなりあると思われます。各地において小児在宅医療の担い手を養成する必要があり、成育医療センターで人材養成の事業が始められると聞いております。今後そのような動きが全国に拡がることが期待されます。在宅医療に関心があり、取り組もうとする医師が、小児医療センターなどの医師に直接指導を受ける機会を設けることで、再び入院が必要になった場合の受け入れ連携もさらに円滑に進むと予想されます。

小児においても多職種が連携しチームでの対応が必要でありますが、小児のために新たなシステムを構築するというよりは、地域包括ケアシステムを小児にも適応を拡大して運用していくコンセプトが効率的だと感じます。その際、先ほど江原先生が言われたように、小児の場合は児童相談所との連携、教育機関との関係が非常に大事でありますので、行政としっかり連携を図ることで、きめ細かな対応ができるのではないかと考えております。以上です。

○遠藤座長
 ありがとうございます。

 それでは、山本構成員お願いします。

○山本構成員
 ありがとうございます。江原先生と松田構成員からのお話にもありました小児の医療機関の地域差についてです。栃木県でも今、地域医療構想の策定を進めているところですが、小児医療について見ますと、やはり入院小児科のない市町がある一方で大学病院とか、小児科が集約がしている地域というのもあります。そういう地域に、実際患者さんは高度急性期、急性期に関しては流れています。

 ですので、江原先生のデータは、小児の管外搬送は増えていないというデータではありましたが、率としては高齢者では2割ぐらいのところが子どもでは4割が管外搬送ということで、小児の方が高齢者より多いというのは、実態と合うと思いました。

 入院小児科のない病院に小児科をどうしてつくってもらえないのかということをお聞きしますと、やはり不採算だと。一方で、やはり子育て支援という観点からは、住民から小児医療のアクセスをより改善するということを求める意見があるのも実態だと思います。

 アクセスで言えば、在宅医療や訪問看護に関して言ってもやはり僻地など、医療資源の乏しい地域ではなかなか進んでいかないというのが実態でして、診療報酬による経済的誘導というだけではなかなか進んでいかないのではないかと考えています。やはり診療報酬と医療政策、補助金なども含めてうまく連携させて役割分担し、国の政策誘導というものをより有機的にしていくことが必要ではないかと思います。

 また、地域包括ケアに関しては、一部の自治体では障害者や子どもも対象に地域包括ケアを行っているところもあると聞いています。ただ、やはり制度の縦割りというのは大きいというのが実態だと思います。

 一方で、県でも市町村でも子ども専門の部局をつくっているところもありますし、それぞれさまざまな取り組みは進めていますし、国でも内閣府に子ども関係の部署というのはあるかと思います。

 ちょっと別の話になりますけれども、小さな話で言えば先日、高齢者のグループホームのスプリンクラーがなかった事件を受けて、建築基準法の申請とか書類の確認の時期と、介護施設としての基準の確認とか更新の時期というのはそれぞれずれていて、それぞれが自分の基準のところだけを見ていましたが、国交省と消防庁と厚生労働省で、ほかの制度の基準もそれぞれの更新時に見ましょうというような通知を出していただいたんですけれども、そういう施設というのは実は障害とか子どもに関しても同じような施設がある中で、その通知が出てきたのは高齢者だけということで、そういう意味で国レベルでも政策的な部分でも、より率先して横串で捉えた対応というのは現時点でもできる部分もあるのではないかとは考えます。

 あとは、子育て世代包括支援センターというものをつくるということで、理念的には地域包括ケアに似たようなものの子育て支援版ということで、妊娠期から子育て期までの包括的支援を進めていこうとされているのですが、子育て世代というのは幾つまでなのかとか、どこまでを対象とするのかという部分などがまだ自治体でもどこまでというのが全く見えていない状況です。資源は限られていますし、財源も限られているという中でどういうふうに効果的に進めていくかというのが課題だと思います。

 一方で、いつも同じ話をいたしますけれども、国保の減額調整は、相当な金額が各自治体から減額されているという状況にありまして、そういう減額された金額を今話にあったようなさまざまな自治体での施策に回すということは十分可能ではないかという意見もありますので、あわせて意見として申し上げさせていただきます。

○遠藤座長
 ありがとうございます。

 横田構成員、お願いいたします。お待たせしました。

○横田構成員
 3人の先生方の御意見を伺って、なるほどというふうに感銘を受けたわけですけれども、限られた医療資源、今回小児医療という視点の中でこれをいかに有効に使うかということは、キーワードで言うと2つしかないのかなと思って聞いていました。

 1つは江原先生がおっしゃるような集約化と重点化、これはやはり当然考えなくてはいけないという部分です。解決すべきところはたくさんあると思うのですが、特に医師の移動だとか医療者の移動だとかということは当然かかわってくるので、ただ、やはりこれはどうしても考えなくてはいけない方向性の一つだと思います。

 それからもう一つ、私は今、山本構成員のお話からなるほどと思ったのは、その役割分担というものをもう少しきちんと考えていいのかなと思いました。これは、例えば小児ということで考えると、もちろん難易性の疾患は小児科の先生が関与するだろうし、外因性だと、例えば頭をぶつけたら脳外科医や、手足をひねったら整形外科か救急科、あるいは中毒の場合には救急科というふうなことが当然かかわってくるんですけれども、実はきょう私はここにくる前に朝、救命センターを回診してきたのですが、3人の小児のお子さんが入院していました。

 1人は頭部外傷で頭がい骨骨折、1人は夜中にけいれんを起こしてチアノーゼで搬送されたというけいれんの患者さんお2人だったのですが、いずれも救急医が初療して患者さんのいろいろな検査をして、けいれんの患者さんは当然小児科にコンサルタントする。

 ただ、コンサルトをして、これは経過観察でよろしいですというふうな一言で、我々患者さんの家族、御両親にお話ができる。こういう小児科の先生のもちろんアドバイスはいただきますけれども、院内の体制としてそれほど小児科の先生に負担をかけないという仕組みは可能だと思うんですね。

 それで、こういう特に院内の役割分担を促すような何かの仕組み、診療報酬上とか、そういうことも多分促進するきっかけにはなると思うのですが、そういう院内の小児医療に対する連携を促すような、そんな誘導もあっていいのかなと思います。

 恐らく、そのトータルの形が先ほど五十嵐先生からお話のあった成育基本法というようなところの考えにつながると思うのですが、いずれにしてもそういったことで限られた資源をうまく使っていくことが重要なのかなと思いました。以上です。

○遠藤座長
 ありがとうございます。

 島崎座長代理、お願いします。

○島崎座長代理
 江原先生に確認したいというか、御意見をお伺いしたい点がります。御説明の中で経済的誘導に関しまして選定療養についてプラスの評価をされていたと思うのですが、そのことは率直に言うと小児の医療費の無料化については好ましくはないという含意まであるのか。あるいは、先生の御著書を拝見すると、例えば現物給付の場合についてはいわゆるモラルハザードを生じさせるというニュアンスの記述もあったと思いますけれども、その点について御所見をお伺いできればと思います。

○江原教授
 1つは、選定療養ということについては夜、全部かかるなというものではなくて、例えば3次医療救急医療機関とか、要するに救命救急センターみたいなところと、1次、2次のところを交通整理する意味で、やはり3次のところに1次の方が行かないように、夜でもかかる場所は例えば休日夜間急患センターとか、そういう受診を担保すれば、その選定療養をとるということで3次救急医療機関の役割が果たせなくなる。

 そういった、こちらにはかかっていいけれども、こちらはかかりにくいという、要するに制度的に来てはだめだということは多分無理だと思いますので、やはり経済的な誘導の中で、夜は例えばかからせないというのではなくて、夜で3次救急医療機関については経済的にも大変ですから、こちらには来ないで1次救急医療機関へ来てくださいという交通整理をする手段としては使えるんじゃないかという意味であります。これが1つですね。

 もう一つは、現物給付か、償還給付かということについては、確かにこれまでもそれこそ先生が勤務されている政策研究大学院の卒業生の方が修士論文で、子どもの受診で現物と償還で7%ぐらい償還のほうが受診数が下がるんじゃないかということをおまとめになっている方がいらっしゃるんですけれども、そういうものを見ると確かに償還のほうが受診する率というのは下がるらしいとは思うのですが、事務的な手続の複雑さということを考えますと、そこについては今はそれこそ医療機関のほうでマル乳で、実際に窓口で親御さんが財布を開かなくても済むというシステムは堅持したほうがいいかとも思っております。

○遠藤座長
 ありがとうございました。

 では、島崎座長代理お願いします。

○島崎座長代理
 五十嵐先生に確認を含めてちょっとお伺いしたいのですけれども、日本の場合、乳児死亡率がほかの先進諸国に比べても非常にパフォーマンスとして優れていますが、その一方で、何年か前の厚生科研で1歳〜4歳の死亡率はヨーロッパの先進諸国に比べてむしろ悪いというデータがあったと思います。それについて専門家の間でも若干議論があったと思いますので、ちょっとそこはコメントしていただいたほうがよろしいように思います。それがまず1つ目です。

○五十嵐構成員
 それにつきましては、御存じのように乳児死亡率、新生児死亡率は1,000人に対して2.11.0です。ところが、1歳以上の子どもたちの死亡率は10万人に対しての数で、20ないし21とされています。ですから、1,000人あたりの死亡率として数字を揃えて検討しますと、10歳までの死亡率は日本は世界で2番目に低い状況です。確かに、御指摘のようにわが国の1歳〜10歳までの死亡率は他の先進国よりも高いことは事実ですが、乳児死亡率に比べると低いので数値を高めることにはなりません。

 わが国の1歳〜10歳までの死亡率が他の先進国よりも高い理由は定かではありません。ただし、以前指摘された数値は肺炎球菌等の予防接種をしていなかったころのデータですので、現在ではサレよりも下がっている可能性があります。さらに、日本では延命処置を一生懸命にやりますので、他の国では1歳までになくなる子どもが1歳以降になって亡くなっている可能性もあります。

 当初はわが国の1歳〜10歳までの死亡率が高いのは日本の救急医療体制が不備だからではないかという考えがありましたが、必ずしもそうではないということで、結論はまだ出ていない状況です。

○遠藤座長
 では、島崎座長代理お願いします。

○島崎座長代理
 日本の場合、基本的に主要な疾病・医療分野については、各都道府県で三次医療まで完結できるような組み建て方をしているというか、そういう前提の下にいろいろな計画が立てられているわけですが、子どもの数が減っていく一方で、求められる医療の内容が高度化・専門化していく場合、小児医療へアクセスと医療の質のバランスをとるというのは、現実にはなかなか難しい問題が出てくるように思います。

 実は、私は長野県立病院機構の非常勤理事をやっておりまして、御承知だと思いますが、長野県の小児医療センターは非常に立派なセンターであり、現実問題として北陸のほうからの患者さんも結構受け入れている状態です。

 何をお伺いしたいかといいますと、その辺は他の先進国では、三次の医療については集約化が相当進んでいる国もあるのだと思いますが、日本の実情を見ていてそのあたりの体制の組み方についてどういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞かせいただければと思います。

○遠藤座長
 五十嵐構成員、よろしくお願いします。

○五十嵐構成員
 ただ今の御指摘の点については定期的に調査をしているところでして、確かに御指摘のとおり、日本はどちらかというと病院をたくさんつくって、アクセスをよくするということが重要視されてきました。

 例えば、白血病の治療などに関しましては、諸外国はかなり限定した施設でしか治療しておりません。

 外国のように集約化したほうが治療法の開発や臨床研究が進んで臨床成績もいいというデータも出ております。一方、わが国では医療施設が分散化してアクセスはいいが、必ずしも治療成績が外国よりも良いわけではありません。

 心臓の手術なども同じで、外国では1人の医者が心臓の手術を年間に何百人もやるわけですけれども、日本だと分散化していてなかなかそれができないというようなことがあります。両者それぞれいい点と悪い点があるのではないかと思います。

 ただし、小児がんの治療につきましては、拠点病院を厚生労働省が指定していただきまして、集約化も始まっているところです。高度先進医療に関してはある程度の集約化は必要ではないかと考えています。

 それから、子どもの感染症を中心とした疾病がこれからさらに減っていきますので、2次病院や3次病院の小児科が集約化してゆく傾向が見られている事も、御指摘いたします。

 ○遠藤座長
 ありがとうございます。

 重要な議論だと思います。きょうの御発表の中でも、勤務医の負担軽減という視点を中心に江原先生からは集約化を進めるべきであって、しかもアクセス上の不利益というのは余り出ていないんじゃないかというようなデータも出していただいたわけです。一方、五十嵐先生であるとか松田先生のお話の中には偏在の問題があるということで、これは集約化が直接影響しているかどうかということは、はっきりはしておりませんけれども、その問題をどういうふうに考えるかということですね。

 ただいま五十嵐先生からは、高度急性期については集約化してもいいけれども、そうでないものについてはいろいろ考えるべきだという御指摘だったのですが、その問題はいかがでしょうか。ほかにお考えはございますか。

○釜萢構成員
 集約化は、ぜひ必要だと思います。アクセスを可能な限りよくするのとあわせてやらなければいけませんけれども、集約化はぜひ必要だと思います。

 集約化が、五十嵐先生を中心に小児学会の御指導もあって全国的に大分進んできまして、きょうは江原先生からまたデータをいろいろお出しいただきましたけれども、なるべく直近のデータに更新して、現状どうなのかというところをぜひお示しいただきたいと思います。

 それで、せっかく発言の機会をいただきましたので、コンビニ受診、あるいは親の育児力の向上ですが、松田先生の親の育児力向上は私もぜひ必要だと認識し、これは日々の診療の中でも心がけておりますが、ただ、夜あるいは深夜にどうしても不安で受診せざるを得ないと思ったときに、なるべくそういう窓口を用意しておくということも必要だろうと思います。親御さんが強く不安を感じたときに、結果としては軽症だったかもしれないけれども、受診できるということはとても大事なことだろうと思っています。

 最近の保護者の方の傾向を見ていますと、医療機関にかかると余計な病気をうつされるからなるべくかかりたくないという意識もかなりあるんですね。ですから、むやみやたらに受診は決してされません。そこは皆さんに、ぜひ共通の認識として持っていただきたいと思います。しっかり必要なとき、あるいは不安を感じたときに受診できるような体制を整えるとともに、日ごろの親御さんに対する情報提供や育児力の向上にいろいろな分野で努力するということが肝心だと思います。以上でございます。

○遠藤座長
 どうもありがとうございます。ほかに何かございますか。

 では、阿真構成員どうぞ。

○阿真構成員
 釜萢先生と同じテーマなんですけれども、啓発のことについて江原先生も松田先生も触れてくださっていたのですが、たくさん親御さんに伝える機会を持っていまして、1次、2次、3次とか、それからこういう症状だったらこういう科にかかればいいとか、そういうことというのは私たちがお伝えている親御さんたちだけではなくて、高齢者の方ともお話している中でも、そもそもそういう医療のかかり方というものがあるんだということをよく理解している方のほうが少ないですね。

 そもそもそういうものがあるということを認識して、そういうものなんだとわかってくださると、大抵の方は利用の仕方がどうなのかなと自分で振り返ったりですとか、そういうことができるようになると思うんですけれども、今のコンビニ受診という言葉はすごくキャッチーというか、非常によくない言葉だと思うんですが、コンビニ受診をしてほしくない方はコンビニ受診の話をしていてももちろん聞いてくださらないですけれども、コンビニ受診という言葉でどういう影響があるかというと、行かなければいけない人が行かなくなってしまったり、行かなければいけないときに待ってしまうということが一番よくないことです。なので、この言葉は本当に早々に使用をやめてほしいというか、救急外来は本当に必要な人が行ってほしい場所だと思うので、私たちはもう使っていないですけれども、それは早々に使うことをやめたほうがいいと思っています。

 それで、親の育児力の向上というのはとても大事なことだと思っていて、どういう例があるかということをちょっとお示ししたいと思うんですけれども、もともと私たちの会では保健センターに対して、保健所に対して子どもの病気を扱うものをやってほしいということをかなりしつこく、ずっと前に厚生労働省にも行きましたし、東京都にも行きましたし、当時新宿区に住んでいて、かなりしつこくいろいろなところに行って、保健センターが扱うのが一番望ましいだろうという思いで保健センターにはかなり通っていろいろなお話をさせていただいていて、ただ、虐待予防や対応のことをすることで手いっぱいで、保健センターがどれだけ本当に疲弊しているか、どれだけ大変かということも見させていただいて理解したつもりです。

 そんな中で今、在住している杉並区では区を保健センターの4つの管轄に分けているんですけれども、そこで開業医の先生が順番に毎月1回ずつ子どもの病気を伝えるということをやっています。年間12回ですので開業医の先生で12人、そんなに大した負担ではなくて、1人で2年に1回ぐらい回ってくるとか、3年に1回ぐらい回ってくるとか、自治体によって違うと思いますけれども、そのぐらいのことなのですが、親にしてみると、親になったら必ずそれを受けられるというとても大きな一つの大事なものだと思っています。

 また、もう一つ、杉並区では児童館というものがたくさんあるんですけれども、今、子どもを生んだ後に親が行く場所として保健センターももちろん行くんですが、子ども子育て支援センターなどもあって、児童館とか、子どもセンターとか、そういったところにまずは行くというような流れになっていて、その児童館の中でも私たちの会で御一緒させていただき、お伝えしています。定期的にやっているんですけれども、そうした取り組みはかなり東京の中でするようになって、私自身が秋田とか岩手とか、さまざまなところに呼ばれて講演だったりお話だったりすると、親御さんはどうして自分の自治体で、自分の地域でこういうことを普通に習うことができないのかというようなことをおっしゃいます。

 もっと早く知りたかった。知っていれば先生方から怒られたりすることもなかっただろうし、自分の子どもが逆に待ち過ぎてしまってあんなに重症化してしまうこともなかったというようなことをおっしゃいます。

 どの地域に住んでいても当たり前に子どもの病気について知ることができるようになるということは、医療のかかり方を知っているということは、先々、高齢者になったときにもある程度理解しているということにつながると思います。ですので、今の親に伝える。子どもの小児医療だけの問題ではなくて、今の親が高齢になったときに高齢の医療のかかり方の問題を解決する一つの礎というか、そういうものにつながるんじゃないかと思ってやっています。

 医療は限られた人が知っていればいいものではなくて、多くの人が共通の認識を持っていることでもっとよいものになっていくものだと思うので、どの地域に生まれても、どの地域に住んでいても、当たり前に知ることができるようになるといいと思っています。

○遠藤座長
 貴重な御意見、ありがとうございます。

 それでは、初めての方を優先させてください。小野崎構成員どうぞ。

○小野崎構成員
 私からは短く質問でございまして、五十嵐先生に1つだけ教えていただきたいのですが、さっき思春期医療について米国では21歳までそのスコープが広いというお話がありました。

 それで、1つ教えていただきたいのは、米国においては21歳まで年に1回かかりつけの先生にさまざまな相談ができる。これを行っている先生というのはいわゆる小児科の専門の先生なのか、それともファミリープラクティスを行うファミリーフィジシャンなのか。どういうタイプの先生がされているのでしょうか。

○遠藤座長
 五十嵐先生、お願いします。

○五十嵐構成員
 ジェネラルピーディーアトリッシアン、つまりプライマリーケアを担当する開業している小児科医です。内科の先生が担当することもあるようですが、赤ちゃんのときから健診をしている小児科医が中心になります。

○遠藤座長
 よろしゅうございますか。ありがとうございました。

 では、小黒構成員どうぞ。

○小黒構成員
 今の話とつながるかもしれませんが、遠藤先生から御質問がありました話で、むしろエビデンスを見せていただきたい。それを見ないと、判断できないんじゃないかと思っています。

 なぜかと言いますと、小児科の医師の偏在ですね。空間的に見た場合に、自分でも介護施設と、その65歳以上とか75歳以上の人口とか、人口分布と施設分布について、ある地域で見たりすると結構いろいろなことが分かります。

 そうしますと、GISとかのデータで、大規模な都市などは別としてもそうではない地域では小児科医はどういうふうに空間的に分布しているのか。もしくは、小児科医の先生じゃなくても、普通、いまお話があったファミリードクターとか、在宅の医療の先生もいらっしゃると思いますけれども、2030年・2050年の分布の予測を含め、それはどういう分布になっているのか。そういうところを見た上で、お互いの連携とかを促していくということをしないと非常に非効率になると思うんですけれども、今、総務省とか、あとは地方創生などでRESASの動きとか出てきていますけれども、もうちょっと踏み込んで議論をしていく必要があると思われます。

 特に、子どもの人口についてはこれからもっと人口が減っていって密度が薄くなるわけですから、その誘導政策についてもよく考えていかなければいけないと思います。

また、可能であれば先ほどの子どもの貧困もそうですけれども、例えばこれからマイナンバーが始まったりする中でデータが入手できるようになるはずですから、所得や資産分布について、政府はそれを見て判断していく必要もあると思います。

 そのエビデンスに基づいてきちんと効果的にやっていくようなところで、まずそのデータを、厚生省はどこから出るかはわからないですけれども見ながら議論しないと、ちょっと誤った方向に議論を誘導してしまう可能性があり、注意する必要があると思います。

○遠藤座長
 ありがとうございました。

 では、関連ということで江原先生どうぞ。

○江原教授
 1つ、人口当たりの小児科の数、小児人口当たりの小児科院の数は臨床研修制度が入ってから平準化しています。

 要するに、小児というのは受診の場合、特に外来の場合、小児科外来診療料とか、1人当たり幾らというのが丸められていますね。ということは、患者さんで要するに病気になる比率というのは人口当たりどのぐらいかというある程度一定の率がありますね。そうすると、子どもの少ないところに小児科医が少ない。これは、診療報酬がタイトになればなるほどかなり平準化する ということがあるかと思います。

 ただ、GISのことで申し上げますと、例えば北海道の十勝2次医療圏というのは1万平方キロメートルくらいあります。片や、東京の銀座あたりがあるところは物すごく狭いんですね。そういうところを比べると非常にまた格差が出るということで、指標によってかなり違いがあります。

○小黒構成員
 まさにおっしゃられるとおりで、人間は0.5人とか半分に割れませんから、空間的な密度の領域のところにはやはり限界があると思います。そういう意味でも、やはりちゃんと空間データを見ながら判断する。最悪の場合、本当に広いところであれば1人いればいい。

 ただ、1人いたとしても難しいので、周りに似たような方々がいれば、そこの方々と連携するということで負担を軽減していくという政策を考えるべきかと思いました。

○遠藤座長
 ありがとうございました。

 江原先生、今のお話で平準化した理由が新臨床研修制度が入ってからというお話をされましたか。

○江原教授
 それも一つあると思います。

○遠藤座長
 診療報酬の話になったものですから、どちらの話なのかなと一瞬思ったんです。

○江原教授
 両方だと思うんですけれども、どちらにしても。

○遠藤座長
 あとは、平準化は都道府県単位の平準化ということですね。

○江原教授
 そうです。

○遠藤座長
 了解いたしまいた。ありがとうございます。

 エビデンスが重要だというのはそのとおりです。どこまでできるかというのはいろいろあると思いますけれども。

 それから、診療報酬はタイトというわけですが、割と小児は救急と産科中心に平成18年からずっと上げてきているのでは。

○江原教授
 それは、病院としてやると小児が上がっても、どうしてもその病院自体がきつくなればという話です。

○遠藤座長
 そういうことですね。

 ほかに御発言がない方はよろしゅうございますか。

 それでは、予定の時間を過ぎましたので、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。非常に重要な御指摘をいただいたと思いますし、活発な御意見をいただいたと思います。感謝申し上げます。

 次回の開催日について追って事務局から御連絡をお願いしたいと思います。

 それでは、以上をもちまして第2回「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」を終了いたします。

 どうもありがとうございました。

 

 

※ 会議後、江原教授より下線部に係るご発言に関連しまして、下記のとおり訂正したいとの申出がありました。

  訂正前:「診療報酬がタイトになればなるほどかなり平準化する」
訂正後:「医師の労働市場の流動化に伴い平準化する」


(了)

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