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2015年12月9日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会

医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部 基準審査課

○日時

平成27年12月9日(水) 14:00~15:00


○場所

中央合同庁舎第5号館3階 共用第6会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

委員

大野部会長、有薗委員、尾崎委員、竹内委員、前田委員、松岡委員、六鹿委員、鰐渕委員

事務局

山本基準審査課長、黒羽補佐、磯専門官、大塚技官

○議題

(1)ポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装の規格基準の設定について
(2)その他

○議事

○事務局 定刻より早いですが、委員の皆様がお集まりになりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会」を開催いたします。本日は御多用のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず初めに本日の委員の皆様方の出席状況を御報告いたします。本日は河野委員より、御欠席の御連絡を頂いております。現時点で器具・容器包装部会委員の9名中8名の御出席をいただいておりますので本日の部会が成立することを御報告申し上げます。また、議事に入る前に10月1日付けの組織改編に伴い、部局名が変更しましたことを御報告申し上げます。以前は、「医薬食品局食品安全部」でしたが、新たな部局名は「医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部」となりました。

 議事の進行を、大野部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大野部会長 皆さん、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。遠方から来ていただき、ありがとうございます。それでは、最初に配付資料の確認をお願いします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。資料一覧を御覧いただければと思います。資料1-1として、ポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装の規格基準設定に関する薬事・食品衛生審議会への諮問について、資料1-2として、同じく部会報告書()、資料1-3として、ポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装に係る健康影響評価です。

○大野部会長 よろしいでしょうか。それでは、議事に入ります。本日の議題は1つです。ポリエチレンナフタレートを主成分とする器具・容器包装の規格基準の設定です。本日の審議の進め方は、最初に事務局から説明をいただき、その後、御担当の委員の先生にコメントを頂きまして、その後で、皆さんで御審議を更にしていただきたいと思っております。そういった形で進めたいと思います。よろしいでしょうか。

(了承)

それでは、事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料1-2を御覧ください。その資料の冒頭に書いてありますが、ポリエチレンナフタレート=PENと言わせていただきます。PENについては、国内でも学校給食、あるいは病院食の食器として使用しています。また、海外では飲料用のリターナブルボトルとしても使用していることから、PEN樹脂を使用した器具・容器包装が今後、更に汎用されることが想定されています。

 このようなPEN樹脂について、現在は、合成樹脂の一般規格で規定されていますが、今回、個別基準を設定するということで、より一層の安全性を確保すべく、個別規格の策定に至りました。それでは、PENの概要について御説明申し上げます。

 1ページの1.概要ということで、そちらに分子式、構造式、CAS No.の記載がされています。

 2ページの製造原料です。1~6の化学物質が記載されています。1~3が国内でPENの製造に使用されている原材料モノマーです。4~6は海外において現在使用されていることが報告されています。続いて触媒ですが、PENの製造においての触媒ということで、アンチモン系の無機化合物、あるいはゲルマニウム系の無機化合物が使用されています。

 3ページにある、添加剤として、国内では二酸化チタンを使用しているということで、これは主に白色に着色する場合に使用しているということですが、一般的にはPENの樹脂には、透明性を生かした用途が多いということで、このような添加剤は使用されていません。

()の製造方法ですが、先ほどの2ページの所を御覧いただくと、製造方法としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応させて、ビスヒドロキシエチレン-2,6-ナフタレートを得た後に、重縮合をさせていくという製造方法になります。

 2.規制状況については、先ほどもお話したように、PENについては、我が国においては、学校給食あるいは病院食の業務用食器として使われているところです。現行法令では、合成樹脂の一般規格によって規制され、その内容は下の一覧表のとおりです。

 諸外国における規制状況です。EUでは、委員会規則において、食品用途の合成樹脂の製造に使用できるモノマーや、添加剤等については制限されているところですが、PENに使用されている2ページ目にあるような1~6の原料モノマーについては、全て使用が認められております。

 また、添加剤については、合成樹脂の種類に関係することなく、添加剤として認めている物質であれば、その制限内において使用が可能となっています。米国においては、PENについては、間接食品添加物という位置付けをされており、安全に使用することができるとされています。また、添加剤としても、物質ごとに使用制限が規定されていますが、この範囲内で使用することができるとなっています。

 3.推定一日摂取量と毒性指標の比較です。これは食品安全委員会の食品健康影響評価書から抜粋したものですが、内容的には、ハザードとなりうる物質の推定の一日摂取量と、毒性指標の比較をしたところを抜粋しております。

 まず、ハザードとして考えられたものとしては、1にあるように、原料のモノマー、それから5ページの触媒としてアンチモン系無機化合物、6ページの同じく触媒のゲルマニウム系無機化合物、7ページの添加剤の二酸化チタンをハザードとして挙げています。4ページに戻ってください。

 モノマーについては、4ページの中段にあるように、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル及びエチレングリコールについての溶出試験については全て不検出でしたが、そこから保守的な一日摂取量を算出し、NOAELと比較した場合に、かなり開きがあるということで、どちらもヒトへの健康に影響を与える可能性は無視できるという結果になっています。

 また、ビスヒドロキシエチレン-2,6-ナフタレートについても、評価に必要なデータは不足しているところですが、こちらについても、食品中への溶出により、ヒトへの健康に影響を与える可能性は無視できる結果が得られています。

 6ページの触媒のアンチモン系無機化合物です。2は推定一日摂取量とTDIとの比較です。アンチモンについても溶出試験結果は全て不検出ということです。こちらのほうでも保守的な一日摂取量を試算した値、それからラットの90日間の亜急性毒性試験から求められたNOAEL、それから、不確実係数を1,000として求められたTDIを比較したところ、摂取量がTDIを下回っていることから、アンチモンに関しても、ヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるという評価結果になっています。

 7ページの2は推定一日摂取量と毒性指標の比較です。ゲルマニウムについても溶出試験結果は、全て不検出ということでした。こちらのほうでも一日の推定摂取量を算出し、データからNOAELに対する報告は見当たらないというところですが、LOAELとの比較からしても、十分にマージンがあるということ。それから、ゲルマニウム自体に現在、食品衛生法に基づく個別規格が規定されていないことから、従来からの使用方法の変更や、使用量の増加がない限りにおいて、規制を新たに設けても、健康に影響が生じる可能性が高まることは考えられないという判断となっております。

 3.二酸化チタンです。こちらについては、溶出データはないということですが、ただ、この二酸化チタンの性質からして、食品への溶出量は低いこと。また、仮に経口摂取された二酸化チタンは、実質的に無害というように考えられることから、こちらについてもヒトへの健康に対する影響は無視できるという評価結果になっています。

 これらの毒性指標との比較をまとめた食品安全委員会の評価結果については、9ページの1~4にかけて記載されています。1は、製造原料であるモノマー、それから、触媒と添加剤である二酸化チタンについては、ヒトへの健康に対する影響は無視できること。2は、PEN製の器具・容器包装が既に国内外で使用されているが、食品を介した摂取による健康影響は報告されていないということ。3は、触媒であるゲルマニウムについては、溶出結果は不検出でしたが、データ的にはまだ不足していること。4は、PENの製造工程において、まだ分子量が1,000以下の構造が同定されていないものの物質構造、安全性に関する評価データについても、不足している点も認められるということです。

 以上のようなことから、PENを主成分とする合成樹脂の器具・容器包装については、食品衛生法に基づく個別規格が設定されていない現状を踏まえると、従来からの使用方法の変更や、使用量の増加がない限りにおいては、規格を新たに設定しても、健康影響が生じるリスクは高まるとは考えられないという結果が得られております。

 このような食品安全委員会の評価結果に基づき、PENの個別規格について検討しました。その結果が、9ページの5です。PENの個別規格の()として、蒸発残留物ですが、この点については、器具・容器包装の溶出物の総量を制限するという観点から、他の個別規格がある樹脂と同様に規格値を30μg/mL以下とすることが妥当と考えております。

()ゲルマニウムについては、無機ゲルマニウムが腎臓への悪影響を起こすことが報告されています。また、溶出結果は、全て不検出だったということですが、食品のその摂取量がどこまで安全であるかを決定するための情報についても、現時点では不十分だということもあります。ただ、食品安全委員会の健康影響評価では新たに規格を設定したとしても、健康被害を生じるリスクが高まることは考えられないとされております。このような総合的なところを勘案して、ゲルマニウムの規格値は、既に設定されているPETの樹脂と同様に0.1μg/mLとすることが妥当ではないかと考えました。

 アンチモンについては、これはPET樹脂の規格として設定されているところですが、今回の評価結果の中にもありますが、溶出試験結果が全て不検出だったことと、推定の一日摂取量とTDIの比較からして、十分TDIを下回っていること。それから、アンチモン自体の遺伝的な毒性が示されていないということから、今回は規格値を設定する必要はないという判断をいたしました。

 製造原料のモノマーについては、一日の摂取量の試算値とNOAELとの比較において、十分なマージンがあるため、こちらについてもヒトに与える影響については無視できるということから、こちらの規格についても必要ないという判断をしております。6.に記載しているように、今回設定しようと考えている規格基準について、10ページの下にも記載していますが、規格基準の改正案ということで、第3、器具及び容器包装、Dの器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格ということで、()の個別規格で第14番目の個別規格として、ポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂の器具又は容器包装等という項目を設けて、規格を設定してあります。aの溶出試験として、ゲルマニウム、浸出用液として4%酢酸を用いて作った試験溶液について、原子吸光光度法又は誘導結合プラズマ発光強度測定法により、ゲルマニウムの試験を行うとき、これに適合しなければならない。これに適合するとき、試験溶液中のゲルマニウム量は0.1μg/mL以下となる。それから2番目は、蒸発残留物として、蒸発残留物の試験を行うとき、その量は30μg/mL以下でなければならないというような規格を御提案させていただきました。

 なお、その下の表には、蒸発残留物試験とゲルマニウム試験の検査条件についてお示ししております。以上です。

○大野部会長 ありがとうございました。それでは、食品安全委員会の専門調査会の委員でありました六鹿委員より、議論の様子など補足することがありましたらお願いいたします。

○六鹿委員 食品安全委員会での通常の安全性評価は、化合物か若しくは化合物類が対象なのですが、今回、資料1-3の1ページ目をめくっていただくと分かりますように、評価書のタイトルがポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂製の器具・容器包装となっていまして、対象が器具、容器包装という製品になっています。

 製品ということですので、どのようなメーカーがどのような添加剤を入れて作るかによって、対象となる製品の、可能性としては無限にあるわけですが、そういった事情を踏まえて、食品安全委員会の中では、どうやって評価すればいいのだろうかといった話が最初にありました。実際に蓋を開けてみますと、PENという製品に関しては、作っているメーカーに関しても限られていますし、先ほど、御説明にもありましたように、添加剤も使われたとしても二酸化チタンのみということで、かなり限定されたものであるということで、実際に現状、市場に流出しているものも製品自体が限られていると。使用用途も限られているということで、その現状、得られるデータによって評価いたしましょうということで、評価を行った次第です。

 ただ、製品が限られているということは、その分、今まで得られているデータというものも限られており、先ほどの食品安全委員会の評価結果にもありましたように、幾つかデータが不足しているというところもありますし、今後、このPENという製品の使用用途なり製品なり種類なりが拡大していく上で、それに合ったデータ等も取っていくことが必要でしょうという宿題も付けられているといったところです。以上です。

○大野部会長 どうもありがとうございました。今の六鹿先生の説明について、何か質問はありませんでしょうか。よろしいですか。それでは、食品安全委員会での評価に、毒性部分について松岡先生と鰐渕先生は参画されておられたのですか。そうではないですか。

○鰐渕委員 私は委員ではないです。

○大野部会長 違いますか。失礼しました。それでは、毒性部分について意見がありましたら、お伺いしたいのですが、いかがでしょうか。

○鰐渕委員 では、毒性の部分でお話させていただきますと、ここにあります3つのモノマーに関して、4ページに書かれてありますように、いずれも遺伝毒性はないということでした。もう1つは、NOAELがそれぞれ分かっているということです。そのNOAELよりも今回、溶出してきたデータが検出限界以下なのですが、検出限界だとして、トータルどれぐらい曝露されているかということと比べても、大きな差があるということで、まず、問題ないと考えられます。

 ただ、六鹿先生が言われていましたように、触媒の中のゲルマニウムに関しては、少しデータが不足しているところではあります。少なくとも検出限界以下を過大見積して、大体7.9 μg/kgになっているということ。7ページに書いてありますが、これは仮にヒトのLOAELという毒性評価の、いわゆる一番低いデータで毒性が出るという量ですが、本来ならNOAEL、毒性が出ないという量と比べたいのですが、LOAELしかないので、LOAELと比べることしかできないのですが、ここの間にも100倍近くの差があるということから、今後NOAELが分かったほうがいいのですが、特段、そんなに大きな問題はない可能性が高いと考えられます。以上です。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

○松岡委員 それでは私の方では、遺伝毒性試験に関して、補足させていただきます。今回は、先ほども六鹿先生がおっしゃったように、対象が製品であるために、どのような評価をしようかということだったというお話を伺いましたが、容器材料から食品を経て、最終的にはヒトへ移行する物質というものを考えたときには、今回の評価の中で行われておりますように、原料、それから製造途中で添加される触媒、あるいは添加剤等が問題になると思いますので、本日ここに報告書が出てきております、原料6種、それから触媒2種、それから添加剤1種の毒性評価をなされたということで、非常に妥当だと思います。

 遺伝毒性試験に関しては、改めて毒性試験データを信頼性の高い出典から集めて来られて、評価しております。最大で約20件の試験データが収集されておりますが、ほとんどが陰性データです。また、陽性になったものについても、そこまで試験する必要がないであろうと思われる非常に高濃度を実施しているもの、それから、データの信頼性が乏しいものもあるようだということで、記載されておりまして、若干結果が少し疑わしいかなという報告がなされています。

 触媒の中でもゲルマニウムに関しては、遺伝毒性試験に対しては、現在のところ特に評価できる知見はないということで報告されています。二酸化チタンに関しては、21件の試験データが報告されていますが、18件が陰性のデータ、それから3件が陽性のデータということです。

 全体に細かいところまで確認させていただきましたが、正に食品安全委員会の御報告のとおりで、現時点で集められる限りのデータに基づいたところでは、生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないと考えてよろしいのではないかと思います。以上です。

○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、今の御説明について先生方いかがでしょうか。御質問ありますでしょうか。

 それでは、細かいことですが、この食品安全委員会の報告について、ケチを付けるようで少し申し訳ないのですが、4ページ1.モノマーの1行目で、「ハザードとなりうる物質であるが」とありますが、鰐渕先生、この表現に何か抵抗感はないですか。全ての物質は毒性があるというのは、毒性学の基本概念だから、ハザードになりうる物質だったら全部そうではないかと。

○鰐渕委員 そうですね。でも、それは、こう書かざるを得なかったのではないかと思うのですが。塩でさえ、量を摂ると毒性が出ますし、ありとあらゆる物は量との関係になってきますので、ハザードがないということは、普通、考えられないので、評価する上ではこう書かないと先に進まないかなと。

○大野部会長 こう書くと、ハザードとなり得ない物質というものは、ではどこにあるのかと。

○六鹿委員 今回のこれに関しては、使われている化合物が限られていて、更にそれから食品に移行する可能性があるような物質というものを、ハザードとしておりますので、起因がある・ない、毒性がある・ないという判断とは、また少し違うハザードです。

○大野部会長 この使用用途において問題となるような物質という意味合いなのですね。

○六鹿委員 摂取される可能性がある物質という意味です。

○鰐渕委員 そういう意味ですね。

○大野部会長 それから、もう1つ気になったのは、8ページ目の下から7行目ぐらいから「また、毒性に関する情報については、国内外の機関による信頼できる評価書を主に参照し、同一の毒性試験等の結果から異なる機関によって異なるNOAELが判断されている場合は、最も低い値を用いた」、というところです。今まで食品安全委員会の評価でこういう評価はしなかったと思うのですが。幾つかの独自に判断して、これは毒性とするか、毒性としないかとか判断して、食品安全委員会としてNOAELを設定したのが普通ですが、こういう評価をすると、ほかの機関で低い値にすると、では、こちらもと、どんどん下げていかなくてはいけなくなってしまう。これについて、何か議論はあったのですか。

○六鹿委員 細かいことは覚えていないのですが、信頼できる評価書を参照しているとありますので、信頼できないものは、事前に削除しています。その中で一番低いものを選んだということです。もちろん、数字だけ見て比較したわけではなくて、内容も考慮しています。

○大野部会長 ありがとうございます。ほかに先生方、御質問、御意見はありますでしょうか。それでは、六鹿先生の御説明や松岡先生、鰐渕先生からの御説明について、検討していただいたわけですが、それ以外のことで、御意見ありますでしょうか。

○有薗委員 先ほどのこの食器自体、国内でもメーカーが限られているというお話でしたが、食器自体が輸入される可能性や現状はどうなのですか。具体的なことを言うと、規格のことが国内と外では、やはり違うので、もしそれがあるなら、少し心配です。

○六鹿委員 作っている会社は国内メーカーで、海外でPENを作っている会社はないと聞いています。

○有薗委員 これが入り始めた頃、私、実は学校給食のこともあって、一度自分自身でも測っているのですよ。全く出てこなかったので、そういうこともあったもので、一番心配したのが日本のメーカーはいいけれども、というのがそこだけだったものですから。分かりました。ありがとうございました。

○大野部会長 ありがとうございます。ほかにありますでしょうか。

 では、また私から文句ばかり言っているようで申し訳ないのですが、1ページ目の製造原料のところで、ビスヒドロキシエチレン-2,6-ナフタレートという、この名前を見てどんな構造をしているのだろうと思ったのですが、いろいろ調べてみると、この名前は業界用語であって、化学名ではないようです。IUPACとかそういった名前だと、ビス(-ハイドロキシエチル)ナフタレン-2,6-ジカルボキシレートという名前でした。それは食品安全委員会の報告の12ページに構造が書いてありますが、こういう構造をしているのですね。この構造をこの名前で言うのは、おかしいのではないかと。一般的な化学名の付け方からいうと、おかしいのではないかと思うのです。

 有機化学を専門にし、IUPACに基づく化学名を付けることにかなり経験があり、厚生労働省の医薬品の名称調査会で担当していた先生に伺いましたら、先ほど私が申し上げましたこの名前はおかしいと。ビス(-ハイドロキシエチル)ナフタレン-2,6-ジカルボキシレートというのが、IUPACでの名前なのだそうです。このCAS No.で事務局に調べていただいたら、CAS No.の説明でも、そういう化学名になっているとのことです。

 この報告書が必ずしも業界の人だけが見るのではないと思うので、業界の人だけが分かる名前を付けるというのは、何か変だなという感じがしたのです。一般的な化学名を分かるような形で付けたほうがいいのではないかと思うのですが、とは言え、ちょっと悩んだのが、食品安全委員会でそういう名前を付けているのに、別の名前をこちらで書くと、また混乱が起きてしまう。それで、私からの提案ですが、2ページのビスヒドロキシエチレン-2,6-ナフタレートと書いてあるのですが、そこに注として、一般的な化学名をその下に1行で入れていただいたらどうかと思ったのですが、事務局の御意見はいかがですか。

○事務局 そのような形で修正させていただければと思います。

○大野部会長 委員の先生方はいかがでしょうか。よろしいですか。では、そういう形で修正をお願いいたします。

 そのほか、規格基準の設定に関して、御意見はありますでしょうか。この試験法については、規格値が、こういう、例えば、最後のページだと、30μg/mLとなっていますが、その値を出すための試験法というのは、この分野を少しでもかじった人は分かっているわけですね。

○六鹿委員 蒸発残留物試験に関しては、ほかの樹脂でも採用されている試験ですので、既に周知されております。

○大野部会長 必要に応じて、元の方法を参照せずに当たれるわけですね。

○六鹿委員 既に告示の文章に載っております。

○大野部会長 分かりました。ちょっと、30μg/mLというのは、何か変な感じがしたので、容器の、例えば、1kg当たり何μgとか、それをどのぐらいの水で溶出させたらどのぐらいとか、そういうのでないと何か私などはちょっと分かりにくかったのですが。

 では、そういう規格試験法がきちんと確立していて、それは誰でも、少しかじった人だったら見られるというのですから、私は問題ないと思いました。

 ほかに先生方、意見はありますでしょうか。

○尾崎委員 試験法に関連してですが、ゲルマニウムの試験法は、原子吸光光度法か誘導結合プラズマ発光強度測定法となっていますが、ゲルマニウムは感度的にICP発光では少し厳しいところがあるので、これを機にICPMSを入れるという方向性にはならないのでしょうか。

○六鹿委員 ICP-MSもいいと思います。既に水質の試験法でも採用されておりますし、我々も別の研究において、公定法である原子吸光光度法とプラズマ発光法と比べて遜色ない性能が出るということも確認しておりますので、ICP-MSも十分に規格試験法として採用できる方法だと考えています。また、手続上はどうなるのでしょうか。

○大野部会長 その辺はいかがでしょうか。

○事務局 試験検査法については、また新たな試験検査法を作るとなると、1からその試験法の妥当性とかを検証していただかないといけませんので、時間的にどれだけ掛かるかというのが現段階ではよく分からないところもあります。今回のこの規格基準を作成して、そのままその試験法ができるまで置いておくというわけにもいかないので、新たな試験法については、また別途、検討させていただいて、PET樹脂もゲルマニウムを検査しておりますので、試験法ができた段階で、併せて改正を行うほうがよろしいのかと思います。

○大野部会長 このようなときに、例えば、今は原子吸光光度法又は誘導結合プラズマ発光強度測定法と書いてありますが、それと同等以上の能力を持った試験法で分析した場合は、それは認められないのですか。同等以上と示されていたら、そういう方法でやってもいいのではないかと普通は考えるのではないかと思ったのですが。

○六鹿委員 いいことになっております。

○大野部会長 そうですか。そうしたら、これは例示ということで、尾崎先生からお話があった方法でやってもいいということになるわけですね。

○六鹿委員 こちらのファイルの食品、添加物等の規格基準の2ページ目の上から8行目ぐらいに、「B 器具又は容器包装一般の試験法」というタイトルがありまして、その2行下に、規定の方法に代わる方法で、それが規定の方法以上の精度のある場合は、その方法を用いることができることになっておりますので、今回のICP-MSに関しても現行の公定法で規定されている方法と同等以上の性能を有することを、我々の方では確認しておりますので、そういう意味では、現状でも使えないわけではないということです。

○大野部会長 分かりました。尾崎先生、よろしいでしょうか。

○尾崎委員 分かりました。ただ、その続きに、結果について疑いのある場合は、規定の方法で最終判定しなければいけないので、やはり最初の文章に載っていると、試験機関としては非常に有り難いと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。それについては、時間が掛かるということで御了承いただけますでしょうか。

( 了承)

○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。特にないようでしたら、この報告書の案について、若干、修正していただきましたが、それをもって、この部会で了承したということにさせていただいてよろしいでしょうか。

( 了承)

○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。それでは、部会報告書を取りまとめて、分科会へ報告する手続を取りたいと思います。事務局からそのほか何かございますか。

○事務局 今後の手続の過程で、文言等細かい変更、若しくは軽微な修正等が必要となった場合、修正の内容等については、部会長に御確認いただきまして、特に問題なければ、そのまま修正の手続ということで進めてもよろしいでしょうか。

○大野部会長 いかがでしょうか。マイナーな変更の場合ということであれば、私が確認させていただいて問題なければ、細かい修正の場合には、そうさせていただきます。どうもありがとうございます。では、そのように進めてくださるよう、お願いいたします。

 では、今後のスケジュールについて、いかがでしょうか。

○事務局 今回の審議項目については、食品衛生法第18条第1項に基づく器具・容器包装又はこれらの原材料の規格の設定になりますので、食品衛生分科会における審議事項に該当いたしますので、食品衛生分科会において審議を頂くこととなります。また、そのほかにパブリックコメントやWTO通報など所定の事務手続を進めていきたいと思っております。

○大野部会長 ありがとうございます。それらについても適切に手続を進めてくださるよう、お願いいたします。それでは、本日に予定された議題については終了いたしました。そのほかのことで委員の先生方から何か発言はありますか。よろしいですか。それでは、次回の予定について事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 次回の器具・容器包装部会につきましては、改めて御案内させていただきたいと思います。

○大野部会長 それでは本日の器具・容器包装部会については、これで終了といたします。どうも御協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省 医薬・生活衛生局
生活衛生・食品安全部 基準審査課
容器包装基準係
03-5253-1111(内線:4283、4284)

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