ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会保険医療材料専門部会)> 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 第74回議事録(2015年11月6日)




2015年11月6日 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 第74回議事録

○日時

平成27年11月6日(金)8:58~9:34


○場所

厚生労働省専用15・16会議室(21階)


○出席者

印南一路部会長 松原由美部会長代理 荒井耕委員
幸野庄司委員 平川則男委員
中川俊男委員 万代恭嗣委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
十河功二専門委員 昌子久仁子専門委員 田村誠専門委員
<事務局>
唐澤保険局長 谷内審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 眞鍋医療課企画官
三浦保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○保険医療材料専門組織等からの意見の検討
 論点2 イノベーションの評価

○議事

○印南部会長

 ただいまより第74回「保険医療材料専門部会」を開催いたします。

 まず保険医療材料専門部会に所属する委員につきましては、中医協総会において、田辺会長より指名されておりますが、委員の交代があったことを御報告いたします。

 続いて、委員の出欠状況について御報告します。本日は、石山委員、榊原委員が御欠席です。西村委員におかれましては、おくれて出席するとの連絡が入っております。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 「○保険医療材料専門組織等からの意見の検討 論点2 イノベーションの評価」について、資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 おはようございます。

 それでは、保険医療材料専門組織等からの意見の検討につきまして、御説明をさせていただきます。

 本日は、論点2でございます。1は、前回のこの部会におきまして、再算定等につきまして、御議論いただきましたけれども、きょうは、イノベーションの評価という観点で、御議論いただければと思っております。

 2のスライドで、論点2といたしまして、1~5までポイントを掲げさせていただいております。

 4ページでございます。迅速な保険導入に係る評価についてでございます。

 平成24年の改定におきまして、デバイスラグの解消を目的といたしまして、迅速な保険導入に係る評価の枠組みを試行的に設けたところであります。平成26年改定では、暫定的・試行的に継続するということで、実績を踏まえながら、その継続やあり方、加算額の大きな製品に対する取り扱いについて、引き続き検討するとされておりました。

 これまでの実績といたしまして、14製品17区分に当該評価が適用されているところでございます。

 5ページは、現行のルールを模式化したものでございますけれども、真ん中の黄色の矢印の部分が右側に流れておりますが、米国と比較しまして、申請までの期間が180日以内または我が国は早期、赤で囲っておりますけれども、審査期間のうち、申請者側の持ち時間が一定の期間であるもの、また有用性の高い新規医療材料である、これらの要件を合わせまして、加算を設けているところでございます。

 上の四角の2つ目の○でございますが、この加算額ですが、類似機能区分比較方式の場合は、補正加算額の100分の50、原価計算方式の場合は、原価計算により算出された額の100分の5と規定しているところでございます。

 要件の設定でございますけれども、6のスライドをごらんください。当該評価の要件の設定に関しましては、医療機器の審査迅速化アクションプログラムにおける、審査における申請者側期間に関する、24年度、25年度の目標値を参考といたしております。

 上の表にありますように、現在、150日以内、240日以内でございますけれども、それぞれアクションプログラムでは、下の表にありますような設定になりますと、また、実績値に関しましては、真ん中に評価を受けた製品における平均値ということで、それぞれの日数を書いているところでございまして、それぞれ上の期間よりもかなり早い日数で、承認まで至っておるところでございます。

 7番目のスライドでございます。これは21年度から25年度までの医療機器審査迅速化アクションプログラムの概要でございますけれども、これによりまして、下側に緑で書かれておりますが、新医療機器の承認までの期間を19カ月間短縮ということでございまして、平成25年度にはこれを達成したということでございます。

 8のスライドでございますが、これは今の目標でございますけれども、今後はそれぞれ審査期間を短くしたもの、例えば下の表の左側、新医療機器(優先品目)のところにございますが、審査期間10カ月以内となっておりますものを、タイル値とお示ししておりますが、その割合まで引き上げていこうという計画でございます。

 9ページでございます。加算額につきまして、2つ目の○でございますけれども、26年改定におきまして、加算の額が大きいという指摘がございまして、検証を行うべしということでございました。これまで、先ほど申し上げたようなものに関しまして、下のグラフのように分析を行っておりますけれども、当該評価による加算額と償還価格には強い相関がございました。

 また、当該評価による加算額が償還価格全体の中で占める比率は、一定の範囲内にあるということでございまして、大体一定の範囲内に収まっていると思っているところでございます。

10ページ、11ページ、12ページは、当該加算を受けた製品の一覧でございます。

 こういう現状を踏まえまして、13ページに論点を立てさせていただいております。現在、PMDA第3期中期計画ということで、総審査期間の目標の達成割合をさらに引き上げるということでございます。ですので、デバイスラグの解消を目的といたしまして、迅速な保険導入に係る評価の要件である審査期間の設定を見直した上で、試行的に継続することとしてはどうかという御提案でございます。

15ページにまいります。2つ目の論点でございます。機能区分の特例でございます。

16ページにその概要を示してございますが、平成26年の改定におきまして、画期性加算または有用性加算の補正加算を受けたものでございます。

 2つ目の矢印でございますが、希少疾病用医療機器として指定された医療材料につきましては、2回の改定を経るまで、同様の機能を持つほかの製品と区別して、基準材料価格改定及び再算定を行うとされているところでございます。

 イメージ図が下にございますけれども、今回、特例になります、医療材料に関しましては、新しい機能区分をつくるわけではございますが、そこに後から申請するB区分の製品が入ってきましても、改定におきましては、製品Aのみの価格で改定をしていく。これを2回の改定の間、維持するものでございます。

17ページ、18ページ、19ページは、特例が適用された製品一覧でございますけれども、解説を申し上げますと、11月1日時点では、これらの機能区分に該当するとして、後からB区分で保険適用を希望申請された品目は、まだございません。

 そこで、20ページのように、論点を立てさせていただいております。現在、機能区分の特例が適用されました製品でございますが、保険適用時から、最長でも1年半未満でございます。また、その影響を検証するには、より十分な期間が必要であると考えます。また、機能区分の特例のあり方についても、平成28年改定においては、引き続き実施することといたしまして、次回改定時にその導入の影響について、再度、検証することとしてはどうかという御提案でございます。

21ページ、3つ目の論点でございます。C2区分につきましての論点でございます。

22ページに保険医療材料の評価区分で、今、A1、A2、BC1、C2とございます。C2区分はどのようなものかということでございますが、新機能・新技術でございまして、新たな機能区分を設ける。そして、また、それを用いる技術が既存の点数表では評価されておらず、改定時に新たな技術料の設定が必要であるものでございます。

24ページに飛ばさせていただきますけれども、C2区分の考え方に関しまして、業界から意見をいただいたところでございます。

 問題点という表記で、四角を書いておりますけれども、現行ルールでは、技術料で評価される医療機器であって、改良がなされた医療機器がC2申請の対象となるかどうかが不明確という御指摘があったところでございます。

26ページにいきまして、C2の取り扱いに関する保険医療材料専門組織からの意見に関しまして、次に御紹介させていただきたいと思います。

27ページをごらんください。黄色い四角の中に、新たな機能を有した製品についてという欄がございますけれども、ここに下線を引いておりますが、当該新規医療材料を用いた技術の評価に関する議論があっても、保険医療材料専門組織として直接的には提案できなかった場合があるところでございます。

 ですので、新規の医療材料を用いた技術等の評価について、保険医療材料専門組織として提案を行うことができることとしてはどうかという御提案でございました。

 こういった現状を踏まえまして、28ページの下に2つ論点を立てさせていただいております。

 イノベーションをより適切に評価する観点から、改良がなされた当該医療機器を用いた技術につきまして、C2区分として申請できることを明確化してはどうかということでございます。

 2つ目の○でございますけれども、C2として評価された新規医療材料につきまして、保険医療材料専門組織から中医協総会に対して、準用技術案について、準用技術との技術的相違点も含めて、このような技術が新しいのです、こういう部分が新しい技術ですということを提案ができることとしてはどうかという御提案でございます。

 4点目でございます。29ページ、30ページでございますけれども、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討の進め方でございます。

 四角の○でございますが、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会、ニーズ検討会でございますが、国内で未承認または適応外の医療機器及び体外診断用医薬品につきまして、我が国の医療ニーズの高いものを選定し、企業に対する開発要請を行うことで、迅速な医療現場への導入を促進しているところでございます。

 下はフローチャート図でございます。

 もう少し見やすくというか、簡略化したものが31ページにございまして、流れでございますけれども、一番右上の学会・患者団体等からスタートしていただけるとわかりやすいかと思いますが、要望書が出されます。そうしますと、厚労省・検討会、真ん中のピンクの四角でございますが、ここで医療上の必要性の評価を行い、基準に該当しますれば、左側にまいります。企業とは個別にヒアリングを行いまして、国が企業へ開発要請を行うということでございます。企業はこれを受けまして、開発計画を作成しという下の流れにいっておりまして、承認申請に必要なデータの範囲に関しまして、PMDAにも相談できるということでございます。その後、治験の実施などを経て、承認の申請や一部変更の申請に至るという流れのものでございます。

32ページにこれまでの選定品目の現状が書かれております。

 1つ目の○で、118品目が9月末までに選定されております。

 開発要請や公募を行ったもののうち、半数以上は開発が促進され、承認施行済みとなっているところでございますが、下の表にありますように、開発要請中が44品目、公募中が4品目でございまして、まだ開発に至っていないものがございます。

 3つ目の○では、ニーズ検討会におきましては、開発企業を公募しても、いつまでも開発企業が決まらない理由といたしまして、インセンティブがないことが原因ではないかという議論もあったところでございます。

33ページは、選定されてから5年以上経過した公募中、開発要請中の品目の一覧でございます。

 こういう現状を踏まえまして、34ページに論点を立てさせていただいております。

 論点は3つありますけれども、まず1つ目でございます。デバイスラグを解消する目的から、こうした公募に応じて開発された品目、また、同じ企業が公募に応じた企業から一定期間内に申請された次の新規医療材料につきまして、機能区分の特例とするなど、評価を行うこととしてはどうか。つまり公募に応じた品目プラスもう一品目、次に開発されたものも機能区分の特例とするなど、評価を行うこととしてはどうかという御提案が1つ目でございます。

 2つ目の○は、開発要請を受けて開発された品目につきましても、価格算定において評価を行うことについて、どのように考えるかということでございますが、下に※がございますけれども、評価が必要とされる場合として、採算が合わないことが予想される場合、外国価格が極めて安価で、外国価格調整の対象になることが予想される場合、こういった場合をどのように考えるかということでございます。

 3つ目の○は、ニーズ検討会から開発要請を受けているにもかかわらず、一定期間以上開発を進めない企業が申請する新規医療材料につきましては、特にやむを得ない正当な理由がある場合を除き、補正加算を認めないなどの対応を検討することとしてはどうかという御提案でございます。インセンティブのセットということでございます。

 それでは、最後の論点でございます。35ページ、36ページをごらんください。これは保健医療材料専門組織からの意見でございます。

 まずは既収載品と部分的に機能が類似している場合の評価についてでございます。下線について読ませていただきますけれども、一部の機能のみ類似している場合に関しまして、製品ごとにできる限り適切な方式を選択して、価格を算定しているのですけれども、部分的に類似しているという評価を十分に生かせていない可能性がございます。このような場合には、既存の機能区分の基準材料価格の一部を利用して算定するなどということで、既存の機能区分の基準価格の一部を利用して算定するなど、こういう価格設定を行うことについて、検討してはどうかという御提案でございます。

 具体例を2つお示ししております。37ページでございますけれども、これはトラベキュラーメタルリバースショルダーシステムデュアルテーパーインサートという製品でございますが、腕の骨、上腕骨の人工関節でございます。

 アナトミカル型を左にもってまいりまして、中は、それを少し分けたような、リバース型というものでございますけれども、既収載品ではございますが、本品の中にデュアルテーパーインサートと矢印で小さく示してあるものでございます。この価格設定につきまして、原価計算方式で価格算定したものでございますけれども、左側の2つも既収載品の価格を参照いたしまして、値段を設定できるようにしてはどうかという例でございます。

 具体的事例(2)でございますけれども、これはENDURANTのステントグラフトシステムでございます。

 下側のイメージ図にございますように、これは腹大動脈から腸骨動脈に分かれるところでございますけれども、そこに動脈瘤ができたときに、こういう人工血管を有しているわけでございますが、解剖学的な理由により、二股に分かれない製品もございます。その製品の値づけにつきましては、原価計算方式でやったのでございますけれども、二股に分かれるものの一股分でございます。こういう架空の方式で、値段を設定できないかという御提案でございます。

39ページのスライドでございますけれども、論点といたしまして、今、お示ししたようなことを文章にまとめました。新規医療材料が既存品と部分的に類似している場合、類似機能区分の基準材料価格の一部分を新規機能区分の基準材料価格として用いまして、その例は下に※がございますが、類似機能区分比較方式で算定することができることとしてはどうかということでございます。

 ※でございますが、ほかの機能区分と同等の機能を持つ場合、それらの合計や差分を用いるですとか、あるいは製品の長さや面積、体積等に応じた、合理的な基準で案分する。こういうことをルールとしてできるようにしてはどうかという御提案でございます。

 御説明は以上でございます。

○印南部会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、御質問等がありましたら、お願いします。ないですか。

 万代委員、お願いします。

○万代委員

 まず質問でございます。9ページのグラフですけれども、特に左側のグラフをもう少し教えていただきたいのですけれども、検証した結果だということでございましたが、加算額と償還価格が高い相関係数をもって比例するというのは、当然のように思うのですが、これがどういう意味なのかということを、教えていただければと思います。

○印南部会長

 お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 御指摘のとおり、これは償還価格と加算額の相関係数をとったものでございます。当然償還価格が高ければ、それに対する補正加算の100分の50、原価計算の場合は100分の5ということで、多少幅がありますが、そういうルールでやっておりますので、相関係数が高いというのは、ある意味当然です。

 あとは、こちらの比というか、右側のグラフでありますけれども、償還価格に対しての比がどのぐらいに収まっているかというところを主に見ておりまして、これが一定の範囲にありますので、大きい製品があるという御指摘だったのですが、そこはもともとの価格が大きいところもあったのではないでしょうか。全体で見れば、一定の範囲に収まっておりますということをお示ししたものでございます。

○印南部会長

 万代委員、お願いします。

○万代委員

 右側のグラフについては、御説明のとおりだと思いますけれども、左側について、果たしてどこまで意味があると思ったものですから、質問させていただきましたが、結構でございます。

 論点が幾つか示されてございまして、1つ目のデバイスラグに関する迅速な保険導入の評価でございます。13ページに論点がございますけれども、ここにありますように、試行的に継続するということは、一定程度認めていいと思っております。

 次の機能区分の特例についてでございます。これにつきましても、論点のところで、最長でも1年半しか経過していないということでございますし、実際の17ページからの具体的な機能区分が適用された製品等を見ますと、確かに非常に有用性があって、希少の疾患に適用されるような技術だと思いますので、これも引き続き特例を認めて、その結果を見るということで、よろしいかと思っております。

28ページのC2区分の考え方でございます。論点の1つ目の○の下線部のところで、企業が考える場合には、C2区分として申請できることを明確化してはどうかということで、明確化することについては、賛成でございますけれども、それについても、企業は企業として申請して、なおかつ専門組織でもう一度それを審査するということが、この裏に隠れているという確認でございますけれども、そうであれば、これでよろしいかと思っております。

 次の医療ニーズの高い医療機器ということで、34ページの論点で申し上げると、1つ目の○でございまして、公募に応じて開発された品目及び公募に応じた企業から一定期間内に申請された次の新規医療材料について、機能区分の特例とするというような評価をしてということで、よろしいかと思うのですが、具体的に33ページ、例えば公募中というところで、まだどこの企業も手を挙げていないような製品なり、技術が幾つかございます。これについては、専門組織あるいは学会の要請を必ずしも否定するものではございませんが、こういった企業が応募しないことについては、何らかの理由があるのだろうと思いますので、医療ニーズが高いということを初めに評価しただけではなくて、例えば5年以上経過して、公募中のものについては、もう一度評価して、本当にこれはニーズが高いのかどうかということを専門組織で判断いただいて、再度、開発要請するかどうかということを考えていただくほうが、合理的ではないか。5年間も放置されるというのは、何らかの事情があるのかもしれません。もちろんニーズがあるのか、あるいは企業側がコスト的に合わないのか、そういったことも含めまして、全体としてのニーズが評価されるべきだと思いますので、そんな形の内容を盛り込んでいただくべきだと思っております。

 私からは以上でございます。

○印南部会長

 ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。ないですか。幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 論点の1、2、3、5については、特に異論はありません。

 論点4の医療ニーズの高い医療機器について、意見を述べさせていただきます。スライド32のとおり、開発企業が決まらない理由として、インセンティブがないことが掲げられておりますが、多分インセンティブの強い要素というのは、投資対効果に対するものが大部分を占めておると思われます。

 論点4の1つ目と2つ目の○についても、同様だと思いますが、要請を受けて開発するものについては、企業に一定の採算性を確保するということも必要であると思います。

 3つ目の○で、要請を受けても一定期間以上開発を進めない企業が申請する新規医療材料については、補正加算を認めない対応を検討するとありますが、一律で実施することは懲罰的であり、いかがなものかと思います。開発を要請した企業の規模や開発をしない理由等を精査した上で、決定していくことが妥当であろうと思いますので、一律でペナルティーをかけるという考え方は、健全なイノベーションへの意欲を阻害することにもつながると思いますので、慎重な検討が必要だと思います。

○印南部会長

 ほかにございますか。田村専門委員、お願いします。

○田村専門委員

 2点、意見を述べさせていただきます。

 1つは、医療ニーズの高い医療機器の関連でございます。これまでもなかなか対応できない事例があるということは、聞いておりましたが、こういうふうに、改めて対応できていないものがあるというのは、非常に問題であると認識しております。個々の企業の努力にも限界がありますので、今回、このように保険からサポートいただけるというのは、非常にありがたいと思います。確かにニーズ品があって、開発を進めて、承認をいただいて、保険が出るようになって、思ったような評価がいただけなくてという声も聞きます。ですから、そういうことが、ほかの会社にも伝わり、なかなかニーズ品に進めない、開発を進められない会社があるのではないかと思います。

 今回、5年以上経過した品目が出ていまして、関係企業に少し聞いてみました。そうすると、幾つか理由があるようで、1つは、日本での症例数が非常に少なく、例えば治験をしたくてもなかなかできない、あるいは症例数が非常に少ないので、採算が合わないということがあるようです。

 それから、古い製品で、特に企業が合併とか、買収した場合に、もとの企業から承継して品目をもってきて、それがこのニーズ品に該当するような場合があるのですが、そうすると、もともと開発した企業に既にデータが存在していなくて、薬事申請をしようとすると、全て一からやり直さなければいけないということがあり、そういう場合に、非常に開発が困難であるというケースがあるようです。

 これは日本とアメリカの薬事制度の違いなのですが、アメリカには、510k)(ファイブ・テン・ケイ)という制度があって、ある種のものについては、新しいものであっても、類似のものであると、日本で言う後発品扱いのもので、治験データは一切不要だという制度がございます。日本にはそういう制度はなく、似たような仕組みでも、例えば違う部位に適用するような場合は、新規製品になりますので、その場合は、一から薬事承認のプロセスを踏まないといけないということがあります。通常は、海外に治験データがあれば、医療機器の場合、多くは日本でも使っていただいていますが、例えばアメリカで510k)(ファイブ・テン・ケイ)という制度でとっている場合は、海外の治験データもなくて、アメリカでは承認を得ているということなので、日本に導入する場合には、ハードルが高いということでございます。

 これは、今、御指摘もありましたが、運用の問題なのですが、5年以上経過した品目の中で、幾つかの製品は、既に類似の製品が出ていて、開発要請を受けた企業は、確かにまだ開発をしていないのですが、既に類似品が出ている場合があるということでございます。こうした問題全てが保険で解決できるかどうかはわかりませんけれども、やはり保険で評価して、サポートしていただけるというのは、大変ありがたいと思います。

 1点お願いしたいのは、こういう評価をしていただけるのは、大変ありがたいのですが、開発を開始する時点で、今回このものについては、特別な評価をしていただくということなのだと思いますが、開発をスタートする時点で、要するに薬事申請をする前、あるいは治験を始める前から、ある程度採算がとれるレベルになるかどうか、あるいは特別な評価がどういうことになるかということを、ある程度御相談させていただいて、めどが立たないと、開発を進められないという気がいたします。ですから、せっかく制度をつくっていただいても、開発を進めて、全て承認がとれて、保険申請するまで金額がわからないということだと、開発に着手できるかどうか、企業は判断がつかないのではないかと考えます。もちろん薬事申請、承認の結果によって、承認内容も変わりますので、確定的なことが言えないのは、当然のことだと思いますが、めどが立てられるような工夫を御検討いただけないかと思います。これが1点目でございます。

 もう一つは、最後の既存品と部分的に類似している場合の評価でございます。一番最後の39ページの論点で、新規材料が部分的に類似している場合、類似機能区分の基準材料価格の一部分を新規機能区分の基準材料価格として用いというところですが、類似品の一部分を用いる場合ということで、下に※で例が出ています。

 2つ目のポツで、例えば製品の長さや面積、体積等に応じてということで書かれていますが、医療機器でこういう製品の長さとか、面積とか、体積とか、ボリュームに応じて価格がついているものもありますが、そうでないものもたくさんあると思います。むしろ小型であるがゆえに、評価されるようなものもありますので、これだけで全て案分ができるわけではありませんので、これが実際に制度化されるのであれば、もう少し具体的な評価基準ですとか、運用方法等を示していただいたほうが、価格の予見性が上がるということですので、それについても御検討いただきたいということです。

 以上2点でございます。

○印南部会長

 お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 今の御指摘からでございますが、今回、部分的に類似している場合の評価につきまして、論点を立てさせていただきました。こういう方向で、検討するということで、合意いただければ、その詳細につきましては、今の御指摘も含めて、私どもで検討したいと思っております。

 それから、先ほどの医療ニーズの高い医療機器の評価につきましても、34ページの論点の2つ目のところで、評価が必要とされる場合で、採算が合わないことが予想される場合、それから、外国価格が極めて安価でとございますけれども、ここも予見可能性を高めるために、どのようなことができるかに関しましては、今後、詰めさせていただきたいと思います。

○印南部会長

 お願いします。

○磯部医薬・生活衛生局医療機器・再生医療等製品審査管理担当参事官

 医薬・生活衛生局の磯部でございます。

 先ほど万代委員からお話がございました、資料で申し上げると、スライドの33ページ、ニーズに選定されてから5年以上経過したものについて、そのまま放ったらかしになっていて、それでいいのかという御質問だと思います。

 それに関しましては、今回、こういった御議論をいただくこともございまして、これと並行して、私どもから、今、実際に公募なり、開発要請をされているものに関しましては、会社と学会の両方にもう一回お話を聞いて、どういう状況であり、今もニーズがあるのか、ないのか、また、開発が進んでいないことについては、今、田村専門委員からいろいろお話がございましたけれども、どういう理由によるのか、こういった理由については、早急にやらせていただきたいと思ってございます。

 その上で、31ページのスライドをごらんいただきたいのですが、これまでの検討会の1つの問題といたしまして、まさしく万代委員に御指摘いただきましたけれども、要請なり、公募はするのですが、放ったらかしになっているのではないか。それが進んでいなくても、そのままになっているのではないかということは、私どもも強い問題意識を持っております。

 この中の厚労省・検討会の下の枠に入っていますが、定期的に開発状況を確認とか、開発遅延原因の把握、医療上の必要性の再評価というものに関しまして、この検討会は今までは若干不定期にやっておりましたけれども、年4回定期的に開催をいたしまして、定期的にニーズがあるのか、開発がもし遅延していた場合はどういう状況なのか、開発の計画はどうなっているのかということは、定期的に学会と企業にも確認をしていくというスキームを今後は入れていくようにしてございますので、その結果は、必要であれば、中医協にも御報告させていただきまして、御指導をいただければと思ってございます。

 あと、先ほど田村専門委員からも、遅延の理由をいろいろ聞いていただいていると思います。いろんな理由があるかと思いますけれども、私どもも何でもかんでも治験が必要だと言っているわけではございませんで、特に医療機器の場合、国内での治験が難しいものがあったり、海外のデータが十分活用できるものもあったりしておりますので、新医療機器の場合であっても、医薬品による公知地申請、未承認医療機器であっても、海外で使用されている状況ですとか、データで、それを報告書の形でまとめていただいて、認めるケースもございまして、薬事のほうが悪いとおっしゃっているのかどうかはありますけれども、企業から実際に日本での患者の状況ですとか、治験ができる環境にあるかとか、このものの特性からいって、外国のデータに加えてやるのかどうかとか、そういうことについては、真摯に相談を受けております。そういうことをおっしゃいますけれども、我々としては、違和感があるコメントの部分もあるということは、申し上げておきたいと思います。

○印南部会長

 万代委員、どうぞ。

○万代委員

 御説明で、再検討の方法論については、了解いたしました。

 ただ、なかなか進まないのであれば、第三者的な目ということで、せっかく専門組織があるので、そういうところで検討いただくのも、1つの方法ではないかと思ったので、そういうふうに申し上げた次第でございます。

○印南部会長

 ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。

 それでは、本日頂戴いたしました御意見や御提案等を踏まえ、平成28年度の保険医療材料制度の改革に関する議論を進めていきたいと思います。

 本日の予定された議題は以上です。

 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の「保険医療材料専門部会」は、これにて閉会といたします。

 総会は、準備が整い次第、適宜開催するという連絡を受けております。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会保険医療材料専門部会)> 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 第74回議事録(2015年11月6日)

ページの先頭へ戻る