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2015年11月17日 障害福祉サービス等経営実態調査の見直しに関する検討会(第2回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課

○日時

平成27年11月17日(火)16:30 ~ 18:30


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○出席者

構成員

平野座長 井出構成員 小林構成員 千葉構成員 

事務局

藤井障害保健福祉部長 川又企画課長 田中障害福祉課長 津曲障害福祉課障害児・発達障害者支援室長兼地域生活支援推進室長 菅障害福祉課課長補佐

○議題

・障害福祉サービス等経営実態調査の見直しに係る論点等について
・その他

○議事

○津曲室長  ただいまから「 障害福祉サービス等経営実態調査の見直しに 関する検討会」の第2回会合を開催したいと思います。

 構成員の皆様方におかれましては、本日、御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の構成員の出席状況でございますが、全員出席されております。

 私ども事務局のほうでございますけれども、川又企画課長と田中障害福祉課長は所用で少し遅れている状況でございます。

 撮影に関しましては以上とさせていただきたいと思いますので、報道カメラの方は退室をお願いしたいと思います。

(報道カメラ 退室)

○津曲室長  それでは、以降の進行につきましては平野座長にお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○平野座長  本日はお忙しいところ、ありがとうございます。また、夕方の遅い時間で恐縮でございますけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思っております。

 前回9月30日に、午前中、限られた時間ではございましたけれども、大変有意義な議論ができまして、本当に各論点についていろいろと建設的な意見をいただきまして、大変ありがとうございました。

 今回は、そのいただいた御意見に対しまして、どういうふうに考えていくのかということを事務局で整理してもらいまして、対案といいますか、どういうふうに考えていくのかということを今日お示ししまして、それで具体的にどういう方向で進めるかということを考えて行きたいと思っております。

 そういった意味では、今回のところで大体の大きな意見を出していただければ今度は、調査そのものはやらなければいけないわけですので、どういうふうにするかという具体的なところに進めていければと思っていますので、よろしくお願いしたいと思っております。

 それでは、まず本日の議事に入ります前に、資料の確認を事務局でお願いいたします。

○津曲室長  それでは、お手元の資料につきまして確認をさせていただきたいと思います。

 本日御用意させていただいた資料は、資料1「障害福祉サービス等経営実態調査の見直しに係る論点等(案)」。

 資料2「第1回検討会における主な意見等」となります。

 資料の不足等がございましたら、事務局までお願いしたいと思います。

○平野座長  ありがとうございました。

 資料のほうはよろしいでしょうか。

 それでは、議事に入りたいと思っております。

 事務局のほうから資料1、資料2の説明をお願いいたします。

○菅課長補佐  資料について御説明いたします。まず、資料1を御覧ください。

 1ページ目でございます。「 障害福祉サービス等経営実態調査に係る指摘等」でございます。

 第1回の検討会の際にも御説明をさせていただきましたが、 経営実態調査につきましては、前回、平成27年の報酬改定の検討の際、それから、報酬改定率の財務大臣との折衝の際に、それぞれ記載のとおり、見直しについての指摘がなされております。このような状況を踏まえまして、今般、検討をお願いしている次第でございます。

 続きまして、2ページからが見直しに係る論点でございます。

 前回、5つの論点につきまして、それぞれ現状と具体的な論点を御説明させていただきました。それぞれの論点につきまして、前回さまざまな御意見をいただきましたので、本日は第1回検討会での御意見を踏まえまして、それぞれの論点につきまして具体的な対応案という形で整理させていただいております。

 前回からの繰り返しになりますが、それぞれの論点ごとに現状から御説明のほうをさせていただきます。

 まず「論点1 複数年のデータ把握」でございます。

 「現状」は、この調査におきましては、報酬改定の前年度1年分の収支等の状況を調査いたしております。

 「論点」に関しまして、具体的に3つ掲げております。

 医療経済実態調査では同一事業所の複数年の収支を調査で把握しております。これについて、どう考えるか。

 複数年の状況を把握するとした場合に、記入者負担が増えるといったことが考えられますけれども、これらについてどう考えるか。

 このため、比較的余裕のある改定の前々年度、次回改定で申しますと平成28年度に実施する処遇状況等調査。こちらにおいて、事業活動収支等のデータを把握することが考えられるということでございまして、具体的には4ページのような調査のスケジュール案を前回提示させていただいております。このような対応が考えられるかということでございます。

 これに対しまして、前回いただいた主な御意見といたしまして3点掲げてございます。

 報酬改定前後の収支の状況を同一事業所で把握することで、切れ目なく継続的に影響を確認することができるという御意見。

 それから、何らかの方法で連続的に収支を把握していくことは必要という御意見。

 処遇状況等調査の結果が報酬改定の際に参考となることについては、関係団体等に周知すべきではないかという御意見をいただいております。

 このような御意見を踏まえまして「対応案」として3点並べてございます。

 1点目でございますが、報酬改定前後の収支を比較することにより改定の影響を把握する観点から、処遇状況等調査で報酬改定前後の2年分のデータを把握することとしてはどうか。

 その際、回答率や記入者負担等に鑑み、処遇状況等調査の調査客体と、次回は平成29年度に予定しております経営実態調査の調査客体を一致させることまでは行わないこととしてはどうか。

 また、処遇状況等調査の結果が、次の改定の参考となることについて、地方自治体や関係団体等を通じて、十分に周知することとしてはどうかということでございます。

 続きまして、5ページを御覧ください。ここは論点2と論点3を1つにまとめて整理をさせていただいております。2つ目の論点が「法人単位での収支等の実態把握」。それから、論点3といたしまして「財務諸表の活用」でございます。

 それぞれ「現状」といたしまして、法人単位の把握につきましては、サービスごとの収支等を調査対象としております。報酬改定の際に参考とするということでございますので、サービスごとの費用等の実態を明らかにするため、サービスごとに収支等の状況を把握しております。

 論点3につきましては、経営実態調査は、事業活動計算書に係るデータを把握しているということで、その他の財務諸表については取っていないということでございます。

 「論点」として、論点2の関係で3点掲げさせていただいております。

 報酬はサービスごとに設定されるため、経営実態調査もサービスごととしておりますが、法人全体の状況を把握することについて、どう考えるか。

 障害福祉サービス全体の収支差率を把握したとして、どのような活用の仕方が考えられるか。

 3点目といたしまして、本部会計への繰り入れ。これは法人本部に帰属する役員報酬等でございますが、それについて、現行では実額を費用に計上しておりますけれども、この取り扱いについて、どう考えるか。

 次ページでございます。論点3の関係でございますが、いわゆる財務三表、資金収支計算書、事業活動計算書、貸借対照表の活用のあり方について、どう考えるか。

 2点目といたしまして、これらで把握したキャッシュフローの状況や、内部留保や借入金の状況の把握と、それらの具体的な活用方策等について、どう考えるか。例えば、報酬改定で勘案する必要性の有無、記入者負担の増加による回答率低下のリスク等としてございました。

 以上2つの論点につきまして、前回いただいた主な御意見として掲げております。

 まず論点2の関係でございますけれども、法人単位での把握は重要であるが、別の調査で行うか、自治体に届け出られた決算書等を活用すればよいのではないか。

 利用者が少ない地方などは、障害と介護のサービスを一緒に提供するなどさまざまなケースがあるため、法人単位での収支の把握は、報酬改定の議論においては適切ではないのではないか。

 社会福祉法人の場合、役員報酬については事業所で黒字の場合に、本部繰入が可能とされているが、株式会社などは共通経費として整理され、黒字、赤字を問わず本部繰入が可能であり、取り扱いが異なる。これは会計基準の仕組みに関する問題であって、ここで議論することではない。こういった御意見をいただいております。

 続きまして、7ページが論点3についての主な御意見でございます。

 財務諸表で数字が取れるのであれば、何か見えるのかもしれないが、この調査でどのように活用するかはまた別問題である。

 経営状況を包括的に見るという意味では、財務諸表による把握も必要だが、本調査の目的からすれば、プライオリティーが低い。

 それから、経営実態調査は収支状況を把握するのが目的だが、現場では、それだけでは見えない苦しさがあると思う。その辺が測られるのであれば活用するのもいいと思う。このような御意見をいただいております。

 これらを踏まえまして、8ページでございますが「対応案」として3点整理させていただいております。

 報酬はサービスごとに設定されていることから、従来どおり、サービス単位の調査とすることとしてはどうか。

 また、新たにキャッシュフローを把握することとしてはどうか。

 その際、障害福祉サービスについては、社会福祉法人、営利法人、NPO法人など多様な経営主体が担い手となっており、全ての法人が、必ずしもキャッシュフロー計算書を作成していないことが見込まれること。記入者負担の増加が見込まれることなどから、従来の調査で把握可能な項目に加え、必要最低限の調査項目を追加することにより、簡易なキャッシュフローを把握することとしてはどうかとしてございます。

 簡易なキャッシュフローのイメージは、9ページでございます。

 左側のところが、従来の調査で調査項目としているところでございます。収支差額、それから、減価償却費、これらについては、既存の部分でございます。

 さらに今回、御提案でございますが、長期の借入金の返済支出を調査項目として加えるということで、借入金の返済が実態として可能であるのかどうかという点を把握することとしてはどうかという御提案でございます。

 続きまして、論点4。こちらが「サービス間の費用按分の取扱い等」でございます。

 「現状」でございますが、収入については、家賃等を含んで調査しておりますけれども、収支差率の算定に当たっては、対象となるサービスに係る項目のみを活用しているということでございます。

 実際の収支差率を算定するに際しましては、他のサービス等との費用按分を行っておりますが、これについては、延べ利用者数、占有面積、収入比率等によって按分をしております。

 また、収支差の算定に当たりましては、税控除前の収支差率を用いております。

 それと、収支差率を算定するに当たりまして、収入と支出、それぞれから国庫補助金等特別積立金取崩額を控除してございます。

 「論点」でございます。現行の費用按分の方法の妥当性について、どう考えるか。

 2点目で、税制上の取り扱い、課税・非課税とございますが、税引き前か、税引き後かということでございます。あわせて、国庫補助金等特別積立金取崩額の取り扱いについて、どう考えるか。

 おめくりいただきまして、11ページでございますが、前回の主な御意見ということでまとめさせていただいております。

 社会福祉法人については、会計基準の別紙4で、サービス区分別に増減差額まで取れることになっているということで、法人においてきちんと会計が行われていれば、そのままこの調査で活用できるのではないかという御意見。

 報酬制度が経営の安定性を保障しているかを確認する上では、税負担までを考慮すべきではなく、本調査において税引き後のデータで考えるのはむしろ筋違いではないかという御意見。

 国庫補助金等特別積立金取崩額は、社会福祉法人の新会計基準では減価償却費と同様、費用に計上されるため、自然体で処理すればよいのではないか。

 按分方法については、基準どおりに行うことでよいと思うが、どう按分したかについては公表するべきではないか。

 按分方法については、新会計基準となったことも踏まえ、統一的な方法を示すことなどの検討をすべきではないか。このような御意見をいただいたところでございます。

 おめくりいただきまして、12ページに「対応案」として3点掲げさせていただいております。

 複数サービス間の費用按分については、社会福祉法人新会計基準の規定を準用し、従来どおり、国において統一した考え方に基づき費用按分を行うこととし、その方法について、結果公表の際に具体的に示すこととしてはどうか。

 これについては、1314ページに見直し後の現行社会福祉法人の新会計基準の取り扱いということで、それぞれ具体的に人件費、事務費等の支出科目につきまして費用按分の方法として示されてございます。現行の調査においても、基本的には延べ利用者数、延べ床面積等で行っておりますので、これにつきましては会計基準の見直し後も基本的には同様の配分方法が示されているところでございます。

12ページにお戻りいただきまして「対応案」の2点目でございます。税引き前・税引き後の取り扱いについては、経営実態調査が、報酬収入等がサービスに要する費用をカバーできているかを把握するための調査であること。さらに、課税・非課税の問題については、本来税制サイドにおいて考慮すべきものであることから、引き続き、税引き前という現行の取り扱いのとおりとしてはどうか。

 3点目でございますが、国庫補助金等特別積立金取崩額については、実際に収益と費用で現金の移動があるわけではないため、収支差率の算出方法に関しましては、現行の取り扱いのとおりとしつつ、新会計基準における取り扱いも踏まえ、国庫補助金等特別積立金取崩額の項目を「事業活動収入」から「事業活動支出」に移すこととしてはどうかということでございます。

 これにつきまして、1516ページを御覧ください。16ページに参考として掲載してございますが、社会福祉法人の新会計基準における国庫補助金等特別積立金取崩額の取り扱いの変更でございます。従来「収入」のところに計上されていたところでございますけれども、新基準においては「費用」にマイナス計上するということでございます。

 この見直しに合わせまして、次の調査においては、15ページにお示しさせていただいておりますが、同様に収入から支出のほうに項目を移しまして、それに伴いまして、表の下段にございます、それぞれ収入、支出、見直し後は収益、費用としておりますけれども、それぞれの計算方法がよりシンプルになるということで、見直しのイメージを提示させていただいております。

 続きまして、17ページを御覧ください。論点5、最後の論点でございますが「その他」としてございます。こちらにつきましては、前回2点ほど論点として提示をさせていただいております。

 標本の抽出方法でございますけれども、障害サービス事業所は小規模事業所が多いため、定員規模も考慮した抽出とすることについて、どう考えるか。また、休廃止の事業所につきまして、母集団名簿から抽出する段階で除外する方策として、どのようなことが考えられるか。

 あわせまして、地方自治体の協力を得て、より具体的な経営実態を把握する方策として、どのようなことが考えられるか。こういった論点を提示させていただきました。

18ページでございますが、前回、これらにつきまして御意見をいただいております。

 障害固有の状況として、休廃止事業所が多く、不必要に有効回答率が低くなっているのであれば、事前に名簿から対象外にするということを行ってもいいのではないか。

 それから、事業規模が大きいところは、体制もしっかりしていて回答率が高く、規模の経済性が働くため経営が安定しているところが多い。このため、収支差率が高目に偏りがちになるので、事業規模に配慮した層化抽出を検討すべきではないか。

 このような御意見を踏まえまして「対応案」として書かせていただいております。

 いただいた御意見に対応する部分としては、2点目でございます。事業規模を考慮した抽出を行うとともに、休廃止事業所をあらかじめ除外する方策として、国保連データにおける請求事業所の名簿を活用することとしてはどうかということでございます。

 それから、上の対応案でございますけれども、記入者負担の軽減でありますとか、誤記入防止等を図る観点から、例えば社会福祉法人については、新会計基準に基づく事業活動計算書の勘定科目と調査票の記載項目の対応イメージを提示するなど、事業者が適切に回答できるよう工夫することとしてはどうかとしてございます。

 以下、19ページは前回の調査の概要、それから、20ページは他制度における同様の調査との比較表でございます。いずれも前回参考として添付してございます資料でございます。

 資料1については以上でございます。

 それから、資料2でございますが、こちらは資料1の中でも御紹介させていただきましたが、前回の検討会において、それぞれの論点についていただきました御意見等を整理したものでございます。

 資料の説明は以上でございます。

○平野座長  ありがとうございました。

 それでは、議論に入りたいのですけれども、最初に私のほうから一言お願いがございます。

 前回の検討会ですが、座長としてはすごくおもしろかった。すごく質の高い議論ができたと思っています。それで、こういう経営の問題に係わるのですけれども、最初に皆さん方、自己紹介の時には自分はあまり詳しくないというふうにおっしゃられたのですが、少なくとも議論を聞いている限りはかなり高い見識と深い理解が実はあった。そういった意味では、かなり突っ込んだ議論ができたと思っています。

 もう一つ感じたのは、認識や問題意識にずれはなかったと思っています。やはり現状をきちんと理解されておって、どうするかということではずれもなく、そういった意味ではスピーディーで前向きな議論がすごくできた、いろいろな論点も出たということで感謝しております。

 今回もそういった意味では皆さん方、かなり理解もあって見識もありますし、それから基本的なことでずれもないので、ある程度スピーディーに進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいということが1点目です。

 それから、進め方なのですけれども、今、言いましたように、論点が1と、2~3、4~5、あとはその他ということで、4つにまとめてブロックにして議論していきたいと思っています。

 もう一つ、進め方なのですが、発言を制限するつもりは全くないのですが、1つはページで言いますと最初の論点のところは前回と同じですので、今日一番議論したいところは、1回目に出した、皆さんから言われた意見です。この意見の部分がきちんと自分の趣旨を的確に反映しているのか。あるいはこれに追加することですとか修正することがあれば出していただきたい。それから、その対応の部分でどうなのかというのを出していただきたいというのが1つ目です。

 もう一つ、今回、この間の検討でさらに何か新しい御意見とか対応のところで考えたほうがいいというものがあれば出していただきたい。

 この2つのところで議論をして行きたいと思っていますが、よろしいでしょうか。

(首肯する構成員あり)

○平野座長  それでは、進めさせていただきたいと思います。

 まず、論点1のところからです。ここでは、2ページ目の「現状」と「論点」のところは省略しまして、次のところなのですけれども、1回目の主な意見のところで、上のところは皆さん方共通であったのですが、これは井出先生のところから、一番下のポツのところは関係団体等に周知するという、これはたしか井出先生のほうから出していただいたのですけれども、その辺のところから、対応も含めて御意見をいただけませんでしょうか。

○井出構成員  処遇状況調査をこの改定の資料として使うということに対して「対応案」の3つ目は、私は周知していただくという感覚なので、これで私は特に意見はありません。

○平野座長  上2つはいかがでしょうか。

○井出構成員  省の方に余計なことを言ってしまうかもしれませんけれども、今回、私はこれで十分だと思っています。ただ、次の大きな、今回のまた次のときには、いわゆる2つ目のところで、今回は処遇状況等調査と経営実態調査との調査客体は一致しない。そこまではしないのだということでよく分かりました。ただ、また次の時にはこれをどうするかは一応議論を、するしないはその時でいいのですが、一応、また考えていただきたいなということだけで、あとは特に意見は、この対応策で私は結構だと思っています。

○平野座長  小林構成員、いかがでしょうか。

○小林構成員  他のところでも出てくることかなと思うのですが、調査の結果が次期改定の参考資料になることについて、地方自治体や関係団体等を通じて十分に周知することとしてはどうかということの度合いといいますか、内容について、私が前回最後に、例えば知福協さんですとか、きょうされんさんですとか、そういった関係団体にどの程度協力を得ておられるのでしょうかということについて質問させていただいて、相応に協力を得てというお話がございました。

 例えば、処遇改善等調査もそうですし、あるいはこの実態調査もそうなのですけれども、そういった団体を通じて、当然、その団体全員に行くわけではないですが、こういう調査が行ったときには、これは我々にとって非常に重要な調査であるから、ぜひ積極的にといいますか、前向きにといいますか、有効回収率を高めるという意味なのですが、そういう目的を持ったものなのでということをより強調されるとか、あるいは都道府県などの指定の集団指導などの折にでも強調していただくとか、いろいろな機会を通してそういったことの、ここに書かれておりますような活用の意味合いであったり、有効な回答がなぜ必要かということについて周知を徹底されればされるほどいいのではないかということは常々考えていることです。

○平野座長  ありがとうございました。

 千葉構成員、いかがでしょうか。

○千葉構成員  今のところですが、これは最後のその他のところに絡むのかもしれないのですが、要は周知するということの目的は、しっかりいろいろな人に幅広く回答していただくということになると思うのです。

 そうやって見ますと、この資料で言いますと19ページに前回の、平成26年度の経営実態調査の概要というもので示されておりまして、対象がこの障害分野は非常に多くて、10万を超える事業所がある。それで、調査客体としたのはそのうちの15%ぐらいで、この客体に対して調査票が送付され、返ってきたのが5,000。その下にある約33%、3分の1が返ってきていますということで、ここが要はどれだけ33%を超えて40%、50%と行けるのかというところが多分、一つのこの調査としての有効性を担保するものではないか。

 そのためにこそ、自治体なり団体の方にもぜひ、この調査の意図は、それでなくても福祉の現場というものは今、いろいろな方々が、学術研究の方も含めて、ある意味、調査が氾濫している状態の中で、やはりこれは自分たちの将来、命運を決める大きな調査なのだということを、伝えていく必要がある。当然、国の統計法に基づく調査ということもありまして、それなりにしっかりしたものでもあることは間違いないのですが、やはりそこは協力ベースというところがベースになりますから、協力の周知は必要になってくるかと思います。

 そういう意味では、協力をお願いしつつ、やはり回答しやすいという、これは多分、後ろのほうの問題になってくると思うのですけれども、負荷がなく、同時に必要かつ十分なデータを確保できるという形で、また逆に、せっかく回答していただいても聞く趣旨と違うという意味で、誤解されて回答されて、結果として無駄な票になってしまうというのは、これもまたもったいない話なので、そういうものもできるだけ防いでいくような改善というものがあるといいのかなと。

 これは、この場所のこの話になるのかどうかは分からないのですが、どうですか。

○平野座長  どうぞ。関連していますので。

○千葉構成員  ただ、この論点1の表題としては「複数年のデータ把握」ということで見ますと、今までは1回単発で、スポットで聞いていたということからすれば、この1回目の意見というところにも書いてありますように、やはり継続的に把握するということは大きな進歩ではないのかなと感じておりますので、常に調査するといいますか、2回調査とはいえ、3年分を調査するわけですから、当然、一定の記入者負担というものは今までよりは増えざるを得ない。これは仕方がないことだと思うのです。

 それをもってしても、やはりそれだけ価値のある調査になるのではないかと認識していますので、こういう連続した、具体的に言えば4ページにあるような、処遇状況で2カ年とり、改定前後の状況把握をする。一方で、できるだけ改定直近の部分として実態調査をする。当然、その2つを総合的に勘案しながらですが、特に直近の平成28年のデータを報酬改定の参考にしていくことにおいては、まさにこのスキームが重要なのではないかということで、積極的に支持したいと思います。

○平野座長  ありがとうございました。

 全体の確認ですけれども、大ざっぱな確認ですが、この「対応案」のところで基本的には了解と。ただ、先ほど井出先生が出されましたように、今後、この客体が違うということも含めて、また次のときに検討していきたいということと、それから、お二方からあったのですけれども、きちんと趣旨を理解してもらって、適切に反映してもらうという、その辺では御努力をいただきたいということでよろしいでしょうか。

○千葉構成員  はい。

○平野座長  また後で何か思い出したことがあれば出していただければと思います。

 続いて、ここが大きいのですが、論点2と論点3で、資料の5~6ページなのですけれども、ここではキャッシュフローの問題が出まして、前回の時もいろいろ出たのですが、まずここは千葉構成員に口火を切っていただきたいのです。昨日の介護のところの議論も踏まえて、いろいろ教えてもらえればと思うのです。

○千葉構成員  キャッシュフローにつきましては、結局、経営を実際、日々指揮統率されている方の立場から言いますと、目先の資金が出て、または資金が入ってきてというところが一番、目につくわけです。ただ、それは実態調査との距離感で言いますと、実態調査というものは実はキャッシュフローではなく、損益というものを使っております。

 これは何かといいますと、会計学的には一定の、1年という会計期間を区切った中の業績を測定するということなので、例えば設備投資のような、複数年にわたって使用するような財産の取得に関する支出などというものは、キャッシュフローで見ると支出した年に一気にどんと載り、その年度の資金収支が悪化したように見えるわけですが、それは実態の経営の方向、いわゆるノーマルコストというものから考えれば、別にキャッシュフローが一気に出ていくということ自体が経営を悪化させているということでは決してない。

 それで、キャッシュフローでなく、経営のそういう体力とか状況というものを業績と言われますが、そういうものを把握することが必要ですし、また逆に、この報酬というものもサービス提供に要する費用ということで考えられていますので、それを固定資産とか設備を使って、そういうものを動員しながらまた労務とか材料も使いながらサービスに結びつけているということで言えば、その一会計期間において複数年使う資産については、その期に属する費用として幾ら計上するかとか、これを減価償却といいますが、そういう形でアプローチするほうが、そういうコストに対応する収入、いわゆる報酬がカバーするべきものとしては、むしろ損益というものが必要であるということになるのだろうと思うのです。

 設備投資をした際に損益に出てこないお金の出入りというものがある。具体的に言えば、借入金の返済とか設備投資で一気に出てきたお金そのものもある。

 また、返済のためとかいろいろな資金調達のためにお金を借りてくるということについてのお金の入りもある。介護も障害の分野もそうですけれども、経営における制度リスクが非常に高い。いずれも単価が人為的に決められていくという、市場に準じた世界ということで言えば、そういうものに命運を託している中での最大の経営リスクというものは、特にこういう福祉の分野で言えば、返済負担というものをどう、適切に賄えているのかということがどうしても経営者の頭としては存在するところです。

 結局そういう背景の中で、単に損益を見るだけではカバーできないようなお金の流れが実態であるというのを知ってほしいという意図がどうも、介護なり診療報酬の世界ではあるのかなと思います。

 ただ、その場合、一般の企業でも実際、事情は同じでございまして、お金が足りなくなるということは当然、どんな場合でも存在していて、それは金融機関がお金を貸してくれるかどうかという、そこの次元の話につながってくるわけで、キャッシュフローをつかむということはそういうお金を確保する余地があるのかとか、また、それが適切に貸し渋りがなく、金融が回っているのかというのが大きな問題になるわけです。そういう意味では報酬改定の参考情報として考えると、ファイナンスが円滑にいっているかどうかということを報酬として保証するというのはちょっと筋が違うのではないかと考えられると思います。

 ただ、何もこの調査というものが報酬改定だけに使われるということではなく、包括的に施設経営とか、この障害福祉分野の経営を把握しようということも一つの目的なのだとするのであれば、それは経営者の負担にならない範囲である程度のものをとることは厭わなくても良いと思います。

 そういう意味では、例えば「対応案」の次のところ、9ページに出てまいります「簡易なキャッシュフロー(イメージ)」ということで御提案があって、ここまで話をしてしまっていいですか。

○平野座長  どうぞ。

○千葉構成員  これはある意味、左側の既存の調査項目というものが今の社会福祉法人の資金収支計算書で言えば「事業活動による収支」という部分に対応し、長期借入金の返済というものは「その他の活動による収支」という部分に対応します。確かにこの新たな調査項目というものが損益計算上は把握されないものですから、これは加えること良いのではないかと思う。

 ただし、本当の意味でのキャッシュフローを考えるのであれば、借入金の入りというものも本当はなければいけないので、そういう意味ではこの目線は何かといいますと、左側の既存の調査項目というものが税引き後償却前利益という、よく金融機関の人が与信判断の際に使う指標なのです。要は、返済額をきちんと内部のキャッシュジェネレーションの範囲でおさめているのかというところを見て、経営が安定しているのかを判断する指標になります。言い換えれば与信対象としてふさわしいのかというものはこの指標で見るので、ある意味、資金繰りがいいと判断できるかというバンカーの目としてはこの目線ということになると思います。

 ですから、結論は、キャッシュフローは一義的にはあまり大上段を振りかざして調査するほどのことではないけれども、どうしても必要だとするのであれば、最低限、今、提案されているような調査項目で、あとは調査を積み重ねるごとに、この中身の有効性を高めていくという努力で継続的改善をすればいいのではないか。このように考えます。

 以上です。

○平野座長  この中で議論できればと思っていまして、私から質問してよろしいですか。

○千葉構成員  はい。

○平野座長  1つは、確かに今のお話のように、福祉法人の場合には少しなじまないというのは今のお話を聞いて分かりましたし、それから、返すことを考えれば入りのほうを考えなければいけないという、それは御指摘のとおりだと思います。

 ただ、2つ質問なのですけれども、1つは、これを入れて何か見えてくるものはあるのか。もう一つは、この数字自体を出すこと自体が計算するためにかなり負担になるか。その辺は、あるいはすぐに既存の帳簿から出てくるのか。その辺はどうなのでしょうか。

○千葉構成員  まず後者のほうの負担があるか、または調査のデータをどこから取るかということで言えば、社会福祉法人の場合は資金収支計算書という決算書類があって、その中のこの設備資金借入金元金償還支出と長期運営資金借入金元金返済金支出というのですけれども、それを取れば大丈夫です。

 それ以外のNPOとか株式会社等で言いますと、NPO会計基準の中には確か資金収支計算と損益計算の融合したような計算書があると思うのですけれども、あの中に実はキャッシュフロー的な要素の数字も入っているはずです。

○平野座長  一応、項目立てはしてあるのですね。

○千葉構成員  はい。ですから、そこは取れると思います。

 ただ、問題は中小企業の場合は、企業会計原則の中では大企業については、上場企業等については三表を作れとされキャッシュフロー計算書まで入ってくるのですが、中小企業の場合は多くの場合、無いです。ということは、後は。

○平野座長  有限会社とかですか。

○千葉構成員  そうですね。

 しかし企業の場合は借入金の台帳などの補助簿があります。そこから持ってくればよいと思われるので、企業としても全く把握していないということはないと思うのです。把握していなければ経営が成り立ちませんからね。

 あと、もう一点は何でしたか。

○平野座長  これで何か見えてくるのか。

○千葉構成員  事業者さんの立場から言えば、やはり特に社会福祉法人の場合などがそうなのですけれども、企業と違ってそうやすやすと借入れができない。要は具体的に言いますと、例えば銀行から運転資金、または設備資金の返済のためのお金がショートしたので借り替えたいという時は、多くの場合、担保が必要になります。そうすると、基本財産を処分することで、社会福祉法人の場合は所轄庁の認可を受けなければなりません。そのような場合所轄庁に借入れを起こしたいと相談するのですが、なかなか多くの場合、お金を返すために借金を重ねるのはいかがなものかという形で、企業ファイナンスでは当たり前のことを行政的には是としないケースが多く見られています。

 そういう意味では、何が言いたいかといいますと、結局頼らざるを得ないのは、法人経営としては自分で稼ぐ中から返すことしかない。そこに持ってきて、返済原資である収支差がどうやって決まるかといいますと、それは報酬の水準で左右される。当初、報酬による利益の中から払うという返済計画を立てても、報酬改定によって収支差があてにできなくなってしまう。お金繰りが行き詰まるということにつながりかねない。

 これは社会福祉法人特有の現象なのだろうと思うのですけれども、そういう意味で資金繰りが自分で裁量に任せないこの分野で言いますと、経営の安定性をという意味で返済余力が枯渇してしまうかどうかというあたりは把握する必要があるのではないかと思います。

○平野座長  基礎体力的な部分もありますね。

○千葉構成員  そうです。

○平野座長  ありがとうございます。よく分かりました。

 小林構成員、何かございますか。

○小林構成員  前回も、特に介護報酬とか診療報酬とか、収益何%みたいな新聞発表の数字が出ていて、事業者の方は出ているほどそんなに儲かっていないとか、経営はしんどいというあたりの乖離がやはりそういった、実際先ほど千葉先生がおっしゃったような、余らせているお金が手元にないとか、やはり資金的なところのしんどさというものが実際出てきている。そういった数値との感覚的な乖離があって、何を言っているのだみたいなことにつながっているのかと思っています。

 今回はそういうところも含めて調査をしていただけるとすれば1つは、今、申し上げたような、実際、収支差額であるとかサービス活動増減差額と言われているものの率ほど実態は、業界全体としてそう楽な経営をやっていらっしゃるわけではないというあたりを全体として把握するという点で、その辺もそんたくして報酬を決めようとやってくださるのであれば非常に意味があると思うのです。

 ただ、今回の目的としている個々のサービスごとの、サービスを行うのにどのぐらい費用がかかるかという実態を把握して、それのために今みたいなデータを把握したとして、では、どう使うかということになってきましたら使いようがないのかなと思っていまして、そもそも、あるサービスを行うために必要な建屋を自前で持っていらっしゃっているのか、家賃を払って借りていらっしゃっているのか、行政から無償貸与されているのか、借金をして自腹で買い取ってその借金を返していらっしゃっているのかによって、通常のデータと全然違うけれども、そのサービスをやるためには建屋が要るという点においては全く同じだと思います。

 ですから、そこまで踏み込んで調べようと思ったら、本当にその借金の目的は一体何であって、そのサービスを賄うために先ほどの按分は云々みたいな非常に細かいところの話になってきますので、本当に事業者の方の経営のマスとしてのしんどさを把握するために、そこに国としても目を向けて知りたいという姿勢を示される点に関しては非常に一歩踏み込んだ結構な視点かなと思うのですが、今回の調査の本来目的から言いましたら使いようがないのかなというのが率直な印象です。

○平野座長  井出先生、いかがですか。

○井出構成員  ここにキャッシュフローという言葉が出てきますと、キャッシュフローという言葉は比較的関心を呼んで、1つはすごくいい表現ではあるのですけれども、9ページに示された「簡易なキャッシュフロー」というものが、私はこれは本当に簡易と言って、キャッシュフローと言っていいのかどうかということにもちょっと疑問があるといえばあるのです。

 結局、私は、これはサービスで、それに対しての損益を把握して、そこで報酬改定に役立てるということで、出てきた比率が本当にそうなのかどうかという流れの中からしますと、私はやはりまた別の観点でその収支差率を、それはそうとして、あるいは別に、本当はああいうパーセントが出てくることに対して、本当は資金繰りが苦しいとか、別のところで悲鳴を上げているのであれば、それはやはり本体に入れなくても、参考的には、そこはもしかしたら出してあげないといけない。それを報酬改定にかかわらせるかどうかというのはまた議論があると思います。

 私は、いろいろある中で結局、財務諸表は法人単位とかなんとかがありますけれども、やはり基本、いわゆる今回のサービス改定に当たって、どこの法人とかもそろっているのは、基本はP/L関係とB/S関係は、B/Sは必ずそろっているわけで、そういうところからいきますと、すごく伝統的になってしまうのですが、結局、今は損益ありきといいますか、P/L関係を主に捉えていますけれども、むしろB/S重視といいますか、B/Sを柱に置いて、1つは収支といいますか、どれぐらいもうけて、どれぐらい差が出たかというのがいわゆるP/L関係で、いわゆる現金の流れを、明細を把握するのがいわゆるキャッシュフローなので、そう考えていきますと、もしかすると、この簡易なキャッシュフローをお聞きして出すことも一理あります。

 あるいはB/Sの本当に大ざっぱな、資産規模とか流動資産とか固定資産とか流動負債とか、一応、固定負債とか純資産で、すごく大きい枠を聞いて、その中で私は障害系の施設とか法人は何とか流動性といいますか、安全性は確保できているということを、ある程度、そこはバックに置いておいてあげて、では、そういうことが回るように、このサービス単価といいますか、サービスの損益関係を意識する。そういう流れはやはりあってあげたほうが、何に使うかということになりますと多分、基本、今、出てきている簡易なキャッシュフローも、それはあえて目的ではなく参考でしかないのですけれども、結果としては、ただ、いつも出てくる差額の率が、これは永遠の課題で、あれは本当なのかという、あれで大丈夫かというところはどうしても、今回だけでなくても、介護でも医療でも企業でも出てきた利益率というものは本当かというのはやはりあるので、別の観点から参考情報という、参考資料という形で何か支えてあげるものはあってもいいのかな。

 逆に、流動性とか安全性が実は懸念されるというのであれば、むしろこの改定で、やはりそこも含めて担保してあげないと、考えてあげないと、決して集めた情報をむしろいただいた方たちに不利に使うことは絶対になく、安定して、あるいはこのサービスの改定に対してプラスのように使うかというと微妙ですけれども、把握しておくことは、私は悪くはないと思います。ですから、今回のキャッシュフローを把握することがいいかどうかというのはまた別問題ですけれども、何かまた別の方法で流動性といいますか、その辺は聞けることがあるのではないかなとは思います。

 ちょっと意見がまとまらないで、済みません。

○平野座長  ありがとうございました。

 8ページ目のところで、従来どおりサービス単位でやる。これは前回も確認したからいいと思うのですが、やはり今、キャッシュフローの問題が出まして、ちょっとここは悩ましいのですけれども、小林構成員と井出構成員からはある程度、社会福祉法人に対してのメッセージ的な部分があってもいいのではないか。現状に対してこう考えているのだというものがあってもいい。実は私も個人的にはそういうものには賛成でして、やはりできるだけ今の実態を反映してやっていきたいというのはあるのです。

 その一方で、これは建前論になってしまいますけれども、調査論というものはニュートラルでなければいけないのですよ。調査そのものはやはりニュートラルで、客観的に事実を反映した。ですから、そういう意図的なもので項目をつくっていってはいけないというのは、また一方、調査論としてはそういうものもある。ですから、その辺の兼ね合いなのでしょうね。ですから、あまり意図的にしてしまうと誘導尋問みたいなもので、調査の妥当性が失われる。かといって、やはりこちらなりには、今、現実と合うもので大変だということが言われている現状がある中で、何か引き出せるものを入れていきたい。そこで現実を反映させていって、その辺のバランスをどうとるのかというものが難しいところだなという感じが聞いていてしました。

 そういった意味では、これはここで答えを出すのはあれなのですけれども、介護のほうの動きもありますので、先ほども言いましたように、事業者の多くが、特に在宅関係は介護になっていて、あと、先ほど千葉構成員からいいことを教えてもらったのですけれども、やはりホームヘルパーなどは中小企業が多いですね。ですから、その辺でいくと、ちょっと並びをしたほうがいいので、これは事務局のほうに預からせていただいて、介護のほうも含めて、あと、井出構成員と小林構成員が、もっと実態が反映できるような、安心して経営できるようなところにつなげられるようなところはまた別途考えていくという形でよろしいでしょうか。

(首肯する構成員あり)

○平野座長  これは本当に個人の思いとやはり、あくまでも調査はニュートラルでなければいけないという建前との間のギャップで悩ましいところなのですけれども、では、そういう形で事務局のほうで御検討いただけますか。この辺は介護ともあわせて総合的に判断するという形で行くということで、ここではやりようがないような、結論は出さないという形でいいでしょうか。

 では、続きまして論点4のほうへ行きたいと思うのですけれども、按分のところで、これは先ほど小林構成員のほうからも按分の問題でいろいろ出されたのですが、いかがでしょうか。

○小林構成員  按分は、サービスの按分もそうですし、やはり論点2から論点3のところでも出ていましたけれども、本部の経費をどこで負担するかというのもありまして。

○平野座長  それは前回出ましたね。

○小林構成員  はい。やはり、ある法人さんなどは、完全に本部経費というものはそれこそ応益負担ではなく応能負担になっていて、できるところがその都度負担しましょうという形で、毎年そんなふうになっているので、その結果から出てくる最終的な収支の差額というものが実際、経営の実態をどう反映しているのかという、経営の実態といいますか、サービスにかかる費用と収入の実態にどう関係しているのかというと、はなはだ疑問視せざるを得ないので、本当に極論すれば、そのサービスに必要な配置が義務づけられている職種の人件費だけで計算してみることをやらないと本当は答えが出てこないのかなという気はしているのですけれども、現実、そういうことも非常に難しいこともわかるのですが、常にこのテーマについて、私はそこのところでもひっかかっているという感じです。

○平野座長  実際は、按分もありますし、返したりという部分で、厄介な部分なのですね。

 井出先生、論点4全般の部分でいかがですか。

○井出構成員  今、小林構成員がおっしゃられたとおりで、1つ思うのは、やはり12ページの「対応案」の2つ目の税引き前・税引き後の取り扱いで、これはこのままで全然、私は構わないのですけれども、サービスに要した費用に見合った報酬は考えなければいけない。今の本部費のような、あるいはいわゆる変動費みたいなサービスに要する費用を今、積み上げて、それを今回、報酬改定とかにも考えるのですが、全然見方が違って、いわゆるサービスに要する費用だけを報酬改定でケアしてあげれば本当にいいのかというのが気になっています。

 本当は施設を運営したり何かする中で、本当はサービスと必ず連動しないけれども、やはりどうしてもあるべき負担はあって、それはこの報酬改定の中には入り得ないのですが、ただ、そこはいずれ議論してあげないとやはり苦しくなってくるところもあるかなというので、固定費と一言で言ってしまうと言い方はよくないのですけれども、何かサービスに要する費用をカバーする報酬収入という中で、サービスに要する費用のほかにも本当は負担があって、そこをこの改定の中で取り扱うかどうかというのは長い目線の中で見てあげることがいわゆる安定した経営につながるのではないかなという気もしています。これは本当に感触だけなのです。

○平野座長  いや、井出先生の御指摘は重要な御指摘で、やはり事業者のほうからしますと、按分する時のサービスといいますけれども、かなり狭くサービスがとられているのではないか。今、言いましたが、実際に何か障害者が地域に帰るためには附帯するいろいろな事業をしないと実際にできない。地域移行しようと思ったら、プラスアルファのことをやらなければいけない。その辺は評価してくれないのかみたいなことはよく言われますね。そういう意味では、按分してしまうと本体だけになってしまって、周辺の必要な事業という、そういうものをどう評価するのかという、そこは確かに先生の御指摘のとおりだと思います。

 千葉構成員、いかがでしょうか。

○千葉構成員  今のお話については、とても難しいところがあります。本体と一体で実施している事業の場合、いわゆる例えば社会福祉事業である福祉サービスをやっている。それと密接不可分で、例えば今の地域移行のような形で附帯するような事業というものを、要はこれは会計のルールとしてそれを分けるべきなのか。

 昔だったら、附帯的公益事業という言い方で一体として入っていたというのがありましたね。そういう意味でそれを一体として見て、また、そこも含めた全体のコストのコンペンセートしているのかというところをどう捉えるのかというのは確かにあるとは思うのです。ただ、それは多分、調査というよりは報酬設計をどこの範囲にしているのかとか、また、会計ルールとしてどこをその前提で、ここから先は分けないと駄目というふうにしているのかという制度論の話になっていってしまうと思うのです。

 ただし、1つ気になるのは前回も、この第1回での意見というところで会計基準の基準別紙4というものが、既にいわゆるサービス区分別になっています。これはある意味、按分ではないのです。もう既に按分が終わったものなので、それをそのまま使えばいい。按分というものは、あくまで分けられないもの、一固まりになったものを何らかの目の子で分けていきましょうという発想ですから。

○平野座長  分けた後の話ですか。

○千葉構成員  分けた後の話なのでいいのですが、ただ、ちょっと気になるのが、これもまた会計の適切性の話になるのですが、サービス区分ごとに損益責任を負わせている場合、例えばある拠点の中に日中活動と夜間のものがあって、それぞれ日中も夜間も責任者がいるというときに、片方は赤字です、片方は黒字ですというときに、黒字のほうから赤字のほうを支援してあげましょうということが法人経営の中にはあるのです。そうしてしまうと基準別紙4はお化粧されて出てきてしまう。それで、逆にこちらの調査が、そのお化粧をし終わったきれいなものを見てしまうと、何だ、そんなに赤字ではないではないかということになっていって、要は、本当は赤字なのに、その法人の何か努力とか、組織内での経営のパワーバランスと言ってはおかしいですけれども、そういうものによって会計が歪められているところがあり得るという部分です。

 よくあるのが費用の片寄せなどというもので、同じ拠点だったらコストはもうかっているところに、全部寄せてしまってやっているなどということがあるので、そこはある意味、会計基準をしっかり運用するよう指導して、それに基づいて、その結果を信じるしかないというのが調査のスタンスにはなるとは思います。一方でこの障害福祉サービスについては行政によるサービス監査といいますか、監査指導はありますので、そこにおいては、この調査の母体、ベースとなるお金のやりくりがちゃんとできているのかということは別途確認して、変に片寄せしているとか、そういう調査の目的をゆがめるような会計処理がされていないかということを確認した上でこういうものを使うべきだと思います。調査論として今、我々は議論していますから、そこについては何も言うことはないのですけれども、ただ、それを会計データをジェネレートしているメカニズムのところをちゃんと適正にしておくということは、これはこの調査とは関係ないですけれども、常にやっていく必要があるのかなという気がしております。

 あとは、本部経費の、それは会計制度間での違い。前回もお話ししましたが、企業とかですと費用配賦ということで、赤字になろうが黒字になろうが、とりあえず共通経費が分けられている。一方で、社会福祉法人の例えば本部経費の中の役員会経費というのですか。そういうものについては、まさに応能負担ですか、サービス区分や拠点区分に黒字が出ないと繰り入れられないということになっている。その辺の不統一性というものは多少考えて、今でも調査の表の中では本部繰入という形で確か入っていたと思うのですけれども、15ページに書いてありますが、そういうものは引き続きとっておくということで、そこのとりあえず会計制度上の、ある意味欠陥といいますか、問題点をとりあえず調査のほうで補っておくということは必要なのかなと思います。

 按分についてはそんな感じです。

○平野座長  ありがとうございます。

 今の千葉構成員の話を聞いてすごく納得できたのですけれども、前、施設経営者と話しているときに、今までは自立支援法が入るまでは通所授産で50だったら、通所授産が一番単価が低いのですよ。それで50だった。それが自立支援法になってから、生活介護35の継続B15になった。そうすると、単価の高い部分と低い部分、1つの施設で2つセットできるのです。そうすると、先ほど言われた話なのです。

 結局、今までは全部低い単価でもらったのが、高い単価の部分ができたから、これを中で経営して、先ほど言いました化粧ですね。もしかしたら、それが障害者関係のほうのいい収支差率に出ているのかもしれないですね。言われてみれば、経営者もそういうことは言っています。今までは結局、低い単価で全部やるしかなかったけれども、今度は2つに施設種別が持てるようになったから、定員を分割して3つ持ってもいいわけですから、そうすると高い部分と低い部分ができて、そこで相殺できるという、今まで低い部分だけでやってもらっている。それは確かに大きい問題で、調査とはちょっとあれですけれども、それはいい勉強になりました。

 本当にありがとうございました。

 では、ここはとりあえず皆さん方の御意見もほぼ一致して、あと、先ほど「対応案」の一番下の個々の取り崩しのところについては、これは位置を変えるということでよろしいでしょうか。これは既に会計基準のほうがこうなっているわけですね。

○千葉構成員  会計基準どおりになっていますから、これは特に論をまたないところです。

○平野座長  分かりました。

 では、ここはそういうことで確認していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 最後に、論点5とその他のところなのですけれども、ここはいかがでしょうか。

 小林構成員、いかがでしょうか。

○小林構成員  実際、どういうことになっているのかという現状を知らずに申し上げるのですけれども、今年度はある県で人材育成の指針を作るからということで、各事業者の方がどれだけ、どういうふうな人材育成をやっていらっしゃるかみたいなことを、調査票をやはり似たような感じで抽出をして、お送りしてというふうにやったのですけれども、そのときにウェブの、ネットからの調査票というものをやって、結果としてちょうど半々だったのです。何とか50%を確保しなくてはということでやっているのですが、最終的には6割近くまで回収ができたのですが、これは本当に紙ベースで下さった方とネットから下さった方がほぼ半々であったというのがありまして、やはりネットのほうが回答はしやすいのかなというふうには思っています。

 その時も、例えば定着率みたいなことをやるのに、今年度の入職者数よりも離職者の数のほうが多いみたいな数字を入れようと思ったら、その時点ではじかれたりとか、そういう人的なミスといいますか、不条理なデータというものはそのときにはじかれて、これは常々、千葉先生もおっしゃっているみたいな、会計のソフトで入れると通常は大体、左右は絶対合うみたいなことがこの調査などでも言えるのかなと思いますので、回収率を上げるという点の便宜を図るということもそうですし、例えば画面設計なども極力、通常見ているP/Lの画面と同じようにしておくことで、それをデータとして集めてからこちらのほうに流していくみたいなこともできるだとか、エラーが出たらエラーですよと返してくれるとか、そういう点においてもそういったネット上の調査の普及を図ることが有効回答率を高める非常に有効な施策になるのかなというふうに思っております。

 十分、手を尽くしているということで、お叱りを受けるかもしれませんけれども、一つのそういう意味では調査手法といいますか、テクニカルなところでの有効な施策なのかなと常々感じているということでした。

○平野座長  井出先生、いかがでしょうか。

○井出構成員  「対応案」は18ページのほうなので、結局9月のこの検討会が開催されたのは元々、1ページのところを潰していかなければいけないということを考えますと、1つは回収率を上げるということでは本当にここに書いてあるとおり、あるいは小林先生がおっしゃったようなことを淡々と極力、回答率が上がるように事務的なことのいわゆる負担も含めてやって行くしかありませんし、あとは協力をお願いするしかないので、対応1も対応2も私はよく理解できます。

 ちょっと外れてしまうのですけれども、この言葉の中に事業規模を考慮する、配慮するとかという言葉が出てくる。この事業規模というものは何をもってスケール感を測るのか。人数なのか、額なのか。ちょっと私は、事業規模と言われたときに何がベースになっているのかなというのは、何をベースに事業規模を判断していくかというのが分からない。

 あとは、これも最後のほうに、出てくる率が、結局、あれは本当に速報値で、ぱっと何%と出てくるときに、やはり多分、実調の結果を受けたとすれば、今後は1ページのところにある地域とか規模別もということを考えて、もう少し単純に、サービスに何%というより、マトリックスまでいかなくても、規模と、いわゆる地域とか事業規模とかで多分出てくるパーセントに違いがある。

 ですので、やはりこういう結果が出て、落としどころと言うと怒られてしまいますけれども、今回の改定についてはパーセントという、単純に何%と出たもので判断するというのはどうかと思うので、せっかくこういう幾つか規模だ、地域別だということを加味するといいますか、配慮するのであれば、最終的な改定に役立てる実調の、大きなものは1枚でいいと思いますが、やはり参考にそういう、細かいと言うと怒られてしまいますけれども、もう少し丁寧な資料は今後はつけてもいいのかなという気がします。

○平野座長  今の規模のところなのですけれども、これは実は前に私が発言したこともあるのですが、やはり私の問題意識は、先ほどの調査論に戻ってしまってあれなのですけれども、これから施設の定員を縮小していこうとか、そういったときに、やはり30名規模でペイできるのか、40でペイできるのか、50でペイできるのかという、その辺は大きいと思うのです。

 これは20になったらペイできないとか、そういうことをある程度つかんでおかないと、これは調査で誘導するというのはおかしいのですけれども、そういうものを持っていないと、こちらもやはり考えざるを得ないと思うのですよ。例えば20に行ったらマイナス10%になってしまったとか、ここまで来ると本当にこれでいいのかということがありまして、やはりある程度、地域移行を進めるとすれば、ある程度そういう規模別のところも見えてくると、ある程度考えられるのかなというのは、ここは私の意見なのですけれども、どうなのでしょうか。先ほどいろいろ、井出先生のほうで細かいというところは、どういうものが一番客観的に状況を把握できるのでしょうか。

○井出構成員  今、先生がおっしゃったようなところが流れの中で見えてくるものであればそれは考えてあげないといけませんし、あるいは事務局側で事業規模というものはどういうふうに考えているかは一度お聞きしておきたいかなとは思っています。

○平野座長  どうぞ。

○菅課長補佐  事業規模でございますが、論点5の17ページの最初のところにも論点として記載させていただいておりますが、前回の改定の際にも、障害の事業所は小規模事業所が多いといった指摘もございましたので、ここで言う事業規模というのは、すなわち定員規模ということで、どうしても定員が小さい事業所ですと、収入、支出ともに額自体が当然ながら小さくなりますので、そのあたりも客体抽出の際に加味する必要があるのではないかという視点での論点でございます。

○井出構成員  分かりました。ありがとうございます。

○平野座長  千葉構成員、どうぞ。

○千葉構成員  まず、規模の要素も勘案した層化無作為抽出という言い方になるのだと思うのですが、これは確かに前回の論点のところですか。規模によっては、やはり事務体制等によって回答率が変わる。ですから、ある意味、調査バイアスがかかるということは多分あると思います。

 それで今回、特にこの見直しの一つのきっかけになったのは、先ほど他の先生方もおっしゃっていたように、調査結果の特に収支差率が何か実感に合わないところがある時に、幾つか疑わなければいけない要素があるとは思うのです。多分、調査客体を母集団に復元、拡大集計しているはずです。その場合に各セグメントになっているところがバイアスを持ってしまいますと、そのままバイアスのかかった状態で拡大集計されますから、そのバイアスがさらに拡大される。いわゆるオーバーシュートということが起きてくるのは統計的にもよく知られていることでありまして、そこに特に規模ファクターが絡んでいるのだとすれば、少なくとも規模でコントロールしていかない限りは規模バイアスのところはオーバーシュートの一番大きな原因になるのではないかと思います。

 そういう意味では、この規模というものは多分、私も詳細は実は余りよく知らないのですが、介護のほうは規模まで取っていなかったのではないかと思うのですけれども、もしかしてそうだとすれば、こちらのまさに分野の固有事情といいますか、ここにも書いてあるような事情もあって、こちらならではの調査スキームになるのかなということは高く評価したいなと思います。

 そういう意味では、まずこういう調査のサンプリングは必要なのですが、ただ1つ気になるのは、今、規模とおっしゃっていたのが定員だとおっしゃったのですが、例えば訪問系とか相談系サービスという定員概念がないサービスがありますね。そういう部類については何を規模と見てやるのか。例えば売り上げ規模なのか、延べ利用者とか実利用者規模でやるのか。ただ、実利用者とか延べ利用者というものは、ある意味そもそも、その事業所の業態、業容ではなくて、業績・稼働率によって左右されてしまいますから、客観的なサンプリングのもとになる切り口として果たして妥当なのかどうかというのは要検討かなというところは一つ問題提起しておきたいと思います。

 あとは、そういうオーバーシュートしているかどうかという検証なのですが、たまたま今回、18ページの「対応案」の中に、国保データの請求名簿ということで国保データというものが出ています。国保データは、たしか請求に基づいた悉皆データですね。全国の、どれぐらい給付しているかという支払いデータなので、逆に言いますと、これは多分、一人当たり単価というものは平均、介護のほうですと確か統計が出ているはずなので、こそれと例えば前回の調査での一人当たり単価というものがちゃんとパラレルに動いているのかというのは一つ検証の材料にはなるのではないか。そこで少なくともパラレルに動いているのでしたら、あとは調査スキームの問題なのか、別の要素になるのかというところになってきますので、こんなものも使いながら、まずは過去のデータも一回検証して、問題の所在を明らかにした上でというものは一つ必要なのかなと思います。

 もう一つは「対応案」の1個目の◆のところで、回収率の改善というところが一つ論点に上がっている。先ほど私も申し上げてしまいましたけれども、先ほども申し上げた繰り返しになりますが、やはり前回の調査で、むしろエラーになって捨ててしまったサンプル。それが何によってもたらされているのかという、そのエラーの分析というものも多分、改善の一つの手がかりになると思いますので、もし可能であれば、これも既に委託調査が終わっていて、調査票もないということですとちょっと難しいのですが、もしそういうものがわかるのであれば、そういう切り口も一つ改善の糸口になるのではなかろうかという気がしております。

 現に介護のほうですと、特に会計が共通で出て按分できないような会計しかやっていないところの調査手法を前回の調査から相当大きく改善して、死に票を相当減らして、回収率を上げたという経緯がありました。そういう意味では、まさに死に票が何であったのかという分析を彼らもやっていたので、同じことができるかどうかわからないのですけれども、もしできるのであれば、それも一つのヒントになるのではないかというのは思います。

 以上です。

○平野座長  ありがとうございました。

 確かに死に票を見ていくというのは、そこから新しい、なぜかというものが見えてくるというのはそうですね。

 私は、今、障害の特殊性という話があったのですけれども、私も、今回は無理だと思っていますが、今後やはり考えなければいけないのは、私も幾つかの施設にかかわっていて思うのは、先ほど小林構成員が言ったような按分の問題で、変な話、障害の場合には、施設の規模とサービスの規模というものは別なのですよ。介護が楽だと言うつもりはありませんけれども、介護で特養で80といったら、特養で80なのですよ。うちの場合は、80の施設なのですが、それだけ見れば大規模施設なのですけれども、見るとそれが生活訓練20、生活介護30とか、結局ちょっと小さいといいますか、施設の大きさとサービスの大きさというものは必ずしもリンクしていない。この辺をどういうふうにするのかなというのは、ちょっと私なども一つ疑問がありまして、その辺はなかなか出てこないのかなというのは私の抱えている課題なのですけれども、少しその辺は今後の課題として福祉のほうの部分なのだなと思いますよ。

 どうぞ。

○小林構成員  今の18ページのところで、規模が大きいのは体制がしっかりしているとか規模の経済ということなのですけれども、基本的には調査というものはサービスごとに抽出されていくわけなので、そうすると同じ、何のサービスでも、B型でも日中一時支援でもいいですが、行っているけれども、その日中一時支援だけをうちはやっていますという法人のところに行くのと、本当にほかの作業を含めて、あちこちに拠点展開しているところの一つに行くのとの違いというものがむしろ、この体制とか経営の安定とか、先ほどの話ではないですが、いろいろ按分云々みたいな形でうまくやりくりできるということでの違いに出てくるのかな。

○平野座長  運営の仕方ですね。

○小林構成員  そうですよ。単体の規模は、もしかしたら、うちはこれだけやっていますといったところのほうが大きいかもしれませんけれども、実はここで問題にしている規模の経済性とか体制がしっかりしているというのは、むしろその事業においては事業の額なり定員なりの小さいところのほうが大きいという、逆の現象も起こり得るということなので、何かすごく難しいなという、そのことを、サービスごとにとって果たして狙いどおりにいくのかなという気がだんだんしてまいりました。

○平野座長  多分、この辺は今回で答えが出るとは思えないけれども、やはり先ほど千葉構成員も言われた、この障害の持っている経営の特殊性という部分を何かどこかで反映できる方法はないのかなというのを、永遠の課題ではないけれども、私なども問題意識を持っていて、井出先生どうですか。

○井出構成員  何も答えが出ないのですけれども、今、千葉先生とか小林先生の話を聞いていてなるほどなと思っていまして、多分、今、座長が言われましたように、障害に特有なものは基本、介護と一致している感じで今は進んでいますが、そこはやはり検討して、これが今回云々は別として、ちょっと調査とは別ですが、そこは少しずつ色が出てきていいのではないかという気はします。

○平野座長  どうぞ。

○千葉構成員  ある意味、確かにこういう、先生方がおっしゃったような要素は非常に大きくて、一個一個のサービスを見ると非常に細かいけれども、実は拠点で見るとまあまあそこそこの大きさみたいなものは当然あるとは思いますが、一方で設備構造基準、人員配置基準、運営基準というものに縛られている関係で言えば、20定員なら20定員相応の固定費が存在するということもまた一方であると思います。

 逆に、ここで言う第1回の意見というところの「規模の経済性が働くため安定しているところが多いため」というのは、単に結果として収支差率が高いところが多いためという意味なので、そこの回答率が高いからそちらに引っ張られるという話だと思いますから、規模の経済性分析とか、全体でうまくやりくりできているというのは別な経営調査の、科研調査といいますか、厚労省の補助金調査でやればいいかなと思います。

 少なくとも、こちらの命題としてはサービスのコスト把握、いわゆる原価計算としてそれに基づいた単価設定ということで言うのであれば、少なくとも規模に比例して動くような固定費のところは固定されているのだということの前提で、ある程度、同一視して調査して、調査スキームという意味ではいいのではないかという気がします。

○平野座長  前回意見でも、今回何とか変えてしまえという議論ではなくて、今後の課題という議論だと思います。

 この辺は、今、言いましたように、当面としては今回のものをこのまま継続しながら、これはこれまでの調査を、時系列的に比較するという意味も込めてそんなに大きく変えることは時系列的にできないと思うのですけれども、今後の課題、先ほど言いました科研の調査も含めて考えていく。そういう整理でよろしいでしょうか。

○千葉構成員  はい。

○平野座長  随分熱心な議論をいただいた割には時間が早かったと言うと怒られますけれども、随分熱心に議論いただいたのですが、これまでの視点についていろいろ御意見をいただきまして、大体まとめる方向で、これでいけると思うのですが、何か最後にこれはつけ足したいというのはございますでしょうか。それから、この辺の次の、次回が多分まとめになると思うのですけれども、それに向けてこれは、こういう論点は何か考えたほうがいいとか、今日はたくさん出たと思うのですが。

○千葉構成員  少し細かい話なのですけれども、話が戻ってしまうのですが、4ページのところにある2か年連続の、今回やる一番直近の平成28年度調査に向けての、技術的な話なのですが、これは後々の、次回以降の議論にしてもよかったのかもしれないのですけれども、何が言いたいかといいますと、今回、平成28年度調査の対象になる平成26年度、平成27年度の会計年度というもののうち、平成26年度については新会計基準と旧会計基準が併存している時期ですので、そこのところをうまくコントロールしてあげないと、例えば人件費一つとっても、派遣職員などは昔の旧基準であると委託費になりますし、今回は人件費に入ってきたりとか、いろいろ違いがありますので、そこのところは要注意かなという気がしてきています。

○平野座長  同じことをやっても数字が違ってしまいますものね。

○千葉構成員  そうなのですよ。そういうことで、その辺はどうコンバートするかというルールも含めて、調査票の設計はちょっと工夫が必要かなという気がしているのが1点。

 あと、先ほど規模の話のところで休廃止という話があるのですが、これも非常にグレーなものがありまして、限りなく休止に近いようで動いている。何日かに一遍、ボツリと利用者が来るような事業所というものをどこまで拾うかというのは、これはかなりしんどいところがあるかと思います。

○平野座長  何かアリバイ的にやっている人がいますね。

○千葉構成員  ですので、そこは決めの問題だと思いますが、実際、調査をする上では、現実問題としては苦労される部分かなと思いますので、そこは要注意かと思っています。

 細かい技術的な話で申しわけありませんが、以上です。

○平野座長  でも、確かに指定を取り消さないようにアリバイ的にやっているところがいます。

 部長、どうぞ。

○藤井障害保健福祉部長  冒頭、部長、課長がおくれて来まして、先生方をお待たせしてしまいまして、本当に申しわけございませんでした。今日の議論は私も大変興味深く聞かせていただきましたし、本当に座長が何回もおっしゃっていただいていますように、大変熱心な議論を、貴重な意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。

 1つ、私どもも今日の御議論を踏まえまして、また取りまとめに向けて整理をいたしますが、ここの論点に上がっているところ、私どもも介護のほうも見ながら論点を上げて議論をお願いしていますけれども、議論をお聞きしていましても、この論点ごとに見ても、さらにもう少し、それでは具体的に何をどうすればいいのか。例えば按分などでも、何をどうすればいいのかとか、先ほどのオーバーシュートの話とか、具体的に何をどうすればいいのかということもさらにブレークダウンされたような論点はやはりまだまだいろいろあるのだなと思いましたし、この論点から少し離れたところでも幾つか改善点のヒントらしきものもあるなというふうにも思いましたので、そこら辺もこの取りまとめの中で整理していただく、あるいは別途、また御相談を先生方にさせていただくかということも含めまして、ちょっと整理をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

○平野座長  では、事務局のほうにお返しします。

○津曲室長  ありがとうございました。

 次回の検討会の予定につきましては、詳細が決まり次第、御連絡させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○平野座長  それでは、どうもありがとうございました。

少し早いのですけれども、大変熱心な議論があって、内容的には本当に充実した内容を議論できたと思っております。

 それでは、これで第2回の検討会を閉会といたします。

 どうも、御協力ありがとうございました。


(了)

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