ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第109回議事録(2015年10月28日)




2015年10月28日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第109回議事録

○日時

平成27年10月28日(水)9:00~9:46


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(21階)


○出席者

西村万里子部会長 野口晴子部会長代理 田辺国昭委員
吉森俊和委員 白川修二委員 花井圭子委員 石山惠司委員
中川俊男委員 松本純一委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
加茂谷佳明専門委員 土屋裕専門委員 吉村恭彰専門委員
<参考人>
坂巻参考人
薬価算定組織 清野委員長
<事務局>
唐澤保険局長 谷内審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 眞鍋医療課企画官
三浦保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○ 後発医薬品の薬価について
○ 薬価算定組織からの意見の検討

○議事

○西村部会長

 それでは、定刻になりました。ただいまより第109回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。

 まず委員の出欠状況について報告します。本日は、印南委員が御欠席です。

 また、参考人として、東京理科大学の坂巻教授にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。

 議事に入らせていただきます。

 初めに「○ 後発医薬品の薬価について」検討していきたいと思います。

 事務局から資料が提出されておりますので、説明をお願いします。中井薬剤管理官、お願いします。

○中井薬剤管理官

 おはようございます。薬剤管理官でございます。

 それでは、中医協薬-1をごらんください。

 1枚おめくりいただきまして、3枚目でありますけれども、これまでの政府の取り組みといたしまして、平成25年4月に、後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップということで、平成30年3月末までに60%にするという目標を立ててございました。

 スライド4枚目は、当時の後発医薬品推進の具体策ということでありますけれども、右下に薬価改定・算定ということで、後発医薬品の価格帯を3つに集約、新規後発薬の薬価の引き下げ、一定期間を経ても、後発薬の置きかえが図られない先発品の特例の引下げ等により、後発医薬品への推進が進むような薬価制度ということで書いてございます。

 なお、上にこういったような項目で、医療保険制度上の事項、診療報酬上の評価等と書いてあります2つ目のポツで、薬局での情報提供文書による情報提供をした場合に、薬学管理料の評価と書いてございますが、これは薬学管理料の中の要件の1つになってございますので、一部、誤記があったことを御修正申し上げます。

 スライド5枚目にお移りいただきまして、今回、新たな目標値の設定ということで、今年度の骨太の方針を示してございます。

 後発医薬品に係る数量の目標値については、2017年央に70%以上とする。ともに2018年度から2020年度末までの間に、なるべく早い時期に80%以上とするということで、2017年央において、そのときの進捗状況を踏まえて、達成時期を具体的に決定すると掲げられてございます。

 目標値について、具体的に図で示したのが、スライド6枚目になってございます。

 1枚めくっていただきまして、スライド7枚目でありますけれども、先般9月に出しました、医薬品産業強化総合戦略においてでありますが、2番、質の高い効率的な医療の実現ということで、2で後発医薬品の使用の加速化ということを書いてございます。

 具体的な中身でありますけれども、スライド8枚目、薬価・診療報酬制度ということで、後発医薬品の薬価の水準については、国民負担を軽減する観点から、今後の検討を行うとなっておりまして、臨床現場で理解され、受け入れやすい後発医薬品の価格帯についての検討を行うとなってございます。

 スライド9枚目でありますけれども、総合戦略において、イノベーションの推進の中に、バイオ医薬品と書いてございまして、バイオシミラーの研究開発・製造のコストは、低分子である化学合成品の後発医薬品よりも高いということで、将来的にはイノベーションが高く評価される、革新的なバイオ医薬品の製造販売を目指し、バイオシミラーの製造は、その一里塚として捉えることが望ましいと書いてございまして、具体的にバイオシミラーの薬価については、研究開発、製造に要する費用が大きいということで、引き続き化学合成品の後発医薬品よりも高い水準とすることについて、検討するとなってございます。

 平成26年度診療報酬改正に係る答申書附帯意見の中にも、長期収載品、後発医薬品の薬価のあり方について、引き続き検討することとなってございます。

 以上が、状況でございます。

 めくっていただきまして、スライド11枚目、後発医薬品の薬価と価格帯ということであります。

 スライド12枚目が、26年度薬価制度改革において行った事項でありますけれども、従来、先発品の0.7掛け、括弧に0.6と書いているのは、10品目越えの場合でありますが、10品目以上の場合は、0.6掛けにしたということを示してございます。

 スライド13枚目でありますけれども、一方、10品目を越えてしまう場合には、10%下げるというルールについてでありますが、収載銘柄数が多く、収載銘柄が異なる事例ということで、ここではカンデサルタンシレキセチル錠についての例を示してありますけれども、最初の後発品が81.40円ということで、0.6掛けになったのですが、半年後、2612月に収載されたときに、36銘柄が一気に収載があったということで、その場合は、0.5掛けの67.80円ということで、同じ後発医薬品でも値段が違ってしまうということが、このルールによってできてしまったということを示してございます。

 スライド14枚目でありますけれども、新規収載の後発医薬品の薬価ということで、その乖離率を示してございます。新規収載された後、次の薬価改定のときに、どれぐらいの乖離率があったかということでありますけれども、これは25年9月の薬価調査のデータから出したもので、0.7掛けで収載されたものが、19.2%乖離率があった。0.6掛けであるものが、26.6%ということで、より大きな乖離率です。先発品については8.2%ということで、比較的乖離率が大きかったという結果を示してございます。

 スライド15枚目が収載された後の後発医薬品の薬価の改定でありますけれども、これも26年度の薬価制度改革において、旧ルール、26年以前の場合は、非常に多くの価格帯があったわけでありますが、26年の改定において、後発医薬品については、先発医薬品の薬価の50%以上の品目は統一価格、先発医薬品を1とした場合の50%以上の品目は、統一価格です。3050%未満の価格、30%未満の品目ということで、3つの価格帯にしたという経緯がございます。

 その結果が16枚目にありますけれども、価格帯数の変化ということで、26年度改定前は、価格帯数は1113の品目があったわけでありますが、26年改定後は、価格帯数1の品目が1685、2のものが449、3のものが65になったことを示してございます。

 例示を示したのが、スライド17枚目でありますけれども、セチリジン塩酸塩錠についてでありますが、右に書いてあります26年度改定前は、13品目後発があったのが、26年度改定後においては、3価格帯になったことを示してございます。

18枚目でありますけれども、後発医薬品の望ましい価格水準についてということで、検証部会の後発医薬品の使用状況調査、これは薬局に対しての調査でありますけれども、先発医薬品と比較したときの後発医薬品の薬価の適切な水準について聞いたところ、52.7%の意見がありました。

 望ましい価格体系については、1つの価格帯に統一することが一番望ましいということで、62.6%の方がそういう回答をしたことを示してございます。

 スライド19枚目に、論点を示してございますが、1つ目の論点としては、新規収載後発品の薬価、現行先発品の6割になっていますけれども、それについてどう考えるか。

 一方、一定の銘柄数を超える後発品に適用される特例、現時点では、先発品の5割に変わることについてどう考えるか。

 バイオ後続品については、研究開発・製造のコストが非常に高いということを踏まえ、新規収載の薬価、現行の7割についてどう考えるかという論点であります。

 4つ目は、後発医薬品の価格帯ということで、現在、長期収載品の薬価の最高価格を基準に3つにしてありますけれども、それについて価格帯の数、現行3つでありますが、それについてどう考えるか。

 基準とする額ということで、現在、最高価格のものをもとにして、3つの価格帯に分けているわけでありますけれども、後発医薬品の価格の分布で、3つに分けるという意見もあることを踏まえまして、これらについてどう考えるかということを論点で示してございます。

 説明は以上であります。

○西村部会長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいま説明されましたことについて、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 御質問させていただきます。

 スライドの14なのですけれども、乖離率ということについて、大変申しわけないのですが、聞き漏らしたかと思うのですが、もう一度、教えていただけますか。

○西村部会長

 中井薬剤管理官、お願いします。

○中井薬剤管理官

乖離率というのは、後発品が収載された後、薬価調査において、どれぐらいの値段で、薬価に対して何パーセント下がった価格で、卸から薬局、卸から医療機関に売られていたかというものを示してございます。端的に言えば、いわゆる19.2%が薬価との実勢価の差になっているということであります。

○西村部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 いわゆる納入価と考えてよろしいのでしょうか。

○中井薬剤管理官

 結構でございます。

○松本委員

 そうすれば、0.6掛けで収載されたものが、26.6%も下げて納入されているということは、最初から5掛けでも利益が出ているととれるのですけれども、そのように解釈してよろしいのでしょうか。

○西村部会長

 専門委員の方たち、お願いできますでしょうか。加茂谷専門委員、お願いします。

○加茂谷専門委員

 松本先生の御意見に対して、損をして売っているわけではないと思いますので、経営環境等々も踏まえて、一定の利益は得ながら、販売をしていると想定しております。

 本件につき、補足させていただきます。スライド14は、数字的にはかなり大きな乖離率を示されているわけでございますけれども、平成24年以降に初めて収載された後発品が、2年後の26年4月の薬価改定時にどのくらいの引き下げを受けたかということを、内用薬、注射薬、外用薬の投与経路別に見たところ、内用薬につきましては平均の改定率が19.5%、一方、注射薬につきましては10%、外用薬につきましては9.8%という実績でございます。そういった意味では、内・注・外、ひとまとめにしてこういう形で乖離率を示すのは、ちょっと乱暴ではないか、もう少し、内用薬、注射薬、外用薬、と丁寧に見ていただいた上で、御判断をいただければということを、専門委員の立場で補足させていただきます。

○西村部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 ありがとうございました。

 それでは、論点について、意見を述べさせていただきます。

13のスライドにもありますように、36銘柄一気に収載されたときに、これが0.5掛けになるということでございますけれども、そのときに、次の薬価にあわせて、最初の後発品も値段をあわせればどうかという意見でございます。

 したがって、論点の一番最後にあります、後発医薬品の価格帯に関しましても、今、3つもあって、非常に大変なので、18のスライドの薬局調査にもございましたように、価格帯は1つにしたほうがいいのではないかと思います。

 バイオ、いわゆる医薬品のことでございますけれども、開発促進の面からは違った見方もできるかとは思うのですが、使用促進の面から見ましたら、価格の面から誘導するということも考えていいのではないかと思います。現行7割でございますけれども、6割ないし5割にして、価格で誘導することも考えていいのではないかと思いますので、提案をさせていただきます。

○西村部会長

 ありがとうございました。

 安部委員、お願いします。

○安部委員

 きょう、資料を示していただきまして、基本的には価格もしくは価格帯の議論ということで理解をしておりますが、資料の7ページ、8ページに示されておりますように、価格に関しては、国民の負担軽減という観点から検討する必要があると思うのですが、一方では、2017年に70%、2020年に80%という、新しい大変高い目標が示されている中で、医薬品の安定供給でありますとか、品質確保というのは、非常に大きな命題になっているわけでありますので、そういったものと見合いというか、バランスをとった検討をしなければいけないと感じております。

 以上です。

○西村部会長

 ほかにございますでしょうか。白川委員、どうぞ。

○白川委員

 スライド19の論点に沿って、意見を申し上げます。

 新規収載後発医薬品の薬価の話ですが、前回、スライド14の資料で、実勢価格が約1年間に20%近くも下落するというデータをもとに、0.7掛けから0.6掛けに引下げることに決まりましたが、今回の乖離率がどのくらいになるかは、まだ薬価調査の結果が出ていないので、その傾向を見て、議論をしなければいけないと思います。

 一方で、政府目標が高い設定になっており、薬価の面からも、使用が促進されるような政策的な意図も必要だと思いますので、新規収載後発医薬品の薬価を下げる方向で議論すべきと思います。下げ幅については、乖離率のデータ等を分析しながら、議論していくべきと思います。

 2つ目の論点で、最初の論点と繋がる部分もありますが、2号側の委員からも、後発医薬品が多すぎるので、少し制限したらどうかという御意見が出ていると思います。前回改定において3価格帯に絞ったのは、多数の後発品が出てくることを制限する意味合いも当然あり、そのような狙いでこうしたルールをつくったわけですので、内用薬10品目超の場合が0.5掛けというルールもうまく活用して、後発医薬品市場参入の制限を強める方向で、内容を変更し残していくべきではないかと思います。

 3番目のバイオ後続品については、非常に高額なものですので、これが後発医薬品かと思うような値段になっていますが、これからバイオ医薬品については、開発を進めていただかなければならない分野であり、かつバイオシミラーの研究開発や製造には、相当な費用がかかることも事実かと思います。従って、バイオ後続品の製造コストが高い理由を事務局に資料として提出していただき、それを理解した上で、薬価が0.7掛けでいいのかどうかを議論していくべきと思います。

 4つ目の論点の価格帯の数ですが、支払い側は一物一価で、1つの価格とすべきという主張を前回もしており、その途中経過として、前回は3価格帯ということで意見がまとまったと承知をしております。従って、方向としては、1価格帯に集約する方向でいくべきという意見は変えておりません。ただ、次期改定で、すぐに1価格にするのか、あるいは段階的措置で2価格帯という考えもあるかと思いますので、薬価調査で実勢価格との乖離率のデータ等を参考として議論をするということではないかと思います。方向としては、1価格帯、1価格にしていくという方向で、意見は変えておりません。

 基準とする額ですが、業界からは、ジェネリックの実勢価格の分布で、価格帯を考えてくれという御意見があったと理解しておりますが、現行の長期収載品の乖離率で設定する方法は、非常に重要だと思います。

 1つは、中医協ではありませんが、ほかの政府の審議会等で、後発医薬品促進のために、後発医薬品と長期収載品との薬価差を、要するに参照価格制度のような形で、自己負担としたらどうかという若干乱暴な議論もあります。従って、後発医薬品の使用促進のためには、長期収載品との薬価差が販売促進上の1つの鍵になると思いますので、この薬価差をどうするかを踏まえた上で、後発品の薬価を決めるという現行のやり方のほうが、良いのではないかと思います。

 論点に関する意見は以上ですが、もう1点、前回の改定のときに決めたZ2についてですが、これも後発品の使用促進という観点で2%から1.5%の幅で長期収載品薬価の切り下げを実行したわけですが、その効果がどうだったのかについても、今回の論点と関係しますので、次の機会に資料をまとめていただきますようお願いします。

○西村部会長

 ありがとうございました。

 薬剤管理官、どうぞ。

○中井薬剤管理官

 薬剤管理官でございます。

 幾つか御指摘いただきました点について、簡単に御説明いたします。

 バイオ医薬品の値段が高いことについての理由でありますけれども、1つは、製造プロセスにおいて、細胞に遺伝子を導入して、細胞を培養してつくるという工程があるということでありまして、化成品のように、非常に大量に合成できるわけではなくて、どうしてもバイオタンクに依存することがあります。いわゆる生ものを扱うということで、手間がかかるということでございます。

 もう一つ、どうしても開発するときに、化成品でありますと、いわゆる生物学的同等性試験という試験を、臨床試験でやるわけでありますけれども、n数は比較的少ないのでありますが、バイオ後続品というのは、同等性試験ではなくて、非常に大きな臨床試験、先発医薬品ほどではありませんけれども、それでも数百億からの規模の臨床試験を行うということで、値段が一定程度かかるということでございます。それにおいては、必要に応じて資料を出させていただきます。

 価格帯のばらつきについて、市場のばらつきについてということで、御指摘がございましたけれども、実務的には1品目についてばらつきはどうかというのは、すぐ出せるのですけれども、全体を出すというのは、ぐちゃぐちゃになってしまいますので、それにかわり得るものということで、お示ししておるのが16枚目でありまして、現実的には、26年度改定後は価格帯数が1つの価格帯、バンドだったものが1,685、2つあったのが449、3つあったのが65という結果を示してございます。

 3つ目のZ2については、どういった資料ができるかというのは、少し検討させていただければと思って、次回出させていただきたいと思っております。

 以上です。

○西村部会長

 土屋専門委員、どうぞ。

○土屋専門委員

 今、白川委員、松本委員から御指摘があった、バイオ後続品に関する価格の点について、薬剤管理官から御説明がありましたとおり、実際、承認を取るために必要なデータも、一般の他の後発品と比べると大きく異なっています。新薬と比べれば、多少省くことはできますが、多くの面において同じような試験をやらなければいけません。とりわけ有効性を臨床試験で見るという最も費用のかかるステップをやらなければいけないという点で言えば、低分子の後発品とは、大きくコスト構造が違います。

 さらに製造面においても、今、御説明がありましたが、一般の化合物と比べると、開発期間もかかるということを含めて、御理解をいただいた上で、バイオ後続品に関する価格に関しては、慎重に御議論いただきたいと思います。

 以上です。

○西村部会長

 あと、乖離率のデータは、もう少し細かい分類にして、出してほしいということもございました。その辺も用意していただけますでしょうか。

○中井薬剤管理官

 幾つか御指摘いただきました、14枚目のデータ自体は、26年改定前のデータで示してございます。27年の薬価調査というのは、時期的に出すのが、例年であれば、薬価調査の結果は12月ごろになりますので、若干おくれてしまうのですが、それは出来次第、提出させていただきたいと思っております。

○西村部会長

 長期収載品と後発の薬価差などのデータもよろしくお願いいたします。

 ほかに御意見ございますか。中川委員、どうぞ。

○中川委員

 専門委員の方に質問なのですが、14枚目にまた蒸し返すようですが、後発品はどのぐらいの乖離率まで頑張れるのですか。率直なところを教えてください。0.7掛けしたものよりも、0.6掛けのほうが乖離率が大きいというのは、驚きます。どのぐらいまで頑張れますか。先発品のメーカーに聞いても困るかもしれないのですが、どうでしょう。

○西村部会長

 加茂谷専門員、どうぞ。

○加茂谷専門委員

 弊社は後発品を扱っていないものですから、どの程度まで頑張れるかと問われてもわかりません。

○松本委員

 想像で結構です。

○加茂谷専門委員

0.7掛けの品目と0.6掛けの品目で乖離率に差があるというのは、0.6掛けの対象となったのは、内用薬で収載銘柄数が10品目超の場合であり、これだけ数多くの後発品が、同一成分に出てくるということは、それだけ市場の競争が激しいという結果であり、それがこの乖離率にあらわれていると認識します。

 どこまでなら下げても、経営が担保できるのかという点については、各社の経営環境ですとか、原料の購入価格とか、さまざまな経営の数字があろうかと思いますので、今、私がここで何パーセントと答えることができません。

○西村部会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 ありがとうございます。

 競争、市場が激しいとおっしゃいましたけれども、私は市場が荒れているのではないかという見方をしています。先日の中医協でも申し上げましたが、後発品メーカーの再編・統合がぜひ必要だと思います。そこで後発品の価格を決める方法は、後発品メーカーの統合・再編につながるような決め方、方式に変えることはできないのかと思います。

 例えば13番のスライドで、10品目を超える場合に、一律に36銘柄が出てきても、これは0.5掛けとなっていますけれども、20とか、細かく段階に分けて、0.50.40.3としていくと持ちません。そうなると、どうしても業界は、統合・再編に向けて、しっかりした経営体力も、後発品メーカーとしては必要でしょうから、自然と統合・再編に向かうのではないかと思うのです。市場が荒れるというのは、医療にとっても余りいいことではありませんので、そういう工夫をしていただきたいと思います。

○西村部会長

 価格帯と乖離率と競争環境の点などについて、坂巻先生から、補足していただける点がございましたら、お願いします。

○坂巻参考人

 参考人の坂巻でございます。

 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 ジェネリック医薬品の初発時の価格について、海外でどのようになっているかというのは、データがございますので、それをお話したいと思います。2014年のヘルスポリシーという雑誌がございます。この中に、日本は入っておりませんけれども、主なEU加盟国におけるジェネリック医薬品の初発時点の価格のデータがございます。事前に資料を準備しておりませんで、口頭での説明で恐縮でございますが、国によって値段が違います。

○西村部会長

 先生、マイクが聞こえにくいので、近づけてお願いします。

○坂巻参考人

 国によって、価格設定の仕組みが違いますので、結論を一概には言えませんけれども、ドイツやイギリスなどですと、企業が自由に値段を決めることができます。ただ、先発に比べて安い値段をつけることが、ルール化されているかどうかというところが、1つのポイントになるかと思いますが、例えばフランス、イギリスですと、先発に比べて、安くするルールがあり、60%くらいでございます。ドイツは、ルールはないものも、同じように60%でございます。

 発売後の価格の下落は、当然のことながら、どのぐらいの数のジェネリックが出るかによって、値段の下がり方は違ってきます。どのくらいのジェネリックの数が出ているかということについては、後ほどまたこの論文で御紹介したいと思うのですが、発売後の価格はどのように変わるかということについても示されております。

 ドイツやフランスに関しては、もちろん参照価格になっているものがありまして、比較的統制された価格でございます。ですから、数字だけ見ますと、初発時と1年後はほとんど変わっていないということになります。

 一方、イギリスですが、ジェネリック医薬品に関しては、オープンマーケットでございますので、結構下落しております。例えば全ジェネリックに関しまして、初発時が60%に対して、1年後が35%ぐらいになります。ただし、下がり方もマーケットサイズによって変わってきます。例えばよく売れている製品に関しては、下落率が大きいのに対して、市場規模の小さいもの、余り売れていない市場に関しては、下落率が小さいということがございます。市場マーケットのサイズに関しましては、先ほど専門委員のお話にあったと思いますけれども、注射薬だとか、そういったものが小さいところでございます。

 初発時に関しては、各国の数字がございますけれども、公定で償還価格を決めている国では、先発に比べて、6割くらいという感じがございますが、日本がこれを参考にするかどうかというのは、別の議論だと思います。

 参入するジェネリック医薬品の数でございますが、これも同じ論文に数字がございます。これもマーケットサイズによって違いますが、結論から申し上げますと、日本は若干数字が多いような感じがします。例えばイギリスが全品目、全ジェネリックにおける平均値は、わずかに2品目であります。フランスに関しましては、4.8品目です。ドイツになりますと、10.8品目になります。これが全ジェネリックの動きであります。

 ただし、売り上げの大きいもの、例えば、トップ10の売り上げの製品に関しましては、例えばドイツは平均で18.9品目、最大では32品目という形で、日本とあまり変わらない形になります。ですから、数に関しましては、市場の要因であるとか、規制によって変わってくる。

 これは私の意見にすぎませんけれども、もし意見を申し上げることを許していただけるのであれば、価格政策によって、企業数などが変わるかどうかというところに関しては、わからないところがあるかと思います。

 以上でございます。

○西村部会長

 ありがとうございました。

 海外の後発医薬品の価格の水準などについて、今、お話をしていただきました。ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。石山委員、どうぞ。

○石山委員

 今の中川先生のお話で、後発医薬品の市場が荒れているのか否かは別としまして、医療を預かっている立場、あるいは薬局の立場で見たら、後発医薬品の製品数が少なくなるのは、絶対よいことです。

 あと、後発医薬品の価格につき目指すべき方向として、現行の3価格帯を1つか2つに収斂させていくとともに、新規収載品後発品の薬価と、一定の銘柄数を超えるものに適用される特例を現行よりも下げていくべきかと思っています。

 参考までに、以上です。

○西村部会長

 どうもありがとうございました。

 ほかにございますか。加茂谷専門委員、どうぞ。

○加茂谷専門委員

 価格帯の数につきまして、幾つか御意見がございました。

 白川委員、松本委員より、方向としては1価格帯という御意見があったかと思います。

 9月30日の業界意見陳述の際にジェネリック製薬協会から価格帯に関する新しい提案がございました。私どもは、ジェネリック製薬協会の先日の提案は、将来的には1価格帯の方向で収束していくのだと理解しています。個々の後発品の市場価格が収れんしていけば、おのずと1価格帯になっていくということでございますので、方向としては、それでよろしいのではないかと、理解しているところでございます。 ただし、現状まだ過渡的な部分がありますので、上と下のいわゆる外れ値というものについては、当分の間、そこは別の価格帯を設定していただく。特に下に外れているような品目になりますと、どうしても加重平均をとりますので、薬価が上がるということもございます。そして、また頑張って売っている上の品目も、下に引きずられて価格が下がるという状況もございます。将来的な方向としての1価格帯については、異論がないところでございますけれども、当分の間はそういう経過措置的な手法も、御検討の俎上にのせていただきたいと要望しておきます。

○西村部会長

 今のことは、御意見として承りまして、本日、まだ意見をまとめる段階にはございませんので、ほかにいろいろと御意見を出していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。後日、データなどを準備していただいて、検討を進めたいと思います。

 本件についての議論は、ここまでとさせていただきます。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。

 8月26日に開催された中医協総会において、新薬算定にかかわるルールについて、早急に検討を行うようにとされておりました。そこで、今回、薬価算定組織で御議論をいただいた結果の資料が、清野委員長より提出されております。薬価算定組織の清野委員長、御説明をお願いいたします。

○薬価算定組織清野委員長

 薬価算定組織の清野です。

 それでは、薬価算定組織からの意見について、中医協薬-2に基づき、説明をさせていただきます。

 8月に御審議いただきました、ハーボニー配合錠の薬価収載におきまして、算定根拠に対する考え方について、御指摘をいただいたところであります。

 1ページをおめくりいただきたいと思います。中医協薬-2参考1でございます。中ほどの比較薬の欄をごらんください。特に問題となりましたのは、ハーボニー配合錠の投与期間12週に対して、ダクルインザの24週の総薬価を積んでいること。つまりダクルインザの1日薬価約9,000円に対して、見かけ上、倍の薬価約1万8,000円がついたことと認識しております。

 5ページを参照していただきたいと思うのですが、上段が1日薬価あわせについて、説明をしております。下段はいわゆる1治療薬価あわせについて説明しております。これらの点につきまして、薬価算定組織で改めて議論をいたしました結果、ハーボニーは配合錠であるため、比較薬を組み合わせとして選んだこと自体は、問題ではない。しかしながら、比較薬の組み合わせ成分であるダクルインザはジェノタイプ1、ソバルディはジェノタイプ2に使用される薬剤であり、結果として、臨床上使用されない組み合わせとの薬価あわせとなった。その上で、ダクルインザは24週、ソバルディは12週と、投与期間が異なることが一層問題を複雑化させたと考察いたしました。

 中医協薬-2にお戻りください。これらの課題を踏まえ、薬価算定組織といたしましては、臨床上併用されない単剤を組み合わせて、比較薬として、配合剤を算定する場合は、それぞれの薬価の1日薬価を足し合わせた額を、当該配合剤の1日薬価の上限とすることを、新たに提案したいと思います。

 以上でございます。

○西村部会長

 御説明ありがとうございました。

 補足ですか。管理官、お願いします。

○中井薬剤管理官

 先ほど清野先生から御説明いただきましたけれども、資料の5ページ目にいきますと、類似薬効比較方式、1日薬価合わせの基本的考えとあります。おさらい的に恐縮でございますが、説明申し上げます。

 1錠50円が1日3錠150円になりますけれども、それを1日2錠にした場合というのは、75円で同じ価格に合わせるというのは、類似薬効比較方式の基本になります。1治療合わせは下の段にありますけれども、1錠50円を10日間すれば、500円になりますけれども、仮にそれを5日間であれば、1錠は100円になります。一方で、下の欄に書いてあるのは、10日間投与のもので、50円で500円のものを、20日間にした場合は、半分になるという方式で計算したものであります。

 中医協薬-2に戻っていただきまして、ハーボニーについては、ダクルインザとソバルディ、それぞれ24週、12週という、実際の臨床上同時に使われなく、1治療の期間が違う2つのものをあわせた結果、今回そういう結果になってしまったということで、この御提案は、1治療薬価合わせの場合、1日薬価合わせを上限とするということで、提案をさせていただいたものでございます。

 以上であります。

○西村部会長

 ありがとうございました。

 中川委員、お願いします。

○中川委員

 1ページの最後のところ、この場合において、投与期間が既存治療より短くなる新薬については、必要に応じてその有用性を補正加算で考慮することとするということですが、わかりやすく説明してください。

○西村部会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中井薬剤管理官

 これにつきましては、具体的な事例を、今、想定しているわけではございませんけれども、劇的に治療期間が短くなるとか、そういったもので効果がある場合というのは、十分あり得るわけではありまして、そういった場合でも、基本は先ほどのご説明のとおりなのですけれども、非常に効果がある場合については、別途、補正加算というルールが今でもございますので、それで評価をすることの提案であります。

○西村部会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 劇的に効くのですから、このルールとは別な加算という意味でいいのですか。

○中井薬剤管理官

 そういうことでございます。

○中川委員

 わかりました。

○西村部会長

 この御提案について、ほかに御意見はございませんでしょうか。松本委員、どうぞ。

○松本委員

 整理をしたいのですが、例えば24週使ったダクルインザは24週ですけれども、ソバルディは12でいい。そこで1日薬価合わせで、今までのルールで行ったということなのですが、例えば5ページの下の図であわせて見ますと、例は違いますけれども、いわゆる半分の期間ですめば、1日薬価合わせとして、これは倍になるということです。この提案は、1日薬価でいくということで、いわゆる新しい提案というのは、下の図の上の図では、1錠が50円という意味なのでしょうか。

○西村部会長

 補足をお願いします。

○中井薬剤管理官

 説明をうまくできるかどうか、余り自信がないのですけれども、この提案は、1治療薬価を、1日薬価のものを上限にして算定をするという提案であります。

○西村部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

50円なのですか、100円なのですか。

○中井薬剤管理官

50円でございます。

○松本委員

 わかりました。

○西村部会長

 ほかに御意見はございませんでしょうか。この件につきましては、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、この件につきましては、このあたりにしたいと思います。

 今、御説明いただきました、薬価算定組織からの御提案、御意見について、今後また検討していきたいと思います。

 清野委員長、ありがとうございました。

 それでは、本日予定された議題は以上です。

 参考人の坂巻先生もありがとうございました。

 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の「薬価専門部会」はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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