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2015年10月28日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第29回議事録

○日時

平成27年10月28日(水)9:51~10:30


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(21階)


○出席者

荒井耕部会長 田辺国昭委員 西村万里子委員
吉森俊和委員 白川修二委員 花井十伍委員 石山惠司委員 田中伸一委員
鈴木邦彦委員 松本純一委員 万代恭嗣委員 長瀬輝諠委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
土屋裕専門委員 田村誠専門委員  昌子久仁子専門委員 加茂谷佳明専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人 田倉智之参考人
<事務局>
唐澤保険局長 谷内審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 眞鍋医療課企画官
三浦保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○試行的導入に向けた検討(その1)

○議事

○荒井部会長

 ただいまより第29回「中央社会保険医療協議会 費用対効果専門部会」を開催します。

 まず本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、印南委員、榊原委員が御欠席です。

 それでは「○試行的導入に向けた検討(その1)」について、議論を行いたいと思います。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 それでは、中医協費-1に基づきまして、御説明をさせていただきます。

 試行的導入に向けた検討(その1)でございます。

 スライド2をごらんください。8月末に、費用対効果評価の試行的導入に係る議論の中間報告が取りまとめられまして、下にありますように、1から6につきまして、今後、検討すべき事項と取りまとめられてございます。

 1ページをおめくりください。資料ナンバー3でございますが、その中で、本日は、3、4について御議論をいただこうと思っております。

 その下の○でございますが、今後、費用対効果評価を行う際には、分析結果に基づき、さまざまな観点から総合的な評価を行う必要があり、これはアプレイザルとして位置づけられているところでございます。

 2つ目の○でございますが、アプレイザルは、評価専門組織が担うこととされたことを踏まえまして、構成員のあり方につきまして、以下の内容を検討する。これが本日の検討内容でございます。(1)から(3)でまとめさせていただいてございます。

 スライドの5につきまして、御説明をさせていただきます。(1)費用対効果評価専門組織(仮称)でございますが、このあり方についてでございます。

 構成員についてどう考えるかということでございますけれども、構成員につきましては、諸外国におけるあり方を踏まえて、医療関係者のみだけではなく、保険者、患者関係者、医療経済学者等が考えられるとされているところでございます。

 下の表に、イギリス、フランス、ドイツの例を掲げさせていただいております。

 イギリスにおきましては、NICEの中に、構成員としては、多くは臨床医でありますが、薬剤師や看護師、医療経済の専門家等にお入りいただいています。

 フランスでは、臨床医、経済学者、疫学者、公衆衛生の専門家、社会学者、患者団体の代表者等です。

 ドイツでは、医師、病院、疾病金庫の代表者、疾病金庫というのは、我が国で言うと、保険者の代表になると思いますが、こういう方々が入っているということでございます。

 また、議決権のない参加者ということで、イギリスでは患者団体等が、フランスでは有識者や関係省庁の担当者などが掲げられているところでございます。

 構成員の公表状況でございますが、イギリス、フランスは公表、ドイツは公開されている情報からは読み取れないということでございます。

 公開、非公開でございますが、公開のところと非公開のところがございます。

 費用対効果の評価の活用方法でございますが、フランス、ドイツに関しましては、価格への反映ということでございますが、イギリスは価格への反映に加えて、償還の可否ということで、こういうところにも判断を要する可能性があるということでございます。

 下のスライドにまいります。組織の考え方につきまして、評価専門組織の会議でございますが、非公開で開催することについてどう考えるかという御提案をさせていただきたいと思っております。

 1つ目のポツですが、現在、薬価算定組織、保材専がございますけれども、これにおきましては、具体的な品目について議論をする際には、企業の秘密情報を含めて議論することになりますので、議論の場合は、議論に用いる資料に関しましても、非公開としているところでございます。

 費用対効果評価専門部会におきまして、具体例の検討を実施した際も、非公開で開催したところでございます。

 下には、それぞれ公開、非公開、中医協の中で、部会に関しましては、全体の導入のあり方については、公開でありましたが、具体例に関しましては、非公開です。薬価と材料の専門組織は非公開になっておることを、表にまとめております。

 以上のような現状を踏まえまして、7枚目のスライドでございますけれども、論点を2つ立てさせていただいております。

 費用対効果評価専門組織につきましては、医療関係者、保険者、患者関係者、経済学等に関する有識者により、構成することとしてはどうか。

 2つ目の○といたしまして、具体的な品目について、議論するに当たりましては、評価専門組織を非公開で開催することとしてはどうかという御提案でございます。

 これが1つ目でございます。

 2つ目、科学的な観点からの検証についてに移らせていただきます。

 分析結果の妥当性について、科学的な観点からどのような検証を行っていくかということでございますけれども、アプレイザルにおきましては、企業及び再分析を担う組織、これを以下、再分析グループと申しますが、分析結果につきまして、標準的な方法に基づいて分析されているかですとか、あるいは選択した分析方法に一定の合理性があるか、用いているデータは適切かなどを踏まえまして、分析結果の妥当性を科学的な観点から検証するということが考えられております。

 次のスライドにまいります。そういう分析を受けるわけでございますけれども、アプレイザルを行った上で、再分析等を行う場合について、どのように考えるかという論点でございます。

 中間報告におきましては、アプレイザルの結果、対象者や使用方法をより詳細にするなど、さらに別の観点からの分析についても、検討を行う必要があると判断された場合には、再度分析を実施することになってございます。

 2つ目のポツでございますけれども、それぞれ矢印に示しましたことなどで、事前に予想される場合があるということで、このような場合には、必要に応じて分析手法等について、あらかじめ費用対効果評価専門組織の合意を得た上で、分析を開始するということで、評価機関等の効率化が図られるのではないかと、御提案をさせていただきたいと思っております。

 下のスライドでございますが、このような事前の相談という仕組みについて、諸外国の例を御紹介申し上げます。

 諸外国におきましては、10ページの下に、イギリスのNICEの例と、フランスのHASの例を引いてございますけれども、どちらも分析の枠組みにつきまして、企業等とそれぞれの評価機関が事前に相談をいたしましてから、分析を開始するというスキームがあるという御紹介でございます。

11ページでございます。こうした科学的な分析に加えて、追加的に考慮すべきその他の観点について、どのように考えるかという論点でございます。

 1つ目のポツでございますが、諸外国におけるアプレイザルで取り上げている観点につきましては、これまで御紹介申し上げたとおりでございますが、国ごとに評価結果の活用方法、社会的、文化的な背景が異なっていると承知をしております。そうした多岐にわたる項目から、ルール化できる共通部分をあらかじめ明らかにしておくことは、難しいのではないかと、事務局では考えております。

 下に、イギリス、スウェーデン、オーストラリア、フランス、ドイツの例がございます。

 イギリスでは、疾病の重症度ですとか、致死的な疾患での延命治療、関係者からの意見、イノベーションの大きさなどが、科学的な分析に加えて、評価するべき点です。

 スウェーデンでは、もう少し広い立場だと思いますけれども、医薬品償還3原則というものがあるということでございますけれども、このような諸外国におきましても、恐らく文化的な背景ですとか、社会的な背景に基づいて、こういう観点があると思っておりますので、こういうところから、あらかじめ共通部分を明らかにすることは、難しいのではないかという論点を立てさせていただいてございます。

12ページでございますけれども、以上のような現状を踏まえまして、論点として2つございます。標準的な分析法以外の分析方法をとらざるを得ないことが事前に予想される場合等は、必要に応じて分析手法等について、あらかじめこの組織の合意を得た上で、分析を開始することとしてはどうか。

 2つ目の○でございますが、アプレイザルにおける倫理的、社会的影響等に関する観点につきましては、諸外国における多岐にわたる項目を広く参考にしつつ、試行的導入で事例を蓄積することで、検討することとし、本格的な導入に向けて議論を続けていくこととしてはどうかという御提案でございます。

 最後のスライドでございます。13ページでございますが、本邦におけるアプレイザルの呼称でございます。アプレイザルにつきまして、どのような日本語を用いて、ある意味、国民にもわかりやすいという観点からも、日本語でどのような訳をつくるかは大事だと思っておりますが、どのように呼称するかということでございます。

 アプレイザルに関しまして、辞書を引きますと、四角にあるとおりでございまして、評価、値踏み、見積もり、鑑定、価格査定、評定ということがございます。

 2つ目のポツでございますが、本邦におけるアプレイザルについて、別に呼称を定めるのであれば、例えばアセスメントの分析あるいは分析的評価に対比いたしまして、例えば総合的評価という略語が考えられるのではないかということでございます。

 3つ目のポツでございますが、ただし、医療経済学等の関係学会では、アプレイザルの定訳や本邦における特別な呼称がまだなくて、アプレイザルと言われておりますので、学会におきましては、このような呼称が続けられるという可能性にも、留意が必要だと思いますけれども、御提案としては、2つ目のポツにありますように、総合的評価という略語が考えられるのではないかという御提案でございます。

 資料の説明は以上でございます。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの説明に関して、御質問等がございましたら、お願いいたします。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員

 幾つかの意見と、質問をさせていただきたいと思います。

 7ページの論点でございます。費用対効果評価専門組織(仮称)というものがありますが、ここに医療関係者、保険者、患者関係者、経済学に関する有識者を入れてはどうかということですけれども、1つ、質問は、経済学者ということですが、それは医療経済学者ということでよろしいのかどうか、確認の質問をさせていただきたいと思います。

 以前、非公式な具体例の検討、さらに模擬検討会を行ったことがあります。後者については、我々もオブザーバーで、ぎりぎりになってから呼ばれて話を聞くことができたのですが、専門部会での議論とは違う雰囲気も感じました。費用対効果評価専門部会と全く違った議論がそこで行われることは、問題だと思いますので、その委員の中には、中医協委員を全員とは言いませんけれども、消費税の専門部会のように、一部入れて、議論に加わることが必要ではないかと思います。これは要望です。

 委員の中に、固定する方が一定程度必要だと思いますけれども、そちらを少し制限した上で、対象の品目は多様なものにわたると思いますので、それに応じた専門家として、専門委員か、あるいはその都度参考人を入れるような体制にしたほうが、より実際的な議論ができるのではないかと思います。これは意見でございます。

 論点の2つ目の○です。海外を見ていると非公開が多く、もっと言わせていただければ、5ページで普通はイギリスをかなりモデルにしているのですが、イギリスは公開なのですけれども、ここはフランス、ドイツを参考にするということのようです。償還の可否を決めることもあるのでということかもしれませんが、それはそれでよろしいのではないかと思います。

 9ページの用語でございますけれども、再分析という言葉と、再度分析という言葉がありま。再度分析とは、再度、再分析をすることのようですが、再分析と再度分析というのは、紛らわしいのでそこはもう少し違った言い方があるのでしたら変えたほうがいいと思いますし、少なくとも違うということは確認すべきだと思います。これは意見です。

 アプレイザルについてです。8~9ページにあるようなアプレイザルは、過程の途中で行うものという感じですけれども、11ページのほうのアプレイザルは、最終的に倫理的、社会的影響を検討するということなので、内容が異なる気がするのです。その全体をアプレイザルというのでしょうか。私は最終的に倫理的、社会的影響等を総合的に勘案することがアプレイザルだと思っていたのですけれども、それもアプレイザルに含まれる一部なのかということを教えていただきたいと思います。

11ページに、倫理的、社会的影響等をアプレイザルで行うということですが、イギリス、スウェーデン、オーストラリアと、フランス、ドイツという、公営医療の国と、社会保険制度の国の間には、私がずっと言ってきた違いがあるわけです。アプレイザルについても、以前にもお話していただいておりますけれども、費用対効果評価を償還の可否の判断に用いるイギリス、スウェーデン、オーストラリアと、価格の反映のみに用いるドイツ、フランスでは、アプレイザルの内容が異なる可能性があります。ぜひフランスやドイツのアプレイザルのあり方について、この説明では漠然としていて、はっきりわからず、フランスは、一般の行動原則が書かれているに過ぎないと思いますので、もう少し調べていただければと思います。これは要望でございます。

13ページでございます。アプレイザルは、私は、少なくとも一般的な日本語ではないし、アセスメントを評価と訳す場合もあり、専門家だけの議論ではございませんので、日本語にしておいたほうがいいと思います。こういう形にしていただければ、よろしいと思いますし、日本語訳としては、総合的評価でよいと思いますが、総意形成という言い方もあるということでございます。

 最後に全体としてでございます。本来、費用対効果評価は、医療技術評価の一部でございますので、費用対効果という言葉が、この議論を通して一般的にも広く使われるようになった気もいたしますけれども、医者の関係を再確認した上で、医療技術評価であることをもう少し強調してもいいのではないかと思います。これは全部意見でございます。

 アプレイザルは、今後総合的評価という言い方になるようでございますが、倫理的、社会体側面を含めた客観的な総意形成法についても、論理的な検証が必要だと思いますので、具体的にどういう形で倫理的、社会的影響等を評価していくか、あらかじめ手法、定義を決めておく必要があると思います。

 次に研究チームが異なると、結果に違いが出る可能性があり、我が国でも既にそういう事例が起きているようでございますので、査読のような制度が必要ではないかと思います。さらに外国での費用対効果分析や医療技術評価の結果も、同時に示して議論をすべきであると思います。最終的には日本型の費用対効果評価を確立すべきですが、その際には、私が取りまとめの最後に述べましたように、フランスのやり方が最も現実的で我が国の参考になることを、改めてお話させていただきたいと思います。

 最後に、今後試行的導入が行われていくわけですが、その結果が従来と比べて、薬剤費や材料費の削減に結びつかなければ、そもそも導入する意味がないということを確認すべきだと思います。これらは意見です。一部質問もありますので、それについてお答えをお願いします。

 以上です。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 非常に多岐にわたっておりましたが、よろしくお願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 何点か御質問いただいておりますので、順次お答え申し上げます。

 まず7ページの経済学者のところの定義でございますけれども、医療経済学者なのかとの問いでございましたけれども、もちろん医療経済学者を含む経済学者ということでございます。

 8ページから9ページまでのプロセス全部が、アプレイザルなのかという問いであったと承知をしておりますけれども、これは全ての過程がアプレイザルであると考えております。

 再分析と再度再分析というところにつきましてでございましたが、私の説明が舌足らずだった分があるかと思いますが、まず8ページのほうで、企業などが分析を行ったもの、そして再分析を担う組織をつくり、それを再分析グループとなってございますけれども、そこで分析を行っていただきます。

 9ページは、それを一度評価専門組織に出して、なおそれでもこういう観点が足りない、こういう分析をすべきであると言われた場合、再度、再分析と言っているものでございます。まぎれまして申しわけございませんでした。この結果、全てがアプレイザルになるだろうと承知をしております。

 ほかに専門組織の構成員等につきまして、あり方について御意見をいただきましたので、そこは真摯に受け止めさせていただきたいと思っております。

 以上です。

○荒井部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 ありがとうございました。

 医療経済学者以外の経済学者をいうのは、どういう人を想定しているのかわかりませんが、きちっとした現実的な議論が行われることを期待したいと思います。

 アプレイザルにつきましては、イギリスなどでは最終的に行われると私は考えておりましたけれども、中間のことも全部アプレイザルと言うのは、そういうふうに我が国では行うということであるのかと思いますけれども、倫理的、社会的な評価というのも、中間で随時行うわけですか。その辺の考え方について、教えていただきたいと思います。

○荒井部会長

 よろしくお願いします。

○眞鍋医療課企画官

 はい。

 当然この倫理的、社会的影響に関する観点に関しましても、アプレイザルの中で行うことになります。

 この辺に関しましては、もしかしたら参考人の方のほうが、お詳しいかもしれません。

○松本委員

 ぜひお願いします。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 参考人の福田でございます。

 今、お問い合わせたアプレイザルなのですが、事務局からお話があったとおり、最終的に議論するのがアプレイザルとイギリスでも位置づけられていると思います。ただ、イギリスの場合には、アプレイザル委員会、アプレイザルコミッティーというのができていますけれども、そこに再分析等の結果を提出して、議論する中で、もう一度こういう観点については、再分析は必要だということになれば、差し戻すと言いますか、そのようなことを行われるようであります。再分析の設定などを変えて、やり直したものが提出をされます。主には、その再分析で指摘された点については、医学的な妥当性というのが多いという理解をしています。

○松本委員

 わかりました。

○荒井部会長

 白川委員、お願いします。

○白川委員

 御提案の論点について特に異存はありません。ただ、以前から意見を申し上げておりますが、例えば薬について言えば、現行の薬価の算定基準との関係をどうするかということを整理したほうが良いのではないかとの意見を申し上げてきましたが、今回、費用対効果評価専門組織をつくることについては、もちろん賛成をしていますが、既存の薬価算定組織や保険医療材料専門組織との関係をどうするかということについては、整理をしておく必要があると思います。例えば、薬価を算定する場合、薬価算定組織で算定案を策定するというルールになっていますが、この費用対効果の観点が入ると、両方の専門組織で算定するのかという議論となります。それも無駄とは言いませんが、例えば選定基準が1点以上のものについては、どうするのか等について少し整理をしておかないと、それが費用対効果評価専門組織のメンバー構成にも影響すると思いますので、早めに整理をして、この部会に案を御提示いただき、議論した方がよいのではないかと思いますので、準備をお願いいたします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 スライドの一番最初のほうの2ページでございますが、まさに今、白川委員から御指摘いただいたところは、今後詰めるべき事項ということの中の1ですとか、5です。こういうところに該当するものだと思っております。そこをなるべく早く具体例をお示しして議論をするようにという御示唆を承りましたので、そのように進めさせていただきたいと思います。

 以上です。

○白川委員

 それはそうですが、その整理がつかないと今回御提案の費用対効果評価専門組織の構成員にも影響が出るのではないかということです。

 例えば薬価についてということであれば、薬価の専門家が何人か必要ですし、保険医療材料の専門家も必要かもしれません。早めにほかの専門組織との関係を整理しておかないと、構成員も決まらないという意見を申し上げているわけです。

○荒井部会長

 専門委員、お願いします。

○土屋専門委員

 7ページの論点に上げられております費用対効果評価専門組織の構成員に関してです。ここでどのような観点で議論するかは、今後、11ページ、12ページに掲げられていますように詰めていくことになると思いますが、費用対効果の実際の評価結果以外に、倫理的、社会的影響等、さらにはイノベーションのレベル等について、議論をすることを想定しますと、産業界からの代表者をぜひ入れていただきたいと考えます。

 もう1点ですが、再分析、または再度の再分析という仕組みに関してです。6ページに、費用対効果評価専門組織の構成に関して、薬価算定組織を参照して、ここに述べられておりますが、薬価算定組織では、その当該企業が意見を言う機会が与えられております。したがって、費用対効果評価専門組織においても、当該企業が意見を言える機会を、それからアプレイザルにおいて、最初に出た結果に対して不服がある場合には、不服を申し立てることができるような仕組みを御検討いただきたいと考えております。

 以上です。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 御意見として承りますが、まずは全体のメンバーにするかどうかに関しましては、諸外国の例を見ましても、なかなか企業のメンバーが入っているというところは、余りなさそうだと思っておりますことは、事務局としてはコメントをさせていただきたいと思います。ほかの件に関しましては、意見として受け止めさせていただきたいと思います。

○荒井部会長

 よろしくお願いします。

○花井十伍委員

 今回の提案は、おおむねこういうことだろうと思うのですが、先ほどから議論になっているように、この専門組織仮称の構成員について、医療関係者、保険者・患者関係者、経済学等に関する有識者と書いてあって、これはこんなものかという意味ではこのとおりなのですが、実は非常に費用対効果はなぜやるのかというのは、テクニカルな問題が山積みなので、ついそちらにいくのですが、そもそもリソースが無限であれば、みんないればいいのです。ところがそれを有限だから、それは適切な費用対効果というような、いわゆる社会的分配の公正性という観点からやるということなわけです。

 そのときにこの専門組織の位置づけというか、構成員もこう書いてあるのですけれども、例えば中医協であれば、ステークホルダーがいるわけではないですか。そこである程度、公益委員という機能で、そういう機能を言って、そこである程度合意を形成するという場合と、専門的観点から公正性というのを言う委員と、おのずと機能が違ってきていて、ステークホルダーとして、例えば企業のほうから一番端的な提案があったと思うのですけれども、そういうことを強調するのか、それとそれがハイブリッドなのかというところは、若干整理がまだついていないと思います。

 例えば経済学討論の中に、先ほど倫理的観点があるのであれば、倫理学という領域もあるし、何々学の専門という言い方と、医療関係者、患者関係者という言い方は、それがあいまいな表現なのです。なので、実際の人選でそれは考えてもよいとは思いますが、経済学等に倫理学みたいなことは考え得るのかどうかというのを、質問としてしたいですし、患者関係者という表現も概念が非常に難しいと思いますけれども、被保険者というのは、そこに含意を含んでいるということでいいのかということと、被保険者というイメージと何の患者団体が言うことは、私はそれに近いのかもしれませんが、何となく同じ内容だけは違うニュアンスがあって、それぞれの発言というのは、組織側から言えば違う機能を持っている形、構成になると思うのです。

 そういうところを踏まえて、「等」は1つしかないのですが、そこの構成については、今の観点からステークホルダー重視なのか、客観性、専門性重視なのかというところは若干あるのかと思うのですが、その辺は、事務局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 質問としては、具体的なのが文言の意味、後半は事務局のお考えです。2つです。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 7ページに経済学等で等はここにしか入っていないということでございますけれども、当然ここには、現時点で具体的に事務局がこういうメンバーをということがあるわけではないと悠然程度申し上げますけれども、当然倫理の立場ですとか、社会的な影響を考察する立場の方も含み入るということで、ここには書いているところであります。

 費用対効果専門評価組織は、社会的な観点によるのか、専門的な観点によるのかというのは、難しい問いであるとは思うのですが、私どもとしては、アプレイザルをここで担っていただくという観点から、どちらかというとその科学的な評価のみならず、そういう社会的な評価もちゃんとやっていただけるところというようなところで、位置づけなければならないだろうと思っているところでございます。

 もう少し付言をすれば、最後これは評価専門組織でございますので、こちらの中医協のほうに、その結果については、御報告を申し上げて、またそこでの評価も受けるというか、そこでの御指摘も受けると、そういう存在であると思っております。

○荒井部会長

 お願いします。

○花井十伍委員

 わかりました。

 そう考えると、結構この組織は、重いというか役割としては非常に重要ということになると思うのですが、非公開でやるということになると、人選は公開されると思うのですが、利益相反性という問題は、当然出てきて、ステークホルダーが入るのであれば、利益相反があるということを前提に、意見を言うところなのですが、利益相反ルールというのは当然導入するという理解でよろしいのでしょうか。

○荒井部会長

 お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 当然、導入するということになると承知しております。

○荒井部会長

 万代委員、いいですか。先ほども手を挙げたので。

○万代委員

 幾つか意見と質問を申し上げます。

 まず7ページの専門組織のあり方というところでございますが、白川委員がおっしゃるように、白川委員の以前からの主張を十分に理解しておりますが、改めていよいよこの中間取りまとめが終わって、試行的導入に向けて、審議していこうという中で、薬価算定組織と、保険医療材料専門組織との関係、あるいは立ち位置、お互いの意見をどういうふうにするかということは、そこが議論されてある程度、共通認識がないと、恐らく前には進まないと私も思いますので、その点では、白川委員の御意見に大賛成でございます。

 その中の論点の中で、委員に関しましては、これまでも皆様がおっしゃいましたので、あえて私のほうからは申し上げないで、そのとおりということでございます。

 次の8ページのところの再分析のところの●の最後に、再分析を行う組織ということで、再分析グループがあるということでございますが、ここは質問ですけれども、前回の中間取りまとめで少し書いてございますが、公的な組織の中に設けるか、それも外を含めて設けるかもございますけれども、そういったことも含めまして、再分析グループというのは、非常に専門的な方が、参加するという理解でよろしいでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 御指摘のとおりで、非常に専門的な方が、再分析をしていただくということでございます。

○万代委員

 そうしますと、アプレイザルのところで再分析結果についても、専門組織の構成員がもう一度評価しろということは、なかなか言いにくいところもあるのかと感じる次第でございます。そのためにあらかじめ分析手法等について、専門組織のほうに了解を得ておくというようなことで、できるだけ再度分析というのが起こらないという仕組みにしようということは、十分わかる次第でございます。

 ただ、これまでの参考人の御説明からは、アプレイザルにつきましては、私も鈴木委員と同じようにむしろ倫理的な観点、社会的な影響等についての議論を主とするということかと理解しておりましたが、先ほど福田先生がおっしゃったように、イギリスではそうではなくて、再度分析にかかわる、再分析の評価、それについても、しているのだということでございますので、それはそのように理解いたします。

 基本的な認識としては、9ページにありますような形で、補てんいただければ、先ほど申し上げたような専門家の判断がまだ未熟であるというような形で差し戻すということが、少なくなるのかと思っておりますので、この方向性でよろしいかと思っております。

 最後の13ページのアプレイザルの呼称でございます。前回、参考人も含めて御提案いただけるということで、ここで幾つか例示的に文言が出されております。私の意見を申し上げますと、アセスメント、アプレイザルもいずれもどちらかというと、評価というような日本語が一般的かと思います。そこで評価がどちらに使っているかということで混乱するということで、こういったような呼称についての議論が出てきたわけでございますけれども、私はアプレイザルについては、事務局は総合的評価というのがよいという御提案で、それについては賛成でございます。

 したがいまして、それにのっとって申し上げますと、評価という言葉を両方に使うのはよくないだろうと考えております。アプレイザルのほうを総合的評価というような呼称とするということであれば、アセスメントのほうは分析だけにしたほうがよろしいかと思いまして、分析、あるいは分析的評価とすることと対応してと書いてございますけれども、この後者のほうではなくて、私はアセスメントのほうは、費用対効果分析、どちらかというとこちらがより学術的、専門的に行われると考えておりますので、分析というほうが、審議なり、評価の過程をあらわすように思えますので、こちらは分析、アプレイザルのほうは、総合的評価というのがよろしいのではないかと考えております。

 以上です。

○荒井部会長

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員

 今、話を聞いていまして、アプレイザルについてですけれども、役割を言う場合と、組織としての存在を示す場合と、両方使われている気がしますので、混乱しないように、名称の日本語訳も含めて、検討していただきたいと思います。

 それから、先ほどの12ページの論点について、はっきり意見を言っておりませんでしたので、もう一度、確認の意味で述べさせていただきます。両方とも結構だと思うのですが、上のほうの○に関しましては、利益相反にならないように、あらかじめ事前相談の規定を定めておくべきだろうと思いますし、2つ目の下の○についても、倫理的、社会的に検証する手法について、これもしっかり確認しておく必要があるだろうと思います。

 以上でございます。これは意見です。

○荒井部会長

 特にほかにはないということでよろしいでしょうか。

 そうしましたら、ほかに御意見がないようでしたら、この議題についてはこのあたりにしたいと思います。

 本日の議題は以上です。

 なお次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。

 それでは、本日の費用対効果評価専門部会は、これにて閉会といたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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