ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 周産期医療体制のあり方に関する検討会> 第2回周産期医療体制のあり方に関する検討会(議事録)(2015年10月15日)




2015年10月15日 第2回周産期医療体制のあり方に関する検討会(議事録)

○日時

平成27年10月15日 (木)10:00 ~12:00


○場所

合同庁舎第5号館 共用第8会議室 (19階)


○議事

○迫井地域医療計画課長 それでは定刻を少々過ぎてしまいましたが、第2回「周産期医療体制のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 まず、本日初めに、委員の御出席の状況でございますけれども、飯田裕美子委員から御欠席との御連絡をいただいております
 それから、峯委員におかれましては、交通事情で少しおくれるという御連絡をいただいております。
 それから、前回の検討会以降、事務局の人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 医政局長の神田、医政担当審議官の梅田でございますが、今、公務で対応しております。後ほどおくれて参る予定になっております。
 それから、医政局総務課長の中村でございます。
○中村総務課長 中村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○迫井地域医療計画課長 医政局医師確保等地域医療対策室長の伯野でございますが、こちらも公務で、後ほどおくれて参る予定になっております。
 それから、私でございますが、地域医療計画課長の迫井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 局長、審議官がおくれて参りました。改めまして、医政局長の神田でございます。
○神田医政局長 神田と申します。よろしくお願いいたします。
○迫井地域医療計画課長 医政担当審議官の梅田でございます。
○梅田審議官 おくれまして失礼いたしました。よろしくお願いいたします。
○迫井地域医療計画課長 議事に入らせていただく前に、お手元の資料の御確認をさせていただきます。
 議事次第、それから構成員名簿、座席表がございまして、資料は1~6をお配りしております。
 資料1が福井構成員からの資料でございます。
 資料2が山本構成員からの資料でございます。
 資料3は「助産師の就業状況と活用について」という資料でございます。
 資料4は阿真構成員からの資料でございます。
 資料5が海野構成員からの資料でございます。
 資料6「産婦人科医師の動向と確保について」でございます。
 もし過不足等がございましたら、事務局にお知らせをいただければと思っております。
 それから、前回の検討会の資料などは、ファイルとしてお手元に御用意しておりますので、適宜参照していただければと思っております。このファイルは、会議終了後、机に置いていただければ、事務局で対応させていただきます。
 御連絡等は以上でございます。
 以降の進行につきましては、座長にお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 おはようございます。それでは、議事に入りたいと思います。
 冒頭のカメラ撮りは、これにて終了していただきたいと思います。
 きょうは資料がたくさんありまして、御説明をいただく予定ですけれども、最初に資料1、2、3を福井構成員、山本構成員、厚生労働省の医政局看護課からそれぞれ続けて御説明をいただいて、それが終わった段階で議論をひとまずしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、福井構成員、お願いいたします。
○福井構成員 おはようございます。よろしくお願いいたします。
 「周産期医療体制における助産師の活用」でございます。
 院内助産システム、産科混合病棟、助産師の偏在、院内潜在助産師と助産師出向システム、周産期医療機能強化と地域母子保健の連携強化において、助産師の活用の提案をさせていただきます。
 3ページが「院内助産システム」になりますが、左側「現状と課題」の下線箇所をご覧ください。「妊産婦の多様なニーズへの対応」「医師負担の軽減」等を目的に、平成21年から院内助産システムと申しますか、院内助産所について推進されているところでございます。
 また、助産外来は増加しておりますが、院内助産は微増の状況です。
 この院内助産を開設する課題としては、「助産師数」「助産師の自信・意欲」「助産師の経験」「設備的な要因」「料金設定」「医師の理解・賛同・協力」といったもの、そして「助産師の勤務形態の整備」等が挙げられており、これらのことが院内助産を進めるのに多少の課題となっていると思われます。
 右側「院内助産システムの推進」について、ご説明いたします。院内助産システムは、保助看法で定められた業務範囲にのっとって、妊婦の健康診査や分娩介助等々を行う仕組みでございまして、助産師の役割いたしましとしては、医師との役割分担・連携のもとに、ガイドラインに基づいたチーム医療を行うことです。
 4ページに「院内助産システムのメリット」を示しました。医師の視点、それから妊産婦の満足度の面から、助産ケアの質の向上といった面でメリットを考えることができると思います。医師の視点から申しますと、助産師の存在が医師の勤務環境をよくしているという平成20年のデータが、少し古くなってはおりますが、ございます。
 5ページが、「院内助産システムの具体的な例」になりますが、名古屋第一赤十字病院のバースセンターをご紹介させていただきます。名古屋第一赤十字病院は、愛知県総合周産期母子医療センターとして、母体搬送を受け入れている施設でございます。
 病床数は36床、MFICU9床、NICU15床で、分娩件数が1,300件、母体搬送が250件、そこに医師19名、助産師65名が勤務しております。助産外来は平成17年8月に開設されて、26週以降の正常妊産婦を診ております。
 利用者数は、右下にグラフがございます。
 6ページ目が、この名古屋第一赤十字病院のバースセンターに関する詳細になります。助産外来とともに産科医・小児科医との役割分担と協働という目的によって、平成25年4月に開設されました。
 対象は、正常な妊娠経過であること、本人の希望があることや単胎であることなど、助産師が保助看法上認められている範囲での妊婦を対象としております。
 担当者は、助産師経験5年目以上で、分娩介助件数100例以上といった要件をクリアできる者としております。
 平成26年のデータを見ますと、485人の方がこのバースセンターで出産されています。
 7ページでは、助産師の活用といたしまして、「アドバンス助産師」の紹介をさせていただきます。
 アドバンス助産師は、ことしの8月に認証申請を開始した新たな認証制度でございます。日本助産評価機構によって認証されるものでございますが、左側の「アドバンス助産師到達要件」をご覧ください。妊娠期の健康診査、分娩介助、新生児・産褥期の健康診査、プライマリーケース、NCPRの受講、CTGの受講等々の要件をクリアし、試験に合格した者がアドバンス助産師として誕生する予定でありまして、ことしの12月にはアドバンス助産師が誕生することになっております。
 このアドバンス助産師とは「自律して、院内助産・助産外来を実施できる能力を有する助産師」でございまして、院内助産がなかなか進まない項目の一つに、助産師自身に自信がないといったものもございましたので、その実践能力を強化するための制度として、このアドバンス助産師の仕組みができました。
 7ページの右側をご覧ください。このアドバンス助産師を育成するためには、現在機能整理されている総合周産期や地域周産期での経験だけでは多少難しいものがありますので、助産師の出向システムも一緒に活用しながら、アドバンス助産師を育成していくことが重要になってまいります。それから、病院だけではなくて地域の診療所、助産所の助産師等々、全体のレベルアップと連携強化を図る必要がありますので、地域全ての周産期にかかわる人、それから助産師への研修環境を提供していくことがアドバンス助産師の育成につながっていくと考えております。
 次に、「産科混合病棟」の現状と課題について、8ページの右側をご覧ください。少子化を背景に、混合病棟が増加しておりまして、最大12科の混合病棟の報告がございます。また、産科の母子と他科患者が同じ病室に入院していることもございます。看とりのケアと分娩進行を同時に観察しなければならない、あるいはケアをしなければならない状況も報告されています。
 産科混合病棟では、新生児のMRSA感染率が高いことも報告されています。
 他科患者へのケアを、産後の母親のケアよりも優先せざるを得ない状況にあるということが非常に大きな課題だと捉えております。
 そこで、ユニットマネジメントといったものを推進しております。一続きになっております産科混合病棟の一部を「ユニット」あるいは「ゾーニング」をして、産科患者のみを受け持つ助産師を配置する病棟の管理方法、と位置づけております。
 9ページが、産科混合病棟のユニットマネジメントの具体例として、神奈川県立足柄上病院の産科混合病棟ユニットマネジメント例を示させていただきました。
 病棟病床数は37床です。産科が6床、婦人科・眼科及び他科10床で、小児科が21床あります。
 病棟の区分けをし、他科患者の受け入れルールを定めて、業務分担を行い、ユニット化したところで妊産婦へのケアを行っているというものでございます。
 続きまして、「助産師の就業先の偏在是正」についてです。10ページをご覧ください。
 右側の「現状と課題」ですが、日本には助産師の配置に関する明確な規定がございません。医療法に「産婦人科または産科においてはそのうち適当数を助産師とするもの」とされておりますが、明確ではございません。
 助産師は現在、一般病棟入院基本料における看護職配置基準に従って、看護師と助産師を区分されずに配置されておりますので、病院によっては看護師として採用されているところもございます。
 周産期医療体制整備指針では、助産師の配置については「MFICUの全病床を通じて常時3床に1名の助産師又は看護師が勤務していること」とされておりますが、助産師のみの配置とはされておりません。
 日本看護協会では、こういった「現状と課題」を踏まえ、「助産師の配置・必要人数」について、助産師の業務量、分娩件数、妊婦のリスク、助産師の年間総労働時間を勘案して助産師の必要人数を算出することを提案しております。
 助産師の適切な配置を見直し、助産師の活用につなげていくためには、助産師の配置・必要人数の算出が必要ではないかと考えております。
 続きまして、11ページをご覧ください。総合周産期、地域周産期、一般病院にはそれぞれ「ハイリスク」と「ローリスク」妊産褥婦が一定数おります。「ハイリスク」妊産褥婦は総合周産期に、「ローリスク」妊産褥婦は一般病院に、といった妊産褥婦のリスクに応じた機能整備が不踏むことが望ましいのですが、分娩の集約化と分娩取り扱い休止・中止する施設の増加に伴い、こういったある意味バランスが崩れていると申しますか、機能整備が満たされなくなってきているという状況があろうかと思います。
 また、診療所と病院では、分娩件数が同程度あるのに対して、就業助産師は診療所に29%、病院には71%と就業助産師の偏在がございます。
 さらに、ハイリスク妊産婦・新生児が増加しておりまして、周産期母子医療センター等では正常分娩の介助経験が積めない助産師が数多くおります。
 指導できる助産師がいないという理由で、助産学生の実習場の確保が困難になっていることもございます。
 産科病棟の閉鎖などで、そのまま院内に看護師として勤務している、これを「院内潜在助産師」と呼んでおりますけれども、こういった助産師の存在も多くなってまいりました。
 そこで、助産師出向システムを提案させていただき、モデル事業を経て27年度から補助事業をさせていただいております。助産師の就業先の偏在是正と、実践能力向上によるよりよいケアの追求や助産学生の実習環境の確保のために、この出向システムを推進していただきたいと思っています。
 この助産師出向システムにつきまして、12ページをご覧ください。先ほども申し上げましたが、厚労省の委託事業で、平成25年度・26年度に助産師出向支援モデル事業をさせていただきました。平成25年度に調整マッチングを行いまして、26年度に出向を実施しております。
 平成26年度は1都12県におきまして、40名の助産師が出向しております。
 出向先の分娩介助例数は、1~6カ月出向した18人は平均31.7例でした。6カ月~1年出向した16人は、平均28.4例の分娩介助を経験しております。
 13ページの「地域における助産師の活用」ですが、病院の助産師を地域で活用する、こういった視点も必要ではないかと思い、提案をさせていただきました。
 病院に就業している院内潜在助産師を、地域の母子保健強化に活用するという視点はどうだろうかということですが、助産師が不足している分娩取扱施設への出向や、地域の保健センター、訪問看護ステーションや開業助産所と連携して、地域母子保健の強化に活用する。特に、地域の母子への支援として、新生児訪問や産後ケアの充実に活用すること、教育現場への出前事業等にも活用できるのではないかと考えております。
 地域での活動も含めた助産師の配置、助産師の必要人数を検討していくことが続けて必要になってくるかと思います。
 14ページが、これらのことを踏まえまして、「周産期医療機能強化と地域母子保健連携強化のための助産師の活用」ということですが、周産期コーディネーターとしての活用を提案させていただきます。
 真ん中にマネジメント・コーディネートを担う助産師を置きまして、都道府県の周産期医療協議会にも参画し、ハイリスク妊娠・出産のとき、ローリスク妊娠・出産のとき、育児の場や療育の場で、こういったコーディネートができる存在が必要ではないか。その存在として、助産師の活用を提案したいと思います。
 以上をまとめますと、15ページの「分娩環境の改善と助産師の活用を図るための方策(案)」として、1つ目に、地域のニーズに応じて、出産環境を確保し、産科医勤務負担軽減に資する院内助産システムを整備する。
 2つ目として、産科混合病棟をユニット化し、母子及び入院患者の療養環境を整備する。
 3つ目として、助産師出向システムを推進し、助産師の就業先偏在による課題の解決を目指す。
 4つ目といたしまして、総合周産期母子医療センターの看護職を活用して、周産期医療と地域母子保健の連携を強化するということを提案させていただきました。
 以上でございます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 では、続きまして山本構成員から御説明をお願いいたします。
○山本構成員 日本助産歯科医の山本でございます。よろしくお願いします。
 まず、地域で活動する開業助産師の役割について御説明いたします。
 本日の提言内容ですけれども、2ページをごらんください。
 「1.開業助産師の活動」「2.我が国の周産期の現状と課題を踏まえた周産期医療体制の中での開業助産師の活用」について述べたいと思います。
 3ページ目が開業助産師の活動を図にしてあります。病院、クリニックなどを退院した後、育児不安の強い方や産後の手伝いのない方など、さまざまな理由により助産所で産後入院をいたします。レスパイト入院、自宅訪問などにより、24時間365日体制でさまざまなケースに対応しています。また、小中学校などに命の授業などに出向き、職業体験など生徒の受け入れも行っています。また、分娩取扱ガイドラインに基づいた分娩の取り扱いは、妊娠期から産後までトータルでかかわることにより、スムーズな育児へと移行していきます。
 4ページが、各県別の助産所の開設状況をグラフにしてあります。東京都、大阪、神奈川など、首都圏の助産所が多く届け出をされています。
 5ページのグラフは、過去10年間の分娩取り扱いの助産所件数を示しています。ピーク時より年々減少し、平成26年では385件となっています。
 6ページの図ですけれども、助産所での分娩までの経緯を示しています。分娩取扱ガイドラインの適用を確認し、助産所見学と、分娩、それから搬送時のことも含め詳細に説明をしています。助産所分娩を希望した場合、嘱託医と連携しながら、3~5回の妊婦健診と必要な検査などを行い、分娩まで経過を診ます。状況により、嘱託医、嘱託医療機関へ転院、搬送などを判断いたします。
 7ページをごらんください。我が国の周産期の現状と問題点を踏まえて、開業助産師の活用について5項目述べたいと思います。
 8ページに示してありますように、周産期医療体制の中での開業助産師の活用についてですが、9ページの1をごらんください。産前産後入院・産後ケア訪問についてですが、ハイリスク産婦、高齢産婦や双胎の増加などにより、病院を退院した後の支援が重要な鍵になります。
 早期からの愛着形成による虐待防止は、専門家である助産師のサポートにより、育児のための心と体の充電の支援が必要です。これは、地域で健康な育児を育むための基盤となります。
 10ページの2ですけれども、24時間電話相談、妊娠SOSは、望まない妊娠や思いがけない妊娠への対応など、子供虐待やDVなどにかかわる電話相談を受け、病院にかかるほどではない、不安に思うなど育児相談を受けています。特に、夜間に不安が高くなるという統計が出ていますけれども、24時間専門家からサポートを受けることで、安心して妊娠・出産・育児を行うことができます。
 11ページの3ですけれども、周産期搬送における搬送コーディネーターとして、周産期医療の実情に詳しい専門的知識を持っている助産師の起用は、緊急度、重症度の判断ができるため、ローリスク分娩施設と基幹病院の連携強化に活用できます。
 搬送コーディネーターとして、助産師活用が既に実施されている県は、東京・埼玉・札幌などが先行しており、スムーズな搬送体制が整っています。
 12ページが、助産師による命の授業や中学生の職業体験などを取り入れるなど、さまざまな場所で性教育授業を実施しています。自己肯定感を育むための「いのちの授業」は、児童の自己肯定感を高める効果があるという研究結果も出ています。また、看護学生や助産師学生の実習場所として、助産所が広く利用されております。
 13ページの5ですけれども、継続ケアの中で正常分娩の取り扱いは、安心して出産ができる周産期システムの徹底など、助産所での分娩を実施するに当たり、妊娠中からの医療連携は不可欠です。また、最近徐々にふえつつあるのが、クリニックや病院附属の助産所の開設形態です。これらの助産所は全て病院やクリニックが経営している助産所です。院内助産所により、助産師の自立した分娩が実施できています。
 14ページですけれども、クリニック附属助産所は、嘱託医療機関が明確であり、緊急時の搬送も速やかであるため、助産所での出産を希望するものの緊急時を不安に思う妊婦や、家族からの安心感が得られやすいというメリットが挙げられます。
 15ページが開業助産所の継続と医療連携の問題点として挙げられるのは、1)として連携医療機関・嘱託医師の確保が困難、個人医師の受け手が減少しています。
 2)として、産婦人科医師の高齢化と個人医院閉院があります。
 3)として、緊急時嘱託医療機関に直接搬送ができない県がまだあります。
 今後の課題としては、助産所から直接緊急搬送に対応できる旨の周知が平成15年と25年に出されていますが、緊急時は嘱託医を通さなくてもよいことを全国に再度周知していく必要があろうかと思います。現在も、嘱託医師を通さなければ緊急搬送できない県もあり、苦慮している現状があります。
 16ページが、助産所分娩の安全性を高めるために医療連携は不可欠です。緊急性のない予定日超過・微弱陣痛・破水後未陣痛などの症例はクリニックに、胎児心拍異常・産後出血など緊急性の高い場合は直接基幹病院に搬送されています。
 女性たちは、産む場所をどこに選んだとしても、その分娩は専門職である助産師たちのケアを受け、温かく安心して産める場所でなければなりません。女性としての人間性を大切にされた経験は、子育てに必ず反映されていきます。全ての女性たちに助産師のケアを提供していきたいと思います。
 17ページの図に示してありますように、周産期医療体制の中で、病診助連携が必要で、緊急時の直接搬送体制の周知をしたいと思います。
 18ページが、周産期ネットワーク・周産期医療協議会への助産所の加入状況を地図でお示ししました。
 19ページが、安全のための日本助産師会の取り組みですけれども、助産業務ガイドラインに基づく取り扱いの徹底と安全管理指針の作成、分娩統計収集システムの導入により、分娩数や搬送数など、ITで管理し、報告する仕組みが行われています。現在、77%くらいが実施されておりまして、紙ベースでの報告も合わせますと、全国で99%以上の報告実績が出ております。
 最後に、20ページのまとめですけれども、地域で活動している開業助産師の活動を政策の中に反映させ、きめ細やかな妊産褥婦への支援を構築していく必要があり、それは子供虐待防止となります。全国の開業助産所1,606件を活用していくことは、つなぎ目をなくし、安心・安全・満足な分娩・育児への一助となっていくと確信し、もう一人産みたくなるような支援は少子化対策になり、全国の開業助産所をフル活用することで実現するものと思います。
 以上で、日本助産師会からの提言を終わります。ありがとうございました。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 それでは、医政局の看護課から御説明をお願いします。
○岩澤看護課長 看護課でございます。
 資料3をごらんください。
 まず最初に、資料最後の19ページをごらんください。「助産師の活用に向けた今後の方向性」、今も取り組んでいることでございますけれども、全ての妊産婦に助産師のケアが届くようにということで、切れ目のないケアの提供、正常妊娠・分娩における助産師の活用、そして就業場所の偏在の是正に取り組んでいるところでございます。
 その背景になった現状等を御説明したいと思いますので、1ページにお戻りください。
 助産師の就業場所別就業者数ですが、就業場所を色で示しております。ごらんのとおり、最も多いのは病院でございますけれども、赤のところ、診療所に勤務する助産師がこの10年間で倍増いたしました。
 次のページは、出生場所別出生数で、病院と診療所ではほぼ同じぐらいの出生がありますが、これを1950年から見たものが3ページになります。
 1950年当時は自宅分娩がとても多く、主に助産師が介助していたわけですけれども、1960年代に施設分娩への移行が進み、現在では病院と診療所でほぼ同数の出生があり、自宅でも1,000人ほど出生がある状況です。
 次のページが、分娩実施件数別病院数になります。分娩を取り扱っている病院が1,075ございますが、2011年9月の調査月では、このような分布になっております。月29件までの分娩取扱機関が全体の39%、そして月59件までの分娩取扱機関を合わせますと、全体の74%が該当いたします。
 そのような病院で勤めている助産師の分布を見たのが5ページでございます。縦に病院数、横に分娩件数、そして右に助産師数をプロットしておりますが、ごらんのとおり分娩件数が多い病院は助産師数が多い病院もある一方で、黄色で囲んでおりますように、助産師がいない病院もございます。
 その数字を示したものが6ページになります。
 次に、7ページが分娩実施件数別診療所でございます。月29件までの分娩を取り扱っている診療所が全体の40%、59件までの分娩を取り扱う診療所を合わせると、全体の約70%でございます。
 そして、次のページが助産師数のプロットですが、分娩件数が多い診療所でも、助産師がいないところがあるという現状でございます。
 それを数字で示したのが次の9ページになります。
 助産師の就業場所別のパーセントですが、10ページをごらんいただきたいと思います。助産師免許を持って働いている人は、2014年で約4万8,000人おりますが、そのうち助産師として就業している方が70%、次に多いのが、助産師免許は持っているが看護師として就業している方であり、約20%いるという状況です。
 助産師として就業している方の年齢構成が11ページになります。
 2004年を赤、2014年を青で示しております。就業者数は全体的に増加していますが、年齢階級別で見ますと、35歳から65歳までの年齢階級においては、2004年に比べると増加率が高くなっております。
 これを就業場所別に見たのが次のページになります。
 一番上のグラフが病院、真ん中が診療所、そして助産所となっております。これは2008年と2014年の年齢階級別就業助産師数を比べたものでございます。例えば、病院の25~29歳、2008年は赤のグラフですので、4,196名が働いておりますが、2014年、年齢階級が動くわけですので、30~34歳の青いグラフを見ていただきますと、3,906人に減っているという状況です。
 このような病院の状況に比べますと、診療所ではそのような増減が多く見られないような状況です。
 13ページは、助産所の定義でございます。
 14ページに、院内助産所・助産師外来をこれまでに推進してきたところでございます。先ほどの福井構成員の発表にもございましたが、多様なニーズに応え、地域で安心・安全・快適なお産を実現するため、病院・診療所の中で助産師を積極的に活用する一つの形態としての助産師外来・院内助産所でございます。
 その数は、15ページにございますように、2011年の医療施設静態調査で見ますと、院内助産所が160カ所、助産師外来が894カ所ございます。
 院内助産所、助産師外来を開設している病院がこれだけありますが、16ページでは、院内助産所・助産師外来の開設状況について、両方とも開設している、助産師外来だけ開設している、あるいはいずれも開設していないということを助産師の数で見ております。
 紫がいずれも開設していないところ、緑が助産師外来を開設しているところ、赤が院内助産所、そして一番下の青が双方開設している病院でございます。助産師の数で見ると、このような状況です。
 一方、分娩件数で見たものが、17ページになります。このような状況でございました。
 院内助産、助産師外来、また助産所の業務、助産所で安心・安全な分娩介助を実現するために、厚生科学研究で「院内助産ガイドライン」や「助産所業務ガイドライン」の見直しを検討していただきました。その成果物を活用し、現在、それぞれの業務を進めていただいております。
 このような現状から、最初に御説明しましたように、切れ目のない助産師のケアの提供や正常分娩での助産師の活用、また特に就業場所の偏在の是正をこれまで以上に進めていかなければならないと思っているところでございます。
 以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 それでは、お三方から御説明いただきましたけれども、それにつきまして、質問あるいは議論をしていただきたいと思います。産科のドクターが減少しているという今の状況の中で、産科医療をこれから行うに当たりまして、産科医と助産師がどのように協力していくべきかについて、主として御意見をいただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 どうぞ。
○海野構成員 今、お話を伺いまして、まず福井構成員がお話しいただきましたアドバンス助産師の養成に関しまして、私ども日本産科婦人科学会で「産婦人科医療改革グランドデザイン2015」というものを作成しております。その中でも、高周産期医療を担う人材をどのように育てていく必要があるか、それに関する議論を行いました。
 その中で、私どもが今、提案しておりますのが、「地域基幹分娩取扱病院」という概念ですけれども、これは周産期センターなども含んで人材が養成できる、あるいは救急医療、高度な医療を提供できるような分娩取扱施設を地域に必ず確保していかなければいけないという考えの中で、これは産婦人科の立場なものですから、婦人科の診療も含めてということになりますけれども、そういうものを確保するということなのですが、このグランドデザインの8ページを見ていただきますと、その地域基幹分娩取扱病院がどういうものかということの中として、「6 実力を持った助産師を育成する体制の整備」ということで、看護協会や助産師会で今取り組んでおられる助産実践能力の養成に関して、その地域の一次施設とともに相互研修等を実施できるような病院をイメージしてそれを整備しようということで、ぜひ一緒にやっていきたいと考えているところでございます。
 実は、申し上げたいことがもう2点ございます。
 1つは、助産所における安全で安心な分娩の管理ということでございます。看護協会、助産師会、看護課も含めて、この件に関して大変努力を続けておられることはよく理解しておりますし、今の御説明にもございました。
 ただ、実を申しますと、私ども北里大学病院の直近の妊産婦死亡症例は、助産所からの搬送例でございました。この助産所の助産師に関しては、ことしの7月29日に業務上過失致死罪で略式起訴されて、罰金の略式命令が出ているということがございます。この助産所の助産師は、以前から問題があって、日本助産師会、あるいは神奈川県の助産師会でも指導を繰り返していただいておりましたけれども、この助産師は助産師会を脱退してしまいまして、それでその状況が把握できない状態で助産業務が行われて、こういう状況になったということでございます。
 こういう事例が今後発生しない、より安全な助産所でのお産をしていただけるような体制をつくるために、特に厚労省でこの件に関していろいろ調査をかけられたことも伺っておりますけれども、どういうふうにお考えなのか、どういう対策なのかというのをこの場で御確認させていただければと考えています。
 あともう一点は、先ほど看護課からの御説明にもございましたように、助産所ではなくて自宅分娩を介助する助産師、出張助産を中心として仕事をしておられる助産師さんもかなりおられるわけですけれども、この方々に関しては、嘱託医、嘱託医療機関を決めるようにはなっていないということですけれども、自宅分娩における安全性を確保することについては、実際には助産所や医療機関のお産に比べてずっと困難を伴う可能性がありますよね。その場合、これはどういう形で今後対応されるのか。今、この助産師さんのケアすら受けずに自宅分娩を試みる方もいろいろなところにおられて、産婦人科側、周産期センター側では問題になっていることもございますので、その辺も含めて、どのような御検討をなされているか、ちょっと確認させていただければと考えております。
○五十嵐座長 そうすると、看護課への質問ということですね。
 いかがでしょうか。
○岩澤看護課長 2点御質問をいただきました。
 1点目は、業務上過失致死に問われた事案についてですが、厚生労働省としては、このような事案が再発しないようにすることがとても重要だと考えております。そこで、このような事案を把握した段階で、全国の助産所が嘱託医師、嘱託医療機関をしっかり確保しているのかを確認し、当時分娩を取り扱う助産所302施設のうち、把握できなかった2施設を除き、300施設では全て都道府県の指導、支援によって嘱託医師、嘱託医療機関が確保されておりました。
 都道府県には、嘱託医師を定めていないなどの法令違反があった場合には、必ず必要な指導をしていただくとともに、都道府県も確保に御尽力いただきたいということで依頼を行っているところでございます。
 一方、出張のみの助産所の場合、分娩を取り扱うことが産婦の自宅なのですが、そのような場合は、嘱託医、嘱託医療機関の確保は義務づけておりません。
 先ほどの資料にもありましたが、医療法ができた当時は、出生のほとんどが自宅分娩という状況でした。直近の平成18年の医療法改正において、助産所は嘱託医師に加えて、嘱託医療機関を確保することが必要になりましたが、出張のみの助産所については、従前どおり嘱託医師も嘱託医療機関も確保という点では、義務をかけていないところでございます。しかし、出張のみの助産所においても、母子の安全を図ることはとても重要でございます。出張のみで業務に従事する助産師の実態が実は十分把握できておりませんので、その実態を踏まえた上で、都道府県や関係団体と連携しながら、安全確保のための方策を検討させていただきたいと思っているところでございます。
○五十嵐座長 御説明ありがとうございました。
 よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、今村先生、どうぞ。
○今村構成員 山本さんから御紹介いただきましたクリニック附属助産所は、幾つかあって、皆さんのところで結構うまくやっておられると。地域偏在、あるいは絶対的な不足、あるいは産科医の高齢化、こういったことを踏まえますと、非常に新しい視点だなと思っております。おおむね敷地あるいは近隣ということなので、すぐ目の届く場所でこういうことをやられているというのは、今から進むべき方向を示しているのではないかなと思って、こういうことがうまくいっているということであれば、幾つかそのところを実際に見学させていただいて、なるほどということであれば、日本医師会としてもこういうやり方があるよということで進めていくこともやっていいのかなと思いました。
 また、院内助産だとか助産師外来というのも、それぞれの病院、あるいは助産所で工夫しながらやっておられるということで、これもやはり進めるべきやり方だなと思って聞いておりました。それぞれ工夫されているのだなという印象でございました。
 以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○岡井構成員 私はずっと大学及び病院で勤務してきましたので、助産師さんと医師とは常に協働して、一緒に分娩をケアし管理してきた。だから、独立して考えることはできないぐらいいつも一緒なのですよね。一方で助産師さんがお産する、一方で医師がお産する、そういう考え方ではなくて、お互いに役割を分担しながら一緒に診ていくというのが本来の姿だと私の脳みそにはしみついています。
 それでも院内助産は必要で、それについて私が今勤めている愛育病院でのやり方を述べます。患者さんにとっては助産師さんにずっとついていてほしいし、できれば最後まで医師が関与しないで、助産師さんが最後の出産の瞬間、それからその後の新生児のケアもやって、済ませてほしいと希望する人もいらっしゃる。それにはナチュラルバースコースというコースを設けて病院では対応しているわけです。それは、こういう状況になったら医師を呼びましょうという約束事をきちんとつくって、そうでないときは最後まで私たちは何も言わない。患者さんに「おめでとうございました」と言う。そういうやり方もあります。それはいわゆる院内助産の一つのタイプだと思いますが、もう一つ今、今村先生が言われたようなクリニックにくっついているのは、これは同じ思想なのですけれども、経営的な面から見ると、独立しているという形になるのですかね。院内助産だと、そこで助産師さんをやっていても、病院の従業員の一人だから給料をもらっているという格好で、病院の中の経営体制に入る。クリニックにくっついている院内助産所は、そこでたくさんの患者さんを診て、たくさん働ければ収入がいいとか、クリニックとは別経営でやっている、そこは違うのであって、いずれにしても、お産というのは医師と助産師が両方いないといけないのだと思うのですね。
 1つだけ最後に言いたいのは、私は今、母体死亡の原因を医会で少し調べていますし、それから脳性麻痺になっている事例の原因分析もやっていますが、やはりもうちょっと早く帝王切開できたらなというのは一部あるのですね。お産というのはどんなにローリスクといっても、ノーリスクではありませんから、突然胎児の状態が悪くなってということはあるパーセントで必ず起こります。それに対応するためには、すぐ近くで帝王切開できるということは必須ではないかと、私は個人的には思います。それを担保してあげないと、何だかんだ言っても患者さんに対して不十分な対応になるのではないかと思いますので、近くにクリニックとくっついているのもいいですし、院内でやるのもいいですし、そういう形を目指すべきだと個人的には思っています。
○五十嵐座長 御指摘ありがとうございます。
 ほかにいかがですか。
 田村先生、どうぞ。
○田村構成員 小児科の立場から言いますと、福井構成員が問題視された産科混合病棟の問題でございます。8ページで、MRSAの感染率が高いということを指摘されておられました。これは新生児成育医学会でも問題になっておりまして、産科の混合病棟で産まれた赤ちゃんの場合は、赤ちゃんのMRSA感染などの保菌率が非常に高いという報告があります。
 あともう一つ、私は別の観点から同じ混合病棟の問題を取り上げさせていただくと、福井構成員の資料の26ページに、混合病棟の割合で一番多いのが婦人科と小児科になっております。婦人科というのはある意味わからないでもないのですが、小児科というのは、私自身、以前、青梅市立総合病院というかなり大きな病院で小児科が産科と混合病棟になっていて、逆に小児科医の立場からしますと、小児科はやはり細菌やウイルス感染症が多いです。例えば手足口病は、この夏も大分流行しましたが、手足口病に関しては今のところ全く予防接種がありません。手足口病に罹患した患者さんは、手足口病そのものが表面上治っても、1カ月くらいウイルスを排出し続けることがわかっていまして、そういった子供を小児科に入院させるときに、同じ病棟の中に産科病室があって、そこに母子同室で赤ちゃんがいたりすると、そういう赤ちゃんが新生児期に手足口病のウイルスに感染すると、まれですけれども、髄膜炎とか脳炎などの怖い病気を起こすリスクがあるので、小児科の立場から言いましても、産科との混合病棟だと、そういう感染症の患者さんは、なかなか同じ病棟に入れられなくてということで、非常に苦労したことがあります。この産科の混合病棟の問題に関しては、厚労省の地域医療政策として、もちろん経営上の問題で混合病棟を全部やめろということは無理だと思いますけれども、少なくともそのときにどういう科と一緒に混合病棟にするところまでは認めるのかとか、混合病棟化したときには、少なくともそこで産まれた赤ちゃんの感染をどのようにして防止するのかという体制をきちんと指導していただきたいと思います。
○五十嵐座長 御指摘、大変重要な点だと思います。組むべき相手を考えて、混合病棟をつくっていただきたいと。
 はい、どうぞ。
○今村構成員 先ほど岡井先生が言われた医療安全の問題は、やはり最優先に考えるべき課題なのですね。そういった意味で、先ほど申し上げた近隣での助産院の開設は極めて重要と。嘱託医がいるからといって大丈夫という性質のものではないですよね。やはり何分を争ってやらなければいけないことは大いにあるわけで、そういった意味で、経営上の問題は当然ありましょうけれども、もう一つ医療安全の問題も同じように考えたときに、やはり近接したところでの助産院の開設というのは非常に重要な視点ではないかなと思っております。このクリニック附属、経営はどうなっているか知りませんけれども、そこの医療安全の視点はやはり絶対に忘れてはいけないところだろうと思っております。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○山本構成員 助産師会の山本です。
 まず、海野先生の御指摘がありました自宅出産に関してなのですけれども、全国で2,000例ほどが報告されておりますけれども、この自宅出産の2,000例というのは、全て開業助産師が取り扱った分娩数ではありません。実は、病院でお産しようかと思っていたけれども、分娩経過が早くて自宅で産まれたケースとか、あるいは高校生などが無介助のまま産まれたケース、それから、そういう希望や志向のあるカップルによる自宅での症例等々が含まれております。
 この自宅出産を希望する方々はゼロにはならないわけでして、一定数おりますから、その希望する方々に対して、無介助での分娩を放置するわけにはいかないという視点に立っております。希望があった方に関しては、助産師と医療施設との双方の妊婦健診により、安全に分娩が遂行できるような支援が必要かと思っております。
 自宅出産を希望する方々は、助産師の妊婦健診を受けておりまして、重症症例に移行することがほとんどございません。これは、妊産婦自身の体をつくっていく頑張りと、それから助産師の細やかな観察というものが合わさっているのではないかと思いますので、自宅出産を推奨するという方向性ではありませんけれども、一定数こういう方々がいらっしゃることに関しては、放置するわけにはいかないという観点に立っております。
 もう一点ですけれども、院内助産が病院の中で進んでおります。私は、昭和50年代ごろから病院で勤務していましたけれども、その当時は、全例にドクターが立ち会うということではなくて、中小の病院では分娩を助産師だけで取り扱っておりました。そして、何か問題がある場合、出血が多いとか、傷が大きいとか、なかなかお産が進まないとか、そういう症例が生じますと、産科の先生が分娩室にやって来まして、いろいろな処置を行うという経緯がありました。
 ですから、院内助産をするというのは特別なことではなくて、今ある状況の中で、場所を別にすることではなくて、お産が順調に進むケースに関しては助産師が取り扱う、問題があるケースはドクターが登場するといった同じ場所でのすみ分けというものができるのではないかと思います。
 ともすると、院内助産はベテランの助産師が対応するということがありますけれども、本来ハイリスクにこそ助産師の手厚いケアとか知識というものが投入されなければいけないので、ぜひとも院内助産というのは、同じ病院の中で進める方向で考えていただければ、進んでいくのではないかと思います。
 以上です。
○五十嵐座長 どうぞ。
○海野構成員 今の山本先生の御発言ですけれども、先ほど福井先生が、看護協会がこのアドバンス助産師を養成するに当たっての考え方をお示しになられたと思うのですけれども、少し矛盾するような気がするのですが、違いますか。そこがちょっと気になったのですけれども。
○福井構成員 具体的にはどういった。
○海野構成員 要は、院内助産の病院内で実施するときの助産師の能力に関して、山本さんは必ずしもベテランである必要はないという発言を今されたのですけれども、それはよろしいのですかということです。
○福井構成員 ありがとうございます。
 山本構成員がおっしゃられたのは、昭和55年当時のことをイメージして現在のことをおっしゃられたのではないかと私自身は理解いたしました。ベテランと申しますか、アドバンス助産師レベルの助産師でないと院内助産所で自立した助産ケアの実践は難しいのではないかと思っています。山本構成員がおっしゃられたのは、そういう意味でのベテランではなくて、もちろん院内助産を担当する助産師には、十分な助産実践能力が必要になりますが、それ以上にハイリスクな妊産褥婦のケアにも、同等もしくはそれ以上の助産実践能力が必要ですよという話ではないかと思って聞いておりましたので、矛盾ではないと思いました。
○海野構成員 要するに、現代の医療水準の中での分娩管理というのが、昭和50年代と同じやり方ではできないということでよろしいのですよね。
○福井構成員 はい、そうだと思います。
○山本構成員 福井構成員の発言した内容と矛盾していることで申し上げたのではなくて、経験が必要ないということではないわけですね。病院内には経験のない1年目、2年目、3年目の助産師たちもたくさんいるわけですから、その中で助産師が鍛えられていく必要はあろうかと思います。昭和50年代の医療をここに持ってくるという話をしているわけではなくて、当時、私が勤務していたころ、同じ病棟の中できちんと院内助産師のような役割ができていたということを申し上げたことでございます。
○五十嵐座長 よろしいですか。
 どうぞ。
○鶴田構成員 数点、質問と意見を述べたいと思います。資料1の6ページの名古屋第一赤十字病院バースセンターの例のところの担当者の4番目に「医師立会いのもと会陰裂傷縫合を5例実施」と書いてありますけれども、今の法律では会陰切開と会陰縫合は医師の立会いを要するのですか。
 院内の助産師さんで、もし会陰切開をやらないといけないときは、ちょっと切開することはある程度の教育をすれば可能かなと思うし、例えば、縫合にしても、3度裂傷は別にして、1~2度裂傷ぐらいの縫合は可能であるし、そうすることよって、いちいち医師が呼ばれなくて済むという医師の負担の軽減効果もあると思うのですが、会陰切開と会陰縫合については法律では今どうなっているのでしょうか。
○岩澤看護課長 会陰切開と会陰縫合については、明確に医師の指示のもとでの診療の補助あるいは助産の一部ということを示しておりません。しかし、現実的にそのような状況がございますので、その際は速やかな対応が必要ということもあり、助産師の基礎教育の中には、演習で縫合の理解等を含んでおりますし、実際に研究の場、あるいは現場の中で十分修練を積んでいただいて、実施していただいているという現状にございます。
○鶴田構成員 看護師さんの特定行為に係る研修制度が推進される中で、会陰切開も今後検討されたらどうかなという気がします。
 資料2の13ページ、先ほどクリニックとか病院併設の助産所の話がありました。ある病院の医師から聞いたところでは、病院があって、そこに助産所を置くと、先ほどの会陰切開や会陰縫合の際に助産師さんの活動が制限される部分があるし、診療所を置くと、そこに管理者の医師を1人置かないといけない。診療所に医師が常にいないといけないので効率的ではないという意見を聞いたので、近接した病院と助産所の関係は、今の規制とは違う形になれば、もっとスムーズに行くかもしれない点があるかなと、その話を聞いたときに思いました。
 夜間救急で、一次、二次の救急施設が大きな大学病院の近くにあるところがあります。そういうところは、一次、二次救急の患者さんが来たときに、中には三次救急の患者さんも来ますので、病院に近接していればすぐに転送できるから、開業の先生も安心してそこで診療できるという利点があります。そういう観点から、大きな病院の道を一つ隔てて同系列のクリニックがあり、そこでは助産師さんが主に分娩を取り扱い、1人の医師を置いてクリニック扱いをしている診療所がありますが、そういう関係にあるところで、もし何らかの規制があることによってうまく分娩の取扱いが進んでいないことがあるのであれば、そこは少し考えてもいいのかなと思います。ある特定の病院なのかもしれませんけれども、こういう形態のところにおいては、場所、場所によってちょっと違うとは思いますけれども、もう少し規制を緩和すれば、よりスムーズに分娩を取り扱えるようになる施設があると思っています。
 もう一点は、資料1の14ページ、今、母乳の指導とか、虐待の対応とかいろいろな観点から幅広く助産師さんたちが活動されるというのは望ましいことだと思いますが、ここに周産期コーディネーターと書いてありますので、もっと表現を変えられて、周産期だけではないコーディネーター機能を考えられたほうが、より助産師さんの活用につながるのかなと思います。
 最後ですが、資料3に助産師さんたちが90名以上いるところがありますけれども、そういう病院というのは全部産婦人科に勤務しているのでしょうか。それとも看護師確保が難しいから助産師さんを確保しているのが実態なのでしょうか。16ページに、70~80人いるというところの実態は如何ですか?
 又、助産師さんが一人もいないところは、医師の数が多いということはないのでしょうか。個別のことはちょっとわかりにくいかもしれませんけれども。
○五十嵐座長 いかがですか。
○岩澤看護課長 私どもの持ち合わせているデータは、一つの病院から医療施設調査の中で、分娩数と助産師数、医師数を出していただいているのですけれども、実は集計のところで個別データを持ち合わせていないので、分娩件数別助産師数と分娩件数別医師数は出るのですけれども、医師と助産師を合わせて一つの病院で考えたときのデータセットができなくて、そこまでは分析できない状況にございます。
 それで、助産師数が多いところは分娩件数が多いところでございまして、看護師が確保できないから助産師というのではなくて、分娩、周産期ケアを助産師がハイリスクも含めて、多くは総合周産期のようなところ、あるいは分娩件数がとても多いところで多く助産師が雇用されているかと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○今村構成員 今、鶴田構成員から発言があったのですけれども、会陰切開と会陰縫合の問題ですけれども、これは医師の独占業務ということで、助産師がどうのこうのということではなかろうと思っております。
 それから、規制があるためにあるべき方向に向かないのではないかという御発言もありましたけれども、この医療関係における規制は、あくまでも患者さんの安全というものを基盤にして考えられている規制ということで、これを緩和するということにはそれだけのリスクが伴うわけで、通常の産業界における規制とは明らかに考え方を異にすることなので、あるべき規制というのはしっかり守っていかなければならないと思っております。
○鶴田構成員 安易な安全に対する規制緩和というのは好ましくない、それは当然のことだと思います。ただ、必ずしも出来ないと言うのではなく、教育をすればできる部分もあるのであれば、それは緩和しても良いのかなと思います。緩和できる部分は絶対ないというのではなく、今回の特定行為等を含めて、緩和出来る部分はあり得ると思います。
 診療所で多くは助産師が分娩を取扱っているのに、管理者のドクターは必ず1人いないといけないのか、病院の方に医師がいてすぐ来られる体制であればいいのか、非常に難しいのですけれども、議論してもいいのかなと思います。規制緩和すべきという意味での発言ではないのですが、先生がおっしゃるように、医療に対する安全は当然最優先されるもので、その範囲の中での発言と御理解いただければと思います。
○今村構成員 わかりました。ややもすれば、規制緩和というのがあたかもいいことのように取り扱われることが多いものですから、一応申し上げました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○田村構成員 資料2の11ページで、助産師さんの活用法の一つとして、搬送コーディネーターの例が出ております。そこに埼玉県の事例も出していただいていますが、我々埼玉県は周産期医療がかなり逼迫した状況の中で、助産師さんが搬送コーディネーターをやっていてだいて、これは非常に有効に働いています。
 もともとは、埼玉県は余りお金がないものですから、初めは通常の救急調整の人を担当にしようとしたのですけれども、東京の搬送コーディネーターシステムを立ち上げた方からのアドバイスで、それではきちんと回らないと言われて、埼玉県としてはかなり無理をして助産師さんに24時間体制で搬送コーディネーターシステムをやっていただいて、でもそれだけの価値は十分あって、今、東京都の搬送コーディネーターと協力関係が非常にうまくいっています。
 ただ、これを全国に展開しようと思うと、先ほど言いました既存の救急システムを活用して、その中にただ赤ちゃんや母体の搬送コーディネーターもさせればいいではないかというところのほうが、恐らく自治体としてはお金が安上がりに済みますから、それで済ませようというところがほとんどではないかと思います。これを全国に普及させるためには、厚労省からも積極的な御指導、場合によっては補助金ということも御検討いただければいいのではないかなと思いますので、よろしくお願いします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 まだ議論があるかもしれませんけれども、本日時間の関係もありますので、ここで資料1、2、3の議論は終了したいと思います。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。
 資料4の説明を阿真構成員、よろしくお願いします。
○阿真構成員 知ろう小児医療守ろう子ども達の会の阿真でございます。
 前回のこちらの周産期の検討会で、産婦人科の先生方の過酷な勤務のお話ですとか、女医さんが非常に多いことですとか、そういったお話がありまして、私たちは毎月親御さんですとか妊婦さんをたくさん集めて、直接お話しする機会を多く持っておるので、都内の方々でしたら、多くの方の意見を聞いてはいるのですけれども、分娩施設に限りがあったりですとか、そういった地域の方々の声も聞き入れて今、どのように親御さんとか妊婦さんが思っているかということを反映したいと思いまして、アンケートをとりました。
 アンケートについては、一般の方の問題意識や希望調査をしました。全国の方にインターネットを通じて選択回答方式でお願いをしました。スマホからでも回答ができますので、たくさんの方に回答をいただきまして、1週間弱で387集まりました。意識が高い人ばかりかというとそういうことではなくて、このアンケートを機に初めて周産期の現状を知ったという声が多数届いております。
 最初に申し上げたとおり、分娩施設が限られているかとか、限られていないかということによって回答が異なるかどうかということについては、最後の9ページと10ページになるのですけれども、これはアンケート全てにおいて差異がないという回答が出ていますので、今回は一つにまとめて御説明いたします。
 4ページをお願いします。回答数は387件でした。分娩施設がほぼ選べない方が83名、分娩施設はたくさんある方が88名、選択が一応できる方が216名回答をいただきました。
 アンケートの内容ですけれども、5ページです。「地域によって分娩の数が減り、分娩場所が遠くなってしまうのは、分娩の安全性を維持するために必要なことだと思いますか?」という回答には、31%の方だけが「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えていただきました。つまり7割近くが「仕方がないとは思えない」という回答でした。地域における分娩のニーズはもちろんありますし、またこの設問だけが仕方がないとは思えない方が多数だったという回答でした。
 それから「自分の移動1時間圏内に分娩できる施設がなくなり、分娩施設までのアクセスが悪い場合、出産が近づいたら、病院の宿泊施設などで待機することは仕方がないことだと思いますか?」という回答には66%が「仕方がない」ということで、ある程度許容されるという回答でした。
 おめくりいただきまして、「【4】へき地のように分娩施設まで遠い妊婦は、健診の交通費や宿泊費は補助されるべきだと思いますか?」という質問には、92%の方が「とてもそう思う」「ややそう思う」ということで、補助してほしいというアクセスに対する支援を望む声が多く出ていました。
 それから「その費用はどこから出るべきだと思いますか?」という質問には、国が負担、国と市町村が負担、市町村が負担を合わせて90%以上の回答がありましたので、国や自治体のアクセス支援を希望する声が多いということです。
 7ページの「【6】地域によっては『あなたはローリスク妊婦なので、開業産婦人科医院で健診や出産をお願いします。もちろん何かあれば連携している大きな病院に搬送されます。』というように、最初から大きな病院を選べなくなるかもしれません。それは仕方がないことだと思いますか」という回答にも、63%の方がほぼ仕方がないと思えるということで、リスクによる分娩施設の制限はある程度許容されるという回答が出ていました。
 自由記載が別にあるのですけれども、搬送時の体制整備をきちんと強化してほしいという声は出ていました。
 8ページの【7】ですけれども、助産所には、開業助産所と院内助産所があります。「もし、『分娩は助産所で』となった場合、『近くの開業助産所』と『行くのに1時間かかる院内助産所』のどちらを選びますか」という回答には、59%と41%で、59%が院内助産所という回答でした。
 ケアや訪問、健診を希望するという声もあったのですけれども、参考資料5にいきます。これは、自由記載の内容が含まれているのですけれども、自由記載にありました質問で「この問題に関することでしたら、どんな質問もどうぞ」という自由記入欄を入れたのですけれども、その中で125件自由に記入していただきました。
 その中で、先ほどの助産師さんの近くの開業助産所を望む、1時間かかる院内助産所を望むという答えに関して、開業助産師さんの安全性が疑問であるという声が11件ありました。これらの回答の中で、搬送の問題だけではなくて、日ごろのケアが科学的に正しいのか医療的に正しいのかということが非常に疑問であるという声が11件というのは、かなり多いほうではないかなと思いました。
 それから、この自由記入欄の中で、設問全体に関するアンケートで書いていただいた中で一番多かったのは「産科医をふやす政策をとってほしい」ということで14件ありました。
 自由記入欄の内訳の数についてはデータに出ていなくて、資料が間に合わなかったのですけれども、親御さん、妊婦さんに対して啓発や教育をもっとしてほしいということは12件でした。また、上の子のことを配慮してほしいという声も13件ありました。
 私たちも啓発や教育をかなり積極的にやっているわけなのですけれども、前回の検討会でも申し上げましたが、お産をする前には必ず両親学級、母親学級というものがあって、必ず妊婦さんは1カ所に集められる機会がありますので、そのときに行政の方が何をこの場所で伝えるかということはとても大事ではないかと改めて思いました。
 それからもう一つ、戻るのですけれども、分娩施設に関するアンケートで、「【3】もし自分の移動1時間圏内に分娩できる施設がなくなり、アクセスが悪い場合、待機することは仕方がないことだと思いますか?」の設問に、「ほかのアイデアがありますか?」と同時に聞いたのですけれども、その設問に関しては、産前入院や産後入院をさせてほしい、またそれを補助してほしいという声が20件ありました。これは非常に大きい数でした。病院附属の施設、病院連携の宿泊施設のようなところにすれば、こちらに入ることが非常に望ましいという声があって、とても切実な声でした。ほかのアイデアについては、計画分娩が5、助産師さんが自宅に来てほしいという声が5ありました。
 アンケートの結果が、最後に自由記入欄も参考資料にはかなり載っていますので、またお時間があるときにぜひ親御さんたちからの声を聞いてほしいと思います。
 現状、既に周産期を取り巻く環境が悪化しているということを肌で感じている親御さんはとても多くて、また、これからどんどん悪化してしまうのではないかということで、不安の声が多く届きました。
 また、期待しているという声、こうして一生懸命考えてくださっているということをありがたいという声もとても多くありました。やはり少子化対策ということはすごく叫ばれているのですけれども、安心・安全なお産ができるということが私たちにとっては子供を産んでいいと思えるような環境になると思っています。産前産後の環境が整っている、お産や産前だけでなくて産後の環境も整っているということが、私たちにとっては一番安心してお産ができるということにつながるのではないかと思います。
 結果は以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 では、何か御質問、御意見はございますか。
 どうぞ。
○山本構成員 阿真構成員から今、報告がありましたように、離島へき地からの滞在についてですけれども、現在国内各県で離島やへき地からの受け入れをしているところがありまして、例えば鹿児島県も離島が大変多うございまして、鹿児島県助産師会が鹿児島県から補助を受けて、助産所に産前産後滞在するというシステムがあります。助産所でお産をするということではなくて、滞在した後、近隣の医療施設で分娩をするということで、分娩をした後、また助産所に産後入院するというシステムです。もちろん助産所を希望される人もいますので、その方法で、県からの補助を受けながら、安心して安全な分娩を行えるということは大変いい方法ではないかと思います。
 ともすれば、ウイークリーマンションやマンスリーマンションに妊婦さんが孤立した状態で、食事も簡単な食事で、栄養状態のバランスもとれていない、肥満妊婦になったりという報告もありまして、食生活も含め、生活指導を受けながら、助産所でいろいろなクラスに出て妊婦生活を送り、そして分娩をするという方法は大変いいと思います。東京都なども受け入れを行っておりますし、各県の助産師会の助産院では、それらの産前産後ケアの入院を行っておりますので、ぜひ今後ますます拡大して活用されることを希望します。
○五十嵐座長 どうぞ。
○阿真構成員 ちょっと質問なのですけれども、鹿児島県は県から補助が出ているということなのですけれども、お産は産婦人科でしたとしても、産前産後を助産院で見ていただけるというのは、私たちにとってはとても安心だと思うのですが、実際に私の周りでも多くの人が孤立して子育てをしていて、助産院で少しお世話になりたいとなったときにも、1泊3万円ぐらいが大体平均かなと思うのですけれども、世田谷には産後支援センターなど、区民が使えるものもありますけれども、鹿児島県の場合は1泊どのぐらいで私たちが利用できる仕組みになっていますでしょうか。
○山本構成員 今、正確なデータは私はわかりませんけれども、鹿児島県助産師会のホームページをごらんいただければ、鹿児島県附属の助産所がありますので、そこで行っております。例えば、私は横浜ですけれども、横浜も産前産後ケア事業が始まりまして、1日3万円なのですが、御本人は1割負担ということでございます。ただ、これは虐待防止予算からの予算組みですので、希望したからといって誰でもが入所できるということではなくて、かなり審査が厳しくて、書類と面接で決定されます。助産所はお部屋を貸すというだけであって、助産所の助産師に産後ケアの入所決定権は全くございません。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○峯構成員 峯でございますけれども、小児科医の立場からちょっとお伺いします。
 妊娠したということがわかった場合に、自分の分娩する場所を決めるための情報は、お母様方はどこからまずもらっているか、そういう情報はありますか。
○阿真構成員 事務局はあるかもしれませんけれども、統計的に私の手元にはないですけれども、私たちがどうしているかというと、やはり近くの方々に聞いて、それぞれに特徴が分かれていますので、それらを聞いて判断をしたりとか、それから今はインターネットから情報をとるという方はすごく多いと思います。
○峯構成員 例えば正確な情報がそこで伝わってくださればいいのですが、地域によって随分事情が違うと思いますので、それらの状況を、例えば妊娠したということで母子手帳を含めた、届けたときにその地域のお産の事情、あるいは助産婦さんの事情、あるいは病院の事情、そういうものを何らかの形で行政からそういう方に提供するような状況は今、行われていますか。
○阿真構成員 母子手帳をいただくときには、もう既に決まっているので。
○五十嵐座長 何か発言ありますか。
○岩澤看護課長 大丈夫です。
○五十嵐座長 どうぞ。
○岡井構成員 非常に意味のある統計をとっていただいたのですけれども、対象とされた女性、ここに書いてある全国の妊娠中もしくは就学児、未就学児を持つ女性は物すごくたくさんいるけれども、387件というのはどういうふうに出てきたのか、どういう対象なのかというのがわからないと、このデータをどこまで大事に考えるかというのが違ってくると思います。
○阿真構成員 幅広く声を聞きたいということで、今、私たちが例えば講座を行ったりするときに、紙で何か依頼するということは一切していません。ほとんどの情報は全てSMSですとか、それからネット上で情報を発信しているのですけれども、産婦人科の先生だったり、いろいろな小児科の先生ですとか、たくさんの方々の協力を得て、さまざまな地域のお母さんたちやお父さんたちに回答をいただいたということで、直接私たちが知っている人だということではないです。
 この中には、私たちの会の会員ですとか、それから柏原の小児科を守る会の会員ですとか、秋田の小児医療を守る会の会員ですとか、何人かは小児医療とか産科医療に詳しい親御さんもいますけれども、それを全部合わせても20もいないぐらいで、あとの方々はほとんどは一般の方です。
○岡井構成員 一般の方だけれども、こういうことをやっていることを知るのはインターネットで見ているということですか。
○阿真構成員 はい。
○岡井構成員 だから、見なければ全く答えようもないわけですよね。
○阿真構成員 はい、見なければ答えようもないです。
○岡井構成員 もともとこういうことに興味がある、関心を持っている人ですね。
○阿真構成員 必ずしもそうではなくて、ツイッターもフェイスブックもインターネットに関して全く何もしていないという方はたどり着けないと思いますけれども、そういったところに登録している方でしたら、さまざまなところから情報が流れてくる場所ですので、それが必ずしも意識が高い方とか、必ずしも非常に熱心な方が回答しているということではなくて、いろいろな方が情報をシェアしてくださっていて、そこを見ていた方はたまたま回答するといった仕組みです。
○岡井構成員 どれぐらい妊娠している人が今いるかというと、相当の数がいるわけで。
○阿真構成員 6日間だけですので、これはずっと1カ月、2カ月、3カ月ととっていたら、もちろんもっとふえたことだと思います。私が期限を切ってしまった、日にちも切って回答していただいていますので。
○岡井構成員 ちょっとうるさくてごめんなさい。387件のうち、分娩施設が少ない地域の人と多い人とで余り有意差がないというのが最後の10ページに出ていますが、これは傾向があるのですよね。これは、数さえふやせばきっと有意差は出ると思いますよと言いたかったというか、自分の住んでいる地域とか、お金が十分ある人とか、そういう支援をしてもらわなければ困る人とかによって、この辺の回答は相当違ってくることが考えられるので、どういう対象かというのはしっかりつかんだ上で統計をとっていったほうがいいかな、そんな感じがしました。
○阿真構成員 はい、ありがとうございます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 大分時間も押しておりますので、議論はこれで終了したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、資料5を海野構成員、それから資料6を地域医療計画課から続けて御説明いただきたいと思います。
 お願いします。
○海野構成員 北里大学の海野でございます。
 今、阿真構成員からのアンケート結果にもございましたように、地域の分娩環境の確保に関するニーズは大きなものがあるというのは間違いないところだと思います。その上で、これからその観点で産婦人科医の立場から少し報告させていただいて、少し提案をさせていただければと思います。
 資料5の最初のページをめくっていただいて、全体として産婦人科医の現状、それから分娩施設の現状、周産期医療における医療圏の考え方についてまずお話しして、それに基づいて、今後周産期医療システムを都道府県で検討していただく中で、こういうことを御検討いただくといいのではないかということを話したいと思います。
 めくっていただきまして、産婦人科医の性別年齢別の現在の分布でございます。新しく産婦人科医になる中で、男性医師が減少して女性医師が増加している傾向が大きく見てとれると思いますし、若い世代のほうが産婦人科医の数が少しふえているように見えていると思います。ただ、よく見ますと、これは去年のデータですから、今33歳ぐらいの産婦人科医が一番多いということです。
 次のページが年度ごとの産婦人科医で、これは新しく産婦人科医になって、産婦人科学会に入会しないと現状では専門医研修を始められませんので、これは産婦人科医になった人たちが毎年こういう人たちだということです。これでごらんいただきますと、初期研修医制度が導入されました後、2010年まではふえていったということになります。2010年以降、最近の5年間はだんだん減少してきてしまったということで、これは全体の数に反映されるまでは少し時間がかかりますけれども、今我々産婦人科医としては非常に危機感を抱いている状況になります。現状では、2002年、2003年のレベルまで戻ってきてしまっているという状況です。
 次のページは、現状で産婦人科医がどの施設で勤務しているかということを年齢別性別に見たもので、少しビジーなものなのですけれども、全体として見ていただきたいのは、オレンジ色の「診療所女性」というところがありますが、そこから下の部分が分娩取扱施設に勤務する医師だということになります。
 さらに見ていただきますと、もう少し下の「地域女性」というところがあります。この「地域女性」から下が地域周産期及び総合周産期母子医療センターで勤務している医師ということで、これを次のページで男性と女性に分けてお示ししています。
 一つ申し上げたいのは、現状で総合周産期センター、地域周産期センターに特に40歳以下の若い世代の産婦人科医が非常に多く勤務して、周産期センターの現場を支えている状況があるということが1点。
 それから、男性・女性に分かれているほうで見ていただくとわかりやすいと思うのですが、この診療所が分娩を取り扱っている診療所に勤務している産婦人科医です。そうしますと、現状では女性医師は年齢層が高いところは余り多くないこともあって、そんなに実数はないわけですけれども、50~60歳代前半にかけての男性医師が主として分娩取扱診療所を支えている層であるということが御理解いただけると思います。
 今後これだけの数、例えば50歳代、60歳代で分娩を取り扱っている男性医師の数は、次の世代にはもういないのですね。今はもうそれだけの数、男性は産婦人科医になっていませんので、ですから、今後の世代の移行が進んでいった場合、多くなってくれている女性医師がどの施設で分娩取り扱いをしていくかということが、分娩取り扱いの産婦人科医の絶対数を確保する上で重要だということが、これで御理解いただけると思います。
 めくっていただきまして、都道府県別の新規産婦人科医を人口十万対で最近6年間に新しく産婦人科医になったドクターが、この都道府県別で人口比にするとどういう分布になっているかということを示しております。これは、ごらんいただくとわかるように、物すごく地域差がありまして、東京は結構多いですけれども、一番少ないのは茨城、この赤字にしているのは特に意味はありませんが、特に少ない県というところでございます。
 先ほどお示ししましたように、産婦人科医に若い世代がかなりなってくれているのですけれども、分布はこういうふうになっているということで、私ども年間500名を目標にしていたのですけれども、そこまで到達できているところは非常に限定されているということが御理解いただけると思います。
 まとめますと、世代別男女構成は大きな変化がありますので、これを前提として今後それぞれの地域での産婦人科医の確保を考えていただく必要があるということと、いずれにしても、新規専攻医が減っていますので、これはちょっと何とかしないといけないということになると思います。
 それで、分娩施設に関して、実際に現状で勤務している場所が違っているところがございますので、今後の計画を立てる上では、その辺も考慮した上で誘導が必要になるだろうということになります。あと、地域差がありますので、それぞれの地域ごとに御検討いただく必要がある。
 めくっていただきまして、分娩施設数の年次推移について、厚労省で前回の検討会でもお示しいただいているものです。
 めくっていただきまして、これが病院と診療所、助産所で実際の出生数はどういう分布になっているかということで、先ほどもお話がありましたように、病院と診療所が今、54対48とかいう割合になっているということです。
 これをもう少し詳しく見たものが次のページの「分娩施設の診療実績」という表でございます。総合周産期、地域周産期、一般病院、診療所、それから分娩を取り扱っていない産婦人科施設がどのぐらいあって、どういう診療を行っているかということの概数です。
 ごらんいただくと、分娩数としては、総合周産期で8%、地域周産期で16%、一般病院で29%、診療所で49%の分娩が行われているということになります。
 それで、リスク分布がどうなっているかというのは、帝王切開率を見ていただくとおおむねわかりますけれども、やはりハイリスクの部分が周産期センターで管理されているのだろうということになります。ただ、帝王切開の実数は、診療所が6万7,000件で一番多いのですね。率は低いのですけれども、取り扱っている分娩数が多いので、これだけの数を実際には診療所でやっておられるということになります。
 助産師さんの数の分布に関しては、先ほどお話がございましたように、診療所でもかなりふえてきましたけれども、明らかに分娩数との割合から言えば、病院側と診療所側との間でのミスマッチがあるということは明確であろうと思います。
 次のページが、これを都道府県別で病院と診療所、助産所も含めて、どれだけの分娩を取り扱っているかという割合を示したものです。これは、都道府県によって、地域によって病院がお産を多く取り扱っている地域と、診療所が多く取り扱っている地域が明確にあるのだという、それは地域それぞれ特性でこうなっているということです。大ざっぱに言いますと、九州あるいは中部地方や北関東とかでは、比較的診療所の分娩取り扱いが多いということがわかると思いますけれども、それもなかなか一般論で言えるわけではないです。それぞれの地域の今までの歴史上こういうことになってきているということだと思います。
 今後の地域分娩環境を確保するということは、この現状からスタートして、これからどう推移していくのか。産婦人科医の状況がああいう年齢層の分布の状況で、どう考えていくかということを検討しなければならないということになります。
 次のページで、分娩施設の現状についてのまとめですが、一般論としては、診療所分娩の比率が高い地域は、地域分娩環境の確保という観点では、診療所が担っている役割が大きいということになります。ここは、ほとんど全部民間の開業医さんだというところがあります。そういうところが、周産期に関しては、病院側は高次医療のほうに特化しているかもしれない。
 また一方で、病院分娩の比率が高い地域は、またちょっと意味合いが違っているだろう。病院側が、むしろ一次医療分娩施設としての役割も果たしているということで、その検討していただく中では、現状の施設間分布も含めて御検討いただく必要があるということになります。
 次のページから医療圏のお話をしたいのですが、これをお示ししたのは、神奈川県が今11の二次保健医療圏で分かれて、それでさまざまな施策が行われているということです。
 めくっていただきますと、周産期に関しては、神奈川県は周産期救急医療システムで動いておりまして、6ブロックに分けてそれぞれ基幹病院、中核病院、協力病院で連携をとるという形で運営されています。ということで、この間の第1回の検討会の際の石川先生の御説明でも御理解いただけたと思うのですけれども、医療圏の単位は周産期医療の実情とは少し違っていて、周産期医療の体制の確保を考えていただく上では、もう少し別の医療圏、それぞれの地域によって御検討いただく必要があるだろうということになると思います。
 めくっていただきまして「現行の周産期医療体制整備指針」ですけれども、今の指針の中で、周産期医療の定義の中にも、周産期医療とはというところで、ハイリスク妊産婦の妊娠・分娩管理とその他の産科医療、あるいはハイリスク新生児の集中治療とその他の新生児医療となっているのですね。現状で、周産期センターを中心とするシステムを今までずっとこの周産期医療システム整備指針に基づいて全国でつくってきて、それは一応全国展開ができたところで、次のステップに入ろうとしているわけですけれども、そういう中では、地域分娩環境の確保という観点の、その他のところですけれども、重要性が増しているだろうということになるかと思います。
 めくっていただきまして、現状の課題ということで少しまとめさせていただきましたけれども、1つは、今申し上げました地域分娩環境の確保の必要性ということですが、そうしますと、これに関してどういう指針のレベルで考えられるか、これは保健医療計画での整備指針の検討課題になるかもしれないのですけれども、一次分娩施設を含めたもので考えていく必要があるのではないかということが1点です。
 それからあと、周産期母子医療センターの役割に関して、要件、定義づけがなされていますけれども、現状を見ますと、地域周産期母子医療センターの中には、その地域にそこしか分娩施設がないところもかなり含まれています。そういうところでは、かなり規模を絞った形でしか運用ができない、運営ができない。ですけれども、地域周産期体制を守るためには、周産期センターとしての役割も果たさなければいけないというところが、特に北海道等でございますので、そういう多様性を考慮する必要があるのではないかということを申し上げたいと思います。
 あとは、広域連携体制に関して、現状の指針の中でもそれは記載されていることですけれども、具体的にどういう形でのシステムをつくるかということについては、各地域で模索している状況でございまして、近畿地方には多分あると思うのですけれども、関東でまだちょっと十分できていないかもしれませんということがございますので、その辺の御検討が必要ということになるかと思います。また、ちょっと先走った話ですけれども、ほかの領域との連携というものの必要性もございます。
 めくっていただきまして、地域分娩環境の確保に関して、先ほど阿真構成員からの御報告にもありましたように、アクセスの確保が非常に重要になるだろうということが1点。あとは、周産期医療従事者の安定的な確保が当然必要になります。
 めくっていただきまして、これが私どもで用意した提言でございますが、以上申し上げたお話をどういう形で都道府県で検討していただくかというパッケージをつくる必要があるのではないかと考えております。
 1つは、既に各県で実情に即してやっておられると思うのですけれども、医療圏の考え方を整理する必要あるだろうと。それは今、特に地域医療構想のほうで医療圏のことについて深く議論されていると思いますが、周産期の状況はちょっと違うので、規模が小さいですから簡単にまとまると思いますけれども、その辺をちょっと調整する必要があるだろう。
 それから、あとはそれぞれの周産期医療圏における病床数の問題も一つの視点として今、地域医療構想の中で、我々は埋没することをおそれているのですが、その視点も重要なのではないかということです。
 3点目が、先ほどもお示ししましたように、病院、診療所、分娩を現に取り扱っている施設の割合がすごく幅が広いものですから、それに対して画一的な対策というのはなかなか機能しないところもあるだろうということで、中長期的な観点で、妥当な病診比率といいますか、分娩取り扱いの比率等を検討した上で、それを前提として産科診療所、分娩取扱病院における分娩確保の方策をそれぞれの都道府県レベルで御検討いただく必要があるのではないかと考えているところです。強調したいのは、診療所はすごく重要なので、なかなか誘導が難しい部分かもしれないのですけれども、そこをしっかり押さえていただきたいということでございます。
 それからあとは、産婦人科医の減少の状況を踏まえて、各地域の立場で、地域枠の医学生の進路はなかなかファジーな部分がまだ残っていると思いますので、その辺についても政策的な誘導が可能かどうかということをぜひ都道府県で検討していただきたいと考えているところでございます。
 日本産科婦人科学会で、先ほど地域基幹分娩取扱病院のお話をさせていただきましたが、これはまず地域の実情を検討していただくのに御理解していただけるだけのデータをそろえようということで、今それぞれの県でのデータを集積しておりまして、これを積極的に御提供して、それぞれの地域で将来にわたって分娩環境が確保できるような施策、方策を御検討いただければと考えているところでございます。
 以上でございます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 続きまして、松本先生からお願いいたします。
○松本小児周産期医療専門官 よろしくお願いいたします。
 「産婦人科医師の動向と確保について」ということで、資料6をごらんください。
 ただいま海野構成員より周産期医療従事者の安定確保の必要性ということで御提言いただいています。その中で、分娩取扱施設に勤務する産婦人科医の確保をどのようにしたらいいかということを産婦人科医の動向から探っていこうという形で、現状について報告させていただきます。この資料は、田村正徳班の厚生労働科研費の平成26年度の報告の中井先生の分担研究の成果の一部をもとに作成しております。ちょっと時間も押しておりますので適宜割愛して説明させてください。
 3ページ目が、産婦人科の学会会員の勤務状況ですが、全体で言うと、産婦人科の全学会に占める女性の割合は3割ですけれども、先ほども説明がありましたように、総合や地域の周産期医療センターは比較的若手の医師が多いため、女性の割合が4割を超えている状況で、就業場所と年齢の分布は必ずしも一律ではありません。
 次の4ページも先ほど示してある図なのですけれども、赤い年齢のところと青い年齢のところを2カ所四角く囲っていますが、下から総合周産期母子医療センター、地域センター、そして一般病院、診療所という形になっております。この四角で囲ってあるところまでがお産を取り扱っている施設の年齢分布となります。これで見ていただくと、リスクが高いところに勤務している方ほど若いということになっています。
 産科医の平均年齢は46歳、中央値43歳で、これを見るとおおむね64歳ぐらいまでは分娩を取り扱って、婦人科に特化した医師は全体として多くないですけれども、分娩を取り扱う医師に比べて高齢まで働けるという状況になっています。
 5ページ目が、男性のところだけを抜き出したものになります。男性について言えば、産婦人科医の多くが周産期母子医療センターでキャリアをスタートして、40~50歳代で一般病院や診療所のほうに移行していき、70歳前後まで地域に貢献して、日本の周産期医療を支えてきたという状況であるかと思います。
 次の6ページ目は、女性医師についてのデータです。50歳以上の女性医師が非常にわずかで、経年的にどうしていくかがここからでは読み取れません。若手の女性医師は現在人数の多い集団となりますので、若手女性医師の今後の動向によって、周産期医療提供体制が大きく変わる可能性があります。今後今の若手がどういうところへ進んでいくのかというのが非常に注目されるところだと思います。
 次のページに移ります。産婦人科医師の確保の問題では、常に医師の人数、つまり、どこの県が多いとか少ないとかということだけが取りざたされることが多いのですが、例えば東京と福島では医師の年齢の中央値に14歳も開きがあります。また、次の8ページ目にあるように、人口10万人当たりの8年間の初期研修医の在籍数と35歳未満のいわゆる若手と言われる産婦人科の医師の数を見てみると、産婦人科医師全体の都道府県格差は第1回の資料でもお示ししたとおり、大体2倍ぐらいなのですが、若手に限って言えば、もっと大きく差が開いていることになります。したがって、産婦人科医師の格差は、若手を見ていけばどんどん拡大しているということがわかります。
 次の9ページ目は、都道府県ごとの初期研修医の在籍数と35歳未満の産科医師の数ですけれども、自治体ごとに若手の産婦人科医師、つまり35歳未満の産婦人科医師の数と、初期研修医として在籍した過去の研修医の数は非常に高い相関を持っている。ということは、すなわち多くの産婦人科医は自分が初期研修医を開始した自治体でそのまま就職している可能性が高いということになっています。つまり、初期研修医が少ないというのは、そのまま10年後の医師の数の減少であり、若手医師の不足につながっていくという予測ができます。
 10ページ目です。単純な計算式での予測ではございますが、自治体によっては、計算していくと、10年後の産婦人科医師数が非常に深刻になる可能性があるところが幾つか出てきているという状況です。地域枠の増加については考慮していないので、これにどう地域枠の学生などをうまく乗せていくかというのがもしかしたら重要かもしれません。ですので、減少が危惧される都道府県は特に、この予測通りにならないように、どう対処していくか考えなくてはならないということになるかと思います。
 こちらを図にしたものが11ページになります。10年後の医師の増減については、都道府県毎に、現在の55歳以上がリタイアし減少すると考え、若手はここ8年間の推移から今後10年間を予測して追加し、算出しています。
 12ページは都道府県毎の産婦人科医師の年齢毎の人数分布の例です。年齢の分布の特徴がいくつかのパターンに分かれています。例えば、福島や岐阜のように山型になっているところは今、中核層は非常にいるのかもしれませんが、若手が不足している。そうすると、10年後になると、このまま年齢が移動していく形になりますので、せっかく今、山になっているところが山ではなくなってしまうという危機をはらんでいるかもしれません。また、二相性のカーブになっているところは指導医層が不足していますので、若手がそこに育つまでの間、指導医のところの今支える人たちが不足していて、実働部隊が厳しいというように、人数だけではなく年齢分布からも、都道府県によって特色があるということがわかります。
 また、大都市圏ではどうかというところになりますと、13ページをご覧いただくと、こちらは東京、大阪、愛知と3つ並べてあります。これは一見同じように見えるのですが、よく見ると違いがあります。例えば、東京では、若手は非常に多いのですが、40歳ぐらいを境に急激に医師の数が減少していきます。恐らくこれは40歳ぐらいで医師もUターンして地元に戻っていくという形で、東京を離れていく医師が一定数いるということを表している可能性があります。
 一方、大阪や愛知は、医師の数が比較的横ばいです。ですので、大阪や愛知に関しては地元から離れてはいかないのですが、大阪は分娩を扱わない医師が50歳ぐらいから増加します。したがって、地元には残るのですが、お産は取り扱わないという形での勤務体系に変わっていくということがわかります。この中では、愛知がもしかしたら一番安定しているのかもしれません。比較的医師の減少も緩やかで、かつ比較的高齢になってもお産に携わっている先生の割合が高いという傾向が見られるというように、医師の年齢分布や傾向から、都道府県の未来像の予測が立つかと思います。
 最後に、14ページですけれども、産科医師の確保に向けて、今後そういうことを踏まえて各都道府県が現状分析を行う際に、注目すべき項目はどのようなものがあるのか。また、今後各都道府県が産婦人科医師を確保するにおいて、とるべき対策はどういう対策があるのか、こちらを先生方に御議論いただきたいと思います。
 都道府県によって、例えば自分の弱点というか、自分たちが今後どういうところに弱いところがあるのかということを補強するような形で、ターゲットを絞った確保ももしかしたら一つ方策になるのではないかと考えます。
 厚生労働省から、以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 日本全体を見ることはもちろん大事ですけれども、県単位、あるいはもう少し広めて地域単位で見ていかなければいけないということが、非常によくわかったと思います。
 それでは、御質問、御意見をいただきたいと思います。
 どうぞ。
○今村構成員 時間もないのであれですけれども、行政の方に特にお願いしたいのは、海野構成員が言われた周産期医療構想、これは非常に大事だと思います。今、地域医療構想計画がずっと各地でなされていますけれども、どうしても内科中心といいますか、それに比べると、周産期の問題は、救急にしても災害医療の分野でも極めて特殊です。そういう意味では、いわゆる地域医療構想とはちょっと離れたところで、周産期については独自の考え方を持っていくべきだと思います。特に、地域によって、大いに診療所、病院比率の格差もありますし、そういったことから、周産期医療構想は非常にいい考え方だと思いました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○福井構成員 海野先生に教えていただきたいのですが、周産期医療体制整備指針の中のその他の新生児医療、その他の産科医療のところに着手しなければならないのではないかというお話でしたけれども、これは今、機能整理されていない総合地域以外の一般病院ということでよろしいでしょうか。
 それと、一般病院のということであれば、分娩取扱施設の機能整理をすべきだという理解でよろしいかどうかを教えていただきたいと思います。
○海野構成員 病院だけではなくて診療所も含めて、あるいは助産所で取り扱っているお産も含めて、お産全体の管理という観点が、今までの指針の中には十分含まれていなかった可能性があるのではないかということを申し上げたかったということでございます。
○福井構成員 ありがとうございました。
○五十嵐座長 どうぞ。
○鶴田構成員 都道府県のとるべき対策が書いてありますけれども、これについては静岡県の対策を言えば、産婦人科の寄附講座とか、奨学金の産婦人科医に対する特別加算的な対応をとっています。
 海野先生にお伺いしたいですが、海野先生の資料6にブロックの表がありますけれども、各県一医大のところは比較的良いのですが、神奈川県は4大学があって、横浜市立大学を中心に小児科の集約化をしたと聞いていますけれども、小児科と産婦人科医の両方の集約化を同じ病院でしないと、本当の意味でのセンター機能が果たせないと思うのですが、そこの調整はどんなふうにされたのですか。
○海野構成員 小児医療と産婦人科医療だとちょっと難しいかもしれないのですけれども、NICUに関して、周産期医療の分野に関しましては、この県全体の周産期医療協議会等でも検討しつつ、それで周産期センターを整備してきているというところがございますので、その辺についてのミスマッチは今のところは余りないだろうと考えています。ただ、小児の集約化施設が必ず総合周産期になっているわけではないですけれども、今のところ大きな課題は生じていないかなと思っております。
○鶴田構成員 そういうふうにするというのは、4大学の産婦人科の先生が連携をとりながら、この大学はこの病院にという理解でいいのですか。
○海野構成員 いいえ、そこまではできていません。基本的に4大学がいずれも総合周産期センターになっているような形の、たまたまそういう県なものですから、そういう中でお互いの陣地を守りながら、それで地域を連携しながら守っているという状況です。
○五十嵐座長 どうぞ。
○峯構成員 峯ですけれども、先ほど私が質問させていただいた海野構成員と松本先生のお話で、やはりばらつきが非常にあるし、今後非常に減っていくと。だとすると、一般の方は今、分娩施設を自由に選びたいという時代ですが、その中で、阿真構成員からは、むしろお母様方がある程度そういう状況になっているということを御理解いただいているという状況のデータを少しいただいたので、ですからこそ、ここ数年の間に、お母様方に早い時期に、どこで産む、どこで育てるというものを含めたちゃんとした情報を誰かがきちんと出すようにしていかないと、多分これが本当の意味で選べない状況になってくると思います。今のうちに、そういうものを最初に発信するところ、そして途中で調整するところを国のほうでぜひつくっていただければと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○海野構成員 そういう意味も含めて、将来にわたって、この地域はこういう形での分娩環境を進めて整備していくということを各県で御検討いただいて、例えば周産期医療構想という形で御提示していただくと、それが安心につながるとよろしいのではないかと考えております。
○五十嵐座長 どうぞ。
○伊藤オブザーバー 今、お話がありました、どういうふうにアクセスが変わっていくかとか、地域によってかなり差がある中で、今後早目に情報提供していくというところが非常に大事だと思うのですけれども、そのためには、医療提供者側だけではなくて、実際に受ける妊婦さんの立場からも見た、どのような指標を用いていくかも今後、検討が必要なのかなと思います。そのような指標を継続的にモニタリングしながら、質を担保された中でアクセスをどのように確保していくか、そのような議論をしていく必要があると考えています。ありがとうございます。
○五十嵐座長 御指摘ありがとうございました。
 どうぞ。
○田村構成員 海野構成員のお話の一番おしまいから2番目のところで、中長期的観点で、地域枠医学生を含めてということで、周産期医療従事者を確保するということについて御提案があって、それから松本専門官の説明の8ページで、人口10万人当たりの8年間の初期研修医の数と、その後産科のドクターがその地域に残るというのが相関しているとのことですが、これは非常に大事な問題だと思います。
 前回のときも私お話ししましたけれども、我々NICUでの調査でも、全国の日本小児科学会の研修指定施設を対象に行った調査で、少なくともその時点においては、NICUに研修医がいないという県が13もあるという地域格差が明らかになっております。
 その一番の根源は、今の新しい研修制度が始まったときは、小児科と産科は必須研修科目になっておりましたけれども、今は“選択必修“というわけのわからない話で、実際には初期研修医は研修先として回らなくてもいいということになってしまったことです。今回の検討会で問題になっている周産期医療関連医師不足を解決するためには、ぜひ小児科と産科に関しては、やはり初期研修医制度の中で必須研修科目に戻すべきだと思います。その小児科の中でも、特に新生児部門が足りないという状況ですので、小児科その研修中で必ず一定期間はNICUでの研修を受けるということをぜひカリキュラムの中に入れていただきたいと強くお願いしたいところでございます。
○五十嵐座長 今、田村先生が御指摘された点は、産婦人科学会も小児科学会も厚生労働省に研修必修化、元へ戻していただきたいということは再三にわたってお願いはしているところなのです。
 御指摘ありがとうございました。
 きょうは皆さんから大変活発な御意見をいただきまして、予定していた時間をちょっと超過しておりまして、大変申しわけございません。まだまだ御議論があるとは思いますけれども、次回にまたそういう機会を設けさせていただきたいと思いますので、きょうはひとまずこれで議論を終了したいと思います。
 きょう御指摘いただきました御意見、あるいは要望などにつきましては、次回以降の検討会の資料でも、また準備ができるかもしれませんけれども、検討したいと思います。
 最後に、事務局から何かございますか。
○伯野医師確保等地域医療等対策室長 長時間にわたり御審議いただきまして、ありがとうございました。
 第3回でございますが、11月27日の開催を予定しております。詳細につきましては、決まり次第御連絡させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 それでは、本日はこれで終了したいと思います。
 どうもありがとうございました。


(了)

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