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2015年10月16日 第92回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成27年10月16日(金)15:00〜17:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

【委員】

福井部会長
相澤委員、井伊委員、磯部委員、川越委員、桐野委員、
倉根委員、武見委員、玉腰委員、中村委員、野村委員、
門田委員

○議題

1.国立研究開発法人 日本医療研究開発機構の実施する研究事業に関する説明について

2.ゲノム医療に関する取組について

3.「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づく研究機関に対する平成27年度履行状況調査の実施について(案)

○配布資料

資料1 日本医療研究開発機構のミッションと展望
資料2−1 ゲノム医療に関する取組の経緯について
資料2−2 遺伝学的検査をめぐる課題の抽出について
資料2−3 ゲノム医療実現推進協議会のこれまでの成果等について
資料2−4−1 ゲノム医療実現推進本部の設置について
資料2−4−2 ゲノム医療をめぐる現状と課題
資料2−4−3 ゲノム医療等実現推進タスクフォース(仮称)について
資料3 研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)に基づく研究機関に対する平成27年度履行状況調査の実施について(案)
参考資料1 厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
参考資料2−1 厚生科学審議会科学技術部会における厚生労働科学研究費補助金及びAMED研究費の審議事項について
参考資料2−2 厚生労働科学研究及びAMED研究の位置付け

○議事

○吉田研究企画官 傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております注意事項をお守りくださるようお願いいたします。ただいま、定刻になりましたので、第92回厚生科学審議会科学技術部会を開催いたします。委員の先生方には御多忙の折り、お集まりいただきましてお礼を申し上げます。本日は10名の委員の先生から御欠席の連絡を頂いておりますが、出席委員は過半数を超えておりますので会議が成立することを御報告いたします。

 続きまして、本日の会議資料の確認をいたします。お手元にある資料を御確認ください。本日の議事次第の1枚紙があります。この半分から下の所に配布資料一覧があります。これに沿って説明します。資料1、資料2-12-3、資料2-4-12-4-3、資料3、参考資料1、参考資料2-12-2、以上ですが、不備等がありましたら挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは福井先生、よろしくお願いいたします。

○福井部会長 本日は議事次第にありますように議題が3つ用意されております。最初の2つが報告事項で、3つ目が審議事項です。最初の国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の実施する研究事業に関する説明についてに入りたいと思います。本件については、まず事務局より前回の部会で出た意見を踏まえて、本部会において厚生労働科学研究費及びAMED研究費の関係性についての説明の後、本日、御足労いただいております国立研究開発法人日本医療研究開発機構理事長の末松理事長より御説明をお願いしたいと思います。最初に事務局からお願いします。

○吉田研究企画官 前回の819日に開催されました当部会において平成28年度の厚生労働科学研究費の概算要求案評価について、御審議いただきました。その際、AMED研究となった研究事業については参考資料扱いとして評価の対象外と説明したところ、今後、厚生労働科学研究費とAMED研究費は具体的にどういう関わりをもって進めていくかということなどを幾つか御質問いただきました。口答で一通り回答はしておりますが、理解を深めていただくために今回、幾つか事務局で資料を用意しております。また、AMEDのことをもっとよく知っていただきたいと考え、今回、AMEDの末松理事長をお招きしてAMEDの取組についても御説明していただくこととしております。

 まず、厚生労働科学研究費とAMED研究費の関係性を説明いたします。参考資料2-1です。これは、平成29年度の研究費予算の概算要求、すなわち平成28年度から平成29年度を想定した科学技術部会における審議事項についてフローチャートにしたものです。上段が厚生労働科学研究、下段がAMED研究です。

 年間のスケジュールを見ていただきますと、7月の最初の所で厚生労働科学研究とAMED研究の両方について、事業実施方針という形で御審議していただくこととします。今年度は、ここの部分のプロセスがありませんでしたので、次回からこういうプロセスを設けることで2つの研究費事業の関連性についても当部会で審議するものであります。その後は、今年度と同様に厚生労働科学研究は厚生労働省と当部会で、また、AMED研究はAMEDでそれぞれのプロセスを経ていくわけですが、前回、説明したとおり、例えば、概算要求、あるいは公募作成等、個々のプロセスにおいては双方でよく協議、会話をしながら進めていくことにしております。

 参考資料2-2です。これは、719日に開催されました当部会で報告した厚生労働行政の推進に資する研究に関する委員会報告書からの抜粋です。厚生労働科学研究とAMED研究の位置付けは次のように整理しております。改めて説明します。研究分野を医療分野と医療以外の分野に分けて、また、研究要素を政策立案、基準策定等のための科学的根拠を得るための調査研究、各種政策の推進、評価に関する研究、各種政策に関係する技術開発に関する研究、この3つに分けたときに医療分野の技術開発に関する研究が「AMED研究」という形になります。

 なお、予算規模については、AMED研究は平成27年度の予算額で411億円、残りの厚生労働科学研究費は72億円です。その裏面を御覧ください。これは医療分野における政策研究である厚生労働科学研究と技術開発研究であるAMED研究が、どういう関係にあるかを示した図です。左側は厚生労働科学研究による調査研究で得られた新たな技術開発のニーズ、これに対して右側のAMEDによる具体的な研究開発、実用化が行われ、その結果がもう一度左側ですが、厚生労働の各種政策へ反映され具体的には開発された技術の普及や均てん化、技術の評価が行われ、また次の新たな政策立案に移っていくという図です。このように2つの研究は循環型の関係にありますので、よく連携して進めていくことが肝要と考えております。

 事務局からの説明は以上です。続いて、AMEDの末松理事長に御説明をお願いしたいと思います。配布資料1、また、前方のスクリーンを御覧いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○日本医療研究開発機構末松理事長 AMEDの理事長をしております末松でございます。以下、資料を使って説明いたします。お手元の資料の1枚目にマトリックスの図があります。先に別資料で御説明いただきましたAMEDの研究全体のスキームを端的に示しております。AMEDには9つの基幹プロジェクトがあり、そのうちの6つが戦略推進部という所に、先ほどの前述の参考資料2-2の裏側になるかと思いますが、そこに6つのプロジェクトが並んでおります。

 今日頂きました時間で、我々はそのプロジェクトをどのように推進していくのかという基本的な考え方を端的に具体的に示すために、初年度に、希少・未診断疾患という研究コミュニティの所に少し力こぶを入れてスタートしたという背景について簡単に説明したいと思います。

 希少・未診断疾患という領域を最初にプロジェクトとして重視したのには、幾つかの理由があります。私どもは4月から機構をスタートするに当たり、3つのライフを包含する研究を支援する機関という位置付けをいたしました。この3つのライフは、生命科学でいう生命という意味と、生活と人生という3つのライフがあるわけですが、基礎研究、橋渡し研究、臨床研究であろうが、この3つをしっかりと意識した研究を我々は応援したいということが共通の課題です。そして、研究を研究で終わらせない最終的に患者さんに直接医療研究の成果を還元できるようなスキームを作っていこうということが我々の考えです。そのためには、希少・未診断疾患はこの後、お話するように比較的短期に成果を還元できる可能性のある重要な領域であるということで、ここからスタートしました。

2番目は、今日、後ほどの課題にもあるかと思いますが、ゲノム研究からゲノム医療への解決の問題があります。長きにわたってゲノム研究には大きな投資がされてきましたが、残念ながらそれが十分に医療の研究の場にフィードバックされるというところまではいっていない現状があります。そういうところをどのように解決するかということを、まずこのモデルできちんと社会実装できるかどうかということを確認した上で、common diseaseに広げていこうという目論見があります。

3番です。希少・未診断疾患は、今世界中で課題になっている点ですが、データシェアリングをやらない限り絶対に研究が進まない領域です。これも後ほど、お話いたします。データシェアリングをいきなり大きな研究コミュニティでやるのは非常に難しい、言葉が適切かどうか分かりませんが、研究者の生物学的特性はデータを自分の所に隠すことです。それによって一番ネガティブなインパクトを被るのは、患者さんである。仕組みの変革を必要とする典型的なフィールドが希少・未診断疾患ということになります。

4番です。AMEDの配分する研究費は、NIH全体の3%の予算しかありません。しかしながら、インハウス研究やボトムアップ型研究の文部科学科研費、6つのナショナルセンターの運営経費を合わせると、決して世界の中で遜色のない研究開発費が日本にはあると考えております。希少・未診断疾患のフィールドは、特に個々の研究開発費が微少です。300ほどの難病と、まだ病気なのだけれども診断の付かない病気はたくさん世の中にはあります。それで苦しんでいる方とそのご家族がおられるというのが現実です。

 個々の研究費が微少であるために共通のインフラ、つまり研究に必要なインフラを共同して使ったり、みんなでシェアして使うというメンタリティが絶対に必要なフィールドです。更に与えられた研究費を、これは今、全部補助金で行われており、補助金は、実際には非常にフレキシビリティーのないお金なのです。それをこれまで以上に劇的に弾力的運用ができるようなルール改正が必要で、私どもは最初の半年間で、この仕組みを改めようとしています。

5番です。マイクロアトリビューションという言葉を少し説明したいと思います。これは研究に携わるステークホルダー、プレイヤーを考えますと、例えば、希少・未診断疾患では1人の患者さんの診断を正確に付けるために現場のホームドクターの先生、看護師の方、採血をして遺伝子のサンプルを集める方、それを基礎研究のバッググラウンドを持った方が解析を行い、解釈を行う、さらに、そこにクリニカルシークェンスというのですが、臨床的な意義付けをして情報をさらに患者さんにフィードバックしやすい状態に持っていく、非常にたくさんの方が1つの輪を作って1人の患者さんを救おうということが希少・未診断疾患の特徴です。このうちのどのピースが欠けても、患者さんに恩恵は戻っていきません。そういう意味で、全員の貢献を等しく認めていこうというマインドセットが、研究のコミュニティでどうしても必要な領域であると考えます。こういった変革を評価に持ち込む必要があります。

6番です。研究成果の評価軸の問題があります。今までは研究といいますと、どのようなインパクトファクターのジャーナルに幾つの論文が載ったかということが、評価軸になっていることが多くございました。しかしながら、希少・未診断疾患ではパブリケーションよりもデータべースに何例、症例をサブミットしたかとか、そして、1つの研究によってどれぐらいの方の患者さんのレジストリが確立できたかなど、そういう実数のほうがはるかに患者さんに対するインパクトが大きいということがあります。

 果たして、こういういろいろな研究の問題点をまずスモールモデルできちんとやるためにはコミュニティの結束力が非常に重要です。幸い希少・未診断疾患の領域のいろいろな学会の先生方は皆さん非常に、これは分かりやすくということでこう書いたのですが、「癒し系」の方が非常に多くて威圧系の方が余りいないということで、もしこのコミュニティでこういう試みができなければ、どこのコミュニティでも絶対にできないということがあり、そして、ここからスタートしたということです。

 ゲノム医療に関しては、既に健康・医療戦略室のゲノム医療実現推進協議会という所で真摯な議論がなされまして、まずゲノム医療の社会実装を難病の研究領域とがんの研究領域の2つに特に力点を置いて、スタートしていこうということでコンセンサスを頂いております。今、御覧になっていただいている図は、がんと難病の所の色を少し濃くしてありますが、我々はここのゲノム医療の社会実走を進めることと並行して、その他のcommon diseaseのゲノム医療の所も進めていく必要があると考えています。しかしながら、限られた研究資源を有効に使うという観点から、まず、ここを1段ロケットとしてスタートしようと考えたわけです。

 イギリスにSyndrome without a nameという名前の患者さんの団体、SWANがあります。これはそのインタビューの内容を日本語で書いたものです。検査を受けても受けても全部異常なしで、結局どの医師も答えを教えてくれることはない。検査を受けるたびに私たち夫婦は打ちのめされ、家族はいつ終わるとも知れないジェットコースターに一生乗り続けなければならないのかという気持ちになる。こういう方が非常にたくさんおられます。日本の場合には、こういう方は当然、保険収載の対象になっておりませんので、全く救済の手立てがない状態です。

 アメリカNIH2008からスタートしたUndiagnosed Diseases ProgramUDPというプログラムでは、実はお子さんだけではなくて、むしろ大人のほうがUndiagnosed Diseaseは数が多いということも分かっております。日本でAMEDが発足してからすぐにInitiative on Rare and Undiagnosed DiseasesIRUD)のプロジェクトをどのように進めようかということの議論を進めました。今日は詳細を省きます。

 この次の絵が端的にそれを示しています。診断困難な患者さんは、いろいろな病院に行って診断が付かないまま最後はホームドクター、あるいは臨床遺伝学の御専門の先生の所、いろいろな所に散らばった状態で今おられるわけです。これは、IRUDのあくまで診療に行けるかどうかという研究です。いわゆる一般の診療ではなくて、これは研究だということをまずはっきり申し上げたいと思います。

IRUDに参加する拠点病院を公募で選定いたします。そこにこれらの患者さんを紹介していただいてエントリーシートを書いていただくのですが、そのときにゲノムの解析を責任持って行える、その情報に臨床的解釈をきちんと付加して最終的に遺伝カウンセラーの方、御家族を交えて地域のかかり付け病院の先生方とも緊密な連携を取って丁寧に説明していくという仕組みが必要で、ここのどのピースが欠けても診断がフィードバックできないということになります。AMEDIRUDの解析コンソーシアム、あるいはデータネットワーク、患者さんの機微情報も含まれますので、こういうものの管理や全体の診断委員会の運営等をお手伝いするということです。

 次です。臨床専門分科会と診断委員会による支援体制を、34年掛けてIRUDの診断連携の全国整備を目指したいと考えています。平たく申しますと、日本のどこにいてもIRUDのコアホスピタルに連絡を取っていただければ、必要な診断、場合によっては世界でどういう治療が行われているか、あるいは日本で治療が行われているものをほかで共有するということを進めていきたいと考えております。

IRUDの診断連携を推進するには、医師会の先生方の御協力が絶対に必要不可欠と考えております。医師会の先生方の中には、開業医の先生で特定の難病を非常に丁寧に診ておられる先生が日本にはたくさんおり、残念ながらそういう情報が全部統合されてデータベース化するというところまではいっておりません。また、我々が事前に調べた内容では北海道から地域ごとにどの専門の難病の方が、どういう仕事をやっているかということを広くスキャンすると必ずしも全ての地方で全ての専門家がそろっているわけではないという問題点もあります。どの地域に居てもゲノム医療の恩恵を受けられるような仕組みを作ろうということが、IRUDの目的です。

 この連携をやっていくときにゲノムの解析を行えば全部、問題が解決するかというと、そうではないということを次の図は言っております。逆三角形のピラミッドの図は実際にゲノムの解析を行って特定の患者さんに検出されたバリアントというものがあるわけですが、これは実際にある病気で絞り込みをやっていった例をここに示しております。バリアントは、たくさんの数があります。

 この症例ですと126,000という数があるわけです。これを正常日本人に頻度が高く認められるものをまず捨てるとか、あるいは、成人の多因子遺伝病のファクターを全部削るとか、どんどん削っていって最後に幾つかの遺伝子が候補遺伝子、疾患遺伝子になるわけですが、最後、これが1020、あるいは30残っていても、1つを特定する、あるいは2つを特定するというのは、すごく大変なことです。ここをきちんとやるためには現場の臨床医の先生が症状や表現型をきちんと丁寧に読み込んでいくということが必要で、先ほどの患者さんを頂点にしたループが簡単にぐるっと1回転すると答えが出るのではなくて、パワーポイントの右の下にあります地域のお医者さんと、IRUDの診断委員会、IRUDの解析データ、インタープリテーションというところで何回もキャッチボールをしないと正確な診断が付かないのです。

 もう1つの問題は、国際的な情報共有の問題があります。患者さんの機微情報を含めますので、完全なオープンな形でデータシェアリングするのは非常に難しいことです。しかしながら、もし特定の医師が1人の難病の患者さんを日本で見つけた場合に超希少難病ですと、同じ患者さんを国の中で見つけるのは、ほぼ不可能です。その場合には国際的な連携が必要なのですが、残念ながら日本は今まで難病コンソーシアムに加盟しておりませんでした。そこでAMEDは、730日に日本の機関としては初めて加盟を行いました。

 今、世界がどのようになっているかというと、データシェアリングをどのようにするかという議論が盛んに始まったところです。言葉の壁、文化の壁を越えてデータシェアリングをしていくためには、例えば、どういう症状や表現型があるかというGlobal coding の仕組みが必要ですが、これは、まだ十分に手がついていない状態です。もし、Global phenotype codingが可能になると世界のどの主治医の方がもっておられる患者さんと日本の患者さんが、ほぼ同じらしいということを推論することができて、そして最後にゲノム情報を突合させるということが可能になります。

 こういうクローバルなアライアンスを進めていくためには、例えば、これも大きな問題なのですが、IRBで同一の基準を持ったunified IRBの仕組みが必要になるはずです。今現在は、日本の医療機関、あるいは病院に非常にダイバーシティーの大きい、バリアンスの大きいIRBがたくさん存在しております。Rare and Undiagnosed Diseasesの患者さんを救うためには、unified IRBを作って診断プロセスを非常に早くしていくという工夫も必要になります。

 私は難病の領域だけではなくて、もっと大きなサイズでがん患者さんの所に研究の成果を、あるいは新しい薬を逸早く届けていく医療システムを作ることも非常に重要なことであると考えております。今日は、ここの詳細の説明は省きますが、難病領域とがんの領域というのは、やはりきちんとやっていかなければいけない領域だと考えております。AMEDががんの研究者の方々と共に考えていかなければいけない課題をそこに挙げております。実は実践をしながらアノテーション人材を育成したり、データベースが陳腐化しないようにするための工夫など、共通の問題がたくさんここには包含されています。

 また、両方に共通しているのは、基礎研究の力点を絶対に失ってはいけないということで、優秀な基礎研究なくして優秀な応用研究は絶対に出てこないというところが、がんにしても難病にしても同じです。我々は国の公的な資金だけではなくて民間資金の活用についても、来年度以降どんどん進めていこうと考えております。この詳細については、今日は省きましたが、何か御質問がありましたらお受けしたいと思います。

 また、創薬シーズライブラリーのオープン化ということも実際に始めており、日本の強みとして次世代の蛋白間相互作用の阻害ライブラリーをアカデミア創薬に提供して新しい成果を生み出していこうという仕組み。あるいは、企業が持っている死蔵化したライブラリーを提供していただいて、当たりが出たら、その当たりを持っていた製薬企業に第一優先権を与えて、それが事業化できない場合には、ほかの製薬企業へどんどん回していくという野球のドラフト会議のような仕組みを既に作って、今スタートしているところです。

 創薬の研究支援体制については、厚生労働省の先生方の御意見も聞きながらやっておりますが、オーファン指定前のベンチャーの育成や希少疾患用の医薬品の開発は、今世界の会社が非常に注目しております。これはメカニズムが分かった上で薬を作るからというところが非常に大きいことで、我々も希少疾患用のベンチャー支援のトラックをようやく始めることができました。今後、順次公募を広げてまいりますが、助成対象にはドラッグ・リポジショニングといいまして、もう既に毒性等の試験がきちんと終わっているものに関して、別の使い方をして効果を出すというものに対しても支援をしていこうと考えております。創薬のブースター事業によって、難治性の筋変性疾患に対して期待の持てるような非常に優秀な薬の卵が既に出てきております。

AMEDは今年の8月からPMDAと連携協定を結んでおります。両方がそれぞれ持つ情報を共有してAMEDの課題審査にPMDAの方に入っていただく、あるいは、AMEDの公募課題に応募する際に薬事相談を受けてもらうようなことを考えております。是非、AMEDPMDAは単純なアクセルとブレーキの関係ではなくて一体型の連携によって強力なギアとして働く仕組みを作っていきたいと考えております。

 その他にも国際連携、多剤耐性菌の問題で、どの国がどの地域に支援をするか、こういうものを国際的に情報共有していく仕組みにも私どもは入ることができました。また、知財をきちんと押えるということも非常に重要です。AMEDは現在、Medical IP Deskを開いており、たくさんのリクエストが今来ております。

 これが最終です。限られた予算をいかに機能的に運用するか、補助金にはいろいろな縛りがありますが、その縛りを可能な限り今緩和する方向で準備しております。青字で示したのは既に今日、現在可能なことで、設備・旅費等の合算使用、目的使用をしていれば目的外使用を事後報告で認める制度、直接・間接費によって研究補助員の雇用ができるようになる、特にここが臨床研究の場合は非常に重要です。そして、年度末までの予算執行を可能にしており、各省共通で会計実績報告は5月末までですので3月末までの雇用や消耗品の使用が可能になっています。

 赤の部分に関しては、今現在、検討中で来年度から是非運用したいと考えております。間接経費も税金の一部です。弾力的運用と透明化、各大学が本当に研究インフラや環境の充実に間接経費を使っているかということを透明化することは、非常に重要ではないかと考えております。また、AMED自身も限られた人数ですが、現在1か月半から2か月掛かっている採択時から、契約完了までのスピードアップを何とか果たそうと考えております。

 また、これまで各省ばらばらの明許繰越制度となっていましたが、これも何ができるのかということをきちんと明文化して、今までばらばらだったルールをAMEDで統一化していこうということを今行っているところです。現場の研究者の皆さんやコメディカルの方々が、そういう問題意識を持って大学研究機関の管理体制を改革して、Medical R&Dの加速を図ることを我々は非常に重要視しております。私からの説明は以上です。どうもありがとうございました。

○福井部会長 ただいまの御説明について、御意見、御質問等お願いします。それでは私から、事務局から説明がありました参考資料2-1の来年の7月が最初になるようですが、科学技術部会で、事業実施方針を、厚生労働科学研究とAMED研究の両方で賄って、ここで話合いをするということですが、このことについてはAMEDとも話し合った上でこういうふうにしようということですか。

○末松理事長 そのとおりです。我々の研究費は、4月の段階では文科省、厚労省、経産省の研究資金がほぼ541の割合で、ただ集まった状態でスタートしましたが、我々の研究事業が、ただ研究で終わり、次の研究を続けるためにずっとやっていると、これはいつまでたっても実用化はできません。そういったところで、厚生科学審議会の先生方から、いろいろな御意見を頂いて、研究成果を社会実装に持っていくところで、AMEDと厚労省が一致協力して、連携してやっていくプロセスが絶対に必要不可欠だと考えております。ですから、是非、そういった観点から、いろいろな御意見を頂きたいというのは、我々のほうの希望です。

○福井部会長 ありがとうございます。そのほかにはいかがですか。

○倉根委員 これまでの経過といいますか、拝見しておりまして、今、先生がおっしゃいましたが、文科があり、もともとのお金の出所といいますか、予算として設定があります。AMEDに入って使い方といいますか、今度はそれぞれの所にいろいろな研究費として行くわけですが、もともとが持っている、もともとどこから来たかということによって、そのお金の使い方というか、あるいはいろいろなプロジェクトへの応募の仕方というのが、幾分違う部分があるのかと感じておりますが、そこはいかがですか。将来的には、これは全て一緒になるという形と考えてよろしいのですか。

○末松理事長 研究費の効果的運用はその例の1つですが、3省共通にしなければいけないことが、実にたくさんあります。

 例えば、言い出すときりがないのですが、文科省の研究費で5年で動いている再生医療のペアになっている研究費が3年しか続かないとか、そういった不整合もあります。つまり、基本的考え方は、ライフステージの患者さんの時間の関数に合わせてルールが違うのはオーケー。基礎と橋渡しと臨床研究でルールが違うのはオーケー。しかし、同じフィールドで文科から来ているものと、厚労から来ているものが違うルールで動いている所を完全に消していくということが、我々非常に重要なことだと考えています。そういうルールの統一化を何とか最初の1年で、大きい所から順番に解決していこうとしている、その1つの例が先ほどの研究費の弾力的運用の所です。

○倉根委員 先生のお話を聞いて心強く思いました。そこの部分が、やはり入ってしまえばというか、AMEDという、1つのオーガニゼーションの中での次の研究に行くわけですから、そこは是非、進めていただければ大変有り難いと思います。

○福井部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○川越委員 具体的に進んでいるということで、非常に心強くというか、嬉しく拝聴させていただきました。1つ質問ですが、先ほどの福井委員の御指摘とも関連するかと思いますが、今回、7つのプロジェクトの中の、特に難病研究に力点を置いて、ある意味で1つのモデルを作っていきたいということで、そういう理解をしたのですが、その辺の決定というのはどの辺りで決まるのですか。難病といってもいろいろありますが、どの辺に力点を置いているか、もしありましたら教えてください。

○末松理事長 このゲノム医療で難病とがんというところに、特にまず最初の1段ロケットの点火はそこから始めようというのは、私どもが勝手に決めていることではなく、これは健康・医療戦略室の下にいろいろな協議会がありまして、このゲノム医療の実現化のための協議会のほかにも、これは健康・医療戦略室のホームページを見ていただきますと、ほかにも医療ICTの問題、これは今オン・ゴーイングで進んでいるところです。

 そういったいろいろな観点から、どこに力こぶを置いて、短期的に例えば調整費をどういった所に配分するか。それから、3年ないし5年のタームで変わっていく基幹プロジェクトの在り方や、ひょっとすると、今9つのプロジェクトとなっていますが、その9つ以外のフィールドをどういうふうに考えていくかということも、これは健康・医療戦略室と3省ときちんと話を連携して、決定をしていくと。最終的にその決定に従って、我々はどうやったら現場で効率よくこの研究費の運営ができるかというところを担っているのは我々とお考えいただければと思います。

○野村委員 教えていただきたいのですが、4ページの診療体制、これをグルグル回して充実させるということを、3年で全国整備を目指すというのは5ページにも書かれておりますが、これは要は、AMEDができたからこそこれができ、たった3年で全国整備ができるという目処が立ったということでしょうか。それだとしたら、なぜそれまではできなくて、AMEDができたことでそれができ、本当に3年で実現できるのかということを、進捗状況も含めて教えてください。

○末松理事長 これが3年で完全に全国をカバレージする仕組みというのは、我々にとっては非常に高いハードルを自分たちで設定しています。このハードルを設定したのは、健康・医療戦略室ではなく、私どもこのIRUDを始めるに当たりまして、厚生労働省の疾病対策課や、スタッフの方々と十分に、入念に準備をして、そして何とか3年ないし4年で全国にこのネットワークを作ろうと考えました。

 今までなぜできなかったのか、今までと何が違うのかを端的に申しますと、実は難病の研究費というのはおおよそ100億弱確かあるかと思います。これは厚労省の予算です。

 しかしながら、未診断疾患で、新しい遺伝子が特定の病気の原因だということが分かった場合に、日本の技術として、iPS細胞の創薬というのが、一方で文科省で動いております。もし、厚労省の今までの40数年に渡る難病研究のレジストリーの実績と、文科省のiPS創薬の研究をうまくハーモナイズすると、世界でも稀に見る非常に強力な診断体制、あるいは治療法の開発につながる非常に大きい力になるだろうと考えています。

 また、難病の中には、もう既に症状が進行して、運動器等の異常が起きてしまって、なかなか救済の方法のない患者さんというのはたくさんいます。こういった方々に対して、1つの例ですが、経済産業省、厚労省の連携で生まれてきたロボットスーツという、リハビリ用の医療機器等があります。こういったものを逸早くIRUDの輪の中に入れて、1人でも多くの患者さんを救済していこうということは、今までの省庁連携はなかったわけではないのですが、IRUDのプロジェクトの中で、一元的にこういった対応をしていくというのが我々の使命と考えています。

 そういった例を挙げてまいりますと、やはり3省のリソースを一元管理するメリットというのは、決して小さくないのではないかと考えております。

○野村委員 ありがとうございます。今、お話くださった情報やシステムが、逸早く連携できるということは、患者さんや私たちにはどのように知ることができるようになるのですか。

○末松理事長 これは実はIRUDのキックオフミーティングというのが今週ありました。今まず関東地方から医師会の協力も頂きながら、IRUDの拠点病院として小児に関しては成育医療センター。大人のUndiagnosedの方もたくさんいまして、そこについては非常に長い歴史と経験を持っている精神・神経センターが中心になってこのプロジェクトを進めてまいります。

 さらに重要なことは大学病院の中で、iPS細胞のハンドルができて、文科省からサポートされている大学病院群をこのネットワークの中に入れることによって、特定の疾患のiPSのストックや、あるいはAMEDNIHと来年1月頃に連携協定を結ぶよう調整しています。そういった仕組みも使って、アメリカサイドにある難病のiPS細胞のリソースの共有や、そういったことをやることによって、日本にいる患者さんのソリューションを出す。あるいは日本のリソースを使って、アメリカの患者さんのソリューションを出していく。こういうような枠組みを是非作っていきたいと考えております。

○福井部会長 ありがとうございました。玉腰委員、どうぞ。

○玉腰委員 先ほど難病・希少疾患を例にして、研究者の評価軸を少し変えていくと。登録をすることではなく、別の考え方をされると言われましたが、AMED全体として運用されていくものの中で、研究者の評価が変わっていくものとしてほかに例があるのですか。

○末松理事長 たくさんあると思います。臨床研究で非常に頭の痛い問題が幾つもあるのですが、どの病気の患者さんを、どことどこの病院に頼んだら何人集まるかという、非常に簡単な問題ですが、一時にはすぐに情報が分からないという非常に大きな問題がある。恐らくこれは難病の問題だけではないでしょうし、がんの研究領域も今、がん登録の仕組みを法律に基づいて、それこそ門田先生のコミュニティで進めていると思います。そういった所に共通の問題が、先ほどの1枚目のスライドで示したようなことが、難病という比較的小さなコミュニティ。研究者のサイズとしては非常に小さいのです。そこでうまく動くような仕組みを我々は作っていかないと、ほかの大きいモデルでそれがなかなかうまくいかないのではないかという問題意識を持ってここからスタートしたということです。

○福井部会長 ほかにはいかがですか。

○相澤部会長代理 情報の共有が非常に重要だという話を伺ったのですが、私もそう思います。事務局にお伺いしたいのですが、情報の共有に関して、これは患者さんの情報ということで、個人情報にも絡んでくると思いますが、法律上の問題があると考えていらっしゃるのですか。

○吉田研究企画官 基本的に本人の同意があった上で、情報の共有がされて活用されるということであれば、それは望ましい方向だと考えていますが。

○相澤部会長代理 末松先生は、今のところ制度上の問題というのは感じていらっしゃらないのですか。

○末松理事長 非常にシリアスに考えています。1例だけ申しますが、東北メディカル・メガバンクというバイオバンク事業があります。ここの特徴は、お父さん、お母さん、子供、おじいちゃん、おばあちゃん、そこのゲノムを解析して、それをデータベース化していくという事業です。世界でも類のない非常にチャレンジングな試みです。そのときに、偶発所見と言うのですが、ゲノムを全部読んでいくと、不治の病みたいなものが偶然見つかったりすることがあります。それを御本人に回付、戻すかどうかというディシジョン・メイキングをしなければいけません。東北メディカル・メガバンクでは、それを「御本人に回付します」というインフォームド・コンセントを取って、ゲノム解析をしています。

 しかし例えば、IRUDでは、どうかと言いますと、これは同じ日本の話ですが、一応今基本的な考え方としては、お子さんを救うためにお父さん、お母さんの遺伝子も調べて、そして引き算をして異常のある所から候補遺伝子を絞っていくということをやるわけです。お子さんを救うためにやるので、お父さん、お母さんに見つかったいわゆる偶発所見は、基本的にインフォームしないという原則で今はやっています。

 これはアメリカの場合には全部インフォームします。EUはどうかというと、知らない権利というのが最高裁で認められていて、そんなこと知りたくないよという権利があるわけです。日本が、どちらが国民性に合っているのかというのは、やはりこういったプロジェクトが進みながら、実例が蓄積されて、議論をしながらでないとなかなか文字に書いた明確な定義というのは難しいのではないかと考えています。

 もちろん、ゲノム情報が差別につながってはいけないという法律が日本にないというところが、これは基本的な問題だと思います。AMEDはそれでもこういうIRUDのような、共通の目的を持ったコミュニティであると、「ゲノム情報のあるべき扱い方」が比較的まとめやすいのではないかという期待もあります。それでこれを進めているということです。

○相澤部会長代理 ありがとうございました。行政当局もガイドライン作りについて、3省間の連携も含めて、よろしくお願いします。

○倉根委員 もう1つ、AMEDPMDAの連携協定の所に、「薬事相談なくして採択なし」というような文言を書いておられますが、私は実際にこれが非常に大きいと思います。なぜかと言うと、恐らくいろいろなシーズが大学の先生方からも出てくる可能性がある。しかし、どこをどういうふうにある所から進めていったらいいのか。大学だとなかなかそこが実は分からないのだと思うのです。

 企業のほうは、比較的そこをどういうふうに進めていくか分かるのですが、そこを後押しといいますか、AMEDでそこを非常にサポートしていただくような形で進めれば、これまでひょっとすると、ある所まできてみんな消えていっていたものがあったのかもしれませんが、それがならずに生きてくるものがかなり出てくるのではないかと思って、先生がここに書いたことは非常に私は大きいのではないかと思いますので、是非、ここを進めて、大学の先生方にもこれができるような形にしていただければと思います。

○末松理事長 これは公開情報になるということですが、今、PMDAが悲鳴を上げていまして、薬事相談というのはそもそもどういうフェーズでやったらいいのかということすら、アカデミア創薬の研究者が分からないケースが非常に多いのです。

 そこで、AMEDPMDAの連携ができましたので、AMEDにまず相談を頂いて、PMDAからの出向者が今AMEDにおりますので、ここまで来ているのだったら、もう相談したほうがいいというケースや、逆に、これがそろってないから、まだ相談するのは早いよという回答ができます。ただ、どちらにしても、できるだけ早い時期から相談をしていくことによって、無駄なエネルギーを裂かずに、駄目なものは駄目、良いものは良いと取捨選択を早いうちからやっておくことが、基本的には研究費の有効な使い方につながると考えておりますので、是非、皆さんも後押しをしていただきたいと思います。

○野村委員 もう1つだけ教えてください。前にお話されていたゲノムの情報をどうするかとか、法律の問題とか、差別のことでピリピリされていて、AMEDの中では比較的擦り合せはしているがピリピリされているとおっしゃっていましたが、恐らくそれは医療の関係だけでは済まない話だと思うのです。もちろん学校の教育、人材、心理というのがあるのですが、AMEDとして医療以外の連携の可能性。これは後半の議題に入ってくるかもしれませんが、ゲノムの情報に関しては何かありますか。

○末松理事長 これはもう医療にかかわらず、サイエンスとテクノロジーが社会とどういう関わり合いをするのかということで、我々の広報活動や、あるいは患者さんたちとの接点。教育の部分が我々だけでできるかどうかという問題もあるのですが、相当の活動をしていかないと、ゲノムの先端技術を社会に実装していくというところは、言葉で言う以上非常に難しい部分があります。

 御存じのように、例えばゲノムエディティングという技術が最近出てきております。これはゲノムを改変したことの痕跡が残らない仕組みで、しかもジェネレーション、ジェネレーションで、どんどん引き継がれていくものなわけです。

 こういった遺伝子の改変技術がないと、絶対に治療のできない難病の方がいる一方で、こういったものは反対に生物的な悪い目的に使う可能性もあったりとか、生態系において、例えば特定の感染症のベクター、媒介する昆虫のほうにその操作を加えていくと、そのポピュレーション、媒介するベクターのほうのポピュレーション全体に遺伝子の改変情報がどんどん蓄積して行くという側面もある。

 一方で、食品のほうは今どんどんゲノムエディティングの仕組みが入って、食糧不足をどういうふうに改善していくかといったことにも使われているということで、この辺の啓発活動というのは、我々だけではなくて、全ての科学技術に関わる所のエージェンシーが協力してやっていこうというのが国際的な動きになっています。これもすごい大きな道のり、エネルギーのかかる問題ではないかと思っています。

○桐野委員 IRUDについてもう一度お聞きしたいのです。これは伺っただけのお話から考えると、我々が知らない未知の疾患をかなり網羅的に見つけてしまうという臨床家がコツコツとやっていたのを、一挙に一網打尽にするようなものなのかなと思います。これと難病という言葉も出てくるので、難病というのはまた全然違って診断基準が決まっていて、希少で難治であるという概念だと思うのです。IRUDと難病と全く違う概念と考えればよろしいのですか。

○末松理事長 RUは補集合になっているのではなくて、両者が重なってどちらともつかない部分があります。提議の文章については提示しませんでしたが、病名は付いているが、原因遺伝子が分からないものとか、原因遺伝子が分かって、疾患のphenotypeも分かっているのですが、別の遺伝子の異常で同じphenotypeが出るケースとか、実にいろいろあります。原因が違うものは、治療のアプローチも当然異なってくるし、薬に対する反応性も違ってくるということがあって、こういったものを11つ、コツコツ調べていこうと。

 今、先生は一網打尽とおっしゃいましたが、そんなに簡単にはこれはいかないだろうと。実際、アメリカで7年間今までプロジェクトが動いてきて、全米から13,000例の症例のサブミッションがあって、それを彼はトリアージと呼んでいますが、既存の病気であったもの、確定診断が付きにくかったものをエクスクルードしていくと13,000例のうちの1,200例ぐらいしかUUndiagnosedのカテゴリーに入らなかったということがあります。

 つまり、既存の病気でもしっかり診断ができていない患者さんも相当数いて、そういった方々にもしっかりと診断を返していこうというのがこの活動です。ゲノムの解析を包括的に行って、たくさん疾患遺伝子をつろうというのが真の目的ではなく、むしろ、phenotypeの突合をしっかりやって、原因遺伝子を調べ上げたら、ひょっとしたらいけるかもしれないというのを、国の今まで作ってきたインフラをフルに活用して、しっかりとした診断を付けていこうということです。やっていることは同じかもしれませんが、そういうふうに御理解を頂きたいと思います。

○門田委員 このディスカッションに入る時には、出口戦略ということがよく言われていて、出口のことばっかり重んじるという意見があったと思うのです。今日の理事長のお話だと、基礎研究を非常に重視するという話を聞かされて、その方向を是非ともお願いしたいと思います。

 一方、別な見方をすれば、社会医学系の人たちが、自分たちの領域にはだんだんと研究費が廻ってきにくくなるのではないかという話をされたことも思い出すのです。今のAMEDの話だけではなく、厚労科研との両面からになるとも思うのですが、今、AMEDの中で社会医学系の研究というのはどういうふうに考えられているのですか。

○末松理事長 これは3省の予算が統合されたときに、正直申しまして、それを我々は与えられたわけですが、そこのリストを見ていきますと、これは政策誘導で、いわゆる公募研究ではなく、国として絶対やらなければいけないような課題ではないかというものが、AMEDのサイドに入っている可能性があります。

 もう1つは、厚労科研のほうで、ひょっとすると今AMEDで動いている研究費と合わせることによって、つまり、分子疫学の領域とか、そういった所がもう少し分かりやすい仕組みにしないと、公衆衛生のコミュニティの先生たちは、分子疫学というのは非常にやりにくい研究費の体制になっているのではないかと思っております。

 それは部内でもそういう議論がありまして、最初のAMEDにアロケートされた部分というのは、本当にこのままでいいのかどうかという疑問は我々としては持ち続けようと考えています。同じことは、文科省から来た予算に関しても、そういった部分がないわけではありません。ですから、そういった所はいつもクエスチョンマークを付けて、それを厚労省の審議会や、あるいは文科省のライフ・サイエンス委員会の先生方、あるいは経産省の関連の委員会の先生方の御意見を聞いて、軌道修正ができるのびしろを作っておく必要があるだろうと考えております。

○門田委員 今日配られた参考資料2-1の一番最初の5月の段階での協議という辺りに、これからその辺りが出てくるのですかね。よろしくお願いします。

○磯部委員 大変分かったのですが、1ページ目の資料は、前回も私は伺ったのですが、戦略推進部の7つのプロジェクト。これはいずれも大事なテーマでありますし、サイエンティフィックにももちろん国民の健康の上でも大事なことだと思います。

 国民の4分の1は心血管疾患で亡くなっておりまして、がんと匹敵するぐらいの日本人が亡くなっている疾患が、この大きなプロジェクトの柱になっていないことが私は理解できないのですが、その辺り、先生はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。

○末松理事長 この9つですが、縦軸7つと、横軸の中の産学連携部という所が、医療機器の柱になっています。バイオバンク事業部というのが、いわゆるゲノムやバイオバンク事業になっていて、トータルで9つになっています。

 何で9つなのかというと、メジャーな所がカバーできていないだろうかというのは、全くそのとおりです。ちなみに7つの縦軸のうち、一番右側の研究企画課に関しては、非常にクオリティの高い基礎研究を集中的にやっていこうと。疾患で縦割にしないようにしようというのが、今のところの基本的な考え方です。今の先生の御期待に沿うためには、新しい課を作っていくとか、新しいファンドのアロケーションをしていくという仕組みがないと、今のところ新しいものができないというのが正直なところです。多くのがん以外のcommon diseaseは実は難病研究課の所に非常に小さな形でぶら下がっているというのが昨年の3月までと、AMEDが発足してから半年間の姿です。そういった所は今後どういうふうにリフォームしていったらいいのかというところは、考えていく必要があります。是非、我々はこの課が固定された構造とは考えておりませんが、新しい課を作るときには予算の根拠が必要です。しかも、そこが例えば運営費交付金ではなく補助金のように、どこかの省が必ず責任を持って最後は事業化に落としていくという、そこのスキームが非常に重要であると私は考えております。

 今、先生がおっしゃったところと重なるかどうかは分かりませんが、補充の私見のパワーポイントというのを用意しております。例えば、超高齢社会で運動器の問題というのは、当然大きな問題になっているわけです。そのほかにも、この1枚前に用意したのは、EvaluatePharmaという創薬データベースに基づいて、これは薬の売上げのデータしかありませんが、2020年の市場シェアや成長率を示したものです。この横軸がセールスグロース、縦軸がマーケットシェアですが、腫瘍学の所が非常に大きくなっています。これは全部海外のデータです。

 その中で、比較的新しい領域で、今までほとんど薬の開発がされてないものにsensory organsというのがあります。これは目や耳、つまりQOLに直接関わってくるところの薬の開発が今非常に脚光を浴びています。また、ワクチンの開発はジェネリックが作りにくいということで、ここに恐らく行っているのだと思います。これを感染症以外のアプリケーションを作っていくという動きも盛んに見られています。

 我々は創薬に係る時間を考えながら、9年ないし123年後に世の中がどうなっているのかというのを見ながら、新しいプロジェクトや新しいコアを、今、先生がおっしゃったような視点を踏まえて作っていけるような組織に今はなっていませんが、是非、そのようにしたいと考えております。

○倉根委員 全体の話に関わると思うのですが、創薬でも何でも途中でサイエンス、先生のほうでサポートされている研究の中での基礎部分、あるいは創薬までいってしまうと違うのかもしれないけれど、デュアルユースの議論というか、そこの議論というのはAMED内ではどうなっているのか。今後、例えばAMEDからの研究費を配布するときについては、そこのところをきちんと各施設で議論するようになるのか。あるいはAMEDとしてこういう規範の中でそこを解釈するので、その中でやるようになるとか、そこの議論というのはどのくらい進んでいるものなのでしょう。

○末松理事長 研究費のデュアルユースやマルチプルユースですね。

○倉根委員 いや、失礼、サイエンス自体の研究費を頂いて、プロジェクトを進めるに当たってこの申請なり、あるいは中間報告でやるときに、どこかの段階でこのプロジェクトに含まれているかもしれない、含まれるかもしれないデュアルユースの議論というのは今後どのようになされますか。

○末松理事長 そこに関しては、我々が障害物を外しても、大学のほうの事務体制の仕組みがそうなっていないところが実にたくさんあります。私、就任してからこれまでの間、週に34回のペースでいろいろな大学の研究機関を回ってお話をしているのですけれども、我々がこの研究費の機能的運用で、今日資料でお示しした内容が、フラットに研究支援の事務方と大学法人の意識が、研究者のレベルをちゃんと理解した上で、中で仕組みの改正ができないと、なかなか全体がスムースに動かないというのが現状ではないかと思います。AMEDとしてはデュアルユースであろうが何であろうが、AMEDの研究費が、つまりがんの研究ががん以外のところに役立つケースがもう実際にありますし、逆もまた然りです。そういったもので、AMEDの中の研究費、あるいは文科省の科研費で、今日お示しした機能的運用はできるようになっていますので、是非そういうものを大学がもっと活用して、限られた予算資源を限りなく有効に使っていくことを進めていきたいと思います。

○相澤部会長代理 最終成果物に関する権利はAMEDが取得するのですか、それとも研究機関が取得するのですか。

○末松理事長 バイドール法というのがありまして、大学研究機関に所属します。

○相澤部会長代理 研究機関に帰属させるということですね。

○福井部会長 ありがとうございます。随分予定の時間が長く、先生にいろいろお答えいただきありがとうございます。いずれにしてもAMED自体もまだ走り始めて、いろいろ走りながら決めることがたくさんあると伺っておりますし、厚生労働科学研究との連携をする上で、私たちのほうもいろいろ教えていただくことが、これからもずっと続くと思いますので、今後とも連携が取れますようにどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは議題2に移りたいと思います。ゲノム医療に関する取組について、まず事務局より説明をお願いしたいと思います。

○吉田研究企画官 まず事務局から説明いたします。資料2-1〜資料2-4-3までをざっと御説明いたします。近年ゲノムの解析率が著しく進展して、個々人のゲノム情報を調べて遺伝要因等による個人ごとの違いを考慮した医療、即ちゲノム医療の実現に向けた取組みは世界的に進行しています。加えてDTCと呼ばれる消費者に直接提供される遺伝学的検査、いわゆる遺伝子検査ビジネスも盛んになってきています。

 ゲノム医療の実用化によって、効率的かつ質の高い効果的な医療が実現できる期待がある一方で、遺伝学的検査を行う上でのルール作りが実際には遅れています。今回、ゲノム医療に対する取組の経緯をまとめさせていただき、ルール作りを初めとする新たな検討を行う体制もできつつありますので、当部会でも進捗を共有したいと思います。

 まず、資料2-1ですが、これは取組みの経緯を時系列に整理したものです。具体的には資料2-2以降で説明します。資料2-2を御覧いただければと思います。

 これは北里大学の高田先生を班長とする厚生労働科学研究費の特別研究班において、遺伝学的検査を巡る課題について整理を行ったものです。簡単に御紹介しますと、まず遺伝子関連検査の種類について、ヒト遺伝学的検査には医療として実施されているもの、研究として実施されているもの、非医療として実施されているものがあることが分かります。またその検査の特性については、不適切に扱われると被検者本人だけではなくて、血縁者や非発症保因者にも社会的な不利益がもたらされる可能性があることになります。

 次の2ページを御覧ください。国内の遺伝学的検査の現状を整理してあります。科学的根拠が確立されて医療で利用されている遺伝学的検査は、欧米では4,600項目以上あるのに対して、日本ではまだ144項目、うち診療報酬の対象は36疾患という状況です。結果、国内で検査提供できない項目については、海外の機関に委託しているのが現状となります。

 国内での検査については、医療機関や臨床検査技師法に基づいて登録された衛生検査所で行われることが必要になります。ただ検査の品質については、一部の検査所でISO等の規格に基づいて自主点検がされていますけれども、その程度でしかない。またLDT、ラボラトリーディベロップテストに関しては、質を保証する規制がありません。また消費者に直接提供されるDTC遺伝学的検査についても、一部のビジネスではISO等に基づく自主点検が行われている程度です。

 次の3ページを御覧ください。これは諸外国の遺伝学的検査の現状を整理したものです。多くの調査対象国において、検査の質を保証する規制が存在し、また検査結果は医師や専門家によって、カウンセリングと併せて提供されています。また雇用や保険加入において、遺伝情報に基づく差別を禁止若しくは制限をしています。一方DTCの遺伝子検査については、国によって様々な対応が取られているのが現状です。

 最後に4ページを御覧ください。本研究では、今後の課題として大きく次の3点に集約されています。まず1番目として、正確な遺伝学的検査が行われるための精度管理の仕組みの構築。2番目として、検査結果が正しく解釈され、被検者に分かりやすく伝えられ、彼らが納得して自己決定ができる支援体制の整備。3番目として、就職や保険加入等で検査結果がどのように取り扱われるべきかの国民的議論ということです。

 続いて資料2-3を御覧ください。これはゲノム医療実現推進協議会に関する資料です。国全体としてゲノム医療を実現するための取組を強化するために、健康・医療戦略推進本部の下に平成271月に等協議会が設置されています。

 次のページに構成員、また開催実績が示されています。ここには厚生労働省はじめ経済産業省、文部科学省、環境省及び専門家の先生方に参画いただいています。この協議会では、今年の7月に中間取りまとめを行っており、それについては4ページ以降を御覧ください。

 今後求められる、大きく4つの取組として、まず1番目が資料情報の信頼性と質の確保等。また2番目として倫理的、法的、社会的課題への対応やルールの整備等。3番目として研究の推進と臨床現場・研究・産業界の有機的な連携等。4番目として人材育成と医療従事者への教育。こういう内容を提起しています。

 続いて資料2-4-1を御覧ください。これらの経緯を経て、厚生労働省では97日にゲノム医療実現推進本部というものを設置しました。ゲノム医療を実用化する上での課題の出口を見据えて、取組方針などの検討を行っていきます。

 資料の2-4-2、これについてはゲノム医療の現状と、取り組まなければいけない課題を集約しています。続いて資料2-4-3を御覧ください。この本部の設置と並行して、ゲノム医療の実用化に向けたルール作りに向けて、重点的かつ早急に取り組む課題を検討するために、健康・医療戦略室、文部科学省、経済産業省の協力も得て、ゲノム医療実現推進協議会の下に、ゲノム医療実現推進タスクフォース(仮称)という会議体を設置することとしました。

 具体的には次のページに健康・医療戦略の推進体制という図がありますけれども、この中にゲノム医療実現推進協議会というものがあります。この下に厚生労働省が事務局を務める形で、タスクフォースを設置しました。

 現状認識としてポイントが2つあって、1つは日本は欧米に比べてゲノム医療の実用化に向けたルール作りで出遅れているということ、もう1つは遺伝子検査ビジネスなどの新しい産業の健全な発展を図るということです。したがって検討課題としては、次の4つに集約しています。

1番目が検査の品質の確保。2番目がカウンセリング体制の整備。3番目として差別の防止。4番目がデータの二次利用です。このタスクフォースでは、来年の夏前までを目標にして、一定の結論が出せるように検討を進めていくこととしています。説明については以上です。

○福井部会長 ありがとうございました。ただ今の説明について、御意見、御質問等ありますでしょうか。このように進める方針ということですけれども、何かアドバイスなり。

○大澤委員 資料2-4-3、ゲノム医療実現推進タスクフォースについてということで、そちらの2ページにきれいにまとめていますけれど、重点的かつ早急に取り組む課題の、遺伝情報に基づく差別の防止。これに関しまして日本ではまだ法律的な規制がないというところを、早急に取り組んでいただくことが非常に重要ではないかと思います。

○福井部会長 ありがとうございます。

○野村委員 これはお願いというか意見なのですけれども、こういう形で情報をというところでいつも出てくるのですけれども、国民に分かりやすくとか誤解なくとか、適切にという言葉で表現されていますけれど、本当にお願いしたいのは分かりやすくとか易しく伝えるというのを、話し言葉にするとかていねいに書くとか、そういうふうに考えないでいただきたいと思います。患者さんに取材させていただくと、情報はそこら中にたくさんあるのに、本当に欲しい情報が見つけられなかった、なかったということのほうが、皆さんを不安に陥れるという形なのです。

 専門家の情報というのはたくさんあると思うのですけれども、それを国民や患者さんに伝える場合には、それをどうこうではなく考え方の軸を全部立ち位置を変えて、主語を患者さん本人、私がこの場合どういう情報があるのか、私がこの場合どうしたらいいのかというような形で、ひっくり返すくらいの形で情報を整理してください。

 でも情報をそういうふうに拾えてもその私の情報が分かったけれども、決める際にはやはりひとりでは決められないので、カウンセリングとかフォローする人材の育成というのは、セットでないと情報公開というのは非常に危険を伴うと思うので、そのあたりを本当にお願いしたいと、いつも言っていることですがよろしくお願いします。

○相澤部会長代理 今の御説明を確認したいのですが、健康・医療戦略推進会議、それからゲノム医療実現推進協議会、その下のタスクフォースは内閣官房に設置されて行うということで、ゲノム医療実現推進本部は厚生労働省で行うという、そういう括りと理解してよろしいでしょうか。

 そうするとゲノム医療実現推進本部というのは、厚生労働大臣に対して助言をするという理解でよろしいのでしょうか。

○椎葉厚生科学課長 実際にゲノムに関して、厚生労働省の立場はいろいろありまして、例えば、診療報酬の中でゲノムの検査を認めるだとか、それからがん対策の中でゲノム医療を推進していく、難病対策、いろいろな枠組みがあります。

 それで厚生労働省の本部というのは、トップの本部長の下に関係局長がずらりと並んで、それぞれの持ち場できちんとやりますという、進捗管理をしていこうというものです。

 はっきりいえば行政がきちんとさぼらないようにやるという方向ですが、タスクフォースというのはまさに専門家に集まっていただいて、課題についていろいろ検討をしていただくという、そういう立場です。密接な連携を図りながらやっていきたいということです。

○相澤部会長代理 分かりました、そうすると御説明いただいた内閣官房における会議体と、ゲノム医療実現推進本部というのは、やっていることは違うという理解でよろしいですか。

○井伊委員 そもそもよく分かっていないのですけれども、先ほど末松理事長のお話のあった、AMEDの中でゲノム研究からゲノム医療へという趣旨の話がありましたが、こちらで研究されることと、このタスクフォースの中で実用的なルール作りが行われるということは、どういう関係になるのか、すみません、分かりやすく関係性を御説明ください。

○椎葉厚生科学課長 一言で言いますと、AMEDは研究を行っていただく。タスクフォースは法的な規制も含めてルール作りを検討するということです。

○福井部会長 よろしいですか、他にはいかがでしょうか。それではこれについては御報告いただいたということで、また今伺いました御意見を、事務局としましても、もし参考にできるところがありましたら、取り入れていただきたいと思います。

 それでは続きまして議題3、これは審議事項ですが研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドラインに基づく研究機関に対する平成27年度履行状況調査の実施について、御審議いただきたいと思います。事務局から説明をお願いします。

○吉田研究企画官 資料3です。審議事項です。公的研究費の管理・監査等については、研究機関における管理・監査のガイドラインというものがあります。ここで研究機関や配分機関が講じるべき事項を定めて、その遵守を求めているところです。またその遵守状況については、平成27年度の厚労科研費の公募により自己評価チェックリストの提出を求めて確認をしてきています。

 またこのガイドラインにおいては、厚生労働省が講じるべき措置として、チェックリストによる確認に加え、研究機関におけるガイドラインに基づく体制整備や運用の状況を把握することを目的として、履行状況調査を行うことになっています。

 またその調査の結果、体制の整備や運用に不備があると判断された機関に対しては、所要の改善を促すための管理条件の付与等の措置を講じるということが求められています。したがって、次に説明する実施方針に従い、平成27年度の履行状況調査を実施したいと考えています。

 また平成28年度以降においても、毎年度実施方針等を設定して、フォローアップ調査も含めた調査を継続的に実施する予定です。

 実施方針ですが、まず調査対象は平成27年度の厚生労働科学研究費補助金の配分を受けた以下の機関を対象とする。なお対象機関の選定にあたっては、事前に文部科学省等と調整し、対象機関が重複しないように配分する、ということで、1番目としては平成26年度の配分実績に基づく配分金額の上位5機関、2番目として厚労省が所管する施設と機関、及び国立研究開発法人。

 調査内容ですが、このガイドラインに基づき研究機関が遵守すべき項目について研究機関の実施状況を調査します。裏面を御覧ください。この四角の枠で囲んだのが具体的な調査事項の例示です。例えば最高管理責任者の役割や責任の所在範囲等を定めた内部規程の整備。あるいは競争的資金等の運営・管理に関わる全ての構成員を対象にしたコンプライアンス教育の実施。不正を発生させる要因に対応する具体的な不正防止計画の策定の有無。発注や研修業務について事務部門が実施しているかどうか。競争的資金等の不正への取組に関する機関の方針等を公表しているかどうか。内部監査部門がリスクアプローチ監査を実施しているかどうか。このようなものが調査事項となっています。

 調査の体制、方法ですけれども、ガイドラインに基づく体制整備・運用状況について、まず研究機関に対して書面による報告を求める書面調査というものを実施します。書面調査の結果から、必要があれば現地調査というものを実施して、ガイドラインの遵守状況の確認と実態調査を行います。

 調査結果の取扱いですが、調査結果を取りまとめて厚生科学審議会科学技術部会に報告します。平成27年度の履行状況調査の結果、ガイドラインに基づく体制整備・運用に未履行があると判断された研究機関がある場合には、その事項を改善事項として履行期限までの改善を求める管理条件を付与することにしたいと思います。

 また、平成28年度の履行状況調査において、フォローアップ調査の対象機関として管理条件の履行状況についてのモニタリングを行う予定です。

 スケジュールですが、本日の科学技術部会で実施方針の審議をいただいていますので、了承いただければ1130日を期限に調査対象機関からの調査報告書の提出、書面を受けて書面調査を行って、その上で12月に現地調査に入りたいと思います。当部会には来年2月に履行状況調査の結果を報告したいということです。以上です。

○福井部会長 ありがとうございます。ただ今の御説明について、御意見御質問等ありますでしょうか。

○桐野委員 こういうことをおやりになるのは当然だと思うのですが、先ほどAMEDで研究費の機能的運用という説明があり、18ページにいろいろな研究費の使用上の制限を緩和するということがありまして、お互いに相矛盾するとは思いませんけれども、恐らくAMEDの研究費も他の公的研究費も、機関経理でやると思うので、機関の中である研究費はここまでやれるけれど、ある研究はここまでできないということがあって、かなり混乱する可能性があるので、この辺のところはルールをクリアにしておかないと、多分管理・監査のときに非常に困るのではないかと思います。

○吉田研究企画官 この調査ですが、いわゆる厚生労働科学研究費を対象に行いますので、AMEDで行う研究費に関しては対象にはならないのですが、研究を実施している機関において、両方の研究費を扱っていると、今先生がおっしゃったような問題が生じると思いますので、そこは事務局でも工夫をしたいと思います。

○倉根委員 確認ですが、2番に実施方針というのがありまして、それで対象機関の選定にあたっては事前に文部科学省等と調整し、対象機関が重ならない。それで1に配分実績に基づくというのは、これは基づくお金は厚生科学研究費ですか。それともAMEDから来ている、本来厚生労働省からAMEDに行っているお金を受け取った部分は、入るのですか入らないのですか。

○吉田研究企画官 これは厚生労働科学研究費という意味です。

○倉根委員 そういうことですね。それからもう1つ、事前に文部科学省等と調整し、の調整の部分は、文部科学省はまた別のことをやるので、重ならないようにするという調整になるのですか。この調整というのはどういう意味ですか。

○吉田研究企画官 基本はそういうことで、実はこの公的研究費の管理・監査のガイドラインというのは、厚生労働省だけではなくて公的研究費を持っているところは、ほぼ共通したガイドラインを持っていますので、文部科学省も同じような調査を行うことになっています。ただ対象機関がもし重複すると、やる調査の内容は同じになりますので、そこは重ならないように調整をしたいということです。

○倉根委員 ちょっと確認です。そうしますと文部科学省が行う調査と、厚生労働省が行う調査は、内容は同じで同じルールの下で行うということか、厚生労働省は厚生労働省のルールがあり、ひょっとするとちょっと違うということもあり得る。

○吉田研究企画官 基本は同じルールになるかと思います。

○相澤部会長代理 今の点で確認なのですけれども、監査も厚生労働省と文部科学省の補助金で調和されていると理解してよろしいですか。

○吉田研究企画官 実際にはそういう研究費等は機関において機関経理がされていますので、そこで当然いろいろな研究機関、いろいろな省から出ている研究費を管理しています。ですから実際に調査に行きますと、例えば厚生労働省からの研究費では、こういう研究があり、文部科学省からの研究費ではこういうのがあるという情報を共有することになります。

 ただ、実際にそういうものに対して、例えば機関経理がちゃんとこういう基準に則って適切におこなわれているか、ちゃんと監査機能が働いているかということに関しては、それぞれ共通の項目ですので、それぞれ文部科学省なり厚生労働省なりで同じ視点で見ることになりますから、そこは間違えることはないと思います。

○相澤部会長代理 そうすると、会計そのものの監査をするわけではないのですね、枠組みでは。

○吉田研究企画官 それは状況によるかと思います。通常こういった調査を行う場合には、まず全体論としてそういう建付けができているかどうか、ちゃんと体制が整っているか、ちゃんと人員があるかを見た上で、もし問題がありそうなところに関しては、例えば個別に具体的な研究課題に関して、どういう処理が行われているかということを見る場合は当然ありますので、それは個別によるかと思います。

○福井部会長 ロジスティックスで、これはいくつぐらいの施設が実際は対象になるのでしょうか。上位5機関と厚生労働省が所管する施設、機関及び国立研究開発法人というのは、全部合わせるとだいたいいくつぐらいの機関になりそうですか。国立研究開発法人は6つですか。

○吉田研究企画官 厚労省が所管している範囲としますと、ナショナルセンター等も含めまして、それらが全部入ってきますので。正確にいいますと、まずナショナルセンターが6つありまして、医薬基盤・健康・栄養研究所。それ以外に国立の試験研究機関が全部で4つあります。ですからそれが対象になります。

○福井部会長 短期間でそんなにたくさんのところをできるのかなと思ったものですから。12月に現地調査で、その前に書面調査ということで、ずいぶん大変な作業になるのではないかと思いました。

○吉田研究企画官 そこはまず書面調査である程度のスクリーニングを行って、実際に行くのは我々の課の職員になりますから、できるだけ効率的な抽出を行った上で選定をしたいと思っています。

○末松理事長 是非これは厚生労働省の皆様にお願いをしたい。先ほど桐野委員から指摘のあった点ですね。私どもはAMED41日に発足する直前、2月半ばから3月まで、私自身も準備室に入って作業の一部をやっていましたので、研究者の皆さんに大変いろいろな御迷惑をかけました。年度内にきちんと決算を終わらせて書類を提出するというところで、メールを送って48時間以内にこんな分厚いのを書いてくださいとか、大変ご迷惑をおかけしました。

 同じようなことが監査ですとか今年の年度末に起こる可能性が非常に高い。我々はそれを何とかバッファーしようということで体制整備は整えておりますが、ルールの変更が並行して動いていますので、現在もルールが変わったことによって、これをやっていいのか悪いのかという、いろいろな問い合わせやそれに伴う契約の調整ですとか、非常にたくさんの作業をやっていますので、是非その辺は管理・監査のガイドラインに従うと言いましても、柔軟な対応をお願いしたい。さもないと、我々がルール変更をしたことで、来年4月からスタートする研究費で完璧にそれが準用できるということが何より不可欠なものですから、是非そういったところは御配慮いただきたいと思います。我々もベストを尽くしますので、よろしくお願いします。

○吉田研究企画官 そこは十分配慮したいと思います。

○福井部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。それではただ今伺った意見はほとんど運用に関することだと思いますので、事務局で考えていただくとしまして、この案については科学技術部会として了承したということでよろしいでしょうか。それではそのようにさせていただきます。

 これで全ての議事が終了しましたが、その他事務局から何かありますか。

○吉田研究企画官 次回の日程ですが、1211日金曜日を予定していますので、正式に決まり次第、委員の先生方には日程、開催場所等について御連絡申し上げます。以上です。

○福井部会長 ありがとうございました。それでは本日はこれで閉会とします。ありがとうございます。


(了)

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