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2015年10月23日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課

○日時

平成27年10月23日(金) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館3階 共用第6会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

委員

若林部会長 穐山委員 石見委員 井手委員
小川委員 鎌田委員 杉本委員 戸塚委員
中島委員 二村委員 吉成委員

事務局

山本基準審査課長 黒羽補佐 竹内補佐
津田主査 池上技官 田中技官

○議題

(1) 硫酸亜鉛の規格基準改正について
(2) その他

○議事

○事務局 定刻より少し早いですが、委員の先生方皆様おそろいですので、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会を開催いたします。本日は、御多忙のところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、本日の委員の皆様の出席状況を報告いたします。本日は、井部委員、由田委員より御欠席との御連絡を頂いております。現時点で、添加物部会委員13名中11名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。

 議事に入ります前に、10月1日付けで部局の再編に伴い、部局名が変更となっておりますことを御報告いたします。新しい部局名は、「医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部」です。また、10月1日付けで事務局に人事異動があり、新しく1名当課に配属となりましたので紹介いたします。添加物の担当となりました田中です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事の進行を若林部会長にお願いいたします。

○若林部会長 皆さん、おはようございます。それでは、最初に配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

○事務局 資料の確認をいたします。議事次第、資料一覧、委員名簿、座席表に続いて、硫酸亜鉛の使用基準改正に係る資料として、資料1-1が諮問書。資料1-2が部会報告書()。資料1-3が食品健康影響評価書の結果です。本日お手元にお配りしている資料は以上です。不足や落丁等ありましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

○若林部会長 特に、資料の過不足等はありませんか。それでは、事務局から本日の部会の審議品目に関する利益相反の確認結果について、報告をお願いいたします。

○事務局 本日の部会においては、審議対象の硫酸亜鉛が利益相反確認対象品目となっております。当該品目については、本日の部会において退室の必要な委員、又は議決には参加できない委員がいないことを確認しております。

○若林部会長 よろしいですね。それでは、審議に入ります。議題1「硫酸亜鉛の使用基準改正について」に関して審議を行います。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料1-1、薬事・食品衛生審議会の諮問書です。資料1-2に基づき、品目について御説明いたします。今回、硫酸亜鉛の使用基準改正に関しては、事業者よりビールなどの発泡性酒類に対して、酵母のイーストフードの目的で使用したいということで要請が行われ、食品安全委員会における食品健康影響評価がなされたことを踏まえて、添加物部会において御審議いただくものです。品目名、分子式、分子量に関しては、記載のとおりです。用途に関しては、現在硫酸亜鉛は母乳代替食品の栄養強化剤の目的で使用されるものですが、今回新たに製造用剤であるイーストフードの目的で使用されるものです。

 続いて、概要に入ります。硫酸亜鉛は、白色の結晶性の粉末で、我が国では現在母乳代替食品の亜鉛の栄養強化剤の目的で使用される食品添加物として、昭和58年に指定されております。JECFAにおいて、硫酸亜鉛自体の評価は行われておりませんが、亜鉛イオン、硫酸イオンに関してはそれぞれ評価が行われており、亜鉛イオンに関しては、最大耐容一日摂取量に関して、0.31.0mg/kg 体重/日と評価されております。また、硫酸イオンのADIに関して、添加物として使用した場合「特定しない(not specified)」と評価されております。

 続いて、諸外国での使用状況に関して御説明いたします。コーデックス委員会においては、栄養素及びイーストフードなどの加工助剤に関しては、食品添加物に分類されないものとされておりますので、コーデックス食品添加物部会が作成しておりますコーデックス一般規格(GSFA)の中に、規格は設定されておりません。

 また、米国ではGRAS物質として認められており、GMPの下で必要量を食品に使用することが認められております。

 欧州連合(EU)では、ビール、乳幼児用の栄養強化食品などへの使用が認められており、使用目的や使用基準に関しては設定されておりません。また、我が国においては、母乳代替食品への栄養強化目的で使用が認められております。

 続いて、有効性に関して説明いたします。ビールの醸造では、酵母の発酵により麦汁に含まれる糖分を分解し、アルコールと二酸化炭素が出来る反応を利用しております。酵母発酵の過程で、麦汁中に含まれる亜鉛の含有量が欠乏いたしますと、酵母の発酵が緩慢になることが知られており、欧米などでは酵母の必須栄養源である亜鉛を補充する目的で硫酸亜鉛が使用されております。硫酸亜鉛をビールの製造工程中に添加することにより、酵母が必要とする亜鉛量が十分に供給され、酵母発酵が遅滞なく進み、ビールの良好な香味が増すことが確認されております。また、欧米のビール醸造学会においては、硫酸亜鉛などの亜鉛類について、麦汁の発酵に対する亜鉛の影響に関する試験が行われております。

3ページの図1を御覧ください。こちらは、亜鉛添加による酵母発酵の影響を調べるため、亜鉛不足の麦汁に硫酸亜鉛を添加し、亜鉛を添加していない麦汁と発酵度の経時変化を比較したものになります。亜鉛不足の麦汁に、それぞれ亜鉛として0.3 mg/L、0.6 mg/L、1.6mg/Lの濃度になるよう、硫酸亜鉛を添加しており、その結果0.6mg/Lの亜鉛を添加した場合が最も酵母発酵が促進されるという結果が得られております。また、0.3 mg/L、1.6mg/Lの亜鉛添加の場合ですと、発酵度が減弱しております。

 続いて、食品中での安定性について説明いたします。硫酸亜鉛は、水に可溶性の物質であり、水中では硫酸イオンと亜鉛イオンに解離して存在しております。麦汁中においても同様に解離し、硫酸イオン、亜鉛イオンのいずれも酵母によって利用されるため、加えた硫酸亜鉛に関しては食品中にほとんど残存しないと考えられております。そのため、食品中での硫酸亜鉛の安定性については考慮する必要性の無いものと考えられます。また、食品中の栄養成分への影響に関しても、食品中にほとんど残存しないと考えられることから、もともと食品中に含まれる亜鉛の含有量に影響を与えるものではないと考えております。

 続いて、食品安全委員会における評価結果について御説明いたします。今回の硫酸亜鉛の使用基準改正のため、食品安全基本法に基づき、本年1月21日付けで食品安全委員会に対して評価依頼を行い、本年9月15日付けで記載の評価結果が通知されております。以下の文章は、食品健康影響評価から抜粋したものになります。まず、硫酸亜鉛の遺伝毒性に関しては、生体にとって特段問題となるような遺伝毒性が無いものと判断されております。また、ヒト介入研究における赤血球SOD活性の低下に基づき、 65.92 mg/ / という値を硫酸亜鉛のLOAELとして考えており、こちらのLOAELから赤血球SOD活性の低下という非常に軽微の所見であること、また、亜鉛が生物学的に必須な栄養成分であることを踏まえ、LOAELを係数1.5で除した0.63mg/kg 体重/日を亜鉛の摂取上限量として判断されております。

 続いて、摂取量の推計について御説明いたします。こちらも、食品安全委員会の評価結果について抜粋しております。今回、使用基準が拡大される対象である発泡性酒類に関しては、これまで使用が認められてきた母乳代替食品及び本年7月にグルコン酸亜鉛に対して使用が認められた濃厚流動食などの病者用食品に関しては、発泡性酒類と同時に摂取される可能性の無いものと考え、今回の摂取量推計には考慮しないものと判断されております。まず、発泡性酒類からの硫酸亜鉛由来の亜鉛の摂取量に関しては、過剰摂取リスクの高い多量飲酒者の摂取量を基準として、全ての発泡性酒類に使用基準案の上限量のとおり、硫酸亜鉛が亜鉛として1.0mg/kg使用され、多量飲酒者が一日当たり1.5L相当の発泡性酒類を摂取すると仮定して、発泡性酒類由来の硫酸亜鉛の摂取量について、亜鉛として1.5mg//日を一日当たりの摂取量として推定しております。また、発泡性酒類と同時に摂取される可能性のあるものとして、栄養機能食品を考えており、サプリメントなどの栄養機能食品に対しては亜鉛として一日摂取目安量が15mgと示されておりますので、こちらを栄養機能食品からの摂取量と推定しております。また、亜鉛に関しては、食事由来の摂取量も考えられることから、平成25年国民健康・栄養調査の結果より、亜鉛として1人1日当たり8.0mgを摂取するものと考えられております。また、それらの発泡性酒類、栄養機能食品、食事からの摂取量の合計に加え、飲料水からの亜鉛の摂取について、1日1人当たり0.1mgと判断しており、それを合計した1日1人当たり24.6mg、平均体重で割って0.45mg/kg 体重/日を亜鉛の摂取量と判断を行っております。こちらに関しては、亜鉛の摂取量上限である0.63mg/kg 体重/日よりも低いものとして確認を行っております。

 続いて、規格基準の改正について御説明いたします。食品衛生法第11条第1項の規定に基づく規格基準については、記載のように改正することを示しております。具体的な改正内容に関しては、6ページから7ページにかけて記載しております。今回、硫酸亜鉛の対象食品として、これまでの母乳代替食品に加え、新たに発泡性酒類を追加することを記載しております。発泡性酒類とは、酒税法で用いられている文言になりますが、ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類を指す文言となっております。その他の発泡性酒類とは、リキュールやスピリッツなど、ビール、発泡酒以外のお酒のうち、発泡性を有しており、アルコール度数が10度未満のものを指しております。また、硫酸亜鉛の使用上限量として、最終食品である発泡性酒類への使用量として、1kg当たり0.0010g、つまり1mg以下でなければならないとさせていただいております。

 成分規格に関しては、既に設定されており、今回改正の必要は無いものと考えております。別紙として、8ページに現在の規格を記載しております。最後に、参考として、これまでの経緯などを記載しております。資料に関する説明は以上です。

○若林部会長 それでは、審議に入る前に、硫酸亜鉛の食品安全委員会の評価結果について、遺伝毒性の部分を戸塚委員より解説をお願いいたします。

○戸塚委員 お手元の資料1-320ページに、遺伝毒性について記載があります。ここに、遺伝毒性についてまとめられた表がありますが、 in vitro の遺伝毒性試験及び in vivo の小核試験といった遺伝毒性はいずれも陰性と出ておりますので、食品安全委員会では当該硫酸亜鉛は特段ヒトにとって問題となるものではないと結論いたしました。以上です。

○若林部会長 続いて、遺伝毒性以外、発がん性、毒性、 in vivo 試験の部分を、小川委員より解説をお願いいたします。

○小川委員 同じ資料の下の段の「急性毒性」から始まっておりますが、次のページに表が載っております。ラット、マウスにおいて、約300 mg/kg 体重、200 mg/kg 体重から700 mg/kg 体重、1,000 mg/kg 体重といったかなり高い用量まで急性毒性としては十分なマージンがおけるような量だと思います。反復投与毒性試験の結果等がその後にありますが、この剤については、硫酸亜鉛として実験が行われているものと、動物実験自体がそんなに多くないので、硫酸イオンあるいは亜鉛としての評価が記載されております。硫酸亜鉛としての反復投与毒性の結果が、21ページの中ほどからありますが、ラット、マウスで13週間の混餌投与の試験があります。こちらにおいては、約3か月投与したところで一番高用量で、ラット、マウスともに体重の増加抑制、摂餌量の低下等が見られております。ということで、こちらは動物でのNOAELの結果が出ておりますが、この剤についてはヒトでの介入試験がたくさんあるということで、最終的には動物での値は参考にはなります。もう1つラットの試験として、21か月の試験が記載されております。こちらについては、肉眼だけで腎臓の肥大が少しありますが、詳細が分かりませんので、特に参照されておりません。

 続いて、23ページに発がん性の試験について記載があります。こちらの硫酸亜鉛については、特に発がん性を判断できるような試験は行われておりません。また、硫酸イオンについては、発がん性の懸念は無いという結果が得られております。また、亜鉛化合物自体についても、もともと栄養成分でもありますが、発がん性を評価できるような事例やデータは無いとされております。その他、生殖発生毒性についても、懸念されるようなデータは今までに得られていないことと、詳細については、最終的にはヒトのデータを用いて評価をすると判断されております。

 ヒトの知見においては、25ページ以降に記載があります。まずは、硫酸亜鉛そのものについての知見ですが、症例報告が5つ載っておりますが、血液系への影響が若干あるという報告がありますが、1事例報告なのでどれぐらいの因果関係があるのかは疑問があるところではあります。その他、介入試験が26ページの中ほどから7つ挙げられており、その中で先ほども少しありましたが、SOD、赤血球のスーパーオキシドジスムターゼは、活性酸素の分解に関わる酵素で、その活性に亜鉛や銅、マンガン、鉄、ニッケルなどが関与しており、生体中の金属の濃度が変わることによって、若干活性が動くということで、その変化が見られています。この7つのうちの1つの介入試験のdにおいては、スーパーオキシドジスムターゼの活性の低下が認められました。

 また、亜鉛化合物としての評価が28ページ以降にあります。これは、グルコン酸亜鉛のときにも、用いられている評価ですが、幾つか介入試験があり、7つの介入試験がグルコン酸亜鉛について記載されております。7つのうち4つの試験で、やはり赤血球のSODが低下するという試験結果が得られております。その中でも、29ページの<2>()Fischerらの試験の結果が、他の試験ですと銅の量をコントロールしているなどのバックグラウンドもあり、成人に対して普通の状態で行われている試験ということで、この試験からLOAEL0.94mg/kg 体重/日、亜鉛としての数字が出ておりますので、こちらを最終的な設定値の根拠としております。

 その他には、あまり毒性を示すような変化がないということ、また亜鉛自体が生体の栄養成分でありますので、必要量もあるというところで、最終的な判断が37ページにありますが、食品安全委員会ではグルコン酸亜鉛、特に亜鉛としての評価を行っており、今回の硫酸亜鉛でも評価に用いることができると思いますが、亜鉛としてのLOAEL65.92 mg//日、一日当たりのヒトの摂取量としてその値になっており、体重当たりに換算すると、0.94mg/kg 体重/日がLOAELということで、そちらをセーフティーファクターとして1.5で割ることにより、最終的には0.63mg/kg 体重/日を亜鉛としての量を亜鉛の摂取量の上限としております。栄養成分であるということですので、あまり少なくもできませんし、摂取する必要があるということですので、このデータからは妥当ではないかと考えております。以上です。

○若林部会長 続いて、体内動態について、吉成委員よりお願いいたします。

○吉成委員 資料1-316ページを御覧ください。IIの安全性に係る知見の概要の最初に、1.体内動態として報告がされております。硫酸亜鉛そのものの試験成績は、非常に限られております。先ほども御説明がありましたが、硫酸亜鉛は硫酸イオンと亜鉛イオンに解離すると考えられていますので、それぞれで考えるというようなことが、この評価書に書かれております。硫酸亜鉛そのものに関する知見としては、17ページにヒトの試験の結果が2つ載っております。()硫酸亜鉛に関する知見の<1><2>ですが、これは血中濃度を示したものだけですので、あまり体内動態の詳しいことは分からないのですが、比較的血中濃度が上がるということで吸収率がよいだろうということは推察されます。

18ページの上に、硫酸亜鉛そのものではないのですが、様々な亜鉛化合物のヒトでの体内動態試験があります。実際、クエン酸亜鉛あるいはグルコン酸亜鉛、酸化亜鉛では、5060%程度の吸収率があるということで、比較的吸収がよろしい化合物です。亜鉛と硫酸に分けて考えるということで、<2>から亜鉛について書かれております。吸収は、主に小腸でされるということで、<2>の亜鉛のaの亜鉛トランスポーターというところに書かれておりますが、人の小腸には亜鉛を管腔から小腸の細胞に取り込むトランスポーターZIPで、もう1つのトランスポーターはZnTが小腸の細胞から血中に移行するトランスポーターなのですが、2つのトランスポーターがあって取り込みをしております。このトランスポーターはbのところにあるのですが、亜鉛を過剰に摂取すると発現が下がるということが言われております。ですから、多く摂取した場合は、取り込みのトランスポーターの量が減ることによって吸収が減るということで、それによってホメオスタシスが保たれていることが分かっております。

 そのことがレビューで19ページのfに書かれております。ヒトにおいては、亜鉛の摂取量が推定平均必要量を超過して増加すると、先ほど説明しましたように、亜鉛の吸収率が急速に低下して、ホメオスタシスが保たれるということで、過剰量摂取してもそれを動態的なファクターで体内への吸収が下がって問題になることはないだろうと考察されております。

 一方、硫酸化合物については、細かい知見は述べられてはいないのですが、()の硫酸化合物に関する知見に書かれておりますように、硫酸イオンはヒトに広く分布する物質です。亜鉛と同じように、消化管から吸収されますし、過剰になった場合には腎臓から排泄されるということで、これも生体のいろいろな糖や外来異物の抱合に使われる重要なイオンですので、非常にイオン濃度の恒常性が保たれているということで、過剰摂取で血中濃度、あるいは体内濃度が上がりすぎることはないと考えられております。

()にまとめがありますが、考察自体はしていないのですが、今言ったような説明があり、結局のところ硫酸亜鉛は、硫酸イオンと亜鉛イオンに分けて考えるということで、両方ともが小腸で吸収されます。これまで、硫酸カリウムあるいはグルコン酸亜鉛といった硫酸イオンと亜鉛イオンにおいては、常に体内動態を考察されて、添加物として利用されているということで、具体的な評価は実際にそこには書かれておりませんが、特段問題となるような体内動態を示すことは無いと考えられます。以上です。

○若林部会長 一とおり御説明が終わりましたので、各委員の方々から御意見を伺いたいと思います。今回の硫酸亜鉛に関しましては、既にこの亜鉛に関しては母乳代替食品等で認められていますが、今回は発泡酒類等の醸造に必要な発酵過程において酵母の必要栄養素として必要であるというようなことです。何か、安全性、遺伝毒性及び摂取量等について御意見があればお願いいたします。

○二村委員 特に結論自体に影響を与えるものではないと思いますが、報告書のところで1点、質問がありますのでお願いします。1ページの「概要」というところで、JECFAでの最大耐容一日摂取量が0.31.0 mg/kg 体重/ という幅のある値で示されています。通常は「最大」なので1つの値かと思うので、書き方が珍しいなと思いました。その理由がもし分かれば教えてください。こういう数字はどういうふうに見たらいいのかということを教えていただければと思います。

○若林部会長 1ページのところです。0.31.0 mg/kg 体重/ の幅が少し広いのではないかということについて、何か事務局から御意見をお願いします。

○事務局 JECFAの評価に関しては、今回の亜鉛というものが必須栄養素ということがありまして、通常、保存料などの食品添加物の場合は、全く食べなくても、健康に対する影響ということはありませんが、亜鉛の場合では、全く食べないということになると欠乏症が生じることになりますので、ある程度の量に関しては摂取しなければ健康に影響が出るものになっております。そのため、JECFAの摂取量に関しては、少量食べなくてはならないということで、下限値が0ではなく0.3 mg/kg 体重/ ということで設定されているものです。

○若林部会長 質問は0.31.0 mg/kg 体重/ の幅があるのはどういう理由でしょうかということです。

○事務局 幅に関しましては、この範囲であれば、摂取する際に健康に影響を与えないだろうというものとして設定されていますので、他の保存料などの添加物に関しても、JECFAの場合は0から最大上限量ということで、健康に影響を与えない摂取量ということで設定されているものです。

○若林部会長 よろしいですか。

○二村委員 最低これだけは必要ということで、かつ、最大がこれだけというふうに理解すればよいですか。

○事務局 おっしゃるとおりです。

○中島委員 評価書の5ページの下から3つ目のパラグラフなのですが、LOAEL0.94mg/kg 体重/日で、亜鉛の摂取量に関する上限値を算出するために、これを1.5で除して0.63mg/kg 体重/日としています。1.5で除すという、この1.5の根拠はいかなるものなのでしょうか。

○若林部会長 なぜ1.5で割るのかという根拠が分かりましたらということで、事務局からお願いできますか。

○事務局 こちらは食品安全委員会のほうで審議されたものですが、まず、今回の硫酸亜鉛の評価というものが、以前評価が行われたグルコン酸亜鉛の評価を引用されたものです。また、そのグルコン酸亜鉛の審議の中で、明確に審議の中で言及されたものではありませんが、ヒト介入研究におけるLOAELの根拠の所見である赤血球SOD活性の低下が非常に軽微な所見であることや、亜鉛が生物学的に必須な栄養成分であるということを踏まえて、食品安全委員会において栄養学の専門家の先生による議論の結果、この1.5という係数として判断が行われたものになっています。

 また、この1.5という係数に関しては、厚生労働省内にあります日本人の食事摂取基準作成検討会の報告書及びIOM(米国医学研究所)における亜鉛の耐容上限量を設定する際にも、この不確実性因子の1.5というものが用いられることも参考にしているものです。

○中島委員 根拠は、話は分かりましたが、NOAEL1.5で割るのならまだ分かるのですが、これはLOAELなので、1.5で割った数字でそれを上限値にして、それで安全性は十分担保できるのか、そこが少し気になるのです。その1.5でオーケーとなった議論の背景など、もう少し分かると安心できるのですが。

○事務局 1.5ということについて、食品安全委員会の事務局のほうにも、1.5の根拠について、議事録を見た上で確認させていただいたのですが、先ほど御説明しましたように、栄養学の専門家による議論の結果、そうなったものであるという回答を頂いており、これ以上のことはなかったというものです。

○中島委員 要するに、プロがそれくらいでよろしいと判断されたわけですね。

○事務局 そのように理解しております。

○中島委員 了解です。

○小川委員 おっしゃるとおりで問題ないと思うのですが、普段ですと、赤血球のSODの活性などというのは、ほとんど毒性試験では見ないような項目であり、全身状態に明らかな影響を及ぼすような変化ではないというところもあります。もちろん酵素が動いているということなので、考慮はすべきだと思うのですが、ここのSODの低下というものを毒性として重きを置くのかどうかというところも若干議論のあるところで、安全側に立ってのLOAELを採用しているということも踏まえて、必要な栄養素であるということを考慮した上での数値だと認識しております。コメントです。

○若林部会長 いかがですか。多分、中島先生は、何かある基準があって、1.5を必ずこういう場合には使うというルールがあれば、より分かりやすいという質問でもあるかと思うのですが。

○中島委員 そうとも言えますし、一般的には、これ若しくは個別に検討して、この件では専門家が1.5でよろしいと判断したということであれば、それはそれで結構です。

 今回は、1.5というのはそれほど一般的ではなくて、この今回の硫酸亜鉛については、その専門家が1.5でよろしいと判断したと理解しましたが、それでよろしいですね。

○井手委員 一番基本的なことが理解できていないかもしれないのですが、ここでイーストフードの製造用剤として使われるときに、下限を考えなければいけないのかということなのです。一般的にこのくらい必要だというか、普通、これは栄養強化剤というのと両方入っていますが、どういうふうに考えたらいいのでしょうか。つまり、普通のときに、一般の食品から取れているわけですよね。ここの部分の亜鉛が減っても特に影響を及ぼすことが無いような気がするのですが、そういう考え方ではないのですね。ちょっとその辺りの一番基本的なところが理解できていないのですが。これに亜鉛の含まれ方が少なくても、一般的に栄養として問題ないというような。栄養強化剤として使うのだったら別ですが、そこで下限がすごく強調されているのですが、どういうふうに理解したらいいのですか。

○若林部会長 石見委員はその関連ですか。どうぞ。

○石見委員 健常人でしたら問題ないのですが、グルコン酸亜鉛等は病者用食品の総合栄養食品に使われており、食事ができない方のケースも考えて、最低限必要なものは、そういう添加物に頼らざるを得ないという病者の方もいらっしゃるということで、ここをゼロにすると、そこの問題が出てきてしまうと私は理解しています。

○井手委員 分かりました。ありがとうございます。

○鎌田委員 ちょっと教えてください。母乳代替食品の栄養強化剤として既にあって、今回、用途の中に母乳代替食品が入っていないことは、母乳代替食品以外のものについても拡大して使うという意味が入っているのですね。我が国では母乳代替食品用の栄養強化剤を目的として既に昭和58年に指定と書いてあって、今回の用途の目的が栄養強化剤とイーストフードだと書いてありますが、食品の種類を拡大するという意図があるのでしょうか。

○事務局 今回、使用基準について6ページにありますが、母乳代替食品と発泡性酒類ということで、今回、発泡性酒類を追加するということですので、これらの食品に対してのみ使用を認めると。1ページに、使用途の例ということで書かせていただいておりますので、基本的には母乳代替食品には栄養強化の目的で使用されることになりますし、発泡性酒類についてはイーストフードの目的で使用されるという形になるかと思います。

○鎌田委員 分かりました。そのイーストフードのほうなのですが、3ページに添加してもほとんど発酵の後では麦汁中に残存しないとあるのですが、文章だけの表現では若干心細いかなという気がするのですが、添加後、それから発酵終了後の濃度を測った成績はないのでしょうか。

○事務局 資料に記載させていただいているものではないのですが、こちらの麦汁中における亜鉛の含有量の変化というものを、小スケールでのビール醸造を行った結果というものを示したデータがありまして、そちらの場合ですと、今回お示ししている基準案よりも少々多い量、1L当たり1.07mgの亜鉛を添加したものの場合、96時間程度で、含まれている亜鉛が消失するというデータがありますので、同じような挙動を示すのではないかと考えております。

○鎌田委員 分かりました。3日ぐらいたつと、添加しているものも含めて、硫酸亜鉛の残存がほとんどないということですね。

○事務局 そのような形で理解しております。

○鎌田委員 ありがとうございます。

○若林部会長 そうすると、今のに関連した6ページのところですが、添加物由来の亜鉛の摂取量のところの発泡性の種類のところで、1kgの水に0.0010gを超えないようにしなければならないということですが、実質的にこれはほとんど検出されないものであるというようなことが前提としてあるわけですか。

○事務局 ほとんど残らないものということで考えられているものではありますが、今回、摂取量の推計を行うに当たり、最大の残留リスクを考えた上でということになりますと、使用した全量が全て残るという仮定の下で考えて摂取量推計を行ったものです。

○若林部会長 分かりました。その他に何かありますか。いずれにしても、摂取量に関しては、全亜鉛の摂取量の内、今回の発泡性酒類からのものに関しては、かなり少ないパーセンテージですね。他の、いわゆる栄養機能性食品由来のものや食事由来のものが主なものということになっているかと思います。

○吉成委員 個人的な興味のところもあるのですが、これは硫酸亜鉛でないと駄目なのですか。他の亜鉛化合物では駄目なのですか。

○事務局 今回、資料として3ページの図1でお示ししている試験というのは、2ページの説明にもありますが、幾つかの亜鉛で実施しております。具体的にはこの文献の中では、アスパラギン酸亜鉛と塩化亜鉛を使っております。ですので、他の亜鉛でも同じような効果が認められたという結果になっておりますので、硫酸亜鉛でなければいけないというものではないと理解しております。

○石見委員 摂取量のところですが、5ページの「栄養機能食品由来の亜鉛の摂取量」というところで、2行目の「栄養機能食品に対して亜鉛として15mgの一日摂取目安量が示されている」と記載があるのですが、この15mgは摂取目安量の上限値ですので、そこのところを御留意いただければと思います。この15mgが目安量ではないという、目安量の上限値だということです。

○若林部会長 少し文章の訂正が必要だということですが、事務局はよろしいですか。

○事務局 こちらは食品安全委員会の評価書からの抜粋ですので、事務局のほうで修正というのはちょっと厳しいかと存じます。

○石見委員 ですので、留意していただければということです。

○若林部会長 意味とするところを理解して、ということです。

○穐山委員 規格基準の使用基準の改正の文書案なのですが、7ページの改正案で、「硫酸亜鉛の使用量は、亜鉛として、発泡酒類にあってはその1kgにつき0.0010g以下でなければならない」と書かれています。これは多分、前例でこういうふうに書かれているのだと思うのですが、その直前には「1Lにつき、亜鉛として6.0mg」と書いてあって、そのあと「1kgにつき0.0010g」と書かれております。この記載はちょっと分かりにくいような気がするのです。前例に従って書かれていると思いますが、これでよろしいのですか。

○事務局 こちらの1kg当たりということで設定させていただいているものに関しては、これまで、種類に関する添加物の使用量としてはキログラム当たりで設定させていただいていたという前例がありますので、そちらに倣っているものです。また、ビール類の比重に関しては1近傍ということで、リットルとキログラムでほぼ同じ値であるという形では考えております。

 また、今回、使用基準の上限量を設定した根拠としては、有効性のところでお示しした1L当たり0.6mgという亜鉛の量ですが、こちらが、麦汁に添加した硫酸亜鉛が、製造工程を経た場合、その工程中で麦汁中の亜鉛が損失を生じてしまい、約60%程度しか亜鉛が残留しないというデータがありますので、そちらを踏まえて、今回、1kg当たり1.0mgという使用上限量の基準案として記載させていただいております。

○穐山委員 分かるのですが、つまり、「1mg」と書かなくて、「0.0010g」と書いては分かりにくいのではないかと少し思っただけです。その直前の文章に「6.0mg」と書いてあるのに、こちらは「0.0010g」ですよね。それは多分、前例に従って文章を作成されたと思うのですが、ちょっと分かりにくいのではないかと思いました。

○若林部会長 7ページの上から3行目は「亜鉛として6.0mg」と「mg」で書いてあるのですが、その下の行は「0.0010g」と書いてあるのが、これは「1.0mg」のほうがパッと見たときに分かりやすいのではないかという質問です。

○穐山委員 多分、前例でそうなっているのだと思いますが、ここで一回、議論しておいたほうがよろしいかと思いました。

○事務局 穐山委員御指摘のとおり、基本的にはキログラム当たりのグラムで使用基準を記載することが多いということをもって、今回もキログラム当たりのグラムと置かせていただいているというところが実情かと思います。

○若林部会長 よろしいでしょうか。科学的には両方とも合っているのです。表示の仕方だと思うのですが。でも、今までの例などもあるでしょうから、こういう規定に関しては致し方ないところがあると思うのです。これについては事務局にお任せをしようと思いますが、そういう意見があったということを留意しておいてください。

○中島委員 亜鉛ですからこのくらいでいいのですが、もし将来的にこれが0.00と、0が5つとか6つとか、そういったものが出てくる場合も想定されますので、やはり分かりやすさと見やすさというのは、それなりに考えておいたほうがよろしいように思います。ですので、不可能でないならば、ここで「1.0mg」に直せるものなら、直したほうが後々いいようにも思うのですが、それは難しいのでしょうか。

○事務局 今の中島委員の御指摘などもあるのですが、過去のものですと、1kgにつき0.0004gというものも銅クロロフィリンナトリウムの使用基準の中にあるということがありますのでグラム表記で記載させていただいたという経緯はあります。ただ、分かりにくいところはあるかとは思いますが、そこは前例等も踏まえて確認させていただきたいと思います。

○若林部会長 それでは、この件に関して一とおり御審議いただいたということで、特に内容については大きな問題点もありませんので、硫酸亜鉛の使用基準改正については認めるということで委員の皆様方、いかがでしょうか。問題ないですね。それでは、部会報告書を取りまとめ、分科会へ報告する手続を取りたいと思います。

 事務局から、その他に何かありますか。

○事務局 ミリグラムの記載に関しましては検討が必要という御意見がありましたが、この点に関しては、また検討させていただいた上で、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題なければ手続を進めるということでよろしいでしょうか。

○若林部会長 事務局からのそのような提案ですが、そのように進めさせていただいてよろしいですね。その他、事務局から何かありますか。

○事務局 また、今後の手続の過程で細かい文言の変更等の軽微な修正が必要になった場合、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題がなければ手続を進めてもよろしいでしょうか。

○若林部会長 はい。それから、分科会への報告についてありますね。

○事務局 本品目については、使用基準改正のため、その期限、製法、用途等から見て、慎重に審議する必要があるとの部会の意見に基づき、分科会長が決定するものを除き、分科会では審議事項ではなく報告事項とされています。報告事項として進めさせていただいてもよろしいでしょうか。

○若林部会長 以前の規則の改正により、改正のものに関しては、この上の分科会では審議事項ではなくて報告事項として扱うということになっておりますので、そのように扱わせていただきますが、よろしいですね。

 それでは、今後のスケジュールはどのようになりますか。

○事務局 今回の審議結果につき、食品衛生分科会での報告の他、パブリックコメント、WTO通報などの所定の事務手続を開始したいと思っております。

○若林部会長 それでは、そのような手続をよろしくお願いいたします。

 以上で本日の議事は終了いたしましたが、その他に何か事務局より報告事項はありますか。

○事務局 本日の部会における報告事項はありません。

○若林部会長 その他、委員の皆様から何か御発言、追加発言等ありますか。よろしいですか。発言がないようでしたら、次回の予定について事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 次回の添加物部会については、日程調整をさせていただいているところです。日時、場所、議事等について、改めて御連絡させていただきたいと思います。

○若林部会長 よろしくお願いします。本日の添加物部会は以上で終了です。どうも御協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課

添加物係: 03-5253-1111(内線 2459,2453)

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