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2015年10月20日 社会保障審議会障害者部会(第73回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成27年10月20日(火) 16:00~


○場所

TKPガーデンシティ竹橋ホール10E
(東京都千代田区一ツ橋1-2-2住友商事竹橋ビル10F)


○出席者

駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、石原康則委員、伊藤建雄委員、大濱眞委員、伊豫雅臣委員、大濱眞委員、小澤温委員、河崎建人委員、北岡賢剛委員、久保厚子委員、佐藤進委員、竹下義樹委員、橘文也委員、藤堂栄子委員、永松悟委員、中村耕三委員、野澤和弘委員、樋口輝彦委員、日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、岩上洋一参考人、森祐司参考人、今村早人参考人

○議事

○駒村部会長

 定刻になりましたので、第 73 回社会保障審議会障害者部会を開催いたします。委員の皆様方には、御多忙のところお集まりいただきましてありがとうございます。毎回議事に入る前にお願いしておりますが、事務局におかれましては、資料説明をなるべく簡潔にお願いいたします。また、委員におかれましても、より多くの委員が御発言の機会を確保するために、簡潔に御発言いただきたいと思います。引き続き、円滑な会議運営に協力をお願いいたします。

 それでは、事務局より委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。

 

○川又企画課長

 委員の出席状況ですが、本日は中板委員、松本委員から御都合により御欠席という御連絡を頂いております。また、朝貝委員、菊池委員、藤堂委員、野澤委員、樋口委員からは遅れて到着する旨の御連絡を頂いております。また、小西委員の代理として森参考人、菊本委員の代理として岩上参考人、山口委員の代理として今村参考人に御出席を頂いております。

 本日の資料の確認をさせていただきます。資料 1 「現状・課題と検討の方向性」、資料 2 「障害者部会における委員意見」です。ここでカメラ撮影は終了とさせていただきます。よろしくお願いします。

 

○駒村部会長

 それでは、本日の議題に入ります。本日の 1 つ目は、「精神障害者に対する支援の在り方」、 2 つ目が「障害者の意思決定支援・成年後見制度の利用促進の在り方」、 3 つ目が「手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方」、この 3 つについて、これまでの議論を整理した資料をたたき台として、議論を深めたいと思います。まず、事務局から資料説明をお願いいたします。

 

○田原精神・障害保健課長

 精神・障害保健課長の田原です。資料 1 のうちの (1) 精神障害者に対する支援の在り方について御説明いたします。 1 枚めくっていただき、これまでの議論、論点の整理の案として、病院から地域に移行するために必要なサービスをどう考えるのか、精神障害者の特性に応じた地域生活支援の在り方についてどう考えるのか、この 2 点が論点の整理としてありました。

 これを踏まえ、 4 ページに、現状と課題を幾つか整理をしております。まず最初の○として、精神科病院における入院患者の状況を整理しております。その上で、これまで精神保健福祉法の改正などを踏まえまして、予算措置など他制度との連携強化を実施しており、今後も精神障害者の更なる地域移行を進めていく必要性について触れております。次の○は、例示として、ピアサポーターについて、自治体ごとに取り組んでいる状況、また、地域移行を進めるために、住民と医療・保健・福祉の関係者が連携体制を構築する必要性があることに触れております。次の○では、精神疾患の特性が、病状が僅かな環境の変化等により増悪をすることがあって、医療と福祉が連携をして、症状の急変時の受皿を確保することの重要性について触れております。また、福祉事業者の受入体制を整備するため、例えば高次脳機能障害の症状や、それに応じた支援方法など、精神疾患の特性について、福祉事業者の理解を促進することが必要であるとしております。次の○では、地域生活支援を進めるためには、例えば県レベルで定めております長期在院者数の削減目標、これは入院されている方の削減目標を市町村の障害福祉計画におけるサービスの見込み量に適切に反映する重要性について触れております。その次の○ですが、居住の場を確保するために、国交省の研究会における取りまとめを踏まえながら、障害者総合支援法に基づく協議会と、国土交通省の法律で示されております居住支援協議会が連携して対応することが重要であるとしています。
 5ページを御覧ください。検討の方向性といたしまして、まず、 1 つ目の○については、ピアサポーターの質を確保するために、ピアサポーターを養成する専門的な研修を含め、必要な支援を行う方向で検討することとしてはどうかとしています。次の○の所では、入院の予防と家族支援の観点から、短期入所について、医療との連携の在り方を検討することとしてはどうか。これは、参考資料の 9 ページにケア付きショートステイの図があります。○の 3 番目ですが、地域移行や地域定着を支援するために、生活を支援する拠点の整備を推進するとともに、一人暮らしを希望する精神障害者の地域生活を支援し、居住の場の確保につながるように、定期的な巡回訪問や住民の対応などで適切な支援を行うサービスが行えるように、支援の在り方を検討することとしてはどうか。次の○は、市町村が中心となって、連携体制、あるいは情報共有を行う。こういう場として、市町村に協議会を設置し、都道府県における市町村支援の在り方を検討するということとしてはどうか。また、市町村における障害福祉計画の策定に資するように、長期在院者数の削減目標を、福祉サービスのニーズの見込み量に反映させる方法を提示してはどうかとしています。最後の○ですが、精神障害者の特性と、それに応じた適切な対応方法につきまして、必要な知識・技術を持った福祉に携わる人材育成を推進してはどうかとしているところです。以上が現状と課題、そして検討の方向性でございます。
 6
ページ以降は、参考資料、関係資料ですが、簡単に触れますと、 7 ページ、ピアサポーターについて、これは 9 25 日にこの部会で提示をした資料です。 8 ページは、そのピアサポーターの活動による効果です。これも提示した資料です。 9 ページは、先ほど少し触れましたが、昨年度の医療ケア付きショートステイの検証事業についての枠組みです。その次の 10 ページは、検証事業の結果の概要です。ここまでは 9 25 日の部会で配布した資料です。
 11
ページですが、これは 9 25 日の部会で御指摘を頂いた、医療と福祉の連携やショートステイの充実に関して、短期入所、共同生活援助における医療機関との連携に関する現行の医療連携体制加算について整理した資料です。数字が間違っていますので、修正をしていただきたいのですが、上側の「短期入所」のすぐ右側にあります、医療連携体制加算 (I) の「 500 単位」というのは「 600 単位」です。その右側の加算 (II) の「 250 単位」というのは「 300 単位」になっております。これは平成 27 年の報酬改定でアップされたもので、下の共同生活援助の 500 単位、 250 単位というのは変わっておりません。上段の短期入所、下段は共同生活援助について、看護職員等を事業所に訪問させて、看護や喀痰吸引を行った場合に加算を行うような体制です。
 12
ページを御覧ください。 12 ページは、地域生活支援拠点等の整備ですけれども、これは 10 15 日の部会で配布をしたものです。
 13
ページも部会で御指摘を頂いた、保健所や市町村の役割分担に関しまして、保健所や市町村がどのように考えているのかというものを整理をしたものです。左側は保健所からの回答ですが、保健所においては、困難事例の相談・訪問支援、市町村との連携、精神障害者の地域移行・地域定着支援を自ら果たすべき役割と考えています。右側、市町村からの回答ですが、市町村のほうでは、相談支援事業者との連携、精神保健相談・電話、そして精神障害者の地域移行・地域定着支援を、市町村としての果たすべき役割と考えています。

 続きまして 14 ページです。 14 ページも、部会で御指摘を頂いた、保健所における好事例についての資料です。兵庫県但馬圏域においては、保健所の主催で月に 1 度精神科病院を含む地域の関係機関が集まる場を設けまして、地域移行の具体的な取組状況を共有しているところでございます。保健所と相談事業所が一緒になって、ピアサポーターの養成や活動支援を行っております。右側の中央に「効果」とありますが、平成 25 年度においては、利用者はゼロでしたが、 26 年度は 8 名が利用し、 2 名が退院、 27 年度は 13 名が利用し、 4 名が退院となっております。その下の「関係者の意識変容」の所にもありますが、意識も変わっておりまして、病院関係者の理解も深まっているという状況です。
 15
ページです。これも、部会で御指摘を頂いた、市町村等の役割を整理したものです。一番上の行ですが、市町村においては、「役割」にありますように、精神障害者の地域移行の推進に係る中核的、主体的な役割だとしております。

 その次の段の二次医療圏域、保健所圏域においては、精神科病院からの地域移行の推進を役割として担っているかと思います。そして、都道府県においては、精神障害者の地域移行の推進に係る指導的な役割を担っていると整理をしています。
 16
ページを御覧ください。 16 ページもこれまで御指摘を頂いた、地域移行について市町村に期待される役割に関して整理したもので、精神障害者地域移行・地域定着推進協議会、これは下のほうにありますが、都道府県の協議会では現在、地域生活支援事業の必須事業として行っておりますが、市町村においても市町村協議会、自立支援協議会の中に精神障害者に関する協議会を設けてはどうであろうかということを整理をした資料になります。右側の黄色い所の「市町村の役割」ですが、先ほど申し上げた役割の下に、住民に身近な自治体における関係機関の連携体制の構築ということが役割として考えられますし、また、都道府県のほうでは、その下の都道府県の役割の 2 番目の○ですが、広域的な関係機関の連携体制の構築を役割として整理ができるのではないかということで、資料をお示ししています。
 17
ページです。これも部会のほうで御指摘いただいた、長期入院精神障害者の地域への移行の影響を市町村に対してどのように示すのかということに対する 1 つの例です。前例として、昨年、介護サービスの見込み量の推計手法について、市町村にお示しをしたときの資料です。障害福祉計画につきましても、介護保険事業計画の際と同様に、地域移行の影響を勘案するための推計手法をこのような形でお示しすることが考えられるのではないかと思っております。 18 ページも同様です。
 19
ページは、高次脳機能障害の施策ですが、福祉事業者の理解が足りないという御指摘を頂きました。国立障害者リハビリテーションセンターにおきまして、支援拠点機関を通じて一般の国民や医療従事者に対する普及啓発の充実、あるいは相談支援の充実、研修体制の充実を図っているところでございまして、こういった資料をもとに御議論いただければと思います。以上です。

 

○田中障害福祉課長

 障害福祉課長の田中です。続きまして、その次のページから意思決定支援・成年後見制度の利用促進の関係の資料でして、私から御説明をいたします。まず、 21 ページ、論点の整理 ( ) です。 1 点目が、障害者に対する意思決定支援についてどう考えるか。 2 点目は、前回の御議論のときは、精神障害者の論点整理 ( ) にありましたが、意思決定支援ということですので、今日はこちらに記載しております。総合支援法の意思決定支援と、精神保健福祉法附則第 8 条に規定する精神病院に係る入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定、及び意思の表明の支援の在り方と関係性について、どう整理するかです。 3 点目が、成年後見制度の利用支援についてどう考えるかということで、御議論をしていただいておりました。
 22
ページ、 23 ページに現状・課題、検討の方向性ということでまとめています。まず、 22 ページの現状・課題ですが、 1 点目の○において、現行の総合支援法の第 1 条の 2 、基本理念ということで、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保されるという旨を規定していること。 42 条、 51 条の 2 で指定事業者、指定相談支援事業者に対して、意思決定の支援に配慮するよう努める旨を規定しているということで、現行の総合支援法における意思決定支援の重要な取組として位置付けている現状について御説明しています。
 2
点目ですが、現在この意思決定支援の定義・意義・仕組み等を明確化するためのガイドラインの策定に向けた調査研究を進めているということ。今後については、そのガイドラインを関係者の間で共有して、その普及や質の向上に向けた取組を進めていく必要があるというような課題を記載しています。
 3
点目、精神障害者の関係です。総合支援法における意思決定支援のほかに、精神保健福祉法改正の附則に、入院中の処遇や退院等に関する意思決定や意思表明の支援の在り方に関する検討規定が置かれており、平成 24 年度からまた継続的に、精神障害者の意思決定支援に関する調査研究が実施されているということです。
 4
点目は成年後見の関係ですが、この利用促進に向けて、総合支援法に基づいた地域生活支援事業 ( 必須事業 ) が実施されており、申立て経費や後見人等の報酬の補助を行います利用支援事業が 1,360 市町村で実施されていること。法人後見の実施に向けた研修や組織体制の構築支援を行う法人後見支援事業が 207 市町村で実施されているというような現状の事業の実施状況を記載しております。
 5
点目、「一方で」ということで、後見の利用者が保佐や補助の利用者に比べて非常に多くて、適切な後見類型が選択されていないということとか、担い手の確保や支援の質の向上が必要であるとの指摘があることを記載しています。

 これらを踏まえました検討の方向性が 23 ページからです。 1 点目、意思決定支援の定義・意義、標準的なプロセス、留意点等を取りまとめた意思決定支援ガイドラインを作成をして、事業者や成年後見の担い手を含めた関係者間で共有して普及を図ってはどうかということ。また、併せてその意思決定支援の質の向上を図るために、こういったガイドラインを活用した研修を実施する方向で検討することとしてはどうかとしています。
 2
点目、障害福祉サービスの具体的なサービスの内容の要素として、意思決定支援が含まれる旨を明確化してはどうかということを挙げています。
 3
点目、入院中の精神障害者の意思決定支援ですが、計画相談支援や地域移行といった障害福祉サービスの利用に関して、上記の 1 点目、 2 点目のような対応を検討するとともに、精神保健福祉法の改正に係る検討規定に基づく見直しの中でも、更に検討することとしてはどうかということです。
 4
点目ですが、親なき後への備えも含め、障害者の親族等を対象とし、成年後見制度利用の動機付け、例えばエンディングノートの活用など、適切な後見類型の選択につなげることを目的とした研修を実施する方向で検討することとしてはどうかとしています。
 5
点目ですが、成年後見制度と障害者権利条約第 12 条との関係については、成年後見制度そのものの在り方に関連する問題であることから、内閣府に設置されている障害者政策委員会で今、議論されていますので、この議論を注視することとしてはどうかということで、まとめています。
 24
ページ以降が関連資料になります。前回の意思決定支援の議論の際にもお出しして説明したものもありますので、かいつまんで御説明します。 25 ページから 27 ページが今、御説明しました意思決定支援ガイドライン ( ) の概要です。平成 25 年度から障害者総合福祉推進事業で調査研究を進めて、有識者に御参加いただいてまとめた支援のガイドライン ( ) で、障害福祉サービスの事業等において、知的障害、精神障害等で意思決定に困難を抱える利用者の意思を尊重した支援を行うための考え方や仕組みについてまとめたもので、 26 ページ以下がその内容です。まず、考え方ということで、意思決定支援の定義、構成する要素、基本的原則というようなことをまとめており、障害福祉サービス事業所で実際に意思決定支援に取り組む際の仕組みについてまとめる。内容としては、利用者の代弁者とか日常生活場面における意思決定支援という、そのような意思決定支援、意思決定支援計画の作成と計画、アセスメントから計画の作成、フォローまでのプロセスといったようなことについてまとめているものです。
 28
ページですが、前回の精神保健福祉法改正の附則の 3 「検討規定」です。赤字の所ですが、この検討規定の中において意思決定及び意思の表明の支援の在り方について検討を加えるということが規定されています。
 29
ページ以降が、平成 26 年度の総合福祉推進事業で行っている意思決定支援に関しての成年後見制度の利用促進に向けた説明会試行事業の概要です。この事業の中でエンディングノートの作成例を、次の 30 ページになりますが、こういうようなものをお示ししています。利用促進に向けた説明会を行った結果ということで、 31 ページにありますが、説明会の前と説明後を比較していただきますと、赤い枠にあるように、いろいろな心配というようなことが、説明後では比率が減っているということ。制度の利用について前向きに考えてみたいという、これは一番下ですが、これについては説明前より説明後のほうが前向きに考えてみたいというプラスに、そのことについて肯定的に答えられる割合が上がっているというように、事業の実績について御説明をしております。意思決定支援の部分は以上です。

 

○道躰自立支援振興室長

 それでは続きまして、 32 ページからの意思疎通支援関係について、御説明いたします。自立支援振興室長でございます。 33 ページに論点をお示ししております。おさらいになりますが、 5 点が掲げられています。意思疎通支援の内容・運営について、財政的支援の在り方について、人材養成について、支援機器の活用や開発普及等について、他施策との連携の 5 つです。
 34
ページ、ここでは現状・課題について 5 つにまとめています。 1 つ目の○ですが、ここは総論的に、意思疎通支援の重要性と、障害福祉サービスと地域生活支援事業により意思疎通支援に関する事業が実施されていることについて記述しています。 2 つ目の○ですが、来年度、施行される障害者差別解消法について触れて、合理的配慮との関係に留意する必要があることを記述しています。 3 つ目の○ですが、地域生活支援事業により実施されている意思疎通支援事業の各メニューの利用状況や利用ニーズを、きちんと把握する必要にまず触れ、そのことを踏まえて意思疎通支援事業を担う支援者の養成、更には司法や医療等の専門性を有する支援者であったり、支援者を指導する指導者の養成の必要性について記述しています。また、小規模自治体では、意思疎通支援事業の実施そのものが困難である場合が多いことから、協働して実施することなども必要である旨、触れています。 4 つ目の○です。現行の地域生活支援事業等での意思疎通支援は主として視覚・聴覚・言語・音声機能障害の方を念頭に置いた支援であることから、盲ろう、失語症、知的障害、発達障害、高次脳機能障害、重度の身体障害者の方に対する意思疎通が必要との指摘がある旨、記述しています。 5 つ目の○です。機器開発について触れています。現在、意思疎通支援の支援機器についても開発助成を行っておりますが、当事者や御家族のニーズに即した開発が行われるよう、情報提供をしっかり行うことが課題であるとしています。
 35
ページです。このような現状と課題を踏まえて、検討の方向性を 6 点にまとめています。まず最初の○です。意思疎通支援の在り方全体について触れています。先ほどの現状と課題の所で、意思疎通支援については対象者のニーズに応じて障害福祉サービス、いわゆる個別給付によって実施されているものと、地域生活支援事業の必須事業として位置付けられている意思疎通支援事業によって実施されているということを御紹介したところですが、検討の方向性としては基本的にこの現在の支援の枠組みを崩すことなく、引き続きしっかりと意思疎通支援事業を実施していくことと考えています。しかし、一方で意思疎通支援が視覚・聴覚・言語・音声機能障害の方を念頭に置いた支援となっていることから、盲ろう、失語症、知的障害、発達障害、高次脳機能障害、重度の身体障害者の方に対する意思疎通支援が必要との指摘があると現状と課題の所で触れておりますとおり、障害種別ごとの特性やニーズに配慮した、きめ細かな見直しを行う方向としてはどうか、と考えております。
 2
つ目の○です。地域生活支援事業は、地域の実情に応じて柔軟な実施を可能としている点が大きなメリットですが、各自治体ごとでその実施率にばらつきがある面もあります。各自治体において、利用者数や利用回数、時間等の現状に関する調査を行っていただきまして、その結果を踏まえ、支援者の養成数や提供サービス量の目標を設定してはどうかと考えております。この場合、障害者差別解消法が来年度から施行されることとなっており、事業者等の合理的配慮によって、意思疎通支援が進展するという側面もあると考えられますので、その進捗状況にも留意する必要があろうかと思っています。
 3
つ目の○です。手話通訳士など、意思疎通支援を行う方の人材養成に関してです。様々な障害の状態像に対応した意思疎通支援者の養成や、司法や医療等の専門性を有する意思疎通支援者の養成を更に進めるために、これら支援者を養成するための指導者を養成する必要があります。このような観点から指導者の養成をどのように進めるべきか、指導者養成の在り方を検討してはどうかと考えております。
 4
つ目の○です。小規模な市町村の場合、単独では意思疎通支援事業を実施することが困難な場合があります。このため、都道府県が広域的な調整を図り、補完的・代替的に事業を実施する方法を検討してはどうかと考えております。また、災害時における意思疎通支援の提供体制を確保するため、平時から災害時に備えておく取組を強化しておく必要があると考えています。
 5
つ目の○です。地域生活支援事業の意思疎通支援の対象としては、主として視覚・聴覚・言語・音声機能障害の方を念頭に置いてきたということは、先ほど述べたとおりですが、一方で、地域生活支援事業の意思疎通支援は制度上、自治体の創意工夫によりまして、障害の状態像に応じた支援を実施することが可能とされています。そのようなことから失語症、知的障害、発達障害、高次脳機能障害、重度の身体障害のある方についても、意思疎通支援を行う支援者の養成・派遣の対象であるということを明確に示すことにしてはどうかと考えています。さらに、近年、 ICT の技術の進歩は目覚ましいものがありますので、この活用等を通じた意思疎通支援の在り方を検討してはどうかと考えています。
 6
つ目の○です。視覚・聴覚情報提供施設の活用について触れています。現在、全国に視覚・聴覚情報提供施設が 127 か所あります。文字通り視覚や聴覚に障害をお持ちの方に対する情報提供の中核施設として活動を行っていただいていますが、意思疎通支援を円滑に行うための支援機器の活用・利用の仕方についての支援や、意思疎通支援に関する相談や情報提供について、更にしっかりと実施していただけるよう、同施設の活用を検討してはどうかと考えております。
 36
ページ以下は関係資料です。 9 8 日、第 69 回の部会でお示しした資料のうち、主なものを添付していますので、適宜御参照いただければと思います。意思疎通支援に関する説明は以上です。よろしく御審議くださいますよう、お願いいたします。ありがとうございます。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。今日の資料 1 の一番最初のページを見ていただくと、今日は 3 つ議論しなければいけないということになります。今日、あと持ち時間は 2 時間程度ということですので、今日も、 1 つのテーマを大体 40 分で議論していただかなければいけないという極めて厳しい時間配分になるかと思います。まず、 (1) の精神障害者に対する支援の在り方について、これから議論に入っていきたいと思いますが、御発言予定の方、申し訳ないですが挙手していただけますか。 13 人ですから 2 3 分ということで申し訳ございません。河崎先生から今日はこっち回りでいきたいと思いますので、待っていただいている間に 2 3 分でお話できるように、発言内容をまとめていただきたいと思います。河崎先生、申し訳ありません。いきなりですが、よろしくお願いいたします。

 

○河崎委員

 日本精神科病院協会の河崎です。まず今回、検討の方向性として 6 項目が挙げられました。それらについて少し発言をさせていただきたいと思います。まず最初のピアサポーターの養成という所ですが、ピアサポーターの有用性については、これまでの様々な研究等々でも出ているわけです。前回も申し上げましたが、ピアサポーターの方たちの専門性をしっかりと高めていただくような研修があって、初めて有用な手段になり得るのかなと思っていますので、ここにも「専門的な研修を含め」と書かれているところではありますけれども、是非、その方向性をしっかりと今後も示していっていただきたいと思います。
 2
点目は短期入所についての件です。ここに「医療との連携の在り方を検討することとしてはどうか」と書かれています。今日、課長からの関係資料の説明にもございましたが、医療ケア付きショートステイ検証事業の結果を受けて、こういう意味での医療との連携、あるいは、そういう看護配置等々が必要であるという方向性を示されたと思っています。是非、これも今後、具体的なイメージを検証していっていただきたいと思っています。
 3
番目ですが、ここに書かれています「地域において精神障害者の生活を支援する拠点の整備」ということについては、私どもが、これまで団体ヒアリングでも御指摘をさせていただいてきたところと密接に関係するところだろうと思っています。是非、この拠点の整備を精神障害者の方たちが使いやすい、かつ、地域の中で自立した生活を支える、有効性のある体制整備につなげていっていただきたいと思います。

 もう 1 点、 3 つ目の○の「定期的な巡回訪問や随時の対応により、生活力等を補い」という所ですが、これはこういう場面でこそ、より医療との連携をしっかり取っていただきたい。精神障害者の皆さん方はストレスに対して病状が変化する等々の特性があります。こういう支援を行う際には、より医療との連携が重要であると思っていますので、その視点を見失わないようにやっていただきたいと思います。

 それと、 5 点目の○ですが、「精神障害者の長期在院者数の削減目標を障害福祉サービスのニーズの見込み量に反映させる方法を提示してはどうか」という記載です。これは確認で発言させていただきますが、ここに書かれている「精神障害者の長期在院者数の削減目標」というのは、第 4 期の障害福祉計画で示されている 1 年超えの精神障害者の方たちの削減の目標数ですね、そのことをここは言っているのかどうか、再度確認をさせていただきたいと思っています。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。最初に申し上げるべきだったと思いますが、 40 分ということですので、 5 15 分ぐらいまでこの議論になると思います。議論も、できましたら、今、河崎先生から御指摘いただいたように、 5 ページの検討の方向性を中心に進めたいと思います。それから事務局に対する質問、確認事項は後ほどまとめてしたいと思っていますので、引き続き、こちらのラインで挙手された方、小澤先生、お願いいたします。

 

○小澤委員

 小澤です。 5 ページの検討の方向性ですが、まず 1 点目はピアサポーターの件です。是非、進めていただきたいのですが、これ、「地域移行の支援に有効な」と書いてありますけれども、別に地域移行の支援だけでなく地域生活の支援も含めて有効だというのは、前に骨格提言のときにも実はそういったことを記載したので、そのことも含めて、是非、推進していただきたいと思います。
 3
点目ですが、これは前回の常時介護を要するときにも意見を述べましたけれども、地域支援拠点がいろいろな所に登場します。これは、さすがに交通整理をちゃんとして、どういう機能を持って、かつ、これは精神だけの話なのか、それとも、前回、「常時介護を必要とする」でも登場しましたので、その他の領域も含めた地域支援拠点の話をしているのか。この辺りを是非整理していただかないと、かなり都道府県も市町村も混乱する場所だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 4
点目、 5 点目は合わせて申し上げたいことですが、市町村の問題が登場します。私、実は東京都の幾つかの障害福祉計画の策定に関わっていますけれども、とにかく精神科病院が偏在しているのです。入院型の病院が全くない所もあるのです。非常に多い所もあるのです。その場合に、例えば自立支援協議会の中に、そういった部会を設置するという非常にリアリティのある所もありますし、また、余りないという所もあります。これは委員の意見資料の中にも出ていましたが、精神科病院の入院者がどこにいらっしゃるのかという情報は、はっきり言うと非常に把握しづらいのが 1 つと、病院から出身の市町村に戻るとも限らない。一般的には精神科病院がバックアップしたりサポートすることを考えると、その近所にお住まいになる可能性も非常に高いので、この辺りのことをちゃんと整理しないと、 4 番、 5 番は市町村にとっては非常に多くの課題が生まれるのではないか。私のほうからは以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。次は伊豫先生が手を挙げられていますので、お願いいたします。

 

○伊豫委員

 河崎委員と重なるところは省かせていただきます。 3 番目の「適時のタイミングで適切な支援を行うサービスなど、支援の在り方を検討することとしてはどうか」ですが、これに関しては以前から申し上げていますけれども、 IT を利用するなどのサービスにも留意いただきたいということです。
 5
番目の「医療と福祉の双方を含む様々な関係者が」の所での協議会設置ですが、こちらは是非、そのような方向がいいのではないかと思います。その中で、身体疾患に対する医療にも留意した体制にしていただきたい。身体疾患の治療では、その専門となる診療科での入院医療が受けられるべきなので、協議会は、そのような身体疾患に関わる関係者の理解が得られる体制にしていただきたい、と思っています。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。ほかに手前の列で手を挙げられた方は。朝貝委員、お願いいたします。

 

○朝貝委員
 19
ページの高次脳機能障害施策のことです。団体ヒアリングのときも少し質問させていただいたのですが、高次脳機能障害児の対策というのも、是非、しっかりやっていただきたい。例えば実態調査とか研究ということが、この表からはちょっと読み取れない感じがしますので要望したいと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。本條委員、お願いいたします。

 

○本條委員
 5
ページの一番最初の○ですが、ピアサポーターについては賛成です。ただ、ピアの中に当事者本人だけでなく、家族同士のピアサポーターということも方向性として入れていただきたいと思います。 2 つ目の○ですが、精神障害者の入院の予防と家族支援という観点は非常に賛成に思います。ただ、この家族支援につきましては何回も申し上げて恐縮ですが、アウトリーチ、訪問支援という観点を取り入れていただきたいと思います。 3 つ目の○にもありますように、訪問によって本人を含む家族全体を支援するというように考えていただきたいと思います。同じく 2 つ目の○で「医療との連携」、これは、もちろん言うまでもなく非常に大切なことだと思いますけれども、医療と福祉だけでなく例えば住居とか教育、それから心理職との連携、他職種との連携というのが非常に重要になってくるのではないかと思います。

 最後に、 3 つ目の○の「居住の場」ということですけれども、居住ということになりますと物理的な場所だけでなく、その場所が非常に安全・安心であるか。快適であるか。あるいは通常の生活ができるようになっているか。また、精神障害の場合は騒音を非常に気にしますので騒音対策ができているかどうか。また適時適切な治療、あるいは福祉のサービスが直ちにできる体制になっているか。そういう総合的な視点も必要ではないかと思っています。以上です。

 

○駒村部会長

 広田委員の手が挙がっていますね。お願いします。

 

○広田委員

 いつまでこういうのをやっているの、岩上君が来たから本音でドンパチやりたいと思った、総合福祉部会で自立支援協議会、相談も程度区分も反対したけど、みんな通って、何のために 15 年も厚生労働省は私を入れているのか。

 連携と言うけど、日本人って自立できてないで、もたれ合い。それと、彼と暮らすことを前提に引っ越しの準備をして、たくさんある本の中で、『ニューズウィーク』日本版を読んでいますけど、キューバ危機のときにアメリカの司法長官ロバート・ケネディが 36 歳だったそうです。それで、ソ連との間でものすごい緊張関係、そこに集まったケネディ大統領、いろんな関係者。そこはアメリカの危機ということと、自由陣営の危機ということで漏らしてない。日本人というのは、例えば消費増税で私が総理官邸に伺って、黒田さんという日銀総裁がそこにいて何か言ったら、「そんなこと日銀総裁が言ったら大変な騒ぎになる」と言うから、「大変なことになるならオフレコにしたらどうなの、今日は、消費増税の話じゃない」と言って帰り際、黒田さんに「あなたも大変ね」と言った。翌日ですよ。マスコミ何社からか、「広田さん、黒田さんと席が近かったですけど」と。「近いけどどうしたの」って言ったら、「何か話していませんか」と。それは「口があるから話するじゃないの」って言ったら、「なんて話してましたか」言うから、「何かじゃないわよ、『オフレコ』って私が言ったのよ、大変な仕事しているんだから、ごちゃごちゃ他人に聞かないで本人に聞いたらどうなの、インタビューを、公明正大に、フェアにやりなさい」って言ったら、「フェアにですか」って言うから、「当たり前でしょ!」って言った。あそこに集まった人たちは、それなりの肩書があるのに、これだけ口が軽い日本。

 いろんな関係者が集まって、こんな協議会要らない。自立支援協議会も横浜市出ていましたけど、ほとんど石渡和実さんと女性弁護士に仕切られて、何か私が発言すると石渡さんが、「いや、それはほかの精神障害者から聞いています」って意見を遮り、弁護士さんは代弁者のように私の話を要約したり、それでいて議事録もない。ただただ「厚生労働省がどんどんどんどん作ったときに、統廃合してほしい」という地方自治体、すごく多いですよ。「お金もない。人手もない。」だから私は、こんなもの作らなくたって既存の会があるんだったら、そこの中でいろんな退院のことも含めて当事者入れてやるという形にすればいい。当事者が入っているのかということが重要です。横浜で言えば障害者施策推進協議会、自立支援協議会、そして精神保健福祉審議会、神奈川県はそれプラス政令市入れて精神科救急医療調整会議、ただただ作り続けたって税金は出ていく。そして専門家のためのハローワークということで、私は大反対です。

 それと、 1 番目のピアサポーター、盛り上がっていますけど、私もそう思っていた時代もあります。また、かつて精神保健ボランティア講座の運営委員をやっていましたが、こういう縦割りのボランティア講座じゃなくて社会的障害者、つまり育児ノイローゼのヤンママ。マスコミが女輝くって騒ぐというか、いろんな人が騒いでいます。今早春、菅さんも、地元に来たとき、ほとんど「女が輝く、女が輝く」って遠くのほうで聞こえた。「菅さんが来るから広田さん、来ますか」と聞かれて、「行かないわよ」。民主党政権になった時の決起集会は人もまばらで、御本人も元気なかったので激励したけど、それで卒業。広田和子は相談員だから官房長官になったら大騒ぎしている人たちにおまかせしておけばいい。ヤンママがノイローゼ気味、今日のお話伺っても、いろいろな障害の方いらっしゃるわけだから、幅広いことを勉強する社会的障害者のボランティア講座、そこに当事者が大勢入れるよう。私はボランティア講座行ったとき疲れたのは、カミングアウトされてない精神障害者が、かなり参加者として出席していました。カミングアウト組の私は、御本人から「実は広田さん、私、薬飲んでいるんです」って、そこまではいいけど、その後会うと揺れちゃうんですよ。揺れているっていうことは内なる偏見。なのに周囲が気を使いすぎて、先入観や内なる偏見等も払拭するような社会的障害者のボランティア講座を打つことのほうが、聴覚障害とかいろんなあるじゃないですか。重複障害の人も。そして人は誰しも高齢になれば身体障害も伴うし、認知症、忘れっぽくもなるわけだし、目も見えない人もいっぱい出てくるから、障害を広げて、人権がどうしたとかよりも、人が生きていくときに、ヒューマンという、ラブという愛の欠乏症時代ですけど、お金を掛けないで、みんなが心豊かに暮らしていけるかということで、これからはピアサポーターと特化せずに、ピアサポートだと思うんですね。私も支えているし、支えられているということで、時間がないでしょうから後ほどまた。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。では、こちらに渡ります。樋口委員、お願いします。

 

○樋口委員

 私のほうは、 9 25 日のこの部会で行政機関の役割について意見を述べさせていただきました。今日は、早速、事務局の資料の 14 ページに具体的な但馬の事例を紹介していただきましたので大変嬉しく思っています。地域移行を進める上では医療機関に加えて福祉事務所、あるいは、今、話のあったピアサポーターなど、関係者が協力して取り組んでいくことは当然のことですが、この兵庫県の取組事例を見てみますと、保健所が地域全体の調整役として役割を果たすというところが、大変興味深いところです。地域移行を着実に進めるためには、地域全体の取組状況を関係者全体で共有していないとうまくいかない。そのための連携調整支援の要として行政機関、ここでは保健所ですが、果たすべき役割が大変重要だということを再認識した次第です。

 もう 1 つ、 15 ページに行政機関の果たすべき役割が整理されていますけれども、 16 ページで連携調整の場としての会議体の位置付けが整理されていますが、都道府県とか市町村、保健所などの役割分担は、まだかなりオーバーラップしたところがあると思います。都道府県と市町村と保健所が役割分担を明確化していって、地域移行に向けた取組を更に進めてほしいと思います。

 これまで取組が十分でなかった自治体の立場に立って考えると、恐らくなかなかうまくそこに取り組めない。不安のほうが大きいということは十分に理解できるところですけれども、障害者のほうの立場に立って見たとき、行政機関がしっかりと現場に向き合って調整役を果たすということがないと、なかなか具体化していかないのではないかということで、改めてその点をお願いしたい。

 もう 1 点、これは先ほどの方向性の所でなく、その上の現状・課題の所に関連したことで一言だけ申し添えたいと思います。いわゆる、今、 20 万人が長期入院で 1 年以上入院しているわけですね。この中身を見ると 5 万人が退院して行き、新たに 5 万人が 1 年以上入院している。これをずっと繰り返していくので、一向に減っていかないというのが現実にあるわけです。今回、重度慢性の検討会が行われて重度慢性を定義し、重度慢性以外の人は 1 年以内に退院するという方向になっていますけれども、問題は 1 年を経過したニューロングステイと言われる人たちが減らない限り、なかなかここが全体としては減っていかないのではないかと思います。今、重度慢性の前向き調査を研究会としてやっていると聞いていますが、その調査をできれば 1 年でとどめないで、もう少しフォローアップして、結局、 1 年以上になってしまうケースは何が問題でそうなっているのか、もう少し要因分析をしていただけないかと、これは希望です。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。こちらのラインだと、あとは竹下委員ですね。先に竹下委員、お願いします。

 

○竹下委員

 竹下です。 1 点です。 5 ページの 4 つ目の○ですが、正にこの協議会の役割が重要だと思っています。この協議会の構成メンバーとして関係者となっているのですが、絶対に落としてはならないのは当事者だと思います。すなわち精神障害者の代表と言うべき人、患者の代表ですね、さらには住民の立場を代表する人、こういう人たちが加わっていなければ障害者基本法で言う基本的人権も、あるいは差別解消法で言う共生社会を実現するという協議会の目的からして不完全なものでしかあり得ないと思っています。

 もう 1 つ重要なのは、地域定着の課程で、現実に残念ながらトラブルは不可避的に起こると考えざるを得ないと思っています。それが妄想からくる攻撃的な言動であろうが、あるいは逆に住民からの偏見に基づく言動であろうが、現に私などが仕事上体験するのは、暴力的な事件も現実には起こってしまうことです。そういう場面のトラブルを解消するところまで、この協議会が担うのかどうかも少し検討していただくことが必要です。そこを解決しないと結局のところ、地域生活の定着というのはあり得ないと思いますので、その点を含んだ協議会の充実をお願いしたいと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 佐藤委員、お願いします。

 

○佐藤委員

 私も 5 ページの検討の方向性の 4 番目と 5 番目について、先ほど小澤委員から発言がありましたけれども、似たようなことで恐縮です。地域移行という課題に関して、誰がどこにという話を明確にしないと、これは市町村が基礎的だとか重要な役割があると言っても絵に描いた餅と言わざるを得ない。つまり、現実的に市町村は自分の市町村の住民の誰が、どこの病院に入院しているかということが分からない。この前、これは質問させていただきましたが、そういう問題がある中で、市町村に目標値を設定させることは実際にはできないと思います。

 もう 1 つの問題は、地域移行というのを地元に帰ることを言うのか、それとも病院が所在している所で緩やかに支援を受けながらという形の移行なのかというのも、ちゃんと切り分けておかないと議論が進まない。実際には恐らく故郷というか、かつて自分が居住していた所に戻るというのは本人も望まないかもしれないし、家族を含めた地域の状況からも難しいかもしれない。それはそれで克服すべき課題であると思いますが、しかし、本人の生活のクオリティを上げるということで地域移行を考えたら、病院が所在する所で新たな居住の場所を見付けていくという支援もあり得るだろうと。それはどこが責任を持ってやるのかということですが、住民に最も身近な基礎的自治体である市町村がと言っても、それは余り合理性がないと思います。ですから、先ほど兵庫県但馬地方の例が出されていましたけれども、保健所は、基本的に精神障害者のデータに関して市町村よりもよくつかんでいると思いますので、こちらを機能させることを考える。保健所単位でこういうものを考えて具体的に名前を挙げ、その人の入院前の環境、あるいは退院後にどういう環境が保障されるかということも、具体的にやらなければいけないわけですから、市町村にそのことをやれと言っても、数は出すと思いますが、何ら責任も裏付けもないものになると思いますから、この 4 番目と 5 番目については、もう少し具体的に検討をする必要があるだろうと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。北岡さん、次、岩上さん、お願いします。

 

○北岡委員

 北岡です。今日は精神障害に高次脳機能障害者も含まれるという視点で、 5 ページの○の 2 つ目と 6 つ目について、福祉サービスを提供している立場から発言させていただきたいと思います。以前の審議会でも発言しましたけれども、暴行、暴言や家からの飛び出し、性的脱抑制等の社会的行動障害がある高次脳機能障害者については、病院やサービス事業所でも受け止められず、家族が疲弊しながら支えているという事例があります。私たちが経験した事例からですが、ある方については夜になると家から出て行こうとされるために、家族は最初は必死になって頑張って対応されていたのですが、疲れ果てまして苦肉の策でしたけれども、あらゆる所に鍵を付けて対応されました。まさかここからは出ないだろうという見立てで、唯一、鍵を付けなかった 2 階の高い位置にある窓から飛び降りて足首を骨折しました。整形外科に入院して、一旦、施設入所しましたけれども、今度は施設内でぼやを出してしまい、退所を余儀されなくされたという事例が 1 つあります。

 もう 1 人の方については、頭痛とか不眠が続いて幻覚や幻聴が起こり、両親に対して暴行が激しくなるということがあって、お母さんとの口論になり、自分の家のカーテンを燃やそうとして警察沙汰になったということがありました。家族は精神科病院への入院も希望しましたけれども、本人が断固として拒否され、家族の疲弊は今も増しているという状況が続いています。こういう方に我々の支援センターの中で出会うことがあります。

 これらの方の地域生活を保つためにも、 24 時間の相談機能と緊急受入れの機能を持つ地域生活支援拠点の円滑な整備をして、対象者として高次脳機能障害も明確に位置付けていただきたいと思います。また、精神症状が出ている方については、今回の資料にも再度出ている精神障害者医療ケア付きショートステイも、有効ではないかと考えています。モデル事業の検討内容の 1 つに、障害福祉サービス等報酬改定時への反映ということがありますけれども、この部分については、どのような検討結果が出されたのか、結果概要からは分かりませんので、もし何かあれば教えていただきたいと思います。

 それから、人材育成の推進に関してですが、当然ですが本人の行動理解と家族支援の両面から、このことは不可欠なことであると考えます。御本人とはその行動をともに振り返るということや、強度行動障害の対応と同じように行動分析の方法で対応することで、軽減が図れる可能性もあるのではないかと考えられます。もちろん、国立リハビリテーションセンターでも福祉関係職員を対象とした、高次脳機能障害を理解するための研修会も実施されていますが、既存の研修に、このような研修をもっと、より広く組み込んでいくことで、福祉関係者に理解を広めることができないかと考えます。今年度、強度行動障害支援者養成研修の指導者養成研修において、トピックス的に高次脳機能障害のことが講義で取り上げられたようですけれども、これを標準化していけないものかと思います。福祉関係者にも、このスキルが身に付くことで御家族のしんどさを共有することができるし、本人が取る行動について対応の方法を一緒に考えることができる人材が、支援拠点機関の支援コーディネーターのみならず、広がっていくのではないかと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 岩上参考人、お願いします。

 

○岩上参考人

 日本相談支援専門員協会の菊本の代理の岩上でございます。今の高次脳機能障害については、相談支援専門員協会といたしましても非常に研鑽を深めていかなければいけないと思っているところです。拠点事業等も含めて高次脳機能障害について、 19 ページにはきちっと絵は描かれていますけれども、いかんせん、いろいろな課題が出ているということをもう少し明確にして、今後の方向性を打ち出す必要があるかなと思っているところです。

 精神障害者の地域移行につきまして、今後の方向性として出てきていないと思うところが、入院をされていて地域移行支援を受けるためには、御本人が手を挙げて初めて退院支援が受けられるといったときに、御本人が手を挙げるまでは相当数の時間が掛かるわけです。私が関わった方でも御本人が手を挙げるまでに半年掛かった。彼女が言ったことは、私は 30 年入院したけれども、 18 年目で諦めた。そして 10 歳年上の同性の女性とこの病院で一生暮らそうと約束していた。だから退院しないと決めていたけれどもという話を聞くまでに半年掛かっているわけです。しかし、今の地域相談支援ですと、この部分に関わる人がいない。ここを強化しない限り地域移行支援は進まないと思います。それを前回も口頭では申し上げていますので、ここの強化については、もう一度、誰が行うのかといったことを考えるべきではないかと思います。

 次に、同様の話になりますが、指定一般相談支援事業者には、管理者、相談支援専門員、地域移行と定着に携わる人を置くと規定されていますが、そこで専任となって地域移行を進めるという書き様にはなっていないわけです。ですから非常に曖昧な中で地域移行が、その事業所に任されているということがありますので、ここは地域移行の専門員と相談支援専門員をベースとしてと考えていますけれども、きちんと教育システムが必要かなと思っているところです。

 あと、国の精神保健福祉法の大臣指針の中で、人材を育てるのだということを言ってきていますし、退院支援の具体的な今後の方向性の中でも、国は各都道府県で人材育成の中核となる官民の指導者を養成するとなっているわけです。この養成をどうやっていくのかといったことが宙に浮いたまま来て、今回、医療と福祉の連携を進めるとなっていますけれども、河崎先生からもお話がありましたように、きちんと医療情報を駆使しながら障害者の支援ができるという人材を育てていかないといけない。そこを、もう少し誰にやらせていくのかということを明確にすべきかなと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 一当たりしましたが、河崎委員から確認の御質問があって、これは恐らく小澤委員の偏在の話や、佐藤委員からの情報の話と関わる話ですけれども、事務局から河崎委員の確認されたい点について、御回答はありますか。

 

○田原精神・障害保健課長

 精神・障害保健課長でございます。先ほどの削減目標のところにつきましては、河崎委員のお話のとおり第 4 期の障害福祉計画につきまして、国の定める基本指針で長期在院者数の削減を成果目標として掲げていますので、これと同じ趣旨だというふうに考えていただいて結構です。以上です。

 

○駒村部会長

 一当たりしたのですが、ここでもう少しこのテーマも議論したいところですけれども、広田委員、ありますか。まだ、あと 2 つありますので、その辺を留意してください。

 

○広田委員

 簡潔に。この国の精神障害者の問題は解決が付かない。医療と地域の対立だから、それで何回も言っているけど、精神・障害保健課長だった福田さんが名古屋の国際会議場で訴え、広田和子がそこで訴えたときは 1,000 人の人がいて、神奈川県警前本部長が中部管区局長として名古屋にいて聞きに来ていました。「広田さん、すごいですね。活動を援助したい」と終了後言われたので「厚労省と神奈川県警からは受けないのよ。“お金渡して応援させてる”と思われる。」とおことわりしました。「大熊由紀子さんの影響が厚生労働省に大き過ぎるから」、私は「大熊さんを当てにしないように」って、ある人に言ったら、「大熊さんを守護神にしているのは地域派です」と言うから、地域派とか日精協派とかやめてもらいたい。大熊さん、熱心なのはわかるけど、元朝日新聞論説委員という肩書きが今も生かされているので、朝日新聞の記者たちも「大熊さんには迷惑しています。」「広田さん、鈴付けてください」と数年前から言われているけど、「自分たちで言えば」とことわりました。大熊さんの仲の良い方たち、鈴じゃなくて、ご飯でも食べたりお酒飲んだりして彼女に優しくして、「そろそろ精神から足洗った方がいいよ」と、一枚岩にならなければ。精神障害者に春は来ない。

 そこのところが解決しないと、門屋さんにも、岩上君、伝えて下さい。「節度をわきまえて活動続けるなら、精神障害者のために行動して」と。広田和子が騒いでいるのは、私のようにみんな仲間が退院して幸せになってほしい、それ 1 点、「国家プロジェクト」って言っています。 DPI も尾上君来てますけど、当たり前に町の中で安心して精神障害者が暮らせるように、やっていただきたいと思います。病棟転換の反対とか、そんなちっちゃなことやって対立してたって、そんなの本来の権利条約でも何でもない、残念に思っています。

 それとマスコミ、西村さんという「タレントのような民主党の副大臣」、私、生活困窮者の特別部会でも辛辣に言っていましたけど、視察に行ったときにとても仲良くなって、厚労省の人が「隣でご飯食べてもらえますか」って言うから、「私しかいないんでしょうね」って話して、背の高さも違ってたけど、彼女、こう言っていました。「広田さん、日本を悪くしているのは日本のマスコミ」、意気投合。去年、賀詞交換会に伺ったら、 30 人ぐらい国会議員が来ていて、自民党の文科副大臣の西川さん、彼女たちも言っていました。「日本を悪くしているのは日本のマスコミ」、意気投合。もっとみんな声上げて、「新聞を取らないようにしよう」って言ったら、大騒ぎになっちゃうから新聞取り続けるならば、洗剤もらっているとかビール券もらっているより、「中身で勝負しろよ」っていうふうにみんなで言って、日本のマスコミが潰れちゃいますと、いろんな販売店の人とかも大変な失業者になりますから。父は小学校4年から私に 1 面の政治面から新聞を読み聞かせてくれましたが、父娘2代の書くこと、読むこと、文章好きです。

 

○駒村部会長

 広田さん、ちょっと脱線。

 

○広田委員

 日本のマスコミの質が上がらなければ、前々回で発言していますが、日本中大騒動のロス疑惑の三浦和義さんだって無罪ですからね、本読んでみたら。そういうことでみんなを冤罪にして、村木厚子さんだけが冤罪じゃない。三浦さんは名誉回復できずに亡くなっちゃった。恐ろしい国よね。マスコミの質を上げるということで、みんなが総力を挙げて、ジャーナリズムに!「世界一安全で」滞日外国人いっぱい来ていて、「ストーカーは報道すればする程増えますよ。日本のマスコミ問題です」って中国の通訳も言ってました、電車の中で。

 そして、精神障害者の問題を、大熊さんに気兼ねすることなく、マスコミに気兼ねすることなく、主役は誰か。一人一人の、この瞬間も入院している 20 万人ですから、是非、よろしくお願いしたいと思います。大熊さん、そろそろ楽しく暮らしたほうがいいんじゃないですか。今度、カラオケでも行きましょうか、ディスコとかっていう感じで、皆さん、よろしくお願いします。マスコミを元朝日の大熊さんにもジャーナリズムに変えてほしい。

 

○駒村部会長

 北岡さん、 10 秒。

 

○北岡委員

 短期入所に医療連携の体制加算が付いている資料が添付されていますが、この算定条件について、高次脳機能障害者を想定した内容になっているか検証が必要ではないかと思っています。以上です。

 

○駒村部会長

 では、今日は時間も限られているので、また 3 つも議題がございますので次の議題に入りたいと思います。障害者の意思決定支援・成年後見制度の利用促進の在り方についての議論に入りたいと思います。これも大体 40 分、おおむね 17 55 分ぐらいを目指して議論を進めたいと思います。このテーマについて御発言予定の方、挙手をお願いします。ここでも 10 人ぐらいいらっしゃるので 3 分前後でお願いできますか。遠い所からいきたいと思います。日野委員からお願いします。

 

○日野委員

 身体障害者施設協議会の日野です。ここで示されている検討の方向性について、特に異論はありませんが、そのことを踏まえて 3 点について意見を述べます。 1 つは、意思決定支援の定義が 25 ページに示されていますが、ここでは「意思決定支援とは、知的障害、精神障害 ( 発達障害を含む ) 等で意思決定に」うんぬんという表現になっていますが、やはり重複障害の方が多くいらっしゃるわけですので、ここに「精神障害 ( 発達障害を含む ) 」の後に「又は」若しくは「及び重複障害等で」という記述をしていただければ、より明確になるのではないかと思っています。
 2
つ目は、意思決定支援に関するガイドラインが策定をされるということですが、やはりガイドラインは全国共通のものですので、これまでいろいろなガイドラインあるいはマニュアルに沿って、自治体によっても運用に差異が生じたという事例もありますので、是非、市町村等への研修等、周知徹底を図るということで、差異が生じないようにしていただきたいです。
 3
つ目は、成年後見制度の利用促進に関することですが、検討の方向性の一番最後の所で「障害者政策委員会における議論を注視することとしてはどうか」とありますが、社会保障審議会障害者部会でこれまで議論をしてきた経緯がありますので、逆に部会としての意見をしっかりまとめて、政策委員会に共有を図っていただく、周知していくことの提案をしたいと思います。また、特に後見類型の選択に当たっては、本人の意思決定能力あるいは権利を尊重するという重要なこと、それから、医療若しくは日常生活に関する意思決定支援の在り方、また、本人に同意能力がない場合の医療同意権限に関する法的な整備あるいは体制整備を図ることも、強く求めていきたいと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。今、委員が御指摘されたように、 23 ページの検討の方向性に関する御見解を中心にということになると思います。

 

○佐藤委員

 度々すみません、佐藤です。 23 ページの方向性のことに関してですが、私の発言の前提として、意思決定支援と、今はそういうふうにずっとこの間、課題として議論されてきましたが、 20 年ぐらい前から自己決定権がずっと言われていて、例えば介護保険と福祉の基礎構造改革のときに、自己決定権を尊重する福祉のシステムを作り上げていくのだということが、我々関係者の中で共有されていたのですが、いつの間にかその自己決定権が後景に追いやられて、自己決定権の尊重というスタンスから意思決定支援というふうに変わってきているわけです。そのいきさつについてはよく分かりませんので、余り評論はしたくないのですが、少なくとも自己決定権の尊重というほうが、より当事者主体、本人主体に近い概念だと思っていますので、意思決定支援はそれより少し周辺の意識等が入り込みやすいおそれがあると思っています。

 意思決定支援のガイドラインの概要が、今日、資料として、前回からも出ていたかもしれませんが、改めて読んでみますと、結局のところ、配慮するとか、考慮するとか、そういう言葉でくくられていくし、意思決定支援における合理的配慮の 5 番の項目では、「家族、友人、支援者、法的後見人等の見解に加え、第三者の客観的な判断が可能となる仕組みを構築する」と書いてあるわけですが、この見解に加えられる人たちは、明らかに利益相反関係にあるわけでして、そうではない第三者の客観的な判断は、どういう人たちで構成した、どういうプロセスの議論をする所なのかが、基本的には曖昧にならざるを得ないと思います。

 そこで、私としては今更ちゃぶ台返しという議論をするつもりはないのですが、少なくともこういうものを運用するときに、こういう検証をしましたという話ではなくて、福祉の仕事に関わっている人間の共通認識として、どうやって自分たちの中にあるパターナリズムを制御するか、利用者側にそれをかぶせないか、当事者が持っている自己決定あるいは意思、そういうものに対してのおそれを我々が忘れないでいられるかと、これは手続の問題ではなくてもっと倫理的な問題だと思うのですが、そういうことを忘れさせるようなガイドラインとか、あるいは意思決定支援とはこういうものだとかというふうに、行政で余り旗を振らないでほしいと思っています。以上です。

 

○駒村部会長

 次は、森参考人、手が挙がったと思います。

 

○森参考人

 森です。これは実情調査をお知らせいただきたいと思うのですが、 23 ページの「親亡き後」ということで、最近、私は興味を持っているのです。そういう形から言いまして、後見の現在の類型、つまり親族の場合どのぐらいいるのか、それ以外の人は第三者あるいは法人後見がどのぐらいいるかという実態が分かれば、教えていただきたいと思っています。
 2
番目は同じことですが、ここに言っている親族というのはどの辺の範囲を話しているのか、具体的に分かれば教えていただきたいと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 御質問、御確認の件は、後でまとめて事務局より確認しますので、事務局でメモをお願いします。次に久保委員、お願いします。

 

○久保委員

 育成会の久保です。 23 ページの 1 つ目の○の「意思決定支援のガイドライン」に関してですが、このガイドラインをうまく活用していくという意味で、研修を実施していくことも含まれていますが、相談支援専門員とか、サービス管理責任者とか、実際に現場におられる所にきちっと研修を積んでいただいて、活用していただきたいと思っています。

 ➃の成年後見制度ですが、育成会としても、知的障害者の方には親亡き後も含めて成年後見制度は大切なものだと思っていますので、成年後見制度か意思決定支援かという捉え方ではなくて、お互いに補完し合うというか、足りない部分を補い合うと、そのような基本的な整理の仕方をしていただきたいと思っています。そして、成年後見制度については、議員立法による成年後見制度の利用促進に関する法改正が見込まれていますので、その不備な部分について、改正について新たな法整備の展開に期待したいと思っています。以上です。

 

○駒村部会長

 橘さん、お願いします。

 

○橘委員

 関連して。 23 ページの最後のほうです。「内閣府に設置されている障害者政策委員会における議論を注視することとしてはどうか」とありますが、私たち障害者部会の意見を障害者政策委員会に提示されることは考えられていないのかをお聞きしたいです。

 

○駒村部会長

 この辺は省庁間の、審議会間のフィードバックの問題ですので、後で事務局に確認しますので、それは事務局のほうでメモを取って準備しておいてください。岩上参考人、お願いします。

 

○岩上参考人

 岩上です。意思決定支援は、相談支援専門員にとっては本来業務だというふうに認識しています。しかし、あえてガイドラインを設定して、今後、我々もそこに従事することの研鑽をしていかなくてはいけないと思っています。

 繰り返しで申し訳ありませんが、入院中の精神障害者の意思決定支援で、計画相談支援と地域移行支援についてはこのような対応をとるということですが、私は、地域移行を進めるためには、その手が挙がらない人たちの意思決定をどうするかを考えないと、入院している人の意思決定支援まで行き届かないと思っています。ですから、ここは先ほど申し上げたとおり検討いただきたいということと、あと、精神保健福祉法関係の意思決定支援で入院時の意思決定支援については、御指摘のとおり精神保健福祉法の中で議論していくことだと考えています。

 

○駒村部会長

 河崎委員、お願いします。

 

○河崎委員

 日本精神科病院協会の河崎です。この検討の方向性の中の 3 つ目の○です。「精神障害者の意思決定支援」のくだりですが、今、岩上参考人からの発言にもありましたが、長期の入院精神障害者の方の意思決定支援という部分で言いますと、そこにどのように退院の意欲を喚起していくのかと、これまでの検討会の中でも指摘をされている所がありますが、そこのやり方をどうしていくのかということと意味はほぼ一緒だろうと思います。それをうまく組み立てていくということがあって、初めてここでの意思決定支援が非常に具体化してくるのではないかと思っています。

 もう 1 点、精神保健福祉法の改正の中で出てきた意思決定支援の話については、御存じのように精神保健福祉法の改正に伴う検討会の中では、当初は精神保健指定医の判断で非自発的入院が成立をするということだったのです。ただし、その際に代弁者制度を補完的に構築していくべきだというのが、当時の検討会の合意でした。それが、国が示された最終案の中では、代弁者制度については、今後検討していこうと。そして、保護者制度は廃止をするのだけれども、家族等の同意をもって医療保護入院が成立すると、そういう立て付けになったというふうに認識をしています。ですので、当時の精神保健福祉法の改正の中の意思決定支援等々については、先ほど岩上参考人がおっしゃった、入院時の意思決定支援をどうするのか、あるいは入院中の処遇等についての意思決定支援について、どのような仕組みを作っていくのかということだったというふうに理解をしていますので、精神保健福祉法の改正の中で、ここは議論をしっかりとやっていくべきであろうと考えます。今回の方向性については賛成をします。

 

○広田委員

 関連です。反対です。私は、医療過誤の注射を打たれた病院に注射の副作用で入院しましたが、その後、横浜市の委員をやったりして、「広田和子さんの発言を横浜市は恐れているから、外したり、」必要とするときだけ、緊急のときだけ電話を掛けてきたりと勝手な横浜市でしたが、その管理職の資質で。

 いろいろな形で短期で 1,2 泊の休息入院を畳部屋のある古い病棟で繰り返し利用していました。それができなくなったのは、昨年 10 31 日に発言していますが、バタッと倒れてしまう人を拘束して、その人が「車椅子を動かして、」私は手を出しちゃいけないのよと言えずに、「私は疲れて入院しているので」下を向いてしまった。そこに優しい入院患者が出てきて押した。そうしたら、看護師が「あんた自分のこともできないのに何やってるの!」。私はその人に、「優しい人ね、あなたは」と言って、車椅子の人の手をさするのがやっとでした。そういう病院の入院の形態を変えないで、小手先の、本人の何とか能力がないと「なぜ決めつけてしまうの。私は岩上君にも河崎先生に言いたい。あなたたちが入院して、ちょっとぼけた振りなんかしていれば、みんな立派な認知症患者扱い。たまたま院長だから「院長先生」と言われているだけで、あなた方」も、私も、国の委員だから丁寧に。

 何度も言います。狼に育てられた少年はオオカミ少年。マイ・フェア・レディーのイライザはヒギンズ教授に出合ったから貴婦人になった。私もいろいろ肩書の高い人にもお会いする。人格が備わっている人にお会いして、広田和子もかつての人間としてのプライドを取り戻している。今も学歴、財産もないけれど、この業界だけではリカバリーできなかった。

 病院の中が人間的になることが大事です。「外から行って」等というけど、入院患者にお見舞いに行けるような人員配置とか、そういうものの構造的なものを見直さないで、小手先だけごちょごちょ、大熊さんの顔色を見たり、あれだ、これだと先ほど言いましたが、そういうこともやめたほうがいい。

 岩上君、あなたのいろいろ読ませていただいた。もっとちゃんと根幹が変わるように志を大きくして。尾上君、あなたは内閣府の何かをやっているでしょ!みんな権利条約とか何とか言っているけど、小手先ばかりの権利条約ではないと思います。ずっと塩漬けで入院させて、今日もお好み焼も食べれない、そういう当たり前の生活ができない。

 それと、横浜市、 5,000 万円の A 型生活支援センター、 B 3,000 万円を打っても、「 10 何人しか来ていない、」それで「大変」「大変」と。大変なことはいっぱいありますが。では、社会的入院が横浜市から減ったのか。減っていない。全国的に減っていない、社会資源ができても。そういうことを検証せず、拠点だ、…だと、社会資源ではない。住宅ができていない。何度も言うけど、住環境整備ができていない。おとなりの本條さんは、先ほど、いいことを言っていた。「安心して安全で暮らせること」です。マスコミの報道を筆頭に。「あの人が、生活保護で口紅付けている、イヤリング付けている、」密告社会。プライバシーに入り込む。民度が高くならなければ、退院しても再発する、社会全体の根幹も変えたいということで私はここに出ています。

 藤井さん、頑張りましょうね。田原さんも、そこに並ぶ精神の人も、いいですか、何のために厚生労働省に入ったのと私は聞きたい、ちゃんと頑張るところは頑張って、議員だろうと誰であろうと言ってやらないと、菅さんだって官房長官としてのお里帰りに、「女が輝く、」それしか聞こえなかったのだから、あきれはてました。今は肩書に人が群がっていますが、私は関心ない、ここに居るみんなにやれることをやりましょうと呼び掛けたい。

 駒ちゃん、この間とてもいいことを言っていたけど、ここでは言えない。そういうことで皆さん、やれることをやる、そればかりやっても。いいですか、小さな自治体の現場は大変ですよ、横浜市内等も「いろいろな縦割りの職種ばかり作って」等ということです。今夜も 9 時に寝かされる。何かやれば、保護室に入れられた時代があった。それを引き継ぐ、負の財産です。それをやめていただきたい。家族もごちょごちょ「訪問」と言っているけど、まずは夫婦仲良くすることです。夫婦が仲良くなくて、どうして患者が良くなるの、ピアサポートで愚痴を言い合うとか、私みたいにカラオケへ行って歌って踊っているとか、米軍放送を聴いていれば、日本のニュースと違ってシンプルでいいです。 1 時間に 3,4 分プレジデントオバマとか、そのぐらいのことだから。楽しくディスコで踊っています。世の中のことは外出したりして出会った人から、生の声を。たまに市の図書館で新聞各紙を。家の中にニュースを持ち込まないで私は快適です。明るい日本にしたいと思います、藤堂さん、よろしくお願いします。

 

○駒村部会長

 では、小澤委員、お願いします。

 

○小澤委員

 小澤です。私の立場としては、 9 8 日に知的障害者福祉協会、橘会長名で、実は意思決定支援に関しての 5 点ほどの意見書を作成しており、それに関して私も作成に関わった者として改めて確認というつもりでの意見です。最初に、 22 ページの現状・課題の 1 点目ですが、これは障害者等の意思決定支援に配慮するよう努める旨の規定がある。これは現状、そのとおりですが、これに関して配慮は非常に弱いので、できる限り取り組むという、もう少し実効性を伴う表現に替えてはいかがかと、一応こういう意見を記載しています。これに関してどうお考えかが知りたいことの 1 点です。

 以下は 23 ページの検討の方向性に関してですが、実は、意思決定支援ガイドラインの中で私が少し気になっているのは、「意思決定支援計画の策定を行う」と記載されているのですが、方向性の 2 つ目、 3 つ目と関係するのですが、原則、意見書のときにも記載してあるのですが、基本的には意思決定場面は様々な場面で発生するので、意思決定支援計画と、例えば計画相談で言うサービス等利用計画、個別支援計画、これらは計画が既にあるわけでして、その中に大前提として、意思決定支援を踏まえた計画作りであることは間違いないはずなのです。そうなので、この辺りは意思決定支援計画という、もしこのガイドラインがそのまま行きますと、計画だらけになります。それよりも、むしろ意思決定支援という考え方を十分組み入れた形での計画相談、地域移行相談、サービス管理責任者の役割ということを、是非お願いしたいということです。
 3
点目は、実はその意見書の中で先ほどの岩上委員の話と関係するのですが、意思決定とは何かという一定程度の定義を整理していて、 1 番目の条件としては意思形成支援を行う、その次に意思表出支援を行う、 3 番目として意思決定支援を行うのだと、一応こういうふうには整理をしています。先ほど、意思形成支援は、今の定義で言うとそれに該当する話を重視しないと、退院という申出はなかなか難しいのではないかと、そういった話とつながっているかと思いますので、是非、 9 8 日の意見書を十分勘案していただきたいと思います。私からは以上です。

 

○駒村部会長

 次は、本條委員、お願いします。

 

○本條委員
 23
ページの 1 つ目の○で、意思決定支援の定義です。それに対して、「障害者総合支援法においては、障害者がどこで誰と生活するかについて」と書いてありますが、どこで誰と生活するかということも非常に大切ですが、どのように生活していくかを自己決定していくことが一番重要ではないかと思います。また、 26 ページにもそのように、「自分自身がしたい意思が反映された」と書いてありますから、ここは、どのような生活を送るかを自己決定できるように、総合支援法自体を考え直したほうがいいのではないかと思います。

 また、私は意思決定支援ガイドラインについては非常に大事であると思いますから、是非まとめていただきたいと思っています。 3 番目の○についてですが、精神保健福祉法の改正で十分議論していくことについては、私も賛成です。しかしながら、例えば先ほど広田委員からも出ていましたように、治療だけではないわけです。どのように入院生活を送るかについては、ほかの入院生活を送られている人、あるいは施設で生活しておられる方とも共通していますので、精神障害者だけを別に検討するのはおかしいのではないかと思います。

 もう 1 点、意思決定支援になりますと、インフォームドコンセントとの関係もありますので、それも検討の方向性に入れていただきたいと思います。

 

○駒村部会長

 北岡委員、お願いします。

 

○北岡委員

 北岡です。日本における意思決定支援というのは、これまで相談支援を整備のときに強調してきた、本人を中心に置きながら支援者チームで支援を行うという地域ケアシステムをベースにすることで、かなりの部分が対応できる可能性が高いのではないかと思っています。もちろん方法論としてはイギリスであるとか、オーストラリアの制度も注目されているようですが、そこに学ぶとして、それに加えて、日本らしい何か、そういう合ったものを議論して開発していく必要があるのではないかと。自己決定も先ほど佐藤委員がおっしゃいましたが、そのこととして重要なことだろうと思います。

 意思決定支援みたいなものを特別なものとして位置付けるのではなくて、当たり前として国民全員で理解できるものとして進めていくことが大切だろうと思っています。ですから、例えば意思決定支援を行うことへの特別なサービスを作るとか、そのために報酬を加算するとか、そういうことは必要ではないのではないかと思っています。何かこういう所で報酬のことまで言うのは良くないのかもしれませんが、そのことによって新しいサービスを作っていくというよりも、今ある地域ケアシステムの中でこういうことが当たり前として取り扱われていくというか、向かい合っていくことが必要なのではないかと思います。

 

○駒村部会長

 佐藤委員、お願いします。

 

○佐藤委員

 先ほどの言いたいことが先走って誤解を招いてはいけないと思うので、補足したいと思います。自己決定権を尊重するスタンスと、ここで言うところの意思決定支援との間に横たわっている溝というか、そういうことをちゃんと意識しないといけないことを言いたいということです。

 さらに、もう 1 つ付け加えたいのは、例えばこの文章の中で言うと、総合支援法の中で障害のある人が「どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保される」と。それはそれであり得ることだと思います。でも、障害のある人だけがどこで誰と生活するかが、先ほどの自己決定の尊重ということで言えば、それがどういう場合か分かりませんが、どこで誰と生活するか、どのように生活するかが、満足のいく状態で達成されている人はどれぐらいいるのでしょうか。それは障害のある人たちに特権的に社会が合意して認知しなければならないことなのでしょうか。ということについて、これは例えばの話ですが、自己決定権を尊重する余り、それは何でもありなのだということを言いたいわけではないことを付け加えたいと思います。以上です。

 

○岩上参考人

 岩上です。北岡さんが先ほどおっしゃったとおりでして、相談支援専門員にとっては、意思決定支援をしなければ何をしているのか分からないということで、仕事をしている心積もりでいますので、さらにこれをきちんと明確にしていくことに賛同することでお願いします。

 

○駒村部会長

 幾つか確認事項があったので、事務局からそれに対してお答えしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○田中障害福祉課長

 はい。まず、森参考人から御質問がありました成年後見の後見人と御本人の関係ですが、親族後見が 35 %、第三者後見が 65 %になっています。これは全体ですので、障害者に限定しているわけではありませんが、全体としてそういう形になっております。また、親族後見の場合の親族ですが、これについては、民法の制度ということで、民法上の親族の範囲での 6 親等内の血族、配偶者、それから 3 親等内の姻族となろうかと思います。

 それから、橘委員からありました、政策委員会の部会としての意見を出すことは、制度上、そもそもどうなのかということは、この中で議論を注視することとしてはどうかという方向性にしておりますが、もし、部会からの意見ということであれば、制度的にそういうことは可能だと思います。以上だったかと思いますが、よろしいでしょうか。

 

○駒村部会長

 橘さん、いいですか。受け身だけではないですよね。

 

○橘委員

 傍観者的な何か書きぶりだったので、ここに出されている、せっかく久保さん方の意見が、内閣府の障害者政策委員会に反映されなければ寂しいなという思いでお聞きしました。

 

○駒村部会長

 ちょっと、ここの所は、という話ですね。事務局も別に受け手、受け身だということを言っているわけではないと。

 

○日野委員

 関連ですが、 3 つのステージで議論されていることは、この間の委員会で申し上げましたが、議員立法で今、成年後見制度利用促進の在り方について継続審議だと思います。これについては、厚生労働省としては、どのような位置付けで見ておられるのか。要するに、障害福祉部会と政策委員会での議論も含めて、この政治決着というか、議員立法での法案についてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

 

○駒村部会長

 事務局、お願いします。

 

○田中障害福祉課長

 成年後見制度の利用を促進するという内容の法案を、その議員立法でということで御議論されているわけでして、成年後見がどうということとは別に、この現行の制度を、より適切に使っていただけるように支援するということを進めていくことについては、厚生労働省としても様々な事業を取り組んでおります。それはそれとして、行うべきではないかと思っております。

 

○駒村部会長

 ちょっと内容が違うことだと思います。急がせてしまって、大変申し訳ございません。本日はもう 1 つ議題があります。次の議題に入ります。最後の議題、意思疎通に支障がある方に対する支援についてのお話に入ります。残された時間は 6 時半までを目途で議論したいと思います。この点について、御発言の予定の方は挙手をしていただけますか。ちょっと余裕はありそうです。石野委員からお願いいたします。

 

○石野委員
 35
ページの検討の方向性についてです。私がこれからお話することは、疑問点と意見が 4 つあります。まず、疑問点からお話いたします。

 上から 2 番目の○の所です。この方向性については、「意思疎通支援に関する現状 ( 利用者数、利用回数・時間等 ) に関する調査を行うとともに」というこの辺りの目的がはっきりつかめません。上限を策定するということで調査を行うことになるのでしょうか。その辺を確認させていただきたいと思います。

 その次に「合理的配慮の進捗状況に留意しつつ」とありますが、合理的配慮の進捗状況について、誰がどのように判断をするのか、これも分かりません。内閣府なのか、厚生労働省なのか、あるいは各省なのか、どのように進捗状況を判断をするのか、この辺りの意味がつかめません。それが疑問点です。

 次に、意見です。身体障害者手帳を持っている聴覚障害者がいますが、 WHO ですと、 40dB 以上となっています。日本の場合には 70dB 以上となっていますので、聴覚障害者数が非常に数が少なくなっております。身体障害者手帳に満たない人たちに対して、どのように考えていくのか。例を申しますと、難聴の方、あるいは片耳が聞こえる方もいます。その場合音声が聴きとりにくいという障害があります。それに対しどういった配慮をするのか、どのようなサービスをしていくのかが問題だと思います。

 また、重複で重い聴覚障害者に対しても、どのように配慮をしていくのか、どういった対応ということを考えていかなければいけないと思います。
 2
つ目は、手話通訳者など、人材養成について非常に大事な課題だと考えております。この前も資料に書いてありましたが、手話通訳の設置状況を見ますと、全国的に非常に低い率でしかありません。全国で 38.4 %という数字です。都道府県で 60 %を超えているのが、全国で 8 県という状況です。しかも、その設置のうち 90 %は非常勤の職員になっています。なかなかスムーズに進まない。手話通訳者の設置といえば合理的配慮の 1 つだと思いますが、なかなかスムーズに進んでいません。この状況をきちんと見ていかないといけないと思います。

 手話通訳士、また手話通訳者、手話奉仕員がありますが、どういった人を養成するのか。特に手話通訳士の養成については、残念ながらカリキュラムがまだきちんと決まっておりません。カリキュラムをまず検討していく必要があると思います。実は、手話通訳士は全国で 3,700 人ほどいます。もっと増やすべきですが、なかなか増えていきません。その理由は、先ほど話したように、身分的な保障が非常に悪い状況にあるからです。逆に良い例としては、兵庫県の明石市では、 2 名の手話通訳士を上級公務員職として募集をされて、 20 人を超える応募があったと聞きます。若い人たちは、きちんと身分があれば手話通訳士を目指しますが、今は残念ながら手話通訳士の養成カリキュラムもありません。まずはその検討が必要と考えています。
 3
つ目です。電話リレーサービスと遠隔通訳について、メリットとデメリットがありますが、これについての検討が必要だと考えています。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。前半部分の 2 番目の○の読み方の確認、これは事務局から後で、確認事項についてお願いします。

 

○北岡委員

 北岡です。検討の方向性の 5 つ目の○ですが、失語症や知的障害など、意思疎通支援者の養成・派遣に関する事業の対象者を、更に明確にすることについては賛同したいと思います。今回、資料として、我孫子市の自治体が先駆的に失語症の方への意思疎通支援に取り組んでいる状況が出されていますが、このような好事例の実施を他の自治体でも積極的に推進していただき、御紹介していただければと思います。

 失語症の方のことで言うと、中でも、構音障害とか、言語機能障害以外の失語症の方は、障害認定に至らないケースが結構あって、支援にアクセスできない人も一部いるというように思います。こういった方々にも支援が届くように制度的な課題を整理していただきたいと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。

 

○竹下委員

 竹下です。まず 35 ページの○の 3 つ目の所は、この内容でいいのですが、「等」という部分に、何が含まれるかがここでは見えてこないわけです。その前提としては、あくまでも障害種別の特性を十分に配慮した意思疎通支援が、この「等」の中に含まれていることがきちんと理解されるような、どこかでの記述をお願いしたいと思います。
 35
ページの○の 6 つ目で、ちょっと質問です。よくイメージができません。意思疎通支援の所で、情報提供施設があげられていますが、これは端的に言えば、我々で言う点字図書館等になりますが、ここに意思疎通支援として何を期待するのかが、この記載では全く読み切れないというか、理解しきれません。これについて補足をお願いしたいと思います。
 34
ページの○の 3 つ目の所で、専門的な知識を要する支援者の養成、これは極めて重要です。そのときに注意していただきたいと思うのは、例えば我々で言うと、点訳者とか音訳者は、日本の文化として、あるいは歴史の中で、ボランティアによってほぼ 99 %が賄われています。これは極めて、日本における大きな財産だと私は思っております。それらを大きくは維持しながら、しかし、現実にはその専門性の高い点訳とか、録音もそうですが、これをボランティアに頼ることは無理があります。その点を十分意識した専門家の養成をお願いしたいと思うわけです。
 33
ページの○の 5 つ目の所で、他施策との関係ですが、これは御指摘そのものに異論はありませんけれども、気を付けていただきたいのが、縦割行政の中で、言わば、押し付け合いというか、谷間を作らないということをお願いしたいのです。これまでも、どういう施策もそうなのでしょうけれども、この部分で結局は、嫌な言い方をしますが、行政の柵が作られて、結局のところは、現実の生きている国民が、十分な社会生活ができない事態を作られてしまうということが起こるわけです。決して他施策の連携ということの裏返しとして、押し付け合いにならないことをお願いしておきたいと思います。
 33
ページの○の 1 つ目で、今後の方向性の所です。介助技術と意思疎通を整理する必要があることは、全くそのとおりだと思います。現にこの文章に出てきますが、例えば視覚障害者の同行援護事業も意思疎通の所に入れているわけです。それはなぜかと言うと、同行援護は手引きという一番分かりやすい形式を取っていますが、決して身体を介護したり、介助するわけではないのですね。手引きは視覚障害の人に介助者というガイドヘルパーさんを通じて、情報提供をしています。段差があるとか、階段だとかを知らせるといったことからしても分かるように、我々にとって重要なのは、常に情報提供が社会生活の上で極めて重要な役割を果たしています。したがって、介助技術との整理をする過程で、それをしていただきたいからこそ入院中における、 1 つの支援、それは、決して療養の分野における看護師の介助とは区別された入院中の視覚障害者に対する意思疎通支援の必要性といったところを十分に御理解いただきたいと思います。

 最後、この意思疎通と情報保障ということは非常に分かりにくいわけです。前回だか前々回だったかどなたか議論されていたかと思いますが、この情報保障ということと、あるいは情報アクセシビリティということと、意思疎通支援ということが重なる部分もあるとは思います。そこを整理しながら情報保障とは区別された意思疎通支援について、視覚障害者の場合には制度化をしていただきたいというお願いです。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。

 

○藤堂委員
 JDD
ネットの藤堂です。発達障害のことがきちんと文言になって入っていることに関しては、有り難いと思っております。是非、その方向で全面的に動いていただきたいと思っています。

 この論点の整理の案の中から、必要とされる人材の把握とその養成の在り方ですが、これはすごく大事な話なのだと思うのですね。今おっしゃった専門性のほうを採るのか、点字がうまい人を採るのかという話もありますが、それとは別に、研修を幾つか見て来ていますが、特に発達障害に関しての研修を見ていると、理論に偏っていて実践が余り入ってこないことがあるのです。実際に入っている支援員の方たちのお話を聞くと、 1 日の研修で、学校とかいろいろな所に入るのですが、今、人手不足ということもあって、何をしていいか分からないと。そこに訳の分からない先生方が、支援員に対して、こうしてください、と言って動くとか、そういうことがあるので、研修の中身はできるだけ実践的に、すぐ使える技術をたくさん教えてほしいと思います。そこら辺のところを丁寧にやってほしいということです。

 次に、最後の○の支援に関する他施策との連携をどう考えるかの所です。ここで教育が入ってしまっていると、もう児童はカバーされているという理解のように思えるのですが、そうではないのですね。児童も学校以外の生活を持っていることを忘れないでほしいなと思います。学校で支援をしているからいいだろうではないのですね。放課後等デイだとか、普通の学童にも、こういう子たちは行っています。早いうちにきちんと支援を受けていれば、大人になって十分に自立して社会の中で生きていける子たちであるということを考えると、この中に何が抜けているかと言ったら「児童の観点」ということがすっぽり抜けているのかなと考えております。

 次に、現状課題に関しては、この 4 の所に発達障害ということが入ったことは有り難いと思っております。やはり 5 の情報提供等が課題となっているとおりだと思っていまして、情報提供の仕方は本当に必要な人に行き渡っていません。発達障害の方たちは、自分もそうかと分からない部分もありますし、現実のところを見ていると、支援を受けられている人は、よほど障害が重いか、でなければ、お母さん、お父さんがものすごく勉強して、自分からその情報を取りに行っている方たち、そして、例えば iPad を買って、こういうように使ったら、これだけうまくなるのですよということを突き付けることのできる親の所に生まれた子供たちは、そこでやっと支援に乗っかっていけるけれども、学校の先生たちは、まだ気が付かない状態のところで、お母さん、お父さんも働いていて、目が行き届かないこともあるでしょうし、外国人のときもあるかもしれないし、貧困で iPad を買うなんてとんでもない、といった家庭だってあるわけです。パソコンだって無い家庭もまだあるはずなのです。そういうときにその情報をどうやって行き渡らせるかということは、きちんと考えていただきたいです。そういう方たちのほうが支援を必要としていると感じています。

 最後に、この検討の方向性の○の所で、 ICT 活用等の所です。 ICT は本当に日進月歩で、いろいろな新しいものが入ってきています。例えば、私もこれ 1 つあれば十二分に暮らしていけるぐらいになってきています。 10 年前だったらとても不便だったのですが、今はこれが有るがゆえに、生きていけるという状態になってきています。私は、これを使いこなせるという有り難い立場におります。最先端にいて東大の方のお話を聞いたりできる立場にいるから、これを使いこなせる。でも、本当に必要としている人たちは、それが有ることを知らないまま過ごしていることがあると。それから、学校の先生に ICT を使えばいいのですねと、合理的な配慮でやりましょうと言っていますが、実際は、先生方はおののいています。 4 月からどうしたらいいのですかと。このように iPad を使ったらいいのですよ、このアプリケーションをダウンロードしたら、と言ったら、ダウンロードできないのですね。学校はインターネットにつないではいけないのです。では、学校の先生が自分でダウンロードしたものを持って行っていいかといったら、それも駄目なのです。保護者が持っているタブレットにアプリケーションをダウンロードして、このように使うのですと言って学校に持って行って、こういう合理的配慮をお願いしますと言って、初めて行われているのが現状です。そういうことを避けるためには、 ICT で教育をする、仕事をする、日常生活をすると、どの ICT を使ってどう使ったらば、その人のその困難さは軽減できるのかというところまで処方箋の書ける専門性を持った人たちの人材育成が急務だと私は思います。で、 3 年間待ってられないと思っています。

 最後の○の所です。視覚・聴覚情報提供施設ですが、既存のものを使いましょうという考え方かと思いますが、既存のものを使うのだったら普通の図書館にしてください。点字図書館にディスレクシアの人は行きません。点字図書館を使えるのは障害者手帳を持っている方です。障害者としてきちんと認められている人しか使えないのですね。例えば、私はどんなに頑張って嘘をついても、多分、手帳はもらえないです。ということを考えると、普通の図書館に、そういうコーナーを設けることを普通の法律の中に組み込んでいただきたいのです。アメリカとかイギリスは当たり前のことなのです。それが日本ではまだまだ、点字図書館だ、聴覚図書館だとかの所に行かないと手に入らないことは、これこそバリアだと思います。共生社会からほど遠い状態だと思います。是非、考えていただければと思います。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。では、野澤委員。今、 3 番目のテーマになっていますので、もし、 1 番、 2 番がありましたら、後で時間が残るかどうか微妙ですが、そのときにお願いいたします。今は 3 番目でお願いします。

 

○野澤委員

 すみません、遅れて来まして、野澤です。せっかく来たので、私も一言、言わせていただきたいと思います。 5 番目の○の所で、地域生活支援事業について、知的障害、発達障害の方を明記していただいたのは、私は高く評価したいと思います。その前の所で、意思決定支援の所でもそうですが、その判断能力にハンデがあって、なかなか自分で物事の意思を固めたり、表明をしたりすることは難しい人たちにとっての意思決定支援というのは、要するに、意思疎通支援と不可分なのですね。恐らくその情報保障というものは一番の核を占めているので、そこできちんと位置付けて、いろいろな研究だとか、機器の開発をされるとか、とても重要だと思っております。

 これは、国連の「本人中心主義」を進めていくときに、やはり一番の中核的な事業になってくることは間違いないと思います。それと、 3 番目の○の所で、司法・医療等についてのうんぬんとありますが、実は、司法の場面で、最も切実に通訳者というか、意思疎通支援者が必要なのは、発達障害、知的障害の方々だと私は思っております。つまり、どういうことかと言うと、違う意味で言っていることが、全く別の所の意味で受け止められて、特に発達障害の方とかは、思ったことを素直に言うので、それが非常に誤解されて、反省がないとか、猟奇的、巨悪だとかと決め付けられて、本人の意図しているところと違うような解釈をされて、ミスマッチがあちらこちらで起きていることは、いろいろな場面で例示されていると思います。

 諸外国を見ると、イギリスでもアプロプリエイト・アダルト・スキームとか、オーストラリアでも、その第三者代弁人とか、そういう方々の制度が進んでいて、本人の意思とは違う受け止められ方をしないように、警察側や検察側、裁判官の言っていることの意味をきちんと本人に伝えられるような制度もあります。日本でも検察庁が試行的に通訳者を導入したりしていますが、これは、障害者サイド、福祉サイドからもやはり、この辺りの意思疎通支援ができる方の養成と、その制度化を進めていっていただきたいことを重ねてお願いしたいと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。委員の皆さんの意見は、また取りまとめのときに反映していただくことになると思います。今のところ、お二人の委員から御質問があったということで、事務局に確認いたします。伊藤委員から御発言があると思いますので、どうぞ。

 

○伊藤委員

 難病連の伊藤です。 1 つは、 35 ページの 5 つ目の○ですが、発達障害、高次脳機能障害と入ってきて、次に重度の身体障害がある方というところにいきなり行っているわけです。難病の病気を抱えて重度の障害になる人が多いわけです。特に典型的なもので言えば、筋ジスや ALS という病気などありますが、こういう難病も重度の障害のある方の中に入れているのかどうか。ただ、病気を土台としている場合の障害と、そうではない場合は違うので、ここが 1 つ問題かなと思います。というのは、介護の所でもお話しましたが、入院中の支援は非常に難しいというか、今では余り病院の中でできないわけです。そういう意味では、入院中の重度の病気を持った方々への意思疎通の支援は、前回の話で病院内でどうするかということを話されたと思いますが、これはやはり、そこをきちんと位置付けていただけないかと。例えば、日常生活でも ALS のような非常に重い障害を持って、まばたきどころか、微かに眼球を動かすのも精一杯という方、ちょうど前の難病対策課長の田原さんがそこにいらっしゃいますが、そういう方々には非常に専門的な支援が必要なのですね。日常生活においても、施設内においても、病院内でもそうなのですが、こういう方々の支援がきちんと保障されるのか。日常生活においても、ほとんど全てと言ってもいいほど、これはボランティアの方々なのです。何ら報酬も支援もない中でやっているということで、しかも、それでもそういう支援を受けられる方は、ごく僅かなのです。そういう者もこの中に入れるのか入れないのか、入れないとすれば、これはどの部分でそういう方々への支援をしたらいいかということを教えていただきたいと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。これは確認かと思います。事務局にお答えいただくことになります。では、あと、 15 分ですが、取りあえず今までの質問の答えをもらいましょう。皆さん御協力いただいております 150 分をどう使うか、皆さんチームで議論をして、有効な議論を進めていきたいと思います。事務局におかれても、今、 3 名の方の確認の御質問がありましたので。

 

○石野委員

 すみません、石野です。ちょっと待っていただけますか。事務局から回答する前に別の意見を言いたいのですが、よろしいですか。

 

○駒村部会長

 分かりました。それが終わった後、事務局からまとめて回答をもらって、あと、広田さんから御意見があるようですし、もし時間が残っていたら、また幾つか最初の問題に戻って追加で時間の中でまとめたいと思います。

 

○石野委員

 今まで委員の皆様からいろいろな御意見を頂いて討議していますが、意思疎通支援について、非常に大事なことだと思っております。ただ、地域生活支援事業の枠ということで考えると、どこまで入ってくるのか。制度設計をする上でどう考えていくか、いろいろ選択肢があるのだろうと思います。例えば、地域生活支援事業とは別に意思疎通支援を独立させて、義務的経費の事業として設けることも選択肢の 1 つと考えています。いろいろな選択肢があるということも議論できればと思っています。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。まだ、この議論は引き続き取りまとめ、報告書に向けての議論があると思います。まずは、伊藤委員、石野委員、竹下委員から文言の確認があったと思いますので、それについて事務局からお答えいただき、これは先ほど言い掛けましたが、事務局もチームです。簡潔にポイントを絞ってお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

 

○道躰自立支援振興室長

 自立支援振興室長でございます。御質問ありがとうございます。まず、石野委員から御質問が 2 つあったと思います。 1 点目は、資料 35 ページの 2 つ目の○ですが、意思疎通支援事業に関する現状を調査することについて、どういう趣旨なのかということで、要するに、何か上限を設定するような趣旨なのかということだったかと思います。これは上限を設定するような方向ではなくて、むしろ現行、地域生活支援事業等でやっていただいている様々な意思疎通支援事業について、自治体ごとでアンバランスになっているというか、高い低いがありますので、支援者の養成の数とか、そのサービス提供の量がどのぐらい必要なのかをきちんと考えていただいて、それに向けて養成数、サービス提供量を整備していこうという趣旨でこういう調査をやる必要があるのではないかという考え方です。
 2
つ目の御質問は、その中で、合理的配慮の進捗状況について留意しつつ、誰がどう判断するのかということだったと思います。こういった計画については、障害福祉計画の中にきちんと位置付けることが考えられると思いますが、そうした計画を立てていただく場合は、算出の方法等について、国から一定の指針をお示しすることが当然考えられると思います。指針をお示しする中で、合理的配慮の進捗状況をどう捉えるのかということも、一定盛り込む必要があると考えております。その場合に、どこに誰がどのように配置されているかを、どのように把握していくかということになるかと思います。そこは全体の検討の方向性をこの部会で御了承いただいた上で、具体的な中身については、また研究していきたいと考えております。

 次に、竹下委員からの御質問です。 35 ページの一番最後の○の所です。視覚・聴覚情報提供施設等の活用の関係について、具体に分かりにくいところがあるので、もう少し補足をということでした。これは同じ○の前段の所にある支援機器の活用・利用支援が非常に重要だと思っておりますし、意思疎通支援に関する相談や情報提供についても非常に重要で、これをしっかりと前に進めていくために、どこでやっていただくかが課題です。それは現在、視覚・聴覚情報提供施設が様々な障害をお持ちの方への支援をやっていただいておりますので、そこを活用して、更に前に進めていく。また、既に、パソコンボランティアの皆さんに活躍していただいたり、といったこともやっていただいておりますので、更に前に進めていくことができないかという趣旨で書かせていただいております。

 伊藤委員からの御質問は、難病の方に対する意思疎通の支援ということをどこで読むのかということでした。確かに、重度の身体障害をお持ちの方で難病の方もいらっしゃいますし、ここだけでは書き切れないところもあります。 35 ページの最初の○ですが、これは全体を大きくくくって書いていまして、いろいろな障害種別、その状態像に応じた意思疎通支援をきめ細かにやっていくという方向で、様々、見直していきたいと思っております。そういった検討の中で御指摘の難病の方の意思疎通支援についても、対応できるように考えていく必要があるのではないかと考えております。以上でございます。

 

○駒村部会長

 質問された方、納得された部分と納得されていない部分があると思います。この検討の方向性、いろいろどうかという問い掛けになっていますが、委員の皆様からは賛成の方もいれば、反対の方もいたと思います。この辺はまた取りまとめのときに反映していただくことで。大濱委員から手が挙がっています。意思疎通関係であればお願いいたします。

 

○大濱委員

 今、御説明があった意思疎通支援事業の調査について、その現状について調査を行う予定とあります。せっかく調査を行うのであれば、意思疎通支援事業と同様に必須事業に位置づけられている移動支援事業についても、実施率や地域間格差等を調べていただきたいと思います。以上、追加のお願いです。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。それは調査に関する要請ということです。現実が分からなければ政策を作れないと思いますので、事務局にお願いしたいと思います。意思疎通に関しては、一当たりしたと思います。皆様の御協力で 7 分ほど時間が捻出されております。広田さん、意思疎通関係であれば、お願いいたします。

 

○広田委員

 お話、今日伺っていて、藤堂さんも女優さんになったみたいで、とてもお上手になって、ここへ来られて。それから、ちょっと声の方は分からないけれど、石野さん、大濱さんも、舞台男優になれるじゃない。私も小学校6年からすでになってるし、ここに出ている障害者は、非常に自立している。竹下さんは先生と付くぐらい。いろんな所へ行っていると、滞日外国人、“いわゆる日本にいる在日外国人”ですね。自己決定の先進国の、それから観光客。「日本人が何を考えているか分からない」と言われたときは、私は、「 I think so 」と答えています。そのぐらい、いわゆる I independent の文化ではない。引っ越しのためにいろいろな本を読んでいますから、日本の場合は、 depend upon と言うんだそうです。依存、組織とかの帰属意識。厚生労働省の藤井さんがどう考えようと、塩崎さん、こう考えてんのかな、そういう日本社会じゃない。そして取り巻きも口を出す。 No といえない日本人。そういうような中で、障害者のところだけ、自立してるのという話で伺ってて、佐藤さんのお話が非常に丁寧に自立の所をお話されてたから感じたことを。

 海外へ行くと、アイルランドのホームステイの話を 2 回ほどしましたが、意思を聞かれて、選択して、決定して、私が違うと、「あなた違うじゃない」と打ち返しがあるけど、日本の場合、さっきの話ね、何でも権利、障害者だからとかで、いいんじゃないと、一般的にも権利を主張して義務を遂行しないけど、そういう日本社会の、つまり文化がドラスティックに変わる前触れというふうに考えてよろしいですかと捉えています。

 ここに来ている障害者は国の委員として“エリート障害者”扱いの時ありますが、例えば、作業所に行っていた福祉の時代です。私をキャンプの実行委員長にしたくなかった作業所の職員が、私が仕事を早退して行ったときには、実行委員長を指名してたんです。そうしたら、「ありがとうございます、」と仲間がペコペコ頭を下げてキャンプの歌まで自作してやったけど、職員がいるときはみんなが持ち上げた、職員がいなくなったとき誰も歌おうとか持ち上げなかった、もともと「自衛隊音楽隊出身」の人ですけど、「広田さん、俺は利用されてたのかな」って言われた。私は本当のことを言ったほうがいいのか、ここは言わないで、どっちがいいのかなと思ったけど、本人が気づいていたので「あなたがそう感じてるなら、そうなのよね」って言った。プライドですよ、人間としての誇りを傷つけられて、栄光の輝かしい人生、精神障害者以前の、あるわけだから、それをひきずったまま後年自殺をされた。そのときに、マンション内のグループホームから飛び降りてます。第一発見者は元外務省職員。ところが、「グループホームの職員は、精神障害者だから、『あなたたちは作業所に行きなさい』っていうことで行かされた」行ったんじゃなく、行かされた。そうしたら、何年たっても、「広田さん、何で警察の事情聴取に第一発見者の俺が立ち会わないんだ」っていうことが残るんですよ。こういう上下関係とか、気を使わされたり、依存させられている中で、どうして障害者だけが自分の意思を明確に自己選択、自己決定、ましてや自己責任という形で打ち出せるのかということです。今日のお話は、もう 1 回言います。

 日本社会のその帰属意識とか、組織の中の一員という、 depend upon とかの英語の、そういう依存の体質から日本社会がドラスティックに、アメリカ人が言う、イギリス人が言う、フランス人が言う、いろんな人が言う、「日本人は何を考えてるか分からない。」「 I think so 」、「広田和子さんは分かりやすい。何でそうじゃないんだ」と、マスコミも精神業界のこと昔から言ってますけど、日本社会を自立型にを変えようという意気込みがあるのか、今度、仲間たちにお話を、ここの委員も含めて伺いたいと思います。そこを変えないで、意思を出せとか言われたって、出しちゃったら保護室よ、出したら「広田さんをはずせ」とか「うるさい広田さん」とたたかれまくられる、あること、ないこと。「障害のない人同様、ふつうに障害者も傷ついたり失敗も含めていろいろ体験させていただきたい。」多くの仲間の願いでもあります。そういう文化的な背景があることの中で、ということです。

 それから、遅れてきた野澤さん、さっきね、民主党の厚生副大臣も、去年会った自民党の文科副大臣、女性です 2 人とも。女性のほうが本音を言うなと思ったけど、「日本を駄目にしてんのは、日本のマスコミ」という話をさっきしてました。それで、是非、福田さんが、広田和子が訴えた、名古屋の国際会議場で。「精神の業界が一枚岩になって、」マスコミは本質を報道してほしい。「ナイトケアとデイケアで 1 1 万円」、その同じ値段が入院費だそうです。ちょっとあったことだけをたたくための報道しないで、掘り下げて、社会全体が良い方向になるような報道をしていただきたい。日本の報道は突出して、何かパパラッチ的、私は図書館に行ってアメリカの新聞、イギリスの新聞も 1 面だけ見てるけど、扱いが全然違います。何度も言うようだけど、マスコミの報道が変われば、民度も高くなるからということで、私たちの民度が低いから、あの程度の報道かなということかもしれないけど、是非、よろしくお願いします。志を持ったマスコミ個々人はたくさんいます。又、「日本のマスコミはジャーナリズムがないので…」と各紙の記者も悩んだりして、お話聞いています。たたく報道が、鬱を多発し、自殺に追い込む。そして、前回も言ったけど生活保護課が全国に資産調査をやってる、年金がサイバー攻撃で大騒動のこの時代、福祉事務所が個人情報集めすぎるのも大問題になる。厚生労働省障害保健福祉部、頑張って交渉していただきたい。 5 階から 4 階へ。よろしくお願いします。日本の税負担で、憲法 25 条が保障する生活保護制度と地域住民を守るソフト安全装置の“ KOBAN ”は日本が世界に誇るセーフティーネットと私は認識しています。そこが揺らいでいるので、それについては今後も発言しますが、以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。あと 2 3 分しか残っていませんが、もし、是非ともという方は。お二人いらっしゃるので、それぞれ 1 分ぐらいですが、小澤さんから、それから伊藤さん、本当に一言ですけれども。

 

○小澤委員

 一言、確認です。精神の領域の検討の方向性です。 5 ページの○の 5 つ目の所で、市町村の障害福祉計画の策定に反映させる方法の提示ということで、今後検討していただきたいと思います。それの参考資料が多分、 17 18 ページで、介護保険の、いわゆる高齢・精神の方の推計ですが、市町村で非常に悩むのは、実際、策定に関わって、訓練等給付の推計なのです。これに関しては例示が介護給付の話なので、その訓練等給付とか、そういった推計を、退院されてきた方ですが、そのことに関しては、是非検討していただきたいと。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。

 

○伊藤委員

 一言です。 35 ページの 5 番目ですが、せっかく失語症、知的障害、発達障害とか、いろいろ並べていて、これもその支援の対象だと言っている中に、難病だけが入らないのは何かちょっと、このままでは納まらないかと思います。せっかくこう書くのでしたら、それを対象にするのだと書いていただければ有り難いと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。取りまとめのときに、また確認の議論をしたいと思います。よろしければ、本日の議論は終わりにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。初めて時間どおりに終わるという、すごいことになりました。これで本日の議題とさせていただきます。事務局から連絡事項をお願いします。

 

○川又企画課長

 企画課長です。次回の部会は、 11 2 日の月曜日、 14 時から TKP ガーデンシティお茶の水のほうで開催いたします。次回、テーマは 2 つあります。「高齢の障害者に対する支援の在り方」「障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方」です。よろしくお願いいたします。

 

○駒村部会長

 それでは、本日は閉会させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

【社会保障審議会障害者部会事務局】
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課企画法令係
TEL: 03-5253-1111(内線3022)

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