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2015年10月16日 第7回厚生科学審議会がん登録部会(議事録)

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成27年10月16日(金)14:00~16:00


○場所

航空会館 501~502会議室(5階)
(東京都港区新橋1-18-1)


○議題

(1)全国がん登録における指針等について
(2)その他

○議事

○がん対策推進官 定刻となりましたので、ただいまより第 7 回がん登録部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 初めに、本日の委員の出欠状況ですが、本日は薄井委員、川本委員、松本委員より御欠席の御連絡を頂いております。また、本田委員、平田委員より遅れて御到着との御連絡を頂いております。また、今回から佐藤委員に代わりまして、日本歯科医師会常務理事小泉政幸委員に新たに委員として御参加いただいております。本日のがん登録部会の委員定数 24 名に対し、現在出席委員が 19 名ということで、議事運営に必要な定足数 12 名に達していることを御報告申し上げます。

 本日は、 3 名の参考人をお招きしております。国立がん研究センターがん対策情報センターの西本寛参考人、柴田亜希子参考人、松田智大参考人です。また、 10 1 日付けで事務局に人事異動がありましたので、報告いたします。新たに、厚生労働省健康局長に着任いたしました福島です。新たに、健康局がん・疾病対策課長に着任いたしました佐々木です。それでは、健康局長より一言御挨拶をお願いいたします。

○健康局長  10 1 日付けで健康局長を拝命いたしました福島です。本日は、大変お忙しいところ、またお足下が悪い中、第 7 回がん登録部会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。また、先生方には日頃からがん対策の推進のみならず、厚生労働行政全般について格段の御支援、御協力を賜り、この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。

 御承知のように、平成 25 12 月に、がん登録等の推進に関する法律が成立し、来年 1 月の施行に向けて、私どもとしても準備を進めているところです。この部会で、これまで頂戴しました御意見等を踏まえ、 9 9 日に政省令を公布し、今月初めには全国がん登録届出マニュアルを各病院にお届けをしたところです。

 今日の議題ですが、厚生労働大臣が定める 2 つの指針がありますので、これについて御議論いただき、できれば取りまとめをお願いをしたいと考えているところですので、より良い指針となりますように活発な御議論をお願い申し上げます。また、法施行まではもう 3 か月を切っておりますが、この法に基づいた全国がん登録が円滑に行われますよう、今後とも先生方のお力添えをお願い申し上げ、簡単ではありますが、冒頭の挨拶とさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 それでは、以後の進行は辻部会長にお願いいたします。

○辻部会長 皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。最初に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○がん対策推進官 資料の確認をいたします。座席表、議事次第、資料 1 「がん登録部会委員名簿」です。この資料 1 ですが、 16 番永井庸次委員の所属・役職ですが、全日本病院協会常任理事ということで、「常任」を追加させていただければと思います。大変失礼いたしました。資料 2-1 「院内がん登録の実施に係る指針 ( ) の骨子」資料 2-2 「院内がん登録の実施に係る指針 ( ) 」資料 3-1 「全国がん登録情報等の提供に係る本人同意について」資料 3-2 「同意代替措置に係る指針 ( ) 」資料 4 「がん登録等の推進に関する法律施行令及びがん登録等の推進に関する法律施行規則の施行について」。参考資料 1 8 については、お手元の青いファイルにとじております。資料の不足、落丁等ありましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちまして、撮影を終了し、カメラを収めていただきますよう御協力をお願いいたします。

○辻部会長 皆様、資料に問題はありませんか。それでは、議事に入ります。議題 1 「院内がん登録の実施に係る指針 ( ) について」です。まず最初に、事務局から資料 2-1 、資料 2-2 について説明をお願いいたします。

○事務局 資料 2-1 を御覧ください。こちらですが、法律第 44 条第 1 項においては、専門的ながん医療の提供を行う病院や、地域のがん医療を担う病院の開設者及び管理者は、厚生労働大臣が定める指針に即して、院内がん登録を実施するよう努めるものと規定されております。これは、その指針 ( ) の骨子となります。

1 番目、「院内がん登録とは」ということで、院内がん登録の意義、概要について。 2 番目に、院内がん登録の実施のための体制。 3 番目は、院内がん登録の運用。 4 番目は、院内がん登録の利活用。 5 番目は、その他で、個人情報保護について。そして付録で、本日はお付けしておりませんが、がん診療連携拠点病院と院内がん登録、標準登録様式という構成を予定しております。この付録は、参考資料に現在のものをお付けしておりますので、御参照いただければと思います。

 続いて、資料 2-2 を御覧ください。こちらは、骨子を基にした指針 ( ) です。「 1. 院内がん登録とは」として、院内がん登録の概要を記載しております。院内がん登録は、病院におけるがん医療の状況を適確に把握するため、全国がん登録よりも詳細ながんに係る情報を収集するものです。院内がん登録の情報を活用することにより、自施設におけるがんに罹患した者に係る医療の強化、また国あるいは都道府県単位での専門的ながん医療を提供する医療機関の実態把握、がん患者及びその家族等の、医療機関の選択に資するということもあります。また、行政においても、これらの情報を活用し、地域におけるがん対策の企画立案や、がん対策の充実を図ることに利用されます。 1 番目の概要としては、このようなことを記載しております。

2 ページは、「 2. 院内がん登録の実施のための体制」として、 1 番目に組織体制を記載しております。こちらは、診療情報管理室のような院内がん登録の実務に関する責任部署を明確にしておくことが望ましいとしております。また、院内がん登録の運用上の課題評価や利活用に関する院内規定の策定等を行う機関も、設置することが望ましいということを記載しております。 2 番目は、院内がん登録の実務者についてです。院内がん登録の実務者、がん登録に習熟し、がんの臨床医学や疫学に関する幅広い知識を持つような実務者を 1 名以上配置することが望ましいと考えております。

 「 3. 院内がん登録の運用」については、登録候補の抽出、登録対象者の抽出及び登録、品質管理、集計・分析、生存状況の確認調査、生存率の集計・分析の 6 つの業務を継続的に行うことが必要だと考えております。具体的な運用の手順については、 1) から 4) を御参照いただければと思いますが、特に 3 ページの 3) 品質管理においては、登録のエラー・チェックや集計結果の指標評価などについても記載しております。こういったことで品質管理を行い、登録の精度を上げていくことが望ましいと考えております。

 「 4. 院内がん登録の利活用」については、大きく 2 つあります。 1 番目は、拠点病院等の全国集計です。 2009 年度から国立がん研究センターで全国集計を行っていただいておりますが、国立がん研究センターは主として、がん診療連携病院等を対象に、院内がん登録全国集計を実施し、病院だけでなく国あるいは都道府県単位でのがん医療の状況を把握するため、施設別の集計を含めて公表するとしております。また、生存率集計についても、その結果を公表するとしております。そのほか、国あるいは都道府県単位で専門的ながん医療を提供する医療機関の実態把握や、医療機関の選択、行政におけるがん対策の企画立案にも活用することとしております。

2 番目は、施設内での利用です。院内がん登録による、自施設におけるがん医療の評価により、がん医療の質の向上が図られるとともに、がん患者及びその家族に対して、がん及びがん医療についての適切な情報の提供を行うことが可能となります。

 「 5. その他」として、院内がん登録の実施における個人情報保護についても記載しております。

 院内がん登録の実施に係る指針については、概要はこのような形で考えております。以上です。

○辻部会長 ただいま、院内がん登録の実施に係る指針 ( ) について御説明いただきました。これについて、御質問、御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。

○天野委員  2 点あります。まず、 3 ページの「 4. 院内がん登録の利活用」の 1) の全国集計の部分についてです。 2 段落目で、「全国集計の一環として生存率集計を行い、施設別集計の結果を含めて、その結果を公表する」と明記されているかと思います。これについては、我々患者や家族からしますと、施設別のいわゆる治療成績というのは非常に関心のあるところで、今回そういった指針において、それが明示されたことは大変ありがたいことですので、是非これは公表していただきたいと思います。

 一方、従来の院内がん登録の一般向けと申しますか、 PDF などで公開されている冊子を拝見いたしますと、例えば乳がんの限局期の患者に対して、手術に加えて補助療法などを何かしている、していないといった治療の内容などについての集計なども、都道府県別には出ていたかと思います。もし可能であれば、そういった治療内容についても、施設別で公開していただけますと、患者や御家族にとっても有益な情報であるのみならず、医療の質の向上にもつながるかと思いますので、その部分についての公開は可能かどうかについてお尋ねさせていただきたいと思います。

2 点目は、 4 ページの上から 5 行目のパラグラフ、生存率に関しても同様に、自施設のがん医療の質評価に積極的に利用すること。そして、全国集計の公表基準や方法に準じて、自施設の集計結果を公表することが「望ましい」とされていて、各施設の努力義務のような形になっているかと思います。もし可能であれば、この部分も院内がん登録に参加している施設におかれましては、それぞれの施設のホームページ等で公開していただく、そのことが、患者や御家族への情報提供につながるかと思いますので、この部分は望ましいではなく、「実施する」という形でお願いできないかと思います。以上です。

○辻部会長 いかがでしょうか。

○西本参考人 今の御指摘は 2 点ありました。 1 つは、全国集計の公表の仕方に関してです。これについては、 PDF の形ではありますが、今、それぞれ施設名入りで主要 5 部位と従来から言われておりました部位については、ステージ別の施設別の集計とともに、そのステージに応じたどういう治療が行われているかというデータも併せて、既に公表をさせていただいております。都道府県別が冊子体で出ているのですが、かなり分厚くなるものですから、それ以外に PDF の形で。私どもとしては今、公開の仕方を PDF に限定した形にはなりますが、御指摘のデータについては、主要 5 部位について、ステージ別にどのような治療が複合して行われたかについては、公表しております。ただ、補助療法の中身に関しての詳細な集計が公表されていない部分もありますので、今回の指摘も踏まえて、がんの種類によって補助療法のパターンは異なるものですから、その部分をがん種別に少し公表を検討していくことが必要かなと、今伺っていて思いましたので、これは検討させていただきます。現状、既に 5 部位に関しては、病気別にどういう複合的な治療が行われたかという集計の、施設別の公表をさせていただいております。

2 点目ですが、生存率の公表に関しては、全国集計に協力をしていただいている施設に関しては、前段の所で公表をしていく方向で示させていただいております。現状、院内がん登録の全国集計に関しては、今は拠点病院が 422 ありますが、それに加え、都道府県から推薦を頂いた約 300 の病院のデータも含めて、施設名入りで公表させていただいております。この後段の部分に関しては、院内がん登録を実施している施設が全国集計に全部協力をしていれば、結果的には全部出てくるということになりますが、現状、都道府県からの推薦を頂くという条件が少しありまして、院内がん登録をしている病院からのデータを全部集めている状況ではありません。ですので、後段の部分に関しては、全国集計に準じて公表することを義務付けるのは、天野委員のおっしゃるように、今後の方向性としては当然検討を進めなければいけないところではあるかと思いますが、院内がん登録実施施設が全部実際に公表できるかといいますと、そうではない。症例数の少ないような施設もあり、かえって数字が少ないと生存率そのものが非常に不安定な数字になってしまうという問題もあります。ですので、ある程度の診療数のある病院は望ましいという形でカバーをしていきつつ、今申し上げた 700 以上の病院については、私どもできちんと施設別のデータとして公表させていただくと。それを受けて、実際に協力していただいている施設は、そのデータを使いながら公表されるでしょうし、それが恐らく今後、波及効果としてそれ以外の病院にも広がっていくことを期待しております。今回の指針の段階では、望ましいという表現にとどまっておりますが、これは社会的に公表が進んでいくことで、随時進んでいくものだと期待もしているところです。

○天野委員 望ましいとしていると、やらない施設が多く出てくることが懸念されますので、可能であれば是非ここは「実施する」と変えていただきたいと思います。それから、症例数が少ないことについて、例えば治療成績などについては統計的な限界などが出てくるということで、全ての公表は難しいという御指摘だったかと思いますが、実は例えば希少がんの患者から、自分のがんを診療してくれている施設はどこなのだろうかという声や疑問や困っているという声はたくさん頂きます。ですので、いわゆる希少がんについては症例数が少なくても、ただし書などを付ける形で、できる限り施設を公開していただき、患者がたどり着けるように公開をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○西本参考人 最後の希少がんに関してですが、今のところは全国の施設でということではありませんが、都道府県のがん診療連携拠点病院の相談支援センターに行っていただきますと、院内がん登録のデータを用いた希少がんの検索システムというものがあり、実際にいろいろな条件を入力していただいて、それに合わせてどこの拠点病院が診療を何件しているかというようなものを検索するシステムを、既に稼働させていただいております。これを、今後少しずつ広げていくことが、恐らく必要であろうと思いますが、希少がんの分類を含めて、例えば今のシステムですと原発部位がどこで、組織型がどういう組織型で、年齢が何歳ぐらい、あるいは性別、それから部位によってはそれ以外のステージ等についても絞り込んだ形で、施設名入りでどこの施設が何件、例えば 2012 年ですと 2012 年に何件実際に登録されているかを検索できる、そのような仕組みをつくって、都道府県拠点病院の相談支援センターにおいて運用をさせていただいております。今後、これを恐らくがん診療連携拠点病院の相談支援センターに普及させることで、患者が実際に自分たちがかかっているがんを、どこの病院で診ているのかが比較的詳細に検索できるようになりますので、これについても今後拡充をしていくことを私どもとしては検討させていただきたいと思います。

 院内がん登録の利用、そして患者への、ある意味直接的な還元という意味では、希少がんの検索システムを今後拡充させていくということでお答えにさせていただきたいと思います。

○小俣委員 今の天野委員の意見に関連してですが、「 4. の院内がん登録の利活用」の所で、今、西本先生からもお話がありました公表の件です。小児がん拠点病院は小児がんの拠点病院ということで組織があります。治療中や治療後の患者や家族については、中央機関の成育医療センターの情報からということになると思います。ですので、中央機関である成育医療センターとの連携や、今後の展開について教えていただけたらと思います。

○西本参考人 小児がんに関しては、今、小俣委員から御指摘がありましたように、小児がんの拠点病院の中央機関として、国立がん研究センター中央病院と、国立成育医療研究センターの 2 つが指定をされております。今後成育医療センターを中心に、小児がん独特のデータの集め方、いわゆる小児がん登録と私どもは呼んでおりますが、これについては、整備をしていくことになると思います。当然のことながら、これは実際に既に昨年以降、小児がん拠点病院からもいくつかの施設に御協力いただき、院内がん登録のデータを頂戴しており、それも公表させていただいております。ですので、ベースのデータになる部分としての院内がん登録のデータは、国立がん研究センター側が取りまとめて公表し、より詳細な情報に関しては、今後そちらと協力をしながら、成育医療センターの中でまたどのような公表をされるかの検討が進むのではないかと思っております。

 この 2 つの機関の間で話合いも行われており、どういう形で小児がんのデータを取りまとめていくかについても検討も進めているところですので、細かな情報に関してはこれからになると思いますが、少なくとも今年度、ちょうど今、小児がん拠点病院からの 2014 年の院内がん登録データの収集にかかっているところで、一応、これで来年発表される 2014 年のデータについては、小児がん拠点病院のデータも含めて公表ができるのではないかと考えております。

○小俣委員 ありがとうございます。是非、患者、家族がどこを見ていいか分からないというような状況ではなく、すぐに検索できるような整備をしていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

○祖父江委員 確認なのですが、 3 ページの拠点病院等全国集計のことについてですが、明示されていないですが、これは匿名化した情報を拠点病院から集めるということでよろしいですか。

○西本参考人 はい。現状、院内がん登録に関しては、匿名化したデータで収集をしております。ですので、残念ながらそこの名寄せは行われておりませんので、施設間での重複はあります。ただ、その部分に関しては、施設別にどれぐらい診療されたかを見るのが院内がん登録で、その地域あるいは全国でどれだけの罹患、がんの患者がおられるかを見るのが、この法に基づく今度は全国がん登録の側であり、名寄せをして行うという、 2 本立てで今後も進んでいくと考えております。

○祖父江委員 そのことを、もう少し、全国がん登録そのものとの違いとして強調したほうがいいと思うのですが。名寄せをしないということは別に欠点ではなくて、即時性、迅速性が高まりますし、むしろ施設別の集計をするには名寄せをしないほうが適していると。むしろ、施設別の集計に向いた仕組みであるということを、この拠点病院等全国集計の特徴としてもう少し強調をして、なぜこの拠点病院等全国集計というのが全国がん登録とは別に存在する必要があるのかを、もう少し理解してもらえるような記述が必要だと思います。

 天野委員が言われたように、患者が望む情報は実はここから出てくるということを、もう少し記述されたほうがいいような気がします。

○西本参考人 その点に対しては、まさにおっしゃるとおりですので、厚生労働省でお出しになる指針ですので、私どもも少し検討させていただいて、匿名化をして、施設別の数字を出していくのだという意義について、もう少し明確に書くような工夫を検討させていただきたいと思います。

○辻部会長 ほかにどなたかありますか。

○がん対策推進官 補足なのですが、そもそもこの指針の位置付けなのですが、先ほど天野委員より望ましいという単語を外してはどうかという御意見があったのですが、もともとこの指針自体が厚生労働大臣が定める指針に即して、院内がん登録を実施するよう努めるものとするということで、この指針自体が努力義務という形になっており、強制力という意味は持っておりません。ただ、情報の公表の仕方や、公表しているかどうかに関しては、国なり厚生労働省なり、国立がん研究センターで細かくフォローしていくことは可能かと思いますので、どういった形で情報提供をされているかというフォローは必要なのかなと考えております。

 もう 1 点は、祖父江委員からの御指摘ですが、この指針はその病院の院内がん登録をどうやるかということに主眼を置いた指針となります。実は、全国集計をどうやるべきかというのは、ここでは情報提供として病院にも知っていただきたいという趣旨で載せてはおりますが、主眼としては院内がん登録をどのようにやっていただくかですので、そこは御留意いただければと思います。以上です。

○永井委員 病院としましては、 2 ページの「 2. 院内がん登録の実施体制」です。 2 つ質問があるのですが、 1 つは組織体制で、例えば「診療情報管理室を指す」等とあるのですが、全国に病院がありますが、診療情報管理室を備えているような病院は大体どの程度あるのかが 1 つです。もう 1 つは、 2) 2 行目ですが、主体的に院内がん登録業務を遂行することが期待されるとありますが、「主体的に」という意味がよく分からないのですが、どういう意味なのでしょうか。

○西本参考人  1 点目については、診療情報管理室がどれぐらいの施設に存在するかは、私どもも実は残念ながら把握はしておりません。ただ、先ほど申し上げたような形で、私どもが全国集計をさせていただくに当たり、これは電子的に今は全部集めさせていただいておりまして、電子的に集めるときに代表者の連絡先や所属などを伺っております。少なくとも、全国集計に今協力をしていただいている約 700 の病院に関しては、ほぼそれに準ずる組織が存在すると考えております。

2 点目ですが、「主体的に」と申しますのは、従来、 10 数年前になるかと思いますが、地域がん登録がずっと各都道府県で実施され、また院内がん登録が拠点病院で始まった頃には、ドクターに書いていただいたものを誰かが入力するという運用が実際にはされておりました。ただ、その形をずっと進めていきますと、やはりドクターへの負担が大きいこと、それから、ルールの変更に対していろいろ機敏に対応していただくような体制がなかなか取りにくいことがありました。現状はがん登録の実務者ということで、既に初級に関しては 6,000 名が研修を修了しており、中級に関しても 600 名以上が私ども国立がん研究センターが行う研修を既に受講し、中級に関しては修了試験もパスした形でおられます。そのような人材を十分利活用していただいて、ドクターに負担をかけない形で、実際の運用はそれらの実務者にその中心を担っていただきたいという趣旨で、「主体的に」という表現があると考えます。

○永井委員 何となく分かりにくい文言で、要するに専従という意味なのかなと最初はとったのですが、そういう意味ではなく、いわゆる日本語の本来の主体的という意味ですね。

○西本参考人 はい。

○永井委員 分かりました。

○辻部会長 ほかに、どなたか御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、本日、大変貴重な御意見を頂きましたので、それは事務局で整理、反映していただき、その後、私のほうで確認させていただき、皆様にお送りし、この指針をつくるということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、議題 2 の「同意代替措置に係る指針 ( ) について」に入ります。事務局から、資料 3-1 、資料 3-2 の説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料 3-1 を御覧ください。資料 3-1 は全国がん登録情報等の提供に係る本人同意についてまとめたものです。本人同意については、若干、複雑な体系になっておりますので、下の参考を御覧いただきながら説明させていただきます。こちらは法律の一部抜粋ですが、法の第 21 条第 3 項第 4 号及び第 8 項第 4 号において、それぞれ厚生労働大臣が研究者から 2 以上の都道府県に係る都道府県がん情報の提供の求めを受けた場合や、都道府県知事が研究者から当該都道府県に係る都道府県がん情報の提供の求めを受けた場合において、対象者、当該がんに罹患した者から当該がんに係る調査研究のために、当該全国がん登録情報、若しくは当該都道府県のがん情報が提供されることについて、同意を得ることが規定されております。

 つまり、全国がん登録の情報や都道府県のがん情報を研究者が使いたいという場合には、本人の同意が必要だということがあります。ただし、法附則第 2 条に該当し、指針に沿った措置が講じられている場合には、この規定は適用しないとしております。参考の下の四角に法附則第 2 条の一部抜粋を載せております。

 その上を御覧ください。法附則第 2 条の中に政令が 3 つあります。1法の施行日前に開始された、がんに係る調査研究として政令で定めるもの。これはどういったものかというと、政令の附則第 2 条に「法の施行日前に、その実施に係る計画において対象者の範囲が定められた研究」と規定しております。これは、対象者が誰々と個人をきちんと把握できている、範囲がきちんと定められているという意味です。

 これに該当する場合で、次に 2 法施行日後に、その対象とされている者から、法第 21 条第 3 項第 4 号または第 8 項第 4 号の同意を得ることが、研究の円滑な遂行に支障を及ぼすものとして、政令で定める場合。その対象とされている者がどういった方かというと、注釈に書いていますが、もともと施行日前から対象とされていて、同意も取っている人です。※ 1 ですが、施行日以後にがんに係る調査研究の対象とされた者、いわゆる法施行日後に被験者となることの同意を得た人ということがこの中で規定されております。それらの方から法施行後に改めて同意を得ることが、研究の円滑な遂行に支障を及ぼす場合がどのようなものかを政令の※ 2 に記載しております。以下のいずれかに該当する場合として、 1 つ目が、施行日前からがんに係る調査研究の対象とされている方が 5,000 人以上の場合。この調査研究の対象者で、被験者となることについて同意を得られている方が 5,000 人以上いるような研究ということです。 2 つ目は、次の事情で同意を得ることが、研究の円滑な遂行に支障を及ぼすと、厚生労働大臣の認定を受けた場合としており、その次の事情というのが、対象者と連絡を取ることが困難であること、又は対象者の同意を得ることが、がんに係る調査研究の結果に影響を与えることとしております。

 厚生労働大臣の認定を受けた場合に関して、参考資料 3 を御覧ください。こちらに政令を載せております。最後のページ、附則第 2 条第 4 項の部分ですが、ここに「前項第 2 号の認定を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に申請をしなければならない」とあり、厚生労働大臣の認定を受けるということは、厚生労働大臣に申請をすることで、次の第 5 項、厚生労働大臣は認定を行おうとするときは、「あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない」としておりますので、まず厚生労働大臣の認定というのは、研究者が厚生労働大臣に申請を行い、それを厚生科学審議会、このがん登録部会にお諮りして、そこで認定を受けることが必要になります。以上の流れになっております。さらに、第 4 項の「厚生労働省令で定めるところにより」というのは、参考資料 4 の最後のページに附則第 2 条がありますが、研究者がどういったことを申請書に書かなければならないかということを、この中に記載しております。研究代表者の氏名や対象者がどういう方であるか、同意を取ることが困難な理由などを記載していただくことを考えております。

 それらの申請をしていただいて厚生労働大臣の認定を受けた場合に、これに該当することになり、それに該当した上で、 3 ですが、当該対象とされている者について、これらの同意に代わる措置として、厚生労働大臣が定める指針に従った措置が講じられている、これに該当する場合に初めて本人同意は不要、つまり法第 21 条第 3 項第 4 号又は第 8 項第 4 号の規定を適用しないということになります。

 本日は、厚生労働大臣が定める指針というものを資料 3-2 にお示ししております。資料 3-2 を御覧ください。こちらは、同意代替措置に係る指針 ( ) として記載しております。最初は、この法律の、先ほど御説明したような内容を記載しているのですが、以上を受けて本指針においては、同意代替措置として、以下の 1 3 に掲げる全ての措置を講じていることを原則とするとしております。

1 つ目が、当該がんに係る情報の取得に係る同意ということで、研究者が当該がんに係る情報を取得することについて、研究対象者等、代諾者なども含めますが、それらの方々から書面等の形式で同意を得ていることとしております。なお、オプトアウト形式の同意は原則として認めないことにしております。

2 つ目ですが、適切に情報公開がされているということで、研究者が当該がんに係る情報を取得することを研究対象者が知る機会を十分に得られるよう、適切に情報公開を行っているということで、例示としてホームページへの記載と書いておりますが、広く聴衆に知られるような形で、情報公開を行っていることです。なおかつ、その内容、どういったことを公開しているかということについては、調査研究の概要や法施行後に改めて本人同意を得ることができない理由を、公開しているということを考えております。

3 つ目は、拒否する機会の確保です。研究者が全国がん登録情報や都道府県のがん情報の提供を受けることについて、対象者が自ら意思によって拒否できるような、以下のような拒否の機会が確保されているということを記載しております。これは対象者が、どこに連絡したらいいのか分かること、簡易な拒否の方法、拒否の意思表示によって、不利益を被らないことが保障されるようなことを考えております。

 また、なお書として記載しておりますが、本人同意に関して、代諾者等から同意を得ている場合については、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の第 5 章第 13 1 に即していることを原則としており、これはほかの法令との整合性を踏まえた上で規定したいと考えております。同意代替措置については、以上でございます。

○辻部会長 ありがとうございました。ただいま、同意代替措置に係る指針 ( ) について、御説明いただきましたが、これについての御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○澁谷委員 質問ですが、指針の 1 ページの 1 に、「オプトアウト形式での同意は原則として認めない」と書かれていますが、この「オプトアウト形式」という言葉で、皆さんイメージするものは同じなのでしょうか。この言葉の説明は要らないのでしょうか。それから、「原則としては認めない」と書かれているのですが、では、認める場合があるのか。その辺りも含めて、ここの説明をもう少ししていただけますでしょうか。

○事務局 ありがとうございます。基本的に、これは ( ) で、まだ文言が修正される可能性がありますので、オプトアウトという形で書いてありますが、もう少し丁寧な記載を、指針の中ではする予定です。どういったことをイメージしているかといいますと、基本的には、本人から明確な研究参加に対する反対というか拒否の意思がない場合に、それを同意と取ったものというふうに解釈するということにはしないと、そういうようなことを意味しております。

 実際、「原則として認めない」ということにして、では、認める場合があるのかということですけれども、基本的に法施行前に始まった研究というのが、非常に古いものですと、同意の取り方というのが、非常に曖昧というか、はっきり明確に分からない部分もあるかと思います。ただ、その研究自体、基本的には、当然、書面でなくても何らかの形で、本人の同意を取っているだろうということで、基本的にはオプトインといいますか、本人から明確な参加同意を得られていることを考えております。逆に、実際、こういう場合ならいいのではないかというものがあれば、御意見頂ければと思うのですけれども、基本的には我々としてはオプトインといいますか、本人の明確な参加同意というものを考えているというところでございます。

○澁谷委員 では、まだ、この書き方が変わるかもしれないということなのでしょうか。

○事務局 はい、本日皆様から頂きました御意見を踏まえて、指針中の文言を修正したいと思っております。

○澁谷委員 また、では、何か分かりやすい言い方を、ちょっと検討していただけるといいと思います。

○事務局 承知いたしました。

○祖父江委員 これに関連してですが、オプトアウト形式として一般に言われているやり方が、まさに 2 3 に書かれているわけですね。公開をして、拒否の機会を設けるという形での同意の取り方がオプトアウトであるわけですね。これを法施行後の同意の取り方というのですかね、代替として認めるのであれば、過去においてもオプトアウト形式での同意というのを外すということは、あえて書かないほうがいいような気がしますけれども。

○松田参考人 今の祖父江委員の御発言に対してなのですが、 1 番目については、研究の参加自体について、きちんと同意を得られていることを前提にしておりまして、同意代替措置についても、原則というか、基本的には第 21 条第 3 項第 4 号及び第 8 項第 4 号に書かれているような、オプトインという言葉を使いますけれども、オプトインの同意を得られないと、全国がん登録の非匿名のデータを使えませんということがベースにある。そして、 2 番目の全国がん登録の非匿名化データについて利用をぎりぎり免除するというか、緩めるという場合というのが、この同意代替措置に当たるというふうに思っています。

 ですので、 1 番目のほうをオプトアウト形式でということを原則、認めないというのは、本来、研究参加のほうもきちんと参加の同意を得られていて、かつ、全国がん登録という、当時は言葉がないので、例えば、がん患者さんの予後の追跡をするというような言葉が書かれていることを、参加者が分かった上で同意をしているということを、全国がん登録の非匿名データを使う要件としているということなので、こちらではオプトアウトという言葉を本来は書かないで、両方ともオプトインであるべきなのです。しかし、 2 番目の全国がん登録のデータを使うと、今回、全国がん登録の法律が施行されて、データが整理されるに当たって、新しく変更するに際して、オプトインで取れない場合が現実的にあるという状況を踏まえて、この 2 番目の適切な情報公開等は、いわゆるオプトアウト形式とされるようなことで同意代替措置として認めましょうというベースにあります。ですので、 2 番目のオプトアウト形式というのが、前提として、許されることだから、 1 番目はオプトアウト形式は外してはいけないという。多分、方向性がオプトイン、オプトインであるべきなところを、 2 番目の全国がん登録の利用に関しては、オプトインが現実的に取り難いから、救済措置として、同意代替措置を取るというような発想の方向になっています。

 ですので、 2 番目のほうが緩いから、本来の取っているべき研究の大元の参加同意について、オプトアウトでもいいのではないかという発想ではないということです。ちょっと説明が回りくどくなって分かりにくかったかもしれないのですが、本来は第 21 条第 3 項第 4 号及び第 8 項第 4 号の明確な生存者においては、全国がん登録データを利用するということについても、同意をオプトインで取られていなければいけないという前提に立っていると思います。

○がん対策推進官 すみません、簡単に補足させていただきますけれども、この 1 番でいわんとしているのは、要するに法施行前に開始した研究についてということですので、その施行前に開始した研究の対象者の人がオプトイン形式で同意していなければいけないというものを前提としているということで、その時点でオプトアウトというものを、認めるのはいかがでしょうかということです。それに対しては御意見いただければいいのですけれども、開始前の話ですので、それは当然、オプトインとすべきではないかという趣旨で、記載させていただいております。

○祖父江委員 これはもともと特例措置ですよね。ですから、きちんとオプトインで同意が得られているものに関して、今後また、同意を得てということが問題になるというよりも、むしろ、今の状態でオプトインの同意が完全な形で得られていないものを救済するという趣旨で、これは設けたのではないのですか。そうではないのですか。

○がん対策推進官 本来であれば、法施行前に開始した研究であっても、全国がん登録なり都道府県がん登録のデータをもらうためには、その全国がん登録からデータを取ることについての同意を本来取り直さなければいけないのだけれども、それは大変だろうから、同意代替措置というものを定めているということなので、ちょっと今の御指摘は当たらないかとは思います。

○祖父江委員 では、全て今、現存のコホート研究については、全国がん登録のデータ利用に関して、もう一回、全員から同意を取り直すことが原則であるということですね。

○がん対策推進官 本来であれば、ですね。ただ、法施行前に開始された研究の同意を取ったときに、どういう方法かまでは書いていないですけれども、あなたのがんに関する情報を取りますよということについて、同意が取れていて、こういった情報公開だとか、 2 番や 3 番に書かれているような措置も取られていれば、改めて同意を取る必要はないと。書面での同意を取る必要はないということです。

○黒田委員 簡単な御提案ですけれども、 1 の文章が結局非常に分かりにくいという皆さんの御指摘ですよね。 1 の文章の「オプトアウト形式での同意を原則として認めない」というのは、上の第 1 段落の文章をそのまま適用すると、原則として認めていないですよね、第 1 段落の文章というのはオプトインだよというふうに書いていますので。まずこの行があることで全ての物事が大混乱に陥っている気がするので、これは削除するほうがいいのではないかというのが 1 点目です。

2 つ目の御提案は、この文章のもう一つ分かりにくいところは、実際に取られるべき代替措置は 2 番や 3 番であって、 1 番は施行されるべき条件ですよね。その当該研究において、その法を施行するより前に、全ての方から同意を取っていますよというのが前提条件としてあって、それがないことには、少なくとも代替措置は適用されないということですよね。だからそれが分かるように、多分、 1 番と 2 3 番は分けた形で記述をしないと、読んでいる人からすると、よく分からない状況が起こるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○がん対策推進官 御指摘のとおりだと思います。 1 3 1 の位置付けは前提、 2 3 は取るべき措置ということで、少し分かりにくくなっておりますので、そこは分かりやすくしたいと思います。

○辻部会長 そのとおりだと思います。 1 は過去の話ですよね。 5 年前とか 10 年前とかに始まったコホート研究や疫学研究がこのような形で同意を取っているということであって、そのときにオプトアウトだったものは原則として同意とはしませんよということであって、 2 3 はこの代替措置を受ける際に、このようなことをしますよという話ですよね。

○丸山委員 今の黒田先生の御意見の最初のほう、「オプトアウト形式での同意は原則として認めない」というのは、要らないのではないかというのは、私もそれに賛同します。最初の同意というのは、積極的な同意を意味するというのをここで共有していれば、ないほうが。言葉の点でも先ほど指摘がありましたように、皆さんが知っている言葉でもないので、ないほうが望ましいのではないかと思います。

○がん対策推進官 今の御意見ですけれども、本来であればこの指針には、実はこの 1 番はなじまない内容なのかもしれない、本来であれば政省令の中で書いてもよかったのかもしれないのですけれども、ただ、この指針を読む人が前提となっていること、研究対象者のほうから、積極的に研究に参加しますと、がんの情報も取るということも含めて、同意しますということが、その前提になるということを、何かしらの形で分かるように入れておいたほうがいいのかなと思いますので、同意代替措置ではないのですが、その前段に少し分かるような形で入れておくほうが良いかなと考えております。

○辻部会長 どなたか御意見ございませんか。

○平田委員 私も入れておいたほうがいいという立場です。というのは、なぜかというと、私ども臨床系のがんの、臓器がん登録と称している形で行っている登録等について、諸外国の先生方と国際基準みたいな臨床研究の在り方についての IHC というコンセンサスがあるのですが、そこで説明を受けたり論議になるのは、大方、オプトアウト、オプトインの論議です。ただ、言葉が非常に分かりづらいのと、それから、どこの誰とは申し上げませんが、かなりの高名な大学の法律家の先生で、医療倫理に詳しいとされている先生方に御参加いただいての場で私どもが論議した経緯から言いますと、同じこのようなテーマで研究する場合の比較で、オプトイン、オプトアウトという中での形式は分かれるのです。そこの解釈が学者さんによって違って、非常に難しい問題です。数年前に論議をした後、どのようにしていけば時代に合わせていけるのかなと検討した際に、やはり結論をだすのは、なかなか難しい。

 それと、匿名化の問題もありますけれども、最初に取った包括的なオプトインだと称してやっている同意についても、研究の内容によっては、レベルによって解釈の仕方が違うので。やはり登録する、実際に診療情報士その他が登録をする場合に、どうしても最後は、難しい研究ほど、やはり医師が現場では関与するわけです。そのときに登録する者が実際に患者さんとお会いする中で説明をするときに、こういう前提条件が明確に示されていたほうがあやふやでなくて宜しいと思います。しかし、一方で我々現場では研究を非常にやりにくい。だから、この全国がん登録をどう利用するかというのは、臨床の疫学研究とはちょっと違う臨床家の研究が実態として多いのです。新しい技術とか集団的なメガデータに近いデータを出そうとすると、非常に研究内容とオプトイン、オプトアウトの解釈の取り方について、指標がこうだから、オプトアウトでいいのではないかとか、オプトインでもいいのではないかという論理があるのも事実ですが、駄目なら駄目と明確に書いていただいたほうが誤解がない。このがん登録の目的を達する上で、国民にもきちんとした臨床研究に参加すべきとの協力推進のコンセプトを知らしめていただいて、良い形で利用するということを医療者も患者さんも、共にやるという形を作り、明確にする部分は明確にしておいたほうが現場では信頼形成に助かります。一応、私が今までいくつかの論議に参加してきての印象です。

○本田委員 私も、きちんと書いていただくのであれば、これは取りあえずの案、骨子だということだったのですが、分かるように書いていただきたいなと。専門用語で書かれると、この指針は一般の国民には向いていないのだなという感じがしますので、きちんと意味が分かるように書いていただきたいというのが 1 つ。

 あと、単純な質問を 1 つしてもいいですか、 2 の所ですが、研究者が以下に示す情報等をホームページに十分な期間掲載するとあるのですが、このホームページというのは、それぞれの研究のホームページとか、そういうことなのでしょうか。何でもかんでもホームページにアップしてあるからというのが今時は多いですけれども、どこにあるのかも全く分からないし、それは情報を適切に公開したことになるのか、というのがとても疑問に思っていて、この辺もある程度分かるように書いていただきたいと思います。

○丸山委員 今の本田委員の御意見は非常に重要な所なのですが、私も同じ所に関わりますが、最初の具体的に記載するということであれば、 1 の本文、 2 行目の「書面等の形式で同意を得ていること」の「同意」の後に、括弧定義と、ちょっと格好が悪いのですが、「情報取得を含んだ研究参加に対する同意をいい、原則として、」、オプトアウトというのは推定による同意というようなところが実質的な意味ですので、「推定によるものを認めない」とか、あるいは「推定的同意を認めない」とか、そういうような説明を追加すれば誤解はなくなるのではないかと思います。

 それから、 2 つ目の御指摘も重要な所で、真正面から、各医療機関のホームページから該当箇所を探すと、結構分からないのですが、最近グーグル、あるいはそれ以外の検索ツールでもいいのですが、そういうのが発達していますから、検索のほうでかけていくと、発見できるのが多いのではないかと、個人的には思います。真正面から探そうとして、結構苦労することは確かに多いというのは否めないとは思いますが。

○辻部会長 はい、ほかによろしいですか。

○家原委員  2 ページの最後の所ですが、「当該がんに係る情報を取得することの同意を代諾者等から得ている場合」ということで、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に即するということで記載を頂いています。小児で自分が実際には同意していなくて、代諾者、両親とかその他に取っている場合で、こういった長い研究の場合に、個人からもう同意を得られる年になったときにはきちんと取りなさいと、インフォームド・コンセントを受けなければいけないというように、この医学倫理指針では書いています。こういったことは今回の研究の同意代替の措置にかかる指針についても同様に行うということでよろしいのでしょうか。そういう理解でよろしいのでしょうか、そこの確認をお願いいたします。

○がん対策推進官 まあ、これは ( ) ですけれども、倫理指針に即するという形になりますので、研究対象者がお子さんであってもその内容が分かるとか、同意が取れるような年齢に達した場合は改めて取るほうがいいとは思うのです。そこはもう少し考慮すべきではないかという御意見があれば、またそこは考えたいと思います。

○家原委員 基本はそうであるべきだと思うのですが、全員ではなく告知されていない者もいたりしまして、それで成人になっている場合もあります。そうしたときに、本人の心理的な負担とか、いろいろなことも含まれてくるかと思いますので、この辺につきましては深い御考慮がいるのではないかなと考えております。

○小俣委員 今の家原委員の御意見について同意いたします。やはり告知をされていない、あるいは自分の病気を理解していないという状況で成人したときに、承諾というお話になったときの小児がん経験者への支援がどこまでできるかということも不安に思いますので、考慮をしていただければなと思います。これはもしかしたら小児がんに限らず、成人の方でも告知をされていないという場合、同じような問題が起きるのではないでしょうか。小児がんについてはそのような配慮をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○辻部会長 この 2 点につきましては大体そういったことも今後考えるということでよろしいですね。ほかにありますか。

○天野委員 先ほどの本田委員の御指摘に関連してですが、確かに研究室でやるとか、医療機関等のホームページに分かりやすく掲示していただくのも重要だと思いますが、それと同時に例えば、全国がん登録のデータを利用した研究等については、厚生労働省などの公的機関のページでまとめて掲示していただいて、かつ対象者が自分が対象者に該当するかどうかが分かりやすく明示されるような方法で、まとめて公開していただくことはできないかということです。どれだけの研究の数が該当してくるのか、ちょっと分からないまま発言はしているのですが、何らかの形で利活用されているということは一箇所でまとめて明示していただいたほうが分かりやすいかなと感じます。

 あともう 1 点ですが、今日出ている指針はあくまでもドラフトというか ( ) ということなので、細かい部分について指摘するのはどうかと思いますが、当然のことですが、適切な情報公開の後の「 3 拒否する機会の確保」の部分についても当然のことながら、これはホームページ等について明示される部分だと思いますので、御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○本田委員 今の天野委員の意見は、私も言い足りなかったこと、まさにそういうことで、私はちょっと研究のことはよく分からないのですが、研究を既に同意されている方が、どの研究でどのホームページにちゃんとあるということを皆さんが知っているのかどうか、というのがよく分からないのですが、普通あまり知らない人も結構いるのかなと思う中で、それぞれの人が全員確認するかどうかは別ですけれども、こういうことをやっているという意味でも、初めのこれって特殊なパターンのものだけですよね。それで数はよく分からないのですが、そういうことをやっているということを厚労省のホームページなり、がん登録のホームページなりにちゃんと初めにやるということが今後に向けて信頼感を持ってもらうということにちょっと関係するのかなというのもあって、少し御検討いただければなと感じていました。

○がん対策推進官 今の天野委員と本田委員の御指摘ですが、おっしゃることはもちろんそのとおりで、アップトゥデイトで全ての日本で行われている研究が把握できればそれに越したことはないのですが、現実的に適切なタイミングでそういったものを把握できるかどうかは、可能かどうかも含めて少し検討させていただければと思います。

○坂元委員 この 2 番の所は書き方の問題で、「適切な情報公開を行っていること」、ということではなくて、情報公開を行いますということを同意書に書き込むことが重要だと思うのです。行っていることというのは、どこかに出しましたということで、例えば役所がやるときにはこれはどこで公開しますと明記します。まだ研究の段階でどこで公開するかが分からないときは書きようがないのですが、こういう形でホームページに公開しますということを伝えて同意のときに書いておくことが必要かと思います。そうすれば、同意を受ける人が、これはホームページ等で公開されるのだなと、関心があれば多分、どこで公開されていますかと問い合わせると思うのです。そこをしっかり書くことが大事ではないかと思います。

○山本委員 この場合は既に同意はもう取っているので、その時点で公開の場所を知らせるというのは多分不可能だと思うのですが。この案ではないですけれども、今の個人情報保護法の改正案では、オプトアウトによる第三者提供は、個人情報保護委員会に届出なければならないとなっていて、個人情報保護委員会は届けられたオプトアウトにより出された項目を公示することになっていますから、そこを見ればどこでやっているかというのは必ず分かるのですね。何かここを見れば必ず紐付いてどこかで分かるということがないと、一般にはちょっとオプトアウトというのは言えないのではないかなと思うのです。

 最近こういうがんの研究ではないですが、例えばハーバードの連中がやっているのはフューチャーコンセント プラス オプトアウトというので、要するに大きな同意は取っておく。細かい研究ではなくて、大きな同意は取っていくのですが、細かい実際の研究を実施するときには、ここのホームページに掲示しますと、そこに書いてあるのです。その上で、彼らのシステムですから、自分の ID を入れると自分の情報が、そこに参加されているかどうかがイエス、ノーで返ってきて、それでオプトアウトをするかしないかを選択できると。そこまでやると大きな同意プラス、オプトアウトで同意とみなせるのではないかということを主張していますけれども、これは別にこれでコンセンサスが得られているわけではない、今やられている最中ということですけれども。しかし、少なくてもやはりオプトアウトを取る以上は、その情報の掲示場所が必ず分かるというのが最低限の条件だと思うのです。

 したがって難しいかもしれませんけれども、がん登録に関しての代替措置のことに関してはどこかに一点で、リンクだけでいいと思うのです、こういうことがありますだけでいいと思うのですが、それはやはり出しておくことが大事ではないかなと思います。

○黒田委員 山本先生のお話に関わる話で、事務局にちょっと質問ですが、ここで言われている代替措置というのは 2 3 番目がそうですよね。代替措置が取られる前提条件は、前もってその研究で同意書が取られていることと、先の施行令の附則第 2 条の 4 でしたか、一旦、厚生科学審議会に出てこないといけないのですね。そこで承認をされたものであることという、 2 つの前提条件の下に、この代替措置 2 3 を取ることができるということになるのだと理解しているのですが、それで間違っていませんか。

○事務局 こちらの案としては、 1 の書面同意を取っていることが前提条件というか、それも含めて満たしているということを考えております。まず前提としては、附則の第 2 条を満たして、厚生労働大臣の認定を受けた上で、更に指針に沿った措置が講じられているというような、このフロー図どおりというか、こうした形でクリアしていけばというように考えています。

○黒田委員 そうですよね、承認を得ないといけなくて、承認を得るときに厚労大臣があらかじめ聞くことができるとなっていますけれども、実質的には審議会にまず出てくることが大前提にあるということですよね。そこのプロセスを通るのであれば、審議会の議事録で上がってくることになりますから、その時点でこの代替措置を適用したものはリストアップはできるはずなので、そうであれば一箇所でまとめて情報を収集するというのはそれほど難しい事項ではないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。そうすると 2 つの前提条件がそろったときに、 2 つの代替措置で適用ができるということをきちんと書き込んでおけば、施行令の繰り返しになってしまうので法律的にはあまりかっこよくないかもしれませんが。そういう形に書いておけば理解できる形になるのではないかなと思います。

 あとは運用の問題なので、運用の中でそこの審議会に出てくれば、それをどこかにまとめて、どこかで掲示するようなことをしておけばいいのではないかと考えるのですが、いかがですか。

○松田参考人 黒田委員のお話で、 1 点だけ私の考えというか。こういう資料の前提となっているのは、 1 の部分についても前提条件とか、要件ということではなくて、これ自身が同意の代替措置の一部だと思っています。本来は第 21 条第 3 項第 4 号、それから第 8 項第 4 号において定める、やり方も含めてですが、同意を取らなければいけない、それに替わる措置として、こういう 1 番に当たる同意を取っていることが、これは 1 つの同意の代替措置であって、それに加えて 2 番、 3 番も必要ですが、そういった全ての措置を加えて全体が同意代替措置と、これを取っていることが、政令に求める条件というのが先ほどのフローチャートみたいな中で 1 2 とありましたが、その要件を満たした上で 1 2 3 のここに書かれている同意代替措置が取られていれば、第 21 条第 3 項第 4 号、第 8 項第 4 号の同意を取らなくてもよいというのが、同意の代替措置ということだと思います。

○黒田委員 法令文の書き方とかそういうことには全然明るくないので全然よく分からないですけれども、今のお話の形で 1 2 3 というように書いてしまうと、結局見る者が見たときには、同意書が取られていて、オプトアウト措置が取られている、いわゆるオプトインとオプトアウトが同時に満たされているということを書いているように見えてしまいますよね。先ほど松田先生がおっしゃったみたいな、オプトイン、オプトインであったものをオプトイン、オプトアウトで置き換えるという説明は確かに、私もそればかりやっていますので何となく理解はできるのですが、それを一般の方に公開をしたときに、国民の方がそれを見て理解できるかというと、非常に論理的にややこしい話になるではないですか。この指針というものの位置付けが法令文であると、法令文としての形を整えなければならないということであれば、別途、多分、ガイドラインのような形で説明文を追記するような形になると思いますけれども。国民の方に分かるように御説明しようと思ったら、今の 1 2 3 をまとめて代替措置だという説明は非常に分かりにくいのではないかというのが私の直感です。

○がん・疾病対策課長 いろいろ議論を聞かせていただきまして、この指針 ( ) に関しましては分かりにくいという御指摘もいただいたと理解しております。今後、辻部会長とも御相談しながら、整理をし直して進めさせていただこうと思っております。

 また、対象となる患者さんに対して分かりやすくすべきとのご指摘について、本日のご意見を踏まえて、どこまで対応できるかわかりませんが、重要な御指摘ですので、事務局で検討して、こういう形で進めていくということも、機会を見て御報告したいと思っております。

○辻部会長 分かりました。課長からもお話がありましたので、これにつきましてはまた持ち越しと言いますか、事務局と私、がん研究センターのほうとももみながら、またもう一度お出しするということでよろしいでしょうか。

 それでは、次に移ります。議題 3 「その他」について、事務局から資料 4 の説明をお願いいたします。

○事務局 資料 4 は先月 9 9 日に各都道府県知事宛てに送りました、「がん登録等の推進に関する法律施行令及びがん登録等の推進に関する法律施行規則の施行について」で、施行令と施行規則に関する施行通知になります。前回のがん登録部会におきまして、こちらについての概要は御紹介させていただいたところでありますが、その際まだ調整中だった部分についてのみ、簡単に説明をさせていただこうと思います。

3 ページの 9 、政令の第 9 条になります。法律の第 27 条において、国等による全国がん登録情報及び都道府県がん情報の提供を受けた場合の保有の期間を規定しています。こちらと次の 4 ページの 10 、こちらは政令第 10 条ですが、法の第 32 条で、受領者による全国がん登録情報及び都道府県がん情報の提供を受けた場合の保有の期間を規定しています。それぞれ全国がん登録情報及び都道府県がん情報を保有できる期間というのは、利用の開始から 5 年を経過した日の属する年の 12 31 日、年末までと規定していますが、研究がその前に終わるのであれば、そこまでということになっています。

 ただし、この全国がん登録情報等を長期にわたり分析する必要がある場合というのが、前回「○年」という形になっておりまして、これを「 15 年」というように規定させていただいております。これはその当時にもらった情報と同じ情報を最大 15 年持つことができるということです。全国がん登録の情報自体はデータベースの中で日々アップデートされていますので、もしそういった新しい情報が追加されたものについては、 5 年ごとに申請をしていただければ、より新しい情報を持つことができるということで、同じ情報は最大 15 年持つことができるというように規定したものです。第 10 条についても同じように 5 年と 15 年ということで規定しております。前回お示しできなかった部分について簡単に説明させていただきました。

○辻部会長 ただいま、がん登録推進法に関する政令、省令について、このように決まったということで御説明頂きました。これにつきましてはもう既に委員の先生方から十分御意見を頂いた上で、 ( ) としてこの部会でもお出ししたわけですけれども、何か御質問とかありますでしょうか。

○天野委員 こうした施行令が出て、また国立がん研究センターのほうで全国がん登録についての広報活動をしていただいているということで感謝申し上げます。全国がん登録の説明会を既に何度か国立がん研究センターのほうで開催していただいているところだと思うのですが、 1 点お願いがありまして、先ほど来、出ているように、全国がん登録というものがあって、それとは別に院内がん登録があるわけです。がん登録に関して議論されている、また関わっている方々についてはそれぞれの目的や意義は十分理解されていると思うのですが、全国がん登録の説明のみが比較的比重が大きくて、特に患者さんが知りたがっている院内がん登録についての周知も併せて行っていただく必要があると考えておりまして、実際に参加された方から、全国がん登録が果たして自分たちにどう役に立つのだろうか、ちょっと分かりづらい、という御指摘がありましたので、院内がん登録の情報も併せて、分かりやすく解説をお願いしたいと考えています。

○辻部会長 これにつきましてはよろしいですか。ほかにどなたか御意見、御質問はありますでしょうか。

○小俣委員 今の説明会のお話から関連して、これは実務レベルになってしまうかもしれないのですが、先ほどの調査研究の同意に関してもそうですし、がん登録自体についても一般の患者さんや御家族が御心配になったときに、多分相談支援センターに行かれるのではないかと考えられます。その際にもうその中に組み込まれているのかもしれませんが、行われている研修の中で、相談に十分に乗れるような情報提供であったり、研修内容を検討していただくということをお願いできたらと思います。

○辻部会長 いかがでしょうか。よろしいですか。

○西本参考人 その点は御要望にできるだけ沿うように対応させていただくように努力いたします。

○辻部会長 よろしくお願いします。ほかにどなたかありませんか、よろしいでしょうか。それでは、本日の議論はこれまでといたします。

 事務局におきましては、本日の議論を、特に同意代替措置ですが、踏まえまして、指針の作成をお願いしたいと思います。最後に事務局から連絡事項等をお願いいたします。

○がん対策推進官 ありがとうございました。本日頂きました御意見を踏まえ、指針の作成を進めていきたいと思っております。次回のがん登録部会の開催については未定ですけれども、決まり次第また御連絡をさせていただきます。

○辻部会長 本日の部会を終了いたします。委員の皆様、長時間にわたりましてどうもありがとうございました。


(了)

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