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2015年9月30日 障害福祉サービス等経営実態調査の見直しに関する検討会(第1回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課

○日時

平成27年9月30日(水) 9:30~11:30


○場所

中央合同庁舎4号館 共用108会議室


○出席者

構成員

井出構成員 小林構成員 千葉構成員 平野構成員

事務局

藤井障害保健福祉部長 川又企画課長 田中障害福祉課長 菅課長補佐

○議題

・障害福祉サービス等経営実態調査の見直しに係る論点等について
・その他

○議事

○田中障害福祉課長 お待たせいたしました。

 少し早いのですけれども、ただいまから「障害福祉サービス等経営実態調査の見直しに関する検討会」の第1回会合を開催いたします。

 私、冒頭の進行役を務めさせていただきます障害福祉課長の田中と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 構成員の皆様におかれましては、本日、御多忙のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。 

議事に先立ちまして、藤井障害保健福祉部長より一言御挨拶をさせていただきます。

○藤井障害保健福祉部長 おはようございます。

 厚労省で、障害保健福祉部長をしております藤井と申します。よろしくお願いいたします。

 今回、この検討会に御参加をいただきまして、本当にありがとうございます。後ほど、御説明させていただきますけれども、今回の検討会は、この春でございましたが、いわゆる報酬改定がございました。これは介護保険と同時改定ということで、行政の課題としてあるいは政治課題としても大変大きなインパクトがあったわけでございますが、結果としては、障害の方の報酬改定はいろいろな議論を経て、プラスマイナスゼロということになりましたのですけれども、その改定の過程で本検討会の議題であります経営実態調査のあり方が強く問われることになりました。

大臣折衝の結果におきましても、この経営実態調査でしっかりと障害の関係の事業者の経営実態を、よりきっちりと把握ができるようなものにしていかなければならないという指摘もなされたところでございます。

 次回の改定は、平成30年4月ということになりますけれども、実はそれほど時間があるわけではございません。経営実態調査のあり方を見直せば、調査自体も新たなスペックでやっていかなければいけないわけですから、そういったことを考えますと、もうそろそろこういった検討会を起こして、検討を進めなければいけないという時期になっております。

 委員の皆様方には、大変な御苦労をおかけするかとは思いますけれども、次回の報酬改定に向けて、私どもは大変大事な課題だと考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

○田中障害福祉課長 それでは、撮影はここまでとさせていただきます。

(報道カメラ 退室)

○田中障害福祉課長 続きまして、本検討会の構成員の皆様を御紹介をいたします。

 資料1の(別紙)にお名前を掲載させていただいてございます。

 まず、左手から和光大学の井出健二郎さんです。

○井出構成員 井出でございます。よろしくお願いいたします。

○田中障害福祉課長 株式会社エイデル研究所の小林雄二郎さんです。

○小林構成員 小林です。よろしくお願いします。

○田中障害福祉課長 独立行政法人福祉医療機構の千葉正展さんです。

○千葉構成員 千葉です。よろしくお願いいたします。

○田中障害福祉課長 立教大学の平野方紹さんです。

○平野構成員 平野でございます。よろしくお願いいたします。

○田中障害福祉課長 続きまして、本検討会の事務局を御紹介させていただきます。

 今、御挨拶させていただきました。障害保健福祉部長の藤井でございます。

○藤井障害保健福祉部長 改めまして、よろしくお願いします。

○田中障害福祉課長 障害保健福祉部企画課長の川又でございます。

○川又企画課長 川又です。よろしくお願いします。

○田中障害福祉課長 本日は所用により、欠席をさせていただいておりますけれども、障害児の関係の担当の津曲室長は2回目以降は出席をさせていただきます。

 私、障害保健福祉課長の田中と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。

 本検討会ですけれども、議事は公開といたしまして、本検討会における検討内容は皆様に御確認をいただきました上で、後日、厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定となっておりますので、あらかじめ御了解いただきますよう、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、座長の選出でございます。先ほどの(別紙)を1枚めくっていただきまして「開催要綱」でございますが、本要綱におきまして、座長を構成員の中から選出をするとされてございます。つきましては、どなたか、座長の候補を御推薦いただける方がおられましたらお願いをしたいと思います。

 井出構成員、お願いいたします。

○井出構成員 大変僭越ですが、平野先生にお願いできればと思います。

○田中障害福祉課長 今、井出構成員から平野構成員を座長にという御発言がございましたけれども、皆様、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中障害福祉課長 ありがとうございます。それでは、平野構成員に座長をお願いしたいと思います。

 早速ではございますが、座長より一言御挨拶をいただきました上で、その後の進行は座長にお願いしたいと思いますので、平野座長、よろしくお願いをいたします。

○平野座長 それでは、座長を務めさせていただきます平野でございます。大変力不足でございますので、皆様方のお力をいただきながら、進めさせていただければと思っております。

 この検討会でございますけれども、たまたま昨日、知的障害者の東北ブロックの協議会に行っていました。「あした、この検討会がある」と言いましたら戦々恐々でして「ぜひ何とかしてください」という声がいっぱいありまして、大分業界の方の関心は強くあるということでした。

 事前にいろいろな話を厚労省から伺いまして、多分、経営実態調査の検討というのは幾つかポイントがあるかと思っていまして、1つは、今、部長からも言われたようにこの経営実態調査が大分政策的に影響する部分があるという部分で、特に今回の報酬改定の部分では部長さんを初め、厚労省の皆さんには御苦労をいただいたわけですけれども、そういう政策的な部分の影響、大分その辺を現場も意識しているようなのですが、それが1つです。

もう一つは、技術的な問題もありまして、本当に現場の経営実態を客観的に把握できるものになっているのか、そういった意味ではこの調査の精度を上げる、それから、障害者施設経営の特徴といった部分を客観的にできる調査にできるのか、多分、この政策的な問題と技術的な問題があると思っておりまして、今回の検討では、まず、技術的な問題の方をぜひ皆さん方から御意見をいただければと。調査そのものが妥当で客観的なもの、そして、現実のものをやったという意味では、政策的なものは次に来る。まずは現場の経営状況をリアルにつかめるというものにできればと思っていますので、よろしくお願いをしたいと思っています。

 今回、これまでの調査を見て私自身も思ったことなのですけれども、土壌が大分変わってきているなという感じを持っています。これまでは障害関係も社会福祉法人とNPOが中心だったわけですけれども、子供の関係、児童発達支援、特に放課後デイサービスの方はもう完全に民間企業が主導になってきている。そうすると、これまでみたいな社会福祉法人ベースの調査方法だと難しいのかなということで、その辺もあわせて御意見をいただければと。

 そして、もう一つは介護との関係もありまして、訪問介護、居宅介護の部分は介護保険とダブっていまして、決して介護保険にすり合わせする必要はないと思いますけれども、ただ、現場の負担を増やさないように、それから現場の混乱も無いようにする調査にしていきたいと思っていますので、ぜひ皆様方の御意見の方をたくさん出していただければと。そういう意味では、私は座長と言いましても交通整理という役割ですので、ぜひ皆さん方の御意見をいただきながら進めていきたいと思っています。

 最初に、事務局の方から資料の確認をよろしくお願いいたします。

○田中障害福祉課長 お手元にあります資料でございますけれども、まず、資料1といたしまして「『障害福祉サービス等経営実態調査の見直しに関する検討会』開催要綱」。

 資料2-1といたしまして「平成26年障害福祉サービス等経営実態調査結果」。

 資料2-2といたしまして「平成26年障害福祉サービス等経営実態調査(調査票)」。

 資料3といたしまして「障害福祉サービス等経営実態調査の見直しに係る論点等(案)」。

 最後が参考資料といたしまして「介護事業経営実態調査等について(第124回介護給付費分科会(H27.9.18)資料5)でございます。

 資料の不足等はございませんでしょうか。

○平野座長 よろしいですか。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 今日は、お手元の議事次第の方に沿って進めていきたいと思っております。今日の全体の会議なのですけれども、一通り共通認識を持つことと、論点を整理するという意味で確認していくというところに、焦点を置いて進めていきたいと思っております。

 これは全く議事に関係ないのですけれども、構成員のお名前を見ると雄二郎に健二郎、正展に方紹と何か名前が似たようなところから2グループに分かれているのですけれども、これはたまたまで偶然ですが、よろしくお願いいたします。

 それでは、資料に沿って説明のほうをお願いしたいと思います。事務局の方からよろしいでしょうか。

○菅課長補佐 それでは、まず、資料1、資料2-1、資料2-2につきまして、御説明の方をさせていただきます。

 資料1が本検討会の開催要綱でございます。

本検討会の目的といたしまして、障害福祉サービス等経営実態調査につきまして、次期報酬改定に向けて、より適切に経営の実態を把握できるよう必要な見直しを行うということでございます。

 構成員としては繰り返しになりますが、本日、お集まりの4名で構成をするとしております。

 検討のスケジュールでございますが、年明けの来年1月を目途に調査手法、調査項目等について検討を行っていただきまして、方向性について取りまとめをいただきたいと思っております。なお、これも繰り返しになりますが、本検討会の議事は公開ということでございます。

 続きまして、資料2の関係でございます。こちらが直近で平成26年度に行いました調査の結果概要として資料2-1、それから、その時に用いました調査票が2-2でございます。順番は逆になりますが、資料2-2の御説明の方をさせていただきます。

 こちらが、平成26年の経営実態調査の調査票でございます。この調査は基本的に、報酬改定で各サービスの報酬を議論いただくための基礎データを収集するということでございますので、この調査につきましてはサービスごとに調査を行っております。調査票1枚目の上の方にございますが「調査対象サービスは『***************』で以下の事業所が調査対象です」ということでございまして、この調査票を各事業所単位で調査として当てられた特定のサービスに係る経営実態を調査するというものでございます。1ページ目が「1 基本情報」として、事業所の基本情報について調査を行っております。

 2ページ目でございますが、2といたしまして「障害福祉サービス等の提供状況」ということでございます。こちらで、障害サービスでどのようなサービスを行っているか、また、障害以外の介護、その他の事業について行っているか、いないかといったところを調査いたしております。

 3ページ目がその関連で採用しております会計基準、障害の各サービス、この調査で当てた調査対象サービス、それぞれにつきまして基本的な定員ですとか、実利用者数、延べ利用者数でありますとか延べ床面積、こういったものを書いていただくということにしております。

3ページの部分につきましては、後ほど御説明をさせていただきますけれども、費用の按分をする際に使用する情報ということで調査をいたしております。

 4ページでございます。こちらがこの調査の一番肝の部分でございますが、3といたしまして「事業活動収支の状況」でございます。当該事業所におきます調査対象サービスについて、この調査は年度の調査でございますので、平成25年度の決算ベースの収支について、項目に沿って記入をしていただくということで行っております。4ページが収入、5ページの途中からが支出ということで、基本的には、障害福祉サービスは社会福祉法人が主体となってサービス提供しておりますので、調査票につきましては、社会福祉法人の会計基準に示されております事業活動計算書をベースに調査項目のような調査票としてございます。

 6ページ以降が、この調査のもう一つの大きな部分でございまして、従事者の状況でございます。当該事業所における従事者の状況、7ページが給与の状況、以下8ページ、9ページまでございます。以上のような調査票によりまして調査を行っております。

 続きまして資料2-1を御覧ください。こちらがこの調査票により、調査を行った調査結果でございます。昨年度、平成27年の報酬改定の議論におきまして、平成2610月に調査結果の速報という形で公表をさせていただいているものでございます。

 最初の1ページ、2ページが調査結果の概要ということでございますが、内容が重複いたしますので3ページを御覧ください。こちらはこの調査の概要でございます。

「1.調査の目的」といたしまして、障害者総合支援法に基づく給付等について、事業所等の経営実態、制度の施行状況を把握するための基礎資料を得ることを目的といたしております。

 調査対象サービスでございますが、記載のとおりでございまして、障害者のサービス、障害児のサービスの全サービスについて調査対象といたしております。

 平成26年の調査におきましては、調査時期といたしましては、平成26年4月1日時点での調査ということでございます。

 「4.調査事項」といたしましては、平成25年度における収支状況等でございまして、基本的には決算ベースでの数字を記入いただくということでございます。

 客体の抽出につきましては、経営主体、地域性を考慮いたしまして、20分の1から、事業所の分母が少ないサービスにつきましては全数で設定をしてございます。

 「6.集計方法等」としておりますけれども、平成26年の調査の前が平成23年の調査だったわけですけれども、平成26年の調査から一部集計方法を変更しております。記載のとおりでございますが、休廃止、記入不備の回答を除いたものを分母といたしまして、それぞれ調査対象サービス、例えば居宅介護でありますとか、生活介護でありますとか、調査として当てたサービス以外の障害のサービスでありますとか、介護、医療等のサービスに係る収入と支出について、特に費用については必要に応じて按分をした上で除外をいたしまして、当該調査対象のサービス分としての収入と支出によって収支差を出すという集計方法で行っております。介護で同様の調査を行っておりますけれども、介護の集計方法と基本的に合わせる形で平成26年は調査結果を出したところでございます。

 4ページが「7.回収状況」でございます。有効回答率が33.2%ということで、サービスごとに凸凹はございますけれども、全体としての回収率は33.2%ということでございました。

 以下、調査結果でございますけれども、5ページ、6ページが全体の数字でございまして、7ページからがサービスごとの調査結果ということでございます。例えば、最初に「居宅介護」というサービスがございます。「居宅介護」の結果といたしまして、事業活動収入、支出、事業活動外収入、支出、活動外につきましては特定の項目のみ集計対象といたしておりますが、それぞれの数字が以下のとおりでございます。これらにつきまして、その下にございます収入と支出、それぞれの算出式によりまして、事業活動収入に入っております国庫補助金等特別積立金取崩額の部分を収入、支出それぞれから除外した形で収入と支出を計算してございます。その結果として収支差が出ますので、例えば居宅介護でありますと76万円というところが収支差ということで、これが収支差率としては9.4%ということで、各サービスそれぞれの収支差率ということで計算がされております。

 表の下半分が参考として、前回、平成23年の調査結果でございます。なお、平成26年の調査では集計方法を前回までと変えておりますので、単純な数字の比較というのは一概に出来ないということでございます。この調査のメインの部分はここの収支の状況の部分でございます。

 少しページが飛びまして13ページ、ここからが大きく2つ目の固まりといたしまして、従事者の状況ということでございます。こちらが「1 直接処遇職員」以下、サービスごとに事業所で働かれている方の状況です。

 少し飛びまして20ページからが、これらの方の1人当たり給与の状況ということで、大きく収支の状況、従事者の状況及び給与の状況といったものを調査をいたしまして、この結果を一つの指標として、報酬改定に臨んでいるということでございます。

 簡単ではございますが、資料の説明は以上でございます。

○平野座長 ありがとうございました。

 今回、各構成員の皆様方は経営の専門家ということで、大変駆け足での説明で恐縮ですけれども、大体概略は御理解いただけたかと思っております。

 資料1の要綱の部分は確認ですけれども、資料2-2が前回の調査票、2-1がその結果ということですけれども、今回、これが議論のたたき台になるわけでございますけれども、これをベースにしながらある程度の時系列的な関係もありますので、引き継ぎながらより改善したものにするということで調査票と結果なのですけれども、これも共通認識で進めたいと思うのです。

 ここで、御質問等をいただければと思うのですけれども、これはお願いなのですが、前回の報酬の時は、この調査結果を見てグループホームが随分安いではないかとやったのですけれども、そういった結果に対する分析は置きまして、手法の問題でこういう項目ですとか、こういうやり方はどうなのかということでの御質問とか御意見があればいただければと思っていますし、後でまた疑問が出れば、そのときは遂次お答えいただくという形だと思うのですけれども、何か御質問等はございますでしょうか。

 どうぞ、千葉構成員。

○千葉構成員 千葉でございます。

 1点、質問なのですけれども、調査結果のほうですか、資料2-1の13ページに従事者数の集計結果が出ております。これは表の中で言うと上のほうに「常勤」「非常勤」「合計」とあって、この「合計」が言ってしまえば、1事業所というか1サービス当たり平均の従事者の数と考えていいのでしょうか。

○菅課長補佐 お答えいたします。

 資料2-2の調査票の6ページを見ていただくと、お分かりになりますけれども、従事者数につきましては調査時点でも、事業所に在籍されている従業者のうち、各調査で当てた調査対象サービス区分に在籍していた方の常勤換算ということで記入の方をお願いしておりますので、結果の13ページは全体の数字の平均になりますけれども、以下、各サービスごとで見ていただきますと、それぞれのサービスでの従事者数ということで、事業所全体の数字ではないということでございます。

○千葉構成員 サービス当たりの常勤換算従事者数ですね。

○菅課長補佐 はい。

○千葉構成員 一つ確認したいのは、特にこういう障害福祉サービスの場合は人員配置基準があるので、当然、利用者数とか対象の方が多くなれば、それだけ多くの職員を置かなくてはいけないということでいうと、定員が大きくなるサンプルと小さくなるサンプルを単純に足すのか、そういうスケールファクターを除去した状態で、例えば利用者当たりの従事者数とか、何対1配置という形の方で表すのかということが気になったのです。とりあえず、今、この数字の性格としては、サービス当たりの常勤換算数ということでわかりました。そこだけ気になったので、そんな質問です。

○平野座長 それは重要な論点ですので、今後、ぜひ議論の中で考えていきたいと思います。大切な問題だと思います。

 他、いかがでしょうか、どうぞ、小林構成員。

○小林構成員 小林です。

 これは素朴な疑問なのですけれども、調査票の6ページ、7ページのあたりで、例えば兼務があった場合で、管理者の方が兼務をしていて、ある特定のサービスにおいては0.2であったという場合は、7ページの人件費の支払いと言っているところは実際に管理者の方に支払っている給料に0.2を掛けて、事業者さんの方は回答してこられているということなのでしょうか。

○平野座長 常勤の率と人件費の関係。

○小林構成員 額です。

○平野座長 額ですね。

千葉構成員 これは、按分前ではないですか。

○平野座長 記憶があれなのですけれども、常勤換算の場合は1.0でいって、それでいいわけですよね。非常勤のところは実額で計算していたと思うのです。常勤換算は常勤だからそのままの金額がぼんと入っている。確か、私の記憶だと実数で入れていたというのは非常勤のところだけですよね。常勤は一応常勤だからその額の中なのかもしれませんね。

 介護なんてどうしていますか。

○千葉構成員 介護も同じだと思うのですけれども、気になったというか、私がこれではないかなと思ったのは、資料2-1の3ページの下のところに今回の調査方法が変わっていますよという説明があって、必要に応じて収入比率等により按分計上と書いてあるので、とりあえず、ここにある7ページの数字というのは、2-2の調査票のほうの7ページの上の※印を見ても、給与台帳等からその額をと言っていますので、多分、総額をここで書かせて、集計の段階で常勤とか非常勤の状態を按分しているのではないのかなと推定したのですが、どうでしょうか。

○平野座長 そのような方法ですよね。

○千葉構成員 そうではないかと思うのです。

○平野座長 これは、後で確認しておいていただけますか。

○菅課長補佐 正確なところを確認の上、改めてご回答させていただきます。

○平野座長 いかがでしょうか、また何かお気づきの点がありましたら遂次戻りまして、一応、これがたたきになって、これをどう改善していくのかということになるわけでございますけれども、次にどういう論点が今は考えられているのか、先ほどのようにテクニカルなところを中心にお話をさせていただきたいと思うのですけれども、事務局の方から資料3について、よろしいでしょうか。

○菅課長補佐 それでは、資料3の御説明をさせていただきます。なお、最後に参考資料といたしまして「介護事業経営実態調査等について」ということで、これは、先般、介護給付費分科会のほうで介護の経営実態調査の見直しの議論がスタートしております。そこで議論がされた資料を参考として添付してございます。こちらの説明、詳細は省かせていただきますが、基本的に資料3として御用意をいたしました障害の方の見直しにかかる論点等につきましても、同様の報酬でございます介護の方の検討に当たっての論点を一方では見ながら、議論を進めていく必要があるということで参考として添付をしております。

 資料3の1ページ目を御覧ください。1ページ目は「障害福祉サービス等経営実態調査に係る指摘等」ということでございます。上の欄が昨年度報酬改定の検討チームにおきまして、本年2月12日に報酬改定の取りまとめをいただきました概要に記載されている部分でございます。経営実態調査について「経営の実態をより的確に把握できるよう見直す」、それから「有効回答率を上げる努力が必要」といったことが指摘をされてございます。

また、先ほど部長の方からもございましたけれども、本年、年明け1月に報酬の改定率につきまして、厚労、財務両大臣の折衝が行われました。その折衝の結果、折衝事項としてまとめられたものでございますけれども、こちらにおきましても、この調査につきまして、記載のとおり幾つかの改善点等が指摘をされてございます。こういったことを背景に今回、見直しの検討をお願いいたしたいということでございます。

 2ページが今後のスケジュールでございます。本日、9月30日に第1回目の検討会ということでございまして、来月以降、2回から3回程度お集まりいただきまして、調査のあり方等につきまして検討をいただきたいと思っております。年末から年明けを目途に調査票等について見直しの方向性としての具体案を取りまとめていただきたいと考えております。なお、来年度に入りますと平成29年の調査実施に向けて、調査票の設計等の作業を開始いたしたいと考えております。

 3ページ目以降、本日が第1回目の検討会ということで、幾つか「経営実態調査の見直しに係る論点」として、事務局の方で整理をさせていただきました。これは参考資料を見ていただくとお分かりになりますが、介護の方で論点として挙げられているものと、基本的にはそれをベースにしている部分もございます。また、障害福祉サービス事業所に対する調査として必要な見直しというものも一方ではあると思っておりまして、本日、論点として幾つか整理をさせていただいておりますけれども、この論点に限らず、御議論の方をお願いしたいと思っております。

 3ページが「論点1 複数年のデータ把握」としております。「現状」でございますけれども、経営実態調査につきましては、報酬改定の前年の4月を調査時点といたしまして、調査している内容といたしましては、前年度1年分の収支等の状況でございます。

 これについて「論点」として、例えば診療報酬改定では医療経済実態調査というのが、同様に調査がございますけれども、これにつきましては、同一事業所の複数年の収支を把握しております。こういったことについて、一方で障害のほうは1年分を取っておりますので、この点をどう考えるかということでございます。仮に複数年の調査とする場合には、集計、分析項目が増えるといたしますと、記入者負担も増えます。また、集計分析に時間が掛かります。報酬改定の議論が始まる直前の4月の調査ということを考えますと、議論の時期に影響を及ぼすということについて、どう考えるかということでございます。この点につきましては、例えば改定の前々年度、次期改定で申しますと平成28年度に実施する調査として、処遇状況等調査という別の調査で、福祉・介護従事者の処遇状況等の調査を行っております。この処遇状況等調査の中でいわゆる事業活動収支、事業所の収入と支出につきましても、調査の一環としてデータを把握することが可能でございますので、例えば処遇状況等調査で早目にその点を把握するということが考えられます。

 具体的には、4ページの「調査のイメージ(案)」を御覧ください。下の予定でいきますと平成29年に行います経営実態調査でございます。これは改定の前の年、平成29年の春に調査を行います。そこで把握すべきは前年度、平成28年度の決算ということになります。ここで2年分を取るという方法もございますけれども、そういたしますと集計分析等、時間の関係もございますので、平成28年度に行います処遇状況等調査の方で、今回でいきますと平成27年度の決算も調査として取ってございますので、例えばこの調査におきまして、平成26年度の決算もあわせて把握をするといたしますと、平成26年度、27年度、28年度と3年分の決算データが把握できるということでございまして、こういったやり方での調査というのはどうなのかということが1つ目の論点でございます。

 5ページが「論点2 法人単位での収支等の実態把握」でございます。現在、この調査はサービスごとの収支を調査対象としてございます。これは、ひとえに報酬がそれぞれサービスごとに設定されているということでございますので、サービスごとにそれぞれ要する費用等の実態を明らかにするということで、サービスごとの調査としております。一方でそれだけでは足りないのではないか、法人は様々なサービスを組み合わせて、採算部門、不採算部門全体で経営を行っているという状況でございますので、法人全体としての収支というものも、この調査であわせて把握する必要があるのではないかというご意見もございます。こういったことで論点2といたしております。

 「論点」を3つ並べてございます。1点目、報酬はサービスごとに設定されるため、この調査もサービスごととしておりますけれども、法人全体の状況を把握することについて、この調査としてどう考えるか。

2点目でございますが、実施している障害サービス全体の収支差率などを把握するとして、この調査としてどのような活用の仕方が考えられるか。

3点目でございますが、法人ということで考えますと、法人本部への繰り入れが、収入、支出両方ございます。例えば法人本部に帰属する役員の報酬等について、各事業所単位で法人本部会計へ繰り入れを行っている実態がございますけれども、これについては、この調査では費用としてその部分はカウントしてございます。この取り扱いについてどう考えるかということでございます。

 駆け足になりますが、続いて6ページでございますが「論点3 財務諸表の活用」としてございます。この調査につきましては、サービスごとの収支を取るということでございますので、具体的には先ほどの調査票で見ていただきましたとおり、事業活動計算書、いわゆるP/Lに係るデータを把握しております。その他の財務二表については、この調査では調査対象としておりません。

 「論点」でございますけれども、他の財務諸表、資金収支計算書、貸借対照表といったものの調査としての活用のあり方についてどう考えるかというのが1点でございます。

それから、資金収支計算書によりましてキャッシュフローの状況、貸借対照表によりまして内部留保、借入金等の状況の把握が出来たといたしまして、この調査としてのそれらデータの具体的な活用方策についてどう考えるかということでございます。具体的には、報酬改定の議論において勘案する必要性ですとか、一方で調査する中身が増えますので、記入者負担の増、こういった点についてどう考えるかということでございます。

 7ページでございます。「論点4 サービス間の費用按分の取扱い等」としております。「現状」でございますが、この調査の集計におきまして、収支のうちの収入につきましては、報酬収入以外の家賃等もあわせて記入していただいております。調査はしておりますけれども、収支差率の算定に当たりましては、調査対象となるサービスに係る項目のみを拾い上げているということでございます。

 一方で、収支の「支」の部分、費用につきましては調査対象のサービス分という形で、調査票に記載することはできませんので、これは事業所としての費用が回答として上がってきます。そこを調査対象サービス分として、例えばサービスごとの延べ利用者数の割合ですとか、あとは収入の比率等によりまして、当該調査対象のサービス分に按分をしているというのが現状のやり方でございます。3つ目の丸ですけれども、税引き前、税引き後ということでいきますと、税引き前の数字で回答をいただいておりますので、その数字で収支差率を計算しております。

 また、先ほど簡単に触れましたけれども、現状、収入のほうに項目として挙がっております国庫補助金等特別積立金取崩額は、社会福祉法人に特有の項目になりますけれども、過去に社会福祉法人に対して、施設整備費等で国庫補助金が入っている部分について、毎年取り崩し額ということで計上されているものでございます。この数字につきましては、収入にはカウントをしない。それから、費用、支出のほうからは同額を差し引くことによりまして、いわば社会福祉法人の色を消す形でサービスごとにそれぞれ収支差率の計算をしているということでございます。

 「論点」でございますけれども「現行の費用按分の方法の妥当性について、どう考えるか」。それから「税制上の取扱い(課税・非課税)や国庫補助金等特別積立金取崩額の取扱いについて、どう考えるか」ということでございます。

 最後に、8ページがその他の論点ということで「論点5」としてございます。1つ目の丸が標本抽出の方法でございます。障害の場合は特に介護などと比べまして、小規模な事業所の割合が高いのではないかという議論が過去にもございましたので、そういった小規模な事業所の実態を把握するということで、標本設定の際に定員規模というのも考慮して、小規模なところも一定程度取れるようにするといった見直しが考えられるかというのが1点でございます。

あわせまして、都道府県から事業所の指定は受けておりますけれども実際にはサービスを提供していない、すなわち報酬を請求していないという休眠事業所というのが一定割合ございます。こういった事業所について、標本抽出の段階で除外するということが方法として考えられるかどうかということでございます。

 2つ目の丸でございますが「地方自治体の協力を得て、より具体的な現場の経営実態を把握する」。これは先ほど御説明をさせていただきました、年明けの報酬改定率が決まった際の大臣折衝事項でも指摘がされていた部分でございますが、具体的にどういった方法が考えられるかということを最後に載せさせていただいております。

 9ページ、10ページは前回の調査の概要、それから、他の介護、医療の同種の調査との比較表を参考として添付してございます。

 資料の説明は以上でございます。

○平野座長 ありがとうございました。

 今、資料3の論点ということで、これまで事務局の方で、実際に調査の実施に当たって出てきた問題点を論点として5つ整理してもらったのですけれども、もう一回確認しますと、1つは先ほど言いましたように、この調査が経営実態を客観的に反映できるものにするということと、お手元の資料3の10ページ目を見ていただけますか。下から3つ目に「有効回答率」があるのですけれども、障害のところが33.2%になっておりまして、他と単純に比べるのもあれなのですけれども、介護等に比べて下がっているということで、調査の妥当性を高めるためにもこの回答率を上げなければならない。理想は100%が目標とは言いながらもこのままでは断トツに低いということで、これを上げるというのが2つの命題になっておりまして、このことをぜひ意識して御検討いただければというのが課題でございます。

 あと、これはお願いなのですけれども、介護の方の経営実態調査の資料もあるのですが、千葉構成員が介護に関わっていらっしゃるので心強いのですけれども、違う制度なので決して介護にすり合わせする必要は全くないと思っているのですけれども、ただ、現実問題として居宅系のサービス事業者は、かなりの数が介護と重複しているという問題がありまして、民間企業も入っていますので、先ほども言いましたように現場での負担や混乱を無くすという意味では、ある程度の整理はしたほうがいいのかなと思っていますので、その辺で千葉構成員から御意見とか、御検討をいただければと思っているのですけれども、その辺も頭に入れていただければと思っております。

 進め方なのですけれども、今、論点を出していただいたのですが、具体的にどうするかはこれから検討するとして、今日は論点の確認だけをしていきたいと思いまして、全体でどうなのか、これ以外に必要な論点があるのではないかということを出していただきまして、その後にできれば一つずつ論点を確認していければと思っています。

 もう一つ、2番目にお願いなのですけれども、これは私のわがままなのですが、せっかく経営の専門の構成員の皆様方がいらっしゃるので、できるだけ中の議論を進めていきたいと思っています。これまでのやり方にこだわっていると改善出来ないのかなと思っていまして、そういった意味では、皆様方の議論を中心に組み立てていければと思っていますので、大変恐縮なのですけれども、場合によってはこちらから無茶振りをするかもしれませんので、これはどうでしょうかということでやらせてもらいますので、御覚悟をいただければと思っていますのでよろしくお願いいたします。

 そういうことで、ここでの議論が最終ではありませんので、今後、議論する中で新しい論点とかが出てくれば、そこはいきたいと思うのですけれども、最初に全体を見ての御意見とかこういう論点とか、この辺をもっと考えるべきではないのかというのが、あるいはこういう視点が必要というのがありましたら、御意見をいただけますでしょうか。

 どうぞ、千葉構成員。

○千葉構成員 最初に質問なのですけれども、今、御説明いただいた資料3の1ページのところで、改定の概要のところにもありますけれども、大臣折衝のところで客体数とか規模別とか自治体、いろいろキーワードが出てきているのですが、これは差し支えない範囲で結構なのですけれども、こういう折衝で介護は介護でいろいろやり取りがあって、あちらの事情があったと思います。

 こちらの方で障害について、調査をしっかりやれと言われたというのは財務省の考え方が多分あるのだろうと思うのですが、どういう問題意識があるのか、これはあまり十分な実態を把握し切れていないというものなのか、もしくは、これは大臣折衝と関係ないのかもしれませんけれども、こちらの障害の分野は私もあまり詳しくはないですが、そちらの事業者団体のほうから先ほどの資料2-1、2-2の結果で、これは実態と全然違うよという声が上がっていたのか、その問題が本当はどこにあったのかというので背景を聞きたいのです。

○平野座長 田中課長。

○田中障害福祉課長 まず、大臣折衝でどうしてこういう項目が書かれたかですけれども、背景的には介護と共通する部分があると思っています。私ども、これまでの経営実態調査はトレンドを見るもの、参考にする資料ということで、例えば収支差率がどれだけ出ているのかというのも、全体のサービスの中でこのサービスはきついとか、このサービスは余裕があるとか、そういう観点で使っていたわけですけれども、今回の大臣折衝に当たっては、例えば障害の方であれば9.7%という数字が出ているので、9.7%浮いているのであれば、その分は何とかできるのではないかといった介護と同じような議論がございました。

 障害の方は、内部留保の問題はさほど言われていたわけではありませんけれども、基本的にこの制度の作りとして、報酬も同時改定ということもありますので、介護と並んでこういう収支差率が出ており、それが統計として正しく取っているのであれば、それに沿った形の改定が出来るのではないかという意識があったかなと思います。

 大臣折衝の事項として、書かれたのはそういう背景でございますけれども、団体の方が言っているからここに盛り込まれたということではありませんが、いろいろなところでお伺いをしますと、この経営実態調査で出ている数字が現場の肌感覚的には、本当にこんな数字なのかなということを御指摘いただいたこともございますが、直接それがをここに反映しているということではないと思っています。

○千葉構成員 参考までに申し上げると、介護の方はそれぞれ事業者団体、特に施設サービス系の事業者団体が独自に会員に対して決算分析をやっていて、その調査結果と国の方の実態調査の結果が余りにも乖離しているというところが、あちらのほうでは大きく問題視されて、多分、それが一部政治家等に行って、向こうの大臣折衝の部分になったのかなと思っているので、同じような事情がこちらに存在したのかどうかというのを確認したかったということであります。今の事情で大体了解しました。ありがとうございます。

○平野座長 他、いかがでしょうか。

 井出構成員、どうぞ。

○井出構成員 個々にまた御質問やら意見やらがあるのですが、まず、先ほど御説明いただいた幾つかの論点はなるほどなと思っていて、これからまた議論を一つ一つさせていただきたい。あと、気になるより、こういうところは考えなければいけないのかなと思っていたのが、資料2-1の実態調査の3ページですが、恐らくアンケートというか調査をして、各種団体や施設というところから上がってきた数字は信頼をして、集計というか調査をするのでそこは置いておいたとして、どうやら最終的な収支差比率というのは、結局どこがテクニカルなところで、課長さんがおっしゃっていた団体の肌感が違う。本当に実態はそうなのかというところが、例えば5番の「サービス毎に、経営主体と地域性を考慮して」というと何をどう考慮するかとか、数をそこに20分の1から全数で、ここは多分もしかするとテクニカルに変わってくるのか。それから、6番の方法は介護と同様でしたということなのですが、ここがまたこういう切り方がいいかどうかという表現をしてはよくないかもしれません。これが妥当かどうかというのは、また議論してみたいなと思っているところです。

 論点の中にも出てくるのですが、先ほど千葉先生の大臣折衝云々という資料3のところにも、どうやら先ほども事業所が小さいということもあったり、その事業所の規模は人数なのか、資産規模なのかは分かりませんけれども、ここに大臣折衝と書かれているので、この規模ということも入れ込んでいかなければいけないのかなと思いながら、幾つか細かいことはまた申しますが、私は事務局から御説明いただいている論点は、今回の改定でまた頑張って見直しなさいということをよく受けているのではないか。ですから、この論点をよく議論していけば、ある一定の姿は出てくるのかなと思います。

○平野座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○千葉構成員 これは意見なのですが、これからの進め方のところでの話なのですが、先ほど課長の方からの御説明があったように、大臣折衝のところでも特に財政当局の方では、この結果をある程度改定の一つのメルクマールの、要するに、ワンオブゼムに資する可能性という話も状況としては、そういうのが見込まれてしまうのだろうと思うのですが、多分、これは元々の調査の趣旨が改定のために収支差率をとりたい、だから、収支差率が何パーセントだから、何パーセント下げるというために、元々やっていたわけではないということは我々も確認しておくべきだし、ただ、そうは言いつつも、そういうふうに使われるというか、大抵もう加味されかねない要素を持っているということで言えば、逆にこれは調査客体というか、対象になっている分野の事業者の方が、「ええっ」と言わないように、ある意味で調査自体の納得性がないとこれはまたいけないということがあるのです。その辺の両方の目線にやっておかないと、多分、収支差率の精度を上げるために実態を問う、乖離をさせないための調査というだけに論点を絞ってしまうとまずいので、広い意味で、この分野の経営が健全にいくのかどうかを計るのだという意図を忘れずに置いておくべきだと私は思っているので、そこを前提に議論できればと思います。

○平野座長 今、大変重要なお話をいただきまして、もちろん決して収支差率を暴くのが我々の目的ではなくて、健全な経営をできるようにどういう報酬体系をまとめて考えるかという基礎データという意味で、本当にそのとおりだと思っていますので、そういう論点で進めていければということは確認させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○千葉構成員 はい。

○平野座長 小林構成員、どうでしょうか。

○小林構成員 私が、常日頃の仕事が人事制度といったことの御相談をお受けすることが多いので、どうしても人件費的なところに目が行ってしまう。そうしますと、論点の中にも法人という観点からということで、一つの法人単位でというお話が5ページにあって、つまり、法人本部で事務をしていらっしゃる方の人件費を、ある特定のサービスの事務員として計上していらっしゃるところもあれば、本部への繰入金というところに計上してやっていらっしゃっているところもあったりとか、しかも、本部の事務の方というのはある施設のあるサービスの事務員なのだけれども、実態としては、その法人が経営していらっしゃっている全体の児童福祉サービスの事務をとっておられる方もいるといった実態と、数字に出てくるところの乖離をいかに排除するのかなというあたりが、先ほど先生がおっしゃったテクニカルな部分というところで、果たして解決されるのかどうかと言っているところに、結構、当初からの関心が行ってしまっているところがございます。

 それは、先ほどの管理者の方が兼務をしているという形で、計上しているのは1つ、2つを兼務しているのは0.5だけれども、実態はもう一方にかかり切りでいないといけないような実態があるだとか、そういうあたりの実態、もしかして、現場の方の実態のあり方と出てくる数字等に乖離があるというあたりが、1つの要素になっているのかなということを感じながら、それぞれのところでちりばめられているというか、論点のところでそういう話というのは出てくると思うのですけれども、横断的に見ると、そういうところに私個人的には関心が行っていたところです。

○平野座長 ありがとうございました。

 今、皆さんからいろいろ御意見をいただきして、特に千葉構成員の方が出された基本的な見方、考え方、決して収支差率を暴くことが目的ではなくて、健全な経営のあり方、現状がどうなのかということを詳らかにしていくということも目的として考えていきたい。逆にそのことが本当の意味で経営を守ることになると思っていますし、その意味では、井出構成員の方からも経営の問題は規模の問題、人件費の問題も出され、その辺を意識しながらやっていきたいと思っています。

 先ほど、田中課長からお話いただいたのですけれども、ちょうど昨日、こんなことを言われまして、ある施設なのですけれども、重度訪問介護を10人ぐらいの人にやっていて年間400万円ぐらいは入ってくるそうなのです。結果的に40万円ぐらい残るらしいのです。そうすると、収支差率でいくと確かに10%の差率なのですけれども、向こうから言わせると重度訪問介護なので入院したりとか、短期入所をする人がすごく多いといって出入りがすごく多い。ぱっと職員をその時に休みにしろということも言えなくて、だから、10%というと大きいけれども、実際には重度訪問介護をやるために職員を15人抱えているそうなのです。その人たちがショートステイとか入院したから要らないよとは言えないので、そこに回すということを考えると40万はほとんど消えてしまうと言っていたのです。その辺が多分パーセンテージと経営の実感のギャップです。確かに向こうから言うとパーセンテージではなくて40万円なのです。そうすると、ショートステイでいない時のことを考えれば、抱えている15人のヘルパーさんたちの手当だけで消えてしまう。多分、その辺がパーセンテージの実感と、実際の経営の実感のずれとしてはある。そんなことをすごく昨日も感じたのですけれども、そういう意味では、井出先生の方から規模やスケールの問題があるではないかということは本当にそうだと思いました。

 それでは、これからまたいろいろお気づきの点があれば、簡単にそれぞれ論点をもう一回確認しながら、資料3に沿いながら行きたいと思うのですけれども、論点1、これは介護も同じような問題を抱えているのですけれども、こちらの方はこれまで実は3年に1回という形でやっていたのですが、確かにそれは常識に考えれば長いスパンで見た方が経営の状況が分かるということで、特に先ほどみたいに障害の場合は変動が大きいものですから、こういうふうにできれば3年でということがあって、この期間の見直しをしたいということなのです。今日は答えを出すというよりは、ここを論点にしたいということなのですけれども、この辺はいかがでしょうか。

 千葉構成員、いかがでしょうか。介護の方も同じような議論があったと思います。

○千葉構成員 基本的には、この分野のというか業界と言っていいのか分からないですけれども、この障害福祉を実施されている事業者の健全経営の状態はどうだということを目的にしていると置くのであれば、例えば4ページにある改定のイメージ、今度変えるイメージの中で改定前の最終年と改定後の初年度を同一サンプルで見るということで、ある意味、改定の影響がオーバーシュートして、非常にダメージが大きく行き過ぎていないかということを確認する上では、何年にもわたって常にこれを続けていけば、処遇状況等調査では改定前後2年間、1年、1年をとって、中間年次で決算を取って、またその次の時に2年というのが繰り返されて、切れ目なくずっと調査が続いていきますので、継続的にこの分野をウオッチできるという意味では、この考え方は非常によろしいのではないかなと思います。

○平野座長 小林構成員、人件費とかそういう動きの方からよろしくお願いします。

○小林構成員 改定直後は、現場がもう対応し切れないということも考えられますし、やっているうちに加算という体制が整って、収入が増えてくるということがあるのかなということを拝見したりしておりますと、連続して取っていく意味というのがあって、改定直前と直後とは当然違うけれども、それは2年後、3年後になるに従って、その制度に収入も支出もこなれてくるという現象が起きているのではないかと思っておりますと、方法論はともかくとして、何らかの方法で連続的に取っていく意味というか、必要性というのはあると考えております。

○平野座長 井出先生、いかがでしょうか。

○井出構成員 同じなのですけれども、結局、継続性ということは大事なので、これはデータを取っていって、例えば平成29年に経営実態調査で出た調査結果を見ていくというのは重要だと思うのですけれども、変な言い方なのですが、処遇状況等調査で出た調査の結果を実調と全く別に今までは基本切り離していたのを、場合によるとたまたまそこで数字を取っているので、継続的に把握できたということをいわゆる団体のほうは、処遇調査のお金を書いたところも、これは改定の一つの伏線になっているのかなというのをどこかでちゃんと断っておくほうがいいのか。いつの間にか使われていたというと怒られてしまうので、そんなことはないのですけれども、もし、継続してやるからこそ、この処遇調査も一つの改定にかかわっての重要な資料です、ということは認識をしていただいたほうが、私たちも見やすいのかなとは思います。

○平野座長 これは、宿題として持って帰っていきたいと思います。

 お三方からいただきまして、いろいろ御意見があったと思いますけれども、論点としては、この部分を今後議論していくということで、今日はここで答えを出すわけではありませんけれども、それでいきたいと思いますのでよろしくお願いします。

 続きまして、論点2の部分です。今度は法人単位での収支の問題として、先ほどサービスごとということもあったのですけれども、先ほど井出先生の方から規模の問題とかがあったのですが、このやり方、この辺はいかがでしょうか、

○井出構成員 いわゆる母体によって、多分、経営の実態というのは変わってくると思うので、本来だと私は、法人はどうなのだろうと把握することがここに書かれてくるのはすごく重要だと思っていますが、ただ、報酬改定とここにも書いてあるとおり、法人の実態を把握したからどうするというと、これはまた別の話かなと思います。本当に私としては、法人の実態を知りたいというのは欲求としてはあるのですけれども、ここでこの実調の中で法人全体も把握していくことはどうかな、別のところでやるのか、例えば先ほど自治体が云々とあったので、自治体の方は恐らく決算書を届け出たりあるいは法人のデータを持っているので今すぐ結論は出ませんが、そういうところをお願いして活用して、法人のデータはある程度把握しておくことがいいのかなとまだ結論は出ないのですが、そんなことを考えています。

○平野座長 小林構成員、いかがでしょう。

○小林構成員 先ほども申し上げたとおりのことでございまして、法人さんとして、障害福祉サービスだけを専らやっておられる法人さんもあれば、地方に行きますと地方都市の唯一の社会福祉法人さんで、高齢者と障害者とも両方やっておられる法人さんとか、もともと保育所から始まって、社会福祉法人を過去に持っていらっしゃっておられるので、そういったことをベースに特別養護老人ホームをされておられたりとか、障害者のサービスをされたりというのは、地方に行けば行くほど法人としては、障害福祉サービス以外の種別も経営していらっしゃるところもありますので、そういうところも含めて考えますと、本当に法人単位で数字を取る意味はいかがなものかというのは確かにあります。

 私も、この話を最初にいただいたときに、その辺が一番関心ごとであって、ずっと考え続けていたけれども、例えばこうすればいいのではないでしょうかという切れた提案が出ない状態で、意見だけを言っていると文句ばかりを言っているみたいな感じがしていて忸怩たるものがあるのですけれども、そこのところをどうにかしないと実態には迫れないのではないかという強い課題意識はあるが、ただ、そしたらそういったサービスでちゃんと切り分けられる事業所もあれば、そうではない障害福祉サービスを多くやっておられる。さらに、そこに他種別も加わってくるということの数字が出たとして、それをどう扱うかと言っているところに、まだ明快な方向性が見出せていないあたりだと思っております。

○平野座長 出たからどうするかというのは難しいですね。

○小林構成員 そうですね。

○平野座長 千葉構成員、いかがでしょう。

○千葉構成員 両委員と同じなのですが、この問題提起というのは、要は採算と採算に合わないものを全体としてうまくやりくりしているという実態を、この調査として捉えるべきか、また、調査の趣旨として捉えるべきかというそこに尽きるのだろうと思います。そういう意味で、その象徴として法人という言い方をしているのだろうと思うのですが、少なくとも社会福祉法人ということを中心に考えていくと、社会福祉法人の会計基準の構造特性もあるのですが、そこを法人まで持ち上げなくても拠点で本当はいいはずなのです。でも、拠点ということは、例えば入所支援をやっているところであれば、日中活動と入所支援というのが一つの拠点でそれぞれ違うサービスです。その間でやりくりしていてうまくやっていますということが見えたところで何なのですかと。

 まさに、今、小林構成員がおっしゃったように、それが仮に分かったところ、つまびらかになったところで、どういうアクションにつなげたいのかというのがなければ意味がないし、もともと単価というか、これはある意味で原価構造の適正性を実態調査で調査しようとしているわけですから、サービスごとに単価を決めているということの原価の妥当性を見るというところで言えば、サービスごとに取っておくというのが本筋ではないかと思うし、それがあって、介護と障害の分については、今、そういうものが要請されているということもあって、社会福祉法人会計基準の中では基準別紙4という形で、事業活動計算書のサービス別のセグメント情報というのを開示するように制度的にも仕組まれているわけです。ですから、そういう諸般の状況を考えていけば、大きい単位のところでくくる必要性があって、また内部補填というものをやったところで、今度は厚労省の方がそれを知ったところで、何をしたいのかというところにつながってしまいますから、余り意味がないのかなという気がしております。

 あとの本部の方は、私も介護の方でもちょっと申し上げたのですが、役員報酬等が社会福祉法人の場合はこの本部で専ら経理されてしまうという特性があって、特に事業主体側の特性によって、例えば株式会社なんかの場合は、役員報酬というのは販売費用、一般管理費の中の共通経費で入ってしまうので、それが全体の売り上げの中から構成された上で、利益が幾らと計算されています。社会福祉法人の場合はそれが逆でありまして、施設のほうの共通管理経費のところは費用に計上しない。ある意味、直接事業収支のところでプラスだったら本部に出してもいいよ、マイナスだったら出しては駄目となりますから、仮に本部で役員報酬を払っていても、そこのところがダイレクトには行きにくいという構造があります。一応、調査票の中でも、本部への繰り入れという項目が調査項目の中に挙がっていますが、これは結果として、資金的余裕があるところが繰り入れた結果であって、余裕がないところはそもそも繰り入れられないので、ここにも書きようがないということが起きてしまっていますので、これはここの場の議論の問題ではありません。むしろ、会計基準の仕組み方に問題がある。十分にこなれ切れていないという問題ですから、そこをここで幾ら指摘しても、多分、あれは社会・援護局の所管の話になりますから、ここでは何もできないと思いますので、そういう実態があるということは頭に置きながら、今後、調査票の中で今も本部繰り入れというのがありますから、それをどう考えるのかというか、いろいろなところでテクニカルに議論すればいいのかなと思っています。

○平野座長 この辺は多分、後で議論するときに確認になってくる、誰も共通の認識で持っているのだと思います。

 続いて「論点3 財務諸表の活用」ですけれども、小林構成員、この辺の問題点とかどうでしょうか。

○小林構成員 現場の方と話をしていて、経営がしんどいという感覚とはまさにこのあたりで、結局は施設が老朽化していて、もう建てかえなければならないけれどもお金が無い。ただ、施設が老朽化しているということは、もう減価償却費があまり上がってこないので、費用はその分抑えられているということになっていることと、お金が無いし、建て替えなければいけないしというあたりの感覚のずれみたいなものが、現場の感覚と出てくる数字の違いかなと思います。

 こういう席に着かせていただくに当たって、地方の経営者の方にこういうことがあるのでと私が申し上げると、私がお伺いした方たちからは直接経営実態調査のあり方とか、回収率ということについての御意見というのはいただくことができなかったのですけれども、関心というのは収入の体系のあり方ですとか、区分のところで設定をするだとか、人数の単位をどこで切っているというところに対する関心はすごく強いけれども、こちらに対する関心はあまり強くなく、今、申し上げたようなお金が無いとか、内部留保の有り、無しみたいなあたりの感覚と、出てくる数字との違いあたりの御意見が多かったということを考えますと、結論は先ほどと同じで申しわけないのですけれども、取れるものであれば取っておくことで何か見えるかもしれないが、そのことが具体的に今回の課題としていることに、どう活用できるのかといったことは別問題だなという感じでおります。

○平野座長 その辺を議論ですね。

 千葉構成員、いかがでしょう。

○千葉構成員 経営を包括的に見るという意味では、会計をやっている身からすると、キャッシュ、資金計算も期間別損益計算も財政状態も必要だと。これはあるのですけれども、ただ、目的として、この調査がやろうとしていることから考えると資金計算というのは要は資金繰りがうまくいっていますかというところになりますから、ある意味、それは仮にショートしている場合でも、要はファイナンスするすべがあれば、別にそこは問題ないとなります。

 ですから、キャッシュフローを議論して、調査の結果を議論しなければいけないという時は、そのファイナンスのすべがあるのか、無いのかという話になってくるのですが、例えば、先ほど小林構成員からもあったように建て替えということになると、特に社会福祉法人で多くの場合、社会福祉施設整備補助金という4分の3の補助を受けて整備しているはずで、建て替えの時も多くの場合、民間施設老朽改築補助金という形で出たりもしています。その辺は多分、介護と大きく違っていて、ある意味でまだ施設の建て替えについても非常に手厚い制度状況が残っているはずなのです。だから、ある程度貯めなければ、貯めなければと頭で思っていて、また銀行から借り入れたり、福祉医療機構に分厚い申込書を作るのが面倒くさいなという頭はあっても、多分、普通の民間企業の人が今日、明日の資金繰りに困って首をくくるみたいな発想の資金問題は抱えていないように、私は感じるのです。

 そういう意味では、いろいろなセーフティーバルブがこの分野の資金繰りについてはかかっていますので、そこの補助制度とかを見直すのであれば、キャッシュフローとかこういう財政状態の方は必要ですけれども、少なくとも、フローの売り上げとか原価コストに見合う収入かどうかということを見ようとしている今回の目的からすれば、ファイナンスの問題とか財政状態の問題というのは、私はプライオリティーが低いかなという気はしています。

 あともう一つ、活用ということで、参考情報で後ほどの方に出てくるかどうか分からないのですが、一つのインプット情報ということで申し上げると、皆様方、御存じのとおり、先の国会、この間閉会した国会の中に社会福祉法改正が出ました。あの中で財務、経営情報の透明性の確保とか財務規律の確保という形で、いろいろ財務諸表についても所轄庁にしっかり電子情報で出しなさいとか、いろいろな基盤、インフラストラクチャーが今、残念ながら法律はまだ成立していませんけれども、多分、近い将来出ると思うのです。特にこういう調査をやる時は私どもも貸し付け先にこの決算調査をやっていますが、よくあるのが、独自様式でやると確かに勘定科目というのが統一化できて集計もしやすいのですが、多くの場合は転記ミスを起こすのです。

 そういうことで言えば「財務諸表の活用」という言葉尻だけを拾っていますが、将来的にそういう社会福祉法人制度であれば、そういう決算情報、所轄庁を通して吸い上がっていく状況もあるので、だったら同じ情報を今回の調査にもくださいと。所轄庁から巻き上げてきてもいいのですけれども、そうすると、特定のサービスにそこから無作為でランダムサンプリングというのはできませんから、こちらの意図であなたの事業所をお願いします。ただし、出すのは紙ではなくて、所轄庁に出している基準別紙4の数字をそのまま転送してくださいとやれば、多分、多くの法人の場合は会計ソフトでやっていますから、少なくとも転記ミスによるエラーというのは起きてこないし、そうすると、オーバーシュートしたような収支差が出たりとか、変な記号サンプルという形で排除されるということがなくなるのかなと思うので、その辺も横目に置きながら、調査のあり方というのを今後考えていくべきかなと思っています。

○平野座長 法改正の動きも見ながらですけれども、井出先生、いかがでしょうか。

○井出構成員 今、千葉先生からそういうことをお聞きしたので、データというのはあまりたくさんより、ある一つの単一性を持っていて、それをいろいろなところに活用していったほうが相手方というか、データを出さなければいけないところからしても楽だと思うので、ただ、財務諸表の活用とすごく大きいテーマなのでそういう意味でいくと、ここまでこの三表をどう活用するかという問題があるのですけれども、私がちょっと気になっているのは、実調というのは収支差率、企業でいうと利益率みたいな、つまり、損益状況を取ってしまっていて、意外と資金繰りは安定しているという千葉先生の見立てなのですけれども、意外と私はいっぱいいっぱいなところのものを見ていたり、いわゆる収益性に対して、意外と施設とか団体、安全性とか健全性という時に苦しいところもあるのではないか。

 だから、収益性ばかりを今は見てしまっているので、意外といっぱいいっぱいで苦しいのですというところは思ったよりあって、そういうところからすると、それはこういう決算書だけで出てくるとは思えないのですけれども、ただ、どこかで今の収支差率だけで見ているこの調査ではなく、いわゆる施設の安定さもどこかで財務諸表なんかを活用して見られたらいいかなと。そこがあるのか、無いのかはまだ何とも議論できないのですけれども、私の中では、とにかくこの事業をその団体とか施設に国として、大変なのだけれどもやっていってもらわなければいけないので、大変な状況というのがもし、そういう資金的なとか経営的な安全さに関わっていることであれば、そこはちゃんと見て、こういう調査とかにも反映させて、報酬改定にも反映させることが必要かもしれないとは思います。

○平野座長 今のは大変重要な御指摘で、千葉構成員の方からも、単純にこれは収支差率を暴くことが目的ではなくて、経営のあり方をちゃんと反映できるようなものにしようということですから、これをどう使うかという問題はあるのですけれども、実際に経営の実態が明らかになるような考えを何とか、そして、先ほど言ったデータはあまり負担がない形で使っていく。そこを検討するということにしていきたいと思っています。

 続きまして、4のところなのですけれども按分です。これは千葉構成員の意見をよろしいでしょうか。これは介護なんかでも同じような問題がいっぱいあると思う。

○千葉構成員 これは多分、介護の方の論点を拾ってこういう論点になっているので、これが障害の場合は当たる話なのかという論点なのかどうか分からないのですが、何かというと介護保険の方は有料老人ホームのような形で、入居一時金というそこに住むために最初に頭金をどんと何千万とか払うようなケースがあるのです。それが前受け金というか預かり金という形で再計上しておくのか、いきなり全部総額をその期の売り上げにするのかによって、その期の損益が全然違うのです。

○平野座長 大分違いますね。

○千葉構成員 一方で、それに対応する費用というのは、要は家賃ですから、減価償却費が毎年フラットになっているということで、収益と費用の関係性がバランスを崩しているという業界が介護の方には一部ある。果たして、それがこの障害の分野にそういったビジネスモデルが存在しているのかどうか、また、それを加味しなければいけないビジネスモデルを持っているサービス区分があるのかどうかというのは、私は寡聞にしてあまりよく知りません。そういう意味ではそこの問題が、介護のところではこの論点が出た背景にあるはずなので、そういうもので該当があるか無いかということを知った上で、議論していくべきではないかなと思います。

 費用按分については、これは先ほど来申し上げているのですけれども、少なくとも社会福祉法人であれば会計基準の方で、サービス区分別のセグメント情報で収益、費用、少なくとも計上増減差額のところまで取っています。一応、この調査票を見ると計上増減差額でほぼオーケーのはずなので、そうすれば別に按分というよりも、元々ちゃんと会計さえやっていれば、本当は基準別紙4の数字が出ているはずなのですが、ただ、それはあくまで会計制度の方の上から目線なので、実態としては、あまり按分せずにどこかの方に費用だけ片寄せしていて、決算書を平気で出しているところも実際にあるやに聞いていますので、余りそこを過信してはいけませんけれども、使える会計制度であれば、そういう情報は使って無理な按分はしないようにしていく。按分するというのは、実質性が挟まりますから実態として法人側で認識している。要は、会計でいう単一性原則に則った情報の確保というのが重要ではないかなと思います。

 それがサービスの費用按分ですが、課税、非課税という話があるのですが、これも介護の方ではいわゆる病院と医療補助の団体は課税で税金を払っているのに、社会福祉法人と特養は何をやっているのだというので、片や税金負担した後でこれぽっちしか残っていないような話、丸々持っているよというその辺のアンバランスというか、イコールフッティングで出てきている議論であります。ただ、この課税の話は控除前か控除後かというところで言えば、少なくとも報酬制度が経営の安定性を保障しているかどうかというのを確認する上では、税負担までを視野に置くべきではむしろないのだろうと思うのです。税負担というのはどんな業種であっても必ず出てくるし、非課税という税政策上の問題ですから、税控除後でイコールかどうかとやっても全然意味がない話です。厚生労働省として、障害政策として打つ手は無いはずなので、そこはむしろ租税当局、財政当局の中の税務のほうの当局が議論、調査すべきことであって、この調査において税分を加味した、つまり、税引き後のデータで考えるというのはむしろ筋違いではないかというのを、私は逆に積極的に主張したいと思っています。

 補助金については、企業との単純比較なのですが、企業では補助金を仮に受けたとしても、圧縮記帳ということで税務上は、基本的には補助金収入もなければ、補助金によって獲得した資産も無かったことにして計上しています。それとの表側合わせということで置かれている勘定科目なので、例えば、この取り扱いを旧会計基準であれば、売り上げから取り崩し額を除く。新会計であれば、費用の方から除いているという形でやっていますので、特に新会計になると減価償却費から国庫補助金を引いた価格で、いわゆる圧縮記帳と同じような決算構造を取っていますので、これを今後、調査するのは多分、新会計基準ベースになるはずなのです。

○平野座長 そうですね。基本的に新会計ですね。

○千葉構成員 そうであれば、ここは特に問題視しなくても、自然体でそのまま減価償却から国庫補助金を引いた後のものを減価償却費と、補助負担分の減価償却費として計算すれば、それでオーケーと思います。

 問題は、旧会計のころはそれが売り上げに入っていたので、売り上げからも除かなければいけないという事情があったので、ややこしい話になっていたのですけれども、新会計ではそこの部分がなくなったので、単に自然体でいけばいいのかなと思っております。

○平野座長 基本的に平成26年決算だから、みんな新会計になっているはずです。

 確かにいろいろ介護と違って、有料老人ホームみたいな形態がこちらにないから、いろいろ正確な。

○千葉構成員 ちょっと違和感がありますよね。何を問題にするのだろうというところが、もしかしたら、私が不勉強でそういうのに近い事業形態があるのかもしれないので、そこは専門の先生方に御注文をいただきながら、何をしたらいいかという考えています。

○平野座長 障害の按分の場合、いろいろ問題になっているのは、1つは、昔は仮に通所授産なら1つの施設だったものが新体系になる段階で、例えば生活訓練と生活介護で按分しようとか、昼と夜で昔は1つだったものを2つに分けたという意味で、いろいろな按分が出てきている。あと、グループホームなんかは家賃問題が出ている。この辺が独自性なのですかね。その辺で井出先生、いかがですか。

○井出構成員 今、千葉先生が全てしゃべったとおりなのです。

 新しい社福の会計基準になっているので、ある程度のことはもう解決というか、そんなに細かく議論することもないかなと。いわゆる費用の按分というか配賦率とかも基準に書かれているので、それに基づいて淡々とやっていくしかないので、収支比率というのはなかなかおもしろいなとは思っているのですけれども、ここは、先ほどの税控除の問題も税引き前のところで取ることは私も何ら問題はないと思っていますし、特に何か出てくればまたあるのでしょうけれども、あるいは逆に言うと、新しい社福の基準はこういう感じなので、例えば最終的にどうやって按分したのかなというのは気になるので、そういう意味では誰でも知っていることかもしれませんが、ここではこういう按分をしたとか、それはほとんど一般には認められて認知されていますけれども、そういうこともちゃんと公表するというか、この基準にこう書いてあるので、基本はこれで按分して配賦していますという形で、どこかでできる公表はたくさんしていったほうがいいのかなと。ここについては議論があるかもしれませんが、私のところでは、今、この程度です。

○平野座長 また追って、これから議論していくことになりますけれども、小林構成員、いかがでしょう。

○小林構成員 税制のところですとか、国庫補助金等特別積立金取崩額の件については、本当に千葉先生のおっしゃるとおりといいますか、同じようなことを考えておりました。ですから、障害福祉サービスの場合で一番問題になるとすれば、丸の2つ目といいますか、福祉サービス同士の費用の按分というあたりが、それは平野先生がおっしゃったとおりで、新体系になって1つのサービスだったものが複数のサービスに分かれたというのを、どうやっておられるかというあたりがそれぞれの事業者の方の個別の事情の按分でいいのか、一定のあるべき按分のあり方というのがもしかするとあるのか、あるいは今回の調査のために、一定の按分の手法を一つに統一しておいたほうがいいのかというあたりによって、大きく違ってくるのではないかと考えております。

 あとは、介護の有料老人ホームという場合と同じなのかどうなのか分かりませんけれども、例えば具体的にはサービスとしてはA型になっていると思うのですけれども、障害者の方が雇用されているレストランでも、すごく収益を上げていらしているレストランなんかがある事業所さんは、その辺をどういう費用の按分であり、どういう経費等を計上して決算に上げていらっしゃるのかなというあたりが、それは不勉強なのですけれども、もしかすると、そういうのがこういうところでの一つの問題点に当たってくるのかなということをぼんやり考えている。現状はそういうことです。

○平野座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○千葉構成員 今の話で思いついたのですけれども、障害の場合は特に介護に無い特有なものというのは働く場、つまり、就労支援の関係のものが入っているとかで、これは社会福祉法人の会計基準の場合、事業活動計算書の中の収益、費用どちらにも構成してしまうのです。就労支援事業収益と就労支援事業費用というのを込みで収支差率を考えるのか、それはあくまで工賃原資だから、報酬とは関係ないということで誇張をして議論するのかというのは、ちょっと考えておかなければいけない点で、むしろ、それは障害特有の論点ではないかなと思うのでつけ加えて意見を申し上げます。

○平野座長 ありがとうございます。

 法人用の分ですよね。これは事業の分ですかね。それまでこちらに入れてしまったら。

○千葉構成員 それでいいのかどうか。

○平野座長 今、お二方から出た重要な視点ですね。ありがとうございました。

 論点4も、いろいろ御意見をいただきまして「論点5 その他」ということで、ここに出た丸2つとあわせて、これ以外に何かお気づきの点もあれば出していただければということで、井出先生、いかがでしょうか、いろいろチェックしてあるので、いろいろ出していただければ。

○井出構成員 もう特にこれといってはなくて、あとは後ろのページで先ほど大きな論点で、回収率というのをどう高めていけるのかなというのが、私もこうしたらどうかなというのがあるのですけれども、次の議論の時までにまた何か考えてみたいと思います。

○平野座長 妙案があるといいですね。

 千葉先生、いかがでしょう。

○千葉構成員 本当はもっと前に質問しておくべきだった話ですけれども、回収率のところで、先ほどの2-1の資料のところの下のページでいうと4ページのところに「7.回収状況」という一覧表がありまして、見ると確かに6割近い非常にいい回収率のところから、1割、2割という非常に惨たんたるものがいろいろ混ざっているなと思います。

 問題は、それをいかに高めていくかというのがあるのですが、これはあくまで最終的に集計の対象になった有効回答だと思うのです。調査の場合というのは対象になる人のサンプルを抽出して、そこに対してまいて、これが分母になると思うのです。問題はそこから返ってきたというのが1回、回収数が幾つかという話とすると、その中で、回収数で吟味していったら白紙回答だったので使えないと言って捨てるものがあって、最後に有効回答になるというので、無効回答も含んだ回収数と有効回答になったところのギャップというのはどの段階で落ちるのか。回収が悪いのだったら、それはもう本当にお願いベースでも、もっと何かを改善しなければ、負担感があるなら調査の厚さを見直すことを考えなければいけないのかもしれない。

 ある程度、回収数はそこそこなのだけれども、例えばこちらの固有の状況として休廃止みたいなものがあって、それが分母に入っているので不必要に有効回答率が低くなっているということなのであれば、むしろ、そもそも調査設計で配付する名簿で事前に休廃止というのが分かっているなら、そこはもう対象にしないということでやっていいのかどうか。それは統計的にとか、また専門的な立場でそういう調査の方法というのはバイアスがあると考えるのか、むしろ、それが妥当と考えるのかということもあると思いますので、その辺のどこの段階に問題があるのかを今後見た上で、どこに手を打つのかということを考えていくべきではないかと思っています。

○平野座長 重要なポイントですよね。現場レベルで言うと、指定しているところから抽出するのですけれども、実際には指定しているところで休廃止もありますし、多いのは指定を受けているのだけれども実績がない。例えば介護と両方を受けていて、居宅介護は去年1年間でありませんでしたというものが随分あるみたいなのです。

 あと、これは感覚ですけれども、事業所の規模と回答率がリンクしている。事業所がしっかりしているところは回答率がいいのですけれども、施設系とかNPO系が多くなると下がってくるという傾向はざっと見た感じはあります。その辺も含めて検討課題でどうするか、小林構成員、いかがでしょうか。

○小林構成員 これは、そういう意味では質問になるのかもしれないのですけれども、こういった調査をするに当たって、先ほど千葉先生のお話にもありましたけれども、種別協議会が障害の分野でも知福協さんであったり、きょうされんさんだってあると思うのですが、ああいったところに行って協力を依頼するということはこういった調査の場合、あってはならないことなのですか。

○平野座長 私が答えるのもあれだから、後にしますかね。

○菅課長補佐 この調査におきましても、都道府県等の行政機関、関係団体等にも調査の協力ということで一度ならず、回収率の向上のためにお願いをしているということは実際に行っております。

○小林構成員 していて、これだということですね。

○菅課長補佐 はい。

○小林構成員 分かりました。

○平野座長 どうぞ。

○千葉構成員 今、規模の話もあったのでついでになのですけれども、ある程度規模があるところの回答率が高いというのは、気にしなければいけないのは、規模がいいところはある程度規模の経済性が働いていると収益性が良くなってしまう可能性があるので、集計結果にバイアスがかかる可能性がありますから、そういう意味でも規模というものをコントロールファクターにして、そこから無作為抽出をした上で、その状況を勘案して全体状況を復元するという推計をしないと、そのまま単純集計をするとバイアスがかかるので、そういう特性もつまびらかにしておく必要があると思います。

○平野座長 言っていましたね。経営協の団体と話したら、結局、出すところはいいところから出している。出すからということで、いい成績になるのだよとぼやいていました。

○千葉構成員 おっしゃるとおりです。

○平野座長 他はどうでしょうか。

 いろいろと御意見をありがとうございました。これから個々の論点に改めて、事務局に整理してもらいながら進めていきたいと思うのですけれども、今日出された意見は別にしまして、もう一回論点を一個一個絞りながら、また途中で新たな論点があれば、そこも踏まえながら議論を進めていきたいと思いますし、今日は短い時間でしたけれども、たくさんの貴重な御意見をありがとうございました。

 あとは、事務局の方から何か、どうぞ。

○藤井障害保健福祉部長 今日はありがとうございました。先生方の御意見をお聞きしていて、大変頼もしく感じた次第でございますのでよろしくお願いいたします。

 基本的に介護の方で出されている論点をベースにして、今日の資料も作らせていただいているのですけれども、正直、これは私の感覚からすると、これだけで大丈夫なのかなというところもありまして、先生方の方でまたいろいろお気づきの論点、どんな細かいものでも結構ですので、ぜひどんどん挙げていただければありがたいと思います。

 これは、ちょっとお話に出ましたけれども、介護に比べましても障害のほうが業態は多様というか昼夜分離のこともありまして、事業種類ごとに大分実態が違ってきているのかなという感じもいたします。先ほど座長の方から重度訪問介護の例もありましたけれども、そういう意味では、介護以上にきめ細かく事業ごとにも見ていただかなければいけないのかなという気もいたしますので、そのあたりもぜひお願いをいたしたいと思います。

 また、さらに、今日は先生方の御意見を聞いていて思いましたのですけれども、確かにどうしても経営実態調査というのは収支差率が最後に出てきますので、今回も田中課長が申し上げましたように、結果として出てきた収支差率を金科玉条のように取り上げられてしまったというところが、私どもの報酬改定の折衝を進める上で、かなりしんどいところになったわけなのですけれども、これも座長におっしゃっていただいています。もしかしたら、収支差率だけで経営実態を考えるということではないのかもしれないという気もしますけれども、これも事業種類ごとに違ってくるのかもわかりませんが、もし、経営実態調査の結果で出てきた収支差率に、さらに経営実態を把握する上で、必要なデータであれ、何であれ、必要な要素があるとすれば、そのあたりもぜひ御指摘をいただければありがたいと思います。

 どうか、これからよろしくお願いいいたします。

○平野座長 ありがとうございました。

 そういうことで、議論が大変無茶振りで済みません。強引に進めておりまして恐縮でございます。でも、本当に貴重な意見をありがとうございました。

 それでは、第1回目ということで予定しております議事は以上でございます。今後の予定等につきまして、事務局の方にお返ししますのでよろしくお願いいたします。

○田中障害福祉課長 次回の検討会でございますけれども、詳細が決まり次第、また日程調整等をさせていただきまして、御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○平野座長 それでは、これをもちまして「障害福祉サービス等経営実態調査の見直しに関する検討会」の第1回目をこれで終わらせていただきます。どうもお忙しいところ、ありがとうございました。

 


(了)

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