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2015年9月9日 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 第72回議事録

○日時

平成27年9月9日(水)9:00~10:11


○場所

全国都市会館(2階 大ホール)


○出席者

印南一路部会長 松原由美部会長代理 西村万里子委員 荒井耕委員
白川修二委員 花井圭子委員 石山惠司委員
鈴木邦彦委員 長瀬輝諠委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
十河功二専門委員 昌子久仁子専門委員 田村誠専門委員
<事務局>
唐澤保険局長 武田審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 佐々木医療課企画官
込山保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○医療機器業界からの意見聴取について

○議事

○印南部会長

 ただいまより、第72回「中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」を開催いたします。

 まず、委員の出欠状況について御報告します。本日は、榊原委員が御欠席です。

 次に、厚生労働省におきまして異動がございましたので、事務局より紹介をお願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 榎本医療指導管理官が着任しておりますが、本日は、出張のため、欠席しております。

○印南部会長

 ありがとうございました。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 今回は、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。関係団体として、日本医療機器産業連合会、日本医療機器テクノロジー協会、先進医療技術工業会、米国医療機器・IVD工業会、欧州ビジネス協会 医療機器委員会、日本医療機器販売業協会より、意見を聴取したいと考えております。順番に自己紹介をお願いします。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 おはようございます。

 医療機器産業連合会の中尾でございます。よろしくお願いいたします。

○日本医療機器産業連合会(水谷)

 医療機器産業連合会の水谷でございます。よろしくお願いします。

○米国医療機器・IVD工業会(加藤)

 米国医療機器・IVD工業会、AMDDの加藤でございます。きょうは、よろしくお願いいたします。

○米国医療機器・IVD工業会(関口)

 同じく米国医療機器・IVD工業会の関口です。よろしくお願いいたします。

○先進医療技術工業会(フィルエイグレス)

 おはようございます。フィルエイグレスです。AdvaMed、先進医療技術工業会からまいりました。

○欧州ビジネス協会(杉山)

 欧州ビジネス協会の杉山でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

○欧州ビジネス協会(田中)

 同じく欧州ビジネス協会、田中でございます。よろしくお願いします。

○日本医療機器産業連合会(岩田)

 日本医療機器産業連合会の岩田でございます。よろしくお願いします。

○日本医療機器販売業協会(浅若)

 日本医療機器販売業協会の浅若でございます。よろしくお願いします。

○日本医療機器販売業協会(阿部)

 同じく日本医療機器販売業協会の阿部と申します。よろしくお願いいたします。

○印南部会長

 ありがとうございました。

 それでは、早速、意見陳述に移りたいと思います。

 なお、6つの団体より全体で30分程度でまとめてプレゼンテーションをしていただき、その後に、質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。

 それでは、30分以内でよろしくお願いします。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 私、医機連の会長を務めています中尾です。冒頭に少し御挨拶をしたいと思います。

 本日は、保険医療材料専門部会の開催をありがとうございます。

もちろん、医療費の抑制等々が中心なのですが、同時に、ぜひQOLとか、医療アウトカム、こういった医療の質の向上、これは、行政も産業界も同じ目的を持っているのだろうと思っていますので、この目的のところをしっかり念頭に置きつつ、いろんな議論が進められると良いと考えております。

 また、同時に、イノベーションとか、再生医療等の評価についても、ぜひ、これからもお願いしたいと思っております。

 では、各団体から、それぞれ意見を陳述ということで行いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○日本医療機器産業連合会(水谷)

 特定保険医療材料につきまして、説明をさせていただきます。

 2ページに、本日の提案の6項目を示しました。医機連からは「1)機能区分制度の見直しについて」「2)再生医療等製品の保険上の評価」について説明させていただきます。

 なお、詳細につきましては、別添資料を参照ください。

 3ページをごらんください。

 現状の機能区分制度の区分B申請では、保険収載までの期間が短く、メリットも多くあります。しかし、機能区分制度のために、市場での評価が異なる製品が、同一機能区分内に混在している問題も存在しています。

 そのため、ビジネスの予見性及び継続性が低くなっており、結果として、機器のさらなる改良、改善への継続的な再投資が困難となっています。

 また、市場競争のあり方と、医療財政の観点から製品の性質や質の違いによる本来あるべき市場での競争のあり方をゆがめる場合もあり、より適切な償還価格制度の検討、機能区分制度の改善が必要と考えます。

 4ページです。機能区分の細分化・合理化の促進とルール化についてです。

 課題の解決の方法としまして、評価が異なる製品が混在している場合、機能区分を分けることにより、適切なものとすることは、課題解決の手段として有効です。過去の実績をお示しいたします。

 5ページは、細分化・合理化の促進とルール化についてです。過去に細分化された理由を参考にして、項目、理由などをルール化することにより、細分化の予見性が高まります。

 代表的な理由としましては、感染症発症率の違い、耐久性及び性能の総意、構造の異なるものの混在などがありました。使用実態の違い、機能、構造等に差異が認められるなど、細分化の候補となる具体的な事例を参考資料2から6として添付しております。ルール化の促進をお願いいたします。

 6ページです。機能区分の合理化の促進について。機能区分をふやすばかりではなく、当該製品を販売しています企業が既にない、いわゆる空き箱になっている機能区分は、廃止等の手続を行う必要があると考えます。細分化等のヒアリングと並行して、機能区分廃止に関するヒアリングも実施していただきたいと考えます。

 我々のほうで、今回、対象となるのではないかと確認できた機能区分を表にいたしました。御検討をお願いいたします。

 7ページです。イノベーションの適切な評価については、次の4点を要望いたします。

 特例の継続と拡充、迅速評価の継続、C1/C2収載時期の見直し、原価計算方式の営業利益率などの見直しです。

 8ページです。機能区分の特例は、平成26年4月に導入され、1年以上経過いたしました。7品目と数は多くありませんが、企業にとりましては、新製品の開発力の促進につながります。

 また、対象製品の条件は、革新性の高い、画期性加算や10%以上の有用性加算が対象となっていますが、10%以上の改良加算も評価の対象に加えていただきたいと思います。

 制度導入から、10%以上の評価を受けた改良加算の製品は2品目あります。ぜひ、御検討お願いします。

 9ページです。迅速評価は、平成27年7月までに18機能区分に対して適用されました。医療機器のデバイス・ラグ、ギャップの改善に寄与しているのではないかと考えます。

 しかし、期間は2年となっており、18機能区分のうち、3品目は既に評価期間が過ぎております。

 中医協では、今後、実績等を踏まえながら、あり方等を検討していくことになっており、評価期間の延長に関しましても、ぜひ、検討をお願いいたします。

10ページです。C1/C2収載時期の見直しに関してです。新薬の中には、医療機器とセットで使用されるものも出てきております。医療現場で、薬と医療機器が同時に使用できるように、薬価収載と医療機器の保険収載の間に差が出ないよう、保険収載時期の見直しをお願いいたします。

11ページです。区分C1/C2の原価計算方式適用の場合、計算に用いられる営業利益率は、医療機器産業実態調査が用いられています。集計企業数が500社を超え、売上高55兆円規模の調査対象から算出されたものです。

 医療機器の国内市場規模は、平成24年度、薬事工業生産動態年報によりますと、約2.6兆円です。医療機器を新しく開発、導入する企業を代表している係数とは言いがたいものです。

 ちなみに、平成24年4月から平成27年7月の約3年間に区分C1/C2の保険適用を受けた会社は52社でした。係数などの見直しをお願いいたします。

12ページに課題解決のスキームを示します。

 最初に述べましたように、具体的な提案までは踏み込めませんでしたが、適切な償還価格制度の検討は必要と考えています。

 機能区分制度の改善に関しましては、機能区分細分化のさらなる促進による問題点の解消、機能区分をふやすばかりではなく、合理化、簡素化を図り、役割を終えた機能区分の整理を進める。イノベーションの評価に関しましては、昨年導入されました機能区分特例の継続、拡充、迅速な保険導入評価の継続、また、原価計算方式における営業利益率等の算定係数の見直しをお願いいたします。

13ページに、再生医療等製品の保険上の評価ですが、再生医療等製品の適切な進展に資するよう、再生医療製品の診療報酬上の評価、償還価格の設定をお願いしたいと思います。

 なお、当面、現行制度を準用する場合、再生医療等製品の特徴、とりわけ、自家細胞由来の特性である患者さん一人一人のオーダーメードであること、受注生産であること、ロット管理ではなく、全患者さんの個別管理が必要であることなどを鑑みた評価をお願いしたいと思います。

14ページに、医療機器、医薬品、再生医療等製品の特性比較を添付いたしました。私からの説明は、以上です。

 続いて、AMDDより説明いたします。

○米国医療機器・IVD工業会(関口)

AMDD保険委員会の関口です。本日は、このような機会を与えていただき、大変ありがとうございます。

 それでは、後半の資料について御説明させていただきます。

 まず、15ページの毎年改定についてです。既に医療機器業界として、何度か反対を表明させていただいており、去る6月10日にも反対との提言をいたしました。

 理由は、開発原資の確保が困難になる、海外直接投資が減る、医療材料の5カ月間の価格調査期間では、適正な実勢価格把握は困難である、実務上の負担が大きいなどです。

 さらに、16ページでは、平成29年の消費税増税時の改定の取り扱いについての要望を述べさせていただいております。

 毎年改定反対の理由に重なりますが、実務上の負荷が大きいこと、適正な実勢価格把握が困難であること等の理由により、実勢価格調査をしない形での消費税対応をぜひともお願いしたいと存じます。

 また、消費増税時改定の際には、改定の仕方にかかわらず、改定の回数が制度の中に取り入れられている、機能区分特例等については、制度の趣旨に沿った対応をお願いできればと思います。

 また、再算定も実施すべきではないと考えます。

 もう一つは、材料の価格が少額のものです。前回の消費税増税のときには、34ページの参考資料10にありますように、材料価格35円未満のものは、計算上、増税分が1円未満となり、全て切り捨てになりました。

 次回の消費税増税の際には、薬価と同様に、小数点以下を用いた償還価格の設定するなどの対応をお願いいたします。

 次に、17ページの費用対効果評価についてです。

 医療機器固有の懸念につきまして、3点申し上げたいと思います。

 1点目は、既収載品を評価する場合の問題です。医療機器は、新製品発売後も改良、改善を繰り返します。既に費用対効果評価専門部会でも、この点は御認識いただいているようですが、この点についての配慮をお願いいたします。

 また、機能区分内に複数製品があり、それらの製品の費用対効果が異なる場合に、どのように取り扱うべきかという問題もあります。

 2点目は、医療従事者にとって、新たな手技が必要とされる画期的な医療機器では、その技術の習得に時間がかかるという、いわゆるラーニングカーブの問題があり、この期間をどう考えるのかという問題がございます。

 3点目は、QALYを用いた評価が困難な場合があるということです。医療機器では、比較対象試験がないものが多く、そういう場合には、QALYの算出は困難であると考えます。

 実際、アジア人を対象としたQALYを用いた費用対効果分析のうち、医療機器のものは、非常に少ないという報告もあります。

 費用対効果制度の設計に当たっては、こうした状況を勘案していただければと存じます。

 次に、18ページの再算定についてです。

 これまでも主張してまいりましたとおり、同制度の廃止を要望いたします。

 その理由は、3点ございます。

 1つは、再算定制度が導入されてから、7回の改定を経て、19ページにお示ししましたとおり、内外価格差があると指摘されてきたものも、大きく価格引き下げを受けているからであります。

 2つ目は、再算定制度は、外国為替の変動に影響を受けること、また、極端な例では、同一区分内にある他社製品の外国価格に変動を受けることがあるなど、事業の予見性を損ねるという問題があることです。

 3つ目は、縮小してきた内外価格差ですが、それが、まだ残っているとすれば、それは、日本の国民皆保険・フリーアクセスを支えている、海外に比べて医療機関が多く存在することなど、構造的差異によるものであり、そうした構造が変わらない限り、内外価格差のこれ以上の縮小を目指すことは困難である点です。

 それでも、同制度を継続しなければならないのであれば、上限倍率等、制度の変更により、日本の医療機器市場の活力をそぐことは避けていただきたいと存じます。

 また、6月10日の中医協で、最近の円安の影響をどのように見るべきかという議論がありましたが、20ページにお示しいたしましたとおり、本年8月時点で、過去2年間の平均為替レートを見ますと、過去5回の改定時に用いられた為替レートと、おおむね同水準でございました。

 再算定に用いる為替レートは、従来1年間でしたが、平成22年改定より、2年間の平均為替に変更されております。これにより、円安局面でも、円高局面でも一定程度の激変緩和効果が発揮されていると見られます。

 次に、その他といたしまして、21ページから23ページまで、保険医療材料専門組織からの意見について、原価計算の特例について、体外診断薬業界からの要望について、記載していただきましたので、あわせて御検討をいただければと思います。

 説明は、以上でございます。

 続いて、先進医療技術工業会より、意見を述べさせていただきます。

○先進医療技術工業会(フィルエイグレス)

 ありがとうございます。AdvaMed、先進医療技術工業会のエイグレスです。日本語ができませんので、通訳を使わせていただきます、申しわけございません。

AMDDからもお話を申し上げましたとおり、外国参照価格制度、再算定制度につきまして、業界の考えを申し上げますけれども、これについては、再検討いただくことを希望しております。

 過去10年間、内外価格差は、企業間の競争により、劇的に小さくなりました。

 ますます多くの関係者が、残っている価格差は、比較対象国の事業環境の違いによるものであることを理解しています。

 この違いには、日本特有の流通要件も入っておりますが、その点は、また、後ほど、お話があるかと思います。また、さらに構造的要因も含まれます。日本のすばらしい国民皆保険制度に起因するところの医療機関の多さなどがそうです。

 そして、このような構造的差異により、残る内外価格差を説明されることが明らかだと考えます。

 したがって、外国参照価格制度は、廃止すべきときが来ていると思いますし、また、本制度を継続せざるを得ない場合も、製造者がタイムリーに、日本に新製品を導入する活力をそぐような制度変更はされないようお願いしたいと思います。

 ありがとうございます。

○日本医療機器産業連合会(岩田)

 引き続きまして、医療機器(医療技術)に関する提案について、日本医療機器産業連合会の機器保険委員長の岩田より述べさせていただきます。

 これにつきましては、医機連、AMDDEBC、3団体を代表して述べさせていただきます。

 3ページ、医療機器(医療技術)のイノベーション評価に関する提案でございます。

 現行制度の問題点としまして、技術料で評価される医療機器については、改良がなされたものがC2申請の対象となるかどうか、今一つ不明確であること。

 また、新たな技術料を設定し、評価される医療機器に対し、求められる具体的な要件、評価基準等が不明確な点が挙げられます。

 その結果として、C2申請、技術料に関する予見性が確保しづらい状況がございます。特定保険医療材料ではない技術料で評価される医療機器についても、そのイノベーション、改良技術を適切に評価するため、保険適用の取り扱いルールの策定を御検討いただきたく存じます。

 4ページです。改良評価の視点を案としてお示ししております。

 例えば、検査、診断性能が向上し、その結果、より低浸襲、有効な治療選択などにつながるなど、改良評価の視点を明示していただき、それを満たす診断、治療医療機器の改良技術を評価していただければと存じます。

 診断の治療効果の向上、安全性の向上、低浸襲、小型軽量化、省エネルギー等、医療機器の改良は大変重要であり、最終的には、国民の医療水準の向上に寄与し、真に医療に貢献するものと考えます。

 このようなルールが整備されることで、企業にとっては、ビジネス上の予見性が確保され、研究開発の促進や、安定供給につながるものと確信しております。

 5ページ、保守維持管理コストに関する提案です。

 医療法での機器の保守管理が義務化され、8年目を迎えております。保守点検計画等の届出の要件化により、保守点検実施率が上がり、安全・安心確保の効果が向上している事例もありますが、以前、不十分な機器もございます。

 そこで、患者の安全・安心のさらなる確保に向け、特定保守管理医療機器全体の安全性向上のために、通則において、保守維持管理コストは含まれると明文化するなどの対応も必要であると考えております。

 6ページ、安全確保の推進における感染防止に関する提案でございます。

 感染防止は、基本的に全ての医療機器に共通して言えることですが、具体例としてデータがまとまっております内視鏡についてお示しさせていただきます。

 現状の問題点としまして、内視鏡の洗浄消毒は医療現場で行われておりますが、使用する消毒薬は、作業者への安全性、作業性に配慮したものに変更になってきております。

 このため、お示しするように、診療報酬上の評価と費用にアンバランスが生じております。

 また、近年、海外における十二指腸鏡による多剤耐性菌の伝播報告から、感染防止対策は、現場でより一層の徹底が求められております。

 診療報酬上の評価と費用のアンバランスから生ずる、さまざまな状況を打開するために、医療現場の実態に即し、最新・最善の消毒薬による洗浄消毒がより徹底されるように診療報酬上の手当を御考慮いただきたいと存じます。

 以上「医療機器(医療技術)イノベーション評価」「安全確保を推進するために」について提案をさせていただきました。

 ありがとうございました。

○米国医療機器・IVD工業会(加藤)

AMDDの加藤でございます。よろしくお願いいたします。

 ここから、流通についての発表をさせていただきます。

 お手元の「日欧の医療機器供給・流通の差異に関する調査」という資料をごらんください。5団体を代表して、この調査について御報告させていただきます。

 この発表では、日欧の流通の差、それが何によって生じているかをお示ししたいと思います。

 スライド番号1、これまで内外価格差議論の中で、内外価格差の背景について説明してほしいという要請をたびたび受けてまいりました。

 その一環として、左側に示しましたような日欧のコスト比較の調査を行いましたところ、メーカーに必要とされるコストが、日本のほうが高いという結果になり、それを中医協等で数度にわたりお示ししてまいりました。

 2番のスライドですけれども、このコスト比較調査に対して、幾つかの御質問や御意見をいただきました。

 1つは、製品及び適正使用情報提供・営業費が、日本のほうが高いというが、具体的にどのように医療機器供給・流通が異なっているのか。また、日本の場合は、フリーアクセスのため、非常に症例が少ない全国の病院に薄く、広く流通、供給しなければならないという問題があるが、内外価格差の問題は、国内でのいろいろな改善をやらないと進まないのではないかなどです。

 そこで、医療機器5団体で、外部のコンサルティング企業に委託し、この調査を実施いたしました。

 3番目のスライドです。今回行いました調査の目的、方法等です。調査目的は、日本と欧州の医療機器供給・流通の実態の違いを明らかにすることで、欧州の国としては、ドイツ、フランスを選定しました。調査方法は、面接、質問紙、それから文献です。

 4番目のスライド、ここは、まず、ペースメーカーの状況です。

 表の上半分にありますように、ペースメーカーにつきましては、日本の病院数が多く、欧州に比べると、症例の集約度は低くなっております。

 次に、製品流通ですが、日本では販売業者が行っているのに対し、欧州では、配送業者を用いてメーカーが直送しています。

 製品の使用方法や、使用に関するアドバイス等の適正使用支援は、日本では、メーカーまたは販売業者が行っていますが、欧州では、病院の医療者の中にスペシャリストがいるため、メーカーや販売業者は、適正使用支援を行っていません。これらの違いの背景は、後のスライドで御説明いたします。

 スライド5番では、人工股関節を示しています。

 症例の集約度は、ペースメーカー以上に日本では低い状況です。製品流通は、ペースメーカーと同じで、日本では販売業者、欧州では配送業者を用いてメーカーが直送しています。

 適正使用支援は、日本ではメーカー及び販売業者、欧州でもメーカーが行っています。

ペースメーカーと異なり、欧州でもメーカーが適正使用支援を行っている理由は、スライドの右下に、人工股関節のものをお示ししましたけれども、整形関係の手術の準備に必要な製品数等が極めて多く、症例の集約度が進んでいる欧州ですら、全ての製品について習熟するのが難しいからと見られます。

 スライド6番は、調査の背景分析です。

 まず、ペースメーカーについてです。欧州では、メーカーが配送業者を使って製品を直送しているのに対し、日本で製品物流を販売業者が行っているのは、日本の多くの医療機関には、医薬品における薬剤部、このような専門窓口がなく、販売業者が院内流通も担っていることが主たる要因ではないかと考えております。

 日本では、販売業者が、医療機関内の各部門からの注文に応じて、それぞれ直接お届けするのが通常のやり方です。これについては、次の医器販協様の発表の中で、再度、御説明します。

 適正使用支援についてですが、欧州で、外部からの支援が不要なのは、症例が集約されている結果、院内に医師やコメディカルのスペシャリストがいるためで、一方、日本では、そうしたスペシャリストがいる医療機関は限られています。

 次に、人工股関節ですけれども、製品流通については、ペースメーカーと同様です。適正使用支援は、日本も欧州も基本的に同様の状況です。

 ただし、日本の症例集中度は、欧州に比べて非常に低く、日本では、約3,500もの病院をサポートする必要があり、メーカー及び販売業者の負担は、極めて大きいと見られました。

 スライド7番でまとめております。

 日欧における医療機器供給・流通は、今回、調査した国及び製品では、製品流通及び適正使用支援の実施主体が大きく異なっていることがわかりました。米国は、欧州と似ており、先進市場では日本だけが異なります。

 結局のところ、各国での医療機器流通のこうした差異は、病院の体制に合わせて発展してきた結果であります。

 つまり、上流である病院の集約度や担う役割により、下流である流通の役割が決まってきた結果と考えております。

 今後、より一層の効率化に向けて、メーカー及び販売業者が努力をするに当たり、医療機関の協力が必要と考えております。

 以上です。ありがとうございました。

○日本医療機器販売業協会(浅若)

 医療機器販売業協会の浅若です。

 流通の実態から見た意見を述べさせていただきます。

 1ページ「医療機器流通に対する考え方」を説明いたします。

 我々の役割といたしましては、まず、全国津々浦々まで地域医療を支えるインフラとして、医療機器・材料の安定供給に努めてまいりましたが、特に、災害時の対応が重要であると思っております。

 先の東日本大震災におきましては、震災発生の翌日から被災地の医療機関、避難所を相当困難な状況下、訪問し、医療材料の供給並びに支援を行うことができました。

 役割の2番目としましては、医療機器の特性に合ったサービスを商品とともに提供しております。

 本日、後半におきまして、医療機器販売の経営の実態、コストの構造改善への取り組みについて具体的事例を挙げながら説明をいたします。

 2ページ、国内の医療機器流通の構造を示したものです。材料だけでなく、適正使用支援業務、この図で行きますと、青色の矢印でございますけれども、メーカー並びに販売業が医療機関に提供しております。

 3ページ、医療機器販売業は、汎用一般材料から医療機器まで幅広く取り扱っております。

 2の特定保険医療材料は、他の汎用一般材料、医療機器と比べて特徴に大きな差があるということが御理解いただけると思います。

 4ページは、医療機器販売業の特徴的なプロセスを示したものです。

 5ページ、適正使用支援業務について、整形外科手術の人工骨頭症例を用いて説明をいたします。

 左の上下の写真は、事前準備する手術機器とインプラント材料の一式です。1症例ごとに、これだけのものが準備されます。

 中央の写真は、手術機器の説明を行っているところです。

 右のほうは、手術が終わった後の返却時の機器と実際に使用されたインプラントを示しております。これだけのものを手配、準備しましても、実際に使用されるインプラントは数点ということになります。

 6ページ、こちらは、直近5年間の医療機器販売業の経営実態調査報告であります。

 売上高に対する販売管理費の比率は、平成23年を境に、それまでより1%程度下がっております。協会内の調査では、ICT化の推進、物流センター強化などの投資効果が出てきたと判断しております。

 また、下の表を見ていただくと、1社当たりの平均売上高は、平成21年と平成25年を比べると、約2倍になっておりまして、集約化が進展をしております。

 特に、平成23年以降、加速しておりまして、この傾向は、現在も進んでおります。

 7ページ、販売業のコスト構造について説明いたします。

 円グラフをご覧いただきたいと思います。左の青い部分が、先ほど申しました、適正使用支援にかかわるコストです。全体の33%程度を占めております。

 右側が、営業活動及び受注、通常配送、緊急配送の部分でありまして、全体の58%です。ICT化の推進、物流センターの集約、効率化によって、コスト削減につながったのは、この右側の黄色の部分であります。

 一方で、左側の適正使用支援業務は、患者さんの検査や、手術ごとの対応が必要でありまして、規模の利益を追求しにくい実態がありまして、加えて、高齢化が進展するとともに、症例が増加する傾向にあります。

 8ページ、こちらは、医療機関と販売業の関係について、概念図的に示したものであります。参考としまして、医薬品の流れも示しております。

 左の医療機器・材料を見ますと、複数の医療現場から、直接、我々販売業のほうに依頼が来ているということがわかります。

 9ページ、特徴的機能とコスト構造から、コスト削減に向けた、今後の取り組みの方向性と課題についてまとめました。

 取り組みの1点目は、医療機器流通に関する機能の集約化です。我々としましても、物流センター等の集約を進めておりますけれども、前ページの概念図にありますとおり、医療機関における一元的な管理が行われて、窓口の一本化ができると、さらにコスト削減につながると考えております。

 もう一点は、医療機器流通の電子化の促進が挙げられます。現在、メーカーと販売業との間で電子商取引が進んでおりますが、医療機関との間では、ほとんど行われておりません。

 全体効率化の観点からも、メーカーから医療機関までの一気通貫の情報ネットワークの形成が求められると思っております。

10ページ、まとめです。医療機器販売業としましては、既に申し上げたとおり、ICT化の促進、物流拠点の集約・効率化を図った結果、一定の効果が出ていると考えております。

 現在の保険医療制度のもとで業務を行う者として、流通コストの削減に資する効率化への取り組みを引き続き継続して、推進してまいります。

 要望としましては、今後、より一層の効率化・改善には、医療機関様の協力なくしては実現できないと考えられます。

 そのため、以下の具体的な施策の検討をお願いしたいと思います。

 まず、医療機関内に医療機器の保守管理や技術支援、製品発注・受け入れ等を一元的に行うための専門的な窓口の設置を推進するような施策。

 次に、医療機関と医療機器販売業の受発注の一元化電子化を促進するような施策。そのためには、商品コード体系の整備統一も必要と考えております。

 最後になりましたが、価格調査及び価格改定の毎年実施につきましては、先ほどお話がございましたとおり、販売業、医療機関双方に負担が増すことが考えられますので、反対の考えであります。

 参考資料といたしまして、補足説明もつけてありますので、お時間があるときに、参照をお願いしたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。

○印南部会長

 ありがとうございました。

 一とおりの御説明をいただきましたので、これより、質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。

 なお、時間が限られておりますので、恐縮ですが、発言の冒頭で、御質問なのか、御意見なのかをおっしゃってください。

 また、医療機器の業界団体の方からの御発言につきましても、各団体で、原則お一人の方にお願いしたいと思います。発言は、簡潔にしていただきますよう、お願い申し上げます。

 それでは、御質問、御意見等、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 ありがとうございました。

 4つの発表がありましたが、団体の名称は言いにくいので、何番目の発表についてということでお話しさせていただきたいと思います。最初の御意見、御説明の資料についてでございますが、8ページ目の下のほうで、黒い上のほうのマークの1のところです。先発品は特許で必ずしも守られていないという記載があるのですが、これについては、どうして、そういうことが言えるのか、教えていただきたいと思います。これは、質問でございます。

 次に、13ページに、再生医療等製品の話が載っておりますけれども、これについて、現時点では、少なくとも、有効性が十分ではないものもあるのではないかと思うのですが、再生医療等製品というのは、我々は、画期的に利くもののような気がするのですけれども、ある専門家の方に言わせると、そうではなくて、漢方のようなものだというお話お聞かせいただいたことがあります。それについて、どのように認識されているのか、話をしていただきたいと思います。これも質問でございます。

 それから、18ページの上の四角の下のほうに、内外価格差の原因として、国民皆保険・フリーアクセスを背景とした医療機関の多さということが書いてあるのですが、これは、違うと思います。これは、前回の改定のときにも、たしか、そのようにおっしゃって、お話をさせていただいたと思いますが、そうではなくて、もし、そうした医療機関の多さということがあるとすれば、我が国の医療制度の特徴として、皆保険のずっと前の、明治中期以降、1世紀以上にわたって病床を持って開業するという仕組みがあって、その結果、中小病院とか有床診療所が多いこと、もう一つは、専門医が開業するという仕組みがありますので、専門的な治療が、多くの医療機関でできるという背景はあると思います。これは、日本型の特徴であり、そこが、身分型のヨーロッパや、開放型のアメリカとは違うと整理をしている学者の方もいらっしゃいますので、御理解いただければと思います。

 さらに、22ページの原価計算方式の加算ですけれども、原価計算方式というのは、もともと言い値で、我々は、それを詳しく知ることができないということなので、詳細な資料を提出していただくのは当然であって、それを加算というのは、おかしいと思います。これは、意見でございます。

 次の陳述の資料でございます。医療機器(医療技術)に関する提案ということで、3ページ目の「医療機器(医療技術)イノベーション評価」というところに、改良がなされた場合という文言が一番上にありますけれども、この改良の程度が問題であって、そこが明確になりませんと、簡単なものでも改良だということでは、それを新たに評価することは難しいと思います。これは、意見でございます。

 5ページ目に「保守維持管理コストの明文化」とあります。我々現場としては、保守維持管理コストが非常に高いのではないかと思っており、その引き下げが必要だと思っていますので、そうしたことが伴いませんと、なかなかそれだけを明文化するということは難しいと思います。購入の場合には価格交渉ができても、保守管理のコストとは、業者が固定してしまいますので難しいということがありますので、そうしたとも考える必要があると思います。これも意見でございます。

 3つ目の「日欧の医療機器供給・流通の差異に関する調査」についてでございますが、その1ページ目の青い四角の一番下に、コスト構造の差異の原因として薬事規制の差異があると書いてあります。それは、どういう意味なのか、教えていただきたいと思います。これは、質問でございます。

 以上、幾つか、質問と意見を述べさせていただきましたので、質問についてお答えいただければと思います。

○印南部会長

 それでは、水谷様、お願いいたします。

○日本医療機器産業連合会(水谷)

 最初の質問のところなのですけれども、8ページのスライド、特許で必ずしも守られていないというところなのですが、医薬品など先発品、構造特許などで縛られておりまして、先発のメリットがあるわけなのですけれども、医療機器の場合は、先発メリットがありません。要するに、なかなか特許というので守られていないということで、先発品の何か既得権といいますか、先発権というのを特例という形で、今回、守っていただいているわけで、そういう違いがあるということで、ここは書かせていただいております。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 再生医療について、先ほど、漢方のようなものだというお話がありましたけれども、全く漢方とは違っていまして、再生医療は、ここにスライドの1314で書いてありますように、個々人の細胞をとるとか、オーダーメード、ベリフィケーション等、一つ一つやるという、今までと全く違ったアプローチだろうと、私は考えております。

 それで、一番重要なのは、どの程度の有効性が出るのかと、これは、厚労省、PMDAの方が検証されるので、それに基づいて有効であれば、これは採用しましょうというのが、今の仕組みだというふうに考えております。

 先ほど、もう一つ、御意見ということで、明治以来の医療の施設の成り立ちのお話がありましたけれども、多分、その歴史については、先生おっしゃるとおりだろうと思いますが、現在の病院、診療所ではなくて病院です。これを見ると、かなり数が多いというのは、欧米と比較しても言える。多いか、少ないかというのは、その絶対数ではなくて、その結果として何が出てくるかというと、いろんな専門の症例数が、かなり分散している。これは、既に、この中医協の場とか、いろんなところで議論されていると思いますけれども、これについては、やはり、日本全体の医療をどうしたらいいのかということの議論の一環にしてほしいなと思います。

 なぜかといいますと、先ほどから幾つか説明していますけれども、やはり、卸、メーカーも医療があるからその仕事をやるわけであって、決して病院がないのに流通をやっているわけではないのですね。ですから、病院の側の事情によって、全部下が、私たち、上流と下流と言っていますけれども、全部影響されます。やはり、その病院の体制のことが基本的には、大きく全体に影響を及ぼしているというのは、多分、誰も否めない事実だろうと考えております。

○米国医療機器・IVD工業会(加藤)

 そうしたら、最後の鈴木先生の御質問の薬事規制の差異というところですが、これは、一言で申し上げますと、欧州がCEマークという第三者の機関による認証であるということ。日本は、PMDAによる承認であって、必要なデータ等々、それから、取得にかかる期間等が違うということでございます。

○印南部会長

 鈴木委員、よろしいですか。

○鈴木委員

 ありがとうございました。

 国民皆保険との関係は、今、お話をしていただきましたけれども、これは、診療所の場合だけではなくて、有床診療所、中小病院あるいは大病院でも、創設者がベッドを持って開業して、長い間に発展して、大病院に成長したという場合もありますので、そういうところが、公立、公的な病院が多い国々とは少し違うということです。ただ、同じく医療機器を使う治療にしても、集約化が望ましいものもあるでしょうが、例えば、高齢者の股関節の置換術のように、頻繁にそうした手術が必要であって、集約化というよりも、身近なところで受けられたほうがいいという場合もありますので、我々は、一概に集約化すればよいとは言えないと考えております。

 以上です。ありがとうございました。

○印南部会長

 ほかに、白川委員、お願いします。

○白川委員

 どうも御説明、大変ありがとうございました。業界としての御意見は、十分中身は理解させていただきました。

 最初に質問を何点かさせていただきますが、1つ目は、、最初の資料の10枚目のシートでC1/C2収載時期の見直しの話です。余り気がつきませんでしたが、医薬品と材料で保険収載のタイミングが違うということでございますが、これは、歴史的な経緯もあると思われますが、これは事務的に現状はどのようになっていて、これを変えることは可能かどうかということについて、事務局にまず、1点目として質問させていただきます。

 それから、まとめて質問を申し上げますが、2つ目は、資料の11枚目のシートで、原価計算方式における営業利益率の見直しのお話で、御主張がよく理解できなかったのですが、現在、使われている原価計算方式の営業利益率の5.7について、それをどのデータを基に見直して欲しいと言っているのかがよくわかりません。実態として専業メーカーの数値を見ますと、営業利益率は8.3までいっております。これが、何故このようになっているのか、私もよく理解できませんが、この8.3を使って欲しいという文書になっておりますが、これはどういうことなのでしょうか。8.3という営業利益率を使うと、専業メーカーの営業利益率はこの図で見るとさらに上がるという話ですが、何故そのような主張をされているのかがよく理解できないので、どのような御要求の趣旨なのかということについて業界の方に御説明をいただきたいというのが2点目でございます。

 3点目は、13枚目、14枚目のシートで再生医療の話ですが、オーダーメイド云々の話は、特に、今回薬事承認された心筋シートのようなものを想定されていると思いますが、この中で理解できないのは、未回収金の発生という項目がございまして、作ったけれども使われないケースが出てくるということが書かれておりますが、これはどのような意味なのでしょうか。例えば、心筋シートの例で言うとどのようなことを想定しているのかということを御説明いただきたいということが3点目です。

 4点目は、16枚目のシートで、消費税増税時の価格改定の取り扱いで、一番下に材料価格は円単位だから安い金額、単価のものは全部切り捨てられてしまうという話だと思います。それが何故問題なのかが私はよく理解できませんが、消費税では一般消費財は全て銭単位は切り捨てるという考え方になっていると思いますが、なぜ材料だけこのような要求をされているのかということが理解できないので、その辺の理由について御説明いただきたいというのが4点目です。

 質問は以上でございます。

○印南部会長

 それでは、まず、事務局のほうから、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 最初の御質問について、事務局からお答えいたします。

 保険収載は、現在、年4回となっておりますけれども、当初は年1回でありまして、4月に保険収載しておりました。

 それ以降、保険収載のタイミングが年2回となった歳に、4月と10月となり、現在の年4回にする際に、1月と7月が追加され、1月、4月、7月、10月になったようでございます。

 また、医薬品は、薬食審のスケジュール等を考慮して運用されていると聞いております。保険収載のタイミングをどうしていくかということは、医薬品とセットという具体的な提案でもあり、次期改定に向けて、議論をしていただければと思っているところでございます。

○印南部会長

 どうぞ。

○日本医療機器産業連合会(水谷)

 医機連の水谷から、原価計算方式の件につきまして答えさせていただきます。

 今、医療機器の場合ですと、医療機器産業実態調査というものが使われておりまして、これが500社、約55兆円の規模の売上高の調査を対象としまして、5.7%というのを弾かれています。

 実際、医療機器の売り上げ、先ほども説明させていただきましたが、2.6兆円ということで、2.6兆円の売り上げに対して、55兆円の売り上げの会社の営業利益率を適用しているというのは、実態に合っていないのではないかということで提案させていただいております。

 実際、医薬品の場合ですと、産業別財務データハンドブックというものを利用しておりまして、これは、売上高上位の大手上場企業を主体とする34社の数字を使っております。医療機器、医療材料の場合ですと、そういう大手が余りありませんので、公表されているデータがないということで、この数字を使っているわけなのですけれども、例えば、その中でも、専業と兼業を分けると5.78.3ほど違いますということで、我々は、今回、その採用するデータの見直し、どういうデータが、今、実際に入手可能で公的なものがあるのかというのは、いろいろ調べているのですけれども、まだ見つかっておりません。ですけれども、この5.7%というのは、C/C2の適用の原価計算方式について採用するというのは、現状に合っていないということで、今回指摘させていただいております。

 以上です。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 白川先生、先ほど、心筋シートのことで御質問がありましたけれども、患者さん御本人の骨格筋をとって、培養して、最終的にはシートにして埋め込むのですが、例えば、患者さんをAさんとした場合、Aさんのものを、これからやりますよと、それで、骨格筋をとりましたと。それから、培養に入って、何月何日ごろにぴったりではなくていいのですけれども、手術をやると。したがって、それに向けて用意をするということになるのですけれども、やはり、出てくるケースとしては、そのときに手術ができない、何らかの事情で、症状が変わったり、何かいろんなことがあって、それから、お亡くなりになるというケースもあるのです。そうすると、心筋シートも事前につくりつつあるのですけれども、結局、それが使えなくなってしまうということがございます。という意味でございます。

○米国医療機器・IVD工業会(関口)

 消費税についてでございますが、参考資料の34ページになりますが、特定保険医療材料の場合には、その単価設定が1つの個数のものばかりではなく、例えば、1平方センチメートル当たり、または1センチメートル当たりという形で指定されているものもございます。

 また、複数の医療材料が使われるというような場合もございます。一般的な消費税の計算の場合には、購買されたものの合計額に対して消費税が計算されるということになっておりますが、このような、例えば、単位ごとの価格設定がされております、医療材料においては、例えば、それが1平方センチメートル当たりの単価が設定されていたものが、100平方センチメートルの使用をされた場合でも、合計額ではなく、1平方センチメートルの償還価格の100倍という価格設定になっております。

 そうしたわけで、価格設定自体に消費税が乗せられないというような場合が生じており、これが、一般的な消費税の計算と差異が出てくるところであると思います。

○印南部会長

 白川委員、お願いします。

○白川委員

 どうも、御回答ありがとうございました。

 今の御回答に基づいて、若干、意見を述べさせていただきたいと思います。

 最初に簡単な話でございますが、消費税の話は、税務当局と相談して欲しいとしか言いようがない話で、消費税が上がるのであれば、医療材料についても銭単位を切り捨てないで欲しいと読めますが、それは本末転倒といいますか、話が全然違うことだと私は思います。それは、こういう事態が発生しているので何か解決策はないかということで、業界として税務当局と御相談いただく話で、はっきり申し上げて、中医協で議論する話ではないと申し上げたいと思います。

 それから、利益率の話ですが、医療材料で原価計算方式というのは非常に件数が少ないので、過去にどうだったかということは、私もよく承知はしておりませんが、何かのデータを使うということはそれなりの理由があって行ってきているわけで、これがおかしいと言うのであれば、なぜおかしいのかということを論理立てて御説明をしていただかないと検討のしようがないとしか言いようがありません。

 医療機器開発企業の実態で見直してほしいということは、現在の利益率をリテインしてくれと聞こえますが、そういうことではないと私は思っております。世の中的に適正な利益を得ていただくということは、もちろん否定はしませんし、それが次の開発につながるということも当然でございますので、適正な利益を確保していただくということについては、むしろそうあるべきだと思いますが、それはやはり、根拠、論拠が必要と思いますので、ここでの御指摘の論拠では、私は弱いであろうということを意見として申し上げておきたいと思います。

 それから、中尾会長のお話で、心筋シートの場合はそのようなことが起こり得るということは理解できますが、再生材料全体についてどうかという話は、また別の面もあると思われ、まだ軟骨、皮膚、心筋シートのように非常に例が少ないこともございますので、御指摘は理解できますが、いろんな議論を経た上で徐々に固めていかざるを得ないと、今時点では考えおります。

 もう一つ、内外価格差の話が流通のことを含めて議論になっておりますが、内外価格差が縮まってきたから、外国価格との調整は必要ない、やめるべきだという御意見は、私は非常に乱暴な意見だと思っております。

 内外価格差は、別に医療機器だけではなく、あらゆる消費財で当然あるわけでございまして、それが、仮に非常に不合理な理由で発生しているものについては、これを解消するような努力をしていかなければならないと思いますが、現在、日本には多くの病院が存在し、それぞれの病院が総合病院のような形で、かなりレベルの高い様々な診療を行っていただいていることは、国民的には非常にありがたいことでございます。従って、そもそも内外価格差が問題だと言われても、国民的には何を言っているのだと言わざるを得ないと思います。

 高コストになる懸念があるので、様々な努力をして内外価格差を埋めていくために、中医協でも議論をしており、業界の方々も努力をしていただいているということは認識しておりますが、これは単に業界が頑張れば済むという話ではございませんので、業界の方も医療機関にそれを要望していただき、流通の方も、例えば電子発注にして欲しい、コントロールセンターのようなものを医療機関につくっていただけないか等と要望することは当然だと思いますし、我々も、このような意見は支持をしたいと思いますので、ぜひ医療側も前向きに御検討いただければと思っております。

 意見としては、以上でございます。

○印南部会長

 ほかに御意見、長瀬委員、お願いします。

○長瀬委員

 確認なのですけれども、先ほど鈴木先生も言われた、35分の18ページの再算定制度について、本制度の廃止を引き続き要望するというのがありますね。

 残っている内外価格差があるとしたら、それは、国民皆保険フリーアクセスを背景とした医療機関の多さなどの構造的差異によるとあります。このまま読むと、国民皆保険フリーアクセスをやめてほしいというふうにとられかねないのですが、そういうふうに思っているわけではないのですね。

○米国医療機器・IVD工業会(加藤)

 それは、そういう意図ではございません。先ほど来、中尾会長も上流、下流というふうに申し上げておりますけれども、まず、国民に対する医療の提供のあり方を決めていただいて、それに対して、適正な下流、すなわち産業側の体制を構築し、そのために必要なコストは見ていただきたいというのが趣旨でございます。ありがとうございます。

○長瀬委員

 確認でした。

 もう一つよろしいですか。3つ目の「日欧の医療機器供給・流通の差異に関する調査」のまとめの3.「今後、より一層の医療機器供給・流通の効率化に向けて、メーカーおよび販売業者が努力をするにあたり、医療機関の協力が必要と考える」とあります。これに連動すると思うのですけれども、4つ目の10ページの「流通改善に向けた今後の取組み及び要望」には、「医療機関内に医療機器の保守管理や技術支援、製品発注・受け入れ等を一元的に行うための専門窓口(例えば『医療機器管理室』など)の設置を推進するような施策」とあります。しかしながら、これは、大きな病院では行っているのだろうと思うのですけれども、小さなところはなかなかできないのが実情だと思うのです。

 ですから、診療報酬改定で、こういうものに手当ができればいいのかなと思っています。

○印南部会長

 ほかに、花井委員、お願いします。

○花井圭子委員

 ありがとうございました。

 質問なのですけれども、最後に御説明いただきました9ページのところの「流通の効率化・コスト削減への取り組みと課題」というところで2つ挙げられておりまして、今、質問で出されましたように、1つ目のところなのですが「医療機関へのインセンティブなど」と、これは、診療報酬で何らかのインセンティブをということをおっしゃりたいのかという質問。

 それから、下のICT化のところで、後ろのほうに資料がついておりまして、今の時代で、手書きでファックスでやりとりしているということなのですが、これは、そんなに多いのですかということと、それから、今の段階で、そういうやりとりをICTというか、パソコンを使ってやるとか、そういうことが進んでいないということを示して、なぜ、今どきこういうことが起こっているのか、そのあたりを教えていただければと思います。

○日本医療機器販売業協会(浅若)

 スライドの8番をご覧いただきたいのですけれども、今、医療機器・材料に関しましては、スライドの8番の左側です。ご覧いただきましたとおり、医療材料とか、そういうところに関しては、用度さんが窓口で発注されることが多いです。

 それに関しましても、附属資料につけましたとおり、まだ、電子的な発注とか、そういうものが進んでおりませんので、医療現場の実態としましては、このような形での発注が、まだまだ現場は多いというのが実態でございます。

 あと、例えば、一元的に扱う部分の話なのですけれども、医薬品の例を見ますと、このように薬剤部が全てコントロールをしていると思っておりますけれども、医療機器・材料に関しましては、各現場の、例えば、ドクターとか、技師さんとか、看護師さんのほうから直接販売業のほうに問い合わせがあるというのが実情でございます。ここら辺が、その都度、それに対して対応していくということで、複数の担当者が、それに対して、その都度対応しているというのが実情でございます。

 そんなことでよろしいでしょうか。

○印南部会長

 どうぞ。

○日本医療機器産業連合会(中尾)

 その点は、非常におくれていると思います。1つの理由は、窓口のこともあるでしょうし、それから、品目数が薬に比べて、ちょっと今、倍数を忘れましたけれども、品種が何十万件あるのですね。

 もう一つは、これは、中医協の場の話かどうかわかりませんけれども、先ほども白川先生がおっしゃった合理化できるところは、みんなで合理化すればいいのではないかというのですが、そのとおりで、実は医療現場や流通で使われているコードが一元化されていないのです。薬は、既に一元化されています。

 今、コード体系が、大きくは5つ、6つあって、細かいものになると、病院ごとに全部コードが違うのです。

 したがって、コンピュータでつなぐということが、なかなかできていない。これは、我々としては、業界としては、UDIという統一コードを推進したいと考えています。それと同時に、病院と卸の間のコンピュータネットワークを、MDネットという業界団体で推進をしようとしているところです。コンピュータのことは、いろいろとできると思うのですけれども、やはり、コードがばらばらだと、物すごく手間暇かかるのです。これは、ちょっと薬と同じように、コードは統一化すべきだろうと考えています。

○印南部会長

 よろしいですか、ほかに、安部委員、お願いします。

○安部委員

 日欧の医療機器流通差異に関する調査の中の資料で、ちょっと教えていただきたいのですが、4ページ目に、参考として、不整脈医療機器に関する専門試験というふうなものが書いてあって、メーカー、販売業者の人が1,700人、医療従事者が105人と書いてあります。この方がいろいろ適正使用に対するサポートをしているという御説明だったのですが、この事例では、不整脈治療機ですけれども、その他の医療機器等で、こういう専門試験のような資格化したというものが、ほかにたくさんあるのでしょうか。

 そして、その資格を持った人がサポートをしているという実情があるのでしょうか、教えていただければと思います。

○米国医療機器・IVD工業会(加藤)

 御質問ありがとうございます。

 こちらに出ている不整脈治療機器の例は、まさに御理解のとおりだと思いますけれども、ほかのものについては、特に、私どもとしては承知しておりません、この分野が非常に特殊だと認識しています。

○安部委員

 特殊な事例であるということはわかりました。

○日本医療機器販売業協会(浅若)

 あと、販売業協会の資料をごらんいただきたいのですが、22ページになります。MDICという資格がございまして、これは、日本医療機器学会さんの認定になるのですけれども、CDRは、不整脈のほうの話なのですけれども、それ以外の医療機器学会さん認定の専門資格の認定という制度を行っていまして、その中で、専門的な対応ができるようにレベルアップをしているという現状がございます。

○印南部会長

 ほかに、御質問、御意見等ございませんでしょうか。

 ありがとうございました。ほかに御意見等もないようですので、関係業界からの意見陳述については、ここまでとさせていただきたいと思います。

 本日の予定された議題は、以上です。

 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 本日の保険医療材料専門部会は、これにて閉会といたします。

 なお、基本問題小委は、5分間の休憩の後、委員が着席しましたら、開始したいと思います。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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