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2015年9月8日 歯科診療情報の標準化に関する検討会(第6回)議事録

医政局 歯科保健課

○日時

平成27年9月8日(火) 14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 第8会議室


○議題

1.平成27年度歯科診療情報の標準化に関する実証事業の計画案について
2.その他

○議事


○竹田主査 

ただいまより歯科診療情報の標準化に関する検討会(第6回)を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき、誠にありがとうございます。

 新任委員の御紹介を申し上げます。今回より、日本歯科医師会常務理事の小枝委員に加わっていただいております。よろしくお願いいたします。また、本日は参考人として、新潟県歯科医師会の松崎様、瀬賀様に御出席いただいております。また、オブザーバーとして、警察庁刑事局の金平課長補佐をお呼びしています。

 引き続き、事務局に異動がございましたので、御案内申し上げます。課長補佐の川畑です。

 なお、今回の検討会につきましては公開となっておりますが、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 それでは、進行を座長にお任せいたします。よろしくお願いいたします。

 

○住友座長

 平成 26 年度の会議が 3 3 日だと思いますが、最終でございました。平成 27 年度のこの会議の日程調整が結構大変で、これだけのメンバーにそろっていただくのは、事務局としても非常に大変だったと思います。したがって少し遅くなりましたが、それだけ内容が充実したものになっているという理解でよろしくお願いいたします。

 本日は、議事次第にあります議題、「平成 27 年度歯科診療情報の標準化に関する実証事業の計画案等について」ということでの御意見を頂きたいと思います。時間も限られておりますので、会議の進行に御協力のほどお願い申し上げます。

 事務局から、本日の資料の確認をお願いいたします。

 

○竹田主査

 本日の資料です。議事次第、資料一覧、座席表、名簿です。事務局より提出させていただいている資料 1 「歯科診療情報の標準化に関する実証事業」の概要と今後の展望について、参考人から提出いただいている資料 2 、平成 27 年度モデル事業計画 ( ) 、玉川委員から提出いただいている資料 3 、厚生労働科学研究「歯科診療情報に関わる電子用語集構築とその有効性検証に関する研究」がございます。また、参考資料として、参考資料 1 「歯科診療情報の標準化に関する検討会」設置要綱、参考資料 2 「歯科診療情報の標準化に関する実証事業」仕様書、参考資料 3 として、前回 3 月に行われました検討会の議事録です。乱丁・落丁等がございましたら事務局までお知らせください。

 

○住友座長 

それでは議事に入ります。最初の議題として、事務局で準備していただいた今年度の事業についてお聞かせください。

 

○和田課長補佐

 資料 1 について御説明いたします。資料 1 「歯科診療情報の標準化に関する実証事業の経緯と今後の展望について」です。後ほど新潟県の歯科医師会様より詳しく御説明を頂くことになっておりますので、私からは簡単に御説明させていただきます。既に御承知の内容も多いことと存じますが、本事業のこれまでの経緯等について、まず簡単に御説明させていただきます。

 資料の上段の囲みに「経緯」ということで記載しております。本事業を開始するに至ったきっかけについては、東日本大震災の身元確認において、身元不明遺体の歯科所見と生前歯科診療情報の照合による身元確認の有効性が改めて示されました。ただ、その一方で、被災に伴う情報収集の在り方、歯科診療情報が統一化されていないという課題を踏まえ、平成 25 年度から、歯科診療情報の標準化を目的として本事業を開始したところです。なお、本事業については平成 25 年度から、新潟県歯科医師会様に事業委託をしているところです。

 各年度の事業概要です。一番左の平成 25 年度については、まず電子カルテなどの既存データの有効性に関して検証を行ったところです。実際にモデル事業の中で、レセコンデータを活用したところ、約 65.7 %の対象者について、検索リストの上位 1 %の絞り込みが可能になったということが分かっています。

 他方で、レセコンデータとは別に、患者の口腔内からマークシートで収集した歯科診療情報についても検証を行っており、マークシートは電子カルテよりも情報量が多く、絞り込みに関しては有効な結果が得られることが分かっています。ただ、マークシートに入力する方式ですので、情報収集には手間と時間を要することが課題として挙げられたところです。

 こうした平成 25 年度のモデル事業及び検討会の内容を踏まえ、その右隣ですが、平成 26 年度の事業となります。こちらも同じく、事業の委託先である新潟県歯科医師会様において、歯科診療情報を標準化するためのデータ様式を作成いただき、データの保存様式や内容の在り方について検討を行ったところです。

 その右の平成 27 年度です。後ほど委託事業者である新潟県歯科医師会様に詳しく御説明を頂きますが、平成 26 年度に作成いただいた口腔状態標準データセットについて、 ADA のデータセットなども参考にしつつ、フィジビリティ(実現可能性)が確保されるよう、更に検証することなどを予定しています。

 さらに、平成 28 年度の予定です。 8 月末に公表された概算要求では、今年度と比較して増額要求しております。イメージしている事業内容は、今年度の事業の進捗状況にもよりますが、平成 27 年度に実施した事業を踏まえ、情報提供機能及びバックアップの方策を示したサンプルプログラムを作成し、複数のベンダーで使用できるようにするための検証を予定しているところです。

 なお、これに関連して、参考資料 2 「歯科診療情報の標準化に関する実証事業」の仕様書を配布しております。本仕様書に従って、厚生労働省において企画競争による入札を行った結果、新潟県歯科医師会様に事業を委託していることを御報告申し上げます。

 

○住友座長

ただいまの資料 1 に基づいた事務局の説明に関して、御質問・御意見がございましたらお受けいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは続いて、事務局からお話がございました今回の事業委託先の新潟県歯科医師会から、平成 27 年度モデル事業計画 ( ) の説明をお願いいたします。

 

( 一社 ) 新潟県歯科医師会松崎参考人

 新潟県歯科医師会の松崎です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。新潟県歯科医師会は、この実証事業を受託して 3 年目になります。これも一重に座長の住友先生、東北大学の青木先生をはじめ、検討委員の先生方の御尽力の賜と、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 既に先生方は御存じですが、平成 25 年度は歯科診療情報の生前情報として 26 項目を策定し、これは極めて高精度に絞り込みができることが判明しています。平成 26 年度はこれを基に、データ形式を 8 つの階層型にいたしました。これは 28 項目では多すぎるだろうという御意見があり、 5 項目で十分に絞り込める、あるいは海外との互換性を考えればもっと詳細に生前情報を策定すべきと、いろいろな御意見を頂き、この階層型にいたしました。この階層型は、どのような分類でも対応できるというメリットがあります。また、改めて分かったことが、この階層型にすることにより、平成 25 年度事業で行った照合ロジックと比較して、約 10 %絞り込みが高まりました。すなわち、歯科情報の非常に少ないレセプトコンピュータから 76 %の絞り込みが可能になったということが、昨年度に判明したということです。

 それを踏まえて今年度は、口腔状態標準データセットの拡張並びに海外データとの互換性の検討、拡張したデータセットのフィジビリティの検証を行います。また、データをどうバックアップするかについても検討を行う予定です。最終的には本日の結果を踏まえ、しっかり遂行できるように取り組んでいきたいと思います。

 詳細については、担当の瀬賀から説明いたします。

 

( 一社 ) 新潟県歯科医師会瀬賀参考人

 新潟県歯科医師会の瀬賀でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。私から、平成 27 年度モデル事業の実施計画案を御説明させていただきます。お配りの資料の中の資料番号 2 と、横長の「口腔状態標準データセット 2015.3.24 版」を御覧ください。

 資料 2 2 ページを御覧ください。今ほど御説明がございましたが、この事業は平成 25 年度にスタートし、今年は 3 年目を迎えることになります。私からは、先ほど和田様から御説明もありましたが、簡単にこの事業について御説明させていただきます。

 経緯等についても先ほどの御説明のとおりなのですが、東日本大震災における経験を踏まえ、大規模災害時に歯科所見を用いた身元確認を効率的に行うためにということで、歯科診療情報の標準化事業がスタートしております。

1 年目の平成 25 年度に新潟県歯科医師会においては、会員の歯科医療機関に御協力いただき、実際に歯科医院に来院された方の同意を得た上で、 39 医療機関、合計 1,763 名分の歯科所見をマークシートに記録いたしました。これを匿名化した上で、デジタル情報に変換しております。もう 1 つの歯科情報として、新潟県内において、昭和 49 年より県内の事業所において共同でレセプトの電子請求を実施しております。現在は、この ASP 方式により、センター方式ということで、会員の先生の多数がこのレセコンを利用しております。新潟県においてはこういった背景があり、このセンター方式の利用の会員の先生、先ほど御説明しました医療機関で記録した 1,763 名分の歯科情報を含んでいるレセコンから抽出した歯科情報、合計 1 3,381 件分の情報について、同じく患者の同意を得た上で匿名化し、比較照合等の実験を行っております。

 実験の中では、 1 人対全体の総当たりの照合だけではなく、皆さん御承知のとおりですが、御遺体の検視という特殊な環境を考慮し、故意にエラー情報を付加いたしました。例えば歯の情報が欠落している、歯が何本かないような状況といった記入ミスを想定し、実験を進めております。

 その結果ですが、マークシートで記録した歯科情報については、直接患者を診察したほぼ理想的なデータと言えますが、これだけの情報量があれば、検索リストの上位 1 %以内にヒットしてくることが分かりました。 1 %と申しますと、例えば 1,000 名の場合は 10 名以内に絞り込みが可能ということが分かっています。また、今お話申し上げました歯科情報の欠落・記載ミスがあったとしても、若干精度は劣化いたしますが、それでも比べますと非常に高い精度で絞り込みが可能であることが分かっております。

 もう一方のレセコン抽出データです。レセプトから抽出した歯科情報です。これは、あくまでもレセコン内部に保存された歯科データになりますので、あくまでも保険診療に基づく情報しかありません。もちろん、その医院以外で受診された内容等は含まれておりませんから、そういった情報を用いた中でも、上位 1 %の絞り込みとして、約 66 %の対象者の絞り込みが可能であることを実証しました。これが平成 25 年度になります。

 続いて、スライド番号の 3 を御覧ください。「標準プロファイルの 26 項目」と赤い字で書いてありますが、こちらが今お話申し上げました平成 25 年度に策定した「標準プロファイル」と呼んでおりますが、その 26 項目になります。前回の検討会等でも参考でお出ししておりますが、私どもはピンク色のマークシートを作成しましたが、このマークシートがこの項目に基づくものになります。

 この 26 項目を策定した経緯なのですが、ベースとなるマークシートの素案については、この厚生労働省の平成 25 年度よりも前、平成 24 8 月に三重県四日市市で開催された第 11 回警察歯科医の全国大会の発表に向けて、私どもは既にマークシートの素案を策定しております。このマークシートについては、日本歯科医師会作成のデンタルチャート等を基にし、実際に東日本大震災ですとか、そういった身元確認業務に従事された先生方の御意見をお聞きしながら検討し、その後も試行錯誤を繰り返しながら、マークシートの改良を重ねるとともに、こちらにある 26 項目を策定するに至ったという経緯がございます。先ほどの御説明のとおりですが、この 26 項目の情報量があれば、極めて高精度に絞り込みが可能です。そのようなことが分かっております。

 続いて、スライド番号 4 を御覧ください。平成 26 年度の事業です。平成 25 年度に策定しました標準プロファイルを基に検討し、こういったものを進めてまいりました。その中で、各県の歯科医師はもちろんですが、警察関係者の方々、法歯学者、法医学者等も含め、そういった方々に御意見を伺いました。いわゆる歯科的個人識別のために、どのような分解能の歯科情報が必要であるかを広く意見聴取を行ったところです。こういった意見聴取を行った中で、我が国においては歯科情報の詳細度に対して、必ずしも統一した見解があるわけではなく、ケース・バイ・ケースに様々な場合があります。生前情報と死後の情報が異なる場合、異なる分解能を持っているケースも想定する必要があります。

 先ほど御説明した部分と重複しますが、こういったいかなる場合であっても、歯科の情報の詳細度の違いに柔軟に対応できるデータの在り方を検討し、こちらの平成 25 年度に策定したデータを階層構造に再定義したものが平成 26 年度にあります。先ほどお話しました、こういったデータを階層構造としたことにより、レセコンの抽出データは平成 25 年度では約 66 %の絞り込みでしたが、これが階層構造で整理されたことにより、約 10 %の精度が上がり、 76 %になっております。

 一番下にも書いておりますが、このデータ形式については、米国の歯科医師会 (ADA) 作成の法歯科のデータセット、 forensic dental data set といったものがありますが、これを参考にしており、この互換性についても配慮しております。

 スライドの 6 番、併せて横長の A3 の表を御覧いただければと思います。これについては、前回の検討会においても資料として提出しております。こちらが、ただいま説明いたしました階層型のデータセットです。左側にいくにしたがい、情報量が非常に粗くなりますし、歯があるのかないのかとか、逆に右にいくにしたがって、もっと詳細な情報、治療された歯であれば、その部位、どの面に治療がなされているのか、材質はどうかといった詳細な情報を持つことになります。

 ここで御注意いただきたい部分ですが、このデータセットは歯科情報を納める器と御理解いただければと思います。あらゆるシーンで、この全ての項目を使って歯科情報を記録するということでは決してありません。比較照合する歯科情報が、例えば 5 分類であれば、そのレベルに応じた階層、この黄色の部分を全部埋めるのではなく、その階層に応じた部分で照合していく。同じく 2 分類であれば、その階層での比較照合ということです。例えば横長の表で言いますと、上から 4 層目ぐらいのレベルで比較照合していく。そのようなイメージで捉えていただければと思います。当然状況によっては、例えば 5 分類とかいう話で申し上げたとおり、いろいろな記録の方法があるかと思いますが、こういった 5 分類としてデータに記録することはあるかと思います。様々な情報の詳細度の違いに対応できる階層型のデータセットを策定したことが、平成 26 年度までの事業の成果になります。ここまでが、昨年度までの事業結果の報告になります。

 スライド番号 6 です。こちらからは今年度で、私どもが今回、モデル事業ということで受託させていただいたものです。こちらを御説明申し上げます。

 今年度の事業案としては、大きく 4 項目掲げております。 1 として、口腔状態標準データセットの拡張ということで、口腔状態標準データセット ( 階層構造 ) を拡張することと、もう 1 つは、海外歯科データとの互換性に配慮することです。 2 番目は、拡張したデータセットのフィジビリティ検証です。拡張したデータセットの表現能力について、総合的・多面的に検証します。 3 番目はデータバックアップの検討です。歯科情報の保管・バックアップについて検討します。 4 番目に、歯科レセコン等への実装に向けた検討です。レセコン等への機能搭載に向けたデータ仕様の検討です。順を追って説明いたします。

 スライド番号 7 を御覧ください。 1 「口腔状態標準データセットの拡張」です。今年度事業の中でも最も比重の大きなもの、かなり労力を使うものと考えております。今ほど階層構造によるデータセットについて御説明いたしましたが、これをもう少し拡張して、身元確認に資するより多くの情報を網羅できるようにいたします。

 また、 ADA で定義しています歯科法医学のデータセットがあります。この分解能を目安にすることに加え、我が国の保険診療制度を十分に考慮した、独自のデータセットを策定いたします。このデータセットの検討においては、昨年度と同様で、昨年度も WG を設置して検討してまいりましたが、今年度も同じく WG を設置して検討していきます。既に第 6 回の検討会に先駆けて、準備段階として何人かの先生にお集まりいただき、検討を開始しております。本日の検討会において、本年度事業について合意が得られましたら、早速正式に WG を立ち上げ、この事業をすぐにスタートさせたいと思っております。このデータ拡張については、本事業に御協力いただいている青木委員からも、技術的な部分も含めて後ほど補足いただければと思います。お願いいたします。

 一方、このデータセットを考える上でポイントとなるのが、 ISO の動向になります。 ISO については、前回の第 5 回検討会においても御説明がなされておりますが、今日も御出席でいらっしゃいますが、日本歯科医師会の小枝常務理事から、 ISO の動向に関して情報提供をいただいており、意見交換もさせていただきました。私どもがデータセットの検討をする上で、大変参考になる情報であり、日本歯科医師会様には改めて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。今後も日本歯科医師会様と連携を取りながら、こういった ISO も含めた情報収集に努めてまいりたいと思っております。

 この ISO の部分ですが、現在、冒頭から御説明申し上げています ADA 作成の資料を基に意見が交わされていると伺っております。当然のことながら、日本国内の標準化を考える上でも、この ISO の動向は注視していく必要があります。こういった ISO の議論でされている部分の整合性もそうですが、そのほか、海外の歯科データとの互換についても配慮していく必要があると思っています。それが、現在考えているものになります。

 続いて、スライド番号 8 を御覧ください。今、話をしていた部分ですが、イメージとして捉えていただければと思いますが、現在取り組んでいる歯科情報の標準化情報が赤い部分です。この赤い部分と、右側に水色の部分がありますが、これが ISO ADA の歯科情報です。この相互変換を考慮いたします。私どもの標準化事業と並行する形になりますが、厚労科研事業が実施されております。今日は玉川先生も御出席されておりますので、後ほど御説明があるかもしれませんが、双方の関係はこのようなイメージであると私どもは捉えております。

 スライドの 9 を御覧ください。今年度事業項目の 2 番目の「拡張したデータセットのフィジビリティ検証」です。歯科情報としては平成 25 年度に収集した歯科情報があります。会員の先生から御協力いただきまして収集した情報になりますけれども、このデータを用い、新たなデータセットにおいて今回拡張しますが、そういったデータセットにおいて、現行の歯科レセコンがどういった情報を持っているのか再確認を行う予定です。当然歯科情報を用いますので、倫理委員会などにも御相談しながら、対応を進めていきたいと思います。

 こちらについては、この WG においてデータセットの拡張を検討しながら、具体的にどのようなものにするかを検討する予定ですが、まだデータ形式の拡張の部分が見えていないものですから、この辺は WG で検討しながら、逐次進めてまいりたいと思っております。

 続いて、スライド番号 10 です。 3 「データバックアップの検討」です。標準化事業において、データ形式がどういったものかが固まってきますと、今後はそのデータをいかにして保管するか、バックアップはどうするかといった議論が必要になってくると思います。今回は第 6 回目の検討会ですが、私は平成 26 年に開催しました第 2 回の検討会の際に御説明申し上げたところですが、歯科情報を消失する原因として、東日本大震災のように医院自体が津波に流されてしまうようなケースもありますし、カルテなどが法定の保存年数によって消失する可能性もあります。レセコンですとリースで入れておられる先生もあると思いますが、リースの終了に伴う歯科データの消失もあるかもしれません。そのほか、例えば歯科医院の廃業、世代交替などもあると思います。第 2 回の検討会でも申し上げましたが、歯科医師の高齢化という問題です。日本歯科医師会の会員の平均年齢が 50 代後半と言われております。新潟県歯科医師会の会員の平均年齢は 50 代半ばぐらいの年齢構成です。新潟県ですと、直近で年間 10 件近くの歯科医院が高齢等で廃業しております。以前にもお話をしたとおり、 1 歯科医院当たりでカルテ 5,000 枚ほどという話も聞いておりますが、 10 件の歯科医院が廃業されると、 5 万人の歯科情報がなくなってしまう可能性があります。こういった歯科情報の様々な分野での保全については、これまでは対策が講じられておりませんでしたが、こういった点を踏まえて、想定される事例を提示しながら、今後のデータのバックアップについて検討してまいりたいと思っております。

 スライド 11 です。 4 番目の事業項目ですが、「レセコン等への実装に向けた検討」です。こちらは以前にも御提示しておりますが、冒頭にお話のありました次年度以降の事業を見据えて進めていきたいと思いますが、標準化されたデータをレセコンから書き出したり、個人を検索する機能をレセコンに装備することに向けて、検討してまいります。

 スライド番号 12 です。「標準化によって可能になるもの」が書いてありますが、今お話申し上げたものが 4 項目、新潟県歯科医師会で検討している今年度事業の内容になります。冒頭にお話申し上げましたように、私どもは事業を受託して 3 年目になります。平成 25 年度、平成 26 年度と、標準化に向けて着々と成果を上げてきたものと思っております。今年度もしっかりと事業を遂行し、こういった将来的には歯科診療情報の標準化により、社会に大きく貢献できるような形で努めてまいりたいと思いますので、本日も御検討いただければと思います。

 

○住友座長

 青木委員から補足はございますか。

 

○青木委員

 まだ紙を用意しておりませんので、補足と言っても、どのような拡張を考えているかということでお話を差し上げたいと思います。なお、本件は準備段階でいろいろな先生方に御協力を頂いていまして、とりわけ東大の井田先生には大変御苦労をおかけしております。玉川先生から御紹介していただいたのですが、大変有能な先生で、いろいろ伺っているところです。

 先ほどの口腔状態標準データセットの横長の資料で言いますと、いわゆる右側に行けば行くほど詳細度が上がっている、より細かい情報になっています。左側に行くと粗いわけですが、抽象的な概念になっていきます。そのときに、まずは右側のほう、より詳細なものについて追加を行っていこうと考えております。例えば、一番上の例ですと、インプラントがあって歯冠補綴と書いてありますが、どんな補綴があるのかというその先は一切書いてありません。そういったものが、例えば鋳造冠なのか、前装鋳造冠なのか、あるいは歯冠色の補綴なのかといったようなところも書いていくというか、入れ物として準備をします。構造は歯のデータセットについては変えずに、詳細なところを追加していくという格好です。

 その追加の度合いが、米国の標準である ANSI/ADA 1058 というドキュメントがありますが、これの詳細度と大体合うぐらいの所まで持っていけば、お互いに標準にコンバートできるのでないかと想定をしています。

 それから、歯のデータセットですが、その下の Concurrent Tooth Descriptor 、「補足的な歯の記述子」と日本語で書いてありますが、ほとんどまだ定義をしておりません。こういった部分、今、見えているのは歯冠の状態とか外傷性の状態、もう少しこういうものを強化していく。そのほかにも歯根の状態、根尖の状態、歯周の状態、あるいは歯の位置に関する特徴、例えば近心・遠心転位とか、そういったもの。それからその他の異常に関しても、この補足的な所に追加をしてまいりたいと考えています。

 これが歯 1 本ずつの表現ですが、複数の歯にまたがる構造物はこのままだと当然書けませんので、例えば義歯のデータセット、これは拡張可能な格好で、今は歯式だけがあるような状態で、部分床義歯と全部床義歯ぐらいしかありません。こういった所はいろいろなものが追加されてくることになります。例えば、維持装置の種類などについても追加が行われてきます。

 それから、ブリッジについても同様で、もう少し拡張を行っていくということです。それから、必要に応じて矯正装置なども複数の歯にまたがるということで、どのように表現するかは検討してまいります。

 もう 1 つ大きいのは、口腔組織のデータセットということで、いわゆる歯 1 1 本ではなく、口腔組織、例えば軟組織、あるいは硬組織、あるいは全体的な咬合とか、こういったところの表現も必要であろうということで、専門の先生、口腔外科の先生などにも入っていただいて、 1 からきちんと ADA の分解能程度まで持っていきたいと考えております。

 それから、準備段階で議論をしているのですが、材料のデータセットは別に要るだろうということです。ですから、口腔組織のデータセットと材料のデータセットは 1 から追加していく必要があるだろうと議論しています。材料のデータセットというのは、例えば歯冠用の材料とか、ポストコア用材料、ポンティック用材料とか、義歯の人工歯用、あるいは床用材物とか、いろいろなものが入ってきます。今、説明が不適切で失礼しましたが、口腔組織のデータセットと材料のデータセットは、ここにありませんので、 1 から作っていくという格好になるということかと思っています。

 諸外国の標準も十分にらみながら、特に ANSI/ADA 1058 というドキュメントがあって、この話を申し上げましたが、実際には現在の標準化の動きとしては、日本歯科医師会も参加されておりますが、 ISO の標準が国際的には進んでおりますので、そこも相互変換性を考慮しながら、ある意味で日本のデータセットとして恥ずかしくない形に定義していくのがよろしいのではないかと考えています。以上です。

 

○住友座長

 参考人に確認ですが、前回の会議が 3 3 日で、このデータシートの大きい版は 3 24 日版になっていますが、この間に何か追加・変更はあったかどうかの確認をしておきたいのですが。

 

○青木委員

 ないです。

 

○瀬賀参考人

 ないです。注釈の部分に若干追加がありますが、データセットそのものの変更はありません。

 

○青木委員

 大丈夫です。

 

○住友座長

 分かりました。それでは、今、松崎・瀬賀両参考人と青木委員から、このモデル事業に関する説明がありました。これについて御質問・御意見がありましたら、お受けしたいと思います。委員名を言っていただいて、発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 青木委員に質問ですが、口腔組織のデータセットというのは、遺伝子情報とか、そういうものを意識しているのか、ほかにどういうものを意識しているのですか。

 

○青木委員

 今のところ、まだ全然議論していないので、無責任なことは申し上げられないのですが、例えば、口腔の軟組織あるいは硬組織の典型的な状況、例えば分かりやすいのは硬組織ですと、骨折とか外骨症ですが、そういったものを場所(部分)と一緒に定義していくというのが ADA などでも採られていますが、そういったものについて定義を行っていく必要があります。余り細かい病理のほうに入っていくのではなくて、大体大ざっぱに、例えば骨折線があります、こういう位置にありますといった情報を提示していくという格好になるのではないかと思います。これはまだ素案を差し上げておりませんので、その先はこれからの議論になるのではないかと思います。

 

○住友座長

 なければ指名をさせていただいきます。柳川委員、何かありますか。

 

○柳川委員

 柳川です。データのバックアップが、今年度の事業でも 1 つの大きな柱だと思います。先ほど和田補佐からも、平成 28 年度の事業の展望が出され、大まかな御説明はありましたが、平成 27 年度の新潟の事業でデータバックアップに関してどの辺りまで、また、平成 28 年度についてはどの辺りまで期待をされているかということを、厚労省から御説明があると有り難いのですが。

 

○和田課長補佐

 平成 27 年度については、新潟県から事業 ( ) として御説明を頂きましたが、データセットの作業がどれだけ進捗するかにもよると思います。基本的にイメージをしているものが御提示があったように、それぞれデータ保存場所の問題、あるいは保存方法に関する問題等、幾つか想定される事例が考えられると思いますので、そういったものを、まず御提示いただき、御議論いただくということになろうかと思います。

 恐らくスケジュール的には、今年度中に結論、方向性というところには至らないかもしれませんが、まずは議論をするきっかけとして、そういったものを御提示していただければと思っています。

 

○柳川委員

 今日は課長もいらっしゃっていますが、病院とか大きな医療機関に比べて歯科医療機関は小規模ですので、診療情報のバックアップについても遅れをとっていると思います。その辺りも含めた、視野に入れた検討になるのかどうなのか、そういうことまでお考えか。例えばバックアップする保管方法とか場所の問題がありますが、その辺りまである程度方向付けることを、この事業で期待されているのか、そうではないのかということがありましたら、お答えになりにくいかもしれませんが、いかがでしょうか。

 

○和田課長補佐

 繰り返しになって申し訳ありませんが、少なくとも今年度に関しては、私どもは基本的な情報を幾つか整理させていただくことが、まず初めの作業だと思っています。その上で、ある程度、この委員会の中で議論が収斂されれば、先生がおっしゃったような方向性の議論も出てくるかと思います。まずその前段として、いろいろな情報やケースを御提示していただくのが最優先だと思っていますので、この点について御了解いただければと思います。

 

○住友座長

 診療現場でやっておられる方々の御意見を頂きたいと思います。小室委員、何かありますか。

 

○小室委員

2 つあります。 1 つは、最初に厚労省から説明があった横置きの資料ですが、これは身元確認においてのことを考えますと、各診療所、 A B C がありますが、ここで所見に従ってデータベース化してもらうということなのだろうと思います。これの右側上のほうに矢印がありますが、矢印の先端が少し明らかではなく、どこに位置するのかがよく分かりません。標準化されたデータベースがあるとすれば、身元不明死体の所見については、いわゆる被災地のほうから各診療所に対して、矢印が反対側に向くのではないかと思います。このままですと矢印の部分が何を指しているのか不明ですが、これは特別、何かお考があるのでしょうか。

 もう 1 つは、 5,000 人規模の診療所の所見を標準化するわけです。 5,000 人規模の中から探し出すということを考えますと、前に何度も申し上げていますが、余り細かい項目は要らないことになります。何十万人というデータが集まって、ピックアップする際の状況をいろいろ考えておられますが、診療所の 5,000 人規模のデータの中から選び出すというのは、さほど難しくないかなとも思います。それとの整合性がこの会議の中でうまくできているのかなと思ったりします。

 さらにもう 1 つ言いますと、海外との整合性を図るために、いろいろなことを考えるというのは、もちろん大切ですが、海外の歯科データの情報は今後変化する可能性があるのではないか。一度作ったものに対して、また海外で変わってしまったら煩雑ですから、その辺のこともお伺いしたいと思います。以上、 3 点です。

 

○住友座長

 矢印の部分が何を指しているのかは事務局から答えられますね。

 

○和田課長補佐

 あくまでも事業概要を分かりやすい形でイメージとしてお示ししているものなので、今後はこの検討会での議論の方向性とか、事業の内容によっては、少し詳細に先生から御指摘いただいた部分も踏まえて、修正したいと思います。

2 つ目の問題につきましては、先ほど新潟県の歯科医師会からもお話がありましたが、情報が粗いもの、あるいは詳細なもののどちらかを必ず選択していただくということではなくて、それぞれの医療機関あるいはベンダーのシステムに応じて選択をしていただくための箱を作っていただくという整理です。決して小室先生の御意見を否定しているわけではなくて、あらゆる選択肢を考慮している段階だと承知しています。

3 点目につきましては、新潟県の歯科医師会の青木先生からお答えいただいたほうがと思います。

 

○青木委員

 海外の標準というのは、標準化作業の過程で当然変わってくる可能性もありますし、あるいはそれに準拠しない国も当然あるということで、いろいろなものを想定しなければいけないということです。実際には小室先生がおっしゃるように、この形式でなければ絶対うちは受け入れませんという標準だと、ちょっと柔軟性がないので、海外の標準が少々違っている、あるいは国際標準に準拠していない状況でも、入れ物としては受け皿があるような格好にしていくというのが、非常に大事な観点ではないか。そういうことを考えています。

 それから、なぜ ISO を見る必要があるのかということですが、分解能を同じ程度の所まで持っていっておけば、そのデータを変換したときの変換効率というか、有効性ですね、相手が細かいのに、こちらは全然それを受けられない、あるいはこちらのデータを相手に渡せないということの何パーセントまでできるかという変換効率を考えた場合に、海外の標準的なものと合わせておくと、変換効率が上がると思いますので、そういう意味で準拠というわけではなくて、それを見ながら、日本の制度に合ったものを作るということではないかと思います。

 

○小室委員

 何パーセントというのはピックアップされる確率ですか。

 

○青木委員

 そうですね。つまり、向こうでこういうデータがありましたというときに、こちら側に変換したときに、こちらに入れ物がないと使えない状態になります。捨てなければいけないということになりますから、そういったところをできるだけないようにするには、分解能をある程度合わせておくといいのではないかという考え方です。

 

○小室委員

 第 1 点目ですが、矢印の不明な部分というのは、いわゆる将来的にバックアップに関わってくるような気もするのです。いわゆるバックアップをするところの物理的な位置も含めてですが、何箇所かになるのか、 1 か所に統一するのか。そういうのは厚労省側として、将来的な思惑みたいなものがあるのでしょうか。

 

○歯科保健課長

 バックアップの点ですが、図が、いささか不適切な部分がありますので、まず、当面我々が想定しておりますのは、バックアップについては、各医療機関が独自にバックアップをしていただく、いわゆる倉庫のような感覚です。

 もう一方は、今の ICT 化の現状を考えますと、データそのものをクラウド化で、かなり共通の管理などをしていただくことも当然可能かと思います。ただ、後者については非常に技術の進展が速い分野ですし、当面は私が申し上げました、各医療機関が独自にバックアップをしていただくという方法を前提にしつつ、クラウド化のようなものを一定程度想定はしています。

 

○住友座長

 今の議論はよろしいですか。これは青木委員にお願いします。 ISO における日本のリーダーシップというか、これがかなり強いと、前回か、その前の会議で出ていました。これには今お話のあった体制をとって、それを ISO に持っていくということで、かなり日本がリーダーシップを持ったものになっていくのではないかという期待感があります。そこはどのように考えておられますか。

 

○青木委員

 私が担当ではないのですが、知り得る範囲で御参考までに。私が聞いている範囲では、米国と日本とヨーロッパの 3 極があります。米国と日本はある種、共同提案のような格好になっておりまして、そこでベースになっている考え方がこういう階層型の情報表現をとっています。つまり、昨年来申し上げている ADA のドラフトと言いますか、米国の標準になっています。こういうものであれば、日本の保険診療に対応するようなところをうまく考えていきますと、階層構造ですから非常に柔軟に吸収できます。つまり、「うちはこういうことを言わないよ」という場合は、分解能をちょっと粗くして、その分吸収する。あるいは細かい、例えば面の情報があるというのであれば、面の情報まであちらから頂くとか。そういうデータの変換ができるので、やはり階層構造で比較的柔軟なデータセットを定義したいということで、米国と日本が一致しているということです。

 そういう意味で言いますと、非常に意見が一致していて、今は NP 投票と言いますか、いわゆる米国流のそういう階層構造のドラフトが、 ISO の標準化委員会に出ていて、それに対して大体賛成なのかどうなのかという投票が行われる状況になっております。

 日米の共同提案になっていますので、日本としては、それでいいということなのですが、日本の保険診療のほうが、逆に言いますと、非常に組織立っていて、用語もかなり統一されており、概念的にも整理が早いものですから、そういったものをうまく取り入れるようにという意見を申し上げています。それが東北大学の佐々木啓一先生がやっておられることではないかと思います。

 

○住友座長

 これは新潟の 12 番の「標準化によって可能になるもの」では、これまでの議論で、そのようになっている。だけど、やはり並行して考えておく必要があるのだろうと思います。小室先生、何かありますか。

 

○小室委員

 くどくて申し訳ないのですが、青木先生がおっしゃった「面」が大事だという話がありましたが、「面」というのは、この人が誰であるかという最終的な個人識別のときに重要な項目なのかもしれません。スクリーニングするときの何万人から何百人くらいの、あるいは何十人分くらいの方々を選び出すときは、「面」というのは効果がないと思っています。

 個人的にインレーが入っていて、それが OL なのか OD なのかというのは、最終的な局面が来たときの状況であって、スクリーニングにはそんなに効果がないと歯科法医学を専攻する人は、そのよう思っています。あえて「面」を入れたということは、何か特別な理由があるのでしょうが、こういうのを見ると、毎回、何となく奇異に感じます。スクリーニングが目的なのか、 1 人だけを選ぶことが目的なのかということは大きな違いがあると思います。所見の標準化の目的はスクリーニングであって、 1 人を選択する事を目的にしてはいけないと思いますが。いつも奇異な思いを感じながら、検討会に参加しています。あくまでもスクリーニングは、 1 人を選ぶのが目的ではないということです。

 

○住友座長

 それは平成 25 年度にした議論なのですが。

 

○小室委員

 いつも気になっています。

 

○住友座長

 青木先生何かありますか。

 

○青木委員

 おっしゃることは非常に理解できるのですが、現在の状況で、細かいことを言うといろいろあるのですが、 1 つは、現在のレセコンの状態で、今のお話ですと、絞り込みの確率が 8 割弱です。というのは、もし、ちゃんとしたマークシートで取ったデータが全部あるという状況であれば、先生がおっしゃるように、非常に理想的な絞り込みができるのですが、レセコンの情報というのは、非常に限られていまして、当然 1 号用紙の状態も余り入っていない、治療されている部分だけしか入っていないという状況ですので、先生が抱いている印象よりは、 1 %の絞り込みが 8 割弱ということで、少し性能が低いなという印象になっているのです。

 そういう意味で言うと、細かい情報が、将来のレセコンなり、電子カルテなり、あるいは 1 号用紙が入ってくるようになると、それはスクリーニングという意味でも、かなり効果が出てくるのではないか。それは当たり前と言えば当たり前ですが、そういう想定が第 1 点あるということです。

 ですから、詳細度が高くてもスクリーニングの性能が変わらないのではないかということについては、今はそういう情報が入ってない状況のレセコンがほとんどですが、それがどんどん電子カルテ的になると、その性能が上がってくることは、まずあるということです。それがまず 1 つです。

 それから、いわゆる入れ物としては、できるだけ細かいほうがいいのです。そこの 1 点に尽きると思います。例えば警察が、こんな細かい所の情報まで入れて検索するかとか、それはまた別問題で、例えば警察のところで作業的には 5 分類で行くのだ、 4 分類で行くのだということで全く構わないのですが、生前情報で拾えるものはできるだけ拾っておきたいというのが個人的な思いです。生前情報であるのに、例えば無くなってしまうとか、そういうことはできるだけ避けて、詳細な部分まで定義しておく。ただ、「これは使わない」という場合は使わなければいいということなので、それはそれでいいのではないか。標準としては、できるだけ情報を救う方向で、安全パイを見込んでこうしているというふうに御説明していただいていいのではないかと。特に法歯学の分野には。

 

○小室委員

 安全パイはそうだと思います。最終的にこの人であるということを決めるときには、たくさんの情報があったほうがいいわけですから、たくさんのことを書いておけばいいわけです。それは当然だと思います。

 いつも思うのですが、スクリーニングの話をしながら、個人識別の話になってしまっていて、議論が錯綜しています。聞いていてもいつも落ち着かないという感じです。あくまでもスクリーニングの立場で収まった話をするのか、個人識別まで持っていっての話をするのかということになると、少し違ってくるはずなので、そういうことを言いたかったのです。

 

○住友座長

 小枝委員、お待たせしました。

 

○小枝委員

 私はこちらに初めて来させていただきましたので、的が外れたことを言いましたら御容赦願いたいと思っております。

 先ほどからの御説明の中で、いろいろな形で、この実証事業の仕様書から拝見させていただきますと、まず第 1 に、標準化の議論は、多数の身元不明遺体に対する歯科所見による身元確認を効率的に行うことを目的に、これが始まったと伺っています。そういう意味で、先ほど御説明いただいた中で十分に理解するところでありますけれども、今の御議論の中でも、目的というのが ISO とデータをマッチングさせるとか、そのようなことは初めて伺ったという意味からすると、本来の日本国内で大災害が起きたときに、それに資するものなのかというところでちょっと疑問があります。

 先ほど、私の担当するところの歯科医師会で考えますと、平成 27 年度の実証事業 3 の「データバックアップの検討」で、鳥山課長からもお話がありましたけれども、何箇所かに分散してデータを保存するか、又は統一をするかと。統一する部分が一番理想的であるかとは思いますけれども、現在いろいろな形で、マイナンバーのこともありまして、個人情報ということで非常にうるさい状況です。医療の情報に関しても、 2020 年をめどにということで、お話が政府のほうからもあるということでして、直近で、明日、明後日に災害が起きたときにどうするかを、まず我々歯科医師会の立場としては考えるべきではないかと思っています。そういう意味では鳥山課長がおっしゃったように、個人の歯科医院でいかにその情報を保護して、バックアップをする形を作っていくかが私たちの使命であるかと思っています。

 それともう 1 つ、今の御議論の中で疑問と言いますか、いかがなものかなというところで、このデータセットが果たして現在、レセプトコンピュータを開発している多くの企業において搭載が可能なのかどうかを、この場で伺っておきたいと思っています。

 

○住友座長

 多貝委員、お願いします。

 

○多貝委員

 日本歯科コンピュータ協会の多貝です。階層化構造ということで、詳しいデータがあれば、それなりに詳しく、なければ、粗い情報で記録できるような形で考えていただいているわけですけれども、その中で最も詳しい辺りというのは、保険診療の部分については、どこのレセコンについてもデータは存在していますので記録できるかと思います。自費診療の部分につきましては、それぞれ医院様ごとに使われているものをマスター登録されている部分もありますので、医院によって詳しく記録できる所とそうでない所があろうかと考えています。

 

○住友座長

 玉川委員、今のことに関して何か発言がありますか。

 

○玉川委員

 今ありました自費の部分に関しては、特に口の中から離れてしまう装置類に関して、青木先生が提案されているような階層構造をもたした材料とか形態とか、そういうものである程度までは絞り込みができる、標準的なものが提案できるとは考えています。

 

○小枝委員

 歯科のほうも電子請求がほとんど完了しつつある中で、やはりデータの照合にはレセプトコンピュータはどうしても必要だという議論のところで、診療情報をマッチングする上では自費の部分、それから保険の部分が対応可能かどうかの議論を深めていかなければいけない部分ではないかと。現場ではそういうところが一番気になるところではないかと思っています。私の意見です。

 

○住友座長

 これは後で、玉川委員のものにも関連していると思います。ここの所は一応これで切りたいと思います。小枝委員がおっしゃっているように、この検討会は、ここにも書いてあるように、「有識者により、身元確認に資する歯科診療情報の標準化について検討」で、このタイトルどおり、歯科診療情報の標準化なのですね。この新潟から出してくださった 12 番、これは標準化ができると、こういうものに応用ができるということでの議論があって、そこまで考えなくていいと言われればそれまでなのですが、可能性がかなり出てくる。ゆえに標準化が必要であるというような、最初はこういう狭い所からの出発だったのですが、逆にこういう可能性を期待できるというところも出てきました。ですから途中から入れられると少しぼやけた感じに思うかもしれません。ですけれど、あくまでも原点に戻るとその通りです。

 それでは工藤委員、何かありましたらお願いいたします。

 

○工藤委員

 特にバックアップ。この検討はいろいろなケースを想定してお願いします。というのは、山のほうですと、当然カルテの流出はないのですけれども、海側は全部流出しますので。階層については、先ほど小室先生が、あくまでもスクリーニングということですが、流出した時点で、もう生前情報はそれだけになってしまいますので、ある種、ピンポイントでピックアップできるというのは、期待はしているところです。

 

○住友座長

 関口委員、よろしくお願いいたします。

 

○関口委員

 先ほどの小枝委員のお話の中で、 ISO 準拠がなぜ必要になってくるのかという部分が、私も国内災害を考えているのだったら、どうしてそこまでというのは思っていたところで、今、ほかの目的も視野に入れつつというお話があったので、そこに関わってくるのかなとも思いますが、それでもなお、今一つピンとこない部分があるので、御説明いただけたらと思います。

 あと、データのバックアップのところでは、基本は各医療機関でどのようにバックアップするのかというお話なのですが、現行、レセプトコンピュータは相当普及しているわけですよね。そうすると、既に各医院でバックアップは行われているのではないかと思うのですが、そういった実情というのはどうなのかなと。私は実情を知らないものですから、教えていただければと思います。

 

○住友座長

 小枝委員、もし可能であればお願いします。

 

○小枝委員

 日常臨床で、当然請求業務としてレセプトコンピュータを使って入力をして、それによって請求をしていくということですけれども、オンライン請求の場合はセキュリティの問題があるため、個別に各歯科医院で診療のデータをバックアップしながら、それで請求するデータに関しては別途に基金とか国保連合会に送っていくという形が、今、歯科医院で一般的に行われていると御理解いただければと思います。

 

○関口委員

 レセプトコンピュータというのは、要するに請求業務に使うものだから、カルテとは違って、そもそもバックアップしていく必要は余りないものということですか。

 

○住友座長

 柳川委員、お願いします。

 

○柳川委員

 多分、和田補佐のほうが詳しいと思います。私の認識の範囲ですけれども、レセプト自体は電子化されてオンラインで請求したとしても、そもそもバックアップとかを目的とされていなくて、保険審査業務をやるためのものですから、確か、審査する支払基金とかそういう所では、画面上紙に起こす形で審査をしているような状況だと思います。

  それから ISO の件ですが、オリンピック、ワールドカップがありますが、海外の方がたくさん日本にいらっしゃって、そこで被災される可能性もある。あるいは、日本人が海外旅行をしていてそういう目に遭う可能性も十分あるわけで、実際にスマトラの地震のときには、フィンランドがこういうデータバックアップは進んでいるようで、実際にはノキアの携帯などで本国とやり取りをして、個人識別にかなり寄与できたと聞いています。

 

○歯科保健課長

 今、関口委員からお尋ねいただきましたバックアップの件ですが、本件につきましては、東日本大震災での教訓を生かして、歯科の医療機関そのものが津波等の被害に遭ったときのためのバックアップを想定していますから、医療機関以外の所にバックアップ機能を有するデータの保存を前提に考えている次第です。

 

○青木委員

 おっしゃるとおりで、歯科医院に CD で置いておくとか、これはもちろんやれることはやれるのですが、今おっしゃるとおり、そういう状況よりはもう少し、例えばデータセンタにバックアップというような想定は一番大事なのではないか、ということがまず第 1 点。

 それから、レセコンのメーカーさんごとの個別のデータ形式でバックアップをしていただいても、要は「筆ぐるめ」とか「筆まめ」とかと同じような状況でございまして、そうすると私のお手伝いをした経験では、その固有データの変換をどうするのかというので、また大変になってくるので、こういうデータにしておくということを決めておくというのが標準化です。そのときに、もうパッと、何箇月も開発をしなくても、そのデータはこういう形式でありますということであれば、非常に迅速に身元確認が進むということかと思います。

 

○関口委員

 もちろん、標準化した上でそのデータをバックアップすることの意味は分かっているのですが、そのバックアップが現場で今はどうなっているのかなというのを知りたかったのです。

 

○玉川委員

 今の関口委員の御質問では、私の知っている限りでは、医院の中を IT 化しておられる所では、必ず何らかの形で院外にいろいろな方法でセキュリティを守りつつ、バックアップを取っておられる例はあります。それをもう一度読み出すときも、先ほど工藤委員からお話がありましたように今は平時ですので、読み出しは問題ないということで、バックアップの目的のためだけに自医院のデータを、医院外の所に電子的に保存している例はあります。

 

○住友座長

 普及の必要があるのですね。

 

○青木委員

 そうですね。

 

○住友座長

 事務局から何かありますか、よろしいですか。この件につきましては、今日、できたら御承認をいただきたいと思っています。ですから、まだ御意見があれば頂いて、そして決と言いますか、承認の有無を取りたいと思います。何かありますでしょうか。

 

○関口委員

 仕様書の「データの収集・分析」の所で、協力機関等からデータを収集すると。実際のレセコンデータを収集して、それで実証性を検証するという趣旨が書いてあるように思ったのですが、新潟県歯科医師会さんの説明ですと、その部分は結局やらないということになるのでしょうか。 9 番の平成 25 年のときに収集した情報でやるというのを、その代わりにするというような、そういうことでしょうか。

 

○青木委員

 はい、そうです。

 

○住友座長

 瀬賀さん、よろしいですか。

 

○瀬賀参考人

 歯科情報につきましては、先ほども御説明申し上げましたけれども、既に平成 25 年度に収集した歯科情報がありますので、この情報を用いて実施しようと思います。ただ、これについては倫理委員会の審査とか、一応そういった手順をしっかり踏みまして対応させていただきたいと思っています。

 

○住友座長

 関口委員、よろしいですか。ほかにありますか。なければ、この「平成 27 年度モデル事業計画 ( ) 」に関しまして、御承認いただける方は挙手をお願い申し上げます。

                                    ( 承認 )

 

○住友座長

 ありがとうございました。

御承認いただいたということですので、この「平成 27 年度モデル事業計画 ( ) 」の ( ) を取って、これでいくということでまいります。

 次に、玉川委員から厚労科研に関する説明を頂くことになっています。よろしくお願いします。

 

○玉川委員

 お手元の資料 3 を御覧ください。先ほどの新潟県からの御紹介にもありましたけれども、今進めていますこの検討会の事業が、せっかくここまで来たのだから、もう少し将来を見て用語をきっちりと統一し、次は文法を決め、そして用法と言いますか、その文法がいつ使われるかを決めて、歯科の用語整理の道筋を付けてはどうかということがございまして、厚労省の科研に応募させてもらったところ、ではやってみなさいということになりました。

 資料 3 にございますように研究代表者が私で、あと、青木先生にも入っていただいています。それから小枝先生と小泉先生にも日本歯科医師会から入っていただきました。これは前任の先生からの引継ぎでお話がいっていることと存じます。それ以外にも、これまで病院の歯科システム部分で標準化にたずさわってきましたメンバーの中から、日大松戸の齊藤先生、新潟大学の鈴木先生、そして大阪歯科大学の末瀬先生に入っていただいて、まずは用語を広く網羅的に集めましょうということで研究班を構成しています。

1 ページの下側に「目的と背景」ということで書かせていただきましたが、歯科診療で使われている用語をできるだけ網羅的に収集しましょうというのが、 1 年度目の目標です。 2 年度目は、それを用いて、どのような情報の利活用ができるかということを検証しましょうというお話です。これは先ほど御説明がありました、この検討会の作業の延長上に位置付けて考えていただくと分かりやすい目的ではないかと考えています。

 背景といたしましては、実は歯科の標準化はそれほど進んでいないわけではなく、いくつかの部分につきましては、国際的に見てもしっかりとした内容が電子的に扱えるようになっています。例えば歯科の標準病名集は、齊藤先生たちを中心にして 2002 年から検討が始まっています。今は厚生労働省の標準規格になっていまして、歯科標準病名マスターというのが存在しています。これを使って、先ほどお話がありましたように基金に対して病名と歯式コード、それから後ほど説明しますけれども、診療行為のコードが電子的にやり取りできるようになっているわけです。

 その下に、電子レセプト請求に必要な診療行為等のことが書いてあります。これは基金と協力して電子点数表あるいは基本マスターとして、現在、入手可能な状況になっています。

 こういう背景で、では何をどのように進めていくかということですが、先ほどお話しましたように、まずは用語を網羅的に集め、その次は用語の使われ方、文法をきっちりと決めて、その次にどのような状況で使われるかを決めましょうということです。それらができますと、期待される効果としては、医科のコードと互換性を持った歯科の用語体系ができると考えていますし、災害時に備えて生前の口腔情報を標準の形式で蓄積できると考えています。先ほどレセプトコンピュータのデータバックアップの話がありましたが、バックアップしたデータを読み出すときに、同じ会社であれば問題ないと思います。しかしデータが、流れてしまい、他社の機械しかないという状況もあるかもしれませんし、読み出すためには、青木先生が言われたように変換しなければいけないという状況があるかもしれません。そういうところを何とかうまく解決できる、 1 つのモデルを作りたいと考えています。

 最終的には、前回、ここの委員でした歯科医師会の冨山先生から特に御要望があったのですが、歯科としては地域に出て行く強い方向性がありますので、そこで医科の先生たちと情報交換をきっちりとできるようにして欲しい。そういうところも視野に入れてコードの体系を考えてほしいと、お話を頂いていますので、そこまでを今回の研究班での研究対象にしたいと考えています。

2 ページで、では実際にどういう手順でするかという話です。各組織は病院であったりベンダーさんであったりいろいろですが、現在使われている電子的なマスター類を集めてきて、それを集約して内容に階層付けを行おうということです。これも階層構造を持たせ、粒度の粗い ( 抽象度の高い ) 情報と、粒度の細かい ( 抽象度の低い ) 情報を階層的に並べ、幾つかの用語集にまとめようと考えています。この用語集の中身は、右側に書いてありますように口腔状態の変化、すなわち、診療行為が加わるに連れてどう変化していくか。それから診療行為と口腔状態の関連、例えばインレーを装着しましたということになると未処置の歯が処置歯になるわけですし、歯を抜きましたということですと、あった歯がなくなるということです。診療行為と口腔状態は関連が大変深いですから、その辺りを整理したものになります。そして技工装置です。これは技工物を作るための技工装置ではなく、いわゆる歯科補綴物、歯科技工装置の意味です。そして硬組織の状態、軟組織の状態、歯の状態。これら 6 つか 7 つぐらいのテーブルに分けようと考えています。少しフォントが小さくなっていますが、これらの中に階層構造を持たせた用語を並べておこうということです。

2 ページの下ですが、全体としては歯式コード、歯の状態、歯以外の状態、歯科技工装置、修飾語と、 5 つぐらいの大きなエリアになるのではないかと想像しています。歯式コードに関しては、既に支払基金で使われているコードがあり、これは標準化が済んでいます。歯の状態に関しては、後ほど御説明しますけれども、この検討会で検討していただいている幾つかの状態がありますので、それを中心にツリー構造としてはもう少し拡大したものを想定しています。歯以外の状態は、先ほど青木先生から御説明がありましたけれども、軟組織の状態、顎関節も含めて解剖学的な場所を表すコード、あるいはその状態を表すコードを網羅的に集めたいと考えています。歯以外の状態ですと、支払基金に送っている歯の状態のコード、例えばインレーが近心に入っているときにどう表現するかとか、そういうものも範疇に考えています。

 歯科技工装置に関しては、いわゆる固定性のものと可撤性のものを分けて考えたほうがいいと考えています。固定式のものは歯の部位と、その装置との間の紐付けが大変強いのですが、可撤式のものはそうではなく、人工歯の並んでいる所と実際に喪失歯のある部位とは必ずしも一致しません。あるいはクラスプの状態も様々ですので、可撤式のものは少し違うコード体系が必要と考えています。その中には人工歯の材料とか、先ほど話がありました素材の色、あるいは素材そのものも含めて、いわゆる技工のオーダーあるいは技工録に書き込まれるような細かい粒度から、もう少し抽象度の高い部分床義歯、総義歯というような部分まで、大変複雑ではありますけれども、何らかのコード体系を作りたいと思っていて、これは末瀬先生に期待するところ大です。

 修飾語に関しては、上下左右とか近心、遠心ということで、これは既に基金の修飾語コードがありますから、それをうまく組み合わせるということになります。口腔状態を表現する用語は、ほぼ標準化ができているものと、もう少し検討が必要なものと半々ですので、その辺りの粒度を合わせたフォーマットにしたいと思っています。

3 ページですが、結局のところどこを目指すかということで、これはこの検討会でもお話させていただきましたけれども、初診時の口腔情報に対して、再診の都度更新される口腔情報があり、口の中とは離れてしまう歯科技工装置の情報があります。これらの 3 つが一緒になったところを口腔状態のスナップショットと呼んでいます。その定義は、「ある患者さんの最終来院時の口腔状態を、ひとつの医療機関にある電子データを用いて表現したもの」ということです。初診の情報を電子的に登録している所は少ないかもしれませんが、そこから始めて、処置が行われると口腔状態が変化していって、場合によっては口の中とは別になるかもしれない装置が入っているということで、最終来院時の口の中の状態を電子的に表現できるようなものを目指した用語体系ということです。

 初診時の口腔状態というのは、 3 ページの下にありますが、これは本院で使っている内容で、左側に、例えば金属インレーとか CR インレーと書いています。この辺りの用語をうまく吸収できるような仕組みです。これには病名コードで表現できるものがありますし、それ以外の技工装置として表現しなければいけないものもありますし、歯の有無だけで済むものもありますが、そういったものを吸収できるような仕組みを考えています。

4 ページにありますのがレセプト表示と病名の電文例です。これも、これまでにこの検討会で例をお見せしましたが、実際のレセプトには、こういう歯の部位と病名が一緒になって電文として送られています。その電文の内容を詳しく見ますと、歯のコードとして、例えば右上の 7 番は 101700 というコードです。右上の 6 番は 101600 というコードです。そのコードがずっと並んで 28 本分あって、最後に 5234009 という病名のコードがある。こういう形式になっていますので、これはこのまま利用できると思っています。右上 1 番の Per という病名も、 101100 に対して 5233010 というコードが付いていますので、これも部位と病名というのは既に標準の電子コードがあるということを示しています。

 診療行為に関しては、 4 ページの下にありますように、現在、カンマで区切られたデータが送られていて、例えば 313004510 というのは TeC を入れていますよということですし、その下の 313014910 というのは、硬質レジンジャケット冠を入れていますということですから、そういう内容も診療行為コードの中から引っ張ってくるということになり、今から標準化のために何らかの努力をする必要は、この部分はございません。

5 ページに、先ほど説明しましたコード体系の中身として、およそこういうふうに区分していきますということの例を示しています。口腔状態の表記、その他の症状・所見や再診の都度更新される情報も、およそ大分類、中分類、小分類の 3 分類ぐらいにしようと考えています。 5 ページに書いているのは、口腔状態の表記として歯、硬組織、軟組織、隣接組織、全身があり、歯の中分類には健全歯、処置歯、未処置歯、喪失歯、何々相当部というのがあるということです。更に健全歯の中には萌出している、萌出していないという情報がありますが、多くは厚労省の病名コードあるいは歯式コードで表現できると思いますので、右側にコードと書いている所には、現有のコードでどのコードを使えば実現できるかということが書いてあります。硬組織以下、軟組織、隣接組織、全身に関しては、 MEDIS から出ている医科の病名コード、あるいは基金の修飾語を使うと表現できると思っています。

6 ページですが、症状・所見に関しても MEDIS から出ているコード集がありますので、それを集めてきて分類するということです。再診の都度、歯の状態が変化する診療行為に関しては、基金には診療行為のコードはありますが、そのコードがあったときに、どういう状態から、どういう状態に変わっていくかというテーブルはありませんので、現在、そういうテーブルを作っているところです。

7 ページに関しては議論の多いところで、現在、末瀬先生と一緒に検討をしています。技工装置に関しては、技工装置の名称、素材、使用目的、保険で使う部位の 4 つの分類にして、技工装置名称の中分類は、ここに書いていますように有床義歯、レジン床義歯、あるいは模型というのもありますので、そういう中分類を用いようと考えています。それぞれ、どの時にそのコードが使えるか右側に書いてありますが、基金のコードを使ったとしても、先ほどお話が出ましたように、自費の部分に関してはなかなかうまく表現できませんので、この部分は、素材あるいは使用目的というものでカバーできるのではないかと考えています。

8 ページ以降に模式図が書いてあります。この模式図の全体が、今回作ろうとしている用語体系を示していて、その中の赤い部分が、現在、この検討会で既に検討が終わって、青木先生から提案がありました階層構造を持った部分になっています。それに対して今年度、少し拡張されますけれども、拡張していくものとして最終的な用語体系にしようと思うものをブルーで書いています。これはこれで決まったということではなく、今後議論を進めながら、もう少し枝を増やすとか、これとこれをまとめて 1 つにするとか、そういう議論がなされることを想定しています。

9 ページを見ていただくと、ブルーの部分と赤の部分が半々ですが、 10 ページを見ていただくと歯以外の組織に関しては、今のところ、この検討会で標準化案として出ている部分はほとんどありませんのでブルーになっています。

 歯科技工装置に関しては 11 ページにありますが、一部が出ていて、これ以外に自費のものを含めてこういう形で展開をしていきたいと考えているところです。

12 ページが修飾語の例で、これも赤い所がありませんけれども、修飾語としてこういう用語を網羅的に集めようとしているところです。

 多分、今お示しした 9 ページから 12 ページまでの用語を基に、いろいろな組織から集まってきた用語を足していく作業をするということで、現在、進行中です。概要として以上です。

 

○住友座長

 玉川委員、ありがとうございました。それでは、御質問・御意見を承りますが、いかがでしょうか。多貝委員、お願いします。

 

○多貝委員

 今、説明をお聞きして用語集ということですが、こちらのほうで網羅的に洗い出されたものの中で、今回、口腔状態標準データセットに盛り込むべきものがあれば、その拡張として加えていくという関係で考えればよろしいですか。

 

○玉川委員

 はい、そのとおりです。

 

○多貝委員

 ということは、こちらの用語集のほうが終わらなければ、標準データセットのほうの完成ということにはならないと考えればよろしいでしょうか。

 

○玉川委員

 方向としては逆でございます。拡張されたものが部分集合で、用語集のほうがもう少し外側の全体集合ですから、拡張案が決まれば用語集の中に入れるものも決まりますし、その他、集めてきたものもフィックスすれば、それで全体像が決まると思います。ということで、今年度中に拡張案と用語集の網羅的なものは決まると考えています。それでよろしいですか。

 

○多貝委員

 はい。

 

○住友座長

 この研究は今年度で、一応、完成するという理解でいいですか。

 

○玉川委員

 網羅的に集めるのは今年度で、 1 年度は幾つかのレセプトを、コンピュータを作っておられるメーカーのデータとして、どこに当てはめていけますかということを検証したいと考えています。

 

○住友座長

 それは平成 28 年度で、一緒に行うことになるわけですね。

 

○玉川委員

 そうですね。

 

○住友座長

 分かりました。学会レベルで言うと用語の統一というのは大変難しく、なかなか用語集ができないような状況ですが、このやり方というのは非常に乱暴ですけれども、うまいやり方ではないか。すなわち、電子用語集情報を構築するということで、ある程度の統一を図ることができるのではないかという思いがあって、ちょっとびっくりしたというか、学会長が言ってはいけないのですが、期待するところが非常に大でございます。何かございますか。

 

○玉川委員

 住友先生、是非、応援していただきたいと思います。

 

○住友座長

 今の話は一部の方には理解しにくいかもしれませんが、学会間で同じものについての用語がいろいろあって、それは譲れないというところがあるのです。こういう形で持って来ると全部網羅してしまって「エイヤー」という感じで、これがある意味、今後期待できますね。まず目的があるわけです。単に用語集を出すというだけでなく、その目的があるというところに重みがあると思うのです。ほかに、ありますでしょうか。

 

○玉川委員

1 つ、よろしいですか。今、お話されたことですけれども、実は病名集を作るときも、その病名の粒度についてたくさんの議論があって、なかなかまとまらなかったのですが、いわゆるリードタームという概念と、その同義語・類義語という概念を導入されたことによって随分すっきりとしたものができましたので、学会レベルでリードタームをどれにするかの御賛同を頂けるか分かりませんが、網羅的に集めることは、多分、可能だと考えています。

 

○住友座長

 ここで議論する話ではないのですが、現在、細かい病名があって、今、新病名としてかなり包括した病名を提案していて、その中にこういうものがあります。これを 1 個としてまとめるということの可能性も出てくるのかなと、そういうふうにも思うところがありますね。

 委員の方々、何かあればお願いします。多貝さん、先ほどの話はこれでいいですか。来年度のこの事業案を考えながら、今、要望として出しておいてもいいのではないでしょうか。いかがですか。

 

○多貝委員

 どなたにお聞きしたらいいか分からないですが、新潟県歯様の資料のスライド 6 に、「 4. レセコン等への機能搭載に向けたデータ仕様の検討」というのがありますが、我々ベンダーはこの辺が特に気になるのですが、このデータ仕様の検討というのは、データセットが完成しないと始められないものか、あるいは並行してできるものかという辺りを、どなたかお考えをお示しいただけると有り難いのですが。

 

○青木委員

 多貝さんも御存じのとおりですが、こういう論理的な構造になっているので、検討はできます。ここには、今、 80 の記述子があります。このペーパーにちょうど 80 個です。こういう階層構造になっているので、それをどう実装していくか。例えばデータベースの構造は、こうしたらいいのではないかという検討はできるということで、恐らくそういう意味で「検討」ということです。それを最後の仕様書に落とすというのはデータセット定義が終わって、それを電子的な実装方法の仕様に落としていくということだと思います。それが全部今年に可能かというと、ちょっとそこは難しいのではないかと個人的には思っています。そういう電子的な実装に関する具体の設計図とか仕様書というのは、来年度になってくるのではないかと個人的に思います。

もうちょっと早いほうがいいですか。あるいは並行して協力していただくという手も。

 

○多貝委員

 早いほうがというわけではないのですが、我々の実装は、そちらのほうが完成しないと始められないということです。

 

○青木委員

 おっしゃるとおりです。加速しろというのであれば、少しそこは御協力いただきながら、お願いしたいと思います。

 

○住友座長

 これはかなりのところまでの結論と言いますか、来年度ぐらいで見通しを是非立ててもらいたいという思いもある。先ほど言った災害に対して活用するという、準備も必要ですが、それのためというわけではないですけれども、早めに何とか形を作っていただきたい。ですからブーストと言いますか、少しパワーアップできればなという期待がありますが、よろしくお願いします。

 ほかに何かございますか。事務局、何かありますか。

 それでは、皆さんから何もなければ、まだ少し時間は余してございますが、これで本日の議論を終わりたいと思います。事務局から今後のスケジュールについてお話を頂きたいと思います。

 

○竹田主査

 皆様、本日は御審議をいただきましてありがとうございました。次回の検討会でございますが、現在のところ、 11 月頃をめどに開催を予定しております。日程調整の際は改めて御連絡を差し上げますので、委員の皆様におかれましては、お忙しいところ恐縮ではございますが、何卒よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○住友座長

 平成 27 年度のモデル事業の計画を進めていかないと、次の日程がなかなか決めにくいところもあるのですが、これだけの方々の日程調整がなかなか難しくなります。したがって、早めに調整をいただいて、そして今度は第 7 回の会議になります。 11 月を目途に考えていますが、是非、御出席いただき、御発言・御指導をお願いしたいと思っています。

 本日の検討会はこれをもって閉会といたします。ありがとうございました。


(了)

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