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2015年6月5日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成27年6月5日(金)17:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

奥 田 晴 宏、 加 藤 総 夫、 川 上 純 一、 神 田 敏 子、 
佐 藤 雄一郎、 鈴 木 邦 彦、 内 藤 幹 彦、 野 田 光 彦、
林   邦 彦、 平 石 秀 幸、 平 安 良 雄、 古 川   漸、
増 井   徹、○松 木 則 夫、
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(7名)

小 川   聡、 金 子 明 寛、 木 村   剛、 武 田 正 之、
◎松 井   陽、 村 田 美 穂、 山 田 清 文

行政機関出席者

神 田 裕 二 (医薬食品局長)
森   和 彦 (審査管理課長)
宇 津   忍 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、また、足元の悪い中、先生方におかれましては御参集いただきましてありがとうございます。本日の委員の出席については、小川委員、金子委員、木村委員、武田委員、松井委員、山田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、村田委員におかれては、少し遅れておられるように思います。現在のところ、当部会委員数21名のうち、14名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。

 本日の審議事項議題1に関して、千葉市立青葉病院リハビリテーション科整形外科部長六角智之先生に参考人ということで御出席いただいておりますので御紹介させていただきます。

 席上に資料を配布しておりますが、先日来、先生方には大変お忙しいところいろいろな作業のお願いをしておりました利益相反に関する御申告内容について調査させていただいた作業が完了して、本日、報道発表をいたしました。午後2時にプレスに対して資料を提供したということですので、配布したプレスリリースをお手元にお配りしております。これについて簡単に御紹介させていただきます。

 2枚のプレスリリースの資料です。報道関係者に対して、薬事・食品衛生審議会の薬事分科会の審議参加について、これはルールに定められているものについての状況です。ここに書かれておりますが、分科会規程と、分科会審議参加規程に沿った対応に必ずしもなっていなかったことが、図らずも判明したということがありまして、それぞれについて全体を確認させていただいて、その対応をこのようにしましたということ。このようなことになったということについて、行政側としてお詫びをするという旨が記されております。

 その内容の概略は、事案の概要とこれまでの対応ということで1としてあります。一つは、1の()、薬事に関する企業の顧問等への就任の事実が判明をしたということ。薬事分科会の委員の8名の方におかれて、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任をされていたという事実が判明したということです。これが資料1ということで、2枚目のところにお名前、所属、どの企業からということで記したものが出ております。この8名の委員の方からは、辞任の届けが今出ているという状況になっております。

()寄付金・契約金等の申告誤りにより、本来参加できない議決に参加をした事実が判明したということで、これは各回の審議において申告を頂いている金額の確認を改めてしたところ、これまでは受領なしから50万円以下の受領と申告されていたのですが、正しくは50万円を超えて、500万円以下の範囲の受領であったということが判明したということです。この区分に該当しますと議決に参加できないという取扱いになるので、その辺りの変更が生じるということです。そこに該当する8名の委員の方のお名前が資料2の2枚目の裏側に所属、お名前、当初の申告と訂正申告の内容が記されております。当部会においても該当される先生がいらっしゃったということです。こうしたことを明らかにして、調査結果としてお出しをしています。

()寄付金・契約金等の50万円以下の受領について、これも申告と、今、実際に受け取られたという関係のずれが生じていたということです。これは受領なしと御申告いただいていた方におかれては、実は50万円以下ですが、受領があったということで、なしと申告していたのですが、実は受領があったと判明した方が16名いらっしゃったということが結果として判明しております。

 こちらについては、審議参加上の取扱いの違いは何も生じないのですが、ただ、申告されていた内容と、実際の間に乖離があったということで、これも修正をいただこうということになっております。このようなことを本日公表いたしました。

 2、今後の対応としまして、この薬事分科会については、今年度より各会議開催前に委員の寄付金・契約金等の申告内容を、今度は企業側がお支払いした金額について公表するという透明性ガイドラインというのがありまして、それに沿って公表するように、平成25年度のものからなってきているということに鑑みて、それらの企業の公表している支払い金額との関係を確認させていただくと。こういう取組を試行的に導入して、運用を開始している御紹介をしております。

 申告用紙についても、過去3年分の受取金額を確認いただくということが分かりにくかったということで、その様式についても誤りが生じないように修正をさせていただいております。

 これに限らず、同様な事案の発生を起こさないようにということで、規程の改正等、重要なことについて会議の都度再確認をさせていただくこともお願いしたいと思っております。ただ、こういう確認作業を通じて、先生方から、申告のための確認作業が大変負担になっているという御指摘はたくさん頂きました。そうしたことに私ども事務局の方も、何とか真摯に応えたいと考えておりまして、どのようにすれば確認の御負担がもっと軽減できるのかということについて鋭意検討を進めております。今後もそういった改善については、できる限りの努力をさせていただきたいと考えておりますので、本日のプレス発表はこのような形で行わせていただきましたが、先生方におかれましては、このような審議会における日頃の御尽力に非常に感謝をしておりますが、その上で、このような御負担をかけることについては非常に心苦しく思っております。しかし、このお仕事自体が、社会の多くの方々から注目をされているお仕事であることに鑑みて、このようなルールを設けさせていただいていることも改めて御理解を賜りたく、お願いを申し上げる次第です。本日のプレスリリースについてはこのようなことですので、まずは御報告、御説明をさせていただきました。もし御質問、御意見等ありましたらよろしくお願いいたします。

○野田委員 今の御説明を伺った上で質問させて頂きますが、今後も受領なしと50万円以下を二つに分けて申告するのでしょうか。

○審査管理課長 この区分があるために、申告の誤りが生じたことを鑑みて、この区分の取扱いを受領なし、若しくは50万円以下の受取りとして、要するに審議参加上の取扱いは全く違わないので、それは同じ区分として取り扱わせていただくのが一つの方法ではないかということについて、私どもの中でも検討しております。その方向で規程を修正することも考えさせていただきたいと現状は考えておりますので、御指摘のとおりかと思います。

○野田委員 どうもありがとうございます。

○審査管理課長 また、先生方いろいろ御質問、御疑問の点がありましたら、遠慮なく、また事務局の方にお問い合わせ、あるいは御注文いただければと思います。それでは、松木部会長代理、以後の進行をよろしくお願いします。

○松木部会長代理 松井部会長が本日御欠席ですので、進行を務めさせていただきます。それでは、本日の審議に入ります。まず事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日席上に「議事次第」、「座席表」、「当部会の委員の名簿」を配布しております。また、議事次第に記載されている資料1から資料11については、あらかじめお送りしております。このほかに資料12「審議品目の薬事分科会における取扱い等の()」、資料13「専門委員リスト」、資料14「競合品目・競合企業リスト」、資料15「ラジカット注30mg他の用法・用量について」を配布しております。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料14の1ページを御覧ください。まず、ザイヤフレックス注射用ですが、本品目は、デュピュイトラン拘縮を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 続きまして、2ページを御覧ください。ランタスXR注ソロスターですが、本品目はインスリン療法が適応となる糖尿病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。トルリシティ皮下注0.75mgアテオスですが、本品目は2型糖尿病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページを御覧ください。ストレンジック皮下注12mg/0.3mL他4規格ですが、本品目は、低ホスファターゼ症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 5ページを御覧ください。リバロ錠1mg他3規格ですが、本品目は高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 6ページを御覧ください。エムラクリームですが、本品目は注射針・静脈留置針穿刺時の疼痛緩和を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページを御覧ください。ボトックス注用50単位、同注用100単位ですが、本品目は斜視を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 8ページを御覧ください。ラジカット注30mg他1規格ですが、本品目は筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○松木部会長代理 今の事務局からの説明に特段の御意見等はありますか。無ければ、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。

○事務局 それでは、各委員からの申出状況について御報告いたします。議題1、ザイヤフレックス注射用、退席委員なし。議決には参加しない委員なし。議題2、ランタスXR注ソロスター、退席委員なし。議決には参加しない委員なし。議題3、トルリシティ皮下注、退席委員なし。議決には参加しない委員、野田委員。議題4、ストレンジック皮下注、退席委員なし。議決には参加しない委員なし。議題5、リバロ錠及び同OD錠、退席委員なし。議決には参加しない委員、川上委員、野田委員、平石委員、平安委員。議題6、エムラクリーム、退席委員なし。議決には参加しない委員なし。議題7、ボトックス注用、退席委員なし。議決には参加しない委員、平安委員。議題8、ラジカット注及び同点滴静注バッグ、退席委員、村田委員。議決には参加しない委員、野田委員、平石委員、平安委員。以上です。

○松木部会長代理 今の事務局からの説明に特段の御意見等はありますか。ありませんか。それでは、皆さんに御確認いただいたものとして議題に入りたいと思います。本日は審議事項が8議題、報告事項が3議題となっています。皆さんの御協力によってスムーズに審議を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。

○機構 それでは議題1、資料No.1、医薬品ザイヤフレックス注射用の製造販売承認の可否等について機構より御説明申し上げます。

 デュピュイトラン拘縮は、筋線維芽細胞等から産生されたコラーゲンが、手のひらの皮下にある腱膜に異常に沈着することで結節や拘縮索が形成され、病態が進行すると指が屈曲、拘縮して伸展できなくなる疾患です。現在の本邦におけるデュピュイトラン拘縮に対する主な治療法は手術療法のみです。

 本剤の有効成分であるコラゲナーゼ(クロストリジウム ヒストリチクム)は、デュピュイトラン拘縮索に投与することにより、コラーゲンを主成分とする拘縮索を破断し、デュピュイトラン拘縮に対する効果を示すことが期待され開発されました。本剤は、2010年2月に米国で承認されて以降、2015年1月現在、英国及びカナダなど、海外35か国でデュピュイトラン拘縮の効能・効果で承認されています。

 本品目の専門協議は、本日の配布資料No.13に示す専門委員を指名いたしました。

 続いて、審査の概要です。有効性に関して、報告書39ページ、表29を御覧ください。国内外の主な臨床試験における有効性の結果を示しております。国内臨床試験において、主要評価項目である主要関節が最終投与30日後に臨床的成功に至った被験者の割合は85.7%であり、信頼区間の下限値は、目標達成率としてあらかじめ設定された30%を上回りました。また、海外第III相試験(857試験及び859試験)ですが、こちらの試験では、プラセボ群に対する優越性が検証されました。

 次に安全性について報告書44ページ、表37を御覧ください。国内外の主な臨床試験における有害事象及び副作用の発現状況に大きな差異は認められませんでした。また、本剤投与時に注意すべき有害事象について、報告書45ページの本文1行目からを御覧ください。海外臨床試験では、重篤な有害事象として外科的処置を必要とする靱帯や腱の断裂などが認められ、これは本剤の投与が拘縮索から外れ、腱や靱帯が本剤に曝露されたものと推測されました。なお、国内臨床試験では、試験開始に先立ちまして、治験担当医師などに対する投与手技の講習などが実施され、靱帯や腱の断裂などの有害事象は認められませんでした。以上の状況を踏まえ、機構は、本剤の投与はデュピュイトラン拘縮に関する十分な知識と治療経験を有する医師が事前の講習を受け、本剤の安全性、有効性及び本剤による治療方法について十分理解した上で行うことが必要であり、そのための体制を整備することが重要と考えました。したがって、この点については承認条件として付すことが適切と考えました。

 製造販売後の体制について、具体的には本剤を使用できる医師を手外科専門医に限定し、かつ、本剤の治療手技等に関する講習の受講、確認テストへの合格を使用の条件とすることとしています。また、関連学会を通じて、本剤の適正使用に関する周知徹底を図ることをお願いしています。

以上のような機構での審査の結果、デュピュイトラン拘縮に対する本剤の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、医師に対する講習の実施などに係る承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。

 本剤は新有効性分含有医薬品に該当することから、再審査期間は8年、原体及び製剤は共に劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しています。

なお、奥田委員より事前に御質問を頂いておりましたので御紹介いたします。

質問は、添付文書()の「組成・性状」欄に記載のあるとおり、本剤は過量充填された製剤として設計されていますが、その過量充填率の設定経緯についての内容でした。過量充填率の設定経緯は、申請資料概要2.3、品質に関する資料の中の303ページの中程に説明が記載されております。投与量を採取する試験を行った結果、必要用量の薬液を問題なく採取するために設定された過量充填率であることを、奥田委員に事前に御説明し、御了解を頂いています。説明は以上です。御審議、どうぞよろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 ありがとうございます。本議題に関しては、参考人として六角先生に出席いただいていますので、六角先生、もし御追加の御意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。

○六角参考人 整形外科専門の六角です。比較的多い病態ではないので、なかなか一般の方には目にすることがないと思います。今、御説明があったように、指が曲がってきて、突っ張って伸びないという病態になりますので、やはり、日常的に非常に指を使うことが不便になってくるという病態です。

 日本人は昔は少ないと言われていたのですが、このところ非常に増えている印象があります。あと潜在的にあまり医療機関にかからない方も増えていると思うのですが、基本的に今行われている治療というのは、手術しか方法がない。手のひらで突っ張っている組織を切離する、若しくは切除するという治療しかありません。それに代わる治療として、こういった薬物を使った治療ということで、今回上がってきたものと思われます。簡単ですが以上です。御質問があれば。

○松木部会長代理 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

○内藤委員 病気についてもう少し説明をお願いしたいのですが、複数の関節とか、複数の指が同時にそういう病態を示すことが非常に多いのですか。それとも、一つの関節だけがそういう症状を示す場合が多いのですか。

○六角参考人 基本的に関節そのものの病気ではなく、手のひらの皮膚の下にある結合組織、薄い腱膜の異常が病因となります。それが手のひら側で突っ張ってくることによって、関節そのものが伸ばせなくなってしまう。関節そのものには病態はないので、突っ張ってくる腱膜の病巣そのものがどの程度広がっているかということによって、当然、障害されてくる関節が変わってくるということになります。

 かなり専門的になるのですが、一般的には小指、薬指が多いです。小指側から障害されてくる場合が多いので、大体こういう形になっていらっしゃる方が多いです。稀に親指と人差指の間が閉じてきて、親指が広げられなくなるという病態があります。もちろん、小指だけになってきて、だんだん薬指、次に親指とか、逆に親指だけが曲がってくる。若しくは一緒に進行してくるという、固くなった病的な組織の伸展の仕方には個人差がありますが、病態としてはいろいろな進行の度合いがあると思います。当然、罹患される関節も多岐にわたってくるということになります。

○内藤委員 ありがとうございます。

○松木部会長代理 ほかはよろしいですか。

○神田委員 局所麻酔については、してはいけないと添付文書に書かれておりますが、使用成績調査計画には、「局所麻酔の有無」について情報収集することとなっているので、局所麻酔についての扱いが、これとしてはいけないというのが違うのか、あるいは扱い方で麻酔をしていいときもあるという意味なのか、そこが分からないのですが。

○機構 先生が今御覧になっているのは。

○神田委員 添付文書はよろしいですよね。何箇所かにあるのですが、例えば60ページの最後の。

○機構 報告書60ページの使用成績調査計画の表に記載のある「局所麻酔の有無」ですが、これは、本剤の投与後、指の伸展処置を行うことができますが、そのときの痛みに対して、局所麻酔がされることがあるので、その「局所麻酔の有無」について情報収集をするということです。

 一方で、添付文書の<用法・用量に関連する使用上の注意>欄に記載のある「本剤を投与する際の前処置として、局所麻酔をしないこと。(局所麻酔作用により拘縮索以外の腱や神経などへの誤穿刺が隠蔽される恐れがある。)」は本剤の投与前の局所麻酔に関する注意喚起であり、使用成績調査計画に記載のある局所麻酔とは別の内容です。

○松木部会長代理 注射時に投与部位ではなく、ほかの所にいってしまっていないか確認するということですね。ほかはよろしいですか。もしよろしければ、本日は議題が多いので、議決に入りたいと思いますが、よろしいですか。それでは、本議題について承認は可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。六角参考人におかれましては、本日御予定がございますので、ここで退席されると伺っておりますので、六角参考人どうもありがとうございました。

                               ( 六角参考人退席)

○松木部会長代理 それでは、議題2に移ります。機構から概要を説明してください。

○機構 議題2、資料No.2、医薬品ランタスXR注ソロスターの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。

 審査報告書3ページを御覧ください。本剤は、インスリン グラルギン(遺伝子組換え)を有効成分とする持効型インスリンアナログ製剤です。インスリン グラルギン(遺伝子組換え)を1mL当たり100単位含有する既承認医薬品ランタス注ソロスターなどに対し、本剤は有効成分の濃度を1mL当たり300単位に高めた高濃度製剤です。本剤は有効成分の濃度を高めることにより、投与部位からの有効成分の吸収がより緩徐となることで、平坦かつ持続的な薬物動態プロファイル及び血糖降下作用を示す薬剤となります。海外の承認状況ですが、2015年2月に米国、審査報告書では欧州に関して審査中となっていますが、先月5月に欧州でも承認されています。本品目の専門協議では、資料No.13に示す先生方を専門委員として指名させていただいています。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。

 有効性についてですが、審査報告書18ページの表8を御覧ください。Basal-Bolus療法を実施中の日本人1型糖尿病患者を対象に、既承認のランタス注ソロスターを対照とした非盲検比較試験が実施されました。その結果ですが、表8に記載されていますように、主要評価項目とされたベースラインから投与26週までのHbA1c変化量について、本剤群のランタス群に対する非劣性が示されています。

 また、審査報告書26ページ、表17を御覧ください。こちらは、Basalインスリン及び経口血糖降下薬の併用療法を実施中の日本人2型糖尿病患者を対象に、ランタス注ソロスターを対照とした非盲検比較試験が実施されました。その結果ですが、主要評価項目とされたベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量について、本剤群のランタス群に対する非劣性が示されています。

 続きまして、安全性について御説明させていただきます。審査報告書20ページの表10及び27ページの表19、1型と2型患者の安全性の結果が表に示されています。国内臨床試験において本剤群の有害事象及び副作用の発現状況は、ランタス注ソロスターと比較して大きな違いは認められていません。

 また、審査報告書39ページから47ページの安全性についての項に記載しましたように、低血糖等の個別の事象について検討した結果、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば特段の問題はないと判断しています。

 なお、インスリン製剤については、複数濃度のインスリン製剤が混在することによる医療過誤の懸念が指摘され、国際糖尿病連合(IDF)により、100単位/mL製剤への移行が推奨され、本邦でも100単位/mLに統一されてきました。本剤はこれまでとは異なる濃度の製剤となりますが、投与量の誤りを避けるためキット製剤のみで、バイアル及びカートリッジ製剤は販売しないこと。従来のインスリン製剤の機器とは互換性がないこと。医師の処方(単位数)及び患者の操作は従来どおりとなっています。

 以上のとおり、機構での審査の結果、インスリン療法が適応となる糖尿病を効能・効果として、本剤を承認しても差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は新剤形医薬品であるため、再審査期間は4年が適当であると判断しています。なお、製剤は劇薬であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○松木部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

○内藤委員 製造方法についての確認ですが、4ページを見ますと、製剤の製造工程は、溶解から始まっていますね。組換えタンパクを実際に作っているホストの細胞、あるいはin vitroで作っているのか。そういった情報というのはどこかに記載されているのですか。

○機構 この製品につきましては、もともとランタス注ソロスターという濃度が3分の1の製剤がございまして、原薬としては同じものを使用しています。

○内藤委員 参考までに教えてほしいのですが、大腸菌か何かで作っているのですか。

○機構 大腸菌からです。

○内藤委員 ありがとうございます。

○松木部会長代理 よろしいでしょうか。

○野田委員 同一製剤ですので、同じ名称にするという点は非常に理解できるところですが、すでにランタス注ソロスターもありまして、XRが付いているところのみが違うということで、先ほど説明がございましたけれども、上市後の混同を避けるような方策というのは、具体的にはどのようなことをお考えなのでしょうか。

○機構 御質問、ありがとうございます。まず初めに今回の製剤とは、お手元に配布させていただいているように紫色になっています。一方、これまでのランタス注というのは、グレーがかった色になっております。グレー色と紫色で見た目から違うような形になっています。また、医療従事者及び患者にも混同しないように資料として配布することも考えています。

○野田委員 ありがとうございます。

○松木部会長代理 ほか、よろしいでしょうか。

○神田委員 私も今、取り違えのところが気になったのです。これを見たりしたのですが、確かに資材を作ってということではありますが、専門家が見ればこれは今までと違うからというのは分かるとしても、これは1日1回というのが特徴のお薬ですよね。1日1回というのはこれを見ただけで分かるのですか。あと、注入器ラベル、個包装、そのほかのデザインも変えていくと本文にございますので、今、色だけ説明があったのですが、それだけではちょっと心配だなという気がいたしました。

○機構 ありがとうございます。まず投与するに当たって、ダイヤルを変えて単位数で投与します。その単位数というのはランタス注でも同じ単位数ということで、その単位さえ守っていれば問題ないようになっています。単位数に関しては配布資料を配り、再計算しなくてもいいですということは、きちんと現場には注意喚起させていただこうと思っています。

 また、もし間違えた場合、どのようなことが起こるのかというところに関しては、臨床試験において、投与が終わった後に経過観察に切り替え、さらに他剤に切り替えた場合の安全性も検討しており、その場合でも、この製剤から前の製剤に替えたとしても安全性としては基本的には保たれていることを見ています。ただ、若干、前の製剤の方が効きが強そうな傾向はあるのですけれども、その点は添付文書の切り替え時の注意ということに関して、配布資料の1.8の項の添付文書の項を1ページ開けていただいて重要な基本的注意の()になります。「本剤から他の基礎インスリン製剤への切り替え時に低血糖を起こすことがあるので、基礎インスリン製剤の減量の必要性を考慮するとともに、切り替え時及びその後しばらくの間は血糖モニタリングを慎重に行うこと」と記載しており、基本的には大きな取り違えのミスは起こらないだろうとは考えています。

○松木部会長代理 神田委員、今の説明でいかがでしょうか。

○神田委員 私は専門家ではないので、それで分かるということであれば大丈夫なのですが、ちょっと本文の方にはいろいろ書かれていたので、もっと手立てが講じられているのかなと思ったものですからお聞きしました。

○松木部会長代理 実際の使用に当たっては、現場の混乱を避けるということを最大限にしていただきたいということだと思います。

○機構 ありがとうございます。

○松木部会長代理 ほか、いかがでしょうか。個人的には、この高濃度で本当に表面積の小さい結晶ができるのかというのは知りたいところではあるのですが、ちょっとそれは結果的に持続性になっているということで、よしということだと思います。ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは議決に入りたいと思います。本議題について承認を可として、よろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題3に移ります。議題3について機構から概要を説明してください。

○機構 議題3、資料No.3、医薬品トルリシティ皮下注0.75mgアテオスの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。

 本剤は、ヒトグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬であるデュラグルチド(遺伝子組換え)を有効成分とする糖尿病治療薬です。以降、ヒトグルカゴン様ペプチド-1をGLP-1と略させていただきます。本薬はGLP-1アナログに改変ヒト免疫グロブリンG4のFc領域を結合させることで、ジペプチジルペプチダーゼ-4による不活性化を回避し、クリアランスを低下させて持続性を高めた週1回皮下投与の製剤です。GLP-1受容体作動薬としては4成分目ですが、週1回投与薬剤としては2剤目になります。海外の承認状況について、本剤は2014年9月に米国、同年11月に欧州で承認され、2015年2月現在、その他4か国において承認されています。本品目の専門協議では、資料No.13に示す先生方を専門委員として指名させていただいています。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。

 有効性については、審査報告書48ページの表17を御覧ください。単独療法の国内第III相試験において、主要評価項目とされたベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました。また、連日投与のGLP-1受容体作動薬であるリラグルチド(遺伝子組換え)に対する非劣性も示されています。併用療法については、審査報告書56ページ、図2に示しましたように、国内第III相試験において効果の持続性が示されています。

 安全性については、審査報告書59ページから81ページの()安全性についての項を御覧ください。国内外の臨床試験における有害事象及び副作用の発現状況並びに低血糖、胃腸障害、膵炎等の個別の事象について検討した結果、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 以上のとおり、機構での審査の結果、2型糖尿病を効能・効果として本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年が適当であると判断しています。なお、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○松木部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。GLP-1受容体作動薬の持続性を高めたものという認識だと思いますが、いかがでしょうか。

○川上委員 あまり本質的なことではないのですが、例えば審査報告書の56ページに有効性に関するグラフがあります。このグラフは、実際に、どのキャプションがどれなのか、分かりにくい図だと思います。最終的な公的資料には、どなたが見ても分かりやすい図表をお使いいただくのが、よろしいかと思います。これは変更できないのかもしれませんが、今後、報告書等の作成の際に御配慮いただければ有り難いと思います。

○機構 申し訳ありません。以後、気を付けさせていただきます。

○松木部会長代理 今の点はたびたび話題にもなっているところだと思います。これはメーカーが使っているソフトがこういうものなのですかね。今回はあまり差がないから大きな問題にはならないのですが、確かに分かりにくいと思います。ほか、いかがでしょうか。糖尿病治療薬ということで野田委員、何か御意見はありますか。

○野田委員 同様の薬剤がこれまでにも審査に上がっておりますが、その際のものを超えるような、私としての質問は現状ないというところです。

○松木部会長代理 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。なお、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可として、よろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題4に移りたいと思います。議題4について機構から概要を説明してください。

○機構 議題4、資料No.4、医薬品ストレンジック皮下注12mg/0.3mL他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。

 本剤の効能・効果である低ホスファターゼ症の疾患及び本剤の特徴につきましては、審査報告書5ページに示した内容を基に御説明させていただきます。低ホスファターゼ症は、組織非特異型アルカリホスファターゼ遺伝子変異によって、無機ピロリン酸及びピリドキサール-'-リン酸塩などの組織非特異型アルカリホスファターゼ基質の濃度が上昇し、骨石灰化障害やカルシウムの調節障害を来すことで、骨の変形、疼痛、呼吸不全、痙攣発作等を呈する遺伝子疾患となります。本剤は、ヒト遺伝子組換え組織非特異型アルカリホスファターゼのFc-デカアスパラギン酸融合タンパク質製剤であり、欠損している組織非特異型アルカリホスファターゼを補充することにより、骨石灰化を阻害する無機ピロリン酸が分解され、その結果として生成した無機リン酸がカルシウムと結合することで、ヒドロキシアパタイト結晶の生成と骨の石灰化が促進され、正常な骨格形成を示す酵素製剤となります。本邦における低ホスファターゼ症の患者数は100人から200人と推定されており、本剤は希少疾病用医薬品に指定されています。2015年2月現在、低ホスファターゼ症に対して本剤はいずれの国においても承認されていません。本品目の専門協議では、資料No.13に示す先生方を専門委員として指名させていただいています。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。

 有効性につきましては、審査報告書34ページの中程を御覧ください。日本人を含む低ホスファターゼ症患者28例を対象とした国際共同治験であるENB-010-10試験におきまして、主要評価項目とされたベースラインから、投与24週までのX線画像所見によるくる病の重症度変化を評価したRGI-Cスコアの変化量は、ベースライン値と比較して統計学的に有意な改善が認められました。

 また、審査報告書35ページの中程に記載しましたように、本剤の投与によって、生化学的マーカーである血漿中の無機ピロリン酸濃度や、ピリドキサール-'-リン酸塩濃度の減少も認められました。日本人症例数は5例と少数例でしたが、審査報告書35ページの表9に示しましたように、個別症例ごとに検討した結果、くる病症状等の改善傾向が認められています。以上を踏まえますと、本剤の有効性が示唆されたと解釈して差し支えないと考えています。

 安全性につきましては、審査報告書51ページから56ページの()安全性についての項を御覧ください。国内外の臨床試験における有害事象、副作用の発現状況や、国内で実施中である医師主導治験におけるデータから、注射部位反応、注射関連反応、血清カルシウムの変動等について、適切な注意喚起がなされることを前提とすれば安全性は許容可能と判断しています。なお、国内での治験症例数が極めて限られていることから、製造販売後、再審査期間中の全投与症例を対象として主要成績調査を実施して、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じる旨の承認条件を付すことが適当と判断しています。

 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。患者数が100人から200人ぐらいの希少疾病に対する効果ということですが、奥田委員、どうぞ。

○奥田委員 確認ですが、今、補充療法とおっしゃったので、そうするとこのお薬は一度、小児の方が使われるとずっと使われると、そういう使い方をされるというお薬ですね。

○機構 機構よりお答えいたします。御指摘のとおり、本剤は酵素補充療法によって使用される製剤であり、低ホスファターゼ症を効能・効果として承認された治療薬がないということからも、使い続けられる製剤と考えています。

○奥田委員 分かりました。毎日投与でずっとというのは、なかなか大変な薬だろうと思いますけれども、ほかにないということであれば了解します。

○松木部会長代理 ほか、いかがでしょうか。

○加藤委員 お伺いしたいのですが、54ページの真ん中辺りに高カルシウム血症を発現した患者が3例、低カルシウム血症が2例、高カルシウム血症及び低カルシウム血症を発現した患者が1例、この1例というのは、高カルシウム血症と低カルシウム血症でどういうふうな発現になっていたのかというのが一つと、54ページの下に脚注の109がありますが、低カルシウム血症を発現した1例についての記述があって、副作用とは判断されなかったと。それから、高カルシウム血症及び低カルシウム血症を発現した1例についてはというのがあって、副作用とは判断されなかったということですが、副作用とは判断されなかったことの論拠はどういうものでしょうか。教えていただければと思います。

○機構 これは、副作用かどうかというのは治験責任(分担)医師の判断であり、有害事象のうち、副作用とは判断されなかったというふうに認識しています。

○加藤委員 症例数が少ないと、血清カルシウム濃度の変動がどういうふうに起こってくるのかということに関しては、かなり重要な追跡因子だと思うので、単純に副作用ではないと言い切れるのかなとちょっと疑問に思いましたが、いかがでしょうか。

○機構 ありがとうございます。現在、医師主導治験も実施されており、その中で低カルシウム血症が副作用として1例発現しています。このことから添付文書においても注意喚起をしているのですが、本剤の投与によって、低カルシウム血症などのカルシウム値が変動することが既に分かっていることから、実臨床においてはカルシウム値を測定するようにという注意喚起を添付文書で行い、製造販売後調査でこれらの安全性情報も収集することになっています。

○松木部会長代理 よろしいでしょうか。ほか、いかがでしょうか。

○佐藤委員 今の血清カルシウムについての続きで、副作用としては高カルシウム血症と低カルシウム血症の両方が認められたと書いてありますが、添付文書の方では低カルシウム血症についてのみ書いてあるような気がするのです。高カルシウム血症について添付文書で特に書いていないというのは、どのような意味があるのでしょうか。

○機構 御質問、ありがとうございます。本剤の病態としてそもそも血中のカルシウム値が高いという状態でして、どちらかというと、本剤を投与するとカルシウム値が下がることにより、低カルシウム血症の発現が想定され、実際に低カルシウム血症を発現した患者も認められています。したがって、添付文書あるいはRMP等では低カルシウム血症を主な注意喚起として、製造販売後調査でこれらの安全性情報を収集することになっていますが、カルシウム値も測定しますので、高カルシウム血症になった患者さんも情報収集がなされるものと思っています。

○松木部会長代理 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。本議題について承認を可として、よろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題5に移ります。議題5について機構から概要を説明してください。

○機構 議題5、資料No.5、医薬品リバロ錠1mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等につきまして、機構より御説明させていただきます。

 審査報告書3ページ下部を御覧ください。本剤は、HMG-CoA還元酵素阻害剤、以降、スタチン製剤とさせていただきますが、スタチン製剤であるピタバスタチンカルシウム水和物を有効成分として含有する、高コレステロール血症の治療薬です。本剤は、2003年7月に高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症の効能・効果で、成人の用法・用量が承認されています。2012年より本邦及び欧州で、本剤の小児家族性高コレステロール血症に対する開発が開始され、今般、それらの臨床試験成績を基に、小児家族性高コレステロール血症患者に関する用法・用量を追加する申請がなされました。本品目の審査に関しまして専門委員として、資料No.13に記載されている委員を指名しています。本品目の審査の概略につきまして、臨床試験成績を中心に御説明いたします。

 審査報告書8ページを御覧ください。日本人小児男子家族性高コレステロール血症患者を対象とした非対照試験が実施され、審査報告書8ページ、表5に示しますように、主要評価項目とされた8週及び12週時におけるLDL-Cのベースラインからの変化率について、本剤1mg及び2mgで共にベースラインと比較して有意な低下が認められています。

 次に、審査報告書9ページを御覧ください。海外においては、小児脂質異常症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検試験が実施されました。本試験では、プラセボ、本剤1mg、2mg及び4mgが設定され、審査報告書10ページ、表6に示しますように、主要評価項目とされた12週時におけるLDL-Cのベースラインからの変化率について、本剤1mg、2mg及び4mgで、いずれもプラセボ群との間に有意差が認められています。国内臨床試験につきましては、臨床試験の対象となる患者数が少ないことから非対照試験として実施されていますが、試験の結果、実際に組み入れられた患者背景は国内外で類似しており、また、国内第III相試験及び海外第III相試験において、主要評価項目とされたLDL-Cの変化率について比較した結果、本剤群では同程度の改善が認められています。これらを踏まえ、海外臨床試験成績を利用して日本人における有効性について推定することは可能であり、日本人においても本剤の有効性が期待できると判断いたしました。

 続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書18ページの下から10行目以降を御覧ください。本剤を含むスタチン製剤では、横紋筋融解症、血中クレアチニンキナーゼ上昇、肝機能障害等が起こることが報告されています。そこで本剤について、それらの有害事象の発現頻度を小児と成人で比較したところ、審査報告書19ページの表9に示しますように、それらの有害事象の発現率は小児と成人で大きく異なるものではありませんでした。また、本剤はコレステロールの合成を抑制するため、コレステロールを原料として生体内で産生されるホルモン、特に小児では性ホルモンへの影響が懸念されますが、審査報告書20ページの表10に示しますように、本申請に当たって国内外で実施された臨床試験では性ホルモンの大きな変動は認められず、また、これまでに種々のスタチン製剤についてホルモンへの影響が検討されていますが、その検討結果において、スタチン製剤による発育への影響は現時点においては報告されていません。しかしながら、小児患者では成人よりも長期に渡って本剤を服用することが想定され、本剤の長期投与時の安全性情報は十分であるとは言えないことなどを考慮し、本剤の処方は小児の脂質異常症治療に十分な知識及び経験を有し、本剤の特性について理解している医師により行われるべきと考えています。製造販売後調査につきましては、国内での治験症例が限られていることから全投与症例を対象とした使用成績調査を実施することを、承認条件とすることが適切と判断しています。

 以上のような審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御意見、御質問をお願いいたします。

○野田委員 確認させていただきたいのですが、国内ではヘテロの患者さんを対象としており、海外第III相の場合はそういうことではなしに検査データからと、登録時の基準がそうなっているという理解でよろしいですか。

○機構 組入れ基準といたしましては、国内で家族性高コレステロール血症、海外が脂質異常症ということで異なった組入れ基準を用いていますが、海外試験につきましては106例中、104例が家族性高コレステロール血症患者ということで、試験に組み入れられた患者背景としてはほぼ同じものと判断しています。

○野田委員 その方々は、恐らくはヘテロなのだろうと思いますけど、そういった確認はなされているのでしょうか。

○機構 海外も国内も共にホモの患者は含まれておらず、ヘテロの患者のみを対象として試験を実施しています。

○松木部会長代理 ほか、いかがでしょうか。

○野田委員 そうすると、ホモの方の有効性というものは検証されていないわけですけれども、添付文書にはそういったことは記載せずに、実際、使用してみて効果を見るという形になるのでしょうか。

○機構 御指摘のとおり、今回、試験ではホモの患者さんについては一切検討がされていない状況です。しかしながら、ホモの患者さんでもLDLレセプターが残っている患者さんであるとか、ホモの患者さんでLDLアフェレーシスを入れる前に、やはり侵襲性が高い治療になりますので、まず先に薬物治療を検討していただく患者さんであるとか、そういう患者さんに使用されることが想定されますので、そこについては十分に注意をして投与していただくことで投与は可能と考えています。

○野田委員 了解いたしました。ありがとうございます。

○松木部会長代理 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。なお、川上委員、野田委員、平石委員、平安委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可として、よろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題6に移ります。議題6について機構から概要を説明してください。

○機構 議題6、資料No.6、医薬品エムラクリームの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤は、アミド型局所麻酔薬であるリドカイン及びプロピトカインを配合したクリーム剤です。本邦では、20121月に皮膚レーザー照射時の疼痛緩和の効能・効果で承認されています。

 その後、小児における皮膚レーザー照射療法時の疼痛を対象とした国内臨床試験及び成人における注射針穿刺時の疼痛を対象とした国内臨床試験が実施され、本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。

 今回申請された効能・効果について、海外では2013年9月現在、88か国で承認されています。本申請の専門委員としては、資料No.13に記載しております5名の委員を指名いたしました。審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。第III相試験として、静脈穿刺予定の成人患者を対象としたプラセボ対照比較試験が実施され、さらに腰部硬膜外ブロック、動脈穿刺、トリガーポイント注射予定の患者を対象とした非盲検非対照試験が実施されました。

 審査報告書10ページの表5を御覧ください。注射針穿刺予定の成人患者を対象とした試験において、主要評価項目である静脈穿刺の疼痛Visual Analog Scaleは、本剤群で15.5mm、プラセボ群で35.5mmであり、本剤群のプラセボ群に対する統計学的な有意差が認められました。

 審査報告書14ページの表6を御覧ください。腰部硬膜外ブロック、動脈穿刺、トリガーポイント注射予定の成人患者を対象とした試験では、各種手技による注射針穿刺時の疼痛をVerbal Rating Scale(以下「VRS」とする)により評価し、「痛くない」及び「少し痛い」と評価した症例の割合である有効率を主要評価項目としており、有効率は静脈穿刺時の本剤群と同程度でした。

 審査報告書14ページの表7を御覧ください。安全性について、注射針穿刺予定の成人患者を対象とした試験を併合した結果において、適用部位紅斑及び適用部位蒼白が5%以上の発現割合で認められていますが、いずれも軽度で回復しております。

 次に、小児における有効性及び安全性について、御説明いたします。血管腫又は母斑を有し、皮膚レーザー照射療法を受ける小児患者を対象とした非盲検非対照試験が実施されました。審査報告書15ページの表8を御覧ください。医師によりレーザー照射部位の疼痛がVRSで評価され、「痛くない」「少し痛い」と評価された症例の割合が主要評価項目とされましたが、有効率は70.8%であり、成人を対象とした試験成績と同程度でした。

 審査報告書17ページの表10を御覧ください。安全性については、皮膚レーザー照射療法を受ける患者を対象とした臨床試験において、小児と成人で有害事象の発現状況が大きく異なる傾向は認められませんでした。

 審査報告書19ページの表13の下からの段落を御覧ください。海外での製造販売後における安全性情報において、メトヘモグロビン血症の発現が報告されております。小児では、過量投与が原因でない症例も報告されていることを踏まえ、その旨を情報提供することとしております。

 以上の審査を踏まえ、本剤の成人及び小児における注射針・静脈留置針穿刺時の疼痛緩和の効能・効果及び小児における皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和に対する用法・用量を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。

 本申請は、新効能医薬品及び新用量医薬品に該当し、再審査期間は今回追加される効能・効果及び用法・用量を含めて、成人における皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和に係る再審査期間の残余期間である平成32年1月27日までとすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いします。いかがですか。実際の臨床の現場でどの程度の頻度というか、それを想定しているのですか。注射する前に非常に痛いかもしれないから、痛み止めを使いますかと質問したら、みんな使うと言うと思うのですが、1時間前に塗布しなくてはいけないという点がネックになって、ある程度減るのかもしれません。どう指導するかによって、患者の不安をあおれば結構みんな使いたがってしまうと思うので、その辺はいかがですか。

○機構 御指摘いただきましたとおり、本剤の使用方法について、本剤を塗布してから1時間待った上で注射をしなければならず、使用する際の不便というところがあります。それを考えると、基本的に成人に対してそれほど広くは使用されないのではないかと考えています。ただし、痛みに敏感な方など一定のニーズはあるのかと思います。また、それ以上に小児に対して使用されるケースが、多くなるかと思います。

○松木部会長代理 ほかによろしいですか。だんだん御意見がなくなってきましたが、先生方、お疲れかもしれません。なかなかいいペースでいっているかと思うので、そのまま。御質問は遠慮される必要はないと思うのですが、よろしいですか。

○奥田委員 直接は関係ないのかもしれないのですが、小児の用量が設定されると再審査期間が何か延びるとか、そういうインセンティブが働くと理解していたのですが、この場合については特にそういうことはないのですか。何かルールがあるのでしょうか。

○機構 今回の場合に関しましては、既に承認が得られております成人のレーザー療法の適応に対する再審査期間の残余期間がありますので、特に今回の承認において再審査期間が延びることはありません。

○奥田委員 大体はそうではないですか。

○機構 補足をさせていただきます。先に成人の用法・用量を承認した後に、市販後に小児の開発をする場合に、必要に応じて再審査期間を2年延長する制度がありますが、今回の適応はむしろ小児がメインなので、成人と小児を併せて申請してきたものです。

○松木部会長代理 ほかはよろしいですか。それでは、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていだきます。

 それでは、議題7に移ります。議題7について、機構から概要を説明してください。

○機構 議題7、資料No.7、医薬品ボトックス注用50単位他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるA型ボツリヌス毒素は、アセチルコリンの放出を阻害することにより、筋弛緩作用を示す神経毒素であり、海外では2014年5月現在、斜視、眼瞼痙攣等の多岐にわたる効能・効果で87の国又は地域で承認されており、今回の申請効能・効果である斜視については、39の国又は地域で承認されております。

 本邦においては、199610月に眼瞼痙攣の効能・効果で承認された後、片側顔面痙攣、痙性斜頸、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、上肢痙縮、下肢痙縮及び重度の原発性腋窩多汗症の効能・効果が追加で承認されております。本剤の斜視に係る効能については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議における議論を踏まえ、201012月に申請者に対し開発要請が行われました。□□月より臨床試験が開始され、今般、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料No.13に記載されております4名の委員を指名しております。

 審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。有効性についてですが、審査報告書10ページ、表1を御覧ください。国内第III相試験における第1治療期4週時における正面眼位の斜視角のベースラインからの変化量について、20プリズムジオプトリー(以下「PD」と略す)以上50PD未満層における無治療群との群間差は、2.5単位群で-12.85、5単位群で-16.72であり、統計学的に有意な差が認められました。また、10PD以上20PD未満層における群間差は、1.25及び2.5単位群でそれぞれ-9.83及び-6.08であり、統計学的な有意差は認められませんでしたが、20PD以上50PD未満層では本剤の有効性が示されていること、無治療群の被験者では斜視角の改善はほとんど認められなかったのに対し、10PD以上20PD未満層の本剤群では、誤投与の1例を除く全例で斜視角の改善が認められたことを踏まえると、10PD以上20PD未満の患者に対しても本剤の有効性は期待できると判断しております。

 次に、安全性についてですが、審査報告書15ページ、表4を御覧ください。国内第III相試験における主な有害事象は、こちらの表に示したとおりであり、眼瞼下垂等の眼障害関連の有害事象の発現割合が多く認められましたが、重篤な有害事象及び中止に至った有害事象は誤投与の1例のみであり、重症度及び転帰を踏まえますと、眼障害関連の有害事象が斜視患者において臨床上大きな問題となる可能性は低いと判断しております。

 用法・用量についてですが、審査報告書25ページ下から4行目、「その上で機構は」から始まる文を御覧ください。国内第III相試験の被験者に投与された最大用量は5.0単位でしたが、甲状腺眼症による斜視患者や強い拘縮が見られる麻痺性斜視患者における治療選択肢は限られており、5単位を超える用量が必要と考えられることから、本剤の最大用量は10単位と設定することが適切と判断しております。

 以上の審査を踏まえ、流通管理、全例調査等の承認条件を付した上で、本剤の斜視に関する効能・効果及び用法・用量を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能・新用量医薬品に該当することから、今回追加する効能・効果及び用法・用量に対する再審査期間は4年と設定することが適切と判断しております。また、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いします。いかがですか。

○佐藤委員 臨床試験の際に間違った筋肉に刺してしまって斜視が余計広がってしまったという例が1例あるのですが、添付文書を見ていて、どこの筋に刺すときにはこうだということは書いてあるのですが、ただ単に外眼筋に投与するとしか書いてなくて、例えばこの斜視にはこちらですという絵が添付文書にあるとよいように思うのですが、それは何か資材か何かを用意されるおつもりはあるのですか。

○機構 機構よりお答えいたします。本剤を投与するためにはまず眼科専門医であることが必要ですが、その上で講習を受けていただきます。その講習の中で、内斜視の患者における投与位置等についてビデオを用いた説明も行いますので、投与方法については十分に御理解いただいた上で投与されるものと思います。

○内藤委員 全くの素人質問で恐縮ですが、目の角度が変わったときに、見え方とか、左目と右目の像を一致させるのは、簡単に脳が調節してできるようになるものなのでしょうか。というのは、例えばこの治療を受けた後に車を運転するとか、普通にできるのでしょうか。そういうことに関して全然注意書きがないようですが、それで問題ないかという質問ですが。

○機構 斜視の場合には、片目で見ていますが、斜視を治療することによって両眼で見ることになるため立体的に見られる状況になり、特に説明しておりません。

○内藤委員 これを注射をした場合、その日は眼帯をするとか、何かそういうことになるのですか。例えば、よく眠気を催す薬の場合には、自動車の運転とか、危険な作業をしないことという注意喚起はよくありますが、この薬のように視覚に対して作用の出るものの場合でも、日常生活に及ぼす影響はかなり大きいと思うので、危険な作業とか、運転とかに対して、注意喚起する必要はないのかと感じたので。

○松木部会長代理 重要な点だと思いますが、いかがですか。

○機構 今の御質問は後ほど確認して回答させていただきますが、先ほどの御質問の補足をさせていただきます。斜視の患者ですが、基本的には、生まれたときから起きているということで、小さいときに眼球の筋肉の付着部を替える手術を行いまして、正しく見えるようにします。3次元視は、脳のコンピューターで処理して3次元に見えるようになるのですが、放っておくと2次元視のまま遠近感がつかめないまま大人になってしまうところを、早めに治して3次元に見えるようにしています。今回、報告書をお読みになって分かると思うのですが、治験に参加する方がいらっしゃらないという状況は、ほとんどの方が子供の頃に修正されてしまうということにあります。それでは、この薬剤が、実際に、どういうときに使われることになるかというと、子供の頃に修正されたのだけれども、若干まだ斜視が残っているというときに使われることになります。一般的に、眼帯をする疾患は限られておりまして、今回の場合は眼球を固定しまして、外直筋とか、内直筋とかを筋電図で確認しまして、非常に微量ボトックス注射するものであり、私の認識では、眼帯をするものではないと承知しています。

○機構 機構からお答えいたします。オペと同じで、斜視にボトックスを投与することによって、斜視は正常になってきます。そのときに脳は少し遅れて対応するので違和感がありますが、徐々に慣れてきます。つまり、斜視のオペでの治療とあまり変わらないため、オペでも特に眼帯をせずに、医師からは慣れるのに時間は掛かることを注意していただきます。

○内藤委員 そうすると、危険な作業とか運転に関して、注意喚起は必要ないということですか。

○機構 プリズム矯正等の他の治療法でも、同じことは起こると考えており、眼科においては日常的に注意喚起されているとは思いますので、あえて本剤の添付文書で記載する必要まではないだろうと考えております。

○機構 1点補足させていただきます。1.8の1に添付文書を付けさせていただいておりますが、先ほどこちらからも説明させていただきましたように、警告の()で「講習を受けた医師で」という形で、眼科医で、要するに筋電図、解剖学的によく分かる医師が治療をいたします。専門協議の中でも眼球の近くに投与するため、眼科専門医に限定すべきとの話もありましたので、講習を受けた眼科専門医から説明をいただけるものと考えています。

○審査管理課長 今の添付文書で4ページを御覧ください。ボトックスはいろいろな注意がものすごくたくさん書いてありまして、この中で4ページの右側の()に、一つ「眼輪筋あるいは外眼筋へ投与する場合に、以下の点に注意すること」として2点書かれております。これは投与する度に視力検査をやってくださいということや、眼科学的観察を併せてやって、本当に気を付けて見てくださいと、こういったことが書かれているのですが、こうした観察をしていく中で、見え方が少し違ってきているとか、視力として変化があるかとか、そういったことが多分ここで見られることになるのではないかと思います。

 また、()では「本剤投与後、脱力感、筋力低下、めまい、視力低下があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること」と、一応、既にこういう記載がありまして、一定の注意喚起はなされているという状況です。これに加えて、今、専門医がきちんと処置をされてフォローされるということの中で、一定程度御懸念の点についてカバーされるのではないかと考えています。

 ただ、こういった注意があちこちに書かれているものですから、もう少しそのあたりの全体的なそういう注意のポイントと、処置、操作をした上でどういう点について気を付けて見てくださいというところが、もう少し分かりやすく整理される資材もあった方がいいのかと、そういう御示唆のようにも考えますので、これは企業と審査チームの方で検討させていただければと思っております。

○松木部会長代理 よろしくお願いします。多分、今、課長からおっしゃった自動車運転の注意は、これはボトックスに関する全般的な注意だと思います。今回は斜視の治療に使用したときに、完全に立体視が治るのは難しいわけで、新たな不完全の状態にアジャストするときに、めまいとかが生じる恐れがあると思いますので、十分注意していただきたいと思います。

 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、議決に入りたいと思います。なお、平安委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題8に移りますが、村田委員は退室ということですが、本日、出席されていないので、このまま議事を続けます。議題8について、機構から概要を説明してください。

○機構 議題8、資料No.8、医薬品ラジカット注30mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。本申請の対象疾患である筋萎縮性側索硬化症(以下、ALSと略します)は、上位及び下位運動ニューロンが散発性・進行性に変性・脱落し、全身の筋萎縮と筋力低下を生じて、発症後20から48か月で死亡又は侵襲的換気が必要となる、重篤な神経変性疾患であり、国内患者数は約9,200人と推定されています。本剤の有効成分であるエダラボンは、1984年に三菱油化薬品株式会社にて創製されたフリーラジカルスカベンジャーであり、本邦では2001年4月にラジカット注30mgが脳梗塞急性期に伴う神経症候、日常生活動作障害、機能障害の改善の効能・効果で承認されております。

 本申請に係る臨床試験は200111月より開始され、今般本剤のALSにおける機能障害の進行抑制に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。本申請の専門委員として、資料No.13に記載されている4名の委員を指名しております。審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。

 まず、有効性につきまして、審査報告書13ページの表4を御覧ください。国内第III相試験では、EL Escorial改訂Airlie House診断基準のDefinite又はProbableに該当し、ALS重症度分類1度又は2度、努力性肺活量が80%以上及びALSを発症して2年以内のALS患者を対象に、本剤を2週間の休薬期間を含む4週間を1クールとして6クール投与した際の有効性及び安全性がプラセボを対照として検討されました。

 その結果、ALS患者の日常生活機能の評価尺度である改訂ALS機能評価尺度(以下ALSFRS-Rと略す)の変化量におきまして、本剤群のプラセボ群に対する統計学的な有意差が認められました。

 また、審査報告書17ページの図1を御覧ください。ALSFRS-Rの推移では、本剤6クールの投与後のスコアの平均値はプラセボ群の第4クール終了時点と同程度であり、本剤6クールの投与により、機能障害の進行を約2か月分遅延させられるものと考えております。

 次に安全性につきまして、本剤では脳梗塞急性期に対する使用経験から、腎機能障害、肝機能障害及び血液障害が特徴的なリスクとして知られております。腎機能障害につきましては、審査報告書31ページの表23、肝機能障害につきましては審査報告書33ページの表25、血液障害につきましては審査報告書35ページの表28に記載しておりますとおり、ALSを対象とした国内臨床試験では、プラセボを上回るリスクは認められませんでした。しかしながら、市販後にALS患者において同様のリスクが生じる可能性は否定できないことから、従前の注意喚起を継続し、ALS患者に対しても頻回に腎機能検査、肝機能検査及び血液検査を実施するよう、注意喚起を行うこととしております。

 また、本剤の投与対象につきまして、本剤の開発では評価指標を先ほど御説明いたしましたALSFRS-Rを用いて、ALSFRS-Rによる有効性評価に適した比較的軽症のALS患者に限定して、検証的試験を実施し、有効性を確認しております。

 審査報告書10ページの表1を御覧ください。より重症のALS重症度分類3度のALS患者を対象として、各群10例程度で探索的に本剤の有効性を確認する試験を実施しております。しかしながら、本試験においては本剤による機能障害の進行抑制は確認されませんでした。

 一方で、審査報告書45ページの表34を御覧ください。ALSFRS-Rの各項目について、投与前のスコア別に最終評価時にスコアが悪化した患者の割合を、プラセボ群と本剤群で比較したところ、ALS重症度分類3度のALS患者においても、神経機能が維持されている投与前スコアが4点の項目では、スコアが悪化した患者の割合がプラセボ群と比較して、本剤群で少ない傾向が認められました。

 本剤の開発を通して、病態が進行したALS患者への本剤の投与経験は限定的であり、現時点では当該患者集団における有効性について明確な結論を導くことは困難と考えております。しかしながら、ALSが進行性の重篤な神経変性疾患であることも考慮し、製造販売後調査において適切な外部対照との比較等により、有効性について検討すること、また情報提供資材において、これらの臨床試験成績を詳細に記載し、医療現場に提供することを前提として、病態が進行したALS患者への投与を一律に禁止することはせず、患者ごとに投与の可否を判断いただくことが適切と考えております。

 なお、本剤の用法・用量について、本日補足説明資料としてお配りいたしました資料No.15を御覧ください。審査報告書に記載の現行案では、「本剤投与と休薬の組合せを1クールとし、これを繰り返す」としておりましたが、その後の検討の結果、1クールが28日間で構成されることがより明確になるよう改定することが適切と考え、資料にて改訂案をお示ししております。

 また、本日、松木部会長代理より「用法・用量の中で、『14日間のうち10日間投与した後14日間休薬する』の部分も合わせて改定することがよいのではないか」と御意見を頂戴いたしました。

 御意見を踏まえまして、現時点で最終案まで固まっている状況ではございませんが、例えば「第2クール以降は14日間のうち10日間投与する投与期の後14日間休薬する」などに変更したいと考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤のALSにおける機能障害の進行抑制に対する効能・効果及び用法・用量の追加を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。

 本剤はALSを予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果及び用法・用量に対する再審査期間は10年と設定することが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○松木部会長代理 委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。

○川上委員 用法の設定の根拠を教えていただきたいと思います。2週間投与して2週間休薬を1クールとして、第1クールでは最初2週間の連続投与、第2クール以降は週5日の投与にされています。これは、例えば第1クールからも第2クールと同じ投与でも良いような気もしますし、もし連日投与が必要であれば、2クール以降も、最初の2週間は連日投与すればいいのではないか。あえて第1クールと第2クール目以降で、このように用法を変えられた根拠を教えてください。

○機構 機構よりお答えいたします。臨床試験においては、第1クールについては入院を前提として14日間の連日投与とされておりましたが、第2クール以降の投与については外来での投与を可能としたこと、また外来患者においては土日の投与が困難であるということで、被験者の利便性を考慮し、14日間のうち計10日間の投与というように設定されております。

 こちらは市販後におきましても同様に、患者さんの状況に合わせまして、14日間のうちの投与日を選択していただくことが適切と考えております。

○松木部会長代理 今のところですが、結局脳梗塞の方に従って2週間で区切った臨床試験を組んでいるわけですね。ある程度効果があるから良いのですが、脳梗塞とALSは全然違うわけで、持続的に使った方が絶対に効果があると予測されるので、もっと早い段階で機構が開発に関与することができるのなら、そういうような指導をしていただいた方が世の中のためだと思います。

 それから、重症度の人を認めるという理由として、表34を説明されたのですが、これはどう考えても後付けのような気がします。表1が全てで、ここで差がないわけですが、ALSの有効な治療薬というものがそんなになくて、非常に重篤な疾患であるということを考えれば、臨床における選択肢という意味では重要であるという判断が良いと思います。もし、この表34を本当に良しということであれば、これからも有意差はないけれども、その中から恣意的に項目を抽出したらよかったみたいなことで認めるというようなことになってきてしまうので、そこは表34の重きをもう少し下げておいた方がいいのではないかと思います。

○機構 御意見ありがとうございます。重症度が高い患者さんにつきましては臨床試験での投与経験は非常に限られておりますが、製造販売後には登録目標症例数700例、観察期間は最大5年間とした製造販売後調査を実施することとしておりますので、そちらの中で死亡や侵襲的換気といった病態の進行に対するイベントも含めまして、本剤の有効性及び安全性を検討することにしております。

○松木部会長代理 ほかにいかがでしょうか。

○加藤委員 全般的なことになるのですが、村田委員がまだいらしていないということなのですが、神経内科医はALSの患者さんを診ている上で、どの時点で、どういうふうにこれを使ってみましょうという判断をする薬なのかなという位置付けが分かりにくいと思います。

 報告にあったように、治療薬もありませんし、原因も明確には分かっていないですし、家族性のものもあれば、そうでないものも大部分はありますし、進行の速さも患者さんによってものすごく違っています。進行の速さに関しても症例ごとに全然速さが違うし、その原因というのも分からないと。

 そういう状況で、例えば1.8の添付文書で、神経内科医がこれを使おうかと思ったときに、添付文書の1ページの「効能・効果に関連する使用上の注意」という所で、いろいろ御報告があったのですが、ALS患者に使う場合ということで、「ALS重症度分類、呼吸機能等の背景及び試験ごとの結果を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと」というように投げ出してあって、「臨床成績の項参照」といって、2枚めくった所に、臨床成績があって、4ページの2の所がALSの臨床成績ということで、まず生存期間への影響は分からない、プラセボの検証的試験というのもよく分からない感じで、第3クール完了例を評価対象にしながら、第6クールを終わった時点での値で比べると、それは有意であると書いてあるのですが、その下の()の二重盲検でも有意差はないし、その次の()でも有意差はないしというのをずっと見ていったときに、結構これを投与するのが大変で、ALSの患者さんは在宅にしても通院にしても、すごく大変な人が多い中で、これだけ大変な投与方法が必要な薬を、「これをやってみましょう」と、どういう神経内科医の先生が、どういうときに判断する薬として市場に出すのかなというのが、ちょっと私は見えないと思いました。非常に難しい病態であるがゆえに、患者さんはある意味で藁をも掴む思いで、魔法の治療薬ができないかとおっしゃっている患者さんは多いと思うのですが、そこに対してこれが出てきたときに、どのように神経内科のお医者さんは説明して、ちょっと大変な投与計画をやっていきましょうという話をするのかなというのが、位置付けが難しく思いました。どうでしょうか。

○機構 機構からお答えいたします。まず、先生から御指摘いただきました臨床試験の解釈の部分になるのですが、添付文書の4ページに記載しておりますとおり、検証的試験については2本実施されております。

 検証的試験の「2回目」と「1回目」と書かせていただいておりますが、1回目の試験では、統計学的な有意差は認められませんでした。その段階で、申請者が十分に検討した結果、その中でより軽症の患者様等であれば、有効性が期待できるのではないかと判断し、患者集団を更に限定するような形で、検証的試験の2回目を組んでおります。

 その結果、統計学的な有意差が認められたという形になっており、基本的に今は生物統計学的な観点で有効性が確認されているのは、より軽症の、この検証的試験の2回目に組入れられた患者様ということになります。

 この剤がどのように使われるかですが、この剤が効能を取得した段階では、今、現に臨床現場には重症度が1度から5度まで、様々な患者様がいらっしゃいます。それぞれの患者様に対して、まず「投与を開始しますか」というところを考えていただかないといけないと思いますが、重症度が1度、2度の軽症の患者様については、基本的に使っていただいて、有効性は確認されているという状況になります。

 3度から5度の患者様について、この効能が取得された直後につきましては、有効性が今の時点ではよく分かっていない部分もありますので、使っていただく、使っていただかないという部分につきましては、この添付文書にも3度の患者様を対象とした試験結果について記載させていただいておりますが、4度、5度に実際に臨床試験の中で進まれた患者様もいらっしゃいます。そういった患者様でALSFRS-Rのスコアの数字がどうであったかという部分については、情報提供資材にかなり細かくデータを載せさせていただいており、そういった資材を御参照いただきながら、実際に患者様に使っていただく、使っていただかないというところを先生方に御判断いただくということになろうかと考えております。

 一方で、この病態につきましては、大体2年、3年というところで残念ながら患者様が亡くなられるという疾患になっておりますので、数年すると、基本的には新しい患者様がALSを発症されて、その段階でこの剤を恐らく投与されることになるだろうと考えております。

 そのALSを発症されてこのお薬を使い始めた患者様が、今度は疾患が徐々に進行していく中で、3度、4度と進まれてきた段階でのエビデンスは十分なものはございません。そういった段階で、またこれらのデータを見ていただきながら、この剤を続ける、続けられないというところ、この剤は腎機能や肝機能障害あるいは血液障害というリスクがありますので、検査値等を見ていただきながら、患者様にとってよりよい選択を患者様ごとにしていただけるようにという形で、効能・効果関連注意の方は添付文書になじむ記載として書かせていただいております。

 そういった内容につきましては、情報提供資材の方にかなり詳しく書かせていただいており、基本的にそれを見て、先生方に十分に御理解いただいた上で、このALSに対してどういった患者様に使っていただくのかというところは考えていただくことを考えております。

○加藤委員 本当に病気が特殊で、絶対に進行しますし、進行した後は機能廃絶、人工呼吸しかあり得ないという、進行が非常に確実な予後が宣言される病気ですので、その中で軽症のときは使えるけれども、重症になったら使えるかどうか分かりませんと最初に言うときに、やはり相当慎重に患者さんに説明する必要は、普通の薬と違った努力が必要だと思いますので、その辺は普通の疾患に対する薬と違うということをうまく説明する工夫を努力していただく必要があると思います。

○機構 患者様への説明という部分も、この剤を使っていただく上で非常に重要だと考えております。そのため、患者様向けの資材というものも、この剤については作成させていただいておりまして、どういった患者様を対象に臨床試験を実施されているのか等につきましても、患者様御自身にきちんと情報提供していただけるような体制を準備させていただいております。

 その中で、患者様、御家族、それからお医者様ときちんと御相談いただきまして、この剤を使っていく、使っていかないというところを、患者様ごとにお話いただける体制は、なるべく我々の方でも御用意させていただいたつもりです。

○松木部会長代理 先ほどの専門家の御意見ということで、専門協議に参加されている医師はALSの治療経験のある人が参加されているわけですよね。

○機構 臨床の専門委員として、今回は□□先生、□□先生、□□先生と、お三方御指名させていただいておりますけれども、3名ともALSの治療経験のある先生になります。

 特に、□□先生につきましては、非常に多くのALS患者様を□□の方で診られている非常に有名な先生になりますので、そういった先生方からも、先ほどの「この剤が市販後にどういうように使われるのでしょうか」というところで御意見を頂いており、チームでも検討させていただいて、資材を整備させていただいたというところになっております。

○松木部会長代理 よろしいでしょうか。

○佐藤委員 私も病態が進んでしまった患者さんについてのことです。有意差は残念ながら出てこないけれども、結果として使わざるを得ないというところは、私も納得します。今の御説明で、個々のお医者さんが、自分が診てきたほかの患者さんと比べて、この患者さんが病態の進み方がどうかということで、この薬が効いているか効いていないかということを判断するということがあり得るということが分かったのですが、審査報告書の45ページの所で、これは多分市販後の調査で、「適切な外部対照と比較をする」と書いてあって、先ほど説明のあった市販後の調査でこの薬の安全性については分かると思うのですが、有効性について適切な外部対照と比較するというのは、具体的にどういうことを考えていらっしゃるのかを教えていただけますでしょうか。

○機構 機構からお答えいたします。国内におきましては、ALS患者様を対象としたhistoricalのデータベースというものがございまして、historical dataとの比較にはなりますが、そちらとの比較を実施することを、今のところ検討しております。

○松木部会長代理 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

○事務局 事務局から失礼します。先ほどPMDAの方から最初に説明させていただいたときに、松木先生からコメントを頂いて、用法・用量の記載ぶりについて、こちらで検討させていただいた上で、今後の取扱いなのですが、基本的にこの件については具体的な表現ぶりというところになると思いますので、その部分について御意見頂きました松木先生と、本日欠席ではございますけれども、部会長の松井先生と御相談させていただいて決めさせていただいて、そして結果については次回の部会で御報告させていただくという形でよろしいでしょうか。

○松木部会長代理 資料15の改訂案の更に改訂案ということですよね。

○事務局 はい。

○松木部会長代理 分かりました。

 それでは議決に入りたいと思います。なお、野田委員、平石委員、平安委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは報告事項に入ります。報告事項について、説明をお願いいたします。

○事務局 報告事項を御説明させていただきます。資料9を御覧ください。報告事項、議題1「医薬品アイリーア硝子体内注射液40mg/mL他1規格の製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。

 本剤はアフリベルセプト(遺伝子組換え)を有効成分とする、抗VEGF薬でありまして、現在、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性等の効能・効果で既に承認されているところです。今般、バイエル薬品株式会社より、網膜静脈分枝閉塞症患者を対象とした臨床試験が実施され、本剤の有効性及び安全性が確認されたことから、既承認の効能・効果である網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫を網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫へと変更する、製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。

 機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしております。

 続きまして、報告事項、議題2になります。資料10を御覧ください。こちらは医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。販売名はニフレック配合内用液。1枚めくっていただいた所になりますけれども、もう1剤、販売名はガスモチン錠5mg他2規格の再審査報告書でございます。

 こちらの品目につきましては、製造販売後の使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われまして、審査の結果、医薬品医療機器法第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、つまり効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はないカテゴリー1と判定されたものでございます。

 最後になりますけれども、資料11を御覧ください。報告事項、議題3「医療用医薬品の承認条件について」、事務局より御説明いたします。マクジェン硝子体内注射用キット0.3mgに係るものになります。

 承認条件に係る審査報告書の1ページを御覧ください。ペガプタニブナトリウムを有効成分とする医薬品マクジェン硝子体内注射用キット0.3mgですが、こちらは平成20年3月に中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性における効能・効果で新規承認されたものの、承認時までに国内での治験症例は限られていることから、全症例を対象とした使用成績調査に関するす承認条件が付されております。今般、承認取得者でありますファイザー株式会社から、当該調査に係る報告書が提出されまして、機構において審査されましたので、御報告いたします。

 まず、2ページの2.1の「調査方法及び登録症例数」の所を御覧ください。報告された調査は、本剤を使用した全症例を対象に、目標症例数は3,500例、観察期間は投与開始日から投与終了日までとされておりまして、調査票が収集されました3,538例、3,669眼のうち、安全性解析対象3,492例、3,620眼の調査結果がまとめられたものでございます。

 安全性については3ページ、2.4「安全性」の所を御覧ください。安全性解析対象3,492例のうち、副作用が1.8%に認められておりまして、承認時までの試験と比較して高くなる傾向は認められておらず、発現した副作用の種類も大きな違いは認められなかったとされております。重篤な副作用は28例、29件認められておりまして、主な副作用は高眼圧症、心筋梗塞、眼内炎等であったとされております。

 有効性については、7ページの2.5の「有効性」の所を御覧ください。有効性評価期間別の有効率は表4に記載されておりますとおりで、投与期間が長期にわたっても、有効率が低下する傾向及び視力が大きく変動する傾向は認められなかったとされております。

 以上を踏まえまして、8ページの「総合評価」の所にありますとおり、現時点において本剤の適正使用に必要な措置は講じられていると考えまして、本剤のいわゆる全例調査に関する承認条件の内容については、確認できたものと判断しております。以上でございます。

○松木部会長代理 委員の先生方から、御質問等はありますでしょうか。よろしいですか。報告事項については、御確認いただいたものといたします。

 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますでしょうか。

○事務局 次回の部会について御報告させていただきます。次回の部会は7月31()13時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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