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2015年8月20日 2015年8月20日 歯科医療の専門性に関するワーキンググループ(第2回) 議事録

医政局歯科保健課

○日時

平成27年8月20日(木) 9:00~12:00


○場所

経済産業省別館第114会議室


○議題

1.新たな専門医に関する取組について(医師)
2.歯科医療の専門性に関することについて
3.その他

○議事

○和田歯科保健課長補佐 

定刻となりましたので、ただいまより「歯科医師の資質向上等に関する検討会歯科医療の専門性に関するワーキンググループ ( 2 ) 」を開催させていただきます。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。

 構成員の出欠状況ですが、本日は伊東構成員から欠席の御連絡を頂いております。なお、高梨構成員については、 10 時過ぎに途中退席される旨を伺っております。日本歯科医師会の役員の変更に伴い、当該ワーキンググループの構成員にも交代がありましたので御紹介いたします。日本歯科医師会副会長の柴田構成員です。日本歯科医師会常務理事の小林構成員です。

 今回のワーキンググループについては公開となっておりますが、カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。

 資料の確認をお願いいたします。議事次第、座席表、構成員名簿、資料 1 から資料 3 まで、参考資料 1 から参考資料 6 までを配布しております。参考資料 6 については、青いファイルにて、過去の資料をつづっておりますので御確認ください。乱丁、落丁などありましたらお知らせください。以降の議事進行は西原座長にお願いいたします。

 

○西原座長 

おはようございます。今回、第 2 回ワーキンググループを開催させていただきます。前回の会議で様々な構成員から、おおよそ 3 つの項目に分けて御意見を伺いました。その中で、先行事例として医師の専門性について、私の方から小森構成員に対して、本日詳しくお話していただけませんかというお願いをしておりました。今回は、冒頭に小森構成員からまとまった形で、医学における専門性の経緯と、今の実態をお話いただくことになっております。

 さらに、議題の中で専門性という問題から端を発して専門医、あるいは広告、標榜についても意見が交わされました。その点については、御出席の方々のそれぞれの立場で発言があると思います。しかしながら、これは法に定められたところをわきまえた上で議論をしないと、行き違ってしまうということで、本日、厚生労働省からこれまで定められたものを中心に、一定の方向性のお話を頂く予定でおりますので、それも併せて御案内いたします。

 議事に移ります。まず、「新たな専門医に関する取組について ( 医師 ) 」というタイトルで御案内しておりますが、資料を用いて今から小森構成員にお願いいたします。

 

○小森構成員 

このような機会に、「新しい医科専門医の仕組み」についてお話をさせていただく機会を作っていただきました座長、また皆様方に心から感謝申し上げます。当初、 45 分とお聞きしていたのですが、もっと長く話せということなのでちょっと長くなりますが、お話させていただきます。資料の最初の題名に、「専門医制度」と書かずに、「専門医の仕組み」としてあります。医政局の公式文書には、「専門医の仕組み」となっております。なぜかという話はこれからさせていただきます。

 我が国の医科における専門医制度、医師の生涯教育についてのザックリとした概観のお話をさせていただきます。

 スライド番号 1 は英国の例です。英国では医学部 6 年、その後は多少ばらつきがありますけれども、 2 年間の臨床研修を経た後、いわゆる GP(General Physician) となる道と、英国では Consultant という言い方をするようですが、専門医になる道とここで分かれます。 2 つの道の間に白い空間を取ってあるのは、この行き来がほとんどない。英国の医師にお聞きすると、それは不可能ではない、道はあるということですがほとんどない。極めて難しいということです。

 スライド番号 2 はフランスの例です。フランスは特殊で、バカロレアで、 1 学年 5 万人程度になります。 2 年生になるときに振り落として 6,000 名ぐらいになります。卒業時に全国の選抜試験を行い、たった 1 回の成績順で自分の専門を決める作業を行います。フランスには 22 の地域圏があります。人口は 7,000 万人ですから、日本の都道府県のようなイメージだと思います。それぞれの地域圏において、例えば今年は何人の脳外科が要るかを設定し、成績順から決めます。専門医のほうが、社会的にも経済的にも評価が高いということで、もちろん優秀な方で GP を選ぶ方も当然いるわけですが、少なくともある所で専門医枠が一杯になってしまって、それより成績の悪い方が GP になるというシステムになっています。

 スライド番号 3 は、これから超高齢社会を迎えて、社会全体で病と闘っている方、障害と闘っている方、様々な方が住んでいる地域で、医療・介護を保険制度が支えるという構図のときに、医師集団の中に、 2 つの異なった集団を作るのが本当にいいのだろうか。私たちは、極めてこれは問題だと思っています。 OECD 等の評価で、日本には GP がないのだとしていますが、これは全く違っていると我々は思っています。彼らの言う GP Primary care しか知らない医師集団のことであるという理解です。

 スライド番号 4 です。我が国の医学教育においては、現在は臨床研修を 2 年、その後専門医研修を 3 5 年、その上で更に専門医として 5 10 年の間、多くの医師は様々な形で診療をします。地域の病院では救急、中核病院においては高度医療、もちろん初期医療も担った上で、更に深化していくか、あるいは開業医の道を選ぶかをそこで選びます。

 スライド番号 5 に書いてあるように、平たく言うと同じ釜の飯を食っている時間が極めて長いということです。逆に言うと、確かに Primary care に特化した、その道一筋ということではないけれども、自分の専門性という太い背骨を持った上で、 Primary care を担っているのが我が国の特徴です。そこまでお話した上で、専門医制度の経緯についてお話します。

 スライド番号 6 7 です。専門医制度について語り出すと、これだけで 30 分話ができますので全部端折ります。全部端折りますが、いずれにしても現時点で平成 14 年の厚生労働大臣告示によって、専門医広告が可能となるためには、スライド番号 6 の下に細かく書いてあるように、いわゆる外形基準を満たすということです。その方一人一人がどのように学んできたかは一切関係ないということで広告が可能となっています。したがって、あっという間に医科においては広告可能な専門医が 55 になりました。

 一方でスライド番号 8 です。医師集団の中でどれぐらい専門医の資格を持っているのかを、医政局医事課で調べていただいた三師調査です。一番右の 30 年目を見ると、 20 %程度が、診療所の医師が専門医を持っている。そして、 20 数%が病院の医師が専門医を持っていて、それから、臨床系機関の方が持っています。医育機関以外を合わせたのが、おおよそそこに書いてあるような数字です。 4,000 人程度が専門医を持っているということですから、全体の中で専門医の資格を持っているのは、おおむね 60 %余りという理解をしていただければ結構かと思います。

 スライド番号 9 です。あくまで医療制度全体から見て、これを考えないといけないというのが 1 点です。国民の健康な生活を確保するための仕組みでなければならないということです。

 スライド番号 10 です。医療現場の機能強化が最優先であり、どのように影響を与えるかという配慮が必要であるということ。

 スライド番号 11 です。国民の健康な生活を確保するための制度でなければ意味がない。この視点を常に欠かさないでいるということが必要だということです。

 スライド番号 12 です。したがって専門医については、明らかに行きすぎた制度を作ってしまうと、地域医療との整合性、フリーアクセスの問題、あるいは専門外の患者を診察しない。私も 3 回、 14 日間にわたって、福島県相馬において、災害救護活動に携わらせていただきました。これは極めて特殊な例であろうかと思いますが、悲しいかな糖尿病の専門の先生が、腎臓病の避難者を診なかったということがあって、これは極めて問題です。したがって、適正な専門医制度の指向、国民の健康な生活の確保に、国民の方々に寄与するものであれば、これは当然作っていくべきだろうということです。

 スライド番号 13 です。日本医師会では、このことについて、ここに掲げてある 6 項目を皆で合意した上で議論にあたりました。国民の健康な生活を確保するための制度でなければならない。プロフェッショナル・オートノミーを基盤として行うのだということ。さらには、専門医のインセンティブについては慎重に議論する。

 スライド番号 14 です。そういうことが背景にあって、平成 23 10 13 日から平成 25 2 28 日まで、 17 回にわたる「専門医の在り方に関する検討会」が開催されました。私も、委員として参画させていただきました。後で述べるように、最後の委員会が 2 28 日であるにもかかわらず、報告書の公表は 4 22 日でした。 30 万人の医師には 30 万通りの意見があります。また国民の方々の御意見も、当然様々です。官僚の方々の意図もあります。こうした議論の中で、 2 か月間の熟慮があった上で、最終的には合意に至ったという重い文書であったことを御理解ください。

 スライド番号 16 です。何度も申し上げますが、その基盤となる考え方は、新たな専門医の仕組みは、プロフェッショナル・オートノミーを基盤として設計されるべきである。プロフェッショナル・オートノミーという言葉はカントの言葉で、プロフェッションたるもの、国民に負託されたその責任は、自らを律することにあるという言葉です。

 この報告書は参考資料に付けておりますが、 9 ページと 9 行しかありません。その中に「プロフェッショナル・オートノミー」という言葉が 5 回出てまいります。それはなぜか、そのことによって皆が合意できる基盤、プラットフォームができたということです。

 スライド番号 17 です。専門医とは何だと。つまり、「神の手を持つ医師」や「スーパードクター」ではない、テレビの報道番組といいますか、面白半分に言われるようなドクターではなくて、「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」と定義をしたということです。

 スライド番号 18 です。議論の中の大きなところはこの 18 ページです。全て私の個人的な意見ではなくて、検討会の報告書の抜粋です。「標榜医」については、今後検討を行う、考えられる。私は金沢なので金沢弁で 1 時間しゃべれますが、そうすると皆様は分からないので、できるだけ努力して標準語でしゃべろうとしています。霞が関の用語、永田町の用語があります。今後検討を行う、考えられる。これは考えないという意味です。

2 番目は、新たな仕組みの下での専門医について、標榜科と関連させることも、将来的には考える。当面はやらないということが書いてあります。新しい専門医の仕組みについて、新たな専門医の認定・更新状況等を踏まえつつ、将来的には、関係制度等への位置付けを検討すること、望ましい。全くやらないと。つまり、国家・権力というのは決して悪いものではない。特に、ここにお並びの官僚の方々は、本当に素晴らしい能力の方で、国家を愛している、国民を愛している、そのことのためにやられるというのは本当に素晴らしい方々だと思いますが、残念ながらその方々がやられることは、法律という、あるいは数値という様々なそういう手段によって国家を良くしようとします。

 我々プロフェッショナルはそうではない。自ら持っている技能、そして患者に寄り添う姿勢、そして傾聴することによって患者さんに寄り添うということであって、ある意味全く相反する。専門職というのは、国家権力と常に闘うというのが、専門職の本質的に持っているものです。従って、新しい専門医の仕組みを一切の公権力から切り離すことがなければ報告書ができませんでした。

 刺激的なのでここにはあえて載せませんでしたが、平成 19 12 7 日に第 4 回医道審議会医道分科会診療科名標榜部会において、厚生労働省担当部局は、総合科の新設ということを突然出してきました。そして、総合科を診療科名に位置付け、国の個別審査によって標榜資格を付与する。国家によって診療科名を作り、そのことによって標榜させる。これは、麻酔科の例があります。この文章に対して、医療界は一致団結してこの提案を蹴ったという歴史があります。

 もう一点は、平成 20 年ですが、この辺りは非常に医療崩壊が叫ばれたという事情もあります。舛添大臣の様々な御指示もあったと聞いています。土屋了介先生が班長で、専門医に関する第三者機構を作るという、厚生科学労働研究が発表されています。このときには、「卒後医学教育認定機構 ( 仮称 ) 」という名前ですが、そこには大きく公的な資金を投入することになっていました。公的資金を大きく投入するとどういうことが起こるかについて、本日は明らかには述べませんが、つまりそれを拒否したということです。その作業のために、大もめにもめて 17 回かかっています。そしてさらにその後 2 か月を要しました。

 結果としてスライド番号 18 は大変重要です。歯科の先生がこれから作られるときに、このことを、医科はこのような闘いをして勝ち取っている。その上で合意をしていることを是非御理解いただきたいと思います。

4 番目のポツの、専門医の広告に関しては、第三者機関が認定している専門医を広告可能とすべきである。つまり、医療法で定められておりますので、これは、それぞれ担保できたものについては認めようということで、上の 3 つのポツとは明らかに違う表現になっていることを御理解ください。

 スライド番号 19 は国の関与です。先ほど「プロフェッショナル・オートノミー」という言葉が 5 回出てくると言いました。「国」という言葉は 2 か所しか出ていません。ここにも大きな意味があります。この 2 か所のみ記載をしたということです。

 その意味はスライド番号 20 にまとめてあります。国の役割は、したがって研修施設が養成プログラムを作成するに当たって、都道府県、大学、地域の医師会等の関係者と十分に連携を図るということが 1 つです。 2 つ目は、地域医療に配慮した病院群の設定や養成プログラムの作成等に対する公的な支援を行う。 3 つ目は、データベースの構築に対して支援する。国の仕事はこれだけであって、これ以上ではないということを明確に書いてあります。

 実はこの後、毎年 3 4,000 万円、医政局の予算を平成 26 27 年度に付けていただいています。このうち 2 8,000 万円は、養成プログラムを作った研修施設に対して措置されるお金です。 6,000 万円は、データベースを構築するソフトウェアとハードウェア等に関わる費用です。第三者機関の基本的な運営に関わるお金について、国は一銭も出すな、我々でやるという宣言をしました。したがって、そのような形で予算が措置されています。

 もう一つ大事なことは地域医療の問題です。たった 3 行ですが、新たな専門医の仕組みの構築に当たっては、少なくとも、現在以上に医師が偏在することのないよう、地域医療に十分配慮すべきである。これは、極めて重要なことです。

 スライド番号 22 の中にはキーワードが幾つかあります。「都道府県」という言葉は 4 回記載されていると思います。都道府県の仕事、各大学の仕事、医師会の仕事、関係者の仕事と整理しております。

 都道府県、大学、医師会等についてはスライド番号 22 23 24 26 にわたって記載してあります。後でキャリア支援の所に戻ります。

 そういうことを踏まえてスライド番号 27 で都道府県の役割を翻って整理してあります。都道府県の仕事は、つい先日の 8 7 日に、厚生労働省は全国都道府県の関係部局を集め、新しい専門医の仕組みについて研修会を開いたときに、私が講演したスライドです。あくまでも検討会報告書に忠実に作ってあります。

 スライド番号 27 は、都道府県研修施設が養成プログラムを作成するに当たって、国、大学、地域の医師会等の関係者と十分に連携を図ることが仕事です。そこには地域医療に配慮した、あるいは一定の地域医療に関する研修を取り入れることを報告書にも書いてあります。

 スライド番号 28 は、地域医療支援センター等を活用し、研修施設と連携しつつ、大学病院や地域の中核病院などの基幹病院と地域の協力病院等 ( 診療所を含む ) が病院群を構成することを支援する。

 スライド番号 29 は、専門医が地域に定着するよう、専門医の資格取得後も、大学、地域の医師会等の関係者、研修施設等と連携し、キャリア形成支援を進める。そして、医療提供体制の現状把握のための基礎資料として、専門医に関するデータベースの活用を今後検討するということです。

 戻ってスライド番号 25 です。これは男女を問わずです。女性医師は国家試験の合格率が 30 %を超えて、 30 %強の状況が 20 年近く続いてきています。人間にとって、あるいは生命にとって最も素晴らしい現象である出産・育児、そして、現在私たちにとって大変大きな問題というよりも、大きな喜びと言っていいのかもしれませんが、長生きをされて、お年を召されても元気な方々がたくさん生まれている社会、生きていてよかったという社会を作るための介護、そういうものと専門医の取得・更新が両立できる仕組みにするということ。

 もう一つは、我が国がこれまで以上に、医学を発展させるために、内発的な動機によって、研究領域に進む医師を応援することが極めて重要な視点ですので、そのことについても明確に配慮することも書き込みました。

 スライド番号 30 31 です。医療法の改定により、都道府県の役割について書かれたものを特化して書いたものです。

 スライド番号 32 33 で、その主たるものは、つまり地域医療支援センターについて、努力義務とはいえ置くこととされたということです。現在、ほとんどの県において、地域医療支援センターが、活動については濃淡がありますがあります。医療勤務環境改善支援センターを設置する。医療法に基づいています。この 2 つのことをしっかり行う。都道府県は、大学、地域医師会等の関係者と連携をし、地域医療が更に強化されるように、このことをしっかりやっていただくことが、都道府県の役割です。逆に言うと、大学の仕事でありますし、研修施設の責任でありますし、地域医師会の責任だということを明確に書いてあります。

 スライド番号 34 ですが、先ほど申し上げた年間 2 8,000 万円の予算はこういうことに使われています。「専門医認定支援事業」という名前ですが、あくまで地域医療に配慮したものであるということです。ここはちょっと誤解があって、マル 1 に総合診療専門医と書いてしまったものですから、後で担当部局と、これはちょっと失敗したねというやり取りがありました。あくまで 18 の基本領域全てであり、 Q&A にはその辺りの説明を補足しました。いずれにせよ、 1 人医長とか、地域の小病院での勤務が専門医の取得・更新に妨げになることがあってはなりません。そして若い専攻医、あるいは若い専門医たちが、地域に赴任することは喜びであって、悲しみであったり、つらいことであると思わないような仕組みを作ることが重要であって、そういうプログラムに対して予算措置をするということで、平成 26 年と平成 27 年を合わせて 5 6,000 万円、今後もこれを継続していただきたいということを要望しています。

 スライド番号 35 は、検討会の報告書において、第三者機関の運営についていろいろ書いてあります。これは細かいですから、後でお読みいただければと思います。

 そういう経緯を踏まえてスライド番号 36 です。この準備委員会である、「日本専門医機構 ( 仮称 ) 組織委員会」を作り、私はその中の財務の委員長を仰せつかって担当しておりました。そういう経緯を踏まえ、昨年の 5 7 日に設立時社員は日本医師会、日本医学会、全国医学部長病院長会議の三者ですが、新しい日本専門医機構が設立されました。日本医師会館において記者会見をした姿を写真に載せてあります。

 日本専門医機構の現在の機構図はそこに書いてあります。社員総会が一番上にあり、その下に理事会があります。そして一番重要なというか、評価・認定部門です。基本的には、まず基本領域について骨格を定めようということですので、それぞれ専門医の認定・更新部門、専門医研修プログラム研修施設評価・認定部門、つまり専門医をしっかりとしたトレーニングを行ったかどうか、行い続けるかどうかを評価する所と、プログラム並びにその施設を評価する。この 2 つの部門があります。現在は基本領域しか作っておりませんが、各これまでに担ってきた、例えば内科であれば内科学会から 6 7 名の委員をそれぞれ出していただいて、委員会を構成しています。

 スライド番号 38 です。社員については、その後四病協、がん治療認定医機構、基本領域 18+1 ですが、この 1 についてはまだ検討中で、現在社員が 23 名です。理事、監事についてはスライド番号 39 に書いてあります。

 そういう議論を踏まえ、昨年 7 月に、日本専門医機構の中で、専門医制度整備指針、あくまで第 1 版、つまり PDCA サイクルを回して、国民の方々の御意見を聴きながらバージョンアップしていく第 1 版です。理念及び専門医像については、専門医の質を担保する。患者さんに信頼され、受診の良い指標になる。公の資格として国民に広く認知され、評価される。プロフェッショナル集団としての医師が誇りと責任を持ち、自律的に運営するという理念を掲げてあります。

 スライド番号 41 は骨格です。二段階制とする。基本領域とサブスペシャルティ領域です。認定は各学会ではなくて、第三者機関はこれからお話をさせていただきます日本専門医機構で行う。ここが大きく変わった点で、専門医の育成は研修プログラムによって行います。したがって、どんな領域であっても、一定の研修プログラムによって研修をされ、そして評価をされて、そのプログラムにうたってある資質を身に付けたことを評価されて、初めて認定を受ける、あるいは更新されるということです。したがって、プログラムそのものの評価・認定、あるいは研修施設についてもサイトビジットを行っていくということです。後で述べますけれども、総合診療専門医について、基本領域の専門医に位置付けるということです。

 スライド番号 42 です。二段階制についての検討会の報告書の抜粋並びに制度指針の抜粋を書いてあります。

 スライド番号 43 に書いてあるように、基本領域専門医、ここに「総合診療」を加えました。ここに「総合診療科」と書いたスライドが時に散見されることがありますが、それは間違いです。総合診療科というものは存在しておりません。そういうことで合意したのではなくて、総合診療専門医を作るということで合意をしたので、「科」は付いていません。ここにもポイントがあります。基本領域を持っていない方は、サブスペシャルティは取れないという構造になっています。

 スライド番号 44 で、まずはカリキュラムを作ろうということです。これまでも、内科学会や外科学会等は 100 数十年、あるいはもっと古くから言うと数百年の歴史があります。新しい領域でも救急、麻酔も相当長い歴史があり、それぞれの学会の理念等があります。これを一定のものにしましょう、皆が合意する基準を作りましょうということで、理念・目的についてしっかり書いてください。患者さん中心の診療姿勢を身につけることをしっかり書いてください。医師としての人格の涵養、プログラム、カリキュラムにはどんな領域であってもしっかり書いてください。そして、そのことをしっかり実行できることを明記してください。到達目標についても、専門知識の範囲と要求レベル、技能の範囲と要求レベル、科学的思考、生涯学習、研究、あるいは医師としての倫理性、社会性、コミュニケーション能力、医療倫理等についても明記をして、これを到達目標として、そのことについての目標が達せられていないと評価される場合には、専門医として認定しないことを明確にしましょう。

 スライド番号 45 は、経験目標です。これは細かいことですが、この中で手術・技能だけではなくて、地域医療の経験、病診・病病連携、地域包括ケア、在宅医療、医師不足地域での医療経験を評価しましょう。学術活動についてはもちろんのことです。

 スライド番号 46 は、方略です。方略については、プログラムでの研修その他。また後で述べますけれども、臨床現場を離れた、社会性に関する活動についても評価しましょう。研修評価については、形成的、総括的、ポートフォリア、あるいは多職種の評価 (360 度評価とも言う ) 、指導医そのものに対する評価も併せて行うことも明記してくださいということです。初年度に 100 %というわけにはまいりませんが、それに向けて努力し続けることを明記していただきたい。

 そういう上で、スライド番号 47 からですが、カリキュラムを踏まえた上でのプログラムを作っていただきたいということです。相当細かい話ですので省いてまいりますが、スライド番号 47 1. の専門研修プログラム整備基準を各領域で全て作ってください。ここには、プログラム制の骨格について書いてあります。

 スライド番号 48 は、整備基準の提示です。ここには使命、その他について、プログラムの継続的改良、物的支援等について明記してください。

 スライド番号 49 には、専門研修プログラムの提示、専攻医受入数についての基本的な考え方等です。

 スライド番号 50 には、 2 つ目の大きな改革があります。「診療実績」を明示していただきたい。診療実績がなければ、専門医とは認めないということです。ただ、このことは現場で大きな反論と不安を呼んでいます。

 したがって非常に厳しい基準でなくて、例えば、整形外科の先生が、整形外科をちゃんとやっているということであればいいのだということなのです。ハードルが高すぎて大変なことになったというので、大きな不安を呼んでいます。後で述べますように、これは趣旨がそうなので、実態に合うようにしています。現場の混乱がないように、最終的になっていく、収斂していくと思っています。

 スライド番号 51 から 53 については、施設群について書いてあります。ここは、いろいろありますというお話です。

 スライド番号 54 は、専門医の更新です。基本的には、現在までの学会認定において、専門医を既に持っている方ということ。後でスケジュール表を述べますが、新しい仕組みでは、今年の 3 月に医科系大学、医学部を卒業して、本年から初期臨床研修制度に入っている方々を対象としています。その方々が、専攻医として、専門医研修を開始されるのが 2017 年で、最低 3 年ですが、これは、領域によって違います。これは明確ではないので、間違いが起こる可能性がありますが、例えば、整形外科は 4 年という話もありますし、皮膚科は 5 年という話もあります。したがって、最短 3 年です。機構としては、どれだけ短くても 3 年以上にしてくれというお願いです。各学会の事情、診療領域で様々な事情がありますので、 3 年で専門医が取れるのだということではなくて、領域によってはいろいろであるということです。新しい方々を基本にしています。これまでの方については、一定の要件をしっかり満たした方については、機構として認定する。これまでの学会認定を満たした方については、そのまま学会認定の専門医として、 5 年間で徐々に移行していく。その移行の仕方は、各領域にお任せする形になっています。

 スライド番号 55 は、専門医の更新基準の大きなまとめです。これは新しい方、これまでの方も併せて、基本的にこれは守っていただこうということです。 1 つは勤務実態の自己申告です。勤務実態を自己申告してくださいと。これは領域によっていろいろ違います。診療実績の証明書を出す。

 更新単位の取得は右に書いてあるように、 1 つは診療実績の証明については、最小 5 単位、最大 10 単位。専門医の共通講習については後でお話しますが、私が強くこだわったことがあります。専門医という認定は、これまで基本的には技術認定と、学問的な研究発表の認定だったのです。

 全ての専門医、全ての医師と言ってもいいと思うのですが、やはり医の倫理、医療安全、感染対策、患者さんとのコミュニケーション、地域に生きている方とのコミュニケーション、他職種とのコミュニケーション、そして地域の一員として生きていくという視点。つまり、医師である前に人間だということを、毎回毎回リフレッシュしていなくて認められるだろうかということを常々思っていて、皆さんの合意があって、そのことについて明確に書かせていただいたことから起こったことですが、共通講習を必須としました。

 したがって、これから専門医であり続けるためには、あるいは認定されるためには、共通講習は最小 5 単位、最大 10 単位、そのうち 3 単位必修というのは医の倫理、医療安全、感染対策です。残りのものについては、地域包括ケア、障害者に対する知識・考え方、他職種の連携、地域でコミュニティを作るための能力というものが含まれます。そういう経験とリフレッシュがなければ、専門医であり続けられないという仕組みにしました。これも、これまでに全くなかったことですので、大きなエポックだと思っています。

3 番目が領域別講習です。これまでは、実はこれだけだったのです。これが、最大 50 の中の 20 になったということで、これも随分反論があります。ただ、これは「最小」と書いてありますが、最大がないので、 100 でも 200 でも熱心な方は取っていただきます。しかしながら、これだけでは駄目だということにしました。それと同時に、これはゼロからになっています。様々な事情がありますので、これを必須にして 1 にしようという意見もありますが、やはりペーパーは書き続けていただきたい。ゼロになっていますが、最大 10 ということです。

 スライド番号 56 は、診療実績の証明です。 A 、登録等により診療実績や診療能力を示す。これは外科学会の基本的なイメージです。外科は NCD と言って、全国の外科は、自分が執刀したか、第一助手なのか第二助手なのかを含め、どういう手術名で、どういうものを何月何日にどこでしたかを、日本全国全部登録するシステムがあります。したがって、そこで明確に分かってしまいますので、これをいかしましょうということで、外科領域については、手術実績の登録を、診療実績の証明にするということです。

 さりとて、外科はメスを捨てる時期が必ずあります。私はかろうじてまだ、一応メッサーザイテンの 1 人として、誇りで手術をしておりますが、悲しいかな目が見えない。白内障の手術も受けていますので、自分の視力ではできない手術は明確に認識していますからそれは行いません。顕微鏡でやる手術しかしませんけれども、メスを置く時期がありますので、それはどうするのだということですが、それはスライド番号 57 でお話します。

B 、これは基本的に内科系ですが、症例一覧の提示です。自分が 5 年間の間に、あるいは専攻医としてやる 3 年間にどういう患者さんを、どういう治療方法で、どういう方針で治療し、そしてその転帰はどうであるということを自身、そして更にはそれを責任者の印を含めて提出することにしています。また、それをいい加減に行っているかどうかということが、しばしば新聞等で取り上げられますので、サイトビジットを行っていきます。

 しかしながら、両方ともできない方も当然あります。先ほど申し上げた妊娠、出産、育児、介護、あるいは留学ということです。後で述べますが、そういう方々にも C 項目を設けてあります。これを幅広にするというのは、領域によっていろいろお考えいただきたいということです。

 スライド番号 57 です。先ほど申し上げましたように、典型的にはその外科の場合です。専門医機構としては、基本的に仮に 4 回以上更新している場合には、診療実績の証明は免除しましょうと。これは相応の経験を有する専門医の知識・経験を後進の指導にいかす目的であると明示してあります。現在は確定ではありませんが、外科学会は、これを 3 回にする予定です。

 最も早いときには、卒後 5 年すると外科専門医になるわけですから 30 代の前半、 30 歳ぐらいかと思います。それからすると 3 回というと 45 歳。それからバリバリやって 45 歳まで、ずうっと外科医として手術に専念したといいますか、そこで本当に研鑽を積まれた方は、その後はいいでしょうと。いろいろ事情はあります。もちろん 45 歳で辞めろということではありませんが、そういうことです。 4 回を採っている領域が多いのですが、うちは 5 回という領域もあるようで、これは領域に任せています。

 スライド番号 58 は、どのぐらい休めるのか。今の段階の整理ですが、これには中断と休止があります。ここに載せているのは休止です。中断は無制限です。例えば妊娠、出産であっても、 3 歳までそばにいてあげたいという方もいるでしょうし、 1 年たったらすぐに復帰したいという方もいるでしょうし、それはその方々のポリシーであって、それを尊重します。あるいは 3 年間留学する。ハーバードにいたら、ケンブリッジから連絡があって、そこにまた 2 年行ったということもあります。様々な場合がありますので、中断については無制限です。その方の事情、様々な条件に基づいて十分に、場合によっては医療を離れて医学に専念する。あるいは妊娠、出産、育児、介護に十分自身の気持ちをそこに割いていただいてお戻りくださいと。

 ただし、戻ってきてすぐに専門医となるためには、何年かかってもいいから、この 5 年間で満たされたプログラムで掲げられた目標はクリアしてください。クリアした時点でもう一度専門医になる。中断の場合、その 5 年間のうちに、 3 年間専門医として働いて戻ってきたらそれは認めますので、残りの 2 年間分は戻ってきたらやってくださいということです。

 ここに書いてあるのは休止です。比較的短い期間休止した。これは、病気などが想定されますが、その間は幾ら休んでいただいてもいいのです。その期間については、その前後で「 a+b=50 」としていますが、その前後で十分満たしていれば、病気で休んでも、それはもちろん最短 5 年間はそのままにいたします。それから、妊娠、出産、育児の場合が書いてあります。例えば 2 年間を想定しています。 2 年間休んだ場合、その間に先ほど申し上げた自己学習等により、項目 C を満たすことができれば、これは 5 年間の中でいいですというように今はなっています。あとは、地域で柔軟に対応していただきたいということです。

 スライド番号 59 です。もう一つは先ほど申し上げました検討会報告書です。「専門医の認定・更新に当たっては、医の倫理や医療安全、地域医療、医療制度等についても問題意識を持つような医師を育てる視点が重要であり、日本医師会生涯教育制度などを活用することも考えられる」という文章を入れ込ませていただきました。そのことによって、先ほどの共通講習ができました。

 スライド番号 60 の、専門医制度整備指針に書いてあります。必修が医療安全、感染対策、医療倫理。望ましいものとして、医師の教育、医療事故・医事法制、医療経済、臨床研究・臨床試験、 EBM に基づく医療。そして日本医師会の生涯教育講習、これだけが方略ということです。日本医師会の生涯教育制度は 1987 年に発足していますが、これは飛ばします。

 スライド番号 62 から 63 にかけて、現在のカリキュラムは 2009 を使用しておりますが、明年の 4 1 日をもって改定する予定です。この中の 1 番から 15 番を共通講習として使っていただきます。 16 番から 83 番にかけては領域別講習として使っていただきます。例えば内科学会が認めていただかないといけないし、整形外科学会が認めていただかないといけない。鼻出血は、日本耳鼻咽喉科学会が認めていただかないといけない。正確に申しますと、内科学会から推薦された医師で構成される専門医機構の中の認定・更新、あるいはプログラム、施設基準更新部門委員会において認められるということなのです。

 インフラとして、こういう共通講習を中心としたものが必須となると、学会ということが、その主たる場とすると、地域の医師が専門医を更新するために、全て地域を離れて東京に集まるという事態が起こってしまいますので、これは避けなければいけないということで、地域に行ってそれを学ぶことを担保したということです。 2013 年の日本医師会生涯教育制度では、都道府県医師会主催分だけでも 5,000 回、群市医師会開催分だと 1 5,000 回以上行っている実績があります。また、単位取得者が 11 3,471 人もありますので、このインフラをいかそうということです。

 スライド番号 65 です。現在は機構の専門医認定・更新部門等で合意されている事項は、各学会が領域別講習をする。ここの部分が現在の姿です。しかし、各学会も共通講習はやりましょうと。日本医師会の共通講習をいかしましょう。領域別講習も各学会の認定部門が認めればこれもいかしましょう。研修施設等においてなされる共通講習については、 5 6 年の間という限定になっています。当面は一定の要件を満たした、医療事故等に関わる研修については、研修施設の中で行う研修会についても、条件が整えば認めるということです。専門医機構も、場合によっては共通講習に協力していくということで括弧を付けております。これらは、全て今問題となっている企業の主催はもちろんですし、共催についても基本的には認めないという方向で議論が進められています。

 スライド番号 66 です。各学会も今は様々なカードを作っています。日本医師会は電子認証センターで医師資格証も作っています。この互換ということはありますけれども、各学会に、こういう形で日本医師会の生涯教育制度を活用するということです。

 スライド番号 67 に書いてあるように、講習会情報を医師会・学会が入力をしていただく。ただその前に、こういうものが専門医機構の認める共通講習、領域別講習に認められる講習会に当たるかどうかということを、それぞれの学会、日本医師会内における委員会で認定されるという作業があります。それを、専門医機構でもう一度認定されるという 2 段階になっています。そういうもので専門医機構、そして各学会、日本医師会が認めた講習会について、それぞれ入力をしていただく。また群市区医師会、都道府県医師会、日本医師会もそれぞれ入力する。

 そして講習会会場では、医師資格証、あるいは学会の磁気カードを持っている方は、磁気カードで読取りをする。医師資格証を持っている方の特典は、自宅で、自分が第三者によって認められた講習をしっかり受けたかどうか。そして参加については、入口で参加料だけ払って帰った人は認めないということです。それぞれの研修会、講習会は学会でももちろんありますが、そこに入室するときに全部チェックします。

 日本医師会は、産業医と健康スポーツ医は入退室管理をしています。途中で出たら駄目。そういう実績もあります。ただ、入退室管理を 2019 年から全部やるというのは無理だということで、少なくとも 3 日間ある学会の最初の 9 30 分に来て、 9 45 分には学会の会場にはいないというのはなしだと。認められた研修会のコーナーにちゃんと入ったということだけはそこでチェックするようにいたします。厳しいです。

 スライド番号 69 は、最初に申し上げたようにどんな専門医であっても、そういう意味で共通講習を必修化したということは、自身の専門性だけで専門医であってはいけないということでもあります。もちろん高度な医療を提供するのは医師の義務ですけれども、一方、かかりつけ医として国民に寄り添う、地域を支える。また、地域の住民の 1 人として生きていくことを重要視したということが大きな転換です。国民の健康な生活を確保することのために専門医制度があると総括させていただきます。

 残された時間で、総合診療専門医の背景についてお話します。スケジュールはスライド番号 70 に書いてあります。ここでもし御質問がありましたら答弁させていただきます。総合診療専門医については最初省いたのですが、事務局から、このことについても話をしてほしいということがあって、あわてて最後にスライドを足しました。このことだけで 1 時間しゃべれるのですが端折ります。

 総合診療専門医が議論となる背景は皆さんもお分かりだと思います。 3. に書いてあるように、専門化、細分化されすぎた医療提供体制が、少なくとも医科において起こってきたということです。そして、 1. に書いてあるような現状に、本当にマッチしているのだろうか、あるいはそのニーズに応えきれているのだろうかという反省があったということです。

 スライド番号 72 に、日本医師会の基本的な考え方を書いています。総合診療専門医を作って、総合診療専門医のみがこれから Primary care を担うという制度設計はあり得ないのであるということは、一番最初に申し上げました。我が国の医療、つまり Primary care のレベルが非常に高い。諸外国で Primary care を標榜しておられる方が日本に来て講演されたときに、その国の Primary care がどんなに素晴らしいかということは当たり前です、自身を否定することになります。しかし諸外国で、私自身もしばらくアメリカで医療をしておりましたが、諸外国で医療をする、諸外国で商社等で生活をされた方が、 Primary care の診療所に行ったときに一体何をしてもらえるかが分かった人は、その後、御自身が病気になると、ほとんど全員が日本に帰ってきます。

 諸外国の Primary care の良いところ、反省しなければいけないところは、その人に関わる時間が長い。 30 分、 1 時間お話を聞きます。でも、お話を聞くことしかできないのです。聴診器しかなくて、レントゲンもないし、内視鏡もないし、超音波もないし、検査もできない。聞くしかないのですが、聞くという意味において、我々は反省せざるを得ないと思っています。

 したがって、全ての専門医がかかりつけ医になっていただく。この視点こそが重要です。かかりつけ医は、開業医だけではないのだと。高度の医療機関において、非常に先進的な医療をしておられる方も、地域包括ケアに興味を持ち、他職種との連携に意欲を燃やしておられる方は、これを「かかりつけ医」と我々は呼ぼうと。一昨日も、都内にある非常に高名な、 1 2 を争うがんセンターの院長が、「私はかかりつけ医です。先生、それでいいですよね、努力しています」「おっしゃるとおりです」ということです。

 しかしながら 4 ポツに書いてあるように、地域によっては Primary care を担当する医師が特に必要であることを踏まえ、その特性を評価することが必要であるということです。したがって、総合診療専門医を安易に作るのではなくて、総合診療専門医という新しい医療のジャンルを、これからしっかり作る。長い何百年の歴史を持った内科学会、外科学会の先生方、あるいは他の領域の先生方に、総合診療専門医は素晴らしいと思われるような専門医をしっかり作っていこうと。そのことが今ある医療提供体制のほころびを補填し、これから 50 年、 100 年、 200 年後の日本の医療提供体制を大きく作る礎になると確信しています。

 スライド番号 73 は、コンピテンシーについて書いてあります。スライド番号 74 は今申し上げたとおりで、総合診療専門医の養成には医師会の協力が重要であるということを、検討会報告書でこのような記載をさせていただいております。

 大きな誤解があるので分かりやすいスライドを私が作りました。総合診療専門医、最後の N 数がどれぐらいであるかということは、これから国民の方々がどれぐらいニーズがあるかという、その実績によるものです。大切なことは、その方々をしっかり作っていくということです。

 もちろん診療だけではなくて、総合診療専門医を名乗る限り、地域医療から芽生えてくる、地域医療から考える様々な、特に我が国はこの領域が遅れていると言われた、地域医療から芽生えてくる医学を作っていただきたい。それを発信して作っていただきたい。それを、医学の 1 つのジャンルとして皆で育てていこうということでもあります。そして、全ての方々がかかりつけ医として、国民に寄り添っていただきたいということです。

 この下に書いてあるように、最初にお見せしました総合診療専門医もここに作るわけです。しかしながら、それぞれの方々がまた、かかりつけ医として地域を担っていただきたいということです。

 最後に、最初のスライドをもう一度出させていただきましたが、基本領域の専門医をしっかりと構成していきます。大変厳しいハードルになっていくと思います。その上でサブスペシャルティの専門医の取得・更新が行われます。そして、これらの方全てがかかりつけ医として、国民に寄り添う医師になっていただきたいという概念です。こういう制度を、日本医師会の生涯教育制度、もちろん各学会の専門研修制度が支えていくという構図にしていくということです。 60 分話してもいいと言われましたが、 70 分もしゃべらせていただきました。御聴講ありがとうございました。以上です。

 

○西原座長 

小森先生、大所高所、総論各論を織り交ぜながら分かりやすくお話いただきまして、本当にありがとうございました。今日は全体像を話していただきましたので、今回お話いただいたものを我々歯科でどのように展開するのかということを考えていく上で、材料とさせていただきたいと思っています。まず、質問をお受けしてよろしいでしょうか。

 

○小森構成員 

もちろんです。

 

○西原座長 

ありがとうございました。それでは、ボリュームのあるお話を頂いたところですが、それぞれの委員から何か御質問はありますか。

 

○山口構成員 

詳しい御説明をありがとうございました。国民から見て勉強するということは非常に厳しいとおっしゃったのですが、ようやく免許の更新というか、免許ではないですけれども、本来患者側とすれば命に携わる医師であるからこそ、やはり生涯学習し続けてほしいという思いと更新するということは非常に大事なことではないかと思っています。ですので、学会参加は厳しいとおっしゃったのですが、私たちから見れば当たり前のことで、是非、そういう学習はしていただきたいと思うところです。

 お話の中で、専門医として研修を積む中で人格を涵養するとか社会性を涵養するための、例えば、コミュニケーションや医療倫理が入っておりますが、どうすれば人格の涵養につながるかとかとても測るのが難しいところだと思うのですが、その辺り、この話合いの中で具体的にどういうことがあれば、それをきちんと認められる基準にするというお話になったのか、何か議論が中で行われたとしたら、そこを少し教えていただきたいと思います。

 

○小森構成員 

ありがとうございました。山口先生とは別の審議会で特に OSCE について同じ立場で主張したということがあります。その方々のコミュニケーション能力と、その方々の人格を測るというのは、正直、人類の永遠の謎であって、これを容易に測ることができれば文学も哲学もないということであります。

 ただ、様々な教育手法というものはそれなりにあるわけですので、実は機構の方々と私が若干いろいろ調整していますのは、ある方々が座学にしたいとおっしゃるので、そうではなくてアクティブラーニングを、つまりワークショップです。問題を与えて、そして、それを解決するという過程でみんなで議論しながら、また、そこで発表していく。あるいは、また違うことに対する対応をグループで考えるというアクティブラーニングの手法を取り入れていこうと。特に医療倫理の問題は現場に直面しているということがしばしばあって、私もよくうちの師長に「私は絶対に怒らないから私が悪かったときは必ず怒ってね」とだけは言ってありますので、「院長、今の対応ちょっと悪かったわよ」と、しばしば怒られます。少しムッときますが「ごめんなさい」と言うのですが、やはりそういうことは大事なのです。職員の声を聞く気持ちを医師がなくなったために大きな問題を起こしている現場はたくさんあります。

 つまり、そういうことを座学で学べるわけがないので、評価と言うと大変難しいです。また、そういうことに対するプレテストとポストテストみたいな、ごく簡単なものです。御自分で振り返りをするというものをできれば積極的に取り入れていこうということはしております。お答えになっていないかもしれませんが、なかなかそれ以上は少し難しい面もあるかなと思います。

 

○山口構成員 

つまり、スケールで測ることはできないけれども、そういうところもしっかりと見るのが専門医ですよということをここに書き込まれたことで担保するという考えでよろしいですか。

 

○小森構成員 

ということです。今までは全くなかった。入れるだけでなくて義務にしたということ。つまり、そういう講習会等に参加していない専門医は更新できないとしたことは大きいと思います。

 

○西原座長 

よろしいですか。ほかにどなたかいらっしゃいますか。

 

○今井構成員 

長い歴史を有した医学教育インフラシステムを基に、新しい制度を構築されていることに、大変感銘を受け敬意を表します。ただいま、山口先生からの高尚な御意見から一転して非常に現場の下品な話になり恐縮ですが、プロフェッショナル・オートノミーを貫き、国からの関与をなるべく少なくするために国からの予算は 3 4,000 万円に止め、その予算はプログラム作成とデータベースのみに使用したと理解しました。しかしながら実際に第三者機構として専門医機構を運営するのには相当それなりの経費がかかると思うのですが、それはどのように集めて実際にどのぐらいの経費がかかっているか教えていただけないでしょうか。

 

○小森構成員 

基本的には、中期的には専攻医の方々が専攻医として登録して研修をなさいます。その登録料を僅かですが頂きます。研修を受けられた後に専門医として認定される認定の更新料、研修施設が研修施設と認められるためのお金を頂きます。その場合はサイトビジットもいたします。プログラムが認定される。当然、評価するという作業が必要ですので、そのことについての一定のお金を頂きます。つまり、専門医御自身、あるいは専門医になろうとする方々から、専門医を育てる研修施設そのもの、そして、その方々が作るプログラムの認定からのお金が基本的です。

 したがって、大変な激論が起こりました。しかしプロフェッショナル・オートノミーでやろうという限りには仕方がないと。国のお金は国民のお金ですから、何とか医療者で賄おうということです。それでどうしようかという議論をしております。

 

○今井構成員 

先生、今のプログラムの認定ということは学会と理解してよろしいのでしょうか。

 

○小森構成員 

研修施設です。今までも臨床研修においてそういうことは既に行われておりますので、病院の方々は分かっていらっしゃる。そこを理解していただいて協力してくださるという気持ちが醸成されてきていると。

 

○今井構成員 

ありがとうございました。

 

○小森構成員 

それと専門医機構の理事は無報酬です。総合診療専門医だけでも私は 25 回出ていて、理事会を入れると、これで 40 何回出ていますが、無報酬です。役員、委員はみんな無報酬ですね。その覚悟でやっているということです。

 

○西原座長 

そのほかに何かございますか。

 

○南構成員 

今日のお話で今までのことがよく整理されて、大体理解できたつもりなのですが、ここのところ私も余り詳しい動きを承知していなかったので、もし、誤解があれば教えていただきたいのです。

 大体、国民にとって関心があることとして、例えば、何々内科とか何とか外科などと標榜している科目を見てこの病院に行こうとかを決めると思うのですが、この専門医の制度は、一定の研修やトレーニングを受けた人が内科専門医ですとか何とか専門医ですと掲げられる、表示していいということだと思うのですが、標榜の話は専門性とは違う、ということを最初におっしゃったと思います。その辺は国民が混乱するところではあるまいかと思われるのです。その辺についての議論は、機構として何かしておられるのでしょうか。

 

○小森構成員 

機構専門医の在り方に関する検討会でもずっと議論してまいりました。南さんのおっしゃることは総論としては非常によく理解できますが、各論で全く混乱が起きます。というのは、私は石川県の医師会長を 6 年していたという話をしましたが、例えば、金沢という都市部におきましては、どちらかというと標榜科の制限を医師会がお願いするということが多いのです。例えば、泌尿器科の方が泌尿器科で研修、つまり泌尿器科医としてずっと大学でお勤めになった方が、泌尿器科、内科、皮膚科を標榜してよろしいかというと、それは困りますと答えております。

 そういうことを断るという、狭い地域では通用するので、そういう方々は研修されます。泌尿器科の方は皮膚科を標榜する場合が多いのですが、そういうときはおおむね御自分の大学、よその大学、中核病院に行って半年とか 1 年、少しお休みして研修されます。あるいはオンザジョブトレーニングの場合もあります。人数が少ないときは非常勤として雇っていただいたり、その病院で泌尿器科もしながら皮膚科をやる。そこの部長や教授の推薦状を持って来られます。この方は、 1 年間こういう研修をうちでされましたと。そういうものを持って来られると、「あ、お疲れさまでした。すばらしいですね」と、逆にそうなりますと、専門医以上に勉強をされたというのは、専門だけで開業していらっしゃるより、もっとすばらしい方ですから「喜んで」という「そうですか、是非」という感じになります。

 一方、実は能登北部では小児科は 1 人しかいません。本当にあの広い中で小児科として来られて、小児科を今開業しているのは 1 人です。ですので、内科が専門の医師が能登北部で開業される時には、小児科も標榜してくださいとお願いしているのです。「いや、できません」と、正直ですよね。でもお願いしますと、そして勉強してくださいと。内科の方であっても子供さんがおいでになりますから、勉強はせざるを得ないのです。

 つまり、ここに書いたことの中に地域医療をさらに強化するということが、より高次の次元としてあるので、つまり金沢で言ったことのさらに増幅した姿が恐らく都心部とかにあるのだということを、私は単身赴任で東京の医療事情はよく分からないのです。だから、東京にお住まいの南さんにとっては非常に不満なことが書いてあるのかもしれませんが、私はそういう実情を、それと同時にこの議論の中で外科の先生がメスを置いた瞬間に外科を名乗れない、では何を名乗るのか、内科を標榜してはいけないのかと、ずっと全身管理してもらいたい、そういう地域の様々な実情に応ずるということのためには少なくとも現時点で標榜科とリンクするのは極めて問題だと思う。

 未来永劫、標榜科とはリンクさせないとまでは書いていないです。将来的には検討することが望ましい。つまり当面やらないと。でも、ここを書いておかないと、南さんは非常に温かい意味でおっしゃいますが、全く経済的な論理で様々な医療改革を目指していらっしゃる方々がいらして、一応書いておかないと、この検討会の報告書が出た 4 22 日、 23 日に専門医を標榜科とリンクするための委員会を作れという強い圧力があって、厚生労働省は委員会を作らざるを得なくなります。ですので、この 3 つは当面やりませんということを書かざるを得なかったという理由もあるのです。

 

○南構成員 

分かりました。地域の事情があるということは重々理解しているつもりで、この専門医制度を国民に分かりやすいものとしていくためには、そこの辺の各地域で実情も知ってもらい、国民のリテラシーと言いますか、そこもきちんと持ってもらうということをやはりしないと、恐らく混乱が起こるのではないかという気がいたします。

 

○小森構成員 

ありがとうございます。ただ、制度というのは余りストリクトではなくてのりしろがすごく大事なのです。実は 3 日前に私は初めてメールを頂きました。初めてメールをしますという、実は北海道の釧路で皮膚科の方々を対象に話をしたときに、専門医であることそのものが医師の究極の姿ではなく、それぞれの専門性を生かして住民に寄り添うことこそが尊いのだと話したのです。感動しました、ありがとうございましたという、 65 歳の女性なのですが、様々な御事情があって、御主人は心臓を専門としていらして、ある地域で今でもお仕事を、 60 代の後半ですから分かりませんが、その方は様々な事情で専門医を 1 回取ったが更新できなかったけれども、今はある病院で半日だけれども自分の専門である皮膚科を続けている。つまり、そういう私たちにも誇れるという制度設計にしていただいたことがすごく嬉しいと。そういう人たちを否定するという制度にしてしまうと、地域医療は瞬時に崩壊します。

 ただ、このようにしていった上で大きく時代が変遷し、国民の方々も全て専門医と標榜科をリンクさせたほうがいいという時代が来るかもしれません。逆に言うと、緩やかなリンクであってもリンクさせることというのが、正に私たちも全く未来永劫リンクさせないほうがいいと言っているわけではなくて、今リンクさせると余りに問題が大きいので、そういうためには、まず専門医もしっかりしていないとその議論さえできませんので、今後の大きな課題として残るだろうとは思っています。

 

○西原座長 

よろしいでしょうか。私は、この検討部会、厚生労働省の歯科医師の資質向上という検討部会の下のワーキンググループの座長として、今回、小森先生からお話いただいた中で、 15 のスライドの在り方に関する検討会がすごく時間を掛けながら丁寧に作業をされてきて、そして平成 26 5 7 日に専門医機構が立ち上がった。その間に社員の構成を見ても恐らくは日本医師会と日本医学会と、そして大学関係者の間で、医学教育を学生教育からスタートする一連の教育と考えて、その 3 者間で多面的ないろいろな面を抱えている中で議論を重ねてきたと思います。医学の領域で医師会と、医学会と大学との関係が、どのような形で動いているかということを少し御案内いただけると我々にとって今後、厚生労働省だけでなく、文部科学省との関係においても考えが少し深まるのですが、その点についてご意見をお願いできましょうか。

 

○小森構成員 

これはデリケートなので私が言うと少し問題もあると思いますが、日本医師会というのは医師個人が入会する全ての医師を代表する団体です。日本医学会は分科会である各学会が構成する団体です。全国医学部長病院長会は、これは申し上げるまでもない。実は四病協も最初は入っていたのですが、公証人のアドバイスによって法人格を持っていないということから四病協が設立時社員になっていないので、実は議論の中で四病協も入っていたのです。四病協は基本的に全国津々浦々全ての病院が入っているということで、大学病院と四病協を合わせますと、つまり専攻医の養成の施設がほぼ全て入っているということであろうかと思います。日本医師会の場合は、半数が診療所なので、養成には診療所も参加いたしますから、という立場かと思います。

 具体的には、実はいろいろありますが、日本医学会は日本医師会の定款上、日本医師会の中の一組織です。したがって、日本医師会の中に日本医学会がありますし、私は日本医学会担当なので、日本医学会の高久会長と週に 3 回お会いするということですから、それこそ表裏一体、車の両輪。昨日も全国医学部長病院長会議とは定例の会議をして定例の記者会見を日本医師会としておりますように、 3 か月に 1 回議論をしております。四病協とは毎月 1 回議論しておりますし、こういう医療の仕組み、医療提供対象、保険制度が様々な問題を抱えているという状況の中で、全ての医師が結集しなければいけないという気持ちは濃淡はあれみんなありますので、この議論をされたときにそのことについてもめることは何もなかったです。

 

○西原座長 

ありがとうございました。今の定例という会議体の存在、それをこれから我々ワーキンググループ、更には資質向上の検討会は、大学と歯科医師会と歯科医学会の連携ということは考えていかなければいけない大きな課題になってくるのだと感じたところです。

 今日、本当に時間を取っていただいて 90 分に至りましたので、当初、御案内した次の説明のために見えている勝山専門官に「医療に関する広告規制について」、資料に基づいて説明をよろしくお願いいたします。

 

○勝山医療施設機能調整専門官 

本日は、先生方の御議論の中で広告関係の御発言も多くいただいているということで、まずは現状、医療法等においてどのような広告規制が行われているのかを説明いたします。現在の広告規制については、先生方からも既に御意見を頂いているとおり、どのような専門性を広告すべきなのか、あるいはホームページに関してどのように規制をしていくべきなのかという点について、我々も日々様々な御意見を頂いており、これからも引き続き見直しを続けなければならないと考えておりますので、是非、この会議の場でも先生方から様々な御意見を頂戴できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 資料 2 に沿って説明いたします。 2 ページです。医療法における医療に関する広告規制についてです。天秤図を示しております。患者に対して医療に関する適切な選択の支援をするということ。一方で、医療に関する情報は非常に専門性が高いものですので、患者、国民の方々を保護するということで、この両者のバランスを取った情報提供をする必要があるという考え方をしております。

3 ページです。このような考え方に基づいて広告規制は医療法関連の法令や、それを実際の運用面として詳細に書き下している医療広告ガイドラインを作成しております。その他、ホームページについては、法令に基づかないものではありますが通知を発出しております。本日は、医療広告ガイドラインを中心に説明いたします。ガイドライン自体は参考資料 4 に付けておりますが、非常に長いガイドラインとなっておりますので、抜粋版ということでスライドに記載しております。

4 ページです。第 5 次医療法改正において大幅な見直しを行いました。この改正の主な点ですが、それまでは医療法関係法令において広告に記載して良い事項を細かく規定しておりました。スライドの中ほどですが、例えば病床数や病室数を全て列挙しておりました。しかしながら、時代の変遷に伴って患者が知りたい情報もかなり増えてきているということを考慮し、一定の性質を持った項目に関する事項を法律で定める。○○に関する事項、施設に関する事項という形で法令には規定し、そういう枠組みに入るものは比較的裁量性を持って広告ができるようにと変えております。

 一方、規制面としては、従来は直接罰で違反をした場合には罰則という規程でしたが、指導等を行う都道府県においては、まずは行政指導をしてから直接罰の適用になるという実態を考慮して、そもそも法律の中で広告の是正命令や中止命令という権限を都道府県に付与し、それらの命令に対しても従わない場合に罰則を適用するということで、間接罰の規定を導入いたしました。しかしながら、一番下に書いております虚偽の内容については、やはり患者への影響が非常に大きいということで引き続き直接罰という規定を適用しております。こういう見直しに伴う医療法に基づく広告規制の内容をより詳しく書き下したものが先ほどの医療広告ガイドラインで、 5 ページ以降に抜粋版を記載しております。本日は簡単に概要のみ説明いたします。

 ガイドライン自体は、第 1 ~第 6 6 部構成です。第 1 には広告規制の趣旨として、その基本的な考え方を中心に記載しております。基本的な考え方の 1 点目として、やはり医療は人の生命・身体に関わるものということで、不当な広告によって患者が誘引され、何らかの不当なサービスを受けた場合の被害というのは、かなり他の分野に比べても著しいということ。また、医療は極めて専門性の高いものであって、その広告の受け手側である患者や御家族は、その文言から提供される医療の内容について事前に判断することが非常に困難であるということ。これらを踏まえた形で限定的に認められた事項のみを広告するということが広告規制の大前提です。

 一方で、患者、御家族、国民の皆様の知りたいという御要望にお答えするために客観性・正確性をもった事項については、できる限り広告ができるようにということで、制度を作らせていただいているところです。

6 ページです。第 2 として、広告規制の対象範囲を定めております。まず、どのようなものが広告規制の対象になるのかというところで、誘因性、特定性、認知性という 3 要件、このいずれも満たす場合に広告だと判断することにしております。そして規制の対象者については、必ずしも医療広告を行う医療機関だけではなく、これは法令上、「何人も」と書いており、医療機関の方以外にも、例えば広告の代理店の方々ですとか、あるいは一般の方であってもこういう広告を行った場合には規制の対象になるということを明記しております。

7 ページからは、第 3 ということで、ガイドラインの中ではこの第 3 の部分がかなり分量を占めておりますが、こちらには広告可能な事項について記載しております。先ほどの繰り返しになりますが、広告可能な範囲というのは客観性・正確性を確保し得る事項というのが大前提です。 5 番目ですが、広告可能な事項の具体的な内容ということで、実際に医療法やそれに基づく広告告示と呼ばれる告示に記載されている事項について、より具体的に列挙している部分です。かなり長いものですので、本日はこれまで検討会の中で議論に上がった項目に限定して説明いたします。

8 ページです。 5 番の広告可能な事項の具体的な内容の中には、例えば、法の第 6 条の 5 1 項第 1 号関係として、「医師又は歯科医師である旨」が広告できる事項です。そして先ほどから御議論いただいております「診療科名」も広告できる事項です。この診療科名については、どのような科名を付けてもいいということではなく、医療法の中でどのような科名であれば書いていいかということが定められており、歯科医業に関してはアのマル 2 4 種類、歯科、矯正歯科、小児歯科及び歯科口腔外科が現時点では標榜することが可能な科名です。

9 ページです。法の第 6 条の 5 1 項第 7 号に関係するものとして、医療従事者に関する事項であって医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものが定められております。なかなか分かりにくいのですが、簡単に申しますと、医師、歯科医師、看護師等に関する情報であって、その情報を書くことによって患者が病院を選べるようなものという意味です。本日の会議において御議論いただいております専門性に関する事項も定められております。

 具体的にどのような規定になっているかと申しますと、次の 10 ページです。マル 2 に示している基準一~九番の基準に適合しているということで、各団体が厚生労働大臣に届出を行うことになっております。その届出を行った団体が認定をしている専門性に関する事項であれば広告可能になります。実際に広告する際にも届出を行った学会名を入れた上で、○○学会認定○○専門医というように広告をしていただくということになっております。現在、当該仕組みによって広告可能な専門医は、先ほど先生からも御説明いただきましたとおり、医師は 50 を超えている状況、薬剤師が 1 、看護師も 30 近い専門性の広告が可能となっております。歯科医については、口腔外科専門医、歯周病専門医、歯科麻酔専門医、小児歯科専門医、歯科放射線専門医の 5 つの専門医が広告できます。

 ガイドラインの第 4 は、禁止される広告という項目です。繰り返しになりますが、広告規制の中では、そもそも広告していい事項以外は広告をしてはいけませんので、基本的に広告可能とされていない事項は全て広告ができないとなっており、それに加えて虚偽の広告や誇大な広告は必ず慎んでいただきたいということで、あえてこの項目を作っております。

12 ページです。更に第 5 として、広告規制は、実際には都道府県や保健所設置市等の自治体で指導等を行っておりますので、相談・指導等の方法についての手順等を説明しております。また、第 6 としては、助産師の業務又は助産所に関する広告についてという規定を設けております。以上、医療広告ガイドラインにおいては、医療法における広告規制に基づいて第 1 ~第 6 までの 6 部構成のガイドラインを作らせていただいております。

13 ページです。医療機関のホームページについては、先ほどの広告としての要件ということで、現行法令上は 3 要件を満たさない場合には広告とは見なさないという取扱いですが、とはいえ、やはりホームページは一般的な感覚からいって既に広告と同じように認識されているというのは我々も実感しているところです。そのような状況も踏まえ、やはり患者、御家族の方、国民の方々に対して適切な情報提供をしていただくべきであろうということから、厚生労働省で医療機関ホームページガイドラインを作成してたところです。法令の規制に基づくものではありませんが、こちらのガイドラインに沿って各医療機関あるいは関係の事業者団体の方々に御協力をいただいて、適切なホームページを作成していただくことによって、国民の方々に適切な情報提供をしていっていただきたいと我々としては願っております。

 以上、簡単ですが、現行法令上の広告に関する規制、また、ホームページの取扱いについて説明いたしました。ありがとうございました。

 

○西原座長 

ありがとうございました。今回、確認の意味も含めて説明をお願いしましたが、改めて何か不明な点がありますという方がいらっしゃるでしょうか。

 

○柴田構成員 

御説明いただいて、ありがとうございます。特にホームページを見ると目に余るというか、日本一を名乗っているような所もあったりして、罰則の規定が少し弱過ぎるのではないかと思っています。例えば保健所に行って指摘してもなかなか動かない。特に歯科の場合には、電車内の広告にインプラントの金額まで入っていたりするものがあるのですけれども。

 

○勝山医療施設機能調整専門官 

御意見ありがとうございます。ご指摘のとおり、医療広告については、歯科を含めて広告規制が世の中のもの全てに確実に行き渡っているかというと、実際に行き届いていない点があるということは我々も非常に感じております。本日、資料としては用意はしていないのですが、先日も消費者委員会から、やはり医療に関する広告、特にホームページ上の表示を含めて目に余るものが増えてきているのではないかという御指摘を頂いたところです。医政局総務課としてもさらに自治体の皆様にも御協力をいただいて、取締りや規制の周知徹底を進めていきたいと考えております。

 ホームページについては、医療法の広告規制の対象には現段階ではなっていないという説明をいたしましたが、とはいえ、虚偽の表示をしているものに関しては、医療法上、そもそも患者に対して虚偽の説明等を行うということは適切なことではない、医事に関する不正行為に該当し得ると考えており、広告以外の視点からも改めて監視、指導を徹底していきたいと考えております。

 

○柴田構成員 

ありがとうございます。よろしくお願いします。

 

○西原座長 

追加にホームページに関する情報を頂きましたので、それを踏まえて、このワーキンググループでも活用していきたいと思っています。ありがとうございました。

 私、座長として残された 10 分で、もう 1 つ収めておかなければならないことがあります。お手元に資料 3 、歯科医師の資質向上等に関する検討会の論点としたものと、もう 1 つは別添で参考資料が束ねてありますが、参考資料 5 を少しお手元に置いていただいて、事務局から説明してもらいます。

私としては、これまで 2 回のワーキンググループを開催いたしました。医科と歯科はそれぞれ特殊性があるものの、医科の先行する情報を聞き、それを歯科でどのように活用し、そして生きたものにしていくかということを考えることは大事であると理解しておりますので、次回のワーキンググループにおいてこれから案内される論点を少し整理する形で進めていきたいと思っております。今回は、その論点を紙面でお渡しして説明するということになりますので、御意見がある場合、事務局に言っていただいて、この次につないでいくという方法を取らせていきたいと思っております。

 もう 1 点の主な専門医等の現状については、前回御質問があった件についての回答になります。このようなことを踏まえて事務局、よろしくお願いします。

 

○高田歯科口腔保健専門官 

簡単に御説明させていただきます。まず、資料 3 ですが、設定させていただいている論点に加えて、前回第 1 回のワーキングで出された主な意見を記載させていただいております。主だったものを御説明させていただきます。

 1、国民が求める歯科医療の多様化に対応しつつ、安心・安全な歯科医療を提供するために、必要な歯科医療の専門性について、どのように考えるかという論点です。この 2 つ目の○ですが、歯科は、一般歯科に従事されている方が多く、国民が求める歯科医療の専門性も、医師で作られたような総合医のようなもので、細分化された専門性ではないのではないか。歯科においては、細分化されたものを統合させるという趣旨よりも、むしろかかりつけ歯科医機能の強化という言い方が適切かもしれません。

5 つ目の○でございます。医師の従来の制度では、小森委員からもご説明ありましたが、技術や研究に対する認定というものが中心であったが、新たな制度においては、医療安全、医の倫理、コミュニケーションなど適切な教育を受け、患者から信頼される標準的な医療を提供できる信頼できる医師ということです。歯科医師としてもそのようなものが必要なのではないかという御指摘でございます。

 2ですが、歯科医療の中で、既に位置付けられている専門医ということで、少し表現に語弊があるといけませんので、念のため申し上げますが、歯科の業界の中には、たくさんの専門医制度がございます。これは、客観的な評価を受けているもの、いないものを含めてたくさんの専門医制度があるという意味で、ここに既に位置付けられていると記載させていただいております。基本的には、現在の専門医制度というのは、患者のためというよりはむしろ、歯科医師が必要に応じて他領域の専門の歯科医に相談・紹介したり、 2 次医療機関・ 3 次医療機関に患者紹介したりするときなどに、有効に活用いただいているものと認識しています。これについては、いわゆる広告できる専門医とされている、客観的なものが担保されているものとは、分けて議論をさせていただきたいと考えております。

 次ページの 1 つ目の○です。医療が高度化しているにもかかわらず、診療所で勤務する歯科医師は、学会参加又は専門医の比率が低い、という委員からの御意見をいただいております。これについては参考資料 5 で後ほど説明させていただきます。

 3、専門性についての情報の在り方についてということで、こちらは 1 つ目、「広告可能な医師等の専門性に関する資格」です。つまり、これは客観的な評価がされている専門性資格で、口腔外科、歯周病、歯科麻酔、小児、放射線の5つを記載しております。この中の 3 つ目の○です。ホームページ等で虚偽の手術件数を謳ったり、質が担保されていない専門医の広告を行ったり。質の担保されていない専門医とは、広告できる5つの専門医以外の全てのものを指すと御理解いただければと思います。

 続きまして、 2) として、「広告することができる診療科名」といたしまして、歯科、小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科がありますが、こちらの広告できる専門医と標榜科名が混乱を起こすのではないか、とのご意見を山口委員からいただきましたが、また、広告できる専門医は、あくまで国民の受療行動に役立てるために設定されているのだが、よく分からないところもあるのではないか。また、前回出された御意見といたしまして、たくさんの専門医制度があって、専門医取得のためのハードルも様々ではないかという御指摘がありましたので、その一部を御紹介する形で参考資料 5 を作成しましたので御紹介いたします。

 参考資料 5 として、日本歯科医学会の専門分科会・認定分科会に所属されている学会のみを記載しております。その他、歯科の業界には、たくさんのスタディーグループなどがあることを補足させていただきます。まず、マル 1 とマル 2 、マル 3 とマル 4 がセットになっておりまして、マル 1 において、各学会の会員数やその会員の構成を示しております。マル 1 は専門分科会、マル 2 は認定分科会という順序でございます。マル 3 、マル 4 につきましては、各学会で専門医又は認定医取得の際に、どのようなハードル設定があるか。又は過去 3 年間に実施された専門医、認定医取得のための試験の実施状況又はその合格状況ということで、示しております。

 最後のページに、現状の広告できる専門医である 5 つの専門医について、御説明させていただいております。また、補足ですが、こちらの作成におきましては、全ての学会に個別に事務局に対してアンケート調査を実施したものでございます。以上です。

 

○西原座長 

最後の発言にありましたように、ここにある数値等については、ここの委員の方の中には少し違和感があるかもしれません。これに関しましては、全ての学会に共通する部分で、確認作業が必要かと思いますので、今日の段階では、座長として、全て照会した上で、もう一度再確認するように、事務局には求めたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 もうそろそろ終わりの時間がまいります。少し最後、走りになって、私座長としてお詫びします。次回のワーキンググループでは、歯科の分析に入ることになります。今、最後に高田専門官から文言で御案内がありましたが、これを分析するには、まだ問題点の抽出が足りない部分がございます。私は少しこの次の会議までに工夫して、委員の方々に分かっていただける形を整えたいと思っております。

 とあわせて、今日手元にこのような歯科特有の商業誌を置いています。この中にスタディーグループ、あるいは勉強会の開催が多数記載され実施されているというのが今の現状です。歯科医療、あるいは歯科医師教育をしている者は自然に受け止めていますが、もしかすると、医師の目から見ると、少し違和感があるかもしれません。あるいはこのような状況を知ると、一般の国民としてはいかがなるものかというお考えも出てくるということもあろうかと思います。そこで、事務局に依頼して、このような情報を整理して、今回のワーキンググループにおける議論の一助としたいと思っております。

 最後になりましたが、長い経緯を踏まえてでき上がった医科の専門医の機構について、大所高所、総論各論をお話しいただいた小森先生に改めて御礼を申し上げて、この会を終えたいと思います。

 

○小森構成員 

1 点だけ、折角の機会ですので、今回の改革にはいろいろなポイントがあります。一番のポイントはプロフェッショナル・オートノミーという言葉を 5 回書いた。つまり公的資金はいらないという宣言をしたのです。それで、お金がないので、社員でお金を出し合っています。皆さんそれぞれ御自身の傘下の会員の方お一人お一人の浄財で何とか凌ごうと。でなければ、自分たちが作るという宣言もできないと。みんなで全ての医師がこの旗の下に集まろうということをしたということで、最後にまとまったということがありまして、大変なのですが、我々頑張ってまいりますので、是非、その精神を歯科の先生方にも共有していただければと思っております。ありがとうございました。


(了)

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