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2015年7月30日 第25回レセプト情報等の提供に関する有識者会議 議事録

○日時

平成27年7月30日(木)10時00分~12時00分


○場所

全国都市会館 第2会議室
東京都千代田区平河町2-4-2


○議題

議事次第
1.いわゆるNDB白書について
2.レセプト情報等オンサイトリサーチセンター(仮称)について(非公開)
3.その他

○議事

○山本座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第25回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を開催いたします。

 構成員の皆様には、御多忙の折、大変暑くなっております中、お集まりいただき、御礼申し上げます。

 事務局の御配慮で本省よりは少しは涼しい会議室で会議ができますので、どうぞ活発に御議論いただくようにお願いいたします。

 それでは、会議に先立ちまして、本日の構成員の出欠状況について、事務局からお願いをいたします。

 また、構成員の交代と事務局の異動がありましたので、あわせて事務局から確認をお願いいたします。

○赤羽根室長 それでは、本日の構成員の出欠状況について報告させていただきます。

 本日の構成員の出欠状況につきましては、印南構成員、宮島構成員、新保構成員、頭金構成員から御欠席の御連絡をいただいております。また、石川構成員から、少しおくれて御出席されるという御連絡をいただいております。出席人数につきましては、会議開催要件を満たしております。

 前回の会議を本年3月に開催いたしましたが、その後、構成員の交代、事務局の異動がありましたので、御紹介させていただきます。

 まず、構成員についてですが、小池構成員にかわりまして、千葉県後期高齢者医療広域連合の鈴木一郎事務局長に御就任いただいております。

○千葉構成員 鈴木です。よろしくお願いします。

○赤羽根室長 冨山構成員にかわりまして、日本歯科医師会の小泉政幸理事に御就任いただいております。

○小泉構成員 小泉です。よろしくお願いいたします。

○赤羽根室長 続きまして、事務局の異動について御紹介をさせていただきます。

 4月1日付で保険局医療介護連携政策課保険システム高度化推進室に着任しました、室長補佐の秋吉でございます。

○秋吉補佐 秋吉でございます。よろしくお願いします。

○赤羽根室長 同じく4月1日付で保険局医療介護連携政策課保険システム高度化推進室に着任しました、室長補佐の吉村でございます。

○吉村補佐 吉村と申します。よろしくお願いいたします。

○赤羽根室長 また、本日は、オンサイトリサーチセンターに関しセキュリティーを含めた議論も予定しているため、11時ごろに少し休みを入れさせていただきまして、残り50分ほどを非公開とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 事務局からは以上です。

○山本座長 ありがとうございました。

 それでは、会議の要件を満たしているということですので、早速、議事に入らせていただきます。

 本日は、NDB白書とオンサイトリサーチセンター、当有識者会議としては比較的新しいテーマですので、御議論をよろしくお願いいたします。

 最初に、議事1の「いわゆるNDB白書について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

 資料1「いわゆるNDB白書の作成について」という資料をごらんいただければと思います。

 表紙をめくっていただきまして、2ページ目にNDB白書の作成にかかわる背景を載せさせていただいております。

 前回の有識者会議でも取りまとめが提出されたのですけれども、民間提供のワーキングの取りまとめの中でも、汎用性が高く、さまざまなニーズに一定程度応え得るような基礎的な集計表をNDBデータを使って作成して、公表していくことがむしろ適当という御指摘をいただいております。

 また後ほども御紹介させていただきますが、規制改革実施計画の中でも、民間企業からの提案に基づき、厚生労働省においてNDBデータをもとにした集計表を作成する枠組みを構築するという御指摘をいただいております。

 これについては、直接このNDB白書ということではないのですけれども、やはり集計表をつくって外に出していくというニーズがあるということの反映ではないかと思っています。

 続きまして、3ページをごらんいただければと思います。こちらに「いわゆるNDB白書の作成の概要」をまとめさせていただいております。

 まず、現状なのですけれども、御案内のとおり、NDBデータを直接研究者等に提供して、それを研究に活用いただいて、研究成果を学会等で発表いただいているというスキームになっております。

 今回は、研究者というよりも本当に一般であるとか、個票ではなくて集計表を御活用いただきたい方々向けに、厚生労働省としてNDBデータから集計表を作成して、例えば地域別、年齢別、傷病名といった切り口、これは例えばということで挙げさせていただいているので、いろいろなニーズを踏まえて考えたいと思っているのですけれども、そういった集計表をつくって、いろいろなところで御活用いただきたいと考えております。

 4ページ目に「いわゆるNDB白書の作成の実際」といったところを少しまとめさせていただいております。

 今年度予算でNDB白書の作成のための予算を確保させていただいておりまして、ニッセイ情報テクノロジーに委託させていただいております。一応、今年度末ということで作成を進める予定でありまして、作成に当たっては有識者等の御意見も踏まえて検討していくということにさせていただきたいと思います。

 スケジュールとしては、7月、8月ぐらいでどんな利用ニーズがあるのかといったところをまとめていって、9月、10月でNDBデータの貸与の手続等々を進めていこうと考えております。

 それと並行しながら、どういった抽出条件でやるべきかとか、SQLの作成といったことを進めていきまして、調査分析も実施していく。最終的に集計のまとめを2月ぐらいに作成するということにさせていただいています。基本的には今年度内の完成を予定しております。

 5ページをごらんいただければと思います。「いわゆるNDB白書の作成にあたっての考え方」ですが、1つ目ですが、今回、NDB白書の作成のためにNDBデータを使わせていただくのですけれども、従来、NDBデータについて、制度管理というような形で集計を行ったりしてきたので、そうしたNDBの運用管理の一環として整理したいと考えています。

 もう一点目が、いわゆるNDB白書の公表に当たっては、必要に応じて有識者会議の御意見を伺い、進捗等を報告していきたいと思っています。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 ただいま事務局から御説明がありましたNDB白書の作成について、御質問、御意見等がありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。

 大久保先生。

○大久保構成員 大変いいことだと思いますが、具体的にどういう表をつくるかとか、そういうことの検討というのはこの場で行うのかどうか、確認させてください。

○赤羽根室長 具体的な中身の検討の進め方なのですけれども、基本的にはまずニッセイのほうでヒアリングというのを行います。こんな表をつくってほしいといったニーズがいろいろなところにあるので、そうしたヒアリングを行っていただいて、そのヒアリングを踏まえて、ニッセイのほうで少し作業ワーキングみたいなものをつくってもらいますので、そこで検討をいたします。

 ただ、こんな状況ですという御報告は有識者会議に上げさせていただいて、その上でこちらでも御意見をいただければ、それも踏まえて作成を進めていきたいと思いますので、必要な意見は本当に適宜おっしゃっていただければと思っております。

○山本座長 ほかはいかがでございましょう。

 どうぞ。

○霜鳥構成員 大変いいことだと思います。あとは、継続してやるのかどうかというところですね。1回で終わらずに、また何か問題があれば、次にまた新しく変えていくということが重要だと思います。

○赤羽根室長 そうですね。予算のことがあるのですけれども、基本的には継続していきたいと思っています。

○山本座長 どうぞ。

○飯山構成員 私も、せっかくNDBに大量のデータがあるので、そういった格好で使えるようにしてもらうと非常に助かると思うのです。特に保険者、市町村のほうからしてみると、多分、全国統計とか都道府県単位の統計は出てくるのだろうと思うのですけれども、仮にその中で自分のところの市なり、町なりの分が欲しいといったときにも対応していただけるような配慮はいかがかと思うのですが、どうでしょうか。

○山本座長 いかがでしょう。

○赤羽根室長 実際、市町村から申し出が来るかどうかというお話があるとは思うのですけれども、そこはやはりNDBの利活用を進めていく上での一つの論点だと思いますので、ぜひまた進め方等々、山本座長とも御相談させていただければと思います。

○山本座長 では、伊奈川構成員、どうぞ。

○伊奈川構成員 質問と確認なのですが、2ページに規制改革実施計画が引用されていて、そこでは「平成27年度検討・28年度措置」となっていますので、読み方によると、必ずしも今回の白書がこれとイコールではないようにも読めるのですけれども、そのあたりは理解としてはどのように心得ておけばよろしいのでしょうか。

○赤羽根室長 伊奈川構成員おっしゃるとおりで、今回の白書と規制改革実施計画で書かれていることはイコールではございません。こちらの規制改革実施計画で書かれていることは、むしろ民間提供の枠組みをつくるほうの話で、前回の有識者会議で御議論いただいたのですけれども、また次回以降で具体的なところを御議論いただくことになると思いますので、むしろそちらのほうの話ということで御理解いただければと思います。

○山本座長 これに関しては、また後ほど少し説明があると思います。

 では、武藤先生、どうぞ。

○武藤構成員 私もすごくすばらしい取り組みだと思います。

 一つ名前の質問なのですが、最初に資料のお名前をいただいたときに「いわゆるNDB白書」というのは、どんないわくつきの文章なのかと思ってちょっとどっきりしたのですけれども、中身は非常にすばらしいことで、中身を読んで安心したという感じがします。

 実際は「白書」と書かれていますけれども、恐らく各省で出されているようなものではないのかもしれませんが、主な読み手はどういうイメージなのでしょうか。私としては、これが比較的平易で国民の目にもわかりやすい内容だったら、すごくいいなと思って期待しております。

○赤羽根室長 「いわゆるNDB白書」と書かれていることについては、実際、正式な白書というのは、例えば国会への提出とか、いろいろ条件があるので、これは正式な白書ではないので、こういう書き方をさせていただいています。ただ、正式名称を書くと本当に何が何だかわからなくなってしまうので、通称ということでこういう書き方で書かせていただいています。

 具体的な読み手、ごらんになられる方々の想定なのですけれども、本当にまずはやはり一般国民の方々ということを想定しています。

 もう一つは、民間企業であったりとか、研究者の方でも、今まで直接NDBデータにアクセスするというのは敷居が高くてできなかったという方々がいらっしゃるかもしれませんので、まず、そういう方々にこんなデータがあるのだなというのをわかっていただくとか、場合によっては基礎データ、簡単な集計表ということにはなると思うのですけれども、これからそこを使って少し研究みたいなことをしてもらうということもあり得るかなと思っています。

 想定しているところは以上です。

○山本座長 ありがとうございます。

 どうぞ、松田先生。

○松田構成員 大変いい試みだと思うのですけれども、ほかの業務もかなり入ってくるので、新規にいろいろなことをやるとなると、ちょっと間に合わないかなという感じもするのです。

 御提案なのですけれども、今まで民間企業等からの提案などがありましたよね。結局、対応できなかったものもあると思うのですが、とりあえず今年度の白書的なものでは、その中から実施可能なものを少し簡単な形で幾つか選んで、資料をつくって掲載する。そして、それを踏まえて、来年度以降、それを見た方が新しい提案をするという形の運用のほうが、多分実際的であると思います。今までデータをいじったことがないとか、見たことがない人が思いつきでいろいろな提案をしても対応し切れないと思うのです。だから、今までやったものの中で汎用性があるかなというものを、少し物を変えるとかして、例示するほうがいいのかなと思いますので、そういう形の運用を提案させていただきます。

○赤羽根室長 まさにおっしゃるとおりで、むしろ民間提供の際に出していただいたような御指摘、御要望を有効に活用して、効率的にやっていきたいと思っております。ありがとうございます。

○山本座長 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ、府川先生。

○府川構成員 NDB白書なのですが、白書というよりも、むしろ統計集ではないかと思うので、「白書」とか、そういう言い方をすると、何か政策があってそれに関するエビデンスを出すとか、そういうイメージがありますので、もう少し実態に合った名前のほうがいいのではないかという気がします。

○山本座長 ありがとうございます。

○赤羽根室長 御指摘ありがとうございます。最終名称はまたよく考えたいと思っております。

○山本座長 たしか私が大昔に白書をつくったほうがいいと言ったような記憶があるので、責任を感じていますけれども、要するに、NDB由来のオープンデータをつくっていこうということですので、いい名前を考えていただければと思います。

 ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、皆さん、おおむねいい試みだということですので、ぜひ本当にいいものになるようによろしくお願いいたします。

 それでは、2つ目の議題の「規制改革実施計画等について」、今のこととも若干関係がありますけれども、事務局から説明をお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

 次は資料2「規制改革実施計画等について」をごらんいただければと思います。

 3ページに「規制改革に関する第3次答申~多様で活力ある日本へ~」という平成27年6月16日に規制改革会議で出されたものが入っております。

 この中に詳細が書いてあるのですけれども、7ページに「規制改革実施計画」ということで閣議決定として6月30日にまとまったものが入っております。

 めくっていただきまして、最後の8ページにコンパクトに項目と内容がまとまっておりますので、こちらで御説明させていただきたいと思います。

 挙げられているものは大体NDB関係で、8つほどございます。上から御説明をさせていただければと思います。

 まず、13番なのですけれども、これは事項名「レセプト情報・特定健診等情報データベースの研究利用の法的位置付けの検討」ということで挙げられています。

 この内容は、今、行政機関でない個人情報保護法の改正案が国会にかかっている状況なのですけれども、それと並行して、行政機関のほうの個人情報保護法のほうも見直しに関する検討というのが行われているという状況があります。

 こちらの行政機関のほうの個人情報保護法というのは、改正案が国会に出るとか、そういった状況まではまだ至っていないということなのですけれども、仮にこちらの行政機関のほうの個人情報保護法が見直されるといった場合には、やはりNDBデータの取り扱いと位置づけというところとかかわってきますので、その検討状況を踏まえて、NDBのほうの研究利用の法律上の位置づけとか、制度的枠組みについて検討するということになっております。

 これについては、実施時期もこちらの行政機関の個人情報保護法のほうの見直しにあわせて検討・結論を得るということになっております。これが1点目でございます。

 次は14番です。こちらは「レセプト情報・特定健診等情報データベースにおける民間利用の拡大」という話になっております。

 こちらについては、民間企業でも公益性の高い研究は可能ではないか。民間企業に所属する研究者であっても、NDBデータの公益目的の利用が可能となるようにということで、民間企業からの提案に基づいて、厚労省でNDBデータをもとにした集計表を作成する枠組みを構築するということを書いていただいています。

 これは、まさにことしの3月に一度この有識者会議の下の民間提供のワーキングで取りまとめが出たところだとは思うのですけれども、その取りまとめに基づいて、実際にどういう提供の枠組みがつくれるかというのを次回以降で御議論していただきたいと思っています。

 実施時期については、今年度に検討・結論、来年度での措置ということになっております。

 次の15番目については、探索的研究ができるということでサンプリングデータセットをつくらせていただいたのですけれども、そうは言っても、やはりいろいろデータ構成上制限があるという指摘もありますので、例えばサンプリングデータセットの内容の充実を図ることができないかということを検討することになっております。

 これについては今年度措置ということになっているのですけれども、我々としても、サンプリングデータセットを使われた方々の御意見なども聞きながら、どういうデータセットができるのかという開発を進めていきたいと思っています。

16番目についてはオンサイトリサーチセンターの話になるのですけれども、オンサイトリサーチセンターについては、今年度で運用ルールの確立とか、利用者の範囲といったところを図っていく。その上で、オンサイトリサーチセンターで精度の高い研究が実施できるようにということで、来年度で活用方策を検討するようにということでいただいております。

17番目については公表基準の話になってくるのですけれども、従来、NDBデータを使って研究分析をした場合に、市町村単位で区分を切った場合には、患者数等が100を下回る場合は公表できないという基準がございます。

 これについて、この制約があるとなかなか市区町村単位で数字が出せないのではないかという御指摘をされる方もいらっしゃるということで、その妥当性について、提供依頼申出者の意見も聞いた上で検討し、結論を得るとしております。こちらについては、平成27年度に検討・結論という実施時期となっております。

18番目は措置済みの話ではあるのですけれども、地方公共団体がNDBデータの提供の枠組みのあり方について、利用目的等に応じた再整理を行うとともに、迅速にデータ提供を行う必要がある場合には、有識者会議の意見聴取を省略することを検討し、結論を得るということで、前回、医療計画等の場合に、都道府県からの申し出について、省略することもできるということで改正の御検討をいただきましたので、これは措置済みということになっております。

19番目は電子レセプト上の省略ルールの話なのですが、電子レセプト上の中に省略ルールというのがありまして、点数とか、回数とか、診療識別といったものが省略されているところがあるのですけれども、NDBを新たに改修したときに、こうした情報を補完するという仕組みを入れておりますので、これについては措置済みということにさせていただいています。

 最後、20番目ですが、これについては、研究者等が実際にNDBデータを使って研究しようということを考えたときに、では、実際にNDBデータを使ってどういう研究ができるのだろうということを考えるのに役立つ情報がなかなか出てきていないという指摘がありまして、こういうことに使えるような情報をもっと出してはどうかという御指摘を踏まえて書かれている内容になります。

 この中では、例示として「項目ごとの出現率などのデータ精度に関する情報等」と挙げさせていただいていますが、要はNDBデータの分析、どういう研究ができるかというのを考えるのに役立つような情報というのを精査して、公表するということになっております。これは平成27年度検討・結論、来年度の措置ということになっております。

 事務局からは以上です。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見等がありましたら、よろしくお願いいたします。

 どうぞ、石川先生。

○石川構成員 おくれまして申しわけございませんでした。

1314に関してのことであります。13のところに特に関係するのですが「公益性の高い」という文言と「公益目的」という文言が規制改革の内容のところに入っておりますけれども、「公益性の高い」あるいは「公益目的」ということについての定義だとか解釈、この辺のところはすごく難しいと思うのです。

 5年ぐらい前の話になるのですが、レセプト情報の第三者利用の問題のところで述べたのですけれども、要するに、レセプト情報の中には医療機関コードが載っていて、原則はそれを一般的には公開しないということになったのですが、そのときに、レセプトというのは、確かに患者さんの個人情報であると同時に、それ以外の例えば医療機関のいろいろな情報も兼ね備えて持っていることがあります。

13番のところで、こういうことについての研究利用の法律上の位置づけというようなところで、レセプトを利用した研究をするときに、そういうものが自動的に、レセプトという性質上、発出した医療機関だとか、当然、そういった情報も載るわけですから、そこの法律上の位置づけ、それも利用して研究に使ってもいいのかどうなのかとか、そこら辺の問題はぜひ解明してもらいたいと思うのです。

 というのは、この後も出てくると思うのですけれども、レセプトだけではなく、処方せんの問題があって、処方せんは、患者さんの個人情報と、出した医療機関、あるいは処方した医師名などが載っているのです。電子的なおくすり手帳をある企業が集約して、その電子処方せんのデータをそのまま二次利用するということが今後問題になってくると思います。

 このときに、処方せんの公的な二次利用だとか、そういったものに付随して、医師の名前、医療機関の情報といったものも同時に処方せんの中に入っているわけです。だから、処方せんの研究利用だとかといったところに、医療機関の名前だとか、そういうものが入ったときに、これは法律上利用できるのかどうなのか。言ってみれば、これはレセプトと同じなのですよね。

 だから、そこら辺のところの法的な位置づけだとか、制度的な枠組みということについて、ぜひ13番、14番も若干関係していると思うのですが、解明してもらいたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○赤羽根室長 御指摘ありがとうございます。本当に広い意味での医療にかかわる情報というところも含んだ御指摘かなと思っておりまして、そういう意味では、関係するセクションとしてもかなり大きく広がる話かなと思っています。

 石川構成員もよく御存じのとおり、今、個人情報保護法の改正案も国会にかかっているところですし、こういうことに関しては、今、本当に制度的な動きがある中ですので、我々としても、そこら辺の改正の動きとか、先ほどおっしゃられていたような処方せん等々の取り扱いなどもよく確認をして、全体のバランスとしてどうなっているのかというのをよく把握しながら、そこは連携をして議論を深めていきたいと思います。

○田尻構成員 いいですか。

○山本座長 どうぞ。

○田尻構成員 確かに14番に民間企業、公益性とあります。普通で考えたら、民間企業というのはまず商的な利用が主であり、少しゆがんだ表現をすれば、それが恐らく一般的な見え方ではないかなと考えたときに、公益性の高い研究というのは、何をもってその基準を置くのかなということを、どの部分で決めるのかわかりませんけれども、そこら辺の縛り的なものに関してはある程度慎重にする必要があるのかなという感じはしましたので、ちょっと発言させていただきました。

○山本座長 ありがとうございます。

 これはよく検討していくということでよろしいですよね。

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○飯山構成員 17番の公表単位が100未満の件なのですが、これにつきましては、前に1回有識者会議に上がってきた件で、精神疾患についての言及があったときに、地域的な特性が出て、それについていろいろマイナスの議論になるとまずいということで、たしか認めなかったケースがあったと思うのですけれども、私が心配しますのは、個人が特定されてしまうということのほかに、一定の地域で何か社会的にマイナスに見られるような疾病が多いというようなことがあった場合に、報道のされ方によってはその地域に対する大きなマイナスイメージということがつくられてしまいまして、例えば就職とか結婚とか、そういったところに差別的な傾向も出てくるおそれがあるので、これはやはりかなり大きな単位でないと国民が不安を覚えるのではないかと思いますので、このところは本当に慎重に検討をお願いしたいと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

 市町村以外は10なのですが、メディケア・メディケイドのCMSのデータ提供の単位で既に10以下とか、11以下というのがあったので、それなりに根拠がある数字なのですけれども、100というのは、思い切りで決めてしまったので、100という数字そのものが、これは本当に根拠があるのかというような批判のされ方をされているのです。

 ですから、一律でなくてもいいと思うのですけれども、今、飯山構成員が言われたようなことも加味して本当に意味のある基準をつくっていかないといけないということでは、これは今年度のテーマということでよろしいですかね。

○赤羽根室長 はい。

○山本座長 検討を続けていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ほかはいかがでしょうか。

○石川構成員 ちょっとよろしいですか。

○山本座長 どうぞ。

○石川構成員 ただいまの飯山構成員のお話は、大変重要な御指摘だと思うのです。レセプトに病名が克明に載っているということでは、例えばこれが100だとか、今、数のあれが出ていますが、私なんかは、これはもう既に明らかになっていることなので、いろいろなところで出ているので言いますけれども、例えば千葉の銚子の市立病院閉鎖に伴って精神科の病床がなくなるときに、外来だけはどうしても潰してはいけないと。それはなぜかといったら、あそこは精神疾患の方たちの非常に多いところだというのが同時に公表されたりしたのです。

 これがやはりレセプトなどで、100だとか200だとか、そういう数字ではなくて、今、飯山構成員がおっしゃられた結果の出し方だとか、研究の仕方によっては、その地域の特色なのですけれども、これが大変印象が悪くなったりということもあるので、やはり私たちがレセプトを扱うときに、そういうことも踏まえてきちんとこの有識者会議で審査していかなければいけないなと思います。これは非常に大事なことだと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 むしろ具体的な数字よりは、やはり状況に応じてきちんと対応できるようなルールにしておかないといけないということですよね。

 特に不都合がなければ、おおむね実施時期に書かれているような方針で進めていくということでよろしゅうございますか。

 ありがとうございます。

 それでは、次はもうオンサイトですか。

○赤羽根室長 DPCです。

○山本座長 DPCですね。済みません。

 それでは、オンサイトの議事に行く前に、本日の議題の3つ目「DPCデータの利活用に向けたサンプリングデータセットの整備について」、松田構成員のほうから御報告をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○松田構成員 昨年度の厚労省の特別研究で「DPCデータの利活用に向けたサンプリングデータセットの整備に関する研究」をさせていただきましたので、その結果を御報告したいと思います。

 1ページめくっていただきますと、まず「研究の背景」がございます。

 そもそもなぜこの研究をやるようになったのかというと、平成22年6月22日の「新たな情報通信技術戦略 工程表」という中で、レセプト情報等データベースの第三者提供に加えて、DPCデータの第三者提供についても、提供形態の決定、ガイドライン策定に関する検討が指示されたということがあります。

 また、この会議のほうでDPCデータの第三者への提供のあり方について議論をしろということで、一応、これをやってみました。

 3ページ目の「資料及び方法」ですけれども、一般社団法人診断群分類研究支援機構(DPC機構)というものを東京医科歯科大学の伏見先生、私、医科歯科大学の名誉教授であります西岡先生の3人でつくらせていただいております。この機構自体は、DPCを使った研究を支援するための機構ということでつくっております。

 厚労省のデータの収集とは別に、ここに書いてありますように、個々の施設とこの機構との間に個別に契約を結びまして、かつ、産業医科大学倫理委員会の審査を受けてデータの分析を行っています。

 この機構につきましては、一応、説明しておかなければいけないのですけれども、あくまで公益目的ですので、私たちはここから給与等は一切いただいておりません。

 あと、個々の研究に関しましては、必ず個々の医療機関とこの研究への参加の承諾書を一件一件とるという形でやらせていただいております。

 このデータを使わせていただきまして、以下の3種類のデータセットを作成しました。汎用サンプリングデータ、特定の研究目的に対応したデータセット、階層的なランダムサンプリングデータの3つです。

 まず、汎用サンプリングデータですけれども、恐らくまず一番大ざっぱなデータでつくっていかないと難しいと思いましたので、様式1をベースにして、経済系の方たちから要望の多い簡素なコストデータをつくってみました。

 まず、RecIDという1入院ごとに割りつけられる患者ID、データ識別番号というのがDPCの中であるのですけれども、これをハッシュ化しました。

DPCにつきましては、実は様式1、EFファイルの中にDPCコードというのはありません。これをこの研究班のほうでつくってきたコーディングロジックで再コード化をしています。

 あと、性別、在院日数を入れまして、年齢に関しましては10歳階級で全部再コーディングし直しました。

 コストデータなのですが、診療区分ごとに、診療、投薬、注射とか、そういう形でやっていくのですけれども、一桁目のところが残っていると個人識別性が高くなるということと、10円単位での分析にそれほど大きな意味があるとは思えませんので、まず、一桁目を四捨五入した出来高換算の診療区分の点数をつくらせていただきました。

 5ページ目がモデルデータになります。RecIDから診療区分の97まで、一応、こういう形でデータをつくっています。

 これをもとにして、6ページ目をごらんください。

 まず「件数別・分析単位別患者数と分類数の変化」というものを分析してみました。

 粒度でいうと、30件以上ある場合、50件以上ある場合、100件以上ある場合という軸と、分析の単位を全国、都道府県、二次医療圏という単位の2軸でやってみました。

 まず、全国単位でいいますと、症例数は全部で685万件のデータがあるのですけれども、それを30件以上ということでやりますと、全国レベルでいうと、症例数としては98.5%、分類数としては77.4%ということで少し落ちます。

 これが50件、100件となると落ちていくのですけれども、症例数自体は常に95%になるのですが、やはり全国データを使って分類したいという希少疾患につきましては、100件以上という形でやりますと、分類数でいうと、もう半分になってしまうという形になります。

 続きまして、30件以上で横のほうをずっと見ていただきたいのですけれども、都道府県レベルになると症例数で70%、分類数では38.6%、二次医療圏になりますと症例数が43.8%、分類数が24.3%という形になります。

 一番右下のところが100件以上で二次医療圏になるのですが、これになりますと症例数でも21.2%、分類数では7.8%ということになりますので、結論としましては、データに含める最低症例数が少なくなると、都道府県レベル、二次医療圏レベルでのデータの代表性が著しく低下するということになります。

 7ページをごらんください。

 比較的多い疾患のDPCについて、少し分析してみました。DPC020110xx97xx0というのは「白内障 手術有 片眼」というDPCの中では上位5つにいつも入るDPCですけれども、それで分析をしています。

 まず、ALLというのがありますが、これは年齢階級別に見ておりますが、これは都道府県レベルですけれども、例えば30症例以上になりますと99%が全体としてはカバーされますが、年齢階級を見ていただきますと、やはり若年の少ないところになるとかなり落ちてしまいます。

 こういうものでやると、100例以上で年齢階級を気にしなければ、症例数としては97%ぐらいがカバーされるということになりますけれども、例えば50歳未満の若年発症の白内障につきましては、半分ぐらいの症例が落ちてしまうという形になります。

 8ページをごらんください。

 これも都道府県レベルですけれども、今度は同じようにして肺炎を見てみました。肺炎は一番多いDPCになるのですけれども、見ていただきますと、30症例以上であると99%のカバー率になります。年齢階級別に見ても大体このぐらいということで、おおむねやれるのかなと。ただ、100例以上になりますと、全体では92%なのですけれども、やはり30歳未満の若年のところで半分以上の症例が落ちるという形になってきます。

 そういう意味で、こういうデータに関しては、年齢階級みたいなものを入れてしまうと、やはり代表性というところでは少し落ちてしまうのだろうなというデータになります。

 続きまして、9ページは「特定の研究目的に対応したデータセットの作成」ということで、実は私どもの教室が中四国の脳外科の教室と共同研究をずっとやっていますので、その中での彼らの意見を踏まえたResearch questionをつくってみました。

 例えば、くも膜下出血の予後に施設の症例数は関係しているか。Stroke care unitというのは、くも膜下出血の予後を改善するのかというResearch questionをいただきましたので、このResearch questionを検証する目的でデータセットの作成を行いました。

1,057施設からいただいた680万のデータを使っています。ここから16,000件のくも膜下出血のデータを様式1から抽出しています。このデータ識別番号を用いて、各様式1のデータに対応するEFファイルから、次のページの情報の有無及び回数を見ています。

10ページ目に抽出したデータを書いています。このところで一応Research questionに対応するものとしては、転帰ですとか、あるいは入院契機の病名ですとか、併存症、合併症が予後に関係していますので、それは入れろと。それから、どういう手術をやったのか、集中治療を利用したのか、ICUを利用したのか、SCUを利用したのか、HCUを利用したのか。あと、重症患者だけにしろということで、JCS30以上ということで、あと、出来高換算点数、一日当たりコスト、施設患者数合計、施設手術件数という形で、これは要するにResearch questionに応じて集計作業を1回やるという形で、個別識別性を少なくするという作業をやっています。

 これ自体は地域差を分析するということではありませんので、地域に関する情報は一切入れておりません。

 実際につくられたデータセットが11ページ目になります。このレベルですと、どこの病院のどの患者のデータということは基本的にはわかりません。

 一応、個別識別性の検証につきましては、特定の症例を5例とか10例やってきて、これでフルマッチをするかどうかということをやっているのですけれども、これでフルマッチしても、このレベルの集約データになると基本的には個人が特定できることはありませんでした。

 実際に分析した結果が12ページのような感じなのですけれども、1,693の重症外科症例のJCS30点以上で、ICUSCUHCUの利用がある1,693例について、どういう要因が関連しているかということを分析したものです。

 結論から言うと、SCUがあると確かに予後はいい。施設の症例数が多いところでは予後がいいという結果が出ています。

 続きまして、13ページ目をごらんください。「階層的ランダムサンプリングデータ」というのをつくってみました。

 これはどのようにやったのかといいますと、DPCの元データから都道府県、性別、年齢階級の階層で人数比が元データの20%になるように、いわゆる階層的なランダムサンプリングデータを行いました。これを様式1のデータセットで作成しまして、様式1のデータセットに対応するデータ識別番号でEFファイルを抽出してきて、サンプリングデータ(様式1+EF)というデータをつくっています。

 元データから5件ずつ抽出しまして、これを何回か繰り返してみました。EFファイルを含めたフルマッチをやりますと、全例で個人が特定できるという結果になっています。

 ただ、DPCには定義表というのがあるのですけれども、定義表の項目でやりますと個人は特定できませんでした。一応、そういう結果をここで示しています。

14ページになるのですけれども、以上のことを踏まえて、今、私たちが中四国の脳神経外科学教室とどのようなことをやっているかということを御紹介します。

 集約テーブルをつくっていまして、中四国の各脳神経外科学の教室と話し合いをしまして、それぞれの研究テーマに合うような、いわゆるディスクリプティブな状況がどうなっているかということが見えるような集約テーブルをつくりまして、それを少しインタラクティブに見られるような形にしています。

 これはクローズドの通信環境でやっているのですけれども、Research questionをつくっていただいて、研究の仕様が固まった段階で私どもの教室に来ていただいて、そこで元データに当たってデータを切り出して、協同で解析をして、テーブルだけを持って帰っていただいて論文を書くという、いわゆるResDAC方式でデータの運用をやっています。

 最後のページの「結論」ですけれども、一応、今回はDPCデータの利活用のためのサンプリングデータセットというものを幾つかのパターンでつくってみました。

 やはり利用目的に応じたデータ切り出し処理を行うということが一番いいのだろうなと思っています。汎用性の高いサンプリングデータというのは、DPCの場合には、それぞれの人たちの目的がかなり違いますので、その目的に全て対応しようとすると、かなり細かい情報を入れなければならなくなってしまいますので、個人識別性の確率が非常に高くなってしまいます。

 ただ、今度は汎用性が高いということで個人識別性を減らしてしまうと、一番初めのデータの結果にありましたように、データの代表性が非常に落ちてしまいますので、それを用いて学術論文をつくるということは少し難しいだろうと思います。

 そう考えると、やはりDPCの利活用を進めるためには、アメリカのResDACMEDPARに倣って、オンサイトでの分析を支援する組織を創設するということが望ましいのではないかと考えております。

 以上です。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 ただいまの松田構成員からの御報告に関しまして、御質問、御議論がありましたら、よろしくお願いいたします。

 いかがでしょうか。

 あれだけ複雑なデータを、個人識別性を外した状態で有用にするようなサンプリングというのは大変難しいというのは、直感的によくわかるといいますか、そのとおりだなという感じなのですけれども、とはいえ、これは非常に重要なデータですので、これを使った有益な利用を進めていくためには、ResDAC方式といいますか、適切な支援をしながらオンサイトセンターの利用を行っていくということが最もいいということなのですよね。

○松田構成員 DPCは個別識別性の高いデータですので、ある程度そういうものに配慮して、目的に応じてセキュリティーが確保されたところでやるのがいいと思います。DPCはすごくいいデータベースだと思いますので、この活用を進めるためにも、私はやはりオンサイトセンターでやっていただくのが一番いいのではないかと思います。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 よろしゅうございますでしょうか。

 本日、公開の議事はここまででございます。

 事務局から何かお知らせはございますでしょうか。

○赤羽根室長 一応、公開の場でということで、次回の本会議の日程は、調整の上、お知らせさせていただきますということだけお伝えさせていただきます。

 以上です。

○山本座長 ありがとうございます。

 それでは、本日の公開の議事はこれで終了とさせていただきます。

 今から5分かそこら休憩に入りますので、傍聴の方は退席をお願いいたします。


(了)

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