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2014年12月2日 化学物質のリスク評価結果と改正特化則等に関する意見交換会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成26年12月2日(火) 13:30~16:30


○場所

エッサム神田ホール 2階 多目的ホール


○議事

司会 者(森田) 皆様、こんにちは。それでは、定刻となりましたので、ただいまより「平成 2 6 年度第 1 回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を開催 させていただきます。

  私は 本日 司会を務めさせていただきますテクノヒル の森田と申します。どうぞ よろしくお願い いた します。

  まず、最初にお手元の 資料の 確認を お願いいたします。ホチキスどめの基調講演資料が1部、A4のピンクと水色の アンケート 用紙が1部ずつ、こちらのピンクのアンケートは休憩時間に回収いたします。あとは、はがき大の赤と青の厚紙が1枚ずつ、こちらはお手元におありでしょうか。大丈夫でしょうか。こちらについては、後ほど御説明いたします。

  さて、このリスクコミュニケーションでございますが、働く方の健康障害を防止するために厚生労働省が行っております化学物質のリスク評価に当たりまして、関係する事業者の方、または事業者の団体の方との情報共有、意見交換を行うために実施しているものです。厚生労働省からの委託を受けまして、私どもテクノヒルが昨年度に引き続き運営をさせていただいております。

  それでは、本日のスケジュールについて簡単に御説明いたします。

  まず、「リスク評価の結果(平成26年7月とりまとめ)について」というタイトルで、厚生労働省の検討会である化学物質のリスク評価検討会で行われました検討内容につきまして、検討会座長でいらっしゃる早稲田大学理工学術院創造理工学部環境資源工学科教授の名古屋俊士先生に御講演を25分いただきます。

  次に、「平成25年度リスク評価を踏まえた特化則等の改正~DDVPとクロロホルムほか9物質(旧有機溶剤)~」というタイトルで、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質評価室長の角田伸二様に御講演を40分いただきます。

  以上の基調講演が終わりましたら、一旦20分の休憩をいただきます。その間に、1回目のピンクのアンケート用紙を事務局で回収させていただきます。こちらのピンクのアンケートに基調講演をお聞きになられての御感想、疑問点、御質問されたい点などにつきましてお書きいただきまして、会場内におります事務局の者にお渡しいただきますようお願いいたします。いただいた御意見を踏まえた上で、後半の意見交換を進めてまいります。

  後半の意見交換会では、コーディネーターを長崎大学広報戦略本部准教授の堀口逸子先生にお願いいたしまして、パネリストとして基調講演をいただきました名古屋先生、角田室長、厚生労働省の2名の方にお入りいただき、疑問点にお答えいただくことになっております。

  意見交換は、まず1時間ほどはアンケートにお書きいただいた御質問について御回答する形で行い、その後、30分ほどは会場からの御質問を直接お受けする形で行います。

  なお、この講演会につきましては、後半の意見交換会を含めまして議事録作成のため録音をしております。あらかじめ御了承いただきますようお願いいたします。

  録音の関係上、30分ほどの質疑応答のときにはマイクを持ってお席までお伺いいたしますので、マイクを通して御質問をお願いいたします。全体の終了は、4時半を予定しております。

  それでは、1つ目の基調講演、「リスク評価の結果(平成26年7月とりまとめ)について」、名古屋先生どうぞよろしくお願いいたします。

 

基調講演

「リスク評価の結果 ( 平成26年7月とりまとめ) について」

 

名古屋  それでは、ただいま 紹介にあずかりました早稲田大学の名古屋でございます。よろしくお願い いた します。

  多分、きょうの関心は後半かと思いますので、ここのところは比較的簡単に結果の報告という形で進めさせてもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

(スライド2

 まず、リスク評価の制度について、これは毎回お話ししていることですが、今はこういう形の中で制度を行っていますよということです。それから、7月までにまとめましたナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーについてちょっとお話をしていきたいと思います。

 

(スライド3

 化学物質の現状を見ていただけばわかりますが、大体6万種類くらいあります。毎年、大体年間100kgを超えて製造する新規届出のものが1,000ぐらい、昨年までは1,200だったのですが、今年は1,000くらいになりました。

 

(スライド4

 実際の疾病を見ていただけると、大体200少し超えるあたりのところで推移しているかなという形になっているかと思います。

 

(スライド5

 実際にここは皆さんに説明することはありませんけれども、安衛法の枠の化学物質の体系図という形の中の製造禁止物質、製造許可物質であります。ここのところは労働者の健康に生ずるおそれのあるものとして115物質、あとはSDS、ここはこれからリスク評価をしなければいけない物質になりますけれども、特にこの中から少しずつリスク評価の高いものをこの上に上げていくというシステムに今はなっています。それで今、我々はここのところにつきましてどういうものを上げていって、そしてそれをリスク評価していって規制するのか。あるいは、それはしなくていいのかという形の流れでございます。

 

(スライド6

 従来といいますか、平成18年以前のところの化学物質の対策というのを見ていただきますと、ハザードのところの「過去の対策」という形の中で見ると、労働者に健康障害を発生させた化学物質、要するに労働者が疾病が起こって初めて化学物質を規制していくというのが従来の流れでした。ここに書いてありますように、いわば後追い的な制度でしたよという形であります。

  それで、平成18年以降になりますと「現在の対策」としてリスクベースのところの中でやはりきちんとした対策をしなくてはいけないのではないかということがわかりまして、事業主に対してはリスクアセスメントを実施し、その結果に基づいて自主的な管理体制を実施してほしいです。それで、重篤なものにつきましては国自らリスク評価をしましょうという形の中でSDS(安全データシート)の交付対象物質の中から重篤な有害性、あるいは発がん性の物質についてリスクアセスメントをして法制化していくという形になるかと思います。

 

(スライド7

18年度のときは、まだこれは非公開でした。委員会の中ではこういうことをやっていました。選定物質としましては、ここにありますように取り扱いが500kg以上のものについて事業者にこういう形のものを今年対象物質にしますのでばく露報告してくださいよという形にしました。

  それで、その第1回目は5物質だと思います。その中で出てきたのはホルムアルデヒドですが、そういう5物質に対して報告をしてもらって、その中でそれに対する有害性、諸外国の濃度ですね。要するに、評価するための基本的な濃度をこの有害評価のところで扱っている。それで、実際にはばく露実態調査をして、このばく露実態調査と有害性評価の2つを合わせてリスク評価をしていって、重篤な健康障害のおそれのあるものに対しまして健康障害防止措置の対策が必要ですねという形で今のような流れになっているかと思います。

 

(スライド8

 これは非公開でしたので、透明性がないということがあって、平成21年からはこんな形の中でそれぞれ役割分担をちゃんと決めて、特にここのところは政策になると思いますが、こんな形の中で公開してやっています。一応この中で対象になる物質を決めるということ、今年はどういう物質をリスク評価対象に決めましょうかということを決めるのが企画検討会です。その決められたものに対して集められるデータに対して有害性評価、これは濃度を決めるんですね。要するに、リスク評価をするための評価値を決める検討会です。あとは、ここが実際にばく露濃度を測定していますので、その結果です。

  その2つを合わせていって化学物質のリスク検討会の中で検討していって、リスクの低いものについてはこのままでいいだろう。リスクの高いものについてはきちんとした対策が必要だよねという形の中で、そして法的な要件を盛り込んだ健康障害防止措置検討会の中でそれを議論します。この後は管理濃度等検討会でその物質の測定法や管理濃度が決められます。こんなふうな流れの中で、かなり透明化された中で作業が進められていますということがおわかりいただけるかと思います。

 

(スライド9

  実際には、6月になりますと対象物質をどういうふうに選定しますかという募集をします。この中で、パブリックコメントで応募してくる人もいらっしゃいますし、それから我々も入っていますが、この検討会のメンバーの中から今年はこういう物質について検討したらどうでしょうかという形のものが挙がってきます。そして、企画検討会の中で、物質の選定の考え方をきちんと策定して、それに合ったものについてかなり多くの数が集まりますから、それを順序だてていって何物質ぐらいという形で決めて、そしてそれに対してそれにかなった対象物質を企画検討会で選定します。それで、対象物質が選定されましたら、今度は12月になったら、対象物質の指定の公示が発出されます。それに対しまして、1年間、公示された物質について自分のところではこういう物質が対象になりますと把握します。

  ここで一番企業の皆さんにお願いしたいのは、このときにここに出てきた、この対象物質に指定されたときに、もし自分のところにそういうものがあったときに、これからそういう物質がどういう流れになっているかということを早目に知ってもらって対応していただきたいということです。よくコバルトとかニッケルなどであったんですけれども、終わって法令で規制されてから、うちはこんなものは対象にならないよ、微量しか使っていないよというふうに出てくるんですが、もうそのときは遅いんですね。

  だから、そのときではなくて、このときにきちんと対応する。では、自分のところはどうなのか。やはり少ないのか。それで、自分たちでリスク評価をしてみて、低かったら低いということで相談に上がる。厚生労働省に上がるかどうかはわかりませんが、そういう形の中で、要するにどう対応したらいいかということを検討されておかれるといいかと思います。

  あとは、1月から3月までの間に提出される報告を受けて、その報告に従ってその後のリスク評価を行うという形になります。

 

(スライド10

  実際には、二段スキームという形が一番わかりやすくなっています。これも公開されていますので、わかると思います。要するに、初期リスク評価をまずしましょうということです。先ほど言いましたように、ここは実際には1次、2次評価値という、有害性評価の数値を決める検討会という形になるわけで、多くの場合ここが発がん性の場合は10のマイナス4乗、1万人に1人の割合でその物質によってがんが発生する濃度を一次評価値にしました。

  それで、二次評価値が、ACGIHの許容濃度で決められた場合、後々の管理濃度になる確率が高い濃度だと思っていただければと思います。

  あとは、実際はここのところは集まったものに対して厚生労働省と委託先の中災防(中央労働災害防止協会)でコントロール・バンディングをしまして、これだけいっぱいあるんですけれども、やはり低いところでなくて高いところ、高いところ、高いところに追い込んでいって、その一番高いところの中でどういう状況になるか、報告企業の中から選定していって、そしてそこで実際のばく露濃度測定をしますよという形です。

  そうすると、一番高いという形で選定されたところで一次評価値ですね。10のマイナス4乗より低かったとしたら、それはリスクは低いでしょう。それで、二次評価値と一次評価値の間、リスクはあるんですけれども、自主的な管理の中で対応してお願いしますという形になるかと思います。

  二次評価値を超えているということは、やはりこれはリスクが高いということなので、やはりそこで終わってしまうのではなくてもう一度詳細リスク評価という形、こちらに移っていただいて、何をするかというとやはりその作業の中でここで集めたよりもう少しその状況を見てもう少し増やしたほうがいいのか。あるいは、同じ作業でももう少し事業場でデータを集めたらいいのかという形のものをします。

  あとは、有害性の評価のところにつきましては、ここで二次評価値を決めたんだけれども、もう一度いろいろなところの文献を洗い直して、本当にこの濃度でいいかなという形のものにします。

  めったにこの二次評価値は変わることはないんです。例えば、インジウム化合物などは変わりましたね。もともと0.1mg/m3 ACGIHのばく露限界値はあったんですが、それが初期リスク評価時の二次評価値、インジウムとして0.1mg/m3 となり、詳細リスク評価の時に0.0003に変更になりましたが、やはりそこのところで変わるということで、めったにないのですが、そういうことがありますので、やはりきちんともう一度有害評価をします。それで、ばく露濃度測定につきましてもここで検討されたことを追加して実態調査を始めます。

  そうすると、見ていただければわかりますけれども、二次評価値を超える部分より下回ったところで自主的な対応をし、自主的な指導をしましょうよ。二次評価値を超えたら要因分析をします。要因分析というのは、そこが本当に特定事業場の問題なのか、共通の問題なのかという形で必ず要因分析する。

  一つの例としては、エチルベンゼンなどはそうですね。エチルベンゼンは規制対象になりましたけれども、実際には塗装以外にはガソリンだとか、いろいろなものを測定しています。ただし、その濃度は比較的低かったということで、エチルベンゼンの中ではやはり一番リスクが高かったのは塗装業務で、それだけが規制対象になりました。ほかのものはこちらにいきません。要するに、そういう形の中で必ず要因分析をしていますねという形にしています。それで、結果的にはこれが措置検討会に移っていくよという形になるかと思います。

 

(スライド11

 ちょっとだけさっきのリスク評価の中の話ですけれども、リスク評価をする、ばく露するところの中で、実際にはばく露評価の実際の8時間のばく露濃度測定をしますと、もう一つありますのは今までなかった統計的な処理、要するに実際にばく露しているというのは数多くある中で限られた企業しかできませんので、それを統計的処理して、もしかしたらその統計処理をした中で見てくると、ばく露はもう少し高い集団があるのかもしれない。それを見逃してしまうといけないという形で統計的な手法を採用しまして、母集団の最大値を決定します。

  いずれにしても、最大値とここにありますが、最大値のどれを使うかというと、実質のばく露濃度と、それから統計的処理の値の中でどちらか高いほうを最大値として扱いましょうという約束になっています。

  あとは、一次評価値は従来はこれだけだ。要するに、従来は発がん性物質が主体でしたけれども、今回のリフラクトリーセラミックファイバーは最終的には発がん性物質だったのでこういう形です。それで、これからは何をしているかというと、やはり生殖毒性とか神経毒性が入ってきます。こういう形で、少し新しくつけ加わりました。それで、二次評価値も産衛学会の許容濃度とACGIHの値を使っていますと、ここに書かれたような形になっているかと思います。このような形で流れていますよということでよろしいかと思います。

 

(スライド12

実際に は、25年のときにはこういう形で比較的メタクリロニトリルですか。それはリスクは低いということで、初期リスク評価で終わりました。それで、初期リスク評価の中でグルタルアルデヒドなどはそうですが、初期リスクをしたときにやはり二次評価値を超えている部分があるので、もう少しきちんと詳細リスク評価をしましょうという形で今年リスク評価をしています。

  それから、きょう、今後の話ですね。要するに、昨年やられた初期リスク評価から今年になりまして詳細リスク評価は、ナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーが出てきました。これはやはりかなりリスクが高いという形だったので、これは今、健康障害防止措置検討会で検討が行われています。あとは、酸化チタンとこれにつきましてはまだ評価値だとかほかに評価をしなければいけない物質が出てきていましたが、それについて今はちょっと継続審議という形でまだここで今とまっておりますという形になります。

 

(スライド13

 そうした中で、今日はナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーについてお話をしていきたいと思います。ナフタレンの場合は、先ほど言いましたように二次評価値がACGIHによって10ppmです。それから、区間推定値が先ほど言いました統計的な処理ですね。実際の測定値ではなくて区間推定値の統計処理で17.3という形で二次評価値を超えていますので、健康障害防止措置が必要ではないかという結論になった。そうしたデータをお話ししますという形になるかと思います。

 

(スライド14

 ここのところはいいですね。ここのところは、ぜひ皆さんに見ておいていただければと思います。この辺のところは防虫剤として使われているとか、そういう形でよく使われていますよということでいいかと思います。

 

(スライド15

 実際には発がん性ありですね。発がん性がありということで、もう一つは生殖毒性はこの辺で判断できないという形になっています。あとは、皮膚のところに対して入ってくるのは注意しなきゃいけないのかなと思いますけれども、こういうふうな形の評価になっています。

 

(スライド16

  では、実際の評価のところに移っていきますと経皮吸収ですね。経皮吸収がありますよということでやはり注意したほうがいいかということで、先ほど言いましたように一次評価値を設定しませんでした。二次評価値がACGIHの値の10ppmという形のものを採用して使いましたという形でございます。

 

(スライド17

 実際には、157事業場で520の作業報告があります。延べ労働者数は9,151人です。これだけの事業場なんですが、コントロール・バンディングして、それからあとはコントロール・バンディングしても全ての事業場が受けてくれるわけではありません。その中で受けてくれた事業場が1040人、このばく露濃度を使って行いました。実際に対象になったところはここにありますので後で見ていただければわかりますが、こういう形のところの事業場を選定しましたという形でございます。

 

(スライド18

実際 に見ていただけると、対象にするのは製造事業場が1ですね。11測定。あとは7事業場、2事業場で計10事業場という形で、ここのところは一番多かったですね。実質の先ほど言いました最大のばく露が7.55ppmでした。スポットは高いですね。要するに、ここは8時間ですけれども、スポットはその作業をしている一番短時間、測定ではB測定に当たります。そういう形のもので見ていると、かなり二次評価値に近いという形になるかと思います。そんな形の中で評価されましたよということです。

  それで、先ほど言いましたが、ここですね。個人ばく露で高いのは7.55ですけれども、やはり区間推定値を見ていくと17.3ということで二次評価値を超えていますねということです。

 

(スライド19

 実際に見ていただけるとわかりますけれども、こういう形でほとんどこれはナフタレンを主成分とする製剤を包装する。要するに、製剤を包装する作業が一番多かったので、そういう作業の人たちについては高い値です。先ほど言いましたように二次評価値を実際に下回っているのですが、やはり区間推定値を見てくると17.3という形で超えていますので健康障害防止措置検討会で検討する形になります。

 

(スライド20

 ここですね。そこがちょっとここに書いてあります。

  あとは、作業別に見るとナフタレンを含有する製剤を包装し、充填する作業が比較的高かったですね。こういうことを踏まえて、健康障害防止措置検討に持っていったほうがいいでしょうという形で今、健康障害防止措置検討会の中で検討しています。

 

(スライド21

 今度はリフラクトリーセラミックファイバーですね。ちょっと時間がないので、早口で済みません。リフラクトリーセラミックファイバーは最後に残った発がん物質ですけれども、評価値が0.2f/㎤ですね。アスベストが0.15ですから、評価値としてはかなり厳しい値を採用されています。それから、実際にばく露濃度評価は最大値が1.84です。区間推定値を上回っています。実際にばく露推定値が高かったんですけれども、それが二次評価値を上回っていますので、やはり健康障害防止措置検討に持っていったほうがいいのではないでしょうかという形になっております。

 

(スライド22

 ここもいいですね。見ていただければ、このとおりリフラクトリーセラミックファイバーの取り扱いで、どういうものを使いますかと、耐火性のライニング材ですね。あとは防音とか、そういう形のものによく使われていますよということだと思います。結構多いですね。1万6,000t使われています。

 

(スライド23

実際に は、こういう発がん性がありますよということと、ここのところはいいですね。遺伝性毒性ありですよという形のもので、ここが一番注目されてきたんだと思います。

 

(スライド24

 実際には二次評価値として0.2f/㎤のACGIHの値を使う形になりました。

 

(スライド25

 実際にアンケートを取ってみると、報告した事業場は398事業場で850の作業報告がありました。延べ労働者数は826人です。ここはちょっといいですね。そういう形になります。それで、実際に24年、25年で測定したところは12事業場、51人の作業者に対して測定しました。多くの場合は、耐熱材としての製造だとか加工ですね。そういうところでして、調査したところは主に秤量、投入、研磨、切断、この辺がよく発塵しますので、その辺のところを対象にコントロール・バンディングしましてそこのところに対して測定しましたよという形になるかと思います。

 

(スライド26

 実際に測定してみると、これがばく露濃度測定の中で51人の実態ですけれども、ばく露濃度測定を見ていくと最大値が1.84という形になります。要するに、0.2をはるかに超えています。これは、区間推定値でも1.6ありますから、評価値の0.2はかなり超えています。特に見ていただけるとわかりますけれども、対象物質の製造をしているところでも超えていますし、それから他の製剤等の原料として扱っているところでも超えています。

  要するに、いずれのところでもそれを扱っているところは、共通して二次評価値を超えている作業だなということがおわかりいただけるかと思います。スポットのところを見ていただいても結構高いですから、かなり発塵性のあるものという形になるかと思います。

 

(スライド27

実際 に見ていただけるとわかりますけれども、一次評価値、二次評価値を見ていただけるとわかります。ここですね。ほとんどの場合、ここが二次評価値ですから、これを多くのところの作業で超えていますねということがわかります。ここはちょっと個別に置きましたが、こういう形で見てくるとかなりの濃度の中で高い濃度にばく露されている集団があるということで、共通性が高いという形の中で、やはりこのままではよくなくて健康障害防止措置の検討に持っていってきちんとした対応をしていただきたいという形に決まりましたということでございます。

 

(スライド28

 今後のリスク評価の中で、先ほど言いましたように、これは先ほどと同じで、要するに8時間TWA値が1.8でした。区間推定値は1.6でした。これから考えて、一番高かった1.8は当然0.2の二次評価値を超えています。そうしたことで、リフラクトリーセラミックファイバーの物性から取り扱い時に飛散するおそれがありますから、製造、取り扱い全般に吸入するおそれがありますということと、それから先ほど言いましたように作業が意外と共通している部分が多かったので、特にそういうところの中でやはりリスクが高い。ばく露の測定を行った作業場全体として高いリスクが見られていることから、やはり健康障害防止措置の検討が必要ではないでしょうかという形になりました。

 

(スライド29

  今、この2物質につきましては最初に7月25日から始まりまして、8月、9月、10月で、ここで本来的には終わるはずだったのですが、あとはリフラクトリーセラミックスの場合、製造のところはOKだったんです。ただ、一番使われていますのが解体現場、要するに炉に使われていますので、炉のところに設置する部分と、それから炉を解体するときにやはり飛散してきますので、そこのところを今、検討していますので、12月にあと2回、第6回、7回と検討し、それで結論が出てくると思います。

  それから、ナフタレンにつきましてはリスク評価をしたんですけれども、先ほど言いましたように要因分析のところを私は一つにまとめたのですが、やはり包装している部分と、それから扱っている部分と少し濃度差があるので、そこのところは分けたほうがいいのではないか。

  それから、固体のところは検討しているのですが、溶剤等に含有されるものはまだ検討していなかったので、そこのところは検討しましょうという形で、あと2回検討して結論を出して、今年はこの2つにつきましては最終的に終わりたいと思っています。

 

( スライド30)

  今後のところになってきますと、今年はグルタルアルデヒドとかタリウム、これからはこういう形で、従来と違って、従来は年度前半で終わっていたんですけれども、やはり化学物質のリスクが多くなってきましたので、前半の部分と後半の部分を2回やるという形になりました。後半のところではこの4物質について詳細リスク評価、それで初期リスク評価につきましてはこれにつきまして初期リスク評価をしていって、今週と、それから20日でしたか、ちょっと日にちは忘れていましたが、そんな形の中でこれからあと2回検討会を開いていくという形になるかと思います。

 

(スライド31

  そして、今まではどちらかといいますとIARCの発がん物質を主体にしてずっと検討してきました。平成18年~20年は発がん物質でした。一応ここのところの中で少し先ほど言いましたようにナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーは残っていましたけれども、大体終わりました。それで、これからは生殖毒性とか神経毒性という形のもの、それから24年につきましても発がんで、あとはナノマテリアルですね。ナノマテルアルは酸化チタンと、今カーボンブラックと、ナノ銀と、カーボンナノチューブと、それからフラーレンがあるんですけれども、今のところは酸化チタンを行っています。これからはこういう形で生殖毒性、神経毒性という形のものについて検討しましょうという形になります。

  今年度は、先ほど言いました7月の企画検討会で決めたこの物質について12月に告示しますので、そうすると先ほど言いましたように皆さん方がこの物質の中でもし扱っている物があれば、来年(27年)の1月から12月までの間に扱った(500kg以上)ものにつきまして、再来年の1月から3月までの間に ばく露作業の報告書を提出してもらう。それを受けて、28年からコントロール・バンディングにより事業場を選定していって、そこで実際にばく露濃度測定と、それから検討委員会では評価、要するに評価をするための濃度測定をするという形の、先ほど前半にお話をした流れになります。

 

( スライド32)

  ナフタレン、リフラクトリーセラミックファイバーの詳細評価のところはきちんと報告書がありますので、関係のあるところはぜひこれを見ていただければと思います。

 

  ちょっと時間がなくて早く言いましたけれども、報告だけですので皆さんの中ではすぐわかると思いますので、ぜひ先ほど言いました資料(リスク評価報告書: https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000052049.html )を見ていただけると説明がよくわかっていただけるかと思います。後半が大切ですので、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

 

○司会者(森田)  名古屋先生、 御講演ありがとうございました。御質問に関しましては、ぜひピンクのアンケートへお書きくださいませ。

  次に、厚生労働省安全衛生部化学物質評価室の角田室長に「平成25年度リスク評価を踏まえた特化則の改正」について御講演をいただきます。準備が終わるまで、少々お待ちください。

  それでは、角田室長どうぞよろしくお願いいたします。

 

角田  御紹介いただきました、 厚生労働省労働基準局 安全衛生部化学物質対策課 化学物質評価室の 角田 ( つのだ ) でございます。

  本日は、このリスクコミュニケーションに参加いただきまして、まことにありがとうございます。また、関係の事業者の皆様を初めとする御参集の皆様におかれましては、日ごろより私どもの施策の推進に御協力くださいますことに厚く御礼申し上げます。

  このリスクコミュニケーションでございますが、冒頭お話がございましたとおり、双方向の意見交換の場ということで開催させていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

  化学物質評価室では、毎年化学物質のリスクの評価を行っております。ただいま御講義をされました名古屋先生が座長をしておられます化学物質のリスク評価検討会を初めとします各種の検討会で御検討いただいているものでございまして、その検討の結果、リスクが高いと判断された物質につきましては措置の検討会で検討をいたしまして、労働者の健康障害防止のために必要な措置を法令で定めているという流れでございます。

  今、名古屋先生が御説明されましたのは今年度のリスク評価の報告、夏に取りまとめられました報告でございますが、私が御説明しますのは昨年にリスク評価の報告が取りまとめられましたDDVPと及び発がんのおそれがあります有機溶剤10物質につきまして、今般政省令改正が今年の8月に公布され、11月1日に施行されましたので、それを御説明したいと考えております。

  それで、この物質につきましては、今年の1月に国の検討会でこのような措置が必要ですという報告書が公表されました。それを踏まえて、健康障害防止対策の徹底をお願いする安全衛生部長名の通知を関係する事業者団体の皆様に発出をしまして、そのときパンフ等でも周知をいたしたところでございます。その際、2月から3月にかけましてリスクコミュニケーションを開催いたしまして、必要な措置の内容と、それからこれから政省令改正を進めますということを御説明いたしました。その結果、法令改正が行われましたので、本日御説明をするということでございます。

  資料は大変ボリュームもあるのですけれども、なるべく具体的な、例えば混合物の事例なども入れましてまとめているものでございます。説明は、なるべく要点を絞ってさせていただければと思います。

 

(スライド36

  大きく3つありますが、昨年の報告書の概要、それからDDVP、それからクロロホルムほか9物質というものでございます。

 

(スライド37

  まず、報告書の概要ということで昨年の報告書でございますが、ここで赤字で書いてあります「DDVP」、それからその下に「その他検討」というふうに書いてありますが、発がんのおそれのある有機溶剤10物質ということが今回の法令の改正の対象となりました。

  ここに「詳細リスク評価」「リスク評価」ということで下に矢印がきておりますけれども、ここのところですね。1,2-ジクロロプロパンにつきましては昨年法令改正が既に行われておりまして、今年はこのDDVPとその他の検討としてここにあります有機溶剤10物質の法令改正がなされたというところでございます。

 

( スライド38)

  まずDDVPでございますが、この物質は家庭用の殺虫剤などに利用されている物質でございまして、性状は特徴的な臭気のある液体、琥珀色の液体ということでございます。国際がん研究機関、IARCで発がん性分類は2B、つまりヒトに対して発がん性を示す可能性があるというふうにされている物質でございます。

 

( スライド39)

  行政検討会での検討結果でございますが、昨年の7月に公表されましたリスク評価検討会報告書では、ばく露実態調査の結果からDDVPを含有する製剤の成形加工または包装の業務で高いリスクが確認されたことから、これらの業務について健康障害防止措置の検討が必要というふうにされたところでございます。

  それから下のほうでございますけれども、またそれを受けまして必要な規制措置を検討いたしました措置検討会の報告が、さっき申し上げました今年の1月に取りまとめられまして、リスクの高かったDDVPを含有する製剤を用いた成形加工または包装の業務については、健康障害防止のために作業環境測定の実施や発散抑制措置等を講じることが必要というふうにされたところでございます。

  また、その有害性、発がん性ですけれども、それを勘案しまして作業の記録の保存が必要となる特別管理物質と同様の措置が必要ですというふうにされたところでございます。

 

( スライド40)

  改正の概要ですけれども、頭のところに書いてありますが、「今回の改正で表示対象物、特定化学物質の特定第2類物質に位置づけられるとともに、特別管理物質になりました」というところです。これによりまして、特定化学物質として特化則による規制がかかることになったわけでございます。

  まず、「容器・包装への表示」でございます。労働者に健康障害が生ずるおそれがあるものを譲渡、提供する場合に、容器・包装に名称なり、成分なり、人体に及ぼす影響等を表示することとされておりますけれども、DDVPにこの措置が適用されることとなりました。

  一番下にありますが、SDS、安全データシートによる通知につきましては、既に対象になっていますので、今回改正はございません。

 

( スライド41)

  規制対象となる作業と含有率でございますが、DDVPとその1%超えのものですね。重量の1%を超えて含有する製剤その他のもの、これが規制の対象になります。また、製造取り扱い作業のうち、DDVPを含む製剤の成形加工または包装の業務が規制の対象となっているというところでございます。これは、リスクが高いということで、この業務が規制対象になっているというところでございます。

 

( スライド42)

  それから、発散抑制措置等でございますが、DDVPの成形・加工・包装業務については発散するガス、蒸気に労働者がさらされることを防止するため、次の措置をとることが必要とされまして、まず製造工程の密閉化、それから製造工程以外でDDVPのガス、蒸気が発散する屋内作業場では発散抑制措置を講ずる必要がございます。また、局所排気装置の性能要件や点検、届け出も適用されることとなったところでございます。施行については、平成2711月1日から義務化ということでございます。

 

( スライド43)

  それから、「作業主任者」でございますが、この成形・加工・包装業務では作業主任者を選任して次の事項を行わせることが必要ということで、下の枠の中に書かれております。

  1つ目の四角(◆)のところですが、これは資格者の部分を書いているところでございます。「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技術講習」を修了した者のうちから、特定化学物質作業主任者を選任する。

  それから、「作業主任者の職務」としましては、労働者の指揮でありますとか、装置の点検でありますとか、保護具の使用状況を監視することが業務ということになっております。

 

( スライド44)

  それから、「漏えい防止のための措置等」でありますけれども、製造取り扱い設備について漏えい事故を防止するために腐食防止措置や接合部の漏えい防止措置ですね。こういうことを行うこととされました。また、漏えい時のための措置や点検等についても対象になっております。

 

( スライド45)

  それから、「その他との措置」としまして、ここにいろいろ書かれておりますけれども、例えば呼吸用保護具を備えることとか、ぼろ等の処理ですね。汚染されたぼろ等をふた等のついた容器に収めるとか、そういったことでございますけれども、そうしたその他の措置がこのように規定されております。

  ※印がついているものがございますけれども、この※印は「特別管理物質としての措置」というふうに一番下に書いてあります。特別管理物質は、発がん等人体に遅発性の健康障害を与えるものにつきましてその特別な管理を必要とするものということで、具体的にはここに書いてありますとおり、取り扱い上の注意事項の掲示でありますとか、作業を記録して30年保存するとか、こういったことが義務づけられるというものでございます。

 

( スライド46)

  「作業環境測定」につきましては、対象物を製造・取り扱う屋内作業場、これは成形・加工・包装業務でございますが、作業環境測定とその評価、結果に応じた適切な改善を行うことが必要というふうにされております。

 

( スライド47)

  それから、「健康診断」でございますが、DDVPの成形・加工・包装業務に常時従事する労働者に対して健康診断を行うことが必要ということで、これも規定されたところでございます。

  以上が、DDVPについての規制措置の内容でございます。

 

( スライド48)

  それから、次に発がんのおそれのある有機溶剤の改正について御説明申し上げます。ここに10物質が載っておりますけれども、今回有機則から特化則に移されまして、有機溶剤から特定化学物質に変わったものでございます。

  「発がん性分類」というものがありますが、これはさっきのIARC、国際がん研究機関の発がん性分類でございます。それで、IARCは御存じの方もいらっしゃると思いますけれども、WHOに所属する国際的ながん研究機関でございまして、各国の専門家を集めた会議で疫学や動物実験のデータによって発がん性分類を行っているものでございます。

  下に分類が書かれておりますけれども、グループ1、グループ2A、グループ2B、その下もありますが、グループ1が、この物質はヒトに対して発がん性を示す。2Aが、恐らく発がん性を示す。2Bが発がん性を示す可能性があるということで、このように定性的な分類をしておりまして、世界的にも権威のある分類というふうになっているところでございます。これらの10物質は、要は全て2B以上という物質でございますので、発がんのおそれがあるというふうに考えられるものでございます。

  「がん原性指針」という欄がありまして、このうち6物質につきましては既にがん指針の対象になっております。これは国が実施しました動物の長期発がん試験で、発がん性が確認されたために、大臣が定める指針でばく露低減措置等の指導を既に行っているものでございます。ただ、指針の性格は指導でございますので、罰則を伴うような強制力というのはこれまでなかったというところでございます。

  それから、「改正前の規制区分」というのが一番右にありますが、今までどの種類の有機溶剤だったかということをまとめております。

 

( スライド49)

  「これまでの検討経過」なのですが、有機溶剤10物質について国の行政検討会での検討の経過でございます。背景としましては、1,2-ジクロロプロパン、ジクロロメタンによる印刷業務従事者への胆管がん事案の発生がございます。そうしたことを受けまして、既にその有機溶剤中毒予防規則で規制されている物質でございましても、発がんのおそれのあるものについては職業がん予防の観点から対応していく必要があるということで検討が始まったものでございます。

  最初は有害性評価の検討会で、有機溶剤のうちIARCの発がん性分類で1から2B10物質は発がんのおそれがあるのではないかという確認がなされたところです。そして、リスク評価検討会で労働者のばく露が懸念されるために発がんのおそれのある有機溶剤を使用する有機溶剤業務で記録の保存期間を延長するなどの措置を講ずることが必要であるという結論が出てきたわけでございます。

  これは、要するに先ほどの2B以上という有害性(ハザード)だけの話ではなくて、実際にばく露の懸念もあるということからこういう結論に至ったというところで、その検討の根拠としましては右のほうに書いてありますが、「沸点が低く常温での蒸気圧が高いものが含まれる」ということ。

  それから、作業環境測定の結果を見ますと第2区分、第3管理区分の作業場が見られる。つまり、改善を要する作業場が22.8%、ジクロロメタンの例ですけれども、こういったものが例えば見られるということです。

  それから、有機特殊健診の生物学的モニタリング検査ということで、これはばく露量の指標になる、例えば尿中の代謝物などの検査でございますけれども、こういうもので分布2、または分布3に区分される結果、これはばく露を示唆する結果ということでございますけれども、そういうものが認められている。こういうことで、措置を講ずることが必要ではないかという結論が上から2つ目の箱の中にあるとおりです。

  そして、それを受けて措置検討会で検討いたしまして、これらの10物質を特化則に移して特別管理物質と同様の措置を講ずることが必要だとされた次第でございます。

 

( スライド50)

  ここから、制度改正の内容の概要を御説明いたします。上の枠の中ですけれども、「クロロホルムほか9物質は、これまで有機溶剤の中に位置づけられていましたが、発がん性を踏まえた今回の改正により、特定化学物質の第2類物質の「特別有機溶剤等」の中に位置づけられるとともに、特別管理物質になりました」。

  「特別有機溶剤等」といいますのは、従来は「エチルベンゼン等」という名称でございましたが、これを「特別有機溶剤等」としたということでございます。エチルベンゼンや1,2-ジクロロプロパンもこのグループに入ったというところでございます。

 

( スライド51)

  今回の改正の概要ということで幾つか書いてありますが、要点としましては、まず発がんのおそれのある物質につきましては、これまで特化則で必要な規制措置を講じてきておりますので、今回のクロロホルムほか9物質についてもそれに倣ってまず特化則に移したということが1つ目でございます。

  ただ、これらは従来、有機溶剤中毒予防規則で規制されていた物質でございますので、今回の改正は10物質について全く一から新たな規制を導入するということではなくて、従来の有機溶剤中毒予防規則、有機則といいますけれども、有機則の規制を維持しつつ、発がん性を踏まえた特化則によるプラスアルファの規制措置を追加したというふうに考えていただければと思います。

  それからもう一点ですが、さらにこれらの物質が溶剤として使用されている実態を踏まえますと、特化物ではありますけれども、有機則の規制措置を準用するという仕組みも必要になってまいりますので、その仕組みも入れているというところでございます。これは、従来のエチルベンゼンや1,2-ジクロロプロパンと大体同じような仕組みというふうに考えていただければと思います。

  それで、この改正の概要でございますが、「分類」は先ほど申し上げましたような、こういう位置づけになるというところでございます。

  「適用の業務」は、屋内作業場等で行う有機溶剤業務でございます。屋外の作業は規制対象にはなりません。また、先ほどの検討会の部分にありましたけれども、有機溶剤業務にかかる作業環境測定結果等を踏まえてばく露が懸念されると結論したということもございますので、有機溶剤業務を適用対象としているというところでございます。

  それから、「主な規制」の部分でございます。これは、今回改正になった部分以外も含めてというふうに御理解していただければと思いますけれども、「容器・包装への表示」や「SDSの交付」、これは既に対象になっています。

 それから、局所排気装置の設置等の「発散抑制措置」ですが、既に有機則に基づいて今までも行われておりますので、それを引き続き実施していただくというところでございます。

  また、局所排気装置の設置や性能については有機則を準用しますので、性能についても従来同様、制御風速によるというふうにされておるところでございます。

  それから、「作業主任者の選任」でございますが、今までも屋内作業場の有機溶剤業務には有機溶剤作業主任者の選任が必要でして、本改正で特化則作業主任者を選任することとされましたが、それは有機溶剤作業主任者講習修了者から選任するということにされております。ですから、資格者の扱いはこれまでと同じというふうに御理解いただければと思います。

  それから、「作業環境測定」でございますが、これまでも10物質について有機則に基づき実施しておりますけれども、特化物としての測定が追加になってくるというところでございます。

  それから、「特殊健康診断」でございますが、これも特化物としての健診が追加になってくるというところでございます。

  それから、「特別管理物質としての措置」ということで、先ほども申し上げましたが、こうした作業記録の作成等の措置が必要になってくるということでございます。施行日は今年の11月1日ですけれども、作業主任者の選任や作業環境測定などで新たに規制対象となった部分については経過措置が設定されるというところでございます。

  特化物として一番下のところですが、通常、適用を受けますぼろ等の処理などの規制でございますが、これは今回措置対象としないということになっております。最後に「今後ばく露実態調査によるリスク評価結果に基づき検討」というふうに書かれておりますが、これは今年度からこの10物質のばく露実態調査を開始しておりますので、その結果を踏まえて必要に応じ規制内容を検討していくというふうに考えております。

 

( スライド52)

  これが「理解のためのポイント」ということでございますが、この各項目に沿いまして以下資料を取りまとめていますので、順次御説明したいと思います。

 

( スライド53)

  「用語の定義」ということで、これが一番基本になるのですけれども、物質に関する定義と、含有物に関する定義と、業務に関する定義と、大きく3つございます。

  それで、物質の定義でございますけれども、「クロロホルムほか9物質」というのが今回の改正の対象である有機溶剤10物質でございます。

  それから、「特別有機溶剤」というのはクロロホルムほか9物質+1,2-ジクロロプロパンとエチルベンゼン、全部で12物質ですね。これを特別有機溶剤というふうに定義しております。それから、「有機溶剤」は従来の有機溶剤予防規則の規制対象となる有機溶剤44物質というふうに定義をしております。

  それから、「含有物に関すること」ですが、要はこういうふうに定義を細かくしているというのは、御承知のとおりそれぞれによって規制の内容とか、そういうものが変わってきますので、グルーピングしてこれは何を指すというふうにきちんと定義しないとそれができないものですから、こういうふうに定義していると御理解いただければと思います。

  次の「含有物に関すること」というのが若干複雑な書き方をしているんですけれども、1つ目の「クロロホルム等」というものがございますが、「クロロホルムほか9物質+クロロホルムほか9物質重量1%超え含有物+クロロホルムほか9物質単一成分が1%以下で、特別有機溶剤と有機溶剤との合計含有率が5%を超えるもの」ということで、ざっと読むと何のことだかよくわからないような感じもいたすのですけれども、1つ目に書いてある「クロロホルムほか9物質」というのは、これは上の物質の定義と同じでございます。純品というふうに御理解していただければと思います。

  それから、2つ目の「クロロホルムほか9物質重量1%超え含有物」というのは、この10物質でそれぞれの物質の含有率が単独で1%を超える含有物ということでございます。特化則では、基本的に1%を超えるものを特定化学物質として規制対象としておりますので、その部分を定義しているというふうに御理解いただければと思います。

  それから、3つ目のところですね。この部分は後ほど図で御説明したいと思いますけれども、要するにこれまで有機則で規制していた部分で、最初のこの1つ目と2つ目の部分だけではこの部分の規制が外れてしまうために、10物質について外れないようにこの部分も定義して規制対象にしているということでございます。後ほど御説明いたします。

  それで、次の「特別有機溶剤等」というのはクロロホルム等と考え方は同じなんですけれども、それにエチルベンゼンと1,2-ジクロロプロパンを加えた概念でございます。

  それから、「有機溶剤等」というのは有機溶剤、または有機溶剤含有物の5%超の含有物でございます。

  それから、業務の定義でございますが、「クロロホルム等有機溶剤業務」ということで、ここに3つ書いてありますのは規制対象の業務というふうに御理解いただきたいと思うんですけれども、「クロロホルム等有機溶剤業務」は「クロロホルム等を製造し、又は取り扱う業務のうち、屋内作業場等において行う有機溶剤業務」。

  それから、「特別有機溶剤業務」というのは今のクロロホルム等有機溶剤業務に規制対象であるエチルベンゼンの塗装業務と1,2-ジクロロプロパンの洗浄・払拭業務が加わっている概念でございます。

  それから、「有機溶剤業務」というのは有機溶剤中毒予防規則で定めている12の業務というところでございます。

 

( スライド54)

  これが先ほどの図ということで御説明をしたいと思いますけれども、この図が4つの部分に分かれております。それを「クロロホルム等」、つまり規制対象となるものを図示しているというところでございます。それで、まずクロロホルム等の単一成分の含有率が縦軸になっておりますけれども、それが1%のところに横線がございます。ここのところでございますけれども、横線があります。それより上の部分をAというふうにしております。

  また、特別有機溶剤と有機溶剤の合計の含有率がここの横軸になっているんですけれども、この横軸の5%のところに縦の線がありまして、Aが例えばこの縦の線でA1A2に分かれるというふうになっております。

  また、Aでない1%より下の部分ですね。そこの下の部分のうち、この縦の線より右側の部分をBというふうに定義しております。それで、この結果、2本の線で図が4つの部分に分かれておりまして、A1A2とBと、そして左下の部分というところでございます。

  なぜこういうふうに場合分けが必要かという理由なんですけれども、特化物の含有物の場合、これまで基本的に1%を超えて含むもの、つまりこのAの部分を特化物として規制の対象にしてきたところでございます。しかし、今回そのようにして1%を超えたAだけ規制しますよという仕組みにしてしまいますと、これまで有機則で規制していた10物質について規制がかからなくなってしまう濃度範囲の混合物が出てきてしまう。それが、図の右下の部分のBというふうに御理解いただければと思います。

  例えば、クロロホルムの含有率が1%で、クロロホルムと有機溶剤とを合わせた含有率が5%超え、例えば5.1%というような混合物があった場合、これまでは有機溶剤5.1%超えということで有機則の規制がかかっていたわけでございます。しかし、クロロホルム1%超えのAだけを規制しますよという仕組みにしてしまいますと、有機溶剤の中毒防止のための従来の規制がかからなくなってしまうということです。これは10物質について溶剤としての使用実態があるので、蒸気による中毒防止のために従来の規制を維持するということが必要でございますので、このBの部分も特化則に基づく措置の対象として有機則を準用できるように特化物の中に位置づけたというところでございます。このBの部分を入れている仕組みというのは、従来のエチルベンゼンとか1,2-ジクロロプロパンと同様の仕組みでございます。

  したがって、規制対象となるクロロホルム等というのは3つの部分に分かれます。A1というのがまずありますが、これまで有機則を含めて全く法令規制がなかったものでございます。それで、新たに特化則の規制がかかってくるというところでございます。上の文章の1番のところの2つ目のポツの一番後ろに、「(下図A1)は本改正により新たな措置義務が発生」というのはそういうことでございます。

  それから、A2はこれまで有機溶剤含有率5%超えということで有機則の規制があったので、それを維持しつつ特化則の規制を適用するというものでございます。

  それからBですけれども、これまで有機溶剤含有率5%超えで有機則の規制がありましたので、それを維持しつつ特化則の規制を適用するという点ではA2と同じではあるのですけれども、A2と違うのは特化物の含有率が1%以下ということでございますので、特別管理物質でないということなどもあって、特化物としての規制はA1A2に比べると限られてくるというものがBというふうに御理解いただければというところでございます。

  左下の部分は「適用なし」と書いてありますが、これは特化則も有機則も規制措置の適用はないというものでございます。

 

( スライド55)

  それで、これが今のBの部分の「特化則別表1第37号の適用」というふうになっているんですけれども、今の概念図のB部分を具体的に整理したものでございます。例えばケース1というのはクロロホルムほか9物質、1,2-ジクロロプロパン、エチルベンゼンがいずれも1%以下で含まれている。黒丸というのはそれに該当しますよという意味でございますが、さらに有機溶剤が5%以下で含まれている場合に、丸の合計が5%超となれば別表第1第37号の対象になる。Bになるというふうに御理解いただければと思います。

 

( スライド56)

  それを具体的な数値で該当するものを整理しましたのがこの表でございます。左端の数字が、ケースという数字が飛んでいますけれども、これは前のページの番号に該当するものというふうに御理解していただければと思います。

 

( スライド57)

  それから、また同じような図が出てきたんですけれども、これは「特化則と有機則の関係」ということで、例えば塗料などでは特別有機溶剤と有機溶剤が混合されている場合などがございますので、その特化則と有機則の適用関係も図示をしているというものでございます。これは、有機溶剤の含有率が横軸で、特別有機溶剤の単一の成分の含有量が縦軸というふうになっておりますが、これで有機溶剤含有率5%の縦線より右側は有機溶剤で5%超えなので有機則が適用になる。それから、特別有機溶剤の単独での含有率が1%超え、つまり横線より上の部分は特化則が適用という整理になりますので、右上の部分は特化則と有機則が適用になるというところでございます。

  左下の部分については、右のほうにさらに詳しく持ってきておりまして4つのパターンを書いてありますが、上の2つ、特化則の適用というふうに書かれているのが5%超えになっています。特別有機溶剤と有機溶剤の合計が5%を超えている上の2つの例は、これは特化則が適用になるということなので、この上の2つは先ほどの分割図でいけばBに該当するというふうに御理解いただければと思います。

 

( スライド58)

  それを具体的に数字として示しているのがスライドの58でございますので、これも御参考にしていただければと思います。

 

( スライド59)

  それから、「特化物と有機溶剤の判定」ということで、該当するか、判定のフローということで右側に結果がありますけれども、こういったことで判定をしていくというふうに御理解いただければと思います。「P23のケース」というのが一番右にありますけれども、これはページが変わってしまいましたのでP58、スライド58のケースというふうに御理解していただければと思います。

 

( スライド60)

  次に「有機則の準用規定」でございますが、これまで規制対象となるものの範囲を主に説明してきましたけれども、以下、規制措置の概要を御説明していきます。

  大きく分けて2つの規制がございまして、1つは有機則を準用する措置と、もう一つは特化則に基づく新たな措置というところでございます。これは有機則の準用規定でございまして、有機溶剤としての使用実態があって、先ほど申し上げましたとおり、蒸気による中毒を発生させるおそれがあるということで有機則を準用するというふうにしておりまして、具体的には特化則の中にこういう場合は有機則の規定を準用するという条文を入れまして、それによって有機則の規制を適用するということでございます。

  ここにありますとおり準用規定は大きく3つありまして、発散抑制措置、作業環境測定、それから特殊健康診断ということでございます。

 

( スライド61)

  それから、「新たな措置」でございますが、これは特化物としての新たな規制措置ということで、発がん性を踏まえて必要な措置を追加したというところでございます。

  まず、1番と2番と8番は特別管理物質としての規制でございます。特別管理物質、先ほど申し上げましたけれども、発がん性を踏まえて特別な管理を必要とするというもの、それについて1、2、8という措置です。

  それから、3と4は作業環境測定と特殊健康診断でございますけれども、これらについては特化物単品としての規制が特化則で定められておりまして、記録の保存は30年間定められまして、記録の保存は30年間となったということでございます。

  それから、5、6、7につきましては改正前にも有機則で規制されておりましたけれども、特化則で規制されることになったものでございます。

 

( スライド62)

  次の「主な措置内容の変更点」という部分が、従来の規制と今回の規制でどこが変わったのかというのを御理解いただくための表でございます。これも、御参考にしていただければと思います。最初に例えば「発散抑制措置」の欄ですけれども、改正前には有機則の5条で局所排気装置などを設置しなければならないというふうになっておりましたが、改正後は特化則の38条の8が適用されます。38条の8に、有機則の5条を準用するというふうに規定されておりますので、それは結局同じことになりますので同様の措置というふうに整理しております。

  それから、その下の局排の定期自主点検、これも同じですね。38条の8に基づく準用でございます。

  それから、作業主任者につきましては有機則第19条第2項に規定がありましたけれども、今後は特化則第27条の規定によって特定化学物質作業主任者を選出するということになります。

  それで、先ほどちょっと御説明しませんでしたが、一番右にA1A2、Bとありますのは先ほどの濃度区分のものでございまして、丸がついていますのはそれが適用されるものというふうに御理解ください。

  作業環境測定のところが2段になっておりますけれども、改正前は有機則の第28条によりまして、単品または混合物測定と3年間の保存が必要でございましたが、改正後はクロロホルムほか9物質単品で1%を超える場合、つまりA1A2の場合、特化則36条の規定によって単品について作業環境測定を行って、その結果を30年間保存することとされたというところでございます。

  また、A2とBは今までの規制と同様に、有機則で混合有機溶剤として評価するということでございますので、A2については単品と混合物、両方の測定評価が必要になってくるというところでございます。

  以下、時間の関係もありますので省略させていただきますが、そういった形で措置内容の変更点を整理しています。

 

( スライド63)

  それで、今回新たに1%超えで、先ほどのA1の部分ですね。新たな措置の対象になったものは星印をつけているというところでございます。

 

( スライド64)

  以下、個別に「発散抑制措置」を初めとする改正の内容についてまとめておりますので、これも御参考にしていただければと思います。発散抑制措置、右上に先ほどの適用対象の濃度範囲を整理しておりますし、具体的な中身については箇条書きでこのようにまとめて、下のほうに適用の施行期日をまとめておりますので御参考にしていただければと思います。

 

( スライド6568)

  次は「作業主任者」「作業環境測定」「特殊健康診断」という形になっております。そして、「特別管理物質としての措置」でございます。

 

( スライド69)

  「作業記録の例」が載っておりますけれども、これは今年リスコミを2月から3月にかけて実施し、作業記録の作成を御説明したときに具体的な例を示してほしいというような御要望もございましたので、具体的にはこのような形で例えばまとめることができますということで整理したものでございます。「作業場における排気量、時間当たりの化学物質の消費量がわかれば当時の作業者のばく露の推定が可能」になるということで、こうした記録が非常に重要だということを御理解いただければと思います。

 

( スライド70)

  それから「有機則に基づく適用除外」ということで、有機則の2条と3条に有機則の規定を適用除外するという条文がございます。それは、1時間当たりに消費する量が許容消費量を超えないときの規定とか、そういったものでございますけれども、そういう場合にこうした2条、3条に基づく適用除外がなされております。特別有機溶剤においては有機則の2条、3条の適用除外が引き継がれますので、以前にこれらの適用除外を受けていた作業場で引き続き適用除外が受けられる場合があるということでございます。

  ただ、一方、気をつける必要がありますのは、この適用除外にならないというふうに書かれている部分もありますので、そこのところは気をつけていただければというふうに考えております。

 

( スライド7175)

  それから「経過措置」でございますが、条文の施行を一定期間猶予するというものでございます。細かい説明は省略しますが、基本的に新たに規制措置が導入されることとなった部分については経過措置が設定されているというふうに御理解いただければと思います。

 

( スライド76)

  最後にまとめておりますけれども、特に事業者の皆さんにお伝えしておきたいというのはこの3点でございまして、まず、用語の定義の理解が大事ですということ。それから、御自身の事業場で使っておられるものがどの濃度範囲なのかということを把握するということ。それから、それに応じた措置を確認して必要な対策を講じていくというところでございます。

 

( スライド77)

  これは、ホームページの掲載情報ということで、関係する報告書や法令の改正の中身を整理しております。ここに条文の新旧対照表、パンフレット等を初め、説明会等で御活用いただける資料として、有機溶剤10物質に係る改正について、今日の資料とほぼ同じような中身のものもアップしております。それから、今日のリスコミの資料も議事録とともに追って厚労省のホームページにアップする予定でございます。議事録は、皆さんの御質問は例えばAさんというふうな仮名にする形にしたいと思っております。

  それから、先ほど名古屋先生の御説明されたナフタレン、リフラクトリーセラミックファィバーについても現在健康障害防止措置の検討を行っております。名古屋先生からお話がございましたとおり、製造、取り扱い業務への措置の検討をその業務の実態を踏まえて今行っているところでございます。

12月もこうした措置検討を11日と25日に開催を予定しております。そういった措置検討に限らず、リスク評価関係の検討会は公開で傍聴が可能ですし、資料や議事録も全て公開しております。一部企業の情報を扱っているものを除いては公開しておりますので、日程を御確認の上、御関心のものがあれば御来場いただければと思います。

  以上が、DDVPと発がんのおそれのある有機溶剤に関する政省令改正の内容でございます。ちょっと時間が限られている中で駆け足の御説明でわかりにくい面もあったかと思いますが、後半の質疑の時間を活用していただければと思います。

  また、個別にこの物質が何%でどう該当するのかというようなことで御質問があれば、そういったものは例えば最寄りの労働基準監督署でもお答えすることができると思いますので、またお問い合わせいただければと思います。

  御清聴ありがとうございました。

 

○司会者(森田) 角田室長、御講演ありがとうございました。

  それでは、ここで休憩時間とさせていただきます。後半の意見交換会は、15時5分から開催する予定でございます。お手元のピンク色のアンケート用紙に御質問などをお書きいただきまして、できましたら1450分までには会場におります事務局のほうにお渡し頂ければと思います。お書き終わりになりましたら、挙手で私どもにお知らせください。お声がけのほど、よろしくお願いいたします。

  それでは、よろしくお願いいたします。

 

(  休 憩  )

 

○司会者(森田) それでは、お時間となりましたので、後半の意見交換会を始めさせていただきます。

  コーディネーターは、先ほど御紹介させていただきました長崎大学広報戦略本部准教授の堀口逸子先生にお願いしております。

  また、パネリストに基調講演を行っていただきました名古屋先生、角田室長、また厚生労働省から岸室長補佐、高村化学物質情報管理官に御出席をいただいております。

  予定では、16時ごろまであらかじめ会場からいただきました御質問につきまして先生から御回答をいただきます。その後、会場から直接御意見をお伺いいたします。

  それでは、堀口先生どうぞよろしくお願いいたします。

○堀口 皆さん、こんにちは。長崎大学東京事務所におります堀口と申します。

  時間がもったいないので、皆さんからいただきましたアンケートに基づき、進めていきたいと思います。

  使われているスライドなどの御確認などからいきたいと思うんですけれども、「「リスク評価の結果について」と、名古屋先生のスライド9の対象物質指定公示で自社の使用物質があった場合の企業の対応方法についてもう少し御教示願えますか」ということですが、先生、お願いできますか。

○名古屋 対象物質になったところの中で経過を見てほしいのはなぜかというと、例えば初期リスク評価の中でそのまま詳細リスクにいかない場合はいいんですけれども、もしかしてそれが初期リスク評価の中でばく露レベルが二次評価値を超えていて詳細リスク評価にいくときに、どういう作業に対して測定したのかなということがわかります。

  それから、先ほど言いましたように選定するときに厚生労働省と委託された中災防がコントロール・バンディングの中で ばく露が高いところを選定していきますので、選定されたときには低いところに対してはその措置の中では扱っていないんですよね。

  でも、逆に規制がかかってくるとその低いところも規制がかかってくるので、なかなかそういうふうになったときに気づいても遅い部分があります。実際に我々もそういう経験をしまして、ニッケルのところに規制をかけたときにはもともとニッケルは粉状ニッケルといって燃料電池を使っているところが一番高かったわけで、それで規制をかけたんですけれども、実際かけてみて何が起こっているかというと、溶接の作業で出ていた。溶接ヒュームが床に落ちて、堆積溶接ヒュームを清掃する作業は特化則で規制する作業に入っています。そうすると、それを清掃するときに1%を超えていると、当然それが特化則に引っかかってくるよというようなことが起こってきます。

  そういうことがありますので、本来的に自分の業務とはちょっと違うのかなと思っても、ぜひ関心を持ってもらって、詳細リスク評価にいくあたりのところからやはり自分のところの業務と随分違うね、うちはこういう業務から考えると比較的濃度が低いねと思われるときには、ぜひ業界でそういう形をどう対応していいかということを相談すると同時に、ここのところは低い。先ほどありましたけれども、業務の中で低いので、やはり適用除外にしてほしいなという申請をされるような形の流れにしてほしいので、ぜひ ばく露作業報告の対象物質になったときには公開されていますので、それをうまく活用されて、自分のところはリスク評価をしていいものか、そうじゃないものかという形で自分のところで判断していただければありがたいかなと思っています。

○堀口 それで、「ばく露実態調査はどのように実施されているのですか。事業所のノミネート方法、ばく露の測定方法(特定の事業者)(測定の手法)実態調査、N数(最小必要数など)あるのでしょうか」。

○名古屋 ノミネートのほうは先ほど言いましたように、私たちは検討会の委員ですので私たちがやっているわけではなくて、厚生労働省と、それから中災防が委託されていますので、そこの中で一応コントロール・バンディングの手法を使ってノミネートし、かつそこのところの事業者さんに対して中災防が測定させてくださいとお願いする形になっています。

  実際には、そういう形の中でかなり数があっても断られてなかなか測定できないところもありますし、その辺のところは私はよくわかりませんけれども、そういう形で頑張ってくれて測定対象を探しているという形になります。

  あとは、測定方法はもう決まっていまして、8時間のばく露濃度測定ですから、個人サンプルをつけまして個人ばく露濃度を測定するよという形です。ただ、そこだけですといけませんので、参考としてはスポット測定といいまして、その作業をしている人たちのときに、特別できるだけ作業者に近い時間で作業をしているところのスポット測定という形の測定をするのと、できたらA測定という形にする。最終的な判断は個人ばく露濃度測定で行いますけれども、参考としてナフタレンなどもそうです。やはり蒸気圧が高いところでB測定が高いよ、あるいはスポット測定が高いよとなると、やはりB測定が高いので少し参考にしましょうという形になります。そういう意味でのスポット測定とA測定は参考にしますけれども、基本的には個人ばく露濃度測定が基本です。

  それから、実態調査のN数、私はガイドラインを持っておりませんけれども、このガイドラインもホームページを見ていただければわかりますが、どれだけの企業数があったときにどれだけの数がいいですかということはガイドラインできちんと統計の先生方につくってもらっていますので、きちんとした数、だから最低限の数は決められていますので、それ以上なくてはいけませんよという形になっていますので、必ずその最低限の数以上の企業はどうしても探してきてもらって測定するという形になっているということでよろしいでしょうか。

○角田 ただいま御説明のとおりで、今、先生がおっしゃった「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」というのがございます。ここで、ばく露作業報告が出てきたものの中からどうやって実際に調査に入るところを選ぶかというのを絞り込む手順等が細かく規定されております。

  一次調査を行い、さらに二次調査を行う。それで、それぞれについてもともとの報告数が幾つのときは一次調査の報告の数はこのくらい設定しなければいけないとか、そういうのを段階ごとに整理しております。二次調査についても同じです。

  先生が御報告された資料の32ページのところに、「リスク評価報告書」というのが書いてございますが、このリスク評価報告書をごらんになっていただきますと、この中に今のばく露作業ガイドラインというのが掲載されておりますので、詳細はそちらをごらんになっていただければと思います。補足です。

○堀口 ありがとうございます。

  それで、そのリスク評価の結果についてということで、「コントロール・バンディングでばく露評価を実際されたとお話がありましたが、コントロール・バンディングは定性評価でリスクレベルと有害性レベルが導出されるものと思っています。具体的にコントロール・バンディングでどのような方法でばく露評価(測定)したのでしょうか」。

○名古屋 実際には、先ほど言いました私たちがやっているわけじゃなくて、行政と中災防の中でその手法を使ってやっていますけれども、聞くところによりますと、厚生労働省のホームページに出ていますね。コントロール・バンディングの仕方という、そこのところに従ってやられているという話は聞いておりますが、実際に私たちがやっているわけではありませんけれども、定性分析の中でその手法を使ってそれぞれの事業所のところの評価をしていて、なるべく高いところ、高いところに追い込んでいって測定数と測定事業場を選定していますよという形にはなったと思います。

○堀口 それで、「名古屋先生のパワーポイントの18のばく露実態調査において区間推定を行っているが、全データと言いつつ定量下限未満を除いているのはデータの取り扱いとして疑問があります。作業ごとに層別し、定量下限未満のデータも含め評価すべきではないでしょうか」。

○名古屋 これは私どもが決めたわけじゃなくて、例えばガイドラインを決めるときに統計の先生から言われたのは、定量下限以下の値を使いなさいと、定量下限そのものの値を使いなさいと決めればよかったんですが、そのときには定量下限というのはあくまでも定量下限であってきちんとした数値じゃない。その定量下限は以下がどこまであるかわかりませんから、統計の中に入れてはいけませんという統計の先生の指示があったために入れませんでした。

  定量下限値未満となった測定点が多かった場合に、そのような測定点をリスク評価の際にどのように活用するか等が課題になりますので、これからもう一度ガイドラインを直す機会があったときには、定量下限値未満の値をそのままの数値として直す形が適切かどうかも含め再度検討しようと思っていますが、今のところは統計の先生の形の中でガイドラインを決めたときにそれを入れないという形にしましたので、今は若干過少評価ではなくて過剰評価、上のほうに入れている部分はありますよということです。

  これは、この後ガイドラインの検討が再度起こったときには多分検討しようと思っていますということでよろしいでしょうか。

○堀口 それで、「初期リスク評価で、二次評価値を少しでも超えたらリスクは高いと判断されて詳細リスク評価へいくのでしょうか」。

○名古屋 それは、間違いなくいきます。そこで詳細リスク評価にいって、そこでほかの事業も探して検討し、もし二次評価値を超えなかったとしたらそれはそこで終了します。必ず初期リスク評価で1個でも個人 ばく露測定値が二次評価値を超えた場合は当然詳細評価にいきます。

  それから、先ほど言いましたように、実態調査のデータを統計処理したとき、区間推定値が二次評価値を超えた場合には詳細リスク評価にいきます。そこのところは1社でも、1人でも超えた場合には必ず詳細リスク評価にいきますというルールになっていますので、それはそのままやります。

○堀口 それで、皆さんに御質問なんですけれども、このリスクコミュニケーションをやってきて、ちょっと予測よりはリスク評価の質問が多いなという気がしていまして、先ほど室長からもお話がありましたが、検討会は基本公開でされているんですけれども、検討会の傍聴などに御参加された経験のある方は、済みませんが、お手元の赤と青の紙で、御参加経験のある方は赤、検討会などの傍聴経験はまだしたことがないという方は青を挙げていただけますでしょうか。

(傍聴者 札表示)

○堀口 わかりました。ありがとうございます。

  それで、このリスクコミュニケーションというか、意見交換会は物質別にやっていったりすることが多いので毎回聞いているんですけれども、この意見交換会にこれまでも参加の御経験がある方は赤、今回初めてという方は青を挙げていただけますでしょうか。

(傍聴者 札表示)

○堀口 わかりました。ありがとうございます。リスク評価のところもしっかり、済みません。

  「有害物作業ばく露報告がありましたが、1社しかなかった。数職場のうち1つの職場で二次評価値を超えていたといった場合、特化則で規制されることはあり得るか。 もし規制される場合、その要件は何でしょうか」。

○名古屋 今までで一番、少なかったのは2社だと思います。

  答えが間違っているといけませんので確認していますけれども、ただ、2社で二次評価値、詳細リスク評価もやっていた事例があるんですけれども、そのときは要因分析はそこでとまったのか。そこのところはちょっと前の話なので、今、過去を振り返ってみてちゃんとしたほうがいいかなと思って。

○高村 ばく露作業報告のあった事業場さんを中心にばく露実態調査をさせていただいてリスク評価というのが流れなんですけれども、場合によってはそのばく露の小検討会の先生の御意見をいただきながら、ばく露作業報告をいただいた事業場さん以外の事業場さんで使っているというような情報をもとに、そういったところにお願いをしながら、要はもう少し測定点をふやしてリスク評価をするというような形で今まではやってきております。

  今後、それも見つからないといった場合についてどうするかというのは、特にその決まりはございませんので、やはりばく露評価小検討会、それからリスク評価検討会の中で御議論いただいてリスクの判定をするという形になろうかというふうに考えております。

○堀口 それで、「過去にばく露評価の対象になった物質であって詳細リスク評価に至らなかったものについて、以後、新たな製造者、または取り扱い者によるばく露状況が変わる(特にリスク増大側に)可能性がありますが、一旦リスクはそれほど大きくないと結論づけられた物質は再評価しないルールでしょうか」。お願いします。

○角田 必ず評価しないということではないんですけれども、従来はそうした1度リスク評価で低い評価というふうにしたものについて、再度リスク評価を行うということはなかったと思います。

  ただ、それぞれの今おっしゃった中身が具体的にどういう面でリスクが大きくなってきたかということまではよくわからないんですけれども、そういった使用状況とかを踏まえまして、必要があればまたリスク評価を実施するということはあり得るとは考えております。

○堀口 それで、「企業秘密の問題はありますが、初期リスク及び詳細リスクアセスメント結果について情報の公開をお願いしたい。今般の労安法の一部改正に伴い、640物質について事業者にリスクアセスメントの実施義務が課せられるため、参考となるリスクアセスメント事例の公開を望みます」ということなのですが。

○角田 まず、私どもがリスク評価を実施した物質につきましては、厚労省のホームページに全て公表しております。それは、先ほどのホームページのURLが載っていたところをごらんになっていただきますと、例えばナフタレン、リフラクトリーセラミックファイバーについてはかなり細かいリスク評価書が掲載されておりますので、それをごらんになっていただければと思いますし、それ以前のものについてもリスク評価が取りまとめられておりますので、そこのところは御参考にしていただけるのではないかなと思います。

  具体的には、職場の安全サイトというのがございます。厚労省のホームページですが、ネットの検索で「職場の安全サイト」というふうに打ち込んでいただければ多分その一番上に出てくると思うんですけれども、そこの「化学物質」というところに「リスク評価実施物質」というのがございますので、そこをごらんになっていただければ過去のリスク評価物質についての情報が得られます。

○堀口 そういうことで、済みません。厚生労働省のホームページを、業務上ですけれども、今の化学物質のところでのぞいたことがある方は赤、のぞいたことがない方は青を挙げていただいてよろしいですか。

(傍聴者 札表示)

○堀口 のぞいているんですよね。それで、この質問がくるということは、済みません。なかなか評価書を含め、探すのが難しいとか、わかりづらいと思っている人は申しわけないんですけれども赤、このままで何となく見て探していけるので、このままでも大丈夫と思っている人は青を挙げていただけますか。

(傍聴者 札表示)

○堀口 やはり少し見づらいみたいなので、ホームページにありますというと多分、皆さんもう既に見ているんじゃないかなと私などは思うので、探しにくいのかもしれないので、キーワードなりホームページを少し今後整理の御検討、各事業者の方々が見やすいように整理していただければと思います。よろしくお願いします。

  それでは、「「事業者がリスクアセスメントを実施」とありますが、ここでの事業者は事業主という理解でよろしいでしょうか。事業の責任者に当たる人がリスクアセスメントを行うことを指示し、報告を受けるということでしょうか」。

○角田 今のは、リスクアセスメントの具体的には資料の部分は。

○堀口 資料の番号は書いていないんですが。

○角田 まず、事業者はもちろん事業主ということで御理解していただければと思います。

○岸 労働安全衛生法では、事業を行い労働者を雇う者が事業者ということになっておりますので、社長さんがその事業者のトップになるかと思いますけれども、事業活動は、責任分担の中でその責任者の方がやっていただいて、それを社長に報告していただいていると思いますので、全て社長さんが一人でするわけではございません。

○堀口 それでは、ちょっと各物質に入っていきたいと思います。「スライド50とスライド53のジクロロプロパン洗浄・払拭業務は、ジクロロメタンも同じく入るという理解でよろしいでしょうか」。

○角田 これは、1,2-ジクロロプロパンについての洗浄・払拭業務というふうに御理解していただければと思います。

○堀口 何かたくさんあるので。

○角田 ジクロロメタンについても言及があったんですけれども、ジクロロメタンについては健康診断のページが今の1,2-ジクロロプロパンとは別の規定になるんですが、67ページに「特殊健康診断」というのがございます。これは、時間の関係もありましてちょっと御説明できなかったんですが、「ジクロロメタンの洗浄・払拭業務」というのが一番上に書いてありますが、これの特に洗浄・払拭業務については配置転換後も特化物健診が適用されるというふうな規定、今回の10物質の中のジクロロメタンについてはそのようになっております。

  ただ、これはそのようにジクロロメタンの特殊健康診断において洗浄・払拭業務がこのように位置づけられているということでございますので、一般的な1,2-ジクロロプロパンのほうの洗浄・払拭業務が全体的な規制措置の対象になっているということとはちょっと別の話でございます。

○堀口 今、検診の話が出たので少し検診の質問がありましたので触れさせていただきますが、「特殊健康診断、過去に作業に従事していた人もいわゆる転社してきた人も含めるのでしょうか」。

○角田 転社については、直接関係はございません。

  ただ、ジクロロメタンについては配置転換後も特殊健康診断を洗浄・払拭業務については実施する必要はございます。

○堀口 「少し前、エチルベンゼンインジウムが特化則で規制されました過去作業者(現在扱っていない)に対して行う特殊健診検診について、第1回目の健診で全く所見なし(尿も血液も)と判定されても、健診を継続していく必要があるのでしょうか。頻度を減らしてもいいとか、継続して行う必要はなしとか言えるような検討はしていないのでしょうか」という話なんですが。

○高村 現状の規則では、やはり基本的には過去従事者の方についても全て6カ月に1回やっていただくという形になっております。

  今回いただきました御意見につきましては、健診項目等を検討する委員会も別途ございますので、そちらの担当のほうには伝えたいと思います。ありがとうございます。

○堀口 それで、ジクロロメタン洗浄・払拭業務の範囲についてということで、「プリント基板の製造工程では、以前はレジスト剥離工程で局所排気のついた剥離装置を用いて塩化メチレンでの剥離除去を行っていました。現在は推計に転換されており、この作業はありません。作業者の塩化メチレンのばく露量は、装置からの漏れと、装置から出てきたプリントに付着した程度で大きなものではなく、有機則による管理もされていました。この作業に常時従事していて、現在も雇用している労働者について塩化メチレンの特殊健康診断の実施は必要でしょうか」。

○高村 洗浄・払拭業務に当たるということでございましたら、これは配転後の健診の対象ということになります。

○堀口 それで、今、出てきた単語の「常時従事という言葉が使用されていますが、定義をはっきりさせることはできませんでしょうか。いろいろな自治体」、労働基準監督署でしょうか、「自治体に意見を聞いても解釈が異なる印象を受けたのでお聞きします」。

○角田 「常時」については解釈例規等で具体的に定義しているものはなく、継続して従事している場合とか、あるいは定期的に反復して従事する場合などが考えられますけれども、具体的な実態を踏まえた判断が必要でございますので、個別に判断ということになるかと思います。

○堀口 それで、「新たに特化則規制された10物質について、過去作業者(現在は扱っていない)に対する健康診断は必要ないと考えてよいのでしょうか」。

○角田 先ほどの配転後の健診が必要になるのがジクロロメタンの洗浄・払拭業務でございますので、それ以外については配転後については必要はないということでございます。

○堀口 それで、「エチルベンゼン塗装業務、ジクロロメタン洗浄・払拭業務について、過去に従事させたことがあり、配置転換して現在も雇用している労働者について特殊健康診断の実施が必要ですが、対象者を事業の継続関係のない子会社などに移籍させることによって雇用関係を切れば、事業者がこの義務から逃れることができると思われます。

  特に、環境の悪い時期に肝機能障害などが発生して事務作業に配置転換をしている場合などには、転換後、管理して改善した場合など、特殊健康診断を実施していない場合もあると思われますが、このような労働者を移籍させる際には何らかの制限がつくのでしょうか。例えば、特殊健康診断の実施体制がない事業者への移籍は、法的な問題はないのでしょうか」。

○岸 配置転換させる理由の公序良俗性といいますか、その理由が妥当なものかどうかということもあるかと思います。そこはもう民事的な話なので、こういう場合にはさせてはいけないというのは多分明確にはないと思います。

  ただ、私が知っている限りでは、子会社に移籍をしても、親会社がその人の健診の面倒を見ているという事例は何度も見ておりますので、そういう健康管理をしたいがために移籍するという考え方は余りよろしくないのかなというふうには考えております。

○堀口 多分、今までのお話で回答があったと思うんですけれども、あとは「過去の作業従事者で現在は有機則の業務に従事していないものの、特殊健診は2611月にすぐに実施する必要があるんですか」という質問があるんですけれども。

○岸 特殊健診につきましては経過措置はございませんで、2611月からスタートになりますので、そこから6カ月以内に1回健康診断を実施していただくということになりますので、27年4月30日までの期間の間で行っていただければと思います。

○堀口 それでは、いろいろあるのでいきたいと思います。「高沸点炭化水素計溶剤の意図的には配合せず、不純物としてナフタレンが検出されています。液状のナフタレンまでリスクの判定をされるのでしょうか」。

○岸 ナフタレンにつきましては先ほど御説明いたしましたが、現在措置検討を行っております。製造取り扱い業務を基本にしつつ、その実際の取り扱い実態を踏まえてどこに規制措置が必要かということの検討をしております。その検討の中で液体としての取り扱いについても検討しているというところでございます。

○堀口 先ほどその検討会のお話で日程が2つあるということでしたので、もしできればお時間をつくって検討会を傍聴していただくことが可能かと思います。

  それから同じ方からの質問で、「有機則、特化則で設定された場合、SDSやラベルをホームページで例を挙げてもらいたい。特に3組成15適用法令、特にどこまで法令を書くのか。また、有機溶剤種別を表示の例を挙げてもらいたい。MIBKやスチレンが有機溶剤から特化則に移るので、有機溶剤種別から除かれる注意喚起のため、例えば特別有機溶剤等第2種とかで表示したい」ということです。

○岸 まず、SDSの例示につきましては、先ほど「職場の安全サイト」ということを申し上げましたけれども、その中でモデルSDSの情報を物質ごとに掲載しておりますので、そうしたことが御参考になるのではないかというふうに考えております。

  それから、実際のその記載の方法についてなんですけれども、例えば特に複数の物質の混合物などについて的確に情報を伝達していくということが大事だと思います。先ほどA1A2、Bというふうに申し上げましたけれども、そうした含有物によって対象業務と規制内容が変わってくるということもありますので、法令が適用される物質名や、例えば条項番号を書くことなどにより適用法令がわかるようにしていくということが大事ではないかというふうに考えております。

○堀口 済みません。ずっとお話されているんですけれども、何か御質問はありますか。大丈夫ですか。わかりづらかったりしたら言ってください。お願いします。

  「ホルマリンの管理濃度0.1ppmなど、屋内事業場において非現実的だと言われているものに対する視覚的な管理濃度にするような議論の可能性はありますか。上記とは逆に、キシレンの50ppmなど、現場において逆に緩過ぎるものに対する規制値強化の可能性はありますか」。

○名古屋 多分、これは管理濃度等検討会の話だと思うんですけれども、管理濃度等検討会の中ではもともと管理濃度をつくったときに塩化ビニールのような形の中でいろいろ規制値が出ていたんですけれども、実態調査をしたときにやはり2ppmぐらいのところで管理できているよという形で、本来的には管理濃度というのは現場の状況の中でその濃度以下で疾病が起こらなかったという決め方をするわけですけれども、なかなかそこが現実的には難しいということで、今、管理濃度等検討会では決め方がちゃんと決まっていまして、日本の産業衛生学会が出している許容濃度とACGIH値は同じものだったら同じものを使いなさい。もし違った場合にはどちらかを選定しなさいという形で、小さく選ぶことが多くて、大きな値を取ったベンゼンとアスベスト以外はほとんど皆、小さな値を取っていますねという形です。

  ただ、今ベリリウムにつきましてはアメリカがかなり低い濃度を出した。そこではなかなか日本の実態に合ってこないだろうという形で、これは扱っているところは少ないので現場調査をしまして、そこでの管理の仕方を見て、かつそこの中で疾病が起こってこないので、久しぶりに塩化ビニール以外初めてなのかなと思うんですけれども、要するに現場で管理できる最低濃度について管理濃度にしましょうということになっていますけれども、これからそういう形のものになってくるんだと思います。

  ただ、これは私たちが選ぶわけではなく、ばく露濃度のそれぞれ提案理由書が出てきますので、それぞれACGIHとか、それを見てお医者さん方が判断して、これは妥当だねと思った濃度を使うという形になっていますから、低くなることはあっても高くなることはなかなかないのかなと思っております。

○堀口 多分、物質が違うんですけれども、「来年度のリスク対象物質になる1ブロモプロパンについて日本産業衛生学会が許容濃度を0.5ppmとしており、ACGIH0.1ppmを告示していますが、1ブロモプロパンのリスクが確認された場合、お話にありましたが、ACGIH01ppmが作業環境濃度の基準値になるのでしょうか。また、0.1ppmを厳守する物質が実際に使用可能と思われますでしょうか」。

○名古屋 多分、よほどのことがない限り、例えば提案理由書を読んでみて実態と合わせたときに、その出てくる年数ですね。例えば、2001年に出したデータと、1990年ぐらいのデータを比べたときに、やはりそれは多分新しいデータできちんと動物実験しているという形のものをお医者さんが判断されると思うんですけれども、きちんとそういう形で提案理由書を読んで、その中に書かれていることは妥当だなと思ったときに、では0. 50.1を基準にどちらにしますかというと、多分、間違いなく0.1を採用するという形になるんじゃないかなと思います。

○角田 1ブロモプロパンは先ほどの御説明にもありましたとおり、今年の12月にばく露作業報告の対象物質ということで告示をする予定でございますので、来年のデータを再来年の1月から3月までにばく露作業報告として提出していただくことになります。

  その後、実際の ばく露データを踏まえてリスク評価をしていくということになるかと思いますが、このリスク評価検討会の中で有害性の評価の小検討会がありますので、その中で評価値を設定するということになるかと思います。その評価値の設定に当たりましては、ただいまのお話のように日本産業衛生学会の0.5ppmなり、あるいはACGIH0.1ppmなり、こういったものを踏まえて適切な評価値を設定していくということになるかと思います。

○堀口 それで、「名古屋先生のコメントで、二次評価値がインジウムの事例で修正されたということだったんですけれども、その修正された原因、情報について御教示ください」。

○名古屋 これはもともと、ACGIHの ばく露限界値が0.1mg/m3 だったんですね。それで、実態調査をしたときに事業場さんたちの中では、0.01だったら環境管理をできるけれども、それ以下だったらなかなか難しいねということで、そうしたら許容濃度のACGIH値が0.1だったのを0.01ぐらいまで下げて、そして評価値という形も考えられるねというふうにしていたんですけれども、これは業界さんたちが自分のところでインジウムの粉を集めて日本バイオアッセイ研究センターに対して動物実験をお願いしました。

  そこで吸入性粉塵で動物実験を行ったときに、短い期間だったんですけれども、そのときも物すごく低い濃度で動物実験で発がんが見られたということがありましたので、そういうことの中で初めて二次評価値が0.0003mg/m3 に変わった事例かなと。それは動物実験の結果ですから、それをしますので0.01ではとても無理だねという形で0.001とかで、そのときには初期リスク評価でしたので、次の詳細リスク評価へいく間にかかわっていても1年間ありますので、それだけ濃度の低いところで発がんが起こるという形ですとやはり1年間待ていないねということで、その結果が出る間のところにつきましてはちゃんとマスクをしなさいよという形の中で、濃度に応じてマスクの選定をするという形になりました。

  あとは、管理濃度等検討会でも、今の状況で0.0003の値をそのまま管理濃度にするととても事業場とかそのまま作業をすることはできませんという形で、管理濃度を決めるのではなくて作業環境測定はします。その作業環境濃度に応じてマスクの選定基準を決めましょうという形で工学的な対策をするんだけれども、現況では工学対策で追いつかないで、作業環境の濃度に対応したマスクを選定して装着することになりました。

  それだけやはり厳しかったという形でして、インジウムに関しましてはたまたまそういうきちんとした動物実験のデータが、業界さんがやったデータが出てきて、日本バイオアッセイ研究センターに依頼したデータが出てきたという形で濃度が変更になりましたということでございます。

○堀口 それで、名古屋先生のパワーポイントの質問が抜けていました。

  「パワーポイント20のナフタレンにおいて、製剤の包装・充填作業では高いばく露が見られるが、そのほかでは高いばく露は見られていないように思うんですけれども」ということです。

○名古屋 これは、詳細リスク評価から措置検討会に送るときに、先ほどここに書かれていますように、個人 ばく露最大値が7.55ppmという形で、区間推定のデータでは17.3ppmという形になりました。

  実際見ていただければわかりますように、対象事業所数が1と2と7というところで、一応、今までの約束ですとそのまま健康障害防止措置検討会に出しますよという形になりました。実際は健康障害防止措置検討会に行ったんですけれども、健康障害防止措置検討会の中で検討してみますと、やはりこれを要因分析したときに一くくりに扱うのはちょっと大変だねという形で、今は検討をしていって、対象物質の製造とそのほかのところについてはやはり除外する形で検討を進めていますというところです。

  だから、これからあと2回ありますから、そのときにきちんとした結論が出てくるんじゃないかと思います。今回の場合は全てではなくて要因分析の中で多分2つ分けていて、その一番高かったところの事業場だけ規制をかけるという形になるんじゃないかなと思います。

○堀口 それで、御意見の御紹介なんですけれども、「ばく露作業報告制度ができて、最初のころは丁寧にリスク評価をしていたように感じていましたが、最近、胆管がん問題が発生以降は安全サイド的な意味合いがあるが、考え方の基準が変わってきているように感じています。危険有害の可能性を周知させ、指導することは大変重要なことだと思いますが、規制に際しては過剰な規制にならないよう、丁寧なリスク評価をお願いいたします」ということと、また違う方からなのですが、「化学物質に関して、規制の観点だけでなく、当該物質を使用することで得られる便益も合わせて考えるべきではないでしょうか。リスクベネフィット分析は行っているのですか」。ということです

○名古屋 ベネフィットのところは多分していないと思うんですけれども、多分、今、我々が温度差が違ってきているんじゃないか。それは、多分ないと思います。ガイドラインがありまして、そのガイドラインに従ってずっときておりますので、一旦説明の十分さ、不十分さはあるかもしれませんけれども、物質によって温度差があったということではなくて、やはりガイドラインに従ったとおりにきちんと作業を進めていますよということだと思います。

○堀口 どうぞ。

○角田 丁寧なリスク評価ということで、胆管がん以来ちょっと変わっているのではないかという御趣旨の御質問だったんですけれども、この有機溶剤10物質については、この制度化の段階でばく露実態調査を実施していなかったということは確かにあります。けれども、やはりこうした胆管がんの問題、ジクロロメタンなどはまさにその物質でもございますので、それを踏まえて適切に対応するということを先ほどの検討会の経緯のところで御説明しましたけれども、そういうことで既存のデータ等を踏まえて、ばく露のリスクがあり得るということで規制したものでございます。

  先ほども申し上げましたが、今年度ばく露の実態調査を開始しておりますので、その結果を踏まえてさらに的確な制度内容にすることが必要であれば、そこは丁寧に対応していきたいと考えております。

○堀口 「室長のパワーポイントの48、「クロロホルムほか9物質」は特別管理物質になりましたが、改正前の規制区分を特化則における有機則準用において反映させるケースはあるでしょうか。それとも、クロロホルムほか9物質の区分は新たに設定されているのでしょうか。例えば、パワーポイント70」と書いてあります。

○角田 48ページの改正前の規制区分というのは、第1種有機溶剤など第1種、第2種というふうに書いてあるところだと思うんですけれども、この有機溶剤の区分につきましては特化則の38条の8で読みかえる規定がございまして、この改正後において第1種、第2種、第3種というような形で適用されるものはどういうものかということが38条の8に規定されております。

  それで、従来の第1種有機溶剤等は基本的に1種で、2種は2種というふうにはなるんですけれども、中には一部、以前の表示内容とはちょっと変わる、例えば第3種が第1種になるとか、第3種が第2種になるとか、混合の実態によっては若干変わってくるところも出てきますので、そこはちょっと注意する必要があるかと思います。

○堀口 「表示対象、通知対象、規制対象の1%以下はどのような有効数字を用いればよいか。1.00%以下なのか。0.50%未満なのか」。

○角田 実際にどういう局面でのことかというのがちょっとわかりにくい部分もあって、できれば補足していただいたほうがありがたいんですけれども、SDSなり、表示については御承知のとおり濃度の下限値が設定されておりまして、それ以上のものについて適用するということになっていますので、それを下回るものについてはデータがないという形になるわけでございます。

  したがって、そういう知り得る下限値から表示等も中身のその検討も御判断していただければというふうには思うんですけれども、もし補足があればお願いしたいと思います。

○堀口 御質問した方、どうぞ。

○A氏 例えば、表示義務のときに1%以上の場合は通知対象物質ということでSDSに記載をしないといけないと思うんですけれども、この1%というのは先ほど質問に書きましたが、0.5%を四捨五入すれば1%。有効数字が1桁とあるとそういう考え方になるんですけれども、そこの考え方を教えていただきたいと思います。

○角田 その部分は、0.5を1にするということは想定しておりませんで、まさに1%以上というふうに御理解していただければと思います。

○A氏 わかりました。ありがとうございます。

○堀口 「通知対象としてMIBKの閾値は0.1%以上となっていますが、その他の規制は1%以上です。0.1%とした意味は何でしょう。ハザードから0.1%を決めたのであれば使用量、ばく露量との関係は考えているのでしょうか」という御質問です。

○角田 MIBKは、今回改正して1%を0.1%以上という形にいたしましたけれども、これはGHSの発がん性の分類を踏まえてやっておりますので、基本的にはハザードベースで考え方を整理しているというものでございます。

○堀口 よろしいですか。あとはいろいろ御質問があります。

  「A1A2、B領域にある混合物のSDSは適用法令をどこまで記載する義務がありますか」。

○角田 これは先ほど申し上げたこととちょっとダブるのかもしれませんけれども、A1A2、Bで規制内容が変わるということもあり得ますので、適用法令の部分は、要するに法令に適用される物質名やその条項番号を記載して適用法令がわかるようにしていただくことが大事ではないかというふうに考えております。

○堀口 あとは、「特化則の第1類物質、第2類物質、第3類物質、特定第2類はどのような疾病要因でグループ分けされているのでしょうか」。

○角田 1類、2類、3類の区分ですけれども、1類ですと製造許可物質ということで整理されているものでございます。

 第2類は、通常発がん等の慢性障害を引き起こすおそれがあって、ばく露が懸念される物質でございますけれども、第1類と異なりまして国内外で重篤な症例が多く確認されているわけではないものについて、従来第2類というような形で整理しているところでございます。(3類はそれ以外で大量漏洩により急性中毒を引き起こす懸念があるもの、特定第二類物質は慢性障害と急性中毒の防止措置がともに必要なものを想定)

○堀口 それで、「研究業務には、作業主任者選任の必要はないですか」。企業の方の研究業務みたいなんですけれども。

○岸 試験研究業務は、作業主任者選任の対象から外れています。

○堀口 「ごく微量のクロロホルムを使用する事業所でも、作業環境測定は必要ですか」。

○高村 法令上は、やはり微量であっても常時使用する場、要は作業場所については作業環境測定が必要になります。常時の判断については、先ほど御質問もありましたけれども、個別に判断をする以外にはございませんので、迷う場合は最寄の監督署に御相談をいただくということでお願いしたいと思います。

○名古屋 1点補足しますと、これは環境改善室が今、行っている事業なんですけれども、大学の研究所だとか、そういう研究所のところの中で作業環境測定が実態に合っていないだろうということを言われていまして、今年アンケートを多分、皆さんにお願いしている部分と、それから実際に大学の研究所の中で国立、私立を問わず6大学の測定をしました。来年以降はもう一度、今度は研究機関のところに測定に行きまして、では作業環境に変わる測定方法をどうしたらいいんだろうかという形のものをするのと同時に1つアイデアとしてあるのは、クロロホルムがもし微量で扱っているんだとしたら、多分そこのところはドラフトで扱っているんだと思うんですけれども、そこのところは逆に言うと有機則の改正の局所排気装置以外の発散抑制装置としての特例許可をもらうことを勧めます。

 そういう形でいろいろな方法が今できるようになりましたので、うまくそれを活用されると作業環境測定は1年に2回ですけれども、そういう形で測定を再現できるのと、それから評価方法がまた変わってくるので、もう少しそういうところの中では状況が変わりつつあります。ぜひ、流れを見ていただけると少し対応できるかなと。今のところは多分ここしかだめなんだと思いますけれども、やはりそういう事例が多くなってきていますので、それに対応する対策という形のものは今、検討していますということでございます。

○堀口 それで、「労働基準監督署による査察などはどのようなものがあるでしょうか」。お答えできますか。

○岸 それぞれのケースがあるかと思いますけれども、監督署もそれぞれの事業者がどのような化学物質を取り扱っているかということを把握しておりますので、そういう中で例えば今、化学物質の健康障害防止対策に重点を置いているということであれば、その化学物質を取り扱っている事業場にお伺いして、健康障害防止措置を確認するという方法が一番一般的かとは思います。

  そのほかには、死傷病報告などで、労働災害があって、原因に安全衛生管理上問題があるのではと懸念されるところに対しては不定期に行くということもあるかと思います。 

○堀口 あと、「業務が適用業務に当たるかどうかの判断について、業務判定のためのガイドラインのようなものがあれば御教示をお願いします」ということです。

○角田 そういったものはないんですけれども、やはりいろいろ現場での業務状況、業務実態が異なりますので、それを踏まえて適宜御判断いただくということが適当じゃないかなというふうに考えております。

○堀口 「ナフタレン、RCFの規制、EUUSAはどのようになっているのでしょう。規制は、国際的に統一基準とすべきと思います。アスベストは、既に日本の禁止より数十年前から問題となっていました」ということです。国際的なお話です。

○名古屋 リフラクトリーセラミックファイバーに関しまして、多分ドイツが一番厳しい基準を持っていまして、アメリカが多分0.5で、ACGIH0.2で、ヨーロッパは0.3で、いろいろな基準はあるんですけれども、この中で私たちがするわけではありませんけれども、決められた一つのリスク評価の中では、先ほど言いましたように許容濃度とACGIHの値を参考にし、かつ諸外国の値も先生方はデータを集めて参考にしています。

  だからといって、国々によって基準が違いますのでなかなか国際的な統一はできないと思いますけれども、そうした情報をリフラクトリーセラミックファイバーでも結構集めまして、その中で先生方がお医者さんたちの、私たちと別の委員会の中でちゃんとリスク評価を決めていますよという形で、統一する基準は国によって違いますのでできませんけれども、一応そういう各国の基準は必ず参考にしていますよという形にしております。

○角田 今、先生がおっしゃったとおりなんですけれども、先ほどリフラクトリーセラミックファイバー、ナフタレン、IARC2B以上ということで申し上げましたので、こういったIARCの評価を踏まえて各国でそれぞれが基準を検討しているという形になるかと思います。

  それを完全に合わせるというのは、やはりそれぞれの国の中での作業現場の実態とか、ばく露の実態は異なりますので、一概になかなか比較はできないのではないか。こういった国際的な機関の評価を踏まえて、各国がそれぞれのばく露実態を踏まえて規制措置を検討するということになるのではないかなというふうに思います。

○堀口 あとちょっと御意見があるので、「遅い」とか「もっと世界での基準と統一して考えるべきじゃないか」という御意見をいただいております。

  それから、「特化則改正の内容が複雑でわかりにくい。パブコメ段階でパンフレットや改正時に公開されても遅いので、教育資料の公開が必要だと思います。労働基準監督署に問い合わせても理解されておらず、すぐに回答が得られません。厚労省の指導不足ではないでしょうか」という厳しい御意見をいただいております。

○角田 私どもも、今回8月に改正の政令と省令が公布になりましたので、それを受けて全国ブロックで都道府県労働局に対して説明会を実施して、組織の中でもこの制度改正の中身が周知されるように対応しているところでございます。

  それから、パンフなどを制度より早くということなんですけれども、やはり制度での仕組みがある程度整ってからでないと、なかなかこういった説明資料もちょっとつくりにくいということもありますので、そこは御理解いただければと思います。

  ただ、もちろんそうやって公布をしまして仕組みができた以上は、なるべく早くホームページにアップしてお知らせするということは努めていきたいというふうに考えております。

○堀口 仕組みができるプロセスについては、それこそ検討会の議事録を御確認いただいたり、検討会を傍聴していただいて、そのプロセスを共有していただければというふうに思います。

  御意見としては、「有機溶剤の規制に関して用語の定義が難しい」とか「適用範囲が不明瞭」、あとは「有機溶剤の具体的作業記録に関して事業所の負担が大き過ぎるのではないか」という御意見をいただいています。

  それで、あと御意見が2つありまして、「塩素系溶剤は今回、特化則という形でより厳格化されています。同じ金属洗浄の分野で使われている臭素系溶剤は現在何も法規制がないということから、安全なものという間違った認識で使用されているケースが散見されます。SDS交付対象物質のみならず、懸念のある物質については早急に法制化すべきだと考えます」というところで、これはそのリスク評価対象物質を決めるときの話でしょうか。

○角田 リスク評価の対象物質を選定する際に、先ほど今年の7月に会議で検討いたしましたが、その過程で、それより前に一般の方々から、こういう物質をリスク対象にすべきだということでパブコメ等もいただいて、それを踏まえて選定をしていますので、そのような形でパブコメのときに皆さん方からも物質名を挙げていただければというふうに思います。

  先ほどの1-ブロモプロパンにつきましても、今年の7月の検討会で選定しましたが、パブコメで御意見が出てきたものでございます。

○堀口 なので、皆さん御遠慮せずパブリックコメントを利用していただけばと思います。

  それで御意見ですけれども、「安衛法によるリスクアセスメントは、安全衛生コンサルタント系に教育が進められていて、化学物質を扱う現場にどの程度浸透しているか見えづらいと思います。安全衛生管理と環境系と別々に化学物質管理が行われているためとも思えますが、双方を化学物質の場合は一元で管理する方向はないでしょうか」。

  名古屋先生、御意見でももしあればお願いします。

○名古屋 多分、化学物質にインナーハイリスクの人たちはやるんですけれども、ただ、コンサルタントのところというのは環境改善という形で、化学物質が多分に不足している部分があるのかよくわかりません。試験を見ないとわかりませんけれども、だからなかなか一元化するのは難しいのではないかなと思いますけれども、これはまた行政のところにお話していって、そんな形がうまくいくようにお話はしておきますという形で、申しわけありませんけども。

○堀口 あとは、予定をお聞きしたいというところで、「三酸化二アンチモンのリスク評価の予定、6ページ、19ページ、継続検討中のリスク評価の予定を教えてください」ということです。

○角田 三酸化二アンチモンにつきましては、今年有害性の評価小検討会で評価値が設定されましたので、今年度において若干の追加の調査を行っております。その結果を踏まえて、リスク評価の方向に持っていければというふうには考えております。

○堀口 「ナフタレンは、来年8月ごろに特化則として法制化されますか」という御質問があります。

○角田 ナフタレンも先ほどから申し上げているとおり措置検討をしておりますので、その結果が取りまとめられれば来年度の法制化に向けて検討していくことになるかと思います。時期については、まだはっきりしたことは申し上げられませんが。

○堀口 「言葉の定義がややこし過ぎてもう少し簡便にしてほしい」とか、あとは「地方都市で説明会を実施してほしい」というお話、多分じっくり聞きたかったんだと思うんですけれども、「時間が短かったというお話」、それから「化学物質を使う立場の説明とはなっていません。中小企業の立場ではちんぷんかんぷんです」と書いてありました。それで、「化学物質を売る会社の責任をもっと問うべきだ」という御意見もいただきました。

  そういうことで、まだ残り時間があるので、加えまして御意見、御質問などある方、挙手をお願いします。どうぞ。

B氏 私は独立行政法人労働安全衛生総合研究所に前おりまして、それから産業医をいたしまして、今は労働安全衛生研究所のフェロー研究員でございまして、神奈川の産業保健総合支援センターの産業保健相談員をしております。

  皆様の御質問は非常に重要なことを含んでおりまして、私どもの神奈川の産業保健総合支援センターというのは医者と産業医を中心としますけれども、医者とコンサルタントの方、いわゆる環境問題の方、それから化学物質をやる方、それから保健師さんとか看護師さんのような身近に従業員とお話をする方、そういう方の全てを含んだ組織でございますので、今のような高級なところ、それと副所長は監督署長が輪番で参っております。

  ですから、監督署にお聞きになるよりも、そういう機関の副所長に聞いていただければ、かなり監督署に聞いたと同じような効果があるということと、私のように産業医を経験をいたしまして、研究所も一応経験をしておりまして、研究所にも三十何年いたりしましたので、そういった総合的な問題というのを産業保健、各都道府県にありますが、そういった支援センターで処理するということが、特に今度は前よりもまた地域センターというもの、もっと小さい例えば神奈川県でございますと相模原市とか、いろいろな地域にもございまして、相模原市などはかなり大きい工場がたくさんございます。

  私も産業医を10年以上いたしておりましたけれども、そういった経験を持っている人もいますので、ぜひそういったところにも御相談をいただきますと一元的な相談、一つの化学物質だけでない医者の立場の相談も、それからコンサルタントの中にはそういった環境に対する人もいます。

  そういったところへの御相談も、監督署長もおりますので、今、回っているわけです。副所長としては監督署長にまた戻られるというような方で副所長は監督署長がなっておりますので、そういった一元的な組織もあるということを皆様にちょっとお知らせを申し上げたいと思います。

○堀口 特にきょうは特殊健診の御相談が多かったと思いますが、労働基準監督署にはたしかドクターはおられないので、特殊健診などに関しては今、言われた産業保健推進センター。

○B氏 それで、コンサルタントもかなり専門的で、本当にコンサルタント会の会長をなさったような方が環境の問題の相談員になっていらっしゃいます。ですから、時々刻々のお話というのは、その制度が変わっていくようなお話はぜひ厚生労働省の方から私も伺いたいと思って傍聴にもしょっちゅう伺わせていただいているんですけれども、全体のコンサルタントのレベルとしてはかなり高い人もおりますので、一度御相談いただいて、それからまたいろいろなところに個別に御相談いただくというようなことも可能ではないかと思いますので、できましたらそういった都道府県に必ず今度は1個あるようになりましたので、よろしくお願いいたします。

○堀口 皆さん、相談先としてどうぞ御利用くださいということです。

  ほかに御質問はありませんか。どうぞ。

○C氏 私どもグルタルアルデヒドの製造会社でございまして、そこのグルタルアルデヒドの今のばく露調査についてどんな形でなっているかということで、1つばく露が多いかなと思っているものが内視鏡の洗浄ということで、これも対象になっているかどうかということをちょっと。

○名古屋 私も随分前からグルタルアルデヒドをやっていまして、特に内視鏡のところの実験とデータは取っていまして、前回の規制がかかるときも私は委員になっていました。それで、今回も製造業だけだったんですけれども、やはり一番多いのは内視鏡をやっているところが多かったので、初期リスクは入っていませんでしたけれども、詳細リスク評価の中で必ず内視鏡のところを入れてくださいと言ってありますので、多分入ってくるんだと思います。

○角田 グルタルアルデヒドは、今年度ばく露実態調査を実施しているところです。

○高村 今、詳細評価のほうに移ろうとしているところなんですけれども、初期評価の段階では、まだその内視鏡の部分の洗浄のところの作業については測っておりませんで、名古屋先生が今おっしゃったようにそういったところもばく露の可能性が高いので、詳細評価に移る際はきちんと調査をしてほしいという御要望を受けて今、実はそういった医療現場で使っているところをちょっと探しているところです。

  本来であればばく露作業報告に基づいて行っていくところなんですけれども、現時点でちょっと見当たらないというか、500キロという下限がございますので、そういった関係でそういった事業場さんの情報が今ないということで個別に探しておりますけれども、先生の御指摘を受けて実態調査についてはきちんとやっていきたいということで、今、準備中でございます。

○堀口 追加でどうですか。

○C氏 社としても、ここは以前からその問題にならないようにということで、啓蒙活動とかをして資料等を病院等々に配布させていただいたりしております。それで、実態的にどういうふうになっているかということは私どもも興味がありますので、また、その結果が得られれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

  それともう一点なんですけれども、別の用途でニワトリとかを育てた後にきれいにするときに使う用途もあるんですけれども、こういうところもこの労働特化則の対象になるのかどうかということをちょっと教えていただきたいんですけれども。

○名古屋 先ほど言いましたように、集めた値につきましてコントロール・バンディングしながら、要するに一番高いところを、先ほど言いましたようにニッケルのときのように溶接が外れてしまった形になりますけれども、今、初めて聞いてそういうことかなと私もわかるので、多分リスクのところではそこまではまだ追い切れていないんじゃないかと思って、結果的に測ってみるとそこも対象になってしまってという形になるかもしれませんけれども、逆に言うとそういう情報を私たちのほうに、厚生労働省に上げていただければありがたいかなと思います。

  そうすると、その中で初期評価から詳細評価に移るときにはそこも入れるのかどうか。先ほど言いましたように、500キロ超えていないのでなかなか難しいのかなと思いますけれども、規制がかかってくると全部かかってきてしまいますので、やはり情報として上げていただければ、その中で少し内部で評価の中で検討できると思いますので、ぜひそういう情報も上げていただければありがたいかなと思います。

  たまたま医療現場は私はよくやっていたのでお願いしている部分はありましたけれども、ちょっとわかりませんので、ぜひ情報として上げていただけばありがたいと思います。(質問の養鶏等での使用についても、労働者を雇用して実施している場合は労働安全衛生法令の対象)

○C氏 ありがとうございます。

○堀口 企業としましては結構苦しいところだとは思うんですけれども、事故が起こったり、社会的な問題が起こる前に情報をもし提供していただけるのであれば、それは有効にまた活用できるのではないかと思います。

  ほかに、何か御質問はありませんか。どうぞ。

○D氏 1点お願いがございまして、数年前のエチルベンゼンのあたりからの特化則の改定で、過去に使っていた労働者の特殊健康診断があると、さかのぼって対象になるということが起こります。そうしますと、例えば昔、混合キシレンの塗料で塗装業務をしているようなところとか、あとは先ほど御質問しましたような塩化メチレンで洗浄・払拭をするようなところは、当然使っているときには相当危ないということを考えて、自分でその代替をしているケースが多いんです。そうしますと、当時の法律でいうと、代替してしまうと、それについては管理体制そのものがなくなってしまう。そういうようなことが起こっているはずなんです。最近、随分昔の話ですので、そういったことについての記録も社内で散逸しているということが起こっています。

  ですので、厚生労働省さんから出てくるパンフレットが、例えば「エチルベンゼンのときの塗装業者の皆様へ」とか、あとは今般クロロカーボン衛生協会さんでやられたような、いかに現状使っているか。使うためにはどうするかというパンフレットに限られていると思うんですが、それ以外に、過去に何かを使っていて今度新しい規制がかかる方、例えば過去に要するにトルエン塗装業務をしていて有機溶剤に転換された方は今度の特化則で何をしなくてはいけないか。

  あとは、ジクロロメタンの洗浄・払拭業務を過去にやっていて二十年前にやめた会社は、今回の法律で何をしなければいけないかということをまとめたパンフレットを行政のほうから出していただくと非常に助かるんですけれども、それをよろしくお願いいたします。

○堀口 パンフレットの内容が、要はこれからの、今からの話が中心になっているので、これまでのところをきちんと押さえて情報提供してほしいということですね。

○D氏 はい。そのとおりで、今、使っておられる方に対してのパンフレットはこれまでもエチルベンゼンのときから出てきているんですけれども、過去に使っていて今、使っていない人にも今回の一連の法律には義務が出ますので、そういう方がどの条項でどういうことをしなくてはいけないかということをまとめたパンフレットを、5~6枚だと思うんですけれども、つくっていただけると助かるんです。お願いでございます。

○堀口 大事な情報提供ではないかと思いますので、御検討をお願いできればと思います。

○高村 配転後の健診が多分、中心になろうかと思いますので、そこの担当部署と相談をしながらそういった方々にわかりやすい資料ということを検討してまいりたいと思います。御意見ありがとうございました。

○D氏 今回の場合ですと、いわゆる健康管理手帳みたいなものもありませんし、離職してしまうとそれについては全くなくなってしまうわけですので、そのあたりのところを出していただければ非常に助かりますのでよろしくお願いいたします。

○堀口 ほかに御意見や御質問はありますか。

○E氏 質問というか、確認になってしまうんですけれども、リスク評価の対象物質の今後の予定についてなんですけれども、下の※印で、この17物質は有害物ばく露作業報告の新たな対象物質として、もうこちらの17物質は決定したということでよろしいですか。

○名古屋 はい。

○E氏 わかりました。ありがとうございます。

○堀口 31枚目のスライドの、選定17物質は。

○角田 今のことなんですけれども、決定ということは告示を発した時点で決定になりますので、今パブコメをやっていろいろ御意見をいただきましたので、それについての整理をしているという段階でございます。

  その上で、中身を改正するような状況でなければ、この物質で告示がなされて、その際に決定される。例年、大体12月の終わりぐらいに告示をしております。

○堀口 ほかにありますか。時間もあと少しなので1問ぐらいと思いますが、皆さん大丈夫でしょうか。

  それでは、アンケートにお答えして、もう一枚のアンケートがありますので、アンケートにお答えする時間も必要かと思いますので、これで意見交換は終わりにしたいと思います。

  皆さん、御協力どうもありがとうございました。

○司会者(森田) 先生方、厚生労働省の皆様、どうもありがとうございました。

  以上で、「第1回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を終了いたします。皆様、御参加いただきましてまことにありがとうございました。

  今後の参考といたしますので、できましたら水色のアンケート用紙に御記入いただきまして、会場出口の係りの者にお渡しいただきますようお願いいたします。

  また、お配りいたしました赤と青のカードでございますけれども、こちらも同じように出口の箱の中にお入れいただくようお願いいたます。

  次回の意見交換会は、またホームページなどで告知させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

  本日は、お越しいただきましてまことにありがとうございました。


(了)

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