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2015年7月28日 第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成27年7月28日(火)10:30~12:30


○場所

国立感染症研究所 共用第一会議室


○議事

○石田室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第1回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催いたします。

 本日は、御多忙のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 また、傍聴の方は「傍聴に関する留意事項」の遵守をお願いいたします。

 開会に当たりまして、井上結核感染症課長から御挨拶申し上げます。

○井上結核感染症課長 おはようございます。厚生労働省結核感染症課長の井上でございます。

 本日は、ワクチン評価に関する小委員会が立ち上がって初めての第1回の会合で、各委員の皆様方、参考人の皆様方、御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 この小委員会が今回立ち上がりました趣旨といたしましては、予防接種というものの重要性が今まで以上に社会の中で認識され、新たに定期予防接種の中に含まれ得る対象疾患、対象ワクチンは、今後ともふえていく見込みでございます。このことは日本の公衆衛生にとって望ましいことだと私ども事務局としても考えております。

 今後、新たにどのような疾病を定期予防接種の中に位置づけていくのか、あるいは具体的にどのようなワクチンを位置づけていくのかということに関しましては、しかるべき知見を持った科学的な議論が必要でございます。そうした議論を行う場として、今回、ワクチン評価に関する小委員会を設置させていただくことになりました。社会的な関心も非常に高い委員会になるかと思います。各委員の先生方、参考人の皆様方におかれましては、忌憚のない御意見をいただきますようお願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○石田室長補佐 続きまして、第1回目の小委員会ということですので、委員の方々を事務局から御紹介させていただきたいと思います。

 まず初めに、国際医療福祉大学薬学部薬学科教授、池田俊也委員です。

 続きまして、国立研究開発法人国立国際医療研究センター国際感染症センタートラベルクリニック医長、金川修造委員でございます。

 続きまして、昨年9月11日に開催された第11回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において、岡部部会長より委員長に指名されております国立感染症研究所所長、倉根一郎委員長でございます。

 続きまして、筑波大学医学医療系准教授、近藤正英委員です。

 続きまして、東京都立駒込病院感染症科医長、菅沼明彦委員でございます。

 続きまして、国立感染症研究所感染症疫学センター第三室 室長、多屋馨子委員です。

 続きまして、佐賀大学医学部社会医学講座講師、原めぐみ委員でございます。

 続きまして、大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学教授、福島若葉委員でございます。

 委員の方々は以上でございます。

 本日は、委員8名全員に御出席いただいております。定足数に達しておりますので、会議が成立したことを御報告いたします。

 続きまして、本日御出席いただいております参考人について御紹介させていただきます。

 まず、ファクトシートの作成の関係で、明治薬科大学公衆衛生・疫学教授、赤沢学参考人です。

 続きまして、国立感染症研究所感染症疫学センター長、大石和徳参考人です。

 続きまして、国立感染症研究所細菌第一部部長、大西真参考人です。

 続きまして、予防接種推進専門協議会からの御推薦で、福岡歯科大学総合医学講座小児科学分野教授、岡田賢司参考人です。

 参考人の方々は以上でございます。

 引き続きまして、事務局について御紹介をさせていただきます。

 井上結核感染症課長でございます。

 続きまして、高城結核感染症課予防接種室長でございます。

 続きまして、中谷結核感染症課長補佐でございます。

 続きまして、山岸結核感染症課予防接種室長補佐でございます。

 続きまして、氏家結核感染症課長補佐でございます。

 最後に、私、石田でございます。

 よろしくお願いいたします。

 事務局は以上でございます。

 これから資料の確認をさせていただきたいと思います。

 議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表、資料1から4、参考資料1から5と各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。配付資料一覧を御確認いただき、不足の資料等がございましたら、事務局にお申し出ください。

 申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○石田室長補佐 それでは、ここからの進行は倉根委員長にお願いいたします。

○倉根委員長 おはようございます。皆様、御出席ありがとうございます。感染症研究所の倉根でございます。

 ワクチンの評価に関しては多様な分野の方々から御意見をいただくということが重要でありまして、今回、各委員は各分野からのエキスパートが参加していただきまして、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

 平成25年の予防接種法改正以降、5つのワクチンが定期接種として導入され、いわゆるワクチンギャップは埋まりつつありますけれども、ワクチン開発は、より活発になっておりますので、今後のワクチンのあり方に関する議論はより複雑に、あるいは、よりきちんとする必要があると考えております。

 そうした中で、本委員会の役割というのも非常に大きなものであろうと思いますので、各委員には今後ともぜひ忌憚のない御意見をいただければと思います。私としましても、委員会を円滑に運営しつつ、予防接種法の対象となる疾病・ワクチンのあり方について議論を行ってまいる所存であります。

 それではまず、事務局から審議参加に関する遵守事項等について報告をお願いいたします。

○石田室長補佐 審議参加の取り扱いについて御報告いたします。

 本日御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、申請資料への関与について申告をいただきました。各委員、参考人からの申告内容については机上に配付しておりますので、御確認いただければと思います。

 本日の審議事項は、沈降10価肺炎球菌結合型ワクチン(ジャパンワクチン株式会社)、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(ファイザー株式会社)を予定しております。

 本日出席の岡田参考人は、ジャパンワクチン株式会社より50万円超500万円以下の受け取りがありますが、参考人のため、議題(1)「沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの検討方針の確認について」の審議において意見を述べることができます。

 また、岡田参考人が沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンの申請書類に関与されておりますので、議題(2)「沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンを定期接種に使用することの是非に関する検討方針について」の審議において「退室する」に該当いたしますことを御報告いたします。

 なお、このほか「退室」や「議決に参加しない」に該当される委員、参考人はいらっしゃいません。

 事務局からの報告は以上でございます。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 今、事務局から本日の審議の参加について説明がありました。

 岡田参考人におかれましては、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー13)の申請書類の作成に関与しており、「退室する」というところに該当するわけであります。しかし、申請書類の作成に関与している場合であっても分科会が認めた場合には退室しないで御意見をいただくことができるとされております。岡田参考人は、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンについて非常に深い見識をお持ちの方でありますので、本日は退室しないで状況に応じて御意見をいただくということを私としては考えておりますし、そうお願いしたいと思いますけれども、いかがございましょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○倉根委員長 それでは、岡田参考人には退室せずに御意見を状況に応じていただくという形にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、議題に入る前に、ワクチン評価に関する小委員会について事務局より説明をお願いいたします。今回、第1回であるということもありますので、この委員会の役割等についてぜひ皆様にも御理解いただきたいということでこのセクションがあるわけであります。

 それでは、事務局、お願いします。

○氏家課長補佐 お手元に参考資料1から3の3つを御用意ください。

 参考資料1の「ワクチン評価に関する小委員会の設置について」に関してです。

 昨年9月に基本方針部会という審議会の中で設置の趣旨を下記のような内容とし、設置が成立しています。

 予防接種に関する施策に関しましては、2013年に策定されました「予防接種に関する基本的な計画」がございますが、その中で定期接種に位置づけられているワクチンや、現在、任意接種とされているワクチンについて、その位置づけについて評価及び検討することが求められているということが記載されております。

 この検討を実施する場として、予防接種法の対象となる疾病・ワクチンのあり方について評価項目や評価の方法などを含めた医学的・科学的な視点からの議論を行うとともに、各疾病・ワクチンについて予防接種法の定期接種に位置づけるかどうかの考え方を整理し、予防接種基本方針部会に報告する。これがワクチン評価小委員会の設置の要綱ということになりますので、議論を行うこと、考え方を整理すること、その報告を行うことがこの小委員会に求められているものになります。

 参考資料2をごらんください。

 ワクチンに関する厚生科学審議会の簡単な組織図です。一番上に予防接種・ワクチン分科会がございまして、その下に3つの部会がございます。予防接種基本方針部会、研究開発及び生産・流通部会、副反応検討部会でございます。このうち基本的方針を検討する基本方針部会の下に今回、ワクチン評価に関する小委員会が設置されております。

 参考資料3をごらんください。

これは、親会である基本方針部会で今年の5月に審議した資料の一部抜粋でございます。今後の対応方法に関するフロー図が示されております。「広く接種を促進する疾病・ワクチンに関する検討の進め方」ということで、一番上に書かれているのが基本計画に記載されている内容でございます。「予防接種施策の推進の科学的根拠として、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果に関するデータについて可能な限り収集を行い、客観的で信頼性の高い最新の科学的知見に基づき、厚生科学審議会(中略)の意見を聴いた上で、予防接種施策に関する評価及び検討を行う」と記載されています。

 また、「新規のワクチンについては(中略)製造販売承認が行われた際には、国は、速やかに、当該ワクチンの法上の位置付けについて分科会等の意見を聴いた上で検討し、必要な措置を講じるよう努める」という記載もされております。

 こういった検討が基本方針部会で行われていたわけですが、ことしの5月以降、このフロー図のような形で、ワクチン評価小委員会において検討を進めることとされました。

 ワクチン評価小委員会で行う検討につきましては、まず1のところですが、各疾病・ワクチンについて予防接種法の定期接種に位置づけるかどうかの考え方を整理するということです。その下に1と書かれた矢印が3つ出ています。

 一番左の矢印は、評価の考え方を整理した結果、予防接種に位置づけないと提案された場合、任意接種としての疫学情報等を引き続き収集するという形になります。過去の検討では、髄膜炎菌ワクチンのように日本での疾病負荷が少ない疾病についてはこのような検討がされたことがございます。

 その右側の1の検討結果の場合は、そのまま定期の予防接種に位置づけることを提案できます。この場合は、そのまま部会、分科会で了承されれば、定期接種の予防接種に位置づけることができますが、これは注意として、原則として政省令の改正が必要ないような場合を想定しておりまして、具体的にはDPT-IPVの製剤名が全く同じ製品が製造販売承認された際にこのような対応をとられたことが過去にございます。

 それ以外のワクチンにつきましては、一番右に1と書かれている「広く接種を促進することの是非について検討を行う」という検討に入ってくることになりまして、検討する際に、評価、検討に必要な具体的な論点や科学的知見の収集方針についてワクチン評価小委員会で可能な限り具体的な指示をいただくこととなっております。

 そのような指示がございましたら、国立感染症研究所のほうで6カ月を目処にファクトシートを作成しまして、作成後、ワクチン評価小委員会にその資料を提出し、2に「提出されたファクトシートを下に、専門的知見を有する参考人を招聘して協力を得つつ、基本方針部会に提出する報告書の作成に必要な論点及び追加作業等を整理しながら作業を進める」とある検討を行うことになります。国立感染症研究所等が作成するファクトシートの中には評価検討に必要となる、これまでに公表された医学的な事実が記載されているわけですが、評価に必要なデータが不十分である場合、事務局に対して科学的知見の収集を提案、指示することが可能でございます。具体例としましては、現在、評価が行われていますロタウイルスワクチンにつきまして、日本における腸重積の発生頻度等をきちんと国内で調べる必要があるということで、現在、研究班等でそのような知見の収集、整理が行われているところでございます。

 そのような形で評価に必要なデータを専門家の先生方、感染研研究班等の協力を得ながら収集しつつ、評価をし、報告書を作成していただき、その報告書を基に基本方針部会、分科会でさらなる議論を行い、最終結論を得る、こういう流れでの位置づけになっております。

 事務局からは以上です。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 ただいまこの小委員会の役割を詳細に説明していただきましたけれども、何か御質問がございますか。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 1つ質問なのですけれども、これまでは、ファクトシート、その後の作業チーム報告書、そして部会のほうに報告されるという流れがあったかと思います。この中で、今回審議することになる肺炎球菌ワクチンについては、既に一回、ファクトシートが出されていまして、作業チーム報告書も出されているので、今回は追加ファクトのような位置づけでこの小委員会のほうに提案されて、ここからまた、ロタワクチンで今つくっているような作業チーム報告書をつくらなければならない、そういう流れで理解をしていてよろしいのでしょうか。少し今までと流れが違っているのかなと思いましたので、一応確認をさせていただきたいと思います。

○倉根委員長 事務局、いかがでしょうか。

○氏家課長補佐 事務局からお答えさせていただきます。

 これまで多屋先生の御指摘のあった検討の流れといいますのは、2013年にワクチン分科会ができる前の感染症分科会予防接種部会で提案し、行われてきた評価方法でございまして、今年の5月の基本方針部会の中で、2010年から検討が行われていた過去の検討方法と現在の必要な検討という形態が変わりつつあるということで、作業の流れを整理したところでございます。

 参考資料3としてお示ししました「広く接種を促進する疾病・ワクチンに関する検討の進め方について」は、最後の1枚のフロー図だけ抜粋という形でお示しさせていただいたものでございます。省略させていただいた資料の中に経緯の説明が記載されていますが、これまで、ファクトシートを作成して、そのファクトシートをもとにまず作業チームという専門家の先生方が報告書を作成した上で、評価小委員会が審議を行う方法で検討が進められてきた経緯がございました。しかし、昨今では、ワクチンの評価というものが、疾病だけではなくて、同じ疾病の中で別のワクチンであるとか、専門的な領域が議論に必要なことに加えて、検討作業の内容がいつまでにどういう形で行われているのか、関係者にも分かるような形で行うべきであるといった意見もいただいているところです。そのような指摘を受けて、作業チームが独自に作業を行うのではなく、小委員会のところに作業チームに当たる専門家の先生方を参考人として招聘して、参考人の先生方の専門的な知見をいただきながら、審議会の場で評価を進めて、報告書を評価小委員会で作成していく形をとることを基本方針部会で了承いただいたという状況でございます。

○倉根委員長 よろしいですか。どうぞ。

○多屋委員 理解いたしました。ということは、この小委員会の中で今回の肺炎球菌のワクチンの報告書をつくるという作業が行われて、それがきょう審議されると理解してよろしいのでしょうか。

○倉根委員長 事務局、お願いします。

○氏家課長補佐 もちろん、今日は第1回目の議論ですので、検討方針について審議いただく予定でございます。こういった審議を繰り返していきながら、参考人の先生方のお力もおかりした上で、小委員会としての報告書を作成していくということで理解しております。

○倉根委員長 よろしいですか。

○多屋委員 ありがとうございます。

○倉根委員長 ほかに御意見あるいは御質問ございましょうか。よろしいですか。

 それでは、議題に移りたいと思います。

 まず、議題1「沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの検討方針の確認について」に入りたいと思います。

 平成27年5月13日に開催された第13回予防接種基本方針部会において、今後の沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの取り扱いについてまとめられております。その取り扱いについて今回、検討を行いたいと思います。

 まず、資料1について事務局より説明をお願いいたします。

○氏家課長補佐 事務局から御説明させていただきます。

 お手元に資料1、参考資料4と参考資料5を御用意ください。

 まず、資料1からですが、先ほど倉根委員長から御説明がありましたように、今年の5月に基本方針部会で沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンを定期接種で小児に接種することについて、検討方針の取りまとめが行われたところでございます。このような結論が基本方針部会でとられているところでございますが、同時に、先ほど多屋委員から御質問いただいた今後の検討方針をどうするのかという議論の中で、広く接種を促進することの是非について検討を行うこととなったワクチンについては、評価検討に必要な具体的な論点や科学的知見の収集方針についてワクチン評価に関する小委員会が可能な限り具体的な指示を行うとされたところでございます。

 この背景は、先ほど御指摘がありましたように、既に過去の検討で小児肺炎球菌に関するファクトシートが作成され、作業チームで検討を経た上で、現在、13価の肺炎球菌ワクチンが定期接種として用いられているという背景がございます。そこに、10価の肺炎球菌の検討を行うということになりましたので、ゼロから肺炎球菌に関する事項を全て含んだファクトシートを作成するのではなく、評価に必要な論点を具体的に抽出した上で、その論点に基づいた上でファクトシートを作成し、評価を進めていくという形をとることとされました。ファクトシートに基づいた評価を行うのが小委員会の先生方でございますので、必要な具体的な指示につきましても評価小委員会で行っていただくということが今年5月の基本方針部会で決定されたところでございます。

 そういった背景から、今回、5月の基本方針部会において10価肺炎球菌ワクチンについて広く接種を促進することの是非について検討を行うこと、感染研でファクトシートを作成した上で評価を行っていくことが、既に方針として決定されているわけですが、これについて追加意見や指示等の補足がないかどうか、御議論いただきたいというところでございます。

 議論に必要な簡単な基本資料を参考資料4と5に準備しております。これらは、5月の審議会で使用した資料でございます。

 参考資料4は、ジャパンワクチンから提出された資料でございます。

 一番後ろのまとめのところをご覧ください。新しく製造販売承認された10価の肺炎球菌結合型ワクチンですが、10種類の血清型全てにおいて免疫原性が確認された観点から、免疫原性としましては矛盾がないというデータが示されております。また、10価に含まれていない血清型、そして13価の別の製剤に含まれている6A19Aという血清型につきましては、交差反応による抗体価の上昇が認められているという製剤でございます。

 有効性につきましては、二重盲検の比較臨床試験において侵襲性肺炎球菌感染症の発症予防効果が、同様に二重盲検比較臨床試験において肺炎に対する発症予防効果が臨床的に確認されている製剤でございます。

 安全性につきまして、忍容可能なデータが提出されているという状況がございまして、その点の説明がメーカーのほうからございました。

 追加で参考資料5は、事務局から現状を御説明した資料でございます。

 小児の肺炎球菌結合型ワクチンのこれまでの国内での変遷でございますが、平成21年にまず7価の肺炎球菌結合型ワクチンが日本で製造販売承認が開始されまして、平成25年6月に販売承認された13価の肺炎球菌結合型ワクチンが昨年11月から定期接種として用いられているという状況がございます。そういった背景の中で、今年の3月に10価の肺炎球菌結合型ワクチンが新たに製造販売承認されたということで、5月にこのワクチンの位置づけについて検討する審議会をとり行いました。

 次のページをごらんいただくと、日本で承認のある小児用の肺炎球菌結合型ワクチンですが、7価、10価、13価と3つの製剤がございまして、それぞれの製剤の持つ血清型抗原につきましては、それぞれのワクチンに含まれているものが入っているという状況でございます。

 次のページは、13価と10価の肺炎球菌結合型ワクチンの比較を示した表でございます。血清型数が1013ということで異なります。ただし、ワクチンの種類として結合型ワクチンという観点では同じ、キャリア蛋白が異なるということになります。

 効能・効果でございますが、10価の製剤につきましては、侵襲性感染症のほかに肺炎の予防ということで製造販売承認の適応がございます。

 接種年齢の接種開始時期も、10価につきましては6週齢から接種が可能ということで、こういった違いもございます。

 用法につきましては、13価のものが皮下注射で行うのに対して、10価のものが筋肉内注射という違いもございます。また、追加接種に関する接種間隔というものも多少の違いがございます。

 こういった違いのある製剤ということが言えると思います。

 次のページを見ていただきますと、先進諸国の小児における肺炎球菌結合型ワクチンの導入状況に関してです。多くの国におきましては、10価の製剤が承認された後に13価の製剤が承認されているという状況でございますが、日本とロシアにおいては13価の結合型ワクチンが先に承認されているという状況がございます。現在、2つのワクチンを併用して定期接種に用いている国は、ここに記載されている先進諸国におきましてはドイツのみでございまして、ロシアについては10価の肺炎球菌結合型ワクチンが遅れて導入されましたが、13価の製剤のみが使用されているという状況でございます。

 そういった背景を受けまして、資料1のほうに戻っていただきますが、5月に検討された結論としまして、何度か申し上げていますが、広く接種を促進することの是非について検討を行う方針となりました。

 接種に関する基本的な計画に基づき、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果に関するデータの収集を行います。ワクチン評価に関する小委員会にて評価及び検討を行っていただきます。

 評価及び検討の対象となる主な具体的な事項としましては、既に13価の製剤が定期接種として導入されている背景がございますので、その製剤と比較した3つの血清型の違いや用法の違い、こういった違いから出てくる有効性、安全性、費用対効果について科学的知見を収集して評価及び検討を行うことが決まっております。

 有効性につきましては、両製剤に記載がある侵襲性感染症を主な評価項目としておりますが、肺炎、中耳炎等についても検討を行うということが議論されました。

 こういったことにつきまして、追加及び補足等の指示がございましたら、御指摘をいただきたいという内容でございます。

 事務局からは以上です。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 基本方針部会においてはこういう方針が示されている。この小委員会においては、この方針に対しての御意見をいただくとともに、さらに委員の皆様から、もう少しデータの収集であるとか、考慮が必要なのではないかというようなことがございましたら、ここで伺いたいと思います。実際には、それに基づいてまた次のデータの収集等に入るという形になるわけであります。

 御意見、いかがでしょうか。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 今後検討すべき課題ということで資料1にまとめていただいていますが、少しつけ加えることといたしましては、10価肺炎球菌結合型ワクチンについては、接種の開始週齢が13価と違うことや、接種方法が筋肉内注射と皮下注射という違いがあることを考える必要があります。実際の臨床の現場では、小児科の先生が接種されることが多いと思いますが、臨床の現場で2つのワクチンが同時に使えるとなったときに、混乱しない方法で導入するにはどうしたらいいかということをしっかり検討しておかないと、誤接種につながってもいけませんし、そういった臨床の現場での検討もあるほうがいいのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○倉根委員長 つまり、導入するとすれば、接種方法だとか、使うべき方法でないような使い方にならないようにするにはどうしたらいいかということをきちんとデータとして示すべきではないかということですね。

○多屋委員 そのように思います。筋肉内注射、皮下注射、週齢の違い、そういったことも含めて、どのように実施していくかということを実際の現場の先生にも検討いただいた上で、御意見がいただければと考えます。

○倉根委員長 わかりました。

 では、事務局。

○氏家課長補佐 今、多屋委員のほうから御指摘のあった、筋肉内注射であるとか、接種の開始時期が違うということについて、基本方針部会の取りまとめの中で記載のある、用法の違い等によるということで、その部分で読み込んでいただくような形を考えておりました。もちろん安全性、有効性、費用対効果、この観点において、さらには実効性という観点を含めて、具体的、総合的な評価を行っていただくという形につながっていくと思います。

 ただ一方で、ファクトシートの中にそういった実効性のところをどのように記載できるかということに関しましては、感染研の先生方とも御相談しながら、そういった資料の作成をお願いしていきたいと思います。

○倉根委員長 多屋委員、よろしいですか。

 ほかに御意見をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。

 近藤委員、どうぞ。

○近藤委員 こちらに既に出ている方針でおおむねよろしいとは思うのですけれども、費用対効果の観点からいうと、モデルで単純化するのが費用対効果の分析ですので、単純化したものが出てくればよいとは思うのですが、今回の場合は13価で既に打たれていて、プログラムが走っている状況です。その上で追加して使うということになってくると、あるいは13価をやめるということもあるのかもしれませんが、その後のプログラムのあり方の具体的な姿、それもまた検討の中だと思いますが、費用対効果のモデルをつくるときに、その先どういうふうにプログラムを変えていくか、変え方によっては結果がこう変わるということがわかるような、解釈できるような形での整理をした単純化のモデルをつくっていただけたらと思います。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 コメントはありますか。

○氏家課長補佐 いただいた意見を参考に、ファクトシートの主な内容や趣旨がワクチンの評価に必要な既存のデータを収集していただくというものでございますので、そういった観点でのデータが収集可能かどうか、もしそういった既存のデータがない場合におきましては、ファクトシート作成後に、この小委員会でそういった議論、そして作業を行っていただくような形を考えております。まずは、ファクトシートの中で、そういった既存のデータがあるかどうかについて、感染研の担当の先生方と相談して作業を進めてまいりたいと考えております。

○倉根委員長 ほかにいかがでしょうか。

 池田委員、どうぞ。

○池田委員 各国の定期接種での使用状況を見ますと、両ワクチンに対する取り扱いの考えがかなり違うように思うのですが、ファクトシートをつくるに当たりまして、この両者の比較という観点で検討していく必要があるのかどうかということを御議論いただきたい。有効性の違いからこういった判断が分かれているのか、それとも安全性の問題なのか、あるいは費用対効果なのか。国によっては、費用対効果を比べて、費用対効果のいいものを国が買い上げるというようなやり方をしているところもあって、それでこういう結果が出ているというところもあるかもしれません。ということで、どの点に特に注意をして見る必要があるのか、海外の状況から何か示唆されることがあれば教えていただきたいと思います。

○倉根委員長 そこら辺も十分考慮した上でファクトシートなどを作成すべきであるという御意見だと伺ってよろしいですか。

○池田委員 そのとおりでございますし、あるいは各国での使用状況をまとめていただく中で、もし何か情報があればそのあたりを御提供いただけると大変参考になると思いまして、伺いました。

○倉根委員長 そこら辺、既にわかっていることはありますか。

○氏家課長補佐 先進諸国の状況につきましては、事務局で調べた各国の内容、公表されているデータをもとに事務局で取りまとめた資料を提示させていただいたものでございます。

 池田委員から御指摘がありましたように、各国の検討状況はさまざまでございまして、公開されているもの、公開されていないもの、結論だけあるものから、中身のわかるものまで、さまざまな情報があります。

 日本国における検討というのは、また日本国独自の検討ということでございますが、もちろん各国の検討状況は参考になるものだと理解しておりますので、公開されているデータ、もしくは各国の協力の上で非公開のもの含めて収集できるデータにつきましては、御指示がありましたら、事務局のほうで対応を検討させていただきたいと思います。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 大西参考人、どうぞ。

○大西参考人 1点、確認させていただきたいのですけれども、先ほど多屋委員のほうから、接種年齢の異なる製剤、あるいは接種方法の違う製剤が共存したときの問題点を事前にクリアするような方策を考えておかなければいけないという、非常に重要な点だとは思うのですが、これをファクトシートの中でということではないと私は理解したのですが、それでよろしいでしょうか。

 つまり、ファクトとしてはなかなか難しいということで、参考資料3でいただいている裏面の、今言ったような課題は、実施に当たってのより具体的な検討というところに一部入ってくるとは思いますが、この絵の中では、予防接種・ワクチン分科会の下に来ている検討課題も一部入ってくるようなことなので、ちょっと整理をしていただいたほうがよろしいかと思います。

○倉根委員長 つまり、ファクトシートになかなか入れづらいというか、その次の話になるのではないかという参考人の意見ですね。

 多屋委員、いかがですか。

○多屋委員 ありがとうございます。それでは、もし可能であれば、両方が入っている国のファクトをファクトシートの中に入れていただくことでその後の検討が進みやすくなるのではないかと思いますけれども、そういうのは可能でしょうか。

○倉根委員長 大西参考人、どうぞ。

○大西参考人 今のところ、ドイツは共存した形になっているということなので、もし調べることができましたら、調べて情報提供したいと思います。

○多屋委員 とても参考になると思います。よろしくお願いいたします。

○倉根委員長 では、そこの点は、ドイツであればファクトとして出てくる、出せるかもかもしれない、そういうことでございますね。

 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。

 そうしましたら、今いろいろな御意見を委員からいただきましたので、それをどのように含めていくかということについては事務局とも相談しながら進めたいと考えております。

 まず、基本的には、議題1の内容について小委員会としてこのような形で進めるということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○倉根委員長 ありがとうございます。

 それでは、議題1については本委員会で了承ということにしたいと思います。

 次に、議題2に移ります。「沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンを定期接種に使用することの是非に関する検討方針について」ということでございます。

 これにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○氏家課長補佐 まず、事務局のほうから、資料2を用いまして「高齢者の肺炎球菌感染症に対する検討の経緯と現状について」を御説明させていただきます。

 この後、御議論いただく13価の肺炎球菌ワクチンにつきましては、現在、小児に定期接種で用いられているものでございますが、これを高齢者で使うということが検討されている状況でございます。この検討につきましては、昨年の7月から開始されている状況でございまして、参考資料3のフロー図にありますように、ファクトシートを感染研のほうで作成して、このファクトシートの作成が終了したということで、今回初めて、その後、小委員会において、提出されたファクトシートをもとに必要な論点及び追加作業を行いながら検討を行うという形で作業を進めていただくものでございます。

 高齢者の肺炎球菌感染症施策の変遷としましては、まず、23価の肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンが1980年代から国内で使用が可能となっている状況でございました。23価の肺炎球菌ワクチンにつきましては、2010年に定期接種等で使用することについて検討が開始されまして、昨年の10月に定期接種化されたワクチンでございます。

 一方で、13価の肺炎球菌結合型ワクチンにつきましては、もともと小児に対して開発された製剤でございますが、海外で2011年から高齢者にこれを用いて接種を行うことが始められるようになりまして、日本においても昨年の6月に高齢者で使用することについて接種適応が拡大されたという状況を踏まえて、検討が進められてきた背景がございます。

 次のページを見ていただきまして、こちらは、現在、定期接種で行っています23価のポリサッカライドワクチンを用いた定期接種の内容でございます。接種対象者としましては、基本的には65歳の方と、60歳以上65歳未満の者であって基礎疾患等のあるハイリスク者ということになっております。昨年度から平成30年度にかけて経過措置としまして、当該年度に65歳、70歳、75歳というように5歳刻みの年齢になる方を対象としまして、1回の定期接種を行っていただくという経過措置が行われているところでございます。こういった23価を用いた定期接種を行っている中での13価のワクチンを用いた検討ということになっております。

 次のページをごらんください。肺炎球菌ワクチン製剤の比較ということで、23価と13価の製剤の比較を表にまとめております。

 製造販売会社が異なる製剤でございまして、含有莢膜型は2313ということで数が異なります。多くのものは共通しております。

 ワクチンの種類としましても、結合型ワクチンと多糖体ワクチンということで種類が異なり、そういったワクチンの違いが免疫のつき方に影響があるのではないかということが議論の一つの課題となっております。

 接種できる年齢につきましては、23価のものが2歳以上、13価のものが2カ月齢以上6歳未満の小児に対してでございまして、高齢者については65歳以上の方に接種適応がございます。

 価格としましては、23価のものは保険適用されていますので薬価でございますが、4,737円、13価のものは希望納入価格と聞いておりますが、7,200円という参考価格がございます。

23価につきましては、昨年10月から高齢者に対する定期接種、そして経過措置が行われているところでございまして、13価のものにつきましては、一昨年11月より小児に対して定期接種が行われている状況がございます。

 次のページに、主要先進諸国における高齢者に対する肺炎球菌ワクチンに関する使用状況ということで記載がございます。

 上の段と下の段で、健康な高齢者に対する国自体の推奨と公費負担を分けて考えております。日本におきましては、国が推奨するワクチンは基本的に定期接種として公費負担が一部ございますが、諸外国では推奨と公費負担を分けて考えている場合がございますので、上段と下段に分けております。

 現在、13価の肺炎球菌結合型ワクチンを健康な高齢者に対して国として推奨、一部接種費用を公費負担している国は、アメリカのみでございます。ヨーロッパ諸国におきましては、今年、高齢者に対する接種適応というものが拡大されたところでございます。一部の国においては推奨や公費負担に関する検討を行っているところでございますので、日本と同様の状況というところでございます。こういった検討につきましても、今後諸外国でも進んでいく内容のものであると考えております。

 次のページは、一番最初に御説明させていただいた基本的な計画に基づく評価のところでございますので、ここはあくまで参考として掲載したものでございます。

 事務局としては以上です。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 質疑等については、議題2に係る資料の説明の後に行いたいと思いますけれども、資料3について大石参考人より説明をお願いしたいと思います。

○大石参考人 資料3につきまして説明をさせていただきます。

 2ページを見ていただきますと目次があると思います。「1.対象疾患とその疫学所見」「2.予防接種の効果・目的・安全性などについて」「3.予防接種スケジュール」「4.総合的評価」に分かれています。全部を網羅して短時間で説明するのは難しいので、疫学状況、予防接種の効果、医療経済学的評価、総合的評価に重点的に時間を使わせていただきたいと思います。

 3ページの臨床症状ですが、御存じのとおり、肺炎球菌は主要な呼吸器病原性菌で、小児、成人に菌血症を伴わないような中耳炎、副鼻腔炎、肺炎、こういった病気を起こします。また一方では、頻度的には少ないのですけれども、血液中に侵入したりする侵襲性感染症を小児、成人に起こします。侵襲性肺炎球菌感染症のことをIPDと呼びます。

 鑑別疾患、通常の細菌検査、遺伝子検査、免疫学的な検査もございます。

 4ページの疫学状況は、まず、小児に7価の結合型(PCV7)を導入することで成人侵襲性感染症に影響が及んでいるということを書いております。欧米のデータを最初のパラグラフに書いています。

 日本の状況につきましては、予防接種に従って状況が変わってきているわけですけれども、まず、4ページの一番下のパラグラフに小児のIPDの状況を示しています。既に定期接種導入が始まっておりまして、導入前からの比較を厚生労働省の研究班であった庵原・神谷班で評価しておりますが、2013年までに既にIPD57%が減少している。そして、7価の血清型によるIPDはかなり減少して、現時点で98%ほど減少していると、つい最近報告されています。一方では、原因菌がPCV7以外の血清型のものがかなりふえてきております。24A15A15C、こういうIPDが増加しておりまして、34割のIPDはまだ予防できない状況で残っているというのがあります。我が国のIPDにおいて、小児のIPDにおいてもPCV7導入後の血清型置換が明確になってきているということであります。

 5ページでは、IPDの発生動向を2013年から調査しておりますが、このデータを図1にお示ししております。このように小児と成人の二峰性になっています。とりわけ、65歳以上の高齢者では、罹患率は小児より低いのですけれども、致命率が高いというデータになっています。

 6ページです。成人の肺炎球菌性肺炎、侵襲性は全体の10%程度と考えられますけれども、より肺炎球菌性肺炎のほうが頻度的には多いということであります。このデータにつきましては、肺炎球菌性肺炎の原因菌につきまして、かつてはもう少し頻度は多いとされていたのですけれども、最近では1723%でありまして、特に文献16の国内4カ所の医療機関で実施された市中発症肺炎の疫学調査の結果を図2にお示ししております。市中発症肺炎という言葉は、CAPと言われる市中肺炎とHCAPと言われる医療ケア関連肺炎の2つを一緒に評価したものであります。最近は在宅で医療を受ける人たちがふえていることから、HCAPという概念が大事だと言われています。特に75歳以上になりますとHCAPの領域でも肺炎球菌による肺炎が非常に多くなるということがこの論文でも示されておりまして、海外の論文でも報告されています。

 そういったことで、4カ所の、いわゆる病院ベースの研究なのですけれども、地域をカバーするという観点で見て、疫学的な分析をして、全国における患者さんの推計というものをこの研究の中でされております。この研究によると市中発症肺炎の患者さんは全国で188万人、このスタディーで肺炎球菌が原因になる頻度は19.5%であったということから、肺炎球菌性肺炎は全国で約37万人だろうと推計がされています。ただ、今申しましたような、かなり疫学的な手法で推計として出していますので、データの限界があるということも認識しておく必要があります。

 7ページには、ワクチン製剤について書いております。 8ページは、予防接種の効果ですが、ワクチンのカバー率についてお示しします。

 最初に、成人のIPDの原因菌がどうなっているかということをここに示しています。研究班の中で、図3に示すような肺炎球菌の原因菌の血清型の分布が示されております。ごらんになりますように、血清型7に含まれるものが大分減ってきているということがわかります。この研究そのものは2013年からでしたので、前のデータがないのですけれども、過去に報告された2006年や2007年に実施された国内のスタディーと比較しますと、明らかに減少してきているということがわかります。以前は、PCV13PPSV23では61%、85%あったものが、2015年1月までの調査の結果では、それぞれ46%、66.5%となってきています。

 また一方、先ほどの全国4カ所で行いました市中発症肺炎での分離株は、喀痰由来の菌株で、菌株数は少ないですけれども、100株程度が検討されておりまして、こちらでも現在、PCV13PPSV23のカバー率は54%、67%と、ほぼIPDと同じようなデータになっています。

 9ページでは、ワクチンの効果、免疫原性についてお示ししています。海外データ、国内データがありますけれども、23価ワクチンとPCV13との免疫応答の違いを見ています。接種1カ月後の応答で見ますと、PCV13のほうがPPSV23よりも同等かあるいはそれよりすぐれているということで、IgG抗体あるいはオプソニン活性という評価をされています。国内のものもありますけれども、こちらでも同様の結果であります。

 連続接種の免疫原性は、海外のものでありまして、このようなPCV13接種後にPPSV23を接種する方法もあるということが示されています。

10ページは、発症抑制効果であります。PCV13によるオランダで実施された二重盲検試験の結果ですが、市中肺炎に対する効果がここで示されています。オランダでは、23価ワクチン及び13価ワクチンが定期接種にはまだ導入されていない状況下で検討されています。このスタディーで得られた結果としましては、プラセボと実薬の比較から、肺炎球菌による菌血症を伴わない非侵襲性の市中肺炎全体については45.6%、そういった結果が出ています。侵襲性感染症に対しては75%の結果が得られています。全ての原因による肺炎を評価したところ、これでは有意なワクチン効果が得られませんでした。さらに、PCV13によるワクチン血清型による市中肺炎に対する効果は、約4年間持続したということがこの論文では示されておりますが、こういう全ての原因による市中肺炎に対する効果とか、あるいは市中肺炎及びIPDによる死亡の抑制効果は見られておりません。また、国内の高齢者におけるIPDや市中肺炎に対する予防効果は示されていません。

 次に、安全性でありますが、海外のスタディーにおきまして、PCV13PPSV23接種後の局所及び全身反応はほぼ同等であったということが示されております。

11ページでは、海外のデータで23価ワクチン接種後の70歳以上の高齢者におきましては、PCV13接種群よりPPSV23接種群において局所及び全身反応が少し多かったということが示されておりますが、いずれでも重篤な副反応は起きていません。国内でも調査がされておりますけれども、これでも同様の結果が得られています。

12ページは、医療経済学的評価あり、肺炎医療費について4つの方法で、国内の患者数、医療費の情報を収集されています。

 まず、患者調査の文献40によると、結果的には肺炎の総数は7.9万人であり、そのうち65歳以上は4.9万人と推定する。この罹患期間を1カ月としますと、年間の患者数は58.8万人となるということが示されています。

 医療給付実態調査、文献41では、医療費が65歳~74歳で74万円、75歳以上では87万円となっています。

13ページです。先ほどの国内4病院での調査では、65歳以上の市中肺炎の患者さんが130万人いるということが示されています。表4には、市中肺炎の罹患率、入院率、院内死亡率が示されています。

 また、我が国で388病院のDPCデータの分析がされておりまして、平均入院期間は13.9日、平均入院費用57万円、30日以内の院内死亡率が5.8%というデータが得られています。

 また、国内の過去の研究データ、文献44から得られたデータでは、1肺炎エピソード当たりの医療費は、外来診療が4万円、入院診療が110万円、そういったデータが得られているということです。

14ページに行きますが、我が国の65歳以上の高齢者における肺炎医療費は年間4,400億円、患者数が60万人としておりますが、これらの研究データから得られたものでは、患者数が130万人とすると9,500億円見積もることができるということになっています。このように患者数と1人当たりの治療費を計算して総医療費が出るわけですが、我が国では患者数を正確に把握することが難しく、推計に大きな幅があることがわかるということであります。

 また一方、65歳以上の高齢者全員を予防するとワクチン代が3,300億円かかるわけですけれども、ワクチンで削減できるのは肺炎医療費の一部だけであり、考え方としては、ワクチン接種によって肺炎球菌感染症の罹患や重症化を防ぐことで得られる質調整生存年(QALY)というものを使って、費用対効果を評価する必要があるということであります。

 成人用PCV13の費用対効果ですが、これにつきましては、米国のACIPで利用されたデータについて説明をさせていただきます。

15ページでは、Stoekerという人が、オランダで実施されたCAPiTAスタディーのデータを引用して費用対効果を再検討した成績を示しております。ここでは、IPDに対する効果がPPSV23では74%、PCV13では75%、同等としていますが、菌血症を伴わない肺炎球菌性市中肺炎に対してはPPSV23の有効率を0%、PCV13の有効率は45%、これはCAPiTAから来たデータですけれども、大きく異なると仮定したというところで計算されています。

16ページに図6があるのですけれども、こういう仮定のもとに計算をすると、1年分のQALYを獲得するために必要な費用が6.2万ドル、約750万円になることがわかりました。米国ではQALY当たり5~10万ドル以下であれば許容範囲内とみなすので、ここではPCV1323価ワクチンに追加接種することが費用対効果にすぐれていると判断したということを報告しております。

 一方、国内のPPSV23の特にHCAPを対象としたスタディーで肺炎の予防効果として64%予防ということが得られているわけでありますが、こういった事実国内のエビデンスを無視した仮定に基づいた費用対効果であるという理解がされるべきであろうと考えております。

 我が国における肺炎球菌ワクチンの費用対効果につきましては、高齢者におけるPCV13単独接種あるいはPPSV23PCV13の連続接種によるIPD並びに市中肺炎に対する予防効果、医療費の削減効果に関する臨床データはありません。このため、肺炎球菌ワクチン接種プログラムを議論するために必要な費用対効果のエビデンスは不足しております。海外とは接種率や医療費などが異なりますために、海外データをそのまま利用することはできないと考えます。少なくとも我が国独自の罹患率や費用データを用いたモデル分析が必要であり、その上で、結論に影響を与える要因については追加調査によるデータ収集と専門家による詳細な検討を考慮すべきであると考えております。

17ページは、予防接種スケジュールでありますが、割愛します。

18ページは、総合的評価であります。疾病負荷の評価についても割愛します。

 その後、血清型置換が国内でも、小児、成人で起こっているということを記載しています。

 ワクチンの評価についてもCAPiTAの成績を記述しております。

18から19ページにかけて、我が国では2014年から65歳以上の高齢者に対して23価ワクチンが定期接種ワクチンとなっています。また、小児における201011月以降のPCV7の公費助成、定期接種導入によりまして、成人のIPDや肺炎球菌性肺炎由来の原因菌の血清型置換が明確になっています。我が国では、2014年6月にPCV13の適応が拡大され、さらには米国ACIPではPPSV23PCV13、両方の接種が推奨されました。しかしながら、このように肺炎球菌の血清型置換が進行する現状の中で、我が国の65歳以上の高齢者におけるPCV13単独接種あるいはPPSV23PCV13の連続接種によるIPD及び肺炎球菌性肺炎に対する予防効果や肺炎医療費の削減効果のエビデンスはまだ得られていない。このため、少なくとも我が国独自のIPD及び肺炎球菌性肺炎の罹患率や医療費データを用いたモデル分析が必要と考えられたということであります。

 ちょっと時間が長くなりましたが、これで終わらせていただきます。

○倉根委員長 ありがとうございました。

 それでは、続いて資料4の説明を事務局からお願いします。

○氏家課長補佐 事務局から資料4について御説明させていただきます。

 資料4は「沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンを定期接種に使用することの是非に関する検討方針」の議論でございます。

 ページをめくっていただきまして、検討方針案でございます。先ほど大石参考人に御説明いただきましたように、さまざまな観点での議論が13価肺炎球菌結合型ワクチンに関してあろうかと存じます。現在、高齢者の肺炎球菌ワクチン施策としましては、23価の肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンが用いられている背景を踏まえた上で、議論を円滑に進めるために、下記の4点について議論をした上で、総合的に具体的な検討方針を取り決めるということにしてはいかがでしょうかという事務局提案でございます。

 1番目としまして、ワクチンの有効性、2番目、ワクチンの安全性、3番目、費用対効果、4番目が使用するワクチンとその使用方法についてでございます。もちろん、そのほかの論点等がありましたら、御指摘をいただきたいと考えております。

 その上で、4点について主な論点と事務局提案について御説明させていただきます。

 まず、ワクチンの有効性の主な論点でございます。

 ファクトシートにも記載がございますように、有効性に関しては、疫学データについて、免疫原性について、臨床(発症抑制)効果についてという論点があろうかと存じます。

 疫学データにつきましては、ワクチン製剤に含まれる血清型の実際の感染におけるカバー率が、侵襲性肺炎球菌感染症及び市中肺炎ということで、各国、地域等によって異なっていることが言えるかと思います。また、現在、小児に対して13価のワクチンを用いた定期接種を行っておりますので、そういったことによる影響、集団免疫効果ということも検討に含まれてこようかと考えております。

 免疫原性につきましては、抗体価の上昇という観点と免疫持続期間という観点での議論があろうかと思います。

 発症抑制効果につきましては、侵襲性肺炎球菌感染症の予防、市中肺炎の予防、これらに関する国内及び海外における評価、こういったものが主な論点になろうかと考えております。

 ページをめくっていただきまして、こういったことを踏まえての検討方針としまして、13価の肺炎球菌結合型ワクチンにつきましては、昨年6月から高齢者への使用が国内で承認されたものでございまして、まだまだ使用経験が限られているということがございます。そういった国内での臨床的な評価については明らかになっていない部分も多いということで、今後の方針としまして、不足するデータをできるだけ収集した上で評価を行っていく必要があろうと考えておりますが、その点について議論をいただきたいと考えております。

 次のページ、2番目の安全性に関する主な論点でございます。安全性に関して国内及び海外における評価というのがございます。また、定期接種として用いる場合には、現在、定期接種として用いられている23価のワクチンの製剤との関連性も論点として上がろうかと思います。

 次のページをごらんになっていただきますと、ファクトシートにも記載がありますように、国内、海外における臨床試験においては、13価の肺炎球菌結合型ワクチンによる副反応は一定程度報告されているところですが、重篤な副反応と予防接種を関連づけた報告は見られていないという背景がございます。さらに、13価と23価を併用した場合、どのような安全性のデータがあるのかということについては、国内で十分な知見がないという状況もございます。

 そういったことを踏まえまして、現時点において13価の肺炎球菌結合型ワクチンを単独で接種することについては、特段、安全性に関する懸念は報告がない状況と考えられます。

 ただし、23価の肺炎球菌結合型ワクチンと併用することを検討する場合においては、これに関する副反応の検討が必要となると考えられるということで、事務局提案とさせていただいております。

 続きまして、3番目の費用対効果についての論点です。費用対効果につきましては、モデル解析でどのような手法があるのかという評価方法についての検討があろうかと考えております。

 そこに用いられる必要なデータというのは、主に費用と効果に関するところでございますが、費用につきましては、ワクチンの価格もそうですし、そのほか、肺炎によって生じる医療費、そういった疾病負荷についても具体的なデータが必要になろうかと考えております。発生抑制効果につきましては、ファクトシートにもありますように、侵襲性肺炎球菌感染症、市中肺炎、その他医療関連肺炎球菌感染、そういったことの議論があろうかと考えております。

 また、既存の国内評価としまして、23価の肺炎球菌結合型ワクチンにつきましては、過去に感染症分科会予防接種部会におきまして評価が行われてきた製剤でございますので、そういった評価の取り扱いということについても論点になろうかと考えております。

 次のページは、費用対効果に関する検討方針でございます。ワクチンの発症抑制効果の評価など、なかなか得られにくいようなデータ、そして、利用可能なデータが限られているという現状があろうかと思いますが、可能な限り国内の実情に応じたデータの収集が求められるのではないかということで提案させていただいております。

 また、2点目としまして、23価のポリサッカライドワクチンとの比較対照評価ということが考えられますが、過去に国内で行った検討の経緯も踏まえつつ、ただ、状況がまた変わってきておりますので、その中でも、できる限り最新のデータを念頭に置いて評価を進めていくことが望ましいのではないかということで提案させていただいております。

 次のページの4点目の論点、使用するワクチンとその使用方法についてでございます。 高齢者の肺炎球菌ワクチンを定期接種化する場合において、理論上でございますが、以下の4つの方法が考えられ、それぞれの検討を行う必要があると考えております。

 大きな1番、2番としましては、2つの製剤は性格の異なるものでございますが、両製剤とも定期接種として使用可能とする場合、一方のみを定期接種として使用可能とする場合でございます。

 両方を使用可能とする場合におきましては、使用方法としては、さらにマル1、マル2のように分かれることが考えられます。マル1としましては、両製剤を接種することを前提に検討を行う場合、これは米国で健康な高齢者に一部公費助成も含めて接種が行われているような方法でございます。マル2としましては、両製剤を選べるようにして、どちらか一方を選択して接種できるという制度とした場合ですが、そういった場合には幾つか課題もございまして、特性の異なるワクチンでございますので、誰がワクチンの選択をするのか、その判断を行う者の位置づけ、そして特性が異なって、また費用も異なるワクチンでございますので、そういった費用負担のあり方が現在の制度においてどのように実施につながるのか、こういったことが課題になると考えております。また、現状におきまして、2つのワクチンを対象に公費で国として健康な高齢者に助成して、片方を選択して接種するというような形で定期接種を実施している国はないという状況がございます。

 2番目としまして、マル3、マル4は一方を定期接種として可能とするような場合でございます。マル3の23価のワクチンのみを接種する場合、これは現行の定期接種制度でございまして、古くからあるワクチンでございますので、健康な高齢者に対して公費助成での接種を実施している国は現時点では多数あるという状況がございます。マル4としまして、23価は接種しないようにして13価だけを接種するという形をとった場合でございます。課題としまして幾つかあり、まず現行での定期接種制度からの移行に課題があると考えております。13価の肺炎球菌ワクチンにつきましては、接種対象年齢が65歳以上となっておりますので、現行の制度で言う60以上65歳未満のハイリスク者、そして当該年度に65歳になる方ですので、年度開始時点では全ての接種対象者が64歳の方となっておりますが、そういった方に対する、65歳以上に接種を行うことを承認されている13価ワクチンを使っての接種が、現行の制度では受けられないという制度上の課題もございます。また、13価に使用するワクチンを変えるという場合には、過去に23価のワクチンを打った方をどのような取り扱いにするのか、こういったこともあわせて考えていく必要があると考えております。また、こういった方法での接種を行っている国は現時点ではないと考えております。

 最後のページは、事務局提案でございます。マル2の選ぶ方法につきましては、費用対効果をモデリングで実施することは難しく、その評価は23価と13価のワクチンの一方のみを打つ場合の評価の間ということになろうかと思いますので、マル1、マル3、マル4の方法における費用対効果の評価を、きちんと必要なデータを収集した上で、それに加えて各ワクチンの有効性、安全性、運用上の課題等を評価した上で、使用するワクチンとその方法について総合的な判断をしていくという方針にしてはいかがかと考えているところでございます。

 事務局からは以上です。

○倉根委員長 両方の御説明、ありがとうございました。

 提案ですが、資料4を主に考えつつ、議論を進めたいと思います。進め方は幾つかあろうかと思いますけれども、まず、事務局から4つの大きな項目があるのではないかという提案、さらに、それぞれについて今後進めていってはいかがだろうかということを出してもらっております。本日は、それぞれの提案に関して、さらに検討する項目があるかどうかというところ、それから、それぞれの項目について、もう1つ、2つ、項目がふえるかもしれませんけれども、さらにこういうデータが必要になるのではないかという御意見をいただくということであります。きょう、使用法について決めるということではありませんので、まずはどういうデータが今後必要か、あるいは論点が欠けているかもしれないとすればそこを御指摘いただく、あるいは御意見をいただくという形になります。

 まず、2ページに検討の項目として4つ出しております。ワクチンの有効性、ワクチンの安全性、費用対効果、使用するワクチンとその使用方法という項目が必要なのではないかということを案として示しております。ある項目についてさらに何が必要なのかというのはまた後で御議論いただきますけれども、項目として、さらに論点として追加すべきものがあるか、委員の方あるいは参考人の方、何か御意見がございましたらいただきたいと思います。いかがでしょうか。何かございますか。

 おおむねこの4点でよろしいということでしょうか。もし議論の途中で忘れていたというようなことがございましたら、また入れていただければ結構ですので、まずはこの4点が重要な項目だということで委員会としては了承するということかと思います。

 それでは、次に具体的なところに入りたいと思います。もう1枚おめくりいただきまして、ワクチンの有効性についてどんな論点があるか、そこに取りまとめてあります。疫学データについて2つ、免疫原性について詳細な項目として2つ、臨床的な発症抑制効果について3つございます。

 各項目の中にそれぞれ小項目が入っておりますけれども、さらに追加すべきではないか、あるいはこれは要らないのではないかということがございましたら、御意見をいただきたいと思います。

 大石参考人、どうぞ。

○大石参考人 資料説明の中で氏家補佐は対象とする疾病としてIPD及び市中肺炎、医療関連肺炎ということも触れられたと思います。私もファクトシート説明の中で、市中肺炎だけでなくて、医療ケア関連肺炎を含めた市中発症肺炎、英語ではCommunity-Onset Pneumoniaとなっています。そのようなことで、市中肺炎のみならず医療ケア関連肺炎を含む市中発症肺炎を対象疾患として肺炎球菌ワクチンの有効性の評価をしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○倉根委員長 大石参考人からそのような意見が出ておりますが、いかがでしょうか。各委員、よろしいですか。意見としてよろしいのではないかということでしょうか。

 ほかにございますでしょうか。

 福島委員、どうぞ。

○福島委員 免疫原性についてですが、抗体価の上昇あるいは免疫持続期間というところで、細かいことなのですけれども、13価単独接種のみの免疫原性を見るのか、あるいは23価の後に13価を打った場合とか、13価を打った後に23価を打った場合まで見るのかによって、かなりタイムライン感が違ってくるような気がします。小委員会で明確にすべき点かどうかわからないのですが、少し気になってお尋ねしました。

○倉根委員長 福島委員の今の御意見というのは、幾つかの接種方法によっていろいろな解析のパラメーターがふえてくるだろうと、むしろそこも考えた上での解析が必要になるのではないかという御意見で、それに基づいて、その後、判断する必要が出てくるわけですから、免疫原性については、13価単独あるいは23価との複合等も含めてデータがあるのであれば、そこもきちんと含めた形でのデータの整理が必要だ、それに基づいてまた小委員会で議論できる、そういう御意見と伺ってよろしいですか。

 福島委員からは、そういう御意見をいただいておりますが、確かに免疫原性という言葉の中にはいろいろな解釈といいますか、どういう接種方法をするかによって明らかに違うでしょうから、データを集める際にそこも考慮してやるということかと思います。

 ほかにいかがでございましょうか。

 岡田参考人、どうぞ。

○岡田参考人 福島委員のご意見と同じですが、有効性、安全性、費用対効果、全ての項目にわたって、13価ワクチンは現在、高齢者の場合には任意接種ですから、今後、臨床研究でワクチンの介入試験をするとすれば、例えば私たちの「予防接種推進専門協議会」のような学会の集まりに、こういうデータが欲しいとか、あるいは観察研究だったらこういうデータが欲しいなど具体的な提案をいただければ助かります。また、学会ではありませんが、大石先生の研究班の中に、どのような追加データが欲しいなど具体的なデータの集め方を決めていただかないと、なかなか議論が進まないような気がします。いかがでしょうか。

○倉根委員長 今、岡田参考人からは、存在するデータだけでなく、仮に新たに要求する場合に具体的な話でないとなかなか進まないのではないかという御意見なのですが、介入試験といいますか、新たなデータをつくるという時間的な、ここは事務局はどういうふうにお考えですか。

○氏家課長補佐 事務局からお答えします。

 参考資料3にもございますように、今、感染研のほうで現存の知見をファクトシートにまとめていただいたところでございます。この情報をもとに議論ができるかどうか、もし不足するものがあるのであれば具体的にどのような科学的知見の収集が必要であるか、小委員会の先生方に具体的な提案、指示をしていただきたいと事務局としては考えております。

 ただ一方で、23価の肺炎球菌ワクチンが定期接種されている中での状況でございますので、そういったデータがどこまでとれるのか、具体的にどれぐらい実現性があるのか、どういったデータが必要になるのかを踏まえた上で、委員会から御提案がございましたら、議論いただいた上で、事務局としては対応を検討してまいりたいと考えております。

○倉根委員長 福島委員、どうぞ。

○福島委員 岡田参考人が言われたことに少し追加させていただきたいのですけれども、今回の議題は、米国の動向がかなり参考にされているように思います。米国では13価が定期接種化されましたけれども、その背景には、13価のほうが免疫の記憶がよいということで、13価を先に打って免疫の記憶をつけておいて、その後、23価で幅広く血清型をカバーするといったような考え方によって13価が定期接種になったということもあるのかなと理解しております。

 事務局でお示しいただきました資料4の免疫原性についてでございますけれども、ここまでのデータがあって初めて結論できる、というような方向性を示しておいたほうがよいのかと思います。

 すなわち、13価単独で日本人でも免疫原性はあるというデータだけでいいのか、それとも、23価を打った後に13価を打ったり、13価を打った後に23価を打ったデータまで欲しいのかというところを示しておかないと、データを提供していただく研究班等もちょっと混乱が起こるのかなと思いました。

○倉根委員長 今、福島委員からそのような御意見をいただきました。余りいろんな組み合わせで要求しても難しいかもしれない、そういうこともあるし、判断するにはどんなデータが必要かということをここで少しディスカッションしたらいかがかということですね。そうしますとどんなデータが必要になりますか。

 大石参考人、どうぞ。

○大石参考人 13価だけの65歳以上の成人に対する免疫原性あるいは安全性は確認されているわけで、恐らく必要になってくるのは、福島委員がおっしゃるように、PCV13を打って適切な間隔でPPSV23を接種したときに両ワクチンに共通する12血清型のブースター効果が本当に得られるのかというところまでかなと思います。もちろん安全性もあると思います。それは国内データがないので、海外のデータはあるのですけれども、個々のデータといいますか、明確に得られていないところがあります。特に接種間隔が短かくて、13価ワクチンで十分抗体が増加しているとPPSV23を打ってもさらなる抗体増加はほとんどみられないのです。これまでの論文は、追加接種すること、PCV13を打ってPCV13を打つことでブースターがかかっているということを示しているのですけれども、我々としてはやはり国内での個々のデータを見て確認する必要はあるのかなと思っています。

 以上です。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 ほかに御意見をいただきます。

 岡田参考人、どうぞ。

○岡田参考人 そういう意味では、観察研究は、サーベイランスのデータが多い大石先生の研究班の中で今からも続けていかれると思いますから、ある程度効果はわかると思います。一方、ワクチンを連続接種したときの有用性を評価するときに13価は任意接種のままだとやはりワクチンの介入試験が必要になってくると思います。大石先生の研究班に介入試験まで求めて、連続接種の有効性と安全性を求めるのかどうかというのは、この委員会で決めていただいたほうがいいのかなと思います。

○倉根委員長 岡田参考人からそういう御意見が出ましたけれども、大石参考人、どうぞ。

○大石参考人 私が答えるのが適切かどうかわからないのですけれども、連続接種による免疫原性に加えて発症抑制効果を見られるのが一番いいと思います。免疫原性評価では接種後の1カ月間の抗体の上昇だけを見ていることが多いので、それだけでは十分な評価とは言えないと思うのです。

 ところが、連続接種の介入試験の発症抑制効果を見るとなると、コントロールはPCV13単独であったり、PPSV23単独となります。3グループの前向き試験を数年かかってやるということになります。また、国内ではPPSV23が定期接種化されていることから、全国的に接種率は30%ぐらいに達している現状もあり、なかなか実現性は難しいのかなと思います。

 一つは、そういう対象の問題、もう一つは予算の問題です。巨額の予算がかかるのだろうと思います。PCV13とプラセボの2群で成人の市中肺炎発症を評価したCAPiTAスタディーでさえ85,000人を対象として前向きに調査しているわけです。また、ファイザー社の特殊な尿中抗原血清型決定法を使っているわけで、そこにはかなり技術的な問題もあります。結論として、経済的問題、評価対象の問題、技術的問題などから、かなりハードルが高いと私は思います。

○倉根委員長 わかりました。

 ほかにいかがでしょうか。

 こういうふうにしてはいかがでしょうか。今、委員及び参考人から詳細なやり方についていろんな意見が出ました。新しいデータをつくるときにどのくらい困難であるか、あるいは比較的容易に出るか、あるいはそれがどのくらいエッセンシャルなものであるかということも考えなければならないということなので、きょう御意見をいただきましたが、少し整理した形で、次回の委員会にこういうふう考えたらいかがかという考え方をさらに提示するということで進めたいと思います。ここで十分な時間がない中で議論するというのは、委員の方々の考え方の整理も難しいかと思いますので、まずここについてはいろいろ出た意見をもう一度そしゃくして、次の委員会に提案し、そして方向性などを決めたいと思います。そのような形で1のワクチンの有効性については進めたいと思います。

 1のまとめとしては、青い囲みの中にあるように「不足するデータを可能な限り収集したうえで評価を行う」と考えておりましたが、さらに、収集だけでは足りないのではないかという御意見もあったように思いますので、仮に必要なデータをつくるとした場合にどのくらいの困難さ、労力、実現可能かどうかということもありましょうから、そこも含めた上で御提案するという形にしたいと思います。

 次に、2に移ります。「ワクチンの安全性の主な論点」ですが、国内及び海外における評価、PCV13PPSV23の両製剤を接種する場合のスケジュールについてということで、もう1枚おめくりいただいて、事務局からの提案があります。さらに安全性についての論点、あるいはもう少しこういうデータが必要である、こういうデータをつくる必要があるのではないかということがございましたら、言っていただければ、項目として入れることになろうかと思いますので、そこの点をお願いいたします。

 ここには2つだけが書いてありますけれども、先ほどの福島委員の有効性に関する御意見も考えれば、順番もありましょうし、それぞれの期間もありましょうし、どれだけのデータが存在しているのか、今後、打ち方を変えて安全性のために何かスタディーするというのはなかなか難しいと思いますが、そのようなデータが世界中であるのか、あるいは国内でどのようなデータがあるのかという整理は必要かと思います。ここも文言で書けば2行にはなりますけれども、かなり大変なデータになろうかと思います。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 先ほどの有効性ともかかわるのですけれども、安全性調査については、かなりn数が大きくならないと正確なデータがなかなか出てこないと思います。ただ、限られたデータの中でそれを見ていくためには何人ぐらいの調査が必要なのかというのをぜひ疫学の研究を専門にされている先生にも出していただいて、有効性と安全性を両方見ていく必要があります。単独接種の場合、それから併用接種の場合、どのぐらいの間隔を置いたらいいか、ある程度条件を振って、どれぐらいの調査数が必要だとか、そういうのを最初に決めて、有効性、安全性両方を見ていけるような研究デザインを立てないと、任意接種のままだと接種を受ける人が非常に少ないので、検討が難しいと思います。これぐらいの調査数がなければ判断できないのではないかというのを出してから、検討計画を有効性と安全性の両方で進めていけばどうかと思いますが、そういうのは難しいでしょうか。

○倉根委員長 先生の御意見として、まずは伺います。それがどのくらい難しいものなのか、あるいは副反応の率が、重篤なものが少ないとすればそれは非常に難しい話にはなりましょうけれども、私も何と答えていいかわかりません。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 安全性については、重篤なものは、恐らく定期接種になるぐらいのかなり多くの被接種者がいらっしゃらないとなかなか難しいと思います。少なくとも23価については定期接種が始まっているので、かなりの数の方が受けられていますので、安全性についてはもう少し正確に情報を出していただくことができるのではないかと思います。それを踏まえて、そこに13価を併用するのか、13価だけの人はどうするのか(検討するのか)、そういう計画を立てられればと思います。

○倉根委員長 大石参考人、どうぞ。

○大石参考人 多屋先生のコメントはごもっともなことだと思います。過去の論文から言いますと、ファクトシート、文献38にはそのような接種間隔の検討がされておりまして、これまでの検討の中では2カ月と6カ月だったと思うのですけれども、2カ月だと副反応が多いので、当初、2014年に米国ACIPは、6カ月以上の間隔はとりましょうということを決めたと思います。ですから、そのサンプルサイズ等のデータは、そこの論文から参考にできるのかなと思います。ただ、先生がおっしゃったPPSV23はいっぱい打たれているという話ですけれども、今後使われるべきはPPSV13接種後のPPSV23接種なので、そこはなかなかデータが使えないかもしれません。

 以上です。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 金川委員、どうぞ。

○金川委員 抗原の有効性とか安全性、全部なのですが、今、PPSV23が動いていて、今後、13価を定期接種に入れるかどうかという検討であれば、PPSV23はそのままあって、いろんな組み合わせのベストを選ぶというのだったら、ゼロベースで全部やり直しという論議になるのかというところなので、全てやらなければいけないというのは非常に複雑ではないかと思います。今、PPSV23をやって、それに13価を足したときのメリットは何かを探すということであれば、もう少し整理ができるのではないかと思うのです。有効性も安全性もそうですね。

 間隔についてとか、2つ同時に接種する場合にどういう方式でやるかというのは、ある程度方針を決めてデータをとるということであれば、もう少しすっきりと出ると思うのですが、全てゼロベースからやるとなると、間隔であっても6カ月がいいのか、1年がいいのかとか、あらゆるバージョンを考えなければいけないということなので、ある程度、小委員会や基本方針部会などでそのベースを決めてスタートすることで費用や期間を縮められるのではないかと思います。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 具体的にはそういうほうがデータもとりやすいし、判断もしやすい、議論もしやすいという先生の御意見であります。

 福島委員、どうぞ。

○福島委員 今、金川委員がおっしゃられたことに私も同意いたします。もし可能であれば次回の小委員会で情報をいただければと思いますが、既に23価が定期接種になっている上で、昨年6月から13価が高齢者への適応として承認されたということがございますので、例えば厚生労働省研究班あるいは学会主導で、23価をベースにして13価を接種した場合に免疫原性がどうだったか、そういうデータを既にお持ちか、あるいは現在そのような研究が進行中であるのかどうかという情報もいただければ、少し議論が進むのではないかと思いました。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 今後そういうデータがもし必要であればつくることも出てくる可能性もあるということですね。

 大石参考人、どうぞ。

○大石参考人 今の福島委員の御意見にできるだけ応えたいと思うので、まず確認ですけれども、PPSV23が接種されていて、その状況下でPPSV13を打った場合にどうなっているか、それはスタディーとしては国内の学会主導でもまだ行っていないと私は認識しています。

○倉根委員長 今、そういうデータは恐らくないということですね。

 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。

 ここについても、先ほどの有効性とも関連しまして、幾つかこういう考え方が必要だという御意見はいただきました。2の項目で「現時点で、PCV13の単独接種については、安全性に関する特段の懸念は報告されていない」とあります。これは余り議論しておりませんけれども、事実として恐らくそういうことだろうと思います。いずれにしましても、次のPPSV23との併用を検討する際には、副反応についてもさらなるデータが必要だと思いますし、小委員会が望むデータが存在しないかもしれないので、そこについても、今、御意見をいただいた中で、どれだけのデータが存在するかということと、仮にそれがキーであるということであれば新たにそのデータをどうやって集積させていくかという方策も考えなければいけないということかと思います。そういうふうなまとめになるのだろうと思います。

 次に、3の「費用対効果の主な論点」についてです。評価方法について(モデル解析等)、評価に必要なデータについて、費用の面、発症抑制効果との比較を考えつつということになろうと思いますし、既存の国内評価の取り扱いについてということで項目を幾つか挙げております。費用対効果についても、何かさらにつけ加えるべきものはございますか。

 池田委員、どうぞ。

○池田委員 3点申し上げたいと思います。

 1点目でございますが、先ほどファクトシートの御説明をいただいた中で、資料3の14ページにも書いてありましたが、費用の増減だけではなくて効果の指標が必要で、それには質調整生存年(QALY)がいいのではないかということがございます。私も同感でございまして、そうなりますと実は評価に必要なデータは、費用、発症抑制効果、そしてQOLが要るのです。日本ではQOLの評価と研究というのは非常におくれておりますので、これも評価に必要なデータということで追加いただけるとよいと思います。

 2点目ですが、米国のACIPでの分析などの御紹介もファクトシートの中でしていただいています。ACIPのほうでは、ファクトシートをまとめられた先生方は御存じのように、QALYと、1生存年延長当たり幾らと生存年での評価もしています。これも追加的に日本でもそういった視点での分析もしたほうがいいのではないか、それは評価方法についてということですが、それも御検討いただければと思います。

 3点目ですが、医療費についても国内の研究レビューされておりますけれども、ただ、DPCデータだと入院した症例しかないので、それだけ使うと医療費が非常に高く出てきてしまいます。今、ナショナルデータベース(NDB)のほうの研究利用も可能になってきておりますので、ぜひ日本における費用データは、正確なといいますか、信頼性の高いものを使用できるようなことも検討していく必要があると思っております。

 以上、3点です。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 今、池田委員から考慮すべき点として3点御意見をいただきました。

 ほかにいかがでしょうか。

 原委員、どうぞ。

○原委員 医療経済を池田委員にお伺いしたいのですけれども、こういう評価をするときに、HCAPとか、家庭で介護しているような高齢者が肺炎になった場合に、介護とか入院に連れていくときの労働損失はこういうところに反映させてくるべきものなのでしょうか。ちょっとわからなかったので。

○倉根委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 今の御指摘に関しましては、なかなか難しいところがございまして、お金の影響だけを見るのであればぜひそういうものを含めて分析したほうがいいと思いますし、今回も可能であればそういう分析を追加してやっていただくのがいいと思います。

 ただ一方で、例えば国の財源なり、そういった公的な財源でどこまでこういったものをカバーするかというときに、どういう視点で分析するかというのはいろいろまた議論のあるところです。あと、Cost per QALY、1QALY当たりの費用というときに幾らまでが費用対効果がよくて悪くてという判断をするときには、通常そうした労働損失などの間接費用を除いた数字で評価することが一般的かと思います。重要な御指摘ですので、そのあたりの評価方法についても海外でどうやっているかというのは私のほうでも調べてみたいと思います。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 ほかにございましょうか。

 1ページめくっていただいて、事務局案として示してあるものですが、「費用対効果に関する検討においては、下記のような方針とすることとしてはいかがか」「ワクチンの発症抑制効果の評価等、利用可能なデータは限られており、評価が困難なものもあるが、可能な限り日本国内の実情に応じたデータを収集した上で評価を行う」。ただ、今、池田委員からも、さらに項目を追加ということで御意見もいただいていますので、そこも事務局で整理するということであります。

 それから、PPSV23との比較対照を行うに当たっては「過去の検討の経緯も踏まえつつ、できる限り最新のPPSV23の評価にデータを更新することが望ましい」ということで、最新のデータをもう一度集め直すといいますか、さらに見て整理し直すということであろうと思います。よろしいでしょうか。

 次に、4の「使用するワクチンとその使用方法」についてですが、ここはなかなか難しいところかと思います。PPSV23PCV13の両製剤のコンビネーション、可能性としてといいますか、それぞれ分類すればそういう分け方になることを述べてあります。

 使用方法に関する議論をさらに行うという意味で、次のページですが、マル1、マル2、マル4のそれぞれの方法における費用対効果を評価した上で、各ワクチンの有効性・安全性、運用上の課題を考慮した上で、使用するワクチンとその使用方法を総合的に判断する。そのためのデータをさらに収集する。マル2については、それぞれのワクチンの接種率によってマル3とマル4の間の評価となるということです。このような組み合わせも考慮し、これまで議論いただいた評価のためのデータ、それから、上で述べました費用対効果のものもさらに集める必要があろうかと思いますので、そこもかなり複雑な、幾つかのデータに基づいた判断になろうかとは思います。この点に関しては何か御意見をいただけますでしょうか。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 実はこの部分(使用方法の案出し)が一番大事ではないかと感じております。これが良いのではないかという案を肺炎球菌を専門にされている先生に幾つか出していただいて、それぞれで有効性、安全性、医療経済を検討していくのがいいのではないかと思うので、ここが一番、肝かなと感じました。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 先生としては、それぞれの項目に応じてもう少し具体的なデータを提示してもらって、さらにそれに基づいて議論をしたいという御意見ですか。

○多屋委員 例えば、PPSV23のみ、PCV13のみ、そして、それぞれを併用する、併用する場合はどれぐらいの間隔で接種してみるというのを案として出していただいて、それについて検討していく。それが先に決まらないと、ばらばらではなかなかデータが集まりにくいのではないかという意見です。

○倉根委員長 わかりました。

 近藤委員、どうぞ。

○近藤委員 この方針で基本的にはよろしいかと思うのですが、費用対効果を行うのに当たって、有効性についてはこれまでの議論に出てきましたし、安全性、そういったものをいかにモデルに組み込んでいくかということなのですけれども、もう一つ重要な要件で触れられていないので、考慮の中に入れたほうがいいかもしれないということで指摘したいのが、タイミングの問題であります。5年間で5歳置きの方々がどんどん進んでいくと疫学的には血清型置換とか、そういうことが起こってきますけれども、当然のことながら、打っている際にもイミュニゼーションのカバレッジが変わっていくわけですね。そこをスターティングポイントに分析するということになると、医療経済学的には、経済評価する場合においてはスタートポイントが相当変わってくるので、ただ、経済評価の場合は、有効性や安全性のデータを確立した上でしか組めませんので、モデルを組む際に当たっては、そういうタイミング、23価のほうで進んでいる現実社会での接種状況を踏まえたところを考慮した上で判断していくというようなことについて、あえて書く必要があるかないかわからないのですが、ポイントとしてはちょっとあるかなと思いました。

○倉根委員長 今、タイミングとおっしゃいましたけれども、解析する時々で世の中の状況が変わってくるので、あるタイミングを設定しないと難しいのではないかということですか。

○近藤委員 経済評価は、サイエンスとしては社会的な意思決定を支援するサイエンスで、そのときにベストを尽くせばいいというものではあるので、委員会の中で、有効性、安全性について、時が満ちました、情報が集まりましたということであれば、その時点でというのがタイミングのとり方で、それに応じて、分析するに当たってはそのタイミングが出発点であることをちゃんと考慮したほうがいいということをコメントしたかったということでございます。

○倉根委員長 わかりました。ありがとうございます。

 赤沢参考人、どうぞ。

○赤沢参考人 今の近藤先生の御意見と同じですけれども、ACIPでも集団免疫効果が、小児ワクチンが広がることによってかなり費用対効果が変わるだろうと、ACIPでは現状で結論を出しておりますけれども、5年後にはもう一回再評価するということを明確に結論としてうたっています。ですので、どの時点でも構いませんけれども、意思決定をやるときの最新のデータで1回やる。ただ、例えば集団免疫効果にしろ、ある程度新たな知見が出たときに、大きな影響があるのであれば見直していくということも含めて議論されたほうがいいのではないかというのがACIPから学んだことかなと思います。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 ほかにこの点で何かございましょうか。

 菅沼委員、どうぞ。

○菅沼委員 この4つのうち、現実にあるのは2つしかなくて、日本の今のやり方とアメリカのやり方ということになって、先ほど大石参考人からありましたけれども、データが単独ではほどほどあって、ないのは連続接種ということになるので、ここのところを重点的にやるというのが本筋になっていくのではないかと思います。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 それでは、ここにつきましては、今、菅沼委員もおっしゃいましたけれども、可能性としての組み合わせというのは幾つかあるけれども、もう少し現実的にどれを考えるかということも含めてデータの再整理をすべきではないかということで、多屋委員が先ほどおっしゃったこととも重なる部分であります。

 そうしましたら、本日、1から4に関して多くの意見をいただきました。かなり具体的な意見、それから総論にわたる部分をいただきましたので、これをもう一度整理したいと思います。

 その他で何かございますか。よろしいですか。

 本日の議論は以上でございますけれども、今、伺いますと、13価の肺炎球菌ワクチンについてここで評価するには、各項目についてもう少しいろいろなデータが必要だという御意見かと思います。先ほども申しましたけれども、各委員からこの4つの項目について御意見をいろいろいただきましたので、事務局でもう一度まとめまして、次回の小委員会において報告してもらいます。その後に、それに基づいて、委員がおっしゃったことはデータとして存在しているかもしれませんし、あるいは全くないものかもしれませんので、そこについては次の小委員会において再度議論を進めたいと考えております。

 本日の議事につきましては、少し時間が過ぎてしまって申しわけありませんけれども、ここで終了といたしたいと思います。

 事務局から何か報告等ございますか。

○石田室長補佐 次回の開催につきましては、また追って御連絡をさせていただきます。

 事務局からは以上でございます。

○倉根委員長 それでは、本日、大変活発に議論いただきまして、ありがとうございました。

 第1回「ワクチン評価に関する小委員会」をこれで終了いたしたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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