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2015年5月27日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

○日時

平成27年5月27日(火)16:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

出席委員(11名)五十音順

荒 川 義 弘、◎川 西   徹、○神 田 忠 仁、 佐 藤 陽 治、 
津 田 知 幸、 手 島 玲 子、 中 島 美砂子、 新 見 伸 吾
俣 野 哲 朗、 森 尾 友 宏、 森 川 裕 子 
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(8名)五十音順

小 幡 純 子、 楠 岡 英 雄、 斎 藤   泉、 鈴 木 邦 彦、
谷   憲三朗、 中 村 利 孝、 水 口 裕 之、 横 田 恭 子

行政機関出席者

神 田 裕 二 (医薬食品局長)
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
磯 部 総一郎 (大臣官房参事官)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
武 田 康 久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審議役)
 他

○議事

 

○参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当) 今、定足数に1名足らない状況ではありますし、そうかといって先生方をお待たせするのはよくありませんので、いろいろな報告事項もありますので、少し始めさせていただいて、状況を見て、審議事項にどこで入れるかやりたいと思います。

 最初に、本年4月から、薬事分科会の審議参加規程・運用などが一部改正されていますので、議事に入る前に、事務局からまず御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 資料No.5、「薬事分科会審議参加規程・運用等の一部改正について」ということで、当日配布資料をお配りさせていただきましたので、こちらに沿って御説明をいたします。

 1.「改正の趣旨」と書いていますが、薬事分科会の審議参加規程につきましては、独立した評価委員会で運用状況の評価ですとか、改善方策の検討を継続的に行うということになっていまして、平成27年、本年の1月に開催された評価委員会で、こういう改正をしてはどうかという意見を頂いたところです。それを踏まえて、3月31日の薬事分科会で、この審議参加規程・運用などを改正するということが了承されておりますので、同日付で改正されたということです。本日は内容を御説明させていただきたいと思っております。

 具体的な改正内容としましては、別添2を御覧いただければと思います。第14条に関しては形式的な文言の修正ですので、本日の説明は省略させていただきます。

 第16条の所になりますが、もともと審議参加規程に関しては、通常は製薬企業からの寄附金・契約金等が500万円を超える場合には、審議に参加できない、あるいは50万円から500万円の場合には議決に参加できないという規定がありますが、それを超えた場合にも、特例的に審議や議決に参加できるという規定がありました。ただ、平成21年からこの規定は運用していますが、特例を発令したことは一度もないという状況もありまして、それを少し簡略化してはどうかということで御意見を頂いて改定に至ったものです。

 具体的に特例を発令できるパターンが二つありまして、一つ目、旧の下線を引いている所を御覧いただければと思うのですが、「当該委員等が審議又は議決に参加を希望し、寄附金・契約金等の性格、使途等の理由書を添えて分科会長に申し出、その申出が妥当であると分科会長が認めたとき」が1つ目のパターンです、

 二つ目のパターンが「当該委員の発言が特に必要であると分科会長が認めたとき」で、この二つのパターンで特例が発令できるということになっておりました。ただ、このパターン1というのは、実態上もないでしょうということで落とさせていただいています。また、特例的に議決に参加できる、50万から500万円の受領があるのだけれども、議決に参加するというようなことも、実態上はないでしょうから、これも落とさせていただいています。

 まとめて申し上げますと、左側の16条の所ですが、委員等が500万円を超える受領があった場合でも、当該委員の発言が特に必要であると分科会等が認めたときには審議に参加できますという規定のみに限定させていただいています。

 第8条関係という所で、これ以降は、解釈を少し明確化しています。1つ目が、第8条で、特別な利害関係を有する委員というのは、審議の最中、退室をしていただくという規定になっております。この家族の範囲というのが明確になっていないというところで、それを明確化したものです。具体的には、委員の先生の配偶者及び一親等の方であって、委員と生計を一にしている方が、申請者又は競合企業の常勤の役職員に該当する場合には、その品目の審議の最中は、退室をしていただくと明確化しました。

 第12条関係です。先ほど生計を一にするものと申し上げましたが、寄附金等の申告の際には、委員本人だけではなくて、御家族の方も申告をしていただくことになっております。その範囲というのが、先ほど申し上げた配偶者及び一親等のものであって、生計を一にするものということになるのですが、「生計を一にする」というのが、少し曖昧ではないかということがありましたので、それを明確にしています。具体的には()家族と同一の家屋に起居している場合には、生計を一にするものとみなしましょうということで申告をしていただきます。それから、もう1つは、仕送り等をしているようなケースになるかと思うのですが、そういった方についても、概念的には申告の対象としましょうということを明確にしました。

 最後の所になりますが、今回は、この様式に沿って御提出いただいてはおりますけれども、別紙の所で、申告の様式に、該当の年度を付けさせていただいています。3年度のうち、最も受領額の多い年度についてチェックをしていただいて、その上で、該当年度の金額にチェックをして申告をいただこうということで、修正をさせていただきました。

 1ページに戻っていただきまして、運用の見直しということで、2.「改正内容」の()の所になります。寄附金・契約金の申告に係る運用の見直しということで、昨今製薬企業等が業界団体の透明性ガイドライン等を定めまして、医師等への寄附金等の額の公表を自主的に進めています。そういったことを背景としまして、製薬企業の方で公表している情報を活用して、先生方の申告内容の適切性を確認させていただくということを、試行的に導入させていただいています。

 具体的な流れとしましては、まず、製薬企業から個人情報を頂くということにもなりますので、本運用への参画について、先生方の意向を確認させていただきます。これは既に先生方にさせていただいていると思います。それから、従来どおり、事務局に寄附金・契約金等に係る申告書を先生方から頂くという流れは変更ございません。ただ、それをもって製薬企業に確認をするという段取りが増えますので、会議開催の1週間前ぐらいまでに、寄附金・契約金等の申告をお願いする形になるかと思いますので、ここについては御協力をお願いしたいと思っております。

 3番目としまして、審議品目の製造販売業者に先生方から頂いた申告の内容を厚生労働省からお伝えをして、製薬企業の方で確認をしていただき、もし先生方の申告が過小になっているということが分かった場合には、その内容を厚生労働省に伝えていただいて、厚生労働省から先生方にお伝えさせていただくという流れで考えています。それから、その内容を踏まえて、先生方の方で正しい申告がどうだというのをもう一度確認していただいて、厚労省に最終的にこの金額を御報告頂くという流れを考えています。

 ただ、1点注意点がございまして、製薬企業の方では、先生方の所に実際に行った金額を把握していないようなケースというのがあります。具体的には、間接経費を施設なり大学なりが取っている場合には、その間接経費の額を企業側が把握していないという場合があるかと思いますので、そういう意味では、先生方の所にいった実額が、企業からの報告よりも小さくなっているということが考えられますから、その辺りは十分注意して対応していかなければいけないと思っています。まずはこの運用を、試行的にやってみるというふうに考えておりますけれども、そういった状況も踏まえながら、本格的にやっていくかどうかのを検討していきたいと考えています。

○参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当) 今の説明に関して、何か御質問などございましたらお願いします。よろしければ、また疑問の点がありましたら、事務局の方にお伝えいただければと思います。よろしくお願いします。

 本日は、薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会です。委員の先生方におかれましては、大変御多忙の中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、部会委員19名のうち10名の御出席をいただいています。定足数を満たしていることを、まずは御報告させていただきたいと思います。

 また、利益相反に関する御申告の内容に関しまして、私ども、事務局の方からたびたび先生方に状況の確認をさせていただいています。大変御面倒をかけて申し訳ないと思っています。先生方におかれましては、御協力を賜りまして、感謝申し上げたいと思います。現在、確認作業を鋭意進めていまして、確認が終わり次第、また御報告をさせていただきたいと思います。なお、確認の過程におきまして、本部会の3名の委員から、薬事に関する企業から、定期的に報酬を得る顧問などに就任していたということで、辞任の意向を頂いています。委員の退任に係る手続は、今後行われますけれども、本日は御欠席されているということを申し添えます。

 それでは、以後の進行につきまして、川西部会長、よろしくお願いします。

○川西部会長 それでは、まず、事務局の方から、今日の配布資料の確認と、競合品目・競合企業リストについて、報告をお願いします。

○事務局 本日は席上に議事次第、座席表、座席表の裏に当部会委員の名簿を配布しております。また、配布資料としまして、資料1から資料2-12-2を事前にお送りしています。それ以外に、当日配布資料としまして、資料3「専門委員リスト」、資料4「競合品目・競合企業リスト」、資料5「審議参加規程の一部改正について」というのがございます。更に加えて、参考資料1、2としまして、カルタヘナ法の解説がございます。資料の不足等がございましたら、事務局の方までお申し付けください。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、資料4です。今回、議題となります、Surv.m-CRA-1ですけれども、本品目は、進行性の悪性骨軟部腫瘍を対象とする、遺伝子治療用製品です。競合品目はヴォトリエント、アドリアシン、ブリプラチンとしております。

 続きまして、各委員からの申出状況について御報告いたします。議題1、Surv.m-CRA-1ですけれども、退室委員なし、森尾先生につきましては、議決への御参加を御遠慮いただくこととしております。また、先ほど事務局の方から、審議会の参加規程の運用について御説明いたしましたが、今後あらかじめ御同意いただいている先生につきましては、寄附金の状況を申請企業に確認するということになっておりますけれども、本日の審議品目につきましては、申請者が大学ということがありまして、特段の確認を行っていないことを申し添えます。以上です。

○川西部会長 森尾先生は、今日はお休みなのですね。

○事務局 遅れていらっしゃいます。

○川西部会長 分かりました。もしお手元に資料がないようでしたら、お申し出いただければと思います。それでは、議題に入ります。今日は審議事項は一つですが、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認についてです。資料No.1ですが、議題1に入ります。まず、機構から説明をお願いします。

○機構 審議事項1について説明申し上げます。本審議品目は、サバイビンプロモーター制御下にE1A遺伝子を発現し、CMVプロモーター制御下にE1B19K遺伝子を発現するようにE1領域が改変された制限増殖型ヒトアデノウイルス5型(Surv.m-CRA-1)の第一種使用規程承認申請です。

 申請者は、鹿児島大学医学部・歯学部附属病院です。資料No.1、右側に3つのタブが付いた綴りを御覧ください。本資料は、一番表が諮問書、次に機構が作成した事前審査結果通知書、第一種使用規程承認申請書、生物多様性影響評価書、最後に参考資料の順に構成されております。当日配布の資料No.3に、本品目の専門協議において指名した4人の委員を掲載しております。よろしいでしょうか。

 それでは、品目の概要を説明申し上げます。資料No.1の二つ目のタブをめくっていただきますと、第一種使用規程の申請書冒頭及び、生物多様性影響評価書の1ページにありますように、本遺伝子組換えアデノウイルスの宿主はヒトアデノウイルス5型です。20ページの図1を御覧ください。宿主に対する本遺伝子組換えウイルスの特性の違いとして、ウイルスの増殖に必要なE1A遺伝子及びE1B遺伝子の内因性プロモーターを欠損させております。そして、その代わりにE1A遺伝子の上流には、サバイビンプロモーター、ここではsurvprと書いてありますが、これを入れて、更にE1B遺伝子で、図では□□□□□□□□□□□□□□□□□E1B遺伝子をE1B19Kと書いてありますが、その上流にCMVプロモーターをそれぞれ挿入してあります。

 E1Aタンパク質は、感染可能なウイルスを産生するために必要な遺伝子群の転写を活性化する、いわゆる早期遺伝子のマスタースイッチとして働くものですが、そのE1A遺伝子がサバイビンプロモーターの活性に依存して発現するようにつくられているため、本遺伝子組換えウイルスは、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□とつくられているのが大きな特徴です。

 この組換えウイルスについては、供与核酸の全塩基配列が明らかにされており、その中には既知の有害塩基配列を含んでおりません。また、有害物質の産生性も知られていません。

 サバイビン陽性の細胞でしか増殖できない、いわゆる制限増殖型のウイルスであるため、自然環境における生存能力というのは、宿主である野生型のヒトアデノウイルス5型に比べれば、同等、それ以下であると考えられております。

 それでは、本遺伝子組換えウイルスの機能について説明いたします。少し戻っていただきまして、生物多様性影響評価書の3ページを御覧ください。()に構成要素の機能と書いてあります。申請者は、Surv.m-CRA-1は、サバイビンプロモーターに依存して増殖し、□□□□□□□□□□□□□□□、サバイビンは多くのがん細胞で強い発現が認められているため、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と説明しております。

 この遺伝子組換えウイルスを含む製剤を用いて、□□□□□□□□患者を対象とする治験が計画されております。今回治験を行うに当たり、申請された第一種使用規程が適切であるかについて、この申請書に添付された生物多様性影響評価書等の資料に基づいて御審議していただきます。

 この遺伝子組換えウイルスの臨床における投与経験はありませんが、先ほど言いましたように制限増殖型アデノウイルスというものに属しておりますので、この制限増殖型アデノウイルスを用いた臨床試験は、国内外において実施されております。国内では、テロメラーゼのプロモーター依存的に増殖する遺伝子組換え5型ヒトアデノウイルスを用いた食道がんに対する臨床研究が、厚生科学審議会において第一種使用規程の承認を受けて実施されております。

 続けて、本遺伝子組換えウイルスの第一種使用規程、生物多様性影響評価及び、機構における審査での論点について説明いたします。本遺伝子組換えウイルスの第一種使用規程について、簡単に説明いたします。資料No.1の2番目のタブ、第一種使用規程承認申請書を御覧ください。1から2ページにわたって、使用等の方法が記載されております。この使用等の方法を執ることでよいかというのが申請の内容です。申請された使用等の方法に従う限り、生物多様性に影響が生じないと考えてよいかが審議いただく内容となっております。1ページ目の使用等の方法のうち、1.希釈液の調製として、本遺伝子組換えウイルスの原液の施設内保管、希釈操作、希釈液の運搬について定められております。2.患者への投与として、希釈液の注入に関する手順が記載されております。3.投与後の患者の管理として、希釈液の投与終了後の個室管理期間は、最大2週間とするものの、投与後1日目以降に実施される複数回の検査で、本遺伝子組換えウイルスの排出が認められない場合には、その時点で個室管理を解除することや、個室から一時的に外に出るときの手順が記載されております。

 感染性廃棄物等の処理としては、本遺伝子組換えウイルスの原液及び希釈液、並びに希釈液の投与に用いた器具やガーゼ等は、ウイルスの不活化処理を行ったあと、医療廃棄物管理規程に従って廃棄すること。それから、個室管理中の患者の排泄物等は、必要に応じて検査を行い、ウイルス不活化処理を行ったあと、医療廃棄物管理規程に従って廃棄すること。更に、個室の消毒について定められております。ここまでが、使用規程の説明です。

 次に、本遺伝子組換えウイルスの生物多様性影響評価について、機構の判断について説明いたします。資料No.1、最初のタブの事前審査結果通知書を御覧ください。3ページ中ほどの、事前審査の概要を説明いたします。機構では、()他の微生物を減少させる性質。()病原性。()有害物質の産生性。()核酸を水平伝達する性質の4つの観点からまとめております。本遺伝子組換えウイルスは、感染宿主が限られており、基本的には人のみです。それから、感染したとしても、制限増殖性であり、□□□□□□□□□□。供与核酸についても、環境に影響を及ぼすような性質ではないと考えられることから、事前審査の結果としては、いずれの観点でも大きな問題はないと判断いたしました。そこで、本遺伝子組換えウイルスの第一種使用規程承認申請書及び、生物多様性影響評価について、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○川西部会長 ただいまの機構からの御説明について、御質問あるいはコメント等がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。私から初歩的な質問になるかと思うのですが、この辺りの資料は余り見たことがないので、眺めていますと42ページから「原薬」という言葉を使っています。それに対して、今の説明の中では「製剤」という言葉を使いました。また、7ページでは「原液」という言葉で説明しております。この辺りの関係というのは、例えば「製剤」と使ったりすると、製剤の規格はというようなうるさい話になってくるのですが、その辺りはどういう感じなのですか。原液が原薬なのですか。初歩的な質問で大変申し訳ないのですが、基本的な部分を理解するために教えていただければと思います。

○再生医療製品等審査部長 この資料の中で「原薬」と言っている部分、「原液」と言っている部分、「製剤」と言っている部分についての御質問だと思います。これは、いわゆるカルタヘナ法に基づく生物多様性に関する影響評価が主目的ですので、製剤と書いているからといって必ずしも医薬品で通常見ているところの製剤規格を審査するものではありません。そういったものについては、一方これは治験という形で治験の届出が出されますので、治験届出の調査の中で、通常の医薬品的な部分の製剤規格については、機構で確認をさせていただくということです。そこは、ちょっと切り分けて考えていただいた方がよろしいかと思います。

 原液と原薬の部分は、実際に申請されている方は大学の方でもあり、そこの区別を余り明確にされていない部分もあり、特段我々は資料を作成するものには直接関与しているものではありませんので、そこまで微に入り細に入り申し上げているわけではありませんが、基本的には原液イコール原薬という形で御覧いただければと思っております。

○川西部会長 分かりました。ありがとうございます。特段製剤と言っても、この場合は希釈して使用ということですから、もうほとんど違いはないと考えていいわけですね。

○再生医療製品等審査部長 はい。

○川西部会長 ありがとうございます。それ以外にありますか。

○荒川委員 私も初歩的な質問で申し訳ありませんが、生物多様性影響評価書の1ページの最初で、このウイルスに対する抗体の話が書いてあります。ウイルスそのものは、少なくとも57のタイプに分けられて、ヒトアデノウイルス5型で作製した。この5型に関しては、4歳以下の乳幼児にはもう既に多く感染されていて、1から2歳齢では46.793.3%。20歳齢までに100%に達しているということです。これは、少なくとも今使用しようとしている対象患者は20歳以上という理解でよろしいのですか。安全管理、リスク管理的な側面から考えたときに、もちろんこういった制限的な使用ということも1つの生物学的な安全管理にはなるとは思うのですが、実際に抗体というのもその中の一部であれば、やはりその辺りはどのように評価されているのかを教えていただきたいのですが。

○機構 今、御質問にありましたように、患者は当然こういったがんの患者ですので、20歳以上ということが想定され、ほぼ100%中和抗体をお持ちですから、例えばこのウイルスが通常の感染経路を通って気道から入った場合、あるいは血中に投与された場合には、速やかに中和されると考えられます。これを腫瘍内に直接投与した場合には、ある一定の期間はそこで増えることができると期待されております。

○荒川委員 これは、明確に□□□□□□□そのようにはどこにも書いていなくて、申請がどこまで許可されるのかがよく見えないところがあります。例えば、小児の使用などで使われるケースもこれで認めることになるのかどうか。その辺りも教えていただきたいのですが。

○機構 そちらは、カルタヘナの方では、もしこれが認められたら、小児への適用はカルタヘナにおいては認められることになると思いますが、別途治験届の方でどのように確認していくかは、これからの議論になってくると思います。

○荒川委員 ここの審議会での審議は、治験を前提としたものだけの安全性評価ですか。それとも、臨床で使うウイルス等についての安全性評価も入るのですか。

○再生医療製品等審査部長 この審議ですが、基本的にはこれは生物多様性評価の上での評価を頂いているということで、実際治験を始める場合には、これとまた別に治験届が出てまいりまして、生物多様性評価以外の部分の安全性などの観点での調査を実施する形になってまいります。したがって、今私どもの事務方からも説明がありましたが、例えば腫瘍の部位を変えるとか対象を変えるという部分において、生物多様性上は固形がんの腫瘍内に注入するという点では同じだけれども、実際の使用する対象における安全性というのは、それはやはり小児の対象であったり、20歳以上であったり、疾病の状況によっても異なるわけですので、そういった部分はその治験届の中でしっかりと見ていくというような切り分けをしているものです。

○川西部会長 薬事・食品衛生審議会の中のこの部会としては、もしそのフェーズが来たら、ここの部会に掛かるということなのですか。

○参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当) 確かに、これは今薬事法外といいますか、医薬品医療機器法と違う部分での審議ですので、そういう意味で環境への放出の問題をやっているわけですね。治験届の段階では、基本は機構で確認をする形になっておりますので、薬食審に掛けることは基本的にはありません。実際に、治験の後に製造販売承認審査を進めることになれば、またこちらの部会に。

○川西部会長 最終的に、ここがオーソライズするということなので、実際にそこまで進めば、またここでということですね。

○再生医療製品等審査部長 おっしゃるとおりです。

○川西部会長 今まで、そういう例が、ほとんどない。来ればここ。

○神田部会長代理 事務局に伺いたいのですが、制限増殖型というのはどのように定義されているのでしょうか。つまり、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□。要するにサバイビンプロモーターの活性を持つ細胞でのみ増殖するように改変されたということだと思うのですが、制限増殖型という表現はいろいろなヒトが好き勝手に使っているような気がします。これはどう定義されているのですか。

○機構 具体的にどう定義されているかについては、conditionally replicating virusの訳語だと思うのですが、そのコンディション、つまり制限を与える条件は、その使用目的によって規定されていると考えています。大抵の場合には、がんや特定の条件を備えた細胞の中でのみ増えると捉えていますが。

○神田部会長代理 もともと、野生型のウイルスも、多くの場合、組織指向性があって、必ずしも何でも増えるわけではありません。ゲノムをいじれば増えやすい細胞のスペクトラムも変わるかもしれないけれども、そういう場合に申請者が適当に使っていい用語ということになっているわけですね。

○機構 具体的に、しばりはないのではないかと思いますが。

○神田部会長代理 医薬品になり得るようなものの説明に付ける言葉としては、きちんと定義されている方がいいと思います。もし定義することが可能ならば、“制限増殖型とは”、とどこかに付けておいてくれると気持ちいいし、あるいはピタッとはまらないのなら、こういう言葉はやめればいいと思います。

○再生医療製品等審査部長 制限増殖型の定義ですが、この言葉自体がいわゆるアカデミアの世界でもわりとこの開発分野の中では広く一般的に使われてしまっている部分です。我々薬事の世界だけで定義を付けていいのかどうかもありますので、この表現ぶりについては少し事務方でも検討させていただければと思います。

○神田部会長代理 私が言っているのは、薬事で使う言葉としては定義したらいいのではないかと言うことです。アカデミアは、結構いい加減に使っています。pseudo virusとかvirus-like particleとか、みんな適当に使っていて、だからといってこういう書類に書くのも、定義しないというのはどうかと思います。ちょっと、検討してみてください。

○機構 承知いたしました。

○川西部会長 ほかに何かありますか。

○俣野委員 念のため確認したいのですが、何箇所かに組換えを生じてもどうこうという記載があるのですが、この組換えというのは簡単にいうとどういう組換えが想定されるのでしょうか。

○機構 一番考えられるのは、これはE1領域のプロモーターを改変していますので、このウイルスを作製するときに使われるHEK293細胞というものがE1領域を持ったものですので、そことの間での組換えが起こって、ほとんど野生型と同じようなものができてしまう。あるいは、この組換えウイルスを投与したときに、たまたま類縁のアデノウイルスと同時感染を起こしたときに、その間で組換えを起こしてしまう。結局は、いずれの場合も野生型のウイルスと同じようなものができる可能性は残されているという意味です。

○俣野委員 その場合に、このベクターにもともと挿入されているものも残ったままの状態にはなり得ない。

○神田部会長代理 残したままでパッケージするには、入れたものが大きすぎると思います。

○俣野委員 そこで、そっくりそのまま入れ換えないと、そのようにはならない。

○神田部会長代理 増殖型のアデノウイルスは、今おっしゃったようなそっくりうまく入れ換わらない限り生じません。

○俣野委員 ですから、それを書いておいていただいた方がいいのではないでしょうか。というか、これだけを読むと、何かあらゆる組換えの可能性があり得て、ものすごく低くあり得ないような組換えの可能性まで恐らく想定しないで、多分普通に想定される組換えというのは今おっしゃったようなことだと思うのですが。それであれば、生物多様性にも影響をしないというのは理屈として合うと思うのですが。ですから、想定される組換えが入っているものを含まないということは書いておいていただいた方がいいのではないでしょうか。

○神田部会長代理 上限として3%から5%ぐらい大きなゲノムならパッケージできます。それを超えると、アデノウイルスの中には入らないので、この状態プラスオリジナルというのは、ちょっと想定外、できないと思います。第一種使用ですから、意図的にというのは本来第一種なのですが、意図的にではないけれども、少量外へ出てしまっても、生物多様性に影響はあるかないかを議論するのが、本来のこの会議の趣旨です。増殖能において野生型に比べて抑制がかかっていて、しかもRCAなり組換え体ができても、それは野生型と大して変わらないので、少々外へ出ても問題ありません、という結論ですね。

○俣野委員 その場合に、人工的に入った部分が少しでも残っているものは、今はその可能性はないとおっしゃいますが、あった場合は多様性に影響があり得るという話になるのですね。

○神田部会長代理 このウイルスの宿主域が主にヒトで、実験的にネズミ等に接種しても、ほとんど感染しないウイルスですから、ヒトにたまたま入ってしまったときに何が起こるかを事前の審査等で議論して、自然に消滅するであろうと結論づけたということです。

○俣野委員 そうすると、すみません、どちらの方の話ですか。E1Aが入ってしまう方の組換えの話ではなくて、今回挿入したものが残っている方のものが人にいった場合の話ですか。

○神田部会長代理 組換えをするときに、これは絵を書かないと分からないけれども、□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、HEK293細胞のE1A領域と組み換わるとか、ごくごく希にたまたま感染していた野生型のアデノウイルスと同じ細胞の中に感染して組み換わってしまうとかそういうことが起きても、増殖能を持ったその組換え体は、もともとのアデノウイルスと実質的に変わらないから、問題はないという結論の導き方ですね。

○俣野委員 分かりました。

○川西部会長 ほかにありますか。

○佐藤委員 私も、こういったものをレビューする機会は余りなくて、背景というか常識的なところから伺います。この患者への投与のところで、通常の投与の方法は確かにこのとおりかもしれないですが、例えば急に方針が変わって□□□□□□切除するということも考えておかなければいけないということは、ここでは議論しなくていいのですか。それがよく分かりません。ウイルスの拡散からすると、例えば外科的な手術をして、その組織はただ単に廃棄物の処理のところにちょっと加えておくということだけだと思うのですが、可能性として外科的な手術を追加で行うようなときに、ウイルスが拡散することを防止するような措置はどうやって取りますかというようなことは書かなくていいものなのでしょうか。その辺りが、私はよく分からないのですが。

○機構 御質問の意図は、それは方針が変わって、外科手術を行ったときに、その患者に対しての話でしょうか。それとも、切除した腫瘍ないし組織についてでしょうか。

○佐藤委員 要するに、遺伝子が拡散していくということを考えると、もしそういったことがあり得るのなら、切除した組織はきちんと処分しますよということがどこかに書かれていた方がいいのかというような気もするのですが、そこまで考えなくていいものなのでしょうか。

○機構 第一種使用規程承認申請書の2ページ目の項目4.感染性廃棄物等の処理で、()に個室における管理期間中の患者の排泄物等(血液、体液、尿、糞便、腫瘍組織等)という所でカバーされているということでよろしいでしょうか。

○佐藤委員 はい。

○川西部会長 ほかにありますか。それでは、先ほど神田先生から制限増殖型の定義の問題が出されましたが、それは一般論であろうかと思いますから、お願いいたします。一応第一種の使用規程の承認ということで、今、4つの視点からの審査内容はそういう視点からやられたということで、どれも満足しているだろうということで、承認としたいと思いますが、いかがでしょうか。それから、森尾先生は利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加は御遠慮いただくことにしたいと思います。それでは、本議題の第一種使用規程の承認を可としてよろしいでしょうか。では、御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、報告事項に移ります。報告事項は、議題2「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づく遺伝子組換え技術応用医薬品の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」、機構から説明をお願いいたします。

○機構 報告事項議題2、資料No.2-1を御覧ください。遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等をする間に執るべき拡散防止措置の確認を行った品目について、説明いたします。前回の生物由来技術部会での御報告以降、平成27年2月から平成27年4月までの期間に、厚生労働大臣の第二種使用等の確認を行ったものを表でまとめております。今回は1件で、機構において専門委員と協議した上で、当該遺伝子組換え生物については、使用区分がGILSPであることから、執られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。以上、資料No.2-1の報告です。

○川西部会長 続いて、農林水産省からの説明をお願いいたします。

○農林水産省 資料No.2-2を御用意いただきたいと思います。こちらは、動物用医薬品の分野における第二種使用等をする間に執るべき拡散防止措置を、農林水産大臣による確認を行った微生物についての報告です。資料No.2-2の裏面を御覧ください。農水省の方も、1微生物のみです。こちらは、本部会の傘下にあります動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会で、郵送による御審議、書面による御審議を頂き、こちらはイヌ由来顆粒球コロニー刺激因子遺伝子導入大腸菌について御審議を頂きました。審議の内容は、拡散防止措置の内容についてです。拡散防止措置について御確認いただきましたので、平成27年3月30日付けで農林水産大臣の確認を行いました。

 本組換え微生物ですが、既に大臣確認がなされているものと全く同じものを新しい使用場所で使うことにしたというものです。同じ微生物ということですので、同じ区分で大臣確認を行っております。以上です。

○川西部会長 これは報告事項ですが、何か質問、コメント等がありましたら、いかがでしょうか。特にありませんか。では、御報告いただいた事項については、ここで御確認いただいたものといたします。

 それでは、本日の議題は以上ですが、事務局から何か追加的に連絡事項はありますか。

○事務局 次回の部会ですが、また日程調整の上、御連絡させていただきたいと思います。

○川西部会長 委員の先生方から、何かその他ありますか。ないようでしたら、本日はこれで終了いたします。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

 


(了)

備考
 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 医療機器・再生医療等製品担当参事官室 課長補佐 佐々木(内線4226)

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