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2015年6月9日 社会保障審議会障害者部会(第64回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成27年6月9日(火) 15:00~


○場所

TKPガーデンシティPREMIUM神保町プレミアムボールルーム
(東京都千代田区神田錦町3-22 テラススクエア3F)


○出席者

駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石原康則委員、伊藤たてお委員、伊豫雅臣委員、大濱眞委員、河崎建人委員、菊池馨実委員、久保厚子委員、小西慶一委員、佐藤進委員、竹下義樹委員、橘文也委員、玉木幸則委員、藤堂栄子委員、永松悟委員、中村耕三委員、野沢和弘委員、樋口輝彦委員、日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、片岡公彦参考人、村中峯子参考人、原田勉参考人

○議事

○駒村部会長

 こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第 64 回社会保障審議会障害者部会を開会いたします。委員の皆様方には御多忙のところお集りいただきましてありがとうございます。

 まず、事務局より委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。

 

○川又企画課長

 事務局でございます。本日は石野委員、小澤委員、松本委員から御都合により欠席との御連絡を頂いています。また、朝貝委員、広田委員からは遅れて到着する旨の御連絡を頂いています。また本日、北岡委員の代理として片桐参考人、湯崎委員の代理として原田参考人、中板委員の代理として村中参考人に、それぞれ御出席をいただいています。

 続きまして、 6 3 日付けで事務局に幹部の人事異動がありましたので御紹介させていただきます。障害児・発達障害者支援室長の津曲でございます。

 

○津曲障害児・発達障害者支援室長

 よろしくお願いいたします。

 

○川又企画課長

 よろしくお願いいたします。

 続きまして、本日の資料ですが、資料 1 ~資料 13 までが、本日ヒヤリングをいたします団体から提出された資料でございます。また、本日のタイムテーブル、スケジュールが挟み込まれていますので御参照していただければと思います。よろしくお願いします。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。それでは、本日の議事に入りたいと思います。前回、前々回に引き続き、関係団体からのヒヤリングを行います。本日の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○川又企画課長

 企画課長でございます。今、資料 13 の後の 1 枚紙にタイムテーブルがありますけれども、 3 つのグループに分けてヒヤリングを実施いたします。 1 団体 10 分以内で御発言を頂きまして、各グループごとに、全体の御発言終了後に意見交換を予定しています。御発言が 8 分を超えた時点で事務局から合図をさせていただきます。なお、 2 グループ目の終了後に 10 分程度の休憩を挟み、全体で 3 時間程度と長丁場になりますが、よろしくお願いいたします。なお、タイムテーブルの 2 グループ目の 3 つ目の団体で、「公益社団法人日本医師会」とありますけれども、これは医師会のほうからは資料提出のみで、本日の御発言は予定していませんので、その点を御留意いただければと思います。

 

○駒村部会長

 委員の皆様におかれましては本日は貴重なヒヤリングの機会ですので、団体の皆様との意見交換と質問を中心に議論を進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。前回も前々回も同じお願いを申し上げていますけれども、より多くの方が御発言の機会を確保するために、質問、回答ともになるべく簡潔にお願いできればと思います。また、委員の皆様の御意見は質問に絡める形で前回も前々回も、そうお願いしているわけですけれども、議論になるような形でお願いできればと思います。それでは最初のグループのヒヤリングを始めます。まず、社会福祉法人日本盲人会連合からお願いいたします。

 

○日本盲人会連合藤井部長

 失礼します。日本盲人会連合組織部長の藤井と申します。本日は発言の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。私ども多くの課題を抱えていまして、是非、このたびのヒヤリングと言いますか意見交換会の中で私どもの願いを実現いただきたいと思います。また、先般は私ども日本盲人会連合が 5 29 日~ 31 日、全国大会を開きまして、意思統一を図ってまいりました。そういう関係で 5 29 日に発言予定を本日に回していただきまして誠にありがとうございます。

 さて、本題に入らせていただきます。本題ですけれども、まず、本日のヒヤリングと言いますか、意見交換会にあるいは馴染まないかもしれませんが、冒頭私どもとしてお願いの内容があります。中身は障害認定の関わりです。障害者手帳については、もうその制度が発足して随分長い期間が経過していますが、この間、多少の手直しなどありましたが、抜本的な見直しにはいたっておりません。その結果、制度の谷間があちこちにできており、実は毎年議論になるのですが、この手帳というのはどういう仕組みでできているのかというのが私どもの関係者で常に議論になるところです。ここ数年、視覚障害に限って言いますと、認定の基準が「両眼の視力の和」と書かれています。これを見直していただきたいという要請を続けてまいりました。「両眼の視力の和」という言い方は、余り根拠がないのではないか、私どもの生活の実態であるとか、見え方からしまして、なかなか論拠が見出せないというように私どもは感じていまして、生活実態に即応した手帳制度として、あるいは障害認定として見直しをしていただきたいということで、冒頭で障害認定について、是非この機会に見直しをしていただきたいという要望をしておきたいと思います。

 続きまして、総合支援法の見直しについて、幾つか説明いたします。既に意見書を提出していますので、詳細についてはその意見書を参考にしていただき、ごく簡潔に幾つかのポイントについてのみ説明しておきたいと思います。 1 点目は「総合支援区分」です。総合支援の認定をしますと、全体的に見て視覚障害者の生活の困難度に比べて非常に認定が低く出ると言いますか、障害の程度やその困難さに対して、総合支援の制度の適用、活用がうまくできない程度の認定しかできていないと考えていまして、是非この際、障害の困難さに着眼して、あるいは私どもの生活の必要性に着眼して、総合支援の認定区分を見直していただきたいと思っていますので、その点をよろしくお願いします。

 続きまして、生活訓練・歩行訓練について少し述べさせていただきます。私どもは自分で生活する、あるいは自力で行動するためには、歩行訓練とか生活訓練が極めて重要です。就学であり通勤であり、あるいは家庭内で様々な生活をするためには、特に中途視覚障害者は経験が浅いということもあり、歩行訓練、生活訓練が極めて重要ですけれども、古い情報になるかもしれませんが、このたび調べて見ますと、歩行訓練士が 1 人も配置されていない県が 18 にものぼります。政令市等には必ず置かれていると思いますけれども、地方に行きますと、障害者が自力で歩くための訓練を指導してくれる人も体制も何もない状況がございます。この際、視覚障害者の歩行訓練士の配置基準をそれぞれの県に設けていただき、全国でどこにいても歩行訓練、生活訓練ができる、そのような体制をお考えいただきたいと思います。特に歩行訓練士を育成しましても、就労先がない、あるいは安定した仕事が見出せるような場所に位置付けることが難しいということで、先ほど申し上げたような実態が生じているものと思いますので、これらの条件面も含めて是非、配置基準を設定していただきたいと思います。また、歩行訓練というと、リハビリテーションというイメージがあると思いますが、私は広島県から来ておるわけですけれども、生活の場を変えたり人生の様々なステージで自分が移動するための空間の認識や地域の認識をするためには、繰り返して歩行訓練が必要になります。そういうことでそんなニーズがあるのだろうかというように思われるかもしれませんが、そうではなくて、生活訓練という認識をもっていただいて配置基準をいただければ助かるなと思っています。

 続いて、情報コミュニケーション保障についてお願いしたいと思います。私どもはコミュニケーション保障については、意思疎通支援事業の中に入っていると認識していますけれども、音訳者、点訳者の育成事業がこの中に入っていません。したがって私どもは点字資料や音訳資料を入手するためには、常にボランティアさんに依存しているという実態がございます。これでは学校教育、特に高等教育や様々な専門分野ではなかなか対応ができないという実情がありますので、是非、専門家の育成を事業の中に組み込んでいただきたいということと、新たにテキストデイジーとか、マルチメディアデイジーの作成を事業の中に組み入れていただいて、情報を視覚障害者が自由に活用できるような体制を確立いただきたいと思います。

 もう 1 点お願いします。同行援護事業というのが視覚障害者のためにございますけれども、この事業が通勤、通学あるいは定例的に動くような場所に移動する場合に使えません。私どもはそういう通勤や通学も含めて生活の全体として同行援護事業が活用できるようにしていただきたいと考えています。これらは例えば学校とか職場で保障すべきだという考え方もございますけれども、極めて専門性の高いものですから、これを各機関、企業とか学校で用意することはおよそ不可能ではないかと思いますので、むしろ同行援護事業の中で、これを考えていただきたいと思います。更に同行援護事業については、現在身体介護付と身体介護無しという 2 つの区分がありますけれども、これを一本化して見直しをしていただきたい。是非、報酬の見直しをお願いしておきたいと思います。

 もう時間がありませんので、これ以上は申しませんけれども、私たちの課題として 65 歳を過ぎて、障害をもった場合に、障害者総合支援に関わるいろいろな制度の活用ができないという制約がございます。これらについては障害の特性を勘案いただいて、 65 歳を過ぎて障害をもっても視覚障害の場合、情報保障とか先ほど申し上げましたような事業あるいは施設入所が可能なように制度の設計を考えていただき、私ども視覚障害者の生活の質が向上して社会の中で自由に生きていけるような社会環境をつくっていただきたいと思います。以上、雑駁でございますし、いろいろ端折りましたけれども、日本盲人会連合としての意見ということにさせていただきます。よろしくお願いします。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。続いて、特定非営利活動法人日本失語症協議会からお願いいたします。

 

○日本失語症協議会園田副理事長

 本日はありがとうございます。日本失語症協議会副理事長園田でございます。失語症というのをざっと御説明いたしますと、脳卒中や頭部外傷など、脳の機能障害により、聞く、話す、読む、書く、計算することなどがスムーズにできなくなる症状です。患者は全国に 30 万から 50 万人いると推定されますが、患者数やその生活実態等に関わる国の調査が平成 26 年度より初めて実施されるなど、社会における理解や支援が進んでいないのが現状でございます。では、意見書について、項目にしたがって読ませていただきます。

 「常時介護を要する障害者に対する支援について」の項目ですが、現在の介護対象の障害者の中にはコミュニケーションに関することが明記されていないなど、失語症者に対する支援の抜本的な考察が必要であると思います。パーソナルアシスタントについて、スウェーデンで行われているような教育の分野、就労分野、他の就労分野、また日常生活分野、その他あらゆる場面において活用が望まれます。移動支援についても、失語症者が社会に参加するときに、移動支援は欠かせません。公共交通機関においては、話すことが不自由で、駅のアナウンス等を聞いて理解することが困難な重度失語症者においては移動の際の支援が欠かせません。就労支援について、失語症の特性とそのものの生活実態等を踏まえた体系的な対策が必要であり、国においては、失語症において求められる就労支援の在り方を早急に検討するとともに、各自治体や支援機関における適切な取組の普及を行っていただきたい。例えば、言語機能支援と就労支援を一体的に提供されるような仕組みの構築や、その基で支援機関は当事者の身体的、心理的な状況を見極めながら雇用者と連携して、失語症者の能力やその特性に合わせた職務と仕事を探り、十分な期間をもって職場の擬似体験などを設けるなどして、失語症者の職場復帰を図っていく必要があると思います。また、就労後もフォローの継続が必要であり、本人の支援もさることながら、就労先の失語症者に対する理解をより深めていただくことも必要だと思っています。

 支援区分の認定の支給の決定の在り方についてです。現在の調査書のほとんどは、高齢者向けの支援となっているため、若年壮年の支援には全く不十分でございます。意思疎通に関してのサービスの必要性を示す項目が 106 項目の中に 1 件も見当たりません。失語症を含む高次脳機能障害の方々への支援項目を明確に調査し、どのような支援があれば適切なサービスの支給が可能なのかを徹底調査していただきたいと思います。失語症の専門家及び障害への理解にある者の関与もしていただきたいと思います。

 障害支援区分の認定における医師の意見書について、意見書を記載する医師の専門性に限定がないため、失語症の治療経験のない医師が記載すると、失語症者の症状を適切に記載していただけないという問題があります。意見書を医師のみだけではなく、失語症であれば言語聴覚士のように、それぞれの障害に精通した専門家に委ねることや、あるいは当該専門職の意見書の添付を可能とするなど、その関与の在り方について検討していただきたいと思います。当事者の意見を届ける仕組の確立をお願いしたい。障害者及びその家族の意向に関わる部分の特記事項に市町村の審査会に通知するに当たっては、その認定に関わる障害者及びその家族に対し、事前にその内容を確認すると、当事者の意見を正確に届ける仕組みの確立をお願いしたいと思います。

 意思決定支援・成年後見制度の利用の促進の在り方についてです。失語症者本人の発信力を理解し、正確に言葉に表すことのできる者を要請することで、失語症者の尊厳の確保・権利養護は可能です。意思決定は失語症者本人で可能な場合が多く、本人の意思をくみ取る支援者が必要だということです。意思疎通支援者制度の確立をお願いしたいと思います。

 失語症者に対する意思疎通支援者成立制度の確立です。失語症者を含む高次脳機能障害者の個別症状の障害特性を的確に捉え、情報を適切に要約し、適切な方法で伝える専門職としての意思疎通支援者制度の養成・派遣を要望いたします。それらの普及に当たっては、多くの意思疎通支援者機器等の絵文字の開発・普及もお願いいたします。普及に当たっては、事前及び事後のフォローアップを充実させ、家族等に教育をしていただきたいということです。

 次は、意思疎通支援の保障の必要性です。これは教育の分野においては、教育を受ける権利の保障の観点から、失語症の児童生徒に対しては、授業支援者を義務化すること。放送分野においては、命に関わる情報に関しては、端的な単語や絵文字等での発信を行うこと。司法分野においては、裁判制度において当事者の証言と制度上認められるような意思疎通支援者の仕組みの設置や選挙権・被選挙権行使の場面においては、失語症者が確実に理解できる分かりやすい絵文字等の情報の表示を行うこと。その他、公共の場における意思疎通支援者等の配置をお願いしたいと思います。

 次に、飛ばしまして「障害福祉サービスの在り方等」です。医療機関でのリハビリ期間が 90 日と短縮されている現状で、特に長期間のリハビリが必要とされている失語症を含む高次脳機能障害者においては、地域でのリハビリを受ける機会を奪うことなく、介護保険・障害者総合支援法の枠を取り外し、リハビリ専門施設における介護保険法・障害者総合支援法の併用の適用が必須であると思います。現在失語症者を受け入れることのできるリハビリ施設がほとんど民間の手に委ねられており、国における施設の整備又は民間への支援が望まれます。特に若年層の失語症者、又は外傷、その他を起因とした若年性失語症者に関しては、回復期に介護保険の対象にならないためにリハビリを受けられないという現状は家庭復帰、社会復帰、更には就労の機会を奪ってしまうものであるという現状を知っていただきたい。失語証は長期にわたり、薄紙を剥がすように回復していきます。リハビリを止めてしまうと、リハビリで培った部分が全て霧散してしまいます。リハビリの継続は失語症者の生きる権利の保障となるほどに重要になっています。リハビリをある程度終わった者が社会参加することで、リハビリで培った部分の維持が可能となります。地域の失語症を含む高次脳機能障害者にリハビリの機会の確保をお願いしたいと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。続けて、特定非営利活動法人日本脳外傷友の会からお願いいたします。

 

○日本脳外傷友の会東川理事長

 「日本脳外傷友の会」でございます。お招きいただきましてありがとうございます。今御発表いただきました失語症友の会と同じく、高次脳機能障害という範疇に入るものの団体でございますので、非常に共通した問題点、課題がございます。一番最初に本当は申し上げたいことは視覚障害の方からもありましたように、障害認定の仕組みが現行では非常におかしいのではないかということですけれども、今日のヒヤリングの観点は福祉サービスの在り方についてということですから、そこは置いておきまして、福祉サービスの在り方について、お示しいただきました論点整理の項目にしたがって申し上げたいと思います。その前に、高次脳機能障害につきましては、厚生労働省から 5 年間にわたるモデル事業を実施していただきまして、現在でも高次脳機能障害及び関連障害、失語症を含む関連障害支援普及事業ということで、国立障害者リハビリテーションセンターを中心に事業を実施していただいていることは大変有り難いと思っていますが、その先行きがどうなるのかという不安を当事者家族は非常に抱いています。いつまでその事業をやっていただけるのか、あるいはせっかくできた支援拠点機関が今後継続して支援をやっていただけないのではないかという不安をもっていますので、発達障害支援センターと同様の支援センターとして、全国に失語症を含む高次脳機能障害の支援センターとして、恒久化していただきたいと、そこを強く要望いたします。それを踏まえた上で当事者への障害福祉サービスについて申し上げたいと思います。

 まず、常時介護を要する対象者像というのはどういうものかというお問い合わせがありましたので、主に交通事故や脳卒中あるいは脳炎、脳腫瘍などで脳に重大な後遺症を持つ者でございます。けれども、二手に分かれると思うのです。いわゆる寝たきり状態で遷延性意識障害のまま在宅介護に入っている方々です。もちろんそういう方々も若干当会に入っていますが、そちらの方々は別途全国遷延性意識障害家族会連合会を結成していますので、非常に在宅介護で御苦労をされています。是非、遷延性の方々の会からもヒヤリングを実施していただきたいと、同じような道を辿ってきた者として申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それから、うちの会のほうは、どうやらその遷延性意識障害は脱却したけれども、身体障害も余り目立ったものはないけれども、しかし頭の中身が相当やられてしまったことによって、重度の認知障害あるいは社会的行動障害、徘徊又は無気力、脱抑制ということで、就労もままならず、引きこもって家庭内暴力など起こしているというような、大変で、むしろ手がかかる、という者もたくさんおりますので、お含み置きいただきたいと思います。現行のサービスはどのようなものが使えるか。交通事故者の場合には自動車事故対策機構によるサービス、介護料の支給などを頂いていますけれども、脳卒中あるいは脳炎の後遺症障害については同じ高次脳機能障害でありながら違ったサービス体系になっており、ショートステイの体制とか、デイサービスの体制とかも全く異なっていますので、使えるサービスが全国的にないということで、失語症の方々と同じ感じでございます。

 それでどのようなサービスがこれからあったらいいのか。個別に「パーソナルアシスタンス事業 (PA) 」という制度を是非、今後開発していただきたいと思います。特に私どものように高齢の親が今後当事者を残して亡くなってしまいます。もう既に 1 人暮らしで高次脳機能障害を持ちながら苦戦している当事者がたくさん出ています。横浜市が単独の市単事業として、アシスタント事業というのをやっていただきました。市単事業ですから、切り捨てられてしまう可能性があるのですが、非常に有効なサービスとしてたくさんの方々に手を差し伸べていただきました。そういうことも是非考えていただきたいことです。それから名古屋リハビリテーションセンターで研究事業として取り組みいただいたのが、生活版ジョブコーチです。ジョブコーチというのは仕事の援助をする人のことですが、生活の援助をするということで、例えば調理や買物とか通勤の仕方、洗濯の干し方の指導法を介護ヘルパーさんに教えて、ヘルパーさんが高次脳機能障害の特性を理解して、当事者に指導するという研究事業を行っていただきました。これが非常に有効だったということなのですが、全国的にはまだ普及されるシステムがありませんので、是非こうした有効な先行事業をシステムとして取り入れていただける仕組みを作っていただきたいと思います。

 精神障害の分野で、言われておりますチームによる訪問指導です。「 ACT 事業」というのがこれも各地で行われて、有効な事業というように言われていますので、こうした障害当事者個別をダイレクトに支援していただくような事業を是非、制度化していただきたいと思っています。

 意見書のカギ括弧の付け方を間違ったようで申し訳ないのですが、 2 番目に、移動支援についてはどうかということです。通勤の経路などを忘れてしまう、あるいは間違えてしまうという記憶障害が強いために、なかなかデイサービスや通勤のときにうまく辿り着けない、あるいは通学、通院でもそうですが、身障者の方々に付いているような移動支援を付けていただけると非常に有り難いと思います。ほとんど全国的には付いていません。先般、板橋区が移動支援を付けてくださったというニュースを知りまして、びっくりしたのです。是非、移動についての支援も制度化していただけると有り難いと思います。

 それから、就労支援については、幕張の就労支援センターあるいは国リハ等で非常に熱心にやっていただきましたけれども、人数的にも限定されていますので、全国になかなかその手法が及んでいません。就労支援 B 型作業所を利用することによって、うまく結びついていく人たちがたくさんいます。ですから、受け入れる事業所を増やしていただけるような人材の育成を是非お願いしたいと思います。

 それから、失語症の方からも出ましたが、支援区分の認定方法で、現行ではほとんど 109 項目の中に高次脳機能障害がうまく入り込んでいませんので、これを是非改良していただきたい。聴き取り調査員の方々の障害特性に対する理解促進研修事業、全障害についてもそうだと思いますけれども、是非やっていただいて、適切な支援サービスが受けられるような区分認定をしていただけるよう、お願いいたしたいと思います。それに当たっては、障害者に記憶障害があっても意思は確かに持っています。おかしいことを言うかもしれませんけれども、本音のところをうまく聞き出していただけると、どういうことを望んでいるのかというのは絶対分かるはずなので、これを全障害共通かと思いますけれども、意思決定支援をするような、諸外国でもこれに注目されているようですけれども、是非、制度の中に取り入れていただいて、養成講座なりをやっていただきたいと思います。もちろんその意思決定支援に関係するのは成年後見制度ですから、今は例えば交通事故でたくさんの賠償金をもらっても、後見制度に縛られてそれを自分の生涯のために使えない、あるいは親御さんが施設を作りたいと思っても親が手を出せないというような不自由なところがございますので、後見制度も是非見直していただきたいと思います。十分に言い尽くせないで、時間になってしまいましたが、高次脳機能障害は一応、精神障害ということに入っていますので、ほかの精神の方も同様かもしれませんが、いろいろなガイドラインというか、支援マニュアルそういったものを支援者にしっかりお勉強していただく仕組みを作っていただいて、適切なサービスが受けられるようお願いしたいと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 はい、ありがとうございました。ただいまの御意見について委員の皆様から御質問がありましたらお願いします。どうぞ。
 1 つ、日本脳外傷友の会さんから教えてもらいたいことがあるのです。今日のチームはいずれも、国民の皆さんも障害者の当事者にいつでもなり得るという可能性を含めたお話が多かったと思うのですが、障害者施策を充実させるためには、やはり国民の皆さんにこの状況を知っていただく必要もあると思うのです。そのためにはデータとか統計とか、そういうものがあれば、より説得力があると思うのです。例えば、 1 ページの就労支援について、先ほど就労支援移行支援 B 型等を使うことによって、就労につながるケースも多くあるという話がありましたけれども、これは例えば具体的な資料やデータなどはありますか。

 

○日本脳外傷友の会東川理事長

 うちの会でやった調査というのは、 2009 年度だったと思います。実はファイザー製薬さんから助成金を頂いて、全国調査をいたしましたが、余りにも就労率の低さにびっくりしました。たしか 16.5 %だったと思います。一般就労している人はですね。

 家族会が一生懸命立ち上げた、高次脳機能障害の事業所が現在、確か 19 か所ぐらいあるのですけれども、そのときにはサービス体系が違っておりましたから、今で言う B 型作業所ですが、そこから A 型に移行したり、あるいは一般就労に結び付いたという形のデータとしては、そのときの調査では実施しておりません。その後は大きな調査をやれる財力もありませんので調査しておりません。

 聞くところによりますと、例えば広島の作業所など、家族会が立ち上げた B 型作業所ですが、一般就労への援助も一生懸命に頑張ってやっていて、かなりの人数が一般就労に出ているそうです。ですから本当は、そういう実態調査をお国のほうでしていただけるというのが有り難いことなのです。

 とにかく受け入れてもらえる作業所自体がほとんどないのです。北海道などは広いですから、家族会が立ち上げた作業所が、函館と札幌に 2 か所、帯広に 1 か所、それから札幌にもう 1 つ別の会がやっているのがあり、 5 か所ありますが、 5 か所だけでは高次脳機能障害はほとんど充足していません。

 恐らく他の精神の方や知的障害者のために運営している作業所に通所できている人は、ラッキーなほうだと思うのです。例えば網走などはほとんど作業所がなくて、バス停に行くのにも 30 分以上かかるというような所では、通う手段がなくて引き籠っていると思います。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。なかなか難しいテーマなので、データと言われるときついかもしれませんけれども、数字があったほうが説得力があると思います。

 他の委員から、いかがでしょうか。朝貝委員、よろしくお願いします。

 

○朝貝委員

 全国肢体不自由児施設運営協議会の朝貝といいます。失語症の会と脳外傷友の会の方にお聞きしたいのですが、子供の教育のことです。失語症の会の障害児支援の所に書いてありますけれども、教育というのは非常に大事だと思っていまして、我々は脳性まひを扱っていますが、脳性まひの中にも高次脳機能障害的なものを持った児もいるし、失語症的な症状も持っている例があります。ところが普通の特別支援学校に行くと、なかなかそれに見合った教育を行ってもらえないということがあります。数が少ないのでなかなか難しいのですけれども、私としてはそういう特殊な教育ができるようなシステムを作っていかないと、ただ現状で行われている知的障害を中心とした教育だけでは間に合わないと思うのです。その辺のお考えがあれば、お聞きしたいです。

 

○日本失語症協議会園田副理事長

 おっしゃるとおり、当然だと思います。いくら人数が少なくても、その子の人生がかかっています。教育を受ける権利は必ず保障していただきたい。また卒業してからも、もちろん彼らが就労したり、そういう部分に進んでいくためにも、幼い頃からの教育にしっかりとアシスタントを付けて、受ける権利というのをしっかり保障して、勉強の場に挑んでいただきたい。その国の施策を心から望んでおります。

 

○日本脳外傷友の会東川理事長

 私たちのほうは、大人の問題をずっとやってきている間に、実は子供の時に塀から落ちていたとか、交通事故に遭っていた、そして行動障害が激しくて精神病院に入れられて、何十年も経ってしまったという人たちがたくさんいまして、これは大変だということに、 4 5 年前にようやく気が付いたのです。

 そして子供のときに、そういう受傷歴があった方々について、何か考えられないか。あるいは今でも子供が交通事故に遭う、あるいは脳炎になるのはたくさんいますから、小児高次脳機能障害というのに注目してほしいという運動を、ようやく展開し始めたところなのです。

 一応、法律的には発達障害の中に子供の問題は「その他の脳機能の障害」という言葉が入って、支援が行われることになっていますが、障害当事者の親たちからしますと、大分違うのです。つまり事故前に自分が出来ていたことが出来なくなっているということに、当事者の子供が気が付く。そして僕の頭はどうしたのだろうと言って自傷したり、あるいは、お前そんなことも出来なくなったのかと、学校の仲間たちに馬鹿にされて引き籠りになるとか、そういった副次的な問題が現在でもたくさん起こっているわけです。

 それで文部科学省に、私たちもお願いに行きました。特別支援教育の中で、いわゆる高次脳機能障害を持った子供たちへの支援をして欲しいと。国立特殊教育総合研究所にもお願いをしました。やっと去年、全国特別支援学校校長会という名前で、病弱児の範疇に小児高次脳機能障害は入るということで、冊子を 1 冊作っていただきました。それを全国に普及して現場の教員たちに分かってもらうという趣旨だったのだと思うのですが、それはまだまだ普及していません。

 今後私たちも取り組んで行きますけれども、キッズネットワークという情報交換の場を、うちの会の中に作りましたので、各地に小児高次脳機能障害の部会を作っていきたいと思っていますし、また皆様方の御支援をいただきながら、文部科学省で、大学教育の中でカリキュラムを立てていただかないと、この考えは普及しないと思うのです。私も教員養成大学を出ましたけれども、在学中にそんなことを一度も習ったことはありませんでしたので、後天性脳損傷児の高次脳機能障害に関わる教育システムを、是非作っていただきたいと念願しています。

 

○駒村部会長

 はい、ありがとうございます。他に。藤堂委員。

 

○藤堂委員

 発達障害ネットワークの藤堂と申します。高次脳機能障害とか失読症というのは、先天的なのか後天的なのかという違いはあっても、同じく見て分からない脳の障害ということでは共通点が非常にあるのかなと思いまして、おっしゃっていることはお互いに共通する点があると思っています。

 見えないがゆえに分かってもらえず、非常に困っているということで、啓発というところもすごく大事なのかなと思います。そのことについて余り触れられていなかったので、そのことについて伺えればというのが 1 つです。

 もう 1 つ、全盲の全国盲人会の方に一言申し上げたいのですけれども、私たちの中に読み書きの困難な人たちがいます。私もそうなのですけれども、耳から聞くことでとても情報を得ることができる、アクセスビリティが良くなるということがあると思うのですけれども、先ほどおっしゃったマルチメディアデイジーというのは、 1 つの商標です。製品の名前なので、そうではなくてアクセスビリティを確保するということで、新しい機器をできるだけ身近に使えるようにという趣旨だったと伺ってもよろしいですか。

 

○日本盲人会連合藤井部長

 日盲連でございます。御質問ありがとうございます。おっしゃるとおり、マルチメディアデイジーが商品名だという認識はありませんでしたが、これは視覚障害といっても、特に弱視者、多少は見えるのだけれども、音声と両方組み合わせると、文字認識、あるいは全体が認識しやすいということで私どもは考えていますが、知的障害ですとか、先ほどお話のありました高次脳機能障害、あるいは一部の精神障害の方についても、非常にそのようなツールを使いますと、文字情報であるとか、ものの考え方の情報を非常に理解しやすくなるということで、かなり汎用性の高い情報ツールとなるのではないかと思っています。是非この専門員を育てるとともに、この機器やツールの普及を図っていく、そういう促進事業を実施いただければ、多様な障害の方の共通のツールとして生きてくるのではないかと考えて、意見を出しました。

 

○藤堂委員

 これに関連ですけれども、今は先端機器はものすごい勢いで進んでいまして、マイクロソフトに付いているオフィスやワードに載せるだけで、色が反転したり変わったりとか、ルビを振ったりすることもできるし、フォントを変えたりサイズを変えたりすることが本当に簡単にできるようになっています。そういうものを活用して、もっと広くいろいろな方が使えるようにするといいと思います。

 

○駒村部会長

 はい、ありがとうございました。では伊藤委員お願いします。

 

○伊藤委員

 伊藤です。藤堂委員と重なるのですが、マルチメディアデイジーというのは、商品名でもいいのですが、普及させることが非常に大事な機器のように思います。初めて伺ったのですが。これは情報の保障だけでなくて、訓練にも大変いいような感じがします。これは現在どのようにして入手するのか、幾らぐらいの金額なのか、総合支援法の中で入手することが可能なのかどうかを伺いたいと思います。

 

○日本盲人会連合藤井部長

 日盲連でございます。パソコンのソフトという形で存在しているものですので、文字データを色を反転させたり、読んでいる部分を追いかけて色が変わったり、音声と一緒に場面が認識できるようなソフトです。これは一般的に売られているものです。

 ただ、先ほど説明があったような、ワードに載せるだけでということでは、私ども視覚障害、特に強度の弱視者に対してはちょっと間に合わないということで、そういう専門のソフトもあります。ただ、そのソフトを入れれば使えるかというと、それに付随した肝心なデータを作成提供しないと、なかなかそれに即した利用ができないという部分がありまして、そういう意味で今回はデータ製作員の育成と普及を要請したという趣旨です。

 申し訳ありません、価格についてはちょっと私は認識がありませんので、御容赦ください。

 

○広田委員

 家庭生活、学校に行った場面、会社勤めなど、あたり前の生活レベルの話より高度な話に聞こえました。支援費になってボランティアが消えて、みんなスタッフになった。それで予算がオーバーして自立支援法に行ったという話をしたけど、こういう要望を出す際に、国民が、世界の先進国で一番ボランティア精神の無いこの国。白杖の人がいれば、「私は横浜駅に行きますけど御一緒しますか、肩を貸しますか、腕ですか」と伺う、そういう下地が無い中でそれをチェンジさせようという心意気もなく出しているのか、「国民に対してきちんと世界の先進国並みのボランティア精神を持ってもらいたい。」塩崎大臣にも言わなければいけない、という両論なの?という質問です。

 

○日本盲人会連合藤井部長

 当然、国民皆さんお互いに支えあって生きていく。これまでもそのように私どもは地域の中で支えあって生きてきました。しかし、それに頼るだけで私どもがちゃんとした生活ができるかというと、これは周囲の理解、あるいは先ほどから高次脳機能障害ですとか、他の障害においても社会一般の理解が進まない中で、そこに期待してもなかなか難しい側面があります。

 ですので、基本的には障害の理解、あるいはお互いの支えあいを啓発しながら、理解を進めるということが一方であるわけです。他方では、私たちはいろいろな生活の困難さを抱えている。今日私がここに来るのに、右の靴下と左の靴下の色があっているかとか、私はよく失敗するのですが、同じ型の靴をいくつも買うのですが、右の靴が黒で左の靴が茶色で、私は恥ずかしくないのですけれど、皆さんがどう認識するかということのあるように。あるいは家庭内で洗濯をしようとして、洗うことはできて干すことはできても、どうやって組み合わせるか。料理をするためにスーパーマーケットまで行って、品物をどうやって選ぶか。あるいは学校で文字を習得するのに、地域の支え合いではなくて、点字をどうやって覚えるか。例えば中途になりますと学校教育もありませんので、それを保障する場というのが制度上ないのです。

 そういうことについて、私どもが自分たちで自立して、自前で皆さんと対等に生きていくための条件を、制度として要望していると御理解いただければいいと思います。

 

○広田委員

 前回も言いました。塩崎大臣の話によれば、「中国も韓国の厚生大臣も高齢化施策について」注目されている世界で一番高齢化加速しているこの国。私の父方母方の祖母が盲目で亡くなっています。私も視力が少なくて定期的に眼科へ行っています。

 この議事録は公開ですから、是非枕詞のところで、空気を吸うように、ご飯を食べるように、ボランティア精神が当たり前なのだと、年を取れば耳が聞こえなくなったり、歩けなくなったり、見えなくなったり、と一言入れておかないと、理解といっても生まれつき見えない方の理解はできない。見えているから。そういう身近な形で絶えず入れておくことが、千人の人が分からなくてもひとり分かるかもしれない。それは国にお金が有る、無いではなくて、日本がもっと心が豊かな国になるように、国民の一人としてのお願いです。

 

○日本盲人会連合藤井部長

 御指摘ありがとうございました。是非私どももそのような国民の皆さん、あるいは地域の皆さんの理解と御支援というものがこれから広がっていく、あるいは自分自身のこととして考えていただくということを、皆さんに訴えながら、今の私どもの生活の現実を理解していただくように主張させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

 

○広田委員

 是非がんばってください。竹下さんの名前をいつも出しているぐらい仲良しがんばってください。あなたは盲人であって弁護士、大したもの。

 

○駒村部会長

 はい、では野沢委員、お願いします。

 

○野沢委員

 御苦労さまです。本当はこのヒヤリングしている全ての団体に聞きたいのですけれども、取りあえず今のこの 3 団体に参考でお聞きしたいのですけれども、今回この障害者部会で議論する前に、ワーキングチームで論点整理のためのワーキングチームと何度かやっているのです。特にパーソナルアシスタンスとコミュニケーション支援、それから障害者の高齢化については、それぞれ作業部会を作ってそこでも何回もやっているのです。

 今回皆さんがこのヒヤリングの意見書を作る、あるいはここでプレゼンをしてくださるに当たって、これらのワーキンキグチームの作業部会の議論をどのぐらい参考にしていただいているのか、気になったのでお聞きしたいのです。これは全て公開されていますので、傍聴に来てくれた方もいます。議事録も公開されています。

 こういう傍聴に来たり議事録を見た上で、この意見書をまとめられているのかという辺りをお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。

 

○駒村部会長

 ちょっと時間も迫っていますけれども、簡潔にお願いできればと思います。では全ての団体から。藤井さんからお願いできますか。

 

○日本盲人会連合藤井部長

 全ての論点について、つぶさに見たということではありませんが、当然私どもはこの議論経過を踏まえて、多少皆さんの御意見に差を刺すような意見書も出させていただきましたが、認識した上で出させていただいています。

 なお、先ほど私が発言した中身については、今回設定されました質問項目順に回答と意見を書いているのですけれども、発言はその項目に従っていないということを御理解いただきたいと思います。

 

○日本失語症協議会園田副理事長

 もちろん議事録等を拝読させていただきましたが、失語症に関する施策については余り進展がないという思いを私は持っていまして、重ねてこの意見書に書かせていただいた部分が多くあります。

 

○日本脳外傷友の会東川理事長

 はい、全文は読んでおりませんが、度々拝見しています。それでもまだまだ分かっていただけていないところが多いというのが実感ですので、これを何とかするにはどうしたらよいかと思いまして、高次脳機能障害支援センターを設置してほしいという、大前提を掲げた次第です。

 

○駒村部会長

 野沢さんいいですか。

 

○野沢委員

 誤解されたら困るのですけれど、私が言いたいのはあくまでもワーキングチームというのは論点整理のためで、決めるのはここなので、それに引きずられてほしいという意味で言っているのではないのです。

 ただワーキングチームは論点整理とはいえ、かなり有効な議論もされてきたと、私自身は思っているので、それを踏まえた上で非常に短い時間ですので、噛み合った議論をやったほうが有効に使えるのではないかと思ったものですから。

 これは皆さんのことを言っているわけではなくて、全ての全体のことで考えたものです。今後のこともどうすればいいのかなと。それぞれ忙しい立場でやっているので、どうすればもっと中身の濃い噛み合った議論ができるのかなと、ちょっと考えたものですから、発言させていただきました。

 

○駒村部会長

 よろしいでしょうか。特段このチームについて議論はございますか。分かりました。
 3 団体の皆様、本日は大変ありがとうございました。時間がまいりましたので、次のグループに移りたいと思います。次のグループの方、着席をお願いいたします。

 

                             ( ヒアリング団体入替え )

 

○駒村部会長

 続きまして、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会からお願いいたします。

 

○日本難病・疾病団体協議会水谷事務局長

 一般社団法人日本難病・疾病団体協議会 (JPA) の事務局長の水谷と申します。今日はこういう機会を設けていただきまして、ありがとうございました。あらかじめ私どもの要望を出させていただいていますけれども、要望に沿って 10 分ということですので、要点を説明させていただきたいと思います。

 まず、私たちの協議会ですが、いわゆる難病団体と呼ばれることがよくあるのですが、難病・疾病団体協議会ということで、参加している団体の中には小児慢性特定疾病、長期慢性疾患の患者団体も含まれております。患者構成員総数は約 26 万人ということで、非常に長期慢性患者の数の多い団体もございます。そういう意味では、難病団体だけでなく、慢性疾患団体の要望も含めて今日はお話をさせていただきたいと思います。

 今年 1 月から、いよいよ難病法、改正児童福祉法が施行されました。特に難病法の中では、第 2 条の基本理念の中で、「他制度との有機的連携の下で、総合的な対策を行わなければならない」という規定が組み込まれました。私どもは、それを非常に重視しております。これまでは特定疾患で、医療費助成と調査研究が中心でしたが、また制度、特に、障害福祉分野において難病も含む疾病を伴う障害者としての支援のあり方というところを、障害分野でやはり検討して早急に始めなければならないという問題意識に立っております。そういう意味で、実態調査も含めて早急に具体化をしていただくことが、 3 年後の見直しに当たって前提といいますか、是非お願いしたいことです。

 それで 1 番目に障害の範囲の見直しということで、論点整理の順序が違うのですが、お話をさせていただきたいのです。前提というか、大きいところでは障害者基本法において、その他、心身の機能の障害があるものということで、難病も位置付けられました。骨格提言では、「上記の定義における心身の機能の障害には、慢性疾患に伴う機能障害を含むものとする」と明記されています。先般、障害者総合支援法において対象疾病については 7 月から 332 疾病ということで拡大はされますが、なお患者数が多いと推定される疾病や、あるいは患者はいても、なかなか情報が国につながらない疾病が多く対象から除外されております。そういう意味で、当面、障害者基本法の障害の範囲に基づいて、対象疾病には小児慢性特定疾病における対象疾病全てをはじめ、支援を必要とする全ての疾病を加えていただきたいことを、冒頭で申し上げたいと思います。また、難病をはじめとする慢性疾患に伴う障害、この場合の障害は機能障害ですが、及び社会的障壁について、本格的な生活実態調査を国で行っていただきたいということを 1 番目に述べたいと思います。
 2 番目の論点整理 ( ) の項目については、一応ここに項目ごとに挙げておりますが、難病というのは非常に全身にわたる障害を伴う人たちです。そういう意味で、個々の項目ごとにはそれぞれ具体的なことも必要になってきますが、その難病の特性に配慮をして、それぞれ検討していただくことが、まず大枠として申し上げたいと思っています。個々に触れていますと時間がありませんので、ポイントのみ、 1 番から 5 番までずっと書かせていただきました。

 書き忘れて書面で触れていないところでは、高齢障害者に対する支援のあり方と障害児支援のあり方について触れていませんが、障害児支援は、次に、難病のこども支援ネットワークさんもお話されますので、高齢障害者に対する支援のあり方について一言だけ。介護保険優先と言うことではなく、障害者の状況によって選択併用できるようにしていただきたいということを私どもの要望でも付け加えさせていただきます。

 その他のところが非常に多いのですけれども、 1 番目は、手帳のない難病等患者のサービス利用が今ようやく 1000 名代を超えて進められておりますが、まだまだ足りないと思います。そういう特性に応じたサービスが身近な地域で受けられるように、当然サービス利用が増えれば、必要な人材の養成確保や事業所への報酬のあり方等について必要であろうと思いますので、その検討をお願いしたい。

 自立支援医療については、まず、自立支援訴訟原告団との和解の「基本合意」事項である低所得者の自己負担の解消については、早急にやっていただきたいと思います。それから育成医療の負担上限、及び更生医療の一定所得以上の負担上限は経過措置ではなく、もうここまで続いてきたのですから、恒久措置という形で行っていただくと同時に、更生医療の一般所得にも同様の負担上限を設けていただきたい。自立支援医療の対象範囲なども是非、広げていただきたいと思っています。あと医療に関するところについては、骨格提言においては、障害者に関する医療の総合的な検討をはじめるということも書かれてますが、是非、難病も含む医療についての総合的な検討を始めていただきたい。利用者負担の考え方、あるいは補装具や日常生活用具においても、難病という障害、難病における障害の特性に応じて必要なものは品目に加えていいように見直すことも必要になってくるだろうと思います。

 最後に、身体障害者福祉法及び障害年金の障害認定基準について一言いいたいと思います。先ほどの団体からも、身障法における範囲のことも触れられました。特に、疾病に伴う障害者の公平性の観点から、同じ体内の臓器なのに、内部障害に心臓とか腎臓とかが入っているのにすい臓が入ってないのは、患者間の公平性においても非常に不公平だと思いますので、当面、すい臓機能障害を早急に内部障害に加えていただきたい。それから障害者総合支援法における難病、身体障害者福祉法における内部障害の範囲、あるいは障害年金の疾病に関する認定基準をこの際、 3 年見直しに合わせて、抜本的に見直す時期に来ているのではないかと思いますので、そういう検討もお願いしたいと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。それで、特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワークからお願いいたします。

 

○難病のこども支援全国ネットワーク福島常務理事

 認定 NPO 法人難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。本日は貴重な機会をいただきまして、どうもありがとうございます。お手元の資料 5 に従ってお話をさせていただきたいと思います。

 総論について、 3 点にまとめてみました。 1 点目は、私からあえて申し上げるまでもないことだと思うのですけれども、総合福祉部会による、いわゆる骨格提言の完全実施を目指した議論を是非進めていただきたいということでございます。 2 点目については、指定難病プラスアルファが病名単位で総合支援法の対象となっておりますが、本来あるべき姿としては疾患名による括りだけではなくて、難病や慢性疾患による活動制限や参加制約を含んだ新たな障害の認定という視点が必要だと考えます。例えば、人工呼吸器を使用している、あるいは経管栄養、胃瘻などによる栄養の注入、気管切開しているなど、医療依存度の高い、一定の状態によっても障害福祉サービスが利用できるようにする必要があると考えます。また、痛みやだるさなど、難病や慢性疾患による生きづらさ、あるいは暮らしにくさといったものを考慮する必要があるのではないかと思います。進行性の疾患の場合、病気が進行して後遺症としての障害が現れる前の段階で予防的に補装具や、例えば日常生活用具などを利用することによって障害の重症化を未然に防ぐことができることもあるため、ときには疾患名による障害福祉サービスの利用も必要であると考えます。また、疾患によっては増悪や寛解、再発を繰り返すこともあります。障害イコール固定という概念では括れないことも考慮する必要があると思います。最後に、内部障害においては、臓器の種別によって障害の認定の該当非該当が決まるのは著しく不公平だと考えます。
 3 点目は、小児慢性特定疾病の件です。ある専門家の話によりますと、今回の制度改革におきまして、小児慢性特定疾病の約 44 %が指定難病と重複したと聞いておりますが、それは反面 56 %は重複してない。つまり、総合支援法の対象となっていないと

いうことであります。したがいまして、当面の措置として、小児慢性特定疾病の全ての疾患を総合支援法の対象疾患に含める必要があると思います。

 各論について、こちらも 3 点にまとめてみました。 1 点目が、家族支援の必要性とその充実についてです。難病や慢性疾患、障害のある子どもの子育ては、保育や学校教育、そして就労という子どもの成長・発達・自立のライフステージにおいて、親自身による体験的知識だけでは解決することの困難なことに向き合わなければならないことも多くございます。ライフスタイルの大幅な変更や、自己実現をあきらめざるを得ないなど、家族全体に大きな影響を及ぼします。また、家族による丸抱えの生活は、子どもの発達や成長にも大きな影響を与えるため、その自律や社会参加の制約要因となっていることにも目を向ける必要があります。難病や慢性疾患、障害のある子ども本人への支援に加えて、その親や兄弟をも含めた包括的な家族支援が必要です。 1 例としては、レスパイトやショートステイなどのサービスの確保、ピアサポートや親の会など、当事者による体験的知識を生かした相談支援が必要だと考えます。
 2 点目は、医療的ケアのある子どもへの支援です。たんの吸引、経管栄養、導尿など、いわゆる医療的ケアの必要な子どもたちが医療機関を退院し、在宅へ移行するケースが増えております。現行の障害福祉サービス、特に居宅系のサービスには、このような医療に分類されている行為を必要としている子どもたちが使うことができるサービスが、事実上存在しておりません。これは日常生活において介護者たる家族の大きな負担となっている状況です。また、医療的ケアがあるために幼稚園や保育所、学校への受入れに制約が生じたり、集団活動や学習活動等から排除される例は、今でも枚挙に暇がありません。難病や慢性疾患を原因とする障害については、医療と福祉を切り離して考えることは難しく、医療保険制度と障害福祉サービスの谷間を作らない制度の構築が必要です。子どもに対する訪問看護は、現在医療保険制度の 1 つとして行われておりますけれども、診療報酬上の制約が多くございまして、長時間や頻回の利用が難しいのが現状です。

 そこで、障害福祉サービスに訪問看護を新たに位置付け、現在必要な障害福祉制度の利用に結びついていない医療衣存度の高い利用者への支援を確保する必要があると考えます。また、一定の研修を受けて医療的ケアを行うことができるヘルパーを派健するヘルパー事業所に対する更なる報酬の加算など、何らかのインセンティブが必要だと考えます。併せて、必要な人が必要なタイミングで喀たん吸引等、研修を受講できるように、研修機関及び養成機関への経済的な支援も必要だと考えます。
 3 点目は、通常の学級に在籍する子どもたちへの支援です。特別支援学校における基礎的な環境整備との差を埋めるための合理的配慮の提供が不可欠です。特に、通常の学級においては親の付添いを半ば強制されたり、修学旅行に連れていってもらえないなどの差別事例が、未だに聞こえてまいります。特別支援教育支援員 ( 介助員 ) 制度だけでは、多様な子どものニーズや校外学習などに対応できない、対応しきれないこともしばしばございます。学校内、宿泊を伴う修学旅行や林間学校などを含む校外学習時においても、障害福祉サービスの居宅介護や重度訪問介護、医療保険における訪問看護を利用できるようにすべきだと思います。また、通学が保障されなければ、教育機会を保障することにはなりません。学校への通学時においても、重度訪問介護や移動支援を利用できるようにするべきだと考えます。また、ヘルパー自身が運転する車による通学支援も必要だと考えます。いずれにいたしましても、学校教育段階における厚労省と文科省の連携は大変大きな課題だと考えておりますので、是非ともよろしくお願いいたします。以上です。

 

○駒村部会長

 では、ただいまの御意見について、委員の皆様から御質問はありますでしょうか。小西委員、竹下委員の順番で、あとこちらに来ますので、お待ちください。では、お願いします。

 

○小西委員

 日身連の小西です。日本難病・疾病団体協議会の方にお伺いしたいのですが、僕自身が難病なのですが、本人が難病という認識を持っている人が意外と少ないような、個人的には気がしています。先の私どもの全国大会でも、難病の話をしたところ、本人が難病認識をどの程度されているのだろうかと感じました。また、どのようにしてその難病が本人に伝わるのか、若しくはそれを伝える努力をされているかということをお伺いしたく、よろしくお願いします。

 

○日本難病・疾病団体協議会水谷事務局長

 ありがとうございます。身体障害の人たちは、障害は意識しても、難病患者という意識がない、逆に難病患者のほうは、難病患者という意識はあるが、障害者という認識が低かったりするのですね。それはやはり、根本的には行政が縦割りの制度であったからだと思います。これからは難病があることによっていろいろな社会的な障壁で生きづらいというところですね。そういうところを制度で埋めていく時代にようやくなったということだと思います。 1970 年代に難病対策ができたときから、難病という概念は、既に社会問題として、難しい病気があるが故に生きづらい、生活しづらいということも包含していました。ただ、その生活のしづらさがどうしても障害者の施策に結びつかなかったということがあります。障害者基本法や障害者権利条約でも位置付けられていますので、難病者も患者であり、障害者だという認識で、支援が整備されていく時代だなというふうに思います。障害者の方たちも、その原因は難治性疾患だったりするわけなのですけれども、難治性疾患が原因で固定した障害になる前にその社会的障壁を埋める支援策を整備するというところまで、障害者施策をもう一歩進めていただきたいと思っています。

 

○小西委員

 ありがとうございます。

 

○駒村部会長

 では竹下委員から。

 

○竹下委員

 竹下です。難病のこども支援全国ネットワークの方にお聞きしたいのですが、最後のところにありました「通学の際の支援」ですけれども、現時点で難病の子どもさんの通学における支援というのは、どういう形で実現されているのかということが、もしあれば教えていただきたいと思います。

 

○駒村部会長

 お願いできますでしょうか。

 

○難病のこども支援全国ネットワーク福島常務理事

 難病の子どもに対する固有の施策というのはほとんどないと思います。もちろん難病があって、障害に該当する肢体不自由がある等、障害認定を受けている方もおりますので、そういったケースにおいては市町村ごとに通学支援のプログラムがある所もあります。また、市町村によっては移動支援を拡大解釈して、学校で利用していると、そういったケースもあると聞いております。

 

○駒村部会長

 河崎委員から手が挙がっていたと思います。お願いします。

 

○河崎委員

 日精協の河崎です。 2 つの団体に同じことでお聞きしたいと思うのですけれども。いわゆる、難病の方たち、あるいは難病の子どもさんたち、それぞれ地域の中で生活をし、支えていく。これ、非常にやはり医療との関係というのは不可欠なものだと思うのです。そういう中で、今回、難病のこども支援全国ネットワークさんのほうからは、障害福祉サービスでの訪問看護ということを新たに位置付けるべきだという御提案をいただいたりしておりますが、現実的にはその医療サービス、いわゆる訪問診療とかそういうような部分というのは、現状的にはどうなのでしょうか。かなり十分ではないのではないかというふうに思ったりするのですけれど、その辺りは難病の方たちへの関与をなされている中で、どういう印象をお持ちなのか、教えていただきたいと思います。

 

○難病のこども支援全国ネットワーク福島常務理事

 御質問ありがとうございます。現在、訪問看護を利用する場合には、介護保険の対象でなければ医療保険を使うか、あるいは自費ということになるわけです。医療保険を使う場合は、御案内のとおり、診療報酬を基に行われるわけですから、医療保険制度という大変大きな枠組みの中での話ですので、余りきめ細やかなサービス提供にはなっていないと認識しています。

 例えば利用回数に制限があったり、利用時間にかなりシビアな制限があったり、実質的に利用する側のニーズにはほとんど合致してないケースが多いのではないかと思っております。

 

○日本難病・疾病団体協議会水谷事務局長

 難病のほうも、やはり基本的には不足していると思っています。今まで難病と言うと、 ALS ですとか神経難病が中心に、そういう医療体制、ネットワークが出来たりしています。広く言えば、いろいろな多系統にわたって難病と位置付けたときに、病院に行くのでさえ大変な人たちというのは、かなりとり残されていると思いますので、そういうところも含めて訪問看護サービスがもっと更に充実していくことが必要だろうと思っています。

 

○河崎委員

 ありがとうございました。部会長、今日、日本医師会のほうからは意見書が出ておりまして、松本委員のほうが御欠席なのですが、この内容について少し言及させていただいてもよろしいでしょうか。いかがでしょうか。

 

○駒村部会長

 言及というと、どういう立場で。

 

○河崎委員

 今日、この資料の 6 に、日本医師会のほうから「障害者総合支援法の見直しに係る意見」というのが出ております。これを見させていただいて、正しく私たちが考えている各地域にどのように受け皿を整備していくのか。あるいは、地域移行ということを進めるためには入院医療をどういうふうに適正化をし、重点化をしていくのか。それを同時進行的にやらなきゃいけないのだろうということが明確に、私たちもそう思っております。

 更には、地域の中で地域生活支援をする際に、やはり福祉のサービス、介護のサービスに、常に精神の方の場合には医療的サービスもバックアップとして必要であるという点については、日本医師会のほうから出されている意見書に賛同をしていることを言及をしたかったということでございます。

 

○駒村部会長

 分かりました。

 

○河崎委員

 現在、日本医師会では精神保健委員会という委員会の中で、長期の入院精神障害者の方の地域移行に向けての議論を行っておられると聞いてますので、その辺りのところも今後は注目をしていきたいということでございます。以上です。

 

○駒村部会長

 では日野委員、お願いいたします。

 

○日野委員

 身体障害者施設協議会の日野でございます。私どもの協議会における施設支援あるいは在宅支援の中で、難病の方が障害福祉サービスを利用されているというケースが徐々に増えているのですが、これからも恐らくそういう方が利用されると思います。その中で、認定調査員の、あるいは医師の意見書等について、難病への研修のあり方について、私たちはその問題意識を持っております。また、難病の方たちに対してのサービスの利用の周知が余り徹底されてないというような幾つかの問題意識を持っている中で、お二方、 2 つ団体にお伺いしたいのは、この障害総合支援法における範囲については 332 疾病に拡大をされたということですけれども、医療費助成が関わる指定難病についても拡大はされてはおりますが、まだ十分ではないと思っています。要件緩和等によって、もっと指定難病の拡大を講じる必要があるだろうということです。

 もう 1 つは、先ほど失語症協議会の方から、医師の意見書あるいは認定調査員の研修のあり方について御発言ありましたけれども、やはり難病患者等に対する認定マニュアル、恐らくそれぞれの自治体ではマニュアルを配布する程度に留まっているのではないかと思います。したがって、重要な認定に関わることでございますので、市町村においても、各都道府県においても、こういった実際の研修というものが必要ではないかと思っておりますが、この 2 点について、それぞれの団体は、どういうようなお考えかということを聞かせていただきたいと思います。

 

○駒村部会長

 お願いいたします。

 

○日本難病・疾病団体協議会水谷事務局長

 日本難病・疾病団体協議会です。 1 点目の、指定難病と障害福祉サービスにおける対象疾病ですけれども、これは制度が違いますので、指定難病のほうも、まだ入っておらず医療助成が必要な疾患を是非増やしていただきたいと思っています。第 2 次指定ではかなり入ったと思っています。

 一方で、障害福祉サービスにおける対象疾病についてはその指定難病における要件のうち、希少でないといけないという要件をはずすなど一定程度緩和はしているのですけれども、もっと広げてもいいのかなと思います。客観的な診断基準があることというのも、ある程度診断がつくような疾患については是非入れるべきだと思うのです。福祉の対象になる疾病はできるだけ増やしていただくことが必要だろうと、私たちは思っています。
 2 点目については、私もそう思います。市町村に配布したというのも、紙で配布しているかどうか。 PDF ファイルでは行っていますが、認定調査員の 1 1 人が紙のマニュアルを持っているかどうかまで見ないといけない。難病の特性や全体が本当によく分かる、大変良いマニュアルだというふうに思ってますので、是非これを活用して、難病の人が窓口に来たときに、応対する人が難病者の具体的な日常生活までイメージできることが大事だと思うのです。そのためにも、是非マニュアルを一層活用すべきだと思います。

 

○駒村部会長

 続けてお願いいたします。

 

○難病のこども支援全国ネットワーク福島常務理事

 小児慢性特定疾病というところで捉えると、これは障害福祉サービスの対象とはならないというのが原則といいますか、今の決まりであります。先ほど御説明させていただいたように、小児慢性特定疾病の 44 %の疾患が指定難病と重複しているということですので、それに重複している方については、総合支援法の対象となる。あるいは、例えば肢体不自由があることによって障害の認定を受けることができれば、こういった方は障害福祉サービスを利用できるというのが現状であります。したがいまして、第 1 段階といたしましては、小児慢性特定疾病の対象疾患の全てを障害福祉サービスの利用に結びつく総合支援法の対象疾患に含めていただきたいと思います。そして本来あるべき姿としては疾患名によるくくりではなくて、難病や慢性疾患による活動制限や参加制約を含んだ、新たな障害の認定という視点が必要だと、私は考えております。

 

○駒村部会長

 どうもありがとうございます。そろそろ時間が来ておりますが、佐藤委員お願いいたします。

 

○佐藤委員

 佐藤です。今のお話の中にもありましたけれども、現実。例えば、難病それは小児であっても、成人であってもそうだと思うのですが、あなたは難病だから障害福サービスの対象にはならないとはなってないと思うのです。そうしてはいけないということにもなっていると思います。仮に障害手帳を持ってなくても、医師の診断書を含めて、障害福祉サービスを受ける資格があると言うとおかしいですが、そういう認定がされるということに、普通はなっているのではないでしょうか。先ほど来の話を聞いていますと、全国的に見ると必ずしもそうでもないのだというお話にも聞こえるのですが、そこら辺をもう少し教えていただければと思います。

 

○駒村部会長

 確認のところですね。なるべくポイントをついてお願いできればと思います。

 

○日本難病・疾病団体協議会水谷事務局長

 そうですね、確かに身障手帳を受ける上で、その要因は問わないという意味で、難病というのはそうだと思うのですね。ただ、現在の身障手帳の基準は障害が固定永続しているということが基本であるが故に、症状が固定しないと受けられない。例えば肢体不自由とか、視覚とか聴覚という形では固定しないけれども、難病を持っているが故に状態が変動し、いろいろな社会的な制約が起きるということがあるわけです。ですから、そういう人たちを障害の範囲に入れていくことが非常に大事なのだと思っているわけです。将来的には疾病名を問わずに、慢性疾病を伴う障害というような形にすべきですが、現状では、福祉の関係者、役所の方も含めて、難病の特性が分かるように、当面は疾病名で、できるだけたくさんの疾病を入れていくというような形のものが必要なのだと思います。回答がちょっとずれているでしょうか。

 

○佐藤委員

 仮に、何かの病気があったとしても、しかもそれは難病と言われる病気だとしても、日常生活や社会生活において差し障りが出るほどでもないという場合でも、その難病の病気の程度によりますが、その病気になっていれば 障害認定 すべきだという話だと、伺ってもいいのでしょうか。

 

○日本難病・疾病団体協議会水谷事務局長

 難病の中には医学的には身体の中で進行していても、日常生活、社会生活に今は障害が出ないが将来出てくるという場合は、結構あるのですね。そういう疾病を抱えているという状態でも支援が受けられるようにということです。

 

○佐藤委員

 それは医療でやればいい話ではないのでしょうか。

 

○日本難病・疾病団体協議会水谷事務局長

 いいえ、それは違うと思います。

 

○佐藤委員

 そうですか。はい、分かりました。

 

○駒村部会長

 その辺は最初の小西委員のところに、問題にまた戻る話ですよね。本人が必要ではないと思っているのにという話だと思います。一応、念のために確認されたと、ここ、ちょっと見解が違うところがあったということですね。よろしいですか。

 

○佐藤委員

 結構です。

 

○駒村部会長

 ちょっと延びております。大変申し訳ございません。ここで、この 2 つのチーム団体については、一先ず終わらせていただきたいと思います。 2 団体の皆さん、大変ありがとうございました。

 ここで、少し遅れているのですが、事務局、 10 分取りますか。

 

○川又企画課長

 後半戦がちょっと長いので、 10 分休憩を取らせていただきまして、 50 分からお願いします。

 

○駒村部会長

 これから 10 分休憩といたします。

 

                                     ( 休憩 )

 

○駒村部会長

 では再開しましょう。それではヒヤリングを再開いたします。まず、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会からお願いいたします。

 

○全国精神保健福祉会連合会本條理事長

 全国精神保健福祉会連合会の本條でございます。このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 

○駒村部会長

 野次は入れないでください。

 

○全国精神保健福祉会連合会本條理事長

 当ヒヤリングも、既に 3 分の 2 を経過して各団体からいろいろと御意見を頂いておりますので当会といたしましては、野沢委員からのアドバイスもあり、今まで議論になっていなくて共通性のあることについてお話していきたいと思います。

 まず、家族介護、家族支援の財源問題です。去る 5 29 日、慶應大学医学部の研究グループが認知症に関わった社会的費用の推計を公表いたしました。この数値を見ますと、医療費が 1 9,000 億円、介護保険サービスが 6 4,000 億円、それに対して家族による介護の費用は、 6 2,000 億円と介護保険サービスとほぼ拮抗しております。この家族による介護がどれだけ専門職による介護あるいは支援に置き換えられるかどうか分かりませんが、少なくとも、介護専門職の指導や支援を受けながら有償で家族介護あるいは家族支援をいたしましても専門職の方がやるより発生する費用は従来の介護支援費用を下回るものと思われます。少なくとも、増大し続ける介護支援費用の抑制効果はあるのではないかと思います。万一、削減できた費用と家族介護者への支出が余り変わらなかったといたしましても、家族による介護者には収入が入ってまいりますので、幾分かそれは消費に回り、供給を生んで経済の活性化となり、家族介護者が得た所得からの分も含め、収入も増え、財源のある程度の確保につながるのではないか。したがいまして、今まではパイは広がらないとおっしゃっておりましたが、パイは広がる可能性はあるのではないかと、このように思います。これは精神障害に限らず、障害者にも当てはまるものです。さらに、精神障害の場合、多職種、専門職の訪問による本人も含めた家族全体の支援、いわゆる訪問による行動療法的支援、家族支援は統合失調症の再発防止に顕著な効果があります。イギリスにおきましては、 1995 年にケアラーズアクト ( 家族介護者支援法 ) を制定したのを皮切りに、様々な家族支援策を講じていることは皆さんも御承知のことと存じます。日本版家族介護者支援法 ( 家族支援法 ) を制定するか、当障害者総合支援法にその規定を設けるように提案したいと思います。

 就労については、他団体から様々な意見が出ておりますので、当会からは、労働政策あるいは企業と連携して個別支援あるいは個別援助付きの障害者雇用、 IPS モデルの採用を提案したいと思います。この IPS モデルも従来の訓練場面と職場が別々の支援よりも、いわば伝統的な就労支援と比較いたしますと、就労率、定着率、逆に言えば脱落率ですが、再入院率、いずれを取りましても、 IPS のほうが良好であったという結果も出ております。

 精神障害者の地域移行ですが、医療面も含めた退院促進も非常に大事ではありますが、再発予防、再入院を防止していく、少なくしていくことも大事ではないかと思います。前述のように、訪問による多職種、専門職による家族支援、 IPS モデル等による就労支援によって入院する精神障害者をできるだけ減らしていけば、早晩、入院患者は減らしていけるのではないか、このように思っております。再入院をできるだけ抑えていけば、徐々に医療費は抑制できるのではないか、このように考えております。

 地域医療を考える上で、居住支援が今までにも議論になっておりました。しかし、現に地域で生活している人には新たな居住の必要性は余りなくて、退院する人の居住支援が問題になると思います。しかしながら、全体的に言えば、住居は地域で余っております。保証人が見つからず賃貸住宅に入居できない人がいます。それは公的障害者住宅保証人制度を設ければ、幾分解決していくのではないかと思います。あるいは、公営住宅の優先入居等も考えられます。もちろん、支援をしつつ生活訓練をしていくグループホーム等の施設での訓練も必要ではありますが、これも、家賃補助等の補助金を厚くすることによって促進効果は生じてくるのではないかと思います。したがいまして、飽くまでも、退院すれば地域で自立した生活ができるような支援を進めていくべきであると思っております。

 本人の意思決定です。民法には、補助、補佐、後見の 3 類型が規定してありますが、後見制度における代行が障害のある人の自己決定権を制約し、社会参加を阻んでいるのではないかとも言われております。そのような民法の規定ですら被後見人の意思の尊重をうたっておりますし、利益相反の、後見人と被後見人との利益相反の禁止を定めているところです。そうしますと、非自発的入院における家族の同意要件は問題になってくるのではないかと思います。もちろん医療の提供は、家族も医療関係の方も本人の利益のためにしているという考え方はあるわけですが、本人の行動の自由あるいは選択権を制約し侵害していることも事実ですので、精神福祉法改正でも議論していかなくてはなりませんが、在宅ということも考えれば問題が大きいので、今から整理をしておくのも決して早くないと考えております。

 後の所は、まだ申し上げたい所はありますが、読んでいただきたいと思っております。ありがとうございました。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。続いて、公益社団法人日本精神保健福祉士協会からお願いいたします。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 公益社団法人日本精神保健福祉士協会の宮部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 当協会は、平成 9 年に国家資格化されたソーシャルワーカーである精神保健福祉士の全国団体です。精神保健福祉士は、医療、障害福祉、司法、教育、産業保健、行政等との様々な分野で精神障害者やメンタルヘルス課題を抱えた人々の支援に当たっております。本日は、精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を行う、私ども精神保健福祉士の立場から意見を申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。資料 8 に沿って御説明していきたいと思います。

 まず、 I の常時介護を要する障害者等の支援についてです。障害者の場合は、「介護を要する」という所を「常時支援を要する」と置き換えて考えていく必要があると思っています。精神障害者の中には、強度の行動障害は許さないものの抑鬱状態、意欲の低下により常時の支援が必要な者や、他者との関係構築や自ら支援を求めることが苦手であることから地域生活の維持が困難になる者、身体合併症を有してその自己管理が不十分なことから自身の健康を維持できない者など、手厚い支援が必要な精神障害者が存在します。常時の見守りや服薬の指導といった、常時の支援があれば地域生活が可能となる長期入院者は多く存在しており、常時支援を要する障害者のための医療、介護サービスとともに連携した包括的な支援サービスの創設が望まれると思います。

 次に、障害者の就労支援です。就労支援の全体状況については資料のように捉えております。御確認ください。

 次のページに移りまして、就労支援は就労だけでなく、相談機能も含めた生活支援が欠かせないことから、人員体制や加算についても見直しが必要だと考えております。特に疾病との関係や環境の変化による就労状況の可変性が高い精神障害の方にとっては、障害者の雇用施策と同様に、精神障害者を重度加算の対象とすることや、報酬体系の根本的な見直しが必要であると考えております。また、定着に向けた支援体制についても同様の状況から支援に、より長い期間を要する場合が多く、利用者との関係性が十分に取れている就労支援事業所が就労定着支援を行うという継続的な伴走型支援が行える体系が必要だと考えております。

 次に、 IV の障害支援区分の認定を含めた支援決定の在り方です。このことについて当協会としては、支給決定プロセスにおいて現行の審査会における障害支援区分認定に基づく支給決定というプロセスは廃止すべきであると考えております。先般のワーキングチームでも述べましたが、相談支援専門員が障害者本人のニーズを的確にアセスメントした上で本人の意向を最大限に取り入れたサービス等利用計画を作成し、自治体担当者との協議・調整により支給決定を行うプロセスへの転換が必要だと考えております。また、計画相談支援は、そのプロセスはソーシャルワークそのものであり、質の担保のためには、相談支援専門員の基礎資格をソーシャルワーカーの国家資格である精神保健福祉士又は社会福祉士を原則とすべきであると考えております。

V の障害者の意思決定支援については、成年後見制度の利用を促進する前提として、成年後見制度利用支援事業の運用の在り方を見直すことにとどまらず、我が国の成年後見制度のあり様について見直しを行う必要があると考えております。

 次に、 VII の精神障害者に対する支援の在り方についてです。当協会は社会的入院の解消を大きな活動の柱として掲げ、構成員の実践力の向上を目的に活動を続けております。長期入院中の精神障害者の地域移行を推進していくためには相談支援専門員やピアサポーターによる地域移行支援は重要であり、この度、報酬改定によって幾つかの改定が行われたところではありますが、利用数は極めて低位にとどまっています。また、長期入院精神障害者の高齢化が進む中で地域移行支援の量的拡充は喫緊の課題です。ピアサポーターの養成、精神科病院の職員に対する地域移行に関する研修の義務化、精神保健福祉法上の退院支援委員会等に参画する地域援助事業者への活動に係る財源の確保、自立支援協議会における地域移行部会の設置と精神科病院からの参加の義務付け等、必要な手立てを講じていく必要があります。これらの退院意欲の喚起や地域移行の重要性を理解する人材育成などは地域移行の原動力となる取組ですが、この取組は、医療、福祉、行政の協働と連携なくしては有り得ません。また、障害福祉サービスにおいての地域移行支援の推進は、個別給付のみを増やす方策を考えるだけでは進みません。その前提として、自立支援協議会の機能の充実の上に、一般的な相談、基幹支援センター、計画相談支援、地域相談支援を含めた相談支援体制の整備が急務です。

 次に、精神障害者の特徴に応じた地域生活支援の在り方です。精神障害者は、疾病や環境の影響を受けやすく、可変性や不安定性を有するという特徴があります。状態像によっては、集中的な見守りや助言・指導等、緊急時の支援等が必要な精神障害者は多く、介護保険サービスにおける定期巡回、随時対応型訪問介護などを参考としつつ、精神障害者の特性に合わせた医療と介護 ( 福祉 ) の連携による新たな包括的支援サービスを創設すべきです。また、居住の場の確保に向けて一部の自治体で取組が始まっています空き家とか空きビルの障害者グループホームへの転用に関する補助金の制度化、さらには、通所とは切り離して、アウトリーチ支援として単独事業として提供できる訪問型自立訓練や、入所の状況に合わせてサービスを提供できる小規模多機能居宅介護の創設、重度かつ慢性の入院者の退院促進のための宿泊型自立訓練、さらに、医療との連携をより促進する仕組みが必要です。そして、それらの仕組みを生かすためにも、一般的な相談機能の強化など、新たな制度の創設が検討されるべきです。

 次に、総合支援法における意思決定支援と精神保健福祉法上の入院中の方の意思決定支援に関しての整理についてですが、当協会としても現在、整理の途中です。 2 つを区別して捉えたほうが望ましいという考え方がある一方で、障害者の方の権利行使支援や権利擁護の中核は意思決定支援であり、精神科病院の非自発的入院という特殊な状況下に置かれた権利を支援する手立てとして、まずは意思表明の支援が存在するという考え方もあります。今後、より協議を深め、その関係を整理していくことが私どもにも求められると考えております。

 最後になりますが、 VIII の高齢の精神障害者に対する支援の在り方についてです。まずは、介護保険サービスへの移行で生じる利用者への自己負担が増加することで介護保険サービスを利用しにくい精神障害者の存在は多く、低所得者層への何らかの経済的措置が必要と考えます。また、介護保険サービス事業所等が精神障害者への理解を深めるための取組やサービスのスムーズな移行が可能となる仕組みが必要です。

 以上、申し上げましたが、精神障害者の様々な状況に合わせた新しいサービスの創設と、医療、介護、福祉の連携の仕組みを支える相談支援の機能の充実が喫緊の課題であるということを再度述べさせていただきまして、私どもの意見としたいと思います。どうもありがとうございました。

 

○駒村部会長

 どうもありがとうございました。続いて、特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会からお願いいたします。

 

○全国精神障害者地域生活支援協議会伊澤代表

 発言の機会を頂き、ありがとうございます。全国精神障害者地域生活支援協議会、「あみ」という愛称が付いていますが、全国の精神障害の方々の街での暮らしを支える支援サービスの担い手たちの集まりと御理解いただきたいと思います。まとめる力が少し乏しい関係で項目が非常に多くてごめんなさい、かなりスキップしながらお話させていただきたいと思っております。

 最初に、常時介護を要する障害者に対する支援についてです。精神障害の特性であります「可変性・揺らぎ」と言われている、実はその方の中に障害の重いときも軽いときも同居しているという、そういう「揺らぎ」の状態が非常に強く見られる。そういう可変性への対応を図る視点、つまりそれは、支援サービスで言いますと、見守りとか、あるいは待機型の支援を創り出していく、そういう必要性があるのではないかと思っております。それから個別性を重視した支援の展開、細やかな対応をしていくという観点から、骨格提言にあります「パーソナルアシスタント」の創設に向けて検討を深めるべきではないかと思います。横浜では既に自治体として実施されているという事実もあります。

 次に、移動のことに関してです。移動保障の拡充という観点から「移動支援」については、地域生活支援事業ではなくて個別給付として行うべきではないかと思っております。精神障害の方々の移動保障の観点で、結構重要な要素として、通院同行、受診同行というのがありますが、受診時などに当然想定されている待ち時間が、指定契約になってしまって、支援の算定から外れてしまうという状況があります。受診における移動、並びにそれに関わる対応全般という捉えの中で、このことをきっちりと対応していただきたいと思っております。

 入院中から、移動支援といいましょうか、外出などを通じて社会資源の活用や見学、地域とのつながりを再度復活させるような諸々の活動を織り込んでいきながら、退院促進、地域移行を進めていくという観点から、移動支援に関しましては、そういう観点からも強力に進めていただきたいと思っております。

 就労支援に関しましては、 2 ページですが、就労の本格的な道筋を付けていくということにおいて、現在の事業の体系の中にある就労継続 A 型の事業と就労移行支援の、この事業は正に本格的な就労支援事業として、それも障害福祉サービスの中に置いておくのではなくて雇用対策としてしっかりと取り組んでいくべきではないかと、構成を変えていくような、そういう視点も大事ではないかと思っております。雇用対策、労働対策では障害者の職業センターが稼動していますが、そことの連動なども視野に入れながら本格的なトレーニング、就労の実現というところに結び付けていく、そういうことが望ましいのではないかと思っております。

 一方で、働くことが暮らしの中心になかなかなりにくい方々もいらっしゃるのは事実です。そういう方々に対しましては、デイアクティビティといいましょうか、日常の生活の中で豊かさを追求していくような視点から、例えば、就労継続 B 型であるとか、あるいは生活訓練事業、さらに生活介護事業、そういったものを合わせて生活支援事業、これは仮称ですが、そういう範疇の中で実施していくことがよろしいのではないかと思っております。

A 型事業の問題に関しましては後にいろいろと触れられると思いますが、現状では、やはり不適正な運営が行われているということが散見されます。囲みの中にありますが、雇用対策の中でもこういう捉えがなされています。「就職先」というような所のデータで見ますと、これは一部の報道ですが、医療・福祉が 4 桁で 2 位を大きく引き離している。しかし、医療・福祉の中身は実は就労継続 A 型に参加されている方々をカウントしている、そのような事情もあるやに聞き及んでおります。こういうことから、先ほどの話に少し戻りますが、雇用対策としてしっかりと位置付けを施すことが支援として大事なのではないかと申し上げておきます。

 「支援の区分」に関しましては、やはり認定調査における地域間の格差や自治体間における差が結構見られます。そういう意味では、認定調査員の質の確保といいましょうか、人材の育成を含めた、そういう強化をしていただきたいと思っております。

 次に、 3 ページですが、少し飛ばしまして精神障害の方に対する支援の在り方になります。今般、病院の敷地の中に、あるいはその病棟を使ってグループホーム、生活施設を作っていくという省令が出されました。それに基づいて各自治体で条例改正をして。従前、総合支援法の中には、●の 3 つ目にありますように、病院の敷地の中に生活施設 ( グループホーム ) を置いてはならないというものがあったわけですが、その条例改正によってそういうことができる、省令もバックにあるというような流れの中で全国でも取組が始まるやに思います。ただ、このことは障害者権利条約に大きく抵触する内容ではないかと私たちは捉えております。したがいまして、病棟の転換、あるいは病院の敷地の中における生活施設 ( グループホーム ) の設立については反対を表明させていただきたいと思っております。

 ●の 4 つ目には、総合支援法からは少し外れるのですが。先般の精神保健福祉法の改正により医療保護入院の見直しがされました。その中で、退院後の生活環境相談員の配置並びに退院支援委員会を病院の内側からそういう仕組みを持ちながら進めていくというようなことが設定されたわけですが、現状、その辺が、地域サイドから見ていると、なかなかまだ動きとして、それが見えてきていないと思います。現状をしっかりと捉えながら、実施状況や展開状況をしっかり捉えながら、そして、さらに推進の方向に向けてプッシュしていくというような視点が大事なのではないかと思っております。

 数年前に国の補助事業として地域体制整備コーディネート事業というのが、これは地域移行、退院支援の事業ですが、それが廃止となりました。都道府県が細々と独自に実施しているというのが現状です。これは一時期、 47 都道府県で全てのエリアにおいて取り組まれたというような過去の経緯もあります。そこで退院の促進が少なからず図られたということもありますので、この事業の再考、再建を望んでおります。

 時間の関係で 4 ページのその他にまいります。ここも項目が結構多く、報酬の体系に関して一言申し上げておきたいのです。基本報酬と加算による積み上げというような形で 2 層構造になっていますが、基本報酬部分をしっかりとしたものにしながら、そして実績で上乗せをしていくような、そういう視点が大事ではないかと思っております。これは骨格提言の中でも唱えられた部分です。そこを追及していただきたいと思っております。加えまして、日中活動系に比べまして居住系の支援事業が、グループホームや共同生活援助だったりするわけですが、そこの報酬の単価が非常に低いと捉えております。居住支援に対する評価が低い。利用される方々の命や財産、暮らしの本拠地として果たしている役割は非常に絶大です。 24 時間、そして切れ目のない支援を行うという観点からも居住支援系の事業に対する評価を上げていただきたいと思っております。時間がまいりました。下のほうにまいりますが、今申し上げたような、居住支援系の事業の拡充に関しましては、長らく地域に安定的に安全にとどまっていただくということを考えたときに、ここにあります看護の機能が付いた、いわゆるメディカルサービスの付いたホームも必要になってこようと思っております。そういう観点から居住支援を拡充していくというように思います。

 最後の最後に、財政のことです。骨格提言の中で非常に強調されていました、 OECD 加盟諸国の平均の水準を目指すと、そういう予算の確保に関しましては、そういう視点を持ちながら、一遍に急にということはなかなか難しいと思いますので、段階を踏まえて、少しずつでもその積み上げを図っていただきたいと思っております。長くなりましたが以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。続いて、一般社団法人日本精神保健福祉事業連合からお願いいたします。

 

○日本精神保健福祉事業連合大友常任理事

 御紹介いただきました日精連の大友と言います。今日は、資料 10 に基づいて説明させていただきます。

 最初に、意見表明の場を与えていただいたことに感謝したいと思います。そして、総合支援法は障害者の尊厳や精神障害者の障害特性を踏まえた制度とはなっていないのではないかと思いまして、この度の見直しでは障害特性を十分に反映した制度としていただくよう、是非御検討をお願いしたいということと。もう 1 つは、精神保健に関しては本当にいろいろな人たちがいろいろな角度からずっと議論を積み重ねてきましたが、今は決断と実行ということが問われていると思いますし、決断と実行が今一番大事だ、議論はかなり出尽くされているということで是非よろしくお願いしたいと思います。
 1 番目の常時介護を要する障害者に対する支援についてです。 1 つは社会的長期入院の人たち、もう 1 つは、在宅で、高齢者と同居している障害者に対するサービスをどのように届けていくかということが非常に大きなグループだと認識しております。横浜の浜家連 ( 横浜 ) 2 年前の調査で 1,000 名の家族に調査しましたが、 40 %ぐらいが引きこもりで、ほとんどサービスにつながっていないという人たちが多いというようなことで、この人たちへの社会参加や自立支援をどうするかということがやはり最大の課題だと認識しております。

 では具体的に、何が不足しており、どのように対応すべきかということについては、民間の訪問介護ステーションが非常に苦慮している。「空振り問題」というか、行っても診療報酬につながらないという問題を何とか改善していただきたいということと。もう 1 つは、既に 10 年以上前から横浜市で実施されている自立生活アシスタント、パーソナルアシスタント制度は非常に有効ではないかというようなことで、これについては精神も知的障害者も、両方にわたってサービス提供が行われていますので、是非導入について検討していただきたいということです。
 3 番目に、障害者の就労について、制度的枠組みについてどう考えるかということです。 A 型については、多くの人が指摘しているように、特開金と平行活用して制度を悪用しているというような事業者も無くはないということを、どのように適正な規制の在り方を検討するかということが大きな問題ではないかということと。あと、 B 型については、地域活動支援センターが市町村の負担であることから、やはり市町村も財政的に厳しいということで、地活を規制して B 型への移行を促進するというような流れが全国的な流れだと思います。そういう中で B 型の制度そのものが非常に液状化しているというような問題、これをどのように理念を踏まえた実態を再整備するのかということが非常に大きな課題ではないか。一方で、生活訓練は 2 年という制限がありますし、居宅介護は支援区分が出ないということで、精神障害者の居場所的な利用者の場所が非常に狭くなっている。これから地域で受け皿をどのように整備するかというときに、居場所的な利用者が活用できる制度を是非検討していただきたいということが、ここの大きなポイントです。

 就労継続支援 A 型、 B 型うんぬんということについては、 A 型については、最低賃金を守って、かつ、生産活動を適正に行う事業所を指定要件とする等、何かの基準を検討していただきたいと思います。また、平成 30 年度の雇用義務化に向けては新たなワークモデルを検討すべきではないかと。例えばソーシャルファームが 1 つの新たなワークモデルとして考えられると思うのですが、そういうことも検討していただけないかというようなことです。もう 1 つは、居場所的利用者の活用できる福祉制度の枠組みがないと言ってもいいと思うのですが、非常に苦慮しているので、そこのところを何とかしてもらいたいということです。

 次の障害者区分うんぬんということですが、今の障害者区分の在り方が本当に望ましい在り方なのかどうかということについてもう一度検討していただく必要があるのではないかというようなことです。
 7 番目の精神障害者に対する支援のあり方についてです。いろいろ社会的入院については、権利条約に抵触する可能性があるのではないかということ等、やはり人道上いかがなものかということもありますし、精神科の診療報酬は一般科に比べて非常に低く抑えられているというところを、まず精神科特例を廃止して、診療報酬を一般科並みに近づけていくことが地域生活支援を進めていく上で非常に大事なポイントではないかと思います。一方で、グループホーム等の受け皿をどのように整備していくかということも当然、大きいことですが、精神科特例をそのままにしておいて地域移行と言っても、ほぼお題目に近いということは皆さん十分御存じだと思うのです。やはり我々の立場からすれば、地域特例の廃止と、地域の受け皿の整備は必要で、表裏一体なのだということですよね。

 高齢の精神障害者に対する支援の在り方についてです。これについては介護事業者と福祉サービスの、化は間違っていますが、専門家が連携してサービス提供できるような仕組みを更に充実していただきたいということと。あと、四肢機能が低下したうんぬんということについては、私は横浜市を主に活動の地域としているのですが、平成 26 3 月から重度高齢化対応グループホームモデル事業を横浜市で行っています。このホームについては、看護師、介護福祉士、精神保健福祉士、栄養士等を配置して 24 時間体制で支援を行っている。仮に、これをナーシングホームとすれば、こういう在り方についても検討していただきたいと思います。因みに年間運営収入は、 16 人で 8,400 万です。以上、時間がきましたので、私の発言はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございます。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。続いて、全国精神障害者社会福祉事業者ネットワークからお願いいたします。

 

○全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク倉知代表

 全国精神障害者社会福祉事業者ネットワークの代表をしている倉知です。よろしくお願いします。私たちは精神障害者の社会福祉事業者の全国組織です。今日は時間が 10 分間と限られておりますので、「障害者の就労支援について」「精神障害者に対する支援の在り方について」「その他の障害福祉サービスの在り方について」という 3 点について意見を述べさせていただきます。

 まず「障害者の就労支援について」ですが、就労継続支援、就労移行支援の機能やそこでの支援の在り方についてです。まず、就労継続支援事業と就労移行支援事業は支援の方法が全く違うだろうと考えています。就労移行支援は、作業活動を中心とした授産のモデルから職業生活に必要なスキルを付けていく。まず、そういうスキルトレーニングにプログラムを変更していかなければいけないと思います。それとともにスタッフが、施設 ( 事業所 ) の中で支援するのではなくて、企業など、アウトリーチを中心に個別支援を徹底して行う。先ほど出ました IPS モデルを、この 2 つをしっかりと取り組んだ支援の在り方にすべきだろうと思います。

 そうなりますと、上の「制度的枠組み」ですが、就労移行支援につきましては、今、アウトリーチについては日数制限があります、しっかりこれを無くして、どんどんアウトリーチで個別援助をしっかりやるということ。それからもう 1 つ、就労継続支援 A 型事業所ですが、先ほどからも出ているように、様々な A 型事業所が乱立している状況で、きちんと最低賃金を保障できていないという所もかなり増えてきました。少なくとも、最低賃金を保障できる生産活動をするなど、厳密な認定基準をしていかないと A 型事業所の存在意義が無くなっていくのではないかと思います。また、制度的枠組みですが、現在、様々な所が、私どもの会員事業所でも、まず良い支援をどうするかということよりも、経営をどう維持するかというところに、どうもエネルギーをそがれているような気がします。良い支援に収中できる仕組み、どうしていくのかということを本当に考えていかないといけないかなと思います。

 続きまして、就労定着支援に向けた支援体制についてです。精神障害者の就職件数は、ハローワークの職業紹介件数を見ても分かるように、今、障害者の中で一番多くなっています。しかし、毎年 6 1 日にやっている障害者の雇用状況調査を見ますと、精神障害者は働いている障害者のうちのたった 7 %ぐらいしかいない、非常に低いのです。こうなると、定着がなかなかできていないということが分かります。確かに、就職の準備の期間は僅か 2 年間ですが、それよりも就職した後の期間のほうがはるかに長いし、その後、様々な危機的状況も起こるわけで、就労定着に向けた支援は最も重要な支援かなと思います。今の制度設計ですと、就職後、定着に向けた支援は就業生活支援センターが中心になっていますが、就業まで就労移行支援事業がやって、その後、就業生活支援センターのスタッフというように支援者が代わるということは、現実的にはなかなかなり得ないことかと思います。ですから、支援を継続的にやるという意味で、やはり就労移行支援事業がしっかりと就労定着に向けた支援まで継続してできる仕組みは必要なのかなと思います。そのためにも就労移行支援事業に、専門職の配置加算なり、又は就労後の定着に向けた支援の報酬算定、この辺りは厚くすべきかなと思っています。

 次に、労働施策等の福祉施設以外との連携についてです。先ほども出ておりますが、就労継続支援 A 型事業所は、職業紹介実績なり、又は法定雇用率にカウントすると、ここが結構多いです。やはり、ここは雇用率にカウントすべきではないのではないかと考えます。また、就労移行支援事業では期間中に職場実習を行いますが、その後、そのまま引き続き雇用になった場合は特定求職者雇用開発助成金が使えないとなっております。ここは対象とすべきではないかと考えています。地域で見ますと、就業生活支援センターは今、件数が非常に多くて忙殺されているのですが、就労移行支援事業は利用者が少ないと、こういうアンバランスな現状が起こっています。まだまだ、この 2 つの機関がつながって一緒にやるのだという意識や仕組みが不十分なのかなと思います。これは、就労移行支援事業の支援力不足ということもあるかもしれませんが、それは就労移行支援事業がきちんと、全員を就労に移行させるのだという意識の下で運営されているかどうかというのはまだまだ不十分な部分も多いと思いますが、一緒にセットで支援するという仕組みに、もう少し強調されてもいいのかなと思っています。

 次に、精神障害者に対する支援の在り方についてです。まず、病院から地域に移行するために必要なサービスです。これも先ほど出ましたが、地域移行を進めていくためには、地域体制整備コーディネーターが今まではありました。ここは地域移行の推進役ではないかと思います。これが今、無くなってしまったので、地域移行を推進していく機関がなかなか無い。相談支援事業はどうしても受け身としてしかならざるを得ないので、やはり地域体制整備コーディネーターのような役割は必要ではないかと考えます。また、地域移行が進んでいくときの受け皿としてグループホームが考えられますが、今のグループホームの単価では専門職を雇って配置できないという現状になっています。ですので、地域移行を進めていくためにはグループホームがしっかり専門職を雇えるような単価、こういう単価アップが必要ではないかと思います。また、病棟転換型グループホームにつきましても、これはやはり医療機関の中に住む生活の場があるということはどうしてもおかしい、やはりこれはすべきではない、根本的に見直すべきではないかと。やはり住むのは地域だ、ここは徹底すべきではないかと思います。今のグループホームの中でも専門職が配置できれば十分やっていける、それだけの力量はあると確信しております。

 次に、精神障害者の特徴に応じた地域生活支援の在り方についてです。精神保健福祉法自体にありました地域生活支援センターの機能は、まず、地域の中に安心できる居場所を作って、そこの中から今度は社会に押し出していく、こういう押し出す日常的な相談支援が必要になっています。その機能が今、無くなってしまいました。まず安心できる居場所、それからアウトリーチを中心とした日常的な相談支援ができる、こういう地域生活支援センターのような拠点は必要ではないかと思っています。

 最後に、「その他の福祉サービスの在り方」についてです。最後の障害福祉サービス等の利用者負担の在り方です。やはり就労継続支援、働く場における利用料徴収は、どうしても制度的に矛盾を感じざるを得ません。ここは再考すべきではないかと思っています。時間がきましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。続いて、一般社団法人日本精神科看護協会からお願いいたします。

 

○日本精神科看護協会仲野理事

 日本精神科看護協会の仲野と申します。よろしくお願いします。多分ほかの団体さんからも同じようなことがたくさん出ると思いましたので、当協会は、全国の精神科病院に勤務する看護者が主な会員となっておりますので、その精神科病院に勤務する看護者たちが一番気にしている辺りを意見として絞って、まとめてきました。
 2 つありまして、まず 1 つ目は、医療ニーズの高い精神障害者に対応できる体制の構築に関してです。精神科医療につきましては、昨年度から、良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針というものが出されまして、適用されております。それから、長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性というのも示されまして、これから精神科医療が大きく変わるというような方向性が示されました。精神保健医療福祉の領域では、この 10 数年の目標でありました社会的入院の解消というのは、まだ十分に達成はされておりませんが、現場の看護者は、長く入院された方も地域へというようなことで、ずっと頑張っているところです。今後は、法改正等もありまして、 1 年以上の新たな長期入院患者さんを作らないという方向性での方策が実際に進められて、現場でもそれを実践していくということになります。となりますと、これからは、新しい患者さんは特になのですが、非常に短期間で、急性期を乗り切ったばかりでお家に帰る、退院されるというような患者さんが非常に増えてまいります。それと併せて、長期入院の方々も、地域移行支援の機能を強化した病棟などで、退院に向けた支援を集中的に行って、地域に帰るということになります。こういう患者さんというのは、要するに、具合が悪いときを脱したばかりというのは、環境の変化によって、あるいは自宅での療養がまだ必要な患者さんになりますので、病状がまだ不安定だと。

 要するに、長期入院の患者さんが地域に帰りますと、やはり、これまでと大きく環境が変わるわけですから、そういうことでまた病状への影響が出てくるというような可能性が出てきます。これまでの団体の皆さんもおっしゃいましたが、精神障害の方々というのは、環境が変わるとか、あるいは対人関係のことで、「こういうことがストレスになったり、病状に影響が出るんだな」というようなことで、ずっと安定的な状態が続いていても、時々医療的な介入といいますか、支援が必要になる場合があるのが精神障害の特徴の 1 つであります。

 ですから、そういう方々が安心して地域で長く安定的に生活をするためには、病状が急に変化したとしても、すぐに対応できるという支援計画を作成するということが必要になります。今現在は、障害福祉サービスを利用する方は、計画相談支援ということでサービスの利用に関して計画を立てるということが、昨年の末までにという目標で行われ、実際には全員に立てるのはなかなか難しいということで、現場の相談支援の専門員の方々は、とにかく計画を立案することに追われ、これからはモニタリングに追われ、というようなことを耳にすると、本当にその方のニーズを反映した計画案が立てられているのかなと心配になるし、相談支援の専門員さんも、「これでいいのか」と思いながら立てているという側面もあるということをお聞きします。

 そうなりますと、医療サービスも、すぐに使えることを見込んだ計画を立てるということが非常に難しい実態が今、現在あるということ。それが 1 つ心配なことと、あとは、障害福祉サービスを利用するに当たって、「この精神障害の利用者さんが、そちらを利用したいです」というようなことを計画に盛り込んだときに、「具合が悪くなったときの対応には、ちょっと不安があります」というようなことで腰が引けるといいますか、受入れが消極的になる事業所があるというのもお聞きして、これも心配の 1 つであります。

 ですから、具体的な意見といたしましては、相談支援を行う専門員の方たちの人材育成といいますか、そういうことも大事なのですが、そういう方々や、あるいは精神障害の方々を受け入れる事業所が、必要に応じて精神科医療の専門職に助言を求める体制というものを構築する必要があると考えます。

 あと、障害福祉サービスを提供する事業所に、できれば医療職の配置をお願いしたい。特に居住系のサービスにおいては、医療職がいることで、安心というか、適切な対応ができるのではないか。それから、ショートステイに関しましては、いろいろな事情が発生して利用することになりますので、ここにもできれば医療職の配置が促進されると、安心して利用できることになるのではないかと考えております。

 それと、もう 1 つは、「医療と福祉の連携強化」に関してです。精神科医療の現場でも、やはり福祉との連携というのはずっと課題になっておりまして、現場のものも、いろいろなケア会議などで、お互いの顔が見える関係などということで工夫はしているのですが、実際には、意見書にも書きましたが、やはり退院までの支援を私たち病院の中の者は担当します。そのあとは、「地域の福祉の方、お願いします」ということで、バトンタッチがスムーズにできればいいのですが、ここからここまでという、縦割りとは言いませんが、やはり分断された感じがあるような気がするのです。それを努力で何とか連携を、というようなことも一生懸命しているのですが、なかなか進まない現状というのがあるのです。ですから、それに対しては、具体的な意見としましては、今現在している努力、ケア会議等の開催を徹底するということを更に続けていく必要性です。それと、そもそも地域の自立支援協議会、今は協議会という名称に変わっていますが、そこで障害福祉サービスに関しての検討など、いろいろなことを行うところに、医療側からの委員というのが非常に限定的で、ほとんど福祉の現場の方たちが検討に加わっているという自治体が多いように思います。できればそこに医療者側も加わって、それぞれの役割を確認して、活用できるような体制になるといいかと思います。それが連携の強化につながる 1 つの方法になるのではないかと思って、意見として出させていただきました。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。続いて、全国「精神病」者集団から、お願いいたします。

 

○全国「精神病」者集団桐原運営委員

 全国「精神病」者集団の桐原です。全国「精神病」者集団は、総合支援法のサービスの受け手、つまり、ニーズの判断、帰属の主体である精神障害者の個人、団体の全国組織です。そういった立場から、ワーキンググループの論点の整理について意見を述べていきたいと思います。時間も限られておりますので、資料に沿って読み上げる形で進めていきたいと思います。

 まず、 I 常時介護を要する障害者等に対する支援についてです。精神障害者は、重度訪問介護がこのたび利用できるようになったわけなのですが、行動障害 10 点以上という条件が付いていて、事実上使えないという問題があります。ですので、こういった条件がなく重度訪問介護を活用できるようにしてほしいということです。

 それから、骨格提言に基づいたパーソナル・アシスタントに将来的にしていくように求めます。自薦の重度訪問介護従業者の場合に関しては研修を免除して従事できるような特別な措置を講じてください。今、重度訪問介護従業者養成研修といって、 2 日か 3 日研修を受ければ取れるようになっていますが、こういった研修自体随時開催されているわけでないという問題もあって、していない場合はすぐに入れない。すぐに利用したいという声もあります。

 次は、 II 障害者等の移動支援についてです。移動支援は、個別給付にして介護給付などの義務的経費に含めてほしいです。入院中の精神障害者が退院促進等のために移動支援を利用できるように、病院の中にヘルパーは入れませんから、退院支援とか、目的がある場合に関しては移動支援が利用できるように、活用できるようにしてほしいです。

 続いて、 III 障害者の意思決定支援・成年後見制度利用促進の在り方についてです。成年後見制度の利用促進は、障害者権利条約の第 12 条に基本的に違反していると私たちは考えています。成年後見制度は、行為能力を制限するために、障害者権利条約の 12 2 項に規定されている法的能力の平等に反するものだと考えます。直ちに成年後見制度を廃止するといったことは困難だと思います。ですから、段階的に、行為能力の制限が伴わない支援といったものを考えていってほしいと要望します。

 次は、相談支援の類型に新たに意思決定支援というものが規定されました。ところが、いろいろな団体がこれについて提言をしているのですが、余りまとまっていないというか、提言のインフレ状態にあり、諸外国における具体的な実践例の調査といったことも特にされていないようです。幾つかはされているものもあるのですが、十分なコンセンサスを得ていないと思います。ですから、現時点で具体的な政策を作ることは保留して、むしろ時間を掛けて内実について議論していくようにしてほしいです。

 精神障害者に対する支援の在り方についてです。僕たちはここに一番関心があったのですが、 1 つ目は地域への移行の「地域」の具体的な定義について、グループホームなどではなくて、基本的にアパート単位なのだ、これがスタンダードなのだというようにしてほしいです。もちろん、アパートがスタンダードであるとしても、いろいろな事情があって、そうではないという形はあると思いますが、あくまでもスタンダードはアパートであってグループホームはその次の段階、特別にどうしても必要な場合というようにしてほしい。グループホームでないと退院させないというようなことを言うこともあるので、そういったことが自立を妨げていると思うからです。

 次に、精神病院入院患者は自立支援医療費の対象外ということですが、生活保護や年金だけで、この 3 割を払ってしまうと、退院に向けた活動などができるほどの予算というのは、ほとんど手元に残らない形になってしまいます。ですから、自立支援医療費の入院についても対象にしてほしいです。

 「状態が変わりやすい等の特徴に応じた支援」と「地域での見守り機能やサービスの柔軟な利用」では、次の問題について提案します。ヘルパーを利用していると、最初に「何曜日の何時から入りますか」ということを聞かれます。入れそうな時間を言うのですが、僕たち精神障害者は、その時々で体調が悪かったり良かったりしますので、明日体調がいい保証というのはないわけなのです。ですけれども、その曜日に必ず来ますから、たまたま体調が良いときもあるし、玄関の鍵さえ開けられないぐらい体調が悪いときもあります。そういったとき、結局出られないから、ヘルパーさんは帰られてしまうのですが、そういうときに、「前日になぜキャンセルの連絡を入れてくれなかったんだ」ということを言われたり、あるいは、キャンセルを入れ続けてしまったがゆえに「ほかに入れる人のほうに入りたいから、利用を休止してほしい」ということを求められたり、「連絡もしないでずっと利用しないような状況が続いているから、利用休止を提案したい」といったことを言われることがあります。このように、精神障害者に対して対応していないサービスになっているので、居宅介護・重度訪問介護のサービス ( 報酬 ) の範囲に、「待機」つまり、外にいる状態で待機している場合も報酬の対象にするということを提案します。この待機というのは、「定期巡回・随時対応サービス」とは異なって、利用者の居宅内での実働時間のみをサービスの対象、範囲とはせずに、利用者の居宅外で待機している時間もサービスの範囲に含むというような提案です。精神障害者が気兼ねなくサービスを利用するために必要なものだと思いますので、よろしくお願いします。

 「医療と福祉の連携」なのですが、医療というのは非常に強い意見を持っていますので、福祉側をコントロールしてしまうといったことがあると思います。精神障害者が主体的に生きるためには、権利としての介護の保障が必要であって、その介護者をコントロールしていけるようになっていくというのが非常に重要なのですが、その介護者を医療者側がコントロールしてしまうことによって、主体的な生活が破られるのではないかと危惧しています。ですから、「退院支援に際して医師は相談支援専門員やピアサポーターの意見を尊重する」とか、そういった一文を付け加えてほしいと思います。

 「居住の場の確保など地域資源の整備」については、先ほど一番最初に言った意見を踏まえて、施設が地域資源としての住居の場とはみなさないでほしいです。取り分け、良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針に規定された病棟転換型居住系施設 ( 精神病床をグループホームに転換できるなど ) のような敷地内グループホームなどは、結果として人里離れた郊外で大規模住居等のグループホームに住むという地域生活・インクルーシブ社会とかけ離れたものになりかねないと思っています。これは、精神障害者の地域生活を施策によって解消することを放棄し、国策により長期収容された、その場で死ぬまで待つことを迫るものです。私たちは、病棟転換型居住系施設には反対します。

 また、「共同生活援助」については、原則個室で 20 人定員としたものを前提としてほしいです。大規模住居等は、給付の対象としないでほしいです。

 それから、「地域生活における精神障害者の意思決定支援」では、様々な諸外国の実践がありますので、そういったものを踏まえた提言を、特に、強制的な入院の段階的な削減などが行なわれているオランダを例にしていくことは、いいと思います。

 次は、高齢の障害者に対する支援の在り方についてなのですが、介護保険との併給の場合の優先原則というものは削除してほしいです。

 その他の障害福祉サービスの在り方等についてですが、「障害の定義」については、疾病別を基本としたものから状態別を基本としたものにしてほしいです。それから、「障害者の医療ニーズへの対応」ということで、精神科入院医療費の公費負担制度を新設してほしいです。ちょっと時間が超過していたので。ありがとうございました。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。後半は 7 団体に、お願いをしているわけでございまして、これはなかなか厳しい時間の使い方でございます。既に 20 分ぐらいオーバーしている状態ではありますが、よろしければ、皆様に、これから 25 分ぐらいで終わるぐらいのめどで頑張りましょう。質疑に入りたいと思います。なるべく、質問、御回答を、シンプルのほうが分かりやすいと思いますので、シンプルにお願いできますでしょうか。委員、いかがでしょうか。

 

○石原委員

 全国就労移行支援事業所連絡協議会の石原でございます。就労移行支援に対して、皆様方から、もっと現場に、就労先に出ていったり、定着支援をしっかりやるべきではないかという激励を頂いたように思っておりまして、心から感謝申し上げたいと思います。ただ、移行支援事業を労働側でという御指摘があったので、これは持ち帰って十分検討しないといけないのですが、そもそも移行支援事業所に通ってくる利用者は、労働側に位置付けられない、まだ必要な福祉サービスをサポートして就労を目指していくという機能があるわけでございまして、私は、福祉サービスを受けながら一般就労を目指すという今の移行支援事業の形態は、むしろ強化されるべきではないかと思っています。

 ちょっと手を挙げて申し上げたかったのは、私のテリトリーではないのですが、継続 A 型の事業所に対して、いろいろな言い方をされているのですが、実は私のところはやっていないので、おっしゃっていることをもう少し客観的に、具体的に、 A 型の事業所の実態がどうなのかというのを、もう少し把握する必要があるのではないかと。論議を聞いていますと、最近、払われてないよね、短時間のところ多いよねと、こういう、定性的と言ったら失礼になるのですが、そういう議論になってしまっているのです。私は、福祉サービス事業にあって、労働契約で A 型を利用するというか、労働者であるというのは、とても意義があることで、この理念は大事にしないといけないと思うのです。課題があるとすれば、その課題を整理して克服するという視点で論議されていったらいかがでしょうか。言いたいことは、もう少し具体的な実態を知りたい。そのための努力がされるべきではないかと。これが主張したい点です。以上です。

 

○駒村部会長

 これは、できたら 1 箇所か 2 箇所か、 1 団体、 2 団体に限定して御質問をしていただいたほうがよろしいかと思いますが。特に、どこのお話のところでと。おっしゃる意味はよく分かっていて、やはり核と数字がきちんとなければ、客観事実に基づいて議論しなければいけないよねと。それを持っているならば、お示しいただきたいと。なければ、これは国がちゃんと調べなければいけないテーマかもしれないと思いますが、具体的に言うと、どの団体にピンポイントで聞かれますか。

 

○石原委員

 おっしゃっていましたよね。モラルハザードが問われていると。

 

○駒村部会長

 倉知さんのところでしたっけ。はい、お願いします。

 

○全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク倉知代表

 倉知です。モラルハザードですが、例えば A 型事業所が非常に乱立している地域が局地的にあるのです。そこの実態を幾つか見ますと、作業所より、軽作業をただ漠然とやっているだけで、工賃はそれなりに払われている。だけど、やっていることって、これは本当に雇用関係があるような労働なんだろうかと思うようなものが結構あったりとか、あとは、仕事はそんなにしていない、時間だけそこにいてもらって、それなりのお金を払う、つまり、障害のある方の働く場をきちんと保障して、いい雇用環境を作っていこうという A 型事業所の理念よりは、むしろ、収益や経営というところを最優先として、その手段として A 型事業所を経営すればいいと、そういうところが増えているという実感があります。そういう意味で、お話しました。

 

○駒村部会長

 はい。ほかに、 7 団体のほうで付け加えるとか。

 

○石原委員

 アシさんがおっしゃっていますよね、悪しき A 型と。ここの悪しき A 型の具体的なイメージは。

 

○全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク倉知代表

 今お話したような。

 

○石原委員

 今おっしゃったことでいいわけですね。はい、ありがとうございます。

 

○駒村部会長

 ほかの 1 団体、 2 団体で、もし加えることがあれば。似たような文章のところはほかにもあったかと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。では、御質問、次に。豫先生ですね。お願いできますでしょうか。

 

○伊豫委員

 まず最初にコメントだけさせていただきたいと思います。常時介護のところなのですが、幾つかの団体から出ましたが、精神障害の方々の場合、症状の急変などで常時の支援・見守りが必要ということは、正にそれは閉鎖病棟のようなところで、そのように患者さん方を看ているというのが、より地域に出た場合に、個別に見ていくということで、やはり常時支援というのが極めて重要だと思っています。生活支援においても、症状の変化だけではなくて、やはり認知機能とか、陰性症状による意欲の変化とか、そういったものもあり、それらに基づく生活障害もありますから、やはり常時の支援というものが、私は極めて重要なことだと考えております。

 それから、もう 1 つ、日本精神科看護協会と日本精神保健福祉士協会の方々にお伺いしたいと思います。看護師協会のからは、 1) の「具体的な意見」のところで、医療機関や医療専門職の助言を求めることができる体制とか、ショートステイでの医療職の配置、それから、福祉士協会からは、 4 番の精神障害者に対する支援の在り方の 2 つ目の論点のところに、包括的支援サービスを創設すべきということがあったのですが、それらを運用するに当たり、やはり精神障害の方々は、定期的な医療と緊急時の医療とがどうしても必要になります。それと看護、それから福祉との連携ということになると思うのですが、精神科の外来機能についてどうお考えかをお伺いしたいと思います。

 というのは、御存知のように、多くの外来がビル診で、精神科医 1 人と受付 1 人というような形も多くて、今後、重度慢性の方だけではなくて、社会的入院の方々であっても、外来で診療されていきます。しかし、例えば統合失調症という名前が付くだけで、もうビル診の先生方の中にはは診ない先生も多いのです。そうすると、いろいろサービスを提供していく体制を作っても、医療が充実しないとどうにもならないと思います。そうなると、今、精神科特例を無くすだけではなく、社会的入院をさせているような病院などが、相当強度なクリニック機能、すなわち多機能の診療システムを有する、強力な外来を作り、運営できるような診療報酬的な支援も本当は必要なのではないかと思っているのですが、その辺について、外来機能との関係について、御意見を伺えればと思います。

 

○駒村部会長

 それでは、 2 つの団体にということですね。発言の順で、お願いできますでしょうか。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 御質問ありがとうございます。退院後の地域支援ですとか、重度の方が地域で生活していくときに、やはり医療との連携が必要だということを意見として申し上げたのですが、外来の機能の充実ということは、やはり車の両輪と同じで、福祉のほうも常時の見守りとか支援が必要ですが、やはり医療のところで求めるべきは外来の機能だろうと思っております。実は、外来に精神保健福祉士が配置されているクリニックというのはまだ少なくて、今後の診療報酬の中でも、実は生活支援の観点から、継続的に支援できる人材を基準として置いていただきたいということを要望していくことにしていますので、そことリンクしながら考えていきたいということで、協会としても、そこは重要なことだと思っております。御質問ありがとうございました。

 

○日本精神科看護協会仲野理事

 外来に関しましては、本当に重要でして、当協会も、外来機能をきちんと確保している病院の調査などを行いました。実際としては、夜勤ができないナースを配属しているとかという実態が、結構、現場の事情としてはあるのです。ただ、実際に外来に力を入れて、かなり手厚く看護者の配置をして、 PSW の方も配置している病院では、要するに、外来機能は情報を集約して病状が悪化しているときには主治医との連絡を密にとらないといけませんので、情報がそこに集まる。で、集まった情報を必要なところに届けるというような、そういう、つなぐハブの役割をしている外来が、非常に連携がうまくとれているというような実態がありました。ですから、そこに置くのは看護職がいいのか、あるいは PSW がいいのかというのは、機能さえきちんと把握していて認識していれば十分だと思うのですが、今おっしゃったように、診療所ではそういう体制というのは望めないので、実際に訪問看護ステーションなどが工夫していますのは、外来機能のようなものを病院の外に作るといいますか、地域活動支援センターの相談員の方とか、保健師さんとか、ステーションのスタッフとかというような者が、ここに情報を集めますよというようなチームを作って、それで主治医と連携をとっていくというような工夫をしているところもありました。けれども、どちらにしても、いろいろなところがチームになってやりますので、どこかが核になるというところがないと、チームワークがなかなかとれにくいというのがありますので、本来は外来に、もうちょっと手厚く人手を配置するというようなことが、これから特に大事になっていくと考えられます。

 

○駒村部会長

 はい、では他の委員、いかがでしょうか。

 分かりました。河崎委員にいって伊藤委員に戻ります。

 

○河崎委員

 日精協の河崎です。 3 つの団体の方たちにそれぞれ違うことをお聞きしたいので、 1 つずつ発言をさせていただきます。まず、全国精神保健福祉会連合会さんにお聞きしたいと思います。先ほどの発言の中では触れられなかったのですが、この意見書を見させていただきますと、「扶養義務者制度の見直し」という項目がありまして、家族の方たちは非常に責任が重すぎるので、廃止の方向で検討するという御提案をなされています。扶養義務者の制度は、民法の上の位置付けだと思うのですが、精神保健福祉法上での保護者の廃止議論とは随分フィールドも違いますし、非常に重い話かなと思ったりするのです。この辺りが今、本條さんたちの中でどういうふうな議論がなされていて、今後どういうふうにお考えなのか、もう少し詳しく教えていただければと思って質問しました。

 次は、日本精神保健福祉事業連合の大友さんにお聞きしたいと思います。先ほどのお話の中で、今、正に決断と実行が重要であるということをおっしゃられたと思います。これは、具体的にはどういう決断で、今どういう実行が必要だとお考えなのか。先ほどの御説明の中では、精神障害者の皆さん方の病院から地域に移行するためには、こういうことが大事なのだというところに集約するのかなと思いながら、その辺りをもう少し具体的なお話を伺えればと思います。

 最後に、全国「精神病」者集団の桐原さんにお伺いします。先ほど精神医療審査会のことについて言及をなされたと思います。御存じのように、精神医療審査会は、精神衛生法から精神保健法になったときに、入院精神障害者の皆さん方の人権をどう擁護するかという観点から、そのときに作られた制度であるわけです。これを今後、多分、全国精神病者集団のほうからすると、この精神医療審査会そのものを充実させるには賛成ではないというのが先ほどのお話だったと聞いておりました。そうしますと、具体的にはやはり入院中の精神障害者の皆さん方の人権擁護や強制入院等について、どういう法の仕組みでお考えなのか。その辺りについてお教え願いたいと思います。

 

○駒村部会長

 なかなか難しい質問が多いのですが、申し訳ありません。なるべくシンプルにお願いできればと思います。御発言の順でお願いします。

 

○全国精神保健福祉会連合会本條理事長

 扶養義務者について、当会としては、これをなくしていこうと機関決定したわけではありません。ただ、扶養義務者、保護者制度にも扶養義務者が入っておりました。家族になってはおりますが。やはり、本来、 20 歳になれば自立すべきであると。支援を受けながらでも自立をしていくべきであって、社会全体で支えていくべきであると。家族に負担を押し付けるというのはいかがなものかという点では合意といいますか、そういう意見が強いのですが、なお検討していきたいと思っております。

 

○日本精神保健福祉事業連合大友常任理事

 決断と実行の時期ということで、何をやればいいのかということですが、この間の何十年という時間の経過の中で、いろいろな人がいろいろな議論をしてきた。病棟転換型居住支援施設にしても、あるいはいろいろな議論があります。やはり、ガラス細工のような議論で、客観的に見ると、 1 つ永遠の徒労に近い部分がある。本丸は精神科特例を廃止して一般科にするという、ここのところに手を付けないと、どんな議論をしてもなかなか進まない。ですから、これを決断し実行すべきではないか。そうすることで、厚生労働省が示した理念に向かって我々は何をすべきかということが、自然に必要なものは消えていくし、誰も必要なものは何かがはっきりしてくる。まず、そこから手を付けるべきでしょうと。その上で、グループホームの単価は非常に安すぎるので、そこはちゃんとしていただきたいし、地域に出たときに重度高齢化対応をどうするかという問題はあるので、やはり居住支援としてはナーシングホームみたいなものが必要ではないかということです。

 日中活動支援に関しては、就労系についてはある程度落ち着くところへ落ち着くのだろうなと思いますので、在宅の支援に関して、パーソナルアシスタントなり、訪問系のサービスを作るべきではないか。

 あと日中の就労につながらない人の居場所をちゃんとしてほしいという辺りが、私が特に強調したいところです。やはり本丸は何か、精神科特例を廃止し、一般科並みにするのだと。そうしたときに、自然にいろいろな問題が消えていくし、やるべきことははっきりする。そこに手を付けなければ、どんなにガラス細工のような議論をしてもなかなか難しいのではないかと思っています。

 

○河崎委員

 今おっしゃっている精神科特例の廃止というのは、いわゆる医師数が一般科に比べて 3 分の 1 であることと、看護体制のことですよね。

 

○日本精神保健福祉事業連合大友常任理事

 そうです。

 

○河崎委員

 極端な話ですが、今そのことを実現しようと思うと、どれぐらいの医師の数が必要で、どれぐらいの看護者が精神科医療に必要となってくるのか。多分、そういうことの検討も必要になってくると思います。

 それと同時に、先ほどおっしゃっていた受け皿の問題をどうするのか。これは表裏一体とおっしゃられましたが、最低限、同時平行的な形、若しくはチェック・アンド・バランスの考え方からいくと、まず受け皿をどういうふうに担保するのか、しっかりと提案を、これは国がされる責任があると私は思いますが、そこはまたいろいろ議論があるところだと十分認識しております。ありがとうございました。

 

○駒村部会長

 いいですか。それでは桐原さんのお答えをお願いいたします。

 

○全国「精神病」者集団桐原運営委員

 やはり精神病院の中における人権侵害などの問題というのは、非常に根深い問題であって、精神病院の中の文化的なカルチャーとしての色彩というのが起きていると思います。そういう意味では、誰か 1 人が病院の中で努力をしても、そう簡単には変わらないという問題があります。

 私たちとしては、そういう意味でも、そういったカルチャーを持たない、全く精神医療から独立した人たちが独立したままの状態で、外部から何らかのアプローチができるのが一番いいのではないかと考えています。精神保健福祉法の枠内での解決というのは余り期待できないのではないかと考えています。

 

○伊藤委員

 伊藤です。私はイエス、ノーだけでお答えいただきたいのです。皆さんは精神障害と括っておられますが、この中に認知症を伴う疾病、あるいは発達障害というのも含めて、こういう具合におっしゃっているのか、それはイエスかノーだけで結構ですので、皆さんにお願いします。私は、イエスです。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 私はノーです。

 

○全国精神障害者地域生活支援協議会伊澤代表

 イエスです。

 

○日本精神保健福祉事業連合大友常任理事

 含まれていません。

 

○全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク倉知代表

 イエスです。

 

○日本精神科看護協会仲野理事

 イエスです。

 

○全国「精神病」者集団桐原運営委員

 含んでいます。

 

○駒村部会長

 急いでいる方がいらっしゃればと思ったのですが。それでは、竹下さんお願いします。

 

○竹下委員

 竹下です。 1 点です。悪しき A 型という言葉が私にとっては非常にショッキングな表現ですが、就労支援の中で A 型の問題点というのは、制度上の本質的な問題なのか、事業所の運営における問題なのかというのは、私は少しまだ理解できませんでした。

 そこで、特に精神保健福祉士協会の方が、根本的な見直しをする時期ではないかとおっしゃっているので、その立場からその点について御教示いただければと思います。

 

○駒村部会長

 それでは、宮部さんお願いします。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長
 1 点は、基本の方針の考え方をきちんと定めて、加算とかでいろいろな形で付け加えていく考え方を改めていくべきだろうと考えているのが 1 点です。

 もう 1 つは、先ほど言いましたように、定着のための人員配置や、アウトリーチができるような体制をきちんと人員配置として考えていくということです。大枠としては、障害福祉のサービスだけではなく、労働関連の就ポツやいろいろな形での支援と、どう連携していくのか、きちんと枠組みを共有しながら考えていくのが根本的なところだと思います。

 

○竹下委員

 質問の意図が悪かったのかもしれません。そんなことは書いてあるので分かるのです。先ほど労働契約として考えるべきだというのもあるのですが、根本的には現在の就労支援としての体系は維持すべきではないということにまでなるのでしょうか。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 いや、そういうことではなく、福祉のところで就労支援の体系としてはとても大事だと思いますし、精神障害の方々が一般就労へのニーズというのはとても強いので、そこは保ちつつということですが。お答えになっていないでしょうか。

 

○駒村部会長

 これはインセンティブがよく効いていないという趣旨でお話があったということですね。制度そのもののインセンティブが変な方向に向いているのではないかという話ですね。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 はい、そうです。

 

○駒村部会長

 分かりました。それでは、玉木委員お願いします。

 

○玉木委員

 日本相談支援専門委員協会の玉木です。 1 つは、日本精神保健福祉士協会の方に質問です。 4 番の支給決定の在り方についての方向性というのは、すごく共感しているのですが、ただ、ここに書かれている実務経験の幅が広く、質の担保が危ぶまれるという表現が入っていますが、具体的にどういう人材が必要かということが 1 点です。

 もう 1 点は、日本精神科看護協会の方に、特に 2 番の医療と福祉の連携強化についてのところで、 1 つは、退院に向けてのケア会議にも積極的に参加したほうがいいと書かれていますし、それから、自立支援協議会にも医療従事者の積極的な会議への参加も必要だと書かれていますが、それはすごく有り難いです。一方で、今の福祉の現場からすれば、医療の従事者に支援会議に参加してもらうにはお金がかかるので、少し声をかけにくいとか、病院の勤務等の関係で人員的に地域に出てきてもらうことがが厳しいのではというところでの躊躇みたいなのがある中で、その辺で情報交換だったり、どういう形であれば地域に出ていけるのか。そういう具体的な提案があればお聞かせいただきたいと思います。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 相談支援に関する人材については、やはり、相談支援関係をきちんと結ぶところができるアセスメント能力のある人材が必要だと考えております。そこがないと、ニーズがきちんと浮かび上がってきませんし、制度につなげることができないと思います。今の相談支援は計画を作ることが最優先されていて、御本人のニーズがどこにあるのかというアセスメントの機能が働いていないと考えておりますので、そこができる基本の資格として精神保健福祉士、社会福祉士を出しているところだと思っています。

 

○日本精神科看護協会仲野理事

 医療従事者を動かすとお金がかかるというのはよく言われることなので、ドキッとしてズキッときました。ただ、実際、現実としてはあるのですが、行きたいとは考えているのです。できればそういうのに参加しないと、本当の意味でその方は個別性のあるプランを立てられないではないですか。

 ですから、そういう思いはあっても実現できないのは、やはり、今のシステムで会議というものに報酬が付かないので、全部持ち出しでやらなければいけないという苦しさがあります。特に看護は病棟に張り付いて、お金が入院料として入ってくるという今の仕組みがあるので、すごくそれが足枷せになっていて、診療報酬の仕組み自体を見直すことを同時にしていかないと、いつまでも看護師は病棟に「磔の刑」みたいなことになっているので、福祉に顔を出させていただく。それから来ていただくということを、もっと円滑にするには、多分、福祉の法律だけではなく、診療報酬や、病院自体の基準を決めているような制度を変えていく必要があると思いますので、これは医療の先生方とも協力して進めていきたいことではあります。

 

○駒村部会長

 野沢委員、続けていきたいと思います。

 

○野沢委員

 先ほど来からグループホームの話が幾つか出ていて、今の単価ではとても無理だとか、今の単価では専門職を雇えないという話だったのですが、ネットワークの方でしたか、この専門職というのはどういう方を指しているのですか。

 

○全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク倉知代表

 精神保健福祉士が中心だと思いますが、そういう人を雇う、それなりの待遇がいるので、今は世話人という形になりますので、なかなかそれではそういう専門職は雇えないというのが現状です。運営していますが、ほとんどが多分赤字で運営しているのが現状だと思います。

 

○野沢委員

 今回の報酬改定で重度の方のグループホームはかなり引き上がったですよね。さらに全体にグループホームを引き上げるとなると、相当な予算がかかってしまうのではないかという気がします。

 この予算の面と、もう 1 つは、本当にそういう専門職が必要なのかどうなのか。先ほど医療職が必要という御意見もどちらかからあったと思いますが、この前の厚労省の検討会で 20 万人いると言われる社会的入院の方を地域に出そうという方向を出している。これは病床削減をして地域へ出そうと。そのときの地域の受け皿をどうするのかというのは最大の論点になって、あると。もっといろいろなアイデアが出てきてしかるべきなのに、相変わらず病院内のグループホームがうんぬんで、それを聞くとがっかりしてしまうのですが、これは置いておきます。

 この前、 30 年入院していた方が出たというので、私は会いに行ってきたのです。高齢者のグループホームで 70 歳ですが、その中にいる誰よりも元気でした。「どうですか」と聞いたら、「 30 年間 4 人部屋でずっといたので眠れませんでした。今は個室なので、よく眠れます」と。専門職よりも安心して静かに眠れる所のほうが必要ではないかと思っていたのです。これは特殊な例かと思ったら、昨日、たまたま 17 年入院していた人が外へ出たというので、出した人に聞いたら、今は障害者のグループホームにいるのですが、全く何も特別なものは必要ありませんと言っていました。

 ただ一方で、失敗して再入院している方もたくさんいらっしゃるのです。本当に受け皿というのは、一体、どういうものがどのぐらい必要なのか、もっときめ細かく議論をしてほしいと思います。これは時間がないので意見としてです。

 もう 1 つは確認ですが、全国精神保健福祉会連合会というのは、主に家族会を母体にした連合会と考えていいのですか。精神障害者社会福祉事業者ネットワークというのは、事業者団体と考えていいのですか。全国精神障害地域生活支援協議会というのは事業者団体ですよね。日本精神保健福祉事業連合というのも事業者連合ですよね。この 3 つの事業者団体というのは、いずれも地域福祉というか、地域生活を目指した事業者団体ですが、どうして 3 つばらばらになって、同じようなと言うと失礼かもしれませんが、一般から見ると、同じようにしか施行している所が見えないのです。むしろ、これからもっとみんな束になって、大きな声でやってもらったほうが我々も効率がいいし、世間も分かりやすい。それがわざわざばらばらになった理由が何かあれば教えていただきたいと思います。ずっとこれをやるのか、そうすると、どんどん時間がかかってしまうと思うのですが、どうでしょうか。

 

○駒村部会長

 簡単にお願いします。

 

○全国精神障害者地域生活支援協議会伊澤代表
 3 団体の成り立ちがもともと違っていて、旧社会福祉施設の方々の流れと、グループホーム作業所の固まり、私たちの団体ですが、それとはまた別系統で、この 3 つの流れがあります。

 よく野沢さんがおっしゃっていることは、ほかの方からもたくさん言われていて、統合なり、一緒になるなりということは求められています。私たちもそれを意識しながら、視野に入れながら進めてはきています。ですから、共有できる課題については、共同で要望書を出そうとか、意見書を出そうとか、病棟転換型の居住型施設は反対という意見書も出しましたし、コーディネート事業の復活、再開についても共同の要望書を出してきたという経緯があります。

 これらを強めていく中で、いつしかどこかで 1 つの固まりになっていくことを目指していきたいと思います。まだまだ細かいところでの付け合わせが不十分であるということです。以上です。

 

○駒村部会長

 他の 2 団体は、今みたいな考え方でよろしいですか。よろしければ、はい、ありがとうございます。

 

○野沢委員
 2013 年には、連絡会というのは 3 団体で、福祉新聞でも大きく取り上げられて、中での議論は散々やってもらっていいのですが、政府に対しては、外に向けての議論というのは一本化したほうが分かりやすくていいと思うので、意見だけですが言わせていただきました。

 

○駒村部会長

 それでは、樋口委員お願いします。

 

○樋口委員

 今の野沢さんが言われた前半のことと関係があるのですが、伊澤さんに代表してお聞きしたいと思います。

 伊澤さんとは同じ在り方検討会で、ずっと御一緒に議論をしてきましたので、立場もよく分かりますし、今の地域移行支援型ホームにネガティブであると。それをどうこう言おうということではなく、それも理解しているつもりです。その上に立って、これが野沢さんが質問されたことと関連するのですが、結局、私たちはこの 15 年ぐらいずっと同じ議論を続けてきたわけです。全く前へ進めないで来たという思いは、皆さん共有できるだろうと思います。先ほどその本質的なところは、特例の廃止ということをおっしゃった方もおりましたが、私は特例の廃止は本質的な問題だと思いますが、恐らく一番困難な課題ではないかと思っています。それはなぜかというと、その本質的なところには、精神障害に対する差別の意識が、国民の中に根強いところと関係があって、これが多分廃止されるときは、私の勝手な予測ですが、日本国民が「がん」と同じように、精神障害にみんなでお金をかけて何とかしようではないかという時が来ないと難しいのではないかと、少し極端な思いを持っていますが、それはやっていかなければいけないことではあります。

 それはそれとして、伊澤さんにお聞きしたいのは、そうだからと言って、それでは何を手がかりにして何をやっていけば、この 15 年の、ある意味では空しい、繰り返しの議論を突破できるのか。私は地域移行支援型ホームというのは、基本的にそれが全てだとはとても思わないですが、選択肢の 1 つとしてあってもいいのではないかという、ごく少数の方々の意見がアンケートにもあったように、障害者の方の御意見も踏まえて、そういうことについて私は賛成したわけです。

 それは別にして、何か突破口になる受け皿の問題にしてもそうですし、制度の問題にしてもそうですが、これはやはり私たちが新たな 1 歩を踏み出すための突破口になるものを提案していかなければいけないのではないかと。それは我々の責任ではないかと思うものですから、その点についての何か御意見があれば頂きたいと思います。

 

○駒村部会長

 なかなか難しいとは思いますが、ポイントの 1 つをお願いできますか。

 

○全国精神障害者地域生活支援協議会井澤代表

 とっても難しいですね。何人かの方が御発言されましたが、数年前の骨格提言というのは非常に大きな目指すべき方向性だと思っております。その中に唱えられた数々の提言を、段階を経ながら反映させていくところが基本ではないかと思います。

 

○駒村部会長

 それで樋口先生いいですか。

 

○原田参考人

 広島県障害者支援課自立支援担当監の原田です。行政の立場からですが、少しトーンが低く大変恐縮ですが、日本精神保健福祉士協会さんです。 X 障害福祉計画の実効性については、これは行政に対する論点ということで受け止めないといけないのですが、第 4 期の障害福祉計画については、国が示された基本指針に基づいて、自立支援協議会等に諮りながら策定しておりますので、どの自治体も計画を PDCA サイクルにかけることになると思っております。

 そこでお尋ねしたいのですが、 4 つ目のパラグラフです。御指摘のとおり、まず、市町村におきましては入院実態を把握する必要があると考えております。何となれば、市町村国保ですが、これはレセプトによって把握することができるとは思いますが、なかなかマンパワー的にそこまでの取組は困難と考えております。記載されている数値を把握できる仕組みについて、何か具体的なお考えがありましたらお願いしたいと思います。

 また、市町村によりましては、国保の被保険者が都市部の医療機関に入院されて、当該自治体とのつながりが関係なく、医療機関にアプローチする手段がないといった構造的な課題がある中で、なかなか実効ある取組まで障害福祉計画に記載できないという、少しネガティブなことを言いますが、こういった事情があるわけですが、これについてどう思われますか。

 といいますは、今年度の国の新規事業である長期入院の精神障害者の検証事業がありますが、これは今年度実施主体が都道府県と政令市になっています。これを地域展開していく際には、やはり市町村を巻き込まないと、なかなか地域移行というのは進まないだろうと思いますので、この辺りの御見解がありましたらお願いします。

 次に、全国精神障害者福祉事業者ネットワークさんにお尋ねします。就労定着に向けた支援体制ということで、就労移行支援事業の機能強化について御発言がありましたが、その際、行政が支援しているナカポツセンター、障害者就業・生活支援センターの役割や評価をどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

 最後に、日本精神科看護協会さんです。 2) 医療と福祉の連携強化の具体的な意見のうち、 1 つ目の○です。退院促進におきましては、こういった取組を促進し、推進していく必要があると考えております。

 そこで、勉強不足で申し訳ないですが、地域の事業所も参加したケア会議の開催の徹底とありますが、これは例えば病院内で行われている診療報酬の精神科退院指導料の対象となる障害福祉サービス事業者さんとか、相談支援事業所さんが参加しているような会議、障害福祉の面で申し上げたら、今年度、報酬改定で地域移行については、サービス利用の初期段階における評価として、初回加算が創設されたわけですが、こういったものを指しておられるのかどうか教えてください。

ということで、医療と介護については、病院における介護支援連携指導料がどれだけ算定されているかで医療と介護の連携が評価されるメルクマークになっているのですが、一つ精神科のほうも、精神科退院指導料の算定状況がどうなのかについても情報提供が欲しいと思います。以上です。

 

○駒村部会長
 3 団体の皆さんで、宮部さんから、なるべくシンプルに、アイデアの話だったと思いますのでお願いします。

 

○日本精神保健福祉士協会宮部副会長

 障害福祉計画の中の長期入院の方の地域移行の数の目標設定のことですが、やはり今は全国の数から都道府県に落として、それを市町村に割り戻すという形での設定しかできていないと思うのは、それは一人ひとりの退院の動態が見えないところが大きな問題かと思います。

 そこは協議会の中で、今、地域移行部会とか、精神障害部会というのがどんどんなくなってきている状態がありますので、そちらの中での検討に位置付けながら実態を着実に掴んでいく機能が必要ではないかと思います。

 

○全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク倉知代表

 就業生活支援センターの関係ですが、私は就業生活支援センターというのは広域で、数名のスタッフしかいないということで、現状としては非常にマンパワーが不足して忙殺されているというのはよく分かります。

 ですから、また就業生活支援センターにスキルトレーニングの機能や、またはきめ細かな個別支援というのは現状ではなかなかできなくなってきています。ですから、就業生活支援センターがまとめ役になって、地域の中にある就労移行支援事業所とつながりを持って一体的に運営していくのが、お互い効果的な支援になるのではないかと思います。そうすれば、就労移行支援事業の良さがどんどんいかされていくと思いますし、お互いにプラスになっていくのかと。そうなると、就労移行支援事業所の数もおのずと決められてくるのではないかという気がしています。

 

○日本精神科看護協会仲野理事

 ケア会議というのは、今、おっしゃったような諸々の会議を指して私は提案をさせていただいたつもりです。実際にお金が算定できる診療報酬の評価がされているもの、されていないものがあるのですが、それ以外にも、医療保護入院の患者さんに関しては、入院時から退院を想定した地域の方々にも入ってもらった会議を一応開催することと決められましたので、そういうことをきちんと、今は病院間での差がかなりあったりしますので、先進的にやっている所を、それ以外の所は真似るというか、取り入れるという形で、徹底してオリジナルの個別のケア計画が立てられて遂行される仕組みにしていかなければならないというつもりでした。よろしいですか。

 

○駒村部会長

 それでは、広田さん、ポイントをいきましょう。

 

○広田委員

 当事者不在だと感じています。 15 年前に私が国の委員に当事者不在の中で入ったけど、今日も、桐原君に団体の委員が振りませんね。

ADA 法ができてアメリカへ行きましたが、「精神障害者がサービスを拒否できる権利を保障している。」この国は文化として断われない。

 前回も言いましたが、お店屋さんや商店街が障害者を囲い込みする時代です。医療の囲い込み、福祉の囲い込みの中で暮らしている障害者には、新たなるコロニーの出現。

 私にはすてきな彼がいますし、いなかった時代も被害者にはなりませんけど。すごいことが始まった。オレオレ詐欺は今や「近所で、お世話してます」という時代に入っているということ、「関東地方の刑事」さんから、去年末に聞きました。

 それで今日、私が遅れてきたのは 10 何人に電話をしたのです。「今度こそ変えたい。だから、厚労省の OB も含めてみんな来て」と。名古屋の国際会議場で、トミちゃんの三代前の福田課長も、広田和子も訴えた「業界は一枚岩になれるのか。」何度も言います。「広田和子が廃人のような状態であのまま退院しなかったら、病棟転換の患者だったかもしれない。人間の可能性を信じられない集団がここ」と、私は今日も感じました。ずっと感じているのは、「精神病院悪、地域医療善、地域福祉善、そして日精協悪」の構図でした。これを今回こそ変えなければいけない。日精協のアドバイザリーボードに入ったことで、元朝日新聞論説員の大熊由紀子さんを中心に叩かれたし、今もいろいろな所で叩かれているから有名らしいですが、日精協アドバイザリーボードに一番最初に出席したときに、「山崎先生が書いている巻頭言、『 WHO に訴える』とか、いろいろな人が騒いでいたから、「世界的課題の、鬱とか認知症の予防を WHO に話に行ってきたら」と私は言った。そのときに元小泉総理の秘書官飯島勲さん、ジャーナリストの櫻井よしこさん等出席者の前で「彼女はこういうことを言うからいいんだよね」ということで、私が山崎会長に諫言したりするから入れていると再認識しました。

 ここは一枚岩になって歩むところは歩んで。私はずっと、「マスコミにあおりにあおられた国の隔離収容政策です。国が謝罪してほしい」。ただし、「一本釣りで既に国賠を持ちかけられても、良識があって患者が断っている」。そういうお金を一人ひとりに付けるのではない。安倍ちゃんのこと、辻本さんという女性議員のことでマスコミが騒いでいるみたいだけど、安倍総理、民主党長島議員の、安全保障論議だったら、私も見たい。そして、安倍総理や塩崎大臣が国会で、「今こそ国がケネディ大統領の時代より後に起きたライシャワー事件での隔離収容施策を方向転換します。国民の皆さんよろしくお願いします。お金はないけど退院していただきたい。皆さんの温かい思いで見守ってください」と。そういうふうな方向転換を宣言するときだと思います。

 一番大事なのは住む所。今の私の家は素敵です。彼が素敵な人だから、私もきれいになった、精神医療サバイバーとして発言はかわってないけど。彼と一緒に暮らす時には2人に合った環境のところへ引っ越そうと思っています。桐原君、あなたはアパートと言ったけれど、私は音がすると眠れない後遺障害がある、アパートでは無理なのよ。国家プロジェクトとして、「社会的入院」を前回発言しました。メインは住宅です。「精神医療は特例、特例」と言うけれど、国民は分からない。隔離収容で患者を押し込めて、社会を安全にした時代に厚生省が精神科特例という「看護者は少なくていい」という通達を出した。そして低金利で民間病院が増大し、安い医療費におさえた。今も同じ構造です。それも変革を。病棟転換の話、神奈川県は私が精神保健福祉審議会で大反対した。それを聞いていた家族会が、施策推進審議会で反対。病棟転換をやめるそうです。そういうことだから、国が決めたから何でも従う、江戸時代ではない。ご当地ソングで各地方自治体での住宅施策を。それから、日中活動の場と言って、医者もオルグされているかどうか知りませんが、やたら「退院するのに昼間どこかへ行ってなければ」退院できない。今の私は時々 200 円で、 1 時間シルバー割引のカラオケで歌って踊って、ソフトクリーム食べて、ウーロン茶飲んで。ハマの伊勢佐木町通り散歩したり、山下公園へ行って。皆さんの話を聞いていると、福祉三昧。医療三昧の入院から出たら自由がほしい、恋愛してもいいでしょう。大友さんも、昔言っていたよね、みんな忘れてしまってる。当たり前の生活ですよ。グループホームだ、アシスタントではない。いろいろなものができればできるほど、ピアサポートは潰れてしまっている。従事者が依存させている。そして自分たちも共依存。今日はだらしないと思いますよ。これだから日本の精神障害者施策が遅れてきた。もっと前向きの、お金はない。だけど、ここはきっちりやってよ厚労省、というのを伺いたかった。

 抜本的なものを持って来て、国民が議事録を読んで、なるほど。広田さんだけではなくて、みんなが社会的入院の人たちの幸せを考えているのだというようにならないと、これからも変われないと思います。社会を直視したほうがいい。滞日外国人が、精神障害者として社会資源に来たときに、英語ぐらいできるの。又「ノー」と言えるのという時代に突入しています。それから職員が多過ぎます。いろいろな社会資源を回っているけれど、職員が増加して、メンバーが行けなくなった例もある。私は海外にも行った経験があるけど。日本は職員が多過ぎて、障害者の力量を奪ってると感じています。みなさん!しっかりしてください。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。

 

○広田委員

 桐原君に、住宅のことどう思いますか。

 

○駒村部会長

 そこだけお願いします。住宅の重要性についてありましたが。

 

○全国「精神病」者集団桐原運営委員

 おっしゃるとおりだと思います。戸建のほうがいいし、音があったら寝れないという人はいますので、低い水準で満足させようという適応選好的な考えではいけないと思います。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。かなり今日は時間もオーバーして申し訳ありません。 7 つの団体の皆様、遅くまでありがとうございました。本日のヒヤリングはここまでにさせていただきたいと思います。最後に事務局からお願いいたします。

 

○川又企画課長

 次回は 6 15 ( )9 時半から、 TKP ガーデンシティ竹橋にて開催いたします。本日の場所とは異なりますので、御注意いただきたいと思います。

 

○駒村部会長

 本日は遅くまでありがとうございました。これで閉会としたいと思います。


(了)
<照会先>

【社会保障審議会障害者部会事務局】
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課企画法令係
TEL: 03-5253-1111(内線3022)

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