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2001年7月30日 第1回社会保障審議会統計分科会 議事録

大臣官房統計情報部企画課統計企画調整室

○日時

平成13年7月30日(月)10:00~11:30


○場所

厚生労働省省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○出席者

委員

廣松分科会長
阿藤委員
今田委員
大江委員
柏女委員
京極委員
津谷委員
西島委員
松尾委員

事務局

渡辺統計情報部長
菅原企画課長
田村人口動態・保健統計課長
大橋企画課統計企画調整室長
齋藤人口動態・保健統計課疾病傷害死因分類調査室長

○議題

1.統計分科会の運営について
2.「疾病、傷害及び死因分類」について
3.その他

○議事

(1)開会

○企画課長 定刻になりましたので、第1回「社会保障審議会統計分科会」を始めさせていただきます。

  まず、最初に配布資料の確認をしたいと思います。
  「資料1-1」は「社会保障審議会統計分科会委員名簿」でございます。
  「資料1-2」は「統計分科会について」でございます。
  「資料1-3」は「『疾病、傷害及び死因分類』に係る委員会の設置について(案)」でございます。
  「資料2-1」は「『疾病、傷害及び死因分類』の概要」でございます。
  「資料2-2」は「『疾病、傷害及び死因分類』の補助分類改訂の報告」でございます。  「資料3-1」は「厚生労働省の主要統計調査について」でございます。
  「資料3-2」に「21世紀出生児等縦断調査(20~30歳代男女縦断調査(仮称))の概要について」でございます。
  そして「参考資料1」といたしまして「社会保障審議会について(概要)」でございます。
  「参考資料2」といたしまして「社会保障審議会関係規定」を用意させていただきました。
  特に不備な点等ございませんでしょうか。よろしくお願いいたします。
  それと、参考資料とは別に、『疾病、傷害及び死因統計分類提要』、『平成13年我が国の人口動態』、『国際疾病分類歯科学及び口腔科学への適用  第3版』をお手元にお配りしています。
  あと、私どもが出している冊子の『厚生労働統計通信』を出させていただきました。
  以上が、資料並びに参考資料でございます。

  本日は本分科会が設置されまして、初めての会合ということでございますので、始めに、厚生労働省大臣官房統計情報部長の渡辺からごあいさつをさせていただきます。

○統計情報部長  統計情報部長の渡辺でございます。初めに、皆様方には大変御多忙の中、この統計分科会の委員を快くお引き受けいただきまして、心より厚く御礼申し上げます。
  御案内のように、政府におきます審議会再編という方針の下で、社会保障関係で8つほど審議会がございましたけれども、その8つの審議会を再編いたしまして、社会保障に関する重要事項を審議する「社会保障審議会」というものが統合されて設置されたところでございます。その中で、この統計分科会につきましては、統計の総合的な企画、調査、改善、普及などについて御審議いただくということになります。
  今年の1月6日に、21世紀の幕開けとともに、厚生労働省が旧厚生省、旧労働省と統合いたしまして発足いたしました。国民生活の保障及び向上を図り、並びに経済の発展に寄与すると設置法で規定されております。そうした目的に沿って、厚生労働省として総合的な施策を推進するということになりました。
  我が国は、御承知のように急激な少子・高齢化、あるいは男女雇用機会均等など、経済社会の変化によりまして、社会保障の在り方というものが、今回の選挙でも大きな争点と言いますか、大きな国民の関心事となっております。厚生労働省といたしましても、今後の経済社会にふさわしい社会保障の在り方、仕組みを再構築していくということが、大きな課題となっております。
  このような状況の下で、今更申し上げるまでもございませんけれども、統計というものは、行政のニーズを明らかにして、更に施策の企画立案、あるいは実施のための基礎資料、それから、最近の流れといたしまして、客観的な政策の評価分析というものを、大きく進めることになっておりますけれども、そのための基礎資料としても欠くことのできないものとなっております。
  今後とも、その統計の重要性というものが、ますます増えていくものというふうに認識しております。こうした行政だけではなくて、国民の一般的な活動の基礎資料としても、時代の変化に対応した統計につきまして、委員の皆様方の御指導をいただきながら、取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○企画課長 それでは、本日の議事に入ります前に、委員の皆様方を御紹介させていただきます。

 では、最初に国立社会保障・人口問題研究所長、阿藤誠委員でございます。
  日本労働研究機構統括研究員、今田幸子委員でございます。
  東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻医療情報経済学分野教授・東京大学医学部附属病院中央医療情報部長、大江和彦委員でございます。
  淑徳大学社会学部教授、柏女霊峰委員でございます。
  東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授、廣松毅委員でございます。
  日本社会事業大学長、京極高宣委員でございます。
  慶應義塾大学経済学部教授、津谷典子委員でございます。
  日本医師会常任理事、西島英利委員でございます。
  国立小児病院院長、松尾宣武委員でございます。
  なお、本日につきましては、御欠席の連絡をいただいておりますが、委員といたしまして、お二方紹介させていただきます。
  大阪大学社会経済研究所教授、大竹文雄委員でございます。
  東京理科大学工学部教授、吉村功委員でございます。
  以上、11名の皆様方に委員をお願いいたしております。なお、本日につきましては、御出席いただきました委員が、全体の3分の1を超えておりますので、社会保障審議会令の規定によりまして、本日の会議は成立しているということを御報告させていただきます。

  続きまして、事務局を紹介させていただきます。
 まず、統計情報部長の渡辺でございます。
  人口動態・保健統計課長の田村でございます。
  統計企画調整室長の大橋でございます。
  人口動態・保健統計課疾病傷害死因分類調査室長の齋藤でございます。
  以上が事務局でごさいます。

  続きまして、当分科会の会長の選任についてですけれども、社会保障審議会令の規定によりまして、分科会長は当該分科会に属する社会保障審議会の委員の互選により選任するということになっております。このため、この会議に先立ちまして、社会保障審議会の委員でございます、阿藤委員、京極委員、廣松委員で互選いただきまして、廣松委員に分科会長に御就任をお願いするということになりましたので、これにつきまして御報告させていただきます。
  それでは、これからの議事の進行につきましては、廣松分科会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○廣松分科会長  ただいま御紹介いただきました、廣松でございます。若輩者でございますが、互選ということで大役を仰せつかることになりました。社会保障統計の重要性に関しましては、先ほど統計情報部長から御紹介がございましたので、今更ここで繰り返すことは致しませんが、この社会保障分野の統計に関しては、直接的な政策ニーズは当然でございますが、社会的関心もこれから大変高まるだろうと思います。
 そういう大役に関して、御出席の委員の方々の御協力を得て、何とか務めてまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○廣松分科会長  それでは、議事を進めさせていただきたいと思います。その前に、まず社会保障審議会令第5条第5項によりますと、その分科会長に事故があるときは、当該分科会に属する委員または臨時委員のうちから、分科会長があらかじめ指定する者がその職務を代理すると規定されております。この分科会長代理に関しましては、阿藤委員にお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

(2)「1 統計分科会の運営について」

○廣松分科会長  それでは、議事に入りたいと存じます。お手元の資料の「議事次第」に、本日の議事といたしまして、3つ掲げられております。
  まず、第1に「統計分科会の運営について」、
  第2番目に「『疾病、傷害及び死因分類』について」、
  第3に「その他」となっております。
  まず、分科会の設置の趣旨とか審議事項等について、確認をしたいと思いますので、統計分科会につきまして、事務局の方から御説明をお願いいたします。

○企画課長  それでは「統計分科会について」御説明させていただきます。お手元の「資料1-2」を御覧ください。
  これにございますように、当審議会につきましては、中央省庁再編に伴いまして、社会保障関係の8つの審議会を再編統合いたしまして、社会保障審議会が設置されたわけですけれども、当分科会については、その社会保障審議会の中の分科会の1つとして設けられました。従前からございました厚生統計協議会の流れをくむものです。この統計分科会の設置については、社会保障審議会令第5条に規定されているところです。

  委員の構成といたしまして、社会保障審議会の構成員である委員3名と、本分科会に所属いただきます臨時委員8名の、合計11名で構成されております。分科会の運営におきまして、委員と臨時委員との違いは、分科会長を委員から互選するという規定がありますが、それ以外は、特段の差があるというものではございません。

  当分科会の所掌事務ですが、社会保障審議会令にその所掌事務として「統計の総合的企画、調査及び研究、統計の改善及び整備並びに統計の知識の普及及び指導に関する事項を調査審議すること」ということが明記されております。
 具体的にどういうことが考えられるかということですけれども、例えば統計の総合的企画、調査、研究ということですが、その1つの例として、後ほど説明いたしますが、来年度に向けまして、21世紀出生児等縦断調査、20~30歳代の男女をずっと追跡して調査していこうと考えておりますが、その調査の企画全般について御審議をお願いしたいと考えております。厚生労働行政の企画、実施、あるいは政策評価に必要となるような、欠かすことのできないような基礎的な、基本的な統計調査、企画といったものを御議論いただければということです。当然統計も、時代の変化、あるいは行政のニーズというものを踏まえていかなければなりません。そういった中で、統計の基本的な在り方とか、そういったものを御議論いただければと考えているわけでございます。
  また、もう一つの具体的なテーマといたしまして、疾病及び関連保健問題の国際統計分類がございます。通称ICDと言っております。これは、WHOによる国際的な分類ですけれども、それが修正された場合の我が国の対応方針をどうするかといったこと、あるいは、「疾病、傷害及び死因分類」の改正の必要性といったことを審議いただきたいと考えています。
  統計の整備や改善といたしまして、社会保障や人口問題に関しまして、新規統計調査を行う場合の企画があります。統計データについての利用、あるいは提供方法、普及といったものについての改善があります。特に、最近の情報通信技術は目覚しく進歩しています。そういう中でのデータ提供の在り方、工夫といったことも1つの議論になろうかと思うわけでございます。
  そういう意味で、統計調査等の企画、調査あるいは改善、普及といったことにつきまして、広く御議論いただければと考えているわけでございます。

  また、この社会保障審議会につきましては、総会におきまして全般的な議論をいたします。分科会が常設されているわけですけれども、審議会あるいは分科会に、個別分野についての部会を設けて審議を行うことができるとされております。
  したがいまして、統計分科会につきましても、個別分野につきまして部会を設置するということが認められているわけですけれども、特にこの点につきましては、当面は設置はしなくてもいいのではないかと考えています。
  なお、後ほど説明をいたしますが、疾病・傷害及び死因分類に関しましては、専門的な事項を審議する必要があるため、専門委員会の設置、審議の枠組みをどうするかについてお諮りしたいと考えています。この4の(2)に書かれていることです。
  そういう意味で部会、あるいは委員会を必要に応じて設置することができる仕組みになっています。
  5の当面の審議事項ということでございます。これにつきまして、次回、あるいは次々回に掛けまして、2回ほど、20~30歳代男女縦断調査、新しい調査についての新規企画について御議論していいただきたいと思っております。あるいは、既存の調査につきまして、重要な変更があると言った場合について御審議いただくことも考えています。そうした議論を通じまして、いろんな統計の在り方、あるいは今後の改善といったことについて御議論いただきたいと考えているわけでございます。
  その他の事項といたしまして、この分科会につきましては、まさに社会保障審議会令あるいは社会保障審議会の運営規則に基づいて運営が行われることになるわけでございますけれども、本分科会につきましても、会議自体公開ということで進めていきたいと考えております。議事録につきましては、所定の内容を記載いたしまして、公開をするということになります。なお、分科会長が必要と認める場合には、分科会及び議事録は非公開とすることができます。
  また、分科会の議決は、審議会の会長の同意を得まして、審議会の議決とすることができるということとなっています。例えば、厚生労働大臣から社会保障審議会になされた諮問が、当分科会へ付議された場合、この分科会において審議し、議決がなされた場合には、会長の同意を得て、社会保障審議会としての答申となるということでございます。
  具体的には、後ほど説明いたします「疾病・傷害及び死因分類」については、過去を見てみますと、10年に一度の大規模な改正が行われております。そういったときのように、大きな方針を定める場合には、統計分科会として議決していただくことがあるということでございます。
  以上、運営につきまして、第1回目ということで、事務的な話もあったかと思いますけれども、御説明させていただきました。よろしくお願いいたします。

○廣松分科会長  ありがとうございました。今の御説明で出てきました「疾病・傷害及び死因分類」に関する委員会の設置につきましては、次の議題でございます「疾病・傷害及び死因分類」についての御説明を受けた後、議論したいと思います。それ以外に関しまして、ただいまの統計分科会の御説明について、何か御意見、御質問ございますでしょうか。

                            (発言なし)

○廣松分科会長  今、御説明ございましたとおり、新たな形で発足をした分科会でございますので、運営の仕方等に関しては、試行錯誤的な部分が出てくるかとも思いますが、その点に関しましては、そのときどきに分科会の席でみなさんの御意見を伺って進めていきたいと考えております。
  ほかにいかがでしょうか。もし、後でお気づきの点がございましたら、その他の議題のところででも御発言をいただくことにいたしまして、とりあえず1の統計分科会の運営につきまして、以上とさせていただきます。次に、2番目の議事でございます「疾病・傷害及び死因分類」についての議事につきまして、まず事務局の方から御説明をお願いいたします。

(3)「2 『疾病、傷害及び死因分類』について」

○疾病傷害死因分類調査室長  資料2-1「疾病、傷害死因分類」について御説明させていただきます。
  それと合せまして、資料2-2に説明させていただいておりますいわゆるICD(「疾病及び関連保健問題の国際統計分類、それから、次の2ページの3、WHO、疾病分類協力センター長会議について御説明させていただきます。
  疾病、傷害及び死因の個々の統計は、保健福祉行政の企画、人口問題研究、医学研究に重要な資料となるものです。有用な死因統計及び疾病統計を得るためには、その統計に用いる分類が適正であることが必要です。この最初の資料2-1の先ほどの冒頭の3行、それから次の国際的な統一を要請されるというところが、国際的にも疾病、傷害及び死因分類の主要目的というところが非常に重要な説明文でございます。
  古くは、我が国におきまして、死因を死因ごとに分類する死因分類というものが制定されましたのが明治8年でございます。明治31年のその後、戸籍法の制定により、人口動態統計の業務が戸籍業務から独立しまして、明治32年より現在の死因等の分類の基になるものが適用されております。
  現在、使用しております「疾病、傷害及び死因分類」は、統計調査に用いる産業分類並びに疾病、傷害及び死因分類を定める政令、これは昭和26年にできておりますが、これに基づきまして、平成6年10月に告示されたものでございます。
  説明文の中で前後しますが、更にこれらの統計を国際比較するに当たっては、国際的な統一が要請されるところです。
  資料2-1の4ページ目、参考というので一覧表がございます。これを御参照ください。いわゆるICDとは次の2のところで詳細を説明させていただきますが、国際疾病分類と呼ばれるもので、この参考「ICDの沿革」にありますが、第1回の国際統計協会による国際会議で採択された、いわゆるICD-1、これ以降、これを尊重した死因分類等を我が国においては過去適用してきているという歴史がございます。
  現在用いられている「疾病、傷害及び死因分類」につきましては、一覧表の最下段にございます。世界保健機関、WHOの第10回会議で採択されたいわゆるICD-10、ICDの第10回修正と申しますが、これを尊重して作成されているものでございます。
  次にページを戻らさせていただきまして、資料2-1に戻っていただきたいと思います。  2のICDの説明をさせていただきますが、ICDの正式名称は、現在、これは日本語では、「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」というふうになっております。いわゆる「国際疾病分類」とも呼称されておりますが、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や傷病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うために設けられた分類でございます。
  先ほども沿革のところで申しましたように、1900年以降、国際統計協会によって制定されて以降、第二次世界大戦以後は、WHOの所管となり世界保健機関憲章に基づいたものとなっております。現在、国際的には、先ほど申しましたICD-10が使用されております。
  ICD-10につきましては、お手元にございます資料、一番上に積重ねております「疾病、傷害及び死因分類概要  ICD-10準拠」というのがございますが、具体的ないわゆる分類内容についてなんですが、211 ページを開いていただくと、211 ページの右側の一番下でございます、「消化器の悪性新生物」ということで、C15、16、17というふうに具体的なコーディングがしております。
  これはたとえなんですけれども、C17というところに、小腸の悪性新生物というのがございます。これをコーディングをしていく際に、お手元の資料2-1の2ページ目、大変前後して申し訳ございませんが、(例)というところで、四角囲みで、実際は非常に分厚い第2巻があるんですが、これはまた後ほどお手元の資料とともに、先生方の方に郵送させていただこうと思います。
  この第2章の新生物というところ、具体的には、C17、小腸の悪性新生物、それぞれが4けたのコード、アルファベットも合わせまして4けたのコードに細分化されます。その大きな大分類であるのが3けたまで、C17まででございます。このアルファベットのCに関して、もしくは*1に言っております、感染症及び寄生虫、精神及び行動の障害、等々、計21章に分けられてコーディングされています。
  *2、いわゆる2けた目と3けた目に関しましては、共通の性質を持った症候群、疾患の頻度、重要度などの観点でグループ化したものをコーディングして分けております。
  一番最後の4けた目、*3が、部位、個別の疾患、病因などによって非常に細分化されたコードを付けてすべての疾病、傷害、死因分類をこういうふうに分けて、コーディング化しているというふうなところが、このICDによって行われるコーディングです。これを日本の実情に併せてICD-10に準拠して作成されたものが「疾病、傷害及び死因分類」ということになります。
  このICDの主要目的につきましては、冒頭の4行がこの主要目的であるというふうに御説明させていただきました。現在では、各医療機関において病歴管理の記録などの目的のためにこのICDが使用されています。
  また、ICDに準拠することによって、国際的な比較が可能となるということで、お手元の冊子の2つ目に重ねてございますカラーの『平成13年  我が国の人口動態』の21ページをごらんください。
  横棒グラフがございますが、性別に見た主な死因別、死亡率の欧米諸国との比較ということで、それぞれ、がん、心臓病、脳卒中、肺炎等々、男女別に分類されています。
  各コーディングを疾患で行う際、死因で行う際に、必ず決められたコーディングが決められた方法で行えることによって、それは世界的に統一されることによって、各国、国際的な比較がこういうふうにできるということです。
  ほかにも、次の22ページなり23ページなりで、乳児の死亡率の国際比較などというのが、年次推移でこういうふうに出せるようになります。こういう観点からも、ICDに準拠した「疾病、傷害及び死因分類」を作成して用いるということは、非常に重要なことであるというふうに御理解していただけるのではないかと思います。
  続きまして、3のWHO疾病分類協力センター長会議について、これは簡単に説明させていただきます。
  このように、疾病、死因等について適正な分類を行って、共通のコード化を行うということは、先ほど申しましたように、国際比較できる仕組みというのが御理解いただけたと思いますが、このICDに関する事項を世界の枠組みで討議、検討する場としてWHO疾病分類協力センター長会議というのがございます。この会議は、ICDに関する協力センターとしてWHOが言語権及び地域性を考慮した上で組織したセンターでございます。世界で10か所指定されておりまして、次の3ページをごらんください。これも四角囲みで、その10か所のセンターの設置国、場所、機関が掲載されております。
  このセンター自体は、WHOが主催しまして、各国で持ち周りで年1回開催されております。日本はオブザーバーとして長年にわたって参加しておりますがICDの先進的な取組みを行っている国として評価されておりまして、また、過去2回にわたり、会議の主催国ともなっております。ドイツ、オランダとともにセンター的な高い位置付けが与えられております。
  毎年、この協力センターと先ほど申しましたドイツ、オランダ、日本の3か国、計13国をもちまして、年1回のセンター長会議を開催しております。この会議の中では、ICDの専門家、医師、ホールダー等から成る集団が、主にICDのコーディングに関して一部改正の事項を中心に技術的な方法論も含めて討議が行われております。
  ちなみにこの10月に今年はワシントンDCで開催される予定でございます。
  以上が資料の2-1の説明でございます。よろしいですか。

○廣松分科会長  今の御説明に関しまして何か御質問ございますでしょうか。
  統計の分野は、ある意味では分類に始まり分類に終わるというか、分類というのは統計にとって一番重要な点であるわけですが、特に、この場合、国際比較ということが大変重要なポイントになっているかと思います。今のICD及びそれに基づく日本国内での疾病、傷害及び死因分類に関する説明に関して、特に御発言ございますでしょうか。

                            (発言なし)

○廣松分科会長  よろしいでしょうか。では次に、この疾病、傷害及び死因分類に関しましては、この分科会においても具体的な形として、委員会の設置ということを現在、事務局の方でお考えでございますが、その委員会の設置について、御説明と御提案をお願いいたします。

○企画課長  それでは、委員会の設置についてということでございますが、その前に、委員会の設置に向けまして背景的な事情について更に説明させていただきたいと思います。  資料2-2の関係について、まず先に簡単に御説明させていただきます。

○疾病傷害死因分類調査室長  失礼しました。資料2-2の方が抜けておりましたので、これも説明させていただきます。
  資料2-2は報告事項でございます。先ほど申しました「疾病、傷害及び死因分類」の補助分類改訂が今回、歯科口腔科学領域、いわゆるICD-DAという形で日本語版が作成されましたので、その御報告でございます。
  過去、WHOがICDの修正を行ってきた際に、各領域に合わせてその普及を図ることを目的として従来からその分類を細分化し拡張したものを、各分野ごとに補助分類として作成、公表しております。
  今回、歯科学及び口腔科学を広く補完するために、WHOより既に公表されておりますICD-DAを、我が国の実情を加味して日本語版を作成し、刊行することとしました。  このICD-DAは、資料2-2の(1)で左側に○が付いて記載しておりますように、これまでに第3版まで作成されております。今回、日本語版が作成されたのは第3版が初めてでございます。
  この作成の経緯については、(2)に記載しております。旧厚生省に設置された厚生統計協議会第四部会の下に、ICD-DA専門委員会、委員長が大妻女子大学教授の高石先生でございましたが、設置し、日本歯科医師医学会の協力により作成した原案に基づき、作業を行い、日本語版を作成させていただきました。
  現物が今、この手元の一番下のところに積んでございます。「国際疾病分類歯科学及び口腔科学への適応第3版」というのでございます。
  なお、作成の仮定でWHOが当初の解釈を変更した部分のあることが明かとなりましたために、「疾病、傷害及び死因分類」の当該変更部分についてお手元の資料にございます別紙のごとく、平成13年7月23日にその改正部分が告示されております。これにつきましては、8月1日から施行ということでございます。
  次のページ、ICD-DA、歯科及び口腔科学と並びまして補助分類、神経疾患の分類がここでございます。これが同じように、過去第2版まで作成されておりますが、この第2版の日本語版をこの歯科学及び口腔科学の補完分類と同様に、9月を目途に刊行の予定でございます。
  以上2点、御報告ということでございます。失礼しました。

○企画課長  それでは、私の方からお諮りさせていただきます。
  「疾病、傷害及び死因分類」に係る委員会の設置についてということでございまして、資料1-3を御参照いただきたいと思います。
  「疾病、傷害及び死因分類」につきましては、ただいま事務局の方から御説明いたしました内容のものです。そして、従来からこの分類作業につきましては、厚生統計協議会の下に専門委員会を設置して内容を検討してまいりました。その形を踏襲いたしまして、今後、大規模な変更が行われる場合には、統計分科会に諮りまして、作業の進め形、作業体制や方針といったことを御審議いただく予定としております。
 今回、お諮りしたいのは、先ほどの報告にありましたような補助分類の策定とか、「疾病、傷害及び死因分類」の比較的軽微な変更など、個別の問題について検討の必要性が生じた場合に、どういった形で検討していくかということです。
  この統計分科会において「疾病、傷害及び死因分類」に係る個別問題が生じた場合の検討体制の枠組みを提案したものが、この資料1-3です。本来は、個別の問題が生じたごとにこの分科会を開きましてお諮りすることが考えられるわけですけれども、非常に「疾病、傷害及び死因分類」の内容が専門的であることから、運営規則第8条の規定に基づきまして、委員会を設置することにつきまして、その承認をあらかじめ求めておくということです。そのときごとにお諮りするということでなく、あらかじめ委員会を設けるといったことについて御承認をいただきたいというものでございます。
  そして「審議事項」は、先ほども説明のありました補助分類の作成、そうしたものが中心ということです。具体的には、「疾病、傷害及び死因分類」の普及を目的とする補助分類の作成とか、「疾病、傷害及び死因分類」の軽微な変更といったものです。
  そのほか、分類に関しましての個別的、専門的事項についても必要に応じて検討するということです。そういう意味で、必要に応じまして委員会を設置するということについてあらかじめ御承認をいただければということでございます。
  御承認いただければ検討の必要が生じた場合に統計分科会長の御了解を得まして、各分野ごとの委員会を設置いたします。そして、その委員会に属する専門委員は、各分野の学識経験者の中から、別途厚生労働大臣が任命いたします。そうした専門委員がどの分野を担当するかは統計分科会長が指名するといった形にしたいと思っております。
  また、この分科会の委員あるいは臨時委員も、その専門委員会の委員として分科会長は指名することができるということです。
  そして、委員会における検討結果は統計分科会に報告するということになっています。
  なお、繰り返しになりますけれども、この分類につきまして本格的な大規模改正についてはまた別途検討するということでして、補助分類の作成あるいは軽微な修正が生じた場合に行うということでございます。
  今後、この委員会を設置する必要が生じる案件としては、1つは、先ほどのお話にもございましたが、毎年10月にWHOの疾病分類協力センター長会議、今年も10月21日から27日にかけまして開催されることになっていますが、そこでの討議を基にして、このICDについての一部改正がWHOから示されて、日本の事情を勘案して判断を行う必要性が生じた場合、検討委員会を設置する必要があるといったことです。そういう意味で、今後の推移を見守る必要があるということでございます。
  更にまた、腫瘍に関しての補助分類でありますICD-Oの日本語版の改訂といったものが想定されます。これは今後想定されるテーマということでして、事態の推移を見ていきたいということでございます。
  したがいまして、統計分科会長の了解を得た上で、その委員会を設置されるといったこと、その点につきまして御理解、御了解をいただきたいと考えているわけでございます。  ちょっと長くなりましたが、以上でございます。

○廣松分科会長  ありがとうございました。
 今、「疾病、傷害及び死因分類」に関する委員会の設置についての御説明と御提案がございました。提案の趣旨は今、御説明いただいたとおりでございますが、要点は、検討の必要が生じた場合に、統計分科会長の了解を得て、分野ごとに委員会を設置する、それを事前にお認めいただきたいということでございます。この点に関していかがでございましょうか。
  ここに書いてございますような補助分類の作成とか、個別専門的な事項に関しては、当然のことながら、専門知識を有した方に御検討いただくのが最適だろうと思います。
  また、当然、この分科会に所属いただいている委員ないし専門委員の方にそのとりまとめ等をお願いをするようなこともあり得るかとも思いますが、それも含めまして、提案されております委員会を設置をするということを、この分科会として御了承いただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

                            (「異議なし」と声あり)

○廣松分科会長  ありがとうございました。
  なお、先ほど事務局の方から御紹介がございましたとおり、この疾病、傷害及び死因分類に関しましては、政令によって、官公庁が公表するものに関しては、この分類に従うようにということになっています。産業分類も同じ扱いでございます。
  したがいまして、その大改訂の場合には、恐らく総務省、統計審議会との関係も出てまいりますので、その場合には、ここにございますとおり、具体的には別途、この分科会としても御検討いただくということになります。
 この点も御了承いただければと思います。
  どうもありがとうございました。
  議事の2.「疾病、傷害及び死因分類」について、以上、何か特に御発言ございますでしょうか。

                            (発言なし)

○廣松分科会長  それでは次の、3.その他でございますが、これに関しまして、事務局の方で資料を用意していただきましたのは、来年度実施を予定しております20歳から30歳代の男女の縦断調査、ロンジテューディナル調査という言い方もしますが、その概要について御説明いただきます。
  この調査は、厚生労働省の既存の統計調査をフレームにして実施することを計画をしているものでございます。
  では、この調査の説明に関しまして、お願いしたいと思いますが、その前に、この調査の位置づけも含めまして、資料の3-1に、厚生労働省の主要統計調査についてというものがございます。まず、こちらの方から御説明いただいた上で、先ほど御紹介いたしました20~30代男女縦断調査についての概要の御説明を、併せてお願い申し上げます。

(4)「3 その他」

○統計企画調整室長  それでは、私の方から来年度から実施を計画しております20~30歳代男女縦断調査の概要について御説明いたします。
  今、分科会長が申されましたように、この調査は厚生労働省の既存の統計調査を母標本にして実施することを考えております。そこで、この調査の説明の前に、若干お時間をいただきまして、現在厚生労働省が実施いたしております主な統計調査について説明させていただきたいと思います。
  資料3-1をご覧ください。まず、当省が所管しております指定統計について御説明いたします。
  御承知のとおり、国の統計調査は重要な統計として総務大臣が指定する統計、指定統計と言われるものと、総務大臣の承認を必要とする承認統計、そして、届出統計の3種類がございますが、この表は、その中の当省分の指定統計を一覧表にまとめたものでございます。
  最初に「人口動態調査」でございますが、この統計については、国勢調査と並び、我が国の基幹統計の1つでございまして、子どもが生まれたり、人が亡くなったり、また、結婚、離婚したりした際に、市町村に届けられた一人ひとりのこれらに関する情報を統計調査として把握しているものであります。今や少子化の状況を表わす重要な指標となっております合計特殊出生率を始めといたしまして、毎月の人口、将来人口の推計、平均寿命の算定、更には、先ほどICD室長の方からございました死因統計として、公衆衛生行政や各種疾病対策などの基礎資料として多方面に利用されている統計調査でございます。
  次の「医療施設調査」とその下の欄にございます「患者調査」は、全国の病院などの医療施設に対して調査を行ったものでございまして、いずれの統計調査の結果も、国の医療制度の改正とか、あるいは地方の地域保健医療計画の策定など、医療行政の基礎資料として利用されているものでございます。
  次に「国民生活基礎調査」でございますが、この統計は、全国の世帯とその世帯単位を対象といたしまして、主な調査事項に掲げられておりますような年金、医療、福祉、所得など、国民生活の基礎的事項を調査しているものでございます。
  この統計調査は、厚生労働行政の企画立案に必要な基礎資料を得るという目的と、もう一つは、当省が実施いたします他の世帯関係の統計調査の調査客体を抽出する際の親標本機能という役割も持っています。20~30歳代男女縦断調査の調査客体は、3年に1度実施する国民生活基礎調査の大規模調査の対象世帯から選ぶとしております。
  次に「毎月勤労統計調査」でございますが、この調査は、常用労働者5人以上雇用する事業所を対象といたしまして、毎月、常用・パート労働者数、給与、労働時間などを調査しているものでございまして、閣議報告されます月例経済報告の中で消費者物価など、他府省の統計調査結果と並んで、労働情勢を示す重要な指標として使われておりますほか、景気動向指数の算定資料、あるいは失業給付額の改定など、各方面に利用されているものでございます。
  次に「賃金構造基本統計調査」と、その下の欄の「屋外労働者職種別賃金調査」でございますが、調査対象はそこに記載いたしておりますように、異なっておりますが、賃金の実態を職種別に調べているものでございまして、特に、賃金構造基本統計調査は最低賃金の決定や、労災保険給付額の算定など、厚生労働行政の基礎資料として広く利用されております。
  最後の「薬事工業生産動態統計調査」でございますが、この調査は、医薬品、医薬部外品などを製造・輸入する事業所を対象といたしまして、毎月、医薬品の在庫金額などを調査しているものでございます。薬事行政の基礎資料として利用されているものでございます。
  以上、簡単でございますが、当省所管の指定統計の概要について御説明いたしました。
  その他の統計調査の概要につきましては、次のページから指定統計も含め、過去1年間に私どもが公表いたしました主な統計調査の調査結果をまとめたものを用意させていただきました。時間の都合もございますので、この説明は割愛させていただきます。
  それでは、引き続き「20~30歳代男女縦断調査の概要について」御説明いたします。恐縮ですが、もう一度資料3-2をごらんください。
  表題の最初に「21世紀出生児等縦断調査」となっております。これにつきましては、次の次のページで御説明します。恐縮ですが、3ページをお開きください。
  この21世紀出生児等調査は、少子化対策という政策課題に資するための統計調査として、昨年から計画し始めたものでございまして、官庁統計としては我が国で初めて同一の集団、コーホートに対して継続的に追う調査でございます。
  下の方をごらんください。この調査は、2001年に生まれた赤ん坊の育ち方など、成長過程を継続的に追います「21世紀出生児縦断調査」と、これから結婚、出産を迎えようとしている人たちや、あるいは現在子育てをしている人たちの結婚、出産、就業などの意識、行動の変化を追います「20~30歳代男女調査」の2本から構成されております。
  左側の「21世紀出生児縦断調査」は、今年から実施いたします。この調査は、先ほど御説明いたしました人口動態調査の調査票から、今年1月10日から17日までと、7月10日から17日までに生まれた赤ん坊、約5万人でございますが、それを抽出いたしまして、これを郵送で調査を行うものです。
  1月10日から17日までに生まれた赤ん坊には、この8月1日に調査することになっております。
  調査事項は、この後ろに調査票を添付いたしておりますが、主として赤ん坊のこれからの育ち方を見るという観点から、日中の主な保育者、家族構成、両親の就業状況などを調査いたしております。
  ここで今回、私どもがねらいとしております少子化対策との関連で、縦断調査の特色といいましょうか、構造というものについて御説明をしたいと思います。
  前のページをご覧ください。御承知のとおり、縦断調査は一般に横断調査に比べまして、同一の調査客体に対して同じ情報の経年変化を観察できますということですから、事象間の因果関係とか、あるいは一定区間における発生率、変化率を把握することができるとされております。
  この図は、少子化に資するための20~30歳代男女調査の構造を表したものでございます。図には、時間の経過も入っておりますので、4次元になっておりまして、若干見にくいかもしれませんが、御容赦願いたいと思います。
  まず人の行動でございますが、図の上の方の縦の部分でございますけれども、人には通常、学校を卒業してから就職、結婚、出産という行動パターンがございます。人によっては、結婚しない人もいますし、子どもを生まない方もいらっしゃいます。就業との関連でずっと働き続ける人や、出産を契機に退職される方、また、子どもに手が掛からなくなってからパートなどに働き始める方もいらっしゃいます。
  これら人の行動というのは、家族構成、就業状況、健康状況、この図では向こう側に描かれておりますその人の置かれている環境、実態の変化、あるいはまたこの図で手前に描かれております意識、その人の性別役割分業や結婚などの意識の変化によっていろいろ変化するものでございます。
  この縦断調査によってこれらの関係が把握できますので、右側の欄の下に明示してありますようなことが分かるものと考えています。
  まず最初の「仮説の検証」という点で申し上げますと、この図では、上の3面を断面に切った赤い線で示してございます横断調査、例えば、先ほどご説明いたしました国民生活基礎調査の結果では、住宅が広い世帯は子ども数が多いという結果が出ております。しかしながら、住宅が広くなるのが先か、子どもの数が増えるのが先かという因果関係は、横断調査ではわかりません。住宅を広くすれば子どもが生まれやすいという仮説につきましては、縦断調査では子どもが生まれてから広い住まいに移った割合がどのぐらいあるのかというようなことがわかりますので、こういった仮説の検証ができるものというふうに考えております。
  次の2番目の「きめ細かなニーズの把握」という点で申し上げますと、例えば、子育ての負担感の増大が少子化の要因の1つであるとされておりますけれども、一口に負担感と言いましても、核家族なのか、3世代世帯なのか、あるいは働いていらっしゃるのか、いらっしゃらないのか、その人たちの置かれた状況など、あるいは子どもの成育段階によっても変化するものでございます。
  更に子育てや就職のために必要とする支援の在り方も時期によって異なります。職業を持っている女性でも、フルタイムとパートタイムでは必要とする支援の内容が異なります。縦断調査においては、その節目節目で、そういう意識というものも調査したいというふうに考えております。
  したがいまして、どのような軌跡をたどったグループの人たちが、いつの時点でどのような支援を必要としているかということが、きめ細かく明らかにできるというふうに考えております。
  3番目の「施策の効果の把握」でございますが、例えば最近の男女共同参画の普及啓発活動。これは、固定的な性別役割分業意識、特に役割分担に対する男性の意識に変化をもたらしたり、更には夫が家事、育児に参加したりするようなケースが増えていくということが十分予想されます。
  縦断調査では、こうした変化が結婚や出産にどのような影響を及ぼしているのかを継続的に観測できますので、これら普及活動の有効性を把握、検証できるものというふうに考えています。
  また、縦断調査の結果は今まで御説明いたしましたように、事象間の因果関係が明確になりますので、現在政府が行っております図の下に掲げているような少子化対策、これは一昨年の12月に少子化対策推進関係閣僚会議でまとめられました、少子化対策推進方針でございますが、これらの施策の進捗程度の測定と、あるいはその見直しなどに有効活用されるものと考えております。
  なお、施策の変化は「行動」「実態」「意識」に影響を及ぼすことがございますので、この関係も、この縦断調査では明らかにできるのではないかというふうに考えております。  それでは、何度も恐縮ですが、もとの1ページに戻ってください。
  最初に、この概要についてお断わりをしておきたいことを申し上げます。私どもといたしましては、今後、これで財政当局に要求する方向でおりますけれども、御承知のとおり昨今の財政事情を考えますと、その折衝の中で、紆余曲折もあり得ることでございます。その点お含み置きいただきたいと存じます。
  それでは、まず「調査の目的」でございますが、厚生労働行政の企画立案、実施などの基礎資料を得るということを目的としておりますけれども、「21世紀出生児等縦断調査」という名が表しておりますように、当面は少子化対策に資するということをコア、焦点にして企画、実施したいというふうに考えております。
  したがいまして、この調査の対象は先ほども申し上げましたように、これから結婚や出産を迎えようとしていることや、現在子育てをしている人など、20歳代、30歳代の男女を対象といたします。
  調査客体につきましては、先ほど説明いたしましたように、平成13年、大規模に実施いたしました国民生活基礎調査において把握された者を予定いたしております。
  調査の時期につきましては、来年の7月、または11月ごろを考えております。都道府県等地方の協力を得て行うことを考えておりますので、期日の確定につきましては、今しばらくの検討期間が必要ではないかと考えております。
  「主な調査事項」でございますが、既に御案内いたしましたように、家族構成、家計、就業、健康などの基礎的情報のほかに、夫婦の家事・育児の分担状況や役割分業などの意識、それに保育所や、育児休業など子育て支援策の利用状況なども考えています。
  最後に「調査の方法」でございますけれども、この調査は先ほどから申し上げておりますように、国民生活基礎調査の調査地区で実施したいというふうに考えておりますので、調査効率の観点から調査員による留め置き、密封回収方式で行いたいと考えております。  以上、この調査の概要について御説明いたしましたが、私どもはこの調査の持つ社会的意義は非常に高いと考えておりまして、一方で個人のプライバシーへの十分な配慮も必要でございます。特に継続的に追うという調査ということもございまして、調査対象者の御理解とか御協力がなければこの調査は成り立ちませんので、調査項目の設計などについては相当の工夫が必要ではないかと考えております。
  冒頭に申し上げたとおり、次回のこの場で調査項目などについて具体的なものをお示しし、いろいろと御意見をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
  以上で説明を終わらせていただきます。

○廣松分科会長  どうもありがとうございました。
  ただいま、21世紀出生児等縦断調査のうちの、20~30歳代男女縦断調査、仮称でございますが、概要について御説明いただきましたが、併せて厚生労働省の主要統計調査についての御説明をいただきました。御質問、御意見ございますれば、御発言いただければと思います。

○今田委員  継続調査ということなんですが、インターバルはどのくらいをお考えなのかということで、どのくらい継続する御予定なのか。

○統計企画調整室長  現時点でいつまで続けるのかというのは明確には決めてございませんけれども、被調査者の協力が得られれば長期的に続けたいと考えております。当面、5年くらい経過した時点で被調査者の協力度合いも考慮し、継続することも含めて見直しを行いたいと考えております。

○今田委員  インターバルは。

○統計企画調整室長  毎年です。この調査では少子化というところにスポットを当てており、少子化対策は、毎年いろんな政策が出てきておりますので、そういう利用状況の把握を考えますと、当面の間、毎年行いたいと考えております。

○松尾委員  少子化の調査の究極の目的というのは、子どもが幸せに育つ、あるいは子どもがたくましく育つということにあると思うんですけれども、そのことに関してどのくらいの仮説を予定されているのかというのが第1点。
  それから、小児科医としては、何よりも両親が仲がいいということが子どもの幸せに直結していると思うんですけれども、そういう視点の質問というのを加えることは可能かどうか。その2つを伺いたいんです。

○人口動態・保健統計課長 お子さんがいかに幸福かというのも非常に重要なんですけれども、その前に、育つ環境がどうなっていて、お母さん、お父さんはどういう意識を持っておられるかということをまずお聞きする。今後はお子さんの動き、お子さん自身のお考え等々も聞いていきたいと思います。内容的には未定でございますも、今後それについては考えていきたいと思います。
  ただ、目的として、子どもをなぜ生まないのか、つまり少子化のことになっていますので、その辺に着目すると、子どもの幸せに重点を置くかどうかというのはまだ分からないところです。

○津谷委員  この後者の20~30歳代男女縦断調査ですが、どれくらいのサンプルフレーム、何人くらいケースをお集めになるつもりでしょうか。そして、一応の回答率の予想のようなものを持っていらっしゃいますか。

○統計企画調整室長  国民生活基礎調査では、20歳代、30歳代の男女は約20万人位と思っています。現時点では、一応その全員を客体としたいと思っておりますが、今後、費用対効果などを考慮して、その点は詰めていく必要があると考えております。
  回収率は実際に実施してみないと分かりません。民間のものを見ますと、最初は4割くらいということで、その後毎回、大体95%くらいで、協力を得ているという情報もあります。実際、私どもはこれについては留め置きで調査員が行って、説明をしてということを考えております。郵送調査ですと、8割方の協力を得ているものもございます。今のところ想像がつかないのでございますが、なるだけ回収率を上げるために、いろんな媒体を使って宣伝に努めてまいりたいと考えております。まさに被調査世帯の方々の協力、理解に掛かっております。

○京極委員  これは児童虐待とか、緊急避難的、危機対応的な調査ではなくて、構造的な調査だと思うんですけれども、少子化対応ということの中で、虐待とか、そこまでいかないまでも、子育てに非常に不安とかいろいろ悩みを持っているというのを、もう少し具体的に調べる必要がないだろうか。(21世紀出生児縦断調査調査票)問12のように「子育ての不安や悩みがありますか」といった、あるとかないより、もうちょっと突っ込んでいく必要があるんじゃないかなと。調査がアクション・リサーチな要素も若干あるかもしれませんけれども。勿論、当面のそういうことと、構造的なこういう調査と分けなくちゃいけないんですが、一部分、それに関連するところを少し詳しく聞いてみてもいいんじゃないかと思っていますけれども、これは難しい問題です。

○人口動態・保健統計課長  調査票の調査項目につきましては、この調査は先ほどの説明のとおり郵送で行うということにしております。最初から重い調査をしますと、回収率がすごく落ちる。かつ、今後ずっと継続していきますので、できるだけ回答していただきたいということで、かなり軽くしております。
  それから、今回調べられなくて、これ以降に予定しているものもございます。そういうことで軽くしているということでございます。
  もう一つ、別に調査をするというのもあるかもしれませんけれども、それはまた機会があれば、やりたいと思います。

○津谷委員  先ほどの御意見についてなんですが、大変大事な点だと思うんですけれども、これは大規模な、計量的なデータを集める調査ですので、おっしゃるとおり、余り最初からすごくたくさん聞きますと、これは回答に結び付かないと。先ほど予備的な調査をすることも考えているということですが、特にそういう質的な情報をお取りになるときには、例えば、また調査を完璧におやりになることも1つだと思いますが、例えばフォーカス・グループというんでしょうか、ある程度の方を集められて、大変ならば、どういう点が大変なのかということをなるべくサンプルを代表するような形でお聞きになることも1つの案かなと思います。
  もう一つは、先ほどいろいろなことをやっていくときに、子育ての不安はすごくあるといった人が、次の子どもを行動として生んでいくのかどうかというようなことを、こういうふうな無作為抽出のデータは、強みが出てくるのではないかなと思いますので、使い分けられたらいかがかなと思います。

○廣松分科会長  ありがとうございます。ほかに御意見ございませんか。

○今田委員  少子化対策ということ自体がいろんな仮説があって、いろいろな要因が多様であるという状況なんで、少子化対策そのものを調査目的にした場合に、調査票の設計というのはすごく難しいし、変数も大量になるということは当然予想されるんですけれども、この場合には、子どもの方から一定のアプローチをするのと、これから子どもを育てようとする、この2方向からアプローチするわけですね。その観点で切り取るんだということで、調査全体の仮説を整理して、両方からきちっと少子化対策を攻めていける。そのことからきちっとした情報が得られるという整理で調査票の取捨選別をやらないと、今言ったように、子どもの方から攻めてもちょっと食い足りないし、もっと必要だという意見が当然出てきますし、20歳代の方の問題になると、この図にありますように、大変な要素が掛かってきているわけです。行動と意識とか、四次元か何次元の、私などやっているものですから、あれもこれも聞きたいことがいっぱいあるわけです。恐らく調査票の設計のときにはそういうことにもなる。
  そうすると、今の効率から言うと、回収のためには軽くしなければいけないという条件があり、事務局はとても悩むことになるということなんですが、そういう意味からいっても、今言ったように、子どもの方から攻めるのと、20歳代、育てる側から攻める。この2つからどういうことが明らかかという議論を整理して、そういう観点から質問項目の取捨選択をするというのが1つの案かなという感じがするんです。

○統計企画調整室長  私どもは当初企画いたしました段階で、今、先生が言われましたように、2つの調査を一体として、少子化に資するということが大事だろうということでこういう仕組みを考えたわけでございますので、当然2つの統計調査の連携と言いますか、それぞれのねらいをきちんと定めた上で実施したいと考えております。
  今、御指摘のように、一方で調査環境が悪いものですから、その中で調査項目の厳選を求められるわけでございます。その辺の兼ね合いのところについて、是非先生方のお知恵を拝借したいと考えております。

○阿藤委員  ダブるかもしれませんけれども、質問票の設計の関係で、例えばこの調査については、当然この審議会とか部会ができる前にスタートしているということなんですが、これは前の厚生統計協議会とかいうところで審議があったのかどうか。
  更に、20歳代、30歳代の調査について、この部会で必要な個々の問題についても審議をする予定があるのかという点を伺いたい。

○統計企画調整室長  まず1点目でございますが、私どもがこれを考えましたのは、昨年の夏ごろでございます。御承知のとおり、中央省庁再編ということで、今年の1月に厚生労働省が一緒になりました。旧の厚生統計協議会の委員の任期が大体9月くらいで切れるということでございましたので、統計協議会は開催はいたしませんでしたが、この中の先生方も何人か御出席を願っているんでございますが、有識者の方に来ていただきまして議論をし、又個別にご意見を聞いたということもございます。
  それから、2点目の、審議事項についてどうなのかということでございますが、次回には、調査項目のようなものを御議論願って、可能ならば、11月か12月に調査票をお示して、御審議願えればと考えております。

○京極委員  これは大変貴重な調査だと思うんですが、私なりに縦断調査で考えることは、子どもが生まれてから育ってくる、一種のライフステージ的なところで何か法則があるかどうかということ。
  それと併せて非常に関連するんですけれども、今の20歳代の方というのは、そろそろ経済不況とか、低成長時代に生まれた人たちなんで、高度成長時代に生まれた人と大分違いが出てきているのかもしれないけれども、そういう世代間の、同じ20代でも、あと5年経ったときの20代、10年経ったときの20代とは大分違ってくる。その辺の分析みたいなことが、一応クロス集計でやっていけばある程度はできると思うんですけれども、問題意識の上でね。そういう視点を置いて子育てをどうするかというときに、複眼的な視点が必要なんじゃないかと思っております。

○統計企画調整室長  この調査は、少子化というところにスポットを当てているとは言いますが、当面ということでございまして、京極委員の方から御提案ございましたように、例えばフリーターという現象が最近ございます。そういう人たちがどういうような行動をしているのか、結婚や出産の節目のところでどうなるかなど、就業との関係について調査項目を設定することも考えてみたいと思います。先ほど今田委員がおっしゃいましたように、余り欲張り過ぎますと、焦点が鈍ってしまうということもございますけれども、ご意見も視野に入れながら考えてまいりたいと思います。

○阿藤委員  1つは、先ほども御説明があったんですけれども、このパネル調査というのは個人のプライバシーの管理をどうするかというのは大変重要だと思うんですが、具体的に10万人とか何万人のデータを把握するというところで、今の段階でプライバシーを守るための配慮というか、どういう考え方で、どういうデータ管理をなさるのか。その辺をお伺いしたい。
  もう一つは、通常のクロス・セクショナルなデータというのは日本でも戦後大変普及してきて、いろんな分析方法が普及しておりますから、多くの行政機関もそうですし、学者も慣れているんですけれども、日本ではパネル調査というのは新しいわけです。そのデータを今後どう分析していくかというところは、先ほどのほかの委員さんの質問とも絡むんですけれども、これからどういう質問を付け足していくということも含めて、どういう分析計画を持つのとかということで、行政だけでやるという考え方も勿論ありますけれども、そこでもっと具体的に何か、これを特に分析するための委員会とかをつくって、いろいろノウハウを集積して、計画をつくっていく。そういうふうな辺りのお考えがあるのかをちょっと伺いたい。

○統計企画調整室長  まずはデータ管理でございますけれども、御承知のとおり、世の中、情報化と言われながら、個人情報保護の関係もございますので、データの管理につきましては、厳正にやっていかなければいけないと考えております。ただ、調査を行う際に、この統計調査については、これでずっと続けますよということを事前に御本人の了解を得た上で調査を実施します。その際のデータの管理につきましては、例えば個人名をどのように暗号化するかということなどを考えてみたいと思います。
  それから、分析でございますけれども、今まで官庁で実施したことがないものでございますので、内部でそういう分析について研究をしようじゃないかということを考えております。分析方法につきましても、ある程度かたまりましたら、今年ではございませんけれども、来年くらい当分科会で御審議していただくこともあり得ると考えております。

○廣松分科会長  ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。
  大体予定をしていた時間が来ましたが、最後に一言発言させていただきます。これは委員の方々から既にコメントがあった点でございますが、官庁統計としてこういう縦断調査をやるのは初めてのことでございますので、調査技術上の問題点のほかにも、いろいろこれからクリアしていかなければいけない問題点があろうかと思います。今のプライバシー保護をどうするかという点もまさにそうです。
  同時に、特に縦断調査の場合に気になりますのは、標本として選ばれた方が、恐らくだんだん抜け落ちていくということです。特に20代、30代というのは、社会的にモビリティーが一番高い世代ですから、それをどう追跡するか、どこまで追えるかという点、これはある程度費用とも関わることだろうと思いますが、調査技術上も解決していかなければいけない重要な問題かと思います。
  もう一点は、先ほど京極委員からも御指摘がございましたが、意識の部分に関する点です。皆さんも御存じのとおり、意識調査とか社会調査というのは統計法外でございます。今回の21世紀の出生児縦断調査は、総務省の承認を得ておりますが、これがだんだん意識に関する調査項目のウェートが高まってくると、統計法との関係という問題も出てくる可能性がある。この点に関しては、恐らくこの調査の企画の段階ではなかなか見通すのが難しく、どちらかというと、走り出してみないとよくわからない点がございますので、今後、いろいろこの分科会で問題提起をしていただき、委員の先生方から御意見を伺いたいと考えております。
  それでは、一応議事次第にございます3つの議事に関しましては、終了いたしましたが、ほかに特に御質問、御意見ございませんでしょうか。

○京極委員  これは厚生労働省ができて大変期待していることなんですけれども、国際的に言いますと、例えばアメリカの、いろんなこういう社会統計を分析している人から、常々私どものところに言われているんですけれども、日本は社会保障統計を秘密にしているんじゃないか。そのときに私はいつも、日本は縦割行政になっているんで、総括的にまとめるのが非常に難しいんだという説明をしているんですけれども、なかなか理解してくれない。どうも日本国は統計を秘密にしているということで非難があるんですけれども、せっかく厚生労働省がスタートしたということで、社会保障統計を総括して、日本の社会保障全体はこうだというのものを明らかにすると、これはもし行政直轄というか、統計情報部でできないことであれば、他の協力も得て、社会保障・人口問題研究所所長さんもいらっしゃいますので、そこでつくってもいいと思うんです。従来、人口統計とか社会保障給付統計ではこの研究所の役割というのは大変評価されているんですけれども、いろんな統計がたくさん雑多にありますから、それをまとめて、日本の社会保障の統計はこうだということで外国の方も参考にし、日本のそれを使ってやる。国際比較するときに、同じものがないと比較ができないんですけれども、どうもそこのところが、これまではそういう統計がなかなかつかみにくかったということがありまして、ちょっと宿題的な課題ですけれども、今後、日本の社会保障を世界の中で検討していく上でも、すごく意味があるんじゃないかと思っています。

○企画課長  そうですね。そういう意味で統計の提供の在り方などは大事な議論だろうと思います。あるいは、情報伝達技術、通信技術が進んできているんで、そういった点も入れながら、私どもも勉強していきたいと思いますし、また、今後の分科会でも御示唆、御指導をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

(5)閉会

○廣松分科会長  ほかに御発言ございますでしょうか。
  よろしいでしょうか。それでは、本日はこれで終了したいと存じますが、分科会の運営につきまして、事務局から説明がございましたとおり、この分科会の議事録を作成し公開することになっております。
  本日の議事録の作成に関しましては、分科会長に御一任いただければと存じます。
  最後に次回の日程等について、確認ということで事務局の方から御説明をお願いします。

○企画課長  次回につきまして、先ほど話もございましたが、20~30歳代男女縦断調査について御議論をお願いしたいと考えておりますけれども、次回の開催としては、おおむね10月ごろを予定しておりますが、日程につきましては、事務局から各委員の都合をお伺いいたしまして、調整をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

○廣松分科会長  本日は大変積極的な御発言をいただきどうもありがとうございました。これで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

大臣官房統計情報部 企画課
統計企画調整室 統計企画係

電話: 03-5253-1111(内線7373)

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