ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(再生医療等評価部会)> 第2回厚生科学審議会 再生医療等評価部会 議事録(2015年6月29日)




2015年6月29日 第2回厚生科学審議会 再生医療等評価部会 議事録

医政局研究開発振興課

○日時

平成27年6月29日(月)16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎5号館共用第8会議室(19階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○出席者

【委員】

福井部会長 荒戸委員 梅澤委員 大澤委員
掛江委員 紀ノ岡委員 木下委員 後藤委員
鈴木委員 田島委員 柘植委員 手良向委員
戸口田委員 中村委員 花井委員 前川委員
南委員 山口委員 山中委員

【事務局】

二川医政局長 飯田審議官 神ノ田研究開発振興課長 吉田研究企画官

○議事

○神ノ田課長
 それでは定刻になりましたので、ただいまから第2回厚生科学審議会再生医療等評価部会を開催いたします。本日は部会の定数25名に対し、現時点で18名の委員の方に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められております定足数に達していることを御報告申し上げます。それでは、部会の開催に当り、医政局長の二川より御挨拶を申し上げます。

○二川医政局長
 医政局長の二川でございます。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。また、委員の皆様におかれましては日頃から再生医療等の推進はじめ、医療行政万般にわたり、格別の御協力を賜っているところでございまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。

 再生医療等評価部会が設置されました前回の会議のときは、私は出席できませんでしたので、御挨拶を申し上げたいと思います。再生医療の実用化につきましては、日本再興戦略あるいは、健康・医療戦略に基づきまして、政府を挙げて推進しているところでございます。

 そのような中で、皆様御承知のとおり、昨年9月には世界で初めてiPS細胞を用いた患者への移植手術が行われるなど、着実に成果を上げつつあります。

 昨年の1125日には再生医療等安全性確保法が施行されたわけでございまして、安全性を確保しつつ、迅速に医療現場へ提供するための環境整備も図られてきているところでございます。これまでのところ、この新法に基づきます計画の提出、第2種が2件、第3種が21件ということでございますけれども、今年の11月の施行日1年後には、再生医療新法で定める経過措置が終了するといったことになるわけで、そういたしますと、この部会において御審議をいただく第1種を含む多くの計画が提出されるのではないかなというふうに見込まれるところでございます。

 本部会の委員の皆様方におかれましては、国民あるいは医療現場に安心して最先端の再生医療技術を提供するために、安全性の確認など重要な役割をお願いするということになるわけでございます。何とぞ御協力のほどよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 また、ちょっと関連するところで申し上げますと、再生医療にかかわらず、臨床研究万般にわたりましても、政府を上げまして進めているところでございますけれども、これにつきましても革新的な医薬品医療機器の開発あるいは、新しい医療技術、そういったものの開発を含めまして、私ども政府を挙げて取り組んでるわけでございますけれども、この点に関しましては昨年の改正により、医療法の改正が成立しておりまして、この4月からは臨床研究中核病院という制度がスタートしています。今、どの病院が臨床研究中核病院の要件を満たすかということにつきましては、別の審議会の場で審議を進めているところでございまして、まだ承認に至ったところはないのですけれども、近く、できるだけ早くと申しますか、承認できるようにしたいと進めているところでございます。それと併せまして、これまでの臨床研究についての倫理指針の見直しも既に行っています。モニタリングとか、これまではちょっと十分でなかった部分につきまして、少し盛り込んだ、そういった倫理指針も施行されています。

 それから、さらには、これまでは倫理指針という形で行っておりましたけれども、そういった部分も、ヨーロッパやアメリカの規制などを見ていますと、一定の法律上の規制を設けているといったところが多くなってございます。対象範囲等はヨーロッパとアメリカで少し違うのですけれども、そういったようなことで法制上の措置も必要なのではないかというふうに私ども考えているところでございまして、これにつきましても法制化へ向けた検討を順次進めているところでございます。そういった形で臨床研究万般にわたりましても、確実にその治験者の保護、それからデータの信頼性の確保、そういったことを踏まえつつ、より信頼度の高い臨床研究が国内において進むということを目指して、いろいろな面での検討を進めているところでございます。

 関連ということで、申し上げさせていただきました。本日の議題につきましては、ヒト幹細胞臨床研究に関する実施施設からの有害事象等報告、あるいは再生医療新法にかかる情報公開のあり方等々、幅広い内容となっておりますので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○神ノ田課長
 なお、二川局長は公務のため途中退席させていただきますので御了承願います。

 続きまして、本日の会議資料の確認をお願いいたします。お手元に議事次第の下に配布資料の一覧を載せておりますので合わせて御確認いただければと思っております。議事次第と、座席表と名簿を1枚紙にしたものがあります。資料の1-18ページのもの、また1-248ページのものがあります。資料1-3と、資料21枚の紙です。資料3-111ページ、3-2と、4-1はそれぞれ1枚の紙です。資料4-23ページ、資料5-1314ページのものとなっております。資料5-276ページのものです。また、参考資料112につきましては、お手元のタブレットに搭載しておりますので適宜参照いただければと思っております。資料の不足等ありましたら事務局までお願いします。よろしいでしょうか。

 それでは、円滑な議事進行のため、頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。以後の進行につきましては、福井部会長にお願いいたします。

○福井部会長
 早速、議事に入らせていただきます。議事1は「ヒト幹細胞臨床研究に関する実施施設からの報告」についてです。事務局より説明をお願いいたします。

○神ノ田課長
 資料1-1です。研究実施機関より重大事態等報告がありましたので、その概要を説明いたします。研究機関名は順天堂大学、課題名は「難治性四肢潰瘍患者を対象とした自己末梢血単核球生体外培養増幅細胞移植による血管組織再生治療に関する第1相試験臨床研究」です。3の当該事象の概要です。本年312日に、当該患者に細胞を投与しております。5日後の17日に投与部位の発赤と腫脹を確認し、抗生剤の投与を開始しております。19日に発赤と腫脹が悪化し、緊急入院となっております。22日に当該箇所に潰瘍が生じております。25日に創部の培養検査の結果が出て、セラチア菌が検出されております。517日になって、経過良好のため退院に至っております。

4の研究機関としての対応です。319日、緊急入院になった日ですが、当該臨床研究は中断するとともに、厚生労働省に第一報を行っております。422日に研究機関内の倫理委員会の審議結果を厚生労働省に報告しており、その結果の内容は3点あります。原因は、当該再生医療に起因するものではなく、当該患者に感染症が生じた可能性が高い。2点目が再発防止策として、術中・術後の抗生剤の投与、細胞投与の際の注射針の交換、術後の経過観察の徹底などが示されております。3点目としては、当該臨床研究の継続は可とするということですが、これについては現在も臨床研究は中断されている状況です。527日に、当該患者が517日に退院となった旨、厚生労働省に報告されております。611日、厚生労働省に最終報告書が提出されており、その本体が3ページ以降です。

2ページです。本日の調査部会に先立ちまして、ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会において御検討いただいており、その結果をまとめております。623日に持ち回り開催ということで御審議いただきました。検討結果は2点ありますが、当該臨床研究の継続については、研究機関内の倫理委員会による原因究明と再発防止策はおおむね妥当であり、当該臨床研究の継続を可とする。ただし、当該事象と当該臨床研究との因果関係を完全に否定できてはいないことから、細胞投与後に被験者を入院させて、綿密に経過観察を行うことを条件とする。2つ目です。他の研究機関への周知については、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針に基づいて同様の臨床研究が28件実施されていることから、他の研究機関に対し、厚生労働省から当該事象を周知し、注意を喚起すべきであるということです。

 資料1-2は当該研究の実施計画の概要です。説明は省略します。

 資料1-3です。これまでに、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針における重大事態等がどれだけ報告されているかをまとめております。1番目に書いてあるとおり、このヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針においては、研究機関の長は、ヒト幹細胞臨床研究において重大な事態が発生した際には、研究との因果関係の有無に関わらず、その内容を厚生労働大臣に報告することとなっております。この規定に基づき、これまで7件の報告がなされておりますが、この7件については科学技術部会での審議の結果、いずれも細胞投与そのものに伴う事象ではないとされて、研究を中止すべきとの意見は出されておりません。説明は以上です。

○福井部会長
 ただいまの説明について、御意見、御質問等ありますでしょうか。

○山中委員
 今の説明の中で、臨床研究との因果関係は必ずしも否定できないというコメントがありました。一方で、順天堂大学の倫理審査委員会の審議結果を踏まえて、本臨床研究との因果関係は否定できると述べられております。当該治療に伴うものなのか、それとも基礎疾患に関係して起こったものなのかというのは、明確に分けたほうがいいと思いますので、因果関係の否定は必ずしもできないと、現在、事務局のほうでは考えておられるということでしょうか。

○神ノ田課長
 その点については、ヒト幹審査委員会においても議論になりました。これは完全に因果関係は否定できないのではないかということで、2ページにありますように、ただし書が加わったということです。「ただし」ということで、「当該臨床研究との因果関係を完全に否定できてはいない」ということで、より慎重にということを条件として継続を可とすると、そのような整理になっております。

○山中委員
 私はこれを読んで、基礎疾患に関係する事象かなとは思ったのですが。当該臨床研究に関しては、not relatedというように、一通り読んで判断したのですが、いかがでしょうか。その辺の意見をちょっと聞きたいのですけれども。

○山口委員
 これはもちろん推測でしかないのですが、1つ考えられるのは、細胞そのものが菌に汚染されていたかどうかという点に関して言えば、蓋然性は非常に低いだろうと。ただし、投与部位に注射をすることによって起きている。そうすると、手技によって起きる可能性は否定できないと。そういう意味で、ものそのものの安全性が否定されたというよりも、ひょっとしたら手技にそういう懸念はあるかもしれないと、私はそういう整理をさせていただきたいと思います。

○山中委員
 承知しました。説明頂いた対応の内容に関しては、私は全くそのとおりだと思います。

○戸口田委員
1点、要約の所で、院外での感染症の可能性が高いと。これは恐らく退院されてから感染が出てきたということですが、これも同様の理由で顕性感染が出たという意味ですから、感染源が必ずしも院外とは断定できないと思いますので、それも含めて否定できないというのは妥当な判断だと考えています。

○福井部会長
 それでは、ヒト幹細胞臨床研究に関する実施施設からの報告については、本部会として了解することといたします。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 議事2に移ります。「再生医療等安全性確保法に基づく有害事象報告等に対する対応()」について、事務局より説明をお願いいたします。

○神ノ田課長
 資料2です。先ほど順天堂大学からの報告については、再生医療新法の経過措置に基づいて、ヒト幹指針に基づいて、1年間については継続して実施できることになっており、今回の有害事象報告についてはヒト幹指針に基づいて報告されたものです。この経過措置が本年1125日以降は切れることになりますので、その後は再生医療新法に基づいて有害事象報告がなされることになります。新法に基づく有害事象報告に対して、どのように対応したらいいかということで、案をまとめております。

1番目の「有害事象等報告について」です。再生医療等安全性確保法においては、有害事象等が発生した場合に、その内容等について以下のように報告することとされているということで、2点あります。1点目が、再生医療等提供計画に記載された再生医療等の提供に起因すると疑われるようなものということで、ここで挙げております疾病、障害若しくは死亡又は感染症といったものが発生した場合には、以下の期間内、具体的には※で書いていますが、死亡やそれにつながるおそれのある症例については7日以内、障害やそれにつながるおそれのある症例、重篤である症例等については15日以内に報告するということです。これは再生医療等提供機関から厚生労働省及び認定再生医療等委員会に報告することが法律上義務付けられております。

 もう1点が「特定細胞加工物の安全性の確保に重大な影響を及ぼすおそれがある事態」ということで、速やかに特定細胞加工物製造事業者から厚生労働省及び再生医療等提供機関に報告するとされております。

2番目の有害事象報告等の受付後の対応ということで、案を提示しております。マル1で、報告がなされて、マル2で、厚生労働省としては報告を受けた後、速やかに再生医療等評価部会の委員に書面にて報告するとしております。会議を開いてということではなくて、速やかに報告するということです。マル3として厚生労働省は必要に応じて再生医療等提供機関、あるいは細胞培養加工施設及び認定再生医療等委員会に対して、ヒアリング・報告徴収を行うこととなります。

 マル4で、収集した情報に基づき、再生医療等評価部会の委員に書面にて相談をして、その助言に基づいてマル5にあるように、必要に応じて以下の対応を行うということです。再生医療等提供機関に対しては法律上、立入検査、改善命令、医療提供の停止命令といった措置を講ずることができるようになっております。こういった措置を検討するということです。また、細胞培養加工施設についても、立入検査、製造停止命令、製造許可の取消といった措置について検討。また、認定再生医療等委員会、これは提供計画について審査を行っているところですが、その審査の内容について問題があったということであれば、改善命令、あるいは認定の取消といったことも検討することになります。また、同様の再生医療等を行っている再生医療等提供機関があった場合には、注意喚起を行う。同様の特定細胞加工物を製造している特定細胞加工物製造事業者がある場合には、注意喚起ということです。

 マル6ですが、毎年度、再生医療等提供機関等からの有害事象報告の状況については、再生医療等評価部会に定例の報告をすることが定められております。裏面の2ページに、今、説明したことを図でお示ししております。説明は以上です。

○福井部会長
 ただいまの御説明について、御意見、御質問等いかがでしょうか。

○荒戸委員
 有害事象等の報告で、「細胞加工物の安全性の確保に重大な影響を及ぼすおそれがある事態」というのがあるのですが、具体的にどの程度のものを報告しなければいけないのかという、事例などがあれば教えていただきたく思います。多分、現場はそういう具体的な事例があったほうがやりやすいのではないかと思うのですが。

○神ノ田課長
 特定細胞加工物を用いた再生医療によって、患者に重大な健康被害が及ぶという事態を幅広く報告してもらうこととしております。したがって、特に限定しているわけではないのですが、想定される事態としては、例えば、ほかの患者さんから作った細胞との取り違えとか、あるいはその細胞自体に異物が混入、あるいは感染してしまっていたりといったものが想定されるのではないかと思います。

○花井委員
 細かいことで2つあるのですが、確認なのですが、7日以内、15日以内というのは、発生からという理解ですよね。そうすると、発生して、それを認識して、施設や委員会に上げる時間も含めて7日という理解でいいのかというのが1つ目です。

 それから、加工物の安全性の確保に重大な影響を及ぼすおそれがある事態なのですが、薬事のほうであれば、CPCのバリデートされた環境の細菌レベルデータとか、それがちょっとおかしければ、細胞自体には致命的でないかもしれないけれども、薬事上の基準の細菌レベルを確保できているとは言えないので、GMPによって定めということになるわけです。この法律において、細胞の培養施設においてでもですが、本来、クライテリアとしてはこうあるべきものがちょっとまずかったとか、手続がまずかったので、その機関については細菌レベルを確認できないみたいな状況になったときに、それはここまでの事態とは言わないのでしょうか。

○神ノ田課長
1点目については、法律の17条、18条に基づいてということになっていて、「発生を知ったときは」という書き方をされていますので、知った時点からの日数になります。

2点目については、実際に患者さんに被害が及ぶかどうかということからすると、出荷されているとか、そのようなことになった場合には問題が出てくるのだろうと思うのですが、施設の中で幾つかのチェックポイントで、しっかりとそういったものが排除できている場合も含めて、そういった全てについて報告というところまでは求めていないのではないかと思います。

○花井委員
 分かるのですが、例えば運搬で温度管理しているではないですか。血液でよくあるのですが、温度管理して、こういう温度で管理しているはずだと。「あれっ、この時点で一瞬温度が上がっているのではないか」みたいなときに、この細胞が使えるものかどうかというのが分からなかったり、そういう状況を報告する必要はあるのですか。それはこの理屈とはまた別なのですか。例えば運搬とか。全ての手続が一応、手順があって、その基準でオペレーションしているので細胞の安全性は確保されているわけではないですか。薬事とは違うのですが、結局同じように、ある加工細胞が、あるクオリティを持って患者の下まで届くという、この動線が全部、法律で決まっているのなら、そこが基準と違うのではないかみたいになったときに、それはどのように。報告する所からも報告はあると思うのですが、どの程度のどの場合に報告しなければいけないかというところはちょっと分かりにくいのですけれども。

○神ノ田課長
 これはそういった事態に気付いた場合に、厚生労働省と、その提供機関にも報告することになっています。その趣旨は、すぐに止めなければいけないということで、速やかに報告をしてもらい、それが患者に投与されないようにということで、迅速な対応を求められることになりますので、実際にそういった温度管理が適切に行われていないものが過去に納入されている可能性があるということであれば、当然、報告してもらうことになると思いますが、そういったことではなくて、そのときに理由があって、ちょっと管理がおかしくなっていたと。ただ、被害が拡大するおそれがないことがはっきりしているのであればということでの判断になるかと思っております。

○花井委員
 現場の判断でいいのですか。

○神ノ田課長
 患者さんにまで被害が及ぶかどうかというところを1つのメルクマールにして、なかなか細かいところまで、このケースは必ずとかということは難しいと思いますが、1つの判断基準としては、いろいろな所に被害が及ぶ可能性があるというときに、迅速に対応するための措置として講じることになっています。

○前川委員
 例えば出荷判定をするときに、細菌培養の結果などがまだ出ていない時期にも投与せざるを得ない場合、そういうプロジェクトもあろうかと思います。これを読んでいますと、患者さんに何か有害事象が出た場合に限って、ここへ報告をしてくるのか、あるいは明らかに患者さんにダメージがでていなくても、投与してから例えば細菌培養で少し陽性が出たということも、ここへ報告をしてくるのか。ちょっとその辺が明確でないところがあるのですけれども。

○神ノ田課長
 それは1点目の提供計画に記載された再生医療に起因するものということであれば、これは死亡やそれにつながるおそれのある症例、あるいは障害やそれにつながるおそれのある症例、重篤である症例ということですので、「おそれ」というのをどの範囲まで見るかということですが、何らかの問題のあるものが投与されていて実際に症状が出ているとか、そのようなことであれば報告の対象になってくるかと思います。

○前川委員
 そうすると、例えば最初に患者さんに細胞を投与して、後で結果が分かってから抗生物質の投与などをして、有害事象と思われるようなものは結局何も出なかったという場合には、厚労省へ報告しなくてもよくて、院内で処理をすればいいということになりますでしょうか。

○神ノ田課長
 結果的に死亡とか障害につながらなかったと。

○前川委員
 そうですね。

○神ノ田課長
 それは、おそれもなくなっていると思いますので。ただ、その前の段階で何かおそれがあるということで判断した場合には、御報告いただくことになるのだろうと。

○荒戸委員
 先ほどの私の質問とつながるのですが、例えば取り違いが起こって、途中で気が付いて、患者さんには投与しなかったら、その患者さんにはせっかく細胞を育ててもらったのに投与されないというデメリットはありますが、患者さんに有害事象は起こらないわけですが。ただし取り違えを起こすようなCPCでの管理の方法自体にはやはり問題があるということになると思うのです。そこの線引きを患者さんへの安全性だけにフォーカスして見てしまっていいのかというところが、ちょっと自分の中では明確になってこないのですけれども。

○山口委員
 もう1つは、先ほど前川先生がおっしゃっているところは正しくそのとおりなのですが、後追いで感染症因子の判定が出て、ポジティブに出てしまったというときに、それにはもちろん、いろいろな対応、治療は決めているはずなのです。そういう決めた対応をするということ自体が私は有害事象のような気がするのです。最終的に患者さんが顕在化はしなかった、要するに病状の顕在化はしなくても、その加工の中で何らかの感染因子が起きていたのかもしれない。そういうことをちゃんと遡って評価をしていただく。要するに工程の再評価につながるかもしれないわけなので、それは一応、報告の対象になるのではないかと。例えばウイルスなどのことでしたら、どれだけフォローしないといけないかとか、そういうことも関係してきますので、その時点での患者さんの健康状態だけを判定の基準とするのは、ちょっと単純化しすぎているような気がするのですが。

○神ノ田課長
 整理しますと、2つの報告がありまして、1つは実際に再生医療と提供計画に記載された再生医療、患者さんに対して行っている機関での対応ということで、これについては死亡や、それにつながるおそれのある症例、あるいは障害やそれにつながるおそれのある症例、重篤である症例といったものが対象になりますので、おそれということで何らかのアクションを起こしているということであれば、そういったものも含めて広く報告していただくことになるのだろうと思います。

2点目の特定細胞加工物の製造事業者からの報告については、出荷される前に止められているということであれば、そこは患者さんに被害が及ぶおそれがないということであれば、特にアクションを起こす必要もないと。ただ、御指摘のような場合、もう準備していて、投与しないと困ると。患者さんの治療計画を変更せざるを得ないとか、そういったことであれば、実際、治療を行う医療機関にも連絡しなければいけないでしょうし、それに対する対応も含めて、厚生労働省にも報告が上がってくるのかと思います。

○後藤委員
 正しく理解しているかどうかあれなのですが、基本的に計画があって、計画どおり進めているわけで、先ほど温度が違ったというのは、明らかにプロトコールとか計画に違反している事象で、それがどの段階で、どういう症候があったのかというのは、後で確認をすべきことだと思うのです。それが先ほどの特定再生加工物を作っている所で起きても、なぜそれが起きたのかということを確認してフォローアップしないと、それが外に出なかったからいいという話には多分ならないと思います。私の理解では、計画に記載されたとおりに行って、行ったけれども、なおかつ問題が起きたという事象と、プロトコールに反した事象と2つあると思うのです。ですから、そこをちゃんと区別して報告するような形にしておかないと、前のヒト幹のときに、安全性についてはとても注意深く見てきた経緯もありますので、その辺でプロトコール自体に違反していた場合と、プロトコールを守っていても有害事象が出てしまったという場合を分けるような形で報告をする必要があるのではないかと思います。

○紀ノ岡委員
 この場合は細胞培養加工施設での判定になりますので、出荷のとき、逸脱をしていると判断すれば、出荷はされません。逸脱していることを気付いておらず後日逸脱であったことが判明した場合は有害事象という形だと思います。こういうようなことが、まず原点かと私は考えているのですが。要は、普段は医師側が逸脱か否かを決定しており、後日、逸脱であったということが分かったときに重大な事象という形で、たとえば、検査方法にエラーがあったとか、購入したキットが不良品であったとか、そういうことに起因することが、まず1つあると思います。それと普段のプロトコールどおりに行ったかどうかについては、多分皆さんのこれからの御議論だと思うのですが、どの程度というのはまだ私自身も分からないという状態です。

○事務局
 事務局から、先ほどの紀ノ岡先生の御意見に関連して補足させていただきます。先ほど紀ノ岡先生からも御指摘がありましたように、細胞加工物を投与する際に、それについて疑義があるといったような場合には、そういった疑義について、安全性の確保を図るために必要な措置をとらなければならないといった規定が、この資料では記載しておりませんが、省令には、再生医療等を提供する医師の責務として定められております。ですので、先ほど先生から御指摘がありましたとおり、細胞を投与する前にそういった疑義があることが発覚すれば、それにきちんと対応するのは医師若しくは歯科医師の責務ということで、もし具体的な重大事象が発生してしまったことが事後的に分かった場合には、きちんと厚生労働省にも報告していただくといった形になっております。以上です。

○前川委員
 そうすると、例えば医療安全でよく使う言葉の「ヒヤリ・ハット」は余り報告しなくてもいい。アクシデントになった場合に報告をしていただきたいということですか。

○事務局
 はい。先ほどのお話の関連ですが、もちろん先ほどほかの委員の先生からも御指摘がありましたように、そういった安全性に問題があるのではないかといった疑義が生じた段階で、既にCPCの中とか取扱いに問題があったのではないか、もう一度同じようなことが起きたり、次こそ本当に重大事象が起きるのではないかと思われる構造上の問題があるのではないかという御指摘はおっしゃるとおりだと思います。ただ、今回の法律上、厚生労働省に報告を上げなければいけないという義務付けの対象範囲としては、本当に患者さんに対して安全性上の、特に重大な疑義が起きた場合に限定しているところでして、その一歩手前の問題については、基本的にはCPCなり医療機関のほうで把握していただいて、その上で各機関の中で対応していただくことを原則的に考えているところです。

○福井部会長
 いわゆるアクシデントになったところで報告ということで、よろしいですか。

○事務局
 はい、原則的にそのような考え方でございます。

○福井部会長
 そのような考え方で進めるということで、いかがでしょうか。

○中村委員
 質問ですが、最後の26番の所に、「再生医療等提供機関等からの有害事象報告の状況について、再生医療等評価部会に報告を行う」と、毎年、定期的な報告があるわけですね。その中には、ヒヤリ・ハットみたいなものを入れてくださいということになるのでしょうか。例えば15日とか7日とかいう事態ではないわけなので、しかし、どういう実施状況、手順書が守られたかなどということについては、報告いただきたいという理解でよろしいでしょうか。もしこの文章がそう読めるのであれば、よろしいのではないかと、議論を聞いていて思ったわけですが。

○事務局
 こちらは法律の19条に規定されている内容で申し上げますと、再生医療等の提供を受けた患者さんにおいて、死亡や障害といった重大な健康被害が発生したものについて、毎年度、厚生科学審議会に御報告申し上げるといった形になっております。

○中村委員
 そうしますと、今、議論になっていますヒヤリ・ハットについては、医療機関の提供機関内での委員会で確認なり対応をとってくださいということで、よろしいでしょうか。

○事務局
 そういったことになります。

○中村委員
 分かりました。

○紀ノ岡委員
 確認なのですが、44条に関する報告というのは、どこかでなかったのでしょうか。そういうところで、例えばヒヤリ・ハット、運用のところだと思うので、そういう報告の義務は、細胞培養加工施設の年次報告というのはありませんでしたか。

○神ノ田課長
 定期報告の事項ですが、特定細胞加工物の製造件数、2点目が苦情の処理状況、3点目が疾病等の発生に係る情報ということで、疾病等の発生があった年月日、疾病等の発生に対する措置状況、対策といったところが挙げられています。ここを幅広く取れるかどうかですね。ただ、前提として、「第174項第1号の規定により、通知を受けた疾病等の発生に係る次に掲げる情報」ということなので、やはり報告の対象になったものについて発生があった年月日等を報告してもらうという立て付けになっております。

○紀ノ岡委員
 やはりヒヤリ・ハットのレベルで逸脱件数は検出できないと思ってよろしいですかね。そこではなかなか難しいと。

○神ノ田課長
 もしそれをやるとすれば、任意で調査をするかどうか。法律の規定に基づくものではなくて、ヒヤリ・ハットについて、国として広く情報を集めて、それを改善につなげていくという御趣旨だと思いますが、それは別途検討ということになるかと。

○掛江委員
 ちょっと教えていただきたいのですが、今のヒヤリ・ハットの議論は、不良品等のうんぬんという所とは、また違う。ヒヤリ・ハットの結果、不良品などといったものが出た場合、もしかしたら省令の106条の不良品の処理のほうで。ただ、本省にまで報告を上げる義務にはなっていないみたいですが、製造を依頼した医師には報告が行くみたいなのです。今ヒヤリ・ハットという言葉で議論されているものが、不良品等が発生するところまでを含めているのか、ヒヤリ・ハットはあったのだけれども、事無きを得たことを議論されているのか、ちょっと分からなかったもので、確認させていただければと思います。

○事務局
 先ほどおっしゃったのは、正に製造された製品として既に品質不良が生じている場合の対応かと思いますが、省令の106条で、そこは各機関の中できちんと報告をして、もう一度、管理をするという形で対応することが義務付けられております。その更に一歩手前で、製品としての不良まで行かないけれども、定められた手順を逸脱したようなものはどうなるのか。そこはその前の105条に定めてあり、こちらも基本的には各製造機関の中で、どういう逸脱があったのかをきちんと共有して、再発防止につなげるようにという形にはなっておりますが、いずれも厚生労働省にまで個別に全部の報告を上げろという形になっておりませんので、そこは今後の検討かとは思っております。

○福井部会長
 アクシデントから遠ざかれば遠ざかるほど、膨大な数になるものですから、手順上のちょっとしたミスとか、そういうところまでヒヤリ・ハットという判断をし始めると、実際的には恐らく厚生労働省は処理できないのではないかとも考えますけれども。一応ここでのお話では、いわゆるアクシデントになったものの報告を求めるということで、手順はまとめたいということですが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、議事の3、「第一種再生医療等提供計画の再生医療等提供基準への適合性の確認について()」に移ります。事務局より説明をお願いいたします。

○神ノ田課長
 おさらいになりますけれども、資料3-2を御覧ください。再生医療新法では、第一種から第三種まで、リスクに応じた手続が定められております。当評価部会において確認していただくのは第一種になります。第二種については特定認定再生医療等委員会、第三種については認定再生医療等委員会になりますが、そこの審査を受けた上で、厚生労働大臣へ提供計画を提出し、提出後速やかに提供を開始できる仕組みになっております。

 第一種についてはリスクが高いということで、厚生労働省のほうでも確認するということで、90日間の提供制限期間が設けられております。この間に基準への適合性について確認する。厚生科学審議会の意見を聞いた上で、この計画の変更命令も掛けることができるとなっております。こちらの評価部会での御審議の結果、問題ないということになれば、90日たたずとも、例えば50日目で提供を開始してもよいということも可能となっております。

 特定認定再生医療等委員会で審査されたものが、厚生労働省に上がってまいりますけれども、下のほうに書いてあるとおり、特定認定再生医療等委員会においても、専門家、再生医療の識見を有する者、臨床医、細胞培養加工に関する識見を有する者、法律、生命倫理、生物統計等の様々な専門家に入っていただいて、しっかりと審査されたものが厚生労働省に上がってまいります。こちらの評価部会で行うのは、特定認定再生医療等委員会において行われた審査が適正に行われていて、法律で定める基準にちゃんと適合しているかどうかの確認をしていただくのがこの評価部会の役割です。

 その前提で資料3-1を御覧ください。従来のヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会と、こちらの再生医療等評価部会を対比して整理しております。根拠規定は、再生医療等評価部会についてはこの法律ということになりますが、従来のヒト幹審査委員会については、指針に基づいて審査を行ってきました。この会の役割としては先ほど申し上げたとおり、第一種再生医療等提供計画の再生医療等提供基準への適合性の確認になります。適合性については、2ページ以降にチェックリストを記載しております。それぞれ省令で定められている基準に適合しているかどうか、それを一つずつ確認していただく作業になります。これは、既に特定認定再生医療等委員会において確認済みのものが提出されてまいりますので、その判断が間違っていないかどうかのチェックになります。

1ページに戻ります。これまでヒト幹の審査委員会では、最初から全て審査しておりましたので、細かなところまで、例えば説明文書をもうちょっと直したほうがいいのではないかといったところも含め、かなりこと細かに御指摘等を頂いていたかと思います。法律の立て付けとして、既に審査は済んでいるという前提で、その審査を経たものに間違いがないかどうかの確認をしていただくというところで大きな違いがあります。

 指摘事項があった場合の対応ですけれども、再生医療等評価部会で、ここは適合していないのではないかということになれば、それは変更を命ずることになりますので、この部会の御意見を頂いた上で行政処分として対応していくことになります。

 従来のヒト幹の審査委員会においては、もともとが指針ということで、法律上の罰則を伴うというようなものではありませんでした。あくまでも行政指導ということで、こう直したほうがいいのではないかという御意見を研究者に伝えていました。ただ、運用としてはかなり強制力を持つような形で、こと細かに指摘をしてきました。

 事前審査を行う委員会については、再生医療等評価部会については、特定認定再生医療等委員会で既に審査済みのものが上がってきます。ヒト幹審査委員会については、大学等の倫理審査委員会等の審査を受けたもの等が上がってくるということでの違いがあります。従来のヒト幹の審査委員会のやり方を、そのまま踏襲するということになってしまうと、今の法律上はかなり厳しい運用になってしまいますので、その点については御留意いただければということで、改めて確認のために御説明させていただきました。

○福井部会長
 ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いします。

○梅澤委員
 今回の再生医療等評価部会で指摘事項があった場合の対応の所で、「行政処分」と「行政指導」と2行にわたっています。この意味というのは、私どもの部会の中で、処分にするか、指導にするかというものを決めることが可能と理解してよろしいですか。

○神ノ田課長
 行政処分については、明らかに提供計画が省令に違反しているというものが対象となってきます。それ以外のものについて命令をかけることができるかというと、それはできません。ただ、いろいろとこうしたほうがいいのではないかというものについてお伝えすることはできますけれども、それに従うかどうかは研究者の判断になりますので、それは指導ベースということです。従来の指導とはちょっと強制力が違うというか、ちょっと緩やかな形の指導になるかと思います。

○梅澤委員
 そうすると、省令に違反していたとしても、こちらの部会で、これは行政指導相当と思えば行政指導にすることも可能ですか。

○神ノ田課長
 基準に該当していないことになれば、それは命令を掛けることになるだろうと考えています。基準違反のものを、そのまま提供することにはなりませんので、ここの部分は省令の第何条のこの規定に違反するので変更しなさいという命令の掛け方になると思います。

○木下委員
 その場合に、もしも行政指導なり行政処分という判断をここでした場合に、既に特定認定再生医療等委員会を通ってきているわけですから、そこの委員会に対して何らかのコメントを返すのでしょうか。そこで整合性が取れない判断が出てくるかと思うのです。

○神ノ田課長
 変更命令自体は、この計画を提出した研究機関に掛けることになると思いますが、別途、なぜこのような審査になったかということについては、特定認定再生医療等委員会にもしっかりとヒアリング等をしていく必要があるかと思います。

○花井委員
 確認なのですけれども、特定認定再生医療等委員会の審査を受けているので、ここは確認程度でいいのかと思ったのと同時に、特定認定再生医療等委員会は国が認定しているわけです。これは、認定の取消しみたいな手続も決まっていましたか。

○神ノ田課長
 それは可能です。

○中村委員
 確認ですけれども、かなりの内容の役割が、特定認定再生医療等委員会あるいは認定再生医療等委員会に委ねられているということです。その委員会の認定の手順を確認させていただけないでしょうか。以前のヒト幹では、この委員会がそれにふさわしい人が入っていないというような指摘もありました。この8項目の中で兼務できないというようなことを言ったときに、倫理にふさわしい人が本当にいたのかということも、ヒト幹ではかなり議論になったように記憶しています。その認定はどのようにするのかを確認させていただきます。

○神ノ田課長
 資料3-2の下のほうに、委員会の構成要件ということで、特定認定再生医療等委員会ではここに挙げているような専門家を入れると。認定の申請が上がってきますけれども、どういう人を入れているか、その人はどういう経歴なのか。例えば、生物統計はどういう所で勉強したか、というようなことも全部チェックしております。特定認定再生医療等委員会については、本省直轄でやっております。もう一つ第三種しか審査できない認定再生医療等委員会については、地方厚生局で審査をしています。

○福井部会長
 新しい法律の枠組みで、この部会の役割も変わってくるということです。

○掛江委員
1件教えていただきたいのですが、資料3-1の後半にチェックリストが付いていますが、このチェックリストは評価部会で使いますという理解でよろしいのですか。特定認定再生医療等委員会で同じチェックリストを使わなければいけないということではないという理解でよろしいのですか。

○神ノ田課長
 漏れなく審査していただかなければいけないということで、このチェックリストについては参考という形で、特定認定再生医療等委員会には配布済みです。省令で定められている一つ一つの規定に合致しているかどうか、そこをちゃんと審査してくださいということで、チェック後のものも提出されることになります。それを見た上で、この評価部会においてダブルチェックといいますか、こちらの委員会ではオッケーとなっているけれども、本当にそうかどうかを個別に見ていっていただくことになります。判断に幅があるようなところも規定によってはありますので、これは甘すぎるのではないかというようなところがあれば御指摘を頂いて、これは確かに甘いということであれば変更命令を掛けるということだと思います。

○掛江委員
 確認したかったのは、参照となっているけれども、これはそのチェックリストを添付して国のほうに上げていただくということで、必ず何らかの形で使っていただくものであるという理解でよろしいのですか。

○神ノ田課長
 この資料上で、ここを見てくださいという意味での参照だったのです。審査においての参照ということではありません。そういう関係資料は全部提示させていただいた上で御審査いただきます。

○福井部会長
 よろしいでしょうか。議事3についても、本部会として了解することとさせていただきます。議事4に移ります。再生医療等提供機関等に関する情報の公表についてを、事務局より説明をお願いします。

○神ノ田課長
 資料4-1を御覧ください。いろいろな申請が上がってきて、厚生労働省のほうに再生医療等提供計画、細胞培養加工施設、認定再生医療等委員会に係るいろいろな情報が集まってきております。そういう情報についてどう取り扱うかということで御審議いただきたいということで提案しております。一部を除いて公表は義務付けられておりません。一部というのが、1番の※で書いている所です。「認定再生医療等委員会の公表」という規定があって、(1)(3)については「公示しなければならない」となっていますので、これは積極的に出さなければいけないことになっています。それ以外の情報については、公表しろともなっておりませんし、できないともなっておりませんので、そこをどう整理するか。

1番に書いてあるとおり、提案として、公表は義務付けられてはいないが、提出者等の同意が得られたものについては公表することとしてはどうか。

2番目の「公表する情報の範囲」ということで、再生医療等提供計画については、この計画に記載された一定の情報について公表していく。具体的には施設名とか所在地等が記載されております。細胞培養加工施設、認定再生医療等委員会についても同様です。

3番の同意の取得方法は、申請あるいは届出等をしていただくことになりますので、その際に一定の様式の同意書によって同意を得るということで、そのイメージを2ページに記載しております。同意書のイメージということです。これは、全ての方に出してもらいますけれども、公表に同意しない場合には二重線で消してくれというような形で、消していないものは公表に同意したという形で、同意書を取り付けるようなことにしてはどうかと考えております。

4番の情報時期及び公表方法です。毎月末に、それぞれの情報について取りまとめをして、厚生労働省及び地方厚生局のホームページ等において公表してはどうかと考えております。

 資料4-2は、既に厚生労働省のホームページに記載しているものです。先ほど申し上げたとおり、特定認定再生医療等委員会などについては公示しなさいと記載されておりますので、こういう形で固有名詞も含めて全て一覧の形でホームページに記載しております。これが特定認定再生医療等委員会です。

2ページが、第三種だけの審査をする認定再生医療等委員会ですが、22件を一覧にして公表しております。

3ページは、現状では数字だけということでホームページに記載しております。月末時点でやっておりますのでデータが古くなっていますけれども、529日現在の数字として、認定再生医療等委員会は計31、また細胞培養加工施設は合計1,188という形で、集計した結果のみ公表させていただいているのが現状です。これを、更に公表の範囲を広げる際に、しっかりと申請者等の同意を取り付けた上で行ってはどうかという提案です。

○福井部会長
 ただいまの説明について、御意見、御質問等をお願いします。これは、同意が得られたものについてということです。よろしいでしょうか。再生医療等提供機関等に関する情報の公表については、この部会としては了解するということでよろしいですか。

○花井委員
 法で決まっている1の※の所は強制であると。2の部分については、今議論していると思うのですけれども、これは今後もうちょっとということは可能ということですね。同意があればということで、今ここで決めるわけですけれども、動かしてみてから、やはりこのぐらいの情報をもうちょっと公開してもいいのではないかみたいな議論が出てくる可能性があるのですけれども、それは柔軟に対応するという理解ですね。

○神ノ田課長
 はい、それは考えたいと思います。

○花井委員
 分かりました。

○福井部会長
 それでは、議事4についても了解することといたします。議事5に移ります。遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について、事務局より説明をお願いします。

○吉田研究企画官
 資料5-1と資料5-2です。今回、遺伝子治療臨床研究について、報告案件が全部で12件あります。資料5-1は、神戸大学と佐賀大学から申請があったものです。慢性動脈閉塞症に対して、肝細胞増殖因子遺伝子導入プラスミドを筋肉内投与する臨床研究です。

 概要は、通しページの24ページを御覧ください。これについては、大阪大学を中心とした多施設共同臨床研究で、大阪大学での実施については、第84回科学技術部会で既に承認されております。その後、実施の準備及び被験者の候補が見付かった施設から順次研究施設の追加の申請が行われるという状況です。今回はこの2施設について、大阪大学と同一のプロトコールであることから、新規性のない臨床研究として既に実施の了承を回答しておりますので、その旨をこの部会に報告するものです。

 資料5-2については、遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告で、全部で7施設、10件あります。

1番目は、国立がん研究センターからの変更申請です。通しページの24ページです。ハプロタイプ一致ドナー由来のT細胞除去造血幹細胞移植後の被験者にHSV-TK遺伝子導入Tリンパ球を追加輸注する臨床研究です。総括責任者の変更の可否について、厚生労働大臣に意見を求めたものです。新規性のない臨床研究として変更の了承を回答しております。また、重大な変更以外の変更として、研究者の所属、研究後の追跡調査期間の設定を行っています。その旨を報告いたします。

2番目の愛媛大学医学部附属病院、名古屋大学医学部附属病院、藤田保健衛生大学病院の3施設に関してはまとめて説明いたします。資料は、通しページの1617ページが愛媛大学医学部附属病院、2426ページが名古屋大学医学部附属病院、3234ページ及び4446ページが藤田保健衛生大学病院の変更報告です。これは、三重大学、愛媛大学、名古屋大学、藤田保健衛生大学による多施設共同臨床研究です。急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群に対し、がん抗原WT1特異的TCR遺伝子を導入したTリンパを輸注する臨床研究です。愛媛大学と名古屋大学については、研究期間の延長、また藤田保健衛生大学については研究期間の延長とともに採血量や除外基準等の変更を行ったものです。これについては、既に三重大学が先に行った変更について追随するものです。

 岡山大学病院は、通しページの5255ページ及び5861ページです。これは、重大事態等報告で2件あります。頭頸部・胸部悪性腫瘍に対する腫瘍選択的融解ウイルスTelomelysinと放射線治療併用効果を評価するための臨床研究です。重篤な有害事象の2件が、平成27311日と330日に報告されていて、いずれも被験者が死亡しております。これについて報告があったものです。両者とも被験者との因果関係はなしということで、原病の増悪と判断されております。311日付けの報告においては、原発巣と縦隔リンパ節転移を含む放射線照射が、高齢の被験者において、リンパ球減少や肺臓炎の誘因となった可能性があり、今後は広範囲な縦隔リンパ節転移を伴う症例の照射野の設定を更に慎重に行うという考察がされております。

 東京大学医学部附属病院の重大事態等報告です。通しページの6466ページ及び6870ページです。これは、ホルモン療法抵抗性再燃前立腺がんに対する腫瘍選択的融解ウイルスG47Δによるウイルス療法の臨床研究ですが、重篤な有害事象が2件起こっております。平成27420日と611日に報告されていて、いずれも被験者は死亡しております。これについて報告があったものです。両者とも、被験者との因果関係はなし、原病の増悪と判断されております。

 筑波大学附属病院からの、研究終了報告です。通しページの7376ページです。同種造血幹細胞移植後の再発白血病に対するヘルペスウイルス・チミジンキナーゼ導入ドナーTリンパ球輸注療法の臨床研究です。これは、研究の終了について報告するものです。ドナー末梢血リンパ球に、あらかじめレトロウイルスベクターを用いて、HSV-TK遺伝子を導入して、重度移植片対宿主病の際には、ガンシクロビルを投与することで、ドナーT細胞を死滅させて、GVHDの鎮静化を図ることを目的とした臨床研究です。

 急性白血病が4例、骨髄異形成症候群1例に投与が行われました。未知の重篤な有害事象の発生もなく、臨床研究として一定の成果を得られたと考察されております。また、GVHDを発症した1例に関して、ガンシクロビルの投与を行って、リンパ球クローンの減少、GVHDの軽減等の効果が確認されております。また、治療効果については、5例中4例で60日以内に原病の増悪が見られております。被験者数については、当初は10例を予定しておりましたが、5例にとどまっております。その理由の考察として、ドナーリンパ球輸注療法自体の需要の減少や、あるいは評価をしやすくするために再発後の進行が緩徐である患者のエントリーを心掛けた結果、エントリー数が減少してしまったということが挙げられています。以上12件報告します。

○福井部会長
7つの大学病院からの、幾つかの種類の報告でした。ただいまの説明について、御意見、御質問等をお願いします。

○鈴木委員
 会議の前に御意見を伺うべきだったのですが、私自身は日本薬剤師会としてこちらの委員になっています。資料5-2の東京大学分の委員会の委員長という形で名前を2件連らねております。これは、報告になりますので、私がこの場にいても問題ないでしょうか。

○事務局
 よろしいです。

○鈴木委員
 よろしいですか、ありがとうございます。

○福井部会長
 御質問、御意見がありましたらお願いします。

○花井委員
 よく分かっていなくて申し訳ありません。この再生医療等評価部会は、この報告を受けて何がどうなるのでしょうか。因果関係はないのでしょうけれども、それは因果関係なしも含めて、それを承認したことになるのか、ならないのかによって対応が変わるというのか。ただ、聞きましたでいいですという役割なのか、いやいやこれは因果関係なしと言っているけれども、ちょっと可能性があるのではないかということまで言って、それは調べ直せというところまでが仕事なのか。自分の仕事がどこまでか分からないので教えてください。

○吉田研究企画官
 これについては、再生医療新法ができた後に、今回報告しているのはin vivoの遺伝子治療臨床研究になります。この部会の下に審査委員会があって、そこで審議が行われております。ここに関しては、その結果について報告をする仕組みになっています。この部会の下の審査委員会では、山口先生等を中心に専門の先生方に審査をしていただいております。原則的には審査委員会で審査された結果の報告ですので、その結果を尊重していただきます。もちろん質問等を排除するものではありません。

○花井委員
 何となく了承しました。

○福井部会長
 何か意見があれば、ここで申し述べて構わないということですね。

○吉田研究企画官
 はい。

○掛江委員
 確認なのですけれども、報告を受けて、ここの部会がその報告の結果を承認するという立場でなくて、報告を拝聴して終わりということですか。

○吉田研究企画官
 報告を受けるという立場です。報告を受けることになります。もし御意見等があれば、もちろんそれは必要な対応をしたいと思います。

○鈴木委員
 資料5-1を拝見すると、22例で例数が足りていないということで承認されなかったと。今回は6例追加ということで資料を頂戴しています。これは「臨床試験のデータ不足」という書き方になっています。有意差が出なかったのか、あるいは22例では統計的に問題があって、28例まで増やすべきだったのか、6例追加になった根拠は何かあったのかを、もし分かれば教えてください。

○吉田研究企画官
 これについては、当初20083月に規制当局への承認申請が行われています。PMDAの審査において、やはり臨床試験でのデータが不足していると。その中身については症例数にも関係するとは思うのですが、エンドポイントの設定等に関して十分ではないという見解があったそうです。それを踏まえ、もう一度不足データを補うための研究を行った上で、再度申請を行うというプランがあって、この申請がある状況です。

○鈴木委員
 これはちょっと細かすぎるかもしれないのですが、患者さんのリクルートの基準、あるいは除外基準は非常にきちんと述べられているのは確かだと思うのです。この研究を実施しようとされる先生方のグループでクライテリアを満たしているか、あるいは除外するかを決めていくという形に内容が読めます。

 もし、これが各大学でバスキュラーボードとか、この研究に入っていない、でも血管系に詳しい先生方が加わったような、診療科横断的な組織があるのであれば、そういう所でアップルーブしていただいたほうが、より透明性が上がるのかと思いますけれども、その辺りはいかがでしょうか。

○吉田研究企画官
 山口先生からコメントはありますか。

○山口委員
 確認させていただきたいのですけれども、各大学で臨床評価をするような組織を作って、そこで評価をしてもらったほうがいいということでしょうか。

○鈴木委員
 例えば、生体肝移植のときには、移植適応委員会というものがあります。私ども東京大学の場合には、キャンサー・ボードといって、がんについて診療科を横断的に、いろいろな診療科から出てきている先生方がいます。先ほど、東京大学からの死亡例が2例挙がっていましたけれども、この場合も1つの診療科だけで決めるのではなくて、キャンサー・ボードでそのクライテリア、患者さんがきちんとクライテリアを満たしている、そして除外基準に入っていないことを御議論いただく形で進めているということをやっていたように記憶しています。私も倫理委員会に入ってから何年かたちますので、どれぐらいクライテリアになっているのかと思って伺いました。

○山口委員
 申し訳ありません、そこまで詳しくは見ていませんでした。ただ、これそのものが先ほど説明がありましたように、治験として実施されたもののフォローアップの臨床研究ということです。そうすると、前の研究と今回の研究をつないでいかないといけないので、適応も同じような形にならないといけないので、我々の判断としては、前の臨床研究を承認したというところで、新規性はないということで、その点については新規性なしということで判断させていただいたことになります。

○鈴木委員
 了解しました。

○掛江委員
 瑣末な点なのですが、資料5-22ページ目の一番下の国立がんセンター中央病院の福田先生のお名前が間違っているみたいです。同じ間違いが6ページ目の新旧対象表の新も旧も間違っています。もし、こちらに報告いただいたものがファイナルになるのであれば訂正していただいたほうがいいのかと思います。

○吉田研究企画官
 大変失礼いたしました。

○福井部会長
 これは、本当に間違っているのでしょうか。

○掛江委員
 ウェブでも確認しましたが、隆浩先生です。

○福井部会長
 他によろしいようでしたら、遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告についても、本部会としては、報告を受けて了解するということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。以上で、本日予定されていた議事は全て終了いたしました。事務局から何かありますか。

○神ノ田課長
 次回の開催については改めて調整の上、委員の皆様方に日程、場所等について御連絡させていただきます。

○福井部会長
 本日はこれで閉会いたします。ありがとうございました。


(了)

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