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2015年7月1日 平成27年度第4回入院医療等の調査・評価分科会・議事録

○日時

平成27年7月1日
14:00~15:55


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第22会議室(18階)


○出席者

【委員】

武藤分科会長、安藤委員、池田委員、池端委員
石川委員、香月委員、神野委員、佐柳委員
嶋森委員、筒井委員、藤森委員、發坂委員、本多委員

【事務局】

医療課長、保険医療企画調査室長、歯科医療管理官、薬剤管理官 他

○議事

○武藤分科会長

 定刻より若干早目ですけれども、委員の皆さんおそろいになりましたので、ただいまから「平成27年度第4回診療報酬調査専門組織入院医療等の調査・評価分科会」を開催いたしたいと思います。

 本日の委員の出欠状況ですけれども、皆さんおそろいになっております。

 それでは、議事次第に沿いまして、議事に入らせていただきたいと思います。

 本日は3つ議題がございます。

 「1.慢性期入院医療について」「2.有床診療所について」「3.短期滞在手術等基本料について」であります。

 まず資料について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○事務局

 それでは、資料について事務局から説明させていただきます。

 まず「1.慢性期入院医療について」というところから説明させていただきます。

 1枚おめくりいただいて4ページ目を見ていただきたいと思いますが、今回の議題の1つ目として「在宅復帰機能強化加算について」、2つ目として「療養病棟入院基本料2について」、3つ目として「医療区分の項目について」、4つ目として「脳卒中患者に関する慢性期医療の適切な評価に関して」ということで、4つ議題を用意しています。

 まず「在宅復帰機能強化加算について」から説明させていただきますが、5ページ~7ページは既存の資料になっております。

 7ページが前回お示しさせていただいたものですけれども、加算のある病棟、ない病棟で、自宅からの入院の数、あるいは自宅への退院の数が変わっていたといったものです。

 8ページは、上記のものからそれぞれ自宅からの入院を除いた割合を示させていただいています。自宅からの入院を除いて、その他の患者で見た場合ですけれども、退院先を見ていただきますと、介護施設に関しては、強化加算の届け出のあるところのほうがやや多かったといったところでして、一方、自宅への退院というところで見ますと、それぞれ4%、5%で大きな違いは見られなかったといったものになっています。

 9ページは、前回お示ししたものと若干変わっております。前回は入院期間で分析していましたが、今回は実際に療養病棟にいた入棟期間でデータを示させていただいております。全体としては、大きな傾向はそれほど変わりはなかったものですけれども、31日~60日病棟に入院していた患者の退院が多かったといったものです。

10ページは、現行の強化加算の算定要件を示したものですけれども、主な実績要件としてマル2、マル4。マル2の実際に在宅に退院した患者が50%以上であることと。ここにさらに限定して「1カ月入院していた患者に限る」ということで計算をしていただいています。もう一つ、病床回転率は、平均在院日数にほぼ近いものですけれども、10%以上であることと、この2つが要件になっていて、これまでの患者の流れ等を見ると、急性期病院等々ほかから転院してきたもの、そういった患者を評価する形には現状ではなっていないといったものかと思います。

11ページは「早期体験に向けた取り組み」ということで切り口を2つ設けています。入院時に退院に向けた入院後の多職種のカンファレンスを実施しているのか、いないのか、あるいは退院支援室・連携室を設定しているのか、いないのか。

 いずれも実施している場合、あるいは設置している場合に連携している医療機関数、あるいは平均在院日数、在宅復帰率が、実施していない場合、設置していない場合と比べて、よい数字だったといったところかと思います。

 続いて12ページですけれども、病棟に退院支援専門の職員を配置したときの効果として、どのような効果が得られたのかということで、上のほうを見ていただきますと、「より早期に退院支援を行うことができた」あるいは「より多くの患者に対して退院支援を行えるようになった」、下のほうを見ていただきますと、「全ての患者に対して退院支援を行うことは難しい」といったことが困難であったといったアンケート結果になっています。

13ページは、実際に各病棟ごとにどれぐらいの割合で退院支援専門の職員を配置しているかといったことを示したものですけれども、これを見ていただきますと、入院基本料1と、在宅機能強化加算の届け出を行っている入院基本料1の病棟で配置している割合に大きな差は見られないといった状況になっています。また、配置している病棟では、看護師さん、あるいは社会福祉士さんの配置が多かったといった状況になっています。

 以上を踏まえまして、14ページに論点を示させていただいています。

 論点の1つ目として、強化加算の届け出病棟において、在宅復帰率または病床回転率の評価に当たって、自宅からの入院と他院からの転院を区別して在宅等への退院を評価することについてどのように考えるか。あわせて、在宅復帰率の算出から1カ月未満の入院を除外していることの影響についてどのように考えているか、これについて御意見をいただきたい。

 2点目としまして、在宅復帰機能強化加算の届け出病棟における一層の退院支援機能の強化について、さらにどういった取り組みができるのか御意見をいただければと考えています。

 続きまして、入院基本料2に移らせていただきます。

17ページをごらんいただきますと、これまでの各療養病棟での医療区分1、医療区分2、医療区分3の患者の割合をそれぞれ示しています。

 入院基本料1と2に分かれたのは平成22年でございますけれども、療養の1に関しましては、22年、24年、26年と年々医療区分1の患者の割合が減っていて、医療区分2または3の患者の割合がふえているといったことが言えるかと思います。

 一方、療養病棟入院基本料2については、むしろ医療区分1の患者の割合が22年、24年、26年と少しずつふえているといった傾向にあるかと思います。

18ページは、医療区分1の患者さんが50%以上を占める病棟と50%未満の病棟で、医師の指示の見直しの頻度がどう違うかといったことを示したものですけれども、50%以上を占める病棟では、7割近くの患者さんが指示の見直しは必要なくて、安定していたといったものです。

 続きまして、19ページは同じような分け方で、看護師による観察及び管理の頻度についてはどのような状況になっているのかといったことを見ると、同じように7割近くの患者さんが、看護師さんについて定時の観察のみで対応できる状況にあるといった状況でした。

 以上を踏まえまして、20ページに論点を示させていただいております。

 医療療養病床の機能を有効に活用する観点から、療養病棟の入院基本料2の病棟においても、医療の必要性の高い患者を受け入れることを促すべきではないかということで、こちらに関して御意見をいただければと考えています。

 続きまして、21ページ以降が医療区分の各項目についてデータを示させていただいております。

23ページ~26ページをごらんいただきますと、前回速報の時点では、医療区分3、医療区分2の、医療区分1に該当する患者について、医師の指示の見直しのみ提示させていただきましたが、今回それぞれ23ページは入院継続の理由、24ページは過去1カ月間の急性増悪の割合、25ページは医師の指示の見直し、26ページは看護師による観察及び管理の頻度ということで、あわせてデータを示させていただいております。いずれも医療区分が下がるにつれて状態が落ちついている患者が多くなっていて、医療区分2や3でも一定程度落ちついている患者さんがいるといった状況かと思います。

 続きまして、27ページと28ページについてですけれども、こちらは「看護師の観察及び管理」の頻度で、定時の観察のみで対応できている患者の割合順に、医療区分3もしくは医療区分2について項目を出しているものです。

 上から、多いものとしては、医療区分3では「感染隔離室における管理」や「酸素療法」、医療区分2では「難病」や「体内出血」「うつ状態」といった項目が割合が高かったといったものでございます。

 続いて、29ページから各医療区分の項目について、個々にどういった状況にあるのかということを示させていただいております。

 まず、医療区分2に該当するうつ症状についてですけれども、29ページにあるとおり、こういった定義で現状は医療区分2に該当しております。

30ページの一番上にある図が医師による指示の見直しの頻度、中段の表が看護師による観察及び管理の頻度、一番下段が過去1カ月の急性増悪ということですけれども、うつ状態の患者さんについては6割、あるいは7割程度の患者さんが医師による指示、見直しが、もう状態が安定していてそれほど必要がない、あるいは看護師さんも定時の観察のみで対応できているといった状況でした。また、過去1カ月間の急性増悪は余りなかったといった状況かと思います。

31ページは、各介護施設と医療療養病床において、どの程度患者さんがいたかということですけれども、ごらんいただきますと、うつ病の患者さんが特養で6.6%、老健で5.1%、介護療養で5.3%、普通の療養で6%、それぞれ同程度に受け入れが進んでいたといった状況かと思います。

32ページから褥瘡に対する治療ということで、医療区分2はこちらの定義に沿って褥瘡の患者を評価しているものでございます。

 同じように33ページで、医師による指示の見直しの頻度、あるいは看護師による観察の頻度、過去1カ月の急性増悪の有無を聞いておりまして、ごらんのようなデータになっております。

 また、34ページは、1人の患者さんを追いかけたわけではなくて、横断的な調査ですけれども、入院期間別に該当患者さんの割合を見ていくと、どうも入院初期よりも入院後のほうが褥瘡に該当する患者の割合が高かったといったデータになっております。

 続きまして35ページからは、頻回の血糖検査ということで、1日3回以上血糖検査を行っていると、医療区分2に該当する状況になっておりますけれども、36ページに示しているように、医師による指示の見直しの頻度、あるいは看護師の観察、急性増悪はごらんのようなデータになっております。

 また、37ページに、同じように入院期間別の該当患者の割合を出していますけれども、入院が長期にわたる患者さん、1年あるいは2年を超える患者さんであっても、1日3回測定して血糖検査を行っている患者が一定程度いるといった状況です。

38ページはそれぞれの各疾患ですけれども、さまざまな疾患があるといった状況になっております。

39ページが同じように、介護の施設でどのような受け入れ状況になっているかといったものですけれども、特養で4%、老健で約7%、介護療養で7~8%ということで、一定程度受け入れが進んでいるといった状況かと思います。

 参考までに、40ページに今般の報酬の改定を踏まえて、介護療養型医療施設の見直しが行われたところですけれども、一番下段に赤字で示されているように、インスリン注射等が施設要件に入っている評価になっているといったものでございます。

41ページからは、医療区分3に該当している酸素療法についてといったもので、現状の定義では、酸素非投与下において、安静時、睡眠時、運動負荷いずれかで動脈血酸素飽和度が90%以下となる状態の患者さんということで評価が行われていますけれども、ほぼ同じような状態の患者さんで在宅のほうでも、42ページをごらんいただきますと、在宅酸素療法に関する管理料ということで、評価が存在しているといった状況です。

43ページは、同じように指示の見直し、あるいは看護師による観察や急性増悪といったデータを示しておりまして、医療区分3ということで、これまで見てきた医療区分よりは指示の見直しの頻度、あるいは急性増悪、看護師による管理の頻度といったものが少し高くなっていますけれども、どういった患者さんが特にこういった状況になって、管理が特に必要なのか、あるいは落ちついているのか、特にここは患者数も多いので、御意見をいただけたらと思うところであります。

44ページは、実施している患者の疾患を示したものでございます。

 最後に45ページが、難病が今、主に医療区分2に入っているわけですけれども、現状入っている疾患として、従来の特定疾患の事業の対象になっていた56疾病が入っております。

 今般、難病の法案ができたということは、概要を46ページに示しております。

47ページは、従来の対象疾病が56疾病、これが今年度、平成27年7月から306疾病に拡大すると。また、受給者数もあわせて約78万人から約150万人に拡大することが見込まれるといった状況になっております。

48ページが、これらを踏まえて論点ですけれども、「看護師による定時の観察のみで対応できる者の割合」が比較的高いうつ状態、頻回の血糖検査、酸素療法等の状態や、褥瘡について医療区分の評価に当たっては、よりきめ細かな状況を考慮すべきではないかというのが1点。

 もう一点として、「指定難病」の疾患が増加したことを踏まえた対応についてどのように考えるかの2点について、御意見をいただけたらと考えております。

49ページ以降、慢性期については最後になりますけれども、脳卒中の患者に関する取り扱いということで資料を出させていただいております。

54ページまでは、これまでの経緯を踏まえたもので、既存の資料なので割愛させていただきたいと思います。

55ページからが今回新しくお示しする資料でございますけれども、まず各施設ごとに脳卒中の患者さんがどういった施設にいたのかということですけれども、いわゆる肢体不自由児施設や重心施設といった施設には余り多くいなくて、多くの患者はそれ以外の施設にいたというのが55ページになります。

56ページが、各入院料ごとに脳卒中の患者の医療区分を示したものでございますけれども、例えば療養病棟の入院基本料1だと医療区分1に該当した脳卒中の患者さんは8%程度でしたが、障害者病棟では約64%が医療区分1の患者であって、特殊疾患で同じように30%程度が医療区分1の患者であったといったところでございます。

57ページ、58ページが、これまで見てきたように医師による指示の見直し、あるいは看護師による観察の頻度でございますけれども、入院料ごとにそれほど大きな違いは見られなかったのかなといったデータになっております。

 続きまして、59ページが同じく脳卒中患者の過去1カ月の急性増悪の頻度を示しております。

 特殊疾患病棟については、少し多かったかなといったところですけれども、障害者病棟に関しては療養とほぼ変わらない、あるいは少し少ないくらいの割合だったといったデータになっております。

61ページが、それぞれの入院料における脳卒中患者の1日当たりの平均単価を示したものでございますけれども、ごらんのようになっていて、障害者施設等では1日平均単価が高くなっているといった状況になっております。

 以上を踏まえて、62ページに論点を提示させていただいておりますが、脳卒中患者についての特殊疾患病棟入院料、あるいは障害者施設等入院基本料における包括範囲や状態を踏まえた評価方法について、どのように考えるかといったことで御意見をいただければと思っております。

 慢性期入院医療については、以上でございます。

○事務局

 続いて、有床診療所について御説明をさせていただきます。

67ページからデータをお示しいたしております。

67ページが、有床診療所の施設が減少傾向にあるということが言われておりますが、平成8年と比べると約半分ぐらいに減ってきておりまして、診療科別に見ると、外科や小児科でその傾向が顕著であり、眼科や産婦人科は減り方がそこまでひどくないという状況でございます。

 さまざまな科を標榜していらっしゃいますけれども、内科、外科、小児科、整形外科、リハビリ科など複数の科を診療されているところもたくさんございます。

 次に69ページですが、病床数ベースで見ますと、23年で約13万床ということで、これも減少傾向にありますが、1施設当たりの病床数は少しだけ増加をしている傾向でございます。

70ページが有床診療所における入院1日当たりの入院診療報酬点数でございます。

 最近の医療費の動向からとっておりますので、内訳はここには含まれておりませんが、注射ですとか手術とかも含めて、全ての診療を含めての点数ということでございます。平成12年と比べると、少し増加している傾向があるということでございます。

 続いて、入院基本料の評価算定状況についてお話をさせていただきます。

73ページが、今回引き上がった1から3を含めて、どういった点数をとられているかという状況を診療科別に見ております。左側の濃いところが基本料1でございますが、全体としては65%程度が基本料1をとられています。内科や小児科、泌尿器科などでは、その割合が高くなっておりまして、他方、眼科や耳鼻咽喉科などでは割合が低くなっております。

 入院からの日数別に見ますと、14日以内の短い入院が多い診療科が産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科となってございます。

75ページが、基本料1~3を届け出た医療機関がどの要件に該当して1~3を届け出られたかということですが、夜間看護配置加算ですとか、時間外対応加算、在宅療養支援診療所、こういった要件を満たして早期でやられているところが多くなってございました。

 続いて、患者の流れ等についてお示しをいたします。

77ページが有床診療所に入院されている患者さんの入院前の居場所についてでございます。診療科ごとの特徴がかなり強く出ておりまして、産婦人科や眼科では、ほとんどの方が自宅から来られていますけれども、内科、外科、整形外科などでは、急性期病床からの転院も一定程度ございます。また、内科では特養から入院される方もいらっしゃるということでございます。

 3~5年前と比べた入院ニーズの動向を医療機関の方に主観的な判断ということでお伺いをしていますが、「減少傾向にある」というお答えが「増加傾向にある」というお答えよりも全体として多い傾向がございますが、特に顕著なのが外科などとなっております。他方、産婦人科などでは少し増加傾向にあるという割合が多いほうになっております。

79ページは、退院した患者さんの退院先でございますけれども、これはどの診療科につきましても、自宅に帰られたという方が非常に多い傾向がございました。

80ページが、地域の医療機関との連携の状況で、これは自院の重症患者さんの急性期医療機関への緊急の紹介につきまして、多数の施設と良好な関係があったか、少数の施設と良好な関係があったか、こういったことを伺っておりますが、多くの医療機関において、さまざまな施設と関係を築いていらっしゃる様子がわかります。

81ページが、自院の専門外の患者さんの地域の医療機関へのコンサルテーションについて、82ページが急性期治療を終えた患者さんの自院への受け入れについてでございますけれども、同様の傾向がございます。

83ページは、訪問・通所系の介護事業所やケアマネジャーとの関係、84ページは訪問看護事業所との関係でございます。

 こういったところは、若干診療科ごとの特徴も出ているということで、内科、外科、整形外科などでは、さまざまな事業所と関係を築かれている様子が出ております。

85ページは、今後5~10年を見据えた運営の方向性ということで、これも診療科別にお示しをいたしております。現状を維持したいというお答えが際立っておりますし、また産婦人科、整形外科、眼科などでは、特定の診療科の専門的な診療に力を入れたいというお答えが多くなっている傾向がございます。

 一方で、内科、外科あたりを見ますと、訪問診療、訪問看護など在宅医療に力を入れたいといったお答えも4割近くということで、比較的多くなってございます。

 同一市町村内の関連法人やグループの施設、あるいは有床診療所御自身がどういった施設事業所を運営していらっしゃるかということをお伺いしたものが86ページですが、居宅介護支援事業所や通所リハビリテーション事業所をやっていらっしゃるところが1割を超えてございます。

 診療所に関しましては、87ページに論点をまとめておりますけれども、地域包括ケアシステムの中で有床診療所に期待される役割を踏まえ、有床診療所の施設基準等についてどう考えるかということで、幅広く御議論いただければと考えております。

○事務局

 続きまして、短期滞在手術等基本料についてです。

 まずは89ページ以降、前回新しい見直しに当たって、その経緯を振り返っております。

90ページの平均在院日数はこのような形で推移をしているといったものでございます。

91ページが、同じようにDPC病院等における在院日数の推移ということで、DPC対象病院I群、II群、III群、準備病院ともに少しずつ下がっているといった状況があるかと思います。

92ページは、前回の平成26年度調査での7対1入院基本料届出病院における平均在院日数の分布を示しております。

93ページは、在院日数の平均について、各年齢階級ごとにデータを示しておりまして、年々上がるにつれて在院日数が長くなる傾向があるといったことになっております。

94ページは、前にも示させていただいているところですけれども、左下のように少数の傷病等を中心に診療を行って、在院日数が短い医療機関がある、こういった医療機関に対する評価のあり方をどう考えるかということで前回、95ページ、96ページ、97ページにあるように、短期滞在手術の見直しを行ったといった経緯かと存じ上げます。

98ページ以降が、今回の資料を示したものですけれども、101ページを前回速報のときにお示しさせていただきました。特に水晶体再建術あるいは腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術について、実態にそぐわない点があるのではないかといった意見が多く見られたといった調査結果でした。

 今回、102ページ以降に各算定項目につきまして、一番右側にあるように、包括範囲出来高実績点数の25%~75tile幅の、幅の広い順に上から並べております。

 一番上を見ていただきますと、調査でも意見の多かった腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の特に15歳未満のところについて、25%~75tile幅が2万1,000点程度あって、比較的点数のばらつきが大きかったところなのだとごらんいただけると思います。特に、こういったばらつきが8,000点以上だったところについて、個別にデータも示しております。

105ページに、先ほどの腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術ですけれども、左が入院日数の分布になっておりまして、入院日数の分布自体は5日以内のものが多いのですけれども、右側の出来高実績点数の分布を見ていただきますと、三峰性の分布を示していて、ばらつきが大きいといった状況になっております。手術のほうで3歳未満だと100分の100、3歳~6歳だと100分の50、あと乳幼児加算というものがあって、そういった影響があるのかなといったところでございます。

106ページが、続いて水晶体再建術の算定状況ですけれども、こちらは左側の図が平成25年度のデータ、右側が平成26年度になっておりますけれども、平成25年度、左側を見ていただきますと、上位2種類の診断群分類を見ていただきますと、片眼の手術が6割程度、両眼の手術が3割程度で、症例の点数分布に関しては二峰性の分布を示していたと。それが平成26年度を見ていただくと、片眼が9割、両眼が1割程度で、山が一つの分布に移っているという状況になっております。

 そのほか、107ページ~110ページは、比較的点数のばらつきの大きかった手術等をデータで示させていただいています。右側を見ていただくと、どれも二峰性の分布を示していて、要因としては、局所麻酔か、あるいは全身麻酔かといった影響が大きかったといった状況でございます。

111ページは全体のものですけれども、各症例ごとに出来高実績点数、実際に算定した点数と短期滞在で設定されている点数の差をとって分布を示したものでございます。

 全体としては、正規分布に近いような分布を示していて、少しだけ右に裾野が長い分布で、算定点数が大きくならざるを得ない症例が一部あるのかなといった状況になっております。また、平成25年と26年を比べると、点数の安いほうに分布が少し推移しているのかなといった状況になっております。

112ページは、包括範囲がある各入院料を例示しておりますけれども、一番左の短期滞在、こちらはもう全て基本診療料も特掲も包括ということになっています。一方、ほかの入院料に関しては、一部の高額薬剤を抜いたり、あるいは人工腎臓を抜いたりといった少し個別の対応を行っているといった状況にあります。

113ページの真ん中のほうは、それぞれ全体の25tile50tile75tileを示しています。右側が透析患者について同じように示したものですけれども、それぞれ数千点、あるいは1万点近く分布がそのまま点数の高いほうにずれ込んでいるといった状況にあります。

114ページ以降ですけれども、今回、前回の分科会でそのほかに候補となるような手術、検査等はないかということで検索をいたしました。一番下にあるように、在院日数の平均+1SDが5日以内の症例で、一定数の症例数が存在している、かつ出来高実績点数の部分のばらつきが小さい項目ということで抽出しております。

 結果としては、115ページ~117ページの3つ、経皮的シャント拡張術・血栓除去術、そして体外衝撃波腎・尿管結石破砕術、そしてガンマナイフによる定位放射線治療というこの3つが候補に上がって、ごらんのようなデータとなっております。

 以上を踏まえまして、118ページの論定として、現行の対象手術等のうち、包括範囲出来高実績点数にばらつきが見られる項目が存在することから、より実態に即した点数のあり方についてどのように考えるか。またその際に、そもそも算定件数がすごく少ない項目について、特にどう考えるのかといったこと。

 2つ目として、短期滞在の対象患者のうち、透析患者など総点数が平均的な症例を大きく上回る状態に関する対応についてどう考えるか。

 3つ目として、現在対象となっていない手術等のうち、治療法等の標準化が行われたというもろもろ要因はあるかと思いますけれども、そういったために在院日数が短く、算定点数のばらつきが少ない項目は存在するが、これらの取り扱いについてどのように考えるか。以上について御意見いただけたらと思います。

 以上でございます。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に従って進めていきたいと思います。

 最初に「慢性期入院医療について」、これに今4項目が含まれております。4項目について逐次、御意見を伺っていきたいと思います。

 「在宅復帰機能強化加算について」、4ページ~14ページ、論点が14ページにあります。まずこれについて御議論、御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 本多委員、どうぞ。

○本多委員

14ページの論点に関してでございますが、1つ目の○で、療養病床には地域包括ケアシステムの中で急性期後の患者を受け入れる、患者を住み慣れた地域に返す、そういう役割も期待しておりますので、そういうことを踏まえれば、在宅復帰機能強化加算の算定要件において、この他院から転院と自宅から入院というそこを区別して評価することは、求められている機能について適切に評価につながってくると思いますので、そういう方向で御検討いただければと思います。

 関連いたしまして、9ページを見ますと、加算届出病棟におきまして、退院患者の入院期間は、在宅復帰率に計上される31日~60日の割合が特に高くなっているということでございまして、在宅復帰率の計算対象から1カ月未満の入院患者を除外していることの影響が出ているのではないかと思われます。16日~30日が特に低くなっている。この辺を見ますと、やはり要件の見直しによりまして、早期の在宅復帰が促される可能性がありますので、そういった要件の見直しも御検討いただければと思っています。

 あわせて、11ページと12ページのところにもかかわってきますけれども、退院支援専門の職員配置が、この連携施設数の多さ、連携病院とか診療所、そういったところと連携していることも多いし、在宅復帰率もこちらのほうがかなり高い。そういった意味では向上につながるということでございます。逆に13ページのデータを見ますと、加算届出病棟の約6割で専門員が配置されていない。こうしたデータを見ますと、やはり配置を加算要件に組み込むことが一層の退院支援強化につながると思われます。そうした場合は、こういった支援員の設置というスラクチャー評価といいますか、そういう要件だけではなくて、在宅復帰率の計算式の見直しのほか、そういった期待される効果を踏まえたアウトカム要件の設定も必要ではないかと思われます。

 以上です。

○武藤分科会長

 今、本多委員の14ページの論点にかかわるところで、何か御意見がありましたら、いかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

○安藤委員

 在宅と他施設からの入院ということの区別をしろということですけれども、在宅もいろいろあるということは当然お知りになっていると思いますが、在宅であっても介護、あるいは訪問介護、訪問医療を受けている人がおりますので、その辺は御考慮いただきたいと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 今、お話があったところと関連するのですけれども、在宅に帰すためにどういうふうにしたらいいのかという本質的なところとして、帰る人たちがどのような人かということを見ると、これは前回の資料でありましたけれども、一般病棟7対1ですと、3割ぐらいが要介護認定を受けている方です。地域包括ケア病棟になると、これがほぼ逆転しまして、6割が要介護認定を既に受けている方です。

 今、安藤委員がおっしゃったように、訪問サービスとかを受けているというのは、そのことを配慮したほうがいいのではないかということと同じ意見だと思うのですが、既に医療介護連携の促進に向けた情報共有ということで、退院支援にかかわる診療報酬というのは、退院調整加算1、2、それから退院時リハビリテーション指導料、退院時訪問指導料、退院時共同指導料、たくさんの報酬がもう既についています。

 こういうものがあるにもかかわらず、うまくいっていない最大の理由というのは、ここに示されたように退院支援専門の職員が少ないからだというお話なのですけれども、確かにこれはもうやっていないのと同じ状態だと思うのです。多分この報酬もとれていないと思うのです。私は、これ以外に実は介護報酬でも退院退所加算というのがありまして、ケアマネに対しての加算というのがあるのですね。

 こういうことを総合的に考えると、現在の医療介護連携というのは後方連携になっていると思うのです。1方向連携ですよね。これを循環型にする。つまり入院前からずっと循環的にするような報酬のあり方をそろそろ提案してもいいのではないかということを、多分前回もちょっと申し上げたのですが、より詳しく今しゃべっているのは、つまり地域包括ケア病棟だと、半分はケアマネが1人の患者さんに1人ついているのです。この人たちに入院時の情報提供をお願いして、入院中もこのケアマネに随時の連絡をするとかということを続けていれば、退院はそれほど難しくないのではないかと思うのですね。

 そういった報酬というのは、診療報酬上出すのか、介護報酬上出すのかということは議論の余地があると思うのですけれども、現在、既にカンファレンスにケアマネが参加した場合には加算の点数を出しています。それを考えるのであれば、入院時の診療にかかわる情報提供ということと、入院中の治療にかかわる在宅の状況をケアマネにやってもらうという新たな設計を考えてもいいのではないかなというのを提案したいと思います。

○武藤分科会長

 石川委員、どうぞ。

○石川委員

 その退院支援ということなのですけれども、今のお話はすごくいいお話だと思うのですけれども、これから地域包括ケアシステムがきちんと回るためには、やはりその患者さんが入院前にどういう住環境にいたのか、そして退院後は例えば後遺症が残ってそこに戻るのか、きちんとそこは把握できている人がいれば、退院支援は極めて早くいくのではないかと思うのですね。そういったケアが今後は必要だということなのですけれども、例えば13ページの退院支援専門の職員の配置状況というところで見ますと、十分な配置ができているところとできていないところがあるのですけれども、実はこの人件費の問題は、その病床の規模の問題と患者数の問題、これは非常に反映しますので、きちんとそういうデータがないと、一概に配置していない、配置しているということの議論はなかなかできないと思うのですね。規模別の施設で、この規模なのに配置していないということだとか、そういうことが大事だと思います。

○武藤分科会長

 それでは、神野委員どうぞ。

○神野委員

 皆さんのお話のとおり、ここで人がいるかいないかというのは結果ではなくてストラクチャーの話であって、在宅復帰をどれだけしたかというアウトカムで評価すれば、アウトカムをよくするためには、ある病院はストラクチャーをよくするかもしれないし、もちろんそれは筒井委員がおっしゃったような退院支援専門員だけではなくて、前方連携の専門職員等々をつけることによって在宅復帰率を高くするということですので、アウトカム評価だけだったら、ここであえてこのストラクチャー云々を言う必要はあるのかどうかというのは、私はちょっと疑問に思います。

○武藤分科会長

 池端委員、どうぞ。

○池端委員

 私も、今の石川委員、神野委員と全く同じで、退院支援職の有用性は理解をしているつもりですが、特に療養病床というのは小規模も点在して、この病床も生かさなければならないとなると、またストラクチャーで縛ると結局とれなくなってしまって、逆に配置だけしていて実態は伴っていないということも起こり得るので、本多委員がおっしゃったように、アウトカムを求めるのであれば、退院支援というアウトカムに対してどうしていったらいいかという中で、当然退院支援の職員を配置することになってくるはずです。

 地域包括ケア病床でリハの配置基準を決めていなかったけれども、リハを2単位以上ということで、それに必要な配置をやっていって2単位以上とっているというデータが出ましたので、やはりアウトカムを求めるようなことをしていかないと、もうストラクチャーで縛る時代は終わってきているのではないかと思います。

 そういうふうにしてやっていく中で、私は今、筒井委員がおっしゃったように、下との連携ではなくて上との連携というか、急性期とあるいは地域包括科と療養病床の連携の中で、入院中から療養病床の退院支援の方がとりにいくというか、退院支援カンファレンスの段階から入っていって、より早く受ける、こういう状態だったら受けますよ、誤解していて、急性期は食べられなかったらPEGを入れないと受けられないので、PEGを入れてからやりますということで2週間おくれてしまうことがある。あるいは、食べられる人を食べられなくして送ってくることがある。いわゆる循環型支援の中で外へ出ていく、そういったことを求めることをやっていって、実際の実をとる支援をやっていけばいいかなと思います。

○武藤分科会長

 本多委員、どうぞ。

○本多委員

 いろいろ御意見はわかるのですけれども、逆に患者側からしますと、この12ページに職員がいないための困難といって、全ての患者に対して退院支援を行うことは難しいとか、こういうのがいっぱい出ておりまして、患者側からすると、退院するときというのは非常に不安があって、退院した後、先ほどの連携施設ではないですけれども、そういった情報提供をしていただくと、それに対しての加算というのは、サービスに対する対価で払っているわけでございますので、それがある程度行われない中で、加算というのは患者の立場としてもいかがなのかなという感じはします。

○武藤分科会長

 嶋森委員、どうぞ。

○嶋森委員

 私もアウトカムで在宅復帰率の割合を高くするということから見ていくという意見には賛成なのですけれども、現実に、早期退院の取り組みのところを見ると、配置している人、連携のための仕組みをつくっているところが在宅復帰率が非常に高いということですので、このことは評価して、どういう形で配置するかは別として、退院支援をする仕組みをきちっとつくると。それは職種は誰にするかも検討すればいいと思いますけれども、そういう仕組みをきちっと担保するということは重要ではないかと思います。

 退院支援員の職員の配置効果は非常に明らかにここに出ておりますし、今、本多委員がおっしゃったような意味で、困難性というのは今、いろいろなところで在宅復帰率と在院日数の低下によって、復帰させることの困難さを看護職はいろいろなところで言われていますし、それから、東京都などでは退院支援員を育成するという事業をもう既に始めていますので、そういう人を配置するということは非常に重要ではないかと思います。

○武藤分科会長

 石川委員、どうぞ。

○石川委員

 これは7と8を見ると、死亡退院が非常に多いわけなのですよね。それで、この療養病棟というのは、ある面では急性期の病棟よりも患者さんのバリエーションというか、これは非常にありまして、かつそうやって亡くなる方も多いわけです。ですから、そういうところでの退院指導だとか、それからいろいろな中での、要するに療養区分だとか、そういったものの配置ですとか、もっとこれは規模だとか、そこの経営的な中身まで踏み込んだ形で評価しないと、私はだめなのではないかと思うのですよね。バリエーションということで言えば、これは急性期よりもっと大変ですよ。だから、そこをきちんとわかるような統計を何とか分析をしていただきたいと思うのですよね。

○武藤分科会長

 もう一度この論点の14ページに戻っていただいて、一番冒頭に本多委員から御指摘のあった在宅復帰機能強化加算の要件、御指摘のあったのは自宅からの入院と1カ月未満の入院、これについて御意見をお願いします。

 安藤委員、どうぞ。

○安藤委員

 1カ月以上という要件といいますか、それをなくして、1カ月未満もカウントの対象にしろということと理解しておるのですが、この1カ月以上ということで随分助かっている患者さんがいると私は聞いています。やはりどうしても居宅系に復帰できない人というのがおるのですね。具体的に言えば、胃瘻患者とか、喀痰吸引ということで、今、喀痰吸引についてはいろいろな人を養成しておるのですけれども、そういう人が入っていただく上で、非常に緩衝剤になっておるのではないかなと思います。これを一挙になくすというのは反対です。

○武藤分科会長

 加算要求についていかがですか。

 池端委員、どうぞ。

○池端委員

 なるべく簡潔にお話ししますけれども、まず療養病棟の役割というのは、本多委員がおっしゃったように、在宅から患者さんを受け入れて、帰すという機能も一部ある。そして、当然ながら急性期等から受け入れて、それを在宅へ帰すと機能、そして今、石川委員がおっしゃったように、最終的にみとりをしなければいけない、この機能もある。大きくこの3つがあると思うのですね。

 今この御指摘は、急性期から受け入れた患者を帰すという一つの機能に対して、もうちょっとスポットを当てたほうがいいのではないかという御指摘だと思います。それは、一つの機能として大事なことなのですが、一方で、急性期から受け入れる患者はどういう患者を受け入れているかというと、急性期は在宅で帰せる人はほとんど帰してしまって、なかなか帰せない、しかも介護度も困難であるかもしれないし、さらにそこに医療区分2、3程度の医療ニーズを持っている患者さんを受け入れているのが療養病床です。これを帰すということは実はかなり大変なことなので、例えば回転率を10%かどこにもっていくかとか、その辺は十分慎重に対応していただかないと、そういう方向性を求めることはいいですけれども、私としてはできればそこは頑張ったところには加算という形で方向性をつけていただくことも一つの方法だと思います。それを算定基準を厳しくするとなると、より大変なことになってしまう。

 もう一つは、1カ月以内を入れるかどうかに関しては、私は安藤委員とちょっと意見を異にするわけではないのですけれども、療養病床の今後の方向性を考えると、療養病床だけ1カ月を外しているということが、ずっと急性期、地域包括からの在宅復帰率とそこだけ違うということで、いろいろ色眼鏡で見られることに対しては非常に不本意なところがあるので、今、助かっているというのは、これは患者さんが助かっているのではなくて病棟が助かっているということを考えると、やはりそろえていただく方向はやむを得ないかなということを、協会と言うと語弊があるので、個人的には思っています。

 以上です。

○武藤分科会長

 まず神野委員、どうぞ。

○神野委員

 個人的な意見ですけれども、これはもし1カ月を撤廃してしまいますと、1日でも2日でもいのですよね。それが2週間なのか、1カ月なのか、2カ月なのかという話はありますけれども、1カ月という期間を外してしまうと、もし在宅復帰率を上げようと思ったら、急性期は退院できる人を1回療養に入ってもらって、それで2~3日で退院すればもう在宅復帰ですよね。その辺のいろいろな恣意的なものが入る可能性があって、1カ月がいいとは言いませんよ。それが2週間なのか、6週間なのかわからないけれども、先ほど池端委員がおっしゃったように、退院困難な方をここに入っていただいて、その方々に対して一生懸命在宅の準備、あるいは少し状態を安定させてから在宅に持っていくという機能だとするならば、何らかの期間が私は必要かなと思います。

○武藤分科会長

 佐柳委員、どうぞ。

○佐柳委員

 今まで療養病床が持っていた機能というのは、もちろんこういう機能があるのだと思うのですけれども、前回も地域包括ケア病棟というのが一つの形で、地域全体の包括ケアシステムをつくるキーワードの一つとして設定されてきているわけなので、それとのつながり、考え方の整理もちょっと要るのではないかなという気がします。

 特に、自宅からの入院というのが、それはパスしているかのごとく、1カ月から2カ月かけて自宅に戻るというケースが大分あるのだろうと思うのですが、これはどちらかというと、地域包括ケア病棟のこれからの大きな役割で、もっとその点を認めて、回転をよくしていく。医療療養病床については、もう少し医療の点は重視しながらも、自宅からというよりは、長期療養を避けていく形にしながら進めていく、何かそういう見方が必要なのではないか。

 そうすると、当然1カ月以内というのは、包括ケア病棟の場合にはないわけなので、そこのところでは合わせられるのではないかという気がちょっとしました。

○武藤分科会長

 そろそろよろしいでしょうか。

 また後で戻ってきてもよろしいと思いますので、次の議題にいきたいと思います。

 2番目は「療養病棟入院基本料2について」、15ページ~20ページ、20ページに論点が掲げてございます。

 御意見ございますでしょうか。

 安藤委員、どうぞ。

○安藤委員

 これは議論の前に、経緯を振り返えらせていただきたいと思います。私の認識が誤っているかもしれませんので、御指摘いただきたいと思います。

 この医療区分、ADL区分ができたのですけれども、平成18年ぐらいの改定でできたと思うのですが、きっかけは小泉財政改革、その意を受けて、そのころマイナス3.16のマイナス改定がありました。これの実行のための苦肉の策がこれではなかったのかなと記憶しておるのです。したがいまして、あくまでも医療の実態を反映したものでは決してなくて、経済実態を反映したものではなかったのかということ。もしそれがそうなら、それを前提として議論していたかなければ、基本料1と2の比較だけではいけないのではないかなと。当時を振り返りますと、こういう点数配分ができましたものですから、障害者病棟へ移った病院もかなり多かったのでないかなと思っておるわけです。御指摘いただければと思います。

○武藤分科会長

 何か御意見ございますか。

 では、具体的にこの論点に対していかがでしょうか。

 本多委員、どうぞ。

○本多委員

 論点にございますように、医療療養病床というのは、そもそも医療必要度の高い患者の受け入れを担うというのが本来の姿だと思いますので、そういった意味ではこの基本料2についても、医療必要度の高い患者の受け入れ割合を要件化するとか、そういった方向で、論点の方向は支持したいと思っております。

○武藤分科会長

 ほかにございますでしょうか。

 池端委員、どうぞ。

○池端委員

 まず、安藤委員がおっしゃったことは、私もそういうふうに感じております。平成18年のときには、もともと前の座長の池上委員がつくった9個のマトリックスというのは、本来そういう診療報酬を当てはめる目的でつくられたわけではなかったはずですが、たまたまそれが便利に使えるということで医療区分を入れて、それで現在まで10年以上来ているということで、まず冒頭にお話ししておきたいのは、そろそろこの医療区分というのはもう制度疲労が来ている状況にある。ただ、18の改定には当然間に合わないので、次回の30の改定には、これを抜本的に考えることも、今から準備をしていただきたいというのが私自身の思いです。

 それを想定しながら、そしてもう一点は、25対1のいわゆる入院基本料2の病棟は、現状では介護療養型と同じように30年に廃止という状況の中での論点を考えなければいけないとなると、この状態でそのままずっといけるとは思えない病床となりますので、やはり何らかの療養病床としての必要性を担保できるような病床に変わっていかなければいけない。

 そういう意味では、ある程度医療区分の縛りを入れるということも、私が言いたくないことでもあるのですが、絞り出して言うと、少しこちらも襟を正して考えなければいけない事態に来ている。それは余りハードルを高くしていただきたくないですけれども、何らかの区切りをつけていただいて、そして、1にいける人はどんどんいってくださいというメッセージを出していただくと、30年のときに慌てなくて済むのかなと。この3年間で、それをどういう病棟に切りかえていくか、あるいはどういうふうにソフトランディングにしていくかということも考えながら、そういう方向もあり得るかなと感じています。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 嶋森委員、どうぞ。

○嶋森委員

 私も、医療とついている以上、医療をぜひお願いして、例えば、看護必要度でいうと、Aは別として、Bの人とか、そこで評価するみたいな形で、医療をきちっとやっているということを、ほかの区分と比べて確かに医療をやっているなということが見える形に評価ができるという意味では、看護が必要度のBを使うとか、何かそういうものを少し工夫できるのかなと思いました。

○武藤分科会長

 ほかにございますでしょうか。

 では、石川委員どうぞ。

○石川委員

 この18のスライドなのですけれども、医療区分1の割合が高い病棟の患者像ということで、これはちょっと後で言うのですけれども、医師による指示の見直しの頻度というのが、あたかも見直しの頻度が少ないと何も見ていないかということになってしまうのですけれども、そうではないと思うのですね。これは「患者の割合が高く」という表現ですけれども、高いか低いかというのは、それは判断で、「60%超えていた」という記載で十分で、余り高いとか何とかという判断を入れないほうがいいと思います。

 それから、この見直しの頻度ということについては、またちょっと後で出てくると思うので、そのときに少し言いたいと思います。

○武藤分科会長

 よろしいでしょうか。

 それでは、3項目目の「医療区分の項目について」に移らせていただきたいと思います。こちらは21ページ~48ページまでです。48ページに論点が掲げてあります。

 いかがでしょうか。

 神野委員、どうぞ。

○神野委員

 先ほどの続きみたいな話になると思うのですけれども、この医療区分の中でも、例えば酸素療法とかはある程度基準がきちんと決まっているわけですし、それから、創傷処置等もあるかないかという基準ははっきりしているけれども、ここでいろいろな論議になっているのは血糖の話だと思います。

 特に、36ページの頻回の血糖検査ということになってくると、これも先ほどのアウトカムではなくてプロセスの段階で、4回はかったかどうかというだけの話ですよね。その中で、36ページに今、石川先生がおっしゃった医療的な状態が安定して医師の指示をほとんど必要としないというのが出ているわけですけれども、これは恐らく包括的指示なのですよね。よく考えれば、包括的指示があって、血糖の値によってインスリンを打ったり、ブドウ糖を打ったり、あるいはブドウ糖をなめてもらったりしているはずなので、患者さんは変化している、そういう4回の人と、それからほとんど変化がないけれども、何かあったら困るから4回はかっておこうという人と両方まざっている病態がある。とするならば、もう一歩進めてといいますか、先ほどの今後の話になるかもしれないですけれども、4回はかってどうしたのというところが必要なのかなと思います。

 この「医療的な状態は安定しており、医師の指示をほとんど必要としない」というのは、患者評でそういうふうに聞いているわけですので、恐らく答えているほうは包括的指示がある、あるいは週に何回も見に行っているけれども、大きな変化がなくてここに丸をつけたのだと思いますけれども、聞いているほうはこれは全然変化がない患者だと捉まえないようにきちんとメッセージを出していただきたいと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 本多委員、どうぞ。

○本多委員

 今のデータの御指摘がありましたけれども、こちらの資料を見させていただいた限りでは、御指摘のとおり、うつ状態、頻回の血糖検査、酸素療法等ありますけれども、示された全項目の中で、医療的な状態は比較的安定しているということと、かつ定時の診察のみで対応可能な患者が一定割合いるだけでなくて、特に一番下にあります過去1カ月の急性増悪の有無というのを各項目で見ますと、ほとんどのところは9割超、それから医療区分3の酸素療法でも約75%の患者は安定しているというデータがここでは示されているわけでございます。

 そういう意味では、こうした項目につきましては、一律な医療区分の設定を改めて、各項目の患者像を医療区分に反映させて、医療必要度に応じた項目となるような精緻化を図るべきだと考えます。

 それから、医療的な状態が安定している患者の割合が高いうつ病を初め、中には該当する医療区分自体の見直しに向けた検討が必要な項目もあるのではないかと思うころでございますので、御検討いただければと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございませんか。

 安藤委員、どうぞ。

○安藤委員

48ページの課題のところを御参照いただければと思いますが、黒ポツの4番目で、先ほどの頻回の血糖検査を受けているもの、ここに糖尿病が主傷病ではない患者が多かったという書きぶりですが、その論拠となっておるのが38ページの主たる疾患をあらわしたグラフですけれども、確かに内分泌、栄養及び代謝疾患は32%なのですが、これは恐らく合併症として糖尿病類似疾患というのがあったのではないか。恐らくそういうデータがあるのではないかと思います。それで、この書きぶりで、「糖尿病が主傷病ではない患者が多かった」というのを「必ずしも主傷病が糖尿病ではない患者が多かった」とされることをお願いしたいと思います。

 これは呼吸器の酸素療法で同じです。いろいろな疾患にわたっているというけれども、副病名に呼吸器疾患が入っておる可能性が非常に強いのではないかと思っております。例えば38ページですが、もしデータが提示できるのであったら、事務局からデータを提示していただければと思います。

○武藤分科会長

 石川委員、どうぞ。

○石川委員

 これは用語の使い方なのですけれども、29ページを見ますと、「うつ症状」というのが表題にあるのですね。それから、30ページは「うつ状態」、その次の31ページは今度は「うつ病」となっているのですね。この3つの使い方といいますか、これは薬を飲んでいるのか飲んでいないのかとか、いろいろと状態が同じことを比較しているのかどうなのかちょっとわからないので、ここら辺はきちんと整理していただいたほうがいいのではないかと思います。

 それから、全体的に、特に23のところで、医療区分の低い患者は医療が必要がない患者ばかりだという流れみたいになっているのですけれども、逆に言えば、医療区分1や2で重症な患者がこれだけいるのではないかということでもとれると思うのですよね。そういうことのデータも必要なのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○武藤分科会長

 安藤委員、どうぞ。

○安藤委員

 今の23ページについて、石川委員はおっしゃったのですかね。これは確かに医療区分1で医学的には軽いということですけれども、この中から、先ほど死亡率が50%になんなんとする数字が提示されましたけれども、亡くなっている患者さんがかなり多いわけですね。決して医学的には外来、在宅でもいいかというところから死亡者が出ておるわけではないでしょうけれども、この1、2、3の区分の中から、どこから死亡者が出ているかとか、あるいはこの3つの色で区分けされている区分で、どこから死亡者が出ているかというのはわかりますでしょうか。

○武藤分科会長

 事務局、わかりますか。

○事務局

 御質問でございますけれども、調査機関が短くなっていますので、死亡直前にどうだったかということであれば、調査票を繰ればわかる可能性があるのですけれども、ただ死亡直前には症状がある程度悪くなっていらっしゃるということも含めると、もっと前にどうだったかということは、なかなか今の調査では限界があるということでございます。

○武藤分科会長

 石川委員、どうぞ。

○石川委員

 今のはすごく大事で、例えばこの24ページ、医療区分ごとの急性増悪の割合で、医療区分3でも80%ですか、急性増悪なく病態は安定しているということなのですけれども、実は急性増悪はそんなもので、そういう中からぼこっとすごく急変するとかということはあらわれるわけなのですよね。ですから、結構これは高い、要するに先ほどの死亡率だとか、そういうことから言うと、大変観察力を上げていかなればだめな病棟だなと逆に思いますよね。もう少しわかるようなデータがあればと思いますので、頑張って見つけてみていただきたいと思います。

○武藤分科会長

 池端委員、どうぞ。

○池端委員

 まず、安藤委員がおっしゃったように、医療区分1というのが一体何かということなのですけれども、医療区分2、3以外を全て1としている、これは10年前に決まったことですが、その中にも実は、例えばイメージとしてわかっていただける肝不全のすごく大変な状況とか、心不全、あるいはぜんそくの重積発作の管理をしていると、これも医療区分1で見なければいけない。そういういろいろな重篤な状態もここに隠れている。そこを少しあぶり出したいということは前々から思っていますので、そういう意味を含めて、抜本的改定をお願いしたいということを前提に、当協会もそのデータをつい最近とってあるので、もし機会があれば、次回でも示させていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、今、医療区分2、3の中で、比較的安定しているものではないかということが3項目挙げられています。これについて、48ページの論点のところで、まず看護師による定時の観察のみで対応できるものの割合ということで、今回医師の見直しと私がちょっといちゃもんをつけたら、今度は看護師で持ってきたのですけれども、これもよくよく読んでいただけると、看護師による定時の観察をやっているわけですね。日中も夜勤帯もやっていてということで、この患者像が、もしこれを療養病床で要らないと考えると、これが在宅へ行くか、施設に行くかになります。施設では、在宅でもせいぜい1週間か2週間に1回しか看護師の観察はできないわけですね。そういう状態とはかなりギャップがある。療養病床、病院というのは最後にとりでなので、その辺はやはり慎重にしていかないと、本当に大変な状態が起きることもあることを十分頭の中に入れていただければと思います。

 ただ一方で、今、血糖チェックとか酸素というのは、この基準がそれだけで3とか2となっているのが非常に誤解を生む。血糖だけ3回はかっておれば2になるではおかいしのではないか。酸素をつけていて元気にジョギングしている人もいるではないか。在宅酸素をしている人は在宅でいられる。こういうイメージがあると思うので、このイメージ像をもっときめ細かく、例えば血糖チェックをしながらインスリンの強化療法を行っている、あるいは、インスリンの導入期、あるいは教育的な入院の最初の2週間とか、そういう少し細かな条件をつけていくということは必要なやり方かなという気はしています。

 なおかつ、48ページの論点のところで、その後に「医療区分の評価に当たっては、よりきめ細かな状況を考慮するべき」というところで、今、下げるほうばかり多分皆さん方は考えたいと思うのですけれども、医療区分2を3つ、4つ抱えている医療区分2の方というのも結構たくさんいらっしゃって、これは実際に数字を出せるかどうかわかりませんけれども、かなりの医療ニーズがあって、しかも2の点数では到底おさまり切れない方も見ている。だから、そういうあわせ技一本みたいな、そういうことは3とか、3を3つ抱えている方は4とか、逆にそういうきめ細かさを私としては求めたい。笑いごとではなくて、本当にそう思っています。きめ細かいというのは、そういうことではないかと思います。だからこそ、抜本的見直しもお願いしたいということです。

 以上です。

○武藤分科会長

 御意見ありがとうございます。

 筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 ここのデータの見方は、意外と難しいと思うのです。それぞれの医療区分1、2、3という概念と、現在存在しているDPC分類プラス看護必要度という状態像と違うカテゴリーになっているわけです。

 先ほど、池端先生から勇気ある発言がありましたけれども、そろそろこの病棟に同じような評価尺度を入れて、どういった患者さんが本当に入っているのかということを明らかにしないと、同じ状態像で急性期の7対1にいる人がいるわけですよね。機能分化ということを進めるという一つの方向と、それから地域包括ケアという総合的なインテグレーションというのは今、国がやっているわけですから、そのことを進めるためにも、医療区分の項目ということよりは、患者さんの状態像を、ここは病床なので、病床としてどんな人が入っているかということを正確に出せるということをやっていってもらわなければいけないのではないかと思います。

○武藤分科会長

 池端委員、どうぞ。

○池端委員

 私もまさに筒井委員のおっしゃるとおりだと思っています。療養病床というのは今、データがないということになっていて、この医療区分を使わざるを得ないかもしれませんけれども、バイアスがかかる可能性はあるかもしれませんけれども、今、療養病床でも26年からDPCデータ加算はとれるようになってきています。そして、数多くないかもしれませんけれども、療養病床から地域包括ケア病棟に上がったところは、当然義務としてデータ加算をとらなければいけない。これで、療養病床のデータ加算の一定のデータはあるはずですね。これはうちの協会でいっても、確かに頑張っているトップランナーのところかもしれませんけれども、療養病床の方向性としてはこういう方向性があるのではないのというデータにはなると思うので、こういうデータをもし出せるようであれば、一つの参考としてやりながら、どういう患者像が急性期から療養までどういうところにどれだけいるのかということになるのではないかと思いますので、ぜひ検討していただければと思います。

○武藤分科会長

 どなたも指定難病に関して御発言がなかったのですけれども、いかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

○發坂委員

 うちの岡山県健康づくり財団は、難病でいえば岡山県から難病相談支援センターに受託しておりますが、そうした中で、特定疾患の医療受給者証を持っておられる方は、医療技術の進歩などもありまして、相当数や勢いも全国的にも増加しているという状況があると思います。

 そうした中で現状、各県と状況は違うとは思いますけれども、岡山県では難病の協力医療機関ですとか、あるいは障害者の施設等の入院基本料を算定している病棟ですとか、いろいろなところに入院はされている状況はあろうかと思うのですけれども、現状が、難病の方がどの病床種別ごとにどれぐらい入院しているのかといったデータが実はないという状況もございます。

 例えば、今後の経年的な推移を見ますと、56疾病だけでも相当ふえてきているという状況の中で、新たな対象疾病も加わるということになりますと、恐らく今後医療ニーズの高い方もどれぐらいふえてくるのか。相当ふえてくるのであれば、それに対応しておくような準備も要るのではないかと思います。

 そういう面で、現状がどういう状況か、あるいは今後入院を要する難病患者がどういった状況でふえていくかあたりも推計もしつつ、それに対する備えも要るのではないかなと思います。

○武藤分科会長

 香月委員、どうぞ。

○香月委員

 まさに指定難病がふえるわけですけれども、病態像はどうなのかというのがわからないので、先ほど言ったように病態像をはっきりさせないと、全部ひっくるめて病名がついていればいいのかというわけでもないと思うのです。そういう意味では、病態像をもうちょっと明らかにしないと、議論しようがない気がします。

○武藤分科会長

 いかがでしょうか。この指定難病の病態像を明らかにした上でということですが、事務局から何か御意見ありますか。

○事務局

 難病に関する点数というのは入院だけではなくて、いろいろ多岐にわたっておりまして、リハビリテーションとか、外来の指導料とか、ほかにも及んでおりますので、ここの議論でおさまり切らなければ、このままにしていただいて、また中医協でお話しいただくというのも一つかなと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 石川委員、どうぞ。

○石川委員

 今の難病は今後本当にちゃんとやらないと、難病というのは慢性的に推移するということで、今、平均在院日数の問題だとかとやっていますので、ただ、非常に重たいものもあるわけですよね。そういう点では、今ほど言った病態像をはっきりした上で、どのように入院で対応していくのかということをきちんと考えないといけないものだと思います。

 それから、褥瘡について誰も言っていないので、ちょっとお話ししたい。褥瘡はいつも問題になるので、33のところなのですけれども、このスライドは何を言っているか全然わからないのですね。褥瘡に該当する患者像ということなのですけれども、褥瘡に該当する患者のうち40%で医師による指示の見直しがほとんど必要ない、40%で看護師による定時の観察のみで対応できる。これは、要するに余り手当てしなかったから褥瘡ができたのではないのとか、また60%以上の患者で過去1カ月に急性増悪が見られなかった、放置されていたのではないかとか、そんな印象があるような書き方になっているので、褥瘡というのは、今回3枚だけのデータなのですけれども、やはり慢性の病棟の中では褥瘡は非常に注目する一つの病像ですので、これはもう少し詳しくデータを出していただかないと、中医協の上の先生もこれだけでは判断できないと思うのですね。どうなっているのだ、何を言いたいのだということだと思うのですね。

 これは、事務局のほうで何を言いたいのですかね。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 御指摘ありがとうございます。

 褥瘡のところは、医師による指示の見直しの頻度が低いということを申し上げたかったわけではなく、看護師のほうも同様でございまして、医療区分2の中では、そういった意味では比較的ケアの密度の高い方が含まれているカテゴリーだと認識をしているところでございます。

34ページに、褥瘡に該当する患者の割合を入棟期間ごとにお示しをしておりますが、入院期間が長くなるほうが少し褥瘡の患者の割合も高いということも出ておりまして、最近はこういうことは減っているのではないかとは期待しているのですけれども、病棟内で褥瘡ができているということがあるのかないのか、こういったことも少し心配をしているところでございます。

 医療区分がつくられて10年ぐらいたちまして、いろいろ医療機関のケアの質も変わってきていますし、その技術も進んでいるということでございまして、当初は入院中にできた褥瘡についても医療区分2として評価をしてきているというところでございますけれども、今後その当該医療機関で新たにできた褥瘡についても、医療区分2として評価をしていくということを続けていくのかどうかというところは、データがないところは恐縮なのですけれども、御意見いただけたらなと思っております。

○武藤分科会長

 ということですが、ほかにございますか。

 池端委員、どうぞ。

○池端委員

 確かに持ち込みの褥瘡はやむを得ないけれども、院内でできた褥瘡に対していかがなものかという御意見だと思います。これは一定の理解はさせていただくつもりですし、褥瘡の治療の仕方はここ10年随分変わってきていますし、ほとんどちゃんとやっている病院病床だと、褥瘡を院内でつくることはほとんどなくなってきているのが現状なので、調査はしていなのでそこら辺は何とも言えませんけれども、ある程度一定の緊急調査でもさせていただいて、そういうことがどの程度あるかということを理解して、またお示しできたらしたいと思います。

 やはり褥瘡というのは、ただ介護が悪いからできるわけではなくて、栄養状態とか、さまざまな状況でできる褥瘡もあるので、一定全てだめとするのかということについては、今後また検討していただければと思います。このデータをもって持ち込みがふえているというふうにはとらないでいただきたいと思います。

 以上です。

○武藤分科会長

 それでは、医療区分から次へ移りたいと思います。

 もう一つですか、よろしいですよ。

○池端委員

 もう一点、難病なのですけれども、難病というのは確かに病態像はいろいろあると思いますけれども、これからふえていく在宅で見ている難病で結構困るのがレスパイト入院だと思うのですね。レスパイト入院ということを認めるかどうかということはありますけれども、ここを受け入れるところが非常になくて、例えば呼吸器をつけている患者の受け入れ先がないとか、そういうことがあるので、そういう支援をするということも療養病床の一つ、慢性期の病棟の役割だと思います。これは医療区分を入れるかどうかとか、いろいろな考え方があると思いますけれども、そういうニーズがある、在宅されているからこそ困っているところがあるということだけ御理解いただければと思います。

○武藤分科会長

 それでは、次に移りたいと思います。

 次は、慢性期医療の最後の項目ですけれども、「脳卒中患者に関する慢性期医療の適切な評価について」ということで、49ページ~62ページまで、62ページに論点が書いてございます。

 いかがでしょうか。

 本多委員、どうぞ。

○本多委員

62ページの【課題】の2つ目のポツにも指摘されておりますように、特定疾患病棟並びに障害者病棟等の療養病床の脳卒中患者を比べても、状態像が5657に出ておりますけれども、先ほどの説明によりますと、それほど差がないということでございますけれども、この論点の上の61ページを見ますと、1日当たりのレセプト請求金額が示すように、病棟ごとの評価体系の違いから報酬に差が生じるのは余り適切ではないのかなと思うところでございます。

 前回のこの分科会の取りまとめにもございますように、特殊疾患病棟並びに障害者病棟では、障害者手帳の交付や難病認定を受けた患者への適切な医療の継続を前提にして、こうしたところに該当しない通常の脳卒中患者を受け入れる必要性については、検討されるべきだと考えております。少なくとも、入棟場所にかかわらず、卒中患者の状態像に合った適切な評価がなされるように見直す必要があるのではないかと思うところでございます。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 神野委員、どうぞ。

○神野委員

 今のお話ですけれども、例えば5758を見まして、今、事務局がつけた赤い点線だけを見ますと、確かによく似ていますよねという話なのですけれども、この赤い点線を一回外しまして、よく客観的に見ると、特に障害者病棟を見ますと、右手のほうにあるような24時間体制の管理とか、1日数回の指示の見直しとか、毎日指示の見直しが必要だという、この薄いブルーとか黄色っぽい色のところが特殊疾患、障害者では看護のほうもそうですけれども、結構たくさんあるわけですよね。なので、脳卒中患者さんの中で、今おっしゃるように同じ病態なら同じほうがいいですよねという話はありだと思いますけれども、全部十把一からげにするというのはいかがなものかなと思うわけです。

 障害者特殊疾患と療養との違いは、看護配置もありますけれども、医師の配置も違うわけで、頻回な指示の見直しあるいは24時間体制で見る必要があるということの脳卒中患者さんがもしいらっしゃるような障害者病棟というのは、やはりそれなりの医師の配置が必要である。だから、それは残すべきだし、それは必要ですし、療養のほうと全く同じ病態の脳卒中ということであるならば、それは今、本多委員がおっしゃったように、一物一価というのはありかなと思います。

○武藤分科会長

 石川委員、どうぞ。

○石川委員

 今のお話ですけれども、脳卒中はやはり病像の幅がすごくあると思うのですよ。それから、一人一人の危険度、また再発するかどうかとか、そういったことも違うので、一概にどこの病棟が適当だということを全然言えませんで、やはり患者像、それからその患者さんのリスク、そういったものに合わせて病棟を選ぶべきだと思っております。

 ですから、一つの中に押し込んだ形だとか、そういったものは絶対あり得ないなと思っています。そういう目で見て、この統計を判断していただくのが適当ではないかと思っております。

○武藤分科会長

 ほかにございますでしょうか。

 ないようでしたら、次の項目「2.有床診療所について」に移りたいと思います。65ページ~87ページまで、87ページに論点がございます。

 いかがでしょうか。

 筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 これは質問なのですが、有床診療所の入院患者さんの年齢分布と平均年齢というのは、今まで出していただいていましたでしょうか。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 ちょっと確認をして、この時間の後のほうでお答えさせていただければと思います。

○武藤分科会長

 ほかにございますか。

 筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 多分データを出していただけるのだと思うのですけれども、有床診療所というのは地域包括ケアシステムの中で非常に貴重な地域資源でして、急性増悪のレベルによって、有床診療所に一たん入院して、それで回復をしていただくということが、例えば認定を受けている方に適切に使っていただけるのであれば、大変有意義な病床ですので、年齢階層別の人数がわかれば、そのあたりのことがはっきりするのではないかと思って申し上げました。

○武藤分科会長

 事務局どうぞ。

○事務局

 事務局でございます。

 今、確認をいたしましたが、速報の中には年齢別の数字は出してございませんでした。必要であれば出したいと思います。有床診療所はいろいろなところがありまして、産科などもありますので、どうしてもかなり幅広い分布になっております。できれば診療科別などで特徴がわかるようにと思っております。

○武藤分科会長

 神野委員、どうぞ。

○神野委員

 加えてデータのお尋ねですけれども、平均在院日数というのも出ていましたか。恐らく産科はお産ですから、あるいは眼科とか耳鼻科はマイナー手術だと思うのであれなのですけれども、ここで言うなら内科とか、外科とか、あるいは整形外科あたりの在院日数がもしわかれば教えていただきたいと思います。

○武藤分科会長

 では、事務局どうぞ。

○事務局

 平均在院日数の数字自体は出ておりませんが、科ごとの特徴について、74ページに現在の入院基本料の算定状況という中で、入院から何日目の患者さんがどの程度の割合いらっしゃるのかという形で、科ごとにお示しをさせていただいておるところでございます。

○武藤分科会長

 安藤委員、どうぞ。

○安藤委員

 前々回御指摘しました有床診療所もいろいろな科があるということで、科別のデータを出していただいてありがとうございました。

 予想どおりの傾向が出たと思いますが、78枚目のスライドで、これは数年前と比べた入院ニーズの動向を各施設長に尋ねたものですけれども、ニーズが減少傾向にあるとか、増加するところもあるようですけれども、これはそのとき言っておけばよかったのですけれども、地域特性が随分あるのではないかと思うのですね。

 私がいるところの地方の中核都市では、婦人科とかを外せば、もうほとんど有床診療所のニーズはないですね。そういう地域特性が出せるデータであるかどうかですが、このNがちょっと小さいので難しいのかもしれませんけれども、もしよろしかったら、その辺を大ざっぱでもいいですから出していただければ、納得のいくデータとなろうかと思います。

○武藤分科会長

 では、まず藤森委員、どうぞ。

○藤森委員

 ありがとうございます。

 有床診なのですけれども、データを分析していますと、これは二極化していて、まさに慢性期の療養病床を補完するタイプの有床診と外科ばりばりの短期入院決戦型があるので、これはちょっと分けて考えないと、この87ページにある地域包括ケアシステムの中でと一くくりにするのはちょっと無理があると思いますので、そこは分けて、産科も含めてですが、いわゆる外科手術のあるそういうタイプの有床診と、そうではない有床診を分けて考えないといけないと思うのです。

○武藤分科会長

 確かにそうですね。

 神野委員、どうぞ。

○神野委員

 先ほどのお話は、まさに施設化しているところとそうではないところの区別で、ここで31日以上とありましたので、この31日以上がどこまでいっているのかというのを知りたくて、平均在院日数をお聞きしました。

○武藤分科会長

 では、池端委員。

○池端委員

 私もうっかりしていたのですけれども、この有床診療所に関しては、有床診の療養病床は療養病床のほうにカウントされているのでしょうか。それで、随分有床診の流れが変わってくるのだと思うので、その辺についてはいかがでしょうか。

○武藤分科会長

 事務局、いかがですか。

○事務局

 事務局でございます。基本的には、入院基本料と書いているところは入院基本料を集計させていただいていますけれども、それを書いていないところは、療養病床を含めた集計を基本とさせていただいております。なので、有床診療所のほうで有床診療所の療養病床については扱わせていただいております。

 ただ、例えば退院患者の退院後の行き先とか退院先を見るときには、有床診の療養病床から退院された頻度が非常に少ないものですから、療養病床のデータはこの中で非常に薄く入っていると御理解いただければと思います。

○武藤分科会長

 池端委員、どうぞ。

○池端委員

 有床診の役割として、療養病床をとった有床診といわゆる出来高算定の入院基本料をとった有床診と少し分けて考えないと、機能も違ってくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○武藤分科会長

 有床診に関して、ほかにいかがでしょうか。

 はい、石川委員。

○石川委員

 今回、有床診療所を地域の連携の中で捉えてというところで、いっぱいデータが出ているのはすごくいいことだと思うのですけれども、85ページの今後5年~10年を見据えた上の方向性という中に、やはり明確に先ほど地域でも全然違うということと、それから類型で産婦人科単価だとか、外科単価だとか、あるいは眼科単価の有床診とちょっと違うということでは、今後、地域包括ケアで地域の重要なそういう有床診療所というものを、この5~10年を見据えた上の方向性の中で少し浮き出させていくべきだと思うのですよね。そういうデータのとり方を本来とるべきではないかなと思うので、できたら、もう遅いかもしれませんけれども、地域包括ケアの中で維持したいとか、そういうものがあれば表現できればいいかなと思います。

 いずれにしても、2つの類型をきちんと分けたりする必要はあるのではないかなと思います。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 石川委員の御意見ですが、85ページの調査票をつくったときに、こういった調査設計をさせていただいたのは、まさにそういう御意見といいますか、そういうお考えを反映したものでございまして、地域包括ケアという言葉をここでは使っておりませんけれども、在宅医療に力を入れたいとか、介護に力を入れたいとか、救急に力を入れたいとか、そういった形で具体的な取り組みを掲げております。

 一方で、産科、眼科といったところでは、特定の診療科の専門的な診療に力を入れたいという領域で、力を入れる方向性についてお伺いをしているところでございます。

 こういったところも御参考にしていただきながら、また必要な分析があればおっしゃっていただければと思います。

○武藤分科会長

 幾つか多分機能類型があるのではないかと思いますので、きょうの御要望の追加データが出ましたら、また提示していただければと思います。

 はい、どうぞ。

○事務局

 基本的に対応できる方向で努力をしたいと思っておりますが、地域別については、何分N数の問題もありますので、どこまでできるか。できない場合は御容赦いただければと思っております。

○武藤分科会長

 よろしいでしょうか。

 では、先に移りたいと思います。次は最後の項目ですが、「短期滞在手術等基本料について」、88ページ~118ページまで、118ページに論点がございます。

 安藤委員、どうぞ。

○安藤委員

 短期滞在手術等基本料の見直しに関する調査ですけれども、90枚目のスライドに、平均在院日数が年々こうやって減っているよということですけれども、これに関しては最新のデータをいただかないと、今後のディスカッションに多少影響するかなと思います。これが26改定で導入された後の平均在院日数は、予測では0.6日ふえるという予測がなされておったようですけれども、いかがでございましょうか。数字は出ておりますでしょうか。

○武藤分科会長

 では、事務局。

○事務局

 これは医療施設調査でございますけれども、統計情報部の調査も含めて、まず全体の動向としてどういったものがあるかというのは、改めて確認をさせていただきたいと思います。

 また、御指摘のような医療保険の中で7対1とか、そういった入院基本料の中で定義された平均在院日数がどうかということについて、いろいろな調査の定義が若干異なっていたりして整理が必要なので、可能かどうかも含めて検討させていただきたいと思います。

○武藤分科会長

 ほかにございますでしょうか。

 本多委員、どうぞ。

○本多委員

101ページの短期滞在手術等の基本料の算定状況のところでございますけれども、白内障手術につきましては、複数回実施するために8日以上あけてということで、ここでも54%の方が出ているということでございますので、これは患者にとっても両目をやるのに間をあけてまたやるというのは非常に負荷がかかることでございますので、これは片目、両目の実態に合った点数を設定していただけたらと思います。

 さらに、実績点数のばらつきが確認されたその他の手術についても示されておりますけれども、これは前回改定の際に、一応治療法の標準化と滞在期間の短縮を確認した上で、この基本料3という形に組み込まれておりますので、ばらつきが生じている、先ほど一部乳幼児加算とかありましたけれども、そういった具体的な理由を教えていただければと思います。

 それから、また関連いたしまして、スライドの111でございますけれども、こちらでは改定後全体として出来高実績点数が包括点数を中心とする分布へ移行しているということで、標準化を促進させるという包括点数の効果が示されていると思います。こうした機能は損なわないようにしていただければと思います。

 この関連で質問なのですけれども、入院6日を過ぎて出来高算定されている症例はどの程度あるのか。全体的に少ないのであれば、完全な1入院包括評価への見直しとか、短期滞在手術等基本料に在院日数短縮というさらなる機能を付することも一つの考え方ではないかと思います。

 さらに最後の論点の3つ目でございますけれども、確認したい点でございますが、治療方法等が標準化されたために在院日数が短くなり、かつ算定件数のばらつきが少ない治療というのは包括評価に適していると思われますので、論点の方向で支持したいと思っております。

 追加の項で3例ということでございますけれども、これ以外にないのかということをちょっと確認したいと思います。多少ばらつきがあっても、許容の範囲内であれば、包括評価の導入によって治療の標準化というものが進む効果が期待できるのではないかと思いますので、その辺も御検討いただければと思います。

○武藤分科会長

 事務局からどうぞ。

○事務局

 質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 まず1点目、ばらつきの生じている具体的な理由につきましては、冒頭、資料の説明の中でも御説明をいたしましたが、1つには年齢による乳幼児加算等によるものが判明しております。

 もう一つは、全身麻酔の有無によるもの。これは特に手術の値段自体はそれほど高くなくても、全身麻酔をする必要があるかどうかによって点数に大きく差が生じるといったことが起こり得るというものでございます。

 2つ目の御質問で、5日以上になる症例の割合等でございます。きょうお示ししているデータの中では、全ての項目についてお示ししてきているわけではございませんが、105ページ、それから107ページ以降のグラフの左側については日数の分布をお示ししたものでございます。

 例えば、105ページの腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術で見ますと、5日目までのものが大半で、6、7、8日まで入院しているというのは非常に少ないということでございますけれども、例えば110ページの鼠径ヘルニア手術をごらんいただきますと、これは腹腔鏡のものではございませんが、最頻値が5日ぐらいで、その後15日ぐらいまで分布をしているということでございまして、その項目の中でも幾つかばらつきがあるということでございます。

 3つ目の御質問、ほかにもないのかということにつきましては、入院日数が非常に収れんしていて、また算定点数の幅が、115ページにあるように、25%~75tileの幅が基本的には20%ぐらいにおさまっているものを今回提示をさせていただいたということでございます。

○武藤分科会長

 ほかにございますでしょうか。

 石川委員、どうぞ。

○石川委員

 今のヘルニア手術の話なのですけれども、ヘルニア手術は、102のところを見ると、この対象検査・手術の状況で一覧表になっていて、Kの634633のところが15歳ということでされています。これは外保連のほうからも要望が出ているのですけれども、いずれにしましても、小児病棟における入院医療管理料だとか、そういったものがありますので、新生児加算だとか乳幼児加算も全て包括されている状態になっています。ですから、少なくとも3歳未満、3歳以上6歳未満、6歳以上の15歳未満、あと15歳以上ということで、4つに分けていただきたいみたいなことが要望として今後出てくるのではないかなということが考えられます。

 あと、短期滞在手術は地域の診療所で実施されるということが多いので、病院とは異なる点数であってもよいという意見もありますので、別途診療所の点数を設定するというのも中医協のほうで議論していただきたいと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。

 池田委員、どうぞ。

○池田委員

106ページの水晶体再建術では、25年度と26年度の比較を見せていただいておりまして、片眼の手術が大きくふえたということなのですが、ちょっと不勉強なので教えていただきたいのは、そもそもこの点数設定をしたときには、片眼の手術を行うという前提で診療報酬が設定されているのか、それとも一定程度両眼の手術の場合もあるだろうということで設定されているのか、その点数設定のときの根拠を教えていただければと思います。

 あと、それ以外のヘルニア手術とその後のものについては、短期滞在手術の改定前後のデータがないのですけれども、それぞれのものについて在院日数、入院日数は一様に減少している傾向があるのか。あるいは二峰性になっているようなもの、全麻と局麻で点数が違うだろうということは確かにそのとおりだと思いますが、例えば全麻でやられていたものが局麻に移行しているとか、場合によっては外来に移行しているものもあるのかもしれません。そうしたことについての前後の比較のデータがもしあればお示しいただけるとありがたいと思います。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 事務局でございます。御質問にお答えをさせていただきます。

 まず点数の設定でございますけれども、白内障に限ったことではございませんが、こうしたさまざまなばらつきがある中で、そういったものの平均的な件数を基礎として、この短期滞在手術の基本料を設定をしたということでございますので、白内障で申し上げれば、片眼が57%、両眼が28%あるという状態を反映して、重みがついた中間的な点数が設定されたということになります。

 それから、25年と26年の傾向で肉眼的にも大きく違っていたのがこの106ページでございまして、そこについてはこのような形でお示しをいたしましたが、それ以外のものについて、肉眼的に見て明らかに違うほどのものは余り見られなかったので、このような資料とさせていただきました。もう一度見直してみて、何か気がつくようなことや、分析すべきことがあれば、御報告をさせていただきたいと思います。

 なお、全体の点数の傾向につきましては、111ページにお示しをさせていただいておりまして、出来高の実績点数から短期滞在手術等基本料の点数を引いたところ、25年度につきましては、先ほど申し上げたように、出来高の実績点数に基づいて短期滞在手術等基本料の点数を設定しておりますので、最頻値がゼロのところになっておりますけれども、これが少し下がって、最頻値が一つ低いほうに移動したということで、出来高の実績点数は全体としては少し下がる傾向があったということがわかってございます。

○武藤分科会長

 池田委員、どうぞ。

○池田委員

 治療の標準化ないしは効率化が進んでいるかどうかということの評価と、患者さんに何か不利益が生じないかどうかというその2点は、これを拡大していくかどうかというときにぜひデータで検証していく必要があると思います。

○武藤分科会長

 神野委員、どうぞ。

○神野委員

 論点の2番目に透析患者さんのことが載っていますけれども、前々回、最初に短期滞在手術が出たときには、複数の合併症を持っていらっしゃる患者さんとか、副病名を持っていらっしゃる患者さんの短期滞在手術と、単独でそれだけの病名の方の病気の短期滞在手術と、随分医療資源投入量が変わってきますよねというお話をさせていただいたわけです。

 今回の論点にある透析患者さんは、これはもうベースが違うわけでありますので、そこはきちんと評価していただかなければいけないと思いますし、あとDPCでも透析患者さんの場合は別なあれがつくわけです。

 あと、合併症がいっぱいある方、もし短期滞在手術だけのことを考えれば、合併症になる人はやらなくて、合併症を余り持っていらっしゃらない方はやったほうが点数的には非常にいいわけでありますけれども、その辺のところは、合併症を持っていようが、副病名を持っていようができるような体制、すなわちDPCで言うような副病名みたいなものをつけるような考え方があってもいいのではないかなと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかに。

 藤森委員、どうぞ。

○藤森委員

 点数が二峰性になっている件で、全麻か局麻かということだと思うのですけれども、これは病院ごとに見ていただいて、あまねくどの病院も二峰性になるのであれば、これは患者像に応じて選ばれているということになりますが、これはむしろ点数を分けたほうがいいだろうと。

 一方、病院ごとに固まっているので、全麻ばかりとか、局麻ばかりであれば、それはむしろどこかに収れんさせていくべきだと思いますので、その場合はむしろこのままいったほうがいいと思うので、本来患者像ごとだと思うのですけれども、それがわからないと思うので、病院ごとで傾向が見られればいいのかなと思います。

 あともう一点、先ほどの透析はまさに神野委員もおっしゃったように、維持期透析は本来出来高で支払うべきだと思うのですけれども、113ページ目のスライドで、ヘルニアだけが点数が随分開いている。ほかは大体4,000点ぐらいの差なのですけれども、なぜここだけが1万点ぐらい開いているのかというのは何か御説明ございますか。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 事務局でございます。

 同じ5日間以内の入院と言いましても、その中で1日か2日しか入院しなければ、透析は1回だと思いますし、ここの15歳以上の鼠径ヘルニアというのは、先ほどごらんいただいた110ページに出ておりますけれども、入院日数が0~5日の中でも5日のところが一番多くなるような分布ですので、この間に2回~3回透析をするという方が多くなっているのかなと推測をいたしております。

○武藤分科会長

 ほかにございませんか。

 はい、どうぞ。

○池田委員

 藤森委員の御意見のところで、そういう解釈もあろうかと。全麻と局麻、つまり二峰性になっているのが全ての病院でそうであれば、点数を分けたほうがいいという考え方もありますね。ただ一方で、全麻も局麻も同じような割合でいろいろな病院で発生するのだったらば、どちらかに偏っているということがなければ、一つの点数にしても経営上は問題ないのかなというのがあります。

 逆に、病院によって、全麻、局麻が分かれているということは、そもそも違う患者像、あるいはその状態の患者さんを病院ごとに扱っている可能性もないではないので、そこをどうするか。あるいは例えば全麻でやったほうがよい成績が見られるような手術があった場合に、積極的に全麻でやっている病院のほうを高く評価することもあり得るので、それは病気によっていろいろ考え方があるかなと思います。

○武藤分科会長

 ほかにございますでしょうか。

 では、藤森委員どうぞ。

○藤森委員

 ちょっと細かい点で申しわけないのですけれども、例えば103ページ目にあるポリープ切除なのですけれども、これはポリープ・粘膜切除は短期滞在の対象で、ただのポリープ切除は短期滞在の対象ではないですよね。これは実は出来高点数は全く同じ点数なのですけれども、何かあえてそういう設定をされたのですか。それともたまたま漏れてしまったのか、どちらなのでしょうか。

○事務局

 済みません、確認に時間を要すると思いますので、宿題にさせていただければと思います。

○武藤分科会長

 では、この項目に対しては特にないようでしたら、また全体を振り返って、何か言い残したこと等があれば。

 石川委員、どうぞ。

○石川委員

 一番最初のところに戻るのですけれども、医療区分1の患者さんの状態を1819ページと患者像を捉えていまして、最後に20ページのところで論点で「医療療養病床の機能を有効に活用する観点から、療養病棟入院基本料2の病棟においても、医療の必要性の高い患者を受け入れることを促すべきではないか」と書いてあるのですね。1819ページは、どちらかというと医療区分1の患者さんは余り医療の必要性の高いという表現でないデータが出ていて、ちょっと誘導しているような感じがあるのです。医療区分1の患者さんが行き場がなくなってしまうということを大変懸念するような論点になっていますので、そこら辺、中医協の先生方にも注意をお願いしたいと思います。1819ページではそういうデータで誘導されている気がするので、そこは注意していただきたいということです。

○武藤分科会長

 では、全体を通してほかにございますか。

 發坂委員、どうぞ。

○發坂委員

 前回手を挙げ過ぎまして遠慮しておりましたところ、手を挙げ損ねましたけれども。

 まず一番最初に、在宅復帰機能強化加算のところなのですけれども、先ほどからの議論で、入院前から退院後に至る経過の中で、特に地域の関係職種との情報共有を丁寧にすることが大変効果があるということはあろうかと思います。そういう面で、先ほどストラクチャーの評価としては専門医の配置をと。あとアウトカムは、もちろん退院の早期促進というか、さまざまなアウトカムの評価があると思うのですけれども、その間のプロセスの評価として、全ての入院患者に例えば療養の見通しを説明するとか、あるいは退院支援の計画書をつくるですとか、あるいはそういったカンファレンスは月に1回行うですとか、そういったプロセスの部分はぜひ充実させて、それで最終的にアウトカムに結びつくことが非常に重要ではないかと思います。

 そういう面で、病棟によっては全部の方にそういった見通しの説明はされているという病院もありますし、そうでないところもある。師長さんを中心に、結構それは違いがあるのかもしれません。そういう面で、プロセスの部分も含めて、きちんと充実させていくことを努力目標にするのがいいのかわかりませんけれども、それを充実させることが大変重要だと思います。それで、入院前から退院後まで丁寧に関係者で情報を共有していく。

 今、急性期の病院ですと、1週間を超える入院は必ず入院計画書を交付して説明するとか、そういうのは医療法上はなっているのですけれども、こういった部分ではないので、そういう部分を充実させるということが重要だと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 今の御意見にまた繰り返しになるのですけれども、現在は退院時共同指導料というのが既についていまして、医師共同指導加算で500点、他職種連携で何と2,000点という高い得点がついているのですけれども、これが余り使われていないという理由のほうが問題でして、先ほどから申し上げていますように、これを退院時に特定しなくて、循環型にするためには、入院時の共同指導料という新たな報酬を、それから入院中の半分は要介護認定をもう受けているのですね。そのケアマネを何とか使って、地域包括ケアシステムという打ち出し方が診療報酬とか医療保険の制度の中でも出てくると、次の介護報酬改定のときにいい材料になってくると思うのです。そして、今回、例えば診療時の情報提供料ということで介護支援専門員につけてあげる。そうすると、半分ぐらいはついてくるわけですよね。この人がどういうときに退院できるかということが、病院内の退院指導する人たちが予想がつく。

 今は結局、加算はあるのだけれども、使ってそれが有効に機能していないということだと思うのです。それを有効に機能させるような仕掛けとして、先ほど申し上げた診療情報提供料というか、在宅から持っていく提供料ですとか、入院時の情報提供、入院期間内の情報提供に関する診療報酬を、地域のそういった介護支援専門員ですとか、事業所レベルの人たちを含んだ報酬を設定するということは、別に今回やってもおかしくないのではないかと私は思います。

○武藤分科会長

 確かに医療と介護は非常にサイクリックに回ることが多くなってきましたから、そうしたことも。

 はい、佐柳委員。

○佐柳委員

 似たような議論かもしれませんけれども、これからは地域での差というのが結構出てくると思います。地域で共同でそういった地域包括ケアシステムを育てていこう、あるいは情報ネットワークだとか、そういうものを整えていっているところは、多分気持ちの上でいけば、現状維持したいというのがほとんどの診療所の気持ちなのだろうと思うのですけれども、そうはなかなかならないので、やはり全体で動いていく中でこういうものが動いていくのだろうという気がするのですね。

 だから、今回、県単位である程度、地域ごとに医療の診療報酬点数についてもいろいろと検討していくというシステムが動き始めてくるわけですから、そういう意味でいけば、よくやっている地域はもう少しインセンティブが働いていく。その仕組みがなかなかできないところはしばらく置いておくとか、そういう仕組みがもうちょっとあったら動き始めるのではないかなという気がします。

○武藤分科会長

 そろそろ時間ですが、何か最後に。

 池端委員、どうぞ。

○池端委員

 療養病床の問題なのですけれども、入院基本料2にある程度医療ニーズの多い方をということが論点に出ていますが、全体的に療養病床そのものも、ここ10年でかなり患者像が医療ニーズが非常に濃い方が多くなってきました。ただ依然として、20対1、25対1という看護配置基準しかないので、先ほどアウトカムと言いながら、またストラクチャーの話をして申しわけないのですが、療養病床が今どのくらい看護師を加配しているか、次回もしそういうデータがあったら示していただいて、療養病床も今後より看護度の高い病棟でやらなければいけない時代が来るのではないかと思うので、そういう論点も検討していただければと思います。

 よろしくお願いします。

○武藤分科会長

 ほかにございますか。

 よろしいでしょうか。

 それでは、きょうはいろいろな御意見をいただきましたので、また事務局のほうで少し整理していただいて、論点を取りまとめていただければと思います。

 それと、きょうは幾つか追加のデータの宿題も出たようですので、それに関してもまたよろしくお願いしたいと思います。

 今後の日程等に関して、事務局から何かございますか。

○事務局

 まことにありがとうございました。

 次回の日程につきましては、正式に決まり次第、また御連絡をさせていただきます。

○武藤分科会長

 それでは、平成27年度第4回の「診療報酬調査専門組織入院医療等の調査・評価分科会」をこれで終了させていただきたいと思います。

 お忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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