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2015年6月23日 平成27年度第1回血液事業部会運営委員会 議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

平成27年6月23日(火)
16:00~18:00


○場所

新橋会議室 8F8E
(港区新橋2-12-15 田中田村町ビル)


○出席者

委員:(6名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 ◎田野崎 隆二
花井 十伍 室井 一男 山口 照英

日本赤十字社:

田所 憲治 豊田 九朗 五十嵐 滋
國井 典子

化学及血清療法研究所:

宮本 誠二 千北 一興 友清 和彦

事務局:

浅沼 一成 (血液対策課長) 近藤 徹 (血液対策課長補佐) 金子 健太郎 (血液対策課需給専門官)

○議題

・議事要旨の確認
・感染症定期報告について
・血液製剤に関する報告事項について
・日本赤十字社からの報告事項について
・化学及血清療法研究所からの報告事項について
・その他


○議事

○近藤課長補佐 それでは、定刻より若干早くなりますが、「平成27年度第1回血液事業部会運営委員会」を開催いたします。

 なお、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 本日の出欠状況ですが、山口委員より到着がおくれるとの連絡をいただいております。山口委員が到着されれば、運営委員会委員6名全員の御出席をいただいていることになります。

 また、本日は日本赤十字社血液事業本部より、田所憲治血液事業経営会議委員、豊田九朗製造販売総括管理監、五十嵐滋副本部長、國井典子医務採血課長、以上4名に参加していただいています。よろしくお願いいたします。

 また、事務局で4月1日に異動がありましたので御報告いたします。血液対策課課長補佐の清水です。

○清水課長補佐 清水と申します。よろしくお願いいたします。

○近藤課長補佐 献血推進係長の畔上です。

○畔上係長 畔上です。よろしくお願いいたします。

○近藤課長補佐 私、血液対策課課長補佐を拝命いたしました近藤徹と申します。よろしくお願いいたします。

 以上、委員の出席の報告と事務局の紹介とさせていただきます。

 カメラの頭撮りは、ここまででお願いいたします。

 それでは、以降の進行を田野崎委員長にお願いいたします。

○田野崎委員長 事務局から、審議参加に関する遵守事項について報告をお願いします。

○近藤課長補佐 本日出席いただいた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金、契約金などの受け取り状況を報告します。

 本日の検討事項に関して、薬事分科会審議参加規程に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、議題2から議題4に関して岡田委員及び室井委員が関連企業より一定額の寄附金、契約金等の受け取りの申告がなされたため、議題2から議題4の検討に当たっては意見を述べることは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。

○田野崎委員長 ただいまの説明について、御意見、御質問はございませんか。特になければ、競合品目、競合企業の妥当性を含めて御了解いただいたものとさせていただきます。

 それでは、議題に入る前に事務局から資料の確認をお願いします。

○近藤課長補佐 事務局から、資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第、座席表、委員名簿、運営委員会規程があり、その後に議題1に関しての資料1、議題2に関しては資料2-1と資料2-2となっております。

 議題3に関しては資料3-1、3-2、3-3と分けてとじてあり、議題4に関しては資料4-1が18ページあり、資料4-2の1枚紙に続き資料4-3は19ページまであります。

 議題5に関しては資料5、議題6に関しては資料6、以上となります。

 不足がございましたら、事務局までお知らせください。

○田野崎委員長 ありがとうございました。

 それでは、議題に入りたいと思います。議題1は、議事要旨の確認です。資料1について、御意見ございますでしょうか。

 特に御意見がないようであれば異議なしといたしまして、これを議事要旨としたいと思います。

 そうしましたら、議題2の感染症定期報告について事務局から説明をお願いします。

○近藤課長補佐 それでは、資料2-1をごらんください。平成27年2月から平成27年4月までに報告された感染症定期報告のうち、文献資料の概要です。全部で25件の文献が報告されており、その詳細は資料2-2にございますが、2-1の概要を用いて説明いたします。文献1から13の前半と、文献14から25の後半に分けて報告いたします。

 文献1は、ウエストナイルウイルスに関して米国からの報告ですが、ウエストナイルウイルスRNA陽性の献血血液を追跡したところ、3カ月後でも42%が全血中の赤血球分画に残存し、A型血液のほうがO型血液より残存率が高かったという報告です。

 次に、文献2にまいります。フランス領ポリネシアでの研究ですが、デング熱ウイルスに対してアモトサレンとUVA照射による病原性低減化技術が血小板だけでなく新鮮血漿にも有効であったという報告です。

 文献3は、出生後のサイトメガロウイルスの感染経路について米国からの報告です。サイトメガロウイルス抗体陰性血で、白血球除去された輸血は極低出生体重児の感染予防に有効であり、出生後の感染経路はほとんどが母乳であったという報告です。

 文献4は、イランからの報告ですが、ドナーからの臍帯血でヒトヘルペスウイルス7のRNAの陽性率を調べた研究です。

 文献5は、中国で献血血液及び血漿分画製剤中のヒトボカウイルスDNAの陽性率を調査した研究報告です。

 ページをめくっていただいて6番ですけれども、文献6は米国でのヒト顆粒球アナプラズマ症の血小板輸血による感染疑いの症例報告です。

 文献7は、イタリアで血小板輸血によるリステリア菌の感染が疑われた症例です。

 文献8は、米国血液センターからテキサス州でシャーガス病が土着している可能性に関しての報道です。

 文献9は、米国血液センターから米国FDAがシーラス社のインターセプトという病原体低減化システムの血漿及び血小板製剤への使用を認可したとの報道です。

 文献10は、輸血による変異型クロイツフェルトヤコブ病の感染率を推計した研究です。

 文献11は、変異型クロイツフェルトヤコブ病と診断された患者の輸血歴を調べた研究で、変異型クロイツフェルトヤコブ病ではないと考えられていたドナーからの輸血感染の可能性について述べた論文です。

 文献12は、フランスからの報告で、羊のスクレイピープリオンが人畜共通感染症である可能性についての研究報告です。

 文献13は、ノルウェーからの報告で、屠殺された牛のサーベイランス調査でBSE疑いの牛が見つかったという報告です。

 以上、前半を御報告いたします。

○田野崎委員長 ありがとうございました。

 ここまでの研究報告について、委員の先生方から御意見などございましたらお願いいたします。いかがですか。

○岡田委員 文献3のサイトメガロウイルスの感染の報告なのですけれども、我が国においても未熟児ですね。極低出生体重児でサイトメガロの感染が起こって輸血の副作用として報告されているんですけれども、なかなかその原因がわからなかったのですが、この米国の報告によると輸血に使ったものはサイトメガロの抗体陰性の血液で、なおかつ白血球除去をされているような検体を使って解析したら輸血によるものはなくて、かわりに陽性になった子供は調べると母乳にサイトメガロが検出されたということで、多くの感染例はどうも母乳を介して感染したのではないかということで、サイトメガロの感染が起こったときに輸血の原因も少しはあるかもしれませんけれども、母乳ということも注意して解析をしないとなかなかその原因がはっきりしないということで、その母乳からのルートを明らかにした報告だと思います。

 あとは、文献の6番でアナプラズマ症に関してです。これは顆粒球の中に感染しているウイルスなのですけれども、白血球除去は有効ではないかと考えられましたが、確率論になると思いますけれども、感染が起こる場合があるという報告です。このアナプラズマ症というのは実は日本にも存在していて、SFTSですね。重症熱性血小板減少症と非常に臨床症状が似ているので、鑑別診断にこのアナプラズマ症はなる疾患なんです。

 それで、日本で今、非常にSFTSが注目されているので、熱が出て血小板も下がるとSFTSを考えるかもしれませんけれども、日本にもアナプラズマ症というものが存在しておりますので、こちらのほうは適切な抗生剤を投与すると一応効果があります。一方、SFTSは効果がありません。そういう面では、ちゃんと鑑別をしないと治療効果が期待できるチャンスを失ってしまうということで、このアナプラズマ症というのは重要なんです。両方ともダニにかまれて感染するので発生地域もかなり重複しておりますので、非常にまれな疾患なんですけれども、そういう面では注意する必要があるということです。

 あとは、10番の報告はこのレポートを書いた人たちが感染実験を行ったのではなくて、これまでに文献に報告されている霊長類を用いた感染率を計算して、脳の重量当たりどのくらい感染性があるかというのをヒトの血液に当てはめて統計計算をしたところ、76%くらい感染するんじゃないかということを計算しています。

 それで、別の実験で今まで輸血で4例のVCJDが起こっていまして、その感染例もやはり感染する率を別の人が計算しているのですが、その計算も大体このくらいの値だということで、非常に近い値が出たという内容の報告です。

 だから、白血球除去をしていないと76%くらいの率で感染が成立してしまうということですね。それで、白血球除去をした後は1例も出ていませんので、この76%の数字が大分低くなるということが期待できると思います。以上です。

○田野崎委員長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。

 では、室井先生お願いします。

○室井委員 この3番の文献は、すごく重要だと思うんです。76.2%の母親は抗体陽性で、通常アメリカはもっと少ないと思いますから、日本に似たような状況のもとで母乳をあげるとお子さんにうつる可能性がありますので、これは極めて大きな重要な論文だと感じました。以上です。

○田野崎委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 では、どうぞ。

○花井委員 サイトメガロウイルスについて、日赤のほうで陰性血の供給を一部やっているということを伺っているのですけれども、参考までにですが、一般論として産科領域では事前に検査というのはサイトメガロウイルスはやらないものなんですか。HIVとかはやりますね。どうなんですか。

 もともと妊婦さんが陽性であれば対応可能な話だとは思うんですけれども、もし御存じの方がおられたら確認まで、もしそれがないということであればやはり関連学会にそういったことを注意喚起するということはあっていいかと思いました。

○田野崎委員長 恐らくやっていないですね。

○岡田委員 それに関連して、NICUのドクターに聞いたことがあるんですけれども、やはりNICUで母乳は必須だということです。要するに、リスク承知で投与する。それにかわるものがないというんです。

 ですので、そうなるとこれは母乳中に細胞の中に潜んでいるのか、それともフリーで存在しているのかわかりませんけれども、例えば細胞の中に存在していればHTLVみたいに一回凍結したりとか加熱したりして予防できるのかどうかという研究をやっていただいて、もしそういう不活化ができるのであればそういう不活化したものを投与するということで低出生体重児の感染を防ぐことができるのではないかと思うんですけれども、まだこれは検討されていませんので、ぜひぜひその関連のほうで研究していただきたいと思います。

○田野崎委員長 少し輸血のこととはずれてはきますが、ほかはよろしいでしょうか。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 ちょっとおくれてしまいまして申しわけございません。もしコメントがあったのならば無視していただければいいんですけれども、12番のスクレイピーの伝播についての文献でございます。もともとはBSEとか、そういうときも種の壁というのが非常に問題になったのですが、種の壁の話としてもう一つ、いろいろな種の壁があるんだけれども、そのストレインによってSNPsがいろいろプリオンのタイプによってあって、そのタイプによっては種の壁を非常に超えやすいバリアントが存在するということが知られているので、ひょっとしたらこれもそういうふうな一つになるのかなという気がいたしました。

 それともう一つ、もしこれはコメントされていれば申しわけないのですが、1番のウエトナイルなのですけれども、3カ月と書いてあるのですが、論文を読みますと3カ月の後6カ月に飛んでいるんですね。それで、3カ月で1,000コピーぐらいの方もいらっしゃるので、結構こういう持続性が場合によっては高いと考えたほうがいいのか。今は半年たてばということで、半年たったときにはもうゼロになっているのでそういう意味では問題ないかと思うんですけれども、結構持続性が高いというのは注目していくべきことかと思いました。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 大体御意見をいただけたかと思いますので、それでは続いて後半の研究報告について事務局より説明をお願いいたします。

○近藤課長補佐 それでは、引き続き資料2-1の3ページ目、文献14から説明させていただきます。

 文献14は、エジプトからの報告で、ジェノタイプ4のC型肝炎ウイルス慢性感染症者の配偶者におけるオカルトC型肝炎ウイルス感染を末梢血単核細胞中のHCV-RNAで評価した研究です。

 文献15は、フランスからの報告で、ブタの生レバーを含む加工食品中のB型肝炎ウイルスのRNAを調査したところ、最大3割で検出され、土着のE型肝炎の感染経路と考えられているという報告です。

 文献16は、キューバで感染後3年以内にエイズを発症する新しいCRF19と名づけられたHIVの変異株が広がっているというUP通信からの報告です。

 文献17は、ニューカレドニアからの疫学調査報告ですが、太平洋地域で2012年以降デングウイルス、チクングニアウイルス、ジカウイルス感染症が流行し、今後も続くことが予想されています。

 文献18は、フィリピンの村でヘニパウイルスの流行があり、ウマからヒトだけでなくヒトからヒトヘの感染が確認されたという報告です。

 文献19はオーストラリアからの報告で、臓器ドナーからレシピエントへコクサッキーウイルスB3が伝播した症例報告です。

 文献20は、韓国での重症熱性血小板減少症候群、SFTS2013年の疫学調査報告です。

 文献21から23は、米国でダニにかまれた後死亡した1例からソゴトウイルス族の新しいウイルスが見つかり、バーボンウイルスと名づけられたという報道です。

 文献24は、米国で新しいポックスウイルスによる皮膚感染症2例の症例報告から、ウマとの人畜共通感染症が疑われているという報告です。

 文献25は、エチオピアでマラリアではない急性熱性疾患の流行があり、大規模DNAシークエンシングにより原因としてサシチョウバエ熱ウイルスが特定された報告です。

 資料2-1の説明は、以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 ここまでの研究報告について、委員の先生方から御意見などございましたらよろしくお願いいたします。

○山口委員 ちょっと気になるというか、本日のほかの議題とも関連するのでE型肝炎の15番の報告なんですけれども、これは食品からくる。食品でもいわゆる生レバーとかそういうものではなくて、多分ペーストとかそういうものも含めてなのだろうと思うんですけれども、そういう加工食品の中からもB型肝炎が感染する可能性があるということで、前から非常に気になっているのが、昔評価された東京が非常に高かったという抗体保持率ですが、そういうことにも関連するのかなという気がしてちょっと気になっております。

 あとは、資料3-2のところでE型肝炎の個別NATをやったら結構頻度が高くなってきているという結果があるんですけれども、つい最近生レバーが禁止されたので、これは今後どのぐらいの頻度になってくるのか。恐らく、データを突き合わせれば非常に大きな要因がどこかというのはわかってくるのか、ちょっと期待はしております。

○田野崎委員長 どうもありがとうございます。

 では、大平委員どうぞ。

○大平委員 今のE型肝炎のお話ですけれども、日本では生のブタレバーの食用の検視というのでしょうか、それは出ていますが、こうした加工食品で感染の危険性、リスクというのがこれだけあるとしたら、正直言って驚きなんです。それで、食品として真空パックとかいろいろな形で輸入は結構されていると思うんです。ですから、そういう問題について今後の調査だと思うんですけれども、後で出てきますが、北海道だけではなくて全国的にいろいろな検査をしていくことによって分布がどういうふうになっているかとか、それはこれから必須の問題じゃないかとは思います。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。あとは何かございますか。

 岡田委員、どうぞ。

○岡田委員 14番でオカルトHCVというのは私も初めて聞いて文献で調べたんですけれども、この14番の報告では血清中の抗体も陰性で細胞だけ陽性だというデータなんですね。それで、違う論文ではこの存在を否定するような論文もありますので、まだこういうオカルトHCVがあるかどうかという議論があるんじゃないかということです。

○田野崎委員長 どうもありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。

 私から16番のところですけれども、このHIVの新規株、CRF19というのは今、日赤で実施しているNATで検出できるようなものでしょうか。コメントいただければと思います。

○日本赤十字社田所経営会議委員 ここの変異は今の日赤のNAT検査のプライマーの設定範囲とはちょっと違うのでカバーできている検出できる範囲です。それからもちろん抗体を持っていれば抗体では検出できます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。

 そうしましたら、事務局は今後とも引き続き感染症定期報告の収集等をお願いできればと思います。

 次に、議題3の「血液製剤に関する報告事項について」になります。遡及調査の進捗状況や副作用感染症報告の状況、これまで報告された事例のその後の対応状況等について事務局から説明をお願いいたします。

○近藤課長補佐 それでは、資料3-1「供血者からの遡及調査の進捗状況について」をごらんください。

 まず4ページ目、右上に別紙1と記載されている日赤から報告された遡及調査実施状況をまとめた表がございます。右端の列、平成26年4月1日~平成27年3月31日が去年度の状況です。平成26年度の遡及調査対象となった献血件数は右上の数字にありますように総件数5,964件、そのうちHBV5,872件といずれも左の平成25年度の数字に比べて大幅に減少しています。そのうち、個別NAT陽性となった件数は表右中ほどにありますようにHBV28件、HCVHIVはいずれもゼロ件で、最終的に医薬品副作用感染症報告を行った件数は右一番下にありますようにHBVHCVHIV、いずれもゼロでした。HBV陽転事例に関しては、平成24年8月よりHBc抗体の基準を厳格化した影響と考えられております。

 資料3-1は、以上でございます。

 次に資料3-2、「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について」をごらんください。表紙の1つ目のポツですが、今回の調査機関、平成26年4月1日~平成27年3月31日において輸血用血液製剤で感染が疑われる事例のうち、劇症肝炎例や死亡例等の新規報告はありませんでした。

 1ページをごらんください。過去に報告されたHBVHCV感染疑い事例についての継続調査のまとめです。新たな更新情報はございません。

 次のページをごらんください。平成27年2月~平成27年4月における感染症報告事例をまとめております。輸血用血液製剤について、23件の報告がありました。内訳は、HBV感染報告事例が5件、HCV感染報告事例が9件、HIV感染報告事例は1件、その他の感染症報告として8件あり、HEVが1件、サイトメガロウイルスが2件、細菌感染が5件でした。

HBVHCVHIVの感染報告事例のうち、献血者の個別NATが陽性になった事例はゼロ件でした。

 「HIV感染報告事例」についてですが、詳細は9ページの表をごらんください。9ページの上に、「輸血によるHIV感染報告例」があります。受血者については輸血前と輸血後の抗体の情報がないのですけれども、去年の3月に多発外傷に対して赤血球血小板、新鮮凍結血漿が投与されています。ことし4月の手術前検査で、HIVRNA及びHIV抗体陽性が判明しました。投与された製剤は23名の供血者からの血液でしたが、保管検体は全て個別NAT陰性で、23名中15名はその後献血に再来され、再度HIV陰性を確認しています。残り8名に関しては、再来されておりませんので不明です。

 その他の感染症報告例のうち、HEV感染の1件についての詳細は同じページの下の表にございます。供血者は北海道でE型肝炎ウイルスの個別NATが陽性になったことから、北海道以外の地域で献血したときの保管検体を調べたところ、NAT陽性と判明したものです。保管検体、患者検体ともHEV、ジェノタイプ4が検出され、塩基配列は検査した範囲でほぼ一致いたしました。受血者のE型肝炎は劇症化することなく、現在回復されております。

 その他の感染症報告例のうち、サイトメガロウイルス感染の2件についての詳細は次の10ページの表にございます。上は血小板輸血を受けた新生児の症例ですが、供血者2人のサイトメガロウイルス、個別NATはともに陰性でした。母親のサイトメガロウイルス抗体は陽性でしたが、個別NATは陰性でした。

 下の症例も新生児症例ですが、血液、尿、便のサイトメガロウイルスDNA配列が検査され、母乳中のサイトメガロウイルスの配列と一致したことから母乳感染と考えられています。臍帯血からは、サイトメガロウイルスのDNAは検出されませんでした。いずれの症例も、現在回復されています。

 その他の感染症報告例のうち、細菌感染の4件についての詳細は11ページの表にございます。最初の2件については、明らかな因果関係は証明されておりません。

 なお、次の12ページの2件に関しては現在調査中とありますが、投与中止製剤を用いた血液培養検査では陰性が確認されております。

 感染症報告の詳細は、以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。HEV感染が一番確定的であって、サイトメガロウイルスに関しては恐らく母乳からであろうというようなことだと思いますが、委員の先生方から御意見等ございますでしょうか。

 では、花井委員どうぞ。

○花井委員 供血者から始まる遡及調査で、通年でHBVHCVHIVがゼロ件だったのは、もしかしたら遡及調査を始めて初ですね。原理的にはCとIは完全に防げたわけではないし、Bは恐らくコア抗体のクライテリアによるものだと思うんですけれども、個人的には一つの事件です。ライシャワーさんから始まった事業の一つの事件ですね。ですから、直接これで原理的に完全にリスクを抑えられたわけではないですけれども、これまでの関係者の努力に敬意を表する必要があるかと思いました。

 もちろん次年度そうとは限らないですが、6364年から目指してきたものが一つの形になったと思いました。以上です。

○田野崎委員長 今、事務局のほうからの御説明がまだ続いていたようだったので、続けていただいてからのほうがよろしいですね。

○近藤課長補佐 失礼しました。3-2と3-3の説明の続きをさせていただきます。

 資料3-2です。試行的HEV20プールNAT実施状況についてです。15ページをごらんください。北海道で実施しておりますE型肝炎に対する20プールNATスクリーニングの結果です。平成26年からは個別NATになっております。一番下から2つ目の行に、直近の情報として平成27年1月~4月の情報が記載されております。HEV-RNA陽性者数は34名と、去年度の陽性者数と既にほぼ同数であり、内訳はジェノタイプ3が23名、劇症化が懸念されるジェノタイプ4が5名でした。陽性率は0.037%と高く、これは平成26年8月から導入された個別NATにより検出精度が上がったことが影響していると考えられます。

 資料3-2の説明は、以上でございます。

 続きまして、資料3-3をごらんください。1ページ、表の一番下の行ですけれども、ことしの第1四半期の献血者におけるHIV陽性件数は15件で全て男性でした。前年同時期の陽性件数は20件でしたので、前年に比べ減少しております。右下の数字は献血10万件当たりの陽性率ですが、1.204と例年と変わりありません。

 ページをめくっていただいて3ページになりますけれども、HIV陽性の献血者数を年齢階級別に示したものです。こちらの資料は昭和61年からの累計値になっておりますが、男性が女性の13倍で、2030代の日本人男性が全体の約7割を占めております。

 次のページで、4ページ目は都道府県別のHIV陽性件数を表にしたものです。平成27年の第1四半期は10の自治体から陽性者の報告があり、前年同期は11自治体でした。都道府県別では兵庫が4件と一番多く、既に去年1年間の数、5件に迫っております。次に、東京、千葉の2件と続きますが、前年4件だった大阪は今期1件と減少しています。

 次に、5ページをごらんください。ブロック別に献血者10万人当たりのHIV陽性数を見ますと、近畿と九州・沖縄ブロックに多い傾向が続いています。

 6ページ目をごらんください。年齢階級別のHIV陽性献血者数と10万人当たりの人数を示したものです。平成26年については、表の一番右が平成26年の数字ですが、16歳~19歳は2件、20代が前年25件から10件減少し15件、逆に30代は前年19件から5件ふえ24件、40代が前年16件から3件減り13件、50代以上は8件でした。なお、62件のうち女性は3件のみでした。

10万人当たりでは30代が2.317と最も多く、20代と30代を合わせると39件で全体の63%を占めております。

 次に7ページ目ですけれども、献血者10万人当たりのHIV陽性者数の男女別の推移ですが、近年ほぼ横ばいです。

 資料3-3は、以上でございます。ありがとうございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。先ほどはどうも失礼しました。委員の先生から御意見がございましたらお願いいたします。

 では、山口委員どうぞ。

○山口委員 先ほどの話の続きになるんですけれども、資料3-2の試行的HEV-NAT検査で、初めの4カ月で34でのポジティブが出たという個別NATをやった影響で、これは通年にすると100件くらいになりそうで、これを逆算するとこれまで大体3040件で、その差をとるとそのくらいがすり抜けていた可能性もひとつあるのかなと。

 ただ、もちろんそれで劇的な症状があったということではないのだろうとは思うのですけれども、今回の34件というのはどのくらいのコピー数があったのかということがおわかりでしたら教えていただきたいと思います。要するに、結構ぎりぎりのコピー数だったのかなという気がするのですけれども、ポジティブ率だけでそこまで調べていないですか。

○田野崎委員長 よろしければ、日赤のどなたかから。

○日本赤十字社田所経営会議委員 もう一回質問を確認させていただけますか。

○山口委員 意図して聞きたかったのは、多分個別NATをやって非常に高感度になったためにポジティブ率が高くなったんだろうと思うのですけれども、今まで年間を通じて3040件くらいのポジティブ率だったということは結構ぎりぎりの人たちというか、今回見つかった中にぎりぎりのバイレミアの人がいたのかなということを知りたいんです。

○日本赤十字社田所経営会議委員 ちょっと手持ちにIUレベルの分布は持っていないんですけれども、かなりぎりぎりのものも多くて、繰り返し検査すると2回目は出ない。もう一回行ったときも、2回続けて出ないというようなかなり低いレベルのが多かったと思います。

 いずれにせよ、以前20プールでやっていたときは50 IU/ml 20倍ですから、トータルでいうと1,000IU/mlくらいの感度だったと思うんです。ですから、それでほとんど防げたということは感染レベル、感染閾値というのはかなり高いところにあるのかなという感じはしています。

○山口委員 今後のことも考えて、その辺がわかったらそういう意味でもう一度これを解析していただけるとありがたいと思います。

○田野崎委員長 食肉規制が始まって、ちょっと高い値が見えてきたので差がそこで余計わかりやすくなっていいかとは思いますので、また引き続きわかりましたらお願いいたします。

○岡田委員 この平成27年からのものは個別NATなので、同時並行で生化学の検査をやっていますね。ですから、この中には肝機能異常か何かで従来ははじかれていたものまで入っているということですか。余り関係ないですか。

 要するに、20人プールのものをやっているときは、一方で肝機能が悪い人ははじかれて、それを通った人に対して20人プールでやっていたと思うので、現在は同時並行ということで肝機能が悪い人まで入っているのでこういう頻度が高くなるとか、そういう可能性はないんですか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 ALTの高いものは個別NAT陽性になったものの中では数少なくて、10%もなかったと思います。

○岡田委員 影響ないということですか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 はい。

○大平委員 そうなると、これまでやはり埋もれていた部分が改めて浮き彫りになってきたということでもあるわけですか。実態の潜在的な罹患率というものが高くなったというふうに解釈してよろしいですか。

○田野崎委員長 いかがでしょうか。何ともあれかなと思うのですが。

○岡田委員 それと、ジェノタイプ3が多いので、感染がたとえ成立しても無症候で治ってしまっている方が多いので気づかれることはないということで、そういう面ではE型肝炎を発症する人はごく一部なので、やはり行政的に対応するのはなかなか難しい。ほとんどの方が、恐らく感染しても治ってしまう。

 東京都などで以前検査したときには、抗体の保有率が献血者の10%くらいあるという報告がありましたので、もしその人たちが本当に発症しているんだったらすごい数の肝炎の患者さんがいるはずなのが非常に少ないというのと、一部のどういう方が発症しやすいのか、もちろんそのバックボーンはわかりませんけれども、ごく一部の方が発症するというのが現状だと思います。

○室井委員 この15ページのHEV-NATのところで、最初は男性、女性の比率がほぼ同じだったのが、最近は男性がすごく多くなっているんですね。これは、食生活のことと考えてよろしいのでしょうか。昔の平成17年は1対1くらいだったのが今は4倍くらい男性が多いのは、そういう食生活によって差が出たと考えてよろしいのですか。

○田野崎委員長 これも、食肉規制の後をフォローしていくと何かわかるかもしれません。

 ほかにどうぞ。

○岡田委員 Eのほうに皆さん注目されましたけれども、HIVに関して4ページですね。数は少ないんですけれども、兵庫県が現時点で去年の数に達するくらい多くなっていて、その分、大阪が減っているということで、兵庫県で例えば従来の対策、例えば保健所で無料で検査をやっていたようなところをやらなくなったとか、そういう行政的に変化があるのかどうか確認していただきたいと思います。

○近藤課長補佐 わかりました。確認いたします。

○田野崎委員長 ほかはよろしいですか。

 皆さん、どうもありがとうございました。それでは、議題4に移りたいと思います。日本赤十字社から、まずは資料4-1「病原因子低減化技術」の説明をお願いいたします。

○日本赤十字社五十嵐副本部長 それでは、資料4-1をお願いいたします。「血小板製剤に係る感染性因子低減化技術導入の検討状況について」ということです。

 「1.日本赤十字社における検討状況」ですが、これまでの血液事業部会、運営委員会、安全技術調査会における審議結果に基づき、重篤な細菌感染を惹起する可能性がある血小板製剤にリボクラビンを用いた感染性因子低減化技術を導入するための事前評価を実施してまいりました。

 ウイルス及び細菌等の事前評価結果につきましては、次ページの表1に示してございます。事前評価については、昨年3月に開催された本委員会に報告したとおり終了したことから、現在開発業務受託機関との契約など、医薬品医療機器総合機構への相談準備を進めているところでございます。

 2番目として「海外の状況」ですけれども、文献や不活化のメーカー等からの情報をもとに取りまとめた海外の状況を表2に示してございます。小さくて申しわけございませんけれども、表2には安全対策関連、感染性因子低減化技術の導入状況、それと血液製剤の有効期間等についてまとめてございます。特に、安全対策につきましては細菌のスクリーニングを導入している国が結構多い。日本は、そのかわり有効期間を短くして対応しているというところでございます。それと、感染性因子低減化技術を導入している、特にヨーロッパの国においては細菌対策で導入している国が多いというようなことがわかります。

 続きまして、3番目としてアメリカのAABBが血液製剤の低減化についてのシンポジウムを開催いたしました。その内容がABCニュースレターに出ておりましたので、その仮訳とともに添附してございます。

13ページをごらんいただければと思います。ここにABCニュースの仮訳をつけてございますけれども、「背景と主な課題」のところの真ん中辺になります。PRTというのは低減化技術ですけれども、低減化技術が血小板の細菌汚染に起因する輸血用副作用のリスクを大幅に減らし、血液の安全性に関する先行的な対策となるが、同技術の費用は大きな障壁となっているというところで、全体の会議が総括できるかと思います。

 あとは、特に問題になるところですと、先ほどのE型肝炎につきましては15ページの真ん中より若干下目のフランスのところで触れられていますけれども、フランスでアモトサレンによる不活化を導入しているのですが、E型肝炎については余り有効でないというようなことが書かれております。

 また、その上のスイスは唯一100%導入している国でありますけれども、このスイスにおいては血小板製剤に関する出血の増加や医療者負担も報告されておらず、副作用が減っているというようなことも書かれてございます。

 1枚目に戻っていただきまして「今後の課題」ですけれども、表1に示しましたように血小板製剤に感染性因子低減化技術を導入する目的は細菌対策で、細菌検査の省略による経費削減ということも理由としている国が多くなっております。

 それで、日本においては血小板製剤の有効期限を諸外国より短くすることなどの細菌対策を講じており、特に初流血除去及び保存前白血球除去導入後は輸血による細菌感染の死亡事例は報告されておりません。

 最後に、そのグラフをつけてございます。別紙2ですけれども、上のグラフが日赤の結果になりますが、2006年の4月に死亡事例がありました。それで、2006年の10月以降に血小板に初流血除去を導入しておりまして、それ以降、死亡例は報告されていないという状況でございます。

 一方、下段には参考としてアメリカの死亡報告のグラフを添附してございますけれども、米国では赤血球で年間1~2例、血小板ですと年間4~5例の死亡の報告がございます。こういう状況でございます。

 また、1枚目に戻っていただきまして最後ですけれども、先ほど申しましたように現在医薬品医療機器総合機構への相談準備を進めております。それで、感染性因子低減化技術で処理した血小板の導入目的や供給方法、全製剤に処理をして常時供給するのか、あるいは緊急時のみに対応するのかということも含めまして改めて御意見を頂戴したいと考えております。

 4-1につきましては、以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。これにつきまして、何か御質問などありますでしょうか。

○花井委員 最後の図にあるように、やはり細菌感染の重篤死亡例があり、それを踏まえての話であったけれども、初流血剥除によって改善しているわけですね。各国のものを見ると結構インターセプトが多くなっていて、これは新興感染症にも効くということになれば、日本でも今、新興感染症の問題が今度は別の問題として挙がってきている以上、そのストラテジーとして細菌感染だけにターゲットを絞るのか、新興感染症ということも考えるのかというのは、ひとつ考えなければいけないかと思います。

 だから、このままいくとミラソルはこれでいくというのですけれども、いわゆるコストベネフィットは余り血液では言わないのですが、今後戦略として細菌感染が初流血剥除によって改善しており、これはどうもミラソルのほうを見るとデングとかには期待できないと書いてあって、何となくインターセプトを比べるとこちらでいいのかなと、ちょっと素人っぽいのかもしれませんが、そういう疑問が生じるんです。状況が変わって感染症の問題もちょっと変わってきている中で、やはりもう一回専門家の意見をそこはちゃんと聞いてからのほうが、導入してしまうとそれで大きなコストもかかるでしょうし、いろいろなことが必要なのでしょうけれども、やはり新興感染症という視点も持ったほうがいいんじゃないかという感想ですが、専門家の先生方はいかがですか。

○山口委員 専門家と言えるどうかわからないですが、前から私はFDAも従来のB型、C型とか、そういうものに対して不活化工程を入れることは費用対効果からも余り得策ではないということは明記されています。

 そういう意味では今、花井さんがおっしゃったように、いわゆる何らかのアウトブレークが起きたようなときの対策としてこれの承認を持っておくというのは私は大事なような気がするんです。承認を持っておかないといざとなったときに使えないわけで、承認を持っておいて例えばデングはそれほど重症化ではなかったですけれども、バイレミアが起こるC型インフルとか、そういうときにもし検査が間に合わない、あるいはその検査をすり抜ける可能性が高いときなどはやはりこういう対策をとっておく必要があるかという気がいたします。

 あとは、細菌感染に関していえば先ほど説明になったような初流血除去とか、そういうことでもう一つは検査をすればと、今はたしか無菌試験に関して血液製剤は全例検査ではなくて抜き取りの検査だけですね。そうすると、余り費用対効果というのが出てこないような気が私はしているのですが。

○岡田委員 初流血除去と、あとは白血球除去によって細菌感染のリスクは期待以上に効果があって、現状からいえば細菌感染を目的とした病原体の低減化技術の導入というのはコストを考えると必要ないんじゃないかと考えられます。

 その一方、昨年デングウイルスの感染があったり、お隣の韓国で今MERSが、もちろんMERSが輸血による感染があるかないかはわかりませんが、どうも世界中でいろいろな感染症の流行があるということなので、この数年の流れとしてどちらかというと細菌よりもウイルス対策ということが必要になってきたのではないかと思います。

 もちろん、ウイルスに対して低減化技術は万能ではありませんので、やはりつなぎという意味合いが強いかと思います。つまり、NATシステムが確立するまでの間をつなぐために、特に血小板に関しては有効期間が短いということで不活化の技術を検討しておいて、少なくとも日本で使えるということを確認しておくことが必要ではないか。もちろん常時使用することはなくて、何らかの非常時が起こったときに承認がないと超法規的に導入せざるを得ないというのは余りにも厳しいので、臨床試験をやって承認を得ておくということが必要ではないかと思います。

 そう考えると、リボフラビンの系はこれから治験をやるというのは安全技術調査会でもう一度検討してもらう必要がないか。そうしないと余計な費用もかかってしまうし、そういうことなので一旦ペンディングにして安全技術調査会のほうの検討に委ねるということはどうなのでしょうか。

○田野崎委員長 大平委員、どうぞ。

○大平委員 多分これは諮問のことで提出されているんだろうと思うのですけれども、実際に日赤としては導入検討中という形になっているのですが、このデータは素人でよくわからないところがありますけれども、本格的に導入するような意思というのはかなり固まっているのか。それとも、まだ世界の状況ですとか、それからまた安全技術調査会のほうでもう一回きちんと何か検討していただいて、そこから改めて導入のほうの話に移っていくのか。そこのところはもう一度お聞きしたいところがあるのですが、いかがでしょうか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 確かに、以前考えた時点から大分安全度合いというのは変わってきて、HIVHCVHBVは、かなり安全性が高まった。細菌感染についていうと、先ほど報告されたように少なくとも死亡例はこの10年間くらいはないという状況ではあります。

 ただ、丸っきり安全かというと、たまに血小板製剤に凝集などが見つかって、年間3~4例は外観異常や凝集異常から細菌が含まれているということが判明した例はあるので、リスクはゼロではない。しかし、重篤なところまでいっても死亡までには至っていないという現状にあります。ですから、そのときに不活化をするのかというのは医療上の費用対効果も含めてもう一回検討する、皆さんに議論いただく必要はあるのではないかと思っています。

 それからもう一つ、新興感染についていうと、やはり何を想定するのかということで大分違っていまして、チクングニアやデングはさほど重症ではないけれども、身近にはきている。しかし、ミラソルはこれらに対しては余り効かない。

 ただ、重症の例えばMERS-CoVとかインフルエンザの強毒性型、これには効くということはわかっています。もちろんシャーガス等の原虫についても効く。もっとそれについていうと、インターセプトはE型肝炎とかHAVに余り効かないということがあって、何を想定してやるのかということが1つ。

 それからもう一つ、ウイルス感染が起きたときに現状では1種類の製剤しか不活化はできない。しかし、輸血ではコンビネーションで使われることが多いということから、いわゆる新興感染の予防として不活化、血小板1種類のものは有効かという議論はイギリス等でもされていて、細菌感染ということであれば血小板に限定する。あるいは、HEVということであれば移植に使われる血小板ということで、それはそれなりに意味があるかもしれないけれども、果たして新興感染というものにどれだけ有効性があるのかということも少し考える必要はあるかと思っています。そういう意味では、もう一度広く議論いただくということもぜひお願いしたいと思っています。

○岡田委員 リボフラビンの系に決めたときに、一方のシステムは日本の血液製剤の現状にサイズが合わないということで、それで結構ネックになったんですね。それで、今その一方の会社も日本のシステムに合うのかどうかというのは非常に重要だと思うので、それを調べていただけると非常に助かると思います。

 つまり、ヨーロッパのシステム、サイズですね。バッグのサイズとかがヨーロッパのままだと、日本では導入というのはかなり厳しくなってしまうんですけれども、それが日本のサイズに合うようなものを用意しているということだとまたちょっと話も違ってくるかと思いますので、その辺をぜひ調べて情報提供してください。

○日本赤十字社田所経営会議委員 現在のところはない。ただ、日本がその方法を選択してやると決めればつくっていただけることは可能かもしれない。決めるという前提になるかと思います。

○田野崎委員長 何となく現時点では今、必ずしも必要がないわけですけれども、今後必要になってくるかもしれない。緊急時においてはいずれもその場、その場に合わせた低減化というものを導入できるように、いろいろ使えるようにしておければというようなことが今の時点の意見なのかと思いました。

○室井委員 この表2で各国の導入状況とそのメリットが書いてあるところで、放射線照射とか細菌スクリーニングの中止というようなことが結構ございまして、これはインターセプトを導入した場合に照射の中止とか、そういうものが可能だと考えてよろしいのですか。ミラソルではちょっと無理だと。

○日本赤十字社田所経営会議委員 X線照射に関しては、我々が調べた限りでは今までの放射線以上に十分、効果があるだろうと考えています。

○室井委員 では、どちらの方向に関してもそこはやらなくても済むようになるかもしれない。緊急時にはそこは同じだということですか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 ただ、諸外国ではバクテリアのスクリーニングをやっていますね。日本ではやっていない。その費用が大分違うということが1つと、諸外国血小板の廃棄率というのは15%くらいあるのですが、日本は血小板の有効期間が4日間と非常に短いのですが、それでも1%前後で、有効期間を延ばす。あえて不活化をして有効期間を延ばすというメリットは、余り日本においては考えられないというようなこともあります。

 それから、放射線照射というのはコストでいえば1,000円前後ですね。そうすると、不活化というものは何万円になるかというのはあろうかと思いますので、それが導入することで省略できるものの費用としては、コストだけ考えたときにはそう大きくはないとは思います。

 ただ、いずれにせよミラソルでも十分放射線照射にかわるだけの不活化能力はあります。

○室井委員 わかりました。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

 そうしましたら、資料4-1の「病原因子低減化技術」の案件については安全技術調査会においても検討いただきますようお願いいたします。

 続きましては、資料4-2の「洗浄血小板製剤」の説明をお願いいたします。

○日本赤十字社五十嵐副本部長 資料4-2をお願いします。「洗浄血小板製剤の医薬品製造販売承認申請について」でございます。

 血小板輸血において、血漿成分等に起因すると考えられる副作用の防止には、血小板製剤の洗浄が有効とされております。日本輸血・細胞治療学会が定めた指針に基づき調製され、臨床現場で使用されているという状況です。

 洗浄血小板の製剤化につきましては、かねてより医療機関から要望がございまして、日本輸血・細胞治療学会及び日本血液学会からも製造及び供給に関する要望書が寄せられたことから、今般、下記により洗浄血小板製剤について製造販売承認申請を行いましたので報告をさせていただきます。

 「販売名」ですけれども、照射洗浄血小板‐LR「日赤」、それと照射洗浄血小板HLALR「日赤」、各10単位製剤です。

 「製造方法」につきましては自動血球洗浄装置を使用し、血小板保存液を用いて洗浄し、同液に浮遊したものです。血小板保存液とは、ACD-A液と重炭酸リンゲル液、ともに市販されているものを約1対20で混和したものでございます。

 「有効期間」は製造後48時間以内ですけれども、ただし、原料となる照射濃厚血小板製剤の有効期間内ということで申請をしております。

 申請年月日は、平成27年3月12日でございます。

 上記承認申請事項につきましては、今後の審査等により変更される場合等がもちろんございます。それと、標準的な承認審査期間は約1年とされております。以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 何かこれに関しまして御質問等ありますでしょうか。

○室井委員 私は病院で約1,000床のベッドがあるんですけれども、輸血の副作用は年間に大体300件ぐらいあって、その4分の3ぐらいは血小板なんです。いつもそうなのですけれども、でも洗うと減るというのはわかっているんですが、自前ではということがありまして洗ってはいないんですけれども、この製剤の使用に縛りがつくのでしょうか。要は、例えば副作用の経験をした方に使えるとか。

○日本赤十字社五十嵐副本部長 今の洗浄血小板につきましては通常の血小板と同じ申請内容、後発品の扱いになりますので、添附文書上とかは今の血小板と同じです。

○室井委員 とすると、医療側で必要があれば自由にオーダーできる、発注できるということになりますね。

○日本赤十字社五十嵐副本部長 ただ、どうしても受注生産にならざるを得ないというところと、やはり洗浄の費用が洗浄キット等を使います関係でかなり高くなってしまうということはございます。

○室井委員 多分、かなり要望があると私は思うんです。血液内科の患者さんは頻回に輸血しますので、PCでアレジーを起こした方に使用したい要望がすごく多いものですから、そうすると大丈夫かなという懸念がちょっとあるんです。

○岡田委員 やはり私もそう思います。日本赤十字社がお考えになっているよりも、恐らくオーダーは多くなるんじゃないかと思うんですね。

○田野崎委員長 私どもの病院でもかなり血小板を年間洗っておりますけれども、院内で上清置換というのでやっておりますので、費用によってどのぐらいオーダーするかというバランスが変わってくるかと思います。

○山口委員 具体的にはPMDAで審査されるんでしょうけれども、ちょっと気になったのは48時間以内という有効期間が切られていて4日間よりも短い設定になっている。要するに、有効期間は洗浄することによって安定性は少し悪くなるというふうなことなのでしょうか。要するに、48時間と設定されたのはどういうことなのか。

○日本赤十字社五十嵐副本部長 ほかの二次製剤と言われる洗浄赤血球とか合成血が48時間であるということが1つですけれども、あとはもとの原料の血小板の有効期間を超えるのはやはりまずいだろうということを含めて、供給面で配慮をしまして48時間以内ということにさせていただいています。

 採血翌日に洗浄すれば48時間丸々なんですけれども、採血2日後、翌々日に洗浄しますと、元の採血後48時間のほうが早くくるという格好です。

○山口委員 ちょっと気になったのが、1日目で洗浄されるとそこから48時間だと3日目まで一応OKで、4日でだめになるということですね。4日は有効期間外になるわけですね。

○日本赤十字社五十嵐副本部長 採血翌日に洗浄したとすると、4日目の例えば洗浄した時間までという格好になります。ですから、通常の血小板よりも短くなります。

○岡田委員 これは、実際に患者さんに投与した場合の血小板の回収率とか、そういうものは一応データがあるのでしょうか。

○日本赤十字社五十嵐副本部長 私どもは臨床試験は行っておりませんで、今までのいろいろな学会等のデータで申請をさせていただいております。

○室井委員 これは、多分海外ではないですよね。こういう洗浄血小板の製品というのは、私の知っている範囲で世界初じゃないでしょうか。違いますか。

○日本赤十字社五十嵐副本部長 私も全部見たわけではないですけれども、最近あるかどうかはわかりませんが、以前ニューヨークブラッドセンターのホームページに生食で洗浄した血小板というのが載っていたことはございます。

○室井委員 今回ルーチンで出すというのは、かなり大きなインパクトがあると思うんです。ちょっとくどいですけれども、これはオーダーにちゃんと対応できる体制じゃないと多分臨床側がすごく混乱するんじゃないかと思います。

 ですから、一応受注生産で2日前でしたか、通常の血小板と同じような形でオーダーしておけば、センターとしてはちゃんと洗って供給してくれると考えていいわけですね。

○日本赤十字社田所経営会議委員 当初は、これはやはり輸血副作用があった場合ということを前提にして申請を出していました。そう考えてやっております。

 ただ、その効能効果が一緒ということで、確かに輸血副作用を防ぐという目的のための治験はやっていないので、そこを表示はできないというPMDAの指摘はあるわけですけれども、当初の目的は輸血副作用、アレルギー性の副作用があったときの予防ということを考慮してつくられており、それの製造量を想定した設定をしています。

 ですから、これが一挙に全製剤に変わるということになると、今言われた有効期限の問題もあり、受注生産のこともあり、提供する側も丸っきり普通の製剤と同様に注文されたら、率直に言って今、対応できる状況にはございません。

 ですから、そこはどう表示するか、どうコンセンサスを得るのかというところはあるかとは思うんですけれども、使い方としては副作用のある方に使っていただきたいというのが現状です。

○室井委員 私ども、副作用は先ほど300件中4分の3ぐらいの血小板という話をしましたけれども、全部前投薬をしても同じ患者さんが何回も起こすんですね。だから、その方は多分適応になると思うんですが、うちの単一病院にしても少なからずの数だと思うんです。ですから、くどいですけれども、それを全国の血液内科の病院に合わせるとやはり結構な数じゃないかというのが私の考えです。

○田野崎委員長 このような製剤が出るということは世界的にも初めてでしょうから、こういうのは学会、アカデミックなところで議論して、適応や何かをちゃんと整理していったらいいのではないかと思います。

 あと一つは、洗浄することによる感染性因子低減化との関係というか、こういうのは何か検討されていらっしゃいますでしょうか。

○日本赤十字社五十嵐副本部長 これについては、まだそういうものは検討してございません。低減化を導入するのであればまた別の承認になりますので、別の製剤として検討していくつもりにしております。

○田野崎委員長 今、私が申したのは洗浄などをすることによって病原因子がある程度減るのではないか。それによる、これに関する付加的な要因が出るのかなと考えたのですが。

○日本赤十字社五十嵐副本部長 洗浄法として原理は遠心分離なので、細菌を除くことはなかなか難しいと思います。ウイルスであれば、上清に流れていく分はあるかもしれません。それで感染率に差が出るかどうかはわからないところです。

○花井委員 承認申請では、これまでの血小板の有効性と全く変わらないということですか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 承認条件としてはそうなりそうだと。

○花井委員 だとしたら、付加価値が全くないという評価になってしまうのですか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 効能効果としては、従来の血小板と同じです。それで、用法用量等で何とか副作用の予防ということを入れたかったのですが、そこはなかなか。

○花井委員 入っていないんですか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 申請には出しています。

○花井委員 それが乗らなかったら、コストが乗らないでしょう。それでは逆にコストが乗らないと今、言ったロジスティックスをもっと充実するとか、そこに投資する日赤としてはないので、今後安定的にもっと供給する体制にするのであれば、それが乗って、そこにある程度コストとして評価され、それが乗ってこないと、日赤の努力でやっていただけるのであればもちろんそれは一番いいですけれども、厳しいことになりませんか。

 血液の話だから必ずしもほかの医薬品と同じじゃなくてもいいという部分もPMDAとしてもいろいろあると思うんですけれども、今のままだとちょっと。

○日本赤十字社田所経営会議委員 ですから、申請としてはできたらというか、我々の申請自体、用法用量の中でそういう副作用の予防ということを入れて申請をさせていただいているのですけれども、それについては先ほど言った治験等を実際にやっていないので、用法用量という中で入れることはいかがかということの指摘を現在受けているところです。

 ただ、現実問題としては、何ら書かない格好で同じ製剤として使われるのはコストの問題以上にそのキャパシティーの問題としてできないし、先ほどの有効期限の問題や受注注文ということからいっても、従来の血小板にかわるものとして出すのはちょっと無理がある。

 それで、我々は将来的には置換血小板といって採血時点で血漿を30%から40%まで減少させる方法、そういう採血時に置換液を加えるという方法を考えていまして、それが今の例えば赤血球でいえば赤血球MAPと同等の製剤で、将来のいわゆる血小板の主流になるものだという具合に考えています。

 ただ、今回は副作用の予防ということの要望が広く、強くあったので、これをまず出すということで戦略的にこれを先に出しました。ただ、その結果、現在こちらの意図とは違う格好での指導を得ているところなのですが、何らかの表示、いずれかの指導、あるいはガイドライン等で何か工夫をしないと混乱を生じると思いますので、ここは少しいろいろな方の知恵もお借りして、本来の目的として使えるようにしていくことが必要だと思います。

○花井委員 わかりました。同じ局内なので、事務局もその辺を踏まえて適切な形で上市されるように協力していただかないとちょっと変なことになる可能性があるので、そのあたりは事務局はどうですか。

○浅沼血液対策課長 事務局でございます。血液対策課長ですが、今、薬事の承認をしたところで日本赤十字社は頑張っているところなのですけれども、その承認された暁には、ずばりいえば薬価の話じゃないかとは思っていますが、もちろん効能効果は変わらないまでも安全性については確実に高まっているという話になるので、それをどういうふうに中医協等でも評価してもらえるか。

○花井委員 それ以前に、厳密にいえば今のは適応限定して、特に必要な患者さんに適応限定して、その適応限定の理由はそこにそういう効果があるということで、供給可能な範囲の患者さんに限定して、かつそれではある程度コストを見てというのが王道の戦略だけれども、今のお話だとこのままいくとそうならずに、現場としても何となく代替品としてオーダーする可能性があるし、コスト自体もその薬価自体も今おっしゃられたこともあるしということで互い違いになる形になるので、そこはある程度さばいておかないともしかしたら困ったことになる可能性があるんじゃないですか。

○浅沼血液対策課長 御指摘の点はごもっともだと思っていますし、私どもも省内でいろいろ要望する機会はございますので、この洗浄血小板についてはいろいろな局面で要望を担当部局のほうにはさせていただきたいと思っています。

○山口委員 今の話ですけれども、治験をやっていないとPMDAは認めにくいというのはよくわかるんです。

 だから、2つ可能性があると思うんですけれども、1つはもう一度治験をやるかどうかですね。治験をやる予定はないのか。要するに、これだけ臨床現場で要望されているのであれば、治験をやってどれだけの症例数をやるかによると思うんですけれども、それでちゃんと認められれば当然うたえるはずだと思いますし、もう一つは公知申請というのも考えられるのかなという気がするんです。

 その辺は、これから1年間PMDAと交渉されるんでしょうから、少し検討いただけるといいのかなと個人的には思います。

○日本赤十字社田所経営会議委員 そこは、おっしゃる可能性も含めてPMDAとも相談しながら進めていきたいと思います。

○田野崎委員長 そうしましたら、今までの御意見を参考にして進めていただけますようお願いいたします。

 続きまして、資料4-3「NAT不具合案件」の説明をお願いいたします。

○日本赤十字社豊田製造販売総括管理監 資料4-3をごらんください。2月の委員会で報告させていただいておりますが、ことしの1月に中四国ブロック血液センターで発生しました核酸増幅検査の不具合についての続報でございます。

 そのときの「不具合の概要」としましては、704本の検体のうち陽性が104本と多発したというものでございました。これらの検体はすぐに九州ブロック血液センターに送りまして、改めて核酸増幅検査を実施し、その結果に基づいてその血液製剤は製品化されております。

 原因についてでございますが、もともとその不具合の発端となりましたのは、核酸増幅検査装置5台のうち1台が故障したものでございます。通常、装置の中では検体の核酸を増幅しまして検出した後、次亜塩素酸を注入して核酸増幅産物を分解して廃棄するという一連の操作が自動的に行われておりますが、このメーカーのエンジニアによる修理中の試運転におきまして、検体の核酸を増幅させたところで装置がストップしました。

 このようなときにはメーカーのマニュアルでは、装置のマニュアル操作で検体に次亜塩素酸を注入して核酸増幅産物を分解させた後に廃棄することとなっておりましたが、その分解の処理をしなかったために、その後のエンジニアの作業を介して次の検査用に準備していたチップ等の備品に核酸増幅産物が付着し、そのチップ等が使用されたことにより他のNATの装置の検査において陽性が多発したものと考えております。

 さらに、その備品に付着した状態で再検査を実施しましたり、他の日常業務が行われたことにより、検査室全体に核酸増幅産物が広がったものと推測しております。

 その後の「対応状況」についてでございますが、当初は核酸増幅検査の全面稼働につきましては新たな装置の確保、検査エリアの準備等、不確定なものが多かったため、輸血用血液製剤の安定供給の観点から血小板検体の核酸増幅検査の再開を優先させることといたしました。

 不具合が起きました検査室は5階でございますが、4階の部屋に新たに核酸増幅検査装置2台を準備しまして、3月2日より血小板のNATを再開しております。血小板以外の検体につきましては、引き続き九州ブロック血液センターと近畿ブロック血液センターに検体を送付して核酸増幅検査を実施しております。そのため、血小板以外の血液製剤についても安定供給はできております。

 それから、核酸増幅検査装置については汚染された5台は撤去させていただきまして、血小板の2台とは別に新たに3台確保させていただきました。その他、検体の開栓に使用する装置も汚染されておりまして、クリーニングは困難ということで新たに製造させております。それが、7月完成の予定でございます。

 検査室につきましては、核酸増幅産物を分解させるために次亜塩素酸ナトリウム等を用いたクリーニング、そのクリーニングの確認のためのスワブテストを何度も繰り返しまして、現在ではほぼ全ての箇所で陰性化しております。そのクリーニングの結果が良好なことから、同じ検査室内の隣のほうに新たな核酸増幅検査専用の検査室を設けまして、まだ工事中ではございますが、8月末に完了を予定しております。その後に新しい装置を搬入、またバリデーション等を経て、10月1日をめどに全面稼働させる予定でございます。

 「再発防止策」につきましては、本不具合の発端となりました修理時の作業はメーカーのエンジニアにしかできない作業でございますが、そのメーカーに対して強く改善を申し入れておりまして、国内に常駐する7名のエンジニア全員に対する教育訓練や、マニュアル改訂等が行われております。このエンジニアの方は、この装置について一定のトレーニングを受けて合格した者だけがエンジニアの資格を持てると聞いております。

 また、血液センターにおいては、中四国ブロック血液センターの職員には核酸増幅産物の拡散防止に関する教材とマニュアルを作成して教育訓練を実施しております。また、同様にほかの検査施設においても教材を配布するとともに、本不具合の発生原因等について情報共有を行い、さらに通常では想定されない陽性が多発した場合には再検査は行わず、その装置の使用を直ちに中止し、日赤の本部及びメーカーに連絡する手順を周知しております。以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 本資料につきまして、何か御質問はありますでしょうか。再発防止策など、細かい点についていろいろありますが。

○岡田委員 (4)は「附属装置の準備」ということで、栓を開ける装置も汚染されちゃったということで、しかも機械の内部までが汚染されちゃったんですけれども、どうすればこういう汚染が起こってしまったんですか。要するに、ただ触っただけでは内部までは入らないと思うんですけれども、例えば空気中にとか。

○日本赤十字社豊田製造販売総括管理監 核酸増幅産物はほこりにくっつきやすいという性質がございまして、そのほこりに乗って備品だけじゃなくてそこに侵入したのではないかと考えております。

○岡田委員 逆に言うと、ほかの施設も一歩誤れば汚染されてしまうという危険性もあるので、特に以前の20人プールのときはセロロジカルで一応陰性のものを選んでやっていたのが今は同時ですから、かなりウイルスの量が多いものも当然入ってくるので、やはりコンタミ防止のほうはちょっと注意しないと何カ所も閉鎖とかになってしまうと。

○日本赤十字社豊田製造販売総括管理監 今回はコンタミではなく、あくまでもメンテナンス上の不具合でございます。日赤職員は修理することはできませんので、あくまでもエンジニアにしかできない作業でございます。

○岡田委員 わかりました。

○田野崎委員長 大平委員、どうぞ。

○大平委員 エンジニアの人のみができるという話なのですけれども、それについてのいろいろ定期点検とか、そういうものに対しての最終確認というのはどこが行っているんですか。

○日本赤十字社豊田製造販売総括管理監 装置のバリデーションという意味でしたら、職員立ち会いのもとにバリデーションをさせていただいております。正常に稼働するかどうかということの検証でございます。

○大平委員 では、その方も一緒に確認されているわけですね。最終的に確認して、不具合がないということで。

○日本赤十字社豊田製造販売総括管理監 はい。メーカーのエンジニアと職員が同席の上でバリデーションを実施するということでございます。

○大平委員 その後、すぐにこういう事故が起きたということですか。

○日本赤十字社豊田製造販売総括管理監 これは修理の途中の試運転のときにとまったもので、バリデーション時の試運転ではありません。それで、とまったときの処理の仕方をエンジニアが間違えたということでございます。ですから、そのバリデーションをとる過程で職員が立ち会ってどうのということではございません。

○山口委員 これは確認だけですけれども、多分エンジニアの方が開けてはいけないものを開けてしまってミストか何かで出てしまった。これは、その部屋だけで汚染はとまったんですか。要するに、多分陰圧になっているかどうか、そういうことでその部屋だけでとまったということで理解してよろしいですか。

○日本赤十字社豊田製造販売総括管理監 陰圧にはしておりませんけれども、すぐにその部屋から汚染が広がることのないように対策は講じております。

○大平委員 今、事故の報告とか、そういうことを淡々と説明されておりますけれども、本来はやはりあってはいけないことだと思うんです。そういうところはメーカーのいろいろな多分補償があって、後の復旧とか、そういうのはできると思うのですけれども、日赤のほうは互いの今、血液事業としては赤字を抱えているということもあるので、そういうことがまた、いろいろな意味での累積赤字みたいな形にならないように、ぜひそこは気をつけていただいて、こういった問題が起きないようにということでよろしくお願いしたいと思います。

○田野崎委員長 どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、資料4-4「岩手針刺し案件」の説明についてお願いいたします。

○日本赤十字社國井医務採血課長 資料4-4をごらんいただけますでしょうか。1月に発生しました岩手県赤十字血液センターにおける献血者への誤穿刺事例につきまして、前回、委員の先生方から御質問がございました内容を含めまして再度御説明をさせていただきます。

 1の「事故の概要」でございますが、平成27年1月191542分ごろ、岩手県赤十字血液センター管内の移動採血車による献血会場におきまして、採血前の検査を行う看護師がA献血者に使用した比重針、これは検査専用の針でございますが、この専用の針をリキャップし、一時的にキャップ台に立てたまま廃棄し忘れ、誤って次の献血者にも使用してしまうという事故が発生いたしました。穿刺直後に比重針のチューブ内に血液が付着していることに気づきまして、即座に抜針しております。

 2の「事故後の対応」でございますが、1月19日、岩手県赤十字血液センターから血液事業本部へ本件事故の第1報の連絡がございました。同日、B献血者に対し御本人の同意を得て感染症関連検査を実施しております。感染症関連検査の項目は下記の「※」印に詳細を記載してございますが、全ての検査項目が陰性であることを確認しております。

 1月20日、血液事業本部から厚生労働省血液対策課へ本件事故の第1報を御連絡いたしました。また、岩手県赤十字血液センターから岩手県健康国保課に本件事故の第1報を連絡しております。

 同日、A献血者の感染症関連検査結果につきまして、HBs抗体以外の検査項目は全て陰性であることが確認できたため、ウイルス等の感染の可能性は極めて低いことをB献血者に御説明させていただきました。また、B献血者につきましては6カ月間、定期的な追跡検査を行うことを御了承いただきました。

 これらの検査結果につきましては、2月17日、3月18日、4月20日、5月20日、資料には記載がございませんが、6月18日に5回目の検査を実施させていただきまして、全て陰性であることが確認できております。

 1月22日、岩手県赤十字血液センターが本件事故に関するプレスリリースを行っております。内容は、別紙1として添付させていただきました。

 次に、3の「今回の事故の問題点」についてでございますが、今回の事故は検査を行った看護師がA献血者に使用した比重針をリキャップし、一時的にキャップ台に立てて廃棄し忘れたため発生いたしました。

 その原因としましては、血液事業本部作成の採血部門の上位文書である標準作業手順書(SOP)に「原則として、使用済みの使用針はリキャップをせずに廃棄する」となっていたことから、岩手県赤十字血液センターではリキャップしないことによる二次感染のおそれを考慮して、岩手県赤十字血液センター制定の採血管理マニュアルにおいて「使用後の比重針はリキャップしたのち廃棄すること」としていたこと、また、感染性廃棄物が比重針を直ちに廃棄しにくい場所に設置されていたことが問題でございました。

 4の「再発防止策」でございますが、(1)の「岩手県赤十字血液センターの再発防止策」としまして、1月20日から県内全採血施設において次の改善を実施いたしました。

 マル1、穿刺後の針を直ちに廃棄できるよう、感染性廃棄物容器の配置を見直し、容器が転倒しないように固定しました。

 マル2、使用後の比重針はリキャップをせずに直ちに廃棄することといたしました。

 マル3、キャップ台を撤去し、比重針は使用直前に包装袋から取り出し使用することとしました。

 この内容につきまして、採血課の全職員に対して教育訓練を実施し、「岩手県赤十字血液センター採血管理マニュアル」も変更しております。

 別紙2として変更前の採血管理マニュアルと、別紙3としまして変更後の採血管理マニュアルを添付しております。

 次に、(2)の「日本赤十字社血液事業本部における再発防止策」についてでございます。1月21日、全国の血液センターの採血課職員に対しまして、使用済み比重針の取り扱いを徹底するよう「「使用済み比重針の取扱の徹底について」(総括副本部長通知)」を全国の血液センター所長宛てに、事故の翌々日に至急通知をしております。

 しかしながら、発生した事故の分析結果から、この内容では再発のおそれがあるということで再度内容を変更して通知をしております。

 2月20日、全国の血液センター所長宛てに「「採血前検査における使用済み比重針及び採血針の取扱いの変更について」(総括副本部長通知)」により、次の内容にて通知をしております。

 マル1、使用済み比重針の取り扱いをリキャップせずに直ちに廃棄すること。

 マル2、使用後の比重針を直ちに廃棄できるように感染性廃棄物容器の配置に配慮すること。

 マル3、血液事業本部作成の採血部門の標準作業手順書(SOP)をマル1及びマル2の内容に改訂修正したこと。

 マル4、SOP改訂に伴う実際の比重針の取り扱い状況等を、3月15日までに血液事業本部に報告することといたしました。

 別添5、別添6-1から6-3に通知文、採血管理SOPの記載変更部分を添付しております。

 この「「採血前検査における使用済み比重針の取扱いの変更について」(総括副本部長通知)」に基づき、平成27年3月31日をもって全国全ての施設において安全な廃棄環境を整え、リキャップをせずに廃棄する手順に変更されたことを確認しております。

 別紙7に、改善済み結果を添付させていただきました。

 最後に、5の「都道府県の対応」でございますが、2月10日から20日にかけまして県内採血施設8カ所で、また3月17日に2カ所で、岩手県庁及び保健所による立ち入り調査が行われ、廃棄環境が改善済みであったことから改善指摘事項はなかったとのことでございます。

 報告は、以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 リキャップしている施設はかなり多いということに驚きましたけれども、それらが全部改修されてその後の立ち入り調査も行われているということですが、いかがでしょうか。

 では、どうぞ。

○大平委員 こういった献血の問題というのは、やはり最初に献血者の安全というものが一番肝心だろうと思うんです。ですから、献血者の安全を考えると、こういった事故が起きて、そして献血者に対してどういう対処をされたのか。医療的なところでの対処の報告がありましたけれども、きちんとどういう形でおわびをしたのかということと、それから今、言及されましたが、リキャップしている施設というのはかなり今までは多かったということで、これは感染性というよりは採血するところには不特定多数の方が来られるので、そこについてやはり感染性の問題というのは重要視して採血されていると考えていたわけですけれども、そこではリキャップしないですっと捨てるというのが今の感染管理の院内での多分原則だろうと思うんです。

 そのような形で、医療的な行為としては不適切だったのではないかということは前にもちょっとお話をしたんですけれども、それが一つの手順書とか、そういうものも事業本部の手順書と、それからセンターごとの手順書というのはそこがきちんと整合性が合っていたかどうか。そこは今回調べていただいて、センターはセンターなりにそういうものをつくっておられるということで、これはやはり日赤の血液事業の一つの大きな責任としては一本できちんとできているというのが本来は本道ではないかと思うんです。ですから、そういった点でこれからそごのないような形の組織管理というものをしていただきたいということがやはり強く求められるのではないかと思います。

○山口委員 今回の話はマニュアルのちょっと曖昧な部分と、現場でのミスという2つが重なってしまったのかと思います。それについては今回改良いただいたのだろうと思うのですが、ちょっと気になるのは、いただいた資料の別紙の7で全国の採血現場でのマニュアルの対応がリキャップの実施でこれだけばらついている。

 これは、昔の日赤の体質がここに出ているのかなと、ちょっと辛口でいいますとそういうことかと思います。多分、都道府県ごとにかなり独立性があって、医薬品の製造現場ですのでこの辺はきちんと統一のとれた対応をしていただくことが必要なのではないかという気がいたします。

○田野崎委員長 日本赤十字社の皆様におかれましては、委員の指摘事項を踏まえて適切な事業の運営を行っていただくようにお願いしたいと思います。

○花井委員 今、山口委員が言った意見に上乗せする話なのですが、これは半世紀やっているわけですね。それで、この移動採血車というのは日本の献血のある種の個性でもあって、つまり狭い室内でやる話で、動線も含めてこれを半世紀やっていれば多分、各センターは各職人芸でそこの現場がやっていて、それがずっとそうだということで、しかし半世紀やれば理想的なものは全体として収れんしていくはずで、今となっては理想形の何種類か、極論すれば献血車内の配置のモデルをこの3種類から選べとか、マニュアル手順についてもこれで統一するとなっていても全然おかしくないのに、別紙7を見て、あり、なし、あり、なしというのはちょっと驚愕です。

 なので、この機会にこの県はこの県で対応されたということなのですが、これは完全に標準化して動線から何から何まで、ほかに廃棄物のボックスの形もいろいろあるようなのですが、本部で標準化してそれ以外は選択しないという形にしたほうがいいと思うんです。そのときは、やはり本部が余りトップダウンでやると現場もいろいろあると思うので、それぞれのところでいいところをとって検討して最善の何種類か、私は50年やったら大体1種類に収れんすると思うんですけれども、それは幾つかバリエーションがあってもいいのですが、今回は徹底してやっていただいたほうがいい機会なのでぜひお願いします。

○日本赤十字社國井医務採血課長 採血バスに限りましては、大型車ですとか中型車ですとか、都市部ですとか、それ以外の場所でやはり環境が違いまして、動線的にはほぼ一緒ではあるのですけれども、特に採血前のドクターと検査のところが少し構造が違うということはございます。

 ただ、今アドバイスいただきましたように、統一できるような方向で検討したいと思います。ありがとうございます。

○室井委員 私は情報の公開も早くて、改善点もよくわかって大変よかったと思うんですけれども、ちょっと別件なのですが、献血したバックの針はリキャップはしていないですね。

○日本赤十字社國井医務採血課長 献血した針に関しましてはニードルガードがついておりますので、速やかにニードルガードでカバーをして廃棄しております。リキャップではございません。

○室井委員 わかりました。

○田野崎委員長 よろしいですか。今回に限らず、恐らく定期的に何かしらの監査的なものが入るとか、そういうような仕組みが必要なんじゃないかと感じました。

 それでは、議題5に移りたいと思います。本議題については、参考人として化学及血清療法研究所より参加者が出席されますので、事務局から参考人の紹介と資料の説明をお願いいたします。

○近藤課長補佐 事務局より、参考人の紹介をさせていただきます。

 本日は化血研より、宮本誠二理事長・所長、千北一興常務理事・分画事業部門長、友清和彦分画事業部門事業推進部部長、以上3名に参加していただいております。よろしくお願いいたします。

○田野崎委員長 それでは、資料5について事務局からお願いいたします。

○金子需給専門官 では、事務局より資料5について説明させていただきます。一般財団法人化学及血清療法研究所、化血研において製造販売される血液製剤についてです。

 化血研が製造販売する血液製剤のうち、別紙の12製品26品目につきまして承認書と異なる製造方法により製造されていることが判明いたしました。具体的には、承認書に記載していないヘパリンを添加していましたり、承認書に記載された量と異なる添加剤を使用、あるいは承認書に記載された工程を一部改変したり、省略したりしていることが判明しました。

 なお、これら12製品26品目につきましては、これまで把握した情報や現在までの健康被害の報告からは健康に重大な影響を与える可能性は低いと考えております。

 厚生労働省としましては、12製品26品目について出荷を差し止めるとともに、速やかに承認内容の一変申請等の必要な対応を行うよう、化血研に指導しているところでございます。

 さらに、代替製品がないですとか、または代替製品に切りかえますと患者の生命に影響を及ぼすような6製品16品目、これは別紙の左側の1番から6番までの品目が該当いたします。こちらの6品目につきましては、医療現場での使用に影響が出ないよう、現在の正確な製造工程ですとか製造記録などによりまして、いわば暫定的な形で安全性を確認した上で、一変承認等の必要な対応がとられる前であっても例外的に出荷を認めることとしております。

 それでは、資料5について参考人より追加で説明をお願いいたします。

○化血研宮本理事長・所長 化学及血清療法研究所の理事長をしております宮本でございます。

 このたびは、大変申しわけございませんでした。患者の皆様方、医療関係の皆様方を初め、多くの皆様方に御迷惑と御心配をおかけしておりますこと、心よりおわび申し上げます。このたびのことは、血液事業を担う医薬品メーカーとしてあってはならないことでございまして、深く責任を感じている次第でございます。

 今、私どもは化血研の製品を必要とされていらっしゃいます患者様の治療に支障が生じることがないように、まず第一優先として一刻も早く出荷再開ができますように最大限の努力をしているところでございます。

 皆様方の信頼と期待を裏切る行為をしてしまいましたこと、深くおわび申し上げます。まことに申し訳ございませんでした。

○田野崎委員長 以上につき、何か委員の方から質問なりございますでしょうか。いろいろとあると思いますが、花井委員どうぞ。

○花井委員 全然わからないんですけれども、まずいつからこういうことになっており、誰がそれを発見、指摘しという経緯がまずわからないのと、それから前提としての事実関係がまずこれだけではわからないですよね。だって、結局GMP違反じゃないですか。そうすると、誰の責任においてこういうことをやったのかということもわからないし、そもそも査察が入っているはずですね。そうすると、査察官は何でそれを見過ごしたかという行政側の問題もあるんですが、まずこの経緯ですね。

 このように一変申請をせずにいろいろやったという決断を誰がして、いつからそれをやっていたのか。化血研にはまずそれを聞いて、それが実はそうだということはインスペクターに指摘されてばれちゃったという話なのか。内部で、えらいことになっているといって行政当局に報告したのか。まず、そこの経緯の事実関係を教えてください。

○化血研宮本理事長・所長 まず、こういうことがいつから起こったかといいますとかなり古く、もう10年以上前に起こっておりました。ですから、今の段階で誰がということではございませんが、ではなぜ今見つかったかということでございます。

 なぜそういうことが起こったかということでございますけれども、まず工程の安定化とか品質の安定化のために製造部門でいろいろ技術開発してやっておりますが、そういうものを製造部門の中で判断いたしましてチェック体制が十分でなかったということがあります。それで、そのまま引き継いでおりましたけれども、今いろいろな医薬品の不祥事とか、コンプライアンスの問題が起こっておりますので、今年度の所長方針としましてコンプライアンスの厳格化、信頼性を担保するために特に品質においては最初から最後まできちんとした体制をやるようにということを方針として打ち出しました。

 そして、一同気を引き締めてそういう雰囲気といいますか、そういう体制でやってまいりましたところ、製造部門のほうからこういうことがあるという申し出がございました。そして、それを内部で調査いたしましたところ、ここに報告がありますようなことがあったということが確認できましたので、それで私どもこれは大変なことだということで当局のほうに御相談いたした次第です。

 そのときに相談いたしますとともに、自主的にこういう事態でしたので出荷を自粛いたしまして、そして当局と御相談していく中で当局から出荷停止の御指示をいただいて今に至っているということです。

○花井委員 わかりました。ということは、査察官が見落としたんですね。化血研から言われるまで、当局は気がつかなかったということですね。

○浅沼血液対策課長 今回の事案の確認をしたのは5月28日、29日の厚生労働省PMDA熊本県が立ち入り調査をした結果、今、申し上げたとおり承認内容と異なった製法で製造されているということが確認されたということですので、その以前に入っているGMP関係の査察では確認はされていなかったのではないかということは推察されます。おっしゃるとおりです。

○花井委員 5月28日の調査でということですが、先ほど宮本理事長が当局に報告したというのは何日のことなんですか。

○化血研宮本理事長・所長 27日でございます。

○花井委員 ということは、当局に先に言ってから行っているじゃないですか。だから、化血研のほうから内部でコンプライアンスをやって製造部門からこんなものが挙がってきました。えらいことですというふうに本省に言って、それを受けてPMDAが見に行って確認してやはりという話ですね。事実関係は、やっとわかりました。それで、国としての対応は今このようにしているということなんですね。

 もう一つ疑問なのは、もちろんこれは安定供給ということも大事なのですけれども、基本的にGMP違反じゃないですか。そうすると、まずとめる。それで、明らかにこれは安全上そんなに問題は、ましてやもう10年間使って何も起こっていないんだから大丈夫だろうということは結果としてはそうかもしれないけれども、では一変申請をしないまま出荷しているのは、限定的にエッセンシャルなものだけは患者が困るからということで許し、代替品があるものについてはちょっととめるという対応なので、ある種妥協的なのですが、その基準は誰が決めるんですか。

 例えば、極論すればノバクトがなくても別にほかはあるわけだし、コンファクトFに関してはフォン・ヴィレブランド病の患者さんだけに限定すれば別にあるんですよね。そうすると、コンファクトはフォン・ヴィレブランドを考慮してとなるとノバクトはなぜなんですか。何となくわかるんですけれども、その基準はどこまで必要だ。それで、とめるのはここまでだと誰かがデシジョンメークしたんですね。そこはどうなんですか。この運営委員会としての責任はないですか。

○浅沼血液対策課長 緊急事態ということもありましたので、これは役所のほうでまず判断しました。それで、物の考え方とすると、例えばアナクトのようにオンリーサプライの製品で、コンファクトについては実は市場の99%がこのコンファクトでフォン・ヴィレブランド因子。

○花井委員 それは、多分フォン・ヴィレブランド病の話ですね。それはわかります。

○浅沼血液対策課長 それで、後でまた議論してもらいますが、ベニロンに関しては免疫グロブリン製剤はたくさんあるのですが、ギラン・バレー症候群等に対する適応がこれしかないので、医療現場で混乱が起こるのではないかという発想ですね。献血グロブリンに関していうならば、投与方法がこの製剤ですね。髄腔に打てるのはこの製剤しかないということもありまして判断しています。

 それで、バイクロットについては特殊なこの製剤はこれしかないので、これも適応とします。

 ノバクトも血友病の治療薬ということもあり、これをノバクトで治療している方がまたほかの製剤に変えてしまうと自己抗体がいわゆるインヒビターの誘導が出るんじゃないかという専門家の御意見もいただいていたので、ここまでは考慮しています。

○田野崎委員長 今、供給の話にいってしまったのですが、その前の経緯の話というのが十分まだ整理されていないような感じがするのですが、これについてはもう長い間こういうようなことが行われていて、製造部門それぞれに責任者の方がいらっしゃって、そういう方々は手順を変えたときにこういうものを届けなくてもいいというふうに理解されていたからずっとこれがされていたのではないかと思うのですが、その辺は十分な知識を持たれていた方々が責任者としてなられていたのかどうか。いかがでしょうか。

○化血研宮本理事長・所長 時代とともに品質、体制は進んでおりまして、私どももその時代に応じて体制は整えてきたつもりでおりました。そして、教育もきちんとやったつもりでおりました。

 ただ、こういう表現が適切かどうかわかりませんけれども、技術の向上ということを必死でやってきておりまして、その技術の進歩の度合に対して薬事的な対応がおくれをとってきたということは確かにあると思います。それで、結果的にこういう事態を起こしてしまいましたので、そういった面では対応が不十分であったと反省しております。

○山口委員 1ページ目に書いてあるように、承認申請書と異なる製造方法で、この部分を見るとちゃんと表に書かれていないということはGMPというか、薬事法違反に該当するだろう。多分そうですね。

 それで、具体的な細かい話がわからないので何とも言えないんですけれども、医薬品製造というのはやはりそれなりに改善というのは必要だと思いますし、それをきちんとやっていくことはもちろん必要だと思いますが、それを一変申請しなければ当然、昔そういうメーカーがあって非常に大きな問題を起こしたことがあるので、今は血液製剤の原薬そのものというか、原体そのものがウイルス安全性も非常に進歩していますので、そう簡単には起きないだろうとは思うのですけれども、やはりこういう製法変更というのを一変をきちんと出していくということが非常に大切であって、PMDAもその一変を今ちゃんと期限を限って審査しますのでやれない話ではないと思います。

 やはり一変をさぼってしまっているというふうに私は思いますし、どういうふうな評価が行われていたのかはもう少し詳細に検討せざるを得ないのではないかという気がいたします。

○大平委員 経緯とか、大方のところは少しお話ししていただいたんですけれども、よくわからないのはヘパリンの添加をいつ始めたのかとか、それからまた量と異なる添加剤を使用したとか、それから一部変更、改変したとか、省略したとか、そういうところの工程の中で、それは社内でどういうふうに整理されていたのか。

 今、ほかの委員の方からもそういうお話がありましたけれども、そこの経緯が余りよくわからないので、化血研全体の問題なのか。それとも、製造部門の多分血漿分画を扱っているところの問題点なのか。そこのところが明らかにならないというので、こちらとしても判断が困ってしまうところがあります。その辺はもう少し教えていただけたらと思います。

○田野崎委員長 何か御説明できますでしょうか。

○化血研宮本理事長・所長 先ほど申しましたように、血漿分画製剤の製造部門におきまして日々技術の向上とともに改善していくということで、ある意味必死にやっておりまして、それが一変するという手続を怠ってしまって、それが乖離して今に至ってしまったということでございます。

○田野崎委員長 例えば、日々の技術の向上ということを考えていろいろ変えていっていると、それが積み重なっていくとかなり変わってしまっている可能性は当然あると思うんです。

 そのときに、今回長く使われていろいろな有害事象、副作用がそんなに出ていないからといっても、製造工程でどのくらい変わっているかというのは外部的、客観的に評価が十分されているわけではないように思うので、本来であればどんなに重要なものであってもそこで一回ちゃんと調査をしないといけないのではないか。国家の検定というものがされているので、最低レベルのものは保証されているということもあるので、どのくらい製剤が違っているか、どのくらい標準から離れているか。それとのバランスになるのかもしれないとは思うのですが、足りないからそれを使わざるを得なくてそのままやっていくのでいいのかどうか。その辺についても含めて、あとは同じ体制でやっていくと今後体質は変わらないままずっとやっていくことになるわけですけれども、その辺についていかがでしょうか。

○化血研宮本理事長・所長 本当に今回のことはあってはならないことで大変申しわけなく思っておりますけれども、私ども本当にこれを契機にしてゼロベースからまた立て直していかなければならないと思っております。

 それで、こういう場でこういうことを言うのもおこがましいのですが、私ども本当にいい製品をつくろうと努力してまいりましたし、血液事業を推進しようという思いでやってまいりました。しかし、今回のことで足元から全てが崩れてしまいまして御迷惑をおかけすることになりましたし、血液事業の推進に足を引っ張ることにもなってしまって、全てマイナスのほうにいってしまいましたけれども、私どもこれを機会に全てをゼロにしまして再度本当に患者様のために役に立ちたい。血液事業の推進に貢献していきたいという、その思いを胸にして再度頑張っていく所存でございます。

 先ほど申しましたように、何がまずかったかというと、やはり技術の進歩に対して信頼性保証部門の進み具合がおくれていたということだと思いますので、そういう信頼性保証部門の強化を核にしました組織体制をこれから構築いたしまして、こういうことが二度と起こらないような体制を組んでいく所存でございます。

○室井委員 この3点のことが書いてありますけれども、例えばヘパリンの最終濃度ですか。産物に関する、製品に関するヘパリンの最終濃度とか、「異なる添加剤」と書いてあるのですが、どういうものが使われて、それがどのくらい残っているかということのデータというのはあるのでしょうか。

○化血研友清分画事業部門事業推進部長 私のほうから説明させていただきます。

 今、厚労省のほうが品質評価を行っていただいておりますのでここで詳細を述べることはできませんが、ヘパリンに関しましては工程の複数の箇所で添加して製造を行っております。例えば、凝固因子製剤であれば下流工程に入れたり、またはAT3を取得するためにヘパリンクロマトグラフィー等も使用しております。それで、我々が今回おかしいとわかったところは、上流工程にヘパリンを入れていたということでございます。

 ただ、このときにこの後の工程に陰イオン交換クロマトグラフィーを顆粒に差し込んでいますので、その部分でへパリンは除去されるというふうなデータが今、取得できつつあるところでございます。

 ほかに添加剤の件でございますけれども、詳細は申し上げられませんが、医薬品の添加物として基本的には認められたものでありますし、量的にも問題がないということを我々としては確認しております。

 あとは、工程の一部改変省略ということもございますが、これは工程の安定化、または収率が上がったり下がったりばらつきがありましたので、それをコントロールするために製造部門のほうでいろいろ技術開発を行っていたということでございます。

○岡田委員 古い製剤というか、承認から大分時間がたっている製剤に関しては、その承認を得るときの承認書というのは正直言って現在のようにGMPできちんと管理されたものではないので、今の基準からいえば大分不備があるようなものだと思います。

 その結果、ある程度自由度があるのではないかと思って製造工程で見ながらいろいろなものを加えたりして、そのときに一変の申請をしなかったということで、振り返ってみるとしていなかった。そこで、これはGMP違反で薬事法の違反になったんだと思うんです。

 それで、今、我々が聞く限りにおいては詳細がよくわからないのですけれども、ひとつヘパリンの添加があった。かなり上流にあったということは確からしいのですけれども、その後に陰イオンカラムを通しているということで、ヘパリンは一応強力な陰性荷電を持っているので陰イオンカラムでは吸着しないので、必要なたんぱくはカラムのほうに吸着して、それでヘパリンはそのまま素通りするというのはかなり期待できると思うんですけれども。

○化血研友清分画事業部門事業推進部長 逆でございます。ヘパリンのほうが陰イオン交換に、より強く吸着いたします。

○岡田委員 では、そこで除去はできるということですか。

○化血研友清分画事業部門事業推進部長 まだ私ども完全には評価しておりませんが、ほぼ除去できているのではないかと考えております。

○岡田委員 それは、非常に重要な工程だと思いますので。

○化血研友清分画事業部門事業推進部長 また、ほかの製剤の小分けに関しましても今、幾つか残存量も測定をしております。

○岡田委員 わかりました。

 ところで、これは3つというか、トータルでどのくらいの基準書と違うような箇所があったのでしょうか。これだと、3カ所かと思うのですけれども。

○化血研友清分画事業部門事業推進部長 今ちょっと手元にございませんが、複数の工程でございます。

○岡田委員 わかりました。

○浅沼血液対策課長 2桁くらいです。

○田野崎委員長 あとは、例えばこれまでプレスリリースがあってからある一定の時間があったわけですけれども、現在内部的にどういうふうなことをこれから対策として考えてされているところなのかを御説明いただけるといいかと思います。

○化血研宮本理事長・所長 今、私どもが第一優先で考えておりますのは、まず先ほど申しましたようにこの製剤を必要とされている方々に支障がないようにということで、出荷の早期再開ができるように当局と御相談しながら進めているところです。それを、まず第一に考えております。

 それと、やはりなぜこういうことが起こったかということの調査を行いまして、そしてこれも先ほど申しましたけれども、こういうことが二度と起こらないような組織体制の改変を考えております。

○大平委員 今のお話は、逆のように感じるんです。やはりこれからの改善点というのはこういうふうに改善していくからということで、それをもって新しい製剤、今ストップしている製剤について使えるように皆さんにお約束しますというような形でないと、先にどうしても届けたいというのはあると思うんですけれども、でもそこの前提としてはどういうふうに社内の体質とか、それからまた製造工程にかかわる方たちの意識がどういうふうに変わって、いろいろ変えてもらうということについての教育の問題とか、そういうものが提示されて、そしてそれをもってこういうふうにやっていきますということをぜひ言ってから患者のほうに届ける。

 それが本当は本質なんじゃないかと思うので、これからも安心して使える製剤を供給しますというような形にしていただきたいと思うんです。

○山口委員 ちょっと確認だけさせてください。先ほど課長がおっしゃられたように2桁くらいの変更が行われているとしたら、場合によってはウイルスクリアランスの試算評価も必要になってくる可能性はありますか。

○化血研友清分画事業部門事業推進部長 それも含めて、ただいま検討中でございます。必要なものは、私どももまたデータを取得するという形になろうかと思います。

○室井委員 この1ページ目の配付文書の下から2行目の「正確な製造工程、製造記録などにより安全性を確認した上で」と書いてあるのですが、この文章というのは従来の方法に戻って製造したものと考えてよろしいのですか。1ページ目の下から2行目の「正確な製造工程、製造記録」の意味は、もともとの承認された製造法によって製造されたと考えてよろしいのですか。

○浅沼血液対策課長 こちらの話ですので、答えます。

 そのとおりです。そうであれば、要するに承認どおりの製造工程でつくれるならばいわゆる安全性も確認できるだろうという意味合いですので、製造書どおりできなければそれは確認できないということの裏返しです。

○室井委員 実際に難しいですね。

○浅沼血液対策対象 それは、そのとおりだと思います。

○花井委員 ざくっとはそんなに問題ないように思えるんですけれども、血液製剤は連産品だから必要なものだけは出荷している。それで、在庫がありますよね。在庫を吐き出して足りなくなると困るので、今でも工場のラインは動いている。絶賛稼働中ということですか。とまっているんですか。

○化血研宮本理事長・所長 いろいろ御批判はありますが、やはりこの製剤を欠かすことはできないという前提で製造は稼働しております。そして、いつでも在庫調整の問題が出て。

○花井委員 GMP違反の工場が絶賛稼働中という話になると、連産品だから絶対供給が途切れてはいけないものはとまっている間に干上がる可能性があるので、後ろは追いかけておかないといけないですね。だけど、実際問題としてその中で1から6まではつくるけれども、7か12まではつくらないというようなことも特にやっていないということですね。

 それは、さっきちょっと山口委員が言っていましたけれども、生物学的製剤基準に今のプロセスがちゃんと合致しているかどうかというチェックがされていないのに、一応6までは仕方ない。患者が困るというところは理解するにしても、どの時点でそれが確認されて、この出荷を容認するのかということが明確じゃないと、何かここで議題に出て、はい終わりましたといったら、私たちの責任として厳しいものがあると思うんです。

○浅沼血液対策課長 その点については御指摘のとおりで、今回だけで話が終わるわけではなく、いわゆる化血研事案については今後とも運営委員会でも適宜報告しますし、今どうしても当局と化血研の中で確認作業が進行形でありますので、資料がなかなか出しにくいところもありますけれども、まとまり次第またこちらのほうに提示して、例えば今のヘパリンの話につきましてもどんなヘパリンを使っていて、どこの工程でどういうふうなやり方をしていて、確認はどうして今時間がかかっているかなど、きちんと委員の皆様方にもお知らせしないといけないと思っております。

 ですから、供給再開を本格的に行う場合であっても、もちろんそれは運営委員会にも情報はきちんと提供していかなければいけないものだということは我々もよくわかっております。

 ただ、今の時点では後で議題になっていますけれども、献血ベニロンの話で出てきますが、こちらの資料5でいっている「安全性を確認した上で」という、安全性を今確認している段階なので、安全性はまだ現時点では確認されていないという状況です。

○花井委員 ここは、ぎりぎりの判断だと思うんです。はっきり言えば、本当だったら全部ストップなわけじゃないですか。

 だけど、評価として少なくともこれまで問題は起きていないんだから、安全性には問題はないだろうという推論は立つし、必要だというところなのですが、ここの運営委員会とか血液セクションからすると、やはり在庫がどのくらいあって、需要がどのくらいあって、今どのくらいの余裕があるかという供給面の現状の資料を出してもらわないと議論のしようがないので、前も献血血液が大変なときはちゃんとバックオーダーが幾らでとかやったじゃないですか。

 それがここの一つの役割だから、患者さんがこれだけいて、市場にこれだけ出回っている。問屋にこれだけある。在庫がこれだけある。それで、もしラインがとまったら何日しかもたないとか、何カ月分しかないとか、そういう情報を出してもらった上でこの報道関係者各位に書いてある内実ですね。必要なものは出しつつ、安全を確認しつつというぎりぎりの対応というものを承認していくというプロセスだから、やはり出せる情報が現状ではそちらのテクニカルの問題は難しいにせよ、供給面の情報は集めて早急に出してもらわないと困るし、場合によっては運営委員会は別に定例会ではなくて、それをわかり次第出していただいて供給状態がどうかというところを見据えておくというのがここの運営委員会の責任かと思うので、ぜひその資料を集めていただきたいです。

○浅沼血液対策課長 わかりました。もちろんある程度シミュレーションみたいな形にならざるを得ないところもあるのですけれども、そういったデータであればまた委員の皆さんと共有しながら進めていきたいと思っております。

 では、済みませんが、議事進行をお願いします。

○田野崎委員長 そうしましたら、供給というところで私もマル1からマル6は本当にやむを得ずこれをやらなきゃいけないという話はほかに製剤はないのかなと思わなくもないのですが、続いて追加で配付されました資料の「献血ベニロンの代替製品について」、こちらはまた別の話になりますので事務局より御説明をお願いします。

○金子需給専門官 それでは、説明させていただきます。

 資料5の3ページ目の横長の資料、右上に「資料5(追加)」と書いてある資料になります。今回、出荷を差し止めました12製品のうち、乾燥スルホ化人免疫グロブリン、いわゆる「献血ベニロン」につきましては、現在、安全性の確認がとれていないことから、例外的な出荷というものが認められておりません。

 そんな中で、こちらの献血ベニロンにつきましては、販社ですとか卸にある在庫から供給することで、医療機関の需要を賄っているところなのですが、そちら側の供給のほうも非常に逼迫しております。

 そこで、欠品が生じて医療現場の診療に影響が出ることのないよう、表の右側に挙げましたような代替製品の供給により対応したいと考えております。特に献血ベニロンの適応のうち、真ん中あたりのマル5とマル6のギラン・バレー症候群、チャーグ・ストラウス症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎)の治療に使用する場合につきましては、適応が献血ベニロンしか認められておりません。医療現場の混乱を防ぐためにも、これらの効能について、他のグロブリン製剤の使用を検討せざるを得ない状況でございまして、本委員会においてこの問題の対応について御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田野崎委員長 ありがとうございました。これについて、委員の先生方からはいかがでしょうか。

○山口委員 ある意味、このマル5とマル6という対象疾患を考えれば、何らかの対応が必要だというのはよく理解できます。

 ただ、ちょっと心配なのは、それぞれグロブリン製剤が多分製法の差異があると思うんです。その辺で、例えば含まれるIGGのコンテンツとか、その不純物とか、そういうものを含めてやむを得ない場合はそれで使ってもらわざるを得ないんだろうと思うんですけれども、もし医療現場でこれをオフラベルで使った経験があるようなものであれば、もちろんそれはある一定の評価ができるのだろうと思うのですが、全く使っていないものだとするとちょっとその辺に懸念が残るかと思います。

 それで、もう一つの可能性として考えられるのは、このマル5と、マル6のギラン・バレーと2つの疾患だけを認めるというのもちょっと難しい状況ですか。その辺は一応確認だけさせてほしいのですが、とめるんだったら全部とめるんだという方針であればもちろんそれでやむを得ないと思います。

 それから、この代替製品が提供しているメーカーの確認というか、これに使って大丈夫という十分な効果が期待できるという話を確認しておかないと、その辺が不十分なままだとちょっと怖いという気がいたします。

○浅沼血液対策課長 ギラン・バレーに関しては日本神経学会の先生方にも確認をしておりまして、恐らく大丈夫だろう。

 なぜ恐らくかというと、実はギラン・バレー症候群にこの献血ベニロンが適応となった承認日というのが平成12年で、それ以降は医療現場でもほとんど献血ベニロンで治療をしているので、この10年以上、他社製品で治療した経験がまずないということなんです。

 ただ、実はこの承認される前のときには、免疫製剤の大量投与治療というのは実は適応外でいろいろな製品でされていたという事実もあり、例えば他社製品でもそういった適応をやっていたという事実はあるので、あとの組成等から見ても大丈夫そうだろうというのが専門家の意見です。

○山口委員 その専門家の意見があれば、やむを得ないかなという気がいたします。

○田野崎委員長 今のように専門家の意見なり、そういうものを踏まえると、適応を一時的に拡大するという運用が可能であればこの提案というのは悪くはないかと思うのですが、いかがですか。

○室井委員 今のお話というのは、6品目を全部適応拡大するという意味ですか。この中に載っている表の全部の代替品の製剤を、2つの新しい病名に関する適応拡大をするという意味ですか。

○浅沼血液対策課長 具体的に申し上げますと、今おっしゃられたとおりで、ギラン・バレーとチャーグ・ストラウス症侯群についてこのベニロン以外の免疫グロブリンで治療をした場合でも、例えば私どもの局でいうならば、要するに副作用被害救済の際に本来だったらベニロンでないといけないのですが、ベニロンがないので、この他社製品で治療をした場合にそういった副作用が起きたときには対象として議論してもらう。あるいは、保険請求上のところでも配慮をしてもらうという措置をとらせていただけたらと思っています。

○室井委員 私は間違っているかもしれませんけれども、この機序を考えた場合にグロブリンのインタクト、FC部分がちゃんとしていないと効かないような気がするんです。それに該当するのは、この左から3つまでだったような気がするんです。ガンマガードとかサングロポールはその部分が多分ないので、効かないのではないかと今ちょっと思ったのですけれども。

○浅沼血液対策課長 わかりました。

○室井委員 そうすると、この3つしか該当しないのではないかと思います。

○田野崎委員長 先ほど国内献血、こちらの3製品だけに限ってというようなことをちょっと伺ったようにも思うのですが。

○浅沼血液対策課長 御意見はわかりましたので、尊重させていただくようにいたします。

○岡田委員 日本のメーカーで3つ挙がっているのは皆、完全型だったと思います。それで、あえて言えば各社製法によってIGGのサブタイプというか、G1とかG2とかですが、やはり微妙に違っている可能性もあるので、そういう面では性状が近いものを選ぶという手もありますけれども、差がないんだったら3社どこを使ってもいいということで、一過性、緊急の適応拡大でもいいと思います。

 一応各社でデータを持っていると思うので、各社で差がないことを確認できれば全部一斉でいいと思います。差があるようだったら、より近いものを選ぶということもあると思いますけれども、今データがないのでそれ以上は言えません。

○浅沼血液対策課長 それでは、運営委員会からの御意見で、ポリグロビンとヴェノグロブリンとグロベニンの3製品で代替をするようにという御指摘を受けたということでよろしいですか。

○田野崎委員長 そうしましたら、とりあえず先ほどの製剤に関しましてはまだ十分に議論が尽くされていないようではありますが、ガンマグロブリンに関しては今、話されたようなことで血液製剤の安定供給に支障がないように引き続き対応をお願いしたいと思います。

 では、最後の議題となりますが、議題6にとりあえず移らせていただきます。「その他」について事務局から御説明をお願いします。

○近藤課長補佐 ありがとうございます。資料6をごらんください。「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」を御報告申し上げます。

 フィブリノゲン製剤納入先医療機関を対象として、平成2510月に実施した書面調査について、平成27年5月29日時点の調査結果の内容は平成261216日に公表した調査結果から変更はありません。以上であります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 先ほどの議題5に関しましては、今お話ししたように少し議論が尽くされていないというところで、また引き続き検討をお願いしたいと思いますが、時間の関係もございますので本日の議題は全て終了ということで、ほかに何か御意見があればお願いいたします。

○大平委員 先ほどの化血研の問題ですけれども、お金とか、主治医の先生から今使っている製剤が大丈夫なのかという問い合わせがきているんです。

 でも、今やはりきちんとした手順を踏んで、そして供給できるようにしていただくということが大事かと思いますし、先ほどの議論はきちんとまだ整理されていないところもあるので、在庫の管理とか、どのくらいそれで補填できるのかどうかを見ながら製造のほうを、並行製造しているということ自体ちょっと理解できないところはあるんですけれども、そういった点も含めましてきちんと御報告していただければと思います。

○山口委員 先ほどのもので、議論が消化不良のまま終わっている部分もあると思うんです。いろいろな情報がまだ公開されていないのですが、ただ、場合によっては公開できないような情報もあるかと思うんです。そういう場合であったら、最後の結論はちゃんと公開していただくとして、その経過のここで議論する場合にクローズドでやってもいいのではないかという気がいたします。その辺を御検討いただければと思います。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

 それでは、事務局に議事を戻したいと思います。

○近藤課長補佐 田野崎委員長、ありがとうございました。

 次回の運営委員会の日程は、別途御連絡差し上げたいと思います。

 本日は、長時間にわたり委員の皆様、本当にありがとうございました。

 これにて、「平成27年度第1回血液事業部会運営委員会」を終了いたします。

○田野崎委員長 ありがとうございました。


(了)

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