ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会) > 第10回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成26年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録(2014年7月4日)




2014年7月4日 第10回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成26年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成26年7月4日(金)15:00〜17:00


○場所

航空会館大ホール(7階)


○議事

○事務局 それでは、定刻より少し早いのですが、先生方が全員そろいましたので、ただいまから「第10回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成26年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」の合同会議を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、ありがとうございます。

 初めに、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。

 副反応検討部会の熊田委員、薗部委員、永井委員、安全対策調査会の遠藤委員から御欠席の御連絡を受けております。

 現在、副反応検討部会10名のうち7名、安全対策調査会委員5名のうち4名の委員に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 また、本日は参考人として、愛知医科大学学際的痛みセンター教授、牛田享宏参考人、北里大学医学部精神科学主任教授、宮岡等参考人、徳島大学大学院臨床神経科学分野教授、梶龍兒参考人、山口大学大学院医学系研究科神経内科教授、神田隆参考人に御出席をいただいております。

 申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 留意事項に反した場合は退場していただきます。

 また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので御留意願います。

 本日の座長につきましては、桃井部会長にお願いしたいと思います。

 それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。

○桃井副反応検討部会長 それでは、始めさせていただきます。

 まず最初に、事務局から審議参加に関する遵守事項につきましての御報告をお願いいたします。

○事務局 審議参加について御報告いたします。

 本日御出席の委員及び参考人の方々の申請書類の関与については該当ございませんでした。

 また、過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受け取り状況について、これまでと同様に申告いただきました。

 本日の議事内容において調査審議される品目は子宮頸がん予防ワクチンであり、その製造販売業者は、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。

 委員及び参考人からの申告内容については、これまで受け取りのあった委員及び参考人について事務局より読み上げておりましたが、今回より、委員及び傍聴者の方に配付することといたしましたので、御確認いただければと思います。

 申告いただいた内容より、副反応検討部会の岡田委員が、MSD株式会社から、講演料または原稿執筆料として50万円以上500万円以下の受け取りがあるため、会議に参加し意見を述べることはできますが、議決には参加いただけませんことを御報告いたします。

 引き続き、委員におかれては、講演料等の受け取りについて通帳や源泉徴収票などの書類も御確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 これにつきましてはよろしいでしょうか。

 では、次に、事務局から本日の配付資料の御確認をお願いします。

○事務局 配付資料としましては、議事次第、配付資料一覧、委員名簿、資料1から12、参考資料1から4まで御用意しておりますので、配付資料一覧と照らして御確認ください。また、資料5及び資料6に関し、個別の症例ごとのリストを委員のみに配付させていただいております。

 足りないものや落丁がございましたら、事務局へお申し出ください。

 以上でございます。

○桃井副反応検討部会長 資料に関してはよろしいでしょうか。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 事務局から、まず最初に、資料1から3までの御説明をお願いしたいと思います。

○事務局 資料1から3まで御説明いたします。

 まず、資料1を御覧ください。「子宮頸がん予防ワクチン(サーバリックス)の副反応報告状況について」でございます。

 サーバリックスは、平成2112月より販売されております。昨年1225日の本合同会議において、昨年9月までの副反応の報告状況を報告しておりますので、今回は、その後の10月から本年3月末までの副反応報告をまとめております。

 1ページ目の中ほどの表になりますが、昨年10月から本年3月までの製造販売業者からの副反応の報告数は67例、このうちこの期間に接種された方は1例ございました。

 また、昨年10月から本年3月までの医療機関からの副反応報告は66例あり、このうちこの期間内に接種された方は2例ございました。

 また、同期間で医療機関からの重篤症例の報告は51例であり、その期間に接種された方は1例ございました。

 副反応報告の多くは、調査対象期間に接種された方ではなく、それ以前に接種された方のものが多くございました。

 なお、同表の「接種可能のべ人数」につきましては、出荷数に対して返品数が多くなっており、「−」という形で表記をしております。

 下の表になりますが、製造販売業者から報告された症例、医療機関から重篤として報告された症例を転帰ごとにまとめたものでございます。

 医療機関からの報告で、後遺症症例が1例ございました。詳細につきましては後ほど説明をさせていただきます。

 次のページからは、製造販売業者から報告された症例の一覧でございます。疼痛や四肢痛、歩行障害など、痛みや運動障害に関係するものが多く報告されております。

 6ページからは、平成251225日の本合同会議において既に報告されている症例でございますが、保護者報告、被害者連絡会からの報告、文部科学省調査の報告の資料をもとに、製造販売業者が症例概要を見て重篤と判断した症例をまとめたものでございます。同日の会議資料をもとにしておりますので、不明の欄が多くなっております。

 9ページからは、医療機関から報告された重篤症例の一覧となります。こちらも関節痛や複合性局所疼痛症候群、歩行障害など、痛みや運動障害に関連する報告が多くございました。

10ページの21番の症例につきましては、転帰が後遺症となっておりまして、この症例につきましては後ほど少し詳しく説明をさせていただきます。

14ページからは、医療機関からの非重篤症例の報告でございます。

16ページになりますが、迷走神経反射が疑われる症例の中にアナフィラキシーの症例がないかを確認するため、上にございます四角囲みに掲げた副反応名で症例を集めまして、ブライトン分類による評価を行ったものでございます。症例は23例集まりましたが、ブライトン分類で3以上のものはなかったという結果になっております。

 また、17ページは、アナフィラキシー反応として報告された症例数とブライトン分類で3以上とされた症例をまとめたものでございます。昨年10月から本年3月までには、アナフィラキシー反応として報告された症例はございませんでした。

18ページに移ります。ワクチン接種後にギラン・バレー症候群あるいはADEMの可能性がある症例についてまとめたものでございます。8症例の報告がございましたが、それらのADEM、ギラン・バレーの症例として否定できないとされたものはございませんでした。

19ページから22ページに、その8症例の概要をまとめております。表の右から2列目が専門家の御意見、一番右に専門家の御意見も踏まえての事務局の評価がございます。検査結果や臨床症状の情報がないものにつきましては、情報不足にて判断できないという評価をしております。また、脳、脊髄の画像を撮られていたり、あるいは髄液の検査をされている症例もございましたが、ADEMの画像所見が見当たらないもの、あるいは検査で異常が見られないものなど、専門家からも否定的な御意見がございまして、事務局評価としては、ADEM、ギラン・バレー症候群とされる症例はないという評価をしております。

23ページに、医療機関からの報告で転帰が後遺症とされた症例について、経過の概要や専門家からの御意見などをまとめてございます。

 サーバリックスを3回接種された方で、「経過」欄になりますが、接種7カ月後、3回目接種から2週間後には、手首、肘、膝などの関節痛、頭痛、上肢の筋収縮、脱力があったとのことでございます。接種1年2カ月後も頭痛が継続しており、記憶力の障害があったと、1年3カ月後には不随意運動が始まったということでございます。接種2年6カ月後の検査において、海馬に軽度の萎縮などの所見が出ていたということでございます。

 右に専門家からの意見が記載されております。A委員からは、接種後2週間目からの症状で、ADEM、ギラン・バレーの可能性は否定できないが、可能性はほとんどないだろうと。筋障害については、完全には否定できないということでございます。

 B委員からは、脳症、脳炎ではないだろうかとの御意見をいただいております。

 C委員からは、発症機序が不明な病態としての複合性局所疼痛症候群等が考えられるとのことでございまして、各委員からはさまざまな疾患名が挙げられております。因果関係については明らかではない、あるいは否定できないとの御意見でございました。

 なお、本症例につきましては、資料5のワクチン接種後の疼痛症例の一覧にも入っている症例でございます。

24ページからは、昨年4月以降に報告された副反応を副反応の種類ごとにまとめたものでございます。

 続きまして、資料2を御覧ください。「子宮頸がん予防ワクチン(ガーダシル)の副反応報告の状況について」御説明をいたします。

 ガーダシルは、平成23年8月より販売されております。サーバリックスと同様に、昨年10月から本年3月末までの副反応の報告をまとめたものになっております。

 1ページの中ほどの表になりますが、昨年10月から本年3月までの医療機関への納入数量をもとにした接種可能延べ人数は約3万人となっております。

 同期間の製造販売業者からの副反応の報告数は21例、このうち同じ期間内に接種された方はゼロ例でございました。

 また、昨年10月から本年3月までの医療機関からの副反応の報告数は26例あり、このうち同じ期間内に接種された方は7例ございました。

 同期間で医療機関から重篤として報告された症例は11例ございまして、その期間内で接種された方は2例となっております。

 ガーダシルにつきましても、副反応報告の多くは、調査対象の期間に接種された方ではなくて、それ以前に接種されたものでございました。

 次のページになりますが、製造販売業者から報告された症例の一覧でございます。こちらも疼痛や関節痛、歩行不能など、痛みや運動障害に関係するものが報告されております。

 3ページに、サーバリックスと同様に、平成251225日の本合同会で既に報告されておりますが、保護者報告、被害者連絡会からの報告、文部科学省調査での報告の資料をもとに製造販売業者より報告された症例をまとめております。

 4ページは、医療機関から報告された重篤症例の一覧となります。こちらも関節痛や複合性局所疼痛症候群など、痛みや運動障害に関連する報告がございました。

 5ページ、6ページは、医療機関からの非重篤症例の報告でございます。

 7ページに移ります。迷走神経反射が疑われる症例の中にアナフィラキシーの症例が隠れていないかということで、サーバリックスと同様に症例を集めて、ブライトン分類による評価を行ったものでございます。症例は31例ございまして、1例評価漏れということで現在評価中のものがございますが、評価が終わった30例につきましては、ブライトン分類で3以上のものはございませんでした。評価中のものにつきましては、次回結果を報告させていただきます。

 8ページに、アナフィラキシー反応として報告された症例とブライトン分類で3以上とされた症例をまとめておりますが、昨年10月から本年3月にアナフィラキシー反応として報告されたものはございませんでした。

 9ページは、ワクチン接種後にギラン・バレー症候群あるいはADEMの可能性がある症例についてまとめたものでございます。1症例の報告がございましたが、ギラン・バレーあるいはADEMとして否定できないとされたものはございませんでした。

10ページに、その症例の概要がございます。

 表の右から2列目に専門家の意見がございますが、副反応との因果関係については不明あるいは否定できないとの御意見でございますが、ギラン・バレーについては、診断根拠がない、疾患として典型的でないなどの御意見がございまして、事務局評価としてもギラン・バレー症候群とは判断できないとしております。

11ページからは、昨年4月以降に報告された副反応を副反応の種類ごとでまとめたものでございます。

 続きまして、資料3を御覧ください。「子宮頸がん予防ワクチン接種後の失神関連の副反応について」まとめたものでございます。

 1ページ目をめくっていただきまして、サーバリックスの失神に関連する資料でございます。

 「1.国内の発現状況」でございますが、サーバリックスの発売開始から本年3月末までの報告は、失神に関連する副反応が832例、発生率が10万接種当たり11.82例、このうち意識消失のあった症例は581例で、10万接種当たり8.30例でございました。

 3ページは意識消失までの時間をあらわしたもので、多くは30分以内に発現するものでございました。

 そのページの中ほどからは、意識消失のあった症例の発現の傾向を示しておりまして、1ページめくっていただいて、平成2510月から本年3月までの失神症例についてですが、昨年11月の2例のみでございました。

 5ページからはガーダシルの資料になります。

 「1.国内の発現状況」でございますが、ガーダシルの3月末までの報告では失神に関連する副反応が355例ございまして、発生率は10万接種当たり18.7例、このうち意識消失のあった症例は246例で、10万接種当たり13.0例でございました。

 6ページになりますが、上の図が意識消失までの時間をあらわしたものでございます。

 その下の表は、意識消失のあった症例の発現の傾向を示したもので、7ページになりますが、平成2510月から本年3月までの失神症例につきましては、平成2511月の1例のみでございました。

 資料1から3につきましての説明は以上でございます。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 この資料1から3までについて、御意見、御質問等をお願いいたします。

 1つ私から質問ですが、資料1に後遺症1とございますが、この後遺症の定義です。未回復症状が非常に多い方で、その1項目だけ後遺症となっているので、それはどのように区分をして記載されているのでしょうか。

○事務局 医療機関から副反応の症状についてお聞きして、それを、副反応の用語があるのですが、PTと言っているものなのですが、それに変換しております。医療機関からの報告を受けて、後遺症と判断できるものは後遺症としているということです。

○桃井副反応検討部会長 医療機関が後遺症と報告したということですが、この症例の23ページを見ますと、ほかは未回復の症状が大変多くて、すなわち慢性の症状が続いていると普通は判断されますのでこの記載の内容を見ますと、普通の医学的な後遺症と違うという印象がございます。そういうときには、医療機関からそう報告をされても、評価が医学的に間違っていては困りますので、他の慢性症状が未回復の状態で、この症候だけをなぜ後遺症としたのかということを明確に問い合わせていただけると大変ありがたいと思います。

○事務局 医療機関のほうに、この症状だけが後遺症となっている理由について調べさせていただきたいと思います。

○桃井副反応検討部会長 ほかにデータ等に関しまして、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○多屋委員 資料3についてですけれども、3ページと6ページのグラフを比較しますと、3ページのほうのワクチンですと、接種から意識消失までの時間は5分未満と30分以上に2つの山があるのですが、6ページのほうのワクチンですと、5分未満のところに多くあります。失神、あるいは血管迷走神経反射だと恐らくここ(5分未満)だと思います。こちら(6ページ)は30分以上のほうに2つ目の山が認められていないグラフになっています。3ページ目のほうの30分以上たってからの山については具体的に何か特徴があったのか、もしわかりましたら教えていただけるとうれしいです。

○事務局 申し訳ございませんが、今すぐにはわかりません。

○桃井副反応検討部会長 これは、あるいは集め方が違うのでしょうか。30分から短い間に集めているものと、30分から結構長い間も関係なく集めているという集め方が違うのかどうかとか、その辺がないとちょっと説明がつきにくいですね。

○事務局 申し訳ございませんが、今すぐにはわかりません。

○桃井副反応検討部会長 2つの企業で集める時間が違うのか、後のほうの時間まで集めているかどうかということも含めて少し情報を見ていただければと思います。

○事務局 わかりました。調査いたします。

○桃井副反応検討部会長 ほかにいかがでしょうか。

 岡田先生。

○岡田委員 資料3で2価のワクチンも4価のワクチンも国内のほうが海外に比べて発生率が随分高いですね。失神以外のいろいろな症状に関して、日本国内のほうが多いのかどうか教えてください。

○事務局 海外での発生状況の違いについては、1225日のときの審議会の資料で配付させていただいているかと思うのですが、結論からいうと一概には比較できない。やはり副反応の報告の制度の違いとかもありますけれども、頻度として、例えばイギリスと比べたときはイギリスのほうが発生の報告の頻度は高い。アメリカと比べると、そこに日本とそれほど大きな違いがあるわけではないと見られます。繰り返しになりますが、そもそもの報告の制度自体の違いなどがあるので、一概には比較できないというのが回答になります。

○岡田委員 失神に関して国別の頻度がもしわかれば、合わせて教えてください。

○事務局 1つまた補足させていただきますけれども、同じく昨年12月に紹介いたしました海外の調査の中で、アメリカの保険のデータとワクチン接種の記録を突き合わせたSafety Datalinkというフィールドからのデータを御紹介いたしました。その中では、失神に関する発症というのは、基本的に接種者の年齢等をマッチさせた場合にワクチンの種類間による差は見られない。一方で報告頻度については相当高いというデータが示されておりまして、通常報告されているものよりも発生頻度は非常に高いのだというようなことを示唆するデータとなっておりました。こういったことも1つ背景としてあるかと思います。

○桃井副反応検討部会長 よろしいでしょうか。御質問、御意見等、ほかにいかがでしょうか。

 私から、資料1のギラン・バレー、ADEMの解析のデータのところですが、情報不足というものが2例でしょうか。情報不足というのは、今後きちんとカルテを見て情報を判断できるものなのでしょうか。それが1点。

 もう一点は、21ページの症例5のように、明らかにギラン・バレーでもADEMでもなくて本件で問題になっている多彩な症状を呈している症例に属するような概略が書いてある症例に関しては、ここで数として挙げられていますけれども、こういう症例は、ギラン・バレーを完全に否定することはできないという評価書の意見はありますが、本件で問題になっているような多様な症例群の中には含まれるのでしょう、含まれないのでしょうか。ほかの疾患の可能性のところで挙がってしまった症例は含まれるのでしょうか、含まれないのでしょうか。その2点を教えていただいきたい。

○事務局 まず、ここで挙がった症例について、情報がこれで終わってしまうのかというところなのですが、評価ができるような情報が入ってくれば、改めてその追加された情報を加えて再度評価をさせていただきます。その結果につきましては、またこの会議の場に出させていただきたいと思います。

 あと、例えば21ページの5番の症例になりますが。

○桃井副反応検討部会長 あとは2番目と3番目の情報不足で判断できないという症例です。それは今後もう少し情報を集めて判断するということですね。

○事務局 情報が入ってくれば、再度評価をさせていただくと。

 今回、この中ではギラン・バレー、ADEMという形での症例ということで紹介をさせていただいていますが、この症例の中に例えば疼痛症例あるいは運動障害の症例がありましたら、今回も資料5あるいは資料6に同じ症例についても入っておりまして、そちらの疼痛あるいは運動障害の症例としても見ていただくという形にしております。

○桃井副反応検討部会長 ほかにいかがでしょうか。

 岡部先生。

○岡部委員 先ほどの接種から意識消失までの時間が、今回、この表を見ると30分以上がすごく多いように見えるのですが、以前出していただいた資料では、たしか30分以内のものと30分以降については、例えば1時間とか2時間とか、中には56日とか137日とか、そういうものを全部一覧表にしているので、因果関係がありそうかなさそうかというのがわかるのですけれども、これだといかにも30分以降に今までと違ったグラフの形になっているように見えるので、これは統一した書き方にしていただかないと誤解を生じるというか、我々もわかりにくいと思うので、ぜひよろしくお願いします。

 私はどれを見たかというと、古い資料のほうの第6回厚生科学審議会予防接種というところでの接種から失神までの資料を見て、今のような発言をしています。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりだと思いますので、よろしくお願いいたします。

○事務局 わかりました。

○桃井副反応検討部会長 道永先生。

○道永委員 今の岡部先生と全く同じなのですが、1225日のところでは30分以上というのがなくて、今回急にグラフが出ているので非常にわかりにくいと思いましたので、同じことです。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 このデータの示し方をよろしくお願いいたします。

○事務局 はい。

○桃井副反応検討部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。全体のデータに関して御意見、御質問等はありますでしょうか。

 少しこのデータ、御意見をまとめさせていただきますと、まず、アナフィラキシーは、1件評価中を除いてどちらの製剤もゼロと。

 失神に関しては、直近6カ月間はどちらも2次被害はゼロと。失神に関しては2例及び1例ありますが、2次被害はゼロということで、これは助言をしていると。なおかつ、データの示し方に関して御意見をいただきました。

 3番目は、ギラン・バレー、ADEMに関しては、情報不足の2例を除いて、ADEM、ギラン・バレーと判断できる症例はともになかったということです。

 4番目は、死亡例はなしということです。

 あと、後遺症1というのがサーバリックスのほうでございましたが、これは先ほど御質問したように、未回復と後遺症というのをきちんと、本当に後遺症として残すべき症状なのかということを確認していただくことをお願いいたしました。

 そして、全体の頻度としては、資料1と資料2にありますように、医療機関からの報告頻度0.017%、うち重篤頻度0.003%及び、ガーダシルでは報告頻度0.018%、うち重篤が0.003%で、これまで議論している従来の状況と大きく変更はないという結果と理解いたしましたが、この理解でよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桃井副反応検討部会長 そうしますと、この理解に基づいて、今回のこのデータをもとに勘案いたしますと、現在、医学的な解析を進めている症例群がございます。そのために昨年6月に積極的な勧奨を見合わせることにしたものでありますが、その状況を。

○事務局 座長、1点今の御発言、ADEM、ギラン・バレーのところで、情報不足で判断できないのが2例という御発言だったと思うのですが、資料のほうは4例ございます。

○桃井副反応検討部会長 修正いたします。

 情報不足で判断できないものが4例ということですね。

○事務局 19ページに2例と22ページに2例ございますので、4例でございます。

○桃井副反応検討部会長 そうですね。21ページと22ページ、5例ではないですか。

○事務局 21ページにもう一例ございますので、5例です。大変失礼いたしました。

○桃井副反応検討部会長 5例ですね。失礼しました。情報不足で判断できない5例を除いて、ギラン・バレー症候群、ADEMと評価できる症例はなかったと修正いたします。

 この評価に基づいて、先ほど、途中でございましたが、現在継続しております積極的な勧奨を見合わせるという状態を本時点で継続すると。

○事務局 座長、申しわけございません。2剤の検討につきまして、資料4から8も関連する部分がございますので、簡単に先に紹介させていただければと思うのですが、いかがでしょうか。

○桃井副反応検討部会長 その通りです。 よろしくお願いします。

○事務局 簡単に紹介させていただきます。

 資料4をお願いいたします。

 重篤な副反応報告の状況ということで、おめくりいただきまして、発売以来の2剤の合計した主な副反応報告の状況を2ページ目にまとめております。これは12月にまとめたものと基本的な動向は変わっておりませんが、「失神・意識レベルの低下」と「発熱」については報告数が非常に多いため、順位が1位、2位で変わりません。以下につきましては、内容としては同様のものも含まれておりますが、報告数の変動によりまして順位が若干入れかわっております。

 3ページ目には、サーバリックスの報告をまとめております。(1)に「製造販売業者からの報告」、(2)に「医療機関からの報告」、それぞれ転帰も含めてまとめられております。

 4ページ目につきましては、各症例につきまして、重篤なもののうち代表的な副反応名を選択いたしまして、その副反応名に基づき分類し、また、その転帰をクロスして集計したものでございます。

 6ページ目に移っていただきまして、同様にガーダシルにつきましても分析を行っております。(1)に「製造販売業者からの報告」、(2)に「医療機関からの報告」を転帰の内容とともに分類しております。

 7ページ目に、(3)としまして、サーバリックスと同様ですが、1つ選択いたしました副反応名と転帰をクロスした集計を行っております。

 以上が資料4でございます。

 資料5、これまで検討しております疼痛の症例についての一覧でございます。「選択基準」と「除外基準」を当てはめ、その下にあります「分類基準」としてA、B、C、Z、発症の時期と接種以外の要因がより疑われるようなものについて分類するもの、さらに、情報が少なくて判断できないもの、そういった形で分類しております。

 めくっていただきまして、そういった形で選択されました30の症例について、分類A、B、C、Xの順番に相当して並べております。これらの症例につきましては、委員の皆様にはA3の形でお配りしている表に含まれております。

 また、このうち15番の方については、先ほど後遺症症例ということで御検討いただいた症例と一致しております。

 続きまして、資料6は、運動障害症例についてまとめたものでございます。こちらの「抽出基準」、「除外基準」はお示ししているとおりですが、疼痛と運動障害を合併する例につきましては疼痛症例のほうに含めるということで、「除外基準」の中にもその点は示しております。「分類基準」につきましては、同様に、発症までの時期、その後の経過、他の要因が疑われるものなどにおきまして分類しておりまして、めくっていただきまして、16の症例についてA、B、C、X、Zの順番で分類をしております。

 資料7と8は、2剤の副反応の状況を比較したものでございます。資料7につきましては、企業からの報告、企業からの報告のうち医師が重篤と判断したもの、医療機関からの報告、医療機関からの報告のうち医師が重篤と判断したもの、それぞれをA、B、C、Dと分類しておりまして、そのうちA+C、報告の全体、B+D、重篤と相当するもの、それぞれについても数を示しております。全体の報告件数が伸びておりますものを反映いたしまして、それぞれの件数、発生率とも増加している状況が見てとれます。また、その2剤の差については、余りはっきりしたものはないというのも示されております。

 資料8でございますけれども、「痛み等」としておりますが、先ほど紹介しました疼痛と運動障害を呈しております例などにつきまして、サーバリックスとガーダシルそれぞれについて集計をしております。やはり12月と同様、サーバリックスとガーダシルの間には明確な差は認められない、このような状況になっております。

 以上でございます。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 資料4から8までで御質問、御意見はありますでしょうか。

 どうぞ。

○柿崎委員 資料7と8でサーバリックスとガーダシルに差がないということなのですけれども、資料5と6に挙げられている症例を見ますと、資料5のほうは30例中23例がサーバリックスで、資料6のほうは16例中全例がサーバリックスなのですが、これは出荷本数とか投与本数によるものなのでしょうか。

○事務局 これまでの検討の中でもお示ししておりますけれども、製造販売の本数につきましては、先行したサーバリックスのほうが多くなっておりまして、そういったことも反映しているかと思います。

 また、その報告の状況でございますけれども、最近になるにしたがってガーダシルの報告頻度も上がってまいりまして、こういったことをトータルとして見てまいりますと、だんだんと率といいますか、頻度がそろってきている状況かなと見ております。

○桃井副反応検討部会長 ほかに御質問等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 資料4、5、6ですが、重篤な副反応報告の状況、疼痛症例、運動障害症例等については、今まで検討している症例のプロファイルと同等であると理解してよろしいでしょうか。特に御異存はないでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桃井副反応検討部会長 2剤比較についても明確な差がないということと理解してよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桃井副反応検討部会長 先ほど資料1から3までは内容をまとめさせていただきました。資料4から8までですと、重篤な副反応及び疼痛、運動障害症例について、2剤間の明確な差がないということと、それから、運動障害を示す例、疼痛を示す例に関しては、発症時期のタイピングも含めて今まで集積された症例と大きなプロファイルの違いはないということでよろしいでしょうか。新たな臨床像が示唆されるものはないという理解でよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桃井副反応検討部会長 そういたしますと、先ほど少し途中のデータをまとめさせていただきましたが、もう一度繰り返させていただきます。

 アナフィラキシーに関しては、1件評価中を除いて明確に診断されるものはない。

 失神に関しては、6カ月間に関しては2次被害のものはゼロである。失神症例は6カ月間は2例及び1例であったと、激減をしているという状況です。

 ギラン・バレー、ADEMと報告されたものは、情報不足5例を除いて、明確に診断されるものは両方の製剤ともなしということです。

 死亡例はなし。

 後遺症例に関しましては、先ほどチェックをお願いいたしました。

 頻度に関しても、先ほど申し上げましたように、両剤とも医療機関報告で重篤と報告されたものが0.003%であると、従来の比率と大きな差はないというデータの整理でよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桃井副反応検討部会長 この整理をつけまして、現段階でどのように評価をしたらよいか。現在の取り扱いを変更する必要が今回のデータをもってあるかどうかについて御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。取り扱いに変更の必要ありという御意見の方はいらっしゃいますでしょうか。

 どうぞ。

○岡部委員 取り扱いの変更がありかなしかということは、中止にするか、継続にするか、再開にするかという3つの選択のうちの今までどおりという言い方になりますか。

○桃井副反応検討部会長 現在の取り扱いの変更をする必要があるかどうか、です。

○岡部委員 今、議論しているのは、運動障害とか重篤な疼痛に関しては話していないですね。

○桃井副反応検討部会長 ですから、きょう、それ以外のアナフィラキシーも失神もADEMもギラン・バレーも全て上がってきているわけで、今回上がってきたデータ全体を勘案して、現在の取り扱いを変更する必要があるデータがあるかどうかというお伺いです。これは毎回しなくてはいけませんので。

○岡部委員 それはわかるのですけれども、しかし、これは勧奨の一時見合わせをしようとした、そのときの条件になっている病気ではないですね。ですから、これは継続するかしないかという議論の対象にならないで、今までと変わりありませんねというところではないかと思うのです。

○桃井副反応検討部会長 そうです。ですから、変更する必要があるかどうかということをお伺いいたしました。議論の対象ではございませんが、今回もし新たに、例えばギラン・バレー症候群が非常に有意に高頻度に報告されれば、それを原因、理由として取り扱いの変更の必要があるわけです。そういう御質問でございます。よろしいでしょうか。

 そういう御理解をいただいて、現在の取り扱いを変更する必要があるかどうかと、改めてお伺いいたしますが、なしということでよろしいでしょうか。御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 続きまして、データの議論が終わりましたので、参考人から現在問題になっております症例群に関する最新の医学的な知見あるいは考え方、病態等々について御説明をいただきたいと思います。

 まず、牛田参考人から御説明をいただきたいと思います。特に慢性痛の患者さんの治療状況について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○牛田参考人 愛知大の牛田でございます。

 名簿のところで私の名前が、少し字が間違っておりましたので、修正をよろしくお願いします。

 それでは、私の御説明を始めさせていただきたいと思っておりますけれども、今、申しましたように、私自身の立場は慢性痛の研究班の代表ということでございまして、現在は集学的な整形科、麻酔科、精神科とかいうようなものでチームをつくって、原因はともあれ、なかなか治らない慢性痛に対して取り組んでいこうということで進めているところでございます。

 本日は、資料にもございますように、まず慢性痛、痛みの慢性化をどのように考えていくのかということで、スライドに出ておりますように、器質的異常と機能的異常、ここのところはよく議論されておりますけれども、そこら辺がどう違うのか、そもそも機能の改善とその限界はどうなのかということについて少し考えてみたいと思います。

 それから、生物心理社会モデルという考え方の導入の必要性があるのではないかということ、これまでの症例の経過などについて御説明させていただきたいと思います。

 次のスライドをお願いします。

 器質的異常というものは、医学的に明確な原因によって身体組織に障害が出てくるようなものとなっています。すなわち、スライドの上側のところには、日本脳炎のウイルスによって視床が変化して、点状の病変が組織で出てきて、組織像を見てみると脱髄変化が起こってくる、そのようなものによって症状が出てきているということでございますが、これは生物医学モデルという考え方に非常に乗っていきやすいものでありまして、例えば下側の痛みの例で見てみますと、痛みにははっきりした生物医学的原因があるのだと、この原因を取り除くと痛みも小さくなる。例えば熱が出ていますと、熱が細菌など毒素によるものであれば、毒素を発している細菌を殺せば熱も下がるというような物理的治療法が有効であるという非常にわかりやすい考え方なのですけれども、機能的な異常ということになっていきますと、次のスライドにしていただきたいと思いますが、さまざまな要因で我々は機能的異常を起こしていきます。

 私も今現在、先生方の前で話していると手に汗も当然かいてくるわけですけれども、例えばストレスなどによって身体機能に変調を来すということです。人前で話をしようとすると手に汗をかく、動悸が出てくる、血圧に変化が出てくる、あるいは職場だとか学校へのストレスによって腹痛が出てくる、このようなことの極端なものが過敏性腸症候群ということで、私もなったことがございますけれども、このようなものも出てきますし、ストレスがあると肩凝りも当然出てきますし、ひどいものでは不整脈が出てくることもあると思います。

 このようなものは、そもそも年齢だとか性別、これまで我々が個人の生きてきた経験、環境要因によっても変わってくるわけです。ですので、症状として出てきやすい人、出てきにくい人、いろいろだと思われるわけです。非常にグレーゾーンが多くて、全然ないのもおかしいですし、物すごく出てくるのもしんどいところかなと思います。

 ここで強調したい部分は、機能的異常というのは、体の中で何も起こっていないとか、気のせいとか、そういうものではないのです。自分の意識がなくてもそういうことは症状に当然出てきてしかるべきなわけであります。

 次をお願いいたします。

 このスライドの括弧に示している部分はどのようなものかというと、これは私自身の考え方を大きく変えた実験の一つでもあります。手がびりびりする、すごくびりびりして痛いという感じは、脊髄損傷の人だとかCRPSの患者さんでは風が吹いても痛い、少しさわられても痛いという症状が出てきますけれども、このような患者さんについて、実際に手をさわらなくても、手をさわっているようなビデオを見るだけでも、健常の痛みが出てきていない普通の人とは全然違うパターンの脳活動も出てきますし、患者さんには痛いところ、例えば手袋でいつもかばっている手を、手袋をのけられて手をさわるようなビデオを見せられただけでも非常に強い不快感が出てきて、中には2日ぐらい仕事ができないという患者さんも経験したりするわけです。

 ですので、実際に機能的異常というものは、何らかの記憶だとかエピソードが再現されるだけでも出てきます。すなわちこちらに書いてありますように、脳や脊髄などというのは神経ですので記憶したりしてしまいますし、反応して引き起こされるものなのです。そういうことになってきますと、この人たちは非常に強い不快感を経験しているということになりますけれども、このような状態では当然、脳の中の神経伝達物質とかにも変化が引き起こされている、これは当たり前のように起こってくるはずなわけでございます。

 ということで、少し話は機能的異常という面から変わってきて、実際に体が痛いということ、あるいはストレスとかで体を使わない状態が起こるということが往々にしてあります。我々の体は、運動器の痛みは特に動かすと痛いという人が多いですので、動かないとなってくると、どんな格好になってくるかということです。

 単に動かなかったような実験の結果をお示ししたいと思いますけれども、1つは、関節は使わないと癒着をしたり、軟骨が壊死したりする、このような報告があるわけです。

 筋繊維についても、筋肉自体もタイプが変わります。持久力を担うような筋肉が減ってくる、このような論文はたくさんあります。

 それから、当然、神経に伝達がされなくなってきますので、筋アセチルコリン受容体がふえてみたり、あるいは、それだけではなくて、関節部機械受容器の異形化、形が変わってしまう、このようなことまで起こってくるわけです。この左下の図になります。

 さらに、脊髄のところで見てみますと、使っていない、動かさなかっただけでも脊髄のグリア活性が上がってきたり、アストロサイトの活性が上がってきたりということも見られますし、それに連動して見られます変化として、脳での変化とかも起こることがわかってきているところであります。

 次をお願いします。

 最近ではいろいろな報告がございます。これは、ことし出てきた論文2つを上に示しておりますけれども、1つは九州大学と名古屋大学の報告、左側です。複合的ストレスをかけた動物モデルでは、脊髄とか脳にミクログリアの集積が出てくるのだという報告があります。これで痛み反応が出てくるということでございます。

 また、社会的ストレスを与えただけでも体温が上がってくるとか、そのような実験が行われておりまして、右側にありますけれども、ストレスが視床下部とかに影響を起こして、延髄とか縫線核に影響を起こして熱が上がってくる、このようなこともあるわけです。

 我々は、ストレスがかかってくると非常に体調に変化とかを来しますけれども、いろいろな変化、脳の中、脊髄の中でも、機能的異常といっても当然さまざまな変化が起こってきているということでございます。

 それが続くとどうなるかということで、その下半分ですけれども、これは有名なBremner先生の論文、以下ほかにもたくさん記されていますが、PTSDの患者さんでは脳の特に海馬の萎縮が起こるとか、慢性腰痛の方では脳の灰白質密度の低下が出てくるとか、関節固定でも脊髄運動神経の変性と末梢神経の脱髄が出てくるとか、こういう報告が論文化されて出てきているところであります。

 これらの多くの論文は、きちんとした生活をするなどして症状の改善が起こると、こういう変化も改善することが報告されています。ただ、中には放置すると非可逆性の変化になり得るのではないかと思われますし、そもそも先ほどお示ししましたように、痛みなどのネガティブな経験は頭に非常に強い感覚経験として残りますので、なかなか厄介なものだということです。1回経験したものを完全に忘れることはなかなか難しいと思われるわけであります。

 せんだって以来、機能性、心の問題ということが強調されておりますけれども、これは我々が勉強するようなText Book of Painに心因性疼痛(Psychogenic Pain)はどういうものなのかということが書かれてございます。定義としては、器質的な問題が完全に除外されても存在する痛み、このような説明がされているのです。だけれども、今までお話ししてきましたように、機能性のものでもたくさんいろいろな変化が起こってきているわけであります。

 この考え方は二元論といいますけれども、体の問題でなければ心の問題であるということに我々はとかく陥りがちなのですが、そもそもなかなかそれは難しいわけです。体の問題でなければ心の問題ということになると、非常に軽蔑的なニュアンスを持って使われることがあったりするので、患者がよくなるためのことにはつながらないのだということがText Book of Painには示されております。できるだけこのような言葉を使わないようにしていくことも今後大事なのかもしれません。

 ということで、その次のスライドになります。

 これはちょっと字が抜けているところがありますけれども、慢性の痛みということになりますと、器質的要因、社会的要因、心理的要因があわさってきておりますので、その次のスライドです。

 生物医学モデルを超えた生物・心理・社会モデル、多角的に患者さんを見ていかないとなかなかいい方向に誘導できない可能性があるということかと思います。

 次は、我々が経験したCRPSの患者さん、これはワクチンとは関係ない患者さんでございます。新体操の選手の10代の子の例を出させていただきますが、半年ほど前に左足をねじってから足の痛みが出現した子です。小児科の専門病院を受診してカウンセリング、リハビリなどの指導を受けたり、プレガバリンの投与などを行われたりするのですけれども、話をするのがゆっくりしかできないなどのいろいろな問題が出てきておりました。

 この方は、レントゲンを撮ってみますと、左側のところで見ていただけたらわかりますように、左足の骨は非常に強い萎縮を呈しておりますし、膝も動かなければ足首も動きにくいという状態が起こってきています。足は非常に腫れて、アロデニア、風が吹いても痛いという状況で、さわったりすると非常に痛がって泣くような状態でございます。

 この患者さんにつきまして、我々はいろいろな方向から見ていっているわけですけれども、家族背景としては、両親と妹と4人暮らしであること。それから、御両親は指導的な役割の仕事をされておりまして、母親はなかなか患者さんに厳しい人であるということ。妹さんは比較的自由闊達なタイプで、身長も同じぐらいになってきてライバル関係になってきたのかなということが推察されたり、隣の家では祖父母が暮らしているということがわかってきているわけです。

 このような患者さんに対して我々が行った治療は、曲がった膝をずっと放置しておくと伸びない状態になってしまいますので、多少痛くても伸ばしていくのだということを御両親等を含めてお願いしてやっていくことにしました。

 それから、未成熟な心身状態ですので、患者と御両親にはカウンセリングを別々に行っていくということです。

 薬については、子供さんに余りにも薬を飲ませるのはよくないのでやめていこうということですが、このカウンセリングとかの中でわかってきたことは、実は家庭内の事情で、お母さんがお父さん離婚したいと患者に話をしたことがあるということがわかってきたわけです。そのような問題があって、このような一連の症状が出てきたのかなと考えられるのですけれども、この方がその後どうなってきたかということですが、半年以上なかなか治らなかったアロデニアを伴う骨髄萎縮の方です。

 まず、薬をやめて、いろいろ話ができるようになった。

 それから、家庭の問題が解決して、離婚に関する杞憂の問題がなくなったということです。

 お父さんがリハビリに参加すると非常に喜んで積極的に取り組むということで、ビデオになっているので見ていただけたらと思いますけれども、最初はこのようになかなか動かせないので、伸ばすような装具を使って歩いていたのですけれども、ようやく1年ぐらいして、右側です。何とか杖なしで歩くこともできるようになってきました。まだまだ足首がかたく、曲がりにくいのは残っていますけれども、それでも卒業旅行にも行けて非常に喜んでいるというところで、これは御家族の御厚意で、このようなビデオとか情報を提供させていただけることになりました。非常に感謝したいと思っております。このようにさまざまな社会背景とかが患者さんに影響しているということでございます。

 そんな中、我々がワクチンの患者さんに行ってきているのは、今お話ししたような多角的なアプローチと診断をもとに行ってきているわけですけれども、11大学で現在までフォローさせていただいたデータをお示ししたいと思います。

 全部で160名フォローいたしました。160名の患者さんが我々の11施設を受診しました。その中でワクチンとの関係性が全くないと言い切れない症例が112例、その中でフォローできたのが70例です。痛みがよくなったのが47名、67%、痛みが変わらなかったのが22名、31%、悪くなったのが1名ということでした。

 関節炎だとか、今の事業をやっておりますと、全然関係ないような方でも不安で来られる方がたくさんおられますけれども、そのような方についても見てみましたが、フォローできたもの15名、よくなったもの60%、痛みが不変33%、ワクチンと関係があってもなくても大体同じぐらいの頻度でよくできるということがわかってきました。

 その次のページを見ていただけたらと思いますけれども、HPVワクチンの関与の可能性が否定できない症例において、不安の分析ができた症例が73名ですが、その後、我々と接して診察、コンタクトしていく中で不安の改善が得られたものが57名、不安が変わらなかったものが14名、不安が悪化したのが2名ということでありました。

 この不安が改善した人について見ていきますと、75%が痛みも改善してきているということでございます。非常に不安で来られている人が多いので、状態に対する理解が得られて不安が改善すれば痛みの改善に向かっていけるのかなと、そのようなところも出てきているところです。

 次に、具体的な症例をお示ししたいと思います。これはよくなった子の例です。この子は15歳です。頭痛、全身倦怠感、ぼおっとして集中できない、両下腿後面の血液が無理やり流れるような痛みがある、外出できないということでございました。

 次のスライドをお願いします。

 この方の経過ですけれども、小学校のころから起立性低血圧はあったということですが、1回目のワクチンを受けたのが中1の12月です。そのときはどうもなかったのですが、2回目のワクチン接種の翌日から頭痛、それから1週間後に激しい頭痛が出てきて全身の痛みとなったということです。それで小児科に入院をしたりしてということを2回ほど繰り返しますけれども、中2の6月にはもう食事以外ほぼ起きられなくなって3回目入院です。学校は楽しかったのですけれども、授業についていけないということで9月に転校しております。その後も症状は一進一退を繰り返して登校できない状態が続いていたということでありますけれども、我々の行った介入をこのスライドに出しております。

 まずは患者の苦しみや痛みを傾聴し、言語化した思い、悩みを理解してあげようとする。それから、痛みの原因がわからないことはよくあるのだということで、原因がわからなくてもよくなることがあるということを、具体的なほかの患者さんの例だとか、先ほどの患者さんの例も含めて提示して安心を提供してあげるということです。症状の原因は不明だけれども、痛みが続くことによる悪影響を減らしましょう。目標を原因究明から活動性向上へ転換していこう。それから、認知行動療法を利用した疼痛行動を是正する、痛みにこだわらないようにしていくということです。学校への復帰を推奨していくということであります。

 そのほかに体への介入としては、ストレッチングの方法を指導、Visual feedbackを用いた姿勢の改善、運動習慣を導入したり、薬をやめたり、そのようなことをやってまいりました。

 次のスライドをお願いします。

 ということで、この子はどうなってきたかというと、1カ月後は痛みが変わらなかったのですが、少しずつ体を動かしましょうということで、ちょっとずつ動けるようになってきたのです。2カ月して、朝は起きられないのだけれども、時々学校に行けるようになってきた、運動を頑張っているということです。3カ月ぐらいすると頭痛もよくなってきて、朝起きることもできるようになってきた。学校にももっと行けるようになってきたということです。5カ月後では、高校の受験にも合格して、こうなると非常にテンションも高くなってきますが、毎日学校に行けている。部活動もできて友達もできた。頭痛は時々あるけれども、痛みどめを使わなくても何とかいけることが多いのだということであります。

 ということで、我々の取り組みの考え方をスライドにさせていただきましたけれども、痛みがあるということで、痛みがあるからこれができない、痛みがあるという理由でいろいろなことができないのだということを続けておりますと、先ほど申しました器質的異常につながるような問題も出てきたりするわけであります。

 痛みの理由としては、行動制限、特別な行動を極力安心させていくことで消していって、痛いけれどもこのようなことができるようになったと自信を持たせてあげて、このようなことができるようになったということはよくなってきたのかなと、不安を取り除いてあげて悪循環から脱却させることで、痛みからの離脱を図って学校に行かせていけるようなことが取り組みとしてできていければいいなと、そのようなことでやっております。

 いずれにしましても、慢性痛というのは体つくりと心のケアが非常に重要ですので、このようなことを並行して進めていく取り組みを行ってきましたので、その報告をさせていただきました。

 以上でございます。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 御質問は全てのプレゼンの後でまとめてさせていただきたいと思いますので、次に、宮岡参考人から「機能性身体症状について」の御説明をよろしくお願い申し上げます。

○宮岡参考人 北里大学の精神科の宮岡と申します。よろしくお願いします。

 私は、痛みとか体の症状をメンタルな面でどう考えていくかということを中心にふだん診療や研究に当たっております。いろいろ資料を見せていただきまして、精神科医として、あるいは精神医学からどんなことが言えるかということだけ簡単に御説明申し上げたいと思います。

 機能性身体症状という言葉がよく出てくるのですけれども、機能性身体症状という言葉は精神医学では余り使わない言葉なのです。私も定義がぴんと来ない言葉だったので、一応スライドにまとめました。お手元の資料にもありますけれども、何らかの身体症状がある、そして、その身体症状に見合うだけの検査所見あるいは画像所見等の異常所見を見出すことができないというぐらいの定義かなと思ったのですが、精神医学では、身体症状に対して必ずしも対応する体の病変あるいは異常所見が見つからない場合というのは当然あるわけです。そういう場合、その下に書きましたように、主に知覚領域と運動領域と自律神経系に分けて症状が出てまいります。これはいずれも精神科医から見れば、身体疾患でも出る症状だけれども、そういう症状に対して身体病変がないときにどう考えるかという問題になってまいります。

 その下へ書きましたように、一般的に痛いとか感覚が鈍いなどは知覚の問題です。こういう場合は、身体疾患はもちろんありますけれども、言葉で言えば、転換症状、あるいは最近は、精神医学というのはころころ言葉が変わるのでよくないのですけれども、解離性知覚障害という言葉を使っております。あと心気症状という用語の定義にあてはまることもあります。

 それから、力が入らない、安定して歩けない、手足や体が勝手に動く、いわゆる不随意運動のように見える症状なのですけれども、これに対しては、転換症状(解離性運動障害)、そして一部は心気症状と考えられます

 古典的には、かつて教科書にヒステリーという言葉で転換型、解離型という言葉が出ていた時代がありますけれども、言葉がいろいろと混乱を招きやすいということで、最近は使わないような傾向にあります。

 典型的な解離症状というのがもう一つ、いわゆる健忘とか二重人格という形で、失神も入れる場合がありますけれども、転換症状と一緒に、あるいは独立して出現するということがあって、そういう場合は両方まとめて過去はヒステリーという言葉で呼んでおりました。

 それ以外に、動悸とか下痢という自律神経系の症状、これはもちろん身体疾患でも出ますし、明らかな診断がつかない場合は精神生理的障害という分類をしております。これは過敏性腸症候群が体の病気か精神的な病気かというような形で議論されているとお考えいただいていいと思います。

 次のスライドをお願いします。

 こういう症状に精神科医が出会ったときにどのように考えるかというと、まず、転換・解離症状というのは一般的に、一番上にアンダーラインを大きく引いて書きました「症状に見合う身体病変がない」、そして、附属的に心理的な葛藤や環境との関係が明らかとか、あるいは満ち足りた無関心というのは、症状に対して、これほどの身体症状があるのに、患者さんが意外にそれに対して困ったような強い関心を示さないとか、あるいは休むことによって生活に何か益することがあるとか、症状に象徴的な意味があるということがよく本に書いてありますけれども、これだけで診断することは絶対ありません。一番大事なのは、やはり上の「症状に見合う身体病変がない」ということを明確にしないと診断はできないですから、精神面の特徴だけから身体症状の原因が精神疾患であると判断することはないとお考えいただいていいと思うのです。

 だから、診断のときには、症状に見合う身体病変がないということで考えないといけない。そうすると、一番わかりやすいのは、身体症状が著しいけれども、説明できるだけの身体病変が全くないような場合、例えば完全に両下肢の対麻痺があるけれども、何も異常所見がないというのは、やはり身体疾患では説明しにくいだろうということになって、心理的な要因を深く疑うことになります。そうすると、痛みとか不随意運動は、体に明らかな器質的な異常所見がない、あるいは現れる前段階だけれども、実は体の病気で体が動くとか痛いというのは幾らでもありますから、痛みとか不随意運動を心理的なものと判断するのは非常に難しい作業だと思います。

 後で言いますけれども、私も実際はどちらの原因かわからないから、診断を保留し、患者さんにもそれを伝えて、神経内科の先生と一緒に見ている患者さんは時々います。

 診断基準はF44と下に書きました。いわゆる今のICD10に書いてあるのは、「障害を特徴づける症状を説明しうるような身体的障害は証明できないこと」と、これが第一に出てくる。先ほど申し上げたように、不随意運動とか痛みというのは、身体疾患自体で起こる不随意運動や痛みでも検査などで病的所見が見つからないことは幾らでもありますから、ここのところの判断は非常に難しいとお考えいただいていいと思います。

 それから、一般的にそういう身体症状があって、先ほど申し上げましたような満ち足りた無関心とか疾病利得、これは精神科医の言葉ですけれども、そういうものが余りないときにもう一つ、心気症状という言葉を使います。これは、かつては不定愁訴症候群とか、場合によっては自律神経失調などと言われていたような体の種々の症状を訴える、主に自覚症状をおっしゃる方です。こういう場合はきちんと所見を説明して、緊急に治療すべき疾患がないことを保証して、経過をみていくことになります。ただ、ここでもり基本的に一番大事なのは、身体症状に見合うだけの身体所見がないということです。

 次をお願いします。

 後で申し上げたのもそうなのですけれども、主に転換・乖離症状、痛みとか不随意運動は、結局我々から見ると、どちらかといえば内科の先生のほうから精神的なものではないかと依頼され、精神科医は内科的なものではないかと疑うことがすごく多いのです。よく医者は自分の専門外疾患のせいにするのではないかという冗談を言ったりしているのですけれども、とにかく両方で見ていることが多いです。

 それから、神経内科のことは私なんかは多少わかるので、どちらの領域かわからないけれども、とにかく治療できるような方法からアプローチしましょうということで患者さんにお話ししながら、余りにも動きや痛みが激しかったらお薬を対症的に使うこともありますし、より性格とか環境の問題に何か悩みがあったら考えていこうねということもあります。その時点でも心か体かみたいな診断を確定することなく、両面から経過を見ている方のほうが圧倒的に多いと思います。

 また、体の問題と決めてしまうと、今度、精神的な接近というか治療ができにくくなりますし、きっちりどちらかに決めつけずに対応をしているのが現状でございます。それが一番医学的にも正しいことだと思います。

 「経験した事例の症状から」と書きましたけれども、例えば中学生で両下肢が完全に動かなくなった。でも、異常所見は脳脊髄液をとっても画像を撮っても何もないとかいう場合は、割合精神的な原因がありそうと考えやすいのですけれども、この下のほうで書きました「心気症状(2)」、40歳代で咬合治療の後にいろいろな身体症状が出てきたとか、ここへは載せませんでしたけれども、交通事故の後でよくなったけれども体のいろいろな症状が続くなどということは、整形外科の先生とかはよく経験なさることだと思うのです。そういう場合、法的な場面では、心理的なものなのか、身体的なものなのかということを言わないといけないのかもしれませんけれども、医療の現場では、やはり両方からきっちり見ていくということを常にやらないといけない。どちらの原因かに決めつけなくても治療は十分できるわけですから、むしろ決めつけないほうが治療はちゃんとできるので、そういう対応をしていると御理解いただいたらいいかと思います。

 もう一点、宿題をいただいたのが線維筋痛症の問題です。ここからちょっと話題が変わります。

 私、一応線維筋痛症学会の理事という立場はありますけれども、きょうお話しするのは学会で承認を得たとかということではなくて、私自身の線維筋痛症に対する考えということでどうぞ御理解ください。

線維筋痛症をワクチン接種に関係して起こる場合があると捉える考え方もあるみたいですけれども、結局、線維筋痛症自体が、この左に診断基準を書きました2.で「約4kgの強さの手指による触診で、図に示した合計18カ所の圧痛点のうち11カ所以上に疼痛を訴える」と、現時点ではこれだけなのです。今、特異抗体などの身体所見や検査所見があるのではないかと一生懸命研究しておられる先生はたくさんいらっしゃいますから、今後何か出てくるかもしれませんけれども、今はこれだけなので、まだよくわからないと思うのです。

 私は、昨年ちょうど線維筋痛症学会を担当したのですけれども、そのときのタイトルも「線維筋痛症の中核群をさぐる」としました。まだまだその中核が何かというのがよくわかっていないので、余り病名を先走ってつけると、かえって後の治療に混乱が起こるということで。基本的には先ほどのような心身両面の関係がある痛みという理解で、この病名を考えていますので、実際の臨床ではほとんど使っておりません。

 次をお願いします。

 ここに示したのは私の考えです。これは学会内でも会員によって随分考え方が違うと思いますので、専門家内部での議論が必要だと考えております。

 リウマチ性疾患に分類されることが多いし、これは医師国家試験でもリウマチ性疾患の項目に入っているみたいですけれども、痛みが主症状となる精神疾患、ここにヒステリーという言葉を残してしまいましたけれども、今申し上げました心気症とか転換性障害との鑑別や異同はもっと議論されてよい。

 ただ、この病気は保険制度とか薬剤の販売戦略などの社会背景も考慮して検討する必要がある。

 現時点では「原因不明」という説明と適切なインフォームドコンセントのもとで、心身両面から治療を行う。精神疾患と考えると、身体面の軽視、不適切な向精神薬療法や不適切な精神面の治療につながりやすいし、身体疾患と考えると、精神面が軽視されたり不適切な身体への薬物治療になったりするので、このあたりを、自分で見られる範囲の身体は自分で見ながら、場合によってはリウマチとか神経内科の先生と相談しながら、併科の形で診察しているというのが現状でございます。

 大体、資料をいただいて、私のわかる範囲のことを申し上げました。

 以上です。どうもありがとうございました。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 「機能性身体症状について」御説明をいただきました。

 それでは、梶参考人から、参考資料3「心因性運動障害とその関連疾患」を御説明いただきます。よろしくお願い申し上げます。

○事務局 失礼します。事務局から1点だけ補足をさせていただきたいと思います。

 先生のほうで資料の修正がございまして、これから御説明いただく内容は、スライドのほうとお手元にお配りしましたもの、傍聴者も含めまして若干移動がございます。ホームページに資料をアップする際には今から御説明いただく内容で掲載させていただきますので、後日また御参照いただければと思います。

 失礼いたしました。

○梶参考人 私の責任でございまして、内容的には同じなのですけれども、できるだけ一般の方にもわかっていただきやすいということで一部順番を変えてございます。

 あと、お1人、患者様のこの場での使用の同意が得られましたので、症例を追加いたしております。

 ちょっと順番が違うのですが、後でホームページに上げていただくそうですので、よろしくお願いいたします。

 まずもって私が申し上げなくてはいけないのは、ワクチン後の副反応と考えられる患者さんで、今から申し上げる運動障害というものを私自身見たことがありません。ただ、一般論として私が知っているところを申し述べよということでございますので、一般論として申し上げていきたいと思います。

 脳というのは、最近特に基底核を中心とした分野が非常に研究によって明らかになってきております。大脳基底核というのは脳のちょうど真ん中にありまして、重要な位置を占めております。運動のコントロールにとっては小脳というところもありますが、基底核の機能が最近とみにわかってまいりました。実はこの運動に関係するところは運動回路と呼ばれております。そればかりではなくて、大脳基底核、脳の真ん中にある神経の固まりは、連合回路と呼ばれる、これは認知、行動、例えば直感で物事を考えて行動するというようなときにも働いておりますし、情動回路、それこそいろいろな感情の世界ですね。そういったものをつかさどることもわかってまいっております。

 つまり、後で申し上げますが、器質性・心因性の議論で、器質性と呼ばれているものは運動の部分です。心因性と呼ばれているものは恐らく情動回路の問題であろうと、その接点もさらにわかってきております。

 特に私、不随意運動の一つ、ジストニアの調査研究班のお世話をさせていただいておりますので、ジストニアの話をちょっとさせていただきますと、ジストニアという病気は、後でお見せしますが、30数年前、私が学生であったころは典型的な心因性疾患と考えられておりました。実際に脳のMRIを撮っても変化がない。しかし、現在では、いろいろな動物モデルとか遺伝子の解析とかから、シナプス単位、ミクロの単位での運動回路の異常であるということが明らかになってきております。ですから、ますますもって器質性・心因性の区別というのは難しくなってきております。つまり、手のひらを表から見れば心因性だし、裏から見れば器質性ということ、心と体の接点が非常に近づいてきていると言わざるを得ません。

 例えば、今言いました情動回路と運動回路の接点のストリオゾームというところが実際に見つかっておりまして、このストリオゾームを欠損することで遺伝性のジストニアができるということまで我々は解明いたしました。

 不随意運動はいろいろございます。ややこしいので実際にビデオをお見せするほうがいいと思うのですが、括弧づきで器質性と考えられているような病態を中枢性と挙げられております。この中で一番多いのは振戦とかジストニアでございます。末梢神経の病気、末梢の機序で起こる不随意運動、そして、一番最後の心因性がありますが、心因性というのは、いまだ中枢性だけでは説明のつかない、恐らくは情動回路まで含んだ病理があるであろうと思われるものを心因性ととりあえず言っているのです。

 したがいまして、何度も申し上げる予定ですけれども、心因性は決して詐病ではありません。れっきとした病気であります。ただ、その情動回路の部分がわかっていないので、とりあえず心因性としているということだけであります。

 「不随意運動のみかた」はいろいろ教科書的なことが書いてあるのですが、我々が特に若い神経内科の先生に強調しているのは、決してわからないから心因性にするのではないと、こういう特徴があったら心因性としなさいということを教えております。

 ジストニアですが、真っすぐ首が前を向けない病気であります。ところが、ちょっと手を首とか顎のところに持ってくると非常に見事に前を向けるということで、これは典型的な心因性と私は学生時代に教えられていたものであります。それがいろいろな病気、例えば瞬きをするときの運動のプログラムが異常を起こるとか、字は書けないけれどもお箸は持てるという変な病気も、これらもみんな基底核の問題ということがわかってきております。

 一番最後に、境界領域の固定ジストニアという病気も御紹介申し上げます。

 例えばこれはなかなか字が書けないのです。手が硬直してしまってペンが運べない。この方は仕事が危ないということなのですが、お箸は持てるのです。こんな都合のいい病気があるかということで30数年前は教育を受けたのですが、実際これは器質性の病気という分類になっております。というのは、字を書くという運動のプログラムの異常が先ほどの運動回路の中で起こっている証拠が多数見られております。

 この治療ですが、まだ今、ジストニア班でガイドラインを作成中で、いろいろな治療法があります。例えば内服療法一つにしてみても、決して精神安定剤だけではなくて、抗パーキンソン病薬とか抗てんかん薬などをうまく使ってコントロールするということでありますので、いわゆるイメージ的に心因性の病気で効くようなお薬だけが使われているわけではありません。

 鑑別すべき病態はいろいろあるのですが、きょうは時間の都合で特に関係のあるものだけ見せさせていただきます。

 この患者さんは、落ちつきがなく指を適当に動かしているように見えるのですが、本人は意識しておりません。ちょっとまねができそうですね。私は徳島におりますので、徳島の阿波踊りみたいだろうということで舞踏症と学生には教えておりますが、落ちつきがない、これはれっきとした器質性疾患に伴う不随意運動であります。

 そのほか、一定のパターンがきっちりあるような病態もあります。特にこれは協力いただける患者さんがなかったので米国の教科書からとってきたものでありますが、Ticと呼ばれる病態があります。ちょっとじっとしていないさいと言うとじっとしておれるのですが、耐えがたい違和感が体のいろいろなところから起こって、どうしても動かしていなくては気が済まないという状態です。これは遺伝子も見つかっている病気でもありますし、先ほど言った複合回路の異常で起こるということがわかってきております。したがって、途中で自分で自制できるからといって不随意運動ではないということにはなりません。

 特に今のところ心因性と言っている運動障害の診断の特徴が既に明らかになっておりまして、幾つかあります。全部御紹介するわけにはいきませんが、例えばこの患者さん、10年ほど前に交通事故に遭われて10メートルぐらい車で跳ね飛ばされて意識不明が1カ月続いた後でこういう症状が出てきた。わざわざ非常に不安定な位置を保ちながら歩いているように見えるのですが、こういう歩き方でないとこの方は歩けないわけです。精神科の先生がいらっしゃるので、心的外傷というものがかなり影響していると考えられます。しかし、これは決して詐病ではありません。

 例えばこの患者さんです。手が震えてお仕事で非常に困る、ストレスのある職場だとおっしゃっておりました。この手に注目してください。手が主訴となっている運動でありまして、今、随意的に左足を動かしてもらっています。左足と手が時々同期するわけですね。おわかりでしょうか。こういう特徴があると、これはEntrainmentと申しまして、心因性に分類いたします。

 これはこのたび新たに使用を許可していただけた患者さんですけれども、26歳の方で急性発症の歩行障害です。下肢の疼痛を伴うということで、疼痛と運動障害が急激に出た方です。足がぴんと固定した肢位で、これは寝てもこの肢位ですし、歩こうとしてもこの肢位です。これでも大分よくなってきておられまして、最初は疼痛もあって歩けなかった方です。右足は全く自由に動きます。立とうとすると、今はもう歩いておられるのですが、かなりよくなってきておられて、この方の場合、非常に定期的に一生懸命私が診察をしてお話を聞くということと、もう一つは、これは後ろ歩きです。後ろ歩きはさらに困難です。いわゆる運動ループの器質性のジストニアの場合は後ろ歩きのほうが歩きやすいというのが特徴なのです。

 こういうのは固定ジストニアといいます。この概念は古く1976年から提唱されておりますが、心因性と器質性の中間と考えられております。特にけがの後で起こりやすいとか、痛みを伴いやすいという特徴がわかっております。こういったものを103例まとめた、今、世界中で一番たくさんこれを分析した論文であります。特に女性に多い、若年発症が多い、四肢の外傷が先行する場合が多い、四肢に症状がある、大半に痛みを伴う、解剖学的に説明できない感覚の異常がある、慢性局所性疼痛症候群、身体表現性障害などとの境界例もあると書かれてございます。完全寛解もあり得る(若年者に多い)、こういった写真が載っております。

 まとめますと、このfixed dystonia、固定ジストニアというのは、複合性局所疼痛症候群と身体表現性障害のちょうど境界領域に存在する疾患ではないかと考えられております。

 もう一つ、「不随意運動をともなう炎症性疾患」、特に自己免疫性疾患として古くから知られているのはSydenham舞踏病というのがあります。これは100年以上前から知られている病気ですが、あとはPANDASであるとか、こういったものはもちろん原因となる感染症に対する抗生物質であるとかステロイドを使ったりいたします。

 そして、非ヘルペス性辺縁系脳炎、これは特定の神経細胞の持っている抗原に対する抗体ができる病気で、特に女性の場合は卵巣奇形腫に伴う場合が多いのですが、意識障害、意識消失発作、てんかんなども伴います。

 そういう場合は、大体MRIで異常信号があるということがわかります。

 最後に、これはSydenham舞踏病でブラジルの症例ですけれども、落ちつきがないような手の揺れがあります。手だけではなくて足もあるということで、ブラジルでは抗生物質を使って治療すると同時に、ステロイドも使うようになっております。

 ですから、今まで環境、遺伝、心的ストレスということで、いろいろな病気も起こります。その病気の中で、器質性・心因性というのがかなり分類しづらくなっているわけです。それも脳科学が発展いたしまして、実際、心の世界が生物学的な背景を調べることができ始めているということによります。ですから、決して心因性という言葉が、例えば詐病を意味するとか、その人が悪いとか、性格が悪いとか、そういう意味で使われてはならないと考えてございます。

 以上でございます。どうも御清聴ありがとうございました。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 3人の参考人の先生方にそれぞれの御専門の領域から御説明をいただきました。御質問等々、よろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○倉根委員 牛田先生に伺いたいのですが、以前、先生のお話を伺ったときも伺おうと思ったのですが、体をというか、ある器官を動かさないことによっていろいろな変化が出てくるという御説明いただいたのですけれども、例えば先生のスライドの6ページで言うと、いろいろな変化をお示しになっているのですが、その時間的な経過というか、どのくらいの速さで、あるいは何日という単位なのか、週という単位なのか、時間という単位なのか、もちろんこれはそれぞれの器官で違うとは思いますが、その時間的なものはどのようにお考えでございますか。

○牛田参考人 これは、例えばこんな実験があって、30分手をじっとしていると、動かしているほうよりも当然手の温度とかは冷たくなるというのはあるのです。我々、整形外科がバックグラウンドですので、もちろんギブスなどをしているとそういう変化は著明に出てきて、2週間ぐらいすると筋肉の萎縮とかも起こってまいります。動物実験でも10日から2週間ぐらいで筋肉もやせてきますし、骨にも変化が出てきます。固定していないと骨がつかないのでギブスをするわけですけれども、マイナスの点はすごく出てくるという感じかと思います。

 ちなみに、健常者にギブスを4週間巻くと感覚異常とかが出てくるという論文は出てきていますし、そのように使わなかったことによって、MRIで脳の解析などをしますと、脳機能の変化とかも起こってきています。極端な例では今お示ししたような症例になるのだと思いますけれども、運動訓練とかをすると、それは回復してくることがわかってきているところです。

 脳の萎縮で、慢性腰痛の人が動かなくて、それが原因かどうかわからないですけれども、そういう人の脳の萎縮だとかも、生活がちゃんとできるようになると戻ってくるというデータが出てきているところかと思います。

○桃井副反応検討部会長 ほかにいかがでしょうか。

 あるいは参考人から、他の先生方のプレゼンに関しての御意見等々を頂戴してもと思いますが、いかがでしょうか。

 神田参考人から、神経内科医として何か御意見等々おありになりますか。

○神田参考人 梶参考人から非常に明快なお話をいただきまして、不随意運動に関して、非常に器質的なものと機能的なものがわかりにくくなっているというのはまさにそのとおりでございまして、私たちも患者さんを診るときに、心因性であるということを考えても、やはり器質的なものは忘れないようにという立場で今じっと患者さんを診させていただいています。いろいろなことがわかってきていますけれども、確定的なことが今申し上げられないのが残念なのですが、いろいろな方がいらっしゃるということは確かでありまして、いわゆる心因性と器質性の境目というのは本当に難しいなと、今、患者さんを診ていて感じているところでございます。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 ほかに御意見、あるいは相互の御専門の間での御意見、御質問等はありますでしょうか。

 これは、それぞれのタイトルが機能性とあったり、あるいは心因性とあったりしますが、梶参考人の御発表で運動障害に関しては機能性とされなかったのは、運動障害、特に不随意運動は機能的な回路の異常という理解があるので、あえて心因性という言葉をお使いになったと理解してよろしいのでしょうか。

○梶参考人 そのとおりでございます。私自身、学生のときに心因性と教えられた病気が今はもう機能性であるということが遺伝子レベルまで含めてわかってきておりますので、これは今、脳科学が進むとどんどんボーダーラインがなくなってくるのではないかと思っております。

○牛田参考人 梶先生、教えていただきたいのですけれども、リバーシブルかイリバーシブルかというところが一つ議論しないといけないところかと思ったりするのですが、先ほど私が出させていただいたようなCRPSの人で、足首はまだ完全に動かないですけれども、以前に私はこのような、あの方の場合はもちろん家族の問題とかもあったりして、ほかにもそのような家族の背景を理由に、いわゆる不動に陥ったりしてあのような格好になってくるのですが、脳の機能的に、先ほど先生がお示ししたような点の面から見た場合の可逆性というものは、どんな感じで考えていったらよろしいでしょうか。

○梶参考人 難しい点で、精神科と違いまして神経内科は治らない病気が多いので、治らない、わからないという病気になれているので、なかなか我々はあきらめるということがないのです。ですから、治らないと判定することはやはりできなくて、先ほどお見せしました固定ジストニアの患者さんでも今は急激によくなってきております。歩けなかった方が歩けてきておりますので、今たまたま治りにくい、治らない後遺症だと言われている方でも、治る可能性もあるし、そういったものを含めて、今、ジストニア班で研究中でございます。

○宮岡参考人 1点だけですけれども、心因性という言葉は、国際的な診断基準でも使わない方がよいとはっきり書いてあるので、基本的に精神科医はまず心因性という言葉は使いません。昔、身体に異常がないのを身体科の先生が心因性と使っただけで、心因性などという判断を、そう簡単に下せるとは精神科医は思っていません。心因性という言葉は、私は精神科医の中では死語になりつつあると思っていますので、そういう前提で議論していただいたほうがいいと思います。

○桃井副反応検討部会長 宮岡先生に機能性身体症状について御説明いただく最後に、線維筋痛症についても御説明をいただきました。これについて、ほかの御専門の先生から何か御意見がありますでしょうか。

 神田先生、いかがでしょうか。

○神田参考人 機能性というのは、私のところにもワクチン後に線維筋痛症という診断を受けられて来られる方がおられますけれども、先ほどのお話を聞いて、線維筋痛症というのは専門家の中でも意見が分かれているというのを初めて聞きまして、非常に私はある意味では安心いたしました。

 この病気は、私自身は一度もこの病名をつけたことが今までございません。というのは、私自身もまだこの病気の概念に納得していないところがございます。納得していないのはおまえがおくれているからだと言われる場合もございます。

 痛みについても、不随意運動に関しましても、先生のお話で非常に納得いきましたのは、モーターに関しては私たちはかなり、運動に関してはかなり自信を持って、これは器質的な病気ではないということをはっきり言う能力を私たちは持っているのですけれども、痛みと感覚、不随意運動に関しては切り札をちゃんと持っていないということは確かなのだということが非常によくわかりました。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 線維筋痛症の疾患単位については最新の論文でも議論がいろいろあるようで、Cluster of Symptomsであると考えるべきであるとするような論文もあるようでございます。最新のいろいろなお考えをお教えいただきまして、ありがとうございました。

 ほかに何か御質問と御意見はおありになりますでしょうか。

 どうぞ。

○倉根委員 これは梶先生に伺っていいのか、宮岡先生に伺っていいのかわからないのですが、先生方の御説明を伺うと、いわゆる心因という言葉は、心というのは脳の働きでしょうから、本来は何か器質的、物質的な変化が当然あるはずなのだけれども見つからないものを、これまで心因性のものと呼んでいた。そこはそういう考えでいいと思うのですけれども、伺いたいのは、そのもととなる原因といいますか、遺伝子的なものもあるだろうし、物理的な障害によるものであると非常に理解しやすいのですが、例えば情動というか、ある刺激に対して受ける精神的な原因が、現在わからないような器質的なものとなってこのような症状が起こるということはあり得ると考えたほうがよろしいのでしょうか。

○梶参考人 宮岡先生のほうが適任かもわからないのですが、例えば私どもでしておりますジストニアを例にとれば、実際、いわゆる心因性の部分もあるのです。例えば職場で嫌な上司がこちらにいて、反対の方向ばかりを向いていると首が向かなくなってしまったと。しかし、使うお薬はパーキンソン病の薬なのです。ですから、狭い意味での心身症というか、例えば急性の出血性胃潰瘍がストレスで起こる。でも、実際に出血を起こして胃に穴があいたら、お話を聞いて治しましょうだけではいかないだろうと。それに対して心因性という言葉が今やはり必要だなと思う一番大きな私個人の理由としては、先ほどお見せしました固定ジストニアの例でもありますが、毎回毎回お話を聞いて、そうだね、そうだねと、実際にちょっとでもよくなったら、よくなったねということを的確に指摘して御本人に納得させる。そうすると自信がついていくということで、非常に年月がかかりますが、そういうカウンセリングに近い治療がやはり効くのです。ですから、それは心因性という言葉を残していい。つまり、治療にかかわる分野だと思うので、その情動回路をうまく利用して、体の部分までいい影響を及ぼせるという意味では、言葉の意味があるのではないかと考えております。

○宮岡参考人 死語になったなどと言うと誤解を招くかもしれません。いわゆる精神療法とかカウンセリングと言われる治療を経た後ですごくよくなられる方がいらっしゃるのは事実なので、それを心因性という言葉で呼ぶ方はいると思います。今の精神医学で、あえて言えば性格環境因性と呼んで、「もともとの持っておられた性格とか置かれた環境の問題があって、そういう症状が起こる」ととらえています。心因性という言葉が曖昧で、安易に使われると混乱を招くだけだから使わないでおこうという流れになっていると思います。

 ただ、結果を見てみれば、環境とか性格、あるいはその環境にうまくその性格の方が合わなかったということは多々あるのだろうけれど、最初の段階でなかなかそこの診断はつきにくいということで御理解いただいていいかと思います。

 それから、先ほどおっしゃったように環境のストレスがかかったときに何か脳に変化が起こるかということに関しては、やはり今、最近の知見だと、変化が起こったという論文もありますし、もう一つ、ちょっと性質が違うもので鬱病性の痛みというのがあって、鬱病の非常に抑鬱が強いときに鬱が強くなって、鬱病が治るとともにすっと痛みも一緒に取れるという方は必ずいらっしゃいます。その場合は、鬱病自体は何か脳の中の病変が今いろいろ探されて見つかりますので、そうなるとやはり脳内の病変との関係というのは議論しないといけないでしょう。でも、そうなるとそれは多分心因性と我々は呼ばないと思うので、またちょっと議論が必要かと思います。

○桃井副反応検討部会長 それぞれの御専門で頻繁に使われる用語が違ったり、多少の理解の違いはあると思いますが、医学者間でのディスカッションの場合には心因というのは極めて正しく理解をされますけれども、一般の方は、心因性という言葉を、原因の因という字が当てはめられているために、もともとの原因が心であるというように誤ってとられやすい用語であるので、心因性という用語は、患者さんに対しても、患者さんの理解を誤らせることがしばしばあるので、機能性という言葉のほうが適切であるという理解でよろしいのでしょうか。

 医学的には心因性という言葉は100%正しく理解されつつディスカッションされると思いますけれども、患者さんに使うときには、日本語の漢字の意味からして非常に誤解をされやすい。医学的な病態が誤解されてしまうために、診療に支障が生じるまで誤解をされやすいために、機能性のほうが適切であるという理解でよろしいでしょうか。

○宮岡参考人 例えば下痢というのは機能性症状といい、それから、頭痛も機能性の頭痛という言い方をしていますが、背景が身体疾患であることが少なくありません。機能性身体症状を呈するけれども原因は身体疾患ということがあるので、「心因性」、「性格環境因性」、「心身の反応」などという用語と、「機能性」は分けておかないといけないですね。機能性身体症状を呈する身体疾患というのは多くある訳ですから。

○桃井副反応検討部会長 そうしますと、先生が心因性は死語であるおっしゃったので、それにふさわしい用語というのは何なのでしょうか。

○宮岡参考人 心因性という言葉がなぜ使われなくなったのかというと、あいまいに使われ過ぎてきたからでしょうか。あえて心因性という言葉に最も近いものを探せば、性格環境因性ということになると思います。これには例えばうつ病の症状としての痛みは含まれません。機能性身体症状との関係でいえば、「機能性身体症状の原因には精神疾患も身体疾患もありうる」、「性格環境因性の身体症状としてみられうるのは、機能性身体症状であり、器質性身体症状がみられることはない」、「痛みを含む典型的なうつ病の症状は、精神疾患の分類では、通常、性格環境因性とはいわない」という感じでしょうか。ややこしい話で申し訳ありませんが、精神医学ではとても重要な部分です。

○桃井副反応検討部会長 理解をいたしました。

 ほかに何か御意見はおありになりますでしょうか。よろしいでしょうか。

 専門家の先生方からも何か御追加はありますか。よろしいですか。

○五十嵐安全対策調査会長 いいです。

○桃井副反応検討部会長 それでは、それぞれの御専門から疼痛あるいは運動障害等々について御説明をいただきまして、まことにありがとうございました。

 次に、事務局から資料9に関しまして御説明をお願いいたします。

○事務局 本日の議論に関連いたしまして、海外の状況などのデータを追加して紹介させていただきたいと思います。資料9をお願いいたします。

 2ページになりますが、オーストラリア政府が2007年に発表いたしましたHPVワクチンの副反応についての報告書の抜粋でございます。

HPVワクチン接種後の副反応報告には、けいれん、失神、疼痛、頭痛、悪心、めまい、疲労感等の非特異的な症状も認められたということ。それから、中学生を対象として行われた別のワクチン、髄膜炎菌ワクチンのキャッチアップ接種におきましても同様の症状が報告されているということ。これらの症状は、転換性の反応(conversion reaction)だと考えられるが、特定のワクチンの反応というよりはワクチン接種という出来事そのものに関連していることが知られている、このようなことが紹介されております。

 続きまして、3ページ目には、本年3月12日にWHO(世界保健機関)のワクチンの安全性に関する専門委員会からHPVワクチンの安全性に関する声明が出されております。これは参考資料4にも全体を掲載しておりますので、あわせてごらんいただきたいと思います。

 抜粋しておりますが、HPVワクチンは接種時の疼痛が強いことが知られている。その結果、疼痛に関する訴えが頻繁に見られており、場合によっては、その他の非特異的訴えを引き起こす可能性もあるとされております。

 有効性と安全性の比較考量では、有効性がまさると断言する。

 生物学的実証や疫学的実証がなく信頼性に乏しい意見や報告に基づき、HPVワクチンの危険性が主張されていることを憂慮している。

 不十分なエビデンスに基づくワクチンの危険性に関する主張は、安全で効果的なワクチンの使用を中止することにつながるなど、真に有害なものとなり得る。

 アルミニウム含有ワクチンが有害であるという意見、局所のマクロファージ筋膜炎(MMF)として認められている接種部位のアルミニウムの蓄積、存在が自己免疫性疾患と関係しているという意見、HPVDNA断片が炎症、脳血管炎またはその他の免疫反応を引き起こしているという意見については、科学的エビデンスは存在していない、このようなことがまとめられております。

 続きまして、これはどのように説明するのかなかなか難しい点もございますけれども、Medically Unexplained Symptomsという表現の仕方がございます。これは、ここでは「器質的疾患として説明できない症状」としておりますけれども、検査などを行ってもその説明ができないような症状についての検討でございます。

 相当数の患者さんが器質的疾患として説明できない症状を訴えられて受診しているといった報告、特に専門外来、専門医の外来を受診しているという報告がございます。一例ですが、イギリスの神経の専門外来の初診患者さんを調べたところ、3割の患者さんが医学的に説明できないとされ、医学的に説明できないとされた患者さんを1年6カ月追跡したところ、そのうち0.4%の方が器質的疾患である症状が明らかになった。つまり、残りの方は器質的疾患はなかったということでございます。そのうち2例は初診時に指示した検査によって明らかになったものということで、専門医の診断の正確性ということもあわせて示しているかと思います。

 診断の内容ですけれども、もともとの神経疾患があるけれども、その症状がその疾患でできないような方、頭痛の方、転換性症状の方、その他の方が診断としてされております。

 最後のページですけれども、転換性障害の方の小児期・思春期における新規に発症する方の率、罹患率がオーストラリアにおいて報告されております。2年間に転換性障害と診断された16歳未満の患者さんを専門医を通じて把握しておりまして、それらの方を人口で割っていきますと、10万人年当たり罹患率2.3という報告になっております。また、専門医が多い人口が集中した地域においては、さらに高い数字が報告されております。

 論文に掲載されました年齢分布と、それから、女性が多いという男女比を用いまして推計値をつくりますと、10歳から16歳未満女子の罹患率を推定しますと7程度はあるのかなといった結果となっております。

 症状としましては、運動症状が一番多く、感覚症状、非てんかん性けいれん、呼吸症状が示されております。このほか随伴する症状として、痛みや疲労なども多い、このような報告となっております。

 以上です。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 御質問等はありますでしょうか。他国での評価等は大変参考になると思います。特に御質問はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。

 それでは、資料10について私から御説明申し上げます。

 これは、本日も御説明いただきましたが、今まで多くの専門の先生に御講演いただいた内容、さらに我々のこの部会で評価した症例の評価等々をまとめて、特に言葉の説明を十分もう少しかみ砕く必要があるのではないかという思いから、たたき台として下書きを作成いたしました。一般の方々には心身の反応、あるいは機能性身体症状、心という字が入っていますと心に問題があるというように、大変誤解をされて受けとめられるところから、また、医療者間でも専門性の違いによって機能性身体症状あるいは心身の反応について十分な御理解をいただいていない向きもあるところから、少し今までの議論及び御講演及び最新の文献をまとめたたたき台でございます。

 今ここで何か御意見を頂戴するというよりも、むしろたたき台として、用語の理解、使い方が医学的に正確であるかどうかにつきまして、ぜひきょうの参考人の先生方にも詳細にチェックをしていただいて、最終的な報告書に組み入れたいと思っております。

 医学的な評価のみならず、丁寧な説明をしませんと、特にこの領域は医療者間でも概念や用語や病態の捉えかたに混乱が多少あるところに、患者さん方の正確な理解大変難しい領域であり、その上に、理解と納得というのが治療を成功させる上で不可欠であるというところもございますので、少しくどくといいますか、かみ砕いて書かせていただきました。今、御意見があれば頂戴いたしますが、ごらんいただきまして、御修正等々をいただければ大変ありがたいと思います。

 今、御意見、御修正等々はおありになりますか。よろしいでしょうか。 それでは、きょうの議論は資料に基づいて出尽くしたところでございますので、まとめさせていただきます。

○倉根委員 質問し忘れたのですが。

○桃井副反応検討部会長 どうぞ。

○倉根委員 宮岡先生に1つ質問させてください。

 先生のスライドの3ページの一番下のG2.に「この障害の症状発生と、ストレスの強い出来事」ということ、これは恐らく何かの引用かと思うのですが、この場合のストレスというのは、いわゆる物理的、肉体的なストレスも入るのでしょうか。あるいはそういうものではなくて、いわゆる通常言う精神的なストレスという意味なのでしょうか。

○宮岡参考人 これは診断基準の解釈なのですけれども、精神的なストレスにならない身体的に加わるストレスというのは、まずないと理解されていると思います。もちろん精神的なストレスだけというのはあります。

○倉根委員 少し広い意味でのストレスということですね。

○宮岡参考人 これは広いですけれども、後の明らかな時期的関連性というところで縛られると我々は診断基準を理解しています。だから、一方が弱ければ明らかな関連とはなかなか言いにくいと理解されることが多いのだと思います。

○倉根委員 ありがとうございました。

○宮岡参考人 どうもありがとうございました。

○桃井副反応検討部会長 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○岡田委員 先ほどオーストラリアの転換性障害の罹患率がありましたけれども、もちろん診断基準等々も違うのかもしれないですが、例えば日本国内での転換性障害の罹患率とか、あるいは経年的な変化というような報告があるのでしょうか。

○事務局 世界の中でも、精神疾患と申し上げてよいのかということはございますが、こういった種類の疫学調査がしっかり実施されている地域は非常に限られていると思っております。その中で幾つか、イギリスのデータなど限られたものの一つ、最新のものとして御紹介したということでございます。日本を含めまして、その他の国からはっきりしたデータは、私どもが探している限りでは見当たらなかった状況でございます。

○岡田委員 せっかく御専門の先生方がいらっしゃいますので、先生方にもお聞きしたいと存じます。いかがでしょうか。

○宮岡参考人 転換性障害と言われるようなものの有病率は、かなり時代によっても違うという議論もありまして、厚労省の統計でもここまでの細分類でのデータは出ていないと思います。必要なものだとは思いますけれども、現時点では明らかに私の知っている範囲内にはありません。

○桃井副反応検討部会長 どうぞ。

○梶参考人 ちょっと補足させていただきますと、BRAINに載ったMedically Unexplained Symptomsという論文は、桃井委員がおっしゃった言葉の問題がイギリスでも多分ありまして、機能性(functional)もしくは心因性(psychogenic)というところでつけ切れないのでこういう表現になっている論文でございます。

 私は神経内科、神経科ですので、外来で診る患者さんの3割ぐらい、機能性と言ってもいいようなmedically unexplained diseasesがあるのだということで、これは本当にまだまだこれから解明していく分野だという意味ではないかなと読んでおりました。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 それでは、まとめさせていただいてよろしいでしょうか。

 大変活発な御議論をありがとうございました。全般のデータに関してのまとめは先ほどさせていただきました。本年3月31日までに報告された症例について、特にHPVワクチン接種後の疼痛または運動障害を中心とする多様な症状を呈する症例は、販売開始以降、医療機関または企業から合計176例報告をされている、報告頻度は10万接種当たり2.0であるという数字が報告されました。

 次に、機能性身体症状、心身の反応について専門家からヒアリングを行いました。大変貴重な御講演をいただきました。ここでは用語として心身の反応イコール機能性身体症状とさせていただきます。機能性身体症状はさまざまな原因により起こり得る。基本的には可逆的であると考えられる。そして、一定の臨床的な特徴があるということもお示しいただきました。

 機能性身体症状を呈した場合、リハビリや活動性の維持等々の適切な治療により回復することも多いということもお示しいただきました。

 症状に対して心、身体の二元論でアプローチするのではなくて、心身両面からのアプローチが必須であると、また、それが適切な改善への道の必須事項であることも各参考人から強調されました。

 次に、海外の報告の内容が報告されました。HPVワクチンの接種の有無にかかわらず、一定の頻度で機能性身体症状が生じているということが海外でも確認されています。また、今も参考人から御報告がありましたが、Medically Unexplained Symptomsというものは初診の神経外来でも極めて多いものであるということも御報告をいただきました。

 以上がまとめてございますが、内容のまとめについてはこれでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桃井副反応検討部会長 それでは、議論のまとめについては以上でございますが、事務局から報告事項がおありになりますので、御説明をよろしくお願いいたします。

○事務局 2つばかり御紹介させていただきます。

 資料11をお願いいたします。

HPVワクチンに関します安全性の科学的な御議論については、現在も続けていただいているところと承知しております。

 一方で、HPVワクチンの接種、この状況の中で接種者が非常に減っておりまして、激減という状況でございますけれども、それでもなお若干数の一定程度の方が受けられている状況でございます。私どもとしましては、こういった方々にも、現段階でわかっているこれまでの御議論に基づきました情報を提供させていただきたいと考えております。

 その内容を2ページ目に簡単にお示ししております。3つにまとめておりまして、1つ目は、接種の適否を慎重に検討していただきたい方々であります。外傷等を契機として原因不明の疼痛が続いたことがある方、他のワクチンも含めて以前にワクチンを接種した際に激しい疼痛や四肢のしびれを生じたことがある方、そういう方については問診等を十分に行っていただき、慎重に接種の適否を判断していただきたいということです。

 2つ目としましては、広範な疼痛や運動障害が起こること等をできるだけ回避するための留意点としまして、御議論に基づきまして、かかりつけ医など安心して接種を受けられる医療機関で接種をすること。それから、十分な説明を行うことが予防にもつながるという御議論がありましたので、HPVワクチンを接種する目的、副反応等について十分な説明を行うこと。それから、失神に関連してこれまでも行っておりました注意事項でございますが、接種後30分程度は座らせるなどをし、失神により転倒しないよう注意すること、こういったことを留意事項として示してはどうかと考えております。

 3つ目としまして、それでもなお、接種後に広範な疼痛や運動障害が起こった場合の対応として、その際には予防接種法に基づく副反応報告を行っていただき、それ以降のHPVワクチンの接種の中止や延期を行っていただき、神経学的・免疫学的な鑑別診断及び適切な治療が可能な医療機関を受診させるなどの対応を行うこと。この「神経学的」以降のくだりは、添付文書にも記載している内容を引用しております。本日も御紹介いただきました慢性の痛みの研究班などがそれに相当するかと思っております。

 こういった注意事項を盛り込みまして、それ以降につけております接種を受けられる方に対する資料、保護者に対する資料、医療従事者の方に対する資料、それぞれにまとめまして紹介をしていきたいと思います。

 私どもとしましては、若干の修正もまだ必要な点が残っているかとも思っておりますが、そういった点も作用いたしまして、できるだけ早く自治体を通じまして医療機関、接種の現場に届くような形で情報提供、通知をしてまいりたいと考えております。

 もう一点、資料12、本日も御紹介いただきました牛田先生のグループにおけます診療体制ですけれども、これまで愛知医科大学を中心としまして11の施設で行っていただいておりました。研究班の今年度の拡大に伴いまして、これを全体で19の施設にするということで御検討いただいております。こちらのほうも若干の調整事項がございまして、調整でき次第御案内をしていきたいと考えております。

 私どもとしましては、これらの医療機関を高度医療機関としました医療体制をできるだけ早くつくってまいりたいと思っております。

 しかしながら、これだけでも全国をカバーするには若干不足しているかなと。特に患者さんに対しまして遠距離の御移動をお願いすることにもなりますので、もう少し県単位での対応も、現在、日本医師会を初めとしまして、関係の先生方と御相談しております。

 そのほか電話によります相談など、幾つかできる方策も検討しておりまして、現在でも受けておられる方が若干いらっしゃいますので、そういう方に対する体制もつくってまいりたいと思っております。

 以上でございます。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 これに対しまして、何か御意見等はおありになりますでしょうか。

 患者さんへの説明のオレンジの案なのですけれども、今までの議論の中で、何のために注射を打つのか説明を十分受けないで受けているお子さんが多いという御指摘もいただいたために大変必要だと思うのですが、何のために受けるかが先に来て、十分理解をして、その後、副作用のことを読むほうが順番としては正しい順番なのではないかと思います。まずこんな気になる症状が出たときではなくて、これは何のために打ちますよという説明をした上で副作用のところを読むという順番のほうが、患者さんにとっては不安を起こさないプロセスではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○事務局 このリーフレットをどの時点で読むかですけれども、恐らくこの「みなさんへ」という被接種者の方が読む時点は、御両親からいろいろ情報をもらって、実際に医療機関に行って打つときに多分読むであろうなと。これは基本的には医療機関に置いてあることを想定していますので、その時点で必要な情報ということでオレンジのものはつくっています。

 一方、「保護者の方へ」のほうは、これはホームページにアップしますので、御自宅でもお読みいただいて、御両親とお子さんの間でよく話し合っていただいて、そちらの「保護者の方へ」のほうはまさにその意義だとか副反応のことを最初に書いております。

 さらに、「医療従事者の方へ」というのがもう一つ、医療機関の方に読んでいただいて、十分に接種する際に御説明いただくと、そんな形でとりあえずつくっています。

○桃井副反応検討部会長 わかりました。

 御本人にも、何のためにが最初にわかったほうが不安が少なくていいのではないかと思ったものですから、可能であれば御検討ください。

 何か先生方。

 どうぞ。

○倉根委員 この黄色の「子宮けいがん予防ワクチンを受けるみなさんへ」の裏の4ページ、下の丸ポチのところですけれども、これはこのままのほうがわかりやすいのかなという気もしますし、ウイルス系の人間として少し気になるので申し上げるだけです。このほうがわかりやすいといえば、これで。

 「子宮けいがんの5070%の原因となる2種類のウイスルが」と言われてしまうと、ヒトパピローマウイルスは1種類なので、つまり、それ以外の何かのウイルスというようにとれてしまうのです。ただ、こちらのほうがわかりやすいということであれば、これは一般の方向けなので、あえて書かなくても。ただ、次を見ますと、まだ説明が来ていないのですけれども、そちらには「2つのタイプに感染するのを防ぎます」と書いてあるので、正しく書くとすればこちらのほうがいいと思うのです。これはわかりやすさの問題なので、あえてこちらにしなくてもいいかと思いますが、青のほうで「2つのタイプ」と書けるのであれば、そちらのほうがいいと思います。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 その表記に関しても、一般の方が理解しやすいように御検討くださればと思います。

○事務局 御意見を参考にしまして、検討してまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

○桃井副反応検討部会長 ほかにこの資料につきまして、ありますか。よろしいでしょうか。

 はい。

○柿崎委員 資料12で、痛みの場合の診療ネットワークについては、医科向けにわかりやすいのですけれども、以前、神経内科の拠点病院とかで受診すべき病院が幾つかあったと思うのですが、機能性運動障害だとか運動障害が生じた場合に配布するようなリーフレットは既に配布されているのですか。

 疼痛ではなくて運動障害関連で治療に難渋するような場合に、神経内科の大きな病院とかで幾つか受診すべきところというのが以前挙げられていたかと思うのですけれども、それに関してはリーフレットみたいなものはできているのですか。

○宮本予防接種室長 昨年来2つの研究班のことを紹介していたかと思うのですが、本日、今年度新しく体制として整ったということで牛田先生のほうを紹介させていただきました。昨年度も準備でき次第、それぞれ御案内をばらばらにさせていただいた経緯がございます。

 ちなみにということになろうかと思いますが、先ほどの症例の患者様もございましたように、疼痛の訴えの中には関連してさまざまな症状の方がございます。症例の中にも含まれていたかと思います。そういった点も踏まえながら御審議をいただいていると思っておりまして、必要なネットワークでの診療も含めて御対応いただいているのが現状かと思います。

○柿崎委員 では、疼痛障害がメーンのときはこちらでいいかと思うのですけれども、運動障害がメーンに起きた場合もまずここに相談してということになるのですか。

○事務局 地域での全体の体制ということを構築していきたいと考えているのですが、まずは各都道府県単位で一旦受けとめていただけるような医療機関の体制ができないかなと、今のところ構想でございますけれども、そのように思っております。

 さらに、その上で必要であれば、関係する医療機関に紹介する一つの紹介先、出口として、本日紹介したような医療機関があるといった状況でございます。ほかにも必要であれば、当然対応は行っていくことになろうと思います。

○桃井副反応検討部会長 疼痛がなくて運動障害がメーンの症例に関しては神経内科にというようなことを書いたほうが、患者さんにわかりやすいのではないかということですか。

○柿崎委員 もしあれなら、そういった神経内科のネットワークみたいなものが同じように運動障害バージョンであればいいのではないかと思います。

 もう一点、資料11のほうで「HPVワクチンの接種に当たって〜医療従事者の方へ〜」というリーフレットに、疼痛だとか運動障害の問題が起きた場合に受診すべき医療機関はどこのホームページを見ればいいかとか、どこに当たればいいかというのが最後のほうに一文でも入っていれば親切ではないかと思います。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 参考人からどうぞ。

○梶参考人 私から申し上げることではないかもわからないのですが、今、厚生労働省からジストニアの研究班を仰せつかっておりまして、全国で10施設ぐらい班員がございます。そういったところが不随意運動を、ジストニアが一番多い不随意運動でございますので、一応見られる医師は全国に散らばってございます。ですから、紹介先として挙げていただくのは、班員全員の合意を取りつけているわけではないのですが、挙げていただいて、研究費は少ないのですけれども、協力はできると思います。

○牛田参考人 一応我々のところでやっているのは、今のところは整形外科のものと麻酔科の先生、精神科の先生はほぼ全施設協力してくださることになっておりますので、その中で、今おっしゃったような脱力云々のことに関して、まず窓口的に受ける格好にして、それで梶先生と連携を何らかの格好でつくっていってということを考えていったらどうかと思います。

 多くの方は、力が入らないということと同時に痛みも訴えておられますので、システム的に結局いろいろな人で見ていく方向で、最終的なゴールセッティングは、きょう先生方にお話しいただきましたように、心の問題と体の問題は裏表というか、手のひらの反対側であるということと、両方見ていく体制でいくしかないかと思っておりますので、少しすり合わせをしながら考えていきたいと思いますが、そんなことでよろしいでしょうか。

○事務局 相談して、対応できるものは対応していきたいと思います。

○桃井副反応検討部会長 よろしくお願いいたします。

 また、柿崎委員から2番目にいただいた、どういう状況であればどのようにという、医療従事者のほうにももう少し情報が伝わりやすいサイト等の工夫をという御意見もありましたので、御検討いただければと思います。

 大野先生。

○大野委員 今の「医療従事者の方へ」というところを読んでいると、私から読むと、余り重篤な疼痛が起きたという印象を受けないのですけれども、それでよろしいのでしょうか。今まで検討したことは、かなり重篤な疼痛が起きているということを受けていますけれども、これだけ読むとそう感じないということで、それが1つ。

 もう一つ、WHOの声明のサマライズをいただきましたけれども、このサマライズの仕方が違うのかわからないのですが、若干言いにくいところがありまして、WHOに日本での検討状況等がきちんと伝えられているのかどうかが気になったのです。関連性が疑われるとか、そういう報告が結構あったわけです。さらに重篤なことがあったということですので、WHOだと、これもそんなに強い副作用が起きているという印象を与えないのです。だから、結構誤解を、十分に伝わっていないような気がするのです。

 報告するタイミングもあると思うのですけれども、この検討部会の途中経過からある程度まとまったところで、今まで集まってきた副作用の情報とかその解析の結果をきちんとWHOに報告する必要があるかと思いました。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 その辺も、この「医療従事者の方へ」の7ページの下に書いてあるところの表現の仕方も含めて、十分に現在の情報が的確に伝わるようにという御意見をいただきました。

 また、再三御指摘されている不安との関係ですが、不安を起こしやすい年齢でもあり、接種に関してはそういう配慮が必要であるということはどこかに書いてあるのでしょうか。書いていないように思うのですけれども、丁寧な説明と疼痛に関する不安を増強しないような説明、対応といいますか、そんなものもつけ加えていただけると、接種後の疼痛は看護師さんの優しい対応で随分違ってくるなどという論文もありますし、不安を抱きやすい年齢でもあり、接種後の疼痛に関する不安を生じないような対応といいますか、接種環境といいますか、そんなものを注意喚起するような文言も、なかなか表現が難しいと思いますが、つけ加えていただければと思います。

 ほかに先生方からよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○岡部委員 WHOに対する意見の提出、報告ですけれども、全てにやっているかどうかわからないのですが、先般、西太平洋地域事務局でワクチンに関するTAG Meeting、いわば予防接種専門家会議というのがありまして、私の横にいる倉根先生はその中のメンバーで、私も出かけていったのですが、日本側からは日本の状況ということで説明の時間があって、HPVの現状について今どういう議論が行われているかといったような報告はしております。

○事務局 事務局からですが、参考資料4がWHOの委員会の声明の全文の仮訳になりますけれども、2ページ目の下のほうに「日本において提起された」ということで日本の状況を説明いたしまして、それを踏まえてWHO側でエビデンスの整理とか検討が行われている状況でございます。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 以上で、ほかに御意見、追加等は。

 岡田先生。

○岡田委員「みなさんへ」というところで、全てに振り仮名をつけるのはなかなか難しいかもしれませんが、少し難しい漢字のところは振り仮名をつけていただけると読みやすいとも思ったので、御検討いただければと思います。

○桃井副反応検討部会長 そうですね。不随意運動と書かれても一般的にはわからない年齢の方々ですので、この辺の表記も少しお考えいただければと、患者さんの年齢、対象に合った表現の仕方を御検討いただければ大変ありがたいと思います。

 ほかに御意見等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。

 本日の議事は以上で終了いたしましたが、その他、事務局から何か御報告等はおありになりますでしょうか。

○事務局 本日は、長時間にわたりまして活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。

 次回の開催につきましては、日程調整の上、日時等について御連絡させていただきます。

 また、傍聴者の方々にお願いがございます。このビルのエレベーターは非常に混雑が予想されますので、先に審議会の委員の先生方、また、参考人の先生方に退室していただきますので、申しわけございませんが、しばらくそのままお待ちいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 事務局からは以上でございます。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 それでは、本日の副反応検討部会・安全対策調査会を終了させていただきます。活発な御議論、また、参考人の先生方からのプレゼンテーション、まことにありがとうございました。


(了)

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