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2015年1月29日 第10回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

医薬食品局安全対策課

○日時

平成27年1月29日(木)14:00~


○場所

主婦会館プラザエフ8Fスイセン


○議事

○事務局 ただいまから「平成 26 年度第 10 回医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開催いたします。本日、御出席の委員、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の調査会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただきますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。傍聴の方々におかれましては、「静粛を旨とし喧騒にわたる行為はしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日の委員の出欠状況ですが、現在、5名中4名の御出席をいただいています。望月委員からは、所用により遅れて到着する予定であるが、出席はかなわない可能性があるとの御連絡を事前に頂いています。なお、薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。

 また、本日は、参考人といたしまして、日本医師会の今村常任理事、日本薬剤師会の生出副会長、昭和大学藤が丘病院の小峰客員教授、公益財団法人いしずえの佐藤理事長、大阪大学大学院薬学研究科の那須教授、東京大学医学部附属病院の藤井教授、群馬大学大学院保健学研究科の村上教授に御出席いただいています。なお、日本骨髄腫患者の会の上甲副代表におかれましては、所用により遅れて到着するとの御連絡を事前にいただいています。

 このほか、現在の TERMS 及び RevMate 運用状況等について、必要に応じて御説明いただけるように、サリドマイド製剤の製造販売業者である藤本製薬株式会社から長谷さんと大西さん、レナリドミド製剤の製造販売業者であるセルジーン株式会社から北川さんと伏見さんにも御参加いただいています。

 これ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。以後の議事進行は、五十嵐座長にお願いいたします。

○五十嵐座長 これから議事を始めます。事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして、御説明をお願いいたします。

○事務局 議事参加について御報告いたします。本日、御出席の委員及び参考人の方々の過去3年度における関係品目の製造販売業者からの寄附金、契約金などの受取り状況を御報告いたします。本日の議題は、サリドマイド製剤及びレナリドミド製剤に係るものですので、関連企業といたしまして、多発性骨髄腫の治療薬の製造販売業者であるセルジーン株式会社、藤本製薬株式会社、ヤンセンファーマ株式会社の3社から過去3年度における寄附金等の受取りについて、事前に各委員及び参考人に資料をお送りして、申告いただきました。

 その結果、本日御出席の委員及び参考人のうち、遠藤委員よりセルジーン株式会社から 50 万円以下の受取り、柿崎委員よりヤンセンファーマ株式会社から 50 万円以下の受取り、小峰参考人よりセルジーン株式会社から 50 万円超 500 万円以下の受取り、上甲参考人よりセルジーン株式会社から 50 万円以下の受取り、那須参考人より藤本製薬株式会社から 500 万円超の受取り、村上参考人よりセルジーン株式会社及び藤本製薬株式会社から 50 万円超 500 万円以下の受取り、ヤンセンファーマ株式会社から 50 万円以下の受取りと御申告いただきました。

 この結果、全ての委員におかれましては、意見を述べ、議決にも加わっていただくことは可能です。また、参考人におかれましては、那須参考人から藤本製薬株式会社から 500 万円を超える受取りとの申告がありましたが、これは今回審議されるサリドマイド製剤安全管理手順 (TERMS) の第三者評価のための受託研究として受領されたものです。 TERMS 第三者委員会の委員長として今回の審議への参加を必要と考えておりますが、那須参考人の参加が必要と判断いただけるか御確認ください。そのほか、今回の審議に参加することのできない参考人はいらっしゃいませんでした。

○五十嵐座長 ただいま事務局から御説明をいただきまして、那須参考人の御参加を必要と考えますが、それでよろしいですか。

 ありがとうございました。那須参考人の御参加につきまして、御確認をいただきました。また、関係品目・関係企業の妥当性につきまして、特に御意見はありませんか。よろしいですか。

 それでは、競合品目、競合企業の妥当性を含めて皆様の御理解をいただいたものとしたいと思います。

 事務局から今日の配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 配布資料の一覧に沿って御説明いたします。机上にお配りさせていただいておりますのは、議事次第、座席表、委員・参考人等の一覧、配布資料一覧、資料1「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会 ( 開催の経緯等 ) 」、資料2「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会報告書」、参考資料1「医薬品等の安全管理方策に関する審議について」、参考資料2 - 1「 TERMS 及び RevMate について」、参考資料2 - 2「サリドマイド製剤安全管理手順 (TERMS) 」、参考資料2 - 3「レブラミド適正管理手順 (RevMate) 」、参考資料3「日米欧におけるサリドマイド安全管理システムの概要」、参考資料4「遵守状況の確認方法について」、参考資料5「個人情報の取い扱いについて」、参考資料6「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理のあり方に関する意見」として、公益財団法人いしずえからいただいているもの、参考資料7 - 1「サリドマイド製剤安全管理手順「 TERMS 」およびレブラミド適正管理手順「 RevMate 」に関する要望書」、参考資料7 - 2「当会の要望の趣旨と、 STEPS TERMS およびレブメイトについて」として日本骨髄腫患者の会からいただいておりますものです。お配りさせていただいております資料は以上です。漏れ、落丁などがありましたら、お申出ください。

○五十嵐座長 皆さん、大丈夫ですか。議題1の「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理について」、検討に入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料1を御覧ください。サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会を設置し、今回、報告書が取りまとめられた経緯につきまして、まず御説明申し上げます。多発性骨髄腫の治療薬であるサリドマイド、レナリドミドでは、胎児への薬剤曝露防止を目的とした管理手順の実施が、それぞれ製造販売承認の条件とされており、これまで何度か本手順の改定が行われています。直近では、 PMDA TERMS RevMate の第三者評価委員会で取りまとめられた提言を受けて、平成 24 年3月から平成 25 年3月にかけて、パブリックコメントや欧州調査も実施の上、本調査会で数回にわたる審議が行われました。その審議の結果、妊娠可能性のない女性患者の定義の拡大、血液検査による妊娠検査の導入などの改訂につきましては了承されましたが、○の5つ目の下12とありますように、患者の遵守状況の確認方法、患者の個人情報の企業への登録に関しましては、別途検討の場を設けて引き続き検討を行うこととされたところです。

 以上のような経緯から、平成 25 年6月に検討会を設置いたしまして、平成 26 12 月に報告書が取りまとめられたところです。本日は、この検討会報告書を踏まえた安全管理手順の見直しについて、御審議をお願いしたいと思います。

 資料2「検討会の報告書」について御説明いたします。資料2の2ページを御覧ください。検討会はこちらの構成員名簿にあります7名の先生方から構成され、藤井先生に座長を務めていただきまして、7回にわたって議論を行い、本報告書が取りまとめられました。

 1ページ戻っていただきまして、目次を御覧ください。検討会では、まず目次の2.にありますとおり、患者の治療アクセスを阻害することなく胎児曝露を防止するための安全管理の目的、その目的を達成するために必要な要素の整理を行い、その上で患者背景や海外における安全管理の実施状況などの関連情報も踏まえた上で、本目次の3. ( )( ) にあります遵守状況の確認、患者登録を中心に安全管理の在り方について検討が行われました。2.、3.、4.における検討を基に、目次の5.にありますとおり、検討会の提言として、手順の骨子と今後の検討課題を取りまとめていただきました。

 報告書に沿って概略を御説明申し上げます。4ページを御覧ください。2.安全管理に必要な要素についてですが、こちらでの議論では、安全管理手順の目的とそれを達成するために必要な要素について整理を行い、このうち特に重点を置いた安全管理を行うべき要素などについて、検討を行いました。

 議論の概略が6ページにございますので、そちらを御覧ください。上から5行目からが議論の概略の取りまとめですが、胎児曝露のリスクは女性C患者が最も高いということで、特に重点を置いた安全管理が必要であり、教育と理解が継続していることの確認、薬剤開始前、投薬中の妊娠検査は、引き続き実施することが必要とされました。

 また、男性A患者につきましては、一律に同一区分として扱うのは適当ではないところではありますが、男性患者にはどのように扱うかという点については、今後、更なる検討が必要な課題とされております。

 また、全ての患者に共通な第三者曝露のリスクに関しましては、患者への教育を行っていくことが重要であり、また、引き続き残薬数の確認も行っていくのが適当とされております。

 安全管理手順の在り方についてですが、 ( ) の遵守状況の確認につきましては、その確認方法、実施者、確認項目などについて検討を行いました。検討結果の概略が、 11 ページにありますので、そちらを御覧ください。上から5行目以下に概略がまとめられています。患者による安全管理手順の遵守状況の確認は、医療関係者と企業の両者が行う従来の方式から、医療関係者が患者の遵守状況の確認と説明を行い、その結果を企業が確認する方法へ転換するのが適当とされております。また、現在行われております患者自身による定期的な遵守状況報告に関しては、これを不要とするべきという意見と、引き続き行うべきという2つの意見がありましたが、不要とする意見を支持する意見が多かったところです。

 1にあります定期的な遵守状況報告は不要とする意見ですが、こちらに関しましては、患者理解と手順遵守の継続性の確保は、医療関係者と患者による直接のコミュニケーションによることが効果的であるため、毎回の診療の中で医療関係者が患者の遵守状況・理解の確認と、それを踏まえた説明を行っていくのが適当という意見でした。なお、その実施に当たっては、遵守状況の確認は、一律毎回、同一項目に対して実施するのではなく、患者の病態や理解度等に応じて、医療関係者の判断により必要な項目について実施することで差し支えないとされております。

 もう1つの意見であります、定期的な遵守状況を引き続き実施するべきとする意見についてですが、こちらについては 12 ページの上からを御覧ください。過去に実施した患者アンケート調査の結果では、本手順を肯定的に捉える意見が多かったこと。このような手順を踏むことはリマインドにつながるということ。それから、安全管理手順の遵守状況をモニタリングする2つの経路が確保できることから、本手順は引き続き行うのが適当ではないかとの意見でした。なお、この方法で実施するに当たっては、確認項目は、現在は献血や精子・精液提供の有無の確認が行われておりますが、これらについては、不要とされております。

 また、患者が記入する様式に関しては、患者自からが記入したことを担保できるのであれば、医療機関・自宅等、いずれの場所で記入することでも差し支えないとされております。また、一方で、患者が記入するべき様式を医療関係者が記入するなどの医療機関での手順の不遵守を起こりにくくするという観点から、現在のとおり患者から企業に直接提出する手順を維持するべきという意見も、一部委員からあったところです。この御意見に対しては、医療関係者が勝手に記入することは現実的には考えられないといった御意見や、医療関係者による手順の不遵守を防ぐ目的のために患者の負担を強いるのは、適当ではないという意見もあったところです。

( ) 患者登録についてですが、こちらでは患者から企業に個人情報を提供することに抵抗感があるといった意見があったことも踏まえまして、その在り方について検討を行いました。議論の結果の概要につきましては、 14 ページの中ほどにございますので、そちらを御覧ください。議論の結果といたしましては、企業への患者登録は引き続き必要であるが、登録に当たっては、必要最低限の情報のみを登録して、ID等で管理することで差し支えないとされました。薬剤管理者の設置につきましては、処方医が患者の状況に応じて個々に判断をするのが適当であり、設置をする場合に当たっても企業への事前登録は不要とされたところです。ただし、企業から患者・薬剤管理者への直接連絡が必要な場合もありますので、それに関しては手順をあらかじめ定めておく必要があると議論されたところです。

( ) その他の手順についてでは、遵守状況の確認、患者登録の在り方以外の点についての検討を行いました。そちらでの議論の概要が、 16 ページの上から4行目以下にあります。遵守状況確認と患者登録以外の手順につきましては、こちらに挙げられた4点の対応が必要とされております。全ての患者に対する投薬開始前の教育と同意の取得、手順が適切に運用されていることを確認するためのダブルチェック機能の確保と企業によるモニタリングの実施、医療関係者に対する教育の充実・強化、最後に RevMate TERMS の手順における様式名等の統一といった御意見がありました。

 こういった安全管理の在り方に関する意見のほか、4.その他の意見についてにございますように、精液中に存在する薬剤が胎児に及ぼす影響についての研究が進められることが望まれるといった御意見、医療機関に対する診療報酬等における評価も検討されることが望まれるといった御意見がありました。ここまでの議論を踏まえまして、5.として、安全管理手順の骨子や今後の検討課題が提言として取りまとめられました。

 提言の内容について御説明申し上げます。 17 ページを御覧ください。「(1)初回患者登録時の手順について」ですが、初回の患者登録時には、これまでと同様に患者への事前教育や同意の取得など、こちらに挙げております項目を引き続き実施することとされております。しかしながら、一つ目の・の下に記述がありますように、薬剤管理者の設置については、患者本人が自身で確実に管理できることを処方医が確認した場合、その処方薬を可能とまとめられております。

 企業への患者情報等の登録についてですが、1にあります「登録対象」に関しましては、登録は患者のみとし、薬剤管理者の登録は不要とされております。しかしながら、企業による直接連絡が必要な場合には、医療機関から企業に必要な情報提供を行うことを手順書上に規定するとされております。2患者の個人情報の取扱いですが、登録する患者情報は、必要な情報に限るということで、患者区分、生年月日、疾患名の登録を求めることとし、こちらの情報にID等の付与をして、これを用いて企業と医療機関の間で必要な連絡等を行うこととする、とまとめられております。

 「(2)毎処方時の手順について」ですが、こちらについてはフロー図が 27 ページからありますので、そちらに沿って御説明申し上げます。 27 ページにありますのが、現行の手順でして、医療機関では、処方医と薬剤師がそれぞれ必要な説明、妊娠検査の実施、残薬数の確認などを行いまして、所定の様式に記入し、それを薬剤師が企業に随時送付するという流れになっております。また、右下の欄外にありますように、医療機関における手続とは別に、患者による遵守状況の報告が患者区分に応じて的定期に企業に対して行われているのが、現在の手順です。

28 ページからが、検討会で検討された具体的な手順案です。先ほど検討会での議論について御説明申し上げましたように、患者による定期的な遵守状況報告の必要性については、相対する意見がありましたことから、2つの方法について議論が行われました。それが手順1と手順2になっております。

 手順1ですが、こちらの手順は、患者による書面を用いた定期的な遵守状況報告を行わないこととした手順です。具体的には、患者が医療機関に診察に来られた際に、処方医が遵守状況と患者理解の確認を行いまして、それに応じて必要な説明、そして、その説明を理解したかどうかの確認を行っていただきます。また、現在と同じく、妊娠検査の実施、残薬数の確認を行ったた上で、処方医が所定の様式にそれらの情報を記載し、それを薬剤師に送付いたします。

 薬剤師は、処方医の記載内容を確認した上で、今度は薬剤管理に関する事項に関して、患者の遵守状況や理解の確認、必要な説明の実施、その説明を理解しているかどうかの確認、そのほか、通常の薬で行われている服薬指導等を行っていただいて、薬剤師もこの様式に必要な内容を記入いたします。

 それを下の矢印「A」とありますように、処方ごとに随時企業に医療関係者が記載した様式を FAX 等で送付いただきまして、企業はその記載内容に問題がないかの確認を行います。送付された所定の様式は、矢印「B」とありますように、医療機関に保存し、企業は定期的に医療機関を訪問して、これをその他の記録とともに確認を行うこととしております。企業による訪問に関しましては、安全管理手順の遵守状況の確認に企業が主体的に関わるべきという御意見を踏まえたものでして、この実施に当たっては、プロモーション活動といったものからは独立した形で、適切な企業担当者によって行われる必要があるということで、提言はまとめられております。

 手順案2ですが、手順案1との違いは、こちらの図の頭の部分にありますように、来院時に遵守状況の定期確認票への患者の記入を求める点が、手順案1とは大きく異なっています。患者は、今現在、企業に直接送付しているのと同じ頻度でこの様式を記入いただき、記入したものを処方医に提示いたします。処方医は、この記入した内容を踏まえて、必要な説明、妊娠検査、残薬数の確認を行い、記入内容の確認と必要な説明を行った旨などを、今度は処方医が所定の様式に記入をしていただいて、それを患者が記入した様式とともに薬剤師に送付していただきます。

 薬剤師は、処方医が記入した内容を確認し、そのほか、薬剤管理に関する事項に関しては、患者が記載した様式を見た上で必要な説明等を行っていただき、そういったことの実施した旨を様式に御記入いただきます。その2つの様式ですが、こちらを企業へ随時送付するするとともに、医療機関に保管しておいて、企業が定期的に見に入るというところは、手順案1と同じ形になっております。

 検討会では、この両手順について議論を行い、手順案1、2とも、患者の遵守状況確認、理解の確認、説明の実施といった全てを、企業を介さずに医療機関内で行われることになるという点で、大きな変更を伴うということから、案1を支持示する意見は多かったところですが、まずは案2により見直しを行うのが適当とされました。なお、一部の委員からは、患者が記載する様式は、企業に直接送付するべきだという意見もあったところです。

21 ページにお戻りください。具体的な手順に関する提言は以上ですが、それ以外にも幾つか提言があります。 ( ) 医療関係者に対する教育の充実、強化ということで、今回、手順を改正するに当たっては、患者の遵守状況確認と説明を医療機関に委ねることになってまいりますので、その変更について医療関係者に対する周知徹底を行っていくことが重要であるとされております。また、性交渉や避妊といったセンシティブな内容に係る患者とのコミュニケーションのための教育プログラムを作成するなどによって、医療関係者に対する教育の充実、強化を図っていくことも重要とまとめられております。

 そのほか、今後の課題といたしまして、精液中に存在する薬剤が胎児に及ぼす影響に関する研究の推進ですとか医療機関による診療報酬等における評価、それから、女性B患者と同様にリスクの低い男性患者に対する対応については、今後も医療現場の実務などを踏まえて更に検討が必要な課題とされております。

 一番最後ですが、 22 ページを御覧ください。「おわりに」の一番最後ですが、検討会では、一旦、この報告書も踏まえて見直しを行った後も、本手順の実施状況、医師・薬剤師・患者等の意見、適応拡大に伴う患者背景の変化、欧米の状況などを踏まえて、安全管理手順の在り方を見直し、必要に応じて改めていくことが必要である、と取りまとめられております。

 資料に関する御説明は以上です。その他の参考資料を幾つかお配りしておりますが、そちらは御議論の際の参考として配布させていただいたものですので、説明は省略させていただきます。以上です。

○五十嵐座長 ただいまの御説明で御理解いただけたと思いますが、本日の審議はこの1年半にわたり7回かけて取り行われました検討会でまとめられました資料2の提言を基に、これから審議を進めたいと考えております。その前に、検討会の座長としてこの報告書を取りまとめていただきました藤井先生から、初めに御意見を頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○藤井参考人 本検討会では、患者の治療アクセスを阻害することなく、胎児曝露を防止する観点から、安全対策調査会でも議論されました2つの課題、遵守状況の確認と個人情報の取扱いを中心に、我が国における安全管理の在り方について検討を行いました。検討に当たっては、医師、薬剤師、法律、倫理、リスク管理のそれぞれの専門の先生に御参画いただき、本剤を使用する患者群の背景情報や、海外でどのように安全管理が実施されているかという情報を収集して、それぞれの先生に専門的見地から御意見を頂き、議論を行いました。

 この検討会の提言は、そのほとんどが全委員の総意として取りまとめられたものですが、とにかく患者による書面での定期的な遵守状況報告については、これはなかなか難しいところがあり、この手順は不要で、医療関係者による確認、説明のみでよい、つまり、通常の薬剤管理と同じでよいという意見が多かったです。一部の委員からは現行どおり、逆にこの手順を維持すべきだ、現在の手順を維持すべきであるという、完全に反対の意見が示され、その旨を報告書に記載いたしました。

 検討会としては、患者から直接企業に遵守状況に関する書面を送付することは不要とし、患者の遵守状況、理解の確認等、それに応じた説明の実施の全てを医療機関で行い、その結果を企業に送付することといたしました。しかし、これは大きな変更を伴うものですので、まずは書面を用いて患者自身による定期報告によって確認した遵守状況を医療関係者が確認する方式で、運用を開始することとして提言いたしました。

 患者への遵守状況の確認と医療現場に委ねるに当りましては、手順変更については医療関係者に対する周知徹底とともに、医療機関への直接訪問等により、企業が手順の実施状況確認に主体的に関わっていくことが重要であるとされました。今回の本調査会では、本報告書の内容を十分に踏まえた上で、手順見直しに向けた検討が行われることを期待いたします。

 それから、一旦見直しを行った場合も、これを最後とするのではなく、改訂手順の実施状況やその他適用拡大など、本薬剤に関わる背景状況が変化することがありましたら、それを踏まえて必要な見直しが行われることを望みます。以上です。

○五十嵐座長 それでは、検討会の報告書で取りまとめを頂いた提言に沿い、初回患者登録時の手順について。次に、毎回の処方時の手順について。それから、医療関係者に対する教育の充実あるいは強化の点について。その他の順番で、それぞれ議論を頂き、結論の取りまとめを行う形で進めたいと思います。何か御意見がありましたら、お願いいたします。

○上甲参考人 骨髄腫患者の会の上甲です。遅れてまいりまして、大変失礼いたしました。私自身、治療直後であり、お聞きづらいところがあるかと思いますが、御容赦ください。まず、検討会を実施していただき、大変感謝申し上げております。ありがとうございました。検討会で課題を検討しなさいと、この安全対策調査会で御指示があったときも、私は参考人でこのように座らせていただきました。そのとき私は、当事者であるから委員として参加させてほしいとその場で申し上げたと記憶しておりますが、結局は委員にならず、全7回傍聴させていただいておりました。つくづくやっていただいてよかったと思っているのは、案1、案2の絵ができて、案2でまずはやるということはさておき、普段このことを常に議論している委員ばかりでなく、初めてサリドマイド、 TERMS 、レナリドミド、多発性骨髄腫という議論に入られる委員の先生が何人かいらっしゃいます。当初、とても素朴に、多発性骨髄腫の患者と TERMS に何か違和感がある、人間観が合わないという、サリドマイドを飲んで性交渉をしたいという人が大半の患者を対象にこのシステムがつくられているような違和感を持つと、初回にそのような発言をされる先生がいらっしゃいました。ずっとこれをやっているメンバーですと、なかなかそういう発言は出てこなかった、そこからスタートいたしましたので、 TERMS の原型元であったアメリカの STEPS が一体どういう患者を対象にやって、決して多発性骨髄腫の患者が最初は対象でなかった。 STEPS というシステムは、今、議事録を読んでいるのですが、患者を企業がガンとつかんで直接コントロールするものだと。これは、対象の患者が性的にアクティブなHIVのエイズの患者を対象に作られたものだから、その STEPS をまねて作ったものだから、違和感があろうかと思うというようなことも初回に出てまいりました。そこからのスタートで、多発性骨髄腫の患者は性交渉を絶対にしませんなんて、毛頭思っていません。そういう患者もいらっしゃる中で、一体どこにリスクがあって、そのリスクの程度はどんなで、どうすれば最小化できるのかというところからスタートしていただきましたので、大変この調査会の先生方には感謝申し上げています。それを、最初に申し上げたかったです。

○五十嵐座長 それでは、まず初回患者登録時の手順について、報告書の 17 ページから御議論をお願いしたいと思います。御意見がありましたら、御発言をお願いたします。

○佐藤参考人 公益財団法人いしずえの佐藤と申します。サリドマイド被害者の団体です。この初回患者登録時の手続に関して、薬剤管理責任者の設置の省略を可能とすることが提言として出ております。私は、原則として設置すべきであると思います。現在の薬剤管理責任者の設置の基準は、変えるべきではないと思っております。と申しますのは、ここに理由が書かれているのですが、「患者本人が自身で確実に管理できることを確認した場合に限り」と書いてあります。患者の病状は変化しますので、この TERMS ないし RevMate に登録するときに、御自身で管理が可能であった場合でも、途中でそういうことが難しくなる状況もあります。逆に、登録の段階では非常に病状が重くて管理が難しくても、その後よくなられることもあります。ですから、そのときの状況で設置したり、しなかったりということを決めること自身が余り適切ではないと思うのですね。

 そういう意味では、原則としては薬剤管理責任者をきちんと設置していただくことが必要であろうかと思います。

○五十嵐座長 この点について、薬剤管理者の設置に関して、処方医の立場から御意見を頂けないでしょうか。

○村上参考人 群馬大学の村上と申します。確かに佐藤先生がおっしゃるようなことがあるかもしれませんが、例えば認知症のある方の場合は、是非必要だと思ってやっておりますが、ある程度しっかりした認識のある方は、残薬管理のバッグとか、ケースに入ったものをきちんと確認しておりますので、そんなに心配ないかと思います。

 あと、薬剤管理者が絶対必要だとなると、例えば独り住まいの方になりますと、見つけられないことがあり、そこで処方要件に引っ掛かってしまうことがあります。そこで前回のときに緩めていただいたのだと思います。ですから、適宜医者が判断してやるべきだと思います。

○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。

○佐藤参考人 村上先生がおっしゃることはよく分かるのですが、そういう理由で現時点で既にある程度設置を原則としながらも現実に即した弾力的な運用が可能になっております。特に、それ以上の緩和は必要ないのではないかと思っております。

 薬剤管理責任者のもう1つ重要な役割というのは、薬剤管理責任者というのは名前が余りよくないかと思うのですが、薬剤を管理することよりも、サリドマイドの催奇形性について患者と一緒に催奇形性危険性をきちんと認識していただき、胎児曝露をしないことが重要であるということを、御家族の方にも十分御理解いただくことが趣旨だと思うのですね。そういう意味では、独り暮らしの方であれば、確か患者が受診している医療機関の看護師が管理責任者になることも、今の手順でも可能ですので、そういう形で弾力的に運用するということで、この問題は現時点で十分クリアできているのではないかと思っております。

○五十嵐座長 小峰参考人は、この点についてはいかがですか。

○小峰参考人 この文面を拝見しますと、正にそのことをそのまま書いてあるように思います。それを明言して、設置の省略を可能とすることが確認されたと、私は理解いたしました。便法というか、状況に応じた工夫は大いに余地を残しておくべきだと思います。ねばならないという、当初の設置の必須性を強調した方式は、現状にはそぐわないのではないかというのは、委員会内部でも多くの意見でありました。ただ、それで幾分か精度が損われるかもしれないというおそれについての意見もありましたので、全体を取って提案になったような文面で適用できるのではないかと考えます。

○五十嵐座長 患者さんの立場からは、いかがでしょうか。

○上甲参考人 独り暮らしの方は、そもそも家の中で一緒にこの薬の胎児催奇形性を知らなければいけないといっても、家の中に誰もいない独りだから、それは当てはまらないと思うのですが。骨髄腫の患者の多くの高齢の人、私は患者の娘ですので、父は年寄りですが、もちろんそれを私が妊娠中に飲めばということはありました。設置しろとか言われなくても、もう私の父は 1 人で病院には決して行けませんでしたので、自ずと私は薬剤管理責任者で、そしてその薬の全てを私が知っておりました。ですから、設置することをルールとして決めなくても、それはもう自然に必要な人にはもう設置されているものだと思いますので、格別に明文化する必要があるのかと思いますし、これが薬剤管理者の生い立ちは、サリドマイドが個人輸入の時代。薬剤師も看護師も関わらない、医師と輸入してもらった患者だけで薬は出して、管理していた頃に、もう 1 人確認できる、薬剤師も助けてくれないからということで、薬剤管理者というものが生まれたことが、検討会の中で委員の先生から御発言があったかと思います。今は、少し状況が変わっておりますので、私は今回の提案はよいと思います。

○五十嵐座長 委員の先生方からは、御意見はありますか。

○遠藤委員 私も、検討会に参加しておりました。検討会に参加していた医師の委員も、やはり医療の中で医師がきちんと判断できることを何度もおっしゃっておりましたし、そういう意見に私も賛同して、検討会ではここに書いてあるような形になりました。特に必要な人にはきちんと対応すべきであることも書いてあります。現状で必要でない人に関しては、あらかじめ求める必要はないですし、途中でそういう状態になった場合で、サリドマイドの治療を継続するのであれば、そのときにはどなたかを指定してきちんと対応してもらうことは、医療の中では当然のことだと思っています。私は、この検討会の報告書のままでよいと思います。

○五十嵐座長 ほかはいかがですか。

○村上参考人 先ほどの佐藤先生のお話で勘違いいたしました。要するに、絶対付けようという御意見かと思って発言したのですが、現状は臨機応変に医師と患者の関係で決めていくような形が一番よろしいのではないかと思います。もちろん、必要な方は絶対付けなければいけないのはよく分かりますので。

○五十嵐座長 そうですね。普段の診療においても、患者が自立している方であれば、全て御自身で管理できますが、いろいろな理由で管理できない方は、近くにいる方が日々対応されていることは日常当然なことですので、この薬剤についてもそれが可能ではないかという御意見が今のお話ですと多かったように感じます。

 そうしますと、提言のとおりに見直すということでよろしいでしょうか。

○佐藤参考人 いしずえの意見としては、今の現行の手順で十分柔軟な対応ができているので、これ以上緩和する必要はないという意見に変わりはありません。

○佐藤参考人 ただ、これまでは患者御自身が確実に管理できるという理由では、設置を省略できないと思うのですね。むしろ、御家族がいないという、適切な薬剤管理責任者になられる方が、独り暮らしとかそういう事情で設置が難しい場合には省略できるということであり、患者の病状に応じて省略できたりできなかったりということは、今までの基準にはないと思います。

 むしろ、私は逆に言うと病状が重い方よりも元気な方のほうが、もしパートナーがいらっしゃるのであれば、パートナーの方もきちんとこの薬の危険性を理解していただくことが非常に重要で、薬剤管理責任者を置くと、最初の段階での教育のところで、患者御自身と同時に、管理責任者の方にも一緒に説明を聞いていただくことになっておりますので、そのことが一番重要なのだと思っております。

 それが、患者が元気でお独りで薬を管理できる方というのは、当然性交渉をされる可能性もありますので、そういう方であればこそ、やはり御家族の方にもう 1 人、そのことを理解していただいている方がいることが、胎児曝露の防止の点で極めて重要だろうと思っています。

○五十嵐座長 ほかに、委員の方はいかがですか。この検討会でもそうだったのですが、どうも平行線の点があるようですが、今日もその状況は余り変わっていないと思われます。もし、ほかの御意見がない場合には、最終的にはやはり議決を取ることになると思うのです。議決を取ることは余り今までしたことがなかったのですが、いかがでしょうか。そうしますと、参考人の方は議決に加わることができませんので、委員のみの議決にしたいと思いますが、よろしいですか。それでは、この検討会の結論どおりでいいとお考えの方は、挙手を頂けますか。私も手を挙げますので、一応これについては委員全員が検討会での御提言に賛成だということにしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 では次に、毎回の処方時の手順について、 18 ページからと別紙4も御参照いただきながら、御議論を頂きたいと思います。御意見がありましたら、発言をお願いいたします。患者の遵守状況の確認の方法の見直しについて、いかがでしょうか。小峰先生あるいは村上先生、御意見を頂けますでしょうか。

○小峰参考人  RevMate 第三者評価委員会を担当させていただいております。今回の検討会のまとめの報告書を拝見いたしまして、大変御苦労くださったと思います。 RevMate 委員会内で結論がなかなか出ずに、議論も長引、行き先が見えないという状況でしたが、細かな検討を加えていただき、案1、2という形で、現実の進め方を御提示いただいております。拝見いたしますと、非常に合理的で、現在行われております RevMate の場合ですが、実態をよく配慮されて、改善の方向に向かって修正の提案をなさったと考えております。

 お示しいただいたのは、案1と2で、ステップが1段階間に挟まるかどうかというようなことで、患者に対する定期的な遵守状況の確認の方法ですね。確認をすること自の重要性については、認識を共通にしていると理解いたしますので、それを従来のように定期的に患者区分に応じてアンケートの形で回答を依頼して、別途企業でそれを評価するような方式から、もう少し小回りの利くといいますか、スケールを医療施設内に縮小して。と申しますのは、この問題の一番苦しく困った点といいますか、遵守状況の確認操作が観念、理念的に非常に重要で意味があるという考えには反論はないのですが、私どもが行いました RevMate の実施から約1年の経験の中で、医療現場の方々あるいは患者を対象にして、この遵守状況確認のプロセスをどのように感じるかを伺ったところでは、一部報告書の中にあるような意義については、高く評価されている、前向きの評価が多いというような書き方とは裏腹に、資料にもありますように患者の集団を見ていただきますと、男女ともに 60 歳以上の患者がほとんどです。特にこの世代の方々は、サリドマイド禍については、いろいろなルートあるいは経験、日常生活を通じて、かつて知識をお持ちで認識も高いというような、現状での高齢者相当の方々のポピュレーション・キャラクタリスティックスといいますか、持っておられる背景に味方される部分もあろうかと思います。認識は、もともとある程度以上は持っていると。それにプライミングをしてやると、かなり素直に恐らく実態については正確な認識をお持ちなのではないかと、我々は想像しておりました。

 一番多い 60 歳、 70 歳前半ぐらいの患者は、人生経験も豊かに過ごされた、良識が云々ということは別にしましても、それだけのキャリアを積んでおられる方々が対象ですから、薬一般についての危険メリットというもののほかに、このタイプの薬が持つ一種の陰性のイメージも同時に持っている、かなり濃厚に持っていると前提するのが大体妥当だろう。しかし、リスクはゼロでなければならないので、極小まで少なくしなければならないというターゲットの実現に我々は役に立たねばならないということですから、議論を厳密にすればするほど、非常に小さな針の穴のようなリスクに目が向いてしまいます。押し並べてみますと、社会のそのときの、あるいは患者の背景要因、その他がどんなもの、あるいは適用疾患のことにも先ほど触れられましたが、これから変わっていくとしたら、対象者が変わることも現実に見極めなければならないわけですが、現状で見る限りは、管理がしやすいタイプの人たちが対象になっていると受け取っていいと思うのですね。

 患者さんたちの反応を見ますと、毎回遵守状況には性交渉を中心にした妊娠回避に直接するようなポイントと、もう1つは薬剤の保管管理、譲渡の禁止、それから廃棄のルールないしは、かつてあったような輸血や精液の提供等のチェック項目が入っていましたが、それらは1回答えてしまえば、あるいは最初の説明、教育のときにインプットされてしまえば、確かにリマインドをして地固めをして、固定化して、それを行動に移してもらうというような認識パターンのルールからいったらそうなるのだろう思いますが、患者サイドから見ると非常に煩わしい。それが全ての意見かどうかは分かりませんが、少なくともパーセンテージとして相当目立つのは、回答の特徴であったと、この項目に関しては特に目立っておりました。

 それは、医療者側から見ても同じような感覚を持っておられて、現場としては1年間ぐらいの経験ではありましたが、恐らく医療の現場としては、薬剤師については正直具体的なところは分かりませんドクターサイドからのコメントを見ますと、患者個人の状況に適合させて、幅のある説明なりチェックなりを、処方要件確認書でも同じ項目をほとんどチェックするわけですが、しておられる様子が何となく想像できました。

 この問題の一番核心になるのは、どこまでやったら最も確実な教育効果が上がるのか。それが、現実の行動パターンの変化として、こちらが期待するだけの変容を起こすことができるかということになるわけですから、これは実証が難しいです。しかし、その裏側で1例の失敗もあってはならないという大目標がありますので、片一方を恐れれば片一方がどんどん厳しくなることの考え方がどうしても定着してしまいます。

 現場は、これまでの数年間の実績の中で、少なくとも胎児曝露のおそれを示す事例は発生していないという、ある意味では大成功の実績がありますので、それを患者は望み、医療者もその効果を失わず簡素化が可能だという線が出てくるのであれば、そういった工夫に向けて一歩、二歩修正案を現実にしていくことがのあることであろうと、私どもの委員会の多くの委員もお考えなのだろうと思います。ただ、どういうところまでという点での結論が出ませんでしたので、今回の検討会の報告の内容は大変傾聴に値しますし、是非それに向けてさらに検討してまいりたいと思っております。

 案1と2は、多少の違いがあるようですが、どちらでもとは思います。現在行われておりますシステムをより簡素化というか、いわば医療施設の診療行為の中でそれを含み込ませてしまう、あるいはそれと同質のものを医師と患者のやり取りの中に還元するという違いがあるようです。現状に近いものとすれば、案2というような、実質的には同じプロセスを少し場所を変えて確認をして、記録を残すことによって、評価も振り返って逐次進めつつ、現状の分析が可能になることができそうです。私は、まずは例えば案2のような形で、当面の改善を図り、その評価を行った上で可能ならもう少しさらに案1に行くことも見通しとして考えておいていいのではないかという印象を持っています。

○五十嵐座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。

○村上参考人 今回の改定で一番大きなところは、患者さんの定期的な遵守状況を郵送で送ってもらうというシステムをどうするかということだと思います。 TERMS RevMate にしても1つ大きな目的は胎児曝露を絶対に起こさないということと、かつ、患者さんのこれらの薬へのアクセスを阻害しないということがあります。何回かいろいろ御議論いただいて改定していただいて、臨床の現場でも、かなり患者さんの負担と医療機関の負担が減って良くなっていると思います。

 私は TERMS の第三者評価委員会へ入れていただいております。今までのアンケート調査を見ておりますが、胎児曝露のリスクが上がったというデータはありませんので、後で那須先生にお聞きいただいてもいいと思います。今までの改定はうまくいっていると思います。ただ残った点は患者さんが定期的な状況の把握をするために氏名、住所、年齢、全ての情報を医療機関ではなく企業に与えるというところが、一番大きな心の問題だったと思います。それは、上甲さんにお聞きいただければと思います。

 患者さんは、なぜ自分たちだけが企業に個人情報を報告しなければならないのかと感じております。ほかの薬は報告しないではないか、例えば胃薬を飲んでいる場合に、企業に報告することはないではないかということです。企業へ直接個人情報を与えることをなくすことが一番いいと私も判断しました。案1も2もよろしいと思います。

 では、案1と2どちらにするかということになります。私は2案が少し厳しいと思っています。2案で一定期間やっていただいて、そして TERMS ないし RevMate の第三者評価委員会でチェックしていただいて、安全ならば次を考えましょう。

○五十嵐座長 それでは、患者さんの立場から御意見をお願いいたします。

○上甲参考人 資料2の最後のほうのページに現行、今やっていること、それから今回検討会で提案された案1、案2の絵が載っております。これをよく見ると現行手順3、説明を行ったことを紙に書く。これは医師が言いっぱなしなのです。言って患者の理解を確認するところまではなくて、私は説明しましたチェック、そういう紙です。

 実際、医療現場では分かっていますよねということを確認して当然やっているのですが、現行手順のルールとしては説明をした、それが現行で、現行は患者さんが本当に理解しているか分かるのは、患者が自ら書いて企業に送って初めて間違った理解をしていないことが分かるのです。これだと説明してから患者が、もしここに間違った理解をしていてもダイレクトでは分からない、これが現行手順です。

 これは薬剤師さんに指摘されまして、説明を言いっぱなしで患者さんが分かったのというのは、患者さんが自ら企業に何箇月かたってから送らないと分からない。それはやっぱりおかしいよ。説明して分かりましたね、はい、分かりました、こうしますというのは、そこで確認しなければ、この何箇月という時間の間に、問題、間違いが起こったら困るよと薬剤師さんに実際に言われて、私は見直しを熱心にお願いしているところです。

 やはり手順案2もそこの点は近くて、5で医者が必要な説明を行った。7で薬剤師が必要な説明を行った。患者さんが本当に分かっているかというのは、来院時に書いたものを見て初めて分かっていたのだな。案1は、お医者さんと患者の間に双方向の矢印があって、説明したこと、理解したことを確認している。薬剤師も説明したこと、理解したことを確認する。この双方向の矢印があるので毎処方時の手続の方法としては、案1は理にかなっているであろうと思って検討会の議論を伺っておりました。

 しかし、さっき藤井先生も村上先生も言われましたとおり、大きな変更を伴うについて、まずは2でやるということが資料2の 19 ページにも、よって手順案1を支持する意見は大いにあるものの、まずは手順案2よりやるということは、私はこの提言に賛同しておりますが、この提言でまずやってどう評価するのというのが、ここには表れておりませんので、その評価のデータは誰が出して、第三者評価委員会が出してくださるのか、その評価を一体どこでやるのか。

 これは、いいことも分かるけど、もし良くない問題があったら速やかに考え直さなくてはいけないので、何年もたってから実は偉いことになっていました、というわけにはいかないであろう。やはり、評価をどういうタイミングでやるのか。評価をしてその結果、もう少し見なくてはいけないのか、もしかしたら、先ほど小峰先生も言われましたが、そこで改良できることがあるかもしれないという検討をするタイミングを一応はっきりしておいて、それに向けてみんな真面目にやって頑張るのだということではなかろうかと。まずは、それでどうするというのを委員の先生方にも御検討いただかなければいけないのではないかと思っております。

○五十嵐座長 今、定期的な見直しについても御意見を頂きました。いしずえの立場から手順案の見直しについてはいかがですか。

○佐藤参考人 その前になのですが、私、初回患者登録時の手順のことで企業への登録に関する議論が全然なかったと思うのですが、まず、そちらに関して意見を述べたいと思います。いしずえからの意見書にも書きましたが、患者さんの氏名を登録しないということによって何が起こるかと申しますと、各医療機関で患者氏名とID番号との対応表の最新のものを常に保管し続けるということが必須になります。そのことが全ての医療機関で滞りなく行われるのかどうかということに関しては、私は懸念があります。

 製薬企業の方が医療機関に問合せをする場合に、番号だけで問合せが十分可能なのかということに関しても疑問があります。そのことは製薬企業の方も懸念されているのではないかと思っております。そういう点に関して、実は検討会の中でも私自身は、そこが大丈夫であるかということに関して理論上、大丈夫であろうかという議論はされたかと思うのですが、その懸念に対して本当に各医療機関が最新の対応表を保持できるかということに関しては、やってみなければ分からないと思います。私自身は、このことに関しても懸念があるということをこの場で意見として述べさせていただきますし、その点が改定後にきちんとなされるかということは、第三者評価委員会などできちんと評価されるべきであろうと思っております。

 続いて、2の毎処方時の手順について意見を述べさせていただきます。いしずえの立場としては、このことに関しては手順案1も2も非常に問題が多いと思っております。これは検討会の中で座長の先生が取りまとめに大変ご苦労されたことは、私もずっと傍聴しておりまして承知しております。率直な意見を申し上げますと、この検討会の中で残念ながら建設的な方向での改定案は出されなかったと思います。患者さんの気持ちや人権に配慮しながら、より良いシステムを作っていくということに関しては私も異論を唱えるものではありません。

 今回、手順案1にしても2にしても、かなり医師と患者のコミュニケーションということに重きを置いた形にシフトしておりまして、中央での一元管理システムというのは少し後ろに後退しております。そのことが何をもたらすかということなのですが、結局は各医療機関での特に医師の責任が重くなるということを意味しております。何か問題が起きたときに医師が十分その患者さんへの注意喚起をしなかったことによって何か問題が生じ得るということもあると思います。

 これまでは、製薬企業が患者さんからの定期確認票をダイレクトに収集しておりました。そういう意味では、医師は患者さんに対して必要な説明を行っているということが責任の範囲内でした。そこの責任の所在の在り方が大きく変わるということです。そのことを個々の医師が本当に果たされるのかということに重大な疑問があって、これは検討会の中でも委員の中からそのことに対する疑問が出されました。

 もちろん、検討会に御出席であった先生方、あるいはこの場にいらっしゃる先生方は大変人格的にも立派な先生ですので、そういう先生方がやられる限りにおいては何の問題もないと思います。やはり医師の中にもいろいろな方がいらっしゃいますし、患者さんへの注意喚起や理解度の確認を十分行わない医師もいる可能性はあるわけで、そのことに対する担保がなくなるということだと思います。

 そういう意味では私自身も毎処方時の手続と同時に、それとは別のルートで患者さんから管理センターへの直接の報告が重要だと思っております。患者さんから直接の報告ということの意味は、単なる知識のリマインドではありません。むしろ今、患者さんがチェックして企業に送っている内容は、妊娠可能な女性の患者さんと男性の患者さんは妊娠回避ということをやっているか、性交渉をしないか性交渉をした場合には避妊をしたという、性交渉の有無までは聞いていませんが、妊娠回避に関する適切なことを行ったか行っていないかということを問うわけであって、決して知識をチェックしているわけではないのです。

 患者さんが自らの行動を確認して定期確認票に記入して、管理センターに送るというのが今のスキームです。私はそのことが非常に重要だと思っております。性交渉という非常に単に知識があれば適切な行動が取られるとは限らない、そういう問題を含んでおりますので、患者さん自身が御自身で直近の1か月ないしは2か月、妊娠可能な女性の患者さんは1か月ごと、男性の患者さんは2か月ごとですので、その間の御自身の行動を振り返っていただいて、適切な行動が取れていたかということをもう一度確認した上で、その次の処方を受けるということです。

 このことが非常に重要だと思っております。もし患者さん自身が妊娠回避に関して適切な行動が取れないのならば、薬の使用を中断せざるを得ないこともあり得ます。そのことの確認という意味合いが非常に重要ですので、私はこのことを安易にやめるべきではないと思っております。

○五十嵐座長 今の御指摘の点は、手順案2の一番最初の1で同じことの確認作業は患者さん自身でされているわけですよね。それをドクター側に出すのか、あるいは企業側に出すか、その違いだと思います。確認という点では同じだと思います。

○佐藤参考人 手順案2であればそうです。ただし今、想定されている手順は受診の際に病院の待合室などで記入して出すということになっております。これは、いしずえからの意見書の中にも書かせていただきましたが、待合室というプライバシーの保てない場所で、正に御自身の行動をその場で振り返っていただいて記入するというのは、私は逆に患者さんに対して、むしろ失礼というかプライバシーの観点から言っても問題ではないかと思います。御自宅で1人静かに自分自身の行動を振り返ることができるような環境で記入できる。少なくとも患者さんがそれをしようと思えば、それができる状況が必要だと思います。

○五十嵐座長 藤井先生、今の点では、例えばあらかじめ定期確認票をお渡ししておいて、次回来るときに書いて来てくださいということは。

○藤井参考人 検討会でも「書く」ということについて、例えば病院に郵送する、持ってくる、いろいろな意見が出ました。要するに持ってくる、郵送するといういろいろなことが交ざってくると、そもそも病院で管理が難しい。現実的にかえって混乱を招くだろうということで、手順案2ですとその場で医師が確認できるということです。

○五十嵐座長 そうすると、診察室の中で書いていただくというイメージですか。

○藤井参考人 病院で書くということを前提としていますので、佐藤先生のおっしゃるとおり周りに患者がたくさんいる所で一番プライバシーの根幹に関わることを書くというのは、現実的には問題があると思います。ただ、提言書に書く場所まで書くものかと言えば、それは少し違うのではないかと思いますので、このような形にいたしました。実は手順案2というのは、ある意味では真ん中、つまり全く相反する意見があって、私は産婦人科医ですのでこの薬を使っていませんが、手順案1、実際の内科の先生とか骨髄腫の患者さんの方は手順案1でいい、手順案2も不満足です。

 多分、いしずえの会、サリドマイドの被害者のことは、手順案1そのものが、ここに書いてあること自身が受け入れ難いということです。手順案2というのは、多分、両方不満な案でございます。ただ、現時点で胎児曝露は実際問題として1件も起こっていませんので、胎児曝露防止という意味では完璧な手順です。骨髄腫の方は必要なことは当然やります。でも必要でないと思われることまでやるのはおかしいということで、なぜ企業にこんなことまで送らなければいけないかということ、あるいは家に帰ってまた書かなければいけない、そういうことが受け入れ難いという意見が多かったと思いますので、このような形にいたしました。

○遠藤委員 先ほど佐藤参考人のご意見は、番号と名前を病院の中で管理することで、それで大丈夫なのかということだと思います。ここは、かなり検討会の中でも議論しました。企業から依頼される治験に関しては、今はそういうやり方をしています。番号を振って病院の中で患者さんの情報を管理して企業には番号でやり取りをしています。今回の手順書1も2もそうなのですが、実際に医療機関の中できちんとやれているのかということを聞かれ、検討会の医療側はきちんとやれますという話を何度もされたのですが、なかなか信じていただけないというところがあります。そういうこともあって、今回は企業が医療機関を訪問してきちんとやっているかどうかを確認できるという手順を1つ増やしています。これはすごく大事なことです。

 病院の中で照合がきちんとやれていないとか記録を残していないとかというのを確認することができますので、十分担保が取れると思っています。手順案1は、先ほど藤井先生からお話がありましたように、医療者側は医師と患者、薬剤師と患者、ここの中できちんと確認は取れると思っていて、この手順案1を提案しました。それではなかなか信じてもらえないということもあって、手順案2からスタートしてはどうですかというお話でした。

 少し藤井先生と重なってしまったのですが、私は本来であれば手順案1でいいと思っていますが、確かに今までのやり方もいろいろありますので、1回ここで見てもらって、先ほど上甲参考人から言われたように今後手順案2でいくのであれば、そこがきちんとされているのかどうかを TERMS RevMate も第三者評価委員会がありますので、委員会で現状の調査をするとか、そういう結果を見て新しく変えたシステムがうまくいっているのかどうかを確認するということが大事ではないかと思います。

○佐藤参考人 この場ですので、少しそもそも論を言わせていただきます。もともと患者さんが抵抗感があるのは、プライバシーに関わることを企業に送るということに非常に抵抗感があるわけです。そのお気持ちは私自身も非常によく分かります。これを何とか解決できないかという、そのために知恵を絞るということは私も全く異論はございません。いしずえの立場は、実は TERMS RevMate ができる前の段階から、そもそも登録先として企業ではなくて例えば今、委員長の先生がいらっしゃる成育医療センターとか、国立の医療機関など、しかるべき所で一元管理をすることが望ましいのではないかというのが元のいしずえの主張です。

 それができないがゆえに、むしろ、できるのかもしれませんが、私からすると、厚労省でそのことを真剣に検討されたことは今までにないと思います。そういうことが真剣に検討されないまま今日まで来ているので、こういう問題が起きているということだろうと思います。ですので、なかなか両立しない問題をきちんと解決して、胎児曝露のリスクも上げずに患者さんたちの気持ちに添うような改定をどのようにやるかというのをもう少し考えるべきではないかと思います。

 もう1つは検討会の中で出た意見として、患者さんがただ紙にチェックするだけではいかにも機械的であると、それが本当に効果があるのかという意見も委員の中から出ました。その中で1つアイディアとして、医療機関の中で患者さんと正に直接コミュニケーションをしながら妊娠回避のことについて聞き取るコーディネーターを各医療機関に置いて、そこで確認をしていくという案が出て、それに関しては私も十分検討に値する案ではないかと思います。それによって、正に紙に書くだけの非常に味気ないものから血の通ったものになるし、そういうコミュニケーションの中で患者さんの理解度や行動確認もできていくと思いました。

 そのことに関しては、残念ながらいつの間にかこの検討会の議論からは立ち消えになってしまったということがあります。そういうことについても検討していくべきではないかと思います。そういう意味では、検討会の座長の藤井先生がおっしゃられましたが、手順案2というのは正に折衷案的なところがあって、より良い方向に進む建設的な提言となっていないのではないかと思います。これは、本当に取りまとめには御苦労されたと思うのですが、そのように、いしずえの立場からは見えるということです。

○五十嵐座長 そうしますと、手順案2も反対という御意見ですか。

○佐藤参考人 はい、そのとおり反対です。

○小峰参考人 質問です。報告書の中の検討の過程で、特にヨーロッパの遵守状況確認に相当するプロセスの実際を御検討になって、そちらにはそれに相当するものは、少なくとも同じような形式のものは発見できない。 STEPS その他アメリカでは、IVRSの形でそれに準じたようなことをしているのでしたですね。

○五十嵐座長 参考資料5に少しあるようです。

○小峰参考人 そのことの評価といいますか、ヨーロッパと我が国との差がどのような形で現実の結果に影を落とすか落とさないか、その辺を含めた御検討をなさいましたでしょうか。

○五十嵐座長 藤井先生、いかがですか。

○藤井参考人 確か STEPS については、検討の中に入っていたと思うのですが、すみません、私は第三者評価委員と両方入っていますので、議事録ではどうなっていますか。

○事務局 今日お手元にお配りした参考資料3に各国の状況をまとめております。これは、検討会で用いた資料です。例えば、ヨーロッパのものですが、ドイツにおける妊娠防止プログラム、その次はイタリアを載せています。また、アメリカの状況も載せています。そういう海外の状況も踏まえて検討会では御議論いただいております。

先ほどいろいろな御意見を頂きました。

 まず、記入する場所について藤井先生から検討会の議論を御紹介いただきました。そのとおりですが、結論的に言うと、医療機関の中で書くことを必須ということではなくて、患者さんが家で書きたいということがあれば、患者さんに家へ帰って書いてもらうことも可能です。ただし、記入したものをどうするか、郵送ではさすがにいつ医療機関へ届くかも分からないし、医療機関の中でどこに行くか分からないということがありましたので、仮に家で記入する場合は持参していただいて、診察のときに出していただくということで御議論いただきました。

 したがって、検討会でも書く場所については明記しておりません。それは、医療現場でお任せしたいということで御議論があったと思います。

氏名等の登録の話について、佐藤先生から御発言がありました。これも検討会の中でも問題提起があり御議論がありました。結局、運用でID管理をどうするかということに掛かってくると考えております。これは、企業の方も含めてどのような管理がきちんとできるのかということを実際の現場の中で考えていただく。実際の評価は第三者評価委員会になると思いますが、それについてモニタリングをしますし、行政もそこの場にオブザーバーとして参加しますので問題があれば、それについて改善していくということで、管理が問題なくできるように努めていきたいと思っております。

 次に、案2か案1かということで、佐藤先生からも患者自身が書くと振り返りという話もありました。検討会の場で佐藤先生からもプレゼンをしていただきましたし、いろいろ御議論いただきました。藤井先生がおっしゃったように、この点については検討会の総意としてまとめることはできませんでした。ですので、一部の委員の反対の意見はコメントとして書いたけれども、検討会の意見として案2で取りあえずいくのがいいのではないかということでまとまったということです。

○五十嵐座長 補足ありがとうございます。

○上甲参考人 私は案2で不満ではありません。もちろん、いずれ案1のような格好になればいいと思いますが、でも、案2で不満ではありません。なぜ不満ではないかというと、企業の中央一元コントロールが案1も2もほぼなくなりまして、医療機関の中で完結する、それを企業は後から見守るという絵にいずれもなっておりますので、私は藤井先生、案に不満ではありません。まずは案2でやることは結構かと思っております。

 骨髄腫の患者は、企業に個人情報を届けるのも病院以外に届けるのも、それが胎児曝露防止にはっきりつながる、つまり中央一元管理をすることが胎児曝露防止に一番いい策なのだということであるならば、企業であろうと五十嵐先生の病院であろうとそれは決して、とにかく病院の外から出すのは嫌なのだということを言うつもりはありません。ただ、普通の医療ではそういうことがない中でやるならば、それがどういう効果があるのかということが分からなければ、なかなか、どうぞどうぞというわけにはいかないということです。今回、案1も2も企業による中央一元管理、どこかの機関による中央一元管理というのが、そこから少し変わったという点において、大変満足しております。

○今村参考人 佐藤参考人の御意見もよく分かります。初回の登録についても非常に御不満がある。それから今議論になっていることについても、なかなか賛同しにくいということです。ただ、先ほど行われたような制度の設計を挙手でやっていくというのは、余り望ましくないのではないかと思います。皆様の御意見を聞いておりますと、おおむね当面は案2で、そして近未来には案1もあり得べしという御意見で、ほぼ佐藤参考人以外は御納得いただいているということなので、この場は収めていただいていいのではないかという思いです。

○五十嵐座長 御意見ありがとうございます。

○村上参考人 私も異論はございませんけれども、現行の方法と手順案2はどれほど大きく違うかというのが分かりません。案2は、定期的な調査票が企業から送られるか、医者から渡されるかが違う。あとのシステムはほとんど同じと思います。例えば、 TERMS の様式 23 24 はなくならないわけですよね。定期確認調査票はきちんと書いてもらい、全ての来院時にはこの遵守状況確認書をチェックするわけですよね。この2つはなくならないわけです。そして、両方ともFAXないし電子端末で送って、各企業はきちんと見てくれて、間違いがないかをチェックしてくださるわけですよね。今もそうですよね。

○セルジーン セルジーンでございます。今の村上先生の現行の手順と何がこの案2で違うかというところで、私ども、藤本製薬様とやっているところは、まず手順案2の1の所で、患者様が来院したときに遵守状況の定期確認票を今度渡すということになっています。

 遵守状況の確認というのは、現行は、藤本製薬さんの場合には、薬剤師さんがFAXで藤本製薬さんのセンターのほうに情報を出して、セルジーンの場合は、端末を使って調剤をするときに情報を入れると、当社の場合では、端末に遵守状況をお渡しする時期ですから、渡してくださいというメッセージが出るので、薬剤師さんが渡すシステムです。藤本製薬さんのほうは、FAXで同じく遵守状況を渡してくださいというところで、薬剤師さんが薬剤とともにお渡ししています。

 今度の案2の場合は、そういった企業側から渡す時期ですというメッセージが全くなにもない状況で、医療者のどなたかが渡すようなことに、それが2か月、あるいは毎月、あるいは6か月ごとにきちんとやってくださるかどうかということが、まずそこが違っています。

○村上参考人 定期確認票のほうですね。

○セルジーン はい。それと、あと1つは、8番と9番の薬剤交付のタイミングです。この案2の場合は、遵守状況確認票、あるいは定期確認票で企業がその患者さんに対して、何カプセル、あるいは調剤して大丈夫かどうかを確認する前に、もう今度の案2の場合は患者さんのほうに薬剤が交付されてしまいます。現行は、薬剤師さんから藤本製薬様にFAXでその情報が、調剤していいかどうかの情報が入って、調剤していいですというものが戻ってから薬剤が交付されます。当社の場合も管理端末のほうに、どの先生が、どの登録医がこの患者さんに何カプセルを処方するという情報が入って、大丈夫です、オーケーです、と言います。そのステップがなくなりますので、極端な話、登録医でない先生の薬剤が先に交付されるということも、この案2の場合は起こり得るという、その違いがあります。以上です。

○村上参考人 ということは、医者がいい加減だと、定期確認票を渡さない可能性があることが1つと、薬剤が確認なしで処方されることがある。その2点ですか。

○藤本製薬 藤本製薬でございます。今と同じで、セルジーンさんがおっしゃられたように、今の案2の形で診察時に定期確認なり、遵守状況確認票を事前に医療現場のほうで、本当にこのインターバルどおりお渡しできるかどうかというのは、確かにちょっと疑問があります。

 それと、今のこの順番の話の所になりますが、今、セルジーンさんと同じで、やはり遵守状況を送っていただいた中で、医師の名前、登録番号、それから患者さんの登録番号の書き間違いとかは、やはりゼロではありません。かなりのパーセントで出てきます。これについては、患者さんにお薬が渡る前に数のチェックをさせていただいている。この数をチェックしていただいた中で、この患者さんの番号が間違っているとかということが分かる。又は、紛失されていることが今までに 50 件ありますが、その中でやはり 11 件は、この未服薬の数が医療機関から来た部分と食い違うことで、それで調べていただいて、紛失していることが分かったという例があります。また、先ほど言った患者番号の間違えることについては、まず番号の間違っているところで患者のA・B・Cという群が違うというところで、まず1つ。そのあと、この数量管理が先に行われていることで、やはり未服薬の数から実際と違う患者さんの番号を書かれているということが、全体、去年の末までで、エラーの数として 5,000 件ぐらいのうちの 300 件は、やはりそういう間違いが出てきています。順番については、現行どおり、先に薬剤をお渡ししてしまって、後から送っていただいた形を後から確認していくというのは、メーカーにとっても、それから医療現場の先生方にとっても、それからその場にいらっしゃる患者さんにとっても、その場ですぐに訂正できるということが一番時間的なロスも含めて、一番正確に答えが出せるのではないかと思っております。

○村上参考人 分かりました。

○五十嵐座長 そうすると、メーカー側としては、現行の手順のほうがいいという、そういう御意見と承ってよろしいですか。

○藤本製薬 ここの図の所が、現行の所も間違えていて、私どものほうは、そういう遵守状況を確認した後に薬剤の交付をしていただいている。

○五十嵐座長 そうすると、どこが間違いなのですか。

○藤本製薬 順番が、今、現行手順について。

○五十嵐座長  27 ページですね。

○藤本製薬  27 ページです。現行手順については、今、薬剤交付が7番になって、6番にFAXの送信又は専用端末による遵守状況の送信と。現実的にはここの6と7の間に、6番で確認させていただいて、確認結果がFAXで送られる。又は専用端末にその答えが出て、それで初めて薬剤交付が行われているというのが、まず現状です。これが2番の案1、案2もそうですが、このままですと案1では、6番で薬剤交付されて、7番で、その後に様式を各メーカーに送られている。

 案2については、8番、9番という形で番号は違いますが、同じ形になっています。今、言ったように後付けでは、違っていたときに先ほど言った患者さんの番号を間違っていたとかということの大きなことが、後から分かってきても、この調査会を含めた安全管理という面では、問題になるかと思っております。

○藤井参考人 検討会の座長として申し上げます。今のメーカー2社の意見を聞いて、私が感じたのは、安全管理しか考えていない。患者さんのアクセシビリティは全く考えていない。ということが、よく分かりました。安全管理さえできれば、どうでもいいのだ。安全管理が全てなのだという意見だという、そういうようにしてメーカーさんはこの手順を運営しておられるのだなと。つまりその奥に、この薬が患者さんを救って、患者さんが幸せになるという発想が、今の意見からは全く感じられない。そう感じました。これは非常に残念だと思います。

 安全管理という意味では、おっしゃるとおり、今まで全く事故が起こっていないので、この今のシステムは安全管理だけを考えたら、これも全くいいシステムであることは私も間違いないと思います。本当にそのとおりなのですね。でも、それでいろいろ問題があるから、変えようということで、佐藤先生のおっしゃるとおり、何とか安全性をなるべく損なわないでいろいろ考えて、いろいろな意見があったわけです。ですから、今のメーカーの意見は、これまでの議論を全てひっくり返す意見です。

○藤本製薬 いやいや、この図が、現行のものからずれていますという。

○上甲参考人 残数管理も結構です。でも、残数管理をすることで、セルジーンは残数管理はしていないのです。残数管理は胎児曝露防止の一番大事なことだというならば、こちらはやっていないのですよ。それは飲む分だけ手に入るほうがいいに決まってる。患者さんは決められたように飲むほうがいいに決まってる。でも、それは、胎児曝露防止、それは服用はコンプライアンスでしょ。それはIDの間違いはあるでしょ。それが何につながるか、それは合っていることに越したことはない。間違いないに越したことはない。でもそれが、どんな悪い事につながるか、そうやって考えていくと、検討会をずっとやってきたんでしょうが。それは1個でも合わせたいでしょ。それと、胎児曝露と何か一緒のようにしたら、もう本当にずっと昔に戻るじゃないですか。だから、企業がセンターでコントロールして患者の首根っこをつかんで、全部知っていて言うとおりにするような、そういうのではないようにしようとしたから検討会をやったのでしょ。あなたたちだけが同じように思ってて、どうするんですか。

○事務局 議論が検討会でのまとめでなく、ちょっと戻ってきているような感じです。先ほど、藤本さんが図が間違っているとおっしゃいましたが、現行の手順は先ほどおっしゃったように、順番が書いてあるので、それは間違っていませんし、その見直し案の手順の案1、案2のほうも、この順番が書いてあるとおりですから、図が間違っているということはありません。

 それで、おっしゃった中で手順の間違いが何件かあったというような話がありますが、これは運用の話ですから、そこで管理が決められた手順として行われたら、その行われたものについてきちんと手順どおり実施されているかどうか、モニタリングをしっかりして、もしそれがまずいのであれば、その運用をきちんと直していくというような形で安全管理ができるようにもっていくべきではないかと考えます。そのためにも第三者委員会とかが設置されているわけです。

 先ほどのIDの管理の話もありましたが、我々、行政も第三者委員会にオブザーバーとして出て行きますから、問題があるということの指摘が出てくれば、我々もその情報をウォッチし、情報を得て、その運用改善について必要なものをやっていくという形で回していくということになるのではないかと思います。

 もう1点は、佐藤委員からコーディネーターの話がありました。これは、やはりいいアイデアであることは事実だと思います。ただ、一方で、人を配置するということになると、現状として、その人のフィーをどうするかという話も必ず掛かってくることだと思います。ですので、漠とした形になっておりますが、いろいろな薬剤管理をやっていく上で、医療機関の方々にも御負担をお願いしているところは事実だと思いますので、この検討会の報告書の中にありますけれども、診療報酬上の扱いについても1文を入れておりますので、そういう形で引き取らせていただければと思います。

○五十嵐座長 委員のほうから御意見はありますでしょうか。

大野委員 手順案1と手順案2について、私の考えを申し上げさせていただきます。

 手順案1は、インタビューで患者さんが適切に必要なことを遵守しているかどうかということを確認するということですが、私はどうも、インタビューというのは余り信じていなくて、私は、何かいろいろなことを聞かれると、はい、はい、と答えてしまう性質です。きちんとやっていなくても、そうなってしまうということもあります。

 手順2は、自分で遵守状況を書類上、確認して、それをお医者さんに見せて、それでお医者様は当然それを見て確認するのだと思いますが、それで必要なところを説明することだと思います。この2つの段階で、こういう危険な薬物を、どのように安全に使っていくか、適切に使っているかどうかの確認とか、指導とか、十分できる。使用側の人もそういったことがきちんとリマインドできるということですね。また、本人が自分で管理をすることで自覚も高まるということで、将来のことは手順1に移るような意見もありましたけれども、当分は手順2でやるほうがよろしいかと思っています。

 別のことですが、こういう薬を処方するのが一般の専門医でない、多発生骨髄腫というものに全然経験のないようなお医者さんが処方することは、私は考えられないのですね。そういう無責任なお医者さんがいるといったら、それは、当然大きな責任を負わなければいけない状況はあると思います。ですから、そういうことに関して専門的な知識を持っている人、病気に対しても、この薬に関しても専門的な知識を持っている人が処方するということで十分に患者さんに説明できるものだというように思います。そういうことで両方を合わせてみると、やはり手順案2のほうがよろしいかと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

○柿崎委員 私も大野委員と同じように、登録施設が限られていて、処方する登録医師、責任薬剤師の方も登録されているということで、骨髄腫の専門家以外の先生が出されることはほとんどないかと思いますので、そういった点では処方する先生の質は担保されているのだと思います。

 先ほどの薬剤交付とFAX送信の順序の話ですが、現行ではFAX送信が6番で、薬剤交付が7番になっています。手順案1と2で、薬剤交付とFAXが6番、7番、それから手順案2で、8番、9番と逆になっていますが、これを現行のとおり、元に戻した場合に何か現場では手間とか、かなり増えてしまうのでしょうか。

○村上参考人 恐らく、処方から患者さんが薬を頂けるまでの時間が延びる。

○柿崎委員 分かりました。手順案1と2のどちらにしても、患者さんの個人情報やプライバシーの問題は、現行案から改善されるということでよろしいかと思いますが、6番と7番、8番と9番の所で、順番を逆にすることによって安全性が確保されるのであれば、待ち時間の程度にもよりますが、その辺どうなのかというようには感じました。

○五十嵐座長 臨床の現場でこれを逆にした場合に、時間的にはどのぐらいタイムスパンがかかるのでしょうか。

○村上参考人 私たちが処方せんを出してから、少なくとも普通の方より1時間多く待つことになると思います。薬を処方してから患者さんの手に渡るまで、昔はもっとかかっていました。

○佐藤参考人 今の議論を伺っていて、私はむしろ製薬企業の方々がそのようにおっしゃるのは、ある意味当然というか、よく理解できるのですが、今の手順案2にしても、基本的には医師、薬剤師がやるべきことをきちんとやるということを前提にしているというか、それをやられなかったときの、単純なミスにせよ、何らかの意図的な省略がある場合にせよ、そういうものをチェックする所がないということです。今の手順であれば、正に企業が医師、薬剤師がこの定められた安全管理の手順を遵守したということを確認して、初めてオーケーが出るという、そういう役割があるわけです。

 手順案2では、そのチェックがある意味、企業の方は事後的にやらざるを得ないということで、それであれば、何か問題が起きたときにも、その対処が遅れるのではないかという御心配だと思います。先ほど私が申し上げたコーディネーターの方がもし医療機関の中にいて、そういうチェックがされるのであれば、企業の方がリアルタイムでチェックしなくてもいいのかもしれないのですが、こちらのチェックを外すからには何か別の形でその間違いをチェックする別の仕組みが必要になるということだと思います。そのことがなくして、単に企業によるリアルタイムの確認だけを外すというのでは、やはりこれは、何というのでしょうか、安全管理上の立場からすると、やはりよろしくないし、胎児曝露のリスクということが上がってくるだろうと思います。医師、薬剤師がやるべきことを十分にやるということが、どこまで担保されるのかという点において、胎児曝露のリスクが上がりうるだろうと思います。

○五十嵐座長 今の点で、私、今までの臨床現場の経験から申し上げると、普通、医師が例えば外来で処方すると、それに対して、薬剤師が必ずダブルチェックをするのですね。ですから、よほどのことがない限り、例えば薬の量を間違えたりした場合には、必ず、おかしいです、というようなチェックが入ります。今の医療安全という点においては、薬剤師の関与はかなり厳格に行われているのが今の、少なくともこういうような薬を出す大きな病院では、そういう管理はできているのが現状ではないかとは思いますけれども、全くチェックしていないということはあり得ないのではないかと思いますが。

○佐藤参考人 おおむねはそうだとは思いますが、私、第三者評価委員会で、実はお聞きしておりますのは、病院の薬剤部で責任の担当者が代わったときに、十分引継ぎが行われていなくて、後任の薬剤師がこの辺の手順を全然知らないで、薬が患者さんに渡されていたという事例もあって、そういうことをなるべく少なくするというのが、やはりこのシステムのスムーズな円滑な運用という点においては必要だろうと思います。だから、それを必ず企業なりが全部やらなければいけないかというのは、私も思ってはおりませんけれども、何らかの形でそこをもう1人別の方がチェックする。あるいは患者IDと氏名の対応表についても、治験の場合は、今は治験管理室というのが病院の薬剤部とは別にあって、そこがきちんと管理しているからこそ、そういうものがキープされます。この場合は、病院の薬剤部に実はその機能が委ねられているわけですね。だけれども、非常に忙しい薬剤部の現場の中で、しかもいろいろな薬剤師がそのときの勤務によって、日替わりのように担当者が代わったりもしますので、そこを担当する薬剤師全員がきちんとそのことを理解して、手順どおりやれるかということに関しては、なかなか簡単でない部分もあります。そういう意味でも、この TERMS RevMate に特化した専門の方、それを薬剤師がやられてもいいのかもしれませんが、そういう方が1人きちんといて、やるべきことがやられているということを確認するということが、もしこの企業によるリアルタイムの確認を外すならば、そういうことがやはりあってしかるべきで、そのために国は予算措置を講じるということは、やはりこれは、国の責務ではないかというように思います。

○遠藤委員 訂正しておきたいと思いますが、佐藤先生、病院内に治験管理室はありますが、実際の治験薬を調剤しているのはほとんどが薬剤部です。そこは薬剤部できちんと記録を取って正しく調剤をしておりますので、間違いだと思います。

 それと、今回、佐藤先生が企業の話をしていただけないのですが、企業が、モニタリングをするというのが今回の手順では新しく入っています。全部を外すということではなくて、企業のモニタリングというものは、やはりこのシステムの中できちんとやってもらえれば、今、間違ったものをすぐに確認することはできませんが、そこの病院が例えば勘違いをしているとか、先ほど御心配された番号との突合をきちんとしていないというものについては、こういうモニタリングの中で企業がしっかりやっていただければ、十分確認できると思っています。

○佐藤参考人 何度も発言して申し訳ありません。実は私、すごく心配しているのは、もし手順案2で今後、これでほぼ決定というか、このままこれが最終案としていくのだということであれば、本当にそれで大丈夫かということを見極めるということが後で必要ではありますけれども、いいのかもしれませんが、これまでの議論の中で、手順案1がゴールとして見据えられているその過渡的な案として、手順案2というのが出されているというところが私は非常に懸念しているところです。

 私は薬害の被害者ですから、これまでサリドマイド薬害事件、あるいはほかの薬害エイズ事件、薬害スモンとか、その後の肝炎など、一連の薬害事件の経過をずっと見ていると、その当時は、そのようなことは起きないであろうと何となく思われて、許可され、使われてきたということであって、実はこの手順案1に向かうこの一連の流れというのは、正に新たな胎児曝露の被害が起こる、そこに向かったことが、現在進行形で起きているのではないかというように私自身には見えるわけです。これは、薬害の被害をつぶさに見てきた者としては、非常に実感としてそのように感じて、私は強い危機感を持っております。もしこういう改定後に、新たな胎児曝露が起きたときに、一体どなたが責任を追うのでしょうか。厚生労働省の指示として行われるとしたら、厚生労働省の責任は一番重いですけれども、この調査会におられる先生方ももしその決定に加わったとしたら、やはり責任の一翼を担われるお覚悟でしょうか。そのことを私は伺いたいです。

○事務局 各委員の先生方、御議論ありがとうございます。先ほど遠藤先生からもお話があったとおり、改定案の案1、案2とも企業からのリアルタイムの確認はFAX等での確認はするということで、ただ、順番は現行とは変わるということ。ダブルチェックという意味では、医師、薬剤師という形でダブルチェックをするということになっているかと思います。

 実際に間違ったらどうするかについては、企業はFAXが行ったもので確認を取れますし、企業も医療機関へ行けばその記録に基づいてチェックすることができる。更に、佐藤先生から御指摘があった、今でも間違っていることがあるのではないかという話がありましたが、それについては、そういう報告について企業のほうから医療機関に連絡すると思いますし、それから、第三者評価委員会でそういう報告、問題点があることについて分かれば、繰り返しになりますが、我々はその場にいますから、問題点については改善すべきだということで言うようにいたします。そういうことで、ダブルチェックという点では、医療関係者のダブルチェック、リアルタイムという意味では、企業のFAXの受信によるチェックというのが残ります。運用上の問題が出るのであれば、第三者評価委員会のモニタリングによって我々もチェックし、改善することは改善していくというような流れになっています。検討会のほうでもこのように御議論を頂いたのだと思います。

 それで最初に戻りますが、この検討会がなぜ立ち上がったかというと、どういうバランスでアクセスと管理というのを成り立たせるかということです。そういうことを考えて今の検討会の案が出来上がった、藤井先生が苦労して取りまとめていただいたのだと思います。

○五十嵐座長 委員のほうで御意見はいかがでしょうか。

大野委員 先ほど、佐藤様から責任の問題がありましたが、当然、私はこの委員会に属している以上、ここで出した結論に対しては、得られた情報の範囲内で責任を持つということ。ただ、どうやって責任を取るかどうかはいろいろ状況によって違ってきます。当然、責任はあるというように自覚しております。

 もう1つ、佐藤参考人がおっしゃったコーディネーターをつくったほうがいいのではないかという御意見がありました。私はそれはどうかなと思っています。と申しますのは、これは患者さんにとって非常にセンシティブなことを相談するわけですね。そういう人をお医者さん以外に、またもう1人つくって説明しなければいけないということになると、余計に薬にアクセスしにくくなるとか、患者さんに負担を掛けてしまうとか、そういうように感じるのですね。そういう意味では、書類を書いてお医者さんがチェックするというほうが、少なくとも患者さんに対する負担は少なくて、お医者さんもやりやすく、間違いがないというやり方ではないかと思っています。

○村上参考人 私が先ほど言ったのは、案2と現行案が余り変わっていないのではないかということです。1つは、定期確認票に関しては、企業が郵送するか医者が提示をするかで違うのですけれども、システムがきちんと動いているかどうかは第三者評価委員会で見ればいいと思います。次に薬を渡す順番ですが、必ず企業へ処方内容は届きます。企業は必ずチェックします。間違っていたら放っておくわけないわけですから、すぐ病院に連絡が行きますよね。また、医者は放っておきませんから、薬が合わないということをきちんと患者さんに連絡すると思います。順番が逆でも、これは大きく変わらないと思います。

 私たちは血液外来を1時頃から始めています。患者さんは診察だけでも3時、4時まで待つのです。それから、会計し、薬が出るまで1時間、2時間かかると帰宅するのが夜中になってしまいます。そういうことを少し考えていただけると助かります。私は決して大きく変わっていないという意味で申し上げたのですが、いかがでしょうか。

○小出参考人 薬剤師会でもいろいろ話合いをしてきましたが、今、 25,000 人の患者さんの負担を軽減しつつ、副作用というか、被曝を絶対起こさないということから考えると、まず手順案2で進めていただくのがいいのかというようなことで意見を持ってまいりました。それで進めていただければと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。大分議論は出たと思います。委員としてはそろそろ結論を出したいと思います。私としては、手順案2のとおり、見直すということを基本にしたいと思いますが、委員の先生方はいかがですか。よろしいでしょうか。しかし、この議論の中でいろいろ御指摘を頂き、まず手順案2で見直しをするにしても、企業は今までどおり安全管理手順の実施状況の確認とか、あるいは手順の逸脱などが発生したときの対応を適切にやっていただきたいということは今までどおりだと思います。

 それから、第三者評価委員会による安全管理手順の調査、評価の結果を、やはり定期的にこの本委員会で報告をしていただきたいと思います。その頻度は、最低、1年に1回ぐらいは、あるいはそれ以上かもしれませんが、報告をしていただき、その報告を踏まえて見直しが必要ならば見直しするというようなことを検討したいと考えています。

 それから、手順案2をやる場合には、医療関係者、特に医師と薬剤師の管理が今まで以上に厳格に求められておりますので、その点についても少し注意喚起等が必要なのではないかと思います。

 また、登録先が、先ほど成育医療センターにするという御意見もありましたが、それはできるかどうか分かりませんけれども、これは今後、第三者評価委員会でするか、ここでやるか分かりませんが、検討課題にしたいと思います。そういう方針でよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そういう方針でいきたいと思います。

 続いて、3番目の医療関係者に対する教育の充実強化等について御議論を頂きたいと思います。これら手順の見直しをした後に、企業、あるいは事務局で対応を検討していく必要があるものです。手順の見直し内容に直接関わってくるものではないと思われるのですが、何か御意見がありましたら、御発言を頂きたいと思います。

○遠藤委員 特に意見というわけではありませんけれども、ここに書いてあるとおりなのですが、システムを今回変えるわけですから、きちんと企業の方からも、この医薬品を取り扱っている所には十分周知をしていただきたいし、また、周知するための資材なども検討していただき、しっかり対応していただきたいと思います。私たち薬剤師のほうもしっかり受け止めて、このシステムを適正に運用していく努力をしなければいけないと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。

○上甲参考人 先ほど企業から、患者が定期的にリスクに応じてその期間が違いますので、1か月、男性は3か月、2か月のようなことを、今は企業が薬剤師に何らかの方法で伝えて、この患者さんに渡すタイミングなのね、とやっていることが、医療者が自らそのタイミングをきちんと認識して渡さなければいけなくなる。できるのですかみたいな趣旨のことを先ほどおっしゃったと思いますが、そのようにできるように、何か企業も一緒に工夫してください。このような案2でいこうとなったのですから、「できるのですか」ではなくて、企業も努力していただきたいと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。それでは、この提言には同意するということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、安全管理手順の見直し後の対応としては、企業の方には変更について、医療関係者に対しては周知徹底を図っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、以上で、検討会からの提言について、一通り御議論を頂きましたが、事務局から。

○藤井参考人 検討会の座長として、ありがとうございます。私、ただ検討会で本当に大変だったのですけれども、産婦人科医の立場から申しますと、このような薬はないほうがいいのです。使わなくて済むのが一番いい。製薬会社におかれましては、この薬を安全管理の上で苦労して、みんなが苦労して使って、ということではなくて、もっといい新しい薬を早く開発していただいたほうが、皆の役にも立つし、企業も多分、きっとすごく使われると思いますので、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございます。ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、事務局から追加がありましたらお願いします。

○事務局 検討会の提言には、具体的に記載されておりませんでしたが、検討会の中では両方の手順において、同じ目的の様式の名称が微妙に違っているとか、確認項目が違っているというところが現場の混乱の元になるのではないかという御指摘もありましたので、そこの点に関しては、両企業とも相談させていただきながら、できる限り統一する方向で見直すべきではないかというように考えております。

○五十嵐座長 ただいまの御説明に対して、その方向で進んでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、調査会としての結論はまとまりましたが、この結論を調査会からの指示事項として、企業へ書面で伝える必要があると考えております。私と事務局で、指示事項の案の作成をこれからいたします。調査委員及び参考人の先生方に御確認を頂いた上で、最終的な指示事項を取りまとめたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、藤本製薬並びにセルジーンの両社は、追って事務局から指示事項の指示がありますので、それに沿って手順の見直しをお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、今後の手続について、事務局から説明をお願いします。

○事務局 企業において、調査会の指示事項に基づいて手順の見直しを行っていただいた後に、見直し後の手順案について、パブリックコメントを行いたいと考えております。その後に、見直し後の手順案、そして、パブリックコメントの結果に基づいて、改めて本調査会で御審議いただき、最終的な手順の内容の確定を行いたいと考えております。確定された手順については、一定の準備期間を経た後に、実際に施行されることになります。以上でございます。

○五十嵐座長 予定されている議題は以上ですが、ほかに何かありますでしょうか。

○事務局 調査会の委員の先生方、参考人の先生方、まとめていただきまして、どうもありがとうございました。こういう形でまとめていただきましたけれども、管理手順を変えることになると、そこに入っている関係者の方々の役割分担、役割の重さが変ってくることも事実であります。佐藤先生からも、いろいろな先生からも御指摘がありました。ですので、運用等については、しっかり見ていく必要があると思っております。第三者評価委員会とかでモニタリング等を行っていくことになります。第三者評価委員会は佐藤先生も入っておりますし、私もオブザーバーとして入っておりますので、しっかりその情報を企業からも出していただき、その結果について第三者評価委員会でウォッチし、必要があれば、その運用の見直し等をしっかりやっていきたいと思っております。どうもありがとうございました。

○五十嵐座長 よろしいでしょうか。それでは、本日の調査会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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