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2015年6月22日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会

医薬食品局食品安全部基準審査課

○日時

平成27年6月22日(月) 14:00~15:30


○場所

中央合同庁舎第5号館19階 共用第8会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

委員

大野部会長、有薗委員、尾崎委員、河野委員、竹内委員、前田委員、松岡委員、六鹿委員、鰐渕委員、広瀬参考人

事務局

山本基準審査課長、黒羽補佐、先崎補佐、佐藤専門官、大塚技官

○議題

(1)器具・容器包装の規制のあり方について
(2)その他

○議事

○事務局 時間が少し早いようですが、委員の皆様が全員おそろいですので、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会を開催いたします。本日は御多忙のところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。本年1月に審議会委員の改選が行われまして今回が最初の部会ですので、開催にあたり、基準審査課長の山本より一言、御挨拶を申し上げます。

○基準審査課長 基準審査課長の山本でございます。委員が改選になりまして初めてということでもございますし、また、本日、規制のあり方という、個別の規格基準などの御審議ではなく、最初は規制全般についての御議論を頂くということで、食の安全、安心という観点から国民の皆様の関心が深い領域でもございます。是非、御審議のほどよろしくお願いしたいと思っております。また、今後この部会で個別の規格基準についても幾つか御審議をお願いしたいと思っているものがございますので、本日の議題には入っておらず、また、別途でございますが、そのようなところも是非、今後よろしくお願いしたいと考えております。どうぞ、まず、率直な忌憚のない御審議、御検討をよろしくお願いしたいと思います。

○事務局 まず初めに、本日の委員の皆様の出席状況について報告いたします。本日は委員全員の御出席をいただいておりますので、本日の部会が成立することを報告申し上げます。なお、先ほど基準審査課長の挨拶にもありましたが、本部会においては前回の部会以降、部会長が新たに就任され、また、3人の委員が新たに就任されております。

 部会の開催にあたりまして、御紹介いたしたいと思います。公益財団法人木原記念横浜生命科学振興財団理事長の大野部会長です。

○大野部会長 大野でございます。よろしくお願いいたします。私は、この部会への出席は初めてです。最初にお願いされたときに大丈夫かなと思ったのですが、名簿を拝見して古くからこの部会に所属されている先生方がおられますし、以前から親しくさせていただいている先生方もおられるので、協力いただけると思いました。また、安全性の面、化学分析の面に非常に詳しい先生もおられます。もっと広い立場から御意見をいただける先生もおられます。皆さんの協力が得られれば何とか運営できるのではないかと思っています。どうぞ御協力よろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございます。大阪市立環境科学研究所食品保健グループ研究主任の尾崎委員です。

○尾崎委員 大阪市立環境科学研究所から参りました尾崎と申します。私は、食品用の器具・容器包装を大阪市内で流通するものについて、日頃から食品衛生法における検査、研究をしております。気付けば従事してから丸16年がたちましたが、まだまだ分からないことだらけで日々勉強させていただいています。今日は、そうそうたる先生方の中に入らせていただけたということで光栄です。少しでもお役に立てるよう頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

○事務局 ありがとうございます。全国消費者団体連絡会事務局長の河野委員です。

○河野委員 皆様こんにちは、河野と申します。恐らく私は利用する側の立場として、このような心配がある、このような不安があるということで、この部会の有識者の皆様にいろいろと疑問を投げかける役でここに居ると思っております。ここの結果が私の理解が及ぶところであれば、広く国民も安心して容器包装を利用できると感じております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○事務局 ありがとうございます。静岡県環境衛生科学研究所副所長の前田委員です。

○前田委員 前田と申します。よろしくお願いいたします。私自身は、器具・容器包装の専門というわけではありませんが、県の研究所の中で医薬品や食品の規格試験に今まで従事してきましたので、そういう経験を部会で何らかの形で活かせたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございます。また、本日は参考人として、国立医薬品食品衛生研究所安全性予測評価部長の広瀬先生にお越しいただいております。それでは、議事の進行を大野部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大野部会長 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。最初に事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

○事務局 まず、議事次第、裏面に本部会の委員名簿、資料一覧、資料1は「器具・容器包装の規制のあり方検討会中間取りまとめ」、資料2は「器具・容器包装の規制のあり方検討会中間取りまとめ 概要」、資料3は「器具及び容器包装に関する当面の対応について」、参考資料1は「食品用器具及び容器包装に係る規制のあり方について(平成24年3月2日器具・容器包装部会の資料より抜粋)」以上です。落丁等がありましたら、事務局までお申し付けください。

○大野部会長 皆さんよろしいですか。議題に入ります。最初の議題は、議題1「器具・容器包装の規制のあり方について」です。この件に関しては、平成24年3月2日の当部会における議論を踏まえて、有識者による検討会で器具・容器包装の規制のあり方について検討されてきました。本日は、中間取りまとめについて報告頂きたいと考えています。中間取りまとめについては報告事項ですが、その報告を受けた後、それを踏まえた今後の当面の対応について事務局から説明を頂き、また、委員の皆様から御意見を頂いていきたいと思っております。それでは、まず事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料1と2を用いて説明いたします。冒頭、部会長から中間取りまとめの概要を御説明頂きましたが、食品用器具及び容器包装の規制のあり方に係る検討会については、平成24年3月の器具・容器包装部会におきまして食品用器具及び容器包装に係る見直しについてという議題で御審議頂き、その中で、欧米で導入されている制度を我が国でも導入できるのかどうかという点について、器具・容器包装部会の下に作業部会を設置して検討することとされたものです。そのような背景の下、この食品用器具及び容器包装の規制のあり方に係る検討会を開催しました。本日は検討会で取りまとめていただきました中間取りまとめについて御報告いたします。

 資料1の「1 はじめに」です。食品に用いられる器具及び容器包装については、食品衛生法に基づきまして、規格基準が定められております。しかしながら、現在の我が国の規制におきましては欧米等の規制とは異なっており、国際的な動向とも整合性が取れていないというところがあります。欧米の規制と申しますと、こちらに記載がありますようにポジティブリスト(以下「PL」)という言葉が書かれていると思うのですが、安全性が確認された物質のリスト化を行って、そのリストのみを使用可能とするというPLを採用して、その運用を行っております。

 そのために国内外の知見、技術進歩に関する調査等を行い新たな制度設計等を検討するために食品用器具及び容器包装の規制のあり方に係る検討会を開催しております。検討会ではPL制度の導入と、その法制化を含めた制度のあり方について検討いたしましたが、PL制度の円滑な導入には、我が国における評価法、例えば、安全性に係る評価法や運用体制の整備、原材料等に関する幅広い情報収集などが必要であるということから、環境整備が前提となると考えております。

 また、法制化には課題も多く、幅広い情報収集が必要であるということから時間を要すると考えております。このためにPL制度の導入に向けた課題の整理や、当面、実施可能で重要と考えられる施策を中間取りまとめとして報告させていただきます。

 「2 検討の経緯、背景」です。我が国の規制は、安全性に懸念のあることが判明した物質について評価して、規格基準を設定するという法規制があります。これに加えて業界の自主規制によって、これまでに器具・容器包装において大きな健康被害が生じたという事例は発生していないと承知しております。しかしながら、我が国ではPL制度を導入していないことから、欧米等で使用が認められていない化学物質が器具・容器包装に用いられても、直ちに規制することはできません。現在の制度で安全性が懸念される化学物質を規制するためには、まず、データの収集、食品安全委員会における評価、薬事・食品衛生審議会における審議などの手続を経て規格基準を設定するという対応を行う必要があります。

 このような状況の下、欧米における規制実態、我が国の業界団体で実施している自主規制の内容を精査、検討して器具及び容器包装に使用される化学物質の管理方法のあり方について検討を行いました。

 次のページです。「3 器具及び容器包装の規制現状」です。まず、日本の現状です。日本の食品衛生法の第3条は食品等事業者の責務を示す条文であり、事業者は自らの責任において原材料等の安全性確保を講ずるよう努めなければならない旨が規定されております。また、同じく第15条では、清潔で衛生的でなければならないということ、第16条については、有害又は有毒な物質が含まれるなど人の健康を損なうおそれがある器具及び容器包装の販売等を禁止しております。

 また、第18条に基づきまして一般規格、つまり器具・容器包装全般に係る規格ですが、例えば、着色料の使用制限などの規格を規定しています。この他に材質別規格、例えば、合成樹脂、ガラス、ゴムなどにも規格を規定しておりますが、この規格に合わないものについては販売等を禁止しております。更には、器具・容器包装の中でも合成樹脂については、全ての樹脂に適用する規格、その他に個別樹脂に対して規定している規格があります。

 また、熱可塑性樹脂については、ポリオレフィン等衛生協議会、塩ビ食品衛生協議会、塩化ビニリデン衛生協議会、略して三衛協と呼んでおりますが、自主基準と自主基準への適合性を証明する確認証明制度が設けられております。確認証明制度は、その下の※印にありますが、会員からの申請に基づいて原材料から最終製品までの取扱段階ごとに自主基準に適合していることを確認したときに確認証明書を交付する制度です。

 3ページです。諸外国の現状です。まず、米国について、米国で器具及び容器包装の対象となっているのは合成樹脂や紙、ゴム製品です。いわゆる連邦規則集に掲載された化学物質のみ使用可能となるPL制度が構築されております。合成樹脂については、ポリマーの種類ごとに、使用可能なモノマー添加剤等が規定されております。これに加えて、2000年から承認の迅速化を図るというところから、個別製品ごとに上市前届出制度という個別の承認を与えている制度が新設されて、現在この2つが動いております。EUについては、合成樹脂も対象として2010年からPL制度が構築されております。中国については、合成樹脂やゴムなどについて1988年からPL制度が構築されております。また、2014年には、原材料等も拡大するという案が示されております。我が国の規制に類似する規制を有するASEAN諸国又は韓国等についても日本のPL制度の検討が注目されております。

 次に「4 規制に係る課題の整理」です。器具及び容器包装の多くは化学物質により製造されており、使用される化学物質の特性や人への影響等を考慮して適切に製造、使用されることが必要です。こうした中、欧米ではPLを作成して使用できる化学物質の種類、含有量等の制限を行っております。一方、我が国については、先ほども御説明させていただきましたが、食品衛生法にはPL制度は導入されておりません。しかし、三衛協において実質的な取組としてPLを作成して管理を行っておりますが、三衛協に加入されていない事業者や輸入品も含めた検討が必要と考えております。

 このため、諸外国の制度や業界の自主規制等を踏まえつつPL化に向けた制度の検討が望まれると考えますが、その制度化にあたり以下の大きく3つの課題が考えられます。

 1つ目は、リスク管理すべき化学物質についてです。PLの作成においては食品への移行量や毒性を考慮し、リスク管理の対象として化学物質の種類、製品中の含有量等の規定を行う必要があるが、現在、器具及び容器包装の原材料に使用されている化学物質の種類や特性等の情報については、必ずしも網羅的に把握されていない。

 2つ目は、企業間における情報提供についてです。器具及び容器包装については、原材料を製造する企業を川上企業、製品を製造する企業を川下企業と呼びますが、これらが異なることが一般的であるということ、かつ、川下企業については、中小企業が多いという特徴がある。そのために、器具及び容器包装を製造する事業者が、安全性を確認するために各企業において使用した原材料物質の情報が川上企業から川下企業に適切に伝達される必要がある。

 4ページです。3つ目は、事業者による適切な製造管理と実効的な履行確保についてです。器具及び容器包装の製造には種々の化学物質が使用されていることから、事業者は器具及び容器包装の原材料や使用される化学物質の食品への移行量等を踏まえ、その種類や添加量を適切に計画して意図しない物質の混入を防止するなど、適切な製造管理を徹底することが必要である。また、これらの製造管理が適切にされるためには、行政等における実効的な履行確保がなされる必要があるという、以上、大きく3点について課題を整理しております。

 その課題を踏まえ、「5 課題への対応と検討の方向性」でまとめております。

まず、(1)リスク管理すべき化学物質についてです。事業者による実質的な原材料の安全性確保の確認の参考とするため、さらに将来的な制度の構築を検討するため諸外国におけるPL制度の導入状況も踏まえ、我が国や諸外国で使用されている化学物質について幅広く情報を収集し、その整理を行うことが必要である。

 このためには、厚生労働省が三衛協の自主基準の対象となっている化学物質のリストを取りまとめるとともに、諸外国の情報や三衛協に加入していない事業者等の情報を収集していくことが必要である。また、リスク管理を適切に行う上で対象となる物質について化学的評価に必要となる文献やデータ等の収集・精査が必要であり、それらの情報の収集等を効率的に行えるよう、必要なデータの範囲を検討することも必要である。

 リスク管理の手法は、食品への移行量による管理と製品中の含有量による管理の方法があります。事業者の管理方法としては、含有量による管理が実際的と考えられる。一方、安全性評価を行うために食品への移行量の最大値の情報も必要であることから、食品への移行量の情報を把握する手法の検討が必要である。その他、具体的に意見が下の括弧の中にあります。こういうところも今後検討が必要ではないかと考えております。

 5ページです。()企業間における情報提供についてです。器具及び容器包装を製造する事業者が、その安全性を確保するためには企業秘密を守りながら製品に使用されている化学物質の情報等を適切に伝達することが必要である。このため、器具及び容器包装事業者は原材料の業者から原材料を購入する際に、あらかじめ、情報の提供を含めて契約を結んでおくなどの対応が考えられる。また、企業秘密を守りながら原材料の安全性情報を伝達する方法としては、三衛協の確認証明制度を活用した方策も考えられる。

 (3)事業者による適切な製造管理等、実効的な履行確保についてです。適切な製造管理と、その履行確保を行うためには、各事業者において使用する原材料の管理を始め、手順書の整備、記録の保存などの適切な製造管理が行われることが重要である。更に行政が事業者の取組を的確に把握することも重要である。このような製造管理の一層の推進を図るためには、行政から事業者の取り組むべき事項についてガイドラインを示すことが考えられる。

 汎用性の高い添加剤や安全性が懸念される添加剤などの最新かつ国際標準を踏まえた分析法が開発されることにより、効果的な検査が行われることが期待できる。輸入品の取扱については、客観的な評価が可能な検査結果の提出を輸入者に求めるなど実効的な履行確保が必要となる仕組みについても検討することが必要である。

()その他です。我が国における器具及び容器包装の規制の制度設計等の参考とするために各国のPL制度の状況や輸入品の取扱方法、器具及び容器包装に係る実態、これは例えば、器具及び容器包装から、どのような成分が溶出しているか、そういう実態、関係事業者の規模、数、製造輸入の実態、三衛協に入っていない事業者の実態等や各事業者における取組状況について把握が必要である。

 また、PL制度を導入する場合には、企業秘密に配慮する必要がある。また、PLに収載されていない新たな物質がPLに収載されるまで、製品への使用等ができなくなるということから、新製品への上市などに支障を来さない留意が必要であるという課題への対応と検討の方向性について取りまとめております。

 最後に「6 当面の施策について」です。課題への対応と検討の方向性を踏まえ、器具及び容器包装に係る一層の安全性の確保に資するために、まず、PL化に向けた制度の検討が望まれるとまとめております。しかし、上記のように課題も多いという状況のため、現状の規格基準の改定、新たな合成樹脂の規格基準の検討を行うとともに将来のPL制度の導入を見据え、以下4つの施策を進めることが考えられます。

 1点目は、事業者の自主管理の一層の推進を図るという目的の下、事業者が適切な方法で安全と判断した原材料を使用すること、手順書の作成、記録の保存などを含めた製造管理手法、情報伝達に関する自主管理ガイドラインの検討を行う。そのガイドラインについては厚生労働省において公表する。併せて自主管理に有用な情報として、厚生労働省が三衛協の自主基準の対象となっている化学物質のリストを取りまとめて、ガイドラインの参考として添付することが考えられる。

 2点目は、リスク管理すべき化学物質の国内外情報、各国の制度、原材料への使用実態、事業者の実態、取組状況等を把握して整理する。

 3点目は、人への影響評価が適切に行えるように化学物質の食品への移行量を簡便に把握できる手法の開発、科学的評価に必要なデータ等について検討する。最後に、効果的、効率的に適切な制度管理の履行確保を行うために、例えば汎用性の高い添加剤や安全性が懸念される添加剤などの一斉分析法の開発を進めるということが、中間取りまとめの内容です。資料1は以上です。資料2については、資料1を1枚紙にまとめたものです。簡単ですが、資料1、2の説明は以上です。

○大野部会長 皆さんから御意見を伺う前に、中間取りまとめの検討会の座長を務めていただきました広瀬参考人より、議論の様子など、不足があれば伺いたいと思います。よろしくお願いします。

○広瀬参考人 国立医薬品食品衛生研究所の広瀬です。よろしくお願いいたします。この検討会が平成24年の部会から決定を受けて始まったわけですが、実際にはもっと以前から議論は進めていました。参考資料1の裏を見ていただくと、過去の実施状況があります。一番古くは、一番下に食品安全委員会、平成17年から平成19年に、合成樹脂のリスク評価に関する研究というのを私が食品安全委員会から委託を受けてやった経験がありました。そこが元になっているというわけではないのですが、その前から国際化という観点からの必要性については話があったので、食品安全委員会でどう評価するかも、多分、一緒に議論していかないと進まないのではないかという話が過去にありました。それもあって、その後は、厚生労働省でも平成20年か平成21年までしばらく調査事業で、国際関係の状況はどうなっているかを調査しまして、平成24年の部会のときに、その調査結果をまとめて示したのが、参考資料1になります。

 器具・容器包装の専門家の方には、釈迦に説法になるのですが、器具・容器の国際的な基準は、食品の農薬とか添加物のコーデックスのようなシステムがなくて、主にヨーロッパとアメリカは独自な管理システムをとっている状況があります。一般に日本はどうなっているかについて。普通だと、アメリカとヨーロッパは大体同じ形態で、もちろん大まかは同じですが、管理の方法が、アメリカは割と個別評価をするというやり方ですし、ヨーロッパは、リストを作って、それで運用していくというやり方になっています。その中で日本は、先ほど事務局から説明がありましたが、三衛協の業界の自主基準で行われている。ただ、その自主基準も、基本的にはアメリカのやり方、あるいはヨーロッパのやり方をケース・バイ・ケースによってとりいれて、誤解があるかもしれませんが、基本的にはアメリカのタイプのやり方で運用はしてきているのかと思います。

 ただ、その中で、日本でどう取り入れていくかについては、多分、今の現状もありながら、あとは日本でいざ管理するとしたら、どのぐらいまでできるかというものを、管理の仕方、安全評価の仕方とか、その法規制が三つ巴のような感じで進んでいっているので、なかなか複雑なところである事情もあり、議論にそういう時間をかなり費やしたことがあります。ですので、そういう観点から、この後、事務局から示していただくこととなると思いますが、今後どういったことをやっていけばいいかというための問題点の洗い出しを行ったところです。

 安全性の評価の観点から言うと、今回は主にポリマーの基剤及び添加剤がメインですが、それでも実は1,000に近くなる、少なくとも数百物質の化学物質をある一定の安全性評価の基準で評価して、ポジティブリストにしていくこと。ヨーロッパは、2010年から制度を開始して、とありますが、多分その前に10年ぐらいずっと議論してきて、その結果として、もちろん、いまだに議論は続いていますが、それでリストができているといった、かなり時間が掛かるという、欧米でもそういう実態があるといったところになっています。

 もちろん、700物質の、通常の食品安全委員会等での化学物質の、水質基準値とかでもそうですが、ADIとかを決めることになると、慢性試験も生殖発生毒性も評価して、決めていく手続を踏むわけですが、この場合は曝露量がそもそも少ないといったことで、多くの場合は、例えば変異原性試験の結果だけでリストになっているとか、もちろん、それは物質としては安全性を評価するわけですが、曝露の上限は決まっているので。

 ただ、今度は次の問題としては、その曝露量をどうやって測るか。それは溶出試験なり抽出試験を行って、そこに出てくる量を測って、その曝露量と安全性のデータとの両方を見ながら評価するといったところが、普通の化合物の評価と違うところが、また複雑な論理を持つことになり、そういった中で管理も評価もしながら同時にリストも作っていくのは、今後、時間を掛けて、さらに、制度の運用の仕方も含めて作っていかなければならないといったところが、今後も、時間が掛かるといったところに係ってくるのだと思います。

○大野部会長 今、検討会の名簿を見せていただきましたら、竹内先生も入っておられたのですね。何か追加することはありますか。

○竹内委員 前回の検討会に参加させていただきまして、そこでいろいろ議論させていただいたわけですが、中間取りまとめの概要で、非常に簡潔、分かりやすくまとめられていると思います。多分、後から説明があるのだと思いますが、2枚目の資料3のガイドラインの作成等のやり方というか、その後の検討については、もう少し説明を伺って、それを将来的にどういうふうなことを検討するのかと考えています。

○大野部会長 六鹿先生から何か追加はありますか。

○六鹿委員 欧米等と、今、我が国でやられている三衛協のPLの制度を検討していったところ、それぞれ違っていると。また、それぞれに利点と欠点がありまして、どれが一番いいのかと、どれが日本に一番合っているのかというところで、検討のときに時間が掛かってしまったということですが、今回、こういった中間取りまとめ案で、このような方針ができたということです。

○大野部会長 説明を伺いながら、思ったのですが、今日、横浜市はプラスティックのごみ出しの日だったのですが、今は出す量がものすごく多いです。容量としては、生ごみの何倍も出るということですね、実際の重さは違いますが。結構大きな問題になっているのかと思いました。中間取りまとめについて、先生方から御意見、御質問を伺いたいと思います。いかがですか。

○鰐渕委員 今回の検討会の中で、ヨーロッパで行われているPLがありますよね。それと、各業界、三衛協が持っているリストを照らし合わせた感じで、齟齬があるようなことはあったのでしょうか。ダブっている所はかなりあると思うのですが、非常に簡単な言い方をすると、両方足して全部リストにしてしまえば、仕舞かと思ったりとかするのですが、その辺はどういう検討になったのか教えていただけたらと思います。

○広瀬参考人 多分、それは六鹿先生の方が詳しいと思うので。基本的には全部重なっているのですが、命名法は、これは結構ポリマーですと、製法で名前が付いているとかという部分もありますし、同じ物質でも名前の付け方等は異なりまして、あとは、実際にはその照合はこれからきっと行っていくということになると思いますので、実はこの作業も時間が掛かるということに係ってきます。どうしてかと言いますと、六鹿先生。

○六鹿委員 補足ですが、広瀬先生が言われたとおり、大部分のものは欧米のものと一致しているのですが、食文化の関係で製品が違っていますので、中には一部、日本独自の化合物も入っています。でも、それは、各団体がそれぞれの自主判断基準において毒性評価をして、リストに載せている状況です。

○大野部会長 鰐渕先生、よろしいですか。

○鰐渕委員 はい。

○大野部会長 他の先生、いかがですか。

○尾崎委員 質問ですが、企業間における情報提供について、「川上企業から川下企業に情報が伝達されることが、企業秘密の関係でとても難しい」と書いていましたが、この問題は欧米ではどのように解決されているのですか。

○六鹿委員 私からです。欧米では、調査会社等に依頼をして、企業秘密を守るという条件で調査をしているケースもありますし、企業間で秘密保持の契約を結んで聞いている。他の所には漏らさないという形でやられていると聞いています。

○河野委員 食品の器具・容器包装の規制のあり方に関する中間取りまとめの御報告、本当にありがとうございました。先ほども申し上げましたように、私はこの審議に参加するのは初めてでして、知識が非常に不足しています。もしかしたら、このようなことを聞いてはいけないかもしれないのですが、消費者の単純な疑問に答えていただきたいと思っていまして、幾つか伺わせてくださいませ。

 1点目は、我が国では、業界の自主基準とネガティブリストの対策で、「これまで大きな健康被害が生じた事例はない」と書かれていますが、実は見過ごされたりとか、被害発生一歩手前だったりということはなかったのですか。

 2点目は、8ページで示されています現在の規格基準以外の原材料とか添加剤に関しては、企業の方の自主的な取組に任されていると。当然、法律に書かれていること以外は、自主的な取組に任されているという理解でいいのかどうかです。

 3点目は、2ページでお示しいただいた熱可塑性樹脂に関して、自主基準、並びに確認証明制度を行っていらっしゃった三衛協の加盟状況を、全体数からしてどのぐらい入っていらっしゃるかが分かれば、教えていただきたいと思いました。それから、確認証明は、例えば最終製品ごとに出すのか、一企業に対して出すのか、また、証明書どおりに製品が作られているかどうかを確認するシステムがあるかどうか。それから、確認証明制度は、永続的なものか、更新があるのか、もし、その辺りの詳細について、お分かりになれば教えていただきたいと思います。

○大野部会長 この点に関しては、事務局から説明を伺った方がよろしいかと思いますが。いかがですか。

○事務局 事務局から分かる範囲で御説明させていただきたいと思います。器具・容器包装で消費者に対する事故について、どうかという話ですが、過去10年の食中毒の統計では、1件の報告があります。これは陶器性のつぼの真鍮部分から銅が溶け出して、中毒を起こしたという事例です。ただ、事故直前までいったものがあるかどうかは、こちらでもなかなか把握はできないところですが、例えば熱に弱い種類の合成樹脂性のラップに油がよく染み込んだ食品を包んで電子レンジにかけて、それが溶けてしまって、そういう苦情というものはありますが、そういうものについては、直接食品に付かないようなやり方で使ってくださいというような情報提供を、自治体が行っていたりすることは、承知しております。

 自主的な取組かというお話がありましたが、食品衛生法の規格基準では当然守らないと規格基準違反となって、罰則等がありますが、それ以外の取組については企業間の自主的な取組ということで、三衛協の確認証明制度についても、自主的な取組に位置付けられているものです。

○事務局 先ほどの御説明に1点だけ補足をさせていただきます。資料1の2ページに規格基準に関する条文として食品衛生法第18条を記載しておりますが、「薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて」、規格基準を作るということになっています。基準が設定された場合には、それに従った製品の販売等する義務があるということです。事業者の自主的な取組が基本になるわけですが、併せて、第18条の上に第16条を引っ張って記載をしておりますが、より一般的な形で「有毒な又は有害な物質が含まれ」るものについては、販売等してはならないということになっております。例えば、何か緊急的な対応が必要ということであれば、こういった条文を基に指導等を行うことができるという形で措置はされております。

○大野部会長 三衛協の加盟状況について質問があったと思うのですが、それは今すぐには分かりませんか。

○事務局 三衛協はどれぐらいの割合かという話ですが、全国の容器包装の事業者の数がまだ把握されていないこともあって、会社数の割合は分からないのですが、検討会で三衛協の方から聞いた話によると、全体の樹脂の流通量の約7割は三衛協の会社が取り扱っているだろうというお話がありました。

 あと、確認証明制度の方法ですが、報告書の9ページの参考3に概念図が書かれています。三衛協に加盟している会員会社がどういう樹脂とか添加剤を使いたいということがあれば、各衛生協議会に資料を付けて登録申請を行ってもらうと。それで、一定の基準に基づいてPLに収載されることになります。その後にPLに載っているかどうかという証明書を発行してほしいといった場合に、申請を行うと、その樹脂とかその製品がPLに載っている範囲であることを証明する確認証明書を交付してもらえると。交付された証明書を次の取り扱っている企業の方に渡して、これは業界のPLに適合しているものだという形で与えて情報提供するという内容だと理解しています。

 8ページに参考2があるのですが、これで「製造の流れ」がありますが、それぞれモノマーの製造業者、ポリマーの製造業者、一次加工業者で、最後に器具及び容器包装製造業者に、それぞれ原材料が渡されるという流れの中で、こういう確認証明の内容を、順次、必要な所に渡していくことで、業界のPLに適合する成分が入っているということの情報提供をやっていくと、そういう制度だと理解しております。

○大野部会長 河野先生、取りあえずはよろしいですか。

○河野委員 1点だけです。そうしますと、9ページの三衛協における確認証明制度は、私が誤解しているところもあったのですが、最初にPLに収載の申請があるときに、その化学物質に関する安全性とか、有用性とかいうのは、企業が資料を付けて出してくださるということですか。企業が付けられた資料に関しては、事務局の方は審査をされるのかどうかを教えてください。

○事務局 皆様方に2人に1つある検討会の資料がありますので、その中の第6回検討会の資料を御覧ください。第6回の資料の中に20141218日のポリオレフィン等衛生協議会の資料がありまして、その中に詳しい内容がありまして、その中の12ページぐらいに確認証明制度の概要があります。会員会社から申請するときにいろいろな添付資料を付けていただいて、内容について三衛協の各協会の中の審査を経て、確認証明書を交付すると。そして、PLに載せて公表すると、そういう内容の審査を行っておりまして、各衛生協議会の中でどのような資料とかが必要かという規定も出して行っています。

○大野部会長 取りあえず他の先生方から質問を受けたいと思います。いかがですか。

○有薗委員 基本的なことでないかもしれませんが、少し教えてください。例えば、ある新しいものの申請があったとしたときに、既に外国で使われているものということで、外国で既に資料等が一とおり全部そろっているという場合と、日本で新しくそういうものについての検討が始まったということで、日本からデータが出てくるというときには、基本資料のレベルが大体違う気がしますが、そういう場合、どのような対応を。日本の企業に対する出していただきたい資料はいろいろあると思うのですが、それが外国から輸入するのと、大体相互性を合わせて依頼されるのかがまず一つです。

 二つ目に、それに関する件ですが、米国の例として、上市前届出制度があって、それがかなりスムーズに動いているのではないかと思われる記載ですが、そうした場合、その資料のデータはどこか政府とつながっていると言ってはいけないですが、ある程度認証できるある審査機関みたいな所があって、そこに預けて、自分たちのデータではなくて、第三者的に出たデータを評価するという形になっているのかと、その辺を少し教えてください。

○六鹿委員 私から。最初、評価の方法です。第4回の資料の13ページ、スライド13です。三衛協は欧米とも大体似たような形ですが、まず変異原性を見まして、変異原性等で問題があるようでしたら、慢性毒性のほうにどんどん移っていくと。あとは、食事中濃度との関係です。その形で評価をしていくことになっています。日本の三衛協が海外でものを導入するときに関しては、欧米等で評価がされていれば、大体のところ欧米の評価結果をそのまま受け入れるといった形になっています。

 欧米では評価はされていなくて、日本独自のものになってくると、ここに示す評価の実験を行った結果で評価をするという方式を取られているようです。

○有薗委員 上市前届出制度の評価する所、第三者的な場所があるのかどうかです。

○六鹿委員 それは企業がデータを取って、FDAに申請をします。それで、FDAが審査を行います。

○有薗委員 それは全部紙ベースですか。

○六鹿委員 主に紙ベースです。

○有薗委員 これは独自に試験をするかどうかということですか。

○六鹿委員 そうです。造った製品からどれぐらいのものが溶出してくるのか、溶出量とか、化合物の物理的な情報とか、毒性情報の論文とかも集めたりしまして、そういったものを一とおり集めて申請します。

○有薗委員 EUとか、韓国でも、ETV(環境技術実証)に関して、それが実際、これは技術の話なので、これとは少し話が違いますが、そういうところだと第三者的な実施機関があって、そこに頼んだデータを持ってくるということは、第三者的な評価ができているということであるというと、FDAとか、そういう所で評価するときにも、第三者の手を添えてオーケーだというのが、ある程度楽に評価できるのはいけないですが、一定の基準だということはありますが、そういうのではないのですか。

○六鹿委員 引用できるものは引用して持っていきます。足りない部分は、自社なりでデータを取って、そのデータを付けて出すという形になっています。

○有薗委員 でも、これは、今、日本が始めようとしているところなのに、先の話を先走った議論とか、大変申し訳ないのですが、こういうものはEUと米国と日本とで規制の中身のハーモニゼーションというのですか、こちらで今日出ていたら、こちらもオーケーみたいな感じの統一性というか、そうすると、かなり楽になっていくのではないかと思うのですが、その辺の手応えとか、流れは、先生、いかがですか、まだまだ先ですか。

○六鹿委員 それに関しては、それが一番理想ではあると思うのですが、1点だけ問題がありまして、ヨーロッパでやっている規制と、アメリカでやっている規制は、違う形でやっているので、一緒にするとなると、できなくはないのかもしれませんが、かなり難しい問題がある。

○有薗委員 分かりました。

○大野部会長 毒性データについては、アメリカだと多分全部GLPがかかっているのではないかと思うのですが。

○広瀬参考人 多分、先ほどの第三者というのは、毒性試験とか、分析機関に頼んだデータという意味であれば、それは多分、自分の企業であっても、たとえ外の企業に頼んだとしても、多分GLPの実験レベルを問うたデータを、優先的に採用するはずです。もちろん、全てそれでそろえるのは難しいので、それはケース・バイ・ケースです。FDAでは、全て企業と当局で申請上の相談を行うのですが、とにかく個別にやるのが基本的な制度なので、その中で企業秘密データが使われていたら、一切そういうデータは日本側ではもらえませんので。

○大野部会長 私から、この食事中濃度の50ppbとか0.5ppmというものがありますが、この辺の数値は変異原性が非常に強いもの、発がん性の強いもの、例えばアフラトキシンといったものでも問題とならない濃度と考えてよろしいのですか。

○広瀬参考人 実は、ものすごく変異原性の強い構造については、QSAR等であらかじめ調べるか、もちろん経験でも分かっているので、そういう物質については最初からそもそもリストに載せられないと思いますので、載ってこないと思います。それ以外の多くのものについては、変異原性がなければ50ppbまでの許容濃度。これは、食事中の平均濃度ですので、実際の溶出濃度とはちょっと違いますので、注意が必要なのですが。その計算の仕方が、ヨーロッパとアメリカでまた違うというのが、ハーモナイズの難しいところです。

○大野部会長 添加物はいいと思うのですが、合成樹脂を作るときのモノマーなどは、結構変異原性が強いものが多いのではないかと思ったのですが、それでも大丈夫なのかなと思ったのですが。

○広瀬参考人 多分モノマーについては、ほとんど検出されないレベルが通常だと思います。

○大野部会長 皆さんから聞く前に、私からの質問が色々あります。添加物の問題が原因で健康上の被害や問題が起きたことがないことはよろしいかと思うのですが、それが原因で国際的な問題になったことはないのかなと。例えば、日本から香港や外国に輸出したものが問題になったとか。それから、外国から日本に輸入したものが問題になったといった問題はないのですか。

○事務局 人に対して健康被害があったかという話はあまり聞いたことはないのですが、輸出に関しては、輸入する国側の法規制をクリアしないといけないのですが、その法規制自体が国によってバラバラですので、そこは例えば日本から外国に輸出する場合は、その輸出する国の法規制を守った証明書なり守った資料なりを提出しないといけないということで、そういう意味ではいろいろな制限が日本から輸出する場合にはあることになります。また、日本に輸入する場合にも、日本の法規制を当然守っていなければいけませんので、必要に応じてそういう資料を輸入時に提出するというような対応を取っております。

○大野部会長 基本的にはそうだと思うのですが、日本の法規制がネガティブリストで、中国がポジティブリストだと。その関係で、業者の方々が混乱して間違えてしまって、輸出したけれども途中で破棄を命じられたということはないのかなと思ったのですが。

○広瀬参考人 具体的には存じ上げてはいないのですが、当然そういうトラブルなどはあるかと思いますし、そういうことがないように輸出する国側の制度をよく調べることが必要なのかなとは思います。

○大野部会長 それから、今使われている添加物や合成モノマーなどの量は、先ほど700ぐらいという数字がありましたが、それでよろしいのですか。

○広瀬参考人 概算で、1,000に近くなるぐらいの数百物質の添加物とモノマーであったと思います。

○六鹿委員 具体的に、どこまでを添加剤とするかの範囲の設定がまだはっきりしていないのですが、そういったものを諸々合わせると、1,000を超える量にもなると思います。ただ、一般的な可塑剤、過酸化防止剤等で、いわゆる我々が考えている添加剤として考えると、7800ぐらいかなと。

○大野部会長 これを評価するとなると、やはり食品安全委員会で評価することになるのですよね。

○広瀬参考人 最終的に、それは法律に組み込む場合は、食品安全委員会になると思います。

○大野部会長 残留農薬の評価で、700ぐらいの農薬の評価をやっていただいくことになっていて、まだ終わっていないので、食品安全委員会もかなり手一杯かなという感じもするのですが、そういうキャパシティーの問題で今急に適応するのは難しいということもあるのですか。

○事務局 食品衛生法に基づく規格基準を設定する場合については、食品安全基本法に基づき、食品安全委員会に食品健康影響評価をお願いしなければいけない規定がありますので、法的に規制をする場合については、残留農薬と添加物と同じようにそれぞれについて食品健康影響評価を食品安全委員会にお願いすることが必要かと思っております。

○大野部会長 先生方、他に御意見はありますか。

○前田委員 1つ教えていただきたいのですが、PL制度で、アメリカと欧州では制度の中身が違うというお話があったのですが、これを国際的に整合しようといった動きはないのでしょうか。

○六鹿委員 海外でも整合したいと考えてはいるようなのですが、EUはできてからそんなに時間もたっておりませんし、アメリカはアメリカでずっと長らくやってきたということもあり、ちょっと相互の歩み寄りが見られない状況です。

○大野部会長 他にいかがでしょうか。

○松岡委員 今のお話に関連して、国際的に整合と言われてしまうと、いわゆるISOの話が出てくるのですが、工業製品的な発想での、これももちろん容器・包装も工業製品なのですが、プラスティックのISOのTCがあったりするのですが、そういうところは材料からの溶出などについては、特にはコメントしていないのですか。

○六鹿委員 ISO自体は、個別のある製品に関してということになっています。例えばパッとは思いつかないのですが、固有の製品に関しては規格があるものもあるのですが、一概にプラスティック全体を網羅したものはないのですね。中には、規格の中に溶出量などを規制しているものもあります。

○大野部会長 他にはいかがでしょうか。では先に進んで、この中間報告を踏まえて、当面の対応について事務局で案を作っておりますので、それについて説明していただき、さらに御意見をいろいろ伺いたいと思います。それでは、事務局から当面の対応について説明をお願いいたします。

○事務局 資料3を御覧ください。「器具及び容器包装に関する当面の対応について」です。先ほどの中間取りまとめにもありましたが、厚生労働省において自主管理ガイドラインを検討し、この自主管理ガイドラインを通知することを当面、2年程度で考えております。自主管理ガイドラインの内容ですが、製造管理手法や情報伝達に関して事業者に資するために、自主管理ガイドラインを作成したいと考えております。さらに、そのガイドラインに業界の自主基準の対象となっておりますリストを取りまとめて、参考として添付したいと考えております。こちらの自主管理ガイドラインについては、今年度の厚生労働科学研究班において、検討していきたいと考えております。

 この自主管理ガイドラインを通知後、添付したリストについて、随時化学物質のリストの更新をしながら、原材料の情報の追加収集、さらには事業者における自主管理の実態等の調査を行っていくと。これとは別に、現状の規格基準も並行しながら改正を行っていくことも考えております。

 つまり、ガイドラインに添付されたリストの内容を精査すること。さらには、事業者における自主管理の徹底をしていくことを踏まえながら、リストの整備状況、事業者における自主管理の状況等も踏まえながら、法制化も含めて検討してまいりたいと考えております。以上です。

○大野部会長 先ほども説明いただきましたが、今の説明も踏まえて、先生方から御質問、御意見はありますか。これは方向として、PL制度に向けてという基本的な考え方があるのですか。

○基準審査課長 現在の日本の法制度と、こういった取組を経まして、日本の制度としてやはり管理をきちんとしていただくための、PL制度というものかどうかは分かりませんが、制度の充実に向けて動いていきたいと考えております。

○大野部会長 他に、先生方から御意見、御質問はありますか。

○河野委員 先ほどからの委員の皆さんのやり取りを伺っていて、私たち消費者から見てすっきりと分かりやすい制度になってほしいなと思いますが、課題の多さから、PL制度導入に消極的な印象を受けたところです。先ほど、資料3で説明頂きました当面の対応についてなのですが、まず当面2年ぐらいの間にガイドラインを整備するというようなことなのですが、この施策を進めるために予算や人的な手当等は考えていらっしゃるのでしょうか。もし評価をするとなると、食品安全委員会にお願いするということだったのですが、その辺りはどのように考えたらいいのでしょうか。全体的に国際的にうまく整合性を取って、もう既に評価されているものは一まとめにできるのではないかなというような御意見が出つつ、そこは非常に難しいというようなことなのですが、前に行けない本当に阻んでいる理由の本質はどんなところにあるのかを教えていただきたいと思います。

○大野部会長 誰がお答えになりますか。六鹿先生ですか。お願いします。

○六鹿委員 先ほども言いましたが、ヨーロッパとアメリカで法規制の考え方がそもそも違っております。アメリカは、安全な作り方をすればできた製品が安全であるという考え方の下に法律を作っている。一方、ヨーロッパに関しては、出来上がった製品が安全かどうかという考え方でやっております。では、日本はどうすればいいのかということで、アメリカに関しては作る側としては一番理想の法規制なのですが、ヨーロッパは使う側としては理想です。それが、日本国内で三衛協さんがやられている自主基準と照らし合わせて、どれが一番理想か。とはいえ理想と、我が国の規格としての導入のしやすさはまた違ってきますが、どれが一番いいのだろうという考えが、検討している中で一番の問題ですね。

○大野部会長 それから、やはり私の印象ですと、国際的な機関、コーデックスとかWHOなどでの考え方がきちんとできていないから、なかなかハーモナイゼーションしにくいのかなと。日本では、取り入れることもなかなかできにくいのかなという印象を持ちました。

○鰐渕委員 今のところは結構重要なのですが、実際流通しているわけですよね。先ほど大野先生も言われたように、具体の例で例えば日本からヨーロッパに輸出したときに、向こうの基準と合わなくて駄目ですよと言われた例が多分あると思うのですが、そういう一つ一つのデータが還元できれば非常にいいのかなという気がするのですね。例えば、ヨーロッパからアメリカに行ったときに駄目だといった例があるとかないとかという個々の例などが分かってくると、大体の落としどころがこの辺りなのだろうというのは分かってくるような気もするのですが。その辺りは、いかがでしょうか。多分、個々の例ですから、あまりそういうことはされていないと思うので、そうすればいわゆる業界の協力を得てということになるのだとは思いますが。楽かなという気は若干しましたが。

○広瀬参考人 私が言える立場ではないかもしれませんが、個々の例はなかなか業界の間で出すのは難しいと思いますし、恐らく今の状態ではヨーロッパに出したとしてもアメリカもまた個々の会社はそれぞれ努力して各国に合わせて申請して出しているはずですので、その会社の中では意思や情報は共有しているかもしれませんが、会社を超えるのはなかなか難しいのではないかと思います。多分、日本での一番の問題は、やはり私から見るとリソースが少ないのが一番だと思います。今回も、結局制度を作るという限りは国がやるべきでしょうが、今までの経験から業界の知識を最大限使って最適化する日本の制度を作っていこうというのが趣旨だと思います。多分、日本の自主的な制度も、実は何十年も前に厚生省からお願いして作った経緯がどうもあるという話もあります。ただ、これだけグローバルになってくると、自主基準だけで賄えないところをどうカバーするかというところに、どのぐらいリソースを割くかが多分大きいのではないかと思います。

○事務局 先ほど、予算と人員の話も御質問があったのですが、自主管理ガイドラインについては、厚生労働科学研究の中で実施をお願いしているところです。また、容器・包装に関する予算もありますので、今後も必要に応じた対応を取っていきたいと思っております。また人員についても、当然、法的な制度になれば現状のままではとても回らないと理解しておりますので、状況に応じて適切な要求をしていきたいと思っております。

○大野部会長 私が先ほど質問したのは、緊急性がどのぐらいあるのかなと思っていたのですが。外国に輸出するときに問題になっていないかとか、輸入するときに問題になっていないか。特に、最近では日本の農産物を外国に輸出するということが奨励されているような感じがするのですが、そういう所に輸出する農家や農業組合など、それほど経営の大きくない所が、日本のすごく美味しい果物などを輸出したら、コンテナ1つ全部廃棄させられてしまったら大変だなと。もし、そういうことが結構あるのなら、緊急に対応しないといけないのかなと思ったのですが。そういうことは、今は特に把握していないということですか。

○基準審査課長 先ほどの担当からの説明ともダブるのですが、日本から輸出する際、農産物あるいは器具、容器包装でも、輸出先の規制を知らずにトラブルことは水際でそれなりにあると思っております。よく知った人が、向こうの輸出先の規制を熟知した上で通れないときがあるかどうかはあまり聞いたことはありません。逆に、農薬でも器具でも、例えば残留データが超えていたとか、向こうの規制、具体的な基準値があるのにそこを上回っていた、あるいは器具などで適合宣言、これはあなたの国の規制に合っていますということの証明書も付けずに向こうに持って行こうとしたら、やはり水際、港とか空港で止まったというような話は、実はたまに聞くことはあります。といって、それはどの世界もある話かなと思っており、そういった輸出の際の留意事項が踏まえられればカバーできる範囲かなとも思っております。

○大野部会長 他に、先生方から御意見、御質問はありますか。それでは、この当面の対応ということでいろいろと御意見がありましたが、とりあえずこういった形で厚生労働省として対応するという案ですが、これはよろしいでしょうか。特に御意見はありませんので、了承していただいたと判断いたします。

 この件については、事務局でこれに従って適切に進めてくださるようお願いいたします。また、この対応についても臨機応変にいろいろ検討を進めてくださるよう、お願いいたします。事務局から何かありますか。

○事務局 本日は、貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。次回の器具・容器包装部会については、改めて御案内させていただきたいと思います。

○大野部会長 それでは、本日の器具・容器包装部会はこれで終了いたします。どうも、御意見、御質問を頂き、ありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

厚生労働省食品安全部基準審査課
容器包装基準係
03-5253-1111(内線:4283、4284)

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