ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会> 第8回 食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会(2015年3月27日)




2015年3月27日 第8回 食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会

医薬食品局食品安全部監視安全課

○日時

平成27年3月27日(金)16:00~18:00


○場所

砂防会館別館B 六甲会議室
(東京都千代田区平河町2丁目7番4号)



○議事

○山本座長  それでは、定刻より少し早いですけれども、皆さんお集まりのようですので、「食品製造における HACCP による工程管理の普及のための検討会」を開催いたします。

本日は、構成員の欠席はなく、全員御参加いただいています。

また、オブザーバーとして農林水産省食料産業局企画課食品企業行動室の横田室長に御出席いただいております。それでは、議事に入る前に事務局から配付資料の確認をお願いします。

○仲庭 HACCP 企画推進室長補佐  それでは、お手元に配らせていただいております配付資料について確認させていただきます。

1枚物が4枚あります。上から本日の議事次第、本会議の構成員名簿、本日の座席表、配付資料一覧ということで、4枚ございます。その先が配付資料となります。

右肩上に資料1と書かれた7ページ物がございます。題名といたしましては「我が国における HACCP の更なる普及方策について(提言)(案)」ということで、お配りさせていただいております。続きまして、横向きの印刷になりますけれども、1枚物で、右肩上に資料2としたもの。文章で書かれた資料1をポンチ絵にしたものが配られております。

その後は参考資料1から7までございます。これまで行いました7回の検討会に提出された資料等を配布しております。

資料の不足等はございませんでしょうか。

○山本座長  よろしいでしょうか。途中でお気づきの点がありましたら、申し出ていただければと思います。

それでは、議事に入りたいと思います。前回の検討会では、具体的な普及方策として考えられるものについて、素案をもとに議論をしていただいたところです。

今回は、これまで検討してきた内容を踏まえまして、「我が国における HACCP の更なる普及方策について」、この検討会としての提言をまとめたいと思います。

それです、まず資料について事務局より説明をお願いします。

○梅田 HACCP 企画推進室長  それでは、説明させていただきます。

資料1をごらんください。「我が国における HACCP の更なる普及方策について(提言)(案)」ということでございまして、これは前回参考資料7としてお配りさせていただいておりますが、ちょっとごらんいただきますと、参考資料7で、前回の資料「具体的な方策として考えられるもの(素案)」ということで提示させていただいて、御議論いただきました。それからまた、その後にこれまでの議論の整理ということで、文章になったものを資料としてお配りさせていただいて、確認をいただいたということでございますが、今回改めて資料1としてお配りしておりますのは、前回のその資料をまとめたものでございます。構成で申し上げると1から3、1ページから4ページの中ほどまでがこれまでの議論の整理ということで、議論していただいた部分でございまして、「4 具体的な方策」が前回の議論の主体になっていたところでございます。

前回の御議論を踏まえまして修正等をさせていただいております。主にその点について御説明をさせていただければと思っております。

まず、1ページでございますが、「1 はじめに」ということでございまして、下のほうの「これらの視点を踏まえ」というところでございますが、御意見としては、今後のあるべき姿、今後我々が検討していく中で、 HACCP の導入をどういう形で進めていくかという将来像を踏まえた取り組みがわかるような書きぶりにしたほうがいいのではないかという御意見がございましたので、それを踏まえまして書き改めさせていただいております。「これらの視点を踏まえ、将来的な HACCP による衛生管理の義務化を見据え、中小事業者においても着実に HACCP 導入が進むよう、我が国において HACCP の普及を更に進めるための方策について検討を行い、提言としてとりまとめた」ということにさせていただいております。

1枚めくっていただいて、2ページですが、現状の分析の中で、中小の企業の導入率というものもございましたが、一方で、大企業については7割、8割ということでありますが、それにとどまっているのではなく、そういった大企業においても HACCP に取り組んでいただく必要があるということで、御意見を賜っております。

それを踏まえまして、「2 我が国における HACCP 普及状況」の3つ目の○、「これらを踏まえれば、大企業はもちろんのこと」ということでつけ加えさせていただいてございます。

「3 更なる普及方策の方向性」の(1)の最後のほうに3つポツがございますけれども、その中で少しわかりづらい表現がございましたので、例示を加えさせていただいて、イメージしやすいような形で書き改めさせていただいております。

「我が国における衛生管理の一層の徹底を図る観点からは、一次加工品を使ってさらに高度に加工をする食品製造などフードチェーンにおいて」ということで、少し例示ということで書かせていただいております。

それから、食中毒が起こった場合の広域化・大規模化ということにつきましても、「大量調理施設など」ということで例示を加えて、イメージしやすいように改めさせていただいたところでございます。

「(3)コーデックス委員会の柔軟性の考え方も踏まえた、事業者の導入負担の軽減」というところで、前回の資料では、導入業者からのやってみると次第に定着するという経験談をこの中に加えさせていただいておりました。これについても少しわかりやすい表現に改めさせていただいて、動画で紹介している言葉を引用してございますが、「やってみると思った以上の効果があった」とか、「理にかなった方法で、衛生管理が明確になってよかった」といったものを感想として書かせていただいております。

「(4) HACCP 導入の取組に関する認知度向上のための支援」ということでございますが、これはもともと前回の資料、タイトルでは「 HACCP 導入に取り組むメリットを向上させる仕組みづくり」ということでございましたが、メリットということについて誤解を生む可能性もあるということでございまして、何かメリットがないと HACCP に取り組む必要性がないみたいな受けとめ方をされてはいけないということもございまして、このような形で取り組んでいることについての認知を上げていくというふうに書かせていただいたということでございます。

続きまして、4ページ、(4)の最後の「また」以下の部分については、前回の検討会の中で田崎委員のほうから自治体の取り組みについて御紹介いただきましたので、それを踏まえた文言を加えさせていただいたということでございます。

読み上げさせていただきますと、「また、自治体における認証等の取組は、 HACCP の基礎となる衛生管理の充実といった観点や、食品衛生の確保だけでなく、付加価値の向上といった観点など様々な目的のもとに実施されている。これらの取組も、ガイドラインを踏まえ自治体の条例において規定される HACCP による衛生管理の普及につながっていくよう進められることが期待される」ということでございます。

それまでが3でございますが、「4 具体的な方策」に移らせていただきます。前回の資料から書き改めたところで申し上げると、冒頭に○が2つございますが、まず1番目の○の3行目「第三者による認証制度による」ということでございますが、当初の書きぶりは「第三者による認証制度の活用に当たって」ということで、少しわかりづらい表現でございましたので、書き改めさせていただいて、「第三者による認証制度による HACCP の普及については、認証に当たっての申請書や関係書類の整備」というふうに続けさせていただいて、最後から2行目「『自主点検』を推進するための環境整備を推進し、普及を図っていくべきである」ということにつなげてございます。

具体的な施策を5つの方針に基づいて整理してございますが、(1)の「1『 HACCP 自主点検票』による事業者の自主的な取組の促進」というところでは、「また」以降を加えさせていただいております。「また、『自主点検票』を活用する事業者が適切な理解に基づき自主点検が行えるようにするため、事業者からの質問等の問い合わせに対応できる体制についてもあわせて検討する」ということで、これは前回の御議論の中で自主点検票について御議論いただいた際に、これについての問い合わせがあった場合に、対応できる問い合わせ先であるとか、そういったものを提示していくことが必要ではないかという御意見もございましたので、このような書きぶりにさせていただいているということでございまして、基本的には行政の対応もございますし、事業者団体の取り組みなどもその受け皿になるということで、連携した体制づくりが必要だということで書かせていただいてございます。

それ以降、次のページの(2)のほうに移りますが、ここの方針では「 HACCP に対する本質的な理解・関心の醸成」というところで整理させていただいております。4のロゴマークの関係でございます。前回の御議論でも、ロゴマークの活用については、中小事業者のニーズ等々を十分に把握して、慎重に検討すべきだという御議論でございましたので、その旨を書き改めさせていただいているということでございます。

読み上げさせていただきますと、「消費者も含め、 HACCP に関する認知度と理解が向上すれば、事業者が自らの競争力を高める観点から、 HACCP 導入に前向きになることが期待される。このため、認証を前提とせず、『 HACCP 自主点検票』を使用した自主的な衛生管理としての HACCP の取組をアピールすることができるロゴマークの作成・活用について、中小事業者のニーズ等も踏まえて検討していく」というふうに書かせていただいたところでございます。

次のページへ参りまして、6ページの(3)の「2『地域連携 HACCP 導入実証事業』(モデル事業)の実施」の中で、こういったモデル事業を通して明らかになった課題、解決策等、そういったものを参考に事例集をまとめていき、活用すべきだということもございましたので、そのように書き改めさせていただいているというところで、後ろから3行目の後半「事業者において主体的に HACCP が導入される過程、そこで明らかになった課題や解決策等をまとめた事例集を作成し、全国の自治体に対して普及する」ということにしてございます。

(4)の3、先ほどの「ロゴマークの作成・活用〔再掲〕」ということで、同じ表現ぶりをこの中で同じように書き改めさせていただいております。

最後に「4 おわりに」ということで加えさせていただいておりまして、○が2つございます。新規に加えていますので、ここのところは読み上げさせていただきます。

我が国における食品衛生の確保を図る上で、食品産業の大宗を占める中小事業者等において、 HACCP に基づく衛生管理が実施されるようになることは重要な課題であり、特に中小事業者等を念頭に置きながら、必要な普及方策について検討してきた。

本検討会においてとりまとめた提言に基づき、行政や関係団体等において各種支援策が順次実施されるとともに、今後も事業者における HACCP の普及状況を把握し、必要に応じて取組の充実・強化が図られるべきである。将来的な HACCP による衛生管理の義務化を見据え、我が国において中小事業者も含め HACCP が当たり前に実施されるものになることを目指して、関係者における取組が推進されることを期待する。

ということで、取りまとめとして示させていただいているということでございます。

また、資料2につきましては、これらの項目について、一つのわかりやすい図ということで、全体的に俯瞰できるような資料にしてございますが、もう少しわかりやすくできればなというふうに思っておりますけれども、今後はそれを課題として、説明会等々においてはこれをベースにわかりやすい資料づくりということもやっていきたいと思ってございます。

以上でございます。

○山本座長  ありがとうございました。

それでは、今の御説明に関しての御質問、御意見を受けたいと思います。

まず、「1 はじめに」から「3 更なる普及方策の方向性」、この辺まではこれまでも大分議論をしてきたところであります。内容的というよりは、言葉をつけ加えてわかりやすく表現したということになろうかと思います。

その部分まででまだ言葉が足りないのではないかということがありましたら、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。特にありませんか。

それでは、その部分はこのままいくとして、「4 具体的な方策」から議論をもう一度していきたいと思います。確認作業が中心ということになりますけれども、○の部分は、最初に書いてあったものの書き直しみたいなところもありますが、認証制度ということではなく、自主的な点検に基づくそういう措置だということで、 HACCP を業界みずからやっていくようなものとして普及させていくということが基本にあるわけです。その中で将来的には義務化のことも考えているので、そこに向けて努力していくということだと思います。

順番は特にありませんので、(1)から(5)について御意見をいただければと思います。事前に見ていただいていると思いますが、いかがでしょうか。川崎委員、どうぞ。

○川崎委員  食品産業センター、川崎です。

個々の取り組みではなく、具体的な方策全体に関してですが、最初と「おわりに」のところに将来の義務化を見据えてと書かれていまして、それを前提に普及策をとっていく、そういう考えの整理になっていると思うのですが、一方で HACCP は自主衛生管理であって事業者が自主的に取り組むものであるということがあわせて考え方の中心になっているのであれば、義務として HACCP を導入していると判断できる状態がどういう状態なのか、また、誰がどのように HACCP を導入しているということを判断するのかということをあわせて具体的に明確にしておかないと、事業者にとってわかりにくいし、不安が出てくる要因になるのではないでしょうか。

また、どのように HACCP 導入に向けて取り組んでいけばよいか迷うのではないかと思うのです。例えば保健所が監査して HACCP を導入しているのだということを承認するということなのか、また、既にある自治体とか業界の承認でいいのか。はたまた、それこそ自主点検というか、自主認証でいいのかとか、そういうことがいろいろ浮かんでくると思いますので、義務化を見据えてということを前提にいろんな施策をとっていくということであれば、この報告書の中でなくてもいいと思うのですが、 HACCP を導入している状態をどういうふうに判断していくのかということを早い段階で明確にする必要があると思います。

さらにもう一つ申し上げると、個別の方策については反対するものではありませんし、ぜひ検討を深めて良いものにしていくことが大切だと思うのですが、義務化に向かって自主的に取り組んでいくに当たり、その過程において、支援策が個別ではなく、全体として HACCP 導入にどのように役に立っていくのか、機能していくのかが分かるようにマスタープランと言えるような、施策全体を俯瞰した計画の整理、見える化、わかりやすい説明というものが必要ではないかと思います。

以上です。

○山本座長  貴重な御意見、ありがとうございました。

事務局から答えていただければと思うのですが、「自主的な」という言葉と「義務化」という言葉の連続性が見えないという御意見だったと思うのですが、「自主的」というのは、義務化される前までは推進していかなければいけないので、自主的に積極的に取り組んでいくことが中心になるし、食品衛生法そのものがもともと自主衛生管理という観点を持っているので、そういうところを強調して書いてあるというふうに理解しておりますけれども、義務化してしまうと、これはやらざるを得ないという話で、ただ、それがどの程度できていればということについては、今の段階では自主点検票を示して、これから通知していくのですが、その辺との兼ね合いをもう少し深めていかないとはっきりしてこないのかなという気はします。方向性としてはそういう考えだと思いますが、そこについて。

○梅田 HACCP 企画推進室長  今、座長から御説明いただいたのが基本的な考え方だと思っております。川崎委員のほうからは、「義務化」という言葉がいろんな捉え方をされるといいますか、インパクトの強い言葉だという御指摘だと思いますけれども、将来像としては、諸外国の状況等々を見たときに、日本もそういう方向性というものを当然ながら考えていかなければいけないということは、これまでの議論でもいただいたところでございます。

 ですから、いつからということはこの段階で言うことではないのですが、将来普及が進んでいった中でそういった議論ができる状況になれば、またその段階で義務化に向けた議論がされていくものだと思っておりますが、それを方向性として位置づけるに当たっても、義務化に当たって大変なことになるというふうな思いがもしあるとすれば、そういうことでなくて、この普及の段階において、 HACCP というのは、この検討会でも再三にわたって御議論いただいたように、そんなに難しいものではない、そういったことをしっかりとわかっていただくことがまず重要だということを御議論いただいていたわけでありまして、そういうことをしっかりと普及の段階で周知していくことが重要だと思いますし、それに当たっては、自主的な管理としての取り組みを中心に据えて、それを幾つか今回まとめていただく事業によって支えていく。そういうことで普及をこの段階においてしていこうと。そういう意味では、マスタープランの中での今回の位置づけだというふうに理解しております。

ですから、そういう自主的な取り組みをしっかりとやっていくことで、この中のフレーズにもありますように、食品を取り扱う事業者として当たり前のように HACCP というものが使われるということを目指して、そういった支援をどんどんしていくということですから、中小企業の方であっても、別に義務化があるからといって恐れることはなくて、我々としてそれをしっかりとサポートする、支えていきたいと思っているところであります。

ですから、具体的に義務化をするときにどういった法整備をしていくのかとか、そういったところは、そういう状況ができて、義務化の議論が始まったときに話をされていくのだろうと思いますけれども、まずはそれに向けた中で普及ということで、こういった段階において今回まとめていただいたもので取り組んでいくということを考えているところであります。

○山本座長  よろしいでしょうか。どうぞ。

○川崎委員  今の御説明からも自主点検票の取り組みが、マスタープランの中心になるというふうに理解できますし、もともと HACCP は自主衛生管理という原点からいっても、自主点検票が中心になるということでこの提言書をまとめるべきかと思います。

そうであれば、この自主点検票は△とか×しかついていない項目を○にしていくことが非常に重要だということを前回も申し上げたのですが、ほかの具体的な施策がどういうふうに自主点検票の○をふやしていくことにつながっているのかということを、マスタープランの整理の中で事業者にとってわかりやすくしていただくのがいいのではないかと思います。

○梅田 HACCP 企画推進室長  わかりました。今の御指摘、まさにおっしゃられたとおりでして、我々も自主点検による自主管理というものを中心に据えて、それをサポートしていくということで取りまとめていただくものだと思っておりまして、タイトルの副題にも、そういう意味では、中小事業者も含め、 HACCP 、自主点検を推進するための環境整備ということで書かせていただいたとおりでございまして、その趣旨をこういったところに盛り込んでいるということでございます。

自主点検をやることによって、先ほどもあった将来の義務化に向けても、そういう方向性の中での取り組みに十分つながっていくものだということでありまして、また、どこまでやればいいかということについては、自主点検票でみずからわかりやすくチェックできるような状況のものをお示しすることによって、それを活用することで HACCP の取り組みができるということでサポートしていきたいと思っているところです。

○山本座長  自主点検票は前回もちょっと出させていただいているのですけれども、一応この形でやっていただいて、モデル事業が進んでくるということがあります。自主点検票を使ったモデル事業の検証を行うことで、実際これが有効に活用できたかどうかというのがわかってきますので、そこでまたさらなる普及策というか、自主点検用のブラッシュアップも含めて検討する必要があるのではないかというふうに私個人的には思っております。

今の段階で一応のファイナルのバージョンを出しますけれども、さらなる改善というのは今後も続けていく必要があるのだろうなと思いますが、その辺は事務局、どうですか。

○梅田 HACCP 企画推進室長  そういう意味におきましては、ガイドラインの改正、あるいは関係省令の改正を行いまして、4月からそれがスタートしていくという中で、言ってみれば、今の準備段階において今後の方向性といいますか、具体的な施策の方向性を出していただいたということですから、4月以降、出していただいたこの提言に基づいて具体的な方策を実際に実行に移していくということだと思いますので、それをやる中で、またいろんな問題点等も出てくるかと思いますので、それについてはまた御議論いただくというようなこともあるでしょうし、そういうことから第2弾、第3弾の支援策というものも必要であれば、また打っていくということもやっていかないといけないということだと思っております。

○山本座長  川崎委員、よろしいでしょうか。

○川崎委員  はい。

○山本座長  ほかに。田崎委員、どうぞ。

○田崎委員  今の川崎委員の質問に関連してですが、行政側からの視点です。今のガイドラインにつきましては、一般的衛生管理、もしくは PRP HACCP なのだと。それぞれ管理の手法が違うけれども、今はどちらでも衛生管理が本当にできるのだということが明記されているわけですが、恐らく将来に向けて、現在は同等で、だけれども、衛生管理としては HACCP のほうを事業者にどんどん進めていただきたい。この趣旨は、全自治体がバックアップするというか、体制を整えていくことになると思うのですが、例えば将来的に義務化する際に自治体として一番重要なのが、法制部署の調整も含めて、立法事実がどこにあるのかというところなのです。例えば8割ぐらい HACCP を導入しているところが出てきた際に義務化の落としどころなのでしょうが、いつの段階でそうするのか。まずは進めるということでよろしいのかなと思っているのですけれども、将来、各自治体が義務化していくのか、それとも法制度が変わるのかというところが重要なポイントと考えています。

各自治体で今の制度を最終的に義務として法制化するには難しい点があるので、今後の議論をどのように進めていくのかをご教授願います。

以上です。

○山本座長  事務局、いかがですか。

○梅田 HACCP 企画推進室長  義務化の議論がここで始まるような話にもなりかねないのですが、決して義務化の議論が始まっているわけではないのですけれども、将来のお話として、今回のガイドラインの改正は、一般衛生管理、管理運営基準の中で基準を設けたということで、実施事務として、その条例化をもって実際に事業者さんが守るべき基準を設けていただくという制度設計にしているということでございまして、それは今回の御議論の中でも当初ございましたように、段階的なアプローチの中で普及を図っていく必要があるという中での、それに対応する方策としてこのような対応をとったということでございます。

一方、義務化となると、そこは今の制度自体をしっかりと見直して議論していかないといけないわけでございますし、一口に義務化と言ってもどういう法の網、範囲もありますし、レベルもあるのかもしれませんけれども、そういう網のかけ方も議論していかないといけないわけでございます。

ですから、そういう意味では、既存の制度として、例えば総合衛生管理製造過程が法律に規定されているということも踏まえれば、それとの整合性を考えたときに、法律改正というものも検討の一つにはなってくるわけでありますので、そのあたりは、その議論になったときに、いろんな視点から皆様方にも御意見を賜りながら検討していく必要があるのだろうというふうに思っているところです。

○山本座長  よろしいですか。

○田崎委員  ありがとうございました。

○山本座長  いきなり義務化ということにしてしまうと大変なことになるわけですね。食品衛生法罰則規定を伴うわけですので、そこでこういう HACCP 導入型基準というものを入れていったということがありますから、ここで準備ができる余裕が与えられたと思っていただければいいのではないかなということだと思います。

ほかの御意見も含めて、いただきたいと思います。どうぞ。

○五十君委員  4ページ「4 具体的な方策」のあたりで議論が必要というお話だったので、少しコメントと意見を述べさせていただきます。

「具体的な方策」として挙げられている一番重要なところが、自主点検票を活用するということになると思います。そうしますと、具体的には4ページの4の(1)1あたりにその関連が出てきまして、「『自主点検票』を活用する事業者が適切な理解に基づき自主点検が行えるようにするため、事業者からの」云々と。具体的にしてはわかりにくいと思います。

よく考えてみると、その先にロゴマークの話が出てくる。先ほどから少し議論されているように、段階的に導入していきたいというところをこの自主点検票でもってサポートしてレベルアップしたいと。そういう意味で捉えたのですが、その理解はそれでよろしいのでしょうか。

○山本座長  よろしいですか。

○梅田 HACCP 企画推進室長  自主点検票については、活用というのは、まさに事業者さんが HACCP に取り組むときにステップ・バイ・ステップでチェックをしていけば、これはもうできたと。次は何をすればいいのかというのが次に書いてあるので、それを目指してやって、できればまた○がふえていくということで言うと、事業者さんの取り組み自体でもステップ・バイ・ステップでやっていくということでお使いになれるものだというふうに思っていますけれども。

○五十君委員  その自主点検票に続き、ロゴマークというのが出てくるわけなのですが、具体的な方策として、ステップ・バイ・ステップで上げていくサポートとして点検票を設けて理解度を上げていくということになります。ロゴマークもステップアップする形になるのですか。ロゴマークを、点検票をやれば出すのか、それとも点検票でこういった状態の場合はこの色のロゴマーク、このくらいステップアップしたらこういったロゴマークになると考えれば良いのですか。ロゴマークのところは検討していくということになっているので、そこまでは読み切れなかったのですけれども、そのあたりの具体的なところが決まっていれば解説いただきたい。

○梅田 HACCP 企画推進室長  説明させていただきます。ロゴマークの関係は、先ほど申し上げたとおり、具体策の方針のところで言うと、(2)と(4)のところに書かせていただいております。(2)は、言ってみれば本質的な理解・関心を醸成するということで、広く HACCP についての理解を深めていただくという中の具体策としてロゴマークを活用してはどうかという趣旨で書かせていただいているということでございまして、こういったロゴマーク、わかりやすいマークがあれば HACCP への取り組みが広く周知できるということで、関係者が理解も深まる、リスコミのような一つの使い方ができるというのと、もう一つは、6ページの(4)では、先生おっしゃられたように、取り組みをアピールするものとしての活用ということでございまして、1では情報、 HACCP に取り組む必要性について、みんなで正しい理解をするということでありますし、2のところでは、自主点検を行った事業者については、それをアピールする支援として、「チャレンジ事業」と書いておりますけれども、ホームページのサイト上に公表して、それを見れば各事業者さんのホームページに飛べて、その事業者さんの HACCP への取り組み状況などがよりわかるとか、そういうことでの支援が2ということで、3は、それに加えてチャレンジ事業と連携づけて、自主点検票を用いて自主点検を行っている事業者さんには、このロゴマークを活用していただくことをしてはどうかということでの一つの提案でございますが、ただ、それについては、先ほど申し上げたとおり、一方で慎重に検討しなければいけないという御意見もございましたので、取り扱いについては今後さらに検討していくということで書かせていただいているところです。

○五十君委員  取り組みを始めたらロゴマークが出るということなのか、それともステップアップしていくところがわかるようなロゴマークにするのかというところを確認したい。

○梅田 HACCP 企画推進室長  チャレンジ事業もそうなのですけれども、基本的には自主点検票を用いて取り組んでいただいて、ステップ・バイ・ステップでステップアップしていただいて、全部○がついた段階で HACCP を開始したという状況だと思いますので、そういう段階になれば公表する、あるいはロゴマークをつけることができるというような使い方にしてはどうかということを考えております。

○五十君委員  ここは検討するという表現なので、どちらのスタイルがよりいいのかと検討してください。ロゴマークを出す限りは、不公平感を感じるような形で出てしまう、あるいはこれだけやっているのだけれども、Bさんはただ○をつけただけで、何もやっていないけどもらっていると。そういう不公平感にならないような形でアピールできる形にするにはどうしたらいいかというところを具体的に詰めていただけると、非常に有効だと思います。

あと、言葉の問題なのですが、義務化ということと HACCP は自主的にやるというあたりが、ちょっと混乱しているのかと思われます。工程管理に取り組むということは義務化であって、工程上の問題を見つけて対応していくというところが自主的にやるところなので、その辺のところを明確にわかるような表現をどこかに加えるといいような気がしたのですが、いかがでしょうか。

○梅田 HACCP 企画推進室長 HACCP 自体を取り組んでいくということですから、 HACCP 自体、自主的な取り組みを主体に置かないと、簡単に言うと確かな HACCP が根づかないというふうに思っていますので、やらされているとか、行政がやれということではなくて、自主的にみずからがしっかりと HACCP をやるということを認識して取り組んでいただくということが重要だと思っています。

義務化については、そういう取り組みをしていただくような法整備を行うということでありまして、言ってみれば、先ほども少しございましたように、現在の食品衛生法の中でも一義的には食品事業者さんが衛生管理に努めていただくというのが、既に努力規定であったり、あるいは守るべき基準として義務化がかかっているものも規格基準としてございます。それと同じで、あくまで自主的な取り組みをしっかりとやっていただくということを法的にするものが義務づけるということだと思いますので、内容と法的なものとが誤解がないように今後も説明はしなければいけないなと思っているところでございます。

○山本座長  よろしいですか。事務局、どうぞ。

○先崎監視安全課長補佐  少しだけ補足させていただきますと、先ほど御説明させていただいたとおりなのですが、 HACCP の本質自体が自主的な管理ということですので、普及の段階にあっても自主的な衛生管理ということで、その推進をするということで現在の状況、普及率を上げていくという形で変えていくということで、アプローチとしてそういった取り組みをしてはどうかということで書かせていただいているところでございまして、御指摘の趣旨を踏まえた形で、今後こういった取り組みを進めていく際に説明できるようにしたいと思っております。

○山本座長  五十君委員、よろしいですか。

○五十君委員  はい。

○山本座長  自主的にというのは、ハザード分析を自分たちでちゃんとやってくれないと、こういうものですよというのだけでは積極的に取り込んでいるとは言いにくいのではないかなというところがあると思うのです。そこをちゃんと自主的にやってくださいと。そのためのサポートはいっぱい用意しますよと。そういう話だと理解しております。

ほかに。どうぞ。

○五十君委員  今、コメントをつけたのは、自主的に考えるところまで強制的に義務化するようなニュアンスにならないようにしてもらいたいと思います。工程管理に取り込むということは義務であり、義務化なのだよと。 HACCP に関しては、自主的に工程上の問題を見つけて、自主的にそれを改善するのだと。そこのところが全体の表現で混乱してしまうようになっているのではないかなと思いました。そこを整理し、わかりやすい表現にしていただけると理解されやすいのかなと、意見を述べさせていただきました。

○山本座長  具体的な提案がないと難しいところがあるのですけれども、ロゴマークの活用と。

○梅田 HACCP 企画推進室長  そういう意味では、今の御議論をお聞きしても、「義務化」というのは一つの大きなインパクトを持った言葉ですし、それと比較して、「自主的」というのが相対するような表現、あらわすようなものでもございますので、その辺は混乱のないように丁寧に御説明を申し上げないといけないのかなと思っていますので、それは適宜御意見を賜れればというふうに思います。

○山本座長  ほかに御意見ございませんか。大澤委員、どうぞ。

○大澤委員  「4 具体的な方策」の(5)「国、自治体、食品関係団体、消費者団体等が参画する連絡協議会の設置」ということで、連絡協議会を設置していろいろと協議するというのは非常に良いことと思っております。

どの様に運営されていくのか、方向性は、これから検討されるのだと思うのですが、 HACCP を普及するに当たって、今回厚生労働省さんが国ということでこの提言を出されます。 HACCP と言うのは1つなのですが、連絡協議会設置の国の次の順番で自治体、食品関係団体、事業者団体のところで、 HACCP の名前がつく施策が、あちこちに多くあります。それらは、受け手側には、どこが言っている HACCP の施策、どこの言っている HACCP の施策という形で捉えられがちだと認識しています。その様な事がないようにというか、 HACCP は1つなのだということの共有化を図っていただきたい。

同時に、「国(厚生労働省、地方厚生局等)」と書いてあります。本日、農水省の横田室長も来られていますが、農林水産省さんでも、水産庁さんでも「 HACCP 」という名前がついている政策・施策や事業があり、受け手側では、言われる方向が多くあると、どこが言っている HACCP とどこが言っている HACCP は違うとかの認識になりそうな気がします

そのような認識にならないようにする検討会になっていただけると、今後の普及には非常に役に立つのかなと思いました。

同時に、自主点検票をやっていくに当たっても、各所で共有化を図るとかが施策としてあるとよろしいのかなと思いました。「等」は、農林水産省さんとかが、入っているという認識でよろしいですね。

○山本座長  よろしいですか。どうぞ。

○高谷委員  いろんなことを考えていて、役人が考える自主的なやつと義務化の話は整理がつくのだろうと思う。先ほど議論からされているように、そこはわかりやすくしてあげたほうがいいのだろうと思います。多分同じ意味で使っているのではないかなと思うのですけれども。

ただ、何が HACCP かという話は、もう決着がついている話なので、国際的にはコーデックスが定めた HACCP が唯一 HACCP なはずなのです。これも農水なり厚生なり、それぞれ同じことをやっているから、少なくともそれに基づいた HACCP だということをどこかできちんと言ってあげないといけないのだろうと思うのです。

ここにもコーデックスの委員会が示す云々と書いているから、国際的にもこれが HACCP のはずで、これ以外のものを HACCP と言わないはずだから、そういう整理をどこかできちんとしていただくということが大事だろうと思うのです。あちらの HACCP 、こちらの HACCP というのはないはずだから。そこは整理をしていただければ、余りあちこち迷わなくても済むのではないかな。だから、少なくとも農水省と厚生労働省は同じ視点に立った HACCP というのを普及していただくというのが大事だろうと思うのです。それでないと意味がないですからね。国がやる話ですから。

もう一つ、「はじめに」のところに書いてあるように、輸入食品の安全対策としては、日本も HACCP を導入しなければいかぬと書いているではないですか。将来的にはこれを法律の上で義務化してこないと相手とけんかできない、だから、したいと言っている話なので、「はじめに」できちんと言っているのだから、そこを言っていただければいいのだろうと思うのです。そのためにもどうやってこれを推進していくかというのが国の方針だとすれば、考えが固まっているはずですから、それを段階的に義務化してもちゃんとやれるようにするには、どうやってステップを踏んで進んでいこうかということ、ロゴマークを使うのか、使わないのかは別としても、そういうことも考えて進めていくはずですから、そこをきちんと前振りに書いていただければ大丈夫だと思うのです。

農水省の横田室長さんもいらっしゃることだから、 HACCP とは何ぞやというのをわかっているはずなので、コーデックス以外の HACCP というのはあり得ないはずだから、そこをきちんと整理してあげれば、誰も文句を言わないのではないか。ただ、どういう進め方をするかと悩まないようにしてくださいねというのが川崎さんの話なのです。ここは整理してあげたらいいだろうと思います。

以上です。

○山本座長  ありがとうございます。

すっきりと言っていただいたと思うのですけれども、コーデックスの HACCP をやるということを前からずっと言い続けておりますので、それを推進していくと。そのための方策をこの会でいろいろ考えようという話なのです。ですから、さまざまなやり方が導入段階ではあるだろうと思うのですが、今のところ自主点検票そのもので全部カバーできているかどうかというのは、まだ疑問がある部分もちょっとあるかもしれませんが、それを使ってやっていくうちに、それぞれの事業者さんが問題意識をちゃんと確認していただいて、どの部分のハザードをどういうふうに扱うのかというのをきちっと捉えられるようになるということが最も大事な、根本にあるところだと思います。

こうやれ、ああやれと言ってしまうのは簡単なのですけれども、それぞれがそれぞれのつくり方がありますので、その辺をちゃんと見据えた上でやれるように、実力も一緒につけていっていただければなというふうに思います。

ほかにございますか。池戸先生、どうぞ。

○池戸委員  済みません、これまで欠席が多くて申しわけありません。これは1年半かけてこういう提言という形でまとめられて、いろんな方策が整備されている点で、非常によくできていると思います。先ほどからお話が出ていますように、これを現場におろしたときに実効あるものにするというのが非常に重要だと思います。それから、この場・この時点で将来的にいつ義務化をどういう形でやるとか、そういうのを決めることは難しいと思います。したがって、この課題については、どこかに書いていますように、この方針を現場におろしたときにどういう問題点があるかを把握しつつ、必ずレビューをしながら、一つずつ進んでいくというのでしょうか、そういう形でこの提言はまとめられているというふうに理解しております。

そのときに、どれだけの普及率かという数字だけでなくて、定性的なそういう反応も把握していく必要があるかと思いますし、多分現場で HACCP を助言される監視員の方が一番御苦労される話だと思います。今回前向きに取り組んでいるような事業者のところに特に力を入れてというのは、普及の効率を高める意味では非常にいいのではないかなと思いますが、ただ、その結果として、努力されている方がその努力が報われるような話にしていただきたい。

最終的に消費者に安全なものが届くというのは当たり前のことです。マークの話は、 HACCP を適用しているというところの認識を、そのマークで教えてあげるのはいいと思うのですけれども、つけていないのが危ないというような認識にならないように。「消費者とか実需者の方と連携」してというのは、お互いの正しい認識を持った形でのマークというようなことで進めていただきたい。

それから、中小企業といっても、特に零細企業、3人以下のところが 35 %も占めている業界ですので、そういったところに原則、手順をぴしっと教えられるかというと、それはなかなか御苦労が多いのではないかと思うのですね。だから、ここのところについては、今、特に分業化が進展している中で、零細企業は下請のところを担っているところが多いわけです。どこかに書いていましたように、フードチェーン全体としてフォローしないと、努力しているところが報われないという話になります。特に零細の事業者に対しては柔軟なやり方というのですか、まず HACCP の原理、これは難しいものでないみたいな、そういったところから時間をかけてでも地道に普及を図っていただきたい。すなわち、零細企業についても、無理ということではなく、力量に合わせて誘導していくことが重要だと思います。特にそういったところというのは支援が必要だと思うのです。

先ほどから出ていますように、厚生労働省さんだけでなくて、事業者団体とかそういったところの御協力を得るという話とか、あるいは農水省も同じような事業をやっているわけなので、そこが現場のほうで整合性をとった形で相乗効果を持てるような、より一層両省連携を図った形でやっていただけたらありがたいなというふうに思っております。

特にこれについてお答をという話でなくて、コメントとして述べさせていただきました。

○山本座長  ありがとうございます。

ロゴマークは、最初のうちは方向性として余り示していなかったのですけれども。というのは、差別化の問題があるということでした。ただ、取り組んでいるかどうかということの指標にするという程度であれば、検討する価値はあるのかなということだったと思います。

あと、すごく零細な企業に対してというところですが、そこが難しいのは、専門家もいないというのもありますが、ハザード分析がなかなか難しいだろうなというところです。ということで、その辺の支援を手厚くしていくというのは大事なことかと思いますので、できれば食品ごと、業界ごとのハザード分析の目安になるようなガイドブックみたいなものが作成されれば、より浸透が早くなるのではないかなというふうに考えております。

それには、業界団体等も含めた協力のもと、 HACCP 協議会をうまく動かしながら、もちろんアカデミーというか、そういう専門家の意見を取り込みながら、よりよい教材、もしくは普及するためのツールの開発というのは、今後も続けていく必要があると考えております。

ほかに。今のに関連して。

○川崎委員  関連です。

○山本座長  では、川崎委員、関連意見をどうぞ。

○川崎委員  連絡協議会については、梅田室長がコメントされたとおりの役割期待で充実させていくということが非常に重要と思いますし、前回も申し上げたのですけれども、先ほど申し上げた意味合いでのマスタープランに関する論議とか構築とか、進捗状況のチェックなどというのは、この場でやるのが非常に重要だろうと思います。気になるのは、先ほど大澤委員が質問されたことなのですけれども、これも前回も申し上げたのですが、食品産業センターは農水省の補助事業で、7原則 12 手順のコーデックス HACCP を普及していくということを目的に、主に中小規模事業者さんを対象にした教材づくりや研修・セミナー、また消費者の皆さんに理解を広めていただく目的のセミナー、あるいは今回の提案の中に入っていますホームページ・データベースの充実などを行っていますし、今後も継続していこうと思うのですが、先ほど大澤委員も「等」の中に含まれるのかというふうに御質問されていたのですけれども、国の一番トップの行政において厚労省と農水省の関係がどうなっているのか、例えば全体のマスタープランづくりや役割分担などですが、その辺が事業者から見て一番注目するところでもありますので、明確にする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○山本座長  お願いします。

○梅田 HACCP 企画推進室長  ありがとうございます。

御指摘につきましては、先ほど御説明させていただいたところもあるのですが、連携していくということは非常に重要だと。これまでの既存の資料、教材、そういったもので活用できるものはどんどん活用するということも重要です。また、事業者の方から見ると、国はどういう方向を向いているかということをしっかりとお示しするということが重要で、それが混乱を来すということがあってはならないと思っておりまして、その点については、これまでも農水省さんと連携を図ってきているところもございまして、例えば HACCP 支援法は共管でやってございますので、そういった取り組みなどもこれまでやっております。したがって、今後もその役割分担の中でしっかりと連携をしていきたいと思っているところでございます。

○山本座長  よろしいでしょうか。

○川崎委員  はい。

○山本座長  それでは、工藤委員、どうぞ。

○工藤委員  「はじめに」に消費者と事業者のコミュニケーションが促進されればというところがありますが、どういうふうに促進していくのかというのが私どもも考えるところでございます。信頼性向上とか、推進の一翼を担うということなので、正しく理解していきたいなと思うのです。

何で認知度を上げていくかということになりますと、まだ検討中だというお話がありますロゴマークみたいなものの露出が多くなって、目にするのではないかなと想像はするのですが、例えばこのロゴマーク、自主点検しましたよという段階でのロゴマークですと、消費者というのは誤解をしてしまうのではないか。通常、食品は食品衛生法に基づき安全なものが出ているというのが基本的にございますので、あら、こういうこともしていなかったのと逆に思ってしまうということもあるのではないかということであります。

ロゴマークの背景になるのは、 HACCP の導入率の低さですね。大企業で7割、中小で3割、こういうことをはっきり理解した上で、こういうロゴマークがあるということを連携して理解していかなければいけないなということだと思いますので、講習会だとか、ホームページだとか、パンフレット等で、そこら辺もあわせて。もちろん、この提言には書かれていますけれども、誤解のない受け取り方というか、認知の仕方をしていきたいと消費者は思っております。そこら辺の御配慮もお願いしたいと思います。

以上です。

○山本座長  ありがとうございます。

基本的には管理運営基準は全ての業界団体、食品事業者がやっているわけですから、そこに HACCP というものを導入していくということになりますと、工程管理の手法ということの理解が深まらないと、そのロゴマークが何を意味しているのかというのがわかりにくいところになるかという気はしますので、その辺は事務局からも誤解のないような施策の進め方をやっていただければと思います。よろしくお願いします。

ほかにございますか。どうぞ。

○内堀委員  一つ一つの方策について意見があるということではないのですけれども、例えば今回のテーマが HACCP の普及のためのということですから、 HACCP が普及したかどうか、どこを目標にやるのかということとの関係での方策だと思うのです。

例えば2ページに載っている中小のところで 28 %なので、これを例えば1ポイントでも上がったらいいのかと考えるのか、それとも 10 ポイント、 20 ポイント上げるということを考えて方策を考えるのかということで方策のとり方も違ってくるのかなという感じもしますので、それはここの検討会の課題というよりか、実際に実行する段階で考えていただけばいいのかもしれませんけれども、その辺はしっかりやったほうがいいのではないかなと思っています。

そういうふうに考えると、今回出されている方策というのが、その中でも優先的にやらなければいけない方策はこれなのではないかというところが見えてくるのかなと思っていますので、ぜひその辺はよろしくお願いしたいと思っています。

ロゴマークの問題ということで、先ほど消費者の受け取り方の問題というのが出てきましたが、ロゴマークというのは、いきなり出されても何なのだろうという感じに思ってしまうと思うので、この間梅田さんが来たときにもちょっと言ったのですけれども、私だったら、キャラクターをつくりますね。普及のためのキャラクターをつくって、そこにやったら HACCP だと。そういうことが浸透してきたら、そのキャラクターをうまくロゴマークに変えていく。2段階ぐらいでやったらいいのではないですかというお話をさせていただいたのですが、国民的な運動みたいな形で普及をさせていくということであるのであれば、それぐらいのことを考えてもいいのかなという感じは持ちました。そんなところですね。

○山本座長  ありがとうございました。

ロゴマークについては、これから検討していく余地が十分あるものですし、必ずしもロゴマークが必要かどうかという問題も含めて検討の対象としたいと思います。

今、内堀委員がおっしゃられていましたけれども、もちろん池戸委員も先ほど言われましたが、量的な問題、つまり、どれぐらいのパーセンテージが普及しているのかというだけではなくて、中身も含めて見ていかないといけないのだろうなと思います。

10 %上がったからそれでいいのかとか、全部がやっているというけれども、本当にできているのかというところはちゃんと見ていかないといけないなと思います。そうしないと、消費者への信頼という面で大変なことになるということですので、事務局を含めて、そういうことを進めながら、途中で問題が出てきたときには、この検討会は普及のためのものですから、また開催するということも当然あるというふうに伺っております。

補足の御意見等。

○梅田 HACCP 企画推進室長  ありがとうございます。

今の内堀委員のお話にもありましたように、ロゴマークについては、先ほど工藤委員からもございましたように、ホームページで取り組んでいらっしゃる事業者さんを紹介するということをチャレンジ事業として御提案させていただいたわけですが、ある意味全ての消費者の方がホームページを見るわけではないというところで、どうしても限界があるので、そういう意味では、まさに消費者の方とのコミュニケーションの一つとしてこのロゴマークを考えたというのがそもそものきっかけではございましたけれども、一方で、懸念する御意見をたくさん賜りましたので、そこは慎重に考えていきたい。

それから、今後もこの施策を具体的に実行していくということが重要だということでありまして、しかもそれをしっかりとフォローアップして、普及状況の調査も継続的に行ってまいりたいと思っていますし、それから各施策がしっかりとできているかどうかということをチェックしながら、必要に応じて充実、強化していくというようなことを、繰り返しになりますけれども、やっていきたいと思っておりますので、そういう点では、引き続き先生方にも御意見を賜ってまいれればなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいということでございます。

○山本座長  ほかに御意見ございますでしょうか。一応委員の先生方からは御意見をいただいたと思いますが、さらに追加ということがあれば。田崎委員、どうぞ。

○田崎委員  1点だけお願いします。これからのさまざまな面で検討は続くと思いますが、例えばノロウイルスの食中毒とかはほとんど飲食店で起こっていて、そういったものを未然に防止するというのは、 HACCP ではなくて、実は PRP で手洗いの問題が重要だということです。

HACCP を導入したからといって、中毒が起きるか、起きないかわからないですが、飲食店やら、チェーン店であっても、これは前回、前々回も申し上げたのですが、多様な食品を扱う飲食店ほどリスクが高くなるというのは間違いないので、そこをどう進めていくかが現場としては非常に難しいと思っています。

コーデックス基準の原則あると思うのですけれども、柔軟性をどういった形で考えるのかというところで、ポンチ絵にも描いてありますが HACCP のハードル解消のために、あるいは HACCP の導入の成功事例、こうやると同様にできるのですよといったことを積極的に広報していただくと同時に、柔軟性をどこまで担保して、現場で事業者の方にやっていただくのかといったところが今後も非常に重要な課題だと自治体としても思っておりますので、そこのところを押さえながら進めていっていただければなというふうに考えております。

以上です。

○山本座長  事務局からありますか。

○梅田 HACCP 企画推進室長  ありがとうございます。

これまでの検討会での議論でも柔軟性の話であるとか、食中毒対策として重要なポイントを考えたときに、 HACCP CCP で事故が起こるということではなくて、 PRP をしっかりやることの重要性についてもこの場で御議論いただいたということがございます。

PRP が改めて重要だということもわかってくるということでの HACCP を入れるメリットというのがまさに出てくるのだろうと思っております。したがいまして、そういったわかりやすい導入をしていくということで、柔軟性も含めて、部内でもこれまでの食中毒事故を少し省みてといいますか、その事例を研究して、その中でどういった点が問題であったか、それに対して HACCP の考えを入れたときに、 HACCP が適切なのかということを少し事例を研究して、それを事例集にするということを、このモデル事業もそうなのですけれども、そういった事例などの紹介をしていければなというふうに思っております。

○山本座長  ありがとうございました。

ノロウイルスのことで一言言わせていただきたいのですが、食品業界は、今、ノロウイルスというのが大問題ではありますが、食品としての取り組みだけでノロウイルスが解決する問題でもないというところもあります。これは食中毒部会でもお話が出ていたと思います。食品部局だけでなくて、厚生労働省の中の感染症の対策部局との連携も視野に入れながら対策をとっていかないと、それを全体に対策していくというのはなかなか難しい面があるのではないかと考えております。

もちろん、食品の取り扱いという面でそこをおろそかにすることは当然できないわけですけれども、その辺も検討しながら、食品部局と感染症部局の連携というのを今後考えていっていただければなと思います。

ほかにございますか。川崎委員、どうぞ。

○川崎委員  5ページの3の人材バンク事業の件なのですけれども、毎回同じことを申し上げていますが、普及を図っていくには研修会とか教材、そういうツールの充実ももちろん大事なのですけれども、人材バンクで指導者、助言者をきちっと育成して、特に中小企業の皆さんに懇切丁寧に、一緒になって推進を図っていくという取り組みが決め手になると思いますので、ここはぜひ今後検討していきたいと思うのですが、前々回、高谷委員が紹介していただいた考え方・構想をベースに検討していくことが非常に重要だと思います。人材バンクをどうつくっていくか、あるいはどう運営していくかというについては、運営面もそうですし、資金面も含めて、官民が協力し合いながら検討して実現に向かっていくということが非常に重要だと思っています。

そういう意味で、どういうふうにこれを検討していくお考えがあるのか、最後に質問させていただきたいと思います。

○山本座長  事務局、よろしいですか。

○梅田 HACCP 企画推進室長  このところについては、言ってみれば、これまでの議論を踏まえまして書かせていただいていますけれども、行政の取り組みだけではなくて、マンパワーの問題もありますし、指導するにしても行政がどこまで踏み込むべきかといった議論もあったかと思いますが、そういう中で、今、先生が言われたような民間の取り組みというものを活用すべきだということで出てきた話でございますので、そういう意味では、皆さん、そういった取り組みをなさっているところを持ち寄っていただくと。ただ、先ほどもあったように、コーデックスの HACCP をしっかりと普及するのに適切な取り組みであるということを一つのメルクマールとして、そういった中で取り組みをしっかりと連携しながら活用していこうということだと思いますので、具体的な運用とかそういったところは、また民間の取り組み等々の状況なども収集しながら御相談させていただければなと思っております。

○山本座長  ありがとうございました。

ほかにございますか。特にないようでしたら、基本的には資料2を本検討会としての提言とするということでよろしいでしょうか

まだわかりにくいところを少し修正するということは座長預かりとさせていただきたいと思います。その後、委員の先生方には回覧して見ていただくということになろうかと思いますけれども、それでよろしければ、今回の資料1と2を提言という形で取りまとめたいと思いますが。

(「はい」と声あり)

○山本座長  では、提言とするということにしたいと思います。どうもありがとうございました。

今後まだやっていかなければいけないことはたくさんありますので、事務局を含め、その施策をどんどん進めていっていただきたいと思います。

長い時間をかけて議論していただきましたが、本当に実りある議論ができたと思います。委員の皆さん方、どうもありがとうございました。

それでは、事務局から何かございますでしょうか。

○仲庭 HACCP 企画推進室長補佐  ありがとうございました。

ただいま座長からお話しいただきましたように進めていきたいと思います。

それでは、最後に厚生労働省医薬食品局食品安全部長の三宅のほうから御挨拶をさせていただきます。

○三宅食品安全部長  検討会の皆様には全体で8回、昨年8月に私が参りましてからも5回、非常に熱心に御議論いただきまして、「我が国における HACCP の更なる普及方針について(提言)」をおまとめいただきまして、まことにありがとうございます。

先ほど食中毒部会の話もありましたけれども、サルモネラとか、幾つかの細菌等につきましては確実に少なくなっているということで、成果が上がっていると思うのですが、やはりノロとかカンピロバクターは、いまだに毎年数多くの食中毒が発生しております。また、昨今異物の混入等、国民の食の安全・安心のためには、どこにリスクがあって、どこをきちっと押さえればそのリスクを低減できるかということが非常に大事なこと、その意味で HACCP というのは非常に大事な取り組みだと思いますし、特に中小企業においてそうした取り組みを促進するということは、非常に大きな課題だと考えております。

HACCP のさらなる普及のためには、今般お取りまとめいただきましたように、国民の理解と支持をしっかり受けながら、関係行政機関、食品関係団体、事業者団体、消費者団体等が連携して取り組みを進めるということが非常に重要でございます。

厚生労働省としましても、 HACCP の導入が着実に進むよう、中小事業者が HACCP に取り組みやすい環境整備を進めてまいりたいと考えております。

皆様方におかれましては、引き続き御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

○山本座長  ありがとうございました。

それでは、本日の検討会はこれで終了したいと思います。長時間どうもありがとうございました。


(了)

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