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2015年5月27日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 議事録

医薬食品局食品安全部

○日時

平成27年5月27日(水)9:30〜11:30


○場所

航空会館501+502会議室


○出席者

食品衛生分科会員(敬称略)

安藤 言枝 石川 広己 大野 泰雄
春日 雅人 川西 徹 岸 玲子
岸田 一男 河野 康子 古野 純典
西 秀訓 西内 岳 二村 睦子
山本 茂貴 若林 敬二 倉根 一郎

事務局

三宅 智 (食品安全部長)
依田 泰 (食品安全部企画情報課長)
山本 史 (食品安全部基準審査課長)
滝本 浩司 (食品安全部監視安全課長)
三木 朗 (食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室長)
梅田 浩史 (食品安全部監視安全課食中毒被害情報管理室長、監視安全課HACCP企画推進室長)
岩崎 容子 (食品安全部企画情報課長補佐)

○議題

1 開会
2 議題
(1)審議事項
(2)報告事項
(3)文書配布による報告事項等
(4)その他の報告事項
・HACCPによる衛生管理の普及について
・食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について
3 閉会

○議事

○岩崎補佐 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催いたします。委員の皆様におかれましてはお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。

 最初に分科会委員の変更について御報告いたします。本年5月25日付で渡邊委員が退任され、新たに国立感染症研究所の倉根所長が本分科会委員に着任されました。倉根委員、一言御挨拶いただいてもよろしいでしょうか。

○倉根委員 4月1日に国立感染症研究所所長を拝命いたしました倉根でございます。渡邊前所長に代わり、今回参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○岩崎補佐 ありがとうございました。

 続きまして、分科会委員の出欠状況を御報告いたします。本日は、大澤委員、大前委員、栗山委員、寺本委員、毛利委員から、御欠席との御連絡を頂いております。現時点で出席委員が定員の過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告いたします。

 また、審議事項に関する利益相反の確認対象となる案件がありますが、退出が必要又は議決に参加できない委員はいないことをあらかじめ確認しております。

 次に、資料の確認に入らせていただきます。委員の皆様には、資料1、資料2、資料3、資料4としてつづったものをお配りしております。また、それとは別に参考資料と分科会の基礎資料という、ハードファイルを2冊お配りしております。資料の不足や落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

 以降の進行につきましては、岸分科会長にお願いいたします。

○岸分科会長 皆さん、おはようございます。本日はお手元の議事次第にありますように、豚の食肉等に係る規格基準の設定等について、順次審議を行うこととしております。

○岩崎補佐 頭撮りはここまでとさせていただきますので、報道関係者の皆さんは御退席をお願いいたします。

○岸分科会長 議題に入る前に、本日委員になられた倉根委員に御所属いただく部会について指名させていただきます。倉根委員には、渡邊前委員と同様に、食品中毒部会に御所属をお願いいたします。また、併せて部会長代理につきましてもお願いいたしたく存じます。よろしくお願いいたします。

○倉根委員 承知しました。

○岸分科会長 審議()-1「豚の食肉等に関る規格基準の設定」についての審議です。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料1です。1「経緯」についてです。平成23年4月に飲食チェーン店においてユッケによる腸管出血性大腸菌を原因とする食中毒事件が発生したことから、生食用食肉について、食品衛生法に基づく強制力のある規格基準を策定いたしました。またその後、牛の肝臓については、牛の肝臓の内部から腸管出血性大腸菌が検出されたことから、平成24年7月に牛の肝臓について生食用としての販売を禁止いたしました。しかし、一部の地域で牛の肝臓ではなく豚の肝臓が生食用として提供されている実態が認められ、豚の肝臓は加熱して提供するよう、関係事業者へ指導等を行っておりますが、監視指導の効果にも限界があるという指摘もございました。

 そのような状況を踏まえ、平成25年8月以降、乳肉水産食品部会において、食肉等の生食について検討を開始し、平成26年6月に「食肉等の生食に関する調査会」において、食肉の種類ごとに対応方針が取りまとめられ、特に公衆衛生上のリスクが高いとされる豚の食肉等について、平成26年8月18日に開催した乳肉水産食品部会において審議いたしました。

 次に、2「現在までの対応状況」です。まず、平成15年に、シカ肉の生食を原因とするE型肝炎の発生事例が報告されたことを踏まえ、野生動物の肉等の生食を避けるように周知するとともに、豚の肝臓についても生食の危険性について、併せて注意喚起をさせていただいております。

 また、平成24年の牛肝臓の規制後、飲食店で豚の肝臓を生食用として提供している実態を踏まえ、豚肝臓を生食することの危険性について周知し、関係事業者に対して必要な加熱を行うよう指導するとともに、消費者に対しても加熱して食べるよう注意喚起する旨、各自治体に通知をしてきたところです。

 次に、3「豚の食肉等の生食用としての提供実態」についてです。こちらは2ページ目です。まず、自治体における「食品、添加物等の夏季・年末一斉取締り」の実施結果によると、生食用としての豚の肝臓などを提供していた事業者ですが、平成24年度の年末一斉取締りでは、全国で80施設、また平成25年度の夏季一斉取締りでは190施設が指導の対象となっており、流通実態のあることが確認されております。

 次に、4「豚の食肉等の生食に係る主な食中毒原因微生物」についてです。「食肉等の生食に関する調査会」において取りまとめられた主な微生物は、E型肝炎ウイルス、食中毒菌としてサルモネラ属菌、カンピロバクター・ジェジュニ/コリ、寄生虫として有鉤条虫、トキソプラズマ、旋毛虫が挙げられております。特にE型肝炎ウイルスに関しては、劇症化して死に至ることがあります。

 次に3ページ、5「豚の食肉等の生食による食中毒状況」です。まず、()E型肝炎についてです。こちらは食中毒統計によるE型肝炎の発生は報告されておりません。これは、摂食から発症までの期間が平均6週間と長く、原因食品の特定が困難であるためと推察されております。

 続いて、感染症法による報告です。こちらはE型肝炎は感染症法の4類感染症に指定されており、2005年1月から201311月の感染症発生動向調査によると、推定感染経路の記載のある国内250例中、豚の食肉等を原因としている事例というのは88例、全体の35%に上っております。

 続いて、()食中毒菌についてです。こちらは、平成16年から平成25年に生食用として提供された豚の食肉等を原因とする食中毒の延べ件数は10件、患者数は72人で、いずれもサルモネラ属菌、カンピロバクター・ジェジュニ/コリ、その他の病原大腸菌によるものと報告されております。

 次に、()寄生虫についてです。国内の獣畜の寄生虫の感染割合は低くなっておりますが、国際的に豚が主な寄生虫の感染源となるものとしては、有鉤条虫、トキソプラズマ、また旋毛虫であり、特にヒトへの健康影響が大きいとされております。

 続いて、4ページ目、6「豚の食肉等の汚染状況」です。()E型肝炎については、いずれも国内、国外、また国内外で市販されている肝臓、もちろん国内、国外のものについては肝臓や血液、又は国外では糞便、肝臓、及び筋肉等から、E型肝炎ウイルスの抗体やE型肝炎ウイルスの遺伝子が検出されている状況が確認されます。

 続いて、()食中毒菌についてです。平成20年から平成24年の厚生労働省が実施した調査の結果において、いわゆる糞便性大腸菌群、サルモネラ属菌、カンピロバクターというようなものが検出されている状況です。

 続いて、()寄生虫についてです。平成24年度の豚の屠畜数は約1,675万頭ですが、その中で平成24年度においても家畜伝染予防法に基づく報告頭数で62頭、屠畜場法に基づく報告頭数は73頭ということです。発生割合は極めて低いものとなっておりますが、疾病が確認され、廃棄されていることが報告されております。

 6ページです。今までの状況を踏まえて、規格基準の検討について整理いたしました。7「規格基準の検討について」です。1. HEVについては、文献調査においても、豚肝臓や筋肉からE型肝炎ウイルスの遺伝子が検出されていること、またE型肝炎ウイルスは肝臓で増殖し、血中を介して糞便に排出されることから、特に肝臓のE型肝炎の汚染のリスクは高いと考えられております。

 また、E型肝炎ウイルスを不活化する条件については、平成21年度に実施された厚労科研によると、60℃で15分間以上又は65℃で10分間以上の熱処理でウイルスが不活化すると報告されております。そのような状況から、現在、牛の肝臓に規定されている63℃を30分間又はそれと同等以上の加熱条件であれば、E型肝炎ウイルスのリスクは低減できると考えられます。

 続いて、2. 食中毒菌についてです。豚の肉及び肝臓を原因食品とする食中毒事例は、いずれもサルモネラ属菌やカンピロバクターとなっております。食中毒菌については、内部まで十分な加熱、こちらも中心部63℃で30分間加熱する方法、又はこれと同等の加熱条件を行うことにより、食中毒菌を十分に死滅させることができます。

 また、3. 寄生虫については、一般的に寄生虫は加熱に弱いことから、63℃で30分間又はこれと同等以上の加熱条件であれば、十分に死滅させることができます。

 今までの御説明を踏まえ、豚の食肉等の生食については、E型肝炎ウイルス、食中毒菌及び寄生虫による危害要因があり、公衆衛生上のリスクが高いと考えられますので、対応案として、豚の食肉等は、飲食に供する際に加熱を要するものとして、販売の用に供さなければならない旨、また販売者は、直接一般消費者に販売することを目的に、豚の食肉等を使用し、食品を製造、加工、調理等をする場合は、中心部を63℃で30分間以上の加熱又はそれと同等の加熱殺菌が必要であるという規格基準を設定することが適切と判断し、平成26年8月18日に乳肉水産物食品部会においても審議をいたしました。

 その審議の結果を踏まえ、食品安全委員会に諮問し、食品安全委員会から食品健康影響評価については、「豚の食肉は、飲食に供する際に加熱を要するものとして販売の用に供さなければならない。」この規制の導入は妥当であるという御回答を頂いております。また、中心部を63℃で30分間以上加熱する加熱条件については、「リスクの低減に一定の効果があると考えられる」と御回答を頂いております。しかし、加熱抵抗性に係る知見が限られていることなどから、一律の加熱殺菌条件を示すことは、現時点では困難であるということです。また、リスク管理機関等は、今後新たな知見を蓄積することに努め、新たな知見が蓄積された際は、改めて評価を求めることを検討すべきであると食品安全委員会から答申を受けております。

 以上の結果を踏まえ、9「規格基準の設定について」です。1つ目として、豚の食肉は飲食に供する際に加熱を要するものとして販売の用に供さなければならない。2つ目として、販売者は直接一般消費者に販売することを目的に豚の食肉等を使用して食品を製造、加工、調理等をする場合、中心部を63℃で30分間以上の加熱、又はそれと同等以上の加熱殺菌が必要であるという規格基準を設定していきたいと考えております。

 なお、食品健康影響評価にもあるように、豚の食肉等を生で喫食しないこと、食肉等の生食は食中毒を起こす危険性が高いため、生食を避けるべきであることの周知徹底、また自治体を通じた監視指導や、今回の規格基準にある63℃を30分以上と同等以上である中心部を75℃で1分以上加熱することなど、食品等の事業者や一般消費者に対しても、リスクコミュニケーションを推進することが必要と考えております。事務局からは以上です。

○岸分科会長 分科会で議論に入る前に、部会での審議の状況について、部会長の山本先生から何かございましたらお願いいたします。

○山本委員 前回この分科会で審議してから半年以上たっておりますので、お忘れのことが多いかと思いますが、今の説明に余り付け加えることはないのですが、基本的に豚を生で食べるということに関して、余りにも消費者の方たちへのRisk Commucationが足りなかったのかなという気がしております。

 我々が考えていましたのは、豚そのものを生で食べること自体が普通では考えられないことだと思っていたのが、牛のレバーを禁止したことによって、豚は禁止されていないので食べてもいいのだというような誤ったメッセージが伝わっていたようで、そのことから飲食店での提供というのが増えているという現状がありました。

 そこで、やはり豚に対するきちんとした認識を考えた上での規制が求められたということです。部会のほうではその方向で規制していかないと誤ったメッセージを伝えることになるだろうということで、規制の方向に動いたという経過があります。その結果が、このような規格案が出てきたということだと思います。よろしく御審議をお願いいたします。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本件につきまして分科会の委員の皆様方、何か御意見、御質問はございますでしょうか。

○倉根委員 「これと同等以上の殺菌効果を有する方法」というのは、証明というか、どのように規制を求めることになるのでしょうか。

○山本委員 基本的には加熱するということで行うわけですが、それ以外の方法を使う場合、例えば次亜塩素酸ナトリウムの消毒というようなことを考えた人がいたとしたら、その方たちは自分たちで証明する義務がありますので、データを付けて、これが同等だということを示した上でやっていただくということになると思います。

 データがない場合には、同等ということは言えませんので、これまでの牛のときにもそのようにやってきたのですが、なかなか次亜塩素酸ナトリウムでは腸管出血性大腸菌は排除できなかったということです。

○事務局 今回の規格基準のメインのところなのですが、先ほど少し山本部会長からございましたが、次亜塩素酸ナトリウムそのものによる殺菌というよりは、加熱殺菌を必要とするということを前提とさせていただいておりますので、基本的には私ども厚生労働省としましては、63℃で30分間というものが、一般消費者の方からすると現実的ではないということもありますので、75℃で1分というところで、分かりやすく加熱殺菌をしてほしいというところで、周知を図っていきたいと思っております。

○岸分科会長 そのほかにいかがでしょうか。

○川西委員 この議論はここの部会で既にされていることかもしれませんが、新参者として発言させていただきます。今、山本先生から、「牛を禁止したら豚にいった」と説明なさいました。今度は豚を禁止した後、それ以外に食文化のような意味で、それ以外の種に関してはリスクコミュニケーションという意味では何か言っておく必要はないのでしょうか。

○山本委員 これまでも馬、牛、豚、鳥については議論をしてきているわけですが、実際のリスクの程度をどの程度見るかというのは、データが少し足りない部分があり、厚生労働科学研究のほうで鳥に関しても積み上げているところです。

 それがもう少し出てくれば、最終的な議論をしていきたいと思いますが、基本的にはリスクコミュニケーションでというのは、食肉の生食はリスクが高いのだということは伝えていっていただきたいと考えています。

○事務局 事務局からです。皆様の机上にある「食品衛生分科会参考資料」の84ページから87ページにあるパンフレットを御覧ください。厚生労働省として、先ほどもお話がございましたように、ほかの獣畜も食中毒のリスクがあるということで、特に87ページ等でも示しておりますが、このような病原体に汚染されているので、この肉については焼いて食べるように、生食は避けるべきであるということで、引き続きこのようなパンフレットを使いながら、リスクコミュニケーションを図っていきたいと考えております。

○岸分科会長 そのほかにございますでしょうか。

○石川委員 ジビエの話にもなるので、E型肝炎についてもう少し詳しく教えていただいたほうがいいと思うのです。今までの参考資料を見てもよく分からなかったし、今日の資料1を見ても、豚のHEVの5ページ目の所に、「HEVの感染は1〜3か月齢に集中して水平感染」と書いてあります。6か月齢では少ないということですので、例えばHEVの場合には、抗体がIgG抗体ができて消滅してしまうのか、それともキャリアのように持って、ずっと生存するのか。これはどの種でそういうことがあるのか。これは生態はよく分かっているのでしょうか、動態と言いますか。分かったら教えていただきたいと思うのです。

○岸分科会長 いかがでしょうか。

○山本委員 E型肝炎に関しては、調査自体が余り多くないということがあります。その少ない中でも、屠畜場のデータを見ていきますと、順次加齢とともに減ってはきているのですが、屠殺段階での遺伝子保有率を見てみますと、やはり保有されているということは分かっているということなのです。

 そうなりますと、この少ない率ではありますが、肉に汚染がいくとか、レバーの中にそれが存在するという可能性というのはありますので、やはり人への感染リスクというのはある程度は考えておかなくてはいけないということだと思います。

○石川委員 そうしますと、どの時点で消失するかどうかもよく分からないと。海外のデータを見ても、糞便を調べると陽性が出ているということもあります。そうすると、動物の中での動態が余りはっきりしない以上は、ジビエなどについても我々としてはHEVの感染が起こる可能性があるから全てやめたほうがいいということが成立するのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○岸分科会長 事務局から何かございますか。

○事務局 実際のところなのですが、ジビエ等も含めて、厚生労働省としてはそのようなリスクがありますので、そこは加熱して召し上がっていただくように周知をしていきたいと考えております。

○滝本課長 ジビエについて補足させていただきます。野生鳥獣による農作物の被害が年間200億円ぐらいあり、これを何とか減らさなければいけないということで、昨年、鳥獣保護法が改正されました。今後、イノシシやシカが捕獲されるということになります。

 そうなりますと、これを食用として何とか利活用できないかという動きがあり、昨年、厚生労働省の中に野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会を設置し、微生物の専門家あるいは自治体、消費者団体、ジビエを料理として利用する団体の方にも入っていただいて、ガイドラインを検討した経緯がございます。

 その中で、E型肝炎のリスクあるいは寄生虫のリスク等の問題について、これについては生食を避け、加熱が必要であるということをガイドラインの中にも盛り込みましたし、その方向で業界にも取り組んでいただいております。

 いずれにしましても、食の安全が脅かされるということになりますと、そもそもジビエの利用ができなくなるということですので、業界にもそのように取り組んでいただいていますし、そのリスクについても、広く一般の方々にも引き続き訴えていきたいと考えております。

○岸分科会長 質疑でいろいろ、私たち日本人の食文化というのは多様ですので、いろいろなことに対応しなければいけないことがよく分かりました。ありがとうございました。そのほかに追加などはありますか。

○河野委員 今回の豚の食肉等に関わる規格基準の設定ということで、私自身は乳肉水産食品部会にも属しており、この検討過程は了解しております。それから、そこで食肉等の生食に関する調査会というのが開かれており、先ほど山本委員から御報告いただいたように、それぞれの食肉におけるリスクというのをその時点で判断していただいて、現在のところ豚肉に関しては喫緊の課題であるということで、今回のこういった規制に至ったということは理解しております。

 この話が始まってから、既に1年近くになっており、今もどこかで生の状態で供されているかと思うと、私は実態のところで心配しております。

 それで、ここに至ったところで消費者側として考えますと、私の世代では、豚肉は火を中までしっかり通して食べなさい、生の肉に触わった箸では焼いた肉には触わらないというぐらい、豚肉に関する家庭教育というレベルでの伝承のような知恵の伝達があったわけですが、今はそれがすっかりなくなっているということです。それから、お店で出されたものは安全であるという妙な確信と、もう1つ、自然とか天然、手を加えていないものは優れているといった感覚というのが、残念ながら消費者のほうにあるのではないかと思っています。

 事業者の皆さんも、前回ユッケのことでお分かりのように、ルールを守らないというか、食品衛生に関わるところで大きな被害が出ると、その事業の存続にかかわるような状況になるということを自覚していただいて、是非今回の規制をしっかりと守って、生の豚肉に関して、牛等も規制もありますが、提供することに関してはしっかりとルールを守っていただきたいと思っております。

 先ほど御報告いただきましたように、ジビエの部会にも委員として参加させていただいております。最終的な目標は、しっかりとリスクを抽出し、そのリスクをできるだけ低減し、より安全においしく食べるというのが目的です。

 ですから、今回の規制も規制によって選択が狭まるのではなく、より安全においしく食べるための、現在考えられる一番重要な決定であると消費者側としては受け止めたいと思っています。

 最終的なところでリスクコミュニケーションというのがすごく重要で、しっかりとやっていただきたいと思いますし、先ほど白黒焼きのパンフレットを見せていただきましたが、カラーのものも拝見しまして、こういった情報が家庭を始め、より広く提供されるべきだと思います。パンフレットはすごく分かりやすくできているのですが、どういう所に、どういう形で伝えるかということをしっかりとターゲットを絞って考えていただきたいということがお願いしたい点です。

 もう1つは最後のページ、8ページの「その他」です。「食肉等」の2行目からで、「生食は食中毒を起こす危険性が高いため生食を避けるべきであること」とあり、これはもちろんなのですが、「中心部を75℃で1分以上加熱する」という部分と、私たちの暮らしの中で、そもそも料理をするときに、75℃で1分というのは家庭の中ではなじまないのです。その部分と、パンフレットに書いてある「お肉はしっかりと焼いて食べよう」という辺りのギャップを埋めるというか、私とすると「中までしっかりと焼きましょう」、牛に関しては外側だけをしっかりと焼けばいいということなのですが、その辺りも消費者側は少し混乱しています。豚は中までで、牛に関して言うとレバーは違いますが、普通の肉は外側だけを焼けば大丈夫だと。その辺の対処の仕方をもう少し丁寧に、リスクコミュニケーションしていただければなと思ったところです。

○事務局 補足させていただきます。84ページ、85ページ等のパンフレットについて、特に85ページのパンフレットの下の所を見ていただくと分かるのですが、公益財団法人日本学校保健会で協賛するような形で策定し、こちらは日本学校保健会を通じて学校等に配布されているというものです。

 また、先ほど話のあった84ページの「しっかり加熱して」ということで、本日は白黒ということで非常に分かりづらいパンフレットになっておりますが、リスクコミュニケーション等で、この辺もカラーの絵等で分かりやすく説明をしていきたいと思っております。

○岸分科会長 よろしくお願いいたします。ほかに御意見がなければ議論は出尽くしたかと思いますので、分科会としてこれで了承ということにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。ありがとうございました。

○山本委員 これは問題が大きいので、もう1年も前にそういう議論をしているわけですから、なるべく早く施行していただくのがいいのかなと思います。その辺に関して、事務局から御説明いただければと思います。

○山本課長 今、委員の皆様の中から意見も得られましたし、了承を頂きました。その内容につきましては、私どももできるだけ早く、6月中旬には施行できるように、各種の手続を進めていきたいと考えております。

○岸分科会長 それでは、これから暑くなりますので、本当に急いでいただくと有り難いかと思います。よろしくお願いいたします。

○石川委員 1つよろしいですか。

○岸分科会長 どうぞ。

○石川委員 先ほどジビエの話があったのですが、ここには今回は載っていないということで、幾つかの検討をする段階があるのだと思うのです。この書込みで、ポスターなどにもジビエのことは出ています。84ページの下の所に「イノシシやシカなども生で食べないで」と出ています。また検討をしていただいて、これについても、きちんと文書のようなものを出すべきではないかと思うのです。それはどうなのでしょうか。

 実際に、これから日本のいろいろな所で野生の動物による農作物への被害などがある。そうすると狩猟等で捕るわけです。すると、いろいろなことが起こります。この間もテレビで、農家の方が捕まえたのを生で捌いて食べる風景というのが出てきたりしているのです。生で食べているのではなく、一応鍋にしているみたいなのですが、そういう風景の映像も実際に出ていることも含めて、きちんと一定の検討を経た上で、このことについて見解を出すべきだと思うのです。検討してください。

本課長 最終的に法的な規制をするかどうかは別にして、生で食べることの危険性についてはこれまでも注意喚起をしてきておりますし、ガイドラインでもそのようになっています。

 それから、この夏に全国の自治体で食中毒予防のために夏季一斉取締りということで、近々通知を出すことにしていますが、その中でも繰り返し、生で食べる危険性、リスクについてきちんと監視するように伝えていきたいと思っております。

○岸分科会長 ジビエというのは意外と広がっていると思いますし、上手に食べればいい資源でもありますので、是非、厚生労働省もいろいろと工夫していただければ有り難く思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、事務局には答申に向けた手続を進めていただきます。パブリックコメントの結果については、事務局より分科会の皆様に御確認いただきますので、よろしくお願いいたします。また、そのほかの経過については、次回以降に本分科会で御報告いたします。

 続いて、議題の(1)の2「乳に含まれるアフラトキシンM1についての審議を行います。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 審議事項2ということで、乳に含まれるAFM1について、説明させていただきます。アフラトキシンについてですが、アフラトキシンとは、アスペルギルス属のカビが産生するカビ毒であり、B1、B2、G1、G2、M1、M2の6種類が知られており、これら化合物については発がん性を示すことが知られております。このうちAFB1が最も強い発がん性を示すということ、また、それについては、落花生、とうもろこし、ナッツ類等の食品や飼料中から検出されています。飼料中のAFB1は、動物体内で代謝され、AFM1となることが知られておりまして、乳に排泄されることから、乳についてのAFM1の汚染が世界的にも問題視されている状況にあります。

 一方、AFM1以外のアフラトキシンについてですが、既に総アフラトキシン(B1、B2、G1、G2の総和)の規制値を10μg/kgとして食品衛生法第6条第2号で規制しております。

 上記を踏まえまして、国際的なAFM1は基準値設定の動向、また、我が国における食品流通の実態に鑑み、本日、AFM1の基準値設定について審議していただくことになります。

 これまでの経緯ですが、平成13年、国際基準を設定する機関であるコーデックスにおいて、乳中のAFM1の基準値0.5μg/kgとして設定されております。その後、平成20年ですが、この分科会の下にあります食品規格部会において、食品中の汚染物質に係る規格基準設定の基本的な考え方(参考資料の39ページと41ページに添付)が整理されまして、AFM1についても規格基準設定の検討対象とされた状況になります。また、その後、議論を踏まえ、食品安全委員会に平成22年に諮問しまして、平成25年に答申という経緯になります。

 次に、コーデックスのリスク評価機関であるJECFAにおける評価について説明します。AFM1については、AFB1と比較しまして、約10分の1の発がん性を有すると評価されております。また、AFM1の基準値を0.05又は0.5μg/kgとして採用した際に予想される肝臓がんのリスクの差を評価しており、これは非常に小さいと評価されておます。

 このJECFAの評価を踏まえまして、コーデックス、又は米国、更にはその他の多くの国々では、乳に対して0.5μg/kgを最大残留量として定めているという状況です。なお、EUについては、従前より0.05μg/kgということで、0.5よりも厳しい値を設定しており、引き続き採用しているという状況にあります。

 国内についてです。飼料中のAFB1の低減対策については、農林水産省において、乳牛用配合飼料のAFB1の牛の基準値を定めております。それが0.01mg/kgとして設定しております。農林水産省では、その遵守について指導しておりまして、平均値として低い値を保っているという状況です。これまで基準値を超える事例は認められていないという状況です。

 生乳中のAFM1の汚染実態調査についてですが、これについては以下の1〜4に記載しておりますが、簡単にまとめますと、AFM1は極めて低いという状況で、検出された最も高い値でもコーデックスの値よりもずっと低い値を検出している状況です。

 食品安全委員会の食品健康影響評価についてです。AFM1の実態調査等では、現状における発がんリスクは極めて低いことが考えられ、また、農林水産省で配合飼料について毒性を調べておりまして、それもかなり低いレベルを維持しています。これらを踏まえますと、現状においては、飼料中のAFB1の乳その他の畜産物を介するヒトへの健康影響の可能性は極めて低いと考えられると評価されております。一方、AFM1は、遺伝毒性発がん物質であることを勘案しますと、AFM1の毒性については、合理的に達成可能な範囲で、できる限り低いレベルに抑えるべきであるというふうに結論付けられております。

 最後に、AFM1の規制についてまとめますと、乳中のAFM1濃度は低く抑えられており、リスク評価においても、現状では飼料中のAFB1の乳及びその他の畜産物を介する、それらの健康影響への可能性は極めて低いと評価されております。今後も現状の飼料規制が引き続き適切に実施されれば、乳中のAFM1によるヒトへの健康影響は極めて低いと考えられますことから、直ちにAFM1について規格基準を設定することは必要ないと考えております。

 一方、総アフラトキシンについては、「アフラトキシンは遺伝毒性が関与すると判断される発がん物質であり、食品からの総アフラトキシンの摂取は合理的に達成可能な範囲で、できる限り低いレベルにするべきである。」と評価された食品安全委員会のリスク評価、また国際的な基準値設定の動きや汚染実態等に鑑み、既に、法第6条2号に基づいて規制を行っている状況にあります。

 このことを踏まえ、AFM1は、AFB1の代謝物であるということ、また、遺伝毒性発がん物質であること、更には国際的にも乳に基準値が設定されていることを踏まえますと、AFM1についても、総アフラトキシンと同様に法第6条2号により規制することとして、国際的な整合性の観点からも、コーデックス基準と同様に、乳に対して0.5μg/kgを規制値として設定することが妥当と考えております。説明は以上です。

○岸分科会長 本件について、部会での審議の状況について御報告いただくことがありましたら、山本部会長、お願いしたく存じます。

○山本委員 これも随分前に議論をしたのですが、既にアフラトキシン類はアフラトキシンとしての規制は掛かっていたわけですが、M1についてはどうするかということで残っていたということです。ただ、単独で規格基準を作ることにはならない方向で議論が進みましたが、結局、第6条で、きちんとした規制は必要であり、置かなければいけないだろうということで、国際的な基準値を採用したいということに議論が落ち着きました。

○岸分科会長 AFM1について、委員の皆様から御意見や質問はありますか。

○大野委員 M1については、平成13年にコーデックスで、0.5μg/kgという基準が、乳について決められたのに、日本での規制の対応が随分遅いということが1つあるのです。それ以外に、AFB1とか、アフラトキシン類の総量の規制値が、10μg/kgと書いてあるのですが、この中にどのぐらいAFB1が入っているのか分かりませんが、発がん性がM1よりも10倍ぐらい強いということですね。それがM1については0.5μg/kgとなっているのに、アフラトキシン総量としては、10μg/kgと、20倍の量の規制がこれからずっと続くということが理解できないのですが、それについて説明していただければ有り難いと思います。

○事務局 AFB1については、昭和46年から規制が掛かっておりまして、それを総アフラトキシンとして規制するということで対応しております。そこの規制値として10μg0.5μgの比較ですが、これについては摂取量とか、ばく露量を鑑みて、それぞれ総アフラトキシンについては、落花生とか、そういった豆類について規制を掛けています。AFM1については、あくまで乳ということですので、食品別によって摂取量とかが異なりますので、そういった意味から規制値が変わっているので、そのようなことが原因となっております。

○大野委員 10μg/kgというのは、アフラトキシンとして、乳にも掛かっているわけですよね。ここが今回のM1の基準と矛盾すると思ったのですが。

○岸分科会長 全体像について分かるほうが、分科会の委員としては有り難いですよね。

○大野委員 はい。

○岸分科会長 おっしゃるのはよく分かります。

○大野委員 そういうことで、AFB1の配合飼料中の平均値が0.0010.004mg/kgということが、11ページの5に書いてありますよね。そのぐらいの値なのに、12ページの()では乳の中の検出値は「0.0074μg/kg」と書いてありますよね。ということは、乳に農縮されて出てきているのですね。それもあって気になっているのですが。

○山本委員 大野先生、濃縮するというのは、ないのではないでしょうか。ミリグラムとマイクログラムの所ですよね。

○大野委員 そうですよね。すみません。5ページでは、配合飼料中の平均値は「0.0010.004mg/kg」となっていますよね。それが1〜4μg/kgですね。それが12ページの()だと乳中での生乳では、0.0074μg/kgだから、7μg/kgですね。だから、結構、倍以上に濃縮されているというふうに読めてしまうのですが。

○山本委員 12ページのAFB1平均値が0.0010.004mg/kg、多くても4μg/kg

○岸分科会長 4μg/kgですね。

○山本委員 はい。それが1000分の1ぐらいの値が、実際には。

○大野委員 そうですね。私は間違えていましたね。()がM1が0.0074μg/kgですね。B1が1〜4μg/kgあるのが、乳の中に出てくるM1としては7ぐらいということですよね。両方ともB1と読んでいたのですが。それにしても、かなり出てくるわけですね。それはそれとして、AFB1の規制が非常に緩い感じがしますので、それについての背景を説明していただければ有り難いと思います。

○事務局 総アフラトキシンについては、コーデックスの基準に準じていますが、食品全般ではなくて、あくまで落花生、木の実について基準値が決められております。なお、コーデックスの中で、直接消費する木の実や乾燥いちじくについては、10μg/kgとして基準値が定められております。また、コーデックスにおいて、乳については、0.5μg/kgということで、国際基準でも同様の規制となっておりまして、また、平成20年の規格部会においても整理されたところでは、規格基準の設定についてはコーデックス基準を採用することと整理されておりますので、そういった状況を鑑みて我々としては設定しています。

○岸分科会長 よろしいでしょうか。

○大野委員 今、コーデックスでも、総アフラトキシンは10μg/kgという規制になっているという説明でした。いろいろ理由があると思いますので、取りあえず了承いたします。

○岸分科会長 私が申し上げるのも何なのですが、恐らく乳に含まれるAFM1についてというときに、もう少し食品全体のことの説明があると、必ずしもアフラトキシンが専門でない者にとりましては有り難かったかという気がします。アフラトキシンは発がん性が非常に強いですので、私どもから見ると少しの違いでもすごく心配になります。次回以降、よろしくお願いします。お話を伺って、大きな間違いはないと思ってはいますが。よろしいですか。

○河野委員 今の御報告で、あくまでも確認です。先ほどの大野先生と重なる可能性がありますが、ここで言う総アフラトキシンというのは、11ページの2段落目に書いてあるように、アフレトキシンのB1、B2、G1、G2の合算ということで、M1は入っていないということでしょうかというのが1点目です。

 2点目は、これは本当に単純に消費者の感覚ですが、アフラトキシンは、カビの中では非常に怖いものだと思っていますので、何となく基準値が設定されることが、どういうふうに伝わるのかがすごく心配です。例えば、牛乳の中にアフラトキシンが入っているみたいな形で伝わってしまうと真実が伝わらないと思います。この決定がされて、いろいろな所に公表されると思いますが、その際は消費者が驚かないような形で、丁寧に説明していただきたいというのが要望です。

○事務局 総アフラトキシンについて、M1は入っておらず、あくまでもB1、B2、G1、G2の総和であるということです。

 また、AFM1について、乳中に含まれていて検出されていることは確かですが、これについては極めて低い濃度であるということ、また、それについて健康影響に被害が出るレベルではないということが、国際的に見ても言えるかとは思います。ですので、今後、その規制値については、通知等で発出することになりますし、また消費者の方々に御説明する機会はあるかと思いますので、その辺りは正確に、不要に不安をあおることがないように、きちんと御説明したいと考えております。

○若林委員 少し分かりづらい点としては、アフラトキシンのB1、B2、G1、G2、M1、M2は、カビ自体が実際に産生するもので、AFM1は、AFB1が一旦、体内の中に入って代謝されて出てきたものですから、カビが直接産生するのではないものです。そこのところが全部一緒になって話が進んでしまうので、少し分かりづらい点が出てくるのではないかと思って聞いていたのですが、いかがでしょうか。

○石川委員 参考資料の8〜15ページまで、参考資料1の審議事項です。8ページから14ページまでにAFB1は体内でどういうような代謝をしているのか。それで、今、お話がありまして、M1に移行するとか書かれてあります。かなり長い文章なので、今、私がここから結論をぱっと言うことはできないのですが、AFB1は、とにかくカプセルの中にB1を入れて飲ませても、ほとんど出てこないということは書いてあります。一応、そういう点で見ると、M1で見てもいいのではないかということが、ここで書かれていると思います。そこを事務局からうまくいってくれれば、これは終わりになると思います。

○岸分科会長 いろいろ御説明をありがとうございます。

○倉根委員 13ページのM1の実態が平成15年度のデータで299というのだけれども、今は平成27年で、大分たっていますよね。そのときのデータによって最大値が0.043μg/kgと。そのときはそうだったのでしょうが、近年、余り変わっていないという、そういうデータはあるのですか。

○事務局 こちらには記載しておりませんが、一度、乳肉水産部会で了承が得られたときから、AFM1についての試験法を開発する目的で、現在流通している食品についても、どれぐらいの汚染実態なのかは検査しております。こちらには載せていなくて大変申し訳なかったのですが、それも検出値としては非常に低くて、これまでの検出事例報告とほとんど差はないという状況にはあります。

○岸分科会長 よろしいですか。ほかにありませんか。もし、ないようでしたら、乳に含まれるAFM1についての規制について、分科会として、これで了承ということにしたいと思います。よろしいですか。よろしくお願いします。それでは、事務局には、答申に向けた手続を進めていただきます。パブリックコメントの結果については、事務局より分科会の皆様に送っていただきまして御確認いただきます。その他の経過についても、次回以降、御報告します。

 それでは、時間が押してまいりましたが、食品中の農薬の残留基準設定について、お願いします。

○事務局 残留農薬の基準設定について、説明いたします。本日は、審議事項が2品目ありまして、資料は17ページ、セダキサンからになります。本日は青いファイルの参考資料で説明いたします。参考資料3の1-3ページからですが、セダキサンは新規にインポートトレランス申請がなされたことに伴い、残留基準の設定を行うものです。概要ですが、用途はピラゾールカルボキサミド系の殺菌剤です。コハク酸脱水素酵素阻害剤で、TCAサイクルを阻害することにより殺菌作用を示すと考えられております。化学名、構造式及び物性については、1-3ページにお示ししているとおりです。

 次ページに、適用の範囲及び使用方法について記載しております。今回インポートトレランス申請のなされた「ばれいしょ」の使用方法です。作物残留試験の分析については、分析対象は親化合物で、分析方法は記載のとおりです。作物残留試験については1-10ページに記載してあります。

 1-5ページに戻って、畜産物への推定残留量について説明します。畜産物についてはコーデックス基準が設定されており、今回、JMPRの評価書より分析法、残留試験等を抜粋しております。家畜残留試験の結果は1-6ページの表1になります。この結果に関連して、JMPRでは肉牛・乳牛における最大飼料由来負荷(MDB)をそれぞれ0.09ppm及び0.08ppmとしており、乳牛の推定残留量については1-8ページの表3に示しております。

 再度、1-6ページに戻って、産卵鶏については、飼料への残留が定量限界未満であることから残留試験は実施されておりませんが、別途、代謝試験の結果(表2-)から基準を設定する案としております。JMPRは、鶏については推定残留量が0.01ppmを超えないことから、残留基準を0.01ppmと設定しております。

 1-8ページ、ADI及びARfDの評価についてです。ADIについては、食品安全委員会より慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量より0.11mg/kg体重/dayと設定されております。ARfDについては、急性神経毒性試験の無毒性量を基に0.3mg/kg体重と評価されております。

 諸外国における状況ですが、国際基準が設定されております。そのほかの国や地域については、こちらに記載のとおりです。基準値案は、残留の規制対象をセダキサン(cis体とtrans体の総和)としています。食品安全委員会の評価においても、ばく露評価対象物質が親化合物のみとされております。基準値案は1-12ページの別紙2です。今回、インポートトレランス申請のあったばれいしょに基準を設定するほかに、コーデックス基準を採用することとしております。黒い太い四角で囲んであるのが全てコーデックス基準です。

 1-13ページの別紙3において、ばく露評価の結果を示しております。TMDI試算により、最も高い幼小児で3.1%のADI占有率となっております。次ページから、短期推定摂取量の評価についてお示ししております。いずれの食品においてもARfDを超過するようなものはありません。1-17ページからが答申案となります。

 続きまして、2-3ページ、トルプロカルブについて説明します。こちらは農林水産省より新規の農薬登録に伴い、米及び魚介類について基準設定の依頼がありました。概要ですが、トルプロカルブは殺菌剤で、イネいもち病菌の付着器のメラニン化を阻害します。その結果、付着器から植物体内への菌糸の侵入が阻害され、感染阻害作用を示すものと考えられております。

 次ページに、適用の範囲及び使用方法をお示ししております。作物残留試験については、分析対象化合物をトルプロカルブ、及び抱合体を含む代謝物Bとしております。分析法の概要は記載のとおりで、作物残留試験の結果は2-8ページ(別紙1)に記載してあります。

 2-5ページに戻って、魚介類への推定残留量については、水産動植物被害予測濃度は水田PECtier2を算出し、1.5ppbとなっております。また、魚類濃縮性試験は実施されておりませんが、回帰式により生物濃縮係数を127と算出しております。これらの値を用いて、推定残留量は0.952ppmと算出されております。

 次ページに移って、ADIの評価についてですが、ラットを用いた2年間の発がん性試験の無毒性量を用い、ADIを0.2mg/kg体重/dayと評価いただいております。ARfDについては、ラットを用いた一般薬理試験における無毒性量がカットオフ値以上であることから、設定の必要なしと評価いただいております。

 諸外国における状況ですが、国際機関、欧米等の主要国において基準は設定されておりません。基準値案については、規制対象をトルプロカルブとしております。作物残留試験において、抱合体を含め代謝物Bはトルプロカルブと同程度の残留が認められておりますが、代謝物Bの構造や代謝経路を考えると、代謝物Bがトルプロカルブより強い毒性を示すとは考えにくく、仮に同等の毒性があるとしても、ばく露評価におけるADI占有率が十分に低いことから、規制対象として代謝物Bを含めない案としております。

 また、食品安全委員会においても、代謝物Bがラットの試験において認められていませんが、代謝物Cの生成過程における推定代謝物であることから、ばく露評価対象物質をトルプロカルブのみと設定しております。

 2-9ページの(別紙2)が基準値案です。これらの基準値案により、ばく露評価を行った結果を次ページの(別紙3)にお示ししております。TMDI試算により最も高い幼小児のADI比は2%となっております。

 2−12ページからが答申()になります。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○岸分科会長 分科会の議論に入る前に、部会の審議の状況について、部会長の大野先生から御説明がありましたらお願いいたします。

○大野委員 ただいま御説明していただいたとおりです。繰り返しますと、トルプロカルブについて、代謝物Bを測定対象物質に含めるかどうかということで議論がありました。今、御説明がありましたように、代謝物Bについては毒性が親化合物よりも強いとは認められない。トータルとしても残留するものも非常に低いということ。残留量とADIとの比率が非常に低いということ。そういうことでBは含めないでいいだろうという結論になりました。以上です。

○岸分科会長 分科会の委員の先生方から御意見、御質問がありましたらお受けしたいと思います。もし格段ありませんようでしたら、この基準で進めるということでよろしいですか。事務局には答申に向けた手続をお進めいただきまして、パブリックコメントの結果については、後ほど御確認させていただきたいと思います。その後の経過については、次回以降、本分科会で御報告いたします。

 次の議題は食品添加物の指定についてです。事務局からお願いいたします。

○事務局 本日は、添加物として新規指定等に関して1品目について、御審議をお願いしたいと存じます。資料は1の24ページ、1-メチルナフタレンです。本剤は国際汎用香料として国が指定の検討を進めてきたものです。本剤の用途は、記載してあるように香料です。概要に記載があるようにオリーブ油、ピーマン、パッションフルーツ等の食品、鮭等、加熱調理することにより生成することが知られている物質です。

 諸外国の状況ですが、JECFAでは香料としての使用については「安全性に懸念がない」と評価されており、諸外国では各種加工食品の風味の向上の目的で使用されているものです。

 食品安全委員会における食品健康影響評価の結果ですが、食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念はないと考えられるとの評価がされております。

 摂取量の推計ですが、欧米における推定摂取量と同様に推移すると考えた場合に、1日1人当たり0.060.9μgの範囲になるという評価になっております。

 以上を踏まえて、使用基準案ですが、着香の目的以外に使用してはならないという案にしております。成分規格案については、25ページの中ほどから26ページにかけて案をお示ししておりますが、こちらについてはJECFA等の規格を参考に設定したものです。

24ページに戻って、意見聴取の状況ですが、パブリックコメント及びWTO通報ともども、今後実施する予定としております。答申案については25ページ上段の案とさせていただければと考えております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○岸分科会長 部会の審議の状況について、部会長の若林先生からお願いいたします。

○若林委員 説明いたします。1-メチルナフタレンについては、部会での審議の中では、この化合物が高濃度の場合には、マウスの肺に対する弱い発がん性があることが問題になりました。それに関しては、参考資料4の11ページを御覧ください。実際に、この1-メチルナフタレンを0.075%、0.15%マウスに投与しますと、雄に対して肺のアデノーマで、アデノカルチノーマは全く検出されませんで、腺腫だけが検出されております。しかし、同じようなドースでgpt deltaマウスに投与すると、肺の遺伝毒性は全く認められないということから、この化合物の弱い発がん性のメカニズムはノン・ジェノトキシックなものであろうということで、閾値が設定できるということです。

12ページですが、この1-メチルナフタレンの代謝活性化については、マウスに非常にスペシフィックなCYP2F2という種類のサイトクロムで代謝活性化されて、そのCYP2F2はヒトでは全く機能していないことから、このマウスに現れた弱い肺の腺腫の発生はマウスに特異的だろうということから、このものに関しての安全性は特に問題ないだろうと思います。それから、実際に使用している量から考えますと、10万倍以上の安全マージンがあるということから、安全性も担保されていることが分かりました。以上です。

○岸分科会長 詳しい御説明をありがとうございました。よく理解ができたように思います。委員の皆様から更に御質問、御意見はありますでしょうか。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めていただきたいと思います。パブリックコメントの結果については、分科会の皆様に送付し、確認いただきますので、よろしくお願いいたします。また、そのほかの経過については、次回以降、本分科会で御報告いたします。

 審議事項の5番目ですが、「清涼飲料水の保存基準の一部改正について」です。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料1の27ページ、「清涼飲料水の保存基準の一部改正について」、資料の説明をいたします。1の経緯ですが、現在、食品、添加物等の規格基準において規定されている「清涼飲料水」については、「ミネラルウォーター類」、「冷凍果実飲料」、「原料用果汁」、それら以外のいわゆる、「その他の清涼飲料水」の4つに分類され、それぞれ規格基準が定められているところです。今回は、その中でも4つ目に申し上げた「その他の清涼飲料水」における保存基準の一部を改正するものです。「その他の清涼飲料水」の製造基準においては、現在、加熱による殺菌のほか、ろ過器等による除菌が認められているところです。

 しかしながら、「その他の清涼飲料水」の保存基準において、pH4.6以上で、かつ、水分活性が0.94を超えるものにあっては、十分な効力を有する方法で殺菌をしたものについては、10℃以下での保存が不要とされているところです。その一方、十分な効力を有する方法で除菌をしたものについては、10℃以下での保存が必要となっているのが現状です。このため、清涼飲料水の保存基準を改正することについて、食品規格部会において御審議されたところです。

 2の審議結果ですが、審議の結果、「その他の清涼飲料水」のうち、原材料等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を除去するのに十分な効力を有する方法で除菌を行ったものについても、十分な効力を有する方法で殺菌を行ったものと同様に、10℃以下で保存しなければならないとする保存基準の対象外とすることが適当とされたところです。

 3.食品健康影響評価の結果ですが、食品規格部会の審議結果について、食品安全委員会に意見を求めたところ、27ページの下から2行目、「人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるときに該当する」との回答を頂いたところです。すなわち、程度が明らかであるため、食品健康影響評価を要さないという評価であり、28ページの上段に食品健康影響評価の回答の抜粋を記載しております。

29ページは今回の改正案を図示したものです。上半分が現行、矢印の下半分が改正案となっており、「その他の清涼飲料水」の製造基準、そして右端の枠に保存基準をそれぞれお示ししているところです。今回は上の現行基準にあるpH4.6以上で、かつ、水分活性が0.94を超えるもののうち、除菌における保存基準である10℃以下を不要とする改正案です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○岸分科会長 ただいまの改正案について、分科会の委員の皆様から御意見、御質問を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。今まで10℃以下で保存していたものを安全性の面で問題がないということから、10℃以下で保存しなければいけないという基準を適用しないということですね。冷蔵庫で保存するというのは、本当にそれが必要ないのであれば、エネルギーといいますか、電力とかの消費とか、いろいろなことを考えると適切かとは思うのですが、委員の皆様方はよろしいですか。

○川西委員 この結論については合理的な考え方だと思いますので、賛成なのですが、後学のため質問させてください。では、ここの「原材料等に由来して当該食品中に存在し、かつ発育し得る微生物を除去するのに十分な効力を有する方法」というのは、どういう基準ですか。何か別途、基準というか、評価法やバリデーションの方法等が決まっていると想像しているのですが、その辺りはいかがなのでしょうか。

○事務局 具体的に、例えばフィルターの大きさなどは規定をしておりませんが、いわゆる製造基準の中で、「除菌にあっては、原材料等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を除去するのに十分な効力を有する方法で行うこと」と、製造基準の中で規定しているという状況です。

○川西委員 それを判定する何か公的と言ったら何ですが、そういう基準はあるのですか。それは特にはないのですか。最近はメンブレンを使ったほうがそれは確かに除菌できる。除菌するという意味では、正常に機能していれば、そういうことは当然の時代になっているというのは、私も医薬品品質管理に関わって分かっているのですが、その辺り、それを製造基準という意味で、どうバリデートするかみたいなことは、どんな基準があるのでしょうか。

○事務局 具体的に、例えば大きさ等の規定はしておりません。この製造基準の中で規定をしているという状況です。

○山本課長 具体的に食品の分野、オリジナルというわけではありませんが、先生が今、正におっしゃったように、除菌とか製造工程で、企業がどのぐらいのことができるかというバリデーションの仕方は一般的にありますので、そういったものを使って、ここに書いてある、食品中に存在し、発育しうる微生物を除去できるということを検証していただくのかと思っております。工程の管理方法ですので、フィルタリングを含めて一定の手法はあると認識しております。

○川西委員 その辺りは何か問題が起きたときのために、規制側も、頭の整理というか、こう説明するということは準備しておいたほうがいいのではないかと思います。

○岸分科会長 今、御助言を頂きましたので、そのように用意を、大事なことだと思います。説明が分かりやすくて、みんなが納得ができて、先々の予防に資するようなことで、よろしくお願いいたします。そのほかありませんでしょうか。

○河野委員 私も今のところで、「120℃で4分間の加熱又はそれと同等以上で死滅させる」という所は理解できるのですが、微生物を除去するのに十分な効力を有する方法というのはどんなものがあるのだろうと疑問をもちましたが、今、川西先生がおっしゃっていたように、きっと具体的には決まっているのだろうなと想像はしていたところなのです。私が伺いたいのは、10℃以下なのですが、10℃以下というのは、普通に考えると冷蔵庫の中などを想像しますが、これは流通過程も含めてですよね。家庭に来たとき、10℃以下というのは大体どんな目安で考えればいいのか、教えていただきたいと思います。

○事務局 いわゆる10℃以下の目安みたいなものでしょうか。冷蔵庫であると、4℃程度となっておりますので、それは1つの目安にはなるかと認識しております。

○岸分科会長 冷蔵庫は4℃なのですね。10℃で大体、室温にもよるのでしょうけれども、普通の家庭用の冷蔵庫のような、この場合は業務用の保存ですから考えられているのでしょうけれども、そういうのでよろしいのですよね。

○事務局 はい。

○河野委員 もう1点、10℃以下が外れるということは、室温だと考えてよろしいのですか。

○事務局 はい。室温でも可能とするものです。

○岸分科会長 そのほか、もしないようでしたら、事務局に答申に向けた手続を進めていただくということで、よろしくお願いいたします。パブリックコメントの結果については、分科会の皆様に後ほど御確認いただきます。そのほかの経過についても、ほかのものと同様、次回以降、本分科会で御報告いたします。

 本日、多様なものについて審議いたしましたが、審議事項は終わりまして報告事項に移ります。農薬です。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、農薬等の残留基準につきまして、9品目について御報告いたします。資料は資料2の1ページからになります。まず1剤目はアシュラムという農薬です。本剤はインポートトレランスによる基準設定依頼により基準を設定するとともに、暫定基準の見直しを行うものです。スルファニルアミド系/カーバメート系の殺虫剤で、JMPRにおける評価はなされておりませんが、日本及び欧米等において基準値が設定されております。

 食品安全委員会におきましては、ラットによる2年間の慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量を基に、ADIは、0.36mg/kg体重/dayと設定されております。また、 ARfDについてはイヌの慢性毒性試験の投与初期に認められた嘔吐の症状を基に無毒性量を決定し、ARfDは、3mg/kg体重と設定されております。

 基準値案ですが、残留の規性対象をアシュラムとして、3ページより(別紙1)として示しております。これらの基準値案によって、長期ばく露評価をTMDI試算で行いますと、幼少児で0.5%のADI占有率となっております。短期ばく露評価については、ARfDを超過する食品はありません。

 続きまして、キザロホップエチル及びキザロホップPテフリルについて御説明いたします。資料は7ページになります。本剤はフェノキシプロピオン酸系の除草剤で、JMPRにおける評価はなされておりませんが、日本及び欧米等において基準値が設定されております。食品安全委員会においては、ラットによる2年間の慢性毒性/発がん性併合試験によって、ADIは0.009mg/kg体重/dayと設定されております。エチル体及びテフリル体の両方のADIのうち、低いほうのエチル体のADIがグループADIとして設定されております。

 基準値案ですが、残留の規制対象を農産物及び畜産物にあっては、キザロホップエチル、キザロホップPテフリル、代謝物B、それから加水分解して代謝物Bとなる代謝物をそれぞれ代謝物Bに換算して、その和としております。魚貝類については、キザロホップエチル、代謝物B、加水分解して代謝物Bとなる代謝物をそれぞれ代謝物Bに換算してその和を基準値としております。これらの基準値案によって、ばく露評価をTMDI試算により行いますと、幼少児で45.2%のADI占有率となっております。

 続きまして、3剤目はシモキサニル、資料14ページです。こちらはインポートトレランスによる基準設定依頼により基準を設定するとともに、暫定基準の見直しを行うものです。シアノアセトアミド系の殺菌剤で、国内では大豆、きゅうり等に登録があります。JMPRにおける評価はなされておりませんが、欧米等の主要国では基準が設定されております。

 食品安全委員会においては、イヌの慢性毒性試験の無毒性量を基に、ADIは0.013mg/kg体重/dayと設定されております。ARfDは、ウサギの発生毒性試験の無毒性量を基に0.08mg/kg体重と設定されております。基準値案については、残留の規制対象をシモキサニルとしておりまして、16ページより(別紙1)に示しております。

 これらの基準値案により、長期ばく露評価をTMDI試算で行いますと、幼少児で79.1%のADI占有率となっております。短期ばく露評価については、ARfDを超過する食品はありませんでした。

 続きまして、4剤目、フェノチオカルブについて御説明いたします。資料は20ページです。ポジティブリスト制度導入時の暫定基準の見直しを行うものです。殺ダニ剤で、国内では、ミカンのみに適用があります。海外の主要国や国際機関での基準設定はありません。食品安全委員会においては、イヌによる1年間の慢性毒性試験の無毒性量を基に、ADIが0.015mg/kg体重/dayと設定されております。またARfDについては、ラットの2世代繁殖試験の無毒性量を基に、0.13mg/kg体重と設定されております。基準値案については、残留の規制対象物質をフェノチオカルブとして、22ページの(別紙1)に基準値案を示しております。こちらの基準値案によって、長期ばく露評価をTMDI試算で行いますと、幼少児で4.1%のADI占有率となっています。短期ばく露評価においても、ARfDの超過はありませんでした。

24ページ、フルチアセットメチルについて御説明いたします。本剤のホジティブリスト制度導入時の暫定基準の見直しを行うものです。本剤はイソウラゾール系の除草剤で、JMPRにおける評価はなされておりませんが、日本及び米国において基準値が設定されております。食品安全委員会においては、マウスの18か月間発がん性試験の無毒性量を基に、ADIが0.001mg/kg体重/dayと設定されております。ARfDについては設定の必要なしと評価されております。

 基準値案ですが、残留の規制対象をフルチアセットメチルとして、次ページの別紙1のとおり、とうもろこしにのみ基準値を設定する案としております。この基準値案により、長期ばく露評価をTMDI試算で行いますと、幼少児で1.6%のADI占有率となっております。

27ページのベンジルアデニンです。こちらもポジティブリスト制度導入時の暫定基準の見直しを行うものです。サイトカイニン類似の植物生長調整剤で、日本及びオーストラリアにおいて基準が設定されています。食品安全委員会においては、ウサギの発生毒性試験の無毒性量を基にADIが0.062mg/kg体重/dayと設定されています。基準値案については、残留の規制対象をベンジルアデニンとして、次ページより基準値案を示しています。多くの暫定基準を削除し、31ページの答申()のとおり、一部の食品に基準値を設定する案としております。これらの基準値案により、ばく露評価をTMDI試算で行いますと、幼少児で0.4%のADI占有率となっております。

 続きまして、メソトリオン、資料32ページです。こちらはインポートトレランスによる基準設定依頼により基準を設定するものです。トリケトン系の除草剤です。国内では、米、とうもろこしに登録があります。JMPRにおける評価がされており、欧米等では基準が設定されています。食品安全委員会においては、2回目の評価となり、ADIについては前回の評価と変更はありませんが、今回ARfDの評価が追加されており、設定の必要なしと評価を頂いております。

 基準値案ですが、残留の規制対象をメソトリオンとして、次ページに(別紙1)として基準値案を示しております。インポートトレランによって、大豆の基準値を新たに設定する案になっています。こちらの基準値案によって、TMDI試算で、長期ばく露評価を行いますと、幼少児で4.8%のADI占有率となっています。

 8剤目、テフルベンズロン、資料の35ページです。本剤は農薬取締法に基づく適用拡大申請、及びインポートトレランスによる基準設定依頼により基準を設定するとともに、暫定基準の見直しを行うものです。ベンゾイルフェニルウレア系の殺虫剤で、国内では大豆、ブロッコリー、みかんなどに適用があります。JMPRにおける評価や、国際基準の設定がなされており、EUにおいても基準が設定されております。食品安全委員会においては、マウスの78週間発がん性試験の最小毒性量を基にADIが0.01mg/kg体重/dayと設定されております。最小毒性量に基づいたことにより、安全係数200とされています。

 基準値案については、残留の規制対象をテフルベンズロンとして、次ページより(別紙1)に基準値を示しております。これらの基準値案により、ばく露評価をTMDI試算で行いますと、幼少児で67.3%のADI占有率となっています。

 最後に41ページのトリクラベンダゾールについて御説明いたします。こちらは暫定基準の見直しを行う動物用医薬品です。本剤は肝蛭駆除剤として用いられており、国内では牛への使用が承認されています。国際機関であるJECFAの評価、コーデックス基準の設定がなされておりまして、EU、オーストラリア等でも基準が設定されております。食品安全委員会においては、ラットの2世代繁殖毒性試験によって、ADIは0.002mg/kg体重/dayと設定されております。

 基準値案は残留の規制対象をトリクラベンダゾール及び酸性条件下で代謝物Dに変換される代謝物として、次ページの(別紙1)に基準値案を示しております。これらの基準値案により、ばく露評価をTMDI試算で行いますと、妊婦で10%のADI占有率となっております。御報告は以上です。

○岸分科会長 この報告事項ですが、分科会の委員の皆様から御意見、御質問等はありますか。

○大野委員 幾つかだけ。アシュラムについて、動物というか、ヤギで代謝物のM1というのが結構出ているのです。出ているので、本来だったらM1も畜産物での測定対象物質に含めるべきだという考え方が出てくるのですが、そのデータが極めて古いもので信頼できないということがありました。それについては委員の先生方も納得してくださいました。全体的なADI比での最大ばく露量もかなり低く、最大でも0.5ぐらいで、そういう2つの理由からM1について測定対象物としなくてもいいのではないかということになりました。

 それ以外では分析法の書き方が、どのぐらいの詳しさで書くべきか。審査報告書に余り詳しく書いてもしょうがないのですが。かといって、基本的なことは分からなければいけないということで、それについて幾つかのものについて議論がありました。それについては、余り詳しくは書かないが、全体として理解できるように書くということで了承していただいたと思います。以上です。

○岸分科会長 大野先生、御説明ありがとうございました。

○若林委員 2つほど質問させてください。14ページのシモキサニルです。多分、大丈夫だと思いますが、TMDI/ADI比が幼少児の79.1%になっており、これを超えるようなケースはほとんどないかと思いますが、そのようなことはなかったのですか。

 もう1つは、35ページのテフルベンズロンです。この化合物だけ安全係数が200になっているのですが、何か特別な理由があったのかどうかです。

○岸分科会長 アシュラムとかシモキサニルは確かに79.1ですよね。

○事務局 シモキサニルについてですが、こちらはTMDI試算ということで、現在、基準値を基にばく露評価をしております。平成10年に調査会で決定いただきましたように、TMDI試算で80%を超える場合には、更に作物残留試験の平均値を用いてEDI試算を行うことになっておりますので、79.1%ということですが、EDI試算をしますと、もう少し占有率が低いものとなります。今その数値は持ち合わせておりませんので、お答えできません。

 それから、テフルベンズロンの追加の件数ですが、こちらは特に食品安全委員会の評価書には特に詳しい理由は記載されておりませんが、通常は最小毒性量を用いたときには、一般的には2とか3という安全係数が追加されることが多いように感じます。以上です。

○顔分科会長 若林先生よろしいですか。

○大野委員 私から追加です。テフルベンズロンについてですが、安全係数を200としたのは、最小毒性量で出ているのが、肝細胞肥大で、代謝酵素の誘導によるものではないかと議論されています。どの程度の大きさであったかというのは報告書には書いてないのですが、代謝酵素の誘導に関しては毒性と見る場合と、アダプテーションと見る場合がありますので、200でよろしいのではないかと納得したところです。

○岸分科会長 ほかの先生方はよろしいですか。これは報告事項ですので、報告を伺ったということで済ませたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、文書配布による報告事項が2件あります。動物用医薬品のケトプロフェン、食肉製品の成分規格に規定されるサルモネラ属菌について、事前に委員の皆様の所に郵送で資料が送られていると思いますので、この場で特段の御意見がなければ次に移らせていただきたいと思います。よろしいですか。

 ありがとうございました。それでは、そのほかの報告事項です。「HACCPによる衛生管理の普及について」事務局より御説明をお願いします。

○梅田室長 それでは、HACCPの衛生管理の普及につきまして御説明いたします。資料4の1ページです。これは今般、取りまとめていただきました提言をまとめてあります。2枚目以降に提言の内容の本体を付けております。

 まず、本件につきましては、昨年1月の当分科会におきまして、中間取りまとめが一昨年12月に取りまとめられており、それについて御報告させていただいております。経過と経緯ですが、平成25年、一昨年の9月に第1回の検討会を開催いたしまして、我が国におけるHACCPの更なる普及方策について、御審議を頂いておりました。

 3回の検討を経て、先ほど申し上げたとおり平成2512月に中間取りまとめをまとめていただき、公表させていただいたところです。この中では基本方針として、今後どのように普及策を講じていくかといった基本方針を取りまとめていただいたということです。この方針に基づき、昨年5月に事業者が講ずべき衛生管理の基準、いわゆる管理運営基準と言われるものですが、これは各自治体の条例に基づいて定められておりますが、その策定に当たり、国が技術的助言としてガイドラインを示しております。そのガイドラインの中に、新たにHACCPによる衛生管理の基準を設けました。事業者におかれては、従来の基準とHACCPの基準のどちらかによる衛生管理を行うことができるような仕組みを作ったということです。また食肉・食鳥肉に関しても、関係省令を改正しまして、同じような仕組みを作ったということです。

 その後、5回にわたって、昨年8月からHACCPの普及の更なる方策について御審議を頂いたということで、都合8回にわたって審議を頂いた結果、本年3月に提言という形で取りまとめていただいて公表しております。

 提言の内容を簡単に御紹介いたしますと、HACCPについては、そのページの上のほうにありますように、中小事業者における取組の促進が重要な課題であるということになっており、そもそもHACCPの本質は事業者自らが自主管理の一環として取り組んでいただくということですので、「自主点検」を推進するための環境整備を進めることが、その基本的な考えです。

 具体的な普及方策として、5つの視点を示しておりますが、この5つの視点に沿って具体的な方策を取りまとめていただきました。(1)にありますように関心のある事業者もおられますので、そういった方々に、より取り組んでいただきやすい環境づくりということで、「自主点検票」を作っております。これはいわゆるチェックシートということで、自らがこのチェックシートに従ってHACCPについて実施していただけるようなものになっています。また人材育成という点では、「人材バンク事業」等、そこに書いてあるとおりです。

()では、分析の理解・関心の醸成ということで、これまでにもリーフレットや動画等を作っておりまして、それらの周知に努めるということ。それから事業者に向けた講習会あるいは業者を直接指導・助言する立場である食品衛生監視員に対する講習会を行っています。

()にありますように、事業者の導入負担の軽減ということで、HACCPについては、非常にハードルが高い、難しい、お金が掛かるという認識もあるようです。そういった心理的なハードルを解消していくことについても課題になっていますので、分かりやすい動画等でHACCPについて周知を図っていくこと、それからモデル事業等を通じて、事業者の負担軽減を図っていきたいということです。

()には、HACCPに取り組んでいる事業者の取組を広く知っていただくということで、Webサイトを構築し、その中で事業者の取組を紹介していく、取組をアピールする後押しをしていくということが書かれております。

()には、食品産業全体でのHACCP推進の必要性ということで、関係者を募って、いろいろなHACCPに対する認識の共通化あるいは普及施策に関する現場でのニーズといったものをお聞きする場ということもあるでしょうし、普及状況をフォローアップしていくということで、仮称ですが、協議会を組織し、それを通じて、普及を図っていくことも必要ではないかということで、現在その仕組みづくりを行っているところです。

 こういった普及方策について検討し、提言ができましたので、今後は提言に示された具体的な事業を実施に移していくということで、HACCPの普及に取り組んでまいりたいと考えております。以上です。

○岸分科会長 御説明ありがとうございました。HACCPの普及は5ページを見ましても、中小でどれだけ伸ばしていくかというのは大変な課題ですね。平成8年と比べますと、20年たって23%ということですから、厚労省は頑張っていらっしゃるとは思いますが、できるだけ中小の事業者が少しでも率を上げていくのは本当に大事なことだと思います。書かれているように、自分の国でHACCPがしっかりしていなくて、相手国に「HACCPをちゃんとやったものを入れなさい」とはとても言いづらいですよね。委員の皆様から御質問はありますか。

○河野委員 質問というか、意見です。御説明ありがとうございました。この提言の中に、消費者団体という言葉がありまして、私たちもHACCPに関して言うと、しっかりと理解しなければいけないと思っているところです。

 私の団体の会員であるNACSさんが、今年「HACCPは全員参加で」という冊子を作って、広く配ってくださっています。私たち消費者が家庭でもできることもあるということ、それからHACCPの考え方は家庭でも応用できることがあるということで、このことをしっかりと勉強していこうと考えています。

 農畜産物の生産技術や加工技術も変わってきているし、生産や製造に関わる人、私たち消費者の知識・行動も常に変わってきていると思っています。現在、どのような所にしっかりと注意を払っていけばというか、しっかりハザードを見付けて、それを管理していけばよいかと思いますので、なかなか減らない食中毒とか異物混入とか、いろいろなものが防げるのだということで、しっかりやっていただければと思います。

 この提言の()に「HACCP導入の心理的ハードルを解消するため」と書かれているのですが、私自身もたまたま食品衛生関係のある会合において、中小の飲食業に関わる方から「HACCPHACCPと言われても、現場では面倒だとか、余りその必要性を感じていないのだ」という言葉を直接聞く機会がありました。規制に対する反発と言いましょうか、ちょっと嫌がるような印象があるなと思ったところです。今回、消費者としてもHACCPという考え方をしっかり理解して、こういうことをやられている飲食店の方や製造業の方に対して、しっかりやってくださっているのだなと、こちらから評価できるような状況を作り出していくことも大事かと感じているところです。是非、数値が上がるように頑張ってください。

○岸分科会長 HACCPに関して、ほかにありませんか。それでは、今後もよろしくお願いいたします。

 最後に、「食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について」御説明をお願いいたします。

○事務局 前回3月25日に開催されました食品衛生分科会において審議、若しくは報告をいたしました農薬及び添加物の処理状況について御報告いたします。資料は11ページです。全部で、農薬・動物用医薬品等が全部で15品目、食品添加物が4品目を御審議・御報告させていただきました。このうち審議品目については、農薬、動薬は上から2つまでのマンデストロピンとモサプリドで添加物はクエン酸三エチルとアンモニウムイソバレレートの2品目です。

 備考欄に基準値案の変更の有無について記載されています。当初の基準値案から変更があった品目については、上から4つ目の動物用医薬品アプラマイシンで、こちらのパプリックコメントにおいて、基準値()に用いた豚の契約期間より短い契約期間の国があるという情報を頂いたことから、この契約期間のデータに基づいて規格基準値案を修正し、再度「農薬・動物用医薬品部会」で審議をしていただいた後に、3月25日の分科会で報告したものです。

 その下の動物用医薬品・飼料添加物「ラサロシド」と2つ下の農薬「フルミオキサジン」については、WTO通報において基準値案の修正についての御意見があり、具体的なデータが提出されていることから、基準値案を修正して、再度「農薬・動物用医薬品部会」において御審議いただく予定です。

 このリストの真ん中辺りのクロチアニジンについては、前回の分科会においても御説明しておりますが、パブリックコメントを2回行い、慎重な検討を行っているところです。それ以外の品目についても御意見を頂いているものもありますが、新たな科学的知見等により、基準値案の変更が必要なものはありませんでした。またWTO通報においては、先ほど説明したとおり、ラサロシドとフルミオキサジン以外については、御意見は頂いておりません。そのため、先ほどの3品目と現在、意見募集又は準備をしている品目を除いて、既に告示を行った品目もありますが、「基準値()の変更なし」とさせいただいております。以上です。

○岸分科会長 御質問、御意見はありますか。最後に事務局から連絡事項はありますか。

○岩崎補佐 本日は事務局の説明に際しまして、いろいろ御助言いただき、ありがとうございました。次回以降も、事務局としても丁寧で分かりやすい説明に努めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次回の分科会につきましては、後日お知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。

○岸分科会長 それでは、10分近く時間を超過してしまいまして、誠に申し訳ございません。長時間の御審議ありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。


(了)

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