ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 雇用環境・均等局が実施する検討会等> 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会> 第9回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会(2015年5月15日)




2015年5月15日 第9回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成27年5月15日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(12階)


○出席者

委員

佐藤座長、池田委員、石山委員、神吉委員、武石委員、田代委員

厚生労働省

安藤局長、木下審議官、蒔苗職業家庭両立課長、中條職業家庭両立課育児・介護休業推進室長、中井職業家庭両立課長補佐、川島老健局振興課長補佐、寺澤家庭福祉課長補佐

○議題

(1)個別課題についての検討
(2)その他

○配布資料

資料1 個別課題についての検討(2)
参考資料1 個別課題についての検討(2)に係る補足資料 
参考資料2 仕事と介護の両立を支える「ワーク・ライフ・バランスケアマネジャー」~ケアマネジャー調査(仕事と介護の両立に関する調査)報告書~ (佐藤座長資料)

○議事

○佐藤座長 第9回今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会を始めさせていただきます。お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。本日は両角委員、中井委員が所用により御欠席です。

 それと、本日の議論のテーマの関係で、事務局側に家庭福祉課からも御参加いただいていますので、簡単に自己紹介をお願いできればと思います。

○寺澤家庭福祉課長補佐 家庭福祉課の寺澤と申します。よろしくお願いします。社会的養護と里親の関係を担当しています。

○佐藤座長 よろしくお願いします。

 本日は議事次第にありますように、個別課題について検討したいと思います。議論の範囲は、仕事と育児の両立支援について御議論いただきます。また、毎回同じですが、これまでの資料はお手元のファイルに綴じてありますので、御利用いただければと思います。

 早速ですが、本日の議題1「個別課題についての検討」に入ります。そのための資料を事務局に御用意していただいていますので、まず事務局から御説明いただければと思います。

○中井職業家庭両立課長補佐 個別課題についての検討について、資料を御説明させていただきます。資料1、参考資料1を説明させていただきます。資料1「個別課題についての検討(2)」については、仕事と育児の両立支援に関する論点をまとめているものです。まず、「現状」でデータをまとめています。参考資料1については、2ページの1-1-(1)以降を御覧ください。

 参考資料1-1-(1)のとおり、女性の育児休業取得率は83.6%と、育児休業制度の確実な定着が図られつつあるところです。一方、参考資料の次のページの1-1-(2)でも御覧いただけますとおり、第1子出産前後の妻の就業状況の変化は、第一子出産後の女性の継続就業割合を見ると、子どもの出生年が2005年から2009年である女性の継続就業率は38%にとどまっているところです。右のグラフではその理由を見ることができ、「両立が難しかったので辞めた」が約26%と高くなっています。

 次に男性の関係です。参考資料1-1-(3)を御覧ください。夫の家事・育児時間が長いほど、妻の継続就業割合が高く、また第2子の出生割合も高い傾向にあると言われております。しかしながら、日本の夫は、6歳未満の子どもを持つ場合の家事・育児関連時間は1時間程度と、国際的に見て低水準となっているところです。先ほど参考資料1-1-(1)でも見ましたとおり、男性の育児休業取得率は長期的には上昇傾向にあるものの、足下で2.03%と依然として低水準にあると言えるところです。

 次の○は、参考資料1-1-(4)以降を御覧ください。「また、多様な雇用形態が広がっている」ということで、ここにありますとおり、25歳~34歳の雇用形態を見ると、「非正規の職員・従業員」の割合が高まっているところです。次の参考資料1-1-(5)にあるとおり、非正規の職員は育児休業による継続就業が進んでいるという状況にあります。左側のグラフで見ると、直近で43.1%が育児休業を利用して継続就業しているというデータがございます。しかしながら、パート・派遣は低水準で、右側のグラフで4.0%が育児休業を利用して継続就業しているという状況です。さらに、次の参考資料の1-1-(6)にあるとおり、非正規雇用でも、職場に育児休業があり利用しやすい雰囲気のところでは、継続就業率は高くなっているといったデータもございます。

 さらにということで、「現状」の一番下の○に関連する部分で、子どもがいる家族形態も多様化している状況にあります。こちらについては、参考資料1-1-(7)です。こちらを見ますと、児童のいる世帯の7.5%、91.2万人世帯がひとり親世帯と推計されているところです。平成4年以降の世帯数の推移を見ますと、ひとり親世帯は増加傾向にあります。また、次の参考資料1-1-(8)に、ひとり親家庭の現状の資料を載せていますが、例えば母子世帯の就業状況を見ますと、パート・アルバイト等の非正規雇用が約5割を占める状況にあります。こちらが「現状」としてまとめた部分の説明です。

 次に、「総論的課題」ですが、これまでの御議論で出た御意見からまとめさせていただいております。1つ目の○として、「育児については法定制度は整ってきている」、2つ目の○として「育児期やキャリア形成上も重要な時期であり、キャリア形成をどのように確保するかも重要な課題である」、3つ目の○として、「男性の育児への関わりについては、長時間労働がネックとなっている」と記載しているところです。これについても、追加の記載等についても御議論いただければと思っているところです。

 続いて、「個別論点」です。2「多様な家族形態・雇用形態に対応した、育児期の柔軟な働き方」の(1) 「育児休業」。こちらについては、先ほど御説明しましたとおり、多様な雇用形態が広がっていることなどを踏まえ、■にしていますが、非正規雇用の労働者の育児休業について御議論いただきたいと思っているところです。

 論点としては、1つ目の○で、「期間雇用者の育児休業取得について、実態はどのようになっているか。期間雇用者の育児休業取得が進んでいない理由は何か」としております。

 この点について、参考資料1-2-(1)なども御覧いただければと思います。有期契約労働者の育児休業取得割合については、平成25年で女性で69.8%、男性で0.78%となっており、全体の育児休業取得割合と比べて低くなっているところです。なお、この雇用均等基本調査における育児休業取得割合というのは、調査前年度1年間に出産した労働者に占める、調査時点までに育児休業を開始した者の割合になっており、出産まで在籍していなかった人、妊娠が分かって出産までに辞めてしまった人というのは、この数字の中に入っていないので、69.8%ということになっております。

 また、先ほど1-1-(5)で、継続就業の割合も御覧いただいたかと思いますが、こちらは第1子妊娠時に就業していた妻に占める、育児休業を利用して、子が1歳時点で就業を継続していた妻の割合ということになります。こちらが先ほど見ていただきましたとおり、正規職員については、育児休業を利用した継続就業の割合が直近で43.1%となっており、経年で見ても増えている状況にある一方で、右側のパート・派遣について見ると、育児休業を利用した継続就業は4.0%と低水準になっており、経年で見ても余り変化がないという状況です。このように、期間雇用者の育児休業取得が進んでいない理由についても、御議論いただければと思っているところです。

 また、参考資料1-2-(3)~(6)では、有期契約労働者の産前・産後休業制度の有無であったり、産前・産後休業、育児休業を取得できることの認知度や、それらの制度の認知経路のデータもお付けしています。

 こちらを簡単に御説明しますと、産前・産後休業は有期契約労働者でも基準法上認められているところなのですが、例えば1-2-(3)のデータでいうと、所属企業において「制度がある」と回答した有期契約労働者が31.5%にとどまっており、取得できることの認知も19.6%にとどまっています。育児休業が取得できることの認知も21.8%にとどまっているところです。

 これらの制度の認知の経路を次の参考資料1-2-(4)で確認しますと、「母子手帳に記載されているのを見たから」と回答した方が3割程度と最も多くなっているところです。次いで、「職場の上司、同僚等から聞いた、又は問い合わせたから」が約4分の1となっているところです。次の参考資料1-2-(5)を見ると、産前・産後休業の取得経験を見たものです。それはそもそも低く、26.0%で、育児休業の取得経験も21.1%となっております。

 次に参考資料1-2-(6)で、有期契約労働者を部下に持つ管理職の制度に対する認知度についても御紹介申し上げます。有期契約労働者の産前・産後休業の認知は、「知っていた」が74.3%、「知らなかった」が25.7%となっています。育児休業についても同様の傾向が見られているところです。これらについても御参考いただければと思います。

 論点ペーパーに戻ります。次の論点の○として、「育児休業をすることができる期間雇用者の要件について」としています。これについては、下の点線の四角囲みにありますとおり、前回の育児・介護休業法の改正時に衆議院により附帯決議を頂いているところです。そこでは、「有期契約労働者についても、育児休業等の両立支援制度が利用できるよう、制度の周知徹底に特段の配慮を行うなど取得促進策を講ずるとともに、有期契約労働者への制度の利用範囲の在り方について引き続き検討すること」とされています。これを踏まえて、期間雇用者への制度の適用範囲の在り方について御議論いただきたいといった論点になります。

 現行の育児休業をすることができる期間雇用者の範囲を確認しますと、そこの※に書いておりますが、要件として、(1)「同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること」、(2)「子の1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれること」、(3)「子の2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでないこと」、この3つが要件になっています。

 これらについて、論点のポツの1つ目に、前要件(※の(1))の在り方について、育児休業取得前に一定程度の雇用期間を求めるという趣旨で設けられたものですが、その趣旨を踏まえ、どのように考えるか、ポツの2つ目として、先ほどの(2)(3)の要件、「後要件」とさせていただきましたが、この在り方について、育児休業後、継続的な就業が見込まれることを求めるといった趣旨も踏まえ、どのように考えるかという論点を挙げさせていただいており、これについても御議論いただければと思っております。これらについて、参考資料1-2-(2)、1-2-(7)を付けております。

 参考資料1-2-(2)については、就業規則に有期契約労働者を対象とした育児休業規定を設けているかどうかというもので、設けている所が約7割です。従業員規模別に見ますと、従業員規模の大きな企業だと割合が高くなっており、逆に101人~200人、100人以下の企業で、設けていない企業が約半数といった現状にございます。

 飛んでいただいて、参考資料1-2-(7)を御覧ください。こちらは有期契約労働者の育児休業取得の要件のデータになっています。先ほどの前要件に当たる勤続年数の要件を見ますと、「1年以上の勤務を要件としている」という所が81.0%となっています。後要件に当たる、復帰後の雇用継続の見込みに関する要件を見ますと、先ほどの(2)に当たる要件が63.4%、(3)の要件に当たるものが43.5%となっています。これらの要件について、設けてはいるが運用上実際に緩和していることがあるかを見ますと、「条件を緩和することはない」というように回答されている所が約4割を占めており、現状ではこういった状況にあります。

 論点ペーパーに戻ります。なお、期間雇用者等、非正規雇用で働く労働者が働きながら子育てができる環境の整備という観点から、論点ペーパーの3ページ目にあるとおり、いろいろと現行の施策を実施させていただいているところで、これらの施策の内容については、参考資料1-2-(8)にも掲載しておりますので、御参考までに御覧いただければと思います。

 次に、4ページ目の一番上の■で、「育児休業等の対象となる子の範囲について」です。こちらの論点として、「特別養子縁組の成立のための監護期間を含め、里子・里親関係、配偶者の連れ子、孫等について、法律上の育児休業を認めることについてどう考えるか、どのような視点でその必要性について検討すべきか」という論点を掲げさせていただいております。こちらについては少々専門的な内容になりますので、少し詳しく御説明させていただきます。

 参考資料1-3-(1)、20ページを御覧ください。本年3月に総務省の評価局から、厚生労働省雇用均等・児童家庭局あて、育児休業の対象となる子の要件についてあっせんを受けているところです。その内容としては、特別養子縁組を成立させるための監護期間中については、「法律上の子」ではないため育児休業を取得できないが、法律上の子に準じた扱いとすることについて検討することというものとなっております。当該期間については、実態として法律上の子を養育することと何ら変わらないと見られるため、法律上の子と同じに取り扱うべきとの趣旨です。

 こちらの内容を御説明いたしますので、28ページ目、参考資料1-3-(6)を御覧ください。特別養子縁組は、原則として6歳未満の子について、家庭裁判所の審判により、未成年者と実親側との法律上の親族関係を消滅させた上で養子縁組を成立させる制度です。特別養子縁組の監護期間とは、家庭裁判所が、養親が特別養子の親となるのに必要な監護能力その他の適格性を備えているかを判断するために民法上要求されている試験的な養育期間になります。原則として、裁判所への申立てから6か月以上の期間が必要となり、当該期間を経て、裁判所が特別養子縁組の成立を判断するという制度です。

 下に、方法、養子の要件を書いています。特別養子縁組については、家庭裁判所の審判と実父母の合意、6か月以上の監護期間を経て養子縁組が成立するという、普通養子縁組に比べて厳格なものとのなっています。

 これに対して普通養子縁組は、養子になろうとする者と、養親になろうとする者の合意により、市町村への届出で成立するというものです。ただし、未成年者の場合は、原則として家庭裁判所の許可が必要になっています。こちらについては、養子の年齢については限定がないという制度になっています。

 この特別養子縁組の監護期間については、雇用保険の育児休業給付金の支給の対象と現在なっており、それについては参考資料1-3-(3)に付けております。ここで紹介しているのが、平成2512月に労働保険審査会において、特別養子縁組を成立させるための監護期間に関する育児休業給付金の取扱いについて、こちらについては「育児休業給付金が、法律上の親子関係の成立を前提としているとしても、特別養子縁組の試験養育期間(監護期間)については、特例として支給の対象として取り扱うことが妥当であると判断する」との裁決がなされたところでした。これを踏まえて支給要領を変更し、平成261月から特別養子縁組の監護期間について、育児休業給付金の対象となっているところです。参考資料1-3-(4)は、その支給要領の詳しいものですので、御参考までに御覧いただければと思います。このような状況を背景として、この研究会において当該論点について御議論いただければと思っております。

 また、資料1-3-(5)を御覧ください。特別養子縁組の監護期間以外にも、法律上の親子関係と似たような関係を形成すると考えられる法律上の制度であったり、あるいは事実上の親子関係といえるのではないかと考えられるような関係というものがあります。

 まず、現行の育児・介護休業法の考え方を確認させていただきます。現行の育児・介護休業法に基づく育児休業の対象となる「子」は、法律上の親子関係にある子(実子及び養子)をいうとされており、これは法律に基づく育児休業は労働者が申出を行えば事業主の許諾なしに休業できる強い権利であって、全ての事業主に適用される最低基準であることから、労働者の福祉と事業主の負担との調和を図り、法律上の親子関係についてのみ対象としているということになっています。なお、育児休業の対象の子が原則満1歳になるまでとなっております。

 一方で、御説明しました特別養子縁組に向けた監護期間に加え、里親の関係です。具体的には、里親の種類として4つ掲げております。法律上、養子縁組里親、養育里親及びその一種である専門里親、そして親族里親です。これらがあり、これらについても育児休業を認めるべきかということも、併せて御議論いただく必要があるのかなと考えております。

 こちらを一つ一つ御説明させていただきます。まず里親制度とは、保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童の養育を里親に委託するという、社会的養護の制度です。

 これについては4つの類型があり、1つは「養子縁組里親」です。これは将来的に養子縁組により養親となることを希望する者のうち、都道府県知事が児童を委託する者として適当と認める者に、児童の養育を委託する制度です。すなわち、先ほど見ていただいた特別養子縁組に向けた監護期間と同じく、法律上の親子関係の形成に向けた養育期間となっています。

 このほか、「養育里親」という種類があります。これが、いわゆる一般的なイメージの里親として捉えられるものかなと思います。これについて、委託期間はケースにより様々で、数週間から1年など、短期から長期まであります。なお、養育里親に委託されている0歳児の割合は、約2.3%となっています。

 この養育里親の一類型として、被虐待児や非行傾向にある児童あるいは障害児など、特に支援が必要な児童について、専門的に委託する「専門里親」もございます。専門里親に委託する期間は、原則として2年以内とされており、専門里親に委託されている0歳児の割合は約0.5%となっています。

 このほかに「親族里親」という類型もあります。両親等、児童を現に監護している者が死亡、疾病、拘禁などの状態にある場合に、祖父母などの扶養義務者が里親となる制度です。

 こちらについて、資料1-3-(7)を御覧ください。こちらは里親制度の概要になっております。上の○の中で、「平成21年度から、養育里親と専門里親について、里親研修を充実」とありますが、養育里親と専門里親については里親研修を受ける必要があるということになっております。一方で、養子縁組里親と親族里親については、養子縁組里親の場合は、そもそも親子関係の形成を目的とするものであること、また親族里親の場合には、既に親族関係があるため必要がないという理由により、里親研修を受ける必要はないとされております。

 また、同じ資料の一番下の部分に「里親に支給される手当等」とありますが、養育里親と専門里親については、里親手当が支給されることになっており、その支給額は養育里親で72,000円、専門里親で123,000円となっております。一方、養子縁組里親については養子縁組を結ぶ前提の里親であることからという理由、あるいは親族里親についてはそもそも扶養義務があるという理由により、それぞれ里親手当は支給されないということになっております。なお、一般生活費、教育費、医療費等、その他の金銭は里親全体に支給されるという制度になっております。

 参考資料1-3-(5)に戻っていただきます。先ほど申し上げましたとおり、親族里親は祖父母など、扶養義務者が里親となって養育しているという状態ですが、これと類似のものとして、里親となっていないが事実上親子関係にあるようなケースも、同様に検討する必要があるのではないかと思っております。

1-3-(5)の資料の下の部分ですが、例えば両親が死亡した場合などで、祖父母が孫の面倒をみている場合、おじやおばが甥や姪を養育している場合は、養子縁組をすれば育休は取れますが、養子縁組をしない場合は法律上の育児休業は取得できないところです。

 また、ここに「認知を受けていない非嫡出子」とありますが、父親の認知を受けていない非嫡出子は父親との関係では法律上の親子関係が生じず、法律上の育児休業は取得できない状況です。さらに、一番下の「配偶者の連れ子」です。これについては、そのままでは親子関係は発生しないこととなっています。養子縁組をすれば親子関係が発生し、育児休業を取れますが、そうではない限り法律上の育児休業の対象となっていないところです。

 これらの関係について、法律上の育児休業を認めることについてどう考えるか、あるいはどのような視点で、それぞれの必要性について検討すべきかというところを御議論いただければと思っているところです。

 次に、論点ペーパーの4ページ目、(2)「子の看護休暇」についてです。1つ目の■で、子の看護休暇については、こちらも4ページの一番下の点線囲みにあるとおり、前回、育児・介護休業法改正時の衆議院による附帯決議において、「子の看護休暇及び介護休暇について、その必要に応じて休暇を取得することができるよう、取得要件の緩和を行うとともに、取得しやすい手続とすること。また、半日単位や時間単位でも取得できるような柔軟な制度とすることについて検討を行うこと」とされております。これらの点について御議論いただければと思っております。

 論点として、子の看護休暇について、より使いやすい制度としてどのようなものが求められているのか。ポツとして、「半日単位、時間単位の取得の必要性について、どう考えるか」。また、「日数(子が1人であれば5日、2人以上であれば年に10)は適当か」と掲げております。これについては、参考資料1-4-(1)あるいは1-4-(2)を付けておりますので、御覧いただければと思います。

 参考資料1-4-(1)は、子の看護休暇取得者の割合等についてです。小学校就学前までの子を持つ女性労働者に占める子の看護休暇取得者の割合は26.1%で、取得日数は5日未満が最も高く66.7%、次いで510日が29.1%となっています。男性については、取得者の割合が3.1%、取得日数は5日未満が76.9%で最も高く、次いで510日が20.3%となっております。

 参考資料1-4-(2)は、子の看護休暇制度の利用期間及び休暇日数について御紹介しています。子の看護休暇の規定がある事業所において、子が何歳になるまで子の看護休暇を取得できるかについて見てみますと、「小学校就学の始期に達するまで」、こちらは法定どおりですが、これが88.6%と最も高くなっております。休暇日数の制限の有無や内容について見ると、「制限あり」が93.7%、その場合に1年間で取得できる休暇日数については、「子が1人の場合」は5日が93.8%、「子が2人以上の場合」は10日が93.3%で、それぞれ最も高くなっているところです。

 なお、現行の子の看護休暇の取得事由については、個別検討ペーパーの※にあるとおり、「負傷し、若しくは疾病にかかった子の世話」「疾病の予防を図るために必要なものとして厚生労働省令で定める世話」、厚生労働省令で定める世話として、子に予防接種又は健康診断を受けさせることといったことが、現行制度として規定されているところです。

 次に、論点ペーパーの5ページ目、(3)「勤務時間短縮等の措置、所定外労働の免除等」に移ります。これについても、5ページの下の点線の四角囲みにあるとおり、前回の育児・介護休業法改正時の衆議院による附帯決議において、「仕事と家庭の両立支援の観点から、所定労働時間の短縮及び所定外労働の制限については、対象となる子の年齢を小学校就学前まで拡大することを検討するとともに」とされているところです。したがいまして論点として、1つ目の○で「附帯決議で指摘されている、所定労働時間の短縮措置及び所定外労働の制限について対象となる子の年齢を拡大することについて、どのように考えるか。企業における働き方として、まずはワーク・ライフ・バランスの推進、長時間労働の抑制が重要であり、短時間勤務制度の利用後フルタイム勤務に戻ると継続就業ができない働き方を放置したままで、短時間勤務等の対象年齢を拡大することは適当か」と掲げさせていただいております。また、○の2つ目として、「育児期はキャリア形成上も重要な時期であり、キャリア形成をどのように確保するのかも重要な課題であるが、これらの制度の在り方が女性のキャリアに与える影響についてどう考えるか」と掲げており、これらについて御議論いただければと考えております。

 参考資料1-5の(1)~(4)をお付けしております。1-5-(1)は、所定労働時間の短縮措置等の措置内容別事業所割合ということで、短時間勤務制度や、所定外労働の免除を規定している事業所の割合で、それぞれ58.4%、54.9%となっており、ほかの制度に比べて高くなっているところです。

 参考資料1-5-(2)では、それぞれの制度の最長利用可能期間別の導入状況です。育児・介護休業法上、短時間勤務制度及び所定外労働の免除については、3歳までの子を有する労働者に対しては制度を措置する義務、小学校就学の始期に達するまでの子を有する労働者に対しては努力義務が規定されておりますが、小学校就学の始期に達するまで以上の最長利用可能期間を定めている事業所の割合が、短時間勤務制度で20.2%、所定外労働の制限の制度で26.3%となっております。

 一方、参考資料1-5-(3)あるいは(4)で、実際の利用経験を見ます。1-5-(3)で短時間勤務制度の利用経験を見ますと、男性正社員あるいは女性の非正社員では、「利用したことはない」というのが9割を占めております。また、女性の正社員では、「現在利用している」「以前は利用していたが現在は利用していない」を合わせて、約3割に利用経験があるとなっております。

 次の、1-5-(4)では、所定外労働の免除の利用経験を見ております。男性正社員及び女性の非正社員では95%が「利用したことはない」となっており、女性の正社員だと、「現在利用している」「以前は利用していたが現在は利用していない」を合わせて、2割弱程度となっております。

 続いて、論点ペーパーの6ページ目、(4)「ひとり親家庭への配慮について」です。こちらの背景としては、こちらも前回の育児・介護休業法の改正時の附帯決議において、「ひとり親家庭の育児休業期間及び子の看護休暇の日数の延長について、引き続き検討する」とされております。

 先ほど「現状」の所でも御説明しましたとおり、ひとり親家庭がかなり増えているということと、母子世帯の就業状況を見ると、パート・アルバイト等の非正規雇用が約5割あるという状況であり、◆の2つ目として、「ひとり親家庭については、母子家庭の親の非正規雇用の割合が高いことから、より収入の高い就業を可能にしていくことが課題となっている」といえるかと思います。

 背景事情について補足する資料を参考資料1-6-(1)等に付けております。こちらはひとり親家庭等の自立支援策の体系となっており、平成14年より「就業・自立に向けた総合的な支援」を行っております。こちらは4本柱の施策として、子育て・生活支援策、就業支援策、養育費の確保策、経済的支援策の4本柱により、施策を推進しているところです。内容の詳細な説明については割愛させていただきますが、適宜御参考いただければと思います。

 このような背景を踏まえ、論点ペーパーに戻ります。○の1つ目、「ひとり親家庭に対し育児休業期間を延長することについてどう考えるか」。その際に、育児休業期間を延長する必要がそもそもあるか、ひとり親である労働者について育児休業期間を延長した場合、当該労働者を採用することに対する企業のディスインセンティブを考慮する必要があるのではないかという論点が考えられるかと思っております。

 また、○の2つ目として、「ひとり親家庭に対する子の看護休暇の日数を延長することについてどう考えるか」。この論点については、ポツの1つ目として、子の看護休暇の日数を延長する必要はそもそもあるか。ポツの2つ目、ひとり親である労働者について子の看護休暇の日数を延長した場合、(1)当該労働者を採用することに対する企業のディスインセンティブ、(2)ふたり親で片親が単身赴任中の場合の対応などとの均衡、これらを考慮する必要があるのではないかという観点が考えられるかと思っております。参考資料として、1-6-(2)~(5)を付けております。

 参考資料1-6-(2)を御覧ください。こちらでは、ふたり親世帯と母子世帯における育児休業制度の利用率を比較しております。育児休業制度の利用率は、ふたり親世帯の母親では21.2%、母子世帯では11.1%となっており、ふたり親世帯のほうが多少高いという状況にになっております。

 次の1-6-(3)については、ふたり親世帯及びひとり親世帯において拡充してほしい公的支援に関する調査結果です。総じて金銭的援助を望む保護者は多くなっておりますが、母子家庭ではいずれかの金銭的支援を望む保護者が75.2%となっております。保育サービスを望む保護者というのも比較的高く、母子家庭では40.6%となっております。育児休業の法的期間の延長について望む保護者に関しては、母子世帯では3.5%、ふたり親世帯では7.8%となっております。また、子の看護休暇の法定期間の延長を望む保護者は母子世帯では6.6%、ふたり親世帯では5.9%となっております。

 参考資料1-6-(4)あるいは(5)は、ひとり親家庭の女性正社員あるいは女性非正社員の子の看護休暇の認知状況のデータです。いずれを見ましても、制度の対象要件であったり、制度が利用できる子どもの年齢等について、「全く知らない」という割合が全体と比較して高くなっているところが見て取れます。後ほど御確認いただければと思います。以上がひとり親に関する論点です。

 続いて7ページ目、3「男性の仕事と家庭の両立の促進」に移ります。初めの■として、「多様な男性の子育てへの関わりの在り方について」としています。こちらについては、まず参考資料1-7-(1)を御覧ください。

 先ほど、男性の育児休業取得割合は2.03%と低い水準にあると御紹介いたしましたが、一方で参考資料1-7-(1)を見ますと、共働き家庭の父親の育児休業の取得状況は、正規雇用として企業や官公庁で働く男性であって、末子が小学校入学前、配偶者が正規雇用の者については、育児休業を取得している人が19.1%と、2.03%に比べ、育児への関与が高いことが読み取れます。なお、育児休業期間については、最も多いのが「1週間未満」で8.9%となっております。

 こういう状況を踏まえ、7ページの論点に戻ります。「夫婦の働き方(共働き、専業主婦家庭)によって育児への関わり方が異なるため、男性の多様な状況に応じて子育て参画を進めることが重要である。特に専業主婦がいる男性の子育て参画をどう進めていくかが課題ではないか」とさせていただいております。

 次の■として、「男性の子育てへの関わりを促す両立支援制度の在り方について」としております。前回の育児・介護休業法の改正において、パパ・ママ育休プラス、産後8週間以内に育児休業取得した場合の再度取得の規定が盛り込まれたところです。

 これらについて、ポツの1つ目、諸外国のように妻が休業できない部分を作り、夫のみ取れるようにすることについて、どう考えるか。その場合には育児休業の権利の水準が現行より後退するという問題があることにも留意が必要としております。

 この点について、参考資料1-7-(6)、1-7-(7)として、第5回研究会の有識者ヒアリングで、中里教授から提出のあった、諸外国の男性の育児関連休業制度の比較、日本のパパ・ママ育休プラスをはじめとした諸外国の休業パターンについてのモデルの資料を付けておりますので、適宜御参考いただければと思います。

 また論点に戻ります。ポツの2つ目として、少子化社会対策大綱(平成27320)において、「2020年に男性の配遇者の出産直後の休暇取得率80%」という目標が盛り込まれたことを踏まえ、更なる取得促進策についてどう考えるかとしております。

 この点について、参考資料1-7-(8)で御覧いただけますとおり、本年320日に少子化社会対策大綱が閣議決定されましたが、こちらの中の重点課題の1つで、「男女の働き方改革を進める」としている中に、出産直後からの休暇取得をはじめとする男性の子育て目的の休暇の促進というものが盛り込まれました。その数値目標として、「2020年に男性の配偶者の出産直後の休暇取得率80%」が盛り込まれているところです。この休暇は、出産後2か月以内に半日又は1日以上、年休や特別休暇、育休などにより休んだ場合を含むという数値目標になっておりますが、このように出産直後の休暇取得促進について進めるために、更なる取得促進策についてどのように考えるかというものも、論点として立てさせていただいております。

 論点ペーパーに戻ります。ポツの3つ目として、現場では制度が知られていないことについて、どう考えるかとしております。これまでの研究会でも、パパ・ママ育休プラスなどについては現場で知られていないという御意見があったところです。

 こちらについては、参考資料1-7-(9)を御覧ください。こちらは、男性正社員の末子妊娠時の育児休業制度の認知状況を見たものです。男性で最も認知度が高いのは、「勤務先の制度の内容」となっておりますが、「よく知っていた」が8.1%、「大体知っていた」でも38.7%など、低いという状況です。「法律上定められている制度の内容」については更に低くなっており、例えば「パパ・ママ育休プラス」では、「よく知っていた」が3.8%、「大体知っていた」でも20.6%にとどまっています。「父親が再度の休業を取得できる制度」でも、「よく知っていた」が4.4%、「大体知っていた」が20.5%となっております。

 次の参考資料1-7-(10)には、配偶者の就業形態別の認知状況も御参考までに載せております。配偶者が非就業の場合に比べて、配偶者が正社員である場合に、男性の育児休業制度の認知状況は、多少高くなっている傾向にあることが見て取れます。「よく知っていた」「大体知っていた」を合わせると、例えば「パパ・ママ育休プラス」については配偶者が正社員の場合は30.4%、配偶者が非正社員の場合だと23.0%となっております。

 次に、論点ペーパーの7ページ目の一番下です。※として、「育児休業中の経済的支援について」としております。こちらについては、参考資料1-7-(11)を付けております。平成264月に休業開始後6か月間の育児休業給付の給付率が67%に引き上げられました。この前後で、育児休業給付の初回受給者の変化を見たデータです。女性だと、対前年同月比、月平均で106.7%であるところ、男性で131.2%と、約3割上昇していることが見て取れます。こちらは、イクメンプロジェクト等、男性の育児休業取得促進に向けた施策の実施や、67に%給付率が引き上げられたことにより男性の育児休業取得が進んだものと評価できるかと思いますので、こちらについても御紹介申し上げたいと思います。

 次に、論点ペーパーの8ページ目の■に移ります。「男性が両立支援制度を利用しやすい職場環境の在り方について」です。○の1つ目について、男性が育児休業を取得しなかった理由として、「職場が制度を利用しにくい雰囲気だった」「配偶者等、自分以外に育児をする人がいた」「男性の制度利用に会社・職場の理解がない」「今後のキャリアに悪影響があると思った」などが、上位に挙がっています。こちらは参考資料1-7-(12)に資料を付けておりますので、適宜御覧ください。

 このような状況ですが、「職場において男性労働者が育児休業取得を言い出しやすくすることが必要ではないか」と書いております。例として、「男性による育児休業の取得計画書の提出などにより、取得希望を把握する」あるいは「育児休業の取得等を理由とする不利益取扱は法で禁止されていることの従業員への周知」などが考えられるのではないかということで、例として掲げております。これらについても御議論いただければと思っております。

 また、次の○として、働き方全体の話として、「社会全体として、ワーク・ライフ・バランスに向けた取組を強力に推進していくべきではないか」という論点も立てさせていただいております。

 最後に4「その他」です。2つ目の■として「転勤配慮」を挙げております。転勤については、参考資料1-8-(1)を御覧ください。こちらにあるとおり、昨年12月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、仕事と生活の調和の実現の観点から、転勤の実態調査を進めていくとされております。

 次のページ、1-8-(3)を御覧ください。こちらについて、「現在の課題」の1つ目の○の所に、特に企業における転勤については、企業独自の経営判断に基づき行うものではあるが、結婚・妊娠・出産・子育てといったライフイベントとの両立が必要であると考えられ、このような観点から、まずは企業における転勤の実態を把握するための実態調査を行い、その結果を踏まえて転勤に関する雇用管理のポイントを策定することとされているところです。

 このように、転勤については、出産等、ライフイベントと仕事の両立という観点から、重要な課題であると捉えられてきているところで、この点について育児・介護休業法はどのようになっているかについて、参考資料1-8-(1)で、現行の育児・介護休業法の労働者の配置に関する配慮規定を御紹介いたします。

26条で、「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」という配慮規定となっております。

 これについては、その下の指針にもありますが、配慮することの内容としては「子の養育又は家族の介護の状況を把握すること、労働者本人の意向をしんしゃくすること、配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをした場合の子の養育又は家族の介護の代替手段の有無の確認を行うこと」と指針に示されているところです。さらに解釈通達で、「配慮」の内容としては「子の養育又は家族の介護を行うことが困難とならないよう意を用いること」とされているところです。現行ではこのような規定になっておりますが、この現行の配慮規定について、どう考えるかという論点を挙げさせていただいているところです。

 ○の2つ目として、「育時期・介護期の転勤配慮について、現行の転勤の在り方を前提とした議論のみならず、現行の転勤の在り方そのものを含めて議論が必要ではないか」こういった論点も、併せて挙げさせていただいているところです。

 最後の■として、9ページ目の「テレワークの在り方」です。この点は参考資料1-9-(1)を付けております。こちらは、厚生労働省で行っているテレワークモデル実証実験事業の中で作成した、テレワーク好事例集から、仕事と育児あるいは仕事と介護の両立という見地からテレワークを導入した企業の好事例を抜粋しているものです。中身についての詳細な御紹介は割愛させていただきますが、テレワークについては、仕事と家庭の両立という観点からうまく活用されている事例も見られるところで、このような観点から、論点として、「育児期のテレワーク(在宅勤務)について、両立支援制度の中でどのように位置付けるべきか」とさせていただいており、これについても御議論いただければと考えております。非常に長くなって恐縮ですが、説明は以上です。

○佐藤座長 どうもありがとうございました。本日はこの後、限られた時間ですが、御説明いただいた個別課題の検討について、御意見を全部出し切る必要はありませんが、御意見を伺えればと思います。議論をする時間はなかなか取れないと思いますので、皆さんに御意見をいろいろ出していただき、もう1回、意見、あるいは議論をしていただく時間を取りますので、そのように進めさせていただきたいと思います。まず最初は、説明いただいたデータや資料について質問があれば、それを簡単に伺ってから中に入りたいと思います。

○武石委員 2点教えてください。参考資料の11ページの雇用均等基本調査で、有期契約労働者の育休取得率は69.8%とありますが、もう1つは、6ページの所にパート・派遣の育休の取得状況があって、これが今の数値に該当するのをざっくり言うと、この28%のうち育休を取っている人が4%なので、28分の4が取得率と考えればいいのでしょうか。要は、数字が相当違うのですけれども、この数字がなぜ違うのかがお分かりになれば教えていただきたいことが1点です。

 丁寧に御説明いただいた養子に関して、育休の法律と雇用保険の制度のギャップがあるのが、監護中の子についてですよね。これは考え方として、企業の制度の中で、監護中の子を育休の対象にしていれば、その人が取ったときに雇用保険から払われる。ただ、育休法はそこは対象にしていないということでよろしいのでしょうか。こういう雇用保険と育介法のギャップがあるのは、この部分だけということでよろしいですか。

○中井職業家庭両立課長補佐 まず、2点目については、おっしゃるとおりです。企業が独自に特別養子縁組の抜けた監護期間について育児休業を認めている場合に、育児休業給付を申請すれば、給付が受けられるというような制度になっております。恐らくギャップがあるのは、ここぐらいかと思います。

○蒔苗職業家庭両立課長 あるかどうかの確認をします。多分、ないのではないかと思いますけれども。

1点目は、説明もありましたが、69.8%は均等調査のほうで、その定義が11ページに書いてあります。分母には前年に出産した人の数を置いて、分子が出産者のうち出産時点まで勤めている人で育休を取った方になります。継続就業の6ページのほうは、妊娠時に就業していた妻に占める出産後に就業を継続していた妻の割合ですので、妊娠してから出産まで10か月ぐらいありますので、その間に辞めた方が抜け落ちてくるので、継続就業で見ると18%ぐらいになっているということ。結構、国会等でも議論がありまして、我々が69.8%を使うと、そんなに高いはずはないだろうという議論がありまして、やはり継続就業率のほうで見ていく。我々も最近は18%のほうを使って説明することが多くなっております。調査時点が違うので、一概に比較ができないのですけれども。

○佐藤座長 出産までの間に、有期の人は辞めている人が多分多いであろうということで、残った人について言えば、割合に取れているということですね。

○蒔苗職業家庭両立課長 そうですね。

○佐藤座長 有期であるけれども、継続雇用されている人は取れているけれども。

○蒔苗職業家庭両立課長 もう1点は、非正規の場合は取得要件がありますので、勤続1年未満とか、要件に合わない人は当然入らないという、その2点が主なものではないかなと思います。

○佐藤座長 よろしいでしょうか。

○武石委員 はい。

○佐藤座長 ほかにデータの確認があれば。よろしいでしょうか。

 では、細かい点ですが、31ページの子の看護休暇の日数ですが、平成20年度と平成24年度で調査の仕方が変わってしまったのであれなのですが、下のほうの平成24年度の取得日数が510日となっていますが、多分5日が多いということですよね。法定は5日までだから、多分、5日が、この510日に入っていると考えればいいですか。上のほうを見るとね。

○中井職業家庭両立課長補佐 ちょっと区切りが変わってしまったので、平成20年度の傾向から見ると、そうかなと思います。

○佐藤座長 多分ね。それでは、資料1に戻っていただき、「現状」はデータのことで、今、御質問がなかったのでいいと思います。「総論的課題」以降で、「総論的課題」と(1)育児休業、(2)子の看護休暇の4ページまでの論点について、御意見があれば出していただければと思います。

○池田委員 まず、有期契約労働者の育児休業の話ですが、この後要件に対して、極めて分かりづらいというか、判断できないという声が現場でかなり聞かれます。これは、佐藤座長と前に委託事業のときにも議論したことですが、有期の育児休業について、そもそも結果として、1歳まで取ることがあっても、最初から1歳まで取るという前提で考えるということが適切かどうかということは議論の余地があるだろうと思います。つまり、産休明けの数箇月取って復職するとか、あるいは更新月までは産休明け取って、その後に更新する。更新した場合は、最終的に1歳まで取るということがあってもいいのですけれども、子どもがこれから産まれる、というときに、1歳のとき仕事ありますかどうですかと言われると、例えば3か月とか6か月で契約している人は、全く働かない契約期間が間に1回入ることになります。そのときにまた戻れますかと言われて、判断できるかなという問題があるのです。ですので、有期の育休についての考え方をどうするかということを、もう1回整理して議論する必要があるのではないかなということは、日頃感じているところです。

 また、子の看護休暇が5日で足りるかということは、子どもの年齢によって、病気をしたり熱を出したりする発生頻度が大分違うと思います。子どもが45歳ぐらいになったら余りそういうことはないですが、やはり子どもはゼロ歳、1歳ぐらいのときは毎月熱を出したりするとかあるでしょうから、ひとくくりに子の就学前までということで議論してしまっていいのだろうかと思います。

 もう1つは、何のために休むのかという問題です。今、インフルエンザを子どもが発症した場合に、発症から5日は保育園や幼稚園とか小学校に行けないということがあるので、風邪のように熱が下がったら翌日から登校できます、保育園に行けますよという場合と異なります。登園禁止の規制が掛かっている症状については、本人がピンピンしていても連れて行ってはいけないわけですから、そこは整理して、この日数について検討するということが現実的な日数の考え方につながると思います。現実的に、足りない場合は今でも年休で処理している部分があると思いますので、そういう意味で、年休で取ることが適切かどうかという議論はあるのでしょうけれども、その制度の作り方としては、特に感染症の場合は、規制が掛かっている部分についての議論を踏まえる必要があると思います。

○佐藤座長 議論する前に確認ですが、先ほどの有期契約の人の後要件は、例えば1年契約で3か月たって、残り9か月あります。そこで子どもが産まれたら、産休は今でも取れるわけですね。ですが、育休もその契約が終わるまでは取れるわけです。その後、更新するかどうかは今は後要件は1年なので、残り9か月だと、次は更新がなければ取れませんが、残り9か月までは取ってもいいのではという議論ですね。

○池田委員 そうです。

○佐藤座長 それで更新がなければ、そこで終わりと。確認だけです。ただ、育休は継続雇用が前提だからということをどうするかが、多分、議論になるかなと思います。

○神吉委員 今の池田委員の御指摘と関連するのですが、本人が要件に該当するかどうかが分からないという問題が、非常に重要な指摘だと思います。併せて、制度設計として、この要件の充足というのが、結局、使用者側に委ねられているということが問題なのではないかと思っています。

 法51項のただし書の部分ですが、これは指針で出ていると思いますが、指針で挙げられている所で、この資料にもありますが、要件を見ていくと、結局、要件を満たすと明示的に分かる場合というのが、申出時点での労働契約の末日が1歳到達日以降の場合と、あるいは自動更新が明示されていて、そして、更新契約の末日が1歳到達日以降というようになっていますが、自動更新されている事例は多分、ほとんどないと思います。

 そのように明らかではない場合は、結局何を見ていくかというと、事業主の言動であるとか、同様の地位にある他の労働者の状況であるとか、当該労働者の過去の契約の更新状況を見ていって、実際上は恐らく雇止めに関する法理が適用される状況かどうかということを判断していくと思います。その雇止めが無効となるような状況というのは、実質、無期の場合と、反復継続の2つの場合ですよね。そういった場合に、実質無期となるような場合も、先ほどと同じようにかなり限られていて、そうなると、反復継続による雇用継続の見込みがあるかどうかに掛かってくるのです。そうすると、1年という前要件があるにもかかわらず、後要件の所で、反復継続の状況を見ていて雇止めが認められるかどうかを判断するということになると、前要件が事実上狭められているということになってしまうと思うのです。

 その問題と、それから事業主の言動を加味することになると、申出時点で、いや、あなたには雇用継続の道はありませんと言われてしまったときに、では、雇用継続の見込みがなくなってしまうのかというように、そこの時点での使用者の言動というものがどのように関わってくるのか。そういった制度設計上の問題があるというように考えております。それが関連する点です。

 もう1点は、この間のヒアリングのときにおっしゃっていただいた1-7-(6)で、諸外国で見た場合に、育休は上限に関しても、この間御紹介があった分は3歳までといったものが多く、かつ分割を認めている国も結構あるので、今は1歳、あるいは1歳半までとなって、しかも1回となっていますが、もし取得率を上げていく、特に男性の取得率を上げていくというような話があるのであれば、上限と分割の可能性についても検討する意義があるのではないかと思います。4ページまでの部分に関しては、以上です。

○佐藤座長 ほかにはいかがでしょうか。

○武石委員 有期雇用の問題ですが、直接雇用と派遣の場合で構造が少し違っています。派遣はどうなるのかというと、派遣先に派遣していた労働者が育児休業を取る場合に、雇用契約は派遣元であるので、そこの契約をつなぎながら、派遣先には別の労働者を派遣して、派遣元との雇用契約をつないで育児休業を取るという形になるのが一般的だと思います。ただ、その人が復帰したときに、では、派遣先が見つかるかというのは、全く予測ができないので、派遣と直用の有期とは状況が異なります。派遣は派遣先がみつかるかが全く予測が難しいという部分を、どう考えたらいいのか。ここは後要件が非常に難しく、派遣元も、そこがどうなるか分からない、労働者ももちろん分からないのですが、そういう問題があるので、派遣については、直接雇用とは別の課題があるのかなということが1つです。

 あと、看護休暇に関しては、日数は今ので適当かなと思います。先ほどのデータを見ても、女性は結構取っていますが、やはり男性が取っていないので、少なくとも両親がいれば、夫がもっと取ればいいのかという気がいたしますが、半日とか、時間単位というのは、予防接種や健康診断などはかなり時間単位で対応できる部分もあると思うので、もっと柔軟にしてもよいという印象を持っています。

○佐藤座長 期間雇用者のところは、つまり、池田委員が言われたように、私も考えて、1歳まで取れるというところを、期間雇用者については、雇用契約期間まで取れるというように。多分そうではなくて、その人も1歳まで取れるという条件を適用できるようにというような設定になってしまっていて、ここをどうするかは、結構大きな論点かなということです。もう1つは、継続雇用という前提で育休があるのですね。ですから、更新がない人について取れるというのは、もともと少し違うのではないか。ここはどう論議をするのか。

 もう1つは、産休と育休と子の看護休暇は、社員の場合は普通これはみんなセットで取れる、適用条件が一緒になるわけですけれども、期間雇用者の場合はばらばらというか、違ってくるので、多分、その辺も理解が難しいところかなという気がしています。ですから、期間雇用者については、基本的に子の看護休暇は大体取れるわけですよね。ただ、今まで自分は産休や育休も取れずに辞めて、また再就職して、まだ子どもが小さくて、本当は子の病気で取れるという、産休も育休も取れない状況があったから、子の看護休暇も取れないというように考えるということになりがちなので、ある程度、その辺をきちんと情報提供をしていくことも大事だと思いました。ほかにはよろしいでしょうか。

○神吉委員 論点が変わりますが、養子のところで、特別養子縁組の養子の場合でも、育休が取れる場合は、これは年齢的には、1歳から1歳半までに今なっているのですよね。

○佐藤座長 全部そうですよね。

○神吉委員 そういった場合に、先ほど述べたことも関係するのですが、その年齢で切っていいのかということなのですね。特別養子縁組は、もう少し大きくなるまで設定することができるにもかかわらず、縁組をしてからというわけではなく、その子どもが小さいときだけ掛かってくるというのが適切かどうかということは。例えば、イギリスにもアドプションリーブという養子のがあるのですが、それは年齢で何歳までと決まっているわけではなくて、養子縁組の時期からと決まっているのですね。

○佐藤座長 なるほどね。

○神吉委員 年少者に関しては、ある程度の幅を持って、その中で例えば1年であるとか、そういったことを考える余地もあるのではないかなと思います。ですので、育休全体のいつまでかということを考える1つの契機になるかと思います。

○佐藤座長 では、次に移って、時間があれば戻ってくるような形でいいですか。

 次の56ページの短時間勤務と残業免除、ひとり親家庭への配慮の所について、御意見があれば伺います。

○池田委員 勤務時間短縮等の措置と、所定外労働の免除の拡大ですが、いたずらに年数を延ばすことは、やはりキャリアロスとかにつながるということは、かなり指摘されているところなので、慎重な制度設計が必要と思います。ときどき思うことを素朴に述べますが、何歳まで取れるという話と、トータル何年取れるという話を切り離すということは有りかなと思います。例えば、乳児保育、つまり3歳未満の保育のときは、保育時間は短くて早くお迎えに行かなければいけませんが、その後は保育時間が長くできるので余り短時間勤務の必要がないという人もいます。ただ、今度は小学校に入って学童保育が始まると、小学校1年生の1年間は、少し仕事をセーブしたいというニーズが出てくる。ずっと仕事をセーブするのではなくて、波というか、ライフステージごとの、その局面に応じて使えるようにして、例えば子どもが小学校3年生までの間にトータルで3年使えるとか、そういう設計にすると、実際に子どもが大きくなってからのニーズがある場合でも、キャリアロスとか、使用者側の負担も小さく対応できるのかなという、1つのアイディアとしてです。

○佐藤座長 ほかにはいかがでしょうか。時短、残業免除、ひとり親について御意見があれば。

○田代委員 時短勤務については、今、池田委員がおっしゃったとおり、当社では、小学校6年生までずっといいよということになっているので、それで2人もいると、ひょっとすると15年ぐらい短時間勤務の人が理論上はありますし、実態もある程度出てきているのかなと思います。ただ、本来であれば、それは取れるという権利であって、取りなさいということではなくて、職場のマネージメントやいろいろ考えながらしっかりとデザインして、どの期間は取るけれども、どこはフルに働こうとか、御本人のキャリアをいかすためにはどうするかという観点で、本人と職場がしっかりと話し合って取れるという、そういうことがいい形であろうと思います。それを一律的に法律で縛るというものではないので、ある程度その辺は柔軟な余地ができるのはいいアイディアかなと思います。

○佐藤座長 実際、調査を見ると、短時間勤務を取れる期間は長くはなってきておりますが、かなり最近は反省があります。これを長くするだけが女性活躍を含めて考えると良かったのかというので、実は早く戻れるような働き方に変えなければいけないのではないかというように変わってきているのです。このデータだけを見て、これだけ多いからどうこう的なことは、私は気を付けたほうがいいと思っています。企業も、あるいは組合も、長くしたほうがいいのだということをやってきてしまったところもあるので、その辺も踏まえながら議論したらいいと思います。できるだけ早く、無理なく復帰できるように支援するということが最近の動きなので。

 ほかにいかがでしょうか。では、次に、男性の子育て参加、その他の所について、併せて。

 今回、データを出していただいたように、男性から見ると、妻もフルタイムで働いている、あるいはパートで働いている、専業主婦としている、やはり日本の場合はまだまだフルタイムではない人が多いので、フルタイムで働いていれば、先ほどのデータでは2割取っているので、海外と比べてもめちゃくちゃ低いわけではない。多分、問題になるのは、妻が専業主婦で、男性は子育てに関わる必要はないと思っている人たちに、必要性があるのだというように理解させ、かつ制度的にもどのように手当をするかは大事かなと思います。

○池田委員 確認です。少子化社会対策大綱で言っている、配偶者の出産直後の休暇取得率80%は、先ほど、年休でも休暇の種別は問わないということですが、これと、いわゆる産後8週以内の育休は、どのように考えたらいいのか。育休取得率の目標には、産後8週の部分も含まれるのですよね。

○中井職業家庭両立課長補佐 男性の育児休業取得率については13%という目標があります。「産後8週以内の育休の」という所はそこに含まれてくるかと思います。

 こちらの80%の所は、先ほど申し上げたとおり、別に育休でも、年休でも、配偶者出産特別休暇でもいいので、もちろん育休として取っても入ってくるかとは思いますけれども。そこはもう少し広く、何でもと言ったらあれですが、休暇を取得していれば、ここに含まれてくるという数字になっております。

○池田委員 今、佐藤座長がおっしゃったように、妻の働き方によって育休のニーズはかなり多様ですが、産後の大体1か月の間というのは、かなり共通してニーズがある時期だと思いますので、ここをどのようにスムーズに取れるか考えることは大切だと思います。しかも、1日でも2日でもいいですけれども、妻の産後の母体の状況から考えると、やはり数週間、できれば1か月ぐらいのニーズは現にあるという話も聞きます。産後8週、特に出産直後の時期を1つターゲットとして考えるのは、1つの案かなと思います。

○佐藤座長 産後8週間、特に6週間は強制休業なので、その期間は当然妻も子育てをそんなにできるわけではないので、やはり夫がというような、そこを考えるのは大きな論点かなと思います。ほかにはいかがでしょうか。

○田代委員 男性の問題については、「プラチナくるみん」のときにいろいろ御議論させていただいて、必ずしも休業にこだわらずに、休暇でもいいでしょうということでお願いをして、柔軟な対応をしていただいたのですが、この問題を今のように、いわゆる産後の母性保護ではないですけれども、そういう場面での支援というように捉えれば、そういうことですし、男性にとにかく何か子育ての経験を1回ぐらいは積ませなさいという観点ではそうでしょう。

 しかし、もう1つは、長い目で女性の働き、活躍を支援する観点で、8週間だけではなくて、長期の中で、どのように男性が関わっていくかというように捉えてくると、これはもう男女を問わずに働き方の問題とか、そういう形に行きつかないと、何か男性だけをもっと休業を長く取らせればいいとか、そういう話ではないと思います。何を期待して、男性の休業取得とか育児参画を捉えるかというところを明らかにして、まずは、日本の現状からすると、産後の一番大変な時期だけでもということであれば、そこに徹底してフォーカスを当てればいいというように感じます。

○佐藤座長 確かに、非常に大切です。妻が専業主婦の男性からすると、妻が子育てをして、自分は子育てに関わる必要はないと思っている人が少なくはなくて、なぜ、妻が専業主婦でも夫が子育てに関わる必要があるかということを分かりやすく説明するのは結構大事です。

 専業主婦の妻のほうが育児ノイローゼになる人が実は多いのです。妻が専業主婦でも、夫の子育て参加はなぜ重要なのということを、私はきちんと出していく必要があると思っています。ほかにはよろしいでしょうか。

○神吉委員 今の点に関して、夫婦でいろいろな稼ぐ形態はあると思うのですが、そこで男女の賃金格差がある限り、100パーセントの援助がない限り、賃金が高いほうが休むほうが経済的に不合理なわけで、低いほうが休むことになると思います。参考資料の1-6-(3)を見る限り、ひとり親でもそうですが、ふたり親世帯で見ても、金銭的支援が必要だと考えている世帯が7割ぐらいということで、支援制度で期間の延長であるとか、そういったことも選択肢としてあるのですが、金銭的支援の必要性は非常に高いと読めると思います。そうすると、必要だから、大事だからと言われても、金銭的な援助がなければ取りづらいと。特に金銭的に困窮しているような世帯に関しては、いくら社会的に必要であっても、自分の家庭の状況から見れば、取れないということがあると思うのです。特に専業主婦世帯であれば、恐らく男性が休むことによってかなりのマイナスになると考えられますので、そういった部分の補填がないと、必要性だけでは押していけないのではないかなと思っています。

○佐藤座長 「その他」の転勤とテレワークについて何か御意見があれば。

○池田委員 転勤ということ自体がいろいろな問題を含んでいると私も思うのですが、現状の配慮規定というのがどの程度実効性があるか。要するに配慮されるのかどうかということをまず確認する必要があります。使用者側からは「配慮しています」という話も聞かれますが、コミュニケーションがきちんと取れているのかどうか。現場で実際に労働者の話を聞いていると、一応転勤したくないと言ったら、そうだねと言われたけれども、やっぱり辞令がきたとか、そういう事例もあります。今の実効性という部分がどうなのかを1回整理した上で、議論を進めたほうがいいと思います。

 あと、テレワークについては、これも先ほどのライフステージに応じたというところで考えると、いわゆる子どもが小さいときに、家で仕事と言っても、ほとんどできないという意見が結構あつて、テレワークを導入してみるけれども、やっぱりできませんでしたという意見をよく聞きます。これも例えば子どもが小学生ぐらいになったときに、横で宿題をやっていて、親が仕事をしているとか、そういう想定の方が合うかもしれません。どういう場面でテレワークがマッチするかを少し整理して議論を進めたほうがいいかなという感想を持っています。

○佐藤座長 テレワークのところは、どういう趣旨でしょうか。今回初めてですか、もともとあったのでしたか。休業を取らなくても働きながら両立できるのではないか、短時間勤務を使わなくてもという趣旨ですか。

○蒔苗職業家庭両立課長 前回開催の研究会でも出まして、テレワークはこの問題に限らず、与党内でも議論はあるところでございますので、1回研究会のほうでも議論を頂いて、措置義務的なところで、どういう入れ方がいいのかとか、前回の研究会、審議会で結構議論があった事項です。

○佐藤座長 育児休業中の仕事、矛盾だけれど、そんなことにならないですか。それはちょっと困るからと言ってください。

○武石委員 テレワークとか、個別な施策だけを押すというよりは、全体としてのフレシキビリティを高め、しかもそれは育児・介護だけではなくて、一般の労働者も含めてフレックスとか、テレワークとかというのを、全体のフレキシビリティを高める中で、制度を考えていくことが必要かなと思います。先ほど池田委員も、勤務時間短縮に関して、期間の延長の課題をおっしゃいましたが、一つの制度だけを推進していくという、何かいびつな方向に持っていくことがすごく懸念されるので、テレワークやフレックスタイムなどは全体の労働者にとって必要だという中での議論が必要であるというような印象があります。

 それと、ひとり親家庭への配慮の所で申し上げると、こういう特定の世帯の制度を延長するというのは慎重になるべきかなと思います。ここにも企業のディスインセンティブというのが指摘されていますが、企業の制度の中で、こういう特定の人だけを優遇することはどうなのかなという気がしています。ひとり親世帯は、むしろ保育制度とか、そちらのほうをきちんと手当てをするべきで、雇用の仕組みのところはなるべく同じような制度で処遇していくことがよいと考えます。先ほどのテレワークもそうなのですが、育児をしている人たちが特別いろいろな制度で守られるという構造は、ほかの人たちがすごく厳しい労働環境だから守らなければいけなくなっていくので、ほかの人たちがもっと働きやすい環境というのを一緒に議論していくことが必要だと思います。

○佐藤座長 では、全体を通じてでかまいませんので。子の看護休暇の所で、有期の人のデータはないのですか。有期の人だけは分からないですか。基本的に、取れるわけですよね。ですから、例えば正社員で働いていて辞めて、子どもを預けて働き始めてというと。分からないですか。

○中井職業家庭両立課長補佐 データについては、確認いたしますけれども。

○佐藤座長 今見た限りは。

○蒔苗職業家庭両立課長 資料の43ページにあります。ひとり親家庭(女性非正社員)の子の看護休暇というデータで、全体があるかどうかは。

○佐藤座長 全体のは、雇用均等のだと、一本になってしまっているのかな。よく分からない。

○蒔苗職業家庭両立課長 ちょっと確認します。

○佐藤座長 あともう1つは、育児・介護休業法のところだと、育児休業で産休は別なのだけれども、特に有期の人からすると、社員のほうは、産休、育休は全部セットなのだけれども、有期の方は雇用契約期間中は産休が取れる、それが取れると次は育休という話になるので、だから、育休だけ取るというのではないので、産休が取れて初めて育休にいくわけです。ですから、産休が取れるということを知っているかどうかは、特に有期の方は大事です。社員は多分セットで考えているのですが、有期の人は現状、ルールで産休は取れるけれども育休は取れないという人もいるのだけれども、育休が取れないと産休も取れないと思ってしまったりということもあるので、そこは社員と別に議論する必要があると思います。全体を通していかがでしょうか。

○田代委員 全体を通じてですが、特に非正規の方の問題であるとか、先ほどの男性の育児休業のところでも御議論がありましたが、制度を周知されているとかされていないよりも、やはり本音の部分では、経済的な部分でどういう選択をするかというところが、現実の結果となってきているのだろうと思います。企業としては、働き方の多様性という観点で、いろいろなメニューを工夫して、どういう形で皆さんに働きやすい環境を作るかについて、いろいろな検討が必要だと思います。

 経済的については、社会保険とか、社会全体での枠組でどう解決するかという問題でしょうから、働き方への支援と同様に経済的支援も安易に企業側の負担という論調になるのはいかがなものかなと感じております。

○佐藤座長 ほかにはいかがですか。あと、27ページの特別養子縁組で、ずっとあるわけですが、どこまでかということで、現状でいうと一番上の所でということですが、多分、特別養子縁組の監護期間の下の養子縁組里親も、この辺をどう考えるかというのを、御意見があれば伺いたいと思うのですが。下のほうは、ある面で、お願いをして手当も出してみていただいている。つまり、社会的養護の仕組みの中でやるのと、養子をもらおうとしている人が働きながら自分でというのは、かなり違うところがあるので、多分一律ではないと思いますが。何かあれば。

 なかなか難しいです。今日はいいです。ほかには。議論でもかまいませんので、いろいろ出た中で追加的に、自分はこういうふうに思うということでも結構ですので。

 以前から出ていましたが、武石委員が言われたように、やはり全体として、働き方の柔軟性を、つまり子育て中、介護中の人だけではなくて、過度な残業がないとか、転勤も必要だと思いますが、もう少し転勤の回数を全体として少なくしていくとか、柔軟性、ワーク・ライフ・バランスを取りやすいようなものをやりながら、他方で、特定の子育てとか、介護とかやれる制度。ですから、全体を変えていかないと、やはり制度がないと両立できないというのでは困るので、それはすごく大事な論点かなと思います。

○池田委員 子の看護休暇制度と、介護休暇制度というのは、よく似ていて、企業によってはもう統合している企業もあるみたいなのです。例えば、介護休暇の対象にも子どもが入っている場合があります。そうすると、別々でこれからもやっていくのか。目的とか想定している場面が違うので、別々でもいいと思うのですが、いろいろメニューが雑多に増えると、人事管理上の手間が結構かかると思うので、そこは整理が必要かなと思います。この後、介護のほうで議論があると思うので。

○佐藤座長 看護休暇は、別に高齢者介護だけではなくて、子どもを含めてですよね。介護休暇は範囲が違うのですか。看護休暇と一緒。子の看護と確かに実際上はなかなか難しい。

○池田委員 武石委員がおっしゃったように、個別の、今あるメニューの11個を延ばしたり縮めたりというのもいいですが、育児、介護両方ある法律の立て付け全体として、どういうメニューが家族のケアのために必要かということを1回整理して、この後の検討に入るということが必要だと感じます。例えば、ひとり親の問題でも、介護休暇は、独身で1人で介護している人が介護休暇を年に5日というのはあるわけです。世帯の多様性という意味で介護のほうが大きいですから、そのように考えると、ロジックの話として、何で子育ての場合だけ両親揃っていることがそもそも前提で、ひとり親は特別に議論するのかという話にもなるじゃないですか。ですので、ちょっとそこは1回整理をしてもいいと思いました。

○佐藤座長 そこは、本当に同じなのか。子の状態によっては、子の看護休暇が足りなくなったら、場合によっては介護休暇を使えてしまうのですか。

○田代委員 今の御意見のとおりで、当社はファミリーフレンドリー休暇ということで、あるゆる介護も、例えば小学校の参観日も含めて、いろいろな要素で取れる休暇を年次有給休暇と別にもっていますから。法律はどうしても個々の事象ごとにできますが、どういう法の立て付けかかれらず、全部その休暇それで対応しているよねという整理をしてしまっています。

 法律を議論するときに、大企業のように、すでに進んでいる制度を持っていて、もっと企業として社会的にある姿勢を出すためにこういう施策を入れてくださいということで求められる施策と、本当に法律ぎりぎりでやっている中小企業に、ここまでは最低でも是非徹底して入れてくださいというものがあると思いますので、そこの部分を整理して考えないと。私の立場でこう言っているのは、やはりどうしても大企業の目線で話をしてしまうので、それは包含して入っていますからいいですよとか、そういう発言についついなってしまうのですが、この研究会の目線をどこに当てて、重点的に何をやるのかという部分をもう少し整理した上で議論が必要だと感じております。

○佐藤座長 田代委員が言われるように、法律で全ての企業に、そこで働いている全てに適用されるような議論ですので、今、田代委員が言われたことを念頭におきながら考えるということだと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。僕は時間が足りなくなるかと思って、すごく心配で、急がせてしまったのはいけなかったかなと思ったり、初めから全部意見をくださいと言ってしまったので。事務局から、もう少しここを伺っておきたいということはありますか。今日は、いいですか。

 それでは、事務局で本日用意していただいた、仕事と子育ての両立に係る個別課題についての御意見は、一応、ワンラウンドとしては一通り出していただいたというようにさせていただきます。

 今日は仕事と子育ての両立の話なのですが、今日お手元に仕事と介護の両立の参考資料として、ケアマネジャーの調査を出させていただいていますので、時間が少しあるので、10分ぐらい御説明させていただければと思います。仕事と介護の両立支援という中で、1つは今年度から、要介護3以上でないと特養に入れないという基準に変わりましたが、基本的には要介護12までだと、在宅介護から始まる。在宅介護から始まる場合、要介護者が必要とするサービスを考えてケアプランを作るケアマネジャーの役割が大きくなってきます。当然、要介護者の家族からしても、これから働いている人が増えてきますので、その人が特にフルタイム正社員で働き続けるというと、やはりケアマネジャーに、要介護者だけではなくて、介護者が働き続けられることを視野に入れながらケアプランを作ってもらうということが大事になると思いますので、現状のケアマネジャーがどんなふうに考えてケアプランを作り、要介護者だけではなく、介護者の支援をしているかということを調査したものです。時間が限られていますので、ポイントだけ。これは基本的に文科省の科研費でやった調査です。

6ページにありますように、去年の1月から2月にかけて、都道府県別の高齢者比率を見て、細かく言いませんが、幾つかの県を選んでやっています。居宅介護事業所にケアマネジャーがいるわけですが、そこに郵送で調査をして、2割ちょっとぐらいの回収率ですが、まあまあの回収率かなと思います。

 幾つかポイントだけお話させていただきます。1つは、22ページです。ケアマネジャーから見て、要介護者の家族が正社員として働いているようなケースがどのぐらいあるかという質問で、図表のIII-7ですが、現状でも、要介護者の家族が正社員として働いているというのは半分ぐらいで、しばしばあるというのが結構出てきますので、そういう意味で介護者が働いているというのがこれからも増えてくるだろうという状況です。

 他方、そういう中で、要介護者のニーズに合ったケアプランを作るというだけではなくて、介護者が働き続けられることを考えてやることについての知識がどのくらいあるかということで、12ページを見ていただくと、現状でいうと、そういう研修というのはないので、実際上、仕事と介護の両立について研修を受けたというのは1割ちょっとです。ですから、そういうような研修を受けていない人たちです。他方で、介護者の半分は正社員として働いているというような人が出てきている。その結果、20ページを見ていただくと、介護休業とか介護休暇についてどの程度知っていますかを聞いているのですが、制度の名前は知っているけれども中身をよく知らないという人が半分前後です。介護休業とか介護休暇という、基礎的なことについても知らないということになります。

 そういう中で、先ほどの22ページに戻りますが、そういう正社員として働いている介護者が増えているのですが、制度を知らないので、どんな課題を感じているかというと、これは石山さんのときでもありましたように、これは介護者が正社員として働いている人がいる場合にどういう課題がありますかと聞いているのが22ページの下のIII-8ですが、「介護者が働いているため相談等のための時間を十分にとってもらえない」。これはもちろん実際上取れないということもありますが、ただ、介護休暇があるということが分かれば、それを使ってくださいということを言えると思うのですが、半分の人は知らないので、介護者の方が、私は忙しくて駄目ですというと、そうですかと言ってしまうようなことも起きているのかなと思います。あとは、介護者が仕事と介護を両立するために提供するプランとか情報というのを知らないというのは、結構多くなってきています。

 そういう中で、24ページを御覧ください。実際上、介護者が正社員として働いている場合に、ケアマネジャーは、要介護者のインタビューだけではなくて、介護者の両立を支援するのに、どのように働いているかというのを聞かなければいけないのですが、勤務日、勤務時間とか、仕事や残業なども聞いているのですが、必ず聞くという人はそんなに多くなくて、そういう意味では介護者の事情は余り把握していない。逆に言えば、そこを考えないでも、ケアプランを作ればいいじゃないかと思っている人がいるというところです。

 きちんとこういうことを把握できている人はどうなのかということを調べています。例えば31ページを見ていただくと、そういうことを把握している人は会社、企業の制度を知っているということです。ですから、必要性があるということを分かっている人は、会社の制度も分かっていますし、研修を受けた人では、把握するという人が増えてきています。

34ページを見ていただくと、仕事と介護の両立について研修を受けた人は、13.5%ぐらいしかいなかったのですが、そういう研修を受けた人は、要介護者だけではなくて、介護者の働き方とか、転勤があるとか、残業があるとか、そういうことを聞いているというのが34ページにあります。仕事と介護の両立について研修を受けた人だと、必ずそういうことを聞くという人が増えてきているということがあります。

 そんなことで、後で詳しく見ていただければいいと思いますが、まとめますと、要介護者の家族が正社員として働くというのは、結構今では増えてきています。ただ他方で、要介護者だけではなくて、介護者も働き続けられることを考えてケアプランを作ろうと考える人は、それほど多くはない。その背景には、そういうことについて研修を受けていない。ですから、どういう制度があるのか余り知らないとか、その結果、自分も結構仕事が大変になっているという面もあるのかなと思いますので、もう少しケアマネジャーに両立のために必要な情報提供をしたりとか、要介護者だけではなくて、介護者が仕事と介護を両立できるようなことを考えられるケアマネジャーを増やすことが大事なのではないかということを、まとめに書かさせていただいています。

○石山委員 大変貴重な調査だと思います。ありがとうごさいます。私としましては、ざっと拝見させていただいて、気になった所なのですが、例えば22ページの図表III-8なのですが、一番多かったのが、「介護者が働いているため相談等のための時間を十分に取ってもらえないこと」というのが、ケアマネジャーとして対応に困っている点とあるのですが、以前この委員会で出されたデータの中で、働いている介護者が誰に対して相談をしているかというところで、家族が最も多かったのですが、その次に多いのがケアマネジャーだったのです。それでありながらも、このように実際には時間が取れていないという現状をどのように解決していくのかというところが、大変重要だと思います。

 また、同じグラフの中で、「両立を可能とするために介護者からどのような情報を収集すべきか分からないこと」というのは4%で、ケアマネジャーは対応に困っていないのですね。であるにもかかわらず、24ページの図表III-10では、実際には聴き取るべきことを聞き取れていないという実態があります。ですので、ケアマネジャー個々に聴き取るべき情報の認識が異なっていると考えますので、仕事と介護を両立していくために最低限聴取すべき内容を、国としてアセスメントシートを標準化していくべきではないかなと考えます。

○佐藤座長 ありがとうございました。見ていただければいいかなと。ケアマネジャー調査はあるのですが、それはどのようにケアプランを作っていますかという調査なのです。ケアマネジャーがどのように働いているかとか、介護者の両立をどのくらい考えているのかは余りないので、そういう意味で参考にしていただければと思います。もし何か今の調査についてもあれば。よろしいですか、関係者。

 それでは、私がむりやり皆さんに効率よく発言をしてくださいと言って、いただいたということで、どうもありがとうございました。今日はここまでとさせていただきます。今日の議論を踏まえて、論点を整理していただいて、今度は少しディスカッション、もう少しいろいろ議論するような時間を取りたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次回は、平成26年度仕事と介護の両立支援事業「介護離職を予防するための職場環境モデル」について、この事業の中で、社員へのいろいろな研修をやったことによって、社員がその両立についての心構えとか知識が本当に高まっているかどうかというようなことを、事前事後で調査していますので、そういう結果を踏まえたものについて、ニッセイ基礎研究所の松浦主任研究員から御説明いただきます。平成25年度の成果については、第6回の研究会で御説明させていただきましたが、次回のは平成26年度の仕事と介護の両立支援事業の成果ということになります。

 その後、現在調査を実施しております仕事と育児の両立についての調査ということで、「平成27年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査研究事業結果概要」について、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの研究員の方に御報告いだきます。その後、引き続き、個別論点について御議論をいただくということになりますので、よろしくお願いいたします。それでは、事務局から事務連絡があればよろしくお願いします。

○中井職業家庭両立課長補佐 本日は誠にありがとうございました。次回の日程ですが、529()の午後3時から5時となっています。場所につきましては、厚生労働省19階の共用第8会議室でございます。

○佐藤座長 それでは、また次回もよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

 


(了)
<<照会先>>

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
電話 03-5253-1111(内7864)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 雇用環境・均等局が実施する検討会等> 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会> 第9回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会(2015年5月15日)

ページの先頭へ戻る