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2015年4月24日 精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第3回)議事録

○日時

平成27年4月24日(金)17:30~ 


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○出席者

構成員

安西座長、青木構成員、青嶌構成員、岩坂構成員、栗原構成員、後藤構成員、
富岡構成員、西村構成員

○議題

1.開会

2.議事
(1)関係団体からのヒアリング
(2)障害認定の地域差に関する調査の追加分析について
(3)等級判定のガイドラインの考え方について
(4)その他

3.閉会

○議事

(安西座長)

 定刻になりましたので、ただいまより第3回の精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会を開会させていただきます。

 私は、帝京平成大学の安西と申します。座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 本日は、大変お忙しい中、この検討会にご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 今回、有井構成員は、本日、ご欠席と伺っております。

 それでは本日の資料と議事につきまして、事務局から説明をお願いします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 本日の会合資料の確認をさせていただきます。

 座席表、構成員名簿、参考人名簿のほか、お手元の議事次第のもと、資料1といたしまして「関係団体からの意見」、資料2といたしまして「第2回検討会に提出した事例の概要」、資料3といたしまして「第2回検討会における議論の概要」、資料4といたしまして「障害基礎年金の障害認定の地域差に関する調査〔追加分析〕」、資料5といたしまして「障害厚生年金の障害認定に関する調査」、資料6といたしまして「等級判定のガイドラインの考え方について」をお配りしております。お手元にございますでしょうか。不足等ありましたらお申し出いただければと思います。

 続きまして、本日の議事でございますが、まずはじめに本日ご出席をいただきました団体の皆様方から、障害年金の認定の地域差をはじめとした障害年金に関する意見についてヒアリングをさせていただきたいと思います。4つの団体からそれぞれ10分程度のお話を、合計40分程度いただいた後に、構成員の皆様方からご質問いただく時間を15分程度とりたいと思います。そのヒアリングが終わりましたら、調査の追加分析の報告や等級判定のガイドラインの考え方についてのご議論をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

(安西座長)

 ただいま事務局から説明がありましたように、今回は、前半はヒアリング、後半は追加分析の結果などを踏まえて、議論を進めたいと考えております。

 まず参考人としてご発言いただきます皆様方には、大変お忙しい中、この会合にご出席いただきまして本当にありがとうございます。限られた時間ではありますが、質疑応答を含めまして、お話をお伺いしたいと思っております。

 それでは最初に、全国精神保健福祉会連合会の本條様からお話をいただくということでございますので、本條様、よろしくお願いします。

 

(全国精神保健福祉会連合会本條参考人)

 全国精神保健福祉会連合会の本條義和でございます。このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。早速、参考意見を申し述べたいと思います。

 私、当会からの意見につきましては、1ページから2ページにかけて、あらかじめ提出させていただいておるところでございますが、その前に、今回は、特に地域差に関する参考意見を述べるところでございますけれども、確かに地域差ということも大きな問題でありますけれども、先日、ご提供いただきました資料によりますと、不支給の件数が年度ごとに増えてきております。平成22年度におきましては1万1,210人が、25年度では1万3,610人と、このように全体的な数も増えてきております。確かに地域差を是正するということは大切でありますけれども、それによって本来、受給できる人が受給できないようなことになれば、さらに問題が大きくなると思います。もちろん不正受給等は抑えていかないといけないわけでありますけれども、本来受けるべき人が受けられないというようなことがないようにもご配慮願いたい。このように思っております。

 それでは個別の意見を申し上げたいと思います。

 障害年金の認定についてでございますけれども、精神疾患の診断書には、機能障害とともに日常生活能力の判定も書かれているところでございます。しかし、主治医には、なかなか日常生活の様子がわかりにくいという面もあるのではないかと思います。また、日常生活能力は就労能力、働く能力というものと同一ではありません。障害認定基準にも「労働に従事していることをもって直ちに日常生活が向上したものと捉えず」とありますように、あくまでも日常生活における活動能力で判断すべきと思います。

 例えば、一般就労していても、自宅に帰って、疲れ果て晩ご飯も食べないで入浴もしないというような場合は、同居の家族の支援があってこそ、そういうことができて、そして仕事もできるということでございますので、ようやく就労できていると。その点、単身で生活するとしたら、そういうことができないわけでありますので、「単身で生活できるとしたら可能かどうかという判断をする」という視点は、評価したいと思います。そのためにも、より明確で家族や当事者、一般の人にもわかるような明確な基準が求められるものと思います。

 それから就労したら年金がもらえなくなるという、これは必ずしも事実ではないようでありますけれども、そういう不安がストレスとなって病状悪化にもつながっていきますので、そこら辺も配慮していただきたいと思います。

 精神の障害は実にいろいろな種類があり、また多様であります。したがって同じ精神病の精神疾患の病名であっても、その症状はお一人お一人異なると言っても決して過言ではありません。病名で判断するのではなく、あくまでも日常の困難性で判断していただきたいと思います。

 認定要領によりますと、精神の障害は、「統合失調症、統合失調症型障害」「気分障害」いわゆるうつ病です。それから「症状性のある器質性障害」「てんかん」「精神遅滞」知的障害です。それから「発達障害」となっております。高次脳機能障害(器質性精神障害)の場合、症状型もありますが、脳器質性人格障害、それから精神遅滞(知的障害)等多様でありますので、それから発達障害も実に多様であります。認定要領によりますと、人格障害は原則として認定の対象にならない。神経症もそうでして、たとえ長期間持続し、重症なものであっても、原則として認定の対象とならないとなっておりますので、あくまでも生活のしづらさ、病名ではなく生活のしづらさで判断すべきと考えております。

 地域差につきましては、既にいろいろなご議論があったところでありますけれども、精神障害・知的障害に係る事例が特に地域差が多いようではあります。そこら辺を十分配慮していただきたいと、こういう具合に思っております。

 それから、精神保健福祉手帳の級別の基準と非常に似通ったところもありますので、手帳の等級格差というのは、都道府県別ではどのようになっているか、ぜひ、今日でなくても結構でございますので、教えていただきたいなと思っております。

 それからそのほかでございますけれども、最近、話題になっております初診日の確定です。

 初診日について、初診日の証明というのが非常に精神障害の場合は、難しいわけなのです。といいますのは、初診日というのは、今の疾患ではなく、現在の障害の原因になっている疾患の前駆症状で、それにおいて初めて受診したこれ、資料が間違っています。「人」となっていますけれども「日」の間違いであります受診した日になっております。

 したがいまして、精神疾患は他の病気と違って、未治療期間が長く、申請したときに初めて受診した病院が既に廃院、病院がなくなってしまっていたり、あるいは5年間の保存期間と言われているカルテが廃棄されてしまっていたりして、初診日の証明が得られず、障害年金を断念せざるを得ない場合も少なくありません。

 一方、公務員は、自己申告でよく、官民格差が云々されています。公務員の受給申請を厳しくすることによって是正するのではなく、初診日の認定をできるだけ配慮して、できるだけそういう厳格な証明がなくても、初診日を認定できるようにしていただきたいと、こういう要望を最後にいたしまして、参考意見としたいと思います。

 以上です。

 

(安西座長)

 ありがとうございました。

 認定の仕方と初診日につきまして、その他いろいろ貴重なご意見をいただきました。構成員の先生方からご意見をいただきたいのですが、それは後ほどまとめてご議論いただきますので、先へ進めさせていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、全国手をつなぐ育成会連合会の久保様と小原様からご意見をいただきます。よろしくお願いします。

 

(全国手をつなぐ育成会連合会久保参考人)

 全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。こちらにおりますのは、振り仮名が間違っておりまして、「こはら」と申します。

 私のほうから、今日、このように専門家検討会で年金の地域格差についてご検討いただいているということで、本当にそのことに期待をさせていただいておりますし、またこの場で発言の機会をいただいたことに感謝申し上げたいというふうに思っております。

 事前に資料として提出させていただいておりますけれども、余り時間がなかったのですけれども、4日か5日ぐらいの日にちで、急遽、4日後に提出というような形で、全国で意見があったら出しなさいということで、アンケートをしまして集めました。それをある程度まとめさせていただいて、実例を挙げさせていただいておりますので、お読みいただいておりますから、全部を読むつもりは当然ございませんので、少しつけ加えさせていただく部分だけ、私がお話しさせていただいて、彼女のほうは実際に兵庫県の理事長をしておりますけれども、息子さんが、実際に年金が一旦減級されて、というような経験を持っているものですから、兵庫県も結構たくさんの不支給なり減級の例がございますので、彼女のほうからも発言させていただきたいと思って、二人で参加させていただきました。

 ざっと読んでいただいていると思いますけれども、私ども育成会としましては、まずは窓口の対応が余り親切でないということがあるのです。申請に行くと、申請そのものをさせてもらえないということが、結構幾つもの事例として挙がっております。いわば私たちは年金をいただけるかいただけないかは別として、申請ぐらいはさせてくださいよというぐらいの思いを持っております。

 それから、実例として幾つも挙がっているのは、就労すると年金が切られるという実例が幾つもあります。実際に5万、6万ぐらいしかお給料をいただいていないというような事実であっても、それは就労したら知的障害が改善された、よくなったというふうに見られて、年金を切られるというようなことが発生しております。実際にそういう判断がおりてきているというのが、実際の問題としてありまして、このことは彼女も後、話をすると思いますけれども、本当に家族とか周りのサポートがどれだけあって初めて就労できているかというところを見ていただきたいというふうに思っております。

 それから年金機構さんのほうで、どういうふうに言われたかという、具体的なものは、私は聞いておりませんけれども、障害のある人の就労の状況を電話で聞いてこられた。そのときに、会社の方は、ご本人の評価をきちんといいほうにしてあげないと、ご本人に不利になるというような受けとめ方をするような言い方であったというので、本当はご本人がその仕事ができていないのに、できますというような回答をしたということで、年金が切られたというようなことも発生しております。

 あとは改善に向けてお願いしたいことは、手続きを簡素化していただきたいということなのです。窓口で丁寧に説明をしていただかないと、これから先、権利条約にも批准しましたし、合理的配慮ということも言われておりますので、親でなくてもご本人が申請に行かざるを得ないという状態も発生すると思うのです。ご本人でもわかるぐらいに丁寧に説明がされるということが、本当は家族にもよくわかるということになりますので、そういう窓口での対応のマニュアルをぜひ作っていただきまして、研修をしていただいて、窓口で丁寧な説明をしていただきたいというふうに思っております。

 申し上げましたように、幾つも見受けられるケースで、特に発達障害とか自閉症の方が就労を一生懸命サポートしながら就労すると、年金が減級されたり切られるということは、基本、私たちの思いはもう20歳を過ぎて、30歳ぐらいにもなれば知的障害が改善するということはまずないと思っているのです。それは周りのサポートとか、ご本人が一生懸命努力をして繰り返し繰り返し体験することによって、生活力はつくかもわかりませんけれども、知的障害が改善していくということはまずないというふうに思います。ですから、基本となる知的の障害が改善することはないのだということを、しっかりと捉えていただきたいなというふうにも思っています。

 それから、不支給の一番多い大分のほうから、アンケートをとっても返事が返ってこなかったのです。大分のほうに電話をして聞きましたら、早い話が初めから諦めているというような感じの返事だったのです。要は、申請しても多分、中軽度の人は無理だというふうに諦めてしまっている人が、本当にたくさんいるということをご理解いただきたいと思っています。不支給が余り多く発生していない県でも、軽度はもらえないと思って、初めから諦めているから、不支給が発生していないということもあるというふうに思っていただきたいというふうに思っています。

 今、ご検討いただいている中で、判定の機関を県ごとでやっていただいているのは、県の前の審査員がどういう判定をしていたのかというのがお手本になって、ずっとつながっているというような感じなのです。ですから、その県独自の判定基準みたいな、案みたいなものができ上がっているというような感じになるのです。ですから隣の県ではもらっているのに、うちは厳しくてもらえないというのは、緩い県は緩いままの前の審査員がどう判断していたのかというので、ずっと審査基準が暗にでき上がってしまっていて、厳しいところは厳しいままで県ごとに基準のようなものができてしまっていて、横のつながりも、情報交換もないですから、その県ごとにできてしまっている状態ではないかなと思っています。ブロック化しようということもご検討いただいているようですけれども、そのブロックでやっていただくことは、県ごとのばらつきはなくなると思いますけれども、またブロックごとのばらつきが起こらないように、厚労省の指示等がダイレクトにきちっと通じやすいというような平準化された、そんな工夫が必要かなというふうにも思っております。

 公平性のガイドラインが本当に必要だというふうに思っておりますし、知的障害、今、精神の先生もおっしゃいましたように、知的障害は精神障害の中に入っているのです、医学的に言うと。精神障害の中に入っていますけれども、精神障害の方は、お薬とかそういう関係で状態がよくなったり、悪くなったりというのがありますけれども、知的障害の場合は、そんなに頻繁によくなったり悪くなったりということはない訳でして、重度な人はずっと重度ですし、日常の困り事がある場合は、ずっと困り事は持ったままですので、できたら精神障害の判定基準と別の知的障害の判定基準を作っていただきたいなというぐらいの思いを持っております。

 それと、認定のお医者さんの研修をぜひやっていただきたいなという思いを持っております。ブロックごとでも全国でも、厚労省で集めていただいて、できるだけ公平に平準化していくような、そういう研修もやっていただきたいというふうに思っております。

 それと障害福祉のほうは、障害支援区分も、医学モデルから社会モデルのほうに変わっております。ぜひ私どもはこの障害年金のほうも、医学モデルから社会モデルに視点を変えていただいて、ガイドラインを作っていただきたいというふうに思っております。

 私からはざっとした全体のことですので、小原のほうから実際の実例も含めてお話しさせていただきたいと思います。

 

(全国手をつなぐ育成会連合会小原参考人)

 兵庫県の小原と申します。

 実例と申し上げましたが、私ども日にちが少なかったので、兵庫県のほうの調査を三役が知っている限りのごく最近の調査をさせていただきまして、9例の話が上がってまいりまして、2例が、就労がゆえに減級もしくはゼロになった方、あと7例が重度の人だけれども生活介護に通っている人たちが2級になったというケースが、今、上がっております。

 我が子のことを申し上げますと、我が子はA判定の重度のてんかん持ちの男の子です。その子が、私は、一度は社会に出したいと一生懸命頑張って、就労を経験させてやりたいと努力いたしました。その結果、4社ぐらい行った中で、やっと就労が決まったのですが、1社目は会社の都合でだめになりまして、2社目のときに、障害がゆえにやってはいけないこと、機械に水をかけてしまって、首になりました。3社目で、やっと本人が納得できるところに就職はできたのですけれども、現在は、てんかんがひどくなりまして、退社して、通所の施設に通っております。

 でも年金のほうは、3年間、アルバイトが続いたからという理由で、理由はそのときは書いておりません。障害の程度がよくなったからということで、ある日突然、封書が来まして2級になりました。私は納得いかなかったので、お電話で聞かせていただきましたら、アルバイトが3年続いたからというふうにお答えいただきました。詳しく聞きたいと思ったのですが、そのお電話に出られた方は「私に聞いてもわかりません」と言われて、それ以上詳しいことは何もわかりませんでした。

 本当に、だめになった場合の親に対しての説明が不十分で、もう少し詳しくこんなところができるようになったから、障害の程度がよくなったんだよという、わかりやすい説明があってしかるべきかとも思いましたし、だめになって不服申し立てをしましたときも、やはり3年アルバイトが続いた人だから無理です、みたいなお返事が返ってきましたので、私はとても納得がいきませんでした。たまたま職場が首になったので、もう一度再請求させていただきましたら1級に戻りましたが、本人の障害そのものは、何ら変わりはありません。やはり会長が言われたように、周りの合理的配慮と本人の努力、親の本当にたゆまぬ支えがあって、就労が続いたものと私は思っております。

 私の周りでは、あんなに頑張って就労ができた人が、3年頑張ったらこんな結果になって年金が、級が落ちてしまった事実を伝えると、そんな国が目指している、地域で暮らそう、障害がある人も就職しよう、仕事しようというふうに言われている中で、それをそのとおりに頑張ったら、こんな結果になるのだったら、私はもう頑張らないと言った親がたくさんいました。

 こんなモデルが各地であった場合は、本当に一生懸命、国のほうはそんなふうに進めていらっしゃるのに、本当に私は悪いモデルになってしまったかなと、反省はしております。何度も何度も不服申し立てや再審査請求をしても戻らない人がたくさんいるという現実の中で、そもそもこんな努力をしなくても、知的障害の人は病気ではなくて障害なので治りません。だからそこのところはもう少しわかっていただいて、こんな努力をしなくてもいいような制度にしてほしい。よその団体の足を引っ張るわけではありませんが、身体障害者の方と同じように、障害と県が認めてくださって、国も認めてくださるのであれば、親も子もそういう努力をしなくても済むような、そうではなくても日々いろいろな努力をしております。ぜひ親亡き後も本人が申請をし続けなければならないこんな仕組みは、改善していただきたいというふうに切に思っております。

 できましたら、本人たちが頑張って就職したら、「障害の程度がこんなに重いのによく頑張ったね」と言ってもらえるような社会にしてほしいなというふうに切に思います。

 ありがとうございました。

 

(安西座長)

 どうも大変重要なご指摘をありがとうございました。

 それでは続きまして、日本自閉症協会の今井様、よろしくお願いします。

 

(日本自閉症協会今井参考人)

 ご紹介いただきました日本自閉症協会の今井でございます。よろしくお願いします。また、このような発言の機会をありがとうございます。

 早速、9ページのところから話をさせていただきます。時間の制約もございますので、ポイントだけにさせていただきたいと思います。

 私どもマスコミ等で問題になる以前から、不支給だったとか支給停止になったという声が会員から、あるいは周囲から聞こえておりました。そこで2、3年前から、情報収集にずっと努めておりました。しかし、なかなか一律的な議論ができないと思っておりましたが、今回の調査結果をいただきまして、改めて「なるほど、やはり全体的にも起こっていたんだ」ということを認識した次第です。

 以下、意見を述べさせていただきます。

 まず1点目は、支給抑制が進んでいるということについてです。これは見過ごすことができません。進行しています。これは家族からの相談とやはり合致していました。ご提供いただいたデータを並べてみても、不支給・却下割合が4年間増えておりますし、特にデータを詳しく見ると、もともと不支給の高い県、これは変化していないのです。ところが、もともと不支給が低い県がだんだん高くなって、平均値を上げている。ですからこの図の10%未満と10%以上の県の数を見ていただくとわかるとおり、2010年では数が拮抗していたのです。ところが2013年では、10%未満の県というのは減少して、これが高いほうにだんだん入ってきている。こういうことでありますから、何が原因かは別として、全体として支給抑制が客観的には進んでいる。こういうふうに見なさざるを得ないと考えております。ただ各県が一律だとは思っておりません。

 2番目ですが、認定基準改正の趣旨に反し、特に就労継続を理由に支給されないというのがたくさん寄せられています。2年継続して就労できるなら年金は必要ないとか、あるいは就労の訓練機関に行き始めた途端に支給停止になったとか、大体就労を理由にした支給停止あるいは不支給、あるいは学校に通っているというようなことでそうなっております。

 これは、非常に問題だと思っています。なぜそれが2級非該当にされてしまうのか。このことについて特に述べたいと思います。

 次のページ、10ページ目の一番上のところに書いていますが、結論的には実態に即した認定がされていない、即ち支援を得て就労していることが考慮されていないということであります。少なくとも就労のみを理由とした2級非該当を、例えば認定医が判断したとしても、認定の事務官がそれは理由にならないということをしっかり説明していただいて、再度認定をやり直していただきたい、このように思います。

 それから10ページ目の中段から下のところに書いていますが、発達障害の人も適切な援助や配慮のもとで安定した就労は可能です。そのことと生まれつきの知的障害、あるいは発達障害という障害自体は治ったということとは全く別の問題でございます。しかしながら、実際には、厚生年金加入2年以上のケースで不支給、あるいは支給停止という事例が相次いでいます。明らかに「就労継続」の事実をもってして、年金支給の是非を判断しているとしか思えません。本来、労働に従事している期間の長短を年金支給の審査対象にしてはならないと考えます。本来、稼得能力や、あるいは外見的に就労しているかどうかは、等級認定には無関係でなければならないのではないかと思います。

 そこでデータをもう一回、実はここは、厚労省さんの説明では、就労記載のありなしによる差はなかったというふうに書いておられますので、私のページをめくっていただきまして、13ページを見ていただけますでしょうか。同じデータを並べかえて解析しました。上側のグラフですが、横軸が全障害の等級非該当割合です。全障害が入っています。縦が精神・知的の等級非該当割合です。もちろんこれが全て45度の線の上にならなければいけないということはないとは思いますが、明らかに精神・知的が通りにくい県がどうもおありになる。あえて県の名前を書かせていただきました。横に数字が書いているのは件数です。

 それから下、図2のほうですが、横軸に精神・知的の等級非該当割合、先ほどの縦軸ですが、それを横軸にとって、縦軸は就労記載有の非該当割合です。就労記載あり・なし、つまり就労記載がある場合に等級非該当にしていると思われる県があります。上のほうに書いていますように、埼玉、千葉、群馬はそうなんです。そういうふうに意識しているのかどうかはわかりません。数字からは、意識しているのではないかと読める。それから先ほどもございました兵庫県ですが、これは右上にあります。つまりどういうことかというと、就労記載あり・なしに関係なく、とりにくい県になっている。これはどう見てもそういうふうにしか見えません。私にはそう見えます、データから、そういうことでございます。

 では10ページの下のところでございます。3.日常生活能力の程度(2)相当を年金支給の目安とするというのは、一律にそういうことを申し上げているのではないので、少し補足しますが、今、2を非該当と完全にしてしまいますと、全国で大体半数が非該当になりかねないので、2の場合について、今後、基準を作っていくときに考慮が要るのではないかと思います。

11ページ目の一番上でございます。地域格差解消の名のもとに、支給判断のハードルを上げるようなことがあってはならない。それをどのようにやっていくかというふうに考えております。

 次、4番目、労働意欲との関係ですが、これは精神科の先生の中にも、決して年金機構だとか、認定医の先生がそうだと言っているわけではないのですが、世間の中に基礎年金をもらうと、労働意欲がなくなるというふうに、実際にまじめに思っておられる先生がいらっしゃるのです。これは全然現実と異なります。今の年金金額は、アパートでひとり暮らしをするのが精いっぱいのお金でございますので、就活するためにも基礎年金は必要です。つまり親と同じところ、住んでいるところからしか就労先を見つけられないのでは、極めて選択の範囲が狭くなってしまいます。

 それから5番目、認定結果をわかるようにしてもらいたい。

 6番目、この間、不支給や支給停止とされた人たち、一律にということではございませんが何らかの合理的条件のもと、やはり再審査する必要があるのではないかと思います。

 7番目、窓口対応を改善してもらいたいということです。何度も、「はい、これを紙に書いてください」、書いて持っていったら「はい、次はこれです」、わざと小出しにして、明らかに嫌がらせとしか思えないようなところもあります。みんなではないですよ。あるいはアスペルガーだったらとれませんとか、就労しているから出しても無理ですよ、お金が無駄になりますよとか、そういうことを事実上、窓口でハードルを上げて諦めさせるというようなところが出ております。

 ぜひこれは改めていただきたいと思います。窓口で提出させないよう、諦めさせると、統計上の数字は不支給割合が減って、認定比率が高くなるわけですから、そういうふうなことが広がりかねないと心配しております。

 それから8番目、申請手続を簡素化していただきたい。それから次の12ページでございますけれども、関係者に自閉症についての理解促進をしてもらいたい。それから10番目、認定までの期間を短縮していただきたい。

 それと11番目でございますけれども、やはり書類審査だけであるということがこういう不信感を生みかねませんので、ここは何らかの改善が必要ではないかと、このように思っております。

 今回、量的な地域差があるという分析でございましたけれども、判断、認可の地域差がある、質的な地域差があるというふうにデータから感じられました。ぜひそこの辺をどのようにしていくか、ご検討いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。重要なご指摘、ありがとうございました。

 それではご意見の最後になりますけれども、日本発達障害ネットワークの市川様、よろしくお願いします。

 

(日本発達障害ネットワーク市川参考人)

 私は、発達障害の当事者、あるいは支援者、あるいは研究会、あるいは学会等の連合体であります日本発達障害ネットワークの理事長をしております市川と申します。私自身、精神科医を35年か40年ぐらいやっておりまして、日常臨床に関わっておりますし、現在でも障害年金診断書を月に5-10枚ぐらい書いているのでしょうか。書いている立場でいろいろ感じていることがありますので、それをお話しさせていただきたいと思います。

 現在の書式をつくるときの検討会の座長というお役目を務めさせていただきましたので、そのときのことを思い出します。今日、皆さんがおっしゃっている、働いている障害者の給料額の記入の問題というのがあります。前回の検討会のときも、なぜこれを書く必要があるかと、検討会の多くの委員が意見を出しました。そのときに厚労省の責任のある方が「これは障害者がもらっている給料が少ない、ということを示すための統計ですので、ご安心ください。」という発言をしました。私も座長として「厚労省がそう言っているのだから、皆さんご理解ください」と言ったことを覚えています。そのころから、当事者団体からは、大分心配の声が出ており、最近の状況は非常に残念に思います。恐らくそのときの検討会の委員たちは相当怒っているだろうと思います。

 皆さんが問題にしていることですが、診断書を記入している立場で、やはり申請する方が増えているという実感があります。最近は、保護者のほうから「年金をもらいたいのだけれども、どうしたらいいのですか」と質問するところから始まります。

 最近は、東京だと区役所・市役所窓口の人が「こういうのをもらえる」と言われてきたという話が増えています。「お母さん、どうしたいのですか」と聞くと「いただけるのならもらいたい」という話で、以前に比べてモチベーションが違うように感じます。年金だけではなくて、「ついでに手帳も、程度区分ももらっていらっしゃい」という感じで、いきなり何枚も持参する方もいます。「どうせ申請するのだから、みんな持って行きなさい」という話らしいのです。医者の立場からみると、3枚持ってこられると、慣れていない医者だったら2時間半から3時間かかりますから、仕事ができないと思います。東京の場合ですと、一部の公立機関では、なるべく受けないようにしようという話もあり、これもまた問題です。モチベーションが高くて来ている方については、何とかしなければならないと頑張っています。

 その結果かもしれませんが、申請却下者が増えてきていると思います。私は書いている方の7割位が発達障害の方を書いているせいもありますが、以前に比べると却下されている数が多いような印象があります。

 却下されやすい状況というのは、ひとつは、申請する側の医師が、発達障害をうまく理解して、その困難さを診断書に反映させていないのではないかと思います。

 以前は原則として精神保健指定医及び精神科を標榜する医師が記入することになっていたのが、余りにも指定医及び精神科を標榜する医師の負担が大き過ぎるということもあり、ほかの科の医者でも精神神経障害の診断または治療に従事している医師であれば、記入できるということにしたことが影響している可能性があります。

発達障害は後から出てきた疾患ですので、精神科のドクターの中にも、統合失調症や気分障害は得意だけれども、「発達障害は分からない」と言う方もいらっしゃるかもしれません。そうすると、その困難さを理解していただけるかどうか疑問です。手をつなぐ育成会や自閉症協会から話がありましたが、医学的には、知的障害とか発達障害には治るという概念はないです。

 もうひとつは、生得的に存在しているものですから、「よくなりましたからもうこれで大丈夫です」という概念がないのです。統合失調症や気分障害と同じ疾患の範疇だと考えるのは無理があります。

 もっと重要なのは、認定していただく側の、恐らく最終的には精神科のドクターが多いと思うのですが、発達障害が分かっていないのでは?、と疑問を持つ場合があります。窓口の担当者の方も、「講習会だか説明会で習った」という話でいろいろなことを言ってきます。この間、窓口から電話がかかってきて、「発達障害は生まれる前から存在するのだから、発症はみんなゼロ歳にしてください」とのことでした。医療では基底的な問題は存在しているかもしれないが、症状は早くても1歳半から3歳にならなければ出現しないことが知られています。医療内容まで口を挟むことについては、私は非常に疑問に思いました。

 先ほどから話が出ていますが、窓口のほうで、「どうせ通らないのだから申請しても無駄です」という説明があるという話も伺っています。

 それからもうひとつ私があったのは、非常に重い方で、1級に当然通ると思って出したのが2級だったということで、保護者から私のところに連絡が来ました。その事務所のほうへ電話をかけてみたら、「お医者さんの診断書が悪いからです」と言うのです。私が書いた診断書を見ると、全部、右側の1番重いところについていて、これ以上重くは書けない状態でした。

 これはさすがに東京都が間に入って1級が通りました。

 それから私もそうですけれども、診断書を書く場合に、医者のほうにも防衛機能が働いてしまうというところもあります。私は東京で書いておりますから関東の方の診断書が多いのですが、関東地方でも、発達障害だけでは「社会上困難があるので大変だ」と書いても絶対通さない県が3つありました。講習会とか何か、講演会のときに3県の悪口を言っていたら、そのうち2つは出してくれるようになりました。現在でもなお1県は発達障害では出しません。保護者の方に「申しわけないのだけれども、あなたの県は正直にこの病名を書くと出してくれないのだけれども、うそにならない程度に、ほかの病名をつけさせてもらわないと、せっかくの診断書料が無駄になるけれども、どうしましょうか。」と説明しなければいけないのです。これもちょっと変な話です。

 それからもうひとつ、申請する側の当事者あるいは家族の状況変化ということがあると思います。発達障害、知的障害もそうかもしれませんが、ご本人はともかく、保護者もやはり似たような傾向を持っている方がありますと、窓口で難しいことを言われてもよくわからないのです。「面倒くさいからやめました」というような話を時々聞いています。

 逆に、「却下されてもどうしたらいいかわからない」、「よく意味がわからない」ということをおっしゃる場合があります。

 それから4番目に、申請支援者の登場という新しい局面です。申請困難者、申請却下者への申請支援ということで、東京の場合ですと、社労士さんを中心に非常に相談に乗ってくださって、うまくやっていただけるケースがこの3、4年増えてきて、これはいいことだなと思っていました。最近は、私の患者さんが20歳が近づいてきたら、「診断書作成をお助けしましょう」と連絡があったそうです。これもまた親切かなと思っていたのですが、成功報酬20万が相場だという話を聞くと、単純にそれを喜んでいいかどうかわからなくなってきます。

 今後あるべき方向性として、今、申し上げたことを前提に考えますと、やはり申請書を記入する医師のスキルアップを図らなければいけません。いろいろな科の先生がかかわる時代ですから、申請書の書き方をある程度講習会でも実施していただくべきだと思います。

 それから認定する側の医師については、もっとスキルアップを図っていただきたいと思います。私が聞いている限り、どういう方が任命されていらっしゃるのかと聞いても、答えられないというのが現状のようです。「そろそろ疲れたから友達に譲るか?」という話も聞いたことがあります。その方が詳しければいいのですが、そうでないとうまくいかないのではないでしょうか?

 それから同じように、窓口の職員さんは多くの場合、キチンと説明会だか講習会を受けていただかないとまずいと思います。

また、家族の申請能力による不公平がなくなるように手続の簡素化ということをぜひ図っていただきたいと思います。

 それから先ほどからいろいろな方が言っておりますけれども、収入額による支給減額、支給停止はやめていただきたい。以前、検討会で厚労省の窓口の方に伺った段階では、「年収300万ぐらいがひとつの線でしょうか」と伺っていたのですけれども、今は聞いていると、もっと少ない額で切られている方がいるのは納得ができません。

それから再申請の簡素化です。却下されましたときに、却下の書類を持ってきてもらうのですが、ものすごく長くて、読んでいくと眠くなるくらい、いろいろなことを書いてあります。ただ最後のところに「却下した」ということだけは書いてあるのです。他の却下された方でも、ほとんどの方は似たような文章になっており、箇条書きにして「却下します、理由はこうです」ということをきちっと書かないと、もう1回チャレンジしようという気持ちがなえてしまうのではないかと思います。

 それから最終的に言えば、障害年金は何のためにあるかといえば、「障害者のためにある」ということを再認識しないといけないと思いますし、当事者・家族だけで申請・受領できるようにすべきではないかと、今、考えております。

 私は、あくまでも来院する方を第一に考えようと思うのですが、どこの県の方かまず考えてから申請の仕方というか、診断書の書き方を考えなければいけないのも、これは参ったなというのが正直な気持ちです。

 年金機構も老齢年金のことは随分たたかれておりましたが、「障害年金では年金機構、頑張っている」と言っていただけるようだと、ありがたいと思います。こういう機会を与えてくださいまして、どうもありがとうございました。

 以上、私の感想でございます。

 

(安西座長)

 どうも重要なご指摘、ありがとうございました。

 それでは参考人、4人の皆様からご意見をいただきまして、構成員の皆さんからご意見、ご質問とかいただきたいと思うのですが、初めに私のほうからこの13ページ、自閉症協会から図表を整理してご提示いただいておるわけですけれども、このデータにつきまして、データの読み方として、こういう理解でよろしいのかというあたりで、事務局から何かございましたらご意見をいただきたいと思うのですが。よろしいですか。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 自閉症協会様から、13ページでデータを出していただきました。これですけれども、横軸の全障害の等級非該当割合を見させていただきましたが、平成24年度の全体の数字でありまして、決定した件数と不支給になった基礎年金の件数と、それを足し合わせて支給割合を出している数です。

 決定した件数の中には、障害厚生年金も入っていますので、純粋に基礎年金だけではないという部分があります。あと、縦軸のほうはサンプル調査で行ったもので、ここからここまでの一定期間についての件数のみ内容を確認するために見たということで、縦と横が同じものをベースにして作っているものではないということは、ご理解いただきたいと思います。

上の表はそういうことです。

 

(安西座長)

 今のお話ですと、少しデータの出所といいますか、縦横の掛け合わせ方が少し違うかもしれないということですが、これは恐らく、後で事務局からまたデータのご提示がございますので、それで、より正確なものが出てくるかなという気もいたしますが、かなり印象的な図をまとめていただいていますので、上の図に関しては若干、縦横の比較に用いるデータが、もうちょっと正確に表現する必要があるかもしれない。しかし、下の図のほうは、データそのものが正確なものであろうと。

 

(日本自閉症協会今井参考人)

 より正確になることは望んでおりますが。

 

(安西座長)

 そうですね。

 

(日本自閉症協会今井参考人)

 きっと余り結論は変わらないのではないかと思っておりますので、それはデータを見てから判断します。

 

(安西座長)

 こういうふうにいろいろ違いがあるということが、示されているわけでございます。

 それでは参考人の皆様のご意見に対して、構成員の皆様から何かご質問とかご意見がありましたら出していただきたい。

 では青木先生、どうぞ。

 

(青木構成員)

 青木です。よろしくお願いします。皆さん、本当に貴重な意見をありがとうございました。

 今回の検討会の中では論点がたくさんあったのですけれども、その中でもあえて3つに絞って、意見を述べます。その中で、補足的なことがあればぜひお伺いしたいと思います。

 まず1点目は、風評による負のスパイラルということがあるのではないかと思いました。働くと障害年金がとまってしまうのではないか。それがあることによって、不安とかストレスを招く。そのことによって就労の差し控えがおこってしまいます。一番今回のお話を聞いて怖いなと思ったのは、最初、本條さんの話の中で、就労の差し控えが出てきてしまっていることです。本来の社会保障制度として、障害年金が本人さんたちの暮らしにおいて、現状であれば基礎的収入となっている障害年金に、就労による賃金を足そう、みたいなその発想がもてるのだろうか、ということです。差し控えることによって、逆に障害状態までそこに悪影響を及ぼしてしまうと、本来、何のための制度かみたいなことになってきてしまいます。ですので、実はこのあたりの実態というのは、かなり、いろいろなところで様々な声が聞こえてきているのではないかと思いますので、そのあたりで、もし追加等があったら、ということが1点目です。

 それと2点目は、就労と日常生活との関係性ということを、論点として感じました。例えば精神障害者の方の特性としては、仕事をしていたとしても、必ずしも機転が利かないのでどうか。例えば知的障害者の方であれば、ルーチン的な仕事は一見できているように思えるけれども、そのことが、日常生活の向上といえるのか。発達障害者の方であれば、1つのピンポイントではできるように見えるかもしれないけれども、それは実は日常生活と照らし合わせてみたらどうか、というようなことです。

 そんなことを考えたとき、今回、皆さんが発言していただいた中で、例えば結果の就労収入の5万円、10万円で判断するのではなくて、プロセスの労働内容、とりわけ、日常生活の状況につながるようなプロセスのところを見ないといけないと思います。この結果の5万、10万、20万が気になる。それで、たくさん働いていたら、逆にまた1点目の差し控えとつながってしまうので、そのあたりの実態というのは非常にあるのではないか。

 実際、仕事をしているように見えていたとしても、実は自宅ではほぼ静養状態であって、必ずしも日常生活が向上しているとは限らない。その中で言えることは、もしかしたら日常生活が向上しているのではなくて、先ほど知的障害者の家族の方が言いましたけれども、社会支援体制が向上しているからこそ、もしかしたら仕事が継続できているのかもしれない。違う表現でおっしゃられましたけれども。となれば、日常生活の状況と社会支援体制というようなことを混同してしまうと、これは論点としては違うふうな指標が働くのではないかということが2点目です。

 それと最後、3点目です。

 市川先生が貴重なことをおっしゃいました。日常生活状況の困難さの客観的なことが、必ずしも診断書に反映できていないのではないか、というふうなあたりです。これは、それこそ認定医の先生方も、臨床家として、診断書を書かれていると思うのですが、すごくたくさんの数の診断書を書かれていると思います。ところが、診断書を作成するにあたって、多分、先生方の診察室の中で全部把握するのは困難なのではないかと思います。そこでひとつのシステムとして、例えばご家族の方とかソーシャルワーカーとか、あるいは社労士さんとか、そういうふうな方々と協働する。社会生活モデルで、そのあたりを反映するようなシステムをつくることによって、より客観性のあるものになるのではないか。そんなようなことを感じました。

 そのあたりのことで何か、今回来ていただく中で、一番大きなエピソードといいますか、現場ではこうなんだ、みたいなあたりで何か追加的なことがありましたら、お伺いしたいと思いました。

 以上です。

 

(安西座長)

 ただいまの青木構成員のご意見に対して、何かご意見ございますでしょうか。

 

(日本自閉症協会今井参考人)

 自閉症協会の今井です。

 おっしゃったとおりで、所得金額が大きくなったから切られるというのもあるようですが、それ以前に就労継続している、あるいは就労ではなくて、どこかに通えているだけでも出ませんというぐらいになっているのです。そういうところがある。全部が、とは申しません。そのさらに上に金額の議論があるというふうにご理解いただきたいと思います。

 おっしゃるとおり結局、精神的不安定になって、余計に就労できなくなる。あるいは就活しようと思っても、先に居場所を決めてから就活しなければいけませんので、いつまでたっても親元から離れられない。就活もできない。そういうことで悩んでいるのが現実です。

 どうもありがとうございました。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 必ずしも就労できているから日常生活がよくできているという判断をするのではないというふうになってはいるのだけれども、必ずしもそうなっていないというご指摘ですね。

 

(日本自閉症協会今井参考人)

 形式的に判断されているように見えます。

 

(安西座長)

 市川先生、どうぞ。

 

(日本発達障害ネットワーク市川参考人)

 今、青木先生のお話がありましたが、年金の申請をするときは、ご家族はご家族でいろいろな事情があるわけです。長く外来に通ってきていただいている方、あるいは入院している方については、ある程度状況がわかるので書けます。いきなり来院されて、「診断書を書いてください」と言う方もいるのです。「しばらくしてから書きましょう。」という話になるのですけれども、その場合、「でもほかに行っている医療機関がありません。」と言われると、書かざるを得ません。書く側にとって頭の痛い部分です。

 そのあたりのところはご家族などの話を詳しく聞いて、適宜勘案しながら診断書を書いています。

 

(安西座長)

 記録を書くほうのことも考慮に入れる必要があるというお話ですね。

 ほかはいかがでしょうか。ほかの構成員の先生方から何か、せっかくの重要な機会ですので。では後藤先生、お願いします。

 

(後藤構成員)

 後藤でございます。どうも本当に貴重なご意見をありがとうございました。

 私、この会議に出る前に、地域のばらつきというのは、多分、認定する我々のばらつきであろうというふうに思っていて、それをどう標準化するかということをやればいいのかなと思っていたら、きょう、皆さんの話を聞きますと、それはもちろんあるのだけれども、どうしても書く医者のほうのばらつきも当然あるし、それからご家族自身の負担度ですか。申請をするときとか窓口に関するそういう部分でのばらつきもあるのだと。非常に複合的なもので、これが起きているのだなということが、大変よくわかりました。ありがとうございます。

 それで、少しお聞きしたいことが幾つかあるのですが、市川先生は前回の座長をされて、専門の医師あるいは精神保健指定医でなくてもいいというふうにされたという、その点は恐らくご家族、申請される方々はどこの医師でもよくなったので、非常に簡便になったのではないかと思うのですが、やはり認定をしている側から言いますと、とんでもない診断書がやはり出てきてしまうので、もう少しそこを、申請するのは大変になるかもしれないけれども、専門医、例えば発達障害の場合ですと、私の県の場合は非常に幸運なことに、ほとんどアスペルガーなり発達障害を出されてくる、書かれている先生というのは、大学病院あるいは児童・思春期病棟を持っている専門のところ、あるいはそれを専門にしておられる先生からの診断書がほとんどなので、非常にきちんと書かれていて、余り苦労しないのです。

 ですので、書く先生はとても大変になるかもしれないし、都市部は大変かもしれないのですけれども、もう一度規制緩和とは逆になるかもしれないけれども、専門の方に、というところの少し枠をはめていくという考えはいかがなものか。それをお聞きしたいので、市川先生にもお聞きしたいことが。それが1つです。

 それから市川先生がご指摘になったご家族の申請手続を手伝ってくれる社労士さんたちが出てきて、その辺はいいのだけれども、20万も謝礼を取っているのはどうかと。これは実際に、最初はそういう利便性があったのではないかと思うのですが、実際に当県で起きている事態というのは、本来、まず申請しても通らない、普通の障害を持っていない方、例えば人格障害の方であるとか、いわゆる現代うつ病のような方に、社労士さんがこういうふうに先生に書いてもらえば通るということを教えて、クリニックに来られるのです。それで、そういう社労士さんだけだと言うつもりはありません。でも、そういう一種の企業体がどうもあるようであります。

 それで、良心的ないわゆる指定医を持っていたり、良心的な精神科の先生はそれを断るのですが、結局、そうではないところに行って、書いてもらうという例があります。これは断った医師からも聞いていますし、実際にそういう診断書が出てきてしまいますと、私たちは書類審査しかできないので、そこを通さざるを得ないということがあります。

 だからそういう意味で、支援する部分はいいのだけれども、その部分はいかがかなと、本来皆さん方が障害として取れる部分が、そうではない人が取ることによって非常にマイナスイメージを受けることが多分あるのではないか。その辺のところは非常に難しいと思いますけれども、それについてもし何かご意見があれば、これも市川先生も含めてお聞かせ願えればというふうに思います。

 この2点、以上です。

 

(安西座長)

 だんだん盛り上がってきて、重要な議論になってきているのですけれども、討論時間が余りありませんので、少し手短に、市川先生からも手短によろしくお願いします。

 

(日本発達障害ネットワーク市川参考人)

 なぜ精神科ないし指定医でなくても記入できるようにしたかというのは、例えば知的障害の場合は、小児科の先生がずっとご覧になっているケースがあり、その方が二十歳に迫ってくると「我々は書けませんからお願いします」という例もあり、「事情のよく分かっている先生が書いた方がよいのではないか?」という意見がありました。実際、「書類を書くだけが仕事ではない。診断もしなければいけない」ということがあったのは事実です。

 それから私が考えているのは、認知症はそういうふうになってきていると思うのですが、講習会とかを受けた先生方が診断書を作成するというような便法が必要だと思います。でいかないと、今のままもとに戻すと恐らく相当、今、件数が増えていますから、診断書を記入する現場の先生たちはまた大変なのかなと思います。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 それでは、構成員の皆さんから何かほかにご質問とか、参考人の方々へのご質問、ご意見。どうぞ。

 

(青嶌構成員)

 青嶌と申します。貴重なご意見をありがとうございました。

 特に途中で等級が下がったということの最初のほうの例ですけれども、その更新のときの診断書の書式というのはすごくシンプルであって、我々よく悩むのは、やはり前回との比較ということが悩みます。記載、全く一言一句変わっていないということが多々あります。

 その方の現在の状態をどう判断するかというのは、本当、こちらもプアな情報しかないので、そういうときにやはりこれ、主治医の先生の先ほどのようなエピソードが、更新のときの診断書にどのように反映されるかというのは、判定する側としてはとても大事なことで、その辺も周知徹底して、書式を書く先生に徹底していただければ、判定する側も十分障害の程度が読み取れる。新規のときはいろいろご家族からの情報とかあるので、こちらも主治医診断書だけではなく、そちらもかなり読み込んでいるつもりであります。なのですが、更新のときに関しては、特にそこがプアになってしまうのです。だからそこを考慮していただきたいなというのが意見でございます。

 以上です。

 

(安西座長)

 判定の基準もありますけれども、出てくるデータそのものが現実を反映するということが重要であるというお話ですよね。

 いろいろとご議論あるかと思うのですが、時間の都合がございまして、一応、質疑応答というのはこの辺で打ち切らざるを得ないというように思いますが、申し訳ございません。

 それでは、参考人の皆様に、後ろのほうのお席に移っていただいて、これからは構成員の議論というふうにさせていただきたいと思います。大変恐縮ですが、参考人の皆様には後ろのほうのお席にご移動をお願いいたします。

 それでは、議事を次に進めさせていただきます。

 障害認定の地域差に関する調査の追加分析について、この議論をいたしたいと思います。

 それではまず事務局のほうから、資料のご説明をお願いいたします。前回、第2回の会合では、具体的な診断書をもとに事例を検討いたしましたので、非公開の会合となっておりました。その内容につきまして、事務局から簡単に説明をお願いしたいと思います。

 よろしくお願いします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは資料2、資料3について、それぞれ私のほうからご説明させていただきます。

 まず資料2、第2回検討会に提出した事例の概要についてご説明させていただきます。本資料は、3月31日に開催いたしました第2回検討会で確認を行いました個別の認定事例についてまとめたものでございます。

 まず1ページ目でございますけれども、認定事例の収集を行った拠点について、まず記載しております。

 拠点といいますのは、日本年金機構で障害基礎年金の審査事務を行っております各都道府県の事務センターと、障害厚生年金の審査事務を行っている本部のことを指しておりまして、全10カ所の拠点から、平成26年度に認定審査を行った事例について収集をしたものでございます。

 収集した認定事例を障害別認定結果としての等級別、1級と判断されたものから、非該当と判断されたものまでの等級別に区分したものを表にしております。左から統合失調症・気分(感情)障害の認定事例が合計で20件、知的障害が15件、発達障害が16件となっております。

 続いて2ページ以降をご覧ください。障害別の認定事例の概要をまとめたものになっております。代表して2ページの統合失調症・気分(感情)障害の表についてご説明いたしますが、この認定事例20件につきまして、診断書にあります日常生活能力の程度、日常生活能力の判定、現症時の就労状況の各欄の記載内容を各欄に表示しております。

 実際の診断書をご覧いただきますと、日常生活能力の程度は1から5までの5段階がございますので、この中で該当する数字を欄の中に表示しております。また、日常生活能力の判定の数値についてですが、表下の(注2)に記載しておりますように、7つの確認項目、それぞれの最も左側にある「できる」を1、その隣を2、その右隣を3、また最も右側にございます「助言や指導をしてもできない、もしくは行わない」のところを4と、それぞれ数値に置きかえまして、7項目の該当数値の平均値を表示したものでございます。

 同様に3ページの知的障害の15事例について、それから4ページ目が発達障害の16事例についてということで、同様に表に取りまとめてございます。

 以上、簡単にではございますが、資料2についての説明を終わります。

 続けて資料3の第2回検討会における議論の概要、こちらについてご説明をさせていただきます。

 本資料は、ただいまご説明いたしました51件の認定事例につきまして、会合にご出席の構成員の皆様から、等級判定の観点についてご発言をいただいたものでございまして、その中から主な意見を取りまとめたものでございます。

 1ページ及び2ページは、精神障害の認定事例について確認した際にいただいた主なご意見でございます。

 1級の該当事例では入院時の状況について、それから、2級該当、非該当事例ではその他さまざまな観点から日常生活能力について確認されていることがわかるご意見が多数出ておりました。

 続いて3ページをご覧ください。

 知的障害の認定事例について確認した際にいただいた主なご意見になります。こちらでは療育手帳や就労状況、それから養育歴などの観点に関するご意見が出ております。

 続いて4ページ目をご覧ください。

 こちらは発達障害の認定事例について確認した際にいただいた主なご意見になります。こちらでは、自閉症に関する判定の観点についてご意見をたくさんいただきました。

 次に、5ページ目をご覧ください。

 各障害に共通する等級判定の観点としまして、就労状況の評価とその他のご意見をこちらのページにまとめております。就労の評価につきましては、収入や就労の継続期間、職場の支援体制の有無などの観点について多数ご意見がございました。

 そのほかでは、精神障害者保健福祉手帳の件、依存症、有期認定などについてご意見をいただいたところでございます。

 資料3の説明は以上になります。よろしくお願いいたします。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 この資料3は、これまでの議論の要約でありますけれども、今、参考人の皆様からいただきましたご意見も含めまして、さらに理解を深めていきたいというふうに考えております。

 続きまして、障害認定の地域差に関する調査の追加分析につきまして、事務局であります日本年金機構から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

(向山日本年金機構給付企画部長)

 日本年金機構給付企画部の向山と申します。

 資料4、基礎年金の地域差の調査の追加分析について、まず説明をいたします。

 おめくりいただきまして、表1と表2-1、2-2、これがセットになってございますけれども、第1回の当検討会におきまして、精神障害と知的障害に係る分布として、日常生活能力の程度、5段階に分かれております。これの分布、それから同じ日常生活能力の判定項目、これが24年度でいきますと、7項目ございます。これをそれぞれ別にデータをお示しいたしましたが、今回、この2つをクロスさせまして、その関連性につきましてご提示させていただいたものでございます。

 表1と表2-1以下の違いは、日常生活能力の判定の項目の計上の仕方が異なっておりまして、表1のほうは、生活能力の7項目の判定、それぞれ4段階に分かれているわけでございますけれども、4段階のうち重いほう、自立度の低いほうから2つ目までの個数が、その7項目に幾つあるかということをカウントしたものが表1でございまして、4つ以上チェックされていたものと、3つ以下というものに分けて記載してございます。

 全体の傾向としましては、やはり3以下と4以上というところで、等級非該当の割合に有為な差があるというふうに見ております。

 表2-1、2-2につきましては、これは同じ表が、ページがまたがって大変恐縮でございますけれども、これ、同じ7項目の日常生活能力の判定のチェックの項目を個数ではなくて、各7項目に点数づけをいたしまして、重いほうから4、3、2、1というふうに点数づけをして、その合計の点数を平均点として割り戻した、その数字をこの表2-1、2-2において割り出そうとしております。

 結果的には、やはり各日常生活能力の程度ごとに判定項目に重い、点数が高くなればなるほど等級の非該当割合というのは減ってまいります。ご確認いただきたいと思います。

 表3、4ページをご覧いただきたいと思います。これも4ページと5ページがセットになってございます。就労の記載の有無別の日常生活能力の程度との関連を見たものでございます。全体におきましては、平成24年度、就労の記載ありの中のものが等級非該当であった割合は、一番下ですけれども、12.5%でございました。

 おめくりいただきまして、5ページの表4でご覧いただきますと、就労の記載なしのほうは等級非該当割合が11.9%でございます。大きな違いはないというふうに前回、前々回、申し上げたと思いますが、日常生活能力の程度ごとに、より細かく分析をいたしました。ちょっと見にくいのですが、全体的には特に日常生活能力の(2)(3)(4)あたりでは、就労の記載ありのほうが、等級非該当割合が低くなっております。

 ただこれは、先ほど来ご意見がございましたように、いわゆる再認定のデータではございませんで、初回の新規の裁定請求に関するものでございますので、同一の方の状況の変化というものを拾ったものではございませんので、あくまでそういう条件でご覧いただきたいと思います。

 次に、表5と6がまたセットになってございます。これは同居の方がいるかいないかというその有無ごとの比較をしたものでございます。これにつきましても、数字が大変見にくくて恐縮でございますが、同居ありの場合の等級非該当割合は右下にあります12.3%でございますが、次のページの表6のなしのほうは、同じく右下の等級非該当割合は18.5%という状況でございます。

 日常生活の能力の程度別に見ますと、全体的にその傾向になっておりますが、(3)あたりでは、表5は15.4%に対し、表6は25.0%というような状況になってございます。

 それから表7でございますけれども、就労状況の内訳ということでございまして、基礎年金の受給者の方につきましては、就労支援施設が全体の45%、就労の記載ありの方に占める割合は45%ということでございまして、以下、障害者雇用、一般雇用というふうに分布がございます。

 資料4は以上でございます。

 資料5をご覧いただきたいと思います。障害厚生年金の障害認定の調査でございます。これは、前回は障害基礎年金の調査ということでございましたが、地域差の問題ということの中では、直接は影響、関係はございませんが、障害厚生年金との関係ということも見るという必要があるということで、基礎年金と同様のサンプリング調査を行ったというものでございまして、その結果をご報告いたします。

 調査の項目等は、基本的に基礎年金の調査と同じでございますので、説明は省略させていただきまして、3ページをご覧いただきたいと思いますが、障害厚生年金の表1ですけれども、等級の非該当割合、全体では11.2%でございますが、精神障害については23%、これは、以下24年度でございます。それから表2につきましては、これを日常生活能力の程度別の非該当割合をプロットしたものでございます。ご覧のような数字になっているところでございます。

 それから表3は飛ばさせていただきまして表4、これが4ページですけれども、日常生活能力の程度と判定別に、先ほどと同じようにクロス集計をしたものでございます。日常生活能力の程度(3)のところをご覧いただきますと、日常生活能力判定が3以下と4以上で、かなり有為な差があるということが見てとれると思います。

 次に5ページをご覧いただきたいと思いますけれども、表6にまいります。障害厚生年金の方の就労状況につきましては、記載ありの方のうち一般雇用の方が77%、以下ご覧のような数字になってございます。

 それから表7でございますが、7と8は就労の記載の有無別に、この日常生活能力の程度別の比較をしてみたものでございます。表6にございますように、一般雇用の割合が高いということがあり、就労の記載ありの方の非該当割合が高くなってございます。

 飛ばしまして表11、6ページでございますが、初診日不明の却下割合、24年度では1.4%でございました。

 7ページをご覧いただきたいと思います。平成24年と22年度の両年度にわたる調査を行いましたので、その比較をしたものでございますが、説明は詳しくは省略いたしますが、22年度と24年度で、精神障害の非該当割合が22年度は5.6に対し24年度は12.1%と、これは補正後となっておりますが、その注にございますように平成24年度におきましては、事後重症請求が認められた場合の認定日請求のカウントの仕方が変わったということがあり、それを補正したものの数字をそこに掲げてございます。非該当割合が増加した原因としまして表2にございますが、日常生活能力の程度別の分布を両年度にわたって掲載いたしました。

 (2)のところをご覧いただきますと、22年度は10.6%でございましたが、24年度は14.4%、(3)のほうは、22年度は40.1%に対し24年度は45.5%ということで、比較的日常生活能力の程度が軽い方の請求の割合が増えているという状況がございます。

 以上でございます。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございました。

 全体としては、日常生活能力の程度と判定との関連というのが、全体としては示されるわけですけれども、やはり県別の違いというのは一定程度あるなというのが、この資料によっても確認できるかなと。就労の有無に関しては、余り単純ではないといいますか。もう少し検討が必要かなというふうな感じがいたしましたけれども、構成員の先生方からただいまの報告につきまして、ご質問とかご意見とかありましたら出していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

 全体といたしまして、日常生活能力の程度と判定との関連というのが、詳細に検討されていまして、確かに県別の違いはあるなというのはわかりますので、この検討会で違いを何とか縮めて、統一をしていこうということの重要性が改めて示されているというふうに思われますが、いかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。青嶌先生、どうぞ。

 

(青嶌構成員)

 厚生年金の結果というのは今回初めて見させていただいて、事務局の、これ、まとめたインプレッションでもいいのですが、基礎年金と比べて厚生年金の判定の特性みたいのは何かお感じになった点があれば教えていただきたいのですが。

 

(向山日本年金機構給付企画部長)

 そもそも基礎年金と厚生年金では、3級のある・ないということで、単純な数字の比較はなかなか難しいかなと思いますけれども、ご紹介し忘れましたけれども、9ページに記載がございますように、日常生活は極めて困難ということと労働により収入を得ることができない程度のものとされておるということで、日常生活の(4)程度を2級の目安としているというようなご意見があったというところ。あと、全体的に日常生活能力が低下しているかを労働能力との兼ね合いから判断している。それから就労の実態を見ているというような記載がありまして、ここの辺がやはり基礎年金と違う部分であると考えております。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 若干、私のほうからも補足させていただきます。年金局の池上です。

 認定結果については、今、日本年金機構のほうからご説明があったとおりですけれども、あとは制度的な違いということもあろうかと思います。障害厚生年金は、実際に20歳以降で就労されている間に初診日があるケースが、制度の適用対象になってまいります。

 したがいまして、先天的な障害が多く含まれる基礎年金、知的障害とか、あるいは早目にわかる発達障害とか含まれると思いますけれども、そういったところと患者像が結構違うという点もあろうかと思います。そういう点もあって一概に比較するのは難しいのかなと、改めて感じるところでございます。

あと就労の形態を見ても、基礎年金ですと、就労支援施設で働いているケースが多いのですけれども、厚生年金を見ると、一般雇用の割合が非常に高くて8割弱となっております。そういったあたりも結果に影響しているのかなと考えております。

 

(安西座長)

 青嶌先生よろしいですか。では青木先生、どうぞ。

 

(青木構成員)

貴重なデータをありがとうございます。

 先ほどのヒアリングのところともつながると思うのですが、恐らくそれぞれの団体の方々のところに届いている一番の声としては、更新手続きをされた方々からだと思います。今回もしわかればの範囲で教えていただきたいのですが、この調査では、新規のケースを比較していただいて、就労ある・なしもそんなに大きく差がない、みたいなことだったと思います。それに対して、更新の方、実は一旦受給されていて、支給停止というのは暮らしの中で大きく影響を受けるものですから。そのあたりが、今回は、ここには反映されていないのですが、ある程度もしわかっているものがありましたら、ご紹介いただけたらありがたいなと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

(安西座長)

 よろしくお願いします。

 

(向山日本年金機構給付企画部長)

 前回出した資料の中には、再認定に関するデータも第1回の資料にはございましたが、これは拠点ごとに把握の仕方が違って、甚だ不十分な状態でございましたので、現在、今、全国的なデータを取っているところでございまして、でき次第ご報告させていただきたいと思います。

 

(青木構成員)

 何か今、傾向みたいなものはわかりませんか。まだそこまでは分析されていないですか。

 

(向山日本年金機構給付企画部長)

 はい。現時点では申しわけございません。

 

(安西座長)

 先生がおっしゃったのは、更新のときに、下がるもの、変更がないものの比率とか、そういったことでしょうか。

 

(青木構成員)

 そうですね。先ほど青嶌先生もおっしゃられたと思うのですが、更新の場合、前回と全く同じ診断書の内容だと非常に根拠がないとみなされてしまう。まさに先ほど来の話の中でも、就労している云々が、更新において、やはり支給停止になるとか。そのあたりが論点だったものですから。今回は、新規のことの議論はもちろんするのですけれども、やはり更新というのは、暮らしへの影響力を考えると非常に大きいものです。したがいまして、そこら辺というのは、非常にインパクトのあるものではないかと思いますので、ぜひ客観的なデータをいただけたらありがたいと思います。

 

(安西座長)

 ではデータが出ましたらぜひ報告をお願いしたいと思います。

 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。どうぞ。

 

(岩坂構成員)

 すみません、岩坂です。

 表1と表2、とても興味深く見させていただいていたのですが、というのが、例えば表1であれば程度区分が3で、判定区分が7項目中、重いのが、4つ以上が3以下、それはやはりこのガイドラインの重要なところだと思うんです。表2に関しては、同様の形で、程度区分が3のところで、表に関しては程度区分が3のところで、判定が単純に7項目の平均値で出されています。それで地域差がどれだけあるのかって、これを見ている限りよくわからないのですが、前回のデータとかだとやはり精神の方に比べて、知的もですが、特に発達の方が日常生活の判定区分ですごくばらつきがあるのです。

 それは恐らく7項目あるうちの、日常生活にかかわる項目が4つ、社会コミュニケーション、社会性にかかわる項目が3つというふうに分かれています。発達障害の方はどうしても日常生活のほうはできてしまう。それがどうしても軽くなってしまうという、そういった影響でトータルの平均点を出すと、社会生活がしんどいのだから本当は日常生活全般にかなりご苦労されているのですけれども、単純に平均化すると少し軽目に出てしまうのではないかというのが気になっていて、ただ、このデータを見ると全部ミックスですよね。ミックスされているのでわからないので、サンプルデータとは思うのですけれども、もし可能であれば今後、そういう発達障害の場合はどうなるのかというようなことも示していただければと思いました。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 これは前回議論しましたときも全体7項目ざっくり平均とかいうのではなくて、やはりある障害に関しては、あるものは特に重くなると、重要性を持つとか、そういう意見もあったのですが、先生方、何かご意見ありますか。今後、特性、障害特性ごとに、ある項目が特別な重要性を持つかどうかに関しては、検討するということでよろしいですか。

 ほかにご意見ありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは最後になりますけれども、資料6につきまして、等級判定のガイドラインの考え方ですけれども、これは事務局のほうから説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは資料6、等級判定のガイドラインの考え方についてご説明させていただきます。

 1ページ目をご覧ください。

 等級判定のガイドラインの基本的な考え方について、まとめてございます。本検討会におきましてはこれまでに構成員の皆様からいただきましたご意見や、前回の認定事例の検討によりますと、等級判定に当たりましては、診断書の「日常生活能力の程度」や「日常生活能力の判定」の評価を確認しつつ、さらに具体的な症状や療養状況、就労状況などを総合的に評価していただき、等級判定を行っているということがわかりました。こうした実態を踏まえまして、等級判定のガイドラインについては、以下のように構成してはどうかと考えております。

 まずは1つ目の囲みの中の記載についてご覧ください。「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」を基にしまして、認定する等級の目安を設けるとしてございます。例えば「日常生活能力の程度」が1から5のいずれかで、「日常生活能力の判定」7項目のうち何項目以上が、例えば助言や指導をしてもできないに該当している場合、何級相当を目安と考えるなどとするように、各等級の目安を設けることとします。

 なお、囲みの外に書いてございますけれども、こうした目安の確認作業を実際やるとした場合は認定医の先生方ではなく、機構の担当職員が行うことを想定しております。

 次に、2つ目の囲みの中の記載でございますけれども、上記の等級を目安としつつ、その他のさまざまな要素を考慮し、総合的に等級判定することとしております。こちらのご判断については、認定医の先生方にお願いすることとなろうかと思っております。

 続いて2ページ目をご覧ください。

 1ページ目でご説明いたしました1つ目の囲みにあった等級の目安のイメージについて記載をしております。考え方としましては、等級判定の目安を「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の2項目の組み合わせで設けてはどうかというものでございます。

 ここでは例を2つ挙げてございます。例1につきましては、「日常生活能力の程度」が1から5のいずれかに該当していることをまず確認いたします。次に「日常生活能力の判定」7項目について、どの区分に幾つ該当しているかを確認いたします。具体的には1つ目のポツですけれども「日常生活能力の程度」が(1)から(5)のいずれかで、かつ「日常生活能力の判定」7項目のうち、幾つかの項目以上が助言や指導があればできるに該当している。もしくは、2つ目のポツですけれども「日常生活能力の程度」が(1)から(5)のいずれか、これは1つ目のポツよりも程度が軽い評価である場合であっても「日常生活能力の判定」7項目のうち、幾つかの項目以上、これも上記よりも該当個数が多い個数が助言や指導があればできるに該当している、などのいずれかに当てはまれば、その場合は何級相当を目安と考えるというふうに整理するものです。

 次に、例2についてでございますけれども、こちらの「日常生活能力の程度」の考え方は、例1と同じでございます。次に「日常生活能力の判定」についてですが、こちらは7項目の平均値を求めます。この平均値の求め方ですが、米印で記載しておりますように、程度の軽いほうから、1から4の数値に置きかえます。具体的には最も左側の「できる」を1、それから最も右側の「助言や指導をしてもできない、もしくは行わない」を4というふうに置きかえまして、その数値の平均、1.0から4.0の間になりますけれども、その平均値を算出するというものになります。

 そうしてこの2項目から、1つ目のポツですけれども、「日常生活能力の程度」が(1)から(5)のいずれかで、かつ「日常生活能力の判定」の平均値が何点何以上である。または2つ目のポツですが「日常生活能力の程度」が(1)から(5)のいずれか、これは1つ目のポツよりも程度が軽い評価であったとしても、「日常生活能力の判定」の平均値が何点何以上、これも上記よりも高い平均値である場合のいずれかに当てはまれば、その場合は何級相当を目安と考えるというような考え方でございます。

 なお、これらはあくまで例でございまして、この例を参考に今後ご議論いただきまして、適切な目安の求め方を整理していきたいと考えております。

 次に3ページをご説明いたします。ご覧ください。

 総合評価についてと題しまして、ここでは1ページ目の2つ目の囲みにありました「等級を目安としつつ、その他のさまざまな要素を考慮し、総合的に等級判定をする」の部分について、記載をしております。

 まず総合的に等級判定をする際に、認定基準で掲げられている事項のほか、一般的に考慮することが妥当と考えられる要素の例は何かということで、精神障害、知的障害、発達障害に共通している事項、または障害ごとに考慮すべき要素の例を整理したいというふうに考えております。

 考慮する要素は、記載しております5事項に大別してございまして、それぞれの概要を記載させていただいております。

 時間の関係もございますので、各事項の説明は省略させていただきますが、ご覧いただいているとおりの事項となっております。

 最後に4ページ目をご覧ください。

 今、ご説明いたしました考慮すべき要素の例を、イメージしやすく表にまとめてみました。縦に考慮する要素5事項、横に共通事項、精神障害、知的障害、発達障害と並んでおりまして、各欄のそれぞれに該当すると思われる考慮すべき要素の例を挙げております。例えば共通事項の生活状況の欄につきましては、家族や福祉サービスの援助の有無を考慮する(特に独居の場合)などと書いてございまして、この事項につきましては、精神障害、知的障害、発達障害のいずれにも共通する考慮すべき要素であろうということとして例示させていただいています。

 そのほかの個々の要素につきましても、現在イメージとして書かせていただいておりますが、多数ございますので、説明は省略させていただきます。あくまで現時点でのイメージの表でございますので、こちらにつきましても、今後の検討会におきまして、今、記載させていただいている例の検討や、空欄となっている部分にどのような要素を加えるべきかなどについて、先生方のご意見などを頂戴いたしまして、最終的に整理させていただければと考えております。

 以上です。よろしくお願いいたします。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 ただいまの等級判定のガイドラインの考え方ということで、ご説明がありました。等級の目安を設けるのはどうかと、目安に関しては日常生活能力の程度と判定に関して組み合わせを考える。平均という考え方と数という考え方がございました。それだけではなくて、考慮すべき要素を取り上げようということで、病状とか療養状況、考えるべき要素というのを挙げていただいて、イメージとして整理されております。その中で先ほどの議論にありました、考慮すべき要素の例の一番左下には、日常生活能力の判定7項目について重みづけを行うべきかと。先ほど岩坂先生から発達障害について、特定の事項がとても大きな要素になるというような話がございまして、そういったことも含めて、今、整理をしつつある。整理のための試案ということで出されたわけでございますけれども、構成員の先生方のほうからこの整理の進め方、枠組みといいますか。これに関しまして、細かいところは、今後詰めるといたしまして、枠組みとして、こういった方向でどうかということですが、いかがでしょうか。青木先生、どうぞ。

 

(青木構成員)

 青木です。

 細かいところはまだ、多分今日はもう時間がないと思います、できないと思いますので、枠組みの考え方を共通理解できたらなと思っています。

 今回は地域間格差をなくしていこうという観点から、この1つの案が出されたと考えられます。すると、この障害の程度と区分で、例えばの話、先ほどの年金機構の方からも話がありましたように、程度が4についていて、ある程度、点数でいうと高い点数なんだけれども、実は2級にも該当しない、という方も実はいらっしゃるわけですよね。そのあたりをある程度は客観性を持たせよう、ということですね。その考え方を前提とすれば、今回の提案でいえば、この程度と区分であれば、一定程度のこの等級というようなことを決める。とは言いながらも、このボーダーラインという表現がいいのか、そのぎりぎりの層というか、どうしようかなというような方の場合、総合的に評価をするという流れなのか。そうではなく、一定のことを、一次的には判定するけれども、全てにわたって、それはそれとして置いておいて、というような形で二次的に、総合的にいくのか。実はその考え方によって随分異なります。もし後者の考え方だとすれば、余りこうしたガイドラインを作っても、結局は変わらないことになるのではないかなと思います。一方、もし前者の考え方で、ある程度明らかに、例えば4番に日常生活の程度に丸がついていて、かなり点数が高い方は、よほどのことがなければ、その方に2級と判定する。このようなことを、ガイドラインで示すのであれば、かなりの画一性は担保できるのではないかと思ったのですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。

 

(安西座長)

 まさにこれから議論すべきポイントかと思うのですが、一応目安というのが出されることによって、整理しやすくなるだろうという意味では、先生、おっしゃるように、目安が出てくれば、ばらつきが減らせるだろう。ただやはり判定委員の先生方、この総合的な判断というのも重要だから、そこは留意事項によって担保するというようなことかなと思うのですが、先生方どうでしょうか。重要な点です。枠組みについて。では西村先生。

 

(西村構成員)

 いつも判定で悩むのは、おっしゃったように程度とこの2つが乖離している診断書が非常に悩ましいのが事実です。ですからこそ、そういったときのカルテ照会をしたり病状照会をしたりする必要に迫られるのは、そういった程度と判定の乖離が余りにもあるときが多いです。それと、ここには、イメージには疾患別が出てきますけれども、疾患の特徴を考えないで、この2つだけで何かをしようということは、かなり無理があることが多いと思います。

 例えば器質的なものでしたら、この方はもう改善の見込みが本当に少ないだろうなという方もあれば、疾患も性質上、非常によくなられる可能性が高い方もいると思います。

 なので本当にこの数字とこの数字だけあるから、こうしてしまおうというのは、この精神障害、知的障害、発達障害というものも別ですし、各障害の中にもたくさんのものがあるわけですから、まさに目安というか総合的な判断の置くべきところをどれぐらいにするかということですけれども。というのは、審査をしている者からの印象でございます。

 

(安西座長)

 ありがとうございます。

 疾患も考慮に入れるというのは非常に重要な点だと思いますが、ほかの構成員の先生方、いかがでしょうか。富岡先生、どうぞ。

 

(富岡構成員)

 程度と判定の乖離というのはかなりあります。それはやはり病状、病気、統合失調症の場合は比較的それは当てはまるのですけれども、例えばうつ病の場合とか、あるいはてんかんの場合、そういった場合はかなり乖離があります。まして精神科以外の人たちが書かれたようなのでは、ほとんどいいところに丸がしてあって、というようなことがよく起こっています。

 

(安西座長)

 ということは先生、記載する側の状態、現実を反映するといいますか、状態をちゃんと正確に反映するということも重要ということと、ばらつきをどう判断するかというのは、もう少し検討を進めないといけないと。

 

(富岡構成員)

 結局、今のところは総合判断に結局寄るわけですけれども、大体、一番、はっきりしているのは家族とか本人が書いたような申立書、それだと具体的に生活、生活歴、そういうものがよくわかりますけど。

 

(安西座長)

 正確な情報を得るような仕組みといいますか。それをもう少し工夫するということもあるようですね。ほかの先生、いかがでしょうか。では栗原先生、どうぞ。

 

(栗原構成員)

 栗原と申します。お願いします。

 資料6の2ページ、等級の目安についてのところで、イメージ、例2を僕はすごく重要だなと思っております。これは最初のスクリーニングにしたらいいとは思うのですけれども、これまでの膨大なデータから、例えば日常生活能力の程度が、例えば2なら2に丸がついていた人の何パーセントが、今度、診断書の左側にある判定の、例えば7項目の平均値、どんな分布をしているかというのが一目瞭然の表ができると思うのです。それをつくっていただきたいのが一点です。

 逆に、7項目の平均値を軸に考えた場合の程度の5段階、これはどういう相関があるのか、ないのか。ここで、データを出すという作業をしていただいて、大きな隔たりがあると、全く意味がないというふうに思いますので、何らかの傾向なりでもあれば、そこで一番最初のあくまで振り分け、スクリーニングですけれども、少しでも普遍的な大きな隔たりのない最初の出発点が可能ではないかというふうに思っております。現時点で最後はやはり全てを隅から隅まで診断書を総合的に見るということは、絶対外せないとは思っております。

 

(安西座長)

 先ほどもデータを出していただいたのですけれども、どういうデータが出れば、今、先生がおっしゃっているような、先ほども程度、日常生活能力程度に関しまして1から5まで分けて、それぞれ生活能力判定が3以上、4以上とか、それで非該当率というのを出してもらったのですけれども、先生がおっしゃられているこのデータというのは、この分布でしょうか、日常生活能力の程度、例えば3である人について判定がどういうふうに分布しているかと、分布図を見たいということですか。

 

(栗原構成員)

 そうです。

 

(安西座長)

 それはできますね。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 先生のほうからご要望をいただいた点について、具体的にどんな形だったらいいのか。適宜ご相談もさせていただきながら、どこまでできるか検討したいと思います。

 

(安西座長)

 ではよろしくお願いします。後藤先生、お願いします。

 

(後藤構成員)

 後藤でございます。

 目安をつくるということに関してはできるだけ標準化するという意味で、多分、いいことだろうというふうに思っていますが、それぞれの先生が言われたようにやはり最後は総合判定になるので、目安の部分だけでとっていくのは少し困るかなというのが印象です。

 というのは、前回もちょっと言いましたけれども、例えば入院したばかりの人で出してきた場合には、5で全部こっち側が4になってしまっていて、それだけでもう1級ですというふうに通されると、これはやはり困るのではないか。やはり今、どういう状態かというのを判断した上で、ということが必要になるので、通常のほとんどの場合は大丈夫ですけれども、やはりそういう場合もあるということは、認知しておかないと少しまずいかなと。

 それから先ほど青木先生と、それからほかの先生も言われていたように、新規の申請の場合と、それから更新の場合では同じようにこれを扱えるのかということ。つまり新規の場合だと総合判断でいろいろなカルテを取り寄せるとか、いろいろなことができるけれども、更新の場合はそれがなかなか、申立書もなければ生活程度もわからないという中で、同じ枠組みでやっていっていいのかと。これも少し検討していただければというふうに思います。

 

(安西座長)

 では岩坂先生。

 

(岩坂構成員)

 岩坂です。

 いろいろ判定とか程度を得点化して標準化することで、公平になる部分もありますし、きょう、いろいろ議論が出ていましたように、やはり一部の社会保険労務士の方とかが、「こう得点したらいけるよ」という形になってしまうと、かえって20万出す人が通るという不公平が出てきてしまいますので、やはり総合判定が非常に大切である。そうなるとこのガイドラインはどうしても認定側の基準ということになるのですが、先ほど来もありましたように、書く側の示し方、こういうふうにここは書いてくださいという、簡単なマニュアルみたいなもの、そういったものの素案みたいなものを出していければいいのではないかなと思って聞いておりました。

 というのが、全体的に重く書いてくるクリニック、病院というのは、これまでの認定医の先生のお話からで、「ここはそう書いているよね」というのがわかるのですよね。ただ今回の関係団体の方からのお話からすると、実際の日常生活がわかっていなくて、不等に軽く書かれているのではないかという指摘は複数見られていました。そのあたり、やはりこう軽くなるのではなくて、実際こう見てこういうふうに書いてくださいと書く側に示すようなものというのが出ると、結果的に認定側の先生方も総合判定がしやすい診断書が出てくるということになりますので、書く側に示すようなものというものを何か作っていければいいかなと思って聞いておりました。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。青嶌先生どうぞ。

 

(青嶌構成員)

 とりあえず直近で困ることは、発達障害がこの基準に組み込まれて4、5年、てんかんの分類による判断基準、発達障害はやはり書く側もとても難しい、そこに重みづけをつけるというのは、ある意味とてもわかりやすい。だけどその診断根拠である発達障害って、本当に発達障害の方は発達障害と診断して書いているのかということ自体が、もうそこの時点でだめというか、かなり信憑性が低いとしたら、やはりそこは、先ほど市川先生がおっしゃったように、そこは書ける先生をある程度絞るというのが今後直近で必要になり、かつ重みづけをするのは専門学会の先生等に、そこの単純に比べると倍の重さがあるとか、そういうことはやはりまずやれるべきことかなと、この考え方、とてもいいと思ったのです、重みづけで、というようなこと。

 以上です。

 

(安西座長)

 ありがとうございます。

 いろいろご意見をいただいておりますが、時間の都合がありまして、そろそろこの辺で締めくくらないといけないというふうに思います。

 私の印象といたしましては、こうやって目安を設けることと、地域間の、都道府県のばらつきを減らしていくという意味で、目安を設けていくということは、構成員の皆様から大筋ご同意いただけているのかなと。ただ総合判定がある。あるいは目安がひとり歩きすると、目安に合わせて書いてくださいという要求が強くなったりして、それは実態と乖離しては困るということがありますので、そのデータの整合性といいますか、総合判断というのが非常に重要であるというふうなお話があったかと思います。

 それから障害によって判定、重みづけが変わるということもございますので、次回、大筋、こういう目安を設けていこうという方向性はよろしいかと、皆さん、ご同意、大筋いただけているかと思いますが、疾患別にどうかとか、今の本当に平均でいいのかとか、それから就労に関する判断とかいろいろございますので、次回は実例に基づいて、きょう出されたようなイメージ図を実例に合わせてさらに検討して、練り上げるという作業が必要なのかなというふうな気がいたしました。

 その上では、きょう各団体からご意見をいただきましたので、非常にリアルなといいますか、それぞれの領域でお困りの問題をいろいろ出していただきましたので、こういった具体的なお話を踏まえて、今後、検討を進めていきたいというふうに思っております。

 それでは次回の進め方とか日程につきまして、事務局のほうからお話をお願いします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 次回の会合でございますが、前回第2回の会合と同様、等級判定に用いるガイドラインにつきまして、過去に提出された実際の個人の診断書をもとに、具体的にご議論いただきたいと思います。個人情報保護の観点から、非公開で開催させていただきたいと思います。日程につきましては、調整の上、後日、ご連絡を差し上げたいと存じます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

(安西座長)

 それでは、次回は非公開で、具体的な例をもとに、ガイドラインについて目安とか、評価システムに関しまして議論を進めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、本日の会合はこれで終了とさせていただきます。

 構成員の皆様には、長時間にわたりましてどうもありがとうございました。それから参考人の皆様には、貴重なご意見をいただきましてありがとうございます。

 それでは以上で終了とさせていただきます。ご協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

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代表: 03-5253-1111(内線3603)

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