ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議> 第22回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(2015年1月23日)




2015年1月23日 第22回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議

○日時

平成27年1月23日(金) 13:00~15:00


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(21階)
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)


○出席者

出席構成員

堀田構成員、五十嵐構成員、伊藤構成員、岩田構成員、岡部構成員
小川構成員、小国構成員、北田構成員、合田構成員、後藤構成員
鈴木構成員、友池構成員、樋口構成員、藤原構成員、村島構成員
山本構成員、横谷構成員、吉村構成員

出席参考人

安藤参考人、山本参考人

○議題

第II回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
第III回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
要望品目の医療上の必要性について
開発要請品目の公知申請への該当性について
企業から提出された開発工程表等について
その他

○議事

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 ただいまより第 22 回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を開催いたします。本日は落合構成員、西川構成員より御欠席の連絡を頂いております。また、藤原構成員については少し遅れるという御連絡を頂いております。現在のところ 17 名の先生に御出席いただいております。

 また、ワーキンググループの検討状況を報告するに当たりまして、前回同様、各ワーキンググループのメンバーから参考人として御出席いただいております。これまで御出席いただいている先生方ですので、紹介は割愛いたします。カメラ撮影はここまででお願いします。

 それでは堀田先生、以降の進行をよろしくお願いいたします。

 

○座長

 皆様遅ればせながら、明けましておめでとうございます。この会も実に 22 回を迎え、当初からのたくさんの課題を、第 I 回、第 II 回、第 III 回要望まできて、かなり片付けてきました。逆に言うと、進捗が難しく煮詰まったようなものが残っているという状況であります。今日も皆さんの御協力を得まして進めてまいりたいと思います。また、今日は早く片付けば、これからの検討会の方向性についても意見交換をする時間を取りたいと思っております。また、今までのスキームから、もう少し迅速化、実用化へ向けての新しい提案が事務局からありますので、その議論も進めたいと思います。

 それでは、まず、本日の配布資料の確認をお願いします。

 

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 資料の確認をいたします。お手元の資料、まず議事次第です。次に資料 1 です。資料 2-1 は、第 II 回の要望関連の専門作業班の検討状況です。資料 2-2 は、第 III 回要望に係る専門作業班の検討状況です。資料 2-3 は、第 III 回の第二期要望一覧です。通年受付になりましたので、半年ごとに仕切って集計しているものです。資料 2-4 は、第 III 回要望の次の第三期の半年分について、作業の方法論と現状の方法論について紹介する資料です。資料 3-1 は、医療上の必要性に関する作業班から、 2 品目分の報告書を頂いております。資料 4-1 は、公知申請への該当性に係る検討会への報告書を 1 案件いただいております。パクリタキセルのものです。資料 5-1 は、企業から提出された開発工程表についての説明です。資料 5-2 は第 I 回要望関連の工程表の進捗状況、 5-3 は第 II 回に関するもの、 5-4 は第 III 回に関するものです。資料 6 に関しては、開発企業の募集を行った医薬品のリストとして資料を用意しております。資料 7-1 は、先駆けパッケージに入っています未承認薬迅速実用化スキームに関するものです。それに関しまして、資料 7-2 は今後の開催要綱の変更案です。

 参考資料 1 は開催要綱、 2 は構成員の名簿、 3-1 はワーキンググループの設置について、 3-2 はワーキンググループメンバーの名前、 4-1 は医療上の必要性の評価の基準、 4-2 は開発要請先企業の指定の考え方についてです。資料の過不足等ございましたら事務局までお申し付けください。

 

○座長

 もし、資料に何か不備がありましたら今のうちにおっしゃっていただきたいと思います。よろしいですか。前回は昨年の 10 10 日に行いましたが、その後の進捗状況について、あるいは検討状況について事務局から説明をお願いします。

 

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 資料 1 を御覧ください。常に使わせていただいているところですが、変更した所をピックアップして順次紹介いたします。まず、表題の下に説明がありますが、そこの最後の行あたりです。第二期募集は 2014 6 30 日、第三期募集を昨年の 12 31 日までとして取りまとめました。今回そこについての資料を後で紹介する形になります。

 資料の左下ですが、学会等から御要望いただきました第 I 回要望、第 II 回要望は 374 290 のままです。通年受付を始めました第 III 回要望は、今回 10 件増えまして 90 件として集計しております。資料下の中ほどは、医療上の必要性を評価、要請を行った件数です。企業に開発要請を行ったものは昨年の 12 月末までに第 I 回要望が 165 件、第 II 回要望は 3 件増えまして 86 件、第 III 回要望は 1 件増えまして 4 件です。開発企業を募集したものについては、第 I 回要望が 20 、第 II 回要望が 17 、第 III 回要望が 0 のままで変更はありません。

 資料 1 についてはこのような状況です。第 III 回要望については随時受付ですので、定期的に仕切った集計結果を報告する形で運用したいと思っております。裏面、見ていただければ、数字も同じように直しており、後のところに変更や進捗はありませんので、一通りの御報告といたします。

 

○座長

 これまでの検討状況について御質問等はありますか。よろしいですか。それでは、続きまして第 II 回、第 III 回の未承認薬・適応外薬の開発要望について、事務局から説明をお願いします。

 

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 資料 2-1 を御覧ください。こちらは第 II 回要望を頂きましたものの専門作業班の進捗状況の管理表です。 1. 21 回時点での状況ということで、上段を見ていただきますと、必要性が高いと判定されたものが、右を見ていただくと、未承認薬で 26 件、適応外薬で 78 件、合計 104 件が医療上の必要性が高いと評価いただいたものです。医療上の必要性が高いかそうでないかという判定については、ボールドで囲んでいる適応外薬の 16 件が、今後まだ検討が必要ということになっております。下は医療上の必要性の評価の状況です。 16 件のままですが、残念ながら進捗がありません。その 16 件については、 3 ページ以降に全品目、リストとして記載しております。

2 ページの 3. です。医療上の必要性が高いと評価いただいたものについては、公知申請の妥当性の評価を頂くことになっております。前回までに 100 件の開発要請を行ってきております。前回、新たに 3 件評価いただきましたので、 100 プラス 3 という形で評価いただいたものになっております。分布としては、企業に開発要請したものは上段の 83 件、妥当性の評価が残っているものは 13 件になっておりますが、前回 3 件評価いただいたので、それを追加いたしまして、下の段にあるように、医療上の必要性が高いということで公知申請が必要かどうかという検討は 16 件、今後検討いただく形になります。今回こちらから評価いただく、新たに変更になるものはなく、このような状況です。

 資料 2-2 、第 III 回要望に関する進捗状況です。こちらは、かなり数が動いております。それは前回、優先順位を付けるというルールを改めましたので、かなり数が増えております。まず、上の段を御覧ください。医療上の必要性が高いと判断いただいた未承認薬数は 3 件、適応外薬は 1 件、合計 4 件が「検討済み」になっております。優先順位を外しましたので、ボールドの所を見ていただきますと未承認薬 14 件、適応外薬 33 件、合計 47 件が医療上の必要性の評価を頂く検討対象になっております。下の表です。 47 件のうち今回 2 件の報告書が上がってきています。後ほど資料 3-1 で評価いただきますが、ヒト合成セクレチンを評価いただく必要性が高いと思われるものとして挙げております。「検討中」のものは 11 件と 33 件の 44 件という形になっております。

 次のページです。こちらについては、今まで公知申請の妥当性の評価のステージになってきたわけですが、前回 1 件、医療上の必要性が高いと評価いただきましたので、この 1 件について 11 10 日に開発要請を行いましたので、 4 件が公知申請の妥当性を評価できる対象になったわけですが、下の表にあるように、そのうち 1 件が早くも公知申請が妥当だということで、本日資料 4-1 で御審議いただくパクリタキセルになっております。 1 件要請が増えて 4 件。そのうち 1 件が、公知申請が妥当ではないかということで動くという形となっております。別添 1 が、「医療上の必要性に係る基準」への評価を頂く待機リスト、検討中のリストが並んでおります。最後の 1 ページが、公知申請の妥当性等を待つリストになっております。

 次に資料 2-3 を御覧ください。第 III 回の第二期要望の一覧表です。 6 か月ごとに集計を締め切らせていただいて、重複あるいは内容の該当性等をチェックしております。未承認薬が 2 件、適応外薬が 3 番から 13 番までの 11 件になっております。そのうち網掛けを 11 から 13 番までしております。照合したところ第一期要望と全く同じということですので、それを除いた 10 件が追加されたということで、冒頭申し上げましたように、 80 件が 90 件なったというのは、ここの 10 件が追加されたということです。 11 から 13 番は第一期募集のときに既にいただいており、重複しておりますので、今後そちらの番号で処理したいと思っております。

 資料 2-4 を御覧ください。こちらについては、第三期募集、既に頂いている昨年 7 1 日から 12 31 日です。粗々集計しますと、延べ数では 53 件の御要望を頂いております。こちらについても、今説明した第二期と同じように重複の調査をいたしまして、未承認薬・適応外薬の区分の確認、それから、ここの検討会議での検討対象のルールの適合性を確認いたしまして、検討対象になったものを次回の会議で、先ほどの資料 2-3 と同じような形で先生方に報告いたしたいと考えております。以上です。

 

○座長

 第 I 回要望については、ほぼ整理がついたのですが、第 II 回、第 III 回、しかも III 回目は第一期、第二期となっており、同時並行的に動いているので少し分かりにくいところがあります。今の説明について、何か御質問がございますか。

 

○吉村構成員

 この資料 2-1 の中で、検討中の 16 件が全く動いていないわけです。何か共通の難しさというか、難点があるのですか。

 

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 御指摘ありがとうございます。共通のというと、なかなか一概に言いにくいところです。実は私どもも、さすがに少し動きが鈍くなってきているので、そこの原因を調査中です。やはり、個々、その製品の特徴に応じて少し検討が行き詰まっていました。 5 ページあたりに使用実態調査の分かりやすい例が載っています。少し表が違うのですが、 5 ページの代謝薬の 1 番のミコフェノール酸モフェチルを見ていただくと、使用実態調査の結果を踏まえて検討予定と。このようなタイプの場合は、調査結果が出るまではワーキンググループでも動きが取れないということもあろうかと思います。

 また、 2 つ下もそうなのですが、検討の結果、使用実態調査が必要と判断されたことから、その実施に向けて準備中と。こうなると、その 1 歩手前の使用実態調査をかけてからということになり、ワーキンググループとしては待機してしまうということになろうかと思います。

 

○吉村構成員

 確か、それは前にも似たようなことがあったはずです。そうすると、それについては余り無理に進めることは不可能だと思います。そういうものを、それなりの取扱いをルールとしてやったほうがいいのではないかという感じがするのです。単に数字として、いつも同じものが残っていますということではなくて、何かこれは、こういう事情であるものについて、もう少しルールとして一般的にどのように対処するかと。それをしないと、常に積み残し、一定数が残るという現象があって、これは余り感心しないと思うのです。

 

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 ありがとうございます。検討いたします。

 

○座長

 御指摘ありがとうございました。この資料で 16 番までをざっと見ると適応外であること、小児に関係したものが多いという特徴があります。評価に難しさが多分あるのだろうと思います。ここについては、事務局での対応の仕方についても、また整理して提案していただければと思います。そのほかの御意見はございますか。

 

○伊藤構成員

 当事者だから言い難いのですが、やはり延びれば延びるほど、またエビデンスを集めなければいけないことになり、そういうことになるのが一番負担があります。そういうことをどうするかも含めて少し検討していただきたいと思います。要するに、例えば 5 年延びれば 5 年間のエビデンスがありますから、それをもう 1 回集めなければいけなくなります。それで否定できれば、否定されるのはいいと思います。そうではなくて、曖昧な形で残ると何年でもいきますから、そこら辺だけよろしくお願いいたします。

 

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 ありがとうございます。私どももできるだけ、御要請いただいたものですので、医療上の必要性の評価が高くなると言うと変ですが、そういうものになればそれでもいいでしょうし、また、公知性が高いと評価できるものであれば、是非ともそうしていただきたいという願いがあるものですから、その時点で、ばさばさと切っていくのもいかがなものかというところもありまして、多少の葛藤はあります。先生がおっしゃったように、いつまでもあればあるほどきつくなるということも認識しております。御指摘いただきましたので、もう一度この辺りで整理したいと思っております。

 

○座長

 そのほか御意見よろしいですか。それでは今の対応で、今後できるだけ整理して進められるようによろしくお願いします。

 続きまして、要望品目に係る医療上の必要性の検討状況です。まずは、循環器ワーキンググループの山本参考人から御報告をお願いします。

 

○山本 ( ) 参考人

 資料 3-1 を御覧ください。 1 ページです。日本膵臓学会よりヒト合成セクレチンのガストリノーマ診断のためのガストリン分泌刺激に対する適応での要望が提出されております。適応疾病の重篤性については、ガストリノーマは肝転移、骨転移を起こす場合が多く、転移が認められた症例の生存率が低いことから、「ア」の基準に該当すると判断しております。また、医療上の有用性については、本剤は米国で承認されており、国内外のガイドラインでガストリノーマの診断におけるセクレチン負荷試験の使用が記載されていることから、「ウ」としております。以上より本品目の医療上の必要性は高いと判断しております。

2 ページです。同じく日本膵臓学会より、ヒト合成セクレチンです。こちらは、膵外分泌機能検査における膵液分泌刺激に対する適応での要望が提出されております。適応疾病の重篤性ですが、膵外分泌機能検査を行う場合の対象疾患の多くは、慢性膵炎の診断です。慢性膵炎は、持続的な腹痛があること、消化吸収不良、膵性糖尿病、悪性腫瘍にもつながる可能性があるということも考慮いたしまして、「イ」の病気の進行が不可逆的で日常生活に著しい影響を及ぼす疾患の基準に該当すると考えました。医療性の有用性についてです。現在、本邦で用いられている膵外分泌機能検査には、 pancreatic functioning diagnostant(PFD) 検査がありますが、こちらは感度が低くて軽度の膵外分泌機能低下を診断するのは困難であるということが知られており、膵外分泌機能の診断薬として、これよりも有用な薬剤は承認されていないということから、「ア」の既存の療法が国内にないという基準に該当すると判断しました。なお、本剤は米国では承認されており、国内ガイドラインでも膵外分泌機能検査の 1 つとして、セクレチン負荷試験が記載されていることを確認しております。以上より本品目の医療上の必要性は高いとワーキンググループでは判断いたしました。

 

○座長

 いつもに比べると、淡々と評価していただいたように思います。この同じ品目ですが、効能・効果、用量が異なるために違うというところで 2 つに分けてあります。何か御質問や御意見はございますか。同じガストリンの分泌刺激作用なのですが、この 2 つの疾患によって 1kg 当たりの用量が倍ほど違います。これは、エビデンスがそうなっているということですか。

 

○山本 ( ) 参考人

 どちらの検査も国内外のガイドラインに記載されておりますので、そちらから取っていただいているのだと考えております。まず、今回は医療上の必要性に係る基準に該当するかどうかというところのみの審議と考えており、まだ、検討するべき内容はいろいろあるのですが、まず、検討をするほうに進めて良いかどうかということのみ、今回ワーキンググループでは判断しております。

 

○座長

 ありがとうございました。そのほか何か御意見ございますか。よろしいですか。続きまして、公知申請への該当性に係る報告案です。抗がんワーキンググループから、安藤参考人、よろしくお願いします。

 

○安藤参考人

 パクリタキセルの胃がんに対する週 1 回投与の用法・用量の追加の要望です。要望者は日本臨床腫瘍学会です。用法・用量は、パクリタキセルとして、 1 1 100mg/m2( 体表面積 ) 当たりを週 1 6 週連続投与して、少なくとも 2 週休薬する。これを 1 クールとして、投与を繰り返す、と要望されております。備考を御覧いただくとお分かりになるように、胃がんに対しては、既にパクリタキセルは 1 1 210mg/m2( 体表面積 ) 当たりで、 3 週間を 1 クールとして投与する用法・用量が承認されております。

 医療上の必要性については、胃がんは生命に重篤な影響がある疾患の「ア」です。それから、 (2) の医療上の有用性に関しては、後で述べますように欧米 6 か国では承認されていないのですが、米国とヨーロッパのガイドラインで標準的治療と位置付けられておりまして、「ウ」と判断いたしました。

 次のページです。欧米での承認状況に関しては、今回の要望に関する用法・用量は承認されておりません。 12 ページです。欧米等 6 か国での標準的使用状況に関しては、 1) National Comprehensive Cancer Network(NCCN) のガイドライン等では、パクリタキセルの単独投与です。パクリタキセルが 1 80mg/m2( 体表面積 ) 当たりを 1 日目、 8 日目、 15 日目、つまり週 1 回ずつ投与して、 1 週間休んで、 4 週置きに投与するというのが推奨されております。 13 14 ページです。英国やドイツです。 ESMO というヨーロッパの臨床腫瘍学会でも、アメリカと同じ用法・用量のものが胃がんに対しては推奨されております。

15 ページです。要望内容に係る国内外の公表文献についてです。国際共同治験と国内で行った第 III 相試験、 3 つの試験が大きなものとして行われています。国際共同治験の報告は、 15 ページの 1) です。アジアが中心になって行われた化学療法歴を要する HER2 陽性の過剰発現の胃がんに対して、次のページですが、パクリタキセルの用法・用量は 1 80mg/m2( 体表面積 ) 当たりを 1 日目、 8 日目、 15 日目、 1 週間休んで 4 週置きに繰り返す。これに抗 HER2 療法の分子標的薬であるラパチニブの、パクリタキセルにオン、オフの比較試験が行われて、パクリタキセル単剤投与群で生存期間の中央値が 8.9 か月でした。

 それから、最近報告された、 2)RAINBOW 試験です。これは、ほぼ HER2 陰性の胃がんです。前化学療法歴のある胃がんに対して、ラムシルマブという VEGF の分子標的薬ですが、それをパクリタキセル、先ほどの週 1 回投与で用法・用量は先ほど申し上げた上の TyTAN 試験と同じ用法・用量ですが、ラムシルマブのオン、オフの比較試験があります。 17 ページですが、生存期間の中央値が 7.4 か月でした

 国内における報告、 1) です。これは、 WJOG といって関西の臨床試験グループが、化学療法歴を有する進行・再発の胃がん患者さんを対象に、これも用法・用量は 1 80mg/m2 で、 1 8 15 日で 1 週間休薬です。それに、当時、標準的な治療になっていたイリノテカン、セカンドラインとして標準的なイリノテカンの比較試験であります。 18 ページですが、パクリタキセル群が生存期間の中央値が 9.5 か月で、イリノテカン群が 8.4 か月で、統計学的には有意ではなかったのですが、パクリタキセルのほうが少し成績は良好な傾向が認められました。以上が大きな国内外のエビデンスです。

20 ページです。 (3) 教科書等への標準的治療の記載状況に関してです。これは、 DeVita という Cancer. Principles and Practice of Oncology という世界中で一番読まれているアメリカの教科書です。そこの中にもパクリタキセルは胃がんの治療に用いられる 1 つの薬剤と書いてありますし、日本における教科書でも『臨床腫瘍学』、これは日本臨床腫瘍学会が編集しているものですが、胃がんに対してイリノテカンとパクリタキセルが 1 つの選択肢であるということは、明確に記載されております。 21 ページの (4) にも学会等のガイドライン、先ほども述べましたように、米国の NCCN とかヨーロッパの臨床腫瘍学会の ESMO とか、日本では胃がんの治療ガイドラインには、パクリタキセルの週 1 回投与というのが勧められる治療であるということが記載されております。

22 ページです。 7. 公知申請の妥当性についてです。先ほど述べましたように、前化学療法歴のある国際共同治験が 2 つ、前化学療法歴のある日本国内試験の 1 つ、パクリタキセルというのが 1 回投与量が 80mg/m2( 体表面積 ) 当たりで 1 日、 8 日、 15 日目に投与して、 1 週間休んで 4 週置きというのが用いられております。第 III 相比較試験で用いられた経緯から、国際的にも国内的にも、前化学療法歴のある胃がんの患者さんに対しては、標準的に用いられているお薬とみなされているとワーキンググループは判断できるといたしました。

24 25 ページ、安全性に関してです。パクリタキセルの主な有害事象が、骨髄抑制、白血球減少や好中球減少、末梢神経障害等ですが、これは、先ほど出ました国内で行われた WJOG4007 試験という、パクリタキセルとイリノテカンの比較の試験の本薬群 80mg/m2( 体表面積 ) 当たりの有害事象を左側で、それから、国内第 II 相試験で行われた胃がんの既承認の 210mg/m2( 体表面積 ) 当たりの 3 週投与の有害事象の対比をしております。特に取り立ててパクリタキセルの週 1 回投与が、非常に有害事象が強いということではありませんでした。

27 ページ、要望内容に係る公知申請の妥当性に関してです。国内、海外の第 III 相比較試験で前化学療法歴のある進行・再発の胃がんに対しては、 1 つの標準的なアームとして用いられているので、一般的に使われる薬剤というふうに判断できるということと、安全性に関しては既承認の 3 1 回投与のものと比べて、特に毒性が強いということはないので、安全性に関しても許容できると判断いたしました。そのために公知申請は妥当だとワーキンググループは判断いたしました。

28 ページ、効能・効果は胃がんです。用法・用量に関しては、 1 ページ目を見ていただくと、パクリタキセルが、 1 100mg/m2( 体表面積 ) 当たりで 6 週間投与して 2 週間休むというのが、日本臨床腫瘍学会の要望でありました。これは最近では、先ほど申し上げたように国内及び海外の臨床試験の結果から 80mg/m2( 体表面積 ) 当たりで毎週投与、 1 週休薬というのが標準的に用いられていると判断いたしました。日本臨床腫瘍学会が要望を出された時期は、先ほど国内で WJOG という試験が公表される少し前の状況だったので、そこからエビデンスが新しく蓄積されて、現時点では国内及び海外では 80mg/m2( 体表面積 ) 当たり週 1 回投与、 3 週連続投与、 1 週休薬というのが標準的な治療とワーキンググループは判断いたしました。

 このために、用法・用量に関しては、下線部の E 法、通常、成人にはパクリタキセルとして、 1 1 80mg/m2( 体表面積 ) 当たりを 1 時間かけ、点滴静注して週 1 回投与を 3 週連続し、少なくとも 2 週休薬する。これを 1 クールとして投与を繰り返すという新しい用法を設けていただいて、それで公知申請が妥当であるとワーキンググループは判断いたしました。以上です。

 

○座長

 ありがとうございました。パクリタキセルは、非常に汎用されている薬です。使い方が 210mg 1 回、 3 週間隔で投与するというやり方がオリジナルではありましたが、実際の使い勝手としては、 1 週間ずつに分けて分割投与というのが一般的になってきているという状況があるのとのことです。海外の臨床試験のコントロール・アームにも、既にそういう形で使われている状況があるという御説明でした。いかがでしょうか。

 

○小国構成員

 表紙には 100mg/m2( 体表面積 ) と、こちらは 80mg/m2( 体表面積 ) と、乳がんでは 100mg/m2( 体表面積 ) と書いてあります。胃がんの要望内容の概略は 100mg/m2( 体表面積 ) と書いてあるのですが、 20mg の差は何ですか。

 

○安藤参考人

 パクリタキセルの週 1 回投与が臨床的に行われた最初は、 100mg/m2( 体表面積 ) 1 回投与量として汎用されておりました。その後、乳がん、卵巣がん、非小細胞肺がん等で、だんだんいろいろな臨床試験が行われるに従って、毒性と効果の面から 1 回投与量が 80mg/m2( 体表面積 ) 当たりで妥当だという判断がなされて、それが汎用されるようになりました。

 

○座長

 という説明でよろしいですか。

 

○小国構成員

 すると、ここは 80 になるのですか。

 

○座長

 これは要望であって、実際の推奨は 80 ということです。

 

○吉村構成員

29 ページの一番上の枠の中に書いてある「要望内容は満たされる旨が回答された」ということは、 80mg/m2( 体表面積 ) 3 週連続やって 2 週間休薬するという、これを 1 クールにするということが、最初の 100mg/m2( 体表面積 ) 6 週というのに取って代わるものとして認めるということを、日本臨床腫瘍学会が返事をしてきたということですか。

 

○安藤参考人

 はい、そうです。

 

○藤原構成員

 私は日本臨床腫瘍学会の保険委員長なので、私どもは要望を出した側なのですが、当時出した頃は 100mg/m2( 体表面積 ) 6 週投与というのが一般的でした。その後、様々な臨床試験が出てきまして、今、ワーキングの安藤先生がおっしゃるような 80mg/m2( 体表面積 ) 3 2 休とか、用量が下がってきて投与間隔も少し減ってくるというのが、今の公知というか世界的なコミュニティの標準になっているという実態があります。要望書を出した時点とは少し変わりましたので、審査管理課から尋ねられまして、変更しても全く問題ないですよという回答をいたしました。

 

○座長

 よろしいですか。そのほか何か御質問や御意見ございますか。よろしいでしょうか。それでは、このものにつきましては 80mg/m2( 体表面積 ) 3 週投与、 2 週休薬ということで公知申請に向かっていただくということで処理をお願いします。ありがとうございました。

 続きまして、企業から提出されました開発工程表について、事務局から説明をお願いします。

 

○医政局研究開発振興課治験推進室長

 資料 5-1 から資料 5-4 及び資料 6 に基づきまして、御説明いたします。まず資料 5-1 ですが、企業から提出された開発工程表につきまして、開発工程表の評価の考え方としては、開発要請を受けた品目について半年以内の公知申請、又は 1 年以内の治験の着手を求めているところです。これは従前と全く同じ考え方です。

 具体的な進捗状況につきましては、資料 5-2 から御説明させていただきたいと思います。資料 5-2 は今年の 1 7 日現在の開発工程表の概要等について取りまとめたものです。該当する製薬企業からは全ての報告がなされております。

 資料 5-2 は第 I 回要望に関しての進捗状況の総括表です。前回からの変更点を簡単に御説明したいと思います。まず一番上の「承認済み」は今回 145 件となっておりますが、前回 141 件でしたので、 4 件の増加です。「承認申請済み」については、前回 11 件だったものが、今回は 16 件。「治験計画届提出済み」については、前回は 27 件であったものが 21 件。「公知申請予定」については、前回は 1 件であったものが、今回は 0 件。「治験計画届提出予定」については、前回同様 0 件。「その他」については、治験に着手したにも関わらず、その後の状況によって、今回開発要請が取り下げられたものを欄外に書き出しましたので、「その他」については前回 6 件でしたが、今回は 2 件です。ただいま申し上げました治験に着手した後に開発要請が取り下げられたものについて 3 件ということです。第 I 回要望については、医療上の必要性及び公知申請の妥当性についての検討会での検討は全て終了しております。

 具体的な品目について、資料 5-2 18 19 ページで、簡単に御説明いたします。 289 番、 26 番、 157 番について、昨年 9 月に承認済みとなっています。 26 ページの要望番号 228 番については、昨年 11 月に承認済みとなっています。その下の 27 ページですが、要望番号 53 番、 292 番、 50 番、 105 番について、承認申請が既に済んでおり、現在審査中です。 38 ページですが、企業が開発を実施していたところ、開発要請が取り下げられたといった状況について、これまでも個々にその状況などについては御報告しておりますが、今回、この 3 品目について、このような形で取りまとめております。資料 5-2 は以上です。

 続きまして、資料 5-3 を御覧いただきます。資料 5-3 は第 II 回要望に関しての開発工程表に基づく概要を取りまとめたものです。前回からの変更点を中心に御説明いたします。一番上の「承認済み」については、前回 57 品目でしたのが、今回は 60 品目です。「承認申請済み」については前回は 7 品目であったものが、 10 品目に変更になっています。「治験計画届提出済み」については、前回は 11 件だったのが、今回は 7 件になっています。「その他」についても、前回で「その他」に入っていたものについて、その後の状況により開発要請が取り下げられたものについて、 1 件を欄外に記載しております。

 具体的な進捗状況についての品目の状況ですが、お手元の 10 ページを御覧ください。 10 11 ページにかけてですが、要望番号 II-124 については、昨年 12 月に承認済みとなっており、 II-203 II-278 についても、昨年 11 月に承認済みとなっています。 13 14 ページにかけて II-268 II-220 II-30 II-31 14 ページの II-178 II-179 について、承認申請済みとなっています。お手元の 25 ページ、最後のほうについては II-274 ですが、従来、その他に入っていましたが、治験着手後に要望が取り下げられました。資料 5-3 については以上です。

 続きまして、資料 5-4 です。資料 5-4 については、第 III 回要望についての開発工程に関する概要をまとめたものです。これまで 4 件開発要請をしています。裏にこの 4 件が具体的に記載がなされています。この中の III-(1)-44 については、この前の議題においてワーキングからの公知申請が妥当という御報告があり、この検討会としても公知申請が妥当という判断を頂いたものです。資料 5-4 については以上です。

 最後に資料 6 ですが、開発企業の募集を行った医薬品のリストに基づき、その進捗状況について御報告いたします。資料 6 5 番、 6 番、 7 番については、新たに「承認済み」となりました。 9 番については、治験実施中といったところが、「承認申請準備中」という形で進捗が見られています。 12 番については「治験準備中」だったものが、「治験実施中」ということで進捗が見られています。

 裏面は、第 II 回の募集品目の状況です。 1 番、 2 番については「承認申請中」で進捗が見られています。 3 番、 4 番については「承認申請準備中」という進捗が見られています。 5 番、 6 番については「治験実施中」で進捗が見られています。 7 番については、開発意思の申出があった企業の名称あるいは開発の状況について、未公表を希望されておりましたが、今回、新たに名称及び開発の状況についての記載がなされております。 11 番、 12 番、 13 番については、従来開発の意思の申出があった企業として、富士フィルム RI ファーマ社及び未公表の 1 社の記載があり、当初、共同開発ということも検討されていたようですが、このたび富士フィルム RI ファーマ社によって開発を進めたいという意思の申出がありましたので、そのような変更がありました。説明は以上です。

 

○座長

 企業から提出されました開発工程表の概要の説明でしたが、何か御質問はありますか。工程表の評価基準にのっとっての評価では、特に問題のあるようなケースはなかったと考えてよろしいですか。それぞれ企業で対応していただいていますが、新薬創出・適応外薬解消等促進加算が、インセンティブにはなっているだろうと思います。よろしく御対応いただきたいと思います。

 開発企業の申し出がなく、まだまだ積み残しというか、手を挙げるところがないものについての今後の対応、進め方というのは何かありますか。

 

○医政局研究開発振興課治験推進室長

 お手元の資料 6 ですが、資料 6 の裏面について、第 II 回要望品目の 16 番、 17 番については開発の意思の申出の企業がまだいらっしゃらない状況です。私どもとしましても日本製薬工業協会などを通じて、このようなところについても開発の申出を是非積極的にお願いしたいという働き掛けを引き続き行っていきたいと思っております。

 

○座長

 まだ未だに手挙げがない品目というのは、かなり少なくはなってきていますね。以前に 1 年以上手挙げがなかったら、次のステップに移っていく仕組みはありますが、そちらに流れているのはどのぐらいですか。

 

○医政局研究開発振興課治験推進室長

 具体的に幾つというところまでの資料が手元にありませんので、申し上げられませんが、現場の要望が出ていますので、私どもとしても、積極的な対応をできるだけお願いしたいと考えております。

 

○座長

 よろしいでしょうか。では、開発工程表に従っての評価については、適切に対応していると評価したいと思います。ありがとうございます。

 それでは、資料 7 、迅速実用化スキームの今の段階での整理した状況を事務局から説明していただきます。

 

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 資料 7-1 を御覧ください。全部で 2 枚、両面の資料です。 1 枚目の所は以前から御議論いただいたとおりの資料で、今回特段の変更は加えておりませんが、 2 回前のときの御議論からしますと、一定の要件の所で、 (1) の「医師主導による」というものを加えさせていただきました。それから、 (2) の優れた試験成績が論文等で公表されているものについて、オーファンドラッグに結果的に指定されるような、指定要件を満たすようなものについては、「必ずしも、堅牢エビデンスを有する論文あるいは海外でのガイドラインを必置要件にするのは厳しすぎるだろう」という御指摘について、修正されたものです。

 次のページです。前回の会議で先生から、「今後、未承認薬迅速実用化スキームを導入した場合に、この検討会議で御検討いただく対象範囲がどのような影響を受けるのかを分かりやすく整理してほしい」という御指摘を頂きましたので、かなりデフォルメしてですが、この資料で御紹介しています。

 冒頭ですが、未承認・適応外薬を対象としてきたわけですが、その解釈において以下のような変更を考えているところです。現状ですが、未承認薬については、海外の承認制度で承認されているけれども、国内では承認されていない。つまり、海外ではどこかの国、先進諸国 6 か国の中のどこかでは承認されている実績を持つことを絶対要件にしていたわけですが、このスキームの導入後は、一定の要件を満たせば、先進 6 か国も含めて、国内外で承認がない医薬品であっても、相当程度のエビデンスがあるのであれば、開発要請をして、企業に取り組んでもらってもいいのではないか。こういう変更になりますので、決定的な違いは、どこか先進国で 1 か国でも承認があったものというところから、それすらないものまで、慎重に検討いただいた上で要請を頂くということが大きな変更点になろうかと思います。

 適応外薬については、現状の運用では、海外の承認制度で承認されているというところが原則なのですが、「注」の部分と括弧書きがありますが、一定のエビデンスに基づいて特定の用法・用量で広く使用されていると。適応外薬というのは、各国々において若干運用が流動的なこともあり、その物質自身の承認を 1 回取っていれば、用法・用量が別のものであっても、必ずしもその使用方法を禁止されないというようなところもありますので、そういった観点で「注 1 」のように、海外のガイドライン及びその根拠論文の提出があれば、その堅牢性において一部対象にしてきたわけです。今回については、更にそこを一歩進め、オーファン要件を満たすようなものについては、必ずしもそこまでハイレベルの堅牢性のあるデータを要求しなくてもいいのではないかということです。ここも、引き続き先生方の御検討をお願いし、対象範囲に入れてもいいという変更になりますので、どちらかというと未承認薬が非常に広がった感じで御理解いただければ、イメージに近いのかなと考えているところです。

 次のページは、最初に御紹介した資料 1 の裏面の資料と同じです。具体的に今後どのようになっていくかというと、右側の 2 段目あたりに吹き出しを作っています。今まで「海外での承認等」という形で検討対象にしてきたわけですが、今回一定要件を満たす欧米未承認のものも入ってきますので、医療上の必要性が高いことが前提ではありますが、一定の要件を満たす欧米未承認のものも、この学会要望あるいは患者会から御要望を頂きましたものにつき、検討対象には入れるというようなスキームに変更されてくる。このような形を想定しています。

 最後のページです。今日の参考資料にもありますが、現在運用させていただいている医療上の必要性の評価基準を (1)(2) で提示させていただいています。こちらは適応疾患の重篤性と医療上の有用性の 2 種類の観点で、両方とも該当することをもって、医療上の必要性が高いと御評価いただいているところですが、今回未承認薬については、欧米でも未承認のものもターゲットに入れるとなったときには、 (2) のウの部分が事実上ほぼ当たらない、「欧米等においても標準的医療法に位置付けられており」というのが、承認がないので、ここはまず該当しなくなってしまいます。そういうことを考えますと、「注 3 」で少し加えておりますが、一定の要件を満たす国内外未承認薬を検討対象とした場合については、 (2) のうちウの部分は、事実上、欠番として扱わせていただくという、事務的なことではありますが、こういったもので整理させていただければと思います。少し細かいことではあるのですが、別のルールを作ると煩雑ですし、欠番を詰めて、エをウとすると、エで慣れている方は、ウを見た瞬間によく分からなくなってしまうということもあって、ヒューマンエラーを防ぐ観点で、欠番という運用をさせていただければと考えております。

 資料 7-2 を御覧ください。今回も参考資料で開催要綱を御用意させていただいていますが、今回の制度が導入されることになりますと、目的などもいじらないと按排が悪い。具体的には、冒頭の目的の「欧米では使用が認められているが」という所を明確にうたうと、海外未承認のものもターゲットにする意味で少し苦しいということもありますので、そこの部分を削除しながら、「欧米での承認実績や論文等で公表された優れた試験成績等のエビデンスに基づいて」ということを追加する御提案をさせていただきます。

 それと、検討事項 (3) の「また」以下の一文の削除を御提案させていただきます。「また、未承認薬・適応外薬の開発助成の是非、支援額の上限についての検討・確認を行う」ということです。こちらは冒頭に堀田座長からありましたが、今回で 22 回を数えますが、この項目は初回のときに、正に 100 億円の政府補助金の資金、ファンディングがあり、それを未承認薬で開発が進まなかった 14 品目について、開発助成金の幾らを上限として支給していいかということの御検討を、この会議でやっていただきました。正に、この会議の最初の設置のときのファーストミッションが、この「また」以下であったわけですが、そのファンドも 3 年間の基金で、無事開発で支援した 14 品目も育っていき、承認にどんどん近付き、ほとんどのものは承認に至ったということもあり、一応この役割も終えたかということで、「また」以降を積極的に書く必要もないだろうと。御指摘で、その他必要な事項の検討を行うことがありますので、万が一そのような事態があれば、また活用することはできますが、現時点ではルーチンワークとしてはないものですので、ここの部分を整理させていただくことを御提案いたします。

 

○座長

 冒頭で申し上げましたように、この検討会は 22 回を重ねて当初の目標はかなり達成しました。それでも、積み残し、あるいは、検討対象に入らないけれども大事なものもあるという状況があります。今は、そこまで対象を拡げないで、ストライクゾーンを決めて検討してきたのですが、そのストライクゾーンすなわち、検討対象を広げるということで、いろいろなニーズに応えていくということです。今の説明に、何か御質問や御意見がありましたら、どうぞ。

 

○吉村構成員

 欧米で承認されているものだと、承認のプロセスの中でどういうエビデンスがあったというのは、かなりはっきりしてくるのではないかと思うのですが、承認されていないとなると、エビデンス自身を調べるのにかなりの労力負担が起こるし、エビデンスの取り間違いであったり、逆に必要なエビデンスを見付けられなかったということが起こることが心配されるのですが、例えばワーキンググループの労力負担とか、 PMDA の労力負担の増加につながるということはないのでしょうか。

 

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 御指摘はごもっともで、私としては心配しております。

 ただ、先生からもございましたように、これは大切なことですので、皆さんの御協力を頂きながらやっていただく。先生の御指摘のように、大変多くの方々の御尽力を賜って進めるものなので、こういった成果について温かい目で見守っていただくようなことも併せてお願いしないと、短期間でどんどんやれと言われても、エビデンスがそろっているものと、そろっていないものの作業負担というのは圧倒的に違いますし、今回の 7-1 に書いてありますように、治験とか検証データがそろっていない場合に、要請を受けた企業にしてみれば、場合によっては新たに治験を一からやらなければいけない、使用実態を踏まえて一からエビデンスを作るという作業も生じますので、当然ながら開発行程の中で時間もかかりますし、先生方の期待にお応えするときにまで、もたつくようなこと、あるいは調整すること、作業等が難航することも予想されますので、特にこの領域をターゲットにすることはよろしいかと思うのですが、慎重に御議論を頂いた上で、十分に醸成していければなと思っております。

 

○座長

 そのほかに御意見はございますか。

 

○横谷構成員

 切分けとして明確にしたことは大変素晴らしいと思います。 1 つお聞きしたいのは、 PMDA 等の労力もすごく増すところで、もう 1 つのことなのですが、こういう枠組みが日本で行われるということは、世界の中で見ると、ある意味では一歩先を行くということになる。これが変な動きではない、これは非常によい動きであって、日本を見習ってこのような形にしようということで世界が見てくださると有り難いと思うわけです。

 日本で承認された薬剤が今度は、 FDA であるとか EMA が、逆にそちらでも承認につながるような形で、外に公表できるというか、認めてくれると有り難いと思うのですが、そこら辺の位置付けであるとか、世界から見たときの日本の動きというのは、ある程度公表され、それが認められるような形の動きとか、何かそのような努力があるのでしょうか。この審査の過程なども、英語で分かるように公表しなければならない等のことで大変になってしまうことはあるとは思うのですが、そういった労力もあるので、実際は難しいと思うのですが、全体の枠組みの中での国際的な位置付けみたいなものがあると、余計に力強く有り難いと思うのです。

 

○医薬食品局審査管理課課長 今の御指摘は、全く私どももそのように思っておりますし、日本でやっていることを海外からも理解をしていただく必要はあるとすごく思っています。海外未承認で国内でも未承認でというところ、それを日本で力を入れてやろうとするというのは、世界に先駆けて物を出していこうというような話になる。そういった候補が、その中に入ってくる可能性がある。

 これは実を言いますと、昨年厚生労働省で「先駆けパーケージ戦略」と言っているものとスコープ等も少し被るところがあり、こういうことを考えると、世界に向かって、日本も貢献していくようなものをやろうという取組があるのだということを、積極的に紹介していくということが大事だと考えています。

 それで、昨年の先駆けパッケージ戦略について、厚生労働省が取りまとめたものについて英語版を作り、先駆けは、とにかく「 SAKIGAKE 」と、そのまま英語にして、一応英文の形のものを厚生労働省のホームページにも出し、海外の関係先にもお送りし、御案内をしているところです。

 こうした日本がやっている新しい領域について、施策を英語にして発信していくということが大事だということは、 PMDA にも今、一生懸命取り組んでいただいており、特に、先駆けて日本が最初に承認したものについて、優先的に審査報告を英語にし、ホームページに掲載し、関係先にも参照としてお送りするということをやっておりますので、まさしく先生がおっしゃったような取組が進んでいるという状況ですので、御紹介させていただきました。

 

○藤原構成員

2 点あります。 1 つは吉村先生もおっしゃっていたこととも共通しますが、海外の未承認薬情報を得るのをアカデミアに任せていてもなかなか難しいので、例えば FDA Break Through Designation Therapy といって、未承認で有望なものは決めていますし、イギリスも Early Access to Medicine Scheme といって Break Through に近いもので、ものすごく有望なものというのは、ベテランの審査官が見てサロゲートエンドポイントを見て、早く承認しますというスキームを作っているわけなのです。

 ただ、 FDA とかイギリスの規制当局のホームページを見ても、どれが認証されているかというのが分からないので、例えば厚生労働省さん、あるいは PMDA さんが、 FDA とか EMA とかと共同して、 Break Through であるとか、 Early Access に載っているようなものを共通化して、この検討会議に示していただくと、多分それが一番患者さんがほしいものなので、アカデミアに任せるとなかなか情報をくれないので、そこの努力をしていただきたいというのが 1 点目です。

2 つ目は、このようにここの審議会は変わりましたが、次にマインドを変えていただきたいのは、 PMDA さんの審査のスタンスのところです。これからこの検討会議に出てくるのは、恐らくシングルアームのトライアルで、対象がオーファンのディズィーズで、サロゲートエンドポイントでしか検討できないものです。ランダム化比較試験をやって、ハードなエンドポイントで見ていくという試験で承認するというスタイルは、ものすごく減ってくると思うのです。

 だから、どう希少疾患の患者さん、あるいは罹患数の少ない疾患の患者さんに対して、承認のハードルを公知に近い形で与えるのかとか、それを議論していただかないと、せっかくここで「いいですよ」といっても、 PMDA に持っていったら、それは III 相試験が要るということを最近の抗がん剤ではよく言われているので、それではなくてシングルアームでもフェーズ 2 でも、素晴らしいものは先駆けて承認するというスタンスも少し検討していかないと、実態に追い付かないのではないかと思うので、それもよろしくお願いします。

 

○座長

 事務局で何かコメントはありますか。それとも承っておきますか。

 

○医薬食品局審査管理課長

 実は、そこは思いは同じであり、 PMDA の中でも科学委員会を設置して、そうした新しいチャレンジングな課題について、日本のアカデミアの英知も集めて御提案いただき、検討もしていると承知しています。

 それともう 1 つは、最近進んでいる RMP のような、承認前にできることに限界がある場合、それを承認後もきちんとバトンを渡して、課題として掲げて、不足する情報をはっきりさせて、課題も、特に安全性の課題がいろいろ出てくるものが抗がん剤の場合は多いですから、それも具体的に挙げて、いつまでに、何をどうやってデータとして集めるのか、どういう方法でやるのかということも明示して、医療現場にもそれを理解していただけるような分かりやすい形で PMDA のホームページに載せていますので、こういう市販後も含めた取組で、承認時の少ないエビデンスでどうするのかということを何とか乗り越えたいという取組も進んでおります。これは、それで現場が耐えられるかどうかと心配も抱いておられると思いますので、そういうものに耐えられるかどうかということもよくお伺いしながらやっていく必要があると考えています。

 こうした点、藤原先生の御指摘、御提案は私どもも同じ視点で考えているところがございますので、また PMDA の審査部門の方々ともよく御相談をしながら進めていきたいと思っております。

 

○座長

 そのほかにいかがでしょうか。

 

○樋口構成員

 大変素晴らしい前進だと思うのですが、 1 つ伺いたいのは、適応外薬の場合、「一定のエビデンスに基づいて」という表現がされていて、これはこれからなのかもしれませんが、一定のエビデンスというのは、よくエビデンスレベルがランキングされていて、 1 から 5 というようなことはよく示されます。その中の、例えば 1 であれば、 RCT の規模の大きなものが 2 本以上あることというようなことがあったりするのですが、ここでは例えば海外のガイドラインとか、根拠論文の提出というように、現状の運用の中では注釈として書いてあったわけですが、そういったものをイメージしていいのか、あるいは新たに、こういった一定のエビデンスというのはどういうものであるというガイドラインが示されるのか、その辺りについて伺わせていただければと思います。

 

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 事務的なことからお話させていただきますと、今までも既に運用させていただいていまして、御案内のように、平成 11 年の二課長通知などで、一定の要件を満たしたら公知、医学薬学上公知であった場合には、資料の一部ないし全部を省略することができるという形で運営しておりますので、そういった今までの蓄積の延長線上を考えておりますので、今回これを契機に突飛なことをしようということは全くございません。基本的には前の延長線上の中で、少しずつ過去の実績を踏まえてチューニングをしていくというスタンスですので、前と同じようなものの延長線上で考えていきたいと思っております。

 

○座長

 これまでも、必ずしも FDA なり EMA がきちんと適応症として書いてなくても、検討対象にしてきました。例えば公的保険が承認しているとかというレベルです。それをもう少し明確にするということですね。ほかにいかがでしょうか。

 

○吉村構成員

 先ほど、少ししんどいのではないかということをお聞きしたのは、この検討会議のスタートのときのミッションは、もう既に終わっていて、今度出てきている、今おっしゃったような問題というのは、少し異質な部分があるのではないかという感じを持っているのです。だから、むしろこの検討会議の規模を縮小するなり、あるいは 1 度止めて、もう 1 つ新しい組織でもってこれを検討したほうがいいのではないかという印象を持っているのですが、いかがでしょうか。

 

○座長

 これは事務局が答えるというよりは、皆さんフリーでディスカッションしていただいてもいいと思います。今までの流れをやめてしまうわけにはいかないので、それはそれとしてまもった上で、新しく衣替えということです。これまでどちらかというと、ドラッグ・ラグを解消という視点でやってきたのですが、これからはドラッグ・ラグを世界に差し上げるという、こちらが海外に先行するという部分が出てくるという点では、随分違う段階に踏み込むということにはなるのかと思います。事務局でその辺に関してありますか。

 

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 非常に大きな御指摘なので、私ごときではビジョンは示せませんが、過去の歴史的経緯等について御紹介できますので、その辺についてお話させていただきます。

 もう御案内かもしれませんが、平成 17 年に未承認薬使用問題検討会議が設置され、ちょうど 22 回で改組しております。今回、こちらも偶然 22 回ということですが、その間にがんについての検討会議であったり、小児薬物療法検討会議というものも併せて、盛んに御議論いただき、最終的に 22 回を終わったときに、改組という形で、その 2 つの未承認薬使用問題検討会議と小児薬物療法検討会議をマージして、発展的解消を遂げてきた歴史がございます。

 当時、未承認薬については、もの自体がないのでまず急ぐということを徹底することで進められ、小児薬物療法検討会のほうでは、適応外として放置されている、特にアーデントなものをやろうという形でやってきて、それをさらに発展的解消という形で伸びてきたことを考えますと、ここに御参集していただいている方々が、正に英知の結晶なので、例え改組としてもより規模を大きくして、引き続きお願いすることはあったとしても、全く廃止してしまうことは事務局としては考えにくいかなと思っていたのですが、歴史としては、そのような発展的解消でスコープを広げ、対象を広げ、どんどん処理をしていくというのが歴史であったということは、事実として御案内できるかと思います。

 

○座長

 そのほかに何かございますか。

 

○小国構成員

 私は小児科なのですが小児の薬のドラッグ・ラグというのは非常に問題になっていたのですが、特に小児の場合はランダマイズ・コントロール、特に希少疾患が非常に難しい。適応外、未承認でかなり救っていただいた部分もあると思います。今後も、小児の場合は、エビデンスの高い研究結果というのは得られ難い。国際的な全ての情報を網羅して、何らかの方法で早くドラッグ・ラグをなくしてほしいというのが現状でして、この会議をぜひもう少し残していただきたいと存じます。その中で非常に最先端の治験というのは小児の場合は難しい点も多いのであろうと思いますので、その辺は考慮していただきたいと思います。

 

○座長

 そのほかにはいかがでしょうか。これに限らず、この会議の持ち方というところまで話がいきましたが、それでも結構ですので、フリーに少しディスカッションしたいと思います。いかがでしょうか。

 

○伊藤構成員

 これは中村先生の所の班研究のものですが、一応 17 品目が通っていて、承認されていないのが 7 品目あったというのが出ていますから、今までも同じようなことはやっているわけです。 6 か国で承認されていないものが 7 品目を、一応ここのところで検討されて、有用性が見られたということがありますから、要するにより分かりやすくしたということなのですね。

 私たちから見れば、承認されているかどうかというのを自分たちの力で調べるのは、非常に困難なところがあります。自分なりのエビデンスである程度調べることはできると思いますが、非常に楽になったと私自身は思っております。

 

○座長

 そのほかの御意見はいかがでしょうか。岩田構成員は何かございますか。

 

○岩田構成員

 これまで小児薬物療法検討会議のときから関与させていただいておりますが、先生方の御努力、当局の御努力で未承認薬・適応外薬も随分たくさん承認されてきて、本当にいいことだなとずっと思っておりました。特に、私も小児科医ですので、小児に関する未承認薬がこの中でも随分たくさん検討され、非常に有り難いと思っています。

 発展的解消の話も出ましたが、いろいろ考えますと、国内で本当はないと困るというお薬はたくさんあると思います。例えば、感染症に関して言えば、感染症はグローバル化してきていますので、日本にはとっくになくなっている疾患でも海外では遭遇することがあります。海外との交流の中で国内でもそういった疾患が出てくることもある。例えば寄生虫疾患、熱帯地域で流行している疾患などです。

 そういう意味では、まだいろいろ掘り起こしていけば出てくるのかなと思いますので、私としては引き続き、学会も巻き込んだ形で、この会議を進めていただければと思っています。

 

○吉村構成員

 私が先ほど「縮小」あるいは「改組」というニュアンスで話をしたのは、この 1 年ばかりの様子を見ていて、これだけのマンパワー、事務方も含めて、それだけの人間が集まって議論するのには議論の内容が少なすぎるのではないかと。この 1 年ばかりほとんどそういう状態で、報告に関しては数字が出るだけの話ですから。

 そうすると、議論の内容は、これが本当に公知申請に値するか、承認に値するか、エビデンスは大丈夫かというのは、やはり一番重要な部分ですが、それに関しては少なくともこの 1 年は、極めて僅かしかなくて、これだったらこんなに大勢ではなくて、もう少し関係する部門の少人数でもいいのではないかと。

 それに対して、先ほど言われたように、むしろ欧米に新しいものをという視点だとすると、これは最初にスタートしたときのミッションとはかなり異質だと思うのです。それだとすると、従来の部分を検討するものはうんと縮小して、新しい組織を作るか、あるいは新しい組織を作って、その中に従来のものを一部残すかというような、そういうことをしないと、ものすごくリソースの無駄遣いになるのではないかという気がしてしようがないのです。

 

○座長

 確かに、最近は要望自体も減ってきていますし、本当にみんなが「これはなくては困る」と言っているものが解消してきており、残ったのはかなりスペーシィフィックなものであったり、解決が難しいような問題が残ってきたのは事実ですね。

 そうしますと、今のままだったら役割を終えて縮小、解散でもいいのかもしれませんが、せっかくなのでスコープを広げて、新しい分野に踏み込んでいくべきと考えます。この会議自体を新しくするのかどうかという方針は事務局で決めていただくことで、ここで勝手に決めるわけにはいかないことだと思います。

 先ほどの世界未承認にも踏み込むということで言うと、恐らくワーキングのほうは負担が大きくなりそうな気がするのですが、参考人の方々の御意見も伺っておきたいと思います。

 

○山本 ( ) 参考人

 循環器ワーキングの座長です。今までの議論をお聞きしていましたら、ワーキングの労力負担というよりは、そこはワーキングで決められなくなるのではないかと感じております。というのは、今のワーキングの作業というのはエビデンスを値踏みするということをしておりますが、問題は値踏みするエビデンスが出てこない、ただポテンシャルだけを見なさいということになりますと、それは今までのワーキングでの議論からは完全に懸け離れたものになりますので、それを現在のワーキングがやるべきことなのかということになると思います。

 ワーキングで見たとしても、ここの検討会議で御覧になることと同じことしか分からないということになろうかと思います。結局エビデンスは出てこないので、ただ単にその薬のポテンシャルと対象疾患の治療と予後の現状との比較として、開発を推進するのに値するかどうかということを決めるだけですので、逆にいうと、ワーキングでの議論は必要ないのではないかなと感じました。

 

○座長

 基本的には、エビデンスに基づいてというよりは、未知のものを判断しなければいけないという意味で、確かに御指摘のとおりです。ですから、ある意味で見込みとしての状況の判断が必要になってきます。

 

○山本 ( ) 参考人

 はい。もう 1 つは実務的な話ですが、そういうポテンシャルがあるものを開発要請をかけて、藤原構成員もおっしゃったように、スモール・クリニカル・トライアルの形で承認していって、ある程度積み残しが出て市販後に情報を集めるということになりますと、これはワーキングではなくて医療機関側の意見として申し上げさせていただければ、それはもう PMS ではないと思います。現時点の PMS は日常診療の中で集められる情報だけを集めるということになっており、それで個人情報保護法から外れて、患者さん御本人の承諾を頂かないで、患者さんの個人情報に近い情報を企業に出しておりますけれども、もっと機微な情報を収集するということになりましたら、その点はもう PMS ではなくて臨床試験としてやっていただきたいと。それをそういう枠組みとして、きちんと位置付けていただきたいと思います。

 

○座長

 安藤先生、何か御意見はありますか。

 

○安藤参考人

 山本先生と同じ意見でして、今までの検討会の流れでは、私たちは実際の臨床現場に立つ者として、エビデンス、有用性、安全性の検討というところで、俗な言葉で言えば、非常にバランスの取れた相場観と照らし合わせて、これが必要なものかということ、支障がないかということを判断させていただいていたのですが、今回のお話を伺っていると、それとは全く異質のもので、私たちが行ってきた業務の範囲外だと思います。

 ですから、本当に限られた情報しかない中でそういうことを判断するというのは、今のワーキンググループでは無理だと私も思います。

 

○座長

 かなり現実的な御意見も伺うわけで、確かに踏み込む世界は相当違うなという印象は持ちますね。

 

○伊藤構成員

2 つだけ言いますと、私自身も現場でどういうものが必要かというのを集めるのは、非常に苦労をします。いろいろなことをやって集めてきましたが、現場の声が本当に反映されているかどうかが 1 つあります。

 もう 1 つは、私たちが、こういうものが必要だろうといって出して、自分なりにやってみて、専門家からどういうところが抜けているかを指摘していただきたいということがあるのです。要するに、こういうエビデンスを集めたときに、こういうことが抜けているからしっかりやらないといけないとか、そういうもののサジェスチョンを頂いたらいい、専門家の立場から見ていただきたいということも必要なことは必要なのです。それはかなり負担だということになるとは思うのです。

 私たちは素人ですから、ある程度必要なところが上がってきたときに、いろいろと文献を集めて整理してみますが、その中でどのようなエビデンスが不足しているかとか、そういうことは本当に専門家の立場でないと分からないことが結構あると思うのです。そこら辺がどうかなと私自身は思っているのです。

 

○山本 ( ) 参考人

 今の御意見を聞いて思いましたのは、全くの未承認のお薬で、エビデンスのないものがワーキングにかかったときは、ワーキングの議論はエビデンスを値踏みすることではなくて、開発計画を立てるということになってくると思います。

 そうなりますと、そういう観点でワーキングを組み直す必要はあろうかと思います。現時点では、エビデンスを値踏みするという観点でワーキングは組織されておりますので、もしそうではなく、新しい薬を開発するときのサジェスチョンを付けた上で、 PMDA とワーキングが一緒に作業をすると思いますので、 PMDA の意見とワーキングの意見を加えた上で、こういうものを開発するのであれば、こういうことが必要ではないかという、開発計画のサジェスチョンを入れるような形になってしまうので、それではそれに適した人たちをワーキングに組み直す必要があるのではないかと思いました。

 

○医薬食品局審査管理課長

 今のようなお話のものということですと、 PMDA でやっている薬事戦略相談、開発の早い段階でアカデミアの先生が、「このような可能性があるのではないか」と言われるものの御相談に乗って、こういう疾患のこういう治療に使うのであれば、こういうデータを取ったほうがいいとか、製品にするためにはこういう品質や、あるいは製品としての特性を引き出すような開発をしないといけないのではないかということの御相談をやっている実情がございます。実を言うと、そういうことを PMDA がアドバイスをする上で、日本のそういう領域のいろいろな専門家の先生にアドバイスを頂いて、それも加えて PMDA のアドバイスという格好でやっているのです。

 結局、大半は PMDA の薬事戦略相談のほうで受けさせていただいて、それをやっていく、検討する際に、 PMDA は恐らく今のワーキングの先生方にもお知恵を借りにいくようなこともあるかもしれないと考える次第です。

 いずれにしても、開発の部分をどのようにしたらいいか。見方によれば、臨床現場でどういうデータを取っていったらいいだろうかということについての知恵を絞るという部分が、未承認薬を早く実用化するという切り口の部分と、開発を進めるという部分と、両方の側面がありますので、それをどちらの側面に光を当てて、どのようなスキームで対応できるかということについて、そういう時代になってきているので、考えるような状況になっている。

 したがって、そこに登場するプレーヤーとして、 PMDA のやっている治験相談あるいは薬事戦略相談というスキーム、そこは相当な活動実績がありますので、こちらを、むしろ開発を進めるという観点での話としては、あろうかなと思った次第です。

 実際に専門家の先生方が、どうしたらいいのだろうと考えているところに、より光を当てたやり方が薬事戦略相談と言っているものです。この最初の相談は無料で御相談に乗るということ、本格的な相談もかなり低価格で相談に乗っているというような実績がございますので、これを考えていただくのがいいかなと、お話を伺っていて感じているところです。

 

○伊藤構成員

 結局、企業がしてくれるものはいいのです。ここに出てくるものは、見向きもしてくれなくて、要するに自分たちでどれだけやるかという話で、例えば私たちが一般臨床をやっていて、私はもう定年退職になりましたが、一般臨床をやりながら、そういうものをみんなが要望しているから何とかやろうとした場合に、企業も相手にされなくて、相談に行って、ある程度これをやれと言われても、全然次に進まないわけです。そういう窓口があったとしても、必ず開発してくれるところがない限り、そこは進まないと思うのです。だから、どうしようもなく今まではここへ持ってきてやっているわけです。

 

○医薬食品局審査管理課長

 そのようなものが薬事戦略相談のスコープの中に入っているということなので、今、少し御紹介申し上げているのです。アカデミアの方々からの御相談を頂くというところが、そういった、まだ企業が本格的に手を出すという話が必ずしも見えていない段階でも、御相談をしながらですね。

 実用化に向けて、特に最終的に実用化ということを視野に置こうとすると、企業に、ちゃんと参加してくるような形のエビデンスをうまく作っていくというところも、非常に大事なプロセスになります。そのためにも現場から見てもこれは大事だと思う、なおかつ企業がそれを担えると考えるようなエビデンス作りや、それを実際に安定的に現場に供給することのために、どんな形が最終的に考えられるかということですね。一緒に考える、そのための知恵を絞るという部分として、薬事戦略相談というのは作られてきています。それだけしかないと申し上げるわけではありませんが、そういうアプローチもあるということは御理解いただきたいと思います。

 なかなか薬事戦略相談のアカデミアの先生方、あるいは医療現場の先生方に対する認知が十分に進んでいない面もあるので、いろいろな所に出向いて、 PMDA の薬事戦略相談担当は、「こういうことも相談できますよ」というのを、いろいろな事例も紹介しながらやってきておりますので、その中に一部、先生がおっしゃっている困っているようなお話も入ってくると私は思っているものですから、申し上げている次第でございます。

 

○座長

 結局は、未承認のものに対応するとなれば、当然治験が前提なので、公知申請はあり得ないわけです。対象品目が医療現場で必要とされているかどうか、あるいはそれだけの有用性や市場性が保証されるかどうかという判断はある程度できるかもしれませんが、実際にそれをどうやって薬にするかというところは、よく考えないといけないということかと思います。

 

○山本 ( ) 参考人

 参考人で何度も発言して申し訳ございません。循環器ワーキングの山本です。今までの御議論をお聞きしていて思ったのは、今までのここに出てくる品目の要望者が、学会さんが中心で、ときに個人とか患者会がございますが、もともと自分たちで開発をするということではなくて、「こういうお薬がほしいのでお願いします」という形での要望だったと思うのです。もし、全くの未承認で、今から開発するところに踏み込む場合、そもそも企業が開発意欲がある場合は、そこに上がってこないと思いますので、今までのように学会さんあるいは個人の患者会さんが、「こういう良さそうな薬があるのでお願いします」というだけでは、難しいのではないか。

 ですので、そういうものに限っては、できたら開発の意思のあるアカデミアの方々に要望していただかないと、先ほどの薬事戦略相談もありましたが、相談者がいなければ相談は成り立ちませんので、相談者がないままに相談だけをして、開発をしてくれる企業を探すというのは非常に難しいと思いますので、その点が今までの要望と異質になってくるのではないかと感じました。

 

○座長

 この問題をここですっきり結論を得るわけにはいかないという印象になってきました。いずれにしても、この検討会の持ち方は、そろそろ役割を移していかなければいけないというのは、皆さんに賛同いただけるかと思います。

 次に、どういうスコープにこれを広げていくか、あるいは切り替えていくかということについては、もう 1 回今の議論を踏まえて、事務局のほうで整理して提案していただきたいと思います。いずれにしても、この検討会の前身は未承認薬使用問題検討会議でしたが、それを適応外まで広げたり、あるいは小児と一緒になるという形で、変わってきてはいるので、当初の在り方と外れてはいけないという話ではないと思います。そこはフレキシブルに考えたいと思います。

 今日は未承認に絡んでの問題点を指摘していただきましたので、そこは事務局で整理して、次回に提案をお願いいたします。ほかに何か、全体として御意見を頂くことがありましたらお願いいたします。よろしいですか。

 

○医薬食品局審査管理課課長補佐

 次回もお付き合いいただきたいと思いますので、次回の検討会議について日程調整中ですので、日時が決まり次第御案内させていただきますので、恐縮ですが、またよろしくお願いいたします。

 

○座長

 特になければ、第 22 回の検討会はこれで終了いたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局研究開発振興課
厚生労働省医薬食品局審査管理課



03-5253-1111(内線 4165、4229)

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