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2015年5月13日 第36回労働政策審議会 議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成27年5月13日(水)
14:30~16:05


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

【公益代表委員】

樋口会長、阿部委員、勝委員、小杉委員、田島委員、土橋委員

【労働者代表委員】

相原委員、板垣委員、神津委員、永芳委員、南部委員、畠山委員、浜田委員、眞中委員

【使用者代表委員】

市瀬委員、浦野委員、岡田委員、宮原委員、椋田委員

○議題

(1)会長の選挙
(2)平成27年度厚生労働省予算(労働政策関係)について
(3)分科会及び部会等における審議状況について
(4)法案の国会審議状況について
(5)その他

○議事

○田畑労働政策担当参事官
 定刻になりましたので、ただいまから第36回労働政策審議会を開催いたします。私、労働政策担当参事官の田畑でございます。本年4月27日付けで委員改選がありました関係で、会長が決まるまでの間、事務局が議事を進行させていただきます。よろしくお願いいたします。
 議事に先立ちまして、村木厚生労働事務次官より一言御挨拶を申し上げます。

○村木厚生労働事務次官
 事務次官の村木でございます。本日はお忙しい中を労働政策審議会に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。今日は第8期労働政策審議会の委員の皆様による初会合ということです。よろしくお願いいたします。
 雇用情勢ですが、景気の回復基調を受けて、有効求人倍率は22年ぶりの高水準ということで1.15、それから、完全失業率も17年ぶりの低水準の3.4という数字が出ているところです。また、働く方々から一番関心の高い賃上げについても、過去15年間で最高となった昨年を上回る賃上げの回答が行われているところです。中小企業や非正規の労働者の賃上げについてもデータを見ます限り、前年を上回る状況となっています。これからもしっかりこの動きに注目していきたいと思っているところです。こういう時期です、厚生労働省としては、こういう雇用情勢が比較的良い時期というのは本当に雇用の質の改善に取り組める大変良い時期だというように思っています。女性や若者、あるいは非正規の人たちの雇用対策、それから働き方改革、こうした施策についてしっかりと対応をしていきたいと思っています。
 これからの雇用政策を考えますと、我が国を取り巻く人口減少、グローバル化という中で、とりわけ労働力人口が減る中で、これは雇用政策研究会から頂いた大きな雇用政策の切り口ですが、危機意識を持って、全員参加型社会を実現するということ、そして、それを可能にするためにも、社会全体で人材が最適に配置されて、一人ひとりの能力が十分に発揮されるようにしていく、そのための労働市場インフラをつくるという大きな課題にしっかり取り組んでまいりたいと思っています。
 そして、そういった労働政策を進める上では、ILOの三者構成原則の趣旨もしっかりと踏まえ、労使の参画を得て、十分に議論を尽くし、実効ある施策をつくっていきたいと考えております。その意味で、この労働政策の策定に当たっては、公労使の三者で構成されるこの審議会の役割が非常に大きいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最後になりましたが、本審議会の委員の皆様方には、非常に重要な労働政策の方向性を決めていただく、総合的な見地からの調査審議をお願いすることになります。皆様方の幅広い御見識と豊かな御経験に基づいて、有意義な議論をお願いできますように、また事務局もしっかりと審議のために努力をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○田畑労働政策担当参事官
 カメラ撮影はここまでとなります。もしあれば、御退出をお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に、新たに委員に就任された方を御紹介させていただきます。お手元に資料1として、労働政策審議会委員名簿をお配りしています。この第8期から新たに委員に就任された方を御紹介いたします。まず労働者代表ですが、UAゼンセンの浜田委員です。

○浜田委員
 浜田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○田畑労働政策担当参事官
 次に使用者代表、美和商事株式会社代表取締役の市瀬委員です。

○市瀬委員
 市瀬でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○田畑労働政策担当参事官
 株式会社小松製作所執行役員人事部長の浦野委員です。

○浦野委員
 浦野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○田畑労働政策担当参事官
 それから、本日は欠席ですが、神奈川県中小企業団体中央会副会長の栗原委員が新たに委員に就任されております。本日は任命辞令を皆様の机の上に置かせていただいています。また、審議会の関係法令、運営規程を参考資料としてお配りしています。併せて労働政策審議会の分科会委員名簿をお配りしていますので、後ほどご覧いただければと存じます。
 それでは、議事に入ります。まず、議題1、会長の選挙です。会長につきましては、労働政策審議会令に「公益を代表する委員のうちから、委員が選挙する」となっており、委員の皆様に選んでいただくことになっています。いかがお取り計らいいたしましょうか。

○阿部委員
 引き続きではありますけれども、樋口委員にお願いしたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

○田畑労働政策担当参事官
 御異議ないということですので、樋口委員に会長に御就任いただくことといたします。
 以後の議事の進行については、樋口会長にお願いいたします。会長席にお移りください。御案内をお願いいたします。

○樋口会長
 御指名いただきました樋口でございます。微力ながら全力を尽くしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 早速ですが、次の議題に入りたいと思います。私が会長ということですが、そのサポートということで、労働政策審議会令におきまして、私から会長代理を指名することになっています。会長代理につきましては、岩村委員にお願いしたいと考えております。本日は欠席ですが、多分、了承を得られるのではないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 議題2に入ります。平成27年度厚生労働省予算(労働政策関係)について、事務局から説明をお願いいたします。

○田畑労働政策担当参事官
 引き続きまして、労働政策担当参事官の田畑から予算案の主要事項について御説明を申し上げます。資料2ですが、厚生労働省で作成しています「平成27年度予算案の主要事項」という冊子から労働政策該当部分を抜粋したものです。表題は「予算案」となっていますが、4月9日にこの案どおりに予算成立していることをまず申し上げます。
 2枚めくりまして、平成27年度の予算の全体像についてまず御説明いたします。2ページ目、一般会計の全体像ですが、厚生労働省予算の一般会計総額は29.9兆円、対前年度比で3.0%の増となりました。また、その大半を占める社会保障関係費の内訳は3ページ、雇用については一番下の欄のように1,679億円となっています。4ページが特別会計の全体像です。労働保険特別会計の27年度予算額は3兆6,227億円となっています。7ページが平成27年度厚生労働省予算案の主要施策の概要です。1つ目の箱が女性・若者等の活躍推進で、ここに雇用・労働関係の施策が盛り込まれています。項目としては、女性の活躍推進と少子化対策、若者・高齢者・障害者等の活躍推進、雇用・セーフティネットの整備の3つが入っています。2つ目の箱の健康長寿社会の実現、こちらは厚生分野の施策になります。8ページは、地方の創生に向けた主な施策の概要です。「しごと」と「ひと」の好循環づくり、「しごと」と「ひと」の好循環を支える「まち」の活性化といった施策を講じていくこととしています。以下、主要事項について御説明いたします。
 9ページ以降が主要事項です。資料2枚目の目次にありますように、主要事項全体で第1から第9まで9つの柱がありますが、第2、第5、それから、第9の施策横断的な課題への対応の中に、雇用・労働関係の施策が含まれています。そこの部分を順に御説明いたします。
 第2「女性・若者・高齢者等の人材力の強化」です。10ページの1、女性の活躍推進ですが、女性が活躍しやすい職場環境整備の促進のための助成金の支給、女性の登用状況等に関する企業情報の総合データベース化といった女性の活躍推進のための積極的取組の推進、マザーズハローワーク事業の充実や訓練コースの実施など、女性のライフステージに対応した活躍支援、労働者の円滑な育休取得・職場復帰など、仕事と子育ての両立支援といった施策を講じていきます。
 11ページの2は若者の活躍推進・正社員雇用の拡大です。若者の活躍推進として、総合的かつ体系的な雇用対策の充実に向けた法的整備、若者の採用・育成等に積極的に取り組む企業の認定制度の創設、重点的なマッチングや助成措置を講ずるなど、新卒者等の職業意識の醸成・就職支援の強化、フリーター・ニート等の安定雇用への支援・職業的自立への支援、フリーダイヤル電話相談やポータルサイトの設置など、若者の使い捨てが疑われる企業等への対応策の充実強化、それから12ページ、若者へのものづくりの魅力発信強化、若者を重点対象として技能検定の積極的活用促進を図るなどの将来を担う人材育成支援を行うこととしています。また、12~13ページに記載のとおり、キャリアアップ助成金の拡充など、正社員実現加速プロジェクトの推進や非正規雇用労働者の雇用の安定と処遇の改善に向けた施策も講じていきます。
 13ページの3は、高齢者・障害者等の活躍推進です。高齢者の活躍推進として、生涯現役社会の実現に向けた企業への支援策の充実、高齢者の再就職支援の充実、現役世代の支援となるような分野を中心としたシルバー人材センターの活動範囲の拡充といった施策を講じていきます。14ページ、有期特措法について円滑な施行に努めます。障害者等の就労促進では、障害特性に応じた就労支援の推進、障害者就業・生活支援センターの増設やジョブコーチによる定着支援の強化など、地域就労支援力の強化による職場定着の推進などの施策を講じていくこととしています。
 4は労働市場インフラの戦略的強化です。業界共通のものさしとしての職業能力評価制度の構築や、産業界のニーズに合った職業訓練のベストミックスの推進、ジョブ・カードの抜本的見直しなど、職業能力の「見える化」による人的資本の質の向上を図っていくこととしています。また、15ページ、労働市場全体としてのマッチング機能の強化として、労働移動支援助成金の拡充や産業雇用安定センターの機能強化により、離職を余儀なくされた労働者の早期再就職を促進するほか、民間人材ビジネスの適切な評価と積極的な活用や、ハローワークの保有する求職情報を民間職業紹介事業者や地方自治体に対して提供する仕組みの構築によるマッチング機能の強化などの施策を講じていくこととしています。
 15ページの5、外国人材の活用・国際協力ですが、留学生や定住外国人に対する就職支援の強化により、外国人材の活用を図るとともに、16ページ、技能実習制度の抜本的な見直しを行うこととしています。
 6、重層的なセーフティネットの構築については、雇用保険制度、求職者支援制度によるセーフティネットの確保や地方自治体等に設置するハローワークの常設窓口の増設など、生活保護受給者等の生活困窮者に対する就労支援の推進といった施策を講じていくこととしています。
 次に、17ページ以降が第5「安心して将来に希望を持って働くことのできる環境整備」です。この柱には3つの項目が盛り込まれています。1が働き方改革の実現です。朝型の働き方の推進など、長時間労働抑制や年次有給休暇取得促進策を進め、過労死等防止対策の一層の推進を図るなど、過重労働解消に向けた取組を推進します。また、労働時間法制の見直し、働き方・休み方改善指標の普及や労使の取組に対する支援の拡充、テレワークの普及など、ワーク・ライフ・バランスの推進、多様な正社員の普及・拡大、中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援の充実など、最賃の引上げのための環境整備等といった施策を講じていくこととしています。
 2が地域に応じた良質な雇用機会の確保・創出です。実践型地域雇用創造事業の拡充による支援や地域経済に必要な人材を大都市圏から各地方へ呼び込むため、人材還流を促す総合的な取組を行うことなどにより、地域しごと創生プランを推進してまいります。また、人材不足分野における人材確保・育成施策の推進として、雇用管理改善による魅力ある職場づくりの推進、福祉分野や建設分野での人材確保、ものづくり分野における人材確保・育成支援対策、人手不足分野における公共職業訓練等の拡充といった施策を講じてまいります。
 20ページの3は、労働者が安全で健康に働くことができる職場づくりです。改正労働安全衛生法の円滑な施行や、第12次労働災害防止計画を踏まえた施策の推進といった労働安全衛生対策の推進、周知・広報の充実や労使の取組の着手・定着化に向けた効果的な支援の充実など、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた環境整備、労働保険未手続事業一掃対策の推進と労働保険料の収納率の向上、長期療養が必要な労働者の復職等支援などの施策を講じてまいります。
 第9が「施策横断的な課題への対応」です。この中で1の国際問題への対応として、ILOを通じた国際協力の推進、23ページの(3)以降、外国人労働者の労働条件の確保、国際発信力の強化、経済連携協定の円滑な実施などの施策を講じることとしています。
 なお、復興関連の施策については、24ページ以降に主要事項(復興関連)としてまとめて記載していまして、28ページの「雇用の確保など」のところに、被災者の一時的な雇用の確保、産業政策と一体となった被災地の雇用支援、福島避難者帰還等就職支援事業の実施、復旧・復興工事等に従事する労働者の安全衛生・労働条件確保対策などの施策を盛り込んでいます。それから、原子力災害からの復興への支援として、東京電力福島第一原発作業員や復旧・復興従事者への対応として、被ばく防護措置等の指導、被ばく線量等管理データベースの運用などの施策を講じていくこととしています。
 30、31ページの主要事項一覧表の説明は省略させていただきます。本年度予算の説明は以上です。

○樋口会長
 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして御質問等ございましたら、お願いいたします。

○宮原委員
 質問でなくてコメントでもよろしいですか。

○樋口会長
 はい、どうぞ。

○宮原委員
 私からは、第5の柱の働き方改革の実現について意見を申し上げたいと思います。17ページですが、過重労働の解消、過労死等についての研究がうたわれていますけれども、昨年、過労死等防止対策推進法が成立し、近く大綱が策定されると承知しています。健康で生き生きと働ける職場環境を整えることは経営者の責務でもありますし、企業の活力の源泉でもあります。セルフケアの一層の推進を図りながら、過労死がない社会を実現するため、経済界としても積極的に協力してまいりたいと思います。
 大綱が策定されることを契機といたしまして、過労死の原因の調査・分析が進み、効果的な予防策が確立されるよう大いに期待をしています。併せて、実効性のある取組を進めるには職場の実態をよく知る企業労使が話し合い、取組を加速させていくことが大変重要であると考えますので、厚生労働省におかれましては、きめの細かい政策支援と予算の確保をお願いしたいと存じます。
 また、恒常的な長時間労働を抑制する上で、メリハリのきいた働き方を尊ぶといったように、社会全体で労働時間に対する意識を変えていくことが大変重要ではないかと思います。先般、経団連は、塩崎厚生労働大臣から、夏の時期に朝型勤務やフレックスタイム制を推進して、夕方早くに職場を出るという生活スタイルに変える、夏の生活スタイル変革の国民運動について協力要請を受けました。同日、直ちに榊原会長名で会員企業に周知したところです。これまでも経団連は経営労働政策委員会報告等を通じ、働き方・休み方改革を訴えてまいりました。本年度につきましても、経済4団体主催による働き方・休み方改革セミナーを6月下旬に開催するなど、労働者のワーク・ライフ・バランスの向上と企業競争力の強化を実現させ、ひいては我が国全体の発展につなげられるよう取組を強化したいと考えています。私からは以上です。

○樋口会長
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○神津委員
 要望でもよろしいですね。

○樋口会長
 はい。

○神津委員
 私から、2項目について意見を申し上げたいと思います。
 1点目は、12ページの(2)の「正社員実現加速プロジェクト」の中のキャリアアップ助成金の拡充に関してです。具体的には、(2)のマル2の「勤務地・職務限定正社員」制度を新たに導入する企業等に対する助成について意見を申し上げたいと思います。この内容は3月26日に開催された職業安定分科会で諮問されましたが、その中で公労使それぞれから懸念の声があがり、同日の分科会では答申に至らなかったと伺っています。その後、持ち回りで改めて分科会を開催し、答申に至るという異例の形をとったと聞いています。そもそも勤務地・職務限定正社員等のいわゆる多様な正社員については、これまで厚労省の研究会レベルで雇用管理上の問題として議論されてきたのみであって、法制度や政策的な観点からの手当はなされてきませんでした。そうした中、今回、キャリアアップ助成金を拡充して、「勤務地・職務限定正社員」制度の導入を対象にすることにしたわけですが、これは厚生労働省の施策の中で初めて政策的な観点から勤務地・職務限定正社員を位置付けるものだと言って過言ではありません。しかし、この助成金の拡充が諮問された分科会では、助成対象とする限定正社員の要件に関する説明が曖昧でした。また、労働側として特に懸念を持っている、限定正社員制度が正社員からのダウングレードに活用されるという点についても懸念が残されたままでありました。さらに事務局からは、限定正社員と正社員との賃金格差を、厚労省として是認するよう受け取られるような答弁もあったと聞いています。そもそも、限定正社員制度は、個別企業の労使での話合いによって導入の是非や要件が論議されるべきもので、労使の話合いによって導入している企業も既にあるわけです。そういう意味で、政府が政策的に誘導すべき性格のものではないと考えます。ましてや、先ほど申し上げたように、正社員と限定正社員の賃金格差についても、政府がお墨付きを与えるようなことは絶対にあってはならない。いずれにしても、本年度予算が成立して助成金制度が既に運用が開始されている中、今申し上げた懸念が生じることのないよう、是非、厚労省としても厳格に運用を図っていただきたいと思います。
 続いて2点目、17ページの労働時間法制の見直しに関してです。そもそも長時間労働を是正していくことは国是であると言っても過言ではなく、ワーク・ライフ・バランスの確保も含めて、そうした視座に立って労働時間法制を整備すべきであると思います。そういう中で労働側は、労働時間の量的上限規制や勤務間インターバル規制などを導入することがまず必要であると主張し続けてきていました。しかし、今回国会へ提出された労基法改正法案には、労働側が求める長時間労働抑制策が十分に盛り込まれていない。一方で、高度プロフェッショナル制度や裁量労働制の対象拡大といった極めて危険で問題が大きいと言わざるを得ない内容が盛り込まれ、労働側として非常に懸念をしています。長時間労働の現状に照らせば、先ほど申し上げた労働時間の規制強化や、昨年11月に施行された過労死等防止対策推進法に基づき過労死ゼロの実現を強く推進していくことこそがまずなされるべきであると思います。今年度予算では、過労死等防止対策の推進のために12億円の予算が計上されており、是非、積極的に活用していただきたいと思います。また、現在検討されている過労死防止の大綱案については、本当の意味で効果的な対策を含む大綱を策定していただきたい。その下で強力な取組を行っていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 最後に、今回の労働時間法制の見直しについても言えることですが、労働政策の決定プロセスについて意見を申し上げたい。今回の改正案策定プロセスを振り返ると、労働者の代表が参画していない産業競争力会議で大方針が決定され、労政審においてはその具体化の検討だけが担わされるという進め方がとられました。こうした議論の進め方は極めておかしなことであり、ILOの三者構成原則に違反するものと言わざるを得ません。労政審の位置付けというのはそういうものではないはずで、労政審での議論を最大限に尊重すべきだということを、今一度、強く申し上げておきたいと思います。以上です。

○樋口会長
 今の点に関連することがございましたら、お願いします。

○岡田委員
 多様な正社員の普及拡大について意見を申し上げたいと思います。先ほど、賃金格差についての御意見もありましたが、様々な働き方のニーズに応える選択肢の一つということで言えば、必ずしも負の側面だけではないと考えています。企業としては、多様な正社員制度を活用した雇用の拡大を図っていきたいと考えています。多様な正社員の普及拡大に向けては、非正規雇用労働者からのキャリアアップ助成金がございますが、助成金の知名度を上げて利用が進むようにしていただきたいというのが意見の一つです。
 もう1点、これとは別ですが、意見を申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。

○樋口会長
 そうしましたら、まず今の点で何かございますか。もしよろしかったら事務的なお話が出ましたので、その点について事務局からお願いします。

○生田職業安定局長
 まず、キャリアアップ助成金の関係についてお話しさせていただきます。神津委員から様々な御心配や御指摘を頂きましたけれども、今、委員から御指摘いただいたようなことが生じないような運用に、是非、努めていきたいと思っていますので、そういう姿勢で臨みます。
 それから、岡田委員から御指摘いただいたキャリアアップ助成金の活用ですけれども、これにつきましては非正規雇用の方の正社員化も含め、様々な形でキャリアアップする際の支援策がたくさん盛り込まれていますから、これを積極的に活用し、正社員化あるいは処遇改善に努めていくことは非常に重要なことだと思いますので、周知啓発も含めて取り組んでいきたいと考えています。

○樋口会長
 御意見として、この審議会に対する対応という御指摘も頂きましたが、これは言うまでもなく、この審議会が主体的に審議していくべきことであり、決して下請けではないということは委員も御承知のとおりだろうと思いますので、今後もそのように進めていきたいと考えています。

○阿部委員
 先ほど神津委員から職業安定分科会の件、特にキャリアアップ助成金の件で御発言がありましたので、代表して簡単に御説明したいと思います。神津委員御指摘のとおり、このキャリアアップ助成金の勤務地・職務限定正社員制度導入については、公労使それぞれから当初、いろいろな懸念の発言があったのは事実です。これは主に説明が相当に不足しているということで、審議会の席上でも説明をするように努力したようですが、なかなか理解できなかったと。ただ、その後、持ち回りではありますが、丁寧に説明をしたところ、政策の運用あるいは施行の上で職務限定正社員をどう定義するかといったことの懸念は払拭できたということで、持ち回りのところでこの制度は認められたという経緯であったと私は理解しています。この運用も、先ほど局長から説明があったとおり、しっかり懸念のないような運用をすると職業安定分科会でも聞いていますので、職業安定分科会としても、今後、どのように運用され施行されていくか注視していきたいと思っています。以上です。

○神津委員
 キャリアアップ助成金に関する説明は理解しました。いずれにしても、非正規労働者のキャリアアップは極めて重要であると思いますが、我々が懸念として申し上げているのは、正社員からのダウングレード等が起こらないようにすべきということです。その点は是非、厳格に運用していただきたいと思います。

○椋田委員
 労働時間法制の話が出ましたが、審議会で長く御議論いただいた結果に基づいて法案ができたわけです。我々としましては研究開発職等を対象とした高度プロフェッショナル制度の創設、あるいは裁量労働制の対象拡大は、対象者の意欲と能力を最大限発揮するための環境を整えるだけでなく、高度専門職のワーク・ライフ・バランスにも資する制度であり、経済界として切望してきた仕組みであります。一方で、今回の改正法案には例えば年休を5日間以上取得してもらう仕組みといった、使用者側にとって新たな対応が必要な内容が盛り込まれています。いずれにせよ、そういったものは我々もしっかり受け止めて、メリハリのある働き方を実現して過重労働を防ぐという観点から、しっかり対応していく必要があると思っています。法案の内容は多岐にわたっていますけれども、生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの向上の2つを実現しながら働ける社会に向けて、企業の取組を加速する契機だと思っておりますので、我々としては、是非、早期成立をお願いしたいと思います。以上です。

○永芳委員
 今、会長から、労働政策審議会の進め方についても御答弁いただきましたが、若干、関わりがある事項について発言させていただきたいと思います。12ページの(3)のマル3の労働者派遣法改正についてです。ご承知のとおり、労働者派遣法改正法案は3度国会に提出され、審議が始まろうとしています。今回の法案提出に至った経緯を振り返ると、自公両党の政調会長合意に基づいて若干の条文修正がなされた上で内閣提出法案として提出されたという経緯があります。先ほど神津委員からも指摘がありましたが、本来、労働分野における政府提出法案については、冒頭の村木事務次官からのお話もありましたようにILOの三者構成原則に則って、当然、労働政策審議会でしっかり議論がなされなければいけない。労働政策審議会の議論の進め方については先ほど会長から答弁いただきましたので繰り返して申し訳ないですが、今回の労働者派遣法改正法案の修正については、労働政策審議会で一切検討することなく閣議決定に至りました。この点は、極めて問題があると言わざるを得ないと考えます。今回の配付資料にも、「労働政策審議会の建議を踏まえ」という記載がなされていることについては、違和感を覚えざるを得ません。
 また、修正内容についても、労働者保護に向けては非常に実効性が乏しいものと言わざるを得ません。今回の法案の条文には、「臨時的、一時的を原則とする考え方を考慮する」との文言が追加されてはいるものの、実質的には現行の派遣期間限定が撤廃されてしまうことにあることは変わらず、どう見ても今回の法案は、派遣労働者が派遣労働から抜け出す機会をこれまで以上に奪うことは明らかな内容の法案ではないかと考えます。また、均衡待遇原則こそを直ちに導入すべきであるにもかかわらず、均衡・均等待遇のあり方の調査研究をスタートするということでは不十分です。
 派遣労働は臨時的、一時的な働き方であるという原則は世界標準のルールであり、それに逆行するような見直しは、派遣労働者が抱える課題を根本的に解決することに到底ならない。今回の労働者派遣法改正法案については、派遣労働を取り巻く状況や世の中の動向等を踏まえつつ、業界の利益のためではなく、本当に働く者が今後、どういう一生の働き方をするのかという観点から、極めて慎重な国会審議を強く求めたいと思います。
 最後に、施行が本年10月1日に迫っている労働契約申込みみなし制度について、要望を申し上げたいと思います。労働契約申込みみなし制度の施行に際しては、現場で無用な混乱を起こさないように、現在、労働力需給制度部会で行っている行政解釈の内容が決定され次第、早期に通達を発出するなど、関係者に対する周知徹底に万全を期すように強くお願い申し上げたいと思います。
 以上です。

○相原委員
 私から、11ページの若者の活躍推進に関連して、青少年雇用促進法案について3点意見を申し上げます。
 1点目は使用者側の皆さんへのお願いになりますが、積極的な職場情報の提供開示をお願いしたいということです。今回の法案では、学生等に対して離職者の数や所定外労働の状況など職場情報を提供することがポイントとなっていますが、職場情報の提供は、ミスマッチの解消や職場環境の整備という観点から重要であり、是非、企業には積極的な情報開示をお願いしたいと思います。
 2点目は、今回の法案に盛り込まれている、「国は、学校と協力して、その学生又は生徒に対し、職業生活に必要な労働に関する法令の知識を付与する」という条文についてです。努力義務とはいえ、この条文には大きな意義があります。政府は、各学校段階でワークルールや相談窓口が確実に学べるよう、まさに一体となった取組をお願いしたいと思います。加えて、学生だけでなく、例えば新社会人に対する地域でのセミナーや企業向けの対応策等、若者の「使い捨て」が疑われる企業等への対応策の強化の観点からの施策充実をお願いしたい。
 3点目は、派遣元の担当者は基本的な労働関係の知識が不十分であり、トラブルになっているケースへの対応についてです。派遣元責任者については、基本的な労働関係の知識習得の機会の充実が必要です。連合の「なんでも労働相談ダイヤル」にも派遣労働者から多数の労働相談が全国的に寄せられており、その中では派遣元責任者が労働に関する基礎的な知識をもう少し有していれば避けられるトラブルが数多く含まれていることが明らかになっています。現在、受講だけすれば受講証明書がもらえる派遣元責任者講習については、一定の責任や試験を課すことなども検討すべきではないかと思います。以上です。

○樋口会長
 ちょっと順番、よろしいですか。使用者側からどうぞ。

○岡田委員
 ただいまの若者の活躍推進に関してですが、積極的な情報開示をというお話がありました。当然、実際に自分の会社に対して高い関心を持つ若者から職場情報の提供を求められれば、多くの企業はできる限りその提供に努めるものと考えています。ただ、例えば採用数がそれほど多くない会社の場合、離職率や転職率などの数字というのは少数でも該当者がいるとき、また、たまたま自発的な離職が重なった場合、数値が大きく変動します。それがかえってミスリードになるおそれもありますし、誤解や無用なトラブルを回避するためにも企業が選択できる余地があることが大変重要と思っていますので、その辺りは審議会での議論を十分に踏まえた対応をお願いしたいと思います。

○眞中委員
 雇用の安定という観点で2点、お聞きしたい。
 1点目は、平成25年4月に施行された改正労働契約法の無期転換ルールに関する取組についてです。本年度予算上は、13ページのマル5にあるとおり「中小企業等への無期転換ルールの普及」として3,900万円が計上されています。その内容としては、無期転換ルールを中小企業等に普及させるために、周知の方策や事業者支援の抜本的な拡充を図るとされていますが、具体的な取組内容をお聞きしたい。
 2点目は、14ページにある、高度専門職労働者や定年後の高齢者についての無期転換ルールを特例とした有期特措法に関する取組についてです。本年度予算では、14ページにあるように1億7,000万円が計上され、事業主に対する周知や計画認定のための体制整備を図るとされています。この具体的な取組内容があればお聞きしたい。労働側としては、行政サイドの体制整備に予算を振り分けることも重要であると考えますが、今回の特例内容が労使の関係者に正しく理解されるよう、周知徹底に万全を期すことも重要ではないかと思います。
 以上2点についてお聞きしたいと思います。

○樋口会長
 御質問が出ましたので、この御質問について事務局、お願いいたします。

○岡崎労働基準局長
 改正労働契約法ないし有期特措法の関係です。これにつきましてはしっかりと事業主の方々、あるいは労働者を含めて理解していただくことが必要かと考えています。計上しました予算につきましては、一つはパンフレットを作っていくということです。それとともにセミナーの経費を入れていて、少なくとも各県で1回以上、それぞれセミナーを行うことにしています。ただ、それだけでは不十分と思っていますので、労働局・監督署、安定所を挙げて事業主団体等との連携の中で、しっかりとした周知を更に進めていきたいと考えています。

○生田職業安定局長
 相原委員と岡田委員から、若者の雇用対策の関係で御意見、御質問を頂きました。まず若者雇用促進法案の関係につきましては職場情報の提供に関する規定がありますけれども、これにつきまして労働政策審議会の取りまとめの経緯があり、適職選択に資する職場情報の提供を求める学生等のニーズと、実際に情報を提供する企業の負担等を勘案しながら中小企業にも配慮し、公労使の一致した結論として新卒者の募集を行う企業に対して広く職場情報を提供することの努力義務と、応募者などから求めがあった場合には企業の選択の下、一定の項目について職場情報の提供を義務付けることが適当とされています。その後、国会審議もありましたので、労働政策審議会での議論や国会審議も踏まえつつ、仮に法律案が成立しましたら速やかに労働政策審議会で具体的に御議論いただきたいと考えています。
 相原委員からございました派遣元責任者講習の関係です。これにつきましては、派遣労働者の雇用管理を適切にやっていただく観点からも、極めて重要なものだと考えています。この派遣元責任者講習は、許可制の一般労働者派遣事業では3年以内に受講することが許可要件になっています。ただ、特定派遣事業についてはそうではないということで、今回の改正の中で全て許可にするということで法案ができていますから、この法案の内容に従えば、全ての派遣会社で派遣元責任者講習の受講が義務付けられることになるのと、あとは、講習内容については更に良いものができるように、講習の実施について一定の要件を満たす民間事業者に限るなど、様々な方法で良いものにしていく工夫をしていきたいと考えています。
 永芳委員からございました点につきましては、今回、与党から修正の申入れがあり、それに従って修正して国会に改正法案を提出しているわけですが、この内容につきましては労働政策審議会の建議の内容の範囲内であると私どもとしては認識していて、改めて諮問しなかったわけです。ただ、ILOの三者構成原則は極めて重要で、今後とも労働政策審議会できちんと議論し、あるいは建議の内容に十分配慮し尊重した対応が必要であるという問題意識は極めて持っていて、今後ともそういうふうに進めてまいりたいと考えています。
 派遣就業の臨時的、一時的問題ですが、この臨時的、一時的という原則については、今回、改正案を提出した段階から、派遣期間制限については従来の派遣期間の制限のルールを新しい派遣期間の制限のルールに変えるということで、派遣労働者の個人単位の期間制限と、派遣先の事業所単位の期間制限の2つの制限を設けています。それについて、臨時的、一時的という考え方自体は建議の中でも書かれていたところです。その建議の中で書かれていた臨時的、一時的が原則であることについて、法令上、きちんと位置付けるということで、今回の改正法案については修正した上で国会に提出させていただいているというものです。
 同一労働同一賃金の仕組みについては、私どもとしても非常に大事な考え方だと思っています。ただ、日本の賃金体系は職能給が中心であり、ある時点で同じ仕事をしていたとしても、いろいろな仕事を経験した方と経験の浅い方の賃金を全く同じにすることについて、直ちに広い理解を得ることはなかなか難しいということもあります。今回は労働政策審議会の建議の考え方に従い、賃金、教育訓練、福利厚生の面での均衡待遇の強化を図ることで対応させていただいています。
 労働契約申込みみなし制度の御指摘がありましたが、これにつきまして、労働力需給制度部会で行政解釈について御報告し、議論いただいているところですが、円滑に施行するように環境整備してまいりたいと思っています。以上です。

○樋口会長
 労使双方から、労働基準法並びに労働者派遣法の一部改正案につきまして御意見を頂きました。これまでの一般論としまして、法改正に関して関係する分科会で調査審議を重ねてきたと考えています。その結果として審議会として建議を行い、それを受けて厚労省が法案要綱を作成し、その法案の要綱の諮問について審議会としておおむね妥当という答申を行ったものです。ただし、労働基準法の一部改正案要綱につきましては、労働者側委員から、高度プロフェッショナル制度の創設等に対する反対意見が付されたということになっているかと思います。これまで労働政策審議会としましては、三者構成ということで真摯にこの議論を公労使で議論してまいりました。また専門的な見地から検討を行い、労使が対立する論点につきましても丁寧に議論を重ねてきたと考えており、その結果として一定の見解を得たものであると思っています。
 検討する課題につきましては、労働側、使用者側、いずれかに不満が残る結論となった場合もあるかと思いますが、公労使三者での議論によって最終的に導き出された結論につきましては、政府はもとより、労使においてもこれを尊重していただきたいと考えています。このように労働政策審議会での真摯な議論の結果、出された結論については公労使ともにそれを尊重し、また労働行政に適切に反映させていくことが大切ではないかと考えています。よろしいでしょうか。

○神津委員
 会長がおっしゃった点は、私どもとしてもしっかりと受け止めてまいりたいと思います。また、会長が指摘された流れで法案が提出されている場合については、労働政策審議会での議論を踏まえてしっかりとした国会審議がなされることを期待したいと思います。
 その上で意見を申し上げたいのは、昨日の衆議院本会議の中で、大西議員からも詳しく経緯を質しているのですが、労働者派遣法改正法案に関連し、一部では「怪文書」との言い方もされた補足説明資料の問題です。昨日の質疑の中で塩崎厚生労働大臣から、資料の内容を見直すことを指示したという答弁もありましたが、当然に修正されるべきものであろうと思います。また、そもそも修正されなければならない内容が大々的に与党議員を中心に配付され、説明がなされたということについては、一体なぜそういうことになったのか、しっかりと究明することが必要不可欠であると思います。
 そういう意味で、基本的には樋口会長が言われたような流れで労働政策審議会において粛々と審議がなされるべきなのですが、今、私が申し上げたことは、法案の内容や、それに関わる審議以前の問題であるので、一言申し上げておきたいと思います。

○樋口会長
 労働政策審議会の果たすべき役割、また、どこまでが関与すべきところであるかにつきましても、いろいろ御意見があるかと思いますので、これについてはまた追って議論してまいりたいと思っています。よろしくお願いいたします。ほかにございますか。

○浦野委員
 浦野でございます。別のテーマということでもよろしいでしょうか。

○樋口会長
 はい。

○浦野委員
 そうしましたら私からは、第2の女性・若者・高齢者等の人材力の強化の中で、女性の活躍推進について意見を述べさせていただきたいと思います。企業における女性の活躍推進につきましては、経営の根幹を成す中長期的な人材戦略と考えていて、多くの会社はどのような施策が実効性が高いか、また各社の実態に合わせて知恵を絞っているところと思っています。
 弊社でも、例えば女性管理職の目標値を公表していますけれども、活動に当たってはもっとブレークダウンした施策を考えています。というのは、私どもは単体で約1万人の社員がいますけれども、3分の1が研究開発職、3分の1が工場の技能職、残りが企画管理等の間接部門となっています。したがって共通で可能な施策もありますけれども、職系別に課題は異なりますし、また東京と工場のある地方で事情が全く異なっています。例えば開発職の場合には採用時のマッチングが非常に大事かと思っていますし、私どもでは短時間勤務制度は地方ではそれほど効果がない施策となっています。したがって、具体的な施策と分かりやすい情報は、現在いる社員はもちろんのことですが、これから就職しようとする若い方たちにとっても非常に重要かと思います。また、短期的に刈取りが可能な施策もございますし、時間はかかるけれども重要な施策もございますので、その両輪で進めていきたいと考えています。
 そう考えますと、現在、国会に再提出されている「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」を拝見すると、常時、雇用労働者が301名以上の企業においては女性の活躍推進に関する取組、一般事業主の行動計画を定める義務が規定されていて、その施行期日が2016年4月1日となっており、施行までの時間が若干短いかなと感じています。また、女性の活躍に関する状況把握とか情報公表の項目、また行動計画の策定に関する基本的事項については、省令や指針ということで示されると聞いています。これらは法案成立後に議論される予定とお聞きしていますので、企業の準備期間を考えますと、実務への影響が心配、懸念されているところです。つきましては、省令、指針の策定に当たっては企業の創意工夫や努力が活かされるように御配慮をお願いしたいのと、法律の施行に当たりましては十分な周知を是非、お願いしたいと思います。私からは以上です。

○南部委員
 南部と申します。私から、女性の活躍推進について意見を述べさせていただきます。まず10ページにある、「女性のライフステージに対応した活躍支援」の中で、助成金の改廃に関する記述がありますが、改廃後の助成金が是非とも趣旨に合うような活用がされるよう、周知の徹底と実効性の検証をお願いしたいと思います。
 併せて意見を申し上げたいのは、先ほどもご発言がありましたが、本国会に提出されている、いわゆる女性活躍推進法案についてです。私たち労働側としましても、法案の早期成立を求めているところですが、その上で2点、意見を申し上げます。
 1点目は、女性労働者の過半数が非正規雇用労働者であることを踏まえ、是非ともこの非正規雇用労働者の施策の実効性が高まるような、処遇改善につながるような法律にしていただきたい。具体的には、雇用管理区分ごとの丁寧な取組が必要だと思いますので、そういった検討を具体的にしていただきたいというのが1点です。
 2点目は、状況把握、課題の分析の項目についてです。この状況把握と課題の分析が、この法律の実効性を高めることを左右するものと考えていますので、多角的な観点からこの項目が検討されることが必要であると思います。その意味で、この項目に是非とも加えていただきたいと思っている点が、男女別賃金の状況把握と分析、そして評価の状況把握と分析です。各企業の評価の透明性を高め、適正な評価が促進されるような形でこの法律が成立し、その後の省令、指針の議論に入れるよう努力をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○樋口会長
 浦野委員、南部委員から、お願いといいますか御希望が示されましたが、これについて事務局から何かありますか。

○小林雇用均等政策課長
 雇用均等政策課長の小林でございます。局長が国会に呼ばれていますので、代わりに私から答えさせていただきます。まず法案の施行の関係ですが、私どもも心から早期の成立を望んでいて期待しているところでございます。省令、指針につきましては、委員から御指摘があったとおり本法案が成立してから議論を始めるということで、なかなか期間が短くて苦しいところですけれども、集中的に御議論いただき、できる限り早急に省令、行動指針を制定できるように努力してまいりたいと思っています。周知もしっかりやっていきたいと思っています。
 南部委員からの御指摘は2点あったかと思いますが、法案の関係で一つ目の非正規労働者の関係ですけれども、基本的な考え方として女性の活躍推進に当たり、非正規雇用の女性も含めて、多様な状況にある女性全てが希望に応じて十分に能力が発揮できる、これが法案の基本的な考え方です。ですから、建議の中で例えば行動計画策定指針の中に非正規雇用から正規雇用への転換も盛り込まれていますので、そういう視点は当然入っているということです。同様に、建議の中で、状況把握の項目について雇用管理区分ごとにどうしていくかは検討することになっており、法律成立後の議論に委ねられていますから、法案が成立した暁にはかなりスピードアップした議論になるかと思いますが、労使で議論していただき、それを踏まえて検討を進めてまいりたいと思っています。
 状況把握項目の御意見がありましたけれども、建議の段階では、御承知のとおり必須4項目というのを示していただいています。それ以外のものは、必須項目を把握した上で、各社の実情に応じて、更に深掘りしていくべきものを任意項目として今後検討していかなければいけないのですが、それも法案成立後の労使の御議論に委ねられていると考えていますので、法案成立後、南部委員から御意見も出ましたので、雇用均等分科会の中で労使に十分御議論いただき、検討を進めてまいりたいと思っています。以上です。

○樋口会長
 ほかにいかがでしょうか。

○板垣委員
 労働側委員の板垣と申します。16ページにある、技能実習制度の抜本的な見直しについて2点質問いたします。
 技能実習制度については、開発途上国から若者などを受け入れ、実習を通じて、日本の高度な技術を移転するという国際貢献を本旨とする制度です。しかし、実際にはこうした制度本旨から逸脱した不適正な事案、具体的には賃金不払いなどの労働関係法令違反、実習生の受入れ事業主によるパスポートの取上げなどの事案などが多発しております。こうした現状を踏まえれば、いま行うべきは制度の適正化を図る見直しです。しかし、今通常国会へ提出された法案には、適正化策の実効性が確認されていない段階であるにもかかわらず、制度の拡充も同時に行う内容も含まれています。適正化策の実効性が確認されていない段階での制度の拡充は、先ほど述べた労働関係法令違反や人権侵害違反を助長しかねず、厳に慎むべきだと考えております。この点について、厚生労働省のお考えを伺いたい。
 もう1点、制度拡充の具体策の一つとして、対象職種の拡大が掲げられていますが、現行の仕組みでは、対象職種の追加の実質的な検討は国際研修協力機構で行われています。国際研修協力機構は、実習生の受入れ事業主から納入される会費を収入源とする法人であり、こうした業界団体と利害関係を有するとも言うべき法人を介して職種追加の是非を判断する審議スキームでは、職種追加の妥当性についての公平性、公正さといった判断をするのは難しいのではないか。今回の法改正と併せ、職種追加の検討スキームを見直し、日本の労働市場への影響等を考慮の上で、職種追加の妥当性が公平、公正に判断できるような仕組みに改めていただきたい。この点についても厚生労働省の考え方を伺いたいと思います。
 以上、2点です。

○樋口会長
 技能実習制度については、何かほかによろしいですか。

○宮川職業能力開発局長
 職業能力開発局長の宮川です。技能実習を担当しております。ただいまの御質問について、お答えいたします。御指摘の技能実習制度の見直しについては、御指摘のような労働関係法令違反や人権侵害違反というような行為が目に余るようなところがあったことを踏まえ、今回の技能実習制度の見直しについての法務省・厚生労働省合同有識者懇談会の報告書が1月30日に取りまとめられ、それを踏まえ、技能実習を実施する実習実施者や、その実習を監理する監理団体に対する必要な規制や人権保護などの規定を入れた管理監督体制の強化を内容とする法案を、法務・厚生労働両省共同で提出したところです。
 また、その際に併せて、拡充策という形で、対象職種の拡大や実習期間の延長あるいは受入人数枠の拡大といったような内容が含まれているところです。これは、管理監督体制の強化と拡充策をいわば一体として、管理監督体制の強化を前提とした形でのものとして行う、特に、例えば実習実施期間の延長や受入人数枠の拡大については、これは優良な団体に限るという形で、いわば優良化するインセンティブを働かせるという意味も含めて行っているところです。
 また、対象職種については、従来からこれは必要なものについては拡大していく形ですが、今御指摘がありましたように、従来はJITCOという民間団体にお願いしておりましたが、本年度からは対象職種の追加については厚生労働省職業能力開発局長が参集する会議で検討していく形でやっていこうと思っております。その際には、有識者の意見を踏まえながら適切に対応してまいりたいと思っております。以上です。

○樋口会長
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○浜田委員
 女性の活躍推進に関連し、両立支援の点で意見を申し上げたいと思います。
 今回、10ページの(3)の2行目にも記載してありますが、期間雇用者の育児休業取得の促進を含めた労働者の円滑な育児休業取得・職場復帰の施策が図られようとされています。昨年、連合でマタハラの調査を行ったところ、妊娠・出産に関しての様々な法律で権利を保護されているにもかかわらず、そのこと自体を知らなかったという回答が大半を示しておりました。妊娠・出産をする当事者の労働者ももちろんなのですが、円滑な育児休業や職場復帰のためには、職場全体での理解が重要であると考えますので、是非企業や労働者に対しても育児・介護休業法をはじめとする両立支援に関する法律の周知を徹底していただくようにお願いしたい。この点が1点目の要望です。
 また、2点目としては、有期雇用労働者を含めた全ての労働者が仕事と育児や介護を両立して就業を継続できるような施策の充実を検討いただきたいという点です。就業継続の問題については、育児だけに限らず、現在厚労省でも研究会で議論が進められていると聞き及んでいますが、介護の問題も非常に重要な問題になっております。この点については秋から見直し論議が予定されているとお聞きしておりますが、是非制度の充実、拡充に向けた議論がされるようにお願いしたいと思います。

○樋口会長
 要望ということでお聞きいたします。女性に限らず、介護・育児ともという話で受け止めさせていただきます。

○畠山委員
 予算項目には直接関連しませんが、家内労働者の最低工賃について意見を申し上げたいと思います。
 家内労働者の最低工賃の新設・改正計画は、国が3年ごとに策定し、現在の計画では第11次最低工賃新設・改正計画に基づいて進められていて、今年が2年目に当たっております。2014年の家内労働等の実態調査によると、工賃額の平均額が、平成23年度の500円から平成26年度は428円と下がっています。昨年、一昨年の進捗状況を見ても、7割弱が諮問見送りとなっています。この改正諮問の見送りは、実態調査の実施をはじめとする産業界の動向把握を行った上で、なお改正を行う状況にないと判断する場合に見送られることとされています。
 しかし、最低工賃額は同一賃金の同種・類似の労働者に適用される最低賃金との均衡を考慮して定めなければならない旨が家内労働法第13条で定められている中、最低賃金が大きく引き上げられる状況にあるにもかかわらず、最低工賃の見直しが行われていないということは、家内労働を軽視しているのではないかと考えます。厚労省は、諮問見送りの中身を精査していただくとともに、各都道府県に対しても、実態に合わせて最低工賃の引上げに対して強く指導していただきたいということを意見として申し上げたいと思います。

○樋口会長
 今の金額は、時間に換算してということですか。家内工賃はピースレートですから、ということですね。それが引き下がっていると。これはどこが。

○小林雇用均等政策課長
 最低工賃の関係ですが、委員の御指摘のとおり、平成25年度における改正予定件数のうち、諮問見送りとなったものが24件、それから、平成26年度は3月18日現在で30件というような状況になっております。最低工賃の諮問見送りと判断した理由ですが、それぞれ地域の事情があったものと考えております。理由は、まず、家内労働者数、委託者数ともに大幅に減少している、工賃相場自体が余り上がっていない、委託料が減少しているなど、大きくは3つぐらい挙げられております。いずれにしても、最低工賃の見直しに当たっては、実態調査の結果等から改正を行う状況にないと判断する場合は、当然その都道府県労働局の地方労働審議会又は同審議会の下の家内労働部会において、その旨を説明した上で、当該審議会、部会の中での公労使三者の了解を十分に得るようにということで、私どもは都道府県労働局に指示をしているところですので、地域の中でそういう状況にあると判断した場合は、当然審議会の中で御了解を頂くようにということで指示をしておりますし、今後ともこれは徹底してまいりたいと思っております。
 今後とも、最低工賃の関係は当然、地方労働審議会の公労使の御意見を丁寧に伺いながら、やっていただきたいということで、労働局を指導してまいりたいと考えております。

○畠山委員
 ありがとうございました。確かに家内労働者の数は減少傾向にありますが、最低工賃は家内労働者の労働条件を下支えする制度です。安易な廃止ということは避けていただき、長期にわたって据え置かれている最低工賃の引上げに御尽力いただきたいとお願い申し上げたいと思います。

○樋口会長
 それは、審議会、部会、あるいは都道府県で御議論いただくということに。要望は示されたのですが、厚労省はそうですねとは言えないものですから、議論いただくということにしたいと思います。よろしければ、次の議題に移ります。議題3、分科会及び部会等における審議状況、及び議題4、法案の国会審議状況について、事務局から一括して説明をお願いいたします。

○岡崎労働基準局長
 まずは、労働基準局の関係ですが、資料3-1をご覧ください。労働条件分科会及び安全衛生分科会、あるいは勤労者生活分科会等の関係です。1つ目は、労働基準法等の一部を改正する法律です。資料の6ページ、別紙1の内容です。これは、既に労使委員からそれぞれ御指摘がありましたし、会長からもコメントがあったところですので、説明は省かせていただきますが、現在国会に法案を提出しております。
 2つ目は、労災保険料の改正です。資料7ページの別紙2にあります。労災保険料については、それぞれの業種ごとの実績に応じて、3年ごとに見直し、改定を行っております。平成27年度からが改定の時期でしたので、そこにありますような形で保険料を、実態に合わせて改定を行っております。
 次に、これも先ほど眞中委員からお話がありました有期特措法の関係です。8ページ、別紙3です。御承知のように、臨時国会で法案が成立しておりますが、それに基づく省令・告示について、審議会で御議論をいただいた上で、ここにありますような内容の規則、指針等を定めました。これについては、先ほど申し上げましたように、周知に努め、既に幾つかの申請が出てきている状況です。
 4ページの中ほどの労働安全衛生法の関係ですが、これは昨年の通常国会で成立しました労働安全衛生法の施行等に関わるもので、別紙4が政令の関係、別紙5が省令の関係です。それぞれ施行期日を定めたり、あるいはストレスチェック制度や特別安全衛生改善計画の関係等について、そこにあります中身の改定を行います。それぞれ交差しておりますが、施行は段階的に行うことになっております。
 次は15ページで、中小企業退職金共済法の改正の関係、別紙6です。中小企業退職金共済の資産運用について、運用管理体制を確立するということで、資産運用委員会を法律に基づき設置する等の中身です。これについては、そこにあるような形で諮問・答申を頂いておりますが、厚生労働省関係の独立行政法人の一括法の中でこの措置をいたしまして、既に国会で成立しております。今後、施行に向けてしっかりやっていきたいと考えております。
 最後に、評価の関係ですが、16ページの別紙7です。労働条件分科会においては、年休の取得率と週労働時間が60時間以上の雇用者の割合について、それぞれそこにありますような目標を設定して対応してきておりますが、まだ目標には届いていない状況です。御案内のように、年休等については改正労働基準法案の中でそれなりの措置をしている状況です。また、17ページの安全衛生分科会の関係については、労働災害の関係の目標を設定しております。第12次労働災害防止計画の中で、5年間で15%以上の減少を目標にしておりますが、平成25年については若干の減少に留まっている状況です。かつ、平成25、26年は微増になってしまっている状況で、下にありますように昨年夏以来緊急対応をしてきている状況ですが、第12次防の達成に向けて、今後努力していきたいと考えております。

○生田職業安定局長
 続いては、職業安定局の関係です。19ページ以降に資料3-2があり、文章は21ページ以降に付いております。安定局の関係は、大きく4点あります。1点目は、若者の雇用対策の検討についてです。先ほど若干御議論がありましたが、与党の提言あるいは日本再興戦略を受けて、雇用対策基本問題部会において、平成26年9月17日から御議論いただきました。この部会で取りまとめられた報告を受けまして、今年の1月23日に労働政策審議会建議がなされたことを踏まえ、青少年の雇用の促進を図り、能力を有効に発揮できる環境を整備することを内容とする勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案要綱が厚生労働大臣から諮問されました。この要綱について、職業安定分科会、職業能力開発分科会において、2月27日に御議論いただき、おおむね妥当との結論に至り、答申がなされたところです。これに基づき、改正法案はこの通常国会に3月17日に提出されており、現在審議中です。
 2点目は、介護雇用管理改善等計画の改正案の検討についてです。介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発・向上に関して、重要な事項を定めた介護雇用管理改善等計画の計画期間が、平成26年度末で終了する状況でした。これに伴い、介護雇用管理改善等計画の全部改正案について、雇用対策基本問題部会で御議論いただき、3月18日に開催された同部会において、おおむね妥当との結論に至り、4月13日に答申がされました。これに基づき、計画は本日5月13日に告示する予定です。
 3点目は、障害者雇用対策の検討です。障害者雇用対策の検討については、大きく2つに分かれております。一つは、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律が第183回通常国会で成立したことを受け、障害者差別禁止指針と合理的配慮指針の2つの指針について、3月2日の障害者雇用分科会に諮問し、妥当との結論に至り、答申がなされました。これに基づき、両指針は3月25日に公布されたところで、今後平成28年4月1日に施行の予定です。もう一つは、在宅就業障害者特例調整金等の算定の見直しを内容とする障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱について、3月2日の障害者雇用分科会に諮問し、妥当との結論に至り、答申がなされました。これに基づき、政令については4月1日に施行されたところです。
 最後に4点目は、2014年度の年度目標に係る中間評価についてです。職業安定分科会、障害者雇用分科会において御審議いただいたところ、今後委員からの御意見も踏まえ、内容が確定し次第公表するという考え方です。安定局からは以上です。

○宮川職業能力開発局長
 職業能力開発局です。資料の53ページをご覧ください。職業能力開発局所管の分科会における審議状況を御報告いたします。まず、若者雇用対策の充実等の検討については、今、職業安定局長からの報告もありましたので、内容的には職業能力開発関係として、地域若者サポートステーション、あるいはジョブ・カードの普及・促進、キャリアコンサルタント等の内容を含んだものについて、建議をなされた上でおおむね妥当との結論に至った法案を提出している状況です。2014年度の年度目標における中間評価についても御議論いただき、これについても委員からの御意見を踏まえ、内容を確定次第公表するということは、私どもも同様です。
 その他として、3点あります。1点目は、雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案です。これは、3つの助成金などについて省令案要綱を諮り、妥当との結論に至り、答申を頂いたところです。
 2点目は、技能実習制度です。先ほど申しましたように、技能実習制度については、管理監督体制の強化と制度の拡充を内容とする見直しについて、2月27日の職業能力開発分科会において報告を行ったところです。その後、3月6日に法務省・厚生労働省との共同で法案を提出したところです。
 3点目は、ジョブ・カードの見直しについてです。研究会を行っていた中間取りまとめについて、12月18日には研究会最終報告について、それぞれ9月20日と12月18日に報告を行い、更に3月27日の分科会で新ジョブカード制度推進基本計画案についての審議を行ったところです。以上です。

○小林雇用均等政策課長
 雇用均等・児童家庭局です。資料3-4をご覧ください。1つ目は、女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築です。委員からもいろいろ御意見を頂きました女性活躍新法ですが、審議会で御議論、検討を行っていただき、平成26年9月30日の雇用均等分科会において建議をまとめていただき、10月7日に法律案要綱の諮問をさせていただき、答申が行われたところです。当法律案については、平成26年10月17日に閣議決定し、先の臨時国会に提出したところですが、審議未了により廃案となったことから、平成27年2月20日に法律案を再度閣議決定し、通常国会に再提出したところです。
 2つ目ですが、次世代育成支援対策推進法の改正に係る省令と指針です。第186回通常国会において、次世代育成支援対策推進法が改正されております。有効期限が10年延長されるとともに、新たに特例認定、プラチナくるみん認定が創設されました。平成26年9月24日に、従来のくるみん認定基準の改正、それからプラチナくるみん認定基準を新しく作る関係の省令案の要綱と併せて、行動計画策定指針の改正についての諮問をさせていただき、答申が行われたところです。
 次のページは、短時間労働者対策基本方針です。今年の2月17日の雇用均等分科会において基本方針案について議論され、3月4日の雇用均等分科会において諮問・答申が行われ、3月26日に基本方針を告示したところです。
 次は、育児・介護休業法施行規則の改正です。これは、子ども・子育て支援法の施行に伴い、育児休業を1歳6か月まで延長できる場合について、従来の「保育所における保育の実施を希望して申込みを行っているが当面実施が行われないとき」というのが延長できる場合でしたが、その「保育所」に「認定子ども園」や「家庭的保育事業等」ということで、子ども・子育て支援法で新しくサービスとして規定されたものを加えたというような省令案の改正について、3月4日の雇用均等分科会において諮問・答申が行われました。その下は、雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案ということで、中小企業両立支援助成金について、新たに育休復帰支援プラン助成金の創設のための省令改正の要綱について、1月19日に諮問・答申が行われました。その下は、両立支援助成金の見直しに係る省令案要綱についてですが、3月27日の雇用均等分科会で諮問・答申が行われました。
 それから、中間目標は別紙8にありますが、2014年の目標として設定したもののうち、中間的な評価を行ったものがくるみんマーク取得企業数ですが、これは2014年11月末時点で2011社となり、目標の2000社を達成したところです。最後に、雇用均等分科会家内労働部会ですが、平成26年度の家内労働概況調査結果、実態調査、それから11次の最低工賃の新設・改正計画の進捗状況について、3月25日の家内労働部会で報告を行いました。以上です。

○青山労政担当参事官
 資料3の最後の1枚です。政策統括官所管の部会として、電気事業に関するスト規制法の在り方の検討について御報告いたします。昨年、平成26年の電気事業法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議を受け、昨年9月にこの労働政策審議会に電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会を設け、審議を6回、発電所等の視察を2回行っていただきました。その上で、本年2月2日に報告を取りまとめていただきました。
 報告の内容は、裏になります。下の2に報告書の概要がありますが、4が結論となる方向性です。スト規制法は現時点では存続ということでやむを得ない。なお、労側からはスト規制法を廃止すべきとの意見があった。解釈通知については、電気事業の状況や業務内容の変化を見込んで見直すべき。電力システム改革の進展の状況等を十分に検証した上で、今後、法律の在り方を再検討すべきといった内容でまとめられたところです。以上です。

○樋口会長
 最後に、国会の審議状況についてお願いします。

○田畑労働政策担当参事官
 資料4により、労政審の分科会等で御審議いただいた法律案の国会での審議状況について御報告いたします。第187回臨時国会における法案審議結果ですが、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案については、平成26年11月に成立し、平成27年4月1日から法律が施行されております。また、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案については、衆議院解散により廃案となりました。
 次に、第189回通常国会における法案審議状況です。1の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案から、2ページ目の6の労働基準法等の一部を改正する法律案、これらについては、今、通常国会に提出されております。このうち、2の独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律案については、平成27年4月24日に成立し、5月7日に法律が公布されております。以上です。

○樋口会長
 ただいまの説明について、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。よろしいですか。よろしければ、最後にその他について、何かありますか。

○勝委員
 1点だけコメントを申し上げたいと思います。先ほど来、樋口会長からも労働政策審議会の在り方ということで議論がありました。今、報告にありましたような労働者派遣法の改正や、労基法の改正など、労働問題への関心が非常に高まっている状況です。なおかつ、雇用市場は我々国民の生活の基盤インフラでもあります。そういった中で、労働政策審議会の議論というのは、やはり従前以上に注目されてきていると言えるかと思います。
 そうした中にあって、分科会ごとに分かれて議論を行うということで、これは効率化の観点からも各分科会の建議が実質的な審議会の建議となっているわけですが、やはり全体の整合性がきちんと確保されるように審議を進めていくであるとか、労働政策として総合的、戦略的に考えていくことも必要なのではないかと考えておりますので、この辺りについても議論を深めていただければと思います。

○樋口会長
 ただいま御意見を頂きましたが、これに関連して何かありますか。私も何年前でしょうか。この労働政策審議会の一委員を辞めるときに、やはり横串を刺していく必要性を強調して辞めていったことがありました。その希望も是非実現したいと思っておりますので、どうすればいいかということも事務局と相談したいと思っております。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 以上をもちまして、本日予定されている議題は全て終了いたしました。最後に何か御意見、御質問がありましたら、御発言をお願いいたします。ないようですので、本日はこの辺りで閉会いたします。本日の会議の議事録については、本審議会の運営規程により、会長のほか2人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表は板垣委員、使用者代表は椋田委員に署名人になっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日の会議は以上で終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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調整第2係 内線(7716、7728)
代表: 03-5253-1111

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