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2015年4月15日 障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成27年4月15日(水)15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室(中央合同庁舎第5号館17階)


○出席者

佐藤進座長、大塚晃構成員、吉川隆博構成員、田村綾子構成員、寺島彰構成員、野沢和弘構成員、山下幸子構成員

○議事

○佐藤座長

 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第 9 回ワーキンググループを開催します。皆さんには大変御多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。まず事務局から委員の出席状況、また本日の資料の確認をお願いします。

 

○福井企画課課長補佐

 事務局でございます。構成員の出席状況ですが、本日は皆様、御出席でございます。続きまして資料の確認をさせていただきます。資料 1 障害福祉サービスの在り方等について ( 論点の整理 ( )) 、資料 2 障害福祉サービスの在り方等について ( 団体ヒアリング等における主な意見 ) 、資料 3 障害福祉サービスの在り方等について 参考資料、それから、参考資料として障害者総合支援法附則の検討規定に係る各種提言等をお配りしていますので御確認ください。以上です。

 

○佐藤座長

 議事に入ります。私、前回は事情で欠席いたしまして失礼しました。また今日は風邪をひいて、その上、この年になって花粉症を発症したようで鼻が詰まった変な声ですけれども、お許しいただきたいと思います。それでは資料について御説明をお願いします。

 

○福井企画課課長補佐

 資料につきまして御説明いたします。資料 1 論点の整理 ( ) です。前回からの修正を見え消しにしておりますが、作業チーム分も加えましたので前回と説明が重なるところはありますけれども、再度、全体を御説明させていただければと思います。
 4 ページを御覧ください。I . 常時介護を要する障害者等に対する支援についてです。 1 つ目の論点は、どのような人が常時介護を要する障害者であると考えられるか。これについて検討の視点 ( ) を記載しています。この検討の視点 ( ) につきましては、このワーキンググループでしていただいた団体ヒアリングとか、この中での御議論を基に記載したものであり、例ということです。検討の視点 ( ) 1 つ目として、「常時介護を要する障害者」の心身 ( 医療の必要度を含む ) ・生活の状況や支援の量等の違い、 2 つ目として、現状の「常時介護を要する障害者」を対象とした障害福祉サービス事業における利用対象者像や支援内容の違いです。 2 つ目の論点は、「常時介護を要する障害者」のニーズのうち、現行のサービスでは何が不足しており、どのように対応すべきか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、対象者の範囲、支援内容 ( 通勤、通学支援等 ) 、支援時間、提供方法等、 2 つ目として入院中の障害者に対する支援、 3 つ目として現行のサービスの見直しでの対応の可否、 4 つ目としてボランティア等地域のインフオォーマルサービスの位置づけとしています。 3 つ目の論点は、同じ事業の利用者であっても、障害の状態等により支援内容に違いがあることについてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、支援の重点化、 2 つ目として見守りや待機の評価です。 4 つ目の論点は、支援する人材の確保や資質向上の方策・評価についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、従業者の資格要件の在り方、 2 つ目として研修等による支援者の養成、 3 つ目として資質の評価方法 (OJT 中心の研修に対する評価等 ) としています。
 5 ページ、続きです。 5 つ目の論点は、パーソナルアシスタンスについて、どう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、対象者、利用場面、利用時間等の具体的なイメージ及び必要な費用、 2 つ目として自己決定支援が必要な知的・精神障害者や障害児に対する支援手法、 3 つ目としてパーソナルアシスタンスとダイレクトペイメントの関係、及びダイレクトペイメント方式を採用することによるメリット・デメリットと整理しています。 6 つ目の論点は、パーソナルアシスタンスと重度訪問介護との関係についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として対象者像、 2 つ目としてサービス内容、サービス提供方法、 3 つ目として利用場面・利用内容、 3 つ目として支援者の要件及び支援者に対する相談等のバックアップ体制、 4 つ目として利用者の権利擁護を検討の視点 ( ) として挙げています。
 6 ページ、II . 障害者等の移動の支援についてです。 1 つ目の論点は、個別給付に係る移動及び地域生活支援事業に係る移動支援の役割分担についてどう考えるか。検討の視点 ( ) としては、個別支援と集団支援の観点等による役割分担です。 2 つ目の論点は、個別給付に係る移動支援について、通勤・通学等や入所中・入院中の取扱いをどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、支援の対象者やそのニーズ ( 「社会通念上適当でない外出等」の範囲 ) 2 つ目として支援主体 ( 労働分野、教育分野等の合理的配慮との関係 ) や財源等、 3 つ目として他省庁や関係機関、関係団体との連携です。
 7 ページ、III . 障害者の就労支援についてです。 1 つ目の論点は、障害者の就労に関する制度的枠組についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、就労移行支援、就労継続支援 A 型・ B 型のサービスの現状と成果、 2 つ目に障害者の就労の形態の在り方を追加しています。こちらは前回の御議論の中で一般就労か福祉的就労かということではない、間のようなものも検討するべきという御意見があったことを踏まえたものです。 3 つ目が賃金補填のメリット・デメリットです。 2 つ目の論点は、就労継続支援 (A 型及び B ) 、就労移行支援の機能やそこでの支援の在り方についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、利用者の中長期的なキャリア形成に向けた事業所の機能や支援、 2 つ目に利用者のニーズを踏まえた機能や支援を追加しています。こちらは前回の御議論の中で、特に B 型事業所においてニーズが二分化されており、そのニーズに対応した支援が必要ではないかという御意見があったものです。 3 つ目の論点は、就労支援に向けた支援体制についてどう考えるか。検討の視点 ( ) としては就業と生活の両面からの支援です。 4 つ目の論点は、労働施策等の福祉施策以外との連携についてどう考えるか。これについては障害者の働く場の確保を検討の視点 ( ) として追加しています。こちらは前回の御議論を踏まえたものです。
 8 ページ、IV . 障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方についてです。 1 つ目の論点は、支給決定プロセスの在り方についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、利用者本人の意向を反映させる観点からの支給決定プロセスの課題、 2 つ目として適切な支給決定に資する計画相談支援の質の確保としています。 2 つ目の論点は、障害支援区分や意義・必要性・役割についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、障害程度区分から障害支援区分に見直したことの評価、 2 つ目として障害支援区分の役割 ( 国庫負担基準、報酬体系、利用できるサービス ) です。 3 つ目の論点は、障害支援区分の認定における障害特性の更なる反映についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、区分の認定の審査判定プロセスにおいて、改善が必要な事項、 2 つ目として認定調査員等の質の向上の取組です。 4 つ目の論点は、障害者が地域で必要な介護が受けられるような国庫負担基準の在り方についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、自治体の適切な支給決定、 2 つ目として国庫負担基準の水準や仕組みです。前回の御議論を踏まえたものです。
 9 ページ、V . 障害者の意思決定支援・成年後見制度の利用促進の在り方についてです。 1 つ目の論点で、「障害児者」を「障害者」に修正していますが、これは全体の中での文言の整理です。障害者に対する意思決定支援についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、意思決定支援の定義、 2 つ目として支援の具体的な内容や仕組み ( 誰が・どの場面で・どのような障害を有する者に対し、どのように実施 ) 3 つ目として意思決定支援に係る人材育成です。 2 つ目の論点は、成年後見制度の利用支援についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、現在行っている利用支援と限られた財源の中での更なる利用支援 ( 費用の助成、担い手の育成・確保 ) の在り方、 2 つ目は、少し誤解を与える書き方になっているということで文言の適正化をしていて、後見・補助・保佐の適切な類型の利用に資する利用者への支援としています。 3 つ目として意思決定支援との関係を追加しています。
 10 ページ、VI . 手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方についてです。 1 つ目の論点は、意思疎通支援事業の内容・運営についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として意思疎通支援事業の対象者の範囲、 2 つ目として介助技術として整理したほうが適切なものや意思決定と意思疎通支援事業との関係、 3 つ目として意思疎通支援事業に関する実態を踏まえたニーズや支援の在り方、 4 つ目として小規模市町村等での事業実施の方法です。 2 つ目の論点は、意思疎通支援事業についての財政的措置の在り方についてどう考えるか。検討の視点 ( ) としては個別給付化した場合のメリット・デメリットの整理です。 3 つ目の論点は、意思疎通支援関係の人材養成についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として必要とされる人材の把握とその養成の在り方、 2 つ目に研修カリキュラムの在り方、 3 つ目に専門的な知識を必要とする意思疎通支援の在り方です。 4 つ目の論点は、意思疎通支援に係る支援機器の活用、開発普及等についてどう考えるか。 5 つ目の論点は、意思疎通支援に関する他施設との連携をどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として合理的配慮との関係、 2 つ目として教育、労働、放送、通信、交通、司法、選挙等福祉施策以外の分野との関係です。
 11 ページ、VII . 精神障害者に対する支援の在り方についてです。 1 つ目の論点は、病院から地域に移行するために必要なサービスをどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、退院意欲の喚起のための支援 ( 病院スタッフからの働きかけの在り方やピアサポートの活用等 ) 2 つ目として地域への移行支援です。 2 つ目の論点は、精神障害者の特徴に応じた地域生活支援の在り方についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、状態が変わりやすい等の特徴に応じた支援、 2 つ目として地域での見守り機能やサービスの柔軟な利用、 3 つ目として医療と福祉の連携、 4 つ目として居住の場の確保などの地域資源を御議論を踏まえて追加しています。 5 つ目として地域生活における精神障害者の意思決定支援の在り方です。 3 つ目の論点は、障害者総合支援法における意思決定支援と、精神保健福祉法附則第 8 条に規定する「精神科病院に係る入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方」との関係性についてどう整理するか。検討の視点 ( ) としては代弁/意思決定 / 意思の表明の整理ということです。
 12 ページ、VIII . 高齢の障害者に対する支援の在り方について➀です。 1 つ目の論点は、障害福祉サービスの利用者が介護保険サービスへ移行する際の利用者負担について、どう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として低所得者の負担への配慮、 2 つ目として一般の高齢者等との公平性です。 2 つ目の論点は、介護保険給付対象者の国庫負担基準額について、どう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として相当する介護保険の訪問系サービスとの関係、 2 つ目として財政影響、 3 つ目として国庫負担基準全体の在り方です。 3 つ目の論点は、介護保険サービス事業所において、 65 歳以降の障害者が円滑に適切な支援が受けられるようにするため、どのような対応が考えられるか。検討の視点 ( ) としては、ケアの質の低下が生じないよう、介護保険サービス及び障害福祉サービスが適切に提供されるための両制度の適切な利用を橋渡しする仕組みです。作業チームの中では、障害、介護の双方をコーディネートする相談支援専門員やケアマネージャーの育成等の御議論があったところです。 4 つ目の論点は、 65 歳前までに自立支援給付を受けてこなかった者が、 65 歳以降に自立支援給付を受けることについてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、介護保険にはない障害福祉独自サービス ( 同行援護、行動援護等 ) の取扱い、 2 つ目として 65 歳前より障害を有していたが、 65 歳まで手帳等をとらずにいた障害者や、 65 歳以降に障害を有するに至った者の取扱いです。 4 つ目の論点は、障害者総合支援法第 7 条における介護保険優先原則について、どう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、障害を持って高齢期に至った高齢障害者の特性、 2 つ目としてノーマライゼーションや一般の高齢者等との公平性、 3 つ目として社会保険制度である介護保険制度と公費負担による障害福祉制度の関係です。
 13 ページ、VIII . 高齢の障害者に対する支援の在り方について➁です。 1 つ目の論点は、心身機能が低下した高齢障害者について、障害福祉サービス事業所で十分なケアが行えなくなっていることについて、どのような対応が考えられるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、予防の観点も含めた早期の心身機能の低下に対応するケアマネジメント、 2 つ目として障害福祉サービス事業所における、介護技術・知識の向上、マンパワーの充足、医療との連携による医療的ケアの充実、バリアフリー対応等の設備上の課題への対応、 3 つ目として、心身機能の低下した高齢障害者に対する障害者支援施設等やグループホームの位置づけ、 4 つ目として介護保険事業者等との連携や地域生活支援拠点の活用や在り方、 5 つ目として、グループホームや障害者支援施設等の入所者等に対する日中支援活用の在り方としています。 2 つ目の論点は、いわゆる「親亡き後」と言われるような、支援者の高齢化や死亡などの支援機能の喪失後も、できるだけ地域において安心して日常生活を送るために、どのような対応が考えられるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として、支援機能の喪失前からの「親亡き後」の準備、 2 つ目として支援者の支援機能の喪失後を見据えた、中長期的なケアマネジメント、 3 つ目として支援者の支援機能の喪失後の自立のため、障害者自身や親をはじめとする支援者が、それぞれ担うべき役割とそれを支援する体制の構築です。
 14 ページ、IX . 障害児支援についてです。 1 つ目の論点は、家族支援や医療的なケアが必要な障害児への支援も含め、障害児支援の在り方についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として保護者のレスパイトや就労支援の観点、 2 つ目として重症心身障害児に当たらない医療的ケアが必要な障害児です。 2 つ目の論点は、医療的ケアが必要な障害児や重症心身障害児をはじめ、障害児支援の質の向上をどのように図っていくか。検討の視点 ( ) 1 つ目として福祉と医療等関係機関との連携、 2 つ目として障害種別ごとの専門性と人員配置基準等の支援体制、 3 つ目として障害福祉計画における位置づけです。こちらは前回の御議論で障害児支援の計画的整備や、計画との関係についての御議論を踏まえたものです。
 15 ページ、X . その他の障害福祉サービスの在り方等についてです。 1 つ目の論点は、障害者総合支援法の障害者の範囲についてどう考えるか。検討の視点 ( ) として障害者基本法等の他の法律における障害者の定義との関係です。 2 つ目の論点は、既存の障害福祉サービス等について、制度・運用面の見直しについてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として障害福祉サービス等の体系や対象者等、 2 つ目として障害福祉サービス等の人材育成、質の向上、 3 つ目として障害福祉サービス等における報酬の支払いや給付費の負担の在り方、 4 つ目として障害者の医療ニーズへの対応を挙げています。 3 つ目の論点は、障害福祉サービス等の財源の確保を含めた制度の持続可能性についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として国の財政健全化との関係、 2 つ目として目指すべき障害福祉サービス等の在り方、 3 つ目としてサービスの効率化・重点化、 4 つ目としてサービスの費用対効果等の精査や質の向上の取組です。 4 つ目の論点は、障害福祉サービス等の利用者負担の在り方についてどう考えるか。検討の視点 ( ) 1 つ目として利用者の負担能力との関係、 2 つ目として他制度との整合性・公平性です。 5 つ目の論点は、都道府県及び市町村が作成する障害福祉計画をより実効性の高いものとするため、どのような方策が有効か。検討の視点 ( ) 1 つ目として、地域の関係機関や関連する他の計画 ( 介護保険事業計画や医療計画等 ) との連携、 2 つ目として PDCA サイクルの確保、 3 つ目として、前回、基盤整備の地域差などについての御意見がありましたので、地域ごとのサービス提供体制ということで追加しています。資料の説明は以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。今、論点の整理について説明をしていただきましたので、ただいまの説明に関して御質問等がありましたら、お願いしたいと思います。あるいは確認でも結構ですけれども、いかがでしょうか。

 

○山下構成員

 山下です。 1 点、確認をさせていただきたいと思います。資料の 8 ページ、障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方についての箇所です。○の 2 つ目、障害支援区分の意義・必要性・役割についてどう考えるかということで、中ポツの 2 つ目に役割という言葉があります。ここは 1 点、確認をさせていただきたいのですが、ヒアリングの中でも多く、現行の障害支援区分への課題が提起されていました。この役割という言葉の中には、そうしたヒアリングの中から挙がってきたような支援区分への課題について、検討するといったことも含まれていると理解してよいかどうかについて確認させていただければと思います。

 

○佐藤座長

 そのほかに、今のことに関連して御質問がありましたら、いいですか。では事務局、お願いします。

 

○福井企画課課長補佐

 御質問ですが、こちらはいろいろヒアリングでも頂いた課題について、これまで御議論いただいてきたということかと思いますので、障害支援区分についての課題というものも、この 2 つ目の論点には含まれていると考えています。

 

○山下構成員

 ありがとうございます。

 

○佐藤座長

 ほかに、いかがでしょうか。

 

○田村構成員

 田村です。 12 ページ、高齢の障害者に対する支援の在り方について➀の 3 つ目の○についてですが、先ほど御説明の中でも具体的に相談支援専門員や介護支援専門員等の人材育成なども重要であると、口頭ではしてくださったのですけれども、適切な利用を橋渡しする仕組みの中に、人材育成も含めた御説明だったということになるでしょうか。

 

○小泉障害福祉課課長補佐

 この仕組みの部分について、作業チーム取りまとめの際は、例示として人材育成とかいろいろ入れていただいていたのですが、この部分は、方向性というか支援の在り方であり、そこは論点には当たらないということで落ちているのですけれども、その仕組みの中身としてどういうことが考えられるかというところは、田村先生、御指摘のとおりです。

 

○佐藤座長

 いいですか。そのほかにいかがでしょうか。

 

○吉川構成員

 吉川です。人材のことに関連して 4 ページですが、常時介護を要する障害者等に対する支援について➀の一番下の論点、支援する人材の確保や資質向上の方策・評価についてどう考えるかというところで、検討の視点 ( ) の一番上に「従業者の資格要件の在り方」という記載になっていますが、資格要件となると支援を行える人の資格について検討すると、そういう意味でこれは書かれているという理解でよろしいでしょうか。

 

○照井障害福祉課課長補佐

 お答えいたします。そういうところというより、人材の確保と資質向上というものを資格要件として、研修とかいろいろな要件を課していますけれども、そういった要件のハードルを上げれば人は集まりにくくなりますし、要件のハードルを下げれば人が集まって来るわけです。そういった関連についてという意味合いで、こちらについては論点として挙げさせていただいているつもりです。

 

○吉川構成員

 研修の内容というか、研修との関連ということですか。資格というのが、例えば国家資格みたいな資格のことを指しているようにも読めてしまうのです。

 

○照井障害福祉課課長補佐

 国家資格とか、そういったことではないです。

 

○吉川構成員

 わかりました。

 

○佐藤座長

 ほかには、いかがですか。

 

○田村構成員

 田村です。 5 ページの常時介護を要する障害者等に対する支援について➁の 1 つ目、パーソナルアシスタンスについて、どう考えるかの 2 つ目のポツに「自己決定支援が必要な」と出てきます。これは文言整理との兼合いの話になりますが、ここでは自己決定支援となっていて、後段のほうは論点として意思決定支援ということがありますので意思決定支援となりますし、あと精神障害のところでは代弁ということとの整理も必要という論点もあるのですが、この段階で少し表現を整理することが可能であれば、しておいたほうがいいと思います。自己決定支援と意思決定支援はどう違うのか、その辺りが検討できればいいのかなと思いました。

 

○佐藤座長

 確かに御指摘のとおりです。

 

○福井企画課課長補佐

 ありがとうございます。文言につきましては整理をさせていただきたいと思いますので、意思決定支援に直す方向で検討したいと思います。

 

○佐藤座長

 基本的には意思決定支援で統一するということ。

 

○福井企画課課長補佐

 はい。

 

○佐藤座長

 大塚さん、お願いします。

 

○大塚構成員

 質問はないですが、高齢の障害者に対する支援の在り方ということで座長としてまとめて、先回、寺島構成員から、障害者で認知症になった人のケースをどう考えるかという重要な御指摘を受けました。非常に重要な課題で少し説明が足りなかったと思っていますので、ちょっと説明させていただきます。というのは、これが今後の課題として本格的に議論されるということだと思いますので説明させていただきます。

 今、認知症の方が 345 万人ですか、 10 年後には 470 万人ということで非常に大きな課題で、精神障害の課題でもあるということだと聞いています。特に器質性の障害ということなので、現行においても精神障害者保健福祉手帳をとってサービスを利用することは可能ということです。特に 65 歳以下の障害の方で認知症になる。例えばダウン症と認知症、アルツハイマーの関係が非常に深いと昔から言われていて、この方たちの支援をどうするかという議論が昔からあります。例えば 13 ページにあります心身機能が低下した高齢障害者についてどう考えるかということも含めて、今の施設や在宅のサービスの中で、きちんとやっていくことが提起されると思っています。
 65 歳前後におけるそういうケースについて、正に福祉から介護保険などへの移行ですので、これは 12 ページの 3 つ目の○ですね、うまくサービスが移行できて、あるいは相談支援などがうまくそこに介入して、橋渡しができるようにすべきだという議論になると思っています。
 65 歳以上の方については、どうするか。今まで手帳も持たないで認知症となり、精神障害者保健福祉手帳をとって、サービスを受けるかということの議論が出ると思います。それは 4 つ目の○の 2 つ目のポツ、 65 歳前より障害を有していたが、 65 歳まで手帳等をとらずにいてサービスを受ける人はどうするか。そういう課題が出てくると思いますので、この辺のところについても関連があると思っています。

 特に一番最後の○の第 7 条における介護保険優先原則について、これについても認知症ということが非常に大きな問題を提起していると思っています。障害を持って高齢期に至った高齢障害者の特性ということですので、ある意味で第 7 条は介護保険優先原則であるけれども、障害保健福祉サービス特有の部分、固有な部分ですね、介護保険にないものについては例外的に使うということが規定されていますので、 65 歳以上になっても障害固有の部分についてのサービスは使われる可能性があり、潜在的なニーズがあると思っています。

 そのときに、例えば行動援護というサービスがあるわけです。パーソナルな行動障害を持っている方に家庭あるいは移動の支援をする。これを認知症の方に適用できるかどうかということはいろいろ議論があると思いますが、個人的には同行援護、行動援護と親和性が高いと思っています。もし認知症の方についても、このサービスが使われるということであれば地域での生活は非常に豊かになるでしょうし、ますます発展すると思います。どのぐらいの方が使われるか、どういう方が使われるか、人数はということはあるかもしれませんが、例えば認知症の自立の基準は 5 段階ぐらいに分かれているようですけれども、重いほうの 5 とか 4 については十分行動援護の対象になると思っています。そういう意味では、現行においても障害固有のサービスについては潜在的ニーズを持つ高齢者が増えていくと思っていますので、その辺をどう考えるかということは重要だと思っています。

 特に行動援護あるいは同行援護というのは、比較的新しいサービスであるとともに、障害者にとって必要な固有のサービスを作らなければならないということで、介護保険にはないサービスが作られれば作られるほど、従来、一般高齢者も含めて、そちらのサービスを利用する現行においても正当性が出るわけですから、潜在的ニーズはたくさんあると思っています。そういう意味では非常に大きな課題かなと思っています。正に認知症を通して 65 歳以上問題をどう考えるかということを含めて、本質的な課題かなと思いますので、そういうことを議論していただきたいと思います。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。何か事務局からコメントはありますか。いいですか。野沢さん、お願いします。

 

○野沢構成員

 野沢です。 9 ページの意思決定支援と成年後見のところで、私、この前、実は障害者政策委員会でも指摘させていただいたのですが、成年後見ですね、これは国連の障害者権利条約の 12 条の法の下の平等というところで、日本の今の成年後見制度というのは、ほかの国の状況を見ていると見直しを迫られるのが必至です。そういうものが既に想定されながら、成年後見制度の利用促進というふうに言っています。これはそういうお題で設定されているので、こういう書き方ですけれども、これだけだと何だか世の中の流れと全然違うところで議論しているような感じがするのです。今回の 3 年後の見直しのところで相当大きな問題なので、すぐに解決できるとは思っていないですが、ここの書きぶりというか、論点の方向性として明らかに権利条約に抵触していると言われることが必至な成年後見を、どうやって利用していくのかみたいなことだと、ちょっと具合悪いなと私は思っています。せめて、 1 つの項目として例えばですけれども、国連障害者権利条約との整合性及び見直しについてどう考えるか、というのが 1 つぐらいあったほうがいいのではないかと思いました。だからといって、この数か月でこれが解決できるとは思っていませんが、それがないと何となく、ちょっと格好悪いなという気がします。

 もう 1 つ、 14 ページの障害児支援についてのところで、医療的ケアの必要なお子さんですね。この前、動き回る医療的ケアの必要な子を支援している事業所を私は見てきたのですが、衝撃を受けました。本当にどこにも行き場がなく、今、 NICU でどんどんこういう子たちが助かるようになってきたので、 NICU から出て来るとボーンと家庭だけに放り投げられ、お母さんたちは毎日びくびくしている。お母さんたちにも話を聞いてきましたが、 2 時間以上続けて寝たことがないとか、顔にチアノーゼが出ると心配なので、いつも電気を付けたまましか寝れないとか、事業所がないものですから地下鉄を使って 1 時間も 2 時間もかけて通って来ている。その地下鉄の中で小学生たちが面白がって写メで撮りに来るとか、そんな話を聞いていると、これは何とかしなければと思ったのです。それはそれで議論していただくのですが、福祉と医療等関係機関との連携のところに、もう 1 つ医療だけでなく学校とか教育が非常に切実な問題で、この辺りを 1 つ言葉として入れてもらえないかなと思いました。取りあえず以上です。

 

○佐藤座長

 成年後見制度の利用支援うんぬんという 9 ページについて、このまま出すと、むしろ格好悪いのではないかという指摘でしたが、いかがでしょうか。

 

○福井企画課課長補佐

 ありがとうございます。今の御指摘を踏まえまして、修正の書き方などについては座長とも御相談させていただきたいと思いますが、御指摘を踏まえて何か修正をしたいと思います。

 

○佐藤座長

 ちなみに、次回の障害者部会は 4 28 日の予定です。そのときにワーキングの論点整理のこれを出すわけですね。

 

○福井企画課課長補佐

 障害者部会は、 4 月の下旬で調整をさせていただいていますけれども、こちらを取りまとめていただいた暁には、障害者部会のほうに御報告はさせていただきたいと思っています。

 

○佐藤座長

 そうですね。だから、あまり時間がないような気もしますので、お願いします。もう 1 点のいわゆる医療と福祉の連携に関して、これは、こういう議論が必要だということで何かコメントはありますか。

 

○竹林障害児・発達障害者支援室長

 障害児・発達障害者支援室長です。御指摘のとおり重要な論点ですので、ここも少し書き方を工夫したいと思います。

 

○佐藤座長

 数年前というか 10 年近く前、国立成育医療センターの NICU でいわゆる滞留現象が起きて、どうやったら地域に移行できるのかということで問題提起がありました。私たちの地域では比較的そういう状態の子供さんに関わっていくシステムが、相対的には進んでいました。 NICU が全然足りなくなっているのは、出るに出られないという子がたくさんいるからですが、それでもみすみす見殺しにできないので、どうしても出てもらうということができないわけで、全国の NICU がみんな抱えている問題だそうです。これは NICU の数を増やせということにもなるのですが、問題は、先ほど野沢さんからも御指摘がありましたように、退院した後の状態をどう支えるかに真剣に取り組まない限り問題は解決しないと、そのとき研究グループに資料を提供しながら思ったのです。今の野沢さんの御指摘のように、家に帰って来たはいいけど、それからどうするかをまのあたりにしてというか話を聞いて、家族が引き受けない、絶対連れて帰れませんと言う人が本当に増えているのだそうです。かといって、ではどこにその子をということが病院側でも非常に悩ましいと言っていました。絶対数としては多くないかもしれないけれども、問題の質の深さは大変だと思いますので、是非、今後、議論をしていく必要がある。見落しがちなところですけれども、あるということを、私も意見として申し上げたいと思います。寺島構成員、いかがですか。

 

○寺島構成員

 寺島です。 10 ページの意思疎通支援のことで、特に文言の修正ということではないのですが、この背景にある思いを最後に語っておこうかと思っています。最初の意思疎通支援事業の内容・運営についてですが、 1 つ目の○の 3 つ目のポツにある意思疎通支援事業に関する実態を踏まえたニーズや支援の在り方に、多分含まれるのだろうと思いますが、前回、発言しましたように単なる意思疎通支援ではニーズに十分対応できないことがあります。例えば盲ろうの方であるとコミュニケーションだけではなく、生活全般を支援しないと在宅での生活は無理だろうという問題があると思います。そういったことについては、コミュニケーションが主ではありますが、生活全般を支援していくことであると考えていただければという思いがあります。

 もう 1 つ、意思疎通支援に係る支援機器の活用、開発普及等についてどう考えるか、これも非常に重要だと思います。ここには具体的な項目はありませんが、意思疎通支援の機器は、今、劇的に変わりつつあります。特にスマートフォンなどは注目すべきだと思います。しかし、残念ながらそれを十分利用できていなかったりします。例えば日常生活用具に取り入れるとか、あるいはニーズがあれば迅速にそういう機器を開発できるとか、そういったことのできる柔軟なシステムを期待しています。

 その下の意思疎通支援に関する他施設との連携をどう考えるかについても前回申し上げましたが、非常に関心を持っていて、最初から申し上げていますように意思疎通支援は単に厚生労働行政だけで支援できるような規模でもないし、予算的にも十分なものがないと思いますので、この下に追加で書いていただきましたけれども、教育、労働、放送、通信、交通、司法、選挙等福祉施策以外の分野からも積極的に関わっていただけるように、いわゆる合理的配慮になるかもしれませんが、そういう取組を厚生労働省としても働きかけていただけると有り難いと思っています。

 もう 1 つ、やはり発言していたのですが、就労のことです。 7 ページです。項目について特に異存があるわけではないのですが、ここに前提として就労の重要性と言いますか、働くことの意味が書かれていると良いと思います。誰でも働けるようなシステムを構築していく。それで働きたければ働けるというのが政策的には最も重要なことだと思いますので、そういうところも書いておいていただけると有り難いかなと思っています。日本の障害者の就労については、諸外国とは異なっていると思います。諸外国によっては働くことで年金がなくなってしまうとか、そういう制度がほとんどですので、働きたいとは言いつつも、実はそれほど深刻にそう考えているかというと、そうでもないような状況にあるわけです。ただ、日本はそのような制度になっておらず、本当に働きたいという障害のある方が多いと私は思っています。そういった良いところも書いておいていただけると有り難いかと思っています。以上です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございます。ただいまの御意見、 3 点ありましたけれども、それぞれに事務局からコメントがありましたら、どうぞ。

 

○道躰自立支援振興室長

 自立支援振興室長です。意思疎通支援の関係では作業チームでも団体の皆様からきめ細かにヒアリングをしていただいたという経緯もありますので、そういった各団体の御意見にも十分留意して、また更に議論が進んでいくように心がけたいと思っています。

生活全般を支援するという視点、機器の活用については本当にどんどん技術が進んでいますので、厚労省に限らず経産省とも連携せよという御意見、また、福祉施策以外の分野との連携についても御指摘がございました。厚労省だけでなく他省ともしっかり連携して、どんなことができるのか議論を深めていければと思っています。御指摘、ありがとうございました。

 

○佐藤座長

 ほかには、いかがでしょうか。それでは、この資料に基づいて今日、更に補強するような御意見も頂いたわけですが、これだけの論点について我々がこれを重みづけるとか、序列を決めるというのは、我々のこのグループのミッションではないと思いますので、ヒアリングを含めていろいろな議論をこのように整理したわけです。ただ、これをこのまま部会で一つ一つ議論していくことは、恐らく時間的にも到底無理だろうと思います。ワーキンググループのほうではこれを一定の順序で整理して、どういう議論の進め方をするかを、これをベースに部会のほうで議論していただくという提案をしたいと思います。いかがでしょうか。

 つまり、我々としては、別にこの順番を一定の意図を持って並べたわけではありませんということで、論点としてこういうことが、当面、議論されていいのではないかという意味でしかないということです。実際に議論を進めていく上では、部会のほうで一定の順序付けのようなことをしないと、進まないのではないかという思いは持っています。せっかく整理した論点だから、いちいち全部やるべきだというのはどうでしょうか。触れ方はいろいろありますが、現実的に一定の整理をしてから議論してくださいと、お願いしていいでしょうか。

 

○野沢構成員

 事務局のほうが整理するという形。

 

○佐藤座長

 そういうことです。この間もそうでしたけれども、意見をやり取りしたり調整しながらということで、どうでしょうか。そういうことで後はお任せいただくということで、繰り返しますけれども、それぞれの項目、I、II、III、IV、Vは最初からその順番ということでまとめます。その中身についての項目は必ずしもプライオリティを意味しているものでは現状ではありませんし、部会に上げる最終的な報告書にも、そういう意図で項目が並んでいるわけではないということです。

 

○野沢構成員

 このワーキングチームが始まる前の部会で、最初、このワーキングチームに対してかなり注文があったのです。当事者が入っていないではないかとか、就労関係がいないではないかとかありました。そのときの整理の仕方として、ここは論点の整理をするためのワーキングチームなんだと、ここで決めるわけではないと、決めるのは部会で決めるのですということなので、今、座長が言われたとおり、我々としては、これだけのものを論点整理しましたということで事務局に投げることに私は賛成です。ただ、これを全部部会に出してゼロからと言うと現実的には到底不可能です。しかも来年の通常国会あたりで制度改革するには、かなり絞り込んだものしかできないと思います。でも引き続き、中長期的に取り組んでいかなければいけないものもあると思うので、その辺りは事務局に整理していただく。ただ、その辺りを部会に出すときに細かく丁寧に説明していただいたほうがいいなと思います。そうでないと、このワーキングチームが恣意的に何を優先するか誘導しているのではないかみたいなことを言われるのは、我々も心外ですし、そんなところで不毛な議論に費やしている時間もないと思いますから、その辺の説明の順序の付け方と、プラス説明の仕方を是非丁寧にしていただきたいと思います。そうやっていく以外にないです。ここでまたそれをやっていくのは現実的でないので、その点だけ私はお願いした上で、今の座長の意見に賛成です。

 

○佐藤座長

 ありがとうございます。

 

○川又企画課長

 企画課長です。このワーキングでおまとめいただいた論点の整理ということについては、このまま 4 月下旬を予定していますけれども、社会保障審議会障害者部会のほうに御報告させていただきます。また、恐らくそこでもいろいろな議論、御意見が部会のほうでもあろうと思いますので、そうした部会での御意見も踏まえて、今後、どういう形で議論を進めていくかはその部会での御議論、それから部会長と相談しながら進めていくことになると考えています。

 

○佐藤座長

 そういうことで、部会への報告を整理して、まとめていきたいと思いますが、本日、幾つかここはこのように変えたほうがいいのではないかという御指摘もありました。つきましては、最終的に部会に上げる報告については、本日の御意見を踏まえて、私のほうで事務局と相談をして、整理させていただくということ、そういう意味で一任していただいてよろしいでしょうか。

 

 ( 了承 )

 

○佐藤座長

 では、本ワーキンググループは本日をもって終了になりますが、皆さんには昨年の 12 月から今日まで 9 回、非常に頻回にお集まりいただき、また御意見を活発に頂いてありがとうございました。まだ時間も大分ありますので、最後にこれまでの議論を振り返りつつ、あるいは作業チームも含めて考えると、皆さんに 9 回では済まない御出席をお願いしたと思いますが、議論してきたことの感想、あるいは法の見直しはとりあえずの方針は決まっていますが、今後いろいろな議論を進めていかなければならないと思いますが、そういうことに関して皆さんから御意見を頂いて、今後の議論に資する資料にできればと思っています。お一人、 5 分程度、 5 分が長いか短いか分かりませんが、そうするとほどよい時間ぐらいに終われるかなと。根拠はそれだけですが、順番にお願いしたいと思います。大塚さんからお願いします。

 

○大塚構成員

 長いと言っていいか短いと言っていいか、検討委員会に出させていただきましてありがとうございます。幾つか感想になりますが、 1 つは持続可能な制度とともに、障害福祉をどう考えるかというのが非常に気になるところです。その中において、他制度との関係も含めて、特に高齢の障害者ということなので、介護保険と障害福祉をどう考えるかということ、普遍的なサービスと障害者固有のサービスをどんな良い関係においてバランスをとっていくかということが気になったところです。特に子供の時期においても、やはり普遍的なサービスは一般子育て支援というところでしょうから、そこにもっともっと一緒になっていくことが必要かと思っています。これが少なすぎるのではないかと。

 例えば放課後等デイサービスのガイドラインを作りましたが、放課後等デイを語る前に、まずは一般の放課後クラブで、どんな引受けということを積極的にやって初めて放課後等デイの意味がある。メインストリームはもっともっと進めていくべきだし、それがはっきりすると、障害者固有のサービスは何をやるべきかということが分かってくるかと思っています。

 成人期においては、就労支援を一般就労に向かってどんどん押し出さないと話にならないような気もしております。もっともっとメインストリームの一般就労等を目指して、そこを考えると、今度は障害固有の分野で何をなすべきかということがはっきりしてくると思っています。

 高齢分野については、正に今回いろいろな議論をまとめたということで、 1 7 条の介護保険優先原則をどう見るかというのが、私にとっても大きな課題でした。私はもともと障害の分野ですので、「何て邪魔な制度だな。障害の方にとってはなかなかハードルが高いもので、いろいろな観点において制限があるものだな」ということの実感を持ってきました。ただ、よく客観的に見てみますと、この 7 条原則は 1 つの衝立のようなものだと思っています。こちらに障害分野があって、こちらに高齢者分野、介護保険の分野があると。この 2 つを微妙にバランスをとっている 1 つの装置という気がしてまいりました。というのは、障害福祉サービスを利用しているのは 100 万人ですか。その中において、 65 歳以上の方は 10 万人なのです。そういう意味では、ほとんど障害固有のサービスで、高齢者部門については非常に少ないと。それは介護保険優先原則があるからかもしれません。

 介護保険と言っていいのか、高齢者のサービスを見てみますと、介護保険サービスを使っている方は 500 万人ですね。その中で、 65 歳以上の障害者は統計上 400 万人弱ということですので、こっちは 10 万人ですから、 400 万人の方はほとんど一般高齢者のほうにいらっしゃるわけです。介護保険を使っているかどうかという正確な調査はしていないので何とも言えませんが、ほとんどは介護保険を使いながら、障害手帳を持っていても一般高齢者のほうにいらっしゃると。この 2 つのバランスを微妙にとっているのは、正にこの 7 条だと思います。

 では、こんな面倒くさいものは取っ払えということがあるかもしれません。そうなると、介護保険は普遍的原則ですので、ユニバーサルなもので、障害は障害固有なものですので、障害固有なものについて普遍的なサービスを作らなければならないというようになります。そうすると、それはどういう姿かというと、膨大なものすごい規模の、つまり一般高齢者も含めて、必要なサービスはみんな引き受けるシステムですので、膨大な障害者福祉サービスの形を作らなければならないと思っています。

 あるいは、一方で、今まで障害福祉サービスを使った人だけ、続いて介護保険優先原則をなくして、一般高齢者のほうに介護保険優先原則を適用すると。これは多分、社会的正義の観点から、ましてこちらは障害者がほとんどで 400 万人近くいらっしゃるわけですので、それはできないと思っております。自分たちだけ使っていたものは認めてくれ、だけれども向こうにいらっしゃる方については、ともかくやめてくれというのは、どう整理していいのかということが突き付けられる課題だと思っています。

 もう一度、障害福祉をメインにするのではなくて、介護保険をメインにするという議論が当然出てくると思います。ただ、これについては障害者自立支援法を作るとき、あれだけ介護保険反対ということが出てきたので、これについても介護保険のほうを強調しながら政策を作っていくことも、今の状況はなかなか困難だと思っています。そういう今の障害福祉分野、介護保険を含めた高齢者、こちらには 400 万人の障害者もいらっしゃるのですが、それを微妙なバランスでとっている 7 条ということを考えると、結局また 7 条に戻ってくるのではないかと。このバランスをうまく使いながら、障害が固有の分野も守れるということはないのです。固有な分野が成立している。もっと極端に言うと、 7 条によって障害者固有の分野が成立しているのではないかと私は考えました。それが正に自助・共助・公助と言われている、保険のような共助でやるのか、あるいは固有な分野として、税金でやるのか。そういうことの議論も含めて、障害福祉はこれからどうしていくべきかということを議論していただきたいと思います。以上です。

 

○吉川構成員

 いろいろとお世話になりました。ありがとうございました。私は作業チームのほうでは常時介護を要する精神障害者に対する支援のほうにも入らせていただいたのですが、私は精神障害者の支援に携わっているという立場からもこういった議論に参加させていただきました。精神障害者も今、政策的にもできるだけ地域での生活を支えていくように大きく転換しているところにあります。ですから、これまでよりも例えば病状であるとか、そういった生活障害が重い方を地域で支えるのにはどうすればいいのか。そういうことも常に頭に入れながら、この検討に加わっていました。議論をしていると 3 障害共通で議論できる部分、課題としていろいろ共有できる部分と、どうしても障害特性といいますか、そういったところで考えないと、なかなかなじまないというか、そういった限界があるなというジレンマも持ちながら、今まで参加させていただきました。

 今回の議論で、今も気になっていることがあります。今回は 3 年後の見直しということで、現在の総合支援法、支援の在り方について、サービスも含めてどう見直すかという議論でした。例えば精神障害者に関する支援の在り方についても、これまで具体的に検討してきて、ヒアリングなどを通して検討の視点として必要なものが出てきたと思っています。私が病院の現場にいた当時はもちろん今のような精神障害者の福祉サービスはありませんでしたから、 20 年、 30 年前は支援につながるというと医療につながるという形でつながってくる方が多い状況でした。御本人自体がサービスを求めてアクセスされるというのが、どうしても少ないところでもありますから、非常に状態が悪くなって、御家族とか地域の行政といった所からの連絡でつながるという方があって、そういった方の自宅に訪問するという機会もたくさんありました。

 引きこもりというか、そういう状態の方で、御家族と御本人だけ、地域の中で孤立しているという状況が非常に多くありました。そういった方を今までずっと見てきて、最近では例えば地活で相談支援事業をされているような所に何度か訪問させていただいて、一緒に同行もさせていただいても、いまだに地域の中でそのように孤立をして引きこもっていて、何らサービスにつながらない方が非常にたくさんいらっしゃる。そこは変わっていないのだなというのが、いまだに実感としてありますし、気になっているところです。

 ですから、支援の在り方ということで、具体的にどういうサービスが必要かというのももちろん重要ですが、そのように今、支援につながっていない方をどのように、支援につなげていくのか。そこを考えないと、いくら良いサービスができても、なかなかそこにつながっていかないという、その現状が解決されない限り、状態が悪くなって、最終的には入院という形で支援につながっていくというその状況が変わりませんので、そういったところも今後、検討を深めていっていただければと思います。

 以前は保健所は保健師などが訪問指導とか、相談支援、精神保健福祉相談といった形で、御家族や近隣の方からのいろいろな相談でつながってくる方が多かったのですが、最近は保健所だけではなくて、むしろ相談支援事業のほうに御家族から連絡、御相談がいくというケースがあって、福祉サービスというか、相談支援事業所につながる方が非常に増えてきました。そういった相談支援事業も含めて、どのようにして支援につながっていない方の支援を行っていくかといったところについて、今後、是非また検討していただければと思います。ありがとうございました。

 

○田村構成員

 田村です。この機会をいただきありがとうございました。こういった場面は余り慣れていないので、不手際というか、良くない発言もしてしまったことがあったかなと思っておりますが、私自身はすごく勉強させていただく機会になって有り難かったです。特に私は精神障害の領域はずっと仕事をしてきたところなので、理解していることも多かったのですが、身体障害や知的障害の方、あるいは障害児を抱えた親御さんのお話、それから難病とか、重度の病気をお持ちの方々がどのように在宅生活をしていらっしゃるのかとか、そこにおいてどんな御苦労をしていらっしゃるのかとか、そこを関係団体のヒアリングを通してかなり実感を持ってお聞きすることができたのは、とても有意義だったと思っております。

 また、皆さんが一生懸命御要望される姿を拝見していて、そういう声を出す場が本当に少ないのかなということも感じました。もちろん、いろいろやっている方も多くいらっしゃるとは思いますが、自分たちの苦労が分かってもらえていないのではないだろうかという思いが背景にあったように感じて、私自身は伺って理解したことをどこかにお返ししていくことがなかなかできない立場ではありますが、今、大学に所属していて、福祉学科におりますので、福祉を仕事にしようと考えている学生たちの教育に携わる中で、こういった体験を返していくことができればと思っております。それが、この会に参加させていただいて私が頂いたこととして 1 つあります。

 今回の協議の中身では、障害福祉サービスの在り方というようになっているので、それ以外の場面での障害者支援について、つまり当然障害福祉サービス以外の領域でも障害のある方たちは生活しているわけで、そこにどこまで踏み込んでいけるのかということが少し難しく感じました。特に精神障害の方に関していいますと、どうしても精神科医療の中で生活支援も賄ってきたという、非常に長い歴史がありますので、今でも医療の場に生活支援とか福祉的な関わりといったことを多く任せているというか、してもらっている部分がまだあるだろうと思います。

 一方、それが医療費の中で行われているという課題もあるのではないかと思います。財源の話が繰り返し出されたのですが、もう少し財布の幅を広げて考えたときに、精神に関して言えば、医療に用いられている財源の幾らかは、本来、障害福祉に回される可能性も、どこかで検討されるといいのではないかと感じておりました。

 それから、精神障害のある方たちが医療を多く利用しているという話の中では、これは確か作業チームのときに発言させていただいたのですが、精神科病院の中にいらっしゃる方に対しては、障害者虐待防止法なども対象外になりますので、法があったとしても、精神科医療機関の中にいらっしゃる方に対してはその法律は及ばないということになります。その辺りについても精神保健福祉法という法律もありますが、障害者への権利擁護という観点から言ったときに、まだまだ法律や制度の壁があることを、今回もう一度確認したような気がしています。

 報酬との兼ね合いで障害福祉サービスはかなり細かくメニューが作られ、必要な事業が新たに生まれてきているという部分もあり、そのことは体系立って支援が提供できるようになるという意味で有意義だと思う一方、お金にならない部分での利用者との関わりについて、各担い手がそこをどのぐらいできているのかということにも、気掛かりな部分がありました。これをどのようにしていったらいいのかというと、人と人が関わり人を支えるということの中では、そういう人たちをどう育てていくかということにつながるのだと思います。いろいろな所で人材育成をしてほしい、もっと人材を育ててほしいという話が出てきたと思うのですが、それは多分、制度を活用できる人を育てるということだけではなくて、根本的に福祉理念を持った人をどのように育てていくのかということも考える必要があるのだなと考えます。この辺りは自分がまた今の職場で実践していきたいと思ったこととしてあります。

 もう 1 つが成年後見のことで、今日、野沢さんのほうから、これに関してはどうしたって見直しをしなければいけないのではないかということを発言していただいて良かったと思っております。制度の利用を促進されることによって権利が擁護される方もいらっしゃると思うのですが、その反面、逆に成年後見人等が付いてしまったことによって、御本人の権利が侵害されているケースも実際にないわけではないということも踏まえたときに、この制度の在り方自体について、早い段階できちんと検討していっていただきたいと思っておりましたので、そこに関して一語を加えていただけることになって、大変良かったと思いました。

 いろいろと感じさせていただくことが多々あるワーキングチームで勉強になりまして、今後、自分にも生かしていきたいと思います。どうもありがとうございました。

 

○野沢構成員
 2 つお話させていただこうかと思います。 1 つは財源のことです。私が関わらせていただいたのは、パーソナルアシスタンスのことで、財源問題はどうしても避けて通れないと思います。根拠がないまま、こんなに掛かってしまうとか、あるいは掛からないとかという議論をしていても、しょうがないかと思っていて、 1 つはスウェーデンなどを見ていると、必要な人に必要なだけ付けようとなったら、やはり財源は掛かると思います。そのときに、今回の作業部会でもあったのですが、一口に常時介護が必要、あるいはパーソナルアシスタンスを求めていると言っても、それぞれバラバラなのです。 24 時間、医療的なケアが必要な人もいれば、薄い見守りが必要な人もいれば、高度障害があるときに、環境調整も含めて手厚い 24 時間のケアが必要で、だんだんそれがなくしていけるだろうと思われる人もいます。

 重度訪問介護の対象者の数自体はもうあるわけで、 A パターン、 B パターン、 C パターンぐらいにシミュレーションしてもらって、一体どのぐらいお金が掛かるものなのかというのを、ある程度の目安として具体的に出してもらって、それを議論するのは必要ではないかと思います。これはもちろん厚生労働省の中だけで解決できる問題ではなくて、もっともっと国民的な理解、議論は必要なわけで、こういうものを付けて財務省というか、むしろ国会で、きちんと考えていただくことを 1 つやっていけないのかと思いました。

 もう 1 つが予算自体は今の予算の中で考えたときに、財布がたまたま違うがために、移動がしにくい問題があると思うのです。例えば福祉サービスを使っている人が一般就労したときに、通勤を移動で付けるとこんなに掛かってしまうということを言われますが、福祉サービスがなくなって、就労で、むしろ賃金をもらって税金を払ったりするわけで、そのなくなったこちらの福祉サービスの分の予算をどのように考えていくのかとか、あるいは精神科病院に社会的に入院している人たちは、 1 人いると年間 500 万円ぐらい掛かると言われていますが、その方が地域に出て、私は普通にグループホームで穏やかに過ごしている方を知っていますが、そうすると相当な額が浮くわけです。でも、それはたまたま医療のほうの診療報酬の財布と障害者の福祉の財布の違い、あるいは高齢者との違いで、なかなか整合性を持った全体の設計ができない。この財布の壁というか、各課の壁というか、分野の壁というか、ここをどのようにうまく流動させながら、全体的な制度設計をしていけるのだろうかということを考えていただきたいと思うのです。考えていただきたいと厚生労働省に投げてしまうと、またそこで考える壁ができてしまうので、誰が考えたらいいのかちょっと分からないのですが、この辺はむしろ政治主導でやっていかなければいけないのかもしれないと思います。
 3 番目は、障害者福祉の中だけでも、まだ予算はいろいろと動かせる余地があるのではないかと思うのです。というのは、このワーキングチームの前に診療報酬の改定に携わらせてもらったのですが、そのときに私は入所者数はジャブジャブに儲かっているという話があるということを言って、いろいろな入所施設の人から誰が言ったんだみたいなことを言われたのですが、今回、入所施設はちょっと下げられましたね。その後、ある入所施設の経営者と話していたら、「いや、このぐらいじゃ全然なんだよ」ということを言われまして、こんなことが議事録に載ると、またハレーションがあるのは覚悟して言っているのですが、どのぐらいあるかと聞いてみたら、去年 1 年間で収益率で 3 割残ったと言うのです。例えば 10 億円の事業をやったら 3 億円残ったというのです。ほかにもっと苦しい所も知っている。でも、それはやり方が全然間違っているのだと言っているわけです。

 でも、その人だけではなくて、私は結構そういう人に聞くのです。その人たちは決して入所施設を嫌いではない。むしろ入所施設が大好きで、入所施設を守っていきたいと思っている人たちが言うのです。もっときちんと見ていったら、まだまだ障害福祉の中だけでも必要な所にお金を動かせるのではないかというのを最近感じております。ちょっと勇気を持って言わせていただきました。

 もう 1 つは、今回議論にならなかったところで、先ほども言おうか迷ったのですが、また新たに言うと大変なので言わなかったのですが、触法の問題です。これは福祉の分野でずっと目を反らしてきたことで、地域定着生活支援センターができて、見通しがついたみたいに思われているのですが、私はこれは相当課題があると最近思い始めています。 1 つは、今、日本は強悪犯がどんどん減ってきて、 10 年で半減しているのです。殺人事件は 3 分の 1 になっているのです。にもかかわらず、刑務所はいつもいっぱいなのです。なぜかというと、微罪の障害者、高齢者がどんどん収容されているからなのです。お腹がすいて、お金がなくて、家族がなくて、相談できる人がいなくて、コンビニのおにぎり 1 個を取ってしまった人でも、刑報 25 条の規定によって、一旦、刑務所に入った経験があると、次から自動的に執行猶予も付かずに刑務所に入れられるというシステムになっているのです。しかも、以前よりも重い刑が課せられていくというシステムになっていて、前科 18 犯とか 20 犯とか、ゴロゴロしているのです。でも、その人たちはお腹がすいて、家族がなくて、お金がなくておにぎりを取った人たちなので、全然強悪でもなければ、ちょっとした支援があれば、普通に地域でやっていける人なのです。

 それが刑務所から出所してどうなるかというと、地域定着支援センターに特別調整でかかると、地域で十分いける人たちの多くが入所施設に行くのです。なぜそんなことになってしまうのかと考えるのですが、そのときにそういう人を引き受けると、入所施設に月に 10 万円の加算が付くのです。本人たちは年とったお母さんと一緒に住みたいと言っている人にもかかわらず、刑務所から出てきて、もう刑を終えているにもかかわらず、また収容されていくわけです。こういうことが 1 つ起きている。これが 1 つの問題です。

 もう 1 つは、今度は受け皿がない人たちがいます。つまり、高機能の発達障害で、殺人等の重大犯罪を犯してしまった人たちは、どこも受け取り手がないのです。何年か前に大阪でアスペルガーの人がお姉さんを刺し殺してしまって、そのときに懲役 16 年と求刑されたところ、 20 年という判決があったのです。求刑 16 年で、更に重い 20 年という判決は何だと、我々は非常にそれをアピールして、そのときは地域に受け皿がないから刑務所にできるだけ長く入れておくしかないのだという判決文だったのです。我々はそれは違うと。今は地域定着もあるし、地域で受け皿がこんなにあるではないかというように反論してアピールしたのですが、本当は正直に言うと地域に受け皿はないのです。

 現実に 1 つ例を挙げますと、今まだ刑務所の中にいる方ですが、高機能で IQ 120 幾つある方だそうです。その方は重大な犯罪を家族内で犯してしまって入っているのですが、だんだん出所の時期が近付いてきたときに、家族が右往左往しているのです。なぜかというと、受け皿がないからです。被害者でもあり加害者の家族でもありますから、とてもではないけれども支えられない。地元の発達障害者支援センターに行ったら、うちではとてもではないけれども見られないと。施設をあれしても、地域定着に行っても、うちでは見られないということで、困り困って裁判のときに精神鑑定をしてくれた精神科のドクターの所に泣き付いても、もう関わりたくないと。中ではそういうものに対するケアも何もないまま、問題を抱えたまま、本人は着々と英検 1 級を取り、いろいろな資格を取って、出てきて自活しようとしているのです。

 こういう人たちは誰もどこもつながっていなくて、私どもはものすごく危機感を持つのです。本当に支援の必要な人たちが全くつながっていなくて、そんなこと要らない、入所なんて入れておく必要はないのに、定着が掛かっていると必然的に入所に入れられてしまう。この全く矛盾な触法といいますか、この分野で今起きているのです。先ほど言っておけばよかったですかね。ここを加えてほしいですね。私はここはすごく最近。これはごく一部の話ではないのです。今、刑務所は障害者と高齢者の収容所になっていますので、ここを考えていかなければいけないと思いました。以上です。

 

○寺島構成員

 寺島です。私は海外に行ったり、あるいは海外から障害者や障害関係の専門家を呼んだりというプログラムに関わっていることが多いのですが、そういう人たちから聞いていると、日本の障害者福祉は結構いいのではないかと思うのです。例えば発展途上国で言えば、公務員なんか全然信用できないみたいなことを言う人も多いし、先進国で言えば、ヘイト・クライムがすごく増えています。具体的な話で言えば、鉄道などで車椅子の方が乗降するときに、車いす用渡し板を持ってきてくれますよね。ああいうのをやってくれるのは日本だけなのです。韓国も同じようなバリアフリーの地下鉄があるのですが、韓国はやってくれないのです。「どっちがいいですか」と聞いてみると、頑健な方は自分で乗ったほうが早いからいいと言うのですが、ほとんどの障害の車椅子の方は余り腕の力がないので、そういうサービスのほうがいいと、そういうやさしい面があるのです。

 どうしてそんなに障害者福祉が良くなってきたのかと考えますに、 1 つには過去、障害者リーダーに良い人たちがたくさんいて、理性的で、すごく頭の良い人たちが障害者福祉に携わってこられたというのがあります。それから、公務員の方も結構それに同調したりして協力的で、制度を作ってきたと。こんなに障害者関連の法律がたくさんある国は余りないですよね。アメリカなどはリハビリテーション法ぐらいしかありませんが、日本は各障害別に法律があったりするぐらいで、そこにはやはり障害当事者と官僚といいますか、公務員の人たちの協力関係が実際はあったのだろうと思うわけなのです。

 残念ながら現在は財政的に厳しい状態で、サステナブルな制度構築をどうするかというのがこのワーキンググループでも議論されているところですが、原点に戻って、民間の力を活用するというのが 1 つは必要だろうと思います。無駄をなくすのは当然必要ですが、さらに障害のある方たちの力を活用させていただくのは重要なことではないかと思います。

また、民間の企業の活用を図ることも必要です。障害者関係の制度は、介護保険に比べて民間の活力を使っていないような気がします。私は以前カナダでコミュニケーション支援の会社に勤めていたことがあるのですが、お金をもらって障害のある人にパソコンを教えに行くと、 1 60 ドルぐらいくれました。日本にはそういう制度はありません。ボランティアも当然重要ですが、企業の力も活用していく必要があるのではないだろうかと、常々思っている次第です。

 障害のある方と公務員が、力を合わせるだけで、財政危機を乗り越えられるかどうか分かりませんが、何とか克服していく必要があるのではないかと思います。そうでないと、せっかく先達が築いてきたシステムが、深刻に言ってしまえば崩壊の危機にあるというようにも思います。いろいろな社会資源を活用して進めていただければ有り難いかと思っております。

日本の産業を考えれば、最近ロボットが普及し始めていますが、ロボットを最大限活用するとかも必要でしょう。それ以外にも駅のホームにドアが付いているような国は余りないのです。あれはもともと視覚障害の方がホームから落ちないようにということで開発されたと言われているのですが、ああいったものを世界に輸出していけばいいのではないかとも、常々思っていたりするわけなのです。そういった知恵を出し合って、日本の障害者福祉の水準を維持して、更に発展させていければいいなと考えております。最後に、お忙しい中にヒアリングに来ていただきました障害者団体の皆さんには感謝申し上げまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

 

○山下構成員

 山下です。私は多分 5 分話せないと思いますので、とりあえず話せるだけ話したいと思います。まずは皆様、本当にありがとうございました。大変不勉強な中で、この場にいて申し訳ないと思いつつ勉強させていただいたという気持ち、そして感謝の気持ちでいっぱいです。私が常時介護の作業チームや、このワーキンググループの中で議論をしていて判断に迷っていたときに、いつも立ち戻っていたのは、ヒアリングの内容と障害者権利条約でした。これは批准したからというだけではなくて、この権利条約が地域で生きていく障害者の権利を考える上で、とても重要な道標だと思っていたからです。これから議論のステージは障害者部会に移っていきます。このワーキングの中でも財源のことが繰り返し論じられていて、それ自体は本当に重要な検討事項です。財源のことをしっかり考えることはもちろん大事ですが、当たり前のようですが、一方で制度設計の際に障害福祉施策が何を大切にして、これから何を目指していくのかということをちゃんと考えていくことは、絶対必要だと思います。私はそれは地域の中で充実して生きていく、そのための障害者への支援、権利擁護のために制度を作っていくのだという思いでいます。

 そうした指針については、先ほど話した権利条約や、骨格提言の中にも既にあります。これから議論が障害者部会に移っていきますが、これまでの障害者福祉施策の議論の動向、現状を踏まえて、是非これからというのを議論していただきたいと思いますし、私もこのワーキンググループに関わった者として注視していきたいという気持ちでいます。以上です。ありがとうございました。

 

○佐藤座長

 私も最後に一言。今、皆さんのお話を聞きながら来し方を振り返っておりましたが、厚生労働省の検討会とか部会とか、そういうものに顔を出すようになったのは 2003 年の支援費制度が崩壊し、その後どうするかというときからなのです。ですから、 12 年、ちょうど 1 回りぐらいこういうことに長々と関わってきた気がしています。支援費制度のときから、それをどうすれば制度として障害福祉がもっと安定できるのかということが基本的なテーマだったと思いますが、私は一貫して何で介護保険と年齢で分けるのだということをしつこく言い続け、そのために非常に多くの批判も受けてきましたが、いまだなお今後、日本の福祉制度全体を落ち着かせ、未来のあるものにしていくためには、障害の種別を分けないように、同じように年齢も分ける必要はないと思います。それぞれの人々の生活の支援をきちんとやっていく総合的な法律を作っていくことを目指すべきだと思っています。

 それがたまたまとりあえず介護保険と一体的な制度を目指すべきではないかというようになるから批判が集まるというのは、重々覚悟していますが、もうそろそろこういうところも年齢的にも引退で、今回、自分的には最後の御奉公と思っています。ですから、部会の議論の中でも、今回はそのことは問題にならないと分かってはいても、何かあったら主張しようというのを、今回の検討会でも改めて思いました。それが 1 つです。

 もう 1 つ、先ほど野沢さんも言いましたが、このワーキンググループが発足するときに、部会で大変なバッシングがあったのです。本当に無礼なやつらだと思ったのは、すでにワーキンググループの名簿も出ていましたから、「障害者が 1 人もいないじゃないか。お前らに何が分かる」と言わんばかりの話。それから、例えば就労支援に知見を持った人間がいないと。それは言われたら自分が何でも知っているわけではないというのは当たり前のことですが、そういうことを言うかなと思って、大変腹立たしかったのです。それをやっている人間にしかそれは分からないという了見は、我々の議論の広がりをなくすということを思っていまして、そんなことを言えば、私は 3 年前から 1 級の障害者です。心臓のペースメーカーを入れています。だから、赤い手帳をいつでも持ってきますよという話です。それから、利用者家族の気持ちとしては、母親が 6 年前に倒れて、私は主たる介護者として、いわゆる介護離職的なことも含めて、いろいろと介護のことに関わってきました。だから、今では介護保険のヘビーユーザーです。

 それから、先ほど出た事業はやりようによっては儲かるということでは、かつて自分がいろいろな人たちと一緒に立ち上げた社会福祉法人はやりようが下手で今も多額の借金を抱えています。ともあれ、最初の議論に参加したときは、事業者の立場で参加したのです。でも、何とかやってこれたのは、非常に問題があったけれども、制度が少しずつ整備されてきて、何とか今も潰れずに、障害のある人たちの地域での暮らしを支える役割の一端を担うことができていると思います。

 今回は学識経験者という、自分で言うのも何ですがという立場で仕事をしていますが、考えてみたら、どこからでもかかってきやがれみたいな立場だと思っています。学識経験者だったり、事業者だったり、サービス利用者の家族だったり、同時に障害者本人である。障害者本人の赤い手帳は、いざというときの印籠にしてやろうとずっと思っていたら、神様に罰を受けたのか、この間、出ないはずの不整脈が出て、救急車で救急搬送されて、まだ病院から戻ってきて 3 日目か 4 日目ぐらいなのですが、ますますこれで自分も障害のある人の 1 人として、残った時間、偉そうな顔をしていろいろなことを言えるかなと思ったりしています。

 今回のこの検討会でも、最近の流行りの何々すぎる何とかで言えば、しゃべりすぎる座長みたいなことで、皆さんには御迷惑をおかけしたかもしれませんが、私としてはいろいろな御意見を拝聴することもできたし、また自分もいろいろな意見を吐き出すことができて、皆さんのおかげで私個人にとっては大変満足のいくような検討会でありました。本当にいろいろありがとうございました。

 一渡りコメントが終わりましたので、事務局からお願いします。

 

○藤井障害保健福祉部長

 最後に、私のほうから御挨拶させていただきたいと思います。座長をはじめ、構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、何回も御参集、御議論いただきましてありがとうございました。思えば、もともと総合支援法の附則に書いてある 3 年目の見直しの論点は非常にざっくりしたものでして、これを審議会に議論を上げていくのにどのように論点整理しようかと。本来なら、私ども事務局でしっかり自分たちで論点整理をしなければいけなかったのかも分かりませんが、今回それだけではなくて、ヒアリングという形で、結果的に 38 団体になりましたが、いろいろな関係団体の御意見を頂きながら論点整理をするというやり方をやってみようということで、このワーキンググループを立ち上げさせていただいたわけです。成果として、きっちりした論点整理をしていただきまして、本当にありがとうございました。

 また、今日の資料 1 で言えば、 4 ページ以降に「検討の視点 ( ) 」として、いろいろな角度からの意見を整理していただきました。最初に挙げられている論点が大論点だとすれば、それをブレークダウンした中論点、小論点という形の整理をしていただいたのかと思っておりまして、これも今後の議論の大事な視点例として、私どもは頭に置かせていただきたいと思います。

 先ほど座長からもありましたが、今後 4 月下旬に社会保障審議会の障害者部会をセットしたいと考えておりまして、そこに今日の取りまとめていただいた成果物、 3 年目の見直しの論点整理をして報告して、いよいよ障害者部会において 3 年目の見直しの議論をスタートしてまいりたいと考えております。座長の先ほどのある意味、悲壮っぽい決意を呼応するわけではないのですが、私ももうこの年齢、この立場ですので、いつ現役の公務員でなくなるか分からないような時期になってきていますし、少なくとも障害福祉施策に関わるというか、直接、障害福祉施策を自分でやるのはどう考えてもこれが最後です。また課長に戻してもらうとか、そういう人事でもあれば別ですけれども、そういうことがない限りはどう考えても今回この部長の立場が最後になってまいります。

 そういう意味で、私もこれから審議会をここに並んでいただいているみんなと一緒に動かしていくわけですが、今回できるだけ率直な議論がしたいと思っています。タブーとかそういうのはできる限り抜きにして、私も財源のことなどを何回か申し上げたりもしましたが、この世界だけではない、社会保障いかなる分野もそうですが、理想を語る、あるいはこういう方向に持っていこうというのはもちろん大事なことで、私もどんな分野の仕事をするに当たっても、まずそれを自分の頭の中で組み立てて、とにかくそっちの方向へ行くのだということは常に頭に置いて、仕事をしてきたつもりではあります。

 しかし、それだけで世の中が動くほど甘くないといいますか、社会保障だけを見てもいろいろな分野があって、いろいろな方々がいらっしゃいますので、その中で資源の分配をどうしていくかということは、なかなか理想とか理念とか、それだけでできるものではないというのは、もう 30 何年この役所で仕事をしてきて嫌というほど痛感させられています。そういった現実を踏まえて、どうすればいいのか、どうすれば少しでも障害福祉施策を前進させることができるのかということを、審議会の皆さんとともにこれから議論をしていきたいと思っています。このワーキングの中でも、何人かは審議会の委員もいらっしゃいますので、当然、一緒に議論をさせていただくのですが、ほかの先生方におかれましても、今後とも是非、審議会の議論を注視していただきまして、適宜ちょっと議論の具合がおかしいのではないかとか思われたら、私か誰でも結構ですから、あるいは委員である佐藤先生なり野沢さんでも結構ですから、インプットしていただければ有り難いと思います。引き続き御助言、御鞭撻いただければ有り難いと思います。

 もしかしたら、論点整理のための議論ということで、何か中途半端にしか議論できないのではないかというお気持ちを抱かせたような場面もあったかと思いますが、その点おわびも申し上げたいと思います。数か月ではありましたが、お付き合いいただきまして本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

 

○佐藤座長

 以上をもちまして、この検討会を終了いたします。皆さん、どうもありがとうございました。


(了)

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